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1962-02-06 第40回国会 参議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月六日(火曜日)    午前十一時四十二分開会   —————————————   委員の異動 本日委員津島壽一君及び西田隆男君辞 任につき、その補欠として近藤鶴代君 及び青柳秀夫君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 武治君    理事      秋山 長造君    委員            青柳 秀夫君            近藤 鶴代君            西郷吉之助君            館  哲二君            鍋島 直紹君            湯澤三千男君            松澤 兼人君            矢嶋 三義君   政府委員    警察庁刑事局長 新井  裕君    自治政務次官  大上  司君    自治省選挙局長 松村 清之君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   説明員    自治省財政局理    財課長     茨木  広君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十六年五月の風害若しくは水  害、同年六月及び十月の水害、同年  七月、八月及び九月の水害若しくは  風水害又は同年八月の北美濃地震に  よる災害を受けた地方公共団体の起  債の特例等に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○地方行政改革に関する調査  (選挙に関する件)   —————————————
  2. 小林武治

    委員長小林武治君) ただいまから委員会を開会いたします。  本日は、昭和三十六年五月の風害若しくは水害、同年六月及び十月の水害、同年七月、八月及び九月の水害若しくは風水害又は同年八月の北美濃地震による災害を受けた地方公共団体起債特例等に関する法律の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行ないます。御質疑の方は御発言願います。
  3. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 内閣を代表して官房長官あるいは副長官出席を願っているわけですが、まだお見えになりませんから、法案担当当局自治省に対して若干お伺いいたします。  この母法は、三十六年十月三十一日に本院の本会議で可決されているのでありますが、この際に、院の決議として、十四法案内容に準じ、同様趣旨立法措置を次の国会において必ず講ずることと、全会一致で可決されているわけです。行政府はこの方針でやられたのか、この点ひとつお答え願いたいと思います。
  4. 大上司

    政府委員大上司君) ただいまの御質問の点につきましては、その方針にのっとってやりました。
  5. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたのところも関係省庁ですから伺いますが、それでは、一部改正法律案は、全部で何本国会に現在まで出されておりますか。
  6. 大上司

    政府委員大上司君) 四法律案を出しております。なお、一つにつきましては、行政措置でやるべく準備を進めております。
  7. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 四本出されたということでありますが、おそらく、これですべてだと思うのですけれども、先国会では十四本出されているわけですが、その十四本が四本に集約された理由はどういうところにありますか。
  8. 大上司

    政府委員大上司君) その点につきましては、事務当局より詳細に説明させます。
  9. 茨木広

    説明員茨木広君) 自治省所管のものは、ただいま御提案申し上げておる起債特例だけでございますが、その他各省の関係につきましては、現在出ております四つ以外には該当事項がないということの結果、要するに十月以前のものと十月上旬以降のものと比較しまして、該当事由がないということで、法律適用範囲を広げる必要がない、こういうことになったわけでございます。
  10. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これ以上の質問は、自治省に対して適当でないですから、あと官房長官に伺うことにして次に質問を続けます。  要請によってここに資料が出ておりますが、この旧法の改正によって、改正対象となる被害額は総計四億一千百万円、かように了承していいんですか。
  11. 茨木広

    説明員茨木広君) 被害額の実際の確定数字は、いろいろの団体から申請が上って参りましてから、それぞれ検討の上確定されるわけでございますが、現在の段階においては、一応公共査定額から推計をいたしまして、その準備を整えておくと、こういうような態勢をとっておるわけでございます。で、そういう態勢のもとに、起債資金のほうの準備地方債計画に追加をいたして準備をするということでございますが、そういうことで推計いたしましたものが、お手元に出してありますような四億一千一百万になる、こういうことでございます。
  12. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 では、本法によって行なえる起債総額は、およそどの程度になる予定ですか。
  13. 茨木広

    説明員茨木広君) 本法全体といたしましての分といたしますと、大体単独の本年度災害額総額から、大体その一割ぐらいというふうになりますが、現在のととろ、過去のものと全部合わせまして十九億程度の額になるもの、こういうように推定をいたしております。
  14. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 原資はどこから求められますか。
  15. 茨木広

