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1962-03-06 第40回国会 参議院 商工委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月六日(火曜日)    午後一時二十分開会   —————————————   委員の異動 三月二日委員郡祐一君辞任につき、そ の補欠として大泉寛三君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     武藤 常介君    理事            赤間 文三君            剱木 亨弘君            中田 吉雄君    委員            上原 正吉君            大泉 寛三君            川上 為治君            鈴木 万平君            吉武 恵市君            近藤 信一君            吉田 法晴君            田畑 金光君            加藤 正人君   政府委員    通商産業政務次    官       森   清君    中小企業庁長官 大堀  弘君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○中小企業団体組織に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出) ○商工組合中央金庫法等の一部を改正  する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○中小企業信用保険法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 武藤常介

    委員長武藤常介君) これより商工委員会を開会いたします。  本日は、中小企業団体組織に関する法律の一部を改正する法律案について提案理由及び補足説明を聴取し、続いて商工組合中央金庫法等の一部を改正する法律案中小企業信用保険法の一部を改正する法律案、以上二案の審査を行ないます。   —————————————
  3. 武藤常介

    委員長武藤常介君) それでは、まず中小企業団体組織に関する法律の一部を改正する法律案議題とし、提案理由説明を聴取いたします。森政務次官
  4. 森清

    政府委員森清君) ただいま議題になりました中小企業団体組織に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  政府におきましては、わが国経済に占める中小企業重要性にかんがみ、従来より、各般にわたる中小企業対策を遂行し、その振興に腐心してきたところであります。  しかしながら、昨今の経済情勢の推移を見ますとき、貿易自由化の進展、経済高度成長等わが国経済の新事態に対応し、大企業との生産性較差を是正するためには、従来の諸施策を一そう充実することはもとより、中小企業組織制度整備強化によってその組織化を一段と促進し、その経営合理化を強力に推進する必要があるのであります。  従来、わが国中小企業組織制度といたしましては、中小企業等協同組合商工組合があるのでありますが、協同組合は、中小企業者相互扶助精神に基づき、共同経済事業を営むことによって、大規模経営有利性中小企業に導入するものであり、また、商工組合不況克服調整事業のみを行なうことをその目的とした組織でありまして、いずれも当該業種に属する中小企業者があまねくその営む事業改善発達をはかるための強固な団結を目的とするいわゆる同業組合的な組織としては必ずしも十分ではなかったのであります。  したがって、このような中小企業組織における不備を補うべく、現在の商工組合制度を拡充強化して、中小企業者が、その自主的組織を通じて総合的見地からその営む事業指導調査等を行ない、業界実態の把握、内外の経済情勢に即応する業界振興策の樹立をはかり、必要ある場合には、生産技術調整規格統一等経営合理化のための調整事業を実施できることとし、さらに必要ある場合には、不況克服のための調整事業等をも行ない得る、いわば業種別総合的中小企業組織制度を確立することが急務であると考えまして、この法律を提出することとした次第であります。  次に本改正案内容につきまして、その概略を申し上げます。  第一は、商工組合設立について不況事態の存在を要しないこととしたことであります。  これは、商工組合を単に不況克服のための調整事業のみを行なう組織から、前に申し上げましたような中小企業改善発達をはかる事業を行なう同業組合的組織に改めることに伴う改正でございます。  第二は、商工組合事業内容を拡充して経営合理化を遂行するための調整事業を新たに加えたことであります。  これは、中小企業経営合理化をはかるためには、商工組合が単に不況克服のための調整事業を行なうのみならず、むしろ積極的に経営合理化のための調整事業を行ない、その事業改善をはかる必要があるという趣旨に基づくものであります。  なお、この調整事業のうち、生産物規格にかかるものにつきましては、国民経済上必要ある場合には、事業活動規制命令を発動し得ることとしております。  第三は、事業活動規制命令違反者に対する制裁を強化したことであります。  これは、従来、事業活動規制命令違反者に対しては、単に罰金を課するのみでありましたが、中小企業全般経済的地位向上のためには、事業活動規制命令の実効を確保する必要がありますので、主務大臣による事業停止措置を加えることとしたものであります。  以上のほか、教育情報事業の拡充、商工組合地域明確化輸出貨物にかかる調整事業特例等につきまして中小企業改善発達に必要な措置規定しております。  なにとぞ、慎重御審議の上御賛同下さいますようお願い申し上げます。
  5. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 引き続いて政府委員より本案補足説明を聴取いたします。大堀中小企業庁長官
  6. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) ただいま森政務次官から提案理由の御説明を申し上げましたが、これに補足いたしましてお手元に法律案の要綱をお配りしてございますので、それにつきまして補足説明をさせていただきたいと思います。  第一の点は、本法目的を拡充することでございまして、従来団体法の第一条には「中小企業者が自主的に事業活動調整するために必要な組織を設ける」ということが目的で、その経営の安定をはかるということが目的に書かれておるわけでございますが、今回事業活動調整事業だけでなく、指導教育事業経営合理化のための事業活動調整事業等、広く業界のすべての者の改善発達をはかるためのいわゆる同業組合的な活動ができますように改めたいという趣旨でございますので、この点も事業活動調整のほか「事業改善発達を図る」ということを入れまして、同時に「経営の安定」とありますところを「経営の安定及び合理化」ということに目的を改めさせていただきたいというのが第一点でございます。  第二にございますことは、これが本法改正の一番の眼目でございますが、従来の団体法の第九条におきまして、いわゆる不況要件がございませんと商工組合設立ができないということに相なっておりますので、この第九条の削除をいたすというのが第二の問題点でございます。したがって不況要件が発生しませんでも商工組合を作ることができるということに相なりまするとともに、ただ問題は調整事業を行ないます場合には、不況克服のために必要な条件がなければいけませんので、この場合は従来どおり不況要件が必要である。調整行為に入ります場合には不況要件が必要であるということで、設立の場合には不況要件が要らない。こういう点が本法改正案の主たる点でございます。  第三点といたしまして、新しく商工組合地区原則として一または二以上の都道府県の区域とするという原則を定めたわけでございまして、広く同業者業界全体のための活動をいたすわけでございますので、地域都道府県という単位にいたしたわけでございます。もちろん例外といたしましては、いわゆる商店街の人々が集まって商業組合を作る場合、あるいは地方特産物等につきましては府県単位ということが適当でございませんので、これについては例外を認め得る建前をとっておるわけでございます。  第四点といたしまして、商工組合事業内容を拡充する。これは目的の変更と同時に事業内容を次のごとく変更したいという点でございます。そこで、第一にございます「商工組合は、当該資格事業者改善発達を図るための事業として、次の事業の全部又は一部を行なうものとすること。」、そこに一、二、三とございますが、資格事業に関する指導教育あるいは情報資料の収集、提供、及び調査研究、こういったことは、一般的な指導教育事業の範囲に入りますが、これが一つでございます。それから四にございますのが、六行目に不況カルテルと書いてございますが、これが、従来商工組合がやっておりました現行規定が主たるものでございまして、この点については大きな変化はございません。この中にイ、ロ、ハとございますが、不況事態が発生した場合に、生産業者製造業者の場合がこのイに該当するわけでございまして、これは従来ある規定が主たるものでございます。  それからロは、販売業者の場合でございます。  それからハは、役務種類と書いてございますが、いわゆるサービス業の人がこの規定によるわけでございまして、内容としましては大きな変化はございませんが、このハの中に、役務にかかる資材購買方法に関一する制限と、役務にかかる資材購買価格に関する制限、こういったことを新たにつけ加えられておるのでございまして、その他の点はあとで申し上げますが、価格の面について今まで非常に制限的に書いておりましたのを並列的に直したというだけでございます。  それから最後に二というところがございますが、六ページのところに、イからハまでに掲げる制限のほか政令で定める制限ということにいたしまして、大部分イロハのうちに入ると思いますが、これ以外の態様につきましても政令によってカルテルが決定できるという規定に相なるわけでございまして、この意味では条件政令によってこれに書いてない場合まで広げ得るということにいたしたわけでございます。  次の五がいわゆる合理化カルテル規定でございまして、これが新しく入りました規定でございます。技術向上、品質の改善、原価の引き下げ、能率の増進その他経営合理化を遂行するため、特に必要がある場合においては次の制限ができるということでございまして、ただし制限にかかる物、その物の原材料役務または役務にかかる資材数量または価格もしくは加工賃に不当に影響を与えるものを除く。非常に影響を与える場合は除きますが、その他の場合でございますれば、いわゆる不況要件が発生したということでなくても、全体の経営合理化のためでありますれば、次に掲げるような行為が、協定ができるということでございます。書いておりますことは、やはりイとロとハと分けてございますが、それぞれ生産業者販売業者及びサービス業者とこう三つに書き分けてございまして、イの場合でございますと、物の生産技術に関する制限、その物の種類に関する制限、その物の種類別生産数量に関する制限、その物の販売もしくは引き渡しの方法に関する制限またはその物の原材料購買もしくは引き取り方法に関する制限、これは要するに合理化目的でございますれば、こういった調整行為ができる、こういう規定でございます。これが合理化カルテルの新しい規定でございまして、結局商工組合といたしましては、従来この調整活動不況カルテルが中心になっておりましたものを、最初にございました指導教育事業調査事業というものをつけ加え、さらに合理化カルテル行為を認めた。そしてまた全体としての同業組合的な活動ができるようにし、組合の結成を容易にしたいというのが趣旨でございます。  次に第五でございますが、輸出向け貨物にかかる価格制限は他の制限を実施した後でなくても行ない得るようにしたいということでございます。これは現行法におきましては、価格制限を、価格についての協定をいたします場合には、数量その他の方法によってどうしてもそれでは不況状況を克服できないという最後の場合に価格制限ができるという規定になっております。この点につきましては、今回の改正におきまして輸出貨物だけをそういった価格以外の協定を実施した後に価格制限ができるという規定をはずしまして、輸出については必要があれば価格協定を一足飛びにやることができるということに直したわけでございます。国内向けのものにつきましては、やはり国内一般消費者等関係もございまして、ここまでいきますことは問題があろうかと考えまして、国内向けは従来どおりでございますけれども輸出だけは価格協定を直ちにできるということにいたしまして、輸出振興及び輸出に関する過当競争等弊害を除去するように持っていきたいという考え方でございます。  次は第六に、合理化カルテル認可基準員外者規制命令と書いてございますが、合理化カルテルにも不況カルテル同様に主務大臣認可を要することにいたしておりますが、主務大臣認可条件は、一般的にございますように、不当に差別的でないこと、一般消費者及び関連事業者の利益を不当に害するおそれがないこと、こういう条件の場合は認可してはならないという規定をいたしておりますが、同時に三に書いてございます生産物規格に関しましては、特に合理化カルテルについても、員外者規制命令を発動し得るという規定を入れたわけでございます。これは広くいたしますと、合理化カルテルとしては相当問題があろうかと思いますが、私どもとしましては、一般消費者に対する影響等を考えましても、規格に関してはやはり必要な場合、員外者規制命令を出すことが適当ではないか、かように考えまして、規格だけは員外者規制命令を出し得るというふうにいたしているわけでございます。  第七は、事業者台帳作成を新たに認めたということでございますが、これは組合が常時同業者実態を把握する必要がございますので、その地区内において、商工組合組合員たる資格を有する者について、事業者台帳作成に努めるものとするという、訓示規定でございまして、義務ではございませんけれども、そういう規定をいたしておりまして、できるだけそういうふうに行政指導をしていきたい、かように考えているわけでございます。  第八は、共同経済事業を行なう組合出資組合とする。これは技術的な問題でございますが、不況カルテル行為等をやりますだけの場合は出資の必要はございませんが、協同組合と同様に経済事業をいたします場合にはやはり出資をするというのが当然の方向でございますので、協同組合との歩調をそろえまして、出資を義務づけたわけでございます。これが第八でございます。  第九は、いわゆるアウトサイダー規制命令が出ました場合には、従来は、違反者に対して罰金刑を課しているだけであったのでございますが、この規制命令が守られませんために、いろいろと弊害が起きております事情にかんがみまして、規制命令厳守建前から、一年以内の期間を定めて、割り当て数量の削減とか、あるいは設備の封かん等による業務の全部または一部の停止を命ずることができるという点を規定いたしたいということでございまして、これによりまして商工組合活動をさらに健全なものにしていきたいという考え方でございます。  大体主たる点は以上の点でございます。
  7. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 本案質疑は、都合により次回に譲ることといたします。   —————————————
  8. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 次に、商工組合中央金庫法等の一部を改正する法律案中小企業信用保険法の一部を改正する法律案、以上二案を便宜一括して議題といたします。  これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次発言を願います。
  9. 吉田法晴

