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1962-02-27 第40回国会 参議院 商工委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月二十七日(火曜日)    午後一時三十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     武藤 常介君    理事            川上 為治君            剱木 亨弘君            中田 吉雄君    委員            赤間 文三君            上原 正吉君            大泉 寛三君            岸田 幸雄君            小林 英三君            吉武 恵市君            岡  三郎君            近藤 信一君            吉田 法晴君            田畑 金光君   国務大臣    通商産業大臣  佐藤 榮作君   政府委員    林野庁長官   吉村 清英君    通商産業政務次    官       森   清君    同       大川 光三君    通商産業省石炭    局長      今井  博君    通商産業省公益    事業局長    樋詰 誠明君    中小企業庁長官 大堀  弘君    運輸政務次官  有馬 英治君    運輸省鉄道監督    局長      岡本  悟君    運輸省鉄道監督    局国有鉄道部長 高橋 末吉君    労働省職業安定    局長      三治 重信君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    労働省職業安定    局調整課長   北川 俊夫君    自治省財政    局財政課長   松島 五郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○商工組合中央金庫法等の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送  付) ○中小企業信用保険法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○産業貿易及び経済計画等に関する調  査(石炭問題に関する件)   —————————————
  2. 武藤常介

    委員長武藤常介君) これより商工委員会を開会いたします。  本日は、商工組合中央金庫法等の一部を改正する法律案外一件について政府委員より補足説明を聴取し、質疑を行ないました後、石炭問題に関する調査を行ないます。   —————————————
  3. 武藤常介

    委員長武藤常介君) それでは、まず、商工組合中央金庫法等の一部を改正する法律案中小企業信用保険法の一部を改正する法律案、以上二案を便宜一括して議題といたします。  まず、政府委員から両案の内容について説明を聴取いたします。大堀中小企業庁長官
  4. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 御指名によりまして、御審議いただきます二つ法案につきまして、先般大臣から法律案提案理由説明申し上げましたので、本日は法律案要綱というのをお手元に差し上げておるはずでございますが、その要綱につきまして簡単に補足説明をいたします。  まず、商工組合中央金庫法等の一部を改正する法律案要綱をごらんいただきます。この法案には、商工組合中央金庫法の一部改正と、中小企業信用保険公庫法の一部改正と、二つ含まれているわけでございまして、最初商工組合中央金庫法の一部改正につきましては、四点上がっておりますが、一番肝心な点はこの第一にございます、政府出資増額でございまして、来年度、三十七年度予算において産投特別会計から商工組合中央金庫に対して二十億円の出資が計上されておりますので、これに伴いまして商工組合中央金庫資本金改正する必要がございますので、この二十億円の増額を規定したということが第一点でございます。これが本法の中心でございます。  第二に、商工債券担保短期貸付制度を設けたということでございますが、これは商工中金余裕金運用の一方法といたしまして、商工債券所有者に対して主務大臣認可を受けて当該債券担保とする短期貸付をすることができるということでございますが、この点は結局一般の人々に対して商工債券消化促進をはかっていくということがねらいでございまして、機関投資といいますか、銀行金融機関等につきましては適用いたしませんが、一般の方が商工債券を持ちやすくする、しかも貸付します場合の余裕金運用の面に限っておりまして、その貸付限度等につきましても、運用上制限を設けまして、短期貸付だけを認める、これによって商工債券の売れ行きの促進をはかりたいというのが第二点でございます。  第三点は、預金先拡大でございますが、商工中金余裕金運用の一方法といたしまして、銀行だけでなく、主務大臣認可を受けた銀行以外の金融機関に対しても預金をすることができるという規定の改正でございます。これは現行法規によりますと、主務大臣認可を受けた銀行ということになっておりますので、一般銀行あるいは相互銀行程度まではこの銀行ということで解釈できるわけでございますが、信用金庫あるいは信用組合、これはこの銀行定義に入りませんので、これに対する預金が従来できなかったのでございまして、信用金庫等相当今日大きな資金量をもって、信用も高くなって参っておりますので、これらに対しても預金ができるというふうに改正をいたしまして、これらの面との緊密な連絡をはかり、かつこれを見送りに商工債券等消化促進に役立てていこう、こういう点がねらいでございます。これが第三点でございます。  第四点といたしまして、所属資格団体拡大でございますが、金庫所属資格団体に、輸出組合輸入組合及び輸出入組合を追加する、こういうことでございます。従来商工組合協同組合等対象になっておりますし、前年は貿易連合が追加になりましたが、今日までこの二組合が指定になっておりませんために、ことに輸出組合等について現実の場合に多少不便がございます。したがいまして輸出振興見地も考慮いたしまして、これらの団体を、資格団体に追加するということが、第四点でございます。  以上が、商工組合中央金庫法の一部改正内容でございます。  第二に、中小企業信用公庫法の一部改正について申し上げたいと思います。  第一点は、やはりこれは一般会計から信用保険公庫に対して融資基金として二十五億円を出資することになり、三十七年度の予算案において組まれているわけでございます。これに見合いまして、保険公庫資本金を二十五億円だけ増額する法律改正が、この主たるものでございます。  第二点は、保険公庫の業務が、最近相当増加いたしました関係もございまして、役員に理事一名を増加するという点でございます。一名増加しまして四名といたします。  第三点は、理事長名称総裁に改めるということでございます。政府全額出資公庫は、現在八公庫ございますが、そのうち六公庫は全部総裁というふうになっております。残っております医療公庫が最近総裁ということに改めます。つきましては、当公庫につきましても総裁というふうに名前を統一させていきたいということでございます。  以上が、商工組合中央金庫法等の一部を改正する法律案内容の要点でございます。  次に、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案要綱につきまして概略御説明申し上げたいと思います。  この点につきましては、従来中小企業のための信用保証制度として五十万円を限度とする第一種包括保険と、七百万円を限度とする第二種包括保険という制度がございますが、今回特に零細な中小企業者のための便宜を計らいまして、小口保険制度というものを創設したいというのが趣旨でございます。  ここに、第一に、対象となる事業者の範囲を書いてございます。中小企業者の中で特に小さい方、小企業者とありますが、小企業者定義は、従業員数が五人(商業またはサービス業に対しましては、二人)以下の会社及び個人ということでございます。同時にかねがね問題になっております事業協同小組合及び事業協同小組合組合員、それから医療法人であって従業員数が五人以下のもの、これは特に特定いたしましたゆえんは、医療法人特殊法人でありまして、一般会社に入りませんので、従来もこういうふうに特定をいたしておりますので書いてございます。結局おおむね五人以下の零細な企業者のために特別の保険制度を作りたいということでございます。  第二に、この制度内容でございますが、ここには法律的に書いてございますが、結局小企業者一人当たり限度額を二十万以下としまして、小口保険制度を実施するわけでございます。料率につきましては現在の第一種保険料率よりも二割程度安いものにいたしまして、しかも運用面におきましては無担保で、しかも簡便な手続で保証ができるということを眼目にいたしまして、この制度を実施いたしたいということでございます。これは特に零細企業者に対する対策として資金増額の機会にこういった制度を創設いたしたいという趣旨でございます。  簡単でございますが、以上をもって説明を終わります。
  5. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 引き続き両案について質疑を行ないます。
  6. 小林英三

    小林英三君 私は簡単なんですが、一言だけ御質問申し上げたいと思います。この商工組合中央金庫の三十七年度二十億円増額、それから中小企業信用保険公庫の二十五億円を増資する。承りたいのは、この二つ金庫がこれでどれくらいな資金量があるのかということを一つ、それからもう一つは、先ほど長官説明されました一番最後の総裁という名前ですね、これは何ですか、今まで理事長だったやつを総裁にそろえたということが主ですけれども、大体こういうふうなものは中小企業人たちができるだけ窓口に近寄りやすくするという……。これは理事長そのものといたしましては理事長という名前よりも総裁というほうが何だか重々しいような気がするかもしれません。しかし目標中小企業金融をはかるということが目標だから、だからできるだけおっかながらないように、当事者のおっかながらないような名前が必要じゃないか。総裁というといかにも本人としてはりっぱかもしらぬけれども、金を借りたり融資を受けるほうの中小企業からいえばおっかないよ。むしろ私は理事長というほうが、そのほうが、ほかのものをおろして、みな理事長にしたほうがいいくらいに思うのですが、どうでしょうか。
  7. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 最初の御質問の点でございますが、商工中金につきましては、今回実施いたしましたことによりまして政府出資が七十七億円に相なるわけでございます。それから民間出資につきましては、実は本年三月中にさらに十億円追加される予定になっておりますので、それを加えますと、三十七年度といたしましては四十三億円に相なります。資本金合計額は百二十億円と相なるわけでございます。それから保険公庫につきましては、三十六年度末が百六十九億円の資本金でございますが、三十七年度末にこれが払い込みを終わった場合には百九十四億円に相なるわけでございます。  それから総裁名称の点につきましては、御趣旨の点まことにごもっともでございまして、私ども名称のいかんにかかわらず、その点につきましては、十分民主的な窓口になりますように配慮してもらわなければならぬと思いますが、現実には、実は先ほどちょっと申し上げましたように、政府出資公庫が八公庫現在ございまして、医療公庫保険公庫だけが実は理事長という名称になっておりまして、その他には全部総裁ということに相なっておりますので、医療公庫のほうも総裁ということに名前を統一するということでございますので、保険公庫のほうは実はまあ理事長のほうが親しみやすくていいという御意見も、私も了解いたしておるのでございますが、保険公庫だけ何か違ったものにするという印象もございましてもいけませんと思いまして、この際、名前総裁ということに改めさせていただきたいという点でございます。他意はございませんので、一つよろしく。(笑声)
  8. 小林英三

    小林英三君 今の程度中小企業庁長官説明ではどうも私どもは納得できないのですが、もう少しお考えになって、民間に親しみやすいような名称のほうにどんどん変えていくということのほうが、私はいいんじゃないかと思うのですが、まあしいて申しません。それだけ申し上げまして質問を打ち切ります。
  9. 近藤信一

    近藤信一君 ただいま両案の内容説明がございましたが、私は内容質問はまた後刻あらためてすることにいたしまして、それに入る前に、一点お尋ねしていきたい点がございます。  それは今国会に両法案提案されましたが、今年は参議院の選挙があるということも関連しておると思うのですが、なるべく法案整備して国会へ出されたような感があるのです。そこで若干疑義があることは、商工組合中央金庫法等改正案、これは何か二つ一つにしたような形になっておる。実質的には商工組合中央金庫、それから中小企業信用保険公庫法、こういう二つ法律内容ははっきりとしておると思うのですが、それにまたかてて加えて中小企業信用保険法改正案という提案がなされておるわけなんです。もし政府提案を整理して件数を減らすためにこういうふうな実費的には三つ法律案というものを二つにして出されたのでございまするけれども、そんなことでございますなら三つ一つにしてやったほうがもっと手とり早いじゃないか、それを二つ分けるならば、私は商工中金法改正保険公庫法改正、こう一つにまとめないで、むしろ私は保険関係法律案を一本にまとめて、これは保険公庫法改正信用保険法改正、このほうが私は妥当じゃないかと思うのでございます。ところが提案された法律案を見ますと、そうでなくして、公庫法とそれから中金法ですか、これが二つになっている。むしろ私は逆になっておるような感じがするわけなんですが、どういう理由でそういうことになるのか、まず私はこの点を一つお尋ねしておきたいと思います。
  10. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) ただいま御指摘の点は、実は衆議院商工委員会におきましてたいへんおしかりを受けまして、私ども実は、先生御指摘がございましたように、今回はできるだけ法案提出を急ぎ、かつ数を少なくするという方針によりまして作業を急ぎました関係上、実は便宜的にこういった形ができたわけでございまして、商工組合中央金庫法中小企業信用保険法審議組織法として先に進みまして、保険法のほうは多少技術的にめんどうな点がございましたもんで、少し審議がおくれまして、こういった形になりました次第でございまして、御指摘の点はまことに申しわけないことと考えまして、今後こういったことを全然しないということを政府として申し上げまして御了承をいただいたわけでございます。たいへん体裁としましては不調法になりましたことをおわび申し上げます。
  11. 近藤信一

    近藤信一君 私は今の答弁でははっきりしないと思うのですけれども、私の感じでは、商工中金法公庫法、この二つ予算が伴うという関係一つにしたんではないかというふうにも私思うわけなんですが、政府の実際の腹は那辺にあるのか、この二つ一つにしたという底にあるものは何であるか、この点を一つお尋ねします。
  12. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 決してここで理屈を申し上げるわけではございませんが、私どもの過程といたしましては、商工中金法中小企業信用保険公庫法は、中小企業に関する金融機関としての組織法でございますのと、これに対する政府出資がやはり両方共通でございますので、この審議といたしましては、この二つを先に提出いたしたわけでございまして、保険法のほうは多少保険といろ特殊な技術がございまして、これを次の段階で検討するということで、これの取りまとめ方は全く便宜的に取り扱いました次第でございまして、この信用保険公庫法とむしろ信用保険法を一緒にしたほうが合理的ではないかという御意見もございまして、その点は私どももごもっとも考える次第でございますが、そういういきさつでこういう形をとりましたような次第でございます。御了承をいただきたいと思います。
  13. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 他に御発言がなければ、両案の質疑は、本日はこの程度にとどめます。
  14. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 次に、産業貿易及び経済計画等に関する調査議題とし、石炭問題に関し調査を行ないます。  先般、行ないました産炭地域実情調査報告に関連し、質疑の通告がありますので、順次これを許します。
  15. 川上為治

