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1962-04-12 第40回国会 参議院 大蔵委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月十二日(木曜日)    午前十時二十分開会   —————————————    委員の異動 四月十日委員大野木秀次郎君辞任につ き、その補欠として田中茂穂君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    理事            上林 忠次君            佐野  廣君            荒木正三郎君    委員            青木 一男君            大谷 贇雄岩            岡崎 真一君            木暮武太夫君            高橋  衛君            西川甚五郎君            林屋亀次郎君            堀  末治君            前田 久吉君            木村禧八郎君            原島 宏治君            大竹平八郎君            須藤 五郎君   政府委員    外務大臣官房長 湯川 盛夫君    大蔵政務次官  天野 公義君    大蔵省銀行局長 大月  高君    大蔵省為替局長 福田 久男君   事務局側    常任委員会専門    員       坂入長太郎君   説明員    外務省アジア局    南東アジア課長 稲田  繁君    外務省経済局外    務参事官    和田 周作君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本輸出入銀行法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○外国為替銀行法の一部を改正する法  律案内閣提出) ○国際通貨基金及び国際復興開発銀行  への加盟に伴う措置に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出)   —————————————   〔理事上林忠次委員長席に着く〕
  2. 上林忠次

    理事上林忠次君) ただいまから委員会を開きます。  本日も、委員長が欠席いたしますので、私がかわって委員長の職務を行なうことにいたします。  まず、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案議題とし、前回に引き続き質疑を行なうことにいたします。  質疑のある方は御発言願います。
  3. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 外務省のほうにお伺いしたいのですが、最近フィリピンから帰って来た人の話によると、マニラ駐在日本商社に対して一斉手入れがあったというふうに聞いておるのですが、この実情説明ですね、これをまず承りたいと思います。
  4. 和田周作

    説明員和田周作君) 実情についてお答えいたします。  三月の七日にフィリピン政府当局係官が、マニラにあるわがほうの商社駐在事務所を、七日に二村、八日に七社、合計九社を来訪いたしまして、その内容につきましては、別に書類を見せろとか、事業は何をやっているかというようなことを開いたわけではないそうでありまして、係官が来て、事務所にいる現地人の使用人とお茶でも飲んで、中には何も調査に来たのではないがというようなことを言って帰った入もあるそうでありますが、三月の七日にそういう事態がありました。これが非常にわがほうの注目を引いたのは、たまたま三月七日に、御承知のように、アントニオという議員日本商社フィリピンにおける商社活動につきまして特別調査委員会というものを作って調査しなければいけないというようなことで決議案を提出いたしましたその日、及びその翌日であると思います。現在までのところ、その後そのような来訪といいますか、調査といいますか、まあ調査ということはないと思いますが、そういうものは現在のところは中断されておって、その後はございません。それから、アントニオ議員から出された決議案でございますが、これもただいまのところまだ成立しておりません。
  5. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 ただいまの説明と、それから現地から帰って来た人の話とはだいぶ食い違っておるのですがね。相当激しい捜査を食っておるということで、マニラ駐在日本商社の社員がその事務所に立ち寄ることが困難な状態にあったと、こういうふうに言っているのですがね、間違っていますか。
  6. 和田周作

    説明員和田周作君) 実は、その当時私たちのほうにもいろいろの話が伝わりまして、ことに帰って来られた商社方たちから、それで少しその点につきましていろいろこちらも聞いてみたわけであります。たとえば、その辺がやはり、何と申しますか、私自身もある商社の方について聞いてみたりいたしましたけれども、たとえば電話がかかってきたという程度のところもあって、その電話がかかってきただけで相当ショックを受けるというふうな事態であったようでありますから、その当時、だから非常な不安があって、ひとつの何といいますか、警戒心を起こして、非常に心配しておるという事態については、よくこちらもそういう気持については承知しておるわけでございますが、実情につきまして、何かそういう書類を調べるとか、たとえば調査といわれるようなものについては、どうも商社の人に私のほうからも聞いてみましたけれども、非常に心配しているということはよくわかるのでございますが、調査というようなことは、やはりそこまではむしろはっきりないというふうに、だからどの程度のことをしているかというようなことなんでございますが、私たち別に、特に楽観視する気持はごうもございません。事態を直視したいと思っておりますが、そのような意味調査はなかったように考えております。
  7. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 フィリピン駐在大使ですね、これは土屋さんですね。大使フィリピンのまあ政府との関係がうまくいっていないというお話がありますが、これはどういうことですか。
  8. 和田周作

    説明員和田周作君) 私は新聞でも読みましたけれども、事実そういうことにつきまして私は存じ上げませんけれども、そういうことはないと思います。いや、ないと申しますというか、実は私はその辺の事情を特に承知しておりません。
  9. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 あなたはまあちょっと畑違い外務省でも畑違いじゃないかと思うのですがね。土屋大使は、フィリピン大統領面会を申し入れても、面会を拒否されて会えないという状態にあるというのですね。そういことはあなたのほうはあまり関係は……。
  10. 和田周作

    説明員和田周作君) 経済局のほうは商社活動なんかにつきましてやっておりまして、そういう政務の方面につきましては私の所管でないものでございますから。
  11. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 あなたに質問するのは、どうも……。
  12. 和田周作

    説明員和田周作君) ちょっと、補足させていただきます。先般、新聞記者マニラに参りましたときに、大統領と会っておりますが、そのときに実は土屋大使は同行いたしまして会っております。
  13. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そのときだけですか。特に私は、日本フィリピンとの通商条約ね、日本は批准していますね、向こうはなかなか批准されない事情等があって、もう少し日本フィリピンとの外交関係についてお尋ねしたいと思っていたのですがね。だから、やっぱりかっちりした答弁をしてもらうのにはちょっと局が違いますわね。
  14. 和田周作

    説明員和田周作君) きょうは、私、先生のほうから商社の、何といいますか、商活動について、最近問題になっております問題について種々準備して参りましたのですが、土屋大使大統領に会えなかったというふうなことについて、私は会っているとむしろ思うのでございますが、一々いつ会ったかということまでお聞きになって参られますと、私のほうは今ちょっとそこまでは準備しておりません。
  15. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 外交関係をやっている方にお尋ねしないとわからないですね。  それじゃ、もう一つ商社の問題についてあなたにお伺いしたいと思うのですが、住友商事がこの間火災を起こしたのですね。聞いていませんか、マニラ駐在の。
  16. 和田周作

    説明員和田周作君) 承知しております。
  17. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 その問題についていざこざが起こっているのじゃないですか。
  18. 和田周作

    説明員和田周作君) その実情については、私まだ承知しておりません。問題が生じてごたごたが起こっているという実情については、承知いたしておりません。
  19. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私、こういう公開の席でいろいろ立ち入った質問をするのはどうかと思っておるのですがね。ですから、まあ速記のついた質問はちょっとやめておきますが、いろいろ開いているわけですね、商社について。どうも日本フィリピンとの関係がうまくいっていないということでね。  一般の外交問題として、あとでお聞きすることにいたします。
  20. 上林忠次

    理事上林忠次君) 速記をやめて。   〔速記中止
  21. 上林忠次

    理事上林忠次君) 速記をつけて。
  22. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 あなたに対する質問は終わっておきます。   —————————————
  23. 上林忠次

    理事上林忠次君) それでは、外国為替銀行法の一部を改正する法律案議題に供します。  質疑のある方は御発言願います。
  24. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この外国為替銀行法の一部を改正する法律案については、金融制度調査会諮問をして、その答申を受けて改正案を出してきたわけですね。
  25. 大月高

    政府委員大月高君) さようでございます。
  26. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は、その諮問並びに答申について多少調べてみたのです。その過程においてやはり疑問が生じてきたのです。これまで公述人を呼んでその意見も聞いたわけでありますが、東京銀行当事者、それから市中銀行当事者を呼んで聞いたわけですが、債券発行による金融市場に対する悪い影響等については、債券発行条件その他消化等について話し合いが行なわれて、円満にいくやに開いたわけです。しかし、原則として貿易金融というのは短期金融ですね。短期円資金を調達するのにこういう長期債券発行するということは、長期債券発行して長期資金をもってまかまうということは、金融としてはこれは正常な資金調達方法ではないと思うのですが、この点どうですか。
  27. 大月高

    政府委員大月高君) お話のように、為替銀行は主として短期金融、特に輸出入金融をやるわけでございますから、本来資金源といたしましては短期のものでいいわけでございます。しかし、現実の問題といたしましては、短期のお金がぐるぐる回っておる根っこに吹きだまりの部分があるわけでございまして、そういう問題。あるいは貿易に関連する金融といたしましては、商社金融等法律として許されておるわけでございまして、そういう商社金融根っこに当たる部分につきましては歩どまりがあるわけでございます。そういう瀞味で、非常に長期の金を借りるということは適当でないわけでございますが、若干短期という、たとえば六カ月をこえるものが資金源としてございましても、その点は実際上差しつかえない。そういう意味で、たとえば興長銀債が現在期限が五年ということになっておりますが、ただいま考えられておりますところでは、せいぜい長くて三年程度のものにしようじゃないかという話し合いが進んでおるわけでございまして、お話のような為替銀行資金繰りの性格から考えまして、金融債を出すといたしましても長期のものでないというように考えております。
  28. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは、発行手続等については長期信用銀行手続に準じてやることになっておるのでしょう。そうですね。
  29. 大月高

    政府委員大月高君) さようでございます。
  30. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この短期金融をまかなうのにこの長期的な債券によってまかなうという、こういうやり方ですね、貿易金融なんかもこういう形でまかなう例というのはあるのでございますか、ほかに。
  31. 大月高

    政府委員大月高君) 債券によって資金を調達するか、あるいは預金によるか、あるいはコールによるか、日本銀行借り入れによるかというようなことは、それぞれの機関の性格によって異なると思います。で、この為替専門銀行法ができました当初の想定といたしましては、御存じのように、店舗も限られておりまして、直接為替金融あるいは輸出入金融に必要な地域に限って店を置ける、それからまた貸し出しにつきましても、直接また間接に貿易金融あるいは為替金融に関連のある貸し出しのみに限るというような制限がございますので、当然当初の想定といたしましては、資金源として預金にはそう多くたよれないだろうという考えであったわけでございます。で、その預金によってまかない得ない部分は、当時といたしましては、金融が次第に正常化いたしますと、戦前の正金銀行でやっておりましたようにコール資金にたよる。コール資金は、御存じのように非常に短期資金でございまして、貿易資金としては適当なものであるわけでございます。で、そういうように預金及びコール資金を中心にいたしまして、足りない部分日本銀行に依存するというように考えられておったわけでございますが、金融市場の状況が非常に詰まっておりまして、早急にこれの正常化ということは期待できない。そういう意味で、日本銀行貸し出し相当大きな部分を占めておるわけでございます。で、そういうことになりますと、銀行の形といたしましては、できるだけ自力による資金調達考える必要がある。しかし、そうかといって預金をふやすための店舗の増設ということは、この銀行性格からいって限界があるわけでございまして、そういうギャップを埋めるために、当面の考え方といたしましては、金融債によることもやむを得ないのじゃないか、こういう考えであったわけでございます。そういう意味で、本来の金融正常化いたしました暁におきましては、この金融債によるという必要もなくなるでございましょうし、また必ずしも、先ほどお話がございましたように、性格にぴったり合ったものでもないと考えております。当面こういうような金融情勢前提といたしましてやむを得ないのではあるまいか。これが金融制度調査会でいろいろ御議論があったわけでありまして、その結果、金融債発行もやむを得ないだろうということになった結論でございます。
  32. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはやむを得ないとしても、金融正常化してこういう短期資金長期債券によってまかなうということをしなくてもいい状態が、環境が生じてくれば、これは必要でなくなる。それまでの暫定的な措置である、こういうお考えですか。
  33. 大月高

    政府委員大月高君) 実際は、金融正常化されますれば、むしろコール資金のほうが金融債よりも安くなると思いますし、実際の発行の必要はだんだん少なくなる、こういうことであろうと思います。
  34. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 しかし、実際問題としてそれはそうですけれども、いつごろそういう金融正常化して短期資金をもってまかなえるような条件が整ってくるとお考えになっておりますか。
  35. 大月高

    政府委員大月高君) 早急にはそういう事態にはならないという前提のもとに、法律によりまして金融債発行権限をいただきまして、そのつなぎにしたいと、こういう考えでございます。
  36. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 では、これまでの夜間を整理してもう一度質問いたしますが、これはこういう貿易金融短期資金を調達する方法としては正常な形ではない、そうお考えですか。
  37. 大月高

    政府委員大月高君) 必ずしも最善の方法ではないと考えております。
  38. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 金融正常化すればこの債券発行の必要はない、そうお考えですか。
  39. 大月高

    政府委員大月高君) 完全にコール資金と、預金とでまかなえるような金融情勢になりますれば、あえて金利が高くて、しかも、長期に同定するような金を借りる必要はないと思っております。ただ、それでは制度を非常に限定的なものにいたしまして、たとえば時限立法というようなことにしてやるということになりますと、金融正常化のメドとして、何年すればもう金融債は要らなくなるということでもありませんし、また、一時金融債が要らなくなりましても、また要るような情勢が来るかもしれない。たとえば、農林中金の現在の債券におきましても、御存じのように、最近資金は非常にたくさん集まっておりまして、直接必要はないわけでございますけれども、金融債というようなものは、ある程度お得意の範囲というものがございますので、少しでも出してつないでおこうというようなことで、若干出しておるというような事情もございまして、やはり一つの手段として与えられれば、要らないというときには出さない、あるいは細々と出しておく、必要なときには必要な量を出しておくというようなことが実情に合っているんじゃないかというふうな感じでございます。
  40. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 資金調達方法として好ましくない。しかし、実際上やむを得ないということでこういう方法をとっているわけですが、今時限立法というような言葉があったのですか、時限立法にしておいても差しつかえないのじゃないですか。一応金融正常化すればこれは必要はないというならば、時限立法にしておいて、そうしてまた、正常化しなかったらこれを延ばせばいいのですね。そうしておきませんと、こういう方法で調達しないような正常な金融環境を作る努力というものが行なわれないと思うのです。ですから、時限立法的なものに一応しておいて、暫定的な措置としておいて、これは例外的な措置ですから、そういうふうにしておいて、そうして期限が来てなお必要がある場合には、それを延ばせばいいのですから、そうしておいたほうが形としては私は正しいのではないかと思うわけです。この債券発行為替専門銀行の方にいろいろ議論を聞いておりますと、やはり時限立法的にするのが私は筋ではないかと思うのです。その点どうですか。実際的に差しつかえないのじゃないですか。
  41. 大月高

