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1962-02-22 第40回国会 参議院 地方行政委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月二十二日(木曜日)    午前十時四十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 武治君    理事            館  哲二君            秋山 長造君            基  政七君    委員            小柳 牧衞君            西郷吉之助君            鍋島 直紹君            湯澤三千男君            鈴木  壽君            矢嶋 三義君            中尾 辰義君   衆議院議員    発  議  者 綱島 正興君    発  議  者 加藤 勘十君    発  議  者 受田 新吉君   国務大臣    国 務 大 臣 藤山愛一郎君   政府委員    経済企画庁総合    開発局長    曾田  忠君    文部政務次官  長谷川 峻君   文部省管理局長  杉江  清君    厚生政務次官  森田重次郎君    自治政務次官  大上  司君    自治大臣官房長 柴田  護君    自治省財政局長 奥野 誠亮君    自治省税務局長 後藤田正晴君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   説明員    経済企画庁総合    開発局離島振興    課長      和泉 一雄君    厚生省医務局次    長       鈴村 信吾君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○離島振興法の一部を改正する法律案  (衆議院提出) ○理事の辞任及び補欠互選の件 ○地方交付税法の一部を改正する法律  案(内閣送付予備審査) ○地方税法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査)   —————————————
  2. 小林武治

    委員長小林武治君) ただいまから委員会を開会いたします。  離島振興法の一部を改正する法律案を議題として、前回に引き続き質疑を行ないます。
  3. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先般の委員会に私欠席しておりましたので、質問が重複した場合には、答弁者は簡単に御答弁願いたいと思います。  まず、発議者にお伺いいたしますが、発議者は、離島振興に関して長きにわたって非常に関心を持たれ、御熱心に努力されている点、非常に敬意を表するものでありますが、本法律案改正をするにあたって、発議者として行政府に対して要望したい点とか、あるいは御不満な点とか、感じられている点があろうかと思うのでありますが、その点と、それからこの法律を十年延長するという内容の法律案を出されたわけでありますが、発議者としては、離島振興という立場から、幾多やりたい、やらねばならぬと考えておられることがありましょうが、早急にぜひとも重点的にやらなければならぬという点は、いかようにお考えになっていらっしゃるでしょうか、お答えいただきたいと思います。
  4. 綱島正興

    衆議院議員綱島正興君) お答え申し上げます。  実はこの立法をいたしますときには、厚生設備、それから文教設備というものが、離島は、一般の規定でありますと、非常に事態に合わなくなりますので、これも特別の立法をしたいというので草案に書いておりましたが、どうしても提案当時の協定ができませんので、ただいまのとおり港湾漁港道路及び電気導入というものを立案いたして提案いたし、その後も一部改正はいたしましたけれども、この線でやっておるわけでございます。ただ幸いに途中から離島予算というものを一括して企画庁でやっていただくことになりましたために、離島が島として持っておる特殊性を、その島自身の個性に基づいて計画を立てることができるようになりましたことを非常に感謝しておりますし、この点は、離島担当企画庁のお人方感謝もいたしております。ところが、なお私どもただいまでも非常に遺憾に思っておりますことは、離島離島というような、三十軒とか四十軒しか人が住まっていない離島がございます。ここらにはお医者も何にもございませんし、文教設備もございません。ところが、これは離島一般にある事実なんでございます。どこの離島にもくっついておる。これに対して特殊教場を設けるとか、あるいは医療費に関して特別な処置をする、たとえば療養船というものを作りまして、電話があれば特別に行く。なくても時日を定めて一定の間は回って歩くというようなことも必要があると考えておりますが、この点は遺憾ながら予算関係上で、いまだ法律案が通っておりませんので、私どももむしろ非常に責任を感じている、離島の人に申しわけないと思っておりますし、たとえ京橋のまん中に生まれようとも、離島のすみに生まれようとも、受ける教育に差異のあることは非常に遺憾なことでございますから、文教設備についても、できるだけ均等な線を保障したいという考え方で、延期になりましたら、追ってはこの線も追加して皆さまの御審議を得るような時期になりたいものと希望いたしているわけでございます。
  5. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 福祉国家建設、さらに最近の所得格差の是正という角度から考えても、離島振興の問題は、従来以上にその必要性がクローズ・アップしてきていると思うのです。私は国家行政組織法で設けられた審議会幾つかを承知しておりますし、また、議員立法立案過程から、その議員立法が公布、施行された後の成果等につきましても、幾つかを知っておりますが、まあ日本政治面においては、国家行政組織法に認められた審議会、こういうものの中でこの審議会ほど成果上げたものはない。また、数多くの議員立法中で、ほんとうに議員立法らしく福祉国家建設というような角度から、これほど成果上げ議員立法はないのではないかと、かように立法府の一員として見ております。発議者は終始一貫、当初からこの法の制定、その一部改正、さらには行政府のこの法の執行にあたって、国政調査権のもとに、あらゆる角度から関与されて参った点について、深甚なる私は敬意と、感謝の念をささげるものですが、若干、長時間にわたらぬ範囲内で伺わさしていただきたいと思っております。  そこで、大臣並びに政府委員に伺いますが、先ほど発議者見解では、離島特殊性という立場から、昭和三十三年に予算の一本化がなされ、経済企画庁所管と相なったわけですが、先ほどから発議者から指摘されておりますように、厚生行政文教とがそれからはずされておる。これは総括的に、統合的に離島振興をはかり、また予算の効率的な運用をはかる意味から、やはり経済企画庁のもとに、予算の一本化を厚生行政についても、文教関係についてもはかるのが適当ではないかと、こういう発議者所見が表示されたわけですが、私はまことにごもっともな御所見だと聴取をいたした次第です。これに対する所管大臣藤山企画庁長官の御見解を承りたい。
  6. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 御質問趣旨は、従来やっているような公共事業以外に文教であるとか、厚生関係公衆環境衛生、その他衛生状態、そういうものの改善について、やはり離島振興範囲内でもって主管してやったらどうだろうか、こういう御質問かと思いますが、現状におきましては、スタートの立法上の関係からいいまして、一番離島の問題の直接の必要というのは、やはり運輸というか交通というか、あるいはそういうような整備というのが一番の主眼点、まず、それを整備していかなければならぬということです。そういう面について特に主管として聞かれたわけだと思います。むろん将来、離島そのもの振興させる上におきまして、道路であるとか、あるいは本土との交通その他完備してくれば、したがって、中におきます諸般の文教あるいは衛生というような整備についても、さらに力を入れていくことは当然であります。特に離島というのはおくれがちなところでございます。だから、そういう面について十分な考慮を払わなければなりませんが、ただ今直ちにその予算を一本に企画庁自身の中に入れるのがいいかどうかということについては、いろいろな御疑問がございますれば……。
  7. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あとのほうは何ですか。
  8. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今後研究をいたして、各省との間に相談をいたしてみたいと思います。
  9. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 長官にとっては突然の質疑で十分の心の準備ができていないと思うのですかね、答弁を承って。しかし、私は若干の予備知識を提供いたしますから、あなたの俊敏なる知能をもって御判断の上、あらためてお答えをいただきたいと思う。大体この離島振興の問題が起こって、まず港湾あるいは漁港道路とか農道とか、こういうものを手がけて参ったわけですね、それは自治体の形態としてはあるべき姿以前の問題であったと思う。それほどに日本離島というものは後進性があり、取り残されておったと思うのですね。それが昭和二十八年に法ができて、逐次前進して参ったわけですね。これからやるべきことは、従来の離島振興というものより、さらに一段進んだ局員の所得向上であり、その民度の前進、文化の向上福祉国家らしき生活が保障されるというところに百尺竿頭一歩を進める時期に来ていると思うのですね。今までは地ならしをやったという段階だと思うのですね。そうなって参りますと、従来は道路とか港湾とか山林砂防とか、そういう点から厚生文部を除いた形でおたく所管下予算の一本をはかっていたわけです。これから百尺竿頭一歩を進め、最終的な目的に向かって進もうというこになりますと、厚生関係文教関係を一本化して、有機的に総合的に一本の予算化をして、これを執行していくということは最も適宜であり、その時期が今僕は来ていると思う。だから、今この法案を見た場合、それに触れていないのは不思議に思ったわけです。それで発議者にお願いすると、今まで研究してきた自分らとしては、そういう必要を認めるが、いろいろな事情があって、法律案の早急なる成立という立場から、とりあえず不満ながらもこういう改正案を出したのだ、こういう御答弁を承ったので、そこで、所管省としての大臣に御所見を承った、こうなっているわけですがね。そこで、答弁しないよりはいい程度の答弁をなさったようですがね。(笑声)冗談じゃなくて、長官、これはなんですか、先ほど私は前提を少し申し上げたわけですが、ここで離島振興の真目的を達成するためには、福祉国原一員としてその所得上げ民度上げていくという角度から言いますならば、発議者が言われたような予算の一本化をおたくでやって、最も効率的に有機的に予算を執行して参るという時点に僕は私見としては来ていると思うのですがね。この所見に対しては大臣はどういうように判断されますか。進んだ御答弁をいただきたい。
  10. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) ただいま矢嶋委員の言われましたように、基本的には、まず離島交通でありますとか、あるいは電気をつけるとか、あるいは道路をよくするとかいうような、基本的ないわば生活前提をなす問題にまず取り組んできたと思います。また、それが漸次できて参りますれば、離島そのもの生活の文化的あるいは近代化というようなものも考えていくことが必要であり、離島振興目的だと思います。したがって、たとえば離島における衛生状態あるいは無医村というようなことがよくいわれますが、離島にお医者様が行くという場合に非常に困難があるというような問題、そういうことも大いに政府として力を入れていかなければならぬということは、当然第二段階として考えるべきだと思います。ただ、今すぐ法律改正してそういうものまでやるということでなしにいたしましても、十分関係各省と相談して、離島振興というものに対して、そういう面もさらにそういう段階に来ているのだということで話し合いをして進めていくことも可能だと思います。また、将来はそういうことについて、難島自体予算というものを一番実情に即して運用できるという立場から言いますれば、従来企画庁離島関係を扱ってきておりますから、そういう方面に対する知識も、あるいは経験も持っているということもあるわけでありますので、そういうことも各省話し合いの上で進めていくことは望ましいことだと、こう考えております。
  11. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 各省と協議なさって進めていくことが適当だという御答弁で、それで私はきょうのところは満足いたしますが、大臣、私は率直に申し上げたいのですがね、この離島振興の問題は離島振興審議会と、それから全国に離島振興協議会というのがございますがね、この働きというのは大きな力をなした。それとあなたのところの機構としては非常に少人数ではあるが、離島振興課というのがその後できたわけですがね、この方々——下積みというと失礼ですがね、この努力というものは、私は非常に功績があったと思うのです。頭の下がる思いですがね。しかし、まことに失礼ですけれども、それより上にいった段階——今の局長さんがそうだとは言いませんが、局長クラス、それから今の長官がそうだとは言いませんが、長官クラスのこれに対する関心度熱意というものは、私は、あなたの部下である離島振興裸課長以下の方々の構想なり努力、それから民間団体である協議会、それから法律によって設置された審議会、それに比べれば、非常におくれておる、引きずられている考えだと思う。それではならぬと思うのですよ。長官みずからその権威者となってやられるというこの基本的な態度が私は必要だと思う。従来の長官にそれがなかったというわけではないが、有力長官を迎えてぜひともそういう姿勢をとる必要がある。あわせてとっていただきたい、かような批判と念願を私は持っておるのですが、いかがですか。
  12. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) ただいまの企画庁離島関係の下の職員が非常に努力してやっておるということをお認めいただいたことについてはお礼を申し上げる次第であります。上の方にしても決して別にないがしろにしているわけではないと思いますが、私自身経験を申し上げれば、私、実は長官になりましたときに、率直にいって、企画庁仕事にはどういう仕事たくさんあるのかよく知らなかったのですが、就任して一番初めに、離島関係で、電気がついてたいへんにうれしかったという感謝電報をいただいたのです。そのときに、なるほどこれは非常に重要な仕事であって、しかも、ないがしろにされている人の気持がそこに表わされたのだということを知って、実はつくづく感じたのでございまして、力の及ばないところもございますけれども、そういうような直接の離島住民方々気持というものは——その後もそういう電報をたびたびいただいております。そういうことで、われわれとしても、そういう感謝気持にこたえるように、今後ともできるだけの力を尽くしていかなければならぬと、こういうふうに考えております。
  13. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 答弁は了承いたしました。  発議者に伺いますが、法律の十条の二項に基づいて政府に意見の具申をなされた重要な問題にはどういうものがあるかということと、それから法律改正案は十年延長ということですが、その十年という数字をとった根拠ですね、あわせて、昭和二十八年法制定後、昭和三十三年に五カ年計画制定されたわけですが、今後十年延長するというならば、今の時点に立って新たな振興計画なるものの樹立を行政府に要請するお気持ではないかと思うのですが、発議者としてのその辺のところの御見解をお聞きいたしたい。
  14. 綱島正興

