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1962-04-27 第40回国会 参議院 決算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月二十七日(金曜日)    午前十時四十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    理事            岡村文四郎君            佐藤 芳男君            林田 正治君    委員            上林 忠次君            木内 四郎君            小林 武治君            竹中 恒夫君            田中 清一君            谷口 慶吉君            温水 三郎君            増原 恵吉君            谷村 貞治君            木下 友敬君            大和 与一君            奥 むめお君   政府委員    農林政務次官  中野 文門君    農林大臣官房経    理課長     筒井 敬一君    食糧庁長官   大澤  融君    林野庁長官   吉村 清英君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    農林省農林経済    局参事官    松岡  亮君    農林省農地局参    事官      堀  直治君    食糧庁経理部長 家治 清一君    水産庁漁政部長 林田悠紀夫君    会計検査院事務    総局第四局長  宇ノ沢智雄君    会計検査院事務    総局第五局長  白木 康進君   参考人    農林漁業金融公    庫総裁     清井  正君   —————————————   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○昭和三十四年度一般会計歳入歳出決  算(第三十八回国会内閣提出)(継  続案件) ○昭和三十四年度特別会計歳入歳出決  算(第三十八回国会内閣提出)(継  続案件) ○昭和三十四年度国税収納金整理資金  受払計算書(第三十八回国会内閣提  出)(継続案件) ○昭和三十四年度政府関係機関決算書  (第三十八回国会内閣提出)(継続  案件)   —————————————   〔理事佐藤芳男委員長席に着く〕
  2. 佐藤芳男

    理事佐藤芳男君) これより決算委員会を開会いたします。  委員長の委嘱により、本日の委員会は私が委員長の職務を行ないます。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和三十四年度決算審査のため、電源開発株式会社役職員参考人として出席を求めることにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐藤芳男

    理事佐藤芳男君) 御異議ないと認めます。  なお、参考人の人選、期日等、これを委員長に一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤芳男

    理事佐藤芳男君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたしました。   —————————————
  5. 佐藤芳男

    理事佐藤芳男君) 昭和三十四年度決算議題といたします。  本日は、農林省農林漁業金融公庫関係質疑を行ないます。  なお、農林省関係会計検査院より指摘されましたものは、検査報告四十九ページ以下の、物件で一件、保険関係で十九件、補助金関係三十六件、その他一件であります。農林漁業金融公庫関係については何も指摘事項はございません。  それでは、これより昭和三十四年度農林省関係決算について政府より説明を求めます。中野政務次官
  6. 中野文門

    政府委員中野文門君) 農林省所管昭和三十四年度歳入歳出決算について概略を御説明申し上げます。  まず、歳入につきましては、収納済歳入額一般会計において五十三億七千余万円、食糧管理特別会計勘定合計において一兆五千三百八十六億八百余万円、国有林野事業特別会計において五百三十一億五千五百余万円、農業共済保険特別会計勘定合計ほか七特別会計の総合計において四百九十四億八千余万円となっております。  次に歳出についてでありますが、支出済歳出額一般会計において一千百五十一億五千三百余万円、食糧管理特別会計勘定合計において一兆五千三百二億五千五百余万円、国有林野事業特別会計において五百三十億九千五百余万円、農業共済保険特別会計勘定ほか七特別会計の総合計において四百七億二千九百余万円となっております。これらの経費は、農業生産基盤強化耕種農業改善畜産振興蚕糸業振興森林資源開発育成水産業振興農山漁村振興及び災害復旧並びに食糧管理農業共済保険等の諸事業実施に使用したものであります。  次に、これらの事業のおもなものについて御説明申し上げます。  まず、農業生産基盤強化につきましては、支出済歳出額は三百二十五億九千九百余万円でありますが、これは土地改良事業において、国営事業都道府県営事業及び団体営事業として実施しました。また、開拓事業におきましては、国営事業都道府県代行事業その他の補助事業実施いたしました。このほか、特定土地改良工事特別会計支出済歳出額九十一億五千三百余万円)によりまして、国営灌漑排水事業国営干拓事業代行干拓事業を行ないました。  第二に、耕種農業改善対策につきましては、支出済歳出額は三十五億六千百余万円でありまして、おおむね前年度施策を引き続き実施しましたほか、特に畑作振興に重点を置きました。すなわち、農業機械化促進事業地力保全事業畑地土壌病害虫防除事業等補助することとしましたほか、日本てん菜振興会設立てん菜試作補助を行ないました。  第三に、畜産振興対策につきましては、支出済歳出額は二十五億三千五百余万円でありますが、おもなるものは、家畜改良増殖家畜衛生対策及び家畜導入預託対策実施するとともに、飼料対策として草地改良事業飼料検査及び牛乳乳製品需給調整、並びに価格安定対策として学校給食に対しそれぞれ助成などを行ないました。  第四に、蚕糸業振興対策につきましては、支出済歳出額は三十七億六千百余万円でありますが、年間条桑育桑園整理、生糸の海外宣伝助成するほか、繭糸価格安定対策として糸価安定特別会計資金強化日本蚕繭事業団設立を行ないました。  第五に、森林資源開発育成対策につきましては、支出済歳出額は百十七億四千四百余万円でありますが、治山事業として山地治山防災林造成保安林整備地すべり防止事業崩壊防止事業実施するとともに、造林事業林道事業についてもそれぞれ助成しました。なお、国有林野事業特別会計といたしましては、木材等の売り払い四千三百三十四万余石、素材売り払い千五百九十四万余石等を行ないました。また、十万七千町歩造林、二万三千町歩治山事業及び一万五千町歩官行造林地の新植、一万四千町歩民有保安林買い入れを行ないました。  第六に、水産業振興対策につきましては、支出済歳出額は五十七億三千六百余万円でありますが、漁業生産基盤強化対策としての漁港整備事業におきましては、修築事業局部改良事業海岸保全事業、北海道の直轄修築事業を行ないますとともに、沿岸漁業振興対策及び沿岸沖合い遠洋漁業調査取り締まり実施いたしました。  第七に、農山漁村振興対策につきましては、支出済歳出額は三十七億八千五百余万円でありますが、新農山漁村建設総合対策につきましては、特別助成事業、小団地開発整備事業僻地農山漁村電気導入等助成しました。  第八に、災害復旧対策につきましては、支出済歳出額は百八十四億七千四百余万円でありますが、災害復旧事業といたしましては、農地及び農業用施設林道施設治山施設漁港につき行ない、おおむね三十一年災は一〇〇%、三十二年災は七九%ないし一〇〇%、三十三年災は六三%ないし八九%、三十四年災は一七%ないし二〇%を完了しました。災害関連事業としましては、農地及び農業用施設林道施設漁港につき行ない、三十一年災は一〇〇%、三十二年災は七〇%ないし一〇〇%、三十三年災は四〇%ないし五〇%、三十四年災は二四%ないし四六%を完了しました。  最後に、食糧管理特別会計事業につきましては、まず、国内米については集荷目標五百六十二万トンに対し買い入れ実績は同じく五百六十二万トン、売り渡し予定五百三十三万トンに対し実績五百十八万トン。国内麦につきましては、買い入れ予定百四十九万トンに対し実績は同じく百四十九万トン、売り渡し予定百三十三万トンに対し実績百二十六万トン。輸入食糧につきましては、輸入計画外米二十九万トン、外麦二百六十六万トンに対し実績外米十九万トン、外麦二百四十五万トン、売り渡し予定外米五十万トン、外麦二百八十八万トンに対し、実績外米三十四万トン、外麦二百七十六万トンとなっております。  以上、昭和三十四年度のおもな事業概要について御説明申し上げましたが、これら事業執行につきましては、いやしくも不当な支出や批難さるべきことのないよう常に経理の適正なる運営について極力意を用いて参りまして、年々指摘件数も減少してきてはおりますが、昭和三十四年度決算検査報告においてもなお、不当事項として相当件数の御指摘を受けておりますことはまことに遺憾に存じます。今後とも指導監督を徹底して事業実施適正化に努める所存であります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  7. 佐藤芳男

