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1962-02-08 第40回国会 参議院 農林水産委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月八日(木曜日)    午後二時五十四分開会     ―――――――――――――   委員異動 二月七日委員藤田進君辞任につき、そ の補欠として木下友敬君を議長におい て指名した。     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     梶原 茂嘉君    理事            石谷 憲男君            櫻井 志郎君            安田 敏雄君            森 八三一君    委員            青田源太郎君            植垣弥一郎君           小笠原二三男君            北村  暢君            木下 友敬君            清澤 俊英君            戸叶  武君            天田 勝正君            千田  正君            北条 雋八君   国務大臣    農 林 大 臣 河野 一郎君   政府委員    農林政務次官  中野 文門君    農林大臣官房長 昌谷  孝君    農林大臣官房予    算課長     桧垣徳太郎君    農林省農林経済    局長      坂村 吉正君    農林省振興局長 斎藤  誠君    農林省蚕糸局長 立川 宗保君    食糧庁長官   大沢  融君    水産庁次長   村田 豊三君    農林水産技術会    議事務局長   増田  盛君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林省畜産局参    事官      保坂 信男君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (農林水産基本施策に関する件)     ―――――――――――――
  2. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨七日、藤田進君が辞任し、その補欠として木下友敬君が選任せられました。     ―――――――――――――
  3. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) この際、農林水産基本政策に関する件を議題とし、農林大臣に対し、質疑を行ないます。御質疑の方の発言は、委員長におきまして、順次指名いたすことといたします。  なお、質疑の時間は、大臣の答弁を含めまして一人三十分以内にお願い申し上げます。戸叶君。
  4. 戸叶武

    ○戸叶武君 河野農林大臣は、農業生産性及び農業従事者生活水準の向上を目標として、昨年制定実施された農業基本法を機軸として農業施策基本態度としたといわれておりますが、この政府国会に提出したグリーン・レポートなどを見ますると、農林大臣が楽観的に語っている内容とは異なった、農業の面におけるしわ寄せといいますか、非常に問題が出てきていると思うのです。  それは、農業基本法のねらいというものは、やはり農業生産性を高め、農作物生産コストを低めて農業所得を増大していくというところがねらいでしたが、他産業と比較すると、他産業との不均衡というものが是正されておらないのが事実でありますが、この他産業との格差、こういうものをどうやってつぼめるかということに対しては、やはり農業保護政策として立ちおくれている農業に対して、農林予算をもっとふやしてやること、それから農業に対する財政投質というものをもっと増大してやるということが必要なことでありまして、西ドイツ農業基本法が一九五五廣に国会を通過いたしましても、その翌年には約二倍近くも農林予算が増大し、また一九五七年には二倍半からの農林予算というものがふやされて一おるのです。これから見ると、今回実力者としての河野さんによって、農林予算が相当ふえたとはいいますが、西ドイツで、農業基本法をきっかけとして、立ちおくれている農業に対して、国家が強力な援助を与えたのから見ると、非常に落ちていると思うのですが、この間の関係をどういうふうに大臣は見られますか。
  5. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御指摘のとおりでございまして、わが国の農業に対しましても、画期的、飛躍的な予算を計上いたしまして、もっと十二分な施策保護援助、指導という面に力を入れる必要がある、そうして抜本的に構造を改善いたしまして、世界の国々と伍していくことができる日の一日もすみやかならんことを「期待いたさなければならんと考えている次第でございます。
  6. 戸叶武

    ○戸叶武君 この農業の不均衡な発展を打開する道として、河野農林大臣は、農業についての重点施策は、まず第一に畜産物園芸作物等成長農産物重点として、生産選択的拡大を一そう促進するということを、大臣施政演説においても強調されておりますが、御承知のように昨今の問題というのは、牛乳消費者に対する値上がりにしても、あるいは豚肉の、市場価格は下がってきても、消費者にはそれほど安いものが入らないという面から見ましても、特に豚の問題でありますが、需要の急速な増大に即応しつつ、長期にわたり、その生産拡大を達成するというこの政府施策にのっとって、そうして多頭飼育とい丁ものが発展してきたのであります。それでありますから、今日の需給のアンバランスなところに暴落の原因があるので、その責任は一に政府の何といいますか、政府が奨励して、豚が非常にふえると、今度は値が下がっていくということによって、政府の言うことを聞けば農民は損をする、前にも生糸の問題で、生糸が売れないから桑を抜け、桑を抜いたところが生糸が高くなった、今度は桑を植えろと言う。とても農民は行ったり来たりで、政府の逆をやっていけば大体何とかやっていけるが、政府の言うことを聞いたら貧乏するだけだという、政府に対する不信感があるのです。この間の、私は、大臣はわれわれよりも少し年配な程度にすぎないのに、非常に精力的な人なのに、どうも施政演説が元気がないと思ったら、やっぱりお役人が書いた原稿を読んでいる。当面の行政とは逆なことばっかり書いてあるから、やはりこれは頭のいい大臣のことだから、これはあまり力こぶを入れてこの演説をやったら、あとで恥をかくのじゃないかというので照れながら、この間は、私は、実際、あいさつしていたと思うので、隣りの議員からも、あれは百も承知でああいうことを、見えないような顔をして河野大臣はやっているのだと言いましたが、私もそうだと思いますので、河野さんぐらいは役人の書いたあの時節おくれの、当面に何の役がないような、ああいう演説は朗読しないで、ほんとうの腹からの、そのところずばりで問題を解決していくような施策をやはり躍動してもらいたいと思うのです。  豚の問題ですが、過剰生産に陥った豚肉価格暴落した。これを食いとめるということに対して、この間も緊急対策や何かを発表していますが、あのときも二百三十円と言いましたが、あの日のうちに二百二十円に下がっているのです。で、河野農林大臣は二百三十円でこれを無制限に買い上げるということを断言しておりますが、大体その方針はくずさないつもでしょうか。
  7. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) いろいろ御注意をいただいておるのでございますが、何分急激に各般の農政について変革を加えて参らなければならぬ事態にありますので、実は一々手の行き届かぬところもありますし、また全面的にやるといいましても、なかなかすべてが順序よく並行して整備できないという点もありますために、いろいろ農村方面に御迷惑をかけておりますことも事実でございます。まただんだんお尋ねによってお答えすることにいたしますが、ただいまの豚の問題につきましては、大体二百三十円を上回ったものにいたしたい、こう思っておりますが、実は、今、審議会の御意見をちょうだいいたすことになっております。私今回は審議会に出席いたしまして、従来の審議会の運営と変えまして、私のほうからなるべく具体的な数字は申し上げない。審議会のほうで、どの程度にすることが適当であるかということを審議会独自の御意見をお聞かせ願って、そのとおりできるかできぬかは・政府政府として計算はいたしますけれども、その重要な参考資料として、審議会の御助言をちょうだいいたしたい。そういうふうにしてこれからはやって参りたいということを先日もごあいさつ申し上げ、また今回の審議会についてもそういきたいと考えておるのでございます。したがって審議会からどういう数字が出て参りますか、その数字を拝見いたしました上で間違いのないようにやりたいと思っておりますが、私といたしましては、ただいまお話のありましたとおりに、二百三、四十円というところを目標にすることが、まずまず最小限度その辺まではしなければいかぬのじゃなかろうか、こう考えております。
  8. 戸叶武

    ○戸叶武君 その大臣の言う最小限度は、応急対策としての最低の値段で、この値段ではやはり農家赤字であるということはわかっているが、この暴落を食いとめるための暫定措置としての処置と思いますが、その審議会においてはその緊急を要する暫定措置と、また恒久的な農民が安心して豚を飼えるような状態値段はどういうものかというのを区分けしておきめになると思いますが、農林省としてはそれに対してどういうような資料提出方法をやっておいでですか。
  9. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御承知のとおり、これらの資料はあまり全国的に生産費調査その他完備したものを実は持っておりません。これはおそらくわが国内に少ないと思うのであります。したがって、審議会委員各位の御調査もなかなか困難であると私は思います。そこでただいまお話しのとおりに当面いたしておりまする豚価の安定のために暫定的な価格をまず定めまして、それによって一応てこ入れをいたしまして、そして順次各方面情勢を勘案考慮いたしまして、そうして成長する畜産部門において、豚価をどの程度にすることが必要であるか、どの程度に維持して参る必要があるかというような点等も考慮いたしまして、そして基本的な標準となるべきものを追って定めるということが妥当ではないか、こう思っておる次第であります。
  10. 戸叶武

    ○戸叶武君 その生産費調査の問題が重要ですが、農林省としてもあるいは農協においても、それぞれ数字を発表しておりますようですが、それがいろいろまちまちで、あるものは一頭当たり生産費は一万七千四百円程度はかかるというし、きょうの週刊朝日等で取り扱っているのだと、一万三千五百円はかかるといっておりますが、今のような状態だと非常に農民赤字になってしまうので、この二百三十円ないし二百四十円というのでは、やはり豚を飼うやつがなくなってしまうのじゃないかと思うのでありまして、暴落に対する応急処置ということも必要でありますが、その応急処置だけでよろしいということにはならないので、そういうような妥当な、今まで豚の多頭飼育を奨励した農林省としての責任をもって、一頭当たり生産費は大体どのくらいで、どのくらいの卸値を維持しなければ農民は豚を飼うことができないという数字を押えていると思いますが、その発表を願いたいと思います。
  11. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ただいま申し上げたような次第で、全国地方によっても違いますし、また立地条件によっても違います。したがいまして、にわかにこれが標準価格として生産費がこの辺だということは、これは何の農作物の場合でも同様に、なかなか、上は幾らから下は幾らというようなことになりますので、標準でやってどういうようなものが出るかということになりますから、今ここで一頭の生産費がこうの、一体三千円がいいか、四千円がいいか、またえさ代その他の費用としては八千円がいいか、九千円がいいかというようなところは、なかなかこれをにわかにきめかねる点と思うのでありまして、これにしたがいまして審議会の御意見十分参考にして、最終的にきめることが妥当である、こう考えております。
  12. 北村暢

    北村暢君 関連。今資料が、豚の生産費資料があちこちあいまいで、ないというようなことをいわれているのですが、これは統計調査部生産費調査というのをやっているはずなんですね、統計的には私はないとはいえないと思うのです。ですから地域別、それは北海道、東北なんというような形ではあるかもしれないけれども、生産費統計がないということは、これは膨大な金をかけて統計調査部は一体何を生産費調査をやっているかということになるので、それは、大臣としてはちょっとまちまちでできぬということは、私は了承できないと思うのですが、資料、それはあるのじゃないですか。
  13. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) いや、それは参考になるべきものはとってないことはないと思いますけれども、今ここで価格決定に適切な資料をそろえるということは困難であるというわけでございます。
  14. 北村暢

    北村暢君 今の適切な資料価格決定のための適切な資料というのは、一定の目的でもってその資料を、価格に合うような資料を作るのじゃ私は意味がないと思うので、これは何年となくかけて生産費調査というものをやっているのですから、統計調査部資料というものは統計的にあるはずですよ。ですから、そういうものは公表できると思うのですがね。どうなんでしょうか。
  15. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 三十五年の一年だけのものは御指摘のようにあるそうであります。しかし、御承知のとおりこういうものを決定いたします場合に、一年の調査だけでそれを参考にするということは適切でない。したがいまして、諸般の情勢を勘案して決定するより仕方がない。こう思うのであります。
  16. 戸叶武

    ○戸叶武君 この問題は審議会決定を待つというけど、審議会決定というものに対して、行政官庁としての農林省から適切な生産費調査資料が出なければ、価格決定のしょうがないと思うのです。こういうところに行政機関の私は怠慢があるのだと思いますから、河野さんなんか、そういう冷凍物になった農政でなくて、生きた農政をひとつ即座に適切にやるように、やはりそういう資料というものは正確に握ってないと、要するに審議会というものが自主的に決定というけれども、審議会行政補助機関的になってお役所の都合のいいことを、やはり何らの資料を持たずにきめるのじゃないかということになっては権威がない。審議会よりも権威のある国会において資料を要求しても、それに対して適切な資料行政官庁から出てこないということでは、国会におけるところの審議権というものも権威を失っていくと思うので、その点は河野さんを通じて私は農林官僚に対して厳重な警告を発しておきます。  それで次に、河野さんはとにかく豚を買い上げてすぐつぶさないと、えさを食うから金がかかる。すぐにつぶさなければならない。それに対して冷凍倉庫が足りないのじゃないかと危惧を持っているものがあるが、冷凍倉庫はある、だからその点は心配するなと言いましたけれども、農民人たちからあとから投書が参りまして、しかし冷凍倉庫漁業関係冷凍倉庫なり何なりも利用できるだろうけれども、そうすると費用がかさむし、それから味は落ちるし、値段も落ちて、それは長いことそういうことはできないのだと言って心配しておりますが、この冷凍倉庫には不足はないと言っておりますが、そういう形で豚に関しては冷凍倉庫にあまり置くということは工合が悪いのじゃないかと思いますが、その点はいかがですか。
  17. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) これは私前にも申し上げたと思いますが、ひとり豚だけじゃなしに、牛肉の場合でも、私は同様のことが言えると思うのでありますが、普通の倉庫と違って冷凍倉庫でございますから、倉敷料も高うございますし、金利もかかる。そして冷凍しますと、冷凍することによって品質が低下いたします。それはやむを得ぬことでございますが、そういうことになりますから、なるべくこれを学童用にでもひとつ給食したらどうだろうか。また、次の騰貴という場合に備えて、一部はむろん保存しておくことは必要でございますけれども、今回のような場合におきましては、ある程度のものは消費してしまって、そしてむしろ今申し上げるような金のかかる、品物が悪くなるというようなことを対象に考えるべきでないと思っております。
  18. 戸叶武

    ○戸叶武君 学校給食で処分するというのは、応急処置として当を得たものだと思いますが、その点に関してこの前農林大臣金利倉敷等を規定して、これを勘案して学校給食にこれを値引きして配給いたしたいと言いますが、その費用はどこから出していくつもりですか。
  19. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御承知のとおり、事業団がこの買い上げはやるわけでございます。そうして事業団が保管をして、そうしてこれを適当な時期に売り出すということが、今一応のケースになっておるわけであります。それを事業団に、それらのケースを計算いたさせまして、そうして大体どのくらいの値引きであるならば学童に出してもよかろうということを、政府と合議いたしまして、事業団に欠損をして処理させる、こういうつもりでございます。
  20. 戸叶武