    吉田法晴君 二法案自身については、同僚議員から一、二御質問があったようでありますが、中小企業金融全体、最近、金融引き締めを特にやりまして、その影響は一番中小企業に及んでいるだろうと思いますが、その金融引き締め影響が一番及んでいる中小企業、その中において、この二法案で十分であるかどうか、こういう点について若干質問をいたしたいと思うのですが、まず昨年の金融引き締め措置以来、中小企業の売掛金の回収がおくれたり、あるいは大企業からの支払いが、従来現金であったものが手形になったり、あるいはその手形が長くなったり、支払い条件が悪化する等、中小企業はいろいろな形で深刻な影響を受けておるようでございますが、これらの実態をどういう工合に把握しておられるか、まずお伺いいたしたいと思います。
  10. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) ただいまの御指摘の点につきましては、すでに御承知のように、私どもとしましては、金融引き締め影響中小企業に及ばないようにするという方向で昨年来第一にやりましたことは、やはり資金量の一番大きな分は市中金融機関が持っておるわけでございますので、この市中金融機関貸し出しをいたします場合に中小企業向けしわをふやさないように、できるだけ減らすように努力して参りたい。これは行政指導で大蔵省と私ども共同で全銀協その他に対して呼びかけて参りまして、銀行協会等でも申し合わせをして、昨年来かなりこの面について協力し、努力をしてくれておるように考えるわけでございます。この点につきましては、実績の面から見ましても、三十二年のときは、三十二年の四月、六月、七月、九月あたりは相当に中小企業向け貸し出しが減少いたしまして、明らかに実績として数字が出ておりますが、今回は、十二月までのところ、大体横ばい、こまかく言えば多少率としては上がっておるという数字が出ておりますが、一応かなり協力はしてくれておるじゃないか。第二の問題といたしましては、大企業下請代金支払い等について、やはり今までの現金手形に変え、あるいは手形期限を延ばすというような方向につい行きやすくなる。これは背に腹はかえられぬというわけでどうもそっちへ行きやすいわけでございますので、この点につきましては、私どものほうといたしましては、公正取引委員会連名で、大企業団体その他を通じまして厳重に注意を喚起いたしまして、協力を求めて参ったわけでございます。これは昨年の夏にもいたしましたが、また通産局府県等を通じて指導いたしますとともに、ごく最近にも連名で、勧告といいますか、忠告も発しております。  そういったことをやっておりますが、この点はやはり実績を見て参りますと、どうしてもやはり手形現金の割合というものが、手形の率が徐々にじりじりとふえて参っております。それから手形期限がやっぱり数字的に見ますると、これは全面調査はできませんが、われわれどもで多少抜き検査的にやっておりますものを見ましても、長期化するという傾向はいなめない事実でございます。この点につきましても、今後十分注意を喚起し指導して参りたいと思っておりますが、政府といたしましては、この対策として、御承知のように、昨年の十月と十二月、本年の二月、三回にわたりまして、政府関係商工中金中小企業金融公庫、国民金融公庫、この三機関に対しまして五百六十億円の財政投融資資金追加をいたしまして、同時に市中金融機関、これは相互銀行、信用金庫、あるいは地方銀行、都市銀行を含めまして、資金運用部資金で買いオペレーションをいたしまして、中小企業向けに金を流すというひもをつけた買いオペをいたしておるわけでございます。これが五百億円でございます。合わせて千六十億円の資金中小企業向けに、今日まで年末対策あるいは一−三月の資金手当として流しておるわけでございます。  これらをあわせまして、今日までのところ、何とか切り抜けていけるという見通しを得ておるわけでございます。今後もなお情勢に応じて、こういった財政投融資資金追加措置について、四月以降についても情勢を判断し十分善処して参りたいと考えておる次第でございます。
  11. 吉田法晴

    吉田法晴君 全般的に支払い条件が悪くなっている、あるいは手形期限が長くなっている等はお認めになりましたが、通牒を出したということですけれども金融引き締め影響それ自身もありますが、金融引き締め政策がとられておるということで、いわば支払い能力があっても、その期限の延長のごときは、いわば大手を振ってではないが、あたりまえになってしまって、いわば利用をしている面がありますね、この実態は。そういうのが通牒だけで解消できるかどうかということになると、ちょっと問題だと思うんですが、その中小企業向け資金のお話がございましたが、こういう傾向に対してはどういうように指導あるいは対処されようとしておるのですか。
  12. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 私ども通牒も出しておりますが、同時にやはり通産局あるいは都道府県に指示をいたしまして、現地でもかなり悪質なものがありますれば、これを法によって処置をいたしますが、現実には苦しまぎれにいろいろやるという事態もぼつぼつ見られますので、そういった場合に、個別に両者の間に入って解決するように努力をさしておるわけでございます。なかなかこういった傾向ということは、法律的に全面的にしばっているわけではございませんので、われわれとしては、やはり大企業の社会的な責任を自覚して善処してもらうこと以外にないわけでございますが、まあ最近ではそういったムードができましたので、かなり自粛自戒している、努力しているという様子は見えるのでございますが、やはり結果的には御指摘のような事態も出て参っておりますので、私どもとしては今後十分注意をして指導して参りたい、かように考えておる次第でございます。
  13. 吉田法晴

    吉田法晴君 現在徴税期にも入りましたし、それからあるいは年末の金繰りのために発行された手形決済期にも入っておるということで、中小企業金詰まりが今深刻だし、それから金融引き締めによるしわは、一番弱い立場の中小企業に寄せられるわけですが、先ほど千六十億の手当はしたと、こういう話ですが、従来末端について実態を見ますと、資金源をふやしたふやしたと言われるけれども、十分じゃないわけですね。あるいは借りたい申し出の半分もないというのが、これは前の実態です。所要資金源はどの程度で、それからこれだけ手当をしておったから、それで十分だというお考えかもしれませんが、その辺の数字について、大まかなところでもけっこうですが、どういう工合に需要があり、あるいはその中の、この程度は千六十億であれするんだ、それからその他の点は、これは県や市町村でもやっておりますね。やっておりますが、そういうものを見込んでどういう工合に計算されたのか承りたい。
  14. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) この点につきましては、最初に申し上げましたように、やはり資金量の圧倒的な大きな部分市中金融機関に蓄積されておるわけでございますから、政府から財政投融資資金を幾らたたきましても、財源の面がございまして、これを無制限につぎ込んでいくというわけに参らないことは、先生御承知のとおりでございますが、大体引き締め前でも、申し込みに対して貸し出す比率というものが一応傾向としてございますが、たとえば商工中金あたりで見ますと、去年の一−三月あたりでも、申し込みに対して貸付額は七九%、七二%、七四%、こういった動きをしておるわけでございますが、引き締め後の、たとえば九月、十月、十一月、これは月によってでこぼこがございますから一律には申し上げられませんが、たとえば九月には七三%、十月、十一月、これは月によってでこぼこがございますから一律には申し上げられませんが、たとえば九月は七三%、十月は六八%、十一月は七六%、十二月は九五%、時期的にやはりそのときどきの貸付の時期の関係で、ずれておる点があろうかと思いますが、これだけの数字で一律には申し上げられませんが、たとえば中小企業金融公庫あたりですと、一−三月が四六%、四一%、三八%くらいでございますが、四月が六五%、九月、十月、十一月は、九月が五〇%、十月が五六%、十一月が六六%、こういった数字が出ております。国民金融公庫につきましても、大体特にそこで大きな変化が出ておるということはございませんが、もちろんこういう引き締めの状況でございますから、どうしても政府三公庫のほうに希望が殺到して参りますから、それから見ますれば、どうしてもこの全部には御満足できるような貸し出しができないということは事情やむを得ない点があろうかと思いますが、われわれとしては、政府資金ソースの許す限り最大限度に大蔵省から出してもらって、相当気ばって実は金をつけたというふうに考えておる次第でございまして、御了承いただきたいと思っておる次第でございます。
  15. 吉田法晴

    吉田法晴君 今の数字で見ても、商工中金の十二月の九五%というのは、これは大体希望の大半を達成されたということになりましょうけれども、国民金融公庫の五〇%前後というのは、やはり半分、しかも国民金融公庫に申し込む者については、ある程度といいますか、多少の信用はある者、それについても半分くらいしか云々ということですから、資金源に限度はあるといいながら、総需要に対しては、申し込み額に対して半分ですから、その他のものを加えると足りないということになると思うのですが、全体の資金量の増加に努力を払ってもらわなければならぬのはもちろんですが、今の数字からいっても、国民金融公庫等には資金源の割当増額を願わなければならぬという要請がはっきり出ていると思うのですが、そういう点についてはどういう工合に対処されておりますか。
  16. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) ちょっと先ほど国民金融公庫の十二月を申し落しましたですが、十一月の申し込みが非常に多かったわけです。国民金融公庫、これは資金関係で、十月に金をつけまして、その関係だと思いますが、十二月は実は一六〇%という数字が出ております。これは今までの過去のためたものも一緒にここで出てくる。ですから十月、十一月、四四、四九というのは、平均しますと、もう少し高くなろうかと思います。国民金融公庫につきましても、われわれとしては、もちろん相当増額するように努力いたしておりますが、私どもの窓口から受ける印象からいいますと、一番やはり金融的に逼迫した感じを受けますのは、商工中金のように思うのであります。やはり金融引き締め影響がその辺に割合強く出てきておるんじゃないか、ことに運転資金をやっておる関係もありまして、商工中金あたりに出てくるところが一番需要としては強いように思っておるわけでございます。国民金融公庫も、もちろん率の点から見ましたら、さらに上げたいところでございますけれども、まあ一般の場合、希望があります場合に、多少よけい目にいって、実際は結論が多少割り引かれて出るというような実情でございますから、この率は参考にごらんいただく意味で、われわれとしてはできるだけ国民金融公庫につきましても、中小企業金融公庫につきましても資金の増加に努めたいと考えておる次第であります。
  17. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  18. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 速記を起こして。
  19. 吉田法晴

