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1962-04-05 第40回国会 参議院 商工委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月五日(木曜日)    午前十時三十分開会     —————————————    委員異動 四月二日委員小柳牧衞君辞任につき、 その補欠として高橋進太郎君を議長に おいて指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     武藤 常介君    理事            赤間 文三君            剱木 亨弘君            牛田  寛君    委員            上原 正吉君            川上 為治君            小林 英三君            吉武 恵市君            岡  三郎君            近藤 信一君   国務大臣    国 務 大 臣 藤山愛一郎君   政府委員    経済企画庁調整    局長      中野 正一君    通商産業政務次    官       森   清君    通商産業省重工    業局長     島田 喜仁君    通商産業省石炭    局長      今井  博君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    自治省財政局理    財課長     茨木  広君    通商産業省重工    業局車両課長  古沢 長衛君     —————————————   本日の会議に付した案件海外経済協力基金法の一部を改正す  る法律案内閣提出) ○自転市競技法及び小型自動車競走法  の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○産炭地域振興事業団法案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 武藤常介

    委員長武藤常介君) これより商工委員会を開会いたします。  本日は、海外経済協力基金法の一部を改正する法律案自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案産炭地域振興事業団法案、以上三案の審査を行ないます。     —————————————
  3. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 初めに委員異動があります。これについて報告いたします。  去る二日小柳牧衞君が辞任され、その補欠として高橋進太郎君が委員に選任されました。     —————————————
  4. 武藤常介

    委員長武藤常介君) それではまず、海外経済協力基金法の一部を改正する法律案議題とし、提案理由説明を聴取いたします。
  5. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 海外経済協力基金法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  海外経済協力基金法は、昭和三十五年十二月公布、三十六年一月に施行されまして、同法に基づき三十六年三月に海外経済協力基金が設立され、今日に至っております。  御承知のとおり、東南アジアその他の開発途上にある地域に対する経済協力は、最近ますますその重要性を増してきております。すなわち、開発途上にある諸国は、急速な経済の発展と国民生活水準の向上を意図しているのでありますが、このような諸国要請にこたえて、先進諸国は、OECDすなわち経済協力開発機構下部機構としての開発援助委員会(DAC)の設立あるいはインド、パキスタンに対する債権国会議開催等にみられますように経済協力国際的規模において一そう強力に、かつ、効果的に推進しようと努めてきております。わが国といたしましては、このような世界経済環境のほかに、さらに、輸出入市場の開拓、確保といった国内経済面からの要請により東南アジア諸国等との経済関係の一そうの緊密化をはかる必要がありますので、これらの国に対する経済協力を積極的に推進することがこの際特に必要であると考えられるのであります。  海外経済協力基金は、海外経済協力を促進することを目的として、東南アジア等地域産業開発に寄与するため、その開発に必要な資金の円滑な供給をはかる等の業務を行なう機関として設立されたものでありますが、先ほど申し上げました理由で今後わが国経済協力を一そう促進していく場合に、経済協力促進の中枢的な機関として基金の役割はさらに重要なものとなると思われるのであります。今回の基金法改正は、基金発足後一年の経緯から考えまして、その業務活動積極化を期待する観点から提案いたします次第であります。  今回の改正の第一点は、基金理事定数を増加することであります。基金理事は現在二人で、うち一人は日本輸出入銀行の理事の兼任となっております。基金発足の当初は極力機構を簡素なものとする建前で理事の数も最小限にとどめたのでございますが、基金資本金も三十七年度には発足当初の三倍以上ともなる予定であり、これに伴いその業務量も増大する見込みでございますので、こうした事情を考慮いたしましてこの際理事定数を増加したいと存じます。  改正の第二点は、基金貸し付けまたは出資をする場合の要件を改めることであります。現行法におきましては、事業計画内容が適切であり、その達成が確実であると認められる場合に限り貸し付けまたは出資をし得ることとなっておりますが、経済協力案件事業の性質上、相手国事情その他の不確定要素に左右される面が大きく、将来における事業計画達成が確実でなければならないという要件は厳格に過ぎますので、基金貸し付けまたは出資を円滑に行なわしめる意味で、この要件を実体に即応するよう改正したいと存じます。  以上二点がこの法律案内容でございます。何とぞ慎重御審議の上改正の遡行に御賛同いただき、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  6. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 本案の質疑は、都合により次回に譲ります。     —————————————
  7. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 次に、自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 近藤信一

    近藤信一君 ただいま自転車競技法等の一部改正案議題となりましたので、この際、自治省にお伺いいたしたいと思います。  競輪自転車産業振興地方財政面に寄与した面は、決して少なくなかったと思います。しかし、もう今日では大かたその本来の目的というものを達していると、こういうふうに私は判断するのです。そこで現在地方財政が全歳入のうち、どのくらいを競輪収入に頼っておられるのか。これをまた昭和二十四、五年ごろと現在とを比較すると、競輪収入、地位がだいぶん下がってきているというふうにも思うわけでありますが、実際数字で見るとどんな工合になっているのでございましょうか、この点お示しを願いたいと思います。
  9. 茨木広

    説明員茨木広君) 競輪収益と総収入との関係でございますが、二十五年当時で申し上げますというと、総収入の〇・四五%程度でございます。それから三十五年度の状況で申し上げますというと〇・四三%程度でございます。
  10. 近藤信一

    近藤信一君 ただいまの御答弁によりますと、三十五年ですか、〇・四三%ということでございますが、そのくらいのわずかの比率しか占めていないのならば、競輪収入かわり財源は何とかなるのではないかというふうに思うわけですが、たとえば交付金の増額でまかなえるのではないかと、私はそういうふうに思うのですが、この点はいかがですか。
  11. 茨木広

    説明員茨木広君) その点は二つの面から考えていかなきゃいかぬのじゃなかろうかというふうに考えておりますが、収入面からの観点から見ますというと、全体としてはただいま御答弁申し上げましたような状況でございますけれども、御案内のように、現在の地方財政状況におきましても、税収入等において阿比の所得の二〇%程度をめどに税収入を抑えております関係上、全体的に見ますというと、やはり収入限界があるわけでございます。その限界のあります収入範囲内において、いろいろ基準財政需要額等をきめましたりいたしておるわけでございますが、したがって個々団体におろしてみますというと、住民側要望いたしますいろいろな要望を十分に充たすというわけになかなか参らぬような事情があるわけでございます。したがって、団体によりますというと、現存の諸制度から上がりますところの収入をもって十分やっていけるというような団体もございますが、また団体によりますというと、それらの住民要望を充たすためにやはり緊急に整備をしなきゃならぬいろいろな問題がございまして、なお、このような収入にも依存をいたしたいという強い要望が各団体からあるわけでございます。そのような実情でございますので、それを全体的に、見ますというと、わずかなものでございますけれども個々団体におろしてみますというと、相当ウエートを占めているということをひとつ御了解いただきたいと思っております。  それからもう一つ地方財政収入からのみ見ますと、そういうことでございますが、もう一つ、このような競輪なりその他の競技というものを実施いたしますとすると、その実施の主体がどこでありましても、それぞれ利害得失が相伴うわけでございます。そこで自治省考え方といたしましては、やはりそれはその場所に集まってくる人々の最も近い団体でございますので、公共団体等で行なわせまして、そしてそこにおいて利害得失の判断を住民にやらせる、こういうことが一番好ましい仕組みではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。そういうふうな観点でお願いを申し上げておるような次第でございます。
  12. 近藤信一

    近藤信一君 改正案では、市町村指定自治大臣が、「指定市町村について指定理由がなくなったと認めるとき」は、この指定取り消しすることができるようにしております。提案理由説明によりますと、施行者交代を可能にするために財政健全化をはかり得た後においてと、こうございます。そのことが指定理由がなくなったと認めるときだと思いますが、市町村指定を取り消す理由となるこの財政健全化とはどんなことを指しておられるのか、この点お伺いします。
  13. 茨木広

    説明員茨木広君) 現在実施いたしております団体の中には、いろいろな種類の団体がございますけれども、一応申請のときにいろいろなことを警告いたしましてそれを実施いたしたいということで、指定を当初受けているわけでございます。それから相当年数がたっておりますから、実情も相当違っているだろう、また一方新たにその後災害を受けましたりあるいは臨時の特定事業をやりたいというような観点から、あるいは地域競輪場の近くの市町村にあるという理由で、住民相当数そこにいらっしゃる、こういうような事情から新たに入りたい、こういうようなものもございまして、そこで答申にもありましたように、できるだけ特定団体競輪収入財政を依存する場合を少なくするというような観点もにらみ合わせまして、できるだけその益の面を広く均てんさせる、こういうような必要があろうかと思っております。  そこでもう当初の目的を十分達成いたし、そのほかにも収入があって、さらに引き続きそこにどうしてもやらなければならないという必要がない、こういうような団体がかりにあるといたしますというと、そういうような場合には、新たに今申し上げましたような、実施いたしたいと、こういう団体がございますれば、それと交代してもらうという意味において、かわっていただくという必要があろうかと思います。そのような場合には、やはり取り消しというような問題が出てくる場合があるわけでございます。  それから例はそこまでいかずに、その競輪場を使用する団体に新たな団体を加えるだけで、したがってその収益の分配が薄まっていく、こういうような運営で進む場合もあろうかと思っております。
  14. 近藤信一

    近藤信一君 さしあたり現在の施行者のうちで、この財政健全化をはかり得たとして指定を取り消されたものがどのくらいありますか、またそれともまだ取り消したことがない、と、その点を明らかにしていただきたい。
  15. 茨木広

    説明員茨木広君) 今、数は詳細に承知いたしておりまんが、任意にやめたものがございますが、こちらのほうから取り消しをいたしました例はございませんと思っております。それから現在の段階において取り消しをしようとしている団体があるかどうかという問題についてでございますが、これについてはただいまのところまだ考えておりません。この法案が通りまして、新たな段階指定をし、あるいは全部を眺め直すという必要が来年度の切りかえどきにおいてはあるのではないかというふうに考えております。
  16. 近藤信一

    近藤信一君 そこで一度指定を取り消されますと再び施行者になることはできないか、それとももし一たん取り消されても、再び財政事情が悪くなってくる、こういうようなときには、また指定をされることもあり得るのか、その点はいかがですか。
  17. 茨木広

    説明員茨木広君) それは後者のほうのやはり新しい観点から見まして、指定をするのが適当であるという事態が参りますれば、新たに指定をするというのが適当であろうというふうに考えております。
  18. 近藤信一

    近藤信一君 この指定取り消し理由を追加されたことは、今後指定取り消してだんだん施行者の数を減らしていく、こういう方針をおとりになっておられるのか、それとも、単に交代制をとって、一つ取り消して、また一つ指定する、そういうふうな工合にして常に施行者の数は現在と同じくらい維持していこうと、こういうふうにお考えになっておられるのか、この点はどうですか。
  19. 茨木広

    説明員茨木広君) 競輪の問題につきましては、全体的に、まあ大体答申趣旨も、現状の程度を拡大しないことを前提として、というふうになっておるわけでございますので、私どもといたしましても、その趣旨を受けて運用をして参らなきゃならないというように考えております。したがって、競輪場の数がまず第一に一応現在の数でもって限定されるものだというふうに考えております。したがって、そこに関係いたします団体の数の点から申し上げますというと、それぞれの団体の希望によりまして、多少ふえましたり、あるいは減ったりするという事態があるんではなかろうかと思いますが、全体といたしましては、競輪場の数がきまり、それと開催回数というものがおのずからきまっておりますので、その範囲内において運用をして参るのが適当ではないかというふうに考えております。
  20. 近藤信一

