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1962-04-12 第40回国会 参議院 内閣委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月十二日(木曜日)    午前十時四十三分開会     —————————————   委員異動 四月十一日委員村山道雄君辞任につ き、その補欠として木村篤太郎君を議 長において指名した。 本日委員西田隆男君及び占部秀男君辞 任につき、その補欠として田中啓一君 及び山本伊三郎君を議長において指名 した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     河野 謙三君    理事            石原幹市郎君            下村  定君            鶴園 哲夫君    委員            上原 正吉君            木村篤太郎君            田中 啓一君            中野 文門君            一松 定吉君            松村 秀逸君            山本伊三郎君            高瀬荘太郎君   国務大臣    国 務 大 臣 川島正次郎君    国 務 大 臣 三木 武夫君   政府委員    行政管理政務次    官       岡崎 英城君    行政管理庁    行政管理局長  山口  酉君    北海道開発庁総    務監理官    木村 三男君    科学技術庁長官    官房長     島村 武久君    科学技術庁計画    局長      杉本 正雄君    科学技術庁原子    力局長     杠  文吉君   事務局側    常任委員会専門    員       伊藤  清君   説明員    行政管理庁行政    監察局監察審議    官       片山 一郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○科学技術庁設置法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○行政不服審査法の施行に伴う関係法  律の整理等に関する法律案内閣送  付、予備審査) ○行政管理庁設置法等の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 河野謙三

    委員長河野謙三君) これより内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨日、村山道雄君が辞任され、木村篤太郎君が選任されました。     —————————————
  3. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 次に、科学技術庁設置法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。政府側から御出席の方は、三木科学技術庁長官島村官房長杉本計画局長杠原子力局長方々でございます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  4. 河野謙三

    委員長河野謙三君) では速記をつけて。
  5. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 前回に続きまして放射性降下物調査の問題につきまして若干伺っておきたいと思いますが、御存じのように、一九四五年の六月ですか、ニューメキシコの砂漠で原爆実験が行なわれまして以来、三年を除きましては、つまり昨年の九月まで、一九五八年の八月から一九六一年の九月まで、この三年間を除きましては、公然と核爆発実験が行なわれているわけですが、したがいまして、放射性降下物累積量が漸次やはり増加しているというふうに見なければならぬと思いますが、昨年ソビエトの大がかりな核爆発実験等が行なわれまして種々問題になったのでありますけれども警戒量と申しますか、これ以上になるというと何らかの対策を立てる必要があるという、そういう警戒量というものについて種々これは学者としても意見があるところだと思いますけれども行政的にはやはりはっきりと一つのめどというものがなければならぬのではないだろうかというふうに実際考えるわけでありますが、そういう問題につきまして検討を行なわれ、また、そういうことをなさる用意があるかどうかという点について伺いたいと思います。
  6. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 放射性降下物が少量であっても無害であるということは言えない。そういう意味核爆発実験のようなことがすみやかに停止されることがこれは根本対策——これは放射能対策のこれは根本である。しかし、御指摘のように、ソ連に次いでまたアメリカ再開するという気配でありますので、行政目安としてある程度警戒線量と申しますか、行政措置指標になるような——指標と申したほうが適当かと思いますが、そういうものをきめる必要がございますために、放射線審議会内閣にございます、これに昨年諮問が出ておる。放射能対策本部、これの下に作業班を作って、そうして一時的に多量な放射性降下物が降った場合の指標あるいはストロンチウムのような半減期の長いこういう核種が積もってくる場合の持続的な場合の指標、この二つに分けて一つ目安をつけたい、これはごく最近の機会にこれをきめたい、そう長らく時間がかからぬうちにこれをきめる、こう思っております。
  7. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 昨年のソビエトの九月からの相当大がかりな核爆発によりまして累積量がふえたというふうに見られるわけでありますが、昨年、政府閣議決定放射線調査対策本部を設けられまして、専門的に調査を進められておると思いますけれども、どの程度累積量がふえたというふうな推定をなさっておられるのか、伺いたいと思います。
  8. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) ここに資料を持っておりますが、まあ、寿命の短いものは、一時、米子とか福岡等放射能が急激に増加をした場合もございます。これはまあきわめて寿命が短い、一時的なものであります。問題は、ストロンチウムとかセシウムのような寿命の長いもので、これが、ソ連核実験再開して、九月以降十二月までの東京における降下積算量ストロンチウム九〇については、一平方キロメートル当たり一・一ミリキューリーセシウム一三七については、一平方キロメートル五・六ミリキューリーとなっております。また以上含めまして、昭和三十六年十二月までの総降下積算量は、ストロンチウム九〇については、一平方キロメートル当たり二六・八ミリキューリーセシウム一三七については、七七・六ミリキューリー、こういうふうになっておりますが、この積算量では特に対策を講じなければならぬという積算量ではないという評価でございます。
  9. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 四月の末からアリメカ核爆発実験再開をする、それに伴って、どうも連鎖反応的にソビエトも始めるというような情勢のようでありますが、その場合に、今の気象条件等から特に日本が危険な状態に置かれる。その中でも八丈島、あるいは伊豆七島、この辺が危険な状態にさらされるのじゃないかというようなことで、先般も気象庁のほうからこれらの島々に対する注意が喚起されておるのでありますが、今回の一連のそういうようなことを想定をして政府として何らかの対策をとられるのかどうか、その点を伺いたいと思います。
  10. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは、まあどの程度核爆発実験であるか、どういう種類の実験をするのか、これは今詳細にわかっておりませんので、まああらゆる場合を想定して、第一番に、迅速な調査をやる。もちろん、禁止水域あるいはその周辺の船舶に対しては十分な注意を与える。あるいはまた、場合によったら、何段がまえにも考えておりまして、そうしてその核爆発実験による放射性降下物程度に応じて対策を講じていくという、段階を置いての対策考えておるわけであります。しかし、先方の実態が明らかでないときにいろんなことを申しますことはかえって国民に不安を与えますので、対策本部として準備をしておる。しかし、さしあたりは、天水飲用者に対しては、これは対策を講じたいという考えでございます。
  11. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 先ほども長官がおっしゃいましたように、何といいましても、根本的な対策は、これはもう核爆発実験停止する、やらないということが最大の問題だというふうに思うわけですが、この点につきまして、昨年の九月、ソビエト実験再開に対しましても、さらに今回のまた米国の問題につきましても、政府核爆発実験停止についての抗議を申し入れられ、停止するようにという申し入れをされるという意味合いにおきまして国民の要望にこたえつつあるというふうに考えるわけでありますが、しかし、問題は、核兵器というものを公然たる武器として認めないという前提がなければ、核爆発実験停止せよという主張にはなりがたいというふうに思うわけですが、その点につきまして、核兵器を公然たる武器と認めないという考えがはっきりあるのかどうか。私どもとしましては、従来、政府日本核兵器を持ち込むことについて非常に強い態度で臨んでおるわけであります。さしあたって、アメリカ核兵器になるわけでありますが、持ち込みについて拒否しておられるということは、これは核兵器を公然たる武器というふうには認めがたいというお考え方根本にあって主張されるというふうに見ておるわけですけれども一体核兵器を公然たる武器というふうに見るのか、見ないのか、その点についての長官見解を承りたいと思います。
  12. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 核兵器を公然たる武器と見るか見ないかということは、一つ日本希望と言いますか、日本としての希望的な考え方世界現実考え方と区別をして考えなければならぬ。現実に、公然たる武器としてこれを認められておるということを申していいかどうか、とにかく、現実兵器であります。これは現実としては核兵器が公然として世界に存在をしている。しかし、日本立場としては、これは好ましいことではない。だから単に核爆発実験云々というのではなくして、原爆核兵器製造禁止貯蔵禁止、そこまでいかなければ、これは人類の平和に大きな脅威を与える。しかし、一ぺんにそこまでやることはできないから、まず核実験停止協定から入って、やがては原爆とか核兵器を捨てろ、製造もやめろ、これが日本立場である、国民もまたこういう考え方を、国民の多数は支持しているというのが政府の確信であります。
  13. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 まあ日本原爆が投下されましてから、核兵器が公然たる武器というふうに、現実問題としてあることは、これはもう事実でありますが、しかし、これに対しまして日本が、これを公然たる武器と認めないという希望を持ち、また、強い希望を持っているという点については、今長官答弁の中で若干推測されるわけでありますが、そういうふうにも受け取れるわけでありますが、公然たる武器であるということを、これを否定しない以上、核爆発実験反対するということにはなりがたい。公然たる武器と認める以上、やはり核爆発実験というものは行なわれていかなければ、武器そのものはこれは日進月歩でありまして、常に進歩しているわけですからして、実験せざるを得ない。したがって、核実験反対をする、しないようにする、停止をするようにと言うには、公然たる武器であるということを否定をするという考えが根底にない以上、私としては核実験停止という、あるいはそれをしてはならないという抗議の仕方も、はなはだ腰のすわらない弱いものになるという感じを持っておりますけれども、そこら辺についての御見解を承りたいと思います。
  14. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 認めるとか認めないとか言っても、あるのですから、現実に。これはこちらが認めないと言っても、これは非常に世界政治の大きな影響力になっているのですから、これは私はたいして意味がない、認めないというそれよりももっとゆり動かさなければならぬのは、やはり人類の道義的な精神——これだけの脅威を与えて、少数核保有国が、世界政治に対して大きな脅威を与えて、人類放射能の被害によって大きな脅威を与えている。この世界の失なわれた道義心に対して、これをゆり動かすということよりほかにない。認めないと言ったところで現実にあるのですから、この現実を否定することはできない。むしろ世界の道義的な精神に訴えて、これを人類の声として、少数核保有国に対して、これに影響を与えるというよりほかにない、認める認めないと言うよりも。問題はそこにあるのではないかと、こう考えるのであります。この原爆とか核兵器、こういうものが平和の脅威になっていることに対して、日本はもう最も強く、一日も早くこういう事態をなくしたいという決意は、それはあなたと変わらないのであります。認めないということで問題は解決できないというところに、われわれの悩みもあるわけであります。
  15. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私も、その核兵器が、公然たる武器として存在しているということについては現実問題としてこれはもうはっきりあるわけであります。しかし、それに対して、日本が認めるか認めないかというとは、また別問題だと思うのです。たとえばこういう原爆、水爆の出る前に非常に問題になりました毒ガス、あるいは細菌兵器、こういう問題につきましても、これを公然たる武器と認めないという条約ができ、それに対してその条約に調印しないという国もあったわけです。アメリカどもそうですが、公然たる兵器として認める、こういう考え方もあるわけでして、したがって、こういうような武器に対しまして公然たる兵器と認めないという態度がない限りにおいては、これは実験停止せい停止せいと言ってみましても、腹のすわらない話でありまして、それが大前提じゃないかというふうに私は思うわけです。これをくずしてしまったらどうにもならない。腹の中ではどうも公然たる武器と認めているのだから、実験はやむを得ないだろう。武器と認めればどうしたって実験を当然認めていかざるを得ないわけですから、重ねてお伺いしたいのですが。それともう一つ核兵器日本に持ち込まないということについて、政府が今まで強い態度で臨んでこられましたことは、御承知のとおりでありますが、ただ問題は、今の米ソ軍事戦略体制からいいまして、どうも核武装というものを抜きにはして考えられない。その場合に、日本の、日米安保条約との関係もありまして、日本が逐次核武装、こういうものに対する矛盾が強まって参っているのじゃなかろうか。政府内部の中からも、将来、小型の核兵器になるならば、これを日本に持ち込むことについても、日本憲法違反にはならぬのじゃないかというふうな言い方も行なわれておる。私は、核兵器を公然たる武器として認めない、日本態度は。これをはっきり前提において、日本核兵器を持ち込ませないという態度を堅持しない以上、これはどうも核爆発実験停止あるいは抗議をするといいましても、はなはだ腰のすわらない主張になっているのじゃないかというふうに思うわけですけれども、そこら辺について長官見解を承りたい。
  16. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 核兵器あるいは原爆というようなものが、これは正当な武器だとは私は思わない。こういうものが、いろいろ毒ガスとかいろいろなものが問題になったごとく、一発でその全都市を破壊するようなそれが正当な武器だとは思わない。したがって、こういうものが、原爆保有国がふえ、核兵器保有国世界にふえていく現状は、非常な平和の脅威になるわけですから、なるべくこれを小範囲にとどめて、その小範囲の中で、世界的な協定ができなければならぬわけでありますから、いろいろ米ソ戦略体制があっても、日本がまたその悪循環の一役を買って、核武装して、日本がそういう形で、この日本が、今後の世界政治に対処していくというのは、私は絶対に反対であります。やはりどういう困難があっても、日本はそういう形で、核武装をして身の安全を守るということでなくして、もう少し、その核兵器保有国がふえていく現状に対して、チェックしていくだけの世界政治に対する使命を日本は持っている。それをあべこべに、自分も持ってそして米ソ戦略体制の片棒をかつぐということは、やはり、日本国民感情が許すものではない。自民党もそういう政策を断じてとるべきではない、私の固い決意でございます。
  17. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私どもが一番主張点であります核兵器を公然たる武器と認めない、これがはっきりと腰がすわらなければ、私はどうも実験停止核兵器持ち込み拒否というようなことは、どうも腰が弱い。今、長官のおっしゃいますように、道義的なあるいは国民の感情的なものによってささえられているというだけでは、どうも感情論に失するのではなかろうかという懸念もあるわけであります。ですが、長官のお考えはわかりましたので、次に移りたいと思います。  それは科学技術関係研究費用の問題であります。これは昨年の三月に、総理府統計局が国全体の科学技術研究費調査いたしまして、それを発表いたしたわけでありますが、それによりますと、国全体として民間も合わせまして三十四年度の経費が、投資というか、千四百八十九億、そのうちの民間が九百五十六億、こういうふうになっております。残りが国並びに公共団体研究調査費、前年に比べますと非常にまあ増加をいたしておりますが、民間増加が非常に多いわけですね。民間の場合におきましては前年は三百五十四億、そして三十四年が九百五十六億、こういうふうになっておる。これは調査の仕方が三十四年と三十三年は違うようでありまして、それらを修正してみましても三十四年は三十三年の約二倍以上に民間研究投資というものはふえている。それに対しまして国の諸機関あるいは公共団体研究投資というものがわずか二割しかふえてないという実情であります。  最近、総理府統計局が三十五年度の分について発表いたしたと思いますが、記憶いたしておりますが、その数字総額幾らになり民間がどれだけという数字がわかっておったらひとつ教えていただきたいと思います。
  18. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 政府委員からお答えいたさせます。
  19. 島村武久

