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1962-05-04 第40回国会 参議院 地方行政委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年五月四日(金曜日)    午前十時三十一分開会   —————————————   委員の異動 本日委員井川伊平君、村上春藏君、米 田正文君及び占部秀男君辞任につき、 その補欠として谷村貞治君、館哲二 君、鍋島直紹君及び松永忠二君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 武治君    理事            野上  進君            増原 恵吉君            秋山 長造君            基  政七君    委員            北畠 教真君            西郷吉之助君            館  哲二君            津島 壽一君            鍋島 直紹君            野本 品吉君            谷村 貞治君            湯澤三千男君            加瀬  完君            松澤 兼人君            松永 忠二君            矢嶋 三義君            中尾 辰義君            杉山 昌作君   衆議院議員    修正案提出者  高橋 英吉君    修正案提出者  丹羽喬四郎君   国務大臣    内閣総理大臣  池田 勇人君    自 治 大 臣 安井  謙君   政府委員    法制局長官   林  修三君    法制局第一部長 山内 一郎君    警察庁刑事局長 新井  裕君    法務省刑事局長 竹内 寿平君    自治政務次官  大上  司君    自治省選挙局長 松村 清之君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   —————————————   本日の会議に付した案件公職選挙法等の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○国会議員選挙等執行経費基準  に関する法律の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 小林武治

    委員長小林武治君) ただいまから委員会を開会いたします。  公職選挙法等の一部を改正する法律案及び国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案、両案を議題とし、質疑を行ないます。
  3. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 委員長議事進行について。  きょうの委員会運営は、委員長としてはどういうふうにされる予定でありますか。総理を朝から出席いただけるように御配慮いただきたいことをお願い申しておいたわけですが、いかように本日の委員会は取り運ばれる意向か、それをお伺いしたい。
  4. 小林武治

    委員長小林武治君) 私は、本日は本会議並行審査の希望を出しましたが、認められなかった。しかも本会議にはガリ・タイ等の上程があるので、総理は本会議関係上午前中は来られない、こういうことでありますので、御了承願います。午後三時から当委員会に約五時まで来ることに相なっております。で、本日の委員会は、ただいま審議をいたしまして、本会議が始まりますれば休憩をいたしまして、散会後引き続き開きたいと、かように考えております。
  5. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 自治省政府委員の方にお伺いいたしますが、先日資料を要求いたしておきました。けさここに部厚いものを今受け取ったばかりでまだ目を通すひまがないのですが、お願い申し上げた資料はこの一冊の中に全部入っているのでございますか。後刻拝見したいと思いますが、それを伺っておきます。
  6. 松村清之

    政府委員松村清之君) 先般お断わり申し上げましたように、国と財政的につながりのあります会社、法人の寄付の問題につきましては、まあできる限り努力をいたしたのでございますが、主として本年度、昨年度三十六年度の資料と、まあその前には三十二年、三十五年という資料になっておりまして、これは御要望のとおり三十年以降ということはとても調査するのに多大の時日を要しますので、その点、先般もお断わりいたしましたように、この資料の中には御要望どおりいっておりません。その他につきましては大体御要望のとおりのものが入っていると思います。
  7. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 自治大臣にお伺いしますが、自治大臣は、衆議院おい修正された部分については、法案所管大臣としてどういうふうにお考えになっておられるのかお伺いいたします。
  8. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 衆議院におきまして若干の部分について法文の解釈をさらに明確化する必要上、字句修正といった趣旨のものが一部行なわれました。  それから一点は政府提案趣旨と違っていわゆる平曲運動演説会を全面的に現行法どおり禁止をするというのと二つございまして、この字句修正によって法文を明確にするという点は、そういうふうに議院の意思が決定されたのでございまするから、私どもはその御趣旨に沿って十分この法の運用も考えていきたいと思っております。  なお、事前運禁止につきましては、御承知のように、質疑過程におきまして、審議過程におきまして、与野党ともこれはまだ現時点では非常に弊害が多いという御見解が一致しておるようにも思えますので、これは答申の線と若干違いますが、現在の時点おいてはやむを得ないものであるということで、私どもそれに従うつもりにいたしております。
  9. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今国会は、自治大臣は多数の法案をかかえてたいへん御苦労であったと、その点拝察するんですが、選挙法改正に対する所管大臣としての信念と申しますか、確固不動たる態度というものに若干欠除するものがあるのではないでしょうか。と私が申し上げるわけは、答申案を受けて、自治省で、政府案作成過程おいて、一応まとまった後に閣議にかけたときの自治大臣態度というものは、やはり右顧左眄していましたよ、ある人から聞いたんですがね。この、自分の省で作成したものをもって閣議をリードしていく、協力していただくというだけの信念がなければ、こういう種類の法案というものは、なかなか通せないと思うのですよ。ずたずたにはさみを入れられて、そうしてさらに衆議院おい修正改悪をされた。あえて言います。改悪をされたということは、まあ午後伺いますが、総理責任も非常に大きいのですが、自治大臣も僕は所管大国としてその責めを免れることはできないのじゃないかと思うのですね。そういう意味おいて、先ほどの答弁というものはやや不見識ではないでしょうか、大臣答申でも選挙自由化言論文書自由化によって明るい選挙を行なおうという立場で、答申でも限られたワク内における、正しい意味事前演説会というものは、答申の第一の柱に掲げられてあるわけです。あなたが国会で読まれた法案提案趣旨説明の中にも、それが第一に掲げられてある。非常に大きな柱なんですね。それが衆議院でああいう修正を受けて、そうして審議過程にわかったことであるが、どうも実態上まだ弊害があるように思うから、だからその修正に、やむを得ないものだと賛同しておる、こういう大臣態度というものは、僕はあり得ないと思うのですね。これは政府妥協だと言っても、これだけの国の議会制民主主義根幹に触れる選挙法等改正、特にこれは量的に言っても、質的に言っても、戦後最高のものですよ。画期的なものですよ、ある意味おいては。これだけのものに取り組むにあたっては、行政府は確固たる信念と方針のもとに提案され、立法府に、こういうことであるが提案しておる、政府とし、また担当大臣としてはかくかくがベストであると信じておるというぐらいの、私は腹と信念がなければ、こういうものは乗り切れないと思う。場合によっては多少妥協はけっこうですけれども、その妥協的な、一本筋金が通ってない御態度が、私はこういう混迷に導いて参ったと思うのです。そういう点について反省はないかどうかということと、それから私は衆参参考人公述を調べてみたんですが、政府原案に盛られている事前演説会は残せというのが全員ですよ。何のために国会は費用を払い、御多忙のところをごめんどう願って参考人国会おいで願っているのか。衆参で述べられたすべての人がこの事前演説会政府原案のようにすべきだと、そして弊害がないように運用していくべきだと、新しい芽を育てるべく強力に公述をされていますよ。これだけの背景があれば、政府原案責任者として作業され、国会に提出された大臣としては、先ほどのような答弁で私は了承できない。これはやや酷な言葉だとお聞こえになるかもしれませんが、私はあえて日本政治のために申し上げたわけですがね。それらに対する大臣所見と、それから政府原案に盛られておりました事前演説会は残すべきだという衆参参考人全員政府原案支持に対して、今の今大臣はどういう見解に立たれて、いかように対処されようとされるのか。昨日の参考人の中でも、阿部先生にいたしましても、あるいは宮崎先生にいたしましても、衆議院修正して、政府原案に再修正して、でき得べくんば衆議院に送り成立さしてほしいと、こういうニュアンスは田上先生のお言葉の中にもありました。それを参考にしてお答えいただきたいと思います。
  10. 安井謙

    国務大臣安井謙君) まず第一に、答申の線を尊重すると言っておったじゃないかということでありますが、今でも私ども答申の線を尊重するという気持に変わりはないわけであります。ただ何度も申し上げましたように、答申の線は非常に理想形態考えておられまして、これを現実の法律に適用して政府責任を持って運営いたします以上、若干の修正、これは政府自体としてやむを得なかった、こう思うわけでありまして、その間にありましてむろん政党内閣として法案を提出するのでございますから、政党の各機関なり、政党それぞれの内部のいろいろな御意見を承るということは私は当然の措置であったと思っております。ただそういうことになりましても、これは普通の法案と違いまして、党で政策上の意見がきまって、そうして党に対して十分内容的な完全な御了承を得たというものじゃなく、こういう状況下政府答申を尊重するが、やむを得ない部分についてはこういうふうな点を若干手直しをして出すという趣旨説明をいたして参ったわけでありまして、閣議おいて云々ということでございましたが、閣議で私は別に注文をつけて手直しをしたとかなんとかいうことは一切ございません。ただこれは非常に大きな政治問題でもあります。政治的な内容を持った法案でありますので、二度ばかり状況について閣議に御報告いたした、これはまた責任閣僚として当然のことであろうと思うのであります。報告をしたというにすぎないのであります。  それからしたがって政府としましては、出しております原案が一応考えられるベストのものである、こういう確信をもって出したわけであります。しかし、何分にも百カ所以上にわたるような御承知のとおりの大改正案でもございます。また、いろいろ字句の点あるいは今の問題等につきまして、御意見があり、政府としては、これでいけるといたしましても、衆議院という院の議決がございまして、そういうふうに決定されましたならば、それの意思を尊重せざるを得ない、しかし、私は修正案そのものがそう根本的に政府原案をゆるがすような性格のものではなかったというふうに考えております。今の言論により事前運動の件につきましては、いろいろ御議論がございました。これもまず第一には院で決定いたしたということが第一でございます。そうなれば政府としては従わざるを得ない、それに対してお前は、どういう気持でおるかということになりますと、私どもできるだけこれを尊重いたして、これを生かしたいという気持を持っておりましたが、実態と沿わないという多数の御意見があってそういうように決定いたしたのでありますから、私どもはやむを得ないと考えておる次第でございます。   —————————————
  11. 小林武治

    委員長小林武治君) 本日付をもって委員井川伊平君、村上春藏君、占部秀男君が辞任され、その補欠として谷村貞治君、館哲二君、松永忠二君が委員に選任されました。   —————————————
  12. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 委員長にお尋ねいたしますが、選挙制度審議会答申の第一、政府原案改正条項の第一にうたわれているのが事前演説会拡大承認の件ですね。この点についてはいろいろ意見があって、国民も非常に関心を持った条項です。先刻私は自治大臣に質問のときにも申し上げたように、衆参を通じて参考人のすべての人が言論文書による選挙自由化選挙粛正公明化のために、選挙制度審議会答申政府原案は生かすべきだという公述をされているわけですね。本委員会国会役員として司会し、法律案審議先導役を勤めておられる委員長としては、こういう選挙制度審議会答申政府原案衆参における参考人公述、これをあわせて本委員会としては、また委員長としてはいかように取り運ぶべきか、努力するのが適切であるとお考えになっておられるか、私は委員長の御所見を承りたいと思います。
  13. 小林武治

    委員長小林武治君) それは矢嶋委員も御承知のように、委員長というものは、委員会運営をする、しかも委員賛否可否同数のときは、委員長が決する、さような最後の権限は持っているのであります。したがいまして、やはり委員長といたしましては、委員意見に従う、こういうことに——通常の場合は、委員意見を尊重する、こういうことになるのでありまして、議案可否、あるいは賛否というものは、委員長としては発言すべきものではない、こういうふうに考えて、最後の必要の場合には賛否意見を述べ、決をいたしますが、さようのことに御了承願いたいと思います。むろん私は選挙制度審議会特別委員もしておりまして、個人意見は十分持っておりまするが、委員長としての発言は差し控えるべきものとかように心得ております。
  14. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 委員長国会役員で、その名で参考人おいで願って、御公述も願っておられるわけですから、私は委員長としてどういう見解を持っているかということは当然だと思うのです。どういう方向に進むかどうかということは、これは審議権を持っている各委員の民主的にして適切な総意によってきまるべきものであって、私は委員長意見、識見を当然持たれておられるし、それを申し述べるということは、むしろ私は適切ではないか、それを各委員が、それに追随するかどうかは別問題でありまして、これほどの問題になると、一応私はどういう見解委員長持たれ、いかようにスムースに審議ができるように取り運んでいかれるものか、その御見解を承ることは、決して的はずれでもないし、僕は適切な、ぜひ伺いたい事柄でもあるし、またタイミングから言っても必要だと思って、あえてお伺いしているわけですが、お聞かせいただけないでしょうか、もう一ぺん伺います。
  15. 小林武治

    委員長小林武治君) 委員会議案に対して可否同数の場合には委員長の決するところによる、こういうことは非常に重大な意味があるのでございまして、したがいまして、これはあくまでも最後の問題である。さような審議過程おいて、委員長議案に対してこう思うという発言をすることはきわめて不適当であろう、こういうように考える。その点に対しては委員長矢嶋さんの御意見とは違うことをはっきり申し上げておきます。
  16. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 委員長答弁、私は了解できないのですがね。先ほど私は選挙制度審議会、あるいは政府原案、あるいは公述人公述等を申し上げました。こういう条件要素が備わっているときにですね、委員長としては選挙制度審議会、あるいは政府原案が、あるいは参考人公述の線に沿って本委員会がまとまるように念願をし、努力されるべきものでありましょうか、それともそういうようにまとまることを念願しないで、そういう方向には、まとまらない方向努力をされる立場をとらるべきものでしょうか、いずれでございましょうか、角度を変えてその点からお伺いしておきます。
  17. 小林武治

