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説明員(熊本政晴君) 大
へん御理解のある御質問等をいただきまして、は恐縮にたえない気がいたすわけでございます。確かに設立当博におきましては、北海道開発
審議会から、お説のように北海道の中には非常な地下資源がまだ眠っておる、したがって民間の業者各位は
経済的にもそういうものをみずから掘る力が非常に弱い、したがって
政府は十分なる近代的な機械やあるいは高度の技術を持った技術者が、こういうものは国自体がそういう
組織を持って、そして大いに開発しろということで、三十三年にお説のように発足いたしたのでございますが、その当時はまだ北海道の道内におきましても探鉱事業というものに対する相当活発な動きがあったわけでございます。ところが、御
承知のようにスタートいたしまして、次々と様子が変わって参りまして、特に石炭産業等におきましては非常な工合の悪い状態になってきた。したがって、これらのものに関する受託の探鉱事業というものが、私
どもが当初設立当時考えておったような状態では伸びてこなかったという点が非常にあるわけでございます。ところが、会社それ自体といたしましては、ただいまお説がございましたように、優秀な技術者とあるいは近代的な機械というものを早く整備して、そうしてこれらの
要望にこたえなければならないというふうな状態からいたしまして、技術者等におきましてもただいまのところ約百十八名ばかりおるわけでございます。特に大学の出身者等も三十一名ほどございますし、また、旧高等工業の専門家も三十名程度ございまして、そういうふうに技術者等も急遽に整備をいたしたわけでございます。ところが、何せ会社がスタートしたばかりでございますので、これらの技術者が真に
自分の技術を発揮するまで十分訓練されておらないというふうな点がございまして、やむを得ず他の技術的なエキスパートをよそから連れてきて、そして
要望にこたえるというふうなことをやったわけでございます。そういうようなことからいたしましても、相当そこに赤字の原因が出てきた。また機械のほうにいたしましても、こういう国策会社であるから十分な注文に応ずるような近代的な機械を急遽に整備いたしたわけでございます。その機械の
状況から申しましても、非常に浅く、たとえば百メートル程度まで掘る機械、あるいは千二百メートルぐらい深いところも掘れるような機械というふうな、あらゆる種類の機械を、ボーリング機械だけでも四十七台も実は整備したわけでございます。そうして会社のほうは、当初のように相当受注もふえてくるだろう、発注も相当ふえてくるだろうというので、技術者のほうも機械のほうもそういうふうに整備をいたしたわけでございますが、一方、炭鉱のほうの非常な
不況に伴いまして、当初の見込みが大
へん狂ってきたというふうなことが、今お説にもあったようなわけでございます。
そこで、こういうふうなことで、手元の資料によると、当初は、三十六年度はすでに黒字になるというふうなことでスタートしたのが、そういうことになっておらぬというふうな御質問等もあったわけでございますが、今申しましたように、道内の探鉱事業というものが非常に低調になってきた、ばかりでなくて、なお北海道自体におきましても、他にたとえば地質調査をやってほしいとか、いろんな
要望があるわけでございますが、ただいまの現行法規では、この会社といたしましては、地質調査等を引き受けてやるというふうなわけには参らない、ただ機械だけ貸してやるのはよろしいというふうになっておるために、機械だけではどうもそういうものを借りてもうまくないというふうに注文者側からもあまり御注文がいただけない、ひいては事業量が減ってくるというふうなことがあるわけでございます。そこで、内地等におきましても、北海道以外の土地においてもそういう地質調査だとか、あるいは受託探鉱の要請等も相当ございますので、もう少し区域を広めて、そして北海道以外の土地においてもやはり入札等によって普通の契約をして、そして仕事をやっていきたいというふうな考え方を私
どもは持って、将来の
見通しを立ててみますと、ただいまのところ、私
どもといたしましては、大体もしこの法が
改正されたような
状況で仕事をやっていくならば、三十九年度においては大体その年間はプラスになっていく、そしてただいま
お話もございましたように、今まで累積されている赤字の一億四千万円というふうなものもおいおい返すことができて、おそらく昭和四十五年くらいまでにはそういう累積の赤字も償却していくことができるというふうに将来の事業計画を一応積み上げておるわけでございます。当初、設立の当時と、ただいま申しましたような
状況が相当変わっておることと、また設立されたときに会社が国策的な
要望にこたえるというので、各方面のりっぱな機械あるいは技術者等も整えたが、それほどの事業の御注文等もなかったというふうな点が赤字が累積してきた
一つの大きな原因であろうと思うわけでございます。
それから、
先ほど御質問の東北振興のようなことはないかというような
お話もございましたが、私
ども、会社自身でも、一体その赤字をもっと詰めるような合理的な運営については遺漏がないかという点についても十分気をつけて見ておるわけでございますが、必ずしも十分合理的であったとばかりは言い切れない点も実はあるわけでございます。それは当初技術等も非常にふなれであったために、お引き受けいたしました事業についてもその個所ごとに赤字ができた、つまり技術的に非常に拙劣であったために赤字が出たというふうな点も確かにあったわけでございます。しかし、会社はあくまで国策的な建前をとっておりますので、そういう失敗も完全にもう一度やり直して、そして発注者の
要望にこたえるというふうな態度をとってきたために、赤字は生まれましたけれ
ども、なるほどこの会社はよくやってくれる会社だというような点では、いささか信用を得たような点もあるわけでございます。
以上申しましたようなことで、私
どもとしては、今後、法がもし
改正される暁においては、ただいま御
指摘のありましたような点は逐次解消いたしまして、そして本来の北海道地下資源開発株式会社としての使命を達成していけるという
見通しを立てているような次第でございますので、御了承をいただきたいと思うわけでございます。