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1962-04-27 第40回国会 参議院 商工委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月二十七日(金曜日)    午前十時四十分開会   —————————————   委員異動 本日委員森元治郎君辞任につき、その 補欠として吉田法晴君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     武藤 常介君    理事            赤間 文三君            剱木 亨弘君            中田 吉雄君    委員            上原 正吉君            大泉 寛三君            川上 為治君            小林 英三君            高橋進太郎君            吉武 恵市君            近藤 信一君            吉田 法晴君            田畑 金光君            奥 むめお君   衆議院議員    商工委員長代理    理事      松平 忠久君   国務大臣    厚 生 大 臣 灘尾 弘吉君    通商産業大臣  佐藤 榮作君   政府委員    法制局第二部長 野木 新一君    総理府総務長官 小平 久雄君    公正取引委員会    委員長     佐藤  基君    公正取引委員会    事務局長    小沼  亨君    厚生政務次官  森田重次郎君    厚生省環境衛生    局長      五十嵐義明君    通商産業大臣官    房長      塚本 敏夫君    通商産業省企業    局長      佐橋  滋君    通商産業省鉱山    局長      川出 千速君    工業技術院長  藤崎 辰夫君    中小企業庁長官 大堀  弘君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    農林省農林経済    局参事官    松岡  亮君    通商産業省企業    局参事官    江上 龍彦君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○石油業法案内閣提出衆議院送  付) ○下請代金支払遅延等防止法の一部を  改正する法律案内閣提出衆議院  送付) ○不当景品類及び不当表示防止法案  (内閣提出衆議院送付) ○ばい煙排出規制等に関する法律  案(内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 武藤常介

    委員長武藤常介君) これより商工委員会を開会いたします。  本日は石油業法案下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案不当景品類及び不当表示防止法案ばい煙排出規制等に関する法律案、以上四案の審議を行ないます。   —————————————
  3. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 委員異動がありますので報告いたします。  昨二十六日、加藤正人君及び曽祢益君が辞任され、補欠として奥むめお君及び田畑金光君が選任されました。  また本日、森元治郎君が辞任され、その補欠として吉田法晴君が委員に選任されました。   —————————————
  4. 武藤常介

    委員長武藤常介君) それでは、まず、石油業法案議題とし質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 中田吉雄

    中田吉雄君 アラビア石油引取問題ですが、佐藤大臣は昨日アラビア石油を、自分のところで精製施設も考えているようだし、直ちにその引取機関の問題と結びつけるわけにいかぬというような慎重な——何ですか、精製施設を作るにいたしましても、これは数年もかかると思うのですし、アラビア石油利権料は末端の最終の利益の五割六分ですか、というようなこともあって、いろいろ制約もあるし、しかも予想外世界の十大油田というふうなことで、八十万トンも入りますれば、月に。なかなかこれは既存の引取態勢からいってめんどうじゃないかと思う。実は私の党の政策審議会等にも、これは背景に加屋興宣氏等もあり、そういうものを社会党は応援するのか、こういう意見もあったりして、私、実は余談になりますが、山下さんが三ノ宮で電信電話局、千代田、霞ケ関、日比谷等をやる際、ああいう方式はよくないじゃないかと言って、実は議題にしたこともあるのですが、これは賀屋さんがスポンサーであろうが、とにかく一千万トンも出るということと、そういうこととは別にして、私は早急に引取態勢を準備することが大切じゃないか、そういうこととは別個にやるべきじゃないかというふうに考えるわけであります。  こういう点で、なかなか精製会社を作ることもめんどうだし、利権料等関係もあり、早急に買って、せっかく日本人が海外経済協力でやったのだから、一つ万全の措置をやられることが必要で、この業法だけでは私はなかなかめんどうじゃないかという点についてお伺いしたいと思うわけであります。
  6. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今のお尋ねの点でありますが、アラビア石油、これは一つの今後の大きな問題を投げかけていると思います。  御承知のように、アラビア石油が進出いたします際に、政府海外におけるこの種の開発石油開発協力をするという閣議決定閣議了解がございますし、また日本国内財界トップ・クラスの方々もぜひともこれを成功さしたいという非常な意気込みでいたわけでございます。幸いにしてこれが豊富な油田であるという、まあそういう実証も得てということで、今日あるいは年間一千万トン、あるいは場合によったら千五百万トンだというふうな膨大な出油量、油の出ることが予想されるように実はなっております。そうしてこれは昨年は年間百五十万トン、アラビア石油の油、原油日本に入っておりますが、この百五十万トンについては、昨年は業界協力によりまして引き取りもできたという次第でございます。ところで三十七年はどうなるか、ことしの国内持ち込み数量などは、会社とすれば相当膨大なものを予想しておるようでございます。今日まで政府なり私どもの考えましたのは、昨日あるいは前回もこの委員会でお答えいたしましたように、石油関係では競争もあるが、やはり国際的協力が非常に大事なことではないか、その協力の実をあげることが安定供給ということにもなるんじゃないかというお話をしたように記憶いたしておりますが、今なおそういう考えを持っております。そういう意味で、業界によけいな摩擦を引き起こさないで、協調によって実をあげていく、いわゆる秩序を乱さない方向が一番望ましいんだ、こういう考え方を今なお持っております。そういう意味で、いろいろ業界の方にも協力方を求め、ただいま申し上げるように政府自身が、特殊の海外開発原油であり、また財界トップ・レベルの方が協力されておる、そういうことを考えますと、業界協力必ずしも困難だとか、あるいはむずかしいとあきらめる筋のものではなく、やはり本筋は協調態勢協力態勢、これに第一に力を固くべきだとかように思います。ところで今お話がありましたが、アラビア原地における契約実態等もございまして、各段階において向こうの国王に対する支払いなどをしていかなければならない、ここらにこの会社の非常な苦心、工夫を要するものがあるのじゃないかと思います。今国内製油会社そのものをごらんになりますと、大きいものは英米資本が入っておる、そういうものがアラビア原油を引き取る場合のシェアというものは、大体見当がつくわけでございますが、全然英米資本参加のない製油会社等もございますし、そういうものとの提携ども将来の問題としても考えられるし、あるいは新しい製油会社ができる、このアラビア石油の問題をめぐりまして、政府自身もいろいろ考えるが、政府はただいまのような協調態勢、これでまず第一に考えていく、業界自身アラビア石油の将来というものに望みを託しておる部面もございますので、業界自身協力を積極的にする方法もある、かように実は思うわけでございます。ただいま直ちに製油会社を作らなければならないとか、製油会社だけでは足らない、さらに販売会社まで持たなければ、この種の事業は拡大できないのだ、こういう純理論だけで片づけるのはやや早いような気がいたすわけであります。ただ私は、重ねて指摘いたしたいのは、この種の油については、設立の当初以来一貫して、純民族系という意味政府並びに財界各位有力者がこれを支援しておる。山下社長個人の問題じゃない、この点に十分のひとつ注意を払っておいていただきたい、かように思う次第でございます。
  7. 中田吉雄

    中田吉雄君 まあ業界では山下さんの頭が高いとか、いろいろ新聞でも出ておりますが、それは別にしまして、御趣旨はわかりましたが、この第十条によって石油製品生産計画で量のことについては勧告できると思うのですが、石油種類について、これ勧告できるものでしょうか、たとえば、これまでは外貨割当で、まあその外貨割当制度を活用して、ひもつき契約があっても引き取らせておったわけでしょうが、外貨割当にこのことがかわり得るか、そういうものを引き取らせることも勧告できるのかどうか、そういう点はいかがでしょう。
  8. 川出千速

    政府委員川出千速君) 十条の第一項は石油生産計画届出でございます。それから二項のほうが特定の場合に勧告することができるということになって一おるわけでございます。で、この石油生産計画届出事項内容は省令で定めることになっておりますが、これはある程度どういう石油製品を作るのだということを把握しておく必要があろうかと思います。  勧告の場合でございますが、これはもうごく特定の場合でございまして、外貨割当の延長として直ちに生産計画を勧告するということは考えていないわけでございますが、ただいまの御質問のように、石油種類についてはできないのかということでございますが、それは生産計画内容種類別に取っておるわけでございますので、やろうと思えばできないということはない。
  9. 中田吉雄

    中田吉雄君 まあ、やるかやらぬかは別にして、法的ではそういうあと足が踏んであるということですが。この第七柔なんですが、これも「設備を新設し、増設し、又は改造しようとするときは、」云々ということは、こういうのも、そういうものを引き取らぬ、応じないというととか、許可しないということか、これはどうなんですか、その点は。
  10. 川出千速

    政府委員川出千速君) 設備の新増設の場合の許可制基準でございますが、これは事業許可基準が六条に書いてございます。三点あげてございます。  この一号は、過大設備にならないこと、供給計画に見合った設備であること。二号は、経理的な基礎あるいは技術的な能力がなければならない。三番目は、「その他その事業計画内容が」云々という表現をとっておりまして、これはいろいろな事情があるかと思いまするが、たとえば、用水の問題でありますとか、港湾の問題でありますとか、そういうような立地の問題あるいは設備の規模の問題でございますとか、そういうようなことを考えておるわけでございます。
  11. 中田吉雄

    中田吉雄君 公取委員長がおいでになったので、お尋ねしますが、先日来、私、資本提携並びにに借款契約をしている全部をナンバー別に出してもらいたいと申しましたが、とても今の機構ではめんどうだということで、二、三のティピカルな例だけいただいたのです。お尋ねしますが、いただいたのを見ても、五〇%の資本提携資本参加というものが、全量引き取りになっているのですが、この日本以外にもそういうふうになっているのかどうか、日本以外にもそういうふうになっているか。たとえば、アメリカ石油会社フランス等でいろいろやっておって、ところが最近大へんサワラ等で出て、一千万トンも出て、しかし、そういう契約があるにもかかわらず、いろいろ若干の摩擦があったようですが、消化したりしているので、日本だけがそういう形になっているのか、世界共通かどうかという点をお伺いします。
  12. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) ただいまのお話、実は私のほうで調べがそこまで行っておりませんので、お答えすることができないのを遺憾に存じます。
  13. 川出千速

    政府委員川出千速君) 通産省としまして詳細な調査をしたわけではございませんが、昨年ヨーロッパ石油調査団を派遣して、各国回っていろいろ調べたわけでございます。その最終的な資料の取りまとめはまだできていませんが、たとえば、イタリアあたりでは必ずしもそうでないというような実例がございます。
  14. 中田吉雄

    中田吉雄君 公取委員長にお尋ねしますが、五〇%の資本提携全量引き取りになっているのです。それでもまあアラビア石油の最は少ないですが引き取ったりしているのですが、それは契約のどの条項であれはやっているのでしょうか。  それと、いろいろ内容を点検されて、月に八十万トンとかいうようなものが入ってきても、今の契約の中で十分こなし得るものかどうか、そういう点いかがでしょうか。
  15. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 全量引き取り契約があるにもかかわらず、他の石油を買うというお話しの点でございますが、この点につきましては、外貨割当という政府処分によって引き取って、その処分によって引き取ることは契約条項といたしましては、いわゆる不可抗力条項と申しますか、その条項によっておるのだろうと思うのでございます。
  16. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうすると、月八十万トンぐらい入っても、その条項でこなし得ると委員長契約上からは見れるのですか、いかがですか。
  17. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 外貨割当等のそういう制度があって、それによるものならばできると思っております。
  18. 中田吉雄

    中田吉雄君 外貨割当制度がなくなってしまうのですが、十月から……。どうでしょう、その関係は。
  19. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 自由化によって外貨割当制度はなくなる問題だと思っております。
  20. 中田吉雄

    中田吉雄君 それは外貨割当制度はなくなるのですが、それでも不可抗力ということで何かやり得るかどうか、借款契約から、あるいは資本参加国際契約からどうなるか。
  21. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 外貨割当制度がなくなるというと、またこれにかわるべき制度があれば、この不可抗力条項というものが働く余地があるものと思っております。これにかわるべき制度石油業法等においてあるかどうか、十分まだ研究しておりません。
  22. 中田吉雄

    中田吉雄君 この問題はまた時間がありませんので、ひとつ公取とされては、事業も非常に少ないようですが、国会が済みましてから、ひとつナンバー別でもけっこうですから、出していただいて、それをわれわれは検討してひとつ正常な形にするような措置をとりたいと思いますが、最後にお尋ねしたいのは、同僚衆議院議員田中武夫氏から、国際契約の全容をはっきりするために御質問しておるようですが、党としましても重大な関心を持っておるのですが、その作業のできるのは、委員長さんのほうではいつごろでしょう。
  23. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) なるべく早くやりたいと思っておりますが、なかなか御承知のような陣容であるし、国際契約内容が非常に複雑であるし、数も多いものでありますから、若干の期間はかかるかと思いますが、できるだけ早くやりたいと思っております。
  24. 中田吉雄

    中田吉雄君 公取委員長には、それで私けっこうであります。  佐藤大臣に、さきに申されたので大体尽きておると思いますが、もしかりに日本が偶然にもほとんど大部分をソビエトの石油にも依存しておるというような際に、アラビア石油でも発見されたというなら、もっと非常に熱意を持ってやられるのじゃないかと思いますが、米英の何を少し遠慮しながら、打つべき手も、海外経済協力とか言いながら、ちゅうちょ逡巡されたりしているのじゃないか。アメリカ大使館でも、イギリス大使館でも、この石油業法の成り行きには重大な関心を持って見守っているということも、新聞にも二、三回出て、私もその切り抜きを持っておりますが、そういうことで少し遠慮され過ぎているのじゃないかと思いますが、その点はいかがですか。やはりそういうことは、アメリカでも、ああいう自由通商を唱えるところでも、強力な規制措置もとっておりますし、やはり自主性を高めるには、相当な手を打っても、決して日米関係がうまくいかぬということは、私ないと思うのですが、特に、石油調査団の報告でも、ただいま言われたように、イタリア等では日本のような契約になっていないし、またフランス等では、けたはずれなサハラ油田開発でも、やはりその原油がこなせる態勢ができておるのですから、もう少しあまり気がねなしに、私は手を打っていただくことが必要なのじゃないかと思いますが、そういうことはないのですか。
  25. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 結論から先に申しますと、どこへ気がねする、そんなことはございません。私も日本通産大臣でございますから、日本産業を考えて、日本の立場においての施策を工夫しております。ただいま何か遠慮しているのじゃないかというお話ですが、またソ連が大部分であるというときはどうかというお話ですが、ソ連であろうが、英米であろうが、そういう点は同じように区別なしに扱うという考え方を実はいたしております。  問題は、もうひとつ御理解をいただくために、あるいは今回の法律案が非常に程度がやわらかいのでないか、それがひとつ遠慮ではないか、こういうような御批判があるようでございますが、今日までの戦後のわが国の石油業界くらい自由濶達活動して参ったところはないと思います。これは資本構成等から見ましても、あるいは役員の構成等にいたしましても、率先して外資を導入した産業である。その意味では非常に自由濶達事業活動をして参ったものでございます。本来から申しますならば、そういうことがこれはちっとも差しつかえなかったことだと思いますが、今日のようなエネルギーの中心が石油ということになって参りますと、やはり今まであまり自由でありすぎたのじゃないかというような感じも実はして参りまして、同時に今回の法律制定の必要を痛感するのですが、その際に私ども考えなければならないのは、非常に自由であったものに急激な変化を与えるということは、これは遠慮しなければならぬことだと思います。だからその扱い方が、今までになくこういう自由濶達活動に拘束が加わって、そうしてなおかつ問題が残っておる。なおそれを前進する場合もあると思います。しかして日本はそうじゃないのだ、今まで非常に自由自在だ、それに業界も慣らされておる場合に、一つ変化を与えるのでございますから、急激な変化を避けるというのが、これが行政の実態でございます。これが私どもが今回工夫した一つのポイントであります。  それから第二の問題といたしまして、ただいまは共産圏にしても外国の政治には関与しないで、内政には不干渉だということで、そういう原則は皆とっておるわけです。共産国自身がそういう態度をとっておりますが、自由主義諸国家におきましても、日本の内政問題、日本国内政治問題、その範囲であるし、これらの国々がとやかく言う筋は毛頭ございません。またとやかく申すようなことがあれば、私どもそれは断固排撃すべきものである、それはもう共産圏であろうと自由主義の諸国であろうと同じことであります。だからただいまのようなもし遠慮しているようなことだというようにもしおとりになったとしたら、おそらく私どもが今非常に工夫をしている急激な変化を与えないのだ、そういう点がただいまのような御批判に当たるのかと思います。その態度は非常に明確であり、また一つの信念を持って進んでおること、これはひとつ御了承をいただきたいのでございます。
  26. 中田吉雄

    中田吉雄君 わかりましたが、ひとつ徐々に、急激なショックを与えないようにされるということですが、ひとつ徐々に力強くやっていただくことをお願いします。  ただいま、アラビアスマトラの昨日来からお尋ねしたのですが、準国産原油引き取りについて、これこそ私は徐々に急激な変化を与えないように、非常につるべ落としの値下がりをいたしまして、先般いただきましたこの資料を拝見しましても、ほとんど世界で一番安い、条件の悪い日本でやっているのに、世界一安いアメリカ値段に匹敵するような値段で売らされている、そうして新聞でいろいろこの国産原油引き取りの記事を見ますると、この国産北スマトラアラビア石油ソ連石油等を一緒にして、ソ連石油並みにせいというような、これは特殊原油だから、特殊原油全体としてそういうふうにせいというふうなことを、やはり特殊原油一般ということでやって、四苦八苦してなかなかこれの引き取りが困難である、しかも政府が予定より半年も自由化を諸般の情勢から繰り上げられざるを得なかったというようなことで、急激な変化に適応することもなかなか困難だという事情にあるので、私はやはりこれは何らかの措置をしませんと、六千円からもっと六千三、四百円ですか、それをもっと下げて、とにかくまだ業界引き取りのほうの要求と千、三、四百円も違う、これではもうほとんど壊滅的な打撃を与えますので、合理化をして国際石油値段と十分比肩するようにしなくちゃならぬと思うのですが、ひとつこの点に何らかの措置をとられることが必要じゃないかと思うのですが、いかがでしょう。
  27. 川出千速

    政府委員川出千速君) ただいまお話がございましたとおりの状態もございます。国産原油は、当初九千円以上の値段で売られておりました。二、三年の間に、現在は山元から六千六百五十円というところまで合理化をして参りました。これを本年、三十七年度中には、山元価格六千円まで持っていきたいというように指導をしておるわけでございます。しかし、賦存状況もございますので、それ以下にこれはまあ努力して下がることはけっこうでございますけれども、ただいまの状況では、非常にむずかしいというような実情にございます。一方輸入原油のほうは年々少しずつ下がって参りまして、五千円を割るというような状況になっておる。それに関税がかかりますので五千円をこえたのが支持価格でございます。それにしても、国産原油輸入原油との間には相当の値開きがあるわけでございます。これをどういうふうにして取り返すように考えるかということは、自由化後については非常にむずかしい問題もございます。何にいたしましても、国雄原油の量というものは、全体から見ると二%弱という、あまり大きな量ではないわけでございます。それで、なるべく国産原油を掘る業界精製をする業界協調をして、何とか引取態勢が、政府も中に入りましてうまくいくようにということで努力をしておるわけでございます。なお、この引取問題で困難な一つの理由は、国産原油を引き取る精製会社が、立地条件のために特定会社特定をされておる、全部の精製会社でないというところに難点がございますので、この辺は業界全体で、何かうまい知恵を出して、業界全体で協調して引き取れるような態勢というものはできないだろうかということも考えておるわけでございます。そのほか、国産原油開発につきまして、財政的な援助あるいは金融的な援助も、これはまた検討、研究をしていかなければならないということで、せっかく今各業界話し合いをして、具体案の作成を検討しているわけでございます。
  28. 中田吉雄

    中田吉雄君 先日の参考人の来たときでも、出資をして協力して、資金難のときに高い油買わせるのじゃかなわぬというので、なかなか、鉱山局が中に入ってあっせんされるだけでは、私はやはり、諸外国でもやっているように、関税を引き当てにする、そういうものも検討せねば、やがては国際価格にさや寄せさせるにしても、やっぱし少しかすかに時をもってするような、やはり漸進的な措置なしには私はいけぬのじゃないか。当事者だけの話し合いでやれば、あとでも質問したいと思っているのですが、なかなかめんどうじゃないか。この点は希望をひとつ申し上げておきます。  それから、私一番勉強をしてみて質問しようと思ったのは、国産原油開発探鉱の問題なんですが一時間がありませんので、ひとつ内閣並びに自由民主党の中心的な私は地位におられる佐藤さんに、大臣に、特にこの点は考えていただきたいと思うのですが、私は、ヨーロッパの、イギリスフランスイタリア、西独と、それに日本と比較して、この各国が探鉱活動をいかに精力的にやっているかということを見まして非常に驚いているわけであります。  まあその前にお尋ねしたいと思うのですが、フランスは一九四五年、昭和二十年にフランス本土で二万九千トンしか出なかったものが、昭和三十六年、昨年の一九六一年には二百十七万トン出ているわけであります。西独は五十六万トン出たものが六百二十二万トン、ドイツ本土で出ているわけであります。日本は昭和二十年に二十四万八千トンもあったものが、まあやっと昨年六十一万トン余りに——これはワールド・オイルという雑誌に出ておるのですが——そういうふうになっているのですが、一体これは、私は単に地質学的に、まああるから出たんだといえばそれまでですが、これは一体何だと鉱山局長は思われますか。どういうことが原因だと思われますか。
  29. 川出千速

    政府委員川出千速君) ヨーロッパ石油調査団の報告によりますと、各国内石油なりあるいは天然ガスの開発に相当の力を入れておるそうだそうでございます。ドイツは非常な高関税をかけて、輸入原油に高関税をかけて国内原油の保護をやっておるそうでございます。フランスもいろいろ探鉱活動については国が相当の力を入れておるという報告が出ております。その結果ではないかと思います。
  30. 中田吉雄

    中田吉雄君 まさに私もそうだと思うのですが、調べてみて私も実はびっくりしているのですが、フランスは本土に一九四六年から六〇年までの十五年間に二千三百三十億円の探鉱開発、輸送費をぶち込んでおるわけであります。探鉱費をフランス本土にです。サハラではありません。フランス本土、サハラを含むものでなしに、千二百六十二億九千万円の探鉱費をぶち込んでおるわけであります。サハラを含みますと驚くなかれ七兆四千六百三億円、まあフランスの栄光をサハラで取り戻すというふうなこともあって、それほどけたはずれな、まあ内閣がネコの目の玉のようにかわりながら、これを推進した官僚機構というものに驚嘆するわけですが、とにかく七兆五千億もぶち込んでおるわけであります。ドイツも一九五一年から保護関税政策で輸入原油との間に五千円ないし六千円の値ざやがつきまして、この保護政策を元にして探鉱活動をやって、一九五一年から六〇年の十年間に二千億のまあ探鉱活動なり開発の投資をやって、七百万トン近いたくさんの量を出しておるわけであります。  まあそういう点で私はそういう政策をとり、フランス等におきましては炭化水素助成基金というものを作り、あるいは減耗控除制度を設けたりしまして、純益の五〇%の範囲内で、売り上げの二七・五%を探鉱再建準備金としてまあ補助する、積み立てることができるような、こういう手厚いまあ政策をとることによって、そういう六百万トンなり二百万トンなりの、そうしてその結論が結局地下資源というものは探鉱予算に比例すると、こういうことを結論づけてもいいほどであります。  ところがわが国のほうは、まあ佐藤大臣は就任されてから通産省のほうは浅いわけですが、石油鉱業に対し、天然ガスに対しまして過去五カ年間に一億五千万円、天然ガス埋蔵量の基礎調査で国自身がやられて一億一千五百万円、石炭鉱業に対しまして一億七千九百万円、非鉄金属に対しまして六億、まあ合計十億円程度なのであります。私はやはりこれはやってみねばわかりませんし、自由化を機会に、日本国内の土地を、国土を創造するというような意味でも、やはりもっと本格的な探鉱活動をやってみるべきじゃないか、こういうふうに思うのです、いかがでしょうか。
  31. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 昔のような独立自主経済というか、独立経済、そういう考え方で申すわけではございませんが、国内資源の開発に積極的な施策がなければ、産業はなかなか興隆して参るものではございません。いわゆる雇用の問題から見ましても、あるいは技術の問題から見ましても、技術温存というか、開発というか、そういう問題から見ましても、あるいはまた外貨の節約というような問題から見ましても、これはもう絶対に必要なことだと思います。ただいま御指摘になりましたように、石油についての探鉱あるいはその他非鉄金属についての探鉱あるいは石炭自身についての探鉱、あらゆる地下資源の開発ということに積極的な施策、意図がなければならないことは、これはもう御指摘のとおりだと思います。私どもも今日まで予算の要求などもそういう線でいたしたつもりでございますが、どうも思うにまかせない予算の金額でありますので、たいへん御不満であり、また御批判も受けて、本来の意図すら疑われるような実は形で、今後のわれわれの努力、方向というものが御指摘のとおりの方向にいくように一そう力をいたすべきである、かように思っております。
  32. 中田吉雄

    中田吉雄君 私はきょうは実際は大蔵大臣に出ていただいてお尋ねをしようと思っておったのですが、時間もありませんので、なにしたんですが、石油関係でどれだけの税金を取られているか調べてみた。そうしますと、昭和二十八年から去年までで関税で四百三十九億、揮発油税で五千八百三十七億、軽油引取税で七百十億円、合計六千九百八十六億円、ざっと七千億円のおそらく昭和三十七年度とすれば一兆円近い石油関係の税金が取られているわけです。私はこれで道路をよくすることもけっこうだと思いますが、道路をよくすれば油の消費が伸びるというようなことだけでなしに、やはりドイツやイタリアフランス等がやっているように、こういう税源の一部も、この税がかけられる元である石油政策に特に使うような配慮を内閣全体としてひとつ検討してみていただくことが必要じゃないか。目的税ということは何ですが、とにかく昨年までに六千九百八十六億円税金が取られて、ほとんど道路予算に回っているのですが、そういうことについてひとつ内閣として石油関連産業にも、探鉱その他を含めて検討していただくということはいかがでしょうか。
  33. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 大体ただいま中田さんが御指摘のとおりな方向で、この石油関係関税収入その他を使っておるわけでございますが、御承知のように、道路整備費あるいは今回の探鉱、石炭産業に対する対策なども、そういう意味の金が支出されておると思います。なお、私どものほうでは腹づもりから申せば、だいぶ金があるから、この金をもう少し石油業本来の方向にひとつ予算編成の際にそういう使い方といいますか、組みかえ方をしてくれ、こういう要求をいたしたわけでございます。税の問題でございますが、大蔵省でもそれぞれの税を全部目的税にするわけにも実は参らぬと思いますが、ただいま言われるような点が新しい施策をいたします場合の財源として私ども要求し得る非常な有利なもの、かように思っております。過去においても努力して参りましたが、これからもやるだろうと思います。
  34. 中田吉雄

    中田吉雄君 ぜひ私はそういうことをひとつ検討していただきたいという点と、鉱山局長にお尋ねいたしますが、三十七年度は関税と揮発油税、軽油引取税はどういうふうになりましょうか、見込みは。
  35. 川出千速

    政府委員川出千速君) 石油関税のほうでございますが、見通しは約二百四十億程度でございます。それから揮発油税、軽油引取税、合計いたしまして二千三百億ないし二千四百億くらいというふうに見ております。
  36. 中田吉雄

    中田吉雄君 もっと実際は伸びるでしょうから、三千億くらいもあるのですから、ひとつ応分の施策を石油精製の施設、探鉱その他にもひとつお考えいただきたいと思うのです。私長い間農林水産委員会をやっておりましたが、たとえば池田総理がアメリカに行かれる前に大豆の自由化をやって、大豆、菜種の自由化に対するショックを緩和するために価格差補給金二十四億くらい、わずかな大豆にこれほど出せるのに、国産原油にどうしてそのクッションに耐え得るような措置をなさぬか。なかなか農民の一票々々も力強いなと私は思っておるのですが、ぜひそういうことをひとつ考えていただきたいと思うわけであります。  それからこの自由化の影響は、北海道地下資源の調査のときにも申し上げましたとおりかなりひどい。私先日申し上げましたように、国会の立法考査を通じて、ある四十億の会社の経理収支内容を隠すことなく聞かしてもらいました。石油ガスの会社です。四十億であります。この会社が昭和三十一年から三十五年までに、資本金は四十億ですが、配当は一割二分で十九億円配当をいたしておる。税金を二十二億九千五百万円払っておる。探鉱、掘る経費を二十八億九千九百万円使っておるわけであります。これが今度油がああいうふうに四千何百円というようなことになると、配当を大幅に減らすか、探鉱活動をやらぬで減らすか、そういう窮地に立って非常に困難な状態になるので、これはやはり減耗控除制度を作るとか、いろいろそういう制度なしには会社も成り立たぬ。とにかく二十二億九千五百万円とられておる。そうして探鉱活動費が予想以上に多くて二十九億円もいっておるのですから、ひとつこれは自由化対策としても企業の正常な活動をするにもめんどうになってくると思うのですが、その際にお尋ねしたいのです。石油資源開発株式会社ですが、これは先日来もなかなか出資が集まらぬで困っておるようであります。ですから細々とやって、小ぢんまり何とかやっていくという程度で、ある人はこれは第二の帝石だと、こういう酷評をしておりましたが、私は、やはり三十年にできたときのように、ほんとうに日本の地下資源を洗いざらいにひとつやってみるという、探鉱活動をもっと本格的に、大蔵省のように、これはもう投資効果の最も薄いものだというようなことでなしに何とかやっていただくことが——まあアラビア石油スマトラ石油等ができて、当時とは事情が若干違いますが、もう一ぺん設立当初のような気になって、地下資源を洗いざらしにやる、探鉱活動をやるというようなことで、北海道地下資源とあわせ考え、これを強化してみるというようなことはいかがなものでしょう。
  37. 川出千速

    政府委員川出千速君) 石油資源開発株式会社は、ただいまお話のございましたように、探鉱開発をあわせ行なっておりまして、第一次合理化計画で約百五十数億の探鉱資金を導入をして、相当の埋蔵量を発見し、採油もふえておるわけでございます。第二次の五カ年計画を三十七年から始めるわけでございますが、それは石油と天然ガスとあわせまして探鉱開発計画の資金は二百三十五億でございまして、百六十億が天然ガス、七十五億が石油でございます。ただ、その資金の調達については、予算の問題あるいは財政投融資の問題がございますので、これは年度ごとに計画を立てていくわけでございますが、第一次計画で打ち切ることなく、今後も引き続いて石油資源開発会社を中心にわが国の石油なり天然ガスの資源開発に努めていくというのが方針でございます。
  38. 中田吉雄

    中田吉雄君 まあフランスやドイツの政策を見まして、とにかく政策が徹底している。そして集中して持続して、なかなか執念深い政策をやっているんですが、どうも石油資源に対する政府の冷い態度を見ると、大蔵省で投資効果を計算したら一番悪いというようなことで、これでは私はほんとうに日本の国土を開発するようなことはできぬと思いますので、ひとつ本格的な探鉱活動ができるような措置をとっていただくことを希望しておきます。  最後にもう二点だけ、他の方もありますので、お尋ねしたいと思うんですが、エネルギーの研究所の問題であります。日本石油を中心に、電力その他エネルギーの研究所というものはどういうふうになっておりましょうか。局長さんにお尋ねします。
  39. 江上龍彦

