運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1962-02-22 第40回国会 参議院 大蔵委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月二十二日(木曜日)    午後一時七分開会    ——————————   委員異動 二月二十日委員小酒井義男君及び荒木 正三郎辞任につき、その補欠として 野溝勝君及び中村順造君を議長におい て指名した。 二月二十一日委員中村順造辞任につ き、その補欠として荒木正三郎君を議 長において指名した。   ——————————  出席者は左の通り。    委員長     棚橋 小虎君    理 事            上林 忠次君            佐野  廣君            荒木正三郎君            永末 英一君            市川 房枝君    委 員            大谷 贇雄君            木暮武太夫君            高橋  衛君            西川甚五郎君            堀  末治君            木村禧八郎君            原島 宏治君            大竹平八郎君            須藤 五郎君   国務大臣    大 蔵 大 臣 水田三喜男君   政府委員    外務政務次官  川村善八郎君    外務省条約局長 中川  融君    大蔵政務次官  堀本 宜実君    大蔵省主計局長 石野 信一君    大蔵省主計局法    規課長     上林 英男君    大蔵省主税局長 村山 達雄君    大蔵省関税局長 稲益  繁君   事務局側    常任委員会専門    員       坂入長太郎君   説明員    大蔵大臣官房財    務調査官    澄田  智君   ——————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○租税及び金融等に関する調査  (財政及び金融一般に関する件) ○関税法の一部を改正する法律案(内  閣提出)   ——————————
  2. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ただいまから委員会を開きます。  まず、委員異動について報告いたします。  二月二十日付をもって荒木君が委員辞任され、その補欠として中村順造君が委員に選任されました。二月二十一日付をもって中村順造君が委員辞任され、その補欠として荒木君が委員に選任されました。    ——————————
  3. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 右の異動の結果、理事が一名欠けることになりましたので、この際、理事補欠互選を行ないたいと存じます。  互選方法は、先例に従い、成規の手続を省略し、委員長が指名することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないようですから、私から、理事荒木君を指名いたします。    ——————————
  5. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) これより、財政及び金融一般に関する件を議題とし、順次、大蔵大臣に対し質疑をいただくことにいたします。  なお、大臣は二時間出席の予定でございますので、そのお含みで御質疑を願います。
  6. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 財政ないし税制景気調整との問題についてお伺いをいたしたいのですが、最初に、大蔵大臣景気調整財政税制との関係をどういうふうに、まあ基本的にお考えになっておるか。それと、三十六年度財政あるいは三十七年度財政において、景気調整のためにどういう財政的あるいは税制的な措置を講じられ、または講じられようとしているか、まずこの点について伺いたいと思います。
  7. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) まあ一般論からいえば、景気調整の必要があるというときには、予算編成において考慮すべきことは、不当に予算が大きくならぬことと、それからの景気を刺激すると思われる支出というものを相当調整しなければならぬということになると思いますが、今度の予算編成で私どもがそういう点で考慮しました点は、景気調整の必要というものは現在出ておる、必要性は現在あるのでございますから、単に三十七年度、来年度予算考慮だけではこれは完全にいきませんが、三十六年と三十七年とこれを合わせまして考慮をする必要があるということから、まず三十六年度相当自然増が見込まれておりますが、もう必要最小限度補正にとどめて、そうして相当部分は剰余金として後年度に持ち越すという方針をとったわけでございますが、これ自身がもう相当大きい景気調整的な措置であろうと思います。そうして三十七年度におきましても、御承知のとおり、もし減税というようなものを考慮しなかったら、来年の予算額はもう一千億円前後多くなるということになりますが、減税支出増がどちらが景気に大きい刺激を与えるかということを考えましたら、これは減税のほうがまだ影響力が少ないということも通説でございますし、ここで一千億円の、必要経費との見合いから一千億円に調整する、減税歳入を縮めるという調整措置、同時に、今度は予算の中の内容についても、これがすぐに来年度支出になって消費されてしまわないという経費もこの予算の中には相当見込んでございます、本年度に比べたら。たとえば百何十億のいろんな出資というようなものも一般会計の上でやっております。出資基金設定とか、そういうようなものは大体来年度消費されない経費でございますので、こういうものもこまかく計算すれば一千億円以上この予算の中にはあると思いますが、そういういろんな考慮をとにかくこの予算編成では私ども行なったつもりでございます。
  8. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 三十七年度予算出資その他基金と、来年度、三十七年度に使われないもので約一千億円くらいあるというお話ですが、これは何か資料であとでその内容をこまかくして……。
  9. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 今御説明をしてもよろしゅうございます。
  10. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは、ひとつ。
  11. 石野信一