    衆議院議員綱島正興君) 実は、年に数回離島振興審議会というものを開いて、そのたびにほとんど漏れなくというくらい政府には建議をいたしておりますが、そのうちで最初から最もおもたるものは、総合開発計画について建議をする、これは昭和二十九年に建議いたしました。そこで、それが総理大臣から大体了承するという了承が参りまして、それに基づいて大体開発計画をここ九年間やって参ったわけであります。そうしてそのうちで一つ大きく途中でまた転換いたしたのは、最初外海にある離島だけをなおせば離島というものはちゃんとなると思っておった。これはまあ立案当時の私ども知識の不十分でございます。私ども、大体生まれが外海の難島に近いところに生まれておりますので、外海離島の非常にひどいことを知っておっても、瀬戸内海などは、まるで都の中のようなところだと一がいに誤解をしておりました。したがって、当時外海だけをねらってやっておりましたが、途中から、瀬戸内海からいろいろ異議が出て参りました。瀬戸内海離島だってうんとひどい、一応視察しろというようなことで見て参りますと、外海に劣らぬというよりはかえってひどくはないかというようなのもだいぶございます。電気もなければ、漁港ども昔の岩積みのままであるというようなところがたくさんございまして、そこで、瀬戸内海まで入れるということに、何年でしたか、三十三年にいたしました。これなどがおもな変革でございます。これも建議いたしまして、そのとおり運んで参りました。建議したことはほとんど全部いれられております。  で、今度もう一つ、最後のお尋ねにお答えいたしますと、なぜ十年延期するとしたか、こういうお話でございますが、これを恒久法にこの際したがいいじゃないかという議論はだいぶございます。ですけれども、周囲の事情から考えまして、恒久法にするということになれば、いろいろな異論が出てくるだろうし、非常に困るだろうから、現行の十年をもう十年やって、そうしてその成績の上で恒久にしなければならぬものは恒久にし、また、このうちで大体十年間でおよそ本土並みに到達したと見えるものはそれで臨む。それからますます、たとえば本土との距離が遠くなるものもございます。交通に対する費用等は、かえって本土よりはだんだん高くなって格差がふえて参ります。こういうものについては新しい立法をしなくちゃならぬ、こういうようなことで、まず一応十カ年というものを、従来の期限の十カ年の九年経過した経過から考えまして、あらためて十カ年を求めることが妥当であろう、こういう線に沿うて実は十カ年の延期をお願い申し上げておるわけでございます。
  15. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 発議者趣旨はよくわかりました。  次いで和泉説明員に伺いますが、昭和二十八年、法施行以後、昭和三十七年度の今審議中の予算案に計上されている分も含んで、国費がこの法律に基づいて幾ら投入されたか、その金額を承りたい。
  16. 和泉一雄

    説明員和泉一雄君) お手元に離島振興事業実施状況という資料がございます。それの四ページをお開きいただきたいと思います。
  17. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ああ、きょう出したのですか。——いや、そのトータルを言って下さい。
  18. 和泉一雄

    説明員和泉一雄君) 昭和三十三年から三十六年までの分といたしますか、三十七年度はまだ審議中でございますが、その分、内定をしておりますのも入れまして、昭和三十三年から三十六年の分と、三十三年から三十七年の分と両方申し上げます。三十三年から三十六年度までは、国費で百十八億八千四百二十七万八千円、それから今回予算が三十七年度きまりますれば、それをつけ加えますと百七十億一千五百六十一万九千円でございます。
  19. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 二十八年から三十二年のは。
  20. 和泉一雄

    説明員和泉一雄君) 二十八年から三十二年度までのいわゆる公共事業の分だけ申し上げますと、四十八億五千七百七十二万七千円でございます。  なお、先ほど申し上げました三十三年から三十七年度の分も、経済企画庁が一括計上した分の国費でございます。
  21. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 総合計は。
  22. 和泉一雄

    説明員和泉一雄君) 昭和二十八年から三十七年までの総合計は、二百十八億七千三百三十四万六千円でございます。
  23. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 国家予算の全体からいえば、あるいはわずかという見方もあるかと思いますが、しかし、この約二百十八億七千万というこの国費は、最も有効に執行されて、ともかく離島に明るい希望を抱かせた意味において、非常に僕は効果的なものであったと思うのです。そこで伺いたいのですが、きょうは自治省はお見えになっていないのですか。——見えになっていますね。では、自治省政府委員の方と、それから所管企画庁政府委員の方に伺いますが、私は、この離島振興状況を見てみますと、地域にかなりアンバラがあると思うのですね。で、昭和二十八年に法施行されて逐次指定地域を広げていった、あとから指定されて、あとカラスが前のカラスを追い越したようなケースがたくさんある。ところが、早く指定されたところでも、熱意といいますか、受け入れ態勢といいますか、その陰にはその自治体財政状況という要素毛あると思うのだけれども、僕はそれだけでもないと思うのですね。やはりその自治体財政状態というものにプラスやはり熱意ですね、関心度ですね、そういうものが影響して、ことに受け入れ態勢のできないところは、早く指定されながらあとカラスから取り残されて放置されているという島が相当数あると思うのですね。こういう点について、どういうように実情というものを把握されておられるか。私のささやかな私見をもってすれば、国は不十分ながらも一応約二百二十億円というものを投入して、相当調査もし、熱心にあと範囲内でやられている。ところが、これを受け入れ自治体の中には、非常に熱心なところとそうでないところがあって、受け入れ態勢を十分やらない自治体があるために、こういう法が施行されておりながら、その恩恵に浴することなく、依然として後進性を続けているということは、僕は非常に遺憾なことだと思うのですね。これは自治体を指導されている自治省としては、現状をどう把握されているか、また適切にして強力なる指導を私はいま一段積極的にやらるべきではないか、やっていただきたいというような私見を持っているわけですがね。この点について、両省の政府委員の方からお答えいただきたいと思うのです。
  24. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) お話のような点が従来あっただろうと思います。特に数年前までは、御承知のように地方財政が非常な混乱状態にございましたので、受け入れたくても受け入れることができたいというような状態、特にそういうような僻地をかかえました後進地のある地方団体においては非常に顕著であったのではなかろうかと思います。かように考えているわけであります。離島振興法に基づきまして、そういう事業については特に補助率かさ上げが行なわれ、そのことが即地方団体にとってその仕事を吸収する魅力のあるものと考えるわけであります。それ以上に自治省といたしましては、後進地域一般につきまして特にそういう事業をやる場合には、国庫負担率をさらにかさ上げをするという制度をとることによりまして、それらの仕事後進地方団体において積極的に受け入れられるようなことに持っていきたいということで、昨年国会において、後進地域開発に伴う公共事業費に関する国庫負担特例措置を講じていただいたような次第でございます。幸いにして地方財政も漸次好転に向かっておりますし、離島振興法国庫負担かさ上げが行なわれ、さらにその上積みとして後進地域開発に伴う公共事業費国庫負担特例に基づいてさらに上積みが行なわれる、こういうようなことになって参りましたので、財政力の貧困な御指摘のような地方団体におきましても積極的にそういう仕事受け入れることが可能なような財政措置がとられて参ったと、こう私は考えておるわけでございます。市町村につきましては、特にそういう措置はございませんけれども地方財政好転と相待ちまして、そういう団体がそういう仕事受け入れる場合、地元負担がその団体財政を圧迫するために特に困難であるという場合には、地方債運用におきましても、特にそういう点を考慮して考えていきたい、こう存じているわけでございます。せっかく国の配慮によりましてとられている措置でございますので、地方団体の特殊の事情受け入れが困難であるということが財政上の点に帰着しております場合は、そういうことの起こりませんように、いろいろの方法で万全の措置を講じたい、かように考えているわけでございます。
  25. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 企画庁長官はお急ぎのようですから、企画庁長官に二、三点お伺いしたいと思います。今の質問と関連しますから、企画庁長官質問する前にもう一問いたしておきますが、私が都道府県知事なら、先ほど指摘したような離島がありましたら、もう少し都道府県という立場であたたかい手を差し伸べてしかるべきである、それが可能であると思う。国のやることは決して十分でないが、その点はあと長官にお伺いますけれども、ある程度、議員立法で国がめんどうを見る、非常に高率な補助になっているわけですから、だから、当然都道府知事としてやらなければならぬことを、この議員立法があるがゆえに、負担も若干軽減されて、行政水準を上げることができるようになっているわけです。今までは地方財政は苦しかったが、しかし、最近は好転していることは事実ですよ。そうなりますと、離島振興法に基づいて離島に対して、この議員立法がある前に比べれば、非常にありがたい程度の助成がくれば、それだけ都道府県においてはプラスになるわけだから、離島に対する県の単独事業等にも若干回すようなことをしてでも、知事の独自でできる範囲内でさらに離島にあたたかい手を差し伸べるという配慮が、僕はすべての都道府県知事とは言わないけれども、一部の都道府県知事には欠けていると思う。そういうことを僕はやってしかるべきじゃないかと思う。国の助成が十分であるとは言えないが、国が現在やっている範囲内においても、都道府県段階において、そういう配慮をもう少しされれば、その県内でやはり前進地域離島のような後進地域もあるわけですから、その離島アンバラというものはさらに是正ができて、この議員立法趣旨に合致するのではないか、そういう意味の行政運用に若干不十分な点があるのではないかという批判を持っております。この点については、自治省当局としてはどういう見解を持たれているか、先ほどのと関連しますから伺っておきたい。
  26. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 近年来国といたしましては、いわゆる地域格差の是正ということに非常な熱情を傾けて参っておるわけであります。自治省といたしましても、先ほど申し上げましたような法律制定努力をいたしましたし、また、その他の諸立法制定にも努力して参っていることは御承知のとおりでございます。地方交付税の配分におきましても、そういう点に積極的な努力を払って参ってきております。逐年そういう方面に相当前進を見て参っている、かように考えております。さらに今回は自治省におきまして、僻地における公共的施設の整備を促進したいということで、地方債あるいは地方交付税の特例措置を講じようとしているわけでございます。こういうような考え方が漸次府県にも強く伝わって参ってきまして、府県におきましても地域格差の是正に府県なりに努力していかなければならない、こういう気持が盛り上がってきているのでございます。今までには御指摘のような点が所々に見られたと思うのでございます。一年々々非常な力で地域格差の是正に努めていかなければならぬ、単に国だけの仕事ではなしに、府県としてもやっていかなければならぬ、こういう気持が強く出て参っているのでありまして、今国会で御審議いただいております諸法律等の成立に伴いまして、そういう気持が一段と強くなってくるのではないかと思いますし、自治省といたしましても、そういうつもりで府県の指導に当たって参りたい、かように考えております。
  27. 小林武治

