運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1962-02-06 第40回国会 参議院 逓信委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月六日(火曜日)    午前十一時十五分開会   —————————————   委員異動 一月二十四日委員黒川武雄辞任につ き、その補欠として安部清美君を議長 において指名した。 一月三十日委員永岡光治辞任につ き、その補欠として久保等君を議長に おいて指名した。 二月一日委員森中守義辞任につき、 その補欠として永岡光治君を議長にお いて指名した。   委員長異動 一月二十四日白井勇委員長辞任につ き、その補欠として安部清美君を議院 において委員長に選任した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     安部 清美君    理事            鈴木 恭一君            松平 勇雄君            野上  元君    委員            新谷寅三郎君            寺尾  豊君            谷村 貞治君            久保  等君            永岡 光治君            光村 甚助君            山田 節男君            奥 むめお君   国務大臣    郵 政 大 臣 迫水 久常君   政府委員    郵政政務次官  大高  康君    郵政大臣官房長 金沢 平蔵君    郵政省監察局長 田中 鎮雄君    郵政省郵務局長 西村 尚治君    郵政省貯金局長 荒巻伊勢雄君    郵政省簡易保険    局長      板野  学君    郵政省電波監理    局長      西崎 太郎君    郵政省経理局長 佐方 信博君   説明員    郵政大臣官房人    事部長     長田 裕二君    日本電信電話公    社総裁     大橋 八郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○郵便貯金法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○郵政事業及び電気通信事業運営並  びに電波に関する調査  (郵政省所管事項に関する件)  (日本電信電話公社事業概況に関す  る件)   —————————————
  2. 安部清美

    委員長安部清美君) それでは、たいへんお待たせいたしましたが、ただいまより開会いたします。  私、一音ごあいさつ申し上げます。今回、皆様方の御推挽によりまして逓信委員長に選任せられましたが、御承知のとおり、まことに不敏浅才でございますし、また、こういうことには全く不なれでございますので、はたしてその重責を果たし得るかどうか非常に心配いたしておる次第でございます。幸い、委員先輩各位は、本委員会所管事項につきましては特に御経験も深いし、いわゆるベテランである方ばかりでございまして、私は皆様の御厚情にすがり、援助をいただきまして、公平に誠心誠意をもって本委員会運営に当たりたいと考えておる次第でございます。  申し上げるまでもございませんが、本委員会において取り扱います諸般の問題は、国民生活に直結する重要事項のみでございますので、委員会運営を通じまして少しでもお役に立ちたいと考えておる次第でございます。何分の御指導と御鞭撻とを賜わりますよう、切にお願いいたしまして、簡単でございますが、ごあいさつといたします。(拍手)   —————————————
  3. 安部清美

    委員長安部清美君) 審議に入ります前に、一月三十日における逓信委員会委員長及び理事打合会決定事項のおもな点を御報告いたします。  定例日につきましては、従来どおり、衆議院逓信委員会のほうが水、木の二日、午前十時三十分開会となっております関係上、毎週火曜日の午前十時及び木曜日の午後一時より開会することにいたします。付託議案につきましては、当日の会議に付するか否かにかかわらず、公報に掲載しておくことにいたしました。次回の委員会においては、本院先議郵便貯金法の一部改正案提案理由聴取郵政大臣所管事項概要説明聴取電電公社事業概況説明聴取等を行なった後、できれば所管事項等につき質疑に入る等の申し合わせがありました。  以上、簡単に御報告いたします。   —————————————
  4. 安部清美

    委員長安部清美君) 次に、委員の変更について御報告申し上げます。  一月二十四日、黒川武雄君が委員辞任せられまして、その補欠に私が選任されました。一月三十日、永岡光治君が委員辞任せられまして、その補欠久保等君が選任せられました。二月一日、森中守義君が委員辞任せられまして、その補欠永岡光治君が選任せられました。   —————————————
  5. 安部清美

    委員長安部清美君) 次に、本付託となっております郵便貯金法の一部を改正する法律案議題といたします。本案に対する提案理由説明をお願いいたします。迫水郵政大臣
  6. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) ただいま議題となりました郵便貯金法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  この法律案は、郵便貯金貯金総額制限額を引き上げることを内容とするものであります。  現在、郵便貯金の一の預金者貯金総額制限額は三十万円でありますが、最近における郵便貯金利用者所得及び貯蓄保有額の伸びの状況財政投融資の原資の確保などの面から見まして低きに過ぎると考えられますので、これを五十万円に引き上げて、預金者の利便と郵便貯金の増強をはかろうとするものであります。  また、貯金総額制限額の引き上げに伴いまして、積立郵便貯金の一回の預入金額につきましては、現行の百円以上一万二千円以下を、百円以上二万円以下に改め、定額郵便貯金及び定期郵便貯金預入金額につきましては、現行の三千円及び三万円を廃止して、新たに十万円を設けようとするものであります。  以上がこの法律案提案理由でありますが、何とぞ御審議の上、すみやかに御可決下さいますよう御願い申し上げます。
  7. 安部清美

