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1962-03-06 第40回国会 参議院 地方行政委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月六日(火曜日)    午前十時四十分開会   —————————————   委員異動 三月二日委員大泉寛三君辞任につき、 その補欠として郡祐一君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 武治君    理事            野上  進君            増原 恵吉君    委員            小柳 牧衞君            西郷吉之助君            館  哲二君            津島 壽一君            鍋島 直紹君            湯澤三千男君            矢嶋 三義君   政府委員    警察庁長官   柏村 信雄君    警察庁保安局長 木村 行蔵君    自治政務次官  大上  司君    自治省行政局長 佐久間 彊君    自治省財政局長 奥野 誠亮君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   —————————————   本日の会議に付した案件住居表示に関する法律案内閣提  出) ○銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改  正する法律案内閣提出) ○公営企業金融公庫等の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○昭和三十六年度分として交付すべき  地方交付税の総額の特例に関する法  律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 小林武治

    委員長小林武治君) それでは、ただいまから委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  三月二日付をもって委員大泉寛三君が辞任され、その補欠として郡祐一君が委員に選任されました。   —————————————
  3. 小林武治

    委員長小林武治君) 住居表示に関する法律案議題といたし、提案理由説明を聴取いたします。大上政務次官
  4. 大上司

    政府委員大上司君) ただいま議題になりました住居表示に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明いたします。  この法律案は、合理的な住居表示制度及びその実施について必要な措置を定めようとするものであります。  町名地番混乱により、国民日常生活経済活動行政事務処理等に多大の不利不便を生じておりますことは、御承知のとおりでありますが、政府は、町名地番制度審議会を設置し、その根本的解決をはかるための基本方針及び要綱について審議を求めたのであります。昨年十一月同審議会より答申がありましたので、政府におきましては、この答申に基づき、市街地住居表示につきまして合理的な制度を確立するために必要な措置を定めるため、この法律案提案することにいたしたのであります。  次に、この法律案概要を御説明申し上げます。  第一は、市街地における住居表示制度を確立したことであります。  これまで地番を用いて住居表示することがならわしとなっておりますが、本来地番は、不動産登記上土地を特定するためつけられる番号でありまして、これを住居表示に用いることは、適当でなく、混乱の原因ともなっておりますことにかんがみ、これを改めまして、市街地における住居表示は、住居番号によることとし、これがため市町村内の町名、街区符号及び住居番号を用いる表示方法いわゆる街区方式または道路名及び住居番号を用いる表示方法いわゆる道路方式のいずれかによることといたしました。  第二は、この住居表示実施するために必要な手続を定めたことであります。  住居表示実施は、市町村の責任とし、市町村は、議会の議決を経て、市街地につき街区方式または道路方式のいずれの方法によるかを定めるとともに、その定めたところに従って街区符号及び住居番号または道路名称及び住居番号をつけなければならないものとし、住居表示の細目については、市町村条例で定めることにいたしました。  なお、街区方式によって住居表示する区域内の町または字の区域は、街区方式に適した合理的なものに区画し、町または字の名称は、できるだけ読みやすく、簡明なものにしなければならない旨を規定しました。  第三は、新住居表示制度の遵守について国民並びに国及び地方公共団体機関等の義務を明らかにしたことであります。  すなわち、何人も住居表示については、市町村が定めて告示をした表示方法を用いるように努めなければならないものとし、国及び地方公共団体機関は、住民票選挙人名簿法人登記簿等公簿住居表示する場合には、法令に別段の定めがある場合を除くほか、右の方法によらなければならないことといたしました。  第四は、新しい住居表示制度実施された場合におけるその効果を一そう大ならしめるため、表示板設置等を義務づけたことであります。  すなわち、市町村は、街区の見やすい場所に町もしくは字名及び街区符号または道路名を記載した表示板を設けなければならないこととし、建物の所有者等は、市町村条例で定めるところにより、見やすい場所住居番号表示しなければならないことにいたしました。  第五は、手数料等に関する特例措置を定めたことであります。  この法律による住居表示実施に伴い、公簿または公証書類記載事項住居表示にかかるものの変更の申請をするときは、登録税手数料その他の徴収金は、徴収しないことといたしました。  このほか、この法律施行に関する重要事項を調査審議するため、昭和三十九年三月末まで自治省付属機関として住居表示審議会を置くこと、新住居表示制度は、町名地番混乱の著しい地域から着手して、おそくとも昭和四十二年三月末までに市街地の全域について実施を完了するように努めなければならない旨を定めました。  以上がこの法律案提案趣旨及び内容概要でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことを切望する次第であります。
  5. 小林武治

