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1962-07-05 第40回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年七月五日(木曜日)    午前十時四十分開会     —————————————   委員異動 六月二十五日委員安田敏雄君、平林剛 君及び吉田法晴君辞任につき、その補 欠として千葉信君、横川正市君及び松 本治一郎君を議長において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     河野 謙三君    理事            石原幹市郎君            下村  定君            鶴園 哲夫君            山本伊三郎君    委員            上原 正吉君            木村篤太郎君            吉江 勝保君            伊藤 顕道君            高瀬荘太郎君   国務大臣    国 務 大 臣 藤枝 泉介君   事務局側    常任委員会専門    員       伊藤  清君   説明員    人事院総裁   入江誠一郎君    人事院事務総局    給与局長    瀧本 忠男君    総理府総務副長    官       古屋  亨君    内閣総理大臣官    房公務員制度調    査室長     増子 正宏君    調達庁次長   眞子 傳次君    調達庁不動産部    長       沼尻 元一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国の防衛に関する調査  (北富士演習場に関する件)  (太田大泉飛行場返還に関する件) ○国家行政組織及び国家公務員制度等  に関する調査  (人事院勧告に関する件)     —————————————
  2. 河野謙三

    委員長河野謙三君) これより内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について報告いたします。六月二十五日安田敏雄君、平林剛君、吉田法晴君が辞任され、千葉信君、横川正市君、松本治一郎君が選任されました。     —————————————
  3. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 次に、国の防衛に関する調査を議題とし、北富士演習場に関する調査を進めます。政府側から出席の方は眞子調達庁次長沼尻不動産部長の方々でございます。  御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  4. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この前の六月六日の日に、防衛庁長官並びに調達庁長官約束をした答弁をいただいたのですけれども、その後の北富士中心とした林野雑産物補償の問題のその交渉の経過はどういう程度まで話が進んでおるか、その点ひとつ調達庁当局から詳細に御説明を願いたいと思います。
  5. 眞子傳次

    説明員眞子傳次君) 本年六月六日の当委員会で、長官からこの北富士関係林雑物に関して補償額をはじき出すために客観的に学者意見を徴そうということで、その調査をお願いしておるので、しかもその意見を早く出していただくよう、報告を早くもらえるように交渉しており、それが出たらばそれを尊重し、また、調達庁意見をいろいろ検討し、資料を検討して地元との話し合いに移りたい、こういうふうに答えておりまして、それも六月下旬までには何とかそれをやりたい、こういうようにお答えしておるのでございますが、その後、調達庁から調査を依頼してありました学者の方から一部分報告がありまして、調達庁本庁及び横浜調達局はその報告に関していろいろその学者の方と、この報告に関する理由、事情、その他を打ち合わせておりまして、これが検討が終わりますれば、地元側との折衝に入りたい、こういうふうに考えておるわけでございます。なおまた、学者報告も全部これで出そろったわけではございませんで、学者側では夏休みと申しますか、なお時間をかけて検討して、総合的な報告を出されることになっておりまして、まだ最終結論ではありませんが、とにかく出していただいた報告及び調査資料、そういったものに基づいて今申しましたように、学者の方と相談をいたしておりますが、早急に地元関係者との協議に入るようにいたしたい、こういうふうにはかられておる次第でございます。
  6. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ具体的に聞きますが、学者の全部総合的なものは出てないと言われますが、その中心問題である施肥量の四百貫が正しいのか、二百五十貫が正しいのか、そうい・う具体的な問題で学者意見がもうすでに出ておると思う、そういうものについて、どういうものが出ておるかそれをはっきり……。私はこの前頼んでおいたのですが、できれば学者報告書を当院に出してもらいたい、その二つです。
  7. 沼尻元一

    説明員沼尻元一君) 学者からの報告が当初予定しましたよりおくれましたが、六月二十九日に一部分を除いてただいま次長から話がございましたように、いろいろこれに理論的な構成を要する面もまだあるわけでございますが、この前の国会で、先生のほうから、そのすみやかに適正化をはかるための資料というものはそう完全なものでなくてもできるじゃないかというようなお話もございまして、私たちもそういう線で、そう完璧なものでなくてもわれわれが判断し得る程度資料をすみやかに出してほしいというようなことでお願いをしておったわけですが、それが先月の二十九日に出て参りました。現在ただこれは非常に私たちも急いでもらった関係もございまして、そのまた内容が私たち自体にも学者から説明を聞かないと不十分なような感じもいたすのでございます。そういう点を二十九日以来横浜局中心にして不明な点等聞いているわけでございますが、こういう資料が出て参りましたので、こういうものを参考にいたしまして、すみやかに調達庁案というものを作りたいというふうに考えておるわけでございます。この資料の中からはただいまお話がございましたが、まだこの前お話がございました、たとえば貫当たり何貫とかそういうものがすぐに出てくるというようなものではございません。ただここでこの資料というのは、現在のこの北富士演習場周囲における各関係農家実態というようなものを基礎にした資料でございまして、そういうものから私たちとしては客観的に妥当な正当なものを把握して調達庁案を作って一日も早く地元側と交渉いたしたい、このように考えております。
  8. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは約束が違うのです。そういう学者のやつを参考にして、そうして調達庁案を作るとか、そういう問題ではなかった。学者にそういう調査を命じて、結果が出ればそれによってやるのだ、こういうことなんです。ところが私の聞くところでは、その問学者には調達庁からいろいろ意見が出て、逆に学者のほうに対して注文をつけたというようなことも聞いているのです。しかし、それはあるないにかかわらず、学者が今言った反別に何貫必要であるかということをどう出したかということ、それからわら値段ですが、どういうように結果が出ているか。それから運賃についてはどう考えているか。そういうものは具体的に出ていると思うのです。そういうものが出ておらなければ何が基礎調達庁案を作るのですか、学者意見というものが出ていると思うのです、その出ているやつをここで言ってもらいたい。その上でこういう点、学者の言っている点が調達庁として異議があるのだ、したがって、調達庁はこういう意見であると、そういう答弁をしてもらわないとわれわれとしては納得できない。それを僕は要求しているのです。
  9. 沼尻元一

    説明員沼尻元一君) 何分にも二十九日に出てきたわけでございまして、ただいま、これも簡単にすぐに.一目してわかるような資料ではございません。そういう点を今検討しているわけでございまして、この内容をつまびらかに御紹介するにはもう少し時間をかしていただきたいと思いますが、私たちがこの調査で考えておりますことは、一つにはこの各関係入会組合補償の均衡というような点も考えておるわけでございます。しかし、昨年来の経過から、ある組合は自分のところが受取額が、補償額があまり少ないとか、そういう不平もあるのでございますが、そういうことから調達庁やり方が公平を欠くような御意見もだいぶございまして、そういう点を考えて私たちとしては一応これは学者調査からそういう点の客観的な妥当性というものを把握したい、そういう点を含めてまあ私たちとしては従来の私たちやり方が間違っておるとは考えておりませんけれども、しかし、調達庁やり方に対して少し公平を欠くというような声がございますので、一応第三者の御意見も聞いた上で調達庁案というものを作りまして関係者協議に入りたい、そういう意味でこの学者調査というものも各関係入会組合部落全体についての調査でございまして、その中から調達庁の従来やっておったやり方がはたして妥当か妥当でないかというようなことも判断されるわけでございまして、そういうことから、私たちとしては反省すべきものは反省して公平なものを作って皆さんと相談したい、このように考えておるわけです。
  10. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 どうもあなたの答弁を聞いておると、きょうのこの内閣委員会出席した人であれば、少なくともこの問題を、これは一年以上取り上げている。これをずっと出席しておる人なら理解しないです。そもそも学者調査をしてもらうという、客観的なものを見るのは、学者の立場で客観的なものを出そうというのでしょう。そういうことで出て、直ちにそれによってやるということを何回となくあなたらがここで答弁しておるのですよ。それを学者から出た調査参考にして調達庁のほうで案を作る、そして相談してやる、そういうことは聞いておらない。したがって、学者調査がいつ済むか済むかということでわれわれ待っておった。出たけれども、膨大なものでなかなか判断に苦しむ。あなた専門的に長い間やっておるのですよ。二十九日、すでに四、五日の間とっておる。見れば中心はどこにあるかということはわかるでしょう。ここで私は解決する答弁をしろと言っておるのでない、こうしたいという答弁をしろと言っておるのでない。学者の出した中心の問題はどうなっておる。どういう工合になっておるかということを聞いておる。どういうものであるかということが言えないのですか。その上で、それが調達庁として気に入らぬのか、そうであればどこが気に入らぬのか問題が明らかになるでしょう。それを尋ねておるのです。それを抽象的にごたごた言ったってだめだ。もう一度長官もおるからあなたそれをはっきり言いなさい。
  11. 沼尻元一

    説明員沼尻元一君) 学者から出てきました調査の概要を申し上げますと、私たち主眼点としては、現在草の補償というものは、農家が実際草を必要とする量、そういうものから実際に現実に草を取った量を引いて、その差額補償するというような立て方をいたしておりますが、一体どの程度部落が草を必要とするか、そういうものを把握する前提としていろいろな調査が必要でございます。そういうことで学者から出てきた調査内容を申しますと、まず第一に、たとえば農家数のどの程度農家の数が、たとえば忍草には何戸あるか、中野には何戸あるか、上吉田には何戸あるか、農家数、それから農家における労働力というようなもの、それから各農家農業経営規模別労働力というようなもの、また、各農家経営規模別耕地面積はどうなっているかというような点、また、作付の作物面積、これは水稲がどうで麦類がどうかとか、そういうふうな作物面積というようなもの、それから先ほどの使用量関係しております飼養家畜の頭数というようなもの、また、演習場から草を運ぶにはどういう運搬機具を使っているか、そういう点、それからまた、家畜を養う養畜施設、そういう点についての実態、それからそういう点から推しての堆肥推計量というもの、また、この飼料の、これはまあ牛や馬に与える飼料でございますが、そういうものの一日当たり供与量、そういうこれは草の必要量を把握するための資料としてそういうものが学者のほうから各関係入会組合別に提出されておるわけでございまして、これもいろいろな数字が入りましてこまかい内容になっておりまして、これを二十九日にいただきましてから、この点についていろいろ説明を聞かなければわからない点もございますので、横浜局が現在こういうわからない点を学者に聞いておりますが、そういう点について一日も早くはっきりいたしまして、それに基づいて、私たちといたしましては、この点から私たりなりの一応の考え方というものを導き出したいというふうに考えておるわけでございます。
  12. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなたの言うことは、もう一つも僕の言うことの質問に答えてないのですよ。そういう調査事項をやったということは早くに聞いておるのですよ。その結果がいろいろ農家数とかそういうものは、そんなものを学者調査してもらわぬでもこれはやれることです。反別堆肥が幾ら要るとか、それから乾燥重量でいくか、あるいは半乾重量でいくかといういろいろ専門的な問題はやはり学者でないといかない、こういうことで学者に私は依頼されたのじゃないかと思う。そういう結果が出ていると思うので、そういうものが出て、まだ出ているのだけれども、今そこに持ってなければないでいい、あなたは専門家であって一週間も見ればどれほど膨大なものでも中心点があると思う。初めからずっと目次から見る必要はない。ここが問題だということは、きょう委員会があるのだったら、こういうことを山本質問するだろうということは——中心点を言ってくれ、それさえ解決すればすぐ話ができるでしょう。それをこういうものを調査した、こういうものを調査した、こういうことを聞いておるのじゃない。そういう点がどうなっておるかというものがまだわからないのですが、学者はそれに触れていませんか。
  13. 沼尻元一