    ○戸叶武君 この芝浦の卸値段は下がっても、小売値段が下がらないというところに、非常に問題があるので、大臣も、農作物に関しては流通過程に問題があるというのを非常に力説しておりまして、この農林弘報におきましても、年頭のあいさつの中で「流通過程合理化の問題であります。現在農産物最終消費者価格のうち、農家平均手取りは三分の一程度に過ぎません。従ってこの中間経費を如何に合理化するかという問題は、農政上ゆるがせにすることのできない大きな問題であります。従来手薄であった流通面に、今後私としても積極的に努力して参りたい」こう決意のほどを語っておりますが、とにかく牛乳でも、農家から買われてから末端の消費者に渡るまでに三倍もになっているというところは、日本くらいでほかの国にはないのです。豚も農家では買いたたかれて、そうして都会の消費者にはその三倍近くの値で売り渡されておるというような矛盾、今始まったことではないんですが、これはおそらくは河野農政重点政策としてこの流通過程における合理化の問題と取り組んでいくと思うのでありますけれども、抽象的な理屈は河野さんのとらないところで、河野農林大臣といえば、あれは実行型の人間というふうに相場がきまっておるのだから、この豚と取っ組んだら、よし今度は豚をひねって片づけてしまおうということでなければ、河野さんの評価というものは高くならないので、私はこの豚の問題をめぐって、やはりこれはほんとうに「とんでもはっぷん」という冗談まで出ていますが、豚が国会にデモをかけなければならないような状態に来ているときに、ずばりとここでもって流通機構矛盾に対してメスを入れなければならないと思いますが、あなたはどういうところにまずメスを入れようとしておりますか、その具体的な事例を私はお聞きしたいと思います。
  21. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 長年にわたる慣行もございますので、軽々にこれに手をつけることは軽率でござい.ます。したがって、ここに欠点があることはわかっておりますけれども、なかなかこれは改善されない。そこで私は昨年以来特に係官を派遣いたしまして、今厳密に調査をいたしております。この調査の結果が実は三月末という予定でありましたが、せっかく皆さん会議中でございますから、中間報告をするようにという命令をいたしまして、ごく近日のうちに、これら調査中の中間報告を一ぺんとって、これを皆さんに読んでいただく。私もそれによって、しかるべき欠点がうまく見つかれば、またこれがすぐに是正できる処置があるとするならば、その報告を読んだ上で直ちに手を打っていきたいと、こう思っておるのであります。  ただ考えられますことは、けさも実は築地市場に行ってみたのでございますが、どうも先般参りました神田の市場といい、築地市場といい、市場の設備が非常におくれております。聞けば東京市民五百万時代を想定して作った市場だそうでございますが、今では全く中はただ混乱という一字に尽きている。そうしてこれで公正な取引ができるだろうかということを見せつけられるわけでございます。しかも、内部的には少しも近代化した機械その他が入っていない、全く原始的な手押し車で、この混乱の中を右往左往しておるという姿でございます。これらにつきましては、すみやかに改善をして参る必要があるだろう。いろいろ、あれこれ勉強しておるうちにいろいろな問題に当面いたしますので、当面した問題から、何とか一つ解決する道を見出していきたい。まあそう申しましても、なかなか長年にわたることでございますから、急にこれをやることは非常にむずかしいと思いますけれども、せっかく努力して参りたいと考えておる次第でございます。
  22. 戸叶武

    ○戸叶武君 農民人たちは、豚一頭当たり生産費は大体一万七千四百円くらいかかって、枝肉にした場合でも、キロ三百七十円ぐらいがないと農家ではやっていけないというような話もありますので、この辺は十分農林大臣もこの委員会にまで、どんぶり勘定でなく、相当有力な資料を出して委員会決定というものに期待を持つと思うのですが、この流通機構合理化の問題が、今後における農政の私は非常に重点だと思うのです。やはり今後の農政というものは、主要農作物価格の問題、支持価格制度というものの確立が農政の基調にもなっているのですが、豚の問題で暴露したように、牛乳の問題に対しても同様のメスを入れられなければなりませんが、これは牛乳だけじゃありません。ビール麦でも、タバコでもそうです。特に私の県は、ピール麦生産地としては全国の四分の一を生産するような県でありますが、ところがその麦耕運ビール麦だけの独占資本としてのビール会社下請機関のような機関を作ってしまって、そうして農協の持っているところの系統共販の体制というものをくずしているのですが、それが流通過程における非常な混乱を生んでいるのですが、そのくずしているものがどういう人物がくずしているかというと、農協中央会会長麦耕運会長をやっている。そうすると、農協法によると、農協中央会会長で、前には経済連の理事も兼ねていましたが、農協系統共販でやっているものを、片方においては麦耕運という特殊な団体でもって販売系統をくずしている。競合をやっている。それでも自民党のボスだから農協中央会会長として鎮座していて、これはビール麦の問題は、独禁法の問題にも問題になっておりますし、それからこの農林委員会でもってそういう農協法の趣旨に反するようなことを平然としてやって、それが許されておってはいかぬということを、一幾たび警告しても、そういうことがこの協同組合部長なんかからは)この問題に対しては慎重に取り締まりますとは言うものの、何にもならない。これがために、きようも農民団体からやはり切々たるお願いが出ているのですが、どうも農林大臣は今の農協弱体面だけを見ておりますが、確かに今の農協は弱体な面、不完全な面がありますが、この農民と結びついている農協をもっとしっかりしたものにして、そうしで生産農民から、生産者から消費者にわたるまでの流通機構というものを整備しないと、独占資本がいろいろな形において御用団体下請団体を作って、地方水産会社がずっと陸に上がってきて、農村を荒らしているようなやり方と同じで、私は日本流通機構というものはめちゃくちゃにくずされていくと思うのです。都市における独占資本中小企業の問題よりも、深刻な私は農業恐慌が現われてきたときに、フランスにおいても暴動が起きていますが、独占資本の収奪に対する農民の非常な怒りが爆発するような事態が、この一、二年の間に随所に起きていると思うのですが、このことを予見しないで、今農村の貧窮を、困っている状態をあのままにし、流通機構混乱というものに対して筋の通ったやり方をしないと、これはフランスのようなところにおいても、あの農民におけるところの抵抗というものが非常な深刻な形で現われているのですが、早晩、必ず日本に起きると思うのですが、農林大臣はこれに対してどういうふうなお考えを持っているのですか。
  23. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私は、従来農林省生産重点を当然のことと申しながら、しいて申せば置き過ぎまして、そうして作るということに非常に専念して、これが流通販売の方面にやや指導において薄い面がある。そのためかどうか、農家の諸君も作るということには非常に御熱心でございますけれども、作ったものをさて有利に処分するということについては、とかく人まかせということになりがちだと思うのでございます。これは非常な間違いでございまして、自分で、作ることにも専念すると同時に、いかに有利にこれを処分するかということ、そのことについて十分農家自身が興味と申しますか、もしくは注意を払っていただいて、そうしてそれに努力をしていただいて、その団結の力をもって有利適切に処分をするというところまで農政で指導されるべきものと思います。そういう面に大いに考慮を払っていかなければならぬというふうに考えまして、せっかく今の農業団体のあり方等につきましても、できるだけ今の農民諸君の御自覚を促して、せっかくその方面の合理性を求めるようにいたして参りたい。ただいまのビール麦のお話の点につきましては、よく事情を承りました。私、初めて承りましたので、よく下僚に調査させまして、しかるべく善処いたします。
  24. 戸叶武

    ○戸叶武君 農林大臣が、この前やはりこの豚の問題をいち早く、これまでにいかないうちに食いとめようとして、出荷調整を試みたが、それが不成功に終わったのは、結局今農林大臣指摘したように、農業団体が無力であるからできなかったということを、この前率直に言っておりましたが、今の農業団体を無力化し、今後もさらに無力化そうとしているのは、私は農村に入っていくところの独占資本農村に対する攻勢のやり方だと思うのです。大体タバコ専売事業のごときもそうでありますが、専売公社などとは称しておりますが、タバコ耕作組合というものは、一番悪いボス組織でありまして、これは選挙の買収網組織です。いつでも参議院に公社の言うなりの者を立てるために、これは下請をやるというような形であって、末端の生産農民から遊離して、今まででもタバコの耕作者の労賃の問題でも何でも努力してこないので、先般私はたばこの収納場を見ましたが、至るところで生産農民との衝突が起きている。それは目勘定でもってどうも去年よりことしは品質が落ちているといって、一五%以上も値が上がったといいながら、事実上は手取りはいつも少ないようにしてしまう、こういうようなやり方で、しかもこの生産農民の利益を擁護して、専売公社とも十分話ができるような機関というものは、いろいろな委員会なんてものはあるけれども、それも生産農民とはかかわりのないような古手官僚や独占資本家の代表なんかを並べているので何の役にも立たない。これはたばこの問題ですが、ビール麦の問題もそうです。ビールがあれだけ売れてきて、しかも小麦は全体的においてアメリカ、タナダからの安い麦が入ってきてどうにもならない。ビール麦にでもたよって農家の収入を得ようというときに、網の目やなんかを広くして値段をたたいて、その規格の落ちたものを倉庫から安く買い上げてビールを作るというような裏口で取引をするようなことを幾らでもしておって、ビールの値段はその割合に下げない。しかし、そういうような機関ビール会社ならビール会社下請機関におけるところの麦耕運というものは、一俵についてリベートを十七円ずつ取って、栃木県でいうならば千七、八百円、ことしはもっと入るでしょう。それがほとんど生産農民には公表されないで、ボスの手に握られているというこのインチキなからくりができているのです。そういうふうな形で系統共販にいけば、もっとガラス張りでできるのに、タバコ耕作組合だあるいはビール組合だ、今度は合畜産組だ、いろいろな形をしますが、いろいろな機能というものを、やはり私は果たさなければならない面もあるが、今日のような、こういうふうに紊乱したこのボスが勝手に悪いことができるような仕組みになっている農業団体を放任させておく責任という.ものは農林省にあるので、幾らわれわれが委員会で具体的例をあげて追及しても、のれんに腕押し、全く国会の開かれているときだけは、幾らかぴりっとして緊張するが、国会がなくなってしまえば、これは何にもならん。これじゃ私は農林官僚というやつは、立法府に対してはなはだしく無責任な言動のみをやっておって、一つも生産農民のわれわれを通じての要求というものを受け入れようとしていないので、河野さんの時代に、今のしらばっくれた態度をともかく是正してもらうようにしないと、われわれの国会における論議というものの権威が全くなくなってしまう。国会があるときだけぺこぺこして、国会がなくなってしまえば、もうボスの言うことを聞いていたほうが、あとになって、役人やめてからも都合がいいなんていう仕組みになっているから、これを私は河野農林大臣のときに、ほんとうに、ただ選挙に出る出ないだけの問題でないのです。これを一つ取り締まってもらいたい。
  25. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ただいまお話のありましたタバコにつきましても、実は私も、この所管が大蔵省所管になっておりまして、従来私は、農林省の仕事をふやすことに、少しも興味を持っておりません、しかし、筋は通したほうがよろしい。したがって、世間から見ますと、タバコでも農林省でやっているのだろうと言われるが、農林省関係がない。たとえば移民のようなものは農林省でやっているんだろうといって、議会でお小言をちょうだいしますが外務省でやっておる。決して、私は、この仕事を農林省でやるべきだ、あれもやるべきだ、これもやるべきだということは考えません、考えませんけれども、筋だけはとおるようにしたいと思いますが、なかなかそれだけでも、私の力ではどうにもできない問題が多いのでございます。したがって、私は農林省のほうから仕事を分け、ほかの省にいくものはずいぶん出すがよろしい。一体農林省という役所は大き過ぎますから、もっと小さくなるほうが、ほんとう農村のためになると思います。今、あまり窓口が広過ぎまして、そしてどこがどうだかつかみ口がないくらい広いのでございますから、そういう点につきましては、私も考えなければならないと思っておりますが、御指摘ございますタバコの問題は、今申し上げましたように、農林省で何ともしょうがありません。ビール麦の問題にしましても、実は先ほどから、農産物の支持価格制をとれとれとおっしゃいますけれども、日本の場合、現在の日本農林予算もしくは財政の建前からいたしまして、支持価格制度をとるだけに、農村問題について、一体各方面の理解があるだろうか、わが農村をそこまでにしなければいけないというだけの、各方面の御協力が得られるであろうか、どうであろうか。そこに私は実は疑問を持つものでございます。ここまで申せば、少し口が過ぎるかもしれませんけれども、世界の移り変わる大勢を見まして、もし経済の共同化というような問題が起こってきたときに、現状の日本農村で一体どうなるだろうかというようなことを考えますと、より大幅なる農業施策を講ずるのでなければ、この農業人口が非常に過大で、耕地面積が非常に過小で、世界一の悪条件のもとにある日本農村が一体どういうことになるだろうか。いかに農業基本法をもって成長部門であるとかなんとか申しましても、なかなか急激に攻め寄せてくる世界の変化に処することは、非常に困難である。こう思ってせっかく努力はいたしておるんでございますけれども、ただいま御指摘のように農産物価格をアメリカ流にもしくは欧州等の特別な国家がやっておりますようなことを、日本のようなこういう狭いまた多い、条件の悪いところでは、よほど国家財政をこの方面に投入していかなければならんのではなかろうかと私自身は考えますけれども、なかなか道遠いのでございます。したがいまして、何かそれにかわるべき基本的な農業政策というようなものを考えてみても、なかなかいい知恵も浮かびません。そこでひとつ皆様方の特別な御協力を得て、そうして農民諸君の御自覚と、また中央における施策というものと相待って、改革していかなければならないんじゃなかろうか。くだらんことを申して時間を拝借して恐縮ですが、きょうもある町村長さんの会合に出ましたところが、その町村長さんのおっしゃるには、工場誘致をするのに構造改善の指定村になると工場誘致ができなくなる。だから構造改善の指定は受けることは適当でないと考えておりますという町村長さんがおられるのでございますから、地方に参りますとそういうふうに工場誘致のほうが先であって、農村の経営改善が従である。というふうに考えておられる町村長さんが相当に数があるというような現状でございますので、これらをひとつ十分に御懇談申し上げて、前線で働いていただかなければならんと思うのでございますが、実情かようなことでございますので、できるだけ努力するつもりでございますけれども、御協力をちょうだいいたしたいと思う次第でございます。
  26. 戸叶武

