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1962-03-15 第40回国会 参議院 地方行政委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月十五日(木曜日)    午前十時四十一分開会   —————————————    委員異動 三月十四日委員基政七君辞任につき、 その補欠として中村正雄君を議長にお いて指名した。 本日委員中村正雄辞任につき、その 補欠として基政七君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 武治君    理事            野上  進君            増原 恵吉君            秋山 長造君            基  政七君    委員            小柳 牧衞君            西郷吉之助君            館  哲二君            津島 壽一君            鈴木  壽君            矢嶋 三義君            杉山 昌作君   国務大臣    自 治 大 臣 安井  謙君   政府委員    自治政務次官  大上  司君    自治省行政局長 佐久間 彊君    自治省選挙局長 松村 清之君    自治省税務局長 後藤田正晴君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   説明員    自治大臣官房参    事官      大村 襄治君    自治大臣官房調    査官      大塚 惟謙君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○参考人出席要求に関する件 ○住居表示に関する法律案内閣提  出) ○地方税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○公職選挙法等の一部を改正する法律  案(内閣送付予備審査) ○国会議員選挙等執行経費の基準  に関する法律の一部を改正する法律  案(内閣送付予備審査) ○辺地に係る公共的施設総合整備の  ための財政上の特別措置等に関する  法律案内閣送付予備審査) ○地方自治法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査)   —————————————
  2. 小林武治

    委員長小林武治君) それではただいまから委員会を開会いたします。  初めに委員異動について報告いたします。  三月十四日付をもって委員基政七君が辞任され、その補欠として中村正雄君が委員に選任され、また、本日付をもって委員中村正雄君が辞任され、その補欠として基政七君が委員に選任されました。   —————————————
  3. 小林武治

    委員長小林武治君) 理事補欠互選についてお諮りいたします。  ただいま報告のとおり、基君が一たん委員辞任されたことにより、理事一名が欠員となっておりますが、基君が再び委員に選任されましたので、基君を再び理事に指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小林武治

    委員長小林武治君) 御異議ないと認め、さよう決しました。   —————————————
  5. 小林武治

    委員長小林武治君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  住居表示に関する法律案及び地方税法の一部を改正する法律案の各法律案審査のため、参考人から意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 小林武治

    委員長小林武治君) 御異議ないと認めます。  参考人の人選及びその他の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 小林武治

    委員長小林武治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  ちょっと速記とめて。   〔速記中止
  8. 小林武治

  9. 小林武治

    委員長小林武治君) 次に、住民表示に関する法律案を議題といたします。  御質疑のある方は御発言を願います。
  10. 秋山長造

    秋山長造君 きょうせっかくあの地図を作って持ってこられたわけですから、あの説明をまず聞いた上で質疑をしたいと思うが……。
  11. 小林武治

    委員長小林武治君) ちょっと速記やめて。   〔速記中止
  12. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記をつけて。
  13. 秋山長造

    秋山長造君 本案の質問に入る前にお尋ねしておきたいのですが、この審議会の名簿を今ちょっと見たのですけれども、これはこういう顔ぶれで、この街区町名地番制度改革というようなことにこれはふさわしい顔ぶれですか。一々いいとか、悪いとかというつもりはないのですが、ちょっと見た感じですけれども、これはそれぞれやっぱりこの問題についての権威者というか、学識経験者なんですか、この顔ぶれは。
  14. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 実はほんとう住居表示そのもの専門家と申しますのは、いろいろ相談をいたしたのでございますが、見つけにくいのでございます。これだけを専門的に研究しておるという方はどうもあまりおられないようでございますので、実は皆さんにお集まりいただいて御審議願えれば、この問題について妥当な御答申をいただけるのではなかろうかということで、ある程度幅広く各方面の方をお集まりいただいたわけでございます。
  15. 秋山長造

    秋山長造君 これだけの人が大体精勤に出席されてこれをやられたのですか。
  16. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これはたいへん御熱心にやっていただきまして、ほとんど平均いたしますと八割以上御出席いただいておりました。
  17. 秋山長造

    秋山長造君 これは静岡県の島田市長なんという人は、島田市は特別こういうことで何か問題がある市なのですか。
  18. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) この方は外国に長くおいでになりまして、また、外国都市等の視察もなさいまして、そういう関係と、それから市長さんだから、両方の意味も兼ねまして御委嘱申し上げたわけであります。
  19. 秋山長造

    秋山長造君 東電社長なんか、これはどういう意味ですか。
  20. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 前回増原委員から御質問がございましたが、東電集金の便宜のために画標制度というのを試みておられましたので、そういう関係で御参加願ったわけでございます。
  21. 秋山長造

    秋山長造君 集金のほうも大事であろうとは思いますが、配るほうの代表者なんか入っていないのはどういうわけですか。
  22. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) それは郵政省関係官お願いしてあります。
  23. 秋山長造

    秋山長造君 郵便を配るほうは郵政次官代表という意味なんですか。
  24. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) はあ。
  25. 秋山長造

    秋山長造君 この審議会は、今後はどうなんですか。
  26. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) この審議会は、町名地番制度審議会ということで、当初、従来の町名地番整理といったほうがいいのか、あるいは別の新しい方式考えたらいいのか、その辺も、政府としては一定考えを予定しませんで御審議を願ったわけでございます。そこで、その御答申町名地番の、地番整理ではなくて、新しいハウスナンバーによる住居表示がいいのだという御答申をいただきましたので、この審議会は、本年度限りで廃止をいたしますが、今後はその新しい住居表示実施していくための、実施上のいろいろこまかい問題について御審議をいただくための住居表示審議会ということで、名前も変えまして、また、従来のは、これは法務省にも関係があることで総理府に置いておりましたが、今度は、住居表示審議会自治省だけということで、自治大臣補助機関にしておくことにしまして、そういうふうに内容を事実上改組した形で存続をしていく、こういうことにいたしたわけでございます。
  27. 秋山長造

    秋山長造君 私は、今後そういうものを作られる場合に、ぜひ考えていただきたいと思うのですが、なるほど郵便集配事務代表としては郵政次官ということかもしれぬが、しかし、こういう審議会の建前としては、役所の代表というのは、まあその関係事務責任者というか、管理者という意味名前を並べるのが常例になっているので、大体本筋はやはり民間の学識経験者を集めるということが本筋だろうと思う。そういう場合に、なるほど電灯会社社長もけっこうだけれども、しかし、同時にやっぱり、たとえば年賀状なんかにしてもずいぶん膨大なものが配達不能で年々配り残しがあるわけだし、平生だってずいぶん住所がわからぬでそのままになっているものがあるのだし、それから特に電報なんかは、その性質上夜間なんかに配られる場合が非常に多い。しかも、電報一般郵便物と違って、一々そこら辺で人に尋ねたりすることができにくい場合が多いと思うのですね。だから、郵便で苦労する以上にやっぱり電報の配達は非常に苦労をしている面があるのじゃないかと思うのです。そこで、何でもかでも労働組合代表を加えろとは言いませんけれども、しかし、こういうものは全逓だとか、全電通だとかいうような組合関係代表ぐらいはやっぱり一枚加えて、それでやられることが合理的なんじゃないかと私は思うのですがね。その点どうですか。
  28. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 新しい住居表示審議会委員の選定につきましては、まだ何も予定もいたしておりませんし、省内で相談もいたしておりませんので、この法律が成立いたしました後におきまして、御指摘がありました御趣旨も含みまして、上司と相談をいたしたいと思います。
  29. 秋山長造

    秋山長造君 その点はぜひひとつ十分考えていただきたい。  それから内容の御質問いたしますが、五年間に十八億坪という大体御計画のようですが、十八億坪の内訳ですね、これは市町村数にしてどのくらいを予定しておられるのですか。
  30. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 市町村の数にいたしますと、六百十七市町村でございます。それで、これは一応都道府県を通じまして新しい住居表示制度ができたならば、この方式実施したほうが適当と思われるものにつきまして報告を求めましたものでございまして、その町村ほんとう実施したほうがいいかどうかにつきましては、なおもう少し精細に検討する必要があろうかと思いますが、一応そういう報告を集計いたしたものでございます。
  31. 秋山長造

    秋山長造君 三十七年度に各府県に一カ所モデル地区を設定して、とりあえずやってみるというお話だったのですが、この各県一カ所というのは、一年間にこの一カ所は完了してしまうということですか。
  32. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これは、一昨日もお答え申し上げたかと思いますが、予算の算定の基礎が一県一カ所ずつということでございまして、実施をいたします場合には、東京あるいは大都市、特に町名地番の混乱いたしておりますところにある程度重点を置きまして予算を使って参りたいと思っておりますので、必ずしも各県に一カ所ずつというふうにも考えておりません。それから、その一カ所の場合も、この金額は一応四十万円程度のものでございまするので、その都市のごく一部になると思います。
  33. 秋山長造

    秋山長造君 この各県一カ所というのは、具体的にはきまっているのですか。
  34. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) まだきめておりません。この新しくできます住居表示審議会の御意見も伺った上で、具体的にはきめて参りたいと思います。
  35. 秋山長造

    秋山長造君 そうすると、まあ総ワクで大体各県一カ所ぐらいということですね。
  36. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 大蔵省で予算をはじき出します計算基礎は、各県一カ所ということでやられたわけでございます。
  37. 秋山長造

    秋山長造君 まあ一番混乱しているのは、東京とか大阪とかいうような大都会だろうと思うのですね。特に東京。で、東京あたりモデル地区一カ所といったら、大体区単位くらいですか。それとももっと狭いですか。
  38. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 東京都は実は特別区の区域が一億七千万坪ぐらいあるようでございまして、非常に広うございますので、これのうちの一ヵ所をやりましてもあまり実効があがらないと思いますので、先ほど申しましたように、東京などにはやや重点を置きまして、何カ所かやるようにいたしたいと思っております。
  39. 秋山長造

    秋山長造君 東京都のような大きなところで複雑なところでも、やっぱり少なくとも四十二年度までには大体この方式で完了せしめられるという見通しなんですか。
  40. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これは、東京都のほうとも寄り寄り御相談を申し上げておるわけでございますが、大体五年かかれば完了できるのじゃないか。承りますと、都のほうも明年度から一区当たり四人ほどこのために増員をいたそうというお考えのようでございますので、そういう心組みでやっていただきまするならば五年間で完了するんじゃないか、こう考えております。
  41. 秋山長造

    秋山長造君 この問題については、自治省独走と言うては非常に言葉が悪いが、そういう悪い意味ではなしに、独走という形は非常に事柄の性質からいってまずいと思うのです。関係の各自治体というものは、熱意関心は持っているのですか、どんなですか。
  42. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 熱意関心は従来それほどでもなかったようでございますが、この審議会答申が出ましてから、新聞等でいろいろPRをしていただきましたし、私どものほうからも、ある程度周知方措置もとりまして、最近におきましては、相当盛り上がってきているように感じます。特に東京都におきましては、自治省、国のほうから補助金を少しばかりもらわぬでも、これはもう自分たちのところでひとつ積極的に計画を立てて、どんどん実施してみたいというような御意向を首脳部のほうでお持ちになっているように伝え聞いている状況でございます。
  43. 秋山長造

