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1962-01-30 第40回国会 参議院 社会労働委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年一月三十日(火曜日)    午前十一時開会   —————————————    委員異動 十二月二十四日委員相澤重明辞任に つき、その補欠として阿具根登君を議 長において指名した。 一月二十五日委員徳永正利辞任につ き、その補欠として竹中恒夫君を議長 において指名した。 本日委員久保等辞任につき、その補 欠として永岡光治君を議長において指 名した。    委員長異動 一月二十四日谷口弥三郎委員長辞任 につき、その補欠として高野一夫君を 議院において委員長に選任した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     高野 一夫君    理事            鹿島 俊雄君            村山 道雄君            阿具根 登君    委員            勝俣  稔君            紅露 みつ君            佐藤 芳男君            谷口弥三郎君            吉武 恵市君            永岡 光治君   国務大臣    厚 生 大 臣 灘尾 弘吉君    労 働 大 臣 福永 健司君   政府委員    厚生政務次官  森田重次郎君    厚生大臣官房長 山本 正淑君    労働政務次官  加藤 武徳君    労働大臣官房長 村上 茂利君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠互選の件 ○労働情勢に関する調査  (労働行政基本方針に関する件)  (労働省関係提出予定法律案に関す  る件) ○炭鉱離職者臨時措置法等の一部を改  正する法律案内閣送付予備審  査) ○社会保障制度に関する調査  (厚生行政基本方針に関する件)  (厚生省関係提出予定法律案に関す  る件)   —————————————
  2. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  この際、委員異動について報告いたします。昨年十二月二十四日付をもって相澤重明君が辞任をされ、阿具根登君が選任されました。一月二十五日付をもって徳永正利君が辞任をされ、竹中恒夫君が選任されました。   —————————————
  3. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 次に、理事辞任についてお諮りいたします。  坂本昭君から、都合により理事辞任したいとの申し入れがございましたが、これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めます。  次に、ただいまの理事辞任に伴いまして、補欠互選を行ないたいと存じます。その互選の方法は、従来の慣例によりまして、委員長の指名に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めます。それでは阿具根登君を理事に指名いたします。   —————————————
  6. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 社会保障制度に関する調査並びに労働情勢に関する調査を一括して議題といたします。  まず、最初に、労働行政基本方針に関する件について、労働大臣の御説明をお願いいたします。
  7. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 第四十回通常国会の再開に当たりまして、一言所信を申し述べ、皆様の御理解と御協力を得たいと存じます。  私は、前臨時国会におきまして労働行政に関する所信を申し述べました際、完全雇用の達成と労働条件向上という近代国家における労働政策基本的目標を達成するため積極的施策を展開いたしたい旨を申し述べたのであります。  その後、来年度予算の編成その他機会あるごとにその趣旨に沿って微力を尽して参りました。特に本年度わが国経済発展の基礎を固めるため、経済の堅実な成長をはかるべきときでありますので、今後とも積極的労働行政を目ざして、次に述べるような諸施策を強力に進めて参りたい所存であります。  第一に、労働力流動化技能労働力の確保を中心とした積極的な雇用対策推進であります。最近における雇用失業情勢は、経済高度成長を反映して著しい改善を示し、一部には若年労働力技能労働力不足さえみるに至っておりますが、他方、中高年令層離職者の再就職は依然として困難であり、また、産炭地等一部には失業者が滞留する地域が存在しているのであります。来年度におきましても、新規学校卒業者については相当の求人難が予想される反面、景気調整策の浸透、貿易自由化促進等による経済情勢変化もありますので、これに即応して労働力流動化を初めとする雇用対策を一段と強化する必要があります。  