    委員長小林武治君) 私は、委員会が、審議が円満にまとまっていくことをむろん委員長として希望するものでありますし、参考意見委員各位が十分に参考にせらるべきであると同時に、委員長もこれを参考として必要な場合の断を下すことが適当である、かように考えております。
  18. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今矢嶋委員の御意見を伺い、委員長の御意見も伺っておるのですが、矢嶋さん、そういうことはいろいろ御意見でしょうが、委員のおのおのの判断により、また、委員の所属しておるいろいろ党が最終的には考えて、その決定に従って委員長はやればいいのであって、矢嶋さんの意見意見として、委員長意見をここで言えと言っても、それは委員長の言うとおり、それはそれでいいんじゃないかと思いますが、あとは各委員判断をすることです。
  19. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 委員長にお伺いする点は一応この程度にとどめておいて、政府側に続いて若干お伺いいたしたいと思います。  まず、選挙制度審議会答申内容国民への浸透度ですがね、内閣のほうで一月に長谷川さんの主宰しておられる中央調査所に依頼して、選挙法改正に関する世論の調査をしてみたところが、選挙制度審議会から答申のあったということを知らない人が七八・二%だと調査結果が報告されているわけですがね、この点について自治大臣としてはどういう見解を持っておられるのか、この数字が示すように、選挙法改正にあたっては、どの程度の熱意を持っているのかということを疑わざるを得ないのですがね、政府としてはそういう答申を受けたならば、こういう答申があったということは、すべての国民と言わなくとも、大多数の国民にこれが知れわたって、何らかの民意というものの反映を立法段階参考にするくらいの心がけがなければならないことだと私は思うのですがね、御所見を承りたい。
  20. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 調査の結果、選挙法改正答申、その他改正の成り行きについて、国民の非常な関心といいますか、知識が薄いという数字が出ておりますことは、まことに私どもも遺憾と思っております。御承知のように、この答申案及びこの取り扱いにつきましては、問題の起こるたびに各新聞も全面的に取り上げておられるわけでありまして、これ以上の実はPRの方法はなかろうというようなことまでわれわれは考えているのであります。しかし、それは他動的なものでありまして、それだけではいかぬので、三十六年以降からは、広報関係に関する予算もふやしまして、また、政府自体広報関係の場面でも、あらゆる面から取り上げておりす。また、選挙管理関係のある各機関は、非常に熱心な取り上げ方をされておるわけでありまして、たびたびここ一、二年の間にも、総会等も催されました際にも、非常に重要な議題として論議もされているわけであります。そういったようなことで私ども一般にも、これは新聞紙上、あるいはラジオ、テレビもいろいろ議論になっております。政府自体でも積極的にやっており、また、都道府県市町村管理委員会にも極力徹底せしめる方策はとっておりますが、残念ながら結果としてはそういった関心度といいますか、知識度の薄いものが出ておりますことは、はなはだ遺憾に思っております。しかし、今後ともそういう問題につきましては、さらに十分、十二分に啓蒙徹底できるような方策を強く打ち出していきたいと考えております。
  21. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次に、先ほども触れた点ですがね、あなた事務当局で、鋭意検討させて、原案が一応できた段階に、自民党内のいわゆる各派閥を訪問なさって説明されたですね。このことがなめられたのではないですかね、大臣。あまり公にああいうやり方をされるということは適切でないと思うんですよ。近代政党をもって任じておられる与党自由民主党さんとしては、それぞれの党機関があるのですからね。そこには党員であれば、しかも国会議員であれば傍聴もできるであろうし、採決権はないかもしれませんが、自由に意見の表示はできることになっていると思うのですね、私は。それをあたかも国会における各政党事前説明をされるがような、半ば公然といわゆる派閥を訪問して了解工作をやったということが、つけ込まれる私は大きな根拠になったと思うのです。さらに閣議説明するなり、その席で総理から直ちに安井君のまとめたところでいこうじゃないか、こういう発言総理からあるようにしていただけるように事前総理説明し、了解をとっておくべきだったと思うんです。ところが、あなたの説明したあの閣議では、総理は黙して語らずと、そんなことでこういう案件がまとまりますか。そして、次の私の発言は必ずしも百パーセントの信憑性をみずから持っていないんですけれども、この選挙法に対しては与党である自由民主党さんの中では、派閥によって態度がかなり違うと。議員個人々々によっていろいろ意見は持っていますけれど、私、百パーセントの信憑性を持ってないからその派閥は申しませんが、ある派閥とある派閥が非常にこれには抵抗している、それは結局は底流には池田批判があるんだ……。そういう党内事情とこういうものをからまして論ずるということは、対処するということは、私は軽べつすべきことだと思うんだ。これほどの内容を持った選挙法改正というのはいまだかってなかったですよ。しかもこのことは、日本議会制民主主義根幹に触れる問題ですからね。それは社会党の中だって派閥がありますよ。しかし、そういう派閥政治の影響というものをできるだけチェックするような立場でお互いは取り組まなければならぬと思うんですよ。その点私は、スタートから非常にまずかったと思うんですね。これは後刻総理に聞きますが、この時点に立って、なお、内閣最高責任者としての総理がとるべき、きぜんたる決断力をもって対処されておられないやに見える点は、私は遺憾の意を表明するを越えて、責任を追及いたしたいというほど思っているわけですが、御所見を承りたい。今からでもおそくないでしょう。
  22. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 閣議発言をしたときに総理と打ち合わせもしていなかったじゃないかといったような内部的批判もありますが、(矢嶋三義君「総理がカバーしなかったということですね。」と述ぶ)カバーどころじゃないのでありまして、これはもともと、現政府の出しております重大法案であります。したがいまして、それにつきましては、総理以下各閣僚も十分御賛成になっておることであります。また、閣議発言のときにも、それは総理事前に打ち合わせるどころじゃなくて、総理からも積極的に発言をされておる場合があります。それから、あるいは中間報告的なもので、私のほうから一方的に報告をしたために、何もそこで議論にはならぬ、よくわかったということで終わっておる場合もございます。いろいろなこれは場合があるのでありまして、これはまあ一々内容を私がこうであった、ああであったという御説明をする必要はなかろうかと思いますが、事態は決して、総理もいいかげんにしようと、あるいは非常に不熱心で優柔不断であるといったようなことは毛頭なかった。今度の選挙法改正というものは政府としても非常に重要な問題で、ぜひ政治的責任おいてもこれをやらなきゃいかぬ、こういうかたい決意を持っておりますし、また、私どももその線でやっておることは間違いないのであります。しかし、政治でありますし、また、多数の党を擁しておるし、ことにこれが議員の一身上の問題に非常に関連の深い問題であるので、おのずから普通の法案以上に全般的な議論が出ることもこれは当然であります。しかし、それに対して、できるだけ党の多くの立場にこの法案を出さなきゃならぬゆえんのものを説明をして、でき得る限りの了解努力をするということは、これは私ども責任だと思いまして、何もいわゆる派閥へおべっか使うとか、派閥をどうするという意味じゃなく、私は、党の多数のでき得る限りの人に、こういう法案を出さなきゃならない、これは党のいわゆる立案した制度改正法じゃないんだ、政府が現段階おいてこういうものを出さなければいかぬという趣旨説明をできるだけやったんで、むしろその結果によってこれは提出することができたというふうな解釈もできるかもしれません。ただ一方的に命令して、こうやるのだというだけの命令を上からすれば事足りるというふうにはなかなか——矢嶋先生も非常なベテランでありましょうし、政党なり国会運営等も厄介な事情がありまするので、そういう点についてはできるだけの手は尽くしてやっていきたいということで私ども一やっておるわけなんで、そういった点についての一つ意のあるところを御了承賜われば非常に幸いだと思う次第であります。
  23. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 内容面を続いて伺いますがね。衆議院修正された、選挙運動に従事する者、いわゆる運動員に対して報酬を出すということは、従来の選挙運動員の行為は無報酬行為であるという方針に反してくると思うのですね。従来は労務者並びに単純なる事務に従事している人に配慮したわけですがね。この方針でいくのがやはり私はいいと確信するものですがね。この点は修正されて、政府原案と違って参ったわけですが、こういうふうに修正して公布施行された後に実際選挙運動が始まった場合にどういう影響が現われ、どういうように発展していくだろうと自治大臣は予測されておられるか。これは明らかに合法的買収を助長ずるものだと思いますね。そういう事態が必ず起こってきますよ。そうして人件費面での選挙費用というものは非常にかさんで参ると思うのですね。この点いかように認識をされ、予測をされておられますかお答えいただきたいと思います。
  24. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 政治運動者に対して報酬を仏うべきものでないという矢嶋委員のお考えには私ども全くそのとおりに考えております。したがいまして、今度一部字句修正になっております——字句修正というか、むしろ字句を明確にするといったような点で修正案が出されました点につきましては、私はこれは現在の選挙法及び今度政府が出しました選挙法、それから字句的に若干の修正をされましたこの衆議院修正部分、これはいずれも通じまして根本的に大きな違いのあるものじゃないというふうに実は考えております。政府が出しましたこの法律案につきましても明確に説明を解釈としていたしておるといいますのは、御承知のように、選挙に際しては選挙の労務者というものに当たる者は報酬を出してよろしいということになっております。ところが、その労務者というものの限界がはなはだつかない。いわゆる体力的な労務だけを対象にするのか。一部事務にわたる面も含んでの話かということになりますと、なかなか実態上の明確な解釈が行なわれてなかった。そこで私どもは、この点は純事務に関する者についてはこれはやはり労務者と同様に報酬を払うべきものだ、これは現行法をむしろ明確に解釈をする、こういう態度説明をいたしておったわけであります。この点は審議会におきましても、御承知のとおり、委員会におきましては全面的に取り上げられておった問題なんであります。きまっておった問題なんでありまするが、最後に総会におきまして異論が出ましてこれは取り除かれた、そういう精神もありまして、私どもはこの際これはいわゆる体力的な純労務というものと同時に、純事務に向かう面も当然そういった報酬は支払われるべきものであるという解釈をしておりまして、これは考え方として今の選挙法は非常に広い意味で、多数の人を相手にして相当複雑な事務をとっておる、これに相当長い期間無理にお願いをして、契約もして、お願いをしておる人にまで全部ただ働きをしろという思想自体がいかがかという気がいたしまして直したのであります。ところが、衆議院のこの審議過程におきまして、そうは言うが、どうも末端でなかなかこの判別はつきにくいぞ、はっきりしておかないとこの精神があいまいになる危険があるということで純労務及び純事務——選挙運動者じゃございません、はっきり申しますが、選挙運動者じゃなくて、選挙運動の事務に従事する者に限るという明文を入れまして、しかもそれがあいまいに支払われたんじゃいかぬので、これをあらかじめ選挙管理委員会に氏名を届出をいたしまして、一定の人員に限ってこういう者を純事務に使うからということを明確にしまして、むしろこの名をかりて選挙運動報酬等をやるという弊害あるいはその区別がつかないために末端でいろいろ紛糾が起こる弊害というものをなくしようというのがこれは精神でありまして、そういう意味から、これは私ども衆議院でのこの修正部分につきましても本論が曲げられておるものであるとは決して考えておりません。この修正部分内容についても、御承知のとおりに、運動に従事する事務員に限るというわざわざカッコづけの言葉さえ添えてあるわけであります。ただ、人員が多いとか少ないとか、あるいは全国参議院とか地方参議院、衆議院というようなものの比率をその際どう見るべきか、こういう点についての御議論はこれはあろうかと思いますが、私どもそういう意味ではものをむしろ明確にするということでありまして、決して選挙運動の報酬を払うというつもりはないことをはっきりいたしておきたいと思う次第であります。
  25. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 修正者にお伺いいたしますが、この一定人数というものは三十人を考えられているというように承っておるのでありますが、そうであるかどうか。そうなれば衆議院選挙おいては毎日でもこれは私はかえられると思うのですね。二十日で六百人ですね。今度改正になって、参議院選挙の場合には二十三日間になると、六百九十人かえられるわけですね。そういうことを予想されておられるのかどうか。おそらく私は、私も選挙をみずからもやり、また、人の選挙事務責任者になってやったこともあるのですが、金銭的な収入等をお考えになって選挙事務所で働く人というものは、ビラ張りをするような労務者以外は皆無といってもよろしいです。その候補者に心酔し、共鳴しておる人とかあるいは政治に非常に関心を持ち、政治的識見を持っておる人が非常に犠牲的に働かれているのが大部分です。だからこの改正をやると、私は実際運用していった場合には、従来そういう形で働かれている人は無報酬で、別の人を届け出て、そういう人々に毎日かわるがわる七百円ずつ支給をして、実質上の合法的買収行為が行なわれる可能性が実際問題としては非常に多くなるのではないか、かように予測しているのですが、修正者はどういうお考えでいらっしゃるのでしょうか、お答えいただきたいと思います。
  26. 高橋英吉

    衆議院議員(高橋英吉君) 実際上私ども考えたのは、事務員ですから、そう毎日々々差しかえることは、これは不可能じゃないかとも思っております。しかし、よほど巧妙な手段で——巧妙な手段というと言葉が悪いですが、事務的に処理をうまくやればそういうこともうまくできるかもしれませんけれども、かえって混乱を来たすからそういうことはあり得ない。差しかえるにしても、三度とか、五度とか、七度とかいうような程度じゃないか。七度も差しかえることはないのじゃないかというふうなことに、結論的には、いろいろみなが話し合った結果は、そういうふうなことになっておりますし、実際そういうふうな程度ではないかと思います。毎日毎日差しかえたり、それから今お話しになったような、実際の事務に従事している者はただ働きで、あまりそういう事務に従事しない者にお金を渡すというふうなことは、また、これは非常な不公平といいますか、アンバランスといいますか、混乱を来たすようなことになって、実際しそういうふうなやり方で選挙運動はできないのじゃないかと思います。逆に、そういうことになるというと、実際事務をとっている者、届け出せずにいろいろ選挙事務に従事している者に対してまた非合法に支出をしなければならぬというふうなことが起こりますので、いわゆる届出以外の者に金を出すということになり、かえってそれが選挙違反ということになるおそれがあると思います。そういうような関係で、厳格な届出主義で大体の人数を限定したほうが、選挙界がきれいになるのじゃないか、うまくいくのじゃないか。すべていろいろな面における摩擦、相剋とか、紛争とかなんとかいうふうなものがなくなるのじゃないかというふうな考え方で、ああいうふうにやっているわけですが、これは何といっても政令でやるわけでから、面接われわれ議員がタッチはできないから、今後政府がどういうふうにやりますか、その点については政府もいろいろ考えていることだと思います。
  27. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は、皆さん方の御意見もわかる部分もたくさんあるのです。それから前回の委員会参考人の御意見も承り、傾聴すべき点もあると思うのです。ただ、私一番心配するのは、皆さん方修正された自由民主党さんではどうか知りませんが、私が関与した範囲内では、社会党にしろ、あるいは革新諸団体、政党にしろ、選挙があって、こういう点で全く改正せねばならない必要感にぶつかったことがないのです。こういう改正によって、金のかかる選挙のムードを作るおそれがあるという、これを一番僕は警戒しているわけです。ともかく金のかかる、人件費のかかるというムードを作ると思うのです。それとあわせて買収の一つのアリの穴をこしらえる、誘発するという点、実際問題として公布施行し、この改正選挙をやった場合には、相当おそるべき情勢というものが出てくるのではないかと予測されるがゆえに、先般来質疑もし、批判もしているわけです。純然たる事務員だけを対象にしているのだということですが、選挙事務所の数も選挙の種類によって違うわけですね。そういうことは、登録人員を決定する要素としては考えないのかどうか。政令で一定人数を規制する場合には、いかように、どの程度の員数を政令で規定しようとされておられるのか。自治大臣のお答えをいただきたいと思います。
  28. 安井謙