    委員長小林武治君) 矢嶋さん、長官は退席されるそうですから……。あと秋山君もあるそうですから。
  28. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 所得倍増計画が行なわれるようになって、離島と、しからざる地域との経済成長動向ですね、さらに掘り下げて、離島の島民の所得と、しからざる地域との国民の所得格差というものは、だんだん縮まってきたと把握されておられるか、一そうそれらの差というものが開きつつあると認識されておられるか、その長官の認識と、その前提に立って今後いかように努力されようとお考えになっておられるか、伺いたい。
  29. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 数字的には、私今材料を持っておりませんから、数字的にお答えするわけには参りませんけれども、少なくも現在までの離島振興のやり方から見ますれば、先ほど来申し上げておりますように、基本的な離島の改善、開発に対する措置がとり行なわれたということであって、離島の中における産業もしくは経済的な開発が今日非常な勢いで進んでおるとまでは言いかねると思います。そういうことの基盤になるような漁港であるとか、あるいは交通が完備してくるというようなことで、将来経済活動の基盤ができてくる、したがって、現状すぐの場合において離島のいわゆる地域格差が非常に縮まりつつあるとまでは私考えておらぬのでありまして、そういう点については、今後やはり努力をして、そういうような基礎的な条件が整えば、その基礎的な条件の上に立って、産業開発あるいは経済振興がとり行なわれるようにやっていかなければならぬのではないか、こう存じております。
  30. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう二問いたします。私は引き込みならぬほど開いてきていると思うのですよ。先ほどちょっと触れましたけれども、若干港ができ、道路ができ、電気がつけば、これからどういう産業を興して参るか、所得の水準を上げていくかという計画を立てていかなければ、ますます開いていくと思うのですね。それで、これは答弁要りませんが、ちょっと具体的に申し上げておきますが、河野農政の大きな柱は、農業構造の改善にあるわけですが、これらについて相当本年度の予算も計上されている。しかし、これは、離島にはとてもすぐに及んで参らないと思うのです。相当大きな予算を組んでいるわけですが、なお、離島では第  一次産業が主である、農民を対象にした施策を行なおうとすれば、まっ先にいかなければならぬところでしょうが、しかし、実際問題として、三千町村も十カ年間に云々というところでは、最も最後のほうに回されるようになるのではないか、そういうときには、すでに日本の経済動向は動いておるし、貨幣価値も変わって参るし、ああいう国の大きな施策というものが及ばないと思うのです。したがって、所得格差の是正という見地から、第一次産業を主にする離島の産業をいかに組み立て、振興させるために助成をし、所得をあげるかという点について、そういう特殊な立場から研究立案することが大事だという私見を持っているということを、これは指摘しておきます。これは答弁必要といたしません。  あと二問と申しますのは、発議者の提案理由にも書いてあるわけですが、公共事業を中心にやって参ったのですが、その公共事業をとっても、離島の全国対比というのは一・四〇%にすぎない、離島振興面積比の一・五一に比べると、非常に差があるということを指摘しております。  それからここに出された資料を見ましても、離島振興事業費の伸び率を、昭和二十八年を一〇〇として、三十七年度は六九〇・七になっております。この一〇〇が六九〇になっても、これだけ見れば非常な飛躍のような感じがするけれども、その間に指定の島の数というものは九回変わって追加して参ったのですが、この一〇〇と六〇〇の絶対数だけ見ても評価できないと思うのです。これらの出された資料を見ましても、十分な助成がなされていると、福祉国家建設格差是正という方向が実現するような手当がなされておるとは言えないと思う。もちろん昨年度の予算に比べて、本年度は約五十一億三千万円の予算が計上されて審議を受けているわけですが、先ほど自治省当局と僕が質疑していると、矢嶋さんは離島振興には十分な予算が組んで満足しているととられては私は非常に趣旨が違いますので、これはあらためて私見を申し述べるとともに、これらについては先ほど予算の一本化と合わせて、さらに総仕上げというような意味で今後前進させていかなければならぬ、こういう基本的な方向を設定することが大事だと思うのです。この点についての所見を承っておきたいと思います。
  31. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 離島振興予算的にもある程度は非常な勢いで伸びてきておりますけれども、しかし、現状からいけば、必ずしも満足ではないと思います。本年度十億くらいのものがふえたわけでありますが、しかし、それとて必ずしも今の御趣旨のような点から見れば十分だとは思いません。しかし、今後十年の期間を延長して、それぞれの計画を立てまして、そしてそれに適応するような、できるだけすみやかな予算措置をやっていくということについては、企画庁としても当然努力していくべきことだと思います。  なお、お話のように、離島振興法の本来の姿というものは、やはり基本的なものばかりではなく、経済的に繁栄するということが必要なんで、これはこの方面の新しい高度開発その他に対応して離島の特殊的なものがあり得ると思うのです。たとえば瀬戸内海にとっては、あるいは小豆島でオリーブが出るという離島の特殊な農産物もあり得るのではないか、あるいは牧畜等も。でありますから、そういう点は農林省その他関係各省に十分御考慮を願って、そうしてそういう面に必要な、たとえば農道を作るとか、あるいはそういうような離島振興の方策を立てる点については、われわれも十分考えて参らなければならぬと思います。また同時に、離島そのものが比較的島嶼でありまして観光的要素を十分持っておりますので、そういうことによって離島の一面の振興がはかれると離島の住民の福祉が増進できるという面もあり得るわけなんでありまして、そういう点は総合的に将来の離島開発というものについて考えて参る必要があろうかと思います。
  32. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一問。私はかつて離島振興対策審議会委員もして、若干、島も見たことがあるのです。そこでひとつ、具体的な問題としてもう一点長官に伺いたい点は、これはまあ、長官が物価政策等を担当しておられるから、あえて非常に具体的に伺いますけれども離島航路の公営化ですね。これはわれわれ離島に住んでおる人を見ますと非常に足の問題があるわけですね。で、若干飛行機の空港も設けつつあるわけですけれども、非常に足の問題があるわけですね。それで、同じ船があっても、これは国鉄運賃に比べると二倍、三倍というもので、しかも回数が少ないから、時間的なロスを入れますと百三十万の離島に住む人にとっては、たいへんな問題なんですね。これが公営の場合と、それから民営の場合とがあるわけですが、安全とか能率とか、それから足賃の問題、それから生産費の輸送に伴う価格の影響とか、そういう点等総合勘案するときに、離島問題の場合には、やはり航路の国営化、あるいは自治体による公営化というのは非常な大きなファクターではないかと思う。これがすべての物価関係にも影響してくる重要なファクターになっておると思う。この点について、今の時点に立って長官はどういう認識を持たれるか、また、どういう方向で検討なされようとされるか、この点を承って、ほかにも質疑者があるようでありますから、きょうのあなたに対する質問を終わりたいと思います。
  33. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 離島交通のために離島自体の物価の上にいろいろな影響がある。単に交通の便、不便というばかりでなく、その点は私どももそうだと思います。また、それを改善することが必要だと思います。ただ、今すぐにそれが国営であるとか、公営であるかがいいか、あるいは他の助成方法によっていくのがいいかということについては十分検討した上でないと結論を申し上げかねると思います。
  34. 秋山長造

