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1962-05-31 第40回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年五月三十一日(木曜日)    午前十時三十四分開会     —————————————   委員異動 五月八日委員小笠原二三男辞任につ き、その補欠として成瀬幡治君を議長 において指名した。 五月九日委員成瀬幡治辞任につき、 その補欠として小笠原二三男君を議長 において指名した。 五月十五日委員江田三郎辞任につき 、その補欠として藤田進君を議長にお いて指名した。 本日委員仲原善一辞任につき、その 補欠として秋山俊一郎君を議長におい て指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     梶原 茂嘉君    理事            石谷 憲男君            櫻井 志郎君            安田 敏雄君            東   隆君    委員            青田源太郎君            秋山俊一郎君            植垣弥一郎君            岡村文四郎君            木島 義夫君            重政 庸徳君            柴田  栄君            藤野 繁雄君            大森 創造君            北村  暢君            清澤 俊英君            戸叶  武君            藤田  進君            天田 勝正君            千田  正君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    経済企画庁調整    局交通課長   薗村 泰彦君    農林省農林経済    局長      坂村 吉正君    農林省振興局長 斎藤  誠君    農林省畜産局長 森  茂雄君    水産庁次長   村田 豊三君    日本国有鉄道営    業局長     遠藤 鉄二君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (燃油によるノリ漁業被害に関する  件)  (国鉄家畜輸送に関する件)  (農林畜水産関係物資国鉄貨物運  賃に関する件)  (野菜類の価格に関する件)     —————————————
  2. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。去る五月八日小笠原二三男君が辞任、その補欠として成瀬幡治君が選任されました。  九日成瀬幡治君が辞任、その補欠として小笠原二三男君が選任されました。  また、十五日江田三郎君が辞任、その補欠として藤田進君が選任されました。     —————————————
  3. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 農林水産政策に関する調査のうち、燃油によるノリ漁業被害に関する件、国鉄家畜輸送に関する件及び農林畜水産関係物資国鉄貨物運賃に関する件を一括議題といたします。各件につきましては、それぞれ関係当局からその後の経過の概要並びに今後の見通し等につきまして順次説明を聞くことといたします。
  4. 村田豊三

    説明員村田豊三君) まず水産庁からその後の経過について御報告を申し上げたいと思います。  千葉県におきまするノリ被害についての補償についてのその後の当事者間の折衝の経緯でございます。当委員会でもいろいろと御心配をいただいたのでありますが、その後この補償問題につきまして非常に両方弁護士団側の動きが活発に行なわれております。その経過の概略を日を追って申し上げますと、五月の二日に漁民側から船主側イーグル・コーリア号側弁護士側被害資料説明を行なっております。さらに五月の十日に漁民側弁護士イーグル・コーリア号船主側弁護士団とが協議を行ないました。特にこの日は船主側弁護士団から漁民側弁護士団に対しまして補償額提示が行なわれたようでございます。これはまあ両弁護士団同士で極秘に扱われておりますので、金額等についてはわかりませんけれども、この船主側弁護士団から提示されました補償額に対しまして、漁民側弁護士団がそれを不満として拒否をしておる事実があるのでございます。さらに引き続きまして五月十四日でございますが、両方の側の弁護士団双方資料検討について、双方それぞれ立場も主張もあるようでございますので、第三者も入れたい、これはかねがねそういう意向があったのでございますが、その第三者として水産大学殖田教授依頼をいたしたのであります。殖田教授がその依頼を承諾されて、殖田教授は引き続いて五月二十二日には千葉県庁資料調査をしておられます。その後、これは一番新しいその後の経過報告でございまするが、五月二十四日に漁民側弁護士団イーグル・コーリア号側弁護士団とで、殖田教授をまじえまして被害額についての検討が行なわれております。この検討の行なわれました内容なり結論については、まだわれわれの間にはさだかなる報告は参っておりません。極秘裏検討が行なわれておるようでございまして、大体その後の経過は、ただいま御報告申し上げましたように、すでに漁民側弁護士団加害者と目せられますイーグル・コーリア号弁護士団との間で、以上申し上げましたような何回かの折衝が行なわれ、しかもしかるべき第三者もまじえての折衝が行なわれまして、補償の問題は核心に入った、軌道に乗ってきたというふうに私どもは理解をいたしておりまして、寄り寄り県庁等に対しましても、この折衝促進方を督促しているような状況でございます。  簡単でございますけれども、その後の経過を御報告を申し上げた次第であります。
  5. 安田敏雄

    安田敏雄君 前の国会中に、この問題を取り上げましたときに、神奈川県の県立の試験場で、はたしてイーグル・コーリア号加害者であるかどうかということについては、試験の結果が明らかでないために、加害者かどうかということはきめ手がなかったというような状態であったわけですね。で、今のお話によりますというと、両方補償額について話し合いを進めているということになりますというと、イーグル・コーリア号加害者であるということをはっきりと認めたという形になるわけですけれども、その点はどうですか。
  6. 村田豊三

    説明員村田豊三君) 油の分析、鑑定の結果につきましては、これはまた別途、ほかの省からの御報告があろうかと思いますが、ただいま私のほうから御報告申し上げましたように、その点の結論の有無にかかわらず、すでに船主側弁護団は、具体的な補償折衝に入っておりますので、これは私のほうの一方的な推測でございますけれども、もうそのほうの鑑定結論のいかんを問わずイーグル・コーリア号加害があったものと認めて、弁護団折衝に入っている。私どもはさように解釈をいたしております。そうでなければ、イーグル・コーリア号側弁護士団のほうから具体的な補償金額提示のあろうはずがこざいません。その事実だけを見ましても、すでにその辺の問題は事実上片づいているのではなかろうか、かように想像いたしております。
  7. 安田敏雄

    安田敏雄君 今、補償額についての内容は明らかでないけれども、まあ話し合いが進んでいるということでございますけれども水産庁は全然その内容についておわかりにならないですか。
  8. 村田豊三

    説明員村田豊三君) 御承知のように、漁民側から、被害額が相当な額が出ておりまするし、また水産庁県庁から聴取いたしました被害額も、これまた相当な三億円を上回わる被害でございまするので、われわれは現在弁護士団同士で、この問題についての折衝が行なわれておりまする過程におきましても、どの程度の額でおさまるか、非常に関心は持っておるのであります。持っておりますけれども、先ほど来申し上げますように、まだ現在の段階で、両弁護団、これは非常に極秘裏折衝をいたしているようでございまして、千葉県庁当局も存じていないようでございます。私どもは、千葉県庁当局を通じて報告を求めているのでございますがこの点については、知る由もないような状況でございます。
  9. 安田敏雄

    安田敏雄君 なお被害後、漁民立ち上がり資金として、農林漁業金融公庫融資をするというようなお話がありましたが、その結果はどうなっておりますか。
  10. 村田豊三

    説明員村田豊三君) 低利の着業資金融資するという問題、前々から問題になっておりまして、これにつきましては、農林漁業金融公庫の実は融資対象にはなっておらないのであります。これは千葉県の場合は普通のノリ資材と違いまして、椰子網を使っておるわけであります。しかもこれは漁家がシーズン外に、ノリの仕立てのシーズンが来ます以前に、自分の家で手でこの網を編むという習慣がこの地帯には行なわれておりまして、原料は椰子網を使っておるようであります。農林漁業金融公庫融資対象には合成繊維だけが対象になっておる。この点なお若干問題があるのでございまするけれども、一応現在の建前はさような扱いになっておるのでありまするが、私は融資が全然道が閉ざされておるかと申しますと、現実にはこれは千葉県庁の非常な努力によりまして、県の歳計現金千葉県の信漁連に委託をいたしておりまして、そうしてただいまのところ、信漁連を通じて農林漁業金融公庫ではなくて、千葉信漁連を通じまして相当な額がすでに漁民融資されております。なお現在書類審査中のものも相当な額があるようでございます。
  11. 安田敏雄