    政府委員石野信一君) 大臣からただいまお話のございましたのは、来年度で直ちに支出してしまはないという概念にそのまま適合するかどうかわかりませんが、たとえば国債償還関係、これが国債償還として約五百億ですがとったのでございます。これを償還も、利子も含めて、個人への支払いにならないものということでとりましても、したがって、やはり日本銀行に返って通貨の収縮要素になってしまう。それから金融機関に返る、こういうものをとりましても、やはり五百四十億、約五百億程度のものが国債費関係でございます。それから、今そういうお話大臣から出ましたのも、規模が大きいからというような御批判もある関係でございますが、たとえば予備費につきまして、本年の金額と比べてみますと、予備費も百億増加をいたしております。これらはそういう意味においては財政弾力性というような観点から、本年の予算に比べれば百億そういった意味での財政健全性というものが強まっているということが言えるのじゃないか。それから、産投繰り入れの二百三十億でございます。これにつきましても、まあ三十六年度当初予算にはございませんものでございますが、結局金融面において輸出金融とか中小企業金融とか、そういった金融面での必要な金額財政補完的機能を果たすということでございます。それから、基金として積み立てられておるもの、これにつきましては、御承知のようにたとえば拠出制国民年金の百十七億というようなものは、これは基金として積み立てられるわけでございまして、そのまま支出に充てられるものではございません。農業近代化資金繰り入れ等もそういうことでございます。  以上のものにつきまして、これをどういうふうに景気調整的な意味があるかという点では、いろいろ御議論もございましょうし、特に理論的にいろいろ木村委員の御意見を伺いたいと思うのでございますが、私ども考えますのには、いわゆるたな上げということがよくいわれるのでございますが、たな上げをいたしますと、結局その金が使われないと、国庫としては使われない。したがって、金融面での逼迫が起こるというようなことから、オペレーションをやるというようなことになりますと、全体としては財政金融を通じて調節をとるということになるわけでございまして、今言いましたような費目につきましても、結局金融政策とあわせて考えます場合には、金融全体として引き締めの態勢にあります場合に、先ほど申しましたような輸出金融とか中小企業金融というようなものが、結局財政投融資等を通じて出ますものを、直ちにこれが規模の問題として財政が大きいというような批判を受けるのもいかがかと、こういうふうに考えるわけでございます。  以上申しましたものを合わせますと、大体一千億程度の金になるのではないか、こういうことを大臣がおっしゃったわけでございます。
  12. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もちろん、財政金融と両方総合して考えなければ全く意味がないと思いますけれども、この予算編成の過程で、今主計局長お話がございましたが、財源たな上げという構想が出てきたと新聞等で伝えられております。その後繰り延べ予約の問題が出て、きておる。繰り延べ予約は、いろんなその事情をよく知りませんが、自民党等反対でさたやみになったように新聞等では見ておりますのですが、結局三十七年度予算繰り延べ予約はやらないと、こういう建前になっていると思うのですね。そうしますと、最初財源のたな上げとか繰り延べ予約という考え方で三十七年度予算を組んだところが、その構想がやめになった。そうなれば、景気調整措置というものは、財源たな上げとか繰り延べ予というものはこれには含まれていないわけですから、その他はどういうふうな景気調整措置考えるておるのか。今お話を聞きますと、予算に計上してもこの年度内に使われないだろうという前提で、約一千億が景気調整作用をするのじゃないか。——もちろん、これは金融事情との関係考えなければなりませんけれども、一応景気調整策は、最初考えておったけれども、この三十七年度予算には結局は考えられなくなった。そうすると、さっきの一千億は、一応これまた議論がありますけれども、これは全部使うという建前になっている。もちろん、繰り越し明許については、これは別でありますけれども景気調整策はこれには含まれていないと見ていいですか。
  13. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) この繰り延べ予約とかなんとかいうのは、これは別に与党の反対でやめたわけでもございませんで、そう最初から熟しておった構想ではありませんが、経済がこういう成長を遂げてきますというと、これはさらに公共投資との不均衡が拡大する、いろいろな格差拡大という傾向がはっきりして参りましたので、これに対して予算要求というものは、御承知のとおり、非常に強い傾向でございまして、編成期の前に、これは与野党を通じて同じことで、私ども陳情を受けた陳情額というものは、総計いたしますと、政府官庁概算要求よりも大きいくらいの要求で、この際そういった拡充なり、あるいは公共投資の拡充というような上とについて膨大な予算を出さなければ、この経済均衡というものは是正されない、こういう要求も非常に強かったし、現にそういうもう予算を強化しなければならぬ理由というものはっきりあったときでございますが、これをそのまま予算化すというわけには参りません。やはり健全財政、見込まれる普通歳入の範囲内にこの予算を圧縮するということが、これは私どもの任務でございますので、そういう意味から、かりにことし財源があってもわれわれとしては使えない。何かの構想を持たなければならないとかいうような話を非常に編成前に多くはいたしましたが、その構想を固めていったというわけでは最初からございません。今言ったように、結局たな上げ構想というようなものは、三十六年度財政旭用において考慮するということで相当目的は果たされますが、三十七年度は必要と思われる施策の強化は当然やらなければなりませんし、そういうものをいろいろ勘案して、減税の幅もそういう必要性との調整からきめるということで、一千億の減税をやる。今説明されましたような予算の使い方についても、そういう考慮をするというようなことで、大体財政健全性というものが一応その程度構想で貫けたのではないかと思っておるわけでございます。
  14. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は非常に大蔵大臣考え方と違うのですが、一応三十七年度内に、予算には計上してもですね、使われない分が約千億あるというお話ですが、これは、これだけの金額自体は守らなくとも、三十五年度にも三十六年度にもその性質のものがあるわけですね。ですから、これが全部景気調整に役立つとは思いませんが。また、これが一応出資とか基金の形で出すから使われないとも言えないし、また使われるかもしれぬのであってね。  それからさらに、その減税については、かなり景気調整考え方から大幅に減税をやったと、こう、言われますが、しかし、私は考えようであって、三十七年度自然増収が非常に多いでしょう。自然増収に対する減税割合というものを見ると、決してこれは大きい減税ではないと思うのです。それを大蔵大臣は大幅の減税だ、減税だと言っておりますけれども、三十六年度自然増収に比べましては、大体二〇%ぐらいのものです。九百八十七億、大体二〇%ぐらいのものです。昭和二十七年度からずっと見ますると、昭和二十八年は千億以上減税しておりますね、初年度において。減税が九百八十七億、大幅な今までにない減税だと言っておりますけれども昭和二十八年にはもっと減税しております。自然増収に対する減税割合を見ますと、平均してみますと、昭和二十七年から三十六年度までは大体二五%ですね。今度は二〇%です、減税割合が。決して多いとは言えないです。自然増収、あるいは税外収入、前年度繰り越し等を入れまして、非常に新規財源が多いのに、減税が少なかったから、予算大型にしたと思うんです。  これは新聞等でも大型、積極、総花、放漫予算といわれておりますが、大型予算であるということは間違いないでしょう。国民所得に対する比率が一六・九%、約一七%ですからね。ですから、やはり、かなりこれは景気刺激的な予算であるといわなければならないのではないですか。その点、大蔵大臣どうですか。
  15. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私は、たびたび言うのですが、どうも大型という気がしないのです。三十六年度の決算ができれば、大体そこで数字がはっきりしてくると思いますが、三十六年度の当初予算に比べては、相当年度予算額はふくれたような感じを持つでしょうが、三十六年度予算実績を見ましたら、千四、五百億円くらいしか予算額は実際にはふえていないということになるのですが、経済規模伸び国民所得の増大、いろいろのことから見まして、この三千六年度実績に対して千四、五百億円の支出増加予算というものは、私は、日本経済の実態から見まして、これは特に大型であるとは言えないのじゃないかという気がします。三十六年度の当初予算に比べれば、大きい感じがするでしょうが、実際において、三十六年度の当初予算とこの予算では、大きい数字の狂いを持っておりますが、この実績に比べてみましたら、日本経済伸びに、速度に対応する予算規模であるという面から考えても、私はそら大きいものではないという気がいたします。
  16. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは、大型であるか大型でないかの判定の基準はいろいろあると思いますが、まず国民所得に対する基準一つありますね。私は、補正後の、昭和三十二年以来の財政規模予算規模——一般会計ですが、これの国民所得に対する比率を計算しますと、昭和三十二年度は一四・四、三十三年が一五・七、三十四年が一五・一、三十五年が一四・九、三十六年が一五・五、三十七年は二八・九です。今までにない、約一七%の国民所得に対する比率ですよ。これは大型と言えないですか。また、国民所得伸びに対して、本年度予算の膨張というものが二四・三%じゃないですか。国民所得伸びは、大体経済成長率五・四%と見ますと、その程度低いと思うのですが、これは大型でないという理由がどうもわからないのです。  それから、景気を刺激しないようにいろいろの措置を講じたと言いますけれども、それだけでは、さっきお話があったことだけでは、私は、繰り越し明許その他は前年度においても行なっているのですから、毎年々々行なっているのですから、それだけでは私は説明にならぬと思う。結局もっと財政規模を小さくするためには減税を行なうべきであるのに、なぜ減税しなかったか、もっと大幅に。それから、三十六年度にこれからまだ自然増収が大体どのくらいありますか。二千億近く私はあると思うのでありますが、ですから、三十六年度年度内減税をなぜやらなかったか。さっき大蔵大臣は、減税財源を向けたほうが歳出に計上するよりは景気を刺激する程度は少ない。——ですから、減税を多くすれば景気調整に役立つという考えと承りましたが、ですから、景気調整考えるなら、なぜ減税をもっと大幅にしなかったか、この点を伺いたいのですが。三十六年度も、年度内減税をやるべきだったのではないでしょうか。
  17. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 三十六年度年度内減税がやれなかった理由は、一つは実際問題、技術的な問題、一つは、今の経済情勢のこういうときであって、まだほんとうの見通しのつかない時期というような本質的な問題から来ておりますが、技術的な問題からいいますと、三十六年度年度内減税をやるためには、御承知のように、十二月前の国会でこの法律をきめていただかなければ実際にはできない。で、十二月以前にきめるというときには、この減税案は断然三十七年度減税案との関連をもったものでなければならぬ。こういうことになりますというと、御承知のように、十二月の国会がああいうことで終わっておりますので、実際において減税案を出す時期もなかったことですし、またやろうとしてもことしはむずかしかったという問題で、私どももいろいろ検討しましたが、これはできないという結論でございました。それと同時に、経済の、九月から始めた総合施策を今実施したときでございますので、その経済が一——三月あたりにどういう形で動いてくるかというような見通しも十分できないときの減税政策というものについては、いろいろ異論がございまして、イギリスのように急な調整策をとるというためには増税をもって臨むのが本筋じゃないかというような議論も非常に出ておるときでございましたので、あの暮れにおいて年度内減税というものをきめるということについての異論相当ございましたので、そういうものも考えて、私どもは三十七年度にまとめて大幅の減税をやることがいい、しかも年度内は見合わせて、むしろその金を使わないでたな上げするということのほうが一番効果のある措置なんじゃないか、こういうことから、年度内減税を私どもはやらないことにしたわけです。
  18. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはまあ、やる意思があればできるのであって、技術的な問題は、私はこれは、政府がやる意思があれば解決し得る問題だと思うのですよ。減税幅を少なくしたということがこれからの、これからあとで質問いたしますが、今後の景気見通しと非常に重要な関係をもってくるものですが、それはあとでまた質問いたしまして、さらに税制の面で景気調整について考えられたかどうか、また今後与えていくかどうか。この前、私は大蔵委員会で質問したと思うのですが、税制調査会の答申、前の答申等ありますね。たとえば租税特別措置なんかの取り扱いですね、たとえば特別償却とかああいうものを一時ストップするとか、税制調査会としてもいろいろやっているというのですが、そういう税制の面で景気調整ということを今後考えていく御意思があるかどうか。これまでのいわゆる景気行き過ぎ設備投資行き過ぎから来ているのだから、その設備投資税制の面で調整するということも必要じゃないかと思うんですね。そういう点、大蔵大臣、どうお考えになりますか。
  19. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これはやはり考えるべきことでございまして、私どももその検討はいたしました。が、日本経済の内在的な要請と申しますか、差し迫った問題は、やはり自由化を前にして、ここで急速に必要な合理化はやらなければならぬ、こういう必要性に迫られているときでございますので、施設の近代化、技術の革新、設備合理化というようなものに迫られておるときでございまして、それをやらせるための政策的な措置がいわゆる租税特別措置ということになっておりますので、特別措置を要する事情というものは前よりも増してこそおれ、決して必要性は減っているときではございませんので、そういう意味から、景気を抑えるというために本質的なそういう措置を停止、廃止することは、やはり実際問題として問題がございますので、そこまではやらない。税制調査会でそういう問題も十分審議して、三十六年の税制でもこの措置の大きい整理をやったときでもございますので、その程度にとどめる。しかし、当面の問題に対処するために、期限の来たものの延長措置とか、あるいはさらにいろいろな必要に迫られてきて、機械類指定追加という要望も主管官庁から盛んに参っておりますが、この際はそういう設備投資を抑えるという方向に対応した策として一切見合わせるというような措置を、昨年六月からそういう措置をとることによって景気調整的なことに役立てようという程度にとどまった運営を今しているわけでございますが、基本的にはどうしても合理化を急がなければならぬという問題がある以上、そう簡単にこの特別措置をさわるということは私はやはり問題だろうと思っております。
  20. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは考えようですが、設備投資行き過ぎているんですから、それを調整するのにやはり税制面から、特別措置等でかなり設備投資を促進さしているんですけれども、それはやはり景気いかんによるのであって、設備投資行き過ぎ景気行き過ぎになり、国際収支の赤字をもたらしたんですから、私はやはりこの点は研究する必要があると思うんです。  時間がありませんから、次に移りますが、そうしますと、結局三十七年度において景気調整策としては、さっきの予算に計上しても資金的、基金的なもので使われないものが約千億ある、それ以外には考慮していない、こういうことでございますか。
  21. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) そういう景気調整的な考えは、ひとり財政的な立場からばかりではいけませんので、金融政策とあわせて考えるべきことでございまして、金融政策については御承知のような引き締め政策を今堅持しておるところでございますので、それに呼応した財政政策として、両面でやっていくんなら、ある程度目的を果たせるのじゃないかと、こう思っております。
  22. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、大型予算財政インフレ的な影響金融デフレ的な政策調整していこう、こういうお考えですか。
  23. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これはやはり、財政金融政策というものは関連して考えるべきものであって、そういう点もあろうかと思います。
  24. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうですか。そうすると、三十七年度は大体、国際収支改善対策として営繕費その他一割繰り延べ、そういうことはまあおやりにならぬわけですね。三十七年度は、お考えになっていないですね。
  25. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) その問題はこれからの問題でございまして、予算執行段階に入りましたら、私どもはやはりこの支出自主的調整、いろいろ弾力的な運営方法を、これは執行段階においては考えたいと思っております。
  26. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ああ、そうですか。今、財政面インフレ的影響金融面のまあデフレ的——デフレ的というまあ言葉は適当でないかもしれませんが、金融引き締めによって調整していくというお話ですが、そうなると、この影響が私は非常に問題になってくると思うのですね。金融引き締めは、非常に選別的ですからね。昭和三十二年、三十三年の例でも、合理化投資のほうは押えないというのですね。むしろ、これは積極的にやらせるというのでしょう。他面において、不急不要のほうの投資を抑えなければならぬ。それを金融のほうで抑えていくということになると、中小企業のほうにうんとしわが寄っていくと思うのですね。そういう景気調整的なやり方はいかがかと思うのです。財政面のほうの大型化によるインフレ的な影響を、金融をうんと締めて、そっちのほうのデフレ政策によって調整をつけていくということは、これはその影響が非常に問題だと思うのですが、この点、大蔵大臣、どうお考えですか。
  27. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) この、見込み得る歳入も使わないでいこうという財政政策ですから、財政が非常にインフレ的な姿をとっているものだというふうにも、これは私はすぐに言えないのじゃないかと思います。それから、もう一つは、今、設備投資の抑制を金融のみにたよっておるというお話でございましたが、私どもは実際はそうはやっていませんで、何らの手を尽くさずに金融引き締め政策だけでやろうとしましたら、これは中小企業にもう文字どおりしわが寄ってしまうということは、過去の経験でも十分承知しておりますので、今度はこの行政指導を相当行なっておりまして、審議会を通ずる吟味や、あるいは金融機関を通ずる吟味によって、この引き締め政策を行なっても、業界が強気で、一たん立った計画は腕ずくでもやってしまうのだというような形を抑えておかなければこれはいけない問題だと思いまして、この各社の計画を、一割程度計画を繰り延べる指導というようなものを先に回してやっておりますが、これがなかなか十分にいかないために、引き締め政策というものの力をかりて設備の抑制ということをやることにはしたわけでございますが、ただ、無条件に無準備でやったわけではございませんで、相当そういうものの手を回して、根回しをしておいてからこの引き締め政策をやったために、そのまま今中小企業金融のしわ寄せがいくという事態は、ある程度避けられていると思っております。
  28. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 まあ政府景気調整のために財政面支出調整したり、あるいはまた減税措置を講じたり、いろいろまあそういう政策をこれまでとり、まあとろうとしておることはわかっておりますが、その際問題になるのは財政法との関係なんですが、今まあ財政法を建前としますと、これから財政景気調整との関係等もあっていわゆる弾力的な運営をせざるを得なくなってきているわけですね。この点はわれわれも疑わないわけです。ところが、今の財政法はそれに対応した財政法になっていないと思うのですね。特にこの前予算委員会でも質問いたしましたが、三十六年度の約七百億の繰り越し明許ですか、あれについても私は非常に疑義があると思うのです。それで、あの繰り越し明許は、言うまでもなく財政法の十四条の三ですね、これに基づいてやっているわけですが、しかし、あれはもうあの規定にあるとおりであって、やむを得ない事由によって繰り越す場合に明許して繰り越すのであって、国際収支改善対策としての財政措置ですね、約一割繰り延べ、ああいうものはこれは含まれるのじゃないと思うのです。  それで、これに関連して予算委員会でこの点質問したときに、林法制局長官が私に対してこういう答弁をしているのですね。この点重要でございますから、大蔵大臣の見解をひとつ承っておきたいのです。林法制局長官はこういうことを言っておるのですね。「国会の御議決は、もちろんこれは究極にいえば、法律的にいえば、予算の執行金額の限度をきめたものでありまして、その範囲内においてもちろん国会の御意思に反するような使用方法はできませんけれども、それを全部使わなければならないという性質のものでもないわけで、それは予算実行上、そこに問題があれば、場合によっては不用に立てる、あるいは繰り越す、これは起こり得ることだ、かように考えます。」、こう言っているのですね。そうしますと、これは憲法八十三条との関係が出てくると思うのです。それで、旧憲法のものでは、予算が成立した後に免じた事情に応じて、内閣限りで、自由に、成立した予算の範囲において編成がえをして実行したわけです。これが実行予算でございます。実行予算等が生じたことは御承知のとおりです。この実行予算考え方は、その予算に対する国会の議決は、その支出の限度を国会が承認するものであって、その金額支出する義務を内閣に命じたものではないのです。こういう考え方に立っているのですね。これは旧憲法の考えですね。ところが、憲法八十三条は、御承知のように、「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」と、こうなっているのです。「国の財政を処理する権限」というのは、単にその支出の限度を国会が承認するというようなものじゃないと思うのですね。これはどうしても予算の実行に関しても国会の議決を必要とするということに解すべきじゃないかと思うのです。で、新憲法あるいは財政法の精神はそこにあると思うのですがね、この点、大蔵大臣、どういうふうにお考えですか。
  29. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 新憲法で「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」、こういうことになりましたので、その趣旨を尊重してこの財政法の二十九条二項ができているのだろうと思います。で、明治憲法でしたら、追加予算の規定ばかりであって、そのほかのことは政府の権限でできるというのでしたが、そうじゃなくて、新憲法のこの規定がありますから、ひとり追加予算だけじゃなくて、重大な修正を加えるという場合には、やはり国会の議決を経て運営すべきというふうに、この趣旨に基づいてできたものでございますが、その場合、この予算がやはり国の支出権を、政府支出権を認めるものである以上、やはり最高限度を認めたものという解釈をするのが私はやっぱり正しいと思います。で、きめたとおりに政府が使わなければならないという問題じゃなくて、その範囲内において政府が極力費用を節減したり、予算を効率的に使うという義務を持つわけでございまして、これがやむを得ない事情で執行できないときには、繰り越しに立つ場合があるし、不用に立つ場合があってしかるべきであって、これがいかぬという建前ではないのですから、やはり国の支出権の最高限度をきめたものと解釈して運営して差しつかえないと思います。これは明治憲法も新憲法においても、その点は同じじゃないかと思います。  問題は今度の措置ですが、重大な修正を加えたとかなんとかいうことでしたら、私ども運営について疑義を持たれることもやむを得ないと思うのですが、これは予算を、もう、われわれが不用に立てるとか削減するということじゃなくて、景気調整的な考えも入れて、使用を時期的に調整する——使わないというのじゃなくて、時期的に調整するという措置をとったのでございますから、これは運用において別に財政法違反とかいうような問題じゃ私はないと思います。
  30. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは大蔵大臣は誤解していると思うのですよ。何も使わなければならぬというのじゃないのですね。それは旧憲法も新憲法も同じ。大蔵大臣の言うとおりです。しかし、使わないようになった場合ですね、たとえば景気調整のためにこれから弾力的に連帯をやっていく、そうして一割節約とかなんかやるという場合ですね、実行に重大な変更があるわけでしょう。それならば、旧憲法ではそれは国会に修正議決を出さなくてもいいのですよ。実行予算でできたのです。ところが、新憲法では、全部使わなくてもいいのですけれど、節約とか繰り延べなんかやるような場合は、繰り越し明許の規定は一応別として——これは明許の規定があるから、それに従ってやる。それ以外においては修正予算を組まなければいけないのです。国会の承認を得なければならないというのが、旧憲法と新憲法の違いなんです。ところが、どうも政府考えは、法制局長官も旧憲法的考えですよ。実行予算で可能であるというような考えです。国会は何も、支出の最高限を承認したものであって、全部使わなければならぬというものではないと。それはそうですよ。しかし、全部使わない場合には修正予算を出さなければならないわけです。前には出さなくてもよかったのですね。それでなければ増額修正を認めることの意味がなくなるのじゃないかということなんですね。国会は増額修正をした。政府はこれに不服である。そうしたら、修正予算も出さないで、政府が勝手に繰り延べればいいのですからね。そうしたら、国会意思は反映しないでしょう。増額修正の意味はなくなってしまうのです。今度は、増額修正を認めた以上は、政府は、それを使わない場合には修正予算を出さなければいかぬのですね。これは今後、財政の弾力的逆用ということがこれからだんだん問題になってくると思うのですよ。そういう場合に、この点をはっきりしておかないと、修正予算を出さないで、国会の承認がないのに、いろいろな形で繰り延べる。そうすると、最初国会の予定した予算と姿が非常に違ってくるのですよ。景気調整のために一割繰り延べるというのでしょう。これは修正予算を出して、国会の承認を得ればいいのです。やってはいけないということじゃないのですよ。国会の承認が必要なんです。だから、財政法二十九条二項があるのですよ。それでなければ、二十九条の二項は意味がないじゃないですか。今後、そういう予算の実行について、いわゆる行政部の権限はだんだん拡大してくる。それで、立法に対して、国会予算の審議権なり議決権を侵害してくるように思われるのですよ、そこのところが。この点、どうお考えですか。
  31. 上林英男

