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1962-03-29 第40回国会 参議院 社会労働委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十九日(木曜日)    午前十時四十六分開会     —————————————   委員異動 三月二十七日委員山本杉君、横山フク 君及び村山道雄辞任につき、その補 欠として宮澤喜一君、泉山三六君及び 前田久吉君を議長において指名した。 三月二十八日委員徳永正利君、泉山三 六君、宮澤喜一君、前田久吉君及び相 馬助治辞任につき、その補欠として 紅露みつ君、横山フク君、山本杉君、 村山道雄君及び片岡文重君を議長にお いて指名した。 本日委員山本利壽君、森中守義君及び 片岡文重辞任につき、その補欠とし て小山邦太郎君、永岡光治君及び相馬 助治君を議長において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     高野 一夫君    理事            村山 道雄君            阿具根 登君    委員            勝俣  稔君            小山邦太郎君            山本  杉君            横山 フク君            小柳  勇君            坂本  昭君            永岡 光治君            相馬 助治君   政府委員     厚生政務次官 森田重次郎君    厚生省保険局長 高田 浩運君   事務局側      常任委員会      専 門 員 増本 甲吉君   説明員       厚生省医       務局次長 鈴村 信吾君    厚生省保険局国    民健康保険課長 首尾木 一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○国民健康保険法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 高野一夫

    委員長高野一夫君) それでは、ただいまから本日の社会労働委員会を開会いたします。  この際、委員異動について報告いたします。三月二十七日付をもって村山道雄君が辞任前田久吉君が選任、三月二十八日付をもって徳永正利君、前田久吉君、相馬助治君が辞任され、紅露みつ君、村山道雄君、片岡文重君が選任されました。なお、本日付をもって片岡文重君が辞任相馬助治君が選任、同じく森中守義君が辞任永岡光治君が選任されました。     —————————————
  3. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 次に、理事補欠互選を行ないます。ただいま報告のとおり、村山理事が一時委員辞任されましたために、理事に一名の欠員を生じております。この際、理事補欠互選を行ないたいと思います。その方法は、慣例によりまして、委員長の指名に御一任願いたいと思います。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めます。それでは村山君の補欠として、村山君を理事に指名いたします。     —————————————
  5. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 国民健康保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府委員から細部についての説明を願います。
  6. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 国民健康保険法の一部を改正する法律案内容について御説明申し上げます。  国民健康保険の被保険者は、御承知のように、相当部分が農漁民、零細な自営業者等、低所得層が占めておりますために、その財政は元来薄弱であったのでございますが、受診率増加、最近における医療費改定等による医療費上昇等によりまして、その財政は楽観を許さない状況でございますために、国民健康保険事業に対する国の財政援助を一そう強化する必要があると考えまして、来年度から療養給付費に対する国庫負担及び補助の率を、現行の二割から二割五分に引き上げようとするものでございます。三十七年度予算案におきます療養給付費国庫負担金の総額は約四百四億円でございまして、三十六年度に比べて、約百二十八億円の増加となっておりますが、そのうち、約七十九億円が国庫負担五分の引き上げ相当する経費でございます。なお、これを被保険者一人頭に換算をしてみますと、この七十九億、すなわち五分に相当する金額が、保険料として約百九十円ということになるわけでございます。したがって、五分の引き上げを行なわなければ百九十円増徴になるということになるわけでございます。簡単でございますが、以上でございます。
  7. 高野一夫

    委員長高野一夫君) これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  8. 坂本昭

    坂本昭君 最初に、このあとのほうに法律案関係資料というのがついていますが、もう一度適用者数、それから未適用地域、それから数、その理由について御説明いただきたい。
  9. 首尾木一

    説明員首尾木一君) 三十六年四月末現在の数字を申し上げますと、被保険者数が総数で四千七百九十二万一千八百人でございます。それから未実施市町村といたしまして、これは鹿児島県の大島の住用村、宇検村、大和村、三島村、十島村、瀬戸内の一部で、ございまして、被保険者数は十四万三千五百、宇検村五千四百、大和村四千七百、三島村が千三百、十島村が二千七百三十、瀬戸内の一部また未実施の人口は一万二千ということでございます。
  10. 坂本昭

    坂本昭君 合計幾らですか。大体でいいですよ。
  11. 首尾木一

    説明員首尾木一君) 合計で大体二万五千名見当でございます。ちょっと正確な数字でございませんが、それで現在これが実施しておりませんのは、離島僻地医師確保が困難というふうなことで、厚生大臣の認可を得まして実施を延ばしておるという関係になっておるわけでございます。
  12. 坂本昭

    坂本昭君 この際、お伺いしておきたいのですけれども国民健康保険法昭和三十三年十二月二十七日に改正になっておりますが、この国民健康保険法健康保険法目的に、法文を読むというと違いがあるように思うのですが、国保について、この法律改正によってどういう新しい目的が課せられたか、政府の御見解を承りたい。局長から。
  13. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 今お話改正によりまして、いわゆる皆保険達成をするということで参りまして、一応その区切りとして、昨年の四月に、すべての市町村にこの国保実施することによって国民保険達成をするということを目途といたした次第でございます。その当時に比べますと、今国民健康保険課長から申し上げました僻遠の町村を除きまして、全市町村実施をされましたということは、国民健康保険の一応のこれは目的達成したと考えられますけれども、問題は、このいわゆる広がりだけでなしに内容の実質を上げていくということが今後の問題であろうかと思います。
  14. 坂本昭

    坂本昭君 まあ概念的にいうとそういうことになろうと思うのですね。実は私の質問も悪かったかもしれませんが、今のお考え方と、古い国民健康保険法からどの程度飛躍した政府が明確な考えを持っておられるか、若干疑問だと思う。それは国民健康保険法の場合は、第一条の目的ですね、これには保険者が被保険者保険給付をなすということが健康保険法目的になっておる。ところが、国民健康保険法の古い第一条の目的では、相扶共済の精神にのっとり、保険給付をなすを目的とするということにあったのを、三十三年の十二月二十七日の改正では、一段と飛躍して、「社会保障及び国民保健向上に寄与することを目的とする。」、非常に明確な内容改正せられておるわけです。で、この「社会保障及び国民保健向上に寄与することを目的とする。」というふうに、健康保険法、また国保法の古いものから非常に変わってきておる。その変わってきた原因の一番の主眼点はどこにあるかということを考えてみると、私は、国の責任が明確にされてきたことではないかと思う。つまり前はただ保険者保険給付をやるということだけだったのが、この国保法というものは、社会保障及び国民保健向上に寄与することが目的だと、そうして、またあの当時の審議を通じても、国の責任ということがかなり明確にされてきたのではないかと思う。したがって、そういう点で、国民健康保険法について国の責任のウエイトといいますか、あり方というか、これについてひとつ局長並びに大臣にかわって、次官から御説明をいただきたい。
  15. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 確かにお話のように、従前、国民健康保険法が始められました当時の考え方と今日の考え方と、これは国民健康保険についての考え方が変わっておることは、もうお話のとおりだと思います。その根本には、やはり社会保障でありますとか、あるいは国民福祉でありますとか、そういったことについての国なり、あるいは国民考え方、すなわち、土台が変わってきているということが一つあると思います。そういう意味において、いわゆる社会保障でありますとか、あるいは国民福祉というものについての国の責任というものが、新憲法実施等関連をいたしまして、以前に比べると非常に強化されてきた、これはまあ事実だろうと思います。それに即応して、この国民健康保険法も、今お話のように、社会保障及び国民保健向上に寄与することを目的とすると、こういう一般の目的に寄与することを目的とすると、そういうことになってきたと思うのでございます。これは要するに社会保障なり、あるいは公衆衛生なり、あるいは国民福祉なりというものについての、憲法に基づくところの国の責任の一翼をになった形でこういう規定になっておるものと、そういうふうな理解のもとに国民健康保険法の運営をはかっていかなければならないと考えております。
  16. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) ただいま局長から答弁がありましたとおとり、改正せられて以来、さらに国の責任が重くなっているというふうに私は解釈いたしておるのであります。
  17. 坂本昭