    説明員沼尻元一君) 私が二十九日に出した資料を今基礎にした話をしたわけでございますが、これとは別にわら値段とかそういうものについての学者からの報告は別に出ておるわけでございます。ただ、ここで私がこういう点に私たちとしては考え、こういう点も十分考究しなければならないということを申し上げましたのは、これはやはり農家実態というものをある程度たちとしては現実にしっかりと把握しなければいけない。と申しますのは、たとえばある部落によっては専業農家でないところもございます。まあ、半農と申しますか、農業を片手間にやっておるというようなところも中にはあるわけでございますが、そういう部落に対しましては補償が少ないのは、これはまた私たちとしては当然そうならざるを得ないというふうに考えておるわけですが、しかしながら、そういうところが、あすこがあれだけもらっているなら、おれにももう少し補償金を増せというような要求もございまして、そういう点は私たち実態を把握して、あなたのところはやはりそういう農業経営になっていないのだというところから、やはりそれなりの納得をしてもらわなければいけないというふうにも考えておるわけでございまして、そういう点から、まあ全体をおさめるための一つ資料としてこういよ、ものも必要であるということを、この点についてはそういうことを申し上げておるわけでございます。
  14. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 僕は何回もやっているのですからそういうことはわかって、おるのです。北富士東富士における問題点を僕らも調査をして、あなたもそれは専門にやっているのだから、あなたもよく知っているだろう。僕も僕なりに事情を知っておる。それがために学者調査をさせたのでしょう。それが二十九日にその調査が出たのだから、出たならば、こういう点はこうなっているということが、この席で影響があるから言えないなら言えないでいいんですよ。出ておるのでしょう。出ていないのですか。出ておるのでしょう。それがはたしてどうなっているか、こまかい数字はたくさんあるというけれども、中心的な数字はどうなっているか、私はその点がどうなっているかということがわかれば、いわば大体解決のめどというものは、大体この問題については目安がつくのです。それを学者調査が出ておるけれども、その調査数字をやはり調達庁がいらうというのですか。わら値段なり、そういう反別堆肥の量なり、そういう技術的な問題、これはもう技術的な問題でしょう。僕らの尋ねているのはそれです。政治的な問題は、これはまた防衛庁長官なり、調達庁長官が、これはどうしてもいかない場合にはそれは政治的に解決しなければならない。
  15. 河野謙三

    委員長河野謙三君) ちょっと私から関連して……。  非常に初歩な質問ですけれども、補償というものは実損の補償ですか。それとも一つ理論数字を出して、それとの差額ですか。というのは、一つの例が堆肥問題等が出ていますけれども、いわゆる農業経営で米を四石も五石もとることが可能ですね。可能である。その場合には、堆肥四百貫どころではない。七百貫、八百貫も堆肥を入れて、その他経営上の工夫をしてやればとれるわけです。そういう学者が出すところの理想数字というものと現実は非常に離れていますね。まあ現実は、農林省等堆肥で、たとえば稲の場合で申しますと、一反当たりどのぐらい使っているかという現実数字は、平均二百貫ぐらいで押えています。現実理論とが違うわけですね。そこで、学者が調べる場合に、実態調査するために学者を依頼しているのか、その土地の土質その他農業経営調査をして理論数字を出すために学者が依頼されているのか、そこらのところが僕らにはわからないのですね。
  16. 沼尻元一

    説明員沼尻元一君) 実損でございます。
  17. 河野謙三

    委員長河野謙三君) ちょっと待って下さい。そういう点は実損なら実損という場合には、その土地不合理であろうが何であろうが、農業経営は実際こういう不合理経営をやっている、その不合理不合理なりにその実態を調べていってその実損を補償する、こういうことであれば、私は簡単だと思うのです。その不合理をその不合理のままではいけないから、それから多少やはり前進する、農業経営の前進のあれを二年なり三年なりを見てプラス・アルファをする、こういうことが実際の補償になるのか。そこらのところが非常にむずかしいでしょうけれども、まず実損なのか、理論数字との差額なのか、そこのところをはっきり示していただきたい。また、学者には実態調査をしてもらっているのか、理論的農業経営から出てくるところの損害が幾らかということを調査してもらうのか、学者調査の依頼の仕方ですね、これを私は聞いておきたいと思うのです。
  18. 沼尻元一

    説明員沼尻元一君) その補償の建前が、私たちのほうに補償基準——林野雑産物補償基準要綱というものがございますが、この要綱では、この第四条で、平年の採取量からその年の所得額を引いたものを補償するということにしております。そうして平年の、まあこれはややこしい定義になりますが、平年の採取量はどんなふうにして算定するかと申しますと、この使用前の平均年間採取量と、それからその年にどれだけ必要とするかという必要量と、需要の傾向という点を考えて平年採取量というものを算出する。まあ平たく申しますというと、どの程度農家がこの草を、堆肥のためにそういうものを必要とするのか、それを使用前の過去三年間の平均採取量というふうなことを規定しておりますが、それはやはり必要量というものを推定するというような点からもそういう平均採取量——年間平均採取量というもの、必要量というような両方からこの平年採取量というものを考える。そして、それから所得額と申しますのは、たとえば演習場であっても、米軍が演習しないときには草がとれるわけでありますから、そのとれた量を差し引いて補償する、そういう立て方をとっております。
  19. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 今、委員長言われましたがね。その純然たる全国的の農家に要する堆肥量といえば、大体二百五十貫前後であると思います。しかし、御存じのように、富士を囲む北富士東富士は、御承知のように、火山灰で形成されている土壌なのですね。したがって、堆肥量は一般の平均ではいかない。そういうことは御存じですね。そういうことは過去ずっとそういう計数は出されてきていると思うのですね。したがって、新たに多くを要求しておらない。前からやってきた量でいこうというやつを、ことさらに今度はその量を二百五十貫に減そうとこういう案が出たから、いろいろ問題になって、学者調査が出ておるのですね。したがって、もちろん補償だから実損ですよ。政治的なものを解決するのは、これは別の問題であって、富士吉田あたりの意向を聞いてそういう点が相当入ってきておる。そういうことにも意味がある。きょう私の言っているのは、そういうことじゃなくて、学者実態調査をやった結果は出ておるのですね。出ておる焦点は今言ったような数字の問題さえはっきりすれば……。そういう点を調達庁がいらうとなると、これはまた大きな問題ですね。何も理論的なものを出しておるのじゃない。学者実態的なものを出しておるのです。こういう点も私は早急に解決できると見ておるのです。そういう点が今日の答弁では、どうもわれわれとしてはまた引き延ばそうというふうに見える。この間も防衛庁長官誠意をもって早く解決したいという答弁があったから、選挙委員会は開かれなかったが、もうすでに選挙も済んで、しかも学者調査が出たのでしょう。だからわれわれとしては、もうすぐにでもこんなものを解決すれば問題はなくなる。まだ根本的には問題はありますよ。入会権の問題はどうかという問題はあるけれども、そういう点は別として、林野雑産物補償の問題は長い間の懸案であり、また、地元の人もたくさん来ておられるようだが、これは昭和三十五年度の問題じゃないですか。それがまだ実際解決されておらないのですよ。これはその土地のお百姓なり住民の人から見れば、これはもう譲れるものだったら譲りたいという気持になりますよ。二年も過ぎておるじゃないですか。それを学者調査だといって半年も一年も引っぱっておいて、出たけれども、これは相談をして研究をして、また、学者資料参考にしてやるのだ、そういうようなことでは、僕らもそれは納得できませんよ。これは防衛庁長官、どうですか、その点。
  20. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 学者調査は、先ほど来お答え申しておるように出ているわけです。それを二・二が四でやってはたしてそれで実態に合うのかどうかという問題があることは御了解いただけると思う。したがいまして、そうした学者のデータで出してみて、それとやはり従来のやって参りました補償とどういうことになるかというようなところは、これは事務的というよりも、調達庁長官なり私の段階においてさらに検討しなければならぬ問題があると思う。したがいまして、そういう点に問題がありますので、学者調査をもとといたしまして、どういうことになるかということを至急に検討するように今命じておるところでございます。
  21. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 藤枝長官のことだから僕は誠意を持った答弁だと思うのだが、待ちに待って二十九日に出たのです。ですから中心問題がどこであるかということはもう長官もわかると思う。だから、どういうところに問題があるか、抽象的では困るのですよ。問題は堆肥の量とかそれからそれに対する価格、それからそれを購入する距離とか運賃の問題があるが、そういう問題というのは考慮するといっても僕はそう余裕のある幅のあるものではないと見ておる。学者もそういうことを委託された以上は、権威を持ってやったのだから、それに対して反論を受けて、学者はその主張が通らないということでは学者に委嘱したという価値もないでしょう。だから、そういう点がどういう問題が調達庁としてまだ考えなくちゃいけないか。二、二が四というような一それはそういうことでしょう。学者というものが出しても若干そこに考慮する余地はあるでしょう。あるが、学者が一応資料を出した以上は、やはり権威あるものだと私は思っているのですが、学者の出したものに対して、こういう点に疑問があるのだということが具体的に言えませんか。この段階で言えないなら言えないでよろしい。どういう点に言えないという問題があるかということぐらい言えるでしょう。
  22. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 先ほども申し上げましたように、学者が出されたもちろん権威のあるデータでございますが、それをそのままかけ合わせると申しますか、加減乗除いたしまして、それだけでいいかというと、やはり従来の補償をして参りましたいきさつがありますから、それとの関連をどうとるかというような問題はやはり残されておるのでございます。
  23. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは僕は横浜調達局の局長に会ってないから、これは間接に聞いたのですが、ちょっと話が違うのですね。出先では、とにかく学者資料が出ればこれはすぐ解決する問題だ。そういう数字を動かすというようなことはしない。そのかわり地元のほうも学者資料が出ればたとえ不服でもそれに従います、こういう一札にひとしいへので話ができておると私は聞いておるのですよ。したがって、もしそういうことになると、学者資料が出た。出たけれども、調達庁のやつだったら不満だということになると、またその紛争といいますか、解決というものが、地元からそんなはずのものじゃなかったという意見が出た場合にどういう手段をとるのか。最後の手段として学者のデータが出ればそれによって解決するのだ。したがって、もしそれが地元に悪いものであってもそれはやむを得ぬということで、こういう了解で学者調査を待ちに待っておったのです。長官答弁ですけれども、学者調査は出たけれども、そのとおりずばりいかない、また別に考えるのだということになると、またこっちのほうでそれはいけないといった場合に、一体どこにきめ手が出るかという、私はそれを心配しているのですよ、逆に。そういう御答弁をなさるならば、そういう点が、もしそういうことになると、どうも問題はもとに返ってしまって、学者調査というものは、こんなものは参考だということになって、お互いの意見の調整というものはまた蒸し返しになりますよ。その点どうなんですか。
  24. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 私もその最終数字をまだあれしておりませんからどうということを申し上げるわけじゃございませんけれども、非常に極端なことを申し上げますと、その学者のデータによって加減乗除して非常にその補償額が激減するというような場合を考えますと、はたしてそれでいいかどうかという判断はしなければならぬじゃないかというようなこともあろうかということでございます。
  25. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 藤枝長官の言われる心配の点は僕もわかるのだが、しかし、そういうものがずっと積み重なってきてなかなか解決しない。それでもう最後の手段として、それじゃ調停という役じゃないが、実損補償ですから、科学的に調査をしてやってみなければいけないだろうということで、一年以上やってきて、学者意見ということを最後の手段にしようと、こうなったのですね。したがって、地元の者も今まで長くやってきたのですから、それも根拠がなかったのですから、そういう激減ということも考えておらないし、もしかりにそうあっても僕の聞く範囲では、学者調査が出た以上はそれに従わざるを得ない。というのは、御存じのように、おのおのの組合によって意見がたくさんあるわけですね。それを解決しよう、こういう。その場合に、やはり学者意見というものを客観的なものだということで押しつけるわけじゃないけれども、それによってやらぬと、北富士東富士補償問題は解決しない。こういうところから結局学者というものが出てきたと私は思う。また、われわれそう主張したのですから、したがって、藤枝長官の言われる政治家としての心配される点は僕らもあるのです。あるのだけれども、そういう経過をしたあとの最後の手段として出てきた問題だから、ここでひとつ踏み切ってやらない限りこの問題はおのおのの組合によって問題が、おのおの主張があるのですから、これを解決する場合にはやはり客観的な資料というものが、学者ということでやらなくちゃおさまらぬと思うのです。それを私は言っておるのです。それがもし、学者のものは参考でまた別のもので解決するのだということになると、これは七組合ですからおのおの主張をしておさまりませんよ。私はその心配を裏に持ちながら質問をしているのです。その点を私ははっきりまず質問といいますか、答弁をしてもらわぬでもいいが、調達庁当局は十分それを腹に入れておかぬと、あいまいな態度であると、この問題はまた紛糾いたしますよ。その点どうですか。
  26. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) もちろん根本的な考え方としては山本さんのおっしゃるとおりだと思うのです。したがいまして、そのためには、学者のデータにつきましてなお十分理解できないところは実際にその調査をされた先生方に質問をしたり、そうしてそれにしたがって加減乗除をするわけでございます。ただ、私が先ほどから申したのは、そういう場合にも非常にそれを動かすとかなんとかということではございませんけれども、従来の補償をやってきたいきさつというようなものを全然無視してもいけないのじゃないか。そこには多少の配慮をしなければならぬということでございますが、根本的には、とにかくその学者の出されたデータというものを中心にして一挙に解決したいということでございます。
  27. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 時間も過ぎたので、それじゃ最後一、二点だけちょっと聞いておきますが、今二十九日に学者調査が出たのですが、調達庁学者調査によって当事者と話をまとめるめとが一いつまでも学者調査の結果を検討するようなことでは、これはわれわれとして許せないと思う。一体どの程度の見通しでこれをやろうというお考えか。実際問題私は、具体的に聞いてもあなた答弁せぬから、そこには含みがあると思うから、私は追及しませんが、最後は承知しませんよ。きょうのところは一応この程度で追及をおさめておきますが、一体いつごろにこれを学者の検討したもので話をきめるのか。しかももう一つ学者の出した資料がもう根本的に調達庁意見と相背反するものか。そういうことぐらいは、あなた読んだんだからわかるはずです。長官はまだ見ていないというけれども、あなたは見たんだからわかっておる。ですから、根本的に違うものであれば、なかなかむずかしいと思う。そういう点が、大体あなたの見通しとしてできるかどうか。それと、この次いつ委員会を開くか知りませんが、学者資料全部そのまま出してもらいたい。
  28. 沼尻元一