    説明員(江上龍彦君) 今の研究所でございますが、役所関係といたしましては、通産省の工業技術院に資源技術研究所というのがございまして、資源のほうの研究をいたしております。それから地質調査所というのがございまして、これは主として探鉱関係、天然ガスなどについては相当積極的にやっております。まあ経済問題の研究所というのは今のところ役所関係ではございません。ただ、電力中央研究所といったような民間機関がございます。今記憶しておりますのはその程度でございます。
  40. 中田吉雄

    中田吉雄君 その予算は一体どれくらいでしょうか、国の。
  41. 江上龍彦

    説明員(江上龍彦君) 今ちょっと手元に資料がございませんので。
  42. 中田吉雄

    中田吉雄君 私は、石油の輸入が八億ドル近くもあり、それを入れるのに、タンカーの運賃が二億近くもあり、あるいは電力にしても、石炭にしても、膨大な基礎産業で、これを鉱山局の中の石油課ですか、開発課というようなところでやられるのは、ちょっと荷が重過ぎる、ようやられたものだと言ってもいいほどだと思う。私は、すべての政策というものは調査と研究が先行しなくちゃいけぬと思う。そういう点で、今後調査をしてこられたエネルギー調査団の報告を見ましても、ドイツ連邦議会は一九六〇年にエネルギー事情調査研究のために二億四千万円——ちょっとけたがはずれている。一億四千万の経費を組んで、そうしてミュンヘン経済研究所、ベルリン大学ドイツ経済研究所、キール大学世界経済研究所、それからウェストファーレン経済研究所、ケルン大学エネルギー研究所等に対して、西ドイツにおける将来のエネルギー政策がどうあるべきかという基礎調査をやらしておるわけであります。そうしてケルン大学のエネルギー研究所のごときは、現在研究所員が、教授一名、助教授一名、助手十一名のスタッフを持っており、さらにイギリスの燃料研究所のごときは、これは主管は枢機相の任命する所長で管理され、職員は、所員以下三百十七名。三百十七名という膨大なスタッフをもってエネルギー研究と取り組んでおるわけであります。  それから私感心しましたのはソビエトであります。ソビエトは、ソビエト政権の初期から社会主義建設計画の中心的な地位を占めるエネルギーに対して特にもう問題をしぼっちゃって、各種エネルギー源、特に石炭をどう電気に転化するか、石炭を電気エネルギーにどう変えていくかということ、それを中心に——私もまあ石炭の問題は、これは電気エネルギーに変えてやらねばいけぬと思う。それを中心的にやっておるわけであります。私は、すべての行政というものが調査研究の上に乗ってやらぬと、なかなかたいへんじゃないか、徹底した総合的な効果的な手が打てぬのではないかというふうに考えて、特に私は総合エネルギー政策の一環として、やはり既存のエネルギー各研究機関の協力を求めるなり、研究施設をやることが非常に大切じゃないか。特に内閣としてもこの問題を至要祝していただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  43. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お説しごくごもっともだと思います。まあ今日総合的な研究機関というものはございませんけれども、それぞれの部門について御研究はあると思います。たとえば原子力発電ならば、原子力研究、これは、非常に金もかかるし、新しいもので力が政府として入っている。あるいは水力発電のための技術的な調査といたしましても、これまた機械メーカーの面におきましても相当力が入っていると思います。あるいは石炭については、これはもう古い問題でございますから、これもそれぞれの研究機関があり、最近は石炭乾溜であるとか、あるいはその採掘方法につきましても、圧搾——水力による開発だとか、新しいものがいろいろ考えられております。あるいは地下においてこれをガス化するとか、いろいろな問題があると思います。また石油石油部門におきまして、地質的な関係もありますので、そういう意味の研究はそれでやる、同時にまた利用の方法等につきましては、これまた研究の対象になっておるわけであります。いろいろ各部門においてそれぞれのものがあるだろうと思いますが、ただそれが総合的に十分利用される、活用される、これが望ましいことだと思います。今後どういう方向でこれを総合的に利用、活用する工夫が考えられるか、なかなかエネルギー部門全体として見ますると、非常に広範であり、多岐でありますので、また研究の対象になるものも非常に広範だと思いますので、そういう点が今後のエネルギー総合部会などで私はやはり結論を出していただくことが望ましいのじゃないか。私自身の感じをもっていたしますと、今ありまするもの全部一カ所にまとめるということは、まずこれはできる相談ではないだろうと思います。少なくとも総合的観点に立って、そうしてどの範囲のものか、利用、活用等についてもう少し系統づける、これはもう絶対に必要だと思います。ことに各学校のそういう研究機関あるいは各民間の団体の研究機関、それらと力を合わしていく上に、ひとつ大きな構想のもとに進むべきじゃないか。ただいま中田さんが御指摘になります点が痛感される問題であります。ただそれを具体化していく方法がそう簡単にはなかなかないのではないかと、かように思いますので、十分ひとつ検討さしていただきたいと思います。
  44. 中田吉雄

    中田吉雄君 最後に一点だけ。まあひとつにドイツを見ましても、一九六〇年に、さきに申しましたように、連邦議会の委嘱を受けてやるのも、まあ新しい研究所は作っていません。既存の研究所をうまく活用してやっておるのですから、日本でもそれぞれあるわけです。しかし一億四千という、ちょっと日本の研究の百万円、五十万円というようなのとは違って、二億四千万円という膨大なことをやっておるので、エネルギー部会では、ぜひ今後あるべき政策を打ち出すためにやっていただきたい点を希望して、そして最後に川出鉱山局長にお尋ねしますが、この第十三条ですね、石油製品の販売業の届出というのがありますが、スタンドなしに実は油を売っているようなものは、この法律でどう規制されるか。スタンドなしでもやれるところもあるし、またスタンドを作ることのできぬところでも油を売らなければならぬところもあるので、そういう点でスタンドがすぐなければ、やらせぬというようなことがあるのかどうか心配をしてきて、もし措置をされるのでも経過的な措置を十分とって、実情に合うようにしてもらいたいということですが、これはそういうのはどうなりますか。
  45. 川出千速

    政府委員川出千速君) 石油製品販売業はこれは許可制ではないのです。届出制でございまして、届出がなければ事業ができないという意味ではございません。またその実情に合いますように省令できめることにいたしておりますが、ごく小規模な販売業者は対象から除くつもりでおります。
  46. 田畑金光

    田畑金光君 二、三点だけひとつ。すわったままですがお尋ねしたいと思いますが、時間の関係もありますので、問題点だけをお尋ねしたいと思います。今までは石油行政の基本というと、外貨割当制度によって運営されてきたわけでございます。今回十月から自由化すると、いろんな問題が予測される。たとえばエネルギー懇談会の答申にもありましたように、国産原油とかアラビア石油あるいは北スマトラ石油等のこの特殊原油の問題とか、あるいは過当競争の問題、また少数資本によって国内市場が独占される問題、こういうようなことを防止するために、石油市場の秩序を確保するという角度から、今回の立法がなされたわけです。ところが、従来の外貨割当制度のもとにおいても、いろいろ過当競争が行なわれ、乱売競争が行なわれ、ことにこの数年来、石油製品の値下がりというものは著るしいものがあって、石油業者相互の関係は、コストを割って販売する、乱売する、こういう状況であったと、こう言われておるわけですが、そこでお尋ねしたいことは、従来の外貨割当制度のもとにおいては、こういう石油行政がとられていたが、今後この法律に基づいて新たな石油政策が行なわれるわけです。今の制度外貨割当制度のもとにおける石油行政と、この法律ができた暁以後における石油政策というものが、内容の面でどのように違ってくるか、まずこれをひとつ、抽象的であるかもしれませんが、伺いたいと思うわけです。
  47. 川出千速

    政府委員川出千速君) 戦前の石油業法は戦後廃止されまして、現在まで外貨割当制度によって運営されておるわけでございます。外貨割当制度からみると、本来の機能ではないかもわかりませんが、実質上事業許可的な運用をいたしております。それから設備の新設、増設につきましても、外貨割当といううしろだてがございますので、業界とよく懇談をいたしまして、需要に見合って設備を作っていくような指導をいたしております。それから外貨予算を組みます際には、石炭の需給事情も十分勘案をして組んでおるつもりでございます。それから国産原油引取問題につきましても、これは外貨割当を直接使っておるわけではございませんけれども、行政指導面であっせんをいたしております。それから次に海外開発原油につきましても、外貨割当の実情の中に織り込むことにいたしまして、現在のところは量があまり多くないという事情もございますけれども、各精製会社協力を得て、円滑に引き取っておるわけでございます。  ところで、この石油業法は、ただいま申し上げました問題につきまして、事業許可制をとっております。供給計画も立てることにいたしております。それから設備につきましても、新、増設については許可制をとることにしております。ただその事業活動の面になりますと、これは外貨割当のように、個々の企業に割り当てることをこの業法で直接やることは考えていないわけでございまして、これは業界の自主的な協調態勢にも期待をいたします。そういうふうにしても十分にうまくいかないような場合には、たとえば十条の勧告ということも用意をしておるわけでございます。それから値段が不当に暴騰したりあるいは下落する場合には、これも異常な、アブノーマルな場合でございますけれども、標準額を定めまして、公表をするということを考えておるわけでございます。外貨割当のときから考えますと、非常に法律的には統制的な印象を受ける方もあるかもしれませんけれども、実際問題としては、自由化によりまして事業の自由な活動、適正な活動に期待をするということになると思います。
  48. 田畑金光

    田畑金光君 端的にお尋ねしますと、従来は石油外貨割当制度によって行政指導による石油政策というものが行なわれていたが、今度は外貨割当がなくなるので、それにかわる石油業法に基づいて今後の石油行政を運営していくんだ、内容においては実質的に変わりがないのだというように理解してよろしいのか、あるいは従来の行政指導ではできなかった面を今度の法律ではこういうところで前進をさしたということがあれば、その点だけ簡明に説明願いたいと思うわけです。
  49. 川出千速

    政府委員川出千速君) 特に前進さしたというような点はないと思います。
  50. 田畑金光

    田畑金光君 従来の外貨割当制度というのは、どういう基準によってなされていたのか。これはまあしばしば質問に、皆さん方のお答えは実績主義というようなこと等が言われていたわけですけれども、従来の外貨割当においてはどういう基準で割り当てていたのか、それをまずひとつ。
  51. 川出千速

    政府委員川出千速君) 戦後外貨割当の歴史は変遷をして参りましたが、当初は設備割り当てをやった時代がございます。これは過剰設備を醸成するという弊害が非常にございましたので、それをやめまして、ただいまお話しのような実績主義、これは輸入数量の実績とそれから外貨割当の実績、その両方を併用しておるわけでございます。したがって、同じ外貨を割り当てられましても安いものを買った人はその次には得をするという面等もあるわけでございます。
  52. 田畑金光

    田畑金光君 そうしますと、今のお答えは輸入の数量とそしてまた外貨の割当実績に応じて割り当てをしてきて、設備の投資は基準に見なかったと、こういうことだと思うのですが、ことに私は、石炭との関係でいろいろ当委員会では問題になりましたので、三十四年以降三十六年度まで、三十四、三十五、三十六、この間の設備投資の状況というものがどのようになっておるのか。ここにたしか三十五年度は六百六十四億、三十六年度は九百六十億というような石油精製業の設備投資額が計上されておりますが、三十三年ごろから三十四年——三十五、三十六は今申し上げたようにわかっておりますが、どういう動きになっておりましょうか。
  53. 川出千速

    政府委員川出千速君) 三十三年、三十四年——三十五年等は今お話しになったような数字でございます。ちなみに戦後三十六年までの間にどのくらいの投資があったかと申しますと、約三千六百五、六十億でございます。
  54. 田畑金光

    田畑金光君 これが年によって何ぼ何ぼということを、幾らずつになっているかということを説明できませんか。
  55. 川出千速

    政府委員川出千速君) 三十年以降を申し上げます。三十年は百四十六億でございます。億単位で申し上げます。三十一年が三百三十八億、三十二年が三百四十六億でございます。三十三年が二百九十三億でございます。これは不況のときでございます。それから三十四年が三百六十七億、三十五年が六百六十億、三十六年の見通しは当初九百六十億でございましたが、若干減るわけでございます。九百二、三十億になろうかと思います。
  56. 田畑金光

    田畑金光君 従来は、先ほどの御答弁によりますと、設備というものは外貨割当基準に見ていない。ところがこれを見ますと、設備投資というのは相当毎年々々ふえてきておるわけですね。ことにですよ、ことにこの二両年来の設備投資の動きというものは私は相当大きな上昇カーブを描いてふえてきておると、こう見ておるわけです。これはもちろん自由化を控えていろいろ合理化その他、海外との経済競争の関係から、こういうことになったろうと思うのですが、今後の需要の見通しとそれから現在の設備の増大というか、強化というものとは並行的に均衡を得ながら相互に伸びてきておるのかどうか、この点はどのように見ておられますか。
  57. 川出千速

    政府委員川出千速君) 外貨割当制度をもとにいたしまして稼働率が適正になるように、需要の見通しのもとに稼働率が適正になるように設備を順次にふやしてきたわけでございます。したがって現在までのところ非常な過剰設備というわけにはいっていないと思います。
  58. 田畑金光

    田畑金光君 設備に対する稼働率はどの程度になっておるのか。今お話しによると、設備の過剰ではないと見ておられるようですが、私たち、はたから見る限りにおいては、相当にそれを潜在的な生産力というもの、能力というものは拡大し、ふえてきておると、こう見ておるので、そういう面からいうと、現在の外貨割当のもとにおいても、ある程度の私は遊休設備というものが当然あると、こう見ておるのですが、今の鉱山局長の説明のように、過剰設備でないと言い切れるのかどうか。
  59. 川出千速

    政府委員川出千速君) ただいま申し上げました数字は、これは石油精製設備だけではなくて、タンクあるいはガソリン・スタンド等の油槽設備も含んでおるわけでございます。  それから稼働率の点でございますが、これは実稼働能力に対して八〇%程度が適当なところではないだろうかという指導で現在まで参っておるわけでございます。二割ないし二割面分ぐらいの余裕はやはり持っておりませんと、需給の変動にたえられないわけでございます。各国でもそういうような状況になっておるわけでございます。現在それでは稼働率がどのくらいかと申しますと、これは七五、六%見当と思っております。なお、石油精製設備は最近は規模の単位が大きくなっておりますので、過渡的には一ぺんに十万バーレルの施設ができると、稼働率は下がるということはあるわけでございます。
  60. 田畑金光

    田畑金光君 通産大臣が三月の末でしたか、要するにことしは現在の経済の動きをいろいろ勘案されて設備の規制をなされると、こういうことで特に設備規制の重点としてこの石油精製設備を約三割制限しよう、こういうことがこれは四月五日の新聞等に出ていたわけですけれども石油精製設備というのは一番強く投資の規制を受けることになる。今お話しによると別段設備は余っていない、国際的な比較から見てもですよ、適当な設備と生産の関係にあると、こういうお話ですが、この点はどうなんですか。通産大臣から……。
  61. 川出千速

    政府委員川出千速君) 大臣お話しになる前に、数字についてちょっと事務当局から申し上げておきたいと思います。  先ほどから申し上げました数字は、これは行政指導をして押えて参った数字でございます。三十七年度の石油精製関係設備投資の意欲はきわめて旺盛でございまして、千三百億をこえておるわけでございます。これを今の需給の見通しから見ますと、これは相当圧縮をしないと遊休設備ができる。稼働率が非常に下がるということを考えております。
  62. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今石油精製設備の稼働率のお話が出ておりますが、これに対して先ほど来局長から説明いたしましたが、あるいは田畑さんのお聞き込みとやや違っておるような説明であって、御不満なんではないかと思います。私自身の感じから申しましても、通産大臣に就任いたしました当初、外貨割当がなかなか設備に対応しておらない。小さなところ、あるいは新しいものに対しては相当に割当率が低い。たとえば四割であるとか、あるいは正割であるとか、こういうようなお話業界から実は伺いました。ただいま申し上げておりますように、当初ある程度の実績主義を加味して増加分を割当して参るものですから、新しくできた工場等はその設備に対しまして十分稼働にたえるだけの割当をもらえない、こういう不満があったろうかと思います。そういう点は外貨の割当の面におきましてもいろいろ工夫して参ったように思います。しかし各社の実績等は、やはり消化能力にも影響して参るものですから、そういう点が行政の面でいろいろ工夫された点でございます。これは先ほど局長から申し上げました点をやや敷衍して申し上げておきますので、御了承いただきたい。また三月末に設備投資抑制についての通産省の総合指針を発表いたしました。これはただいま局長から申し上げましたが、石油関係を特に強く規制する、こういうような意図は毛頭ございません。全体の投資意欲はなかなか旺盛でありまして、私どもは大体一兆五千億前後にしばりたい、こういう気持を持っておりますが、十二業種全体の要望の数字をまとめてみますると、一兆九千億前後に実はなるわけであります。それをただいま申し上げるように一兆五千億、それが一兆五千百になりますか、一兆五千二百になりますか、その辺のところでとどめたいといたしますと、各業界に対しまして相当自粛をお願いしなきゃならない。これは各業種についてそれぞれ相談をいたしまして、業界の積極的御協力を得るようにそのお願いをいたしておるわけでございます。総体の数字から申して、ただいま一兆九千億のものが一兆五千億になると申しますと、二、三割のやはり縮減をせざるを得ない、こういうことに実はなるわけでございます。だから総体の考え方から言われまして、相当規制がきついのじゃないか、自分の業種だけとってみると、どうも三割になるとか、あるいは自分のところは二割五分になるとか、こういうようなことで、どうも自分のところを目当てにしているのじゃないかという批判があると思いますが、そういう特殊な業態を目当てにして設備規制をしておる、こういうことはございません。ただ私どもはこの規制をいたします場合に、非常にいわゆる選別投資ということを申しておりますが、今回の設備規制にあたりましても、将来の産業の発展に重大な影響を及ぼさないように、そういう意味では電力関係などの設備投資の抑制はどうしてもにぶる。思うようにはやれない、こういうものはございますけれども、その他の産業は全般として同じような気持で扱っている。これが実情でございます。
  63. 田畑金光

    田畑金光君 今日まで毎年相当額の設備投資ということに力を入れておられますが、またことしも石油業界としては千三百五十四億くらいの予定を立てていたのだが、通産省の指導としては、これを九百億前後に減らそう、こういうわけです。それはそれとしてよくわかりますが、毎年数百億の設備投資というものを、こんなに入れてきているのですが、この設備資金等について、国はどの程度のめんどうを見てこられたのか、これはあげて自己資本なのか、あるいは市中銀行の借り入れに依存をしているのか、あるいは国としても、こういう石油精製設備等に対して、財政資金等を、やはり今日まで相当入れてきたが、今後も相当これは入れていくのだ、協力していくのだ、こういう考え方に立っておられるのかどうか、これをひとつ承りたいと思います。
  64. 川出千速

    政府委員川出千速君) 精製設備設備資金につきまして、国が過去において、どのくらいめんどうを見てきたかという御質問でございますが、遺憾ながらその額は多いとは申せません。私のところで調べましたところでは、戦後港湾等も合わせまして、五十億くらいでございます。
  65. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま局長から申しましたように、石油業自体に対する政府の資金、いわゆるまあ鉱業としての国内開発等が、一般会計予算等で見られているものがございますが、その他の民間設備等は、あまり政府はお世話をしておらない。そういうことが同時に先ほど来問題になっておりますように、外資の導入も非常に活発であった、こういうことにもなるわけであります、一面から申せば、外資の導入については、政府はいろいろ条件その他について御相談にも応じ、お世話も申し上げた。だからそういう意味で、いわゆる財政投融資のほうはおくれた、こういうことにもなろうかと思いますが、まあいずれにいたしましても、政府石油業に対して今日業法を作る、それに対応するほどの処置は今までとられていなかった。これはもう率直に認めざるを得ないと思います。
  66. 田畑金光

    田畑金光君 まあ私大臣のその最後の御答弁で了解いたしますけれども、やはりこの石油業法という法律自体がその性格上、私はやはり石油国内市場についてはある程度は国の影響力におこうと、こういう一つの大きなねらいがこの法律にはあろうと思います。そういう角度から考えますと、言うまでもなく、今の大臣お話にもありましたように、わが国の石油会社を見ますと、二十二の大小の会社の中で、十二の会社が直接外資提携会社であり、あるいは間接の外資関連会社である。しかも純然たる民族資本といわれている会社でも、その大手を見ますと、ほとんど外資を借り入れている。そういうことを考えて見ますと、私はやはりこの法律のできた建前として、国内市場については、ある程度国の影響下におこう、それが燃料の安全保障という点からいっても大事な国の政策の基本だ、こういう角度からこの法律が生まれたとすれば、先ほど中田委員からもいろんな角度からお話なさっておられたようですが、ある程度は、ある程度というよりも、やはり国がこの石油資本投下等についても、あるいは探鉱について、あるいは研究所の問題その他いろいろにわたるけれども、ある程度資金的な面についても、国はもっと考えてみる性質のものじゃないだろうか、こう私は見ておりますけれども、この点もう一度ひとつ大臣のお考えを承りたいと思います。
  67. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほど申し上げたとおりでございまして、今、田畑さんのおっしゃるとおりの方向であるべきだ、重要なエネルギーの中心である石油業に対して、もう少し積極的にこれが拡大に協力をすべきだ、かように私は思います。ただ、その事柄が業法を作ったりいたしますために、非常に自由経済になれている業界が、もしもこれが逆に統制の方向にいくというような心配をするならば、それは違うのだ、そういう意味ではございませんということを、はっきり誤解のない形において、前向きで政府が積極的に援助する、かように私は思います。
  68. 田畑金光

    田畑金光君 それから、局長に端的にお尋ねしますが、現在の石油会社というのはもうけているのですか、どの程度の経理内容にあるのか、こういうものは各社別に、おそらく私は通産省のほうでは調べておられるし、報告を求めておられると思うのですが、どうなっておりますか。
  69. 川出千速

    政府委員川出千速君) 遺憾ながらそういう調査をやっていないわけでございます。経理の内容にわたるわけでございますので、そういう調査をしていないわけでございますが、いろいろ話も総合的に、これは聞いておりますところによりますと、実質上は半分以上くらいは赤字になっておるのではないかというようなことが報告されております。
  70. 田畑金光

    田畑金光君 これは行政指導はなさっておられるんだが、もちろん法律的に権限があって経理の内容まで立ち入るということは、なかなか、これは私企業だし、ことに外資系の入っている産業ですから、困難な面もあろうかと思いますけれども、最近の石油会社の動きというものは、あまりにも過当競争で、乱売が激しくなって赤字を出しているんだということをわれわれはよく聞くので、そういう意味からいうと、特にこういう法律もお作りになるのだから、もっと鉱山局長のほうでは実情を把握しておくべきだと思うのですが、これはできないですか。業界が拒否するというわけですか、指導してみても、その指導に応じないというのですか、あるいは報告を求め、説明を求めても、なかなかできないということなのか、その点はどうでしょうか。
  71. 川出千速

    政府委員川出千速君) 報告を求める権限もございませんし、これは会社の内部のやはり機密にわたることだと思いますので、そういうことをしていないわけでございます。
  72. 田畑金光

    田畑金光君 この法律ができても、結局それはできないわけですか。できないということになるかもしれないが、どうですか、この法律の運用上。
  73. 川出千速

    政府委員川出千速君) 具体的な問題になりますので、ちょっと私も判断しかねますが、報告徴収の規定はあるわけでございます。しかし、これは法の運用について必要最小限度のものであるということになっておるわけでございます。
  74. 田畑金光

    田畑金光君 あなたのほうからもらった資料によりますと、第二十表に「輸入原油価格の推移」ということで、三十一年から輸入原油の動きというものが出ているわけですけれども、たとえば三十一年は平均してCIF価格単格でキロリットルあたり七千三百三十三円、三十五年になりますと五千二百十三円、三十六年四千九百八十八円、非常な勢いでもって下がってきているわけですね。これは燃料が下がるということはけっとうなことだと思いますけれども、これは正常な経済運営あるいは正当な競争のもとで値段がこのように下がっていくのか、不当な過当競争とか乱売の結果こういうことになっているのか、この点はどのように判断しておりますか。
  75. 川出千速

    政府委員川出千速君) これは日本の市場が非常に伸びていく、世界的に見て非常に有望な市場でございますので、外国石油会社は競争をして日本に売り込みをしているわけでございます。そういう点から有利に日本原油の買付ができるような状態になっております。この輸入価格は、たとえばヨーロッパの諸国が買っている値段よりも相当に安いということになっております。有利に買い付けているわけでございます。
  76. 田畑金光

    田畑金光君 FOBの価格、それから運賃の動きが一体どうっているか、特に私がお尋ねしたいのは、中東の原油なら中東の原油日本に入れてくる、その場合積出港の渡し価格が一体どの程度になっているのか、それから運賃というものが一体今どのようにかかっているのか、これは運賃というものが、外国船を使うことによって、あるいは邦船を使うことによっていろいろ動きがあるようです。違いがあるようです。はなはだしいのになると、運賃の値段である会社にキロリットル二千円とすると、この会社においてはキロリットル千円という極端な事例もあるように聞いているわけです。そういうことは御存じですか。調査されておられるのか、どうなっているか、ちょっと伺いたいと思います。
  77. 川出千速

    政府委員川出千速君) ただいま手元に数字を持っておりませんが、わが国の輸入をしている原油のうち、八割近くは中東でございます。それからFOBの平均は九ドル十セントとか二十セントぐらいかと記憶しております。運賃は、これは長期契約をしている石油会社が多うございますので、高い運賃で協定しているところもあるでしょうし、あるいは非常に有利に安く協定をしているところもあるかと思いますが、大体標準で、中東から、円でいうと千五百ぐらいで、キロ当たりでございますが、入ってきているように伺っております。
  78. 田畑金光

    田畑金光君 その場合、今お話の船は外国の船なのか、あるいは国内のタンカーを使った場合一体どうなるのか、外国船と邦船とは運賃の取引契約において値段がどの程度違っているのか、高いか安いか、そういうことを伺いたい。
  79. 川出千速

    政府委員川出千速君) 外国から原油を輸入する場合のタンカーの、日本船の積み取り比率は大体五〇%でございます。半分は日本船で運んでいるわけでございます。それから値段の点でございますが、これは私専門でないのでよく存じませんが、外国船のほうが若干安めの場合が多いというふうに聞いております。
  80. 田畑金光

    田畑金光君 先ほどのお話の中で、契約によって、ある会社石油は高い船賃を払い、ある会社は安い船賃を払っているというお話ですが、しかし、自由な競争のもとに立っている場合において、値段がそう大きく高かったり安かったり開きがあるということはおかしいと思いますが、国際的な一つの運賃相場というものが海上運賃というものにはあるでしょう。それによって、いずれにしても契約は大体その基準に沿うように、締結されているというのが常識だと思うのですが、先ほどのお話によると、あるところは高く、あるところは安い、どの程度の開きがあるのか、その点は御存じありませんか。
  81. 川出千速

    政府委員川出千速君) やはり長期的に安定して確保するために、各社は所要のタンカーの全部ではございませんけれども、一定の割合を長期契約しているわけでございます。その場合の会社のふだんコマーシャルベースでやるわけでございますが、見通しによって、商い契約を結んだところもあるということを申し上げたわけでございます。各社によって非常に差があるという事態ではないかと思います。
  82. 田畑金光

    田畑金光君 今お話しのように、各社によって非常な相違があるというところに、もっと解明すべき点がありはせぬかとお尋ねしておるわけなんです。というのは、今お話しのように、五〇%以上が外国船で輸送されているわけです。しかもまたわが国の石油資本のちょうど半分というのが、直接の外資が入る会社によって支配されておるわけです。民族系会社の運営というものと、外資系の会社の運営というのは、経営の内容によっても、私は、調べてみると、いろいろな問題があるのじゃないかと、こうみておるわけです。率直に言うと、外資系の会社は、高い運賃を払ったことにしておると、したがって、日本における経理あるいは営業の収益というものは非常に低くなっておる。そういう面で、たとえば税金の問題でも、それが、もちろん、営業利益が少ないから、安くなっておるという問題もあろうし、あるいは高い運賃というものを、長年の契約によって運賃契約をやって、高い運賃を払いながら、その実、それが隠し財源になって、内部留保資本になり、それが設備のほうに回されておる。こういうような点等もあるやにみるのですが、その点はどうですか。
  83. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) この運賃はいろいろのきめ方がありますが、航路同盟の非常にやかましいところは、これは運賃が会社によって違うということはないわけなんです。ところが、今の石油のタンカーは、国際運賃が非常に変動を来たしている。長期契約をいたしましたときの運賃が、レートが高いと、そのまま運賃契約が続いていく。その後、国際運賃が下がっても、一たん結んだ長期契約だから、そのままいくわけです。また今度は、逆に安いときでも、その安いレートで契約をする。そうすると今度は、一般運賃が上がりましても、それは引き上げるわけにいかない。こういう実は問題になるわけです。ですから、今の長期契約できめたという、そのときの海上運賃のレート、それを採用しているということ、だから、その契約時と現行が相違しているということなんですね。それからまた、これはタンカーの場合だと、そういう長期契約をやりますが、長期契約じゃなしに、そのつどの荷主並びに運送船だといたしますと、そのときの海上運賃できまっていくということなんです。だから、その運賃のきめた時期によりまして、幸、不幸が、製油会社にもあるが、船会社にも実はあるわけなんですけれども、同時に、長期契約をするから、輸送上は一つの寄りどころがある、こういうことにも実はなるわけです。この点は、相当過去においても問題を起こしているのです。たとえば船会社のほうから申せば、安いときに長期契約をやった。海上運賃はその後高くなった。そうして自分たちの契約を解除して、フリー・ランサーで、どこかの荷主と結べば、その輸送力をそちらへ振り向け得る、こういうような場合も起こるのですね。だからその長期契約の場合は、解除は容易にできなくなっている。その申し合わせが非常にきついですから、ただいま言われますようなレートの商いときに長期契約を結んだものは、途中で安くなりましても、下げるわけにいかぬ。またレートが安いので、結んだ契約は、船会社の都合でこれを高くするわけにもいかぬ。結局、海上運賃は、そのときの需要の強弱によりまして、実はきまっている。これは国際レートの建前なんです。かように思います。今の高い条件で結んだとか、あるいは安い条件で結んだというのは、そのときの海上運賃のレートで大体きまっているということでございますから、誤解のないように願います。
  84. 田畑金光