    坂本昭君 今の御答弁では、非常にまだ皆さんのお考えが明確でないような感じがするんです。それは、日本社会保障制度の進展の中で国民健康保険法の果たしてきた役割というのは非常に大きいんです。たとえば国庫負担を初めてかち得たのも、この国保の中で初めてかち得た。あの際は厚生当局としてもずいぶん苦労したと思うんです。が、あそこで初めて橋頭堡をかち得て、社会保障に対する国の責任どいうものが財政的に明確になった。さらに私は、日本憲法をこれは変えてはならなぬと思っているんです。大臣は、日本憲法を変えたほうがいいと思われるかどうか、あとで御意見も聞きますけれども、その中で、社会保障については、例の第二十五条に書いてありますね。この第二十五条は、私は、二つの項目から成り立っていると思うんです。一つは、国民が健康で文化的な生活を営む権利を持つという、国民の側の権利ですね。それからもう一つは、第二項に「国は、」と書いてあるんです。国が社会保障の「向上及び増進に務めなければならない。」と、国が努めなければならないという規定があるんです。この二つのところは、この憲法を作るときに、社会党が非常に苦労して、あとで挿入したことなんです。しかし、これが逐次国民健康保険法の中へ生かされてきたというところに私は非常に重大な意味があると思うんです。したがって、国民健康保険法が三十三年の十二月に改正された場合も、私は、この改正は正しい改正であるし、今度国庫負担率が上がったということも、やはりこの憲法の線に沿っていっていることだと信ずる。そういう点で皆さん方が明確な考えをどこまで持っておられるかということが、たとえば大蔵当局との折衝の段階において出てくると思う。またあとで伺いますけれども、だいぶ大蔵省にたたかれて苦戦をされ、まあ衆参両院の決議やら何やらで、今回辛うじて五分の国庫負担率引き上げられましたが、やはり国民のために行政当局として健闘しておられる皆さん方は、明確な考えを実は持っていただきたい、そう思って、この国民健康保険法目的について、特にこの際、確かめたわけなんです。どうかその点で大臣は、この憲法根本義に徹して、今の点はもう少し明確に積極的な意思表示政府としてはしていただきたいのですが、いかがでございますか。
  18. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) 憲法二十五条の規定は、きわめて重要な規定でありまして、私の見解から申し上げましても、将来憲法改正等があったとしても、この条文は変えられることはないと考えておるようなわけなのであります。さらに、この国民健康保険は、御存じのとおり、最も低い層を全部抱いて、そして強制的に加入させた、そこに国家としては非常に強い決意責任を痛感しているわけなのでありまして、厚生省といたしましては、この線は絶対に守って、そして国家責任において、将来とも十分この国民健康保険目的に沿うよう努力するという方向に、厚生省としてはかたい決意を持っている次第でございます。
  19. 坂本昭

    坂本昭君 それでは、そういう国の責任、また、厚生省としてのかたい決意のもとに、今問題になるのは、皆保険制度はしかれたが、依然として僻地あるいは無医地区がかなり多い。そして、今のような鹿児島県の場合は、特例をもって一応対象外になりました。しかし、無医地区は強制的に保険料というものは取られているわけなんです。そうして今のように国が責任を持つということが明らかである以上は、この無医地区に対する責任は一体那辺にあるか、保険局としてはどう考えておられるか。私は、いわゆる無医地区に対する解消は国に責任があると思う。保険当局としては、具体的に責任はどこにあるか、どうお考えですか。
  20. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 無医地区解消、あるいは僻地における医療の万全を期するということは、これは最も大切なことであるし、それから、当委員会においてもたびたび御鞭撻をいただいて、御激励いただいたことでございまして、厚生省としては、医務局保険局も、その点については、一切同じ気持解消、あるいは医療の万全を期することに努力をいたしているわけでございます。あるいは補助金を出す、あるいは医療金融公庫等の活用により、いろいろな手段を講じてやっているということは、これは政府としても十分この辺についての責任を感じ、これが解消努力している証左とお考えいただきたいと思います。ただ、問題は、非常にむずかしい点もこれは含んでおりますので、一気にこれが終局の目的達成するところまで現在至っていないことは残念でございますけれども、そういう気持努力しているということを御了承いただきたいと思います。
  21. 坂本昭

    坂本昭君 この前、医務局長に尋ねると、この無医地区に対する行政的な最終の責任は各自治体にある、そういう答弁なんですね。ところが、国保というものは、国の法律をもって強制的に、特例地を除いては、全部網の目をかぶせてしまう。そうして、あと財政の非常に困難な地方自治体がその責任を負って、診療所を建てる、医師を招聘するということになると、実際上それが不可能なところが多いのですよ。私が国の責任のことを何度も繰り返して指摘するゆえんのものは、地方自治体にその責任を持たすことは無理ではないか、それを保険当局としてはどう考えておられるかということなんです。私はそれではもう少し申し上げますが、医務局長に対しては、国立病院というものは二つ目的があるではないか。一つは、無医地区に対して、利益を度外視して無医地区をなくする活動のために働くこと、あるいは特殊な疾病のために、利益を度外視して研究すること、これが国立病院の使命ではないか。だから、無医地区に対しては国がやりなさい、国立病院がそれぞれの診療所に人を派遣する、それは国立病院の定員の中から派遣して、無医地区が実際的にないような措置をとってもらいたいということを繰り返して申し上げてきたのですが、医務局長は、全国に十カ所足らずの国のそういう無医地区に対する診療所を持っている、それをもって満足しているかのごとき答弁なのであって、そうして、もっぱら県当局市町村当局がこの無医地区に対する診療責任があるというふうにのがれて逃げてしまっている。あなたのほうでこの国民健康保険法をもって皆保険制度を強制する以上は、保険当局としても、これに何らかの具体的措置というものがあるべきはないか。今医療金融公庫をもってとか言っておられましたが、そういうことよりも、もっと具体的な、無医地区保険料を取っている。取っているが、診療所がない。医者がおらぬ。それは保険局当局としてはどうされるか、そのことを伺っているわけです。
  22. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 第一に、国の責任であるか市町村責任であるか、法律上の問題はこれは別として、国が社会保障、あるいは国民医療というものについて、憲法精神に基づいて努力をしなければならない責務を負っている限りにおいては、これは当然国としてそれ相当努力をすべきものだと思います。地元の市町村においても、住民の福祉という見地からそれ相当努力をすべきものだと思うのでございます。  それから、保険との関連においては、これは確かにお話のように、近くに医療機関がない。したがって、医療を受ける機会というものが、ほかの地域に比べると非常に薄い。しかるにかかわらず、保険料を出すというようなことは、これは一見矛盾というような格好で映ってくることは、これは当然だと思うのでございます。その辺の問題について、したがって、そういう僻地等における医療の万全を期するということについては、これは私どものほうも十分関心を持ってやらなければならぬことは当然でございますけれども、役所としては、一応そういった地域におけるいわゆる無医村の解消ということについては医務局が担当するという格好になっておりますので、私ども医務局と協力してそれに努力する、そういうことにいたしておるのでございます。それが一つの点でございます。  それからもう一つは、多少へ理屈と言われるかもしれませんけれども保険料の点につきましては、結局これは国民健康保険市町村単位でございますから、その地域における、市町村における受診率、あるいは療養給付費の額に応じて、ある所は高く、ある所は低くというような格好になっているのが現実でございまして、したがって、特に僻地等において医療を受ける機会の非常に少ない所におきましては、受診料ないし療養給付費が低い現状でございます。これは好ましいことではございませんが、現実の問題としてはさようになっておるわけでございます。したがって、それに応じて保険料も低くなっているという現状でございまして、これを引き上げるということが、やはり国民健康保険一つの大きな今後の課題でございますけれども、一応現、実の姿としてはさようになっているということをひとつ御承知いただきたいと思います。
  23. 坂本昭

    坂本昭君 どうも僻地あるいは無医地区に対する対策が積極性を非常に欠いていると思うんです。これは、次官はいつもしろうとだと言われるけれども、それは医療のことはしろうとでも、政治家としてはしろうとでないはずなんでありまして、この点はわれわれとしては——われわれとしてはということは、野党の立場ということでなくて、国民として非常に不満が強いです。またこの点はあとで申し上げます。  そこで、世界各国とも、こういう点については非常に苦労してきています。これは厚生省でまとめた「世界各国医療制度」という本がありますけれども、この中にも、各国がどういうふうに努力をしてきたかということが、かなりよく書かれております。たとえばアメリカの場合には、ヒル・バートン法という法律ができているんです。そして、これは全国的な病院整備計画に対する立法なんですね。そしてこのヒル・バートン法が一九四六年に制定されて、これに基づいてどういうふうに病院配置をしていく史診療所配置をしていくか。それに対して各州の財政的な負担、国の負担、こういったものを明確に作って、そして一応国のこの法律によって医療網というものを完成していっているのです。それからイギリスの場合も、国の病院整備計画というものが、最初に一九五四年に特別な精神病床整備計画、メンタル・ミリオン・プログラムというような格好で出発して、そしてこの病院整備計画というものがずっと伸びてきている。日本の場合はこういうものがないんですよ。行き当たりばったりなんですよ。この間ここでも問題になりましたけれども看護婦の養成についても、ずいぶんみんなに怒られて、これは与野党から怒られながら、なかなかできていかない。私は、こんなことについては、もっと強制的に遠大な計画を立てて、びしびしやったらいいと思う。ところが、ほかの民主主義を阻害するようなことはむしろびしびしやるんだけれども、こういうことにはなかなかびしびしやらない。で、私は、このヒル・バートン法の問題は、むしろ医務局だと思いますから、医務局のほうからこういう考えがあるかどうか。そうしてこれは大病院の基幹的な病院配置から始まって、さらに無医地区に対する診療所の設置、さらにそれに伴う医師だとか看護婦の問題を含めての問題だと思う。きょうは細部にわたってお伺いしませんが、こういう構想を持つかどうかについて、医務局考え、また、医務局保険局がどういうふうにタイアップしているか、そういう大づかみなことについて御説明いただきたい。
  24. 鈴村信吾