    政府委員大月高君) この問題は、債券発行権限時限立法にするかあるいはそうでないかという問題から、金融正常化の問題が出るのではないと考えるわけでございまして、むしろ金融正常化努力はこの制度と別個に努力して参る、その結果、ある程度金融債発行の必要があるときには発行する、必要がなければやめる、あるいはしばらく休止するというのが実情に合っているのではあるまいかと考えるわけでありまして、この制度があるために非常に金融正常化支障になる、あるいは他の制度の妨げになるということでございますと、非常に問題でございますが、この債券発行を実行いたします銀行東京銀行一行でございまして、全体の金融情勢考えながら、金融界の協調を得て出していくということでございますれば、制度があること自体は金融実態に何ら支障はない。ほんとうに要らないという見通しがつきましたときに、あるいはまたこれを廃止するということでも実際に合っているのではあるまいか。たとえば財政資金をもって資金を供給いたしております開発銀行でございますとか、輸出入銀行でございますとか、あるいは国民中小公庫、そういうようなものでございますと、それぞれ予算の事情等の問題が生じると思いますが、何分民間の金融情勢を反映いたしまして金融債を出す必要があるかどうかという実態がきまってくるわけでございますので、制度として置いておくほうが実情に合っている。毎年国会の御了承を得まして法律改正するほど積極的に時限立法にする理由もないのではなかろうかというのが、われわれの感じでございます。
  42. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 金融正常化関係がないとは言えませんね。金融制度調査会にも、金融正常化に関する意見を求めているわけですね。それがいまだに出てきておらないのですけれども、私は、金融正常化をするとこういう債券発行は要らないわけなんですけれども、ですから、関係ないとは言えない。  私は、そこで一歩譲りまして、実際運営上支障がない修正をしたいと思うのです。というのは、やはりこの法律の建前をはっきりさしておかないといかぬと思うのです。そこで、時限立法にしておいてもいいと思うのですが、期限が来れば切りかえでいけばいいのですけれども、そこで時限立法よりももう少し後退した形で、当分の間という意見も出たようですね。ですから、「当分の間」というのを入れたらどうですか。そうすれば、これは暫定的な一時的な措置なんである、こういう短期金融長期債でまかなうということは必ずしも適当ではないのだ、そういう趣旨がこの法律に明らかになってくると思うのです。ですから、「当分の間」としておけば、そこはかなり弾力的に解釈できると思うのです。その点はこだわらなくてもいいのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  43. 大月高

    政府委員大月高君) 今のお話は、暫定的であるという意味法文上明らかにする意味はあると思いますが、しかし、実質的な意味はあまりないのではないか。それで、制度でございますので、権限を与える法律になりますと、かりに「当分の間」というような精神を出すとすれば、この為替銀行法と別の、臨時に金融債発行できる特例に関する法律というようなものででもすれば臨時的な感じは出ると思いますが、為替銀行法改正ということになりますと、一つ為替銀行金融債発行できるかどうかという権限的な規定になりますので、われわれとしては、できるならば「できる」というはっきりした法律にいたしておきまして、ほんとうに必要がなくなればこれを廃止するというほうが実態に合っておろうかと。この問題は、金融制度調査会の内部におきましても相当議論をいたしまして、法律の形式であるとか、あるいは「当分の間」という言葉を入れたらどうだろうかという意見現実にございまして、論議をいたしましたのでございますが、何分にも制度となりますと、必要がなくなれば制度上廃止するか、あるいは事実上眠らしておいて発行しないか、どうでもできるんじゃないかと。で、気持だけ金融制度調査会としては出しておいたらどう、だろう、こういうような結論になったわけでございまして、そういう御趣旨をくんで今の提案になっておるわけでございます。お話のような問題は率直に申しましてございますけれども、まあ当分の間ということを法文に出すかどうかという問題につきましては、十分御論議を願いまして現在のようなことになっておりますので、御了承を願えれ、ばはなはだ幸いだと思います。
  44. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 金融制度調査会議論を、われわれにそれだからそうせよというような議論は、われわれいただけませんよ。金融制度調査会意見意見ですよ。だから、それは私もそれをのんだわけですよ、金融制度調査会答申を読んで。それで、われわれはわれわれとして考えたわけですよ。ですから、そういう議論もあり、時限法にせよという議論も、いろいろあったわけですがね。ですから、これは正常なる形じゃないですから、やはりそこにこれが時限立法にすれば非常にはっきりするんです。ですから、時限立法にすると、期限が来たときにまた手続が必要なわけですね。ですから、「当分の間」としておけば、時限立法的な趣旨も通るし、それから運用上別に差しつかえないし、それからこの債券発行についての問題点もそこに出てくるわけですよ。あとでほかの人が見て、どうして「当分の間」としたんだろう。「当分の間」ということについてはいろいろこういういきさつがあるということも明らかになるし、私は入れていけない法はないと思うんですよ、「当分の間」というのを。実害が、実際には運用上差しつかえないと、そうしてこの法律趣旨が非常に明らかになるというなら、われわれとしてはそのほうをとったほうがいいと思うんです、「当分の間」を入れたほうが。ですから、私はそういうふうに修正したいと思うんですよ。「当分の間」を入れたからって、運用上差しつかえないでしょう。
  45. 大月高

    政府委員大月高君) われわれの立場といたしましては、先ほど御説明申し上げましたとおり、逆の意味におきまして、入れなくても差しつかえないのではないかというのが考えでございますが、国会の御審議でございますから、皆さんの御意向に従って適宜御修正願うことはわれわれとしては異存はございません。
  46. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この法律を作るについては、いろいろいきさつがあったことは聞いておるんですよ。大蔵省としてはいやいや、やむを得ずこういう措置をとらなければいけなかったというので、かなり押しつけたような傾向もあると思うんですね。ですから、私は従来の経過から見ても、それからこの改正案趣旨からいっても、やはり修正しておいたほうがいいのではないか。金融制度調査会でそういう意見だったからそのまま大蔵委員会も採用しなければならない、そんな不見識なことはないですよね。もっと、金融制度調再会におけるいろいろな議論をこれは紹介すべきですよ、ほんとうは。おそらくみんな知っていなかったと思うのですね。こういう時限立法的な意見もございましたと、当分の間という意見もございましたと、こういういろいろな意見もあってこういうふうになりましたということがわかっていないのですよ。私は、いよいよここで上げるといいますから、そこで今までの経過を調べてみたところが、そういう意見があるわけですね。ですから「当分の間」としても、別に運用上差しつかえないと思いますし、その趣旨はそれによって明らかになると思うのですね。ですから、私は修正したいと思うのですがね。これはまあ委員会の問題でございますから、今荒木さんとも御相談して修正案を出したいと思っておるのですけれどもね。しかし、それは非常に簡単な修正案ですし、実際運用上差しつかえないという御同意を得られると思うのですかね。これはまあ別に、委員会の問題ですから……。これに対する質問は、私はこの程度でやめたいと思います。
  47. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 資金調達の問題で、現在の資金調達の一番大きな面は日銀からの借り入れで、私どもの手元にある資料では、大体九百十九億円日銀からの借り入れということになっておるわけです。今度債券発行した場合、大体債券発行の限度は一千百四十億、そうなるのですか。
  48. 大月高

    政府委員大月高君) 昨年の九月の決算期における資本金及び準備金の合計額は二百三十億でございますので、それの五倍ということで計算しておりますが、これはまだ三月の決算で準備金もふえますし、まだ増資もございますれば、その根っこがふえると。それに五倍をかけていくのが限度になるわけでございます。
  49. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そこで、この債券発行して資金を調達するということになれば、相当資金の余裕ができてくるわけですね。その場合に、日銀からの借り入ればどうなりますか。
  50. 大月高

    政府委員大月高君) ただいまの予定では、大体月十億程度を予定しておるわけでございまして、そういたしますと、年間で百億ちょっとという、それくらいかと思います。そういたしますと、現在の三月末の東京銀行円資金繰りから見ますと、外部負債が一千百十七億円、千億ちょっとこしております。そのうち日本銀行借り入れが一千二億で、その相当部分を占めておるわけでございまして、残りがコール資金ということになります。もし金融債が予定どおり発行されていきますれば、まずその計数を勘案いたしまして、コールの返済及び日本銀行借り入れの返済、それに情勢に応じて充てていく、こういうことになるかと思います。
  51. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今のお話では、毎月十億円くらいの債券発行しておる、こういうお話ですね。一年間ずっと続けてやると、百二十億ですね。来年もこれは続けてやるのですか。
  52. 大月高

    政府委員大月高君) 今のような金融情勢が続いておりまして、このように日本銀行借り入れが千億にも達しておるということでございますれば、引き続き出して置きかえをやって参りたい、こういうふうに感じております。ただ、日本銀行借り入れの中には、御存じのように、輸出入の資金で輸出貿手の金融、輸入貿手の金融というようなものがございまして、特別の貿易関係の優遇金利でございますので、そういうものは当然残ると思いますけれども、その他の一般の貿易関係資金に使われておるものにつきましては逐次日銀依存を少なくして参りたい、こういうふうに考えております。
  53. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そこで、一つ問題は、実際計画とそれからこの法律できめようとする五倍ですね、限度が非常に開きがあるように思うのですがね。だ  から、事実上こういう五倍という限度額をきめて、それを消化する金融事情ではないんじゃないかという問題が一つありますね。そこで、五倍というふうなきめ方をもっと下げてもいいんじゃないか。まあこの調査会の答申にもいろいろ意見があって、三倍くらい、あるいは自己資本と同額くらいというふうな意見があったようですね。五倍というのは、実際上そういう必要がないし、また現在の金融事情からいってそれだけ消化する事情にないというふうに考えた場合、五倍という数は大きいんじゃないですか。
  54. 大月高

    政府委員大月高君) この倍率をどうするかという問題につきましては、自己資本に対していかなる資金を調達するかという全体の振り合いの問題だと思います。それで、一般の興長銀等におきましては、自己資本の二十倍、いわゆる債券発行して資金を調達するのを主とする金融機関におきましては、二十倍というのが原則でございまして、金融関係の機関におきましては全部二十倍になっておるわけでございます。で、その他の機関としまして事業をやっております特別の会社、これにつきましては十倍以下のものがあるわけでございまして、たとえば電源開発株式会社は十倍、東北開発株式会社、それから日本海外移住振興株式会社が五倍、それから国際電信電話株式会社が三倍、日本航空、石油資源株式会社、北海道地下資源株式会社、こういうものは二倍というようになっておりますが、これはむしろ商法が、社債を発行いたしますにつきましては自己資本と同額までという限度がございますので、これの例外という、特例法という意味で、事業会社のほうは一倍から出発いたしまして、それにどのくらいアルファをのっけるか、こういうような感覚でできておるわけでございます。金融関係につきましては、本来二十倍というような数字がございますのは、大体において外部の負債は自己資本の二十倍程度ならばまあ危険はないんだと、こういう感賞から出ておる計数でございます。それで、一般の長期信用銀行あるいは商工中金その他につきましては、金融債をもって資金を調達する機関でございますので、こういうふうになっておりますが、為替車専門銀行は原則といたしまして預金コールというように考えておるわけでございます。そういう意味で、少なくとも預金がかりに半分ということになりますと、これは十倍でいい、こういうことになるわけでございます。で、十倍程度でどのくらいになるだろうかというような計算をしてみまして、先ほどお話がございましたように、相当ゆとりがある。で、今の金融債というものがいわば変則的なものである、この為替専門銀行におきましては倍率はそう高くなくていいんじゃないか、こういうような議論になりまして、その十倍の半分の五倍というような話になったわけでございます。  それで、この限度につきましては、非常に余裕がございましても、金融情勢いかんによって実際上出ない、この限度はこれ以上出してはいけないという意味の限界でございますので、三倍程度しか出なくても、たとえば輸出入銀行の場合に、買い入れの限度を二倍から三倍にいたしますときに、御説明申し上げましたように、二倍ちょっと出るというようなときにまた法律改正が要るというのも都合が悪いわけでございますので、若干のゆとりを持った倍率というようなところで、五倍が適当ではあるまいかというように存じておるわけでございます。
  55. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この問題ね、長期金融を必要とするところと、東京銀行のように短期金融を主としているところとは違うんじゃないですか。金融債発行の限度をどのくらいにするかという問題を考える場合、長期金融を主としているところはやはり限度が高くて、資金がかさんできますから。けれども、こういう短期金融をしている東京銀行などの場合は、そんなに限度を高くしなくていいんじゃないか、性質が違うんじゃないかというふうに思うのですがね。今のせっかくの説明ですけれどもね。
  56. 大月高

    政府委員大月高君) ただいま御説明申し上げましたように、一般の金融債に依存いたすことを原則とする金融機関におきましては、二十倍という数字以外は現在ないわけでございます。そういうところから考えまして、その長期資金を中心といたします金融機関におきましては、ほぼ全額を金融債にたよるということでございますので、この為替専門銀行のように預金源も持っている機関におきましては、その半分程度でいいんじゃないか。しかも、その制度といたしまして異例なものでございますので、さらにその半分程度、というのがこの五倍という数字でございまして、お話のような趣旨を十分くみまして五倍にいたしておるわけでございます。
  57. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで、この金融債券を引き受けるのは市中銀行であるわけですね。市中銀行は毎月十億円くらいの債券であればそう無理はないかもしれませんですが、これが長期に毎月発行されていくということになれば、相当銀行にもしわ寄せが来るということは考えられますね。そういうことから、銀行としてはやはり日銀からの借り入れという問題は起こってきませんか。
  58. 大月高

    政府委員大月高君) お話のように、現在金融債の市場が非常に逼迫いたしておりますところへ、この金融債をまた入れるわけでございますから、かなり窮屈になるということは仰せのとおりでございます。そういう意味で、金融制度調査会におきましても、この金融債発行するについては、金融市場全般の状況も考えて、かつ発行する銀行たる東京銀行の立場及び引き受ける側の為替銀行その他金融機関の立場を十分考えて、無理のないように運用したほうがいい、こういう御意向でございました。そういう意味で、この発行につきましては、関係者をもって構成いたします協議会を作りまして、この辺のところなら全体として無理がないというようなところで運用するということになっておるわけでございます。そういう意味で、この十億という一応の想定につきましても、金融上非常に無理があるということでございましたら、その協議会において十分御審議願いまして、また金額を減らすというようなこともあり得ると思います。そういう意味で、できるだけ無理のない、各界で十分納得のいくような運営をしたいというのがこの考え方でございます。
  59. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでね、結局は日銀が肩がわりするような結果にはならないのですか。
  60. 大月高