    委員長小林武治君) 本案の質疑は後日に譲ります。   —————————————
  6. 小林武治

    委員長小林武治君) 銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律案議題といたします。御質疑のある方は御発言を願います。
  7. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 前委員会からの続きとして、若干伺います。本法案の内容質疑する前に、前委員会との関連で伺いますが、大分県の別府市で、警察官か衣服、装備品等を奪われ、生命までも奪われた。この犯人はまだわかりませんか。
  8. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) 大分県の別府市におきまする巡査殺害事件につきましては、まことに遺憾しごくと存じ天おるわけでありますが、県警察当局におきましても、鋭意捜査に当たっておるわけでございまするけれども、いまだ鮮明し得る状況には立ち至っておりません。
  9. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あの警察官が持っておったピストルは、質屋に入るとか、あるいは他の団体等の手に渡り、他日機会あるときに捜査等がなされた場合に、そのピストルを発見した場合には、これは後藤巡査所持品であったということが確認できるようになっていますか、なっていませんか。
  10. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) 後日発見されました場合において、後藤巡査の持っておったものであるということは、これは確認できるわけでございます。
  11. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先般本委員会における長官答弁によるというと、押収したところのピストルは、三十五年度において三百八十九丁ある、そのうち占領軍関係が一八%である、しかもこの一八%というのはだんだんと減少して参った、三十三年ごろには実に二八%であったのだ、こういう答弁がありましたが、こういう点、よい方向に向かっているとはいいながら、占領軍のほうも非常に私はルーズだと思うのですね。こういう点は、日米合同委員会等を通じて、機会あるときに警告を発し反省を促すべきであると思います。それとあわせて伺いますが、ピストルは警官の持っているものを強奪するような手段に訴えなくても案外容易に手に入るのだということを聞きますが、そういうことなんでしょうかね。その辺のところを、長官の御認識を承りたい。
  12. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) 最初の、米軍から放出と申しますか、米軍から流れくるものが漸次減っておる傾向はございまするけれども、なお十数丁出ておるというようなことにつきましては、アメリカ軍当局に対しても強く反省を促しておる次第でございます。今後とも、そういう点については、の遺憾ないように連絡をとって参りたいと思う次第でございます。
  13. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ピストルは案外簡単に入手できるというのですね。
  14. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) 拳銃を入手する方法につきましては、そういううわさもございまするけれども、必ずしもそう簡単に入るわけではないと思います。ただ、われわれもまだ数についてはっきりした解明ができていないものに、世間に秘匿されておりまする拳銃が相当ございますので、そういうものがいかがわしい者の間に流通していくということは、これはあり得ることでありましょうと思います。そういう点につきましては、善意に隠されておるというようなものにつきましては、先般も御説明申し上げましたように、各都道府県におきまして、臨時に供出を督促して、その期限内に出した者については、これを犯罪の対象とせずに、任意に提出させるというような方法をとっておりまするけれども、悪質な者の所持しているものが、また悪質な者に移っていくということは、これはあり得ることでございます。そう容易に行なわれているとも考えませんけれども、そういう面の流通が若干行なわれておるということは認めざるを得ないことだと思います。
  15. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先ほどの長官答弁にミスがありましたから、私の聞き誤りではないと思いますから、私のほうから訂正しておきます。占領軍から依然として十数丁の拳銃が云々というのは誤りでして、私が提示しました三十五年だけでも七十一丁米軍から流れている、それで全部の一八%だということですね。こういう点は、非常に遺憾なことだと思いますので、やはり不正なルートでこういう武器が国民各層の間に流れていくということは、厳に取り締まっていかなければならぬと思います。  次に伺いますが、この前この委員会で伺いました佐世保の工専の試験問題の用紙紛失事件、あの犯人はまだあがらないですか。
  16. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) この前も御指摘がございまして、督促をし激励を加えておるわけでございますけれども、遺憾ながらまだはっきりした容疑者というものが浮かび上がっておりません。もっとも、関係者については、うそ発見器等任意に使用いたしまして、相当煮詰めて参ってきてはおるのでございまするけれども、まだ強制捜査に移るまでの確信を得ておりませんので、そういうことで捜査が徹底しておらないということは、非常に残念に思いまするけれども、現状といたしましては、確たる容疑者にぶち当たっていないというのが実情でございます。
  17. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ここは地方行政委員会であり、あなたは大臣でないから、私はこれ以上申しませんけれども、ただ所見の一端を申し述べておきたいことは、国立工専であり、問題は文部省で作ったものである。九科目試験で、八科目千六百枚の用紙を紛失して、昨日合格者を発表しているようです。大きな問題だと私は思うのです。僕は現地へ行って調べたわけじゃないけれども、推察と報道機関を通じての情報等から考えて、ああいう単純な事犯が、本日まで犯人があがらないということについては、私は専門家じゃないけれども、これに関与している方々の捜査能力というものを疑わざるを得ない。まことに遺憾千万だと存じます。こういう声が立法府の一角にあったということを、あなたの部下の関係者に伝えてもらいたい。きわめて単純な事犯だと思いますが、これは影響するところが非常に大きいので、今後も格段の御努力を要請いたしておきます。  次に伺いたい点は、私は、この法律案に関連して、昔の法律規則を若干調べてみたのですが、行政警察規則なんかというものを見ますと、文章体で、現在のものともちろん違うけれども、なかなか感心なことを書いてある。中には、治安維持法みたいに——時代は違うけれども、そらおそろしい内容のものもありますがね。しかし、古い警察規則等を見ますと、警察官の心得なんかにも、ほのぼのとするような表現のところもありますよ。現在の警察官職務執行法でも、文革なんかなかなか練ってある。いい表現をして、励ますところは励まし、戒しめるところは戒しめている。文革に関する限りは、そういう感じがします。そういう感じが受け取れます。ところが、わが国で、警察官権限をちょっとでも付与するような方向に物事が進もうとすると、非常にこれに対して恐怖心を起こすというか、反発感を起こすというか、そういう傾向が非常に日本人の相当部分に強いですね。この点は、警察庁長官以下警察行政の運営に携わっている人というものは、見過ごしてならない重要な何かがあると私は思うのですね。その点について、警察庁長官は、どういう御認識なり、お考えなり、または反省なり、今後いかようにして、そういう国民相当部分にある危惧の念といいますか、あなた方から言われれば杞憂と言われるかもしれないが、そういうものに対処されようとするか、やや基本的な問題になりますけれども、御所見を伺っておきたい。
  18. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) ただいま御指摘の、警察官権限を与えることが民衆に対して相当不安の念を抱かせるのは事実であるというお話でございました。確かにそういう面も私はあるのじゃないかと思います。これはやはり、警察官教養、素質の向上、また国民警察に対する信頼感というものに関係を持ってくる問題であろうと思います。警察官が、大ぜいの中には、時に不始末をいたす者も出て参って、非常に遺憾に思うわけでございますが、そういう者が少しでも出るということが、警察全体の威信を傷つけ、また国民に対する、たよりにする、するという気持に非常に支障を及ぼしておることは、私どもも認めるところでございまして、要は、やはり国民一般信頼をかち得るような警察を作っていく、そういうことに努力を傾倒して参らなければならないと思います。私どもは、警察教養の面におきまして、また警察官採用の点におきまして、そういうことに特に注意を払っておるわけでございまして、私から申すとなんでございますが、世論調査等の動きを見ましても、逐次警察に対する信頼度というものが向上して参ってはきておるわけでございますが、まだまだ万全というわけには参りません。そういう意味から、今御指摘のような点が強く反省を要することになって参ると思いまするけれども、やはり基本としましては、警察全体が国民信頼をかち得るように、正しい明るい警察になっていく、そういう過程におきまして、警察が邪悪に対してはきぜんとして職務執行していくという自信と執行力の強さというものをやはり持っていく、同時に職権乱用にわたるようなこの絶無を期していくということ、両両相待っていかなければならぬのではないかというふうに思うのでありまして、私も、ただいま御指摘のように、警察がまだまだ向上し、改善されていかなければならぬ面が非常に多いということは、痛感いたしておりまするし、その点についての努力を払っている次第であります。
  19. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その答弁を了として承っておきます。  次に承りたいことは、国家公安委員会として、当面重要な問題幾つかありましょうけれども、まずは最近来論じられている交通の問題、それから本法律案主要部分をなすであろう青少年の犯罪量的増加質的悪化、こういう問題が、当面国民の関心であるとともに、国家公安委員会の重要な案件でもあると思うのですがね。後者に入る前に、前者をちょっと伺いますが、先般警察法の一部改正の際に、本委員会で、交通警察関係の公務員が少な過ぎるので、配置転換等技術的操作をはかって、しかるべく対処してほしいというような決議がなされ、担当国務大臣所見決意表明もあったが、その後どういう処置をとられたか、それからとられようとしているか、具体的に簡単にお答えいただきたい。