    政府委員島村武久君) お答え申し上げますが、本日ちょっと資料を持って参りませんでしたので、正確な数字を申し上げかねますけれども、先ほど鶴園委員がおっしゃいました数字に対応いたしますものといたしましては、国全体の研究投資総額は二千億、慨略でございます。こまかい数字は後ほど申し上げます。そのうち民間投資がたしか一千二百億程度であったと記憶いたしております。こまかい数字は後ほど御提出申し上げたいと思います。
  20. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それではこの問題についてはもう少し詳しく伺おうと思っておったんですけれども、手元に資料がなければなかなか困難だというふうに思いますが、ただ、科学技術会議答申第一号を出しておりまして、その答申第一号の中には、国全体の自然科学系統研究投資は、国民所得の二%程度目標にしておる。そのうちの国その他公共団体研究投資は〇・九七%を目標にすべきである。こういうような答申を行なっておるわけですね。その答申を行なってから三年近くになるわけですが、足かけ三年になりますが、国のその他民間を除きました国、公共団体等研究投資というものは国民所得に占める割合というのはどうもはかばかしくないようですね。それで私のほうで科学技術庁で出しております科学技術月報、これを資料から拾ってみますというと、三十四年度が〇・四五%、三十六年度も〇・五%というふうになっております。それで民間の場合におきましては、この答申にいう国民所得割合に対して二%くらい、それをすでに越しておるわけですね。それに対しまして、国の研究投資がはるかにおくれておる、格段におくれておるわけですね。こういう点について答申とははなはだしく見劣りがするわけですけれども、これは答申御存じのように、科学技術会議総理大臣それに大蔵大臣、もちろん科学技術庁長官等も入られた審議会であるはずです、会議であるはずでして、それが答申を行なって民間はもうすでにその目標に達したけれども、国がはるかにおくれているという実情はどうもはなはだ遺憾に思うわけですが、そういう点につきまして、一体科学技術庁長官、どういうふうな見解を持っておられますか伺いたいと思います。
  21. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ今年度の、三十七年度科学技術振興費三百十九億、約一二%の増でございます。どうも私も科学技術庁長官に就任しまして、何か新しい工夫をしないと予算というものは飛躍的に増大しない。まあここで科学技術会議等に何か資金科学技術振興のための資金のようなものが必要なのではないが。予算というものは飛躍しないものですから、一二%くらい前年度に比較して上げていくということで相当に努力を要する、これをもう少し飛躍的な科学技術振興費にするためには、科学技術振興に対する予算というものの考え方を少し再検討しないと飛躍的な振興費の増額にはならないのではないか。そこで科学技術振興のための基本法を作ろうという空気が非常にできておりまして、来年度の通常国会にはこれをぜひ出したいという考えでおります。この科学技術基本法とにらみ合わして、日本のこの科学技術振興予算というものの編成あり方に再検討を加えたい。今のままでは一ぺんに科学技術振興費だけがほかの予算に比べて倍にもなるということは、予算の建前としてなかなか言うべくして行なわれないのです。だから、こういう長期的な見通しでやらなければならぬ予算に対しては、今の予算編成のようなしきたりでなしに新しい工夫が要るのではないかということを考えまして、ただいま基本法の制定とこらみ合わせて科学技術振興費予算編成のやり方について再検討を加えておるわけでございます。私も満足はしていない、何とかして自分長官でありますから、予算を飛躍的にふやしたいと、こういう努力はするのでありますが、今の予算仕組みではなかなかそうはいかない。仕組みを変える必要があるという感じを持って検討を加えておるような次第でございます。
  22. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 ただいまの長官お話のように、新しい工夫をしなければ予算が飛躍的に増加しないとかあるいは科学技術関係予算を再検討する必要がある、そのためにも科学技術振興基本法というようなものを制定して、それに基づいてひとつ科学技術予算の獲得に多く成果が上がるようにしたいというようなお話でありますけれども、しかし今お話のように、科学技術関係の国の予算の中で一二%、国全体の経費の膨脹にもはるかに落ちる、半分というような工合です、この一二%増加というのは。ちょうど物価が一〇%くらい上がっておりますが、三十六年度、三十七年度、この物価の一〇%上がったものにもやっとまあ追いついたというような予算、これで科学技術振興だ、科学技術振興だと言って非常に大きなかけ声——まあ現実社会情勢としては、これは科学技術を何とかして振興しなければならぬというたいへんなところにきておると思うのです。にかかわらず、このような予算あり方では、これははなはだしく私は誠意が欠けておるじゃないかというように思いますし、先ほど申し上げました科学技術会議——総理大臣から科学技術庁長官大蔵大臣経済企画庁長官、こういうような閣僚の方々が入っておられるこの科学技術会議答申、三年前に出ておる答申にはるかに及ばない、半分だというような事態では、私は政府科学技術振興に対する熱意というものを根本から疑いたくなる。それは予算編成がどうであるとか、あるいは新しい工夫をしなければどうであるとかいう問題もあろうと思います。しかし、三年前に、政府みずからが入って、総理大臣も入って、大蔵大臣も入って作った答申にはるかに及ばないという実情では、私ははなはだ遺憾に思いますし、まあ急激にこれは増大をする必要があると思うのですけれども、どうもただいまの科学技術庁長官の御答弁では通り一ぺんのように思いますし、これでは科学技術振興ということが言えないのじゃないかというふうに思うわけですがね。日本の国の全体の発展にとりましても、これは最大の私は欠陥じゃないだろうかと、もちろんいろいろそのほかにも研究公務員の処遇の問題とかいろいろありまずけれども、しかし、何を言っても、この予算のこういう状態でははなはだ遺憾であるというふうに申し上げたいわけです。重ねて長官のひとつ御見解を承っておきたいと思います。
  23. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) どうもかけ声に比べて予算が少な過ぎるということは、遺憾ながら私も同意いたす次第でございます。これは何とかして、こういう科学技術促進の時代にふさわしい予算にしたいという考えを持っておるわけでございます。これは今申したような基本法の制定等ともにらみ合わせて、何とか科学技術会議答申の線にも沿えるような予算にいたしていかなければならぬということを強く責任を感じておる次第でございます。
  24. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 次に、同じくこの問題に関連をいたしまして、科学技術庁の中に設置されておりますところの研究所が三つあるわけでありますが、その中の航空技術研究所それから金属材料技術研究所、これはいずれも各行政機関の研究所で行なわれていない試験研究をここで集中的に強力に進めようということ、また、科学技術庁が模範的な研究所を作ろうというようなことで進められたものというように思いますが、この航空技術研究所、これは三十年の七月に発足をいたしまして、第一次六カ年計画ということに基づいて累年努力してこられたわけですが、昨年その六カ年計画が終わったわけです。終わったところで、この六カ年計画と対比してみます場合に、航空技術研究所の定員は五一%だと思いますし、第一次ですから、六カ年計画の半分ということになるわけですね。施設費予算関係では六九%というふうになっております。どうも科学技術研究所自身が持っておられます研究所ははなはだしく計画とはずれているのじゃないか。  それから金属材料技術研究所、これも昨年の七月で満五周年を迎えて、その成果が月報の中に発表になっておりますが、五カ年計画が終わったあとを比較いたしまして、はなはだ遺憾な状態にあります。どうも私は、国全体の経費が思うように伸びない、同時に、科学技術庁そのものの予算という、こういうような技術研究所の努力というものも累年不足しておるのじゃないかというふうに思うわけです。したがって、その累積が今申し上げたように、六カ年計画の半分くらいだという話ではどうにもならない。どうも羊頭狗肉の策という、こういうものでは私どもとしましては納得できにくいですが、長官のひとつ見解を承っておきたいと思います。
  25. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 人員あるいは施設に対してできる限り研究機関の要望にも沿うことが好ましいのでございます。全体としての今申しました科学技術振興に対する予算が必ずしも満足な状態でないために、その中で取捨選択して重要な部門をやっていくことになって、必ずしも要望の人員と施設というものが十二分にはいっているとは思っていないわけでありますが、しかし、そのために大きな研究所の研究に支障を来たすとは思っでおりませんが、これは十分でない。したがって、国立のいろいろな研究機関、科学技術庁の管轄以外にも数多くございますが、こういう研究機関のあり方というものについても、これはよほど検討を要するのではないかということで、私就任して以来、科学技術会議に国立研究機関というものの今のようなお話を含めて、あり方というものをひとつ実地にみな科学技術会議のメンバーが見て、ひとつ再検討してもらえないかという諮問を出したわけでございます。大体来年度の予算等の編成にも間に合うように五月末ごろまでに答申をもらいたいということで、今鋭意この問題の再検討をやってくれておるわけでございます。そういうこと等もにらみ合わして、そういう研究機関の今後の運営の方針に対しても検討を加えたい心境でございます。
  26. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 ただいま科学技術庁の中に設けられでおりますところの航空技術研究所、あるいは金属材料技術研究所、これらの六カ年計画が終わり、あるいは五カ年計画が終わっても、はなはだしく見劣りのするような実情にある。そういうことは研究にそう差しつかえていないというお話でありますが、この科学技術庁月報を見ますというと明らかに差しつかえている。これは当然六カ年計画でこれだけやろうという研究課題がはっきり確立しておるわけですから、その場合に第一次六カ年計画が終わって人間が半分しかいないということになりますと、これは調査項目を削らなければならない。当然そうなるわけです。したがって、差しつかえていないというようなことには私はならないと思う。こういう中でそういうものが削らざるを得ないことははっきり出ておるわけですから、ですから、どうも私は科学技術関係についての政府の熱意が非常に足りないのじゃないかというふうに思うわけなんです。ですから、三木長官もこの点についてもっと抜本的にやっぱりお考えいただきませんと、これは国の施策の一番弱点になってくるので、一朝一夕にはなかなか出てこない。しかし、こういうふうに五カ年計画は進んでいく、六カ年計画は進んでいくという中において、明らかにもう終わった状態に立ち至っておるというふうに思うのです。ですから、長官も一そうの御尽力をひとつ強く要望いたしておきたいと思います。  今回、人員の増加が出ておりまして、その人員の増加を聞いてみますというと、純増が百六十人になる。その中の百四十一人というのが試験研究所、科学技術庁に設けられておる三つの試験研究所に配置になるわけですが、この純増百六十人というのは科学技術庁全体の定員から見ますと、確かに大きな割合になっておる。したがって、そういう意味努力が払われておるということについては理解しますけれども、何せ、長年の累積が科学技術庁にたまっておる、あるいは科学技術庁を中心とした日本科学技術振興上、問題は大きく吹きたまっておるという実情にありますので、今後、一そうの長官のひとつ御努力を要望いたしたいと思います。
  27. 島村武久