    近藤信一君 現在、競輪場地方自治で持っておる数はどれくらいですか。
  21. 島田喜仁

    政府委員島田喜仁君) 四十四でございます。
  22. 近藤信一

    近藤信一君 最後に自治省にお伺いいたしますことは、現在競輪を実施していない市町村の中に、おそらく赤字財政のところもあると思われるんです。競輪を実施したくても県内競輪場がないためにできない、こういうところも相当あると思う。そういう市町村が他の都道府県なり市で所有しておる競輪場を借りて実施できることがあるのか、またはそういうことはやれないと、こういうことになっているか。  それから施行者交代制を広げていく考えは、ただいまの御説明によりますると、ないと私は思うんですが、もし施行者の数をお広げになるようなお考えであるならば、その点もひとつ聞かせていただきたいと思います。
  23. 茨木広

    説明員茨木広君) 当初の問題でございますが、競輪については、どうも今までそういう例がなかったと思いますが、ほかの競技では実際県外のものを借りておる場合がございます。まあしかし、運営の本体といたしましては、やはりそこがある程度施行者としての責任を持った運営をしなきゃいかぬわけでございますので、したがって、できるだけやはり近い距離に競輪場があるということが全体の競技の適正な運営をするという面からいって好ましいと考えております。したがって、原則的にはやはり同一県内公共団体というふうに考えて参りたいというようには思っております。しかし、それが非常に近いような、すぐ隣県の町村で競輪場に非常に近いというような場合については、あるいは御意見のような場合も考え得るかと思いますが、一応原則としてやはり同一県内のものを優先的に考えていくべきであろうというように考えております。それから次は、交代制の問題でございますが、これは答申にもありますように、全体の競輪場の数がきまっており、したがって、おのずからそこで行なわれます回数が物理的に限定されてくると思います。したがって、それから上がる収入というようなものも限定されてくるということに相なってくるわけでございますので、他の困っている団体があるという場合については、やはり交代制というものも考えていかなきゃならぬ場合があると思います。したがって、そのような事情が生じて参りますれば、やはりそういうような交代制をやってもらうということも指導して参らなきゃいかぬというように考えております。
  24. 近藤信一

    近藤信一君 そういたしますると、県内で持っておるところはできるが、県内でない場合に、隣接しておる県、そういうところを利用するということはあり得ないということですか。
  25. 茨木広

    説明員茨木広君) 法的には別にそういうような見解がないわけでございますが、運営指導上の問題といたしましてできるだけ近いところに競輪場があるということが好ましいというように考えております。ただ、交通機関の点もいろいろあると思いますが、現実にそこの住民が相当行っておるというような場合に、やはり益のほうにも均霑いたしたいというような場合においては、そういうような場合も例外的にあり得ることが一応想定はされるわけでございます。ただし、指導上はできるだけ県内に限って参りたいというような気持はいたしております。
  26. 近藤信一

    近藤信一君 次に、通産大臣にお尋ねするのでございますが、大臣は、昨晩徹夜石炭政策の問題で、まだお見えになっておらないようで、森政務次官衆議院でも非常に御答弁をなされておりますから、森政務次官にお尋ねいたします。  競輪について多くの弊害があることは、次官も御承知のことと思います。しかし、その弊害があるにもかかわらず、昭和二十二年に自転車競技法を最初に成立させましたのは、ほかならぬわが党の発議でございまして、その当時は、戦災を受けて荒廃した都市も非常に多く、戦災復興という一つの大きな任務もございまして、また、世間の人心も非常に落ちつかなかったということで、何か娯楽を求めて国民虚脱状態を救わなきゃならぬと、そういうふうなことから、その当時としてはきわめて適切な法律であったと思うのであります。  ところが、現在になってみますと、もう競輪は廃止してもよい時期ではないか、こういうふうに思います。機械工業振興地方財政財源に資することもたいして重要でなくなったようにも思われるわけです。したがって、弊害だけが大きく目につくようになって参りまして、理想としてはもう競輪を廃止する時期に来たのじゃないか、こういうふうに私どもは思うわけなんです。これがわが党の考え方でございまして、御承知のように、今国会へ、今後一年限りで競輪を廃止する、こういう法律案を提出したわけでございますが、それが衆議院では、不幸にいたしまして、否決されたのでございます。これは私どものはなはだ遺憾とするところでございますが、政務次官競輪利害損失についてどのように考えておられるのか、まずこの点からお伺いいたします。
  27. 森清

    政府委員森清君) 確かに近藤さんの言われるように、競輪被害というものは、これが当初の立法した当時は、戦災復興とか、あるいは関連産業振興というようなことが非常に大きかっただけに、そのことに目を奪われて、あまり被害の点は問題にならなかったのでありますが、最近になりましてから、そうした目的がややかなって参りますと、確かに被害のほうが目立つようになっております。しかし私どもは、その被害も十分に認めてはおりますけれども、同時にこのことが関連産業の育成、あるいは福利厚生的なこと、あるいは体育、あるいは地方財政、そうしたものになお多くの貢献をしていることも認めざるを得ないと思うのであります。したがって、そうした競輪被害という点も十分考慮した上で、射幸心をかり立てないようにさまざまな検討をいたしまして、被害最小限度にとどめ、りっぱな大衆娯楽として発達していくように考えて、今回のこの措置になったわけでありまして、私どもはその被害がわかればわかるだけに、そのことを一々シラミつぶしに検討していきまして、そうしてりっぱな健全な大衆娯楽として育成していきたいと考えておるわけでございます。
  28. 近藤信一

    近藤信一君 今、次官が御答弁なさいましたように、弊害の多いことも事実でございまして、いろいろと、競輪のために、一家心中をしたとか、またはどうしたとか、こういうことが非常に新聞にもしばしば報道される。しかし同じ公営でも、競馬についてはそういうことがあまり表面に出てこない。これは警察庁のお調べによりましても、競輪のほうの弊害が多い、こういうふうなことが言われておるわけですが、これは一体競輪だけが社会悪というふうな一般的な認識というものがあるのは、一体、どういう点でそういうことになるのか。これはやはり競輪は人の足でやるということで、おもに競技方式ということにもなるかもしれませんが、私は、競輪競馬競馬は特に戦前からもやはり今日の制度のように行なわれてきた。それが競輪は、戦後、私が今説明申し上げましたような事情から発足した。そうして今日のような、一般的には社会悪ということが非常に言われておるときに、ただ、他の面に寄与しておる点も非常に大きいからという一点で、これが廃止に踏み切れなかったということを、次官は今御答弁されましたが、もう一つ突っ込んだ何か、私はあるのじゃないかというふうにも考えるのですが、この点はいかがですか。
  29. 森清

    政府委員森清君) 確かに、御指摘のように、競輪競馬を比較したときに、より多くの弊害競輪に見出されるということでございまして、しかしこれは私は一つには歴史ではないかと思うのであります。私事にわたったことを申し上げて恐縮でありますが、私の子供のころ、親族の中で競馬にこりまして、そしてそのために家が倒産したという例を見ております。父から、そういう例があるから、絶対に競馬をやってはならないというふうなことをさんざん言われて育ちまして、当時確かに私の親戚の一人だけにとどまらず、競馬被害というものは確かにあったと思うのであります。しかし、これが逐次改善せられてきて今日の競馬になって、大衆娯楽として発達してきたと思いますが、そういう関係競輪もその弊害を逐次除去することによって私は大衆娯楽になっていくのじゃないか、それならば競馬競輪と比較いたしましても、決して競輪により多くの弊害があるというふうなこともなくなってくるのじゃないかと思いますが、もう一つは、競馬競輪とを比較して、どうしても競輪のほうがいわば零細な方々がこれに趣味を持っておられるという点にも一つの大きな問題があると思うのであります。そこで、そうした状況承知すればこそ、今度の改正点にもなっているのでございまして、ある程度歴史が経過をし、その間に欠点を除去していけば、私は、健全な大衆娯楽に、競輪もまたなっていくと信じております。
  30. 近藤信一

    近藤信一君 今、次官も御答弁されましたように、競馬のほうは歴史が古い、で、だんだんと今日のように改正されてきたと。私どもの感覚からいきますると、戦前競馬が行なわれたという一つの基礎になったものは、軍で非常に馬というものが必要を生じた、そういうところで優良馬ということの奨励から競馬というものが行なわれたと私は思うのです。ところが、今日はもう軍隊もなくなったし、また農耕関係においても機械化してきた、農耕馬もあまり必要を感じない、また輸送面に対しましても馬力というふうなものはもうほとんど姿を消して、ほとんどはトラックということになってきた、そういうふうに考えてみますると、むしろ今日もう馬種改良とか何とかいうことが必要でないのに、競馬だけが何か一般的には受け入れられている、競輪は今次官も言われましたように、また私どももそういうように感じておりますが、機械産業等に対するところの一つ振興という意味からもまだ必要のようにも考えられるけれども、これがギャンブル性を帯びておるということで、これは非常に一般的には競輪の廃止という問題もぼつぼつ出てくる、またそれを実施した市町村もあるわけなんで、私はこの点の、その歴史過程だけでこれがいろいろな批判を受けるというふうなことは、何らかそこに割り切れないものがあるようにも思うのですが、この点はいかがですか。
  31. 森清

    政府委員森清君) 仰せのとおり、私は歴史だけだとは考えておりません。歴史と申し上げましたのは、その間に切瑳琢磨をして、悪い面を除去していって、次第々々に大衆娯楽としての健全さになっていったからだと思いまして、そういう意味におきましても競輪はまだ非常に年限が浅いだけに何かと、たとえば開催日等にいたしましても、四六時中開催していたというのを今度の改正におきましては土曜、日曜、祝祭日というふうに限定したということによってそうした、一つ一つが次第に健全化へ歩んでいくのじゃないかと思います。ですから、歴史は大きな役割を果たしていると同町に、やはり大衆娯楽として健全なものにしていこうという不断の努力がこれは非常に大きなファクターになると存じます。
  32. 近藤信一

    近藤信一君 今回の改正案は、昨年の公営競技調査会の改正存続という答申の線に沿って提案されたと思いますが、昭和三十五年に行なわれました競輪審議会では、競輪の存廃に関する答申の中にも、競輪は廃止するのが当然であると、こういうふうな意見も述べられております。そういう方もあるわけです。おそらく公営競技調査会の委員の中には、やはり競輪等は理想としては廃止したほうがよいと考えている人もあったのではないか。また一般の人々の中には、競輪などは廃止されることを心から願っている者も決して少なくないと思います。この一般大衆の声なき声を、一体どのようにしてあなたのほうではとらえておられるのでございましょうか。たとえば世論調査で廃止と存続の調査をするというようなことを試みてみたことがあるのかどうか。公営競技調査会も一般の意見を知る一つの方法だとは思いますが、その他にも広く意見を知ることが必要だと私は思います。そういう点で、何かあなたのほうで御計画をされたことがあるかどうか、この点ひとつお伺いいたします。
  33. 森清