    政府委員大月高君) 日本銀行の借り入れが何に向けられるかということは、ひもがついておらないわけでございまして、ある銀行日本銀行借り入れが百億ございまして、それが一部は貸し出しに向けられ、一部は有価証券の買い入れに向けられ、一部はその他の準備金になっているというようなことだと思いますので、もしこの金融債をアルファとして完全に引き受けるということになりましたら、この資金源として引き受けるほうはコールをさらにとるとか、あるいは日本銀行から金を借りるという結果になるかと思いますが、必ずしもこれはそれに直結するわけではないわけでございます。それから、金融機関といたしましても、必ずしも為替銀行だけではなしに、資金にゆとりのある銀行にも持ってもらえるわけでございますから、彼此勘案いたしまして、あるいは為替銀行においてもその分を引き受けるだけ貸し出しが減るとか、あるいはほかの債券が減るというような調整もできるわけでございまして、実情に応じて引き受けてもらえるものと考えておるわけでございます。
  61. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 南東アジア課長、見えていますか。
  62. 上林忠次

    理事上林忠次君) ちょっと申し上げます。外務省から稲田南東アジア課長説明員として出席していただいております。
  63. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私の質問は政治性の問題ですから、どういうふうに答えてもらえるか。フィリピン日本との関係ですね、うまくいっていないのじゃないかという、いろいろ起こっている問題から見て、そういうふうに感ぜられるのですが、少し説明をしてもらいたいと思うのです。
  64. 稲田繁

    説明員(稲田繁君) 日本フィリピンとの間に、マカパガル新政権ができてから何かうまくいっていないといわれる面が、そういう御印象を受けておられる面があるかと思いますが、私どもは決してそうは思っていなのであります。それはマカパガル政権自体が非常に内政上の苦しい立場にあるということから、種々の基本的な国内政策がいまだに軌道に乗っていないということから、いろいろの問題が何か日本側に不利のように御印象を受けておられるのじゃないかと、こう思うわけです。  そのマカパガル政権がどうして国内上のいろいろの基本的政策の実現に苦慮しておるかという点をちょっと御説明いたしますと、これは昨年の十一月の十四日に、御承知のとおり、フィリピンにおいては大統領、副大統領の選挙と上院議員の三分の一、八名改選したわけです。それから下院議員の百四名の全員を改選したわけです。その結果、前のガルシア政権が倒れまして、新しい大統領に、前のマカパガル副大統領が新しい大統領に選出された。その結果、どうも前のナショナリスタ党の議員が多く国会に残っておりまして、そうして与党であるリベラル党の、マカパガル大統領はリベラル党出身でありますが、議員が少ない。その内訳を申し上げますと、与党のリベラル党は上院においては十一名、これに対してナショナリスタ党の野党のほうは十三名、二十四名の分野が非常に伯仲はしておりますが、リベラル党に不利な状況であります。下院におきましては、リベラル党の与党のほうが七十二名、それからナショナリスタ党のほうが三十一名、それからそのほかの他の政党から一名ということでございますが、それで百四名という構成になっております。そうして昨年の十二月三十一日に新しい政権は発足したわけでございます。そうして今年に入りまして、一月二十二日から新しい国会を開いて、マカパガル大統領は、その際一般教書を国会に送りまして、そうして新政権の基本的な政策を宣明して、それに裏づけとするいろいろな法案をフィリピン国会に出しているわけでございます。その重要法案がほとんど成立を見てない。その重要法案の中にはいろいろの、つまり漁業とか、外国銀行とか、そういった面の産業の国民化法案というものや、それから中小企業庁の設置法案、そのほか米とか、トウモロコシとか、そういうものの価格安定法案、所得税法案というような、非常に基本的な重要な法案が出ているわけでございます。その法案がなかなか通っていない。それは一つには、上院においては、いまだに議長すらきまっていない。下院においては、一応議長がきまりましたものの、なかなか一度きまり、またその議長がほかの議長に変えられ、また二回目にきまった議長に対する反対の効きがあるというように、国会自身の運営がいまだに軌道に乗っていない。ことに外交問題等を取り扱う面に非常に重要な立場にあるフィリピンの上院が議長すらまだきまっていないというような、以上申し上げましたように、マカパガル政権は、なかなか発足間もなく、国内政治上の諸問題に苦労しておられるということからしまして、対外関係の場合、ことに日本との関係の面でも、いろいろな何かまずくいっているというような御印象を受けておられるかと思いますが、フィリピンの国と日本の国との関係においては、決してまずくいっているということはないのであります。
  65. 上林忠次

    理事上林忠次君) 申し上げますが、外務省から前のフィリピン大使の湯川官房長が見えております。
  66. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで、端的にお尋ねしますがね、上尾大使を更迭するというような考え外務省にないんですか。政府委員(湯川盛夫君) 土屋大使は、先般、土屋大使がどうも十分な活動をしないので、日比関係がうまくいかないというような投書が新聞にございました。それがフィリピンに大きく報道されまして、上屋大使としては、それは自分としても一々反駁できることはあるけれども、しかし、そういう報道があったというようなことは、今後いろいろとむずかしい問題を解決していくのにも、いろいろ支障になる、そういうことで、政府に迷惑をかけるということは、自分の本意にもとることである。したがって、この際自分としては辞職をしたいという意思表示がございました。辞表の提出がございました、まあ御本人の意思を尊重して、それを受理することにいたしまして、先般願によって退官するというふうに発令になりました。
  67. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私はね、外交関係で微妙な影響を与えたらいかぬと思いましたから、こういう委員会質問するのをよほどちゅうちょしておったわけですがね。しかし、現地からのいろいろの話を聞くと、土屋大使ではうまくいかぬ、こういう声が非常に強い。それから、それに関連していろいろのいざこざが起こっている、こういう話を聞いているわけです。そういう関係から、特に日本フィリピンとの通商航海条約、これについても日本側はすでに国会の批准を得ているわけですね。ところが、フィリピンのほうでは、全然これは議題にならない、こういう事情もあるし、それから何とかいう電源開発のダムですね、これも中止する、それから商社に対する最近のフィリピンの態度、こういうものを見て、この際フィリピンとの関係をやはり改善するために積極的に努力すべき必要があるのじゃないか、こういうふうに感じましたから、きょう質問しているわけなんです。そういう点で、あまり悪くないというふうなお話ですけれども、実際はそうじゃないんじゃないですか。しかし、その理由が一体どこから来ているか、そういう点、説明できればしてもらいたい。
  68. 稲田繁

    説明員(稲田繁君) 先ほど申し上げましたように、マカパガル政権としての発足して間もないために、いろいろ前の政権との関係で、あるいは選挙運動中、そのほか前の政権のやっておられたことを批判し是正するものがあるということを言っておられることは確かでありますが、ただ、最近の商社のことに関しましては、これは直接通商航海条約の批准のおくれていることとは関係はないと思います。これは商社の問題は、一番めに、一時短期入国者の滞在期間の問題として起こったわけであります。これは実はフィリピン政府の中で、短期渡航者、ことに新聞等の報道によりますと、香港等からたくさんの華僑が一昨渡航者としてフィリピンに入ってくる、そしてその数がますますふえつつあるということもありまして、短期渡航者の制限、入国の制限の問題というのが起こったわけであります。それは、日本やアメリカのような、別に入国査証の取りきめを持っている国には例外的な措置を講ずるということで解決を見たわけであります。  それから、だいぶ議員国会等におきまして、まだ通商航海条約の効力を発している前から、日本商社活動が非常に活発だということを非難した演説をされたことはあるわけであります。それもしかし、平和条約のすでにフィリピンとできている今日、通商航海条約の発効が必ずしも商社活動を可能とする法的根拠ではないわけでありまして、すでにフィリピンとの間には平和条約ができておりますし、そして技術、それから経済協力、賠償の支払いというようなことは行なわれておるわけでありますから、ただ、議員等一部フィリピンの人たち日本商社活動を非難しているということはあるわけであります。しかし、それは先ほど申し上げましたように、いろいろのフィリピンの新しい政権であるマカパガル政権の発足の間もないとき、いろいろなことがまだ軌道に乗っていないということから、それから新政権と旧政権との政策の食い違いあるいは是正という面から起こってくる摩擦が、それが日本ばかりでなくほかの国にも一様に響いておると思うわけです。
  69. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これ以上の質問は私はやめておきますが、現実フィリピンマニラ駐在商社は仕事がしにくい状態にあるというふうに聞いておりますので、やはりこの際外交的にこういう問題を改善するように積極的に手を打っていく必要があるのじゃないかというふうに思いますので、十分外務省としても努力してもらうということの希望を付して、質問は一応終わっておきます。
  70. 稲田繁

    説明員(稲田繁君) 今の御要望の趣旨を体しまして、われわれもできるだけのことをいたしたいと思います。
  71. 上林忠次

    理事上林忠次君) 一応申しますが、外国為替銀行法の一部を改正する法律案に戻ります。
  72. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 直接法案に関係ある質問じゃないのですが、最近金融制度調査会はどういう仕事をしておるのですか。昭和三十一年に法律ができてから、いろいろ諮問され答申も行われ、その一部も実施されてくると思います。大体、金融制度調査会ができてから、概括でいいのですが、どういう答申が行なわれ、そうしてどういう点が実施され、金融制度調査会としては現在政府諮問をしておるか、どういう作業をしておるのですか、その状況をちょっと知らして下さい。
  73. 大月高

    政府委員大月高君) 金融制度調査会は、御存じのように昭和三十一年に国会の御審議を経て法律に基づきまして設立されたわけでございますが、その後具体的に実行いたしました問題について御説明申し上げます。  まず、第一には、現在法律になっております準備預金制度に関する法律、これに関係答申が三十一年の二月にできまして、金融調節上非常に重要な倒産を創設いたしたわけでございます。それから、現在やはり法律になっておりますが、預金等に係る不当契約の取締に関する法律という法律がございまして、これは例の導入預金が当時非常に横行いたしまして、これを取り締まるためにどういうように規制したらいいかということを答申をいただきまして、それに基づいて法律ができておるわけでございます。  なお、同時に当時の相互銀行、信州金庫等に経営上の問題のある事件が相当出たものでございますので、もう少し監督を強化したらどうかというような答申を得まして、預金保障基金法案一及び金融機関の経営保全等のための特別措置に関する法案、こういう法案を御提案申し上げたわけでございますが、当時の国会事情に、よりまして、これが国会の解散によりましてそのままになっております。  それから、第三の問題は、中小企業の信用を補充する制度考えたらいいということになりまして、中小企業信用補完制度に関する答申というのを三十二年の十二月に得たわけであります。この答申に基づきまして、現在の中小企業信用保険公庫法が成立いたしまして、中小企業信用保険公庫が現に動いておるのはこの答申結論によるものでございます。  それから、第四の問題といたしましては、中小企業金融機関のうちの信用金庫と信用組合の業務分野をどう調整するか、あるいは監督をどういうように改めたらいいかという問題がございまして、三十三年の五月に共同組織による中小企業金融制度に関する中間答申というのをいただいております。大体この答申に基づきまして、現在信用金庫及び信用組合の監督指導を行なっておるわけでございます。  第五は、三十五年九月に日本銀行制度に関する答申をいただいておるわけでございますが、これは御存じのように、非常に重要な答申でもございますが、また非常にむずかしい問題でもございまして、最後に政府と中央銀行との間の関係をどうするかという点につきまして、最終的に一本の結論が出ないまま、A案、B案というような答申をいただいておるわけでございます。これは具体的には政府の中央銀行に対する監督権は認めるけれども、中央銀行の中立性ということにかんがみまして、これは相対的中立という感覚で扱うのがいいだろう。しかし、その相対的中立という観念を制度上どう表わすかということに関連いたしまして、日本銀行政策委員会の決定いたしました事項につきまして、政府は単に議決の延期権等のいわば消極的権限をもつにとどめるほうがいいのか、あるいは積極的にこれに対して政府が命令権を打つというような積極的な権限を持つのがいいのかという点につきまして、意見がついに一致しないまま両案併記の答申をいただいておるわけでござまして、これはその他の点につきまして、行政上非常に重要な問題も含んでおりまして、その精神にのっとって行政上措置できるものは逐次運用しておる段階でございます。  第六の問題は、現在御提案申し上げております外国為替銀行法改正に関連するものでございまして、昨年の六月にこれを審議いたすための小委員会が設けられまして、数回にわたりまして会合を開いて答申案を作成していただき、最終的には昨年十一月十七日の調査会において正式の御答申を得たわけでございまして、これに基づいて現在の御提案申し上げております法案が出ておるわけでございます。  その後、特に金融正常化の問題が重大な問題でございますので、これを審議いたしますために、調査企画部会という特別の部会を設けまして、渋沢会長みずからその部会長となられまして、現在までに十五回にわたって会合を開いて御審議願っております。主としてオーバー・ローンの実態を研究分析し、これに対してどういうように、どの辺からメスを入れていったらいいかという非常に基本的な問題ございますので、大体において隔週一回ずつ会合を開いて今御審議を願っておる段階でございます。
  74. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そのオーバー・ローンの実態について、これはこれをか行なった上で答申がなされるわけですか。
  75. 大月高

    政府委員大月高君) この調査企画部会は、一般の小委員会とやや性格の異なった運用をしたいという会長の御意向がございまして、会長のいわばブレーンというような格好で使っていって、ある程度答申的な、積論的なものが出ますれば、それを調査会にお諮りしてきめていただきたい、こういう会長の御意向でございます。そういう意味で逐次いろいろな分析をやっております間に、中間的にそれをとるべきものがあれば、運用上とっていこうじゃないかというようなことでございますが、今はまだ現状分析の段階でございまして、これから各種の提案を検討し、さらに結論的な段階に入ろうという中間の過程でございます。
  76. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これはいろいろな調査会の分析の結果、そういうものが資料としてわれわれにいただけますか、出してもらえますかね。
  77. 大月高

    政府委員大月高君) 今の段階におきましては、まだまとまった資料としては外部に出しておりませんが、先般の会合におきまして、オーバー・ローンの問題と関連いたしまして、正常化の問題の問題点としてはこういうところが問題だろうかということは外部に発表いたしておりますので、問題点の整理という段階におきましては、ごらんいただくことはできると思います。
  78. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは非常に大きな問題ですが、正常化の問題はわれわれもやはり絶えずその関心を持っていなければならないわけですから、そういう調査とか報告とか、まとまってきましたら、逐次われわれに資料を提供してもらいたいんですがね。
  79. 大月高