    説明員沼尻元一君) 学者意見調達庁意見の根本的に食い違う点があるかという点でございますが、これはまだそういうところまで——まあ非常にたくさんの、十四、五枚でございますが、内容はいろいろ細部にわたっておりますので、そこまでまだ私たち検討しておりませんけれども、まだ根本的食い違いがあるというようなことを、横浜局からそういう報告は受けておりません。また、疑問のある点等については、現在学者意見等も聞いておるわけでございますが、これについて、なお調達庁案というものを、これを基礎として作って、いつごろ地元との交渉に入られるかということでございますが、私たちとしては、今まで何とか早く、当初は六月の下旬ごろには何とか地元と話し合うような段階に入りたいというようなことを申し上げたわけでございますが、資料の提出等が約半月おくれております。そういう点から、私たちとしては、まあこれは、その他まだ横浜局のほうとの話し合いを聞いてみますと、この資料の検討そのものにも若干の日にちをかしていただきたいというようなこともございますので、今月の中旬以降に何とか地元と話し合いに入れるというふうにこぎつけたいというふうに考えております。
  29. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは、中旬以降といいますが、僕は、今までの長い経過から見たり、そんなに検討するのに時間をかけるものでないと思うのですよ、実際問題でね。それじゃ学者のほうでは−僕は調査書を見ていませんが、どういう点に問題点があるかということぐらいわかるですよ。想像ができるですよ。それがどうしても調達庁としては、この点はどうも聞き取れぬというものがあれば別ですが、そんなに僕は日にちがかかるはずがないと見るんです。しかも昭和三十五年度と、二年も三年も前の問題がまたここで補償ができぬというようなことは、これは政府の今のやり方に対して、もう不満というか、そのこと自体が問題になってくると思うのです。なぜそうおそくなるか、今日までなったこと自体に私は不満がある。それが出てからまた半月ぐらい検討するんだ、こういうことでは、われわれとしては納得できない。そこで、こんなことを繰り返してあなたとやっておっても仕方がない。あなたは中旬以降というが、中旬以降ということは、下旬になっても中旬以降です。あなたの言葉は信用できなくなった。防衛庁長官にも伺いますが、まあ事務当局のことだから、あなたに言っても約束できぬか知らぬが、この問題については、私は時間的な余裕の必要はないと思う。この前も誠意を持って、とにかく六月下旬ごろには調査が出るからそのころには解決できるとわれわれは考えておった。調査が出たからといってこれが半月も延びるとは夢にも思わなかった。今の不動産部長の話では、また中旬以降まで待ってくれという。一体、中旬以降に待ってくれというが、話ができなければまた延びるんですよ。ずばりそれで話がきまるかどうか。それは学者の言ったとおりに、こうだからしんぼうせよ、学者の言ったとおりのやつだからこのとおりで仕方ないといって出すんならば、これはもうどんずばりですよ。しかし、また別にそれを考慮して、何か中に手を入れて、調達庁案を作ってやるというならば、これはまた簡単にいかない。きょうの答弁は、私は防衛庁長官の言われることについてもきわめて不満ですよ。今までの答弁から見ると、今までも学者調査が出ればという、おっしゃることはわかるけれども、もうそれでいくんだという印象を受けて今日まで来たんだが、またそういうことで、学者調査は出たけれども、また半月も検討して、それから話を進めるのだ、こういうことでは納得も何もできないですね。防衛庁長官としてどういう工合にこの解決の時期を早めてやっていくか、その誠意のほどをちょっと言っていただきたい。
  30. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) この前申し上げたときには、大体学者のそうした報告が六月中旬までには出る。したがいまして、それを検討して六月下旬くらいまでに検討を終えて七月早々にはということであったわけでございます。それが学者報告書がすでに半月おくれているわけでございます。したがいまして、そのおくれたことは残念でございますが、その後の進行というものはこの前申し上げたと変わりないわけでございます。したがいまして、ただいま不動産部長も申し上げましたように、私といたしましては、中旬ごろには結論を出して折衝いたしたいと考えております。  それから何か学者報告調達庁がいらって、補償を受ける方々の不利な方向に持っていくのではないかというような御懸念を持っての御質問のように伺うのですけれども、私どもはそういうことを考えておりませんので、その点は御了解いただきたいと思います。
  31. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大体まあ内容については不満であるが、今の防衛庁長官答弁誠意はわかりました。ただ、おくれたということについては、学者調査報告がおくれたということが、半月ずれたといって、数字的にも話が合います。そういうことで、できるだけ早くこの問題については解決してもらいたい。ただ、言っておきますが、これは補償の問題ですから、どこまでも客観的なもので解決をしてもらいたいと思う。政治的の問題は他にあります。これは問題があります。それは切り離して、防衛庁長官はその点割り切られる方だから、その点はお願いしておきます。そうでないと、問題はますます紛糾してきます。政治的な要素は私は反対しておらないんですよ。富士吉田市のほうから某市会議員が、山本富士吉田のほうの問題については何か反対しておるからといったような、これはよそからですが、そういう話を聞いておる。僕はそういう考えで言っておらない。いろいろ政治的な問題はたくさんありますよ。あるのだが、この補償の問題はどこまでも科学的な基.礎によってやはり実損補償ということでやるべきである。その他、あの演習場があるがために、いろいろと問題がございます。これは政治的な問題はたくさんある。それは別個に考えていく、こういう方向を私は特にお願いして、きょうの私の質問はこれで終わります。
  32. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 他に御発言もなければ、本件はこの程度にとどめます。     —————————————
  33. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 次に、太田大泉の米軍飛行場の返還に関する件の調査を進めます。  政府側から御出暦の方は、藤枝防衛庁長官でございます。御質問の方は、順次御発言願います。
  34. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 太田大泉米軍飛行場返還問題に関連して、二、三主として防衛庁長官にお伺いします。  この前の六月六日の当内閣委員会で私追及いたしましたところ、結論的には、できるだけすみやかに返還が実現できるよう努力いたします、まあそういう結論であったわけです。それが大体一カ月たっておる。その間どのような努力をなさって、どのような進展をされたか、この点をまずお伺いしておきます。
  35. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) その際も申し上げたと存じますが、一定の候補地についてまず政府部内の調整をはかり、そうした上で地元に対しまして御協力を願うということを申し上げておったのでありますが、実は、私どものちょっと予期しない政府部内における障害が起こりました。しかしながら、その後調整に努めた結果、非常に近い機会に政府部内の調整は終えられる見通しがつきました。したがいまして、その政府部内の調整が終わり次第、地元の御協力をいただくような方法、これにつきましてもいろいろ方法はあろうかと思います。適当な方法でやって参りたいと考えております。
  36. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この代替地の問題については、防衛庁を初めとして厳秘に付してきた問題です。そういう意図を察して、こちらからもあえてこういう点については追及しなかったのであります。ところが、不可思議にもこの前の内閣委員会、六月六日、その軌を.一にして、同じ与党である長谷川代議士からこういう代替地について具体的.に交渉されたことはきわめて遺憾である、そのことについて一体どういうふうに感じておられるのか、同じ与党の側からの交渉である、一方防衛庁は厳秘に付しておる、一方与党である代議士がこれを交渉したということは、はなはだもって遺憾千万である、そのことはあまりにも連絡不十分ということだけでは責任は免れぬ、この点について具体的に承りたいと思います。
  37. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 長谷川代議士が何か具体的なことにつきまして郷里でお話しになったということをあとで伺ったのでございます。私どもも実はたびたびお答えここで申し上げたとおり、こういう問題は十分準備万端整えましてやりませんと、隻言半句がかえって非常なあとに災いを残すようなことになります。したがいまして、せっかくの伊藤さんの御質問でございましたが、具体的な場所についてはお許しをいただいて、また防衛庁、調達庁といたしましても、その点につきましては十分警戒をいたしまして、政府部内以外には政府のその相談すべき、調整をすべき各省以外にはそういうものを出していなかったわけであります。長谷川代議士がどういうところからそういう情報を御入手になったかよくわからないのでございます。このこと自体は非常に残念だと私も思っております。しかし、その後群馬県庁等、知事等に対しましてもそういう具体的な問題についてはまだ決定してないということを申し上げまして、そうして事態の進行をはかっておるような次第でございます。
  38. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは、防衛庁なり調達庁は代替地について厳秘に付した、そういう考え方はよくわかるのです。だからそういう点は理解できるのでこちらもあえてそういう点については質問避けたわけです。ところが、これは野党から、野党側から交渉したというのならばまあ話はわかるのです、いい悪いは別として。与党がこういうことを厳秘に付すべき事項を公然と交渉してしまった、これは簡単な問題じゃないと思うのです。こういう点については別に防衛庁あるいは調達庁自体の責任ではないわけですけれども、やはり同じ問題について、与党側からこういう問題を事前に連絡もなしに、おそらく連絡もなかったと思うのです。連絡したとすればそういうことを許すはずがないと思いますが、そういう点について非常にずさんではないか、連絡不十分という責めは免れぬと思うのですが、この点についてはただ単に残念であったということだけでは済まされぬと思うのです。この点いかがですか。
  39. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) この問題について、長谷川代議士が何か交渉したようなふうな新聞の報道でございましたことは、御指摘のとおりであります。しかし、実際にその後調査をいたしました結果は、そういう交渉をされたというような事実はございません。また交渉されたといわれた相手の方も、それを否定されているような次第でございます。したがって、長谷川代議士がどういうところからこの問題をキャッチされましたのか、十分まだ把握できないのでございますが、いずれにいたしましても、そういうことが出ましたことは遺憾に存ずる次第でございます。
  40. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこら説明がちょっとあいまいなんですが、交渉されたというけれども、それは事実はそうでなかったというふうに受け取れるんですが、現に六月六日の当内閣委員会終了後、私会館の部屋へ帰ったら、実は長谷川代議士云々ということで連絡があった、ちょっと早ければよかったんですが、委員会終了後でちょっと間に合わなかったんですが、そういう事実はなかったということは、どういう意味なんですか。その事実はない、そういうことですか、そういうふうに受け取れるが、それは誤りであったということですか、どういうんですか。
  41. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) あの新聞記事を詳細はちょっと記憶を失っておりますが、とにかく長谷川代議士が当該地域の代議士にこの話し合いをしたというようなふうな意味の記事であったように記憶しているのであります。そういう当該地域の代議士と話し合ったという事実は、その後当該の話し合いをされたという代議士の方にも伺いましたが、そういう事実はなかったということでございます。
  42. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 どうもちょっと、あいまいもことして判断に苦しむんですが、しかし、交渉されたとした直後、あれは両県にまたがっている地域で、群馬側は着々動きを示しているわけですね、具体的に。だから交渉されなかったということは了解できないんですがね。その後現地の事態は一体どういうふうに変化しているのか、いや、しかし何ら変わりないのか、そういう現地の状態はどうですか。
  43. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) これは、私しばしば申し上げたとおり、こういう問題が全貌が明らかにされないで発表されますと、非常に事態は悪くなるという懸念をいたしておりましたんですが、そういう点は、私どもの懸念のような動きをいたしております。しかしながら、われわれといたしましては、先ほど来申し上げましたような経緯を経て今後十分に地元の御協力をいただくような努力を精力的にやって参りたいと考えております。
  44. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 とにかく交渉されなかったということはないと思うんです。もう現実に群馬側の記者からは、そういう具体的な報道があったとわれわれにも連絡があった、そういうことは、事実はなかったのだというふうに解釈してよろしいんですか、それは誤りであったと、そこのところがまだ何かはっきりしない。全然それは誤電であって、全然そういうことに触れなかったという意味に解釈してよろしいんですか。もし、そうだとすると、あまりに具体的に真実性が出ているんですが、この点はどうですか。
  45. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 長谷川代議士が、はっきり申し上げますが、小平代議士と相談した、そうして了承を得たというような新聞記事でございました。したがいまして、小平総務長官につきましては、私もお聞きいたしましたところが、そういう交渉を受けた事実はない、こういう話、その事実を申し上げているわけでございます。
  46. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、小平長官云々の問題は、これは事実そういうことはなかった。ただし長谷川代議士が代替地等について交渉したことは事実であった、そういうふうに解釈していいのですか。
  47. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 長谷川代議士が何かそのことについて地元相談をしたということはないようでございます。
  48. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 相談という.ことでなくして、ただ代替地はここだというふうに発表したことは事実だと思うのです。それすらもないという、そういう意味なんですか。
  49. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) そういうふうに申し上げておるのじゃないのでございまして、長谷川代議士が地元なり、あるいは地元選出の代議士と御相談をなすったという事実はないようでございます。ただこれこれの土地云々ということを新聞記者に発表したことは、これは事実であります。
  50. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 まあいずれにしても、従来から調達庁はもちろん、防衛庁としても、代替地については完全な円満な解決を見るまでは交渉を避けておる。そういう態度で臨んできたと思う。そういう厳秘事項を同じ与党の一代議士が交渉したということは、これはまことに責任重大だと思う。その後長谷川代議士はどういうふうに責任を感じておるか。今ここにおりませんが、本人でないと追及できませんが、いずれにしてもああいう代替地であるとすれば、物資投下訓練ですから特殊な訓練なんです。したがって、人間の住む頭上で物資投下訓練をやるということは適切でないと思う。それをどういうふうに考えておるのですか。従来からの質問の中で、人間の住む土地の上で投下訓練、これは適当でないということをしばしば言明されてきたわけです。あの辺とすれば事実人間がたくさん住んでおります。そうなるとこの問題と離れて、適、不適かということについては、あまり適当でないということが言える、この点はどうですか。
  51. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 私の知る限りでは、そういう人家、住民等に被害を与えるような地域でないというふうに確信をいたしております。