    委員長安部清美君) 本案につきましては、本日のところ提案理由説明聴取のみにとどめておきたいと思います。   —————————————
  8. 安部清美

    委員長安部清美君) 次に、郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査議題といたします。  まず、郵政大臣より所管事項概要について御説明をお願いいたします。
  9. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) 郵政省所管行政現況等につきまして概略説明申し上げまして、御参考に供したいと存じます。  まず、昨年末の全逓の年末闘争におきましては、一時は大量の郵便物の滞貨が発生いたし、年賀郵便の配達につきましても、かなりのおくれが出るのではないかと憂慮されたのでありますが、十二月十五日に至り、組合との交渉が円満に解決することができまして、郵便業務運行例年にない好成績をおさめることができたのであります。  これは当委員会委員各位の御配慮に負うところが、きわめて大きいのでありまして、ここに深く感謝申し上げる次第であります。  郵便の遅配問題につきましては、今後とも事業運行計画並びに諸施設改善を推進いたしますとともに、郵便業務正常化をはかるためには労使関係の正しいあり方を確立することが何よりも肝要であると存じますので、今後労使関係正常化には格段の配意をもって努力して参りたいと考えます。  次に、今国会提出または提出予定いたしております法律案について申し上げます。  その一は、簡易保険郵便年金福祉事業団法案でありますが、その内容は、簡易生命保険及び郵便年金福祉施設設置及び運営を適切かつ能率的に行なうため、簡易保険郵便年金福祉事業団を設けようとするものであります。  その二は、郵便貯金法の一部を改正する法律案でありますが、ただいま御説明いたしましたとおり、その内容は、郵便貯金の一の預金者総額制限額を、三十万円から五十万円に引き上げようとするもの等であります。  その三は、郵政省設置法の一部を改正する法律案でありますが、その内容は、大臣官房人事部人事局に改め、電波監理局の次長及び監視長を廃して三部を置くほか、付属機関として十五人以内の委員で構成される臨時放送関係法制調査会を置くとともに、法律定員百一名の増員をはかろうとするものであります。  ただいまのところ、今国会提出いたしました法律案は、以上の三件でございますが、このほかにも目下検討中のものもございます。これらにつきましては後ほど御審議をいただくことになると存じますが、その節は、何とぞよろしくお願い申し上げます。  次に、郵便貯金及び簡易保険について申し上げます。  郵便貯金におきましては、ただいままでのところ順調に増加いたしておりまして、その現在高は約一兆三千億円に達し、財政投融資資金の源泉として重要な役割を果たしておりますが、明三十七年度におきましては、新たに千五百五十億円増加を目標として諸施策を講じ、その完遂をはかる所存であります。  また、簡易保険郵便年金事業におきましても、おおむね順調な伸長を見せており、簡易保険の契約現在高は二兆二千五百億円に達し、その資金総額は八千三百億円に達しております。これらの資金地方公共団体政府機関等に融資され、国民生活の安定と、わが国経済の発展に大きく貢献いたしておりますが、今後ともますますその普及向上国家財政資金確保をはかりたいと考えております。  次に、電波関係について申し上げます。  超短波放送、いわゆるFM放送に関する関心が非常に高まって参りまして、現在開設申請は、百五十三社、三百二十二局の多きに達しているのであります。御承知のようにFM放送は、放送として最後の媒体といわれており、これが取り扱いについては、慎重に対処して参る所存であります。  昨年九月十六日、省内にFM放送調査会を設けまして審議を重ねておりますが、できるだけ早く結論を得るように努力いたしたいと考えております。  テレビジョン放送の難視聴救済の一環として、VHF帯割当が困難な地域に対しましてはUHF帯割当を考慮いたしておりますが、この割当のための技術的資料を得るため、昨年十二月一日、日立市に日本放送協会実験局を設け、調査研究を進めておりますが、近く大津市においても実験を行なって、一そう的確な資料を収集し、これをもとにしてUHF帯チャンネルプランを作成することとしたいと考えております。  次に、放送外国混信及び難聴対策についてでありますが、標準放送に対する外国混信のため特に被害程度が高い地域及び現在なお標準放送が及んでいない地域に対する救済をはかるため、去る十二月七日および十二月二十二日の二回にわたり周波数割当計画表修正を行ないました。  次に、テレビジョン放送につきまして申し上げます。  テレビジョン放送用周波数割当計画表を補完し、難視聴区域救済するため、いわゆる第二次プラン修正を十二月二十二日に行ないました。  次に、日本放送協会昭和三十七年度事業計画及び収支予算等につきましては、同協会からの提出を待って検討の上、できるだけ早い機会に御審議をお願いするようにいたしたいと存じております。  次に、電気通信行政について申し上げます。  ここ数年来懸案となっております太平洋ケーブル設置の問題につきましては、このほどようやく日米関係者において本ケーブル建設及び保守に関する協定締結について必要な手続きを終わり、政府としては、これについてすでに認可を行ない、本ケーブル問題は、今後当初の予定に従い、一九六四年七月完成を目途として、いよいよ建設準備の段階に入る次第であります。  なお、わが国としましては、太平洋ケーブルに引き続いて東南アジア諸国との間にも、この種ケーブル設置することが望ましいと考えております。これにつきましては、かねて国際電気通信連合関係会議において取り上げられている本ケーブル建設構想に関し、その実現の可能性について関係諸国政府とも協力して、その検討を開始することにいたしたいと思っております。  次に、有線放送電話関係について申し上げます。  有線放送電話は、昨年度中に施設数にして約四百、加入数にして約三十四万増加しております。昨年十一月末現在、施設数にして約二千四百、加入数にして約百五十万加入に上っておりますが、いまだ有線放送電話設置していない市町村においても、その需要は相当多く、また、電電公社との接続有線放送電話設備相互接続等、制度の改善に関する要望は強いのであります。  したがいまして、郵政省といたしましては、有線放送電話の現状と農山村におけるその有用性にかんがみ、昨年来その改善普及についていろいろ調査研究を進めて参りましたが、来年度は、さらにこれを推進するよう努力して参りたいと存じます。  次に、日本電信電話公社事業計画並びに予算案について申し上げます。  昭和三十七年度におきましては、六十万電話加入増設を行なうほか、公衆電話増設一万九千個、市外回線増設二百五十四万千五百キロ、電話局建設四百六十局等の施設増によりまして、電信電話拡充五カ年計画最終年度完遂をはかるとともに、第三次五カ年計画基礎を固め、一そう電信電話拡充サービス向上を推進いたしたいと考えております。  なお、その予算概略を申し上げますと、損益勘定におきましては、収入は三千二百四十四億円、支出は二千五百五十一億円で、収支差額の六一九十三億円は建設財源及び債務償還に充てられることになっております。  建設勘定におきましては、総額二千百二億円で、この財源自己資金一千二百六十三億円、外部資金八百三十九億円を予定しております。また、この支出内訳を申し上げますと、一般拡張工程に一千九百八十五億円、町村合併に伴う電話サービス改善等に五十一億円、農山漁村電話普及特別対策に六十六億円となっております。  次に、郵政省所管昭和三十七年度予算案について申し上げます。  まず、郵政事業特別会計歳出予算総額は二千五百四十二億一千三百万円で、三十六年度予算額二千二百三十五億四千万円に比べて三行六億七千三百万円の増加となっております。  このうちには収入印紙等一般会計へ繰り入れる、いわゆる通り抜けとなる業務外支出六百二十九億七千一百万円がありますので、これを差し引いた実体的予算、すなわち郵政業務運営に必要な予算は一千九百十二億四千二百万円で、三十六年度予算額一千七百二十九億九千六百万円に比べて百八十二億四千六百万円の増加となっております。この増加の中には、特に明三十七年度予算の最重要施策としておりますところの業務正常化を推進するための定員増員一万五千二百二十二人及び郵政窓口機関の増置として無集配特定局二百局、簡易郵便局省局を新設するほか、簡易郵便局手数料を、ほぼ倍額に引き上げることとし、これに要する経費、並びに郵便局舎二百六十二局の新増築及び業務正常化のための機械化計画推進に伴う所要経費が含まれております。  なお、明三十七年度建設勘定予算は六十四億八千六百万円で、三十六年度に比べて八億円余りの増加となっております。  また、新たに設立いたしたいと考えております簡易保険郵便年金福祉事業団につきましては、政府出資金四億三千八百万円、交付金四億四千二百万円と事業収入五千万円とをあわせて合計九億三千万円の規模運営することといたしております。  歳入予算総額歳出予算と同額の二千五百四十二億一千三百万円で、三十六年度予算額二千二百三十五億四千万円に比べて三百六億七千三百万円の増加となっております。  この歳入内訳は、郵便郵便為替振替貯金等業務収入及び他会計から委託されました業務運営費に充てるための受入収入等で一千八百六十七億六千万円、収入印紙収入等の通り抜けとなる収入六百二十九億七千一百万円、郵便局舎等建設費財源のための借入金三十三億円等の資本収入が、四十四億八千二百万円となっております。  次に、郵便貯金特別会計予算は、歳入歳出ともに八百七十三億四千五百万円を計上いたしておりまして、これを三十六年度予算額七百八十五億八百万円に比べますと、八十八億三千七百万円の増加となっております。  簡易生命保険及び郵便年金特別会計におきましては、収入が二千百四十七億四千万円で、三十六年度予算額一千九百五十二億四千万円に比べて百九十五億円の増加となっておりますが、歳出予算は一千一億六千一百万内で、三十六年度予算額六百六十七億五千二百万円に比べて三百三十四億九百万円の増加となっております。この歳入歳出予算差額、すなわち歳入超過額一千一百四十五億七千九百万円は、法律の定めるところに従い、積立金として処理し、資金運用部に預託することといたしております。  なお、一般公共貸付運用資金といたしましては、一千五百億円、三十六年度一千三百六十億円を確保する予定であります。  一般会計におきましては、歳出予算総額は、二十八億四百万円で、三十六年度予算額二十五億四千万円に比べて二億六千四百万円の増加となっております。  この予算には、有線放送電話施設公社線との接続に関する試験研究を全国二十カ所で行なう経費三千六百万円、宇宙通信開発研究に要する経費一億七千七百万円、臨時放送関係法制等調査経費百万円及び国際放送の充実に要する経費一億九百万円が含まれております。  以上をもちまして一応私の説明を終わります。   —————————————
  10. 安部清美

    委員長安部清美君) 次に、日本電信電話公社総裁より事業概況について御説明をお願いいたします。大橋総裁
  11. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) 日本電信電話公社の本年度事業概要並びに昭和三十七年度予算案等につきまして御説明申し上げます。  まず、本年度経営状況について申し上げます。  三十六年度予算におきましては、事業収入を二千六百五十五億円と見込んでおりましたが、十二月末現在の実績は二千八十二億円でありまして、順調な歩みを続けております。  建設勘定につきましては、成立予算額千七百四十二億円に前年度からの繰越額百二十五億円並びに予算総則第二十六条に基づく特別給与支出額二億円を加えた建設工事総額は千八百六十九億円に相なっておりますが、十二月末現在における支出額は千三百九十四億円でありまして七四・六%の進捗率となり、おおむね順調に推移しております。  十二月末までに増設いたしました加入電話の数は、農山漁村電話普及対策分を含め三十七万六千加入、同じく公衆電話は一万七千個でありまして、この結果十二月末における加入電話の総数は、約四百万九千加入公衆電話の数は約十三万五千個となりました。  次に、昭和三十七年度公社予算案について申し上げます。三十七年度は、「改訂電信電話拡充第二次五カ年計画」の最終年度にあたりますので、その完遂をはかることはもちろんでありますが、計画改訂後急速な経済成長を反映して、予想以上に発生した電気通信サービスに対する需要並びに政府国民所得倍増計画に対応して作成を進めております「電信電話拡充第三次五カ年計画構想」との関連をも勘案するとともに、最近の技術革新の目覚しい進展に伴い、新技術開発実用化を強力に進めるため、前年度に引き続き研究態勢の整備、強化をはかることを基本方針として予算を編成いたしました。  まず、損益勘定内容について申し上げますと、収入電信収入百五十九億円、電話収入二千九百九十三億円を中心といたしまして合計三千二百四十四億円の見込みでありまして、三十六年度予算に比べ五百八十九億円の増加となっております。  一方支出は、総額二千五百五十一億円で、前年度に比べて三百九十億円の増加を見込んでおりますが、そのおもなものについて申し上げますと、人件費は八百九十六億円で、前年度に比べて百億円の増加物件費は三百九十八億円で、前年度に比べて六十七億円の増加業務委託費は三百二十八億円で前年度に比べて二十八億円の増加減価償却費は六百五十三億円で前年度に比べて百十七億円の増加となっております。  以上の結果、収支差額は前年度に比して百九十九億円多く、六百九十二億円となりますが、このうち百七十七億円を債務償還財源に充当し、残りの五百十六億円を建設工事財源に繰り入れることにいたしております。  次に建設勘定について申し上げますと、その投資規模総額二千百二億円でありまして、前年度予算千七百四十二億円に対し三百六十億円の増加となっております。  建設資金の調達は、内部資金を千二百六十三億円、外部資金を八百三十九億円と予定しておりますが、外部資金につきましては、加入者債券等七百九億円のほか、財政投融資金としまして公募債発行五十八億円及び外債の発行七十二億円を予定しております。  次に、建設勘定主要工程について申し上げます。  まず、加入電話は六十万加入公衆電話は一万九千個をそれぞれ増設して、極力需要に応ずることとするとともに、市外回線については専用線を含めて、約二百五十九万キロメートルの増設予定して即時通話区間の拡大と通話品質向上をはかることといたしております。  基礎工程としましては、前年度よりの継続計画を含めて四百六十局の新電話局建設計画し、このうち年度内百八十九局のサービス開始予定するほか、同軸ケーブル二十三区間、マイクロウエーブ二十七区間市外ケーブル二百七十区間の新増設計画いたしております。  また、町村合併に伴う電話サービス改善計画といたしまして、前年度に比べて六億円増の五十一億円をもって三百十二局の電話局の統合を計画するほか、三万一千九百キロメートルの市外回線増設を行なって即時化を実施する予定であります。  農山漁村電話普及対策につきましては、前年度に比べて七億円増の六十六億円をもって、公衆電話八千五百個を設置するとともに、二百カ所の地域団体電話設置することによって約一万五千個の電話を架設し、無電話部落の解消を促進すること等を計画いたしております。  以上をもちまして説明を終わらせていただきますが、この機会に、あらためて日ごろの御指導と御鞭撻に対しましてお礼申し上げますとともに、今後ともよろしく御援助を賜わりますようお願い申し上げる次第でございます。
  12. 安部清美

