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説明員(
林田悠紀夫君)
漁業労働の実情にはなかなか複雑なものがございまして、仰せになりまするように、若い者はほとんど外へ出て行ってしまうわけでございます。しかしながら、
遠洋漁業とかあるいは沖合
漁業に壮年まで従事しまして、老年になって参るということになりますると、そういう人は沿岸
漁業へ再び帰ってくるわけでございます。したがって、沿岸
漁業者は比較的老人が多くなるというようなことになりつつあるわけでございます。したがいまして、そういう老人層に対しましては、釣
漁業とかあるいは海草の
漁業、それから養殖
漁業を進めて参るということにしておるわけでございます。それで、構造
改善の一環といたしまして、投石と申しまして海岸に石を投げ入れまして、そこに海草をつかせるということをやっておるわけでございます。それからまた魚礁を入れまして、そこに魚が集まってくるようにする、こういうことによりまして沿岸
漁業は割合高級な魚がとれます。魚礁を入れて魚を集めますると、高級な魚が割合とれ、
漁業もそこでよくなっていくということができるようになってきます。老人
漁業はそういうことで育てていくということにいたしておるわけでございます。そうして、若い者の労働力としましては、沖合、遠洋のほうへ進めていく、こういうふうな考えを持っております。
漁業の共同化としましては、
漁業協同組合、特に
漁業の自営という
制度を設けておりまして、この
漁業自営を進めまするために
漁業権を優先的に
漁業自営の協同組合に与える。たとえば区画
漁業権にしましても、あるいは定置
漁業権にしましても、この自営の協同組合に優先的に免許いたしまして、それから今回、
漁業法の改正案を出しておるわけでございまするが、これにおきまして、新しい漁場で真珠をやっていこうといふうな場合には、そういう自営の協同組合には優先的に免許していくというようなことを考えておるわけでございます。この自営組合のほかに、生産組合という
制度が
水産業協同組合法の中にやはりございまして、この生産組合は七人以上集まりましたならば、それで生産の共同化ができるということになっておりまして、この生産協同組合によりまする生産の共同化も
相当進んで参っております。そのほかに、特に、今改正
漁業法で考えておりまするのは、そういう漁民が
相当数集まりまして、いわゆる漁民会社を作る。これは合名会社とか、合資会社とか、あるいは、有限会社というものを考えておりますが、そういう漁民会社を作りましたならば、それに
漁業自営というものと同じように
漁業権を優先的に免許するとか、あるいは
漁業協同組合が出資いたしまして漁民会社を作るというようなケースも考えております。これも優先的に免許して参る、あるいは
漁業許可の場合にもそういうものに
相当考慮していくということにいたしまして、
漁業生産の共同化ということを進めて参りたい、かような施策をとっておるわけであります。