    国務大臣安井謙君) いろいろそういった御議論いただきまして、今、精神はそういうようなものでありまして、純事務に関する部分について相当長い期間拘束をされておる人に一定の報酬、それも今の物価でいうならば最低限の報酬を払うのが筋であろうというふうに考えておる次第でありまして、費用が非常にかかるじゃないかという御意見もございますが、これは御承知のとおり、延べ人員にすると、今一応想定しておるもの一十人で二十日間前後というと、まあ六百人前後の延べ人員になるわけです。これに七百円としまして四十二、三万円、こうなりますと、たとえば今度の参議院の選挙、法定費用等で想定されますもので比較いたしますと、大体全体の費用の一割前後のものじゃないか、これに要する費用は。というようなことで、そのために私は非常にこれが特に金がかかる、買収を助長するといったようなものにはなるまい。しかし、今お話のような、全国区の参議院と、地方区の参議院、あるいは衆議院、そういったようなもの、あるいは地方議員といったようなものにつきましての基準を一体どういうふうに見るのか。どれもこれも一緒に見ていいのかということにつきましては、これはまだ検討の余地があろうと思います。いろいろ御審議過程で御意見のあるところを十分参酌いたしまして、合理的に政令等できめていきたいと思っておるわけであります。  それからなお、今延べ人員六百と言いましたが、これが毎日とりかえればなるほどそういうことになるのでありますが、純専務に従事する人間というものが毎日はおろか、二日や、三日で取りかえるということははなはだ不穏当であります。そういうことを露骨にやるということになれば相当問題になってこようと思いますので、そういうことのあり得ないように私ども考えていきたい。ほんとうに事務に従事するそれに必要な限度というものに実態運営されるようにでき得る限り考えていきたい、こういうふうに思っておる次第であります。
  29. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 非常に大臣はけっこうだと思うのですが、善意にものを見、善意に考えておると私はそう思うのです。それで伺いますが、日本政治家は選挙をやる場合に、選挙法をいかに守って選挙をしようかと考え選挙をやられる人が多いでしょうか。それともどこに抜け穴があるか、どういうふうにしたら抜けられるかということを真剣に研究し、考え選挙をやっておられる政治家が多いでしょうか。いかがですか。あなたの認識を伺っておきたい。
  30. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 選挙のことでありますから、正直に言って、でき得る限り効果の上がるような方法をとりたいというのは、これはいずれも人情であろうと思います。そのために、しかしどういう点で法律にひっかからないようにやるかという点は十分配意の上おやりになっておることだと思っております。
  31. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣を含めてほとんどの人は後者だと思うのですよ。これは法規制以前の政治的、道義上の問題からスタートしなければ解決できない問題だと思うのです。現実にそうなんだから、だから法規制の場合にはそういうことを勘案してやらないというと、その実効のない無意味改正に陥るおそれが多いと思うのです。私はそういう観点からこの法律案を見て申し上げておるわけです。ところが、答弁を承ると非常に善意に考え、善意に見た角度から述べられておりますから、それだけでは実効をなかなか上げ得ないという点を僕は指摘しているわけです。  もう一、二点総理質問の前に伺いますが、衆議院修正された後援団体の寄附、供応、接待に対して一定期間内における禁止の件ですね。これは大臣どういうようにお考えになりますか。実効を上げる意味で、私はかりにこういう改正をするとしても、期間の切り方が要するに一番重要だと思うのです。私はわが国の実態からいって寄付をしたり、あるいは供応、接待をするのはその選挙に近いほど効果があって、その選挙期日から時間的に遠去かれば遠去かるほど三乗か三乗に比例してその効果は逓減するのがわが国の実態だと思います。したがって、任期満了期と関連づけて三カ月、それから衆議院の解散後云々というのはほとんど意味がないと思います。わが国の選挙実態から、解散権は内閣にありとしてやられているわけですが、解散があったときにはもう終盤戦に入っているのじゃないでしょうか。参議院通常選挙にしても、三カ月前というのは中盤戦はおろかもう終盤戦に入っているのじゃないでしょうか。現にこの七月一日に通常選挙が予定されておりますが、お互いの参議院の実態を見てもわかるのですよ。大体一年前からはすべり出しているのです。六カ月前には選挙戦に突入しているようなものですよ。今どき七月一日にやられる選挙戦の序盤戦なんと言われたら笑われるのじゃないか。幾ら軽く見ても中盤戦いや終盤戦だという見方が常識じゃないでしょうかね。私はそういう実態考える場合に、三カ月、それから解散後というのは意味をなさぬと思うのでありますが、この点については修正者の高橋先生もだいぶ御苦労、配慮されたことと思うのでありますが、これに対する御所見を承るとともに、私は具体的な意見を申し述べて提案してみたいと思うのであります。かりに、こういう修正をし規定するとなれば、衆議院の場合は選挙後二年後はいけないとしたらいいと思う。まあわが国の現在の政党分野からいって、かってあったように、一年以内解散とか二年以内解散とかいうことは割に少ないと思います。そうしますと、衆議院選挙があって二年後はいけないとか、あるいは一年半でもいいが、一年半後はいけないとかいうことになればある程度効果があると思います。解散後というのでは全く私は意味がないと思います。それから参議院のように任期満了によって行なわれるのは三カ月ではお話にならないので幾ら譲って考えてみても、少なくとも一年という数字ぐらいとられなければ実効はないと思います。一年前にはすべり出しておりますよ。三カ月前ということになりますと、ことに全国区では勝負がきまっておりますよ、それが実態だと思うのであります。かりに衆議院修正立場に立ってもこの規定の仕方では実効がなく、私は疑問を持つわけです。その点私見も申し述べ修正者と自治大臣の御所見を承りたいと思います。
  32. 高橋英吉

    衆議院議員(高橋英吉君) なかなか問題はむずかしいと思います。選挙運動ということになればむろんどの時期でもいかぬわけですよ、選挙に関するというので、選挙運動まではいかない段階の行為があるわけですから、これをどの程度に規制するかということはなかなかむずかしいと思うのですが、具体的に結論的に今の当該選挙だけをどういうふうに明確に規定するかというふうな問題の場合には、何というか、一面心配する人は当該選挙ということになっていると、もういつの場合でも、いつの時期でも選挙に関すると認定されるおそれがあるというふうな考え方をして、非常に取り締まり規定に対しておそれをなす人もありますので、逆に選挙に関してということから、非常にあいまいだからとらまえどころがないから、結局ざる法の表現になるんじゃないかというふうなことで、むしろ期限を切ったほうがいいんじゃないというふうな、そういうふうな辛い見方をする人がいる。衆議院の社会党さんの堀君なんか、それで当該選挙ではこれは取り締まるということができないから、どうしても期間を設けるべきだ、期間で明確にすべきだというふうな議論。だから非常に両極端の議論がある。非常に甘く見る人と辛く見る人と、当該選挙というのを。そういうふうな関係で期間を設けたほうがいいというので期間を設けることになったわけですが、その期間の点については、あの任期満了の場合の三カ月というのは、常識的に見てどうかという問題もありましょう。一年先のほうがいいという議論もありましょうし、六カ月先のほうがいいというような議論もありましょうし、これはなかなかむずかしい問題だと思いましたが、とにかく三カ月以前の運動は運動といっても、これは選挙運動ではないので、選挙に関するそれぞれの行為なん、だから、三カ月前では、今、矢嶋さんが言われたように、効果がだんだん薄くなって、もう選挙のときには効果がないんじゃないかというふうな議論も起こって三カ月ということにしたわけなんですが、衆議院の場合は、今言われたような場合もありまするけれども、吉田さんのときの抜き打ち解散、それからばかやろう解散なんかというやつはほとんど事前にわからなかったわけです。そういうふうなこともありまするし、そこが問題ですし、それから憲法上の関係からいくと、解散権がほんとうに六十九条のあの条文以外に政府にあるのではないかということも問題ですから、したがって、解散というものを事前に予知するというふうなこと、そういうことを法文上に現わしていいかどうかというふうな問題、そういうふうな問題もありまするし、現実上つかみにくいという点もあって、これはもう技術上不可能だからというふうなことで、解散の翌日からということにしたわけですが、しかし、今言われたように、二年以後禁止だというふうな、解散の場合といいますか、そういうふうなことも一つの考え方だとは思いますが、これにもいろいろ欠点があると思いますが、なかなか矢嶋さんの御提言にみんな賛同するかどうかわかりかねるのです。私も今二年という期限についてはどうかと思っていますが、大体そういうふうな関係でああいうふうな結論を出したわけで、完全だとは思っておりません、衆議院の解散の場合でも、任期満了の場合でも。
  33. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 私も大体高橋議員のお話のようなことであろうと思います。当該選挙というものに関して十分な制限を設けることがよろしかろうと思ったんでありますが、実際この時期の判定というものは非常にむずかしい問題がございます。しかし、いずれにいたしましても、時期を区切る区切らないにかかわりませず、それが事前運動という形をとります限り、いつの時期でも、これは一年前であってもいかぬという建前に変わりはないもんでありまするから、そういった点で後援会の活動というものに区切りをつけられる、時期のつけ方にいろいろ御議論はありましょうが、つけるということ自体には、どうもこれは明確にするという趣旨からやむを得なかったか、院の決定を見ればやむを得なかったかというふうに思っております。
  34. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一回だけ伺って、あとの質疑は一応総理に総括質問をやった後にいたしたいと思います。  それは今の点ですが、政府原案が一番いいんですよ、それは。こういうふうに解散後はいけないとか、あるいは三カ月後はいけないと規定すること自体、いろいろお考えになったんであろうが、私はおかしいと思うんですよ。それは原案が一番よろしいですよ、政府原案が。議員みずから寄付をしたり供応、接待する人が中にはあると思うのです。しかし、そういうことに非常に依存する政治家というものは僕は軽べつしていいと思うのです。むしろそれよりは後援団体の名前で、先生こうしてもらわなけりゃ困る、こうやって下さいといって、本人はあまり気が進まないのだが、無理やりにやらせるというのが今日の実態では非常に多いと思うのです。そこで政治家は金が要る。これがいろいろに波及していくわけですね。根幹はそこにあると思うのです。政治にある程度の金が要るのは当然ですけれども、限度があるのであって、ここが一番日本政治家の苦しむところで、悪政の根源に私はなっていると思うのです。事実お互いのを見てごらんなさい。もう衆議院の解散風がちょっと新聞紙上に吹き出すというと、遊覧バスが連日押すな押すなでしょう。それで衆議院食堂にも入り切れぬほどになってくるのでしょう。たいがい、あなたが見ても最も票を持っているような適当な年配の人をかり集めてくるでしょう。女性でいうと四十才代の人が多いですね。これは僕は興味しんしんたるものですよ、あの動きを見て。これが一年前ぐらいだったら、呼ばれた人でも忘れてしまう人があって、たいして効果がないと思うのです。そうすると議員はやらないと思う。三カ月前だったら、あのとき車に乗せてもらって衆議院に連れていってらもって、先生の大演説を聞いて、そうして食堂でごちそうになったということは、これはたいがいの人は覚えています。効果があります。かかるがゆえに、後援会の世話人も議員みずからも責任がある。そういう意味で任期前とか解散風の吹く前は押すな押すなでしょう。ところが、参議院の選挙は、通常選挙はいつであるということがわかっていますから、大体。遊覧バスがよけい来る時期は今ごろじゃないですよ。たいがい六カ月ぐらい前に済んでいますね。それは統計とってもすぐわかる。もう最近はやや下火です。候補者の選考がきまるかきまらぬかというころから選挙前四、五カ月前は非常に多い。これは一年になったら私はこういう点は非常に粛正できると思うのです。  だから私の考えは、これは政府提出原案のように、修正しないのがベストだ。かりに数字を入れて修正するにしても、解散後とか三カ月というのでは全く実効がなくてお話にならないと思う。こういう立場で、衆議院のような修正の前提に立って考えた場合でも衆議院ならば選挙が、解散後総選挙が行なわれて一年半とか二年後はいけない、あるいは参議院の通常選挙のような場合には、選挙以前一年はいけないとかいう程度数字を使えば、法としてはおかしいと思うのだけれども、幾らか効果がある、こういう気持で伺っておるのですがね。この点、自治大臣、これであなたの提出原案と非常に変わった修正をされておるのですが、一体効果があると思っておるのかいないのか。立法府でもって修正しても、原案提出者としては私はこう思うということを言ったからといって、ちっとも差しつかえないわけだからね。これは立法府で法律化されたら、内閣としては立法府の決定ですから、三権分立のもとで行なわれておることですから、これは百パーセント尊重する、そのとおりサーバントしてやる義務がありますよ。しかし、みずから国会法案を提出し、今審議中であれば、今の過程としてこういう修正があり、修正意見があるけれども、われわれ提出者——政府側としては実効の上がるためにはかくかくだということを発言する自由はもちろんあるわけですし、そうあってしかるべきだと思うのですね。そういう点から自治大臣の御見解をもう一ぺん承って、私の今の質問を終わりたいと思います。
  35. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 私も精神におきましては矢嶋委員のおっしゃることに決して異論を唱えるつもりはありません。したがいまして、期限を切ろうが切るまいが、事前運動というものであれば、これは六カ月前でも一年前でもこれが露骨にやるか、露骨と申しますか、認定される限りはこれはいかぬ、この従来の建前あるいは新しく特にそういった点に留意をしたいという精神はそのまま今後も強く残していかなければならぬものだと思います。あとは今の高橋委員の言われるように、技術的な点につきまして、今の矢嶋委員の言われる選挙後二年というのも一つの案かもしれませんが、まあこれは二年以内に解散がないという保証はあり得ないことでありましょうし、これもなかなか、技術的にどうすればいいんだというようなことが非常にきめにくいということからこういった取り上げ方がされておるのだろうと思います。いずれにしましても、どういうふうにきめましょうとも、事前運動、ことにそういう接待やその他後援会が寄付をするというような形における事前運動というものは、これは十分に今後も取り締まられなければいかぬし、ないということでなければなるまいと思っております。
  36. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 今の矢嶋さんの議論もありましたけれども、私はもう少し強硬な意見を持っているのですが、等申案のほうには選挙に関してという言葉が入っていないわけですがね。ですから矢嶋さんのおっしゃったような中途半端みたいなことをせずに、あっさり選挙に関してという政府原案の文句は取っちゃったらどうか。公明選挙を推進する上においてはそのくらいのことをしてもいいのじゃないか。そうでなければ、じゃあ選挙に関してはしてはいけない、じゃあ政治に関してはやってもいいのか、これでは何ぼでも抜け穴があるわけですから、ほんとうに政府が公明選挙を徹底するという腹があったならば、私は答申案のとおりやったほうがむしろさっぱりする、三カ月だの二年だのというそういうのはかえってめんどうで、ややこしいとそう思うのです。それはどうですか、その点は、大臣
  37. 安井謙