    ○戸叶武君 時間がなくなりましたから、最後に一つだけ農林大臣にお願いいたしますが、農業基本法ができたというものは、政府責任においでグリーン・リポートとグリーン・プランが国会に提出されることいなったので、初めて農政というものはこれによって科学化され具体的な問題をめぐっての、ともに論戦できるようなところに来たんですから、今後においては実力者としての河野さん、ほうぼう忙しいでしょうけれども、やはり農林委員会でもってじっくり私はこのあなたが考えておるような今のままの農政ではこれはだめです。ほんとう農政の上における革命的な時期が到来したんですから、農林省だけを攻めていても仕方がないのだし、われわれの責任においてやはり立法府と行政府というものが火花を散らして、この問題を通じて私は堂々と論戦をやっていかなければたいへんなときだと思うのです。そういう意味でどうぞ農林大臣を片手間の仕事にしておくんだというような態度でなく、じっくり農林委員会に出てきて、われわれとともに農政の問題に関して堂々と論戦を張る時間を十分取っていただきたいことを要望いたします。国務大臣河野一郎君) 一生懸命やるつもりでございますからどうぞよろしく。
  27. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ちょっとそれに関連して。大臣に対する質問ではございませんけれども、大臣御就任以来、いろいろな構想をあらゆる紙上、紙面で御発表になっておられる。最近も資本農業でなくちゃならんというようなことをおっしゃっておられる。で一貫してですね、大臣のお考えというものはどういうふうに動いてきておるのか、見きわめがつかん。一々これは質問しておってもしようのないことで、参考までにですね、農林省の官房あたりで農林大臣談話集なりなんとかというむのを、一つ年月日の順序を追うて資料として作られてわれわれに配付をし、熟読含味をさせていただいて、一体どういう点に力点があるのかということを把握できる資料にさせていただきたい。委員長におかれてそういう取り扱いをしていただきたい。
  28. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 実は私もそういう責任を感じておりまして、実は最近官房長に命じまして、私が外部に発表した施策がその後どういうふうに進んでおるか、どういうふうにこれを事務当局がこなしておるかというものを、一週間に一ぺんとは申さぬが、月に三回ぐらい進行状態報告しなさいということを命令しまして、実は第一回の報告書を二、三日前に、私が今まで大臣に就任してから言うたことが、その後省内にどういうふうになっておって、どういうふうに進行しておるかということの進行状況をとっておるわけでございます。決して私は、実行しない、できないというようなものは発表していない。その方向でやっておる。ここに実は一々書いてあるわけであります。それがその後どういうふうに事務が進んでおるか、どういう結論になっておるか、どうやっております、ということを書いたものを、少なくとも月に三回ぐらい事務当局から報告せしめて、それの結末をつけるように進ましておるわけでございます。もし必要が……。
  29. 北村暢

    北村暢君 出したほうがいい。
  30. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 出すことは一向差しつかえありません。決して内緒のものではございません。ひとつ整理して差し上げます。
  31. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 大臣のお考えはよくわかります。ですから、もう大臣がおっしゃったことを、あちこち探し回るのは、私もとっても大儀なものですから、ひとつ一括せられて資料にして出していただきたいと思います。
  32. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 一応農林大臣とも相談いたしまして、善処するようにいたします。それでは、天田君。
  33. 天田勝正

    ○天田勝正君 先般農林省から提出されました「農林予算の説明」を見ますると、この中に「農林予算主要施策別」という説明がありまして、これに私は、おそらく河野農林大臣が考えておられる重要なものが全部盛られておる、こう思います。特に、農業関係では、すべてが農業基本法に基づく施策の推進、これにまとまつ.ておりまして、その第一が農業生産選択的拡大、これは確かに農業基本法審議の当時から、選択的拡大でやるんだということを政府側がうたい上げて参りましたから、これを第一に持ってくるのは当然だと思います。その中をずっとたどっていきますと、まず畜産振興、次が園芸生産の振興、こういうことでありますから、畜産、園芸、これが何といっても成長部門だとごらんになって、これを一番冒頭に持ってきたろうと私は察知します。この点について私は質問しているわけでありますが、特に野党であるわれわれが河野さんに期待いたしますことは、すでに今も戸叶君から指摘されましたように、農産物の流通の合理化、五番目の「農産物価格安定と農業所得の確保」、ここであります。特に、農業価格の問題を論じます場合には、やはりきめのこまかい流通の点にメスを入れなければ、とても私は農民の立場は守られない、こういうふうな観点に立っておりますから、河野農林大臣が就任されてから、市場の中に何回も入られる、こういうことは、野党から見ましても、確かに最近の農林大臣では見たことがないのであって、希少価値であります。これは、まず私は御期待申し上げております。  そこで、すでに戸叶君からも言われましたが、さて畜産振興を主要施策の一番冒頭に持ってこられた。ところが、時間をつづめるために端的な表現を用いますけれども、農家のほうから見ると、その成長部門であるべき畜産、これが、牛を飼ってももうからないし、豚を飼ったらとんとんで、鶏を飼ったら元がけえらん、ころいうので、その豚がいよいよもってとんとんじゃなくなっちゃって、どうもそろばんが合わない。こういうことになってきて、今大きな問題になっておるわけであります。そこで私は、なるほどさっき大臣の答弁を聞いておりますと、生産費調査は曲がりなりにもあるにはあるけれども、しかし、価格決定をするのには、それだけではどうもそのまま取り上げるというわけにはいかない、こういうお話がございたました。けれどもしかし、その三十五年の調査というのは三百十七円と出たのではないかと私は察します。そのとおりでございますかどうか、これが一点。  それから最近農協側では今まとめ中のようでありますけれども、三百五円ということで、すでにその基礎資料農林省側に内示されておるというように聞いておりますけれども、これが間違いがないのかどうか。  それから政府は、さきに野菜の値上がりの問題につきましては、臨時生鮮食料品流通調査班、こういうものを設けられたはずであります。どうも少し農産物値段が上がってくると、たちまち調査班などを設けるのに、審議会審議会といたしましても、農林省行政措置として、どうしてこの豚の暴落の場合には、そうした緊急の調査班を設けて直ちにお調べになられないのか、その理由はどういうことでありましょうか。なお付言いたしますけれども、私は、生産費の調べまでさかのぼりますれば、これはなかなか容易でないという要素もあると思います。しかし、農家が庭先で売って、それからわれわれ最終消費者が買うまで、ここの調査なら一日でもできるはずであります。後に野菜の問題も取り上げますけれども、ここにも「サンデー毎日」の記者が、一日で値段をずっと追跡して、庭先から市場、さらに消費者の手に渡るまで、ちゃんと調べが出ております。だから一日でもできる。膨大な人員をかかえております農林省は、その中間で非常に高くなったり安くなったりしておる、そのことだけは直ちに調べられると思うのでありますけれども、それはお調べになっておるのか、なっていないのか。これらの点をまず伺っておきます。
  34. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御承知のとおり、役所の仕事というものは動いておるというわけに参りませんので、一定の係がきめられて、そしてその仕事がどうであるかということになっております関係から、たとえばこういう畜産物価格ということになれば、価格安定について施策をするかしないか、価格安定について施策をするということにきまると、それに係ができて参ります。それで、その係がこれを扱う。それには審議会を作って、その諮問を経て、それを基準にしてやるというふうに法律にも非常に重要に規定してありますので、そういうものの制約を、制約という言葉はどうか知りませんが、そういうことになっておりますから、したがって、それを事前に軽々に扱うわけには参らぬ、というようなこともあると思います。野菜物にしても同様のことが言えると思います。しかも政府がひとたび行ないますれば、それによって非常に各方面に大きな影響を与えます。また、それについての政府としての責任が起こって参るわけであります。したがって、言うた以上は、それが実行できるような裏づけのないものは、これを発表するということはなかなかむずかしいというようなこと等もありまして、御承知のように、わけのないことじゃないか、やればできることじゃないか、これはそういう意味で気軽に扱うということは、従来政府は慣行上いたしておらないと私は思うのでおります。そういう惰性がありますので、実は今毎日新聞の人のお話もあり、先には日本経済新聞で書いておるものもあります。ありますが、これらは実は、まあそう言ってはおかしいが、私が農林省役人に命じて、そうしてそういう調査を始めてから、新聞社方面でもそれをやれということにして、まあ非常に要領よく、手早くおやりになったのもあるんですが、役所がやるとなりますと、やはり各方面の影響もありますから、よほど慎重に、しかも一人、二人でなしに、もう少し幅広にいろんな問題を取り上げるということも必要でございますので、やってはおりますけれども、まだ結論に到達していないというようなことでございます。
  35. 天田勝正

    ○天田勝正君 ただいまの大臣の答弁は、一番最後の質問にだけお答えになったのであって、最初のほうの三十五年には三百十七円というものが出ておるのか、それから三百五円というのの積算の提示もあったと聞いておるけれども、その点どうかというような点には答えておられない。
  36. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) それは詳細な数字のことですから、事務当局から答えさせます。
  37. 保坂信男

    説明員(保坂信男君) ただいまお尋ねのございました三十五年度の生産費調査によりますと、百キロ当たり第二次生産費、つまり資本、利子、地代等を加えましたので見ますと、百キロ当たり一万九千七百五十八円でございまして、これを枝肉に換算いたしました価格にいたしますと、歩どまり六五%と見まして一キロ当たり三百三円になるわけでございます。先生が御指摘になりましたのはおそらく、租税算入をいたしますと、三百十七円近くになるわけでございます。
  38. 天田勝正

    ○天田勝正君 私の知っているところでも、それは租税というより、それで四百七十円ですか、それは黒字になる。しかし農家も黒字にならなければ困るのであって、その調査のあれは一頭から六十頭まで、それを六十九戸ですか、それを平均したものがそこにある。その当時から今日一体その諸経費で下がったものがあるかということになれば、豚肉が下がったために下がる要素というものは子豚の値段しかない。これは私らのほうがむしろ専門なんだけれども、それは千円から千二、三百円は違います、上がったときと高いときは。それ以外のものは三十五年だって今日だっていささかだって、一銭だって下がっているものはない。ところが現実に、さっき申しましたように、これは時間を省くために例に申し上げますけれども、明瞭に、たまたま私の熊谷、とこには屠場もある。庭先で買ってきたものが、今あなたのおっしゃった半値に下がっておりますね。まあそれはおそらく七十キロぐらいのものを基準にしてあなたはお答えになったと思うんですが、それで言いますと半値に下がっています。その半値に下がったものが、問題は消費者にそのまま安くなってくれば、一面消費者は非常に安い肉が食えるということになって、一つのこれは筋であります。さっきも戸叶委員指摘されましたけれども、卸売物価が幾ら下がろうと、問題は店頭価格なんです、消費者が恵まれるか恵まれないかはね。ところが、その店頭価格のほうは五円しか下っていない。これが、その流通機構が問題なんです。農家の庭先で半分以下に下ったものが、店頭で消費者が買う場合には半分には下がらないで五円しか下がらない、こういう状態なんです。でありますから、特に今の、例の熊谷のごときは、別に汽車に乗せてよそへ運ぶわけじゃない。地元の屠場へ持ってきて、つぶしてそこの肉屋で売っていながらなおそうなんです。全く摩詞不思議と言わざるを得ないのですよ。こういう例をあげていくと時間がたつばっかりですが、乳のほうでいえば、四十五円は確実に保証してほしいという酪農民の訴え、この間も埼玉県の酪農の大会をば、なかなか政府のほうへ聞こえないので困っているというので、日比谷の音楽堂でやりました。おかしな話、埼玉でやらないで、日比谷の音楽堂で埼玉酪農の大会やりました。農林省にも陳情に行きましたから、御承知と思います。結果は省略しますが、そういう変則なことをやらざるを得ない。そういうときに小売値を十八円に上げろの、十七円に上げろという問題が起こっております。四円五十銭にさえならないでまいっている。そうして飲料用処理は二円八十五銭でちゃんとできるものが、あとの十円ばかりがどこで高くなるのか、だれが聞いたって納得ができないし、説明もできるものじゃないのです。こういう状態になっている。こういう流通のアンバランスを、大臣は一体どう改善されるつもりか、どう処置されるつもりか、まずこれを伺って、またあとのことをお聞きしたいと思います。
  39. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 実は私も豚の場合に小売価格が下がらぬのは非常に遺憾であるということで、しからばどうすればよろしいかということになりますと、今の農林省においてこれを下げるのはどうやれば豚が下がるだろうか、下げてくれるだろうか、やっぱり消費者の協力とか、しからざれば直売をするとかいうよりほかに道がないわけでございます。ところがさて、そうはいってもなかなかそれはやりかねるというので、先般はこれらの組合の幹部に勧告をいたしまして、下げてくれなければ困るじゃないかといって勧告をいたしまして、いささか最近小売価格は下がってきたという程度でございまして、実はそれ以上、今これからどうすべきかということを、どうしたらよろしいかというので、今全国の肉屋の一番幹部といわれるような人を近日のうちに実はお集まり願って、どうすれば世間の非難にこたえてこれが合理化できるかというようなことについて懇談会を開こうという御案内を出したところなんでございます。実際今御指摘のとおり、多く下げるといっても、芝浦へは御承知の通り殺し切れないほど豚は集まってくる、下がる、下がるが、豚屋さんの店に行けば前の値段だ、こういうことでございますので、実はこのまま放っておくわけにいきませんから、できるだけのことはやっているつもりでございますけれども、なかなかこれがきめ手だというものは実は持っていないわけです。問題は生産者の御理解、そうしてまた販売業者の協力というものでやっていくよりほかにないのじゃないかと当面考えております。また、ただいまの牛乳の点につきましては、多少趣が違う。これは今日むしろわれわれは逆な方向を考えておるのでございまして、埼玉辺では原料乳四十五円という取引はあまり承らない数字なんでございます。もうちょっと実はわれわれは上値にある。また私自身も実は乳牛を飼っておりますが、大体組合へ五十七、八円で売っております。したがって、まず東京で申せば、福島辺までは五十四、五円というところの取引になっちゃいないかと考えておるのでございます。で、これから先行き夏場になりまして、これらの原料乳が非常に不足いたしまして、これが暴騰することをむしろおそれて、これが対策を講じなければならぬのじゃなかろうか、また手おくれになってもいかぬからということを考えておるのが現状でございます。
  40. 天田勝正