    説明員鈴村信吾君) ただいまのお尋ねの点でございますが、医務局で策定いたしました医療機関整備計画の案でございますが、その中におきましても、今申し上げましたようなヒル・バートン法によるものとは内容は若干違いますが、一応都道府県単位病院整備していくという基本的な立場に立ちまして、都道府県内の中央病院を一カ所整備する。それから、さらに数保健所管内を一地区考えまして、都道府県内を数地区に分けまして、各地方にやはりその中心的な病院整備する。さらに大体一保険所管内地区をとりまして、そこにいわば地区病院的なものを整備するというような考え方があるわけであります。そういう整備計画が一応案としてございますが、現実に現在都道府県中央病院的なものは県立病院である場合もあり、あるいは国立病院である場合もあり、その他の経営者の場合もあるわけでありますが、大体中央病院のもとに今のような地方病院あるいは地区病院というものが、いわば基幹病院的な考え方で存在する。そういうものの整備に対しましては、やはり特に病床不足地区等につきまして国から補助金を出すというふうになっておりまして、病院整備計画につきまして、国も相当関心を示しておるということであります。
  25. 坂本昭

    坂本昭君 それはあなた方、東京にすわって、厚生省の腰かけにすわって考えておられる限りはいいかもしれませんけれども、私などしょっちゅういなか回りをして、いわばセールスマンをやっているんです。一番あっちこっちで、苦情を言われるのは診療所の問題、医師のいない問題などですね、つい三日ほど前も、山の中で診療所を閉鎖する。それから大学の教授も、医局から医師を派遣しないというので、すったもんだして、私の知っているのも、教授なものですから、とにかくもう数カ月待ってくれというので、やっと一応待ってもらうようなことにしたんですよ。結局僻地診療所にいかにして医師を確保するか、その給与をいかにするか、あるいはその診療所維持費建設費をどうするか、今のような医療金融公庫からどうするとか、国としては何分でやるとか、そんな大ざっぱに扱わないで、これこそきめのこまかい積極的なことをやらないと、いなかでは非常に困っておりますよ。さらにこういう運動が出てきているわけです。国民保険というけれども診療所も何もない、払うのはいやだ。そのときに私は、そんなら払うのはやめろ、あるいは保険料不納同盟を作って、もう納めるのはやめろ、国が責任を負わぬ以上、私はそういうところまで一部の人に言いました。というのは、その人たち医者を迎えようとしても、遠いところだから高い往診料でしょう。そうして、たとい迎えようとしても、またなかなか困難なほかの要素もたくさんある。こういうことに対して、いなかの村というものはみな財政的にも貧弱ですから、たえられない。だから、もっと積極的なことをしていただかないというと、国民保険という名ばかりで、実際はそれが達せられない。この数年来、そのことを何度も繰り返して申し上げてきたのだけれども、なかなか進まない。それで、今度僻地に対するいろいろな振興方法が立法化されようとしていますが、そういう中で、私は、この医療問題も若干は推進されるかもしれないが、そんななまぬるいことではなく、もっと国民健康保険自体で解決するとか、あるいは医務局がもっと抜本的な方法で解決する方法がないか、そのことを伺っているわけです。もう一ぺん医務局保険局から、何か具体的な前進があれば、内容をひとつあげて説明して下さい。
  26. 鈴村信吾

    説明員鈴村信吾君) ただいま私が申し上げましたのは、主として病院整備計画について申し上げましたが、診療所につきましては、医務局関係として、いわゆる僻地対策というものを毎年実施しております。これはすでに昭和三十二年以降、年次計画で二百三十七カ所の僻地解消するということで、毎年々々解消して参りまして、来年度で一応二百三十七カ所は全部解消する予定になっております。  それから一番問題は、医者を確保することでありますが、これも親元病院と連携することによりまして、常に親元病院から交代制で行くということで、現在までのところ、この僻地対策によりまして措置した診療所で、医者がいないために動かない、こういうところは全然ございません。幸い、常に交代制によりまして親元の病院から医者が行っております。やはり僻地の対策としては、そういう親元病院から出すということをしないと、なかなか医者が得られませんので、今後もこの方式で、さらにその後に判明いたしました僻地がある程度ございますので、三十八年度以降は、さらに新しく年次計画を立てましてこれを整備して参りたい。こういうふうに考えているわけであります。  いわゆる僻地対策以外の地区につきまして、もちろん国民健康保険診療所等が逐次整備されていることは、保険局長から御答弁していただきたいと思います。
  27. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 今、医務局からお話し申し上げましたように、一応厚生省としては、僻地医療機関のいわゆる無医地区についての整備の問題につきましては、これは医務局のほうで解消努力する。それから、従来から保険局国民健康保険事業の一環としてやっております直営診療所整備、これはそれ以外の地区でやっております。そういうふうな考え方を実はとっているわけでございます。したがって、今問題になっておりますいわゆる無医地区以外のところについては、直営診療所整備については、できるだけそういういなかのほうに行き渡るような配慮をもって補助金等の運営に当たっているわけでございます。根本的に医療機関整備、そういう僻地あるいは準僻地、それらの地域における医療機関整備がなければ、国民健康保険事業というものは万全を期されないわけでございますけれども、しかし現実の問題として、それらの地域における医療機関整備まで、全部これを国民健康保険事業として担当していくかということになりますと、やはりそこはまあ厚生省もそれぞれ仕事を分担してやっているわけでございますから、それらの機関の整備というのは、やはり医務局の一応の考え方に従ってやっていくことが妥当ではないかと考えております。もちろん私のほうとしては、国民健康保険事業の円滑な実施を期する上からいって、十分に関心を持って、お互いに協力してやっていることは申すまでもないことであります。
  28. 坂本昭

    坂本昭君 まあ局長答弁によると、分担してやっておられるというのですけれども、実は分担して責任をお互いにのがれ合って、結局結論的にはやっていない面がかなり強いと思うのですよ。ですから、この点は何度繰り返しても、依然として遅々たる伸展でしかないということをはなはだ遺憾に思います。まだあと少しお尋ねしたい点がありますから、この無医地区の問題は一応これでとどめます。  次に、国民健康保険というものが皆保険の基を作った。その中で、将来政府としては、健康保険国民健康保険の、この二本立てでやっていかれるおつもりか、あるいはこの国保を全部下へげたばきに敷いておいて、その上に被用者保険だけ積み重ねべきか、これは年金についても言えるのですね。年金についても考えられるのですが、一応どの国でも、年金の制度よりも医療制度のほうが先へ進んでいくので、皆保険という立場でこの国保の持つ意義から考えて、今のような二本立てでいかれるかどうか、この点についてのお考えを承っておきたい。
  29. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 今お話の問題は、これは保険についての最も基本的な、しかも、非常に重要な問題でございまして、結局その辺の将来の構図というものが、まだはっきり描かれていないというところにいろいろな私は悩みというものも一つあるわけでございます。しかし、この問題は、今お話のように、非常に重要な問題でございますので、政府としては、二年前から社会保障制度審議会に、社会保険の総合調査という問題を御検討、御審議をいただいているわけでございます。近くその答申が得られる見込みでございますが、それを基礎といたしまして、さらに検討をいたさなければならぬと思っております。現段階においては、今お話のような、いわゆる国民健康保険と、それから被用者保険と二本立てにするのもこれは一つ考え方であろうと思いますけれども、どういうような形にすることが理想からいって、あるいは現実の実現の可能性からいって妥当であるかということは、これはもう少し私どもとしては慎重に検討した上で考え方を述べる機会を持ちたい、かように考えております。
  30. 坂本昭