  8. 清井正

    参考人清井正君) ただいま議題となりました農林漁業金融公庫昭和三十四年度決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず昭和三十四年度収入支出決算について御説明いたします。昭和三十四年度における収入済額は九十三億七千九百万円余、支出済額は八十一億一千三百万円余でありまして、収入支出を超過すること十二億六千六百万円余となっております。  以下これを収入支出の部に分けて御説明いたしますとまず、収入の部におきましては、本年度収納済額は九十三億七千九百万円余でありまして、これを収入予算額八十六億九千百万円余に比較いたしますと、六億八千七百万円余の増加となっております。この増加したおもな理由は、貸付金利息収入が多かったためであります。  次に支出の部におきましては、本年度支出予算現額八十一億九千五百万円余に対し、支出済額は八十一億一千三百万円余でありまして、差引八千二百万円余の差額を生じましたが、この差額全額不用となったものであります。  ただいま申し述べました支出済額のおもなものは、借入金利息及び業務委託費であり、また不用を生じましたおもな理由は、貸付の実行が予定よりおくれたことにより借入金利息及び委託金融機関に対する手数料が減少したためであります。  なお、本年度におきまして予備費を使用した額は四百万円余でありますが、これは伊勢湾台風等による災害発生に伴う災害貸付関係業務処理事務費に要した経費であります。  次に、昭和三十四年度における損益について申し述べますと、本年度の総益金九十九億六千百万円余に対し総損失金は九十一億三千三百万円余でありまして、差引八億二千七百万円余の償却引当金繰入前利益を上げましたが、これを全額滞貸償却引当金及び固定資産減価償却引当金に繰り入れましたため、国庫に納付すべき利益金はありませんでした。  次に、昭和三十四年度業務概要について御説明いたします。まず、昭和三十四年度末における貸付金残高は一千七百四十六億円余で、これを業種別に申し上げますと土地改良六百三十三億円、共同利用施設含新規用途事業)二百二十八億円、林業二百十八億円、自作農資金二百七十六億円、漁業百六十七億円、その他百三十五億円、塩業八十九億円となっております。  昭和三十四年度中における貸付決定総額は四百六十四億円余で、以下これを業種別に申し上げますと、土地改良貸付決定額百六十四億円余、前年度より三十八億円の増加となっておりまして、このような顕著な増加は、三十三年度に非補助小団地土地改良事業助成基金制度が発足して、非補助一般事業に対する三分五厘の貸付増加したことによるものであります。  林業につきましては、貸付決定額四十五億円余でありますが、造林資金につきましては、公有林造林資金を三十四年度から貸付することになり、六億円の貸付決定をいたしております。  漁業につきましては、貸付決定額は四十三億円の決定をいたしております。  共同利用施設につきましては、貸付決定額は三十一億円余でありまして、このうちには新規用途事業として三十三年度より発足いたしました結晶ブドウ糖製造施設に対する貸付約四億円が含まれております。  自作農資金につきましては、貸付決定額百二十九億円でありまして、前年度に比較いたしまして四十一億円を増加いたしております。これは主として伊勢湾台風等による災害資金増加したもので、災害関係分としては四十七億円の貸付決定をいたしております。  塩業につきましては、塩業整備の進行中のため三十四年度中には貸付決定をするに至っておりません。  以上貸付決定状況につきまして御説明申し上げましたが、これに対しまして、三十四年度貸付金回収実績は百七十一億円余でありまして、承継、譲り受け債権の二億円を含んでおります。前年度回収実績に比較いたしますと約四十億円、三〇%の増加となっております。以上が、昭和三十四年度農林漁業金融公庫決算概要であります。  昭和三十四年度の当公庫決算検査において、会計検査院から不当事項として指摘を受けた事例はありませんでしたが、検査による三十四年度の当公庫貸付先会計実地検査の結果、貸付後の管理が不十分と認められ、注意を受けましたものが三十五年九月末現在百七件、五千三百余万円ありましたが、その後当公庫で鋭意是正に努力いたしました結果、三十六年十二月末までに全案件について繰り上げ償還等の措置により是正済であります。今後は、かかる不備事項発生しませぬように方策を講じて、その改善に引き続き努力いたしていきたいと思っております。  何とぞよろしく御審議をお願いいたす次第でございます。
  9. 佐藤芳男

    理事佐藤芳男君) 次に、会計検査院より検査報告についての説明を求めます。
  10. 宇ノ沢智雄

    説明員(宇ノ沢智雄君) 昭和三十四年度農林省所管検査結果の概要について申し上げます。  不当として指摘いたしました事項は、先ほど委員長からお示しがありましたように、検査報告の四十八ページから七十ページまでに掲記してございます。検査の結果の概要について簡単に申しますと、まず補助金でございますが、公共事業関係補助金につきましては、指摘件数が前年に比べて減少はしておりますが、指摘金額がかなり増加いたしております。これは指摘したもののうちに、一件当たり指摘金額の比較的大きなものがあった関係によるものでございます。三十四年災は御承知のように、局地的な大災害であった関係もございまして、年度末に至って予算の割当を受けたことなどのために工事施行が急がれたこと、また請負人の選定などにも当を得なかったことなどにもよりますが、事業主体工事に対する中間検査、あるいは竣工検査の不徹底によるものもかなりあるように認められますので、こうした点は今後の指導監督にあたって、一そうの注意の必要があるものと思っております。  それから、次に災害復旧事業費査定額に対する検査の結果につきましては、従来指摘いたして参りましたような事例がございまして、これも前年に比べますと約二倍に増加しておりますが、これも今申し上げましたように、災害が局地的に非常に大きかったということで、事務処理に困難をきたし、勢い査定決定書の内容と現地対象審査などが十分に行なわれていなかった結果であろうと存じます。  次に、公共事業におきます一般補助について申し上げますが、これにつきましても、検査の結果は、従来指摘いたしましたような事例がございまして、これにつきましても今後なお一そうこういうことのないように指導監督を厳重にされたいと思います。  それから一般会計及び特定土地改良工事特別会計施行しておりますいわゆる直轄工事、それから都道府県に委託して施行しております代行工事につきましては、これら工事関係は、工事費の積算及び工事施行それ自体については、特に不当として指摘し得るような事項はございませんでした。ただ施行地区数に比べまして事業費が少額のために、工事の完成がおくれておりまして、すでに施行した個所施設が遊休化しておったり、あるいは補修に相当経費を要することとなっているようなものなどが見受けられますので、予算の効率的な使用については、今後ともなお一そう検討の要があるのではないかと思われます。  次は保険関係でございますが、農業共済保険特別会計運営につきましては、検査の結果、従来と同様に共済金の全部または一部を組合員に支払わないもの、補償対象外組合員を含めて共済金を支払っているものなどの事例が見受けられまして、保険事業運営は、依然として適当でないものと認められます。  それから漁船保険特別会計につきましては、一部の漁船保険について調査いたしましたところ、再保険金の支払いにあたって審査が十分でなかったために、填補額が過大に認定されたものをそのまま認めて支払っているもの、あるいは事故発生後に保険を引き受けた漁船に対して、再保険金を支払っているものなどがございました。  以上簡単でございますが、検査報告概要について申し上げました。
  11. 佐藤芳男

    理事佐藤芳男君) 次に会計検査院白木第五局長
  12. 白木康進

    説明員白木康進君) 農林漁業金融公庫につきましては、検査の結果不当と認めて、この報告書不当事項として掲載したものはございません。ただ従来から農林漁業金融公庫融資管理状況につきましては、相当問題がございますので、検査実施しておりまして、三十四年度分につきましても、全国の都道府県の約三分の一程度につきまして検査をいたしました結果、従来同様実際の事業費、あるいは実際の支出額等から見ても、貸付の限度をこえているもの、あるいは補助金交付済みになっているのに、そのままになっているというような関係から、繰り上げ償還を要するものがなおそのままとなっている事態がかなりございます。このような見地から、この農林漁業金融公庫融資については、なお制度上あるいは運営上まだ改善の余地があるというふうに考えております。  簡単でございますが、以上をもって説明を終わります。
  13. 佐藤芳男