    政府委員島村武久君) ただいま鶴園委員のおっしゃいましたとおりでございまして、当初計画に対しまして予算的にも人員的にも相当のズレのあることは事実でございます。したがいまして、当初計画いたしましたとおりの研究項目等をそのまま遂行しておるという状況にないことは確かでございます。ただ、予算的な面で申しますと、当初何分にも五年以前に計画いたしましたことでございますので、具体的な実施をやっていきます場合に、ある程度は節約というわけで、十分現実の問題となりましたときに節約でまかなえた点もございますし、また、人員につきましでも、施設のズレが当然に人員のズレを呼び起こすというような観点もございまして、いわば、昨年から本年にかけて工合が悪くなったということでなくて、毎年々々の少しずつのズレが重なった結果そういうことになってきておるというふうに考えるわけでございます。何分にも五年前あるいは六年前に立てました計画でございますので、私どもといたしましては、新しい時勢の動き、科学技術の進歩に即応いたしまして、また、ここで新しく計画を練り直しまして、御指摘のありましたようなことのないように、今後十分気をつけて努力いたして参りたいと考えるわけでございます。  なお、先ほどお尋ねのございました総理府で取りました統計の資料がございましたので、先ほどの数字をややこまかく御説明申し上げたいと思います。  三十五年度に科学技術関係で使用いたしました研究費の総額は一千八百四十四億三千百万円でございます。それに対しまして、そのうちに占めますところの民間の研究、これは会社等の実支出額をとっておりますが六〇・七%、金額にいたしまして一千百二十億五千二百万円ということになっております。なお、これを国民所得に比較いたしますと、科学技術会議答申されております二%には及びませんけれども総額におきましてはややそれに近くなりつつある。ただし御指摘のとおり、国の支出は逆に伸びが減っておりまして、民間研究投資の拡大によって、総体的に見ますとその辺にやや近づきつつあるということは言えるわけであります。国のほうは逆に伸びが落ちておるということでございます。簡単でございますけれども、先ほどのお尋ねの点について補足させていただきました。
  28. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この点については重ねて申し上げませんですが、ただ、今お話のありました航空技術研究所、それから金属材料技術研究所、これの五カ年計画あるいは六カ年計画というのが、前のことだからというお話ですが、これは私は了解つかない、六年前、五年前にこういう計画をお立てになって、ここ三、四年の間科学技術の発展というものはたいへんなものがあるわけです。したがって、民間の場合におきまして、研究費が一挙にこの三年ぐらいの間に二倍以上にふくれ上がっておる、したがって、七年前に立てた航空技術研究所の計画が膨大になっていくというならわかります。しかし、七年前に立てたやつが半分にしぼんでしまったというのでは何といっても理解つかないですよ。ふくれ上がるなら理解つきますよ。理解つかないでしよう。ですから私としましては、先ほど長官に申し上げましたように、一そうの御努力をひとつ要望いたしておきたいと思います。  それから次に、三木長官が昨年の九月にウイーンで開かれました国際原子力機関の第五回総会に御出席になった、そうしてお帰りになって発表なさいましたのが、この科学技術庁の月報に載っておるわけであります。その中で長官が、原子力の平和利用の積極化、これに対する国際協力を強めていくというようなことを主張をして共感を得た。アジア・アイソトープ・センターというものを日本に作りたいという提案をした、実現の見通しがあるというような発表が行なわれております。私どもとしましても、アジア・アイソトープ・センターが日本にできるということは、私もこれが平和利用という立場からはなはだけっこうなことだというふうにも思うわけでありますが、このアジア・アイソトープ・センターの状況はその後どういうふうになっておるのか、なかなか国際的な問題でありますから、おいそれとなかなかすぐというわけには参らないと思いますが、どういうふうに進捗しておるのか、あるいはこれからどういうふうにお進めになるのかその点お伺いいたしたいと思います。
  29. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 国際原子力機構の理事会に、日本のアジア・アイソトープ・センター設置の概要と申しますか、これを理事会に提示したのは二月のことでございます。そうして国際原子力機構においてもこれに検討を加えておるわけであります。日本としてもそういう理事国並びに、これはアジアのセンターでありますから、東南アジア等の諸国とも外交機関を通じて接触をいたしておるわけでございます。ぜひ日本に置きたいと、こういう面で、原子力の平和利用の面で国際的な役割を日本が果たすことが、好ましいと私は考えておるわけであります。来月には科学技術庁から職員を派遣しまして東南アジア諸国も回らしたい、それからウイーンにも参りまして、そうして国際原子力機構の理事連中とも接触をするようにしてこれを促進したいと思っております。何分にもこれは日本だけでないのでありまして、アジアのセンターでありますから、そういういろいろの外国との関係がございますので、私が考えておったよりも多少時間は延びるのでありますが、ぜひこれは実現したいと考えてせっかく努力をいたしておる次第でございます。
  30. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 次に、最後になりましたが、研究機関の団地化、あるいは集団化というようなことが最近非常に言われておりますが、どうも団地化、集団化というものの意味がはっきりしないのですけれども、今後、科学技術機関に与えます影響も非常に重大なものがあると思っております。内容はわかりませんけれども、どうも団地化、集団化というと、どこか集めるのじゃないかという気がするわけですね。そこでこの団地化、集団化はどういうことなのか伺いたい。それからこれがどうも都市に対する人口集中、東京都に対する人口集中という立場から、研究諸機関の集団化、団地化が考えられているのじゃないだろうかという気もするわけなんです。そこら辺のことにつきまして、事務当局からでもよろしゅうございますが、どういうことなのか伺っておきたいと思います。
  31. 島村武久