    川上為治君 私は先般この委員会から派遣を受けまして、夕張地区及び北海道の諸炭鉱調査をして参ったのですが、その際、夕張地区におきまして一つの特別な問題を聞いたわけであります。  それは石炭対策というのは、単に通産省とか、あるいは石炭局、こういうところの問題ではなくて、総合的に政府の各機関がこれに協力して強力にこれを進めるということにしなければ、とうてい石炭対策の実効をあげることができない、こういうふうに考えるのですが、夕張地区で聞きましたのは、従来膨大な地域にわたりまして林野庁当局土地夕張炭鉱に貸しておる。これを単に夕張炭鉱だけではなくて、その他の地域におきましても相当広く山林地を貸しておる、こういう状況になっておるのですが、従来比較的安い土地代で貸しておるわけなんですけれども、最近夕張地区においては、これを相当値上げをしようと、こういうような話があるように聞いております。去年もおととしもこの北海道営林局と、それから夕張炭鉱と折衝をしたそうですけれども、大体去年話がつきまして、この程度でひとつやろうということになっておりました。ところがこれが局長がかわり、あるいは担当課長がかわったあと、またことし問題を持ち出して相当高く引き上げようと、こういうような話があるそうでございまして、夕張炭鉱にしましても非常に因っておる、しかも百万円足らずで清水沢地区の辺を貸していたものが五倍になる、五百万円も一挙に払わなければならないような、そういう話を聞いて参ったのですが、幾ら営林局のほうに話をしましても、どうもなかなか受け付けない、去年のことは去年のことだ、ことしはまた別だと、こういうような話があって、なかなか受け付けないという話を聞いたんですが、その後どういうふうにこれがなったのか、私は札幌に帰りまして営林局長と話をしようとしましたところが、ちょうどいなかったので、代理の部長に話をしておいたんですが、その後これはどういうふうになったのか。それからまたどういうわけで、去年大体話がついていたものが、ことしいきなりこれを工倍も引き上げるというような、そういうことをやらなくてはいかぬのか、その間の事情はどういうことになったのか、さっきも申し上げましたように、石炭対策というのは、各省お互いに協力して、そして強力に進めていかなければ、とうていこの石炭対策というものを遂行するということはできないと思うのですが、この間の事情をひとつお話し願いたいと思います。
  16. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 御説明申し上げます。ただいま御指摘のございました夕張地区土地貸付関係でございます。この相手方は、主として北海道炭鉱汽船、あるいは大きいものは大夕張三菱炭鉱等でございます。北海道炭鉱汽船に約七百町歩、それから三菱に約五百町歩、こういうような面積が宅地にあるいは鉄道用地運搬施設用地、それからズリ捨て場というような敷地といたしまして貸付がなされておるのでございます。この貸付のもとは十分にはっきりしないのでございますが、大体明治の初年ごろから貸し続けておるというようなことになっておるのでございますが、この貸付料金につきましては、国有林野管理規程の第二十五条によりまして、この料金算出方法がきめてあるのでございます。これによりますと、貸付いたします土地の時価の百分の四というようなことになっております。御指摘の三十六年度に非常な値上げをしたということでございますが、この問題につきましては、地元のほうを調査をいたしてみますと、もと契約山林あるいは畑地になっておりましたところが、実際には畑あるいは住宅として使われておるというようなことに整備をいたしました結果、そのような御指摘のような値上がりがあったのでございます。その三十七年度の分につきましては、私十分に最終的な報告をまだ受けておらないのでございますが、その何倍もというようなことはないようでございます。やはりこの三十七年度にも価額の更改をいたしますとすれば、先ほど申し上げましたように、契約用途とそれから現在の用途が変わっているというようなものを、その用途に使われているものに合わせて変更をして参るということが主体になると考えておるのでございます。したがいまして、おそらく、その何倍というようにはならぬと思っているのでございますが、なお、お言葉にもございましたように、この問題につきましては、私どもももちろん御協力を大いに申し上げなければならぬと考えておるのでございます。十分現地のほうにも注意をいたしまして、なんと申しますか、特別な、常識にはずれたような取扱いをしないように指導監督をして参りたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  17. 川上為治

    川上為治君 夕張地域夕張炭鉱は将来清水沢とかああいう地域相当広がっていく、採掘の区域も将来はおそらく清水沢中心になっていくと思うのですが、そういう将来性を考えて、北海道炭鉱汽船においても、あの辺を広く林野庁のほうから借りておると思うのです。今日まであの土地相当土地整備をしたり、いろいろ努力をしておると思うのですが、そういう将来性の相当あるものについて、いきなり今土地を上げるということは、これは私は非常に間違った考えではないかとこう考えますし、それから、今、調べて、というようなお話がありましたが、私が現地で聞いたことは平均五倍になる。五倍ですね。去年も上げた、今年も五倍上げると、こういうやり方は、これはどうしても私どもにはちょっと想像できないのですが、私はおそらくこれは誤まりではないかと思っているのですけれども現地営林局に聞きますと、やはりそういう問題があると、こういうふうに聞いているのですが、人が——局長なり課長なりがかわってしまうと、去年の大体の取りきめというのがいきなり変わってしまって、今年は別なやり方をとるということは根本的に間違った考えではないかとこう思うのですが、ひとつ長官においては、現地営林局長なり担当課長のほうに強くその点を指摘してもらって、そういうことがないようにひとつやっていただきたい。これに対してどういうふうにお考えになっておりますか。先ほどの答弁だけではなく、はっきりとそういう指導をする、しない、ということをおっしゃっていただきたいと思います。
  18. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) こういう土地貸付等取扱いにつきまして、局長あるいは担当者がかわりますたびに、一貫性のない措置をとって参るということは、まことに御指摘のとおり非常にまずいことだと存じます。したがいまして、私どもといたしましては、どこまでも先ほど申し上げましたような方針に変わりはございませんので、特にこの北海道現地に強い指導をいたしまして、そういったあるいは考え方に違いがありますようなものにつきましては、特に是正をして参りたいと存じます。
  19. 川上為治

    川上為治君 私は夕張地区の問題だけではなくて、今お話がありましたように、大夕張三菱区域についても同じような問題がおそらく出てくるんじゃないか、こう考えられます。したがって、この問題は単に夕張地区の問題でなくて、あるいは北海道相当広い地域にわたって問題が発生するものと考えますので、この点は十分一つ考えて処理していただきたい、こう考えます。特に先ほど申し上げましたように、石炭対策というのは総合的にやるベきであって、一方では通産省なりその他のところで一生懸命やっているけれども、ほかのところでは、おれのところはおれのところだというようなやり方は、これは非常に困った問題ではないかと、こう考えます。林野庁林野庁で、おれのほうではおれのほうの方針によってやるのだ、あるいはまた国鉄国鉄で、これはまた別な見地からやるのだという、こういうようなことでは産炭地振興であっても、あるいは石炭の総合的な対策であっても、決して私は実っていかないだろうと、こういうふうに考えまするので、一つ長官においては十分この点を考えられて、夕張地区の特殊性あるいは大夕張の特殊性、そういう産炭地の特殊性というものをよく考えて、こういう問題は処理していただきたいということを特に要望しておきます。
  20. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 私も先般調査に参りました調査の結果に関連をいたしましてお尋ねをいたしたいのですが、まず産炭地発電に関連をしてお尋ねするのですが、五千五百万トンの目標、三十八年度におけるこの生産規模の計画を所得倍増計画あるいは経済成長に関連をしてワクをはずしてもらいたい、こういう要望はこれは労使を問わず出ているわけです。それから私が先般お尋ねを通産大臣にいたしましたときにも、通産大臣は五千五百万トンというのは何も固定した数字ではない、一応の目標高、これを拡大することについては総合エネルギー対策の中で実現をいたして参りたい、こういう御答弁があったのです。ところが現地に行って産炭地発電等を見て参りますと、これに関連して若干の疑問が出て参るのです。まず五千五百万トンと、それから低品位炭発電、これは低品位炭を使って、あるいは雑炭を使っての発電でありますが、五千五百万トンと低品位炭というのは、これは一応別なのかどうか、数量として別に考えられておるのかどうかお伺いしたい。昭和三十年あるいは三十二年等の計画数字を見てみますと、これは昭和三十年の、そのときは四十年、五十年と目標が出ておりますが、五十年の六千五百万トンのほかに、低品位炭五百万トンというのが計算されておる。それから三十二年の新長期経済計画の中では、五十年に七千二百万トンとして、低品位炭及び雑炭として八百万トン、三十七年と数字は違いますが、とにかく今言われている五千五百万トンのほかに、低品位炭あるいは雑炭というものが入っておったと理解するのですが、その今の五千五百万トンと今の低品位炭との関係はどういうことになるか、お伺いいたしたいと思います。
  21. 今井博

    政府委員(今井博君) 五千五百万トンと申し上げますのは、精炭計算で五千五百万トン、これは六千二百カロリーで五千五百万トンということで精炭の生産数量を一応きめているわけでございます。したがって低品位炭は一応、それとは別のものである。これは低品位炭にもいろいろ地区によって、かりに四千五百カロリーのものでも、常磐地区ではこれは精炭扱いにしている地区もございますが、一般的に申しまして低品位炭と申しますのは、この五千五百万トンとは別の計算をいたしております。
  22. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 別だということで、五千五百万トンをふくらますことについては、これはまた別の機会に御質問申し上げたいと存じます。五千五百万トンは精炭六千二百カロリーを基準にした精炭というお話で、低品位炭は外ということでございますから、そこで低品位炭発電ということに関連をしてくるのですが、唐津の新鋭火力の建設がきまったようであります。しかしそれが六千カロリーでいくのか、あるいは四千五百でいくのかということは、きまったようなお話もあり、また、いや確定ではないというお話もございます。六千カロリーで、あれは二十二万でしたか、発電所を作りますと、唐津炭田の大手の炭は、これは六千カロリーで仕上がるわけですから、いわゆる需要先としては、唐津の新鋭火力は大きな力と申しますか——を得るでありましょうけれども、しかしそうでないところはどうなるんだという疑問が起こってくるわけであります。それから地元発電をいたします場合に、六千カロリーの精炭を使って発電をやるか、それから未選を含んで、今までの精炭分と、捨てている、いわゆるボタというのですか、あるいはその部分を含んで一緒に四千カロリー、あるいは四千五百カロリーの炭をとるかという点は、これは石炭政策に関連して大きな問題だと思うのですが、唐津はどういう予定なのか。あるいは六千か、あるいは四千五符か、あるいは四千かというような点が、唐津だけではなくて、発電用に石炭をどういう企画で使うべきかという点について検討がなされているのかどうか、その点をお伺いしたい。
  23. 今井博

    政府委員(今井博君) 先ほど低品位炭は、精炭五千五百万トンとは一応別だと申し上げましたのは、いわゆる雑炭と称するものが、精炭のほうに相当数あるわけでございまして、おおむね五百万トンくらいの雑炭が現在ございまして、これは指定統計上現われていない、いわゆる商品炭でない炭ということで、年間五百万トンくらいの雑炭がございますけれども、これは一応低品位炭、こう呼んでいるわけでございます。したがってこれは、五千五百万トンとは別のものであると、こういうふうに申し上げたわけでございます。ところが、いわゆる低品位炭という概念は、雑炭というものよりは、もっと広い概念でございまして、先ほど申し上げましたように、常磐地区では四千五百カロリーのものも、これは精炭扱いをいたしておりますが、ところが九州ではそれが雑炭のほうに入る、こういうことで、いわゆる低品位炭と言いますと、雑炭プラス常磐における四千くらいのものも、これは低品位炭という概念に入ってくるわけでございますので、そうなりますと、非常に言葉の意味が、いわゆるカロリーが低いという意味でございまして、非常にあいまいでございますので、ちょっと私どものほうでは、低品位炭を雑炭というふうに考えれば五百万トン程度で、五千五百万トンとは別のものだ、こういうふうに申し上げてちょっと訂正さしていただきたいと思います。  それから産炭地発電のカロリーの問題で、どういうカロリーの炭を使うか、この問題は、これは地区によりまして、いろんな事情があるわけでございますので、一がいにこの低品位炭で発電する場合も、地区によっていろいろカロリーが違ってくるというのもやむを得ないのじゃないないかと考えております。佐賀県の場合は、これは九州電力と話が大体固まったように聞いておりまして、十五万キロの発電所を建設しようという計画のようでございますが、これのカロリーにつきましては、まだはっきりきまったわけじゃございません。ただこれは六千カロリーを希望しておるということを聞いております。この場合に、佐賀県ではなぜその六千カロリーをとったのだろうかというお尋ねでございますが、私の想定では、佐賀炭田特に杵島、五尺と申しますか、この炭田は、筑豊の炭田とやや炭質が違いまして、常識的に申しますと、精炭と低品位炭とボタと、この三つに炭種を分けたといたしますと、佐賀炭田は、このいわゆるまん中の低品位炭に属するものが非常に数が少ない。したがって精炭を六千カロリー以上のものをとりますと、あとはボタしか残らない、こういう炭田の特質を持っておりますので、この場合には、むしろ六千カロリーの品位の炭で発電したほうが有利じゃないか、特にこの場所は、唐津に設置されるように聞いておりますので、唐津に設置しようと思いますと、やはり輸送費がある程度かかりますので、そういう意味からいいましても、純然たる山元発電と比較し、また炭田の特質からみて、六千カロリーというものを希望しておるのじゃないかと私は考えるわけです。ほかの地区におきましては、常磐共同火力、それから電発の発電所、それから西日本共同火力と、いろいろいわゆる低品位炭の火力はございますが、それぞれ四千とか、三千五百とか、多少ずつカロリーが違っておりますが、それはやはりその地区の炭の特質から来るのじゃないか、こう考えておるわけであります。
  24. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 各炭田の炭によって、その利用方法も違うべきだというのは私もわかりますし、それはそうでなければならないと思うのです。  それから五千五百万トンを拡大するということになれば、利用されてない低品位炭といいますか、雑炭と申しますか、三千カロリー以下の炭を使う方法を考えるということで、地元発電なりあるいは産炭地発電の場合に、低品位炭発電というものも、ワクの拡大一つの方法として考えなければならぬ、この点は御異議はなかろうと思うのですが、その問題のほかに、唐津で感じたことですけれども、六千カロリー精炭のほかには、ボタ以外に低カロリーの炭がほとんどないのだ、こういうお話ですけれども、山によっては違った答弁もいたしております。たとえば明治のごときは、三菱の山ではほとんどないのだというお話ですが、明治では必ずしもそうではない、そこで中小炭鉱の将来のことを考えれば、六千カロリーが決定的な方法ではないのじゃなかろうか、十分な精炭設備を持たない炭鉱の将来も考えますならば、六千カロリーが唯一の方法でなくて、あるいは未選を含んで四千五百の炭が六千カロリーのほかにどれだけとれるかという点も問題だろうと思いますけれども、中小炭鉱の存続の方向を考えれば、未選の四千五百あるいは四千の炭をたくといろことも検討に値する問題だとして考えて参りたい、検討の問題として全般的に今後の御検討を、五千五百万トン拡大一つの方向として考えていただきたいという点が一点。  それから各地によって違うというお話ですが、発電をする場合に、その唐津の場合も同じように六千なりあるいは六千五百なり、高性能の、高カロリーの石炭でたく発電所と、それから低品位でたく発電所とが二つ考えられつつある、これは発電コストの問題とも関連をいたしますから、そういう問題を全般的に御検討を願いたいと思うのですが、低品位の石炭で発電をする場合にも三千五百あるいは三千、脇田の場合には三千、それから西日本共同火力の場合には三千五百、三千のほうを今まで捨てておったボタなりあるいは汚濁水の中から回収するという、これは全般からいっても五千五百万トンの出炭、それから三千五百の西日本共同火力になりますと、あるいは三千カロリーの炭が今後第二期まで含んで、それだけ集まるかどうかという問題もあり、あるいは今までの精炭分を含んでいえば、未選的なもので発電するかという問題等も残っておるようです。その辺の、これは消費部門といいますか、発電のいろいろな形態というものは、全体の立場からひとつ検討、計画を願いたい。これは調査をしております間に聞いた話ですけれども、宇部の協和醗酵は二千八百カロリーで三千を切る発電コストで発電をしておるという話であります。これは私どもも実は調査をしたいと思った一つでありますけれども、これらの関連において精炭で六千あるいは六千以上の精炭でする発電あるいは未選の三千とか三千五百でする発電、それから今まで捨てておった雑炭といいますか、ほんとうの低品位の炭で発電をするもの、そういうものをひっくるめてひとつ御検討を願うし、それから産炭地発電の形態として御検討をいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  25. 今井博

