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説明員(伊藤三郎君) 輸入の円・
ドル比率と輸出の円・
ドル比率は、今お話しのように違っておりますが、その原因として
考えられますのは、当時の輸入
物資は、食糧とか基礎
資料とか、そういうものが大
部分でございまして、したがって、当時の
価格政策として、食糧とか主要原材料というようなものは比較的割安に国内に売っております。一方、輸出につきましては、雑貨等、そういうものはどうしても手数がよけいかかりますので、買い上げ
価格が割高になっております。そういうことから、輸出と輸入の比率に相当差ができてきたのではないかというふうに
考えられますが、これはやはり当時の
日本の物価体系が国際的な
物資体系に比べて不均衡であった。しかも、国内の政策としましては、マル公によりまして、主食とか原材料は安く
払い下げをした。輸出品につきましても、マル公を基準にして買い上げをしており出すけれ
ども、やはりその間に工数のよけいかかりますものはどうしても割高にならざるを得ないというような
関係から、今申し上げた事情になったというふうに
考えておるわけでございます。
実は個々の品目につきまして、
日本品がどういうふうに売られておるかという状況を調べたのでございますけれ
ども、相当以前のことでございますので、なかなか
資料がございません。先般、
衆議院の
大蔵委員会で井手先生から
資料をお出しになりまして、
日本のFOB
価格が
アメリカの卸売
価格で大体二、三倍になる、注射筒のごときは八倍になるというような
資料を御提示になったのでございますが、確かに注射筒の八倍というのは、その
資料が基礎になります日銀の
資料が正しいとすれば、ちょっと異例であろうと思いますけれ
ども、大体
日本のFOB
価格か
アメリカの卸売
価格で、二、三倍になるというのは現在でも通例だそうでございます。それから、もう一つ、生糸でございますが、これは二十三年のニューヨークでの
日本の生糸の相場でございます。IMF統計によりますと、ボンド当たりCIFで四
ドル九十二セントになっおります。これを
日本から幾らで積み出したかというFOB
価格は、これはJES統計、
司令部の経済科学局の統計から計算をしたのでありますが、これは四
ドル六十六セントでございます。したがって、四
ドル六十六セント、FOBが。CIFでは
アメリカで四
ドル九十二セント、むしろ中間マージンが少な過ぎるような
感じもいたします。二十三年では
日本のFOB
価格が二
ドル二セント、これが
アメリカのCIF
価格では二
ドル八十三セントというような例もございます。それから綿糸でございますが、これは
昭和二十二年のIMFの統計ですが、イタリアの輸出
価格、これはFOBで九十八
ドル二十セント、イギリスの輸出
価格がFOBで五十五
ドル七十セント、それから
アメリカの輸出
価格FOBがで七十
ドル八十セント、それから
日本の輸出
価格でありますが、これは先ほど申しました
司令部JES統計から計算しますと、七十四
ドル十セントになっております。二十三年でありますが、これはイタリアの輸出
価格が六十六
ドル九十セント、イギリスが六十九
ドル六十セント、
アメリカが七十四
ドル九十セント、
日本が五十六
ドル九十セント、こうなっております。なお、御
承知のように、綿糸はいろいろの番手がございますので、これがぴたり同じ規格の同じ品質のものを比較した
価格ではございませんので、これだけによって高いとか安いとかは申し上げられませんが、大体同じような似たような番手のものでございますので、まあまあ生糸とか綿糸につきましては、そう買いたたかれておるのではないのじゃないかというふうに見られますが、先ほど申しましたような注射筒のような例は、これはやはり相当買いたたかれておる、前提の
資料が事実とすれば、買いたたかれたものもあるというふうに
考えられるわけでございます。