    政府委員上林英男君) ただいまの点につきましては、大臣が申されたとおりでございますが、補足して御説明申し上げますと、二十九条の二項ができました趣旨は、大臣が申されました点、あるいは今御指摘のありましたように、増額修正権につきましてはいろいろ論議がございまするが、少なくとも内閣の予算提出権を阻害しない程度の増額修正権があるということが通説的でございます。そういう意味もからめまして、二十九条の二という制度ができましたことは御指摘のとおりでございまするが、一方予算を執行して参りまする責任はもちろん内閣にあるわけでございます。その内閣は、予算を執行いたして参りますときにあたりましては、もちろんできるだけ節約をし、これを効率的に使っていく、あるいは景気の動向あるいは経済の動向に応じまして予算を効率的に適正に使用していく責務を有しているわけでございます。したがいまして、その過程におきましては、この予算全額を全部使うということを予算によって指示されているのではございませんので、この予算を最も効率的に、かつ経済の動向に応じて使用していくということになるわけでございます。その場合におきまして、その効率的な使用はひとり明許繰り越しのみではなく、一般の経費につきましても同様であるわけでございますが、特に明許繰り越しにつきましてはあらかじめ国会の議決を経て一定の場合には翌年度に繰り越せるということになっているわけでございます。もちろん、その指定をいただきまするときには、その経費の性質に応じまして、その執行に相当の期間を要する、あるいはそれを執行いたしまする場合に、たとえば相手方の同意が要る、たとえば用地補償というようなことになりますと、相手の同意が要りますので、必ずしもその年度内に終わらないという見込みがある経費でございまするが、その執行の過程におきましてそれを適正に行なうということの権限自体は、財政法の規定によりまして大蔵大臣にゆだねられた権限があるわけでございまして、そういう権限に基づきまして予算の執行を適正にやって参りました暁におきまして、その年度内支出が終わらない場合には、国会の議決をいただきましたところによりまして翌年度に繰り越せるわけでございます。  したがいまして、今お話にありましたような修正予算——要するに減額予算ではございません、景気の動向に応じて使うことがあり、またあるいは場合によりましては翌年度に使うということになるわけでございます。かりにこれを減額修正いたしますと、もう使いたいという場合に使えなくなるわけでございますから、減額修正予算ではないとして、これは当初の国会の御議決をいただきました明許繰り越しの性質に従って、これを翌年度に使用していく、こういうことになるわけでございます。特に修正予算を組むという必要がない。また、現実にこれを修正予算を組むという道も、実は明許繰り越しとして一たん国会の御推定を受けておるわけでございますから、あらためて指定を受けるという必要もないわけでございます。これは修正予算の対象ではない、こういうふうに考えます。
  32. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私の言わんとするところは、予算審議に反した財政運営がだんだん著しくなるのじゃないか。まあ継続費とか繰り越し明許等は予算単一主義の原則の例外になるのですが、それは私は例外を認めないわけじゃないのです。それは実際の運営として必要であるから、例外を認めているのです。認めなければ、そんな窮屈な規定にしばられては財政の運用はできないということはわかっておりますけれども、だんだんそれは乱用される危険があるのじゃないか、そういう点をわれわれは指摘している。われわれは納税者の立場に立っておるのですし、政府のほうはなるべく弾力的な運用をしたいという考えですから、その点は立場が違うのですよ。違うのですから、その点はわれわれやっぱり厳格に、何といいますか、監視をしなければならないんでありまして、だんだん繰り越し明許とか継続費とか、そういう形で、何か昔の実行予算的な、そういうような考え予算を運用されたのでは、これは新憲法の精神に沿いませんし、まあそういう点で質問したわけです。もう時間があと十分しかございませんので、次の問題に移りたいと思います。  第二の問題は、今後の景気見通しなんですが、政府は、政府見通しでは、今後六、七月ごろまで鉱工業生産は下がっていくだろう、そうしてまあ七月ごろに底をついて、それから回復過程に転ずるんではないかというのが、大体の政府の三十七年度経済見通しのようであります。ところで、さっき大蔵大臣に御質問したように、三十七年度予算はかなり大型である。それで、景気調整措置は講じてあるといっても減税幅が非常にわずかであったために、歳出規模は非常に大型化して、景気刺激的な要因がかなりあると思うのです。その上に、日銀の金融のほうは、これは参議院の選挙対策もあって、そんなに引き締めできないと思うのです。ですから、鉱工業生産は、上期においてはそんなに落ちないのじゃないか。そうすると、国際収支政府が予定しているように年度内一億ドルの赤字程度にとどまらないで、七月、八月ごろになると、かなり国際収支が悪くなるという見通しになってくるんじゃないか。そうなると、金融をもっとうんと締めなければならぬような情勢になるかもしれませんし、さっき大蔵大臣がちょっとお述べになったのですが、予算の使用において、三十六年度に行なったように、また一割ぐらい繰り延べるというようなこともやらざるを得なくなってくるのではないか。そういう点、むしろ三十七年度の下期において、景気が回復するのではなくて、景気はかえって悪くなる、そういうように見られるのですが、この点は今後の税収見積もり等とも関連してかなり重要な問題と思われますので、大蔵大臣はどういうふうにお考えになっていますか。
  33. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 経済の推移の見通しにつきましては、年じゅう政府部内で資料を持ち寄って検討をやっておりますが、今のところ各省の一応一致した意見というものは、四、五月——五、六月ごろまで生産は鈍化の傾向をたどっていく。そうしてそれ以後生産が伸びるという形によって、やはり年率五・何%というような形になるのではなかろうか。その間在庫の見方その他についていろいろ問題がございますが今のところ政府の見込みはそういうことになっておりますが、ただ、御指摘のように、生産が私どもの想像したようにそう落ちないという傾向が今出ておりますので、いずれにしましても、政府の今までとっている引き締め政策を堅持して、ゆるめる方向の策はとれないと思いますが、今の程度の推移から見まして、大体の見通しの方向としては、私はまだ間違いじゃないのではないか。違うといっても訂正するほどの今資料の変化というようなものもございませんので、今のところは大体そういうような見込みで、またその見込みが実現できるような政策の堅持をやっていくよりほか仕方ないというふうに思っております。
  34. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  35. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 速記をつけて。
  36. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 昨年九月から金融引き締めて、政府の予想としてはその後鉱工業生産が落ちるだろう、そういう予想だったわけですね。ところが、鉱工業出産は十、十一、十二とずっと上がっている。今後もそう落ちそうにない。そういうことになると、これは非常に見通しが狂ってくると思うんです。まあ池田総理は常に、長い目で見ろ、長い目で、と言いますけれども、それは、短期的な要素も政策運営上非常に重要ですし、経済界に大きな影響を与えるんですから、その点私は非常に重要だと思う。最近の鉱工業生産の推移をちょっと聞かしていただきたい。
  37. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 九、十、十一と生産は確かに上がっておりまして、十二月にこれははっきり下がりました。これが横ばいないしもう少し鈍化するということを一応私どもは予想しておりましたが、一月の実績では、これはまたそういう方向に行っていないというのを今心配しているんですが、しかし、まだそれによって動向をきめてしまうのは早いんで、二、三、四といって、これが今よりも生産が上がっていくという方向には私どもはやはりならないだろうと思っておるんですが、一月の様子が少し予想をはずれているということだけでございます。これがずっとしまいまで続く動向だというふうにはどうしても考えられないのでございます。
  38. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今後かりに下がるとして、六、七月ごろ、七月ごろを底として——これはあと経済企画庁長官が多少修正したようですね。最初その作業は、大型予算が出てくる前の作業だったけれども予算大型化したんで、底をつく時期は多少ズレるだろう、九月ごろになるじゃないかというふうに訂正されたように聞いておりますが、しかし、そこから今度は上昇にどうして転ずるのか、上昇に転ずると見る契機をどこに見ているのか。
  39. 澄田智

