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1962-03-01 第40回国会 参議院 商工委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月一日(木曜日)    午前十時三十七分開会   —————————————   委員の異動 本日委員大泉寛三君辞任につき、その 補欠として郡祐一君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     武藤 常介君    理事            赤間 文三君            剱木 亨弘君            中田 吉雄君            牛田  寛君    委員            川上 為治君            大泉 寛三君            岸田 幸雄君            小林 英三君            高橋進太郎君            吉武 恵市君            阿部 竹松君            近藤 信一君            吉田 法晴君            田畑 金光君   国務大臣    国 務 大 臣 川島正次郎君   政府委員    北海道開発政務    次官      田中 正巳君    北海道開発庁総    務監理官    木村 三男君    通商産業政務次    官       森   清君    中小企業庁長官 大堀  弘君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠互選の件 ○商工組合中央金庫法等の一部を改正  する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○中小企業信用保険法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○北海道地下資源開発株式会社法の一  部を改正する法律案内閣提出)   —————————————
  2. 武藤常介

    委員長武藤常介君) これより商工委員会を開会いたします。  本日は、理事辞任及び補欠互選についてお諮りいたしました後、北海道地下資源開発株式会社法の一部改正案について説明を聴取し、商工組合中央金庫法等の一部改正案及び中小企業信用保険法の一部改正案について質疑を行なうことにいたします。   —————————————
  3. 武藤常介

    委員長武藤常介君) それでは、まず理事辞任に関しお諮りいたします。理事川上為治君が都合により理事辞任いたしたい旨の申し出がございました。右、申し出のとおり辞任を許可することに御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 御異議はないと認めます。よって辞任を許可することに決しました。  つきましては、直ちに理事補欠を互選いたしたいと存じますが、先例により成規の手続を省略いたし、委員長の指名に御一任を願いたいと存じますが、御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 御異議はないと認めます。  それでは、理事赤間文三君を指名いたします。   —————————————
  6. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 議事の都合により、次に、商工組合中央金庫法等の一部を改正する法律案中小企業信用保険法の一部を改正する法律案、以上二案を便宜一括して議題といたします。  質疑を行ないたいと存じます。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 近藤信一

    近藤信一君 先回の委員会で両案の内容説明をお聞きいたしまして、その中で資本金増加の問題についてひとつお尋ねしたいと思うのですが、商工中金に今度は二十億円と、それから保険公庫のほうに二十五億円、いずれも資本金増加があるわけなんです。そこで、商工中金へは産業投資特別会計から二十億、それから保険公庫へは一般会計から二十五億円と、こういうふうな出資ということになるわけなんです。そこで出場所が違っておるわけですね。なぜこの出場所がこんな工合に違っておるのはどうか、それからそういう二つの形の効果は、どんな違いが一体そこに生じてくるのか、この点まずお尋ねいたします。
  8. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) お尋ねの点でございますが、実は保険公庫に昨年も二十億融資、基金の出資がございましたわけでございます。この場合は産業投資特別会計から出資をいたしたわけでございまして、商工中金の場合は従来とも産投会計でやっております。保険公庫に対して今回一般会計から出資になりました点について、理論的に絶対にこれでなければならぬとかいう理由はございませんで、便宜一般会計から出資になったという理由でございまして、実質的には何ら差異はない、かように考えておるような次第であります。
  9. 近藤信一

    近藤信一君 今の御答弁によりますると、昨年は保険公庫のほうは、産業投資特別会計から出た、こういうことですね。今年一般会計から出ておりますが、なぜ昨年どおり産業投資特別会計のほうから、これが予算が取れなかったかのか。ことさらに一般会計から出さなかった理由は別にないと、こう今御答弁ですが、別になければ従来どおりでいいんじゃないか、こういうふうに私は感ずるのですけれども、この意何かあるように私は思うがいかがですか。
  10. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 実ははなはだこれは不統一で、どうもおかしいじゃないかという御指摘もあろうかと思いますが、三十三年は実は一般会計から出ておりまして、これは大蔵省の予算の編成の段階におきまして、この点は確かに不統一に相なっておるわけでございます。実質的にはいずれにしましても……産投からいきます場合も、やはり出資の形でございます。実情は何ら差はない。多少不統一の点は不体裁で申しわけないのでございますが、そういういきさつで本年度一般会計になったわけであります。
  11. 近藤信一

    近藤信一君 今の御説明からいきますると、あまりはっきりしないものがここにあるように思うのですけれども、やはりこれは従来一本化で産業投資のほうから出ておりますから、やはり今年も産業投資特別会計のほうから出されたほうが、私は妥当じゃないかというふうにも考えたわけなんですが、特別ここに何もないということになれば、結果的には同じだというふうな御答弁でございますから、それは了解するといたしまして、商工中金に対しまして政府出資を二十億円増加することによりまして、今後どのような効果考えておられるのか。またこの機会にたとえば中金の貸出金利引き下げをはかることなどが考えられているのかどうか、この点をお尋ねいたします。
  12. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 商工中金出資につきましては、かねてから私ども商工中金金利が高い、ことに同じ中小企業政府関係金融機関として、中小公庫と比べても商工中金のほうが金利平均三厘高くなっておりまして、これをできるだけ下げるように努力しよう。私ども常にそれを心がけて、これを下げる方法出資をふやして、その政府出資の場合は現在配当しないことになっておりますが、その利益で商工債券で集めました金の資金コスト平均いたしまして、できるだけ出資をふやして金利を下げていこうという方向で、従来とも努力して参っております。今後もまたその方針で参りたいと考えておるわけでございます。今回二十億の出資をいたしますにつきまして、私どもはもう少し大きく出資をして、ただいまの金利引き下げの線に持っていきたいと努力して参ったわけでございますが、二十億円ではそういった意味から申しますと、一般的に金利水準引き下げるまでの措置はとれないわけでございますが、当面長期貸出金利九分六厘くらいになっておりまして、短期九分三厘くらいでございますが、長期が特に高いものでございますので、この際は全体として金利水準引き下げるということではなく、金利のでこぼこを調整する意味において、長期金利を一厘だけこれによって引き下げたい、かように考えておるわけでございます。
  13. 近藤信一

    近藤信一君 そこで元来組織の強化ということは、中小企業対策の最重要なものとされておるわけなんです。組合に貸すところの商工中金の利率が高いのは、大きな矛盾であると思うのです。中小企業金融公庫や、国民金融公庫貸出金利と比較いたしますると、今でも商工中金金利は安いとは言えないわけです。ことに組合から転貸を受ける組合員実質金利は、相当に高いのではないかと私は思うのですが、この点いかがですか。
  14. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 中小公庫の場合は、これは全額政府出資でございまして、割合金利の面も資金コストからみまして安くなっておるわけでございます。商工中金の場合は、これは民間組合金融であり、自主的に組合人たち出資をして、そうして作っておる半官半民でございますけれども、自主的な機関ということになっておりまして、その意味預金も受けておりますし、一般市中の金を商工中金債発行いたしまして、金を集めておる、調達いたしておる、政府は補完的にこれに出資をし、あるいは財政投融資資金を援助してやっておる、こういう形になりまして、資金コストの面からいきますと、どうしても商工中金のほうが現状は多少苦しいといいますか、高く相なっております結果、貸付の面でもただいま申し上げましたように、中小公庫では人体平均九分でございますが、商工中金は総平均九分三厘になっておりまして、多少高くなっておりまして、われわれとしては御指摘のように、確かにこれは組合金融でございますから、これをできるだけ低くするというほうに努力しなければならぬと思っております。ただ現実的にそういった事態がございまして、しかも民間出資もございますので、コストを割るというわけにもいきませんので、できるだけ出資をふやして、コストを下げて安くするという努力をいたしておるわけでございます。
  15. 近藤信一

