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1962-04-10 第40回国会 参議院 内閣委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月十日(火曜日)    午前十一時十二分開会     —————————————   委員の異動 本日委員木村篤太郎君辞任につき、そ の補欠として村山道雄君を議長におい て指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     河野 謙三君    理事            石原幹市郎君            下村  定君            鶴園 哲夫君    委員            木村篤太郎君            中野 文門君            一松 定吉君            松村 秀逸君            村山 道雄君            吉江 勝保君            千葉  信君            高瀬荘太郎君   国務大臣    国 務 大 臣 三木 武夫君   政府委員    内閣官房内閣審    議室長内閣総    理大臣官房審議    室長      江守堅太郎君    法制局次長   高辻 正巳君    法制局長官総務    室主幹     関  道雄君    総理府総務長官 小平 久雄君    総理府総務副長    官       佐藤 朝生君    中央青少年問題    協議会事務局長 深見吉之助君    皇室経済主管  小畑  忠君    行政管理庁行政    管理局長    山口  酉君    科学技術庁長官    官房長     島村 武久君    科学技術庁計画    局長      杉本 正雄君    科学技術庁原子    力局長     杠  文吉君   事務局側    常任委員会専門    員       伊藤  清君   説明員    労働省職業安定    局調整課長   北川 俊夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○総理府設置法等の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○科学技術庁設置法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 河野謙三

    委員長河野謙三君) これより内閣委員会開会いたします。  総理府設置法等の一部を改正する法律案議題とし、前回に引き続いて質疑を行ないます。  政府側から出席の方は、小平総務長官佐藤総理府総務副長官、江守内閣官房審議室長高辻法制局次長関法制局総務室主幹深見中央青少年問題協議会事務局長小畑宮内庁皇室経済主管山口行政管理庁行政管理局長方々でございます。  まず、前回政府側答弁の保留になっていました千葉委員質問の点につきまして御答弁を願います。
  3. 小平久雄

    政府委員小平久雄君) 前回千葉委員の御質問に対しまして御回答を申し上げます。  中央青少年問題協議会は、青少年問題協議会設置法に明定されておりますように、総理府附属機関であることは言うまでもございません。この場合、設置法第二条第一項の連絡調整は、行政事務処理であって、附属機関の所掌し得ないものではないかという御意見でありましたが、中央青少年問題協議会のこの事務は、中央青少年問題協議会がみずから国会での決定表示を行ない、一定の法律効果を発生させるという権限の行使を含むものでもなく、附属機関において所掌して差しつかえないものと考えられるのであります。もとより審議会協議会では、諮問的、調査的な事務を取り扱うのが典型的な場合でありますが、今日青少年問題は重要な社会問題でありまして、種々不測の問題が次々と起こる状況にありますので、関係機関協議の場が常時設定されており、その場において各行政機関施策連絡調整が行なえることとなっていることが特に必要と考えられるのでありまして、これがため中央青少年問題協議会連絡調整任務が与えられているわけであります。このことは所掌事務の遂行のため特に必要がある場合に、審議会等機関設置し得る旨を定めている国家行政組織法第八条の立法趣旨に反しないものと考えられまするが、さればと申しまして、附属機関においていかなる場合にもこのような行政事務処理がされてよいと考えているわけでは決してないのでありまして、この中央青少年問題協議会においては、以上述べました特別の事情がありますので、それにかんがみ御了承を願いたいと存ずるのであります。
  4. 千葉信

    千葉信君 速記をとめて下さい。
  5. 河野謙三

    委員長河野謙三君) ちょっと速記やめて。   〔午前十一時十五分速記中止〕   〔午前十一時五十四分速記開始
  6. 河野謙三

    委員長河野謙三君) それでは速記をとって。
  7. 千葉信

    千葉信君 今回提案になりました総理府設置法等の一部を改正する法律案の中に含まれております青少年問題協議会設置法の一部を改正する本法案第二条の関係から言いますと、今回の改正は、都道府県以下の青少年問題協議会に対しても、交付金を割り当てようという改正のようでありますが、実は青少年問題協議会法自体では、もう一つの懸案になっている問題があるのでありまして、その懸案になっている問題というのは、この青少年問題協議会設置法の第二条中央協議会規定した法律の第二項によりますと「青少年の指導、育成、保護及びきょう正に関する総合的施策の適切な実施を期するために必要な関係行政機関相互連絡調整を図ること。」という一項がございます。ところが国家行政組織法によりますと、第三条で各行政機関としての「府、省、委員会及び庁」等の行政を担当する機関については、その設置が明確に規定され、その下部の機関としては第七条に官房とか局あるいは部、課を設置することについての規定がはっきりございます。そしてこの各省各庁間におけるそれぞれの行政権限なり、ないしは責任については同法の第一条によりまして、内閣統轄におけるこの第三条及び第七条の国家行政組織に対しては第二条で「内閣統轄の下に、明確な範囲の所掌事務権限を有する行政機関の全体によって、系統的に構成されなければならない。」と、この行政組織法自体は各行政機関のそれぞれの行政権限なり、責任について混淆を来たすべきではないという明確な規定がはっきりここにあるのでございまして、しかも青少年問題協議会設置法の第二条にいうところを、協議会会長等が行使することになると思いますが、その各行政機関相互連絡調整というこの行政事務と全く同一の権限が、各省間のこの問題に限らず、各省各庁間の行政事務総合連絡調整等について、総理府任務として総理府設置法第三条の第三号に明確に「各行政機関施策及び事務総合調整」と規定され、さらに第六条の第十三号には「各行政機関事務連絡に関すること。」と、担当するその行政権限が明確に規定され、したがって、その総理府において行使すべき権限と、この青少年問題協議会設置法の第二条の第二号の権限とは紛淆を来たしている。したがって、青少年問題協議会という国家行政組織法の第八条に基づいて設置をされている附属機関等の場合には、本来第八条は第三条及び第七条等に規定する行政を担当する、その機関のもとに附属機関として、調査であるとか、あるいは審議であるとか、ないしはまた、試験所、研究所、文教施設医療施設というふうに、それぞれ附属機関設置する場合の例示さえも明確に出ている。したがって、この青少年問題協議会法が、第八条であるか、第三条によるものであるかということについては、おのずからその協議会の性格からいいましても、私は第八条に規定されるべき附属機関であるというふうに判断せざるを得ない。したがって、そういうものの考え方からいいますと、今回のこの青少年問題協議会法の一部改正をされる機会に、こういう国家行政組織法上混乱を起こしている第二条の第二号は、この際改正される必要があると私は考えております。で、もしもこの委員会における政府答弁のように、この青少年問題協議会法が、この協議会が、この程度行政事務等が必要であるという見解であり、もしくは事由であるとするならば、これは明確に国家行政組織法の別表第一に例示され、第三条によって規定されておる行政を担当する委員会に切りかえるか、そのいずれかの措置をとらなければ、私は国家行政組織法というものが存在しながら完全に無視された附属機関政府部内に存在するということになるのですから、この問題は、今日突如として起こった問題ではなくて、過去の参議院における内閣委員会において同じ青少年問題協議会法改正案が出たときにも問題となり、当時政府は、この問題については適切な処置を約束をされながら、今日まで全然その約束が果たされるための何の措置もとられていない。しかし、私はできればこの機会に、この第二条の第二号を削除するという方法をとるべきだと思うが、この際、他にも二、三、たとえば原子力委員会等に類似の問題をかかえておりますので、まあ、委員長お話もありましたように、できればそういう問題をこの際是正するような方向に向かいたいという御意見しごくもっともでもございますので、この際これをどう処理するかということについては、ひとつ総務長官のほうの御答弁を聞いてから判断したいと思いますから、御答弁をひとつ願いたいと思います。
  8. 小平久雄

    政府委員小平久雄君) 千葉委員のだんだんの御意見よく承りました。まあ、政府としての現在における見解は、先ほど申し述べたとおりでございますが、御指摘のとおり、従来から懸案になっておりました問題でもございますし、また、本日もきわめて御熱心な御質疑でもございますので、今後政府といたしましても、関係機関におきましてさらに十分研究をいたしまして、本件に関する政府見解につきましては、またあらためて御回答を申し上げたい、こういうことにいたしたいと存じます。
  9. 河野謙三