  52. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、事態はいずれにしても現地を納得せしめ得る公算もあるし、政府部内の調整はついた。しかし、政府部内の調整がついただけでは相手のある仕事ですから、むしろ現地のほうがむずかしい。政府部内は同じ方針でくるのだから、まず政府部内の方針を調整するのは当然だと思うのです。ただ相手のある仕事ですから、相手のある仕事というのは、防衛庁、調達庁がしばしば用いる言葉で、相手のある仕事だからなかなか簡単でない。そういうことでそういう問題をも勘案した上で、なお返還の公算についてはどういうふうに考えておられるのか。近く着々実現し得る公算であるのかないのか、その見通しはどうなんですか。
  53. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) お言葉のように、相手のある仕事でございますが、しかし、計画の全貌、あるいはその他各般の政府といたしまして考えておりますることを十分に御理解をいただく努力をいたしますならば解決し得る道は十分あると私は信じております。
  54. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 しかし、具体的に私すでに現地に行ってきたわけです。現地側では、両方にまたがるので群馬側では着々と反対運動を盛り上げておる。しかしながら、防衛庁としては、そういう問題はあっても十分見通しは明るい、そういうふうにお考えなのか、その点はどうです。もう具体的に動いておる。
  55. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 御指摘のように、そういう動きのありますことは承知をいたしております。そういう動きについても十分われわれといたしまして検討を進めておりますが、何分にも先ほど来申しましたようなことでございますので、十分われわれの調達庁として持っておりまする計画なり、あるいは政府全体としてどういうことをするのかというような点の理解に努力をいたしますならば、御納得がいただけるものと私は考えております。
  56. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 まあいずれにしてもこの問題はもう多く言いませんが、ずいぶん長い問題で、もうこの辺で解決してしかるべき問題だと与野党とも考えておられる、早急に実現のために最大限の努力を要請してこの問題については終わりますが、ただせっかくでございますが、緊急的な事項で。それはこの夏季休暇中に中・高校生を自衛隊に四万人ほど入隊せしめる、こういう計画がけさの新聞に出ておりましたが、緊急事項として一、二お尋ねいたしたいと思います。  これはそういう計画は事実おありなのかどうか、そうしてそういう計画に基づいてすでに各県教委に要請しているのかどうか、こういう点をお伺いをいたしたいと思います。
  57. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 具体的な内容は私まだ十分報告を受けておりませんが、御承知のように、夏季休暇等におきまして学生、生徒などが隊内での生活を体験したいというような申し入れがありますことは相当多いのでございます。したがいまして、そういう御希望の向きに対しましてはできるだけ御便宜をはかり、また、自衛隊の真相を知っていただくよう努力はいたしておりますが、各県の教育委員会に入れてくれという要請をしたということは、ちょっと私まだ聞いておりませんし、そういうことはしていないのじゃないかと思っておりますので、なお調査をいたしまして、この次でも申し上げます。
  58. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこのところが大事な問題で、各県から入隊希望の向きがあるから受け身の形で、せっかくだからそれは受けてもいいだろうという考え方なのか。積極的な計画のもとに県教委に要請して、長官御存じないとすれば、ほかの方のだれでもいいですから、御存じの方からそこのところを明確にお答えをいただきたいと思います。
  59. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 私どもの方針といたしましては、そういう学生、生徒で自衛隊に一日入隊するとか、あるいは隊内の適当な所にキャンプを張りたいとか、そういう希望の向きについて、訓練に差しつかえない限りにおいて御便宜をはかるという方針でございまして、こちらから積極的に自衛隊内に入ってもらいたいというような要請をするということは方針としてはきめておりません。
  60. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そういたしますと、こちらから、防衛庁自体として計画的に入隊させるというような計画は全然ない、そういうふうに解釈していいわけですか。それとも今お答えのように、あちこちから強い要請があるので便宜をはかってやろう、そういうふうに解釈してよろしいのですか。今お答えの中で大体わかったのですが、そこのところをいま一度明確にしていただきたい。
  61. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 防衛庁の方針といたしまして、向こうからの希望に従って訓練に差しつかえない限りその希望に応ずるという方針でございまして、こちらから特に入隊してほしい、あるいは自衛隊内にとまってほしいというようなことを積極的に県の教育委員会なり学校なりに申し上げるようなことはございません。
  62. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 他に御発言もなければ、本件はこの程度にとどめます。     —————————————
  63. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 次に、国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査を議題とし、公務員の給与に関する調査の件を進めます。関係当局より出席の方は、古屋総理府総務副長官、増子総理府公務員制度調査室長、入江人事院総裁瀧本人事院給与局長の方々であります。御質疑のおあ力の方は、順次御発言を願います。
  64. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 八月八日の勧告を目の前にしておるわけですが、人事院といたしましても種々検討なさっておられるところだと思います。伺いますと、人事院で調査されました民間給与の実態調査、これは今総理府統計局で処理中であって、まだ人事院のほうには送付されていないようでありますが、しかし、その前にして、総理府統計局の種々の資料、あるいは労働省の統計調査部で行なっております毎月勤労統計、まあこういつたような内容については種々御検討になっておるんじゃなかろうかというふうに思いますので、そういう問題を中心にして、人事院の勧告について若干伺いたいのですが、この総理府統計局の消費者物価総合指数、これはこの間私新聞で見たんですが、東京都の場合は六月まで数字が出ておるようでありますが、まあ全都市の場合は六月まで出ていないのでしょうけれども、昨年の四月からことしの四月、この一年間の消費者物価総合指数、これがどの程度上がっておるのか、それをまず伺いたいんですがね。
  65. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 総理府統計局の消費者物価指数、全都市は現在五月までわかっておりますが、昨年の四月を一〇〇といたしまして、四月で全都市のほうは七・八%、五月は多少上がりまして八・四%という数字が出ております。また、東京について見ますると、これが同じく昨年の四月を一〇〇といたしまして、今年の四月は七・五%、五月が八・六%、六月が八・八%、こういう数字でございます。
  66. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 昨年は総理府統計局のこの資料によりますと、これは人事院の勧告に出ておるわけですが、昨年は一年間に全都市で五・一%の消費者物価、その前の年、一昨年、これは三・三%という数字が出ておるわけですが、一昨年の三・三%、昨年の五・一%、本年は今局長の御答弁のように七・八%、しかもこれがまだ上がる——五月も上がっておりますし、八・三になっておるし、六月は東京の場合は明らかになって、今お話のように、八・七%というように上がっておる。この問題は一応昨年、一昨年と比べまして非常にまあ消費者物価総合指数というものは顕著に上がっておるとい51ことをひとつ念頭に置きまして、次にお伺いをいたしますが、この六月の本院の内閣委員会の中で、六月の四日でしたか、六日でしたか、六月の六日の日に本委員会で、労働省の毎月勤労統計、この数字からいうと、四月には民間の場合は一年間に大体二千四百円をはるかに突破するだろう、一二、三%こすだろうというような論議をいたしたわけですが、今すでに労働省の毎月勤労統計では、四月ははっきり出ているように思いますが、そろそろ五月も出るんじゃないかと思いますが、四月で金額としてどれだけ前年度の四月に比べまして上がって、パーセントとしましてはどの程度上がっているのか、それを伺いたいと思います。
  67. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 毎月勤労統計の全産業できまって支給する給与でございますが、昨年の四月を一〇〇といたしまして本年の四月は二二・三という上がりになっております。これは金額にいたしまして二千七百四円、こういう数字になっております。
  68. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 民間のきまって支給する給与が一年間に二千七百円上がって、率としては二二・三%上がった。それで総理府統計局の勤労者の本業収入というのがあるのですが、それから同じく総理府統計局の勤労者の生計費、それから人事院がいつもよく使われます全世帯の生計費、これが三月のやつがわかっておるわけですが、昨年の四月と本年の三月、これを比較するというのについては、正確にはむずかしい点があると思います。ですが大体どの程度この一年間に上がったかということを考えます場合のめどにはりっぱになり得るというふうに思うのですが、私けさほど総理府統計局に電話をしましてこの点について聞いてみたのです。そうしますと、総理府統計局の勤労者の本業収入というものは、昨年の四月から三月にかけまして金額で四千四百四十三円上がっている。パーセントでいいますと一四・四%上がっている。それから勤労者の生計費、これも人事院で非常に重要視されるやつですが、勤労者の生計費も全都市で昨年の四月から三月にかけまして五千六百二十八円増加している。率としては一七・一%引き上がっている。それから全世帯の生計費、これも全都市の場合ですが、昨年の四月から本年の三月まで五千三百八十六円増加している。率としましては一六・四%、こういう上がり工合を示しておるわけです。これを見ますと、先ほど瀧本局長のおっしゃった昨年の四月からこの四月へかけて一年間の間に民間の給与が一三・三%、二千七百四円、これと勤労者の本業収入が一四・四%上がっている。あるいは生計費が一七%上がっている。昨年は全世帯の生計費が一六%上がっているというのと非常に見合っておるように私は思うのです。そこで伺いたいのでありますが、この昨年の四月からこの四月にかけて二千七百四円上がったと、二二・三%上がったというのでありますが、これはことしの春闘、よくまあ春闘相場、春闘相場といわれるのですが、この春闘相場の半分前後しか含んでいないのではないだろうかと私は思うのです。これは昨年もちょうど今ごろ入江総裁に対しまして私論議をいたしたところでありますが、総裁は積み残し——積み残しという言葉をお使いになりましたけれども、春闘の半分前後のものしかこの二千七百円の中には入っていないというふうに私は判断をしているわけです。昨年も論議いたしまして、この昨年の数字は労働省の毎月勤労統計で明らかになっておるわけですね。これを見ますと、昨年の数字を見ますと、やはり春闘相場の半分前後しか入ってないということが明らかに判断できるわけですね。昨年の三月から四月にかけまして、民間は六百八十五円上がっている。ところが、三月から六月の間に千五百六十二円上がっているんですね。これは、つまり、春闘という場合は、四月に上がるところもあるけれども、五月、六月にかかって末広がりに民間の賃金が上がる。つまり、よく新聞等でいう春闘相場というのは、民間の場合におきましては四月、五月、六月に大体その実を結ぶ、こういう数字が昨年の労働省の毎月勤労統計でもはっきり示されている。昨年、私は、四月末の調査だと春闘相場の半分前後しか入らない、残りのものは本年の調査に人ります、こういうような論議をいたしたわけですが、今申し上げましたように、はっきり半分は積み残して今後のものに入ったということになると思いますが、本年は今同じような考え方で四月末の調査でありますからして、春闘相場として民間の場合においては四月にも上がっておるところももちろんありますし、五月、六月に上がっておるところもある。したがって、春闘相場というのは四月に実を結ばない事業所というのが半分前後あるというふうに見なきゃならない。そうしますと、四月末の調査をやって総平均しますと、春闘相場がやはり半分前後しか含まない。こういうのが二千七百四円という数字になってくるわけですが、そうしてその残りの半分というのは、来年の四月の調査に出るというふうに私どもは考えるわけなんです。そういう点について総裁はどういうふうに考えておられるか。
  69. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) ただいまの毎勤、それから総理府統計局の調査数字、大体御指摘のとおりじゃないかと思いますが、春闘との関係、確かにお話のとおり、事実問題といたしまして、四月にかりに春闘がございまして.も、いよいよ労働協約が成立して実施が五月とかあるいは六月とかになるところがございますから、四月の春闘でございましても、結果が五月、六月に出てくるということはあると存じます。これが半分、今のお話のように、去年のが大体半分といたしましても、ことしどういうふうな結果が出ますか、これは予断を許さぬと思いますけれども、最近の、これはまた逆にそのときの経済情勢によって違った結果が出てくることもあると思いますけれども、去年とことしにおいては確かに御意見のような情勢があり得ると思います。
  70. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 本年は、労働省の毎月勤労統計によりますと、八百六十七円上がっておりますね、三月から四月に、八百六十七円上がっているわけです。これがよく春闘相場と言われる中の一部がこの四月に実現したんだろうと思います。しかし、総裁もおっしゃいますように、なかなか四月からも実施にならないで、配分の問題等で五月、六月にずれまして、四月にさかのぼって実施はしますけれども、金額の支給は四月にならない。五月の支給になる、あるいは六月の支給になるということになりますし、また、春闘相場が一応出てから末広がりにほかの民間も上がる。それはどうしても五月になり六月になるという形にもなってくる。そういう意味で、昨年の毎月勤労統計でも明らかなように、ほぼ半分前.後のものしか四月末の調査の場合には入らない。本年もそうだろうと私は推定をしておるわけです。ですから、本年三月から四月にかけて八百六十七円上がっておりますけれども、おそらく三月から六月をとりますと二千円前後のものが上がっているんじゃないか、民間の場合におきましては。したがって、ことしの春闘相場の半分前後のものはまた来年に残されちまった、そういう遺憾な実情に今の人事院の調査実態、あるいは今の春闘の民間の賃金の上がり工合等から言って判断できるというように私ども思うんです。そういう問題について人事院としてお考えになるお気持があるのかどうか。
  71. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) これについて結局人事院がどう考えるかという御趣旨かまあわかりませんけれども、あるいはつまり春闘の実施が終了したときをもって調査をしろ、したらどうかというあるいは御意見でございますか、あるいはかりに四月調査をいたしながらその年のいわゆる積み残しといいますか、それを予想して何か給与改善をいたします場合に考えるべきじゃないかという二つの問題があると思います。これはどっちもまあ現在の私個人の考えといたしましては非常にむずかしい問題で、まずいわゆる四月調査を非常におくらすということは、これはなかなか技術的な問題、やっぱり調査に、御存じのとおり、四月調査でございましても五月から大体七月中句あるいは下句までかかるのが御存じのとおりの状況でございまして、これをかりに春闘が終わってからということになりますと、これは非常におくれるという結果になるわけでございますが、これはまたたびたび前に申し上げたことがありますけれども、四月調査をしながら五月以降のひとつ予想をするということは、これはまた非常に不確定の要素によって出すことになりますので、これもいかがかと思います。やはり調査時期、大がかりな調査でございますし、やっぱり賃金というものが、われわれとして見解をきめます場合には一定の時期を基礎として結論を出す必要がございますので.それが先生御指摘のように、積み残しができるということは、どうも技術的にやむを得ないような感じがいたします。