    政府委員森清君) 私ども競輪に対してのいろいろな意見があることは承知しております。そこで、公営競技調査会の方々の人選にあたって、十分大衆の意見が盛り込まれるような方々を御推薦いたしまして、それぞれの方々の御意見に従って、その結果を待って措置したつもりでございまして、たとえば世論調査等は現実にはいたしておりません。
  34. 近藤信一

    近藤信一君 公営競技調査会のメンバーを見ますると、ほとんど存続賛成の方のほうが多いように私見受けるわけなんです。そこで、ただ公営競技調査会だけの答申案ということでは私は片手落ちのようにも思うわけなんです。そのことは、もう前のこれが改正案が出されましたときにも、しばしば問題になったことでございますが、この構成自体がもう開かなくても存続するのじゃないか、存続のほうの意見が多いというようにも私ども考えておったわけなんで、そういう点に、私どもはただ公営競技調査会だけの答申に基づいて政府が存続するということに踏み切られた、こういうことに対して私どもは非常に疑問を持っておるわけなんですが、その点はいかがですか。
  35. 森清

    政府委員森清君) 公営競技調査会のメンバーは、今近藤さんのお話では、ほとんど賛成論者ばかりじゃないかと申されましたけれども、決してそうではなくて、調査会の委員の選任は内閣がこれを行なったのでありますが賛否いずれの意見をも表明したことのない各界の代表者をもって構成したと聞いております。さらにまたこの調査会では、実地に十数へん踏査もし調査もしてきた結果が、こういうふうな結果となって出てきておるのでありまして、さらにまた私どものところにも、たとえば競輪開催市町村、そうしたところからも非常に熱烈な御要求もございましたけれども、そうしたことは一切あげてこの調査会の結論に待って私どもは措置したつもりでございます。
  36. 近藤信一

    近藤信一君 競輪は自転車等機械工業振興に役立っているのも一つの大きな理由ですが、いわゆる振興費は何もばくちのテラ銭から捻出するというようなことでなく、堂々と国の予算から支出して、そして機械工業振興をはかるべきが筋道でないかと私は思うのです。年間十二、三億円ほどの振興費がなぜ、いつまでもこうしたテラ銭によって依存しておりまして、国の一般予算でまかなうようにできないものであろうか。競輪があるからというわけで、ただ漫然とそれに依存しているということではこれはいけないと思います。一体この点についてどのように政府は考えておられるか。
  37. 森清

    政府委員森清君) 確かに仰せのように関連産業の、たとえば自転車等の振興費は国の予算でまかなうべきことは当然であります。しかし私どもといたしましては、この競輪というものを開催する以上は、よりりっぱにその収益等を使いこなすことが正しいことではないかと考えまして、これに年々競輪からの収益を上げて、入れているのであります。
  38. 近藤信一

    近藤信一君 今回の改正によりまして、法律目的を広げ、従来の機械工業振興また合理化、地方財政健全化に寄与するということのほかに、新しく体育事業その他公益の増進を目的とする事業振興に寄与するということも加えられているわけなんです。競輪収益を社会福祉の増進、医療の普及、それから教育文化の発展、体育の振興等のためにも使えるようにしたのであります。このことは競輪収益をこういういいことにも使うんだ、こういうことを一般の人に宣伝するために幅を広げたやにも見受けられるわけなんです。もちろん競輪収入が今までもそういう方面に役立っていることは、これは否定するものはございません。しかしそれを大きく宣伝するのは、それによって競輪を正当化し、また競輪を温存させ恒久化させたいという政府の意図があるからだと私は感ずるわけなんです。こういう経費についても、本来ならばこれを国の予算でまかなうべきでありまして、競輪収入などに頼ろうとするのは、これはやはり社会政策の貧困を示すものだと思います。今の通産大臣が前に大蔵大臣をやっておられて、財政面のこともこれはよく精通しておると思うのですが、そうした通産大臣が今回この改正案を出して、そしてこれを恒久化していかれるということは私はまことに遺憾だと思いますが、この点について政府の御所見を伺いたい。
  39. 森清

    政府委員森清君) 決して体育医療その他に使うことを私どもは宣伝というふうには考えておりません。またそのつもりでそうした字句を入れたわけではございませんで、従来ともにこれは寄付金のような形で出しておりましたものを、この際交付金というふうにはっきり使途を明示したのでありまして、その意図もできる限り競輪というものの収益が有効適切に使われることを念願してのことでございまして、宣伝的な意味は毛頭ございません。
  40. 近藤信一

    近藤信一君 先ほども次官大衆娯楽ということをしばしば申されておりますが、この点について、私、二、三お尋ねいたしたいと思います。公営競技調査会の答申の中にも、公営競技は「大衆娯楽として果している役割も無視することは出来ない。」と、こういうふうにあるわけなんです。一体大衆娯楽としてどのようなものがあると考えておられますか、具体的に一つこの点を示してもらいたい。競輪を含んでのいわゆる一般いわれている大衆娯楽というものです。これは局長でいいです。
  41. 島田喜仁

    政府委員島田喜仁君) 突然のお尋ねで、大衆娯楽とはどんなものがあるかと聞かれますと、戸惑いをいたすわけでありますが、まず公営競技の中に、御承知のように競馬競輪、オート・レース、モーター・ボート、四つございますが、そのほかにもスポーツもございますし、それから映画、演劇のようなものもございますし、パチンコもございますし、マージャンもございます。大衆酒場と申しますか、焼鳥、焼酎屋もございます。場末のバーあたりも大衆娯楽機関一つであろうと思います。あるいは囲碁、将棋等もございますし、花等もございます。思い出すままに大衆娯楽を並べてみますと、以上でございます。
  42. 近藤信一

    近藤信一君 この答申案の中にも、「公営競技を全廃することはその影響するところ甚大であるのみならず非公開の賭博への道を開くことになる懸念も大きい」、こういうふうにあるわけなんで、そこで、もし競輪を廃止したとした場合に、非公開の賭博の道がそんなに大きく蔓延するというふうに政府は考えておられますか。もし、それが非公開で、現在法律で禁止されている賭博でございますならば、今日でもそれは取り締まりがされている、新聞にもしばしば賭博で検挙された画も出ているわけですが、非公開の賭博行為は別といたしましても、競輪を廃止した場合の他のギャンブル性に富んだいわゆる政府の言葉を借りて申しますならば、大衆娯楽というものが今局長が言われましたように、モーター・ボートだとか何とかかんとかたくさんあるわけなんですが、そういう面への流れ込みといいますか、そのほうに相当の興味を帯びてくるというふうにも、お考えになっておられるというふうに私は思うのですが、この点いかがですか。
  43. 島田喜仁

    政府委員島田喜仁君) これは推定になりますから、早計に結論を下すのはなかなか問題だと思いますが、現在、競輪に一年間でどの程度入場しているかという入場者数を概略かいつまんで申し上げますと、三十六年度で約二千万人弱ということに相なるわけであります。先ほど競馬等についてのいろいろな事故が起こる点についてお話がございましたが、競馬のほうはおそらく競輪に比べまして半数以下の入場者ではなかろうかと、こういうふうに思います。そこで先ほど私が大衆娯楽の中にはスポーツ性のあるものないものを雑多に申し上げましたし、あるいは射幸性のあるものないもの等を雑然と思い出すままに申し上げましたが、やはり二千万人のともかく入場者数があるということは、ともかくいろいろ御批判はあろうかと思いますが、相当な大衆性を帯びておるという面がございますので、これらを廃止した場合には、やはり公衆の場で健全な娯楽として運営をしていくか、あるいはこういうものをなくした場合に、はたしてそれらの人たちは全部こうした射幸性というものから全然手を引くかという点については、われわれ慎重に考える必要があるんじゃなかろうか。こういうふうに考えております。
  44. 近藤信一

    近藤信一君 そこでお尋ねいたしたいことはですね、競輪等が健全な大衆娯楽だというふうにお考えを持っておられるのかどうか。私どもは健全なる大衆娯楽だというふうにはどうも受け取りがたい。だからといって他のそれじゃパチンコだとか競馬だとか、こういうものが健全な大衆娯楽かというと私はそうでもまたないと思うのですがこの点はどうですか。
  45. 島田喜仁

    政府委員島田喜仁君) 私自身も実はただいまの競輪がそのまま理想的な健全な娯楽だとは遺憾ながら考えておりません。したがいまして、今後競輪というものを今度の改正案に織り込み、あるいは制度の改善をいたしまして、そうしてできるだけ健全な大衆娯楽になるように努力をいたしたい。なお競輪というものがそういうふうにした暁においても世論の批判を受けまして、競輪というものはやめるべきであるということに相なりました場合には、これはやはり競輪の方向といたしましては廃止というようなことに相なるかもしれませんが、少なくとも私ども政務次官が申し上げましたように、一つ一つ具体的に競輪というものの運営健全化、明朗化のほうに持っていきまして、世の批判に問いたい。こういうふうに考えます。
  46. 近藤信一

    近藤信一君 大衆娯楽と申しますれば、大衆が楽しみにして遊ぶことができる、競輪場に入る人も非常に多いと私は思うのですが、車券を買う人も多いがそれを大衆といえるかどうか。やはり競輪場にたくさんの人が行って、中でただ競輪だけを見ようかといって行く人と、それからそうでなくして何かの目的があって入る人、そういうことを考えますると、やはり競輪に行く人は私は限られた一部の人だと思うのでございます。そのファンが何万いるか。私は今ここで知りませんが、それがいつも行くのでございまして、映画とか野球のようにだれでも簡単に何回か行く。こういうふうなものとは全く質が違うわけなんです。   〔委員長退席、理事剱木亨弘君着席〕 大衆の一郎には熱狂的なファンもおります。しかし大部分は、必ずしも話を聞くのも、どうも公然とやられるばくち行為だからいやだ、こういう人もあるわけなんで、そういたしますと、どうもこれは大衆娯楽でもないように思うわけであります。競輪はラジオやテレビで競走を放送するようなこともあまりないわけであります。競馬はダービーなんかちょいちょいやるわけなんですけれども、新聞などもあまり、一部の業界新聞みたいなのは案内を書いておりますけれども、一般日刊紙にはそう毎日競輪がどこで行なわれているといったことは、どうとか、こういうことも新聞に報道されない。競輪場に集まる人にただ競輪が愛好される、競輪場に集まらないほかの大衆からは全くこれは毛ぎらいされている。むしろ競輪というものはそういう観点から見ますると、大衆性がないというふうに私は思うのですが、この点どうですか。
  47. 森清

    政府委員森清君) 大衆娯楽限界というものはなかなかむずかしいことと思いますか、実はたとえば競輪競馬を比較したときに、競馬のほうがまだ大衆性があるということで、今も近藤さんの仰せのとおり、競馬の場合はラジオやテレビでも放送するというふうなことで、何といいますか、非常にギャンブルというものから多少遠去かっている、娯楽的なものになっておると思います。ところが競馬の場合でも、私の友人で、行くたびに何万という金を持って行って、それをすってしまって、家庭悲劇を起こしてしまっておる人もおりますし、また行くたびに自分は二千円持って行って、二千円で一日レクリエーションしてくればいいのだということで、ほんとうに楽しんで競馬をやっておる人もおります。要は、それを楽しむ人の心がまえだと思いますし、競輪の場合でも、私の近所におるある肉屋のおやじさんは、土曜か、日曜しか競輪に行かない。しかもそれも限られた金を持って行って一日を楽しんでくるということで、非常に肉屋のおやじさんは競輪大衆娯楽としての価値を認めているわけであります。そこで問題は、われわれとしてやらなければならぬことは、それを最大公約数的に考え大衆娯楽でないような、いろいろな悲劇を招くようなこと、あるいは不幸を招来するようなこと、そうしたことをなるべくやめて、大衆娯楽の線にもっていこう、こう考えておるのであります。したがって冒頭の近藤さんの御質問のように、はたして競輪大衆娯楽であるかどうかという御質問に対しては、今の段階においては、やや弊害が目立っておるだけに、大衆娯楽だと言い切れない面がございますけれども、それを除去していけば、私は大衆娯楽として発展していく十分な要素を持っておると思います。
  48. 近藤信一