    説明員(澄田智君) かわって申し上げます。現在までの企画庁の予想しておりましたところは、先ほど大臣が申し上げましたように、大体六月ごろまで一応下がる。その下がる割合でございますが、これは今御指摘にありましたように、初め見ておりましたものよりもやや下がり方が鈍化いたしまして、年率にして九%程度と、まあ一年間下がりますと九%下がると、そういうふうなカーブでございます。その年率九%程度の下げ勾配に下がりまして、そして六月ごろを底にいたしまして、今度は十二%程度の勾配で上がるということで、一応見通しに見ております本年度の平均に対しまして、三十七年度の平均が五・五%ふえるという形に一応なる。その曲線を一応そういうふうな工合に想定しているわけでございます。  今御質問の、上がるのは一体どういうことで上がるかという点につきましては、やはりその三十七年度経済成長というものは、輸出と、あとは国民消費、あるいは財政面支出というようなものが考えられますので、大体この時期あたりから輸出伸びてくる。輸出伸びと、それから今までの在庫等に対する調整も一応一段落をして、これは輸入在庫というよりも国内の在庫全部含めての話でございますが、そういう在庫手当というようなものもぽつぽつ始まる。それと、やはり堅実に伸びてくる消費というようなものを契機にして、一応五、六月——六月ぐらいから経済としては上昇、鉱工業生産指数としては指数は上がっていく、そういう形をたどるであろう、こういうふうな見通しでございます。
  40. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 根拠がはっきりしないのですが、時間がございませんから。季節的に下期は輸出がふえて景気が上昇する過程へ入るということが大きな前提になってくるわけですか。
  41. 澄田智

    説明員(澄田智君) そうです。
  42. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 季節的に。
  43. 澄田智

