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1962-06-01 第40回国会 参議院 商工委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年六月一日(金曜日)    午前十時三十九分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     武藤 常介君    理事            赤間 文三君            剱木 亨弘君            中田 吉雄君            牛田  寛君    委員            上原 正吉君            大泉 寛三君            小林 英三君            吉武 恵市君            阿部 竹松君            岡  三郎君            近藤 信一君   事務局側    常任委員専門員 小田橋貞寿君   説明員   経済企画庁調整局   参事官      羽柴 忠雄君   大蔵省為替局長  村上  一君   農林省振興局参事   官        橘  武夫君   食糧庁業務第二部   長        中西 一郎君   通商産業省通商局   次長       山本 重信君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○産業貿易及び経済計画等に関する調  査  (貿易自由化問題等に関する件)     —————————————
  2. 武藤常介

    委員長武藤常介君) これより商工委員会を開会いたします。産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、貿易自由化等の問題について調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これより許します。
  3. 岡三郎

    岡三郎君 貿易自由化がだんだんと差し迫ってきたわけですが、最近株の暴落関連して、海外からの日本への投資、株の取得あるいは現金の送金の問題、いろいろと話題をにぎわしているわけですが、貿易自由化と並行して、為替自由化という点について、次第にやかましくなってくると思うのですが、この点について大蔵省として、どういうふうな見通しを立てておられるのか。この点について聞きたいと思うのです。
  4. 村上一

    説明員村上一君) お答え申し上げます。すでに御承知のことと思いますけれども貿易為替を逐次自由化して参りますということは、こればもう世界の大勢でございますので、わが国としましても、その方針に順応して参る、これはっとに政府方針をきめておることであります。ただし、国内産業への諸般の影響、こういう点は十分考慮しながら慎重にやって参らなければならぬ問題であり、これもまた御承知のとおりであります。  そこで御指摘資本取引自由化でございますが、これも政府としましては、その線に沿いまして逐次やって参ったわけでございます。例を今いろいろ言われております株式投資元本送金の点にとりましても、一昨年の六月、それまでは二年据え置きの五年分割ということの制限でございましたのを三年にいたしました。さらに昨年の五月、二年据え置き三年分割なのを、三年分割をとりまして、二年据え置きしたら即時送金を認めるということで、逐次やって参っておるわけでございます。ただ貿易為替というふうに一口に申しますが、各国の例を見ますと、いずれも経常取引自由化が先に参りまして、ある程度時期的におくれまして資本取引自由化しておるというのが実情でございます。またそれには、それの相当理由があることでございます。それで、資本取引自由化につきましては、現在わが国が直面しております貿易自由化、これの進展の速度とにらみ合せまして慎重にいたしたい。方向としては、将来これは自由化方向に進むということは、これは問題ないと思いますが、その時期あるいは程度、ここらはやはり国内産業への影響ということを考えまして、慎重にやりたい、かように考えております。
  5. 岡三郎

    岡三郎君 結局貿易自由化の後で、慎重に、資本の、為替自由化といいますか、そういう問題について、十分情勢を見きわめてやっていくというふうにお答えがあったわけですが、具体的にいって、大体今年の秋に、IMFなりあるいはガット等から、残りの一〇%の貿易自由化について迫られ、これに対して持ち越していくためにいろいろと苦慮しておるというふうに考えておるけれども、時間的にいって、大体大蔵省自体としても、慎重にというふうに言っておられるけれども、大体目鼻として、来年なら来年のどの時期に、そういうふうな問題が具体化してくるのか。そういうふうな点について、検討されておると思うのですが、もう少し詳細に、その慎重という内容を御説明を願いたいと思う。
  6. 村上一

    説明員村上一君) 具体的にというお話でございますが、御承知のとおり、この四月、五月あるいはあと二カ月——六、七月と、この辺が日本経済にとりましては、非常に大きな山でございます。国際収支の面から見ましても、どういうふうな成り行きになるか、そこが非常に一つの峠だと思います。  そこで先ほど申し上げました資本取引自由化につきましても、どういう内容のものをいつやるかということにつきましては、実は私ども結論を出しておりません。これはもう少し、現在の推移を見きわめまして、そこで判断したいというのが私ども考えでございます。
  7. 岡三郎

    岡三郎君 現在の推移を見きわめるということは、結局外貨の点について、いわゆる均衡を取り戻す、あるいは積極的に均衡よりももっとドルの蓄積というものを待って考えていくものか、その点はどうなんです。
  8. 村上一

    説明員村上一君) 国内的に考えますと、御指摘ありましたように、国際収支がどうなる、したがいまして、外貨準備がどういう状況になるということが、これは直接の問題でございます。したがいまして、それを見ますことば当然でございますが、本件につきまして、やはり日本が今置かれております経済状態、それに関連する国際収支外貨事情に対して、海外の諸外国がどういうような関心あるいは態度で見ているかということが、やはり本件一つの根拠だと思います。したがいまして、そこらをやはりあわせ考えまして、本件はきめるべき問題だと、かように考えておりますので、先ほど申し上げましたように、何月にどうするというようなことをきめるのは、今適当ではないというのが私ども考えでございます。
  9. 岡三郎

    岡三郎君 いずれにしても、ことしの秋の貿易自由化については、これは必須命題で、外貨事情がどうなるかというのではなくて、自由化ということを頭に先に置いて均衡を取り戻さなければいかぬ。経済のいろいろなアンバランスとか、輸出の促進という、いろいろな面に手を打って、積極的に均衡を回復するという問題に取り組んでおるわけですね。だから、国際収支の問題によって自由化考えるという問題ではないわけですね、現状においては。まあ、そういうふうに考えてくると、一応、積極的に何と、てでも均衡を回復していくという、そういう状態の中で貿易自由化という面に踏み切っていくということになれば、その後の状況によって、なお為替のほうは弾力性をもってやっていけるのだという、こういう認識ですか。
  10. 村上一