    政府委員大月高君) 中間のまだまとまらない段階ではなかなかむずかしいかと思いますが、今申し上げましたように、一応問題点の整理をした分がございますので、これはごらんにいれるべきものだと思っております。その後逐次審議が進みますに従いまして、中間的にそういう資料はできるだけ外部に出しまして御批判を得たいというのがわれわれの真意でございますので、まとまり次第お配りいたしたいと思っております。
  80. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 しまいにまとまってからどかんと出されたのでは、時期的にもまた間に合わないこともございますので、なるべくそういう中間的でもいいですから、まとまった資料を出していただきたい。  それから、日銀法の改正は、これは大きな問題だと思うんですが、さっきお話ございましたけれども、これはどういうふうに処理していかれるんですか。この改正案はいつごろ出される用意があるのか、その辺のところどうなっているでしょうかね。
  81. 大月高

    政府委員大月高君) 中央銀行制度は、何分全体の金融機構の中の中核的なものでございまして、制度を立てるといたしますれば、十分御審議を願い、専門家の意見の御一致を見たあとのほうがいいのではあるまいかということでございます。それで、先ほど申し上げましたように、答申が併立いたしますと、これを法案にして大蔵省意見をきめるのになかなかむずかしい、しかも最もむずかしい部分がいわば未決定になっておりますので、金融正常化の問題等に入りまして一応の結論を得、またさらに必要があれば普通銀行制度等についても御審議を願って、また再び中央銀行の問題に振りかえて今ペンディングになっているような問題を含めましてまた御審議を願って、結論が出ればこれを制度に移したい、こういうふうに考えております。
  82. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう一つ伺いたいのですがね、この通貨の発行限度ですね、あれはどういう型できめて、本年度は、三十七年度は幾らで——最高発行限度をきめますね、そのきめる手続ですがね。
  83. 大月高

    政府委員大月高君) 日本銀行券の発行限度につきましては、終戦直後通貨発行審議会という制度が設けられまして、主として当時の経済企画庁におきまして所管されて、そこにおいては最高限度をきめておったわけでございますが、占領が終わりまして、そういう制度でなしに大蔵大臣においてきめたほうがいいだろう、こういうことになりまして、現在におきましては、事実上政策委員会の意向を聞きまして大蔵大臣が限度をきめるという制度になっております。で、これは単に大蔵大臣の決定事項でございまして、現在は、昨年の十二月にきまったかと思いますが、現在一兆千五百億円が限度になっております。
  84. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 一兆……。
  85. 大月高

    政府委員大月高君) 一兆一千五百億円でございます。
  86. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから、これを超過した場合ですね、超過した場合はどういうことになっておりますか。
  87. 大月高

    政府委員大月高君) 日本銀行法によりますと、発行限度の決定は「主筋大臣ハ閣議ヲ経テ……銀行券ノ発行限度ヲ定ムベシ」、こういうことになっておりまして、この限度を定めたときには公示するということになっております。しかし、通貨でございますのでこれを限度内に必ず押えるというわけには参りませんので、この限度超過の場合を想定いたしているわけでございます。それで、必要な場合には日本銀行はこの発行限度をこえて銀行券を発行することができる。「但シ十五日ヲ超工其ノ発行ヲ継続セントスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ」ということでございますので、限度超過が十五日をこえるということになりますと、大蔵大臣が認可をして続けている。こういうことでございます。
  88. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その場合は認可だけでいいんですか。何か納付金とか、そういうもののほうの関係は何かないですかね。
  89. 大月高

    政府委員大月高君) それは限度発行税の問題であろうと思いますが、今申し上げましたように、十五日をこえる場合にはまず大蔵大臣が認可をいたしますが、その場合には、十六日以後の発行限度を越える銀行券の発行高、つまり限度超過の金額に対しましては、その日数に応じて主務大臣の定むる割合をもって発行税を納めると、こういうことになっております。現在、大蔵大臣が定めております発行税は、年三分の割合においてこれを徴収いたしております。
  90. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、こういう発行税を納めればやはり超過できるわけですね。
  91. 大月高

    政府委員大月高君) むしろ、発行できる権限は主務大臣の認可にあるわけでございまして、その認可を得、限度超過発行いたしましたその結果について税金を納めるということになろうかと思います。
  92. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから、限度をきめる場合はどういうふうに、何を基準にしてきめるのですか。
  93. 大月高

    政府委員大月高君) 日本銀行券の発行荷は、大体において国民総生産の伸びに関連をもってふえていくわけでございます。それで、その当時の経済情勢金融情勢等いろいろ現実的に考えまして、大体において日銀券が限度を越えないという程度のところを目安にしてきめております。で、ただ、たとえば年末でございますとか、年度末でございますとか、通貨が当然非常にふえる時期がございますので、そういう点をめどにしてきめますと、非常に限度が大きな数字になりまして、心理的にもまたインフレ的なものになってはいけないということで、そういう例外的の期間はある程度認可をもちまして限度超過をやってもよろしい、しかし大体において一般の月の半ば、それから普通の月においては限度内に入るであろうという見通しをもって限度をきめておるわけでございます。
  94. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、たとえば三十七年度の予算を編成する場合に、政府は経済見通しをやりますね。まあ、三十六年度を例にとりましょうか。ところが、非常にいわゆる行き過ぎで事情が変わっちゃうでしょう。そういうときはどうなんですかね。どうもそこが私わからないんですが、たとえば三十六年度の経済見通し、あれは努力目標であるといわれるのですが、その経済見通しに沿うように日本の経済を運営していく場合に、大体日本銀行発行限度というものは経済見通しに沿うてきめると思うのです、一応。そのときに、日本の経済を努力目標としての経済見通しに沿うように行なうためには、いわゆる日銀の貸し出しなりあるいは通貨の発行の上から規制するようにしなければそうならないのであって、行き過ぎたからといって、設備拡張の需要がどんどん多くなってくれば、民間銀行は貸す、そうして、日銀貸し出しを求めてくる。何というんですか、一応限度をきめてみても、その点は、ただそのときの経済の変化に応じてまた発行高が多くなるということになってしまうのであって、そういう点はどうなんですかね。最近よく行き過ぎ行き過ぎといいますね。日本の今の経済の仕組みのもとでは、その行き過ぎを調整する手段というものは一体ないのかどうか。私は金融面から一つあると思うんですよ。あるいは金融通貨面に面接統制はできませんね、今は自由経済ですから。その点をどういうふうに考えておられるのですか。ですから、努力目標ですから、その目標どおりに運営していこうとすれば、努力として何かで調整していかなければならない。ところが、池田さんは、民間の成長意欲が非常に強くして、政府が九%でとどめよといっても、どんどん成長意欲が強くて一四%以上になっゃう、こういうように言うのですが、九%にとどめようとすれば、やはり金融面から、金融政策面からそういう規制を加えなければそうならないと思うのですが、そういう点、どういうふうに考えておられるのですか、伺っておきたいのです。
  95. 大月高

    政府委員大月高君) 今のお話は、全体の財政金融政策におきましてどのように経済計画と合わす政策をとっていくか、それに関連いたしまして通貨の発行限度をどう考えるか、こういうお尋ねかと思います。それで、この通貨の限度は、率直に申しまして、経済活動の結果でございまして、通貨量自体を抑えるということは実際上まず不可能であろうと思います。しかし、現実には経済活動のまた反映でございまして、それは経済流動自体をいかに調整していくか。で、その結果通貨に反映されるということで、常に通貨量の増減には関心を持って見ているわけでございまして、最近の経済の調整過程におきましても、たとえば昨年の七月ごろでは日本銀行券の毎月の平均発行高は対前年比二六%ぐらい上回っておったわけでございます。それが引き締め政策を実行いたしまして、逐月低下いたしまして、この三月におきましては一八%ちょっとこえるという程度にこれが落ちてきております。これはむしろ通貨の発行血自体を規制した結果でなしに、公定歩合を引き上げ、あるいは準備預金制度を強化する、高率適用制度を強化するというような、金融政策あるいは窓口規制を実行いたしております、そういうようなこと、あるいは輸入面におきまして輸入担保率を引き上げたというような、金融政策面の影響が通貨面に現われてきているのではあるまいか。そういう意味で、われわれは必ずしもこの通貨量、通貨だけということでなしに、やはり経済の全体といたしまして、物価でございますとか、あるいは国際収支でございますとか、あるは生産の伸び、あるいは在庫の状況、そういうような実態的な経済指標を見ながら政策をやっていくのが妥当であろうかと考えておるわけでございます。で、そういうような経済の調整の方式につきましては、今申し上げましたような手段、それからやはりもし必要でございますれば、財政政策におきまして予算の編成あるいは税制、いろいろとるべき手段はあると思うわけでございまして、これはまたその他行政指導というようなものもあると思います。設備投資の抑制の問題につきましては相当産業政策に反映される、こういうような各般の努力によりまして、全体の経済はうまくいくというふうに考えるべきだと思うわけでございまして、この銀行券を所管いたしております日本銀行だけが金融政策だけに依存いたしまして調整をしようとしても、なかなかできない面があるかと考えるわけでございますが、また日本銀行出局といたしましては、この最高発行限度というものを一つの目安といたしまして、金融面でできる限りの安定成長をはかっていく、こういうような感覚で今やっておるわけでございます。
  96. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは直接関係ありませんから、あまり長く質問するのもどうかと思いますので、最後に一つだけ伺いますが、結局日銀の貸し出しですね、それが通貨発行高に影響してくるわけですがね。どうも最近日銀の貸し出しが非常にふえて、しかもそれがなかなか還流してこない、恒常化してきてですね。この点どういうふうにお考えになっておるのですかね。
  97. 大月高

    政府委員大月高君) 日本銀行券が出ます原因には、おおむね、分類いたしまして、大きく二つあると思います。財政の払い超過から出るものと日本銀行貸し出しで出るもの。したがいまして、経済の伸びということを考えますれば、通貨は若干ずつふえると。そういう意味で、かりに財政が均衡いたしておりましても、そのままでは日本銀行貸し出しはふえると、こういうことであろうと思います。ところが、昭和三十六年度全体を通観いたしまして、財政上の揚げが四千九百七十億でございます。おおむね五千億揚げが来ておりますから、これをカバーするだけの日本銀行貸し出しは、これはやむを得ないと考えております。さらに、それに対する正常通貨の供給という面におきましてアルファが要るわけでございます。現実には、この昭和三十六年度を通じまして日本銀行貸し出し増加は六千八百六十億、七千億近くでございますので、つまりそのアルファの分がはたして妥当であったのか、あるいは出し過ぎであったのか、こういう御批判になると思うわけでございます。そういう意味で、われわれは全体の経済を見ながら今調整を進めておるわけでございまして、むしろ金融は引き締め基調に推移いたしております。日本銀行の政策態度もさようでございますので、今中だるみやその他いろいろございますけれども、われわれといたしましては、この引き締め基調を堅持しながら次の発展段階に入りたいということで、極力努力いたしておるわけでございます。
  98. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 財政の引き揚げ超過と、それから貿易の入超による揚超、そういうものは日銀でカバーする、こういう方針になっているんですか。
  99. 大月高

    政府委員大月高君) これは経済の成長に伴う通貨の必要というものが、まず観念的には想定されると思まいす。で、そのもとで財政の揚げの原因の中には、一つは一般会計の租税関係の揚げがございますし、一つは外為関係の揚げがございます。それで、昔の金本位制度想定いたしますれば、当然外為関係の揚げは埋めるべきではない、こういうことではあると思います。しかし、これはかっての昭和四、五年ごろのいろいろな経済が非常に日本経済として苦境にあったのは、金本位制度自体からやはり来た画が相当あったんではなかろうかと通貨的には考えるわけでございまして、その後管理通貨制度に各国なって参っておりますが、必ずしも外為関係の揚げをそのまま揚げてしまって経済がうまくいくかどうかという点については、私はいささか疑問ではあろうかと思っております。しかし、何しろ外為関係が揚げるということは国際収支における赤字を反映するわけでございますので、十分その点は、一般会計の揚げがどのくらいであって、外為の揚げがどのくらいであるということを、常に頭に置いて運用いたしておるわけでございますけれども、必ずしも一般会計の揚げは埋める、あるいは外為関係の揚げは埋めないということではなしに、総合的に経済全体を見て処置すべきものかと考えておるわけでございます。
  100. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 最後に、一つだけ。財政面での景気調整として、たとえば予算を組んでも、三十七年度は二兆四千二百六十八億、約一千億円ぐらいは食管会計に繰り入れたり、国債償還費に充てたりして、実際に使わない、こういう説明なんですが、そういう場合にこれはやはり税金が引き揚げ超過になる分も日銀の貸し出しで埋めちゃえば、やはりその面においては景気調整というものはできないわけですわね。そういう点はどうなんですか。よく大蔵大臣はそう説明するんですけれども、しかし、それは金融面との調整がつかなければ、ただそれだけでは景気調整には私はならぬと思うんですがね。そういう点はどういうふうに考えておられるんですかね。
  101. 大月高

    政府委員大月高君) 外為の揚げの関係先ほどお話し申し上げたとおりだと思いますが、一般会計の揚げ、その他の揚げにつきましても、やはり同じく経済の実態を反映しておるところだと思います。たとえば租税収入が非常に多過ぎる、これは経済活動が盛んであって、法人税、所得税が想定いたしましたよりも余分に入ってくるということから来るわけでございまして、非常に強い引き締め的な感覚から申し上げますれば、そういうような揚げもこれはためておくべきだ、こういうことになると思うんでございますが、外為の揚げ自体もそのままにしておくのは必ずしも経済上適当でないという感覚と同様に、租税から来る揚超も必ずしもそのままにしておいていいものではなかろうと思います。しかし、逆に考えますと、一般会計が揚げる、あるいは外為関係が揚げるということは、そのままにいたしておきますれば、経済に対して非常にデフレ的な影響の起こる問題でございまして、それをまず原則として、デフレ的な方向に作用すると、それを金融面で適宜調整するということでございますれば、どちらかと申せば引き締まり基調に金融は持っていけるわけでございまして、かりに散超の財政が起きますれば、どちらかといえば緩和的な方向に動く財政を、金融ではそれを逆の方向に行き過ぎないように調整をする、こういう二とになるわけでございまして、原則と例外の感賞からいいまして、やはり揚超の財政というものは、金融を含めて調節を考えましても、やはり引き締まり的に作用する、こういうように考えていいんじゃないかと思います。
  102. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そのときに、税金なんか、法人税なんか企業が銀行から金を借りて税金を納めるということになれば、必ずしもそれは引き締まりにはなりませんな。
  103. 大月高

