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政府委員(
島村武久君) 実は集団化という言葉自体は、必ずしもその内容を正確に言い表わしておる言葉ではないかもしれないということを私
どもも
考えておりますので、私
どもが
考えておりますことにつきまして概略申し上げたいと思います。
国立の研究機関は、先ほど
長官からも申し上げましたとおり、その
あり方というものについて相当
考え直さなければならない段階に来ております。それは
一つには
科学技術全体の歩み、日進月歩の趨勢ということのほかに、さらに大きく大学あるいは
民間の研究といったようなものとの比較
検討において
考えられるのでありまして、したがって、それとは別個に、一般的に申しまして非常に研究が細分化されてきますと同時に、それぞれの研究の問に密接な連絡協調というようなことを必要とする面が出てきております。さらに研究の用具、あるいは道具と申しますか、手段といたしましての機械、設備等も、おいおいに非常に大きなものを必要とするというような傾向もございます。端的に申しますと、通産省
関係の機関で申しますならば、従来のような試験研究機関の分類方法自体が、機械でありますとか、繊維であるとかいうような分け方で研究所を構成したほうがいいかどうかというような問題もあるわけであります。したがいまして、そういった全体の構想の上から研究機関の再
編成ということが
考えられなければなりませんが、たまたま今御指摘のございましたように、東京あたりの状況を見てみますと、いずれも研究機関が古く発足いたしましたために、現在では都内にございます研究機関等は、必ずしも研究環境としてふさわしくないという状況も生じております。たとえば設備を補強いたそうといたしましても敷地に余裕がない、あるいは騒音であるとか、震動であるとかいうようなことが研究活動に障害を与えるというようなことも一般的にあるわけであります。したがいまして、大都市の人口集中というような観点からでなくて、研究機関自身の
立場からいたしましても、新しく天地を外に求めまして、研究環境としてふさわしい場所を探したいという
希望も出ているわけであります。したがいまして、先ほど申し上げました研究機関の再
編成とからみまして、新しい研究環境にふさわしいところを求めて、そこにそれぞれ新しい施設を持って、まあいわば引っ越したいという
考え方でございます。ただ単なる移転にとどまります限りはあまり
意味がないわけでございまして、そこに幾つかの研究所はみな共同で施設を持ち、従来の研究分担を再
編成して、そうして能率よく研究を進めるということがふさわしいのではなかろうかということで、研究機関のいわば団地化あるいは集団化ということが唱えられるようになっておるというふうに私
どもといたしましては
考えておる次第でございます。