    坂本昭君 どうも内閣総理大臣答弁みたいなことを言われて、はなはだ恐縮ですが、今の点で私は反論したい点が二つあります。一つは何かというと、社会保障制度審議会の答申に待つといっておきながら、社会保障制度審議会の答申というものは、具体的にあなたのほうは尊重してきていない、そういう実績がある。そうしていつも隠れみのの、みのがさのかわりに使っておって、政府としてのいわば怠慢をいつも暴露している。そういう点で、私としては非常に不満であります。  それからもう一つは、行政当局としては、もう長い間の懸案なんですよ。そしてこの国保と健保との間に非常な格差がある。いわゆる日本の経済の二重構造というものが、医療の中に健保と国保で非常に対象的に現われている。また、健保をとっても、政府管掌、組合管掌でも対象的に現われている。われわれはこういった格差をなくすことに目的を持っているのです。したがって、せっかく行政の責任者としては、目標だけは明らかにしておいていただきたい。たとえば具体的な事務的な扱いとしては、健保、国保という二本立てがやむを得ないかもしれないが、国民という側から見れば、医療を受ける側から見れば二重構造を持っているということは、これはきわめて不都合であります。したがって、それを取り除くためにいい方法があるならば、私は漸進的に二本立てをやめるとか、一本立てにするとか、これは何も国保だけの問題じゃありませんよ。私が今伺っていることは、健保の中のそうした格差についても、これを取り除く考えがあるか、また、そういう検討を行政当局としても考えておられるか、そういうことを含めて伺っているわけなんです。もう一度その点についてお答えいただきたい。
  31. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) そういう御質問が次にあるだろうと思いましてお答え申し上げなかったのですが、お話のように、わが国の社会保険の間には格差がございます。これを低いものを引き上げて格差をなくし、あるいは少なくすることが、これはやはり行政の目標じゃないかと思っております。現実のこれが手段として考えます場合に、格差をなくすということが、すなわち平均化するということになりますというと、これはやはり政策として策を得たものでは私はないのじゃないかと思います。したがって、問題は、低いところを引き上げていくということがやはり当面の政策目標にならなければならぬのじゃないか。そういう観点に立ちますと、やはり国民健康保険でありますとか、あるいは日雇健康保険でありますとか、こういったものの底上げをやっていくということが当面の努力を注ぐべき政策目標でなければならぬのじゃないか。かような観点に立ちまして、国民健康保険について財政力の強化をはかるべきでありますとか、あるいは給付制限の撤廃に努力をすべきであるとか、こういったことを当面の急務として考えて、その実現をはかり、あるいははからんとしていかなければならぬと思うのでありまして、なお、今後における問題としては、給付率の引き上げの問題とか、それに関連していろいろの問題があると思いますが、逐次そういう方面、いわゆる底上げをしていくという目標に向かって努力をしていく一つのスナップと考えておる次第であります。
  32. 坂本昭

    坂本昭君 どうもまだその点明確でありませんが、次に、この保険制度自体の問題点として、予防給付を入れるべきではないかと思う。これは日本医療というものが治療医学であってはならないので、やはり予防ということに重点を置くべきだと思うのです。そういう点で、保険というものの性格を、予防給付もすべきだと思うんですが、その点はいかがですか。
  33. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 予防に重点を置く、あるいは予防をやっていく上について万全を期する、これは非常に大切なことだと思います。厚生省としてもそう考えておるわけでございます。ただ、これを実施していく場合に、保険の経済でやっていくか、あるいはまた一般の公衆衛生的な施策ないし経費でやっていくかということについては、これはやはりいろいろな状況も考えてきめなければならない問題であろうと思います。そこで、この予防面の充実についてどう考えていくかということについては、現在も厚生省で官房を中心にして、関係局集まりまして研究を続けている問題でございますが、保険のほうの立場から申し上げますというと、やはり当面は医療問題の解決ということが、これが重点になってこざるを得ない情勢になっております。そういう意味で、予防の面は保健施設という形において行なわれてきているわけでございます。これを給付の中に取り込むかどうかということについては、今申し上げました全般的な行政の区分の問題とも関連をし、あるいは保険自体の問題とも関連をしてこれは検討すべきだと考えております。いずれにいたしましても、今お話の予防の面については、現在厚生省で十分部内で検討をいたしておるところでございます。今後私ども真剣にこの問題に取り組んで参りたいと、かように考えておる次第であります。
  34. 坂本昭

    坂本昭君 これはむしろ大臣なり次官なりに考えていただかなければならぬ問題だと思うのですね。昔は医療法に基づいて、医師医療行為をする、それが国民保険のすべてであったわけなんです。ところが、今は保険という国民保険制度の中で国民の保健が維持されている。そして、国民健康保険法では、第一条に、「国民保健向上に寄与することを目的とする。」こう明らかに書かれてある。この保健の向上ということは、当然予防を含んでいるのです。だから私は、立法の建前からいっても予防給付というものは入らなければならない。ことに今まで果たしてきたこの日本医療保険内容からいっても、また、今後医師医療活動というものをどうするかとい4ことから見ても、もう時代は予防の時代に相当入ってきておる。たとえば小児麻痺にかかって、そのために治療をしたり育成医療をやったりすることよりも、生ワクを徹底的に飲ませる、そういうことが医療の本質になってきておるのです。したがって、私は、この昭和三十三年十二月の国民健康保険法のこの目的のところの改正は非常にいいと思うのです。この線に沿って予防給付というものも、どこからかでけっこうですが、始めていくべきだ、できるならば国保から始めていくべきだ。もちろん局長の今の答弁のように、財政的な予算の出どころはどこにするかというようなことも議論はあります。しかし、結局は予算の出どころがどこということよりも、どう医療活動、予防活動が有機的に結合されて、そして国民の健康を守ることができるかということで、せっかく国民健康保険の保健婦の制度もでき、そしてまた皆保険制度がしかれた今日、私は、国保というものを中心として、特に今最も貧困な層は農山村、漁村に多いのです。だから、そういうところにこういう組織の力をもって予防給付をやるという時期にもう私はきているのじゃないかと思う。そういう点で、慎重に検討はけっこうですが、もう少し義務づけて、予防給付についての結論に——特にこれは健保、国保いろいろありますよ、ありますが、私は少し時期的な制約をも加えておきたいと思うのです。その点大臣として、保険局に、今の予防給付の問題について漫然と検討するのじゃなくて、もう少し明確な指示を与えていただきたいですが、いかがですか。   〔委員長退席、理事村山道雄君着   席〕
  35. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) 御意見に全く同感でございます。おそらくは局長が、検討という言葉の常套語を使っておるようでありますけれども、ほんとうにこれは真剣に考えていくべきものだと考えておりますから、御期待に沿うよう実現いたしたいと考えております。
  36. 高野一夫

    高野一夫君 ちょっと関連して。  今、坂本委員から、予防給付、結局給付の内容充実の質疑が出たわけでありますが、今、日本の医学界、それから医師会方面で考えられていることは、特殊疾病に対する食餌療法、これはどういうものかといって聞いてみましたところが、たとえば糖尿病とか、高血圧とか、あるいは蛋白尿とか、そういうような、特に薬よりも食餌の療法が最も大事である病気に対して、食餌療法をしたい、それを保険の給付事項の中に入れられぬものだろうかというお話が出た。そういたしますと、それはどういうふうにやるかというと、たとえば糖尿病患者に朝、昼、晩、特殊の食餌を食べさせるという場合に処方を書く、A一号、A二号、A三号と処方を書く。そうすると、その食餌は今はやりのインスタントの食餌を作らしておいて、それを薬局に置いておいて、医者が処方箋を出してそれを持っていく。そうすると非常に金がかかりそうだが、今まで六カ月かかったものが、それをもって三カ月で済む、三カ月かかったものは一カ月で済むはずだというのが武見医師会長、その他医学会の人の非常に一致した意見であります。そこで、私どもは自民党の政調において、森本保険局長時代にこの問題を検討したことがある。そうすると、共済組合法に至るまで、少なくとも健康保険で給付をやっている十に近い法律改正が必要である。それから予算の問題が出てくる。それで一体どれくらい予算がふえるのかという点について、当時保険局長にまだ高田さんがお見えにならない前に、おおよその見通しがつけられぬかということで要請しておったのでありますが、そのままになってしまったのであります。そこで、医学界方面の考え方では、ただいま申し上げたとおりに、治療期間が非常に短縮される、そうして完全治療に持っていけるということで、ぜひ何とかこれを実現してもらうべく考えていきたいという強い要望を持っておって、そうしてそういうような疾病に対する特殊食餌の調理の処方、方法というような食塩をどうする、何をどうするというようなことは、すでに研究も完了しているといって差しつかえない、こういう話である。これは私も非常に同感でありまして、このインスタントの食餌は、すでにある方面ではもう研究に着手しておりまして、これはできると思う。医学士や薬学士の相談によりまして、栄養の点、また食べていけないもの、食べていいもの、そういうものを区別いたしまして調理ができている。お湯をかければ直ちに朝飯になる、昼飯になる、晩飯になる、値段もそういうことで安い。ことに治療期間が非常に短縮されるということになれば、まあ少しはふえましょうが、そう驚くほどふえることないのじゃないかと、こう思っているわけなんですが、その辺の見当が一向つきかねる。これは私は、保険給付の充実と完璧を期する上においては最もいい方法だと思うので、どうしてもこれをひとつ実現さすべく、政府委員会等において私は具体的に検討を進めていきたい。ことに保険局医務局等において中心になって、薬務局も中心になって検討を進めてもらいたい。できるかできないか、どのくらいかかるか、あと現在の予算よりはどれくらいの増額で済むかどうかというようなことも、検討すれば私は具体的の問題が出てくると思うのでありますが、これについて一応ひとつ保険局でも十分こういう点をお調べになっていると思うので、保険局長のお考えをお聞きし、最後に、こういう考え方で検討を進めていくことについて、大臣のかわりに森田政務次官のひとつ御意見を聞かしておいていただきたい。
  37. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 保険の給付の内容は、医学、薬学の進歩に即応して進んでいかなければならないことは当然でございまして、今お話のありました事柄について、私のほうとしてはまだ十分に検討を尽くしておりませんけれども、そういう根本の建前からいたしまして、ひとつ検討さしていただきたいと思います。
  38. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) 食飼療法につきましては、これはずいぶん民間側に前からいろいろの意見があり、必ずしもお医者さんの御意見と一致しなかったように元は考えておったのでありますが、ただいまのあれでありますと、すでにお医者さんの側での一つの治療方法としてこれを採用するという御高見でございまして、その点非常に大きい進歩じゃないかと実は考えているわけであります。ただ、これを具体的にどういうふうにそんなら今の医療の給付方法等と調整をとって実現すべきかという点は、相当研究を要するものじゃないかと思うので、そこで、厚生省といたしましては、私も非常におもしろいテーマだと考えまするし、この点は十分検討していただいて、そして御期待に沿うようにいたしたいと思うのであります。これは決してただおざなりの答弁でなく、非常に大事な観点だということで、特に一つ考えている次第であります。御了承いただきたい。
  39. 高野一夫

