○国務大臣(安井謙君) ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する
法律案について、その提案理由とその
内容の概略を御
説明申し上げます。
申すまでもなく、民主政治の健全な発展を期するためには、選挙が公明かつ適正に行なわれることがきわめて肝要であります。この見地から、
政府はかねてから公明選挙運動の推進に意を用いているところでありますが、なお、選挙に関する諸
制度についても改善整備を行なう必要があると
考えられますので、第三十八国会において制定された選挙
制度審議会設置法に基づき、昨年六月選挙
制度審議会を設置し、選挙の公明化をはかるための方策について御
審議を願ったのであります。同
審議会は、自来半年にわたって慎重に
審議を尽くされ、昨年十二月、選挙の公明化のための
措置について、
政府に
答申をされたのであります。
政府といたしましては、この
答申に基づき
公職選挙法等に所要の改正を行なうため、この
法律案を提出した次第であります。
今回の改正は、従来、現行の選挙
制度のもとにおいて、各方面で論議されていましたほとんどすべての問題にわたっており、選挙法の全般に及ぶところの、かつて見ない大改正でありまして、選挙公明化の実現に大きな寄与をするものと信じております。
次に、この
法律案の要点について御
説明いたします。
この
法律案は、公職選挙法とこれに関連のある部分についての政治資金規正法との二つの
法律の改正を行なおうとするものでありまして、まず、公職選挙法の改正について申し上げます。
第一は、自由にして公正明朗な選挙を行ない、候補者の政見政策等が選挙人に十分
周知されるように、選挙運動の
制限をでき得る限り緩和することといたしたのであります。これがために、ポスターの枚数の増加等、選挙運動期間中における言論文書による選挙運動の
ワクを広めるとともに、
国会議員の選挙について、選挙期日の告示前においても選挙運動のための演説会を行なうことができるようにいたしました。
第二は、現在の選挙運動は個人本位の建前になっておりますが、政党政治の根本からしても、また、選挙の公明化を期するためにも、これを政党本位の選挙運動の方向に進めて参ることが必要であると
考えられるのであります。これがために、政党その他の政治団体においても所属候補者のための選挙運動もできるようにその道を開くとともに、その政治活動の
制限を大幅に緩和することといたしました。なお、これに伴い、確認団体の
制度の合理化をはかりますとともに、確認団体に所属しない候補者に対して、推薦団体による選挙運動を認めることといたしました。
第三は、選挙公営の拡充強化と合理化をはかることといたしたのであります。このため、公営のポスター掲示場の新設、はがきの枚数及び
新聞広告の回数の増加等の
措置を講ずることといたしました。
第四は、選挙運動
費用の合理化であります。選挙
費用の
制限額につきましては、これを合理的に引き上げることとするとともに、選挙運動員等に対する実費弁償等の基準額の引き上げをいたすことといたしました。
第五は、選挙違反についての制裁を強化したことであります。すなわち、いわゆる連座制につきましては、従来の総括主宰者及び出納
責任者のほか、相当広
範囲の地域にわたって選挙運動を主宰した者、事実上の出納
責任者及び候補者の意思を通じて選挙運動をした同居の親、子、配偶者、兄弟姉妹で悪質の選挙犯罪により禁錮以上の刑に処せられ執行猶予の言い渡しを受けなかったものについても連座の対象とするとともに、連座による当選無効訴訟は検察官が提起すべきものといたしました。また、選挙犯罪による公民権の停止を強化し、罪の短期時効を廃止することといたしたのであります。
第六は、公務員の地位利用による選挙運動に対する規制を強化することといたしたのであります。国または
地方公共団体の公務員等が、その公の地位等を利用して選挙運動を行なうことは、選挙の公正をはなはだしく害するものでありますので、公務員等がその地位を利用して行なう選挙運動及びその類似行為を禁止することとし、公務員が国の選挙において当選人となった場合において、この公務員と職務上
関係のあった者がその直接または間接の指示要請を受けて選挙運動を行ない、
一定の選挙犯罪を犯して刑に処せられたときは、その当選を無効にすることといたしたのであります。
第七は、選挙に関する寄付等の規制を厳正にすることとしたのであります。これがために、新たに国または
地方公共団体から
補助金、出資金等を受けている会社その他の法人は選挙に関し寄付をしてはならないものとし、また、後援団体が行なう寄付及び後援団体に対する寄付並びに後援団体の行事における供応接待等について規制することといたしました。
第八は、その他選挙の秩序を保持するために、
郵便による立候補及び被選挙権のない者や重複の立候補等を禁止し、立候補の辞退の時期の合理化をはかり、供託金
制度の改善を行ない、選挙管
理事務の合理化についても、従来懸案になっていました諸般の改善
措置を行なうことといたしました。
最後に、政治資金規正法につきましては、ただいま申し上げました公職選挙法の改正に見合いまして、政党その他の政治団体は国または
地方公共団体からの