    政府委員島村武久君) 実は集団化という言葉自体は、必ずしもその内容を正確に言い表わしておる言葉ではないかもしれないということを私ども考えておりますので、私ども考えておりますことにつきまして概略申し上げたいと思います。  国立の研究機関は、先ほど長官からも申し上げましたとおり、そのあり方というものについて相当考え直さなければならない段階に来ております。それは一つには科学技術全体の歩み、日進月歩の趨勢ということのほかに、さらに大きく大学あるいは民間の研究といったようなものとの比較検討において考えられるのでありまして、したがって、それとは別個に、一般的に申しまして非常に研究が細分化されてきますと同時に、それぞれの研究の問に密接な連絡協調というようなことを必要とする面が出てきております。さらに研究の用具、あるいは道具と申しますか、手段といたしましての機械、設備等も、おいおいに非常に大きなものを必要とするというような傾向もございます。端的に申しますと、通産省関係の機関で申しますならば、従来のような試験研究機関の分類方法自体が、機械でありますとか、繊維であるとかいうような分け方で研究所を構成したほうがいいかどうかというような問題もあるわけであります。したがいまして、そういった全体の構想の上から研究機関の再編成ということが考えられなければなりませんが、たまたま今御指摘のございましたように、東京あたりの状況を見てみますと、いずれも研究機関が古く発足いたしましたために、現在では都内にございます研究機関等は、必ずしも研究環境としてふさわしくないという状況も生じております。たとえば設備を補強いたそうといたしましても敷地に余裕がない、あるいは騒音であるとか、震動であるとかいうようなことが研究活動に障害を与えるというようなことも一般的にあるわけであります。したがいまして、大都市の人口集中というような観点からでなくて、研究機関自身の立場からいたしましても、新しく天地を外に求めまして、研究環境としてふさわしい場所を探したいという希望も出ているわけであります。したがいまして、先ほど申し上げました研究機関の再編成とからみまして、新しい研究環境にふさわしいところを求めて、そこにそれぞれ新しい施設を持って、まあいわば引っ越したいという考え方でございます。ただ単なる移転にとどまります限りはあまり意味がないわけでございまして、そこに幾つかの研究所はみな共同で施設を持ち、従来の研究分担を再編成して、そうして能率よく研究を進めるということがふさわしいのではなかろうかということで、研究機関のいわば団地化あるいは集団化ということが唱えられるようになっておるというふうに私どもといたしましては考えておる次第でございます。
  32. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 まあばく然としているような話にも受け取れますけれども、通産省が今度の三十七年度の予算の中に、十六億の予算を要求いたしまして、通産関係の試験研究機関、これを団地化したいという要求を大蔵省に提示しておるようでありますが、ただこれは、ことしは一千万円の調査費という形で終わっております。で、そういう経過から見ますと、団地化というのは相当意欲的に、積極的に進めようという動きがあるのではないか。特にこの試験研究機関の大宗を占めておりますのは、何と申しましてもやはり通産関係でありますが、その通産関係にこれだけの、しかも装備が要るということになりますと、相当具体的に、問題として相当研究されておるのではなかろうかという気もするわけですが、科学技術の総合的な任務を持っておられます科学技術庁がそれらを具体的に進められておるのですか、それとも今お話程度の、もたもたした話があるという、あるいはそういう意見が出ておるという程度のものなのですか、どこか何年かの目標を置いてそれで進めていこうというお考え方なんでしょうか。
  33. 島村武久