    高野一夫君 私は、医学界、医師会等の意見を聞いてみますと、どういうようなものをそれならば特殊疾病と選ぶかということも、すでに学界としてもきまっているはずであります。ただ、しかし、それを全部が全部直ちに最初から取り入れるということがあるいはできないかもしれぬが、そのうちの、たとえば今あげた糖尿病患者、高血圧患者、蛋白尿患者というようなもの、まずこの三種類くらいひとつ取り上げてみようじゃないか。そして試験的にやって、そして金の問題もそうするとわかってきましょうから、次第次第にまた今度は別な疾病に及ぼしていく、こういうことで漸進的にやろうと思えばやれるのじゃないか、こう思いますので、そこで問題は、一つ法律改正をやろうと思えばできると思いますが、問題は、結局政府管掌の場合の予算、国保の場合にこれを適用するとすれば、国保関係の組合の金の出し方、あるいは健康保険の組合の関係、いろいろな点が出てくると思います。これは局長、ひとつ大体おおよそでいいですが、おおよそ概算どのくらいの費用がかかるか、そして減額する面が出てくるわけでありますから、それで差し引きいたしましてこの程度は減額できる、この程度増加、差し引きどのくらいの増額で間に合うというようなことは、早急に私はある程度の見通しはつけられると思う。ですから、これから検討するという漠としたものでなく、およそどのくらいの時間があればその検討の見込みがつけられてこの委員会にそれが報告できるかどうか。まあ一週間、二週間というわけにもいきますまいが、四月の下旬ころにはおおよそ何か見当つきませんか。その辺のことは、これは詳細なことはどうせすぐわかりっこないと思うので、おおよその保険局医務局で検討された結果、医学界方面、医師会方面と相談されて、そしてやってみるということであれば、インスタント食餌のことは、これはすぐできますから、その処方に従って調理できる、こう思いますので、その辺ひとつ見通しをつけていただきたいと思います。
  40. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 御希望の線に沿って計算をいたしてみたいと思います。   〔理事村山道雄君退席、委員長着   席〕
  41. 横山フク

    横山フク君 今予防のほうに保険給付が拡大される、非常にけっこうなことだと思います。さらに食餌のほうにまでいく、これは非常にけっこうなことだと思います。ここで伺いたいのは、平常お産は保険関係はどういうふうになっておりますか。お産です。分べんです。平常な分べんは保険ではどういうふうになっておりますかということを伺っているのです。
  42. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 国民健康保険では付加給付の形をとっておりまして、したがって、助産費の支給につきましては、強制ではございませんが、ほとんどすべての市町村においてこれを実施をいたしております。ただ、金額につきましては、そういうわけでございますので、非常にアンバランスがございます。なお、三十七年度予算におきましては、一応二千円を基準額といたしまして、それに対して三分の一の国庫補助をする、そういうふうな予定にいたしております。
  43. 横山フク

    横山フク君 これは強制でないし、法律にはどこにも書いてないわけですね。あれは任意でやっているのです。ほとんど全部とおっしゃるけれども、ほとんどというのは、そのパーセンテージはどこでとっていらっしゃいますか。
  44. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 助産費を支給いたしておりますのが、市町村にいたしまして九七・九七%、組合にいたしまして九七・五〇%になっております。
  45. 横山フク

    横山フク君 その額が幾らになっておるか御存じですか。
  46. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 非常にまちまちでございますが、五百円未満のところが一・三七%、五百円以上千円未満のところが——今申し上げましたのは市町村でございますが、二一・七五%、千円以上千五百円未満のところが六八・七四%、千五百円以上二千円未満のところが四・四六%、二千円以上のところが一・五四%、現物給付のところが〇・一一%ということでございます。
  47. 横山フク

    横山フク君 それはほとんどが千円前後であると私は思う。そして、それは分べん費の給付では決してないので、分べん諸費も含めての給付になっているわけです。ですから、分べん費、あるいは医師、あるいは助産婦に払う費用も含めて分べん諸雑費、子供が生まれるための諸経費、それらも含めて全部でもって千円前後という額になっているわけですね。これが現在の予防給付にまでいくという時代に、一人の子供が生まれる、それの医療全部くるめた諸雑費、あるいは衛生材料全部含んでそうして千円前後、これは生一活保護法でも、衛生材料費で千五十円今度は給付されるんです。その時代に、生活保護法でない保険の対象になる人たちに、医師あるいは助産婦に払う費用、あるいは分べん諸雑費、衛生材料、あるいはすべてを含めて千円前後という形が妥当な形であるとお思いになりますか。
  48. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) すべてを含めて千円前後ということでは、これは低いと思います。今お話をしました千円以上千五百円未満のところが、全保険者については六七・五三%ですから、ここに大部分のものがかたまっておるという状況でございます。そういう意味からすると、全体としてはこれは低いと思います。したがって、この問題をどうするかということが、やはり国民健康保険事業一つの課題でございますけれども現実今日までこういう状態できておりますが、したがって、将来この問題を推し進めていく一つのプロセスとして、階梯として、ことし新しく助産費の国庫補助という制度をいたしたわけでございます。さらに今後これの充実については努力をして参りたい、そういうような気持補助費を組んだというふうに御理解いただきたいと思います。
  49. 横山フク

    横山フク君 千円から千五百円までが五〇何%だから大部分で、五〇何%が大部分というのは、これは言葉のあやとして伺うだけであって、数字からして五〇何パーセントが大部分ならば、これは半分くらいというところなんです。それ以下の千円から五百円までがまたありますので、ほとんどがそこらにあるんだろうと思うのです。と同時に、これが任意でありますために、町村財政でほんとうに支給をしなければならぬような地区のほうが、案外こういう給付がされていない。豊かな組合のところは割合にこれがされている。しかし、豊かでないところの町村、部落のほうが、これがされていないという実情にある。これはやっぱり法に規定されていないから、任意であるからという形になると思う。今の時代だったら、これは任意という形であるのでなくて、もっといわゆる僻地国保の対象になる人々のところにもこれが行なわれるように、少くとも今度め二千円がそのまま受け入れられるような形に、あるいは二千五百円になったときには二千五百円、三千円になったときには三千円受け入れられるような形にするためには、これは法に明記するという形がなかったら無理だろうと思うのです。でありますので、こういう点に対して政務次官は、すべて先ほどからの質問に対して、好意的に善処するということを約束されたのですが、この点に対して政務次官、どういうふうにお考えになりましょうか。
  50. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) ちょっとその前に。二千円に満たないところがございますが、これは引き上げていくように私ども努力をいたしたいと思います。  それから、法に規定するかどうかということについても、私どもも検討いたしました。検討いたしましたが、このままの形で、すなわち三十七年度予算の形で固定する、法に規定する、すなわち固定することが、この問題を前向きに押し進めていく上からいって賢明であるかどうかということについて疑問を持ちましたので、一応法律でなしに、三十七年度は予算措置でやっていくという考え方にいたした次第でございます。
  51. 横山フク

    横山フク君 このままの二千円でもって法に明記するということが前向きになるかということに疑問を持った、これは私は含みのあるお言葉だと思う。私もそう思うのですけれども、それならば法に明記するということがやっぱり最終目標であるし、それがいい姿であると思います。そのためには、将来これをどういうふうなところに持っていくことに——再来年度においては、あるいは近い将来においてはというのですか、少くとも再来年でしょうが、——御努力になる目標を置いていらっしゃるのか、それを伺いたいと思うのです。
  52. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 実は三十七年度の予算がまだ通過いたしておりませんし、これを通すことに一生懸命になっているような状況でございますが、三十八年度予算編成までにはまだ時日もございますので、十分ひとつ検討いたしたいと思います。
  53. 横山フク