    近藤信一君 大衆娯楽ということは、一般概念からいきますると、映画、演劇、演芸、音楽、スポーツ、見せもの、その他の室内娯楽もあるわけであります。その他今お述べになっておりますところの大衆娯楽として競馬競輪、オートレース、モーターボート、パチンコ、こういうものもあるわけであります。このうち賭博行為を伴うものは、いわゆる公営競技だけにすぎないのであります。パチンコがわずかに賭博的興味がございますけれども、これはかけを伴うあれじゃない。自分が買ったたまで自分が楽しむ、こういう仕組みになって、景品がそこで若干もらえることにはなっておりまするが、競輪等の公営競技が、はたして先ほど私が申し上げましたような健全な大衆娯楽の名に値するものであるかどうか、この点はなはだ私は疑問だと思うのですが、この点はどうですか。
  49. 森清

    政府委員森清君) 確かに現在の線で、線を引きますと、これは大衆娯楽かどうかと言われると私はまだ大衆娯楽とは言い切れないものがあると思います。重ねて申し上げるようでございますが、これを大衆娯楽に持っていくことは可能なことだと思います。
  50. 近藤信一

    近藤信一君 大衆娯楽にこれを持っていくということが今度の改正一つの大きなねらいのようにも私は思うのですが、はたしてこの競輪というものが歴史過程から見て、ほんとうに一般の大衆が楽しんでいくようなものになるかどうか、もしなるとするならば、一体政府はどのくらいの期間でそういうふうなところまで改良していきたいというふうにお考えになっておられるのか、この点は非常にむずかしいと思うのですが、御意見を伺いたい。
  51. 森清

    政府委員森清君) 非常に今の質問はむずかしい御質問でございますが、実は私どもこの存廃をかけて公営競技調査会の二十数人の方々に諮問を申し上げまして、その方々がほんとうに真剣に先ほど申し上げましたように十数ぺんも実際に現地を視察していただきまして、大衆娯楽という方向にいくためにはこういう改正をしなければならぬということで、ただいま御提案になっておりますような改正案が出てきたわけであります。こうしたほとんど、専門家と言ってはちょっと語弊がありますが、とにかく少なくともこれを審議をしていただいている間は真剣に取り組んでいただきましてこうすれば何とかうまくいくかもしれぬということで結果が出ているのでありまして、この改正をした上で、しばらく様子を見ていきたいと考えているわけでございます。
  52. 近藤信一

    近藤信一君 競輪はギャンブリング・スポーツであるという言葉をよく聞くわけなんです。なるほど自転車競技はオリンピックの種目の中にも加えられております。ほんとうに競輪がスポーツであるならば、賭博行為はなくても愛好されていいと私は思うのです。ところが競輪を見る人々はおそらくだれもが自転車の競争を見るのじゃなくて、先ほど私が申しましたように、あのすりばちのような競技場をぐるぐる走り廻り、自分のお金をかけて、かけた選手が出て来ると夢中になって非常な関心を寄せている、あそこで、局長次官競輪場を見られたことがあるかどうか知りません、か私どもはしばしば視察に行きまして見ておりますと、それに一喜一憂している光景が見られるわけであります。それは競輪のスポーツ性が賭博性に負けた結果だと私は思うのであります。したがって、競輪は他のスポーツ、たとえばプロ野球、プロレス、相撲、ボクシング、こういうふうな観客を楽しませる、そうして喜ばせるというふうなことではないわけです。あそこに寄って、ひとつもうけてやろうかと思いながら競輪場に入る人、こういう人たちを喜ばせまた悲しませる、こういうことであるとするならば、これは健全な大衆娯楽では決してない。賭博そのものだけがこれは重点的な問題に浮かび上がってくるのじゃないか、こういうように思うのですが、この点はどうですか。
  53. 島田喜仁

    政府委員島田喜仁君) 近藤先生の御質問ごもっともの点がございますが、少なくとも競輪はスポーツ性とお話の射幸性とが組み合わされておることは事実だと思うのでございます。ただ問題は、やはり車券を買った者ができるだけこの的中率を多くいたしまして、言いかえれば、大穴が当たったり、いわゆるスルというような感じをなくすために、できるだけ的中率の多いような勝者投票法をやる、そのためには今度の改正でも最も的中率の少ないような方法はこれをできるだけ制限をいたしまして、それで射幸性をなくすようにもっていきたいというのが、実は今度の改正の大きなねらいでございます。したがいまして、従来から見ますというと、ただいまお話のようにひとつ競輪でもうけてやろうというような面から見たおもしろ味はなくなると思います。ただいまのような方向を実は実施したいと考えております。    〔理事剱木亨弘君退席、委員長着席〕
  54. 近藤信一

    近藤信一君 私は競輪のスポーツ性をいかにして回復するかということが問題だと思うわけです。オリンピックの競技種目にもございまするから、何とかして健全なスポーツとして注目されるようになってほしいと思うわけなんですが、今回の改正ではとても無理だと思うわけで、しかし競輪大衆娯楽、スポーツの振興に一役かっていると考えて、これを存続させようとする答申に基づいて、改正案が出されましたのでございまするから、あるいはその名案が盛り込んであるかもしれません。その意味では競輪を見ない大衆を引きつけるような方策を何か考えておられるのかどうか、こういうことが私は非常に肝要だと思うわけなんです。先ほども言いましたように、だれが一体優勝したかということについては、一般の大衆はほとんど無関心、だれが優秀選手で、今度はだれが優勝するか、たとえばプロ野球でございまするならば、もう始まる前から盛んに一般の中に、今年の優勝チームはどこであろう、またどの選手がどうだということは盛んに大衆の中に大きく浸透しておるわけなんです。しかるに競輪ではそういうことが全然うわさに上らぬ、ただ競輪やる者だけがこの点に興味を持っておる、そういうようなことからいきますると、この競輪というものは、施行者や選手やそれから賭博の常連だけ、こういう者だけが興味を持っておって、まあ施行者にしてみますれば、収益一体幾ら上がるか、あそこでは大きな収益はなかったとか、少なかったとか、こういうこと以外に考えていない。また施行者や選手が非常にいろんな面で苦労をしていることもこれはわかるわけなんですが、それかと思いますると、今度は競輪場にそれ八百長か何だということで騒動が起きてくる。この前も同僚阿部君が言っておりましたように、いわゆる警官がどれだけ動員されて、その警告の動員によってこの騒動をおさめなければならないというような結果、事態も起きてくる。そうすると、ますます世間はいや競輪が悪いのだ、もう競輪を非難するこういう声だけが大きく浮かび上がってくる。そうすると、いつまでたってもこれは競輪の大衆性というものは持つことができないのじゃないかと私は思うのですが、こういう点について今度の改正案では何とかこれを健全化していく、そしてそういう不詳事が起こらないようにしていく、こういうことを盛んに言っておられるわけでありますが、そういうことの起こらない、ここ一番という名案というものがあるかどうか、政府でそういうふうな名案をお考えになっておられるかどうか、この点をひとつお聞かせを願います。
  55. 島田喜仁

    政府委員島田喜仁君) ただいま先生のお話の中で、競輪場に見に行く者以外に、大衆娯楽としてもっとスポーツ性を高める方法が必要じゃないかと、こういう御意見もございましたが、今度の改正では、まずあとのお話しの、競輪が八百長があったり、騒擾事件が起こったり、そういう点でむしろ競輪というものが世の批判を受けておる点は、やはりできるだけなくそう、こういう考え方で、今度の改正案並びにその背景となります制度改正を実は考えておるわけであります。したがいまして、具体的に申しますと、たとえばそういう騒擾事件の起こらないような環境の整備がまず一つであろうと思います。そのためには施設基準を引き上げたり、あるいは競輪収益からこの施設改善のために一定の金額を必ず充当するというような方法を考える。また入場料等につきましても、やはり競輪を愛好する者が入るという秩序維持の意味も含めまして、入場料の引き上げあるいはまたそれによって施設の改善というようなことも考える。あるいはまた警備員等につきましても、共同で警備員を常用化の方向に持って参りまして、環境をよくし、いろんな問題の起こらないようにする。それから特に競輪は選手の質が非常に問題でございますので、選手の体質の向上をはかる。そのためには再訓練を実施するとか、あるいは不良選手の登録抹消というような法的根拠も明らかにいたしますと同時に、やはり選手の待遇改善によって生活を安定せしめると同時に、今申し上げましたような質の向上をはかりまして、競輪の中心であります選手問題の解決にもいたしたい、そういうふうに、ただいまお話しの点は、できるだけ世の批判を受け、あるいはまた事件の発生いたさないように考えて参りたい、こういうふうに考えております。
  56. 近藤信一

    近藤信一君 選手や従業員の待遇の問題については、あとからまた私御質問申し上げますが、競輪のことで新聞やマスコミに出ることといいますと、いつも八百長事件でどうしたとか、こうしたとか、競輪を原因として犯罪が起こったとか、また自殺があったとか、こういうふうなことばかりをマスコミが扱うわけで、こういうことだと一般の人も競輪はいけないものだという印象が深くなることも、これはあたりまえのことでございます。競輪にもよい面があるならば、それをジャーナリズムで取り上げられてよいはずだと私は思うのです。たとえば今年の日本経済の一月二十一日ですか、ここに山本という選手が何かやめるまでに三千万円とかの金を足二本でかせいだと、でかでかと大きな記事が出ておるわけなんです。こういうふうな記事を読むと、なるほどこれは競輪の選手でもこんなにもうかるものかなあ、あまり悪いものじゃないなと、こういうふうな印象を受ける人も出てくると私は思うのです。まあ先ほど来政務次官局長が言われておりますように、将来何とかこの競輪というものを健全な大衆娯楽にしたい、こういうふうにお考えになっておられるようでございますが、やはりいい面をマスコミが扱って、初めて私は競輪健全化といいますか、何かそういうことになると思うのですが、現在のところでは、それがどうしてもそういうことより弊害の点だけが大きく浮かび上がっておる。したがってこれが大衆から批判され、また国民からもいろいろと批判される一つの大きな原因になっておる。こういう点を考えますと、私どもはやはり今回の改正そのものが、先ほども私が申し上げましたように、存続ということできておりますが、私はやはり現在のところでは一応廃止したほうがよかったのではないかというふうにも思うのです。この点は先ほど来御答弁の中にもございましたが、この点はあなたのほうでは一体どういうふうに受け取っておられるのか、この点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  57. 島田喜仁