    秋山長造君 今各自治体とも新年度予算編成予算議会をやっているわけですが、国のほうでこういう法律を出されると、また、四十万円程度補助金があるということは承知しているわけですね。そういうことも見込んで、この関係予算措置なんかをしているようなことがありますか。
  44. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 現在国のほうから補助金がもらえても、もらえぬでも、たいへんけっこうなことだから、自分の市としては、独自にやりたいということで、予算を計上することについて担当官のほうに照会が最近ひんぴんと参っているようでございます。それで、国のほうからの実験地区にもし指定されますならば、その補助金の受け入れを六月の市会あたりでやりたいというようなことも申し越してきておりますところが相当多くある状況でございます。
  45. 秋山長造

    秋山長造君 そういたしますと、この法律ができまして、まだ今のところ、率直に言って、それほど地方に徹底してないと思うのですよ。新聞で読んだ程度だろうと思う。それも気にして読んでいる人が読んでいる程度だと思う。これで法律が通り、さらに自治省のほうでいろいろな会合、会議等を持たれて、地方へどんどんPRしていかれるということになれば、ある程度徹底してくるだろうと思うのですが、そういたしますと、この法律趣旨からいいましても、ただ、地方が国からやれと言われなくても、また、補助金がつくつかぬにかかわらず、積極的にこの問題と取り組もうという姿勢が出てくると思う。そうなりますと、やはりそういう面での、何といっても経費の問題になるわけですが、相当経費を食うと思う。たとえば財政計画あたりでも、この問題は含めてあるのですか、どうなんですか。
  46. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 本年度財政計画の中に特に組んではございませんが、三十七年度モデル地区実験をやるということでございまするので、三十八年度はその実験の結果をさらに周知をはかりまして、これは全般的に実行に着手していただこうと思いますので、三十八年度には、財政措置財政計画の中でしていただくと、こういう考えでおります。
  47. 秋山長造

    秋山長造君 この前の御説明では、坪当たり一円五十銭と見て、全部完了してしまうまでに十八億坪分として十五億円という大体の見当だというお話だったのですが、それに対して、そんな程度のものでできるかという反問もあったわけです。こまかい計算は別として、私は見方によっては、これだけでも明治以来の大改革だと思うのですよ。ただ、適用される範囲がそれほど普遍的でもない特殊な地帯に限られる。まあ見方はいろいろできるだろうと思うのです。少なくともこの法律の適用を受ける地域は、これはもう空前の社会的には大きな影響を持った改革だと思うのです。これだけの仕事、しかも、なかなか複雑で実際面になるとなかなか骨の折れる仕事だろうと思うのですが、それだけに経費もかかる。たった十五億ぐらいでできるものかどうかということは、まあ私らも疑問を持つのですけれどもね。いずれにしても、これだけの大きな社会的な影響を持つ事業をやるわけですから、少なくとも自治省の組む財政計画に、まあことしはとりあえず試験的にという程度で、大した金額にもならぬわけですけれども、やはり今後の問題として、相当大きな問題だと思うのですね。少なくとも政策的にはこれは自治省のやる仕事の中でもこれは幾つかの事業の一つぐらいになるのじゃないかと、また、それだけの意気込みと姿勢で取り組んでいかなければ、なかなか徹底せぬと思うのですがね。ですから、まあ来年からは地方財政計画の中にぴちっとこの関係経費というものは組んでいかれるというお話ですから、それでいいのですが、ひとつこの財政計画というような面からも、これを重要な項目として取り上げられることが、また、それぞれの市町村に対するやはり刺激にもなると思うのです。まあ表示をするにしても、これはずっと人目につきやすい場所に、人目につきやすい表示をされるわけでしょう。だから、そういうものにしても、ただちょっと立て札を立てた程度のものでは、これはすぐ紛失したり、あるいは腐ったりしてしまうわけなんでして、やはり相当恒久的な施設というものが必要なんだと、そういうことになれば、やはり継続して相当維持補修というようなことについても費用が要るわけですから、やはり関係の団体にとってはかなりな経費を負担してもらわなければならぬ。また経費を負担しないようなことでは、徹底もせぬと、こういうことになるのですけれども財政的な面については、さらに十分考えていただきたい。  それからよくこういう法律には、予算範囲内でというワクがついておりますけれども、とにかく法律条文の中で一定補助をするということが書かれておるのですけれども、まあこの法律にはそういうことはない。この審議会答申の中には、はっきりその財政面での国の補助ということを強く強調されておるにもかかわらず、この法律案の中にはそれが全然出てない。ただ漠然と、協力をするという程度のことしか出てないのですがね、こういう点をもう少し積極的な意欲を法律条文の中に盛り込むべきじゃないか、そう思うのです。いかがですか。
  48. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 御指摘下さいました点は、一々ごもっともなことだと存じます。で、まあ予算の数字のことにつきまして、前回十五億程度ということを申し上げましたが、これはまあ坪一円五十銭で十八億坪やり、その二分の一を国庫補助ということで十五億くらいの見当をつけているのでございますが、一円五十銭でやります仕事の中身は、印刷、製本費でありますとか、あるいは帳簿等の書きかえのための臨時の作業員費用でありますとか、あるいは地図を作ります費用でありますとか、そういうものをいろいろ計算いたしまして坪当たり一円五十銭という一応のものを出したわけであります。そのほかに、お話のございました表示板でございますが、これは家ごとハウスナンバーができます。それから街区ごとに、あるいは道路ごとに、見やすい所に表示板を立てるわけでございますが、これは坪当たり五十七銭という見当をつけておりますが、このほうは郵政省自分のところで分担さしていくというお話がございまして、表示板関係郵政省お願いをする、こういうことになっております。しかし、そのほかに、この事務をやって参りますためになおいろいろな経費がかかりまするし、それは三十七年度モデル地区実験の結果に基づきまして、お話のように翌々年度財政計画の中には織り込んでいくようにいたしていきたいと思っております。  なお、この法律案の中に、予算範囲内において国が補助をするという規定が抜けております点でございますが、これは私ども考え方では、もちろん国がこういう制度を作って、各市町村にやってもらいたいわけではございますが、経済的には市町村公共事務の性格のものではなかろうか。そこで、自治省といたしましては、実施をいたしますためには、奨励的な補助金という意味合いで、補助金はすでに申し上げましたような内容補助金を出すことに考えておるわけでございますが、あとの諸経費はやはり一般財源で見るべきものではなかろうか、こういうような考え方をいたしましたので、お話のような規定は置かないことにいたしたわけでございます。
  49. 秋山長造

    秋山長造君 そうすると、自治省としては将来交付税で見ていこうと、こういうことですか。
  50. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) さようでございます。
  51. 秋山長造

    秋山長造君 郵政省坪当たり五十七銭持つというのは、やっぱり補助金の形で郵政省が出すのですか。
  52. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) この点は、はっきり伺っておりませんが、とにかく自分のほうも、新しい表示をやってもらうことで非常に助かるので、これはひとつ自分のほうでも分担をさしてくれるというお話お願いをしているわけでございます。
  53. 秋山長造

    秋山長造君 自治省のほうでは、とりあえず本年度モデル地区各県一カ所ということで千八百四十万円を組んでおられるわけですがね、これに見合う予算というものは郵政省で組んでいるのですか、どうですか。
  54. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 三十七年度は、モデル地区実験でございますので、郵政省としてもそうはっきりした独立の費目ではお考えになっていないようでございます。三十八年度以降は、はっきりした費目を立てられるだろうと思いますが、その点正確にはまだ承知いたしておりません。
  55. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記をとめて。   〔速記中止
  56. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記始めて。
  57. 秋山長造

    秋山長造君 郵政省のことは次の機会にお伺いしたらいいと思うのですが、そうすると、ことし各府県一カ所で、とりあえず一カ所平均四十万円の補助金で出発するというのは、結局この準備費といいますかね、事務的な経費補助、まあこの程度のことなんですか。ことし中に少なくとも該当地区だけは、表示板まで整えてしまうということじゃないですね。
  58. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) その該当地区につきましては、ことし中に新しい方式でやれるだけひとつやってみようというつもりでおりますが、あまり功を急いでやり損じてもいけませんので、その点は慎重を期して参りたいと思っておりますが、考え方はその地区については、とにかく一通りやってみようというつもりでございます。
  59. 秋山長造

    秋山長造君 それから今度の住居表示については、できるだけその地区町名だとか、あるいは字の名前なんかは読みやすく、かつ簡明なものにしなきゃならぬ、こういうことになっているわけなんですが、これはたとえば今、姓名の届出なんかの場合、当用漢字以内に限っておるわけで、あまりむずかしい字は名前を受け付けぬですがね。何かこれにああいうような制限があるのですか。
  60. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 現在は法律的には、そういう制限は何もございません。地方自治法規定で、市町村長市町村議会の議決を経て定めればいいことになっておりますが、今回は指導といたしましては、この法案の第五条の趣旨に従って、できるだけ読みやすく、かつ簡明なものにするようにということで格別な、地元が沿革その他でどうしてもというものは、もちろんそこまでどうこうというわけではございませんが、まあなるべく当用漢字でわかるようなものに改めていくように指導はいたすつもりでおります。
  61. 秋山長造

    秋山長造君 これはまあ相当強く指導されるつもりなんですね。
  62. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これはまあどの程度どうするかは、新しくできます住居表示審議会の御意見をも伺いましてやるつもりでおりますが、私どもの今までの考えでは、やはりこの機会に町や字の区域なり名称なりについて、相当強く指導するつもりでおります。
  63. 秋山長造

    秋山長造君 町村合併をやって新しい市町村ができた場合の新しい合併市町村名前については、何か制限があったですか。
  64. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これは別に制限はございません。
  65. 秋山長造

    秋山長造君 やはりわかりやすい、まあ当用漢字範囲内で、というような指導はされているのですか、どうですか。
  66. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これはまあわかりやすくということは言っておりますが、市町村そのものの名称になりますと、自治省のほうであまり干渉がましく名称について言うことはいかがかと思いまして、こちらのほうはそう強い指導はいたしておりません。
  67. 秋山長造

    秋山長造君 で、その実態はどうなんですか。やはり相当どうかと思われるような名前がついているのですか。それとも大体当用漢字範囲内でわかりやすいというような名前がつけられているのですか、どうなんですか。
  68. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 最近新しく合併によってできました市町村の名称は、従前のものに比べまして、相当むずかしい字が当用漢字に改められ、また読み方もむずかしい読み方のものは避けるという、一般的な傾向といたしましては、そういう傾向が見られるように思っております。
  69. 秋山長造

    秋山長造君 町村合併の場合よりは、多少は事情は違いますけれども、もう大体今の時代にふさわしい、読みやすい、しかも簡明な名称をつけなければならぬということは、趣旨は同じだと思う。特に、あまり強制がましくこっちのほうで名前までつけてやるということまで私は言うのではないけれども、ただ、使う文字は、やっぱり文部省あたりでそういう指導をやっているわけですからね、それに合わせていくのが当然だと思うので、こういう指導は別にそれを強く指導をしたからといって、自治権の侵害とかなんとかという性質のものじゃない。これは当然のことなんで、地方の住民にとってもそのほうがいいにきまっているわけですから、もっとこれは強い指導をやられたらどうですか。
  70. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 十分御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
  71. 秋山長造