    横山フク君 検討していきたいという言葉はどんな場合でも言われる言葉なんです。これは非常にいい言葉なんです。でありますが、法律に明記するということに疑問を持った、前向きにするためには、法律に明記するということがはたして前向きであるかどうかに疑問を持ったとおっしゃるのですが、どういうふうなところにどういうふうに疑問を持ったのか。どういう工合で、どういうふうになるからどういう疑問を持ったかということがなければ疑問を持たないと思うのです。私が伺うのは、私はそういうことに対してしろうとですから、それで伺うのです。法律に明記するということがはたして前向きであるのか。二千円の姿でそれを明記する、明記するということは一応考えたけれども法律に明記するのが前向きであるかどうか疑問を持ったから法律に明記しなかったとおっしゃったから、それはどういうふうな角度からそういうふうな疑問をお持ちになったのかということを伺うのです。
  54. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 三十七年度の予算の状態において法律に明記することが適当であるかどうかということについて疑問を持ったという意味でございます。終局の形においては、やはりこれは法律規定すべき事項だと思うのでございます。ただ、現在、御承知のように、国民健康保険法の五十八条に、「保険者は、被保険者の出産及び死亡に関しては、条例又は規約の定めるところにより、助産費の支給若しくは助産の給付又は葬祭費の支給若しくは葬祭の給付を行うものとする。」こういう格好になっております。このままの形で二千円を基礎とした補助を法定することが適当であるかどうかということについては、私どもは、まだそこまでそういう形で固定するよりも、もっと将来あるいは法定給付、あるいはもっと高額の給付というものを想定をしてこの問題の今後の前進をはからなければならないと考えた上で、先ほど申し上げたようなことを考えた次第でございます。
  55. 横山フク

    横山フク君 関連ですから、これで私はやめますけれども、政務次官、あるいは保険局長にお願いしたいことは、予防のほうまで給付するのは私当然だと思う。しかし、それと同時に、置き去りにされてならないことは、平常産が病気じゃないのだという形でもって、保険の給付の対象からはずれておるということは、もう今の時代には当てはまらない概念だと私は思う。これがまっ先に取り上げられて給付の対象になって、法定の給付になるべき姿が正しい姿だと私は思う。それの目標に向かって御努力を願いたいと私は思うわけでございますが、政務次官としてどうお考えになりますか。
  56. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) 専門的な横山先生の御意見を拝聴いたしました。これはやはり時代が変わるに従ってそれに応ずる態勢をとるのが当然のことだと考えますので、事、専門にわたることでもありまするし、私らのほうでも十分検討いたしたいと考えております。
  57. 坂本昭

    坂本昭君 この国保による皆保険制度実施に伴ってひとつ伺っておきたいことは、イギリスの場合は、国民保険事業に参加している医師、歯科医師看護婦等に対して特別な年金制度があります。こうした強制的な国民保険実施する場合に、この保険医である医師、その他この事業に参加する人に対する年金制度考え方、イギリスにならってそうした年金制度を作るというお考えを持っておられるかどうか、この際伺っておきたい。
  58. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 根本的に、イギリスの医師ないし医療制度と現在の日本の場合は、かなり違っておると思います。つまり医療給付を国民全部にかぶせるという点においては同じでございますが、その場合における医師ないし医療機関立場、性格というものは、日本の場合とかなり違っておると思います。しかし、全国の医師ないし医療機関が、いわゆる保険事業、保険診療に挺身しておられるこの状態というものは、われわれ十分考えなければならない点でございまして、したがって、先年この年金制度を設ける設けないの問題について、実は厚生省としても多少考えたことがあったのでございますが、いろいろな事情でそのままになってしまいまして、これは理想としては設けられたほうが私も適当と思うのでありますが、それの具体的なやり方その他につきましては、いろいろ考えなければならない点がございますので、今私のほうでそういう制度を用意するかどうかということについては、答弁をひとつ留保させていただきたいと思います。
  59. 坂本昭

    坂本昭君 今、次官も聞いておられたと思うのですが、英国の医療制度とは違うから、しばらく問題を別にして検討したい、それで答弁は留保してほしいというのですが、これはいささか理論的過ぎると思うのです。今、都会はいざ知らず、僻地あるいは農山村では、国保を中心として実際に医療が行なわれておる。そうして、そこでは医師が得がたいといった条件がある。それはそういうところでは収入も少ないし、それから、また、いろいろな不便もあって、しかも、身分の保障もないし、収入の保障もない。だから私は、むしろ何らかの条件をつけてもいいのですよ。つけてもいいが、こうしたイギリスの医療におけるいい点は、私はくみ取るべきだと思うのです。きょうはこの問題ばかり議論しませんが、今のような出来高払いの制度ではたしていいかどうかということに非常に問題があるのですね。私は、むしろ出来高払いの制度を少し修正していかなければ、ほんとうにいい日本医療ができないのではないかと思う。と同時に、この国保に従事しておる人たちに対する年金の制度といったことも当然考えるべきである。大体今医師会でも問題になっておるのは、医師会の医師国民年金に入れるという問題ですね、そうして四十年後に月三千五百円をやろうというわけです。これなどは、どうもはなはだ非現実的だと思うのです。医師であろうと、農民であろうと、商人であろうと、その扱いは同じであっていいのです。われわれは四十年後に三千五百円という金額はあまりに少な過ぎるといって反対はしてきておりますが、今医師に対して、たとえば医師の平均死亡の年令、あるいはまた一番収入の多い医師の年齢、そういったものを調べると、よく実態はおわかりになると思うのです。大体三十才くらいの、スターター・ドクターといって、体力の旺盛な医師が一番収入が多いのです。そうして五十ぐらいになると、心筋梗塞とか、いろいろな病気でばたばた倒れていくのです。しかも、そのあと本人の老後の保障、あるいは家族の保障、そういったものがない。そういう点では、私は、この医師の労働というものは、まことに悲惨なものだと思うのです。そういう点を国の責任で年金制度を作ってやるということは、当面する医師会と厚生省の対立、こういったものを積極的に緩和する道だと思うのです。これはもう必要上もありますが、政治的な考慮の上からも、局長答弁を留保さしてもらいたいということを言うよりも、むしろ積極的に何とかやりたい、国会の支援もほしいというくらいの態度が望ましいと思うのですが、次官、いかがでしょうか。
  60. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) どうも森田はしろうとだと先ほどから申し上げたのでありますが、私よく詳細はわからないのでありますが、しかし、この問題は、御存じのとおり、過般あちこちから私陳情を受けておるのです。全然知らないわけではないのでありまして、どうも聞いておると、もっともじゃないかという感を持ちまして、事務当局からもいろいろ意見を聞いてみておるわけなんです。ところが、何しろ国保の問題は、あらゆる点で今解決しなければならない問題があり、私自身、厚生省に入りまして、この問題にぶつかるたび、実は頭が痛くなるような感じを持っているわけで、これを根本的に解決するのでなければ何ともならぬのじゃないか、厚生省としては、これは一番大事な問題だというふうに実は考えているようなわけでございまして、御高見の趣旨に実は私は賛成なのであります。しかし、今即時これをどうするかということは、私も答弁いたしかねるのでありますが、これはぜひ解決しなければならない問題であるということだけはよくわかっておりますから、ぜひ事務のほうとも相談いたしましてできるだけ御期待に沿うようにいたしたいと存じます。
  61. 坂本昭

    坂本昭君 次に、国民健康保険の税の問題、保険料の問題についてこの現状について伺いたいのであります。特に減税の問題が今いろいろ議論されておりますが、いわば地方税である国民健康保険税の減税という点を、特にこれからわれわれとしては重点を置くべきではないかと思う。それは強制実施になって、国庫負担は二割にしかすぎない。しかも、受診率は年々上がっておる。受診率が上がるということは私はけっこうなことだと思うのです。さらに三十六年度からは医療費の単価か引き上げられたり、給付制限も撤廃されたりして、相当保険料の増額というものが行なわれてきておる。そこで、市町村の調べた実態を見ますというと、市町村民税の三倍、四倍以上の保険税を納付している被保険者世帯が、少なくとも全被保険者世帯の三〇%ぐらいある。すなわち、住民税が平等割りだけしか負担していないのに、保険税は一世帯当たり二千五百円以上も負担している世帯が三〇%近くもある。そういうことがこの府県の統計で立証されております。そこで、こうした保険税の負担の構成がどうなっているかという調査があったならば、それを少し御説明いただきたい。
  62. 首尾木一