    政府委員島田喜仁君) 騒擾事件が起こったことはまことに遺憾でございますが、ただ昭和三十年ごろから騒擾事件は減って参りまして、逐次そういう問題がなくなるような方向にきていることは事実でありまして、新聞その他マスコミで出ますというと、非常にそういう事件が多いように感ぜられますが、逐次改善の方向には向かっております。なお、今度の改正案は、先ほど申し上げましたような方向でできるだけ問題の起こらないように具体的な手を、措置をまあ打って参りたい、こういうふうに考えております。
  58. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  59. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 速記を起こして。  それではこれより午後一時半まで休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩      —————・—————    午後一時四十九分開会
  60. 武藤常介

    委員長武藤常介君) これより商工委員会を再開いたします。  自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を続行いたします。質疑のある方は順次御発言を願います。
  61. 近藤信一

    近藤信一君 午前中御質問いたしまして、午後は内容について若干お尋ねしたいのであまりすが、今まで申し上げましたように、私はできれば競輪などは廃止したほうがよいんじゃないかと思っているんです。ところが、政府はせっかく努力して、競輪など弊害を除去するための法案を提出をされましたが、この法案で理想に近い競輪が生まれるかどうか、私はすこぶる疑問の点があるのですが、もし、競輪弊害が完全に除去できるならば、そのときは現在のような競輪はなくなってしまうに違いないと思うのです。そこで、はたして改正案弊害が完全に除けるかどうか、以下若干のお尋ねをすることにいたします。  まず、この改正案によりまして、一体どの点が従来より改善され、また弊害が少なくなると思っておられるのか、具体的に御説明をしていただきたいのであります。
  62. 島田喜仁

    政府委員島田喜仁君) 競輪の実施に関します運営の面で弊害を除去いたすとともに、さらに競輪の改善を行ないたい、こういう考え方でございますが、まず、先刻当委員会におきまして、補足説明を申し上げましたが、要点は、午前にも御質問のあった競輪施行者についての適正化が一つでございますが、二つには、競輪の実施機関の整備、強化の点でございます。それから第三は、競輪健全化、明朗化でございまして、投票法の問題、あるいは設備の改善、環境の改善、あるいは選手の体質改善等の問題でございます。  以上簡単でございますが、要点だけ申し上げまして、なお、御質問にお答えいたしたいと思います。
  63. 近藤信一

    近藤信一君 それから、射幸性を少なくするというようなことでございますが、それでは前にも申しましたとおり、競輪そのものが死んでしまうというふうにも考えられるわけなんです。現行法でも、いわゆる連勝複式という車券は認められております。しかし、どこの競輪場でも言っておりますことは、たしか今日そういう連勝複式という車券をやっていない、一カ所もやっていない、この方式を今後採用するということで射幸性をだんだんとなくしていくという、こういうことなんですが、こうした制度がございまして、施行者のほうで今までこれを採用しなかったということは、射幸性が希薄だから、そういたしまするとお客が来ない。そこで今度の改正では、なるべく射幸的要素を少なくするために連勝複式をとらせるようにするんだ、こういうふうなことも考えておられるわけなんです。そういたしますると、今後今までのように、いわゆる大穴でも当ててやろうかという、こういう考え方、大穴が今まであったが、これからは連勝単式という車券を禁止する方向に指導するというお考えのようでもございますが、この点どのように考えておられるのかお伺いしたい。またこの投票方法については、他の競馬等の類似競技と同一歩調をとって実施する考えであるかどうか、この点いかがですか。
  64. 島田喜仁

    政府委員島田喜仁君) ただいまお話しのように、投票方法で実際に実施をしていない種類がございましたが、去る三十二年の第二十六国会におきまして、衆参両院の附帯決議がございまして、連勝複式勝車投票法を実施する場合には、やはりほかの四公営競技とも同時に行なう、実はこういう付帯決議があるわけでございますが、実はその話し合いがつかないままに実施が行なわれなかった。率直に申しましてそういうことだと思います。ただ、その裏にはおそらく先生今お話しのような点から実施ができなかったという点があったと思いますが、今度の制度改正といたしましては、ただいまお話しのように、競輪及びオートレースにつきましては、射幸性の多い、言いかえれば、的中率の悪い連勝単式等につきましては、これをできるだけ制限をして参りたい、ほかの四競技ともそういう線で話し合いをいたしております。それから連勝複式等を採用いたしまして、その面でできるだけ射幸性を少なくして参りたい、こういうふうに考えております。
  65. 近藤信一

    近藤信一君 改正案は、競輪を別状以上に奨励しない、こういう建前をとっていることと思います。そこで、競輪場の新設の問題についてお尋ねしたいのですが、現行法の第三条によりますると、競輪場の新設は通産大臣の許可を受けて認められることになっております。しかし、現実には昭和三十年三月の閣議におきまして新規設置は許可しない方針を決定したので、その閣議決定に従って三十年以降新設されたものはないということではありまするが、今後競輪場新設の申請が出てきた場合、どう処理される方針であるのか。法律では新設を認めているのを、ただ閣議決定ということだけで押えることができるのであるかどうか。むしろ、新設は認めないと法律にはっきりとしたほうがよかったようにも私は思いますが、この点お伺いしたいのであります。  なお、場外車券売場の新設についても同様のことが言えるので、これについてもあわせて御答弁をお願いいたします。
  66. 島田喜仁

    政府委員島田喜仁君) 今後も新設は認めない方針で参るつもりでございます。
  67. 近藤信一

    近藤信一君 二番目の場外車券売場の新設についても、これは同様でございますか。
  68. 島田喜仁

    政府委員島田喜仁君) 同じでございます。
  69. 近藤信一

    近藤信一君 今度の改正案では、競輪場についてはその設置だけについての規定だけであったのを、移転、それから相続、合併、譲渡などの規定を加えておりますが、このことはどういう趣旨からであるのか、売り上げの少ない競輪場を他の売り上げの多くなりそうな土地へ移転しやすくしようとするために、こうしたことになるのか、または競輪場の所有者が競輪をやめた場合、次に施行者にこれを譲渡できるようにして競輪場の数を減らさない、そういうふうな建前をとられる一つの手段とする考えであるかどうか、この点いかがです。
  70. 島田喜仁

    政府委員島田喜仁君) まず移転の場合でございますが、現行法でも実は法律解釈といたしましては、新設の場合のみならず、移転もできることに実はなっておりますが、今度改正におきましてはっきりいたしましたのは、移転の場合にも自由に移転ができることではなくて、移転の場合も新設と同じようないろいろな条件を付する、たとえば二、三条件がございますが、移転をいたした場合には移転先の府県知事の承認を受ける、あるいは公聴会を開いて意見を聞く、あるいは審議会にかけまして意見を聞くというようなことと、それから移転の場合にも新設の場合と同じような義務を持つという、そういう面で厳重に縛る意味でこれを明示したわけでございます。それから相続、譲渡等の問題は、実は競輪場の問題は、競輪場という物的施設の相続、譲渡でございますので、法律的にこれを禁止することはなかなか困難でございますので、現行法においても実はこの点は同じでございます。ただ問題は、いかなるものに譲渡されたか、相続されたかということが不明確である場合がありますので、その点を届出で明示をする、これを的確に把握するという意味しかございません。ただかりに譲渡、相続等行なわれた場合におきましても、施設の維持義務とか、その他の義務は当然承継をされますので、現在の所有者から譲渡もしくは相続によって、これを受けたものの義務も全く同様である、そういう意味で、ただ届出の規定が入りましたのは、明示をする、明確に把握するという意味でございまして、従来と変わりはございません。
  71. 近藤信一

    近藤信一君 移転されようとすれば、移転の範囲はどのくらいに考えておられるのか。所在地と同じ県、市なり等に限定されるのであるかどうか、これは先ほども自治省にお尋ねした点と同じでございますが、この点はいかがですか。
  72. 島田喜仁

    政府委員島田喜仁君) 率直に申し上げますと、その範囲は明確にきめておりません。おりませんが、おそらく非常に遠くに移転するということはあまりないと思いますが、ただいま申し上げましたように、移転する場合には、ただいまのような前提条件がございますので、もしそういう具体的な事例が起こりましたときは、諸般の情勢を勘案いたしまして、移転を認めるかあるいは認めないか、認める場合にはどういう範囲内に認めるかということは、先ほどのような手続によりまして十分検討いたしたいと思います。
  73. 近藤信一

    近藤信一君 そういたしますると、まだその範囲はきめていないということでありますると、たとえば隣接した県外へ移転されるというふうなことも考られるのでございますか。
  74. 古沢長衛

    説明員(古沢長衛君) ただいまの移転の場合に、県外の移転を認めるかどうか、こういう御質問ですが、これにつきましては、従来も実際に取り扱った実例はありませんし、今後もそういう場合は原則として認めない、こういう方針であります。
  75. 近藤信一

    近藤信一君 現在までに競輪場で移転された例というふうなものがありますか、もしあるとするならば、移転した競輪場の名前と場所、移転の理由、これらについて御説明願います。
  76. 古沢長衛

    説明員(古沢長衛君) 移転につきましては、先般福島市にある競輪場を会津の若松に移転をしたというのが一件ございます。最近ではそのほかほとんど事例はございません。
  77. 近藤信一

    近藤信一君 福島にあったのを若松に移転されたという、その理由は何でございますか。
  78. 古沢長衛

    説明員(古沢長衛君) ただいま申し上げましたのは、間違っておりますので訂正いたします。会津の若松の市内に、これは白虎隊の出たところの城の近辺にありましたものを同一の市内で移転をした、こういうことでございます。先ほどの福島にあるのをというのを訂正いたします。なお、その理由は鶴ケ城が一応文化財保護の対象になっておりますので、保護委員会のほうの要請によりまして、これを移したというわけでございます。
  79. 近藤信一

    近藤信一君 競輪などの賭博行為が白昼堂々と、公営競技の名のもとに行なわれまして、競輪等による一家心中、自殺などの家庭悲劇や、それから殺人、詐欺、横領、こうした社会的な犯罪に至るまで、しばしば言っておりますように、悲しい不幸な出来事が実に数多く発生しているのであります。また開催地ではボス、暴力団が横行しているということも事実でございます。このようなことが、競輪等の現実に行なわれている今日の姿じゃないかと思うんです。このようなことがどうして大衆娯楽と言えるかということでございますが、このことは先ほど来大衆娯楽について論議をしたわけでありますが、今度の改正にあたって、これらの悲劇が起こらないよう、どのような配慮がなされたでしょうか、その点をお示し願いたい。ただ、先ほど来からの御答弁では、健全な大衆娯楽にするために、いろいろな法改正をやって努力をしたい、こういう御答弁でございますが、重ねてこの点をお尋ねいたします。
  80. 島田喜仁

    政府委員島田喜仁君) 家庭悲劇が起こりましたり、あるいは騒擾等の発生をいたしましたことは、まことに遺憾のきわみでございます。ただそういう事例は、競輪のみならず、そのほかにもそういう事例というものが起こっておりますので、私どもといたしまして競輪、あるいはオートレースを担当するものとしては、そういう事態の起こらないような方法を競輪運営について考えることはぜひ必要だと思いますが、ただそういう事例の起こる根源をなくすことが本競輪の直接の目的ではございません。ただし今申し上げましたように、競輪の健全な娯楽としての、あるいは大衆スポーツの方向への誘導によりまして、たとえば先ほど申しましたような射幸性をなくす、あるいは開催日を制限する、あるいは環境をよくする等の方法によって、ただいま申し上げました家庭悲劇、あるいは騒擾事件等をなくす方向で、私どもといたしましては最善の努力をいたしたいと思います。
  81. 近藤信一