    理事佐藤芳男君) これより質疑に入ります。質疑のおありの方は順次御発言をお願いいたします。  それでは私より一委員として質疑を行ないたいと思います。  先刻、中野政務次官の御説明の中に、年々会計検査院よりの指摘事項が減っておるということを声高らかに御説明に相なったのでございますが、この際私は、経理責任者の一人でありまする筒井経理課長に質問を申し上げ、注意を喚起いたさなければならぬのであります。御承知のように、昭和三十四年度検査個所は一千四百十三ケ所でありまして、会計検査院実地検査をされましたのが重要個所その他の個所合計三百七十三カ所にすぎないのであります。その施行率はわずかに二六%程度でございます。ことに補助金の現状につきましては、実際に検査をされましたのは六%をちょっと上回る程度であります。従いまして、年々指摘事項が減ったとおっしゃいましても、会計検査院調査そのものがきわめてわずかなものでございまするから、調査をされざる個所において重大なる欠陥なしとは保証できないのでございます。かように考えますと、指摘されましたものはほんの氷山の一角にしかすぎないと言わざるを得ないのでございまして、声高らかに指摘事項が減ったとおっしゃることは疑問があると言わねばならぬのであります。どうか、そうしたことを十分お考えの上で、一段と御努力を賜わりたいことをまずもって私から申し上げておきたいのでございます。  なお、私から食管制度食管会計等につきまして質疑を行ないたいと思いますが、食管会計赤字は近時大幅に増加しております。これは、生産者価格消費者価格との間の関連が遮断され、いきおい二重価格制をとらざるを得なくなった結果であり、私も二重価格制を絶対に支持するものでございますが、このように赤字継続し、財政負担が累増していくということになっては、食管制度の維持も困難になると思うのであります。食糧行政に対する抜本的なる対策をお立てにならねばならぬと思うのでございます。河野農林大臣は、ここに考えるところがあられて、農林大臣諮問機関として、松村謙三氏を座長に懇談を重ねられておると承るのでございますが、しかし、これは法令に基づかざる諮問機関であることもまたきわめて明瞭であります。また、米価審議会においても、毎年これらの問題についても触れておられるやに承っておるのであります。米価審議会食管制度を前提として米価審議する性格のものでございまするから、食管制度そのものに触れられること、これまた当然だと思うのでありますが、ややもすれば、政府はかような懇談会あるいは米価審議会等の結論を得るまでは、その制度に対する構想を御発表されないような趣があることを私どもは従来遺憾といたしておるのでありますが、問題が重大であるだけに、この際食管制度に対する政府の御方針について、おさしつかえのない範囲においてその御所見を承っておきたいのでございます。
  14. 筒井敬一

    政府委員筒井敬一君) ただいま委員長から御指摘ありましたごとく、三十四年度会計検査におきましては、件数が減っておるのでございますが、年々農林漁業関係予算、特に補助金等につきましては増加して参っておるような関係もありまして、勢い各地域あるいは件数も非常に多くなっておるのでありまして、したがいまして、検査院検査だけですべてを判断することもどうかと思いますけれども、私どもはそれだけに貴重な国の予算執行にあたりましては、いささかも法令等に違反しないように、また不当な執行がないようにということで現地なりあるいは当局のほうからも、実地検査等を行なって疎漏のないようにいたしておるのでございますが、今後ともできるだけ、従来にも増して地方におきまするところの予算執行について遺憾のないように努力して参りたいと思います。
  15. 家治清一

    説明員家治清一君) ただいま食管制度の当面する重要な問題、それに対応して食管制度を今後どういう工合に持っていくべきか、そういう根本方針についてお尋ねがございましたが、御指摘のように食管特別会計は年々赤字を出しております。それは一般会計からの繰り入れによって処理をされておるわけでございますが、その額が年々ふえて参りまして、行く行くはこのままでいけば相当大きい財政負担を国に与えるのではないか、そういう面が確かにございます。それとあわせまして、現在の米の需給状況等からいたしまして、はたして現在の管理制度をそのまま堅持していけばいいのか、それとももっと改善する点がないのかという点がいろいろ識者から論議されている点でございます。ただ、御指摘にもございましたように、米の統制、食糧管理制度というものは非常に重要な制度でございまして、これに対する改変というような問題は、これまた非常に影響する範囲程度も広く、かつ深いのでございます。昨年ある程度の案を農林省が出しましたときに、いろいろ国会あるいは世間において論議を呼んだのも当然だと考えます。ところで、最近におきましてはそういったことを白紙に戻しまして、大臣といたされましては、食糧、特に米の管理についての学識者、有識者、あるいは諸先輩先生方松村先生を初めとして三十人程度先生方の御意見を十分伺い、そういう御意見を伺った上で、方針、方向を考えたい、こういうことからいたしまして、これは仰せにもありましたように、政令、法律に基づく審議会ではございませんで、農林大臣が個々の諸先輩の御意見を聞くかわりに、ときどき全部お集まり願いまして御意見を承わるということで懇談会というものを開いて、諸先生の御意見を承わっているところでございます。この懇談会は非常に御勉強を願っておりまして、今まですでに十数回にわたってお集まりをいただいて、いろいろ貴重な御意見を伺いつつあるところでございます。まだ、一般的にこれまでの制度の変遷、沿革、その背景、あるいは需給の見通しとか、あるいは統制方式というようなものについての御意見、あるいは実態の何といいますか、認識といいますか、そういうものの交換がなされた段階でございまして、その懇談会の諸先生方意見の帰趨というものがまだ明らかになっておりません。したがいまして、根本方針としてこれをどうするんだというところまでは実はまだ固まっていない次第でございます。ただ、仰せにございましたように、現在の制度をそのまま漫然とやっていくというわけにはいかない状態であることは間違いないのでございまして、そういう点から今後十分慎重に検討をしなければならないと考えておる次第でございます。
  16. 佐藤芳男

    理事佐藤芳男君) 重ねて伺いますが、そういたしますと、この食管制度をどうするかという農林省としてのお考えはお持ち合わせがない、具体策をお持ち合わせがない、米の管理制度懇談会まかせである、かように了承して差しつかえございませんか。
  17. 家治清一

    説明員家治清一君) これは、その懇談会に全部責任を押しつけて、懇談会の結論といいますか、まかせという、そのようには実は考えていないのでございますが、やはりこの問題は非常に重大で関係するところも広く、非常に影響も大きい問題でございますので、そういうできるだけ広くいろいろな御意見を承わるということが必要であろうと思います。懇談会で諸先生方の述べられまする御意見は非常に貴重な参考資料になると思うのでありますが、やはりその方針、あるいは行き方をきめるものは、行政府といたしましてやはり農林大臣がきめられる、こういうことでございますので、私どもといたしましてもできるだけ諸先生方の御意見を拝聴しつつ、食糧庁自体といたしましても非常に慎重に十分検討をして参りたいと考えております。
  18. 佐藤芳男

    理事佐藤芳男君) それでは具体的に一つだけ承っておきたいと思いますが、間接統制については、農林省としてはいかなる考えをお持ちでございますか。
  19. 家治清一

    説明員家治清一君) 間接統制、これは直接統制に対立する方式として間接統制ということであると思うのでありますが、やり方については、いろいろな強弱の方法があろうと思います。それから、その間接統制を米について直接統制よりもいいと考えているか、あるいはそのほうにやるつもりでおるかということでございますれば、これはまだそういうように結論的に間接統制のほうが現在の直接統制よりもよりいいのだ、あるいはいいのだからそういうほうに持っていくのだというようなことを結論的に考えておるわけではございません。現在は、現在やっております直接統制のやり方とそれからあるいは間接統制として想定されるやり方についてどういう違いがあるだろうか、どういう長所短所があるだろうかということを検討すべき段階であるので、まだ結論的に申し上げられるような段階ではございません。
  20. 木下友敬

    ○木下友敬君 農林漁業金融公庫報告書の中で、漁業につきましては貸付決定額は四十二億ということになっておりまして、業務概況によりますと、漁船貸付額は四十億幾ら、そうすると、その四十三億と四十億との差の貸付の科目はどういうところに貸し付けてあるか。
  21. 清井正