    ○秋山長造君 恐縮ですけれども、ちょっと希望を若干申し上げて御見解を承っておきたいと思います。  先ほど矢嶋委員からるる御質問が出たので、大体それで尽くされておると思うのですが、長官がお見えになっておるので、特に長官に私はお願いしておきたいと思うのです。先ほど質問がありましたように、率直に申しますけれども、率直に申しまして三十四年に企画庁離島振興課ができて予算が一本化されたということは、確かに大きい前進だったことをわれわれは認めるのですけれども、ただしかし、その後の実際の実質的な離島振興対策というものを見ておりますと、やはり依然として離島振興対策審議会あたりにまかせっ切りにしたような格好らしい。それからこの国会あたりを中心にした動きにしても、今見えている議員の方々のような、離島関係地区選出の議員の個人的な努力に待たれてしまっているというような形になっているのが実情だと思うのですよ。これではもういつまでたっても地域格差の是正というようなことは、これはもうとうてい不可能だと思う。大臣のところでも、特に担当の大臣ですから、後進地域開発というようなことについて、おくればせながらも力を入れておられることは、これは率直に認めるわけですけれども、ただ、離島というものは、いわゆる後進地域よりも、もっとそれよりも以前の後進地域なんでして、いわゆる企画庁あたりでいろんな計画を立てる場合に、おっしゃる後進地域の中にはもう入らないような、問題にならぬ後進地域なんですね。そこで本土を中心にしたいろんな経済開発、あるいは今度の新産業都市建設促進法ですか、ああいうものによって本土地域開発というものは、これは相当バランスがとれてできていくのだろうとは思いますけれども、そうなりますと離島はますます置き去りを食ってしまうと思うのです。早い話が今の道路の問題にしても、離島の島の中での道路に対する補助率というようなものは、本土の場合よりは多少余分に見てあるけれども、むしろ問題は離島内の道路よりも、本土離島との間の道路が問題なんでして、申すまでもないけれども、航路の問題、本土の人はどんどんいい道路ができて、しかもどんなりっぱな道路ができても、全部ただで自由に通行できるのに、離島に止まれたばっかりに、本来ただであるべき本土への往来が、全部非常な負担がかかるというようなことが、もうすでに非常に天然自然のハンデキャップがついているわけなんですからね。ですからそういう点を十分考慮されて、これはまあ離島航路の公営化というくらいのことは思い切ってやはり企画庁あたりで計画を立てて打ち出すくらいの意気込みを、大した費用はかからぬわけですから、見せていただかなければ、なかなかこれは言うべくして実効は上がらぬと思うのですね。私も、いろんなことを言うと御迷惑ですから一点だけ申しますが、三十四年から離島振興課ができて、今日までまる三年たつわけです。ほかの部面では企画庁の名前でずいぶん膨大ないろんな計画書が出されているにもかかわらず、この離島振興の問題については、今日まで何一つ見るべき資料も何もできてないんですね。これはあながち担当者が不勉強だとか、怠慢だとかということじゃないと思うのです。そうではなしに、やはり政府自身の、あるいは大臣自身離島問題に対する熱意の重きの置きどころというものに、おのずから何かほかの部面と隔たりがあるから、だからそういう結果になって現われているのじゃないか。あるいは予算の問題も多少あるかもしれない。あるいは人員構成の問題もあるかもしれませんけれども実情としては、もう何にも資料はないわけです。この前の委員会に私は何にも資料がないものですから、せめて速成でもいいから何か離島振興に関する企画庁としてのまとまったものを、一夜づけでもいいから、出してほしい、こういうことをお願いして、こういうものが出たのですけれども、これもとにかく文句が書いてあるのは一ページだけで、あとは全部今までどれだけ事業やったかという統計数字がくっついているだけです。これはもう離島振興課の皆さんの怠慢だということは決して申しません。それは熱意をもってやっておられることは了としますけれども、しかし、対外的に、あるいは離島民に対して、あるいは国会に対して、離島振興課という課がわざわざあって、そうしてこの重要なる法案の審議をするのに、その担当課から、あるいは何も担当の役所から資料も出し得ないという状態は、これはもう何としても私はやはり政府離島振興に対する熱意の薄い証拠であろうと断定せざるを得ない。したがいまして、私が大臣に特に望みたいことは、たとえば文部省でも離島の問題、いろいろ調査等にむずかしいという点があることは認めます。苦労の伴うことは認めますけれども、しかし、その点は離島のみならず、いわゆる山間僻地の僻地の問題にしても似かよっておる。ところが、文部省あたりは私らも文部省のやっておられることは必ずしもいいことばかりやっておられるとは思いませんけれども、しかし、少なくともこの僻地教育なんかについては、これは島の問題にしてもあるいは山間僻地の問題にしても、僻地教育の問題については文部省はなかなか毎年割合行き届いたいわゆる僻地教育白書のようなものを出しておられるのですよ、ずっと。私はいつもこれを拝見して文部省にしてはなかなかいいことができておるなと思ってその点は私は認めておるのです。長谷川さん、ほんとうにそうですよ。力を入れてやって下さいよ、もっと。ところが、そういう計画なんかを作ることを一番専門にやっておられる経済企画庁が、所得倍増計画だなんだいう膨大なものを、さげ切れぬような膨大な資料を次から次へ出されるにもかかわらず、僻地の振興については、こっちが特にお願いをしてこれだけの、一ページの資料では、これはもう問題にならぬと思うのですよ。ですから、この点はやはりおのずから政府の力の置きどころあるいは企画庁内における比重の置きどころというものがそうさせておると思う。ですからやはり本土ばかりが幾らよくなっても僻地がますますほっておかれたんでは困りますから、だから離島振興対策ということに対して、私は大臣が先頭に立って強い政治力を発揮していただいて、もっとやはり民間団体にまかせ切りにするのでなしに、政府自身の手でもっとこれはりっぱな総合的な計画書くらいは、たとえば離島白書くらいなものは早急にまず出して、それでまずのろしを上げて、そうして離島振興を積極的にやはり推進していただきたい、各大栄なんかには離島の問題なんか緻密に研究しておられる学者なんか相当おられるようです。そういう人たちに対して、これは企画庁自身でやられぬならば、研究費でも出していろいろな調査なんか委託してもいい、そのくらいなことは断じて、藤山さんがやっておられるうちに先鞭をつけておいていただきたい、これはもうぜひお願いしたいと思います。
  35. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) まことにごもっともな話でありまして、そういう点について、はなはだ届いてなかったことと思います。今後ひとつできるだけそういう点に注意をいたしまして、そうして離島現状なりあるいは離島の将来の問題点、あるいは過去における離島振興の状況なり、そういうものをまとめて白書というようなえらい形であるかどうかは別として、十分皆さんの御理解を得て問題を解決するようにして、企画庁努力していきたいと思います。
  36. 秋山長造

    ○秋山長造君 ぜひひとつやっていただきたいと思います。
  37. 小林武治

    委員長小林武治君) 大臣よろしゅうございます。
  38. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 厚生政務次官、お急ぎのようですから先に承りたいと思います、長谷川政務次官もお忙しいことはわかっておりますが。先ほど経済企画庁長官に承ったのですが、お宅関係のは予算一本化に入っていないわけですね、これが一本化されることについては、次官としてはどういう見解を持たれておるか。あわせてやはり人命尊重という立場から発議者も指摘されておりましたが、医療の問題ですよ、この点についてはどういうように把握され、どういう御努力をなさっておられるのか、発議者は昔から——、昔というとおかしいが、数年前から医療船でも建造して、そうして島々を巡回して、巡回医療でも強力にやられたらということをずっと主張され、若干医療関係も前進はしているのだけれども、しかし、ときたま島に行ってみると、ほんとうに気の毒ですよ。厚生省当局としてはどういう御見解を持ち、どういう御努力を過去においてなされ、これからやられようとされるのかお答えいただきたいと思います。
  39. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) お答えいたします。厚生省においては昭和三十一年度から僻地医療対策を批准してきましたが、現在までに離島については三十九の無医地区に僻地診療所を設置しております。その整備費及び運営費の赤字に対しては二分の一の国庫補助を行なってきておるのであります。明年度においても僻地医療対策の一環として、僻地診療所の設置を必要とする離島については、国庫補助によりましてその設置を推進する予定であります。なお、僻地診療所の整備につきましては、診療所が大体二十五坪、医師住宅十二坪、計三十七坪を国庫補助の対象としてその経費の二分の一を補助しておる現状でございます。僻地診療所は医師、看護婦、養護員三人分の人件費、医療費等の運営費につきましても、その赤字の二分の一を補助し、診療所の維持に努めているところであります。また、人口二百人未満のため僻地診療所の設置条件に適合しない特別の僻地の療養を確保するため、昭和三十六年度から巡回診療船による巡回診療を実施することとし、本年度はとりあえず長崎県に一隻分の国庫補助を行ない、目下建造中であります。この巡回診療船は排水量三十五トンのものであって、長崎県五島列島において巡回診療に従事する計画であります。巡回診療の実施につきましては、特別僻地一カ所につき、おおむね十日ごとに巡回することとし、特別僻地のもより港に寄港の上、医師、看護婦が医薬品、衛生材料等を携行し、特別僻地の集会所、公民館等において患者の来集を求めて診療を行なわんとしておるのであります。  なお、巡回診療船につきましては、明年度も二隻分八百万円——一隻四百万円ずつでありますが、この現状について補助を予定した離島の特別僻地の医療確保に一そう努力して参りたいと存じております。  なお、総合予算の実施につきましての厚生省の意見でありますが、これにつきましては、今のところ現状のままでも十分目的を達し得るのじゃないかと考えておりますが、しかし、これらの点はさらに検討いたしまして、結論を得たいと思っております。
  40. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 僻地診療所を設置する必要があるという個所は、なお何カ所あるというふうに御判断になっておりますか。
  41. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) 三十九カ所でございます。
  42. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 企画庁のほうにはそういう資料がないと思うのですが、その数字でよろしいですか。
  43. 綱島正興

    衆議院議員綱島正興君) 私からお答えいたします。それはとうていそういう数ではどうにもなりません。島というものはそんなわずかなものではございません。それから今厚生省がお考えになっておるその公民館や何かで診察するというのはある程度より大きい島だけです。公民館も何にもない三十戸だとか十五戸だとかという島が一ぱいある、そこらにはどうしても船の中で巡回診療をする船が要る。エキス光線も手台術もあるという船を作らなければならぬ。これがたくさんかかるかというと、そんなにかからない。長崎県なんかは現にこれをやっている、やらせている。これはどうしても国家でやっていただきたいというように言うてもおやりにならぬものだから、長崎県なんかはやらせておる。大切なのは巡回して島から島へ離島を回って歩く、エキス光線と手術台を持って、医者を乗せて、看護婦を乗せて、薬を持って歩く手術船、病院船なるものが要るのですよ。ただいまの法律では、厚生省にこれの補助を出す法律がございません。ただ、結核療養船の場合には半額出す。やむを得ず長崎県などは結核療養船という名前で半額もらったのですが、そのあとの補助費は一文もない、この船にはね。これにどうしても補助費を七割なり八割なりをつけてもらって、そうして全然地方民の負担をかけないようにしてやっていただかなければ、ほんとうに療養の目的はある程度までで、下の方には受けられない。こういう問題がございますから、幸いに老練な政務次官がおいでになりましたから、これはぜひひとつ実施させていただきたい。
  44. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私も、その三十九という数字に疑問を持ったので伺ったのですが、そんなものじゃないと思うのです。やはり本土にいる感覚で数字をはじき出しては数字は出てこないと思う。政務次官もほかのことにはずいぶん通じていられると思うが、島に関する限りは発議者にとても私はかなわないと思う、率直に言って。政務次官並びに政府委員に伺いますが、どうですかね、離島振興対策審議会というものがあるし、それからああいう民間の協議会等があるわけですが、そういうところの意見をもう少し謙虚にお聞きになって、そうして実際に即応した具体的な立案をされるということが私は至当じゃないかと思うのです。この基本的態度はいかがですか。
  45. 鈴村信吾

    説明員(鈴村信吾君) 私から補足して申し上げます。ただいま政務次官から三十九カ所と申し上げましたのは、一定の条件がございまして、厚生省のいわゆる僻地医療対策五カ年計画に載っておりまして、いまだ診療所の設置されていないもの、いわゆる僻地対策の対象になっているところで投資されていないところ、こういう意味でございまして、それがまだ三十九カ所残っておる、こういう意味でございます。その他に離島等でいわゆる無医地区的なところはまだ相当ございます。僻地対策のほうでは一定の条件をつけておりまして、たとえば人口三百人以上であるとか、それからもよりの診療所まで一時間半徒歩でかかるとか、その地区の財政能力が貧弱で診療所の経営の能力がないとか、そういう条件をつけておりまして、その条件にしぼられるところが三十九カ所残っておる、こういう意味でございます。たとえば人口が三百人未満などのところはそこに入っておりませんので、離島等で三百人未満のところでまた同じような無医地区が相当あるわけであります。それにつきましては、先ほど申しましたような巡回診療船を今後とも毎年整備していこうという予定で、すでに三十七年度におきましては二隻の予算をとっております。それから離島以外におきましても、人口三百人未満でそういうようなところもございますから、いわゆる僻地対策に該当しない、つまりその他の条件は僻地と同じですけれども、診療所は一応経営が成り立っている、つまり地元の能力等があって経営等が成り立つというところもございますので、そういうところにつきましては、あるいは国民健康保険の直営の診療所を作るとかというようなことで解決しているところもございます。したがいまして、厚生省の僻地対策の、僻地医療対策の個所は三十九カ所と申し上げましたが、その他に今言ったような巡回診療船の対象になるとか、国民健康保険の診療所を設置するとか、こういうところで別な面から解決するところもございますので、総合的に厚生省としては考えております。
  46. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたの答弁、だいぶ了解いたしました。しかし、離島の民生安定の立場から、医療という問題は大きな問題ですよ。だから取り組む方はもう少し本腰を入れて取り組んでいただきたいと思いますが、で、あなたは医務局の次長で専門家だから伺いますが、二分の一の補助で医師が確保でき、診療所の維持運営ができるのでしょうかね。離島振興法では一〇〇%、港は一〇〇%、補助は四分の二補助とか、こういうふうになっておるのです。僻地の診療所、あの人口の少ないところで二分の一の補助で一体維持できるのでしょうかね。それからまた、病気になった場合にかかって、なおすような能力を持った、失礼だが、なおせるような能力を持ったお医者が確保できるのでしょうか、どうでしょうか、その点はどうお考えになっておりますか。
  47. 鈴村信吾