    説明員村上一君) 御質問貿易為替全体を含めての御質問でございますが、先ほど私がお答え申し上げましたのは、主として最初に御指摘のありました資本取引自由化のほうに重点を置きましてお答えを申し上げたわけでありますが、貿易自由化ということになりますと、これはもう御指摘どおり、十月には大体九割ということで方針がきまっております。それに支障なく持っていけるようにということで、今政府も全力をあげておりますし、また民間の各企業家も、そういうことの前提のもとに、いろいろ合理化その他進めておられるところでありますが、これは私は現状をもってすれば、まず大体支障なく行ない得るのじゃなかろうか、こう考えております。  ただ、先ほど申し上げました資本取引自由化ということになりますと、経常取引自由化に多少やはり、各国の例を見ましてもおくれてやっておりますので、そこらを慎重に見てきめたいと申し上げましたのは、資本取引のほうのことでございます。
  11. 岡三郎

    岡三郎君 具体的に先ほど出た海外からの日本への産業投資ですか、株への投資送金問題ですね、これに対して池田さんなり水田さんなりが積極的に、大蔵省事務当局に対して、二年というやつを撤廃せいというふうに言っているが、最近は、海外情勢の中から、国際信用の問題との関連で、そういうわけには参らぬというふうなことを言って、非常にもやもやしている感じを与えていると思うのですが、これについては、一面において二年を一年に短縮してやる方法があるのではないかというふうな話もちらほら出ておりますが、これについても、どの程度検討しているわけですか。これは非常に最近における一つのポイントだと思うのですが、この点についてお伺いしたいと思うのです。
  12. 村上一

    説明員村上一君) まことに、お答えのむずかしい問題でございますが、結論を先に申し上げますと、結論はまだ出しておりませんというのが結論でございます。これについて、いろいろ議論もございまして、また新聞その他、相当興味本位に取り上げられたきらいもあると思いますので、問題は、要するに純粋な経済問題でございます。これが非常に違った意味で取り上げられてきたかと思います。  しかし、ちょうどこの時期に差しかかりまして去年九月、引き締め政策政府がとりましたわけでございますが、これが言われておりますように、若干当初の予想と違いまして、効果が現われるのが多少ずれたわけでございます。しかし四月あたりからは、これも御承知のように生産が、季節的な関係も多少はございますけれども、落ちてきたということで、やはり当初予定しました線が、いろいろな経済指標に現われて参っておるわけであります。しかしながら、今われわれが指数あるいは現実の指標としてつかんでおりますのは、四月までのいろいろな生産その他の指数は出ております。五月に入りましても気配、これは苦干つかんでおりけども、それにいたしましても、四月、五月でございますので、もう少し様子を見ませんと、本年度の下期一以降どういうことになるか、これは率直に申し上げまして、まだ十分な判断資料がないという状態でございます。  したがいまして本件も、そういう点をある程度見きわめのつく時期に判断すべきじゃなかろうか、これは、私ども考え方でございます。
  13. 岡三郎

    岡三郎君 それは事務当局としては、そうだろうと思うけれども、実際問題として、これは政治問題的に大きく取り上げられてきておることは事実なんです。実際に作業を命ぜられて事務当局もやっておられることも事実なんです。最近において国際情報というか、いろんな面における検討の結果、慎重論が非常に台頭してきたというけれども総理新聞記者等に、いろいろと発表といいますか、総理のいろいろな情勢に関する質問に答える言葉の中においては、明確に、この点については自由に入れて、そうして送金も自由にするんだということを言い切っておるわけです、対外的には。具体的な面については、大蔵大臣にその作業を命じて、そして大蔵大臣から、あんた方のほうへ作業がおりていると思うのです。これは純粋な経済問題といっても、客観的に見れば、政府選挙対策も含まれるかもわからぬけれども現状における株の非常な何というか、思った以上に経済のあおりを受けているということからいって、伸び悩んでいる、伸び悩んでいるということよりも、逆に国際的な影響を受けて非常に沈滞状況にある、そういうふうな面において、積極的にこれを打開しようという意図があったと思ってわれわれ考えてきたわけなんです。ところが、そういうふうなことから、いろいろと考えてみておるさなかに、大蔵省自体が非常に不分明な状態になってきておる、そういうふうな点で、ここに妥協的な一つ考え方として、二年を一年にするぐらいにしたらどうかというような話も出ているんだが、結論が出ないということになると、これはやはり大蔵大臣を呼ばなきゃだめなんです。為替局長では答えが出ないというわけですか。
  14. 村上一

    説明員村上一君) 御指摘ありましたように、本問題は純粋な経済問題でございますけれども、いろいろの経緯から考えますと、相当政治的な判断等の必要もある問題だと思いますので、したがいまして、私どもとしましては現在の経済状況、なかんず海外経済状況、これは御承知と思いますけれども、三月来ニューヨークの市場で相当株が、暴落という言葉はどうかと思いますけれども、顕著に下がっております。したがいまして、かりに資本取引資本送金を自由にいたしました場合に、どういう現象が起こるかということについてば、その道の専門家すら非常に意見がまちまちでございます。最近に至りましては、そういった経済の新しい事態が顕著に起こっているわけでございます。そういった事態も正確にお伝えいたしまして、最終的には、御指摘のとおり大臣の御判断を仰ぐ、かような問題かと存じます。
  15. 岡三郎