    説明員(澄田智君) 季節的という意味ではなくて、やはり本年の末から明年度初めにかけましての調整、その経済調整の過程が一応その辺で一段落するというようなことで、在庫面等でも今までずっと詰めて在庫補充をやらない、あるいは原材料等についても在庫手出をしないというような形で来たものが、あらためてまた一巡をして、そういう補充を必要とするというようなことにもなりますし、ことに輸出面の伸び等に、よって生産も上がってくる、こういうふうに想定するわけでございます。
  44. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 輸出は相手もあることですね、だから、輸出については、まあ国内的に引き締め政策による輸出ドライブの力と、それから海外市場ですね、海外市場でどの程度まあ日本品の購入がふえるかという二つの面から、輸出をまた考えなければならぬわけですけれども、しかし、非常にばく然として、よくわからないのですが、これは時間がございませんから、議論してもしようがありませんから、最後に一つだけ、もう時間がございませんから、お伺いします。  減税と物価の問題について、大蔵大臣にひとつ伺いたいのです。減税と物価ですね。今度減税する場合に、物価の関係を大蔵省はどうお考えになっておるか。減税の場合は、物価のことなんか全然無視して減税というものをやるのかどうか。たとえば基礎控除二万円引き上げげますね。本人と配偶者について一万円ずつ引き上げる、そういう場合に、物価というものをどういうふうに考えるか。それから、基礎控除というものの意味です。基礎控除というものは何を意味するものか。  それから、具体的に一つ例をあげますが、これは新聞でも出てたのですが、Aという人が、夫婦子供二人で月収四万五千円の人です。所得税は四百四十円減税になります。所得税と地方税総合しまして、四百四十円の減税、それから間接税の減税を大体三百円と見まして、七百四十円の減税なんですね。これに対して物価が三十七年度二・八%上がるということになっているのです。まるくして三%としますと、四万五千円の八割を支出に使うとして、三万六千円、三万六千円の三%、千八十円なんですよ。物価騰貴によって千八十円家計費がかさむのに、減税のほうは七百四十円になるのです。そうすると、物価騰貴によって。せっかく減税しても、減税効果が全然ない。そうすると、物価騰貴のことを考えれば、もっと基礎控除を引き上げるべきじゃないかという立論もできるんじゃないかと思うのですね。どらも物価騰貴に応じて基礎控除その他の控除を上げるほうが少ないために、むしろ増税になっちゃう物価が上がるから生活費が上がる、賃金を上げる、ところが基礎控除がそれに応じて上がらぬために、かえって増税になってしまう。収入が上がれば累進課税になりますからね。この関係ですね。物価と減税との関係、どういうふうにお考えか。今お話ししたように、Aという人を例にとればですよ、実際には物価騰貴によって減税効果はないのです。かえって家計は苦しくなってしまう、こういう実態なんですよ。これを税制面からこういう実態にならないように、どういうふうに置措されるのか、いかがお考えになりますか。
  45. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 物価が、三十七年度に消費者物価がどのくらいしがるか、なかなかはっきり見通せませんが、一応の見通しで二・八%上がるものとしますというと、そういうものを織り込んだ国民の実質所得増というようなものから計算しましても、家計における納税者の負担は八百何十億という負担減になるというふうな一応の試算を私どもはしておりますので、物価の動向を考えても、今度の減税が納税者の実質負担減になるということは、今のところははっきりしております。計算のいろいろ根拠がございますので、一応のわれわれの見方を説明しろということなら御説明いたしますが、家計の負担減というものは、決して今度の減税によってふえるという計算にはなっておりません。
  46. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 物価と両方考えてですよ。だから、減税によって、これは税法上の名目的減税かもしれませんが、一応減税によって負担は軽くなる、しかし物価騰貴による税負担のほうが大きいではないかどどうせ、もう三十七年度は二・八%上がるものと一応政府は前提しているんでしょう。その前提でやはり減税考えているのかと、そういうことなんです。
  47. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) ただいまの大臣が申し上げたことを、数字的に補足して御説明申し上げます。  まず第一に、物価が上がったときに、物価と減税というものを、直接それだけを結びつけて考えるかというお話になりますと、そうではございませんです。物価が上がりますと、それだけ生活費が苦しくなるということは、その限りにおいて確かでございます。しかし、一方において所得が伸びております。したがって、その伸びた後の所得、それを実質所得で換算しましてどれくらいの所得の伸びになっておるか、われわれはそこを見まして、それに対して現在の負担が重いかどうか、この判断でもってどの程度減税をすべきかという、三者かね合わせて見ておるわけでございます。  そういった意味で、ただいま大臣がお答えになったものを数字的に申し上げますと、これは地方税の計算がちょっとできかねますので、国税でやってございます。三十六年度、三十七年度見通しございますが、三十六年度の個人所得が約十兆七百二十二億くらいでございます。それで、直接税、間接税、これは国税だけ引きますと、家計負担分だけを引いてございますので、八千二百十四億円でございます。差し引きますと九兆二千五百八億という程度数字になります。これに対しまして、三十六年度の同じく個人所得、これは名目でございますが、十一兆五千八百五十億、これから税を一兆六百七十九億引きますと、十兆五千百七十一億、これを消費者物価の上昇工合、これは消費者物価でやっておりますが、五・七%年度を通じて上がりましたあの数字で三十五年度の実費ベースに換算いたしますと、九兆九千五百億。したがって差額で、減税前でございますが、六千九百九十二億実町所得の増加、そのほかに三十六年度減税がございますので、減税後では、減税によりましてさらにプラスになりまして七百十八億、それに可処分所得がふえるわけでございますので、減税後におきましては七千七百十億程度の実輿所得の上昇になる。同じような計算をもって今度は三十七年度の計算をいたしますと、先般企画庁から発表になりました消費者物価の上昇率、あれが当たるものとしての計算でございますが、改正前では同じく実費で九千二百五十億、これに家計に及ぼす減税のメリットが八百七十五億、合計いたしますと一兆百三十億くらいの実質所得の増加になる。今の物価をすぐ減税で相殺するという考え方には立っておりません。
  48. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう一つは、基礎控除というものをどういうふうに見ているか……。
  49. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) これは、基礎控除は、控除を考えるときに、基礎控除、それから配偶者控除等、控除はいろいろございます。でございますが、最後の答えを言いますと、それらの控除の総合で見ていただくのがわれわれ一番正しいと思うのでございますが、しいていえば、基礎控除というのは本人一人の場合に一番働くわけでございます。ですから、一人に対する基礎控除というふうにお考えになってもらってけっこうですけれども、それから効果からいいますと、小さな所得者に対して基礎控除がよく響く、それから独身者に何よりよく響くという問題でございます。それから、実際からいいますと、独身の納税君というものはほとんど給与所得者でございます。ほとんど大部分が給与所得者でございますので、一番響くところは給与所得者の独身者によく響くだろう、実態で申しますと。そういうことでございます。
  50. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 基礎控除というのはなぜ認めるか、基礎控除というものを認める根拠ですよ。
  51. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) これは二つございますが、一つは、何といいますか、いわば最低生活費、そこの部分は課税しない方がよろしいと認められる、そのときそのときの生活水準を見まして算定しております。
  52. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 最低生活費ですね、そうすると。
  53. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) もう一つは、効果からいいまして、これが累進税率に結果において非常な影響を及ぼすわけでございまして、小さい所得者ほど控除が強く響くという、結果的な累進税率を盛った場合の技術的な効果と、この二つをねらっているわけでございます。
  54. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうすると、最低生活的な考え方ですと、実態に合わないじゃないですか。全然合っていないのです。物価が上がったときに、年に一万円の控除で、今度物価騰貴でしょう。一万円の控除で一体済むのかどうか。三十六年度は六・七%上がっていますね、——五・七%ですか。所得階層別に見ると、もっと違いますよ。低所得者に物価が響いていきますからね。そうすると、大体少なくとも一割上がるのです。三十六年度、七年度通じてね。そういう場合に一万円くらいの控除で、最低生活を保障するという意味での基礎控除ね、一万円程度の基礎控除の引き上げは実態に合わないじゃないか。で、これまでずっと物価は従来騰貴してきましたね。もっとさかのぼれば、終戦画後からあのインフレ時代ずっとあったわけですけれども、その物価騰貴に基礎控除がおくれているのですね。この点を大蔵省はもう一ぺん根本的に、最低生活という考え方ならば、もう少し実態に合うように、十万円で、どういう内容、どういう生活をするのか、その内容、何かあるのですか。ありましたら、資料をひとつ出していただきたい、参考のために。
  55. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) これは税制調査会の答申に、課税最低限計算の基礎というのをずっと出しておりますが、大体三つか四つの角度から計算してございます。その一つは、いわゆるマーケット・バスケット方式というやつですね。一番栄養を安い値段で買った場合にはどれくらいになるかという、例の積み上げ計算でございます。それから、もう一つは、いろいろな実際の実例をとりまして、そのうち最低生活費と思われるものをいろいろ推計してみるというやり方、それからもう一つは、貯蓄が始まる階級はどこから始まるか、これは実証的に出るわけでございます。かなり最低生活以下の生活をやって貯蓄が出ているかどうか、そこのところに疑問がございますが、そういう貯蓄はどの階級から始まっているのかというのは累年とってございます。今度のものでも、答申ではその間の過程が出ておりまして、いずれもそれら三者のやり方から見た理論的の生活費より相当程度上回っておる、現在の最低限は。昭和十五年、これが例の中央地方を通ずる根本的な税制改正のあったときの問題でございますが、あのときの課税最低限、今の物価で換算してみましても、現在の方が最低限が上がっております。あのときよりはすでに届くなっています。ただ昭和十、十一年よりは低い、こういうような数字が出ると思います。ただ、昭和十、十一年になりますと、あのころは公債で約四割くらいまかなっておった時代でございます。したがって、税収に求めるものは比較的少なかったということ。それから所得の分布が全く違いまして、〇・二%の人質が全体の所得税の五〇%以上負担しておった。したがいまして、残ったものは非常に少なくて済んだ。今の可得の分布が全く違いますので、なかなかそういうわけにはいきかねる。そういうような詳細な資料が答申に出ております。もし何でございましたら、また後刻御説明いたしたいと思っております。
  56. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 まだいろいろ質問ございますけれども、時間がありませんから、これでやめます。
  57. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 時間もないことですから、私はなるべく夜間を縮めてやりたいと思うのです。私の質問は三つあるのですが、一々質問していると時間がかかりますから、三つ続けて、三点について述べますから、お答えを願いたいと思います。  大臣は、今度の国会における財政演説の中で、こういうふうに述べていらっしゃると思うのです。「金融引き締め経済的に弱い面にしわ寄せされないよう、中小企業金融対策としては、昨年末に、総額八百億円に上る財政資金による手当をいたしましたが、さらに、適宜、所要の財政資金を追加し、政府関係金融機関の資金量の増加をはかるほか、中小企業向け貸し出し促進のため、市中における金融債等の買い入れを行ないたいと、こういうふうに述べておられるわけです。政府はこれによって中小企業金融についても十分下を打ちつつあるという。ポーズを示したつもりでいらっしたようですが、先日私は大阪に参りまして大阪の中小企業家と話し合ったところによりますと、年末の金融難は実にひどかった、こう言っておりましたが、市中銀行から毛、また政府中小企業金融機関からも締め出された中小企業家は、やみ金融に依存せざるを得ず、日歩三十銭あるいは五十銭という、べらぼうな高金利がちまたに横行するという状態だった。こう申しております。これは明らかに「出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律」の第五条一項に明白に違反する行為でありますが、もっと重要なことは、こんなやみ金融を横行させている一番大きな原因は政府金融政策にあると考えます。そこで質問したいのですが、大臣はこのことを御存じかどうか、またこれに対してどういう措置をとられたか、お聞きいたしたいと思います。これが第一点です。  第二点、私は、中小企業の大部分を占める零細企業の調査だけでなく、中小企業の中間クラス以上のところ調査も行なったのでありますが、このクラスは一流大企業の下請業者になっているところが多く、名実ともに独立した企業は少ないというのが実情であります。また、このクラスは、金融的には市中銀行及び政府関係中小企業金融機関の融資に依存することが可能なクラスであります。ところで、このクラスに対する金融状況はどうなっているかと申しますと、ことしの一月から二月になっても、大企業の支払いは依然百二十日から百五十日の長期手形であって、この状態が慢性化しているのが現状であります。こういう状況下で、一体政府関係中小企業金融機関はどういう役割を果たしているのか。一言でいえば、一流企業の資金繰りを緩和してやるために、つまり、これら一流企業の振り出した長期手形を割り引いてやるための道具となっているのが実情であります。逆にいいますと、一流会社は、政府関係中小企業金融機関の資金ワクが拡大すればするほど、安心して長期手形を出すことができるし、それによって浮いた資金で設備投資計画を着実に進めることができるという仕組になっているわけであります。だから、私の会った中小企業家たちは、政府中小企業金融対策を本心からありがたいなんていう人は一人もおりませんでした。彼らは、政府関係中小企業金融機関について、中小企業金融政策という名目による大企業金融である、こういうふうに言っているのであります。そこで、大臣に質問いたします。中小企業家の要望は、政府関係中小企業金融機関は大企業の資金繰りの尻ぬぐいの道具になるのではなくて、もっと中小企業に自主独立の営業ができるようにしてもらいたい、こういうことなんです。大庭は中小企業の自主独立の営業を行なわせるように具体的にどのような指導をされたか、またされようとしておられるのか、お尋ねをいたします。これが第二点です。  第三点、最後に私は、昨年の暮、大蔵省が八幡製鉄、富士製鉄、東芝の三社に対して増資払い込み期限を行政指導によって四月に繰り延べさした結果、どういう事態が起こったかについて触れたいと思います。大蔵省の行政指導の結果、八幡製鉄、富士製鉄、東芝の三社は、大蔵省のお声がかりで増資払い込み資金が四月まで繰り延べられたという錦の御旗を振りかざしまして、公然と下請業者あるいは外注業者への支払いを四月まで延ばすという態度に出てきたわけです。現に、富士製鉄は下請業者に対しまして百八十日の長期手形を出しているといわれまして、大きな話題にさえなっているようです。もし事実だとするならば、これは下請代金支払遅延等防止法第四条二号の違反だと考えます。このように、大企業は政府金融引き締め方針を自分の都合のよいように逆用し、盛んに抜け道を切り開こうとしております。政府はそれを百も承知していながら、防止しようとしないばかりでなく、むしろ結果的に促進さしているという感じさえするわけです。その結果中小企業者がまともにしわ寄せをされているし、たまったものではないと考えます。こういう感じ中小企業家の本音であります。一体、政府は、大企業のこのような勝手気ままなやり方に対して、どういう置措を具体的にとろうとしておられるのか。  以上、三点の質問に対しまして、お答えを願いたいと存じます。