    政府委員(今井博君) 低品位炭火力の問題は御指摘のように非常に概念があいまいでございまして、地区によってそれぞれやり方が違う、この点はそれぞれ地区の事情によりますが、やはりその辺の考え方が確かにまだ一本統一しておらぬという点は確かに私はあると思います。したがいましてこれは地区によって多少違うのはやむを得ないが、低品位炭火力が今後どこまで増強できるのか、あるいは場所によっては高品位炭をつぶして低品位炭を作っておるというところもあるようでございますが、その場合にはむしろ理想からいえば高品位炭のほうがいいにきまっておりますので、輸送距離のある程度かかるところは、低品位炭に拘泥しないで、ある程度の高品位炭を使う、その辺のところについては確かに私は御指摘のようにまだ非常に研究が足ぬらと思います。特に低品位炭のカロリー当たりの価格がこれは昔は捨て値みたいな値段で取引されておりましたので、そういう他殺が現在でも基準になっておるようでございます。非常に手取りが悪い。したがってその意味においては、手取りが悪いから低品位炭の供給力があるのだけれども、売りたがらない。そのために低品位炭が足りない。こういう事情もあるようでございますので、その辺の値段の事情とも関連させて私は研究すべき問題と思います。しかし根本的に申しますと、やはり現在五千五百の炭をとってあとの炭を捨てておるわけでありますから、これをやはり回収して使うということは、これは石炭鉱業の体面改善からみますると、やはり非常に必要なことじゃないかと思いますので、低品位炭火力というものについてはひとつ今後もっと多角的な見地から検討を続けて参りたいと思います。
  26. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 検討しようということで満足いたしますが、その中で優秀な選炭機でもってすでに六千とか六千五百の選炭をとり、あと捨てるのは非常に少ない、ほとんどないというようなところは、今の形式でもいいのだけれども、中小の炭鉱を含んで選炭設備の十分ないところは、これはあとの荷役との問題にも関連いたしますけれども、やはりそこそこで、一つ一つの山だけではいけないで、協同というのですか、あるいは全体の立場から指導をしてやらぬと、その辺はうまくいかぬだろうと思いますので、全体の五千五百万トンを拡大する中で、ここはこうするのだ、あるいはこの地域の大きいところ、あるいは小さいところはどうするのだ、こういう観点から調査を願いたい、こういうことであります。  それから西日本共同火力については、その建設資金について言えば、開銀融資最初の予定よりも少なかったので、開銀融資のワクの増大をしてもらいたい。実際に銀行に建設資金融資の協力を求めても、金融引き締めでなかなか困難だ、そこで開銀融資のワクを広げてもらいたいという要望があり、脇田の、これは電発でありますか、では第二期工事の目安を早くつけてもらいたい、こういう要望がございまして、これは発電コストにも影響してくることですし、土地あるいは水その他体制は、第二期工事を含んで行なわれていることでありますから、その点について通産省の今後の協力を要望いたしておきたいのです。  それから産炭地発電の、産炭地域のまん中で発電はできぬものかという疑問に対して、従来は水がないから困難だという説明がなされてきたのですが、現に三菱の鯰田の自家発電所、その他縮小あるいは閉鎖をいたしますために、その売電交渉が九電等になされている。そうすると、現に今まであすこに九電が前、持っておりました発電所、それから炭鉱が持っておりました発電所等が現にあるわけであります。そこで具体的に解決しなければならぬ問題も提起されておりますが、産炭地のまん中での発電所について、これは水の問題にも関連いたしますから、きょうは建設省は来ていただいておりませんのであれですが、仕方がございませんから、石炭局長に検討をお願いするわけでありますけれども、現にあったものをどうするかという問題として、今後この産炭地域中心にあります発電問題についても検討を願っておきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  27. 今井博

    政府委員(今井博君) 電発の脇田の発電所を建設する場合、ずいぶんあっちこっち探したらしいのです。結局御承知のように、水の問題で、あの土地があの辺が一番いいということに聞いております。産炭地のどまん中に、特に、筑豊のどまん中に発電所がなぜできないかというお尋ねにつきましては、実はまだそこまで専門的に研究をいたしておりませんが、やはり御指摘のように水の問題が一番決定的なように聞いております。しかし産炭地振興という見地から見ますると、産炭地のどまん中に合理的に発電所ができるということは、もちろん一番望ましい問題でございますので、この点はひとつ産炭地振興と関連して研究を進めて参りたいと思います。ただ、われわれの今まで聞いておりますのは、あまり小さな発電所になりますと非常に能率が悪いというわけでございまして、やはり一定の規模の発電所でないと、経済的には非常に引き合わないという問題がございまして、最近はもうすでに十五万でも小さい、少なくとも二十二万キロ以上だという傾向になっておりますので、そうなりますと、やはり継続的な石炭の供給力というものをも相当これは留意しなきゃならぬかと思います。ひとつまあ十分研究して参りたいと思います。
  28. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 次は流通部面の問題ですが、唐津とか若松を見ると積み込み施設やら混炭施設が、大手何社かによっては共同出資で行なわれているようです。ところが中小炭鉱の炭については、そういう積み込みとかあるいは混炭施設についても、これはいずれもない。それから北海道については専用船の建造が計画に出て参りましたけれども、若松といいますか北九州からの流通部面の問題について、小型鋼船の建造融資の要望が出ておりますが、これらの問題を含んで流通部面の合理化あるいは援助については、いつごろまでに方策といいますか、通産省の態度、政策が出されるかお伺いしたい。
  29. 今井博

    政府委員(今井博君) 流通機構の問題は、現在は荷役設備の共同化ということで、毎年一億ないし二億程度の近代化資金のワクで助成をはかっておるわけでございますが、若松の荷役設備の点は、これは単に大手だけではなくて中小の炭も十分扱い得る組織になっておりますので、これはこれから融資の問題を取り上げるわけでございますが、必ずしも大手だけを考えておるわけじゃございません。それから宇部に今度混炭会社ができましてこれが混炭設備をやりまして、あの辺の炭を一手で混炭するわけでございますが、これも大手だけではなくて、あの辺の中小を全部包含する組織になっておるわけでございます。  それから北海道の専用船の問題は、三十七年度はわずか三ばいでございますので、十分な成果がまだあげ得ないと思いますが、しかしこの利用はあくまで共同体制でいきたい、機会均等の考え方でいきたいと思っておりまして、もちろん船を所有するのは船会社でございますが、これを利用する面におきましては中小炭鉱の炭もできるだけこれに載せ得るように考えたいと思っております。  それから専用船の問題を契機にいたしまして、共同荷役、共同輸送、貯炭という方向にぜひ持っていきたいと考えておりますので、多少時間はかかりますが、こういう問題を契機にその方向に持っていくことが一番実際的じゃないか、こう思って今具体的な構想を練っておる次第でございます。  その他、小型鋼船の問題は確かに九州にその必要性があると思いまして、これは今後、最初北海道が重点になりますが、九州の問題ももちろん専用船の中では今後は取り上げていかなければならぬ問題かと考えております。
  30. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 流通部面について、若干の融資、あるいは専用船、それから小型鋼船についても考えようということですけれども現地についてみますと、やっぱりまだ一部分という感じを免れない。そこで、全面的に流通部面の近代化あるいは合理化というものに取り組んでもらいたい、という意味を含めて質問をしたわけでありますが、これは詳しくやる時間がございませんけれども石炭局長自身も部分的だという点はお認めいただいたようですから、全般的にあるいは全面的に検討、それからすみやかに施策を出してもらいたいということを要望いたしておきます。  それから中小炭鉱について合理化資金の基準の緩和、それから保証の体制の整備を願いたいという要望がございましたが、詳しい話はいたしませんが、これらに対して、産炭地発電、それから選炭、それから流通部門については申し上げましたが、近代化資金の基準、それから保証体制の補強についてどういう工合に考えておられますか。
  31. 今井博

    政府委員(今井博君) 中小炭鉱融資の基準の問題でございますが、近代化資金ではそれぞれ一応きめました基準に対しまして中小炭鉱はそれの八五%、能率につきましても、そういう基準で実際の融資をはかるように条件を実は緩和をいたしておるわけでございます。それから機種の拡大も、このたび機種の中に鉄柱カッペを近代化資金対象に加えましたので、これで相当要望に沿い得るのじゃないか。選炭機も少し能力を小さくいたしましたので、これもある程度希望に沿い得るのじゃないかと思います。それから保安の融資でもって相当これは広範囲に機種を取り上げてございますが、保安融資も実際は生産両様に役立つ設備が大半でございますので、これも実際には相当基準を緩和したことになるのじゃないかと、効果としてはそう考えておるわけでございます。  しかし、全体として見ますると、中小炭鉱に対する融資は、近代化資金、開銀等を含めまして、最近では設備資金の全体の三〇%程度は確保いたしておりまして、大体大手も三〇%でございますので、資産量としましてはおおむね大手のほうに近づいてきたという現状でございますが、なお、融資手続の問題とかあるいは実際のこういう基準の問題につきましては、もう少しこれは研究を重ねて、できるだけあまり実際の融資が実情から離れたものにならないように今後いたしていきたいと思っております。
  32. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 三十八年度を目標にして炭鉱がどういう姿になるかという点が、石炭の生産あるいは消費の規模も含めてでありますが、どういうことになるかということでそれぞれの関係者に不安があるわけでありますが、たとえば中小炭鉱について言ってみても、三百三十坑は残すという計画のようです。ところが、じゃどれが残るのか、あるいはその残った炭鉱の姿がどうなるのか、こういう点、今まで指摘をいたしました点等に関連をして疑問があり、実態が明らかでないところがあるわけです。そこで三百三十坑残るとすればどういうものが残るかという資料を求められているところもありますが、私どもも疑問に思うわけでありますが、それらの点は資料ともに提示を願いたいと思います。  それから、あと金融問題が三つほどありますが、一括して質問をいたします。合理化、閉山に伴って、関連産業あるいは商社、あるいは付近の零細企業に対しては何ら従来も考慮が払われておらぬではないか。たとえば若松の商社関係について言いますと、各炭鉱に債権は持ったまま、買い上げられて買い上げ資金炭鉱にいっても、あるいは賃金、退職金、鉱害と回って、商社関係にはほとんどその金は回ってこない。石炭商社の倒産もありますが、われわれはどうなる、われわれについては何らその考慮が払われていないじゃないか、こういう疑問とそれから切望がありました。それから筑豊地帯に参りますと、火薬あるいは坑木ですが、薬品、衣料等まで納めている商社関係の、いわば産炭地域の商社の中から、われわれはどうしてくれるのだ、こういう要望があったわけでありますが、それからつぶれていく炭鉱の付近あるいは中で、炭鉱の従業員を唯一のお客にして生活をしておった零細企業、その中には床屋もあろうし八百屋もありましょう、いろいろありましょうが、これらの点については、従来、私ども考えましてもほとんど何らの対策も講ぜられておらぬ。したがって、これはまあ融資の問題ですから、これは石炭関係ではないと思うのですが、原因は石炭関係、あるいは石炭政策、合理化政策ということから関連してきた、関連産業の商社あるいは企業のそれに続く問題でありますが、それに融資を願いたい、あるいは転業資金を、あるいは生業資金をという要望であります。  それから、これは直接には労働省の関係になるかと思いますけれども、職業訓練をやったり広域職業紹介をやったり、あるいは移住資金をやったりいろいろいたしますけれども、高年令層の離職者に対してはその転職の道というものが事実上ほとんど閉ざされておる。したがって、これに対する生業資金融資を願いたい、こういう、要望が雇用促進公団等から出ておったわけであります。それから、産炭地域での既設の企業に対しても、これは大企業だからということで今まで融資の道はなかったけれども産炭地振興ということで地域については考えられておるけれども、しかし産炭地振興方策の中でもこの点は考えられておらぬが、大牟田、田川等に、既設の産業、企業で融資を受けるならば、雇用を吸収し得る相当大きな増設あるいは新設等が考えられておるが、これらについて融資考えてもらいたいという要望があったんですが、これらの点について、これは通産大臣は途中で来られましたが、通産省それから中小企業庁長官等から御答弁を願いたいと思います。
  33. 今井博