    近藤信一君 御答弁がございましたように、いわゆる商工中金のほうは個人に貸すのではなくして、やはり組合に貸し出しをするわけなんです。組合はそれをまた個人に貸し出しする、そこでどうしても組合自身が若干の利ざやをとるわけなんですね。そうすると、実質的には個人が借りる場合には、相当高い金利ということに私はなってくると思う。これは将来やはり金利引き下げていくということでございますならば、ここでやはり中小企業、ことに商工中金から金を借りようとして組合に入っておられる人は、中でなくして私は小企業が多いのではないかというふうにもまた考えるわけなんです。そうすると、やはり小企業に対する何といいますか、金利的な面をもう少し考えてもいいんじゃないかというふうに私思うのですが、この点いかがです。
  16. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 御指摘のとおりに私ども考えておりまして、やはりこの点はさらに商工中金貸出金利引き下げ方向に最大限の努力をいたしたいと思います。御指摘のとおりに考えております。
  17. 近藤信一

    近藤信一君 商工中金に対して政府出資増加する機会に、民間出資増加する考えであるのかどうか。三十七年度中に民間出資幾らぐらい増加される見通しであるか、この点、見通しについて御答弁を願います。
  18. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) ついでにちょっと資本金関係を申し上げますが、今回の二十億政府出資いたしますと、政府出資が七十七億に相なります。民間出資は今日までは三十三億でございますが、この二月に十億円の増資をいたしまして、これで四十三億、三月末に相なるわけでございます。来年度はかなり、民間から八億程度増資をしていきたいという計画を持っておるわけでございます。
  19. 近藤信一

    近藤信一君 政府出資より民間出資はこうまだ下回っておるのですね。これは先ほど長官も言われましたように、商工中金半官半民というより、やはり民間出資で本来ならばいくべきものである、それがまあ政府より民間出資が少ないというこの一体原因というものはどういうところにあるのか、この意お尋ねします。
  20. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) この点は私ども実は悩みの問題でございますが、やはりできるだけ民間の自主的な機関でございますから、民間出資をふやしていくということが必要だと考えておるわけでありますが、ただ現実的には出資をする相手方は、商工中金組合金融でございまして、組合員出資をするという形になっておりまして、大体が中小企業者でございますので、なかなか増資をするということが、現実的に非常に骨が折れるわけでございます。私どもとしては先ほど申し上げましたように、資金コストを減らす意味で、できるだけ政府出資もふやしてコスト引き下げに役立てたい、しかし民間のほうがそれに追いついて同じような調子で増資をしていくということがなかなか困難な実情がございます。その辺なかなか苦しんでおりますが、できるだけ皆さん努力をしていただきまして、民間出資もぼつぼつふやしていく、こういうふうな現状でございます。
  21. 田畑金光

    田畑金光君 関連して。ちょっと今の点、長官の御説明で、民間出資が現在三十二億、三月末には十億増で四十三億になるというようなお話でしたが、組合出資についてその内容をもっと、たとえばいろいろな組合がありますが、どういう組合が三十三億のうちどれくらい出しておるということもおわかりだと思いますが、ちょっと説明願いたいと思うのです。
  22. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 商工組合中央金庫構成は、組合員口数一口幾らという口数を持っております。やはり組合制度建前上あまりたくさん口数を持てないという建前でございます。持株数限度がございますので、かなり多数の方からその口数に応じての増資になりますので、何といいますか、相当多数の方に少しずつ出していただくという格好になります、大体の場合に。ちょっと数字を持っておりませんが。  したがって大口持ち株の人というのは、非常に大きく持っているという方はございません。かなり多数の方が口数をたくさん持っているということになります。
  23. 田畑金光

    田畑金光君 今の組合員商工中金構成員である、たとえば中小企業協同組合とか、商工組合商工組合連合会とか、いろいろありますのですが、こういう組合別出資というのは、大よそおわかりだと、こう思うのですが、それを私お尋ねしているわけです。
  24. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 現在所属組合数が三十六年十二月末で一万三千八百七十一でございます。組合持ち株といたしましては、出資一口、金額が百円でございますが、五万程度が大体の限度になっております。五万程度が最高ということになっておるわけでございます、多少これは小さい例外がございますが。
  25. 田畑金光

    田畑金光君 今度たとえば貿易輸出入組合商工中金構成団体になってくるわけですね。そういうような場合にこういう新しい構成団体なり組合というものに対して、出資の持ち分といいますか、それはどういうことになってくるわけですか。
  26. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 従来、新しく入る方には現在持っておられる方の持ち株話し合いによりまして譲っていただくようにする、こういうことであっせんいたしまして持っていただく、増資する際等は、皆さん持ち株に応じて増資していく、こういうことで、何といいますか、新しく増資をして、その増資した分を新しい方に楽に持てるようにしたらという意見もございましたが、技術的に非常にむずかしゅうございますので、現実的には、現在持っておられる方の持ち株を譲っていただく、そちらのほうに譲っていただく、こういうことであっせんしております。
  27. 近藤信一

    近藤信一君 そこで、私は今中小企業の諸君は銀行への預金は相当なされていると思う。本来ならばこれは民間団体であるから、もう少しその中小企業のほうから商工中金への出資、こういうものが当然なされてもしかるべきだというふうに、こういうふうに考えるのだが、それが今御答弁にありましたように、なかなかうまくいかない。一体この欠陥はどこにあるのか、この点おわかりであるならば御答弁願いたいと思います。
  28. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 何といいましても、出資になりますと、どうしても御承知のように固定されるわけでございますから、金利配当は大体五分になっておるわけでございますが、預金金利に比較して低いというわけではございませんが、資金が固定してしまう、預金でありますればまた必要なときには使えるということもあろうかと思いますが、とにかく現実的には、私どもはできるだけ出資をふやすように努力をいたしております。商工中金でも努力はしておられるようですけれども、現実的には、増資をするということに非常に骨を折っておるというのが現状でございます。もちろん、まあそれでも努力は重ねていかなければならぬものと思っております。
  29. 近藤信一

    近藤信一君 まあ配当が安いということで出資がなかなかないというふうな御答弁ですが、何か、これは改善するような方法はないですか。
  30. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 私どもいろいろ検討いたしておりますが、なかなかうまい案もございません。まあ、たとえば心理的には商中は政府機関じゃないかというふうな気持も多少あるじゃ、ないかと思われるのでありますけれども、しかし、これはせっかく民間の自主的な機関としてやっておられるわけでありますから、私どもはその線をできるだけ伸ばすように努めなければならない。政府出資は、もちろん、資金コストを下げる意味において、われわれとしてもできるだけふやしていきたいと思っておりますが、民間出資もやはり同時に努めて増額をしなければならぬように努めなければならぬと、実は名案もございませんので、さらによく勉強させていただきたいと、かように思っておるわけであります。
  31. 近藤信一

    近藤信一君 商工債券市中消化に関しまして、最近の実情というものはどういう工合いになっておりますか。この点、お尋ねします。
  32. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 実は、金融情勢が逼迫しましてから、商工債券売れ行き一般金融債公庫金融債と同様に非常に伸びが悪くなっております。ことに、現在やっておりますのは利付債割引債との二種類を出しておりますが、利付債のほうはここにちょっと年度別の実績が出ておりませんが、三一六年の一月から十二月までをとってみますと、利付債については、発行額が百九十億ございますが、これは借りかえもございますので、純増としては百二十三億、利付債はこの十二カ月間に純増いたしております。これに対して割引債は、発行額が四百二十億、これはまあ短期に借りかえていきますので、純増といたしましては……三十六億実はマイナスになっておるわけでございます。これは借りかえ借りかえでいきますから、前年度に比べますと三十六億減ということになっておるのが現状でございまして、まあ両方合わせまして八十六億の純増になっておりますが、予想しましたよりは非常に低いわけでございまして、結局、まあことに、この割引債の場合の売れ行きの悪いのは、一般市中に売っておりますのは多少でもふえておるわけでございますが、この金融機関に委託をしてやっております分については非常に減っておりまして、これが七十五億減になっております。結局、まあ金詰まりのために、そういったところが発行に応じられないという格好に、証券会社等でございますが、そういった形で金詰まりの影響が端的に出まして、実はこの穴埋めに非常に苦労をして、昨年来、財政投融資資金も大幅に、これは三公庫を合わせまして五百六十億追加をいたしまして、そういった措置でカバーをいたしておりますが、商工債券としては現状は非常に売れ行きが悪いわけでございます。こういう実情でございます。
  33. 近藤信一