    委員長河野謙三君) この際、私から政府に一言強く要望いたします。ただいま問題になっておる点については、御意見もあることでありますから、政府におきましては、次の国会までに十分研究の上、善処されんことを要望いたします。
  10. 小平久雄

    政府委員小平久雄君) ただいまの委員長の御発言につきましては、先ほども御答弁申し上げましたとおり、政府といたしましても、今後さらに十分研究をいたしまして、御指摘に沿うようにいたしたいと考えております。
  11. 河野謙三

    委員長河野謙三君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  12. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 速記を始めて。  午前の審議はこの程度にとどめ、午後一時より再開いたします。  暫時休憩いたします。    午後零時十一分休憩      ——————————    午後一時三十五分開会
  13. 河野謙三

    委員長河野謙三君) これより内閣委員会を再開いたします。  午前に引き続き総理府設置法等の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行ないます。  政府側から出席の方は、政府委員として関法制局総務室主幹小畑宮内庁皇室経済主管説明員として井下田宮内庁長官官房参事官並木秘書課長岡田運輸省港湾局参事官北川労働省職業安定局調整課長方々でございます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  14. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 宮内庁の今回の九十八人の定員増、その中の九十五人が常勤職員から定員内繰り入れ、三名が新しく新規の増員、こういう内容でございますが、この九十五人の定員外職員定員内に繰り入れられるという数字は、宮内庁定員のほぼ一割に近い数字であります。三十四年から四回にわたりまして定員外職員繰り入れが各行政機関行なわれておりまして、前回一番大きな繰り入れがあったわけですが、残りました分については、さらに明年度政府全体としまして各行政機関繰り入れることになっておりますが、この一割近い宮内庁繰り入れについて感ぜられますことは、宮内庁定員外職員繰り入れるということについての措置がおくれておったのではなかろうかというような推定もするわけであります。したがいまして、そういうふうな推定をいたしますので、この九十五人の定員外職員繰り入れましたあと、どういうような職種人たちが残されるのかということと、本年ですね、前回繰り入れましたときにどの程度の数を繰り入れられたのか、伺いたいと思います。
  15. 小畑忠

    政府委員小畑忠君) 宮内庁関係の常勤的な労務者定員化の問題につきまして御質疑でございますけれども、ただいま御質問がありましたように、宮内庁関係の常勤的な労務者繰り入れ昭和三十三年から以降ずっと行なわれておりまして、三十三年の四月に常勤的な労務者を九名、それから三十四年に二十二名、それから三十五年に二十名、それから三十六年度に八十一名と、こういうふうな定員化をお願いいたしておりまして、全体として百三十二名の定員化をお願いしておるわけでございます。  それで、だいぶおくれておるのではないかというふうなことでございましたけれども、特におくれておるというふうなことでもなし、順次財政的な予算措置に伴いましてこの実現を見まして、これは各庁同様、待遇の上昇化というふうな問題と関連しまして実現していただいたのでございまして、あと残ります職員といたしましては、八名だけ残るというふうなことになっておりまして、この八名はすでに既往におきまして、定員内の職員としてとっておりました者でございますけれども、年令の関係で一たん退職をいたしましたが、引き続いて職種についておる。しかもなお、非常に技能的な能力を持っておるので残っておるというふうなことで、ここにあらためて今回残った者を必ず定員化しなければならないというふうな意味には考えておらない、こういうふうなことでございます。
  16. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 八名残ったというお話でありますが、しかもこの八名はすでに定員内であった者がそうでなくなっておるのだというお話ですが、これ以外に宮内庁で雇用されておる人はいないわけですか。
  17. 小畑忠

    政府委員小畑忠君) 常勤的な意味関係の者はほかにおりませんでございます。
  18. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 もう少しおられるのではないかというような感じがするわけですけれども、一体そのほかに何名おられるのかですね、八名のほかに何名おられるか。いないというお話ですけれども、とにかく勤めておられる人が何人おられるのか。
  19. 小畑忠

    政府委員小畑忠君) 現在勤めております総数でございましょうか。
  20. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 ええ。
  21. 小畑忠

    政府委員小畑忠君) これは現在は定員的に特別職といたしまして二十八名、一般職といたしまして千八十三名、計千百十一名。そのほかに常勤的な、今度お願いいたします関係の者が十九名、それから常勤的な意味賃金労務者というのが八十五名、こういう、今数字になっております。そのうち常勤的な労務者が十九名のうち十八名今回お願いいたしますし、常勤賃金的な方が七十七名おる、こういうふうなことになる次第であります。
  22. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 伺っておりますのは、八名残るということで、その八名は全員定員内職員に入れる必要がないものだと見ているというお話でありますが、それ以外に勤めている人はいないのかと聞いておる。
  23. 小畑忠

    政府委員小畑忠君) 常勤的な意味の勤めておる者はおりませんのでございますが、臨時、季節的な関係でお手伝いを願うというふうな者はおりますのでございますが、この辺の考え方の上に立っての御質問じゃないかと思うのでございますけれども。
  24. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 八名残っておって、それ以外は季節的な職員だと……。
  25. 小畑忠

    政府委員小畑忠君) そのとおりでございます。
  26. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それ以外にはないということでございますね。それからもう一ぺんこの点について念のために伺っておきますけれども、ともかくどういう形でありましょうとも、恒常的に引き続いて一年以上勤務している、そしてそこの職場を構成している人間だという人はいないのだ、こういうことですね。
  27. 小畑忠

    政府委員小畑忠君) そのとおりでございます。
  28. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 次に、宮内庁勤務形態が各行政機関と違った面があるように思いますし、したがって、そういう面で伺いたいのですけれども、普通の行政機関の場合におきましては、日曜日の出勤あるいは土曜日の十二時以降の出勤、こういうものはないのが常態であります。しかし、宮内庁におきましては相当数人たちがやはり土曜日の十二時以降においても、あるいは日曜日においても、あるいは夜間においても勤務をきれておるというふうに思うのですが、そういう人たち勤務はどういうふうなものとして取り扱っておられるのか。たとえば土曜日の十二時半から午後五時までの勤務、それから午後五時から夜を通じてあくる日曜日の朝の八時半までの勤務、それから日曜日の入時半からずっと月曜日までの勤務、これらはどういうような形で処理されておるのか。普通の行政官庁におきましてはこれは半日直あるいは宿日直というような勤務形態になっておるわけです。これはどういうような勤務になっておるのか、伺いたいと思います。
  29. 小畑忠

    政府委員小畑忠君) ただいまの御質問でございますけれども、先生からお話がありましたとおりでありまして、皇室関係の場合は、その性質上、私的御生活にも密接な関係を持っております関係上、一般行政関係事務とは性質が非常に違っております点は御指摘のとおりでございますが、しかしながら、一般的にそうした方々勤務状況でございますけれども、これは大体一般行政関係事務職員に準じた考え方によりまして、五時を過ぎます場合の当直員につきましては当直関係勤務手当を支給しておりますし、土曜関係の午後につきましては半日直、あるいは日曜につきましても特に来てもらった場合につきましては宿直あるいは日直というような取り扱いをしておりますことにつきましては一般行政公務員と同様でございますが、しかし、最初に御指摘のとおり、多少一般行政関係勤務とは異なった点もございますので、非常に割り切った取り扱いというふうな点まで多少いかない点もあろうかと思われるわけでございます。
  30. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 土曜日あるいは日曜日等の取り扱いが半日直あるいは宿日直というような取り扱いのように伺いましたが、この半日直宿日直というのは、その間におきますところの文書の受け付けなり、あるいは若干の電話の処理なり、あるいは庁舎その他の見張りなり、こういう仕事になっておりまして、したがって、普通の業務とは違った処理をしておる、そこで半日直あるいは宿日直という形になっておるわけですが、私の推測しますところによりますれば、宮内庁の場合におきましては、土曜日の午後あるいは夜、日曜日、これらの仕事は普通の行政官庁でいう宿日直、半日直とは性質相当違うんじゃないだろうか、通常の業務延長としてあるいは延長に近いものとして多数の人が出勤しておるんじゃなかろうか、こういうふうに推察をしておるわけです。先ほど来の御説明によりましてもそういうふうに推察をされるわけですが、かりにそういうものだといたしますと、それを一般行政官庁のように半日直あるいは宿日直という形で取り扱うのは当を得ないというふうに思うわけです。そこで土曜日、日曜日の出勤というものが宮内庁においては普通の事務に近いものとして勤務しておるものではないのかどうかという点をお伺いいたします。
  31. 小畑忠

