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1962-03-13 第40回国会 参議院 地方行政委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月十三日(火曜日)    午前十時四十七分開会   —————————————    委員異動 三月九日委員堀木鎌三君辞任につき、 その補欠として郡祐一君を議長におい て指名した。 本日委員小幡治和辞任につき、その 補欠として笹森順造君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 武治君    理事            野上  進君            増原 恵吉君            秋山 長造君            基  政七君    委員            小柳 牧衞君            西郷吉之助君            笹森 順造君            館  哲二君            津島 壽一君            矢嶋 三義君            中尾 辰義君   国務大臣    自 治 大 臣 安井  謙君   政府委員    警察庁長官   柏村 信雄君    警察庁保安局長 木村 行蔵君    自治省行政局長 佐久間 彊君    自治省財政局長 奥野 誠亮君    自治省税務局長 後藤田正晴君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   説明員    警察庁保安局保    安課長     小野沢知雄君    自治大臣官房調    査官      大塚 惟謙君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○質屋営業法及び古物営業法の一部を  改正する法律案内閣提出) ○公営企業金融公庫法等の一部を改正  する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○昭和三十六年度分として交付すべき  地方交付税総額特例に関する  法律案内閣提出衆議院送付) ○地方税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○住居表示に関する法律案内閣提  出)   —————————————
  2. 小林武治

    委員長小林武治君) ただいまから委員会を閉会いたします。  質屋営業法及び古物営業法の一部を改正する法律案議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。
  3. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 前回委員会の際、私他の委員会に出席したために本委員会に欠席しておりますから、質問がダブリましたならば御答弁に及びません。二、三質問いたしたいと思います。  まず、第一点として伺いたい点は、質屋並びに古物商所管は、やはり警察庁が最も適当だというお考えで現在もいらっしゃいますか。何かのきっかけで慣習としてずっとこられておるのか、その点の御見解を承りたい。
  4. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) 戦前におきましても質屋営業古物営業については、警察の取り締まりがございまして、御承知のように、戦前におきましては、その他広範な事項にわたりまして警察所管しておったのでございますが、戦後、警察制度改正に伴いまして、警察の所掌するいわゆる行政警察面の仕事は非常に縮小されたのでございますが、にもかかわらず、質屋営業古物営業については、警察所管と相なって参ったわけでございます。これは主として防犯上という見地から警察において所管することが適当であるという見地に立ったものと考えられるのでございまして、私どもといたしましても、今後もやはりこれらのことは警察所管していくことが適当ではなかろうかと考えているわけでございます。
  5. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 戦前、戦時中並びに戦後を通じて、質屋庶民生活に対する比重といいますか、それに変化があるか、どういうふうに認識されているかお答えいただきたい。
  6. 小野沢知雄

    説明員小野沢知雄君) 私ども見ている点から申し上げますと、最近の質屋を利用するお客は、前は生活資金を借りるためにというのが多かったわけでございますが、最近はそういう切実な生活資金ということから離れまして、何か遊興的な費用を借りるというような非常に変わっているのじゃないかと思います。ただ、特に最近の下町方面のいわゆる中小企業の多い地帯におきましては、そういういわゆる物品を取り扱う営業者が一時の金ぐりに因りまして、そのために入れるということもあるわけでございます。そういう面から見ますと、二つの点で変わってくるのじゃないか。前は、もっぱら庶民があすの米を買うために利用したというようなことから、今はそのように、一つは、遊興費のため、あるいはまた、もう一つは、中小企業者企業金融をそこで得るというふうになっているのじゃないかというふうに考えられるのでございます。
  7. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私の認識並びに私の直感とただいまの答弁、一致いたしております。まあ、これらの所管警察庁警察にあるということは、防犯見地から云々という言葉が出ましたが、いつまでもそういう見地の上からのみでいいのかどうかという私は疑問を持っているのですがね。もちろん昭和二十五年並びに昭和二十四年にこれらに関する法的根拠が設けられてから、以前のそれと比してよくなったことは事実だと思いますがね。庶民金融機関としてのあり方として若干問題点があるようにも幾分考えますが、きょうはそれらに触れぬでおきましょう。これだけ聞いておきましょう。  ただ、警察庁長官に伺いたい点は、防犯見地から云々ということですが、確かにその点があると思いますが、最近、質屋並びに古物商犯罪捜査協力の業績をあげられたとか、そういう点は傾向としてはどうですか。
  8. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) 質屋古物商犯罪捜査協力するという面もきわめて多いわけでございまして、大体蔵品の半数くらいは、そういう方面に流れているような状況でございまして、彼らの協力を得ている点は非常に大きい面があるというふうに考えております。
  9. 小林武治

    委員長小林武治君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  10. 小林武治

  11. 小林武治

    委員長小林武治君) それでは、本案質疑を中断いたしまして、公営企業金融公庫法等の一部を改正する法律案及び昭和三十六年度分として交付すべき地方交付税総額特例に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  両案の質疑前回委員会において終局いたしておりますので、これより各案について討論採決を行ないます。  まず、公営企業金融公庫法等の一部を改正する法律案について討論に入ります。  御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 小林武治

    委員長小林武治君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。  公営企業金融公庫法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案衆議院送付案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  13. 小林武治

    委員長小林武治君) 全会一致でございます。よって本案全会一致をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、昭和三十六年度分として交付すべき地方交付税総額特例に関する法律案について討論に入ります。  御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 小林武治

    委員長小林武治君) 御異議ないものと認めます。  これより採決に入ります。  昭和三十六年度分として交付すべき地方交付税総額特例に関する法律案を問題に供します。本案衆議院送付案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  15. 小林武治

    委員長小林武治君) 多数でございます。よって本案は多数をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、両案についての諸般の手続等につきましては先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 小林武治

    委員長小林武治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。   —————————————
  17. 小林武治

    委員長小林武治君) 再び質屋営業法及び古物常業法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行ないます。
  18. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう二点伺わせていただきますが、質屋並びに古物商に対する立ち入り検査調査ですね、これは相当行なわれておりますか。また必要がある状況ですか。それともあまり必要がなくて行なわれていないか。トラブルが起こってないか。その点伺いたいと思います。
  19. 小林武治

    委員長小林武治君) ちょっと質疑の途中ですが、委員異動を報告いたします。  三月九日付をもって委員堀木鎌三君が辞任され、その補欠として郡祐一君が委員に選任されました。次に、本日付をもって委員小幡治和君が辞任され、その補欠として笹森順造君が委員に選任されました。   —————————————
  20. 木村行蔵

    政府委員木村行蔵君) お答え申し上げます。この前、増原委員から御質問がありまして私のお答え申し上げたのが、必ずしも正確でありませんので、訂正申し上げたいと思います。  この前は、大体年に一店舗一回くらいというようなことを申し上げましたけれども、原則として一回以上ということになっております。一店舖月に数回というような状況がいろいろ出ております。ただ、これは県によってまちまちでございまして、必ずしも一律でありませんが、ただいま私の手元にありますのでは、はっきり警察にある帳簿によって正確に数字が出ておりますのは、栃木県でございますので、その状況を部分的ではありますけれども、一番正確なものでありますので、御参考に供したいと思います。栃木県の三十六年中の状況でありますが、これは質屋につきまして一年間百八十回、この栃木県につきましては、一応方針といたしましては、月一回以上ということになっておりまして、その中で質屋につきましては百八十回の回数であります。その関係で百八十回いろいろ出ておりますが、ここの二十四条の規定にありますところの立ち入り及び調査関係におきましては、百八十回のうち外勤警察官が六十三回、それから専門防犯係が十六回であります。そのほかに、この規定とは直接関係はありませんけれども犯罪捜査その他の関係捜査係が百一回出向いて、いろい協力を求めているという状況であります。  古物につきましても、やはり一店舗月一回、こういう方針でやっておりまして、古物全体につきましては、三十六年では、一店舗年に三十回、このうちで外勤警察官が十五回、専門防犯係が五回、これはこの二十四条の立ち入りと直接の関係のあるものであります。それ以外に、先ほど申し上げた犯罪捜査関係捜査係が十回行っておりました。そういう状況でありまして、方針としては、大体どの県も月一回以上ということになっておりますけれども、月数回という形で立ち入りあるいは調査いたしております。この関係においてトラブルを起こしたというようなことは全然聞いておりません、円滑にいっております。
  21. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次に伺いたい点は、先ほど開会前に伺ってわかったのでありますが、私しろうとだからよくわからなかったのですけれども、二十条で品触を発することができるというのですね。これはちょっとわかりやすい言葉というのはないでしょうかね。やはり「品触」という言葉が適当で、これ以外に適当な表現法というものはないでしょうか。初めてこの活字に接した場合には、品触を発することができるというのはどんなものをやるのか、なかなか理解に苦しんだのですがね。どういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  22. 木村行蔵

    政府委員木村行蔵君) お説のとおり、確かに臓品の品触ということが、古物営業法の二十条、質屋営業法の二十一条にございますが、ちょっとしろうとが見まして、しろうとと言っては失礼でありますが、一般が聞きましてわかりにくい言葉でありますが、これはずっと以前からありました言葉であって、一種の慣例語といいますか、そういう言葉になっておりまして、結局、被害者の意思に反して、盗まれたとか、あるいは詐欺横領で、その品物自分の占有から移っていったという場合には、この被害品が市場に流れておる、そのおそれがあるということを、警察当局から質屋に対して、そういう品物の特徴を通知して、臓物のいわゆる動きを注意せしめるということで適切な言葉があればよろしいと思いますけれども、昔から使われた言葉でありますので、それを一応踏襲しておるわけでございます。
  23. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 本法律案はおおむね適切な改正内容のようでありますので、もうこれ以上質問をいたしません。  ただ、警察庁長官のお顔を拝見するとお伺いしたいことがあるわけなんですが、これで質問を終わりますけれども、例の別府の後藤巡査絞殺事件、それから佐世保の工専の試験問題の紛失、盗難事件犯人は、いずれもまだあがりませんが、迷宮入りとして断念されたのですか。それとも近く犯人検挙できるという情勢だという報告を受けておられるのか、あなたのお顔を拝見すると、どうしてもそれを伺いたい気持が起こりますので、それを伺って質問を終わりたいと思います。
  24. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) この委員会においてもたびたび御指摘があり、御激励がありまして、私も現地に対しまして強い督励をいたしておるわけでありますが、遺憾ながら、現在までのところ、両件とも解明するに至っておりませんが、決してあきらめて捜査の手をゆるめておるということは絶対ございません。先般、管区局長が所用のために上京いたしました際にも、国会においても特に強く要望されておることでもあり、この前も激励をしておいたが、今後とも十分に力を発揮して解明に努めるようにということを注意をいたしておいたような状況でございます。
  25. 秋山長造

    秋山長造君 十七条の第二項の改正について、流質期限を一カ月に短縮しても、別に質置主保護に欠けるおそれがないという御説明があったのですが、さらに一カ月に短縮したほうがかえって質置主利便をはかることになるという説明まで追加されておったのですけれども、かえってそのほうが質置主利便になるという理由、それを、この前説明があったかもしれませんけれども、もう一度ひとつ御説明願いたい。
  26. 木村行蔵