  20. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) 先般ここで附帯決議をせられました御趣旨、まことに私どももごもっともなことと考えておりまして、その御趣旨に沿うように十分に検討を遂げて実施をいたして参りたいと考えておるわけでございます。さしあたって中央交通局設置につきまして、この前も御説明を申し上げましたように、わずか六名だけの増員ということでございますので、これにつきましては、中央におきまする各局課等要員の調整という問題を考えて、十分とは申せないまでも、交通充実に必要な要員をさくようにいたしたい、これは四月一日実施の際にはぜひそういうことをしてみたいと考えておるわけでございます。また、第一線交通取り締まりに当たる警察官につきましても、御趣旨の線でできるだけ配置転換を考えて参りたいと思いまするが、現在の警察といたしまして、それぞれやはり必要な任務に従事しておるわけでございまするので、大幅に交通にのみこれをさいていくということは非常な困難が伴うかと思いますが、できるだけそういうことについての検討を遂げてみたいと思いまするし、また御趣旨の線に沿った措置と思われまするけれども、来年度——三十七年度に第一線警察官増員ということは、私どもとして一応見送ったわけでございまするけれども、主要な府県におきましては、いわゆる政令の基準をこえて警察官増員し、その大部分交通警察に充てるというような措置を、知事部局との間に予算折衡ですでに内定しておるところもございます。また、警察官増員になりますると、これはさらに一年間の教養を必要といたしますので、とりあえず、第一線交通取り締まりを強化するという面からいたしまして、東京、大阪等の大都市を含む都府県におきましては、一般職賃を相当数増員をいたしまして、これを内部勤務警察官の現在やっておる仕事に充てまして、そうして第一線交通警察充実をそういう面からはかっていく、これも一種の配置転換措置であるというふうに考えられるわけでございまして、私どもとしても検討いたしまするし、また各都道府県ごとにもそういう空気を醸成して、御期待に沿うように措置いたしたいと考えておる次第であります。
  21. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 法律案の第二十四条の二、十ページの最終の行ですね、「合理的に判断して」と、それから十一ページの一行目に「認められる場合においては、」と、あらためて伺いますが、その「合理的に判断」する、それから「認められる場合」、これはだれがなさるのですか。
  22. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) これは、直接的には個々の警察官判断いたすわけでありますが、警察官がよるべき判断基準といたしましては、できるだけ客観的な判断をいたすようにということを法律で要求をいたしておるわけでございます。
  23. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 実際運用を考える場合に、そうだと思うのですね。そこで問題は、当該警察官能力の問題であり、教養の問題になってくると思うのですね。条文としては、十ページの終わりから二行目の「運搬していると疑うに足りる相当な理由——「相当な理由」、そうして「合理的に判断」があり、「認められる場合」がある。十一ページの終わりから四行目に「いやしくもその乱用にわたるようなことがあってはならない。」、こうなっているから、条文からいえば非常に整備されているものと思うのですね。そこで、総括的なときにも伺いましたが、やはり執行警察官能力教養というものが非常に重要になってくると思うのですね。その点で、この法律案が成立した暁においては、従来以上にこの法律執行については誤りなきを期する意味において、警察官の教育、訓練というものは一段の努力をしなければなりません。かような私は意見を持っているものですがね。そこで、これは意見としてお聞きいただければいいと思うのです。その十一ページの一行目から二行目ににわたり「提示させ、」、「開さ示せ、」、こういうことがありますね。これは念のためにあらためて聞きますが、任意的なものですか、強制的なものですか、それともその中間的なものなんでしょうか、その点の御説明を承りたいと思います。
  24. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) この第二十四条の2に規定いたしておりまする「提示させ」、「開示させ」ということは、あくまでも任意手段でございます。ただ、この書き方からいたしまして、提示するように要求する、そうしてできるだけ提示することが必要である旨を説得して、当人が自発的に提示しまたは開示するようにしむけるということは、当然前段にありまするような事情のもとにおいて警察官の責務を全うする点からして必要なことでございますけれども、最終的にはあくまでも当人任意な意思に基づいて提示し、開示するということになるわけでございまして、警察官が強制的にひったくってそれを調べるということはできない規定でございます。
  25. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ただいまの長官答弁は、非常にりっぱだと思うのですね。そういうことが全警察官に周知徹底実行されれば、私はいささかもこの法律には心配ないと思うのですがね。提示、開示することを求める、そうしてその求める理由をよく説明して説得に努力する、そうして自発的にそれをやるようにしむけるのであって、強制的なものは含まない、そういう執行をす内容をこの条章は持っていないと、その点は非常に重要であり、僕は政府委員答弁としてはりっぱだと思んです。  それでまあ確認しておきたいと思うんですね。  それから、こういう条章警察官執行にあたっては、これは犯罪捜査とやはり関係を相当持ってくるでしょうね、その点どうですか。
  26. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) この規定自体は、犯罪捜査とは関係がないわけでございまして、あくまでも生命、身体の危険があると考えられる場合に、これを予防する行政的な手段でございます。ただ、結果的に、不法所持とかというようなものが出てきた場合について、刑事事件としての措置をするということは、事の経過として、そういう問題が起こり得ることももちろんあると思いますけれども犯罪捜査手段として調べるということはないのであります。
  27. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これはなかなか微妙なところだと思うんですね。犯罪捜査手段としてこれを求めるということはあり得てはならないと思うんですが、しかし往々にして法律ができると、法律というものは一人歩きしていくので、そうして政権の担当をしている内閣法制局を通じて独自の解釈をして、そうしてその方針に基づき、その指揮もとにこれを解釈し、運用していくと、独送、一人歩きをする傾向が強いわけです、法律は。特に、日本においては、その傾向が強いと思うのですよ。まあ終戦後国民政治意識なり教養等が高まり、民主的な理念並びにあるいは実践、そういう点が侵透して参りましたから、昔ほどではありませんけれども、まだまだ後進性を抜け切らない面があると思うのですね。それだけに、立法に携わった場合に、必要以上の懸念をせざるを得ない。まあ情ないことだと思うのですけれども、その点は、犯罪捜査手段に使うようなことは厳にあってはならないということを主張し、確認しておいていただくとともに、もし法律が成立した後には、警察官全員周知徹底方をはかっていただきたいと思うのです。何といっても、ここに、自分は合理的に判断したんだ、そういうふうに認めたのだ、あるには危害を防止するために必要があるとかように考えたのだ、だからそれを提出さしたのだ、それで説得したけれども、どうしても応じないからかくかくしたのだ、こういうことが立法趣旨とかけ離れて起こる可能性——確率が、現在の日本警察からいえば相当あると思うんですよ。そういう点、活字の上ではりっぱでありますけれども、この法律案について苦干の危惧の念を持たざるを得ない事由になっているわけなんです。そういう点について、そういう一部の人に対しても懸念なからしめるように善処していただかなければならぬと思うのですが、あらためて伺っておきます。
  28. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) お話の点は、まことにごもっともでございまして、私どもも、この法案が成立いたしました暁におきましては、全警察官について、法の趣旨を十分に理解させ、また初任教養等についても、具体的にそうした場合を想定いたしまして教養をつけていきたいというふうに考えているわけでございます。
  29. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この二十四条の第一項及び第二項における調査及び一時保管ですね、提示、開示、あるいは提出の行為、そういうものは、警察官捜査をしたりあるいは差し押えたりする権限を認めたものではない、そういう内容を持つものでないということは明確だと思いますが、念のために御答弁願います。
  30. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) お話のとおり、この規定で強制的な捜索、差し押えということを行ない得ないことは当然でございまして、これは、こうした種類の各種法令におきましても、すべてそういう解釈に相なっておるわけでございまして、そういう誤解は生ずる余地はないと思います。
  31. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先般総理府の青少年問題対策協議会事務局長が出席されたときに伺いたいと思ったのですが、時間がなかったから伺えませんでしたし、本日も委員会の運営の都合があるから深くは伺いませんが、しかし一回だけ伺っておきたいのですが、なんと青少年犯罪事犯は多いものでしょうね。しかも、いわゆるハイ・ティーンという十代の諸君が多いし、しかもそれがあとで累犯をやる。しかも、それが人命を何とも思わないで、非常な残忍、悪質な犯罪を犯す。ほんとうに、国民としても、また子を持つ親としても、非常な関心事ですね。これは第二次世界大戦後、アメリカといわず、この国にもその傾向が出たのだけれども、しかし、戦後十五、六年経過して今日なおこういう状況だということは、日本はその最たるものじゃないかと思うのですが、警察庁長官、どうしたら、どういう対策を講ずれば、皆無とは言えないまでも、改善されるだろうというようなお考えを持っておられますか。また、取り締まり当局として、その実態に即して、上司あるいは内閣等に対して、こういうことをやってみたらどうかというような積極的な具申をなされたことがあられるかどうか。まあ専門家ですからね、あなたは。そのことだけひとつ伺いたいと思います。
  32. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) 少年の非行が非常に敗戦後急激に増加して参った、これは世界的な傾向でございまするけれども日本において特にそういうはなはだしい状況が見られるというふうにただいまお話がございましたが、そのとおりでございます。的に見ますると、いわゆる人口当たり——人口千人について何人という犯罪状況を調べますと、二十才から二十五才が一番多いわけでございますが、それから三十五才から三十才、三十才から三十五才という年を取るに従って非常に減っております。ところが、二十才未満の者につきましては、十八才から二十才、十六才から十八才、十四才から十六才という者におきましては、年々やはり増加の傾向にあり、しかも低年令層にさらに増加のカーブが高いように思われるわけでございます。それで、これらが三年たち五年たって参りますると、十四から二十までの者が二十から二十五ということになっていって、そういうことで、いわゆる青少年の犯罪というものが非常に大きくなっておるわけでございます。また、これを年次的に見てみますると、終戦後二十三、四年ごろが、おとなを含めた犯罪が非常に多くなってきた、一つのピークをなしております。それから二十五、六年ごろからずっと減って参りまして、二十九年、三十年ごろからまた全体の犯罪がふえて、現在は横ばい状態ということでございます。ところが、その犯罪の質を見ますると、二十三、四年ごろには窃盗関係が非常に圧倒的——これはまあ数におきましてはおそらく全体で窃盗が一番多いわけでございまするけれども、しかもその占める割合としても窃盗に非常に比重がかかっておったわけでありますけれども、三十年ごろからのふえ方を見ますると、凶悪犯、粗暴犯というものに相当重さが加わってきておる。ところが、少年の犯罪を見ますると、大体おとなを含めた犯罪の波を一、二年おくれまして、二十六年が少年犯罪のピークになっておる。それから、三十年ごろからまた非常にふえてきておるわけであります。