    政府委員島村武久君) 通産省の考え方に対しては、科学技術庁といたしましても趣旨として非常にけっこうなことであるというところから、三十七年度の予算の際にも大蔵省に意見を申し述べておるわけでございますが、その際に科学技術庁といたしましては、通産省の集団化、団地化構想自体が通産省だけの問題として終わるものでは実は点睛を欠くという考え方を持っておるわけでございます。他の省庁におきましても、でき得る限りこれを通産省の構想に合わせまして、そしてさらに大きな意味でもっと徹底した、いわば団地化の構想というものを実現することが望ましい。そうしてその際には、先ほど申しましたように、内部機構といたしましても再検討を加える必要があるという考え方を持っておるわけでございますが、具体的に何年計画によってこれを実現するかということにつきましては、通産省自体としても、現在いわばその内部構想等につきまして検討をしておられる段階であります。さらにこれに各省の分も合わせての構想というものにつきましては、現在のところ、まだ何カ年計画でどこにというようなところまで進捗いたしてはおりません。ただ、三十八年度の予算要求のころまでには何とかこの構想を具体化するために一歩前進したいという気持で現在おるわけでございます。
  34. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 どうも承っておりますと、科学技術庁が各行政機関の試験研究の総合調整というような立場から見て、はなはだたよりないような感じを受けるわけです。通産省が十六億という金をすでに要求して、今回は成立しなかった。しませんが、一千万円という金がついて、調査を進めるという非常な積極的な意欲を燃やしいてる。また、通産省の工業技術院と科学技術庁との関係でうまくいかない、先を越されてしまいますと、せっかくの集団化、あるいは団地化というものが、試験研究の根本的な編成考えた団地化なり、あるいは集団化というものが、どうもまたそごを来たすというような懸念をするわけですけれども、もっとやはり科学技術庁としましても、これらの点についても積極的な意欲を持って考えていかないと、工業技術院に、してやられてしまうというと、少しばかり妙な言い方ですけれども、しかし、常識で言いまして、そういうような言い方をしたくなるわけですね。これについて長官、どういうふうに考えておられますか。
  35. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 通産省の団地化の希望というものもよくわれわれも承知しているのでありますが、これらについては、先ほど私が述べましたように、科学技術会議で、この国立研究機関というようなものに対してのあり方検討を加えているわけですから、その場合の、これは一つの問題点として取り上げてもらいたいということを述べているわけであります。これは皆さん御厨知のように、都内にある研究所は、施設を拡充しようとしても用地にも困るということで、これが一点。もう一つは、やはり人口の都市集中の状態からして、何か全部の国立研究機関が一つの場所に行くということは困難でございましょうが、一つの研究都市のようなものを作って、一つの都市計画として考える余地はないのかということもわれわれの考え方の中にはあるわけです。そういう点で団地化といいますか、何かお互いに相互の連絡をとるのにも、集団的に研究機関が一緒である場合が便利なことも多いわけですから、今言ったような観点で、今後都内から郊外に出るような場合に、多少各官庁がめいめい勝手にそういうことをするのではなくして、大きな計画のもとに、今後はそういう集団化というものを考えていきたいという考え方を私は持っておるわけです。それが科学技術会議においても検討されている一つの問題点になっているのでございます。
  36. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 こういうような試験研究機関を団地化する、どこかにでっかい研究都市みたいなものを作るというのは、世界にそういうものがあるのでしょうか。私は確かに、ここに試験研究機関をとりました場合には、敷地が狭くなっている、あるいは農林省の研究所でいいますと、都市のどまん中に、今や林業試験所があるというようなことも、確かにこれはどこかに持っていったほうがよかろうというような感じを受けるわけでありますけれども、しかし、今後私は、全部そういう試験研究機関をどこかの都市に持っていくという考え方については、これは国立の試験研究機関の連絡調整にはいいでしょうけれども、しかし、それぞれの試験研究機関の伝統もありましょうし、あるいは特質もありましょうし、簡単にどこかの都市に持っていかれるというのでは問題があるのではないかと思いますし、さらに御承知のように、民間の試験研究機関が非常に飛躍的に発展して参っておりますから、これは民間の試験研究機関との調整連絡ということも非常に重要な内容になっておると思います。そういう場合に民間もそこに持っていかなければ、これはあまりたいしたものにならないのではないかという気もいたしますし、いろいろ問題があると思いますが、何かこういう試験研究機関の団地化なり、あるいは集団化を立てられます場合に、ある程度の理想像というものがすっかり与えられないと、何か今おっしゃった都市計画みたいなもので考えられるような便宜主義、試験研究の立場からいいますと便宜主義ということになりますが、どうもすっきりしないものがあるのですが、ですからこれについて、ぜひ慎重な御検討をいただいて進められるように要望いたしておきたいと思います。  一応これで終わります。
  37. 河野謙三

    委員長河野謙三君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止
  38. 河野謙三

  39. 河野謙三

    委員長河野謙三君) この際、委員異動について御報告いたします。ただいま西田隆男君が委員を辞任され、田中啓一君が委員に選任されました。     —————————————
  40. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。科学技術庁設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  43. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成については、慣例によってこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたしました。  午前の審議はこの程度にとどめ、午後は午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。   午前十一時五十三分休憩      —————・—————   午後二時三分開会
  45. 河野謙三