    安田敏雄君 見込みはどのくらい。
  12. 村田豊三

    説明員村田豊三君) すでに融資が完了いたしましたものが千二百万円でございます。これは青堀漁協青堀南部漁協両方を通じまして、千二百万円出ております。それからただいま信漁連におきまして書類審査中のものが金額にして約二千万円になっております。これもおそらく審査が終わりますれば、近日中には融資が行なわれる、かような見込みになっております。
  13. 木島義夫

    木島義夫君 私、今来て聞いたんですが、この千二百万円、二千万円というのはこれはどういうふうな意味融資ですか、内容は。
  14. 村田豊三

    説明員村田豊三君) この融資千葉県の信漁連が、青堀二つ組合がございまして、一つ青堀漁業協同組合、いま一つ青堀南部漁業協同組合、この二つに対して、信漁連から融資が出たわけでございます。
  15. 木島義夫

    木島義夫君 その融資内容は。
  16. 村田豊三

    説明員村田豊三君) 融資のこまかい条件は私ども精細な調査をいたしておりませんで申しわけございませんが、青堀漁協には七百万円、それから青堀南部漁協には五百十万円という融資になっております。
  17. 木島義夫

    木島義夫君 そうすると、何のための融資かということはわからぬですね。
  18. 村田豊三

    説明員村田豊三君) この融資の目的は、これらの漁協組合員がこの秋建て込みをいたしまするノリ資材を購入する資材購入費が大部分のようでございます。
  19. 木島義夫

    木島義夫君 実は、地元の今回の被害者からこういう要請が来ておる。多分この委員会にも出ておるじゃないかと思いますが、第一に、「のり柵除去富津地区)として、「油の被覆の著しい富津地区漁協組青堀青堀南部、新井、富津大貫)ののり柵除去に対し補助してもらいたい。」、これは融資でなく、補助ですね。二が、「のり資材購入資金利子補給富津地区木更津地区)、油被害の著しい富津地区漁協組木更津地区漁協組(江川、中里、木更津第二、中央、桜井、小浜)ののり養殖資材購入に対し、富津地区一人当り一〇万円、木更津地区一人当り三万円の資金利子補助をしてもらいたい。三、貝類種苗移殖富津地区木更津地区富津地区組合大貫を除く)木更津地区組合緊急対策として、アサリ、ハマグリの移殖を行い、のり不漁を補うため貝類に対する依存度増大による資源の枯渇を防止してもらいたい。四、のり漁場耕転富津地区)」、「耕転」というのは引っかき回す意味です。「富津地区の油の浸透した干潟を湿地用ブルトーザーで撹拌し油の分散浮上を早めて漁場復旧を図ってもらいたい。」  こういうことでありまして、この四つのうち、一から三は特に重点的に考えていただきたい、こういう要望が、これは県庁にも出ております。また、このことはこちらにも県からあったんじゃないかと思いますが、事柄が少し大きいので、千葉県だけでは処理は困難ではなかろうかと思うので、水産庁のほうでしかるべく御配慮を願いたい、こういうことでありますので、よろしく。これに対しまして、できましたら御答弁を願いたいと思います。
  20. 村田豊三

    説明員村田豊三君) ただいま御指摘のございました点は、確かに千葉県庁からも水産庁要望が参っております。そのうちの一部分につきましては、水産庁予備費の要求を大蔵省にもいたしております。ただ、そういう国の予備費要求なり、あるいは県庁でも何かこの六月にはそういった関係の予算を県会に、六月の県会と聞いておりましたが、提出するやに聞いておりますが、これらの問題はまだ片づきませんので、先ほど先生御不在だったかと存じますが、経過の御報告の中で申し上げたのでございますが、ただいま漁民側弁護士団イーグル・コーリア号側弁護士団との間の補償折衝が非常に核心にただいま入ってきております。具体的に金額提示したり、それを拒否したり、さらに第三者を交えて再度折衝しておる。これはごく最近の経過でございます。非常にこの問題、弁護士団側折衝核心に入って参っておりますので、そういうこともございまして、われわれ大蔵省のほうには再三予備費折衝について督促もいたしておりますけれども大蔵省側は、この問題の性質が性質的に天災でございませんし、従来の扱いの例が少ないということがございまして、非常にむずかしい。それから、かたがたただいまのそういう補償の問題がどういうふうに片づくのかという点もございまして、その辺を大蔵省は結果待ちのような状況になっております。したがって、県庁のほうも多少その辺の補償の結果などを待っているような状況もございます。いずれにしても、今後努力を続けて参りたいと思います。
  21. 木島義夫

    木島義夫君 大蔵省はもう金を断わるのが商売でありますから、いろんなことを言うでしょうけれども、このように国際関係が複雑になって、緊密多端になっておる折柄前例があるとかないとか、現実に困った人間がある以上は、前例のあるなしにかかわらずできるだけの対策を講ずるのが政治であると思うのですよ。前例があるとかないとか、かりになかったとすれば、日本政治やり方はすでに悪かったということを証明しているものじゃないかと思うのですが、こういう人心がだんだん殺伐になってくる時代におきまして、そういうことを言っておりますと、われわれはそんなことを怠っているわけじゃありませんが、漁民がまたむしろ旗でもかついで、交通複雑な東京のまん中へ出かけてこない限りもないのでありまして、そういうことがないように事前に御当局においてできるだけの親切なやり方を私はお願いしたいと思うのですが、なお水田大蔵大臣地元でありますから、知らぬふりもできないと思います。ひとつその辺を強く交渉していただきたいと思います。
  22. 梶原茂嘉

