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1962-05-07 第40回国会 参議院 外務委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年五月七日(月曜日)    午前十時二十一分開会   —————————————   委員異動 五月四日委員村山道雄君、吉武恵市 君、三木與吉郎君、戸叶武君及び田畑 金光君辞任につき、その補欠として永 野護君、笹森順造君、野村吉三郎君、 佐多忠隆君及び曾祢益君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     井上 清一君    理事            青柳 秀夫君            鹿島守之助君            木内 四郎君            大和 与一君    委員            草葉 隆圓君            杉原 荒太君            苫米地英俊君            永野  護君            堀木 鎌三君            山本  杉君            加藤シヅエ君            佐多 忠隆君            羽生 三七君            森 元治郎君            佐藤 尚武君   国務大臣    外 務 大 臣 小坂善太郎君   政府委員    外務政務次官  川村善八郎君    外務省経済局経    済協力部長   甲斐文比古君    外務省条約局長 中川  融君    外務省移住局長 高木 廣一君    運輸省航空局長 今井 榮文君   事務局側    常任委員会専門    員       結城司郎次君   —————————————   本日の会議に付した案件海外技術協力事業団法案内閣提  出、衆議院送付) ○国際民間航空条約改正に関する議  定書締結について承認を求めるの  件(内閣提出衆議院送付) ○継続調査要求に関する件 ○ドミニカ国ネイバ地区引揚者救援に  関する請願(第五九七号)(第五九  八号)(第六三〇号)(第六四四  号)(第八一一号)(第八四三号)  (第九一四号)(第九四〇号)(第  九四一号)(第九五三号)(第一〇  七四号)(第一二二一号)(第一二  二二号)(第一二二三号)(第一二  九五号)(第一二九六号)(第一三  一七号) ○ドミニカ国ハラバコア地区引揚者救  援に関する請願(第一〇五六号)  (第一一三五号) ○ドミニカ共和国引揚者救援に関する  請願(第二二七四号) ○核実験反対に関する請願(第二〇五  六号) ○クリスマス島海域における核実験阻  止等に関する請願(第三四四三号) ○核兵器実験停止協定成立促進に関す  る請願(第三五六二号) ○世界の軍備全廃促進に関する請願  (第一二九七号)(第一三五三号)  (第一六六五号)(第二〇八七号) ○軍備全廃に関する請願(第二〇五七  号) ○完全軍縮実現等に関する請願(第三  五一二号)(第三五一三号)(第三  五一四号) ○核戦争反対等に関する請願(第三二  八七号)(第三二八八号)(第三三  八〇号)(第三四六五号) ○各国民族共存共栄に関する請願(第  四四九号)(第八四二号)(第一三  二三号) ○沖繩日本本土復帰促進に関する請  願(第二六〇五号) ○沖繩即時日本復帰に関する請願  (第三五一七号) ○国連の植民地廃止宣言即時実施に関  する請願(第四八号) ○北方領土等日本固有領土日本帰復  促進に関する請願(第二六〇六号) ○日朝友好国民三百名使節団朝鮮民  主主義人民共和国訪問のための旅券  交付に関する請願(第三七七号)  (第一二九八号)(第一三五六号)  (第一三七〇号)(第一四二三号)  (第一五二四号)(第一五八七号)  (第一六〇一号)(第一七八一号)  (第一八二四号)(第一八九〇号)  (第一九二六号)(第二一六一号)  (第二一九八号)(第二五一九号)  (第三二八六号)(第三六〇四号) ○日韓会談即時打切りに関する請願  (第八二六号)(第八八五号)(第  九一三号)(第一〇〇五号)(第一  〇五七号)(第一〇五八号)(第一  〇五九号)(第一〇六〇号)(第一  七〇六号)(第二五八九号)(第三  二四五号)(第三三四六号) ○日中国交回復等に関する請願(第三  五六一号) ○ガリオア・エロア、タイ特別円の両  協定全面的破棄等に関する請願(第  二八一三号)(第三五一〇号) ○ILO条約第八十七号批准促進に関  する請願(第三〇九二号) ○ILO条約第八十七号即時批准等に  関する請願(第三五六〇号) ○米国向け輸出綿製品に対する賦課金  制度実施反対請願(第八八七号) ○箱根町畑引山国際会議場建設の請  願(第四九号) ○アジアアフリカ地域在外公館整  備拡充に関する請願(第一三七九  号)(第一五三八号)   —————————————
  2. 井上清一

    委員長井上清一君) ただいまから外務委員会開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る四日、戸叶武君、村山道雄君、吉武恵市君、三木與吉郎君及び田畑金光君が辞任され、その補欠として佐多忠降君、永野護君、笹森順造君、野村吉三郎君及び曾祢益君がそれぞれ選任されました。   —————————————
  3. 井上清一