    近藤信一君 競輪は自転車の競争ということでございまするけれども、実際にはこれは人の競争だと思うのです。したがって最も八百長が行なわれやすい状態にあることも事実です。競輪には八百長が多いとの批評もよく聞くわけでございますが、現に過去には八百長レースに端を発して大きな騒乱事件まで発展したこともあります。八百長の防止には厳重な指導監督が必要だと思いますが、今度の改正を機会に、どのようにしてこうした八百長レースというものがないように努めようとされているのか、その考え方についてお聞かせ願いたいのであります。
  82. 島田喜仁

    政府委員島田喜仁君) まず第一には選手の教育、あるいは訓練を今以上に徹底をいたす考えでございます。日自振等を通じまして、さらに教育、訓継を徹底いたす、あるいは再訓練をいたす。それから選手のいかんによりましては登録を取り消す方法を法的にも明らかにいたしまして、選手の質の向上をはかりたいと同時に、選手がそういう八百長をやるような背景といたしまして、選手の待遇、あるいは生活の問題、あるいは選手をやめる場合の、退職の場合の問題等を基本的に考え直しまして、訓練もしくは欠格者の排除、さらに積極的な面におけるただいま申し上げました待遇改善の問題をあわせて改善をいたしまして、ただいま先生のお話の八百長等の出ないような方向で進んで参りたいと考えております。
  83. 近藤信一

    近藤信一君 今、局長が御答弁になられましたように、八百長の一番大きな原因は選手が誘惑に負けるということなんです。日経に出ておりました山本清治という選手も言っておりますが、一番こわいのは誘惑である。自分としてはどんな誘惑にも負けずに今日までやってきた、ところがもう人間でございますから、しばしば誘惑に負けやすい。特に選手の待遇というものが判然としていないと、頼まれてひとつもうけてやろうか、こういうふうな悪い考えの起こってくることも事実でございまして、これは機械というものの、実際は足で走らなければならないという競争でございますから、そういう誘惑には非常にかかりやすいと私は思うので、今度の改正を起点として選手それから従業員、これらの待遇上の問題は、今、局長は十分考えていきたいということでございまするが、ただ十分考えていくということだけでなくて、もっとはっきりした方針というものを打ち出すべきじゃなかったかと私はそう思うのですが、この点はどうですか。
  84. 島田喜仁

    政府委員島田喜仁君) ひとつには実は、今国会に提案をいたしております法律改正案は、まずその基本的な考え方法律に織り込んだわけでございます。なお、その法律改正に織り込む面において、ただいま先生の少しまだなまぬるかったのじゃないかという御質問かと思いますが、実は選手の問題につきましては、待遇改善あるいは賞金制度の改善等につきましては、その財源問題と、それから同時に待遇あるいは共済制度の問題となりますと、なかなかむずかしい問題を含んでおりますので、できるだけ法律改正でその考え方指導方針を織り込んだつもりでありますが、なお、政省令の段階あるいは運営段階におきまして、ただいまの方針に沿いまして改善をいたしたい、こういうふうに思っております。現在施行者あるいは自転車振興会あるいは選手会等が集まりました中央選手制度改善委員会というのがございますが、ここでただいま問題を基本的に検討をいたしつつありますので、その点で御了承をいただきたいと思います。
  85. 近藤信一

    近藤信一君 次に、選手と従業員の関係についてお伺いいたしますが、現在選手それから従業員の数はどのくらいになっておりますか。
  86. 島田喜仁

    政府委員島田喜仁君) 競輪の選手が、ラウンド・ナンバーで申し上げますが、約四千三百名でございます。それからオートレースの関係がその十分の一の約四百名でございます。従業員は全部で約六万三千人——ちょっと今数字をあれしますからお許しを願います。恐縮でございますが、競輪関係は六万三千人でございます。オートレースの関係は後ほどまでに調べますので、次の質問を願います。
  87. 近藤信一

    近藤信一君 競輪を実施する上には競輪の選手がきわめて重要な地位を占めていると思います。八百長をなくするためにも選手が生活の安定を得て初めて安心してレースに専念できることが必要であろう、かように私は思うのです。今度の改正案で第十六条の三を加えたことは非常にけっこうなことだと思いますが、ここには「通商産業大臣は、選手の福利厚生の増進を図り、競輪の公正及び安全の確保に資するため、競輪施行者又は日本自転車振興会に対し、選手の相互救済を目的とする事業に対する助成その他の措置に関し必要な助言又は勧告をすることができる。」と、こうございます。これが今日でも施行者や自転車振興会が選手に対してとってきた措置が不十分であったと認めて、今回この規定をおかれたのであるかどうか、この点はいかがですか。
  88. 島田喜仁

    政府委員島田喜仁君) 率直に申しまして、不十分であったと考えます。したがいまして、ただいまのような規定を挿入いたしたわけでございます。
  89. 近藤信一

    近藤信一君 さらにこの条文の中にある「選手の相互救済を目的とする事業に対する助成」とは、具体的にどのようなことを考えておられるのか、お示しを願いたいのであります。
  90. 古沢長衛

    説明員(古沢長衛君) ただいまの共済制度につきましては、大体選手側で賞金の中から約一億二千万円、それから施行者側のほうから約四千三百万円、合わせまして約一億六千万円強の共済資金というものが年々出されておりますが、今回の改正を機会に、先ほども局長説明申し上げましたように、選手制度改善委員会で現在検討を加えておりますが、その考え方の方向としましては、大体選手側が半分、それから施行者を中心としましてその半分を助成をする、金額につきましては先ほど申し上げましたように、相当大幅の引き上げになると思いますが、これは目下検討中でございます。
  91. 近藤信一

    近藤信一君 今度の法改正で、スポーツ、それから教育ですか、そういうような点にも充当できるように改正されるわけでありますが、私は、機械工業振興という面にされることは非常にいいと思う。過日、私は、同僚とともに工場または研究所等を視察しまして、昔と今との自転車の製造法なんかにおいても隔世の感があるということと、それからりっぱな技術研究所を持って、ただ自転車だけでなくして、他の機械産業の研究にも寄与しておる。こういう面に私は、競輪の上がりから助成金を出すということには私は大賛成ですが、自転車と何にも関係のないスポーツやその他の面に助成金を出すというふうなことは、私は問題があるのじゃないか。それよりも選手の待遇をよくしてほんとうに後顧の憂いのないような競技ができる、安心して競技ができるように選手の待遇という問題をまずもって私は考えてやるということのほうが重要でないかと、かように私は思うのであります。ただ機械産業と何ら関係のないところに助成金を出して、いわゆる競輪は決してギャンブルだけのものじゃない、こういう面にも寄与しておるのだ、こういうふうに宣伝のために使っておられるようにも、私は、先ほども質問いたしましたように、どうもそういうふうに受け取れる。そういうところに助成をするのだったら、まずもって競輪の上がりをかせぐ選手の待遇上をよくするということが意義があると、私はこういうふうに思うんですが、この点はどうですか。
  92. 島田喜仁

    政府委員島田喜仁君) ただいま自転車その他の機械関係につきまして競輪の資金の配分をいたし、さらに研究所等の実施状況を御視察いただきまして、むしろ御推賞のお言葉をいただきましてまことにありがたく存じます。ただ先ほど政務次官からお答えをいたしましたように、競輪を一応存続するという前提に立ちますというと、やはり広くわが国経済の発展のみならず文化的な面におきましても、あるいは社会政策の面におきましても、日本の国が向上して参ります観点から各般の意見を総合いたしまして、必要な方面に出していくという、そういう考え方がおそらく公営競技調査会における答申にもなったと思いますし、それがやはり私どもは必要な施策である、こういうふうに考えます。ただ、ただいま先生のお話の競輪を実施していく場合における競輪の公正かつ円滑な運営の実施のためには、選手が柱になるということはまことにごもっともでございまして、この点も今度の改正におきましては重点の一つといたしまして、ただいま先生の御質問の趣旨に沿って実施をいたして参りたい、こういうふうに考えております。
  93. 近藤信一

    近藤信一君 なぜ私がこういうことを申し上げるかというと、今、局長も言われましたように、競輪の選手は四千三百人もいる。しかしこの四千三百人が輪番的にずっとどこそこの競輪場へ今度は競走に行くと、こういう仕組みになっておらないわけなのですね。施行者のほうの要求によって選手が選定され、その要求による選手がその競輪場に行って走るわけなのです。それでもあまり優秀でない選手は一回回って千円のトップ賞だけをもらうということで、トップ賞かせぎという選手も中にはおるわけなのです。そうすると、先ほど来言っておりまするように、いろいろと自分の生活の安定ということもなかなかあり得ないということで、誘惑にずるずるとのるということもある。そこで、私が考えますには、やはりその施行者の要求によって選手を選定するのでなくして、何かここにほかの機関で、この四千三百人の選手が同じように働けるような、そういう仕組みというものが一体できないものかどうか。こういう点はいかがですか。
  94. 島田喜仁

    政府委員島田喜仁君) 現在日本自転車振興会が選手の出場のあっせんを実はいたしておりまして、一つの基準がございまして、その基準に従って選手の出場のあっせんをいたしておりますが、ただ問題がございますのは、やはり選手の出場による競輪はスポーツでございますので、選手も優秀な選手と優秀でない選手が実はあるわけでございます。優秀な選手は原則として高い賞金を得られる、成績のよくない選手は賞金が少ない、こういう実は面がございますので、必ずしも成績の悪い選手が自分の希望によってある競輪場に、ある種目に出場するということはなかなかむずかしい面があろうかと思います。しかしただいまお話の、やはり不正レースを行なう問題、あるいは選手の質の向上をはかるための背景としての待遇上の問題等々を考慮いたしまして、今後選手の出場問題等につきましても検討をいたしたい、こういうように考えております。
  95. 近藤信一

    近藤信一君 今までの御答弁から考えますると、選手に関しましては、一歩前進した感が認められるわけでございますが、選手以外の従業員については、今度の法改正において何もなされておりません。何かこれについてお考えがございますか。
  96. 島田喜仁

    政府委員島田喜仁君) 従業員の中には二つございまして、一つ公共団体に属する公務員としての性格を持っている従業員、実はそれが多いわけでございますが、なお、臨時従業員もございます。公務員の問題は御承知のとおりでございますが、臨時従業員につきましては、施行者とその従業者との随時の契約になっておりまして、常用化という形になっておりません。ただ施行者に対しましては、かつて国会におきまして従業員の待遇改善の附帯決議もございましたので、関係方面には待遇改善について要望をいたして参りました。特に施行者に対しまして要望して参りましたが、施行者も臨時従業員の待遇改善には努力をいたして参ったと思いますが、一応現在の状況考えてみますと、臨時従業員の大部分は女子労務者でございます。しかもその圧倒的多数は未亡人もしくは家庭にある婦人が多い。しかも大部分は車券売場に従事するものでございまして、労働時間も大体六時間でございます。労働も単純労働でございますが、その従業員の現金給与の推移を見ますと、三十二年に附帯決議がございました当時は、全国平均で一日三百四十四円でございましたのが、三十六年には四百九十円と四二%余りも上昇を示しております。なお、他の同様な労務者と比較をいたしてみますと、三十六年が競輪の臨時従業員は四百九十円でございますが、失業対策労働者は三百八十六円、それから臨時日雇い労働者の中で製造業をとってみますと五百二十七円、したがいまして、失業対策労働者よりは相当高く、臨時日雇い労働者の製造業関係に比べまするとわずかながら低くなっております。ただ先ほど申し上げましたように、従業員が女子であるということ、労働時間が平均六時間であること等の先ほど御説明した点から考えますというと、むしろ従業員といたしましては、他の同じような労務者に比べますというと、優遇されておるような感じを持っております。しかしこの従業員等につきましても、施行者関係者に今後も待遇改善につきましては十分な要望をいたしまして、遺憾のないようにいたしたい、こういうふうに考えております。
  97. 近藤信一