    国務大臣安井謙君) お話のとおり、選挙に関してという言葉があろうがなかろうが、選挙事前運動をやるということは、後援会活動としてもこれは禁止をされなければならぬと思います。しかし、政治家が社会的に活動をしておる、それはやはり大衆の支持をあるいは大衆とのつながりが要るわけでありますし、また、そういうようなものを持つ手段として後援会活動というものが常時あることは、私はこれはやむを得ないと思いますし、また当然のことだろう、そういう場合に普通の常識を越さない社交程度のことが行なわれる、これは私は人間が社会生活をいたしております限り、当然、やむを得ないというふうに考えておりまして、それがこの選挙事前運動というものと結びつかない限度というものに線を引くことは非常にむずかしい問題でありますが、そこをおのずから良識で分けていくより仕方がないのじゃないか。特に後援会というものを持たなければじゃあ一番いいじゃないかということにもなりますが、一つの団体自体が後援会と同じような組織になっておるような場合もあるでしょうし、あるいは特別の候補者が後援をされてやっておる場合がある、また、ある候補者自体が多くの層との接触を必要とする上にでき得る限りこれを広く拡大していくといういろいろな場合があろうと思いますので、これを一部だけを全面的に禁止するということもこれは私は困難な問題であろうと思っている次第であります。
  38. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで、今おっしゃったように、社交程度のおつき合いはよろしい、その程度でいいんじゃないでしょうか。あらためて選挙に関してということでなくても、答申を尊重して、それは入れるならば今あなたのおっしゃったように、社交程度のおつき合いを限度とする、この程度で私はいいと思うのですがね。ことさらに選挙に関してということを入れますというと、そういうような弊害が出てくる。
  39. 安井謙

    国務大臣安井謙君) この選挙に関してという言葉は、実は現行法にもいろいろなところに、問題を明確にするために御承知のとおり使ってありますので、やはりこれは慣用語といいますか、今までの、現在の法文とのバランスをとる意味もあってこういうことを入れておるわけでありますが、要は今おっしゃるように、これが明らかにだれが見ても過大な買収行為になるようなこと、こういうようなことは、たとえ時期が半年前であろうが一年前であろうが、これはいかぬという精神に変わりはない、こういうふうに考えておるわけであります。
  40. 加瀬完

    ○加瀬完君 常識でとおっしゃるが、ひとつ大臣の常識で政治活動と選挙活動はどこで区分けをするのかおっしゃっていただきましょうか。
  41. 安井謙

    国務大臣安井謙君) これはなかなかむずかしい面があるし、個々のケースによってこれは私は判断をせざるを得ぬという面が多かろうと思いますが、私は要するに、選挙をやるのでございますからよろしくお願いしますという意思がはっきり現われるという形のものでなくて、政治活動をやっていく上にいろいろな意見も聞き、あるいはまた、親交も深めていくとか、あるいはまた、自分の意見のあるところを十分述べるといったようなものが一般の政治活動なりあるいは後援会活動であろう、こういうふうに思います。
  42. 加瀬完

    ○加瀬完君 具体的に問題を出して伺いたいと思いますがね。百円の会費を集めて五百円くらいのごちそうをすることは政治活動においては何ら必要のないことですね。選挙を頼むと言おうが言うまいが、当然やがて候補者と目せらるべき者が中心になって後援会と称して安い会費でごちそう食べさしておみやげを持たしてやったりすることは、これは選挙を頼むと言わなくたって明らかに政治活動ではありませんね。
  43. 安井謙

    国務大臣安井謙君) これもその時期、方法その他いろいろあろうと思います。たとえば後援会というものは何も候補者が自分で金を出すというふうなものに限ったものじゃありません。あるいは候補者が若干の負担をするという場合もあろうと思いまするが、大体有志がおってその人の政治活動を手広く、広くやらせるために資金の応援をする場合もありましょうし、また、いろいろ大衆にそういった人柄を知らしめるという必要もありましょうし、たとえばそのこと自体、百円の会費であったがたまたま何かおみやげがついたというようなことがあっても、これはそのときの状況、そのときのあり方というようなもの等あわせて考えてみませんと、にわかにそれだけがいかぬというふうに断定することもなかなか困難であろうかと思います。しかし、考え方の基本として、私は名目に会費をとっておいて候補者となるべきような人、あるいは政治家というような人がいかにもただ物できげんをとるとか物で歓心を得るという方法を専門にやるというようなことは、これはやはり十分に戒めなきゃならぬというふうに思っております。
  44. 加瀬完

    ○加瀬完君 しかし、そもそも審議会を設置したそのねらいは、くどいようで、何度も申し上げて恐縮ですが、公明選挙の推進ということなんです。少なくも公明選挙をマイナスしているような面というものはあらゆる手を打って防いでいく、防止していくということが建前でなければならないと思うのです。今、腐敗選挙の一番の、数も多いし顕著な例は、後援会の名儀で事前運動をすることもその一つであろうと思う。後援会ですから他の者がその政治家を後援するというならいいけれども、後援会を集めて費用は候補者が、政治家が負担して、そういう形の会合というものは、これは政治活動としては本筋じゃないと思う。これを押えていくのは当然だと思う。これは、御修正をなさいました先生方いかがですか。
  45. 高橋英吉

    衆議院議員(高橋英吉君) なかなか議論があるところと思います。かりに私個人といたしましては、代議士になったがために負担しなければいかぬところの冠婚葬祭の支出から、それから後援会以外のどこの公民館を建てるから、プールを直すからということで寄付を強要されるわけですね。たまったものじゃないわけです。実際国会議員であるがために課せられているところのこういうふうな重荷、これがなかったらどのくらい国会にも、愉快な役割であるかというふうに感じるだろうと思いますが、毎日々々それで憂うつなわけです。そうかといって、それを法律で全面的に禁止するというふうなことをやった場合には、抽象的に言いますれば、角をためて牛を殺すというふうな弊害がたくさん起こってくるだろうと思います、随所に。この問題もその一つだろうと思うので、後援会の今のような具体的の問題で、候補者のといいますか、国会議員のほうから費用を出して、そしてみやげまで持ってごちそうして帰らすというふうなこと、この場合はこれらのやはりそれぞれ後援者と国会議員との個人的な交際、社交といいまするか、そういうものの一つの現われで、政治的な何でもないと思うのですが、ただその場合に、多くの場合はその後援会でいろいろ国会報告演説会とかそのほかいろいろ政治問題の座談会とか講演会、いろいろやりますから、そのほうは政治活動と思うのですが、それとごちそうとは別個のものだと思うのです。そういうふうな関係で、政治活動と選挙運動との関係はまあはっきりすることになる。われわれでも平素後援会の会合があって、そこで政見の発表、国会報告の演説をやりましても、この次に出たときには頼むぞということは言えないわけです、選挙運動になるおそれがあるわけでありますから、言えないわけで、皆さんもおっしゃらないと思いますが、そういう工合で、政治活動というものは間接には選挙にむろんつながりましょうけれども、直接にはつながらない。選挙運動というやつは、選挙に関するやつは、面接得票に関係するという、選挙運動そのものはまあ直接当落に関係する、得票に関係するという場合というふうなことで観念的に分けられるとは思います。
  46. 加瀬完

    ○加瀬完君 あなたは今なかなか長い御答弁なさいましたけれども、やはりあまりはっきりしない。はっきり御説明ができないほど、政治活動と選挙活動というのは分けにくいもの——分けにくいものならば、政治胎動という大きなものの中に全部含めてこれは取り締まりの対象にするのが当然なんです。そのほうが取り締まりもやりやすいし、あるいは効果も上がるということに私はなると思います。私がさっきから伺っているのは、選挙活動の面もあるとか政治活動の面もあるとかいうことでなくて、当然選挙活動が予想されるような仕組みで政治活動と称してやることは、これは政治活動の本質ではあるまい、こう伺っているのです。  自治大臣に重ねて伺いますが、明らかに第三者が見て選挙活動だと思われるような内容を含めて——具体的に言うならば、百円ぐらいの会費をとって五百円ぐらいのごちそうをしてよろしく頼むということが明らかに参会者にわかるような方法でこれを政治活動として会合をしても、これは政治活動ではあるまい。また、そういう政治活動は、これは自粛すべきじゃないか。この点は、どうです。
  47. 安井謙

    国務大臣安井謙君) でき得る限り、そういう誤解を受けるようなことは、私は今お話のとおり自粛すべきものであるということには異論はございませんし、また、そうあるべきものだろうと思っております。ただしかし、それだからといってそういうものをすべて法律で縛ってしまえ、あるいは取り締まってしまえということになりますと、今の社会的な慣習、社会生活上非常にまた無理な面もできてくる。いわゆる後援会活動のおみやげだけに限りません。今までもいろいろ東京でもごらんになりますように、たくさんポスターが出ております。それからいろいろなスローガンだけ張った名前のポスターもたくさん東京じゅう出ております。そういうようなものを、一体あれは選挙関係ないのだからいいのだということがはたして道義的に言えるかどうか。ここらにもおのずから私は当然、程度の問題、社会常識の問題、こういうものと関連して判断さるべき問題がたくさんあろうと思います。言論文書だから何をやってもよろしいのだというふうにはなかなかこれだっていきかねる。たまたまそういう方法をとっておるが、その底意というものを、考え方自体というものをいうならば、私は同じような精神じゃないかという問題が出てこようかと思うのであります。
  48. 加瀬完

    ○加瀬完君 伺っている点だけお答え下さればいい。今あなたのおっしゃるような点が悪ければ、それも取り締まればいい。それが行なわれているからといって、こっちの常套手段として行なわれている名実ともに効果の上がる選挙運動を、悪質な選挙運動をとめなくてもいいという理由にはならない。  これは刑事局長に伺いますが、通例そういった後援会などでもう明らかに事前運動が行なわれているわけですが、大体取り締まりの手続としては、その方が立候補をしてその立候補と前のいろいろの活動がつながりをもって確かに事前活動だということにならないと、実際は取り締まりの対象にしないようでありますが、やはり検察当局の御指導の方針もそうでしょうか。
  49. 竹内寿平

    政府委員(竹内寿平君) 実際取り締まりの仕方といたしましては、御指摘のように、立候補してそこの点がはっきりしてから取り締まりをするというようなことになるのが多いと思いますが、しかし、建前としては立候補をすることがその他の証拠によって十分うかがわれるものであり、そうしてその行為が買収に当たるような行為である、そうしてその行為全体が特定の選挙のために当選を得る目的でそういうごちそうをするなり品物を渡すなりということがはっきりして参りますれば、それは告示前といえども検挙取り調べをした実例もないではない。ただ、今申し上げましたように、選挙運動と申しますためには、当該特定の選挙である、それから供応をした人が立候補するという意思がはっきりしておる、そうしてその趣旨とするところが当選を得る目的であるということが諸般の証拠によって確認し得るかどうかということにかかるわけでございます。すれすれのことでありましても、一つの点でぼやけておる、あるいは立候補するかどうかが疑問であるといったようないろいろな事情から取り締まりが困難になった場合はあると思います。
  50. 加瀬完

    ○加瀬完君 十二時から本会議が始まるそうですから、政治資金規正法による届出の政党等の寄付金の団体で性格、内容のわからないものがありますから、これは選挙局長からお答えをいただきます。福田会というのは何ですか。
  51. 松村清之

    政府委員松村清之君) 実はこの政治資金規正法の届出の団体名に関しましては、届け出されたものを私どもは受理しておるだけでございまして、まあ常識的にこの会がどういうものであるかということは知っておるものもございますけれども、私どもはそれ以上にこれを突っ込んでどういう会のものであるかということは承知いたしておりませんが、必要ならば調査いたしてお答えいたしたいと思います。
  52. 加瀬完

    ○加瀬完君 じゃ次のものを午後お答えをいただきます。今言った福田会、それから信友会、国政研究会、正明会、耕道会、蒸溜酒懇談会、酉政会、金曜会、三友調査会、全国米穀問題同志会、以上はどういう内容性格、それからあるはまた、どなたの後援会なのか、後刻御報告をいただきます。
  53. 松村清之

    政府委員松村清之君) さっそく届出の書類に基づきましてお答え申したいと思います。
  54. 小林武治

    委員長小林武治君) それでは本会議散会後まで休憩いたします。    午後零時一分休憩    ————・————    午後三時五十四分開会
  55. 小林武治

    委員長小林武治君) これより委員会を再開いたします。休憩前に引き続き、公職選挙法等の一部を改正する法律案外一件について質疑を続行いたします。
  56. 加瀬完

    ○加瀬完君 午前中資料をお願いいたしまして、今いただいたわけでございますが、どうも選挙管理委員会でも内容がわからないということでは、私どもとしてはうなずけない。そこで総理大臣に聞かなければ——ほんとうは総理大臣のもらったところだから総理大臣に聞けば一番わかるわけだけれども、一応自治大臣に伺いますが、この金曜会というのは、これはどういう団体ですか。
  57. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 金曜会、何か先ほど御指摘がありました金曜会、三友調査会、全国米穀問題同志会というやつにつきましては、届出が出ておりませんので、その内容選挙局の事務当局でよく知らない由でございます。
  58. 加瀬完

    ○加瀬完君 この政治資金規正が問題になっておりまして、まあ政府原案では政治活動に対する資金規正というのが一応選挙活動のみのワクにはめましたけれども答申案政治活動全般についての資金規正ということが問題になっておったんですから、したがって、一番寄付金の金額の張っている団体、あるいは自民党なり要路のそれぞれの総理大臣を初め有力閣僚なりにつながる政治資金を寄付した団体というものは、どういう内容で、どういう関係かということは一応資料としてこれは御用意をいただかなければ、審議に非常に事欠いて参ると思う。で、金曜会、三友調査会、全国米穀問題同志会、こういう団体はそれぞれみな自民党あるいは宏池会に相当多額の寄付をしている。それがどういう団体だかわからないとすれば、政治資金が是か非かという論議をするにしてもしようがありません。選挙局でこれがわからないとすればどこならわかるというわけですか、わからないで済まされる問題じゃないと思う。届出がないというけれども、こういう団体から寄付をもらったという届出があるはずです。こういう団体がわからないとはどういうことです。
  59. 松村清之

