○国務大臣(三木武夫君) 御承知のように、放射能対策につきましては、これは
関係する省庁というものは
相当多いわけであります。そこで、これをばらばらにやったのでは、目的を達成する上において好ましくないと考えましたので、ソ連がああいう
相当大型な核爆発実験をやると、
相当放射性降下物が日本にも累積されていく傾向もございましたので、まあ御
指摘のように、放射能対策本部を作ったわけでございます。そこでやったことは、まず全国における調査機能というものを強化しよう、調査ばかりじゃなくて、その降下物の中に含まれる各種の——ストロンチウムとか、セシウムとか、こういう各種の分析機能を強化していくということで、研究促進
調整費等も加えて一億円くらい金を出しまして、そして調査する個所をふやしたわけでございます。大体日本の全土に調査の網を張っておるわけでございます。そして、どういう状態になっておるかということで、必要に応じて国民に対して、こういうふうにしてもらいたいという指示をする。現在のところは、まだ多少はストロンチウムなどがふえていっておる傾向はありますけれども、何らかの対策を講じなければならぬというところまではきていないということで、実際目に見えた対策というもので動いていない感じがいたすのでありますが、しかし、やはり実情はどういうものであるかという調査、分析の機能を強化することが対策の出発点でありますから、こういう点においては今までよりもずっと強化されておる。また、最近では、アメリカがクリスマス島周辺で核爆発再開をやりそうな気配になり、
相当広範な地域を禁止区域に指定して参りましたので、これに対しても、今まで多少は累積になっておる放射性降下物が、これにまた新しくそういう太平洋における核爆発実験が行なわれるわけでありますので、アメリカでそういう発表があると、直ちに対策本部の総会を開きまして、あらゆる場合を仮定して、そして、今こういう段階ではこうしよう、ああいう段階ではこうしようという対策を、あらかじめそういう対策というものを練っておるわけでございます。最初は、そういう禁止地域あるいはその周辺に立ち寄らないように、漁船とかあるいは貨物船等に対して注意を徹底する、あるいはその周辺に行く船の乗組員に対していろいろな注意事項を徹底する。それから、それがひどくなってくれば、段階を置いて対策というものをきめておいて、それに従ってやろう。この問題は、あらかじめいろいろなことを発表して——現実に
相当どういう状態が、アメリカの核爆発実験というものが、どういう
程度のものが行なわれてどうなるかということを、こちらのほうは、十分調査網、場合によったら調査船も派遣してやろうという考えですから、その前にこうだああだと言うことは、あまり仮定の上に立って言うことは、かえって国民に不安を与えてよくないのではないか、そういうことで、放射性降下物に対する対策としては、いろいろ御批判もございましたけれども、まずわれわれとしては、これは安全といったところで、核爆発実験をやめてもらう以外には方法はないわけです。これはどんな対策を講じても、無害であると言うことはできないわけでありますが、なるべくこれを、現在の科学技術の水準で、その被害を最小限度に食いとめたいというわれわれの
考え方というもので、割合一元的な今対策本部になっている。また、今度は原子力
委員会の中に——今までも調査機能というようなものはこの原子力
委員会の
職務の中になっておったわけでありますが、今度は対策についても、その基本に関しては原子力
委員会が
責任を持つというふうな機構の
改正等も行ないまして、そういうことで、この国民に対して非常に不安な感じを与えます放射能対策については、ばらばらにならないような配慮は、できるだけのことはいたしておると考えるものでございます。