    ○天田勝正君 しかし、現実にプラカードを掲げて、そこに乳業者も五社ばかり並べておいてやってたことなんですから、残念ながら原料乳にはそういう値段もあったということだと思います。そうでなかったら、そういうことを訴えるはずがないんですから。しかし、今大臣の答弁を含めて三十分ということを厳重に申し渡されておりまして、その真偽をここで論議していると、それだけで過ぎちゃうので、先に進みます。  ほかでわれわれが豚の生産費の問題を話しても、農林省さえも完全な資料がない。われわれが持っていっても、とかく報道人の人すら、すぐそいつが消費者値段に、自分らのほうへはね返ってきやしないかという心配ばかりされて、少しくわれわれの認識と違うなという感じを持っておるわけなんですが、実際豚などというものは、肉だけが売れるのじゃなくて、骨からにかわにするまで、皮から毛の歯ブラシに至るまでみんな売れないものはない。臓物は、おそらくこれはひとしく埼玉あたりは有利な地帯にありますけれども、背中へ臓物をしょってくる連中は、半年やったらオート三輪の二台くらい買えます。これは実際に名前をあげてもいいくらい私の近所にもおる。そういうふうにもうかるんですよ。だから、かりに政府がお考えになっておって、これははっきりしないんですけれども、卸値が二百三十円ですか、四十円ですか。それから小売値段がはじき出されるにしましても、かりに最低の保証をいたしても、私の考えからすれば、何にも小売価格なんか響きっこない。ですから、とかく相手がああした業者で、中小企業だということになると、お互い政治家はちょっとぎくっとするのです。中小企業というものは、近ごろ言葉の上では、たいした保護もしてないくせに、言葉の上だけは何かこっちが遠慮する。ところが、私がこれから申し上げたいのは、肉や野菜の問題はその中小企業者、ことに零細業者といってもいいくらいなんだが、そういうものだからとて遠慮してはならぬ、ちゅうちょしてはならぬということを、まず申し上げたいと思います。こういうこまかいことを言うと、どうも大臣との問答らしくないと、すぐよそじゃ批評されるのを私は知っております。だけど、肉屋で、ここで皆さんに発表しておきますけれども、お互いが肉を買うとき、一つの肉を切ってくれたためしはないのです。これは、皆さんそういう経験がないかもしれません。私はいささかそのほうの専門家だから、ちゃんと手元まで見ていますけれども、これは上中下と、最上の物を買いにいっても、手元まで見ない。一つの物を切りません。三つの物を切り分けてくれるのです。さもなければプレスしてある。一つのものを切ったときはプレスして、その操作だけでもうかるようになっている。ところがそのえらいほうの人は、そういうことはさっぱり御存じない。だって何でしょう。こんな大きなものを一ぱい三百円ぐらいの臓物が、そこらの焼鳥屋で幾ら皆さん買ってます。これを見ればすぐわかるんです。(笑声)ところが、皆さんお笑いになっているように、こういう問答をするというと、どうも大臣に質問するらしくないと、だから、大臣が答えなくてもいいけれども、農林省人たちほそのくらいのことは知っておいてもらいませんと、向こうの言い分だけを聞くと、それのしわ寄せば百姓だけにくる、こういうことになる。でありますから、それらのこともひとつ、私はきょう大臣に文句ばかりつけたいと思っているんじゃない。困ったことだと思っているから、実はあなたと相談の気持で申し上げておる。それがさつき申し上げましたように農家が困る事態であるから、それじゃ片方消費者がおそろしく恵まれるという立場ならば、これは一つの考え方であるけれども、そうでないという現実が、この流通過程にはどこの場所をとっても充満している。ここをひとつ改善して下さい。これはお願いしておきます。  それから野菜のほうに移りますが、さっき大臣もちょっと答弁されたけれども、私がやったから向こうのほろでもまねたんだ。この「サンデー毎月」の調査は、農林省がそういうものを作って動き出すから、そこで一足お先に調査するとちゃんと書いております。裏を返せば大臣の答弁の通りに考えてもいいと思います。これも一日にできたものですね。これを見ますと、ちゃんと三カ所八百屋の店頭まで行って調べて、それで何と小売の百円なら百円、われわれ小売価格として購入する価格のうちの四八%が小売の段階で価格のうちに入っている。四八%がもうけ。農家の方は肥料も何も含めで四〇%、これが一番いい例であります。こんなばかけたことはないのであって、だから私はすべてのものがそうでなければならぬと思いますけれども、生産者の手取りとこの小売者の手取りというものは、内容的にはまるで違うのですけれども、片方は肥料も加えなければいかんし、手も加えなければならぬ、いろいろなことをやるんですが、それにしても、生産者の手取りと、小売で、買いにきたものへ渡してやるだけのこの手間賃が、反対にその方が高いというようなことを記事にしている。大臣が骨を折られる流通過程のその改善――こういうようなことはあってはならないと私は思っております。だからその改善とは、どういうところのめどで改善なさるつもりなのか。ひとつ具体的に御答弁願えますれば幸いと思います。
  41. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ただいま御指摘のありましたように、小売段階において非常に高くなるものもあります。ところが、これらは消費者の方に御自覚が足らない、御協力が足らない場合に、小売の段階において非常に上がるということじゃなかろうかと思うのであります。ただ一がいに、小売が非常に四十何%も小売の段階で見ておる、生産者よりもよけい見ておるということになっておるものもあると思いますけれども、そういう場合には、もうちょっと消費者の方が勉強していただくなり努力していただけば、小売がそれだけもうけなくても済む。うちまで配達させる、近間でものを片づけられるというようにするから、何軒でも小売業者が過当競争になる。過当競争になって参りますから、わずかなものを扱って、そうして生計を立てるというような場合もありましょうし、また、そういう小さな人がすぐに店を持てば食べられるということで店がふえるというような場合もありましょうし、とにかく合理性を欠いておる場合が、あらゆる面で起こってきておる。そういうことを調査をし、そしてこれを深く各方面の御理解、御協力を願うと同時に、大体どの程度値段が適正か、きょうも申したことでございますが、たとえば魚市場に魚が非常にたくさん入ることもあれば非常に少ないときもある。それでは産地の有力な市場と芝浦の市場とどの程度の関連性があるか、どの程度に直結しておるのか。今日のことでございますから、芝浦に品物が入る入らぬ。産地の品物がどうであるか、あるないというふうなことは、一部のものは十分承知しておるはずだと思うのであります。ところが、それが生産者自身はどうかということになりますと、そこまでの努力が足りない。またそれが十分知り得るようにもなっていない。これは今もお話のありまする野菜の場合でもそうだと思います。というようなことで、その合理性を欠く段階がすべての段階に私はあるのじゃないか。要は生産者が、最初からお話のありますように、もう少し最終的に売買されるのは幾らで売買されておるんだから、そこまでの自分が深い興味を持って、熱意を持って、そして自分の品物はどうして一体この値で買われておるのに、この値でなきゃいかぬのだろうかということについて努力が足らない、共同する力が足りないというようなこともございましょうし、最終的に消費者のほうから申せば、もう少し安い店を探して買うというだけの努力も足らない。安い店を探して買えば、そこへ集まれば自然に下がることもあるでしょうから、そういう点で、割合に生鮮食料品の量は多い、一つ一つの品物は安いのですから、ついついルーズになって、そういう点が出てきておるというのじゃなかろうかと思うのでございまして、これらはいずれも調査の結果によってひとつはっきりしたことをすぱっと申し上げて、そうして各方面の努力を得るようにいたしたい、こう考えております。
  42. 天田勝正

    ○天田勝正君 もう時間だそうですから、もう一点だけ。今の白菜とキャベツを消費者が一番高値で困っている調査ですが、これはその朝着いたものをそのまま追跡したのです。そしてその店頭で値段を聞いていて、今の配分を発表しているのです。ですから、大臣のおっしゃった言葉の中で、消費者がお高くとまっていて、配達しろ、そういうことで、いつの間にやら高くなる、そういう要素はちっともない、これは店頭の場合です。それから持ってきたばかりのものですから、よくああいう業者の言いのがれは、半分はむだになりますと言うのですが、半分にしてもちっともむだにならない、一把幾らでやっている。半分でもいでみたところで、一把は一把でございます。そういうように厳密にその朝着いたもので、野菜が一つもむだになったという状態でなくて、こういう調査が出ておるということでありますので、私が大臣にお聞きしたいのは、こういうふうに消費者のほうがお困りになるという工合に、ほんとう生産者のほうはときには一四%しか取り分がないという例もこの調査の中にあるのですけれども、百のうちに。われわれから見ればそういうみじめな状態でも、ことしはまことによろしゅうございますというような消費者の声、そういう状態でもことしが一番いい。去年はということになりますれば、中仙道に大根が野積みになった。トラック持って来さえすれば全部ただやるという状態、これは私のほうの児玉地方状態でありました。そういうときにこそ、私はむしろあなたが今度命令されてお作りになった臨時生鮮食料品流通調査班、こういうふうなものは百姓がほんとうに困るときにこそ作ってもらいたい。そういうものを作ってやれば、今日のような消費者が困るという事態もむしろ防げた。でありますから、こういう調査班なるものは、むしろ農村不況のときに活用されるお考えがあるのかどうか。これが一つであります。  それから豚肉の問題の生産費でありますが、これは何もあなたが大臣になられてからだけの問題ではないのでありますから、あなただけ追及するとかそういう問題ではございませんけれども、しかし、先ほどの答弁を聞いておりますと、何か長い商習慣で云々というお話もありましたけれども、長い商習慣でちょっと改善できないというのも、一つの要素でありましょうが、しかし流通過程において農村が非常に不利に追い込まれているということ、これも長いほうの習慣なんでございますから、むしろ長い慣習や何かで困ったようなことについては、農林大臣としては、これは農民の立場に立ってものを考えて、他の流通の仲買人、そういうようなものは自由にお考えになって、そうしてこの農村を支配してきた流通過程における不利、これはこういう習慣なるものがけしからぬ、断固として実力者大臣としての力を発揮してもらいたいと思いますが、この点はいかがですか、この二点だけ最後に聞いて私の質問を終わります。
  43. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 変なことを申すようでありますが、それじゃ小売商が三年もやっているとりっぱな倉が立ってえらくなっているかというと、やはり小売をやっている者は何年やっても小売をやっている人が多いのであります。やはり四割もうかるといっても、そこまでいきにくいのです。そこで先ほど申し上げたように非常に過当競争になって参りますし、そういう点について遺憾な点があるから、これをどういうふうに合理化するか。しいて申しますれば、これは従来中小企業対策というものが、通産関係の業種においてはやや取り上げられておりまするけれども、農林関係中小企業者については、決して私はあえて弁護するわけじゃございませんが、むしろどこからも援助の手が伸べられていない、そうして業態についても合理化されていない点がある、だから一面においてはこれらの業種について資金も出し、合理化すべき点は合理化せしめて、実際の流通に合理性を見出していくように一面においてしつつ、また他面において、御指摘のようにやっていくようでなければ、所期の成果は上がらぬのじゃないか、こう思うのであります。私が長年にわたる慣習と申しましたのは、そういうふうでございますから、なかなかやりずらうございますが、決してやらぬというわけじゃないのであります。やる熱意を持って、やるつもりでおりますが、急にいきませんことを、はなはだ遺憾に考えますということを申し上げたのでありまして、私の力の及ぶ限り努力をいたす所存でございます。何分大臣をやりましても、こういう問題は相当長くかかってやらなければならない問題でありますが、大臣を半年やったり、一年やってやめたりというようなことで、なかなか思うようにまかせませんので、できるだけ在任中にやりたい。あとのお話しの農産物価格の悪いときにこそやるべきじゃないか、もちろんそうでありまして、作るべき制度はこういうときに作って置いて、これを根本的に改革、改正ができるまで続けていくべきだ、こう考えております。
  44. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 千田君。
  45. 千田正

    ○千田正君 時間も少ないようでありますから、重点的にお伺いいたしますが、私のお尋ねしたいのは、昨年池田内閣が内閣を改造して以来、所得倍増計画等でいろいろ論議の中心になったが、農業関係においては農業基本法に対しても、またあらゆる面に対して、積極的な施策を急に迫られておるというふうに私は考えるのであります。それは何かというと、御承知のとおりのヨーロッパ共同市場のEECの問題、これに伴って自由貿易というような問題が台頭してきまするというと、ゆっくりかまえて、腰を落ちつけてというふうに考えておるひまがないじゃないか。割合にわれわれは農業や農林水産等を考えていく場合に、長期における計画をもってそうして十分に腰を据えてかかる政策というふうにわれわれも御協力申し上げたつもりでおったのですが、こう世界の国際経済が変わってくると、しかもそのしわ寄せが遠いところじゃない、もう真近かに迫ってきておるのだ。ヨーロッパの共同市場のみならず、最近に至っては、極東における新たなる経済機構の結成等の問題が起きてきておる。そういう場合に、一番先にその影響をこうむるのは通産関係だという普通のしろうと考えではそう思いますけれども、われわれからいいますというと、一番しわ寄せになってくるのは、これはもう農業の問題じゃないか、農林水産の問題じゃないか。それに対する重点的な施策を十分持ち合わせあると思いますが、この際、農林大臣からこの心がまえを伺っておきたいと思います。
  46. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 先ほど申し上げましたように、この世界情勢、極東情勢の変化、これに対処するわが国の農村施策ということにつきましては、実は私は私なりに考えないことはございませんけれども、政府といたしましては、東南アジアの問題にりきましても、基本的にこれにどう対処していくかということについては、実は次の閣議できめようということで、一昨日の閣議ではまだ最終的な態度を留保いたしておりますというようなことで、今後の世界情勢に対処すべき基本的農業施策いかんということについては、まだ基本的な態度は決定はいたしておりません。むろん早急に何とかしなければいかぬ、考えていかなければならぬとは考えておりますけれども、今ここでお答え申し上げる段階に至っておりません。
  47. 千田正