    政府委員木村行蔵君) この前も一応大綱だけお答え申し上げましたが、最近の傾向といたしまして、電気器具用品とか、家庭器具用品とかいうことで相当かさの大きいものが入質されております。それからまた、みそしょうゆとかいうような非常に変質、しやすいものがやはりだいぶ入ってきております。そうしますと、最近の、ことに大都会の質屋業者設備を見ますと、どこにも拡張できない、保管設備もそう広く拡張できないという観点から、あまり長くそういうかさばる物件なり、変質しやすい物を保管しますと、質屋にとっても非常に不利でありますので敬遠される傾向が見られております。それからまた、こういう業者自分の商品を入質する場合におきましては、一般庶民貧乏学生が入質する場合と違って、比較的短期でたくさんの金がほしいという場合が多いようであります。そういう場合には、長期だと貸付金が比較的少ない、短期だと貸付金が多いという場合もありまして、そういう両々の面から考えまして、質置主にも適当な規定ではないかと、しかも、これは協議でありますので、一カ月から、あるいは一カ月半、二カ月ということもあり得るわけでありまして、協議していたすことになるわけでございます。
  27. 秋山長造

    秋山長造君 事実営業者でそういう電気器具だとか、みそしょうゆのようなものまで入質する例がふえているのですか。
  28. 木村行蔵

    政府委員木村行蔵君) これは確かにふえております。
  29. 秋山長造

    秋山長造君 それはいつごろからの傾向ですか。
  30. 木村行蔵

    政府委員木村行蔵君) 最近の金詰まり傾向がここに一時年出ましてから少しはふえておりますが、それ以前にも、その傾向が若干見られておりました。結局、電気器具商が非常にふえておりますし、そういうものの金ぐりの面から絶対数としてだんだんふえてきておるというようなのは、数年前からその傾向が出ておるようなわけでございます。
  31. 秋山長造

    秋山長造君 常識からいいますと、この営業者が、どうせ小口金融でしょうけれども金融を受けるというのは金融機関から受けるのが常識だろうと思うのですね。それがやはり法律改正までやらなければならぬほど営業者の質入れが多くなってきたということは、それだけ今の経済情勢が非常にこういう小売商なんかにはきびしくなっておるという証拠だろうと思うのですが、これは現在もそういう傾向はふえつつあるのですか。何かただふえておるということでなしに何か数字がないですか。端的にこういう数字が現われたような資料はないですか。
  32. 木村行蔵

    政府委員木村行蔵君) 現在も同じ傾向にあることは事実であります。しかも、あの業界からの請願では、実はこういう業者だけでなしに、全般について流質期限を一カ月に短縮してくれという全面的な要求でありましたけれども、しかし、貧乏学生が入質する場合に、一カ月きたらすぐそれが流れてしまうということは、非常に社会の実態から見て妥当でありませんので、まあ比較的対等な地位にある業者だけに限ったわけであります。  それから実際最近のふえている数字については、目下手元にありませんが、ふえている、同じ傾向であることは、現在も変わりません。
  33. 秋山長造

    秋山長造君 やはり東京が一番その傾向が強いのですか、それはどうですか。
  34. 木村行蔵

    政府委員木村行蔵君) 東京大阪が強いようであります。
  35. 秋山長造

    秋山長造君 質屋全国統計は、この資料でも出ています。この前、増原さんの御質問があったわけですが、府県別統計はありますか。それがなければ、大体の全国的な府県別分布状況、そういうことはわかりますか。
  36. 木村行蔵

    政府委員木村行蔵君) 質屋だけについて申しますと、二万のうちで二千が東京にありますから、一割は東京にあります。そのほか大阪などには相当ありますから、大阪名古屋等、六大府県といいますか、こういうところにおそらく三分の一くらいあるんじゃないかと思いますけれども、これは私今推定で申し上げますが、手元に各県別のはございませんが、資料はございますので、また後ほどお届けいたしたいと思います。
  37. 秋山長造

    秋山長造君 そういう大体論からいえば、やはり大都市のある府県に集中しているだろうと思うのですが、数が多い少ないじゃなしに、それ以外に、府県によって質屋というものが特に何か利用されておるとか、あるいは質屋がどうも育たぬ県だとかというような、そういう地域的な特色のようなものはないですか。
  38. 木村行蔵

    政府委員木村行蔵君) 今正確に数字をもってお答えできないのが残念ですけれども、大体歓楽地とか、あるいは中小企業などのあります都市、あるいはその周辺には、比較的地方としては多いようであります。ただ、何か特別の特殊事情があって、その地方あるいは県が特に質屋が多いというところは、ただいまのところではないと私は思っております。
  39. 秋山長造

    秋山長造君 それから犯罪予防とか検挙と関連することですが、質屋古物商表彰取扱要綱というのがありますね。質屋犯罪予防検挙協力した場合、件数によって表彰するような規定があるようですが、これはこの前もお話があったかもしれませんが、こういう質屋に関連して犯罪検挙がどの程度行なわれ、犯罪捜査にどの程度役立っているかということは数字がありますか。
  40. 小野沢知雄

    説明員小野沢知雄君) その質屋古物屋盗品等、あるいは犯罪者をあげた数というものはないのでありますけれども、最近、先ほど長官から御説明ございましたように、大体盗品の半分が流れていっておりまして、それが非常にそういう質屋古物屋から出る例が多いわけです。そういうものの数字はございませんけれども、最近、ただいまお話褒賞制度というものがございまして、これが年々予算なり、それに対しまして褒賞いたしました額がふえているわけであります。これから見ますと、そういう的確な数はございませんけれども、非常に犯罪捜査上年々協力の度合いが進んでおるというふうに思われるわけです。また中には、そのために他人から非常に恨みをかいまして、あるいは京都では犯人ダイナマイトを持ちまして質屋のうちに飛び込んで一緒に爆発して犯人は死んだ、店も相当な被害をこうむったという列も非常にふえて参っております。そういう面から見ますと、防犯協力状況が非常に進んできておるということは言えるのじゃないかと思っておるわけであります。
  41. 秋山長造

    秋山長造君 防犯協力した場合、幾らか金一封を包むわけですね。その経費というものはどのくらい年々組まれておりますか。
  42. 小野沢知雄

    説明員小野沢知雄君) 最近の例で三十六年度と三十七年度を見ますと、府県でやっておるのでございますけれども、これが府県の大半は県費から出ております。それから二、三の県では、部分的でございますけれども、これが防犯協会のようなところでやっておるのでございますけれども、それの予算を見ますと、昭和三十六年度におきましては一千四十四万円、それから三十七年度では一千二百一万円というふうに年々ふえてきておるわけであります。
  43. 秋山長造

    秋山長造君 一千二百一万円というのは、三十七年度の予算ですか。
  44. 小野沢知雄

    説明員小野沢知雄君) 予算でございます。
  45. 秋山長造

    秋山長造君 そういうように質屋なり古物商なりが防犯協力して、今おっしゃったように恨みをかってひどい目にあうというようなことも間々あるのですが、そういう場合の保護ですね、防犯協力したあと保護というものはどういうようにやっておるのですか。
  46. 小野沢知雄

    説明員小野沢知雄君) これは特別に質屋古物商保護するという制度ではないのでございますけれども、大体一般人でございましても、業界でございましても、警察協力して、どうもそういう恨みをかって害を受けるおそれがあるというような場合は、これは特にその地区を担当いたしまする外勤警察官がパトロールする間に特に目をかけて見るとか、あるいはまた、特にひどい場合には、刑事がそこの店におりまして、そうしてそういう特に害を受ける区域には、そういう防犯予防的なこともやるとか、あるいはまた見張ってやるとかいうこともあるわけであります。特に質屋古物屋で、どうもこの店で非常にそういう暴力団等がからみまして、そうして乱闘というようなことになりますと、これは重点的にそこを警ら、あるいはまた見張ってやるということもしておるわけであります。
  47. 秋山長造

    秋山長造君 そういう何か危害を受けたり損害を受けたりしたような場合ですね、そういう場合の補償規定というものは別にないのですか。
  48. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) ただいま保安課長から御説明申し上げましたように、質屋あるいは古物商であるからということで特別の救済の制度はございません。ただ、こういうふうに協力してくれる状況になっておりまするし、また、そういうことは警察としても願わしいことでございますので、できるだけ協力して、それによって犯人があがったというようなことについて、これは漏れる面は多分にあるわけでございますけれども警察としては、できるだけ保秘に努める、どうして犯人検挙されたかというようなことの原因について、できるだけ迷惑のかからないようにしていくということが、まず前提であろうと思います。そのほかの点は、先ほど保安課長から申し上げましたように、情報その他によって、できるだけ危険を防止するような措置を講ずるということで、協力したことから起こった実害についての特段の補償ということは警察としては考えていないのでございます。
  49. 秋山長造

    秋山長造君 そういうきまった制度はないにしても、やっぱりさっきの、極端な例をいえば、ダイナマイトで爆破されたというようなこと、そういう場合に、ただ警察に自発的に協力して、そうして犯人検挙に非常に役立って、ほめてもらったのはいいけれどもあとでひどい目にあわされて、ひどい目にあわされても、それは気の毒だったということで済んでしまうというのも、えらい薄情なわけですが、金一封ぐらい、見舞金ぐらいは包むのですか。どうするのですか。
  50. 木村行蔵

    政府委員木村行蔵君) これは県によって違いますけれども、私ども第一線におり戻した経験では、そういう場合には、やっぱり金額はいろいろありますけれども金一封を出してねんごろにいろいろ慰労するということはやっております。
  51. 秋山長造

    秋山長造君 長官は、今、できるだけないしょにしておくとおっしゃいましたけれども、公判になれば、やっぱりいの一番に証人に出なければならぬのですから、これは隠しておくわけにいかぬのじゃないですか、一番そのものずばりで、はっきりあれがやったんだということがよくわかるのですから。そういう点はどうなっておるのですか。
  52. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) ただいまお話のような事例になりますれば、先ほど申し上げましたように、隠し切れない面も多々あるかと思いまするけれども、できるだけそういう点に注意を払うという意味で申し上げたわけでございます。
  53. 秋山長造