しかも、その犯罪の質も、初めは窃盗、次のピークにおきましては粗暴犯というような状況でございまして、何と申しますか、おとなのあとを一年おくれてまねしておるというような状況が見れるのであります。決してこの統計だけから推論をするわけには参りませんけれども、私なりの考えといたしましては、戦後における少年犯罪というものは、単に少年だけの問題ではなくて、社会全体のやはり空気と申しますか、風潮がそういう方向にある、それが少年において非常に顕著に出てくる、カーブも急カーブになるということが特徴ではなかろうかと思います。その原因等につきましても、これはたびたび私いろいろなところで申しておるのでございますが、まず何よりもやはり、終戦後のどさくさと申しますか、混乱状態で、人心が非常に虚脱状態にあった。特に、おとなの生活と申しますか、おとなの考えというものに、精神的な支柱というものが非常になくなって、自分の子供をしつけるというようなことについても自信を失っているということが基本の問題ではなかろうかというふうに私は思います。家庭におきましてしかり、また学校教育におきましても、私はある程度そういうことが言えるのではないか。また、社会にはんらんしますマスコミの状況等を見ましても、非常に享楽的といいますか、扇情的といいますか、そういうような少年を害するようなものが非常に多いということ、これが少年犯罪を非常に激化させている客観的な環境によるあれではないかと思うのでございますが、さてこれについてどうしていったらいいかということは、結局その逆をいくということ以外にはないかと思いまするけれども、少年の全体を見て参りますると、まだまだ非常に犯罪が多いと申しましても、健全な少年層、青年層というものは、非常に近代的な生き方において私はたくましいものを持っておると思うのでありまして、どうしても、これは警察の分野ではございませんでしょうが、もっと健全な娯楽とか、運動とか、音楽、映画、そういうふうなものを子供に与えていく、いわゆる健全な環境で、のびのびと生活し得るような環境によって、非常に腐敗堕落したようなものに目をくれないで済むというふうな社会環境というものをやはり考えていく必要があるんではないかというふうに思うわけでございまして、そういう点につきましては、青少年問題協議会、またその他の場合におきましても、私ども強く要望いたしておるわけでございます。そういう面が、たとえば西ドイツ等においては、そういうふうな国家的、あるいは地方団体の、または社会事業というような面の施策が非常に徹底してきておるように聞いておるわけでございますが、わが国におきましては、そういう点においてまだまだ不十分な点があるんではないか。やはり悪いものをためていくということは、もちろん必要でありましよう。警察としましては、非行少年等についての補導ということに大いに力を入れておりまするけれども、むしろその前に、そうした少年が健全な生活のできるような環境を作っていくということにさらに施策を向けていかれる必要があるのではないかというふうに考えておる次第であります。
  33. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう二問ですがね。今の点、私は長官答弁を大体了とします。ただ、そのあなたのお考えは、施策にいかに具現化して参るかということが問題だと思うのですよ。これは、私を含むやはり日本の政治家の諸君に非常に多いと思うのですよ。われわれ有識者に属する、ことに指導層の方々が、うちの子供は非行少年にはならないのだというような先入観を持っておりますね。だから、こういう問題に取り組むにあたっては、自分のうちの子供が非行少年になりそうなんだという前提で問題をとらえていかなければ、僕は前進しないと思うのですよ。一部の階層の子供だけで、わが家の子供はそういうことにはならないのだというような考えを持っているものだから、前進しない。事実は、戦前と違って、戦後は、いわゆる上流階級といいますか、抽象的に言えば上流階級の家では、ずいぶんと非行少年を生み出しておる。これは戦前のわが国の状態と全く違う著しい変化だと思うのですね。で、あなたの答弁の中で非常に重要なのは、社会全体のなにで、おとなが問題だということですね。これだと思うのですよ。その根源は、やっぱり政治家にさかのぼってくると思うのですがね。で、私は二、三分間で意見を申し上げておいて、参考にしてもらいたいと思うのです。  昔だったら、おとなの生きる次元と子供の生きる次元は違う次元だということで、自他ともに許しておったわけだね。ところが、現在は、これは同じ次元だとは言わないけれども、ほとんど重なっておるわけですね。だから、おとなの次元だからといって、それを百パーセント子供が許容できない、そういうふうになってきておるわけですね。戦前と様相が変わってきておるわけです。そこにメスを入れなければ、この法律案はそれに一部対処する取り締まり的な法の改正だけれども、こういうことをいくらやっても、なかなか私は解決していかないと思うのですね。  それで、もう一つ参考に私の意見を聞いておいてもらいたいと思いますが、昔の子供だったら、自分が粗末な衣服を着、粗末なものを食べ、粗末な家に住んでおっても、まああたりまえのように思って、別に反発感とか、あるいはクエスチョン・マークを持たなかった。ところが、今の子供は、少年前期から後期にかかるころは、自分は別に悪いこともしていない、一生懸命やっているのだ、しかし周囲を見ますと、お互いにレベルは上っておっても、衣が、あるいは食が、住がこれほどに違う。自分は一生懸命やっているのだと、悪いこともしていないのだと、そういう点にクエスチョン・マークを抱いておる青少年が非常に多いと思う。そういうところに何かちょいとひっかかりがあると、それに対して、この法を、警察官あたりが、少年前期あたりの子供に、その心理的な動きというものをおもんばかることなく執行したような場合に、それを反発して思わない方向へ行くということは、僕は相当あると思うのですね。だから、あなた方専門家としては、私が言うと釈迦に説法になるけれども、やはり心理学的に、科学的に、内容的に、原因等をよく究明して、そうしてそれをしかるべきところに具申をし、これを施策に具現化して参るということですね。これを早急にやらなければ、これは救われない事態が、家庭においても、社会においても、国家においても、起こるおそれがあると思うのですね。で、この法律案質疑を終わるにあたって、その点特に一言意見を申し上げて、要望申し上げたいと思う。  最後の質問は、警察官がよく——警察官のやり方も悪いのだろうが、同じ年令層の諸君から犬だと言われたり、ののしられてやり合っているさまは、ほんとうに同じ民族か、同じ東京に住んでいる者かと、ほんとうに寒々とした感じがするのですね。これは、それぞれの生い立ちなり、今置かれておる環境の差からくるものだから、機動隊、警察官のお若い方々とちょうど同じ年代のが大学生あたりの、何といいますか、僕らに理解しにくいといいますか、それらの反発感というものはすごいものがあると僕は思うのです。こういう点の原因の究明から、解除に向かって、配慮していただきたいと思う。と同時に、これはもうきょうは時間がないからやめますけれども、給与の問題があると思うのですね。私は、私見を申し述べて、あなたの意見を聞いておきたいと思うのです。  僕は、率直に言って、警察官の給与はうんと上げてしかるべきだと思う。そうして、質のいい人が集まるようにして、そうして、社会の秩序維持と、国民、市民の生命、財産を守ってもらう。これがいかに、われわれの住む社会国家を安全なものに、楽しいものにする要素になるかと思うのです。そういう点からいうと、警察官の給与は自衛官の給与よりよくしていいのだと思うのです。局地戦争とか大戦争があった場合には別ですよ。平素は、職務の困難性、それから危険性なんかからいったら、自衛隊の諸君と警察官の諸君は比較にならないと思うのです。警察官は、制服を着ていようが、和服であろうが、警察手帳を身に持っておったら常に責任が伴うわけで、しょっちゅう緊張していなければならぬと思うのです。それは自衛隊の諸君も、公務員としてその点もありますけれども、しかし危険度というものは、局地戦争か何かが起こった場合以外は、平素の訓練段階においては、危険度というものは、武器の操縦さえ誤らなかったら、私はたいしたことはないと思うのです。これは、警察官職務執行にあたっての注意力、こういうものの消耗率というものは比較にならないですよ。そういうものは、反対給付として給与に反映してこなければならないのですよ。だから、自衛官と警察官と比較しているのですよ。何か事ある場合に、国内出動でもよろしい、災害出動でもよろしい、そういう場合は自衛官は優遇しなければならない、危険が伴うのですから。平素の訓練段階において国家公務員になっているにおいては、私は警察官より待遇がいいというのはおかしいと思う。警官察のほうがよくなければならないと思う、給与の原則からいって。そういう点で、警察官のほうにやはりいい人が集まらない。それで、職務執行もうまくできないというような感じがする。それがひいては税外負担——近ごろよくなっているけれども、映画館にただで入るとか、ささやかな飲食居に行ってうどんをただで食べるとか、強制はしなくても出さざるを得ないようにうまくしむけていく。これはある意味において税外負担だと思う。そういう形は、戦後の警察官は少なくなってきたけれども、それでもあるのです。そういうことから、軽侮の念を持ってくるわけです。こういう点、もう新憲法ができて二十年になんなんとするのですから、やはり前進しなければならぬのですよ。その根本は、僕は警察官の待遇問題にあると思うのですよ。こういう点について、警察庁長官がどういう御見解を持っておられるか承って、私は本法律案に対する質問は終わります。
  34. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) 非常にありがたい御言葉をいただいたわけでありますが、警察官の待遇が改善されるということは、単に今の警察官に希望を与え、また報いるということだけでなしに、大量観察的に見ますれば、警察官にいい素質の者が採用できる、ますます責任を感じてりっぱに仕事をしていくということになり、国民全体としても私は非常にプラスな面があるのではないかというふうに考えるわけでございまして、第一線警察官の待遇改善につきましては、事あるごとに要望をいたし、逐次改善をしてきておるわけでございますが、お話のとおり、まだ私は十分とは申せないと思います。今後も、この点については、人事院とか、自治省とか、大蔵省というものと十分に連絡をとりつつ、改善に努めて参りたいと思います。また、先ほどお話しの学生と警察の非常な反感的な空気というものが時に目立って出る場合もございまするけれども、私は全体的にそういう強い反発意識というものが平素から非常に激化しているというふうには考えないわけでございます。ただやはり、取り締まる面、また法をある程度犯しても自分らが特権階級的に動きたいというような人にとっては、その間に事象事象に応じて非常な反発をする場合もございます。  まあこれは一例でございますが、たとえば山谷で事件が起こりまして、あのときは警察官と山谷の住民とが非常な対立したような印象を受けたわけでございますが、その後やはり警察としても、あたたかい気持、理解ある態度で臨むようにできるだけ努めておるわけでございまして、最近は相当そういう点も緩和しておる。また、釜ヶ崎についても、ある程度そういうことが言えるのじゃないか。さらに、警視庁の音楽隊等がああいう所に出かけていきまして何回か演奏いたしました場合のその後の状況などを見ますると、非常な親しみを持ってくる。私は、ここで申し上げるのはどうかと思いますけれども、学生と警察の間におきましても、たとえば柔剣道であるとかというものについては、大いに対抗試合をやって、むしろ親睦を増しておる。これがさらに音楽等について、音楽隊等の合同演奏というようなことも一つのそういう親睦の要素が得られるのじゃないか。平素からいろいろな面でそういう反発的な気持をなくしていくという配慮をしていく必要があろうかと思いますが、全体としてそういう宿命的な常時反感を持っているというふうには私は受け取っておらぬのでございますが、なおこの点については、さらに注意をして善処して参りたいと思います。
  35. 小林武治