  72. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この問題で今総裁のおっしゃいますように、二つの考え方ができると思います。調査時期の問題と、それからう一つ判断の問題ですね。調査時期の問題として私詳細に別の機会に論議をいたしたいと思います。思いますが、ただ判断の問題としまして、昨年も私この委員会で先ほど申し上げたように、種々この問題について総裁に御質問しておる。しかし、先ほど私が説明をしたように、結論として労働省の毎月勤労統計に明らかのようにはっきりと積み残しが残っておる。明確なんです。今年もおそらくこれでいきますと、私ははっきりするんじゃないか。おそらく勧告をいたします八月八日までに五月分は出るのであります。労働省の前月勤労統計は七月の二十日までには五月分が出ます。七月の二十日までに五月の統計が出るわけですが、これは積み残しがあったということはほぼ推定がつく。御承知のとおりに俸給表は、給与法によってはっきり指定しておるように、生計費、民間の給与、その他人事院の考える要素によってきめる、その他人事院の考える要素というこの人事院の判断です。これを私この場合にやはりお考えになる必要があるのじゃないか。不確定とおっしゃいますけれども、勧告をされる八月八日の前の七月二十日に労働省の毎月勤労統計の五月分がはっきり出るわけですから、そうしますと、四月、五月と見てみますと、大体どの程度積み残しがあるということははっきり推定がつく。前の年をごらんになりましても、はっきり積み残しがあったことは歴然としておるわけです。ですから、人事院の考える要素という判断が入ることになっておるんですから、その人事院の判断をなさったらどうか。それは不確定ではなくて、七月の二十日には労働省の毎月勤労統計の五月分が明確に出るんだから、それで判断がつくじゃないか。不確定ではないという点を私は主張したいわけです。その点についての総裁の御判断を押されるお気持があるのかどうか。その点を伺いたい。
  73. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) ただいまの大体御指摘の基礎は毎勤を基礎としたもので、ことに昨年度、大体今年の状況、しかも、本年の目下の状況を基礎にしてございますけれども、なかなか経済というものは生きものでございますから、年によりますると、その後非常なまた逆の結果が出ることもあり得るわけでございますし、その辺もなかなかこれはむずかしい問題で、いわゆる積み残しの問題、これはいろんな要素がございますから、またいろいろ申し上げると、あるいは誤解を招くかもしれませんけれども、単純に毎勤の状況をもって判断していくということは、これはちょっといかがかと思っております。
  74. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 労働省の統計調査部で出している毎月勤労統計、これはあいまいなものではないと思うのですよ。政府機関としまして非常な詳細な資料だと思うし、その資料で昨年も明確に積み残し、総裁の言葉では本年も明らかに積み残しがあるだろうということは推定がつく。それはことしの三月末の手当を見ましても明らかにやっぱり伸びていますね。三月に出し切れないで四月に出しています。そういう傾向等からいいましても、ことしもやはり相当大きな積み残しが残っている。その積み残しが来年になるということですね。公務員の場合において来年の四月の調査に出ていく、一年おくれるということ、その点について人事院がある程度の判断が立たないということは、これは遺憾だと思うのですけれどもね、ある程度の判断はあってしかるべきじゃないか、しかも給与というのは長期の問題じゃないのですから、その一年間の問題を処理するわけなんですから。
  75. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) これはなかなか……逆の場台もあり得るわけでございます。御存じのとおり、たとえば毎勤の毎月のいろんな変動を見ましても、翌月に突如として上がっていく、また非常に下がるということもございますし、それは今のお話は確かに春闘自体は、今私が申し上げましたように、さかのぼって実施することもあり、あるいは労働協約がおくれて実施がおくれることもあり、まあ大体の見当といたしましては、やはり昨年、今年の状況といたしましては、実施がおくれるということは事実でございますけれども、なかなか給与の比較というような問題をいたします場合に、ほかのことは別といたしまして、かりにただ比較するということだけを考えましても、なかなかこれは正確にいきかねる。こういうことはあり得ないかもしれませんけれども、公務員の給与よりもまた民間の状況が非常に悪くなるという場合に、それじゃ公務員の給与、たとえば一つの例で申して、これはちょっと違いますけれども、一つの臨時給とみなした場合に、一つの時点で公務員の給与を民間の給与に合わせまして、その民間の臨時給が、不況になりまして非常に下がった場合に、さっとまたそれをさかのぼって下げるかといいますと、そうもいきませんし、これは積極的な意味においては公務員はお気の毒だということになりますけれども、技術的に、実際の問題として比較する場合に、今の御指摘のようなことが起こることはお許しを願わなきゃならぬのじゃないかと思っておるのでございます。
  76. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いずれにいたしましても、昨年もそうでしだが、本年もどうやら春闘相場といわれるものの半分は積み残して、そうして来年の四月の人事院の調査に出るというふうに私は考えるわけですが、その点についての人事院としての判断はなかなか立ちにくい。したがいまして、私の考え方は一応これでおきまして、一年間に二千七百四円上がつたという問題を中心にしまして、この二千七百四円というものについては積み残しておりますから、私は非常に不満でありますけれども、一応この二千七百四円、二二・三%引き上げたということを中心にいたしまして若干お伺いをいたしたいわけですが、それは、本年の民間の上がり工合、昨年の民間の上がり工合、あるいは一昨年の民間の上がり工合というものとの関連で、勧告の問題について伺いたいわけですが、ちょうど昨年は民間は一年間に八百九十六円上がったのですね。一年間に八百九十六円、パーセントで四・五%引き上げた。本年は、先ほど局長のおっしゃいましたように、二千七百四円ですね。そうして率で言いますと二二・三%、こういった上がり方なんですね。ですから、昨年の民間の上がり工合から言いますと、率にいたしましても、金額にいたしましても、大体三倍になるのですね。率にいたしましても、金額にいたしましても三倍ほど上がっているわけですね。そうですね、八百九十六円ですから。一年間の上がり工合は、それが二千七百円に上がっているのですから、ちょうど三倍、率も昨年は四・五%、本年は一三・三%ですから、大体三倍になっているのですが、昨年の勧告は千八百円なんですがね、千七百九十七円という額ですから、三円足しますと、ちょうど千八百です。大体この千人百円の三倍前後というふうに推定していいですか。
  77. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) ただいまの、私も先ほど申し上げたのでありますが、今、鶴園委員から御指摘がありましたように、昨年は八百九十六円の一年間の上がりである、こういうお話でございました。昨年の四月前後に労働省の統計の基礎をいわゆるメルクマール方式で書いております。その書いた数字で言うと、昨年は千七百七十六円、こういうことになりまして、この数字が、先ほど私が申し上げました三十六年の四月から三十七年の四月までの二千七百四円に相対して考えていい数字じゃないかと考えておる次第でございます。したがいまして、先ほど率なり金額なりでそれぞれ三倍になるからそういうふうに考えていいかというお話でございましたが、昨年一年間の傾向を見ておりますと、これはどうも民間において、こういう異常な、たとえば労務需給の関係等におきまして、中小企業の賃金がむしろ上がっている。上の方ももちろん上がっているわけでございますけれども、その上がり方が中小企業のほうが率におきまして大きいというような非常に特異な現象があったようにわれわれ見受けておるわけでございます。したがいまして、大体そういう異常でないときにおきましては、人事院の民間給与調査の中の事業諸表で出て参りまするほうの上昇金額なりあるいは率というものは、これは毎月勤労統計とそれほど大きな隔たりはないというように従来の経験から考えておるのでございまするけれども、本年の状況と過去一カ年間の状況というものは、ただいま申し上げましたような非常な特異な現象がございますので、一応現在われわれは毎勤の一三・三%という数字を大まかな目の子といたしまして把握はいたしておりまするけれども、現在われわれが調査を行ないました1集計中のわれわれの調査でどういうふうに出てくるか。毎勤のほうは、御承知のように、申し上げるのがむしろ失礼かと存じますけれども、全産業で支払われました賃金総額というものの従業者一人当たり平均金額で出すというふうな出し方になっております。われわれのほうは、民間と職務が同じようなものを比較するという多少やり方の違いがございますので、そういうものがどういうふうに現われてくるか、われわれのほうといたしましては、非常にことしが労働経済関係から見ましても異常な年でございましたので、過去一カ年間にそういう事情でございますので、目下集計を急いでもらって、それが出た上で判断をいたしたい、こういうふうに考えております。
  78. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今瀧本給与局長が、労働省の毎月勤労統計を修正をする必要があって、一年間千二百幾ら昨年民間は上がった、パーセントで七%ちょっと上がったというお話ですが、ことしは修正する必要はないわけですから二千七百四円、パーセントで二二・三%、まあ二倍半くらいになる一わけですね、金額にしましても、率にしましても。金額で言いますと、はっきり二倍以上になるわけですが、そうすると昨年の千八百円の二倍ちょっとのものになるのかどうかという気がするわけですよ。これはいろいろ違いましょうけれども、過去十年間の人事院の勧告というものと、それから毎月勤労統計の数字というのは、ちゃんと相関関係があるのですからね。一昨年の例を申し上げてもいいですよ。一昨年は、民間は千七百円上がったでしょう。千七百円上がって、二千六百八十円という金額になるわけですから、いずれにしても昨年の二倍ちょっとの金額になるわけですが、勧告にいたしましても、やはり二倍を上回るような形になるのではないかという判断がすぐつくわけですよ、大体の判断が。これは否定なさらぬだろうと思うのですがね。今何か特異な現象だというふうにおっしゃいますけれども、私どもはここで委員会で盛んに主張したのは、中小企業というものをできるだけ減らして、中規模、大規模の企業の調査をとるべきではないかという論議を種々この委員会でしたことがあるのです。しかし今になってみると、どうも中小企業のほうがどんどん上がってきた。中小企業の上がり率がいい。大企業の場合においては臨時工を雇っておりますから、その意味で、平均をしますと上がりが悪いということになります。そういう意味で、全体として大企業のほうが上がりが悪くて、中小企業のほうが上がりがいいと、こういうことになって、そういうことで特異な形とおっしゃいますけれども、特異じゃないのじゃないですか。政府としてそういうふうに持っていきたいという考え方はないのですか。
  79. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 私が申し上げましたのは、先ほど鶴園委員から、毎月勤労統計調査によって見ると、昨年一年間の上がりが一三・三%である、これは従来の経験からするならば、人事院調査と、まあそれほど雲泥の差が出るようなことにはなっていないのであるから、大体それで見当がつくのではないかというお話があったわけでございます。それで、私が申し上げましたことは、従来はそういう傾向があった。過去一年間の状況が異常であったということは、これはまあ説明が少し足りませんので御指摘があったわけでございまするが、従来の状況から比べると調子が違っておったと、こういうことを申し上げたわけで、したがいまして、民間の二二・三、二千七百四円、これは総合結果としてこういう数字が出ておるわけでございますが、この数字が出た内容を見ると、従来は民間においては大企業のほうが上がりが多くて、そうして中小企業のほうの上がりが少ない。それを総平均したものが年間の上がりというような形で出ておるが、過去一カ年間においては、むしろ率で申しますると、中小企業のほうが上がりが多かったようにわれわれ分析して考えておるのでありまするが、そうして二千七百四円というような数字が出ておる。そういうことでございまするので、したがって、この現在われわれがやっておりまする人事院の民間給与調査の結果を想像してみるという場合、従来と同様の考えで、毎月勤労統計の上がりを持ってきて考えるということは、多少ことしは事情が違ってきているのじゃなかろうか、こういうようなことを申し上げたわけでございます。人事院の調査には、いわゆる中小企業と言われるような三十人程度のものはもちろん入っておりません。私が先ほど申し上げたように、あくまでも毎月勤労統計における分析の結果を申し上げた次第でございます。したがいまして、そういうことがありまするので、人事院としましては、従来同様に、毎月勤労統計の給与の上がりの指数ということでまあ大局を判断するというようなことをやっておるわけでございますけれども、それがことしの場合はたいへん従来と事情が違っておりますので、もう少し慎重に今判断をしてみるという——もちろんこれを判断したからといって、当然人事院の調査の結果に基づいて最終的には判断をいたすのでございますけれども、従来と同様の態度で、この二二・三ということを問題にするという点には多少問題がやはり残されておるというふうに考える次第でございます。目下懸命に急ぎまして、人事院の結果の集計を急いでおる次第でございます。
  80. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 人事院は五十人以上の企業を調査されるわけですが、調査されるとおそらく二千七百四円よりもう少し上がるでしょう。一三・三%を一%前後上がるでしょう。一四%こすでしょう。二千七百円はもう少し上がるでしょう。ですから、これはもう大体公務員というのは数字にたけておりますから、これを見ますと、大体四千円こす勧告になるという判断を立てます。ところが、今給与局長お話ですと、慎重に、特異な現象でというようなことでいろいろ苦悩をしておられるようですけれども、苦悩をしておられるんじゃないかというふうに私は判断をするわけですがね。ですが、数字は、水準の差は二千七百円を上回るということは明らかです。そうすると、水準差は動かすことができないのですから、どうしたって相当大きな勧告をしなければならぬと私は思うのですがね。これは、先ほど私毎月勤労統計を申し上げましたが、総理府統計局の勤労者の生計費も出ておりますし、それから全世帯の生計費も出ておる。あるいは勤労者の本業収入の増加も出ておる。ですから、そういう数字から言えますことは、これはとても二千円とか三千円とかいうような勧告ではないというふうに判断せざるを得ないわけですよ。大きいものです。みんなそう思っておりますよ。それを何か今の瀧本先生のお話ですと、いろいろ特異現象でどうだこうだというお話のようですけれども、これははっきりたいへんなものになるということをやはり人事院としましても御承知だろう思うのですよ。いいかげんなものにはならないのですよ。二千円やそこらにはならないのですよ。三千円程度にはならぬのですよ。その点をはっきりと銘記しておいてもらいたいと思うのです。たとえば、先ほど私が申し上げました全世帯の生計費にいたしましても、一六%上がっておりますし、それから勤労者の本業収入も一四・四%三月に上がっておる。それから勤労者の生計費にいたしましても一七%上がっておる。ですから、そういうような関連から申しますと、とても三千円というふうなものにならない、もっとでっかいものになりますよ。ですから、そこら辺のことは、人事院の統計が総理府統計から回ってくる前にもうほぼ推定が明らかですね。三千円というものではない。でっかいものだということははっきりしておると思うのですよ。ですから、そこら辺のことを銘記しておいてもらいたい。ここで変にやられますとたいへんなことになる。  そこで私は政府に伺いたいのですがね、今総理府統計局の資料で、勤労者の生計費が一七%上がって、それから全世帯の生計費が一六%上がっておる。そこで政府のほうで、公務員の給与の上がるのをできるだけ押えて消費生活を抑制するという考え方があるのかどうか、そしてそれはひいては国民全体の消費生活を抑制するということだと思うのですがね、こういうふうに全世帯の生計費は一六%上がる。勤労者の生計費は一七%上がっている。その場合に、給与の上がるのをできるだけ押えて、できるだけ押えることによって勤労者の、公務員の生計費を、消費生活を抑制する。そしてそれは国民全体の消費生活を抑制する。その方針として、その手段としてですね、そういうような考え方があるかどうかという点を伺っておきたいですね。
  81. 古屋亨