    岡三郎君 そうすると、為替局長にこれ以上追求してもしょうがないということですね。  次に、自由化関連して、粗糖自由化の問題についてちょっとお聞きします。  貿易自由化必須命題といわれているけれども、実際においては、だんだんと時間が迫ってくるに連れて、非常に無理な状態というものがいろいろの面に出てきていると思う。そういうふうな中において、九〇%という一つワクから考えていった場合に、粗糖輸入などは、相当外貨の中でウエートを私は持っていると思う。そうするならば、九〇%のワクの中を考えるならば、この中で相当ウエートを持っている粗糖輸入、こういうものを自由化にすれば、国内産業的に見て非常に無理な産業が、段階的に、時間的に救えるのではないか、こういう私は見解を持っている。たとえば九〇%の中において、最近において、金属鉱山関係メタル関係自由化については、衆議院の決議等もあって、これを繰り延べさせる、こういうふうないろいろな情勢も出てきている。その他、二、三当初考えておったものから、パイ・カンというようなものは、沖縄の生産業者に与える影響等通産省ははすした、こういういろいろな問題が出てきているのですが、しかし総体的に九〇%というワク考えてみたときに、なぜこの粗糖自由化というものを政府ははからないのか、これをはかれば、ある程度これに見合うところの国内産業保護というものが達成できるのではないか、これは微々たる領ならば、私はあえて触れないけれども、これはドルにおいて相当の額になっている。こういうふうなことを考えてみて、非常に国内的に見て、日本自由化の九〇%という内容に無理があるのではないかという気がするのです。  そこで、農林省のほうに伺いたいのだが、なぜ粗糖自由化というものをやらないのか、これに対しては、多分に国内ビート糖とか、あるいはそれに関連するところのブドウ糖、そういうふうな国内甘味対象という観点から踏み切れない、こういうふうに言われるかわからぬけれども、それならば、それに対しては、それに対処する一つ方法が私はあると思う。だから、絶対的にこれは自由化にしていけないという基本的な私は問題はないと思うのだけれども、政治的にこれは自由化されてはいない。だから、精糖工業界の連中は、のうのうとしてゴルフをしながら相当の金をもうけているという奇現象を呈している。一面においては、国際的の産業のしわ寄せによって、生きるか死ぬかの大問題が国内的に起こる。まことに私はおかしいことじゃないかと思うが、これについて、農林省はなぜ自由化に踏み切れないのか、その理由を根本的に納得できるように、ひとつ解明していただきたいと思う。
  16. 中西一郎

    説明員中西一郎君) お尋ねの点でございますが、われは事務的には、いろいろな角度から検討を続けております。お話のように長い目といいますか、広い角度というような点で再検討いたしますと、粗糖輸入自由化を絶対にしないのだということは、いつまでも言っておれることではないと思います。とりあえず、ことしの十月の九〇%というのには含めてはいないのが現状でございますけれどもお話のように、北海道のビート、あるいはカンショ等原料としております、育成ブドウ糖と一口に言っておりますが、結晶ブドウ糖精製ブドウ糖あるいはイモ、そういうものについてのてこ入れを他方考えながら、いつごろ自由化というものができるのであろうかということを、正面から取っ組んで参る必要があろうと思っております。ただ、そのビートの問題、あるいは精製ブドウ糖の問題に対するてこ入れの仕方については、いろいろ技術的にむずかしい点があります。一つの例としまして、大豆と菜種につきまして、大豆自由化のときに、交付金に関する特別の法案を出していただきまして、それをてこにして大豆自由化をやったというような経緯がございますが、一種の不足払いでございます。そういう不足払い制度というものをうまく運用するためには、農業団体その他、それぞれ流通段階での相当の訓練が要ります。そういうこともあわせ考えまして、長い目といって無期延期のような形になることを望むわけではございません。できるだけ急いで、将来の方向を固めて業者と相談いたしたい、そういう心組みでございます。
  17. 岡三郎

    岡三郎君 どうも答弁がはっきりしない、また、中西さんではちょっと酷かもわからぬが、大物がいないのだからしょうがないのだが、結局、私は今の九〇%のワク、これを強制されたというとおかしいが、とにかく自動的にそういう形になってきている。その九〇%のワクの中において自由化される品目の中においては、きゅうきゅう言っているやつがあるのだね、 このきゅうきゅう言っているやつを見ると、非常に政治的に力が弱い、そういう面をこの中へ繰り込まれて、繰り込まれてよきものが外へ出ている。最近において石油関係自由化の問題に関連して、石油業法が出て、あの石油業法内容自体についても、完全なる自由化ではないと思っているけれども、しかし、国内的に見ても、石油資源というものは微々たるものだけれども、こういう状態は、品物は違うけれども甘味の中におけるビート関連と、よく似ていると私は思う。政府は積極的にこれに対しては、いろいろと財政投融資とか、いろんな面でめんどうを見てきております。だから、ビートの開発、そういう国内甘味資源というものの保護という観点からいえば、いろいろとまた対策があるし、また逆に粗糖輸入ということで、原料輸入ということで、精製したものを入れるということになると、国内精糖業者は参るとしても、粗糖を入れて精製するということに仕事を与え、そしてまた、生産工場としても相当今稼働している部面が多いから、だから工場建設なんかについても、これはいいか悪いか別にして、認可制にするというふうにして、ある意味においてはチェックする方法というものは私はあると思う。そういうふうなことを考えていった場合に、かりにこれが自由化されて、しかも国内的にある程度チェックされるということになってくれば、九〇%というワクは、非常にある程度ゆとりが出る、そういうふうなことを考えていった場合に、どうしてもこれがふに落ちない、特にあなた方の農林省関係でいうと、業務第二部長のほうではなくて、経済局のほうになると思うのだが、たとえば柑橘類というか、果樹ですね、果物なんかについて考えてみて、相当競合するようなものが出てくる、そういうふうな点についての取り扱いについては、非常に比較的簡単で、砂糖自由化については、なかなかふん切りが悪いし、この前も河野農林大臣が、砂糖農林省における食糧庁の管理というふうな面の立法のうわさも出てにぎわしたわけですが、見通しとしては、いつごろ自由化になる見通し——見通し言えませんか。
  18. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 単に事務的な作業見通しでも、これはお答えしかねる問題でもございますし、あれなんですが、われわれ作業をしましても、ビート対策とか、あるいは精製ブドウ糖対策、あるいはイモ対策というようなことは、やはり法律的な用意が要るのではないかというふうに思います。
  19. 岡三郎

    岡三郎君 それは要ると思うね。
  20. 中西一郎

    説明員中西一郎君) そのためには、またそれを取り扱うのが、国で全部やるというのではございません。それぞれの流通関係、あるいは農業団体が関与するということで、相当ふん切りが要るのではないかというふうに考えざるを得ないと思います。
  21. 岡三郎