    政府委員小畑忠君) 宮内庁宿直あるいは日直勤務内容について非常に違う点があるのじゃないかという御質問でございますけれども、これは宮内庁一般事務部局側近関係部局とは多少違うわけなんでございまして、一般行政事務を扱っております関係の者は、これはまあ非常に一般の他の行政官庁と同様で、時間的に非常にはっきりいたしておりますけれども、側近関係関係部局の者の職務態様でございますが、これは御生活とつながる点で、侍従職関係侍従職関係で、土曜あるいは日曜にいろいろ起こります関係事務、あるいはまた、お食事その他のことを担当いたしております大膳関係職種のものは幾らか詰まっておる、こういうふうな関係でございまして、そうした側近部局関係員日直あるいは宿直勤務につきましては、本来そうした性質事務を担当いたしておりまして、大膳厨司あるいはそれを配膳する関係職員は、本来そうした関係仕事としまして、土曜あるいは日曜もそうした関係仕事をひとしくやっている。あるいは侍従職関係連絡関係につきましては、一々宿直員を命じておりまして、それらの関係の者はそれらの者としまして、外部からの連絡その他について担当しておるというふうなことでありまして、特に本来の職種と違った関係職務を命じ、または担当しておるというふうな態様ではございません。
  32. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今お話しのように、側近あるいはこれに関連する人たちの土曜日並びに日曜日あるいは祭日、こういう勤務は半日直並びに宿日直という扱いには当を得ないのじゃないかというふうに思うわけです。というのは、半日直宿日直というのは、一般行政事務あるいは一般のウィークデーの日に従事しておる仕事、そういうものとは相当に違ったものとして仕事内容がきめられている、非常に違ったものとしてきめられておる。そうしてそれに対して半日直——土曜日の場合におきましては半日直、あるいは日曜日その他については宿日直という手当をもって処理しておるわけです。しかし、宮内庁の場合におきまして、今の御説明等からもはっきり言えますことは、宮内庁のそういうような仕事について、一律に半日直なり宿日直という手当をもって措置される、処理されるのは当を得ないのではないかというふうに考えられるわけです。したがって、やはりこれは日曜日の出勤なり、あるいは仕事延長としての超過勤務手当によって処理するというような処理が必要ではなかろうか、こういうように思うのですけれども、もちろん超過勤務手当なりそういうものによって処理しない人たちも出てくるわけですが、しかし、側近に、あるいはこれに関連する人たち、おそらく土曜日、日曜日等も十五人や二十人は出られるでしょうけれども、そういう人たち勤務に対する処理の仕方としては当を得ないというふうに思うのですけれども、その点についてどういうふうに考えておられるか、伺いたいと思います。
  33. 小畑忠

    政府委員小畑忠君) 宮内庁関係宿直員あるいは日直員に対して一般取り扱いと同じような取り扱いをするのはいかがなものであるかということのお話と思うのでございますけれども、ただいま、先ほど来申し上げましたような職種のものは、本来土曜あるいは日曜以外のときにおきましても、性質上、大膳その他の関係のものは日常の仕事としましてそうした仕事をやっているわけでございまして、土曜あるいは日曜日につきましても、その仕事内容において特別違った関係仕事をやらしているわけではないのでございまして、時間を延長してやりました場合に、それらのものが時間外勤務としまして本人たちが受けます報酬の単位標準的な時間数にかけ合わせた超過勤務をもらい、あるいはきまりました日直あるいは当直勤務手当を受給しているというふうなことにつきましては、宮内庁としまして、特に普通の、あるいはまた別の考え方をとったほうがいいのじゃないかというふうに現在は考えておりませんわけであります。
  34. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いずれにいたしましても、この土曜日並びに日曜日に多数の人が出勤されるわけですが、そういう人たちの中には一般行政官庁におきます宿日直なり半日直に該当する人も幾らかあると思うのです。しかし、大部分の人たちはそうではなくて普通の業務を土曜日の午後、あるいは夜、あるいは日曜日、祭日、こういうときにやられるわけですからして、それを宿日直なり半日直という処理をされるのは当を得ないのではないか。これは日曜日出勤というふうにされるか、あるいは超過勤務手当というような形で処理されるか、そういうような処理が必要ではないかと思うのです。したがって、今まあこれをどうというふうな考えはないというお話でありますが、そういう疑問点がありますので、宮内庁としてひとつ人事院その他とも御相談の上に善処を私としては望みたいと思っております。
  35. 小畑忠

    政府委員小畑忠君) 宿日直等につきまして御意見がございましたけれども、今鶴園先生がおっしゃいました感触とはちょっと逆でございまして、むしろ本来職務を担当しておりまするものの職務延長、あるいは日直、あるいは当直的な意味のほうが大多数でございまして、一般職種のものが、日曜特に違った職務のために招致いたしまして勤務を担当させる、こういうふうなのとはちょっと逆のような実情にあるわけでございますけれども、ただこの日直あるいは宿直について別の考えが立つのじゃないかというふうな点は十分考え、かつ、検討いたしてもよろしいかと思っております。
  36. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 日直宿直で今処理されているわけですが、非常にたくさんの人たち日直及び宿日直、こういう形で処理されているために、普通の超過勤務、こういうものがそのために食われてしまう。したがって、五時以降の勤務というものについての超過勤務手当が非常に不足しているというふうに見るわけですけれども、一般行政官庁におきますところの本省の場合においては月に十五時間という超過勤務手当があるわけですが、ときによりますと、二十時間という超過勤務手当がある。一般にいいまして十五時間というのが原則になっておるわけですけれども、宮内庁の場合におきましては本省は十五時間という超過勤務手当だというと、それはまことにうらやましいお話ですというような話があるくらいに、この超過勤務手当というのは非常に不足しているというようにも見ておりますが、月に一人平均何時間という単価になっておるのか、伺っておきたいと思います。
  37. 小畑忠

    政府委員小畑忠君) 宮内庁関係超過勤務あるいは宿日直関係の待遇が非常に一般官庁と比べて悪いのじゃないかというような御質疑でございますけれども、この点につきましては、この宮内庁関係が特にほかの一般行政官庁よりは非常に少ないというような予算の配分の仕方にはなっていないのでございまして、大体やはりこの大蔵当局とも従来の標準によりまして不公平のないような予算折衝でもっていただいておりますけれども、ただ具体的に少ないのじゃないか、あるいは多いのじゃないかというふうなことは各自があるいは超過的な勤務をし、あるいは宿日直をしたことによりまして結果が出てくるわけでございまして、特に宮内庁関係だけが少ない宿日直関係手当を支給しているというふうな実情ではないというふうになっておりますのでございます。
  38. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 非常にたくさんの人たちが土曜日の午後それから日曜日、そういうときに出勤しなければなりませんので、したがって、宿日直が足りない面が出てくる。今のところ宿日直処理されておりますが、宿日直が足りない面が出てくる。したがって、通常の人におきます超勤手当というものを、そっちにずっと回す形になる。したがって、通常の人の超過勤務手当というものがうんと不足する、こういうふうに判断しているわけです。そこで伺っておりますのは、月、一人当たり何時間予算としては組んであるのか、その中からどの程度宿日直のほうに回しておられるのかということを伺っているわけです。
  39. 小畑忠

    政府委員小畑忠君) ただいま各自何時間くらい宿日直をしてもらっているだろうかというふうなことでございますけれども、これは各自の勤務の実態によっていろいろ違うわけでございまして、平均的に何時間というふうなやり方ではなしに、あくまでやはり超過勤務あるいは宿日直関係の実態に応じた支給の仕方をやっているような実情でございまして、特に十五時間とかあるいは八時間とかあるいは七時間というふうなことには考えていないわけなんでございまして、大体標準的なものといたしましては、一般行政事務関係は、一月多いところは三十時間から十時間の範囲におきまして、その他は約五時間くらいの標準によりまして、そして、しかも各一時間の単価百八十一円というふうな金額を割り出しまして、これを十二カ月かけました金額でもって積算をいたしている、こういうふうな次第でございます。
  40. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私伺っておりますのは、それぞれの人によりまして、それは超過勤務の実情が違うわけです。しかし、それを伺っているのではなくて、予算上、月に一人何時間組んであるのか。これは予算を作りますときに一人当たり月平均何時間というふうに計算してあるわけですから、個々の実績を伺っているわけではないわけです。ですから、月、一人平均何時間予算を組んであって、その中から実際上はどの程度のものを宿日直のほうに回されるのかということを伺っているのです。
  41. 小畑忠