    政府委員大月高君) それは納税の場合に全額貸し出しに充てれば相殺される、こういうことでございますが、何分貸し出しでごいますから、全部埋める義務はないわけでございまして、金融の立場でできるだけ埋めないようにするということにすれば、それだけ金融は締まり得るかと思います。
  104. 上林忠次

    理事上林忠次君) 暫時休憩いたします。    午後零時一分休憩    ————・————    午後一時三十一分開会   〔理事上林忠次委員長席に着く〕
  105. 上林忠次

    理事上林忠次君) ただいまから委員会を再開いたします。  国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案議題に供します。  質疑のある方は御発言願います。
  106. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 まず、国際通貨基金を今度強化しなければならなくなった根本原因について政府の見解をお伺いしたいと思います。  この提案理由の説明を拝見すると、通貨交換性が回復されてきた結果、短期資本の国際的移動が大幅になり、自由になってきた。そのため主要国における国際収支の安定が脅かされるという難問に直面した。だから、国際通貨制度の維持のため国際通貨基金資金的基礎を充実し、その機能を一そう強化しなければならなくなったのだ、まあ大体このように述べていらっしゃると思うのです。私に言わせれば、こんなことは国際通貨基金を強化しなければならない根本原因にはなり得ない、ただ通り一ぺんの経過を書いただけじゃないかと思うのです。私たち共産党のとっているマルクス主義経済学とははっきり立場は異なっておりますが、先日来日したアメリカのエール大学のトリフィン教授も、国際通貨制度の危機についてはそれはそれで深い分析はやっていると思います。もっともトリフィン教授は貨幣数量説の立場に立っておりますから、金にかわる世界通貨というような新語を持ち出してはおります。しかし、少なくとも政府提案理由のような通り一ぺんのお話に比較すると的はずれではあるが本質に迫ろうとしているように思います。また、情報によると、財界のごく一部の上層部は、国際通貨の危機について深刻に考えているそうです。まあそれはそれとしまして、短期資本流出を引き起こした根本原因は何であるかを、まず最初にお聞きしたいと思います。
  107. 福田久男

    政府委員(福田久男君) 提案理由の説明でも、あるいは敷衍説明でも申し上げましたように、またただいまの御質問にもございましたように、国際的な資金の移動がかなり激しくなって参りましたわけでございます。まあ特にそういう短期資金の移動が激しくなって参りました原因でございますが、これは一九五八年の終わりに西欧各国の主要国が通貨の交換性を回復いたしまして、また通貨の交換性を回復するに至りましたバック・グラウンドの中には、それらの国が外貨準備が相田増加して参りました。したがって、外貨準備が増加したということと、それからそれらの国が交換性を回復して、資金が割合自由に動き縛る状態になった、そういうバック・グラウンドのもとに交換性の回復が行なわれましたわけで、したがって、各国間における資金の移動がしやすい環境が生まれまして、その後特に一九六〇年において一番著しかったのでありますが、たとえばアメリカから西欧方面に移動した短期資金の量というのは、数字は正確に把握しがたいのでいろいろな説もございますが、あるいは二十億ドルといわれ、あるいは二十五億ドルといわれておるわけでありますが、それらの資金が特に西独を中心といたしましてあるいはスイスとかあるいは英国とかそういう方面へ流れ出したわけでございます。今度、その後になりまして、イギリスのポンドに対する価値についてのいろいろなルーマーが出たりいたしますと、今度英国から、ロンドン市場からあるいはスイスヘあるいは西独へあるいはアメリカヘと流れていくというふうに、かなり六〇年、六一年の経過を見てみますと、大量なそういう短期資本の移動が見られたわけであります。  で、その直接の移動する原因といたしましては、いろいろ理由があると思いますが、たとえば各国間における金利の格差であるとか、あるいは通貨価値に対するいろいろなルーマーとか、あるいは金価格の変動に対する、変動の起こりましたことによる影響であるとか、あるいは流通証券に対する投機——スペキュレーションのため、あるいはまた政治的に不安定の地域から割合に政治的に非常に安定しておる地域へ短資が動くとか、いろいろ原因があるようでございますが、いずれにいたしましても、通貨に対する交換性が回復されまして、資金の移動が比較的楽に動き得るという環境になりますと、そういった短期資金の移動は避けがたい状況であるわけであります。  もちろん、それらの場合におきまして、たとえば英国の例について見ますと、ポンドに対する英国の国際収支が悪くなって、ロンドン市場から短資が流れ出るというような場合に、各国の中央銀行でバーゼル協定といったような秘密の紳士協定を結びまして、それに対する応援の措置をとったという事例もございますし、したがって、各国中央銀行相互間におけるそういった助け合いというか、紳士的な相互の協力態勢も同時にあるわけではございますけれども、しかし、何と申しましても、国際通貨基金の中心機構でありますIMFというものがこの問題について実情に即したある適当な措置をとるということは、どうしても必要な事態ではないかというふうに考えられますし、昨年のIMFの総会におきましてこの問題が討議の対象になったわけでございまして、わが国といたしましても、総会において原則的にこういった措置をとることについても賛意を表したことでもございます。そういうようなことをあわせ考えまして、IMF当局といたしましては、本年の一月の理事会で、これが正式に取り上げられまして、各国がそれに対して国内的に所要の措置をとりつつある状況であります。根本原因は、先ほど申し上げたような短期資本の移動ということに中心的な問題があるわけでございます。
  108. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は、こういうふうに考えるのですよ。問題の本質はアメリカだ、アメリカのドル危機だ、こういうふうに思うのですね。アメリカの国際収支を破綻さしている原因は二つあると思いますが、その一つは、アメリカの戦争政策、アメリカの海外軍事援助費、世界各国に張りめぐらされた膨大な軍事基地建設費と、維持費、軍隊派遣費などの軍事支出、これだと思うのです。二つめは、ドルの減価です。ドルはすでに戦前の価値に比較しまして五〇%以下になっておると思うのです。それにもかかわらず、一オンス三十五ドルの金価格を維持しておる。こんな不自然なこと、つまり価値法則に反するようなことはいつかはくずれなければならない。今そういう危機に直面しつつあるのだと私は思います。金価格引き上げ、たとえば一オンス七十ドル程度への引き上げ、逆にいうとドルの切り下げの懸念があるからこそ、金の輸出があるのじゃないでしょうか。これが根本原因じゃないのですか、どうですか。
  109. 福田久男

    政府委員(福田久男君) アメリカのドル防衛のためにこの措置をとるのじゃないかという、端的に申しますとそういう御質問かと思うのですが、先ほど申し上げたように、短期資本の移動は、大体先進諸国において相互の間に動いた過去の経験から見まして、アメリカから出る場合もあるし、またアメリカに入る場合もありますし、必ずしもアメリカのみを対象として考えておるというのでなくて、今度の取りきめに参加しております主要先進国十カ国がそういった事態に立ち至りました場合に、この資金を活用するということで考えられたわけでございます。単にアメリカのみを対象としておるという意味ではないと思います。
  110. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃ、アメリカのドルの状態、ドル危機の状態、それはどうなっておるのか。要するに、私の質問の第二点のほうは、一オンス三十五ドルですか、この金価格を今維持しておることが無理であって、実際はアメリカのドルは、貨幣価値が落ちているから、一オンス七十ドルぐらいにしなければいけないのじゃないか、こういうふうに私は思うのですが、それに対してはどうですか。
  111. 福田久男

    政府委員(福田久男君) 一オンス三十五ドルというのは、国際的にそれを一つの貨幣価値の基準としてとられておるわけで、単にドルだけの問題でもなく、他のポンドその他の通貨も一つのそれによる通貨の体系ができておるわけですが、お話の点の重点は、アメリカの国際収支がどうかという点のほうへあるのではないかと思いますが、御承知のように、一九六〇年のアメリカの国際収支の状況を見てみますと、経常勘定におきまして、主としてその内容は商品輸出、商品輸入が大きな要因になっておりますが、六十八億ドルの黒字になっておりますが、そのほか先ほど御指摘のありました政府支出なりあるいは民間の外国に対する長期の資本の流出などもございまして、三十八億ドルの赤字ということで、その結果、金の流出なりあるいは短期資本の移動なりというものがあったわけでございますが、六一年になりますとかなり好転しておるようでありまして、経常勘定の黒字が七十三億ドルでございまして、政府支出あるいは民間の長期資本の流出等がありまして、それを差し引きますと二十四億ドルくらいの赤字のようでございます。その中でも七十三億ドルの経常勘定の黒字というものが、やはり主として政府支出と民間の長期資本の流出によりましてそれを打ち消されて、さらに赤字が出ておるというのが実態でございます。しかし、六〇年に比べまして、六一年はかなり、先ほど申し上げた数字でおわかりのように、好転をいたしておりますし、六二年はどうなりますかよくわかりませんか、政府の公的な見通しでは、六一年よりは悪くはならないだろうというふうにいわれておるようでございます。したがって、六三年、昭和三十八年あたりには、完全に均衡する方向へ持っていきたいという意図を持っておるようでございます。ドルの一オンス三十五ドルという金価格は、おそらく維持されるのではないかというふうに思っております。
  112. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 あなたは非常に楽観論ですが、状態は少しも私はよくなっていないと思うのですよ。再び悪化するということは、もう日に見えている事実だと考えますよ。その証拠に、一月二十日、東商ホールで行なわれたトリフィン教授の講演内容を信用すれば、国際通貨基金当局でさえ、今度の国際通貨基金強化策は単なる一時しのぎにすぎないと言っているくらいです。私もそう思います。ただ観点が違うだけなんですね。私がさっき申しましたように、アメリカの戦争政策が続く限り、またドル切り下げを行なわない限り、アメリカの国際収支の悪化は解消しない、いわゆるドル地機は続く、こういうふうに考えます。アメリカはこの根本原因を取り除こうとしないで、ドル危機を西欧諸国及び日本の犠牲によって回避しようとしている。今度の国際通貨基金の強化策はそのための手段だと私は思いますが、政府はどういうふうにお考えになりますか。
  113. 福田久男

    政府委員(福田久男君) 国際通貨基金からの借り入れば、年々ある特定の国に対して累増さしていっているというわけのものでもございませんし、やはり国際収支の基本は、それらの国において均衡を回復する措置がとられ、また回復して参らなければ、借りた金は返さなければなりませんわけですから、各国とも借りました場合に均衡を回復するための努力を重ねておることは御承知のとおりでございます。したがって、この措置によって特にアメリカの国際収支の赤字のみを対象として云々するということは適当ではないと思うわけでございます。
  114. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 次に、アメリカは前々から、他国には通貨交換性の回復、自由化政策を強く要求しておきながら、いざ分の歩になると拒否し、しり込みしておるのです。私は、アメリカにおける通貨交換性とはドルに対して金を無条件で売ることであるとこういうふうに考えます。西欧各国及び日本を圧迫して、金の買い入れ申し込みを拒否しておる。そのことによってかろうじて現行平価を維持している、これか現状だと思いますが、それだけではなく、その上に西欧各国及び日本に対してドル防衛の協力を強要しているのは、国際信義に反するだけでなく、全く勝手気ままな言語道断な態度だと思いますが、どういうふうにお考えになりますか。
  115. 福田久男

    政府委員(福田久男君) アメリカが金の売却について制限しておるということでございますが、妥当なる金の取引というものにつきましては制限はしておらないわけでございまして、個人の金の買い入れとか、そういったものについては御遠慮願うというような配慮はしておるかと思いますけれども、たとえば外国の金融機関なりが買い入れるということには応じておると思います。先ほども申しましたように、各国の中央銀行の相互の間におきまして、国際的な協調機運か非常に高まっておることでもございますし、たとえば先ほど申し上げたバーゼル協定といったような紳士協定もうまく運営されておるというようなことから考えまして、今後における国際間の、各国中央銀行間のそういった国際金融面における協調態勢というものはさらに高まっていくことは適当なことであり、また望ましいことではないかというふうに存じます。
  116. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでは、何ですか、ドル防衛は自由主義諸国の全体の義務だとおっしゃるのですか。
  117. 福田久男

    政府委員(福田久男君) ドル防衛という言葉意味ですが、要するに、ドルにいたしましても、ポンドにいたしましても、またマルクその他にいたしましても、国際間における取引の主要な地位を占めておるわけで、主要工業国十カ国は、日本はまだ交換性を回復しておりませんけれども、行く行くは交換性回復という事態も参りましょうし、それらの主要工業国の十カ国の通貨というものは、世界の国際金融取引において非常に高いウエートを占めることになるだろうと思いますが、そういったそれぞれの主要工業国の通貨につきまして、その価値維持なり何なりか短期資本の移動によって脅かされるということのないように配慮しなければなりませんが、ある程度やむを得ないそういった移動もございますので、それらの場合に処して、このIMFが資金的に応援をする、またその応援するにあたってはそれらの十カ国が相互に協調の精神にのっとって基金に対して資金の貸付を行ない、基金国有の資金を合わせまして所要の貸付を行なうことを認めるという趣旨でございますから、そういう意味において、ドルの価値維持はもちろんのこと、その他の主、要通貨についての価値の維持をはかっていくことに協調して努力したいという趣旨でございます。
  118. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 昨年九月十八日からウイーンで開かれた国際通貨基金の総会で、国際通貨基金強化策に関する協議が行なわれましたね。そのときにフランス、オランダ、西ドイツの各代表から猛烈な批判が出されたことは御存じでございましょうか。
  119. 福田久男