    委員長安部清美君) 本件に関しましての質疑の通告がありますけれども、一応、休憩いたしまして、午後一時から再開したいと思います。  休憩いたします。    午前十一時四十四分休憩    ————————    午後一時十三分開会
  13. 安部清美

    委員長安部清美君) ただいまより再開いたします。  郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査議題といたします。  これより質疑に入ります。
  14. 光村甚助

    光村甚助君 さっき、大臣所管事項説明資料の中に、ことしは年賀はがきもスムーズにいったと、「十二月十五日に至り組合との交渉が円満に解決することができまして、郵便業務運行例年にない好成績をおさめることができたのであります。」こう言っておられるんですが、それにもかかわらず、ことしになって郵政省で三人の首切りと相当の処分者を出されたんですが、去年、組合との話の中で、処罰の問題はおそらくなかったこととは思うんですが、年賀郵便もスムーズにいっているのに、どうしてたくさんのこういう犠牲者を出さなければならなかったんでしょうか。
  15. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) 処罰をしなければならないような人が出てきたということについて、私はきわめて残念に思います。その処分を発表しましたときの私の談話にも、「私は、このような処分をしなければならないことを衷心遺憾に思います。私は、今次年末年始の郵便業務運行が近来にない成績を収め得たことに関し、従事員諸君の努力を高く評価し、十分これをしんしゃくしたのでありますが、国民の公僕たる公務員としての職責にそむき、国民に多大の迷惑を及ぼしたものについては、それぞれその情に応じて責任を問わざるを得ないのであります。こういうことを申しておりますけれども、全くこういう気持でございまして、最後に、「従事員諸君も、よくその国民に対する職責を自覚し、いわゆるとび上った行動のないように、深く戒心せらるることを念願してやみません。」——まあ、申し上げていいか、少し言い過ぎかもしれませんけれども、私の心持の中では、組合の一つの行動としてあるべきところ以上に、いわゆる飛び上がったといいますか、はね上がったといいますか、そういうような行動をしてきた人に対しては、やはり相当の処置をすることが必要であるし、それが事業全体の秩序を保持していくゆえんであろうと考えたものですから、まことに残念なことでありましたけれども、若干の処分をいたした次第でございます。
  16. 光村甚助

    光村甚助君 最近の労働運動は国鉄、電通、ほかの組合を見てみても、こういう大きな処分はないのです。郵政省だけが首を切ったり大きな処分ばかりをやっているんですね。私たちが組合出身だから言うのじゃないのですが、全逓もずいぶん前と違って相当郵政省にも協力して、さっき言いましたように、前年に比べて年賀はがきなんかというものは実際びっくりするぐらい早く配達ができて、世間の人も喜んでいるんです。私は、そう飛び上がった行動を組合自体が許しているわけではないし、おそらく組合員自身は、こんなに一生懸命やっているんだから、処分というものはおそらく考えてもいなかったんだろうと思いますが、郵政省のやり方は、大体、全逓をこうしてだましておいて食い逃げをやったとしか私には思われないのですが、一体どういうことをやったのですか、首を切らなければならないような。最近国鉄だとか、電通、専売というものは、こんな大きな処分はないのです。郵政省だけが何か全逓をやっつけてやらなければならないというような、目にかどをたてたような労働行政をやっているんですが、どうも私には納得できないのですが……。
  17. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) 個々の処分の対象になった人たちがどういうことをしたかということについては人事部長からお答えをいたしますが、今、光村さんの言葉の中で、食い逃げをしたと言われるのは、私としてはまことに心外千万でございます。どういうわけでそういう言葉が出てくるのかということを私は理解ができませんけれども、郵政省少なくとも私どもといたしましては、肩ひじをいからかして、特に組合に対して、何と申しますか、高い姿勢をとるとか、そういうようなことではなしに、事柄のあるべき当然のところによって行動するというのを建前にしておりまして、しゃっちょこばらないしゃっちょこばらないということは、ふだん始終言っておりますから、光村さんも御承知と思いますけれども、今度の処分についても決してしゃっちょこばったところはございません。全逓を目のかたきにするというようなことは決してないのでありまして、その人の行なった行為がそれに該当する、その処分に該当すると判定せられたものに対しては、十分いろいろ情状酌量して、なおかつそういうことになる者に対しては、まことにやむを得ない次第でありますが、処置をしたのでありまして、個々の人についての行動について説明が必要ならば人事部長からいたします。
  18. 光村甚助

    光村甚助君 あとで聞きます。  一ぺん郵政職員は首になると、これは復職というのはほとんど不可能だと思うのです。首を切られると、この人は一生失業者なんですね、実際上。だから首切りなんというのは、そう軽々しくやるべきものじゃないのです。もっとほかの方法をやる、本人をこらしめるというのなら、ほかに方法もたくさんあるわけなんですね。郵政省のやり方といったら、首を切れば何か組合がつぶれて、おとなしくなって郵政省の思う通りになるのだという考え方を持っているのじゃないですか。
  19. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) 首を切るということが極刑であって、その人の生活を奪う、少なくとも郵政省関係では将来復職ができないということは、私どももよく知っておりますから、免職ということについては最も慎重にこれをやるわけであります、決してその免職を手段にして組合に対してどうこう、組合対策として、手段として免職という方法をとるということなんかは全然心にもないことでありまして、どうしてもそういう、言葉が少し悪いかもしれませんけれども、光村さんひがんでおっしゃるのかと、私はそういうふうな感じです。
  20. 光村甚助

    光村甚助君 何べんも言うようですが、よその組合では最近こうした首切りなんというのはあんまりないのですよ、実際。そういう点から、郵政省が考えていることが、私のひがみか知りませんけれども、何かこう全逓をたたきつぶしてやろうというような考え方があるのじゃないですか。よその組合でもどんどん首切りがあるというならともかく、全然最近ないですよ。実際に一ぺん首になれば就職なんということも実際これは不可能なんです。首切る基準というのはどこにもっておられるか知りませんが、郵政省というのは大体事業官庁で、仕事がおもなんですよ。郵便にしたって保険にしたって貯金にしたってね。最近の郵政省の人事行政というのは、人事部が率先して全逓をやっつければいいのだというのが郵政省の方針のようにしか思えない。郵便がどうなろうが、保険がどうなろうが、貯金がどうなろうが、ひとつ全逓をやっつけることが郵政省の方針としか私は考えられない。どうですか、その点。
  21. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) 決してそういうことはありません。ほかの組合に免職がない、お前の方にどうしてあるかと、こういうことですけれども、おそらくほかの組合には免職に値するような行為をした人がない、こういうことじゃないかと私は思います。
  22. 光村甚助

    光村甚助君 じゃ免職に値するということはどういうことなんですか、一体。
  23. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) 要するに、その人が郵政省の職場の中におりましては全体の秩序が破れて、全体の統一のある業務執行が不可能である、他の懲戒の方法をもってしては、とうてい改俊させることができないというような場合において、やむを得ずその処置に出る、こう私は判断しております。
  24. 光村甚助