    政府委員小畑忠君) 超過勤務関係でございますけれども、職種によりましていろいろございますが、特別職関係のものといたしましては、百八十一円七十銭、これを十時間で十二カ月分で十二人というふうなことで二十六万二千円、会計担当の関係といたしましては百八十一円七十銭で三十時間で十二カ月で四人、一般関係におきましては百八十一円七十銭、これが十時間で十二カ月で四百五十八名、その他の関係はこれは百八十一円七十銭の四・五時間で十二カ月分で五百六十四人分、自動車の運転手の関係は百八十一円七十銭でもって三十時間見ておりまして十二カ月分、これを二十四人分見ておりまして、総額で超過勤務関係といたしましては千七百六十一万四千円、こういうふうな計数を出しております。そのほかに新規増員分といたしまして、やはり同じような積算内容でもって計算いたしておりまして、全体といたしましては千八百十六万二千円、こうした超過勤務手当を予算でお願いをいたしているわけでございます。
  42. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 どうもこういうような超過勤務手当とか日直とか半日直というような問題についての御理解が十分でないように思いますけれども、予算で組んでありますけれども、確かに職種ごとに違った形で組んであるようでございますが、その組んであるものが宿日直相当ウエートが置かれております関係で、十五人とか二十人という人たちが土曜日の午後あるいは日曜日に出勤をする。したがって、それの宿日直なり半日直の金が足りないというところから、今せっかく組んであります超過勤務手当というものはそっちのほうに流用される。   〔委員長退席、理事下村定君着席〕  したがって、普通の人の超過勤務手当が非常に不足しておる。それが一般行政官庁人たちと比較をした場合に、宮内庁職員の中にどうも十五時間というのはまことにうらやましい話だというような話が出てくるというふうに思っておるわけです。どうもはっきりしなくてまずいんですが、これはもっと各省、各行政機関でいいますと、こういうのはすっきりしておるんですけれどもね、どうもすっきりしないものですから伺いにくくてしようがないわけですが、いかがでございますか。
  43. 小畑忠

    政府委員小畑忠君) ただいまお尋ねでございますけれども、積算の基礎はただいま申し上げましたとおりでございますけれども、やはりこの職員といたしましてこの受けるほうの立場あるいは支給するほうの立場で多少考え方あるいは受け方が違うかもわかりませんけれども、本務者につきましては超勤が原則ということで取り扱っておりますし、本務者以外につきましては日直が原則ということで取り扱っておりまして、それの財源といたしましては、ただいま申し上げましたような積算の内容によります財源でもって支給いたしておりまして、特に不当に低い支給の仕方というふうなことにはなっていないのでございます。
  44. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この超過勤務手当の問題につきましては、ぜひひとつさらに御検討いただきまして、次の機会がございましたときにもう一ぺん詳細に伺いたいと思います。  それから日曜日並びに土曜日の半日の出勤といいますか、居残りといいますか、そういうものを行政官庁と同じように半日直あるいは宿日直という仕事として取り扱われるのは妥当を欠く面が相当あるのではないかというふうに思いますので、これは当然日曜日出勤なりあるいは土曜日半日直超過勤務手当なりそういうものによって処理すべきものではないかというふうに考えられます。したがって、そういう問題につきましても御検討いただきまして、次の機会があります場合にもう一ぺんこの点について伺いたいと思います。本日はこれだけです。  そこで、次に伺いますのは雇員という職名があるんですが、各行政機関の中にも雇員というものがあります。しかし、宮内庁の場合におきましては一般行政官庁と比べまして、雇員というのが多いというふうに見ておるわけです。これは法務省も多いんでありますが、なかなか古いしきたりあるいは検事とかあるいは判事とか一つの資格を持った人たちによって構成されておるところに勤めておる一般人たちが古い伝統なりしきたりによりまして、雇員という形のものが強固に残っておるというふうに判断されるわけですが、法務省におきましてはこの雇員の解消のために三年くらい前から非常に努力をされまして、解消に向いて参っておりますが、宮内庁の場合において、雇員というのが一般行政官庁と比べまして多いのではないかという推察をします。そこで具体的に伺いたいのは、高等学校を出て、そして宮内庁勤務をいたしました場合に、何年雇員という形で置かれるのかということです。
  45. 小畑忠

    政府委員小畑忠君) 鶴園先生から宮内庁には雇員が非常に多いのではないかというふうなことでございますが、多少、古い伝統の役所でもございますので、そうした傾向はあろうかと思うのでございまして、現在一般職の常勤の者で雇員として遇されております者が二百四十五名おりまして、その内容は使人とかいうふうな、特別の皇室関係だけに見られるような参殿者の案内、その他の業務に従事する者とか、あるいは鷹匠というふうなことで、式部職のそうした特別の、ほかの行政官庁にはありませんそうした職務を担当する者とか、あるいは大膳関係の膳手だとか、あるいは厨司だとか、これもほかの行政官庁にはございません職種がございまして、そうしたものを一般行政官庁事務担当員と同じように扱うのもいかがかというふうな従来からの考え方とも関連いたしまして、多少多いというふうなことも事実かと思うのでございます。しかし、委員先生お話しのとおり、各担当の方々職務の待遇の問題でもございますので、極力そうした雇員という名称から抜け出しまして、一般方々と同じような取り扱いにいたしたいというようなふうに考えておりまして、現在高校卒では、初級合格者につきましては大体二年間在勤いたしますと任官しておりますし、その他のものにつきましては三年間雇員というふうな職種にあるというふうなのが最近の実情でございますけれども、お話のように、そうした全体の傾向からいたしまして、順次是正いたしていきたい、こういうふうに考える次第でございます。
  46. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 勤務形態なり、あるいは職種なり、そういうものの違いは承知をいたしておりますが、ただ各行政機関の中に雇員というのがほとんどなくなっておるわけですし、そういう古い名前のものはなくなっておるわけですが、宮内庁の場合においてはまだまだいらっしゃる。それから今お話の高等学校を出て、初級の試験を通って入った者が二年雇員だという、これは今の官庁ではそういうものがない、二年という長いのは。大体三カ月です。そういう取り扱い宮内庁おくれておる。おくれておるというとなんですが、三カ月でなるところ、あるいは二カ月でなるところが二年据え置かれるということは、どうしてもこれはおくれておるという考えになるのですが、こういうことにならないように善処を要望しておきたい。
  47. 小畑忠

    政府委員小畑忠君) お話の点は、多少お堀の中におりまして一般からおくれておりますようなこともございますけれども、お話の点は十分善処いたしたい、こう考えております。
  48. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 港湾労働対策審議会、これにつきまして伺いたいのですが、御承知のように、三月二十七日に全太平洋港湾労働者が、これはアメリカ、カナダあるいはインド、シンガポール、中国、ソ連という諸国の港湾労働者が日本の港湾労働者のために、つまり日本におきます港湾労働法の制定ということを中心にいたしまして、三月二十七日に国際的なストライキが行なわれたわけですが、港湾労働者の実情等につきましても種々伺いたいのですが、一つだけ伺っておきます。  港湾職安という俗称言われますね、それが実際的な問題としてはなかなかその職務を果たしにくい、こういう実情にあるようであります。したがって、その労災保険にいたしましても手に入らないということになります。この港湾職安についてどういうような運営をやっておられるのか、みな抜けてしまってタッチされるのはごく一部になってしまう、こういう実情のようでありますが、本来そういうものであっていいのかどうかという点を伺いたい。
  49. 北川俊夫