    委員長河野謙三君) これより内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日占部秀男君が辞任され、山本伊三郎君が選任されました。     —————————————
  46. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 次に、四月五日予備審査のため本委員会に付託されました行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案を議題とし、政府から提案理由の説明を聴取いたします。
  47. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案について、その提案理由を説明申し上げます。  この法律案は、行政不服審査法案が不服申し立てに関する統一法規として現行の訴願制度を全面的に整備するのに伴いまして、関係法律二百穴十八件につき、必要な整理等を行なおうとするものであります。  すなわち、第一は、行政不服審査法案が一般概括主義を取り入れたため、関係法律において、不服申し立てをできる旨の規定が重複することとなりますので、これらを削除したことであります。  第二は、行政不服審査法案において、不服申し立てに関する名称を統一して審査請求、異議申し立て及び再審査請求といたしましたので、これに伴い、関係法律につき、名称を整理したことであります。  第三は、審査請求に関しまして、直近上級行政庁以外の行政庁を審査庁とする必要のあるものにつき、特例を規定したことであります。  第四は、不服申立期間につき、個々の制度の特殊性にかんがみ、必要なものにつき、例外的に特例を定めたことであります。  第五は、ものの検査、検定等の結果にかかる処分、特に緊急を要する処分等、当該処分の性質上、行政不服審査法案による不服申し立てを認めるのが適当でない処分等につきましては、これらを除外し、また、行政審判その他不服申立制度として現に整備された制度があり、これらによらしめるのが適当と認められるものにつきましては、行政不服審査法案による不服申し立てから除外することとしたことであります。  以上が、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案のおもな内容でありまして、いずれも、行政不服審査法案の趣旨並びに現行制度の運用の実態に照らし必要とされる関係法律の改正であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことを切望する次第であります。
  48. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 以上で提案理由の説明は終了いたしました。自後の審査は、後日に譲ります。     —————————————
  49. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 次に、行政管理庁設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。なお、本案は、衆議院において、お手元に配付いたしましたように、若干修正されておりますので、御了承願います。  政府側から出席の方は、川島行政管理庁長官、岡崎行政管理政務次官、山口行政管理局長木村北海道開発庁総務管理官の方々でございます。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  50. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 川島長官にちょっとまず聞いておきたいのですが、臨時行政調査会が出発いたしまして、いろいろ御苦労でありますが、それに関係して、その問題についてはきょうはあまり触れませんが、今度の国会において相当各省の設置法の改正が出てきておる。それはものによってはわれわれとしても納得されるものも相当ありますが、特にこの庁の設置とか、防衛庁の設置法なんかは、相当行政機構の根本に触れるような改正が中に盛られておるのです。ことに、厚生省設置法なんかを見ますると、頭のほうがでっかくなって、兵隊がどっちについておるかわからないというような状態の設置法の改正なんです。こういうものは、たまたま川島長官が力を入れておるけれども、臨時行政調査会があるのだから、そういう答申なり審議を待ってこういう改正案を出せばいいと思うのですが、その点の所見をひとつ大臣に聞いておきたい。
  51. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 全体の方針といたしましては、なるべく機構の新設、拡充等は認めない態度で、三十七年度予算編成に当たったのでございます。しかし、中には至急を要するものがありますので、一部機構の拡張、新設を認めました。ただいま御指摘の社会保険庁などもその一つでございまして、最近社会保険業務などが非常に拡大されまして、適切な運営をするためには保険庁のような組織が必要だ、こういうふうに私は認めまして、厚生大臣ともずいぶん相談いたしまして、新設を行政管理庁として認めたのでありまして、しかし人員の増は全くいたしておりません。それは厚生省内部の配置転換によってこれをまかなうということにいたしたわけであります。
  52. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 川島長官は、そういう行政組織については相当エキスパートで、よく御存じだと思うのですが、今度の厚生省の設置法の内部を見ましたら、なるほど事業庁としてああいうものの必要性は概念的にわれわれは認めることができると思うのですが、その実態を見ると、厚生大臣も監督し、また保険庁の長官がやる、そういうことで、二重、三重に地方の第一線へ行くとそういう監督を受け、指導を受けるような形に変えてきておるのです。もちろん、これは、この設置法がかかったときには、相当言いますが、厚生大臣は自分のいいような話はすると思うのですが、これらをすべて統制管轄される行政管理庁として、私は一つの反省を促しておきたいのです。権限外かどうか私は知りませんが、閣議でもちろんこれは問題にされたと思うのですが、今度のこの厚生省設置法のあの社会保険庁設置は、私は実態に合ってない、こう見ておるのです。これはこの問題と関係ありませんが、たまたま臨時行政調査会を主宰される長官ですから、こういうものはもう少しそういうところでじっくりとやはり審議をして、意見を聞いてやられたほうがよかったのじゃないかと思うのです。実際あれは非常に一般国民に対していろいろ関係のある事業ですから、国民年金もできましたし、いろいろあるのですから、考え方からいうといいじゃないかというのですが、実態はやはり長官はつかんでおらないかと思うのです。現在あれをやっておる兵隊というのは、一応知事の監督も受ける——自分は国家公務員になっておるけれども、監督は知事から受けている。いろいろ複雑な事情がある。そういうものを解決せぬと、何かそういう官庁の機構を二重、三重にするということは、どうも私は納得できないのですが、臨時行政調査会ではそういうことはもう取り扱わないのだというような御趣旨でこれを認められたのでしょうか、もう一回ひとつ御意見を聞いておきたいと思います。
  53. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 社会保険庁につきましては、これまでございまする社会保障制度審議会でいろいろ御意見等の結果、答申として出ておりますのは、社会保険庁設置法ということでございまして、その答申を尊重して私ども認めたのであります。臨時行政調査会でこうした範囲の問題を取り扱わないという意味じゃございませんけれども、臨時行政調査会のほうは、もっと根本的な行政の体質をどう改善するかということに重点を置いてやってもらうことでございまして、そういう意味で臨時行政調査会等の御協賛も得ておるわけでございます。今回の社会保険庁は、従来の審議会答申を私は尊重いたしまして、またその答申の内容が適当と思いまして、行管としてはこれを認めた、こういうわけなんでございます。
  54. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私は、そういう社会保障制度審議会答申によって尊重してやられたというのですが、臨時行政調査会が取り扱う問題はもっと根本的だという大臣の説明ですが、国民が一番密接に利害、便宜を感ずるのは、ああいう事業庁の問題ですね。われわれとしてはやはり、そういうものをどうずれば国民が——社会保険の関係のある国民が便利に、しかも簡単に給付なり、あるいはいろいろの事務がやれるかということが、私は大事じゃないかと思うのです。で、その他のまあ審議会からの答申考えられまするが、私はあの答申は十分聞いておりません。しかし、やられた結果は、長官どう思われますか。あれでは、実際問題としてあれを作った価値というものは認められない。たとえば、大蔵省の主税局とそれから国税庁、こういう関係はわかるのです。一方は徴税だけに重点を置いた国税庁、一方は主税局という一つの計画、企画をする——そういう形におそらくなってないのですね。最初の考え方は、そういうことで答申しておると思うのです。しかし、今やっておるというのは、実態はそうなっていないと思う。この点は、行政管理庁も、十分答申を尊重するということだけでなくして、やはりそういう点も考えてやっていかれぬと、臨時行政調査会を作った、一体それは何をするのか、根本的な問題をやるのだと言われますけれども一体根本的な行政機構の改革というのはどういうものか、こういうわれわれは疑問を起こすのです。一体、今言われた大臣の根本的な行政機構の改造というのは、構想というものは答申をもってやられるのですが、一体大臣はどういうことを考えておられるか、たとえばの問題ですが、ちょっとそれをお伺いしたい。
  55. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 臨時行政調査会でただいま扱おうとしております事柄は、各省庁間にまたがりました共管競合の事項が多いのであります。それがために行政能率を阻害しておりますから、そういうものを整理して、たとえば交通問題につきましても、各省庁にまたがっておるので、交通行政がうまくいってないので、そういうものを取り上げてやろうというのが、われわれの臨時行政調査会の方針なのであります。社会保険庁は、厚生省だけの問題であります。競合、共管の事項はないであります。なお、ただいま御指摘の新しくできた保険庁と従来ある厚生省内の内部部局との関係、あるいは府県に配置しておる厚生省派遣の官吏の関係がありますからして、一応関係局長から説明をしてもらいたいと思います。
  56. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 社会保険庁の新設につきましては、ただいま長官から申し上げましたとおり、社会保障制度審議会答申の趣旨にのっとりまして作ったわけでございますが、その考え方のもとは、監督、企画というような直接厚生大臣が非常に深い指導力を持ってやらなければならないというものにつきましては、これを内局に残して、ルーティン化した事業につきましては、これを外局として分離する。そうして、もちろんこれは厚生大臣の管理のもとにはございますけれども、しかし、外局というものは、一応相当広い範囲の独立的活動をするようになっております。内局に対する監督とは、きわめてその監督の態様におきましては違いがあるわけでございます。そういうことで、実施部門につきましては、十分運営上の能率をはかっていきたい。それで、従来それを内局で両方取り扱っておりましたために、いろいろ幹部の頭を使う作業量と申しますか、そういう業務量が多くなりまして、錯綜いたして、能率が悪いという面が一面機構上ございます。さらにまた、厚生省というのは、監督的な面と同時に、その監督を受ける方面のものを持っておるわけでございます。それを同じ局で扱うということは適当でないというので、これを外局に分離するというようなことになったわけであります。
  57. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 局長からの答弁でいいのですが、大体社会保険関係では、いろいろ事業の内容があるのですが、今ちょっと見ましても、国民年金は市町村に事務を取り扱わしておる。その他の社会保険は、いわゆる社会保険課とか、そういうところが都道府県の内部に一応あるのです。実際今度は、そういうものを頭に置いてやられたとは、私考えておらないのです。むしろ、もっとその前提として、内部のそういうものをどうするかということが非常に先決問題じゃないかと思う。したがって、私はそういうものを実は期待しておったのですが、今度のやつはそういうようになっておらない。これはいわば厚生省設置法の問題ですから、これ以上多くは言いませんが、ただ、行政管理庁として、各省の設置法の改正が出る、とのプロセス、過程において、行政管理庁一体それに対して、ある程度大臣は閣議においていろいろ意見を述べられるから、それはいいとして、行政管理庁として、そういう設置法に対して、ある程度制肘——制肘ということはどうか知りませんが、意見を言って各省に対してある程度規制するような権限があるのかどうか。法律上は別として、実際上どうなっておるのか、それをちょっと聞かしていただきたい。
  58. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 社会保険庁の例をとってお述べになりましたが、社会保険庁につきましては、当初の考え方としては、先ほど申し上げましたような考え方で厚生省の案が出て参りました。行政管理庁でこれを審査いたしまして、非常に機構が膨大になっておりましたので、たとえば部にいたしましても四つ新設する、部課を合わせますと、現在の機構よりも十四くらい部課が多くなっておりまして、そこで、分離するという思想につきましては、これは妥当であるかどうか考えましたけれども、しかし機構をそのために拡大するという理由は認められませんでしたので、それを縮小いたしまして、従来厚生省が持っておりました上級職の範囲内で認める、こういう構想に変えてしまった次第でございます。そういう面で、これが法案になります前に、予算編成の際に、行政管理庁の下審査を得まして、そこで修正されたものにつきまして予算編成する、こういう段取りにいたしておるわけでございます。
  59. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 僕の尋ねておる焦点は、今まで大体聞いておるのは、各省から出てきたこういう設置法の改正、特に局の設置とか、そういうものについては、行政管理庁が一応そういう基本的な意見は言うけれども、もうそのままずっと認められておる状懸でなかろうかと思うのですね。はたして、行政管理庁でそれをどれだけセーブして、言うてきたやつを取りやめさしたか、こういう点を私は聞きたいのです。具体的に言ってもらわぬでも、そういうことがあるかどうか。今まで大体素通りしてきておるのじゃないかと思う。今度の場合でも、本委員会に付託された各省設置法の中でも、相当多数の局が設置されている。それがためやはり行政組織が複雑化していることは、私はいなめないと思う。そういう点をちょっと聞きたいと思います。
  60. 山口酉