補助金、出資金等を受けている会社その他の法人から選挙に関し寄付を受けることができないものとしたのであります。
以上がこの
法律案の要旨であります。何とぞ慎重御
審議の上、すみやかに御賛成あらんことを
お願い申し上げます。
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次に、ただいま議題となりました
国会議員の
選挙等の
執行経費の基準に関する
法律の一部を改正する
法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御
説明申し上げます。
御承知のように、旧臘選挙
制度審議会の
答申がなされ、この
答申に基づいて
公職選挙法等の一部に所要の改正を加えることとなりましたことと、最近における公務員の給与の改定、賃金の変動等に現行の基準が実情に即さないものとなりましたので、今回これに所要の改定を加え実情に即した
執行経費の基準を確保し、選挙の執行に遺憾なきを期するため本
法律案を提案したのであります。
次に、この
法律案による改正の
内容についてその概要を御
説明申し上げます。
第一は、公職選挙法の改正に伴う所要の改正であります。すなわち、
第一点は、参議院議員の選挙における選挙運動期間が二十五日から二十三日間に短縮されることに伴い、これらの
経費の基準額に所要の改定を加えようとするものであります。
第二点は、衆議院議員及び参議院
地方選出議員の選挙について選挙運動用ポスターを掲示させるための掲示場を設置することに伴い、これに必要な
経費の基準額を新設するとともに、これらの選挙と参議院全国選出議員の選挙に関する候補者氏名等掲示の基準額を改定しようとするものであります。
第三点は、衆議院議員及び参議院
地方選出議員の選挙について行なわれる個人演説会の会場の公営による
表示を廃止することに伴い、個人演説会立て村費の
規定を削除しようとするものであります。
第四点は、選挙運動のための街頭演説の
実施を容易にするため、街頭演説をすることができる場所の確保等の
措置を講ずるために必要な
経費の基準額を新設しようとするものであります。
第五点は、公職の候補者が選挙運動のために使用するポスター用紙の公給を廃止することに伴い、ポスター用紙費の
規定を削除しようとするものであります。
第六点は、参議院
地方選出議員の選挙に関する投票所外における候補者氏名等の掲示を廃止することに伴い、最高裁判所裁判官国民審査における裁判官氏名等掲示費の基準額を新設しようとするものであります。
第二は、最近における公務員の給与の改定等に伴い、超過勤務手当の積算単価を改め、
関係基準額を改定しようとするものであります。
第三は、最近における賃金の変動及び選挙
事務執行の実情にかんがみ、人夫賃及び嘱託手当の単価を改め、
関係基準額を改定しようとするものであります。
第四は、投票
管理者、開票
管理者、選挙長及び選挙分会長及び投票立会人、開票立会人、選挙立会人及び選挙分会立会人の
費用弁償額の
金額を引き上げようとするものであります。
以上が、
国会議員の
選挙等の
執行経費の基準に関する
法律の一部を改正する
法律案の要旨であります。何とぞ慎重御
審議の上、すみやかに御可決あらんことを
お願い申し上げます。
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次に、ただいま議題となりました辺地に係る
公共的施設の
総合整備のための
財政上の
特別措置等に関する
法律案の提案理由とその要旨を御
説明いたします。
最近におけるわが国の経済の発展には、まことに見るべきものがありますが、山間地、離島などのへんぴな地域においては、いまだに石油ランプを用い、天水を飲み、医者の手当すらも満足に受けることができない等、きわめて低い生活文化水準に置かれている住民が少なくないのであります。もちろん、これらの地域にかかる
公共的施設につきましては、現在各省庁の
補助行政によりその整備のための努力が続けられており、かなりの実績をあげておりますが、より一そうの成果を期するためには、総合的見地に立って
計画的にこれを整備する必要があると
考えられるのであります。
しかしながら、辺地を包括する
市町村はおおむね
財政的に貧弱でありますので、現状のままで
総合整備計画を立ててこれを遂行するだけの力が十分ではありません。このような実情にかんがみまして、辺地の
公共的施設の総合的かつ
計画的な整備の促進をはかるため、これら
市町村に必要な
地方債資金を提供し、その将来の元利の負担を軽減するための
財政上の
特別措置等を講じ、辺地に居住する住民の生活
施設を整備する必要があるのであります。
以上が本
法律案の提案の理由であります。
次に、本
法律案の
内容の要旨につきまして御
説明いたします。
第一は、適用
市町村の
範囲であります。交通条件及び自然的、経済的、文化的諸条件に恵まれない山間地、離島その他のへんぴな地域のうち、
公共的施設が欠けているため、他の地域に比較して住民の生活文化水準が著しく低く、
公共的施設の整備をすることが緊要であると認められる地域であって、政令で定める要件に該当しているものを包括している
市町村が、
公共的施設の
総合整備計画を策定した場合に本法を適用することといたしたのであります。