    説明員(鈴村信吾君) ただいまの医師確保の問題につきましては、従来国民健康保険の直営診療所等を作りました場合に、せっかく診療所はできたけれども医者が来ないとか、あるいはいた医者がいなくなったということであき家同然になるものが間々あったわけでございます。したがいまして、医務局の僻地対策におきましては、そういうあき家を作らないという方針に基づきまして、単独の診療所でなくて、近くのまあ親元病院といいますか、県立病院あるいは国立病院というような、いわば公的な病院からの出張診療所という形にしまして、常に医者は親元病院から交代で、あるいは一月交代、あるいは半年交代というようなことで交代で派遣すると、そういたしますればあき家になるということはまずありませんので、そういう出張方式で解決しております。したがいまして、赤字につきましても、現在二分の一補助いたしておりまして、これで十分であるとはもちろん申し上げられませんが、そういう今のような親元病院派遣の形をとることによりまして、医師の確保並びに診療所の運営には相当奇与しておる。現に僻地対策によりますものは今のところあき家も出ておりませんし、その点は非常にうまくいっておるというふうに考えております。  それから先ほど巡回診療船のことを申し上げましたが、巡回診療車もさらに配置しておりまして、すでに本年度も二十三台配置しております。また、来年度も二十三台ということで、診療所を設置しないけれども、巡回診療車で回っておるというところも相当ございます。
  48. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 まあ時間がないから、厚生関係に対する質疑は私はこれで打ち切りますがね。さらに一段と関係各省庁とも連絡して御尽力いただきたいと——その必要があると思います。お願いして、厚生省に関する質疑は私はこれで終わっておきます。  ほかに厚生省に対する質疑がなければ文部省に伺いたい。——じゃ、文部政務次官、伺います。  離島振興ということも、長い目で見れば教育の持つ分野というものは非常に大きいと思うのですよ。教育のふるわないところにやっぱり悪循環しておると思うのですね。それで一般抽象論、原則論は省いて、率直に伺いたい点は、まあ今の学校教育、義務教育に焦点をしぼっても、PTAの負担というものは非常に大きいわけですね。ことに施設、設備の充実にかかってはPTAの果たす役割が非常に大きいわけです。ところが、離島では、そのPTAなるものはおおむね非力なんですね。人口が少ないから、それから特別の大企業があるわけじゃないですから、だからPTAにおんぶされておるような文教政策が日本に行なわれる限り、離島の教育水準の向上というものは非常に困難なわけですよ。で、率直に言って、学校を建てる場合に、さっきちょっと出ましたが、輸送関係等で予算の補助配分するときに、今度の単価で配分されてはとても負担にたえ切れないと思うのですね。そこから非常に貧弱な施設設備になるという点ですね、こういう点の配慮というものがあってしかるべきじゃないか。それから、離島はおおむね暴風雨によくさらされますし、場合によるというと、これは住民の生命、財産を擁護する施設にもなるわけですね。したがって、地元になかなか負担能力がないだろうけれども、長い目で見るならば、これは永久鉄筋建築にして、それだけの助成というものを国がしてしかるべきじゃないか、こういう点と、それから学校教育、ことに社会教育の公共施設ですね、公民館、図書館等というものは惨たんたるものだと思うのですね。こういう点についても、やはり離島振興法趣旨をいかして、予算一本化というような考えから、他の事業に対する高率補助をして本土と区別をしている角度から配慮すれば、離島の学校教育、社会教育というものは飛躍的に向上するのじゃないか。それが百三十万の離島の人々の民生安定、生活向上につながり、時日はかかるけれども抜本的な方策になるのではないか。そういう点で、先ほど秋山委員から指摘されたように、文部省で研究をされ配慮されている点は多々認めますよ。しかし、百尺竿頭一歩を進めていただく必要があるんじゃないか。ということは、曲がりなりにも、若干港ができ、道ができ、電気がつき、簡易水道等もつくような段階に来たので、そういう点に前進すべきではないかと思いますので、その点現状認識とお考えをひとつ承りたいと思います。
  49. 長谷川峻

    政府委員(長谷川峻君) 離島について御熱心な御質疑、私も実は離島振興法ができるときにやった一人ですから、しかも指定地域の中には私の選挙区があるから、選挙区のある者はこれはよくわかると思うのです、実情が。文部省の立場からしますと、交通関係が離れているからといって、離島本土というものは特に区別するわけじゃありません。その点は、僻地というより、さっき秋山委員からおほめの言葉がありましたが、私のほうには僻地振興課はないけれども、ちゃんとへき地教育振興法でそういう手当を従来やってきているわけです。特別助成というものは、へき地教育振興法でほかのものよりは行なわれている。それがおほめの言葉の一つにあったと思うのですが、やはり集会所とか、そういうものも、歩いてみますと、必要なことはわかりますし、今までも、三十三年から相当予算も出しておりましたが、その中に、今社会教育関係で、僻地集会所、あるいはまた特に僻地ということで奇宿舎の問題とかというものを予算の中に入れておるのです。本土の山村と違って、私たちも見ますというと、映画にもあるように、「喜びも悲しみも幾歳月」というような、ああいうふうな話があるように、どうしてもやはり最後に教育にきますから、これはますます私のほうでも力こぶを注いでいかなければならない、こう思っております。  それからもう一つ、これは私見ですが、そういうふうに、私のほう自体としては、文教の府という立場から、僻地振興という建前で手当はしておりますけれども、これは文教関係予算をただ一本にどこかへ持っていったからといって私はできるものじゃなくして、そういう実情をよく認識しているところが、地方の要請に応じて、またこちらからお勧めいたしまして、こういう恩典があるのだということなどをよく教えてやって、地方の空気を盛り上げることをやりながら、手当が十二分にできるように努力してやるべきが本筋ではなかろうか。ただどこかに一本に、僻地関係だからといって、ぽんと文教も何もかも持っていくということがいいという感じは、私は今のところいたしておりません。そうした意味で、従来もやってきましたが、今から先もやっていきたいと、こう思っております。
  50. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一回伺いますが、今のお考えは妥当なお考えかと思います。また、へき地教育振興法という法的根拠に基づいて予算をとり、行政面で努力している——発言力のあるあなたの発言だけに、非常に迫力があって、やはり一つ見解だと思います。私は具体的に説明を伺ったのですが、単価を考慮するとか、鉄筋の問題を考慮するとか、さらにバス、ボートは、へき地教育振興法が叫ばれるころから、文部省で考慮されて、本年度の予算にも、明年度の予算にも、出ているわけです。適正規模の学校に子供を通学させるという目的からも、バス、ボートの必要性というものは非常に大きいと思う。問題は、やはり補助率の問題だと思う。港湾等が新設あるいは開設される場合は、一〇〇%の補助あるいは八割の補助がある。ところが、離島の学校建築とか、バス、ボートをやる場合には、その補助率が下がるということは、離島振興して、離島の人の福祉増進という立場から考えると、やはり僕はちぐはぐじゃないかという感じがするわけです。それで、バス、ボート等の補助率の問題とか、あるいは学校建築の単価の問題とか、それから建築構造を鉄筋に重点を置く問題であるとか、これらの点については、予算編成のときにそうしておかなければならぬが、離島にだけ鉄筋を持っていって、平地には鉄筋がいかなってしまうと、これは政府全体の問題になります。その点の御見解を政務次官に伺いたい。
  51. 長谷川峻

    政府委員(長谷川峻君) 離島を歩いて見ますと、学生諸君がどこからか提供を受けたボートを皆でこいで学校に行くのですよ。そういう姿を見れば、結局、私のほうでやっているスクール・バス、ボート、そういうものに予算をやりたいという認識と同情が出てくるのですよ。それと、文部省としては、一般論として、やはり将来新築、改築する学校は鉄筋のコンクリートにしていくべし、しかもなるべく、ここに自治省もおいでになりますが、自治省にお願いして、あまり地元には負担をさせないで、足りない分は起債をお願い申し上げたい。鉄筋でいくことが、ああいう島ですし、海岸線ですから、暴風雨、津波、そういうときの防災にもなりますし、それから建物そのものが長持ちするという原則論もあるわけでありますから、これにやはり当てはまるように私のほうで努力したい。ただその場合、どうしても、皆さんにせっかくこういうふうなまじめな真剣な御討議を願っておりますから、そういう空気を盛り上げていただいて、予算編成までにしっかり応援してもらわなければ、一文部省ではなかなか大へんなことだと、こう考えております。
  52. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 自治省政府委員の方に伺いますが、今の文部政務次官の御見解はいかがでしょうか。
  53. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 私ども、校舎につきましても、あとう限り木造から鉄筋校舎に比率を移していくということが非常に重要なことだと考えているわけであります。したがいまして、文部省におきましても、できる限りそういう方向に国庫負担額をみていただくことにしまして、そういう配分を離島についてやっていただきます限りは、地方債につきましても、当然それに対応するものをみていくというようにいたして参りたいと考えております。
  54. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 たいへん長くなって恐縮ですが、あと二、三問で終わりますが、企画庁説明員の方に伺いますが、きのう私予告しておきましたが、この離島の人々の所得の変動と、今度の国民の所得向上との関係ですね、そういうものは、まああなたのところは、公務員の数が少なくて、とてもこんなデータを整える余裕は持っていらっしゃらないと思いますが、個別的なケースでもおつかみになっておられれば、それを承わることによって全体的なものをある程度類推できるかと思うのですよ。それで、所得水準の変動という立場からあとう限りのひとつ答弁をしていただきたいと思います。
  55. 和泉一雄