    参考人清井正君) 漁業というふうに簡単に書きましたので、おわかりにくかった点はお許し願いますが、漁業関係といたしましては、漁船のほかに漁港貸付をいたしております。これはむろん漁港は主として国の補助金その他の公共的な資金をもとにしてやることが多いのでありますが、私どもは自己負担分について公庫から貸付をいたしておるのであります。結局漁業貸付の中は、漁船のほかは漁港について貸付をいたしておる、こういうことになっております。金額の差は漁港の金額でございます。
  22. 木下友敬

    ○木下友敬君 漁港関係で個人負担となりますと、共同の関係ですわね。共同の中の個人の出資に貸すというわけですか。
  23. 清井正

    参考人清井正君) 地元の負担金に対して負担金部分を公庫から貸付する、こういうことになっております。
  24. 木下友敬

    ○木下友敬君 そこで、漁船の部分だけをとってみましても、沿岸漁業が約四十七億ですか、全貸付の中の一割程度ですが、漁業の大きさからいけば、生産からいけば、大企業のほうがもちろん全生産のうちで大きな部分を占めておると思いますが、こういう貸付金の性質からいけば、沿岸漁業というものにもっと出てもいいのではないか。もっとも貸してくれとも言っていないのに、こっちから貸すということもないでしょうが、一番今困っているのは沿岸漁業じゃないかと思うのです。  そこで農林省に伺いますが、沿岸漁業が一番困っている業体であると思うが、どの程度困っており、それに対するこれらの対策というものはどういうことをやっておられるか、概況をひとつお話を願いたい。そうして、その明るさがあるかどうか……。
  25. 清井正

    参考人清井正君) 私から便宜私の知っておる範囲においてお答え申し上げたいと思います。私どものほうの総貸付残高の中に占めます漁業関係は、割合に金額が多くない現状でございます。これは御指摘の点に触れているわけでございますが、その中でも、全部が漁船貸付でございませんので、一部漁港がありますので、その中の一部が漁船ということになっておるわけでございますが、この漁船に対する融資規模が非常に多いわけでございます。私どももむろんこれは農林漁業の性格上、大きい漁業者にお貸付いたしません。ごく零細な、小さい漁業を経営される方に特に農林漁業金融公庫からお貸付いたしておるわけでございます。したがって、条件等も一般の金融機関と違いまして、非常に利子も安く、また長期になっておるわけでございます。そこが私ども公庫の特色でございますから、私ども公庫貸付をいたしております関係からいろいろ拝見いたしますというと、沿岸漁業政府の施策が相当伸長したと思いますが、相当上向きになってきているとは存じまするが、まだまだ沿岸漁業振興措置に対しては、この政府金融を含めまして、いろいろ政府の打つべき手がまだまだあるように考えておったわけでございます。ところが、最近の私どもの観点からいたしましても、沿岸の漁業者に対する経営安定資金というものの制度が今回できまして、本年度から初めて沿岸漁業者がこれを、自分の漁業振興しようという場合に、農林漁業金融公庫から経営安定資金をお貸付するという制度がことしから初めてできたわけであります。で、当初でございまするから、まだ金額は少のうございまするけれども、これからこの制度も大いに発展いたしまして、沿岸漁業者で沿岸漁業振興をなさろうという方々には進んでこちらから経営資金をお貸しするという方途も購じよう、こういうふうに考えておるわけでございますが、何せ相手方の方が零細な方でございまして、金融するという立場から申しましてもいろいろめんどうな問題があるわけでございまするけれども、これらの問題はできるだけ漁業者の有利に解決をいたしまして、私どもといたしましては、沿岸漁業者のために従来の漁船に対する貸付はもとより、経営安定資金貸付等も今後金額をふやしてできるだけやって参りたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  26. 木下友敬

    ○木下友敬君 今のお話の中に、貸付金は大きな業者を相手にはしていない、主として零細なほうに向けているということでしたが、実際面においては以西底引とかいうような、こういうのは相当大きな経営主体だと思いますが、そうではないのですか。
  27. 清井正

    参考人清井正君) 私の申し上げましたことで誤解を生みましたら恐縮でございますが、私の申し上げましたのは、むろん底引やカツオ、マグロも私ども公庫融資の対象に一部入っております。そこで私どものほうの規則がございまして、これは政府の認可を受けておる規則でございますが、漁業を営む者に対する貸付をいたすことになっておりますけれども、その漁業を営む者というのは、漁業に従事する者が三百人以下であり、なおかつその使用する漁船合計総トン数が千トン以下、こういうふうに三百人、千トンというふうに限っております。その場合に、大と申しますか、中と申しますか、総体的なものでございまするけれども、この三百人以下、千トンという資格の中に入りますれば、私どものほうでお貸しすることになっておりますので、底引をやる漁業者であるとか、カツオ、マグロをやる漁業者も、この使用する漁業者の方が三百人以下であり、所有の合計総トン数が千トン以下であれば貸付の対象になっておりますので、その中でお申し込みがあれば、適当と思います場合には私どものほうで貸付をいたすということになっておりますので、小と申しましても総体的な問題でございまして、それ以上大きな大企業者にはお貸ししない、こういう意味でございますので、その点御了承願いたいと思います。
  28. 木下友敬

    ○木下友敬君 今の点は、私の考えはやや違っておったわけで、三百人というふうに限定しますと、ちょうど中小企業の場合と同じように、あれも三百人とたしかなっておったんですが、私が考えているのは、三百人とか百人とかいうのではなくて、ほんとうに沿岸漁業をやっている零細な漁業が今非常に不振な状態を続けている。これは公庫としての考えもさることながら、また経営資金のほうにも金を出されるようになったというのは、非常に喜ばしいことでございますが、農林省自体として、ほんとうにいわゆる中小企業の中の零細という中に入るような漁業関係について、これを何とかやっていかないと、非常に気の毒な状態にあるので、それに対する政府の施策がどのようになっているかということを聞きたい。政府のほうから御答弁願いたい。
  29. 筒井敬一

    政府委員筒井敬一君) 私も詳しく御説明する能力もございませんけれども、本年度予算についてちょっと御説明いたしますと、沿岸漁業の構造改善対策を推進するということで、御存じのように、沿岸漁業振興法案を現在国会のほうで御審議を願っているような状態でございます。その内容は別にいたしまして、予算的に申しますると、従来から漁場の利用の高度化あるいは経営の近代化、協業化というようなものにつきまして、沿岸漁業の構造改善をはかっていこうという考え方に立ちまして、これを総合的かつ計画的に実施するという建前からいたしまして、三十七年度におきましては、新規八地域、それから継続十三地域につきまして、沿岸漁業の構造改善計画というものを樹立するのに必要な調査指導の経費を計上しておりますとともに、新たに五地域につきまして、漁業の経営の近代化促進事業、これは蓄養殖施設とか、あるいは経営近代化の施設、加工処理施設というようなものでございまして、一地域当たり事業費が三億円でございまして、四カ年計画になっておりますが、そういうものを行ないますとともに、全国におきまするところの漁場の改良造成事業、魚礁とか、ノリとか、漁場の造成事業、こういうものでございます。一地域当たり事業費三億円でございますか、そういうものを実施することにいたしまして、特に大型の魚礁設置については国庫補助の率を引き上げて参ろう、こういうことでもって、沿岸漁業の総合的な構造改善をはかっていくという経費でございます。それは総額にいたしまして、今申しましたものを合計いたしますと、八億三千六百万円程度予算をこの沿岸漁業の構造改善対策のために計上いたしております。
  30. 木下友敬

    ○木下友敬君 沿岸漁業の不振の原因というものをおつかみになっていますか。なぜ沿岸漁業が不振であるかというその原因。
  31. 筒井敬一

    政府委員筒井敬一君) 私もあまり専門家でございませんので、あるいは見当違いの点があるかと思いますけれども、沿岸漁業の状態は戦前と変わりまして、戦後特に苦心いたして参っておりますのは、何と申しますか、過剰就業といいますか、乱獲といいますか、乱獲というほどでもないかもしれませんけれども、過剰就業によりまして魚を取り過ぎたというようなことで、この沿岸漁業が不振を来たしていたのじゃないかと思います。したがいまして、漁業資源を増加して参る、開発して参るということが、今後の沿岸漁業振興の一つの方策ではないか、かように考えているわけでございます。
  32. 木下友敬