第二は、
公共的施設の
範囲であります。この
法律の対象とする
施設は、辺地とその他の地域との間における住民の生活文化水準の著しい格差の是正をはかるために、最低限度必要な
施設を
考えております。すなわち、未点灯地域を解消するための電灯
施設、辺地の内外を連絡するために必要な道路、渡船
施設、辺地に居住する児童、生徒の通学を容易にするために必要な通学バス、通学船及び寄宿舎、診療所等の診療
施設、飲用水供給
施設等であります。
第三は、
総合整備計画を策定させることであります。辺地について、
公共的施設の整備をしようとする
市町村は、都道
府県知事と十分に協議して当該辺地にかかる
公共的施設の総合的な整備に関する
計画を策定し、
自治大臣に提出することとし、
自治大臣は、その旨を
関係各省各庁の長に通知し、その
意見を聞き、また、所要の協力を得て合理的な
計画となるように
指導いたしたいと
考えております。
第四は、
財政上の特別
措置であります。
総合整備計画を提出した
市町村は、電気導入
事業のような現行の
地方財政法の
規定によったのでは起債を起こすことのできないものについても、特別
措置を講じて起債を財源とすることができるようにいたしております。
また、
総合整備計画に基づいて許可された辺地対策
事業債の元利償還に要する
経費については、その五七%を
地方交付税の基準
財政需要額に算入することとしております。
以上が辺地に係る
公共的施設の
総合整備のための
財政上の
特別措置等に関する
法律案の提案理由及びその要皆であります。何とぞ慎重御
審議の上、すみやかに御可決あらんことを
お願い申し上げます。
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次に、
地方自治法の一部を改正する
法律案の提案理由を
説明いたします。
ただいま議題となりました
地方自治法の一部を改正する
法律案の提案の理由及び
内容の概要を御
説明申し上げます。
この
法律案は、選挙管理
委員会の組織、
地方公共団体が出資、債務保証、損失補償等をしている法人に対する
地方公共団体の関与の方法、
地方公共団体の職員の退職手当の通算、指定
都市の指定に伴う経過
措置等について
規定を整備する必要が生じましたので、
地方自治法及び
関係法律について、所要の改正を行なおうとするものであります。以下その
内容の概略を御
説明申し上げます。
第一は、選挙管理
委員会の組織に関するものであります。すなわち、選挙管理
委員は、人格高潔で、政治及び選挙に関し公正な識見を有する者でなければならないものとし、また、
選挙等に関する罪を犯し刑に処せられた者は選挙管理
委員となることができない旨を定め、さらに、選挙管理
委員の任期を四年に改めるとともに、選挙管理
委員会の
事務を
補助する機構を整備しようとするものでありまして、いずれも選挙
制度審議会の
答申に基づくものであります。
第二は、
地方公共団体が出資、債務保証または損失補償等をしている法人いわゆる公社等に関するものであります。最近地域開発の進捗等に伴い
地方公共団体の
事業の一部を執行することを目的として、
地方公共団体が全部またはその大半の出資をして法人を設立し、その債務を保証し、または損失補償を行なう等の事例が多くなっております。この種の法人の設立に対しどのような態度をもって臨むかについては、なお、検討しなければならないものがあると
考えますが、
地方公共団体が大きな
財政的責任を負担している特別の
関係にかんがみ、
地方公共団体の長及び議会において法人の経営
状況を把握し、その経営の適正化を期するため、最小限度の関与の方法を定めようとするものであります。
第三は、
地方公共団体の職員の退職手当の通算に関するものであります。
地方公共団体の職員の退職手当については、条例で定めることとされておりますが、
地方公共団体は、退職手当の算定の
基礎となる勤続期間の
計算について、国または他の
地方公共団体との間に在職期間の通算
措置を講ずるように努めなければならない旨を定めることにより、人事交流の円滑化に資そうとするものであります。
第四は、新たに指定
都市の指定があった場合に必要となる特例及び経過
措置に関するものであります。今後新たに指定
都市の指定が行なわれる場合に備えて、指定に伴い、大規模の償却資産に対する固定資産税を指定
都市の市税とする経過
措置を定めるほか、
地方道路譲与税の譲与の基準についての特例、指定
都市を包括する都道
府県の公安
委員会の
委員の数及び任期に関する特例、指定
都市の教育長に関する特例その他昭和三十一年に指定
都市の
制度が設けられた際に講ぜられたと同様な
事務の引き継ぎ、債権の譲渡等に関する経過
措置を政令で定め得る根拠を設ける等
地方自治法及び
関係法律の整備をしようとするものであります。
以上が、この
法律案の
内容のおもな事項でありますが、そのほか最近における法令の制定及び改廃に伴い別表に改正を加えるほか、
地方公共団体の長の任期の起算について、所要の改正を行なう等、
規定の整備をいたしております。
以上が、この
法律案の提案の理由及びその
内容の概要であります。何とぞ慎重御
審議の上、すみやかに御可決あらんことを
お願いいたします。