    政府委員松村清之君) この政治資金規正法による届出の受理を自治省のほうでやっておるわけでございますが、その届出には今御指摘の三つの団体というものが出ていないわけでございます。
  60. 加瀬完

    ○加瀬完君 そんなことない。出ている。
  61. 松村清之

    政府委員松村清之君) それはその寄付自体はそうであろうと思います。私どものほうは政治資金規正法による政党政治団体としての分だけを扱っておるわけです。それへどこが寄付するかというその相手先のほうのことはこれはまあ調べればある程度わかるかもしれませんが、それは私どもの所管の範囲外でございますので、今のところ了知していない次第でございます。
  62. 加瀬完

    ○加瀬完君 そん怠慢なことはないですよ。衆議院段階でも、交付金、補助金、あるいは財政投融資、利子補給、そういったような関係のある団体が政治資金についての寄付をすることはよろしくないという議論が蒸し返されて何回かあったわけですね。したがって、問題になっているそれぞれの政治資金の寄付者がどういう内容、性格のものか、あるいは寄付を受けるものと寄付をするものがどういう関係にあるかというくらいは十二分に調査をしておいていただかないと、一体衆議院段階でもそういう問題が出た場合にはどう御答弁をするつもりだったのですか。幸いにそういう問題、こまかいことが出なかった、出なかったけれども、そういう内容に入っての質問が時間があれば当然出ることは予想されたわけですね。この前も私はこういう問題を聞いたけれども、届け出でた団体でしかわからない、その性格、内容はわからないというお答えであった。しかし、この前は、特別に政治資金というものが、こういうふうに法案原案の中で問題になっておらなかったから私は差し控えた。今度は問題になっておるのですから、じゃお調べになってお答えをしていただくとすれば、どのくらいの時間の余裕があればできますか。
  63. 松村清之

    政府委員松村清之君) これはちょっと今ここでどれくらいの時間ということは見当がつきかねるのでございますが、まあともかくこの現行法におきましては、政治資金規正法というものが届出のあったものを公表する、公表することによって一般のいろいろな批判を受ける、こういう建前にいたしておりまするので、この政治資金の細部にわたって立ち入って調査するということはいたさない建前になっておるのでございます。今度法律で国と財政的なつながりのあるという新しい条項が入りましたのを機会に、国から補助金等をもらっておるそういう団体につきましては、すでに一部調査もしておりますけれども、この関係の分につきましては、調査をいたさなければならないと思っておりますけれども、そのほかにつきましては、政治資金規正法がそういう趣旨でできておりますので、立ち入ってこれを調べるというわけにも参らないのでございます。
  64. 加瀬完

    ○加瀬完君 この選挙局からの公職選挙法等の一部を改正する法律案参考資料として、今私が例にあげましたように、交付金なり、補助金なり、補給金なり、委託費なり、こういうものの交付団体の一覧表が出ていますが、こういう一覧表を出せるのですから、それならば、交付金や何かもらっているかいないかを調査するにおいても、当然寄付者であるべき金曜会なり、三友調査会というものやあるいは全国米穀問題同志会というものはどういうものだということが事前調査されなければ、その団体が補助金をもらっているものやらもらっていないものやらわからないでしょう。
  65. 松村清之

    政府委員松村清之君) ここに提出してあります資料は、私どもの手元に出ておりますいろいろな書類に基づくものであり、また、各省にお願いをいたしまして補助金等を調べてもらったものでございます。したがって、その当該団体に国から補助金が出ておるかどうかというようなことは、各省の手でわかりますが、その団体がどういうものであるかということまでは、これは調べがなかなかつきかねる問題であると思います。
  66. 加瀬完

    ○加瀬完君 それじゃあなた方の選挙局は、その資金規制の問題で質問をされても内容の答えはできないと、こういうことなんですか。
  67. 松村清之

    政府委員松村清之君) 政治資金規正法によりまして、私どもの手元に出ております資料の範囲内においてはお答えできますが、それ以上、その団体が実質的にどういう内容のものであるかというそういう点までは、われわれは立ち入って調べる権限もございません。
  68. 加瀬完

    ○加瀬完君 それでは政治資金規正の問題で、その団体と政府関係等を質問をいたしたならば、自治大臣選挙局で調査がなくて答えられないというやはり同じ御態度をとって、それは調査がないから答えられない、こういうことですか。
  69. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 政治資金規正法によるこの寄付の届出は、今局長のお話し申し上げましたように、規制を受けておる団体が届出をしてくる、それを公表するということによって一般の社会にも明確にさせるというのが趣旨でありまして、それでは、今度は規正団体に対して、資金を出した団体がどういうものであるかということまで立ち至って調べるということは、何か事件でもあるということならこれは格別でございましょうが、これは私どもむしろすべきものじゃなかろうと、これはいろいろな会社の、そうなれば際限はないので、経理状態まで一々調べていかなければならない。こういうことは、私は今の法律の建前からやるべきものじゃなかろうと、こういうふうに思っております。
  70. 加瀬完

    ○加瀬完君 それじゃね、結局、答申案として出てきた政治資金一般をも規制すべきである、特に政府と補助金その他で関係のあるものについては規制しなければならないと、こういう答申でしょう。あなたのほうは、それを選挙に関するというワクをかぶせたけれども選挙に関するというワクをかぶせたところで、こういう前に指摘したような団体から、これは法律できまっていないにしても、政治資金を仰ぐということは、この公明選挙という建前からすれば妥当な方法であるといわれませんね。三友会なり金曜会なりというものは、総理大臣に献金しておるのです、宏池会へ。その団体がどういう団体だかということも調べないで、これが公明選挙に、そういうところから資金を受けてプラスになるかマイナスになるかということがわかりますか。あなた方が答えられなかったらもらった人から聞くからいいですけれども。そういうことを立ち入って調べることがいいかどうか——立ち入って調べなければ今度の政治資金の審議にあなた方答えられないじゃないですか。怠慢もはなはだしいよ。届け出た者だけここに提出した、わからないものはわからない——それではその寄付金を出す団体がどういう団体だか、どういう関係があるかということを聞いたって、答えられもしなければお答えにもならないでしょう。政治資金がプラスになるかマイナスになるか、政府関係があるかないのかということをどうして調べますか。あなた方のお答えがなくてだれが答えるのですか。
  71. 松村清之

    政府委員松村清之君) 政府と財政的なつながりがあるかどうかということは、これは政府内部の各省から補助金を出しておるかどうかというこういうことで判明をいたします。それで私の申し上げておるのは、金をもらった相手の団体の名前ははっきりしておりますが、その団体がどういうものであるかということについては、これは調べることがわれわれの権限としてはできないわけでございます。しかし、その補助金をもらっておるかどうかは、これは各省を通じて補助金が流れておりますから、その点は調べればわかります。
  72. 加瀬完

    ○加瀬完君 形式上補助金を若干もらっているかもらっていないかということを調べることが大切であれば、より以上、たとえば金曜会というのは一千万、三友調査会というのは七百五十万、これは三十五年度の下半期だけで宏池会に献金しておる。そうすればそういう団体がどういう団体だくらいは、これは御調査あってしかるべきです。本人に聞けと言うなら御本人に聞きますよ。調査しないのが当然だと言ってお答えにならないことでは、私ども承知できない。政治資金の問題が一番大きくクローズ・アップされて、是非の論が激しいのです。政治献金をしておる団体がどういう団体であるかということを選挙局で調べないというばかなことはない。答えられないと言うんだから、それなら先ほど指摘した国政研究会あるいは耕道会、福田会、蒸溜酒懇談会、金曜会、酉政会、正明会、こういうものもこういう名儀で、代表者の名前はわかっておりますよ。代表者がそれぞれの名儀でただ献金をしたということだけしかおわかりにならない。それでよろしいですか。
  73. 松村清之

    政府委員松村清之君) これは、現在の政治資金法の建前は、ただいま申しましたのを繰り返しますように、政治資金の収支の状況国民の前に公表するということにとどまるのでありまして、それ以上寄付をした団体がどういう団体かということまでこれをきわめるという建前にはなっておらないのでございます。
  74. 加瀬完

    ○加瀬完君 今あげたのは寄付をした団体ばかりじゃないのですよ。寄付をもらった団体もあるのですよ。寄付をもらった団体がだれの後援会であるとかだれのグループであるとか、そういうこともお答えになれないという性格のものではないでしょう、政治資金規正法は。
  75. 松村清之

    政府委員松村清之君) 政治資金規正法では、今御指摘のような団体が届出をされておるわけでございますが、その届出の内容責任者とかそういったものでございまして、責任者は今御指摘のように、はっきりわかっております。しかし、その団体がどういう内零を実質的になしておるかということはわれわれの調査する範囲外のものでございます。
  76. 加瀬完

    ○加瀬完君 大臣にあらためて伺いますが、審議会の答申の中にある選挙活動資金を含めて広い意味政治献金というものは今のままの野放しで公明選挙に絶対弊害はないとお認めですか。
  77. 安井謙

    国務大臣安井謙君) これは野放しで弊害がないとかあるとかいう問題より、これはいろいろ弊害があっちゃいかぬから漸次これをひとつ直していきたい、いろいろ批判の出る面については逐次直していきたい、そういう意味から今度もこの政治資金に関しては、当該選挙に関しては政府と非常に関連の深いあるいは関連のある団体からの献金を禁止するという規定は新しく起こしたわけであります。私ども逐次そういうようなものを検討もしていきたいと思います。今後も、またいろんな政党法というものがはたしてそのままの形でできるかどうかは別にいたしまして、そういう政党と資金とのあり方という問題につきましては、今後もさらに審議会の御検討もわずらわし、いろいろ政府で検討すべきものはこれからもさらに進めてはいきたい、こう思っておりますが、今の段階で加瀬さんのおっしゃるように届出をしたものに対する寄付団体を逐一調べて、お前らは素性や中身を周知していなければこれは怠慢だと言われましても、その点は今局長が答えたと同じように、私どものほうでは届出を受けてこれを公表する——たとえばまあいろんなこういう形式のものがあろうと思います。不動産の登録にしましてもそうであります。戸籍登録にしてもそうであります。これはやはり届出の範囲においてこれをはっきりさせるというところまで法律は義務づけておりますから、そこから先に一々いって調べなければいかぬ、そういうことは、これは私はあり得ないし、今の建前ではそこまで要求は無理であろうと思うわけであります。
  78. 加瀬完

    ○加瀬完君 結局大臣政治献金は現状のままで野放しでは弊害があるということはお認めになりますね。
  79. 安井謙

    国務大臣安井謙君) このままでいくと弊害が生ずる面もなきにしもあらずということは……。
  80. 加瀬完

    ○加瀬完君 生じていますよ、現に。今まで生じていないとお考えですか。それでは今は生じてないとお考えでしょうか。現時点議論します。ここ数度の選挙で野放しの政治献金は公明選挙に一つも弊害はもたらしておらないと、こう御確認ですか。
  81. 安井謙

    国務大臣安井謙君) それは弊害の面もあろうと思います。ですから、これを今逐次直していくために今度も新しい選挙に関しての政治献金の規正を一部やっておるわけであります。
  82. 加瀬完

    ○加瀬完君 そこで、そうであればあなたがさつき御説明のように、政府と特別関係のあるような政治献金というものはこれは規正していかなければならない、これはお認めになりますね。それならば政党政府の要人の後援会であるところの何々会といったようなものがだれの後援会か、だれのバック・アップをしているのかということを調べなくて規正の措置云々ができますか。あるいは献金する団体がどういう団体であろうかということが見当つかなくて規正の方法がとれますか。それをやっていないから私は怠慢だと言うのです。政治資金を規正する意欲というものはないでしょう、それでは。どうですか。
  83. 安井謙

    国務大臣安井謙君) まあ今の、とことんこういうものを洗っていくべきじゃないかという御議論も私はそれは必ずしも御無理じゃないという気もいたしますが、今の建前はそういうふうになっておりませんのと、それからこれにもおのずから一定の限度がございますが、しかし、今言われますように、政治資金のあり方、献金のあり方というものについては、これからもいろいろな角度からこれは検討しなければならぬし、現にやっておるわけでありまして、今の加瀬さんなんかの御意見というようなものもひとつ大いに私ども今後参考にいたしまして、これからあるべき姿を検討する際に十分考えていきたいと思います。
  84. 加瀬完

    ○加瀬完君 その今の政治資金規正法で立ち入って金曜会がどういうグループか、池田さんとのつながりは何かということを自治省選挙管理委員会が聞かれもしないのに発表する義務もありませんし、そういうことをすべきことでないということはわかります。しかし、法案内容の中には政治献金の問題が大きくクローズ・アップされているわけです。特に政府とのつながりの上におい政治献金が公明選挙にマイナスをもたらすのじゃないかという点が論議になっているわけです。それならば、公金や補助金をもらっている団体とともに、献金した団体がほんとうの純粋な意味政治献金であって何ら池田さんと関係ないのだ、あるいは石井さんと関係ないのだ、岸さんと関係ないのだ、あるいはこういうように関係があるのだ、こういうことが調査されなければ、われわれが質問したときに、あなた方はこれは弊害がないとか、これは純粋な献金で歓迎すべきだ、これはどうも規正しなければならないといったようなお答えができないでしょう。答えられるものと答えられないものがあるでしょう。調査がないということは私は怠慢だと言うのです。調査がなくちゃその団体の献金がいいか悪いかということを判定ができないでしょう。どこに聞けばこれはわかるのです。
  85. 安井謙

    国務大臣安井謙君) まあ今の私は加瀬さんの言われるお気持、御意見が一部わからぬじゃないのですが、しかし、これはやはり非常にデリケートな問題だし、程度の問題も非常にあろうと思います。影響するところも非常に多いので、少なくとも今の建前じゃ、こういった献金先まで根掘り葉掘り調べ上げて、いいだどうだということの権限は与えられていないことだけははっきりしておるのでありまして、届出を受け付けてこれを公表するというところで相当のこれは今まで進歩的といわれているのでありまして、そこから先の問題につきましては、やはりこれは今後十分に検討いたしたい。どういうふうにあるべきかということ以外にちょっと御返事のしょうがなかろうと思うわけであります。
  86. 加瀬完