    ○木下友敬君 私、その専門の方から、次官でもいいですが、そういう方から聞きたいんですが、沿岸の魚が減った、その減った原因は、かなり大型のものが沿岸とまではいかないけれども、沿岸近くのほうを漁撈をやっている関係上、産卵の個所とか、発育の個所とかいうような関係で、沿岸の魚が減った、それが沿岸漁業者の今日の窮状をもたらしている原因のおもなものではないか、こういうふうに考えておりますが、科学的な立場から、そういうことは原因にならないというようなことになっておるのか。そうすれば、なぜ沿岸漁業が今日のように困っているかということを、その原因をひとつ究明して根本的な対策を立てなければ、今あなたの御説明になったような予算上の措置等からいきますと、とても私、今の沿岸漁業者をほんとうに助けて伸びていくような状態に持っていく、立ち上がるような状態に持っていくことは困難だと思うのですよ。おそらくあなた方としても、これで相当立ち直っていくんだという御自信はないと思う。ですから、その魚の少ないということの原因について、だれか科学的な立場から御説明願いたいのですが。
  33. 佐藤芳男

    理事佐藤芳男君) 水産庁はきょう来ていないのですが……。
  34. 木下友敬

    ○木下友敬君 来ておいでにならないそうですから、そうしたらほかのことをお尋ねします。あとでそれの御説明を願います。  農林漁業金融公庫貸付金の中には、塩田関係のものがあったように思いますが、タバコの関係のはございませんか。
  35. 清井正

    参考人清井正君) ごくわずかでございますが、農民がタバコの乾燥施設を作るときに、それを一部お貸しする。表向きは乾燥施設ということでありまして、大きな項目の中に入っていないのでございますが、農民の共同事業資金として、ごく一部でございますが貸付をしておるわけでございます。
  36. 木下友敬

    ○木下友敬君 そこで農林省にお尋ねしますが、私が聞きたいのは、農産物というものの限界がまだはっきりしていないのですが、今の塩田関係農林漁業金融公庫が金を出すということに関連して考えますと、タバコの栽培というのは、これは専売局の管轄になっておりまして、どうも農林省との関係が、どこまでこれに立ち入っているかということの実情が私どもにはわかりません。タバコも農産物であるかどうか、農産物とすれば、農林省はどの程度にこれに干渉しているかというようなことをこの際お聞きしておきたい。
  37. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) タバコにつきましては、振興局の関係でございますので、私から申し上げるのは適当でないかとも思いますが、大体知る範囲で申し上げますると、まあタバコには御承知のようにいろいろな品種もございますし、栽培管理についていろいろなタバコを製造する面からの要請もありまするので、専売局が非常に末端に至るまで指導を加え、技術的な改善もやっておられるのは事実でございます。農林省としましては、もちろんタバコも重要な作物の一つでございまするので、まあ栽培指導の面におきましては、専売局と特約関係にございますので、あまり深くはタッチいたしておりませんけれども、タバコの生産に関連する、たとえば今御指摘がありました乾燥施設とか、あるいはその他の融資の面等につきましては、農林中央金虚を通じて金を貸すとか、そういうような面から同じように取り扱って参っております。
  38. 木下友敬

    ○木下友敬君 作付反別の増減の許可というようなことについて、農林省はどのぐらいな範囲でタッチしておりますか。
  39. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) これはもっぱら専売公社のタバコの製造計画とも関連いたしておりまするので、農林省は具体的にはタッチいたしておりません。
  40. 木下友敬

    ○木下友敬君 そうしますと、その一つの畑を見ても、麦の生産に充てる場合と、タバコに充てる場合というのは、それは耕作者の自由に——まあタバコを作ることについては専売局との関係がございましょうが、その人がタバコを作ろうと、麦を作ろうと、農林省としては何も関知するところではないというようなことなんですか。
  41. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 全然無関心ということではございませんが、作付をどれだけやるかということは個々の農家の自主的な判断にまかせられておるのでございます。ただ、タバコとほかの作物と競合するというようなことは、価格の問題としていろいろ問題がある場合がございます。そういう面もございますので、専売公社のほうとしては、価格の算定方式等において、農林省がとっておる算定方式をまあできるだけ同じような方式で算定する、そういうような配慮を加えられておるのであります。場合によっては農林省から必要な意見を専売公社のほうへ出すというようなことも行なわれております。
  42. 木下友敬

    ○木下友敬君 私は実は心配したのです。ああいう耕作地にタバコを栽培するということについて、専売公社のほうにほとんどの仕事がまかされてあって、農林省はこれにタッチしなさ過ぎてはいないかということを心配していましたが、今のお話だと、別にタッチしなくても、他の食糧農産物等との関係について何もあなたのほうでお困りになることはないわけなんですね。そうなると私ら安心していいわけですけれども食糧農産物の生産にタバコとの競合がありやしないか、こういうふうなことを考えたのですが、それはないですね。
  43. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 今のところ、まあ食糧の生産に支障があるというほどの問題はないのでございます。がしかし、先ほども一申し上げましたように、タバコの引き取り価格というようなものは、これはやはり競合関係にある作物に対して重要な関係を持っておりますから、それらの点につきましては、農林省も十分関心を持って対処しておるのでございます。
  44. 木下友敬

    ○木下友敬君 わかりました。  それからもう一つ。沿岸の埋め立て等が行なわれたような場合における補償ですね、これは相当大きな補償が出されている。個々の数字を出さんであまり大まかな話ですが、私ども普通に考える場合よりか非常に一般に補償の額が大きいように思う。たとえばダムを作る場合の林業者、あるいは農業者の補償の場合よりも——これは私有地である、私有地に対する補償の場合よりも、沿岸埋立地の場合はこれはまあ私有地でなくて公有水面である、ただ生活の根拠をそこに置いているということ、いわゆる地上権に当たるようなものですが、そのときの補償は非常に、ノリの生産者など、あるいは沿岸の魚介などを業としておるような人の補償が比較的非常に多額である。多額であるということは御当人たちにとってはこれはまあけっこうなことでしょうが、こういうのがほかのいろいろの場合に影響してくると思うのですが、あの算定の基礎となるようなものが数字があげられておるかどうか、あるいはそういうことはなくて、その個所々々で地方公共団体とかにそういうことがまかされてあるかどうか、これをひとつ承りたい。
  45. 堀直治

    説明員(堀直治君) 沿岸漁業の埋め立て、干拓その他の場合におきます補償の算定のことについての御質問でございますが、漁業のほうの補償は、やはり過去数カ年にわたりまして生産高の調べをいたしまして、その生産高によりましてこれを永久補償いたすわけでございますから、いろいろ算定方式がございますが、その方式に従って出しているというのが現状でございます。山林あるいは田畑と比較いたしまして比較的高いという感じを受けますが、これは最近ノリとかあるいはその他のものが比較的高値でございまして、非常に収獲が大きい。そのためにその生産高によります算定額が大きくなるということが一番大きな原因になっております。
  46. 木下友敬