    説明員北川俊夫君) 港湾労働者、これは特に日雇労働者を中心といたしまして、もっぱらその職業紹介を行なうために、現在六大港に港関係の労働者の職業安定所、そういうものを特に設置いたしております。その運営につきましては、御指摘のように、必ずしも港湾関係の日雇労働者のすべてを把握いたしておりませんで不十分な点があるようでございます。特にいろいろ言われておりますように、港湾労働ボスといいますか、手配師、そういうものが介入いたしております。これにつきましてはもう申し上げるまでもなく、港湾労働関係が非常に封建的である、そういうことで業者及び労働者側の自覚にも待たなければならないのでございますが、これにつきまして安定機関といたしましてもその紹介の迅速化あるいは安定所を通ずることによってよりいい労働条件の職場に紹介する、そういうようなことで、なるべくほとんどの者が港湾労働の安定所を通じて紹介されるようにいろいろ検討いたしております。ちなみに申し上げますと、神戸の職業安定所は業者とその点いろいろ検討いたして、業者のほうも安定所を通じなければ日雇労働者を雇わない、そういうような申し合わせをいたしまして、現在着々その成果を上げておりますので、こういう点も参考にいたしまして、港湾関係の安定機関の整備をはかりたい、こう思っております。
  50. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 時間の関係もありますので、次に伺いたいのは、この港湾労働者の今回の大きな問題であります港湾労働法を制定すべきだというような要求が十年来主張されてきているわけですし、社会党の提案にいたしましても、今回で四度目になるわけでございます。御承知のように、輸出入という仕事、これは日本の国の政策の中で一番重要な政策になるわけでございますし、その場合における港湾労働者の問題、これの問題が長い間放置されている、そうして太平洋諸国の港湾労働者、見ただけで、とにかく二の句が継げない、あぜんとしてしまう。こういう状態のもとに今日まで置かれてこられた理由、労働省の中に五年ほど前に港湾労働審議会というものが設けられておったわけですが、こういう審議会が五年ほど前に置かれたにもかかわらず、長年にわたって放置されてきておるという点について、どういう理由でこういうことになっておるのか伺いたいと思います。
  51. 北川俊夫

    説明員北川俊夫君) 港湾労働につきましては、御指摘のように、港湾の公共性、それから港湾労働の特殊性といいますか、特にその封建的なこと及び労働条件がきわめて低劣に見受けられる、そういうような関係で、労働省では、御指摘のように、昭和三十一年から港湾労働関係審議会を設けまして、いろいろ御答申をいただきました。たしか七回にわたって答申をいただいております。その一つには、港湾労働の雇用の安定に関する問題、あるいは公示料金の問題、あるいは安全の問題、こういう点に種々御討議をいただきまして、それに基づいて労働省といたしましては、たとえば港湾労働の需給の調整の実施であるとか、あるいは福祉施設の充実、そういう施策を打って参りましたのでございますが、この審議会の討議及びそれに基づくいろいろの施策を通じまして、われわれが強く感じましたことは、港湾労働関係の雇用の安定といいます問題が労働行政だけの面ではなかなか解決できない。たとえば労働条件の向上にいたしましても、一万公示料金との関係も非常に問題になる。あるいは船積みの緩和、雇用の向上と申しましても、今の港の状況が、船が月末、月初に集中して、非常に波動性が強い、こういう点の是正も必要でございます。  さらに、業者そのものにつきましては、戦後非常に弱小業者が分立いたしまして、経営基盤が非常に弱い。したがいまして、港湾労働の問題を港湾業者だけで、運送業者だけで解決するのにはあまりにも問題が大きい。したがって、船主、そういう関係からの協力を得て解決しなければこの問題は解決できない。こういうふうにいろいろ施策を打ちましたけれども、労働行政だけではなかなかむずかしい。そういう関係で、運輸行政、あるいは通産行政、あるいは企画庁、そういうような御賛同を得て、ここに提案になっておりますように、内閣審議会を設けていただいて、広い視野で前向きの施策を打ち出したい、こういうのが政府考え方でございます。
  52. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 ということで、十年来の問題、あるいは私どもの党が四回も提案したがそのままになってきておる。それで今回こういうふうに、昨年からアメリカ、カナダ、豪州、セイロン、シンガポール、インド、あるいは中国、ソビエトという太平洋沿岸の港湾労働者が、日本の港湾労働者の立法を援助するためにストライキをやるというのですね。これははなはだ遺憾な状態です。また、日本の船の荷役を拒否するというような形ですね。そういう中で、急拠ということでしょうけれども、すみやかにやはり国際的な水準まで引き上げられるよう要望いたしたいと思いますが、ただこの場合に、審議会ができます場合に、委員の構成ですけれども、これはやはり港湾労働者の代表も委員として入れるべきじゃないかと思いますが、そういう点についてどういうような検討を行なわれておりますか、伺いたいと思います。
  53. 佐藤朝生

    政府委員佐藤朝生君) 港湾労働等対策審議会委員の構成についての御質問でございますが、この審議会は学識経験者二十人と、関係行政機関職員五人で構成する予定でございまして、その学識経験者中に、港湾労働に関係のある方、港湾関係事業に関係のある方、港湾利用に関係のある方、港湾管理者及び一般学識経験者、そういうところか任命いたしたいと思います。
  54. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そうすると、この経験者の中に港湾労働者からも出てくる、こういう意味ですね。
  55. 佐藤朝生

    政府委員佐藤朝生君) ただいま申し上げましたうちの港湾労働に関係のある者というところに入ります。
  56. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 次に、同和対策審議会について伺いますが、これ二年たってことしもう切れるのでさらに二年延長するということでありますが、これは実際委員の選任がずっとおくれて、昨年の年末に発足するというようなことになったんじゃないですか。こういうことでは、せっかく二年という期限が切ってあるのに、会期が切れるころにやっと委員が選任になる、専門員はまだきまっていないというような実情でありますが、これは今度延長いたします場合に、委員はそのまま引き続いてなっていくのか、あるいは専門員はすみやかに適定するめどがついておるのか、その点について伺っておきたいと思います。
  57. 佐藤朝生

    政府委員佐藤朝生君) 同和対策審議会お話のとおり、一昨年の八月ごろ成立いたしまして、委員の選考にちょっとてまどりまして、昨年の暮れ発足したわけであります。この審議会委員、現在二十名のうち十九人任命しております。これは官庁関係で一人だけ欠けておりますが、一般学識経験者全部任命しております。この審議会のメンバーで、もちろん今度二年間延長いたしますれば、同様のメンバーで継続したいと考えている次第であります。  それから第二番目に専門調査員のお話がございましたが、専門調査員につきましては、この法律にもございますとおり、専門事項を調査するためということで専門調査員を置いてあるわけでございまして、昨年の十二月発足いたしまして、二、三回フリー・トーキングをやりまして、それから委員の方が実地調査をいろいろされました。これからその部落関係のいろいろな実態調査をいたすという段取りになりますので、早急に専門調査員を任命する必要に迫られておりまして、近日のうちにこれを任命いたしたいと存じております。
  58. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 予算的には三百何万ということで、これから実地調査を相当広範におやりになるでしょうし、また、不便なところもあるわけですが、たいへんな調査になると思います。経費の点でこれは調査が十分行なわれないのではないかという懸念をするのですけれどもね。これは前年は調査費は組んでなくて、本年初めて調査費がつくわけですが、これでは少ないのではないかという気がしますが、いかがでしょうか。
  59. 佐藤朝生

    政府委員佐藤朝生君) お話のとおり、前年度の予算には調査費は組んでございません。本年度、昭和三十七年度の予算に、正確な数字を忘れましたが三百万円くらいの実態調査費を組んでおります。これで調査いたし、まあどういう方法で調査いたすか、これから専門調査員の方の専門的知識にもよりまして審議いたしたいと存じておりますが、その調査の仕方によって、まあ調査費が足りるかどうかということも問題起こるかと存じますが、われわれといたしましては、現在のところこの調査費によりまして、十分とはいきませんかもしれませんが、相当な調査ができるものだと思っております。
  60. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 まあ部落問題、やはり国の大きな力によりまして、また、関係各省の協力も得てすみやかに解決の方向へ努力をするという点が非常に重要だと思いますけれども、かりに、ここにありますように、二年延期してなお不十分であるという場合には、さらに延長されるという考え方があるのかどうか。
  61. 佐藤朝生

    政府委員佐藤朝生君) 前の期間が二年でございまして、この七月でございますか、七月から二年間延期いたすわけでございますが、この間にいろいろ御承知のとおり、この問題非常にむずかしく複雑な問題でございますので、十分実態も調査いたしますし、また、委員方々の御意見も承りまして、総理大臣から諮問事項もすでに出ておりますので、この諮問事項の答申をいただくわけでございますが、現在のところ、二年間の間にその答申をいただく予定でやっておりますが、今申し上げましたように、非常に複雑な問題でございますので、その二年間に十分な結論が得られないときは、またそのときに考えたいと存じます。
  62. 下村定