    秋山長造君 質屋に限らず一般人の場合でも、犯人検挙協力して、あとで仕返しを受けるということは、しばしば問題になっておるわけですが、そういう場合に、国としてあるいは警察当局として、何か本人の悪意に報いる道ということが制度的に確立される必要があるのではないでしょうかね。そうしなければ協力し損で、協力したばっかりにひどい目にあう、知らぬ顔をしておれば、それで済んでおったということもしばしばあるだろうと思うのですがね。統計数字から見ましても、盗品の半分は質量に流れておるというようなことなんですが、そういうことを何か、これは立法でなくても行政措置か何かでもでき得ることでしょうが、何かそういうことをお考えになっていないですか。
  54. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) 先ほど来説明のありました褒賞制度は、現在は原則として無償回復制度になっておるわけでございますが、実際には県によってこれもまちまちでございますけれども被害者と、質屋もある意味の被害者でございまするので、無償回復されないで、若干被害者から金を渡すというようなことをやっておるのが通例でございますが、そういうことはまた被害者保護という点からいうと、盗まれたものを取り返すのに、法律上は無償で取り返せるのに実質的には有償になるというようなことは、これまた被害者のほうからいえば非常に配慮が足りないということにもなるわけで、できるだけそういう被害者から出すものを少なくするというような意味と、それから協力してくれたことに対するお礼という意味と、いわゆる財政的な若干の補償をするということと、お礼の意味をこめた褒賞制度というのが年々、件もふえて参りまするし、額もふえてくるという状況でございまするが、ただいまお話のような、それによって危害を受けた者についてのいわゆる災害補償というようなことにつきましては、今のところまだ考えておらぬ状況でございまして、現在まで、警察協力した者に対する災害補償としては、身の危険を顧みずに人命を救助したとか、あるいは犯人逮捕に協力したとかいうような場合でありまして、警察協力したことが直接間接の原因になって犯人恨みをかって害を受けたというところまで補償するということは、今までは何と申しますか制度的にこれを打ち立てようという検討はいたしたことないのでございますが、今お話の点もございまするので、さらに考究をしてみたいと思います。ただ、こうなりますると、質屋古物商というものばかりでなしに、警察協力してそうなったというものについては、一般的にそういう制度というものも考えていかなければならぬのじゃないかとも考えまするし、ちょっとお約束はいたしかねますが、よく研究してみたいと思います。
  55. 秋山長造

    秋山長造君 それからもう一つだけ。全部で三万からある質屋ですが、この中で法律違反で許可を取り消されたり、あるいは営業を停止されたりするものがどのくらいあるのですか。
  56. 木村行蔵

    政府委員木村行蔵君) お答えいたします。三十五年の統計でありますが、行政処分として取り消しを受けましたのが、質屋が六軒、それから古物商が百七軒、両方で百十三軒、法律に違反して取り消しを受けております。それから営業の停止を受けましたのが、質屋がやはり三十五年で六十一軒、それから古物商が百六十六軒、合計二百二十七軒に及んでおります。
  57. 小林武治

    委員長小林武治君) 他に御発言なければ、本案に対する質疑はこれにて終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 小林武治

    委員長小林武治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  速記をやめて。   〔速記中止
  59. 小林武治

  60. 小林武治

    委員長小林武治君) 次に、地方税法の一部を改正する法律案議題とし、補足説明を聴取いたします。後藤田税務局長。
  61. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) お手元にお配りいたしてございます要綱に従いまして、細目の御説明を申し上げます。  今回の地方税法改正の要点は、その一が大衆負担、中小企業者の負担の軽減、合理化をはかるということ。その二が、国及び地方団体相互間の税源配分を行なうということ。第三が、税負担の均衡化の推進並びに税制の合理化をはかるということ。第四番目が固定資産の評価制度改正の実施に伴う臨時措置を行なうために、中央及び地方に固定資産評価審議会を設置する等、所要の改正を行なうということ。以上の四点をおもなる改正の内容といたしております。以下、税目について、要綱の順を追って御説明を申し上げます。  まず第一の住民税でございますが、個人の市町村民税。その一が税率の緩和でございます。市町村民税の税率は、地方税法規定する、いわゆる準拠税率というものによりまして、市町村が条例で定めることにいたしておるのでございますが、現在の準拠税率は、市町村民税の自主性確保という見地から、三十六年の所得税率の改正の際、所得税との関連を遮断をいたしております。そうして昭和三十五年に適用せられました所得税の税率の二〇%、こういうことになっておるのでございます。しかしながら、最近の社会経済情勢から見ますというと、市町村民税におきましても、負担の軽減、合理化をはかる必要があると考えられるのでございます。すなわち、わが国の所得分布は、大体百万以下の中所得層に片寄っております。これらの中所得層の負担は、戦前と比べますというと、なお相当重いということが認められるのでございます。そこで、所得税におきましては、軽減措置を本年度も講ずることにいたしておりますが、市町村民税につきましても、税率は所得税に比較いたしますというと、相当低いという事情はございますけれども、現在では、百万以下の中所得の層については、同様に、住民税の所得割負担の軽減措置をはかることが適当である、こういうふうに考えるのでございます。その際に、負担分任を基調といたします市町村民税の性格からいたしますというと、課税最低限の引き上げによる減税よりは、むしろ税率の引き下げということによって、これらの中所得層の負担軽減措置をはかることが適当であると考えるのでございます。このような趣旨から、昨年の所得税改正に対応いたしまして、年所得七十万以下の所得層について、要綱記載のとおりに、税率の軽減をはかったのでございます。  ただ、この税率軽減の改正規定の適用は、住民税が前年所得に対する課税であるという建前から、三十八年度から実施と、こういうことにいたしております。  次が、扶養親族の税額控除の標準額の法定の問題でございます。現行のただし書き方式におきましては、課税所得金額の算定上、扶養控除を行なわないで、市町村の実態に応じて条例の定めるところによって、扶養親族の数に応ずる税額控除を行なうことにいたしております。したがって、扶養税額控除は、本文方式における扶養控除に対応するものでございますが、その税額控除の実態は、市町村ごとにまちまちに相なっております。大多数の市町村におきましては、おおむね扶養親族一人について三百円から四百円前後の税額控除になっております。全国平均の実績では、一人当たり三百二十円程度となっております。これを本文方式におけるいわゆる所得控除の扶養控除と比較いたしてみますというと、きわめて低い額であると言わなければなりません。  ただし書き方式におきまして、このような税額控除の方式を認められておりますのは、申すまでもなく、財政実態からやむを得ないものと認められるからにほかなりませんが、その結果として、本文方式とただし書き方式との間におきましては、負担の著しい不均衡を生じております。また、ただし書き方式採用市町村相互間においても、この金額が条例に白紙委任になっておるという観点から、非常な格差を生じておる実情にございますので、これらの不均衡をできるだけ是正をして、ただし書き方式における扶養税額控除につきまして、昭和三十七年度から標準控除額を六百円ということに法定をすることが、この際、適当である、こういうふうに考えたのでございます。この額は、本文方式における二人目以下の扶養控除額と所得控除の際の扶養控除額と比べますというと、大体七割見当になるのでございます。また、これに伴いまして、いわゆる家業専従者につきましても、その税額控除の額が扶養控除税額をこえなければならないということになっております関係上、扶養親族の税額控除額が引き上げられることに伴いまして、家業専従者に対する税額控除も引き上げられることになるのでございます。  次は、個人の住民税の問題でございますが、まず、障害者等の非課税範囲の拡張の問題でございます。障害者、未成年者、老年者または募婦につきましては、これらの者の社会的弱者の立場であるという点を考慮いたしまして、住民税におきましては、一定所得までの者は非課税になっております。昨年の改正の際に、これを十三万から十五万に非課税の範囲を拡充いたしたのでございますが、その後の一級地における生活扶助費の基準額が引き上げられたこと等を勘案いたしまして、この際、昭和三十七年度から非課税の範囲を十八万円までに拡充をしようとするものでございます。  その次に、税額控除の引き上げでございますが、障害者、老年者、寡婦または勤労学生に対しましては、道府県民税におきましては、現在四百円の税額控除をいたしておりますが、市町村民税における税額控除の額と一致をさせまして、税額控除の結果、市町村民税の所得割額を納めなくとも済む者は、道府県民税の所得割額の納付義務がなくなるというようにしたいということで、これを千円に引き上げておるのでございます。  次が、配当控除の問題でございますが、住民税における、配当控除は、従来、道府県と第一課税方式採用市町村のみが行なっておりましたが、昨年の地方税法改正の際には、国税における配当控除につきましても、最終結論が出されておりませんでしたので、この問題は留保いたしておったのでございます。ところが、さしあたって、明年度以降の住民税において、現状のままで置いておきますというと、配当控除を行なわないということになります。そういたしますというと、従来、配当控除を行なっておりました住民負担に相当な変動を来たすことになりますので、昭和三十七年度におきましては、とりあえず道府県及び本文方式採用市町村の住民税において、従来どおり配当控除を行なうこととし、道府県民税におきましては、配当所得の金額の百分の一・六、本文方式採用市町村におきましては百分の四に相当する金額を配当控除することといたしておるのでございます。   —————————————
  62. 小林武治

    委員長小林武治君) それでは、都合により、ただいまの説明を中断いたしまして、再び、質屋営業法及び古物営業法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより討論に入ります。  御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 小林武治

    委員長小林武治君) 御異議ないものと認めます。  これより採決に入ります。  質屋営業法及び古物営業法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  64. 小林武治

    委員長小林武治君) 全会一致でございます。よって本案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 小林武治

    委員長小林武治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。   —————————————
  66. 小林武治