    秋山長造君 ついでに、この法律に該当しないところの地名であっても、いただいた資料を見ますと、これは全く辞引を見ても何とも読めぬ所がたくさんありますね。これは郵政省あるいは電電公社、そういうところでも常に問題になっていると思うのですがね、これは自治省としても、これは非常に問題だろうと思うのですが、こういう読みにくい、むずかしい地名なんかというのは、何かの方法でできるだけ早い機会にもっと同じ読み方にしても、字を変えるとか、あるいはいっそのこと、名前を変えていくというような指導は、何かできぬものですか。そういうことも考えておられませんか。
  72. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 私どもの今考えておりますのは、この法律が成立をいたしましたならば、この法律はもちろん市街地を対象といたしておりますので、そこに周知徹底をはかるわけでございますが、同時に、直接この法律の対象としておりません部分につきましても、今の町なり字なりの区域なりの名称をわかりやすくするというような趣旨で、何らかの形で指導をするようにして参りたい、かように考えております。
  73. 秋山長造

    秋山長造君 それからこの法律実施した所は、たとえば卑俗な話ですが、履歴書なんかには一体どっちを書くのですか。
  74. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 履歴書に本籍地と現住所と両方ございますが、現住所はこの新しい住居表示の方法で書いてもらうと思います。それから本籍地のほうは、これは法務省ともいろいろ御打ち合わせはいたしておりますが、本籍というのは、住居というものと現在何も関係のない制度になっており、そこで、要するにその人の身分関係を公証いたしますための戸籍というものが、どこの市町村で扱われているかということと、そこへ行けば、その人の戸籍が保管されている、それがどういう順序でとしてあるかという程度のようでございます。そういたしますと、さしあたってすぐ戸籍簿を全部新しい住居表示の方法に変えるということはどうであろうか。これまた実際問題といたしましても、事務の上からしましても、なかなかたいへんなことでございますので、さしあたりは、本籍というものは、戸籍というものは住居表示とは関係のないものだということで手をつけない。しかし、将来については、できるだけ戸籍も新しい住居表示の方法を用いるようにしていこうというようなことで、法務省のほうともお打ち合わせをいたしておるわけでございます。
  75. 秋山長造

    秋山長造君 そうすると、従来の地番というものは、結局不動産登記の関係だけが残るわけですね。それで、戸籍その他はもう全部新しい形式に変えていくと、こういう計画なんですか。
  76. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 将来はそういうふうに考えておりまして、ただ、戸籍だけはさしあたりは従来のものでいって、もう少し先の将来直していく。そのほかの帳簿は、もうなるべく早く新しい方式に変えたい、こういうふうに思っております。
  77. 秋山長造

    秋山長造君 そうすると、そのほかの帳簿は四十二年までに全部完了する。それから戸籍については、どうなんですか。四十二年に完了した後に、あらためて何か立法でもやって、そして手をつけていくのですか。それとも、完了せぬうちに戸籍もまた並行して手をつけていくのですか。
  78. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これはまだ法務省のほうとお打ち合わせの途中でございますが、戸籍を新しく編成するような場合、結婚して独立いたしまして新しく戸籍を編成いたしますような場合には、この新しい住居表示の方法を用いるようにしてはどうだろうか。そしてだんだんに変えていくというふうにしてはどうだろうかという話が、今出ておるところでございます。
  79. 秋山長造

    秋山長造君 そうすると、その点は、将来いつまでにどうするというほどまだ固まっていないわけですね。
  80. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) この戸籍の点だけは、まだ固まっておりません。
  81. 秋山長造

    秋山長造君 自治省のほうとしては、大体のめどはいつごろまでということにしておられるのですか。
  82. 大塚惟謙

    説明員(大塚惟謙君) 御説明申し上げます。戸籍につきましては、今、局長が御説明申し上げましたように、いわゆる住居表示でございませんで、単にその本籍をいろいろ使う場合に、本籍の、何と申しまするか、市町村の役場でとじます場合のいろいろの受付のときに使っておる、こういう形になっておるわけでございます。したがいまして、これが、御承知のように、現在は何丁目何番地、こういう形で使われておるわけでございますが、これをすぐに書きかえるという必要は、これは住居番号の関係とは全然かかわりはございませんので、むだな考え方である、こういうふうに法務省とお話をいたしておるわけでございます。一例をあげますると、たとえば何丁目何番地というのがございましても、それが遠く離れておる地域であるといたしますると、そこが数年前に区画整理をされまして、何番地というのが直っておるかも存じませんですが、その点につきましては、一応過去のそういうところの場所をたまたま使いまして、何丁目何番地というのをそのまま使って本籍の表示をやられておるという関係でございます。したがいまして、直ちにこれを書きかえるということの必要はございません。ただ、しかしながら、住民の方におかれまして転籍をされようとする場合、あるいは新戸籍を編成されようとする場合におきまして、自分の今度移転してきたところに住居番号が施行されておりますると、わざわざ番地を登記所まで行きまして調べ上げてから区役所に持っていかなければならない、こういうようなめんどうが起きるわけでございます。こういうようなことは絶対に避けたい、こういうことでございまして、したがいまして、そういうような転籍あるいは新戸籍の編成、こういうような場合におきまして、住居番号を施行されている地区においては使っていきたい、こういうふうに話し合いをいたしまして、法務省のほうも、それでけっこうだと。で、この関係につきましては、いわゆる取り扱いの関係でございますので、そういう形で取り扱っていくという形で話し合いをいたしまして、通牒等の処理をいたしていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  83. 秋山長造

    秋山長造君 それから、大字とか、小字とかいうのがありますね。こういうものはどうなるのですか。
  84. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) まあ大字、小字というのが、これも現在地方自治法の二百六十条で、町というのと並んで字ということを認めておるわけでございますが、まあ通常の場合を見てみますというと、字というのを使っております所は、農村部で市街化いたしました所は字という名称をやめて、町ということに変えているようでございます。ただ、新市などにおきましては、市街地でありましても、まだ町という町名を使いませんで、字名を使っている所が相当あるようでございます。そこでこれはまあ制度上は、町を使いましても字を使いましてもかまわないわけでございますが、この第五条の趣旨をくみまして、私ども指導としては、この住居表示実施するような市街地の場合には、もう字という名称をなるべく避けて、むしろ何町ということにこの機会に改めてもらうようにいたそうというふうに考えております。
  85. 秋山長造

    秋山長造君 字というのは、法律上の根拠はあるのですか。
  86. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) ただいま申しました地方自治法の第二百六十条にございます。
  87. 秋山長造

    秋山長造君 これは、この字を「あざ」と読むことが、そもそも今の字引にないことなんでね。これはこういう機会に、もう大字とか小字とか、今の子供は実際「あざ」と読めぬのですよ。こういうものはやめるわけにいかぬのですかね。
  88. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) やめるということまではまだ考えたことはございませんが、お話を伺いますと、ごもっとものように存じますので、少し研究してみたいと思います。
  89. 秋山長造

    秋山長造君 これはほんとうに研究してみて下さい。そして、ただ何げなしに漫然と惰性で大字何とか、字何とかということで使っていますけれども、実際考えてみると、字というのはまことに奇妙不可思議な名前でね。ほんとうに字という意味がどういう意味かちょっとわからぬ。大字とか小字とかいうのは、まあ大字は大きい地域を言っておるのだろう、小字は小さい地区を言っておるのだろうということはわかるけれどもね。実際こういうものは、意味のわからぬ無意味な言葉は何か抹殺するような……、(「意味はあるよ」と呼ぶ者あり)いやいや、そこで、この住居表示なんかの法律を施行するのなら、これは少なくともその地域については、そういうものはやはり消していくのが私は正しいのじゃないかと思うのですが、まあこれは私の思いつきで、自治省のほうでも十分そういう点も研究していただきたい。
  90. 小林武治

    委員長小林武治君) 本案についての質疑は、本日はこの程度にいたします。   —————————————
  91. 小林武治

    委員長小林武治君) 次に、地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑の方は御発言を願います。
  92. 増原恵吉

    増原恵吉君 せんだって、地方税法の一部改正について詳細に説明をいただいて、よく理解ができたのでありまするが、今度は道府県民税の負担がふえる分については、所得税をその分だけ減税をする、大体二百億程度につきましては、住民の総合負担から見ると、負担増にはならないように配慮をされておるというふうに聞いておるのであります。所得税の一般的減税のほうに道府県民税の負担増を考慮をして調整的減税を行なった、こういうことのようでありまするが、せんだっての説明は、市町村民税等の関係で、この点にまだ触れておられなかったようでありまするが、これは道府県民税がふえたということが、一般住民についてはぴんとくるので、所得税において減税をされたという関係を明瞭にひとつ御説明を願いまして、一般負担者に何というか、誤解を生ぜしめないように御説明を願いたいと思います。
  93. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 今回の府県民税の所得割の改正は、国と都道府県との間で税源の配分を行なうというその一環といたしまして、所得税から平年度百九十八億の委譲を県民税に受けて、府県民税の税率を改正する、こういうことに相なっておるのでございます。その際に、形式的に見ますれば、これはもちろん税源配分をやる以上は、税源の一部を国から委譲を受けます場合には、地方団体のほうの税はふえていくと、こういうことになるわけでございますが、しかしながら、国民との関係においてどうなるかということは、これは実質的にどのようになるかということを見なければならないと、こう考えます。つまり国から税源の配分を受けたもの以上に地方団体の税をふやすならば、これはまさに国民に対しては負担増を来たしておる、こういうことが言えるかと思いますが、私どもといたしましては、今回の税源配分では、納税者との関係においては、絶対に負担増を来たさないようにと、こういう配慮のもとに、所得税の改正の際に所得税本来の減税とは区別をいたしまして、委譲分を別個の扱いとして、地方府県民税においては、その委譲の限度において府県民税の税率を改正をする。しこうして、その際に課税所得の相違をいたしておるというような面につきましては、これは税額控除という措置をとることによって完全な調整をいたしておるのでございます。さようにいたしまして所得税と府県民税との総合負担においては税負担が軽減をせられる、しかも、その際には低所得者層ほど減税の割合は大きくなる、こういうような改正をいたしておるのでございます。さような次第でございますので、形式的に見れば、府県民税の増徴になっておりますけれども、実質的に見るならば、負担は総合負担において軽減をする、こういうことに相なっておるのでございます。
  94. 増原恵吉

    増原恵吉君 その趣旨はよくわかりました。しかし、これは地方税という観点からいうと、こういうふうな道府県民税についての改正をやはり地方税法の中で改正をするというふうな格好が適当ではないかという感じもいたすのでありまするが、これを地方税法の中でやらないで所得税法の中でやったというのは、どういうふうな考え方で行なったのですか。
  95. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 今回の府県民税所得割税率の改正は、ただいま申しましたように、税源配分の一環として改正をいたしておるのでございます。したがいまして、通常の場合と違いまして、所得税の改正と府県民税の改正は、いわば不離一体の関係にあるのでございます。しこうして、ただいま申しましたように、総合負担においては軽減をせられる、こういう形で改正を行なっておるのでございます。この関係、つまり今回の税源配分の趣旨を納税者に十分理解をしていただいて、税負担の変動状況が所得税と府県民税を通じてどのようになるかということを明らかに理解をしていただく、こういう意味合いにおきまして、一本の改正法で改正をしたほうがこの間の事情がさらによく判明をするであろう、こういうような意味合いで所得税法の改正の一部で府県民税の税率の関係の改正規定を織り込んだ、こういう事情でございます。また、これは形式的に申しますというと、今回の税源配分にあたりましては、所得税の本来の減税のほかに、税源配分のために一〇%適用段階を八%に税源配分の意味だけで下げておるのでございます。それを受けて府県民税が税率を変更をしてゆく、こういう形になっておりまするので、所得税法の税率改正に伴う道府県民税の税率の改正が、所得税法の改正の附則でやるということも必ずしも形式的に見ても不適当なものではない、こういうことに大蔵、自治、法制局三者の間で話し合いができまして、一本の法律で改正をいたすことにいたしたのでございます。
  96. 小林武治