  23. 遠藤鉄二

    説明員遠藤鉄二君) 家畜家畜車輸送する問題につきまして御説明申し上げます。  二月の十五日に、東海道線の函南におきまして、ワムと言っております一般の有蓋車がございます、それに積みました家畜が落っこちまして、そのために貨物列車が脱線いたしまして大きな事故が起きたわけでございます。私どもといたしましては、ワム家畜を積む場合の積みつけが悪い結果、そういうことが起こったわけでありますが、ワム家畜を積む場合にかような積みつけ方法をとれという指令をいたしました。ワムに積みました家畜が落っこちましたのは、実はこれ一回ではないのであります。大事故は起きませんでしたけれども、ことしになりまして、ほかに二回ありましたような次第でありまして、事故防止上、どうしても積みつけを厳重にせざるを得ないのでございます。これと同時に、ワム家畜を積まざるを得ないような場合をなるべく少なくしよう、原則としては、家畜家畜車輸送するようにしたい、こういうように思いまして、従来家畜車相当部分家畜輸送に使われずにほかの物資輸送をしておったわけであります。まきでありますとか、そういうものを輸送しておった。それを禁止をいたしまして、家畜車家畜だけに使え、こういうようにいたしたわけでございます。そういたしますと、大体現在の家畜輸送の御要請からいきますと、大体平均すれば間に合う計算になります。全国で大体毎日七十両から八十両くらいの家畜輸送される。それに対しましては、現在五百六十ばかりございます。家畜車で間に合うのでございます。で、そういった方法を講じたわけでございます。この方法が徹底いたすまでに、地方の荷主さんから今回のワムに積んだ場合の積みつけが非常にお金がかかって実質負担がふえて困るというようなお話がございましたものですから、家畜車家畜だけに使うという趣旨が現在は徹底いたしましたので、毎日八十雨くらいの発送でございますが、間に合うのでありまして、最近におきましては苦情はおおむね解消されたのではないかというように思っております。また、家畜車家畜だけに使うということ以外に、もっとやり方を強くいたしまして、家畜発送いたします鉄道管理局は限られております。したがいまして、そういうところに家畜車常備といいますと、これは鉄道部内の用語でありますが、どこどこの駅は家畜市場がたって、そこから発送になる。その駅に対してどの車を常備すると、こういうわけであります。その車が、たとえば都城から品川駅へ入れば、すぐ品川から戻るわけであります。都城であれば、品川へ来た家畜車は、それがあきますれば都城へ戻るわけであります。そういうような方法を講じておりまして、全体で二百五十両の家畜車全国のそういう家畜発送される駅に常備をいたしましたので、最近はあまり御不満はないように思っております。ただそれでも輸送には波がございますので、場合によりましてはワムをお使いになっていただくこともこれはやむを得ない場合もあるわけでございます。今後、現在五百六十あります家畜車の数をある程度ふやす必要があるのじゃないか、家畜類出荷がふえますれば、これはふやしていかなければならぬ。で家畜車増備をすることも部内で計画をいたしておりまして、まだ決定にはなりませんが、計画いたすようにただいま準備を進めております。今後ある程度の出荷の波動なり出荷量の増加に対処できると思っております。  私どもは希望といたしますれば、諸外国でやっておりますように、家畜は生きものとしてでなく枝肉として輸送していただきますれば、大体貨車一軍に五トンぐらいしか生きたままですと乗らないわけです。肉として送っていただきますれば、これは十何トンか送れるわけでございます。諸外国では冷凍の鮮肉輸送ということが大いに発達をしておるわけでございまして、日本におきましても、なるべく農林当局の御指導でそういうふうに進ましていただきますならば、輸送の効率が大いに上がるわけでございますが、現状ではまだそこまで行っておりませんので、現在のなまのままの家畜輸送につきましても御不満なくやれるように、貨車増備をいたしたい、こう思っておる次第でございます。  それから貨物運賃の問題につきまして、この六月の三十日でもって期限の来ます運賃割引が二種類ごさいます。第一は、昨年の七月以降一年間に限りまして、臨時特別割引という名称で実施をいたしました運賃値上げに伴います特別な措置でありまして、これは総額は、一年の総額は一億円でございまして、大した額ではございませんし、もともとこれは一年限りというお約束によって実施をいたしまして、この六月三十日で期限が参りまして、これは六月三十日限り廃止をいたすつもりでございます。  それから第二に、相当前から、いわゆる公共政策割引、われわれ暫定割引などともいっておりましたが、継続継続ということで長い間実施をいたして参りました原木その他百一品目のいわゆる暫定割引でございます。これがやはり六月の三十日で期限が切れるわけでございまして、このほうは年間の割引総額が大体二十一億円ぐらいになるわけでございます。これにつきましては、農林省当局のほうから六月が期限になっておるが延長をしてもらいたい。さらに、これを恒久制度ができるように研究してくれと、こういう書面を私どもいただいておりまして、ただいまいかに処理するかを研究中でございまして、まだ一カ月あるわけでございますので、運輸省農林省の御意向を十分承りまして御相談申し上げまして処理したいと考えております。  で、継続という問題と、できれば制度化してくれという二つの問題とあるのでございますが、制度化ということは、実はなかなか私ども困難な問題であると思っております。全体にせよ、一部にせよ、制度化ということは、この暫定割引の形式が運賃制度に非常に何といいますか、例外的なやり方になっておりまして、運賃制度というのは、運賃制度調査会というようないろいろな機関に諮りまして、等級でありますとか、あるいは遠距離逓減はこうだというふうに原則がきめられておるのでありますが、そういう原則に、理論的に暫定割引方法が反しておりますので、制度化ということは相当問題がございますので、十分農林省運輸省等と御相談申し上げまして処理をいたしたい、かように存じております。以上でございます。     —————————————
  24. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 委員異動について御報告いたします。仲原善一君が辞任、その補欠として秋山俊一郎君が選任せられました。     —————————————
  25. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 以上で説明は終わりましたが、これらの件につきまして御質疑のおありの方は御発言を願いたいと存じます。
  26. 天田勝正

    天田勝正君 先ほどの説明のうちで、六月三十日期限の、一年限りの一億円の割引、どうも遠くてよく聞こえなかったのですが、それは種目は何ですか。
  27. 遠藤鉄二

    説明員遠藤鉄二君) これは品目木材類薪炭野菜類魚介類及び飼料でございます。で暫定割引とほかに積み重ね式に、ごくわずかな金額でございまずが、一年間割引をするということでやって参っております。
  28. 天田勝正

    天田勝正君 木材等あと説明された二十一億の中にも入っておるわけなんでしょう。
  29. 遠藤鉄二

    説明員遠藤鉄二君) 金額からいきますと、大部分あとのほうなんでございます。
  30. 天田勝正

    天田勝正君 いやいや、質問の趣旨をよくのみ込んでおられないだろうと思う。大部分あとのだと、それは一億と二十億ですから、額からいってもそのとおりだと思う。そうでない一億に該当する品目は何ですかと聞いている。
  31. 遠藤鉄二

    説明員遠藤鉄二君) 先ほど申し上げましたように、木材類と、薪炭と、野菜類魚介類及び飼料でございます。
  32. 天田勝正

    天田勝正君 だからそこでも木材が入っておって、そうしてあとの二十一億のほうの中にも木材が入っておる、これはどういうことなんですかとお聞きしている。
  33. 坂村吉正

    説明員坂村吉正君) 私のほうから便宜お答え申しますが、二十一億のほうにも初めから木材その他のものは、ただいま遠藤局長がお答え申し上げましたような品目は入っておるわけでございます。これは割引の率が割合大きいのでございますけれども、去年の運賃改定の際に遠距離逓減の率がある程度変更されましたものですから、その影響が急にきてはいかぬというので、特殊なものだけを、そういう影響割合に多いようなものを拾い上げまして、その二十一億で割引をしておる、そのものの中から特殊なものを拾い上げまして、それで距離の関係等で急に影響がないようにというので、一年間割引をやろう、こういうことできめましたわけでございます。その額が総額で一億という内容でございます。
  34. 天田勝正

    天田勝正君 ここに出ております経済企画庁関係の人は見えておるのですか。
  35. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 見えております。
  36. 天田勝正

    天田勝正君 それでは伺いますが、公共政策割引は全般の問題なんですが、国鉄は確かに国民の税金から資本がまかなわれておるわけですから、特別な措置を講じ、政策的な部面も織り込んでいかなければならない。これもまあ一つの筋だと思う。ところが、一面今の経営は独立採算という形になっておる。しかるに新線の建設‘実際には国鉄側から見るならばあまりやりたくないことも、これまた政策上やらざるを得ない。それをきめるのは鉄道建設審議会等で別の機関がきめていく、こういうわけなんです。そこへ持ってきて公共政策割引がそれぞれの省なり、あるいはそれぞれの業者の団体なりというところから、勝手気ままと言えば言い過ぎですけれども、とにかくそれぞれ要求が出ておる。こういうことになったら国鉄自体の経営、ひいては安全運転の問題までもやはり影響せざるを得ないと私は思うんです。ですから、公共割引、まことにだれも賛成ですけれども、そうは言ってもものには限界があるので、そこでこういう問題は政府の機関の中で、どこかで調整して、ほどほど、この程度ならという線を作らなければ私はならないと思うのです。公共割引の問題について、自然政府の機関としてやるのは、私は経済企画庁あたりが適当ではないか、こう判断いたしますので、経済企画庁等は今国鉄側から説明されて、差し迫っている二十一億の問題等についても相談に乗る、こう言っておられるわけですが、その調整を何かやっておられるのですか。全般についていかがですか。
  37. 薗村泰彦