    岡三郎君 どうも、これも質問して張り合いがない答弁であれだけでも、ただ私が今言ったように、九〇%のワクの中で、きゅうきゅうしている業界、こういうところから見るというと、まことに不可思議だというふうな見方ですね、それは払拭できないのではないかと思うのです。そういうふうな点で、ビートないしは今言ったブドウ糖保護という面について考えた結果として、この自由化ができないのだということになれば、これは今の状態では、ちょっと先の見通しはなかなか立たぬというふうな結論にもなるのではないか、ただ私の言っているのは、逆論で、総体的に自由化という内容が非常に無理があるのではないか、その無理を、全体が無理をするならば、これはやむを得ないという見方も出てくると思うのですが、ある部分はぬくぬくしておいて、ある部分は非常に窮屈に追い込められている。こういうふうなことからいって、現在自由化品目の中に入っているものでも、これをある程度時間的にずらして、今の入ってないものでも入るという方式によって、比較的にその調整がとれるのではないかというふうな気持が非常に強いわけです。私は、なかなか中西さんが三十八年のいつごろに自由化しますと言ったって、とんでもないと大臣にしかられるばかりではなくて、そういうことは言えないと思うけれども、しかし、しょせんいずれは、そういう方向をたどるという見方をしておられると思うので、やはり国内甘味資源対策というものを別個に、農林省あるいは通産省と連携して検討をせられておると思うのだが、そういうことに対しての一つ起案はあるのですか。
  22. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 別段まとまった起案というものは、現段階ではございません。ただ、これはお答えとは若干すれるのでございますけれども業界の中で、いずれ自由化ということも考えざるを得ないだろうという見通しで、いろいろな動きがあり、このままぬくぬくばかりはしておれないだろうというような判断をしている向きがございます。そんなことも他方、相談に乗り指導をするというようなこともやりながら、先ほど申し上げた、法律でいろいろしていくということで、いわば役所のほうとしても、じっとばかりしておるわけにはいかぬだろうと考えておる次第であります。
  23. 岡三郎

    岡三郎君 事務当局は、非常に私は困って迷惑しておることが多いと思う。現段階では、池田さんは砂糖自由化をやれと言ったと思うと、今度は、河野さんは別の案を考えているようなことを言って、いずれもどこか雲散霧消してしまって、依然として同じ形になっておる。これはもう、通産大臣総理大臣農林大臣が来なければ、本格的な質問できないことは、これはわかっておるわけなんですが、ブドウ糖保護という問題について、これは山本さんもおるから、あわせてお答え願いたいのですが、一時、ブドウ糖に対する粗糖の割当というものをやめたという経緯を私は知っておるのだが、これが最近復活したというのは、これはどういうわけなんですか。
  24. 中西一郎

    説明員中西一郎君) お話のとおり、去年の上期にやりまして、下期はやりませんでした。ことしになりまして、全体のブドウ糖安定度といいますかを、いろいろ検討いたしました結果、一つの明るい見通しとしまして、結晶ブドウ糖精製ブドウ糖の価格が、何といいますか、一時非常にダンピングその他で低目になっておりました、それがやや回復してきたという面があります。で、その上で、さらに全体とコスト等を見てみますと、やはり当面赤字である。で、それを、そう将来長きにわたってということじゃなしに、この際、とりあえず従来やっておったような形でのリンクを復活しまして、当面の赤字を補っていくということはやむを得ないのではないかということで、この上期に、上期分として二万五千トン復活するということになったわけでございます。
  25. 岡三郎

    岡三郎君 下期二万五千トンというのもきまったのですか。
  26. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 年間ベースで五万トンで、上期に二万五千トン、下期に二万五千トン。
  27. 岡三郎

    岡三郎君 そうすると、ブドウ糖工業会のほうの会社の経理というものは、全体調べ上げておりますか。
  28. 中西一郎

    説明員中西一郎君) これは、全体調べるということになりますと、とてもあれなんで、代表的なととろ、標準的なものを取り上げて、いろいろ試算をした上での話であります。
  29. 岡三郎

    岡三郎君 その資料をひとつ出してもらえると思うのですが、いわゆるブドウ糖工業会の今言った赤字は、これに対する保護という面から、今言ったような割当、そういう関連に対して、どういう合理性があるのか。それに伴う資料を、ひとつ出してもらいたいと思う。  で、山本通商局次長いますか。——伺うところによりますというと、通商局は、このブドウ糖の割当については非常に当初反対の意向が強かったというふうに聞いておるのですが、これは確かかどうか。それともう一つは、これに対して、どういうふうな考え方を持っておるのか、それをお伺いしたい。
  30. 山本重信

    説明員山本重信君) ブドウ糖に対する粗糖のリンク割当につきましては、本来輸入物質の割当のやり方としましては、いわば変則的なやり方でございますので、過去において実施して参りました際も、できるだけ早い機会に、こうした制度はやめて、ノーマルな状態に戻したい、こういう希望を持って参ったわけでございます。したがいまして、前回割当をいたしますときも、でき得れば今回限りでやめたいという希望を持っておったわけでありますが、最近になりまして、農林省のほうから、いろいろブドウ糖業界状況をお伺いしますと、相当経営の面でつらいところがある。しかも従来やってきた制度でもありますので、もうしばらく続けてもらいたい、こういう強い要望がございました。ブドウ糖工業につきましては、農林省が責任を持ってやっておられますので、われわれもその要望を最終的には了としまして、前回と似た方式で、今年度もこれを踏襲するということになったわけでございます。
  31. 岡三郎