    委員長小林武治君) それでは午前中はこの程度といたしまして、午後一時三十分まで休憩いたします。    午前十一時四十九分休憩    ————・————    午後一時五十一分開会
  97. 小林武治

    委員長小林武治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  まず、公職選挙法等の一部を改正する法律案国会議員選挙等執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案、辺地に係る公共的施設総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律案地方自治法の一部を改正する法律案、以上四法案を一括議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。自治大臣
  98. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案について、その提案理由とその内容の概略を御説明申し上げます。  申すまでもなく、民主政治の健全な発展を期するためには、選挙が公明かつ適正に行なわれることがきわめて肝要であります。この見地から、政府はかねてから公明選挙運動の推進に意を用いているところでありますが、なお、選挙に関する諸制度についても改善整備を行なう必要があると考えられますので、第三十八国会において制定された選挙制度審議会設置法に基づき、昨年六月選挙制度審議会を設置し、選挙の公明化をはかるための方策について御審議を願ったのであります。同審議会は、自来半年にわたって慎重に審議を尽くされ、昨年十二月、選挙の公明化のための措置について、政府答申をされたのであります。  政府といたしましては、この答申に基づき公職選挙法等に所要の改正を行なうため、この法律案を提出した次第であります。  今回の改正は、従来、現行の選挙制度のもとにおいて、各方面で論議されていましたほとんどすべての問題にわたっており、選挙法の全般に及ぶところの、かつて見ない大改正でありまして、選挙公明化の実現に大きな寄与をするものと信じております。  次に、この法律案の要点について御説明いたします。  この法律案は、公職選挙法とこれに関連のある部分についての政治資金規正法との二つの法律の改正を行なおうとするものでありまして、まず、公職選挙法の改正について申し上げます。  第一は、自由にして公正明朗な選挙を行ない、候補者の政見政策等が選挙人に十分周知されるように、選挙運動の制限をでき得る限り緩和することといたしたのであります。これがために、ポスターの枚数の増加等、選挙運動期間中における言論文書による選挙運動のワクを広めるとともに、国会議員の選挙について、選挙期日の告示前においても選挙運動のための演説会を行なうことができるようにいたしました。  第二は、現在の選挙運動は個人本位の建前になっておりますが、政党政治の根本からしても、また、選挙の公明化を期するためにも、これを政党本位の選挙運動の方向に進めて参ることが必要であると考えられるのであります。これがために、政党その他の政治団体においても所属候補者のための選挙運動もできるようにその道を開くとともに、その政治活動の制限を大幅に緩和することといたしました。なお、これに伴い、確認団体の制度の合理化をはかりますとともに、確認団体に所属しない候補者に対して、推薦団体による選挙運動を認めることといたしました。  第三は、選挙公営の拡充強化と合理化をはかることといたしたのであります。このため、公営のポスター掲示場の新設、はがきの枚数及び新聞広告の回数の増加等の措置を講ずることといたしました。  第四は、選挙運動費用の合理化であります。選挙費用制限額につきましては、これを合理的に引き上げることとするとともに、選挙運動員等に対する実費弁償等の基準額の引き上げをいたすことといたしました。  第五は、選挙違反についての制裁を強化したことであります。すなわち、いわゆる連座制につきましては、従来の総括主宰者及び出納責任者のほか、相当広範囲の地域にわたって選挙運動を主宰した者、事実上の出納責任者及び候補者の意思を通じて選挙運動をした同居の親、子、配偶者、兄弟姉妹で悪質の選挙犯罪により禁錮以上の刑に処せられ執行猶予の言い渡しを受けなかったものについても連座の対象とするとともに、連座による当選無効訴訟は検察官が提起すべきものといたしました。また、選挙犯罪による公民権の停止を強化し、罪の短期時効を廃止することといたしたのであります。  第六は、公務員の地位利用による選挙運動に対する規制を強化することといたしたのであります。国または地方公共団体の公務員等が、その公の地位等を利用して選挙運動を行なうことは、選挙の公正をはなはだしく害するものでありますので、公務員等がその地位を利用して行なう選挙運動及びその類似行為を禁止することとし、公務員が国の選挙において当選人となった場合において、この公務員と職務上関係のあった者がその直接または間接の指示要請を受けて選挙運動を行ない、一定の選挙犯罪を犯して刑に処せられたときは、その当選を無効にすることといたしたのであります。  第七は、選挙に関する寄付等の規制を厳正にすることとしたのであります。これがために、新たに国または地方公共団体から補助金、出資金等を受けている会社その他の法人は選挙に関し寄付をしてはならないものとし、また、後援団体が行なう寄付及び後援団体に対する寄付並びに後援団体の行事における供応接待等について規制することといたしました。  第八は、その他選挙の秩序を保持するために、郵便による立候補及び被選挙権のない者や重複の立候補等を禁止し、立候補の辞退の時期の合理化をはかり、供託金制度の改善を行ない、選挙管理事務の合理化についても、従来懸案になっていました諸般の改善措置を行なうことといたしました。  最後に、政治資金規正法につきましては、ただいま申し上げました公職選挙法の改正に見合いまして、政党その他の政治団体は国または地方公共団体からの補助金、出資金等を受けている会社その他の法人から選挙に関し寄付を受けることができないものとしたのであります。  以上がこの法律案の要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。   —————————————  次に、ただいま議題となりました国会議員選挙等執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。  御承知のように、旧臘選挙制度審議会答申がなされ、この答申に基づいて公職選挙法等の一部に所要の改正を加えることとなりましたことと、最近における公務員の給与の改定、賃金の変動等に現行の基準が実情に即さないものとなりましたので、今回これに所要の改定を加え実情に即した執行経費の基準を確保し、選挙の執行に遺憾なきを期するため本法律案を提案したのであります。  次に、この法律案による改正の内容についてその概要を御説明申し上げます。  第一は、公職選挙法の改正に伴う所要の改正であります。すなわち、  第一点は、参議院議員の選挙における選挙運動期間が二十五日から二十三日間に短縮されることに伴い、これらの経費の基準額に所要の改定を加えようとするものであります。  第二点は、衆議院議員及び参議院地方選出議員の選挙について選挙運動用ポスターを掲示させるための掲示場を設置することに伴い、これに必要な経費の基準額を新設するとともに、これらの選挙と参議院全国選出議員の選挙に関する候補者氏名等掲示の基準額を改定しようとするものであります。  第三点は、衆議院議員及び参議院地方選出議員の選挙について行なわれる個人演説会の会場の公営による表示を廃止することに伴い、個人演説会立て村費の規定を削除しようとするものであります。  第四点は、選挙運動のための街頭演説の実施を容易にするため、街頭演説をすることができる場所の確保等の措置を講ずるために必要な経費の基準額を新設しようとするものであります。  第五点は、公職の候補者が選挙運動のために使用するポスター用紙の公給を廃止することに伴い、ポスター用紙費の規定を削除しようとするものであります。  第六点は、参議院地方選出議員の選挙に関する投票所外における候補者氏名等の掲示を廃止することに伴い、最高裁判所裁判官国民審査における裁判官氏名等掲示費の基準額を新設しようとするものであります。  第二は、最近における公務員の給与の改定等に伴い、超過勤務手当の積算単価を改め、関係基準額を改定しようとするものであります。  第三は、最近における賃金の変動及び選挙事務執行の実情にかんがみ、人夫賃及び嘱託手当の単価を改め、関係基準額を改定しようとするものであります。  第四は、投票管理者、開票管理者、選挙長及び選挙分会長及び投票立会人、開票立会人、選挙立会人及び選挙分会立会人の費用弁償額の金額を引き上げようとするものであります。  以上が、国会議員選挙等執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案の要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。   —————————————  次に、ただいま議題となりました辺地に係る公共的施設総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律案の提案理由とその要旨を御説明いたします。  最近におけるわが国の経済の発展には、まことに見るべきものがありますが、山間地、離島などのへんぴな地域においては、いまだに石油ランプを用い、天水を飲み、医者の手当すらも満足に受けることができない等、きわめて低い生活文化水準に置かれている住民が少なくないのであります。もちろん、これらの地域にかかる公共的施設につきましては、現在各省庁の補助行政によりその整備のための努力が続けられており、かなりの実績をあげておりますが、より一そうの成果を期するためには、総合的見地に立って計画的にこれを整備する必要があると考えられるのであります。  しかしながら、辺地を包括する市町村はおおむね財政的に貧弱でありますので、現状のままで総合整備計画を立ててこれを遂行するだけの力が十分ではありません。このような実情にかんがみまして、辺地の公共的施設の総合的かつ計画的な整備の促進をはかるため、これら市町村に必要な地方債資金を提供し、その将来の元利の負担を軽減するための財政上の特別措置等を講じ、辺地に居住する住民の生活施設を整備する必要があるのであります。  以上が本法律案の提案の理由であります。  次に、本法律案内容の要旨につきまして御説明いたします。  第一は、適用市町村範囲であります。交通条件及び自然的、経済的、文化的諸条件に恵まれない山間地、離島その他のへんぴな地域のうち、公共的施設が欠けているため、他の地域に比較して住民の生活文化水準が著しく低く、公共的施設の整備をすることが緊要であると認められる地域であって、政令で定める要件に該当しているものを包括している市町村が、公共的施設総合整備計画を策定した場合に本法を適用することといたしたのであります。  第二は、公共的施設範囲であります。この法律の対象とする施設は、辺地とその他の地域との間における住民の生活文化水準の著しい格差の是正をはかるために、最低限度必要な施設考えております。すなわち、未点灯地域を解消するための電灯施設、辺地の内外を連絡するために必要な道路、渡船施設、辺地に居住する児童、生徒の通学を容易にするために必要な通学バス、通学船及び寄宿舎、診療所等の診療施設、飲用水供給施設等であります。  第三は、総合整備計画を策定させることであります。辺地について、公共的施設の整備をしようとする市町村は、都道府県知事と十分に協議して当該辺地にかかる公共的施設の総合的な整備に関する計画を策定し、自治大臣に提出することとし、自治大臣は、その旨を関係各省各庁の長に通知し、その意見を聞き、また、所要の協力を得て合理的な計画となるように指導いたしたいと考えております。  第四は、財政上の特別措置であります。総合整備計画を提出した市町村は、電気導入事業のような現行の地方財政法の規定によったのでは起債を起こすことのできないものについても、特別措置を講じて起債を財源とすることができるようにいたしております。  また、総合整備計画に基づいて許可された辺地対策事業債の元利償還に要する経費については、その五七%を地方交付税の基準財政需要額に算入することとしております。  以上が辺地に係る公共的施設総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律案の提案理由及びその要皆であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。   —————————————  次に、地方自治法の一部を改正する法律案の提案理由を説明いたします。  ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案の提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、選挙管理委員会の組織、地方公共団体が出資、債務保証、損失補償等をしている法人に対する地方公共団体の関与の方法、地方公共団体の職員の退職手当の通算、指定都市の指定に伴う経過措置等について規定を整備する必要が生じましたので、地方自治法及び関係法律について、所要の改正を行なおうとするものであります。以下その内容の概略を御説明申し上げます。  第一は、選挙管理委員会の組織に関するものであります。すなわち、選挙管理委員は、人格高潔で、政治及び選挙に関し公正な識見を有する者でなければならないものとし、また、選挙等に関する罪を犯し刑に処せられた者は選挙管理委員となることができない旨を定め、さらに、選挙管理委員の任期を四年に改めるとともに、選挙管理委員会事務補助する機構を整備しようとするものでありまして、いずれも選挙制度審議会答申に基づくものであります。  第二は、地方公共団体が出資、債務保証または損失補償等をしている法人いわゆる公社等に関するものであります。最近地域開発の進捗等に伴い地方公共団体の事業の一部を執行することを目的として、地方公共団体が全部またはその大半の出資をして法人を設立し、その債務を保証し、または損失補償を行なう等の事例が多くなっております。この種の法人の設立に対しどのような態度をもって臨むかについては、なお、検討しなければならないものがあると考えますが、地方公共団体が大きな財政的責任を負担している特別の関係にかんがみ、地方公共団体の長及び議会において法人の経営状況を把握し、その経営の適正化を期するため、最小限度の関与の方法を定めようとするものであります。  第三は、地方公共団体の職員の退職手当の通算に関するものであります。地方公共団体の職員の退職手当については、条例で定めることとされておりますが、地方公共団体は、退職手当の算定の基礎となる勤続期間の計算について、国または他の地方公共団体との間に在職期間の通算措置を講ずるように努めなければならない旨を定めることにより、人事交流の円滑化に資そうとするものであります。  第四は、新たに指定都市の指定があった場合に必要となる特例及び経過措置に関するものであります。今後新たに指定都市の指定が行なわれる場合に備えて、指定に伴い、大規模の償却資産に対する固定資産税を指定都市の市税とする経過措置を定めるほか、地方道路譲与税の譲与の基準についての特例、指定都市を包括する都道府県の公安委員会委員の数及び任期に関する特例、指定都市の教育長に関する特例その他昭和三十一年に指定都市制度が設けられた際に講ぜられたと同様な事務の引き継ぎ、債権の譲渡等に関する経過措置を政令で定め得る根拠を設ける等地方自治法及び関係法律の整備をしようとするものであります。  以上が、この法律案内容のおもな事項でありますが、そのほか最近における法令の制定及び改廃に伴い別表に改正を加えるほか、地方公共団体の長の任期の起算について、所要の改正を行なう等、規定の整備をいたしております。  以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  99. 小林武治