まず、労働力流動化促進するため、従来から行なって参りました移転就職者に対する移転費支給、宿舎の設置並びに転職訓練等の諸施策を一そう充実するほか、新たに北九州職業安定事務所設置労働力の主要な送出県、受け入れ県における通信施設装備等により職業紹介体制を刷新強化し、また、雇用促進事業団を通じて行なう雇用調整のための特別の融資制度を創設する等の諸施策によって、労働力地域間移動円滑化中高年令者雇用促進並びに中小企業労働力充足に資することとしております。  また、特に緊急を要する炭鉱離職者対策につきましては、従来から行なってきた諸施策充実するほか、新たに中高年令層の再就職促進するための雇用奨励制度を創設し、住宅対策拡充し、また、職業訓練を受ける者に対する別居手当及び技能習得手当支給制度を設ける等、抜本的措置を講じ、その万全を期する所存であり、これらの措置を講ずるため、炭鉱離職者臨時措置法等の一部を改正する法律案を提案した次第であります。  さらに、失業対策につきましては、失業予防ないし早期解決を基本的な方向として対処してゆくとともに、失業対策事業就労者一般雇用への復帰を極力推進するため、新たに雇用奨励制度を設け、あわせて転職促進訓練を大幅に拡充することとしたほか、失業対策事業就労日数及び賃金改善を加え、その円滑な運営をはかることとしたことであります。  次に、産業構造高度化技術革新進展に伴う技能労働力不足の著しい現況にかんがみまして、職業訓練拡充強化して技能労働力養成技能水準向上に努めて参りたいと考えております。これがため、特に、地方総合開発計画等をも考慮し、訓練施設立地条件変化に対応し得るよう、公共職業訓練施設整備充実に努めるとともに、転職訓練充実拡充して、農業の近代化産業構造変革等に伴う離転職者雇用促進をはかることとしております。また、事業内職業訓練については、認定職業訓練普及に努め、特に今後は地方公共団体共同職業訓練団体に使用させるために設置する職業訓練施設の助成を行なうこととしております。  第二は、労働条件向上労働条件格差の是正その他労働者福祉増進であります。最近における経済高度成長過程におきまして、中小企業労働条件も逐次向上し、大企業との格差も漸次縮小しつつありますが、いまだ中小企業に働く労働者労働条件は大企業のそれに比べて恵まれていないことは事実であります。中小企業労働者労働条件向上をはかり、労働条件格差を縮小させることは、労働者福祉増進という観点からはもとより、国民経済の均衡ある発展のためにも必要でありますので、中小企業経営基盤強化のための諸施策と相まって、これがための諸施策を強力に進めて参りたいと存じます。すなわち、最低賃金制度を一そう計画的かつ強力に推進するとともに、労働時間の漸進的短縮をはかるため、当面労働基準法に基づく監督指導の適正なる実施と、一斉閉店制普及等をはかるほか、安全施設整備職業病対策強化についても力を尽くしたいと存じます。  また、中小企業における労働条件改善し、よき職場環境を形成するため、労務管理担当者に対する講習会充実民間学識経験者労務管理改善指導員への委嘱等により、中小企業における労務管理改善のための諸施策を一そう計画的、総合的に実施するとともに、中小企業退職金共済制度普及福祉施設に対する融資制度拡充などの労働福祉対策についても、格段の努力を続けて参る所存であります。さらに、勤労青少年ホーム、働く婦人の家及び内職補導施設を増設する等、婦人年少労働者福祉向上や、内職労働者等、恵まれない人々の保護についても十分配慮するとともに、勤労者家庭生活福祉に資するため、かねて施策を進めていたホームヘルプ制度について、新たに地方公共団体に対しヘルパー養成の補助を行なう等、一そうの推進をはかる考えであります。  次に、今後の国民経済成長過程における賃金問題の重要性にかんがみまして、前に申し述べた通り最低賃金制度充実拡大をはかるとともに、適切公正な賃金関係資料整備充実と提供、賃金体系改善に関する援助等を行なって参りたいと考え、その体制整備することとし、労働基準局賃金部設置すること等を内容とする労働省設置法の一部を改正する法律案を今国会に提案することといたした次第であります。  第三に労使関係近代化について申し上げます。経済の繁栄と民主主義発展とは、健全な労働運動進展と、よき労働慣行確立に負うところがきわめて大きいのであります。わが国労働運動労使関係は逐年改善方向をたどっているのでありますが、今なお未熟な面もあり、政府としても従来から労働教育その他諸般施策を通じ、自由にして民主的な労働運動発展と、正常な労使関係の形成に努力してきたところであります。政府としては、今後ともかかる施策を一そう強力に推進して参る所存であります。労使関係者におかれても、民主主義社会の秩序に従った健全な労働組合運動発展と、労使間におけるよきルールの確立のために一そう努力されんことを切望するものであります。  さらに、技術革新貿易自由化進展等に伴い、労使関係においても複雑な問題を生じつつある現状におきましては、特に労使双方相互信頼を基調とした話し合いを通じて問題を合理的に解決していくととが必要であり、政府としても、このような労使話し合いの雰囲気の醸成について積極的に努力して参りたいと考えておる次第であります。  