    ○木下友敬君 私は沿岸漁業、そういうノリの生産者なども含めて、そういう方々が永久にそこの職場を失うわけですから、たくさん補償してあげる、なるべくたくさんあげるということは、これはけっこうなことだろうと思うのです。ただ、今の沿岸漁業が非常に不振であって、こんなに魚がとれなければ、いっそこの辺は埋め立ててもらおうとか、あるいは防衛庁のレーダーの基地になって補償金をもらっておったほうがまだましだという声を聞くことがある。これはそういうようなことを言い出すのは本心であるかどうかは別として、そろばんの上からいえばそのほうがいいのかもしれませんが、一つのその人の生業という立場を守ってやるという国の気持からしますならば、業者にそういう意欲のない考え方を持たすということは、私はそこに政治の弱さがあるのじゃないか、もっと自分の生業を守っていくということに熱意を持つような施策を考えなければならない。埋め立ててもらったほうがまだましだ、あるいは近くに地下鉄でも通って、家が買収されたら、どこでも逃げていくのだという、それに類したようなことを、生業を営んでいる人が自分の職業を転換していくということに安易な考えを持つような政治には私は欠陥があると、こう思うのでお尋ねをしたわけでございまして、農林漁業の施策全般において、そういう面について特段の御配慮が願いたいということを申し述べまして、私の質問を終わります。
  47. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 農業共済保険のことでちょっとお尋ねいたしますが、農業共済保険特別会計経理内容はどういうふうになっていますか。それをちょっと聞きたいのですが……。
  48. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) ただいまの御質問の経理内容というのは、いろいろの経理の構成とか……。
  49. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 収支の内容についてちょっと……。現在の状態です。
  50. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 数字は後ほど申し上げますが、最近におきまして農業共済保険特別会計の収支は、言い方は適当でないかとも思いまするが、漸次好転しておると申し上げていいかと思います。と申しますのは、実はこのところ年々災害が割合に少ないのでございます。その結果として収支の面では剰余があるという状況でございまして、今これがいいとか悪いとかいう言い方は適当でないかと思いまするが、そういった面で黒字が出るという状況でございます。
  51. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 大体でいいですが、たとえば昨年度あるいは一昨年度、どういうふうな収支状態ですか。
  52. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 三十四年で申し上げますると、再保険料の収入は七十九億二千六百八十一万三千円でございますが、支払い再保険金が、今度は支出でございますが、五十八億五千九百四十七万五千円、過不足額としましては二十億六千七百三十三万八千円、これが余っているのでございます。
  53. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 現在はどうなっておりますか、わかりませんか。
  54. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 決算が出ております三十五年度で申し上げますと、再保険料の収入が八十三億二千九百八十九万九千円、これに対しまして支払い再保険金が三十二億三千三百三十八万九千円、差し引き五十億九千六百五十一万円、これが剰余となっております。
  55. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 そこで伺いますが、そうしますと、昭和三十四年度会計検査院指摘に対する国会説明書が出ている内容からみまして、制度そのものに問題があるので、毎年々々会計検査院から大体同じような指摘を受けているけれども、その制度を今後改めようということで、いろいろな調査会なり協議会なりができて検討もしてもらっているのだ、その結果がこの前の国会に提案された農業災害補償法の一部改正で、これは継続審議になって、本国会で上がるか上がらぬかのどたんばにきている。こういうふうに法律が変われば大体農民が納得するような結果になるかどうか、私はここに問題があると思うのですよ。そこで非常にまだるっこいことを聞いているのですけれども、大体三十五年度決算で五十億くらい特別会計で剰余金が出るということは、この制度が変われば、五十億というものの全部ではないけれども、大多数のものは末端町村で積み立てられる、場合によっては無事戻しに変わっていくのだ、こういうふうに解釈してよろしいものですか。その辺をちょっと……。
  56. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 今の谷口先生の御指摘は、今度の改正法律案におきまして、通常災害について末端の組合に責任を大部分まかせるという方式をとります結果、末端に支払われる掛金が多くなって、その結果として中央の特別会計の黒字が末端に積み立てられるのではないかというお話かと思いますけれども、そういう面が全然ないとは言い切れないかと思いまするが、むしろ現在出ております黒字は災害発生は少ない——御承知のように保険の設計は長期にわたる均衡をもって料率を計算しておりますので、一定の年間黒字が出ましても、その後大災害が続きますると、今度は赤字になるというようなことでございまして、現在の黒字がそのまま末端に移るということとはちょっと問題が違っておるのであります。
  57. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 そうしますと、今後どういうことになっていくのですか。たとえば過去において非常に災害が少なかった地帯の農民には、今改めようとしている制度のほうが喜ばれるのではなかろうか、こういうふうなことが大体考えられるのですが、そうしますと、災害が今度は反対に多いところの地帯では、やはり従前と同じようなことがある。私があると申し上げておるのは、会計検査院が毎年々々同じようなことを指摘しておりますから、この指摘事項が皆無になるようなことを前提とし、それを理想として今度の制度を改正しようとしておる。ところが、今あなたの御説明によりますと、災害がないから三十五年度決算が五十億くらい余るのだが、一たん相当災害があればこんなものは一応特別会計に組んであるけれども、いつ流れ出るかわからない、まあ私もそうだろうと思いますよ。しかしながら今度制度を変えれば末端の農家から非常に愛される共済になるのだと、こういうふうな説明がつくかどうかに問題があるかと思うのですが、その辺どうなんですかね、知らないから聞いておるのですがね。
  58. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) ただいま御指摘になりました点は、むしろ今までの保険設計が県単位に被害を算定しまして、その県単位の被害率を末端の組合に配分するというようなやり方をとっておりましたために、同じ県内でも被害率の高い組合と低い組合があるわけでございますが、そのために現行の制度では被害の少ないところにも掛金がよけいかかる、農家負担もかかるということで、低被害地において不満が相当起きたというようなことから出てくる問題が大きな問題だと考えておるのであります。それを今度の改正法律案におきましては、県ごとに被害率を算定する方式を末端までおろしまして、末端の組合ごとに被害率を算定する、大体その村の被害率に応じた料率を算定するという方式に変えておるのでございます。したがって、同じ県内で被害率の低い村、低被害の村においては農家の掛金負担はそれだけ少なくなるということで、農家の負担はその被害に応じた掛金の負担になる。したがって、現在までの低被害地における不満はこれによって相当解消される、こういうように考えておるのでございます。
  59. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 大体会計検査院が毎年指摘しております批難事項を一つ一つ検討し、区分してみますと、検査院のいうように、未済の掛金とかあるいは賦課金に充てているのだ。今度制度を改めれば、未済の賦課金とかあるいは掛金とかというものに充てるような、こういう指摘事項はなくなるという見込みですか。その辺はどうなんですか。
  60. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 今お話のありましたような事実がひんぱんに起きまして御指摘を受けておることは非常に残念でございまするが、今度の改正を行ないますと、今申し上げましたように、被害率に応じた掛金負担を農家にしてもらうわけでございますから、今までのように低被害地において掛け捨てになる、これではとてもたまらぬ、もう掛金は出さない、賦課金も出さないというような気分は相当に緩和されるのではないかと思います。したがいまして、そのために実際には災害が起きないのに、災害が起こった以上の被害を申告して金をもらう、それをもって掛金負担に振りかえる、あるいは実際にもらった支払い共済金を掛金とか賦課金と相殺するというようなやり方は、これによって大幅に減るのではないかというふうに考えるのでございます。  それからもう一つ、今度の改正法律案におきましては、末端に通常災害の責任をおろします。今までは連合会が大部分持っておったわけですが、末端の組合におろす結果として末端でその部分を留保いたします。で、災害が少なくて余った場合は、それには末端の組合に積み立てておきまして、今の制度のように、その金がほかの地区の災害の金に充てられるというような形にならないようにいたしております。もしもそれが相当に積み立てられた場合には、無事戻し金に充てるというようなことを考えておりますので、その面からも農家が掛金なり賦課金を支払うにあまりいやな感じを持たずにやれるような制度になるのではないか、かように考えておるのでございます。
  61. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 どうも割り切れないようなものがあるのですがね、過去においてもそうだし、将来においてもそうなんだけれども、ほとんど被害のなかった地帯の農家はそれで私は納得がいくように思うのです。そっちのほうに無事戻しとかあるいは違った形でおろされ、あるいは戻されていく、今度は割り方災害の多い地帯の農家が同じ掛金を、掛金の率は違うにしても掛けている。それが県を通じあるいは政府のほうに補てんされてくる。ところが今度事業団は、あるいはつぶすかもしれないというような空気が衆議院にもあるようですが、そうすると特別会計は残るわけでありますが、その影響が特別会計にどういうふうに現われてくるものであろうか、その辺はよくわからないのですが、どうなんですか。
  62. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 特別会計の収支につきましては、設計が先ほど申し上げましたように基本的に変わるのでありますが、大体において国庫負担を現在において三分の二程度行なっておりますが、その国庫負担程度のものを今後も続けるものとしまして、現在の被害率に応じて高い被害の村に対しては高い料率を、低い村については低い料率をというように設計いたしまして、これが一応は紙上設計で——データをもってやっておりますけれども、紙上の設計でありますから、ぴたりと今までのように合うかどうかわかりませんが、大体において従来と同じように長期均衡の形でいくように設計いたすのでございます。
  63. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 会計検査院にお尋ねいたしますが、あなた方の毎年——たとえば三十四年の報告によりましても、宮城県ほか七府県の七十一農業共済組合を調査した、そのうちに共済金経理当を得ないと認められるものが二十九組合ある。大体四〇%ですね。この会計検査院とされて毎年御苦労なんですが、こういうことを調べるのだが、結局は指摘されてこれはいけないぞとおっしゃる前に、かような経理当を得ないようなことがないように、やはり防止することが私は好ましいと思うのですがね。そういう面からして、今度制度を改めることによって、幾らかこういう問題は解消されるものだと会計検査院ではごらんになりますか。これは自分たちの権限外のことだから知ったことじゃないとおっしゃるのか、その辺どうですか。
  64. 宇ノ沢智雄