    田畑金光君 時間の関係もありますので、公取委員長、よろしゅうございますから、どうぞ。  最後にもう一つだけ、大臣にお尋ねしておきたいのですがね。今度の法律案というのが、このエネルギー懇談会の答申によって、答申を尊重してというか、できてきたわけですが、先ほど申し上げたように、この答申の一番大事な柱というのは、その多数意見の中に出ておりますように、「近い将来に石油の輸入自由化が予定されているが、無条件自由化に移行した場合、従来外貨割当制度によって対処してきた国産原油アラビア石油等の特殊原油の取扱い、石油業界における過当競争、少数の資本による市場支配等の諸問題が深刻化し、やがては右の石油基本政策の遂行に重大なる支障を生ずるおそれなしとしない。」こういうような書き出し方から、例の特殊原油あるいはまた国産原油の取り扱い機関として、特殊法人の設置ということを強くうたっているわけです。私はやはりこの法律案を通産省当局が準備されたあの過程においては、この法律案の中に、当然国策会社としての特殊法人の設置というものを、一緒に出してくるのじゃないだろうか、こういうことも実は期待していたわけですけれども、これがいつの間にか、業界の反対やあるいは需要業者の反対等があって、なくなったわけですね。私はやはりこのエネルギー懇談会の答申を尊重し、あるいはこの石油業法案のねらっている今後の石油行政のあり方というものを考えてみるならば、どうしても、私はこの特殊原油を取り扱う国策会社を設けるということは必要だと、こういう感じを強くしているわけですが、いろいろこの点について、衆参の関係委員会において、通産大臣の御答弁は、読んで聞いておりますけれども、何か趣旨はしごく傾聴すべき御意見だということは言っておられるが、傾聴だけで終わるのでは困ると思うので、この点をもっと率直に、どういう考えを持っておられるのか、伺いたい。
  85. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) この石油政策に関するエネルギー懇談会の中間報告、これはもう詳細にお読みのようでございますから、中身は重ねて申し上げませんが、その中間報告の多数意見というその中の第三の中に、「政府出資および石油精製業者、電力、鉄鋼等大口需要者の民間出資による半官半民の国策会社を設立するものとし、その構想については、次の二案が考えられる。政府は、この二案の利害得失を詳細に検討し、早急に具体案を決定すべきである。」、こういう実は報告を受けております。A案とB案が出ているわけでございます。これが多数意見でも、なお、A案とB案と二つに分かれておりますように、最終的結論が出ているわけではないと思います。政府が問題を取り上げて提案するという以上、具体的にその方向がはっきりしなければ、そういうことをすべきことではないわけでございます。このエネルギー懇談会自身の中間報告をみましても、なお、最終的な段階にまでは至っておるとは思いません。言いかえますならば、この案はとにかく検討をするに値する案には違いないと思いますが、案そのものとしてはなお未熟だということを言わざるを得ない。で、政府がそういう未熟なものについて直ちに結論を出すということは、これはなかなか容易なことではないと思います。そういう意味政府は慎重に検討しておるというのが現段階でございます。だからただいまこういうものを作るとか、あるいは作らないとか、こういうことをもちろんきめてもおりませんし、また作るという方向になれば、どういうようなものを作るか、こういうこともまだ検討の途中でございまして、そういうものを具体的に発表したり説明したりするような段階でない、これが実情でございます。私どもはこの中間報告をせっかく受けておるのでございますから、この趣旨は十分尊重していきたいと思います。この問題につきましては、先ほど来いろいろのお話があり、こういうものがなければ不十分ではないか、こういう御意見がございましたが、私はやはり業界協力協調態勢ということが一番望ましい姿だと思います。そういう意味において関係の方々の積極的協力を得ることがまず第一の目標であり、またその仕事である、かように思います。今回幸いにしてこの石油業法案が両院で成立をみましたら、この業法案の実施に当たりまして業界の積極的な協力を得る、そうしてこれが協力を得たら、もうその必要はないというならば何を好んで次に進めていくか。だから問題は業法が制定されて実施にあたりまして、なお、遺憾の点があるとか、まだこういう点を工夫すべきだ、こういうものがあれば、政府はその責任において、これは検討し、結論を出すべきである、かように思う次第であります。
  86. 田畑金光

    田畑金光君 今の点はそのように承っておいてよろしゅうございますか。ちょうど石炭の例の五千五百万トン需要確保の問題に関連して、そうして産炭地振興事業団というものが今度の国会でできたわけですけれども、石炭の需要確保の意味で、産炭地振興事業団が揚げ地発電あるいは産炭地発電をやってみたらどうかというような動きに対して、結局政府が中に立たれたかどうかは別にして、九電力会社が石炭をさらに三百万トン使いましょう。やめておいてくれ。こういうことで長期契約がさらにそこにできたわけですね。ちょうど同じように今のお話しは国産原油あるいは特殊原油について、政府が中に立ってあっせんして、精製会社等が将来長期にわたりスムーズに引きとってくれるならば、政府の行政指導に協力してくれるならば、あえてこういう特殊会社を作らなくともよろしい、当分の間はその業界協力協調の動きを見守ってみよう。もしそれができないということになったら、政府はあらためて特殊会社を考えてみよう、こういう構想で進めてみよう。こういう意味に解していいのか、これがひとつ。  それからもうひとつは、これは中間答申ですが、このエネルギー懇談会はまだ審議継続中だ、こう思うのです。最終的な意見としては、かりにA案ならA案、B案ならB案と、やはりこういうことが必要だというエネルギー懇談会が答申した、そういう節には、通産大臣としても、エネルギー懇談会の答申を尊重して、こういうものを作ってみようと、こういうことなのかどうか、どちらですか。
  87. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 第一のあげられた例がちょっと不適当で、これは石炭関係の議員の方々からいうと、ちょっと誤解を受けるのじゃないかと思いますので、その点ちょっと直させていただきますが、いわゆる長期引取契約、電力会社が三百万トンというものをさらにふやす、そういう積極的協力、これは大へん至極けっこうなことで、これはそれでよろしいのですが、今お話になりましたうちに、三百万トンとってくれたから、産炭地発電をやめたかのようなお話がございましたが、ここが実は問題なんで、それを政府がやめたと申したこともございませんし、この御審議の過程におきまして、電力会社が引き取る三百万トンは三百万トン、さらに積極的にその発電計画なども政府が進めて、炭の消費量をふやすように実は計画いたしておりますから、この三百万トンの話がついたから、産炭地発電、揚げ地発電はやめたのだ、こうきめてお話しになった……。
  88. 田畑金光

    田畑金光君 三十七年度だけの話です。
  89. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 三十七年度だけの問題は、これは予算に出ておりますから。その点は誤解のないように願いたいと思います。まあ問題は、そういうことを別にすれば、とにかく業界協力が一番必要なことなんです。業界協力が必要でございますが、エネルギー懇談会だって業界協力の必要なことも百も承知で、この中間報告を出しておるのだと思います。また衆議院委員会において附帯決議にそういう条件がついておりますのも、そんな私の説明をもってしても、なおかつ衆議院はそういう決議をされた、また近く発足いたします総合エネルギー部会においても、この問題は必ず検討されることだと思います。政府自身はただいま政府の立場においてこの問題を検討をすると、こういうことを実は申しておるわけでございます。まだ検討中であって、そうして、その結論が出ておりませんと申し上げておる。だから、これから、検討した結果、幸いにしてそんなものを作る必要はない。こういう結論になるか、あるいはまた衆議院の附帯決議もあるし、中間報告もあるし、あるいは総合エネルギー部会も同じような結論を出すとか、またその実情を、自身もどうもそういうものが必要だと、かように痛感するような事態になれば、これは政府はもちろん積極的にそういう問題と取り組む、積極的に取り組む、こういうことを実は申し上げておるわけでございます。これはひとつ誤解のないように願いたいと思います。
  90. 吉田法晴

    吉田法晴君 時間がございませんから、なるべく簡単に御質問申し上げたいと思うのですが、第一点は衆議院で修正がございました。その修正の意味を、これは附則の分です。参考人に来ていただいたエネルギー懇談会の徳永さんに聞きますと、再検討条項の中から半量ですか、三分の一ぐらいですか、削られたけれども、再検討条項自身の精神はそのまま残っておるのだ。こういう御答弁でしたが、政府としても御同様に考えておられますかどうか。これの修正条文の解釈について。
  91. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 参考人の意見、同様の趣旨に変わりないと、かように考えております。
  92. 吉田法晴

    吉田法晴君 先ほどの同僚委員中田君なりあるいは田畑君なりからも質問が出ておりましたけれども、その総合エネルギー対策と、それから、この石油法律との関係、これは石油業法の中でもいろいろ問題がある。それから石炭等その総合エネルギーの中でもいろいろ問題があるが、石油サイドからいっても、中にいろいろ問題があるし、それから、石炭等その総合エネルギー対策が立てられてから石油業法が作られるべきじゃなかったか、こういう議論等もあるわけですね。どういう工合に対処されていくか。これは同時並行にやるということになるかと思いますけれども、いろいろ問題点を早急に政府としても立てられなきゃならぬことだと思うのであります。どのようにお考えになりますか、総合エネルギー対策の中における石油業法の地位、それから石油業の内部の問題とそれから外の問題等を政府としてはいつごろまでにはっきり確立をしたい、こういうことなのか、その辺を……。
  93. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これは、この委員会においてしばしば論議されたのでございますが、私はエネルギー源である各産業について、それぞれの立場においての整備を急いでおります。たとえば石炭なら石炭産業についての産業体系の整備、あるいは原子力発電は原子力発電の部門としての整備、あるいは水力発電については水力発電の開発一つの方向、それと同様に石油につきましても、石油業自体の問題としてこれをひとつ取り上げていく。しかして、これらの相互関係における総合的な施策、もちろんそれを考えないわけではございません。それぞれの業界が整備されて参りますと、そこに接触あるいは競合、そういう関係が出てくる。それをその次の問題として、総合エネルギー対策という観点に立って調整していく、こういう考え方でございます。だから、ものの考え方がいわゆる総合エネルギー対策という一つのワクを最初からきめて、その中における石油業界のシェアが幾ら、あるいは石炭業界のシェアが幾ら、こういうふうにきめていく行き方もあろうかと思いますけれども、こういう方法はとらない、こういうことを実はたびたび申しておるわけであります。今回は、それぞれの業界についてのあり方等も漸次明確になって参りますので、この際に、各界または各政党の御要望等もございますので、総合エネルギー対策、これを樹立する、そうしてその中における石油業界の地位あるいは石炭の位置づけ、こういうようなことを順次考えていこう、かように思うわけでございます。総合エネルギー対策の部会は、今の産業構造審議会、その部会を強化していく、こういう考え方でございます。
  94. 吉田法晴

    吉田法晴君 この総合エネルギー部会とそれから石油審議会との関係はどうなるのか。これは制度上の関係はございません。しかし、石油の数量それから価格というものがもちろん問題になると思いますけれども、テンポといいますか、これは必ずしも同じ方向へいくわけでもないでしょう。その辺の総合といいますか、調整は、どういう工合に考えておられますか。
  95. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) もちろん、ただいま御指摘になりましたように、同一の機関ではない、あるいはテンポも違う、こういうことで内部的な調整はうまくとれるか、こういう御心配がおありのようでございますが、エネルギー部会におけるやはり各界の権威者ということになりますと、人的にはかなり重なる場合が多いのじゃないかと思います。また、もちろん役所自身がそういう関係の調整の衝にも当たるわけでございますから、ただいま御懸念になるような心配はまずないんじゃないかと、かように思う次第でございます。
  96. 吉田法晴

    吉田法晴君 この法の基礎になっておりますあるいは内容の中で、結局、調整という問題とそれから自主性という問題が、数量に一番関係をして問題になることだと思いますが、先ほど来、あるいは資本の問題、それから輸送の問題等も出ておりましたが、法案をめぐっていろいろ意見の出ておりますのは、いわばやっぱり内部の意見、それは、外国資本の入っておりますもの、あるいは民族系国内石油、それからアラビア石油と、それぞれその地位それからその存立をやっぱり守りたいためにいろいろ意見が出ておる、あるいは意見の食い違い等も出ておるのじゃないかと思うのでございますから、抽象的に言えば調整と自主性の調和というものをそれぞれの業界といいますか、系統はいろいろございますが、保障をしながらやると、こういうことになるだろうと思うんですが、この点について通産大臣としてどういう工合にお考えになりますか。
  97. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) たいへんむつかしいお尋ねであり、まあここがいちばん苦心を要する点じゃないかと思います。私ども保守党から申せば、これはもう自由経済、資本主義経済、こういう表現がされております。その立場から立つと、いわゆる経済上の諸原則、これは強く頭に出てくるわけです。非常に露骨な言い方をするならば、エネルギー源は安ければ安いほどよろしいじゃないか、またその間においては業界自由濶達な自由競争に任すべきじゃないか、こういうのが経済原則だと思います。しかし、その経済原則どおりにやれないものが実はあるわけなんです。それはいったい何なのか。やはり政治的考慮を払わなきゃならない。国内資源というものは、これはやはり育成強化していかなきゃならない。あるいは雇用の問題もこれは軽視ができない。あるいは外貨の支払の問題、これも経済本来の重大な事柄だと。こういうような点を政治的に考えていかなきゃならぬ。で、完全な自由経済なぞ今主張する人はどこにもないと思いますけれども、しばしばそういう意味では誤解を受ける。この両者を調整していくのが本来の実はいちばん大事な使命であり、そこに政治というものがあるのだと、かように私は考えておるわけでございます。一面、経済的な原則が軽視されて政治的考慮が強く反映いたしますと、いわゆる国際経済の発展にはなかなか対応し切れないだろうと思う。また、国際経済の発展、これを強く考えたら、国内産業というものはみんなつぶれてしまうのだろう。そこにむつかしさがあるのだと思います。そういう観点に立っての具体策を考えていく。こういうことになった場合に、たとえば今までこの委員会でいろいろ議論になっておりますが、競合エネルギーとの関係はまず調整がとれるだろう。同時にまた国内部門においての競争相手であるあるいは民族資本あるいは民族系あるいは特殊の油、こういうようなものと一般の英米の油と、同時にこれはソ連の油も考慮のうちに入ってくるわけです。そういうものを今度区別ができるかと申しますと、油部門としてはそれはできないだろうと思う。ただ、できるのは、国産あるいは民族系のものを油ではあるが競合する他の産業と同じような位置づけにおいてめんどうみることは、これは政府の当然の責務じゃないか、かように実は思う次第でございます。で、ただいま吉田さんのお尋ねになりますことがあるいは具体的にワクをどういうように考えるかというような問題でございますれば、ただいまそういうものをまだ発表する段階ではもちろんございません。行政なりあるいは政府考え方がどうかと言われれば、以上が率直な私の考え方でございます。
  98. 吉田法晴

    吉田法晴君 国内産の石油の保護といいますか、あるいは助長といいますか、探鉱を含めて、これは何ぴとも異論はないところだろうと思う。それからその他の近くより遠くに及ぼす影響というのは当然のあれだと思うんですが、その中で資本の相当のものが外国から入ってくる云々の点から資本の点も問題になりましょう。それから輸送の話が出ましたが、日本で作った船、それも外国に輸出をする船は安くて、運賃も安くなる。同じ日本で作った船で、それを石油運ぶ場合に、これはその運賃が安くなるといったような現象についても、これはやっぱり考えなければならぬところがあると思うのですが、そういう問題を含んで、探鉱についてのこれは飛躍的な助成——まあ組織を含むです——この点はまあ決議等にもなっておるところですが、お考えをされておると思うのですが、その他の点についても、これは質問の中でいろいろ述べたことも、これはおそらくそれぞれ考えていただいているところだと思うし、石油政策としてやっていただけると思うのですが、ただ問題は、これは準国産という意味においては、そのアラビア石油についても特定関係があるという点を私どもも認めるにやぶさかではないのですが、ただ参考人等の意見を聞いていても、現在の生産量の引き取りはできるが、一千万トン・ベースになったときにそのまま引き取れるかどうか。問題は、ここに、この法案についても実質的にかかっているところが相当あると思います。その引き取りについて、これは私は、若干そのアラビア石油なり、あるいはアラビア石油と、これは通産大臣も若干関係がございますが、政界との関係等からいって、私はやっぱり問題のところが一つあるように思いますので、それを政府の力で、まあ買取機関を通ずるか通じないかは別問題として、何といいますか、いわば無理にも引き取れという態勢を作ることはどうかという感じもいたします。そこで参考人にはどれだけのとにかく引き取り交渉がなされておったか、あるいは見通しはどうかという点を双方に聞いたんですけれども、確答が得られませんでしたが、政府としてどういう態勢で臨んでいかれるのか、具体的に承りたいと思います。
  99. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今国内資源の開発において探鉱等に特別な予算措置を講じろ。これはもう努力はいたしましたが、十分のものは出ていないわけであります。なお、今後とも引き続いてそういう方向で政府は施策を進めたい、こういうことを申したわけであります。  それから、第二の問題で、先ほど申しましたことにおいても、やや誤解を招きやすいと思うのですが、これは誤解のないように願いたいのは、扱っておる油について実は申し上げておるので、国内会社はこれはもう全部日本会社でございますから、日本会社である、その意味においては、外国から油入ってきても、産業としては国内産業だと、そういう意味で同一に政府は考えなければならぬ、これはもちろんでございます。ただ、今申しますように、国産原油を採掘するとかあるいは特殊原油を扱う会社というのは、その油自身を第一に考えた場合に、利益をやはり会社が受ける、そういう意味において、会社自身について差等をする何ものもございませんが、ただその扱っておる品物等の関係から、事業の発展におのずから制約を受けるということもあり得るかと思います。これは、今そういうことをするという意味じゃございません。そういうものが将来の発展の点であるわけであります。ということを申すわけですから、ここは誤解のないように願いたい。これは、外国資本が入っておる会社にいたしましても、日本会社であり日本産業であることには間違いはございませんから、その点の誤解のないようにまず願いたいです。  でただいま一番問題になりますのは、国産原油なりあるいは国産ガスあるいは北スマトラ問題でもなく、アラビア石油が具体的な問題としては一番問題になる。それで、アラビア石油の発展の今日までの状況、これは、私がたびたび申し上げますように、海外進出の場合に、政府自身も、こういう会社は一体どうだろうかというこの点を十分検討した、北スマトラの場合も同様ですが、この国外資源開発に積極的に政府も乗り出す、それに協力する、こういう態度閣議了解できめたと思います。また日本財界トップ・レベルの方々も、この海外資源の開発に非常な積極的協力を示された、こういうまあ経緯から実はでき上がっておる。その経緯自身が今後の運営上に、政府の取り扱い方としてどう出てくるか。もしもこれが露骨に出て参りますと、それは特殊な会社に対して特殊なめんどうをみると、それならばその特殊な会社でなきゃならぬというような御意見に必ず出ていくものかと思う。したがいまして、ここらにまあ一つの問題、限度はあるわけです。との会社は純然たる民間会社だ、ただしかし、これが海外に出ていく場合においてですね、ただいま申し上げるように、まあ協力するという意思、気持は十分あると思う。こういうように実は思うわけです。で、これはただいま申し上げる政府の意図といろよりも、財界トップ・レベルの人たちがこれに出資し、これに協力しておられる、その姿から見るとですよ、なるほど競争の関係にはあるが、国内における製油業者とも十分お話し合いつけるならば、これはアラビア石油自身それが全部シャット・アウトすると、こういうことは考えられない、こういうように実は思うわけで、まずそれが一番大事なことだと、そういう意味財界各界のまあ協力方向で、このアラビア石油開発を盛り立てていくと、これがまあ政府の気持だということを実は申し上げておるのであります。  ところで、三十六年は百五十万トンのアラビア石油原油が入っております。この百五十万トン程度であれば、これは大体消化が容易であったと思います。しかし今問題になっておりますのは、この三十七年度、まあ一千万トンとは申しませんけれども、六、七百万トン、六百五十万トンとかあるいは七百万トンとか、こういうような数字がうわさされております。こういうことになるとですね、非常にその業界としてもこれの引き取りに苦労をするだろう。そういう意味から、まあアラビア石油自身が今まで、将来の発展を考えれば、自分と特別の関係のある製油所を作りたい。あるいは大阪だとかあるいは静岡の沼津付近に土地を選定したり、いろいろ計画もあるやに実は聞きますが、まあ急場の間には合わないだろうと思います。そういう点を今後行政的にいかにあんばいして参りますか、よくひとつ協力を得ること、そういう方向で話をまとめるという以外には、実は方法はないのでございます。これはまあ今までの経緯なりまた財界の方々の協力態勢なりが出ておりますから、そういう点をまあ政府がどうこうするのではなくて、財界においてやはりアラビア石油が成り立つように御協力が願いたいのだと、かように実は思う次第であります。
  100. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると、昨年なりことしの前半については、これは引き取りの問題はなかったし、また問題はないだろう。まあ十月以降になったらどうかと、こういうまあ問題。それに対して石油業法反対、賛成の根拠の中には、今話の中にもありましたが、その民間ベースとしてですね、引き取り交渉ができるならば、契約ができるならば、統制的な機構なりあれを作る必要ないじゃないかという意見と、いや需給計画を政府が定めなければ云々ということで、いわばその政府の責任でですね、需給計画を立てなければ消化ができないじゃないか、こういうまあ二つの案があったわけですね、この法律をめぐって。ですから大臣の答弁は、それは統制的にあるいは強制的に買い上げさせる態勢なり機構なりを作るよりも、民間の協力を得て引き取れるようにすることが本質だと、大体だと、こういう御答弁であったように思うのです。そうですか。
  101. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) そのとおりでございます。
  102. 吉田法晴

    吉田法晴君 それからもう一つ、その条件についてですね、まあ問題が実質的にあるわけですが、今大臣は、沼津、大阪等で製油施設を作りたい云々という話をされましたが、アラビア石油自身は否定をしておるのです。まあ、土地を物色しておられるらしい云々という点は、私ども多少聞き及ぶわけですけれども。それから、価格が、FOBで買い取ったら、それから先は何といいますか、アラビア政府の側からいうと、それは関係がないんで、これはまあ契約で利益の五六%をアラビア政府に納めなければならないことになっている。そうすると、それは国内にも及んで、国内精製設備を作ったり、いろいろしますと、その末端まで、あるいは財産までついて回って、精製設備を作る、日本で作ると、五六%資産の権利がアラビア政府にできる、こういう問題等もあって、この契約に何といいますか、公正ならざるものもあり、それが販売価格にも影響がくる、製品にも影響してくるのじゃないか、そういう国際的にいってみても、北スマトラなどに比べれば、明らかに不利になるものを、それを国内に持ち込んで、しかもそれを政府なら政府がバック・アップをして売りさばきに協力しなければならぬか。そういう点は、これは契約自身にも問題があるが、政府自身にも問題があり、それをバック・アップするということになると問題があるじゃないか、そういう話の根拠ですが、その点はどういうことなのか。政府がこのFOB価格の範囲内で日本に引き取るので、日本に来てからの利益、あるいは財産等については問題はないんだ、不公正なものをバック・アップするところまでものあれはないんだと、こういう態度なのか、その辺をひとつ伺いたい。
  103. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) このアラビア石油が現地の王様と結んだ契約内容を、またここでそれを論議することは、私はあまり適当だとは思いませんが、大体その結ばれたものが、各段階における利益について分け前をとる、たとえば原油を掘ってそれを売る、そうすると、その場合に幾らのパーセンテージ、また同一の会社で船で輸送していればその段階、あるいは製油にかかればその段階、また販売すればその販売の段階、こういうことで、これはまあひとつ非常に非難をされておる契約でございます。こういうまあ契約、そういう不利な条件だと考えられるものが、新しく進出する場合にやむを得なかった、こういうことを会社側では申しておるわけでございます。  ところで、私どもいろいろ工夫しているわけですが、先ほど申したのも特別な会社の製油施設ということを実は申しました。そういう意味なんですね。アラビア石油とは別会社で、アラビア原油精製する、そういう目的でできるなら、これは契約外の事柄である、こういうことが実は言われておるのです。何かそういう意味で、アラビア原油の採掘をやっておるアラビア石油会社事業発展、これに協力するという特殊な製油業者が出てくれば、これはもうそれでけっこうなんですがね。別に新しいものを作らなくても、今ありますものでも、そういうことは可能だと思うし、またそれだけでは能力が不十分だといって別会社ができて、原油はそこからもらうのだと、こういうことになれば、この点は済むんだと思うのです。まあそういう意味で、特殊な工夫をするということが実は言われるのじゃないかと、かように思います。またもう一つは、ただいま言われます運賃の問題におきましての建値の問題、これは結局アラビア石油がどういうようにさか立ちをいたしましても、国際原油価格、これにさや寄せしない限り、立ち行くものではない。だから、これはしばしば事務当局からも説明しておりますように、アラビア原油国際価格であろうということを申しているのは、そういう意味でございます。いろいろ困難な問題はあろうかと思いますけれども、今のアラビア石油自身が製油業までみずからの手でやる、みずからの手で販売組織まで持つということ、これは現実にアラビア石油の資金等から申しましても、それは不可能なことだと思います。だからこの契約がどうあるということももちろんでございますが、アラビア石油自身の力にいたしましても、無限大ではないわけでございますから、これらの点はあまり議論することが現実離れするのじゃないかというような感じが私にはしております。
  104. 吉田法晴

    吉田法晴君 鉱山局長からそのとおりかどうか。こまかい行政は大臣にお尋ねしているわけじゃないのだから、鉱山局長に伺いたい。  もう一つ。その輸送についても、アラビア、それからクエート、それからその他の船ということで、いわば船会社からも、日本の海運界からも、アラビア石油資本の参加があるようだけれども、実際には日本の船で輸送をするということはなかなか困難なような条件に聞いているのですが、アラビア石油自身の船、それが第一点。  それからアラビア、クエート、それからその他の船、こういう順序になっているという話ですが、問題は、そういう条件日本に持ってくる場合に、どうしてこのいわば、通産大臣国内の製油工場を別会社に作ればいいじゃないか、こういうことでありましたが、いわば不公正な取引契約内容をどこで切ることができるか、こういう問題、それをとにかく日本に押しつけるような態勢になっては、やはり問題があるのではないか、こういうことですが……。
  105. 川出千速

    政府委員川出千速君) 先ほど大臣が御答弁になりましたとおりでございまして、非常な激甚な競争のさなかに、しかもスエズ動乱で、アラビア民族主義がきわめて高揚しておって、従来の欧米諸国以外のAA諸国と協定をして石油開発をしたいというような、さまざまな環境のもとに、外国と競争をして利権を獲得したものですから、大臣から申しましたように、そういう点は表面上不利な、今までにちょっと例がなかったような条件になっておりますが、アラビア石油としましては、自分でタンカーを持つ計画もございませんし、それから工場等を自分で一貫してやるという計画もございません。したがって協定に関する表面上の不利益についての実害はないと考えております。
  106. 吉田法晴

    吉田法晴君 その実害はないものという、実害をあらしめない方法をどうするか。それから、これは私ども委員会でなくて党で聞いた、党の話を総合しますと、石油の価格が、アラビア石油の価格がFOBで引き渡すのだし、それからそのFOB価格の範囲内で五六%、こういう話ですが、それに間違いはありませんかどうか。それから不利益な条件を押しつけないためには、政府としてFOB価格ならFOB価格で保証する、それから国内での精製等についてもその点は間違いない、こういうことが政府として言えますかと、こういうのです。
  107. 川出千速

    政府委員川出千速君) 間違いないと思います。
  108. 吉田法晴

    吉田法晴君 最後に、その調整と自主性の中で、アラビア石油は準国産というか、そういう取り扱いをしている。その根拠については閣議了解云々という話がございましたが、国内石油生産をする、石油の育成、助成については私どもとしても全面的に推進をしたいと思うし、それからスマトラその他についても、それは形は問題になります。かつてのような、いわば帝国主義的なあれになっては相ならぬと思うし、その点は厳重に戒心をしていかなければならぬと思いますけれども、しかし、この国産に準ずるような石油資源の確保ということについても、われわれもそれは関心を払わざるを得ない。それからその資本の構成がどうだかということで、重要な産業の中に外国資本が支配的に及ばないようにという点は、これは資金の点もあって、今後助成するように努力してもらいたいという話を私どもするわけですが、ただ、そのアラビア石油の成り立ちが、これは岸内閣時代であったと思うのですけれども政府が公正に取り上げ、あるいは財界の中心も協力的であったというようなお話ですけれども、公正に見ても、これはまあ私の点はあまり言いたくございませんが、あの当時、これは岸総理個人の性格かもしれないと思うのでございますけれども、御存じないかもしれませんが、南方漁業等に、これはつぶれかかった船会社に、二流会社から融資をするということで、つぶれかかった船会社をもり立てた。それから九州で国有財産の払い下げの際に、アジア何とか学会というか、学校という点、でございましたが……。いわばその政治、これは国際的な賠償なんかの話の際にも利権的な話が行なわれたり、それから政府の金なりあるいは財政資金を投下するときに、不公正なあるいはその人を疑わしめるような事例がたくさんございました。そこでそのアラビア石油の場合にもアラビア石油にこれは国からの援助がなされたけれども、岸総理といいますかのやり方については、これはその形において善意を疑わしめるようなものがやっぱりあったように思うのです。で、アラビア石油について、これは佐藤通産大臣であるか、個人であるか知りませんけれども通産大臣佐藤さんのいわば系統の人が入っておる。この間お目にかかった菅野さんというような、この前あなたが官房長官をしておられた時代に副官房長官をしておられた人。それから子供さん等も入っておられたようですが、そういう私の関係等がアラビア石油に対する政府態度について、国民をして疑わしめるようなところがあるので、私はとにかく残念に思うわけです。それは杞憂にすぎないと言われるかもしれませんけれども、一部言われているところでは、引き取りの問題についてもアラビア石油ならアラビア石油が自身で引き取りの交渉について最善の努力をされる前に、政府なりあるいは政界に働きかけて、その引き取りについて、あるいは今後の育成について、強力の施策をやらせようとするのではないかということもある。これは去年のことですけれども衆議院からエネルギー調査ということで各国を回られました。その団員の中には、当時の通産政務次官である始関君も入っておられたわけです。ところが、これは政府の金で行かれた、あるいは国会の金で行かれたというよりも、エネルギー関係者の、とにかく会社からの寄付でもって行かれたように私ども聞いているのです。そうすると、これはまあどういう経過であったのかわかりませんが、そうすると、やっぱり石油政策というものについて、あるいは燃料政策というものについて不公正なとにかくあれが行なわれているのじゃないか。あるいは石油業法をめぐって、あるいはアラビア石油の今後の引き取り態勢をめぐって、相当の金がばらまかれているというようなうわささえも若干聞いたりするのも、そういういわば不謹慎なことがなされた私は結果だと思うのであります。せっかくの政策がそれを疑わしめるようなことがあっては、私は問題だと思うのです。ですからアラビア石油と岸さんと関係のございました、佐藤さんと関係もございますが、そういう弊害はなからしめるように、やっぱり通産大臣として石油業法審議願う、あるいは通していこうとするならば、通産大臣として、はっきり言明をなさるべきだと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  109. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これはたいへん率直なお尋ねでございますので、率直にお答えいたしますが、なるほど岸内閣時分にこのアラビア石油アラビア資源開発という問題が起こった。同時に、北スマトラの問題もその後でございますか、起こったわけであります。当時の模様などは私の記憶にもございます。いろいろアラビア諸地域における民族自立運動と申しますか、そうして在来の植民地政策に対する非常な反抗気運が強かった。そういうところに投じての新しい進出だ、こういうことでございますね。ただいま国連に行っている岡崎君など、これは当時クエートあるいはアラビア等と積極的に交渉を持った人でございます。その結果、あすこの地域的な領土、あるいはペルシャ湾の海域の開発どもそれぞれの国の範囲が決定され、そしていわゆる領海外の地域だと思いますが、海底油田開発というようなことにまで実は発展したわけであります。そして隣にはアラムコというような巨大な国際資本が出ているのです。それに近接してやる。これは非常にアラムコと競争して、そして利権を取って、だから今申し上げるような意味合いにおいて、その不利だとかどうとかというような批判を実は受けるのですが、おくれて進出したという、そこに特に高く買うべきものがあるのではないかと思います。政府自身が、そういう海外に経済界が進出する場合に一体どういうことになるか。これは私国内産業開発あるいは国内に及ぼす影響など考えて、やはりその島国根性でかかるよりも、やはり積極性を持つことが望ましいのだと思います。特に外地において油田開発する、特に地下のものである。そういう意味ではこれは海のものとも山のものともわからない。だから当時関係された方々はせっかく油田を取り、そして開発に頭を突っ込んだけれども、油が出るやら出ないやらわからない。出なかったらとにかく腹切り問題だ。こうまで言われる。そういう危険を冒している、こういう事業でございます。そういう意味政府が積極的にやはり支援してやるということがないと、財界といたしましてもなかなかしり込みする、こういう形であったと思います。とにかくこれはこの地下のものが、大へんしあわせに石油は出てきておる。最近は今度は石油が出た結果、その油の処理の問題で関係者の人たちは今頭を悩ましておる。最初は出なかったら大へんだ、今は出過ぎて困っているというのが実情だと思います。これがいわゆる一会社の利権だ、かように考えますと、いろいろ問題だと思いますが、国の利権としてこういう問題を扱うといいますか、日本海外における一つの発展の基盤あるいは石油開発の拠点、こういうことを考えると、私はその意味では非常な意義がある。だからこれは過去における満州経営だとかいう問題とは違いますが、今日の海外へ出まして経済発展をする、そういうためには必要な措置である、かように私は思います。今あげられました例のうちで、岸内閣時分に船会社がどうこうという、これは私は存じません。小倉における砲兵工廠の跡地の問題、これは私は一つの国家事業として望ましいことだったように思います。これは申すまでもなく、東南アジア諸地域の青年学徒を日本で教育する。しかもこれは中小企業の技術を覚えさせる。そうしてそういう場所をいろいろ工夫した。幸いにして北九州にはそういう意味の中小企業、大企業、全部がそろっておる。こういうところで教育をすることが望ましい、こういうことでその地域が選定された。ところがこれは小倉市自身としてその土地の利用計画などもあり、その当時は簡単には解決を見なかった。もちろんその仕事の範囲は、これは文部省の所管で計画され、松田文部大臣等もいろいろ関係者の間で折衝されたと思いますが、いわゆる利権という問題じゃこれはないと思います。これはやはり東南アジア諸地域等との国交の親善なりあるいは未開発地域に対する技術指導、こういう観点に立って政府が計画されたことで、非常に筋のはっきりしたものである、かように私は思うので、その点はつけ加えて誤解のないようにお願いを申し上げます。当時私も大蔵大臣であったかあるいはその他の関係でございましたか、小倉の市役所、その他の関係者の方々ともしばしばお話をいたしましたが、これは実情を詳しく知っております。問題は、ただいま申し上げたように、アラビア石油扱い方は本筋から申しまして私は誤解を受ける筋ではないと思います。しかし一部で、今、吉田さんが御指摘になっておるお話は、今回の石油業法審議に際して宣伝されておるということも私の耳に入っております。それは業界の人たちがそういう話をしておる。それは詳しく私の耳に入っております。しかし、それは事柄が石油業法といったような在来のあり方に対して、一つの転機の立法でございますから、あることないこといろいろ言われるだろう、かように思われるので、私は今日までそれについて別に弁解もしなければ、お答えをしたわけでもございませんで、どこまでも公正な立場において石油業界のために私は取り組むつもりでございます。ただいま言われますような点、あるいは子供がそこで働いておるあるいは菅野重役を私がよく知っておるとか、かようなことがありましても、そのために不公正な処置をとる考えは毛頭ありません。これはひとつ御信頼をいただきたいと思います。
  110. 吉田法晴