    委員長小林武治君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止
  67. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記を始めて。  税務局長の説明を継続いたします。
  68. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) なお、昭和三十八年度以降は、国税におきまして配当軽減の措置に伴う配当控除の割合が二〇%から一五%に縮小されます。そこで同様の割合で住民税の配当控除につきましても控除率の縮小を行なうことといたしまして、道府県民税におきましては配当所得の百分の一・二、本文方式採用市町村民税にあっては百分の三に相当する額を控除することといたしております。  次が事業税でございますが、まず個人事業税でございます。税率につきまして法人事業税と合わせて中小企業者の税負担の軽減をはかるために税率の引き下げを行なおうといたしておるのでございます。その引き下げの割合は要綱記載のとおりでございます。  次が、譲渡損失の控除の問題でございますが、個人事業者がたとえば三輪の小型自動車のような専業用の資産を他に譲渡した場合の損失につきましては、所得税におきましては事業所得の計算としてではなくして、やはりいわゆる譲渡所得の計算上考慮されることになっております。個人事業税の場合の所得計算は、原則として所得税の計算の例によることとされておりますために、現行法のままでは個人事業税の所得計算上考慮されない結果になるのでございます。しかし、事業経営ときわめて密接な関係がございまするので、特に今回専業所得の計算上の控除として取り合わせて軽減を行なおうといたすものでございます。  第二が法人事業税でございますが、まず税率につきましては、中小企業者の税負担の軽減をはかるために、中小法人に適用されるいわゆる軽減税率につきましてその引き下げを行ないますとともに、現在の段階税率が四段階で、やや事業税の性格から見ていかがかと思われますので、これの整理をいたそうとするものでございます。で、所得百万円以下、所得百万円超二百万円まで、いま一つは二百万円超の三段階に税率の整理をして簡素化をはかっておるのでございます。その税率の軽減並びに整理の状況はお手元の要綱に記載のとおりでございます。なお、この軽減等の整理は普通法人及び特別法人ともに行なっておるのでございます。  次が、三以上の都道府県にわたって事務所、事業所等を設けて事業を行なういわゆる分割法人で、資本または出資金額が五百万円以上のものにつきましては、軽減税率を適用しないで、いわゆる基本税率の一二%一本の税率を適用いたしておりますが、中小法人の負担軽減のためにこれを今回は資本または出資の金額一千万円以上のものに限ることとして、五百万円以上一千万円未満の法人に対しては軽減税率を適用しようとするものでございます。  次が分割基準の問題でございますが、分割法人の課税標準を分割するための分割基準は、本来分割法人の各都道府県における専業活動の規模を的確に表現するものでありますと同時に、納税者及び徴税機関等に客観的でかつ簡易のものであることが必要とされておるのでございます。現在一般の法人につきましては、事務所、事業所の事業者のなまの数をもって分割基準にいたしておるのでございますが、最近の企業経営の近代化、合理化に伴いましてその改善について検討を続けてきたのでございます。今回納税者が申告する際の事務的な負担、これらの面をも考慮いたしまして、最近の事業活動のあり方に即応いたしますように、資本金一億円以上の製造業を行なう法人に限ってその本社の従業者の数を二分の一として計算するように改めまして、いわゆる税源帰属の適正化をはかって、大府県から小府県に税源が移動するというような措置を講じたのでございます。  次が外国法人等の課税等についての整備の問題でございますが、外国法人または外国人で事業を行なう者の範囲につきましては、従来は事務所、事業所を有するものとして参ったのでございますが、最近のわが国と諸外国との間に締結をせられます祖税条約その他の国際慣行に従いまして、国税でもその範囲を明確化いたしておるのでございますが、それに対応して地方税におきましても国際慣行上用いられるいわゆる恒久的施設を政令で定めて、外国法人または外国人の事務所、事業所の範囲を明確にしようとするものでございます。個人または法人が外国で納付した所得税または法人税及び住民税に相当する額のうち、所得額または法人税額から控除することができなかった額がありますときには、政令で定める手続によって、外国源泉がある所得住民税の所得割額または法人税割額に相当する額を限度として、住民税の所得割額または法人税側額から控除をしようとする改正をいたしておるのでございます。なお、この控除は、まず道府県民税の所得割額または法人税割額から控除をして、控除し切れない場合は、次いで市町村民税の所得割額または法人税割額から順次控除をするということにいたしております。  次が不動産取得税でございますが、まず用途による非課税でございます。学校法人が設置をいたします寄宿舎並びに民法法人、宗教法人、社会福祉法人の設置する幼稚園は、教育上の緊要性にかんがみまして今回非課税にいたしておるのでございます。  次が中小企業集団化のための不動産取得に対する納税義務の免除の問題でございますが、中小企業の工場を集団化することによって、いわゆる企業の経営合理化をはかろうとする国の政策に地方税制の上でも協力をするという観点から事業協同組合等が集団化の目的で国の助成にかかる不動産を取得をして、当該不動産取得の日から二年以内に組合員に譲渡をした場合には、いわゆる二重課税の現象が起こらないように組合の段階で納税義務を免除しようとするものでございます。  次が過剰入植のための離農跡地取得に対する非難税でございますが、開拓地における農業経営を振興することを目的として過剰入植地対策が行なわれておりますが、それによって離村した農家の跡地を取得いたしました場合には、過剰入植地対策が終了する昭和三十九年三月三十一日までの間に取得した場合には非課税にいたしたいと、こういう改正でございます。  次が公共土地収用等に対する特例でございますが、現在公共事業に不動産を収用され、または譲渡した後一年以内に当該不動藤にかわる不動産を取得した場合、課税の際、取得した不動産価格から被収用不動産価格を差し引く特例を認めておりますが、あらかじめ不動産を取得をしておいて、後に公共事業に収用または譲渡する場合におきましても、事前の場合と事後の場合では事情が異なりませんので、同様の軽減措置を講じようとする改正規定でございます。  次が課税標準の特例でございますが、農林漁業及び中小企業経営の近代化または合理化のために農林漁業協同組合及び中小企業協同組合等の共同の生産、加工施設で国の助成にかかるものの取得につきましては、農林漁業及び中小企業経営の近代化または合理化をはかる国の政策に協力する見地から、これらの課税にあたっては、取得した共同施設の価格から、国の助成にかかる貸付金または国の補助金額を控除することによって負担の軽減をはかろうとするものでございます。  次が農業委員会のあっせんによる農地の交換分合にかかる農地の取得の問題でございますが、この場合には租税特別措置法による登録税の軽減措置に準じて、昭和三十九年三月三十一日までに取得したときに限って、交換分合によって取得した農地の価格から、交換分合によって失った農地の価格を控除して軽減措置を講じようとするものでございます。  その他の規定の整備の問題でございますが、公共専業のために任意に譲渡した不動産と同種の代替不動産を取得した場合においても、現在収用の場合について行なわれておりますと同様に軽減措置を講ずるとともに、現行の被収用不動産の代替取得に対する軽減措置の適用の範囲を、収用または譲渡後、現行一年以内とありますのを、二年以内に拡大をしようとするものでございます。  次が、家屋と一体となって効用を果たしております冷暖房施設を取りつけた場合には、たとえ家屋自体の価格が著しく増加するような場合も、現行法におきましては課税せられないことになっております。しかし、一方において家屋を新築するときに、同時に冷暖房施設を取りつけました場合に、その価格は当然家屋の中に含めて課税されることとなっております。そこで、新築の場合と改築の場合で相当負担の不均衡を来たしておりまするので、付帯設備の取りかえまたは取りつけの場合も改築に含めて課税をしようとするものでございます。ただし、一般表庭に用いられておりますような簡易な、いわゆるルームクーラ等までをこの際課税をするということまでも考えておるものではございません。  次がたばこ消費税でございますが、まず課税標準につきまして、たばこ消費税の地方税としての性格を交えないで、税源帰属の適正化をはかり、かつ毎年のたばこの消費構成の傾向をも織り込むことができますように、たばこ消費税の課税標準を、公社が小売人に対して売り渡した製造たばこの数量に、現在はそれぞれの製造たばこの数量に小売定価を乗じた額になっておりますものを、今回それを全国平均小売価格を乗じた額に改めまして、税源の帰属の適正化をはかろうとするものでございます。この場合における全国平均小売価格は、公社が当該年度の前年中に売り渡した製造たばこの小売定価の総額を、当該売り渡した製造たばこの総本数で除して得た額とし、毎年の平均市価が自動的に改定をせられるようにしようとするものでございます。  次が税率でございますが、国、地方団体間の税源配分の一環として、地方独立税源を充実をいたしますために、税率を道府県たばこ消費税については現行百分の八を百分の九に、市町村たばこ消費税につきましては、現行百分の十一を百分の十二に引き上げようとするものでございます。  次が納期限でございますが、納期限は現在毎月二十五日とありますものを、毎月末日に改めようとするものでございます。  次が娯楽施設利用税でございますが、入場税の改正との均衡を考慮いたしまして、舞踏揚等で利用料金を課税標準とするものの標準税率を現行の百分の十五から百分の十に引き下げようとするものでございます。  次が料理飲食等消費税でございますが、税率のまず適用区分の問題でございます。現行の規定では、場所によって税率の適用区分をしておりますが、これを今回廃止をいたしまして、遊興飲食等の消費金額によって税率適用区分をきめることにし、一人一回の消費金額が三十円をこえるものに対しては一五%、それ以下のものに対しては一〇%に改正をするものでございます。  次が旅館の宿泊の場合の問題でございますが、一泊につき二食までの料金を含めた宿泊料金につきましては、現行の税負担を考慮いたしまして、宿泊分は現行どおり一〇%に据え置いております。  ただ旅館における課税標準の特例につきましては、最近の物価の上昇等をも考慮いたしまして、現行五百円を八百円に引き上げて負担の軽減をはかっておるのでございます。  次が納期限でございますが、納期限は現在条例で定める期日となっておりまして、おおむね各県の状況は翌月の十五日のようでございますが、飲食業界の売掛金の回収状況等から見まして、納期限を翌月末日に法定をいたしております。  次が自動車税でございますが、最近の小型上乗用車の発展に伴い、価格、性能等で著しく差が認められるものが増加をいたして参りましたので、総排気量による区分により車種間の均衡をはかるため、小型乗用車の税率について合理化をはかっておるのでございます。従来一本の税率でございましたものを排気量によって三段階にし、現行の税率を、一番大きな千五百CCないし二千CCの段階に合わせて、以下、それ以下のものについて若干の軽減をいたしておるのでございます。  次が固定資産税でございますが、まず非課税範囲の問題でございます。その一が最近におきます路面交通の混雑のために地方鉄軌道の都心への乗り入れに際して都市計画上の要請から地下トンネルによりますことを余儀なくされている現状にかんがみ、地方鉄道業者または軌道経営者が都市計画区域のうち政令で定める市街地の区域において直接その事業の用に供するトンネルで、昭和三十五年一月二日以後に建設せられたものを、帝都高速度交通営団のトンネルと同様に非課税とするものといたしておるのであります。  次が火薬類の製造業者、販売業者または火薬庫の設置者が公共の危害防止のために火薬類取締法の規定による許可の条件として設置が義務づけられております土堤、簡易土堤及び防爆壁等について、最近の住宅地域の膨張、爆発事故の実情等からこれらの施設基準が順次厳格化されてきております状況にございまするので、これらの公共危害防止のために設けられる土堤、簡易土堤及び防爆壁等についてはこの際非課税にする措置をとったのでございます。  次が道路の交通量の増大によりまして、地方鉄軌道における踏切道及び踏切保安装置の整備が強く要請せられますとともに、それの果たす役割がますます重要となって参っておりますので、地方鉄道業者または軌道経営者が公共の危害防止のために設置する踏切道及び踏切保安装置はこの際非課税にいたしたのでございます。  次が学校生徒の寄宿舎の問題でございますが、学校法人がその設置する寄宿舎の用に供する固定資産を非課税にいたしますとともに、また、学校法人の設置する幼稚園についてだけ認められております非課税を、幼稚園の性格上、民法法人、宗教法人または社会福祉法人が設置するものについても同様な取り扱いをすることにいたしております。  次が課税標準の特例でございますが、まず鉱工業技術研究組合法第十四条の承認を受けました試験研究用の機械装置は、その性格におきまして、企業合理化促進法第四条の試験研究用機械設備と同様でありまして、国税におきましても特別償却の措置がとられておりますので、すでに規定されている企業合理化促進法の機械設備と同様に、これらの機械装置に対して、新たに固定資産税が課せられることとなった年度から三年度分の固定資産税に限り、その固定資産税は価格の二分の一にいたして軽減をはかっておるのでございます。この組合はいわゆる中小企業者関係が利用しておる試験研究機関でございます。  次が国内路線を運航する航空機に対して課する固定資産税の課税標準でございますが、航空運送事業の開始当時における経営の困難を考慮いたしまして特例措置を現在講じておるのでございますが、最近における航空機の進歩、これに伴う価格の上昇、機数の増加等の要請等の事情を考慮いたしまして、地方鉄軌道、船舶等の特例措置との均衡をとりながら、航空機に対して固定資産税が課せられることとなった年度から最初の三年度分の固定資産税につきましてはその価格の三分の一の額、その後の三年度分の固定資産税についてはその価格の三分の三の額として、昭和三十二年一月一日以後に固定資産税課税台帳に登録されたものについて、昭和三十七年度分の固定資産税から適用することにいたしております。つまり、従来は事業開始後としましたものを、それぞれの航空機ごとに軽減措置を講ずるということに改めたものでございます。  次が、路面交通の渋滞を改善いたしますために、踏切道改良促進法第四条の立体交差化計画に基づいて新たに建設せられた立体交差施設は、本来道路管理者の負担すべき部分と、地方鉄軌道業者の負担すべき部分とがあるわけでございますが、その施設が地方鉄軌道業者の所有となるものである限り、その建設費全額が課税標準となるものでございますが、これらの立体交差施設の持つ公共性にかんがみまして、立体交差施設のうち、線路設備、停車場設備及び電路設備に課する固定資産税の課税標準は、当該線路設備等の価格から当該立体交差施設の建設費用中に占める道路管理者の負担した額の割合に相当する額を控除した額にしようとするものでございます。つまり、道路管理者の負担部分の割合だけは課税をしないと、こういうことでございます。  次が、農業近代化資金助成法、農林漁業金融公庫法もしくは開拓者資金融資法によって資金の貸付または国の計画に基づく政府の補助を受けて、農業協同組合、漁業協同組合等が農林漁業経営の近代化及び合理化のために新設した農林漁業者の共同利用の用に供する機械その他の設備は、いわば企業合理化促進法の機械設備等と同じような性格を持つものと考えられまするので、国税において租税特別措置法の規定によって特別償却が認められております共同利用施設の用に供する機械設備の範囲内において、それらの機械設備に対して課する固定資産税の課税標準は、当該機械設備等に対して新たに固定資産税が課されることとなりました年度から三年度分の固定資産税に限ってその価格の二分の一の額とし、昭和三十六年一月二日以後において新設されたものから適用することにいたしております。これと同じような趣旨で、中小企業振興資金助成法による資金の貸付を受けて、中小企業協同組合等が中小企業の経営近代化または合理化のために新設した組合員の共同利用の用に供する機械設備等に対しても、同様の措置を講じております。  次が、新設大規模償却資産に対して課する固定資産税の問題でございますが、これは、工場等の誘致に伴う市町村の財政支出の増高を考慮いたしまして、在来の大規模償却資産に比し、新設の当初五年間に限って、その課税限度額を相当引き上げる措置をとってきたのでございますが、これらの市町村における財政需要の現状にかんがみまして、特例期間を一年間延長して、新設後六年の間特別措置を講ずることにいたしております。これは県と市町村との間の税源の配分の問題でございます。  次が、改正評価制度の実施準備の問題でございますが、固定資産の評価において、資産間及び市町村間及び国税、地方税間相互にそれぞれ不均衡がございまするので、これを是正するために、固定資産評価制度調査会を設けて、審議をいたしておったのでございますが、さきに答申があり、これにのっとりまして、おおむね昭和三十九年度を目途として評価方式を改善し、適正な評価を実施して不均衡是正の措置をとる方針でございますが、さしあたり昭和三十七年度におきましては、改正評価制度の実施準備のために、自治大臣は固定資産評価基準を定めるものとし、知事または市町村長は当該固定資産評価基準によって固定資産の価格を決定しなければならない旨の規定を設けますとともに、改正評価制度の実施にあたって、改正評価基準の内容またはその実施の細目について、自治大臣または都道府県知事の諮問に応ずるために、昭和三十七年度から自治省に中央固定資産評価審議会を置くことといたしております。  なお、評価の実施に伴ないまして、評価額が上昇をいたしますというと、税負担の調整を当然行なわなければなりません。その点につきましては、評価実施後の結果を待って、税率の引き下げまたは課税標準の特例を置くなどの措置を講ずるつもりでございますが、これらの点については、評価の結果を待ちまして、あらためて国会の御審議をわずらわすことに相なる予定でございます。  次が、電気ガス税でございますが、まず非課税の範囲でございます。税制調査会の答申にのっとりまして、非課税品目の整理合理化を行ない、新たにパルプ、レーヨン等十六品目を追加をいたますとともに、現行非課税品目のうち、塩化ビニリデン系繊維、塩化ビニリデン・塩化ビニール共重合物の二品目を削除いたしております。この場合におきまして、新たに追加せられました十六品目のうち、アクリル酸エステル以下の八品目並びに現行非課税品目のうちの弗素樹脂及び高純度シリコンの二品目、計十品目は、新規産業にかかるものとして、三年間の期限を新たに付したのでございます。  次が、いわゆる公衆街路灯の問題でございますが、これにつきましては、その性格にかんがみまして、電気料金自体におきましても、逐次割引制度がとられておる気運にございまするので、電気供給規程における料金割引の適用を受ける公衆街路灯に使用する電気に対しましては、電気ガス税は課さないということにいたしたのでございます。  次が、離島、僻地等未点灯地域につきましては、電力会社のコストの関係から配電計画には乗らない。そのために、農山漁村電気導入促進法の規定によって、農林漁業団体が国の補助を受けて一定の部落等に配電をいたしておるのでございますが、この場合は、電力会社からこれらの団体が一括受電をいたしまして、団体から組合員に供給することにいたしております。そのために、そのコストが非常に高くて、組合員は電力会社の料金に比して二倍以上の負担となっておるものが少なくございませんので、このような事情を考慮して、これらの農林漁業団体が使用する電気のうち、当該農林漁業団体が当該団体を組織するものに供給するものに対しましては、電気ガス税は課さないということにいたしたのでございます。  なお、これらの非課税に関する規定の適用の時期でございますが、昭和三十七年六月一日以後の分から適用することにいたしております。つまり、非課税範囲の確認の準備事務が必要でございまするので、さようにいたしておるのでございます。つまり、買電の分については五月分からということになります。自家発の場合には六月分から、こういうことでございます。  次が、税率の問題でございますが、税制調査会の答申もございまして、大衆負担の軽減をはかりますために、電気ガス税の負担の軽減をはかるという観点から、税率を現行百分の十から百分の九に引き下げておるのでございます。なお、税率の引き下げについては、四月行為分から適用することになりますように、昭和三十七年五月一日以後の検針分から適用をいたしておるのでございます。  次が、鉱産税でございますが、鉱産税につきましては、税の性格上軽減税率を設けることはいかがかと考えられたのでございますが、もともとこの税は、採掘部門と製練部門と分けて、掘採部門について所在市町村の税になっておる関係上、いわゆる事業税と同じ筋合いのものでございます。そこで、先ほど御説明申しましたように、事業税について中小企業者の税負担の軽減をはかったのに対応して、やはり税の性格上、多少問題はございまするけれども、納税者の負担軽減、事業税との負担の均衡というような観点から、今回鉱産税の税率の引き下げをして、一カ月の売上金額二百万円以下のものにつきましては、現行百分の一の基本税率を、百分の〇・七ということに改めているのでございます。  次が、木材引取税でございますが、素材の引き取り場所が市町村によって区々になっておりますために、駅土場価格によるもの及び山元土場価格によるもの、いろいろございまして、市町村間においては必ずしも負担の均衡が保持されていないうらみがございましたので、この際木材引取税の課税標準となる価格は山元土場の価格をいうものであるというふうに法定をいたしたのでございます。なお、これを契機に、私どもとしては、賦課徴収の問題について、いろいろこの税率について論議がございまするので、これらの改善、指導の措置を加えなければならないというふうに考えているのでございます。  次が、軽油引取税でございますが、軽油引取税の納期限を翌月末日に改めております。これは、石油製品の販売業の取引の実態及び揮発油税の納期限が翌月末日とされていること等にかんがみまして、これを延長することにいたしたのでございます。  次に、農業または林業を営む者が農耕用の機械等に使用する軽油につきましては、現在免税になっていることにかんがみまして、これらのものに類する農地の造成等を営む者についても免税にしようとするものでございます。  次が、国民健康保険税でございます。国民健康保険事業に対する住民負担の現状にかんがみまして、昭和三十七年度においてその療養の給付費に対する国庫補助金の額が、七十九億円支出をして、二〇%補助が、二五%補助に引き上がっております。これに伴いまして、標準課税総額を、療養の給付及び療養費の総額から一部患者負担金の額を控除した額の、現行百分の九十を百分の八十に引き下げているのでございます。  次が、その他の問題でございますが、その他所得税、法人税等におきまする税制の整備に対応して、所要の規定の整備、合理化を行なう等、規定の整備をはかっているのでございます。  次に、施行期日でございますが、施行期日につきましては、先ほど申しましたように、市町村民税の所得割の税率緩和措置が三十八年度でございますが、それ以外はすべて三十七年度から実施ということに相なっているのでございます。  次が、入場譲与税でございますが、所得税の収入の一部を道府県民税の収入として委譲を受け、別途所得税法の一部を改正する法律において、道府県民税所得割の税率の改正を行なうことといたしておりますが、これによる道府県の自主独立財源が充実されるのに対応いたしまして、入場譲与税制度昭和三十六年度限り廃止をしようとするものでございます。  なお、道府県民税の関係改正でございますが、これは別途所得税法の一部を改正する法律とあわせて改正をいたしておりまするので、これはあわせて御説明してよろしゅうございましょうか。
  69. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記をとめて。   〔速記中止
  70. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記始めて。本案質疑は次回に譲ります。  午前はこの程度といたしまして、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時十六分休憩    ————・————    午後二時一分開会
  71. 小林武治