    光村甚助君 具体的に言って下さい。それじゃ全然わからない。
  25. 長田裕二

    説明員(長田裕二君) たとえば、今回免職にいたしました三人につきましては、これは福山郵便局で業務妨害の行動の激しかった中村洋壮君、それから四日市郵便局で大体激しい職場闘争をいたしました辻井良和君、それから都城郵便局でやはり業務妨害的な行動が激しかった豊丸貞光君の三人でございます。  福山局の中村君の行動について申しますと、十二月の四日から九日までの六日間にわたりまして、福山局に、まあ入局を阻止されたにもかかわらず、福山局の職場に無理やり入って参りまして、職場闘争だということで業務規制を行なおうといたしました。それに対しまして、業務命令を出し通常の作業をさせようとしました集配課長とか、その他局の管理者を、課長席、あるいは自室の隅の区分だなの横のほうに無理やりにつかまえていって押しつけて行動の自由を奪ってしまう。あるいは業務命令を出そうとする管理者の口を手でふさいで、何にも言わせないようにする、あるいは郵便局員や監察局員が福山局に参りまして作業室に入りますと、強引に室外に押し出してしまう。こういう行動を大体六日間にわたって続けておったわけでございます。  四日市局の辻井君につきましては、十一月二十七日から十二月十四日まで延べ十六日間、途中行かない日もありましたのですが、延べ十六日間にわたりまして四日市郵便局の管理者がたびたび退去してもらいたいというような、口頭や文書によりまして四十数回退去要求をしたにもかかわらず、繰り返し自分の作業室に入って参りまして、四日市郵便局の管理者が業務命令を出すのにつきましてこれを妨害する。それから職員に対しましては業務命令を拒否するようにという指導をする。あるいは非常勤職員に働きかけまして、その不就労——業務に従事しない、もう仕事をやめて帰るように説得して、結局もう引き続いての勤務につかせないようにしてしまう。そういうような行動が非常に長期にわたってあったのでございます。  都城の豊丸君につきましては、これは十月二十四日から十二月十五日の全逓本部と妥結しましたその間に——これはあの支部の執行委員で都城局の職員でありますが、自分の局で郵便課長の作業手順の業務命令を再三拒否する。あるいは三六協定が結ばれておるにもかかわらず超過勤務命令を拒否する。あるいは再三にわたりまして、郵便課長が外務員に担務変更命令を出しあるいはその他業務命令を出すのを妨害する。あるいは外務員全員を指導して就業をおくらせるとか、そういうような行動をとる。あるいは配達すべき郵便物を相当持っているにかかわらず、時間前に局に戻ってしまう。それで組合業務を行なうとか、それからさらにその豊丸君につきましては、十二月十五日本部本省間で妥結いたしました以後におきましても、十二月末まで、たとえば非常勤職員には業務指導をしてはいかぬとか、管理者とは口をきかないようにとか、そういうような指導組合員にしたりする。あるいはその他勤務時間中に何かほかのことをしたりするというような行動などもあったわけでございます。非常に程度がはなはだしく、そのまま身分を局内にとどめておくことができないというふうに判断せざるを得なかったわけでございます。なお、先ほどのお話の中に、人事部が中心になって、業務のことはかまわずに、ともかく全逓に打撃を与えることだけを、というようなお話がございましたのですが、私ども、先ほど大臣の御回答でも申しましたように、そういう気持は決して持っておりません。
  26. 光村甚助

    光村甚助君 私は四日市と都城の資料は持ち合わせがありませんが、これはあとでほかの人にやってもらう。福山には私は行って事情をよく知っているのです。このくらいの労働運動のやり方は、あなたのおっしゃるとおりだとは、私はそのようには思っておりませんけれども、こんなことは過去に幾らでもあるのです。よその民間組合であったら、このくらいのことは、何といいますか、朝飯前だといいますか、このくらいの、人をちょっと突いたとか、すわらしたとかいうことくらいのことは、今まで私も長い間の労働運動の中で、そのくらいのことは何回かある。立とうとするのをすわらしたり、これは笑い話になってはいけませんが、福山の集配課長なんていうのはこれはとても口がくさくて面と向かって話もできない。お前の口くさいからちょっと黙っておれと、こうやった、それが暴力だ、話をしているのに逃げるから話をしようじゃないかと追っかけていってつかまえるのを押しつけた、今までこれはあなたのほうの調べと私の調べと違いますが、それはさっきも言いますように、そのくらいの労働運動は終戦後から今まで幾らもあったのですよ。それを何かさっきあなたは弁解されますけれども、国鉄にしろ電電にしろ、事業というものが主なんです、実際上。それでそのほうに重きをおいて、どうしたら事業というものが、ほんとうに国民の信頼を受けて、円満にいくかということを一生懸命やる。郵政省はそうではないのですよ、実際。何べんも言うようですが、何かしたら首を切っておどかしてやろう、去年も相当の首切りをやったが、財政面で全逓を困らせてやろうといっている郵政省の高官がいるのです。そういう面から、あなた方は事業が主だとおっしゃるけれども、郵政省は、一つうんと首を切って、財政の面から困らせてやれば全逓がつぶれるだろうと広言している郵政省の高官がいるじゃないですか。そういう点から考えても、何かちょっと、行き過ぎでもない労働運動をつかまえて、首を切ってやれば全逓がつぶれるだろうということをやっているとしか考えられない。今までこんな労働運動のやり方はざらにあったと思いますが、これが首を切らなければならないほどの問題ですか。
  27. 長田裕二

    説明員(長田裕二君) 福山でも、福山局での中村君のような行動は、最近跡を断って非常に少なくなっているというふうに考えております。
  28. 光村甚助

    光村甚助君 福山局でも、その何日か、四日から九日までだと言っておられますけれども、その間ほとんど交渉もやってないのです。ただ出て行ってくれ、出て行ってくれでは、これは話にならないのです。どこでも全逓は、地区の幹部ですから、郵便局に行ってこれは指導しているんです。ただ出て行ってくれだけで、話もせずにそういうことをやる。あなたは押しつけてぶんなぐったようなことをおっしゃるが、全然相手方はけがも何もしていないのですよ。そして、もう一つは十四日の日に、九日に済んだやつを十四日に告訴しているらしいんですが、さっき食い逃げだと言ったのは、これは全逓と交渉が片づくのだから、片づいたとたんに告訴してやるという考え方と同じじゃないですか。私はその点からも食い逃げだと言っている、どうですかその点は。
  29. 長田裕二

    説明員(長田裕二君) この行動がありましてしばらくしましてから、広島郵政局長名で告発したかと思いますが、妥結後でもございませんし、また従来こういう激しい行動がありました際は、大体告発するようにという指導を数年前からやっておりまして、そういう大体指導に基づきまして広島郵政局でその措置に出たわけでございます。
  30. 永岡光治