    吉田法晴君 政府関係金融機関のほか、多くの金は市中銀行で取り扱われ、あるいは市中銀行に集まっておるという今のお話でしたが、この中小企業金融全体、それからその中における商工中金と国民金融公庫の位置、そういうものを実は先ほど尋ねたのですけれども、その他の点についてはお話ございませんでしたが、中小企業金融に困っておるのは中小企業専門の金融機関が少ないからだということは、これはだれも認めるところだと思うのです。戦時中に金融機関の統合が行なわれて、地方銀行がほとんど一県一行主義になっておる。そのため長い間地方に根をおろしておった小さい銀行がみな統合をされてしまった。小さい銀行だと周囲の事情もわかっておるし、それから対人信用でも貸し出しがあった、またその地方の産業を育てるということについても熱心であったろうが、それが一県一行に統合されて、その支店長が地方でお世話をすると、こういうことになっておりまするので、地方の実情もあまりよくわからぬ、それから小経営者に至っては人も知らぬ、預金を集めて本店に送って、それが大企業に貸し出される、こういうことになりますと、中小企業金融を受けることが非常に困難になる、これが戦後の、実情だと思うのでありますが、もっともその後相互銀行やあるいは信用金庫あるいは信用協同組合等がその穴を埋めて発達をして参りましたが、まだまだその勢力が小さいし、これを育成していくことが中小企業金融難を解決する重要な問題でありますが、政府金融機関も育成されたが、その支店網は貧弱、国民金融公庫のように小企業を相手の機関は県庁の所在地に支店を持つだけで、小企業者の利便をはかっておるとは言えぬ。中小企業金融公庫に至っては、毎年二、三の支店を開設するだけで、全国の府県に一支店置くようになるのは前途遼遠だと言わなければならぬのですが、これを急速に増すとか、あるいは相互銀行、あるいは信用金庫等はその力からいっても低金利の貸し出しをすることができない取り扱いをしておるところもありますが、全体のこういう中小企業金融態勢というものを全国的に整備することもあなたのところの一つの大きな仕事だと思うのです。これらについてどういう方針で臨んでやっておられるか。あるいは資金の流し方、流れ方等についても承りたいと思います。
  20. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) ただいま吉田先生から御指摘のございましたように、私ども中小企業向けの民間の金がどういうふうに流れておるかということを常時注意をいたしておりますが、やはり都市銀行は一番中小企業貸し出しが少ない、総体的に少ないわけでございまして全貸し出しのうちで中小企業向けがかれこれ二五%程度と考えられます。それから地方銀行、これは中小企業向けに貸しておりますものが大体五〇%、大体半分くらいは中小企業に貸しておるということが言えるかと思います。中小企業専門金融機関といたしまして、民間の機関は御承知のように相互銀行、信用金庫、信用組合等がございますが、これらは大部分中小企業向けに出ておる。そのほかに御指摘商工中金、中小金融、国民金融公庫という政府機関があるわけでございまして、この全体を合せてみまして、全金融機関貸し出しのうちで中小企業向け貸し出しがごみくらいあるかと申しますと、いろいろなとり方がありますが、ただいま並べました程度のものでありますと、四八・五%程度中小企業向け、それから統計によって多少取り方が違っておりますが、大体そういうことになっております。この四八・五のうちで相互銀行は一九・七、最近はもう少し上がりまして二〇・二くらいが相互銀行、信用金庫が一五・五くらい、信用組合が三・七、それから政府金融機関全体集めまして九・一でございます。三機関合わせましてそういった内容になっておるわけでございますが、私どもといたしましては、政府機関につきましてはできるだけ支店網の拡充につきまして、これは人員の関係等もございまして、人員の補充の点もありますので、そう一ぺんに全体に広がるわけには参りませんが、年々相当支店あるいは出張所の拡大をはかっておりますが、同時にやはりわれわれとしましては相互銀行、信用金庫等の中小企業専門金融機関をできるだけ育てていくということは非常に大事な政策であろうと思いますが、相互銀行も全体の貸出量がもうすでに一兆二千億くらいのところに達してきておりますが、信用金庫がやはり七千億以上になっております。かなり資金の充実もはかられておりますし、伸び率はかなり高くなっております。こういった点についてできるだけ中小企業向けの金が集まりますようにわれわれとしては大蔵省と——これは大蔵省の主管でございますが、われわれとしても十分の関心を持ってそういうふうな方面に指導していきたいと考えておる次第であります。
  21. 吉田法晴

    吉田法晴君 その点に関連するのですが、そういう中小金融機関資金的に余裕があるとはいえないし、金は大きいほうに集まりたがる。したがって大銀行への預金が集中するわけですが、それに地方銀行や信用金庫が一役買っておるのではないか。市中銀行といえども金融引き締め資金繰りに悩んでおるので、コール資金の取り入れに一生懸命になり、コールの利率もはね上がり、このコールをめぐって市中銀行の資金獲得の勧誘が信用金庫にも及ぶ。しかしレート高につられて資金貸し出しに回すよりもコールに投じたほうが有利であるという目先の利益にとらわれて、安易な経営態度がとられるならば、それは中小企業への背信であり、あるいはみずからの存在意義を否定するばかりでなく、そのよって立つ地盤を失うことにもなりかねないでしょう。この際、信用金庫に望まれるのは、あくまでも中小企業の味方としてその育成強化に徹することではないか。したがって、中小企業自体の資金需要に対してはできる限りめんどうをみて、もし銀行から締め出された中小企業があったならば、信用金庫はこれらの中小企業にも進んで資金を供給し、中小企業を銀行貸し出し調整面的な地位から守り、経営の安定と発展に力を貸すことこそ、本来の任務ではなかろうかと考えられるのですが、これは単に信用金庫ばかりでなく、相互銀行にもいえることでしょう。こういう点に関して政府はいかなる指導方針をとっていかれるかお伺いをいたしたいと思います。
  22. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 御指摘の御趣旨は全く私ども同感でございまして、コールが非常に高いものですから、どうもコールのほうへ金を回しているのじゃないかということで、私どもも相当に注意を喚起して、大蔵省とともにその点については相当厳重に警告いたしておりますが、ただ一つは、預金準備金として持っておる金もございますので、その準備金の運用としてコールに回す、あるいは証券を持つといったことは、資産の運用としてやむを得ないことでございますので、その範囲においてやっておる分には差しつかえないわけでございます。これにつきましては、やはりコールに流れる余裕があれば、中小企業向け貸し出しをふやすべきであるという趣旨指導をいたしておりますし、今後厳重にそういった方向努力いたしたい、かように考えております。
  23. 吉田法晴

    吉田法晴君 もう一つは、中小金融資金源の点ですが、どうも大銀行では、中小企業を育成しようとはしないで、中小企業のよい点を見ようとしない。支店長になっても、二年ないし三年で転任するのだから、中小企業実態を見るところまではいかない。腰が落ちついておらぬ。で、前にも申したとおり、資金集めに終わって、金を集めるのが支店長の任務のようになっておる。したがって、政府金融機関はこういう大銀行の集めた資金中小企業に回す役割を果たすべきではなかろうか。たとえば、商工債券の大銀行引き受けを行政指導によって行なう、あるいは大銀行の中小向け貸し出し比率が低いところは、商工債券をそれだけ多く持たせる、こういうことも考えられないものかどうか、そういう点についてはどうですか。
  24. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) やはり都市銀行が中心になろうと思いますが、銀行の性格からいいまして、どうもやはり大きなところとの取引が多いという形で実績も出ておるわけでございますが、私どもとしましては、もちろん、都市銀行で十分中小企業に金を回すように指導しなければならぬと思いますが、私どもとしては、特に商工債券等によって中小企業向け市中の金を集めて中小企業に流すという方法としましては、商工債券が非常に有効な働きをしておるわけでございますので、商工債券の売れ行きについては、十分こういった都市銀行にも協力を求め、もう一つは、御審議いただいております信用保証制度の拡充によりまして、市中の金ができるだけ中小企業に流れるように措置をとっておるわけでございます。なかなか貸し出しの比率を法的に政府から強制していくというわけに参りませんが、できるだけ中小企業に金が流れますように、あらゆる面から行政措置をとって参りたい、かように考えております。
  25. 吉田法晴

    吉田法晴君 話の中には、都市銀行、それから地方銀行、相互銀行、信用金庫、信用組合それから保証体勢が出るのですが、全体の中小企業金融所要資金源問題は、地方の中小企業金融の中で、地方銀行を含めて相当貸し出しはしておりますけれども、設備資金には回らないで、ほとんど流動資金だけ、それも割合に高い利率ですから、いえば調子のいい企業だけしか、国民金融公庫はわずかにその困難になった引き締めなんかの場合に、いわば年越しの金だけは窮状に対して、わずかなカンフル注射的な役割を果たしておりますが、中小企業金融全体について、そういう従来の欠陥を補いながら、三銀行を通じてこれだけの資金をまかなうのだ、あるいは保証体勢を通じて自治体の協力も得て、この程度資金を動かすのだ、あるいは今その大銀行に吸い上げられた金等もありますが、この預金部資金なり財政資金等を回すことは、これはまあ考えておられますけれども、同じように地方から吸い上げられた金を市中銀行なりあるいは相互銀行なり金融機関で集まるものを中小企業に回す方法、その金額等、その統制ではないけれども、いわば計画的にというか、総量と、それから資金の需要面とを考えて、全体的に中小企業金融を考えなければならぬのじゃないかと思うのですが、その辺が少し足らぬような気がする。それから実際に低利の中小企業金融を借りる部面に、商工中金にしても、国民金融公庫の金にしても、三機関の金が十分に行き回ってないのではないかと考えられるのですが、もう少し全体的に考えて、中小企業金融をふやす方法あるいは三機関のように低利で貸せる方法についてもう少し考えるべきじゃないかという気がするのですが、いかがでしょうか。
  26. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 量の問題につきましては、先ほど来申し上げましたように、まあわれわれとしてはできるだけ行政指導面を通じて中小企業向けのシェアーを確保していこうという努力をいたしているわけでございますが、この間、昨年来行なわれました買いオペをやりました場合、買いオペの際にも相互銀行、地方銀行に重点を置きまして、むしろ都市銀行には資金の量からいうと非常に大きいわけですが、そちらにはよけい流さないで、中小企業に流すほうによけい買いオペの対象のワクを広げまして措置をいたしておりますが、まあそういった量の面で、できるだけ中小企業向けに金が流せますように、これは行政指導して努力をいたしておるわけでございますが、金利の面につきましても、われわれとしては、できるだけ中小企業向けの金利を引き下げるという方向は、われわれとして考えております方向でございますが、政府機関につきましてはだんだん下げて参っておりますが、まあ市中のほうは、やはりこれは資金コストの面もございますので、一率に下げろといっても、なかなか実現には非常に困難があると思いますけれども、できるだけわれわれとしては下げる方向努力をいたしたい。たとえば、金利引き上げの際の中小企業向け貸し出しについては、引き上げないという建前をとったわけでございまして、そういった意味で十分の配慮をいたして参りたいと考えておる次第でございます。
  27. 吉田法晴