    ○千田正君 まあ、基本的態度がきまっておらないのに、私が重ねてお尋ねするということもどうかと思いますけれども、一番影響する問題としての問題は、やはり食糧対策のうちの麦価の問題、あるいは先ほど戸叶君が質問しましたような日本の特殊産物としての方向へ切りかえてきたところのビール麦であるとか、あるいはビートであるとか、あるいはコンニャクイモのようなものの輸入とか、そういう問題と相並んでさらに戦後における日本農業の行き詰まりを打開するために酪農政策に切りかえた農林省としましては、これに対する問題が一番いわゆる今中途半端なところにきておる。それに対するあらゆる施策に対してのその重点的な問題をそこに集中して考えていかなければ、おそらくこれは非常な事態が生ずるのじゃないか。たとえばいわゆる英国の保護下にありましたところのニュージーランドとか、豪州とかそういうようなところから今度は新たな政策として極東についてのそういう輸出が当然起きてくる。そういう問題を考えておりますと、のんびりしておられませんので、今閣議できめなければ基本方針はお答えできないとおっしゃいますが、今までの話のうちで一番重点的になるのは何かということくらいは、ひとつ農林大臣からお示し願いたいと思うのです。
  48. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 今のお話しのように、EECの関係もしくはこれがアメリカその他の地域に拡大して参りました場合等を想定いたしましても、要はわが農政の弱点でございますところの脆弱性であります耕地の狭隘、農業人口の多い、生産条件の悪いことでございますから、これを他の面から、他産業との所得格差の問題にいたしましても同様のことがいわれるわけでございます。われわれとしては、さしあたり農業基本法の示すところの成長農産物重点を置いて、そしてまたこれは他面から申しましても、国際農業の中で考えても、わが農業が優位性を保持することができるだろうと考えられる園芸作物、またえさ等についてやや条件が接近いたしております畜産等について重点を入れて参りますならば、技術の刷新に力を入れて国際競争力は当然出すことができる、こう考えますので、これらに力を入れ、構造を改善して参りたい。しかも、これらの消費力は非常にまだ大きなものがわが国内にあるしいたしますので、この方面に特に重点を入れていきたいと考えておる次第でございます。
  49. 千田正

    ○千田正君 それではもう二点だけお伺いいたします。一点は水産関係の問題でありますが、もう日ソ間の問題が、いろいろまた今年に入ってから交渉の段階に入って参りますが、従来の状況から見ましても、また昨年あたりの状況から見ましても、ソ連側の要求は相当苛烈をきわめてくるんじゃないか、そういうふうにわれわれは考えられるのであります。それに対処をして、十分なる国内の方針をきめておるとは思いまするけれども、ここでさしつかえない程度大臣のお考えをお伺いしておきたいと思います。
  50. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私は日ソの漁業交渉におきまして、今年の一つの特異性は、両国が相共通して、今年度はマス資源の非常に悪いということについて意見の一致を見ておる。従来この交渉の過程におきまして、すべての論議、討議が意見の一致を見た場合は非常に少のうござます。ところが、今年は年限もだんだん経過いたしましたし、両方の人的な意思の疎通もはかれるようになったこともあるだろうと考えますが、いずれにいたしましても、専門家の会議がある一つの線を打ち出しております。お互いにこの打ち出されたる線を基盤にいたしまして、それぞれの自国態勢を整えて交渉に当たりますならば、私はむしろ本年の交渉はお互いに互譲の精神をもって妥結することができるんじゃなかろうかという気持に立つのでございます。
  51. 千田正

    ○千田正君 これは農林大臣は御承知と思いますが、とかく北洋漁業に従事しておる者は沿岸漁民であるというふうにしろうとは考えておるようでございますけれども、現実においては東北の農村地方から多くの人たちが参加しておるのでありまして、この北洋漁業の問題で、かりにソ連側の圧迫がひどくなってくるというと、当然国内における漁業の転換あるいは人員の整理という問題が起きてくる。そうすると、農村地帯において当然農閑期を通じて北洋漁業に従事しておる人たちの労働問題、雇用問題が当然起きてくるのでありまして、こういう問題を農林大臣としては十分お考えおきを願いたい。この点。  最後に一つ、時間がありませんから、共同市場なんかの問題はあらためて機会を得てお伺いいたします。最近各県から競馬法の改正に基づくところの陳情が相当われわれのところへ届いております。競馬をやめるために、なるほどいわゆる投機的なことは人心の頽廃を来たすからと、この点はうなづけるのでございますけれども、貧弱な自治体としては、そういうことによって多少ともカバーしてきたのが、それが制限されるとするならば非常に困る、何とか許可期限を延ばしてもらいたいとか、あるいは存置してもらいたいとか、いろいろな陳情がきておるのでありますが、これは今度の競馬法の改正と同時に、抜本的に解決してしまう、こういう農林大臣のお考えであるかどうか、この際その点をただしておきたいと思います。
  52. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 第一段の漁業交渉の点につきましては、御趣旨を体しまして、十分遺憾なく善処することにいたしたいと思います。  第二の競馬法の改正につきましては、実は地方の自治体が財源の急激に変わってくることは困るから、何とか、これを思いとどまるようにというような御意見があるようでございます。ところが、御承知のとおり、現在地方競馬を実施いたしておりまする市町村は、これは私の短見かもしれませんが、全国の市町村の中で、町村財政の富裕な市町村が競馬の開催をいたしておりまして、決して町村財政の困難な市町村が競馬の開催をいたしておるとは考えられません。私は、むしろ臨時の災害等によって競馬を開催するものについては、今後も引き続き災害があった際に、期限を切って開催を認めるという措置は妥当であるが、戦災等によって競馬の開催をして参っておりまする市町村につきましては、適当な時期にこれを全国の市町村に利益を均霑していただくほうが妥当ではないか、こう考えまして、競馬の開催を府県知事におまかせして、府県知事はその上がった取得を県内のしかるべきところにこれを流すということにしたほうが適当ではないかというふうに考えて、この競馬の開催は市町村よりも府県にまかすということにいたしたい、こう考えておるのでございます。その例外としては、今申し上げましたように、特別に災害等のあった市町村については、時々その実情によって、競馬の開催は別途これを許可するということにしたほうが適当ではないかと考えております。全然競馬の開催をいたしておりません県等につきましても、それらの所在の市町村の畜産振興等にしかるべき費用を出してやっていただいたほうが適当ではないかと思いますので、競馬を開催いたしまする六大都市等に所在いたしておりまする県から、この競馬の益金一〇%の中から、さらにその競馬の上がりの一割を全国の連合体に出していただいて、それを全国の各府県に分割する。そうして競馬を全然開催しない府県の町村にも、畜産振興費その他としてこれを分けてやるということにすることが、全国的な畜産振興に寄与するゆえんではなかろうかということでお願いをいたしておるのでございますが、だんだん御意見もありますので、その施行期日につきましては、暫定期間を置きまして、経過規定を置きまして、昭和四十年の三月まで、現状どおり今のとおりで競馬を開催願い、四十年度からは、今申し上げましたようなことに切りかえていくようなことで、せっかく話を今進めておる次第でございまして、数日中に閣議の決定を経て、御審議をいただく段階にいたしたいと考えておる次第でございます。
  53. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 森君。
  54. 森八三一

    ○森八三一君 先ほどの質疑で当面する問題は相当尽くされましたが、この際、大臣の考えを一、二点はっきりお伺いいたしたいと思います。  その第一は、今後の農政の方向といたしましては、農業基本法を中軸として進めていくということ、これははっきりいたしましたのでけっこうと思いますが、その場合に、重要農産物価格安定をやるということが基本法にはっきり示されておる。そのことを具体的に遂行する場合の態度ですね、それはどういうようにお考えになっておるのですかという問題です。具体的に申し上げますると、定めんとする重要農産物のその時点における実勢価格というものを基礎にしておきめになろうとするのか、あるいはその物の過去何カ年間の実勢の平均がしかじかであるからそれを一応の目安に定めていこうとする考えであるのか、あるいはまた、いわゆる生産費及び所得補償方式というような考え方で定めようとなさるのか。重要農産物価格安定をやるということははっきりきめたのです。政府もこれをやりますとおっしゃっておる。そのやりますとおっしゃっておるときの具体的な態度ですね。それはどう考えておるか。これをひとつお伺いしたい。
  55. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御承知のとおり、農業基本法にこれら農産物価格決定の基準が指摘してあるわけでございます。物によって考え方を違えてやっていく、行政をして参るというつもりでございます。
  56. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますると、具体的にお伺いいたしますが、ただいま非常に同筆になっております、成長部門として奨励もいたしましたし、選択的拡大という基本観念に立って奨励もいたして参りました畜産のうちでも、特に豚が非常に行き詰まりまして、難儀をしておる。その現状はもう各委員からお話になったとおりでありまして、今さらこれに対して申し上げる必要はありませんが、その具体的な対策は、今申し上げました三つのうちでどの態度をおとりになろうとするのか。
  57. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 先ほど来申し上げますとおりに、従来あまり準備も用意もなかった品物の一つでございます。したがいまして、両院の当委員会等の御注意もございまして、特に代表者もかえたこの重要な審議会の議を十分参考にいたし、審議会におきましては、諸般の情勢を十分勘案せられて御答申がいただけると考えております。この御答申をちょうだいいたしました上で私は決定して参るというつもりでございます。
  58. 森八三一

    ○森八三一君 もちろん、ただいま審議会が開会中でありまして、早急にその結論を出そうとは思いますけれども、その結論はあくまで参考でありまして、やはり行政の長官といたしましては、国情の実態に即していかに結論すべきかということについてはお考えがあろうと思うのです。必ずしも審議会が答申いたしましたものがそのままに採用されるということではない事例を私どもは多く持っておりますので、やはり責任のある行政長官といたしまして、大臣といたしましては、確固たる方針を打ち出す、その方針に対しまして審議会が答申いたしました場合に、それを参考にすることは当然でありますが、これは誠意をもって優遇視することとは私も了解しておりますけれども、基本的な態度はあってしかるべきと思うのです。その点はどうでしょう。
  59. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お話のとおりでございまして、行政長官としては一つの目安は持って臨まなければならぬことはもちろんでございますが、と同時に、重要な審議会の議を経てきめるということになっておるくらいでありますから、その答申を重視して最終的に決定する所存でございまして、しからばお前の考えどうか、これは委員会においても私は申し上げておりますとおりに、特に審議会は自由の立場で御答申をちょうだいいたしたい、私のほうで数字は申し上げませんからということで、今せっかく御審議中でございます。しかも、一両日でこの答申をちょうだいいたしまして、最終決定をいたす段階になっておるわけであります。その際に、私はこういうものに重点を置いてこれはきめるつもりだということを申し上げますが、委員会の進行上どんなものかという気もいたしますので、委員会のほうの御意見、審議等を十分拝聴いたしまして、それを参考にして、最終的な私の意見をきめることが適切であろう、こう考えております。単に計数だけでなしに、今、述べられました生産者の所得を補償する方式にどの程度のウエートを置くか、過去の計数にどの程度のウェートを置くか、ないしは現状もしくは将来の施策についてどの程度のウエートを置くか、それらをどういうふうに組み合わせて考えることが一番適切であるかというような委員会の御答申がちょうだいできると思います。これらをちょうだいいたしました上で、私はこれについては考慮することが適当である、こう考えます。
  60. 森八三一

    ○森八三一君 私は具体的に幾らにするという、二百十円にしろとか、数字をお伺いしょうと思っておりません。うっかり言いますると、審議会の論議を牽制するような変な危険もないわけではありませんので、よくわかりますが、基本的な態度として農業基本法を最後に私どもが決しますときに、全会一致をもちまして附帯決議を申し上げております。これにつきましては、当時の政府御当局といたしましては、その趣旨は十分具現されるように、誠意をもって善処するという回答をちょうだいいたしております。それでその附帯決議の項目に、農産物価格安定については、再生産を確保し得ることを旨としてやれ、こういう一項があるのです。私は、このことだけは、大臣もかわりましたけれども、やはり政府の所信として表明されたことでございますので、今後のあらゆる重要農産物について価格安定の具体的な対策が講ぜられます場合には、このことだけは守っていただけるものと、私はこう信じております。そういうことを確信いたしますがゆえに、先刻申し上げました三つのいろいろな立場があろうと思います。あるいはもっとほかの方法もあろうかと思いまするが、その場合において、やはり所得を補償するという立場が堅持されなければ、再生産を確保するということに対して誠意をもって善処するとお答えになりましたことが、どうもじゅうりんされるという結果が生まれるのじゃないか、こう思うのですが、そう了解してよろしゅうございましょう。
  61. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御承知のと、おり、たとえば米価の決定にあたりまして、この決定の要因が、食管法に規定いたしております、現に計算をいたしておりまする再生産を補償するという補償方式が、計数は上になるのか、ないしはまた従来の指数を基盤にして計算をするとどういう数字になるかというようなものが、経済動向によって違って参ります。そういう場合に、必ず私は再生産補償方式一本だけで農家の御納得が得にくい場合があると思うのです。したがって、いろいろな場合を、今日、ただいま森さんからも御指摘になりましたが私どものほうとしても、諸般の情勢をそのときそのときに勘案して、むろん申し上げますことは、再生産を補償するものというよりも、上回る要因が他に出てくる場合を考慮いたしまして、お答えいたしておるのでございまして、今、御質疑にございました数を下回るというようなことは考えておりません。
  62. 森八三一