    吉田法晴君 おそくまでたいへん恐縮ですが、さっきアラビア石油の利権を一会社の利権と考えないで、国の利権として考うべきだ、こういうお話がございましたが、その辺になりますと、お言葉の中にも出てきましたけれども、それは満洲国やあるいは大東亜戦争のときのあれとは違うと、こう言われるけれども、やはり国の利権云々ということになると、これはアラビア石油について国の利権が確立された云々ということで、これは大問題になる。そういう考え方はちょっと困るわけです。その辺にあなたのとにかく古いところがあるし、それから小倉のあれについても出てくるのですが、小倉のこれは東南アジアの青年を育てる云々というが、あの設立者、発起人は、これは昔とにかく追放を受けておった右翼の人である。これは直接の関係はございませんからあまり多くを言いませんけれども、そういう考え方では困るのです、実際。そういう点はこれはもう直って、とにかく帝国主義的なあるいは大東亜共栄圏的な思想というものが、根本的になくなっているという前提のもとに私たちは審議をしているので、そういう話が出るとたいへん困って、反対せざるを得なくなりますが、それはひとつやめてもらいたい。それからもう一つは、アラビヤ石油のあり方について、国の利権でもなかろうが、これは国の立場から援助するにしても、今のような考え方では困るし、それからその中にまざっている矛盾を国民に押しつけるという形でこの法律ができている、ないし今後の運営が行なわれる、そういうことでは困る。こういうことを申し上げているのであって、これは基本精神とも関係をいたしますから、せっかくの答弁でございましたけれども、昔の考え方につながるというか、私ここで詳しく多くを言いませんが、経済協力の場合に、これは経済企画庁長官には申し上げたのですが、バンドン会議で問題になった新しい帝国主義的なやり方というものは、これは日本としてもそのおそれのあるようなやり方は、万々しない、慎重な態度で臨みたいということが政府態度でなければならぬと思いますので、訂正願いますのと、それから今後のアラビア石油は、言われるような運営はいたしません。あるいは政府としても、岡崎さんについても若干関係が、政府との関係がないわけで毛ないわけで、あるいは吉田内閣時代の外務大臣等であったりしたわけで、そういうことは、公正なる運営という点について心配のあるところだが、そういう点については、今後、これは人事についても運営についても御心配のようなことはいたさせません、いたしません、こういうことでなければ私はならぬと思うのです。
  111. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 利権という言葉は、これは不適当な言葉ですから、これは直さしていただきます。会社の利権という言葉を言われた結果が、そういうふうに発展しました。これは非常に誤解を受けるようです。もちろん昔のような考え方を持つわけではございません。これが結果、日本産業として非常にしあわせだ、こういう意味のことを申したつもりですが、これは非常に不適当な言葉であったと思います。  それから第二点の問題につきましては、先ほども申しますように、こういうアラビア石油の今後のあり方について、これは政府が特別に差別的な扱いをするものではない。また業法の運用におきましても、どこまでも公正を期している、この点は重ねて申し上げるまでもないことでございますが、そのとおりに思っております。
  112. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 他に御質疑はありませんか。——他に御発言がなければ、本案の質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。  御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  113. 中田吉雄

    中田吉雄君 私は日本社会党を代表しまして、ただいま議題となっています石油業法案に賛成をいたします。  この際、皆さんの御同意を得て、決議をつけたいと思いますので、御了解をいただきたいと思います。朗読させていただきます。    石油業法案に対する附帯決議案   政府は本法の施行にあたつては、石油がわが国エネルギー源に占める重要性にかんがみ、特に次の諸施策を強力に推進すべきである。   一、すみやかに総合エネルギー対策を樹立し、石油並びに他のエネルギー源の占めるべき地位とそのあり方を明確に示すこと。   二、石油供給の自主性を高め、安定的供給を確保するため、国産原油、天然ガスの探鉱開発について財政上、税制上の保護助成を飛躍的に拡充強化するとともに、石油輸入自由化に対処し、国産原油海外開発原油の引取体制を早急に確立すること。   三、石油精製業の設備資金、タンカー建造資金等の確保につとめ、その経営全般にわたつて、合理性と自主性を高めるよう指導を行なうこと。   四、今後の石油政策を強力に推進するため必要な資金については、石油関税石油関係消費税収入が巨額に達している状況等を考慮し、その財源の確保を図ること。   以上であります。  もう説明を必要としないと思うわけですが、エネルギー懇談会の中間報告の多数意見は、自由化を控えて差し迫った石油業に対しまする適切な、必要な最小限の答申ではないかと思う次第であります。したがって本石油業法を中心とし、これを軸としまして、ただいま申し上げましたような条項をあわせ行なうことが必要ではないかと思う次第であります。ことに第三ですが、最近特に外資のひもつきが強いのですが、民族系の、なおひものついてないようなものに対しては、特にそういうことのないように資金的なめんどうを見ることが大切ではないかと思う次第であります。また、これまでに石油関税並びに石油消費税の収入が七千億もあり、ただいまの説明では、昭和三十七年度に二千五百四十億円、この十年間に約一兆円の石油関係の税収入がある等にかんがみまして、目的税とは申しませんが、道路だけでなしに、石油産業、エネルギー産業の重要性にかんがみて財源措置としては考慮すべきではないかと思う次第であります。  以上のとおりでございますので、皆さんの御賛成をいただきたいと思う次第であります。
  114. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 他に御発言がなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。  本案全部を問題に供します。  本案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  115. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 総員挙手と認めます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中に述べられました附帯決議案について採決いたします。  本附帯決議案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  116. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 全員挙手と認めます。よって中田君提案の附帯決議は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成等につきましては、慣例により、委員長に御一任願いたいと存じます。  ただいまの決議に対し、佐藤通産大臣から発言を求められましたので、この際、これを許します。
  117. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま全会一致をもって附帯決議がなされました。政府といたしましては決議の趣旨を尊重いたしまして、皆さまの決議の趣旨に沿うように一そう努力をして参りたいと考えております。
  118. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 午前の会議はこの程度にとどめます。  午後は二時十五分から再開いたします。    午後一時三十四分休憩    ————・————    午後二時二十五分開会
  119. 武藤常介

    委員長武藤常介君) これより商工委員会を再会いたします。  まず、下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。  なお、要求によりまして、衆議院から商工委員会理事松平忠久君に御出席を願っておりますので、初めに同君に対する質疑を集中的にお願いいたします。
  120. 小林英三

    ○小林英三君 下請代金の法案につきまして、衆議院から委員会理事の方が見えておりますから、三派共同提案によりまする修正案につきまして、二、三質疑をいたしたいと存じます。  この第二条の二にございます「支払期日は、親事業者が下請事業者の給付を受領した口から起算して、六十日の期間内において、かつ、できる限り」云々ということがあります。この「給付を受領した日から起算して、六十日」云々というので、この「給付を受領した日」という意味はどういうことを言うのか、お尋ねいたします。
  121. 松平忠久

    衆議院議員(松平忠久君) お答え申し上げます。第二条の二の六十日以内をどこから起算するかという起算の元なんですが、それを給付の日、すなわち品物を親企業から下請をもらってきて、そうしてそれを完了して納入した日からと、こういうことになっております。
  122. 小林英三

    ○小林英三君 そうするというと、従来御承知のように下請工場が非常に困っておった問題は、検収という名目で、たとえばきょうでもいい、そうして検収という名目でかなり長い期間そのままになっておるようなものもあったわけです。ところが、検収という問題の中には、いわゆるこういう経済界の不況時代になって、その会社の経済状態というものが支払いに応じられないという場面がある場合に、悪意に検収という期間を長くして、そうして支払いを遅延さすというような場合もあって、中にはそうでなく、善意に、どうも品物によってはこのまま払うわけにはいかぬ、どうもちょっとこの点は不合格品らしい。ものによってはそれがしかも相当大きな、ワン・ブロックのものであったというような場合には、悪意がなくて善意に延ばしたこともあり得るのだと思うのですね、支払いを。そこでお尋ねしたいことは、修正案にある六十日というものは、今お答えのとおりに納入の日だというのです。納入の日から六十日以内ということになるのですが、今私が申し上げたような、悪意であろうが善意であろうが、とにかくこの検収するという問題のために、三十日だ、五十日だ、六十日だというように、検収という名目で延ばすことは一切まかりならぬと、こういうことも含みますか。
  123. 松平忠久

    衆議院議員(松平忠久君) そのとおりなんです。実は、ざっくばらんに申し上げますと、これを修正をしようというときに、検収日を、品物を納入した日から十日以内に検収をしなければならないということを、同時にこれを修正意見として議に上ぼしたんです。ところが、いろんな議論がありましたけれども、検収というのは持ち込んで検収する場合もあれば、大きい機械なんかは自分の工場に置いておいて親工場からだれか来て見る。こういうような場合には、往々にしておくれる場合があるんじゃなかろうかというようなことがありまして、検収日というものを十日以内にするというふうに法律の改正をしようということは、一応見送りまして、そして品物を納入したという口から起算して——検収日はいつやろうと、常識的に十日なり十五日なりという、普通の場合はそういうことになっておるようでありますが、それも含めまして六十日と、こういうふうにやったわけなんです。
  124. 小林英三

    ○小林英三君 そういたしますと、こう解釈してよろしいんですか。つまり、納入したその日から六十日たったら、何でもかんでも払わなくちゃならぬという支払い期日だと。そういたしますというと、その間において、検収してあるいは不良品ができたとか、あるいは削ってみたとか組み立ててみて悪かったとかいうようなものは、次の支払期日において、それだけ、出ただけの金額を差し引けばいいと、こういう観念ですか。
  125. 松平忠久

    衆議院議員(松平忠久君) ちょっと今御質問の内容が受け取れなかったんですが、御質問の趣旨は、納入した、そうしましたら検収して不良品が出てきてしまった、そういう場合に今度あらためて納入し直して、そしてあらためて納入した日から六十日だと、こういうことなのかという御質問ですか。
  126. 小林英三

    ○小林英三君 いや、私が言うのはそうじゃなくして、たとえば、一カ月のうちに納入期間は必ずしも一回だけじゃないですね。二回も三回も五回も六回も継続して納入しておるわけだ。そうすると、その間に、支払い日の六日十までの間にいつ検収することがあるかもしれませんけれども、その場合に、検収した際に不良品ができたとか、不合格品ができたとかいう場合において、その不良品、不合格品の代金に該当するものについては、その次の支払い日に払う、とりあえずその納入したものについては金を払わすということかということです。
  127. 松平忠久

    衆議院議員(松平忠久君) 私たちの考え方は、納入して、検収がいつあるか知らぬけれども、六十日以内にあるという場合に、不良品が出たという場合においては、その不良品については、おそらく親企業とその下請けとの間に、不良品に対して話があると思うんです。したがって、その場合においては、不良品については、あとで話をすることにして、納めてもらった物について、やはり六十日という期限に解釈するのが妥当だと、こういうふうに思っております。
  128. 小林英三

    ○小林英三君 重ねてお伺いいたします。これはあとの問題になるのですが、確かめておるわけで……。重ねてお尋ねしますが、そういたしますと、かりに、納入してからそのつど六十日、六十日といくわけですね。きょう納入したものが六十日、あさって納入したものが六十日と、こういうことに観念の上でなるわけですね。そうすると、検収した場合において、これは不合格がこれだけ出た、百のうちで十出たという場合においては、そこの検収した係の者は、必ず会計に対して、百納まったうちで、九十は合格したからこれは払えという手続を取らして、その検収して会計へ回ったものに対しては必ず六十日間に払わす、こういうわけですね。
  129. 松平忠久

    衆議院議員(松平忠久君) そういう意味です。そういう解釈です。
  130. 小林英三

    ○小林英三君 いや、それがはっきりしておりませんと、法律が出てからあとで下請業者が困るから、それで実は承っておいたわけですが、それじゃそれはわかりました。  それから、この支払期日というものは、納入して六十日間ということになりますが、その支払日に払うのは現金のみであるか、あるいは現金と手形と、適当なパーセンテージでまぜて払うのもありましょう、あるいは手形のみで払うのもあるだろうし、この修正案による支払日に払うものは現金ということを建前にしておるか、あるいはどうであるか。
  131. 松平忠久

    衆議院議員(松平忠久君) 支払いの手段に関しましては、法律上きめられておる支払い手段ということで、現金も含んでいますし、それから手形でも、もちろん差しつかえないと思っております。ですけれども、手形の場合におきましては、かりに五十八日目か何かに手形で払ったという場合におきましては、六十日からあとの分については、利息については公取基準を決定するところの利息を払え、こういう法律の趣旨に改正されておるわけです。
  132. 小林英三

    ○小林英三君 それは何条にありますか、そういうことは。
  133. 松平忠久

    衆議院議員(松平忠久君) それは第四条の二です。
  134. 小林英三

    ○小林英三君 この四条の二というのは、私が拝見して解釈するところによりますと、六十日という支払期日を定めてあって、その六十日と定めてあるにもかかわらず、十日おくれたとか、一週間おくれて払った場合の差額の期間に対して、公取できめてある基準によって払う、こういうことじゃないですか、四条の二というのは。
  135. 松平忠久

    衆議院議員(松平忠久君) 六十日というのは、六十日以内だったら、手形だろうが何だろうがかまわぬ。しかしながら、六十日をこえた場合には、手形あるいはその後現金で払うという場合におきましても、六十日をこえた場合においては、そのこえた分について、公取のきめた率による利息をつけると、こういう趣旨なんです。
  136. 小林英三

    ○小林英三君 今私の承っているように、つまりこの納入口から六十日たった支払期日において払うものに対しては、現金で払う場合もあるし、手形で払う場合もあるし、そういう場合に、手形で払ったものに対しては金利が取れるか取れないか、これはどうですか。
  137. 松平忠久

    衆議院議員(松平忠久君) 手形で払った分についてですか。
  138. 小林英三

    ○小林英三君 ええ。
  139. 松平忠久

    衆議院議員(松平忠久君) 手形で払った分について、かりに一週間前に払ったけれども、六十日の手形を切ったという場合においては、あとの五十三日分の利息を取る、こういう考え方で改正される、こういうふうに私どもは理解しています。
  140. 小林英三

    ○小林英三君 私はこの四条の二というのは、たしか、なにじゃありませんか、前の条項でもって六十日という支払期日を定めてあって、にもかかわらず、六十日を超過して親事業者が下請事業者に払った場合には、その六十日をこした分に対してのみ公取で定めた基準において金利を取るということにはなっているように思うのですが、今の六十日の期日において支払いするときに、現金で払うことを一番希望しますのです、下請業者は。ところが現金ばかりじゃない、半分現金、半分手形というような場合毛ある。その際に、手形で払った分に対しては金利を取るのか取らぬのか、こういう問題を承っているのです。
  141. 松平忠久

    衆議院議員(松平忠久君) 金利を取るわけです。
  142. 小林英三

    ○小林英三君 取るのですか。それはどこに書いてあるのでしょう。
  143. 松平忠久

    衆議院議員(松平忠久君) それは六十日を経過した場合、六十日を経過した日から支払いを完了すること——これは小切手も支払いですけれども、六十日なら六十日の、手形を切った場合においては、六十日後に払うというのが手形に関する規定なんだから、その支払いをする日までの期間については、その口数に応じて「当該未払金額に公正取引委員会規則で定める率を乗じて得た金額を遅延利息として支払わなければならない。」こういうわけです。
  144. 小林英三

    ○小林英三君 四条の二を拝見いたしますと、親事業者は「下請代金の支払期日までに下請代金を支払わなかったときは、下請事業者に対し、下請事業者の給付を受領した日から起算して六十日を経過した日から支払をする日までの期間について、」それですから、私は先ほど御質問申し上げましたように、六十日間で払うべきものを七十日後に払ったときには、その差し引き上日間についてのみ、これは公取の定めた遅延利息を取るというように、この四条の二は私は解釈しているのですが、今あなたの答弁によりますというと、支払期日に現金で払う、あるいはフラス手形で払った場合に、六十日の手形、百二十日の手形、二百日の手形もあるんでしょうが、その手形に対しても、六十日以上たったものは、現金でないから金利を取るというふうに拝聴いたしましたが、そうでしょうか。
  145. 松平忠久

    衆議院議員(松平忠久君) そうです。そういう考えです。
  146. 小林英三

    ○小林英三君 しかし、それは法文の、この四条の二はそう解釈できませんがな、四条の二だけでは。どうですか。
  147. 松平忠久

    衆議院議員(松平忠久君) これを三党で提案したときの考え方は、そういう考え方で提案しております。つまり六十日まではいいとして、六十日をこえたものは手形であろうが何であろうが、一週間前に払ったものであろうが、手形で払った場合においても、一週間後に六十日が来たら、六十日後は、その手形に対する利息分というものは、これは親事業が払うのです。
  148. 小林英三

    ○小林英三君 そうしますというと、今の御答弁によりますと、この修正案の精神というものは、支払期日である六十日を過ぎたならば現金で払うべしという建前ですね。
  149. 松平忠久

    衆議院議員(松平忠久君) 建前です。
  150. 小林英三

    ○小林英三君 そうすると現金でない部分については、六十日の手形であろうと、百日の手形であろうが、現金でない部分については金利を取るべしという、こういう精神ですね。
  151. 松平忠久

    衆議院議員(松平忠久君) その手形の場合においては、かりに十日間なら、現金が一部、手形が一部ということになった場合におきましては、現金で一部を払う、あとの分は十日の手形を切って払うべきだと、それからその次に、六十日の、あれはですね、払えなかったら、そのときまた切りかえしてやるというようなことをやったらどうかという意見があったのです、修正案をあれするときには。そうしてなかなかごたごたしましたから、とにかく六十日以後の分については、手形だろうが何であろうか利息を取る、こういう思想でこしらえたわけです。法文は与野党の理事が相談して作ったものでありまして、法制局を呼んで作ったのですが、あるいは不備な点が小林委員から見ればあるかもしれませんので、それはひとつ、こちらのほうで御修正するなり何なりしていただきたいと思います。
  152. 小林英三

    ○小林英三君 私が今伺っているのは、どうしてそういうことを聞くかといいますと、この修正案を見た業界、たとえば商工団体中央会なんかの幹部の方が第二条を見ると、「六十日の期間内において、かつ、できる限る短い剛間内において定められなければならない。」支払期日を定めなければならないと、こう書いてある。そうすると、これは別に現金とは書いてないから、六十日たったならば、親会社は現金で四割、あるいは五割、その残りは手形で払う、あるいは手形をもっと長く払う、こういうその金融状態が非常に逼迫しておるときでありますからして、これじゃますます、改悪されたんじゃないか、従来検収期間があって、長い検収期間がありますけれども、大体平均四十日ぐらいなら会計に回せる、それが六十日たって手形で払われたのでは、従来の下請代金の遅延防止法が改悪されたのではないかと心配して聞いた人がいる。私もこの法案を見まして、別に現金とは響いてない、支払いするということは、手形で払うのも支払いになる、現金で払うのも支払いになる。これは間違いない、それで、いずれであるか非常に疑問のある修正案である、こう思ったものですから、私は提案者にお伺いしているのですが、それは松平さんだいじょうぶですか、あなただけのお考えではありませんか。
  153. 松平忠久

    衆議院議員(松平忠久君) いいえ、そうではないです。三党一致してそういう考えです。
  154. 小林英三

    ○小林英三君 もう一ぺん聞きます。支払日に支払われます代金というものは、現金であるということはもちろんけっこうですけれども、現金でなく手形をまじえた場合には、その手形のサイトが六十日であろうが百日であろうが百二十日であろうが、手形である以上は、その手形に対しては金利を取る、こういうことが建前になりますか。
  155. 松平忠久

    衆議院議員(松平忠久君) そうです。
  156. 小林英三

    ○小林英三君 わかりました。それでは法案に別に現金と書いてなくていいのですかね。
  157. 松平忠久

    衆議院議員(松平忠久君) その点は、この下請代金支払遅延等防止法の本文の中に現金という言葉が使ってあったように記憶するのですがね。現金または手形。
  158. 小林英三

    ○小林英三君 公取委員長どうですか、これでいいですか、修正案は現金と書いてなくても現金で払うのが建前であって、松平さんの言うように、手形の場合には、どんなサイトのものでも全部手形の場合には金利を払えという建前ですが、あなたのほうもそういう解釈をしておりますか。
  159. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 今のお話は四条の二の給付を受領した日から起算して六十日を経過した日から支払いをする日まで、この支払いをする日というものをどう解釈するかが問題だろうと思います。支払いをするというのは普通だったら、やはり現金で払うということを考えなければならぬ。したがって、今、松平さんの言われたように、六十日を経過して支払日、要するに一番簡単なのは満期日ですが、満期までは利子を取るというふうに私は解釈しております。
  160. 小林英三

    ○小林英三君 それでは、それでわかりました。私は、むしろこれは下請業者を保護するのではなくて、今までよりも残酷に扱うというような改正案にされたのではないかと、実は失礼ながら考えておったわけですが、今の松平さんの、衆議院商工委員会のいわゆる修正者の皆さんの考えがそこにあるというならば、この委員会においてその点を明らかにして、ことに公取委員長はそういう解釈をしておりますから、私はそれはけっこうだと思います。そうするというと、もう長期の手形に対して下請業者がいじめられているという今の公取調査表だとか、中央会の調査表などを見ますと、百五十日という手形を払っておったようなものが、これで解決するのだろうかと思います。  そうしますと、この修正の提案者に承りたいと思いますことは、たとえば先ほど申し上げましたように、納入するのは一カ月に何回も納入するのでしょう。同じ会社に同じ下請業者が。そのときは、その納入した日から六十日までの日に払わなければならない。あるいは三十日で払ってもけっこうであります。ところが、大体会社には、その会社自身の支払日というものがあるのですね。これは従来の商取引関係で、A会社は、たとえば三十日締め切りの翌月の三十日払い、あるいはB会社は本月の三十日締め切りの翌月の三十日払い、いろいろその支払いの条件が変わっておりますね。そういう場合に、この修正案の趣旨というものは、納入してから、六十日以内に払えばいいのだから、いつ納入しようが、要するにその精神にさえ違反しなければよろしい、取りまとめて支払い日に会社が払う、その払ったものがいわゆる六十日以内になっていればよろしい。もし越した場合には四条の二項によってそれだけの差額を取ればいいのだ、こういうふうに解釈してよろしいわけですか。
  161. 松平忠久

    衆議院議員(松平忠久君) 法文の中には、「六十日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内に」と、こうありますが、かりにそれを故意に六十日というものに重きを置いてやるような親企業者があったという場合におきましては、「できる限り短い期間内において、」ということについて罰則もありません、したがって、その親企業が非常にそういう何というか、法文を自分に都合のいいような解釈をいたしまして、六十日までに払えばいいのだという場合には、初め短期間に払っておったものも、六十日まで延ばすのだ、そういうようなことは、やろうと思えば私はやれるのじゃないかと、法文の解釈上はそう思います。そこで、できる限り早くということを実は入れたわけです。
  162. 小林英三

    ○小林英三君 それは、今おっしゃるように、今までは六十日でなしに、いい会社については三十日間で払っているようなところもたくさんあります。それから、全部現金でなくとも大部分現金で払っているところ、手形で払っているところもある。それはそうでありますが、中には、法文がこうだから、今まで三十日間で払ったやつを六十日に延ばしてやれというような者もなきにしもあらずだろうと思います。要するに、この問題は法律をたてにした行政上の問題で、今後起こってくる問題だろうと思うのですが、今の、別に現金とは書いてなくても、四条の二項にからむ手形に対しては金利を取るのだという精神のもとにお作りになった、こういうことが明らかになりましたので、これは私は、今までよりもはるかに前進したものだろうと考えます。  次に、公取の方に聞きたいのですが、下請代金支払遅延等防止法が五年前に制定されて、そうして今度の改正案並びに衆議院の修正案ができた。だんだんと弱い下請事業者の利益を保護して、そうして悪い親事業者の不公正な行為を防止しようと、こういうことになるわけでありますが、私は公取委員長に承りたいことは、五年前にこの下請代金支払遅延等防止法が制定されてから今日までの間において、こういう点を行政上やればもっと助かるのじゃないか、もっと保護ができるのじゃないかというような点を、よほど私は経験されていると思うのです。どうして私はそういうことを申し上げるかといいますと、下請業者というのは、自分が非常な不利な立場にある支払い条件であっても、親工場をさして、この会社はこういうことをしておりますということを申し出られないのが下請工場の今日の現状なんです。どうしてかというと、仕事をもらっているのですから。仕事がなくなったら労働者を遊ばさなくちゃならない。また立ち行かなくなる、戦々兢々としているのが今日の下請業者の現状だろうと思う。ですから、今度の政府の改正案並びに衆議院の修正案、これはまさに一歩前進であると思いますが、しかし、ほんとうに私はこれらの法律を生かしていく勘どころというものがなくちゃならぬと思うのですね、勘どころというものが。その勘どころがどこにあるかということを私は承りたいのです、今日までの公取の経験の上において。
  163. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 私どものほうといたしましては、この法の運用のために七千件余りの親事業者に対しまして毎年、最近におきましては年に千五百件くらいにつきまして支払状況その他の調査をしまして、その結果によりまして、適当な期間に完全に支払われておればいいけれども、それがおくれておる場合がある。そういうものにつきましては、それらの業者をさらに抜き出しまして、必要によって実地に検査をしまして、どうしてこんなふうになったかということを調べまして、向こうのやり方が悪いところを指導をいたしまして、相当の効果を上げておるというふうに思っておるわけであります。
  164. 小林英三

    ○小林英三君 私が公取委員長に聞きましたのは、たとえば今度の改正案第六条、あるいは第七条、あるいは第七条の二項等にありますが、たとえば第六条にはこういうことがあるのですね、「中小企業庁長官は、」云々として、「その事実があると認めるときは、」それから第七条にも、こういう「行為をしていると認めるときは、」あるいは第二項には「公正取引委員会は、親事業者が第四条第三号から第六号までに掲げる行為をしたと認めるときは、」こういう「認めるときは、」という文字がある。この「認めるときは、」ということはどういうことなんですか、実際問題として。これが私はばくとしている。「認めるときは、」ということ。
  165. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) これはまあ書面調査なり実態調査をしまして、こちらがそういう事実を認定した場合ということであります。
  166. 武藤常介

    委員長武藤常介君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  167. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 速記を起こして。  それじゃ続けて願います。
  168. 小林英三

    ○小林英三君 今の私が承りましたことは、今の行政上に対してせっかくこういういい法律が五年前からできて、今度は改正案できて、衆議院修正案ができて、さらに下請け業者を守っていこうという法律ができた。しかし、法律を運営する行政面において、今後十分にこういう問題に対して下請業者を保護する自信がございますか、どうですか、今の人数で。
  169. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) 今回の改正で、さらに従来の趣旨を徹底して下請保護の充実化をはかりたいと思います。その自信——まあ及ばずながらやれると確信しております。
  170. 小林英三

    ○小林英三君 まあ今の私が聞いた——しつこいようですけれども「認める」ということ、それを「認める」ということは、法律じゃ「認める」と書いてありますが、「認める」というその現実の問題は、実際問題としてどういうことでしょうか、「認める」というのは。
  171. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) それは先ほど私が初めに説明しましたように、親事業者から最初に報告を取りまして、それで怪しいと思ったときには現実にそこへ行ってみて帳簿を見るなりその他を見まして、それで認定するわけであります。
  172. 小林英三