    委員長小林武治君) 各案に対する質疑は、後日に譲ります。   —————————————
  100. 小林武治

    委員長小林武治君) 午前に引き続き、地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  初めに資料について説明を求めます。後藤田政府委員
  101. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) お手元にお配りいたしました所得税法の一部を改正する法律の附則で道府県民税の改正規定がございますので、その部分について御説明を申し上げます。  国、地方団体間の税源配分の適正化をはかりますために、昭和三十七年度において所得税の収入の一部を道府県民税として委譲を受け、そのために所得税の改正におきまして、課税所得のうち十万円以下の金額に対して適用せられる税率を通常の一〇%から八%に引き下げますとともに、四千五百万をこえる金額についての適用税率を引き上げる措置をとることに対応いたしまして、道府県民税所得割の税率を改正することにいたしております。このために、国税におきます昭和三十七年度税制改正によります事項別の減収額におきましては、所得税独自の減税額のほかに、道府県民税所得割に委譲するための減収額を別ワクにいたしまして、所得税の減税額と別個の扱いをいたしまして、税源配分によるものである趣旨を明らかにいたしておるのでございます。  まず、改正の税率でございますが、現行課税所得十万円以下に対します〇・八%から五・六%までの十三段階の超過累進税率を、課税所得百五十万以下の金額が二%、百五十万をこえる金額四%の二段階の標準税率に改めようとするものでありますが、これは住民税のあり方から見まして、国の所得税に見られますような、高度の累進税率を適用いたしますことは適当でなく、地方住民が相寄って応分の負担に任ずるという地方税の趣旨から申しまするならば、比例税率か、もしくは比例税率に近い程度の累進税率が適当であるということ、現行超過累進税率によりますれば、その収入において地域的な所得水準以上の強い地域格差を生じ、また、所得水準の変動以上の度合いで変動するという傾向がございまするのに比し、普遍的、安定的であることに基づくものであります。以上、所得税及び道府県民税所得割の税率の改正によりまして、所得税と道府県民税所得割との総合負担におきましては、必ず負担軽減となり、その軽減度合いは低所得者層ほど高くなるようにいたしてございます。たとえば課税所得十万円以下の金額につきましては、道府県民税所得割は〇・八%から二%に、一・二%増となりますが、所得税におきましては一〇%から八%に、二%の減となり、差引〇・八%の減となるのであります。なお、昭和三十七年度におきます所得税と道府県民税所得割の総合負担を保証をするというために、以上の改正税率につきましては、昭和三十七年度一定税率にすることにいたしております。  次が調整措置でございますが、まず、税額控除の特例でございます。道府県民税所得割につきましては、昨年の改正によりまして、国税の影響を遮断をして、基礎控除、扶養控除等の所得控除額につきましても、それぞれ独自に規定をいたしたのでございますが、そのために昭和三十六年の所得税の課税所得金額との間に差異を生ずることになっております。この相違分は、申しますれば道府県民税所得割は独自の税源でございまして、したがって、今回の所得税からの委譲の対象外でございまするので、この部分に対して改正税率を適用したままで放置をいたしますと、所得税の税率調整による完全な相殺が行なわれないことになります。そこで、道府県民税所得割におきます所得控除額が、昭和三十六年度の所得税の所得控除額と同一の額に達するまでの間税負担の増大を来たさないように次のような特別の税額控除を行なうことにいたしたのでございます。  で、配偶者である扶養親族につきましては二百四十円、配偶者を除く十五才以上の扶養親族について二百四十円、事業専従者につきましては、青色申告者について四百八十円、白色申告者について二百四十円、次に、前年の所得金額が五万円をこえる配偶者があり、かつ扶養親族のすべてが十五才未満のものである、ともかせぎの場合でございますが、その場合については、扶養親族一人について二百四十円、これは所得税と道府県民税との間における扶養控除額について、次に申しますような差異があって、その額にそれぞれ改正税率二%と現行の所得税税率〇・八%との差一・二%を乗じた額に相当するものでございます。配偶者につきましては、所得税と道府県民税との間に九万円、七万円で二万円の開きがございます。これに一・二%かけた二百四十円、こういう計算でございます。十五才以上の扶養親族につきましては、五万と三万で二万円の差、事業専従者青色申告者につきましては、十二万、八万、その差四万円、これに一・二%の四百八十円、こういうことでございます。それから白色の事業専従者は、七万、五万で二万円、それからともかせぎの場合も、七万、五万で二万円の差がある、これに一・二%をそれぞれかけた金額の税額控除をする、こういうことで完全調整をはかっておるのでございます。  次に、昭和三十七年度分の道府県民税の所得割の特例でございますが、昭和三十七年度の道府県民税所得割は、昭和三十七年の所得税との総合負担におきまして調整をせられ、軽減をせられることは先ほど申しましたとおりでございますが、昭和三十七年度の道府県民税所得割の納税義務者で昭和三十七年度の所得税が失格になったというものにつきましては、昭和三十七年の所得税の免税を受けない、かつ、その者が低所得階層に属する者であるということにかんがみまして、特に政策的に三十七年度は、現行の道府県民税負担をこえないように、改正による増額分を減額をして還付をする、こういう調整措置を講ずることにいたしております。  次に、賦課徴収でございますが、現行どおり市町村に委任をすることにいたしておりますが、税率の改正に伴う特別の税額控除事務の増加等につきましては、徴収取り扱い費の増額をして、人員の増とか事務の機械化等に必要な経費、これらも含めまして、地方交付税の基準財政需要額に算入する等の方法によって市町村財政的な負担をかけないというような処置を講じておるのでございます。  以上が道府県民税関係の細目の説明でございます。
  102. 小林武治

    委員長小林武治君) ちょっと速記やめて。   〔速記中止
  103. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記を始めて。
  104. 秋山長造

    秋山長造君 ごく概論的なことでお尋ねしたいのですが、政務次官が見えるまで局長からお答え願いたい。  いつの税制改革のときでも、この大衆負担の軽減、同時に、地方の自主財源の充実、それから不均衡是正、大体この三つがいつも看板になっておるのですがね。この三つの中では、一体地方税についてはどれを一番重視してやっておられるのですか。
  105. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 率直に申しますと、現在の地方税法は、内容を見ますというと、国税に比べまして、いわゆる不合理といいますか、不適当といいますか、そういう面が相当残っておるように思います。国税と地方税とは伸張度合いが違っております。一方、財政需要のほうは同じように伸びておるわけでございますから、国税のほうは相当減税財源がある。その減税財源を使って逐年合理化をいたしております。ところが、地方税のほうは、どうもそういった財源が伸びが悪いために、なかなか生まれてこないといったようなことで、どういたしましても、財政面の制約がありまして、合理化がおくれておるということは率直に申し上げなければならないと思います。そういう意味合いにおきまして、私どもは大衆負担の軽減、自主財源あるいは不均衡、どれを特に重点に取り上げるということでなしに、いずれにいたしましても、これらの点を財源の許す限り、逐年改善措置を講じなければならない、こういうことでやっておるつもりでございます。ただ、地方税の場合には、大衆負担の軽減と申しましても、国税の場合と私はやや実情が違うのではないか。と申しますのは、国税でありますれば、深い井戸からどんどんよけい水をくみ上げるということができるわけですけれども地方税は三千数百の地方団体、小さな地域団体がそれぞれある程度は成り立っていかなければならぬのですから、そういう意味合いにおいて、税源を分けるとすれば、どうしても浅く薄く取れる税、いわばこれは大衆の負担になるという面がどうしても地方税のほうは多くならざるを得ない、こういうことが言えようかと思います。それにいたしましても、地方税は、まだまだ財源の実情が許せば大衆負担の軽減をはからなければならなという面が私は相当あるように考えております。
  106. 秋山長造