    政府委員(今井博君) ただいま最初に御質問になりました商社の問題、あるいは一般の町の商店の生業資金の問題。この問題はやはりちょっと私から答えるのは不適当かもしれませんが、やはり一般金融の問題で特にその生業資金ということになりますれば、私はまあ中小金融公庫、中小金融組織を利用するという以外に方法ないのじゃないかと思います。その場合に中小金融公庫でできるだけまあそういう方面の融資についても御努力を願うということについては、私はまあこの産炭地の実情から見まして、その辺は私も石炭の対策の一環としていろいろまあお願いをしてみたいと思います。  それから大企業の問題は、これは産炭地振興ということで、今度まあ開発銀行にも相当程度のワクが設定——まあワクというほどはっきりはいたしませんが、そういうことを考えて開発銀行に地方部というものがございまして、地方資金のワクの中に産炭地振興という観点から相当量の資金が予定されておりますので、まあ大企業になりますればその資金を利用願う。これは従来からも相当数出ておりまして相当実績を上げておりますので、大企業はそちらでひとつお願いをする。その他の中小企業になりますれば振興事業団の融資と、そういうものはある程度抱き合わせてまあひとつ考えていく、こういうことになるのじゃないかと思います。
  34. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 中小企業庁長官はおるかな。
  35. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 中小炭鉱につきましては、先ほど申し上げましたように、中小金融公庫及び商工中金が昨年の十一月以来特別の融資措置をとって参っておりまして、中小公庫でこの二月二十四日現在で十二億流千万程度貸付を十一月以来実施いたしております。商工中金は、長期短期合わせて約第三・四半期に五億四千万、第四・四半期に五億一千万程度融資を行なっておるわけでございます。  関連の産業につきましては、実は石炭にだけ特別の措置として今目下のところ措置をいたしておりませんが、全体の中小企業金融情勢にかんがみまして、関連の親企業等が例産のような状況になりました場合、できるだけ影響を緩和する意味におきまして、現在貸し付けておりますもの等につきましては、期限を延長する等の方法を講じておりますし、また私どもといたしましては府県の通産局を督励いたしまして、親企業の転換等についてできるだけ援助をするようにして、影響を極力緩和するように努力をいたしております。特に目下のところ石炭のために特別の措置をとっていないのが現状でございます。
  36. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 特別の措置をとっておらぬというお話、実情だから、これは別ワク融資でもひもつき融資でも願いたいと、こういうことを要望したのです。  通産大臣せっかく来られましたから重複しますけれどもちょっと申し上げておきます。いいですか。もうおわかりですか。
  37. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) はい、わかりました。
  38. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 まあ若松等各地に——全国にあるのですが、石炭商社の関係は、従来これは全然放置されておったというか、政策の中になかった。それからあるいは産炭地域の坑木とかあるいは火薬とかあるいは衣料関係に至るまで、影響は非常に受けている。山がつぶれていく、買い上げられていく、あるいは終山をするというときに関連産業、関連商社はほとんどそれについて何ら考えられてなかった。これは政府の責任でもあるが、私どももやっぱり責任を感ずる、そういう話を聞くと。それから山の周辺の零細企業、あるいは床屋もあったでしょう、パーマネントもあったでしょう、それから八百屋もあったかもしれません。そういう階層について融資なりあるいは転業資金なり、あるいは生業資金なりを考えてもらいたいということがある。それから、産炭地域の大企業については、これは産炭地振興の中にも考えられておらぬようだから、関連をして融資考えてもらいたい。大牟田であるいは三池合成で規模の拡大がある、あるいは田川でセメント工業をやろうという話があるけれども、金の点でとにかく進んでない。これは工場が拡大される、あるいは新しく起こりますと、雇用の吸収には相当役立つ労務問題からも考えてもらいたいということ。それから中小炭鉱を含み産炭地発電の問題を取り上げましたが、五千五百万トンを拡大するためには、五千五百万トンの計算の外になってる低品位炭、あるいは雑炭という問題がありましたけれども、その利用法等を考えて五千五百万トンを拡大するということは、先般答弁をもらったわけです。その具体的な裏づけの五千五百万トンを拡大する方策としての産炭地発電、あるいはワク外の雑炭、低品位炭を開発する方法を全般的に考えていく。それから中小炭鉱については、そのあるべき姿というものが十分考えられておらぬし、また対策も不十分で中小炭鉱三百三十ほど残っていくというのだから、その残っていく姿へ向かっての援助というものを願いたい。特にこれは産炭地振興というものをやっても、工場がすぐできるわけでもない、あるいはできても小さい、それが雇用をどれだけ吸収するかわからぬということになりますと、大企業あるいは中小炭鉱の存立のためには、やはり現在以上の協力を願わなきゃならない、こういう意味で申し上げたんです。まあ、重複しますけれども、要望として最後に通産大臣に申し上げておきます。  それから閉山後の炭住、あるいは炭鉱住宅でなくなった住宅ですか、それからふろ、電灯等に対しては、各地でこれは切実な要望を聞きました。今までは黒い羽根というような民間の援助を得て、ふろを作ったり、あるいは下水を作ったりしている面もあるわけでありますが、具体的な閉山後の山の措置として、この閉山後の炭住、ふろ、電灯等に対する措置を確立してもらいたい。こういう要望があったんですが、これは今日、自治省からおいでいただいてるのは財政課長、交付税課長ですから、あとで交付税の問題を質問するときに答えていただくために来ていただいておるんですが、石炭局と自治省と相談をして、法律ができるまでもなく、こうした閉山後の生活に必須の住宅あるいは衛生施設、電灯等について、自治体が責任者になるかと思いますけれども、心配のなからしめる措置をきめてもらいたい、こう考えるんですが、これは自治省と相談の上きめてもらいたいという要望をするわけですが、いかがでしょうか。
  39. 今井博