    近藤信一君 今度、商工債券を所有する者に商工債券担保として金を貸してもよいということにするわけですが、商工債券一般の人にもっと多く買ってもらいたいということで、そのようになるのか、現状ではこういう人たち商工債券をどのくらい消化しているのか、また今度商工債券担保で貸し出せることにすれば、この人たち債券消化というものは、一体どのくらい増加していくだろうかというふうな見込みを立てておられるわけだと思うのですが、この債券消化見込みは、一体どれくらいの見込みを立てておられますか、この点お尋ねします。
  34. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 御指摘のように法案の趣旨は、一般の方が——金融機関ではなくて一般の方に商中値消化していただこうというのがねらいでございまして、商工債を持った場合に、いざ金が要るときは、それを揖保にして、短期ではございますけれども、あるいは限度はございますけれども、ある程度の金を借りられるようにするという制度を作りまして、一般消化を促進しようというのが、この改正案のねらいでございますが、目標につきましては、現状では割引債券では金融機関で売っておりますものが、三十五年度で七一五億、直接の売り出しが二十億、三十六年度見込みでは金融機関年度間……四月から三月の年度としましては、おそらく百億以上のマイナスが、純減が出るのじゃないかと思っておりますが、一般売り出しのほうは、今日でも窓口で相当努力いたしまして、三十六億ぐらいはふえるのじゃないか、こういうふうな見込みを出しておるわけであります。計画といいますか、できるだけ努力するということでやっておりますが、来年度一般割引債は四十二億まで上げたい、こういう目標を持っております。
  35. 近藤信一

    近藤信一君 来年度は四十二億を見込んでおられる、こういうわけですが、非常に今、御承知のような金詰まりで、昨年の暮以来、中小企業は追い込まれている。そこでまあ三月危機とか四月危機なんということが盛んに新聞でも言われているわけでありますが、ここで四十二億の見込みを立てておられて、一般債券消化が、それだけの伸びでできるかどうか、この点あなた四十二億、これは絶対今までの伸びからいきますと間違いがないと——昨年のあれを見ますと、だいぶ少ないわけなんですけれども、この点確信ありますか。
  36. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) まあこれはなかなか金詰まりの状態でございますから、一般の場合といえども、決して容易ではないと考えておりますが、しかし私ども督励をして、商工中金でも各支店窓口等において非常に努力して、これはまあ中小企業者だけでなく、相当大きな企業の場合も準備的に金を持つ、証券を持つという場合もございますので、大会社話し合いによって自分の関係系列会社が多少金融を受けているというケースもございますので、そういうときは相当大口として債券を持とうというような場合も最近ございますので、そういった各般の努力をいたしまして、私どもは今度の新しい制度ができれば、何とかこれくらいは達成できるのじゃないかと思っているわけであります。
  37. 近藤信一

    近藤信一君 今回商工債券所有者に対しまして、債券担保とする短期貸付の道を開いているわけですが、商工債券所有者範囲、それから短期貸付期間貸付額、これらについてどのようにきめられる考えであるのか、この点お尋ねします。
  38. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 商工中金は、本来系統金融組合金融でございますから、この規定にありますのは組合員外の方で証券を持ってくれた方に短期貸付一定限度においてやろうという趣旨でございますので、系統金融を乱さない、しかも余裕金範囲余裕金運用としての貸付でございますから、一般貸付に対して妨げにならないという考え方制度考えておりますが、商工債券範囲内としては、原則として割引債にするという考え方でございます。  対象といたしましては、金融機関その他の機関投資家は除外して、一般の方、そういった金融機関的な方は除いて一般の方を対象にするということでございます。  担保にして金を借ります場合、担保としての適正な掛目を設定いたします。まあ八割程度掛目で、商工債券でございますから担保としては非常に確実でございます。そういう扱いをいたしたいと思います。  それから期間につきましては、余裕金運用でございますから、通常三カ月以内ぐらいの短期貸付にして、一人当たりの貸付限度は百万円程度以内に抑えたい。しかも余裕金運用という意味で、余裕金一定割合以下、大体四、五%程度にとどめたいと思っておりますが、その範囲において運用したい、かように考えておるわけでございます。
  39. 近藤信一

    近藤信一君 そこで商工債券所有者に対して債券担保貸付の道を開いたことは、結局員外者に対する貸付となる、こういうふうに思うのですが、商工中金中小企業組合系統金融機関であるという性格に反することにはならないかどうか、その点の考えを伺います。
  40. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 先ほど申し上げましたように、金車の余裕金運用範囲内において認めるということで、余裕金金融機関でございますから常時ある程度持っていなければならない。これは結局現在の資金のうちから貸付に回す分を差し引いたもとになる余裕金として持っておるものでございます。現在は国債を買ったり、銀行預金をしたり、コールローンに回したり、そういった運用をしておるわけでございますが、その一部をただいま申しましたように商工債券担保貸付に回す、こういうことでございまして、系統金融機関としての一般の貸し出しに対して、資金の量からいいまして、余裕金範囲内においてやるわけですから、そのほうの妨げにはならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  41. 近藤信一

    近藤信一君 員外者には余裕金範囲内でということですけれども金詰まりの折から殺到した場合には、余裕金がないからだめだ、こういうことになると思うのですが、その場合どういうお考えですか。
  42. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 私どもとしまして、余裕金運用範囲内であり、かつ、先ほど申し上げましたように金額の面でも期間の面でも制限をいたしますので、そういった事態になることはあるまいと考えておりますが、万一そういった事態がありましても、この原則はくずさないで、この範囲内で運用いたしたいと考えております。
  43. 近藤信一

    近藤信一君 余裕金がないから、これにはもうこれ以上貸し出すことはできないのだ、こういうことで、せっかく申し入れのあるやつを拒否しなければならない、こういう結果になるわけですか。
  44. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) まずこの貸付条件をしぼっておりますから。特に手元資金が非常に逼迫して、短期間つなぎたいというような場合に利用されるわけでございますので、この程度見込みで、しかも余裕金は相当大きく持っておりますから、多少出入りがありましても、コールローンに回す金をそちらに回すとか、そういった融通もできますので、そう支障なく運用できるのじゃないかと考えております。
  45. 近藤信一

    近藤信一君 一方で、商工中金余裕金運用方法として、銀行だけでなく、その他の金融機関へも預金できるようになるわけですけれども預金先を格上げしていることは、これは最近商工中金余裕金増加しているからとでもいう理由で、あなたのほうはこういうふうなことをもくろまれたのか、それとも他の理由から預金先を拡大したのであるか。また、この銀行以外の金融機関とはどのようなところを考えているのか、この点お尋ねします。
  46. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 現在の規定によりますと、預金先としては、主務大臣の認可を受けた銀行ということになっているわけでございます。銀行となっておりますので、一般の都市銀行あるいは地方銀行、中小企業専門金融機関としては相互銀行までは銀行と呼んでいるのでございます。中小企業専門金融機関として信用金庫、信用協同組合、この二つが同じ金融業務をやっておりますけれども、銀行という何に入りませんものですから、そこで信用金庫も相当最近大きな……十年もたちましたので相当育って参りました。また、信用協同組合も相当力が出て参っておりますが、こういったものをやはりその他の銀行と同様に預金ができるようにしませんと、常時実際上は代理貸付その他では使っているわけでございますから、これを加える意味で、この点を銀行以外の金融機関と広くいたしまして、この二つを入れるのが目的でございます。
  47. 近藤信一

    近藤信一君 銀行とは、認可を受けた銀行で、相互銀行程度までということで御答弁ですが、相互銀行は、僕もいろいろと相互銀行で借りたことがあるのですが、非常に高利貸以上のひどいところもあるわけなんです。そういう銀行で、認可を受けている銀行だからといって、何もかにも相互銀行ということになると、相互銀行なんかよりもっと信用のおける信用金庫なんかもまだあると思うのです。そういう点は、私は認可を受けた銀行だからといって、相互銀行を全般的に信用できるとは考えられないのですが、この点いかがですか。
  48. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 御指摘のように、相互銀行でも非常に体質のいいところと弱いところと、現実にたくさんございますが、差がございます。信用金津につきましても、非常に地方銀行に近いようなりっぱなものがございます。やはり地方に参りましては弱い信用金庫もあるわけでございます。制度といたしましては、相互銀行も信用金庫も少なくとも同等に考えて差しつかえない、かように考えまして、ここまで広げたいというのが提案の趣旨でございます。御指摘のとおり、やはり相互銀行等で、はなはだ批判の多い銀行も私ども耳にしておりますので、十分その点は今後、これは大蔵省の監督に属しておりますが、私どもも十分責任を持っておりますので、相談いたしまして善処して参りたいと考えております。
  49. 近藤信一