    ○理事(下村定君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  63. 下村定

    ○理事(下村定君) 速記を始めて。  この際、委員の異動について御報告申し上げます。  本日、木村篤太郎君が辞任され、村山道雄君が選ばれました。     —————————————
  64. 下村定

    ○理事(下村定君) 総理府設置法等の一部を改正する法律案につきまして、他に御発言がなければ、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 下村定

    ○理事(下村定君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。石原君から委員長の手元に修正案が提出せられております。本修正の御意見は討論中にお述べを願います。なお、御意見のおありの方は、原案並びに修正案に対する賛否を明らかにしてお述べを願います。
  66. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております総理府設置法等の一部を改正する法律案に対する修正案を提出したいと思います。修正案はお手元にお配りしてありまするので、それによって御承知を願いたい思います。  次に、その理由を申し上げます。この法律案は、一部の規定を除き、昭和三十七年四月一日から施行することになっておりまするが、四月一日は、すでに経過しておりまするので、附則中の昭和三十七年四月一日を、公布の日に改めるとともに、改正後の定員に関する規定は、これを四月一日にさかのぼって適用する必要がございます。よってここに修正案を提出する次第でございます。  以上の修正部分を除く原案に賛成いたしまして、私の討論を終わります。
  67. 下村定

    ○理事(下村定君) 他に御意見もないようですから、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 下村定

    ○理事(下村定君) 御異議ないと認めます。  それではこれより総理府設置法等の一部を改正する法律案について採決に入ります。討論中にありました石原君御提出の修正案の問題に供します。石原君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  69. 下村定

    ○理事(下村定君) 全会一致と認めます。よって石原君提出の修正案は可決せられました。  次に、ただいま可決せられました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  70. 下村定

    ○理事(下村定君) 全会一致でございます。よって本修正案は、全会一致をもって修正すべきものと議決せられました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 下村定

    ○理事(下村定君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたしました。     —————————————
  72. 下村定

    ○理事(下村定君) 次に、科学技術庁設置法の一部を改正する法律案議題といたします。本案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。なお、本案は、衆議院において、お手元に配付いたしましたように若干修正されておりますので、御了承願います。政府側出席の方は、三木科学技術庁長官島村官房長、杠原子力局長、杉本計画局長方々であります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  73. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 科学技術庁に研究調整局を新設するという問題につきまして、若干まず伺いたいのですが、私どもとしましては、局を新設するということについては、原則として賛成できないわけでありますが、しかし、この科学技術庁の研究調整局を新設するということの意義からいいまして、賛意を表明をいたしますが、この中で、従来振興局で行なっておりました調整機能というものを、新しく設けます調整局に持ってくるわけでありますが、その場合に振興局に、国際交流に関するものは残った、どういうわけで、関係行政機関の科学技術に関する国際交流の調整が、振興局に残ったのかという点を、伺いたいと思います。
  74. 島村武久

    政府委員(島村武久君) 大臣がちょっとおくれましたものですから、私からお答えさしていただきたいと思います。  お尋ねのように、国際交流関係業務は、行政機能の一つとして、科学技術庁が、従来とも取り扱ってきておる問題でございますけれども、今回、この国際交流に関しての仕事だけを、いわば研究調整局の中からはずしまして、振興局で相変わらず取り扱うことといたしましたのは、もっぱらその内容からきたわけでございます。従来、国際関係仕事といたしまして、科学技術庁が取り扱って参りましたおもな問題は、まず第一に、技術導入関係仕事、第二に、留学生の派遣あるいは受け入れ等、人物交流の問題等でございます。これらは、私どもが今回ねらいといたしました研究そのものの調整といいますよりは、むしろ現実的な仕事、現業の色彩の濃い調整事務でございますので、これを振興局に置いて扱うことにしたほうが、より実際的であろうと考えたからでございます。もっとも、従来、これは振興局の業務課というところで取り扱っておったのでございますけれども、従来のその仕事だけで満足するわけではございませんで、私どもといたしましては、このような科学技術の全般の動きというものから見まして、将来、科学技術庁も、現在よりはもっと多く国際的な感覚というようなものを身につけまして、ただいま申し上げました二つの大きな仕事のほかに、新しく、国際的な科学技術交流上のいろいろな仕事をやっていきたいというふうに考えております。ただ、いずれも、計画的に研究調整というものそのもの自体ではなく、仕事性質が非常に現実的な、実務的な仕事が多いものでございますから、これを振興局に残したわけでございます。もっとも、国際交流の仕事をやって参ります場合に、中身が研究上の問題になりますれば、必要に応じまして、研究調整のほうで、国内問題として処理することもございましょうし、長期的な計画面、政策面というようなことで、交流しなければならぬ問題は、これは、やはり同じ庁内の計画局で中身を検討、審議するというような場合が予想されます。その窓口といたしましては、これを振興局に置いて、一元的に取り扱うということにしたいと考えておるわけでございます。
  75. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 従来振興局にありました中の重要な部面が、今回、研究調整局に移るわけですが、その場合に、残った振興局の仕事というのは、現業的な業務になるわけですが、その場合に、こういうような国際交流に関するものが、振興局に残るというのは、どうも納得しにくいように思いますし、これは、研究調整局が、今後、各行政機関の科学技術行政総合調整を行なうものと一体のものとして、調整をはかっていったほうが、より合理的ではないかというふうに思うわけです。しいてここに残す必要もないのじゃないかというような気がしますが、ただ残ったこの振興局が——残ったといいますと変ですけれども、中身の重要な部分を調整局に持っていきますから、残った振興局が、どうもこれくらいの仕事を持っていなければというようなことではないかという気すらするわけです。ですからこれは調整局のほうに持っていったほうがいいのじゃないかというふうに思うわけです。
  76. 島村武久

    政府委員(島村武久君) ただいまも御説明申し上げましたように、新設の研究調整局のねらいは、あくまで研究の調整ということに主眼を置いておりますので、どうも振興局のほうが、何と申しますか、やせますので、これくらいは置いておくということにしたのじゃないかということは、今伺いまして、なるほどそういう考え方も出てくるかと気がつきましたくらいのことでありまして、私どもといたしましては、あくまで国際的な関係仕事と申しますものは、ただいまも例を引きましたように、技術導入の審査でありますとか、留学生の派遣、受け入れというような、研究調整自体とは相当いわば異質の仕事のように思いまして、むしろ振興局に置いたほうがベター、かりに振興局がやせ細りませんで、大きなままでございましても、これはやはり振興局でやったほうが性質的にいい仕事だ、さように考えて、何と申しますか、機構改正後の振興局に、やはり置くという案をこしらえました次第でございます。
  77. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 改良後の振興局は、技術導入審査、発明奨励等、それに科学技術庁にありますところの三つの研究所、こういうものを取り扱うところになるのじゃないかと思うのですね。その場合に、この各行政機関の研究調整をやられる。それは当然国際的な科学技術の関係において、調整をやられる面が眼目としてあると思うのです。その場合に、この各行政機関の重要な国際的交流を、これは調整機関に持っていったほうがすっきりするし、そのほうがいいのじゃないかと思うのですがね。
  78. 島村武久