また、中小企業労使関係近代化につきましては、大企業に比して、かなり立ちおくれた状態にありますので、労働教育労働相談等を通じ、不断に啓蒙指導を行なうとともに、紛争の自主的解決が困難な場合には、労働委員会などの公正な第三者の援助によって早期解決をはかるようにいたして参りたいと考えております。  なおILO八十七号条約につきましては、自由にして民主的な労働運動発展を期するという見地から、早期に批准するという政府方針に変わりはなく、同条約批准に関連する国内法整備に関する関係法案とともに、今国会に提出し、御審議いただく所存であります。  最後に、私は、労働問題の持つ国際的な側面を特に重視するものであります。この見地から、来年度は、わが国労使関係者の視野を広め、その識見を高めるため、内外労働関係者の間の知識、経験の交流をはかることに意を用いるとともに、最近における国際技術協力重要性にかんがみまして、職業訓練による技術技能協力を一そう推進していきたいと考えております。  以上申しました諸施策も、構造的変化を遂げつつある労働経済現状の正確な把握と、その長期的見通しの上に、総合的、一体的に運営するととが肝要であります。このため、労働経済に関する一連の統計をさらに整備拡充するほか、調査分析の機能を整備する所存であります。  以上、所信一端を申し上げましたが、今後皆様の御意見を十分拝聴しながら労働行政推進に力を尽くして参りたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
  8. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ただいまの労働行政基本方針に関する御質疑は次回以降に譲りたいと思います。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  10. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 次に、炭鉱離職者臨時措置法等の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、提案理由説明を願います。福永労働大臣
  11. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 炭鉱離職者臨時措置法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  最近のわが国雇用失業情勢は、全般的には改善の傾向を示しておりますが、その中にあって、工業地帯では若年労働者及び技能労働者の著しい不足が見られるのに反し、産炭地域後進地域では、炭鉱離職者中心とする失業者の滞留や労働力の過剰の事態が存在しており、また、全国的に中高年令層就職は困難な事情にあります。なかんずく石炭産業では、エネルギー消費構造変革に伴い、抜本的な体質改善要請されており、合理化対策の進捗とともに、特定地域中高年令層中心とする大量の離職者が滞留し、今後におきましても、多数の離職者の発生が見込まれるのであります。  このような現下の雇用失業の趨勢に対処し、政府といたしましては、当面最も緊急事である炭鉱離職者援護措置について、昨秋以来、内閣設置した石炭対策関係閣僚会議において、諸般情勢とともに、先の第三十九回臨時国会での本問題についての御審議内容等をも十分考慮検討いたしました結果、従来の施策にとどまらず、新たな観点より、離職者対策について思い切った拡充強化をはかることといたしました。また、これと並行して、労働市場において全般的に見られる労働力需給の不均衡を調整するための融資制度を創設することとし、これらの施策によって、炭鉱離職者を初めとする労働力流動化を積極的に推進することといたしたのであります。本法案は、以上に述べました炭鉱離職者に対する特別対策雇用促進のための融資雇用促進事業団業務として行なわせることを内容としたものであります。  次に、法案内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一に、炭鉱離職者の再就職促進し、その生活を安定させるため、炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正することといたしました。すなわち、まず雇用促進事業団の行なう援護業務として、新たに、公共職業安定所紹介により炭鉱離職者を雇い入れる事業主に対して雇用奨励金支給する業務規定するとともに、雇用奨励金及び職業訓練を受ける者に対する手当支給について、これらの制度が最も効率的に運用されるようにその支給要件を定め、また、これにあわせて必要な条文の整備をはかることといたしたことであります。  第二に、労働力流動化対策の一環として、雇用促進事業団労働者雇用促進するための融資を行なわせるため、雇用促進事業団法を改正することといたしました。