    近藤信一君 私はできれば認可を受けた銀行でなくて、やはり信用のおける銀行、そういうことでなければ相互銀行もピンからキリまであって、私どもが非常に信用のできない相互銀行も地方に行くと幾らでもあると思うんです。そういう点を私はもう少し考えて、そして利潤本位に、またそうして商利貸し以上のようなあくどい相互銀行、私も一ぺんそういう銀行と交渉したことがあるのですけれども、そういう点を十分私は考えなきゃならぬじゃないかと思うんです。この点いかがですか。
  50. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 主務大臣の認可にかけておりますので、認可の際に十分注意して参りたいと思っております。従来も、相互銀行も全部は認可されておりません。信用金庫についても、やはり内容を審査いたしまして、差しつかえないと認められるものを認めておるわけでございます。今後もそういうような趣旨で、御趣旨に沿うように努力して参りたいと思います。
  51. 近藤信一

    近藤信一君 商工中金の所属資格団体に輸出組合等が追加されることになるわけですが、輸出組合構成員の中に大商社が加盟しているところもあります。それからそのような場合、結果的には商工中金から大商社に対して融資が行なわれることにならないかどうか、この点いかがですか。
  52. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 現在輸出組合が三十三できておりますが、商工中金に所属する資格のある組合と申しますと、結局組合員の三分の二以上が常時三十人以下の従業員を使用するもの、という一般的な運用の基準によって制限されますので、これに三分の二以上が、つまり中小企業といいますか、三十人以下の事業ですから、そういった組合に限るということになっておりますが、それでいきますと、三十三のうち十五組合が資格がある。大企業が大部分ないし半分程度占めておりますものは、これは貸付対象組合として脱落するわけでございます。その点が一点でございます。  それから個々の組合員につきましては、商工中金法の貸し出しの運用の基準がございまして、これによって大企業には金が貸せないように現在なっております。かりに大企業がございましても、そのほうには貸付が回らない、こういうことになるわけでございます。
  53. 近藤信一

    近藤信一君 その資格のあるのは十五組合ですか、この十五組合が資格があって、大商社に対しては貸し出しができない、こういうことですが、大商社でも、たとえば商工組合に加盟しておれば、これは資格があるんじゃないかと私は思うんですが、資格があっても大商社には貸せないという何か規定があるのですか。
  54. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) この点につきましては、現在の協同組合の、あるいは商工組合の場合でございますね、この場合でも、大企業も入り得ることになっているわけです。しかしながら、その大企業に対しては貸付をしないという、これは商工中金の部内の運営の通達が出ております。それによって押さえております。したがって輸出組合の場合も同様な扱いでいく、こういうことに考えておるわけであります。
  55. 近藤信一

    近藤信一君 商工中金の所属資格団体に、貿易関係組合、これを追加しているわけなんです。そのうちで、現存しない輸入組合を加えているようにも思うのですが、なぜ輸入組合を加えたのか、この点いかがです。
  56. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 御指摘のように、現在、輸入組合は一つもできておりませんが、まあ貿易が自由化された場合に、やはり中小企業者が集まって、原材量を買い付けるために特別の輸入組合を作るということも考えられますので、政府としては異存がございませんが、一応この際一緒に入れていくことが適当ではないかと考えて、それを予想して入れたのであります。
  57. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 川島長官が出席されましたので、本案の質疑は、一時中断いたします。   —————————————
  58. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 次に、北海道地下資源開発株式会社法の一部を改正する法律案を議題とし、提案の理由説明を聴取いたします。川島北海道開発庁長官
  59. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) 今回提出いたしました北海道地下資源開発株式会社法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨について御説明申し上げます。  北海道地下資源開発株式会社は、全国の他の地域に比べて遅滞しております北海道の地下資源開発を急速かつ合理的に促進するために、探鉱事業を主目的とする特殊会社として、昭和三十三年八月に設立されまして、逐次その成果を上げつつあります。  しかしながら、会社設立当初の見込みに反しまして、鉱業、特に石炭鉱業における探鉱活動の伸びなやみ等により会社の受注事業量に不足を来たし、探鉱機能の効率的運用をはかることが困難となり、会社の収支は年々赤字を重ね、昭和三十五年度末には、設立以来の累積赤字は約一億四千二百万円に達するに至りました。このまま推移すれば、会社設立の目的である北海道の地下資源開発の推進に寄与し得ないこととなる次第でありますので、この際会社の行ない得る事業の範囲改正し、事業量の増大、探鉱機能の効率的運用をはかり、もって経営を安定せしめて会社設立の目的をよりよく達成せしめんとする次第であります。  以上がこの法律案を提出する理由でありますが、次にその要旨について御説明申し上げます。  今回の改正は、第八条第二項を改めて、従たる事業として、主たる事業の円滑な遂行に支障のない範囲内において主務大臣の認可のもとに従来の機械貸付事業のほか、北海道以外の地域における受託探鉱、北海道内外における地質調査事業等を行ない得るようにしたことであります。  以上がこの法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  60. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 本案の質疑は、都合により次回に譲りたいと存じますが、この際、特に御発言があればお願いいたします。——別に御発言もなければ、本案の審議は、本日はこの程度にとどめます。   —————————————
  61. 武藤常介

    委員長武藤常介君) それでは再び商工組合中央金庫法等の一部を改正する法律案中小企業信用保険法の一部を改正する法律案、以上二案を一括議題として質疑を継続いたします。
  62. 近藤信一

    近藤信一君 輸入組合商工中金へ加入しようとしておるのは、どれくらいあるのですか。
  63. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 輸入組合は一つもまだできておりませんので、現在のところはまだ加入する見込みがございません。
  64. 近藤信一

    近藤信一君 現在ないわけですか、輸入組合は。
  65. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 輸入組合は、まだ一つもないわけです、現状では。ただ、先ほど申し上げましたように、貿易自由化に伴って今後結成される見込みがございますので、この際私どものねらいは主として輸出組合に中心を置いておりますが、制度としてやはり輸入組合及び輸出入組合を、この際加えておくほうがよろしいのじゃないかということが言えるわけであります。
  66. 近藤信一

    近藤信一君 と、現在は一つもないが、これから輸入組合ができるということですか。
  67. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 貿易が自由化されました場合に、やはり同業者が輸入秩序を保つ意味において、あるいは協同的に輸入する意味において、私どももやはり中小企業者が共同で原材料を入れるという場合に、輸入組合を結成したいという場合も予想されますので、そういう意味で今回まあ輸出組合を入れます機会に、これも入れておくほうが至当ではないかと考えまして、法的に入れることにいたしたわけであります。ねらいは主として輸出組合にあるのであります。
  68. 近藤信一

    近藤信一君 今後輸入組合ができる場合のことですが、これは大企業と中小とがあるわけなんですね。輸入組合をこれからこしらえるとする場合には、やはり中小の商社、それから大商社と、こういう工合にあるから、やはりそういう場合に、大も小も混合しての組合なのか、それとも小商社、大商社というふうに分けての組合の組織、こういうふうな何か指導性というふうなものを考えておられるのですか。
  69. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) これは私ども、直接の組合の結成につきましては、通商局に相なりますが、私ども考え方としましては、輸入組合は、やはり大企業中小企業も一緒に入っている場合も多いかと思います。戦前にもございました輸入組合、そういうものがかりにできますと、大きなところも小さなところも入っておる場合がありますが、必要のあります場合には、中小企業だけ寄って協同的に自分らの必要とするものだけを入れるという場合も考えられるわけでございます。いずれの場合にいたしましても、先ほど輸出組合について申し上げたとおり大企業がたくさん占めておる場合は、せっかく法律上は適用はいたしましても、商工中金貸付対象にはならない、三分の二以上が中小企業者でなければ適用にならないわけでございまして、また個々につきましても、大企業には、先ほど申し上げました運用基準によりまして貸付対象にいたさないことになっておりますから、中小企業だけに金が流れるようにいたしたいと考えております。
  70. 近藤信一