    吉田法晴君 自治体等で保証をしたりあるいは歳計現金等を預託をしたりして、年末金融の際には相当中小企業に回しているようですが、それらは皆さんのほうでやはり把握されておりますか。
  28. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 全部今手元に持っておりませんが、年末金融対策として各都道府県商工中金その他に預金をして、そうして年末金融対策をやっておるということは承知いたしております。われわれも十分その資金量を考慮いたしまして金融対策も考えておるわけであります。
  29. 吉田法晴

    吉田法晴君 年末金融だけでなくて、平常の中小企業金融というものも、これは把握をされておりますね。
  30. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 今ここにちょっと数字を持っておりませんが、大体の情勢はつかんでおるつもりでございます。
  31. 吉田法晴

    吉田法晴君 ですから、その自治体、これはまあ一県に回って行く三金庫の金と県なりあるいはそういう市なり、自治体が中小企業に回しておる金がどの程度の比率になるかはしりませんけれども、自治体が保証をしたりあるいは歳計現金を預託したりしている金は相当の金額ですね。それで、そういうものがあるいは都市銀行なり地方銀行なりあるいは相互銀行等々の一般の金融機関資金の中から、計画的に少なくともあなたのほうの数字としては中小企業金融に回るように立案指導をされなければならぬじゃないか。それからその点で、先ほど行政指導というようなお話、それから先般劔木、田畑両氏とこれは主として産炭地、県にしても福岡、佐賀ですけれども回りました際に、やっぱり金融の体系といいますか、あるいは金融機関の姿というものも、さっきの一県一行主義じゃないが、これは再検討せらるべき段階に達しておるのじゃなかろうか、こういう感じがいたしました。それは佐賀について産炭地が特に問題になるのですけれども、それは一県一行主義で来たあれからいうと、この相互銀行なりあるいは信用金庫なり、相互銀行は大金融機関に移ると思いますから、むしろ信用金庫なり信用組合だということになるが、それが昔の長期銀行の果たした役割を埋めようとしていると思われるのですが、ですから産炭地域だけでなくて私は全般にあると思うのです。佐賀、福岡で感じましたことはこういうことです。杵島炭鉱が昨年のときに金融問題で問題が起こって、そうしてそれから住友に移った。しかも、住友からも金融問題で、炭鉱の実態もあるけれどもああいうふうになった。そうすると、佐賀銀行のような山県一行のいわば地方銀行で、困難に逢着をした杵島なら杵島の救済といいますか、いわば峠を越して行く際の金融機関にはなり得ないわけですね。これは中小企業金融とは直接のつながりがないかもしれませんけれども、これは地方大手ではあるかもしれませんけれども、全国的に見るならば中以下あるいは大企業というわけにはいかぬ。それから大正鉱業が今金融の問題から生きるか死ぬかという関係になっておる。われわれもこの間九州で現地の労使なり自治体なりの声をお聞きしたのですが、それに対処するためにも、やはり福岡銀行なら福岡銀行だけで対処できない段階に来ておる。いわば中あるいは中の上になるかもしれませんが、こういう一つの炭鉱の困難に逢着をしては、国の機関あるいは地方銀行あるいは協調融資体制というものが独自にできなければならぬということをしみじみ感じたわけです。ですから、その金融の体系も産炭地域だとかあるいは綿業関係のような困難に逢着した産業地域金融だけじゃなくて、中小企業金融も含んで、私は再検討をすべき段階に来ておるのじゃないかと思う。それは直接にはあなたのところでなく、あるいは銀行局といいますか、大蔵省に関連する部分も相当あろうかと思います。しかし、問題は中小企業金融ということになりますと、あなたのほうの所管、そしてその中小企業金融の体系はこうあるべきだという意見はこれはやっぱり中小企業庁等から出されなければならぬと思うし、問題が融資をするほうは金融機関かもしれぬけれども、受けるほうは普通の産業、あるいは特に中小企業の産業、これが自由化の中で金融引き締めを伴いながら進展をするということになれば、中小企業対策というのは大きな問題、しかもその中小企業対策の中で、金融問題というのは大部分を占めると実は思うのです。それだけに金融体系の再検討について中小企業の面からする、何といいますか、意見というか、政策というものが出てこなければならぬと思うのですが、私も具体的にどうということはありませんが、まあ問題点だけを指摘して質問をいたしましたけれども、それらの点についてどういう工合に考えておりますか。
  32. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 非常に基本的な問題でございまして、特に市中金融機構といいますか、全体にわたる問題につきましては、大蔵省所管の問題でございますので、私がここで御意見を申し上げるべきじゃないと考えますが、まあ私ども中小企業金融の面で関係しております立場から、特に政府機関についても、それぞれ特色のある働きをしておるわけでございまして、商工中金は御承知のように団体金融を中心に組合金融対象に、あるいは組合員でございますが、団体金融をやっている。中小公庫は御承知のとおり設備資金ということで主としてやられておる。国民金融公庫は、どっちかといいますと、平均二十数万円の貸付でございますから、零細金融というか、非常に低いところに対する金融機関としての働きをして、それぞれの特色を持って現状は動いておるわけであります。われわれとしては、あるいはこれをもう少し中央銀行に結びつける方法はないかとか、あるいは別の資金操作を持つべきじゃないかという問題もございますので、基本的問題としてはいろいろな角度から検討して参りたいと思っておりますが、まあ都市銀行、地方銀行——地方銀行の一県一行主義につきましては、これはなかなか大蔵省で技術的に問題があろうかと思いますので、私としても、この際にどういうふうにやるべきかということについては今後検討さしていただきたいと思っておりますが、今のところ、どうしてやりますがいいか、ここで意見を申し上げるべきでないと思います。
  33. 吉田法晴

    吉田法晴君 金融制度全般、あるいは基本的なものということになると、大蔵省所管という工合に今のように逃げられるかもしれませんけれども、少なくとも、とにかく中小企業金融についてはあなたのほうで意見が出てこなければなるまいと思うのですよ。信用保証制度ではありませんけれども、地方の資金、あるいは、先ほど自治体の債券、現金を預託してもやっているという実情を見ると、三機関なら三機関だけの金融中小企業金融だというわけにいかぬと思うのです。あなた三機関説明をあらためてやられたが、問題は、私が指摘をしているのは、その三機関金融だけで中小企業金融というものがこれからとにかくあらしの中で十分な役割を果たしていきはせぬだろう。あるいは、団体金融というか、中小企業なら中小企業の共同化なり、あるいは共同化による金融にしても商工中金だけの金融で十分できるとは考えません。あるいは設備の改善についても、中小企業金融公庫から貸し出しているものは所要の半分程度。そうすると、考えられる自由化あるいは国際的なあらしの中で、大きな波の中にゆられておる木の葉のような中小企業に対して十分な役割を果たし得ると、これは考えておられるかもしれぬけれども、公式にはそれはそれで十分だといえるかもしれませんけれども、個人としてはおそらく不十分だとあなたもお認めになるでしょう、みんなも認めている。したがって、保証問題なり、あるいはさっきは証券の話も出ましたが、他の金融機関に集積をされたりあるいは集まっている金をも政策の中に入れて、中小企業金融にまあ全からしめたいと思いますが——実際は全からしめないけれども、今のような所要資金の半分にも満たないような金融機関じゃなくて、もう少し需要のある程度のものは満たし得る、少なくともとにかく波間にゆられている木の葉が全部沈まないだけの金融体制を作るため、三機関だけじゃなくて、金融、少なくとも中小企業金融については考えるべきではないか、具体案を立てるべきじゃないかと、こういうことを申し上げたわけでありますが、そういう点について検討をするというか、あれはないのですか。
  34. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 先ほど申し上げましたので省略いたしましたが、私どもとしましては、やはり政府機関が幾らがんばっても、確かに資金量からいいますと一〇%以下という状況でございますから、やはり市中機関中小企業向け貸し出しをふやしていくということが基本の考え方になるわけでございまして、その意味ではやはり専門金融機関としての相互銀行、信用銀行あるいは信用組合資金量をふやすと同時に、貸し出し中小企業向けに流れるようにすると、あるいは公庫を通して都市銀行に金が流れてしまうことがないように、できるだけ中小企業に流すようにする。地方銀行についても同様でありまして、私どもはそれと同時に、まあ御質問の範囲をこえるかもしれませんが、一番、中小企業にとって長期資金、長期の産業資金を確保するという面からいいますと、やはり諸外国にも例がございますように、株式市場というか、あるいは証券市場が発達して参っておりますが、大企業だけがあれに乗って伸長することができるという格好になっておりまして、中小企業の増資あるいは社債の発行ということが、事実上できない。第二市場ができましても、資本金一億以上の会社でないとこれを利用できませんので、その穴を埋める対策が必要じゃないかということで、昨年来投資育成会社といった構想について検討に入っておるわけでございますが、そういった長期産業資金確保の面から見て、むしろ増資あるいは社債の発行等についての新しい方法を考えなければならないのじゃないか。これは今年中に固めまして、ぜひ来年度は実現したいと考えておる次第でございます。そういった面も、金融機関貸し出しの面についても、中小企業をできるだけ確保するように銀行の育成と指導に当たって参りたいと考えております。
  35. 吉田法晴

    吉田法晴君 せっかく政務次官もおいでになっておりますが、通産省の中小企業金融について、まあ不十分でしたから問題点指摘して通産省の方針を聞いたわけですが、中小企業庁長官の答弁だけにまかせずに、最後にひとつ次官からお願いいたしたいと思います。
  36. 森清

