○
国務大臣(
河野一郎君) 少し
お答えが適切にいきかねるかもしれませんが、第一は、これまで
日本農業が持っておった弱い面、その弱い面は一応
政府の
保護政策でこれをカバーしておった。であるから
自立でなくて常に
保護が必ずつきまとって、そこに一応の安定を
考えてきた。したがって狭い
耕地でありますから、その
耕地を
適正規模の
農家というような
意味合いで一町そにそこ、もしくは一町五反というもので、一応みんな多数の者がおやりなさい、足りない者は助けます、米が安ければ何とかしますどいうようなことで長年の間やって参りました。その惰性、その
現実、そこに、こういう時代に入って参りまして、これじゃあもういかぬ、そこに
自立農家を
考えなければいかぬ。
自立さすためには、少なくとも今まで
考えておったような一町五反前後のものでは
計算が立たないと、そこで一応二町五反
程度のものを
考えなければ、
施策をしても、
自立の
計算が立っていかないということから、一応二町五反前後のものを持ちまして、そこにどういう
経営をしていったならば、それで
自立した
農家ができるかということを一応
考えておるわけでございます。そこで、百万戸と申しますけれども、これはなるべく多いことを期待いたしますが、御
承知のとおり、非常な
一般の
農家の
諸君の
土地に対する執着がございますから、にわかにこちらのほうはやめて、それをこっちへ合わせて二町五反、これもこうして二町五反という工合にいきにくい。したがって、なるべくそうあってほしいという希望を持ちつつ、そういうものを想像して、
奨励してやって参るということに
基本の
考えを置いております。これは
基本の
考えでございます。それが一応
農業基本法で
考えるところの
自立農家。ところが、それじゃそうならぬものはどうするのだということになります。そこで、私はこの
現実に処して、一体そういうふうにならなければどうするのだ、ならぬものはどうするのだ。何といっても新たに
土地を
造成すると申します、全力をあげて
土地を作るつもりでおりますものも、なかなか急にそれが、この狭いところで、大ぜいの
方々に二町五反といったところで、そういうふうにいけるものでないので、努力をいたして、なるべくそれも今申しますように百万戸の
自立農家を作るというような行き方と同じような
意味において、
土地の
造成には努力いたしますが、それもなかなかいきかねるだろう。
そこで、次の話に入りますが、
成長農業というものをわれわれは想像いたしますが、たとえて申しますれば、
くだものにいたしましても、今まで
くだものの
奨励をあまりやっていなかった。これも非常に高級な食
生活の、高級な支出のうちに
計算されておったものをそうでないふうに、大いにこれを
家計の中に日常取り入れるようにして、そうしてこれを
農家の
所得の中に入れていく。
畜産の製品についても同様であるというような
意味合いから、従来
農家の
収入に、
経営の
主体となり、また、もしくは
収入に入っていなかったこれらの新しい
農業を取り入れて、そうして今申し上げました
土地の中で、これを
計算の中におきつつ
収入を増していくことによって、一部はいくのじゃないか。これにもちろんいきかねるものがある。その場合に私はたとえて申しますれば、
畜産を
主体にしてやります場合には、どうしても
相当の広い
面積を要求いたします。ところが、これを
温室栽培に切りかえた場合にはどうなるか。狭い
面積に金をかけて、今日
全国各地に見受けられますような
温室栽培を
経営の中に取り入れて
奨励することになりますれば、その
資本が加わることによって
面積が狭くても
収入はふえていくことができるだろう。そうしてそこに新しい
自立したものができるようになっていくだろう。
くだもの畠を作る場合にどうなるか、
くだものの
種類によっては
面積と比例するということなしに、
面積の広さと
むしろ関係なしに高級な
くだものを作る場合には、そこに
一つのものが得られるだろう。たとえば
石垣イチゴのようなものについても、そういうことがいえると思うのであります。こういつたようにいろいろな
農業の
種類、もしくは技術の進歩というようなものを取り入れて、そうして
農業の
高度化をはかることによりまして、
経営面積とは別途
資本を加えるごとによって
労力が
収入に変わってくることができるのじゃなかろうかというようなことを
考えつつ、
日本全体にわたって地域的に適正な
農業経営を
計算いたしまして、そうして全体にわたって
構造の
改善をやりていこうということを一応の
目標といたしているのでございまして、したがいまして二町五
反歩百万戸というものだけがねらいじゃない。二町五
反歩経営規模を拡大したものもむろんけっこうでございまして、第一にはそれを
考えます。しかし、そうならない狭いところにも施設をいろいろいたすことによって、狭いところにも
自立した
農家ができぬことはなかろうじゃないかということも
考えて、
資本を加えることによってそこに
土地と
資本というものによって、
労力が
相当高く運営できることが
考えられる。
第三番目には、そうは申しながらも、一家の
家族のうちで
工場の分散、
地方誘致等によりまして、
農家の
労力の一部が
工場労力に変わって参る。残存の者ば、その残余の
土地を
経営するということによって、
面積が狭いながらに、
収入もそれだけで立つことはできませんけれども、
兼業農家というものは、そこに従来よりも明かるく安定した
兼業農家というものも
形成できるのじゃないか。その点については、特に今後ひとつ
研究をして、どういうふうに
兼業農家の
安定化、
固定化をはかっていくことが適切であるかということについては、特に
検討を加えてみたいと
考えておる次第でございます。