    委員長小林武治君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。  住居表示に関する法律案議題といたします。  御質疑のある方は御発言願います。  速記をやめて。   〔速記中止
  72. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記を始めて。  それでは、行政局長から本案に対する細目の説明を求めます。
  73. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) この法案を御審議いただくに至りました事情につきまして、簡単に御説明を申し上げておきます。  御承知のように、市街地におきまする町名地番が非常に混乱をしておって、日常生活あるいは行政の執行等につきまして非常な不便を与えておる。そこで、何とかこれを合理的なものに改革をする必要があるのではないかという一般の声もございますので、政府といたしましても、これを取り上げることにいたしまして、町名地番制度審議会という審議会を設けまして、その審議会に諮問をいたしておったのでございます。その答申が、お手元にお配りいたしてございます審議会の答申資料でごらんいただきとうございますが、昨年の十一月の二十七日に内閣総理大臣あてに出されたのでございます。  この答申の考え方は、従来の地番制度というものを住居表示に使うことは適当ではない、それにかわって新しい方法で住居の表示の制度考えることが適当である、一口に申しますとそういうことに相なっております。それで、従来の地番というものがどうして適当でないかと申しますと、この答申の六——六ページでございますが、ここに従来の地番というものを住居表示に使います場合の欠点が書いてございます。  従来の地番と申しますのは、不動産登記上土地を特定いたしますために不動産につけておりますいわば財産番号でございます。そこで、この(1)で申しておりますのは、一筆の土地の大きさ、形状というものが、その財産によりましてきまって参っておりますので、その人の住所というものとは必然的に何にも関連性を有していない。でございますから、一筆の土地でも、非常に広い何千坪というような土地がありましても、その所有者が一人でございますれば、地番は一つだけしかつかないことになるわけでございます。  それから二番目に申しておりますのは、その一筆の土地の境界なり所在というものが、これは目で見まして、どこからどこまでが何番の土地だということを見きわめることが困難であるということでございます。  それから三番目には、土地の分筆とか合筆とかいうものが、土地所有者の自由にまかされておりますために、非常に売買が何回も行なわれますと、枝番号というものがついて参ったりいたしまするし、それからその所有者の関係で非常に飛んだ番号ができてくるというような不便があるということでございます。  それから四番目に書いてございますのは、地番区域というものが、市、区、町、村の区域で定められておりますので、市区町村の全区域で地番区域にいたしております場合には、非常にけた数の多い番号ができてきて、これも不便である。  それから五番目に申しておまりすのは、国有地などの場合には不動産登記上の必要がございませんから、土地売買の必要がございませんから、番地がつかない、無番地だというような場合が出てきておるということでございます。  それから、もしこの地番によりまして整理をするということになりますと、六番目に申しておりますのは、一筆ごとの実測、権利関係の確認とか、調整等、非常に複雑な手続と多くの時日と経費とを要する。  こういうことからいたしまして、従来の地番というものは、もともと、先刻申しましたように、不動産を特定する不動産の財産番号だけでありますから、それを日常生活の住居の表示に使うということがそもそも無理があるのだ、こういうようなことになりまして、そういう考え方に立ちまして、この答申で申しておりますのは、一つは街画方式、法律では街区方式とやさしく申しましたが、それと道路方式、その二つの新しい方式を述べておるのでございます。それで、街画方式と申しますのは、六——十一ページでございますが、町、字という区域を、さらに公道——大きな道路なり、あるいは河川、運河、水路、鉄道というような、比較的恒久的な施設あるいは著名な地物によりまして一つの街画を画しまして、その中で一定の順序によって番号を付していく。それから道路方式は、道路をもとにいたしまして、その道路の両側に並んでいる家屋に順次番号を付していく。こういう二つの方式のいずれかによることがいいということをいわれておるのでございます。  この二つの方式を、お手元にお配りいたしました図面につきましてどういうふうになるかということを申し上げますと、この図面の街区方式というのがございますが、これは東京都のある個所のある部分を引き出してきたものでございますが、ここに現在の地番がそのまま書いてございますが、その番号の順序を上の白い紙で線で示してございますのは、番号の順序をずっと追っていきますと、こういうような線になるわけでございまして、住居を探すというようなことになりますと、どこからどこへ番地が飛んでいるか、非常に探しにくいというような状況になっておるわけでございます。これを、その下の図でございますが、新しい住居表示の街区方式によります場合には、下の図の白紙に書いてございますように、この場合でございますと、大きな道路によりまして一つの街区を作りまして、その街区の中で、たとえば一番左の下の三角になっております街区でございますというと、一番左のほうから一、二、三、四、五、六ということで、ずっと番号をふって参るわけでございます。右回りにいたしましたのは、右側通行でありますから、このほうが便宜であろうということでこういたしたわけでございます。それから、道路から中に入っておりますところのものは、その入り口のところがその道路のところの何番ということになるかによってその番号を付していく、こういうやり方をいたそうということでございます。  それから、いま一つのほうは、道路方式でございますが、これも東京都のある所をもとにいたしたようでございますが、これも一番上の紙は、現在の地番の順序に線を引いたものでございます。これを、新しい道路方式によります場合には、下の図のように、道路を起点といたしまして、その術側に番号をふっていく。この図で申しますと、一番下の左のほうに赤まるが道路のまん中についてございますが、その赤まるを起点といたしまして、左右に一、二、三、四ということで番号をふっていく。何々道路の何番、こういうことになるわけでございます。現状に対しましてどういうふうに改めようとしているかということは、ごく簡単でございますが、以上申し上げたようなことでございます。これを実施するにつきましてのいろいろな手続なり必要事項を法律案には規定をいたしたのでございます。
  74. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 少し聞かしていただきたいと思いますが、こういう法律案が提案されてみると、どうして今までやらなかったのだろうか、こういう感じがするのですが、最近問題になっている交通の問題もしかりだと思うのです。いずれも、手おくれと申しますか、そういう感じがするのですが、それでも、おそくなっても、こういうことをお考えになって法律案として出されるということは、非常に適切だと思うのですよ。日本のように、こんなにおもちゃ箱をひっくり返したような町になると、混雑をきわめ、非能率な実情にあるので、外国の先進都市等、それぞれ行政部のしかるべき人が数多く視察等なさって、いろいろと知識を持たれておったであろうに、今までこういう問題が審議、調査の対象とならなかった理由はどういうところにあるでしょうか。
  75. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) これは、いろいろな理由があったかと思いますが、一つは、従来の地番というものを整理することによって何とかもっと便利なものにできないだろうかという工夫を当初はいたしたわけでございます。ところが、地番の整理という方法でやってみますというと、なかなか、先ほど申しましたようなことで、いろいろな隘路にぶつかりまして、そこでやっとこういう方式をやったほうがいいということに踏み切りをつけたわけでございます。それで、地番ということになりますというと、政府の部内で申しますと、これは法務省の所管になっておりまするし、まあ今度こういうような住居表示ということになりますと、自治省あたりが中心になって考えるということにもなりまするし、その辺の役所間の連絡などについても、従来あるいは若干意思の疎通を欠いているというような点もあったかとも思うのでございます。どういう理由かということをお尋ねでございますが、そのほかいろいろあったかと思いますが、ちょっと念頭にございますことを申し上げますと、そんなようなことでございます。
  76. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は、なぜこういうことを伺うかと申しますと、やはり一事は万事に通ずると思うのですそういう意味で私はあえてお伺いしたわけですけれども、地番を整理して住居表示の能率化に資するなんというのは、そのこと自体考えが間違っているでしょうね。答申等を読んでみましても、地番の由来からいって、それを何とか整理して、抵抗があるだろうが云々という、そういう考え方が間違っているのですね。そんな点でもたもたしておったということは、どこが一番責任が知らぬけれども、優秀なる公僕としては、あまり高く評価できないのじゃないかと思うのです。一事が万事ですから、私はあえて冒頭に失礼だけれどもそういう質問をしたわけです。  そこで、大ざっぱに伺いますが、答申を見ても、関係各省庁の協力が必要だとか、住民の理解を要するとかいうことが書かれていますが、これをやると、国民の日常生活、産業活動、行政事務の能率向上等、これは目に見えないたいへんな利益が、効率が上がってくると思うのですが、この法案では、おそくとも四十二年三月三十一日までというように提案されていますが、まずやるという場合には、どういう方面の抵抗が、一番強く困難性を予想される点はどういう点ですか。
  77. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 困難性を予想されると申しますか、この新しい住居表示制度の趣旨をよく関係者に理解をしていただく。理解ができますれば、これはさしたる困難なく、スムーズに進行するのじゃなかろうか。今のところまだ私ども一般への啓蒙なり周知なりについては、まだほんの手をつけかけたところでございまするので、これが十分徹底をいたしますれば、案外円滑にいくのではなかろうか、こんなふうに考えております。
  78. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その区域を街区方式と言うのですか、それをやる場合に、区域をきめるとか、名前をつけるとかという場合に、それぞれ地域の人とか、住民個人々々でいろいろの要望とかがあって、もたつく場合があるのではないかと思うのですが、そういう場合の調整をするとか、まとめていくというのはどなたがやる、どういう機関でやられるのでございますか。
  79. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) それは、この法律では市町村にやってもらうという建前にいたしております。それで市町村で、自分の町の市街地でどの範囲を対象にして実施をするか、それからその区域で街区方式でいくか、あるいは道路方式でいくかということは議会の議決を経てきめるということにいたしております。あとはこの法律には書いてございませんが、私どもの指導としては、その市町村で審議会のようなものを作りまして、そこに関係住民の意向も十分反映するし、また市町村の中の有識者にも入ってもらって、そこでよくお互いに練って案を作ってもらう、こういうような指導をいたすつもりでおります。
  80. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私が伺いたかったのはその点なんですがね、農地改革のときでもそうですしね、旧来の慣習、制度をある程度破って新しい試みをするという場合にはそういう抵抗のあるものですがね、非能率になるわけですね。それで審議会とか調査会とかというようなものを法文の中にうたってあるのじゃないかと思ったのですが、うたってないのですね。こういうものを法文化の場合に入れるとか入れないということは協議なさらなかったのですか。ただ、今御答弁のように、指導の面で円滑にやるためにそういう審議会なり調査会なりを市町村条例でも作ってやるのが適当であろう、こういうような指導をされば、もう法律案の中には条章を立てる必要はないというふうなお考えに立たれたわけですか。その辺のところはどうですか。
  81. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 立案の過程におきましては、市町村にそういう審議会を置くということを書いたらどうかということも考えたのでございますが、ただ、これは本来市町村が自分のところの便利なようにいたしますため自発的にやるべき仕事でございますので、そのやり方などにつきましては、あまり法律でぎしぎし書くのもどうであろうかということで、当初検討いたしました案より、だいぶ法文全体を簡略にいたしまして、あとは市町村がそれぞれ自分のところで最善と思う方法でひとつやって、実情に適したようにやってもらおう。ただ、それにつきましても、ある程度の基準というものを中央のほうで自治大臣が示す必要はこれはあるだろうということで、街区方式と道路方式とどちらを用いたらいいかという一つの判断の基準でありますとか、あるいはそれを実施する場合の番号のつけ方の要領でありますとか、いろいろな技術的な基準というものは自治大臣が示すということにする。しかも自治大臣がそれを示します場合にも、ただ役所の役人の一方的な感覚だけでもいかがであろうかということで、そういうことを御審議いただくために、自治省に住居表示審議会というものを作って、この審議会で御検討いただいた技術的な基準を自治大臣が市町村に流す。市町村では、それぞれ指導といたしましては、そうしたものを、審議会を作ったほうがいいという指導をいたすつもりでございますが、まあ、その審議会の構成なりやり方なりといったようなものについても、これは市町村の自主的な考えにまかしてやったらどうだろうか、中央の審議会だけは法律にきちんとしておこう、こういうような考え方で最終的には案をきめたような次第でございます。
  82. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 五年計画で完了するまでに総予算額としてどの程度必要だと予想されておられるか。またその中で、予算の範囲内で国が補助するというのですが、何制程度国が補助をして、そうしてあと地方団体の負担で完成させようと今のところお考えになっておられますか。
  83. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 五年間全体といたしましてどのくらい国から補助をするかということは、現在まだそこまで数字を出してございませんが、一応五年間に実施すべき地域は十八億坪くらいを予定をいたしております。この十八億坪は検討する必要があろうかと思いますが、一応昨年各都道府県を通じまして、市街地で新しい住居表示を実施したほうがいいと思われるところがどのくらいかということを調査をいたしました結果、大体そのような数字が出たわけでございます。で、それを実施いたしますについて、一坪当たり大体一円五十銭ということを一応見込んで考えております。そういたしますと、半額程度の補助と考えました場合、大体十五億くらい必要になろうかと思いますが、ただそのうちどの程度国から補助をするかにつきましては、これは今後大蔵省ともいろいろ折衝していかなければならないかと思いますが、さしあたり三十七年度におきましては、全国に一府県一カ所当たりのモデル地区を作り、一市平均いたしまして大体四十万円という予算がついてございます。で、これが一市平均四十万円で、全国で四十六都市分でございますから、それに若干の事務費がつきまして約千八百四十八万の国の予算が三十七年度にはついております。これは少ないようではございますが、この仕事は、本来市町村が自分の仕事としてやっていくべき筋の仕事じゃないか、それに対するいわば奨励的補助金というような性格のものとして初年度それだけを計上いたしたわけでございます。
  84. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記をとめて。    〔速記中止
  85. 小林武治