    委員長小林武治君) 本案の質疑はこれにて終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 小林武治

    委員長小林武治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
  37. 小林武治

    委員長小林武治君) 次に、公営企業金融公庫法等の一部を改正する法律案昭和三十六年度分として交付すべき地方交付税の総額の特例に関する法律案、以上両案を便宜一括して議題といたします。  御質疑のおありの方は御発言を願います。
  38. 鍋島直紹

    ○鍋島直紹君 ただいま議題となりました公営企業金融公庫法等の一部を改正する法律案と、昭和三十六年度分として交付すべき地方交付税の総額の特例に関する法律案、この点につきまして二、三簡単に質問をいたしたいと考えております。  まず公営企業の関係から申し上げたいのですが、今回また増資をされて事業を拡張されることになるわけです。公営企業というのは、そういった種類の多くの金融機関というか、外郭的金融機関があるわけですが、公営企業に関しては、非常に人員が現在においても少なくて、他の金融公庫等と一律にこれを比べるわけにはいかないにしても、非常に人員が少なくされている。そういう点にも一つの特色があって、まことにけっこうだと私は思いますが、現在どういう方向でこの金融事務の処理をされておるか、それを簡単にひとつお答え願いたいと思います。
  39. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 自治省が起債を決定いたしますと、その旨を公営企業金融公庫のほうにも通知いたすわけでございます。地方団体のほうは、許可の決定に基づきまして、公営企業金融公庫の資金を借り入れなければならないものについては、公営企業金融公庫に借り入れの申し入れをするわけでございます。申し入れがございますと払い込むわけでございます。特別な調査を公営企業金融公庫等はいたしませんので、借り入れの申し入れがありますと、直ちに金融機関を通じて送金の手続をいたしますので、非常に簡易迅速に融資が行なわれるということになります。
  40. 鍋島直紹