    説明員(古屋亨君) 福永大臣と総務長官がやむを得ない用事がございまして、私がかわってお答えいたします。  政府はお話しのような、そういうようなことによって抑制する、制限するということは考えておりません。
  82. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 消費者物価が、先ほど申し上げましたように、七・八%の上がり工合、しかも五月が八・三というふうに上がっておりますし、一けた、一つ上がって、さらに六月も東京の場合に上がっておりますが、八・七%。まだ上昇を続けておるわけですね。こういうふうに消費者物価が非常に上昇を続けておる。毎月上がりていくという情勢ですね。しかも総理府統計局の調査によっても明らかなように、全世帯勤労者の生計費、こういうものが一七%というような上がり工合になっているわけですよ。その場合に私どもが一番心配するのは、どうも公務員の給与の上がりを押えるということによって公務員の消費生活を押えるのじゃないかということを懸念するわけですよ。先ほど申し上げましたように、公務員の給与の場合は春闘の積み残しの半分は来年になるわけですね。ことし二千七百円上がっていますけれども、この二千七百円上がったのは、昨年の三月から六月までに民間が、先ほど私数字をちょっと申し上げましたが千六百円ほど上がっているわけですね。ですから、昨年の春闘相場というものがこの中に半分以上入っているわけですね、この二千七百円の中に。だから、やっと昨年の春闘相場というものの半分というものは、ことし公務員には実現する状況になってきている。そして本年の春闘の半分ぐらいというのは来年になっているのだ、こういうようなお考えで公務員の給与を考えていただきませんと私は困る。公務員としても非常に困るというふうに思っております。したがって、今お話しのように、公務員の給与を押えるということによって公務員の消費生活を抑制する、それがひいては国民全体の消費生活を抑制するという方向にはおゆきにならないということでありますから、そういうふうに了承いたしまして、次にお伺いをいたしますが、これはもうあたりまえの話なんですが、これは勧告をすることは間違いないですね、総裁。今さら変な話ですがね。(笑声)
  83. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) これはやはり勧告——報告御存じのとおり当然公務員法によってやらなければなりませんけれども、それに添えて勧告をいたすかどうかということは、いろいろ御存じのとおり最終的に資料を検討いたしました上で、人事官会議を開いて決定いたします問題で、ただいま勧告をいたすということは申し上げられません。
  84. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それは、するかしないかということは聞くまでもないことであって、たいへんな、昨年の二倍をこしているわけですね。民間の上がり工合も、金額にしても、率にしても、あるいは物価にしましても八%ということになっているし、とかく言う必要はないのですが、ただ私、総裁にも、先ほど給与局長にも、たいへんな額で、三千円というのはおかしな額じゃないですよ、たいへんな額になりますという点は、私は人事院としてのお考えだと思うのです。その点何かありますか、瀧本さん、何か数字的にありますか、そんなものにならないという。
  85. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 鶴園委員から、いろいろ統計局の生計費調査あるいは消費者物価、また毎月勤労統計等で現われております数字を御提示になっていろいろお話があったのでございます。そういう数字はわれわれのほうといたしましても十分検討はいたしております。その数字を否定しようとは、もちろん思っておりません。これはもちろん指数として現われております数字でありますから、それはそのまま受け取らなければなりません。ただ先ほども申し上げましたように、昨年一カ年間におきましては従来と異なった労働経済関係事情があったように見受けられるという点もありますので、そういうこともやはり十分分析してみる必要があろうかというように思っておるわけであります。で、われわれとしては、昨年そういう指標で非常に大きな上がりがあったということは、これは否定も何もいたさぬわけであります。ただ、それから従来と同様な比較的単純な方法でわれわれの調査結果がどうなるであろうかという判断は、これはちょっとむずかしいのじゃないか。したがって、現在そういういろんな賃金関係、あるいは生計費関係の指数は承知しまして、そのことは十分検討もいたしておりまするけれども、やはり最終的には人事院の調査の結果によって人事院が判断をいたすということになるのでございまするから、その数字を極力急いで集計してもらおう、こういう態度でございます。
  86. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 水準差は、これは人事院がどういう調査をやられようと、今までの調査と変わっているわけじゃないのですから、ですから、水準差が二千七百円を下回るということはないですよ。これと変に違うということは毛頭ない。あるいは一三・三%一年間に民間が上がったというこの数字が変わるということはないですよ。水準差は、これははっきり出てくると思うのです。問題は、その水準差ははっきり出てくるのだが、公務員と対応号俸で、対応職種、対応年限、対応学歴とか、どういう調査をやられるかということを注目しているわけです。ただ問題は、水準差ということが一番大きな問題になりますから、私は水準差を中心にして申し上げているわけですよ。ですから、今、人事院がここで勧告するかしないかということを御答弁なさろうとなさるまいと、労働省の毎月勤労統計、総理府の統計等から数字が明らかになっているわけですから、私どもとしてはここで三千円やそこらの問題じゃない、もっとでっかいものですぞというふうに一つ念を押して、次に若干内容の中にちょっと入りますが、今度俸給表を根本的に変えられるというお考えはないように前の六月六日の内閣委員会で伺ったのです。しかし、各俸給表にはそれぞれ問題があって、それぞれいろいろ人事院に対しましても意見が出ていると思うのですが、それらについて検討なさって、妥当であるというふうにお考えになった場合には、俸給表について是正をするというお考えがあるのですか。たとえば、いろいろこまかく申し上げますと際限ありませんから概括的に伺っておきますが、変えられますか。
  87. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 前回申し上げましたように、たとえば根本的な変更と申しますか、職種とかあるいは等級の変更ということは、根本的な変更はいたす考えはございません。しかし、その後いろいろ組合なりあるいはその職種方面からの御要望もございますし、また給与局のほうでも、いろいろ実施の結果にかんがみまして、なるべく合理化をはかりたいという線もございますし、俸給表——今の御指摘の点がどういう御趣旨か知りませんが、とにかく俸給表についてももちろんいろいろ検討いたしたいと思っております。
  88. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この委員会で問題になりました研究職、それから教育職の(一)、それから行政職の(一)ですね。こういうふうに種々問題があるということは、この委員会で指摘をしたところなんですが、研究職でいいますと七等級、六等級というところが研究補助職という取り扱いを受けている。このことがきまったのは、七年前、昭和三十一年に検討なさったのですが、その後七年、八年たった今日、研究補助職というものの内容が非常に変わってきているという点を申し上げまして、七等級、六等級から五等級になるのが非常に大きな壁になっている。それらの点について種々検討してもらいたいという要望をいたしまして、それについて瀧本給与局長実態をよく検討の上検討したいというようなお話だった。さらに教育職の(一)の場合におきましても、同じような教務職員と講師、助手という関係ですね、この問題にも種々問題があるからして検討してもらいたいという要望をしておりましたが、さらに行政職俸給表の(一)の場合、七から六へなかなかなりにくいとか、あるいは五から四に非常になりにくいとか、いろいろな問題がありまして、それについて若干の是正はしておられますが、しかしそれらはいずれもちょっぴりした是正であって、もう少しお考えになる必要があるんじゃないかというふうに私は思っているのですが、そういう点について、時間がありますと、もっと詳細に論議するといいが、いずれ機会を見てやりたいと思いますけれども、どうかそういう問題についても、ぜひひとつ検討をしていただきたいという点を申し上げまして、次に伺いたいのですけれども、最近民間の場合におきまして、ある金額がきまりますと、その中のX%は一律分、あとの残りの金額を積み上げる、こういうようなやり方が非常に強い傾向として出ておりますね。金額がきまりますね、その中のX%は一律分、一律に積み上げる、あと残ったものをその上に積み重ねる、こういうような俸給表の考え方が強く民間の場合傾向として出ているのですが、そういう問題について、今度お考えになる意思があるかどうか、お考えにならないのかどうか、検討なさるかどうかという点を伺いたい。これは五現業あるいは三公社の場合にもそういうのが顕著に出ております、一律分というのがあって、その上に積み上げるというととが。
  89. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) ただいまの問題は、俸給表がどういうふうにあるべきかということに対しまして、今その一律分あるいは一定額の積み上げというようなことであるのが適当であるという判断で、そういうふうに民間においてなされる場合があるということも承知いたしております。先ほど総裁から申し上げましたように、事務当局といたしましては、また絶えず給与実施の状況がどういうふうであるか、それからまた、どういうところが現在工合が悪いところであるかというような問題は持っておるわけでございます。したがいまして、絶えずそういうことは研究もいたしておりまするし、また、たとえば学者グループからお話があり、研究団体からお話があり、あるいは技術官グループからお話があり、あるいは組合からお話がある。いろいろなところから各種の希望があるわけでございまして、そういうお話等も承りましたならば、われわれのほうとしましては、聞き流しにはしないで、やはりそういうことに対して、われわれのほうでもいろいろ研究もしてみるということをしておるわけであります。まあ三公社五現業等で、給与の仲裁裁定の結果、全体の給与総額がきまる、その配分がどういうふうに行なわれて、どういうふうな俸給体系になるかというようなことも、これは追っかけまして絶えず研究をしておるということでございます。したがって、先ほど総裁からお話がありましたように、勧告をするのかしないのか、これはやはり人事官会議で最終的に決定になる問題でございまするので、その前にやるとかやらないとか、われわれ事務当局として言えたものでもない。まあ今おっしゃったような方法でやるのかどうかというようなことも、いろいろなことを研究しておりまするので、われわれとしましては、そういうことに無関心でおるわけではなく、一応いろいろな、どういうところでどういうことが行なわれたかということは、できるだけ努力しまして、いろいろ調査もし、そういうことも心得ておるのです。しかし、かりに俸給表を改正するというときに、どういうふうにやるのだということは、これはまだもちろんきまっておりませんし、それから私として申し上げる限りではない。しかし十分、いろいろなところで、いろいろな方法で、初任給ということに着目して、非常にこの辺に重点が置いてあるという場合もありましょうし、あるいは一律にみんな積み上げる、あるいは一定額を積み上げる、あるいは両者折半していく、いろいろな例があるでありましょう。そういうことをどういうふうに行なわれておるかというようなのは、絶えず注意して調査はいたしております。
  90. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今、一律分というのは三公社五現業の場合でも相当顕著になってきておりますね。顕著になっておるというよりも、もうそうなっておるのですね。民間の場合におきましては、そういう傾向が非常に顕著になっておる。ある金額が上がる、金額がきまる、三千円上がるとしますと、そのうちの千五百円は一律である、あるいは二千円は一律分である、残りの千円を初任給を上げたりなんかするのに使う、こういうようなやり方をしておられますね。ですから、そういうものを人事院もぜひ御検討いただきたい。あまり民間その他と詳細に俸給表を比べるうちに、林の中に入ってしまって、何のことやらと言うと語弊がありますが、一般の三公社五現業なり、あるいは民間において顕著に出てきておるそういう給与の配分の仕方というものと、変わったものが行なわれておるというふうに思いますから、その点は総裁ぜひ検討してもらいたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  91. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) もちろん十分検討いたします。ただこういうことを——別に検討をいたすわけでありますから、私見を申すのはいかがかと思いますけれども、これは御存じのとおり、国家公務員の給与は、たとえば現業のように、一つの団体交渉の同質性と申しますか、たとえば国鉄なら国鉄、それから民間も団体交渉でございますと、弾力性といいますか、いろいろ理屈を越えた一つの給与がきめられるという点がございます。しかし俸給表というのは、御存じのとおり法律で国会の御承認を得る、それが相当恒久的なものでございますし、きちんとしておることでございますが、はたしてそういうことがうまくできますかどうか、ちょっと今まで実は伺いましたところでは若干疑問もございますが、しかしもちろんよく検討いたします。
  92. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今総裁そういうふうにおっしゃると、アメリカとかイギリス、あるいは西ドイツ、フランス、イタリア、こういうところの公務員の給与の上げ方というのは全部一律で上げるのです。率一律ですね。ですから、給与法で公務員の給与というのは、責任の重さと仕事の複雑さによってきまっておるということでありますと、それはあまり動かさない以上、やはり上げる場合一律ですから、局長を一〇%上げるなら、これは八等級の人も一〇%一律上げるし、そのままの体系を維持していく、これがいいのじゃないかと思うのですけれども、ですから、そういう一律で上げるというお考えがございますか、これをあるときには上のほうががたんと上がってみたり、ある場合なんか中だるみをひょっと上げてみたり、ある場合には下のほうをちょこっと上げたりしておられるのですが、本来ならば一律に上げられるべきじゃないかと私は思うのですが、そういうように考えるのかどうか、率一律ですよ。
  93. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 先ほど総裁からお答えになりましたように・われわれはその問題を含めまして今後検討はいたします。ただ今御指摘になった諸外国の例というものが、われわれが心得ておりまする限りでは、そういう場合もあるとは思いますけれども、全部が全部そうだというふうにも思っておらないのであります。しかし、諸外国でやっておるから、直ちにわが国でやるという問題でもないと思います。おっしゃるように、職務の段階がはっきりしておって職務評価が変わらなければ、これはそういう方法でやるのが適当じゃないか、おっしゃる御趣旨は十分われわれとしても理解できるわけであります。ただ最近のように、ある職種というものが非常にウエートが高くなる、またある職種がいろいろな状況でそれほどウェートを持たなくなる、いろいろな状況があるわけでございます。そういうことを総合勘案いたしまして、適当な方法でやるということが必要であろう、その際に先ほどお話の.出たところは十分検討させていただきたいと思います。
  94. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 その問題でもっとやりたいのですけれども、一応おいて、あの上下の格差ですね、これはどうも今の日本の上下格差というのは、アメリカの百年前の上下格差と同じようですね。あまりでかいですね。それで、私はそういう意味で、額一律上げたらどうかという考えを持っておるのです。率一律じゃなくて額一律。アメリカの百年前の格差で、あれはあまりにもでかい格差ですよ。百年前はたしか日本の今のような格差があったのですね。しかし、少なくとも日本でいいますと、大正年代からずっと格差が縮まっていますね。日本の場合にはあまり格差が大き過ぎるのです。ですから、額一律で日本の場合には上げていいのじゃないかというように思っているのですが、その点はどうですか。
  95. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) まあ、先ほどのお話は定率——率を同じくする、この点になりますと、今の額を同じくするということと、先ほどのところと全然変わって参りまして、結局何千円なら何千円、何百円なら何百円ということを上から下までということになりまするが、これは御存じのように、さればと申して、実際問題として、たとえば新制高校を出た独身者の上がり方と、それから家族持ちで非常に困っておる者の上がり方とが金額として同じである場合には、またこれはなかなか割り切れぬ問題もありまするし、それからまたアメリカの百年前とおっしゃいましたけれども、まあ日本のいわゆる上下格差ということについても、賃金の御専門でございますから、御意見があることは十分拝聴いたすのでございますが、やはりこれは私どもこういうことは一つの私見になりまずけれども、日本の年功序列賃金といいますか、これはやはり日本の国全体の賃金構成というものとも関係がございまして、ただそれだけの上下格差の率というものを外国と比較して定率制にすぐ持っていくということについては、これはなかなか慎重を要するのじゃないかと思っておるのでございます。
  96. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それじゃ、もう一ぺんその問題をやりますが、けさバスに乗ってみますと、最近盛んにバス車掌の募集が出ていますね、バスの中に。中学校卒十五才で一万一千五百円、十八才で一万二千五百円、通勤。ハス支給、それから春、冬、合服、外套支給と、十五才で一万一千五百円出すというのですね。バスの中に広告が出ているわけですよ。寮も施設してある。これなど見ていまして、公務員の場合なかなかさびしい感じもするのですがね。まあ、しかし先に入りますが、扶養手当をふやしてくれという意見は非常に強いのです。昨年もその論議をやって、結論は、民間の調査をしてみたところが、扶養手当は総体として思わしい結論は出ないと、そのままになったのですね。しかし、今日といえども、扶養手当を何とかしてくれないかという希望は非常に強いですね。確かに民間の場合においては一人千円か千五百円ということになっていると思うのです。しかし、同時に、大きな会社ほど扶養手当を本俸に繰り入れるというところも出ていますね。したがって、調査して総平均しますと、結論はどうも公務員の六百円、四百円というものと変わらない数字が出てくるということになるのですが、しかし、今の公務員の給与の水準からいって、何とか扶養手当というものを考えるべきじゃないかと思うのですがね。これを単に民間との比較でやられるというのですが、これはもっと詳しい論議をするといいんですけれども、どうも格差に非常に不満がありますね。この扶養手当をもしふやさないということでありますれば、人事院で五人家族、三人家族、二人家族、独身者というものの生計費を詳細に調査されますが、あの生計費と俸給表と結びつける、こういう努力をなさるか、もしその俸給表と結びつけるという努力をなさらないなら、何とか今回大幅に上げなければならぬような実情になっているから、その中でひとつ扶養手当をふやすという考え方をお持ちにならないかどうか、いかがでしょう。
  97. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 扶養手当につきましては、鶴園先生から、去年われわれが答弁いたしましたことを御議論があったわけでございます。現在、われわれはこの問題についてそういう御希望が非常にあるということは承知いたしておりまするけれども、その後も努力いたしましていろいろな資料を見ておるのでありまするけれども、基本的にはやはりその支給基準は、なるほど民間におきましては、たとえば配偶者千五百円というようなところもございますが、これはわれわれも十分承知いたしております。しかし、大勢を平均いたしてみますと、現在のところ、やはり公務員と民間において扶養手当の支給の実態というものがほぼ見合っておるという考えを持っておるのであります。したがって、もしこれを一人当たりの額をふやすというようなことになりますれば、たとえば三人で打ち切るとかいうようなことをやらなければ、これは全体として民間と支給の事情が違ってくるというような状況にもなる。ところが、現在扶養手当の額が六百円、四百円で非常に僅少でございますから、そういうことを言うのはおこがましいじゃないかというおしかりがあろうかと思いますけれども、それにいたしましても、扶養手当というものが必要な度合いは、やはり子弟が多い方ほど多いのだから、打ち切るというような考え方は、やはりどうも工合が悪いのじゃないかというようなことを考えておるわけであります。したがいまして、現在の時点におきまして、われわれといたしましては、これを現在の状況を変更するということに積極的な気持はございませんけれども、まあやはり非常にそういう御希望も、ただいま御指摘がありましたように、強い事情でございますので、この問題はやはり研究はして参りたいと思っております。
  98. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は、おっしゃるように、民間の俸給の高いところほど扶養手当というものを本俸に繰り入れるという傾向だと思うのです。ですが、概括して言えることは、民間の場合は大体千円から千五百円という扶養手当が出ておる。しかし、本俸に繰り入れたところもある。それを平均して出すと、おっしゃいましたように、六百円、四百円というものからこえないという数字が出る。だから、これでいいのだということになっておるわけですね。しかし、実際の公務員の三十才から五十才前後のところの人たちに非常にこの要求が強いのですね。これはたいへんなものですよ。これをこのままほうっておくということはいけないのじゃないか。何とか是正の方法を考えるべきじゃないかと思うのですよ。もしそれをおやりにならぬなら、それじゃ俸給表の第一番目にあがっておる俸給表というのは、生計費と民間の給与とその他人事院の考えという、一番名義が立っておる生計費、五人家族、四人家族、三人家族、二人家族という、ちゃんと生計費があるのですから、あの生計費と俸給表と何とか結びつける、こういう努力を払うべきじゃないか。そうでないと、いろいろなそういう不満というものはなかなか解消しない。非常な不満ですよ。何か私はこの扶養手当について従来の考え方ではなくて、今回ぜひこの問題について検討をしてもらいたいと思いますがね。まあ、さっき検討するというお話ですから、検討してもらいたいと要望いたします。  次に、期末手当ですね。期末手当について、この一年間に、昨年の四月からこの四月にかけて、民間の場合は九千円ちょっと上がっていますね。労働省の毎勤統計で、昨年の四月からこの四月にかけて九千円ちょっと上がっていますよ。〇・五月分ぐらいになるのですが、この二月末の特別手当ですね、これをお作りになるのか、お作りにならないのか。真剣に検討したいということだったのですが、これをお作りになるのか、お作りにならないのか、この点をぜひ伺っておきたいと思うのです。私はこれは毎年三月になると取り上げて論議いたしておりますが、ここでごたごた申しませんが、簡単に言って、三公社五現業、あるいはかって人事院が三十一年に勧告したということ、それから公務員の場合において長い間−明治以来戦後まで三月末に手当というものを出しておったということ、それから民間の場合におきましても、やはり三月という月は二月と比.へて、あるいは四月と比べて少し大きな山が一つできるという実情ですね。ことしは若干違いまして、三月は千七百十五円ですね、臨時支給の金は。四月は千三百八円ですよ。これはことしは繰り延べとか、あるいは延期とかいう話がありましたから、三月と四月にまたがって出ておると思うのです。その前の年なんかも、はっきり三月という月はやはり幾らかちっちゃな山が出ているのですね。ですから、やはりどうも三月末に——公務員は十年ほどこの問題についてものを申し上げておるわけですね、人事院に対しても政府に対しましても。民間においても三月にやはり若干の山があって出ておる。三公社五現業においても常態的にも出てきておる。出ない年があれば別なのですけれども、毎年出ておるというような実情の中から、今回ぜひ一つ人事院としまして三月末の特別手当という制度を作ってもらいたいという気持なんですがね、御検討なさいますか。
  99. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) この問題も、私どもからたびたび申し上げまして、問題のあるところは十分御存じでございますか、まあ御存じのようないろんな問題がございまして、民間では二回というのが圧倒的に多いという一つの問題があり、それからまあ現業ではお話しのとおり、一応三十二年に合理化したわけでございますけれども、確かに業績手当ということで出ることは事実でございますが、現在のところで、やりませんと申し上げるわけじゃございませんが、しかし、いろんな問題があってむずかしいということを前提といたしまして、ひとつもちろん研究はいたして参ります。
  100. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 民間の場合ですね、夏と十二月が——夏は六、七、八、三カ月ぐらいにまたがって大きな山があって、それから十二月に大きな山がある。これはわかります。しかし、もう一つ三月末にあるということを認めてもらいたい。ちっちゃな山ですけれども、あるのですから。実際ないということは絶対に言えないですよ。私は毎年のやつを調べているのですよ。ありますよ、ちっちゃな山が。それは年末の二カ月分とかそんなものじゃないけれども、それの八分の一とかあるいは十分の一というちっちゃな山ですけれども、明らかに違うちっちゃな山があるわけですから、その二月末の民間のちっちゃな山があるのを無視してもらうのは困ると思うのですよ。かつて六年ほど前、七年ほど前、労働政策上三月末の特別手当を出すということについて労働省が反対したことは私もよく承知しております。昭和三十一年ですよ。しかし今日民間との関係でいっても、三月末というのは少しちっちゃな山があるのだから、少なくとも夏季手当の五分の一程度の山があるのです、これははっきり三月末に。だから、三月末の特別手当の制度を考えてもらいたいと思うのですよ。ぜひ実現してもらいたいと思うのですよ。十年間の公務員のあなた要求ですよ。理論としてははっきり言えると思うのですがね。何で真剣になって御検討なさらないのか。拒否はしないという話なんですが、そういうあいまいな話では困る。
  101. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 決して真剣になって検討しないということを申し上げておるわけじゃございません。ただまあ何かえらいまた理屈を言うようでございますが、三月の山というものにも若干の分析すべき要素もございまするし、しかし、それがどうこうということはここで別問題として、とにかく確かにお話しのとおり非常な御要望のあることは事実でございまするし、また三月というものがほんとうに六月よりもいろいろな子弟の教育、学校への入学、その他の関係で、実情といたしましては三月に出費が多いということもわれわれはわかります。そういう関係から、これは熱意を持って研究はいたしておるわけでございます。ただ結論がどういうふうになりますか、今のところは全然申し上げる段階になっておらぬわけでございます。
  102. 河野謙三