    委員長小林武治君) それじゃ速記始めて。
  86. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この提案趣旨説明等を拝見しますとね、さっきもちょっと出ていましたが、モデル的に各県に一カ所ずつやると、しかもそれは非常にこの混乱している地域をピック・アップしてやると、こういうふうな説明をされていますがね。そのやる、モデル・ケースとして取り上げるところは、その四十六都道府県の知事か何かに推薦させるのかですね、それとも自分のところをやってみたいと、一カ所当たり四十万円の補助があるからやってみたいという希望都市を募集ですかね、募集してそうしてやるのかですね。その点と、たとえば東京のような場合ですね、これは一千万になんなんとするマンモス都市ですがね、ここもまあ一カ所ということになるのでしょうがね、あの方針からいえば。たとえば、どういうところをピック・アップしてやろうとされるのか。四十六都道府県に、一県に一カ所ずつというのもけっこうだけれども東京みたいな特にひどいところは、そういうところは四、五カ所ぐらいでもね、地方の県よりは特に必要性があるのだから、一カ所でなくて何カ所かモデル・ケースとしてやってみられたらよさそうなものだと思う。何かそういう点に意欲が不十分なものがあるなという感じを受けてならないのですがね、その点お答えいただきたいと思います。
  87. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) これは先生のお話しのとおりに私ども考えております。で、一府県一カ所と申しますのは、予算の積算の基礎がそういうふうにはじき出されておるわけでございますが、この予算を使います場合には、最初は東京とか大都市とかいうところに少しよけい重点を置いてやるように実施の計画は作りたいと思っております。それで、なお、その都市の選定をいたします場合には、もちろん地元のほうの御要望も来ますが、私どもも、今申したようなことで、大都市なり東京なりに重点を置いてやろうと思いますので、あとは、大体こういうところでひとつやってみたいという計画を立てました上で、こちらの案を関係の都道府県にお示しをして、相談をしてきめていくというようなやり方をして参りたいと考えております。
  88. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一点。事務当局ですけれども政府委員に伺っておきたいと思うのですがね。これはいずれこの法が施行されると、どういう形の標識をどういうところに何個ぐらい設けるかとか、あるいは方向指示的なものをどの程度どういうところに置くかというようなことは問題になってくると思うのですよ、具体化してきた場合にね。まあ、それらと、日本の都市にはんらんしている広告物とのまぎらわしさというものも出てくる。その広告物が乱雑であれば効果が少ないと思うのですね。これは交通問題における標識と同様だと思うのですがね。で、まあオリンピックも近づくわけだが、日本のこの都市並びに郊外における広告の現状というものはあまり体裁のいいものではないと思うのですね。パリの都市片面あたりは偉い先人がおって計画されて、現代でも家の高さとか、形とか、あるいは色までも若干のコントロールをし、配慮されているというところにああいう世界に誇るべき観光都市が厳としてあり、また国の観光政策について大きな役割を果たしているわけだ。で、日本も観光資源も非常に豊富であり、観光政策というものは一つの大きな国策として歴代内閣はこれを掲げている。適切な政策だと思うのですがね。それで、まあこういう問題をやるにあたっては、関連して当然そういうことが僕は議論の対象となるべきものと思うのですが、今、何ですかね、その日本の行政機関では、まあパリのまねをしろとは言わないけれども、ああいう都市で管理しコントロールしているような、それに匹敵するような行政機関というものは日本の場合はないでしょうね。そういう点については、何ですか、町の美化、ひいては能率向上というようなものを合わせて、こういう法案を国会に提出するにあたって、そういうものを合わせ政府部内で議論し、討議されたようなことはあるのかないのか。あるいは将来そういうことも早急にやらなければならぬという議論が政府部内で、事務当局間でも行なわれておられるのかどうか。そういうような経過と、政府委員としてのあなたの御見解を承って、きょうの私の質問を終わりたいと思います。
  89. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 実はこの法律案について建設省と話し合いをいたしました際に、建設省のほうから、先生の今御指摘のような都市の美観、あるいはこれを掲示する場合の掲示の要領等についても、建設省のほうの所管としております都市計画との関係も十分考慮してやってもらいたいというふうな意見もございました。私どももごもっともな御意見でございますので、実施の段階におきまして、自治省に設けます住居表示の審議会のメンバーの中には、建設省のその方面関係官にも入ってもらって、そこでお話しのような点もよく相談をしてやろうじゃないか、こういう話し合いになっております。
  90. 増原恵吉

