○国務大臣(
佐藤榮作君)
中小企業に対する政府、まあ国の考うべき点はいろいろあると思います。その中でかねてから資金、税制というようなことが言われておりましたが、最近は特に労務
関係も強く、対策を緊急に立てなければならない問題になっております。で、
中小企業と一口に申しますが、大企業と関連のあるもの、あるいは
中小企業だけで独自なもの、しかもまたその
中小企業自身が下請にずいぶん出しておるのです。きょう午前中見ましたのが
玩具、おもちゃを作っている工場でございますが、この工場な
ども小さな工場でありますが、しかしそれでもなおかつ下請に
相当の
部分を出しておるということでございます。そういうことを考えますと、経済の
活動というものはちょっと想像以上に複雑でございます。そういうものを対象にして行政を行なっていくのでありますから、ただいま言われましたものが
一つの基本線であることはもちろんであります。これはよく考ていかなければならぬ。金融は三公庫等、国の特別資金のものがございます。これらの運用等にあたりましても、あるいは
輸出産業であるというような点について特にめんどうを見て参りまして、一般金融引き締めの際でございますから、今
近藤さんが御
指摘のように大企業につながるものとすれば、本来なら安定的な
経営ができるはずのものが、最近のような金融逼迫から見ますと、系列下にあるものも非常に苦しい立場に置かれているようであります。比較的独立した
中小企業のほうがやりいいんじゃないか、これは私
どもが資金の面でいろいろ見ましても、そういうような
数字が出ておるようでございます。ところが税制の問題になりますと、それぞれの
産業の特殊性がございますが、全般としての公平の理論といいますか、そういう立場でいろいろ負担をきめて参るものですから、その意味で
中小企業なるがゆえに特に引き出すことはなかなか困難でございます。しかし
経営体なりを
指導することによりまして、また税制に関する
法律がなかなか複雑でございますので、申告その他の手続等におきましても、よほど
指導を十分いたしませんと、なるほどそういうことがあったのかというようなものもあるわけでございます。私な
ども今ちょうど申告時期に参りましたけれ
ども、自分自身の所得を申告するということが、非常に単簡な、月給をとっておるものでも、思うようにいわゆる税制自身で期待しておるようなものになかなかできません。大蔵省にいた
関係で、その専門のものに特に委嘱してやらせてありますが、ことに
業界の
中小企業の方々からお考えになりますと、税務署の役人は税金をとるほうばかり考えている。まける工夫などしてくれないというので、法規な
ども自分の不十分ながら持っている知識だけで片づける、あるいは税務署が示してきてくれる形だけでその申告をなさる、こういうところにもいろいろ実情に合えばもう少し負担が軽くなるというようなものも見逃がされておる面もあると思います。だから
商工会の
指導員な
ども、税については、もう少し税法に明るいものが、ほんとうに
業界の方に、会員に手をとって教えるような気持があると、税そのものもそうむずかしいものではないと思うのです。しかし、なかなか
経営の実態に触れるというので、言ったほうがいいのか言わないほうがいいのか迷っている、それが後に問題が起きたりしますから、そういう点がもう少し
指導の面でうまくできないものか、こういうことが実際の面で考えられる。で、ただいまお示しになりましたように最近は法人化が非常に多いのであります。個人
経営の場合などでも、経費として落とす。それなどはいろいろ議論があるようでございます。これはどうも
制度そのものとすれば、各
産業間の均衡、負担の均衡といいますか、その
原則に立っている、かように考えなければならぬ。しかもその負担の
原則に立ってみて、非常に不都合なものがある。最近は特に
中小企業と農民との負担をよく比較されます。そういう意味で、私
どももちろん研究の余地はあるだろうと思いますが、ただいままでのところは、そういう
原則から見て、一応の均衡はとれておる、かようにみておりますが、なお、実際の面の
指導が特に必要だと思います。ただいま
近藤さん御
指摘になりました
幾つかのもののうち、特に
中小企業の方が弱いと考えられる税について、ひとつ考えろと御
指摘になりましたことは、至極ごもっともなお話だと思います。私
どもも
制度そのものについても考えて参りますし、また実際の運用等についても十分徹底するように
指導したいものだと思います。今回の物品税などの軽減は、そういう意味では
中小企業の方に役立ち、同時にまた税のあり方等についても、庫出しの時期なりあるいは販売の時期なり、いろいろ問題になっておりますし、ことに小売り値を上げないということを行政
指導として申し上げ御協力を願っておりますその立場からは、やや税のあり方の実際についての御検討も、いただけたのじゃないかと思います。これは非常に大事なことでありますから、一そう注意することにいたします。