    岡三郎君 中西さんに聞きますが、こういうふうに一応保護していくという形、ある面ではわかるような気もするけれども、具体的にこういうふうな保護政策をとっていって、ブドウ糖が、いつの日にかこれは一本立ちできるのか、実際できないんじゃないかという印象をしている。もっと端的に言うと、ブドウ糖工業会というものを作って、政治的にそういうふうな面の働きをして、そうして何とかこの場を潤していくという、こういうふうな指導方法では、確立しないんじゃないか、澱粉の滞貨というのが、農林省自体が非常に持って困っているというけれども、最近においては、それほどでもないじゃないかという話も聞くし、それから全体的にいって、もう少しこれを合理化して、コストや、その他の点についても、考え方法があるにもかかわらず、そういう面においては、遅々として少も進まぬ。そうして、ただ保護にたよっていく、これではしょうがないと思うんだが、ビートにしても、まあ差益で吸い上げて、吸い上げた金を回すというようなことで、ある程度工業会の腹の中で、あっちこっちどんぶり勘定しているようでは、こういうことでは、いつまでたっても本格的な自由化に踏み切れる情勢がこないんじゃないかと思う。  そういうふうな点で、ブドウ糖業界なら業界というものに対して、私はもうちょっと積極的に、かりに自由化になった場合においては、何かはかの保護方法考えるのかどうか。いろんな面についてお考えがあると思うのだが、今のところ、当分政治力によって粗糖自由化というものはないんじゃないか、そういうふうな安易の中で、政治的にかけずり回っていれば事は済む、これでは、まことにいいかげんな話になってしまうのじゃないかと私は思うのです。そういうふうな点で、今資料出してもらいたいといったのですが、端的にいって、ことし上下を今連続してやって、また来年もやる、そういうふうな状態の中で、これが一ぺんとれたら、これはもうとても立っていられない。突っかい棒だらけで、突っかい棒をはずしたら、とても立っていられない。そういうふうな状態では、産業とは言えないんじゃないかという気がするのだが、こういう点について、中西さんいろいろ考えておられる思うのだが、これは復活して、いつまで続ける腹ですか。
  32. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 私の個人的な気持としましては、この五万トンで終わることができれば、それで終えるのが望ましいのではないかと考えているわけです。その間、最近の情勢によりますと、今までの酵素法によります結晶ブドウ糖のいわゆる新技術のほかに、さらに、また新しい技術が出て参りまして、設備についての追加投資はそう要らないようでありますけれども、もう少し甘味の高いものを作り得る市場も拡大し得るのではないかというようなことで、二、三の特許が出て参りました。そういうものを取入れてやりたいという精製ブドウ糖結晶ブドウ糖メーカーも出て参っております。追加投資はそうかからないというのですし、私のほうも、食糧研究所のほうでも、十分技術的な応援はできると、食糧研究所自身でも、特許を持っております。そんな関係で、早急にコストの安い、非常に甘味の高いものを作っていったらどうか、いずれにしましても、今年で澱粉約十五万トンを使う一つ産業になってしまっております。何としても、それは自立させるという方向に参りませんと、それが自立しないとなりますと、澱粉の需給関係、ひいてはカンショの需給関係に非常に響きます。カンショ澱粉全体の約三分の一くらい新しい分野として開拓したわけであります。それがくずれると困るということで、ここ一年が、まあ天王山ではないかというふうに考えておる次第であります。
  33. 岡三郎

    岡三郎君 また来年になって、ここ一年が天王山じゃないかという心配もあるのだけれどもビート関係についての補助金の問題と関連して、ビート糖業界が非常に競合してきたのだが、暖地ビートに対する補助の問題が一応検討されておるというが、この結論はどうなんですか。
  34. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 暖地ビートにつきましては、まだ面積が非常に少なうございます。いろいろな助成をやっていきます場合に、その助成の結果、端的に生産が伸びていく、あるいは品種が非常に改善されるというふうなことで、前向きになるような、具体的に効果のある施策を選ぶ必要があると思っております。北海道は政府買入れを操業初年度について政府が買い入れるということをやっておりますけれども、暖地にそういうことをやって、はたして面積が伸び生産がふえるのかというと、若干の疑問があるということで、もっぱら作物に目を注いで、そういう点についての重点的な助成をやっていったらどうかということで、今年の予算も振興局で、だいぶお取りになったようでございます。さらに、例の甘味資源の振興のための積立金を社団法人でやっておりますが、あれのほうの活用もはかりまして、できるだけのことはして参りたいという方向で、目下検討をしておる段階でございます。
  35. 岡三郎

    岡三郎君 これ以上、中西さんのほうに質問しても、むずかしい問題が非常に多いので、またあらためて、まあいずれ選挙が終わったあと、特別国会が召集され、また十月の貿易自由化の問題が近づけば、いろいろな問題が出てくると思うのですが、農林省関係の中で、これは経済局の人、振興局の人がおるようですが、果樹関係ですね、そういう面で、まだぼやっとしておるようですが、全体的にいって農林水産関係自由化の問題についても、相当苦慮しておる層が相当あると思うのですがね、こういうふうな点で、果樹関係については、どういうふうな、自由化とも関連して見通しを立てておるか、国内産業保護という面で。
  36. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) 果樹の問題、貿易自由化との関連でございますが、御承知のとおり、果樹というのはわが国の農業におきましては、畜産部門と並んで非常に今後の成長を期待しておる分野でございます。そういう面につきまして、一般的に貿易自由化を進めますにつきましても、そういうわが国内の果樹部門の今後の成長というものと見合いながら、できるだけそういう配慮をしつつ、進めて参りたいということで、逐次自由化を進めて参っておるわけでございます。  たとえば輸送することによって鮮度の落ちますようなもの、それから、わが国にあまり生産されないで、しかもその競合の度合いの少ないものというようなものにつきましては、逐次自由化を進めております。たとえばジュースでございますとか、そういうことによりまして、非常にわが国との競合の度合いの強いものにつきましては、今後ともその自由化につきましては、十分検討して慎重に考えていくという方法で行なっております。
  37. 岡三郎