    説明員首尾木一君) これは昨年度自治省が五十四の市町村につきまして、国民健康保険税の負担について調べたものによりますと、所得割を負担しないもの一世帯当たりの保険税について申し上げますと、所得割を負担しておりませんものが保険税の場合に千七百五十九円でございます。それから、所得割を負担しておりますものがずっと階層がございますが、順次読んでみますと、十万円以下のもので二千八百五十二円、それから十万円をこえ二十万円以下のものが四千七百五十八円、二十万円から五十万円のものが八千五百五十一円、五十万円から百万円のものが二万三百九十六円、百万円から百五十万円までのものが三万二千三百二十三円、それから百五十万円から二百五十万円のものが三万七千三百十九円、さらにそれ以上のものが三万五千五百四十五円というふうな数字になっております、三十五年で。その調査では三千六百五十九円の平均の保険料というふうになっております。これは五十四の市町村でございますので、全数につきまして階層別に集計したというものは現在持っておりません。
  63. 坂本昭

    坂本昭君 これは厚生省が今度この国庫負担率引き上げるために、大蔵省と交渉する場合、どうもあなた方は、国民健康保険の対象者の生活の実態というものを十分把握していないから、私は、大蔵省とのけんかにどうも弱腰になるのじゃないかと思う。今のように、あなたのほうは、ただ国保の運営さえうまくいけばいいと考えておられるかもしれないが、今日、国保の対象になっている人は、数の上では二分の一です。しかし、国民所得のほうでは四分の一なんです。一番貧困なんです。ことに、ここのごろ農山村へ行けば、若い人はおらないです。全部年寄りになってきている。しかも、病気になりやすい、労働能力の低い人、したがって、こういう人たちから普通の市町村民税の三倍も四倍も取るということ自体がおかしいという頭ができてくれないというと、これはどうにもならない。あなたのほうでは、ただ、あと医療給付を受けるのだから、ある程度は出したってあたりまえだ、そう思うかもしれないが、ほかの税とのバランスの、特に社会保障本来の意義から見るというと、非常にこれはバランスを失している。この際、ひとつ平均でよろしいですが、一番新しい年度の税が一人当たりどれくらいになるか、支払いが一人当たりどれくらいになるか、それから国庫負担がどうなっているか、その一つのモデル的なサンプルを説明してくれませんですか。
  64. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 第一に、国民健康保険の被保険者は低所得が多いという点についてまず申し上げますと、被保険者の中で所得税を納めているものが何パーセントあるかということでございますが、大都市は二八・二%、その他の都市が一六・三%、町村が一二・二%、こういう状況になっております。それから最も経済力が豊かだと一応世間的には考えられます東京都について見ますと、東京の国民健康保険の被保険者について見ますと、所得税を納めておりますものが二五・八二%、それから住民税の均等割だけを納めているものが二八・〇三%、それから、住民税を納めていない、課税されていないもの、これが四六・一五%ということで、したがって、後者の二つを合わせますと、七四・一八%ということで、東京においてさえこういう状態であるということをひとつ御理解いただきたいと思います。  それから被保険者一人当たりの保険料について見ますと、三十六年度全国平均九百七十円、それから三十七年度これは推算でございますが、九百六十五円、これは一番初めに申し上げましたいわゆる五分の国庫負担率引き上げに伴う結果でございます。それから、療養給付費一人当たり三十六年度推定でございますが、三千百四円、それから三十七年度、これも推定でございますが、三千五百九十六円、それから、国庫負担療養給付費補助金の一人当たりに換算しました補助金について申し上げますと、三十六年度六百十三円、三十七年度八百九十一円、そのほかに五分の調整交付金に該当するもの三十六年度百四十九円、それから三十七年度百七十三円、したがって、両方合わせますと、三十七年度においては千六十四円になるわけでございます。
  65. 坂本昭

    坂本昭君 そうしますと、今の税収入と、それから被保険者負担とでどういう収支になりますか。
  66. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 療養給付費の中には自己負担分も含んでおるわけでございますから、したがって、全体としては今申し上、げたのでバランスがとれておるわけでございますけれども、被保険者負担分としては、今申し上げました保険料と、それから、そのほかに一般的には五割の自己負担というものが負担になるということでございます。
  67. 坂本昭

    坂本昭君 それでは、この一般会計の繰り入れが一体どうなっておるか、全国的に何。パーセント程度一般会計から繰り入れが行なわれておるか、その数を御説明いただきたい。
  68. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 市町村の一般会計から国保の特別会計への繰り入れが三十五年度では約三十六億、それから、三十六年度約五十二億と推算をいたしております。
  69. 坂本昭

    坂本昭君 全体からいいますと、パーセントで申しますとどのくらいになりますか。
  70. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 速記をとめて。  〔速記中止〕
  71. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 速記をつけて。
  72. 首尾木一

    説明員首尾木一君) パーセントですぐ計算できますが、一人当たりの金額で申し上げてみますと、三十四年度一人当たり六十一円、三十五年度八十円、三十六年度百八円となっておりますが、この三十六年度五十二億の中には、新たに三十六年度に五大市が実施をいたしまして、その関係の費用が相当多額のものを占めておりますが、一人当たり百八円というふうな計算になります。
  73. 坂本昭

    坂本昭君 いずれにしても、非常な負担を受けておることは間違いない。かつ、市町村がこの国保財政について悩んでおることは間違いないと思う。そこで、今回われわれは国庫負担率を五分引き上げではなく、もっと引き上げたい気持を持っておったにもかかわらず、大蔵当局が調整交付金の引き上げをもってはかろうとしたその根拠はどこにあるわけですか。これは大蔵省に聞けばいいのですが、きょうは大蔵省はのけておいて、あなたのほうの内々の話を聞きたいわけです。
  74. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 第一は、調整交付金と国庫負担ないし補助の違いでございますけれども国庫負担につきましては精算補助でございますから、予算を組みましたあと医療費等の伸びがありました場合には、その分は補正予算で組み入れるということになるわけでございます。それから調整交付金のほうは、これは補助でございますから、予算を組みました当時以後の情勢の変化に対しては、必ずしも即応する法律上の義務は負わない、こういうことになるわけでございます。現実の問題としては、年々医療費の伸び等に伴いまして、予算を編成しましたときに比べると、医療給付費が伸びるという状況でございますから、したがって、国庫負担については、たびたび補正予算をお願いをしている、こういうことになっております。その点が一つ調整交付金と国庫負担の場合の違いでございます。  それからもう一つは、先ほどお話がありました市町村の経済力等については、これは御承知のように格差がございます。格差を埋めるについては、調整交付金のほうが妥当ではないかという考え方もこれはあり得ると思います。これについては、私どものほうとして、また別の見解を持っておりますけれども、まあ大蔵省の考え方を私のほうから申し上げるのもいかがかと思いますので、それらの点をごしんしゃくいただきまして……
  75. 坂本昭

    坂本昭君 いや、しかし、これは次官も御承知のとおり、国会の両院の決議では、国庫負担を上げよということになっておった。ところが、その予算の編成過程では、調整交付金によってこれを解決しようというふうなことになったので、これは、はなはだ私は不都合であったと思うのです。まあ最終的には両院の決議の線に沿って国庫負担率引き上げていくということにおそまきながらもなりました。なりましたが、その大蔵当局が、そういう調整交付金をもってやるというふうな考えで、かなりねばったということは、私は非常に不穏当だと思う。したがって、それはどういう根拠で大蔵当局は主張し、それに対して厚生省は、なぜその国庫負担率引き上げということで所期の目的達成することができなかったか。これは非常に大事なことだから、別に大蔵省のことを言うのもおかしいことも何もないのですね。十分納得のできるような説明をしていただきたい。
  76. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 根本としては、やはり調整機能に重点を置くか、あるいは国の負担率の引き上げに重点を置くかということだと思います。厚生省としましては、先ほども申し上げましたように東京に、おいてさえ四六・一五%で、何も税金を納めていないクラスが被保険者になっているという状態、したがって、市町村について見ますと、その市町村全体としての経済力と、それから、いわゆる国保経済と  いうものは必ずしも並行しているわけではないので、東京においてさえ、国保経済として、やはり先ほど申し上げました数字から、当然これは窮屈な状態である。それで、これらについて対処するには、やはり全体として国庫負担引き上げという措置をとることが適当である。なお、また、一つ国庫負担引き上げの問題の起点となりましたのは医療費の増額の問題でございますが、これは全部にかぶるわけでございます。それらの点も考えて、一律に交付する形のほうが望ましい。それから、逆に考えまして、調整交付金の交付の仕方につきましては、これはいろいろ苦心をいたしておりますけれども、なかなかかゆいところに手の届くような交付の仕方というのは非常にむずかしい点がございます。これはあまりまたルーズにいたしますというと、役所のほうの考え次第でこれが左右できるという制度というものは、これは適当でないわけでございまして、したがって、調整機能という点からするならば、一応現在の五分の運営によってやっていくべきである、現在の国保財政に対処する上からいけば、調整交付金の増額という格好でなしに、国庫負担引き上げの線でいくべきである。こういうような私ども考え方でこの問題に対処したわけでございます。
  77. 坂本昭