まず、雇用促進事業団が従来行なっている業務に加えて、新たに、移転就職者を雇い入れる事業主その他の事業主に、その雇用する労働者のための労働者住宅その他の政令で定める福祉施設設置または整備に必要な資金貸付業務を行ならことを規定するとともに、事業団はこの貸付業務資金に充てるため、新たに長期借り入れまたは雇用促進債券の発行をすることもできること、事業団は、労働大臣の認可を受けて、金融機関に対し、貸付業務の一部を委託できること及び金融機関は他の法律規定にかかわらず、事業団の行なう貸付業務を受託することができることといたしました。  なお、以上のほか、本改正案の附則におきまして、第一には、炭鉱離職者対策拡充強化に関する規定は、その緊急性にかんがみ、この法律公布の日から施行し、本年一月一日にさかのぼって適用することとし、また、雇用促進のための融資に関する規定は、本年四月一日から施行することといたしました。  また、第二には、これら流動化対策の円滑な推進を期するため、現在炭鉱離職者その他の離職者が多数滞留し、その再就職がきわめて困難な北九州に、現行職業安定法規定に基づき、北九州職業安定事務所設置し、これら離職者就職促進をはかることといたしております。  以上この法律案提案理由及びその要旨について御説明申し上げました。何と御審議の上、すみやに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  12. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ただいまの法律案に対する補足説明並びに御質疑は、次回以降にいたしたいと思います。御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  14. 高野一夫

    委員長高野一夫君) この際、委員異動について報告いたします。  本日付をもって久保等君が辞任され、永岡光治君が選任されました。   —————————————
  15. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 厚生行政基本方針に関しまして、厚生大臣説明を願います。
  16. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 本年初の社会労働委員会が開催されるにあたりまして、厚生省所管行政について所信一端を申し述べたいと存じます。  近年、わが国経済成長は著しく、国民生活もまた漸次向上を示しているのでありますが、われわれは、この経済進展にとり残される者がないように社会保障制度整備に努めるとともに、他面、国民生活水準向上に即応して、社会保障における諸給付引き上げなければならないと存ずるのであります。このような観点から、政府は、社会保障制度整備充実をその最重要施策一つとしてとり上げ、鋭意努力を重ねて参ったのでありますが、中でも厚生行政は、社会保障中核として、毎年充実を重ね、今日、きわめて重要な地歩を占めていることは、御承知のとおりであります。しかしながら、厚生行政現状をつぶさに検討いたしますと、所得保障制度医療保障制度、その他の福祉制度等、すでに一応形態は整備されているのでありますが、これが真に国民要請にこたえ得るものとなるためには、今後一そうの改善を必要とするものがあることを痛感する次第であります。したがって、来年度におきましては、厚生行政の諸水準向上させるという意味において、現行施策内容充実をはかり、着実に行政推進し得るよう配慮を加えたのであります。私はこのようにして堅実な基盤整備しつつ前進することによって、今後厚生行政をさらに大きく展開し得るものと信じているものであります。  以下この機会に厚生行政の主要問題について述べたいと存じます。  厚生行政の当面する課題の第一は、低所得階層に対する施策充実であります。生活保護強化につきましては、昨年も当初予算において、生活扶助基準の一八%の引き上げを行ない、さらに補正予算において、五%を引き上げるという大幅な改善を行なったのでありますが、さらにその後における国民生活水準推移等を勘案し、来年度においても生活扶助基準二二%引き上げ中心とする改善を行ないたい所存であります。その他、世帯更生資金充実不良環境地区改善等、低所得者対策につきましては、これが積極的な推進を期したいと存じております。なお、社会福祉施設職員の処遇につきましては、本年度に引き続き、来年度においてもこれが改善をはかりたい所存であります。  第二に、医療保障制度充実強化についてであります。本年度国民保険体制が一応整えられ、医療保障発展の上で意義深い年となったのでありますが、今後は、その内容充実強化を積極的に推進することとし、特に来年度においては、まず国民健康保険について国庫負担率を二〇%から二五%に引き上げ国保財政強化をはかるとともに、その給付内容につき一部改善をはかりたい所存であります。その他、結核、精神病に対する命令入所等施策拡充強化医療機関整備、その他国民に対する医療保障施策推進に遺憾なきを期したいと存じております。  