    秋山長造君 国税のほうは、おっしゃるように、非常に割り切ったやっぱり政策がとれるわけなんです。地方税のほうは、一方で大衆負担の軽減、まあ減税ということで調子を合わせなければならぬし、また、その半面地方の財源の充実ということを考えなければいかぬ。その上にさらに不均衡の是正というようなことが加わってくると、非常に矛盾した相反するような条件を一度に満たしていかなければならぬというジレンマに追い込まれておると思うのですね。そこが地方税が非常にすっきりしない根本だろうと思うのです。ですから、税制調査会の答申なんかを見ましても、地方税については、一応の答申は出ておりますけれども、どうも税制調査会として、はっきりした、確固たる一つの一貫した方針がないように思うのですね、これを読んでみても、それから税制調査会の顔ぶれを見ましても。それは地方団体というか、地方税なんかに詳しい人もこれは出ておりますけれどもね。大体は国税関係専門家が多くて、ほんとうに今の地方財政なんかのむずかしさというものをのみ込んで、そして国全体の、国税、地方税を通じた税制に対して一つの見識を持っておるというのですがね、それを持って真剣に取り組んでいくという人が少ないじゃないかと思うのですね。その税制調査会なんかの顔ぶれなんかからも、どうもやはり国税のほうが独走してしまって、国税の独走に伴って出てくるいろいろな矛盾点を地方税のほうで適当にカバーしてやっているというような傾向が非常に濃厚に見受けられる。そういうことについて、率直に言って、自治庁なんかこれで一体満足しておられるのですか、どうですか。これはまあ大臣に聞くことだろうと思うのですけれども……。
  107. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) おっしゃいますように、現在の地方財政が非常に入り組んで理解がなかなかむずかしいという面もございまして、税制調査会等における各委員さん方も、どちらかといえば、中央政府的な感覚でお考えになる方が多いことも事実でございます。しかしながら、税制調査会におきましては、国税、地方税いずれと言わずに、十分実は審議をいたした次第でございます。しかし、なかなか思うように地方の税についてはメスが入れにくいという点が実はあったのでございますが、その根本は、やはり税源配分の仕事がなかなか手につかないという実情があって、この点について、中央政府的な考えの方と地方自治の見地に立つ考えの方との意見の対立がなかなか解決をしない。と申しますのは、この税源配分の問題は、単に税だけの面でやろうとしましても、ひっきょうは現在の国と地方との間の行政事務の配分が一体いいのか悪いのか、どうなっておるんだと、それに対する財源の措置がどうなっておるのか、その財源措置のうち税で占める部分がどの程度がいいのか、あるいは補助負担の制度はどうなっておるのか、あるいは交付税等の調整財源をどうすればいいのか、こういった地方と国とを通じた行財政制度全般について審議をして、メスを入れなければならぬわけですけれども、この場合の税制調査会の現在の権能といいますか、そうした面からどうしても壁にぶち当たらなければならない。しかも、国と地方との間には相当な対立があるということ、こういうことで率直に申しまして、メスが入れにくい。そこで、そういう根本の問題は、さらに別個の機関なり何なりで検討を加えると、できれば解決をしていくということはきめましたけれども、さしあたりは、したがって現状を前提にして、その上でできる限度の税源の配分を行ない、それぞれの税の税制の合理化をはかる、こういう限度にとどまらざるを得なかった、これが実情でございます。したがいまして、私どもとしても税源配分等について、今回の案で決して満足いたしておるわけではございません。これはやはり行財政制度全般にわたる深い検討を加えて、その上で適切な税源配分を行なって、現在の税制にございますような、いわば雑税的なものがみな地方税にあるといったような姿は、これはやはり私は望ましい姿ではないと、こういうふうに考えておるのでございます。
  108. 秋山長造

    秋山長造君 外国の例は私はよく知らぬのですがね、日本と同じくらいな程度、あるいはもっと進んだ国ですね、そういう範囲に限定していいと思いますが、そういう国の国税と地方税とのあり方というものは、日本のように入り組んだ複雑なものなんですか。
  109. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 各国の税制は、それぞれの国の社会情勢なり、経済情勢等が背景にあるわけでございますので、必ずしも一がいには言えないかと思います。ことに地方税の場合には、各国によって地方団体が処理する事務内容、分量、これがもう各国まちまちでございますので、そういう関係もあって、地方税制は各国ともばらばらになっておるということで、なおさら一がいに言いがたいのでございますが、大きく分けまして、英米系の考え方と大陸系の考え方、この二つがあろうかと思いますが、イギリスなんかは、日本でいえば国定資産税に該当する、いわゆるレート一本の単一税で地方税はまかなっております。そのかわり地方事務そのものが少ない。しかし、それでも最近はやはり地方事務がふえてくると、単一の財産税、レート一方ではとてもまかない切れない。やはり所得課税を取り入れなければいかぬのじゃないかといったような動きがあるようでございますが、いずれにせよ、英米系では、そういったように財産課税を中心にしておる、大陸系は必ずしもそうではない、こういう開きはあろうかと思います。日本の場合におきましても、これは戦前から、地方税は国税に比べて、より直接税的であり、より物税的であるのが望ましい、こういうことがいわれて、その流れは現在でも受け継いでおるかと思いますけれども、ただ、現在の税制では、市町村関係の税は比較的そういう趣旨に合っているように思いますけれども府県税の関係のほうが、事業税が外形標準が日本の国民性に合わぬというか、とりがたいということで、課税標準を所得にとっているというようなことから、ややそういう面からは離れておるのではないか、こういうふうに考えております。いずれにいたしましても、各国、地方税はばらばらでございます。
  110. 秋山長造

    秋山長造君 これはあまり常識論に走った質問、常識的な質問なんですけれども、日本の地方税制というものは、標準の取り方によって、これは一がいには言えぬと思いますが、大体論として、日本の地方税制というものは、国際水準からいって進んでいるのですか、おくれているのですか、どうなんですか。
  111. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) これは、なかなか一がいに言いにくいと思いますし、私自身があまりそういった外国税制を詳しく調査をいたしておりませんので、大村参事官外国税制ばかり専門に調べておりますので、大村君からひとつお答えをさしていただきたいと思います。
  112. 大村襄治

    説明員(大村襄治君) 局長から申し上げましたように、外国と申しましても事情がさまざまでございますので、一がいに比較することは非常にむずかしいわけでございますが、わが国の場合、戦後のシャウプ勧告に基づく国税、地方税を通ずる改正が行なわれまして、地方税の体系といたしましては、従来の付加税として国税に依存する体制が根本的に改められまして、道府県税なり、市町村税なり、それぞれふさわしい税目が設けられて今日に至っておるのであります。その場合の主要な税目といたしましては、道府県税といたしましては、事業税を中心にし、シャウプの改正の当初の段階におきましては、そのほかに入場税でありますとか、当時の遊興飲食税でありますとか、そういった間接税を道府県税として付与する、そういうふうな構造をとっておる。また、市町村税としましては、市町村民税及び固定資産税を中心として構成し、そのほかに電気ガス税でありますとか、その他の間接税の税目を配するというようなことで、明確な税源配分が行なわれ、その後の二十九年でございますか、改正によりまして、道府県民税が道府県に創設され、また、たばこ消費税が市町村に設けられたということで強化がはかられて今日に及んでおるわけであります。そういった点を他の外国における地方税の構成と比較しました場合、税目の選択なり範囲が、わが国の場合、かなりいろいろな、地方税としてふさわしいような税を組み合わせておる、配合しておるという点では、外国に比べてそう遜色はないのではないか、そういうふうな感じがいたすわけであります。ただ、これは質の点でございまして、地方財政の必要から来る量的な面におきましては、そういう質的な面ですぐれておる点がありましても、量的な面でかなり不十分な点があるのではないか。そのために地方財政の歳入全体に占める地方税の割合が全体で半分に満たない。道府県市町村を通じては四割程度である。特に道府県段階においては、その割合が三割弱である。そのほかは国庫から参りますところの交付税でありますとか、国庫補助、負担金に依存せざるを得ない。税の占める割合よりも、国庫に依存する財源の割合のほうが高い。そういう面で、量的な面においては、やはり不十分ではないか。諸外国における地方団体の歳入中、地方税の占める割合は、私の見ましたところ、まず、半分を割っておるという国は非常に少ないのではないか。いやしくも地方自治を認め、地方団体の独自の財政運営を許容するとしました場合に、税の占める割合が半分を割っておるという点は、やはり問題があるのではないか。  もう一度まとめて申し上げますると、税目の選択なり質的な面におきましては遜色がないと思われますが、量的な面において不十分な点がある。そういった点を今後改善をする場合には、現在の税目の配分をどうしていくかということに関連して、量的な面の改善を要するのではないか、そういうふうな感じがいたしておるわけであります。
  113. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記をとめて。   〔速記中止
  114. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記を始めて。
  115. 秋山長造

    秋山長造君 政務次官、今、国税と地方税との問題について大づかみな質問をあなたにしようと思っておったのだけれども、局長にかわって答弁してもらっていたのですが、いつの税制改革でも、地方税の独立財源の充実だとか、それから不均衡の是正とか、あるいは住民負担の軽減だとか、こういう一見相抵触するような、相矛盾したような看板がいつも出てくるわけですね。そうして結局そういう三つの大きな看板のもとにやられていることを実際につぶさに検討してみると、結局は国税のほうが先行してしまって、地方税のほうは、ただ申しわけ的にそういう看板を掲げていても、実際には国税のあの税制改革、国税の税法改正によるいろいろな矛盾点をしわ寄せをされて、ただ地方税はいろいろな種類の雑税と言っては言葉が悪いが、雑税的なものをあっちをいじくったりこっちをいじくったりして、そうしてつじつまを合わせて息せき切ってついていっているというような形になっているのですが、今度の税制改正にしても、一応の所得税を減税して、そしてそれを府県民税のほうへ委譲して、そして地方の独立財源を大いに充実したのだというような宣伝を大いにやっておられるわけですけれども、しかし、内容をよく検討してみると、そのかわりに入場税は取り上げてしまっているというようなことで相打ちになってしまっている。ただ、取り上げたほうはあまりPRしないでそっとして、与えたほうばかり宣伝しているので、実際の地方の税源の充実とか、あるいは負担の軽減とかというような面からいうと、充実にもなっていない、軽減にもなってない。むしろ逆に増税になっているというような矛盾が非常に大きく浮かび上がってくる。そこで、どうしてもやはり、もうこの古くて新しい問題だけれども、税制改革というものをもって地方自治を尊重するならば尊重するようにやってもらわなければならない。ところが、今度の答申なんかを見ても、どうも国税のほうが中心になってしまって、地方税なんかはつけたしくらいなことで、地方税についての抜本的な改革というものは、税制調査会の答申自身が、将来に見送っているということになっている。今、大村参事官お話を聞くと、いやしくも地方自治ということを建前としておる国において、日本のように、地方の歳入に対する税収の割合は三〇%、平均して三割前後というような国はないというのですね。特に五割以下の国はない。大体最低線五割、それからその上はさらに六割、七割あるけれども、少なくとも地方自治を建前としている国で、歳入に対する税収の割合が五割を割るというような国はない、こういう外国説明を聞いたわけです。こういう事態に対して、政府としては一体今後どういうふうにされるおつもりなのかという根本問題をお尋ねしたいのです。
  116. 大上司

    政府委員(大上司君) 地方税といいますか、あるいは国税といいますか、国の歳入に対する根本的な問題に触れておられると思います。したがいまして、いわゆる一私だけの答弁では意の不満足な点が出てくると思いますので、それぞれにつきましては、後刻、主務大臣あるいは大蔵大臣等にお確かめを願いたいと思いますが、ただ、小さく地方税といいますか、これに限っての問題であり、また、いわゆる自治省における私の所管内の限度においてお答えいたします。  お説のとおり、税の国の歳入の建前から見まして、どうしても私自身といたしましても、国税が地方税に先行といいますか、税といえば、すぐああ税務署だというようなふうに、国民全体がそういう感触があるのじゃなかろうか、それでいわゆる町村民税あるいは府県税というか、地方税については払うほうも、何と申しますか、国税には経理士あるいは純然たる税理士というようなものが、全国に何千人か業を開いて所得の申告等の手伝いをしているのだが、ところが、地方税にもそれがあるようですが、ピンとこない。これは御指摘のとおりでございます。そこで、それによってきたところの国民感情、税に対する認識程度というものも、ただいまのお話のように、どちらかというと、地方税が同じ財布であるけれども、ないがしろといいますか、そうして、国民全体が勉強しておらぬのじゃないか、これも私は肯定いたします。次いで、そういう建前から、地方自治行政全体から見、いわゆる地方税が全体のまあ歳入の三%そこそこじゃないかというようなお話もあり、それも事実そのとおりでございましょう。したがいまして、どこまでも先生のおっしゃるような疑問点を解こうとしまするならば、いわゆる税の再配分といいますか、あるいは税の立て方というものに論及していかなければならないと思います。したがいまして、私といたしましては、今おっしゃるような建前から申しまして、年々歳々というか、予算折衝のおり、あるいは税法の改正のおり、非常に大蔵省といろいろ意見が相違しておるということを承知いたしております。そこで行く行くは、できることならこの税の再配分といいますか、ということを根本的にこれは研究すると同時に、国会においてもいろいろ御審議を願わなければならぬ問題が早急に来るのじゃないか。ただ一つの問題を取り上げてみましても、これがどうやこうやという問題でなくして、いわゆる国家行政あるいは地方公共団体の行政と、しかも、これの歳入との見合いというような面から見て、当然近き将来に起こってくるだろうと私は考えております。そこで、なお細部にわたりましては、たとえば税の種目がどうであるとか、これをこういうふうに立てるとかということは、所管局長から御説明いたしますが、御趣旨といたしましては、先生の御意見に私も全くそのような考え方でございます。したがいまして、本年度予算あるいはこの地方税法の改正などにつきましても、私個人といたしましては、どこまでも地方税に対しましては、いわゆる独立財源を持たせる。まあ一例であるけれども、資本金を五百万円以下の場合とか、あるいは六百万に限度をするとか、これはとてもじゃないが、大蔵省あるいは主税同等が反対をなさることですけれども、この一つの税が、いわゆる何と申しますか、自動的に取れるように、いわゆる事業税として、法人については資本金を一定限度にして、これを地方税として徴収すべきでなかろうかと、取るべきじゃないかというような、個人的な見解を述べたことすらもございます。そういう建前から、お説のような、先生の御意見のとおり、私も近き将来においては、何らかの方法をもって地方税というものを直していく必要があると、このように考えております。
  117. 秋山長造