    永岡光治君 関連。ただいまの光村委員の質問に関連して少しばかりお尋ねしたいわけですが、刑罰の目的と申しますか、いろいろ見方があると思うのですが、普通の場合における刑罰の対象になる者に対する考え方と、労働運動の範疇で対象となるべき問題の取り扱い方というのは、よほど観点を異にして私は考えていかなければいけないんだと思う、歴史的に見て。昭和三十二年でしたか、三年でしたか、全逓の、田中角榮さんが大臣当時に問題の端を発するわけですが、あの当時大量の本部初めとして首切りの処分が出まして、それ以来というものは、現在の法律、労働法の不備がありまして、なかなか正常な団体交渉すら持てなかった不幸な私は労働運動の状態だったと解釈しているわけです。そのことが不必要に事業を混乱さしている原因であったと私は解釈しているわけですが、そういうことから考えて参りますと、今度の処分にしてもそうでありますが、従来しばしばその間行なわれた処分にいたしましても、その原因となった問題については、多分に労使双方間において感情的に走ったものが私はずいぶんあったと思う。これは非常に私は不幸だと思うのでありますが、しかし、その過程でも、長い労働運動の経験から、やはり労使の正常化ということは国民全体からも要望され、私たちもそのことを念願しておったわけでありますが、幸いにして昨年の年末時の、言うならば闘争といいますか、そういう場面にぶつかった際における取り扱い方についても、非常に私たちは関心を持って、非常に国民の中にも郵便の遅配という問題が蔓延して、その正常化に対しての切望が強かったと思うのですが、それが両者の理解ある態度で円満な解決を見て、大臣のこの所管事項の報告の中にもありますように、非常に円滑にいったと言うし、私たちも暮れの東京内の繁忙と考えられる数局を回って来ましたが、局長さんのお話によりますと、それは業務の取り扱いに対する事前の措置もよかったのでありましょうけれども、いずれにいたしましても職員の協力ということが非常にあずかって力になりまして、最近でなくて、郵便事業始まって以来の非常ににスムーズにいった年だと、こういうふうに承っております。事実そのデータも拝見いたしましたが、そのとおりでございました。ところが、そういう状態であるのにもかかわらず、年が明けてこれは二月になりましてでありますが、処分があった。しかもそれが懲戒免職、こういう記事を国民が見たときに、何だろうと、どうしたんだろうという疑念を持つのが私はあたりまえだと思うのですね。お話に聞きますと、その業務運行を阻害したというようなことが言われておりますが、しかし労働運動がそこまで円満にいけば、極刑はこの際一応見合わせて、刑罰の目的はいろいろあるでありましょうが、将来が円満にいくという、そういう方向に進みつつあるというのであれば、むしろ忍びがたきを忍んでも、私はそういう方向に協力するのが、国民からお預りしている郵政事業を円満にするゆえんのものではないだろうか、私はそういうふうに考えるわけです。かりに法に触れた者があったといたしましても、むしろそれは外部に出すのではなくて、内輪でその問題を解決していくということのほうがよほど信頼を高める筋合いのものじゃないかと私は思うのです。  ところが今の処分の問題でありますが、聞いてみますと、三名の方をあげられておりましたが、私も現場を見たわけではありませんから、ここでいずれが正しいかどうかという判断は、この際下すことを一応保留いたしますけれども、しかしそれにいたしましても、以上申しました観点からするならば、非常に酷ではないだろうか、たとえば今、三重の問題を取り上げられましたが、組合側のお話を聞きますと、これは人事部長の今の答弁の中にもありましたが、非常勤の職員を時間外に集めて、そうしてお前たちはその仕事に協力しては困るのだ、というのは、今ちょうど規制闘争と申しますか、時間外勤務を、それをとめようとしている状況なんだから、組合の方針にも従ってもらいたいということで、説得をしたそうであります。こういう問題について考えましても、組合の役員であってみれば、そういう一貫した目的のもとに、このトラブルが進んでおるとすれば、やはり組合のその指導者の立場というものも相当理解をしたあれをしなければならぬと思うのでありますが、ふだんのこの処分であってみれば、今光村委員からも言われましたが、朝飯前と言えば、あるいはあまりオーバーな言い方かもしれませんけれども、大体従来の例からすれば、他の組合状況にいたしましてもそうであります。極刑をもって臨むには、少し酷ではないだろうか、むしろ刑罰の目的、事業運行を将来に託すというのであれば、この際反省を求めるという程度にとどまるのがいいのではないだろうかと私は思うのです。言うならば、郵政当局の非常にある一定の方針のもとに、こういう私たち感じを強く抱くわけでありますが、そういう方針のもとに、これらの三名の諸君が流れだまに当たって、犠牲を受けたのじゃないか、ふだんの場合ならば、懲戒免職百点——悪いところで百点という、そういう基準があるとすれば、この際は、六十点ないし六十五点くらいのものじゃないだろうかという気がするわけです。ところが、これは首になった。私は後ほどまた申し上げたいと思うのでありますが、大臣に特に御考慮をいただきたいと思うのでありますが、私たちが知っておる専売の労働組合、あるいは国鉄の組合、あるいは電電公社組合のごとき処分につきましても、もうすでに過去に処分されたものも復職されておりますし、また年次を分けて順次もとに処分を戻しておる、という事態がある中に、なんでその全逓だけをこの際取り締まらなければならぬだろうかという、そういう感じが強いのであります、非常に強くするのであります。だから、その全逓が処分をされて、それはまあ正常化になったとかりにいたしましても、それは処分によって正常化したのでなくて、組合の何と申しますか、事業に対する態度といいますか、労使慣行という観点から、私はみずから自主的な立場に立って、積極的な観点からの正常化と私は解釈するのでありますが、どうしても、考えますと、この処分が、せっかく組合正常化にいこうという矢先に、そういう意欲をそぐ、労働運動というのは非常にむずかしいのでありまして、私から申し上げるまでもないのでありますが、幹部の諸君の気持というものは非常につらいわけでありまして、非常に大ぜいをまとめて、つらいわけでありますが、その際に、大ぜいある組合員であるから、中には若干の行き過ぎがあるでありましょうけれども、そのことを物指ではかって、これは首だという、そういうやり方をされますと、今まとめて、新郵政大臣になりましてから、特に正常化の方向に踏み出す動きが強くなっておる矢先に、また処分される。組合員の諸君にしてみれば、お前たちはいいかげんなところで妥協するから、こういうことになってしまったのだ、やはり戦わなければだめなんだということで、よけいに何といいましょうか、よけいに当局の態度に対して反感を持った行動に出がちなのであります。それは広い、長い目で見ていいかどうかということになると、私は決していいものでは私はないと思うのですが、そういう観点から、この際私は大臣、あるいはまた人事部長あたりの労働行政——こまかい問題は、個々の例は取り上げることを差し控えますが、労働行政というものの長い間続いて参りましたところの冷戦というのですか、それを解消するために、取るべき手段は一体ないのか、どういう方針でいくのかということをただしてみたいと思うんです。  なお、それにつけ加えますが、先般来、「新しい管理者」といいますか、何かそういうパンフレットが出たそうでありまして、私たちも全部読んではおりませんが、若干の抜き書きを拝見いたしましたけれども、何か反動呼ばわりされるような管理者というものがほんとうの管理者なんだ、全逓というのは暴力団なんだ、そういう暴力団という認識のもとに管理体制を確立すべきなんだ、こういうものの言い方をしますと、これはどうしても正しい労働慣行というものは生まれないと思うんですね。だから、この際明確にしていただきたいのは、そういう個々のいろいろな問題があったにいたしましても、広い、長い目から見て、郵政事業正常化ということを考えます際には、もっと忍びがたいものが、かりにあったにいたしましても、忍んで、百年の大計を立てる必要があるのじゃないか、その時点が今じゃないか、私はこう思うんですが、そういう新しい労働行政という観点と、今回行なわれました処分を対比して参りますと、この処分は苛酷だ、その苛酷が、むしろ事業運行や、組合のあり方についてマイナスを及ぼす結果になるのじゃないだろうか、このように私は考えるわけです。  こういう問題について、どういうようにお考えになるのか、その点を私は大臣及び人事部長から承りたいと思うんです。
  31. 長田裕二

    説明員(長田裕二君) ただいまの御質問の中にもございましたように、全逓と郵政省との関係は、昭和三十三年の四月から三十四年の暮まで一年八カ月にわたりまして、正常な団体交渉をし得ないような間柄でございまして、その間、何といいますか、実際上団交権を持っているのと同じような状態を作り出そうというようなことが、当時の全逓の大きな運動方針と申しますか、闘争方針と申しますか、そういうことであったのではないかというふうに考えられたわけであります。その手段として、職場闘争というものに非常に重点がおかれてきた、そういうことが三十四年の暮に藤林あっせん案で、臨時代表制のもとに団体交渉は再開し得るようになりました以後も、それ以前に力を入れました職場闘争方針、職場の闘争に力を入れるという方針、そういう方針が、ある程度惰性的にも続いて参りました関係もございまして、かなりそちらのほうに組合運動のエネルギーがかかって、管理者側のほうにしてみますと、そういう結果、何といいますか、力関係で非常に正常な管理権の運行をし得ないような状態というものが、ほうぼうに出てきて参ったのではないかと思うわけでございます。  郵便の遅配の問題が非常に世間にも取り上げられ、大きな社会問題になるにつきまして、郵政省としましても、どこにその根源があるかということから、一番遅配のはなはだしい局について、だんだん実態を調査して参りますと、そういう職場闘争に関連いたしまして、全逓本部と郵政省との間で締結しました勤務時間協約が、そのとおりに守られていない。中央の勤務時間協約は、その最低基準でもなければ、最高でもない、そのものずばりできめたものであったわけでございますけれども、それをかなりこえたと申しますか、そこできめられておる勤務時間あるいは休憩時間、休息時間、そういうようなものよりも、はなはだしくそれがゆがめられて、それが郵便の遅配の一つの大きな原因になっている、あるいは職場規律が非常に乱されているというようなことなどが、だいぶ見受けられました。遅配の問題を一刻も早く解決したい、職場の規律とか、そういうものを一刻も早く正常な姿に戻したいというようなことを省側としては非常に急がざるを得ない状態でございました。そういうために、幾つかの手を打っていったわけでございます。その過程におきまして、たとえば管理者が非常に自信を喪失している。管理者に、管理者というものは職場でどういうふうにしなければならないのだということについての訓練をするにつきまして、先ほどお話のようなテキストなども作ったりいたしました。その中に、先ほどお話のように、暴力団的だとか何だとか、そういうつもりはなかったと思いますけれども、言葉の用語が適切でないために、ついあまり適当な表現でない部分も出たりしておったことは、私どももお話のとおりかと思うわけでございます。趣旨は、そういうことではなかったと思いますが、たまたまそういう趣旨を言い表わすための言葉の表現が適切でなかった。そういう個所もあったかと思いますし、そういう面につきましては、私どもも大いに気をつけて参ることにしているわけでございます。  なお、その他、たとえば監視班を派遣したりいたしまして、職場で業務命令などを徹底させるとか、そういう行動に出ました際に、まあこれは、その場の緊張した雰囲気からしまして、あながち管理者の側とばかり申せない、双方と言える。むしろ程度から言えば、あるいは少なかったかもわかりませんけれども、ときに不用意な言葉なども出た、こともあったのではないかと思われますし、そういう点につきましても、これは相手に反省を求めるということもあれでございますが、われわれ自身としても、そういう点を反省していかなければならないのじゃないか、そういうようなことも考えられるわけでございます。  いずれにしましても、そういう遅配の原因と考えられる問題の解消に非常なエネルギーを注ぎました結果、その取り運びの過程で、お説に似たような事柄が、ときに起こる、そういうことがお互いに誤解を招き、スラリと考えれば、フランクに考えれば、そんなに思い過ごしをしなくてもすむことを、省側はこういう意図ではないか、あるいは、組合側はこういうつもりでやっているのじゃないかというようなことなどで、だんだん誤解が重なったりするというようなこともあったのではないかというふうに考えるわけでございまして、そこらの点につきましては、私どもも、今後の問題については十分気をつけるつもりでございますし、また年末、先生方御存じのような形で妥結しているわけでございまして、今後は双方とも、そういう面に十分気をつけて参るつもりでございます。  なお、処分によって組合の方針を変えさそうとか何とかいうことは毛頭考えておらないわけでございます。たとえば、先ほど免職の三人について申し上げましたような行動が、全逓の方針に基づいてされたというようには全然考えておりませんし、そういう行動が、いついかなる場所、どういう人によってなされましても、私どもとしては、相当はっきりとした態度で臨まなければならない事柄でございます。大臣から先ほどお答え申し上げましたように、年末妥結後に非常に業務がりっぱに行なわれたということなども相当考慮いたしました結果、しかもなお、ああいう処分をせざるを得なくなったという事態でございます。
  32. 永岡光治