    政府委員(今井博君) 閉山後の炭住の問題だと思いますが、閉山しました場合の、その炭住に住んでおる人の扱いは、これはちょっと石炭行政にはまあ関係ございまするけれども、ちょっと直接には関係が現在ないと思います。この点は一般的にどうだということはちょっと申し上げかねますけれども、具体的な問題になりますれば、やはり自治体等にいろいろ相談しなきゃならないことになるかと思いますので、その辺は自治省とも一応よく打ち合わせてやりたいと思います。
  40. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 閉山後の炭住とその環境の整備の問題でございますが、閉山後そういった問題を自治体のみが引き受けてやるのが妥当であるか、あるいはそれに対して国家が何らかの援助をすべきであるかというようないろいろな問題が考えられると思います。現在の段階では特別な措置も国としてはないのでございますので、特殊な問題については自治体が下水の整備をやったり、あるいは電灯を引いたりしているという例も私どもも聞いております。そういう問題につきましても、私どもも個々の団体によって非常に事情がまちまちでございますので、一律にどういう取り扱いをするというわけにも参りませんので、事情をよく聴取いたしまして、必要なものには特別交付税等も考えるというような措置を講じているわけでございます。
  41. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 現状の説明じゃないので、山が閉山になった、住宅その他事業団が買い上げるわけですが、六カ月たち、あるいは失業保険が切れたりいろいろいたしますと、すぐに住宅を追い立てられる。あるいは電灯が切られる。あるいはふろがなくなる。あるいは水がとまるということで、その陳情は今のところ事業団とそれから町村にいっているわけです。一つ一つについてこれは生活必需品でありますから、電灯が切られればそれはあすからの問題、住宅がいつ取り上げられるかどうかという、住民にとってはこれは切実な問題として事業団なりあるいは自治体にいっているわけであります。ところがそれについては何らのとにかく対策も講じられておらぬ。そこで御協議の上で対策要綱というか、措置要綱というか、そういうものをこれはきめて参るべきだと思うんです。もしそれが行政的にできなければ、法律を作る以外にありませんけれども法律を待つまでもなく私は今まで解決してきているんですから、そこで通産大臣まあ政府の代表としてそこにおられるのですが、同情的に自治省の答弁を促しておられたようですが、ひとつ石炭局それから自治省相談の上に、あすからの住宅、あるいは電灯、水道について心配をなからしめるような措置はしたい、こういう答弁を願えるでしょうか。
  42. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 吉田さん実情をよく御承知ですから、この対策がなかなかむずかしいこともおわかりだと思います。ただ問題は、廃山した、それでこの炭住に入っている人が本来できるだけ早い期間に生業、といいますか、転業、あるいは本就職を見つける、そうして本拠をかまえる、こういうことが望ましいのであります。なかなかそういうことはできていない。そのための仮の住まいというか、仮の住まいが長期化する。そういう場合に実は問題が起こるんだと思います。あるいはまた締めてしまった炭住に居をかまえた人、そういうような人たちがその後どうなるかというような問題があるんだと思います。で、せっかくある炭住だから、その炭住を市町村に買い取ってもらう、そうすれば市町村の財産にもなる、あるいは低所得者の住宅措置対策にもなるだろう、かように思いましたが、なかなか炭住そのものが、まあただなら入るけれども、金を出してまで入らないとか、あるいはそれを修理すれば相当の出費が要るとか、こういうようなことでこれもなかなかできないようでございます。しかしそのできない理由ばかり申してもいかぬでございましょうから、一定の期間何かめんどうみるような特別な工夫をひとつしてみる。在来の経営者なりあるいはその土地の市町村なり、あるいはまた事業団なりがどういう措置ができるか、もう少し具体的にひとつ検討させていただきたいと思います。今日対策のないことは御指摘のとおりであります。しかしまた正当の権利者ばかりが住んでいるとも考えられないものもあるのでございまして、ただ形の上から見まして月が非常にさし込んでおるとか、あるいは電灯が切られるとか、そこへ居をかまえている、それに対してめんどうを見ていない、こういうことはあまり許される筋でもない、何らかの処置があってしかるべきでしょう。そういう意味でもう少し関係を掘り下げて対策を立てさしていただきたいと思います。
  43. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 時間もございませんから質問を継続いたしませんけれども、実際にたとえば参りましたときに、新屋敷炭鉱におった者から切望もあったわけですし、私どもの知っておる例で海老津の向陽炭鉱については事業団に話をし、それから町村を通じてそれぞれの住居者に安く払い下げた。そしてそこで従来より以上にきれいに住宅がなっておる。そこで事業団、市町村への折衝でうまくいったという実例もある。方法はある。しかし何らかの取り扱い要綱もないから、すぐに追い立てられる、あるいは電灯が切られるという窮状にあって、それがそれぞれの切望になっている。要綱はできるはずなんです。例もあるのですからひとつ作ってもらいたいということです。それから産炭地の市町村から異口同音に、市町村の財政は、失業対策と生活保護のために、はなはだしいところはその自治体の財政の過半を支出をして、独自の福祉行政というものは困難になっておる、そこでこの地方財政の窮状に対して何とかしてくれ、あるいは失業対策なり生活保護はこれは国の責任で行なわれることではないか、全額国庫負担なりあるいは高率補助なりしてもらいたい、こういう要望等もありました。  それから現地に行かれた各大臣は自治大臣を含んで、それは市町村には迷惑をかけぬ、完全に何といいますか、しりぬぐいといいますか、胸をたたいて約束をされたわけでありますが、その後特別交付税については考慮を願えそうだ。それから交付税の算定について調整についても若干の考慮を払われるそうでありますが、事実は山田とか、あるいは中間市のごとき今日給料の支払いもできぬことは御承知のとおりです。税収は入ってこない、それから失業対策、生活保護のために現在支出していかなければならない金額は非常に莫大なものになっている。その市町村にとってそこでこの手当というものは急速を要するわけでありますが、約束をされました交村税なりあるいは特別交付税を通じての対策といいますか、それはどういう工合にされようとしておりますか。
  44. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) ただいまお尋ねのございました産炭地関係市町村の財政の問題は、御指摘のとおりたいへん窮迫をいたしていることも私どもも承知をいたしております。そこで本年度の特別交付税の交付に際しましては、それらの事情を十分考慮いたしまして関係市町村の財政のてこ入れをいたしたい、かように考えている次第であります。具体的に申し上げますと、これらの市町村が一番困っております問題の一つは、ただいま御指摘のございました失業対策費が非常に多額であるということ、並びに生活保護費が非常にかさんできておるという問題でございます。失業対策事業費につきましては、本年度の国庫補助対象になる一般失業対策事業費の地方負担額から、すでに普通交付税でもって充当されておりますものを差し引きました残りは、全部実績に従って特別交付税で補てんをいたしたい、かように考えております。また生活保護費につきましても実績見込額から国庫補助金領を差し引きました額、それが地方負担額になるわけでございますが、その地方負担額から普通交付税の算定基準、基準財政需要額を差し引きました額、すなわち財源措置の出されました額を差し引きました残りは、全部特別交付税で補てんいたしたい、かように考えております。なお炭鉱離職者臨時措置法によります緊急就労対策事業費につきましては、地方負担額から地方債を充当いたしました残りは全部特別交付税をもって補てんをする、というような考え方でもって作業を進めておる次第でございます。
  45. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 特別交付税の交付額もほとんどもう計算されておると思うのですが、お示しを願える段階になったらお示しを願いたいと思います。産炭地の窮状にあります市町村に対する特別交付税の額をお示し願、えるようになったらお示し願いたい。  それから普通交付税の算定基準、算定方法、まあ平均率といいますか、これは各県における補正率もあるようでありますが、今までの交付税の計算方法で全国的な平均、それから一応補正係数というものもありますが、実際に生活保護をした人間、それから失業対策を講じた実数に応じて計算をされていないという点が一番強い不満。それからそれは特交で見ると言われるけれども、特別交付税の総額がきまっておるわけですから百パーセントはこれは見られない、こういうことになっておる。で、補正係数も改訂をするということですけれどもことしの間に合わぬでしょう。あるいはことしからそれは補正をして計算方法を変えて、それで交付税についても、交付税の計算方法を変えたものを特別交付税の中でやろうというわけですか。
  46. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) ただいまお尋ねのございました普通交付税の算定方法の問題でございますが、御承知のとおり普通交付税は、全国の地方団体に対して一定の基準に従って行政ができますような財源を保証しよう、という制度でございます。したがいまして実数そのものとかあるいは一定基準に従って算定をするという問題は、私どもいろいろ検討いたしておるわけでございますけれども、実数そのものをそのままとるならば、百パーセントの国庫補助にしたほうが手っとり早いということもあるわけでございますが、そうすれば地方自治体として一般的な財源付与によって行政を行なっていく建前がくずれてしまう。どの辺で調和点を見つけるかという点が交付税算定上の一つの問題点でございます。ただ観念的な点ばかり申しておりまして、実体とあまり離れるという点は一つの問題でございます。そこで今お尋ねのございました生活保護費の問題につきましても、一応人口に対する一定割合の生活保護者というものを全国平均から出しまして、そうして計算をするわけでございますけれども、それだけでは人口の割合に非常に生活保護者の率の高い所、具体的に申しますと、全国平均は大体千人につき一八・七人の割合になっておると私記憶いたしておりますが、ただいま問題になっております産炭地市町村、たとえば田川市のごときは千人につき八十人という高率になっておるのであります。果してその点をどういうふうに交付税の観点に織り込んでいくかというのが一つの問題でございまして、これにつきましては従来前年の生活保護者の実数をとりまして、半分のウエートをかけて補正しておったのであります。しかしながら、それではまだ不十分な点もございますので、来年度からは、さらにその補正率を高めよう、こういうふうに考えているわけでございます。しかし、そういたしましても、やはり一定の算定方法をとりますために、実態との乖離という点も、ある程度出て参ります。その分は特別交付税でもって特殊の市町村については全部埋めていく、そういう方針でもって今年度の特別交付税の点につきましても、先ほど申しましたような措置をとろうといたしておるのであります。
  47. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 そうすると補正係数の改訂というのは来年度からで、ことしはすでに間に合わぬ、そこで特別交付税ということですが、その計算方法の改訂ですね、これについて、あなたは実数どおりといえば、交付税の性格はなくなるのじゃないかと言われるけれども、要望は全額負担かあるいは高率補助か、それからあるいは別に、基地交付金のような産炭地交付金を新設をしてもらいたい、こういう要望、いわば政策的に出て参りました失業者、特に生活保護あるいは失業対策というものは、国が責任をもってやる、こういう建前になっているから、これはほとんど実数を全部カバーするだけの援助を願わなければ、その他の点についても、あるいは産炭地振興をやっていくについても、あるいは失業対策をやっていくについても、失業対策緊急就労事業の事務費、資材費という点と関連をいたしますけれども、何といったって地元負担というものは、ある程度伴うわけです。したがって、生活保護あるいは失業対策費については、全額を持ってもらいたいというのが根本思想にございます。そうでないと、今の産炭地の財政は切り抜けられぬ、税収は減ってくるわ、支出するほうはだんだんふえるわ、その総額が市なり町村なりの財政の過半数を占める、こうなっては、根本的に市町村の財政の破綻であります。それを救ってくれということで、問題が出ているのでありますから、実数に近づけるような補正係数の算出方法を改訂を願わなければなりませんが、それは来年になるか、それからことしは交付税のワクを広げても、その補正すべかりし額あるいは全額、何といいますか、穴埋めについては大臣が言われたように、全領をひとつ特別交付税で見てあげる、こういうことですね。
  48. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 先ほどお答えいたしましたとおり、明年度の普通交付税の改正につきましては、生活保護費の実態を反映させます割合、補正でございますが、これを引き上げようということを考えているわけであります。  なお、本年度の問題につきましては、先ほども申し上げましたように、法定負担額から現在普通交付税の中に取り入れられております失業対策費なり生活保護費なりを差し引きました残りは、特別交付税で全額を補てんする、こういう考え方で作業をいたしております。
  49. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 こまかい点でまだ残っておりますけれども、別の機会にいたしたいと思いますが、先ほど申し上げました大臣が約束されました特別交付税で、今言われる全額は見ようという結果が、ごく最近出るわけでありますが、それはなるべく早い機会に資料をお示し願いたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  50. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 整理がつきましたならば、資料をもってお答えをいたしたいと思います。なお、先ほど申し上げましたほかに、先ほども指摘がございました中間市のような所では、滞納になって税収入が入らないといったような問題、こういった問題については、ほぼ具体的な問題になるわけですが、たとえば例を中間市にとって申し上げますと、この滞納は現在の段階では欠損処分の段階まで至っておりませんので、一応当該市の租税財源としては残されておるわけでございます。したがって、そのまま特別交付税で補てんするというわけにはいきませんので、こういうものは一時借入金が資金繰り上必要である。その一時借入金の利息については、特別交付税でもって措置する。こういうような措置も講じてございます。
  51. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 これは今後の産炭地域の開発あるいは振興のために、各地である問題ですが、輸送の問題であります。唐津では唐津線の問題があり、筑豊では篠栗線の開通の要望がありますが、前からきまっておるが一向進展をしない油須原線の問題があります。油須原線については相当無理をして地元としては協力をした。中には美田をつぶして線路の建設に協力をしたところが、線路はできたけれども一向開通に至らない。その他、今まで工事を進めた所では、線路はできたけれども一向開通には至らない。農民の中からは、われわれに協力をせさて、美田をつぶして線路を作ったが、いつになったらこの線路は走るのだ。こういう、いわば非常な不満を含めての要望というか、促進の要望があったのですが、それについて問題があるということも承っております。これは関係市町村あるいは関係県民、それから農地等を提供いたしました農民の中から非常な不満を含んでの促進要望があったわけでありますが、運輸省あるいは国鉄としてどうしておられるのか承りたい。
  52. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) お尋ねの油須原線の建設が非常におくれておる。こういうことでございますが、実はこの建設線につきましてはいろいろいきさつがございまして、これは十分御承知だと存じます。すなわち当初産炭地における失業対策を兼ねまして、この沿線の石炭を若松方面に出さないで、行橋を経て苅田港に積み出して、航路の短縮をはかって運賃の節減に資する。こういう目的でこの建設線が選ばれたように伺っております。現在のところ二十三キロ余りの延長のうち六キロを残しまして、ほとんど路線が完成いたしております。問題は、川崎付近のわずか六キロの間におきまして建設予定線に某炭鉱業者の炭田がその下にありまして、もし国鉄で建設を行なうということになれば、それに対する補償を要求したい。こういう要求が出ておるのでございます。これも十分御承知と存じます。その額は相当の額にのぼっておるわけでございます。ところがその建設のいきさつにかんがみますと、もともと通産省の要望によりまして失業対策あるいはこの沿線の石炭を苅田港に短絡をする。こういうことで沿線市町村並びに沿線の炭鉱業者の切なる要望にとたえて国鉄が取り上げたということでございますし、また、したがって、この建設につきましては、国において失業対策関係の公共事業費であるとか、そういった特別の措置を講ずる、こういうことも政府として一応約束いたしたのでございますが、結局は、現在のところ国鉄のみずからの資金で建設しておるというのが実情でございます。そういうことでございますので、国鉄側としては、沿線市町村なりあるいは炭鉱業者の十分なる物心両面における援助が期待できるということは考えておったわけでございます。ところが、今までのところにおきましては、十分援助を受けておったのでございますけれども、この川崎付近に至りまして、今申し上げましたような補償の問題が起こりまして、もともと国鉄としては強い要請があってこの建設に手をつけてきたにもかかわらず、今になって沿線の炭鉱業者からそういう問題が出るのでは、これは話が違う、こういうことにも相なっておるわけでございまして、その間の事情を知るものにとりましては、国鉄の誓い分にも若干同情する余地もあると思うのでございます。そこで本線の重要性は運輸省としても十分承知いたしておりますので、現在この補償の問題をめぐりまして、何とか打開の道はないかということで、ここに出席相なっております石炭局長をわずらわしまして、何とか解決の方法について援助してもらいたい、こういう申し入れもいたしておるのでございます。何とか近々のうちに話をつけまして、建設を再開して、一日も早く御要望に沿いたい、かように考えております。
  53. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 その程度のことはとうに承知をしておるわけでありますが、現地調査に参りましたここに御出席の団長の劔木先生にしても、あるいは一緒に参りました民社党の田畑君にしても、これはやはりすみやかに解決をすべきじゃないか、もしわれわれがその委員会審議、あるいは委員会外の協力をもっても、解決に向かうならば協力をするのにやぶさかではないというくらいの気持で帰って参って報告をしたわけであります。まあ地元の要望、あるいは石炭関係の要望もあって建設に踏み切った、こういうお話ですけれども、あの油須原線はこれは閣議できまって、そしてこれは失業対策も含んで急にやろうということになって、これは発端は、少なくとも責任の所在はこれは政府にある、通産大臣は、まあそのとき大蔵大臣であったかどうか知りませんけれども政府できめて、そうして推進をされた、それから利害関係からいうならば、その農民もですけれども、産炭地の全部が、関係市町村はあの油須原線の開通によって産炭地振興が可能になるのではないか、あれが一番のとにかくポイントだという理解に立っておる、それから、あるいは地元発電の一つであります脇田の発電所にどれだけの炭が送れるかという点も油須原線に関連があるわけであります。したがって、石炭局長も御協力を願ったということでありますが、この解決には局だけでは——石炭局、あるいは運輸省の監督局長ですか、監督局長国鉄の建設局長だけの責任ではなくて、私は政府にも責任があると思うのです。運輸省それから通産省、まあ局長段階での協力の話もありましたけれども、運輸省の政務次官、先ほど来ておられたようですけれども、退席をされたようでありますけれども、両省の責任で話をまとめて、可能にする方法についてどういう努力をしておられますか、もう少し具体的に承りたい。
  54. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) せっかく通産省と目下いろいろ解決方法について協議を申し上げておりますので、いましばらくお待ち願いたいと思います。必ず御期待に沿えるだけのことをしてみたいと思いますので、いましばらくお待ちいただきたいと思います。
  55. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど来お話をよく伺いました。これはぜひ所期の目的どおり進めて参らなければならない問題だと、かように思いますので、関係省をひとつ督励さして、結論を早急に得るようにしたいと思います。
  56. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 大臣が責任をもって早急に解決をもって早急に解決をしたいと言われますから、それを信用する以外にはありませんが、先ほどから答弁を願ったのは、鉄道監督局長ですか、あなたから遠からずということでは、遠からずというのが何年か前から遠からずなんで、具体的にそれではどういう方向で調整をしている、解決をしようとしているから、いつごろまでにはその結論を見ると、およそいつごろまでに見たいという、こういうお話なら了承いたしますが、ただ、通り一ぺんの答弁では引き下がるわけに参りませんが、その辺はどうですか。
  57. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 実は先週も通産省と詳細に協議いたしたのでございますが、今週も早々に協議を続行いたしたいという考えでおります。今いついつまでに解決するという、いついつから工事を再開するというふうなことを申せとの仰せでございますが、実は責任を痛感いたしておりますので、必ず御要望に沿える機会は近い将来にあると思います。この辺でお許しをいただきたいと思います。
  58. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それではもう少し具体的に、たとえば運輸省の責任者、大臣なり次官が、通産省なら通産大臣が、通産大臣の責任において運輸大臣と相談して片づけたい、こういうことであるなる私も了承いたしますが、これは、中身は私は知っているのですから、具体的にやはり賠償の金額にもなります、賠償金ですか、補償金ですか。これは調査の途中で何べんもお話が出たことですが、墓地の下を掘ったトンネルの点は、オープン・カットするか何かして、とにかく片づくだろう、鉱区の中心を走っている云々あるいは選炭場付近かどうか知りませんが、鉱区のまん中あるいは中心的な部分を走るから云々というような話があっていたわけですが、しかし、他方では、今までのような、最初予定したような鉱量がないからあるいは縮小したい、こういうとにかくその方面からすると石炭局関係ですけれども、補償を要求されるほどの鉱量があるかどうかという問題もある、そこで、その辺は、これは煮詰めていけば早くまとまると、われわれも関係地元の議員として考えるわけです。ですから大臣大臣とで、あるいは直接窓口は次官にされてもいいけれども、相談されれば、これは話は早急に煮詰まらぬものではなかろうと、これが常識です。したがって、その辺は炭鉱については石炭局を通じて通産省の所管、それから油須原線を建設するという具体的な担当は運輸省、直接には国鉄がやっておられるわけです。だから運輸省と通産省とが責任をもって話をされれば、私は片づかぬ問題ではなかろう。これがじんぜん日を送って、今年も着工できぬというか、通らぬということになってくれば、おそらく今年中にできなければ、これは来年はさらにふくらむ。時期的にいっても解決すべき時期であり、あるいは煮詰まってきているという点でもあるし、早急に両省の責任で、ひとつ解決してもらいたいということを要望するわけです。両省の責任者、大臣において片づけるということが約束できるならば了承いたしますが、その辺の決意のほどを伺いたい。
  59. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) いろいろ隣の局長とも相談しているんですが、きょうもきょう、委員会が済めば交渉するようになっておるそうです。関係者で相談をするように。そういうことでございますが、なかなか補償に関する問題でございますから、一週間とか五日とかいううちにそう片づくとも思えません。しかし、まあ年度内といいますか、この三月、この年度内にはなるべく片づける、これは私、そういう意味で先ほども発言をしたわけでありますが、まあその辺の日にちをかしていただけば結論が出るだろう、また、出さなければならぬ、かように考えております。いましばらくというのは、そのぐらいの期間に結論が出ると、かように御了承いただきたいと思います。
  60. 剱木亨弘

    ○剱木亨弘君 油須原の問題で同僚吉田委員お話がございましたが、私どもこの油須原線の当初から関係いたしておる者といたしまして、国鉄のほうで非常に誠意をもって事業を進めていただきまして、まさに完成の直前に至りまして、だいぶ停頓しておるというような実情でございますが、私ども、吉田君と田畑君とともに現地を視察いたしまして、特に産炭地としまして、一番ほんとうに惨たんたる状況でございます上山田から油須原に通ずる線でございまして、この線の完成に対しまして、地元民としての産炭地振興についての熱望は非常に強いものがございますが、特に国鉄のほうで今日までいろいろ補償問題に突っかかりまして停頓されましたその事情については、われわれも十分その点を了解いたしておるものでございます。しかし、これは何としても解決していただかなければなりませんし、それには、やはり通産省石炭局の御努力が非常に必要だと思いますから、また、それをもってやりまするならば、おそらく今、吉田委員のおっしゃいましたように、解決の見込みがあるものと考えますし、また、御努力をいただいておるとわれわれ信じます。ぜひ今大臣のおっしゃいましたように、少なくともこの年度末までには解決をいたしまして、地元民の要望に沿っていただきますように、私からもこの機会にお願いをいたしておきます。
  61. 川上為治

    川上為治君 今九州の問題についていろいろお話がありましたが、これと必ずしも関連はしていないのですけれども、似たような問題で、やはり、この前北海道に私どもが行きましたときに、問題になっておる点がございますので、その点をこれから申し上げますが、早急に解決していただきたいと思います。  それは、昨年の十二月の八日の閣議決定で、石炭運賃の軽減対策についてというのが決定されております。その中で、国鉄運賃の延納対策の、そのうちの第四項のところで、「この延納措置は、連絡輸送にかかる国鉄運賃についても延納の対象とするよう可及的すみやかに措置する」というのが決定されています。それからもう一つ、石炭運賃にかかる通算制の採用というのがありまして、「現在国鉄、私鉄間の連絡輸送については、併算制または通算制のいずれか採用されておるが、石炭輸送経費の軽減対策として併算制を採用しておるものについては、可及的すみやかに通算制に改めるよう措置する」と、こういう決定がなされています。ところが、それからもうすでに二ヵ月たっておりますけれども北海道におきましては、これがなかなか実行されていないのであります。これはどういうことでそういうことになっておるのか、少なくとも閣議決定をされる場合においては、あるいは事務当局において相談をした上で閣議決定というものがなされるか、でなければ、事務当局でどうしても話がつかないから最高の閣議決定というところできめてもらうか、こういうことになっているはずだと思うのですが、にもかかわらず、今日に至るまで北海道の話を聞きますると、なかなか実行されていないということを聞いておりまして、北海道炭鉱では、この問題を非常に重視しておるわけなんですが、どういうことでそういうことになったのか、また、これについていつごろこのとおり実行するようなことになりますか、その点を一つお伺いをしたいと思います。
  62. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 今読み上げられましたように、書き方がややぼけた書き方がしてございます。と申しますのは、通算制にいたしますと、運賃が安くなる。安くなる運賃の負担といいますか、それをどういうように分割するかという問題があるわけです。これは会社と公社との関係になるでしょう。その関係のものの見通しがつかないということで、事務的にもう少し関係者で折衝を要するということでございます。でございますから、国鉄の場合であれば、ことにこれが後払いということになりますが、保証期間が尽きれば処置ができる。だが後払いでなくて、通算ということになれば、それだけ安くなる。それを国鉄あるいは会社に、いかように対策するか、あるいはそれを国が負担することができるか、こういうような問題があるわけです。そういう点の根本がきまらないものですから、当時これも取り上げなければならぬということでありますが、結論が出ないまま、その方向だけ示して閣議決定を得たという事情でございます。しかし、これはいつまでもほおっておくわけに参りませんから、結論が出るように、私ども関係者を督励するようにいたしたいと思います。
  63. 川上為治