    ○森八三一君 基本的なお考えとして、私の希望いたしましたことをお認めいただきましたようでありますので、これ以上この問題は繰り返す必要はございませんが、その場合に具体的な作業をいたします場合に、農村と都市との物価の差があるというようなことで、通例の場合にそういうような指数を用いて、評価がえが行なわれておるということがあります。それから都市近郊労賃を採用するということでありまして、その限りにおいては問題はないように見えまするけれども、実際問題は、今日の賃金体系というものが、御案内のように月給だ、日給だというものだけではなくて、そのほかに交通費だとか、保険料の各人の分を負担するとか、昼食の現物給与だとか、いわゆる実質給与に当たりまするものが他の名目において支給せられておる。そういうものが賃金ではないということで除外されて計算がなされておる事例が多いのです。こういうことになりますると、やっぱり都市近郊労賃を採用して所得補償するといっても、事実はそうなっておらぬということを私は見る。こういうことは、大臣の際、是正をしていただきたいという感じを持つのですが、そういうようなことについての御所見はいかがでしょうか。
  63. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お話しになることはよく私もわかります。よくわかりますけれども、しかし、いかに政府が努力をいたしましても、たとえば、アメリカの余剰農産物のような轍を踏むというようなことは、日本の場合におきましては考えなければならぬと思うのであります。しいて申せば、それが上値になりまして、かぶって参りまして、そしてどうもこうもならぬというような事態になる場合を想像できぬことがないものもあるのじゃなかろうかと思います。したがいまして、ただ御指摘のように、労銀は何でとれ、何は何でとれということできめましても、諸般の経済事情がこれに伴いませんと、そうして、たとえば今年の米価にいたしましても、この米価は、生産者米価は妥当な米価でございます。妥当な米価でございますが、さて国際情勢、国内の経済事情等を勘案いたしてみますると、今日どういう事情に相なっておるかといいますと、消費者米価との間にあれだけの格差をもっていたしましても、なおかつ消費面につきましては米の消費は一体将来どうなるだろうかということが危惧せられるような事情もあるわけでございます。そういたしますると、そこに別の問題をわれわれは考えなければならぬと思っております。したがいまして、今当面いたしておりまする今回の決定にいたしましても、臨時に応急の価格をまずきめて、そうして基本的なものを次にきめるというようなことも、必.ずしも農家の諸君におきましては満足な施策とはお考えいただかぬと思います。いただかぬと思いますけれども、当面いたしておりまする非常に多額の豚を一応処理するまではある程度がまんを願わなければならぬ程度価格、つまり私が先ほど来申し上げておりますような二百三、四十円、五十円の値段でもし最終的にきめたとしたならば、これは足が出るのじゃないか、生産費を補償しないのじゃないかというような議論もあるかと思います。しかし、これを一般の需給関係等について考えてみますると、にわかにその要因だけでこれを決定いたしますならば、それが非常に将来にわたって貯蔵――非常に大きくかさになりまして、そうして将来の養豚事業に支障を来たすようなことにならないとも限らぬような気がいたします。したがいまして、需給の関係、経済事情等も時に考えなければならぬ場合があるかもしれないということも、ひとつあらかじめ御了承いただきたいと思うのでございます。
  64. 森八三一

    ○森八三一君 大臣、私の申し上げたことを誤解しております。大臣きその筋を通してとおっしゃっておるのですから、計算上やっぱり筋を通して一つのものを出しまして、そうしてそのときの経済情勢その他社会情勢に応じてかくあるべきだという別個の結論が出てくることも私はあっていいと思うのです。そのことが、一つの約束ごとの計算の中に何とはなしに入ってきておるという姿がやはり筋が通っておらぬ、納得のいかぬというものが出てくるので、やはり計算上は明確な計算を打ち出して、その次に日本の経済情勢、社会情勢からかくあるべきだという二段がまえの措置がとられますと非常に割り切れて納得がいくのですが、そういうわけにいかぬでしょうか。
  65. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) これは行政のあり方に触れると思うのですが、今お話しのようにバルク・ラインを、たまたま米の話になりますが、高いところにバルク・ラインを置きまして、そして計算をずっとしくいく、そしてその値段が、たとえば一万四千円に数字が出た、これでは少しどうか、消費者価格、経済事情から考えてどうか、一万一千円くらいがいいところだろうというて三千円下げるという事態があったときに、結論の一万一千円については、私は大方の農民の諸君も御理解いただいておると思いますが、もし今申し上げるような数字を作業いたしまして、諸般の事情を勘案してこの際は一万一千円にするといった場合と、一体生産意欲、その他農村の方々のお考え等はどんなものであろうかということを考えますと、やはり私はバルク・ライン等もある程度のところに引き、労銀等についてもある程度のところにおさめ、そして出たところの数字について加算をして参るということのほうがきめのこまかい具体的に順応性を持ったものが出てくるんじゃなかろうかという気持がいたします。しかし、御指摘のこともわからぬことじゃございませんから、よく勉強することにいたします。
  66. 森八三一

    ○森八三一君 その次に、えさの問題ですが、非常にえさが高騰して、生産物が下がって困っておるということで、昨年も行なわれました政府の手持ち麦の緊急飼料用としての払い下げの問題ですが、すでにこれは畜産連だとか、全購連だとかいう実需者の団体には配合飼料用のものとしてある程度のものを措置されたということで、この点は非常に感謝いたしておりますが、そういう部類だけじゃなしに、昨年行なわれましたと同じように、麦そのものを飼料として緊急に払い下げをするという措置がこの際とられてしかるべきじゃないかと思います。  もう一つは、豚コレラ等が発生した地域におきましては、移動禁止が行なわれておるのです。といたしますると、生産者諸君といたしましても、それぞれ飼料の手当をして飼育を始めたとき、移動禁止となりますると、その飼料計画を離れて、また飼育をしていかなければならぬということになり、非常にこれは迷惑する問題が起きます。そういう地点には、さらに一そう深刻な問題ですから、この際特にそういうような政府の手持ち麦の払い下げということが行なわれてしかるべきと私は思いますが、これらにつきまして、そういうような措置をとっていただけましょうか、いかがでしょうか。
  67. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 前段のお話につきましては、昨年同様にいたすように事務当局でせっかく検討準備中でございます。そういう指示を私いたしております。同様にするという指示をいたしまして、せっかく検討中でございます。  後段のほうにつきましては、なお研究いたしまして、御期待に沿うように善処いたします。
  68. 森八三一

    ○森八三一君 もうすでに手回しよくやっていただいて感謝申し上げますが、その場合、実は昨年もこれは議論したのですが、政府の手持ち麦を払い下げて、それがもう一ぺん政府へ還流してくるような変なことがあっちゃいかぬということで、もう一ぺん還流しないような形に粉砕して配給するという措置がとられました。その配給の場合に、もう一ぺん粉砕したものをかますに詰めて検査を受けなければ配給をしてはいかぬというような去年は措置がとられたのです。これは大臣もよく御存じでありますが、粉砕したその出てきたものを、すぐそこで需要家の農家が入れものを持って来て、看貫して持って行けば、この人手の足らぬときにわざわざかますに詰めて、もう一ぺん検査を受けてやらぬでも還流ということにはならぬのですから、できるだけ安価なものを供給するという趣旨から申しますれば、粉砕したというその姿で実量を計量して渡してやればよいと、こういう措置がとられていいと思うのですが、そういうふうにことしはひとつやっていただきたいと存じますが、いかがなものでしょうか。
  69. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 承知いたしました。なるべく御期待に沿うように指示いたします。
  70. 森八三一

    ○森八三一君 その次に、あと二点お伺いしたいのですが、その一点は、この委員会でしばしば問題になりましたけれども、今もって解決はいたしておりませんが、水産関係に対する工場の汚水だとか、航行船舶から出てくる油なんかの被害、これは大臣の郷里のほうにもしばしば起きるのですが、そういうことについて幾ら議論をしておっても、ちっとも解決が進まないのですね。その結果として沿岸における漁民の諸君が非常に迷惑をしておるという例が枚挙にいとまがないのです。ことに外国船等になりますと、外務省の諸君にも来てもらってここで論議したのですけれども、どうも押えどころがない、結局零細漁民の泣き寝入りという状態が繰り返されておるのです。これは数年の問題なんです。これなんかも解決の名案がございませんかどうか。  それからもう一つの問題は、小さな問題で、すでに御研究願っておると思いますが、農産物価格安定法に関連しまして、澱粉の買い上げの措置がとられることになっておりますが、最近の情勢から考えますると、特に北海道のほうではバレイショ澱粉が相当過剰する見込みになっておる。これを急速に買い上げるということによって、生産者も守られますし、他日政府のほうに持ち込まれて来る数量もある程度は減少するようないい情勢が出てくるようにも思いますので、法律の存在しておることであり、価格もきまっておることであり、事務当局のほうでは御研究願っておると思いますので、至急これを実施に移していただきたいという希望を持っております。  以上の二点につきましてお伺いをいたします。
  71. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 水質の汚濁いたしますことにつきましては、これを防止するように企画庁関係でやっておるのでございますけれども、なかなかその問題は十分な解決のめどがつきませんことははなはだ遺憾であります。今後十分に注意をいたして参るようにいたしておきます。  第二の澱粉の買い上げの点でございまするが、これは従来いろいろありましたけれども、年度内にも買い上げをいたしまして、そうして御趣旨、御指摘に合致いたしますようにいたすように努力いたさせます。これは努力という言葉を使ったことは御想像願いまして、命じますというわけには参りませんから、努力して御期待に沿うようにいたすようにいたしますから、しばらく御猶予ちょうだいいたします。
  72. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 清澤君。
  73. 清澤俊英

    清澤俊英君 みんなきょうはいろいろお伺いしょうと思いましたけれども、大体豚肉価格の問題に集中せられたようですから、ついでですから、それでその質問を終わりたいと思います。芝浦の標準価格幾らだ、こういうことを言われますが、御承知のとおり、芝浦は大体つぶし屋、いわゆる卸売人と仲買人との相対取引になっておる、それが一つの公定価格として発表せられるのはどういう形で出てくるのでしょう。大体蔬菜あるいは青果物、あるいは水産物のように、市場が立ってそこで競売価格が出て参れば、それが一つの公定価格として考えられる。取引は相対取引で、約五十軒からあるつぶし屋、卸売人、築地や秋葉原で申しますれば荷受機関であります。これが自分で品物を買って、牛や豚を買って、それを自分でつぶして相対取引をしている、ばらばらでやっている、三十人の人が。それで、その中から公定の価格幾らということを言われるのは、大体どこから出て参りますか。
  74. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 他の生鮮食料品と違いまして、これら生体で参りますものにつきましては、御指摘のようなこともありますけれども、標準となるべきものにつきましては、全販連が相当の量を産地から積んできておりますから、これら全販連と業者との間に相当数量の取引が行なわれておりますので、それが標準となっておると考えます。
  75. 清澤俊英

    清澤俊英君 全販連だけを対象にしておられるのですか。
  76. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) まとまった数字を持ってきておるのが全販連、もしくは地方の業者が出荷して参っておるものもあります。
  77. 清澤俊英

    清澤俊英君 総体の何%くらいですか、全販連のは。
  78. 保坂信男

    説明員(保坂信男君) 的確な数字を持ち合わせませんが、大体系統の販売に乗っているものは二〇%ぐらいであると思います。
  79. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると、大体五十軒のうち全販連が約二〇%、そうすると、私の聞く限りにおいては五十店のうち約三十店で二〇%やっているのですね。そうしてあとの二十店が大体総生産量の八〇%やっている。二〇%やってないのじゃないですか。この八〇%のうち二〇%が全販がやっているのですか。
  80. 保坂信男

    説明員(保坂信男君) 今手元に正確な数字は持ち合わせませんが、大体二〇%程度であろうと記憶しております。
  81. 清澤俊英

    清澤俊英君 それじゃ、あまりはっきりした農民に手取りの数字が出ていないわけです。これは枝肉中心の価格になっているのではないですか。大体つぶし屋がいわゆる卸屋さんが牛や豚を買って、そうしてこれをつぶしますれば、さっきも天田君が言いました皮、内臓、つめ、それらのものがたくさん出るのです。そういうようなものは捨ててあるのですね、枝肉からは。それで六〇%、あるいは六五%、これはやはり価格として見積もられている。それは全部拾い上げられているのですか、そういうことはないだろうと思うのです。
  82. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私の知識がだいぶもう古うございますから、戦前の知識でございますから、正確なことは申し上げかねますけれども、当然今御指摘になりましたような内臓から、皮から、毛等の処理が、それぞれの屠場の特異性によりまして、これらごみ皮といっておるようでございますけれども、処理を計算に入れまして、そうして枝肉が何%、歩どまり何%、それらを計算いたしまして取引いたしておるのが現実だと思います。これは地方から送って参りますものを込めて、この豚ならば幾らというふうにいたしまして、芝浦の場合には係留場に置いたものをそこに販連の出荷所の代表者、これをせりまする都内の問屋というものが立ち会ってみな毎日値段をきめているというのが現状だと思います。もっともこれら全販のもの以外に地方の業者がそれぞれ送って参るものはございます。これについてもそういうせりをいたしておるものもございますというのが事実だと思います。
  83. 清澤俊英

    清澤俊英君 それで、まあつぶすには屠殺料がつきますがね、あるいはそれを仲買いに売る、すぐに売る場合もあるし、ときによると二、三日見て売ることもある。また、営業をやっておれば営業の経費もかかりますから、そういうもの全部今言うたごみ皮を差し引いて、そして幾らか計算に入れるのですね。直荷者にそれが入るわけですね。そうしますと、今市場で二百二十円、あるいは三十円といっているものよりは少し余分のものが農民の手元に返ってくるのじゃないかと思いますが、その点どうなんですか。
  84. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 枝肉が幾らということがきまりますと、それを何貫のものを枝にして、歩どまりが幾ら、そのほかのごみ皮が幾らというものを計算したものを加えたものが一頭の値段幾ら、こういうふうに出てくるのでございますから、それが生産者方面に仕切られていくというふうに考えております。
  85. 清澤俊英