    政府委員(福田久男君) 昨年の総会、あるいはその後におきまして、その前からいろいろと検討はなされておったようでありますが、特にフランスを中心としていろいろと議論があった模様でございますが、そのおもな趣旨というものは、この運営の問題、つまりIMFの機構と、この特別の借り入れ取りきめの措置に基づく運営をどうするかということに議論の中心があったように承知いたしております。
  120. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それに関連して。もう少し具体的に、あなたの答弁が、そんな抽象的でなくもう少し具体的に答弁してもらいたいですよ。たとえば、フランスがこれに対して難色を示したのはどういう根拠で……。ただ運営と言ったって、われわれ聞くところによると、スタンドバイのローンに対する条件について非常にきつい条件をフランスがつけてきた、こういうような意見が出てきた、こういうことは十分調査されていると思いますから、ただおざなりでなくですよ、今後やはりこの問題を考える場合に、今度この出資をふやしたからといって問題が解決する問題じゃないのですよ。まだ将来にわたって大きな問題になるわけですから、いろいろな問題、方法で、西独、フランス、オランダ等からいろいろな難色を示した、その難色の理由ですね、もう少し具体的にお伺いしたい。
  121. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 僕がもう一ぺん質問するから、その結果、今木村さんがおっしゃったような趣旨を含んで答弁してもらいたいと思う。それでいいでしょう。  そのときの意見趣旨は三つあったと思うのですね、あなたは述べなかったけれども。第一点は、西欧諸国は自国の犠牲によってドルやポンドのようなアングロサクソン通貨の危機を救済するのはごめんだ、こういうことです。第二点は、一番必要なことはアメリカ自身が健全通貨を維持しインフレを阻止することだ、国際通貨基金からの援助なんて二次的あるいは補助的役割しか演じないんだという主張です。第三点は、貸付を決定するのは国際通貨基金ではなく、貸付国自体が行なうべきであるということ。以上その三点がその批判の点だったと思うのです。私は、この三のうち第二点が本質を突いていると思うのです。大体西欧諸国は国際通貨基金をあまり重要視していない。むしろドル支配の道具と見て反感を持っているのですね。国際通貨基金に縛られるより、その外部でマルクなりフランの支配力を強化しようとしているものと思います。こんな調子できまった国際通貨基金強化策がうまくいくと考えるのは、よほどおめでたい人だと言わざるを得ないと思います。日本政府は残念ながら国際通貨基金強化策についてあまり深い疑惑はお持ちでないように見受けられます。イギリスにおいてさえ、たとえば昨年のフィナンシャル・タイムス一月二十一日分でサー・フレデリック・リースロスという人が、国際通貨基金強化策を批判して、一種のウインドー・ドレッシングにすぎない詐欺のようなものだと、こういうふうに酷評しております。政府はこのような事実をどう考えられるのか。その点について、先ほど木村さんからの意見もありましたように、具体的に御答弁願いたい。
  122. 福田久男

    政府委員(福田久男君) この取りきめなるものが、ドル、ポンド、なかんずくドルの健全通貨としての価値維持に重点を置いておるのじゃないかということが議論になったということでございますが、実際は、先ほど申し上げたように、これに参加いたします主要工業国十カ国を対象にするということでございまして、単にドルとかあるいはポンドのみを対象とするものではないわけでございますが、ただ御指摘の第三点ですが、貸付にあたって貸付国だけできめて運営すべきではないか、この点が実は問題の重点だったと私どもは承知いたしております。と申しますのは、従来IMFの出資しておりますものはだいぶ前きまりました割当によってやっておるわけで、その後特にフランスとか西独、資料をお手元に配っておると思いますが、イタリア等は非常に経済力が充実されて参りまして、今度IMFに対する貸付の額も、出資額に比べまして非常に多くなっておるわけでございます。したがって、それらのその後非常に強くなって参りました——強くと申しますか、資力が非常について参りました諸国が発言権を高めたいというところに一つ議論の、一つのと申しますか、議論の焦点があったように思われます。今回の措置を総会できめるしなでの過程におきましてその点が中心的な論題となっておるわけでございますが、しかしながら、IMFのほかに一つの機構ができることも、国際通貨基金制度を中心としてやっていこうという考え方と矛盾いたしますし、またそれらの要請も考慮に入れる必要があろうということで、双方をうまく調和したのがこのでき上がった案でございます。  具体的に申しますと、まずあらかじめ借りたいという国が出て参りました場合に、IMFの専務理事に対して申し出をするわけでございます。その申し出が専務理事にありますと、専務理事はこの十カ国に対しまして、こういう申し出があったということで意見を徴することになるわけであります。そこで、十カ国はそれぞれの立場でそれを検討いたしまして、自分のほうがその借り入れの申し入れに賛成するかしないかということを相談することになるわけです。その相談の結果、参加国の三分の二及び参加国の投票件数の五分の三の多数決できめるということで、まず総額がきまるわけです。その際、余談でございますが、国際収支上の困難さなどから、とても貸付に応ずるわけにいかぬという場合には、この投票の際に棄権をいたしまして、貸付を断わるという道も開かれておるわけでございますが、いずれにいたしましても、そういった参加国の三分の三、投票件数の五分の三という多数決できめる。そこでその総額がきまりますと、各国それぞれの分担額を参加国と専務理事との間で協議いたしまして、そこで話がまとまりますれば、具体的に貸付の要請を専務理事から行なうというような仕組みができたわけでございます。この辺のところが先ほど申しましたフランス側の希望とIMFという機構を中心にしてやっていこうということとの妥協の結果であります。
  123. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 次に、国際通貨基金強化策がはたしてどれくらいの効果があるのか、どれくらいの効果しかないのかについて、少し質問したいと思うのです。  国際通貨基金の借り入れ取りきめ額は公称六十億ドル、このうちアメリカの二十億ドル、イギリスの十億ドル分は、ドルとポンドが危機になったときには使いものにならなくなると思うのです。だから、実際に利用できる額はマルク、フラン、リラ等の二十億ドル見当にすぎないと思います。これじゃ実際的に資金的基礎を充実いたしましたとは言えないのじゃないかと考えます。また、貸付にあたりましては、そのつど参加国の協議が必要なことであること、その際に三分の二以上の多数決及び投票件数の五分の三以上の多数決を必要とすること、今あなたがおっしゃったように。また、貸付金は金保証を必要といたしますこと等から見ると、どうも通貨危機の際に、迅速に、かつ多額の援助が得られそうだとはどうしても予想できないのじゃないかと思うのであります。当初アメリカは、この国際通貨基金強化策に相当期待していたらしいのですが、ところが、総会で西欧諸国が冷淡な態度をとったために強いショックを受けて、ショックのあとには幻滅の悲哀を感じているらしいのです。だから、アメリカ自身が国際通貨基金強化策に見切りをつけ、最近では西欧諸国に対して金プール案のような、これも虫のいい話でありますが、とにかく新しい提案を行なっている状態ですが、どうですか、政府はこれらの事実をどう考えられるか、お尋ねいたします。
  124. 福田久男

    政府委員(福田久男君) まず今回の措置に伴いまして、お示しのように、総額六十億貸付予定額がきまるわけでありますが、この六十億のほかにIMF自身といたしましては、現在IMFの保有資金量は百五十億ドル程度でございますが、その中で金が約三十億ドル、それからこの主要先進国十カ国から出資として出しております資金が約六十五億ドルでございます。合わせまして百億ドル近くなるわけであります。そのほかに六十億ドルという、必要があるときに借り得るという予定の額が加わるわけでありまして、総額にいたしますと百数十億ドルということになるわけであります。そこで、アメリカとイギリスに一度にそういう時期が来たり、あるいは多数国に一度に来たりするときには足りなくなるのじゃないかという御心配でもありますが、短期資金が移動いたします場合には、Aの国からBの国へと、どっか減るところがあるとふえるところがあるわけであります。ふえた国は相当多くの協力ができるわけでございます。これによって将来完全に完璧であるとは言い切れない場合もあるいは予想されるかもしれませんが、当面のところその程度資金量をIMFが動かすことができるといたしますれば、一昨年、つまり一九六〇年において短期資本の移動したというのは二十五億ドルとかあるいは三千億ドルとかいわれておりますが、それを全部IMFに依存するというわけでもありませんでしょうし、まあまあ何とか十分に配慮できるのじゃなかろうかというように考えております。
  125. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 次に、国際通貨基金に対する日本の貸付方法について質問したいと思います。どうも日本政府のやり方は、人がいいのか、アメリカに逆らうことが、反対することができないのか、私はアメリカに従属しているからだと思うのでありますが、西欧諸国に比較すると、全然レジスタンスの気がまえがないように思うのですね。国際通貨基金協定第七条第二項の(i)によると、いかなる加盟国も、基金に対し、かかる貸付をなし、または基金が他の方途により自国通貨を借り入れることを承認する義務を有しないものとすると規定してある。だから、日本としては、工合が悪いと思えば、この規定によって貸付を拒否することができるわけだと思うのですが、どうですか。
  126. 福田久男

    政府委員(福田久男君) 先ほどもちょっと説明の中に敷衍して申し上げましたが、総和——つまりある特定の国から基金に対して借り入れの申し込みがあり、つまりこの資金を使用して借りるという場合に、総額をきめるにあたって、専務理事にその国から申し出がある。専務理事が十カ国に対して相談をするというときに、表決に加わらないで棄権をするという道があることを先ほど御説明申し上げたわけですが、つまり参加国の三分の二、投票件数の五分の三の多数決できめるという場合に、棄権をする道があるわけでございまして、棄権することによりまして、国際収支上の理由等によりまして貸付が困難であるということで貸付を断わる。なお、その後におきましても、これが運用にあたりまして、当該貸付をいたしました国の国際収支の状況等を十分考慮に入れてもらうことになっておりまして、貸した後におきまして、必要があれば、期限前の償還も受けられるという道も開かれております。
  127. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 その都合が、工合が悪いときは、いわゆる棄権の形で拒否できるでしょう。今おっしゃったように、拒否できるのですね。それなら、現在地田内閣の一度成長政策の破綻によって国際収支が悪化しておるわけでしょう。その上に、今度の国際通貨基金に対する援助がアメリカの戦争政策によるインフレーションのしりぬぐいにあるのに、なぜこの規定によってはっきりと拒否しなかったかどうか。それから、もう一つは、国際通貨基金協定第七条第二項の(ii)によると、貸付ではなくて、金を対価としてこれを基金に売り渡す方法が開かれておる。政府はなぜこの方法をとらなかったのか。この二点をお答えいただきたいと思います。
  128. 福田久男

    政府委員(福田久男君) この貸付の制度なるものは、制度として長くこの制度が打ち立てられて、今後相当長く行なわれることを予想されておるわけでございまして、したがいまして、今日本は国際収支の状況がよくありませんので、当面のところこの貸付に具体的に応ずることは困難かと思いますけれども、日本も今年の秋には国際収支の均衡を回復し、だんだんとよくなっていくように持っていきたいというように考えておりますので、そういう制度にこの際としては参加しておくことが適当であり、また望ましいというふうに思うわけでございます。したがって、当面現段階でこの貸付に直ちに応ずるかどうかということについては、当面困難だろうというふうに思いますが、まだ将来にわたる制度でもございますので、貸し得る状態になった場合にはこの機構にのっとって貸付を行ないたい、こういうふうに思います。  それから、金による、金を対価とするというのは、IMFから金を買い入れる——俗に申しますと、金を買い入れて日本の自国通貨、つまり日本の円をIMFに提供するということになるわけでございまして、それは先ほど申しました約三十億ドルの金というものと、六十五億ドルのこれら先進工業国の通貨と、その分はIMF自身の現在持っております運用し得る資金の一部になるわけであります。それと円と履きかえますことは、IMFの使い得る資金量の増加にならないという意味で、それを要求することはこの制度自体の増加を来たさない結果となるというので、この制度の立場からいうと、ちょっとやりにくい問題じゃなかろうか。ただ、昨年イギリスに対しまして十五億ドルIMFが貸付行なったわけですが、その際にはIMFとしては五億ドルは金で各国からそれぞれの自国通貨を取得したわけでございます。そういうふうにIMF自身の使い得る資金量の一部であるということで金と引きかえるということは、この制度のプラス六十億ドルというものに結果的にならないということを御了承いただきたいと思います。
  129. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、私が言うような方法はとらなかった、日本の利益にも沿うと思って政府はこういう態度をとってきた、こうおっしゃるわけですね。
  130. 福田久男

    政府委員(福田久男君) ちょっと、済みません。ちょっと聞き漏らしましたので……。
  131. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 今の政府の答弁のような方法を、日本の利益に沿う、そういうような考えのもとに今の政府はそういう態度をとられたと、こういうことですね。
  132. 福田久男

    政府委員(福田久男君) 今回の措置そのものは、日本もこの十カ国の中の一員といたしまして、この制度の恩典に均霑するわけでございます。それからまた、そういった先進工業国の協調態勢というものが、先ほど来申し上げておりますように、非常に高まって参りつつある現状でもございます。日本としても国際経済社会における一員として、応分の協力を可能な場合においてはやるのが適当であろうというふうに思いましてこれに賛成いたしておるわけでございます。
  133. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そういう政府のとっておる態度が、私たちから見ると、対米従属だと、こういうふうに考えられるのですね。何か世界の大勢を自分の目で見、自分で判断するのでなく、アメリカに盲従的に追従し協力しておるのではないかと、こういうように考えられるのです。国際通貨基金に依存することは、これは日本にも利益であるという政府は立場に立っているようですが、しかし、右に述べましたように、基金の援助は二次的であり、第一に必要なのはその国が健全な通貨、財政政策を堅持してインフレを阻止すことであるというのが、この問題における一般的見解であるわけであります。すなわち、現在の池田内閣のような不健全な成長率一点張りの政策をとっていては、たとえこの取りきめに加盟していましても、国際収支破綻の際に簡単に加盟国から援助の同意を得られるとは限りません。対米従属よりも、まず自分の政策を訂正することが何よりの急所だと考えますが、政府の見解はどうですか。
  134. 福田久男

    政府委員(福田久男君) お話のように、それぞれの国が健全な政策をとつて、IMFに依存することがないようにやることの望ましいことは、これは申すまでもない当然のことでございまして、そういうふうに努力いたしましても、この設置の対象となります短期資金の移動といったようなものにつきましては、いろいろな原付によってそういった結果が生まれる場合もございますので、やはりそういう場合に対処するためには、IMFという一つの中心機関を枢軸といたしまして、関係先進諸国の間で協調し合う制度も同町にやはり必要であろうというふうに思われるわけであります。これはたとえ話で恐縮ですが、だれも病気しないで健康体でいたいことは当然でございますが、たまにはかぜを引いたり、病気したりというようなこともあり得るわけで、予防も必要であることは当然でありますが、そういう事態が止まれました場合にはそれに対する対処策ということも同時に必要ではないか、なまいきのようでございますが、さような立場から考えましてこの制度は適出であり、また必要な制度であるというふうに思います。  また、対米依存ということのお話もございますが、まあいろいろアメリカとの貿易関係等でも、三分の一はアメリカと取引しているという、量的にはもちろんアメリカとの取引は多いわけでございますが、他の諸国との取引もございますし、西欧関係におきましても今後日本としては取引をだんだん拡大していかなければならぬという立場にもございまするし、あれこれ考え合わせまして、そういう貿易面におきましても取引の拡大が必要でございますし、あるいは国際金融面におきましてもこういった協調無勢というものを通じまして、間接的にはそういうような国とのお互いの理解を深め、貿易拡大に寄与する一助になるのではなかろうかというふうに思われるわけでございます。
  135. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この金プール案は、アメリカが当然行なうべきドルに対する金売却を実行せず、反対に西欧諸国が保有している金を取り上げ、ドル危機に際してこの金を売却しようという、きわめて虫のいい案だと思うのですね。西欧諸国も簡単にこれに応ずるとは考えられませんが、政府は依然対米従属を続け、この金プール案に参加するつもりかどうか、態度を明らかにしてもらいたいと思います。
  136. 福田久男