    政府委員(山口酉君) お答えいたします。たとえば、外局の設置につきましても、本年度の要求は五つございます。本年度承認いたしましたのは二つでございます。それから、局の設置、昇格につきましては、要求としてば十七出ております。そのうち六つを認めております。それから、部につきましては、二十の増設の要求がございましだが、そのうち六つを認めておる。こういう状況で、要求は非常にたくさんございます。それをいろいろ検討して、緊急やむを得ないと認められるものを最小限度にしぼって認めていくつもりでおります。
  61. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大体それで行政管理庁の役割はわかったんですが、われわれがこういう審議をしておると、その省その省は大体言い分があると思う、作る上においては。私は早くから主張しておったんですが、提案する場合でも、これは各省ごとのそういうものでなくして、こういう各省の設置法は、これは行政組織につながる問題だから、行政管理庁が一括して、その年度においてこれとこれをやるんだということを、主務官庁といいますか、それは行政管理庁としてやるわけにいかぬですか。
  62. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 行政管理庁の権限からいたしますと、行政管理庁で合理的なと思われる新しい機構の構想を立てて、これを各省に勧告いたしまして立案させるということはできるようになっております。ただ、今までの実際からいたしますと、今までそういうことがないわけではございません。これは、全体の政府の機構の体制を大改革しよう、たとえば客観情勢が非常に変わったというような場合、たとえて申しますと、統制経済から自由経済に非常に大幅に移行してきた、あるいは経済九原則というようなものが出まして、非常に行政費を節約しなければならないというような問題、あるいは占領下から独立いたしまして、そのために日本の独立した国情にふさわしい制度に直さなければならないというような、非常に大きな基本線のもとに実施いたします改革につきましては、行政管理庁が中心になってそういう改革の案を作り、各省にこれを示して協力を求める、こういう体制でやっておりますが、通常の状況下において、それぞれ徐々に客観情勢というものが移りますために、いろいろな面で行政の実態が変化しているわけです。それに伴って手直しをしていくというものにつきましては、たとえば本年度のような、ここ数年のような状況下におきましては、各省がそれぞれ自分たちの政策実施に都合のいいと思われる案を出しまして、それを行政管理庁立場で審査すると、こういう体制で実施いたしております。
  63. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは、この設置法の本問題に移りたいんですが、今度はたしか四つですかの事業団の監察を含めるという内容ですが、現在までに、こういう公団あるいは事業団、こういうものの監察された度数と、それから実績について、ひとつ概略でいいですから、どういう公団あるいは公社、事業団を監察したか、これをちょっと……。
  64. 片山一郎

    説明員(片山一郎君) 手許に資料がございませんので詳細なことを申し上げかねますが、大体二十四ほどやりました、公社、公団、公庫を。内容としましては、組織なり、それから事業の運営を調査したのでございます。
  65. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ちょっと、具体的にどこをどうやったか。
  66. 片山一郎

    説明員(片山一郎君) 公社といたしましては、国鉄、電電公社、専売公社、公団といたしましては、住宅公団、道路公団、森林開発公団、農地開発機械公団、国民金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、住宅金融公庫。
  67. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 その際、公社は一応いいのですが、住宅公団、道路公団、国民金融公庫、そういうところの監察の結果、顕著な改革を要するというようなやつは、あなたの記憶ではどういうものがあったですか。
  68. 片山一郎

    説明員(片山一郎君) 私ちょっと記憶が、はっきり覚えておりませんですけれども、今の記憶では公団の監事制度でございますね、それからやはり公団の業務の運営上の問題、そういう点は特に重点を置いてやったわけでございます。今ちょっと資料がございませんので、詳細に申し上げることはできませんが……。
  69. 河野謙三

    委員長河野謙三君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  70. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 速記を始めて。
  71. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 実は、もうだいぶ前ですが、私はこういう事業団とか公団なんかの監察は厳重にやってもらいたいという希望を述べておったのです。なるほど、会計監査とか国の補助のあるやつは、大蔵省とか、いろいろな方面の監査もありますけれども、それはすべて事業の後の監査であって、しかもそれは主として金銭の問題とかそういうものが重点になっておったのですが、この住宅公団にしても、道路公団にしても、国民金融公庫にしても、これは全く一般庶民に影響のある事業ですから、公団でもいろいろ非難のある点は、もう皆さん御存じのとおりなんです。したがって、そういうものは、監査の結果、新聞にも出されておると思います。また、皆さん方の行政管理庁からもそういう点は出ておると思いますが、われわれもその点はいろいろと勉強する時間もなかったのです。こういう機会に、特に皆さん方がこういう点が問題であったということを実は聞きたかったのですが、実際資料で見ろと言うが、なかなか——大臣も同じだと思いますが、なかなか資料を調べるというのは、時間もわれわれないので、こういう設置法のときに、こういう公団にはこういう改良すべき問題がある——今監事制度、業務の運営については調査をしたというが、相当いろいろ問題があると思うのですが、そういう点で、きょうは資料がないというので、これで置いておきますが、ただ、今度の中小企業退職金共済事業団とか、あるいは鉱害復旧事業団、これは今度初めてこれが監察の対象にされたのですが、行政管理庁の監察事務の実態から見ると——実態というよりも、陣容から見ると、相当対象が多いのに、十分今の審査官といいますか、審議官ではやれるかどうかという、私はそういう危惧をしておる。その点、今二十幾つやったと言われますが、これはおそらく一回ぐらいしかやっておらぬのじゃないですか、各種別には。国鉄、専売、電電、公社のほうについては私はもう触れませんが、公団についてそうたびたび頻度を多くやられたかどうか、おそらく一回ぐらいずっとやったという程度じゃないのですか、その点ひとつ。
  72. 片山一郎