    政府委員森清君) ただいま長官のお答えになっていることで尽きておるとは思いますけれども中小企業金融対策というのは、申し上げるまでもなく、非常に問題が多いのでございまして、私どもは諸外国の例と日本のやっている施策とを比較したときに、表からだけ見た形では日本は非常にすぐれておるのじゃないかと思う。ただ問題は、毎年感ずることでありますけれども、せっかく仏は作っても魂が入らないという点があるのじゃないか、それは何かというと、やはりワクの問題でありまして、ワクが今日の日本の財政上の立場から見ると十分なものが確保できない、それが一つの大きな悩みじゃないかと思いますので、その点は例年われわれが苦労するところでありまして、ことしの中小企業対策におきましても十二分なことができ得なかったことをわれわれといたしましては非常に反省しているところでありますが、それと同時に、かりに資金量が十二分にありましても、やはり三庫なるものも十分に信用をとり得るかいなかということが大きな問題になりますので、ほんとうに金を借りたいということを望んでいる業者が信用度の希薄なために借りることができないというふうな問題もありまして、結局、信用保証協会等をフルに活用いたしますものの、これが十二分な活用ができないんじゃないかというふうなこともあわせて考えているわけであります。いずれにいたしましても、しかしこれの死命を制するものは十分な資金量を回すということでございますので、これについては十分私たちは慎重に考え、同時に、大蔵省当局とも話し合って、何とかりっぱな魂が入るように努力いたしたいと考えるわけであります。
  37. 吉田法晴

    吉田法晴君 やめるつもりだったんですが、多少政治力が出ましたから、最後に一点尋ねておきたいというんですか、意見を述べておきますが、今外国との比較等がありましたけれども、それはなるほど機関が三つあり、それから資金量が足りないけれどもまあ流している、そういう点では外国に比べて云々というふうな今お話。それはそのとおりでしょう。ところが、問題は、やっぱりこれは日本の人口の多さと比例しますが、非常におびただしい零細企業がある。これは外国にないと思うんです。そのことが、賃金にしてもまあ二百円ぐらいで働いているのは現在もあるんですね。それからあるいは下請の下請といいますか、末端まで自分のうちに持って帰ってきてやっているのをあれすると、一日二百円になるやならずのとにかく経営。そこにやっぱり一番日本の中小企業対策といいますか、問題の複雑さと困難さがあると思うんです。それだけに、その日本の産業なりあるいは中小企業の一番のネックあるいは問題点を解決するにはどうしたらいいかと、こういう点等も、これは中小企業対策にもなきゃならぬでしょうが、中小企業金融にもやっぱりなきゃならぬだろう。そういう点から言うと、資金の量についてもですが、あるいは政策の裏づけになる中小企業金融というものが十全ではないではないか、こういうことを申し上げておったわけです。十分の対策といいますか、答弁を中小企業庁長官からいただけなかったから、それでは政府でおありになるんですかと、せっかく来ておられたから答弁を求めたのですが、残念ながらあまり希望の持てる答弁をいただけなかったのはたいへん残念に思いますが、まあ後日に譲りましょう。
  38. 田畑金光

    ○田畑金光君 ほとんど質問も尽くされておるようでございますので、むしろ整理するという意味で、二、三の点をお尋ねしたいと思うのですが、その前に、今吉田委員質問に対して長官のほうから投資育成会社の構想ということが出ておりましたが、ことしもこれは大蔵省と下相談なされたと聞いておるわけです。したがって、中小企業庁としても相当構想が固まっておると、こう思いまするし、また、たしか日本商工会議所等からもわれわれのほうにもそのような印刷物等が配付されてきましたが、内容についてはあまり詳細にわたっていないので、どういう構想なのか理解ができなかったわけですが、この際ひとつその内容について御説明願いたいと思います。
  39. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 私どもも一応一案を得て大蔵省と話し合いをいたしたわけでございますが、考え方の骨子になります点は、結局、先ほど申し上げましたように、金融機関から金を借りる方法は現在あるわけでございますが、増資をして、株式を一般大衆から払い込みを受けて増資をしていくという方法が現在の証券市場は中小企業にとって利用できないようになっているわけでございます。御承知のように、第二市場ができましたが、やはり一億円以上の会社でございますので、そこで、私ども考え方は、まあ大体のねらいとしては、五百万円から五千万くらいのところを一応対象にして考えてはどうか。もう少し下へ広げるという考えもあろうかと思いますけれども、その辺を対象にいたしまして、政府と民間の半官半民の、政府出資をし民間も出資をして投資育成会社というものを作りまして、これが中小企業の中で増資をしたい人に対して、これはもちろん内容の審査等問題があろうと思いますけれども、適格なものを取り上げまして五百万の会社が一千万の増資をしようという場合の増資新株を引き受ける、あるいは転換社債の形でもっていきまして、何年かたって会社が独立してやれるという情勢になったときに株式に転換をしまして、そうして一本立ちになったときには、この株式を一般に公開をしていくという形で、中小企業の自己資本の充実をはかり、かつ建設のための長期産業資金を量的に確保していくという両面をねらってそういった会社をつくったらどうだろうかという大体の考え方でございます。ただ、問題は、株式の処分あるいは会社の経理内容に対する問題、そういった運用面についてなかなかむずかしい問題がございますので、実は今回の予算審議までについて十分確信のあるところまで突きとめ得なかったものでございますから、さらに今後一年間検討して、来年度には実現できるさらに具体性を持った案にして大蔵省と話し合いをしたいと、かように考えておるわけであります。概略言いますと、そういうことであります。
  40. 田畑金光

    ○田畑金光君 その構想は、そうしますと、中小企業庁内部だけの段階にとどまって、まだ通産省全体としての省議決定の段階でもなく、またもちろん大蔵省と話し合いをする段階まで来たわけじゃなくして、ひとつこの一年間の検討でこの次の国会あたりをめどにという段階でございますか。
  41. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 一応私どもとしましては一案を得まして通産省内部でも了解を得て正式に大蔵省と話をしたわけでございます。ただ、問題点が非常にむずかしい。これは新しい制度でございますし、融資と違って出資になりますものですから、運用面でなかなかむずかしい問題があちこち出て参りますので、その辺をもう少し具体的につめて、さらに案を固めて出したいと思っておるわけでございます。昨年も一応の案は得たわけでございます。
  42. 田畑金光

    ○田畑金光君 長官の答弁でほとんど答えられたと思いますが、若干重複するかもしれませんけれども、さきほど来、都市銀行や地方銀行、あるいは相互銀行や信用金庫、その他関係中小企業金融機関等々についてお話がありましたが、現在これらの金融機関の貸出残高がどういうような比率になっておるのか、これをひとつまとめて御説明願いたいと考えます。
  43. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 金融機関全体の昨年三十六年十二月末の貸出残高は十三兆五千億でございますが、このうち全国銀行——全国銀行といいますと都市銀行、地方銀行、長期信用銀行、信託銀行、これ全体を合わせましたものが九兆六千九百億でございます。この中で中小企業向け貸し出しは三兆円でございます。これは三一・二%になっておりますが、その中のまた内訳を言いますと、都市銀行が全体の貸し出しが五兆五千億、このうち中小企業向けが一兆四千億、これはさっき申し上げました約二五%でございます。地方銀行が二兆七千億、そのうち中小企業向けが一兆四千九百億、これが五三・六%でございます。それから、今申し上げました長期信用銀行、信託銀行を除きまして、全国銀行以外の中小企業専門金融機関、この全体、これは、さっき申しました政府の三機関のほかに相互銀行、信用金庫、信用組合、この六つのものを合わせまして、合計で二兆九千百億でございます。そのうち政府機関商工中金、中小公庫、国民公庫、三機関で五千四百九十九億、それから相互銀行が、さっき申し上げましたように一兆二千億、信用金庫が九千二百八十億、信用組合が二千二百二十億、大体以上のような内容でございます。
  44. 田畑金光

    ○田畑金光君 御説明のように、全国銀行勘定、その中の都市銀行、地方銀行、これを見ますと、今昨年の十二月末現在における残高の説明でありましたが、昨年の夏以来の金融引き締め以降の九月、十月、十一月、十二月、そうしてさらに本年の一月まで毎月の比率を見ますと、都市銀行の場合は、貸し出し総額の中で、中小企業向けの残高というものが二五・一%になっておるわけです。昨年の十二月は二五・六%、本年の一月末は総額五兆五千三百七十三億、中小向けが一兆三千九百十五億、二五・一%。地方銀行は、昨年の十二月の末は、今お話しのように五三・五%の中小企業向けの比率でありましたが、今年一月の末は地方銀行の貸出残が全部で二兆七千四百九十五億、中小企業向けが一兆四千五百五十五億、五二・九%。比率がずっと下がってきているわけですね。これはよく現われておると思うのです。中小企業に対する金融引き締めしわ寄せというものがよくここに出ておると思うわけです。先ほどそれに対比して、相互銀行、信用金庫等については、中小企業向けの貸出残高というものは、比率の点においてある程度よくなっていると、こういうようなお話でございました。さらにまた、今承りますと、政府関係機関の融資の残高が五千四百九十九億ということになっているわけです。全体の比率の中で五千四百九十九億というと、どの程度の比率になってくるのか、その点をまずお伺いしたいと思います。……今私の申しましたのは、全体の十三兆五千億の中で何ぼを占めるかということもさることながら、中小企業向けの融資残高の中で政府関係機関というものの占める比率というものはどの程度になっているのか、ですね。
  45. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 全体の貸し出しの中で占める……この三十六年十二月末をとりますと、三機関で九・二%という数字でございます。……失礼いたしました。今申し上げましたのは間違っておりました。中小企業向け貸し出し、この全体が十三兆五千億、そのうち中小企業向け貸し出しが六兆飛び飛び二十八億円でございますが、その六兆円の中で五千四百九十九億というものの比率が九・二%ということでございます。ですから中小企業向け貸し出しの中で占める三機関の割合が九・二%、ですから全体からいいますと、これのまた半分見当になるわけでございますが、今計算をいたしておりません。
  46. 田畑金光

    ○田畑金光君 これは三機関中小企業融資の中で占める地位というものは、今日現在では九・二%というわけですが、従来その数字はどういうことになっているのですか。
  47. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 大体八・八%、昨年の三月、あるいは九月ごろまでの見当は、そういう数字でございました。
  48. 田畑金光