    ○加瀬完君 選挙局長、あなたは自治省のお役人かもしれぬけれども選挙管理委員会は人格高潔にして適正にして公平なる人が選ばれているわけだな。人格高潔にして適正にして公平なる人があの審議会の答申を見たとしたならば、政治資金の規正に問題がしぼられるとしたならば、政治資金規正法によって届け出られている団体の内容がどうだかということをこれは調査しておくのは当然のことでしょう、これは。
  87. 松村清之

    政府委員松村清之君) それは何度も申しますように、政治資金規正法によって届け出られておる範囲以上には調べるわけには参らないのでございます。したがって、お手元にちょっと差し上げましたが、責任者の名前、それ以上には……せいぜい綱領程度ならわかりますけれども、それが一体だれに関係した団体であるかというその実際というものは私ども選挙関係者の権限外の問題でございます。
  88. 加瀬完

    ○加瀬完君 あなた方は権限外だと言っても、調査をして提出をしているものもあるでしょう。たとえば日立製作所は何と何と何の会社に幾ら幾ら出している、そして補助金なり研究費なりはこういうふうにもらっておる、あるいは神戸製鋼所はこうだという資料を出していますよ。それならば、今言った一番焦点として大きくクローズ・アップする総理大臣の後援会の出資者がどういう内容、性格を持ったものだかということを調査できないということがありますか。一方ではこういう資料を出している。これだけの努力があれば少なくとも一千万円——七百五十万円という金額の大きい団体ですよ。こういう団体がどういう団体であるかということを調べられないということはないでしょう。しかし、調べられないと言うなら、それ以上追及しても答えは出てこないでしょうから追及はいたしません。しかし、私どもは、あなた方のそういう態度は、われわれの答申案なり政府原案なりについて審議をしようという、衆議院段階等においてもいろいろ問題になった点について、まじめな答弁をいただける態度ではないと、これは意見になりますが、判定をせざるを得ません。ましてや献金する団体ではない、献金を受ける団体の性格すらも自分たちの法律上における義務範囲外だと言って答えられないということでは、それ以上聞いたってしょうがない。そういうことでは審議が進みませんよ。公明選挙は推進されませんよ。それだけ言っておきます。質問を保留します。
  89. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 関連して。ただいま加瀬委員の質問ですが、法的にはあなた方の答弁のとおりだろうと思うのですよ。しかし、ある程度は皆さん方は知っているはずですね。だから、知っている範囲内でこの次調べてきてお答えになったらいかがですか。これは法的には選挙局長の言うとおりだと思うのです。しかしその関与している者としてやはり関心をもって聞いたり、その法律で許された以外で若干調査したり、サウンドしたりしてある程度知っていると思うのですよ。その範囲内で答えられればある程度加瀬委員満足されると思うのですが、それをこの次まで検討してきてもらいたいと思うのです。  それからこの前お聞きした資料きょう出していただきましたけれども、私、見ましたが、この最後に最近に行なわれた選挙における支出届額云々の表を出していただいた。あのとき僕は、僕を含むお互い地方行政委員閣僚諸君の、ということを言ったのですが、閣僚諸君のがないようだね、これには。これをちょっと見ると、閣僚議員だけのらしいが、池田さんらしいのは探そうと思ったがない。これ入れなかったでしょう。この次まで出してもらいたい。
  90. 加瀬完

    ○加瀬完君 じゃあ今度は答えられる事務的なものを聞きますよ。宏池会の収支の決算を見ると援助費というのがある。それから組織活動費というのがある。それから十日会には交際費というのがある。それぞれどうう性質のものですか。
  91. 松村清之

    政府委員松村清之君) これも別に、内容がそれぞれの団体によってそれぞれ違っておると思いますけれども、これも先ほどから申しておりますように、届出をしたそのままを公表しておる、そういう状況でございます。
  92. 加瀬完

    ○加瀬完君 今度はそうは言わせませんよ。なぜならば、これが選挙活動費になるか政治活動費になるか、この見分けは選挙管理委員会でしなければならないわけですよ。そうでしょう。ただ届け出たから、届け出たものをそのまま、選挙関係の届出は選挙関係だ、あと選挙関係でない届出は、これは全部政治活動だ。こういう大ざっぱなものですか。政治活動と選挙活動資金というものはそうではないでしょう。
  93. 松村清之

    政府委員松村清之君) これは今度法律改正になりますれば、いろいろ考えなければならぬ点があると思いますが、現行の政治資金規正法によりますと、政治資金としての届出と選挙資金の届出と、この二様に様式を分けまして届出をしてもらっているわけでございます。
  94. 加瀬完

    ○加瀬完君 それではその援助費というのは、今度政治資金規正法が変わるとすれば、これは選挙活動費になりますか、政治活動費になりますか。
  95. 松村清之

    政府委員松村清之君) これも援助費という名目だけでは内容がはっきりいたしませんが、両方あるように解せられます。政治活動についての援助費、選挙運動についての援助費。
  96. 加瀬完

    ○加瀬完君 では同じ二百万円ずつもらって、質的に幾らが選挙活動費で幾らが政治活動費、こういう見分けがつきますか。それから、この人に二百万円渡したのは、これは選挙活動だ、この人に渡したのはこれは政治活動だ、こういう判別がつきますか。
  97. 松村清之

    政府委員松村清之君) これも個々具体的な場合におきまして、選挙との関係、時期、態様その他いろいろな点から総合的に判断しなければ、これはどちらとも言いかねると思います。
  98. 加瀬完

    ○加瀬完君 届出の形式は、選挙活動費として届け出たものの中から援助費が出た場合は、これは選挙活動費でしょう。そうでしょう。
  99. 松村清之

    政府委員松村清之君) 現在の様式の報告様式のもとにおきましては、選挙政治資金と区別しておりますから、選挙資金として届け出られたものの中から出ておるものは、選挙関係があると言えます。しかし、これから今後法律が変わりますので、今後の点についてはあらためて検討しなければならぬ事項もあるかと思います。
  100. 加瀬完

    ○加瀬完君 検討しなければならない事項があるなら、今まで行なわれている政治活動費なりあるいは選挙活動費なりというものの区分けが、局長の言うように、今度新しい法律を作ってもできるかできないかという問題です。できるというなら、今言ったように十日会なり宏池会なりでやっている援助費なり組織活動費なりも、こういったようなものは、一体選挙費なのか、政治活動費なのか、その判別を教えていただきたい。質問の要点はここです。
  101. 松村清之

    政府委員松村清之君) これ実際はまあたいへんむずかしい問題で、現行法ですとこの選挙資金と政治資金とを区分けして報告してもらっておりますが、今度こういう法律ができますと、その点脱法的なものも起こるかと思いますので、それらについては、できるだけ脱法的な措置がとられないような何か工夫をしなければならないと思います。しかし、結局、この政治資金であるか、選挙資金であるかということは、個々具体的な場合についていろいろな状況判断してきめなければならない問題でございまして、抽象的にどうこうというわけには参らないと思います。
  102. 加瀬完

    ○加瀬完君 それでは、三十五年十月二十三日から十一月十五日の間に百万円ずつ三十四名、五十万円ずつ二名に宏池会は分けていますね、そういう報告選挙管理委員会にしているわけです。これは選挙活動費なのか、政治活動費なのか。
  103. 松村清之

    政府委員松村清之君) それは、今ちょっとお聞きしますと、総選挙の時期の前後だと思います。したがって、一応選挙活動資金というふうに推測されますけれども、しかし、これも個々具体的な場合によく調べてみないとはっきりとは言えないと思います。
  104. 加瀬完

    ○加瀬完君 選挙活動費だとすれば、これは選挙の収入に入っていなければならぬが、だれも入れていない。これは刑事上問題になりませんか。選挙活動費を前提にすれば、選挙活動費として、そうしてもらった金は収支決算の中に入れていない。それが、だれも書かれていない、届出の中に人っていない。これは刑事局長どうですか。仮定の問題です。違反になりませんか、もう一ぺん伺います。選挙活動費としてですよ、二百万円ずつもらった者が、今度は選挙の届出の収入の中には入れていないとすれば、これは厳格に言えば、違反行為ということになりませんか。
  105. 松村清之

    政府委員松村清之君) 私から便宜お答えいたしますが……。
  106. 加瀬完

    ○加瀬完君 私は刑事局長に伺っている。あなた刑事局長じゃない。犯罪になるかならないかということです。いかにこの届出がでたらめなものかどうかという一つの証拠を出すために……
  107. 竹内寿平

    政府委員(竹内寿平君) 仮定でもいいというお話でございましたが、選挙運動に関する資金として受け入れました場合にですね、これは当然書き上げて報告もしなければならないことになる。で、御疑問の点は、選挙運動の資金ということと政治活動の資金ということで区分けをして受けておる——受けるほうはそうだと思うのですが、今度は出したほうが、選挙の時期でございますけれども選挙資金として出すという場合には、これは書かなければならぬと思うのですが、そうじゃなくて、違った意味で渡す場合も絶無ではない。そういう場合には、そういうつもりでもらったのではないということになると、これは書き上げなくてもいいということになる。そこのところは、事実を、どういうふうに金を見るかということによってきまると思うのですが。
  108. 加瀬完

    ○加瀬完君 そうするとね、選挙に関しということは、全くざるだと、ざる法になるということになりますね。しかし、資金全般が大きく規正されるならば、これは選挙はきれいになります。これは選挙の金だ、これは政治活動の金だという区分けがされないで、一応取り締まりの対象ということにもなりますけれども、一千万使おうが、二千万使おうが、それは選挙の金ではありません、借金していたそうですから、借金が払えないそうですからくれてやりましたということになると、選挙違反にならないということになると、実際その金が選挙に使われるということになっても、処罰の対象にならないということになり、全く政府原案というものは、答申案とはうらはらのものになってしまうということにはなりませんか、取り締まりの形式的な、技術的な面において。
  109. 竹内寿平

    政府委員(竹内寿平君) 選挙の機会に金を出して、それは前の借金を返したということになりますと、その金をもって選挙資金だというふうには言えないかもしれません。しかし、それはそういうふうに口実を設けているということであって、実は、選挙資金であるということが証拠上はっきりすれば別でございますが、そうでなくて、文字どおり借金を返したのであるということであれば、その金は、選挙の時期でありましても、その金をもって選挙運動のための資金であるというふうに見るわけにはいかない。そういう意味おいて、ただいま御措摘のような、そういうような抜け穴のあるものがざる法かどうかということになりますと、ざる法というような意見も巷間にはあるというふうに思います。しかし、今の建前からいいますと、政治資金であるかないかということの事実をどう見るかという問題になるわけでありまして、理論としてははっきりしているのではないかと思います。
  110. 加瀬完

    ○加瀬完君 そこで、今宏池会の例を出しましたが、三十五年の十月二十二日から十一月二十五日までの間に、百万円ずつ三十四人がもらったとすると、それは内容としては、借金を返すのもあるだろうし、いろいろの寄付に充てたものもあるかもしれぬけれども、実質的にはこれは選挙の資金だと認定されることは間違いないでしょうね。
  111. 竹内寿平

    政府委員(竹内寿平君) 私は必ずしもそういうふうに認定するのは妥当でないと思います。
  112. 加瀬完

    ○加瀬完君 理由は。
  113. 竹内寿平

    政府委員(竹内寿平君) この選挙運動の資金ということになりますと、法定の選挙費用に含まれる合法的な選挙の資金もありますし、それから違法な、まあ買収のようなものの費用、その資金もあり益しよう。それから、そのほか、これはまあ私ども実情がよくわかりませんのですけれども政治家としてのいわゆる政治活動というものもあると思うんです。そういうものの費用もありまするので、その金が選挙に切迫した時期に出たからといって、すぐそれをすべて選挙資金であるというふうに断定しますことは、これは少し形式にとらわれ過ぎた考え方であって、よく実情を見きわめますと、いろいろな種類の金が入っておるんじゃないかというふうに思います。
  114. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 刑事局長、あなたの答弁を承っていると、非常に頭が鋭いようですけれども、そういうことは通じないんじゃないですか。当面少なくともこれだけのことは僕はお認めにならぬといけないと思うんですがね。選挙資金と政治資金の区別は実際問題としてしづらいと、これを今度の立法に——法の改正にあたって区別したので、取り締まり当局としては困難度が増したと、その認定はなかなか苦労すると、しかし、今加瀬委員から指摘されたような、選挙を直前にして、ある政治家が百万円なり二百万円支給を受けてふところに入れて選挙区へ帰ると、それはいかように弁明しようとも、取り締まり当局としてはそういう金は選挙資金と認定せざるを得ないと、その程度答弁をしなかったらお話にならぬですよ、刑事局長。(「そうは言えぬよ」と呼ぶ者あり)そんなことないよ。そんなこと言ったら、完全にざるもざるじゃないですか。借金を返したのなんのって言っておったら、何になるんですか。それで、政治資金に関してよりよく改正したなんて自治大臣言えますか、そんな答弁で。折り目折り円を正し、ぴしゃりとあなたのほうで鋭さを持って解明しておくほうがいいと思うんです。そして、適正な法の運用をすれば、この改正法律案だって意味があるけれども、いくら池田内閣の公務員とはいえ、それは局長ひどいですよ、さっきから承っていると。そんなこと言ってたら、小学校の生徒に笑われるですよ。もう一ぺん答弁して下さい。僕の言ったとおりに答弁すればいいんですよ。
  115. 竹内寿平

    政府委員(竹内寿平君) 矢嶋委員からの御示唆のとおりにお答えを申し上げたいわけでございますが、事実はそういう今御質問にありましたように簡単にはいかないので、たとえば百万円渡したという事実をもって、それじゃ裁判所へ行って令状がもらえるか——まあ検察、警察の取り締まり当局といたしましては、令状ももらえないような事実認定をひんぱんにいたしますことは、とうていそれはいくらおっしゃられましてもできないことでございまして、その他の事犯を捜査していった結果として、その事実が客観的に認められるということになりますれば、これは法の命ずるところでございまして、違法行為を放任するものではございませんけれども、ただ選挙期間中にある領袖が候補者に対して百万円やったという事実だけで裁判所へ令状請求をして、くれる裁判所があるかどうかということを考えてみますと、それはとうていくれない。だから、認定をするというようなことはなかなかむずかしい。
  116. 加瀬完

    ○加瀬完君 一応百万円ずつ三十四人に選挙の直前に分けた。また党のほうからも公認料が同一人に行っている。しかも届出の収入の中には党の公認料以外のものはないとすれば、それが数多くあれば、一応捜査の対象にはなりますね。これはどうでしょうか。
  117. 竹内寿平