    説明員茨木広君) 全部政府資金予定いたしております。
  16. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先国会母法が成立した当時に、政令制定が早急に行なわれるように要請されておるのですが、これらは全部処理済みでありますか、いかがですか。と申しますことは、私は、先国会の末期に続いて災害が起こった、そこで本院で決議しまして、そうして行政府が次の国会において、準じた立法措置をされるように要請がなされた、それに基づいてその補正予算と本法律案等提出されて参っておるわけですが、こういう方向づけがきまったならば、適切にして迅速なる行政指導によってもう少し災害復旧が進まなくちゃならぬと思うのですけれどもね。年が明けて現地を若干回ってみますと、放置されておるところが非常に多いわけですがね。このことは、政令制定その他行政指導運用等に全きを期していない点があるのじゃないかと推測せざるを得ないわけですが、そういう立場からお伺いいたしますが、いかがでありますか。
  17. 茨木広

    説明員茨木広君) 御趣旨のようなことで災害のほうの関係事務は全般的に取り扱っておるわけでございます。御指摘の政令省令等につきましては、法律がきまりますとすぐそれぞれの所要の手続を終わりまして、十二月十六日の次官通牒をもちまして、それらの法律政令省令等趣旨の徹底をはかるようにいたし、同時に、県の地方課長会議を招集いたしまして、各市町村に対しますところの指導を実施いたしたような次第でございます。御案内のように、災害の中には、公共災害として補助のつきますものと、それから単独災害といたしまして、県、市町村単独で実施いたしますものと分かれるわけでございます。  で、補助のつきますものにつきましては、大よそ当該年度三割、翌年度五割、その次二割ということで、三・五・二の比率でもって災害復旧が実施される、こういうようなことになっております。したがって、相当のものが残事業量として、お回りになりますと、現在残っているような実情が見られるわけでございます。  それから小災害のほうの問題につきましては、一応国の公共査定官が回りまして、補助対象になりますものについて、一応ずっと現地を査定するわけでございます。そうしますと、それから落ちて参ったものが単独災害復旧事業のほうに回ってくる。また、単独災害復旧事業のうちで、三万円以上あるいは五万円以上というような額のものがこの小災害特例法対象に入ってくる、こういうような事務順序になります関係上、ちょうど単独災害関係のものは、現在それぞれ申請が出てきておる、こういうようなことに相なっているわけでございます。その間において、それぞれの関係団体が施行を急ぎますものについては、財政調整資金等起債前借りをやりまして復旧に当たるというようなものも出て参るわけでございます。全体といたしましては、御質問のような気持で事務を進めているわけでございますので、御了承いただきたいと思っております。
  18. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたの答弁に関する限りは、了としますがね。しかし、現地における復旧状況がお言葉のとおりに進んでいない点に、私は、行政官庁熱意と申しますか、熱意はあるんでしょうが、何か僕は欠除しているんじゃないかという感じがいたしますが、その点については、特に今後とも御配慮いただきたいと思う。  で、具体的に伺いますが、政令で定める地域は、一部改正法律案母法については、いつおきめになりましたか。また、この一部改正に伴う部分についての政令で定める地域は、いつおきめになられる予定でありますか。このことは、早く進まないというと、災害地財政予算面から、災害復旧のめどが立たないわけですね。僕は、これがやはり復旧がおくれている一つの大きな理由になっていると思うのですよ。したがって、この質問をするのですが、前国会で成立した部分についての政令地域の指定は、いつなされたか。それから、この一部改正法律に伴う対象となる地域政令で定める地域は、いつなされる予定であられるか伺いたい。
  19. 茨木広