    政府委員(福田久男君) 金プール案に参加するかどうかということでございますが、これは協調態勢が進みつつありますとはいえ、各国それぞれの事情もございますし、金プールというところまでいくにはまだまだいろいろ議論の多いところではないかというふうに思います。
  137. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 しかし、アメリカは金プール案をやろうとしているのじゃないですか。
  138. 福田久男

    政府委員(福田久男君) 公式にはそういう提案は承知いたしておりません。
  139. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 最後に、これは法案に関してですがね、本法の第十一条を改正して、「大蔵大臣が指定する取引」を、特に「貸付」とそれから「類する取引」、こういうふうに分けておりますね。これはどういう理由ですか。
  140. 福田久男

    政府委員(福田久男君) 「類する取引」とはどういうものかという御質問と思いますが、たとえて申しますと、先ほどもちょっと触れましたが、昨年イギリスに対しましてIMFが十五億ドルの貸付を行なったわけでございますが、そのときに五億ドルだけは、先生の先ほど御指摘になりました金を対価として日本が円を出したわけです。で、日本の例で申しますと、七千五百万ドルの三分の一である二千五百万ドルを金と引きかえにIMFに対して日本の円を出した、その円を含めまして七千五百万ドル、十五偽ドルの一部といたしましてイギリスにIMFが貸し付けた、そのような金の取引がありますが、そういうものは今御指摘のそれに類する取引ということで、その規定に基づいて行なうということで考えております。
  141. 上林忠次

    理事上林忠次君) 須藤委員質問はこれをもって終わります。   —————————————
  142. 上林忠次

    理事上林忠次君) 日本輸出入銀行法の一部を改正する法律律案議題といたします。
  143. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ブラジルに対するミナスですか、製鉄所に対する貸付と関連あるのですがね。今ブラジルに対しては焦げつき債権というのはないのですか。これは商業債権のことです。
  144. 福田久男

    政府委員(福田久男君) ブラジルに対しましては、現在オープン勘定といたしまして千三百万ドル程度ございますが、これは所定の計画基づきまして、ブラジルと協定いたしました計画に基づきまして、分割払いをいたすことになっておりまして、その方針に基づいて逐次実行いたしております。民間債権につきましては、昨年の春でしたか、西欧諸国におきまして、ブラジルの中期商業債権について、パリでその処理についての会合がございまして、その中のある部分につきまして、それらの参加国が繰り延べを認めるという方針がきめられまして、日本はそれにメンバーとして入ったわけでございませんが、オブザーバーとして参加いたしておったわけでございます。それに基づきまして、昨年の秋以降ブラジルと日本との間で交渉を持ちまして、同時に、日本といたしましてはウジミナスに対する増資その他の資金的問題も別途ございましたので、それらとあわせまして主としてウジミナスの建設を順調に行なうために日本としても応分の協力をするという立場から、ウジミナスの増資資金並びにその他の所要資金のある部分日本としては応援をすることにいたしたわけでございます。その結果、結果的にはブラジルに対する中期商業債権は契約どおりに返してくれるということになっております。したがって、現在のところ、オープン勘定の債権が、期間はちょっとあとで調べてお答えしますが、七、八年同くらいにわたっておると思いますが、分割払いをするということになっておるだけでございます。
  145. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今オープン勘定だけですか。その支払いの繰延べですね。これは一九七〇年末まで延長することになったといわれていますがね。それで、日本も、昨年六月パリで開かれた債権国会議ですか、日本はオブザーバーとして参加したと言われていますけれども、大体その線で承認を与えたのですか。それで、さっきのお話ですと、オープン勘定の残高だけについてのようなお話ですが、民間の短期、中期の商業債権もあるわけですね。それから、局間企業の対ブラジル融資というものもあるわけですね。それもあわせてやはり御答弁願いたいんですよ。
  146. 福田久男

    政府委員(福田久男君) オープン勘定は、先ほど申し上げたように、千三百万ドル程度でございますが、これは最終支払いは一九六八年の四月ということになっておりまして、それまでに毎年分割して返済するということになっております。それから、ウジミナスに対する所要資金について日本側で応援をすることにいたしまして、それとも関連いたしまして、他の民間債権につきましては契約どおりに返済してもらうということになったわけでございます。
  147. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そのオープン勘定の残高は千三百万ドルですか。千四百五十八万ドルではないんですかね。三十六年四月、第一回分ですね、百二十万ドルが返済されて、あと残りが千四百一五十八万ドルと、こうなっていますがね。
  148. 福田久男

    政府委員(福田久男君) オープン勘定は、正確に申しますと、千三百五十八万七千ドルでございます。
  149. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 パリでの六カ国の債権国会議というのは、このオープン勘定の残高、これについてだけですか。
  150. 福田久男

    政府委員(福田久男君) これは商業債権でございませんので、これは対象になっておりません。
  151. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それじゃ、その対象になったのは。
  152. 福田久男

    政府委員(福田久男君) パリ会議においては、中期商業債権というものが対象として検討されたわけで、オーブン勘定は商業債権でなく、国の債権でございますので、対象には入っておりませんです。
  153. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうすると、じゃ、オープン勘定の残高については、一九六八年までにですね、これですか……。
  154. 福田久男

    政府委員(福田久男君) 一九六八年四月までに分割払いで返済することになっております。
  155. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは民間の中期債権ですか。
  156. 福田久男

    政府委員(福田久男君) これはもともと、御承知のように、オープン・アカウントの貿易じりがたまりましたものを、跡始末といたしまして、一度に返せないので、分割して返すということになったのでございます。
  157. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちょっと、今の質問を整理しますね、何だかこんがらかって……。われわれ聞いているところでは、ブラジルに対する商業債権の焦げつきがある。これは三つあるというのですね。一つは、今のオープン勘定の残高、もう一つは民間の短期、中期商業債権、もう一つは民間企業の対ブラジル融資、こう三つあるというのですか、そうですが。
  158. 福田久男

    政府委員(福田久男君) 分類の仕方はいろいろあるかと思いますが、一つの分け方としては、政府の債権、つまりオープン・アカウント債権、中期の商業債権、長期の商業債権と、分ければそういう分け方もあろうかと思います。
  159. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは、オープン勘定のほうは、これは政府債権ですね。そうですね。で、その処理については、債権国会議の対象になったわけじゃないのですね。そうじゃないのですね。そこのところをはっきりしておいていただきたいの、だが、一九六八年までに分割払いするときまったのは、これはオープン勘定の残高についてですか。
  160. 福田久男

    政府委員(福田久男君) オープン・アカウントは、先ほど申し上げたように、パリ会議の対象になる中期商業債権ではございません。
  161. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 じゃ、ないのですね。ついでに、じゃ、そのオープン・アカウントのほうの残高は、どういうふうに処理されておりますか。
  162. 福田久男

    政府委員(福田久男君) 先ほど御説明いたしましたように、一九六八年の四月までに分割して払うということで処理いたしております。各年大体二百四十万ドル程度づつ払う。そして最後が一九六八年の四月ということになっておるわけであります。
  163. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはいつからでございますか。いつから始まるのですか。
  164. 福田久男

    政府委員(福田久男君) 昭和三十五年の十月の協定によりまして、そういう取りきめをいたしたわけでございます。
  165. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでいつから、第一回分の払いはいつになります。
  166. 福田久男

    政府委員(福田久男君) ちょっと今——あとで資料を正確に申しますが、多分年間、四月二十五日、十月二十五日、毎年払うことになっておりますので、三十五年の十月から払われておるものと思いますが、正確には後刻お答えいたします。
  167. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 じゃ、正確にはあとで御答弁をしてもらうとして、それはその後、取りきめ以後、順調に払われておるのですか。
  168. 福田久男

    政府委員(福田久男君) 順調に払われております。
  169. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは、もう一つ、次の民間の短期、中間商業債権、これはプラント輸出の延べ払いの分だと思うのですが、これについては三十六年六月現在で千九百万ドルあるといわれているのですが、そうですか。
  170. 福田久男

    政府委員(福田久男君) 六一年から六六年までに支払い期の参ります中期商業債権は二千百万ドルくらいでございます。
  171. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この処理はどういうふうになっているのですか。これは民間のほうですけれども、実に輸銀に肩がわりという説も伝えられているのですよ。
  172. 福田久男

    政府委員(福田久男君) この分は民間の中期の商業債権でございまして、この分につきましては、ブラジル側はこの返済期どおりに処理するということになっております。返済期どおりに返済してもらうことになっております。
  173. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それで、輸銀に対する肩がわりの問題は起こっていないのですか。
  174. 福田久男

    政府委員(福田久男君) 先般の話し合いによりまして、この分は予定どおりに返済してもらうのでございますが、他方、ミナスに対する所要資金というものがございまして、たとえば増資なり、あるいはその他のミナスの所要益金について、日本側としても資金供給に応ずるということによりまして、一括いたしましてブラジルとの間の話し合いを終えたわけでございます。
  175. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 さて、よくわからないのですが、一括してというのはどういう……。その民間ですね、商業債権の肩がわりを含むということなんですか。
  176. 福田久男

    政府委員(福田久男君) この債権の肩がわりはいたしませんで、ウジミナスに対しまして、三十億クルゼイロから百八十億クルゼイロに増資いたしますが、その増資資金の四割は日本側で引き受ける。現在三十億クルゼイロの四割は日本側で持っておるわけでありますが、百八十億クルゼイロに増資するにあたりましてもその四割を日本側で引き受ける。同時に、そのほかウジミナスの建設を順調にやっていきますために必要な所要資金の一部といたしまして、大体千七百五十万ドルくらいに相当するものを日本側で資金的に応援をするということにいたしておるわけでございます。で、一方に中期商業債権のほうは予定どおりに払ってもらうということでございます。
  177. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 応援するというのは、輸銀からですね。
  178. 福田久男

    政府委員(福田久男君) 輸出入銀行を中心といたしまして、増資並びにそういった資金の供給を日本側で考えるということでございます。
  179. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 結果としては肩がわりみたいになるんじゃないですか。
  180. 福田久男

    政府委員(福田久男君) ウジミナスにつきましては、日本といたしましてもそれが完遂に努力し、また協力する立場にございますし、いわば新規の所要資金と申しますか、ウジミナス製鉄所の所要資金としての供給でございます。で、一方の中期商業債権は別の立場で予定どおりに回収をはかるということになりますので、肩がわりでなく、一方において新規の融資というものが行なわれ、他方においては、既存の融資は回収されるということで、肩がわりということににならないと思います。
  181. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これはもう少しあとで聞きます。もう一つ、民間企業の対ブラジル融資のやつです。この延べ払いの問題があるといわれておりますが、これは一九六一年から六十五年度までに、四千万ドル、そういうものがあるといわれております。
  182. 福田久男

    政府委員(福田久男君) 今のお話は、あるいは長期の債権ではないかと思いますが、ちょっと手元に長期の数字を持っておりませんので、どの程度になりますか、ちょっと今わかりませんですが。
  183. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 実はもっと詳細にそういうことは御答弁願わなければならないと思うのですね。どうもブラジル関係について、ウジミナスの問題についても、どうも割り切れない点が多々あるわけですがね。さっきの、肩がわりにならぬと言いますけれども、結果としては肩がわりになるでしょう。そういう援助資金を与えることによって、結果として民間の商業債権の返済が可能になってくる、こっちから貸して、向こうから回収するということになるのですからね。ブラジルについて、どうもあそこの経済が非常にインフレ的なんですし、非常に巨額の資金をすでにつぎ込み、またつぎ込みつつあるのですがね。その点はどうなんてすかね。
  184. 福田久男

    政府委員(福田久男君) ブラジルは、お話のように相当インフレが進んでいるようでございますが、日本の持っております債権はドル建でございまして、ドルで回収し、ドルで返済してもらうということになりますので、インフレによる通貨価値の関係は、それによって救われるというふうに考えております。
  185. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ミナス製鉄所ですか、ミナスジェライス社に対する増資なんですが、これが増資が行なわれて、それに対してまた日本の融資もふえることになっているのですが、これはインフレで、向こうの建設資金が非常に足りなくなってきて、そうして増資せざるを得なくなってきているという点はないのですか。
  186. 福田久男

    政府委員(福田久男君) インフレによって予定のクルゼイロの金額ではできなくなったという事情はもちろんあると思いますが、しかし、予定どおりに仕事をやりますために、クルゼイロ額としては相当大きくなったわけですがドル建にいたしますと、価値に変化はないということが言えると思います。
  187. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、ブラジルの通貨、何というのですか、クルゼイロというのですか、クルゼイロの下落によって、円としての負担というのですか、それがふえるということはないのですか、そういう関係は。
  188. 福田久男

    政府委員(福田久男君) クルゼイロは、大体今のところ一クルゼイロが一円十何銭ぐらいかと思うのですが、大体日本との取引はドル建でいたしておりますので、ドルとクルゼイロとの比率が変わるに従いまして、クルゼイロ建は変わってくるということになりますが、ドル建では一応今申し上げました金額でいきたいということになるわけでございます。
  189. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そこのところがもう少しはっきりしないと、またインフレがどんどんひどくなると、そういうことによってまた資金が足りなくなる。そうすると、また増資をしなきゃならぬ。また、日本の融資がまたふえなきゃならぬ。そういう関係は起こらないですか。もうすでに増資をしなければならなくなった事情一つにやっぱりインフレがあると思うのですがね、向こうは。そして日本の負担分がふえているんです。その関係は今後もやっぱり出てくるんじゃないですかね。そこのところはよくわからないですが、ドル建だから関係がないと、そういうふうにはっきり言えるかどうかね。そのところはっきりしないと、これは輸銀の融資に重大な関係があるんですからね。もう少しはっきりしてもらいたい。
  190. 福田久男

    政府委員(福田久男君) 基本的に申しまして、ドル建で私どもは約束をし、考えておるわけでございますが、そのドルとクルゼイロとの比率がインフレになりますと変わって参るわけでございます。同じ百ドルでも、クルゼイロになると、前は三百クルゼイロだったのが三百二十クルゼイロになるとか、三百五十クルゼイロになるとかいうことには、経過的にはなってくるかと思いますが、一応今の所要資金といたしましては、今年の秋から終わりごろまでのことを一応考えておるわけでございまして、その間に製鉄所の工事も一応終了して、火入れして操業に入るということになろうかと思うわけでございます。その後のことにつきましては、またその後において相談をするということになると思います。
  191. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大体わかりかけたのですが、そのミナス製鉄所の建設資金は、日本の援助ばかりでなく、向こうの現地通貨による資金調達があるわけですね。それはインフレによって非常に足りなくなるわけですね。そうすると、全体の資金が足りなくなるわけですよ。そこで、やはり今度は日本の融資というものをふやしてもらいたいという要求が出てくるわけですね。そういう関係じゃないですかね。日本は、ドルで貸し付けるからその価値は変わらないわけですから、ドルと今のブラジル通貨の変化があっても。しかし、向こうは外資を入れるわけでしょう。外資を入れるわけですね。その場合は外資については、国内通貨との為替相場は変わっても、外資は借りるものと考えれば、その限りにおいてはインフレであっても影響がない。しかし、今度はそのほかのブラジル自身で調達する資金については非常に足りなくなる、そういう関係じゃないですか。
  192. 福田久男