    説明員(薗村泰彦君) 先ほど国鉄の営業局長からお話しになりました二つ割引制度のうちで、特別割引臨時特別割引と申し上げました制度につきましては、たまたま昨年の運賃改正の時期で、先ほど農林省のほうからお話がありましたように、運賃制度の改正の面で、一時にあるキロ程に該当する荷主のところに負担がかかり過ぎるというような問題を調整しなければいかんということで、たまたま公共料金抑制の方針によりまして、それぞれの所管の運賃だとか料金を認可される役所と、特に物価抑制の見地から協議を受けることになっております経済企画庁といたしまして、昨年はこの特別割引の制度に対しまして運輸省農林省がお話し合いになるのに、経済企画庁長官が調整役を努めまして、三大臣の申し合わせということで、たしか一億円と先ほど申し上げた額を上回わるような要望もございましたようですけれども、一方国鉄側の話も聞きまして、一億円程度ということで、ただし時期は一年限りということで申し合わせを作ったように思っております。  公共割引全般の問題につきましては、これはちょっとむずかしい問題でございまするので、今、経済企画庁がどの程度調整の機能を果たしますか、それは申し上げられないのであります。
  38. 天田勝正

    天田勝正君 私が聞きたいのは、公共割引全般についてどう調整するか、ここが問題なんです。それが答えられなければ、もはや質問してもしようがないのですが、私かねがね考えておって、これは差しさわりがありますけれども、差しさわりがあっても、党内でいつも私は自分の意見を曲げないのですが、たとえて言いますと、国鉄の赤字に一番害になっているのは定期の問題だと思う。この定期の問題をとらえてみて不思議に感ずることは、たとえば学割の場合などは九割二分ぐらいたしか割引になっています。割引というのは普通の常識から言ったって三割とか二割とかいうなら割引の部類に入るだろうけれども、九割二分も割引いて、割引なんという常識を越えているのですね。そもそもそれ自体がおかしい。それじゃ直ちに学割を高くしろという主張をあわててしているのじゃありません。あわててしているのじゃないが、それよりももっと不利なものがあるのは一体どうしたのだ。たとえば今だいぶ学校へもよけい行くようになっておりますけれども、学校へ行ける者よりも行けない者のほうがふしあわせであることは間違いない。同じ中学を出て、学校へ行けた者はえらく割引を受けて、学校へ行けない者は十五か十六で目一ぱいの金を取られる、こういうことなんです。たまたま盆か正月にいなかに帰ろうというときに、この連中は一つ割引なしに、目一ぱいの運賃を払って乗らなければならないでしょう。不幸なる者のほうがたくさんの運賃を払う、幾らかしあわせなるほうが、いわゆる恵まれているほうがおそろしく割引される、こういうことは不思議じゃないですか。そういうことを言うと、たちまち全学連なんかに押しかけて来られるでしょうが、私はそれには少しもおそれず、いつでも言う。まあそれには触れるなというのですが。人の持たざる権力を持つのが特権階級ならば、これらは特権階級なんです、大学などは。そうでしょう、間違いない。そういう人たちのほうがおそろしい割引を受けて、義務教育をやっと出て、しかも義務教育だって夜間の中学に行かざるを得なかったような諸君、これらの諸君にはただで乗せてあげても差しつかえないと思うのに、そのほうは一つ割引にならないで、目一ぱいの運賃を取られる。これは正義に対して目をおおっているのですよ。だからこういうことは、政府の部内においてしかるべく調整しなければならない。私は極端に言うならば、学生割引を上げても、そういう小僧さんに行っていてたまたま一年に一ぺんくらい旅行に行く、そういうような人なんかを大いに割り引いてあげなければならない、こういうふうに考えておる。こういうことをお考えになったことはないのですか。政府側だれに聞いたらいいのかな。答えられないというならしようがないのだが、経済企画庁あたりが適任だと思うのだが、それが答えられないとすれば、国鉄業局長あたり、そういう運賃を部内でお考えになったことはありませんか、いかがですか。
  39. 遠藤鉄二

    説明員遠藤鉄二君) 現在の運賃制度は、理論だけでなく、長年の歴史を積み重ねて参っておりますので、いろいろ理論的にはたくさんの問題がございまして、私ども筋の通り、公平にかなうようにこれを直していただきたいと、かねがね念願をいたしておるわけでございますが、なかなかむずかしい問題がございまして、ただいまお話のございました学生につきましては、かようになっております。九割二分割引されておりますのは、学生も通学の定期のかなり遠距離の場合でございます。最高の割引率になっております。それから、例としてお話のございましたいなかに帰るというような問題は、これは定期でございませんで、定期外の一般の切符が学生のほうが一般の人より安いという問題でございます。これは学生の割引は、ずっと昔に東京に留学し、夏休みいなかに帰省するというような場合に使ってもらうことで二割の割引があったわけでございます。それを戦後学生が暮らしが楽でないということで、五割にされたわけでございます。しかし内容を見ますと、帰省ももちろんございますけれども、ハイキング、遊山等が実は多いわけでございます。したがいまして、一昨年でございましたか、学生の割引五割というのを、それまでは十キロでも、二十キロ乗っても五割だったわけでございますが、それを百キロ以上乗る場合に、百キロよりこえた部分について五割を引くというふうに、かなりの是正をしたわけでございます。この結果、学生の運賃負担は相当に高くなったのでございます。これ一つをやるにつきましても、非常に大きな、大きなといいますか、御指摘のような全学連の反対闘争とか、つるし上げとか、そういうようなことになりまして、われわれだいぶ努力をいたしてきたのでございますが、そういうことで、一つを直すにつきましても、なかなかめんどうがございます。といって、われわれ理屈にかなったような運賃にする努力を決して忘れているわけではございません。絶えず努力をいたしておるわけでございます。もちろん政府におかれましても、従来とも努力をされておるのでございます。おそらく今後も関係各省におきまして、御指摘のような不公平がないように御指導になられるものと、かように存じております。
  40. 天田勝正

    天田勝正君 きょうの主題は、主として農林、畜、水産物こういう関係ですから、よその例はなるべくこの際触れないように私としてもしたいと思う。けれども、どういう場合にも九割二分でやろう、九割二分でやれるのだということになれば、他の者はめちゃくちゃによけい運賃を払わせられている、こういうことにどうしてもなるのです。たまたまその割引が二割とか三割ならば、それは特殊の措置をとるということで話はわかるのですけれども、どんな時点でも九割二分の割引ができるということは、その他の人が何といっても不当なる運賃を負担している、それでまかなっている、こういう論理にどうしてもなっちゃう。でありますから、いろいろしきたりがあって、私は営業局長を責めるつもりはない、むしろ同情して言っているのですが、問題はしきたりがあろうといっても、公共政策の割引なんというものは筋でなければならぬ、これこそ筋でなければならぬのです。ですから、この問題については、私は全体を含めて、政府側において検討される。その官庁が運輸省になろうと、あるいは経済企画庁になろうと、それはかまいません。ですから、両当局にこの際検討方を要望いたします。特に私があげましたように、義務教育も行かないで、小僧さんで働かなければならぬ、こういう人たちは、公共割引には何の恩典もない。こんなべらぼうなことはありません。ですから、きょうはもっとずっと責任の長官なり大臣なり来ていませんから、これ以上言いませんから、ぜひひとっこの検討方を要望だけいたしておきます。
  41. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 さっきの家畜の問題になりますが、家畜輸送、これは常備しているのが五百六十車ですか。
  42. 遠藤鉄二

    説明員遠藤鉄二君) 家畜車の総数が五百六十でございます。
  43. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 そうすると、五百六十の家畜車があったならば、現在の家畜輸送には支障がないのですか。あるいはワムを使用しなければならぬような場合が起こることがあるかもしれないのですか。
  44. 遠藤鉄二