    説明員茨木広君) この政令で指定いたしております基準は、抽象的に書いてございますので、当該団体で計算をいたしまして、その条文に該当いたしますと自動的に申請をいたしてくる、こういうことになっているわけでございます。  内容的に申し上げてみますと、歳入欠陥債、それから災害対策債の法第一条関係のものにつきましては、公共土木施設等補助事業費、それから国の直轄事業で行なわれました災害復旧事業、それから公立学校のやはり災害復旧補助事業農林水産業施設関係災害復旧補助事業、これらの合計額が、その地域、要するにその団体の中で行なわれました額を合計いたしまして、当該団体標準税収入額、これをこえる団体でありまして、かつ歳入欠陥債または災害対策債合計額が、都道府県五大市でございますと一千万円、人口三十万人以上の市でございますと五百万円、人口十万人以上三十万人未満の市でございますと三百万円、それから人口五万以上十万未満の市でございますと百五十万円、その他の市町村でございますと八十万円、こういうような額に相なりますと、当該市町村政令で定める団体ということになりましてこの起債対象に相なる、こういうことになるわけでございます。  それから第二条のほうのものでございますと、これは三つございますが、一つは、ただいま申し上げましたような公共土木施設、それから公立学校関係施設、これらの小災害復旧事業起債額合計額が、ただいま申し上げました限度額をこえます団体、これが一つ。それから公共土木施等災害復旧等に関する特別措置法規定によりまして激甚地として指定されました地域において施行されます公共土木施設の小災害復旧事業費起債額が、ただいま申しましたようなそれぞれの限度額をこえる団体、これは要するに今回出ました特例法のほうで激甚地として指定されます地域についてでございます。同様に、公立学校関係建物についても特例法が別途制定されておりますので、その公立学校等建物等災害復旧に関する特別措置法、この規定によりまして激甚地として指定されました団体については、やはりその地域において小災害復旧事業起債額限度額をこえます場合、この三種数について公共土木及び公立学校等施設の小災害債を起こすことができる団体、こういうことに相なるわけでございます。  農地等の小災害債につきましては、やはり農林水産業施設関係いたします補助事業関係事業と、それから小災害復旧事業合計額が八百万円をこえますところの市町村というのが一つ条件になります。その市町村につきまして、農地の小災害復旧事業につきましては十分の五、それから農業用施設及び林道災害復旧事業費につきましては十分の六・五の範囲内において起債をすることができるようになりますが、その合計額が、先ほどの限度額に達します団体、こういうことに相なるわけでございます。  大体そういうような標準をとった政令になっておりますので、それぞれの団体において、自分の内部の災害額を計算いたしまして、それぞれの数値に該当いたしていきますというと、政令で指定された団体として申請をいたして参る、こういうことになるわけでございます。
  20. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今、まあ詳細な御説明がありましたが、その骨子は、この法律二百二十二号に書いてあるようですし、さらに付加した条文は第六条の、政令で定める、その分を御説明になったと思うのですがね、私、非常に不思議に思うのは、そういう基準が示されて、国の災害復旧に関する施策方向づけがきまっているにかかわらず、地方に行ってみますと、林道がこわれたらそのままにして、通らない状況にして、ちょっとした道なんかというのは通行どめのままになっていますよ。まあ幹線道路というものは、公共土木関係でこれは非常に重大だから早くやっていますがね。小災害なんか特にその部類に入りますがね。地元住民の生活には非常に関係の深いそういう道はほったらかしですよ。それから農地等につきましても、来年の植付までに間に合うかなと疑うくらいに、石ころなんか入ったままで放置されているのですがね。しかし、どこに欠陥があるのですかね。地方公共団体担当官のなにですかな、指導力、あるいは計画力の不足なんでしょうかね。どこに早く復旧しない原因があるのでしょうか。私はそこに疑問を持つわけです。それでさっきからそういう質問を、国の施策が早急に浸透することを祈念しながら、また指導当局のあなたに御要望も含めながら伺っているのですが、どういうところに原因があると御判断になりますか。
  21. 茨木広