    増原恵吉君 ちょっと今中座をしまして矢嶋さんの質問を聞き漏らして重複するようなところがあるといけませんが、重複があったらば、その意味でお答え願えればけっこうであります。今度の住居表示の仕事はこれはたいへんに重要なことで、なぜ今までこういう大事なものを早くやらなかったかという矢嶋さんの御意見で、私ども同感でありまするが、これを今度円滑に適切に実行するというのには、もちろん一般の人がこの住居表示が適切に行なわれることにその必要と理解とを持っておるとは思いまするけれども、さらにその必要の状況をよく国民に周知徹底をさせるということが必要であるというふうに考えますが、この点について、今まで審議会の状況が若干新聞その他で報道をされておるという程度であるように思うのでありますが、この必要性についての周知徹底について、政府あるいは地方団体として広報について何か手を打っておるかどうか。予算には、今までちょっと見たところでは、三十七年度の予算で整備費に千八百四十八万円ですか、これはしかし大部分が市町村の補助金千七百八十四万円ということのようで、広報のための費用というものはないような感じがいたしますが、そういう点についての配慮はどういうふうにしておられるかということをまず伺いたい。
  91. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 御指摘になりました点は、まことにごもっともなことに存じておるわけでございます。それで三十七年度はさしあたり、先刻も申し上げましたように、モデル地区を作ってそこでこの新しい住居表示を実施をしてみるということでございますので、予算の上におきましては、自治省の予算といたしましては、特別にPRのためのものをとってないのでございますが、実は政府関係機関ともいろいろ御相談をいたしおりまして、郵政省では、相当これは半分以上自分のところのためにもなる仕事であるということで、自分のところでも大いに周知のための措置を講じたいということを申し入れてきております。それからなお民間の団体で、これはまあ市政調査会などが中心になりまして一つの活動をやって参りたいということも伺っておりまするし、そのほか各報道機関からも、これはたいへんいい仕事だから実施の段階になれば自分たちのほうとしてもできるだけ協力をするからということをお申し入れいただいておりますので、法案が成立さしていただきましたならば、そういう関係機関と連絡の会議を持ちまして御指摘になられました点につきましては、できるだけ努力をして参るようにいたしたい、かように考えております。
  92. 増原恵吉

    増原恵吉君 ただいまの御答弁の趣旨は了承をいたします。そういうふうにひとつ御配慮を願いたいと思います。それと関連して十一条に「国及び都道府県の機関並びに公共的団体は、住居表示の実施が円滑に行なわれるよう市町村に協力しなければならない。」という規定が設けられたわけですが、これは広報の関係どもこの中に含まれると思うのですが、この規定で自治省としてはどういうことを具体的に考えておられますかという点をひとつ御説明を願いたい。
  93. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 自治省といたしましては、予算の範囲内で、市町村に対して奨励的な補助金を出していくという点が一つでございます。そのほか、実施の要領につきまして、技術的な指導をいたしていく。それから都道府県につきましても、それぞれ都道府県で、市町村の実施が円滑に行なわれますように協力方を、この法律が通りましたならば、要請をするつもりでおります。  それから公共的団体と申しますと、住宅公団あるいは都市計画関係の団体、区画整理組合等におきまして、それぞれひとつ協力をしてもらう。  それからなお、先ほど申しました郵政省では、具体的に道路の表示、掲示板でございますが、これはひとつ自分のほうが経費を持ってもいいからというようなお申し入れもいただいておりますし、そういうようなことで、ひとつ国も府県も公共的団体も力を合わせてできるだけ協力するようにしていこう、こういうような考え方でございます。
  94. 小林武治

    委員長小林武治君) 安井大臣がおいでになりましたから申し上げますがこの法律案は、これは政治問題ではなくて、事務的にも社会生活上にも非常に重要な法律案で、したがって、ぜひひとつこの問題は事務的に運ぶということよりか、大臣が先頭に立って、実行力を持って実施するということが必要である。そういう趣旨で、大臣または政務次官がぜひおいでになるべき事柄である。こういうふうに思っておりますが、本日の午後は、大臣からも政務次官からも、何ら当委会に連絡がなく、おいでにならぬということは、当委員会としては非常に遺憾に存ずるところであります。これらの点については今後十分注意していただきたい、こういうことを警告申し上げておきます。それで、そういう意味で、私どもは大臣がぜひ先頭に立ってひとつこの仕事を進めていただく。こういう趣旨からも、この委員会は非常に熱心に、ごらんのように、きょうは定足数までそろえて審議をいたしておる。こういう事情まで御了解下さってそうして本案をひとつ十分審議したいと思いますので、注意までに申し上げておきます。
  95. 増原恵吉

    増原恵吉君 今の点わかりました。なるべくしかし具体的にこの円滑実施の協力というものを指導していただくようにしたいと思います。  次は、先ほど矢嶋さんが質問をされたようでありましたが、現在までの町名地番の沿革というようなもの、答弁もあったようですが、現在までの町名地番というものの法律的の性質というものはどういうふうに考えたらいいのか。それで今回行なう住居表示との関係を法律的にはどういうふうに考えるべきものであるかということを説明をしてもらいたい。
  96. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 町名につきましては、地方自治法の二百六十条に規定がございまして、町あるいは字の区域なり名称なりにつきましては、市町村長が市町村の議会の議決を経てこれを定めるということになっております。でございますから、この町名につきましては、この新しい住居表示の方法を用いる場合につきましても、街区方式をとります場合には何市、何町、それから街区の番号をつけるということにいたして、そのままこれを用いることにいたしております。ただ道路方式によります場合には、何市、何通り何番ということになりますから、この町名は用いないことになるわけでございますが、いずれにいたしましても、この町なり字は住宅表示だけの問題ではございませんので、今後ともこの地方自治法の規定によりまして使用していくつもりでおるわけでございます。この法律では、住居表示に街区方式をとります場合に使いますので、従来の字の区域なり名称なりにつきましてもさらに合理化するようにしてもらいたいということで第五条の規定を設けたわけでございます。  それから地番でございますが、地番は不動産登記法の第七十八条に、「土地ノ表示ノ登記ニ於テハ左ノ事項ヲ登記スルコトヲ要ス」ということで、「土地所在ノ郡、市、区、町村及ビ宇」、その次に「地番」というのが書いてございまして、七十九条で、「登記所ハ政令ノ定ムルトコロニ依リ地番区域ヲ定メ土地一筆毎ニ地番ヲ附スルコトヲ要ス」ということで、登記所が地番をつける権限を持つことになっております。それで、この地番はそういうことでございますから、もともと不動産登記上の土地を特定するためのもの、いわば財産番号のようなものでございますから、これはそれとして不動産登記上の財産関係では引き続き地番というものは用いられていくことになるわけでございます。今度新しくこちらでこの法律によって作ります住居表示の方法は、今度は土地の不動産なり権利関係とは関係なく、もっぱら日常生活なり行政上の便宜のために住居表示を用いていく、こういうようなふうに考えております。
  97. 増原恵吉