    岡三郎君 この面については慎重にと言っているけれども、大体自由化のテンポが早まってくれば、国内体制というものを慎重ということを言っておっては間に合わぬような場合がある。それでまあ一般の産業なんかでは合併問題とか、資本の統合、巨大化というか、国際資本に対して、国内的には防衛態勢が進められておりますが、やはり生産業者は、果樹関係とかいろいろな面においては非常に力が弱い、政治的な力も弱いので、そういうふうな面の中でつぶされていくという心配の層も相当多いと思うのです。これはやがて、かりにミカンなんかとってれば、生産者は、自由化によって押えられ工るが、場のほうは安い原料でカン詰を作るという利点があるということで、国内的に見ても、非常にある層は苦しい、ある層は、これによってよくなる、さまざまな起伏があると思うのですがね。そういうふうな点で、特に零細な農民——果樹、そういったものについて、やはり十分慎重さを持たないと、非常に部分的には影響を強く受けるのじゃないかという気がします。そういうふうな点でひとつ、きょうは特段に突っ込んだ質問をしませんけれども、配慮してもらいたい、ということは、そういうふうな弱い面についての自由化は、割合にはっきり踏み切ってきておる、ということは、それに対する抵抗が少ないという面もあると思いますが、今言ったように、大きなワクを持っているものについては、自由化の外にこれが飛び出している。いろいろの面があるので、そういった面について、ひとつ今後、だんだんと期日が迫るにつれて、問題が表に出てくると思うのですが、十分慎重に配慮してもらいたいと思うのです。きょうは時間がないので……。また、それに関連してレモンは、自由化がやまったのですか、あれは。
  38. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) レモンにつきましては、一応自由化を予定しておりますけれども、これはわが国のミカンは、実はアメリカに対して輸出ができない、向こうの食物検疫との関係、輸出ができない現状になっております。そういうことにつきましてのアメリカ側の配慮、それでもって、どれだけわが国のミカン輸出の道が開けるかというようなことと対応いたしまして、それとの関連において自由化するかどうかということを他の柑橘類ともあわせまして、そういう問題とからみ合わせて、今後検討して参りたいということで、それと関係なしに、直ちに自由化するというふうには考えておりません。
  39. 岡三郎

    岡三郎君 そうすると、当初は自由化するという考え方で、その後情勢が変わってきた、こういうことですね。
  40. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) 自由化方針をきめますときに、そのときから無条件に自由化をするということでなしに、そういうことを配慮しつつ、そういうものとの関連において自由化方針検討を進めるということであったわけであります。途中で急に変わったということではございません。
  41. 岡三郎

    岡三郎君 そうすると、自由化するかしないかの決定的なものはまだ出ていなかったということですか。
  42. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) そのとおりです。
  43. 岡三郎

    岡三郎君 そうすると、バナナみたいなものはどうですか。
  44. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) バナナにつきましては、一応ことしの十月に自由化するという予定で進んでおります。
  45. 岡三郎

    岡三郎君 そうすると、農林省関係において、もう一ぺんニュアンスが非常にデリケートですから、そういう点について、資料として品目別にひとつ出してみて、これが今までの大体輸入するものは外貨の割当がどの程度であったか、そうしてそれが自由化された場合において総体においてどのくらいの額になっているのか、これを知りたいと思うのです。そういうような点で御検討願いたいと思います。  きょうは時間がないからこれにとどめておきますが、経済局のほうにきていただいて聞くことが、時間がないのでできませんのですが、全体的に期日が切迫するにつれて、メタルの問題とか、今いったような問題その他がぼつぼつ出てきておりますけれども、最近において、機械産業等において自由化の問題が非常にあるのじゃないか。一律に自由化といっても、機械産業においては非常に無理な点が出てくるようなことになってきておりますね。そのほか自動車とか、各種機械、そういったものについていろいろと鋭意検討されておると思うのですが、企画庁自体のほうにおいても、そういう関連性の中において、九〇%で、あとの残りの一〇%、そういう品目の中において、かりにある品物が自由化からはすされた場合において、他の層からこれを穴埋めしなければならぬのか、そういうふうな点についてちょっとお聞きしたいのですがね。いますか、どなたか。そういうことを企画庁がやるところであるかどうかは知らないのですけれども……。
  46. 羽柴忠雄

    説明員(羽柴忠雄君) 現在のところ貿易自由化につきましては、十月を目標といたしまして九〇%自由化するということに予定されておるわけでございますが、その中で、まあいろいろ個々の物資について、通産物資、農林物資につきましていろいろ検討して参りますと、現在のところでは、ほぼ九〇%程度は自由化できるというように考えられておりますが、そのときになりまして若干のパーセンテージがあるいは不足する、あるいはまた余るというようなことが起こってこないとも限らないのであります。それにつきましては、今急にどの程度をそのときになりまして穴埋めするかというようなところまでは考えておりませんけれども、しかしながら、今までの既定方針に沿いまして、できるだけ九〇%程度の自由化ができるように、各省におきまして現在配慮いたしております。こういう段階であります。
  47. 岡三郎

    岡三郎君 そういうふうな作業については、今後の推移の中で検討しなければならぬということですね。
  48. 羽柴忠雄

    説明員(羽柴忠雄君) 現在その九〇%の自由化をいたしますために、いろいろな施策を各産業についてやっておるわけであります。昨年の九月の閣議決定に基づきまして、大体六つばかりの施策を検討いたしまして、それで、おもなものを拾ってみますと、たとえばます第一が国際収支の改善をはかりつつこの自由化をやっていくのだというのが第一点。これが今政府におきまして、御承知のとおりに、国際収支改善対策というものを強化いたしまして、これは現在進行中であります。  それから第二の施策といたしましては、エネルギー対策でございますが、これにつきましては、石油対策並びに石炭対策、それから地下の鉱産物等の対策、こういうようなものを、いろいろございますが、これも御承知のとおりに、石油業法等を初めといたしまして、関税関係につきましても考慮を加えておりますので、これも現在進行中でございます。まあこれが完壁にこの対策が行なわれるかどうかということは、これは問題は若干ございますけれども、現在やっておるわけでございます。  それから第三点といたしましては、中小企業対策並びに農林漁業対策でございますが、これにつきましても、本年度におきましては、予算的に見ましても、またその他の面におきましても、できるだけ重点的に中小企業等については予算を投入するというような努力を続けておるわけでございます。  それから第四点といたしましては雇用対策でございますが、できるだけ雇用の流動化をはかっていく、この対策につきましては労働省を中心といたしまして雇用対策——まあ、これも完全とはいきませんけれども現在進めております。  それから第五番目といたしましては、関税措置でございます。これは関税率審議会の答申に基づきまして、今度はいろいろな引き上げ、また引き下げ等も行ないまして、貿易自由化に対処するところの関税の手直し、関税率の手直しというものを最近行なったわけでございます。それにつきまして、たとえば新しくタリフ・クォーター制度というものを、前はニッケルだけについて行なわれておったのでございますが、これを十四品目に広げるとか、あるいはまた緊急関税制度の活用を今後検討していくとか、あるいはまた新しく季節関税といいまして、たとえばオレンジ等につきましては、まあ日本のものが出回るときにはアメリカからのオレンジについては高い税率をかける、こういうような季節関税制度というものを適用いたしまして、そうしてできるだけ関税措置については考慮して参りました結果、ほぼ関税措置は予定どおり貿易自由化に備えるべく行なわれておる、こういうふうにわれわれは考えております。  それから最後の第六番目といたしま一しては、経済外交の問題でございます。たとえば三十五条の援用の緩和であるとか、あるいはまた外交交渉によりますところの、できるだけ諸外国の制限を撤廃または緩和してもらう、こういうような努力を絶えず続けていかなければならない、これも昨年から強力に推進しておりまする結果、まあそう急にはいきませんけれども、逐次軌道に乗って参っております。  かような今申し上げましたような六つの施策を重点的に実施していくことによりまして、そうして貿易自由化が十月には行なわれるということを前提といたしまして進めておるわけでございます。もちろんこの施策もまだ十二分に行なわれているとはいえませんけれども、少なくとも十月の九〇%を目標といたしまして、かような施策を重点的に進めるべく努力中である、こういうことは申し上げられると思います。
  49. 岡三郎