    政府委員(竹内寿平君) これは、その事実だけで捜査の対象になるかといいますと、捜査の端緒というものが要るわけなんです。先ほど来申し上げております、それだけで令状がもらえるような端緒と言い得るかどうかということになりますと、私は疑問だというふうにお答えしておるわけであります。ただし、ほかの事件を捜査しておりまして、そこでその問題を捜査するということは、これはもう当然なすべきことです。いつの選挙違反でございましても、取り調べをいたしております。
  118. 加瀬完

    ○加瀬完君 これは希望ですがね。検察庁の取り調べというものは、一番大きなものを、しかも根本的なものをのがしています。というのは、一番悪質なのは買収供応の金のかかる選挙です。幾ら金がかかったかということは、それぞれの届出によってわかるわけですね。届出と事実というのがはなはだしく違っているということは、これはあなた方常識でもわかっている。しかしながら、届出を厳密に調べて、それをあなたの言う端緒にして摘発していった捜査というのはあまりない。もっと届出を厳密に調べる御態度になってもらわなければ、これは金のかかる選挙というのはとまりませんよ。これは希望を申し上げておきます。  安井さん眠たくなったようだから、もう一回安井さんのほうに伺いますがね。組織活動費というのが十日会にあります。この組織活動費は、川島正次郎——敬称は略します、二千六十万、田中龍夫千五十万、福田赳夫千三十万、秋田大助二百四十万、その他。組織活動費というのは、どんなものですか。
  119. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 私はそのことについて、ただいま組織活動費をつまびらかにしておりませんが、たとえば、いろいろ遊説等に行って——相当組織的に全国遊説等をやるとか、あるいは演説会をやるとか、あるいは資料を配付するとか、政策上の。そういったようなものに使われるのが、通念上のこの組織活動費じゃないかと思っております。
  120. 加瀬完

    ○加瀬完君 ところが、遊説費というのは、同じく福田赳夫四百十万、川島正次郎三百六十万その他で千八百五十六万使われておる。それから調査費も千二百四十八万使われている。そうすると、一体この組織活動費というのは何ですか。
  121. 安井謙

    国務大臣安井謙君) ですから、これは直接の遊説というような場合でも、いろいろな形があろうと思うのです。これは、それぞれの支部や地方の組織を動かしてやるというような場合に、それに必要な資金を送るというような場合もあるし、あるいは本人が直接行ったり、相当計画的に動く場合の直接の遊説費というように計上されることもあろうと思いまして、内容は私はいろいろあろうと思いますが、そうしてそれの内容を一々つまびらかにはいたしておりませんが、そういったような資料を集める費用も要るし、また資料をまとめる費用も要るでありましょうし、またそれをさらにパンフレット等にしてそれぞれ配る費用もありましょうし、そういった仕訳がしてあるであろうというとかうに思っております。
  122. 加瀬完

    ○加瀬完君 支部を作るなら、これは自由民主党がやるべきでしょう。十日会の川島正次郎さんがやる必要はないでしょう。福田赳夫さんがやる必要ないでしょう。そうでしょう。立法工作というなら、党でやればいいでしょう。だから、二千六十万川島正次郎というのは、内容ははなはだ漠としたもんです。しかし、報告は、川島正次郎二千六十万と届出れば、それでいいのだ。ここに政治活動費のあいまいさがある。二千六十万を子分にみんな配っちゃったって、組織活動費二千六十万と届出ればいいのだ。こんなものでは、選挙活動費と政治活動費というのを分けようたって分けられないじゃないですか。選挙局長、どうですか。これは、あなたは、私のほうは届出を受け付けただけだとおっしゃる。しかし、こういうもので選挙活動と政治活動というのを分けようたって、分けられますか、今までのこの届出の体裁で。
  123. 松村清之

    政府委員松村清之君) 御指摘のように、今の政治資金規正法の届出の様式というものが不完全でございまして、したがって、この各政党政治団体の届出において、同じような名前を使って届け出ても、その内容が異なっておったり、あるいは同じ内容のものを違った項目で届出をしておったり、そういう点も推測されるのでございます。それで、私どもも、今度政治資金規正法の関係改正される機会に、こういった届出の様式も少し検討を加えて、より完備したものに近づけていきたい、そういうように考えているところでございます。
  124. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 委員長議事進行について。加瀬さん今質問されているのですが、ちょっと今一段落のところなもので。実は、きょう総理おいでになって、松永委員等が質疑される予定でありましたが、まだお見えにならないし、きょう五時から、御承知のように、議長に送別会、壮行会をしていただくようになっている。私自身、恐縮ですが、もうやめますので、この世における最後で、送別して下さるというので、ぜひそれには参加さしていただきたいと思うんですが、したがって、きょうはこの程度で散会したらいかがかと思うんですが、お諮りいただきたいと思います。
  125. 小林武治

    委員長小林武治君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  126. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記を始めて。  それでは、総理に最初に申し上げておきます。  本法律案に関しましては、衆議院からの送付がいささかおそきに過ぎまして、当委員会として十分の審議期間を持つことができない懸念のあることを遺憾としております。しかしながら、この委員会としましては、法案の重要性にかんがみ、あらゆる時間を活用して審議に当たっておるのでありまするから、総理としても、これから連日当委員会に出席され、審議に協力せられるよう要求しておきます。
  127. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 参議院への送付がおくれましたこと、まことに遺憾でございます。お話のとおりに、重要法案でございますから、お示しのとおり、連日私もここに出席する考えでおります。どうぞ御審議、御可決を願いたいと思います。
  128. 秋山長造

    ○秋山長造君 総理、無理ですよ。今になってこんな重要なものを持ち込んで、やれやれと言ったって、それは物理的に不可能をしいるものですよ。
  129. 湯澤三千男

    湯澤三千男君 総理、ちょっと私からきわめて大まかなことについてお尋ねをいたしてみたいと思います。  ただいま、小林委員長から、審議の時間が非常に少ないので、連日御出席を願いたいと、こういうお話がありました。私も劈頭にそれをひとつお願いをしたいと思っておったところであります。何しろ、こちらの委員長としては、四月の半ばごろから、再三参議院のほうに、審議を促進して、少なくとも二十四日ごろまでにはこちらに回してもらいたい、こういうような要求をしておったのにかかわらず、こういうような切迫した事態になって衆議院のほうから回付せられたというようなわけでありまして、これは当委員会としては非常な迷惑なことだと思うのです。私どもは、今委員長の言ったようなふうに、休日も、また祭日も、これを審議を続行する、またそうして、場合によっては夜になってもかまわない、こういうような熱意を持って、この法案が非常に重要でございますから、そういうような立場でひとつ審議に当たりたい、こういうようなふうに思うておるのでありますが、総理は今連日でもいとわないから出席してこの審議の促進に当たられる、こういうお話でありますから、この点は私どもも非常に満足をいたして、今後ひとつ十分にそのお言葉のとおりにおやりを願いたい。同時にまた、私は、かように審議がおくれたということにつきましては、衆議院関係ばかりではなく、やはり政府責任でもあるのではなかろうかと、こういうようなふうに考えるのであります。総理与党の総裁として、その立場おい総理になっておられるようなことでもありまするし、ことにおくれた原因が、与党の中の話し合いがなかなかまとまりにくかったというようなことがおもな原因であったようなふうに伝え聞いておるのであります。そういう点から言いますと、やはりこの与党の執行部、またそれを指揮する総裁として、この取りまとめが進まなかった、こういうようなことは、やはり同時に総理責任ではないかと、こう思うのですが、その点について総理の率直なお言葉を伺いたいと思います。
  130. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 先ほど委員長にお答えしたとおり、本院への回付がおくれましたことはまことに遺憾であると申しておるとおりであります。私は遺憾の意を表しておるのであります。
  131. 湯澤三千男

    湯澤三千男君 その点は、責任総理がお感じになって、まことに遺憾であったと、ともかくも今後はそういうような審議がおくれるというようなことのないように御尽力を賜る、こういうことであろうと思います。  次に、私は審議会と政府との関係について伺いたいと思うのでありますが、最近だんだん選挙が腐敗していると申しますか、世間でもこの選挙実態に対して、また弊風と申しまするか、これに対する非常な非難の声が起こって参りましたし、三十五年の選挙には従来よりも一そう違反者が多くなったというような実情であって、世間の声も相当強くなって参りましたから、これに関連して、池田内閣といたしましても、この事態にかんがみて、この審議会をこしらえ、抜本的なひとつ選挙の制度を確立していきたい、こういうお考えになったことは、私どもは非常に時宜を得ておることであると思うのであります。最初承りますというと、審議会は二年くらいかかって腰をすえて審議をしようといったような案があったやに承っておるのでありますが、しかし、それでは池田内閣がいつまで続くものであるか。せっかく提案しました内閣責任おいて、その答申案に基づいて改正案を提出すると、こういうような責任を尽くすことができないというようなお考えから、これを一年の期限に切って、そうして審議会を設けられたということは、私も、総理の決意のほどもうかがわれて、まことにわれわれとしては気持のいい態度である、こういうようなふうに思っておったわけであります。しかのみならず、私は、この審議会ができましてから、政府答申案に基づいて法案を提出するというような時間は非常に短い時間である、わずかいわば半年ぐらいの時間しかないのでありますから、審議会がはたして答案をこしらえ得るかいなやということに対しては多少の危惧を持っておったのでありますが、まあこの設置法に響いてありまする調査事項、その全部のことについては答申が出ませんでしたけれども、しかし重要な一つの部分であります選挙制度についてともかくも答案が出て、その答案に基づいて政府がともかくも法律案国会に提案することの運びに至った、こういう点は、審議会の各委員努力もさることでございますけれども、私は政府のやはり裏面において相当に尽力せられた結果であると思う。この点は、私は敬意を表するにやぶさかでないと思うのであります。  ところが、この審議の結果に基づきまして審議会が答申をいたしました、その答申案を、そのままこれを政府案に盛ることができなかった。そうして、これを手直しと申しまするか、ある程度手直しをして国会に提案をしたということのために、相当の批判が起こって参りましたというようなことは、私はこれは、審議会は政府と別な機関であって、政府が設けたものではあるけれども政府の指揮命令によってやる機関ではなくして、各委員がその学識経験に基づいて自由に討議した結果できるのでありますから、これは何ともいたし方がない、手に負えないような決議になっても、これはどうもやむを得ない、まあこういうふうにお考えになるのでありますか。あるいはまた、政府は絶えず連絡をしておりまするし、また与党議員特別委員として参加しておるのでありますから、ともかくも最善の力を尽くして、大きな問題において手違いが起こらない、まあ法律技術士の関係から相当に審議会の言うたとおりにできないということは、これはまあ当然と思うのでありますが、重要な事態についてこの手直しをせなければならないといったような事態になって参りましたことは、これは政府のやはりある程度責任ではないか。これは、審議会は別なものであるからいたし方がないと、こういうようなふうに考えるべきものではなかろうというふうな感じを私は持つのでありますが、その点に対する総理の御所見を承りたいと思う。
  132. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 御質問多岐にわたっておりますが、私は、民主政治の確立のために選挙法改正はぜひ必要だ、ことに最近の状況を見ましてこの改正が必要だということを痛感いたしました。  従来、選挙制度調査会というものがありまして、いろいろ答申がございましたが、ほとんどこれは答申だけで、これを立法化することができなかった。私は、そういうことではいかぬというので、審議会を設けまして、その意見を尊重すると、こうやった。一年間といたしましたのは、参議院の選挙もありますし、また他方では、もう選挙制度調査会がたびたび今までにおいて開かれて、いろいろな議論をしておられますので、たんのうな委員諸君ならば一年でおやりいただけるだろう、こういう考えで、参議院の選挙と見合いながら一年といたしたわけでございます。私の希望どおり、非常に熱心に御審議いただきまして、第一次の答申が出たのでございます。  で、われわれといたしましては、会議関係もございますので、内閣におきましての審議は、自治省を中心といたしまして一カ月余りだったと思います。法案提出までに、答申から。そうしてまた、審議会につきましても、湯澤先生御承知のとおりに、調査会、審議会につきましては、諮問した内閣あるいは各行政官庁がいろいろ案を出しましてそれを御審議願うのが通例でございます。そうしてその間、常に連絡して、誘導という言葉は悪うございますが、いろいろ折衝しましてやるのが普通の場合でございます。しかし、私は、選挙制度の重要性と、この審議の意向を尊重しますという関係上、ほかの場合のように、政府審議会との連絡というものは一切とらなかったと言っていいくらいと私は承知しております。そういうことで、審議会からの答申は、政府考えているところよりもよほど——よほどと申しますか、立法技術的に、法体系上からいって政府としてはのみにくい点もあります。また、ある程度選挙に対しての知識を持っております各閣僚といたしましても、また、党のほうといたしましても、いろいろ議論があることは当然であります。で、十分党として最後まで議論して、これが確定案だと内閣のほうでは確定いたしました。これが最上の案。しかも、党のほうとして一応これで大体というところでいったのが、結果から申しますると、あとから議論が出たわけなんでございます。われわれといたしましては、とにかく審議会において、ほんとうに、政府関係なしに十分議論してもらう、そうして出していただくように、他の調査会とは違った態度を実はとったのであります。そうして、出ましてからはとにかく尊重する建前のもとに、法体系上から考えて、技術的の点について私は政府考えを入れたわけでございます。大体におきまして、答申案の本筋は私は採用したと考てえおります。
  133. 湯澤三千男

    湯澤三千男君 その点については多少私は——、これは審議会をこしらえて、それをどういうふうに扱うかどうかというのは語弊がありますが、やってもらうかということについては、今総理のお話のように、全然政府のほうでこれに連絡、折衝しないで、審議委員の全く自由な立場審議をしてもらう、その結果はどういうふうなことになろうと、これは尊重する。こういうような一つの態度でありますが、これは私は一つの態度であろうと思うのであります。しかし、一面においては、いろいろな資料もありましょうと思いまするし、あるいはまた、法律技術上の点、また、ことに選挙の経験というようなものが、いわばこの審議会の委員の方々には多くはないと、こういうようなふうに考えられまするというと、政府立場おいて十分な資料を——資料はもちろん供給されたと思いまするが、法律技術上から考え、あるいは選挙の広い経験から考えて、普通考えたところよりもあまりに観念的になり過ぎる、そういったような事態が生ずるというようなことになって参りまするというと、現に手直さなければならぬような結果になったのでありますが、私はそこの点については、審議会に対する政府努力が足らなかったんじゃないか——足らなかったというよりは、今の総理のお話によると、手をつけないで自由にやらせるほうがいいというお考えでありますが、その点についてはやはり今でも、また、将来も総理としては自由にやってもらう。そうしてそれを尊重する、こういうふうなお態度で、将来もいかれるおつもりでありますか。重ねてひとつお尋ねしておきます。
  134. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは二通りあると思いますが、私は選挙法につきましては、今回とった態度がいいと思う。たとえば税制とか、非常な専門的なことになりますと、ちょっと民間の方では取り扱いにくい点がございます。こういうことにつきましては案をこしらえて出すのが通常の例でございます。しかし、選挙に対しましては、委員の方々は選挙をおやりになったことはないのですけれども、いろんな点からいってほんとうの専門家でございます。こういうふうな場合におきましては、委員の方が自由に御審議いただくほうが、かえっていい結果が出るのではないか。政府がこれにどうこう、これに対して言うことよりも、私はとるべき策ではないかと思うのでございます。しかし、資料の点につきましては、これはもうわれわれのほうからできるだけ提供すべきであり、また、提供いたしているわけでございます。
  135. 湯澤三千男