    近藤信一君 まあ輸出組合にいたしましても、大商社に中小商社が圧迫されておる点が相当あると思うのです。だから将来やはり、こういうものができるとするならば、やはり中小商社が大商社からあまり圧迫を受けないように、そういうような配慮をして私は指導すべきじゃないかというふうに思うのです。そういう点をひとつ十分お考えになって、あまり大商社から圧迫を受けないように、この輸入組合が組織される場合には、よくひとつあなたのほうでも指導をやっていただきたいと、かように私思うのです。  以上で商工中金のほうを終わりまして、中小企業信用保険公庫関係につきまして若干お尋ねいたしますが、中小企業信用保険公庫の原資については、先ほどの御説明から参りまして二十五億円よりも、もっと多く要求したように聞いているわけなんですが、それが要求額の三分の一以下の二十五億円だけしか認められていない。これでは小零細企業を相手とする信用保証や、その再保険に不足することはないかどうか。さらに二十五億円だけで三十七年度は差しつかえないものかどうか、この点どのように考えておられますか。
  71. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 御指摘のように、私どもも、これはできるだけ基金を増額したいというつもりで折衝して参りました。また今後も相当大幅にふやしていくように努力をいたしたいと考えておるわけでありますが、予算関係で、本年度は二十五億円程度でということに結論として相なりましたわけでございますが、これによりまして、一つは保証協会に御承知のように保険公庫から貸付をいたしまして、低利の貸付で、それを運用して、保証協会がそれをまた銀行に預け、保証契約拡大に資して参りますし、同時に低利の金をもらって、差額でもって保証協会のコストのカバーに充てるわけでありますが、そういった意味で二十五億円によりましても、相当改善はできるのじゃないかと考えておるわけであります。保証額からいいますと、三十六年度の保証承諾額の見込みは二千二百億円ぐらいにこれでなっておりますが、来年度は本出資を増額いたしまして二千八百億程度まで保証承諾類をふやすように考えておりまして、同時に小口保証制度、これは一応なんといいますか小口保証制度で、低料率の保証制度を新しく設ける、それから第二種包括保険の保証料率をごくわずかでございますが、この限度で多少引き下げるということを来年度計画いたしておるわけであります。
  72. 近藤信一

    近藤信一君 御努力はされたのだけれども、結果的には二十五億円というふうになったわけなんで、今、地方でも融資をしていただく場合、保証協会のほうの保証がなければ、なかなかおいそれとはむずかしい。保証協会のほうは、あまり金がないのにめちゃくちゃに保証するわけにもいかない、こういうことで、この保証のなんというか、実にきびしい点が往々にしてあるわけですね。  こういう点、私はもう少し大胆に中小企業庁としては、保険公庫の基金をもう少し盛ることに努力を払わなければならぬのじゃないか、こういうふうに考えるのです。努力されたけれども、結果的にはこれだけだった、こういうことですが、私はそれでは実際ほんとうに安心して保証協会のほうで保証するということは、なかなかむずかしいというふうに思うのですが、この点いかがですか。
  73. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) お話のように多々ますます弁ずで、多いほうがわれわれもよろしいと思っておりますが、しかし、まあ保証協会が、現実になかなか保証に応じない場合もあろうかと思います。これは個々のケースで、いろいろなケースがあるようでございます。私どもとしましては、融資資金が不十分だから保証契約をこれで押えるのだという問題は現在もございませんし、まず来年度もそういうことはないんじゃないかと考えております。個々に保証いたしますにしても、やはり無条件で何もかもというわけに参りませんので、個々には問題になるケースがあろうと思います。まあそういうことのないように指導いたして参りたいと考えております。
  74. 小林英三

    ○小林英三君 ちょっと関連質問……。今の御質問になりました中に、私は関連してお伺いしたいのは、信用保証公庫資金源百二十何億ですか、その資金源に対して、各地の五十二カ所の信用保証協会に対していわゆる再保険をする、その大体利子というものは、公庫のほうで、おおむねきめてあるものですか。  それからもう一つ、今まで全国の五十二の保証協会が保証しますですね、そのときに貸し倒れた。したがって、公庫が一応弁償してやった、再保険によって。全国の大体中小企業がそれを返せないというような場合の貸し倒れした件数並びに総額ですね。それは今までの総額がおわかりにならなければ、過去一年なら一年、どのくらいあったものかどうか。  それからもう一つは、そういうような貸し倒れした場合に、各地の保証協会というものは、その貸し倒れた債権に対して従来どういうふうな処置をとっておったか、払えなかったから金融機関に対しては、代弁して保証してやればいいということでございましょうが、その際に保証協会自身としては、直接にその中小企業に対して債権をいかようにして留保しておったか、どういう方法で留保しておったかというようなことがわかりましたら、ひとつ関連して。
  75. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 第一の点は、保証協会が保証をいたしました場合に、信用保険公庫が再保険に応ずる、この応じ方がどうなっているかというお尋ねかと思いますが、現在保証協会と保険公庫と契約をいたしておりまいたして、現在第一種包括保険、第二種包括保険、包括契約をいたしまして、保証協会が保証いたしました場合には、当然に保険公庫のほうへ再保険する、こういう形になっておりますので、再保険の、つまり包括保険契約をしておりますものにつきましては、全部保険公庫へまあ回ってくる、こういうことになっております。それで最初の御質問の点……。
  76. 小林英三

    ○小林英三君 今私は、先ほどの御質問に対してあれしましたのは、それはつまり資金源というものが、公庫が持っておりますね、私はこの間伺うと百二十何億とかというお話ですけれども、それに対してどのくらいな割合で保証をするつもりでいるのかということの、大体の割合を聞いているのです。
  77. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 融資基金を保険公庫が持ちますと、融資基金を各保証協会に貸し付けいたしますが、その場合に保証協会がそれをまあ銀行預託をして、銀行を勧誘して、結局貸付をやらせて保証契約をやっているという、こういう形になっておりますが、大体まあ私どもの今日までの経験から申しまして五・五倍ぐらいに運用される、五・五倍に保証契約がふえていく、こういうふうな見当をつけております。
  78. 小林英三

    ○小林英三君 そうすると、何ですか、大体資金源の五・五倍くらいまでは保証するというつもりで公庫は再保険をやっておられるわけですか。
  79. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) さように考えております。  それから、第二の問題につきまして、実は金額と件数というお尋ねでございますが、ちょっと今数字を……。
  80. 小林英三

    ○小林英三君 今わからなければこの次に。
  81. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 大体私ども事故率が二%という計算を、現在のところ大体、そういう見当をつけております。  それから、第三の回収の問題につきましては、保証義務、責務を果たしてそれ以後当該の被保証者に対して回収をやっておるわけでございます。回収について、これもちょっと、回収率がどのくらいになっておりますか、数字を今ちょっと持っておりませんが、回収率は、大体六〇%程度になっておりますが……。
  82. 小林英三

    ○小林英三君 いや私は回収の率じゃなくて、どういう方法で倒れた債権を留保しておられるかということです。
  83. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) この点につきましては、保証します場合に担保を取るか取らぬかという問題がございまして、毎国会でいろいろ御意見を承っておりますが、保証協会の性質から見て、できるだけ担保を無理に取らぬようにしろという御意見が非常にお強いし、私どもも、できるだけそういう趣旨に沿って行きたいと考えておりますが、やはり金融機関でございますし、ある程度の相当大きな保証をいたします場合等は、やはり担保を取らなければならぬということで、私どもいろいろ聞いてみましたところが、二番抵当、三番抵当等でも、一応物的担保を取っておる。しかし、まあ今回やります小口保証等については、そういった物的担保を取らないつもりでおりますが、そういった担保をやはり取っておりますから、できます場合は、担保権を行使して回収しておる場合もあろうかと思います。具体的事情は私ども実は承知しておりませんが、かなり回収事務が最近保険公庫についてもふえておりますが、回収には相当の努力もしておると思いますが、まあ性質上、運用の点については、あまり無理なこともできない場合もあろうかと思います。具体的にはちょっと私ども承知いたしておりません。
  84. 小林英三