    秋山長造君 自治省からいただいた資料で、都道府県の歳入中に占める税収入の割合という資料があるのです。この数字を見ますと、三十五年度の資料なんですけれども、これは格差の是正だとか不均衡の是正だとか、あるいは地方団体間の税源配分の適正化だとかいうことが年々いわれながら、これはもう問題にならぬくらい格差がひどいのですね。たとえば東京、大阪、神奈川、愛知というようないわゆる富裕都府県と、それから奈良だとか鳥取だとか高知だとか鹿児島だとかいうような貧弱県と比べますと、これはもう全然問題にならぬ。これらも同じように都道府県ということで一つワクの中で扱いを受けているというのは、これはおかしいくらいですね。税金の歳入総額に占める割合がわずかに九%というところから、東京のように六四%というところまであるわけなんです。で、こういう格差のひどいものを年々の税制改正によってどの程度一体是正されつつあるのか。また、今回の税制改正によってこれがどの程度この比率が変わってくるのか、また、近づいてくるのかというようなことについて、確たる見通しを持っておられるのかどうか、お尋ねしたい。
  118. 大上司

    政府委員(大上司君) お答えいたします。ただいまのお示しのとおり、東京という言葉がございましたが、いわゆる不交付団体、交付団体等の恒例から見まして、特に鹿児島の九%あたりは、非常にこれの処置なり、いろいろな問題は潜在的にあると思いますが、要は、この地方税の税収の裏づけそれ自体は、やはり経済能力といいますか、経済のいわゆる経済格差というか、地区によるところの産業のしわ寄せという、これが一つの現われじゃないかと思います。したがいまして、こういう問題を潜在的に持って参りまして、今度の税収が大体どのくらい伸びていくかという御質問だろうと思いますが、当然今度の地方税法の改正につきましては、そういう点を十分しんしゃくしていろいろな、たとえば電気ガス税等々も処置をしたようなこともございます。  なお、具体的な細部につきましては、所管局長から計数的に、またはいろいろな事象をつかまえて具体的にお答えさしていただきます。
  119. 秋山長造

    秋山長造君 これは電気ガス税は、不均衡是正というようなこと、あるいは税源の充実ということにはあまり関係ないのじゃなかったですか。電気ガス税は税率を一%下げるわけでしょう。
  120. 大上司

    政府委員(大上司君) お答えします。その点につきましては、私の述べました真髄は、たとえば電気ガス税等は全面的に撤廃せいという国民的な世論といいますか、非常に強かったのですが、これを撤廃することのできなかったというその一つの表現なのでございます。
  121. 秋山長造

    秋山長造君 電気ガス税なんか、将来の見通しとしては撤廃する方向へ行くべきだと思う。だから、その電気ガス税を減税するということはもちろんけっこうなんです。だから撤廃すべきものを残したのだ、これも地方財源の充実だという理屈は、どうも私はありがたいかどうかそれはわからぬけれども、取るほうの側からいえば、ほっとされたかもしれぬけれども、納める側からすれば、別にそうありがたくもないので、その点電気ガス税をどうこうというようなことでは、これはもう大筋の問題の解決にはならぬと思うのです。雑税ですからね。
  122. 大上司

    政府委員(大上司君) ただいま、たまたま具体的に電気ガス税という問題を一例として申し上げまして、大筋としてはお説のとおりでございます。
  123. 秋山長造

    秋山長造君 政府としては、今回は所得税を減税して、道府県民税に委譲した、地方に委譲したということを大いに言われるわけですね。大蔵大臣なんか、もうずいぶんいろんな機会にまるで鬼の首を取ったようにPRをやられるのですけれども、こういうやり方をいつまでも続けて、そうしてそういうやり方で地方財源の充実あるいは国税、地方税の間の不均衡を是正していくという方針なんですか。それとも、これはことしだけの思いつきなんですか、どうなんですか。
  124. 大上司

    政府委員(大上司君) 非常に技術的な問題があるようでございますので、答弁を誤っては申しわけございませんので、所管局長から説明させます。
  125. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 住民に負担の増加を来たさないというやり方で税源配分は、現在のような経済情勢のもとにおきましては、行なわなければならぬと思います。そういたしますというと、いずれにせよ、国税で現在取っておるものを、その一部を地方に委譲をしてもらいたい、こういう形以外税源配分は方法がないと思います。したがって、地方の独立税源を強化するという場合には、住民負担の増加を来たさないように国税から委譲を受けるという形でございますので、やり方としては本年度のようなやり方を、将来かりに根本的に税源配分をやり直すというような場合でも、やり方としては同じようなやり方にならざるを得ないと思います。ただ、その場合に、どのような税目について行なうかということについては、これはまた所得税だけに限った問題でもございませんし、場合によれば、たばこの問題もございましょうし、あるいは酒の消費税の問題もございましょうし、それぞれ具体的な税目については、そういった際に、全体の税源配分をどのような構想できめるかということと並行して具体的な税目をきめていく、こういうことになろうかと思います。
  126. 秋山長造

    秋山長造君 とにかく、おそらく五千億からの自然増収分を入れたらもっともっとになるでしょうが、五千億円からの所得税の中で、わずか百億や二百億足らずのものを、結果的に地方へ回したことになったからというて、それでまるで何かこれをやったためにえらい地方の財源が充実したとか、地方財政の自主性を強化、健全化したというようなことになりますか。私はもう全然話にならぬと思うのです。
  127. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 御説のように、本年度の税源の配分は、きわめて私ども考えから見ましても不十分といいますか、これで満足をいたしておるわけではございません。しかし、先ほど申しましたように、税源配分の問題は、根本にさかのぼらなければ実施ができないというむずかしい課題がございますので、これらの問題とあわせて将来検討を加えていきたい、かように考えております。本年度の税源の配分では、財政計画上の税収入の割合は、地方団体を通じましては一%しか上がっておりません。しかしこれでも、従来の現実の国と地方との間の予算編成の際のいろんないざこざを考えますれば、こういったことがともかくまとまったということは、私は相当に重要な事柄ではなかろうかと、こういうふうに考えておるのでございます。
  128. 秋山長造

    秋山長造君 まあ一切がっさい含めた総額で一%程度上がったということは、これは私どもも数字ですから認めざるを得ないですがね。ただ、それにしてもやはりこういう数字を見るにつけても、国税の壁がいかに厚いか、もっと端的に言えば、大蔵省の壁がいかに厚いかということをどうも感ぜざるを得ないのですね。それで、所得税を道府県民税に委譲したというこのやり方は、今後拡大していかれる方針なんですか。それとも、これはこれでこの程度で打ち切るということなんですか。
  129. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 所得税と住民税との間におきましては、目下のところ、私はこの程度の段階にとどまらざるを得ないのではなかろうか、こういうふうに考えております。
  130. 秋山長造

    秋山長造君 それで、この百八十一億、平年度百九十八億というんですが、まあいずれにしても微々たることなんですね。それだけのものを地方に与えた与えたと言いながらも、また、ほぼ同額程度の入場譲与税というものが廃止されて国へ取り上げてしまうということになれば、これは結局相打ちになってしまって、総ワクにおいては別に違いはないということになりますね。これは若干計数的には食い違いがあるんですけれども、大ワクとしてはそういうことになりますと、直接の担当者としての自治省としては、今後、まあことしはとりあえずこれでいくにしても、来年以後は一体どういう税金をどういうようにしていくという一つの長期の見通しといいますか、めどというものはあるのですか。
  131. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 根本的な税源配分があれば別といたしまして、現状のままでさらに地方の自主独立税源を増強するということになりますれば、率直に申しまして、私は現行税制では、たばこ消費税しか残ってないのではないか、こういうふうに考えております。で、たばこの消費税は今回二%税源配分で国からもらっておるのでございますが、これで二一%でございます。たばこの売上金額に対する専売の益金は、おそらく現在六〇%弱ではなかろうかと思います。そうしますと、大体三分の一を地方がもらっておる、こういうことになるわけでございますが、これは国の立場もございますので、私どもが幾ら言ってみても、そのとおりなるというわけのものではございませんけれども、われわれとしては、少なくともたばこの専売益金は半々程度まではいただいてもいいのではないか、こういうふうに、我田引水かもしれませんが、考えておるのでございます。
  132. 秋山長造

    秋山長造君 たばこ消費税の税率引き上げということは、確かに二%程度で、これまた大した問題にならぬ。やはり地方財源をほんとうに充実するということになれば、やはりこれを思い切って国と地方と半々ぐらいに持っていかなければならぬと思うのですがね。その今後の見通しというても、それは希望的な見通しにすぎぬかもしれぬけれども、しかし、三十八年度予算を組む場合、財政計画を立てる場合には、すぐぶつかる問題なんですね。それで今後の見通しについては、相当確信があるのですか。
  133. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) たばこの増率について、今の段階で、将来これを引き上げることができるのかと、こういう御趣旨と承ったのでございますが、これは全体の国、地方財政の規模がどうなり、その債務状況がどうなるかといったようなことをその際見なければ、今の段階では何とも申し上げることはできませんが、われわれとしては、独立財源をふやすならば、たばこ以外に税目としては現行制度では残っていないのではないか、こういうふうに考えておるのでございますが、これがはたしてできるかどうかということになりますと、相当厚い壁もあって、将来の問題で今何とも申し上げかねるのでございます。
  134. 秋山長造

    秋山長造君 たばこ、酒と一口に言うのですが、酒ですね、酒税を地方税に回すということは考えられるのですか。
  135. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 終戦後一時酒の税を地方で取っておったことがあるようでございますが、当時と現在では、酒の販売のやり方が変わっておりまして、現在は自由販売になっておるというようなことから、なかなかむずかしいのではなかろうかと、こういうように考えます。と申しますのは、国税であれば、これは庫出しの段階で税をかけるのですけれども地方団体の税でございますと、これはやはりそれぞれの地方団体に税源が付与せられなければならぬ、勢い小売の段階で把握しなければならない、こういう問題になるわけでございます。そういたしますと、小売段階ではたして酒消費税がかけ得られるかどうかということになると、まあ納税者の側の相当強い反発も当然ございますが、それ以外にやはり捕捉、その他技術的な面の難点があるのではなかろうか、こういうように考えております。
  136. 秋山長造