    岡三郎君 一応ここで質問を終わっておきます。次にまた適当な機会にやります。
  50. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 時間がありませんので簡単に通商局次長にお尋ねいたします。  昨日の夕刊各紙、今朝の各紙に政府が発表したところによると、ハリマン国務次官補が、日本が中共貿易を飛躍的に拡大するような政策転換をしないようにと、慎重にやってもらいたいという申し入れをした、また外遊中の元吉田総理に対してもそういうことをいったように伝えられていますが、そのことについて通産省はどういうふうな外務省等の関係で情報を持っておられますか、その点を伺いたい。
  51. 山本重信

    説明員山本重信君) 中共延べ払いの問題につきまして、先般来通産省といたしましては、業界からの強い要望もございますし、日本の従来の中国大陸との関係、それから最近における日本の輸出振興の必要性、こういうようなことから条件がととのえば延べ払いもしてはどうか、こういう方針検討して参っておるわけでございます。その途中において新聞にその情報が出ました。それにつきまして、外務省のほうに対してこちらの大使館からごく非公式でございますが、その真相についての質問がありました。またそのときに個人的な印象と申しますか、感想を述べられたことがございます。それに対して外務省は通産省と同じ考え方の回答をいたしておるわけであります。つまり中共との関係は、近隣国であって、そして従来も日本は政治と離れた意味で、純粋に経済的な立場からお互いに貿易を拡大していこうという考え方を持って参ったわけであります。最近西欧諸国等がいろいろ中共輸出に対して延べ払いをしておる事実がある模様でございます。これは真相が必ずしも確認できません。若干商売上の機密の問題もございまして、なかなか真相は捕捉しにくいのでございますが、そういうような模様もございますので、ひとつ前向きで考えたらどうか、こういうことでやっておる、そういう趣旨のことを外務省から大使館の担当官には回答をした事実がございます。  それからただいまお話ございました、ハリマン国務次官補からの申し入れ云々につきましては、実は先ほど私こちらへ出向いて参ります前に、外務省に念を押してみたのでございますが、正式に申し入れがあったというようなことについては、何らまだ現地からも情報がないようでございます。
  52. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そういうことは外務省の関係当局とよく連絡をしておられるのですか。その点を私は、まあ山本次長にこういうことは、高度の政治的な問題ですから、やはり大臣か次官においでを願わなきゃいかぬと思うのですが、たとえば本日ILO条約の批准の前に、それに関連するような労働争議等については違反を追究しないように、こういうILO理事会のなんですか、それに対しては内政干渉もはなはだしいというので、強硬な申し入れをやるということに福永大臣が談話を発表されておるんです。ILO八十七号条約批准前に、それが批准されたら当然違反にならぬものは、国内法があってもそれを処罰しないように、こういうことに対しては内政干渉もはなはだしい、だから出先当局を通じて理事会に厳重な抗議を申し込むというふうに強く出ているんです。ところが吉田元総理にそういうことを言い、またハリマン国務次官補から申し入れがあったしということが、きのう発表されて、夕刑各紙に出ているようです。そういうことがあって、これは重大な内政干渉で、日本政府日本国民が決定すべき問題で、アメリカに対しては、私が非常に遺憾に思うのは西欧並みにやるんだからという了解工作をひたすらやる、ILOに対してはそういうのといささかちぐはぐしているように思うのですが、山本さんにこういうことを言ってもどうかと思うのですが、そうい点が首尾一貫しないと思う。ILOに対してははなはだしく高踏的な態度で出ておりながら、同じもっと内政干渉的なことに対してはひたすら延べ払いを第三国の保証を取りつけてやるというので、私は実際こういう条件がついておればできないのも同然だと思うのですが、そのことは別として了解工作を求めている。一方には哀訴嘆願的な了解を求め、一方には強く言うという点で、日本社会党としては、これははなはだよくないじゃないか、もっと強い態度で、日本政府日本国民は自主的に判断すべきである。業界等ではとんでもない容喙だと言っているようですが、そういうことはどうなのですか。
  53. 山本重信

    説明員山本重信君) 本件につきましては、日本が自主的な立場で判論をし、決定をするということが必要であることは、私たちも痛感いたしているわけでございます。外務省とも十分に常時連絡をとっております。ただ先ほどお話のございましたILOの問題とこの問題とは、現在の進行段階がだいぶ違っているのでありまして、中共の延べ払い問題は、日本政府部内でまだ具体的に最終結論を出していない段で階ございます。  それからハリマン国務次官補がそれについて日本側に慎重な態度を要望したというふうに新聞には出ておりますけれども、まだ正式に外務省のほうに電報が入っていない段階でございますので、もし真相がさらに明らかにされた場合に、どういう態度をとるかということについては、外務省ともよく相談をして善処して参りたい、このように考えております。
  54. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 ILOとこれとは内容は違いますが、国民一般としては、アメリカに対しては弱いが、ソビエト、中共、その他には強いというような印象を与えないような、やはり日本国独自の立場を、この問題等で外務省と折衝があるでしょうから、そういうときには、とっていただきたいと思います。  次に、三十六年度の対米貿易の輸出入はどうなっておりますか、その点を伺います。
  55. 山本重信