    永岡光治君 関連ですから、あまり長くやりませんが、大臣がよく口にされることですが、敵というのは非常にきらいだ、組合運動に敵、味方がないようにならなければ、ほんとうの正常化は生まれない。また、事業運行も期し得ない。これは労使全般に共通した問題であると思いますが、どうも人事部長の答弁がありましたけれども、何かまだ、先ほど申し上げました流れがありまして、感情的なしこりが残っておるんじゃないか。それが不必要にものをこじらかしておる原因だと私は思うんです。事業を行なうのは管理者、もちろん管理はしますけれども、実際に仕事を運行するのは職員、言うならば組合員です。別の見方からすれば組合員なのであります。それが処分問題になりますと、往々にして管理者側の立場といいましょうか、これは郵政局長会議等でしばしばお話もあったでしょうし、また私たち地方に参りまして、また聞きでありますけれども、そういうことを聞くのでありますが、管理者はきぜんたる態度をとらなければならぬ、そういうことで、何だか処分がやわらかいのが、きぜんたる態度でないかのごとき印象を受けるわけです。そういうことではないので、この処分の問題を見ましても、実は組合側に今お話のあったような事例があったといたしましても、逆にまた管理者のほうにも、組合員を突き飛ばしたり何かするところも、例にしばしば聞いているわけです。これはエキサイトして参りますと、それはありがちなことなんです。しかし、何か管理者はきぜんたる態度にオーバーな考えを持ち過ぎるあまりに、何か処分をしなければ、それが保てない、そういうことは見方が少し狭いのじゃないだろうかと私は思うのであります。むしろ管理者が、管理者よりは働く子供といいましょうか、二十数万の実際の仕事をやっておるその人方の立場を考慮してあげるというのが、ほんとうの現場の運行のあるべき姿ではあるまいかと私は思うのですが、そういう観点から見ますと、どうも今度の処分は、管理者を納得させるといいましょうか、何か結果的には、ひとりよがりがあります。長い目から見て、私は今から予言できると思いますが、あれは行き過ぎだった。あんなことをしなくてもよかったのじゃなかろうかというふうな日が、必ず私はくると確信をするわけでありますが、どうも、その事業運行して働いているのは、汗水流して働いているその職員だということを、この処分の場合よく頭に入れて、その諸君が働きやすいように考えてもらいたい。管理者は二の次だ。この考えを持っていただかなければ、なかなか人事管理はうまくいくものじゃないと思うのです。  そういう意味から、もう一つ大臣に、新しい年を迎えて、これからせっかく実ろうとしている正常化を生かしていかなければならぬのでありますが、新しい労働行政といいましょうか、郵政の、そういうひとつ基本政策、これを大臣にお伺いしたいと思うのです。それは私は、まあ端的にいえば、私たちが幹部の皆さんに会うような気持で、ひとつ組合の諸君にも気やすく会うし、胸襟を開いて会ったって……、何か管理者に、かみしもを着せなければならない、組合はおれの敵だという勘ぐりを捨ててしまって、したがって、そういう観点を堅持せられる限りは、処分の問題についても、そういう苛酷なものが出ようはずがないと思う。そういう私行き方にしてもらいたいと思うのですが、どうでしょうか。大臣の考え方、基本方針ですね。
  33. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) 私は、この労働問題というのは、今回六十年の生涯初めての経験でして、非常に勉強をしつつあるのでありまして、今まで私たちがやったことは完全だとは決して思っておりません。これから先、日々私は自分が進歩していくつもりでおりますが、少なくとも役所の中で言っておりますことは、よく今まで、一体役所の文書を見るというと、きぜんたる態度だとか厳重だとか、そういうような処分というようなことをよく書くけれども、そういうことは、言葉としては適当じゃないのじゃないか。あるべき形をそのままに言う。別にレベル以上にしゃっちょこばってきぜんとする必要もないし、それから厳重なるというのも、何かあるべきところよりも、もっと高く、そういうことはいけないといって、ずいぶん文章の端から直しかかってきたことは、あるいは永岡さんも御承知じゃないかと思うのですが、今回の処分永岡さんその他の方々からもお話がありました。私は組合の諸君とも懲戒発表の前に会ったことも、御承知の通りでございますが、よく話を聞きました。何べんも何べんも考え直して、いろいろ管理者の側のほうに、何か念がこもって、その念でやっておるというようなことが絶対にないようにということを私は念願といたしまして、静かに考えて、確かにこの懲戒免職になった人たちに行き過ぎているなあという感じを、私はそういう心証を得たのです。いわゆる飛び上がったといいますか、一つの組合全体の、一つの何といいますか、調子をこわしてしまう、いわゆる飛び上がった行動が、確かにこの人たちにはあった、そういうことになってみるというと、やはりあるべき処分はしなければならない。こういう考え方から、この処置に出たのでありますが、今後における対組合との関係というのは、私は先ほどから申し上げましたとおり、虚心たんかいに胸襟を開いて、ほんとうに話し合いをしていく。私は組合の諸君にも言いました。あなた方のほうも、かちとる、かちとるというようなことを言わないで、話い合いでひとつ、まとめるものはまとめていこうじゃないか、あなた方のほうが、かちとるという言葉を使われると、われわれのほうは負けとられるということになるのだから、そういうふうになるのは非常に困る、だからひとつ、話し合いをうまくしていこうということを私は自分では実行しているつもりです。幸いに組合の幹部諸君も私の気持ちを理解してくれたとみえて、このごろは敵と言われても、あまり気にしなくなりましたけれども、敵とも言いませんし、またかちとるという言葉も使わなくなりましたので、その点、非常な進歩じゃないか。この空気を、さらに一そう私はできるだけひとつ努力をして、そうして労使の正常なる関係における郵政事業を果たしたい。  今回の処分、今永岡さんが、将来あなた方は後悔するぞと言われましたが、あるいはそういうことになるのかもしれないと思います。なるのかもしれない。しかし私は、現在のところはあるべき正しい処分をしたと、こういうふうに考えておるのでして、今後、さらに一そう努力をして正常化に努めたいと思っております。
  34. 永岡光治