    委員長河野謙三君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  103. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 速記始めて。
  104. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それじゃ、さっきの三月末のやつ、ひとつよろしく御検討を願うことにします。  それからもう一つ、こういう心配があるのですがね、三十五年、三十六年勧告に実施の時期を明示したのですね。ところが、その実施の時期を明示したにかかわらず、そういうふうにならなかったのですね。二回ともですね。昨年も一昨年も十月からということになりましたがね。そういう点から、本年は人事院とされまして、実施の時期を明示するというようなととを避けるのじゃないかという懸念が相当あるのですね。私は実施の時期を明示した理由、経過というのははっきりしているのですが、ですから、ここでまたそれを再び繰り返す必要は毛頭ないのですが、その問題で特に変わるというようなことがあるのでしょうかね。
  105. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) この問題も最終的にきめる問題でございますから、今いかんとも申し上げられませんけれども、一昨年なり昨年にこれがきまった経緯は十分存じております。
  106. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それじゃ昨年、一昨年と変わらぬものと私は了解をいたしますが、次にこの寒冷地給の勧告ですね、これがおくれているのですね。これは総裁、この間私は総裁の前の発言をずっとこう記録したのですが、これは読み上げてもいいのだけれども、読み上げるのはめんどうだから、総裁の発言は昨年のちょうど七月ですよ。昨年の七月と九月と十月と、こういう答弁をしておられるのですがね。これを見ますと、どうも七月のときは、勧告を終わりましたらすみやかに暫定手当と寒冷地手当の勧告についてすぐ取り組みたいと思っております、こういう答弁です。それから九月の答弁は、勧告はあったから、勧告も終わりましたので、すぐこれを暫定手当と寒冷地手当の問題について取り組みますという答弁なんですよ。十月になりますと、まず暫定手当を先にやりましてからという答弁になっている。それで、この間の通常国会でも同じことをやったのですが、暫定手当は御承知の昨年の十二月の十四日でしたか、勧告されたわけですが、寒冷地の問題だけが残っている。これは支給は八月三十一日ですよ。八月三十一日までの間に勧告をされるのですか。
  107. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) ちょっとその前に、五月実施の問題は五月実施をいたしますということを決して私が言明したわけではございませんから、その点はひとつ、もちろん御了承でございましょうと思いますが、念のため申し上げます。  それから寒冷地のほうなり暫定手当は、今お話しのとおりの経緯でございまして、これも先般山本さんから話がございまして申し上げましたとおり、例の衆議院の附帯決議の問題、これは八月末が支給期日でございますから、それまでに結論を得たいと思っております。
  108. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それからもう一つ。この寒冷地手当の勧告の内容について支給割合を変えるということは非常にむずかしい、しかしむずかしいけれども、全然やらぬということじゃないと思うのですが、それで大きな中心をなすのは同一市町村内における寒冷地手当の不均衡だということだと思うのですが、それらについては方針はきまっておられるのですか。
  109. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 寒冷地手当の率の問題につきましては、従来から申し上げたとおり、非常にむずかしい問題でございまするので、われわれ研究は続行しております。しかし、これはなかなか結論が出がたいような情勢でございまして、それから先ほど総裁も言われましたように、衆議院の附帯決議にあります広域な行政区域になりましたために起こりまする問題につきましては、これは先ほど総裁がおっしゃったとおりに、結論を出すようにわれわれ事務当局として最後的な努力をいたしたいと思っております。
  110. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 寒冷地手当については言われたから、一つだけだ。  政府に——きょう労働大臣も来ていませんが、暫定手当がすでに勧告は昨年の十二月に出ておるのだが、政府はなぜこれを実施しないのですか、はっきり簡単にひとつ。
  111. 増子正宏