なお、診療報酬等社会保険医療に関する諸問題につきましては、各位にも非常な御配慮をわずらわしたところでありますが、私もその解決に鋭意努力して参りましたつもりであります。御承知のように、さきの第三十九回国会において社会保険審議会及び社会保険医療協議会法の一部改正法が成立したのでありますが、この改正法による中央社会保険医療協議会がすみやかに発足できるように、さらに努力したい覚悟であります。また、かねて懸案の社会保険行政に関するいわゆる経営監督の分離の問題につきましては、厚生省に新たに社会保険庁を外局として設置する等、来年度において社会保険行政機構につき改革を行ないたいと存じます。  第三に、国民年金等改善についてであります。国民年金制度は、所得保障制度中核として、その健全な発展国民生活の安定にきわめて重要な意義を持つものであります。このため、政府としましても、発足以来その改善につきまして鋭意検討を続けて参りましたが、特に低所得者層に対する給付向上をはかるため、保険料を免除する場合にも国庫負担を行ない、これに応じて拠出年金支給要件緩和年金額引き上げを行なうほか、福祉年金における支給制限緩和公的年金との併給等現状において可能な限りの改善実施したいと存じております。また、本年一月より実施の運びとなりました児童扶養手当制度につきましても、所得制限緩和及び手当額引き上げを行ないたい所存であります。  第四に、生活環境改善についてでありますが、この施策推進については、今日国民のきわめて熾烈な要請があり、厚生省としましても、厚生行政重点施策一つとして、特に強力にその整備拡充をはかるべく鋭意努力しているところであります。来年度におきましては、上下水道、清掃施設等環境衛生施設整備等をさらに強力に行ないたい所存であります。  なお、この際、厚生年金還元融資国民年金特別融資について一言いたしますと、明年度におきましては、本年度に比し、融資ワクが相当大幅に増加いたすことになっております。これによって、生活環境施設社会福祉施設住宅などの施設整備充実を一段と促進することができると存じますし、また、厚生年金保険国民年令の被保険者福祉増進にも貢献することができるものと思います。  以上厚生行政の当面する諸問題のうち主要なものについて申し上げたのでありますが、このほか結核予防対策伝染病対策等公衆衛生施策戦傷病者遺族等に対する援護老齢者児童母子等に対する社会福祉施策向上等にも努力を重ねたい所存であります。  明年度厚生省一般会計予算要求額は、以上の各項目を中心として計上いたしているのでありますが、総額にして二千七百二十三億二千九百四万二千円であります。これを本年度当初予算二千二百七十六億二千四百五十万円と比較しますと、四百四十七億四百五十四万二千円の増加となり、本年度第一次補正後の予算二千二百九十六億六千五百五十八万円と比較しますと四百二十六億六千二百四十六万二千円の増加となるのであります。また、明年度国家予算総額において占める比率は、一一・二%となっているのであります。なお、本国会には、上述の各種施策強化に関連しまして、国民年金法の一部改正法案国民健康保険法の一部改正法案等、数件の法案を提出し、御審議をわずらわしたいと存ずるのでありますが、各位の慎重な御審議を切望するものであります。  厚生行政は、今後なお解決をはかるべき多くの問題をかかえており、この行政の一そうの進展を必要とすることはさきに申し上げたとおりでありまして、私も、微力ながら、誠意をもって努力する所存でありますので、各位の御支援と御協力のほどを衷心よりお願い申し上げる次第であります。
  17. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ただいまの厚生行政基本方針に関する質疑は、次回以後にいたしたいと思います。御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めます。  速記をやめて。   〔速記中止
  19. 高野一夫

    委員長高野一夫君) それでは、速記をつけて。   —————————————
  20. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 次に、厚生省関係の提出予定法律案に関する件について調査を行ないます。  まず、山本官房長より説明を願います。
  21. 山本正淑