    ○小林英三君 いや、今私は担保のついたやつはわかっております。担保をなるたけ取らないで貸してもらうことはけっこうだと思いますけれども担保を取らない場合の貸し倒れがあった場合に、どういうふうにしてその債権というものを保証協会が保留するのであろうかということを承っているのです。
  85. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 今回の小口保険制度が、実は物的担保を取らないということでやりたいと考えておるわけでございますが、その場合でもやはり人的保証は求めなければならぬと考えておるわけであります。したがいまして、人的保証でございますから、保証人がさらにかわって弁済をするという場合も出てこようかと思いますが、その限度において、債権の確保をするということに相なろうかと思います。
  86. 近藤信一

    近藤信一君 今小林委員担保のことを言っておられましたが、いわゆる担保がないから保証協会を頼むわけなんです。ところが保証協会では、おおむね担保を入れなければならぬということがしきりみたいになっておるわけなんです。そこでやはり、担保はどのくらいの割合で、保証協会が取る場合に、およそ今までやっておるのですか。
  87. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) これは保証協会の個々の運営は、実は県のほうに監督さしておりまして、私具体的に詳細を承知していないので申しわけないのですが、やはり先般も私が聞いてみましたところでは、限度の点は、やはり普通の場合と同じようにとっておるだろうと思いますけれども、通常の場合は、大体一番抵当、二番抵当入っているので、三番抵当、四番抵当と非常に順位の低い抵当をとって、それで一応保証するというようなやり方をしているのが一般の傾向のようでございまして、したがいまして、まあ債権保全という点からいえば十分ではございませんが、やはり無担保で貸すということは、なかなか大きな金額になりますと、保証協会としての金融機関の立場で責任が果たせないという意味で、やはりそういう形をとっておるようでございます。その点はかなり配慮をしてやっておるように考えておるわけでございます。
  88. 近藤信一

    近藤信一君 私どもときどき頼まれてお世話をするわけですが、そうしますと担保があるかと、こう言うのですね、保証協会で。担保があるなら何も保証を頼みにきやせぬよと話をするときがあるのですが、実際にそういう点が、これは県の保証協会がやるので、あなたのほうとは直接の関係はないかもしれませんけれども、その点は若干私はどうも納得のいかぬような気がするのですが、この点どうですか。
  89. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 御指摘のように、私ども担保力がないから、信用力がないから保証制度によって保証して、金融機関から金を借りるんだ、その保証に担保を要求するのはひどいじゃないかという点は御趣旨としてはごもっともなことだと思います。まあ私どもも、したがいまして今度の小口の場合は物的担保を取らないでやるようにいたしたいと考えておりますが、全体の金融機関としましては全国に五十三ございますけれども、やはりこれは自然発生的にできましたもので、いろいろ運用についても、必ずしも統一がとれておりませんし、また地方によっては非常に弱体な保証協会もございまして、そういった意味貸付条件等についても、いろいろケースがあろうかと思います。まあ私どもとしては、できるだけ信用補完という意味の機能を果たすように今後指導して参りたいと思いますし、多少保証協会に対して、今まで私ども直接十分な監督といいますか、検査をし指導するという努力が足りなかったように私も感じておりますので、特に今後力を入れて参りたいと思っております。
  90. 近藤信一

    近藤信一君 それから今度の法改正の中でですね、理事長が総裁という名称に変わるわけですが、これは過日小林委員も言っておられましたように、どういう理由でその名称変更がなされるのか、私ども考えてみますと、何となく総裁という文字には、保守的なような、また官僚的なにおいがするわけなんで、それをあえてするのは、一体その意図が奈辺にあるのか、それはやはり他の公庫が総裁ということになっておるから、それと同列にしようということか、もしそういうのであれば、そういう考え方自体が私は官僚的なような気がするわけです。それとも、まあ理事長が総裁になると、名前が変わるということで、報酬でもふえてくるのかどうか、また、一体理事長では不便であるから、総裁ということにしたほうが利便であるのか、その点がどうも私納得のいかない点であるのですが、これは一体どういうところに原因がございますか。
  91. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) この点につきましては、名称の変更だけでございまして、実質的な点については何ら変更はないわけでございます。私どもも確かに総裁というと、いかめしくて、何か官僚的になるという御心配の点もよくわかりますのでございますが、その点は十分今後注意して参りたいと思いますが、ただ、実は現在政府全額出資公庫と申しますのは八つございまして、国民金融公庫、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫中小企業金融公庫、北海道東北開発公庫、公営企業金融公庫、それにこの中小企業信用保険公庫と医療金融公庫と八つございますが、信用保険公庫と医療金融公庫以外は、全部総裁というような名称になっておりまして、今回医療金融公庫の方も総裁ということに改めるので、保険公庫一つだけ理事長ということになりますと、何かここだけちょっと軽いのじゃないかというような感じを持たれましてもまずいかと思いまして、それだけの、名称統一をするという意味だけでお願いしているわけでございまして、それ以外に格段の、格別の心持ちがあるわけではございません。よろしくお願いいたします。
  92. 近藤信一

    近藤信一君 おおむね金融関係は総裁が、日銀を初めとして、総裁という名称が多いわけなんです。あまり総裁がよけいできると、自民党の総裁の株が下がってしまう。かっては津道路公団の総裁が自動車でけがした場合に、岸総裁が自動車事故を起こしたといったら、自民党の岸総裁が自動車事故を起こしたようにも錯覚したことがあるわけですが、あまり総裁がよけいできてしまうと、まぎらわしい点が私は出てくるのではないか、かえって不便ではないかというふうに私は思うのですが、この点いかがですか。
  93. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) まあ、特に申し上げましたように、格段の意味はございませんから、ひとつ保険公庫もほかと同じように総裁とさしていただきたいということでお願いしているわけでございます。
  94. 近藤信一

    近藤信一君 中小企業信州保険法改正案で、小口保険の創設をはかっておられるわけですが、御承知のように、この前の国会で、信用保険の改正案が審議された際に、当委員会で、中小企業に対する民間の設備近代化融資を円滑にするため、現行制度に再検討を加える。要すれば新しい信用保険を創設するように、すみやかに処置すべきである、こういう附帯決議を全会一致でつけたのでございますが、今度の改正案には、この設備近代化保険ともいうべきものの新設が取り上げられていない、附帯決議の趣旨に沿って、新しい保険制度を作るお考えがあるのかどうか、まずこの点についてお伺いいたします。
  95. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 設備近代化保険の点につきましては、実は私どもも決議の御趣旨に沿って、何とかこれをを実現いたしたいと思いまして、昨年以来予算編成の時期まで、実は初めは保証協会の足並みと申しますか、能力が非常に違いますので、この保証の、大口保証の貸付限度というものが、最高は非常に高いものがありますが、大体個人七百万円限度、団体一千万円以下ということになっておりますが、低いところは非常に実態は低い情勢になっておりまして、それと、設備近代化保険をやります場合に、保険公庫がどういう立場で働くかということと調整をいたしまして、保証協会の方の保証限度は、大体同一の線に歩を持って参りましたのですが、そこで、設備近代化保険を保証協会の手の届かない上の方の部分、一千万円とか、二千万円とかという金額がたくさんあるわけでございますが、それに対する保険制度としてやりたいということで原案を作りまして、折衝いたしたわけでございます。ところがこの前ありました融資保険制度というのが、御承知のように金融制度調査会で廃止になりましたいきさつがございまして、これは結局、保険公庫が銀行に対して直接保証をいたしておったわけでございますが、銀行は逆選別をして質の悪いものだけを保険に回してくるということで、非常にロスが出た、損失が出たおけでございまして、それで金融制度調査会で一回、これが審議されてやめになりましたものですから、それとこの制度との関係ということもいろいろ論議になりまして、はなはだ申しわけないことでございますが、本年度は一応見送って、さらに一年間検討をしていこうということに相なった次第でございまして、私どもとしては、ぜひこれは今日の事態からいうと、相当大きな設備、中小企業の一千万、二千万といった設備についての保険制度というものは必要だと考えますので、さらに努力を続けまして実現の方向に持っていきたいと考えておる次第であります。
  96. 近藤信一