    説明員茨木広君) 私ども、現地に勤務したこともあり、またいろいろお話も承っての範囲内の知識でございますが、災害が起こりますというと、県も、市町村も、まず第一に取りかかるのは、補助対象になると思われますところの公共事業復旧準備、あるいはそれの関係書類申請その他に全力をあげる、それが一段落つきましてから、小災害、あるいは単独災害のほうの準備にかかる、大体こういうような手順になるようでございます。そのような関係で、御意見のような点が出て参るのではなかろうかというように実は考えております。もちろん一車線の交通路を開くというような意味の緊急の工事は一番最初に手をかけるようでございますけれども、それが一応道路啓開が終わりますというと、そういうような順序に従って仕事を進めてくる、これが現在の日本における災害復旧のやり方になっておるというようなことじゃないかと思っております。  それから、農地のほうになりますというと、大体翌年度植え付け期までに間に合うように災害復旧をやっていく、こういうような順序になってくるというようなことのようで、そういうふうに伺っております。
  22. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 内閣を代表する意味で、官房長官あるいは副長官出席を願ったのですが、まだおいでにならないようですから、政務次官に伺って質問を終わりますが、前国会参議院の本会議でなされた附帯決議、これを、昭和三十七年の予算編成なり、あるいは今国会にただいま審議対象になっている法律案等提出するにあたって、いかように行政府においては善処されたのか、あまり具体的なことをお伺いできないかと思うのですが、お伺いしたいと思うのです。ちょっとそれだけではわからないかもしれないが、この本会議決議されたのと関連づけて今度法案が出てきたわけですが、たとえばさっきからありました災害復旧事業の三カ年間五・三・二、そういうものの改善をはかって年限の短縮をはかれというようなこと、あるいは大阪湾等災害地に対する高潮対策について国庫負担率を現行三割を五割以上に大幅に引き上げるということ、地盤沈下対策立法措置を講ずるとか、あるいは気象庁関係施設に対して、いろいろと具体的にあげて、全会一致で本会議決議されているわけですね。さらに、先ほど申し上げましたように、十月下旬の九州、四国、近畿地方風水害火災等に対して、当時可決された十四法案に準じて必ず措置を講ぜよという決議がなされておる。それに基づいてこれは出てきたわけですが、したがって、決議のやりっぱなしは困りますので、行政府では、これをどういうふうに取り組まれて、具体的に予算編成、あるいは国会提出を予想されておる法律案成文作業にあたって、どういうような配慮をされているのか。それは、あなたに伺うより、ほんとう内閣を代表する官房長官のほうがほんとうだと思うのですが、まだお見えにならないですから、政務次官に一応お伺いしたいと思います。
  23. 大上司

    政府委員大上司君) 矢嶋先生の御質問に対しましては、冒頭にもお話がございましたように、私では全内閣を代表するには少し荷が重いかと思われますが、ただ、その間において、われわれの省といたしましては、さいぜんお話がございましたような、いわゆる決議案に基づいて本法律案を御審議願っておる。そこで、全体的としては大きい問題であると思いますので、何とぞ、この件につきましては、次回に私が責任を持って官房長官をつれて参りますれば、官房長官から十分お聞き取り願うほうが間違いなくていいと思いますので、御了解願いたいと思います。
  24. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ただいまの質疑については、次回本法案の採決をする前までに、文書または口頭をもって、内閣を代表するしかるべき人から答弁をしていただくように、委員長にお願い申し上げたいと思います。本日はこれで質問を終わります。
  25. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記をとめて。   〔速記中止
  26. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記を始めて。  本件についての質疑は、本日はこの程度にいたして、次の議題に移ります。   —————————————
  27. 小林武治

    委員長小林武治君) 次は、地方行政改革に関する調査議題とし、選挙に関する件について質疑を行ないます。
  28. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は、緊急な件として、行政府要望を含めて十四、五分間伺いたいのですが、自治大臣はきょうお見えになられませんか。
  29. 大上司

    政府委員大上司君) 自治大臣は、予算委員会で通告を受けて、目下そこへ入っているのですが。
  30. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私が要望を含めて伺いたい件は、かなり重要でありますので、責任大臣でなければ、私としては十分満足でないのですけれども、しかし、非常に事は緊急でありますので、要点だけごく簡単にお伺いしておきますから、政務次官並びに政府委員のほうからできるだけお答えいただき、そうしてその質疑趣旨責任を持って自治大臣にお取り次ぎいただきたいことを条件として質疑いたしたいと思います。  それは、この国会重要法律案となるであろう選挙法改正法律案に関する件ですが、御承知のごとく、議院で選挙制度審議会が法的に設けられるように可決されて、それが発足して、鋭意精力的に検討され、一部答申されているのは、御承知のとおりです。きょう私は、いずれ論議されることですから、これらについて多く論議しないですが、ただ、この答申を受けて法案成文作業をやっている事務当局並びに行政府が、これを尊重するといいながら、特定の政党なり一部の政治勢力によって曲げられるというようなことは、選挙制度審議会が発足した経緯等からいっても、国民期待からいっても、僕は重大なことだと思うのですね。僕らは、行政府の外からひそかに様子を伺っておりますと、現在法案成文作業中ですが、どうも懸念される面があると思うのです。これができ上がって法律案として出てきてからの議論意義があるわけですが、それでは私はおそきに失すると思いますから、——これだけ言えばある程度わかると思うのですが、基本的な皆様方の考え方を承り、お約束しておいていただきたい。いかがですか。
  31. 大上司