    説明員遠藤鉄二君) 五百六十ございまして、一日の発送が八十くらいでございます。そういたしますと、七日に一回くらい積み込めばいいわけです。かなり家畜輸送が長距離でございますが、平均いたしますれば、それだけの貨車で八十両の発送はまかなえるわけでございます。しかしながら家畜発送は、市が全国に分散いたしておりまして、それぞれの市場は適当な日にせりをされるわけでございます。われわれのほうとしましては、今後一ヵ月間くらいどこで市が立つかということを予報をとりまして、それに対しまして空車を入れると、こういうようにやっておりますので、平均的にはその貨車で間に合うわけです。ところが、どこかで非常な波動がございます。へいぜい五両しか出さないところが、ほかの市場も普通に出し、そこだけは二十両よけいに出すというようなことが起きますと、その場合には、ワムを使う場合も出てくる。今後はなるべくワムを使う場合を少なくするために、家畜車五百六十両をさらに増備をすると、こういうことでただいま、これは決定でございませんけれども、計画をいたしている、こういうことでございます。
  45. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 そうすると、ワムを使った場合に、前に家畜が落ちて損害を受けたと、こういうようなことがあるのでありますが、そういうふうなことがないようには何か特別の施策を講ぜられますか。もし講ぜられたとするならば、それに対する経費が幾らか加わるというようなことになるのですか、その点いかがですか。
  46. 遠藤鉄二

    説明員遠藤鉄二君) ワムを使います場合にも、積みつけとそれからとびらのしめ方でございます。これにつきましては、二月の事故あとでかなりきついといいますか、実際設備をされる方には相当きついと思います。太い角材でもって十分に打ちつけると、こういうような方式でございます。これをただいまやっていただいておる。でこの結果、ワムに積む場合には、相当な経費が荷主さんの負担になるわけです。これは国鉄の制度上、積みつけのための経費は荷主さんが持つと、こういうことになっておりますので、例外的にワムを使う場合には荷主さんの負担になることはやむを得ないわけでございます。しかしそういう場合は極力少なくなるように貨車増備をやっていきたい、こういうことでございます。
  47. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 しかしそれは家畜車が足らなかった結果そうなるとしたならば、国鉄の責任じゃないですか、そういうふうなものを荷主に負担させるということは間違いじゃないですか。
  48. 遠藤鉄二

    説明員遠藤鉄二君) 貨物にはいろいろな種類がございまして、国鉄が一般的にはワムという形式の有蓋車、それからトムとかトラ、この形式の無蓋車、この二種類をどの貨物にも使ってもらうということで、標準車として作っておるのです。で、特種車は何と申しまするか、国鉄のサービスとして今やっております家畜車でありますとか、それから陶器車でありますとか、原則は一般有蓋車、無蓋車を使っていただくのですけれども、それではお困りの場合に、例外的に作っておるのでございまして、国鉄はあらゆる貨物について、その荷物の性質に適合した貨車を配給するということにはなっていないわけであります。そういう特別の貨車がなければ一般の有蓋車、無蓋車を配給する、こういうことになっております。
  49. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 これはまだ研究の余地があるから、他日研究していただくことにいたします。
  50. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 この公共政策の割引ですが、やめたがっておられる国鉄の営業局長にお伺いするのはどうかと思うのだが、まだ一カ月あるので、そこでさらに運輸省なりあるいは農林省関係省と十分話し合った上で善処したい、こういうことなんですが、要するにこれは相手方にとってみますと、なかなか大問題です。なればこそ、国会のこういう委員会でしばしば問題になっている。そこで一カ月あるのだから、さらに十分検討してというようなことは、事ここに至るならば何分どうも怠慢じゃないかというような感じもするのですよ。なるべく早くこれはこうするということを相手方に内示をするというような配慮があってしかるべきじゃないか。今急に始まったという問題ではない。従来の経緯をお考えになっても当然やられている。しかも今回の期間はかなり長かったのですから。そこでおそらくまた検討の上決定するのだというようなお話になるのだが、大体は延びるというふうに考えていていいですね。どうなんですか。われわれはこれは恒久的な制度にしてもらいたいと、こう言っておる。今後も機会あるごとにそういう主張をして参りますが、これはまだ、ひとまずこの機会にどうこうというお返事を求めようとは思わぬですが、少なくとも延びるという、どうですか、心配しているから。しかもその間には国会というものはないのですからね。
  51. 坂村吉正

    説明員坂村吉正君) 私のほうからかわって、便宜お答え申し上げます。  この前の通常国会のときに、この委員会農林大臣の答弁がございましたように、あのままの姿で毎年三カ月だ、六カ月だといってやっていくこともどうかと思うのでございまして、できる限り長期化するなり、恒久化するなり、そういうようなことで考えていく、こういうつもりで話をしているわけであります。しかしそれには、百何品目がございますけれども、これを全部そのまま長期化するなり、恒久化するなりという必要があるかないかは、ひとつ問題があると思うのですが、たとえば一例を申し上げますと、ミブヨモギというようなものがこの中に入っておる。ああいうような品目をずっと洗ってみますと、そのときの情勢ではまず必要だったかもしれませんけれども、今の情勢ではたして特別な割引制度を紡げる必要があるかどうか。輸送量からいっても車扱いの必要のないようなものもあるのでございますので、そういうものを整理をいたしまして、合理的なものにして、長期化するなり恒久化するなり、そういうことでひとつやったらどうだろうか、こういうようなことで今検討をしておるわけでございます。そういう工合に御了承をいただければ、この制度は、その影響のあるようなおもなるものについては、延びるなり恒久化するなり、何かそういうようなことで安心がいくのだというふうに御理解いただいていいのではないかと思います。
  52. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 そうしますと、たとえば恒久化ということが、これが主張なんだけれども、少なくとも今までのように三カ月、六カ月でもって切りかえをしていくようなことじゃなしに、やや長期にわたってこの制度を安定的にひとつ持続するということを目標にして、今いろいろ内容を洗いつつ検討します、こういうことだったと思います。そうしますと、六月三十日でもって現在の期間が切れるわけですが、それが次の段階では、少なくとも今のお話からいうならば、相当長期にわたって延びるように農林省としてはあくまでも折衝するのだ、したがって一二カ月、五カ月、半年なんということはやりませんと、こういう御決心であると了承してよろしいですか。
  53. 坂村吉正

    説明員坂村吉正君) おっしゃるとおりであります。
  54. 安田敏雄

    安田敏雄君 ちょっと家畜輸送の点ですがね。先ほど営業局長お話では、枝肉の輸送、まあ家畜は枝肉として輸送することが望ましいと、こういうような発言が最終的にあったわけですが、これは農林省当局ではそういうようなお話をしたことがあるのですか。森畜産局長来ておるようですが、そういうような国鉄から申し入れとか話し合いとか、申し出があったとするならば、それに対する一体対策というものが講ぜられなければならないと思うのですが、こういうような点について今までどういうような交渉があったのか、明らかにしてもらいたいと思います。
  55. 森茂雄

    説明員(森茂雄君) その点につきましては、国鉄当局家畜車の、ごく最近では家畜車輸送の円滑、配車関係の円滑化について国鉄当局からも意見が出ております。私のほうも先を見越して、国鉄と連絡をとって枝肉輸送に私のほうとしても切りかえていきたいと考えております。ただ、枝肉輸送といいましても、産地の屠場の整備もありますので、私のほうとしては、長い先をいいますと、年次別に五、六年、少なくとも五、六年先は見通しまして産地の屠場を整備して、そうして輸送運賃単位当たりにかかる肉の輸送運賃の軽減をはかりたい、こう考えております。国鉄当局からもそういう意見を出してもらっておりますし、私のほうもその前からそういう考え方をとっておりましたが、計画的に計画を立てたい。なお、そういうことになりますと、国鉄当局のほうでも一歩進みまして、今後における冷蔵車の建造等も問題になっておりますので、具体的に計画的に折衝して参りたいと思っております。
  56. 安田敏雄

    安田敏雄君 その農基法によって畜産物の畜産振興というような面からいきますというと、さらに現在の輸送の問題を枝肉輸送というような方向に切りかえないと、さらに将来においてはこの輸送が混乱する、さらにこのままいきますと、そればかりでなく主要消費地における消費の問題にまでも影響が出てくる、こういう結果が予想されるわけですね。したがって、問題は産地の屠殺場の整備ということがきわめて重要な問題になってくるだろうと思うのですよ。ですから、そういう面からいって、これに対するところのひとつ抜本的な計画を樹立しなければならないと思うわけなんです。そういうようなことが、具体的に年次的に畜産局で考えておることがどういうようなものか、ひとつ一応計画ができたならばやはり御提示願いたいと、こういうように思うわけですけれども……。
  57. 森茂雄