    増原恵吉君 今の御答弁に関連してあれしますと、今度の住居表示は、地番の関係とは関係なくやるということのように法律はなっておりまするが、住居表示と登記簿上の地番とが一致するような方式で試みに実施をした区域、たとえば東京都の荒川区でそういうことをやったというような話を聞いているんですが、このときの実施の状況とか、そうして今回は地番とは完全に切り離しをするということ等に関連をした御説明を願いたいんですが、荒川区ではどういうやり方を試みにやったのか。
  98. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 荒川区では、従来からの町名地番を、それを合理的にできるだけ整理をしていく。先ほど図面で申しましたように、非常に不規則に飛び飛びになっておりました地番を、一定の順序で順次番号を付するようにつけかえるとか、あるいは非常に町の区域の広いところなり小さいところもありますが、町名のむずかしいところを簡便にするとかいうような方法で実施をされたのであります。それぞれそれなりに非常に御苦心なさって実施をされたのでありますが、非常に手間がかかるし、また経費もかかるというようなことがその実験からも判明をいたしたのでございます。そこで私どもといたしましては、それはそれなりに、整理をされました区域につきましては住居表示上のたいへん便利になっておりますから、その状態はしばらくそのまま使っていただいていいんじゃないだろうかと思っております。ただ、ずっと将来のことを考えますと、またその土地の譲渡が行なわれるというようなことになりますと、一筆の土地が分筆されるとか、枝番号ができるとかいうようなことに、だんだん乱れて参りまするので、将来また適当な時期になれば新らしい方式に切りかえるということもあるいは考えられることもあるのじゃなかろうか。ただ、町名地番についてすでに相当整理をされておりますというと、この新らしい街区方式に切りかえます場合にも、切りかえは非常に容易ではなかろうかというふうに考えております。
  99. 増原恵吉

    増原恵吉君 そうすると、今まで説明をされたところと、ただいまの説明とを総合して考えても、将来とも住居表示と地番との関係を一致させるような考え方、方向の努力はしない、これは全然別のものとして処理するというふうに了解していいわけですか。
  100. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) これはそのようなふうに考えております。
  101. 増原恵吉

    増原恵吉君 現在町名地番の混乱が著しいのは私も身をもって体験しているわけですが、そういう混乱を救うために、自給的に、たとえば東京電力などでは集金地図を自分で金をかけて手間をかけて作っているということでありますが、東京電力で作っている集金地図というふうなものは、まあおそらく街区方式か、道路方式か、そういうふうなものだろうと思うんですが、大体どういうものを作っておったか、説明をしていただきたい。
  102. 大塚惟謙

    説明員(大塚惟謙君) 若干こまかい点がありますので、私から御説明申し上げます。東京電力におきましては、数年前までは戸番、いわゆる各戸に門標をはりつけまして、これがいわゆる自分のところの集金の関係等がございまして、番地が当てにならない関係から一貫番号でやっておりました地区がございます。ところが、これでございますると非常に金がかかり過ぎる、こういう関係に立ち至りまして……。
  103. 増原恵吉

    増原恵吉君 何を一貫番号でやったのですか。
  104. 大塚惟謙

    説明員(大塚惟謙君) 各戸につきまして、各家ごとにつきまして通し番号でやる、こういう状況でございましたのですが、それが非常に金がかかり過ぎる。こういう関係がございまして、街標制度と申します、いわゆる街区の街と門標の標という字でございますが、街標制度というものを考案いたしまして、これは空中写真によりまして市街の原型をとりまして、いわゆる街区、公道で囲まれましたところの各街区、これをひとつとらえまして、これに番号を付しまして、そうしてそれによりまして場所を特定していく。その中の家を各区ごとにとらえる、こういう形で、街標制度と申しますが、こういう形によりまして、いわゆる集金とかあるいは作業をいたします場合に、すぐにかけつけられる。こういうような形の地図を作りましてやっておる。こういう形でございます。
  105. 増原恵吉

    増原恵吉君 今の街標制度、それはそうすると今度やろうという街区方式なり道路方式とは全然関係のないようなものですか。
  106. 大塚惟謙

    説明員(大塚惟謙君) その街区はおおむね今度のいわゆる街区方式でございます。これとまさに一致をいたします。それから前におきますところの、ブロックで地番制でやっておりますところの地区におきましてのいわゆる街区とも一致をいたしまするので、東電におきまして街区方式が適用されれば、そういう地区については地図等ももう作らなくてもいいというふうに審議会でもお述べになっておられます。
  107. 増原恵吉

    増原恵吉君 大臣にお伺いをしたいと思いまするが、先ほどあなたのおられないとき矢嶋委員からも御質問があったのですが、この町名地番の整理というか、考えてみるとたいへん重要な私どもの日常生活に非常に密接に関係のある、しかも非常に複雑な手間のかかる大事業、四十二年三月までに行なうというようなことになっておるのですが、考えようによりましてたいへんに重大な大事な仕事のように思うのであります。内容が比較的、何といいますか、技術的、事務的であるということで、事務当局にまかしておくというふうな考え方ではうまいこといかぬのではないかというような心配があるわけですが、大臣として基本的に打ち込んでこれをやるという御決意をお持ちであると思うが、そのことを明らかにひとつ宣明していただきたいこと。したがって、これはやるのに、たとえば三十七年度は一県一市を選んで実施をされるということでありまするが、その選択はどういうふうな基準でおやりになるか。そうしてそれに関連をしますが、補助金と実際必要額とがうまく合っておるであろうか。補助金単価は坪当たり一円五十銭、その半額を市に補助するということになっておるようですが、補助金などがしっかり必要額に当たる程度にこれがなるのかどうか。その基本として大臣に伺いたいことは、これは相当の決意と覚悟を持ってやっていただかぬと、四十二年三月までにできるということになりにくいおそれはないか。技術的の内応であっても、ひとつその基本的な決意をお伺いをいたしておきます。
  108. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) お話しのとおりでありまして、まず第一に、ちょっと所用のために当委員会へおくれて参りまして、委員長からもおしかりをいただきまして、まことに恐縮に存じます。大いに気をつけるつもりでおります。  なお、この問題につきましては、御説のように、やる事柄は非常に事務的で、じみのような仕事でありますが、都市のあり方というものから考えますと、社会的にも非常に問題が多い制度であろうと思います。今までもかって相当そういった行政機関の事情に明るかったというような人でさえ、この方法について誤解をされまして、大新聞、大雑誌で反対を述べられておったような方もございます。そういったような意味で、かなり社会的な関心を呼ぶものであることは御指摘のとおりであろうと思います。私どもも非常に最初考えまして、初めは、今も御指摘の、たとえば荒川であるとか、どこかでもうすでに事務的に地帯でやっているところはそのまま野放しにしておけばいいじゃないかというようなことも考えてみたのでありますが、実際やっていきますとそうもいかない。しかし、現実にはそうやって一部整理をしているところについては、今直ちに手をつけるというようなことはしないで、もう少し調整期間を待って、今後の実績を見て善処しようというふうに考えております。それからまたすでにそういうことをやりつつある都市にあっては、やはり地番というものが非常に財産権と結びつくというような観念から、この戸番に対する一種の不安感があるのではないかというようなことも感じられるのでありまして、そこらのところも社会的によく徹底をしていかなければならない。ただ、この方法自体は相当慎重な審議会の検討も経ましたし、実際をやっておる向きからのいろいろな聴問もやりまして、実際の意見も徴しております。しかし、実際やり出すとなかなかそういったような意味の反対も出てくるのじゃないかと思いまして、そういったことにつきまして十分徹底し得るように、自治省といたしましても、われわれといたしましても非常に気をつけて扱って、しかも迅速に効果を上げていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。なお、費用につきましては、大体今のところ、あの半額負担というものは文字どおり半額負担でやっていけるであろうというふうに思います。なお、地域的にも、今の、今年の予算額でははなはだこれは軽少でありまして、今のはいわばモデル地区程度の、今年一年は何分最初の都市だからひとつモデル地区程度にやってほしいというようなことで、予算額も非常に少なかったわけでありますが、これはできるだけ、何と申しましても、大都会をなるべく早く手をつけて、混雑しておるところから早く手をつけていくというような趣旨で、一県一市ではありますが、なるべく都会中心にできるだけ能率を上げていきたいというふうに考えておりまして、その過程におきまして、もし問題もあれば、むろんこれは修正も訂正もいたしますが、できるだけ、さらに三十八年度ぐらいは相当な馬力をかけ、今年はそういった社会的ないろいろな影響や誤解も解きながらひとつまず一歩を進めていくというふうに心得えておるわけであります。
  109. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣せっかくおいでになったから一問だけ伺っておきたいと思いますが、大臣非常に御関心をこの法案に持たれているということも確認できたわけですが、それで次の委員会束でに、閣議の機会なりあるいは閣僚懇談会等で検討された結果を持ってきていただきたいと思います。それは先ほど伺ったところが、十五億円でできると言うのですね。十五億円でできると言うのですよ。これはあなたの説明では少なくとも五年以内に完了したいと言うのですね。幾ら予算が要るかと言ったら、十五億円と言うのですね。これははした金ですよ。十五億円、二兆四千億の予算規模からいったら、いろいろやらなければならぬことはあるかもしれないけれども、この住居表示をやれば、これはもう日本の都市は近代都市としての評価というものは上がると思うのですよ。現在は近代都市の形態をなしていないと思うのですよ。だから、十五億円だったら、五年なんかいうことでは全くおかしいと思うのですよ。少なくとも三年ぐらいでやってしかるべきだし、東京都のごときはオリンピックがあるのですから、二年後にオリンピックの行なわれるまでに東京都は完全はやるというくらいの熱意を持っていいんじゃないか。それで、この点所管大臣としてももちろんでありますが、所管大臣だけのお考えでもいきますまいが、この次の委員会までに、しかるべき閣僚とも御協議なさって、説明は少なくとも五年以内でと書いてありますから、これは私は今主張するような方向に縮まったからといって、提案趣旨説明と背反するものでないのですから、もう一段と意欲的な態勢をときていただきたいということを要望を申し上げたいと思うのでございますがいかがでございましょうか。
  110. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) たいへんごもっとも話だろうと思います。ことに大都市では、こういったものはできるだけ早くできたほうがいいと思っております。ただ、今も、先ほど御指摘がありましたように、何分新しい試みというようなことで、これを一斉にぱっとやっていくにつきましては、あちこち誤解もできるというような面もあろうかと思いまして、そういったことも含めて、初年度はやや慎重にかまえているのでありますが、しかし、今の御趣旨はごもっともなんで、ひとつこれは将来そういう補正の機会とかなんとかに、それまでにもしそういうことができるならば、ひとつさらにつづめて、もっと進捗できるように今後は計らってみたいと思います。
  111. 小林武治

    委員長小林武治君) 本案質疑は、本日はこの程度にいたします。次回は三月十五日午前十時開会とし、本日は、これにて散会いたします。    午後三時十二分散会    ————・————