    ○小林英三君 だから私はそこなんですよ。勘どころがね、ちょっと違うという……。親工場から調査を取って、これは怪しいなと認めたときには行こうと、こういうのでしょう。ところが実際問題は、下請業者がこういう目にあっているからということを出してくればこれは確実です。的確です。ところが親工場から出す調査というものは、自分を守っていかなくちゃならぬ、親工場は。そんな悪者になりたくない。だから下請工場から出すようなことがあれば、これは同じものでも認めることができると思うけれども、親工場から調査を取ったものだけで「認めるときは、」という法律の解釈ですが、これは実際問題としてできるかどうかという問題を私は伺っている。  それから第五条が書類の作成でしょう。それから六条が「中小企業庁長官は、」云々でしょう。七条が「公正取引委員会は、」「勧告することができる。」それから二項も三項も勧告ですね、親工場に対して。それから九条の公取は帳簿その他の検査云々。それから中小企業庁長官の検査云々と。それから主務大臣検査会云々。こういうことで、罰則もありますけれども、罰則なんかほとんど何ですね、まあ罰則までいけばけっこうですが、罰則があっても、これは適用が今までしたことがあるかどうか知りませんが、これは少ないと思われる。そこで、私はこの法律を全文読みまして、どうしてもこれは行政上においてこの法律を生かしていかなければ、幾ら国会が中小下請業者を保護しようといって法文を作っても、あるいはあなた方のほうで改正案を出されても、どうもその効果が少ないように思うのです。そこで、こういうふうなことはお願いできないものですかね、たとえば中央会みたいな、あるいは全国団体みたいなものが日本にはたくさんありますね、業種別に。これらのものに対して公取から今度法律がこうこういうふうに改正された、これはみんな下請業者を保護するものだ。また中には悪い親事業者の、つまり不公正な行為を防止したい、だからどうか親企業はさしてもいいけれども、下請業者の名前を隠して、そうしてこういうふうな法律違反のことを中には受けている。これを観工場をさして下請工場から出させて、それをそれらの全国団体なら全国団体がまとめて、あるいは各組合、単位組合でもいいのですよ、組合の名前においてやる、公取まで出す。こういうことを出さすようなことを公取からそれぞれの機関に公文書で慫慂していくということができますか。
  173. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) ただいまの問題でありますが、今度の改正の四条の七号は若干そういう趣旨を考えております。この規定があることによって、下請事業者のほうで心配しないでまあ自分たちが不公正な待遇を受けているということを届けさせるという趣旨でこの規定を置いたのであります。そのほか、さっき少し私の説明が足りなかったかもしれませんが、この法律を作る際に、親事業者のほうは公正取引委員会で主として調べる。下請事業者のほうは中小企業庁のほうで実は調べておるわけであります。で、中小企業庁のほうで怪しいと思った場合には、常に公取に連絡いただきまして、それに基づいて親事業者を調べ、必要に従って下請事業者も調べるということによって、この法律の目的を達成するように骨を折っておる次第でございます。
  174. 小林英三

    ○小林英三君 今御説明のありました第四条の第七号というのは、今度の改正案に出ているわけでありまして、そういうことで下請業者がさしたために親業者が下請業者をいじめることを防止するためにできているということは、これはよくわかります。わかりますけれども、これはやっぱりこの法律をうまく生かしていくためには、公取というものが、悪い——それは善良な観工場もたくさんございます、日本にはね。しかし中にはかなり悪いのもある。そういうものをためていくには、やはり公取というものが目をいつでも光らせて、それらにちょっとこういうことがあるとこわいぞということがないと、これは私は効果が少ないと思うのです。今までもずいぶん調査なさっておられるようですし、この書類を見てもなさっておられるようですが、私は今までのようなやり方では、せっかく改正案が出、衆議院修正案が出ても、われわれきょう賛成すると思いますが、そういうことでは私は意味がないと思いますから、どうですか、そういうことを公取から常々と公文書でもって各全国の団体、といってもたくさんありますよ、私も全国団体の会長をしておりますが、そういうところがそういうものをもらいまして、公取からこういう文書が来たということを、写しを添えて、今度は公取はしっかりやるそうだから君らもやれよ、それからどんどん下請工場の名前を、隠してもいいけれども、横暴な親会社はどんどん申告しろ、これはたいへん大きな威力になると思う。そういうことはやってもらえますかどうか。
  175. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) ただいまのお話、きわめて有効な方法と思いますから、研究したいと思います。
  176. 小林英三

    ○小林英三君 いや研究という言葉で流しては困りますが、やれそうですが、どうですか。研究で一年も二年もたっては困るから。
  177. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 適当な御意見でありますので、私もその意見に沿いましてやります。
  178. 小林英三

    ○小林英三君 わかりました。私の質問はこれで終わります。
  179. 近藤信一

    ○近藤信一君 昨日に引き続いて若干質問をいたしますが、若干重複する点があるかもしれませんが、その点は御了承願いたいと思います。  今回の改正で、下請事業者の利益を保護するために親事業者の守らなければならない事項として新しく三項目を追加しております。改正案の第四条第五号で「下請事業者の給付の内容と同種又は類似の内容の給付に対し通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金の額を不当に定める」といういわゆる買いたたき防止のための規定を設けているが、この中で「著しく低い」とか、また「不当に定める」とか、きわめて抽象的な表現を用いております。このようなことでは、法の運用にあたってはなかなかむずかしい問題も出てくるのではないかと思いますが、一体この「著しく低い」とか「不当に定める」とは、どのような基準でもって運用していく考えでおられるのか。この点についてお伺いいたします。
  180. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) 「著しく低い」と申しますのは、一般的にこういう業種についてはこういう下請代金という、それほど広いものではございませんで、やはりその一つの親会社に対してはたくさんの同じような下請が物を入れている。あるいは一つの下請が方方の親会社に物を入れている。そういう一般的な、その周辺と申しますか、のものと比較して「著しく低い」というようなことで実際の認定に当たっているということでございます。「不当に定める」と申しますのは、まあ特別な事情で下請のほうでみずから進んで、まあ不合理なことがなく、正常にかなり低く自分のほうでやれるということを申し出るような場合には、これは不当性ございませんので、親のほうで無理じいに下請に強制してやらせるというようなのが不当ということで運用して参りたいと考えております。
  181. 近藤信一

    ○近藤信一君 この法律がいわゆるざる法といわれている理由の一つに、違反事項が発見されない。それから親事業者にいじめられていても、中小企業者はこれを公取や中小企業庁に申し出さない。もし申し出たことがわかると、あとになってから親事業者にいろいろといじめられる。今の流行語でいけばお礼参りをされる、こういうふうに見られるわけであります。そこで今度の改正で、第四条の順守事項に第七号を加えたのであろうと思いますが、この改正ができると、今後公取へ知らせることが多くなるとあなたのほうでは思っておられるのかどうか。今までとどんな形で違ってくるのかということでございます。また、親事業者の違反的行為に対して、下請事業者から公取に申告があったとすれば、昨日のもらいました表を見まするというと、三十二年度に五件ある、これだけであとは全然ないのですが、この件数。それから罰則の適用までに至ったものがあるとすれば、一体どれほどの問題があるのか、三十二年度にこれは五件だけが出て、あとはゼロになっておりますが、一体この脈はどうですか。
  182. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) 今回順守事項の第七号を入れることによりまして、公、正取引委員会あるいは中小企業庁長官に対して、まあ積極的に申告なりあるいは両方の役所でそれぞれ現場へ出向いた場合に、遠慮なく申し出られるということを期待しております。  それからただいま先生のおっしゃいました三十二年度五件とおっしゃいましたが、従来のこの法律に基づきまして勧告をしましたものは、三十二年度十三件、三上三年度五件、三十四年度七件、それ以後は正式のものはございません。大体二十五件処置しておりますが、そのほかに、実際上それに準ずる措置で三百八十六件ほどの非公式な勧告をいたして実績を上げているわけであります。
  183. 近藤信一

    ○近藤信一君 この修正で下請事業者の利益を保護するということになりますると、かえって逆用されるような心配がある。むしろ不利益になるようなことがあるのじゃないか、こういうことが心配されるわけです。今までのように遅滞なく支払うように、促進する規定のほうが下請事業者に利益になることもあるのではないか。「六十日の期間内において、」ということになりますと、三十日以内に支払っていたのも六十日までに延ばされるようなこともあろうかと心配ですが、この点はどうですか。
  184. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) これは衆議院の修正の関係になって参りますが、「六十日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内において、定められなければならない。」ということで、この点は私どものほうとしましても、行政指導と申しますか、この六十日のほうへ重点を置かないで、できるだけ早くのほうへ重点を置いてもらうように指導したいと思っております。
  185. 近藤信一

    ○近藤信一君 それから先ほども小林委員から言われておりましたが、支払わなかったからといって、罰則がないわけなんですが、この点はどうなんですか。
  186. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) この点は法律の五年前の制定のときから問題がございましたわけでございますが、やはりこういった取引関係では、多少の罰則をつけるよりも、やはり勧告をし、それに従わなかった場合にはこれを公表するということが一番何といいますか、早く支払わせるという実効確保の方法ではないかということで、公表という制度が罰則にかわって十分働いておるものと思います。
  187. 近藤信一

    ○近藤信一君 この法律に関する当初からの問題点は、先ほども第二条で述べられておりましたが、第二条第一項第三号の親事業者とは、資本金一千万円以上の法人であることと、同じく第四号の下請事業者とは個人または資本金一千万円以下の法人という規定でございます。それがために一千万円以下の下請事業者相互の下請支払い及び一千万円以上の事業者相互の下請支払いに関する法の取り扱いはどうなっておるのか。それから現在の経済成長時代におきまして資本金が一千万円以上の法人を親事業者、それから一千万円以下のものを下請事業者というように規定しているのは、現在の産業界の実情に即応しないものではないかというふうに考えられるのですが、この点はどうですか。
  188. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) お説のとおり一千万円以上の会社同士、それ以下の会社同士の問題は、この法律の対象にはなりませんので、まあ従来そういう場合には行政指導なりあるいは——実際上ございませんが、行政指導その他の点で処置しております。現在もこの一千万円を境にするという点が実情に沿わないのではないかという点は、確かに党のほうでお出しの中小企業基本法の考え方から申しましても、一千万というのは実情に沿わない点があるのではないかと思われますので、それは今後十分検討していきたいと思っております。
  189. 近藤信一

    ○近藤信一君 もし基本法が成立しますると、与党の自民党、民社党が提案しておりまするのは五千万円が限度、社会党は三千万円、こういうことになりまするが、基本法が成立したならば、この点はあなたのほうでさらにお考えになられるのですか。
  190. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) 直接基本法と結びつけなくても、この法律の趣旨からいって、また同じように中小企業を扱っておる法律はたくさんでございますので、それらとの比較検討で関係各省ともよく相談してきめたいと思います。
  191. 近藤信一

    ○近藤信一君 私は、下請関係については相当厳しい法律を作らなければ、現在のような親企業が下請を圧迫するという悪い習慣というものは改まらない、そういうような気がするのです。しかしまた、厳しい法律を作ろうとすれば、複雑な関係が実に多くなって参るんです。とても法律ではきめられそうもない問題もあるわけなんです。また、何とかきめたとしても抜け道が幾らもあって、今日の改正や修正で幾つかの抜け穴をふさいでくれたことは事実ですが、しかし、それでもまだ抜け穴はたくさんある。ざる法は依然としてざる法であるという感じがするわけです。そこで少々情けない話ではございますが、一般の産業のいわゆる下請道徳が改善されないといけない。また大企業が下請をいじめて、そうして支払いをおくらせて自分の金繰りを助けるなどということは、これは大企業の風上にも置けないようなことだと思うのです。そこで、一般に行なわれるようなことを念願するわけですが、立法に携わりながら道徳にたよらなければならんというふうな考え。公正取引委員会、それから中小企業庁見えてますか知りませんが、中小企業庁に対しまして、下請取引の正常化あるいは下請道徳の向上といいますか、親事業者の道徳の向上とか、そういうふうなことを非常に考えていかなければならぬじゃないかと思うのです。特に下請関係を更生するための運動を大企業の間に巻き起こしてもらいたい。また同時に、下請業者を強くする、これもまた当然なことでございますが、お互いに過当競争を下請はやっております、これを何とか防がなければならぬ。それには、やはり下請の団結を強化していく以外に私はないと思うのであります。それから買いたたきや支払遅延を防止するそのためにも、下請の組織を強化して、それからこういう公正取引を確保する官庁として公取委員会が弱いので、これを強くするという方策をとってもらいたいと私は考えるのですが、これについて中小企業庁、公取の御答弁をお願いします。
  192. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) ただいま近藤先生御指摘のとおり、下請関係は、一方において法律で取り締まりますと同時に、やはりこれを法律になじまない面もございますので、何と申しましても、やはり親事業者の社会的責任ということで、親事業が下請企業をかわいがって育てていくという意識に徹底させることが非常に大事なことだと考えておりますので、そういう意味におきまして、ことに最近金融引き締めの結果の影響が出ておりますような場合には、私どもといたしましては、公正取引委員会と共同で、親事業者に対してやはり支払の遅延、あるいは現金率の低下、こういったことを防止する意味の自主的な協力を求めるという面の努力をいたしておるわけであります。さらに、下請事業者につきましては、やはり下請協同組合の結成を促進するように、これは現在かなり最近できて参りました。これによって下請事業者が親事業者に対して強力に発言できるようにしてもらいたい、かように考えておる次第でございます。
  193. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 親事業者と下請事業者の関係は、いわゆる経済上の強者と弱者の関係でありまして、これが対等に取引できるということが理想だと思います。この法律もそういう意味でなるべく下請事業者の利益を擁護するように、親事業者に不当なことをさせないようにという趣旨でできておりますが、どの程度まで法律に書くかということはなかなかむずかしいので、親事業者は必ず下請事業者に頼まなければならぬという経済情勢ならやむを得ませんけれども、あまり親事業者の取り締まりをやかましくしますと、下請業者に頼まない、そうなっては下請業者は困るので、その親事業者と下請事業者との関係を続けさせ、しかもそれを公正にしていこうというのが目的でありますから、法の規定としてはざる法という御批判があるかもしれませんが、水の漏れないようにするということになるというと、下請関係が継続すれば下請事業者はいいかもしれませんが、そうなってくると、下請関係がなくなってしまうかもしれない。それでは全然目的を達しないので、この法律の範囲内で、ほどほどにその関係を正常化していく。お話のとおり親事業者にいたしましても商業道徳といいますか、そういうモラルの問題が非常にあります。また下請事業者に対してもそういう問題はあると思いますが、そういう関係で、下請業者の経済上の地位を引き上げて、なるべく親事業者に匹敵するものにしていくというのが根本だと思います。それがすぐできないからして、現状においてこの法律の範囲内において下請事業者の利益をできるだけ擁護する。あまり理論的に徹底していくというと、かえって下請事業者に損になる。理屈はいいけれども、実際損じゃ因るので、その点がわれわれ実際運用する面においても問題があるので、趣旨は、この法律は下請事業の保護という点を常に主眼にしております。
  194. 近藤信一

    ○近藤信一君 この法案を直接関係ないのですが、きのうあっさりと逃げられてしまったので、この点で一点。私はあれから考えまして、独禁法にこれは関係があるかと思うのであります。きのう私が質問いたしましたが、労働組合が総評系であるからといって取引を拒否した場合にはどうかということで質問したのですが、これは昭和二十八年九月一日、公正取引委員会告示第十一号の第一号の不当取引拒否に該当すると思います。また、同一の理由で他の下請業者に比較して低い単価に減額したような場合には、第四号の差別対価に該当すると思いますが、この点はどうですか。それといいますのは、この不公正取引方法であなたのほうで告示第十一号で出されましたのを見ますると、第一号で「ある事業者から不当に物質、資金その他の経済上の利益の供給を受けず、もしくはその供給を受けることを制限し、」云々とある、その前段に該当すると、こう思うのであります。それから第四号「正当な理由がないのに、地域または相手方により差別的な対価をもって、物資、資金その他の経済上の利益を供給し、または供給を受けること。」の後段に該当する。不当にとは、正当な理由がないことを言うのであります。正当な理由とは品質が粗悪であるとか、それからあるいは規格が注文どおりに合わないとか、その物資等にきずがあるとかで、合理的な理由でその取引が拒否されるのなら、これはやむを得ないけれども、組合が総評系であるという理由で取引を拒否することは不当であることは明白であると思う。なぜならば、独禁法は公正競争の範囲内における公正取引、すなわち良質低廉な物資等の円滑な需給をはかることを主たる目的としている見地から、その意味での能率競争、合理的競争に重点を置くものであります。単に組合が総評系であることだけでは取引を拒否する正当の理由とは認められないと思います。このことはきわめて明白であります。単に組合が総評系であるとしても、取引を拒否することは不当取引拒否であると私はこれを断ぜざるを得ない。また同一の理由から、単に組合が総評系だからといって、他の事業者より低く単価を減額することは、これまた第四号の差別対価に該当するものと思うのです。その当該事業活動を妨害、排除するためにその商品を買いたたくような場合には、これは優越地位の乱用ということに触れると思いますが、この点はいかがですか。昨年のあの新聞料金の値上げのときにもいろいろと各議員から御質問があったが、公取委員長にあっさり逃げられてしまったのです。こういう実例が今方々に出ていることは事実でございます。その点は公取委員会としても十分考える必要があると思いますが、この点をはっきりと御答弁願いたいのであります。それによって私は終わります。
  195. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) 具体的な事例に当ててみなくては非常にむずかしい問題でございますが、不公正な取引方法で、ただいま御指摘されましたような一般指定のボイコットなり差別対価ということに当たりますれば、そういうことで事業者に競争上不公正な取引を用いるという点で独禁法違反の問題が起こってくるだろうと思います。
  196. 近藤信一

    ○近藤信一君 今の御答弁で私了解しますが、そこで、これはほかから申告する、その当該労働組合では、なかなかそれは直接申告することはできない。その場合、上級団体なりまた他から申告があった場合に、あなたのほうはどうされますか。
  197. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) 独禁法違反で申告があった場合には、公正取引委員会調査するということでございますので、何人でも提訴されるということになれば、調査するようになっております。
  198. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 他に御質疑はありませんか。——他に御発言がなければ、本案の質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言がなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  199. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 総員挙手と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出する報告書の作成等につきましては、慣例により、委員長に御一任を願います。   —————————————
  200. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 次に、不当景品類及び不当表示防止法案議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  201. 吉田法晴

    吉田法晴君 不当景品類及び不当表示防止法案について御質疑を申し上げたい。不当な景品類、それから不当な表示によって顧客を誘引する等の行為は、あの独禁法二条七項で不公正な取引方法とされておる。具体的には昭和二十八年の公取委員会の告示第十一号で一般に規定されております。また特定の業種については特殊所定をして、明らかに不公正な取引方法として規制されておるわけでありますが、公正取引委員会では、今までにどの程度の違反摘発をされてきたか。摘発しないでも、最近の景品類提供の実情を見て、不当なものと思われるようなものがどの程度にあるか、あわせて御説明を願いたいと思います。
  202. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) 不当な景品類につきましての独禁法違反の問題として正式に処置したものは、数年前に、新聞社の懸賞広告に対して独禁法違反で処理したことがございます。昨年来、かなり多くの大きい懸賞販売ということが行なわれましたが、これに対しましては、直接独禁法の違反事件として処理しないで、まあできるだけ行政指導的に、やめるべきものはやめてもらうというような指導をし、かたがた次々にこういう事案が起こりましたので、主として実態調査に重点を置いて参ったわけでございます。
  203. 吉田法晴

    吉田法晴君 品質表示について規制している法律としては、一般的に不正競争防止法があり、個々のものとしては薬事法あるいは食品衛生法初めこの国会に提案された家庭用品品質表示等がありますが、これらの法律における表示と本法における表示とは、どのような相違があるのか。それからこれらの法律で規制される商品については、本法で重複して適用することがあるのかないのか、これらの法律と本法の運用とはどのような関係にあるのか伺いたい。
  204. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) 最初の不正競争防止法でございますが、これは原則として私益の保護という点が目的でございまして、今回提案されております法律と趣旨が違っておるのではないかと思います。薬事法その他表示をいろいろ規制した法律がございますが、その面で、ある程度今回提案の法律と重複する点があるかもわかりませんが、そこは実際上の運営にあたりまして、関係各省と十分協議し、収穫適用ということのないように処理していきたいということでございます。
  205. 吉田法晴

    吉田法晴君 薬事法その他同様の規制があるものについては、各省と連絡協議をして重複のないように、こういうことですが、その重複というのは、薬事法、食品衛生法あるいは家庭用品品質表示法等で規制されるものは、公取委員会としては本法の適用として取り上げない、こういうことでしょうか。しかし、それでは薬事法その他の問題についても本法で公取委員会は取り上げるということになれば、向こうが取り上げないということになるでしょうが、その辺は、薬事法なり食品衛生法、家庭用品品質表示法の関係は、これは他の省に譲って、公取委員会としては取り上げないと、こういうことですか。
  206. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) たとえば薬の誇大広告というようなことで、薬の品質、内容等につきましては、まあ薬事法によって優先的に処理をしていただきますが、薬事法でどうしても規制できないような範囲もございますし、それからたとえば通産省のほうで所管されております家庭用品品質表示法、こういう法律におきましては、まあ消費者を保護するために積極的に表示の事項をきめて、表示を正確にやって売っていくという点がねらいでございまして、私ども法律といたしましては、まあ欺瞞するようなと申しますか、虚偽のような表示、こういうことで顧客を不当に誘引するという面から規制していくわけでございます。両々この法律が相携えていける面があるんじゃないかと思います。
  207. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると、表示をするかしないか等については通産省、それからその表示が欺瞞的なものであるその他でこの法律公取が取り上げる、こういうものであると、こういうことですね。ただその対象については、一応表示するかどうか、それから表示の内容云々ということですが、その点で関連をいたしますけれども、表示したものの中にこの法律の適用を受けるものがあるかもしれぬ、こういう話になりますと重複して——さっき重複しないようにとおっしゃいましたけれども、重複というか、相関連をして問題になりますがその辺が実際にどういう工合に運用されますか。
  208. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) 若干まあ法益が違うわけでございまして、たとえば家庭用品品質表示法で表示を義務づけられ、それに違反した場合には通産大臣は命令するというようなことがありますので、そういった面で通産省の表示義務、表示違反に対する命令、それに対するまあ違反の罰則という関係がございますから、そういうことで各省いろいろ所管の物資がございますが、この点では運用上十分協議していきたいということで考えております。
  209. 奥むめお

    奥むめお君 ちょっと関連。ようございますか。  協議してやりたいとおっしゃっていますが、繊維製品品質表示法では純綿というのは九〇%と出ておりますね。公取はそれをまだきめていないのですね。そうすると、大体九〇%とするつもりですか。それとも八五%とか八八%とかいうことになると考えられますか。
  210. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) 公取としましては、本法によりまして品質、規格、内容等が消費者に誤認をさせて、そのために不当に顧客を誘引して公正な競争を阻害するという面から規制していくわけでございまして、たとえば純綿というのがどの程度になれば公正な競争を阻害をする、あるいは消費者に誤認をさせるということは、今後の解釈、運用によるということで、現在何%がどうだ、こういうことについては科学的にここでお答えできません。
  211. 奥むめお

    奥むめお君 ちょっとお伺いしますが、公取は一〇〇%と言うべきじゃないですか。そうではないのですか。どうしてそういう抽象的な、あいまいな答弁をなさいますか。
  212. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) 品質、内容その他について著しく優良であると一般消費者に誤認させるということで、まあ九〇%のものを、一〇〇%純綿であるということになれば、この規定に触れてくるものがあるのではないかと思います。
  213. 奥むめお

    奥むめお君 そうじゃない。純綿と書いてあるとしますね、純綿というラベルがついている。そしたら繊維製品品質表示法では純綿は九〇%といっておりますね。公取はそういう場合に、ただ純綿と書いてあったら何%が純綿というかということを私は聞いておるのです。
  214. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 今のお話の、純綿というと、読んで字のごとく一〇〇%なら純綿、これはもう疑いない。しかし一般の取引におきましては、純綿というのは、私よく知りませんけれども、たとえば九〇%以上は純綿といって取引するのが社会通念として、ことに通産省の関係になりますが、適当であるというなら、それはやむを得ないかと思います。私のほうといたしましては、この法律の第四条に書いてありますが、商品の品質、規格、その他の内容について実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に誤認させるという程度にならなければこの法律に違反しない。そこで、ここに法律をどう解釈していくかという問題でありますが、まあ私純綿等の織物の取引をよく知りませんけれども、一般の解釈で、まあ九〇%以上は純綿と認めて差しつかえないということがいえるならば、この私のほうの法律にはひっかかってこないと、こう思います。
  215. 奥むめお

    奥むめお君 ずいぶんあいまいなことでこの法律が進められてますね。私それじゃそれについて、「著しく」というのはどういうことなんですか、著しく誤認というのは。
  216. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) これは特に優良であるという程度にかかろうかと思います。
  217. 奥むめお

    奥むめお君 たいへんそこの段階が解釈によって違いますね。その段階はだれがきめますか。
  218. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) これは公正取引委員会で決定して参ります。
  219. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると、具体的に奥さんは九〇%の綿を含むものは純綿として取り扱ってもいいと、こういう工合に家庭用品品質表示法では理解する。それがこの二不当表示防止に関連をしてどういう工合に取り扱われるか。答弁は九〇%のものが純綿として取り扱われるということが常識的に世間でとおっておるならば、あるいは商慣習というか、それから消費者を含んで一般にそう理解されておるならば、あるいは許容されておるならば、家庭用品品質表示についても許されるだろうが、不正表示の点からいっても、それは不正表示とは言い得ないのじゃないか、こういう答弁であったように思うのですが、ただ、九〇%ならば許される、それじゃ八〇%になってその八〇%のものを純綿だと表示しておれば不正表示になるか、これはなかなかむずかしいところだと思うのですね。まあ九〇%と八〇%と一〇%違えば、八〇%のものはそれは免除されるということになるかもしれませんけれども、それじゃ八五%、八九%だったらどう、こういう問題も起こって参るわけです。その辺は常識といいますか商慣習なり、あるいは取扱君とそれから消費者との関係においても、それは純度の点が常識的にどの程度が綿なら綿と表示し得るか、こういういわば事実関係といいますか、商慣なり、あるいは国民の慣習による、こういうでしょう。しかし常識による、慣習によるということになると、なかなか微妙な問題が出て参ります。それからそれについて、たとえば通産省と公取の意見がものによってあるいは違ってくるかもしれない、多少。そういう場合には本法についてはそれは公正取引委員会が判断されるということになるのでしょうか。これはどうしてはっきりしていくか、ひとつその取り扱いを……。
  220. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) 通産省のほうからお答えいたしますが、ただいま吉田先生の御指摘の純綿糸云々というような問題でありますが、これは現在は御承知のように繊維製品品質表示法がございまして、繊維製品品質表示法では推定文字制度というのがありまして、純綿という名前を使った場合にはどういうものでなければならないという規定があるわけです。それに対しては通産省の告示で、純綿という名前を使っている場合には、いわゆる混紡あるいは混繊率が一%で、いわゆる通産省の引っ張り試験その他で合格したものということになっておりまして、純綿という言葉を使う場合には九九%までは綿でなければならぬというふうになっておるわけであります。で、今度家庭川品品質表示法ができまして、いわゆる繊維製品につきましては、その後いろいろの化学繊維あるいは合成繊維が出て参りましたので、何といいますか、いわゆる組成を明瞭に示すように家庭用品品質表示法のほうで参りたい、こういうふうに考えております。で、公取のほうは、いわゆるまあメーカーあるいは販売業者がそれぞれ何といいますか、相手方の顧客を誘引するために、不断に相手方に不利になるように自分に特別に有利になるように誤認されるような表示を取り締まられるわけでありまして、今、先生の御指摘のような問題につきましては、これは通産省の家庭用品品質表示法で取り締まるべきではないか、こういうふうに考えております。
  221. 吉田法晴

    吉田法晴君 公正取引委員会から御説明がなかったのですけれども、少なくとも、著しく優良であるような、あるいは有利であると誤認されるような表示をする必要がある、こういうことですが、それが問題のような限界点に達しますと、これは取り扱い例といいますか、裁判の場合には判例で云々ということになると思いますが、通産省と協議して云々というお話になりますと、通産省の意向というものが相当影響すると考えるのですが、公正取引委員会の性格としては、この法律の実施にあたっても客観的な判断等は確立されていく必要があると思うのですが、その具体的な、何といいますか、方針といいますか、各事例で確立されていこうとするのですか、それとも基準といいますか、あるいは何か方針をきめられてやっていこうとされるのですか、その辺をひとつ伺いたいと思います。
  222. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) これは第四条の品質、内容等に関するもの、あるいは価格、取引条件に関するもの、いろいろな事例があると思いますが、そういう事例をまず具体的に考えまして、こういうものは第一号に当たる、こういうものは第二号に当たるということで基準的な解釈を確立しながらやっていきたいと考えております。
  223. 吉田法晴

    吉田法晴君 それは政令ですか、それとももっと取り扱い要綱というのか、政令までにならぬものでおやりになると言うのですか。
  224. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) これは政令でございませんので、結局第四条の解釈で、第一号、第二号はこういう解釈基準でやるという解釈でございます。第三号は、これは指定でございます。
  225. 吉田法晴

    吉田法晴君 わかりました、解釈基準については。  先ほど局長は、この不正競争防止法と、それからこの法律とは全然別なんだと、片っ方は私益云々というお話ですけれども、本質的には同じじゃないですか。それから対象が特定の、一つのとにかく不正競争あるいは不正表示等が対象になるか、それとも考えておられるのは、公共といいますか、もっと広い利益を守るためにこの法律を作るのだから、個々の私益を守るよりも範囲が広いのだと、こういう説明なのかもしれませんけれども、不正表示あるいは不正競争という点においては私は変わりがないような気がするのですが、ただ、やり方の広狭、あるいはそれによって守られるもの、あなた法益という言葉を使いましたが、法益の範囲に概念上若干の違いがあるようです。しかし、この不正競争にしても、個々の例を取り上げて、それを差しとめその他によって同様のやり方をとめさせる点については、これはそう違いはないように思います。簡単に片っ方は私益を守るのだ、これは法益が違うのだ、こういうことでは済まされぬことではないかという気がしますから、これはもう一ぺん御答弁をお願いいたします。法のあり方に関連をいたしますから、あるいは委員長からでも御答弁いただきたい。
  226. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 不正競争防止法は、ただいま局長が申しましたように、法益というか私益の法益だからして不正競争防止法においては利益を害せられた者が害した者に対して行為の差しとめを要求する、あるいはまた損害賠償を請求するという私人間の関係であります。だが今度の法律では、自由公正な競争を確保し、消費者の利益を守るという、一般的のいわゆる公益関係であります。したがって、ある事実をつかまえますれば、両方の法律に該当するということはあり得るわけであります。ただ、救済方法が、不正競争防止法では被害者が行為の差しとめ請求をするとか損害賠償を請求するとかいうことであるのに対して、今度の法律では、そういうふうな行為に対しまして、公の見地から排除命令を出す。こういう点が違うと思っております。
  227. 吉田法晴

    吉田法晴君 だからその方法は違う。それから特定の不正競争を対象にするか、あるいはもっと一般的にそういう同様の不正競争を一ぺんに排除するか、こういうやり方の違いはありますけれども、ねらっているところは、その一つの例を取り上げて、この判例じゃありませんけれども、そういう予防的やり方を、差しとめなり損害賠償を、一応やめさせるためにやるのだ。それで間接だけれども同様の不正競争から関係者の利益を守るという意味で、直接間接の違いはある。対象は特定しているか、あるいは多少一般化しているかという違いはあるけれども、不正競争自身をやめさせるという点については違いはないのじゃないか、本質は。こういうことをまあ申し上げたのですが、大体その私益云々という話はございましたけれども、あまり意見が違わぬようですが……。
  228. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 不正競争をやめさせるという点においては同じです。一方はその私人の立場から、一方は公益の立場から、こういうことになります。
  229. 吉田法晴