    永岡光治君 一つだけ。関連ですから、これでやめますが、とにかく私のいわんとするところは、組合に対して、何かこうしゃっちょこばったような管理者の教育で、労働運動の正常化というか、業務運行を期していく、そういうあり方はいけないのだ。そうじゃなくて、管理者のほうにも、だから処分等で押えつけて業務運行するという考え方は改めて、そういう観点からするならば、管理者に対しても……。地方に参りますとずいぶんあるのです。僕らが行くと、特別の小さい局ですけれども、何かよけいな人が来たというような顔をするような人もなきにしもあらず。机の前まで行ってこちらがあいさつしなければ、あいさつしないような管理者があるわけです、率直にいいまして。それはやはり郵政省指導が誤っておるのじゃないか。もう少し、組合はもう敵だという、お前たちは威圧的な態度で臨め、それがつまりおどしであって労働運動の管理者としてのとるべき態度だと、こういうふうなあり方が、どうも最近の、これは、そういうつもりじゃないのでしょうけれども、受けるのですよ。そういうことのないようにしてもらいたい。  それから、いろいろ法規のある今日ですから、法規を曲げろうとはいわぬけれども、まああまり法規にこだわりすぎて、しゃっちょこばってしまって、よけいなトラブルが起こるようなことのないように、管理者のほうも、その観点でひとつ教育といいますか、訓練といいますか、そういうものをやってもらわぬと、これはつまらぬ話ですけれども、何か、おれの言うことを聞かなければ業務違反だ、大臣もちょっと言われましたが、チューインガムを捨てろと言ったが捨てなかった、それは業務違反だ、処分しろと、そういうような管理者の教育の仕方でなくて、もう少しあたたかい観点から、なごやかな観点から労働運動の正常化というものをひとつ確立するように、管理者のほうも再教育するように私も強く要望しておきます。
  35. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) 永岡さんのお話、よく服膺をいたして努力をいたしますが、まあ今まではともかくとして、最近においては、管理者のほうも、しゃっちょこばらなくなりつつあるというふうに考えていただけたら非常にいいと思うのです。そういうふうな傾向にはあるがというような言葉が一つあると勇気が出るし、一そうやろうと思うが、まだお前のほうは、しゃっちょこばっておるぞ、しゃっちょこばっておるぞと言われると、そうかなと思うのですけれども、私はずいぶんよくなってきておるじゃないかという感じがするのですけれども、どうでしょうか。
  36. 光村甚助

    光村甚助君 全逓でも、去年人が足らないということで四万人の要求をして、人が足らないから郵便がおくれているんだということは世間の人も言っているのですが、そういう時代にもかかわらず、私がさっき言ったように、事業が先か、人事行政が先かということを言ったんです。たしか郵政局の人事部の管理課に、課上長補佐を多いところは五人くらい作っておるのですね。これは一体、何のために作ったんですか。管理課に課長補佐を五人も置けば、郵便は早く着きますか。
  37. 長田裕二

    説明員(長田裕二君) 郵政省の管内で、いろいろトラブルが起こったりいたします。そういう問題が、そういう点が郵便の遅配などに関係している例が非常に多かったということは先ほど申し上げましたが、そういう際に、現場の管理者の力だけによりまして、その業務正常化がはかれれば非常にけっこうなわけでございますが、ときには労使関係の力関係といってはあれですが、現場の管理者だけで業務指導なり監督なりが十分やり得ない、労働問題が非常にからみまして非常にやり得ないというような事態も、まま起こりまして、そういう場合に、郵政局の管理課に課長補佐——割合に身軽に行動のできる課長補佐などを配しまして、そういう者が出かけて行って、局長の相談相手になるというようなことは、最近何といいますか、一、二年やっておるわけでございます。そういうことをやっているわけでございます。
  38. 光村甚助

    光村甚助君 だからあなた方の考え方が、何とかして全逓と対決してやろうという考え方が、今も言葉の端々に出るわけです。さっき永岡さんも言われましたように、最近人事局を作ると、これは何だと新聞を見れば、全逓対策のため、部じゃ小さいので局にするのだ、考え方自体が、そういう考え方なんです。  一体監察局は何のために作ったんですか。最近の監察局なんて、犯罪の調査などほったらかしておいて、何とか全逓対策も監察局の人がやっておるのが事実じゃないですか。そんな監察局だったら、できたときの趣旨と違うからやめたらどうですか、大臣、これは大臣に聞くのですが。最近も、赤行のうを抜き取られたり未解決の事件がたくさんある。東京でも、最近また四国でも何百万円か起こっておるということを聞いておる。監察官自体が、犯罪の仕事をやっておらない。全逓の労働運動を取り締る方向にばかり動いておるから、こういう失態が起こる。監察局のできた事情を大臣知っておりますか。ことごとくが、こういう実態なんです。さっきの人事局の話にしても、そうなんです。郵政省の労働行政というのは、国鉄より五、六年おくれています。国鉄あたりが一時、七、八年前にぼんぼん首を切った。しかし首を切って、はたして国鉄の事業が円満に遂行されるかということだったのです。だいぶ国鉄当局では方針を変えていますよ。組合員をぼんぼん首切ったって、決して事業が円満に遂行できるなんて国鉄で思っていない。それでだんだん首切りなんていうのをやめている。永岡さんからも、さっき話があったように、ずっと前首になったのを復職さしてやろう、あるいは戒告とか訓告で昇給がおくれているのを元に戻してやろう、だんだんそういう傾向になってきている。  それにもかかわらず郵政省は、国鉄が五、六年前にやったように、首を切れば事業がうまくいくだろうというような、一時代前の考え方だ。何べんも私がさっき言いましたように、全逓をとっちめてやれば事業がうまくいくという考え方を改めない限り、全逓だって、また首切られたら、首切り反対闘争で、闘争が起こるのです。こういうことをいつまでやったって、私は郵便の遅配というものは直らないと思うのです。首切りをやったからといって全逓が遅配をやるというわけではないのですよ、ないのですが、相手方をやっつけて、屈服させなければならないのだという考え方をやめて、国鉄あたりのやっていることを見習いなさいと私はいうのです。私はせっかく大臣も、今度、あなたの考え方は、厳然たるとか、断固とかいう言葉をきらいだとおっしゃるのですが、ひとつ新しい国鉄がやっているような労働行政をやる考えはないですか。
  39. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) もちろん新しいといいますか、正しい労使の正常な関係を打ち立てるために、絶大の努力を私はいたします。こいねがわくは組合のほうも、私と同じような気持で、そこに一段の進歩を示して、労使関係正常化のために、組合のほうも大いに努力していただきたい、こういうふうに私ども念願しまして、これは組合の幹部にも、よくそういうことはお話をしている次第でして、今後もやってみたいと思っております。
  40. 光村甚助

    光村甚助君 組合も考えたから、やはり国民に迷惑をかけてはいかぬ、人の増員の要求にしても、満足にいかないけれども、人に、やはり世間に迷惑をかけてはいかぬということで十五日に妥結しているのですよ。私たちは、ことしは四万人見ていただけるなと思ったら、年賀郵便が片づいたと思ったら、一月末になったらば、さっと首を切った。  これは郵政省の問題じゃないが、広島の問題にしても、逃げも隠れもしない者を、警察にほうり込んで大騒ぎをやった。証拠隠滅だなんて、そういう証拠隠滅ほどの仕事でもない。警察にほうり込むほどの仕事でもない。これは大臣に言ったってしょうがないのですがね。ほんとうに、告発したりして大げさにやっておる。そしてその人事局も、今度内閣委員会でどうせ審議されるでしょうが、これは人事部では、全逓に対決できないから人事局にしようということじゃないですか。新聞には、そういうことが書いてありますが……。
  41. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) 私のほうは、別に組合と対決するという気持は、さっきからないことを申し上げておるのですけれども、ひどく光村さんは対決という言葉を使われて、せっかく私が、組合との対決ということでないようにしていきたいということを念願をして、組合にもそういうことをお願いしておるのでありまして、(光村甚助君「首切りは対決じゃないか」と述ぶ)それを、そういうふうにおっしゃっておるのでして、非常に私としては理解がうまくできないのですけれども、今度は、人事部を人事局にするというのは、郵政職員三十万、それが官房の一部という形では、事務の分量からいいましても、また局長といいますか、長になる者の立場からいいましても、これを独立の局にしたほうが、すべての点からいって適当である。こう考えて人事局にしたのでありまして、組合と対決をするために決してしたのではありません。その点だけははっきり申し上げておきます。
  42. 光村甚助

    光村甚助君 あなた二時半に出ていくのですか。——私はこの次にやります。
  43. 野上元

    ○野上元君 私も、ちょっと関連質問をしたいのですが、先ほど来、同僚議員から、全逓と郵政省との間の正常化について非常に気を使ったいろいろな質問が出たわけですが、私もそれに関連して、一、二、大臣にお聞きしたいことがあるのです。  先ほど、あなたが説明された所管事項説明資料の中にも、先ほど来言われておるように、本年の郵便業務運行は、例年になく好成績をおさめておる、こういうふうに書かれておるわけですね。そして、そのあとで、今後、労使関係正常化には格段の配慮をやりたいのだ、こういうことが書かれておるにもかかわらず、突如として処分が出たということについては、非常に私も残念に思っておるわけですよ。そこで、どうしてこういうことになるのか。どうもあなたの御答弁を聞いておると、あなたの考え方と事務当局の考え方が食い違っておるのじゃないかというような気がするのですよ。  そこで聞きたいんですが、「新しい管理者」という指導要領を書かれたのは御存じですか。あなたはそれを読んでおられませんか。
  44. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) はなはだ申しわけありませんけれども、全部を読んでおりません。せんだって組合のほうから指摘されまして、中に用語の不適当なところを、——こんな言葉を使っておるのかなというふうに疑問に思った点だけ拾い読みをしまして、まあ人事部長には、これはひとつ適当じゃないから、なるべく早く直すようにということを言いました。一ぺん通読をしてみたいとは思っておるのですが、なかなかその時間がないので、はなはだ申しわけないと思っております。
  45. 野上元