    説明員(森茂雄君) 十分検討いたしまして提示いたしたいと思います。
  58. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 運賃に関する問題は、本日はこの程度にいたします。     —————————————
  59. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 次に、野菜類の価格に関する件を議題といたします。
  60. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 最近新聞紙上あるいはラジオ、テレビ等で盛んに野菜の高値の問題が報道されております。近くはまた参議院選挙も始まりますし、国民大衆の生活という点からいっても、非常に私は重要な問題じゃないかというふうに考えておる。特に選挙を通じて、十分この野菜高の中身を見きわめないで、揣摩憶測の上にいろいろ言われるということも、政治、行政の上で誤った判断が出てくることもおそれますので、ひとつ政府のほうから率直に実態を述べていただきたいと思うのですが、まず消費者物価がひどく上がっておると言われておるその実態というものを冷静に考えていくと、ほとんど生鮮食料品がその中核をなしておるというよりは、生鮮食料品の値上がりそのものであるというようなふうにも私は言えると思うのです。そこで、特にその中で野菜を取り上げてみますと、通常国会のさなかごろにおいての野菜高というものは、まだ出回り最盛期になって入ってこないのだ、あるいは関東を中心にした冬、早春における早魃が非常にたたったんだというようなふうにも言われておりましたし、そういうことも相当要因としては事実であることも承知はしておりましたけれども、もう野菜の出回りという点からいうと、現在はある意味での最盛期の一つだ。そういう時期になっても、なおかつ今日非常に高値を告げておる、消費者価格で非常に高値を告げておる、そういうことが、家庭の主婦を非常に困らしておる。こういう事実というものは、どこから起こっておるのか。需要と供給とのアンバランスが中心なのか、そしてまたその実態がどうなのか、あるいはそうではなしに、いつも問題にされる流通過程の問題がその中核をなしておるのか、あるいはそれぞれの要因がお互いを刺激し合って、消費者価格の暴騰を来たしておるのか、そういうようなまず実態について簡単にお話をいただきたい。
  61. 斎藤誠

    説明員(斎藤誠君) ただいまお話がございましたように、五月になりますると、大体前年秋から春にかけて播種いたしたものが、だんだんに出回る時期に相なってくるわけでございます。本年の実態を見ますると、作付の面積につきましては、大体前年よりも増加いたしておるということが、作付の予測調査の結果には現われておるのでございますけれども、御承知のように本年に入りましてから、例年に比べて非常に異常乾燥が続きました関係で、雨量が少ない。その上に三月下句から四月上旬にかけまして気温が下がって参ったというようなことで、発芽の障害、発育の不良、成育の遅延等というような被害が見られまして、作柄といたしましては、一般的には良好ではないようでございます。そういうような関係もありまして、種類によっては相当前年度の入荷見込量よりも減って参っておるものがございまして、たとえばカンランであるとか、あるいはニンジンであるといったようなもの、あるいはネギであるというようなものにつきまして、つまり家庭の消費で出回り期に際して相当購入されるようなものにつきましての入荷量が、前年に比べて非常に低くなって参っておる、こういうような関係が現象的には見られるわけでございまして、その結果、いずれも平均の価格について見ますると、前年に比べまして価格が高くなって参っておるわけでございます。野菜の一般的な傾向といたしまして、最近の労力不足に伴う蔬菜生産自身についての一般的な高騰の気がまえというものが農業生産の面からあるということを、強く一般の農村のほうからの情報として受けておるわけでございます。おそらくそういうふうな実態もあると思いますけれども、ただいまの現われました現象というものにつきましては、そういう底がたいもののほかに、気候的な関係というようなものが、本年は特に顕著に現われておるというふうに見られるわけでございまして、今までの傾向がそのまま続くかどうかということにつきましては、青果物のような性質のものでございますので、量のいかんによっては価格が相当変動すること、これはきわめて顕著な傾向として看取できるわけでございまして、これまでの入荷量と価格との関係を見ました場合におきましては、大体量が多ければ価格は下がってくる、少なければ価格が上がるということが顕著に見られるわけでございます。われわれといたしましては、六月以降になりますると、五月におきまして相当雨量もありましたので、今後におきましては、今の入荷量もふえ、価格も下がってくる動向にあるのではないかと見込んでおりますが、現状までの実態につきましては、今申し上げたようなことが主要な原因になっておるようであります。
  62. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 斎藤局長お話しで、六月になると需給の関係からして下がるであろうというお話ですが、そういうような話は、四月か五月のときも、五月に入り五月下句になれば正常な価格体系に復帰するでありましょうという予想を聞かされておったのです。そのことを私どもも期待しておったのだけれども、事実はそれと逆な方向に向いておる。昨年とことしの、たとえば最近の時点で、いつの調査があるか知りませんが、最近の時点の価格体系、生産者価格と消費者価格で、明日簡単な表でもひとつもらいたいと思います。  それはそれとして、昨年農業基本法も出して、いわゆる選択的拡大という言葉を非常に力強く農政の上で押し出してきた。一方において、法律は通らなかったけれども農林省の中に園芸局を作るという考え方も、私どもは全面的にこの点では賛成をしておる。ところが、その園芸局を作るという考え方が何かしらぬ、われわれがといっては悪いけれども、私だけかしらぬが、受ける感触としては、畜産とくだものという、園芸の中のくだものという点に何かしらん農林省自身も焦点を合わせ過ぎておるのではなかろうか。もっと大衆の不可欠の食品である野菜というものに対して、何かしらん行政指導というものが足りなさ過ぎるのではなかろうか。成り行きにまかせ過ぎているのではなかろうか。ちょっと供給がふえるとがた落ちするという従来のあり方をおそれ過ぎるがゆえに、その供給不足ということに対する需給のバランスをとる方向への手打ちというものが非常に力不足というか、意欲不足というか、そういう点がありはしないだろうかということを私は強く感ずる。それで、農林省としてどういうふうな対策を、野菜の正常な価格形成なり、需給のバランスをできるだけとるためにどういう方法を今までおやりになってきたか。やられたとすれば、その成果はどうであったか、お何いしたい。
  63. 斎藤誠