    説明員(増子正宏君) 先般人事院から勧告のありました暫定手当の取り扱いにつきましては、通常国会じゆうに給与担当大臣からいろいろ申し上げたとおりでございまして、政府としましては、あの勧告をできるだけ早い機会にこれを実施に移すように努力をいたしたいと、こういうことで今日に至っているわけでございます。
  112. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは、それは了解します。それで大蔵大臣は相当確信のある答弁をされているのです。したがって、今度の臨時国会にはぜひひとつ出してもらうように努力してもらいたい。そうでなければ今度また……。きょうはこれで終わっておきます。副長官、いいですか。
  113. 古屋亨

    説明員(古屋亨君) 御趣旨は大蔵大臣のほうへお伝えいたします。それでよろしゅうございましょうか。
  114. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大蔵大臣は、当初予算には盛らなかったけれども、次の機会にはやるとは言わないが、盛らなかったけれども考えておるのだと、意味深長な発言をされておるのです。したがって、伝える必要はないのです。政府のほうでそれをやるという腹さえきめてもらえばいい、こういうことです。
  115. 古屋亨

    説明員(古屋亨君) 私五月から参りまして、まだ実情をよく存じておりませんが、よく研究いたしまして、御趣旨は上司のほうへさっそくお伝えいたしておきます。
  116. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 他に御発言もなければ、本件はこの程度ととどめまして、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十二分散会