    吉田法晴君 私人の立場からと言われるけれども、それを公取として不正競争防止法なら不正競争防止法を通じて、特例についてやっていく点は、特に差しとめ命令等については、これはそれを一般に及ぼすという点で、その目的は同じじゃないかと、こうまあ申し上げたのですが、それはいいです。  本法案でいう景品類の中には、いわゆる景品付販売と懸賞付販売とがありますが、本法案の規制の対象となるものは、これらの景品付販売、懸賞付販売のうち、お客を誘引する手段として用いる場合で、しかも公取が推定するものとなっておりますが、公取委員会が指定する際に、独禁法の一般指定のように、抽象的な表現で指定をされるのか、あるいはまた温泉の招待とか観劇とか、アフター・サービスとか、雑誌の付録とか、キャラメルの景品とか、具体的に示すのか。あまりこまかく規制をするとあじけないものになると思うのですが、抽象的な方法でやるのか、具体的な方法でやられるのか。それから雑誌の懸賞あるいは具体的な商品の取引に附随していなくとも企業名の宣伝、商品名の宣伝のために行なうラジオ、テレビのクイズ類、あるいは特定業者をスポンサーとする野球場や劇場のラッキーシートのごときものまで取り扱われるのかどうか、お伺いをいたします。
  230. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) 指定の仕方は、具体的に指定することになっているわけでござ、います。それからこれは「直接的であるか間接的であるかを問わず、くじの方法によるかどうかを問わず、事業者が自己の供給する商品又は役務の取引に附随して」ということでございますので、この「附随」というのは関連してという意味でございますが、行なわれるものは、すべて対象になって参ります。
  231. 吉田法晴

    吉田法晴君 まああげた例の中で、それがどの辺まで入れられるということになるか問題だと思うのですけれども、さっきあげた中には、アフター・サービスあるいは付録までついているのですが、その辺の具体的に規定をするということですけれども、具体的な場合の表現の方法によっては、非常により窮屈なものになる、あるいはあじけないものになるという感じがするのですけれども、その「著しく」云々というのがどの程度のものか、具体的に規定をするということならば、具体例に関連をしてお答えを願いたい。
  232. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) これは定義としましては、第二条で景品類の指定をするということになっておりまして、そうした景品類のうち、どの程度のものをこの第三条で「景品類の制限及び禁止」の対象にするかということになって参るわけでございまして、その第三条で「提供を禁止する」ということなり制限するという場合には、常識を働かしてやっていきたいということでございます。
  233. 吉田法晴

    吉田法晴君 その常識で判断してと言うが、その常識が具体的に景品なら景品をうけるときに、著しく公正な取引を害するような云々ということになるか、これはキャラメル類の景品を今あげたわけですが、あるいはアフター・サービスについても、ある程度、アフター・サービスをするのは当然だということもありましょう。だから具体的にあげていくということになると、それがどの辺までは常識的に許されるのか、あるいはどの辺以上になったら公正な取引を害するようになるのかという点は、具体例をとってお示しを願いたいのだけけれども、やり方によっては、味もそっけもないことになるし、潤いもなくなるんじゃないかと思う。それかといって、あまりそれがルーズな基準では目的が達せられないと思うのですが、具体的な事例でひとつお示しを願いたい。
  234. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) これは当初のあれでは、一万円とか二十倍ということで、法律で限定しておりましたのが、いろいろ問題がありますし、それぞれ物別に多少の考え方もいたさなければならぬわけでございますので、案を作りまして、それぞれの所管の物資の官庁ともよく相談し、第五条で公聴会を開いて、関係事業者なり一般消費者等の意見を十分聞き入れまして、適当なものを決定していきたいということでございます。ですから、たとえば商店街で一斉にやるような場合で、特にある顧客誘引というようなことで弊害のないような場合には、ある程度ゆるやかにするとかというようなことで、実際の運用で十分気をつけていきたいと思います。
  235. 吉田法晴

    吉田法晴君 一斉にやる一場合だと、か、法令によってやるような場合に、従来やられてきたようなものについては、そう問題にはしない。なお、具体的にどうするかについては、公聴会を開いて関係者の意見を開くということですから、その点で了解いたしますが、ただ、各省と相談する云々というようなことですけれども、それが中らにならないようにひとつ運営をしていただきたいと思います。  次は、公取委員会は、本法の規制の対象となる指定された景品類については、最高額、総額、種類、提供の方法を制限ないし禁止できるわけですが、その方法は、一般的に禁止するのか、または商品別に禁止するのか、商店街や協同組合等が主体となって行なう景品販売、懸賞販売、年末の売り出しとか記念セール等も規制の対象になるかどうか、景品類の最高額あるいは総額等はどこに線を引く予定なのか、特にこれの対象とした商品については、特別に低い線にきめる必要があると思われるがどうか、半分は先ほど答弁されましたけれども、もう少し具体的に。
  236. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) 非常に高額な品物である場合、あるいは学童等を対象にするようなもの、それぞれ特殊事情がございますので、それを十分、先ほどお答え申し上げましたように、勘案して制限なり禁止をして参りたいということでございまして、あるいはこれを一律にはやりませんが、かなり類似のような物については、一括して限度を設けるとか、特殊な物については特殊な方法で設けるとかいうことで、三条の制限、禁止の運用をはかっていくということでございます。
  237. 吉田法晴

    吉田法晴君 次の表示の方法ですが、顧客の誘引手段としての広告その他の表示というものは、新聞広告、折り込み、チラシ、ネオン、立て看板はもちろん、ラベル、説明書、ラジオ、テレビのコマーシャル、セールスマンの口頭説明及び文字によるばかりではなく、絵で表示するものも含まれるのかどうか、それから商品そのものの広告や表示でなく、事業者、特に大企業が最近行なっているように、企業のイメージを植えつけるための宣伝広告も対象となり得るのかどうか、御説明を願いたい。
  238. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) これはかなりいろいろな表示の仕方がございますので、ただいま吉田先生のおっしゃったような点で、法律に当然指定すべき必要のあるものはすべて指定していくということでございます。
  239. 吉田法晴

    吉田法晴君 次に、広告は自分の商品の品質、規格を単純に知らせるだけでは、現在のような販売競争の激しい時代には、もはや意味がなく、企業は何らかの方法で顧客を誘引しようと努力しているわけですが、本法案のように、実物よりも、または同業者の物よりも著しく優秀であると一般に誤認されるようなという抽象的な表現のもとで、はたして公取委員会が消費者の利益を守るための適切な判断がなし得ると確信されているかどうか。しかも、これがテレビ、ラジオのコマーシャルからセールスマンの口頭説明まで及ぶことになると、適当な判断の基準でもない限り、現在の公取委の機構と職員数では十分な効果は期待できないのではないか、こういう疑問が起こって参ります。それから消費者のほうの立場から見ますならば、たとえ聴聞会を開くといっても、消費者が問題を持ち込んだときに、直ちに何らかの措置をとれるように配慮する必要があると思うが、どうでしょうか。
  240. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) これはやはり具体的な問題が出ました場合に、「著しく優良」云々で解釈上問題が起こりますので、十分解釈基準うとうようなものを作りまして、具体的な問題を見ながら処理していくということでやりたいと考えております。また、後ほど出て参ると思いますが、「公正競争規約」ということで、自主的に民間で規制の方法を考えておりますので、そういうものがある場合には、それを参照していく、そういうことでやって参りたいと思います。
  241. 吉田法晴

    吉田法晴君 不当な景品類、不当な表示によって顧客を誘引する行為は、独禁法第二条第七項で不公正な取引方法とされており、具体的には昭和二十八年の公取委員会の告示第十一号で、一般指定もされております。また特定の業種については、特殊指定をして、明らかに不公正な取引方法として規制されておるわけでありますが、公取委では今までにどの程度の違反摘発の措置をとってきたか、あるいは摘発しないまでも、最近の景品類提供の実情を見て、不当なものと思われるようなものはどの程度あったか、あわせて説明を願います。
  242. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) 先ほども申し上げましたが、独禁法で直接摘発したものは、新聞社の件が一件ございました。昨年来は、たとえばガムで一千万円の懸賞、電気器具で、八百万円の家を作る、あるいは世界一周旅行をさせるとか、ハワイへ連れていくとか、いろいろかなり目に余るものがございましたので、これも厳格にやれば、あるいは不公正取引方法ということで処理すべきであったかと思いますが、次々発生して参りましたので、これについてはやはり迅速に処理し得るような法体系を考えなければ、とうてい処理できないということで、本法案を御審議願っておるわけでございますが、昨年はそういうことで、主として業界の最近の懸賞の実態調査し、あわせて一般消費者のこういう懸賞景品に関する考え方というものを、アンケートでとると、そういうことでやって参りました。   〔委員長退席、理群剱木亨弘君着席〕
  243. 近藤信一

    ○近藤信一君 関連して一点お尋ねしますが、これは景品類の制限、それから表示の制限にも入っていないのだが、実際は何か規制する必要があると思うのですが、たとえばこの法案の中に、あちらこちらに、「一般消費者に誤認される」とか、また「不当に顧客を誘引」するということがあるわけですが、そこで今盛んに市場なんかでも、飛行機やそれからヘリコプターを使って、盛んに宣伝をしているわけです。わが市場に来てくれという、顧客を誘引する広告をばらまいて、この広告の中には、この表示の中には、これは同じような、そう別に飛び離れた広告じゃないのだけれども、飛行機やヘリコプターを使うということ自体が、相当不当な競争だと私は思うのですが、こういう点について何ら触れていないのだが、この点は、どう考えておられますか。
  244. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) 現在までのところ、そういう広告の手段と申しますか、飛行機を使ってはならぬとか云々ということは、まあ、私ども法律で、表示なり広告の内容そのものが、消費者に誤認をさせ、不当に顧客を誘引して、不公正な競争、不公正な取引方法になるという点を規制する必要があるのでありまして、そういったどういう手段、まあそういう宣伝方法についてまでは、独禁法の立場から現在考えられないということで、措置していないわけです。
  245. 近藤信一

    ○近藤信一君 もう一点ですが、たとえば製造業者や卸売業者が、小売業着に対しまして、これも景品ではないが、何万円、何十万円以上販売したならばどこどこへ連れて行くとか、九州へ連れて行ったり、それから北海道へ連れて行ったり、競争をしているわけです。こういう点は、どういう対象になりますか。
  246. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) それもやはり事業者が取引に付随して、関連して、そういう方法を用いる。そうしてその方法の内容が、第三条の景品類の制限なり禁止の限度をこえているということになれば、当然法律の規制の対象になるわけでございます。
  247. 奥むめお

    奥むめお君 それに関連しまして、内容には触れないのだとおっしゃっていましたね。ヘリコプターや何かは、内容には触れないのだと、ビラをまいても。今度は、内容に触れなさ過ぎるのじゃないかという疑問を持つのです。もっとこの内容に触れる法案でなくちゃいけないのじゃないか。つまり表示事項の問題ですね。この繊維は熱湯に入れるなとか、このプラスティック容器に染めた物を入れると染まるから注意せよとか、消費者にとって有利なものであるが、販売業者にとって不利な点でも表示してほしい。中古品を中古か新しいのかわからぬような、それを問題にしない、こういう点はどうですか。初めには表示事項というものが原案にはあったと思うのですが、いつの間にかなくなりましたね。これは通産省にはずされたのですか。それとも公取がはずしたのですか。どうですか。
  248. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) ただいまの点でございますが、これは品質、規格その他内容について、実際のものよりも著しく優良であると誤認させるというようなことに、たとえば土地の案内なんかで、そういう点で、非常に誤認させるものがあれば、それは対象になって参りますし、またそういうことで、品質なり役務の価格その他の取引条件、その他一般的な表示、または役務の取引に関する事項で、一般消費者に誤認させるおそれがある表示であって、公正取引委員会で指定するということであって、この指定の際に、問題のあるものについては、この法律に許される範囲で指定していきたいと考えております。当初の原案に、正確な表示事項ということがございましたが、いろいろ立案の過程で研究している際に、そこまでやる必要はないということで、とりあえずこの程度の法律でスタートすれば、かなり多くのものが規制できるのではないか、こういうことで、公正取引委員会のほうで、自発的に撤回したということでございます。
  249. 吉田法晴

    吉田法晴君 先ほど質問をした中で、現在の公取委員会の機構と職員で、十分な効果があるかという質問をしましたが、御答弁が十分にございません。これは公取委員の、今までのいわば裁判所ではないけれども、いわゆる取引の面での裁判官的な機能をさしてもいる。それになれてきた公取委員がはたしてこういうこまかい行政をやるのに適当であるかどうかという疑問も、時折感ずるのです。それから全国で聞いても、大阪、福岡等何カ所かしか、出先機関などをお持ちになっていない。そうすると、はたしてどういうことで、この法律を実施していかれるか。いわばそれぞれ申告なり何なりがなければ、動き出さぬという点もございますが、法の実施について、どういう心組みでおられるのか、これは委員長にお伺いいたしたいと思います。
  250. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 現在の公取の機構、やり方で、この法律を千分こなしていけるかという点は、実は私も非常に率直にいいまして疑問にしたわけでございます。それで内部の事務局の者と十分相談いたしまして、はたして君たちやっていけるかということを念を押しましたら、大体やっていけるということで、この法案の立案をしたわけであります。ことに、景品類なり、懸賞類に行き過ぎがずいぶんありまして、とても放っておけないから、それはやらなければならない。しかし、現在の機構ではどうかという問題、これはかね合いの問題でございまして、私といたしましては非常に心配した点でありますが、事務局で十分確信があるというので、この法案を出したわけでございます。しかし、この点に関しましては、衆議院商工委員会の附帯決議におきまして、公取の機構を大幅に拡充すべきだということもありましたので、それらともあわせて考えて、将来、予算については、格段の努力をしたいと思っております。
  251. 川上為治

    ○川上為治君 関連して、私もこの問題は非常に実は心配しておるのですが、今審議しておりますこの法律は、これは単に消費者の利益というだけではなくて、誇大広告なんかできない、中小企業者の擁護という面から言いましても、私はどうしても、こういう法律が要るのだというふうに考えて、いやしくも法律が通った以上は、これが十分実行できるようにしてもらわなければならぬと思うのです。また、先ほどこの委員会で通過をみました下請代金支払遅延防止法の改正の問題にいたしましても、従来はどちらかといえば、ざる法に、私は率直に言いまして、近いと思います。ところが、相当今度は目をふさいで、空気は少し漏れるかもしれませんが、水はほとんど漏らなくなったのじゃないかという気がしますが、これも結局、これを実行する公取が、よほどしっかりしてやらなければなかなかうまくいかないのじゃないかというふうに考えられます。従来、公取は鉄鋼の価格であるとか、あるいは石油の価格とか、そういう価格の協定については非常に厳重に取り締まりをやっておるようですが、しかし、中小企業者に関する下請けの問題等に関しては、大した私は実効を上げていない、こういうふうにみているのです。  ですから、せっかくこういうりっぱな法律を作り、また改正するのに、実際そういう点がうまくいかないということなれば、これは全く何にもならないということになるのですが、今、事務当局の話では大体やっていけるのだ、こういうようなところで委員長はそれで踏み切ったのだというお話がありましたが、何か私はもっと行政機構でも拡充するなり、人をふやすなり、あるいは地方のいろいろな機構を有機的な関係をもって、これを活用するというような、そういう具体的な方策を考えておるのでしょうか、それなひとつ承わっておきたい。
  252. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) ただいまのお話、ごもっともで、私もそう思っておるわけです。それでできるだけそれにつきましては、やはり消費者の団体であるとか、業界であるとか、そういうものと十分連結をとりまして、できるだけ適正に運用するということを申し上げることはできると思います。
  253. 川上為治

    ○川上為治君 今の委員長の言明は、少し消極的過ぎると思うのです。もう少し勇気をふるって機構の拡充なり、そういう点を強力に考えていただきたい、ぜひ実行してもらいたいということを特に要望しておきます。
  254. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) ただいまの点につきましては、次の予算を審議される機会までには、われわれといたしましても骨を折りたいと思っております。
  255. 吉田法晴

    吉田法晴君 これは手続規定があまりないようですが、何といいますか、申告というか、初めの、これは不当な表示だ、あるいは不当な景品つきのあれだということで言うていったところで、これは公取委員会でしょう。それで地方には、たとえば九州で言っても、福岡しかない。それから近畿で言えば、大阪にしかない。そうすると、その文書を書いて手紙を出すという方法はなかなかこれはやっぱり大衆にはなじまない、いわばどこにでも——まあどこにでもというわけにいかんかもしれませんけれども、市町村ならば市町村にでもかけ込んだら、そこでやはり取り上げてくれるということが必要だろうと思うのですが、それについては、あまり手続規定はないようですが、その辺はどうするつもりですか。  それから、実情に合ったやり方、取り上げ方が配慮されなきゃならぬと思うのですが、何といいますか、基準だとか、その排除命令——排除命令に対する異議の申し立てという点はありますけれども、ちょっと読み方が足らぬかもしれませんけれども、その手続規定について、不正競争なりあるいは不当景品つき販売の最初の手続はどうなるのですか。
  256. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) この法律の対象となりますものは、何と申しますか、景品なり懸賞なりあるいは表示なり、すべて外へ表示されて現われておるということに特質がございまして、普通のカルテルのように、地下カルテルというような隠れた行為でないということでございますので、まあわれわれのところとしては、地方機構等は非常に少ないのでございますが、できることとしましては、全地方の新聞等を取り寄せて、十分そういうもので調べる、また独禁法の四十一条に公正取引委員会は必要のある場合には公務所に調査を依頼することができるという規定もございますので、そういう点もフルに活用いたしまして、できるだけ情報を集めて、端緒といいますか、スタートしたいと考えております。
  257. 吉田法晴

    吉田法晴君 全国の新聞を取り寄せて、とにかく新聞を見ていて、これはずいぶん不正競争だというような話は、これはまどろっこい話で、ずいぶんこれはざるのざるたるゆえんになってしまうでしょうが、官署の協力云々というような話がありますが、これは事業者にしてもあるいは消費者にしても具体的な実例を取り上げて、どこかに言うていくという、そういう道をあけておかぬと今のようなお話では、これは実際に、これが生きて動くということにはならぬと思うのです。あるいはそれは調査について協力を求めると言われてもですね、特定をしている新聞だとか、それから、たとえば家庭用品、何とか商標みたいに、それは通産省ならば通産省の出先であれをしておられるでしょうけれども、これは不正行為だという、あるいは不当な景品をつけた行為だという判断をする基準なり、その公取委員会の働き自身が規定としてありませんでしょう。それを国民の中から、それは不正取引分だ、あるいは不正表示なんだという、こういうものを取り上げるところが規定をされていないと、これは実際になかなかだと思うのですが、たとえば先ほど申し上げましたけれども、役場ならば役場に言っていけば、これは取り上げてくれるのだ。こういうことにでもしておかん限りは、福岡に行きなさいでは、これは話にならぬと思うのです。あるいは大阪ならば大阪の公取の出先機関にいきなさいでは、これはちょっとこの法律は動かない、どうするつもりでしょうか。
  258. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) 現在のところでは、御指摘のとおりでございますが、まああらゆる方法で、たとえば消費者団体なり、そういった団体からも注意していただくし、また四十一条の公務所から報告を求めるということ、先ほど申しましたように隠れておる行為でないので、たいてい新聞とか、その他に発表されておりますので、各府県から出ております新聞をとるだけでも、かなりの事実をつかむ方法はあると考えておるわけでございます。そしてまた、この法律が十分浸透して、PRにつとめて、それで末端まで侵透すれば、独禁法の申告の方法で申告されて、それを探知することもできるわけでありますので、初めから大きくスタートするのには、確かに不備な点がございますが、とりあえずこういう形で出発して、どうしてもこれが不十分であるというときには、将来考えるということになるだろうと思います。
  259. 赤間文三

    ○赤間文三君 関連。今話を聞きましたが、私の考えでは、こういう重大な事務を、人もふやさぬでやるということは、府県の商工会あたりに事務を委任さして幾らか金を出してやる、こういうふうにされたら一番実効があがる、こういうふうに思うが、どうですか。やはり府県をお使いにならないと、大きな仕事はできませんよ。府県には人がいるのですから。その点についてひとつ。
  260. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) 独禁法には「公正取引委員会は、その職務を行うために必要があるときは、公務所、特別の法令により設立された法人、学校、事業者、事業者の団体又は学識経験ある者に対し、必要な調査を嘱託することができる。」ということでございますので、ただいま御指摘されました府県の商工会あたりを、これで使えるかどうかという点がございますが、予算措置としまして毛、衆議院のほうの附帯決議もありますし、調査嘱託費というようなものをできるだけ獲得することによりまして、少しでもそういうほうに向かっていきたいと考えております。
  261. 奥むめお

    奥むめお君 今、たびたび消費者団体とおっしゃいますが、それは何を意味しますか。
  262. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) 特にどの団体ということではございませんが、あるいは消費者団体連合会だとか、主婦連あたりでも、お力ぞえを願いたいと思います。
  263. 奥むめお

    奥むめお君 何を考えていなさるのかしらと思いまして。まだきまっていないんですか。これからお考えになるの。
  264. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) 具体的には、まだこれということはないのですが、そういう既存の団体で、十分いろいろなお力ぞえをいただけるのじゃないかと希望を持っております。
  265. 奥むめお

    奥むめお君 いずれまた、それは後ほどにいたします。
  266. 吉田法晴

    吉田法晴君 これは、公務所その他に調査の報告を依頼することができる云々ということですが、これはあなたのほうの調査で取り上げるというよりも、やっぱり国民の中の申告を取り上げるという道をあけておかないと、公務所等に依嘱するといっても、これはなかなかだろうと思います。その点は法文にありませんけれども、運用として道をあけ、それから申告が手紙でも行動でも公取委員会に達するように、やはりこれは制度として御考慮を願わなければならぬところだと思います。
  267. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) ただいまの点、ちょっと申し上げましょう。この法律は、内容は、いわゆる不公正取引に当たるわけなんですね、その不公正取引について、簡単に迅速に処理しようというのが、この法律なんです。だからこの行為そのものは不公正取引、不公正取引につきましては、独禁法の問題につきまして独禁法には申告という制度があるから、法律的には独禁法の四十五条によりまして申告ができることになっていますから、それを活用していただければ、私どもとしても非常にありがたいと思っております。
  268. 吉田法晴

    吉田法晴君 それから、これは立法論に関連をしますけれども、全体の動くかどうかわからぬ……。子供を対象とした賞品だとかそれから野菜その他生活必需品、こういうものについては、これは特にこの法律の対象として規定をする必要があると思うのですが、私はこういうことを事こまかに規定をすることがいいかどうか、それで独禁法なりあるいは不正競争防止法等で、不正競争あるいは不正表示その他の行為が直ちに取り上げられて、そうしてこれを差しとめる慣習を作ることも大事だと思うのですね。それは日本の場合に、権利意識が薄いとか、あるいは裁判あるいは裁判に準ずる制度が容易でないという点もございますけれども、子供を対象にする賞品あるいは生活必需品等について、法が規定しようとする点については、もっと重点を置いて実行できるような仕組みを考えるようにし、それからその他の点については、民主的な伝統を育てるということも必要ではなかろうか。従来の独禁法あるいは不正競争防止法の運用については、これは、不正競争防止法等の不備もあります。不十分さもあります、国際的に見て。だけれども、それをとにかくチェックする方法についても、制度的に確立しないところがある、それらの点については、これは公正取引委員会の全体の仕事だと思いますけれども、何らかの考慮が必要ではないかと思いますが、いかがでしょう。これは委員長にお尋ねをしておるので。
  269. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) ただいまの点につきましては、将来十分研究したいと思います。
  270. 奥むめお

    奥むめお君 佐藤委員長にお伺いいたしますが、私、この法律すべて、公取は駐留軍がいました時分の置きみやげだと思うのでございますが、公取は非常に直訳的な法律を抱えていらっしゃるのですが、今度のこの新しい法案もいずれアメリカにこういうことが行なわれているので、日本の実情に照らして必要だと思ってお作りになったと思うのですがアメリカはいかに行なっているかということを聞かしていただきたい。
  271. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 私どもといたしましては、実情を申し上げますというと、御承知のように一千万円の懸賞とか、ハワイ旅行とか、そういうものがありまして、ああいうものを放っておくと、消費者が非常に迷惑をこうむるし、また事業者同士が無用な競争をする、資本の少ない中小企業は、これに太刀打ちできないというような現状にあるものだから、何とかしてこれを規制しようというのが事の起こりでございまして、アメリカがどうだ、ドイツがどうだということは、実はあとから考えたので、外国の法制によりますというと、詳しいことは、あるいは事務局長からお願いしますが、懸賞ということは、一つの賭博行為であるというような見地から、これを原則として禁止しておるのであります。ただ、ごくささいな景品だけは認めておりますけれども、原則は禁止なんです。だから、この法律を作る場合にも、思い切って懸賞販売というものを禁止しちゃどうかという意見もあったのであります。しかしながら多年行なわれたことでありますし、たいして弊害のないところまで禁止するのも少し行き過ぎじゃないかというので、できるだけ押えようというので、この法律を作った次第であります。
  272. 奥むめお

    奥むめお君 アメリカ公取委員会では、こまかく二百幾つの具体例を明記して、こういうこと、こういうことは、公正な取引を害する、不当競争だと、よるべき基準を明らかにしていますのは見習うべきです。この法律でいろいろ、指定するとか、制限するとか、禁止するとかいう言葉がたくさんありますが、これは非常に抽象的な言葉でございまして、まあいわばあなた方が、その指定をしたり制限をしたり禁止したりするものと思いますが、いかに禁止するか、何を指定するかというようなことは、ほとんどこの中にないですね、二、三ありますけれども、これはどういうふうに解釈したらよろしいのですか。  私から言いますと、その基準になるものが全然なくて、ものさしを持っていなくて、規制するのだ、制限するのだというふうな法案と読めるのですが、公正取引委員会はどんな、もちろんそれは不当競争を防止するのだと思いますけれども、もう少し具体的に、運用するときに、何を考えてどうしようということですか、委員長にお伺いいたします。
  273. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) この法案の立案の経過から申しまして、一博は、懸賞につきましても一万円以上はいかぬという原則を作って、それに対して若干の例外を作ったらどうか、また子供が買う非常に安いものにつきましては、さらに販売価格の三十倍という一応の標準を考えたのであります。ところが立案の経過におきまして、あまり窮屈過ぎる、もちろんわれわれといたしましても、商店街の販売とか、若干例外を考えなければならぬと思ったのでありますが、そういうことを考えながら、とにかく一万円の原則、二十倍の原則というものを法で書こうと思ったのですけれども、いろいろ業界によって無理があるという話で、それではというので、三条でごく抽象的に書いたのです。  しかしながら三条で制限、禁止をする場合には、公聴会を開きまして、先ほどお話がございました主婦連あたりの御意見もよく伺いまして、どうすればこの法律の目的を達するか、各方面の意見を聞いて、それで公聴会に臨んで制限、禁止をやっていきたい、こういうように思っております。
  274. 奥むめお

    奥むめお君 それにつきまして、私公正取引委員会がたいへん控え目だと思うのですね、そして自信がなさそうです。委員長初め、先ほどでも、できるかできないかということを心配したけれども、事務局が大丈夫だと言うから踏み切ったという、委員長ともあろうものがそんなことをおっしゃったら、頼りなくてしょうがないじゃありませんか。委員長は、ようしついてこい、予算も取ろうじゃないか、一生懸命やろうじゃないかというふうになさることが私はほんとうだと思うのですけれども、この乱世時代ともいうべき非常な懸賞、あるいはいろいろな宣伝の盛んなときですね、もう少し確信を持って、この法案をわれわれの前に出してほしかったと、これは私の希望でございますけれども、やっぱりそういうことが、これからも運用の面にも出てくると思うのですね、それを私心配いたします。  ことに聞くところによりますと、この法案が出るまでに非常に反対があった。だから法律の名前だけでも二転、三転した。それから公取が覚書を出した。まあこういうことさえあるのですから、それでもなおかつ、この法律を出すことができたということは、公取の努力も偉いと思いますけれども、私は一方から考えて——佐藤通産大臣がおいでにならなくてまことに残念だけれども、私から言えば、むしろこんな、大したものはなかろう、まあ出さしてやれということで、温情のもとに出たのじゃないかと、たいへん案じておりますわけなのです。これがそれくらいな仕事しかしないものだと、もしなめられているとしたら、いろいろ今まで公取不要論とか、あるいは独禁法をもうやめてしまえとか、緩和しろとかという意見がしょっちゅう出ておりましたですね。それで、とにかくにも独禁法が、一つの応急に役に立つ法律を今作ろうとしている。これは画期的な問題ですね。ですから今までのいきさつなんかを、時間もないのに聞かして下さいとは無理は申しませんけれども、もっとこの法律が出た以上は、うんとやりますということを——今川上委員もおっしゃいましたけれども、非常にそういう決意のほどを私はほしいと思うのです。いかがでございましょうか。
  275. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) この法律を作るにつきましては、社会の現状から、どうしてもやらなければいかぬというので作ったのでありますが、今お話のとおり、この法律が国会に出るまでには、いろいろな抵抗がありました。非常に大きい抵抗がありましたし、われわれとしては、どうしてもこれは消費者のためにやらなければならぬというので、ここまできたわけでありまして、その決意は、今も持っておりますし、将来、さっき川上委員からのお話のありましたとおり、予算等におきましても十分拡張、拡大をはかりまして、さらに一そうの円滑な運用を期している次第であります。
  276. 奥むめお

    奥むめお君 先ほどちょっと、一万円以上とか何とかということをおっしゃいましたが、あれは三条の公取の指定の金額、総額であろうと思いますが、それについては、やはりこれは公聴会できめるということになったわけですか。公聴会に委譲するということになったわけですか、金額とかいろいろのことは。
  277. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) お話のとおり公聴会の意見を聞いてきめるつもりであります。ただし、われわれのほうといたしましては、一万円の原則というものはいいのではないかと思っております。
  278. 奥むめお

    奥むめお君 一万円と言うても、高いものだったら一万円じゃ安過ぎるし、あるいはガムのような小さいものだったら二万円でも高過ぎるということはありはしませんか。
  279. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) そこで非常に高いものだったら二万円じゃ低過ぎやしないかという意見もずいぶんありますので、そういう点は、若干考えなければならぬかと思います。  それから低いものにつきましては、原案では取引価格の二十倍というものを考えたのでありますが、だから、やはり低いものにつきましては低くしなければならぬと思っております。その考え方は、結局先ほど申しましたように、懸賞を禁止するという観点から言えば、高い低いに関係なく、全部よさせるべきでありますが、その禁止という観念と、ある程度は許そうという観念の妥協と申しますか、そういう点で二万円というのは、もっとも見方によっては高いと思い、見方によっては低いと思いますけれども、私は、そういう原則がいいのではないかと考えております。
  280. 奥むめお