    湯澤三千男君 審議会の審議方法に関する総理のお考えはよくわかりました。これは総理もすでにお話しになっておられるわけでありますが、この審議会はさらに継続しておやりになるというようなお心持のようであります。私もそれを要望したいと思いますが、その審議会が、今後、つまり問題として審議する問題は、区制の問題とかあるいは現行区制においてのアンバランス調整の問題、あるいはまた、政党その他の団体に関する問題、こういうような問題が審議せられると思うのでありますが、これは審議会の委員諸君の自由な、今総理のお話しになったようなことで、審議を進めて参りまするというと、私は非常に重大なことが起こりはしないかということを心配をする。今度のこの選挙制度よりも、これから起こる区制の問題、あるいはこの政党に関するところの制度の問題というようなことになりまするというと、内閣ともっと一そう重大な意見の差が出てくるようなおそれがありはしないかということを私は心配するのでありますが、その場合においても、総理といたしましては、今のようなお態度で、審議会の諸君が自由勝手に審議を進めていくということに対してのお考えは、やはり変わらぬのでございましょうか。これは。
  136. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは今さら私は問題になるのがいかがかと思います。これは法案を出しましたときに、御審議いただきますと、尊重いたしますと、こう言っているのであります。したがいまして、事重要だから、政府意見をひとつ聞いて下さいとかいうようなことは、なかなかむずかしいことで、そうして区制の問題等につきましても、政府意見がきまっているわけではございません。だから私は、この法案審議いただくときにも問題になったと思いますが、これはあくまで慎重に審議していただくべき問題である。われわれがとやこう差し出がましいことを言うことは差し控えたいと思います。ただ問題は、御承知のとおり、衆議院の議決におきまして、区制の問題につきましては、重要だから慎重審議をしてくれという附帯決議がございます。これは国会での附帯決議でございまして、委員の方におかれましてもたんのうな方々でございますので、十分その点は御承知いただいていると私は考えます。
  137. 湯澤三千男

    湯澤三千男君 審議会に対する将来の事柄につきましても、終始変わらない態度でお進みになると、まあこういうようなことでありますが、そういたしますると、この審議会の答申を尊重するという、その尊重の意味ですね。どういうような気持で尊重をするというのか。現にまあ今度はある程度手直しをされているのですが、その尊重というそのお心持をひとつ端的に述べていただきたいと思う。
  138. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 尊重とはやはり尊重のことでございまして、そのとおりという意味じゃございません。お考え趣旨はできるだけ、実現すると、こういうことでございます。そのとおりというわけにはいきません。今回のあれに、提出法案につきましても、いろいろな批判はあると思いますが、私は今の場合、尊重し、そうしてこの法案が実現されることは大多数の人が期待しておられると考えておるのであります。
  139. 湯澤三千男

    湯澤三千男君 私は今度の選挙制度に関することについて政府手直しをされ、また、衆議院おいてさらに修正せられたという結果になっておるのでありますが、まあ、このことについては後ほどに申し上げたいと思いますけれども、まあたくさんの事項のうちで、まあ重要とは言われますけれども、ごく二、三の点について手直しをされた。ところが、今後起こるべき政党法もしくは区制の問題というのは、私はその大体をその筋でいくというようなことよりも、むしろその正反対のような場合が起こりやしないか、政府立場で。これはまあ将来のことを多く考えますると、総理もよほどまあこれは御決心をしまして、腹を据えて、今後のこの審議会の審議内容につきましては、どう尊重するかということについてよほど腹を据えてお考えになっておかないというと、私はそのときになってとんだことが起こりやしないかというような心配をいたすわけであります。これは私の杞憂に属すればこれはよろしいのですから、その点は別に総理のお答えを要求するわけじゃありません。  それでは、その次に、その話を、これは私があまり続けてもいけませんから、話を申し上げたいと思いまするのは、今度手直しをせられましたこの政府案につきましては、総理がお答えになっておることでまあ最善の案であるというふうに御答弁をなすっておられる。この点については現在の時点、つまりこの衆議院修正案が出たこの際におきましてもお変わりございませんですか。
  140. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 変わりはございません。私は政府提案が最善の案だと衆議院で答えております。そうしてまた、修正案が出ましても、この修正案はわれわれの最善の案に対しまして不明な点を補強と申しますか、明確にせられた最善の案ということについての変わりはございません。
  141. 湯澤三千男

    湯澤三千男君 そういうことでありまするというと、私はその次に、まあ多少お答えがその中に含まれておりましたが、衆議院でできました修正案に対しまして、総理ばどういうふうにお考えになっておるか承っておきたい。修正案、衆議院の。
  142. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは、この一番大きい修正案というのは、やはり事前運動の問題だと思います。これは実際的に相当大きい修正だと思います。しかし、私は衆議院におきます質疑応答の場合におきまして、この事前運動に対しましての考え方は、選挙の自由、そうして公明と、そうしてまた新しい人が立つ場合等たを考えると、理論的には政府案のほうがいいと私は思っております。しかし、ずっと審議を聞いておりますると、理論的にはいいけれども、それに伴う弊害がかなり出てくる。で、私はこの問題について両方の議論があるということをつくづく感じたわけです。そうして、少し言い過ぎだったらお許し願いたいと思いますが、事前運動につきましては政府案もいいが、修正案のほうがいいんじゃないかという気分が相当多いような気がいたしたのであります。それで、名を捨てて実を取るかという問題でおったときに修正案が出たわけなんでございます。私はこれは議論のあるところであります。将来は私は理想を実現するほうに向かって行かなければならぬと思いますが、ただいまの場合といたしましては、これはやはり選挙資金その他の問題等たと関連して、もっと深く掘り下げて研究すべき問題じゃないか。百回という問題と、いつでもいいという問題と、そうして場内でビラを幾らまいてもいいという問題でも非常にいいようでございますけれども言論の自由、選挙の公平ということからいきまして。しかし、実際問題として考えますと、ちょっと今の場合行き過ぎじゃないかという点、どちらでもよろしゅうございますが、まあ修正案のほうがとるべきじゃないかという多数の議論に私は沿っていったわけであります。その他の点につきましては、これは明確にした点だけでございます。
  143. 湯澤三千男

    湯澤三千男君 この参議院という立場でございますが、これはまあ総理も多少お気づきになっておられるとか思いまするが、参議院の立場衆議院からどうも参議院を軽視するのじゃないかという一つの参議院のコンプレックスがあるのですね。そこで、こういうふうに切迫した期間に持ってくるというのも、参議院はどうでもいいやというような心持があるわけじゃないと思いまするが、どこかにやはり両院対等で、両院の制度を維持していくというような立場から、参議院も尊重しなければならぬ、こういうような心持が衆議院の諸君にはないのじゃないかというような一つの何があるのでございます。そこで、われわれの地方行政委員会の仲間は、与党野党とも割合につまり仲がいいのです。きわめて和気あいあいであるのです。そこで、ひとつこの機会に、参議院の権威を樹立するためにひとつ修正案を出そうじゃないか。むしろこの政府案と同じようなものを出したらどうだろうか、こういつたような意見もぼつぼつわれわれの耳にもする仲間がおるわけなんです。そこで、多少ともこれは誘惑になるのです、われわれに対しまして。これはいい、この機会に衆議院の諸君に対して参議院の権威をひとつ高めるために一あわ吹かしてやろうじゃないか、極端にいえば……。(「賛成」と呼ぶ者あり)けれども、(笑声)これを賛成されますと、とんだことになりはしないか。これはどうも審議期間が非常に短いのでありますから、結論から言うと、私はこれは私だけの考えであるかもしれませんが、結局、この衆議院修正案というのは、とんでもない悪い修正案だというわけには私はいかぬと思うのです。これはもうすでにこの地方行政委員会における公述人の話の中にも、ことに審議会の委員をしているたとえば阿部真之助君であるとかあるいは一橋の田上教授であるとかいうのは、それほど悪いものじゃない。現行法が五十点ならば衆議院修正案も七十点もしくは八十点つけてもいいのじゃないか。それから阿部真之助君のごときも、この際審議未了になるというようなことよりも、自分は審議会の委員であるから、審議委員の案どおりにやってもらいたいけれども、しかし、それが内外の情勢からいきますると審議未了になってしまう。それならば、衆議院修正案をこの際通すほうが非常に賢明であるし、やっぱり選挙界の粛正というような点においても相当貢献をするのだ、こういうことを第三者である公述人も言うておるであります。私はこの時点にきてみまするというと、どうしてもこの政府案に比べて、どっちが勝っておるか劣っておるかというような点もありましょうし、あるいは審議会からは遠く離れておるという議論をする人もありましょうけれども、この際においては、この衆議院修正案を通すよりほかに仕方がないのじゃないか。私はそういうようなふうに現在の時点おい考えるのです。そこで、そういうようなふうに考えまするから、先ほど総理がこの修正案に対してどういうふうなお考えを持っておるかということを私は確かめておきたいと思ってお尋ねをしたのですが、私も大体においてそういうようなふうに思いまするし、またこの際、今の参議院の権威を高めるというようなことで、修正案をこしらえて衆議院に一あわふかせるというようなことが、結果においては元も子もなくしてしまうと、これはひとり池田総裁ばかりでなく、われわれ与党の連中からいえば、今日衆議院の諸君のところへまた修正案を持っていってまとめるだけの時間もありませんし、それから私は能力といっちゃ語弊がありますけれども、今日自民党内の何人をもってしても、それは私はできないと思う、そういうことの考えからいえば、この際はこの修正案をぜひ通過させるということについて、骨は折れるが仕方がない。それには総理がやはり陣頭指揮をせられるようなお気持で、先ほどお答えになりましたけれども、われわれは日曜も廃し、祭日も廃してやろう、また、夜でもやろうと、こういうふうに思っておりまするから、ひとつ質問に対してお答えにならないでも、そこに総理が出席せられるということだけでも、私は非常に審議の促進というようなことに相なると思いまするから、ぜひその点はひとつ御実行になられることをお願いをいたしまして、またほかに問題がございますけれども、私は二十分ぐらいと申しましたのでありますから、それひとつ私の質問は打ち切ります。
  144. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 参議院軽視というような気持は全然持っておりません。これは得てして先に審議いたしますほうがかなり時間をとるものなんで、これはそう言っちゃまたしかられるかもしれませんが、地方公務員の制度なんかもなかなか重要法案で、三年も四年もこれはもんだ問題でございます。衆議院のほうで言わすと、何だ今ごろ送ってと、こういうようなことで、とにかくわれわれ政府といたしましては、両者ほんとうに同じでございますから、どうぞコンプレックスをお持ちにならないように、誠意を持ってわれわれはやっておることをどうぞ御了承願います。
  145. 湯澤三千男

    湯澤三千男君 総理が軽視しているというのじゃないのです。
  146. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今のように、これはほんとうに重要法案でございます。一番大事な法案です。しかも参議院の選挙を控えまして、聞くところによりますと、参議院のほうで特別の提案をなさろうとする計画もあるやに聞いたこともございますが、それをおやめになって政府のほうを通して下さいというので、実は衆議院のほうもやってきたわけです。私もできるだけ努力いたします。また、公聴人の話も私は新聞紙上でずっと見ましたが、やはりこれは万全のりっぱなものではないけれども政府の言うように、しかし、前よりも非常によくなった。そうして政府案につきまして、大多数の人が党派を越えてこれではっきりしていいじゃないかというような議論もあったような状況でございまして、国民は非常に期待していると私は思います、通過を。どうぞひとつ政府並びに国民の期待に沿うように御善処を特にお願いいたします。
  147. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 一問だけ関連して質問いたします。  今重要なポイントにきていると思う。先輩の湯澤委員質疑応答を承っておったわけですが、このまま下がれないので、一問だけいたしますが、湯澤委員の質問のすべり出しと終わりのほうはだいぶ変わって一貫していないところがある、どういうつもりで私は質問なさったのかわからなくなったんですが、最後段階のところですが、確かにその一部修正してはどうかという意向がこの委員会の雰囲気としてあることは事実であります。  それから参議院の参考人は、少なくとも衆議院から修正されてきたのを再修正して衆議院に送ってほしいというのが全員です。尊重しておらぬと否定する人でもせめてそこまでという気持は含まれているわけです。阿部参考人、この方は審議会の委員である方ですが、この方も明確に再修正して成立することを自分は希望するということを述べておられます。  そこで問題は、総理なんですが、私は総理内閣に対して統率力を持つべきであるし、与党の総裁として党内に指導性を持つべきだと私は思う。総理の一点にそれはかかっていると思う。かりに衆議院から修正されて参った、四点ありますが、これは全部の場合と一部の場合とございましょう。いずれの形になろうとも、この参議院で次善、三善の方途として政府原案に近づけて修正をして、衆議院に送付したならば、政府原案を提出された内閣総理大臣としては与党の中における指導性を持ち、統率力を持って、その政府原案に少しでも近づいた参議院の修正で、衆議院がおさまるように総理としても自信を持って、責任を持ってやられるべきだと私は思う。その点のお約束をいただきたいと思います。重要なポイントだと思っているのです。
  148. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) そういう仮定の問題につきましての問題、しかも私の態度につきましての御質問にはお答えを差し控えます。
  149. 小林武治

    委員長小林武治君) このままの形でごく短時間休憩いたします。    午後五時三十六分休憩    ————・————    午後五時四十六分開会
  150. 小林武治

    委員長小林武治君) 委員会を再開いたします。  次回は、明日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時四十七分散会    ————・————