    説明員(斎藤誠君) 野菜自身につきまして流通機構、あるいは価格安定措置ということがきわめて重要な施策の一つであろうと思いますが、その面につきましては経済局長からお話し願うことにいたしまして、主として生産の面、さらにまた出荷調整の面につきまして、振興局として考えておりまする対策なり、これまでとりました措置につきまして概略申し上げたいと思います。  野菜につきましては、今御指摘がありましたように、今後におきまする生産のウェイトから見まして、あるいは需要量の見通しからいいまして、これはどうしても伸ばしていくし、また需要としても伸びていく性質のものでございますので、先ほど申し上げましたように、何か野菜といえば、農家の副業的な生産であって、野菜というものは安いものであるというような観念も一部あるのではないかというふうに私は思うのでございますが、だんだんに野菜自身についても重要な食料品として供給を確保するというふうな面、特に国民生活の面から見て重要な面を占めますので、生産の面におきまする合理化といいますか、やはりこれも新しい形態のもとに産地を育成していく、さらにまた合理的な栽培方法も考えていく、あるいは集団的な栽培、省力栽培も考えていくといったようなことにつきましては、構造改善事業の中にも取り入れまして、今後そういう方向で考えて参りたいというつもりでおるわけでございます。当面何といいましても、やはり野菜につきましては、ここ三、四年の推移を見まして毛、いかにも災害のつど大きく価格の変動があり、その価格の変動の結果、暴落した翌年においては作付面積も減って、価格がまた逆に暴騰するといったような不安定な要因が常に繰り返されて参っておるわけでごさいます。そこで、かりにそのような傾向自身につきましても、入荷量自身が、あるいは生産量自身がもう少し合理的に調整されることによって価格に合理的に反映する、あるいはまた、価格がある程度安定することによって、より合理的な出荷調整ができるというような面につきまして、われわれとしてもいま少しく留意すべきではなかろうかというふうな実は観点に立ちまして、先般の総合物価対策の中の一つの野菜についての施策といたしまして、今までもブロック別、あるいは全国的に主要な野菜につきましては時期別に協議会を設けまして、計画出荷あるいは出荷の調整ということを行なって参ったのでございますが、それを今回はいま少しく具体化しようという意味におきまして、京浜と阪神の二大市場を中心に考えまして、とりあえず京浜だけを一つの実験の場所といたしまして京浜地区を中心といたしまする野菜の供給県、一部六県のほかに静岡、愛知を含めましたそういう供給県というものを想定いたしまして、そこから京浜市場に出ます野菜の主要なもの、具体的にいいますと約七種類でございますが、大根、ニンジン、白菜、カンラン、ホウレンソウ、ネギ、トマト、キュウリ、それに六月からはナスが入りますけれども、それらの主要な野菜についての供給県、大体東京の総入荷量の九割をこれらの県によって占めることになりますが、この県に対しまして当月の入荷の見込み量というものを公表する。同時にそれに伴って前年度との比較もする意味におきまして、前年度の入荷実績も出す。それと卸売価格と、これは入荷見込み量の前月になるわけでございますが、具体的に言いますと、六月の入荷見込み量を出します際には、六月の前月におげる入荷見込み量と、それから五月における卸売価格並びに小売価格につきまして、これを平均価格として公表するということにいたしまして、つまり入荷量に伴って卸売価格、小売価格がどのように変動してきたか。このねらいとするところは、そういうことを示すことによりまして、県の入荷量が非常に少ない場合には、一そうその入荷見込み量をオーバーするように増加の指導をいたし、また逆に非常に大きい入荷見込み量が出る場合においては、各出荷団体において調整の機能を持たせよう。同時にまた、消費者に対しましては、卸売価格、小売価格がそれぞれの種類別に出るわけでございますから、入荷量との関係におきまして消費者に野菜の流通量、価格形成についての一般的な注意を喚起し、消費者の利便に供していきたいと、こういう二面の意味をもちまして、そういう措置を五月からとることにいたしておるわけでございます。五月のまだ実績が出ておりませんけれども、途中の今までの資料によりますると、大体それに見合ったような価格変動がありますので、われわれといたしましては、これをさらに今後継続実施することによりまして、一そう価格の安定と、それから出荷流通の合理化をはかって参るような指針にして参りたい、かように考えておるわけでございます。なお、野菜あるいは青果物につきましても、だんだん各県におきまして価格安定の措置を講じて参っておるようでございます。農林省といたしましては、さきに三十七年度予算を御審議願いました際に御説明いたしたわけでございますが、最も技術的に取り扱いやすいという意味におきまして、玉ネギにつきましては、最も野菜の中でも価格変動が大きいものの一つでございます。そこで東京、横浜、名古屋、大阪の三市場に対しまする主要な玉ネギを生産出荷する生産県で一つの共同事業といたしまして青果物の安定資金を創設することにいたしまして、その資金によりまして一定の価格以下に価格が下がった場合においては、その資金の中から価格を補償するという措置を講じようということになりまして、六月から実施することにいたしております。これはいわば野菜についての直接的な価格安定の一つの実験的な試みでございますけれども、こういうようなことによりまして、だんだんに青果物についての価格の安定措置についての施策を進めて参りたいというように考えておるわけでございます。  以上簡単でございますが……。
  64. 坂村吉正

    説明員坂村吉正君) 市場の関係の問題、流通関係の問題につきましては、根本的には市場のほうで取引あるいはその市場の整備、それから冷蔵庫の整備、そういうふうなものをやっていかなくちゃならない問題でございまするけれども、これは今の間にすぐ合うという問題でもございませんので、今のところ考えておりますのは、とにかく一応価格形成の中心になりますものは東京市場、大阪市場、こういうふうなところが大体中心になるのでございますので、東京市場、大阪市場の市場というものを国がもっと本腰を入れて整備をいたしまして、そこでいろいろの施設の合理化をし、取引も合理的に行なえるようにやって参る。そのためにはあるいは場合によったら法律改正も要るかもしれません。そういうふうなことで、その問題を一応中心にいたしまして検討いたしておりますわけでございます。とりあえずの問題として末端の小売価格といいますか、小売の面につきましては、今まで農林省でもほとんど手がついておりませんので、東京都の問題でございまするけれども、東京都に話をいたしまして、たとえば野菜や魚についても標準店舗を作らせる、あるいは必要なところに公設小売市場を作らせる、そういうふうな問題を東京をしていろいろ検討さして、できるだけ早く実行に移すようにということでやっておるのでございますけれども、まだ完全に実行し得るような段階まで、いろいろ問題がございまして、東京都のほうも進んでいない、こういうふうな状況でございます。
  65. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 斎藤局長説明を聞いておると、話が上手だから間もなく適正な価格に落ちつくだろうという錯覚も起こすのですが、過去の事実はなかなかそういうふうになってきていない。一つは河野さんが大臣になってから間もなくでしたね、たいへんな意欲を示して全国農林省の職員を出張さして、生鮮野菜等の価格体系というものがとういうふうになっているか、実態を調べてそうしたことの検討を基礎に置いて早急にひとつ流通機構を改善し、もちろん流通機構の前に需給体系というものを十分見きわめて需要供給のバランスをはかるということが第一番でしょうが、第二段階としては今の流通問題、私ども河野さんの示した意欲に対して非常に期待しておったのですが、現実は残念ながらなかなかそうはいかないので、少なくとも生鮮蔬菜については期待とは逆な方向に陥っているということ、これは事実です。上手に答弁するということよりは、何としても実態を正常な形に近づけていくためにひとつ全力をあげていただきたい。とかく農政関係の人は農産物が高いほうがいいのだということを主張するがごとく、それだけを主張するように世間によくとられたりするのですが、私は今言っているのはそういう意味じゃなしに、生産者の価格というものが生産費に見合う正当な価格になっていくことは当然だと思うけれども、一方において中小の小売業者がひとつのムードに甘え過ぎて、あるいは労働賃金が上がったからどうもならないとか、何々が高くなってきたからどうもならぬとかいうような、そういうムードに甘え過ぎて消費者価格を上げ過ぎているのじゃないか。昔よく言われたように、生鮮野菜というものはその何割が消耗されてしまう、売れないで廃物になってしまってどうだと、こういうことをよく言いました。ところが、現実の野菜なんというものは現実はそういうものでなしにほとんど廃物なんというものは出ないほどに需要のほうが強い。そういう中でどうして今のように野菜というものはべらぼうに高くなっていかなければならぬか。また、そういう高い時代というものがこう長く続けば、生産に相当時間がかかる根菜とかあるいは果菜とかいうものはこれはある程度別にしても、割合生産期間の短い葉菜類なんというものは、すぐ消費者価格の値高さが生産地を刺激して、生産増大に走らせなければならぬと思うのだけれども、それがなかなか現実に出てこない。そういうようなところをもう少し、幸い国会もないことですから、局長さん方、ひとつ間もなく予算がまた始まることだし、ここしばらくの間全精力をぶち込んでこういう問題を是正していただきたいと思います。私はもっと聞きたいことがたくさんあるのだけれども、時間も何ですから一応これでやめておきます。  それから資料としては先ほどお願したものを……。
  66. 天田勝正