    ○田畑金光君 それから、これも先ほどいろいろ質問になっておりましたが、昨年末以来、特に金融引き締め以来、政府としては中小企業向け金融緩和策について、いろいろな措置をとられてきているわけです。財政投融資の面、あるいは買いオペの、実施等によって、資金ワクの増額をやってこられましたが、先ほどの答弁にもあったようですけれども、もう一度ひとつ具体的にどういう措置をとってこられたか、御説明願いたいと思います。
  49. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 先ほど申し上げましたが、政府でとりました措置は、直接財政投融資資金中小企業向けに流すという措置でございますが、一つの方法は、商工中金、中小公庫、国民公庫の三機関に対して、財政投融資資金を昨年の十月、十二月、本年の二月と三回にわたって合計五百六十億円の財政投融資の追加をいたしたわけでございます。これは当初の計画にさらに追加してこれだけの金をつけ加えたわけであります。同時に民間の市中金融機関に対して、中小企業向け貸し出しをするというひもつきで、五百億円の資金運用部資金による金融債の買い上げをいたしますが、これは先ほど申し上げましたが、相互銀行、信用金庫、地方銀行に重点を置きまして買いオペをいたしました。これは日本銀行の買いオペと別に資金運用部を通じて買いオペをやっているわけでございまして、一千六十億という金を昨年の秋以来金融引き締め対策として流したのであります。同時にわれわれとしましては、市中金融機関に対して協力を求めて貸し出しの比率をできるだけ落とさないようにしてもらいたいということで、これは大蔵省とともに行政指導をいたしまして、銀行間で申し合わせ等ができまして、先ほどお話がありましたように、できるだけ比率を下げないように努力をするということで、御指摘のように多少やはり実績の点で、都市銀行等においては問題がございますけれども、全体としては三十二年当時に比べてかなり自粛をしていると考えられるわけであります。大企業に対しましては手形代金、下請代金支払い等につきまして公取委員会とわれわれのほうで共同で通達をし、注意を喚起して、同時に通産局都道府県を通じましてできるだけその面の悪化を防ぐという措置をとっておるわけでございます。これは努力はいたしておりますが背に腹はかえられないということで、やはり多少手形期限が延び、あるいは現金が減ってきておるという事実は私どもも認めておるのであります。大体そういうことでございます。
  50. 田畑金光

    ○田畑金光君 そこでお尋ねしたいのは、先ほど資金運用部資金から五百億の買いオペをやって、特に相互銀行、信用金庫等に中小企業金融措置協力を求めた、こういうわけですが、この実施の保障というか、ほんとうに中小企業にこれだけの資金が流れているかどうかという問題、これはどうなったか。実際にそれがほんとうに中小企業向けにいっておるのか、いっていないのか。信用金庫、相互銀行というのは本来中小企業金融機関であるということはわかりますけれども、ただそれだけでその資金がほんとうに中小企業に流れたかどうかということは、どのようにして政府としてはこれを指導、監督しておられるのか、それをひとつ承りたいと思うのです。
  51. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) この点につきましては、本来から言いますと、貸付けしたあとでその貸付けした実績に見合って買いオペするのが、一番確実に効果を保障する方法だと思うわけでありますけれども、ただ三十二年当時にこれはわずかでございましたが、買いオペをやりましたのでございますが、そのときはそういう方法をとったわけであります。ところが実績がなかなか出てこないということで、金の出るのが非常におくれまして、かえって金融の流れを押さえた結果になりましたので、今回私どもはむしろ大蔵省に対して金は先にひとつ出して、あとで自後にチェックをしようという方法を話し合いをして、金を先に各銀行に割り付けて流しておるわけであります。その実績は結局銀行から出してくるのを見るのでございますけれども方法といたしましては、信用保証協会の保証づきの貸付というもので実績をとりまして、それでチェックをするということにいたしておるわけでございます。もちろん実施をしなかったものはそれだけ召し上げることになります。まだ最終的の実績は出ておりませんけれども、そういう方法でチェックをすることにいたしております。
  52. 田畑金光

    ○田畑金光君 その実績というのはいつごろあなたのほうの手元で集計できて、実際貸付がなされているのか、なされていないのかということがわかるのはいつごろですか。
  53. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 第一回分につきましては三月末をもってチェックすることにいたしております。三回にわたって行なっておりますから。
  54. 田畑金光

    ○田畑金光君 そのときあらためてひとつその実績について本委員会において御報告願いたい、こう思います。  それから今回の措置によって商工中金に二十億の出資追加する、また信用金庫にも二十五億の追加措置をとられたわけでございますが、この措置によって、たとえばこの間もこれは質問に対してお答えになっておりましたが、商工中金の貸出利息というのが九分三厘。中小企業金融公庫が九分。いずれにいたしましても中小企業相手の一番大事な商工中金の金利というものが高いということ。特に政府中小企業の共同組織を奨励しておるし、また中小企業組織化ということは重要な問題でございますが、その協同組合金融建前とする商工中金の利息が割り高だということは、どうも矛盾しておる感じを強く受けるわけです。たとえば本年二十億を追加出資することによって、これが商工中金の営業の面にどのようなプラスがはね返ってくるのか。ということは具体的に貸出利息の面において、二十億追加出資することによって、たとえば一厘なら一厘の引き下げが可能であるのかあるいはそれをやり得る見通しが立っておるのかどうか。現に中小企業金融公庫に比べても三厘高いわけですから、せめて九分くらいには利息を引き下げたい。これは皆さんとしても考えておられると思うのです。一体どの程度資金量政府資金商工中金に入れればもっと利息は安くなるか。九分程度に利息を下げるのにはどの程度まで政府資金というものを入れればよろしいのか。この点についてひとつお答え願いたいと思うのです。
  55. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 今回の二十億の出資では全体の商工中金の金利を全般的に下げるほどの資金量じゃございませんので、はなはだ不十分でございますが、当面長期の貸付金利が特に高いわけですので、長期貸付金利を一厘だけ下げるという措置をとりたいと考えております。  それから将来の問題といたしましては、大体九分三厘を三厘程度下げるということでございますと、百億程度出資をしませんと困難じゃないかと思っております。私どもとしましては、できるだけやはり御趣旨のように商工中金の金利を引き下げる方向努力したいと思っております。将来そういう方向で検討したいと思っております。
  56. 田畑金光

    ○田畑金光君 森政務次官にお尋ねいたします。仏、作って魂入れずという先ほどのお言葉のように拝聴いたしましたが、百億程度入れれば三厘の引き下げが可能だと、中小企業金融というものが大事だということは、これは政府、与党、野党、全部共通した願いであるわけで、百億入れれば三厘の引き下げが可能であるというふうな御説明で、今度の予算の要求等の場合において、政府としても特に通産省としては御努力なされたと、こう思うのですが、ことしはどの程度の構想で、この商工中金等に対して予算措置を大蔵省等と折衝なされたか。いま百億あれば三厘の引き下げが可能であるというのですが、ひとつ政務次官としては、この次の年度予算を待たないで、補正予算くらい作って、当然この程度は金を入れるということは必要だと思うのですが、どのようにお考えでございましょうか。
  57. 森清

    政府委員森清君) ただいま大堀長官からお答え申し上げましたように、私たちといたしましては、大体百億あれば金利が引き下げられるということで、実は大蔵省とも本年度についても折衝いたしました。いろいろ経過があったのでございますが、最終的には私たちの主張が通らなかったということでございまして、これはまあ考えてみますと、財源の問題等もございますので私たちも折れたわけでありまして、今後とも何とかして中小企業育成のために、なるべく低金利のものをということで、終始このことは大蔵省に申し入れるつもりでおります。しかし、だからといって補正によってというふうなことは、これはまた時期的に非常にむずかしい問題もございまして、決して私どもがそのことを要求しないというのじゃございませんけれども、何とかして折あらば大蔵省の了解も得まして、金利引き下げのために努力いたしたいと、かように考えております。
  58. 田畑金光

    ○田畑金光君 この政府機関の融資について、資金コストを下げて貸出金利を引き下げるには、やはり政府資金をもっと多く入れる以外になかろうと、こう考えるわけです。そういう点からすれば、資金運用部資金の還元融資という問題等が一番これは実際的だと思うわけです一いうまでもなく資金運用部資金の原資は大衆の預金である郵便貯金であるとか、あるいは勤労者の厚生年金とかこういう資金であることを考えたときに、資金の性格からみましても、こういう政府機関に、もっと資金運用部資金等を入れてコストを安くし、貸出利息を安くするということが一番大事なことじゃなかろうかと、こう私たちはみておるわけです。こういう点について、まず中小企業庁の長官としては、当然そういう構想をもって内部においても努力されておるとは思いますけれども、しかし突き詰めてみると、資金運用部資金法の改正という大きな問題にぶつかってくるし、いずれにいたしましても私はやっぱり資金運用部資金法というものを改正して、こういうものがもっと単に商工中金だけでなくして、労働者の福祉の面やいろいろな社会保障の面等に還元融資さるべきだと、こう考えておるわけです。この点についてひとつ内部においてどのような努力をなさっておるのか、あるいは政府部内のこういう問題について、何かより進んだ考え方等が最近は出てきておるかどうか、両者にひとつ御答弁を願いたいと思います。
  59. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 私どもは、さっき百億と申しましたのは出資の場合でございましたので、一般会計あるいは産投会計からの出資でございませんとなりませんので、その意味の財源が非常に足りなかったということでございますが、財政投融資、資金運用部資金をつぎ込むことにつきましては、本年度の先ほど申し上げました五百六十億のうち、商工中金に二百四十億を充てておるわけでありまして、ことに商工債券の売れ行きが非常に悪うございますから、二百四十五億は相当商工中金に重点を置いて金の確保をはかったわけでございます。ただ、この場合は金利は六分五厘の金を借りておりますので、市中商工中金債を発行いたしますと、利付債で七分二、三厘、割引債で六分二、三厘でございますから、割引債がなかなか売れ行きが悪いものですから、どうしても市中ではコストが高くなるわけでありますから、資金運用部資金につきましては、量的にはできるだけ私どもとしては確保するように努力いたしておりますし、来年度の三十七年度の財政投融資計画におきましても、前年度対比で見ますと、商工中金に一番大幅にふやしておるわけであります。そういう意味で出資の面におきましても、特に財政投融資、資金運用部資金につきましては、先生御指摘のように、割合に手軽といいますか、何とか早急に対策が立てられるものでございますから、この確保については十全の努力を尽くして参りたいと、かように考えております。
  60. 田畑金光

    ○田畑金光君 それからもう一つこれに関連してお尋ねしたいのですが、中小企業金融と直接の関係はないかもしらぬが、しかし、実質は関係が深いわけです。特に私が実は申し上げたかったのは、今の私の話の中で勘違いした点がありましたが、労働金庫というものをみんなどのように見ておられるのか、実は資金運用部資金の導入というのは、労働金庫のことを実は頭に置いて今申し上げたのですが、この労働金庫というものについて皆さん方はどのように見ておられるのか、企業庁長官ひとつお尋ねしたいと思います。
  61. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 実は私も不勉強で十分内容につきまして検討いたしておりませんので、今後ひとつ勉強いたしたいと思っております。
  62. 田畑金光