    説明員和泉一雄君) 実は、矢嶋先生から昨日御指示がございましたので、調べましたことを申し上げます。  概括的に言いまして、私のほうで所管しております島は、人間の住んでいる島が三百二十一ございまして、そのうち、外海にある局の、主として漁業を中心としている島、それから農業を中心とする島、それから形態としてその半分々々という島、この三つを取り上げました。それから内海につきましては、純粋の農業の形の島、それから漁業の形の島、この五つについて、昭和二十六年から三十二年までの一人当たりの生産所得を出してみたわけでございます。それを全国の昭和二十六年から三十二年までの一人当たりの生産所得と比較したものを作ってみたわけでございますが、外海の漁業型の代表的なものとして、宮城県の大島というものがございます。それは昭和二十六年の一人当たりの所得が三万七千六十円で、これを一〇〇といたしますと、二十七、二十八、二十九、三十、三十一、三十二と漸次増加いたしまして、三十二年には五万八百円の生産所得上げております。これを、二十六年を一〇〇にいたしますと、三十二年には二二六になります。全国の昭和二十六年の一人当たりの所得は、二十六年を一〇〇にいたしますと、三十二年に一七〇でございまして、まだとうてい全国の平均までは及んでいなかったという結果が出ております。また逆に、農業につきましても、これは長崎県の壱岐——最近漁業にも相当力を入れるようになりましたが、三十二年までは農業の型に属する島でございますが、昭和二十六年一人当たり三万二千四百四十円、昭和三十二年に四万六千百七十円、二十六年を一〇〇にいたしますと、三十二年には一四二という数字で、これもまだ全国の平均の一七〇には及ばなかったという結果が出ております。しかしながら、また混合型という形で東京の八丈島を比較いたしました。二十六年は三万三千三百円でございましたのが、三十二年には六万六千二百十円と、非常に一九〇%まで伸びておる。これは八丈島は、先ほど来先生からお話がございましたように、島の持っております自然的な気候条件を利用いたしまして、ここには鑑賞川の観葉植物を相当積極的に取り入れたということ、また最近クサヤの干物に多少活路を見出しておる面もございますが、そういうような面で混合型として一九〇%伸びておる、こういうような実情でございます。  また、内海の農業型の島としては、岡山県に真鍋島というものがございまして、最近花卉園芸に活路を見出しまして、積極的に進んでおる島でございますが、そこは昭和二十六年にはわずか一万四千八百五十円の生産でございましたのが、昭和三十二年には二万五千四百二十円と、率にいたしまして一七五%、全国平均よりも進んできておるという例もございます。  また、もう一つの内海の漁業型に属しますところの香川県の伊吹島というものがございますが、そこは漁業に専念しておりますので、平素から非常に一人当たりの所得は多いのでございますが、そこは相変わらず、二十六年が一〇〇%にかかわらず、三十二年は一二二%だというふうに、非常に低迷しておるということがございまして、一がいに日本の島全般について類推することはなかなかむずかしゅうございますが、島によっては、国の施策、県の指導、それから島民の意欲というものによりまして、非常に成果上げているところもございます。また、矢嶋先生から御指摘がございましたように、県が必ずしも世話をしていないというわけでもございますまいが、その島の置かれております自然的な、社会的な条件、あるいは島民の生産意欲の高くないというふうな面で、こういうふうな結果が出ているとは申し上げかねますけれども、そういうような面もある島もあるのではないか、かように了解しております。
  56. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 よくわかりました。これで簡単に結論めいた類推はできないけれども、やはり低迷していることは一つあると思うのです。全国的にその二十六年を一〇〇とした場合に、三十二年が一七〇であるとなれば、同じ適度で上昇するとすれば、後進地域はカーブは上がりやすいのですから、一般全国的平均の一〇〇が一七〇になると、離島後進地域は一〇〇が二〇〇にも二五〇にもならなければ、同じ速度で上がったということにはならない。それが一七〇の水準よりも一般に低いという類推ができるということは、やはり低迷して不十分だということが一つ言えると思う。もう一つ類推できることは、八丈島に見られるごとき、施策よろしきを得れば非常に明るいのだ、望みなきにあらずという類推ができると思うのです。私も天草の資料を持っているわけですが、あなたから若干の計数を承って非常に参考になりました。しかし、国家予算は膨張して参るわ、さっき出ましたように、農業構造の改善とか、あるいは新産業都市建設促進とか、そういうものが推し進められて、そういう方面に膨大なる国家予算がやや重点的に投入されて参るようになりますと、離島に対する考え方、施策というものは、従来よりさらに次元を高めないと、格差是正というものは逆の方向に行く確率は相当大きいという点を僕は指摘して、関係者の善処をお願いしておきたいと思います。  もう一点説明員のあなたから承りたいのは、きょう出た資料で准捗率ですね、これ非常にアンバラがあるのですが、合計としては五二・七%。だから、十カ年間同法を延長する改正案が出た大きな理由になっていると思うのですが、この進捗率のアンバラというものは、どういうふうに判断したらいいのでしょう。
  57. 和泉一雄

    説明員和泉一雄君) 進捗率は、事業ごとの進捗率でございまするか、それとも地域ごとの准捗率でございますか。
  58. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 いや、最後の表ですね、事業別でなく、島別に。
  59. 和泉一雄

    説明員和泉一雄君) これは、昭和三十三年から三十七年の全体計画を立てました際には、当時の感じとして、大体五カ年間でおおむねこの程度の事業は必要であるという観点に立ちまして、ここに地域的に計画を作ったわけでございます。しかしながら、三十三年、三十四年、三十五年と、こう推移していきますに従いまして、全部が全部国費事業を行なうということでございましたら、私のほうでも地域ごとにアンバランスのないように国費を投入することができるわけでございます。しかしながら、先ほど申しましたように、農業に専念する島、漁業に専念する島、あるいは半農半漁の島と、地域的に、島ごとに検討いたしますと、非常に千差万別でございまして、漁港港湾というようなものにつきましては、相当大規模に要求がある。農業、あるいは土地改良というものにつきましては、補助率が非常に低いために、要望はしたいのだけれども地元負担がなかなか伴わない。ものによりましては、電気あたりは、私のほうがぜひつけて差し上げたい。まあ県も、本来電気は、国が三分の一、県が三分の一、地元の農業協同組合あるいは漁業協同組合が三分の一という原則がございますが、県によっては、残りの三分の二は全部県で出しましょう、ですからぜひ電気を引っぱっていただきたいというところがありまして、私どものほうも県と相談いたしましてつけてやろうといたしましたところが、その維持費がもうない。したがって、島の生産を上げて毎回維持費が出せるという域に達するまでは電気は遠慮いたしますというふうな非常に哀れな島もございまして、現在の法律範囲内で私どものやれますのはたかだかそこの程度でございまして、それから先のことまでは、ずっと維持費を毎年補助をしてあげるという制度もございません。したがいまして、ここに計画は載っけてありましたものでも、私のほうが何とかして、やりたいというようなものも、やってやれないものがあるわけでございます。これは、単に電気だけに限らず、地元負担の伴うもの、あるいは県費の伴うものについては、多かれ少なかれ非常に数多くのものがこの中に含まれております関係で、勢い私のほうでは、相当きめこまかに検討して、県とも相談して、やってやりたいのではございますけれども、現実にそういうふうな事態が起こりました際には、私どもの期待に反したような結果が出てこざるを得ないという実情がこの表に現われておるというふうに御理解いただきたいと思うのでございます。
  60. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 最後に、お願いと、老婆心ながらまあ注意も喚起しておきたいと思うのですがね。そのお願いというのは、まあ島自体の行財政能力が大きな原因にもなるけれども、失礼だけれども、勉強不足のところもありますよ。だから、こういう後進地域、特に離島の問題については、あなた方非常に手薄で骨折れることでしょうし、都道府県でも、知事によると重点的に取り上げている県もありますが、とれないところが割合に多いとあらば、その島の自治体の職員が積極的に研究、勉強されるという要素がないというと、なかなか前進しないんですよね。だから、指導行政を強化するということは、僕は大切だと思うのです。この点、あなた方人数が少なくて、十分届かない点があるかと思いますが、協議会等の民間団体もあるわけですから、タイアップして十分それを進めていただきたい。このアンバラという点で私が言ったのは、これを見ますと、やはり非常に進んでいるところがありますよ。たとえば、長崎県なんか見ると、進んでいるんだな。これは発議者綱島先生のような方がいらっしゃるということもそうだと思うし、地域も非常に御熱心だと思うのです。しかし、まさかと思いますが、船も一番先から——発議者綱島先生が前から言われておったことですが、最初に船ができるようになった、まず長崎に船が行ったということですが、予算等の配分については、そういうことは万々ないと思いますけれども、先行してよくいっているところにますます重点的にいくというような形にならぬで、もっと科学的に、合理的に、すべての島が振興できるように行政官としては心していただかなければならぬと思いますので、これは別に答弁要りませんが、お願いを申し上げておきたいと思います。  質問を終わります。
  61. 秋山長造

    ○秋山長造君 自治省にちょっと二、三点お伺いしたいのですが、離島の場合、交付税だとか、あるいは起債だとか、そういうものについて何か他と違った措置がとられておりますか。と申しますのは、離島は大体非常におくれているということが一般論として言えると思います。それだけ住民の所得が非常に低い。したがって、税収はもうほとんど見るべきものはない。そこで、この交付税に勢いたよる。ところが、交付税もそれほど多くないということになりますから、いろんな形の税外負担が非常に多いのです。あるいは、労力奉仕というようなことも含めての税外負担ですから、税外負担の金額は、これはおそらく、集計して見ても、そう膨大な額にはならぬと思います。その負担能力がない。——ないけれども、しかし、その負担能力のない一般品民に対する税外負担としては、非常に重い税外負担がかかっていると思うのです。自治省の方針として、本年度から財政計画に、まさに税外負担を整理していくという、特別なワクまで作って税外負担の整理をやられるということなんですが、こういうことがこういうおくれた離島まで徹底し得るのかどうか。徹底さしてもらわなければならない。しかし、それはただ、今のままで税外負担をいくら抑えろと言っても、おそらく無理で、とても自治省なんかで捕捉できぬようないろんな名目のあの手この手の税外負担が伝統的にいろいろかかっている。そこでどうしても、これを何とか解決する道といったら、交付税あたりで離島のほうは離島補正を新設してくれということをしきりに言っているわけです。それから起債なんかにしても、一件についての工事費というものが制限額が非常に高い。本土のほうでは一般的にはそれほど高いわけではないけれども、貧困な離島にすれば一件の金額が高い。そのために、起債のワクにかからないような小さな起債をもらいたい事業が非常に多い。そういう点についてやはり考えてやらなければいかぬのじゃないかと思うのですが、その点どうですか。
  62. 大上司

    政府委員(大上司君) ただいまのお話、われわれのほうといたしましては、どこまでも、お説のとおり、税外負担をいわゆる是正していくという根本方針と同時に、そういう離島、または辺地と申しますか、こういう僻地に対しましては、特別な、これまた先生のお話のとおり、補正と申しますか、補充をしていきたいという根本方針を打ち出して、作業を進めております。したがいまして、これについての具体的な、さすればこれをどうするとか、あるいはこれをこういうふうにもっていくのだとかいうような細部については、幸いにして局長が来ておりますので、局長から説明いたさせますが、根本はお説のような方針で進んでおります。
  63. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 府県につきましては、普通交付税で僻地補正等を行なっておるわけであります。主として隔遠地手当等を算入するためでありまして、投資的経費を充実するという意味においては、あるいは十分でないかもしれません。他方格差是正という意味で、御承知のとおり一種地から二十極地まで区分しております部分につきまして、すでに、二十五年度において、府県においては十三極地以下のものは全部十三種地まで引き上げて計算するというように切りかえをいたしておるわけであります。市町村につきましては、三十六年度からその方法で始めておるわけでありまして、三十七年度以降についても、その方針を続けておるわけでございます。十種地以下の市町村の基準財政需要額を十種地並みに計算していくというような考え方をとりますと、百七十三億円ぐらい要るわけでありますが、その四分の一、四十三億円ぐらいを三十七年度においても是正していこう、今後におきましても同じような考え方をとっていく考えであります。幸いにして財政状況好転が、ずっと今の傾向をたどっていくとしますならば、大体五年ぐらいで十種地並みに計算していける。三十六年度から始めまして、五カ年計画で解決したい。そういう気持で作業をしておるわけでございます。  なお、地方債の問題につきましては、もともと特別な事業につきましては、国事負担の加算が行なわれているわけでありますから、地元負担が少なくなっているだろうと思います。しかし、その地元負担につきましては、一般的な方針で地方債の充当を行なうという方針をとっているわけでございます。なお、三十七年度からは、辺地における公共施設整備のための特別な地方債のワクを設けるということをいたしたわけでございまして、この部分の元利償還額につきましては、五七%を基準財政需要額に算入していくという考え方を持っておるわけでございます。
  64. 秋山長造