    ○野上元君 私は、そこが一番問題だと思うのですよ。あなたの意思とは全然逆の意向が、いわゆる郵政省の文書になって下部に流れておるというところに、私はやっぱり大きな問題があると思うのですよ。  先ほど、あなたは最近、全逓は敵であるとか、かちとりであるとか、かちとるというような、どぎつい表現をなくしたということは非常な成長であると言っておるにもかかわらず、今度はあなたのほうが、全逓は暴力団であるが、反動管理者といわれるくらいの管理者にならなければいかぬとか、そういう表現を使われるということは、明らかに矛盾しておると思うのですがね。  そこで私は——、大臣は読んでおられないというのだから、あなたに聞くわけにいかぬのだが、一体、だれがこの文書を起案したのか。おそらくそれは人事部長の責任だろうと思うのですが、この機会に人事部長に聞きたいと思うのだが、こういうことが書いてあるのですよ。これからの管理者は労働組合に反動管理者といわれるくらいの管理者にならなければならぬ、こういっておるのですが、その反動管理者というものの定義を教えて下さい。
  46. 長田裕二

    説明員(長田裕二君) 局にもよりますが、私どものほうの目から見まして、少し職場の秩序などが混乱しておるという局で、局の管理者が、その乱れておる職場秩序を正そうということで、いろいろ出たりする際に、あまり深い考えもなしに、組合のほうからそういうのは反動とか何とかいわれたりして、非常にびっくりして、当然やるべきことも何か憶してやらなくなる、そういうような傾向などが見られましたので、そういう場合に出る反動という言葉に、そうびくびくして、正しく当然やるべき事柄をおろそかにしてはならぬと、そういう趣旨で書いたわけでございますけれども、先ほど申しましたように、表現が適切でないというようなことも考えられますので、これは今後、そういうような趣旨をさらに書くか書かないかも、まだ未定でございますが、書くとすれば、もっと適切な表現で書いて参りたいというふうに考えております。
  47. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) この「新しい管理者」というものは、私はひとつまじめに取り上げて、もう一ぺんリバイズド・エディションを作ってもらいたいと念願しております。  といいますのは、これが書かれたときには、これは私の想像ですけれども、郵便局の職場には、組合員はあっても従業員があってはならないというような指導理念が、組合のほうに一時あったのじゃないかと思うのです。それに対立するような歴史的な過去の歴史的な時期ですね、そういうような時期において書かれたものであって、したがって、それに対応するような言葉というものが随時出ているのじゃないかなあという印象を私は実は持っています。ですから、郵便局の中には、組合員だけがいるのであって、従業員があってはならないのだというものの考え方をかりに組合員がしているとすると、それはなかなか大へんな問題だと、私は正常化の問題からはほど遠いのじゃないかと思っておるのですが、そこのところを、そういうような点が逐次改善されつつありますから、したがって「新しい管理者」という、このテキスト・ブックのリバイズド・エディションを至急に作り上げなければ……、少なくとも三十七年度の管理者教育には間に合わせるようにひとつやりたいと、こう思っております。
  48. 野上元

    ○野上元君 その点は私も聞いて、非常に多とするのですが、今、一つの例をとりましたが、反動管理者と言われるほどの管理者にならなければならぬ、こういうふうに指導すれば、もう何をやってもいいのだ、とにかく労働組合と対決すればいいのだ、一切労働組合の言うことを聞かないで、戦えば戦うほどお前は出世するのだぞと、こういうことを言っているのと同じですよ。だから、先ほど永岡さんからお話が出たように、われわれが現場に行っても、課長連中はあいさつもしませんよ、あれは労働組合から派遣された議員だから、あんなのに物を言う者は反動管理者じゃないのだ、黙っておれと、あんなものにあいさつしてはいかぬ、あいさつしよると出世がおくれるぞと、こういうことです。そういうふうにだんだん解釈するのですよ、こういう文書を流せば。  だから、そのことはあなたは適当でなかったと言うのだから、それはそれでいいとして、さらにまたその中に、これは大臣も聞いておいてもらいたいんだが、こういうことが書いてあるのだな、「これまでの労使間の慣行や確認は、所属長の権限をこえた私的慣行だから無効である。」こう書いてあるのですよ、もしも、これが強制されてやられたというのならば、それは局長には責任はないかもしれませんね、不可抗力だから。しかし現実には、現場の局長が進んでこういう慣行を結んだとするならば、明らかにこの局長処分さるべきです。組合員を処分するのは組合がやればいいので、あなたのほうが処分する必要はない。むしろそういう出過きた管理者は、あなたのほうで処分しなければならない。それを現場では、それでも長年円満にやっておるのに、今回本部のほうから何も言わずに、本省のほうからばっと、締結された一つの慣行は無効であると、そんなものは、私的契約であると、こういうふうに言われては、これは組合だっておこりますよ。私がやっておっても文句を言います。あなた方が別の立場でやられても、これは文句を言うと思いますよ。そういう指導の仕方が非常にまずい。さらにまた、全逓を暴力団なんて書いてある。こんなことを書けば、目には目、歯には歯で、これは繰り返しですよ。これは大臣の意思とは全く反対の文書だと思うのですよ。だから、こういう文書は、これは労使慣行の正常化にとっては、基本的な文書ですよ、それを大臣にも見せないで流す、また大臣は、それを見ないというのは、これは大臣の怠慢ですよ、私に言わせれば。ぜひこの機会に明らかにしてもらいたいのだが、こういう文書がある限り、彼らは対決してきますよ。これは当然ですよ、血の気の多い連中なんだから。この文書をすぐ引き揚げて、適当な文書に直すように、私は強く要請しますが、大臣その点どうですか。
  49. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) まあこれができるときは、私はまだ大臣じゃなかったのですけれども……私が行ったときには、もう教育がどんどん進行しておった最中ですけれども、まあ、ただいま申し上げましたように、昭和三十七年度の管理者教育については、新しいリバイズド・エディションでやるように人事部長にも言いましたから、実行すると思います。
  50. 野上元

    ○野上元君 まあ、これははっきりさしたいのだけれども、それまでは悪法でも、そのままほうっておくのですか。
  51. 長田裕二

    説明員(長田裕二君) 管理者訓練は、もう三十六年度の分は、大体済んでおりまして、三十七年度、どういうふうにやっていくかということを目下検討中でございます。  なお、ただいまの御指摘の点は、先ほど私申しましたように、表現が適切でなかった面がございまして、それはもう実は、組合との団体交渉あるいは会見などの際にも、私どもから適切でないということも、組合側にも申してございますし、機会を待って、表現は適切なものに変えるつもりでございます。  なお、非常にこの中の表現が不適切な点を二、三点御指摘になりましたために、この新しい管理者というテキスト全体が非常に組合に挑戦的なような印象を、この場で生み出したわけでございますけれども、全体をお読み下さればわかりますように、労働組合というものの使命だとか、位置づけだとか、総体としまして、決して組合敵視とか、そういうことはないわけでございます。むしろ頭のかたい管理者に、正しい労働組合の評価、そういうことを教育する意味も相当あるのではないか、むしろそちらのほうの意味が多いわけで、たまたま非常に勇気の欠如しておる管理者に対して、何かのときに、しっかりしろというようなところに、つい、ちょっと少しオーバーな表現が出て、ただいまのような御指摘になったのだと考えております。
  52. 野上元

    ○野上元君 私はそれが、官僚の悪い癖だと思うのですよ。その文書の内容全体は、それはいいかもしらぬ、流れは。しかし、ある二、三点がクローズ・アップして、その性格を浮き彫りにしてしまったときには、そんなものは、あっさり引き揚げればいいのですよ。それを修正しようなんという、今の政防法みたいなことをやるからいけない。もうそんなものは廃案でよろしい。そうして新しいものを出せばよろしい。そのときには、大臣ともゆっくり相談して、りっぱなものを出せばいい。そういうことが正常化にとっては、どれだけ僕は大きな役割を果たすか、この機会に言っておきます。同じものを出すことも、ただその個所を改正するよりも、それは間違っておったから、もう一ぺんやり直すということをやれば、僕は非常に大きなプラスになると思うのです。あなたがこの機会に、私の言うことを聞く聞かぬは別として、勧告しておきます。その点は、肝に銘じておいてもらって、禍を転じて福となすという行き方にしてもらいたいと私は希望しておきます。
  53. 安部清美

    委員長安部清美君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  54. 安部清美

    委員長安部清美君) 速記をつけて。  それでは、本日のところはこの程度にとどめておきます。  これにて散会いたします。   午後二時二十七分散会