    ○田畑金光君 これはもちろん労働大臣並びに大蔵大臣の所管で、労働金庫法に基づく労働金庫でございますから、中小企業庁長官の所管ではございません。ただしかし今度の法律改正を見ますと、二十万円の小口保険制度等、小規模事業者に対する融資制度等も確立されておるわけでございますけれども、労働金庫の性格というものは言うまでもなく、生活金融で、生産金融じゃございません。また一般の金融機関は営利金融だがこれはあくまでも非営利の建前をとっておる。しかもまたその内容においては賃金の遅払い、欠配等を中心に考えておる。そういう意味において私、生産金融機関であるその他のものと一緒に考えるということは無理な点もありますけれども、しかし事実問題として労働金庫が取り扱っておる内容というものは多くは中小企業であり、生活金融といってもどこまでが生活金融であり、どこから生産金融事業金融かというとなかなか明確でないわけです。そういう点から見ましてこの労働金庫に対する政府の方針として、あるいは資金運用部資金等を導入して、もっと労働金庫の資金を強化して、安い金利で運用ができるように保護助長することが大事だと私は考えておるわけなんです。この点を聞いてもこれはちょっと無理だと思いますから、ひとつそういうような問題があるということだけ認識願っておきたいと考えております。  それからこれもこの間、近藤委員から詳しく質問がございましたが、信用保証については非常に先ほども議論があったわけでございますが、担保をあまり問題としてはならぬというのが建前だと、こう思うわけです。しかし、現実の信用保証協会の実情を見てみると担保がなければ貸さない、貸せない。担保を持っておる優良企業だけを対象にする。したがって弱小企業で信用を持っていないところはなかなか金を貸してくれないということになってきますと、保証協会の本来の目的から相当ずれてくるのじゃないかと、こう私たちは見ておるわけです。これに対して中小企業庁としてはどういう指導をなさっておられるのか、それをまず承りたいと思います。
  63. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 先生御指摘のように、信用補完制度でございますから、本来担保力がない人がこれを利用するというのが建前だと思いますので、筋からいいますとやはり担保をとらないで保証する、というのが一番望ましい形ではないかと思いますのでございますが、実際問題としましては、やはりこれも独立の一種の金融機関でございますので、現実のところを見ますると小口のものは割合に保証をとらないでやっておりますが、かなりまとまった金になりますとやはり物的保証をとっておりますが、とっておる実情を見ますと、やはり大体まあ普通の担保でも二番抵当、三番抵当あるいは普通の銀行ではなかなか担保にとらないような物件を対象にして担保にとって保証をするというような形をとっておりますので、今回御審議を願っております小口保証制度につきましては、特に私どもとしましては物的掛保はとらぬということで実施をして参りたいと思っております。御指摘の点はわれわれもできるだけ物的保証をとらないようにしたいと思いますが、現実にはかなり大きな金額、第二種包括あたりになりますと相当大きな金額になりますので、信用保証協会としても一応抵当をとっておるという現状もある程度やむを得ないと思いますが、しかしその場合もおおむねさっき申し上げましたように、低順位の抵当権を設定する、あるいは一般の銀行の担保にならないような物件をとっておるというふうな実情のように考えております。できるだけそういう趣旨で運用の面では十分注意をしていきたいと思います。
  64. 田畑金光

    ○田畑金光君 これは信用保証協会の審査会の構成の問題ですが、審査会の委員には必ず金融機関の代表が参加しておるわけです。信用保証協会が債務保証をやる相手方の銀行代表というものが必ず加わってきておるわけです。したがって審査会の中においては、金融機関の発言というものも非常に強い。金融機関の発言が強いというのは、どうしても安全確実性ということを前提に考えますから、当然これは物的担保ということを強く要求してくるわけです。特にまたひどいのになると、銀行の責任で融資をして、延滞が起きると、信用保証協会の保証債務に肩がわりをして、銀行の安全をはかろうとする誤ったこと等もままとられがちであると聞いております。でありますから、こういう点等については、信用保証協会の審査の制度あるいは融資に対する基本的な考え方、態度というものが、もっと反省されなければ、中小企業に対する正しい、あるいは健全なる融資の道ということが封じられる危険があろうとこう見ておるわけです。こういう点等について長官はどのように考えておられるのか。そのような事例があることを御存じであるかどうか。ことに審査会の中に金融機関の代表が加わっておるということは、どこの信用保証協会でも同じじゃないかと思うのですが、こういう点がやはりある面においては弊害を残しておると思いますけれども、そういう面についてどう考えておられるか、指導方針はどういうことか、それを伺いたいと思います。
  65. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 前回にも申し上げたと思いますが、私どもとしましても、保証協会がある程度自然発生的にできた制度でございますので、非常に割合にりっぱな協会もございますが、地方に参りますと必ずしもそういう意味からいって十分でない協会もございまして、私どもの監督自身も少しまだ力が及ばなかったんじゃないかと考えておるわけでございまして、この点は今後反省をして、もう少し現在県まかせにやらせておりますが、われわれ中央としても相当内容について監督指導を十分にしたいという考えで、今、部内において検討いたしておるわけであります。人の問題につきましても、地方に参りますとなかなか適当な方が得られないので、つい金融機関の方にお願いするというような格好が割合に多いように認められております、こういう人の問題にもどうかと思われますので、十分監督の面で注意をして参りたいと考えております。
  66. 田畑金光

    ○田畑金光君 どうかひとつ、私は金融機関の代表が加わっておるから弊害があると一概に、一律に申し上げておるわけではないのですが、ほんとうに保証協会の仕事が、政府の考えているように、中小企業の末端まで正しく融資のパイプが通ずるように御指導願いたいと、こういうことを申し上げておるわけです。またどんな経営の悪い企業でも、信用保証協会は保証しなくちゃならぬなどとも考えておるわけではないわけです。ただ問題は、その中小企業がほんとうにいいアイデアを持ち、計画を持ち、またその経営する人も信用のおける人物、こういうふうなことであれば、物的信用だけでなくして人的信用をもっと重く見て融資が円滑に進められるように、こういうことを特にわれわれとしては希望申し上げておくわけです。  最後でございますが、この間、これも近藤委員質問に対して長官がお答えになったと思いますが、信用保険公庫の危険負担と申しますか、実際事故率といいましたか、この事故率というのは二%程度だと、こういうふうなお話でございましたが、この点についてもうちょっと御説明を願いたいと思うのです。
  67. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 計算をいたしておるようでございますが、保険公庫の保証協会に対する再保証といいますか、再保険の場合の計算としては、一応事故率を二%として計算をいたしておるわけでございます。
  68. 田畑金光

    ○田畑金光君 再保険の事故率が二%と見られた場合ですね、大体二%ということでは私たちちょっと、のみこみにくいので、今までの実績がどの程度に残っておるのか、金額的にひとつ説明してもらいたいのです。
  69. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 実績を申し上げますと、各種の保険を一括しまして事故発生の金額は三十四年度が二十一億円、三十五年が二十四億円、端数は省略しますが、三十六年は十一月までで十五億円になっておるわけであります。この事故が発生しましてから、保険でございますから金は払いますが、あとで回収業務としましてその債権取り立てをやっておりますが、大体この事故率としましては、過去の実績から推算いたしました三十七年度の計画におきましては、小口保険で二・五%、包括第一種保険で二・三%、包括第二種保険で二・一%でございますが、この事故がありました場合に、回収率は大体いずれも六五%程度回収いたしております。そういう一応計算をいたしております。
  70. 田畑金光

    ○田畑金光君 中小企業信用保険公庫の融資金は二十五億今度ふえておりますけれども、保険準備基金というものがふえておりませんですね、ことしの予算措置においては。これは今説明のありました事故率とか回収率等から見て、今持っておる保険準備基金で十分であるというので、これはそのままにしておいたのか、または予算要求をしたが、大蔵省との話し合いがうまくいかぬのでこうなったのか、その辺はどのような経過でこうなっておるのか、御説明願いたいと思います。
  71. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 一応安全を見ますれば、もう少しありますほうがよろしいわけでございますが、現在の状況から見まして本年度も一応赤字を出さないで大体済むことができそうでございますが、来年度も現在の基金で何とかしのげるのじゃないかということで、むしろこの際融資基金をふやして、保証協会に対する資金のほうをふやしていくほうが政策的にいいのではないかということで、融資金の増額のほうに重点を置きましたのでございますが、準備基金はもちろん多いほうが安全でございますけれども、一応現在の基金でも来年度はやっていけるのじゃないかという見通しを得ましたので、そういうふうにいたしたわけでございます。
  72. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私、中小企業金融のことについて、この法案に直接関係しましたことは近藤議員がやりましたので、一般的なことを少し質問してみたいと思います。  森次官にお尋ねしますが、内外の情勢変化に対応して、中小企業金融というものを根本的に再検討してみる時期じゃないかということなんですが、実は内外の情勢と申しますのは、昭和三十三年ですか一九五八年にヨーロッパの共同市場が発足しまして、加盟六ヵ国一億八千万程度でアメリカの人口に匹敵する。そしてそれがソ連を中心とする共産圏とアメリカとに対して、第三の巨人といわれるほど大きな問題になってきて、最近の傾向としましてはEECを中心に国際的な経済のブロック化が進んでおる。そういうことに対してどういう通商政策をとられるかという一般的な問題について、佐藤大臣なり藤山長官にお尋ねしたいと思いますが、EECで一番特徴的な点は、一億八千万程度の加盟六ヵ国が毎年一〇%ずつ関税を引き下げて、最終年度には無税にして単一経済組織を作ると、そこで特徴的な点はとにかく貿易の規模がアメリカより大きくなってきた。第二に、加盟六ヵ国が域外に出す輸出と輸入とがバランスがとれている。それで加盟六カ国が域内で取引する貿易も大体バランスがとれているということになって、特に私がここで中小企業との関連でそういうことを持ち出しますのは、経済の流通の単位が一億八千万という大きな規模になって、企業規模がマンモス化して大規模になってきた。そうして国際競争力が非常に強くて、将来はともかく、域内ではそういうふうに相互に障壁をとって自由な経済の流通をはかるが、域外に対してはかなり排他的で、遠い将来は大へんだと思うので、私が申し上げたい点は、そういうふうに五千万とか一千万とかいうものを単位にした経済の規模から、一億八千万を対象にする経済規模に非常に拡大して、それがもう東南アジアその他に対してもなかなか手きびしい競争力でもって日本に迫っておる。そういう際に、日本としては一方ではブロック化があり、そうして自由化が迫られてこの十月には九〇%やらねばならぬ。業界では自由化に対しては関税を高めて対抗するというようなことを言っていましたが、EECにアメリカが接近するために、通商拡大法等を準備して関税を引き下げてくるというようなことで、自由化に対しては関税障壁を高めて準備をする間だけこの措置をとるというようなことも困難になって、やはりどこと日本がそういう共同市場を作るかということは別にして、とにかく最近の傾向としましては、経営規模が非常にマンモス化して、そのことは日本の大企業でも明らかにそういう傾向が出てきて、そういうことから中小企業にもいろいろしわが寄るのじゃないか。当然日本の雇傭人口、生産高、輸出に占める比率等をみても、私はそういう内外の情勢に備えて、中小企業の定義をもう一ぺん再検討して、そうしていろいろな手がとられねばならぬでしょうが、特に中小企業金融もその定義から、いろいろな制約があるでしょうが、もう一ぺん新しい情勢に備えた総合的な中小企業対策をとる。同時に、あとで若干具体的のことをお尋ねしますが、中小企業金融条件を具体的に申し上げますると、貸出限度をもっと大幅に引き上げるなり、あるいはワクを拡大するなり、関係金融機関の区画整理をもう一ぺんやるというようなことが重要じゃないかと思うのですが、そういうことについて、実は政府でもよりよりそういう情勢に備えての中小企業金融の再検討をやっておられるやに承るのですが、そういうことは、こういう一部改正法案も出ておるのですが、それに対する御所見はいかがでしょうか。
  73. 森清