    政府委員大上司君) ただいまの先生の御質問でございますが、ごもっともと思います。そこで、われわれといたしましては、この選挙制度審議会が発足するについて、いろいろ国会で御審議を願った趣旨でこれを取りまとめていきたい大原則は打ち立てておりますが、ただその間に、選挙制度審議会からいろいろいわゆる法律用語でないものが出てくる場合が多々見受けられます。いわゆるこれを技術的と申しますか、法律用語となる場合にいろいろ論議があると思いますが、そういう面をわれわれは十分検討して所期の目的を達したい、このような方針で現在作業を進めております。したがいまして、作業並びにこれに織り込む精神等については、主管局長から答弁させます。
  32. 松村清之

    政府委員松村清之君) 現在事務当局では、選挙制度審議会答申尊重して、これは法律の字句にございますように、法律のとおりに尊重いたしまして立案に当たっております。ただ、今政務次官のほらからお話がございましたように、選挙制度審議会答申立法化するにあたりまして、法律技術的に、また憲法との関係もございまして、そのとおりの表現のできがたいところもあるわけでございます。その点につきましては、その答申でねらっている趣旨が実現される他の方法で今も案を作りまして、関係当局と話し合いをしている最中でございます。
  33. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は、事前に警告をし、要望を含めて伺っておきますがね。尊重するということは審議会法の中にもあるわけで、これは当時国会でも十分議論され、みな了承の上で法律は成立しておるわけなんですね。しかし、尊重という場合に、いろいろ意味があると思うんですよ。答申なら答申があった、その一部、大部分やっても、尊重です。しかし、その尊重という場合に、その答申の中の非常に重要な骨子というものを取り入れなければ、尊重したということにならないと思うのです。一言半句の言葉でなくて、その答申の大部分の中の骨子となる重要なポイントが取り入れられなければ、僕は尊重されたことにならないと思うのですね。それで、いろいろ議論があるが、きょうは内容議論するときでないからしませんけれども、盛んに伝えられておる立候補制限、ことに国家公務員立候補制限、あるいは罰則強化というのは、あの答申の中の一番ウエートを置いたところですよ。あの審議会発足のときも、選挙法というのは、政党人あるいは議会人だけで考えないで、第三者的な国定の良識で検討してもらうのが適当じゃないかという大きな筋から、ああいう審議会で、野村さんが会長で、精力的に扱ってこられた。答申段階には、憲法との関係においていろいろ十分論議されておると思うのです。ところが、都合が悪いからといって、憲法なんか引っぱり出してきて、そうして重要な部分を軽視した形であなた方のほうで改正案成文作業をするという基本的態度が、私は了承できないのですよ。先ほどの局長答弁の中には、かなり含みのある点もあったようですが、私はこの基本的な態度は絶対曲げてはならないと思う。審議会が発足した当時の経緯からいって、私はここにあまり角の立つことは言わないけれども、けさあたりの新聞を見ましても、九日に閣議決定する予定だったのに対して、ある政党方面から若干の意見が入って、この決定は延びるやに予測されるような記事も出ております。その間に尊重の実質的な内容がどういうふうに変わっていくかもしれないというおそれを、私は、日本の政界、政党の過去のあり方から懸念するものです。それでは、審議会の発足した意義からいっても、国民期待にも、著しく私は反することになると思うのですね。したがって、審議会の発足した立法趣旨からいっても、法案成文作業をやられている事務当局行政府としても、もう一本しっかりした筋を通して、そうして国民期待に沿うようにしていただかなければならぬと、非常に私は危惧するがゆえに、法案が活字になってから論じても、死児のよわいを数えるたぐいになるおそれがありますので、注意を喚起する意味において、また要望を含めて伺ったわけですが、政務次官責任ある御答弁をひとつお願いしておきます。
  34. 大上司