    説明員(片山一郎君) 公社は別といたしまして、公団につきましては、今お話しのとおり、一回でございます。
  73. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 多分そうだろうと思うのです。それはたびたびやれと言ってもやれる陣容でないのですが、現在監察に当たっておる人員はどれくらいおられるのですか。
  74. 片山一郎

    説明員(片山一郎君) 公団を担当いたしております監察官は一名でございます。監察官全体は十三名でございます。審議官は四名でございます。
  75. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 公団とか、こういう大きいものについては、本省関係だけで調査されるのですか。地方の監察局は、そういう点についてはあまり関与されていないのですか。
  76. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 便宜私から御説明申し上げますが、監察局の機構におきましては、公団公庫を対象として特に特定した人を持っておりませんので、そこで、それぞれ公団、公庫の監察を実施しようといたします場合に、全体の職員を機動的に運用しまして、そこに集中するわけでございます。  ですから、中央といたしましても、大体従来の例で見ますと、十名から二十名くらい中央の職員をこれに充て、それから各管区監察局、地方監察局の職員を動員いたしますので、多いときには、その地方出先機関におきまして、数十名あるいは数百名になる場合もございます。しかし、これは特に公団、公庫に限っての職員とは申し上げられませんので、そういう監察のテーマを取り上げました際には、それだけの人数を、ほぼその程度の人数は動員できるということでございます。
  77. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 公団、公庫の監察ですが、本省では、十三人程度で、各管区監察局からいろいろ応援が出ると、こういうことですが、それではなかなか十分やれないと思う。また、それほどの陣容をそろえるということは、今の段階では無理だと思います。ぜひこれはひとつ、無理をしてでも徹底的にやってもらいたい。これは、戦後一番問題になるのは、公団、公庫で、これは、社会的にも、また一般国民にも、影響のある仕事に携わっておるものだと思う。しかも、これは今の池田内閣というわけではないが、だんだんと一般行政事務とみなされるものを公団、公庫に移行していく傾向が多い。また、今度は経済企画庁ですか、水資源の公団もまたできるようだし、だんだんふえていくと思う。これは、私は経営内容なんかについてそんな不正があるとは言わない。また、行政管理庁はそういう不正をあばく監察ではないのですから——指導ということを念頭に置いているのはいいが、どうも私いろいろ公団なんかに行ってみると、どうかと思うような実態が見られるのです。これは、官庁でもない、会社でもない、こういう組織ですから、どうもその点は、私としては納得できない面がある。一面これの運営によっては、あるいは行政官庁がやらずに、公団にまかしたほうがいい場合もあるでしょうけれども、問題が私はあると思う。もうそうなれば、一にかかって、この行政監査と申しますか、監察というものは、非常にその使命に大きくなってくると思うのです。この点について、資料がないので、具体的にお尋ねすることはできないのですが、管理庁長官として、こういう公団、公社について、今後ますますふえていくのですが、行政管理庁としては、この傾向についてどういう御意見持っておられるか。長官にちょっと伺っておきたいと思います。
  78. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 公社、公団、事業団等のあり方につきましては、世間でもいろいろ批判がございます。最近の東北開発株式会社の例を見ましてもそうでありまして、私もそうした団体については、特に監査、調査をする必要があると、かねがね考えておったのであります。今もお話しになりましたとおり、ほんとうにひとつこれから考慮いたしまして、今後そうした公団の運営に誤りないように監査、調査を続けたいと、かように考えております。
  79. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 まあ今のところはそう大きい問題も出てないのですが、将来私は問題を起こすのはこういう方面でなかろうかという実は心配をするのです。たまたま行政管理庁では相当馬力をかけてやっておられますが、これは何も推測で私は言いませんが、相当いろいろ私のところにも投書も来ますけれども、そういうものは、信憑性のない場合には、私はそんなものは一切口外しませんが、やはりそういうことを言ってくるところを見ると、やはり何らかそこに問題があるのじゃないかと思うのです。こういう点は、ひとつ十分行政管理庁で……。問題が起こってからではもうおそいですから、その前の事前指導ということを十分やっていただかなくちゃいかぬと思う。  帳簿の整理とか、そういうものは、官庁式の簿記方法でやっているのですか。会社のような、ああいう勘定方式でやっているのですか。私はまだ見てないのですが、その点どうですか。
  80. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 公社、公団につきましては、複式簿記を採用しております。ただ、決算につきまして、国の予算関係との関連で、従来の官庁会計にほぼ同じような書き方をしておる面がございますが、内容、中身の経理につきましては、複式簿記、企業会計を採用しております。
  81. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 じゃ行政管理庁としては、やっぱり、そういう会社の方式のような、そういう方向で指導されておるのですね。
  82. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 行政管理庁としましては、もちろん、事業でございますから、そういう制度が妥当であると考えております。で、大体企業会計を採用いたしました当初につきましては、いろいろ職員のふなれの関係で問題がございまして、特にそういう会計の勘定の立て方についての誤りなどもかなりございまして、一時そういう点に相当重点を置いて監察をし指導をしたことがございますが、最近におきましては、そういう会計の技術的な面につきましては、それぞれ習熟いたしまして、あまり問題はないと思っております。で、大体官庁会計の従来のやり方では、経営の実態を表わすのに非常に不完全でございますので、複式簿記を採用していくというのはやむを得ないと思います——やむを得ないと申しますか、むしろ妥当であると考えております。
  83. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 また次の機会にその点少し突き進んで聞きたいのですが、なるほどあの企業会計、まあやむを得ないと思います。それは一応公団といえども企業形態をとっておりますからね。まあそれは私はいいと思うのです。またそれで能率が上がるんですが、地方の場合でも、企業関係をあずかっておる地方団体でもそういう会計の方法をとっておりますからいいんですが、企業会計のやり方をやると、やはりどこかに、まあ不正とは言いませんが、漏れる点もやはりあるのですね。そういう点は、私は相当それがために十分皆さん方が指導してもらわぬと、だんだんだんだんと、最初はそんなようなものは目立つようなものじゃないのですが、だんだん深く入っていくと、大きい問題が私はあると思う。ああいう企業形態になると、まあ自己監査の組織もありますが、これはほんとうの名目ですよ、役員といっても。ただまあ事務当局から出されたものをずらっとこう見て、そうしてその場は一席懇談会をやって、そうしてさようならというのが、これは大体そのとおりですよ。だから、あんな監査役というような組織は、これは有名無実、ただ一つの形態に置いておるというだけだと思うのです。そうすると、それらを十分やっていただくのは、まあ今のところでは管理庁以外にはないと思うのです。もちろん、各省から、道路公団であれば建設省、あるいはその他いろいろ監督はしていますがね。これは私は、言い過ぎかしれませんが、各省になると、そこにやはりコネがある。コネクション。やはり情実がある。それが東北開発のああいう問題が今まで摘発されなかった私は理由でなかろうかと思う。各省は私は何も監督が不行き届きだとは言いませんが、やはりそういう、道路公団であれば、建設関係の古い役人と言えば悪いですが、そういう人がやはり重役になったり幹部になっているのですね。そうすると、監査しようにも、監査というのはなかなかできないものです。これは人情もありますからね。そういう点がわれわれ非常に問題であるので、私はいつも、行政管理庁に何も味方するわけじゃないのですが、国のそういう公団なり行政なりを正しく運用するという役割は行政管理庁以外にはないというわれわれは今の考え方でおるのですから、その点ひとつ川島長官は十分留意されて——今度のまあこの法案についてはそう問題もない。むしろわれわれは、こういうものを少しでも、この公団、事業団といいますか、そういうものの関係あるものはやはり監察を厳重にしてもらいたいというわれわれの意向ですから、この趣旨に沿ったものですから、反対する理由はない。そういう意味において、今後その点は十分やっていただきたいと思います。なお、今度の委員会のときには、若干今述べられた公団、公庫、まあ事業団は今までやっておられるかどうか知りませんが、それについての、どういう問題点があったということを、全部でなくてもいいですから、特徴的なものをひとつ報告をしていただくように、この機会にお願いしておきます。  きょうは、僕の都合もありますけれども、これでひとつ質問を終わりたいと思います。
  84. 河野謙三

    委員長河野謙三君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止
  85. 河野謙三

    委員長河野謙三君) では速記をとって。他に御発言もなければ、本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめて、これにて散会いたします。   午後二時五十分散会