    政府委員森清君) 中田先生の御指摘のように、確かに世界はブロック化の傾向をますます深めております。私も何べんかヨーロッパの共同市場を見て参りまして、これが世界に与える影響がますます深刻さを増すであろうということを考えておったのですが、つい昨年も暮にメキシコそのほか二、三の国々を回ってきまして感じましたことは、あの附近でもいわゆる一つの共同市場を作ろうという動きが非常に活発になってきております。したがってそうしたブロック化の世界的な情勢下にあって、日本はこれからどうしようか、どうしていったらいいか、どこに販路を求めていったらいいかということはきわめて重大な問題だと私も考えます。そこで確かに御指摘のように、そうした傾向にあるときに日本がいわゆる企業がマンモス化というような方向、マンモスという言葉当たっているかどうかわかりませんが、とにかく今日は強い自由化のもとに対応していかなければならぬということは当然の帰結だろうと思います。そこでわれわれといたしましては中小企業に対しましても御承知のように、これを団地化をして、たとえばたくさんの企業が、かりにボイラーなどを一つの例に取り上げてみますと、各工場一つ一つ小さいボイラーを持っている。熱処理上きわめて不合理でありますので、これを団地化して一つのボイラーによってすべての傘下の中小工業を全部まかなえるようにする、というような方向で団地化等を考えておりますし、同時に中小企業のあり方等につきましては、今日非常に問題になっております基本法等も早急に作り上げまして、中小企業の進路をはっきり明確化していきたいと思いますし、同時に私ども政府といたしましても、これに対する対策も一本化して強力なものにしていきたいというふうに考えております。  金融につきましては先ほど来、吉田先生の御質問に対しても私はお答え申し上げましたが、きわめて多種多様にわたるだけにむずかしい問題をたくさんはらんております。そこでわれわれといたしましては早急に中小企業本法というようなものを作り上げて、その線に沿ってでも一つの新しい活路を生み出したいというふうに考えておるわけでありますが、とりあえずといたしましては、先ほども申し上げましたように、できる限り財源を求めて、せっかくりっぱな法律がたくさんあるのですから、そうしたものを通じて援助の手を差し伸べたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  74. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 われわれの見解とそう変わりはないのですが、とにかくさきに申し上げましたように、ヨーロッパ共同市場で申しますと、西ドイツが五千万くらいですか、そういうものを市場としてやっておったのが一億八千万の人口を対象として、終局には関税なしでやれるのですから、そういうふうに大規模化してそういうのにたえていくには、日本の経営規模も国際規模に合うようなやはり再編成をしていかねば、なかなか国際競争にたえていくことはできない。どこと共同市場を編成するかというのは、これは各党の立場でいろいろあるでしょうが、それは別にしてもやはり国際競争にたえ、生産性を高めていくには、どうしても経営規模を拡大していかなければならぬ。それには中小企業の定義をまず新しい事態に合うように再検討せねばいけぬじゃないか。これは一々変わっているのですから、中小企業の定義は。これは大堀長官にお尋ねしますが、だんだん二百が三百になるとか、資本金の額が大きくなるとかなっているのですが、私はそういう作業をもう進める時期だ、各党が作っておられる中小企業本法では、中小企業の定義が非常に新しい事態に即応するようになっていますが、そういう時期ではないか。これは一々変わっているのです、中小企業の定義が。あとで金融のほうをお伺いしますが貸出限度の問題、これをどうなんです大堀長官。
  75. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 現在、割合にまとめて書いてあります定義は、団体法規定と金庫の定義が中心でございます。従業員三百人以下、資本金一千万円以下、商業の場合は従業員三十人以下という定義が、これは当初から大体そうなっておりまして、今日も変わっていないわけでございます。たとえば税制関係で特別償却制度を中小企業に実施いたしました場合は、一億円以下を中小企業として扱っております。個別的には多少違った点がございます。団体法でも例外規定政令できめておりますから、従業員等の数が相当高くなっているのもございます。鉱山は千人となっておりますが、今日まであまり変化がないわけでございます。私どもも御指摘のように、ことに金融問題からいうと、これはもう少し上げるべきではないかということについては、相当理由があると考えておりまして、この点も部内では昨年からすでに検討いたしておるわけでございますけれども、先ほど来政務次官からお話がございましたように、基本法の問題もございますので、全体として中小企業の定義のきめ方をどうしたらいいかということについて、現在検討中の段階でございます。あるいはこういつた資本金の額を上げるという形できめるのがいいか、あるいは多少やはり業種の実態に応じて中小企業というもののあり方というものが違っておるのじゃないかと思う点もありますので、同じ製造工業にしましても一律にきめるのがいいかどうか、その辺も含めて検討いたしたいと思っております。
  76. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私不勉強ですが、この三百人というのは当初からですか。変わっていないですか。
  77. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 私の記憶違いございませんければ、ただいま申し上げました法律に関しては変わっておりません。
  78. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 三百人ということでも、これはオートメーション化して近代的な施設のところでしたら、もうこれは巨大産業となっておりますし、なかなか実情に合わぬと思うのです。ことに問題になります中小企業金融というのは、これはたしか昭和二十八年の二月の大蔵省の通達で、現在のように信用金庫や相互銀行は一千万を最高限度とする、中小企業金融公庫も一千万、国民金融公庫は個人が二十万、法人が五十万、例外が百万とか二百万ですが、これではもう実情に即しない。ですから私たちも若干あちこち世話を頼まれたりするのですが、一行ではできぬものですから、こっちの銀行、あっちの銀行、所要資金をいろいろの形でやって、むしろ借り入れコストは高まるというようなこともありますし、これは昭和二十八年の二月ですよ、私の調査では大蔵省の通達でそういうふうにきまっておる。十年一日といいますが、もう十年近くも、この大きな転換期に中小企業の、実態に私は、はなはだしくそぐわないと思うのですが、大蔵省等でも特に信用金庫や相互銀行等の要請もあって検討しているやに承っておりますが、その関係はどうですか。
  79. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 相互銀行等におきましても、やはり貸付限度を上げてもらいたいということの要望がございました。私どもも受けております。大蔵省のほうにもお話がございます。私どもとしても銀行局と話し合っておるわけでございます。方向といたしましては、やはり先生御指摘のように、私どもも定義を改定しなければならぬと思いますが、同時に貸付限度についても引き上げなければならぬというふうに考えておるわけでございますが、私どもの立場から多少問題がございますのは、先ほど、どなたかの御質問に関連いたしますが、結局、あまり一挙に上げてしまいますと資金量関係から、低いところに薄くなってもいかぬという配慮もいたしまして、その辺も考慮しつつ、何か解決の方法があるのじゃないかと思って、今検討しておるわけでございます。方向としましては私ども上げなければならぬというふうに考えておる次第でございます。
  80. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 ただいま長官の言われたように、資金量との関係なしにやるとこれは偏在するのですから、各党が用意しておられる中小企業本法でも、すでに五千万とか、あるいは人員にしてもみな大きくやっている時代ですから、政府としても内外の情勢変化に伴い、昭和二十八年の大蔵省通達で今、間に合わせようということは非常に新しい事態にそぐわぬじゃないか、これを至急に私は検討していただきたい点と、各中小企業向け金融機関あるいは開発銀行の地域開発の相互関係というような点も、私は区画整理をもう一ぺんやらないといろいろ問題——もう時間がおそくなって、私はやりませんが、実際われわれが頼まれてやってみて、これは農林漁業のためだ、中小企業はだめだと言って、借りに行ってみれは——というようなことで、これは区画整理を十分新しい事態に即応してやらねばいけぬじゃないか、この点と、それから先に田畑議員からも質問がありましたが、商工中金等の金利なんかで、農業関係と比較して中小企業向け金融が非常に不利だ、農業は原始的な産業ですからなかなか金利は安くしてありますが、ところが農業でも農産物を取り扱うような関連が、たとえば倉庫なんかを例にとってみますと、二年据え置き十五年賦です、まあ十七年くらいです、十七年が最低なんです。ところがこの中小企業のこれを見ますると、これはもう据え置き期間といい非常に短くて五年なんです、返済がです、事情によって七年まで。これは育成過程を対象にする、あるいは畜産物、家畜等を飼育する段階でしたら、あるいは森林を育成するような長期のものはともかく、できた農産物を流通過程に持ち込むようなこの農林漁業金融は、中小企業金融のこれに比べてはなはだ条件がいいのです。これはもうけたはずれなんです。二年据え置き十五年賦、事情によってはもっと長くなるというようなのに比べて、これは事情によって七年くらいまで——やはり、これは開発銀行は十年くらいでしょう。もっと大きな大規模な産業でいろいろ資本金を調達する有利なのでも十年、あるいは事情によってはもっと延ばす。中小企業金融公庫は一年据え置き五年以内ですか、事情によっては七年というようなことは、そういう条件も農林漁業の家畜を買ったり作物や森林を育成する段階は別ですが、できたものをやることについては、これはひとつ政府としても検討していただくべきじゃないか、これ森次官いかがでしょう。
  81. 森清

    政府委員森清君) これは中田先生の御指摘のとおりでございまして、われわれもかねがねこの矛盾は気がついているのでありますが、何とかして先ほどお話のありました、新しい段階にきての中小企業に対する金融のあり方等も含めて解決いたしたいと、常々考えておる次第でございます。
  82. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 もう時間がありませんので……。私はやはりこの中小企業の持つ日本経済における重要性から、この中小企業の定義をもう一ぺん再検討していただき、新しい事態に合うようにし、資金量を含めてこの条件を、早急にやはり中小企業を近代化し再編成できるような方向にしていただくことが——そういうことの一環としてこういうのが出るわけなんですが、これでは大堀長官弥縫策ですよ。そういう点ひとつ御検討いただきたいことを希望して私の質問を終わります。  それから、中小企業金融の現状というりっぱな資料ができておるのに、質問済まぬとなかなかくれぬのです。これはひとつ、そう意地悪い質問をいたしませんし、ちゃんとこういう要綱やなんかだけでなしに、トラの巻は自分だけ持っておっているということでなしに、まあそれくらいなひとつ勉強の機会も与えるような配慮をお願いしておきます。
  83. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 他に御質疑はありませんか。……他に御発言がなければ両案の質疑は終局したものと認めて御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 御異議はないと認めます。よって両案の質疑は終局いたしました。  なお、両案の討論採決は都合により次回に譲ることといたします。  別に御発言がなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十六分散会    —————・—————