    近藤信一君 附帯決議が満場一致で可決されたときに、当時の通産大臣は、皆さんの御趣旨に沿うように努力しますと、こうごあいさつをされたわけですが、大臣がかわり、中小企業庁長官がかわってくると、この問題が少しも努力されていないというふうに私は受け取るわけですが、今御説明では、いろいろと努力考えてきたけれども、今度これが実現できなかったと、こういう御趣旨でございますが、やはり私は委員会で満場一致で決議したものは、何とかそれを実現さしていただきたい、こういうふうに考えておるわけなんで、ただ決議しっぱなしで、あと何もやらなくてもいいわいと、こういうことでは、何回どんな重要な決議をしても、その決議は少しも生きてこない。かえって死んでしまう。こういう結果になるんじゃないないかというふうに私は思うのです。この点将来、長官はどういうふうに考えておられるか。
  97. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 私ども、これはぜひ実現しなきゃならぬと考えております。今回は、はなはだ力足らずで実現できなかったことを申しわけないと思いますけれども、来年度に向かってぜひこれは実現するように、今後さっそく努力いたしたいと思います。
  98. 近藤信一

    近藤信一君 中小企業信用保険制度の中に小口保障保険制度が設けられていたが、三十三年の法律改正の際、その制度は廃止されたのでございます。一たん廃止された小口保証保険を、今回似たような制度である小口保険として創設しなければならない理由は、一体那辺にあるのか、この点お尋ねいたします。
  99. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 昔ありました小口保証保険制度は、現在第一種保険制度に変わったわけでございまして、二十万円というものが五十万円になりまして、現在第一種包括保険制度になっておるわけでございます。  今日やって参りましたところによりますと、やはり零細企業の方には、二十万円限度でもう少し保証料も安くし、しかも簡便に借りられる方法ということが現実に必要を感じましたので、私どもといたしましては、新しくこういった制度を作ったわけでございます。むしろ前ありました小口保険制度というものが、ちょうど今日の第一種包括保険に変わってきた。さらにその下のほうに小口保険制度というものを作る必要がある、こういうふうな考え方で、この法案を出したわけであります。
  100. 近藤信一

    近藤信一君 一たん小口保証保険を廃止したけれども、その後のまたいろいろな事情で、どうしても今度必要になったと、中小企業金詰まりというのか、何というのか、そういう点で必要を感じたから、またこれを創設しなければならぬ、こういうふうな御理由からでございますか。
  101. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 現在の第一種包括保険の実績をとってみますと、大体平均が二十一万円、五十万円の制度でございますけれども、実績は一人当たり二十一万円が平均になっておるわけでございまして、これはまあ中小企業者全体に対する制度でございますが、ここにございます中小企業者といった、従業員数が五人以下というような零細な企業にとりますれば、おそらく大部分が二十万円以下に入るんじゃないか、大体その程度の保証をやっているんじゃないかと考えられまして、その辺に対して特に零細な小企業者に対する特別の措置として、新しく小口保険制度を実施するということにいたしたいと考えておるわけでございます。
  102. 近藤信一

    近藤信一君 小口保険制度を新設して保険料を低くしたのは、零細企業に対する特別の優遇であって、今回の改正の眼目であろうと思うのです。それを二十万円までとして、第一種保険と合わせた場合に、五十万円以下にしたのは、一体どういう理由によるか、私といたしましては非常に理解に苦しむわけでありますが、この点いかがですか。
  103. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 小口保険制度を二十万円以下を五十万円の第一種包括保険と別建にやるか、内輪にやるかという点でございますが、これは理論的にどちらでなければならぬと考えたわけではございませんけれども、本制度を実施します上で、関係方面といろいろ協議をいたしました際に、当面この二十万円以下で、小企業者の保証というものは大体その範囲におさまるのが大部分ではないかと考えられましたので、一応これを内輪としてスタートして、ただしこれをこえた場合には、五十万円までは、残った三十万円について、一般の第一種包括保険の方と同じように利用できる、こういう制度にいたしたわけでございます。格別外にしなければならぬか、内にしなければならぬかということについての理由はございません。
  104. 近藤信一

    近藤信一君 元来第一種保険が作られたのも、小企業者の利便を考えたからであると私は思うのです。中小企業者としては金を借りる場合に、まず五十万円までは第一種保険によって恩恵を受けるわけです。それを超過すると、今度は第二種保険として、若干今度は条件が悪くなるわけです。信用補完をしてもらうわけですが、その場合第二種保険のワクは七百万円まであります。第一種保険をつけたものは、第二種保険を六百五十万円までとするのではなくして、第二種と別ワクで五十万円を第一種保険にかけられるのです。すなわち中小企業者は合計七百五十万円までということに信用を補完してもらえるわけです。ところが小口保険の場合には、もし小口保険のワクを二十万円まで使った業者は、今度第一種保険の恩恵に浴したいというときに、正十万円から二十万円を引いて、その残りの三十万円だけしか第一種の扱いをしてもらえない、こういうことにたります。合計して五十万円までしか許されないということになりますが、これを別ワクにして、外数にして二十万円までは小口保険、それからそれをこした場合には、さらに第一種が五十万円まで、こういうふうになぜワクを大きくしなかったのでございますか、またそういうことが私は非常に疑問だと思うのです。  それには経済的な実情と、それから零細企業対策とでもいいますか、事務手続のしと、三つの点からして二十万円を第一種の外ワクとするのは無理ではないかと思うのでありますが、第一に経済の実情からして、従業員五人以下を使用している小企業者と申しても、現在では簡単な機械を買っても、やはりすぐ五十万円、百万円という金が必要になるわけなんであります。原料や商品を仕入れても、やはりそのくらい借りなければならない、したがって、なぜこの二十万円という少額にしたのか、第一種を合わせて五十万円とせずに、これが七十万円に上がってもよいと、こういうふうになぜならなかったか、この点をお伺いします。
  105. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) ただいまの点は、第一種包括保険の制度と別建に二十万円という新しい制度を作るという御意見も、私どもも実はいろいろ検討いたしてみたのでございますが、今回はひとつ、この内ワクでスタートしてみたいということで、格別これでなければならぬという理由もなかったわけでございます。  ただ問題としましては、大体第一種包括保険の平均一人当たりの実績が二十一万円でございました。これは一般の大きな方も含めての数字でございますから、この小規模事業者としての五人以下という方になりますと、大体利用されているのは二十万円で、ほぼおさまるケースが大部分じゃないか、かように考えられましたので、一応第一種包括保険の内ワクとしてスタートして、万一こういうことがございましても、五十万円限度で実際上は済むのじゃないか、かような見地で折り合いまして、こういった提案にいたしたわけでございます。御指摘のように、これは別建にしたほうがよいのじゃないかという御意見もごもっともかと思いますが、一応関係省と話し合いの結果、こういう結論を得ましたので、今回は、これでひとつスタートをさしていただきたい、こういうふうに考えます。
  106. 近藤信一

    近藤信一君 第二点としまして、せっかく小企業者優遇の対策を講じられるのでございまするから、第一種保険の中に含めるというような非常にしぶい方法をとらなくても、わずか二十万円ですから、これを広げてもよかったのではないかと、また二十万円を第一種の外数にしても保険公庫として大した金額を負担しなくてもよいと思われます。もし二十万円を外数としたら、どのくらいの公庫負担がふえてくるのか、計算してみられたかどうか、おそらく大した金額ではないと私は思うのです。小企業優遇のために、そのくらいは負担しても差しつかえない、こういうふうに私考えるわけですが、長官の御意見はいかがですか。
  107. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) ただいま、ちょっと数字を持ち合わせておりませんのでございますが、そう莫大な金額になるとは考えられない、予算折衝の際に、いろいろいきさつがございましたが、主計当局あたりでは、こまかい点について心配することもございますが、先行きのことを考えまして、そういった意見もあったかと思います。  私どもとしては、これはどちらをとりますかということについて、内ワクにしたほうがいいのか、外ワクにしたほうがいいかということにつきましては、あるいは外ワクにしたほうがよろしいのじゃないかと思いますけれども、今日話し合いの結果、こういう形でスタートをさしていただくということにいたしましたので、よろしくお願いいたします。
  108. 近藤信一