    政府委員大上司君) ただいまの御趣旨、よく了承いたしました。と同時に、作業の進め方におきましても、先化の御趣旨を体し、なお、さらに、当初御発言がございました、所管大臣にもよくその趣旨を通じ、なお、さらに、これの答弁につきましては、所管大臣から次回にさしていただきます。このようにさせていただきたいと思います。
  35. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 きょうは、内容に触れませんので、この点はここで質問を終わります。  もう一点伺っておきますが、これと関連するわけですが、警察庁からもお見えになっていますから、雨着からお答えいただきたいと思います。  この前、予算の説明を承りましたところが、警察庁関係で参議院議員選挙取り締まりとして約五千万円今年度新たに計上された。それから自治省関係で参議院議員通常選挙の公明化推進に必要な経費として新たに本年度一億円の予算が計上されておる。そうしてわれわれに審議を求められておるわけですがね、この点について私はこれもあとでとやかく言っても意味がないわけですから、事前に注意を換起する意味で伺うのですが、一体、今のところ七月一日が参議院選挙と予想されておりますが、それ以外に地方選挙が本年度相当数ありますがね。すでに選挙は始まっていて、ものすごい腐敗選挙の前哨戦が行なわれてる。そういう時期に自治省とか警察庁が知らぬ顔をしておって、そうしていよいよ選挙の勝負がきまったという告示前後ごろから公明選挙云々と言って、たれ幕を下げたり、それから宣伝車を出しているのを見て、僕はこっけい千万だと思うのですね、いつも僕はそう思う。これは国費の乱費だと思う、意味をなさぬと思う。ほんとうに腐敗選挙を是正し、公明選挙を実現して日本の政治をよくしようという熱意があられるなら、こういう今申し上げたような、新たに約一億五千万円計上されておるわけですがね、そういう予算を要求する根拠、熱意があるなら、すでに始まって、供応なんか至るところで行なわれておりますよ。それから高級公務員云々がありましたけれども、そういう点もきょうは論じませんが、相当遺憾なことが次々に行なわれておるのですよ。これは良識ある具眼の士のひとしく認めるところだと思うのですね。そういう事態をなぜ放置しておくのか。これを放置しておいて、そうして物事が済みかけたころいろいろ指導してみたり、声明をしてみたり、意味をなさぬじゃないですか。言葉は、例はよくないかもしれないが、どろぼうが家の中に入って物を盗んで、それを黙って見ておって、そうしてどろぼうが目的を達して逃走した後に、捜査費を使ってそらしてあとを追いかけ回す部数と違いはないと思う。あまりに明々白々たるものを、それは取り締まりの限度もありましょうし、事前運動めいたものもなかなか限界はむずかしいのです。しかしながらほんとう熱意があれば放置できないはずですよ。よりよくなるためにあなた方がなし得る事柄はあると思う。それはしかも成果は上げ得ると思うのですよ。それをなして初めて国民の血税を予算要求してくる意義があると思うのです。これらの点について政府委員の皆さん方は、事務当局の方はどういう見解を待たれておるのか、それを承るとともに、こういう質疑があったということを上司の長官に対してひとつ御報告をしておいていただきたいと思います。それで他日適当な機会に私はそれぞれの長官はいかように報告を受け、そうしてどういう所懐を持ち、いかなる具体的な指貫をとられたかを、他日適当な機会に、委員会において質疑いたしたいと思います。それだけ皆さん方にお伺いして、きょうの質問を終わっておきたいと思います。
  36. 松村清之