  58. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 中小企業というのは、もう本来金融力の少ないものでございますので、しかも中小企業の業態は多種多様でございますから、なかなか一律の取り扱いの金融対策というものはむずかしいと思いますが、要するに、こういう引き締めが行なわれていない前の状態、これを維持してやるということが一番施策としては必要なことと思われますので、引き締め政策をとるについては、中小企業への金融が今どうなっているかという実態を抑えて対策を立てる必要があります。で、中小企業金融というものは、市中銀行、そのほかの金融機関、たとえば相互銀行、信用金庫というようなものの貸し出しは、六兆円以上に現在上っておりますので、中小企業金融の主力というものは、何といっても、今民間の金融機関になっております。で、政府資金は、政府関係金融機関の資金というものは、民間に比べたら一割もない資金量でございますので、比重は非常に怖い、こういうことになっていますので、まず一番最初中小企業金融対策としましては、何をおいても、この民間の貸し出し比率をやはり落とさないということを重点に対策を立てるよりないと思います。そういう意味におきましては、私ども、あの引き締めをやりましてからいろいろの指導をいたしましたが、金融機関が協力してくれまして、御承知のように、あの引き締め以前のこの貸し出し比率というものを現在落としていない。実績としてはっきり出てきますので、この点は割合に、一般は引き締めながらも、中小企業についての引き締め方というものについてはある程度うまくいっているのじゃないかと思います。  しかも、中小企業専門の相互銀行とか信用金庫とかいうようなものの貸し出しを見ますと、昨年の同期に比べてみんな三割から四割も貸し出し量をふやしておるというのが実績に出ておりますので、まずその点の指導を十分に私どもはやったということと、今度は政府関係資金の手当でございますが、これは国民金融公庫はやはり小口の営業資金、生業資金の貸し出しでございますから、この資金をふやすことはこう事態いうに立っての中小企業者、特に零細企業者には役に立ちますので、この資金量をふやすという措置と、それてら商工中金は商工組合に対する金融でございますので、この組合に入っておる組合員というものの実態は、やはりこれは中小企業のうちでも大きい企業者じゃございませんので、この資金強化ということも必要でございますし、そういう点を十分に見まして、昨年八百億円、今年度に入りましてさらに二百六十億円の資金増加をやるという方針をきめておりますが、これが大企業の金融にどれだけ寄与することになっておるかという点ははっきりはいたしませんが、私どもの聞いておる範囲内におきましては、むしろそういう手当のほうが割合にうまくいっておって、大企業が締められておりますので、この系列下の中小企業へむしろ金融引き締めのしわ寄せをしておるというような非難を受けておるのが実態でございますので、これに対しては銀行貸し出しの際に、この資金の使途を銀行が見るときに、しわ寄せして系列下の下請企業に払わないというようなことでなくて、そういう点を特に考えて貸し付けをするようにという方向で銀行もやっておるはずでございますし、またそうでなくて、実際に御指摘のような問題がたくさんあると聞いておりますので、これは公取委員会のほうへも連絡いたしまして、向こうから支払い遅延の問題は相当強く指導してもらうというようなことを今あわせて行なっておりますが、むしろ金融のしわ寄せが中以上のところに多く来ておるというのが、これは実態じゃないかと私どもは思っております。したがって、それに対する対策は対策として、日銀を通ずるオペレーションなりいろいろなことを今やっておりますが、この一般の中小企業に対する資金手当というものは、引き締めのときでありながら、年末では私ども六千億円以上の対策をしておりますし、業態がこれは多種多様でございますので、特にこの金融で困る業種というものもこれはあったとは思いますが、総体としてはこういう時期でありながらこの程度の推移をたどっておるということであったら、私どもは特に中小企業にしわ寄せする金融政策をやっておるということでもないように考えております。  で、一−三月までの問題は、御承知のような時期でもございますので、これも私どもは早いときから検討して、いろいろの施策を今とっておるときでございまして、情勢を見て、情勢々々でこれはむろん弾力的ないろいろな措置はとるつもりでおりますが、今のところはなかなか私どももそれ以上やれぬというくらいまで、この問題には気を使って今日までやってきておるつもりでございます。
  59. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は具体的に事実をあげて、そして大臣に、こういう法違反が公然と行なわれておるが、それに対してどういう措置をとられるのかという質問をしたんですがね。  それから、中小企業に対する融資が大企業の長期の下形振り出しにおいて逆に大企業の金融を援助するような形になっておって、実質的に中小企業は何ら利益を得ていない、これが実態だということを申し上げたのですが、大臣はこの年末などに三十銭とか五十銭というべらぼうな金利が市中に横行したという事実を御存じなんでしょう。どうなんですか。
  60. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 大体存じています。
  61. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それは違反でしょう。法違反ですね、これは実質的に。だから、知っていらっしたら、それに対してどういう対策を立てられたかという点を私は聞きたいのです。知っておって、中小企業の一人や二人死んだってかまうかと池田さんおっしゃったが、その伝で、知っておってもほうっておけということで、何も対策を立てられなかったのか。やはり対策を立てられたと思うのですが、どういう対策を立てられたのですか、そういう市中に横行するような高金利に対しまして。
  62. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これは金利については法定の率がございますし、との監督は直接的には都道府県の監督になっておりますが、相当高い法定利子が許されているものですから、これが実際にどの辺までいったかという実態は十分には把握はしておりません。
  63. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は事実ちゃんと聞いてきたのです。私は大阪や名古屋で実態を聞いてきたわけですよ。中小企業が手形を割れないので、もう年末は右往左往したわけですよ。そうしてそのあげくの果てが、三十銭とか五十銭という高い金利を払って手形を割ってもらって、やっとこさ年を越せた。そういうことを大臣は知っておって、中小企業の、実際もうせっぱ詰まった、首をつらなければならぬという苦しみを知っておりながら、それを地方機関にまかしておいて、大臣はのほほんとしておったというわけでもないでしょうけれども大臣は何か手を打たなければならない責任がありますよ。大臣の責任ですよ。だから、どういう手を打たれたのか。それは地方機関にまかしておいたから私は知らないじゃ、済まされないじゃないですか。
  64. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これは一般の金融機関に対する監督行政が貸し金業者には行なわれておりませんので、これはあるいはもっとわれわれが地方長官との連絡においていろいろの措置をとるのがよかったかもしれませんが、私どもとしては、ただ、いろんな財務局を通じての報告はとっておるそうでございますが、特にこれに対して今回の場合、法定利子どおりに行なわれているか、この実態調査、その監督をしてほしいというような特別の措置は、今度は別にとっておらないようでございます。
  65. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 おそらく政府考えは、こういうことは金融機関が自主的にやることで、政府がどうこうすることは現在の自由経済原則のもとではやれない、そういう意向でいらっしゃったのではないかと思うんですが、そうなると、大企業のしりぬぐいの役割を果たしていることをあなたたちみずから認められたことになるんじゃないでしょうか。いわゆる中小企業に対する金融が、大企業の長期の手形に使われて、何ら中小企業を潤していない。中小企業は高い金利で、とにかく年の瀬をやっとこさ越した。それに大臣が手を打たなかったといえば、これは政府は大企業のしりぬぐいの役目を果してきた、こういう結果になる。それをあなた自身が認めたということになりますが、それでいいのですか。
  66. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 大企業のしりぬぐいのために貸し金業者、高利貸しの金利で中小企業が使わせられたということよりも、私どもが聞いておりますのは、そういうこともあるかもしれませんが、大企業への金融引き締め相当強かったというために、金融業社から見ますと、この際相当の高利で中小企業にこの金を用立てることは非常に不安でございますので、実際は大企業が一時的に泳ぐために相当高利貸しが使われているというような、いろいろな情報はわれわれは耳にしていますが、これは実態を調査しないと、この問題は十分わからないのではないかと思うのです。
  67. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 大企業への金融引き締めで、大企業が困ったというのですね。そのしわ寄せが、その下請機関である中小企業にずっと来ているわけですよ。それで、下請機関にずっとしわ寄せすることによって、大企業はのほほんと年の暮れを越してしまった、いいことにして。そうすると、そのしわ寄せば、中小企業は全く金融の面でとにかく大へんな困難に陥ったというのが、去年の年の募れであり、また現在ではなかろうかと私は思うのです。  それで、私はその次に質問したいのは、富士や八幡なんかは、百二十日から百八十日、ひどいのは六ヵ月間ですよ。そういう長期の手形を振り出している。この手形をもらったものは困ってしまいますよ。中小企業は六カ月も割れなくて、どうして給料が払っていけますか。ものがやっていけますか。それにはいろいろ、八幡や富士や、今あげたのは、政府の行政指導によってそういうことをしたと言われておりますが、それも、それ以外にも、やはり大企業のしわ寄せが中小企業に来ているのが現状ですが、そういうものは実際に法違反でしょう。八幡や富士が百八十日もの長期の手形を振り出して知らぬ顔をしているというのは、私先ほど申し上げましたが、これはあの六法全書にも書いてあります。よく私は読みましたが、下請代金支払遅延等防止法というこの法律に違反するでしょう。三十銭も五十銭もするような金利をとるということは、これも法律に違反するでしょう。その法違反が明らかに行なわれていることを大臣が知っておって、それで何ら手を打たずにほうっておくということは、大企業に対して特別な配慮を政府当局がしているということになるのではないか。なぜ、知っておったら、困らないように措置をやらないのか。
  68. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 増資調整を受けて、大企業が百八十日の手形を出しているというような事実は、まだ私は聞いておりませんでした。これはそういう傾向があるということで、公取が今そういう問題についていろいろ検証をしているということでございますが、具体的に増資調整を受けた会社が全部そういうことをやっているということは、事実私は聞いておりません。さっそくこれは調べます。
  69. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は調べてみたのですが、そうしたら、現に最近、富士製鉄は下請企業に対して百八十日の手形を出したという事実を私は聞いたのです。それではどこかの会社へ行って、下請業者に行って事実どうかといって調べようとしますと、下請業者はそれを言うとこわいのですよ、あとでかたきをとられるから。だから、そういう不平不満を述べながら、実態調査となるとなかなか口を割らないのです。しかし、こういうことは、私が今ずっと申し上げたことは、昨年の暮れから、あなたが金融引き締めをやってから、もうこれは通説ですよ。民間ではみんなこういうことが言われている。中小企業は困ったと僕に訴えるのですよ。それではといって、実態を述べてくれ、こう言うと、そういうことがもしも国会で問題になると、私のほうが今度は大企業から締め出しを食ったりひどい目にあわなくちゃならぬことになりますからそれはかんべんして下さい、こう言いますよ。だから、実際私はここへ出てくるについては、そういう実績を持ってきて、どこの会社がどういう下請企業に対してこういうひどいことをやっておる。そしてこの会社はこういうふうに困ったということを、私は具体的に持ってきて大臣に質問しようと思ったのです。実はそうしようと思ったのです。ところが、なかなか口を割らない。不平不満を述べながら。いざとなると、中小企業はこれは弱いですから、口を割らないのです。これが実態なんです。だから、大臣も、先ほど申しましたように、年末に三十銭、五十銭という高利が横行したということは述べていらっしゃいますよ。これは明らかに法違反です。それから大企業が長期の手形を振り出して中小企業をいじめているということも、これも事実です。みんな事実ばかり私は申し上げておるのです。それから八幡や冨士製鉄が、増資払い込み資金を政府のお声がかりで延ばして、それを口実に、ことしの四月でないと払わぬと言っていることも事実なんです。こういう事実を政府はよく知っておりながら、何で責任ある措置をとらないかというのが、これが私の言い分なんです。大臣は今、よく調査して、公取などに調べさして、よく実態をつかんで措置しますとおっしゃいますから、私はこの質問をこれ以上やっても、押し問答になりますから、これでやめますが、実際はこういうふうに困っているということを大臣ははっきりと腹に入れていただいて、そして適切な措置をとられ、もし法違反があったらその法に照らして処罰するという方針で臨んでいただきたいと私は思う。これで私のこれに対する質問を打ち切りまして、次の質問に移りたいと思います。
  70. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 続いて、関税法の一部を改正する法律案を議題とし、外務省当局に対し御質問をお願いします。
  71. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この前、資料が出ませんので、質疑がとまってしまったわけです。きょうお貸ころ関税局から私のところへ資料が届けられたわけです。しかし、届けられた資料は、私が聞いておった資料とは違うわけです。それについて関税局長は釈明するところがあるだろうと思うのですが、まずその釈明から伺いたいと思います。
  72. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) 前回、須藤委員の御質問にお答えしました中で、若干正確を欠く点がございますので、この際、訂正させていただきたい——ます。  沖縄との航空路の開設に関しまして、御質問にお答えしまして、私、昨年の九月に航路開設についての協定が日米間でできた、かような趣旨のお答えを実は申し上げたわけでございます。ところが、正確に申し上げますと、そのときにあらためて日米間で協定ができたということではございませんで、実は日米民間航空運送協定という条約は、二十八年の九月に基本的な協定としてできておりまして、この協定に基づまして、沖縄との航路開設についての実際上の日米間の政府間の手続、民間の手続、そういうものが行なわれた。その結果、昨年の九月に沖縄路線の開設を見た、こういう次第でございますので、その際にあらためて協定が結ばれたということは、私の誤解でございましたので、訂正させてたいだきます。
  73. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 こんなつまらぬことで審議が一日おくれてしまったということは、私は全く残念なことだと思うのですが、これは全く関税局長の責任だと思うのです。私は、その前のときに、昨年九月にこういう協定が結ばれたということを聞きましたから、実は運輸省の航空局にも電話して、よく調べたのです。二度も電話して、関税局長は九月に協定が結ばれたと言っているが、どういう協定だ、あるなら出してもらいたいと言ったら、そういうことは絶対ありませんという、こういう航空局の答弁です。それで、私は一昨日、特にあらためて、確かに九月に結ばれたか、協定があるのかと、二度も三度も念を押したわけです。ところが、絶対ありますという答弁であったから、僕は質疑を打ち切ったわけです。ところが、出してきたところが、実につまらぬ、これは外国航空事運送業業者免許という、免許証なんです。これは。要するに日本の飛行機、いわゆる全日空ですが、全日空が沖縄へ鹿児島から行くについて、アメリカの許可を得なくちゃならぬ、免許を得なくちゃならぬ。そこで、日本政府を通してアメリカ政府にその許可を願い出た。ところが、アメリカから、よろしい、鹿児島から沖縄に来てもよろしいという免許証が来た、これだけのことなんです。何でもないことです。それを、協定ができて、その協定によってやっている、こういうふうな答弁であったので、私はいささか不満であったわけです。  で、これは何ですか、全日空の依頼で、全日空の利益をはかるためにこういう免許証を申し出たのですか、アメリカに対して。
  74. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) 利益と申しますか、全日空が沖縄航路に従事したいという意図をもちまして、運輸省に定期航空運送事業の免許申請をして参りまして、これに基づきまして、先ほど申しました日米間の基本的な航空運送協定、その中に、政府が指定をするということがございます。この規定に基づきまして、日本政府が指定をいたしまして、これを相手方に通知して、相手方がこれを許可した、こういうことになるわけでございます。
  75. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 しかし、この免許証をよく見てみますと、この免許証は、いわゆる全日空が沖縄に行くことの免許であって、アメリカが日本、いわゆる鹿児島に来る免許ではないと思うのです。ところが、開港すると、アメリカ民間機も来れるようになるのですか、どうですか。この免許証では、アメリカの飛行機は日本に来れないのです、建前は。民間機は来れないのです。来れないのが建前です。ところが、開港した場合には来れるのかどうか。
  76. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) 開港しただけでは、向こうは当然にはこちらへは来る権利はないわけでありまして、基本的な先ほど申しました協定によりまして、今度アメリカ側が、向こうの民間航空会社の申請に基づきまして、免許を与え、指定をして、日本政府の許可を求める、こういうことになります。したがいまして、そういう行為を踏みませんと、当然には、こちらが開港した空港に指定したというだけでは、米国の民間航空会社の航空機が飛んでくるということはないわけでございます。
  77. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 軍用機は来れるのですね。
  78. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) 軍用機につきましては、前回御説明申し上げました協定でもって日本の空港に出入国ができるということになるわけでございます。
  79. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それはこの通達の中の港というところにこうなっているんですよ、合衆国軍隊の運営する船舶及び航空機はいかなる開港またはいかなる合衆国が管理する基地にも出入りできる、こうなっているんですよ。これは開港でないとできないという意味に私はとれると思うのですがね。御判断、どうなんですか。
  80. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) お答え申し上げます。ただいまの問題の、軍用機が開港に出入りする場合でありますが、一応地位協定の五条によりますと、「日本国の港又は飛行場に出入することができる。」とございまして、これを受けました、両国間の合意議事録によりますと、合意議事録は五条について次のように了解するということになっておりまして、「この条の日本国の港とは、通常「開港」をいう。」というように合意をいたしております。
  81. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 不開港には来れないということなんですね。
  82. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) 通常は来れないわけでございます。
  83. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 通常来れないとおっしゃるのは、来れるのはどういう場合ですか。通常来れないというのなら、絶対来れないのとちょっと意味が違うと思うのですが、どういうことですか。
  84. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) 正確には何と申しますか、国際的な慣行ではなかろうか。この点は外務省からお答えいただきますが、緊急避難といったような場合で、ございます。緊急の事態でそういった場合には不開港でもできる、かように考えます。
  85. 中川融