    ○鍋島直紹君 そうすると、公営企業金融公庫自体の人員というのは、大体どのくらいおられるものですか。ほかのたとえば中小企業金融公庫とか、国民金融公庫とかいろいろあるわけなんですが、それに比べるとずいぶん少なくて、事務処理をされている。それは相手方の結局調査とか、そういう点にずいぶん簡略があるのだろうと思うのですが、この点はどうですか。
  41. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) お話のとおり、公営企業金融公庫の職員数はかなり少ないようでございます。そういうこともございまして、三十七年度には、現在の五十二人に対して七人を増員して六十人にするということになっているわけでございます。簡易な貸付方法をとっておりますけれども、債券の管理その他について相当の手数を要するようでございまして、逐次職員の充足にわれわれとしても努力して参りたいと、かように考えております。
  42. 鍋島直紹

    ○鍋島直紹君 それから次に、事業の種類なんですが、御承知のとおり、水道あるいはそのほかいろいろ各種類をされておりますが、その大体の種類と、それからどうしても増資をして事業を拡張していかなきゃならぬ、そういった点の理由を簡単にひとつ。
  43. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 貸付をしておりますおもなものは、上水道、三十六年十二月末の貸付累計で申し上げますと百七十七億、電気が百四十一億、それから工業用水道が五十三億、交通事業が二十九億、港湾の関係が五十七億、病院が十八億、それから宅地造成の関係が十八億、そのほかガス事業、市場事業、屠場、それから観光、下水というようなものになっておるわけでございます。債券を発行して資金を集めて参りますので、公営企業金融公庫の経営を健全にしていきますために一は、発行費その他の費用を減価償却で落としていく必要がございまして、そのためにはやはり相当の出資を得なければならない。したがいまして、また債券発行額が多くなっていきますにつれまして、同様に出資も求めていかなきゃならない、こういうような状態になっているわけであります。
  44. 鍋島直紹

    ○鍋島直紹君 そこで、この事業の種類が非常に多岐にわたっておって、交通事業とかいう、その日のいわば日銭が入るものもあり、宅地造成のように非常にゆっくりかかるものがある。病院などもそうだと思います。こういった点における償還なんかはどうなるのか。あるいは償還期限がある事業々々の特質によって短かいとか長いとか、相当違うのじゃないかという点ですね。この点について、今後改善される余地があるかどうか。  もう一つは、これはこの前、私御質問したのですが、地方公社といったようなものを最近非常に作られてきて、自治省ではあまり喜ばないというようなことで、いわば何かその間にもやもやしたものがあるような気もするのですが、地方公社とか半官半民の会社を作って事業をやる、そういう点との関連ですね。また、地方公社または特殊会社等に対する自治省の御方針、その償還期限の点と、二つあわせてお答えを願いたいと思います。
  45. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 公営企業金融公庫の貸付金の償還期限は、対象事業によって長短いろいろに分かれております。最長が水道事業などの十五年以内でございます。一番短いのは、バスの購入に対しまする五年以内でございます。そのほかいろいろになっております。しかし、水道事業にしましても、工業用水道事業にしましても、十五年というのは、若干短か過ぎると思うのでございまして、こういうものにつきましては引き上げをしたいということで、現在関係方面と協議中でございます。政府資金につきましても同じような問題がございまして、これとあわせまして償還期限を延長するような措置をとりたい、かように考えております。  なお、府県や市町村で公社が乱設されているきらいがあるというようなことで、自治省でもいろいろ問題にいたしておりますことは事実でございます。私たちが一番問題にいたしておりますのは、地方団体が自分の仕事としてやれば、借入金について正式の許可を受けなきゃならない、それをくぐるために公社を作る、それだけのために公社を作るという点を問題にしているわけでございます。そうでありませんければ、府県や市町村の活動範囲が漸次多方面にわたるようになって参りまして、経済活動に属するようなものもどんどん府県や市町村で取り上げるようになって参っております。ちょうど国で公団、公社がどんどんできて参っておりますような事情が府県や市町村においてもあろうかと思います。どちらかといいますと、誤りなきを期するというような点を中心に考えております現在の府県や市町村の組織、それがそのまま経済活動に属するものについても当てはめられていくことはいかがなことかと思われる、こういう点があるわけでございます。一々議会の議決を得ていかなければならぬ、時期を見て弾力のある経済活動をしなければならないのに、それがために非常に活動が制約されてしまう、あるいはまた特定の技術に長じた人を相当の給料を持って働いてもらいたい、こう考えましても、府県、市町村のやはり試験制度や人事行政のもとにおいては、そういうことが困難というようなことがあったりいたしまして、ある程度公社を作って、そういう範囲の活動をしていく必要が多分にあるのではないかと思うのでございます。ですから、そういう点については、われわれはこれを不穏当だと考えているわけではございません。ただ、そういう公社でありましても、府県や市町村の財政力といいましょうか、そういうものが公社の信用力になっていると思います。したがいまして、また公社のいろいろな失敗がそのまま府県や市町村の財政責任にかぶってしまうと思う、にもかかわらず、公社ができますと、府県や市町村と全く離れた形になっていく、それは適当でない。やはりそういう公社なんだから、公社の活動の模様というものを府県議会、市町村議会においても審議し、ある程度批判をするような機会を与えるべきではないか、そういう意味の結びつきを持たせる必要がある。これはある程度地方自治法の改正等によらざるを得ない、こういう方向で考えているわけでございます。私たちは起債のがれに公社を作る、それを排除していきたい。しかも、今の地方債のワクのままでは、必要な地方債を十二分に許可できているかどうかということになりますと、若干問題もあろうかと思うのでございます。そういう意味では、地方公営企業金融公庫の資金をさらに潤沢にする、その結果、ただ起債のがれに公社を作るというような弊害を避けていくことができるのではないだろうか、こう思っているわけでございます。ただ起債のがれの公社ということになりますと、それだけむだな金がかかることにもなりますから、どうしてもその行為があいまいな姿になりかねないわけでございます。そういう点は規制していきたい、こういう気持を持っております。
  46. 鍋島直紹