    政府委員(福田久男君) 問題を二つに分けて考えますと、たとえば日本の供給する資金はドル建で参りますので、もしも約束したときから以後現実に入ったときに、インフレによってクルゼイロ対ドルの比率が変わりますれば、たとえば三百十クルゼイロというのが約束のときの為替相場であったが、現実に入ったときにそれが三百二十になったとすれば、それだけクルゼイロに換算いたしますと、クルゼイロとしては金額のふえたものが向こうに行く。ドルとしては同じだ。それから、国内の所要資金もインフレの分だけクルゼイロに換算しますと余計要るということになりますが、国内資金調達、残りの分はブラジル側で調達していただくというふうに考えております。
  193. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ですから、今後のインフレの見通しが問題ですけれども、また資金が足りないという問題起こってこないですか。
  194. 福田久男

    政府委員(福田久男君) 一応計画されております火入れが行なわれ、また、大体今年の秋ごろまで——今生一ぱいぐらいの所要資金は考慮されて計画されておるわけで、日本側から増資資金その他で供給されるもの以外の分はブラジル側で負担してもらう、ブラジル側で調達してもらうということで考えております。その後の問題につきましては、またその後においていろいろと事情を総合勘案し、あるいはウジミナスの工事の将来をどうするかということとも関連して問題があろうかと思いますが、それまでのインフレ等による分につきましては、ブラジル側で考えていただくということにいたしております。
  195. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 何か非常に不安ですね、その後においてはまたその後で考えるといいますと。それから、もう一つ日本の援助以外についてはブラジル側の資金で調達するといいますけれども、それがインフレが進行するにつれて、そういう資金調達が困難になると思うのですがね。ブラジルのインフレは今後どういうふうに見ておりますか、それについては。そういうことについても、やはり見通しをつけて融資しなければならぬと思うのです。
  196. 福田久男

    政府委員(福田久男君) ブラジルのインフレの状況につきましては、まあかなりのスピードで今まで進んで参っておると承知いたしておりますが、大統領国会において、こういうインフレの状況が長く続いては困るのだからいろいろとこれに対する国内措置考えなければならぬということで、IMFからの借款もあるようでございますが、国内的ないろいろな措置も検討するということで進んでおるようで、一挙にとまるとは思いませんが、漸次それらの措置がとられるに従いまして幾分好転するんじゃないかと。すぐとまるだろうというふうに楽観はできませんけれども、しかしながら、ウジミナスの仕事そのものはかなり進んでおりますので、それが所定の第一期の工事をなるべく早く終わって稼働に入りますように、日本側としてはやはり促進して参りたいというふうに思います。インフレについて的確な見通しというと、なかなかむずかしいわけでございますが、急にとまるとは思っておりませんが、漸次好転するんじゃなかろうかというふうに思っております。
  197. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 たよりない答弁ですがね。こういう巨額の融資をするのですからね、国民の税金なんですからね、そういう情勢もよく調査し判断してやらないと、非常に問題が起こるんじゃないかと思うのですよ。すでにこの民間の商業債権についても、政府がオープン・アカウントについても、延べ払いをしなければならぬ、オープン勘定についてやはり非常に長期に——一九六八年ですね、一九六八年までに延べ払いをしなければならぬようになってきておりますね。
  198. 福田久男

    政府委員(福田久男君) 先ほどブラジルのオープン勘定の第一回の支払いにつきまして、三十五年の十月だろうと申し上げましたけれども、三十六年の四月が第一回になっておりまして、以後、順調に予定どおり入っております。
  199. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでいいというわけではないのですよ。そういうような事態になってしまったわけなんです。ですから、順調に今後入るからいいといったものではない。そういう事態になってしまったということは、いいことじゃないのですがね。こういう点いろいろ問題があると思うのですね。輸銀のいろいろな投資なんかにつきましても、非常に問題があると思うのですよ。ウジミナスだって、今後また融資を要請されないとは限らないと思うんですね。昨年使節団が来ましたね。昨年使節団が来て、ブラジルの大蔵省の顧問のビトール・ダ・シルバという人ですかね、団長さんで、それからウジミナスの社長のアマーロという人ですかね、来て、それで増資について要請があったと伝えられておるんですけれどもね。それから、債務の支払いの延期の要請もあったといわれている。このときどういうような話し合いが行なわれたんですか。
  200. 福田久男

    政府委員(福田久男君) たしか昨年の十月の終わりごろだったと思いますが、今お話しのシルバさん、その他の交渉団が参りまして、種々交渉を重ねました結果、その交渉の目的の一つは、ウジミナスの所要資金について日本から応分の援助を得たいということと、もう一つは、先ほども話題になりました中期商業債権についての措置とでございますが、私どもといたしましては、ウジミナスは日本が最初から協調して、ウジミナス製鉄所の建設をやることに協力をして参っておることでもありますし、それの応援ということに重点を置きまして、先ほど申し上げたようなことに結論が至ったわけでございます。中期商業債権につきましては予定どおり払ってもらう、ウジミナスの建設資金については、増資の払い込みは四割日本側で受け持つ、その他の所要資金について、千七百五十万ドルだと思いますが、日本側で受け持つ、ということで妥結を見たわけでございます。
  201. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 日本側の出資はどうですか。日本側が四割ですか、向こうが四割ですか。
  202. 福田久男

    政府委員(福田久男君) 四割は日本側の出資を引き受ける割合でございます。
  203. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから、もう一つ伺いたいのですが、輸出金融なんですけれども、輸出金融について、外国の業者が利用している額はどのくらいになるのですか。輸出金融については造船が多い、船舶が多いといわれますね。その中で、外国の業者が利用しているのは。……
  204. 大月高

    政府委員大月高君) プラント輸出に対する輸銀の金融は輸出業者に対して直接やっております。輸出業者の中には、輸出の仲介をやります商社も含んでおるわけでございますから、商社あるいはメーカーに対する金融でございまして、それはいずれも日本側のものでございます。したがいまして、外国人に対して輸出金融をやっておる事例はございません。
  205. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私の調べてもらったところでは、百三十四億六千万円、これは三十六年三月末現在ですね、外国の船舶業者が利用している。
  206. 大月高

    政府委員大月高君) これは、こういう事実であろうと思います。輸銀の融資の関係から申しますれば、先ほど申し上げましたように、日本商社またはメーカーに貸しておりますが、たとえば船の場合を例にとって考えますと、日本側の造船所は、外国人たる向こうの船会社に対して延べ払い債権を持っておるわけでございまして、これは外貨建てになっておると思います。それが、かりに七年の延べ払い契約だといたしますと、七年間かかって日本の造船所は外国人たる船会社から逐次支払いを受けて、その支払いを受けたドル、外貨を円に直しまして輸銀に返してくる、こういうことでございますので、債権債務の関係日本の造船会社と先方の船会社との間にあるわけでございます。その点は輸銀は直接関係しないわけでございまして、日本の造船会社に対して融資関係が生じておる、こういうことであろうかと思います。
  207. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 しかし、実質的には外国の船舶業者が輸銀の資金を利用するということにはなるでしょう。
  208. 大月高

    政府委員大月高君) これは、たとえば国内関係におきましても、かりに自動車の月賦販売の場合を考えますと、実際に金融を受けておるのは自動車を製造しておるメーカーでございまして、そのメーカーから月賦販売会社を通じて消費者は自動車を買っておる。そういたしますと、債権債務関係はむしろ消費者のほうと販売会社のほうにありますけれども、これは特に金融の面からは関係ないわけでございます。しかし、その月賦販売をやりますについての金利をどうするとか、あるいは値段をどうするとかいう場合には、当然自動車会社、メーカーたる自動車会社が、金融を受けております金利とか、その値いろいろな条件に左右される、実質上左右されるということはあると思います。したがいまして、船舶の輸出の場合におきましても、輸銀の金利が安いという実質上の利益は外国の船会社に与えられると思いますが、それはむしろ船の値段に直接影響いたしまして、それが海外との競争力に関係する、そういう面において輸銀の意義があるのだと思っております。
  209. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは日本の製品の輸出拡大に役立つことはわかりますけれどもね。しかし、それは国内の資金源がそれだけ狭くなるということは言える。外国の船舶業者が、そういう形で、間接ですけれども利用するということになるわけですね。
  210. 大月高

    政府委員大月高君) その問題は、多分国内造船と船舶輸出の場合との関係かと思いますが、たとえば、輸銀が今のように低利の金を日本の造船業者に貸しまして、その結果、輸出船の船価が安くなる。その安くなった船を外国の船主が買いまして、それで仕事をするということになります。一方、たとえば国内の造船におきましては、国内の金利で、たとえば開発銀行からの造船金融でございますが、それによって日本の船を造っておる。そういたしますと、輸銀が出します金利と開発銀行が出します金利の差額だけ日本の船会社のほうが損をする。そうすると、国際競争上不利になるじゃないか、つまり輸出船舶と国内の造船による船舶との競争関係、こういう問題は率直にいってあるわけでございます。これの利害得失につきましては、国内において大量に融資のある船を造って、それによって競争し外貨を取得するという効率と、船を造りまして、商品として船を造ることによってまず外貨の回収して利益を得るということ、どちらが利益であるかということでございまして、なかなかデリケートな問題でございます。  たとえば、先般も問題になりましたフィリピンにおきまして高速の客船を造るという問題があったわけでございます。その場合に、かりに日本の輸出金利が高い、その結果、日本から輸出いたします船の値段が高くなるということになりますと、フィリピン側は船を造るという必要があるわけでございますから、日本に注文しないで、ドイツとかイギリスからその船を買うということになりますと、日本の外貨の手取りはそれだけ減るわけでございます。そういうような輸出船舶同士における国際競争という観点から輸銀は機能しておるわけでございまして、それがまた売りましたフィリピンの船が、日本の国内で造りました船と今度は競争するという立場になりますときには、敵に塩を売るという結果になるわけでございます。それではそれをやめて、イギリスにフィリピンの船を造らしたほうがいいかということになりますと、やはり日本の船を輸出するほうがいいということで、船価における国際競争と、でき上がりました船同士の国際競争は非常にむずかしい問題でございますけれども、具体的な事例に応じましてどちらが有利であるかということを判断する問題であろうかと、こう思っております。
  211. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 輸銀の投資金融についてのもう少し詳細な資料をいただきたいのですよ。今問題になっているのはウジミナス、それからアラスカ・パルプですか、そのほかにもまだあるのでしょう。
  212. 大月高

    政府委員大月高君) 投資案件といたしましては、大きな問題といたしましてウジミナス、それからアラスカ・パルプ、大きなものでございますが。そのほかに、アラビア石油に対する投資、その他全体におきまして対象事業数三十、それに対する昨年末の貸付残高は二百四十二億、こういうようになっております。比率から申しますと、先ほど申し上げましたアラスカ・パルプが最大でございまして、これが全体のうちのほぼ半分を占めております。四九%でございます。それから鉱業、これが五件でございまして、構成比率が二五%ぐらいでございますが、それから鉄綱業というのが二件でございまして、構成比率が六%でございますが、この中にウジミナスが入っているわけでございます。
  213. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは貸付対象別に詳細にひとつ、三十何件ですか、これの資料を出してもらいたいのですね。その実態を知りたいのですよ。
  214. 大月高

    政府委員大月高君) 従来輸銀の融資対象といたしまして、一億以上のものはお手元に差し上げてございますが、今のお話は投資案件についてということでございますから、別に表を作りまして提出いたします。
  215. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから、ミナス関係、あれは出資ですね。
  216. 大月高

    政府委員大月高君) 投資金融と別に輸出金融、両方ございます。投資金融は先方のブラジル・ウジミナスに対する日本ウジミナスからの出資、その金を融資する、そのほかに建設のために日本から機械を輸出いたしておりますので、それに対する金融と、二本建になってやっておるわけでございます。
  217. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから、アラスカ・パルプはどうなんですか。
  218. 大月高

    政府委員大月高君) やはり同じ形式になっております。
  219. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは、その資料をお願いします。
  220. 上林忠次

    理事上林忠次君) 速記をとめて。   〔速記中止
  221. 上林忠次

    理事上林忠次君) 速記をつけて。  日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案について、別に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  222. 上林忠次

    理事上林忠次君) 御異議ないものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正意見のある方は、討論中にお述べを願います。
  223. 佐野廣

    ○佐野廣君 私は、本案に賛成いたしますが、本案の成立がおくれました関係上、施行期日を変更する必要がありますので、お手元に配付した修正案のとおり、「昭和三十七年四月一日」を「公布の日」に改める修正を加えたいと存じます。何とぞ御賛成をお願いいたします。
  224. 上林忠次

    理事上林忠次君) ほかに御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  225. 上林忠次

    理事上林忠次君) 御異議ないものと認めます。  これより輸出入銀行法の一部を改正する法印案について採決に入ります。  まず討論中にありました佐野君提出の修正案を議題に供します。佐野君提出の修正案に御賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  226. 上林忠次

    理事上林忠次君) 多数でございます。よって、佐野君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  227. 上林忠次

    理事上林忠次君) 多数でございます。よって本案は多数をもって修正すべきものと議決されました。  なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  228. 上林忠次

    理事上林忠次君) 御異議ないものと認めまして、さよう決定いたしました。   —————————————
  229. 上林忠次

    理事上林忠次君) 次に、外国為替銀行法の一部を改正する法律案について、別に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  230. 上林忠次

    理事上林忠次君) 御異議ないものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにして御述べを願います。——別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて差しつかえございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  231. 上林忠次

    理事上林忠次君) 御異議ないものと認めます。  これより採決に入ります。外国為替銀行法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに御賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  232. 上林忠次

    理事上林忠次君) 多数でございます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  233. 上林忠次

    理事上林忠次君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。  速記をとめて。   〔速記中止
  234. 上林忠次

    理事上林忠次君) 速記をつけて。  それじゃ、本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十八分散会