    清澤俊英君 俗に言うならば、相場から見れば少し高値に農民のところに返ってくるわけですな、その分だけ。それで、これは前から問題にしておられますが、大体昔はそれぞれそでの下取引ですか、あるいはふところ取引ともいいますが、そういうものがなくなって相対取引だといいますが、やはりそろばんを持って売買両者だけの秘密取引でありまして、立ち会っております人もなく、一般人には価格はわからぬようにして相対してそういう取引をしておる。これは改良するというので、両三年やっておられるが、いつになったら大体目安がっくのか。今まで聞いておりますならば、今年のうちには大体そういうものができ上がるだろう。枝肉取引が公定取引の正常取引に変わるだろう。まあ横浜もやっておるし、大阪もやっておるし、神戸もやっておるし、名古屋もやっておるからなんということをこの間も話したのですが、大体いつ時分やれるのですか。今年やれるのですか、やれないのですか。
  86. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御承知のとおり、農家から豚商が集めてくるのが、大体お話のとおり八〇%近くある。組合を通してくるものが二〇%ということでございますから、その豚商がこれもまた商売人で、その点は抜かりなく売り方に回るわけでございますから、これが同じ市場で取引されて、豚商のほうは高く、組合のほうが低くということは私はないだろう。組合もむろん代表者が立ち会ってやっておることでございますから、そこらのある程度の合理性はあるだろう、これが毎毎、毎日の建値が出て参るのでございますから、それらを計算いたしますれば、建値で計算して、大体何貫目の豚ならば幾らというものが出てくるだろうと思います。ただ、今お話のとおり、豚肉を正常取引にしろというお話でございますけれども、実はこれは私は戦争直前に正常取引を奨励して全国を講演して回ったことがあるのでございますが、なかなか豚の場合は、たくさんの養豚事業の奨励の中心が豚商にございます。必ずしも私は組合なり県なり自治体組合がやっておるものよりも、豚屋さんが豚の子のあっせんをし、そうしてこれがまた育ったものを買い出しに行って集めてくるという力が非常に強うございます。したがって、これらが専門家々々々の間に取引されておるのでございまして、これらは必ずしも正常取引でなければ承知ができぬ、正常取引をぜひ期待するという面が今の八〇%の中には私はそんなにないというふうに思うのでございます。したがって、これが系統団体等を通じて出荷される仕組みでは、ぜひ枝肉取引の合理性を求めることは必要でございますけれども、実情が今申し上げましたようなことでございますので、必ずしもこの改善の方向がそう急速に期待されていないのじゃなかろうかと思うのでございます、これは今度私は芝浦のほうに行って早急に勉強して参りたいと思います。
  87. 清澤俊英

    清澤俊英君 私がお伺いしているのは、両三年来その取り引きをするというので、だいぶ資本をかけて整理したのでしょう。東京都も農林省も融資などをして、そうして屠場を全部整理してしまって、改築しているのですわね。そうやって、いつまでたってもそれができないのはどういうわけなんだか、こういうことなんです。そういうことが、正常取引、正常取引というのはおかしいかもしれませんけれども、競売取引をやる、枝肉取引をやる競売の形が出てくるのか出てこないのか、こういうことです。今年は大体それがやれるだろうと、こういうこの間の中央卸売市場法の改正のときに答弁でありました。
  88. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 今申し上げましたように、これは市場によって事情が違うと私は思います。たとえば今芝浦の話が出ておりますが、芝浦に出荷するものは豚商に、そして豚商が地方の地場から集めたものを出荷しておる場合に、豚商の場合には必ずしも正常でなくても、商売人と商売人の取引で事情がよくわかった同士で、これがそれを売り方も買い方もそんなめんどうなことをしなくてもわかるんじゃないかということで、しりの二つ三つもたたけばその話が通る。ただ問題は、農家が豚商に売る場合に正常でなければいかぬということが清澤さんの御期待だと思うのでございます。われわれもそれを期待いたしますが、豚の生産を指導し、奨励しておりまする中には、豚屋さんの御承知のとおり地方における力というものが非常にに強うございます。これがまた非常に大きな奨励の要因になっております。そういう関係から小豚の世話をする、育ったものを集めて持っていくということになっておりますので、そこらに合理性が欠けておる面がある。これをどういうふうに直すかということがこれからの問題だと、こう考えるのでございます。これは単に市場に来てからでは――そこまでは生産者の損益計算は、きておるものは販連を通じてきておるものでございまして、その数字については今申し上げたような数字である。で、これだけは正常を販連に要求したらいいだろうという勧告なら、これはすぐできると思いますが、全体のものについては、今申し上げましたように、出荷者も、これを処理する問屋のほうもそれをそんなに期待していないのじゃないかというふうに実は思うのでございますけれども、なお実情を調査した上で御報告申し上げます。
  89. 清澤俊英

    清澤俊英君 他ではやっているのです。他ではそれをもう始めているところがあるのです。東京だけがやれないのだ。ということはですね、河野さん、私は農林省やり方がどうも資本家に対して弱いんじゃないかと思うのですよ。ということは、今こうやって豚肉が下がるとか上がるとかいって大騒ぎしているまつ最中に、私が一番懸念を持つのは、この間も周東さんの時分に質問したのですが、大企業者に資金を回して、そうして大企業者に企業的な養豚業や養鶏業をやらしておる。そのほうが農民のためになるんじゃないか、こういう考え方なんですが、はたしてためになるんでしょうか。
  90. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御承知のとおり、非常に品種等の改善も必要である。飼養技術等の改善も必要である。これらのものをきめこまかく指導しておりますものは、遺憾ながら現状におきましては、私は、たとえば鶏の場合には、えさ屋の研究所が一番進んでおると思うのでございます。これが日本の養鶏の改善に裨益している点が非常に多いと思います。養豚の場合には、豚屋さんが品種の改良、たとえば種豚を買う場合でも豚屋さんが種豚を持っておる場合が非常に多うございます。この種からコロの世話をする力は相当私は強いと思います。乳牛の場合には、これはまた明治、森永を初めとして、これらのものが相当に地方の酪連との間に関連を持っております。そういうようなことで、これを一途に断ち切ることが――今の段階において断ち切れ断ち切れと、断ち切ることがほんとうに畜産の発達にどうだと、監督は必要でございますけれども、非常に弊害があるとばかりは考えられぬのじゃなかろうか。たとえば最近急激にふえて参りましたブロイラー、これらにつきましても、原種もしくはひなのごときは、資本企業が地方に配布してこのブロイラーの養成をやらしておりまする事実は、農民とこれらの機関が一体になって相当の稗益をしているものもある。欠点につきましては十分監督、取り締まりいたさなければなりませんが、よい面も実は私は見のがしてはいかぬ、こう思うのでございます。
  91. 清澤俊英

    清澤俊英君 いろいろ、何でしょうね、理屈を言えばいろいろの理屈はあるでしょうと思うのです。弊害ばかりでもないと思うのです。弊害ばかりはないと思うのですけれども、農林省というものは一体何をしている、そうなってくると。農林省は何のためにあるかということなんです。人に指導できるものが、農林省として指導できないのかどうか。
  92. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 基本的なことはやっております。それからまたできるだけのことはいたしておりまするけれども、今日のように非常に細分化し専門化したこまかな面がふえて参りますと、そこまで手が届かぬ面があります。これらのこまかな点を研究しておる面につきましては、遺憾ながら私はこれらの研究所のやっておりますものも見のがすことはできない、こう思うのでございます。また人によって非常に優秀な人材を持っておる場合もございます。こういう場合において、遺憾ながら農林省の試験場よりも民間の試験場のほうが直接具体的に農家との結びつきが強いという面が現にあることは事実でございます。せっかく私も試験研究所の拡充に努力はいたしておりますけれども、現状においては、遺憾ながらまだこの事実を否定するわけには参りません。
  93. 清澤俊英

    清澤俊英君 もっとですね、そういうものはもっとモデル・センダーのようなものを作って、本式に研究したらできるのじゃないですか。中途半端な金を出してやっているから、しまいにそうなるのじゃないかと思うのです。だから、私はそういう点では非常に弱いのじゃないかと思う。それは将来において、私は重大なやはり問題を残すのじゃないかと思います。ということは、今水産業、あなたが一番お得意の水産業を考えてみますと、もう水産は部門独占的なものに入っております。市場は全部ほとんど五大水産業者に占領されております。系列化しております。加工品とタイアップしてほとんどもう他のものはどうにもできない。手のつけられないようなものになっているのだ。聞きまするならば、たまたま日本の水産業が非常に幼稚な際に外国船が来て沿海を荒らした。それがために政府としては急遽としてこれに対する大船主義といいますか、大企業的な水産業を興すために質本を投じて、そうして民間人にやらせた、これがもとだと、こういわれているのです。そうして今ではほとんど沿海漁業なんというものは手も足も出ない状態になっている。ただいまも森さんが言われたように、沿海漁業に対しては底びき網であるとか、あるいは海水汚濁の問題が中心になっておるけれども、その海水汚濁にしたって、一つも解決していない。これじゃいかに一生懸命出しましても、水産漁民や農民がうまくいかないことはわかっていることです。もっとそこらに私は農林大臣として考えていただく場所がたくさんあるのじゃないかと思っているのです。そういう点を少しも考えていただかないで、ただ、豚がちっと上がったから今度二百三十円ぐらいで押える。二百三十五円ではたして生産費にマッチするのかしないのか、これもわけがわからない。あるいは学校給食に回すなんといったって、学校給食にはたしてPTAが喜んでそれを受けるか受けないか、これもわからない。私は聞いてみますと、そんな肉なんてとても、よほど安くなければ、この上持っていかれないと言っている、ただでくれんでしょうかねと言っている。そういうようなことを考えていたって問題にならないと思うのですよ。もっと本腰にやりてもらわなければ問題にならない。そうして反面においては、芝浦では公定取引ができないうちに、あっちでもこっちでも枝肉センターを作るのだ、農林省がかまわぬでおけば、厚生省が金出して作らせるより持っていき場がない。せっかくそこで集めても、持っていき場がない、だから、その付近には何ができるかと言ったら、畜肉加工業のあやふやなのが二軒も三軒もでき上がる。これではたしてあなた方が考えておられるような畜肉の振興というものはできるでしょうか。選択的拡大の線でやるとか何とか言われるけれども、そういうものができるでしょうか。私はどうも怪しいと思うのですね。そういうのはどうなんですか。まるっきりただアドバルーンだけ上げて、ああでもない、こうでもないと言っているのであって、一つも本気になって取り上げるものがないですよ。もっと本気にわれわれが取り上げて、農民に今度は農林省はこうしてくれるのだから、こういうふろにしてやれと言われるようにしてもらわにゃ問題になると思うのですよ。これは問題ですよ。大問題になっているのだ。
  94. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) だんだん御指摘でございますけれども、どうも私の申し上げますことがそのとおり御理解いただけないことははなはだ残念でございます。今、正常取引にしなければいかぬじゃないかということは、農民と業者との間が正常でなければいかぬ、そう私は思うのです。ところが、農民が芝浦まで持ってきておりますものは販連を通じて出荷されている分でございます。ところが、これがそれだけのものは他の屠場にも参りますから、芝浦に参りますものは二〇%前後で、あとは業者と業者の取引でございますから、業者と業者の取引の際には、業者が業者との間の利害において決して正常の必要はないということでかれらはやっておるのでございます。これはどっちかがだましたり、だまされたりでございましょうから、これはもうわれわれとしてはそれに立ち入る必要も実はないのじゃないかと思うのでございます。しかし、まあそれでもやれというように奨励することはけっこうでございますが、実情は、今日の実情は私は見ておりませんから、なるべく早く勉強はいたしますけれども、私の知る限るにおきましては、今日、全国の豚の集荷は組合よりも豚商のほうが実力を持っている。この事実は否定できない。そうすれば豚商と生産農家との取引をどろするかと申しますと、これは正常取引は遺憾ながらできにくいというのが現実でございます。こう私は申し上げているのでございます。これを奨励すると申しましても、庭先で取引するのをやめて、早く組合で共同出荷をするような組織でいけということは極力奨励いたしますけれども、まだなかなか養豚、コロのの世話をする、豚種の改良をするというようなことは、いろいろの面から、御承知のとおり、全国に豚商の持っておりまする指導性というものは、相当に強いものを持っております。しかも、これが養豚を相当に熱を高揚いたしておることも事実でございます。ということでございますから、これら豚商の団体等ともどういろふうに話し合って、これから協力をしていくかということでございまして、そこにはなかなか困難があるということを私は申し上げておるのでございまして、ただ資本家に弱いの、強いの、別に豚屋の資本家ぐらいおそれる必要もなければ、どうということはない。そんなことは別にちっともおそれてどうということはないのでございますけれども、事実は、実情がそういうことになっておりますということを私は申し上げたのでございます。しかし、おっしゃることも決してわからぬのではございません。
  95. 清澤俊英

    清澤俊英君 だから、わしは言っているのですよ。府県では枝肉センターを作るということは非常に希望を持ってやっているのだ、どこでも作りたいと言ってやっているでしょうり作りたいということは、枝肉を直接出したいということなんですよ。その機関がないから出せないのだ。出せないからいつまでたっても問題になっている。逆でしょう。少なくとも理想に近づくような方法をなぜやらないのか、こういうことなんです。
  96. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 清澤さん、そうおっしゃいますが、農林省がじかにどこへ一体枝肉センターを作ってどこへ売るのですか。私はそれですから先般わざわざ奥むめおさんのやっていらっしゃる主婦連の会合に出席いたしまして、主婦連の方のお力で何とかこの問題をひとつ御協力いただけぬか、あなたがたが共同で処理するというようなことでございますならばいかようにもあっせんをいたしまして御協力を申し上げますといって、実際面に入っても実は私は努力いたしております。しかし、一方農林省がやる、これを処理するということをいたしましても、なかなか実際農林省政府行政機関がみずから枝肉センターを作って、そこで売るといってもできませんから、それにはそれの機関を作ってやらせる。どうしてもいかなければそこまで踏み切っていただかなければいかぬと思いますけれども、今の段階において実はそういうこともやっていますということを御了承いただきたいと思うのでございます。
  97. 清澤俊英