    ○鍋島直紹君 これは希望なのですが、この償還期限の延長をぜひやっていただきたいと思います。上水道、それから特に病院などについては、片方新しい技術に即応した病院施設というものを、どんどん機械を入れ整備していかなければならぬ。しかも片方においては、相当償還をしなければならぬ。そういう場合には、やはりこれは病院そのものの存立に影響してきますので、種類によっては十五年のものを二十五年にするというふうにひとつやっていただくことによって、この公営企業はいい制度なのですから、運用をよくして、実質上よくなるようにしていただきたい。まあパスなどは、ある程度いけるとしても、五年はちょっと短いかと思います。この点もひとつ希望として実情に即した償還期限をきめて、いろいろな問題もあるでしょうが、お願いを申し上げたいと、こう私は考えます。  地方公社の点は事情はよくわかりました。何か全面的に禁止するといううわさがあって困っておられる地方もありました。しかし中には今、財政局長が言われたように、起債のがれというか、どうも財政上から見て感心しない点もあるのですから、その点、自治省の御指導をお願いしたいと思います。  そこで、もう一、二点伺いたいのですが、公営企業については、公営企業の融資について弱小団体というか、あるいははっきり言えば貧乏団体等が非常に期待をかけているわけです。都道府県にしろ、市町村にしろ、そういう点について非常に便宜をはかっていただくというふれ込みが最初あったわけで、これに期待をかけておるが、いろいろ話を聞くと、根本が弱小な地方団体ですから、思うように資金の融通ができない面も、現実に調べてみればあるのじゃないか。私、的確に調べたわけではありませんが、そういう点もあると思います。しかし、やはり地方行政という根本は、国の政策あるいは地方——同じ日本の国に住む民族として、国、地方、そういった公共団体の施策というものが、全国民の方に、貧乏県に住もうと、貧乏市町村に住もうと、富裕市町村に住もうと、公平にその施策が行き渡っていくということ、これが根本だと思います。そういう意味でひとつ弱小団体といわれるような府県における融資あるいは投資等を今後やっていただきたいと思うし、まあこれについて御所感を伺いたいと思う。  さらにもう一つ、時間がないですから重ねて第二点。違う問題ですけれども、おそらく三十七年度から発足する地方共済組合法ですか、おそらく発足するのじゃないかと思います。地方公務員の共済組合、これについての資金というものが相当額、これは将来において蓄積されてくる、これについての運用、そのほかもやはり公営企業の融資、資金と開運してお考えになっておるかどうか。対大蔵省との関係もむずかしい問題があると私は聞いておりますが、この点についての自治省の御方針を簡単に伺っておきたい。
  47. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 弱小団体の活動を財政的に円滑ならしめる措置を講じていくということは、きわめて必要なことと考えております。普通会計に所属するような事業につきましては、あとう限り、そういう団体に基準財政需要額を傾斜的に増額することによって、一般財源を豊かにするように努力して参りたい、そういうことで従来いろいろ改正を続けて参っているわけであります。企業活動に属するものにつきましては、何といいましても、地方債資金を豊富にするということにあると思います。地方債計画全体は二千億円から二千四百五十償円に、二三%程度の増加でございます。その場合でも、一般会計債は一四%の増加にしか当たっていないわけでありまして、反面、準公営企業が三七%の増加、それから公営企業二四%の増加、こういうふうなことになっておるわけでありまして、同時にまた、この資金を配分するにつきましても、できる限り弱小団体につきましては、政府資金なり公営企業金融公庫の資金を当てがっていきたい。反面、自分自身で相当資金を調達する力がある団体につきましては、大府県、大都市につきまして行なっているように、それらの団体が自分で市場で債券を発行して資金を集める、こういう方向に持っていっていただきたいと思います。団体の信用力あるいは財政力といいましょうか、それに応じまして配分する資金の性質も変えていくというような心組みでやっておるわけであります。  地方公務員共済組合が今度御審議願っております法律ができ上がりますと発足いたして参るわけでございますが、私たちといたしましては、当然これの資金も相当に期待をいたしておるわけであります。共済組合によりまして、あるいは資金運用部資金に一部を預託する、あるいは共済組合が自分で運用していきます資金につきましても、相当部分は地方債計画に計上していくというような話し合いをいたしておるわけでありまして、私たちとしましては、できる限り、こういうものにつきましても、地方債資金が潤沢になるように活用さしていくという希望を持っておるわけであります。同時に、地方公務員の全体の利益に合致するようにこれを運用していくということも、地方債資金の運用にあたりましては特に留意して参りたい、かように考えております。
  48. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 関連。今の地方公務員共済組合法案の見通しをちょっと聞きたいんですが、先般、社会保障制度審議会意見を求めて三月一日で答申がありましたね。担当局長じゃないから答えられなければ、見通しだけ聞くのですが、三月一日に地方制度調査会からも意見がきましたね。それで省議がきまったのかきまらないのか、閣議できまったように新聞で見たのですが、いつ出される予定なのか、それだけちょっと伺いたい。
  49. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 先週の金曜日に閣議決定されたように承知いたしております。私たちとしては、近いうちに提出になるものと、こういうように考えております。
  50. 鍋島直紹

    ○鍋島直紹君 今の地方公務員共済組合の資金の問題ですが、ちょっとはずれるかもしれませんが、これは大蔵省とは話がついたのですか。  なお、これは大蔵省は国庫補助を出さない形において今度法律案が出るわけですが、この資金というものは、端的に地方行政を担当している者から考えると、いわば自治省所管において自由にひとつ——自由にというのはおかしいけれども自治省が主体となってこの資金を、ほんとうに住民の福祉のために、あるいは地方行政のために使うということが本旨だと私は思う。しかし、資金全般の関係からいろいろ大蔵省との関係がむずかしかったと聞きますが、この関係、まだおきめになっておらぬかもしれませんが、端的にお答え願いたい。
  51. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 共済組合の積立金をどういうふうに地方債資金その他に使っていくかということにつきましては、政府部内で話がついております。先ほど申し上げましたように、資金の性質によりまして、資金運用部に一部を預託するということもございましょうし、共済組合自身が運用していくものもございます。その場合にも、どの程度地方債計画に計上していく、そちらのほうの資金に充てるということもきめているわけでございます。いずれにいたしましても、それらの資金はでき得る限り関係の向きに運用をする、こういうような方向で考えていきたいと考えております。
  52. 鍋島直紹

    ○鍋島直紹君 今の点、特に地方公務員の資金なんですから、ぜひ地方住民あるいはその他それの向き向きがあるでしょうけれども、今、局長が言われた方向で利用を願いたいと思います。  公営企業関係の質問を終わりまして、簡単に交付税の問題を二、三問聞きたいと思いますが、第一に、去年二百億の交付税を三十五年度から三十六年送りに特例法によってした。ことしまた第二次補正で出てきた百二十八億余の交付税を三十何億を使って、約百億、九十八億ですか、また特例法によって三十七年度送りにする。これは性質からいえば、特別交付税に入るものなんですね、三十六年度の。こういうことが続いているわけで、財政が非常によくてけっこうなこととは存じますが、要するに、こういうのが習慣になってしまって、今後も毎年やっぱり送らなければならぬというような形を常にお考えになるのかどうか。この財政の状況のほんの特例としての措置なのか。まあ特例法だから特例だと言われるでしょうけれども、地方で行政をやっている者にとっては、何か一方的にきめられたような形がして、やはり多少の不満があるだろうと思うし、この点について自治省の御方針をひとつ根本的に簡単に伺いたい。
  53. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 補正予算に追加計上されたものを必ず翌年に送るというわけのものでないことは御承知のとおりでございまして、第一次補正で二百十億円余り計上された。それは全額地方団体に配分いたしたわけでございます。第二次補正で追加計上された部分につきましても、約三十億円は地方団体に配るわけであります。すなわち、普通交付税の計算において、財源不足額を完全に埋めきれなかったという場合には、埋めきれるまで配ってしまうべきだと思います。こういう措置をとってきたわけでございます。それをこえるものは特別交付税に回わってしまうわけでございます。そういう場合には、でき得る限り私たちは合理的に計画的に配分をしたい、余ったから特別交付税に回わしてしまってそのまま配ってしまうというようなことはなるたけ避けたほうがいい、わずかな金ならよろしいのですが、ある程度巨額なものになれば、やはり合理的に計画的に基準を作って配分すべきものではなかろうか、こう考えているわけでございます。翌年になってから補正予算が組まれる、つまり財源不足額を完全に埋めて多額なものが特別交付税に回わるというようなことになりますと、翌年の普通交付税の配分と一緒に計画を立てて配分することがむしろ穏当ではなかろうかという気持を持つわけでざごいます。ただ、今も申し上げましたように、かりに一月から三月の間に補正予算が組まれる、追加計上される。その場合に必ず翌年度へ送るというわけではございませんで、財源不足額を埋め切っていない場合には、これを埋め切れるまで配分すべきだと、こう思います。従来もそういう措置をとって参っているわけであります。それをこえてなお多額に特別交付税に回す場合には、私は技術的に考えて翌年の普通交付税と一緒に配分するようにしたほうが妥当ではなかろうかと、こう思っておるわけであります。
  54. 鍋島直紹