    ○秋山長造君 従来、離島のいろんな事業に対する補助は、県が中心になってやっておったわけです。それがこの法律ができたために、国の補助率上げられたわけです。そうすると、地方の従来負担しておったものが、国の補助率上げられただけ軽減されるという理屈になるわけですね。その軽減されたものをそのまま、従来どおり府県が離島へつぎ込んでくれれば、これはそれだけ確かに総体として、離島の工事が前進するということになるのですけれども、その実態は必ずしもそうでなしに、国の補助率が上がったこの差額だけは、それだけ府県のほうが、今まで出していたのを今度は出し惜しみをするという結果になっておるのが実情じゃないか。そこで、難局振興法でなしに、府県振興法だというような皮肉を言われるような面が出てくるのじゃないかと思う。で、私も正確なことを調べたわけじゃないけれども、話に聞くところによれば、国の補助率が引き上げられた後においても、依然として従来どおり、あるいは従来以上の補助を地方団体でやっているところというのは、加藤光先生の東京都、綱島先生の長崎県くらいなもので、その他は大体、熱意が必ずしもないとは言えぬが、やはり地方財政が苦しいためにそうなるのでしょうけれども、国の補助率が引き上げられた差額だけは、県のほうはそれだけ手を抜いているという実情になっているのじゃないかということを聞くのですが、それではちっとも離島振興にならぬので、ただ県がやっておったのを国が肩がわりをするということに終わってしまうので、そこら辺の実情を把握しておられますか。
  65. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 離島振興の問題にいたしましても、後進地域開発にいたしましても、同じ問題だと思うのですけれども補助率を引き上げるということは、その事業受け入れやすいようにするだけにとどまる問題だと思うのであります。やはり、あわせて事業分量を多く持っていかなければ、意味をなさないと思うのであります。両々相まって、初めて離島振興なり後進地域開発なりが、その目的を達することになると思うのであります。そういう意味で私たちは、事業分量の傾斜的配分ということを非常に強く主張して参っております。そのことが、はたしてこの数年来の経過を見て十分であるかないか、これは私は十分論議のあるところだと思います。幸いに政府も、格差是正ということに力を注いでおりますが、予算編成等でもそういう方面に努力をしてくれていると思うのですけれども、そういう意味で私たちは、今後はさらに両々相全うできるように努力していかなければならないと思っております。そうすれば、秋山さんが御指摘になりましたような点も、おのずから解消していくのじゃないか、こう思っております。
  66. 秋山長造

    ○秋山長造君 局長の御説明を聞くと、全く一分のすきもないことになっておるのだけれども実情は必ずしもおっしゃるようになっていない、必ずしもじゃなくて、大体なっていないと思うのです。そこで、そういう方針で自治省がやっていかれるならば、たとえば今度の地方財政計画などの地方の事業費にしても、そこらの点を配慮して、事業費のワクというものは策定されておるのかどうか。それから、さらにこの問題について、その地方に対して、自治省として強い行政指導をなさっておるのかどうかということ。それからもう一つは、さっきの話に返るのですけれども離島におけるいろんな種類の税外負担というようなものについて、その実態を離島について自治省あたりで何かつかんでおられるような資料があるかどうか。この三点について。
  67. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 基本的には、国の予算をどう配分するかという問題になろうかと思うのであります。公共事業費の配分のいかんに帰着すると考えております。したがいまして、地方財政運営上は、後進地域にそれらの事業を多額に持っていっても、それを現実に受け入れることが容易であるような措置をとっていかなければならない、こう思うのであります。基準財政需要額を計算いたします場合には、離島でありますとか、あるいは後進地域でありますとかいう地域については、国庫負担率が加算されておりますから、地方負担は少なくなるわけでありますけれども、普通の地方負担があるものとして、基準財政需要額の算定をしております。したがいまして、かさ上げの制度があるということは、これらの団体にとって魅力のある制度になっておる。比較的それらの仕事を実施しやすい結果になっておる、こういうことがあるのじゃなかろうかと思います。  なお、税外負担の問題につきましては、三十五年度の実績について調査をしておるわけでございます。特に離島のあるような地域だけのものを集計すれば、御指摘のような数字が得られると思うのでございますけれども、そういう地域だけにしぼった比較は、現在のところ持っておりませんので、一般的にそういう地域だけではどうなっておるかということをお答えすることは困難だと思います。十分ではございませんが、全体的には、税外負担はわずかながら少なくなる傾向を持っておる。しかし、どちらかと申しますと、先進地域のほうがその傾向が強い、後進地域のほうがその傾向が弱いということは、一般的には私は言えるのじゃないかと思っております。
  68. 小林武治

    委員長小林武治君) これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 小林武治

    委員長小林武治君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 小林武治

    委員長小林武治君) 御異議ないものと認めます。  これより採決に入ります。  離島振興法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を衆議院送付案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  71. 小林武治

    委員長小林武治君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続等につきましては、先例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 小林武治

    委員長小林武治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。   —————————————
  73. 小林武治

    委員長小林武治君) なお、この際理事の辞任許可に関しお諮りいたします。  野上君より理事を辞任いたしたい旨の届出がありましたので、これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 小林武治

    委員長小林武治君) 御異議ないと認め、さよう決しました。   —————————————
  75. 小林武治

    委員長小林武治君) つきましては、直ちにその補欠を互選いたしたいと任じますが、その指名を委員長に御一任願うこととして御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 小林武治

    委員長小林武治君) 御異議ないと認め、館君を理事に指名いたします。   —————————————
  77. 小林武治

    委員長小林武治君) 次に、地方交付税法の一部を改正する等の法律案及び地方税法の一部を改正する法律案の同案を便宜一括議題として、提案理由の説明を聴取いたします。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  78. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記を始めて。大上自治政務次官
  79. 大上司