    政府委員(中川融君) 地位協定の第五条の付属議事録によりますと、合衆国の船あるいは飛行機が日本の港、飛行場に出入することができるのは、「通常「開港」をいう。」ということになっております。したがって、原則として開かれた港または飛行場に着陸する、あるいは入るということでございますね。例外的にはそうでない港に入るということも不可能ではないわけでございます。
  86. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 不可能ではないという根拠はどこなんですか。
  87. 中川融

    政府委員(中川融君) 地位協定に付属いたします合意議事録に、この第五条にいう港とは「通常「開港」をいう」という規定があるわけでございます。したがって、通常開港であるというふうに了解されているわけでございます。通常でありますから、例外もないではないということでございます。
  88. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、開港であろうが何であろうが、「通常」という言葉をそういうふうな拡大解釈して、「通常」だから、開港でないところも例外として入れるのだということになれば、何でもかでも全部入れるということじゃないですか。そんなばかなことはおかしいじゃないですか。何のために開港という規定があるんですか。開港という規定をしておいて、そういうすぐ例外規定のような、あやふやなわけのわからない規定をするのは、何のためですか。おかしいじゃないですか。
  89. 中川融

    政府委員(中川融君) 「通常」でございますから、それが原則でございます。しかし、例外として、開港でない港に入るということもないではないということでございますが、これはどんな場合かといいますと、結局考えられますことは、緊急避難式の場合ということであろうかと考えているわけであります。
  90. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 あろうかと想像しているだけで、あるというふうにはっきりそういう条文の規定がないのですか。何か文書になっているでしょう。あなたが想像しておるのでは、困るじゃないですか。外務官僚が一人で合点しているというのでは、これはたいへんなことですよ。アメリカの軍艦でも飛行機でも、日本の港や飛行場に、開港であろうが非開港であろうが、自由自在に出入りできるという、そんなべらぼうなことが実際に行なわれたら、たいへんなことですよ。それこそ共産党のいう、日本に独立ありやいなやということになってくるわけだ。
  91. 中川融

    政府委員(中川融君) この安保条約は日本とアメリカとの間の信用ということを基礎にして実はできておるのでありまして、しだがって、この不信、信頼しないということを基礎にいたしますれば、いろいろの場合が考えられるのでございますが、やはり両国間の信頼ということが基礎でございますので「通常「開港」をいう。」と書いてありますので、これは原則として大部分の場合、ごく例外の場合を除いては、この開港に入ってくる。また実際のやり方もそのようにやっておるのでございまして、ごく例外的な緊急避難式以外の場合には、開港に入ってくるやり方になっております。
  92. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そんなことをしたら、日本の飛行場はどこの飛行場の周辺だって、安心して眠っておるわけにいきませんよ。ちょっと天気が悪いといったら、アメリカの飛行機はどこに一晩じゅう飛び込んでくるかわからないですよ。そうして民家に墜落するかわからないですよ。そういうことが平気で承認されておる。アメリカと日本の信用問題だと。信用とかそういう一人勝手なことでそういうことをやられちゃ、これは日本人としてたいへんなことだと私は思いますよ。それじゃ、そういう非開港の場合に入ってくる場合に、どんな手続をして入ってくるのですか。
  93. 中川融

    政府委員(中川融君) 港に入ります際には、当然その港を管理しておる当局に通告をして入ってくるわけでございます。
  94. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 これまでそういう非開港のところに飛び込んできた例はどのくらいありますか。
  95. 中川融

    政府委員(中川融君) ただいま具体的な数はここに手元にございませんが、例外的な場合として若干の例はあるようでございます。
  96. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 まあ外務省の考え方と私たちの考えは全く違っておって、要するに、今の話を聞いておると、日本はアメリカに対しては港も空港も、開港であろうが非開港であろうが、原則としては開港だということになっておるが、特例はちゃんと備えておいて、どんな場合にもどんなところへでも、理由さえつくならば出入りは自由だ、こういうことになっておる。そういうふうに私たちは確認するわけです。そういうことが安保条約、行政協定によって裏づけされて、とにかく日本は全土すっ裸になっておる、アメリカの前にそういうことに私は理解しておきます。あなたと押し問答しても切りがなされそうだから、その程度でその問題は終わろうと思います。  続きまして、先日、同僚荒木君が密輸のことで質問されましたが、関税局長も税関行政の立場からも努力することを言明されたわけです。沖縄との密輸のことをところが、米軍と麻薬とのことが密接な関係がありとするならば、どのようにしてとにかく防止をすることができるか。アメリカの軍用機ならば自由に出入りできるわけです。今度、鹿児島が開港になれば、それも自由に出入りできる。その場合、アメリカの軍隊が密輸しないという保証はどこにもないわけです。先日、関税局長は、私が質問したら、アメリカの兵隊でも検査しますと、こうあなたは答えておる。そうじゃないですか。アメリカの軍隊の場合、どうしますか。あらためて聞きましょう。
  97. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) 税関検査の点につきましては、この合衆国軍隊の地位に関する、先ほど外務省から申し上げております協定の第十一条第五項によりまして、「税関検査は、次のものの場合には行なわないものとする。」と、行なわない場合を限定しております。それによりますと、「命令により日本国に入国し、又は日本国から出国する合衆国軍隊の部隊」、第二は、「公用の封印がある公文書及び合衆国軍事郵便路線上にある公用郵便物」、第三は、「合衆国政府の船荷証券により船積みきれる軍事貨物」ということでございまして、これ以外の場合は税関検査が適用になるわけでございます。したがいまして、通常軍人、軍属でありましても、個々の——部隊という形でなしに、個々の個人として出入りします場合、こういう場合には税関で検査をいたしております。
  98. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 軍人が移動する場合、旅行する場合に、命令によらない旅行とか移動というものはどういう場合ですか。
  99. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) 軍人がと申しますか、個々の軍人としては、たとえば休暇で帰国するとか、その休暇の期間が切れてまた入国するとかいった場合であります。
  100. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 軍人が休暇で移動するのは、やっぱり許可、命令を受けなければ、軍人は動けないはずですよ。自分勝手に軍人は移動できないはずでしょう。
  101. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) その点は、先ほど申し上げましたように、検査を免除されます場合は、そういう命令により入国しまたは出国する合衆国軍隊の部隊ということであります。したがいまして、個々の個人として出入りする場合には検査をすると、こういうことでございます。
  102. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 部隊とは、何人から部隊なんですか。
  103. 中川融

    政府委員(中川融君) 部隊と申しますと、兵員が隊を組みまして指揮官の指揮のもとに行動する、それが部隊と考えております。
  104. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでは、指揮官と兵卒一人で、二人の場合でも、これは部隊と称するのですか。
  105. 中川融

    政府委員(中川融君) その具体的の場合について考えなければいけませんが、要するに、部隊として行動する。指揮官のもとに一人の兵隊ということがはたしてあるかどうか知りませんが、複数の軍要員が公の命令によって動いておると、こういう場合が、これが部隊であると考えております。
  106. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、将校であろうが兵卒であろうが、軍の命令によって単独で、一人で入国する場合は検査の対象となるのですか、どうですか。
  107. 中川融

    政府委員(中川融君) 一人で動いておるという場合には部隊とは考えられません。一人の場合には単独の軍の構成員となります。
  108. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 だから、検査をするとおっしゃるのですか。
  109. 中川融

    政府委員(中川融君) 税関検査を免除しないわけでございますから、税関検査をするわけであります。
  110. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでは、二人、三人の場合は部隊となれば、計画的に二人、三人が部隊だと称して沖縄から密輸品を日本に持ち込む場合は、これは検査の対象にならぬということになると思いますが、関税局長、どうですか。
  111. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) 部隊と申しますと、大体常識的に……。
  112. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 今はっきり外務省の中川局、長が、部隊とは二人でも部隊だとはっきり言っているのですよ。部隊ではないと言うっていない。部隊と言っているのです。
  113. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) 部隊とはっきり認定できます場合には、検査は除外されるわけです。
  114. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでは、密輸は、アメリカ軍には無条件で密輸の道が開かれておるということになりはしませんか。アメリカの兵隊が二、三人で日本に来る場合に、密輸品を持ってくる、麻薬を持ってくる、そういうことがあって毛、日本の税関はそれを取り調べることができないということになるのじゃないですか。どういうふうにして取り調べますか、その場合。取り調べることができませんと、あなた、おっしゃりなさい。それなら、私はそれで認めるだけだ。
  115. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) 先ほど申し上げました合衆国軍隊の地位に関する協定、第十一条の八項でありますが、「合衆国軍隊は、日本国の当局と協力して、この条の規定に従って合衆国軍隊、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族に与えられる特権、」いろいろ特権がございますが、その「特権の濫用を防止するため必要な措置を執らなければならない。」と、これは合衆国軍隊に対してそういう必要な措置をとるということを規定しておるわけであります。その際の「必要な措置」でありますが、九項で、幾つかその「必要な措置」のことを規定しております。読み上げますると、まず第一は、「日本国の当局及び合衆国軍隊は、日本政府の税関当局が執行する法令に違反する行為を防止するため、調査の実施及び証拠の収集について相互に援助しなければならない。」と、こういう規定があるわけであります。また次には、「合衆国軍隊は、日本政府の税関当局によって又はこれに代わって行なわれる差押えを受けるべき物件がその税関当局に引き渡されることを確保するため、可能なすべての援助を与えなければならない。」。なお引き続いて、そういった意味の協力と申しますか。援助の規定といたしまして、「合衆国軍隊は、合衆国軍隊の構成員若しくは軍属又はそれらの家族が納付すべき関税、租税及び罰金の納付を確保するため、可能なすべての援助を与えなければならない。」、こういった規定がございます。
  116. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 まあそんな規定は聞いても聞かぬでもいいんですよ。僕の質問は端的なんです。合衆国の軍隊が部隊と称して、複数以上は部隊というのだから、二人、三人でやってくると、そのとぎ麻薬をポケットの中に忍び込ませてやってくると、その場合には検査をできるのか、できないのか。できないといって答弁するか、できるという答弁か、どっちかを僕は求めているのです。そんな条文読んでくれと言っていやしない。できるか、できないか、二つです。
  117. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) 先ほど申し上げましたように、部隊でありますればできません。
  118. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでは、アメリカの兵隊が二人でも三人でも、とにかく複数で部隊だと称してやってくるならば、それが麻薬を持っておろうが禁制品を持っておろうが、とにかく検査ができない、それが日本の税関法だということですね。そうでしょう。そう理解していいですね。アメリカ軍にはそういう特権を与えておると、こう理解していいんですね。
  119. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) 正確には、先ほどから申し上げますように、部隊である限りは検査をいたしません。
  120. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 あなた、もう少し大胆に答えなさいよ。二人以上は部隊だから、それがどういうものを持ってこようと、日本にはそれを検査する権利がないのですと、はっきり日本人らしく答えなさいよ。あなたは日本の官吏じゃないか。アメリカの官吏じゃないのだから。日本に不利なことがたくさんあるわけですよ。それを私は追及しているんだから、不利だと認めるならば、やはり正直に、できませんならできませんと、こう簡単に答えなさい。それを回りくどく法令など読んでごまかそうというような、そんな識見はよくないですよ。  それじゃ、もう一ぺんあらためて確認しておきます。アメリカの兵隊が二人以上日本にやってくる場合は、それが何を持っていようと禁制品を持っていようが——ピストルなんかもアメリカの兵隊から日本の市内に流れ込んでいるんですよ。それが日本でいろいろ悪いことに使われているんですよ。麻薬もそうです。そういうことがわかっておっても、とにかく検査することはできません、それが甘木の税関法だ、そういうふうに私は理解しておきます。そして次の質問に移ります。  この税関関係基本通達集の第七節です。はっきりいいますと、「在日合衆国軍隊の個人、貨物、航空機及び船舶の入出国について」という、それの第七節、「船舶及び航空機」という条項の第七節のところにこういう条項があるんです。第七節の「船舶及び航空機」の第四項の注にこういうことがあるんです。「大韓民国の軍用機及び船舶の日本への入港については、在日合衆国軍内規11−8(韓国軍用機、海軍艦船及び軍要員の日本入国について)に規定されている。」とありますが、その内規の内容を示していただきたいと思うんです。関税局長、あんたのこの本に書いてあるんだから、あんた答えなければいけない。
  121. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) 内規については、ただいま手元に持ち合わせございません。
  122. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 こういう重大な問題が、重大な質問の核心に触れてくると、ないといって答えないんですよむそうすると、私は内規を示してもらわなければこの質問を続行することはできません。すると、きょうもこれで打ち切りにならなくちゃならぬ。  委員長、取り計らって下さい。ここは重大な問題なんです。韓国の兵隊、節用機、艦船が日本に自由に出入りできるようになっている。どういう法的な根拠でやるか。アメリカ軍の内規によってできる。何ですか。日本は独立国ですよ、完全じゃないけれども。内規を出して下さい。(「それは条約局長、答弁」と呼ぶ者あり)
  123. 中川融