    ○鍋島直紹君 今の問題なんですが、実は何か交付税が余ったような印象を与えて、大蔵省との関連からいうと、地方財政は余っておるという理由をつけられる。まことにこの点は地方行政に携わるというか、一番興味を持つ私としては非常に困ることが一つ。それからもう一つは、市町村長さんにしても知事さんにしてもそうだと思うのですが、やはり相当税外負担というものを、現実の姿として市町村に県ではかけ、あるいは市町村は住民にかける。これは目に見えない税外負担というものを、高等学校一つ作るにも、あるいは幼稚園一つ作るにも、あるいは何か県の厚生施設等を設けるにも、あるいは行事をやる場合にも、やはり地元負担といったようなことでやって、税外負担そのものの種類というものがどこまでが限度であるかということは問題があるでしょうが、相当かけておって、何かゆっくりした財政というものを地方団体の担当者としては持ちたいという気持がある。さらにもう一つ言いますと、そういった地方団体の首長というものは、単独事業がある意味においては生命なんですね、これは。自分が公約をして選挙に出て当選した町長さんにしろ、村長さんにしろ、あるいは大きくは知事にしろ、自分が何かやりたいということになってくると、その地方行政の事務の大半は国家事務をやるわけになって、あるいは国家事務の中に裏けをして地方負担をしてやる。しかし、単独事業というものは、これはある意味で公約を果たす一つの重要な問題であり、単独事業がなかったら、これはもう公選知事や公選町長、公選市長というものの意味がないくらいまでに深刻に考えなきゃならぬ問題があって、何かふところ工合がよくない。もう一つは、不時の災害、どういう災害か、いろいろございましょう。炭鉱の爆発もあれば、台風もくれば、水害、火災、地震、たくさんの災害があるときに、やはり地方団体としてある程度緊急に出すべき積立金というか、予備金というか、それを持っておることが、結局その住民の幸福に早く手をつけるためには必要であるというのが、これは実際知事をやり、市長をやり、町村長をやった者のこれは深刻な悩みといいましょうか、気持なのです。そういうようなことのために、去年二百億、ことし百億、これは地方財政計画から言えば、当然自治省御当局とすればそういうこともし、来年度も考えておやりになると言われますけれども、一面において、知事側、市長側、町村長側というものは、やはりどうせくれるものならば早くれて、ひとつ積み立てるなり仕事をするなり、単独事業をやるなりという、多少やはり不満があるように私は感知されます。そういう点自治省として——しかし、私は政策として不賛成じゃございません。こういうことは御指導いただくのがほんとうだと思うのです。一面において、私はさっき申し上げました気持なり考え方がある。したがって、自治省としては条理を立て、納得がいくように、こういう事情だからこれは来年に回すのだ、そしてそれを有効に地方の知事なり町村長なりが使うのだというような、いわば条理を立てて御説明を願い、納得をして地方財政の運営というものを、短期じゃなくて、やはり長期に考えていくべきが私はほんとうだろうと思います。この点、何かまだ多少不安があるような気もします。この法律案には私は不賛成じゃありませんよ。しかしながら、そういった不満というものがあり、地方団体の首長の心の中にはそういう気持もやはりあるわけですから、その点をひとつ御説明願い、また、自治省の御方針を承って私も納得したいと、こういうように思うわけです。
  55. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) るるお述べになりました地方財政の実態につきましては、全く同感でございます。全く同感でありますから、また、地方交付税制度のほうに、年度間の積み立ての制度を設けるべきだという意見政府部内に強くあるのに対しまして、私たちはその時期にあらずという主張を繰り返しておるわけでございます。言いかえれば、積み立て論者からいいますと、こういうようなものは、将来に備えて積み立てるべきだという議論でございましょう。私たちとしては、府県や町村は住民から莫大な仕事の期待を寄せられて、なかなかそれを満足させられるような状態になっていない。したがって、計算上余裕が出ても、それを将来に備えて積み立てておくような余裕がないのだから、年度は越しますけれども、すぐ地方団体に使ってもらうように配分をしてしまうわけであります。ところが、地方財政の実態、認識につきまして、政府部内でも見解の分かれておる点でございまして、自治省といたしましては、とにかく年度間の調整のために、地方交付税の相当額を将来にわたって積み立てておくのだ、また、そういう制度を作るのだということについては、今申し上げましたように、時期にあらずという態度をとっておるわけでございます。したがって、翌年度に私たちが送るというのは、これは積み立てのために送るわけのものではございません。私たちは、国の側から考えました場合に、どうやったほうが合理的な配分になるだろうか、やはり特別交付税で配分いたしますよりも、基準財政需要額の算定の基準にいろいろ検討を加えた上で、それに乗っかって配分するほうが合理的だと考えておるのでございます。また、使う側の地方団体の立場から考えますと、年度末になって若干地方交付税が増額になってくる、私は、わけもなく使われていくということに、ちょっと言い過ぎかもしれないが、必ずしも有効な金の使い方になると安心しきれないのでございます。やはり地方団体自身も年度間を見通しまして、計画的に金を使っていくという方向をとっていただきたいと思いますし、また、単独事業にまとめて金を投じてもらうという必要もあるのじゃなかろうか、こう考えておるわけでございます。したがいまして、個々の団体が火の車の財政状態なんだ、今すぐにでもとにかく金がほしいという気持が一方にございましょう。他方には、地方財政は非常によくなってきておるのだ、だから、年度間の財政調整を地方交付税によってやる、翌年使うのでなくて、将来使うために積み立てるべきだという議論もございます。私たちも、その中間においてこういう方向が一番合理的だと考えておる、こういう方向がよろしいのじゃないか、こう思っております。
  56. 鍋島直紹

    ○鍋島直紹君 もう質問終わりますが今、局長の言われたこと、そのとおりだと思います。私の言ったことも、実際にとれば何かふところが豊かだったほうがいいけれども、やはり地方団体の首長あるいは県会、町村会等のいろいろな問題があって、これは本意にあらずして使う金も相当あるのじゃなかろうかとも思います。要するに、そういった点をひとつ十分御指導いただきながら、百億来年度に送って、金を三十七年度において有効に使うように御指導いただきたいし、特に心配することは、そういった正直な誠意を持ってやっておるものが、何かしら地方財政は豊かである、だから、国庫補助も六割のやつは五割にしていいんだ、当然筋からいって国庫補助を出すべきものをやらぬでいいんだというような予算編成上の論争の中に巻き込まれて、あるいは理由にされて、そうして地方財政というものは第二義的なものだというふうに考えられるということが、私はほんとうに忍びない面があるのです。特に地方財政として、国の仕事といっても六割とか七割のことが大半で、中には三割、二割の補助があり、その大半は府県なり市町村が地元負担として、自分の財政の中でしょって仕事ができるわけで、地方財政がしっかりしない限り、国の仕事すらやはり十分できない、そういうことにもなるわけですから、その点をひとつ自治省のほうでよくお考えいただいて、三十七年度の見通しというものは非常に困難でしょうけれども、十分これを有効にお使いいただくことを御要望申し上げます。  以上をもって質問を終わります。
  57. 小林武治

    委員長小林武治君) 両案の質疑は、本日はこの程度といたします。  次回は、三月八日午前十時開会とし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時十分散会    —————・—————