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木村禧八郎君
外務大臣はしばしば、この程度なら妥当じゃないかと言うんですけれ
ども、一応表面に現われている
数字は、
アメリカは十九億ドル、
日本は十七億ドル、それが四億九千万になっておるわけです。非常に減額してもらったん、だからありがたいというような考え方をしているんですが、私はそれは非常におめでたい考えだと思うんですよ。実におめでたい考え方です。ですから、
アメリカがなぜ
日本にこういう
援助をしなければならなかったかということを、そういうあの当時の具体的の事情とあわせてこれを考えなければならぬ。そうすれば、
アメリカは
日本から
返済してもらえなくても非常な得をすでにしておるんです。
もう
一つ、前に
予算委員会でドッジさんの証言を引用して
質問したことがあるんですが、重ねてここでこのドッジさんの証言を申し上げて私は
質問をしたいのです。ドッジさんは、
昭和二十四年四月七日に
日本に来たときには、
日本の新聞記者に会って、
アメリカの
援助というものは
アメリカ国民の税金から負担しているんだということを言っておるわけです。ところが、
アメリカの
国会ではこういう証言をしておるんですよ。これは
アメリカの第八十一
国会の
下院歳出
委員会です。一九五一
会計年度ガリオア歳出要求に関して、
アメリカの納税者を納得させるため、
日本に対する
米国の
援助は決して損をしているものではないと、こういう証言を行なっている。こういうふうに言っておるんですね。「対日歳出要求の主要な構成が食糧と綿花とに関連していることは強調さるべきである。現在も将来もこれらはいずれも過剰
物資であり、商品金融会社によってすでに買上げられているが、商品金融会社は現行立法によって買わなければならぬものである。その限りで現在も将来も
政府支出の増加を
意味しない。対日
援助計画の実費は、このように主として要求された資金で購入さるべきものが過剰
物資であることを充分考慮さるべきである。一九五一年度に
日本向けに要求される経済
援助総額(二億七千百万ドル)のうち八七%は
アメリカの過剰
物資の購入と輸送にふりむけられるのであり、その中には小麦の一億三千百万ドル、綿花および生綿の九千九百万ドル、油脂五百万ドルが含まれている。歳出要求と関連してさらに重要なことは、本年度に
日本にあたえられる
援助は、
日本が占領軍にあたえる費用のドル換算よりも少なくないという率直な事実である。本年度の
日本に対する
ガリオア援助資金要求額は二億七千万ドルであるのに対し、占領軍のための
日本政府支出のドル換算額は約二億九千七百万ドルになろう。
日本占領の
アメリカ軍のため
日本政府による支出は、もしそれがなかったら、国防省の
軍事予算から約三億四千五百万ドルを必要としたことであろう。……合理的な適切な
援助額は他の地域と比較してわりのよい投資なのである。」、インタレストだと、こういっているんですよ。「
日本は現在極東におけるわれわれの既成のインタレストの焦点をなしている。将来も相当期間のあいだ、それは
米国のいくつかの重大インタレストの
一つになるだろうが、現在では
日本はわれわれが大きな影響力をもち、かつわれわれが
目的達成に必要な諸要因のすべての完全な統制力をもっているアジア唯一の国である。過去一年ことに最近におけるこの地域の出来事の傾向は、
日本におけるわれわれの地位を増強し強化する必要を強調するものであった。われわれの将来の極東政策の発展は、極東地域への今後の
援助拡張の跳躍台として、また供給源として、
日本を利用することを必要ならしめるであろう。」、こういうふうに述べているのですね。これから見ますると、ドッジさんは、一応これは
アメリカ国民の税金で
援助しているんだ、だから債権ではある、こういうふうに言っておりますけれ
ども、
アメリカ国民としてはちっとも損をしているのじゃないのだ、
日本に
援助したものは
余剰物資であるということは十分考慮さるべきであるということを言っておりますし、また
日本の占領費のほうがはるかに
援助額より多いんだ、だから損をしていないのだと。
で、もし
余剰物資を
日本に輸出しなければ、
援助しなければ、農産物価格支持のために商品金融会社が買い上げなければならない。買い上げて、価格支持政策をやらなければならないのですよ。それで、
日本に
援助したために、向こうの農産物価格を安定させることができたわけですね。ですから、
アメリカはこれによってちっとも損をしていないのでありますし、かりに
日本が
債務であるとしても、
アメリカはちっとも腹が痛んでいないのです。そういう
債務である。そうしてまた、
日本を
アメリカの影響下に置いて、そして今後極東地域に
アメリカは
援助を行なう場合の跳躍台として
日本を利用することができるんだ。ですから、少しも損をしていないんだということをドッジさんは
アメリカ国民に
説明しているわけですよ。かりに
債務であるとしても、それは
アメリカは
一つも損をしていない
債務なんですよね。これによってむしろ
アメリカは利益を得ているとドッジさんは言っている。そういう
内容の
債務ですから、したがって、この
債務を、
外務大臣は、これは
金額はうんとまけてくれたんだから、四億九千万ドルぐらいは当然払うべきものだと言っておりましたけれ
ども、これを払ったら
アメリカを非常にまたもうけさせる、得をさせるということになるのじゃありませんか。ですから、私は
債務であるということと、その
債務の
内容です。これが正当なる
債務ではない。ことに占領下であって、
日本に
債務として一方的に向こうが押しつけてしまったわけであります。そういうことからいって、かりに
債務であるとしても、こういう事情を述べて、
債務ではあるとかりに認めても、しかしこれはこうこうこういう事情があるわけですから、
アメリカさんは
一つも損をしていないのじゃありませんか、それなのに、なぜこれを
返済を要求するかというふうに交渉されなかったのですか。