    政府委員(島村武久君) おっしゃるような意味も確かにあると思いますのでございますが、それはたとえば技術導入いたします場合にも、国内の研究調整とにらみ合わせてやったほうがいいじゃないか、こういうお説だと思いますので、その点に関しましては、私どもも同感に思います。ただ、同じ国際関係では、従来計画局で担当いたしておりましたアタッシェとの連絡仕事というようなことも、すべて国際的なものを一元化したいという気持もございます。単に研究調整につながる問題だけを、ここで取り扱うわけでもございません。アタッシェとの連絡等につきましても、その中身の問題になりますれば、従来どおり、計画局で、やはり内外の調査というようなこともいたしておりまして、内部的には、どうしても相触れ合う面があるのは、これは鶴園委員もよくおわかりいただけると思います。同じ科学技術庁の中で、相互連絡し合ってやっていかなければならない問題はたくさんある、しかし、大きな分け方から考えまして、研究調整局は、もっぱら研究上の調整ということに主眼を置いた仕事をやって参ります。むしろいろいろな国際的な問題、これはもう現実の問題としては、現業的なものが非常に多いわけでございます。振興局におきまして、あと問題に応じまして、その他の局とも、内部的に緊密な連絡をとってやっていくということのほうが、より仕事がやりやすく、合理的であるというふうに考えたわけでございます。
  79. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 次にお伺いいたしますのは、審議官の五名以内が三名以内になりまして、二名減じて、そのうち一人を局長に振りかえる。それから、改正後の課の構成を見るというと、官房に秘書課という課長並びに課ができまして、そのために科学調査官を振りかえる。それから、研究調整局に新しく課が二つできまして、いずれもこれは研究科学調査官を振りかえる。振興局にも課が一つできまして、これも調査官を振りかえる。つまり、局を一つ作るという、局長を作るために、審議官が減る、課を新しく作るために——五つの課ができるのですが、五人の調査官が減る、こういう形になっておるわけです。そこで、まあ私の感じとしましては、科学技術庁とか、あるいは経済企画庁、こういう官庁は、新しくできました総合調整の機能を持った機関でありますが、これらは審議官とか、あるいは調査官、こういう新しい制度といいますか、こういうものを生かしていく官庁ではなかろうかというように思っておったわけですが、今回続々課に切りかえられる、審議官も減る、これは経済企画庁でも同じような措置がとられているわけですが、この点について、私としましては、科学技術庁というのは、こういう審議官制度とか、あるいは科学調査官制度、こういうようなものを生かした新しい官庁として、各行政機関総合調整していく機関として発展すべきではないだろうかというように思っておるわけですけれども、こういうような傾向は好ましくないという感じがするわけですが、長官のお考えを承りたいと思います。
  80. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 審議官、調査官が、お話のように、総合調整をやっておる経済企画庁、科学技術庁などには役割があるというお説は、そのとおりだと思います。しかし、今回は、行政組織の簡素化の要請もありまして、どうしてもやはり、研究調整局のようなものがあって、もう少し科学技術の面におきまする研究が細分化されていくと、これを総合するような機能というものがこれから大切になってくる、それを審議官というような形でやるよりも、やはり一局を設けて責任を明らかにしてやるほうがいいのではないか、そういう点から、この審議官が実質的には一人減るようになるわけですが、またそういうことに伴って調査官が課長になるわけですが、そういう一方においては行政組織の簡素化の要請もあり、どちらかということになってくると、ああいうことをやることが科学技術庁の役割がもう少しよく果たせるのじゃないかということで、それを選択したわけでございます。しかし、審議官、調査官の役割というものも、やはり否定するものではないのですけれども、今度の場合はそういう選択の上に立ってそういうことにいたしたわけでございます。
  81. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 こういうふうに課が五つできまして、そのために科学調査官が振りかえられる、あるいは局ができるために審議官が減る、こういうことで考えられますことは、先ほども申し上げましたように、新しくできましたこういう科学技術庁なり、あるいは経済企画庁という、各行政機関総合調整の機能を持ったこういう機関は、どうしてもやはり、審議官なり、あるいは調査官という制度を十分生かした行政官庁として発展したほうが望ましいのではないかというふうに思うわけですけれども、今お話しのように、機構簡素化というような問題等もあって、二者択一的な形になってしまって、減ってしまうということになるわけですが、どうも結果として考えられますことは、局を新しく作る、あるいは課を一つふやすということは、なかなかむずかしい。そこで、まず審議官というものを置く、あるいは調査官というものを置く、これはそれに伴って定員がふえる必要もないし、そのまま置く、そうして時期がきたら審議官を減らして局をふやす、あるいは時期がきたら調査官というものを減らして、そうして課長を置く、課をふやす、こういうような結論になるのではないか。行政官庁として見ました場合に、ぜひ、こういうような新しい官庁、しかも総合調整の機能を持った機関としては、審議官なりあるいは科学調査官というものの制度がりっぱに運用される官庁になってもらいたいという希望を持っているわけですが、どうもまた昔の日本の官庁みたいな形に戻っていく、はなはだ遺憾に思うのですけれども、長官のひとつ御意見をもう一ぺん承っておきたいと思います。
  82. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) やはり、審議官あるいは調査官というものの活用ということは、よく研究されなければならぬ問題を含んでいると思います。建前としては、非常にいい建前であります。しかし、十分に審議官や調査官が活用されていない面も今まであった。そういう点、これはやはり検討すべく、われわれも行政機構全般に今検討を加えているわけであります。科学技術基本法の制定ということを通常国会に出そうと思っておりますが、そういうときに、審議官あるいは調査官、こういう人たちのあり方に対して検討を加えてみたいと思っているわけであります。科学技術行政全般に対する再検討をしたい。しかし、現在のところ、研究調整局というものは、事業部みたいな感じがいたしたものですから、多少妥協したきらいがあるのであります。審議官は、これは活用しなければならないことは、今おっしゃるように、なかなかこれは、総合調整をする官庁としては、これを使えば、非常にいろいろ新しい役所としての機能を発揮する上において大事な機構であるわけです。将来においては、お話の点は十分検討してみたい、しかし、研究調整局はぜひ置きたい、こういう局があって、そうしてばらばらになっている日本の研究に関する行政をもっと責任を明らかにした局において総合したいということで、局の新設ということを非常にわれわれは希望したために、行政簡素化の要請に妥協した面も実情においてはあるわけであります。将来の問題としては、検討を加えたいと思っております。
  83. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 次に、放射性降下物による障害の防止のことに関して、関係行政機関の講ずる施策総合調整、これを科学技術庁に権限を付加するという問題でありますが、昨年九月、ああいうふうにソビエトの核爆発の実験再開等によりまして、放射性降下物に対する非常な国民の関心が高まりまして、閣議決定によって本部が設けられておるわけですが、どうも私どもの感じといたしまして、前回ビキニの問題が起こりましたときに厚生省にこういうような機関が設けられたように思っておりますし、また原子力委員会にもこういうような機能を営むものが設けられておったようにも思いますが、昨年またソビエトの核爆発の実験、これに刺激をされたということでしょうけれども、閣議決定で設けられる——何か一貫しないようなものを感ずるわけですけれども、こういう放射性降下物に対する調査、あるいはその危険防止に対する対策というものは、相当長期にわたって、しかも各般にわたって調査を行なわなければならぬと思うのですけれども、どうも一貫性を欠いておるように思うのですけれども、対策本部が設けられるまでの経緯をちょっと伺っておきたいと思います。
  84. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 御承知のように、放射能対策につきましては、これは関係する省庁というものは相当多いわけであります。そこで、これをばらばらにやったのでは、目的を達成する上において好ましくないと考えましたので、ソ連がああいう相当大型な核爆発実験をやると、相当放射性降下物が日本にも累積されていく傾向もございましたので、まあ御指摘のように、放射能対策本部を作ったわけでございます。そこでやったことは、まず全国における調査機能というものを強化しよう、調査ばかりじゃなくて、その降下物の中に含まれる各種の——ストロンチウムとか、セシウムとか、こういう各種の分析機能を強化していくということで、研究促進調整費等も加えて一億円くらい金を出しまして、そして調査する個所をふやしたわけでございます。大体日本の全土に調査の網を張っておるわけでございます。そして、どういう状態になっておるかということで、必要に応じて国民に対して、こういうふうにしてもらいたいという指示をする。現在のところは、まだ多少はストロンチウムなどがふえていっておる傾向はありますけれども、何らかの対策を講じなければならぬというところまではきていないということで、実際目に見えた対策というもので動いていない感じがいたすのでありますが、しかし、やはり実情はどういうものであるかという調査、分析の機能を強化することが対策の出発点でありますから、こういう点においては今までよりもずっと強化されておる。また、最近では、アメリカがクリスマス島周辺で核爆発再開をやりそうな気配になり、相当広範な地域を禁止区域に指定して参りましたので、これに対しても、今まで多少は累積になっておる放射性降下物が、これにまた新しくそういう太平洋における核爆発実験が行なわれるわけでありますので、アメリカでそういう発表があると、直ちに対策本部の総会を開きまして、あらゆる場合を仮定して、そして、今こういう段階ではこうしよう、ああいう段階ではこうしようという対策を、あらかじめそういう対策というものを練っておるわけでございます。