    近藤信一君 昭和三十二年の本法改正案の審査のときの当委員会の附帯決議の一項目に、今局長も言われましたように、「競輪場従業員特に臨時従業員の身分について検討し、併せてその待遇改善について努力すること。」と、こういう決議がされまして、大臣も御趣旨に沿うように努力しますという御答弁があったわけなんです。そこで今なるほどこの賃金の問題につきましては、三百四十四円が四百九十円に今日上がっておると、こう言われまするけれども、御承知のように競輪は雨が降ったならばこれは休みということもございますし、一カ月通じて三十日行なわれるものでもない。さらに就労日数が二十五日なら二十五日というものは保証されているというわけのものでもございません。そういうことをあわせ考えますると、四百九十円といたしましても、これがたとえ——これはあちらこちらの競輪場をかけ持ちでまあ臨時従業員がやっておると私は聞いておるのです。そこで二十日働いたといたしましても、これは一万円にならないわけなんです。そうして今局長も言われましたように、この臨時従業員というものは、引揚者だとかまたは戦災者の未亡人だとか、まあおもに未亡人が多いわけなんです。ところが就労時間が六時間だと今言われましたが、私は事実調査に行きまして、わずかの時間に、十分かそこらの——十分ですか車券売る時間が、車券を売って今度次の車券までの間に全部清算して回らなければならぬ。さらに一方は賞金を払い戻すのは、同じようにわずかの時間に計算して、間違いのない正確な数字を出して払い戻しをしなければならぬ。あの場面を見ておりますると、非常に神経が疲れるわけなんです。なるほど労働時間は六時間でございますが、相当神経は疲れるということと、それからなみなみならぬ私は仕事だと、こう思う。そういうことを考えた場合に、四百九十円という臨時従業員の貸金は、私は決して高いものじゃない、かように思うし、また身分の問題についても、いろいろとその後御考慮なさっておるようでございますが、私は臨時職員だからといって、その人たちがきょうだけ出てあした来るものじゃないという性質のものじゃございません。やはりなれた施行者側も臨時従業員をずっと次々と使っておるわけなんで、これはむしろ私はいわゆる常勤者と同じような建前じゃないかというふうにも思うわけなんですが、そういう点を考えると、ただ文字に現われた臨時職員だ、こういうことだけでこれを処理しようというところに私は無理があると思うのですが、この点はいかがですか。
  98. 島田喜仁

    政府委員島田喜仁君) 先ほど申し上げましたように、施行者と従業員との臨時契約になっておりますが、直接これに対しまして、積極的な指導等をとっておりませんが、ただいま先生の御趣旨もなるほどと思う点がございますので、今後待遇改善等々につきましては、ひとつ施行者並びに関係者とも協議の上、できるだけそういう方向で検討いたしたいと、こういうふうに思います。
  99. 近藤信一

    近藤信一君 それから局長も御承知のように、今日競走労働組合というものがあるわけなんで、この競走労働組合もおおむねこれは関西が中心となって作られておりまして、その後全国的に組織をしようとして、この競走労働組合は努力をしておるのだが、ところによっては、いわゆる都道府県によっては、なかなかその労働組合に入ることをいやがって、間接的にいわゆる労働組合ができぬようにしておるわけなんで、こういうことはたとえ臨時職員であろうと労働組合を作ろうという、そういう熱意に燃えておるのを、施行者側が労働組合を作らせないようにすることは、これは労働問題に関与するというふうに思うのですが、これはちょっと畑違いかもわかりませんけれども、この点はどういうふうに考えておられますか。
  100. 島田喜仁

    政府委員島田喜仁君) 施行者とも話し合っております。
  101. 近藤信一

    近藤信一君 最後に、今度の改正案競輪健全化弊害の除去、こういうことをうたっているわけですが、実際には大きな弊害が除かれるとは今日の状態では思えません。ただ全体を通じて流れている考え方というものは、競輪の温存と恒久化をはかっていることじゃないか。競輪などを廃すること、また廃止の方向にもっていくという考え方は、少しも持っておられなかった。もし不幸にしてこの法案が通ると喜ぶのは、いわゆる競輪のファンでなくて、競輪関係者だけに過ぎないと思うわけです。今までは常に競輪などの廃止論が出ているために、比較的緊張して競輪運営ということに当たってきたわけでございますが、今度は競輪などは、一応この改正案が通りますれば、これは恒久化した形になるわけでございまして、施行者などはこれは安心して、もういいんじゃないかというふうにも思う。世論を気にして、競輪というものが今までなかなかいろいろな考え方、またいろいろな気の使い方というものもございましたが、今度はもうそういうことじゃなくて、きわめて安易な気持で運営される危険性が多分にあると私は思うんです。その点はあなたのほうはどういうふうなお考えを持っておられるのか。
  102. 島田喜仁

    政府委員島田喜仁君) 今度の法律改正案では、恒久法として本国会に提案をいたしております。先ほど来御説明を申し上げましたように、ここで競輪の公正な運営、あるいは適別な実施という観点と、そうして健全な明朗な大衆娯楽にもって参りたい、こういう考え方から改正をいたしておりますが、そのためにはやはり設備その他環境の改善もいたさなければなりません。あるいはこの競輪の実施機関でございます振興会を特殊法人にいたしまして、施行者から競技実施等に関する事務の委託を受けまして、責任をもって実施する体制を作るための相当な改正でございますので、この改正によりまして新しい制度運用されるためには、臨時立法あるいは限時法では、安心してそういう制度改正が行なわれないわけでございます。選手の問題にいたしましても、選手制度の改善というのを考えても、やはり恒久的に、そういう方向で改善をされるという前提でなければ——おそらく限時法であったらば、私どものねらう競輪健全化ということは期せられませんので、恒久法にいたしたわけでございます。しかし先ほども申し上げましたように、今後競輪が実施されて参ります過程におきまして、推論の批判を浴びてやはり競輪というものは廃止すべきであるということでございますならば、この国会におきまして、いつでも廃止は可能でございます。重ねて申しますが、限時法では私ども考えております競輪の思い切った改正は不可能でございますので、恒久法にいたした次第であります。  なお、その実施の過程におきまして実施をいたして参りましても、なおかつ競輪を廃止すべきであるという世論であれば、これは廃止をいたすことに相なるわけでございますし、国会において廃止法案を出すことも可能でございますので、私どもはそう考えておる次第でございます。
  103. 近藤信一

    近藤信一君 次に、政府からこの点は御答弁をお願いしたいのですが、競輪などは何といっても賭博行為を伴う競技でございまして、多くの人が集まる競輪場などで、いつどこで何が起こるか予測はできがたいものでございますが、やはり大きな不測の事態を引き起こす危険性は常にこれは内蔵しているものでございます。かって鳴尾競輪場で大きな騒乱事件が起きたときは、二カ月間の自粛中止でこれはお茶を濁したということもございます。  もし、今後このような大きな事故でも起きたときは、一体どう処理されるお考えでおられるのか、決意のほどを次官からお伺いいたしまして私のきょうの質問を終わります。
  104. 森清

    政府委員森清君) 今まで長い間、いろいろ質疑を、伺ってきた間に、私どものこの競輪に対する考え方も、ある程度申し述べられたと思いますが、何と申しましても私ども考え方は、競輪がいろいろの欠点を除去して行って、りっぱな大衆娯楽として、これが発展して行くようにこいねがっておるのでありまして、その建前から申しましても、もし将来、再び今までにあったような不詳事件が起きたときには、率直にいって、いつでも私どもはこれを廃止するくらいの気持を持つものであります。したがって、そういう鳴尾の事件のようなことが再び起きたときには、従前以上に、もっと強い態度でもってこれに臨みたいと存じます。
  105. 島田喜仁

    政府委員島田喜仁君) ちょっと先ほどの御質問にお答えしておりませんでしたので……。  オート・レースの従業員は四千四百名でございます。
  106. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 他に御質疑はありませんか。   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 他に御発言がなければ、本案の質疑は、本日はこの程度にとどめます。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  108. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 速記をつけて。     —————————————
  109. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 次に、産炭地域振興事業団法案議題とし、政府委員から内容の説研を聴取いたします。石炭局長
  110. 今井博