    天田勝正君 ちょっと私も時間が来ましたから、皆さんの迷惑にならない程度に質問しますが、どうも野菜類などが暴騰いたしておりますが、さっきから斎藤局長説明されたように、やれ人手不足だとか、やれ需要供給だとか、そういう答え方をすると、何か常道の議論のように聞こえるのです。だけれども、私はもっとこの種の問題は、俗っぽい目の前のことでひとつ議論してもらいたい。それは一昨日あるいは一昨々日だったかもしれませんが、日経新聞を見ますと、夏野菜大暴落という記事が出ている。しかるに店頭価格は市場空前という。市場空前に上がりっぱなしでちっとも下がらない。しかるに大暴落なんです片方は。よって私どもの野菜地帯から見れば、例年と変わりなく農家はホウレンソウを桑畑の中へ埋め込んでいる、こういう事実がある。だから、アダム・スミスの経済理論にも合わなければ、マルクスの財閥による要するに価格独占、こういうことにも合わない妙なものが出てきている。需要供給ではない。供給があり余っているから暴落したのだ。このことは私は根本的に農林省のえらい人が植物そのものの性質をわきまえておらないのじゃないかと思う、悪口を言えば。一つ例をあげて申し上げますと、しばしば関東地区は晩霜というのがあります。桑の霜害、このときに限って桑は大暴落するのです。これは統計を見ればおわかりになると思う。霜害のために桑が全滅したというような記事がある。その年に限って桑は大暴落する。それはなぜか。掃き立てを手かげんをするのは事実でありますけれども、植物というものは早魃にあえば初めのうちはそれは伸びない。ところが日本は雨量は一定しておりますから、ある時期にくれば雨が降る。そうするとその植物が伸びるべきだけは一ぺんに伸びてくるのですよ。野菜が今まさにそれなんです。ことし確かに二月、三月ごろは早魃で伸びが悪るうございました。ここのところで雨が降ってきた。そうしますと、とうが立つまでの伸び方というものが、このわづかの期間に急速に伸びるのです。すべてそうなんです。だから桑で言えば、春から伸びて、秋葉の枯れるまで伸びるのを待っていれば、全部一定なんです。ただ初秋蚕に掃き立てるまでに伸びなかったり、そういうことなんで、むしろ掃き立て時期をかげんすれば、毎年々々一定量だけは必ず掃き立てられる、こういう筋のものなんですよ。それと野菜が同じでありまして、なるほど冬の高値というのは供給が少ない、これは一つそこで割り切れます。けれども、ここ二週間ばかりのうちに雨が降って、おまけにこの熱気なんです。年間の温度とも同じなんですから、ある時期には急に温度が下がった場合に伸びがとまったけれども、今度は急に上がれば、湿気と温度で今までの伸びのとまって停滞しておる分が、その分をオーバーして今度は伸びてくる、そういうことになっても、ちっとも野菜は下がらないのですよ。これが問題なんです。でありますから、どうも議論にわたって恐縮ですが、私はかねがねこの農業基本法の説明のときから、市場に手を入れなけりゃだめだという主張をなにして、生産市場、消費市場、国営モデル市場、こういう構想を明らかにしましたが、それがないから政府案でだめだという議論をこの際いたしません。ただ、河野さんがようやくにして国営モデル市場ということを言い出しましたので、とても私は賛成しておった。さらにまた、今櫻井君から指摘されましたけれども全国農林省の役人を出して、生産者価格から店頭価格までの実態調査をして、そして規制を加える、こういう話にはもう大賛成だ,ところがまだそれをやられたあれはなくて、たまたまサンデー毎日でしたか、昨無私はここで例を引いて申しましたが、十二月の十九日の日付のサンデー毎日だと記憶いたします。これで生産地からその車を追っかけて全部店頭に行くまでの三ルートを調べ上げてあるのですよ。ところが、それによると一番まあ農家のほうで有利の場合であっても、生産者価格は二二%が最高でしょう。はなはだしいのになると、小売りだけでいって四八%、そういうことはけしからぬじゃないか、そうすると農林省当局の答えは、たかだか八百屋のことを言ったってしょうがない、それならあなたがおっしゃるとおりなら、八百屋はみな蔵が建つはずですよ、これが河野農林大臣の答えであります。ところが私はさっきもマルクス分析とまるで別なことが出てきたということを言うのは、マルクス分析によれば、大財閥が価格独占する、こういうことなんです。ところが価格独占は大財閥でなくてもできるので、集団になればできるのです。こういうことはマルクスは分析していないのです。ところが、それは集団になっているのですよ、小さいながらも。現実の問題としては野菜は桑畑の中にかっ込んでいるものがある一面、当の消費者のほうの値は上がりっぱなしで下がらない、こういうことなんです。肉の場合も私も盛んに言いましたけれども、私のほうで現実に一万九千円のものが、ただの九千円に下がったけれども、小売り価格は五円しか下がらない、何回も申し上げました。ですからこの問題はぜひ経済局などで新聞社に先を越されるようなことがなしに、肉でも野菜でもあとを追っかけて、一日やってもいかにその差がひど過ぎるかということがわかるのです。そのひどさが個々の者が蔵が建ったとかという問題じゃない。集団になれば価格操作ができるということなんです。それを現在やられておる、こう分析する以外に今の説明がつかないのですよ、どうやったって。ですからさっき櫻井君が途中でやめたようですが、河野農相の言ったこの種の生鮮食料品のあとを追っかけて経済局で調査をいたしますか、いかがですか。議論が多くなって質問が短くて恐縮ですが。
  67. 坂村吉正

    説明員坂村吉正君) 経済局に企業市場課というのがございますが、先般農林大臣の命令でずっと全国の価格調査をいたしました方々がおりますが、それを大体中心にいたしましては生鮮食料品の対策室というものを現在作っております。そこでいろいろなそういう問題は現在も調査を続けております。先ほどおっしゃいましたように、結局流通問題は市場の段階、それから小売りの段階までもう少し手を入れなければいかぬという問題はおっしゃるとおりですが、なかなかこれもそう簡単にいかぬものですから、私たちも苦労しているわけですが、先ほど申し上げましたように、一応とにかく東京、大阪を取り上げまして、ここで合理的な価格形成ができるというような線でいろいろ検討を進めている段階であるわけであります。
  68. 天田勝正

    天田勝正君 もう一つこの際、どうもこれは質問してもしようがないことですから要望しておきますが、さっきから議論になっておりました公共政策の割引、これもまとまれば二十一億になるのですから大切ですけれども、そういうことは、私から言えばたいしたことはない。そんなことで消費者は不利にも有利にもなりません。価格はまるで別のほうできまっている。たとえばもしそのまま割引が引なわれ、かつそのまま消費者が利益になったというところで、一人当たり年間薪から木材から魚からカン詰から肉から野菜から一切がっさい含めても一人当たり二十一円しかなりませんよ。そうしますと、一カ月にしたところで、五人家族としたところで十円くらいなんです、たかだか。今の問題は、たかだか十円のことが、輸送費をまけてもらったために消費者が得になるとか得にならないという問題じゃない。もう一つの問題は、いつも私の持論として言いますように、消費者がさっき言うように桑畑に菜っぱをかっ込まなければならね。生産者がうんと損になる。これはどうも生産者が困ったことであるけれども一つの筋なんです。そうなれば生産者がそれだけ得をするかというと、一向得にもならない、損をするときだけはある。そういう場合で毛、消費者のほうはさっぱり得にならない。これが問題なんです。この問題を解決しなければ、とても今後は農家は野菜なんかを作るのはいやになる、こういうことなんです。人手不足だって桑畑をはい回るより野菜を作るほうがいいのですよ、確かに。手ぎれいでもあるし、それはやります。やるけれども、事実は損のことがあったって得のことはない。同時にこいつが消費者の利益にさっぱりつながっていない、ここが問題なんです。いつでも繰り返して同じようなことを言いますけれども、さっぱり解決策がないから、とりあえず今そのサンプルみたいに野菜の暴落と野菜の暴騰と同時に起きておる、この同時に起きている問題をひとつ急速に手を入れられるよう要望いたしておきます。  以上終わります。
  69. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 本日は、この問題はこの程度にいたしまして、これにて閉会いたします。    午後零時二十分散会