    奥むめお君 そういう問題が、いろいろ出てくると思いますですね。二万円というのが高いか安いかでなくて、法案の内容、具体的な例に伴う金額だと思いますけれども、それを委譲する、委員会できめるとおっしゃるわけですね。それで種類も、あるいは提供の方法もいろいろきめなさるわけですね。そういう意味なんですね。
  281. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) さようでございます。
  282. 奥むめお

    奥むめお君 それでは次に、公取はほかの商品と比べて優良であるか優良でないとかということをここにうたっていらっしゃいますが、そういう場合に、特に優良と書いたものはいかぬと書いてありますが、どこで検査し、優良である、ということを認定なさいますか。
  283. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) どこでというお話、ちょっとよくわかりませんが、私のほうといたしましては……。
  284. 奥むめお

    奥むめお君 検査とか……。あるいは優良であるとかないとかということを、どこで検査するか。
  285. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) これにつきましては、ごく簡単なものは、しろうとでもわかるようなものは、われわれのほうでやります。専門的知識を有するものについては、やはり適当な専門機関のお手伝をお願いしよう、こういうふうに思っております。
  286. 奥むめお

    奥むめお君 公取には検査機関がありますか、また、これから近いうちに持とうという意思をお持ちでございますか。
  287. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 検査機関は、ただいまではございません。必要によりまして考えようかと思っております。
  288. 奥むめお

    奥むめお君 次に、消費者団体の声を聞くというふうなことをおっしゃっていましたが、こういうことは非常に大事なことだと思いますけれども、相手をだれ々選ぶかということが非常にむずかしい問題ですね。先ほど事務局長は、まだきめていないとおっしゃいましたですね。で、御要望として申し上げますけれども、やはり、労働組合は生産者団体の組合ではあるけれども、労働組合とか、あるいは婦人団体とか、または農林省の生活改善課というもの、そのほかいろいろあると思いますけれども、その中にもいろいろあると思うんです。その中から何を選ぶかということは慎重に考えていただきたいと思うんですね、私といたしましては。  それからその次に、今度は自由化になって輸入品が入ってきますね。輸入品に対しては、どういう態度をお取りになりますか、外国のもの。私どもからいえば、国産擁護というものが今行なわれておりますが、いいものは外国のものでもいいんだと、よくないものは日本のものでも悪いんだと、インチキなものがあれば、日本のものでもよくないですね。それに対して、外国から輸入されたものにも、取り締まりの対象が及びますか。
  289. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) この法律の施行区域内におきましては、日本品であろうと外国品であろうと同じであります。
  290. 奥むめお

    奥むめお君 ああ、そうですか。苦情を求めるという機構はここにお持ちになっていませんですね。大衆の申告というか、公取の言葉でいえば申告というんですね。
  291. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) この法律の中には直接ございませんが、先ほど委員長が御答弁しましたように、独禁法の四十五条に何人でも申告できるということがございますので、これを活用していきます。
  292. 奥むめお

    奥むめお君 申告となると、あれは法律上の行為でございますね。この法律は、それ以前に、もっと早く行なわれる効果の上がるものを期待していらっしゃるわけです。われわれもそれを期待していると思うんですが、そうしたら、平素、申告といわないけれども、まあ苦情受付とか、あるいは声を聞くとか、たとえて申しますと、私アメリカへ参りましたときに、夜中でもいつでも芳情を持ってくるのを記録している機械が動いていましたですね。それを幾人もかかって整理している。そんなことはいかがなんですか。あるいはたずねてくるなんて、日本じゃちょっと考えられませんよ。
  293. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) 現在でも私どもの役所に独禁法相談所という窓口がございますが、今度この法律がお認め願えれば、この法律の直接窓口に当たる課あたりで、先ほどお述べになりましたいろいろな消費者団体と連絡を取り合って、実情、苦情を絶えず聞いていくようなことで運用したいと思います。
  294. 奥むめお

    奥むめお君 その場合に、今この法律でうたっている不当な表示とか、不当な競争とかというものに限らないと、あなたのほうは受け付けないですか。商品全部について、消費者が不当と思いまたはこれは迷惑と思うことは全部受け付けるというふうにしてもいいと、したほうがいいとお考えになりますか。
  295. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) 全然独禁法なり今回のこの法律関係のないことはあれでございますが、現在でもいろいろと独禁法上の問題を相談所へ持ち込んでおられますし、こういった今回の法律をめぐる問題でございますれば、やっぱり御相談を何でも受けて、この法律の問題になるかならないかというようなことについては御協議したいと考えております。
  296. 小林英三

    ○小林英三君 今、奥さんの御質問の中にあったが、独禁法で言ういわゆる申告という問題を、この法律でも同時に用いる。申告ということはどういうことですか。
  297. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) 申告と申しますのは、ちょっと読み上げます。「何人も、この法律の規定に違反する事実があると思料するときは、公正取引委員会に対し、その事実を報告し、適当な措置をとるべきことを求めることができる。」これを通常申告と申しております。
  298. 小林英三

    ○小林英三君 その申告には、必ず正々常々と自分の住所姓名を記入してなきゃ用いないですか。記入してなくても用いますか。検事局が判断の参考にするような、いろいろななにがありますね、アドヴァイスが。その点はどうですか、この法律に対しては。
  299. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) 住所姓名を書、いていないものでも、これはかたり問題があるときとなれば、公正取引委員会の判断で調査することがあります。
  300. 奥むめお

    奥むめお君 この中に公正競争規約というのが入っておりますね。この規約によりまして、アウトサイダーはどうなりますか。
  301. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) アウトサイダーについての規制はいたしません。アウトサイダーに命令を出すというようなことはございません。
  302. 奥むめお

    奥むめお君 そうしたら、いくらとの規約を作りましても、アウトサイダーがこれを乱すという場合も考えられますね。それに対してどうお考えになりますか。
  303. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) アウトサイダーがこれを外へ出て乱すということになりますれば、当然この法律自身の直接の問題となって参りまして、規制の対象になります。
  304. 奥むめお

    奥むめお君 本法の規制になると、こうおっしゃる。
  305. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) はあ、そういうことになります。
  306. 奥むめお

    奥むめお君 承っておきましょう。  それから、さきほどからここで問題になっております公取の運用の問題でございますが、これは私希望として申し上げますならば、この法律は、公正取引委員会に委譲してある問題が非常に多いと思うですね。いろいろな権限が任せてありますね。これは少し運用の面で改正しなきやならんのじゃないか。いかがでございましょうか。何でも公取が、これを規制するあるいはなにすると言うてありますけれどもね。この法案を時間もないから、改正するということはできないのかもしらんけれども、ここできっちりと記録をとどめておきませんと、このまま公取に全部委任しておくことは非常に不安を感じますが、いかがですか。——委員長いかがですか。
  307. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 御質問の趣旨がちょっとのみ込めないのですが……。
  308. 奥むめお

    奥むめお君 たとえば、禁止するとか、あるいは規制するとか、あるいは表示についてとか、いろいろあなたのほうでとり上げようとする事実が抽象的な文字づらで出ているですね。これをいかに運用するかということは、公取に任せられている。これは法律ですわね、すべて法律はそうですけれども。ところが、関連するものが、生産者であり消費者であり販売業者であり、非常に広いから、私はこれをこのままで公取に任せるにしては、公取としての、はっきりした決意を聞かしておいてもらわないと心配だと思うんですがね。
  309. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) その点につきましては、重要な事項につきましては、公聴会もありますし、公聴会を通じて利害関係人なり学識経験者なり、そういう者の意見が聞けるのでありますからして、それによって、適正にこの法律を運用していきたい、こういうように思います。
  310. 奥むめお

    奥むめお君 それでは、もうしばしば、公聴会は一つ一つ百般の行政について開いて、たいへんお忙しいんですね。そうして、われわれがもし委員にしてもらおうとしたら、もうとっても忙しいですわね。一つ一つ、問題は別にケース・バイ・ケースでございましょうが、いかがでございますか。
  311. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 一つ一つやるのも一つの方法だし、まとめてやるのもその方法であり、やっぱり事務の簡素化から考えましてある程度まとめてやりたいと考えます。
  312. 奥むめお

    奥むめお君 これは、まあ法案が動き出さなければ、私ども、今抽象的に委員長がまとめてやると、私は一つ一つたいへんだと、これは水かけ論ですわね。だから、これは動き出したときの問題にお預かりすることにいたします。  それから、関係各省との協力でございますが、最初に申し上げましたように、公取無用論まで出ているこの時節に、私はこの法案ができるまでに、たいへん反対が多かったということを聞いている通産省の御意見を——この法案は各省の協力がなければできないと思うんですけれども、通産省は、どういうふうに協力して下さいましたですか。
  313. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) 奥先生の御質問ですが、法案を作成の段階においては、関係各省でいろいろ折衝があるわけでありまして、そのときには、いろいろな意見を申し上げるわけですが、現在提案になっております法案につきましては、完全に意見が一致いたしておりますので、本法案の施行に対しては、通産省といたしましても十分に協力をいたして参るつもりでございます。
  314. 奥むめお

    奥むめお君 通産省は、この法案ができるのを見越して、まあ家庭用品品質表示法案をお作りになったと思いますですね。あれもたいへんに大事な法案でございますね。それから団体法もお作りになりましたね。で、たとえばある団体が団体法に移行して、そうして協定価格をきめるという場合が、今度多くなるという不安を持ちますが、いかがでございますか。
  315. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) 公取の現在御審議になっております法案が出るということとは無関係に、通産省といたしましては、現在施行いたしております繊維製品品質表示法というのがあるわけでございます。ところが、繊維製品品質表示法というのは三十年の法律でありまして、やや不備なところもあり現在消費者が非常に迷惑をいたしておりますのは、必ずしも繊維製品ばかりではなくて、その他の合成樹脂関係あるいは暖厨房品等々、非常に広範囲にわたっていろいろ問題が提起されておりますので、繊維製品品質表示法をこの際康正いたしまして、もう少し範囲の広い家庭用品一般を取り締まる法律に切りかえたわけであります。これはまあ法の内容が現在御審議になっております公取法律とは違うわけでありまして、われわれが考えております法律は、いわゆる直接表示でありまして、品物自身が、一体どういう品物であるのか、その品物をどう取り扱うのがいいのか、そういうことを消費者にごくわかりやすく表示する、いわゆる商品に直接表示することをねらっておりますし、現在の公取法律は、いわゆる業者間の不公正競争という見地から取り締まりが行なわれるわけでありまして、それぞれねらっております法域が違うわけであります。  で、団体法の価格の問題でありますが、これは内閣のいわゆる総合物価安定対策によりまして、必ずしも私の所管ではありませんが、中小企業庁長官から、いわゆる事業組合の価格協定というものにつきましては、従来は単なる届出であったわけでありますが、現在はこれを二十日以前に届出をさせまして、その価格協定自体が適正であるかどうかということを判断をいたして、それが、諸般の事情から適当でないというものにつきましては、改正あるいは撤回の処置をとることができるように、現在措置いたしておるわけであります。
  316. 奥むめお

    奥むめお君 ちょっとまだもう二、三質問さしてほしいと思うのですが、価格協定というものは、ほんとうは公取が取り締まるものですね。団体法にみんな逃げ込んでしまうと、公取は価格協定があっても手が及ばない、また公正取引委員会にちゃんと価格協定取り締まりの法律があるにもかかわらず、常に価格協定が起こるし、物価の値上げの要因になっていたのだと思うのでございます。公取法律がありながら、宝刀を持ちながらそれを抜かなかった、こういう面がずいぶんあると思うのですね。ことに地方で、県によりまして床屋の料金も違いますね、あるいはおふろの料金も違いますけれども、この協定価格としていろいろ、まあガソリンなんかは全国一斉でございますけれども、そば屋でも、今までそういうふうに行なっていない。ありながらも、その宝刀を使わなかった公取が、今度この法律ができて、ほんとうに行なってくれるかしら。ことに全国に四カ所しか公取の支所がないのでございましょう、四国にないし、北海道にはないし、九州にあるけれども、鹿児島にはなくて福岡にある。こういう手も足もない公取が、今までさえも、この物価値上げの要因になっている問題に、何もしなかった。これは公取をもっと強化しなければならぬと、企画庁の大臣の了解事項にも入っているのだけれども、動かなかったじゃないですか、いかがですか、委員長
  317. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 刀は抜かなかった、何もしなかったとおっしゃるけれども、私のほうではやらぬわけじゃないので、現に審査事件として扱っているものも相当あるのです。ただその扱っている分量、扱い方が十分かと言われると、あるいは足らぬ点もありますかしれませんが、とにかく申告のあったような事件については、やらざるを得ませんし、またやっているので、まるきりやらぬわけでは決してありません。
  318. 奥むめお

    奥むめお君 その報告をひとついただきたいと思いますですね、後ほど。幾つなすったか、どういう問題をお扱いになったのかということを、全国的な規模で。私から言えば、非常に物価の問題がやかましくなってきております折から、公正取引委員会が力があれば、こんな問題にならなかっただろうと思われるふしが多うございますですね。ですからよけいに、この問題には関心を見せるわけなんです。  で、今私環境衛生局長をここへお呼びしておりますのですが、そう前に、たとえば今度の法案について、JASまたはJISマーク、こういう法律でございますけれども、今通産省から繊維製品表示のお話が出ましたが、これらの法律全部、ほんとうに行なわれていないですよ、法律はあるけれどもね。そうして消費者は、知らないということに、もっと徹底しておりますですね、こういうふうに役所では作ったということで、自己満足していらっしゃるけれども、生活に反映しない、生活をよくしていない。これについていかがでございます。繊維規制法の問題は、私のほうから委員は出ておりますけれども、その問題ばかり話しているはずでございますが、ほとんど行なわれていない。むしろ自分の会社の宣伝が行なわれている。こういう状態で、これも行ないます、これも行なっておりますと言っても、また公取が、その亜流を踏んでいったら同じことになる。いかがでございましょう。
  319. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) ただいま先生御指摘のように、類似の法律はたくさんあるわけでございまして、繊維製品品質表示法も、先生の御指摘のように、十分に効果を発揮しているということは、必ずしも言えないと思いますが、繊維製品品質表示法は、建前自身が任意規定と強制規定になっておりまして、現在は強制規定は発動いたしておらないわけでございます。最近繊維の関係が非常に混乱いたしておりますのは、先ほどもちょっと触れましたように、ここ数年来、いわゆる新しい繊維が次から次へと出て参りまして、いわゆるその取り扱い方法その他について、あるいは洗濯の仕方その他について非常に従来よりはむずかしくなってさておるわけでして、現在の繊維製品品質表示法では、そういうことを取り締まることができないのでありまして、今度の通していただきました。家庭用品品質表示法によりまして、一体組成がどれだけであり、あるいはこういうものの洗濯の仕方はどうでありということができるようにしたわけでございます。  それからJISマークも非常に消費者にはまだ、相当前からあれしておりますが、いわゆるこれは品物をよくするための法律でありまして、われわれとしては相当効果をあげておると、こう考えております。そのほかまあいろいろ法律がありますが、それはそれなりに私たちは十分な効果を発揮しておるとこう考えております。
  320. 奥むめお

    奥むめお君 JISマークの問題についても、われわれ実際の面から非常に不満をもっておりますけれども、これはいずれときをあらためて申し上げることにしますが、環境衛生関係法律で、今また国会へ環衛法の改悪が出ているわけですよ、これは公正取引委員会は同意を与えなければならぬのじゃないですか、環境衛生法の中身によりましては。今度、衛生の問題は抜きにして価格の問題、時間の問題なんかが改められようとしていますね。公正取引委員会に知らせていきませんでしたか、意見を求めませんでしたか。
  321. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 私のほうに相談はありましたけれども、私のほうでは適当でないというふうに返事をしておきました。
  322. 奥むめお

    奥むめお君 環境衛生法のもとである環境衛生局長、いかがでございますか。
  323. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) いわゆる環衛法の一部改正につきましては、昨日御提案があったのでございます。私どもの立場では、これはまた議員提案ということであり、役所の立場といたしましては、従来の法律に基づきましてそれを適切に運用していくというのが役所の立場から考えるわけでございます。しかしこれが改正されました暁には、その趣旨に沿って、これの運営を期していかなければならないというふうに考えております。
  324. 奥むめお

    奥むめお君 これは政府提案でなくて議員提案でございますが、初めこの法律は、衛生設備を向上させるための法案だという説明で出て参りました。今度の改正の法律は、適正な衛生措置を講ずることの阻害または阻害のおそれというのを要件としないように書いてあるわけですね。衛生法規でなくなるわけじゃありませんか、局長さん。
  325. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) 御指摘のように今回の改正では、衛生措置の確保ということにつきまして、部分的にこれを取り除くというような改訂があるわけでございますが、この法律の目的にも明確に書いてございますように、公衆衛生の見地から環境衛生の関係の営業の適正な運営を期しまして国民の福祉に寄与するという目的には変わりはないものと考えております。
  326. 奥むめお

    奥むめお君 それでは、そういうあなたのほうが法文の上で、これは環境衛生関係法律だと見ていらして、はっきりと衛生措置の阻害またはおそれを要件としないで規制命令が発動できると書いてありましても、注意をお与えになりましたか、これはそうあってはならないんですというような注意は与えられましたか。たとえば議員から、そういう法案が出たとき、全然相談なしに出ましたか、ということと、あなた方はその注意をしなかったかということを聞きたい。
  327. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) 御提案に至るまでの段階で御相談がありましたことは事実でございます。衛生措置の確保の部分的な削除につきまして、私どもとしましては、この法律内容として重要な事項の二つ、すなわち衛生措置の確保、健全な経営の促進というような、この二つの大きな事項のうち、一つの衛生措置の確保という面がややウエートを少なくいたしまして、経済的な面が強くなるという点では意見を申し上げたわけでございますが、全体といたしまして、第一条の目的にもございますように、大きなこの法律のねらいには、変化がないというふうに考えたわけでございます。
  328. 奥むめお

    奥むめお君 それではもう一つ、規制命令に違反したときは二カ月以内に営業停止処分をすることができると書いてある。それから員外者に対する事業活動については審議会へ諮問することも、要らないと書いてある。非常にこれは重要な規則でございますけれども、いかがですか、局長、この問題について、いかなる注意をお与えなさいましたか。
  329. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) 罰則の営業停止の問題でございますが、これは環境衛生関係の母法になります、たとえば理容師法、美容師法とかいう法律がございますが、そちらにも営業停止と行政処分の規定があるわけでございますが、しかしながらこの改正の案につきましては、他の法律にもこれに類似の改正が行なわれるやに承っておりますので、私どもといたしましては、これが改正が行なわれますならば、その運用につきましては、十分慎重にこれを運営して参りたい、影響するところが非常に大きいものでございますから。その点を考えておるわけでございます。  それから勧告を出す場合に、審議会に諮問する必要がないというような改正につきましては、これは公正取引委員会からの御意見があろうかと存じますが、もしそういう改正が行なわれ、成立いたしますならば、私どもといたしましてはこれが十分に公正に運営されますように、たとえば審議会の委員の方々の御意見などが反映されるような運営をして参りたいというような考えでございます。
  330. 剱木亨弘

    理事(剱木亨弘君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  331. 剱木亨弘

    理事(剱木亨弘君) 速記を始めて下さい。
  332. 奥むめお

    奥むめお君 私はその問題で、もう質問は終わるつもりでおりますから、公正取引委員会が、たとえばこういう問題は、価格協定ですね、一種の団体法に入ったらどうなんですか。それじゃその法律は、社労でやります。時間おくれまして済みませんが、JASマークの農林省の方おいでになりますか。私どもJASマーク、JISマークみんな一緒に考えて、なるべくよくしたいと、JASマークね、まだそう古いものじゃございませんけれども、どんどんおやりになっていらっしゃいますが、どの程度あれで質がよくなったとお考えですか。また、どれくらい出ておりますか、市販に。
  333. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) かなり多数のものにつきましてJASを決定して参っておるのでございますが、カン詰の場合をとりますと、三十六年度におきまして百五万ケース、大体カン詰については相当広範にJASが採用されております。それからマーガリン、ラード等につきましては百パーセント指定いたしております。それから、ジュースは、この四月一日から始めたわけでございます。まだこれはあまり行なわれておりませんが、漸次濃厚ジュース等から始まる見込みでございます。しかしながら、何といいましても、まだ決して十分なものとは私どもも考えておりません。
  334. 奥むめお

    奥むめお君 ついでに伺いますが、公取の今度の出しました品質表示法ね、あの不当景品法案、この法案に対して、あなた方はいかに対処なさいましたか。またこれからなさいますか。
  335. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 私どもとしては非常にけっこうな法案だと考えております。むしろ私ども自身も、ああいう法律案を出したいぐらいに考えておったのでございます。
  336. 奥むめお

    奥むめお君 じゃJISマークのほうも、いかがでしょう。これは、私からいえばね、非常に消費者に徹底させなければいけないと思うのよね。お客に徹底させなければいけない。それが足りないのですよ。だから、そのすきに不良な品質がマークをかぶって出て歩くわけですね。だからJASもJISも、その問題を御存じか、いかに対処して下さいますか。
  337. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) もちろん私どもも、全力をあげて公取のほうに御協力を申し上げて、むしろこちらから公取のほうにお願いする場合が多いのじゃないか、かように考えております。
  338. 奥むめお

    奥むめお君 JISはいかがでございますか。
  339. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) JISにつきましても、まあ先生の御指摘のように宣伝普及が足りないという点については、今後意を用いて参りたいと考えております。
  340. 奥むめお

    奥むめお君 どうもありがとうございました。
  341. 剱木亨弘

    理事(剱木亨弘君) 他に御質疑はありませんか。——別に御発言がなければ、本案の質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。  御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言がなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  342. 剱木亨弘

    理事(剱木亨弘君) 総員挙手と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出する報告言の作成等につきましては、慣例により委員長に御一任を願います。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  343. 剱木亨弘

    理事(剱木亨弘君) 速記を始めて。   —————————————
  344. 剱木亨弘

    理事(剱木亨弘君) 次に、ばい煙排出規制等に関する法律案議題といたします。  まず、政府委員より内容の説明を聴取いたします。  なお、本案は衆議院において修正が加えられておりますので、右修正案につきましても、便宜政府委員から説明を聴取することといたします。政府委員
  345. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) ただいま議題となりました、ばい煙排出規制等に関する法律案につきまして御説明を申し上げます。  近年におけるわが国の主要都市の大気の汚染の状況はまことに著しいものがあり、各都市で個別的に行なった汚染状況の測定結果を見ましても、最近では、一平方キロメートル当たり月間降下煤塵量は、八幡市で二十七トン、東京及び川崎市で二十三トン、大阪市で二十一トン、宇部市で十八トン、尼崎市で十七トン、横浜市及び神戸市で十四トンという非常に高い数値を示しております。  これは、諸外国の都市の事例に比べましても、かなり高いものであり、しかも近年、産業の急速な発展とその都市への集中は、ますます都市の大気の汚染を増大させ、市民の健康に大きな影響を与えているのであります。市民は、単に快適な日常生活を脅かされるというだけでなく、トラホーム、気管支炎等の疾病にかかりやすくなり、ある都市では、死亡率さえ高くなっているという研究が発表されております。  このような大気汚染の原因は工場、事業場から排出される煤煙によるところが多く、急速に発展しつつあるわが国の産業活動と国民生活環境との間において調整をはかる必要が今日ほど増大しているときはないと存じます。  従来から、一部の都道府県では、条例その他により、大気汚染防止行政を行なってきたのでありますが、とかく実効性が弱く、規制内容もばらばらで、規制の効果がなかなか上がらず、最近は、国が積極的にこの対策に乗り出すことを望む声が非常に強くなって参りました。  以下、本法案の主要な内容のそれぞれについて、簡単に御説明して参りたいと存じます。  本法案の主要な内容の第一としてあげられております煤煙の排出を規制する地域としては、将来政令で指定する際にあらためて検討はいたしたいと存じますが、現在のところ、既存のデータから判断して東京、川崎、横浜、名古屋、大阪、尼崎、神戸、宇部、八幡、戸畑等が対象となろうかと存じます。  その他の地域につきましても、今後調査を積み重ね、必要があれば順次指定地域としていく所存であります。  第二の煤煙の排出を規制する施設といたしましては、代表的なものとしては大型微粉炭たきボイラー、平炉、セメントキルン等があげられますが、これより小型のものとしても、大気汚染源として重要な意味を持ちますビル暖房用のボイラー、塵芥焼却炉等につきましては、政令で指定いたしたいと存じます。  第三の煤煙の排出を規制する基準につきましては、公衆衛生上の要請と産業側の実情とを勘案いたしまして、技術的、経済的に実施可能な範囲内におきまして、単位体積当たりの煤煙壁ということで、厚生大臣及び通商産業大臣が定めて参りたいと存じます。  第四の規制の具体的な方法につきましては、さきに大臣が御説明いたしましたことにつけ加えて特段に申し上げることはございませんので、次の第五に参りたいと存じます。  第五として、煤煙や特定有害物質についての事故時の措置及びスモッグの発生による緊急時の措置に関する所要の規定が設けてございますが、これはロンドン、ミューズ、ドノラ等諸外国での大気汚染による大きな事故の経験にかんがみ、わが国において前車の轍を踏むことのないようにとの趣旨から設けられたものであります。  特に、スモッグにつきましては、年年発生日数がふえており、この危険性は決して少なくないものと思います。  第六の大気汚染による被害に関する紛争につきましては、和解の仲介制度を設けますことによりまして、現在の裁判制度に内在する種々の不便さを救済し、国民の保健福祉の向上をはかろうとするものであります。   内容は、おおむね、公共用水域における水質の保全に関する法律の例によっております。  第七といたしましては、第五まであげております規制のほかに、種々の助成措置、研究の推進をはかることによりまして、この法律の実効を期している次第であります。  すなわち、煤煙処理施設に対する固定資産税を免除すること、中小企業振興資金等助成法による中小企業の煤煙処理施設の設置に対しては、償還期限を汚水処理施設並みに五年から七年に延長することを規定しており、また、本法案とは別に、煤煙処理施設の法定耐用年数の短縮、開発銀行等の融資のあっせんを考えております。  また、研究の促進につきましては、国立公衆衛生院工業技術院傘下の諸研究所の研究体制をいま一そう整備して参る所存であります。  最後に、政府原案に対しまして衆議院社会労働委員会で修正のありました点について、若干触れてみたいと存じます。  政府原案におきましては、本法案の実施の直接の責任を負うものを都道府県知事といたしておりましたが、各有力市が大気汚染防止行政について熱意と能力とを有している実情にかんがみまして、本法案が円滑に実施されるよう政令で定める各有力市の長に対して、都道府県知事が、この法律に基づく権限の一部を委任することができる旨の規定が挿入されることと相なっております。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを御願い申し上げます。
  346. 剱木亨弘

    理事(剱木亨弘君) それでは、これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  347. 吉田法晴

    吉田法晴君 質疑を始めるにあたって、両大臣とも御出席がない、そのことについて不満の意を表しておきたいと思います。法案作成の過程でも、通産省等から相当の抵抗があったというように私どもも聞いており、それから法案の内容を見ても、対象範囲等について、いろいろ問題がある。あるいは規制の仕方についても問題がある。公害については、これは大気汚染ということで各法令ができておるわけでありますけれども、煤煙を中心にして、ばい煙排出規制等に関する法律案という工合に制限をされて、この法案を実施していく、さらに公害防止のために努力をするにあたっては、厚生大臣ももとよりですが、通産大臣も御出席を願って、この法律の持っております弱点は弱点として率直に認めていただいて、今後の対策に万全を期さなければならぬと思うのでありますが、厚生大臣も所用のため出て来られない、あるいは通産大臣は、これも個人的な所用のため御出席がない、次官は追っておいでになるかもしれませんけれども、まだ御出席がない、その辺に政府関係省の熱意の足りなさを露呈をしておるように考えて不満の意を表明しておきたいと思います。  第一に、これは国際的にはWHO——フーというのですか、そこで相当調査がなされて、そして国際的に対策が立てられようとして、あるいは強化されようとしておりますけれども、この法案の立案の事前にどういう調査がなされたか、あるいはその結果はどうなのか、その結果のどの程度の部分をこの法律でまかなおうとするのか、第一に伺いたい。
  348. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) この法律案の立案にあたっていかなる調査をし、どのような内容を取りまとめようとするのかというお尋ねでございますが、厚生省といたしましては、この問題につきましては、十年近く前から、この立法措置も含めまして種々検討して参ったわけでございますが、昭和三十三年に、公害に関する実態調査を行ない、また三十五年十月から公害防止調査会を設けまして大気汚染の原因になるさまざまの問題を審議するなど、種々検討を続けて参ったわけでございます。その間、所属の研究機関その他におきまして、この公衆衛生上の影響等につきまして、種々各般の調査が行なわれたわけでございますが、この法律案のねらいといたしましたところは、この第一条の目的にもございますように、いろいろな角度から公衆衛生上最も影響が大きいと思われます工場、事業場における事業活動によって発生する煤煙等を直接の規制の対象といたしまして、それを規定することによって、大気汚染による公衆衛生上の危害を防止するということをねらいますとともに、国民の生活環境の保全と、そのバックとなります産業の健全な発展との調和をはかるという趣旨から、この法案の立案に当たった次第でございます。
  349. 吉田法晴

    吉田法晴君 調査がなされたとするならば、その調査の結果に基づいて、公害に対する対策を各方面にわたって制度化しようと、こういうのがこの法律の目的でなければならぬと思うのでありますけれども、大気汚染の点からいいましても、煤煙が中心であります。これは条文にもあります特定有害物質も、一部についてはあげられておりますけれども、その規制は、ほとんどこの法案からはずされている。いわば事故時の措置が規定されているだけであって、煤煙同様の規制はない。したがって大気汚染の大きな原因をなしている、あるいは最近の自動車の発展等から伴います自動車による排ガス云々という点は、これは対象にもなっておらぬ、それから調査が各般——人体、あるいは動物、植物、特に農作物への被害等全般にわたって調査がなされたとするならば、これに対する対策が法案の中に盛られなければならぬと思うのでありますが、途中では、公害防止法と申しますか、公害に対する基本法が構想されたかのごとくでありますけれども、出てきたものはだんだん細ってきて、大気汚染の中の煤煙だけが主として中心になっておる。その規制の方法もきわめてゆるい。  こういうことになっておるわけでありますが、外国の法制と比べ、あるいは調査の対象結果から基づいて、この法律案の狙っておりますところは、どういうところにありますか。欠点は欠点として率直に認めながら、政府態度の表明を願いたいと思う。
  350. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) 御指摘のように、この法律案内容としましては、ただいまお話のございました排気ガスの問題でございますとか、あるいは物に対する規制というような点で、この規制の内容からはずされておるものがあるわけであります。私ども調査研究の段階におきましても、もちろんいろいろな面で濃淡があるわけでございまして、すべて一様に調査研究が行なわれ、また、その対策が一律に確立されたとは申しがたい点があるわけでありまして、私どもといたしましては、いろいろな公害があるわけでございますが、先ほど申し上げましたような趣旨で、健康上生活環境の保全を期し、あわせて廃業の健全な育成をはかるという調和の点から、具体的に取り上げ得るものを、しかも、その影響の最も大きなものを取り上げまして、この法律案の規制の対象と考えたわけでございまして、その他の点につきましても、なお、今後とも調査研究を続けて参りまして、その政策が確立され、また社会的にも、それが規制の対象として取り上げ得る段階になりますならば、逐次その問題を取り上げて参りたい、かように考えておるわけでございます。そういう趣旨で、この名称につきましても、その内容にふさわしい範囲で、こういった名称になったわけでございまして、なお諸外国の法例と比較いたしまして、いかようであろうかというお言葉もございましたが、現在外国で見られますこの種の法令に比較いたしまして、そうその内容が劣っておるものとは考えていない次第でございます。
  351. 吉田法晴