    政府委員(今井博君) 産炭地域振興事業団法案要綱というのをお手元にお配りしてございますので、その要綱に沿いました補足説明をさせていただきます。  今度の産炭地域振興事業団法案はこの前、大臣から提案理由を御説明いたしましたのでございますが、さきの、昨年の国会におきまして、産炭地域振興法というものが成立いたしまして、現在産炭地域振興審議会を中心にこの振興計画を今樹立をいたしている最中でございますが、産炭地振興法は産炭地の全体につきまして、産炭地域にいかにして鉱工業を導入するか。現在の産炭地域の石炭鉱業の一種の産業転換という見地から、石炭鉱業の疲弊に対しまして、鉱工業をいかにして導入し、産炭地域振興をいかにしてはかるかということを中心にいたしておりまして、そのためのいろいろ助成措置、そういうものを考えているのでありますが、産炭地域振興事業団は、そういった産炭地域振興計画が立てられましたうちで、本来地方行政、地方公共団体というものが担当する分野もございますし、あるいは従来の既存のいろいろな機関でやるという面もございますが、やはりそれの産炭地域振興を今後進めていく中核体として、国家資金をここへ直接導入してやったほうが効果的だということから、この事業団というものの設立が考えられたのでございますが、第一の目的といたしますところは、ここに書いてございますように、石炭鉱業の不況により特に疲弊の著しい産炭地域における鉱工業等の計画的な発展をはかるため、必要な業務をやる、こういうことを目的にいたしておりますが、この目的は、産炭地域振興法で書かれておる目的趣旨においては変わりはないわけでございます。しかも、この産炭地域——ここに書いてございますが、この産炭地域も、産炭地域振興法で考えておりまする産炭地域と大体同じである、こういうふうにお考え願ってけっこうかと思います。産炭地域振興法では、産炭地域を非常に広く考えておりまして、石炭の産出地域のほかに、その産出地域の周囲の、それに非常に経済的に密接な関係のある周囲の地域をも相当包含いたしておりますが、事業団の活動する産炭地域も同じように狭義の産炭地域だけではなくて、その周辺の地域をも当然に考えておるわけでございます。ただし、まあ、重点的に仕事を進めていくという意味から、やはり狭義の石炭産出地域というものが、最初は重点にならざるを得ないというふうな緩急の度合いはございますが、観念としては、産炭地域振興法とこの範囲は、おおむね同じである、こういうふうにお考え願ってけっこうかと思います。鉱工業等というふうに書いてございますが、これも産炭地域振興法と同じく、等の中には、農業等もちろん包含いたしておるわけでございまして、相当これは広い概念でございますが、実際問題とすると、やはり鉱工業が重点になって、農業等の中でも、まあ、一般のいわゆる農業というものにつきましては、実際問題としてはなかなか手が回らないというふうに思いますが、法律の概念としては、この等の中には、農業等も当然入っておるというふうに解釈をいたすわけであります。そういうふうな鉱工業等の振興に必要な業務を行なうことを目的とするということでございまして、それ以上に特に御説明を加えるところはないわけでございますが、ただ、産炭地域振興法といろいろ表現を少し変えておりますので、まあその点について、この産炭地域振興事業団のほうが、この目的が狭いのではないかということを衆議院等で相当質問を受けた次第でございますが、産炭地域振興法では、鉱工業の振興のほかに「石炭需要の安定的拡大」というような文句も実は入っておるわけでございますが、事業団のほうには、そういう文句は一応削ってございますが、これは別に、特に「石炭需要の安定的拡大」というようなことをつける必要もなかろうかと思いまして、これは削ってございますが、別にそれは廃炭地域振興法との目的が、特にそこで差異を設けたというふうには考えておらないわけでございます。これは法制局等で、いろいろ論議しました結果、目的としては産炭地域振興法と大体同じであるというふうに政府の解釈としては統一をいたしておるわけでございます。  それから第二、法人格は、産炭地域振興事業団は法人とするものとする。これは通常のこういう事業団法の規定に従ったわけでございます。  第三の事務所も、主たる事務所を東京都に置き、通商産業大臣の認可を受けて、必要な地に従たる事務所を置くことができるものとする。中央の主たる事務所をどこに置くかという点につきましては、事業団ができてから具体的に決定されるわけでございますが、さしあたりとしては、九州にこの従たる事務所を置く、それ以外の地域は、やはり事業の進捗に従って考えていったらどうか、こう考えております。ただし北海道等につきましては、やはり出張所のような何らかの形で、そういうことを検討する必要があろうかと考えておりますが、まだそこまで計画が固まってはおらないわけでございまして、一応九州に重点を置いて従たる事務所を置こう、こういうことに現在考えておる次第でございます。  それから、資本金は五億円、これは全額政府の出資ということになってございます。それから資本金の増加が、これも通常の規定でございます。それからその次の三項も一応事業団法にある規定でございますが、これはこういう規定を特に入れましたのは、事業団に出資できるものは、法律的には政府に限らずに、地方公共団体や民間からも出資できるということを考えておるわけでございまして、それからもう一つ出資金は毎年どんどんふえていくと思いますが、一々法律改正をしないで事業団は資本金の額の変更を、法律改正を経ないで変更することができるというふうにこの規定では、この項でもって、法律改正を経ないでできる、こういう規定をいたしておるわけでございます。  それから、役員は、これは、理事長一人、理事四人以内および監事一人を置くものとする。これも事業団の規模が今後大きくなると思いますが、一応従来の事業団のいろいろの例からいたしまして、この程度の役員が必要じゃないか、この理事四人と書いてございますが、これはさしあたりは理事は三人程度でいいのではないかと思っておりますが、一応事業が拡大された場合のことを考えまして、四人以内というふうに規定をいたしております。  それから、役員の任命につきましては、これは通常の規定でございますので、省略させていただきます。  それから、第七の業務範囲が一番事業団の問題かと思います。特にこの点については御説明をさしていただきたいと思います。  事業団の業務といたしましては、一は、石炭鉱業の不況により特に疲弊の著しい産炭地域において、当該地域振興に必要な鉱工業等の用に供する土地を造成し、及びこれと関連を有する工作物を建設し、並びにこれらを管理し、及び譲渡すること。ここでは、第一の業務といたしまして、土地の造成というものを第一の業務として考えておるわけであります。それから土地の造成と直接関連を有するという狭義の意味におきまして、土地の造成に関連を打っている工作物、これはそれに必要な、たとえばその土地内の道路であるとか、あるいは排水施設であるとか、あるいは工業用地としての効用を全うさせるための関連施設、たとえば引込道路、引込線、給排水施設、そういったものをここでは考えているわけです。それから、「工作物」というふうに書きましたのは、いわゆる施設と同じ意味でございますが、法律としては「工作物」という規定を置いております。それからこれらを管理し、及び譲渡することという点は、自分で管理するものもございますし、これをよそに譲渡するというようなこと等を考えております。この譲渡する場合には、これは鉱工業をそこで営むという事業者に対して、低廉な価格で譲渡したい。譲渡の方法としましては、十年程度の長期年賦均等支払というふうに一応考えておるわけであります。そこで、土地の造成を主たる業務といたしまして、二では、資金の貸付というものを考えているわけでございますが、この産炭地域振興事業を、この振興法に基づきまして、現在、審議会で振興計画を今いろいろ立案中でございますが、なお産炭地域からの希望ないし要求としましては、産炭地域振興事業団は、もっと広い業務考えろというような要求が非常にございまして、この土地の造成だけではなく、たとえば工業用水というものを当然取り次ぐべきだというような要望がございます。それから産炭地発電をこの事業団がその業務として考えていけという強い要望があるわけです。いろいろ、われわれとしましても検討いたしましたが、この土地の造成の問題は、比較的各地方におきまして、ある程度の計画が現在ございますが、工業用水につきましては、これは現在まだ、いろいろ調査の段階でもございまして、これは別途産炭地域振興の調査費というものを三千万、今年も三千万予算成立いたしておりますが、その範囲内におきまして、工業用水には相当の、一番重点を置いて調査費を今つけているわけであります。しかし、工業用水につきましては、非常に計画が、まだ調査の段階でありますのと、いま一つ、水の問題につきましては、各省と相当、いろいろな関係がございまして、工業用水の問題、たとえばダムの問題、これを事業団が業務としてやるということにつきましては、昨年来、いろいろ論議をかわしておりますが、なかなかまだ決定に実は至りません。そういう経緯でございまして、第一の業務としては、土地の造成というものに重点を置きまして、水の問題は、現在いろいろ調査をいたしておりますので、その計画が相当具体化して参りました場合に、これは通常の場合は、当然地方公共団体がやるというのが通常の形でございますが、それぞれの計画で、ひとつ大いにやっていただきまして、さらにどうしてもそういうことではできないというふうな場合に、それをまた事業団がやるか、あるいは別の形でやるかということは、そこでひとつ政府として部内で十分討議をいたしまして、予算も、そういう角度からつけ得るものならつけて、その上で、この業務をさらに拡大していく、まあそういうふうにステップ・バイ・ステップでいくことが、この事業団を、今後各方面の協力を得て、大いに育成するやはり一番いい道ではないかというふうに考えまして、業務としましてはこの第一の土地の造成ということに実は限定いたしました。工業用水等は、一応削除をいたしたわけでございます。それから第二の産炭地発電の問題につきましては、これは昨年来産炭地発電につきまして、産炭地発電がいいか、あるいは揚地発電がいいかという論議がございまして、通産省の中におきまして相当期間論議の上、揚地発電をこの際としてはひとつ、大いに推進しよう、それから従来考えておりました産炭地発電は、もちろんそれぞれの計画に従って、これも大いに推進しようという、まあ両方ひとつ推進していこうということで、当初北九州で産炭地発電を考えて、これを消費地に、中国あるいは関西のほうまで送電すると、こういった問題は相当長い論議の末、揚地発電をとりあえずとろうということにきまりましたので、事業団の当初の業務範囲の中には、そういう大がかりな産炭地発電を考えておったわけでございますが、これは、そういう経緯で実は削除をいたしております。  それから、さらに別途の従来考えておりました産炭地発電、これは産炭地域で、その電力をできるだけ使うという意味での産炭地発電でございますが、これは現在、それぞれ九州電力なり電発なりそれぞれの、あるいは西日本共同火力、そういったもので相当まあやる計画が進行いたしておりますので、この際といたしましては、産炭地域振興事業団が、それ以外にやるという計画が実は現在ございません。したがって、これも業務範囲から削除いたしました次第でございます。しかし将来事業団が、小さな規模なり、あるいはほんとうの山元で、そういう産炭地発電をやることが非常に適当であるというふうな計画ができ上がり、事業団がやったほうが非常に適当だというふうなことになりました場合には、さらにそういう業務の問題の一つとして検討いたす用意は十分にございますが、最初の業務としては、これを削除したほうが、いろいろな各方面の協力を得る場合において、そのほうが賢明である、こういうふうに考えた次第でございます。  第二は融資の問題でございまして、この資金は設備資金というものに実は限定をいたしております。現在資金のワクとしましては、全体が十億でございますが、まあ土地造成のほうに、一応七、三の割合で、土地造成のほうに約七億、この融資のほうには約二億程度のまあ資金の割り振りを計画をいたしておりますが、これは一応予算の算出根拠として、そういう予定をいたしておる次第でございまして、まあその辺の割り振りにつきましては、事業団の実施計画ができますときに、さらにもう少し実情に沿うように検討いたしたいと考えております。  また最近、この離職者対策というふうな見地から、事業団の融資をさらに職場転換、炭鉱労務者の安定戦場の確保という見地から、この事業団の融資機能を大いに活用しようという考え方が非常に高くなっておりますので、さらにこの融資のほうを、さらにもっとワクをふやすことはもちろんでございますが、現在のこの十億の中の割り振りについても、さらに再検討する必要があると考えております。この場合に、どういった事業に対象として金を貸すかという点は、別に限定いたしておりませんので、鉱工業等という場合、広い範囲に資金の貸し出しを行ないたい。この場合の金利は六分五厘を現在予定いたしておりまして、できるだけまあ長期の貸付を行ないたい。これはこの事業団の融資業務は、もちろん事業団の融資だけでもできる企業もあるわけでございますが、やはり開発銀行の資金であるとか、あるいは中小金融公庫の資金であるとか、そういったものをまあ抱き合わせで融資をするということが実際上必要であろうと考えておりまして、この点は、それぞれの機関と今そういった融資方法等について、具体的なやり方を相談をいたしておる次第でございます。  それから、この資金の貸付は、先ほど離職者の点に触れましたが、当然に離職者を、炭鉱の離職者者をできるだけ吸収することを条件にいたしたいと思っておりますが、その場合においては、離職者のみならず離職者の子弟も含めて、一定の割合を条件にいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから、三号は、まあ別に、通常の規定でございます。  それから第二項の事業団が委託を受けていろいろな調査をやる。これもまあ通常こういう、これは一般の鉱工業振興の調査は、現在国の予算で調査をやっておりますが、事業団としても、やはり必要な調査をやる要があるだろうという考えでございます。  それから第八は業務の委託でございまして、これは、先ほどの融資業務を行ないますので、金融機関筆に業務の一部を委託する必要があるかもしれない。たとえば出納関係の仕事とか、そういったことは事業団から金融機関業務を委託する。  第九は、まあ業務方法書の認可でございましては、これは各事業団に共通の規定でございます。  第十、第十一も、おおむね共通の規定をここに挙げた次第でございまして、そう別に御説明をする必要がないので省略さしていただきます。  以上で補足説明を終わらしていただきます。
  111. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 本案の質疑は、都合により後日に譲ります。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時三十分散会      —————・—————