    説明員(宇ノ沢智雄君) ただいまの谷口先生の御質問ですが、非常にむずかしい問題でして、先ほどから農林当局のほうから、いろいろ従来この制度運営がうまくいかなかった、その原因として非常に損害率の把握が困難であるとか、あるいは無被害地のものは掛金が掛け捨てになる、その他今まで識者あるいはわれわれが見ました印刷物の中に、この制度についていろいろな欠陥——こういう欠陥があるということをいろいろ言われておるところでして、今度の法律改正なりあるいは事業団がどういうふうになりますかわかりませんが、それによってこうした不当事項発生の原因が防げるだろうかどうかというような点については、まだそこまで実は研究いたしておりません。おそらく例年こうして私ども指摘して参りまして、農林省におかれましても、これに対するいろんな補償制度協議会とか、その他いろんな会合を持たれまして研究されておることでございまするから、さだめしそういう制度ができますればこうした不当事項も少なくなるのじゃないか、そういうことをわれわれは期待しておるわけでございます。
  65. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 これは農林省のほうにお尋ねいたしますが、大体昭和三十七年度予算に十六億ふえたと思います。事務費の補助金は四十四億ぐらいになっておると思う。これはあの法律が通りますともっとやはり、大蔵省が何と言ったって、建前からすればあの法律ではやはりその事務費の全額国庫負担、県連においてもそのとおりだというようなことになって参ると思う。それは私はそれだけ農民の負担が減ることだからけっこうだと思います。思いますが、そうすれば、事務費を全額国庫負担にする、県連の場合もそのとおりしなさいと言う反面に、制度外の任意共済もやっておる。ここになお国庫がそういう経費を負担してやらなければならないかどうかというところに僕は問題があると思う。農林省はどうお考えですか。
  66. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 任意共済事業は連合会におきましても別途に経理させるようにいたしております。国がそのほうに対して負担をするというようなことはないようにいたしておるのでございまして、むしろ任意共済事務による収益によって連合会の運営がかえってよくなっておるというような状態も出ておるのでございますが、いずれにしましても、任意共済事業は、たとえば災害発生は一年間ずっとあるわけでもございませんので、職員の比較的ひまな期間に活用して、それによって事業の成果を上げるというようないい面がございますので、これを一挙に廃止したりあるいは大幅に減らすというようなことはなかなか困難ではなかろうか、かように考えております。
  67. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 現在でも別途の経理の方法によっておるのですか。
  68. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) そうでございます。
  69. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 会計検査院のほうでもそれはお認めいただいておりますか。任意共済に対する経理は別途行なわれているのだという農林省側の答弁ですが、会計検査院が共済組合を検査されます場合に、経理は別途になっておりますか。会計検査院にお尋ねいたします。もう一度申し上げます。こういう例なんですよ。農業災害補償法による保険業務以外に、別途任意に保険をやっておるのです、この共済組合が。一例をあげますと、建物厚生共済というものをやっておる。もちろんこの掛金をもらい、手数料が出ます。それを今農林省のお答えでは、今後はこの法律が、相当共済事業には有利な法律を今作ろうとしていて、衆議院では今明日あたりに上がるかもしれないという段階になってきておる。その際に、ほとんど将来は事務費というものは全額国庫負担にするのだ、こういう建前をとっておる。そこで国家が事務費の全額を負担するにもかかわらず、なお任意共済をやるというのはおかしいじゃないか。やはり制度によるそれ一本でいかれるほうがすっきりしやせぬかという私の考え方でお尋ねしているんです。ところが農林省のほうに承りますと、いや、それは経理は別途やっておるんだからかまわないんだ、むしろそっちから剰余金を生んで、足りない経費その他を埋めているんだから、こういうふうな答弁のように私には聞かれる。ところが、実際検査の衝に当たっておられる会計検査院が共済組合を検査された場合に、経理は別途に行なわれておるということの確証があるかどうかを会計検査院に私は聞いておる。あったらその事例をひとつ御説明願いたいと思う。
  70. 宇ノ沢智雄

    説明員(宇ノ沢智雄君) ただいまの御質問ですが、後日よく調査いたしまして——今ちゃっとここでそういうものが具体的にあるかどうかということを私存じておりませんので、調査いたしまして御報告申し上げます。
  71. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 あなたでなくても、事実検査に当たっておられる人がおられると思うのです。今明日法律は上がろうとしておる。しかもこれが任意共済の問題でごたごたしている。これが何かすっきりしないことにはちょっと困る問題があるんです。だから急いで何か出ますか、きょうでも。
  72. 宇ノ沢智雄

    説明員(宇ノ沢智雄君) 今の谷口先生の御質問、急いで調査いたしまして、今日中にでもその具体的な例がありますれば御報告申し上げます。
  73. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 最後ですが、これは会計検査院のほうから出していただきたいんですが、何県の何という町村のどこではこういうことをやっていてこういう経理が行なわれていると、農林省のおっしゃるようなことが知りたい。ないということになれば、これは今後お互いに研究していかなければならない問題になりますから、どうかひとつ正直なところを、会計検査院だから何もないとは思いますけれども、御調査なさった真実のものを知りたい、ぜひともよろしくお願いいたします。
  74. 佐藤芳男

    理事佐藤芳男君) 林田水産庁漁政部長に申し上げますが、農林省部内からすでにお聞き及びであろうと思いますが、先刻木下委員より沿岸漁業の不振の原因について御質疑があったのでありまするが、これについてお答え願いたいと思います。
  75. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 沿岸漁業の不振につきましてはいろいろ原因があるわけでございまするが、特に最近産業が発達して参りまして、あるいは都市が発達するというふうなことで、工場の汚水とかあるいわ汚濁物が海へ流れ込みまして、魚の孵卵場がおかされるとか、あるいは海草の繁殖に影響があるとか、そういうふうなことによりまして資源に悪影響が及んでおるというふうなことも一つの原因でございます。  それから特に沿岸漁業の不振といたしましては、やはり沿岸漁業者の数が多い、しかも資源が、沿岸漁業資源としましてはふえていかない。むしろ減少傾向にあるというふうなことによりまして、生産性が上がっていかない。他の産業は生産性が上がり、所得がふえて参りまするが、沿岸漁業は停滞しておるというふうなことが主たる原因になっております。それからそういうふうに、資源の上で悪影響が他の産業から出てくるほかに、沿岸漁業としましてはやはり漁業内部の問題がございまして、漁業内部の問題としましては、たとえば御承知の底びきの問題だとか、あるいはまき網の問題とか、そういうものがあるわけでございまするが、そういう漁業内部の調整はたとえば沿岸から六海里あるいは十二海里あたりを区切りまして、その中ではまき網をやったり、あるいは底びきをやったりしてはいかぬというようなこともやっておるような次第でございます。  それから最近沿岸漁業におきましては、そういう魚類の点におきましていろいろ問題が生じておりまするので、特に養殖漁業を進めて参るということによりまして、一方沿岸漁業内部におきましては養殖漁業が進んできておるという状況でございます。
  76. 木下友敬