    政府委員(大上司君) ただいま議題となりました、地方交付税法の一部を改正する等の法律案の提案理由とその要旨を御説明申し上げます。  明年度は、地方公務員の退職年金制度の創設を初めとして、地方団体財政需要が増高いたしますので、地方交付税の率を引上げる必要があります。また、このことと関連いたしまして、昭和三十五年度以降住民税の減税に伴う地方財政の状況にかんがみ、当分の間の措置として交付されて参りました臨時地方特別交付金を廃止することが適当であると考えられるのであります。  次に、明年度は、道路整備五カ年計画に基づく道路整備事業を初めとする各種公共事業や、社会保障制度の拡充に伴う地方団体の所要経費をまかなうための財源及び昨年十月から実施されました地方公務員の給与改定の平年度化等により増加する給与費に対応する財源を、関係地方団体に付与する必要があります。  また、明年度は、国税三税の増加や本年度からの百億円の繰り越しによって地方交付税の総額も相当増加いたしますので、この際関係基準財政需要額を増額して、さらに地方行政水準の向上を企図することが適当であると考えられます。  このほか、昭和三十八年度から昭和四十年度までの間における高等学校生徒の急増に対処するための特例として、基準財政需要額の加算の措置を講ずる必要があります。  以上が、この法律案を提出する理由であります。  次に、この法律案の内容の要旨につきまして御説明申し上げます。  第一は、地方交付税法改正に関する事項であります。  その一は、地方交付税の率を引き上げることであります。国税三税に対する地方交付税の率は、昭和三十四年度以降百分の二十八・五とされておりますが、地方公務員の退職年金制度の創設その他明年度の地方財政の状況全般を勘案いたしまして、昭和三十七年度からこれを百分の二十八・九と、〇・四%引き上げることといたしたのであります。  その二は、単位費用を引き上げて基準財政需要額を増額することであります。道府県分につきましては、(イ)道路整備五カ年計画に基づく道路整備事業の実施その他公共投資の充実に必要な財源を付与するため、道路費、農業行政費及び林好行政費の単位費用を引き上げ、(ロ)さらに、投資的経費を包括的に算入するため、その他の諸費の人口及び面積を測定単位とするものにかかる単位費用を引き上げることとしたのであります。市町村分につきましては、道路及び街路、公園、公共下水道、屎尿処理施設等都市における施設の整備に要する経費及び農山漁村における投資的経費の拡充をはかるため、道路費、都市計画費、衛生費、農業行政費及びその他の産業経済費の単位費用を引き上げることといたしております。さらに、道府県分、市町村分を通じて、(イ)生活保護基準の引き上げ、結核予防行政の充実、失業対策事業にかかる労力費引き上げ等により増加する社会保障関係経費の財源を付与するため、生活保護費、社会福祉費、衛生費及び労働費にかかる単位費用を引き上げ、(ロ)税外負担の解消をさらに促進するため、道府県分、市町村分を通じ高等学校費にかかる単位費用を、市町村分についてはさらに小学校費、中学校費等の単位費用等を、それぞれ引き上げることとし、そのほか、(ハ)地方公務員の退職年金制度の創設、給与改定の平年度化、昇給等に要する経費の財源を基準財政需要額に算入するため、関係行政項目の単位費用を引き上げることとしたのであります。  その三は、補正方法の改正に関する事項であります。道府県分につきましては、(イ)河川費、港湾費及びその他の土木費のうち、海岸保全施設の延長を測定単位とするものにつき、これらの測定単位により算定される投資的経費を、より各道府県の財政需要の実態に適合させるため、新たに当該道府県の人口または事業費と当該測定単位の数値との割合を基礎とした密度補正を行なうこととし、(ロ)高等学校費について、測定単位として新たに教職員数を設けたため、これについて種別補正その他の補正を行なうことといたしました。市町村分におきましては、府県分と同様、港湾費に事業費を基礎として密度補正を適用するほか、高等学校費について測定単位の新設に伴い所要の補正を行なうことといたしております。  なお、今後補正係数を定めるにあたりましては、弱小の市町村に対する財源の傾斜的充実をはかるため、都市的形態の度合いに応じて定めている態容補正係数を改正し、その格差を縮小することとするほか、財政力に比し公債費負担の大きい市町村の公債費負担の軽減をはかるため、市町村が国庫の負担金を受けないで施行した災害復旧事業の財源に充てるため起こした地方債の元利償還金を基準財政需要額に算入するにあたり、財政力補正を適用することといたしたいと考えております。  その四は、測定単位の改正に関する事項であります。昨年の国会におきまして、公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律が成立いたしましたので、高等学校に要する経費のうち、教職員の給与費につきましては、教職員数を測定単位として算定することといたしました。  その五は、高等学校生徒の急増対策に関する事項であります。御承知のとおり、昭和三十八年度から昭和四十年度までの間におきまして、中学校を卒業する生徒が急増いたしますので、地方団体といたしましては、これに対処するため、高等学校の新増設等、この整備計画的に進めていく必要があるのであります。そこで政府は、明年度における整備事業費を総額百五十四億円と見積り、これについて所要の財源措置を講ずることといたしたのであります。すなわち、この百五十四億円のうち、十三億円を国庫支出金で、五十億円を地方債措置することとし、残額の九十一億円は、これを基準財政需要額に算入することといたしたのであります。すなわち、本法律案の附則におきまして、昭和三十七年度の特例措置として高等学校生徒急増対策費を設けることとし、昭和三十八年度から昭和四十年度までの間に増加すると見られる高等学校生徒数を測定単位として所要の経費を算定し、これを基準財政需要額に加算することとしたのであります。なお、高等学校生徒急増対策費は、原則として道府県について算定するものとし、例外として、五大都市につきましては、その生徒数を基礎として所要の経費を算定することといたしております。また、私立学校に対しましても、この期間中に急増する生徒の一部の収容を期待しておりますので、私立の高等学校の増加生徒数を測定単位として、私立高校援助のための都道府県の所要経費を算定することといたしました。  その六は、基準財政収入額の算定方法の改正に関する事項であります。すなわち、別に御審議いただいております地方税制度の改正によりまして、住民税、たばこ消費税の課税方法が改められますので、基準財政収入額の算定方法も、これに応じてその一部を改めることといたした次第であります。  第二は、臨時地方特別交付金に関する法律の廃止に関する事項であります。今回、明年度の地方財政の状況全般を考慮して、地方交付税率の引き上げを行なうことといたし、これに伴い、臨時地方特別交付金を廃止することとしたのであります。  なお、以上の改正に関連いたしまして、関係法律の規定の一部を改正することといたしております。  以上が地方交付税法の一部を改正する等の法律案の提案理由及びその要旨であります。何とぞ、慎重審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次いで、ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案について、その提案理由と要旨を御説明申し上げます。  地方税制につきましては、戦後累次にわたる改正により住民の税負担の軽減合理化を行なって参ったのでありますが、最近の経済発展に伴い、国民所得の水準も向上し、地方税においても自然増収が相当見込まれることとなったことにもかんがみ、さらにその軽減合理化をはかることが適当であると存んずるのであります。  ただ、地方財政は、経済の好況と財政健全化措置と相待って逐次好転して参ってはおりますものの、地方の行政水準はなお低く、すみやかにこれを引き上げていく必要も大きいのであります。したがいまして、地方税制については、このような地方財政の実態を考慮しながら、次に述べるような方針に基づいて、住民負担の軽減合理化を実現するとともに、地方財政の自主性、健全性をさらに進めるために、国、地方団体間の税源配分の適正化をはかり、地方独立財源の充実をはかるために、所要の改正を行なうこととしたのであります。  今回の改正による減税規模は、平年度四百二十二億円、初年度二百七十三億円でありますが、あわせて国と地方団体との間に税源配分の適正化措置を講じることとしたので、地方独立財源が充実し、平年度百五億円、初年度八十二億円の増収となり、差引平年度において減収額三百十七億円、初年度において減収額百九十一億円であります。  改正方針の第一は、大衆負担、中小企業者の負担の軽減合理化のため地方税の減税を行なうことであります。そのために、個人の市町村民税の所得割について低額所御者に対する税率の緩和、中小企業者に対する事業税の税率の引き下げ、料理飲食等消費税の負担の軽減、電気ガス税の税率の引き下げ等、所要の改正を行なうことといたしております。  方針の第二は、税源配分及び税源帰属の適正化をはかることでありまして、所得税との総合負担を軽減する方向で、別途所得税の一部を都道府県に移譲し道府県民税の所得割の税率を改正することと相待って、たばこ消費税の税率の引き上げ及びその課税標準の合理化等をはかるとともに、入場税の地方譲与の制度を廃止することといたしております。  方針の第三は、税負担の均衡化の推進等税制の合理化をはかることでありまして、住民税、不動産取得税、娯楽施設利用税、自動車税、固定資産税、電気ガス税、国民健康保険税等の税率の引き下げ、非課税の範囲及び課税標準の特例の合理化等を行なうことといたしております。  方針の第四は、固定資産の評価制度の改正の実施に伴う準備措置を行なうことでありまして、そのために、中央及び地方に固定資産評価審議会を設置する等、所要の改正を行なうことといたしております。  以下その内容の概略を御説明申し上げます。  第一は、住民税に関する事項であります。  その一は、市町村民税所得割についてであります。低額所得者に適用される市町村民税所得割の税率の緩和をはかるため、準拠税率における課税所得七十万円以下の段階区分の改正を行なうとともに、本文方式採用市町村とただし書方式採用市町村との間における市町村民税負担の不均衡をできる限り是正するため、ただし書方式採用市町村における扶養親族の数に応ずる税額控除について、六百円の標準額を法定することといたしております。なお、税率の緩和の改正については、昭和三十八年度分の個人の市町村民税から適用することとしております。  その二は、個人の住民税についてであります。現在、障害者、未成年者、老年者及び寡婦については、前年中の所得が十五万円以下である場合に限り非課税としておりますのを、十八万円に引き上げるとともに、障害者、老年者、寡婦及び勤労学生に対する道府県民税の税額控除の額を現行四百円から千円に引き上げ、その負担の軽減をはかることにしております。なお、個人の住民税における配当控除の制度につきましては、国税における配当課税の取り扱いについての根本的検討の結論が出されるまでの間、さしあたり国税における配当控除の率に対応して配当控除を行なうこととしたのであります。  第二は、事業税に関する事項であります。  その一は、個人事業税についてであります。個人事業税の税率につきまして、第一種事業にあっては五パーセントに、第二種事業にあっては四パーセントに、第三種事業にあっては五パーセントまたは三パーセントに、それぞれ引き下げて負担の軽減をはかることといたしております。なお、新たに事業用資産の譲渡による損失についての控除の制度を設け、所得の計算の合理化をはかることとしております。  その二は、法人事業税についてであります。法人事業税の税率につきましては、普通法人の所得のうち、年百万円以下の金額について六%に、百万円超二百万円以下の金額について九%に、それぞれ引き下げて、中小法人の税負担の軽減をはかるとともに、段階税率の整理簡素化を行なうことといたしております。特別法人につきましても、その税率を、所得のうち、年百万円以下の金額について六%、百万円をこえる金額について八%に引き下げることにいたしました。なお、現在三以上の都道府県に事務所または事業所を有する法人で資本または出資の金頭が五百万円以上のものに対しては、軽減税率を適用しないこととしておりますが、その資本または出資の金額による区分を千万円以上に改め、千万円未満の中小法人に対しても軽減税率を適用することとし、負担の均衡化をはかっております。また、税源帰属の適正化をはかる措置の一環として、製造業を行なう分割法人で資本または出資の金額が一億円以上であるものの分割基準である従業者の数につき、その本社の従業者の数を二分の一として算定するように改めております。  第三は、不動産取得税についてであります。税負担の均衡化を推進する等のために、非課税の範囲、課税標準の特例について合理化をはかったのでありまして、学校法人が設置する寄宿舎並びに民法法人、宗教法人及び社会福祉法人が設置する幼稚園の用に供する不動産の取得、中小企業工場集団化のための事業協同組合等による不動産の取得等に対しては不動産取得税を課さないこととするとともに、農林漁業及び中小企業経営の近代化または合理化のための農林漁業協同組合及び中小企業協同組合の特定の共同施設で国の助成にかかるものの取得については課税標準の特例により負担の軽減を行なうこととしております。  第四は、娯楽施設利用税についてであります。娯楽施設利用税につきましては、入場税の税率との均衡上、舞踏場等で利用料金を課税標準とするものの標準税率を百分の十五から百分の十に引き下げることといたしております。  第五は、たばこ消費税についてであります。国と地方団体及び地方団体相互の圏における税源配分の適正化をはかる措置を一環として、地方の独立財源の充実をはかるため、道府県たばこ消費税及び市町村たばこ消費税の税率をそれぞれ一%引き上げるとともに、その課税標準を公社が小売人に対して売り渡した製造たばこの数量に全国平均小売価格を乗じた額に改め、その合理化を行なっております。  第六は、料理飲食等消費税についてであります。料理飲食等消費税の負担の軽減と課税の合理化を行なうことを目途として、その税率につき、現行の場所による税率適用区分を廃止し、一人一回の消費金額が三千円をこえる場合には一五%、それ以下の場合には一〇%とするとともに、旅館における課税標準の特例の額を現行五百円から八百円に引き上げることといたしております。なお、旅館における宿泊の料金の税率については、消費金額による区分を行なうことなく、一律一〇%といたしております。  第七は、自動車税についてであります。小型自動車の税率について、総排気量により三つに区分し、総排気量の少ないものについて負担の軽減合理化を行なうことといたしております。  第八は、同定資産税についてであります。地方鉄道または軌道の都心乗り入れのためのトンネル、公共危害の防止のために設置する火薬類取締法による土堤、防爆壁等及び地方鉄道または軌道の踏切保安施設等、学校法人が設置する寄宿舎並びに民法法人、宗教法人または社会福祉法人が設置する幼稚園の用に供する固定資産については固定資産税を課さないものとするとともに、鉱工業技術研究組合の試験研究用の機械装置、国内路線を運航する航空機、立体交差化施設並びに農林漁業及び中小企業の近代化または合理化のため共同利用の用に供する機械設備等について課税標準の特例を設け、負担の軽減合理化を行なうことといたしております。また、新設大規模償却資産に対して課する固定資産税の課税限度額の増額措置につきまして、その適用年度を一年度延長することといたしております。  次に、固定資産税の課税の基礎となる固定資産の評価の適正均衡化をはかるため、さきに行なわれた固定資産評価制度調査会の答申の趣旨にのっとり固定資産の評価制度改正の実施態勢を整えるため、道府県知事または市町村長は自治大臣が定めた固定資産評価基準によって画定資産の価格を決定しなければならないものとし、また、自治省に中央固定資産評価審議会を、各道府県に道府県固定資産評価審議会を置くことといたしております。  固定資産評価制度の改正は、各資産間及び市町村間における評価の不均衡を改善是正するために行なおうとするものでありまして、もとよりこれによって増税をはかろうとするものではありません。したがって、改正評価制度の実施に伴い、税率の引き下げ、課税標準の特例等の措置を講じ、税負担の変動の調整を行なうべきものと考えておりますが、その具体的な方法は、改正評価制度による実際評価額の変動状況等を勘案する必要があり、その実施前適当な機会に国会の御審議を願う所存であります。  第九は、電気ガス税についてであります。まず、大衆負担の軽減をはかるため、電気ガス税の税率を一割引き下げて百分の九としたのであります。なお、非課税の範囲の整理合理化を行なうこととし、非課税品目として新たにパルプ等十六品目を追加し、塩化ビニリデン系繊維等二品目を削除し、新規重要産業にかかるプロピレンオキサイド等十品目について三年間の期限を付することとするとともに、電気供給規程における料金割引の適用を受ける公衆街路灯に使用する電気及び農山漁村電気導入促進法による農林漁業団体が供結する電気に対しては電気ガス税を課さないものといたしております。  第十は、鉱産税についてであります。中小鉱業者の負担軽減をはかるため、鉱産税に軽減税率として百分の〇・七の率を設け、一定の金額以下のものについて適用することといたしております。  第十一は、国民健康保険税についてであります。国民健康保険事業に対する国庫負担金の負担割合が引き上げられたことに伴い、国民健康保険税の標準課税総額を療養の給付及び療養費の総額から一部負担金の額を控除した額の百分の八十に引き下げることといたしております。  以下申し上げました諸事項のほか、税制の合理化その他規定の整備を行なうことといたしております。  以上が、地方税法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  80. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  81. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記を始めて。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時十分散会