    坂本昭君 今の所得倍増十カ年計画の中で、一番の低所得層人たちが農山村のいわば国保の対象になっているという現実からいえば、私は、当然この国庫負担率引き上げで終始して、何らその辺に議論を差しはさむ余地はなかったと思う。にもかかわらず、大蔵当局が調整交付金でいろいろと長い間もたついたということは、はなはだ私はけしからぬことだと思うのです。もちろん調整交付金の幅を、五分を一割程度に引き上げて、そうして市町村財政の格差を補うということも私はけっこうだと思うのです。そのためには、もう少しふくらましてもいいと思うが、少なくとも、今回国庫負担金引き上げ一本でいくことが難航したということは、どうも厚生当局のいろいろな理論的な考え方、さらに、その国保を推していくための熱意がきわめて欠けておったのではないかと思うのです。これは今後われわれとしては、国民の半数が入っている国保を推進する、特に一番所得の少ない人たち皆さんの高度経済成長政策の中で取り残されていく人たち社会保障の面で守るという面では、とても今度の五分くらいではなかなか満足できないので、そのことは特に強調しておいて、最後に一点、特別国保の問題について、今回の法改正がどういうふうに適用されるか、また、特別国保現状がどうなっているか。この際、最後に説明をしていただきたい。
  78. 首尾木一

    説明員首尾木一君) 特別国民健康保険組合に対しましても、今回二割を二割五分に補助率が上がりまして、補助金はそのようにして交付されるということになっております。
  79. 坂本昭

    坂本昭君 現状
  80. 首尾木一

    説明員首尾木一君) 現状は……。
  81. 高野一夫

    委員長高野一夫君) もう少し大きい声で。速記がとりにくいから、首尾木さん、大きい声で。
  82. 首尾木一

    説明員首尾木一君) 国民健康保険組合の現在の被保険者数を申し上げますと、百六十五万四千七百九十八人でございます。組合の数は全部で百六十でございます。加入世帯は六十一万六千七百六十二世帯でございます。
  83. 坂本昭

    坂本昭君 それで一体これをどうするのだ、今後ですね。その辺もう一ぺん言っておいて下さい。特別国保の問題について、これを厚生省としては行政的にどういうふうに指導されるおつもりでおられるか。また、これに対する国庫負担、その他調整交付金の問題こういうものの扱い方はどういうふうにしていかれるおつもりか、この際承っておきたい。
  84. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 特別国保は、今後新たに作ることについては消極的な態度で参りたいと思います。それから、国庫負担は、今申し上げましたように、適用になります。それから調整交付金は、組合に対しては交付いたしておりません。
  85. 坂本昭

    坂本昭君 まあきょうは時間の関係で一応これで質問を終わりますが、国保の問題は、次官も先ほど来触れられたとおり、厚生省内における一番大事な私は柱だと思うのです。特に年金、医療二つの問題については、私は、医療をなるべく一日も早く完成さしていきたい、そうして今の所得倍増十カ年計画の中で、著しく取り残されてくる経済成長率の低いこの国保の被保険者、対象である人たち、この人たちに対しては、相当思い切った手当をやらないというと、日本の経済はこわれてしまうと私は思うのです。どうもきょうの質問を通じて皆さん方答弁は、はなはだ熱意を欠いている。もっと熱意をもって積極的に当たっていただかないというと、やっこらさ五%国庫負担率引き上げになった、もうこれであぐらをかいてしまって、あと何もせぬということになりそうだ。もしそういうことだったら、私たちきょう法律通すのを少しやめて、一挙に一〇%まで引き上げるということくらいしなきゃならないので、この今回の五%は、まあお互い長い間の苦労の結果の引き上げでありますが、これにもう満足しないで、さらに引き続いて引き上げていただくことについて、もっと積極的に考えていただきたい。このことは、あと大臣が来られたらその点を伺っておいて、ひとつ最後の結論として取り上げたいと思います。
  86. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) 大臣お見えになるか知りませんが、今の問題がございますが、これは決して熱意を欠いているのでも何でもないのでありまして、今の大臣が最も力を入れているのがこの問題でございます。大臣ばかりじゃなく、省全体として、この問題をどう取扱うかということが厚生省の行政上の一番の難問だと、どうしようかということで取っ組んでいるわけでありまするし、それから、財政調整交付金をどうするかというようなこと等につきましても、大臣は非常な熱意をこめて大蔵省と折衝して、先ほど御質問のありましたような点で二五%ということになったような次第でございますから、この点御了承願いたいと思います。
  87. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  88. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 速記をつけて。     —————————————
  89. 高野一夫

    委員長高野一夫君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日付をもって山本利寿君が辞任され、小山邦太郎君が選任されました。     —————————————
  90. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ほかに質疑はありませんか、別に御発言もなければ、本案に対する質疑はこれをもって終了したものと認めたいと思います。御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めます。  これより討論に移ります。御意見のある方は、賛否を明らかにして順次御発言を願います。別に御意見もなければ、これをもって討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。国民健康保険法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の諸君の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  93. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  94. 坂本昭

    坂本昭君 本案の可決に際し、国民健康保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議を提案いたしたいと思います。
  95. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ただいま坂本委員から提出の動議を議題とすることに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めます。それでは坂本委員提出の附帯決議案を議題に供します。
  97. 坂本昭

    坂本昭君 ただいまの附帯決議案を朗読いたします。    国民傷康保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案政府国民健康保険法目的に基づき左の事項の実施努力すべきでめる。  一、僻地並びに無医地区における医療  二、給付率の引き上げ、給付制限の撤廃及び給付内容向上  三、国庫負担引き上げ並びに被保険者負担の軽減  右決議する。  附帯決議案の提案の理由を申し上げます。  まず第一に、国民健康保険法第一条には、法律目的として、「社会保障及び国民保健向上に寄与することを目的とする。」とあり、昨年三十六年四月以来、強制皆保険実施されておる実情でございます。また、受診率の高いほど、いわば地域住民としては、保健上、より高い福祉を確立されているのが現状であって、せっかく皆保険が施行されながら、僻地並びに無医地区があるということは、いたずらに保険料のみを徴収して、地域住民に真に保健上の福祉を与えない、そういう欠陥があるのでございます。したがいまして、早急に僻地並びに無医地区における完全なる医療実施できるように政府としては努力すべきでございます。  次に第二点、給付率の引き上げ、給付制限の撤廃及び給付内容向上についてでございますが、今日、地域住民の給付率を七割以上にすみやかに引き上げてもらいたいという要望は、全国津々浦々に満ちているのであります。また、先年来、結核、精神については、世帯主のみ給付率の引き上げが行なわれ、国庫負担をもって給付率が引き上げられたのでありますが、われわれとしては、世帯主のみならず、家族についても行なわれるべきであり、さらに、また、全般的な給付率がすみやかに七割に引き上げられ、さらに各種の給付制限が撤廃せられ、また、積極的に国民健康保険による給付内容向上されることを切に望んでやまないゆえんのものでございます。  さらに第三点につきまして、今日、医療の二重構造は、特に国民健康保険の対象者について著しいのでございます。農山村、漁村、また、零細企業の方々では、所得を実質的に引き上げるためにも、社会保障を国の責任で充実すること以外にはないのでございます。たとえば半額給付であることのために、結核の患者は、今日、国保の対象者の層にたまっているということもいわれており、すみやかに国庫負担率引き上げることによって、こうした経済成長率の低い、所得の少ない一部の階層の福祉と生活を守るべきであると考えます。特に保険税は、市町村民税の三倍あるいは四倍以上も納付している世帯が全被保険者世帯の三〇%に近いともいわれておる現在、被保険者負担の軽減は、この被保険者の所得が低いという実態に基づいて、すみやかに講ぜられるべきところの問題点であると考えるのでございます。  以上の理由をもちまして、この際、附帯決議を附するのでございます。
  98. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ただいまの附帯決議案に質疑のある方は、順次御発言を願います。別に御発言もなければ、これより本案を採決することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めます。  それでは、坂本委員提出の附帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の諸君の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  100. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 全会一致でございます。よって本附帯決議案は、全会一致をもって、本委員会の決議とすることに決定いたしました。  この際、森田政務次官より発言を求められております。発言を許可いたします。
  101. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) 国民健康保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議に対しまして、政府を代表いたしまして意見を申し上げたいと思います。  ただいま御決定をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、十分検討の上、御期待に沿うよう努力いたしたいと存じます。
  102. 高野一夫

    委員長高野一夫君) なお、議長に提出する報告書の作成、手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと思います。御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  104. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 速記をつけて。  以上をもって本日の審議は終了いたしました。次回の委員会は、四月三日火曜日午前十時から開会いたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後零時五十一分散会