    川上為治君 今、大臣からこの文章が相当むずかしい問題があってぼけておるように書いてある、こうおっしゃいましたが、私はその点は了解いたします。なるほどよく読んでみると何々するようにとか、そういうふうに書いてありますから、ぼけては書いてありますけれども、しかし、こういうことを何とか一つ実行したいと、こういう気持で運輸大臣了承されて決定を見たところだと思います。でありますから、この問題についても、もう二カ月になっておりますから、早急に御相談をされて、ぜひともこれは実行されるように、ひとつ御努力のほどをお願い申し上げておきます。
  64. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 最後に、これは結局は資料をもらって十分やるということになると思いますが、こういう話がございました。それは、先ほど鉄道の点でも問題になっていましたけれども、大峰あるいは上山田、方城等その他名前が上がったのですが、近代化あるいは合理化資金等で何億という金を投入をした、おそらく大部分縦坑だと思う。ところが、実際にやってみたところが、石炭がなかった、あるいは焼けておった、こういうことで縮小をするところもありますが、縮小はいいとして、閉山をするところも出てきておる。そうすると炭鉱若返りということで、これは預金資金等の国の金でありますが、それが相当多額に投入をされたけれども、有効に使われないような実態になったところがある。その資金の投下の目標からいうならば、その限られた鉱区だけでなしに、付近の鉱区を整理統合をして開発を進めるべきではないか。こういういわば鉱区の総合調整に関連をする一事例として上がってきた問題ではございますが、指摘を受けてみると、なるほど近代化資金なりあるいは合理化資金として、一つずつについても二億、三億、あるいはもっとたくさんの金もありますが、投下されておる。それが実際に着炭をしてみたところが、あるいはだんだん坑道を掘ってみたところが、それだけの炭がない、どうなるか、こういう問題が残るわけです。私も疑問ですから、指摘をして——深くここで追及しようとは思いませんけれども——関係法文を読んでみますと、坑口の開設、使用については合理化法に厳重な規定がある、あるいは鉱量だとか、あるいは能率だとか。ところがその後事情が変化した。そしたらどうするんだという点は、これは合理化の中にもない。それは責任がどこにあるかという問題もありますが、それ以前に、こういう事態に対してどういう工合にされますか。これは窓口は開銀あるいは合理化事業団、そこが責任を持っているんだと言われればそれまでですけれども、やっぱり合理化計画の中で石炭局も関連をしてその計画を進められたのですから、石炭局あるいは通産省関係がないというわけではありませんでしょう。それからこういう金額がどのくらいになるのかわかりませんけれども、全部合わせると相当の金額、何十億あるいは百億こすかどうか知りませんけれども、少なくとも何十億という金である。これは間違いはない。それをそういう使い方あるいはそういうことになったその後の計画——出炭計画なり何なりに、どういう工合に影響しているかという疑問もあるわけですから、法的な措置が必要でないとしても、少なくとも行政指導の面では責任が生じてくるんだと思うのですが、ここらの点について、どういう工合に対処しておられるか、あるいは今後どう対処せられるか伺いたい。
  65. 今井博

    政府委員(今井博君) 大峰の設備投資の問題でございますが、大峰につきましては、二十八年から三十三年の間に今御指摘になりました縦坑関係で設備投資を四億七千九百万いたしました。そのうち開銀の融資が三億一千万であります。これはその当時炭量が、われわれの調査では三千六百万トンぐらいの炭量があるという推定に基づきまして、古河鉱業がこの大峰の万才坑の縦坑を掘さくしたわけでございます。ところが工事がどんどん進んでいきましたが、思いのほかに炭層が焼けておるという、予想よりも焼けておるということが一つ。それからいま一つは、二十八年から三十三年までは非常に好況でございまして、相当炭価も高く、油の値段も非常に高い、こういう環境にあったわけでございますが、その後、油の値段が相当下がり、石炭の合理化も非常に必要性が叫ばれて、炭価水準が非常に下がってきたということがございまして、経済的に開発し得る炭量としては予想外に少なくなった、こういう事情から、この設備投資が、ある意味において不良投資である、こういう事情にあるようでございます。これは開銀融資が三億一千万も入っておりまするし、この点は開発銀行としましてもできるだけの調査をやってこういう融資をやったのでございますが、何分、炭鉱の場合には、実際に相当炭量があると思ってやってみると、相当焼けておったりあるいは思いのほかに断層があって、実際には開発がなかなかむずかしい。ところが相当法外な設備をやっちゃったというようなことがよく——まあ、よくあると言うと語弊がありますが、ときどきそういうことがあるわけでございまして、この間に会社当局として、どういう判断のもとにやってどういうわけでこれが失敗したかという点については、われわれとしてもまだ詳しい事情を詳細に知りませんけれども、ときどきこういうことがある。これはまあ非常に遺憾なことではございまするけれども、これに対して行政上どういう措置をするかということは、ちょっと実際問題としてはできかねるのじゃないか。古河鉱業としては、これだけの不良投資の負債を負って、それを償還しなければならないという実情にあって、それだけ会社の経営が苦しくなる、こういうことになると思います。
  66. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 古河の例だけ言われましたけれども、古河だけではないわけですね。われわれが知っているところでも上山田についてもそうであるし、方城についてもある。それからその他もあるようです。名前があがったのでもそのほかに二、三あるわけですが、行政的措置といっても、それじゃ、たとえばそれだけの投資をしたから、付近に鉱区を拡大するならば掘れるところもあるいはあるかもしらぬ。とにかくこのあとの、何といいますか、措置をどうするかという点は、個々によって違うと思うのですけれども、場所を今いろいろ言うように、古河だけではないようですが、これは石炭局にはこの資料があるのだろうと思うのですが、あるいは資料をちょうだいをして検討することにいたしたいと思います。  同僚阿部委員は、実はそういう合理化資金なりあるいは近代化資金融資を受けたものの中から、不正に使用された例をあげて質問をしようと、こう言っていたわけなんですけれども、それは後日に譲りますけれども、これは筑豊なら筑豊が老期に入ったせいもありましょうが、一つ二つではないのであります。したがって融資をしたあとをどうするか、あるいはどういう工合に指導するかという点は、これは通産省当局の問題でもあると思うのです。私も確固とした意見を持ておるわけじゃないのですが、指摘がありましたのでお尋ねをしたのですが、あと、できれば資料をちょうだいしたいと思います。
  67. 田畑金光

    ○田畑金光君 ほとんど吉田委員が、質問を各点に触れてやりましたので、関連して二、三の点をお尋ねしたいと思いますが、まず第一に、この調査の間に、先ほどお話がありましたように、特に低品位炭を使う火力発電所の現地の状況を視察して参りましたが、その節強く要望がありましたのは、建設資金に開発銀行資金をもっと大幅に導入したいということです。若松の、これは脇田の火力発電所の視察の際に、関係者からの話によりますと、第一期工事として七万五千キロワットを二基作って、年間八十万トンの三千カロリー前後の石炭を消費するが、これによると、大体キロワット当たり三円二十銭のコストになるというようなお話で、さらに二期工事をやれば、それだけ固定資本の償却等が減じて参りますので、コストが安くなるわけでございますが、そういう点が強く指摘されたわけでございます。  ことにまた、九州電力の苅田の発電所に参りましたところが、第一期、第二期、第三期工事が完了して、三十八万七千キロワットの出力になっておりますが、第一期工事にたしか四十億の外貨の借款をやり、第二期工事に一千百万ドル、第三期に七百万ドルの借款を導入して、文字どおり新鋭火力という印象を強く受けたわけでございます。  その隣の西日本共同火力に参りまして、いろいろ説明を受けたわけでございますが、特にその節話が出ましたことは、先ほど申し上げたように、開発銀行資金をもっとひとつ、ふやすように国会でも取り上げてもらいたい、こういう要望があったわけです。この西日本共同火力の二十二万キロワットの建設について申しますと、総工費が百三十九億要する計画になっております。開銀の資金が五〇%導入されますと、キロワット当たり送電原価が二円八十九銭、しかし開銀の資金が三〇%に減りますと、二円九十五銭ということで、キロワット当たり約六銭コストが違ってくるわけです。そこで、これは石炭の場合も同様でございますが、電力の開発についても、外資の導入であるとか、あるいは国内の開銀の安い資金をどれだけ導入するかということによって、発電コストにもすぐ響いてくるわけでございます。  そこでお伺いしたいのは、現在電力開発に毎年多額の資金を必要としておりますが、通産省といたしましては、電力開発資金に対して、たとえば開銀資金をどの程度にするのか、あるいはまた自己資金をどうするか、市中銀行からの借り入れをどうするか、あるいはまた開発銀行を通じ、外国においてどのように電力債の外債発行を実施しようとする考えであるのか、この点について、ひとつ通産大臣からお伺いしたいと考えております。
  68. 樋詰誠明

    政府委員(樋詰誠明君) 三十七年度の資金関係の表をうっかりいたしまして持って参りませんでしたので、三十六年度の分を申し上げまして、大体それに関連して申し上げたいと思いますが、最近の状況から判断いたしまして、今後の電源開発のための所要資金といたしましては、電源開発工事並びに送電配電関係の工事を引っくるめまして、本年度が三千八百四十二億、それから来年度は四千八百六十五億、それから三十八年度以降大体五千三百億程度というふうに考えております。  これの調達の内訳でございますが、このことしの三千八百四十億ばかりのうち、九電力が約三千四百億でございます。残りの四百億がその他の関係ということになっておりますが、その他の中に電発等につきましては、これは大体財政資金中心にいたしまして、ほかの公営企業、あるいは九電力等に比べて、一番金繰りは楽な格好になっております。先ほど脇田の発電所で資金がかなり窮屈だといったようなお話が、御意見があったと思いますが、われわれ電発に関する限り、ほかの電力会社よりは非常に楽で、実はことしも来年度に若干、二十億ばかり繰り越しをさせております。それで九電力等に比べますと、電発そのものは一番今金繰りが楽なので、特に金が苦しいから、どうも工事が進まないということは、ちょっと私には今わかりませんので、これは帰りまして、至急それぞれの発電所ごとに、若干事情が違うと思いますから、調べてみたいと思っております。問題は大部分を、九割を占めます九電力に問題があると、こう思うわけでございます。ことしの九電力を申しますと、三千四百億のうち、大体減価償却を中心といたしました自己資金が千三百六十六億、それから増資が約六百億——五百九十八億でございます。これは七百五十八億の増資をいたしますが無償交付等がございますので、手取りは五百九十八億になるわけでございます。それから外部資金として下三百十九億、そのうち六百八十七億が社債で、六百三十二億が借入金でございます。こうやって参りますと、合計いたしますと結局三千二百八十三億ということになりまして、百二十億ばかり所要資金に対してショートするわけでございます。この不足分をどうやって調達するかということが差しあたりの三月の末までの電力にとりましての問題でございまして、これにつきましては、ただいま大蔵省といろいろ折衝いたしております。資金運用部の金を動員する何らかの方法で、ぜひ穴を埋めてもらいたいという折衝を今いたしておる最中でございまして、まだ方法がはっきりいたしませんが、百二十億のうちの相当部分は埋めていただけるのではないか、少なくとも百億以上のものは埋めていただけるというふうに今までの事務折衝の段階としては、そういうことで話を進めて参っております。また来年度は大体増資を約千億、それから社債で千百億ぐらい、合計いたしまして増資と社債と両方合わせて二千百、できたら二千二百ぐらいの金を集めたいというのが電力会社の希望でございますが、今のところでは今年度よりも——今年度は先ほど申し上げましたように両方合わせて千三百億くらいでございますが、はたしてどの程度までふえ得るかということにつきましては、そう明るい材料はございません。今のままでいくと、六百億程度所要資金に穴があきはしないかといったようなおそれもございますので、それは今の百二十億の今年度の問題を片づけましたならば、それを追っかけまして、この六百億の穴があくということのないように何らかの手を打ちたい。御承知のように、電気関係の金は三年先、あるいは四年先に発電する電気を目ざして作られるものでございますので、さしあたりは、金はなくても何とかやっていける。それが三十九年、四十年に、いろいろな格好で支障を来たすということにもなりかねませんので、少し長い目で関係方面と十分にやっていきたい。少なくとも大蔵省あたりも、ほかの産業と違いまして、電気の金は足らなくないように、電気がとまったのでは、いかなる産業も活動することが不可能となるということを非常によく認識してくれておりますので、われわれとしましては、今のままの格好でいきますと、六百億ぐらいショートせざるを得ないような格好になりますが、それを社債を、もう少し何かうまい方法で引き受けてもらえぬか。これにつきましては、いろいろやり方がございまして、たとえば日銀の担保の掛目を上げるとかいったような方法もあるだろうし、あるいは資金運用部あたりで金融債を引き受けてもらって、それを回したらどうかという、いろいろ意見等もございまして、これをそれぞれ大蔵省は大蔵省、われわれはわれわれ、それから社債の発行の仕事をやっております興業銀行は興業銀行で、どういうことをやれば一番スムーズに金を動員できるかということの研究を、三つのそれぞれのところで知恵を集めて検討いたしておりますので、われわれとしましては、何とかこの六百億が足らなくならないように、予定どおり社債が発行でき、また増資が遂行できるように努力していきたいと考えております。
  69. 田畑金光