    説明員山本重信君) 対米貿易は、三十六年の暦年でございますが、通関ベースで輸出が十億ドル輸入が二十億ドルになっております。
  56. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 ただいま発表をいただきましたように、輸出が輸入の半分、輸出が十億ドルで、輸入が二十億ドル、こういうアンバランスで、私は日本国際収支のアンバランスは対米貿易にあるということをかねがね申し上げているのですが、そういう状態でもあり、しかもドル防衛があり、さらにアメリカの国際開発局の発注からもオミットされている。さらにEECともなかなか思うようにいかない、こういう状況にありまして、四十七億ドルの輸出をし、輸入が四十八億ドルの目標を達しますのには、どうしても諸般の情勢からして、もっと国は違っても、イデオロギーが違っても中共やソ連の貿易と本格的に取り組まねばならぬ段階だと思う。またアメリカのドル防衛あるいは国際開発局のあっちこっちの発注等に対して、日本をシャットアウトするのを防ぐ意味で、やはり中共貿易というものについてもっと強い態度をとることが、対米条件をかちとるやはり手段になると思うわけです。そういう点においてはイギリスなんかは昨年一月から十一月までに一億一千万ドルも輸出をし、ジェット機も出すのだ、アメリカの逆鱗に触れながら長期延べ払いをやり、西独では一月から十月までに五千三百万ドルで九カ月くらいですか、延べ払いをやったりし、日本も昨年一カ年間に四千六百万ドルというような状況でありますので、私は西欧並みということが額を言っておられるのかどうか知らぬですが、日本の置かれた国際環境、地理的な状況等からして、もっと本格的に取り組んでいただきたいということと、ただいま次長から御発表になりましたように、とにかくたった十億ドルしか買ってもらえないのに、二十億ドルもアメリカから三十六年度に輸入しているのですから、もっとこの問題と本格的に、時間がありませんので申し上げませんが、とにかくけさも今井局長はアメリカ大使館に呼ばれておるやに聞くのです。そういうことだろうと思うのですが、もっと自主的な立場で、やはりアメリカには弱く、ILOや中国やソ連には強いという、そういう従属的な通商政策というものはやらぬように私はお願いしたいと思うのですが、陰ではだいぶ干渉があるのじゃないですか。そういうことを含めて所信をお伺いしておきす。
  57. 山本重信

    説明員山本重信君) 対米貿易は昨年は輸出が思ったように出ませんでしたが、ただいま申し上げましたように二対一というように大幅の入超を来たしたわけでございます。御参考までに最近の動きを申し上げてみますと、三月は対米輸出が通関で一億一千五百万ドルでございまして、昨年の四月当時は七千五百万ドル程度です。その後、額でおおむね九千万ドル台でございましたが、ことしの三月には一億一千五百万ドルという金額になったわけであります。ことしの一月から三月までの三カ月を合計いたしてみますと二億八千万ドルをちょっとこえておりまして、対前年同期に比して三五%の増加になっております。また信用状の動きを見ますと、三月には一億三千万ドルから四月が一億一千万ドルでございまして、大体前年の五割増しに近い数字になっております。何と申しましてもアメリカのマーケットが日本にとって非常に重要なマーケットでございますので、ことしの四十七億ドルの達成のためには対米輸出が相当大幅に伸びるということが必要でございまして一幸いにして最近そういう徴候が現われておるので、私たちも今後の発展に期待をいたしておるわけであります。  それからお話のソ連、中共等の共産圏の事情でございますが、通産省といたしましては、従来から貿易はあくまでも経済ベース、純粋に経済ベースで考えていくべきであるという線で貫いて参っておるのでございまして、現にソ連との関係では、逐年きわめて急速な拡大が行なわれております。中共との関係は、五八年の中断以来、必ずしも順調に参っておりませんが、昨年あたりから急激な上昇傾向が出ておりまして、私たちも本年は中共貿易は輸出、輸入とも画期的にふえる、またふやさなければいけない、こういうふうに考えておる次第でございます。  それからアメリカの日本に対する通商上のいろいろ干渉というようなものがあるかどうかというお話でございますが、私も通商局に参りましてちょうど二年弱になりますが、そういうようなケースは全くございません。最近は、きわめて戦後の占拠時代等とまるきり違いまして、全く平等の立場でお互いに議論し合っているというのが実態でございます。
  58. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 希望ですが、吉田さんがアメリカで、米国が日米貿易の飛躍的な拡大の道を開かぬ限りは、もっとアメリカがたくさん日本のものを買ってくれない限りは、日本は中共貿易をやらざるを得ない——私はお人好しをしておったら、なかなかアメリカから……。ことしの一月から三月はだいぶ好転しているようですが、少なくとも昨年の実績は十億ドルしか買ってもらわずに輸入は二十億ドルで、こんな人のいい貿易は私はないと思います。そういう対米貿易を、もっと有利に通商政策をやるためには、やはりそういう切り札がなくちゃ私はやれぬので、ひとつ外務省等とは十分そういう点連絡をして、内政がましい干渉ははねつけて、独自の立場で私はやっていただきたいと思います。まあ最近はないということですが、私が確かなところから聞きますと、池田総理がアメリカに行かれた際、大豆自由化するという問題のときには、アメリカの農務省ですか、ついておって、その督励をしたりしたことは実際聞いておるわけであります。まあひとつ私の党でも本日の軍門に対して強い反駁をするたしか用意をしているはずですが、対米貿易をもっと自主的に進めていくことを希望して私の質問を終わります。
  59. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 他に御質疑はありませんか。——他に御発言がなければ、本件調査は、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。   午前十一時五十六分散会