最初は、そういう禁止地域あるいはその周辺に立ち寄らないように、漁船とかあるいは貨物船等に対して注意を徹底する、あるいはその周辺に行く船の乗組員に対していろいろな注意事項を徹底する。それから、それがひどくなってくれば、段階を置いて対策というものをきめておいて、それに従ってやろう。この問題は、あらかじめいろいろなことを発表して——現実に相当どういう状態が、アメリカの核爆発実験というものが、どういう程度のものが行なわれてどうなるかということを、こちらのほうは、十分調査網、場合によったら調査船も派遣してやろうという考えですから、その前にこうだああだと言うことは、あまり仮定の上に立って言うことは、かえって国民に不安を与えてよくないのではないか、そういうことで、放射性降下物に対する対策としては、いろいろ御批判もございましたけれども、まずわれわれとしては、これは安全といったところで、核爆発実験をやめてもらう以外には方法はないわけです。これはどんな対策を講じても、無害であると言うことはできないわけでありますが、なるべくこれを、現在の科学技術の水準で、その被害を最小限度に食いとめたいというわれわれの考え方というもので、割合一元的な今対策本部になっている。また、今度は原子力委員会の中に——今までも調査機能というようなものはこの原子力委員会職務の中になっておったわけでありますが、今度は対策についても、その基本に関しては原子力委員会責任を持つというふうな機構の改正等も行ないまして、そういうことで、この国民に対して非常に不安な感じを与えます放射能対策については、ばらばらにならないような配慮は、できるだけのことはいたしておると考えるものでございます。
  85. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私どもの感じとしまして受け取られますことは、各行政機関のこういう調査をしている人たち、これはどうも、興味といいますか、関心といいますか、そういうものを持った人たちが調査をし、あるいは分析をしているような形になってきているのではないだろうか。そうして、今お話しのような、昨年のソビエトの核爆発以来、こういうような本部が設けられて、それに対して今お話しのような一億というような金を流用し、あるいは予備費から持ってこられましてやられたという形で、何となく政府責任を持って調査をし、あるいは予防対策を出されるのではないかという期待を持っていると思います。しかし、どうも実態は、国民のそういうような期待にこたえるようなものではないのではないかという懸念があるわけです。もっと統一的に、一元的にやられる必要があるのではないか。何か閣議決定でこういうものを設けられますと、ややもするとそういうような感じがしますが、実態はどうもそうではないのではないか。各行政機関の試験研究機関におります人たちの興味とか関心とかいう程度の調査に終わっているのではないか。今回また、御承知の、今長官お話しのように、四月の末になりますと、アメリカがどうも大がかりなことをやりそうな気配がありますし、続いてソビエトもまた再開をするという形跡にもなってくるということになりますれば、さらに一そうこの放射性降下物に対する国民の関心というものは非常に強まって参ると思いますが、しかも、御存じのように、この核暴発というものが公然たる武器になっております。過去三年間中止されておりましたけれども、どんどんやっておるわけです。そういう意味から、これは長期にわたった調査なり、そういうものがやはりあってしかるべきだ。その意味で、せっかくこういうような権限が科学技術庁に付加されるという機会に、統一的に、一元的にやはりそういう機関設置する必要があるのじゃないだろうかという私としては気持なんです。そういう点について、長官のお考えを伺いたいと思います。
  86. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) そういうわれわれも必要を感じまして、参議院で御審議を願っております原子力委員会職務の中に、放射性降下物に対しての調査あるいは基本的な対策、こういうものの責任を原子力委員会が持つということに、今回設置法改正して、法文の中にこれを明らかにしたわけであります。今までも、やるとすれば原子力委員会が、こういう問題も従来の研究いたしております題目と一番近いわけであります。原子力委員会は、原子力の平和利用という——放射性降下物はもとは平和利用からきておるわけではない。現在は軍事的な目的の核爆発実験から放射性降下物の問題が起こっておるわけでありますが、しかしこれは、現在に、そういう出発点はともかく、日本の内地においてはこういう被害を受けるわけでありますから、原子力委員会本来のこれは業務とは思えないけれども、これを明らかにする、その責任のあることを明白にして、ここで基本的なものをきめるわけですから——これを実際にやるのは各行政機関がやる——これが国民に対して責任を負うわけでありますから、従来よりも御指摘のようなこの問題に対する一つの責任の所在というものはよほど明らかになって参る。これ以上また別の機構というものは考えていない。この原子力委員会を一番責任の主体としてやっていく。そして、原子力局の中に放射能の課部も設けまして、これはいろんな行政事務をとらすようにしたいということの改正を行なったわけでございます。
  87. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 原子力関係の試験研究関係というものも、大部分はやはり科学技術庁が直接おやりになっておるわけですが、私としましては、この原子力委員会で、そういう調査のやり方なり、あるいは防止の方法なり、そういう問題についてここで処理されるということはけっこうだと思いますけれども、各行政機関がやっておりますところの放射性降下物、それに対する調査あるいは防止対策、こういうものを、各行政機関がやっておるものを、一元的に処理する、そういう機関が要るのじゃないかというふうに思うわけなんです。特に、この原子力関係については、もう御好じのように、科学技術庁はこの大部分をやっておられるのでありますから、この科学技術庁において、直接各試験研究機関が行なっておるものを統一してやる、そういう機関というものを設ける必要があるのじゃないかというふうに思うわけです。で、科学技術庁の中に研究所もあるわけですし、そういうところに今私が申し上げたようなことをやらせる。そのことが、今行なっておりますような、各行政機関が個々ばらばらに、あるいは興味の程度でやっているようなものを一元化して、国の責任において対策を立てる、あるいは調査を進めるという、そういう点がはっきりするのじゃないだろうかというふうに私は考えるわけなんです。今の長官お話ですと、どうも原子力委員会では私不十分じゃないかというふうに思いますがね。
  88. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 御承知のように、調査をするにしましても、船、あるいはまた各地にある気象庁こういうもので、実際施設は原子力委員会とは関係がない。また、科学技術庁とも関係がない。やはり、科学技術庁というものの役所の性格というものが、現実にそういう調査機関を持つというのではなくて、総合調整というところに科学技術庁としての役所の主たる性格があるわけです。  そこで、今度の場合も、原子力委員会がこれは一番責任を持つわけですから、そうしてここでいろいろな基本をきめるわけですから、きめれば、その原子委員会できめたことを受け継いで、科学技術庁で総合調整をやるわけです。これで今までとはよほど、原子委員会に対しても、設置法に対しても、改正を加えましたし、なるべくこういうばらばらにならないようにという配慮を加えたのであります。これでやってみたいと私は思うのです。やれると考えるのであります。これで非常にやりにくいというようなことなら、さらに、御指摘のような、もう少しやり方を変えるような場合も考えてみたいと思いますが、よほど前進したわけですから、今までは、何もそこまでやるということは、原子力委員会責任にはなっていなかったわけです。これをやってみたので、こういうことでひとつ出発して、これがうまく一元的に運営できぬということならば、さらに方法を考えることは、われわれはいとわないものでございます。
  89. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 確かに、科学技術庁が科学技術行政総合調整、それが大きな任務であるということは承知いたしておりますが、ただ原子力関係につきましては、科学技術庁自身がやっておられる。非常に大きな部面を持っておられるわけですし、さらに科学技術庁の付属機関として、放射線医学総合研究所というりっぱなものもあるわけですし、こういうものを持っているのはほかにないわけですからして、こういう機関に、やはり各行政機関の試験研究を行なっているところの放射性降下物なんかの調査を、こういうところで現実に総合調整されるというようなふうに進められたほうがいいのじゃないだろうかというふうに私は思うわけです。
  90. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) また放射性降下物の分析ですね、何が入っているかとかいうことについては、放射線医学総合研究所などは、これは中らになっております。ただしかし、雨であるとか、あるいはいろいろな農作物に対してとか、これはどうしてもそれを一元的にというわけにはいきませんから、そういう点では、やはり各省責任を分担してやったほうがいい。しかし、今言ったような、一番大事な一体放射性降下物の内容はどういうものかというようなことについては、御指摘のとおり、これは一元的にやったほうが好ましい。そういうことで、放射線医学総合研究所というものはその役割を果たすことにしている。しかし、いろいろの調査については、いろいろな役所の機能、機構というものを使うことが実情に沿うということで、それをあまり一本にといっても、これはできませんから、そういう点では、総合調整ということでやっていきたいと存じます。
  91. 下村定

    ○理事(下村定君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時三十分散会      ——————————