    政府委員(中川融君) 今の内規は、われわれ承知していない内規と思います。大蔵関係の内規でございませんか。
  124. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうです。だから、大蔵省に要求している。この次までに出して下さるなら、これで質疑を打ち切りましょう。こんな重大な問題がアメリカ軍の内規で左右されているというのは、私は黙認できませんよ。
  125. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) ただいま御指摘いただきました在日合衆国策内規、この内規は、実は協定の改定に伴いまして、現在では廃止されておるそうであります。したがいまして、実はこの私どもの通達自体が抹消すべきものなんです。現在は生きておりませんから、さよう御了承いただきます。
  126. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 ほんとか。現に韓国の飛行機は日本へ来ているんですよ。あんた、それじゃ、何によって来ているかということになるじゃないですか。この内規があるから、僕ら来ていると思っている。内規を抹殺したといったら、何をもって来るんですか。それはよくよくたいへんなことになってくる。言いのがれしちゃいかぬよ。でたらめ、言っちゃいかぬよ。関税局長、内規を抹殺したなんて、うそを言っちゃいかぬよ。
  127. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) 韓国のそういったあれが入って参ります場合には、これは廃止されておりますから、個々について外務省が入国についての許可を与えておる、こういうことでございます。
  128. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 関税局長、この通達は今日生きている通達ですよ。死んでいる通達じゃないですよ。今日使われておる通達ですよ。あんた個人で、そんなもの抹消されていると言っても、信用できると思うんですか。できませんよ。ちゃんと活字となって出ているんですよ。それじゃ、大蔵大臣でも呼びましょう。
  129. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) たいへん申しわけないわけなんですが、これは内部の通達規定でございまして、実は整理漏れだということであります。実体は先ほど申し上げたとおりでございます。
  130. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 僕は、政府の刊行している通達集にそういう条項が今日も生きているので、生きているから、これを借りてきて、それを根拠にして今日やっておる。それは抹殺されております、そういう無責任な答弁で……。こんな重要な文書ですよ。しかも、それをこっそりと個条に書かないで、注というようなところに入れ込んでいる。注というような、そういう姑息なやり方をしておって、国会で問題にされて、追及されると、困って、それはもう抹殺してあります……。どこに抹殺したという文書が入っておりますか。今、頭から抹殺するだけでしょう。どこに抹殺した証拠がありますか。抹殺した証拠を出しなさい。
  131. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) 実は、そこのお手元にお持ちになっておりますように、膨大な通達集でございまして、順次整理をして参るわけでございます。私ども今根本的にこの通達の改正をやっておりますので、全面的に改めまして、その際にこういうものをきちんと整理したいということで、その整理が実はおくれておった次第であります。
  132. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでは、まだ抹殺されていないんだ。もしもすでに抹殺したという証拠があるならば、文書で抹殺したという証拠を示して下さい。見せて下さい。まだ問題はたくさん残っておりけれども、まず、それからやりましょう。抹殺した証拠を見せなさい。
  133. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) お答え申し上げます。この内規自体が合衆国のほうで廃止されておるわけなんです。したがって、実体規定がないものでございますから、条文としては、私ともたまたま整理漏れということにはなっておりますが、実体はないということなんでございます。
  134. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 僕は、あんたのその言葉をそのまま信用はできないんですよ。だから、大蔵大臣なり責任者が来て、政府の。実は間違いで、そういうことはなくなっているんだと、はっきり大蔵大臣が言って、それとともに抹殺したという証拠を見せてもらいたい。あんたの口だけでは信用できない。だって、われわれは今日生きている文書として、資料として借り出し、その資料によって僕は討議している。それが、都合が悪いと、それはとうに抹殺するのが抹殺漏れになって済みませんでは、僕は、ああそうですが、というわけにいかぬじゃないですか。これは重要な政府の文書ですよ。抹殺したら抹殺したという通達がなくちゃならぬ。出しましたか、抹殺したという通達を。あるなら見せて下さい、証拠を。
  135. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) 先ほど申し上げましたように、整備漏れでありますので、できるだけ早い機会に抹殺をしたという通達を出したい、かように考えております。
  136. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は信用してあげたいけれども、ただ、そういうずさんな整理濡れだとかなんとかいう、責任回避するような答弁では、これは非常に重要な問題を含んでいるだけに、私は納得することができないのです。  それで、委員長は、どうぞ次の委員会までにもつと責任ある立場の人からはっきり答弁をするなり、抹殺濡れだという証拠を私はここへ示していただきたい。それから私は次の質問に入っていきたいと思うのです。重大な問題がこの中にあるから、特に私は取り上げておるのです。実は私はこう理解していたのです。韓国の飛行機が日本にたびたび来ているのですが、それもこの条項によって韓国の飛行機が来ていると思ったのです。ところが、これが抹殺されておるとなれば、韓国の飛行機は何の法的根拠によって、日本にやってくるかということになるのですよ。もっと問題がむずかしくなってくるのです。だから、私はもう、ああいう答弁では、満足して次に質問はできないのですよ。この次まで延ばしましょう。委員長、取り計らって下さい。これじゃ、らちあきません、この問題は。
  137. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 政府委員の方に委員長からして要求いたしますが、次回にその問題になっておる点を打ち合わせの上明確にされるように要求いたします。
  138. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃ、資料を出してもらうついでがありますから、私、今要求資料を出しておきます。在日合衆国軍内規第三十の三。それから、行政協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する取り扱いについての昭和三十三年五月十二日改正以後今日まで二十二回の改正文全部。少なくとも現行法を出していただきたい。それから、三は、陸軍規則四十二の四十、海軍GO二十、空軍規則百六十の二十六、軍用艦船及び航空機に関する検疫規則Cです。それから一九五四年八月二十六日第九十八回合同委員会の議事録。これだけをひとつ資料として提出を願います。これは外務省関係です。  それでは、まことに済みませんが、これで打ち切らしていただいて、次に……。
  139. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 条約局長が見えていますから、若干質問したいと思いますが、鹿児島と沖縄の航空路ですね、現在のところ全日空が就航している、こういうふうに思うんですが、将来アメリカの航空会社が相互乗り入れによって、ここに定期便を開設したい、こういう場合はどういうことになるんですか。
  140. 中川融

    政府委員(中川融君) 現在のアメリカとの間の航空協定によりますと、附表で路線がきまっているわけでございますが、アメリカ側の路線といたしましては、沖縄から東京へということだけが認められているわけでございます。したがって、アメリカの飛行機は直接沖縄から東京に来るのだけが認められる、そのほかの日本の飛行場に来ることは認めていないわけでございます。
  141. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 現在はそうなんでしょうが、将来アメリカのほうから沖縄と鹿児島に定期便を設置したい、こういう申し入れがないとは、保証できないと私は思うんですがね。そういう場合には、どういうふうになるのか。
  142. 中川融

    政府委員(中川融君) 日本の開港でありますれば、日本がそれを認めることが何かの意味で適当であるということであれば、理論上認めることも差しつかえないわけでございますが、それにはそれに見合う一本がやはり航空上の利益を得るということは当然の前提でございますので、今のところそういう話は一つも出ておりませんし、近い将来そういうことが実現するというようなことも、令のところは私は見通しはないと思っております。しかし、これはもっぱら今後日本とアメリカとの間で、民間航空協定の路線をどう変えていくか、お互いの相談の問題でございますので、絶対にないとは申し上げられませんが、ただいまのところ、そういうことを予測する根拠はどうもないように思います。
  143. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 しかし、今定期航空路は、日本の民間の飛行機だけが沖縄との間に乗り入れしている。だから、アメリカ側からそういうことに対して州立に乗り入れしたいということは、当然予想される問題じゃないですか。
  144. 中川融

    政府委員(中川融君) どうも、やはりアメリカとして希望するのは、沖縄と東京間、あるいは場合によっては沖縄とたとえば大阪というようなことは考えられますが、どうもそれより近いところに着陸する路線を設定するということは、私、いわばしろうとでございますが、ちょっと今予測されないような気がいたします。
  145. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今この鹿児島の飛行場は拡張計画があるように聞いているんですがね。関税局長、どうですか。どういう拡張計画があるのですか。
  146. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) 空港のいろいろな施設関係は運輸省の航空局でやっておりますので、計画があるということは私ども承知いたしておりますが、どの程度の拡張をもくろんでおりますか、その点はちょっと詳細にはここで存じておりません。
  147. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは本年度予算要求しているのじゃないですか。私の聞いているところでは、現在千二百メートルの滑走路、こういうふうに聞いているのですが、それを千七百に延長する、その予算措置を三十七年度予算要求している、こういうように聞いているのですが、そういう点のいきさつはどうなっておるか。
  148. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) 直接所管でございませんので、後刻航空局のほうに問い合わせまして、調べた上でお答え申し上げたいと思います。
  149. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは間接に聞くよりも、直接所管のほうから聞いたほうがいいのじゃないかと思うのです。なぜそういう滑走路を五百メートルくらい延長しなければならぬ理由が起こってきているのか、そういう点。  それから、ここに航空路を開設している航空会社ですね、これはどこですか。
  150. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) 全日本空輸でございます。
  151. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この航空路は全日空だけに限っているのかどうか。
  152. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) 現在のところは全日空だけでございます。
  153. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは将来他の航空会社、たとえば日航等が開設したいという場合には、どういうことになるのですか。
  154. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) 先ほど申し上げましたように、全日空が許可申請をやりまして開設までに至る手続を踏みましたと同じような手続を、日本航空がやります場合には、踏みまして、しかる後に、何といいますか、航路が開設されるということになるわけであります。
  155. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 政府の方針としては、二つの航空会社にそういう場合は航路を開設してもよろしいという方針ですか。どうなんですか、そこは。
  156. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) 全く航空局の所管でございますので、私、何ともお答え申し上げられません。
  157. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 だから、この問題についてはやはり所管の当局から説明を聞く必要があると思いますので、きょうのところは、質問はこの程度にしておきます。
  158. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十四分散会    ————————