    政府委員(山本正淑君) 厚生省の関係で提出予定法案といたしましては、現在九件あるわけでございます。その中で予算関係法案といたしまして七件ございまして、他の二件につきましては、今日なお検討中でございまして、明確な態度はまだきまっておらないのでございます。そこで現在衆議院に付託になっておりますものが四件ございます。それからまず申し上げますと、医療金融公庫法の一部を改正する法律案でございますが、これは内容的には公庫の資本金を二十五億ふやしまして五十五億円とするということと、理事長を総裁に改める、この二点でございます。  それから次に、児童扶養手当法の一部を改正する法律案でございますが、これは国民年金法の一部を改正する法律案と関連が一部ございまして、児童扶養手当の月額を引き上げようという趣旨でございます。それは第二子四百円を六百円にする、第三子以降を従来の二百円を四百円にするという点が国民年金法の一部改正と関連する点でございます。それからもう一点、これもまた国民年金法の一部改正と関連する点でございまして、受給資格者の前年度の所得に対する支給要件といたしまして、従来前年度所得が十三万円以下の者に対して支給することに相なっておりましたが、これを十五万円に引き上げるという性質のものであります。これによりまして、この所得制限緩和によりまして、対象人員は約四千七百人ほど増加する見込みでございます。  次に、国民健康保険法の一部を改正する法律案でございますが、これは御承知のように、療養給付に対します国庫負担が従来の二割から二割五分に引き上げられるという予算案に相なっておりまして、これに伴いまして法律国庫負担の率を五%引き上げるという趣旨のものでございます。  次に、国民年金法の一部を改正する法律案でございますが、これは改正点が数点ございまして、一つ国民年金におきましては、御承知のように、低額所得者に対しましては保険料を免除するという措置が講ぜられておるのでございますが、この保険料を免除された者について、その免除期間の国庫負担はひとつしていこうという趣旨のものでございます。そうすることによりまして免除を受けた期間の、部分の保険、年金額が被保険者にとってはふえるわけでございまして、そういう趣旨のものでございます。それから第二点といたしましては、ただいま申し上げましたのは拠出年金のものでございますが、福祉年金につきまして、一つは所得の要件を緩和いたしまして、さっき申しました十三万円から十五万円に増額するという点、それからまた子供、母子年金におきます子供の手当年金額を二百円ずつ引き上げていく、こういうような趣旨のもの。それからもう一つは、若干大きな問題でございまして、福祉年金につきまして、いわゆる他の公的年金との併給という措置を講じております。と申しますのは、従来恩給あるいはまた厚生年金その他の公的年金を受けます者については、その金額が福祉年金年金額でございます一万二千円以下の場合には従来も支給しておったのでございますが、一般的にはこの併給は認められていないのでございます。それをいろいろの要望もございますし、その他の理由によりまして、今度併給を実施していこうということに相なったわけでございます。またこの問題につきましては、御承知のように、恩給のベース・アップという問題がございまして、その対象人員というものは、ベース・アップが実施されますと若干変わって参りますが、今それを大ざっぱに申し上げますと、恩給のベース・アップにつきましては、御承知のように二万四千円ベースに戦闘行為による公務員の扶助料等は引き上がる、それから一般文官等のものは二万円ベースに引き上がる、しかも四カ年計画によって実施するという段取りになっておりまして、本年の十月から第一次の引き上げをやる。続いて現在の段階におきましては、三十九年の七月から完全な引き上げ実施する。こういうような恩給法の改正の骨子でございますが、それに見合いまして、この国民年金の併給というものにつきましては対象人員は若干の異動がございますが、とにかくことしの十月から年金の併給を実施いたしたいという趣旨でございます。そういたしますと、大体ことしの十月からこの併給の対象となります人員は約四十四万人ほどに相なるわけでございまして、そういたしまして完全にベース・アップが実施されましたあとにおきましては、なお二十四万人の対象人員が残る、こういうような結果に相なるかと推定されておるのでございます。そういったようなことが国民年金法の一部改正の骨子でございます。  この四法案につきましては、ただいま衆議院に付託になっております。  それからなお残っておりますものは、重要予算関係法案としての扱いの中では、船員保険法の一部を改正する法律案でございます。これは船員保険では標準報酬月額が現在最低五千円から最高三万六千円ということに相なっておりまして、これは健康保険におきましては現在最高五万二千円まで引き上げておるというような、その他の保険との関係もありまして、一応七千円から五万二千円というような引き上げにいたしたい。このことによりまして傷病手当金が増額になる、あるいはまた年金額の最低の基本額が引き上げられますので、その年金額あるいはその他の年金給付額が増額になるというような結果に相なるわけでございます。  第二点は、寡婦年金、鰥夫年金及び遺児年金というような制度が現在もまだ残っておりますが、これを遺族年金の制度に統合するというような内容のものでございます。これは今日なお社会保障制度審議会その他の諮問機関の関係がございまして、提案する段取りにまだなっておりません。  それからもう一つは、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案でございますが、これは、法律といたしましては一本になっておりますが、この遺族援護法と、それから未帰還者留守家族等援護法、その他の法律の若干の改正を一括いたしまして内容としておるものでございます。