    政府委員松村清之君) 選挙の公明化をはかります根本は、国民の政治常識あるいは選挙の道義を高めることにあると存じております。そこで政府といたしましても、民間のいろいろな団体と協力しまして、近印公明選挙運動という運動を全国的に行なっておるのでございますが、幸い本年度、昨年の四月から始まりました本年度におきましては経費も一段と拡充されましたので、平素からいろいろと運動を行なっております。たとえば、基本的にはいわゆる話し合い活動というものを地域、職場で持ちまして、自分の周囲の問題をお互いに話し合うことによって政治への常識を高める。こういうようなことも行なっておりますし、また民間団体等が中心になりまして選挙法を守る運動、あるいは買収供応追放運動、こういうような運動を展開いたしまして、この来たるべき参議院の選挙においても公明化の実を上げるように努力はいたしておるのでございます。しかし、何分にもこういった運動は一挙にその効果を見るものでもございませんので、遺憾ながらお話しのような事態もあろうかと思います。ただ先ほどお話しの一億円の予算は、これは来年度の参議院の選挙のための予算でございまして、これは四月から参議院の選挙が終わります期間に、さらに積極的にそういった運動を行なうためのものでございますが、すでに本年度におきまして、来たるべき参議院選挙を目的といたしまして、今申しましたような運動をやっておるような次第でございます。
  37. 新井裕

    政府委員(新井裕君) 御指摘のように、この数年たいへん出前連動が盛んになっておりますものですから、われわれの取り締まりの方針といたしましても、選挙運動期間中だけを目標にするわけには参りませんものですから、実際にあげた数字を見ましても、この数回の選挙は事前連動で検挙したものも相当出て参っております。今回のこの夏に行なわれるであろう参議院選挙の事前運動につきましては、そういう観点から、昨年十月に本部長会議を開きました際にも、私からその旨を示達いたしまして、十分に視察をいたしまして、悪質な者で、証拠の明らかなものはするように指示いたしております。ただいまのところ検挙いたしたものはございませんけれども、事前運動として警告をいたしましたものは四十二件報告が参っております。今後ともわれわれとしてもそういう方針で厳重に事前連動を取り締まっていきたいと思っております。
  38. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 御要望申し上げておきますが、あなた方としては、僕はごもっともな点もあると思うのですけれどもね、今お二人の方から答弁いただいたが、その感覚というのは、日本の腐敗している選挙の現状になれっこになっている感覚ですよ。そこから出ているのですね。それはお役人としてはなかなか破れないと思うのだ、そのからを。しかし、そのなれっこになった現状の妥協的な感覚並びに基本的態度では、僕は選挙制度審議会というものが発足したあの趣旨というものは生かされてこないと思う。やはり腐敗選挙を断ち切るという意味ならば若干抵抗はあっても、現状にイージー・ゴーイングに妥協しないという一つの画期的な時代を作り出す意気込みでなければ、僕は解決できないと思うのです。それは若干摩擦が起こるでしょう、あるいはその間に犠牲者が出るかもしれない。しかし、年々その実情というものが悪くなっていっているわけですね。だから、この際に何か工夫と決断とそれに伴う実践があってしかるべきだと思うのです。あなた方自身がそうですから、あなた方の全国にいらっしゃる関係者——部下ですね、そういう方々もあなた方以上になれっこになってしまっているのですよ。現状に妥協してしまっているわけですよ。末端の、具体的に言うならば、警察署長までそうですよ。だから、もう公然の秘密として天下晴れて堂々とやられているわけなんですね。その間にはものすごいお金も使われるでしょう。そうしてその間に告示前に一切選挙戦の勝負がきまるというような事態が最近の傾向ですよ。これはあなた方も十分御承知だと思うのですよ。それに取り組む——認識はされているんだが、取り組む決意、その決意から来る実践というものが足りない点を私は非常に遺憾に思うわけです。そういう状況下に、ただ選挙制度審議会を作って議論して、尊重するしないと言って、その尊重が途中で曲がるようでは、将来日本選挙なり政治というものに希望が持てないと思うですね。あとで論じては意味がないので、あえて失礼だけれども皆様方に注意を喚起する意味において要望を含めてお伺いしたわけであって、お二方の答弁はその限りにおいて本日は了承しておきますが、上司に対してしかるべく御伝達方をお願いして質問を終わります。
  39. 小林武治

    委員長小林武治君) 次回は二月八日午前十時開会のこととして、本日はこれで散会いたします。    午後零時三十二分散会   —————・—————