    ○田畑金光君 資金計画については大体わかりましたが、私の質問した言葉の中で、若松の電発のやっておる脇田発電所において資金が不足しているように説明があったと、何か苦情があったというように、あんたはとられたようだが、そうじゃないのです。ただ、ここで低品位炭を使うと、どの程度のコストがかかるかということで聞いてみたところが、三千カロリーの場合使うと、大体今までのところ三円二十銭程度だと、二期になれば、もっと安くなる。しかし開発資金を使うことによって、その単価が相当安くなるのだと、こういう話があったということなんです、この脇田の発電所では。  私の特に申し上げたのは、今現にやっておる西日本共同火力において、現に建設事業が進んでおるわけです。三十六年度は五億でしょう。そうしてことしの予算を見ますと、十八億ですね、西日本共同火力に開銀を通じて向けられるべき資金は十八億ですね。これは予定されておる工事費の約三〇%前後にすぎないということです。そこで、これを五〇%にしますと、先ほど申し上げたように、キロワット当たり約六銭安くなるわけです。そこで、特に西日本共同火力においては、もっと開銀資金等の導入ということを取り上げてもらいたいと思うんだが、この点についてはどう考えておられるのかというのが、私の質問内容なんです。この点どうですか。
  70. 樋詰誠明

    政府委員(樋詰誠明君) 御質問趣旨を取り違えまして、はなはだ失礼申し上げました。先生のおっしゃるように、できるだけ一期だけでなしに、二期あるいは三期、特にカロリーの安い炭を使うということになれば、これはコストは下がる。おっしゃることはごもっともだと思います。われわれもできるだけカロリーの安い炭があるということであれば、ここにたくさんの基数を置いて、コストを安くするというふうに今後も持っていきたい、こう思っております。  それから西日本共同火力の点でございますが、それはおっしゃるとおり、十八億ということは、全体から見ると非常に会社としてはあるいは不満な数字かと思いますが、実は最近の開発銀行資金というものは、電力の開発全体からみますと、わずか五%しかないわけでございます。大体四千億の金が要る中で、二百億程度が毎年出ておるわけでございます。で、これは送電配電等も含んでおるわけでございますので、電源だけをみますと、約一〇%ぐらいになるわけでございますが、われわれとしましては、その一〇%のものも——平均すれば一〇%になるのですが、できるだけ石炭火力あるいは大水力といったような国産エネルギーを活用するという方向に国家資金を向けていきたい。たとえば石油の専焼火力といったようなものには、今後は原則として国家資金はつけないという方向で方いこうということで、従来も大体その向をとったわけなんでございますが、三十七年度からは、それをよりはっきりさせよう、少なくとも石油専焼火力というようなところは、これはもっぱら自己資金並びに一般金融機関からの借入金等でやってもらう。六分五厘の金でいける開発銀行の金といったようなものは、石炭火力あるいは大水力という方向に向けよう、こういうことに思っておりますが、それにいたしましても、せいぜい平均いたしますと二割ぐらいしか回らないのじゃないか、こうも考えられます。そこで三〇%で決して満足しておるわけではございませんが、ほかからみると、ああいう特殊の共同火力であり、低品位炭を活用しようという非常な政策的な意義を持っておるということで、大蔵省のほうでも特別に厚くみてもらっておると考えておりますが、三十八年度以降の予算要求等につきましては、これは石炭局ともさらに相談いたしまして、われわれとしましては、もちろん高いにこしたことはないので、もっともっと要求したいと思っておりますが、できるだけ国家資金を、重点的に活用することによって、現在の石炭政策の裏づけをするという方向で今後も努力していきたいと思っております。
  71. 田畑金光

    ○田畑金光君 私は今の答弁のとおり、ひとつ大臣としても、さらに国内資源を使う石炭専焼の火力発電所の建設とか水力発電の建設については、開銀資金をもっとふやすような方向で御努力願いたい、こう考えております。  さらに、先ほどの公益事業局長お話によりますと、三十六年度で百二十億電力関係資金が不足するので、それについては資金運用資金等を通じ、開銀に融資を求める等との措置で百二十億は確保したいというお話がありました。そうやっていきますと、当然これは三十六年度の財政投融資計画の補正というようなことになってこようと考えておりますが、そういうような方向で、これを始末されるのかどうか、ひとつ大臣に承っておきたいと思います。
  72. 樋詰誠明

    政府委員(樋詰誠明君) 私が先ほど申し上げましたのは、すぐ開銀に対する財政投融資計画を変えるといったようなことでございませんで、資金運用部に短期余裕金といったようなものがかなりあるようでございますが、さしあたりは財政上の法規によって、特に財政投融資計画の変更ということをやらぬでも、一時的にこれを活用するといったような道はあるのじゃないか、あるやに聞いております。これはたしか三十二年、三十三年の春に、やはりそういうことで一時年末に資金運用部で興業銀行金融債を引き受けて、そうして興業銀行を通じて金が流れたといったような例があったと記憶いたしておりますが、今回毛開発銀行というよりも、興業銀行の債券を一時資金運用部で持っていただく。そうしますと、興業銀行に、あるいは、長期信用銀行に金が入るわけでございます。この長期信用銀行から電気関係に金を流す、大体大筋は、そういうことを考えておりますので、特に補正予算を組むとかいったようなことでない、金融債の操作ということで、一時をつないでいただくという方向で大体進むのじゃないかと考えております。
  73. 田畑金光

    ○田畑金光君 今の点は、ひとつ大臣も承知の上で進めておられると思うのですが、そうですね。——それで私、関連してお尋ねしたいのですが、石炭局長に、三十七年度の開銀融資を見ても、石炭は八十億ですね。西日本共同火力の十八億を入れると九十八億ですが、三十六年度はどうかというと、開銀の資金が八十億です。そうして西日本共同火力が五億ですから、昨年は八十五億、三十七年度は九十八億の財政資金を開銀を通じ石炭業界に振り向ける、こういうことになっているわけです。一体現在の石炭企業が開銀から融資を受けた融資残高は、どの程度に上っているのか、そうするとさらに、またできるならば開銀だけでなくて、一般金融機関からの融資残高は、どの程度に上っているのか、利息はどうなっておるのか、この点をひとつお聞かせ願いたい、こう思うのです。
  74. 今井博

    政府委員(今井博君) 現在石炭の、これは大手だけの炭鉱の借入金の残高調べがございますので、大手だけに限定して申し上げますと、現在大手の借り入れ残高は、設備資金関係で五百四十八億でございます。この中で財政資金が三百四十九億、一般市中銀行が百九十九億、合計五百四十八億の大手炭鉱の借り入れ残高、これは三十六年の九月末の数字でございます。それから運転資金としましては、市中銀行から四百二十一億出ておりまして、先ほどの設備資金と合計いたしますと九百七十億になります。そのほかに社債が百十億ございますので、これを加えますと、約一千億の借り入れ状況に相なっております。  この中で開銀がどのくらいかというお話でございますが、先ほど申しました財政資金の三百四十九億の中で開発銀行資金は二百六十九億、こういう数字になります。
  75. 田畑金光

    ○田畑金光君 今の説明によりますと、設備資金とか運転資金あるいは社債まで入れますと、千八十億、大手だけでこれだけの借り入れ残高があるわけです。さらに中小を入れますと、やはり相当な額にこれは上ると見るわけですね。そうしますと、一年間の利息、一体借入資金に対して、炭鉱企業がどの程度銀行利子を払っているかというと、これは相当な額に上ると思うのです。それだけでも財政資金としての開銀の資金増はどんどん食われてしまっておる形になるわけですが、こういうことを見ますと、私は昨年度もそうでありますが、今年度の開銀の資金ワクなんというものは、これはもっと考えてもらわねばならぬのじゃなかろうか、こう思うのですが、通産大臣、どのようにお考えですか。
  76. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほどの電力といい、石炭といい、低利の長期資金のほしい産業でございますが、そういう意味からは、もっとほしい。ことに昨年来問題になっておりますだけに、石炭産業への開銀融資、この金額をもっとふやせという、この御要望は当然のことだと思います。予算を編成いたします際に私どもも、そういう方向で努力をいたしたのでございますが、総ワク等の関係がございまして、今回は御審議をいただくような数字におさまらざるを得なかったのでございます。  もちろんこの種の資金の問題でございますから、今後年度中におきましても、資金需要の模様によりましては、必要があれば補正あるいは補正にかわる措置、そういうようなものを考えてしかるべきかと思います。ただ年当初において、ただいまからさらに突き進んで考える、こういう筋のものではないだろと思いますが、実情等をよく勘案して、そのときおりに処する方策は、別途また臨機に考えさしていただきたいとかように思っております。
  77. 田畑金光

    ○田畑金光君 先ほど電力資金の百二十億の不足をどう調達するかということで、公益事業局長お話によれば、興業銀行を通じ金融債等の消化を経て電力資金を向けようというわけですが、これは石炭の場合は、なかなかそう簡単にいかぬと思うのです、石炭産業の信用力から見ました場合に。しかし、いずれにいたしましても、石炭業界の資金需要というものは、今一番苦しい産業であるだけに大事な問題だと、こう考えておりますが、この点やはり財政資金の何らかの導入ということを、これはやはり昭和三十六年度のうちに、年度末までにもつとこれは真剣に取り上げて考えていかれる余地はないものかどうか、御考慮の余地はないものかどうか、もう一度ひとつ御答弁願いたいと、こう思うのです。
  78. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) すでに御承知のように、昨年は年末金融として、中小炭鉱向けの市中銀行のワクまで設定して増額いたしました。また石炭局長から申しますように、この三十六年度の分として約三十五億程度大蔵省と増額方折衝中だということでございます。ただいま申し上げますように、逐次必要に応じての処理を講じておる、この点を御了承いただきたいと思います。
  79. 田畑金光

    ○田畑金光君 石炭局長、今の大臣の三十五億というのを、ちょっと説明して下さい。
  80. 今井博

    政府委員(今井博君) 三十六年度の開発銀行の石炭ワクは八十億になっております。これはそのほかに市中銀行の金、あるいは自己資金というもので全体の工事をやる計画になっておりまして、自己資金がそれだけなかなか回せない、あるいは市中銀行からの借り入れが、特に興長銀関係で非常に苦しい、こういう事情もございますので、この八十億のワクに、さらに三十五億を追加をいたしてほしいということで、現在大蔵省と今折衝をいたしております。これは全体の財政資金関係がございますので、まだはっきりしたことを申し上げられませんが、いずれこの三月中には、中小金融関係も含めて若干の補正がある予定でございます。その際に、できるだけひとつ、石炭のほうのめんどうを見てもらおうと交渉中でございます。
  81. 田畑金光

    ○田畑金光君 ひとつ今の点は、大臣のほうで特に御努力をお願いしたいと思います。  時間をお急ぎのようですから、大臣に二、三お尋ねをしておきたいと、こう思いますが、これも調査の最中です。われわれが現地において強く要望された問題です。それは福岡市で石炭協会から、佐賀市で関係者と懇談会をもちました節に杵島炭鉱の社長から、それぞれ強く指摘をされたわけでございますが、昨年の臨時国会のおりに、御承知のように、石炭合理化臨時措置法の一部改正で、炭鉱整備基金制度を設けられたわけです。すなわち、高能率炭鉱造成に伴って、非能率炭鉱の整理を進めていくと、いろいろ失業者を出さなくちゃならぬ、退職者も出さなくちゃならぬ。そこで退職資金とか、あるいはまた鉱害賠償資金等に充てるについて、合理化事業団に三億の資金を入れて、当該炭鉱が借り入れする場合の債務補償措置を講ずるというような措置がとられているわけです。炭鉱整備補償基金制度として三億の予算措置が講じられているわけです。三十七年度の予算を見ましても、同様に三億の予算が計上されておりますが、この基、金について、私たちは合理化事業団を通じ、もう末端において十分活用されておるものだと期待いたしておりましたが、現在なおかつ、この制度は活用されておりません。おそきに失するという感じを強くいたしたわけです。  さらにまた債務補償については五〇%ですね。五〇%を補償するということになっておりますが、もっとこれを補償のワクをふやしてもらいたいという石炭協会九州支部や、杵島炭鉱の社長等からも強い要望があったわけです。  それからもう一つ、私は中間市に参りまして、通産大臣が特にあっせんされて、労使の紛争についても一応解決のめどを立てられたという、例の大正鉱業です。大正鉱業の場合も、退職手当として福岡銀行から三億七千万の融資を受けるというようなことを、一応話がついたようでございますが、これがその後うまくいっておるのかどうか。その辺までは確かめることはできなかったわけです。しかしいずれにいたしましても、炭鉱整備補償基金制度というのが、昨年の臨時国会で確立されたにかかわらず、なおかつ、今日末端においては実施されてない。これは私はある意味においては怠慢だと思うのです。この点ひとつ、どうお考えになりますか、大臣から特に御所見を承りたいと思います。
  82. 今井博

    政府委員(今井博君) 大臣から、また全般的なお話があると思いますが、おくれております事情だけ私からちょっと申し上げてみたいと思います。  この合理化法の改正を昨年の臨時国会でお願いいたしまして、これが国会を通過いたしまして、十月の末に通過したわけでございまして、それで整備基金のいろいろな手続その他の関係で、これの事務の開始が十二月二十日過ぎに実はなったわけでございます。したがって、実際に店開きをいたしましたのが一月からだ、こういう格好になるわけでございます。実際問題といたしまして金融が非常に逼迫し、市中銀行の手元資金が極度に不足いたしておりますので、五〇%の補償ではなかなかむずかしい。こういう事情一つございます。したがってまだ、その制度が実施には移っておりますが、市中銀行からの活用がまだ具体例がない、こういう事情でございます。来年度は補償率を八〇%に引き上げたいと思いまして、さらに三億のワクを追加いたしまして合計六億の補償ワクでもって、何とか打開したいと思います。  また補償だけではむずかしかろうと思いまして、合理化事業団から直接に炭鉱会社に、退職金引き当ての金融をなし得るような直貸制度の道を開きたいと思います。この予算を十五億今計上いたしておるわけでございます。決してこれは十分な額ではございませんが、その直貸制度と補償制度を両方うまくからみ合わせて、できるだけ要望に沿いたい。こういう考え方でございます。
  83. 田畑金光