    清澤俊英君 河野さんは奥むめお先生のことなどを出されますが、あれはあなた、直接売るということなんですね。あなたの考えていることは直接売ったらどうだ。そんなことは、とてもむずかしい商売の中でそういうことは無理だと思います。直接売りなどを奨励することは非常に危険性があります。
  98. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私の申し上げますのは、そういう消費組合であるとか、それから主婦連であるとかというような方々がひとつ問屋から、芝浦からじかにとって分けていただければ、そこに小売価格の適正化をはかることができると思いますから、まずそういうことに御協力願えぬだろうかということを全国の主婦連の会合で私はお願い申し上げた。また、そういうふうなことを期待される方があるならば、いかようにも農林省はごあっせん申し上げます、こう言ってまず第一段階はやっている。それがどうしてもできなければ、生鮮食料品の改善につきまして、ひとり豚肉だけでなしに、他のものにつきましても、今後は考慮しなければならぬ場合があるのではなかろうかと実は考えておるのであります。
  99. 清澤俊英

    清澤俊英君 私は何も小売価格のことをまだ出しているのではないのだ。小売価格のことはまだ一つも触れておりませんですよ。河野さんは何か先走っておられるようですが、私は小売価格を高いとか安いとかいうことはまだ一つも言うておらない。なぜに正常取引が芝浦ができないのか。これをどうしてもその欠点を除去して直すという考え方がないのが、こういうことを言うておる。ところが、それは今のとおり業者のほうで豚はたくさん集めてくるし、牛もたくさん集めてきて売っているのだから、そうして相対でやっているほうがいいのだ、こういうような御答弁であるので、それで私はそれではどうも間違っているのじゃないか、そういうやり方をいつまでも考えておったならば、いつまでたっても豚でも牛でもそういうものが市場に正常取引の形で集まるということがなくなるのじゃないか、こういうことを私は言うているのだ。そういう形を早く作り出すことがいいのじゃないか、こういうことを農林大臣にお伺いしている。これはまあこれでいいです。もうだいぶやったけれども、なかなか片がつかぬし、大臣の意向も聞いていますから、伺うときがあるときにはまたあれですから……。  それで農林大臣にお伺いしたいのは、大体芝浦の経営経費ですね、これは一体だれが出しているのです、経営経費というようなものは。
  100. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) これは東京都が支配しておりますから、東京都が手数料を取って、そうして足りない分を東京都が出している、こういうことでございます。
  101. 清澤俊英

    清澤俊英君 それでは大体の建物等の経費等は少しは出しているかもしれませんが、大体歩銭というようなものはないそうですね、あそこには。東京都がまる出しでしょうか。秋葉原や何かのように、築地のように大体口銭のうちから幾らという歩銭を東京都は払っておらないらしい。またそういうものも取っておらない。とにかく相対取引ですから払っておらない。だから、そういう操作の経費は全部業者が持っている、こういう形になっておる。
  102. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私も先ほど来申し上げますように、しばらく芝浦については見聞いたしておりませんので、至急調査をいたしまして善処いたします。
  103. 清澤俊英

    清澤俊英君 あなたはどうですか、その点は。
  104. 保坂信男

    説明員(保坂信男君) 屠畜場に付設されておるわけですが、屠畜場の経費等につきましては、大臣お話のございましたように、東京都で手数料等で経営し、さらに足りない分は都の支出になっているように思います。取引されたものの中からどれだけ経費として納められているかどうかの実態につきましては、私も十分承知いたしておりません。
  105. 清澤俊英

    清澤俊英君 私が行って聞いた範囲では仲買人と卸人、これが寄って親睦会というのを作って、大体牛は、牛一頭で十五円くらいの経費を集めて、それで運用している、こういうのです。そうすると市場の操作というものは、非常にルーズだということは考えられます。そういうやり方をちっとも改めないで、すぐ市場をどうしろ、こうしろと言ったって、これはなかなか無理な問題がそこについてくるのじゃないかと思われる、わしは。どうなっているのです。
  106. 天田勝正

    ○天田勝正君 ちょっと答弁の前に関連して。まあ大臣は、一応御存じないところはひとつ勉強して善処しますと、こう言われておるのだけれども、係の人がそういうことはさっぱり御存じなくて、適正な豚価をきめるように審議会にかけておるなどと言ったって、何を基礎にして学者先生が集まったところできめることが一体できるのだ。そのくらいなものは、どういう機構になってどういうふうにそれは経営しているのだ、そういうくらいのことは、幾ら経営の主体が東京都であっても、それが農林省につかまれてなくて、どうしてきめられますか。まことに遺憾しごくというほかはない。こまかいことば、大臣はそういうきめのこまかいことまでやってもらうわけには、いかないから、聞いておられるだけでもいい、しかし、係の人は知っておいてもらわなければ困りますよ。それは調べて、いつお答えになりますか。  それで大臣、さっき清澤さんがいろいろおっしゃったのをいずれにも私が聞いていると勘違いの点があるけれども、大臣の言われるのは、生産者が業者に売るときの正常取引は、途中でそでの下の取引であろうと、だまされ、だますがあるであろうから、そういうことはかまわぬ、こういう端的にいえばお話に私は聞いた。ところが、こういう国民生活に毎日影響するような品物というものは、これはやっぱり生産者から消費者の手に渡るまでの経路も価格もはっきりしておらぬと、大臣が主婦連にお頼みになったというのは、今までの大臣では初めてでしょうから、これは確かに行政の幅を広げて、方向としてはけっこうだけれども、じゃ消費者のほうの団体が会ってどうするかといえば、今、新聞でたまたま記事に出るだけで、実際は農民幾らに売っているか、私は七十キロ一万九千円になったということは知っているけれども、多くの消費者に聞いたって、おそらくここにこれだけいても、それは御存じない。さっきから私がいろいろ指摘した問題の点は、たもとの中で握りっこをしてきめるのですよ。そこでわけのわからぬうちにさっき言うように、もとのほうでは半分以下に下がっているのに、実際のキロ当たりは五円しか下がらない。消費者の手に渡るときはこういうことになっているのです。ですから、さっきも私はこのことを言うのは、あなたにはこまか過ぎると思ったから向こうのほうへ行って坂村さんなんかと実は私語してきた。何とかこれが変わらぬか。ほかの野菜でも問題がありますけれども、野菜の取引でも抑揚のある早口でせっていまずけれども、消費者が行っても生産者が行っても値段はわかるのです。百姓はどんな生産費をかけようとも幾ら市場で手放したのだということはちゃんとわかるのです、消費者の方に。それが生産秩序。東京の方へ持ってきてもまたわかるのです、聞いていれば。ところが、事肉に関する限りはとんとわからないのだという、幾ら消費者が行っても生産者が行ってみたって、どんな操作で自分の安く売ったものがべらぼうに高くなり、そのべらぼうだとも言うことができない。途中でそでの下で手を握りっこして値段が上がってしまうのですから、そこをああいう取引でも行政指導で改善されればそういうからくりがあるのならば、こういうふうにすれば消費者団体でも、ひとつ自分らでやってみよううか、こういう手が打てるかもしれない。ですから、結局行政指導で、ああいう悪い商習慣をやめさせる。もとは野菜の市場でも、それでやっていたのですから、わけのわからないことでやっていた。ところが、とうとうわけのわかるようになってしまったのですよ、大正時代から。ですから、そういうふうにできないものか。その二点。
  107. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私の申し上げることがお答えになるかどうかしりませんが、実は二〇%といいましても、これは全販連が産地から農民の品物として芝浦まで持って参っております。私もかつてその経験がございます。そして出荷団体として芝浦に駐在員がおります。そうして牛にしても豚にしても一頭ごとに問屋と取引しております。この場合には、決してそでの下で握りこぶしでやっておりません。したがいまして、それについてはやや公正な価格が出ておると思います。むろん、善良な生産者の代表として立ち会っておるわけでございます。それが基準になるということでございますから、それについては先ほど清澤さんのおっしゃったように、その二〇%についてはすみやかに正常取引でやるべきものだ、この点については私は異存はないのでございます。少なくともそういう正常なルートが一方にありまして、そうして他は業者業者の間でついてくるのは、これは向こうの都合でやっていることを、そこまでわれわれが関与しにくい点があるということを私は申したのでございまして、決して私は全部の豚なり牛なりが、農家を離れたら、それがどこでどうなっているかわからぬでいいという考えを持っておりません。少なくとも今申し上げたように、枝肉をこの委員会で御答申をいただき、私が幾らなら買い上げます、ときめた際には、それが標準になって全販連なり全国生産者団体が出荷して参りますものは、その基準によって取引されることは間違いない。これが少なくとも豚価なり牛肉の標準価格となって、取引されていくように歩んでいくだろうと思います。これを期待いたすものであります。その間において、もちろん、そうはいたしましても、まだまだなかなかそういきかねるものがある。たとえば、豚についても、前の晩に売るほうの農家も水をたくさん飲まして、買うほうの問屋さんも、水が幾ら入っておるということを計算して買っていくというようなことでございますから、なかなかむずかしゅうございます。むずかしいことはもちろんでございますけれども、そこに合理性を得るために今後努力して参らなければならぬことはもちろんでございますが、なに申しましても、生産者団体が強固にできておりませんことは、需給の関係で指導いたす上におきましても、また販売の関係におきましても、なかなかむずかしい。これをすみやかに、この方面にも力を入れる必要があるというふうな認識でひとつ努力して参りたいと考えておるのであります。
  108. 清澤俊英

    清澤俊英君 農林大臣は全販のを中心に考えている、こう言われましても、実際発表せられる価格というものは、さっきも申しますとおり、基本は相対取引です。だから、全部ばらばらなわけです。それがさつき言いました懇話会のところへ伝票として集まって、その平均額が新聞で発表せられる価格だと、こう私ら聞いてるんです。あなたが言われるような全販が中心だというようなことになっておりません。同時に、全販がそれほど正しい価格を出しまするならば、全販へ集まるべきものです。集まらぬのがおかしい。集まらぬというのがどうもおかしいんです。豚の、種豚についても、大体、河野さんどう考えておられるかしれないけれども、農協のあっせんというものは相当入ってるわけです。だから、博労と農民関係は最近もう非常な変わり方をしております。昔のような関係じゃありませんです。なるほど牛を買うにしましても、昔ならば牛を一頭売りますれば、これを廃牛として売りまする場合には、すぐ耕作用に次の牛を買わなけりゃならぬ、それの認識がないから博労をたよって、いいものを授けてもらう、こういう形になっておりますが、今はもうそんなことは必要ないんです。牛を飼うなら廃牛にしてつぶすのが中心ですから、そういうことをしなくても、農協から安い、保証せられたものをあっせんしてもらったほうがいいという考え方が非常に強くなっている。それほどの昔の関係はだんだん薄らいでいる、こういうことをわれわれは常に見ております。そういう際に、ただ、そろいう関係があるからこれはどうにも仕方がないんだと、こういうようなお話でありまするならば、これはしまいにどこへいってしまうのかわけがわからない。その一方は大企業でどんどん作ってくる。子豚は預ける。飼料ば預ける。出荷はしました。計算してみたら幾らも残らない。こんなような形がどんどん出て参りました場合にはどうなるのですか。そうやってそれが力強くなりますれば、今の魚と同じことで、結局独占的な操作で芝浦の相場などは好きなようにいじるかもしれない。こういうものができ上がってからあれこれ言ったって私は問題にならないと思います。
  109. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 清澤君に申し上げますけれども、持ち時間ちょっと超過しておりますから、この辺で簡明にお願いいたします。
  110. 清澤俊英

    清澤俊英君 だから、その点はひとつ河野さん自説を翻していただいてよく考えていただきたい。
  111. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 承知しました。
  112. 清澤俊英

    清澤俊英君 いま一つは、大体商取引がどんな工合になっているのですか、こういうことです。商取引がどんな工合になっているか、これは重要性を持つことです。大体仲買いに卸人、それから仲買いから小売人に売ります、負債が約五億円くらいたまっているそうです。これの解決ができぬうちは芝浦の機構改革は非常に困難だ。これは前からわかっているので、自分らは、まあ荷受人というのですか、卸売人としては、当日もしくは三日間のうちに出荷料は支払っていかなければならない。一方は四十日約手あるいは五十日約手で約手で出す。それは売り手が全部金利を見なければならぬ。こういうような状態になりますれば、必然的に高いものがそこへでき上がるのじゃないかと思うんです。ただ表だけで、そろばんで取引しただけの価格が問題になるのじゃないと思います。そういうようなところまで少なくとも市場を完備していく上には金融等のことも十分考え、そういうものから準備してかかるような方針がとられなかったら、それはなかなか容易に私は問題は解決しないと、こう思うのです。そういう点お調べになっているのですか。
  113. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御指摘のような点は、魚にも野菜にもあることでございまして、遺憾な点でございまして、東京都におきましても、そういう点をおもに整理をしたこともあるわけでございます。政府もそういうことに協力いたしたこともあるわけでございますが、つい今日のことでございますから、卸と小売の間にそういうことがだんだんたまっていく。そこに仲買いの必要性が起こってくるということだろうと思うのでございますが、できるだけ改善はひとつ努力いたさなければならないと思っております。
  114. 清澤俊英

    清澤俊英君 それは東京都から卸商が相当の融資をしてもらって、卸商が融資をしてもらっているだけに、やはり現実にそういう無理なものが卸人の中に加えられていることははっきりわかるわけです。そういうもの――みんな何も考えないで、さあ正常取引にやんなさいと言ったところが、正常取引にしてしまえばおそらくそういうものは返ってこないだろう、返ってこないと、こう言うんですわ。何もそんな無理して三日に一ぺんずつ払わなければならぬ、五日に一ぺんずつ払わなければならぬという、取引をやるのにそんなものまで払ったり、これもしたりするわけにいかぬから、これは投げなければならぬ、とこういう考え方が強いんだそうです。そういう点をもっと掘り下げて考えていただきますれば、私は正常取引というものはできるだろうと思うけれども、河野さんもあまりこのほうは勉強がちょっと足らぬようですから、これくらいでやめておきます。
  115. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 質問じゃないんですが、養豚から多頭出荷から芝浦の問題が出まして、これが今後の豚の値段をきめるときに重要なるウエートを持ってくるようにも考えられるわけです。したがって、省でもって芝浦の取引内容、今後改善すべき省としての考え方、そういうようなものが一ぺん示されるように委員会にひとつ何か資料を提出してもらいたいと思います。
  116. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) かしこまりました。  本件につきましては、本日はこの程度とし、本日はこれをもって散会いたします。    午後五時四十八分散会      ―――――・―――――