この骨子は、さっき申しました恩給のベース・アップに伴いまして、遺族等援護法のはね返りがあるわけでございます。このはねっ返りを措置していくというのが一つの骨子でございます。それから、留守家族手当とか、その他のものにつきましては、若干の改正があるわけでございますが、それは省略させていただきます。  そしてもう一つは、厚生省設置法の一部を改正する法律案でございますが、これは、委員会といたしましては、あるいは内閣委員会の所管に相なるかと思いますが、厚生省の外局として社会保険庁を設置いたしまして、現在の保険局、年金局が所掌いたしております事務を、いわゆる計画、企画等、監督を含む部門を内局に残して、そして事務の運営についての現業を分離いたしまして、社会保険庁で実施していきたいという趣旨でございます。  それからもう一つは、医療制度調査会という委員会がございまして、今日審議を続けておるのでございますが、この委員会の存続期間をさらに一年延長いたしたい、こういう趣旨のものでございます。  あとの予算関係法案でございません大気汚染防止法案、清掃法の一部を改正する法律案等につきましては、これは内容的にいろいろ論議のあり、かつまた関係省——通産省などとの関係もございまして、今日それを調整している段階でございまして、どういうような取り扱いをするか、予定としてはいたしておりますが、取り扱いそのものについては、まだ最終的な結論に達しておらないという段階でございます。  以上簡単でございますが、予定法案説明いたしました。
  22. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ただいまの調査事項に対する御質疑は、次回以後にいたしたいと思います。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  24. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 次に、労働省関係の提出予定法律案に関する件について調査を行ないます。  まず、政府側から説明を願います。村上官房長。
  25. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 労働省関係の提出予定法案につきまして御説明申し上げます。  予算関係法案としましては二件ございます。  第一は、炭鉱離職者臨時措置法等の一部を改正する法律案でございます。これは、先ほど大臣が提案の理由及びその内容につきまして御説明申し上げましたとおりでございますので、内容は省略さしていただきます。  第二は、労働省設置法の一部を改正する法律案でございます。この内容は二点ございまして、第一点は、労働基準局賃金部設置するという内容でございます。すなわち賃金部におきまして、賃金に関すること、最低賃金及び最低工賃に関すること、最低賃金法の施行に関することを所掌させますために賃金部を置くというような内容が第一点でございます。第二点は定員の増加でございます。二百十七人を増加するための所要の改正を行なうことが内容となっております。  この二つの法律案につきましては、それぞれ国会に提出済みでございます。  あと予定されておりますものとしましては、ILO八十七号条約が批准のため国会に提出されます際に、これとの関連におきまして、公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案、及び地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案、この二法案が提出される予定でございます。その内容は、すでに御承知のことと存じますが、公共企業体等労働関係法におきましては第四条第三項、地方公営企業労働関係法につきましては第五条第三項を削除いたしまして、ILO八十七号条約の批准に必要な規定整備を行なうという趣旨のものでございます。この提出時期等につきましては、ILO八十七号条約の提出と相関連いたしまして、後日決定を見ることとしております。  はなはだ簡単でございますが、以上御説明申し上げます。
  26. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ただいまの調査事項に対する御質疑は、次回以降に譲りたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めます。  ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止
  28. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 速記を始めて。  以上をもちまして本日の審議は終了いたしました。次回の委員会は、二月一日木曜日午前十時より開会いたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午前十一時五十三分散会    ————・————