    ○木下友敬君 今の中で四つばかり原因を話されましたが、たとえば工場の汚水というような、こういうものが大きな原因になっております。ですけれども、これは工場のあるような場所のことでございまして一般的なものではない。中の一つのファクターにはなるだろうと思うのです。それで工場汚水の場合のようなものはいろいろなケースがあって、そのケース、ケースで処置がなされているわけですから、たとえばこれは九州の水俣病などのような、ああいう有名な場合もありますが、その場合々々に処置されているということでございますが、それから漁業内部の問題では、やや大型の船が沿岸に近いところを荒らすということ、これが資源を少なくするということの原因にむしろなっているのだと思いますが、これは当局のほうでどちらかといえば割合に是正していくことの可能なものだろうと思うのです。養殖の問題というものは、これはいろいろもっとやらなければいけないと思う。漁業だけは天然だけにたよっておって自然にできたものをとるというものは虫がよすぎるのであって、これはもっと私は十分にやっていきたいと思うのです。  ただ一つ私が最後にお願いしておきたいのは、業者が多過ぎるという判断ですね、ただ多いのだといえば、今あなた方の農林省の所管の中の農業者、これも多いというわけですが、年々その率は幾らですか、四、五%は自然に減っていっているように思うのです。漁業者もだんだんその数においては減っていると思う、一体どれくらい減っているか。そうして水産庁としては減るのは自然に淘汰されていくのを待った形であるのか、何か指導方針を持っておられるのかどうか、その点をひとつお尋ねしておきます。
  77. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 沿岸漁業漁業者の減り方は今まで毎年二%くらい減ってきておったわけであります。ところが、最近になりましてその率は非常に多くなっているのじゃないかと思っております。と申しまするのは、沿岸漁業では割合漁業者は多いのですが、沖合漁業あるいは遠洋漁業の基地の港におきましては、すでに乗組員が、出港しようというときに間に合わないというような状況になっている次第でございまして、したがまいして、私たちとしましては、この沿岸漁業者を、一方におきましては最も資質のいい者を確保していくということを考えているわけでございます。そのためには、漁業の改良普及制度を助長して参りまして、これによりまして資質を向上していくということを一方においてやっております。しかしながら一方におきましては、その人の素質に応じまして他の適当な産業に就職していくということも助長することにしておりまして、労働省と相はかりまして、成るべく漁村の近くに職業訓練所も設けてもらうというようなこともやっておりまするし、あるいはまた、漁業協同組合を中心にしまして登録制度をとりまして、どういう職業に転じたいかというようなこともその登録によりまして発見しまして、それに応じた訓練をやっていくとか、いろいろそういうことも現在行ないつつあるわけでございます。そういうことによりまして今後におきましてはできるだけ沖合とか遠洋のほうへも転じてもらう、それから漁業以外にも転じてもらう、それからまた、先生のおっしゃいましたように、養殖漁業を沿岸漁業としましては非常に重要視しておりまして、ことしから漁業の構造改善事業というものに着手することにしているわけですが、その大きなものはノリの養殖場を三倍程度にふやしていくとか、あるいは魚類養殖をうんとふやしまして、また魚類養殖のためには一方におきましては研究所を設けまして人工受精もできるようにしていくということによりまして飛躍的な養殖の促進をはっていきたい、こういうことを考えていろいろな施策を講じているわけでございます。
  78. 木下友敬

    ○木下友敬君 二つほどありますが、まとめてお尋ねしておきます。他産業に変わっていく−二%あるいは昨年度なんかあるいは三%ぐらい、だんだん減っていっていると思うのですが、ほかの産業に変わっていく、あるいは職業補導とかというようなところで訓練して、ほかに回わすというような場合には、おそらく若い連中が多いだろう、ほとんど若い連中であろう。そうすると残るのは、それはもうわかり切ったことですが、農業の場合でもそうですが、年寄りが残っていく、女が残っていくということになるんですね。そうすると、実際の能率、生産高というようなことからすれば、沿岸漁業はそういう点でますます悪くなっていくということだろうと思う。だから今のように、人手が不足だという時代ですから、ただほかの職業に変えていくのだということだけでは、ほんとうの意味の沿岸漁業者を助けていくことにならないと思う。私自体が、それならどうすればいいかという成案は考えてはおらない。しかし、水産庁としては、そこに何か考えがあると思う。年寄りだけでやっていけるようなことがあるかどうか。そうしてなお、その年寄り一代で沿岸漁業というものがつぶれていくことをただ期待しておるだけというのも何かおかしなものだと思いますが、これに対する対策が何かあるかどうか。  それともう一つは、漁業の共同化というものがどの程度進んでおるか、これをお尋ねするわけです。その二つをひっくるめて御答弁をいただいて、私の質問をやめたいと思います。
  79. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 漁業労働の実情にはなかなか複雑なものがございまして、仰せになりまするように、若い者はほとんど外へ出て行ってしまうわけでございます。しかしながら、遠洋漁業とかあるいは沖合漁業に壮年まで従事しまして、老年になって参るということになりますると、そういう人は沿岸漁業へ再び帰ってくるわけでございます。したがって、沿岸漁業者は比較的老人が多くなるというようなことになりつつあるわけでございます。したがいまして、そういう老人層に対しましては、釣漁業とかあるいは海草の漁業、それから養殖漁業を進めて参るということにしておるわけでございます。それで、構造改善の一環といたしまして、投石と申しまして海岸に石を投げ入れまして、そこに海草をつかせるということをやっておるわけでございます。それからまた魚礁を入れまして、そこに魚が集まってくるようにする、こういうことによりまして沿岸漁業は割合高級な魚がとれます。魚礁を入れて魚を集めますると、高級な魚が割合とれ、漁業もそこでよくなっていくということができるようになってきます。老人漁業はそういうことで育てていくということにいたしておるわけでございます。そうして、若い者の労働力としましては、沖合、遠洋のほうへ進めていく、こういうふうな考えを持っております。  漁業の共同化としましては、漁業協同組合、特に漁業の自営という制度を設けておりまして、この漁業自営を進めまするために漁業権を優先的に漁業自営の協同組合に与える。たとえば区画漁業権にしましても、あるいは定置漁業権にしましても、この自営の協同組合に優先的に免許いたしまして、それから今回、漁業法の改正案を出しておるわけでございまするが、これにおきまして、新しい漁場で真珠をやっていこうといふうな場合には、そういう自営の協同組合には優先的に免許していくというようなことを考えておるわけでございます。この自営組合のほかに、生産組合という制度水産業協同組合法の中にやはりございまして、この生産組合は七人以上集まりましたならば、それで生産の共同化ができるということになっておりまして、この生産協同組合によりまする生産の共同化も相当進んで参っております。そのほかに、特に、今改正漁業法で考えておりまするのは、そういう漁民が相当数集まりまして、いわゆる漁民会社を作る。これは合名会社とか、合資会社とか、あるいは、有限会社というものを考えておりますが、そういう漁民会社を作りましたならば、それに漁業自営というものと同じように漁業権を優先的に免許するとか、あるいは漁業協同組合が出資いたしまして漁民会社を作るというようなケースも考えております。これも優先的に免許して参る、あるいは漁業許可の場合にもそういうものに相当考慮していくということにいたしまして、漁業生産の共同化ということを進めて参りたい、かような施策をとっておるわけであります。
  80. 木下友敬

    ○木下友敬君 今の最後の漁業の共同化という問題で漁民会社というものを作る、それは構想ですか、何かもうまとまったものが、実施されるまぎわまできているというのですか、それをひとつ。
  81. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) これは単なる構想ではなくて、現在漁業法の改正法案をこの国会に出しておりましてその中に盛り込んでおるわけでございます。
  82. 佐藤芳男

    理事佐藤芳男君) この際、宇ノ沢会計検査院第四局長に申し上げます。任意共済保険の経営状況についての谷口委員質疑に対する御回答は、でき得るだけすみやかに文書をもって提出せられんことを望みます。  ほかに御質疑もないようですから、昭和三十四年度決算中、農林省農林漁業金融公庫関係質疑はこれをもって終了いたします。  次会は、四月三十日、運輸省、国有鉄道関係質疑を行ないます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十二分散会