    吉田法晴君 私も十二分に勉強したわけではございませんけれども、ざっと調査をし、あるいは勉強をしたところから見ても、今局長が言われるような、外国制度に比べてみてそう劣るものではない。なるほど煤煙の点については、それはこの法律でそう劣っていないかもしれません。しかしその他の点については、今言われたけれども、大気を汚染しておる要素あるいは他の人間に対する影響からいいましても、イギリスあるいはフランス等に比べてみて、決してすぐれているというわけには参らぬと思うのでありますが、大気汚染について、他の部面については、今後同様の法制の確立を期待したい、あるいは拡大して参りたい、こういうことですが、途中においては、公害防止法という他の公害の部面についても、法制的な措置をとるような構想があったやに承知をするのでありますが、その関係はどういうことになるのでしょうか。これはまあ大臣、もう少し両大臣御出席の上で実は質問したかったところでございますが、おられませんから、厚生政務次官、それから法制局第二部長御出席をいただいておるようですから、この大気の問題についてもですし、その他の公害問題について、この法律では不十分であるけれども、こういう工合に拡大をしていきたい、あるいは公害全般について、基本的な法律にまで拡大していきたいという御趣旨があるならば承りたいと思うのであります。特にここで申し上げますけれども、先ほどから局長からお話がございましたが、公衆衛生の危害の防止と、それから産業の健全な発達との調和をはかるということがこの法律の目的である、これを厚生大臣としては、人間の生命あるいは生活に対する脅威から守るということが第一義であって、産業との調和というものは、これは大局から見てはからなければならぬかもしらぬけれども日本のこの国民の権利、あるいはこういう公害の問題については、廃業の発展ということが第一に立つものだから、そこでこの問題についても、だんだん後退をしていく、それから他の分野においても、騒音その他についても、十分の法律ができない、対策ができない、これはこの問題をこういう具体的な問題として取り上げて権利を守るだけの制度、伝統が確立されてないというところにあります。ありますが、政府自身の中に、産業の発展というものが第一に立って、人間の問題、あるいは公衆衛生の問題を従属的に取り扱われるのではないかというのが、今までの私はこの種の問題についての最大の欠点であると考えますが、現にそれをどういうふうに乗り越えていくか、あるいは生命あるいは国民の権利というものを守るために、公害問題についての法制ということについて、どういう抱負をお持ちになっているか、この点承りたいと思います。
  352. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) お説のとおりでありまして、厚生省の立場から参りますれば、人間の生命、公衆衛生の立場を絶対的に尊重しなければならない責任を負うているわけであります。しかし、一面その絶対性を実現せんとするためには、相当の設備等にも金がかかるのでありまして、厚生省的立場だけを徹底させるというだけでも、やはり全体的立場から見ますというと、うまくない点がありますので、やはり条文にも書いておりますとおり、産業の健全な発展とも調和をとるようなことを必要とするというふうな工合に考えているわけでございます。  今日まで厚生省が、先ほど申し上げたような、立場をとってきたのでありますけれども、一面産業の方面は、通産省のほうの管轄になっておりますので、その調和をとるために、ある程度の苦心が払われたのでありまして、今日その調整ができましたので、本法案を提案する運びになって参ったような次第であります。  それから、なお、一般公害の排除に関する立法を試みんとした場合もあったことは、これもお説のとおりでございます。ところが、たとえば自動車の排気ガスなどをどうするかという点なども、東京都、大阪市あたりでは、非常に大きい問題になっているわけでございます。大気汚染の相当大きい要素になっておるのじゃないかと考えられるからであります。そこで、具体的にこれを検討いたしてみましたら、やはりいろいろの点で、まだ研究が未熟であるという点に到達いたしましたので、いつまでも待っているわけにも参りませず、それらの点はさらに研究を続け、将来適当な結果を得た際に立法化しようというので、今日それらの点は除去されたわけでございます。なおたとえば隅田川が非常に汚れている。これを何とか清浄化できないかというようなことで、厚生省でもいろいろの角度から研究いたしてみました。そうすると、これは工場から排出される用水など、これが根源であるというようなことでありましたが、しかしこれなども、一挙に解決する段階には、まだ検討の余地ありということで、ただいま提案いたした点だけを対象とするような結果になったような次第でございます。  以上、お答えいたします。
  353. 吉田法晴

    吉田法晴君 野木法制局第二部長に来ていただいておりますから、これは政府を代表して両大臣が来られるところですが、厚生省側の答弁がございました。私はざっと言って、大気汚染についての煤煙を中心にしたこの法律に対しては、他の有害物質についての規制のことも考えなければならない。それから、その他の公害問題についても、日本において法制的な欠陥もある。国際的な調査、あるいはいわば欧米の先進国と言いたくないけれども、民主的な制度を確立しておるところからいえば、日本は相当おくれておる部面がある、この問題について。まあ現在のあれからいいますと、法制局自身で立案されるということでなしに、厚生省なら厚生省が立案をされて云々ということだと思いますけれども、これは厚生省、通産省にしても、現状の法制がこれで現段階では一応いいのだという説明をしなきゃならぬと思います。適当かどうかはわかりませんけれども法制局に来ていただいたのは、そういう意味で来ていただいたのでありますが、どういうところに残っておる分野があり、それは外国の例から比べてみて、今後どうなければならないか、こういう点を所見をお聞かせ願いたいと思うのであります。公害問題あるいは大気汚染問題についての調査資料等はお持ちでありましょうし、それから立法過程についての若干の参考にされたもの、御所見を承りたいと思います。
  354. 野木新一

    政府委員(野木新一君) 公害問題の法制につきましては、終戦後逐次法制が整備されてきておるわけでありますが、御指摘のように公害全般にわたった一般的法律はもちろんありませんし、また公害のすべての分野について特別法でカバーされている、こういうことも必ずしもいえないのじゃないかと思います。公害につきましては、まず第一に公害発生を予防し、あるいは防止するという意味の法制と、つまり行政法規になって参ります。それから公害が発生した場合に、その紛争をどういうふうに解決するか、あるいはさらに公害が発生した場合に、その損害が起こったという場合に、損害をどういうふうに処理するかというようないろいろな問題があると存じます。ただその公害問題につきましては、発生させないようにするのが一番いいのでありまして、その意味の法規といたしましては、最近におきましては、先ほどちょっと話が出ましたが、隅田川の水が非常にきたなくなったというのも一種の公害と見られます。このほうの規制につきましては、公共用水域の水質の保全に関する法律及び工場排水等の規制に関する法律が出ております。今度の法律も、この工場排水等の規制に関する法律の規制内容を非常に借りておることだと思います。それからまた一種の公害ともいうべきでしょうが、地盤沈下によるいろいろの一般公衆に与える弊害というものにつきましては、今度の国会におきまして建築物用地下水の採取の規制に関する法律、また工業用水法の一部改正等が成立しております。その他たとえば鉱山関係につきましては、この法律にも出ておりますように、鉱山保安法に、鉱害の、これは鉱業による害、一種のこれも公害になりますが、そういう規制があります。その他たとえば散見するものなら建築基準法などにおきましても、建築基準法の用途基準の制限というものがあります。それによりまして住宅地域にはこういう建物を建てちゃいかぬというのも、一種の公害の発生のある意味での予防措置になっておるのであります。その他の例は、放射線障害防止の技術的基準に関する法律とか、あるいは原子炉等の規制に関する法律とか、そういうものにも公害の防止に役立つ規定があります。その他消防法などにも危険物の取り扱いについてありますが、こういった危険物関係については、火薬取締法、高圧ガス取締法もあります。しかしこれはまあ普通の公害というよりも、もっと直接の危険の防止の面があるので、いわゆる普通の公害という概念から多少はずれるかもしれませんが、そういう法律もあるわけです。そのほかにたとえば何と申しましょうか、非常に特殊の法律といたしさしては、軽犯罪法などにも若干の公害に触れたものもございます。  しかしながら、これらの法律をもっていたしましても、まだいわゆる音響とか、震動とか、臭気とか、予防措置法律ができておりませんで、こういう点は、やはり逐次完備をしていく必要があるのではないかと思う。しかしながら法制化する上におきましては、基準など研究する必要がありますので、やはり順次漸を追うていくという手段によっていくほかはないと存ずる次第でございます。
  355. 吉田法晴

    吉田法晴君 ありがとうございました。まあ現状の説明をあまり出なかったのですが、厚生大臣おいでになりましたから、政務次官にお尋ねをしたところだけれども、簡単にもう一点足らざるところを指摘をして、今後の政府の決意を承りたいと思います。公害問題について、これは産業の発展と、人口の稠密によって産業から出て参ります弊害というものがだんだんふえてくるわけです。ところが日本の場合に、権利を守るべき、あるいは生命を守るべき権利思想といいますか、あるいは訴えの制度等、あるいは差しとめの制度等が十分確立していないことと、それから政府の中にも、この法案にもありますけれども、公衆衛生よりも従来とも産業の健全な発達という点が大きく取り上げられて、いわば公衆衛生の問題も、産業の発達との調和の限度において、こういうことで制限をされる、あるいは押えられるというあれで参りました。   〔理事剱木亨弘君退席、委員長着席〕 したがって、それぞれの公害について法律ができておりますけれども、必ずしも十分でない。ある部分について十分でない。そのことが、この法律においても煤煙を中心にして、有毒物質については一応あげてはありますけれども、有害物質ということであげてはありまするけれども、それも限定をされておる。  それから、その規制の方法に至っては、ほとんどがしり抜けといいますか、たいした実効が上がりそうにはない。各国の例をあれしてみますというと、そういう制限もなければ、特にからだに害のある有害物質等については相当の規制ができるような制度になっておる。あるいはインスペクターといいますか、あるいは治安判事といいますか、そういうものによって区分が確立をされておる。中にはチェコスロバキアのごとき適切な通風装置を作って、工場の周辺にはそういう煤煙、粉塵もですが、有毒ガス等が出ないようにしてあるとともに、住宅その他人間については距離がとってある、あるいは緑地帯がとってある等、政治として、あるいは制度として人権尊重の制度、政治というものが確立をされておるということがこの公害の面からも見るんですが、日本においては、この問題についてもですが、限定をされ、あるいは不十分な体制しか立案することになってこなった。法案がここまでくるについても、いろいろ問題もあったということも知ってます。  そこで、足らざるところをどういう工合に補なっていくか。あるいは生命、人権を尊重するために、この公害問題についても、さらに公害防止のために努力されなければならぬところが多々あると考えるのでありますが、公衆衛生、人間の生命を守る立場にあります厚生大臣として、これが相当の決意と態勢がなければならぬと考えますが、あなたにお尋ねすることは、この点が一番大事な点でございますからお伺いをいたしたいと思います。
  356. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 産業がだんだん発達して参りますし、また人口の移動、ことに都市集中ということが非常に著しくなってくる、いわゆる公害問題とか、あるいは大気汚染問題とかいうようなことが非常に大きな問題となって参りましたわけでございます。産業の発展をさせなければなりませんが、同時に人間の生命、人間の健康ということも非常に大事なことでありますので、公害の防止あるいは大気汚染の防止ということに取り組んでいきたいと思っておる次第でございます。いろいろ外国の例等もおあげになりましたが、日本といたしましては、今回のこの法律をもって、私はきわめて徹底した施策であると、あるいは十分な施策であるというふうには考えておりません。まだまだ問題は残されておると思うのでございます。現在やり得る限りにおいて逐次やっていく、そうしてこれだけで尽くせる問題ではございませんで、隠された問題が多々あるわけでございますから、厚生省といたしましては、国民の健康、生命というふうな問題を守る立場もざいごまするし、一そう努力を重ねまして、この種の立法の整備を今後、はかって参りたい、さような考え方でおるわけであります。とりあえず、今回はひとつこの程度で御了承いただきまして、さらに検討をいたしまして整備をはかって参りたいと、かような所存でございます。
  357. 吉田法晴

    吉田法晴君 この範囲について、欠点を率直に認められて、有害物質についても、煤煙同様のこの規制と申しますか弊害の除去をはかっていきたい、こういうことでございますから、その点は了承をしますが、外国制度に比べてみて、この法律で一番問題になります点をまずお尋ねをしたいと思うんです。それは範囲の対象——大気汚染の規制の対象もですけれども、この法律に出ている制度自身にも重大な欠陥があると思うんです。それからその運用にあたって、この法律で、はたして十分できるかどうか。こういう感じを持ちます。批判を持つわけでありますが、外国において衛生官庁あるいは衛生機関、まあ治安判事等が介入する部分もありますけれども、それはおいて、一応衛生官庁の何といいますか、この場合には煤煙施設ですか、について検査もできれば、監督もできる。あるいは操業の制限もできるようになっておりますけれども、この法案によりますと、届出だけ、ただ届出について勧告をすることはできるということになっておりますが、それではたして人間に害をする根源について規制をし、あるいは中止をはかることができるかどうか。特に特定有害物質についてはほとんどそれが不可能な状態になっておりますが、この点について、これは立案者あるいは法律を見て、法律の現実の上に立って、厚生省あるいは通産省、法制局等で根源を、その害を制限をする措置をどういう工合にしてやろうとするか、その点について承りたい。
  358. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) この法律案におきましては、もちろん指定地域内における煤煙の発生施設につきまして、これをその所在を確認するという意味で届出の制度がとられておるわけでございますが、その運用の面におきましては、指定地域内における煤煙の発生施設につきまして、指定地域ごとに、また施設の種類ごとに排出基準を設けておりまして、その排出基準に適合しない場合は、これに対しまして改善命令をするとか、あるいは場合によりましては、それに従わない場合に、使用の一時停止を行なう。なお、それは罰則をかけるというような規制がございまして、少なくとも煤煙の点につきましては、その規制の実績が上がるような一通りの措置をとっておるものと考えておるわけでございます。  それから特定有害物質につきまして、その規制が弱いのではないかという御質問でございますが、私ども、この立案の段階におきまして、現在の日本の技術の水準から見まして、的確にこれを規制できるかどうかということをいろいろ検討したわけでございますが、まだ、これを一律な基準で規制して参るということには、かなり技術的に無理がございますので、そこでこの法律案におきましては、第三条で包括的な訓示規定を設けまして、その点で特定有害物質についても、それを廃止することについての御注意、御協力を願うということと、さらに第二十条におきまして、事故の発生した場合等については、これに対する措置がとれるという程度にとどめたわけでございます。  なお、これらの点につきましては、先ほど大臣の御答弁にもございましたように、今後十分に検討して、その対策を練って参りたいと存じておるわけでございます。
  359. 吉田法晴

    吉田法晴君 今の説明に関連をしてお尋ねいたしますが、十九条の事故というのは「故障、破損その他の事故」ということで、煙がよけいに出るようになった、あるいは特定有害物質がよけいに出るようになった、こういう事故としか考えられない。条文で見ますと。そうすると、たとえばこのイギリスその他でありましたような人間が死ぬとか、あるいは人体に影響があった、これはまあ煤煙その他が結核の原因になるかどうかという点は、これはにわかに判断しがたいところであるかもしれませんけれども、人体に影響が現われたということも、事故のうちに入るのでしょうか。どうもこの条文で見ると、事故というのは、故障、破損その他の事故云々ということで、人間に対する害が明らかに現われたというのは、事故の中に入らないような気がするのですが、そうすると、人間を守るために、保健衛生の危害を防止するために産業の発達と調和をはかりながらこの法律を作ったと言われるけれども、その目的を、この法律は達するには欠けるところがあるじゃないか。そこでまあ制度の上に、これは地方自治体、県とそれから修正によって政令にまかされるわけでありますけれども、それに対して、直接的な責任な厚生省としてはお持ちになっておらない。それは外国に比べてみて十分ではないじゃないか、こういうあれをしておるのです。  それからもう一つは、届出、認可の問題になりますけれども、届出とそれから勧告でもって目的を達したい、こういうことですけれども、必ずしもそれで十分達し得ないのでないかという疑問を持っておりますので、重ねてお伺いいたします。
  360. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) ただいま御質問のこの事故とは、人の健康の問題に直接触れた意味を含むかというお尋ねでございますが、第二十条にも明記してございますように、この場合「故障、破損、その他の事故」と申しますのは、当該特定施設についていっておるわけでございまして、人の健康を害し、あるいは人命に支障を来たすというようなことの起こります前の段階におきましても、この故障、破損その他の事故が発生した場合に、それを予防していきたいという趣旨がここに含まれておるわけでございます。なお、それを越えました範囲につきましては、先ほど申し上げましたように、第三条で包括的に御協力をいただくという趣旨に相なっておるわけでございます。
  361. 吉田法晴

    吉田法晴君 それでは第九条でしたか、事故の場合というのは、施設の事故、人間の事故が起こった場合にはどうするのですか、事前の勧告その他はありますけれども
  362. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) 人間の生命に事故が起きた場合はどうするかというお尋ねでございます。私どもの基本的な考え方といたしましては、そういうことのないように、事前に防止して参りたいという考え方に立っておるわけでございまして、そういうことのないように、この法律を運用をして参りたいと考えておるわけであります。
  363. 吉田法晴

    吉田法晴君 この認可でなければ、ほんとうのとにかく基準施設等についての改善なり、あるいはある程度の基準を維持するということは困難だと私は思うのですが、それは届出の変更によってやっていきたいということですけれども、事前に云々と言っても、絶えずインスペクトがされるには、それぞれ届出せられた施設について記録があり、そして平生のインスペクトがなければ、一般的な勧告では、これは事故が起こるということを防ぐことにはならないと思うのですが、それはどういう工合に運用されるのですか。
  364. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) 認可でなければ、十分規制の目的が達せられないではないかという、実際の運用をどうするかということでございますが、この条文にもございますように、設置の場合、変更の場合、あるいは承継の場合等、それぞれの実態を把握できる内容を持った届出を求めまして、その内容につきまして都道府県知事が審査をいたすことになっておるわけでございまして、この法律の運用の上では、十分な措置ができるものと考えておるわけでございます。  なお、その記録とか、あるいはインスペクト——監視というような面では、この都道府県知事に地域的に常時監視をする義務を置きました規定がございますほかに、施設の側にも、この施設の運用の責任者を置きまして、この発生する煤煙の測定をして、さらにその記録を保存するというような義務を課しておりますので、そういった面から、この法律で考えております発生の防止の措置は可能であろうかと考えておるわけでございます。
  365. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると、法案は厚生省、通産省の共管ですけれども、法案は出したけれどもあとの実際の運用なり、それからあるいは監視の責任というものは、これはあげて知事、あるいは市長にまかせる、こういうことになるのですが、そうすると、それでとにかく厚生省は責任が持てますか。記録がとってある、しかしそれは県、それから工場、そこに記録がとってある。問題が起こったあとの、とにかくその責任がどこにあったか、原因がどこにあったかということは、これは追及できるかもしらぬ。しかし実際に事故が起こらないように、設備の事故じゃなくてね、この点からいうと、これは足らないところがあると思うのですが、どうですか。
  366. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) 運用の面で、知事にまかせて十分なことができるかというお尋ねでございますが、従来この煤煙等による汚染の激しい地区では、すでに条例等によりまして、ある程度の規制をやる。実態の測定、あるいは指導監督といったような面で実務が展開されておるわけでございまして、私どもは、ただいままでの都道府県知事の動き方、あるいはそれに所属する職員、施設等から見まして、必ずしもこの法律の運用に重大な欠陥があるというふうには考えていないわけでございます。  なお、この法律の規制の効果を十分に期待できるかというお尋ねのお答えといたしましては、役所の側から単に規制を強化していくという意味だけでなしに、私ども最近では企業の公共性というような立場から、工場、事業場側からも、こういった公害の防止につきましては非常な大きな関心と御協力があるように心得ておりますので、両両相待って、その効果が期待できるもと考えているわけでございます。
  367. 吉田法晴

    吉田法晴君 時間がございませんから、その点……。大臣も、せっかく来ておられますが、厚生省、通産省ひとつ責任を持って、法案を出したけれどもあとの運用については責任がはたして持てるかどうかわからないような実態に法文の建前がなっているという点を指摘して、大臣の考慮を求め、今後の改善を期待するということで、本問題の質問は終わります。  ただ一つ、疑問になりましたのは、今まで都道府県あるいは特定の市において条例が作られておりましたが、その条例は、この法律のように煤煙を中心とするものだけではない、他の大気汚染の点についても条例がございます。たとえば騒音、震動、臭気等についても条例が入っておるところもある。そうしますと、この法律とそれから条例とが、必ずしもそのままカバーされるわけではない。いわば煤煙と、それから不十分ではあるが特定有害物質について規定されたこの法律が、今までのその部面での条例だけは、これは全国に普遍化する、こういうことになります。その役割りはわかるのですが、その他の面については、これは条例があるだけで、それをバックすべき法律というものはないということは、これは一つのこの法律の欠陥でもございます。それは欠陥として指摘するにとどめますが、その重複をする場合に、本法とそれから条例との関係はどうなるのか、この法律以上にある条例の規制の仕方については、それはそれで残る、それから全然なかったところについては、この程度のとにかく規制というものは、なかった府県なりあるいは市についてもできると、こう解すべきだと思うのですが、この法律外の条例のそれの裏づけ、それから、この法律の規定以上の煤煙その他についても、条例のあるところのものについては、どういう工合にお考えになりますか伺いたい。
  368. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) ただいま伺いました点で、大体先生の御意見のように私も考えておるわけでございますが、ただ少し言葉をつけ加えて申し上げたいと存じますが、総括的に申しますと、一応この法律案で明文化されておる部分に、あるいは十分検討いたしまして規制すべきでないということで取り上げなかった面も含めまして抵触いたします条例は効力を失うということになるわけでございます。しかし、この法律案に抵触しない部分は、条例として生きる。ただし、それにつきましては、その地方の特殊事情あるいは技術的な面等が確立されておりまして、現実にこれを運用することができるという裏づけが必要かと考えておるわけでございます。なお、この法律の立案にあたりましては、私どもが地方公共団体が正当に行使をいたします条例の制定等について制約を加えるものではないということをつけ加えて申し上げておきたいと思います。
  369. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうしますと、特定の地方について、この法律以上の実情に応じた規制もあり得ると、こういう工合に了解をいたしますが、この基準については、どういう基準を設けられようとするのか、主観的な判断に左右されるものであってはなるまいかと考えるのでありますが、客観的な基準として、どういうものを考えておられるのか。それから今の補足説明によりますと、一平方キロメートル当たりの降煙煤塵量は幾ら幾らと書いてありますけれども、必ずしも基準のとり方は、そういうことでもないと思うのでありますけれども、具体的にどういう客観的な科学的な基準をとられようとするのか、それはおそらく地域によって異なるわけではなかろうかと思いますが、実際どういうふうに考えておられますか。
  370. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) 排出基準につきましては、冒頭の御説明の中にも若干触れたのでございますが、第二条の定義にも書かれておりますように、煤煙濃度の許容限度をきめるという考え方でございまして、この大気の汚染の状況に応じまして、指定地域ごとに若干の段階が考えられるということと、もう一つは、煤煙発生施設の種類によりまして発生の量が違いますので、したがいまして、その指定地域内における大気の汚染をある程度に抑えたいという考え方から、その発生施設の種類ごとにも若干違った基準が出て参ろうかと存ずるのでございます。この点は、通商産業省とも十分連絡をとりまして決定して参りたいと存じますが、単位体積当たりの煤煙の量という考え方で、この排出基準をきめて参りたいと考えておる次第でございます。
  371. 吉田法晴

    吉田法晴君 リンゲルマン濃度が使われるのですか。それとも、その中で地域によって多少違いがあるかもしれぬ云々ということですけれども、実際にはどの程度の基準を考えておりまするか。幅があるとしても、どういうことを考えておられるのでしょうか。
  372. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) リンゲルマン濃度ということを例をあげてのお尋ねでございます。これは諸外国でもこの方法をとっておりますが、私どもが現在考えておりますのは、この方法では比較的非科学的である視覚——目によってはかるということでございますので、それよりも、もう少し科学的な精密な、先ほど申し上げましたような単位体積の中の煤煙量というような考え方で規制して参りたいと考えておる次第でございます。(「もうどうですか」と呼ぶ者あり)
  373. 吉田法晴

    吉田法晴君 もうちょっと、聞きたいことだけ……。急ぎます。  指定地域の区画の単位は、どういうようにお考えになっておりますのでしょうか。市村町だとか、区だとか、そういう地域。
  374. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) 指定地域の範囲といたしましては、一応運用の面から、行政区画を対象に考えておるわけでございますが、一市とか、一町という範囲よりは、もっと広い範囲で、たとえば京浜地区とか、あるいは北九州地区とかいうような比較的広い範囲を規制することになるのではないかと考えております。
  375. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると、都会は考えられるのでしょうが、ある農村地帯に大工場ができたというような場合のあれは、どういう工合に考えておられるのでしょうか。
  376. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) この地域の指定につきましては、煤煙の発生施設の数というようなことを一つの目安にいたしておりますので、それが多数集合して大気の汚染が激しいという場合を想定しておりますので、もしある地域に数少ない工場ができましても、そこから出て参ります煤煙の影響が大きい場合には、一応指定地域の対象として検討されることに相なろうかと存じます。
  377. 吉田法晴

    吉田法晴君 この諮問すべき審議会を設ける必要はないかと考えられますが、いかがでしょうか。
  378. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) 確かに、お尋ねのように、この法律案は技術立法でございまして、この運用につきましては、多数学識経験者の御意見を伺って運営して参らなくてはならないと存じます。その点では、私ども若干の予算措置もいたしておりますが、なお今後私どもの希望といたしましては、厚生省に公害対策委員会というようなものを設置していただきまして、そこに十分お諮りをしまして、科学的な運用に資していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  379. 吉田法晴

    吉田法晴君 五条によると、煤煙発生の施設の種類ごとに定めると書いてありますけれども排出口における煤煙濃度によって、かなり正確に測定されるのだから、特に煤煙発生施設の種類によって差別を設ける必要はないと思うが、どうでしょうか。
  380. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) この点は通商産業省とも、いろいろと話し合いをしたところでございますが、発生施設の種類によりまして、たとえば普通のボイラーでありますとか、あるいはセメントを作るセメント・キルンでありますとか、あるいは大型の微粉炭たきの施設でありますとか、それによりまして単位体積当たりの煤煙の量が非常に違うのでございまして、その規制については、やはり発生施設の種類ごとに、ある程度の段階を設けるのが適当であろうかと考える次第でございます。
  381. 吉田法晴

    吉田法晴君 固定資産の面で、あるいは中小企業振興資金法による融資等があげられておりますが、具体的にはどういう措置を講ずるつもりでしょうか。
  382. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) 固定資産税につきましては、これは免税にしていただくことに話がついております。この施設の補助のためには、中小企業につきましては、中小企業振興助成金を運用いたしまして、半額を無利子で貸し付け、残余を中小企業金融公庫から貸し付けるということを考えております。大企業につきましては、開銀の融資ワクを考えておるわけであります。
  383. 吉田法晴

    吉田法晴君 電気事業なり、ガス事業については、この法案から除外されておりますが、同様の取り扱いがなされるのか、関係法令の改正によって、私は外国の例からいうと、別扱いにする必要はないと思うのですが、実際の運用をどういう工合にされるのか、お伺いをいたしたい。
  384. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) 電気、ガスにつきましては、それぞれ電気事業法、ガス事業法がありまして、これによりまして通産省としては、本法案による監督規定よりも、さらに十分な監督でできる規定になっておりますので、この法案によるのと同様、あるいはそれ以上の規制ができる、こういうふうに考えております。
  385. 吉田法晴

    吉田法晴君 改正の必要はありませんか。
  386. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) 若干整備する必要があると思いますので、その関係法規を整備いたしたいと思います。
  387. 吉田法晴

    吉田法晴君 緊急時には、スモッグの発生の危険というものが考えられるわけですが、先ほども申しましたけれども、昨年、東京湾で原因不明の有毒ガスが発生した云々ということですが、そういう際に、その原因の制限をする、あるいは工場、事業場の操業を短縮する、こういったような弾力的な運営をする必要が起こる場合が考えられますが、そういうスモッグなり、あるいは特定の地域の大気の汚染の具体的な場合についてどういう工合になされるか、お伺いいたしたい。
  388. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) それはちょっと、質問の御趣旨がわかりませんので、答弁がおかしくなるかと思いますが、緊急時におきまして、まあこれはスモッグを予定しているわけでありますが、人の健康がそこなわれるというような場合には、工場等についての作業の軽減というようなことを考えておるわけであります。
  389. 中田吉雄

    中田吉雄君 この事務は、知事かあるいは政令で定めた市長に機関委任をされるわけですが、いつも機関委任事務の際に経費が伴わずに、交付金のワクの中にあるというようなことですが、十分な措置がしてありませんと、この法の目的を達することができぬと思うわけですが、何か六百万円くらいということですが、この大仕事をやるには、私財源措置が十分でないと思うのですが、その点が一つと、この法律の所期の目的を達しますようにするためには、衆議院の修正は、新しい地方自治の動向からして、やはり適切な全会一致の修正ではないかと思うわけであります。ただいま局長の説明でも、有力な都市でこの法案をやる熱意と能力を有するところには、権限の一部をまかせる、こういうふうになっていますが、権限争いというようなことでなしに、知事に、事前に相談をしてその承認を得るとかいうような条件を……、府県でも実力のある都市には、積極的にやったほうが、二重行政の煩を避けたりして、かえっていいんじゃないかというふうに思うわけですが、御所見を伺いらにい。
  390. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) この法律施行の一般事務費につきましては、御指摘のように交付税ということに相なっておりますが、そのほか現実に実態調査を行ないます予算、あるいはそれを国で組みますとか、あるいはその地方公共団体が研究所等を使いまして、実態の測定に当たるような場合の設備機械類の補助を行ないますとかというような点につきましては、若干予算措置をいたしておりまして、こういった予算につきましては、なお今後とも強化をして参りたいと存じております。  それから知事から市長への権限の委譲という問題でございますが、御指摘のように、私どももこの法律の建前といたしましては、知事の権限で総括的に統一的にこの法律を施行していただくということが建前上よろしいかと考えておりますが、先ほども申し上げましたように、有力な市等におきましては、現実にこの問題に対しまして、かなりの成果を上げているところもございますので、両々相待って、この運営の万全を期していくような計らいをしていただくことは適切であろうかと考えておる次第であります。
  391. 中田吉雄

    中田吉雄君 灘尾厚生大臣、地方自治にも御理解があるわけですが、いつも交付金のワクの中にぶち込んであるというわけですが、これはワクはきまって、主税の二八・五%ですか、きまって、そのワクで、ただ新しい測定単位を入れたというのでは、これは結局共食いで、仕事はふえるが財源は伴わぬということで、今回はいたし方ないのですが、今後は、やはりこの法の目的を達するためには十分な財源措置を伴うようにしていただくことを希望して、私の質問を終わります。
  392. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 他に御質疑はありませんか。——他に御発言もなければ、本案の質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。  御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言がなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の方は、挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  393. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 総員挙手と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成等につきましては、慣例により委員長に御一任を願います。  これにて散会いたします。    午後六時四十分散会    ————・————