    ○田畑金光君 今、大臣お聞きのとおり、せっかくいい制度だというので喜んで、また、たいへんこういう該当の石炭企業では期待しておりましたが、お話のように、今説明がありましたように、五割の補償ではなかなか市中銀行が相手にしてくれぬ、幸い三十七年度は八割を補償するということになったわけでございますが、こういうようなことで、実際、政府考えても、今日の炭鉱信用金融事情というものが、なかなか政府の施策を末端において阻害しておる実情になっているわけです。この点は、十分ひとつ御認識願って、この制度の真に、当初企図されたとおりの実行が、実現ができるように、さらに一そうの、ひとつ御努力を願いたいと考えております。
  84. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 今日、石炭鉱業が必要な資金を借り入れる、炭鉱自身の、山にもよりますが、総体といたしましては、非常に困難な事情がございます。そこへもってきて、昨年来の金融引き締め、これと両々待ちまして石炭鉱業が必要な資金を借り入れることは非常に困難に当面しております。そういう意味から、ただいまの補償制度も五〇%補償を八〇%に引き上げるということをいたしましたが、今回、特に三十七年度においては直接貸しをしよう、こういうことで、金額としてはわずかでございますが、初めての試みとして十五億が計上されております。これはせめて、ただいま指摘なさいましたような必要最小限度資金確保、これには寄与し得るのじゃないか、かように実は思います。  ただいま合理化が進行中でございますが、先だつものは退職金その他の金でございまして、いわゆる能率炭鉱といえども、この資金の確保、獲得に非常に苦心しておるようでございますから、政府としても、特にそれらの実情にかんがみまして、特別の措置を講じて、円滑に合理化が進むようにいたしたいものだと、かように考えております。
  85. 田畑金光

    ○田畑金光君 大臣には一つこの点だけお尋ねしておきますが、これはまた話が飛びますけれども、こまかいことはまた局長に後刻お尋ねいたしますけれども、これまた御承知のように、昨年の通常国会で臨時石炭鉱害復旧法が十年期限延長になったわけです。そこで、現在、この法律の適用地域は、九州の地域と中国の地域と東海地域ということになっておりますが、常磐炭田地域においても、早くこの法律の指定地域に入れてもらいたいということが一つ、そういたしますと、当然、常磐地域にも、石炭鉱害復旧事業団というものを設けて、鉱害復旧事業を通じ国土の利用、あるいは保全とか民生の安定等々をひとつ促進してもらいたい、そういう長い間の要望が出ておるわけです。仄聞するところ、政府におかれても、八月一日に地域指定をして常磐に石炭鉱害復旧事業団を設立する、こういう方針であるように聞いておりまするが、この点、政府として、どのような方針でおられるのか、この際、大臣から、これは簡単な問題でございますから、内容は、詳しいことは後日局長等にお伺いしますが、伺っておきたいと思います。
  86. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま、風の便りに耳に入っておると言われますが、八月一日から常磐地区を指定地域にいたしまして、そうして鉱害事業団を設立するということになって、今までのような、他の地区と同じような扱いを受ける、こういうふうにするつもりでございます。
  87. 田畑金光

    ○田畑金光君 それで石炭局長、今の点ですがね。きょうは時間の関係もありますので、こまかい点は省略いたしますが、この間福岡へ参りましたときも、九州鉱害復旧事業団の理事の人から、いろいろな要望とか意見があるのですが、これは今いろいろな、石炭鉱害施策審議会というものがあって、鉱業法改正審議会との見合いで三月末までには答申が出されるということを聞いておりますが、そうしますと、次の通常国会あたりには、法律改正ということが当然出てきょうと考えておりますが、どういう御方針でおられるのか、簡単に承っておきたいと思います。
  88. 今井博

    政府委員(今井博君) 御指摘になりましたように、三十六年の初めから鉱害対策審議会というものを作りまして、この三月末に答申が出ることになっております。したがって、来年の通常国会には、鉱業法の改正とあわせまして、臨時鉱害復旧法の改正をおそらく出す段階になると思います。現在鉱害対策審議会で取り上げておりますのは、一般の鉱害対策の問題、それにプラスしまして臨時鉱害復旧法の問題点ということで検討いたしておりまして、おそらく来年の通常国会には法律改正案提出する運びになると思います。
  89. 田畑金光

    ○田畑金光君 石炭局長にお尋ねしたいのは、鉱害復旧について、もっと詳しくお尋ねしたいのですが、時間がなさそうですから、後日またあらためて、この点はお尋ねすることにして、せっかくきょうは労働省の三治職安局長が見えておられるので、ひとつ離職者対策で、きょうは二、三の点だけ特にお尋ねしておきたいと思うのですが、雇用促進事業団の炭鉱離職者援護協力委員というのがございますね。これは私も炭鉱離職者臨時措置法を読んで、あるいは業務方法雷を読んでみましたが、協力委員ということは、どこにも書いてないのですがね。これはどんな内容のものなのか、根拠法規は何か、性格は何か、どんな仕事をやらしているのか、しかも、どういうところからお選びになったのか、これをちょっと御説明願いたいと思います。
  90. 北川俊夫

    説明員(北川俊夫君) 事業団の法律的根拠といたしましては、現在の法律の業務の範囲の十号に、その他、「必要な業務」というのがございます。そこから根拠を求めております。なお、任命につきましては、したがいまして事業団から委嘱する職員、こういうことになっております。したがって、国家公務員ではなくして、事業団から委嘱した者、こういうことでございます。種類には常勤と非常勤がございます。常勤職員については、月収が平均一万五千円程度の報酬をお支払いしております。非常勤については月収約三千円でございます。人選は、これは広く炭鉱援護業務を推進するのにふさわしい方を、産炭地あるいは大阪とか名古屋の需要地で、そういう仕事に向く方、そういう方から選んでおります。
  91. 田畑金光

    ○田畑金光君 一人一万五千円ですね、非常勤については三千円という手当を支給されて、炭鉱離職者の援護業務に協力を求めておられる。ねらいはしごくもっともだと、こう考えておりますが、この程度の給与で人が得られるのかどうかという問題が一つあります。さらにもう一つ、私は特にこの点は三治局長にひとつ考えていただきたいと思うのですが、三治さんは初めて今度、あらためて職安局長におなりになったわけです。それだけ新しい角度からこの雇用促進事業団等について御検討を願いたいと、こう思うのですが、私は率直に申しまして、雇用促進事業団の支部というのが、それぞれの地域にありますけれども、これらの幹部職員というのは、言うならば、悪口を言うようだが、結局労働省の出先機関の古手が、天下りでその地位を汚しておるという実情です。これは偽わりのない実情です。そうしてまた、労働省に関係のある大幹部等の紹介による、あるいは息のかかった人方が、それぞれ天下り的にそのポストを汚しておる、これが実情です。私はやはり炭鉱離職者の援護、協力というのは、もっと援護にあたたかい血を通わすことが大事なことではなかろうか、こう思うのです。  そういう意味において、炭鉱離職者とともに生活をし、やはりともに失職をした、しかもその中には、健全なる思想を持ち、また組合指導者等として健全な運動を進めてきた人方も相当いるわけです、地域の中には……。もっと私は、こういう人方こそ、こういう末端の機関には積極的に採用し、入れてもらいたい、こういう方々が協力委員として皆さん方の末端における仕事に協力させることが、私はこういう仕事を、ほんとに実のある生きた仕事にさせるゆえんだ、こう考える。たまたま福岡において私たちが参りましたときに、劔木先生、吉田委員等と一緒に話を聞きましたところが、特に雇用促進事業団の末端等に、もっと労働者の仲間を入れるように活用したらどうだろうか、こういう意見があったわけです。私はもっともだという印象を受けたわけで、したがいまして、最近いろいろ労働省も外郭団体ができてけっこうなことです。これは福祉行政の発展のために、労働施策の前進のために、われわれは大いに歓迎しておりますが、しかしやはり労働省の優秀な職員だけをここに入れるのではなくて、もっと広く外から人材を集めるということが健全ではなかろうか、こう考えなければならないのですが、特に三治労働省安定局長考えていただきたいのは、この点、ひとつあなた、どのように考えておられるか、明確に承っておきたいと思います。
  92. 三治重信

    政府委員(三治重信君) もっともな御意見かと存じますが、今のところ私もお説のように慣れておりませんし、今度の改革につきましても、まだ事業団と十分打ち合わせておりません。そういう御趣旨も、事業団のほうに人選についていろいろ相談してやってみたいと思います。
  93. 田畑金光

    ○田畑金光君 新しくなられたばかりで、具体的な御答弁が願えなかったのは、これはやむを得ないとも思いますが、今申し上げたことは、私は局長としても同感されると思うので、また別の機会に、あらためてよく事業団とも打ち合わせなさって、ひとつ後刻お答え願いたい、こう思うのです。  それからもう一つ、これも現地において要望がなされたのでございますが、職業安定所について、筑豊における職業安定所は、失業対策を行なう国の機関としてはあまりにも狭小である、狭すぎるというのですね。人員も不足しておる。失業者が十分相談したいにも、すわる席もなく待機する場所もない状態です。施設の拡充と増員について考慮を願いたい、こういうお話がありましたが、これは単に筑豊炭田だけでなくて私のほうで、常磐炭田の平の職業安定所なんかへ参りましても、今度幸い平の場合には、新しい建築を今進めておられますが、ここに指摘されたような問題は、全国至るところで、安定所に見られる姿ではないかと思うのです。職業相談ですから、相談をしたい人も、話はもっと秘密の中で安定所の職員とやりたい、こう思うのです。ところが、相談するにもすわる場所もない、話しておるところは一ぱい人が立って、がやがやして、話もなかなかできない、これが末端の実情じゃなかろうかと思うが、こういう点についてはどうお考えになりますか。
  94. 三治重信

    政府委員(三治重信君) 出先機関整備につきまして、われわれ特に三十三年から五カ年計画で新設拡充をやっております。三十七年度予算につきましては、この営繕費につきましては、設備投資の抑制の部面で、これは前年度より若干減って残念に思っておりますが、しかし活動部面につきましては、今度テレックス二十一台を入れますのを中心にいたしまして、県安定所に約一億二千万円ほど設備できる。その他旅費、庁費をふやしておりますので、三十七年度については、今までより格段の活動経費が入ったと思っております。ただ庁舎の営繕関係につきましては、われわれの予定計画より今年は相当程度下回っております。来年三十八年度以降につきましては、従来の線に戻してやる。また第一線の機関整備には十分意を用いていきたいと思っております。
  95. 田畑金光

    ○田畑金光君 もう時間も時間ですから、きょうはもっともっとたくさん質問ありますけれども、他の委員の皆さんにも迷惑だと思うので、きょうはこの程度にとどめたいと思いますが、最後に私は今、庁舎の整備に関連して思い出したわけで、そこで石炭局長、今、庁舎の問題で私ちょっと思い出しましたので、お尋ねしますが、平の職業安定所てすね、それから労働基準監督署、それからおたくの平の石炭支局は同じ構内に隣合って住まっておるわけです。ところが労働省関係の職業安定所と労働基準監督署は、今度りっぱな建物を建てている。そうしますとこれができると、あなたのほうの支局は玄関も、入るところがなくなるような始末で非常にこれは困っておるのですが、同じ構内ですぐ隣合っておるのが、一方はりっぱなところができる、一方はとてもじゃないが、終戦直後のバラックだ。それじゃとても石炭支局の職員も不平満々だというものがあるわけですが、この点はどういう措置を石炭局長としては考えておられるのか、それが一つ。  それから職安局長にもう一つお尋ねしたいのは、これは最後ですから、例の雇用奨励金というのがございますね、これは私も社会労働委員会に出て質問すればよかったのですが、できなかったわけで、この際、一つだけお尋ねしておきますが、雇用奨励金というものが、たとえば二万円の場合は、四分の一の五千円雇用奨励金を出すということになっておりますが、あの二万円という場合は、基準内の賃金だけを言うのか、基準外の賃金を含めて基準内外二万円以上ならば、四分の一を奨励金として出されるという趣旨なのか、それが一つの疑問ですね。第二の疑問としてあの法律によると、雇用して一年経過した——あと一年間ということになっておりますが、一年経過したあとは、しからばどういうことになるのかということですね。このあとのところまでお考えになって、あの法律は出されておるのかどうか。文字どおり条文に書いたとおり、一年後しかあれはやらぬという趣旨なのかどうか、この二つの点だけを明確に承っておきたいと思います。
  96. 今井博

    政府委員(今井博君) 平の事務所の改築問題は、私そういう点をよく知らなかったもので、昨年の暮に実は参りまして、片方の安定局のほうは、どんどん改築しておるのを見まして、実は驚いた次第でございまして、ああいうものは、実は同時にやるべきものだと考えておったのですが、たまたま安定局のほうの予算が、これはそれだけ努力されたのだろうと思いますが、私も実は実情をそこまで把握できなかったものですから、非常に遺憾に思っておりますが、もうすでに手をつけておられるようでございますので、できるだけあの平のほうは、これは早急に一つ予算化して改築できるようにいたしたいと考えております。
  97. 三治重信

    政府委員(三治重信君) 雇用奨励金の支給条件の最低二万円の線は、今のところ一応基準内を一万八千円程度、それに一割の基準内以外の賃金を含めて二万円、それ以上ならば支給条件に合致するというふうに業務方法書で取り扱ってみたいというふうに考えております。したがって基準内が二万円ということになりますと……。大体基準外で、基準内の賃金の一割程度は、今のところの賃金支払い方だとあるわけでございますので、そのトータル支給金額全部で大体二万円という考え方でございます。それも時間外がめちゃくちゃに多いのも考えものでございますので、一応基準内は一万八千円程度というふうに考えております。  それから雇用奨励金を出す支給条件として、一年後も引き続き雇用するという条件で、雇用奨励金を出すわけでございますから、その一年後には二万円の賃金を下げずして、二万円程度の賃金が支給される——雇用奨励金をもらっている間は二万円出す、しかし雇用奨励金が切れた場合には、もう一万五千円とするという使用主じゃ困る。その点は念を押して、それを実行するという見通しの人に雇用奨励金を出すという、またそういうところへ就職のあっせんをして、就職をさせるという考えでございます。  そういう考え方を持ちましたのは、昨年以来労働関係者、あるいは今まで炭鉱の離職者を雇い入れてくれた事業主をずっと調査をいたしまして、その結果、大体一年後では、現在の雇用奨励金をもらっておらないところの事業主でも、一年後には大体二万円トータルでは支払っているという確信を調査の結果もったわけです。したがって最初の雇用のときに、やはり炭鉱離職者が、その新しい職場にどの程度なれてくれるかというのが事業主としては心配だ、したがって賃金も二万円はとても出せない、一万五、六千円ということになるわけですから、その最初を補給して、一年間にそれの適用をすれば、あとはやはりその労働の価値で大体二万円くらい支払いできる可能性があるということで、その一年を限ったわけでございますから、一年後をどうするという問題は、現在のところ、われわれのほうとしては一年支給すれば、大体それで常用雇用として、新しい職場に落ちつく可能性が十分確信をもてるというふうに考えておる次第でございます。
  98. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 他に御質疑はございませんか。——他に御発言がなければ、本件の調査は、本日はこの程度にとどめます。  別に御発言もなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十八分散会