    秋山長造君 そういたしますと、国税にしておいて、それで交付税のほうに回すという意味のやり方のほうが、やっぱり地方財政を充実させるという点からいってもよりいい、こういうことですか。
  137. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 私は、酒については、そのほうがいいのではなかろうか、こういうように考えております。
  138. 秋山長造

    秋山長造君 そういたしますと、現在の制度が根本的に変わらぬ限りは、もう地方財源を充実するという、役に立つのはたばこ消費税以外にはないということですね。そういたしますと、これはもうさっきの大村参事官の話で、税収が大体五割以下の、五割を割っている文明国はない。日本の今の三〇%、三割前後の貧弱な数字を何とか引き上げていくということは、これはお先まっ暗で、ちょっと見通しが立たぬということに、きわめて悲観的なこの感じを受けるのですけれども、いかがでしょう。
  139. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 根本改革をやれば、私は別だと思います。しかしながら、現状で考えれば、その地方の独立税源を充実するといいましても、私はそうなかなか容易なことではなかろう。残っておる税目にしても、きわめて数が限定される。私は、たばこだけについて申しましたが、それ以外にもやる気になれば、たとえば登録税、不動産取得税を地方で取っておりますが、これらについては、これは別段国で取らなければならない問題でもございますまい。それからまた、物品税中の自動車税等についても、これは考えようによれば、幾らでも至当かと思いますが、これらは何と申しましても、私、一人相撲をとりましても、なかなか厚い壁があり、それぞれの立場がございますので、もう税源配分ということはなかなか容易な仕事ではない、こう考えております。ただ、根本的には、地方の独立税を強化するというのは、これは私どもの念願ではございますが、これにも理論的限界が実はあるのでございます。と申しますのは、背景に日本のこの経済の構造が非常に一地方地方に片寄り過ぎている、つまり税金が偏在をしておる。そこで、地方の独立税を妙な形で強化いたしますと、その税が一部に偏在をしてしまう。これは経済的な、合理的な立場から立てば、いわば一種の経済的なロスだと、こういう考え方も当然出てくるわけでございます。したがって、現在のような地域的な所得格差のあるときには、おのずから税制を強化するといっても、私は限度があるのではなかろうか。したがって、地方にもらえる税種というのは、どうしても普偏的な税種以外はもらえない、その面からする制約があるわけでございます。
  140. 秋山長造

    秋山長造君 だから、そういう問題を何とか切り抜けるために、たとえば市町村民税なんかについても、課税方式を二種類作って、特にただし書きと本文とによるこの税負担なんかというものはずいぶん違うので、そういうところに結局しわ寄せがいっているわけなんです。なるほど貧弱町村の財源を充実するということは、これは必要なことです。必要なことだけれども、ただ充実するというのは、そこに住んでいる人間の負担において充実するというところにしわが寄ってしまっているのですね。去年の税制改正で、今までのよりはうんと簡単になったわけなんですけれども、しかし、簡単にしたのはいいけれども、本文とただし書きというのは、四倍から五倍ぐらい違うのじゃないかと思うのですがね。税額がこういう形で、たまたま住んでいる住み場所によって、ずいぶん地方税の負担が変わってくるというようなあり方は、これは幾ら地方自治は自治と言っても、これは非常に不公平だと思うのです。だから、そういうところへしわ寄せをすることによって格差を是正していくとか、貧弱な地方団体の税源を充実していくとかということではなしに、住民税というものは、大体ここの住民であるがゆえにかかっている税なんですからね。どこへ住んでおっても、およそ日本に住んでいる以上は、あまり隔たりがつかないのが私はほんとうだと思う。ですから、そういう面を何かほかのもっと合理的な方法でカバーしていくということを考えなければいかぬのじゃないかというように思うのですが、また、細目のときに質問をするつもりですけれども、本文とただし書きの二本立てというのは、一体自治省としてこれは合理的なんだという確信を持ってやっておられるのか。また、今後こういうやり方はいつまでも続けていかれるおつもりなんですか。   〔委員長退席、理事増原恵吉君着席〕
  141. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) おっしゃるように、一部の貧弱な地方団体において、住民の負担を過重することによって財政をまかなっているやり方はよくない、こういう御質疑でございます。これはお説のとおりだと思います。したがいまして、現状で考えましても、まだやはり経済格差があってむずかしいとは申しますものの、もう少し独立財源を付与する余地は、先ほど申しましたように、若干の税についてはあるのではないか、これは私はとっていい手段だと思います。それと同時に、やはり日本の経済社会の場合においては、地方の税のあり方としては、そのほかにいわゆる調整財源として交付税機能というものを十分に働かせていく。それを、その配分を通じて、貧弱地方団体に所要の財源を与えて、そうして現在負担が非常に重くなっている、それらの地域の住民の税負担を軽くする、こういう方向に私は進んでいかなければならないのではないか。自治省としても、そういう方針で、一挙には参りませんけれども、逐次やっていくつもりであります。  なお、お尋ねの住民税につきましては、ただし書き、本文の開きがあまりにもあり過ぎるということは、これはおっしゃるとおりでありますので、私はこの点については、住民税はやはり将来は本文方式の方向に近づけていくべきのが筋である、こう考えております。これは地方団体からは相当の反対はございますけれども、やはり住民負担を考えるというと、ただし書き方式というものは、財政の実態と交付税の傾斜配分なり、あるいは経済界の好転というような際における税収の状況等をもにらみ合わせて、逐次本文方式に近づけていって、将来は一本にすべきである、こういうふうに考えております。
  142. 秋山長造

    秋山長造君 その本文方式にまとめていくという段階ですがね、ことしはとりあえず扶養親族の税額控除六百円の標準額を定めるというようなことで、多少のその間の調整はできるようですが、それでもやはり、これでもうさっき言った四倍から五倍ぐらいの開きというものはそう大幅に縮まるものじゃないと思う。今後やはりこういうやり方で近づけていかれるんですか、どういうやり方で近づけていかれるんですか。
  143. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 先生御承知のように、本文方式とただし書き方式の税負担の開きの原因は、これは所得控除のうちの特に扶養親族の控除、これが、本文方式の場合には所得控除の金額がきめられておる。ただし書き方式の場合には白紙委任になっておる。条例できめなければならぬけれども金額が白紙委任である。そして、そのきめ方が各市町村でまちまちなんです。はなはだしいのは百円程度しか税額控除をしてないというようなこと、これが実は一番大きな本文方式とただし書き方式の税負担の開きの原因でございます。そこで私は、本文方式に近づけていく際には、まずこのただし響き採用市町村における税額控除について、逐次本文方式の所得控除を税額控除に直せばどの程度になるかということを目安に置いて、それにまず近づけていく、これが一番手っとり早い方法だ。そういたしますというと、事業専従者のほうは、扶養控除の税額控除をきめますというと、それにつれてやはり専従控除の額も当然上がって参りますので、そういうようなことをして逐次本文方式に近づけていく。で、一挙にできないのはやはり財政の実態があるからでございますが、ことしの改正の六百円を法定したということは、所得控除に直しますというと大体七割見当になっておると思います。したがって、本文方式に近づけるのは私はやはりあと数段階を経なければならぬのではなかろうかと、こういうように考えております。
  144. 秋山長造

    秋山長造君 そうすると、この標準額をだんだん上げていくわけですか。どの程度上げたら一本になるんですか。
  145. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) これはかりに二%で割り返すといたしますれば、扶養親族の所得控除額がかりに五万円と仮定いたしますと千円、こういうことになるわけでございます。そういうふうになりますので、まず税額控除を上げていきまして、そして最後の段階はそれを所得控除に切りかえる、所得控除のほうにしていく、こういう過程を踏むわけでございます。
  146. 秋山長造

    秋山長造君 何年ぐらいかかる。
  147. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) ただいまの段階では、これは何とも申し上げかねます。
  148. 秋山長造

    秋山長造君 今、ただし書き方式をやっているところで最高はどのぐらいにしてるんですか、まあ最低は今おっしゃったんだけれども
  149. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 千円が最高でございます。最低が百円ぐらい、こういうのが実態でございます。平均が実績三百二十円、現状は。それを今回六百円に引き上げるわけでございます。
  150. 秋山長造

    秋山長造君 そういうことでまあその面は漸次改善をしていくとしまして、やはりそれをこの本文へ近づけていくということを一方でやりながら、当然その面の減収というものは他の何らかの方法で補っていかなければならない。補っていくといったら、もう今のお話では、たばこ消費税ということになるけれども、大きいものはやはり交付税で補っていくと、こういうことになりますか。
  151. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) おっしゃるように、大きな財源の埋め合わせばやはり交付税の傾斜配分の度合いを強くするという以外に方法がないと思います。本年も財政当局ではさような措置をいたしております。なお私どもの税の関係は、たばこの税率を上げたことと、たばこの税について課税標準を改正をいたしまして、小売単価から全国平均小売単価に変えております。この措置によりまして、一〇%市町村関係のたばこ消費税を引き上げますというと、大体初年度三十五億、平年度三十八億五千万程度になりますが、課税標準を全国平均単価に切りかえております関係で、交付団体の増は五十億をちょっとこす程度まで交付団体にはたばこの税がふえることになっております。
  152. 秋山長造

    秋山長造君 全国の市町村でただし書き方式を使っているところはどのくらいあるのですか。
  153. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 大体全市町村のうち市町村数は八〇%程度でございまして、納税者数では四十数パーセントがただし書きでございます。
  154. 秋山長造

    秋山長造君 やはりこれは貧弱な市町村はもとほとんどただし書き方式でやっているんですね。
  155. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) やはり財政貧弱な市町村でございます。
  156. 秋山長造

    秋山長造君 そういたしますと、結局ですね、ほかの税金の問題もありますが、今のは地方財源を充実し、しかも一面減税の要望にもこたえ、しかも不均衡を是正していくということをまんべんなく大体満たしていくという今後の方法としては、このたばこ消費税を、少なくとも国の収入と地方の消費税とで半々ぐらいになるところまで上げていくということが一つと、もう一つは交付税をやはり思い切って引き上げていく、これよりほかにはないわけですね、今のところ。
  157. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 考えられる手段としてはお説のとおりだと思います。ただ実現はなかなか容易でないと思います。
  158. 秋山長造

    秋山長造君 それが一挙にというわけにもいかぬでしょうけれども、今後何年間かにわたって漸次それに近づいていくということができれば、さっきの資料にあるように、奈良県は九%よりもっと少ない、七%ですか、九%ですか、それから山梨県は七%というような状態は相当改善をされるのですか。   〔理事増原恵吉君退席、委員長着席〕
  159. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 程度の問題だと思いますが、これはやはり税収の占める歳入構成は相当改善になります。しかしながら、やはり山梨県でありますとか、あるいは奈良県であるとか、福島県、佐賀県、鹿児島県、こういったところは、どういたしましても交付税の機能に待たなければならない、こう思います。
  160. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記をとめて。   〔速記中止
  161. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記を始めて。  本案の質疑は、本日はこの程度にいたします。  次回は三月二十日午前十時とし、本日はこれで散会いたします。    午後三時三十一分散会    ————・————