    近藤信一君 第三の点は、手数がかかること、すなわち、小企業者が第一種保険の扱いを受ける場合には、いつもそれが小口が幾ら、第一種で幾ら、こういうように計算して、その合計が五十万円ということにしなければならないわけです。もし、これを小口二十万円、第一種五十万円とすれば、事務は簡単にできるのではないかと、私は思うんですが、この点、事務上の問題について、どういうふうに考えておられますか。
  109. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 一人一件主義か、一人主義かということになるわけでございますが、便宜の点からいえば、一件二十万ということにいたしますれば、非常に簡便にやれるということは間違いございませんし、保証協会も希望としては、それを言っておりましたんですが、逆に一件といたしますと、あちこち一人の人が持っていけば、相当額借りられることになりまして、公平の面からも多少問題がございますので、従来制度が全部一人主義になっておりますので、多少手続的な不便はございますかと思いますが、この点もいろいろ協議して、できるだけ簡便にやれるように相談をいたしておりますが、一人主義で、一人当たり二十万円限度という制度で案を作ったわけでございます。
  110. 近藤信一

    近藤信一君 今の一人主義、一件主義の問題でございますが、小口保険は中小企業者一人についての付保限度額を二十万円ときめているわけでございます。なぜ二十万円と規定をされたのかどうか、また小企業者一人について二十が円であって、一件についてではないわけですね、そうすると、今度も一件主義でなく、一人主義をとられるわけでしょう。今もちょっとこう御答弁の中にございましたが、なぜ、じゃ一件主義をとらずに一人主義にされたのか、この理由はどういうところにございますか。
  111. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) この点は、従来から一人主義になっているわけでございまして、一人当たり五十万、一人当たり七百万ということになっておりますので、今回の場合も一人当たり二十万、こういうことに従来の原則によったわけでございます。
  112. 近藤信一

    近藤信一君 その一人主義を従来とってこられたが、一件主義にしたほうがいいんじゃないかというふうに私は思うんですが、この点どうですか。
  113. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 便宜の点からいいますと、確かに一件二十万というほうが便宜な点は間違いないと考えられますが、やはり一件二十万にいたしますと、いろいろあちこちの窓口へ持っていけば、一人で相当額借りられるということになりますと、逆に言うと、非常に要領よく立ち回った人がよけい借りられるというようなことになりますし、公平の問題もございます。便宜の点からいえば、一件がよろしゅうございますが、従来の制度によって、やはり一人主義ということでやらしていただきたいということで、こういう原案になっております。
  114. 近藤信一

    近藤信一君 小口保険の付保限度額は、小企業のうち事業協同小組合についても、やはり一組合当たり二十万円、こういうことですね。小組合の場合は、多少付保限度額を引き上げてもいいんじゃないかと私考えるのですが、この点いかがですか。
  115. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 第一種包括保険の場合もやはり五十万円でございますが、この場合は、個人が借りましても協同組合が借りましても、同じくやはり五十万になっておるわけでございまして、事情からいえば、あるいは組合のほうが数が多いから高くしたほうがいいんじゃないかという意見も了解できるわけでございますが、本制度も、一応個人の場合も、小組合の場合も同様にいたしてございますが、三号については、事業協同組合法の小組合組合員については、これはおおむね五人以下となっておりますから、実際は七、八人の場合も多少あるようでございますが、小組合組合員の場合は特に優遇いたしまして、この制度を利用できるということにいたしまして、もしそれ以上に借りる必要がある場合がございますれば、個々に組合員の方が借りていただけば、全体として運用できるんじゃないか、かように考えております。
  116. 近藤信一

    近藤信一君 この小口保険は、小企業者の負担を軽くするために、低い保険料率によるようでございますが、幾らに一体定められる予定でございますか。
  117. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 従来の第一種保険の場合は、一日当たりで百万分の二十年でいきまして七厘三毛でございます。ついでに第二種保険を申し上げますと、一日当たり百万分の二十六、年利で九厘四毛九糸でございます。今回の小口保険制度は一日当たり百万分の十六、年で五厘八毛四糸ということにいたしまして、第一種保険に比べて二割程度安いのであります。
  118. 近藤信一

    近藤信一君 従来より相当率はよくなるわけですか。
  119. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 私どもは、全体として保険料率を将来も下げていくように努力をいたしたいと考えておりますが、今回は不十分だと思いますけれども、第一種保険より二割程度安い保険料率ということにいたしたわけでございます。
  120. 近藤信一

    近藤信一君 零細な小企業者に対して、今回保険制度について多少の優遇処置を講じたわけでございますが、その他の点について小規模事業者の保護育成について、どのように今後処置されていかれるお考えを持っておられますか、この点をお尋ねします。
  121. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) この小規模事業者につきましては、全体としてはやはり私どもは、商工会の組織及び商工会議所を通じての経営改善普及員の充実、その面において、本年度も、これはできましてから二年程度でございますが、かなり地方まで浸透いたしまして、二年間の割合には相当、改善普及員の実績をあげているように考えるわけでありまして、この商工会組織を、さらに一そう強化していきたいということが全般的な対策でございますが、本年度約八億程度の補助金でございましたが、来年度は十億円以上に補助金を増額いたしまして、経常改善普及員の人員をかなり充実をし、給与を上げまして、そういった面のさらに充実をはかっていきたいと、かように考えております。それから、私どもが零細事業対策として考えておりますことは、やはり国民金融公庫平均貸出が大体二十数万円でございますが、これが零細金融として非常に大きな役割を果たしておると考えておるわけであります。これの資金量の充実をはかる、相当最近貸出量がふえて参っております。これが第二点でございますが、税制面では、今回低所得層の所得税及び事業税の引き下げと同時に、零細企業製品の物品税を特に減免措置をとるように相なりまして、そういった面も多少改善をみておるかと思いますが、商工中金におきましても、小組合等の運用について、私どもが指導をいたしまして、先般も一件だけあっせんをして貸付を受けましたケースがございますが、こういった零細組合に対しても、十分融資の上で配慮をしていくように指導もしておりますし、今後また問題がございますれば努力して参るつもりでおります。  大体、ただいまやっておりますおもなことは、そういったことであります。
  122. 近藤信一

    近藤信一君 中小企業は、おおむね大企業の系列下に入っておるわけですね。さらに零細企業は、その中小企業のそのまた下にいるわけなんで、したがって非常に大企業金詰まりになってくると、そのしわ寄せは、すぐその中小企業、零細企業のところにくるわけなんです。昨年末以来言われていることは、台風手形になり、さらに台風手形が七夕手形になるのじゃないか、こういうふうなことが言われておりまして、ほとんど零細企業は日の目を見ない、こういう状況下にあるわけなんで、やはり私はそういう点も考えるならば、金詰まりのしわはすぐ零細企業に来る、そうすると零細企業はたちまち倒産のうき目に会う。若干金が何とかあればというときに、その台風手形とか七夕手形というふうなことでは、実際困って行き詰ってしまうことは当然であると思うのです。  そういう点、将来よく考えて、中小企業、零細企業、これはもう日本の産業にいわば大きな貢献をなしておると私は思うので、そういう点もよくお考えになって、この保護育成ということには十分通産当局としても、私は考えていかなければならぬじゃないか、歴代の通産大臣がいつも劈頭、中小企業問題ということを所信の中にも取り上げられるのですが、もう何年たっても浮ばれないというのが中小企業現状でないかと私は思うので、そういう点も考えて、中小企業庁としても、十分なる対策を講じ、将来日本の産業の発展のために、中小企業がうまくやっていけるようにはかっていくべきじゃないか、かように私考えます。この点時間もだいぶ終りましたので、最後に私の希望を交えまして、長官から御答弁を願います。
  123. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 今回信用保険法の小口保証制度を、実は私ども全く零細な中小企業の中でも特に零細の企業に対する対策の一つとしてお願いしておるわけであります。私どもとしましても、御趣旨の点は十分尊重いたししまして、今後さらに中小企業対策、小規模事業対策については、十全の努力をいたして参りたいと考えております。
  124. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 他に御質疑がありませんか——他に御発言がなければ、両案の質疑は、本日はこの程度にとどめます。  別に御発言がなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十分散会