    委員長井上清一君) 海外技術協力事業団法案国際民間航空条約改正に関する議定書締結について承認を求めるの件、以上衆議院送付の両案件を便宜一括して議題にいたします。  民間航空条約につきましては、昨日衆議院から送付されまして本付託になりましたので、念のため申し上げます。  なお、本件につきましては予備審査中に提案理由及び補足説明を聴取し質疑を行なって参りましたが、さらに引き続き質疑を行ないたいと存じます。  それでは、両案件につきまして御質疑のおありの方は順次御発言をお願いいたします。
  4. 大和与一

    大和与一君 質問は簡潔にしますから、答えるほうも要点だけ言うようにして下さい。  第一は、海外移住振興会社、これは残るわけでしょう。それとの関係
  5. 甲斐文比古

    政府委員甲斐文比古君) 全然別個のものとして、この事業団は発足いたします。
  6. 大和与一

    大和与一君 そうすると、初めの考え方一つにするという考え方に立っておるのに、それだけを別にしなければならないというおもな理由はどうですか。
  7. 甲斐文比古

    政府委員甲斐文比古君) 移住問題は、若干技術移民ということで技術協力関連はいたしますが、まあ技術協力だけではございませんので、むしろ移住問題というのは技術協力以前からある問題でございますので、この際、やはり別個に考えております。
  8. 大和与一

    大和与一君 そうすると、考え方としては今までのいろいろアンバランスのやつをまとめること、まあいい意味においてね、よくしようというのだから、それでは海外移住振興会社が残るということは、それがワク外にはずれて、非常に複雑であって、内容もたくさんある。しかし、それだからといって、これはいいかげんじゃ困ります。この前の委員会でだいぶ質問しましたが、海外移住振興会社について十分指導というか、監査というか、そういう点は適切にやらぬと、今までだいぶ問題が起こっているんだから、その点十分配慮されるという言明はできますか。
  9. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) ごもっともなお話だと存じます。移住振興会社ができます当時の国内の審議状況等を見ますと、やはり当時の状況を反映いたしまして、非常に安易に移住問題を考えておりまして、何か金利のさやでもって移住振興会社が運営できるというふうな非常に簡単な考え方を、政府が当時としてはしているわけでございます。なお、移住振興会社が土地を持つということ、そのことは定款には実はないのでございます。そういうこと等は、いろいろ状況の変化において考えなければならぬ点がたくさん出てくるだろうと思いますので、十分御趣旨に沿うてわれわれとしても努力をして参りたい、かように考えております。
  10. 大和与一

    大和与一君 大臣が来られたので、ちょっと違う話になるのですが、吉田ケネディ会談けさ新聞に出ている。羽生委員からも、先般核実験反対として具体的な御提案を含めた質問があったと思うのです。たとえば特使を送るとか、いろいろあったと思うんですが、吉田さんに何か、せっかくいいときに行ったんだから、どういう秘策を授けたのか、あるいはまた、それは別として、きょうまで何か具体的におやりになった事実をおっしゃっていただきたいと思います。
  11. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 実は、吉田さんの行かれるにつきまして、われわれのほうから特別に何か指示をしたということはいたしておりません。核実験の問題につきましては、われわれといたしまして、これはきょう実は後刻に河上委員長の御質問がありますので、そのときにお答えしようと思っていることがあるのでございますけれども、せっかくの御質問で、それを答えぬわけにもいかぬという気もしますが、いかがですか。
  12. 大和与一

    大和与一君 それじゃいいです。  もう一つは、吉田ケネディ会談で、日韓問題が何か書いてあるようですね、けさの読売新聞に。今までずいぶんこの日韓問題では、政府アメリカと、池田さんが行ったときも、あなたが行ったときも、当然話になっているはずだと思う。幾ら聞いても知らぬ、存ぜぬ、何もないとばかり言っておったんですが、吉田さんが行くと、フリーで行くんだから、いろいろな話をしておると思いますが、これはアメリカから、日韓問題についてはやはり同じように、ぜひとも韓国については何とかしてやらなければいかぬ、だから、日本物心両面にわたる積極的な援助をしてもらわなければ困る、それであるいは、そういう普遍的に言うと、ガリ・タイの問題ともからんでいるんじゃないかと思うのですけれども、その線はどうなんですかね。実際のところ、アメリカ日本アメリカ韓国に対する態度、それを日本が必ずしもアメリカさんの意のままにはならぬけれども、日本独自の立場はありますけれども、やはり相当アメリカからは、韓国の問題は彼らの立場からも強く言われている、こういうふうなことが実際に今まで何べんもあるのじゃないかと思いますが。
  13. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) アメリカとして非常に韓国の問題を心配しているということは、そのとおりでございます。しかし、韓国自身としても、アメリカに言われて日本との間に話をするということは望まないだろうと思っております。われわれとしては、非常に近いことでもございますし、その国が繁栄してくれるということは、われわれ自身のためにもいいことです。韓国の平和、安定、繁栄ということについてもわれわれ自身立場からも考えなければならぬというふうに考えております。アメリカに言われるからどうこうということとは私ども思っておらぬと思います。しかし、言いますれば、日韓関係をもっと正常化できぬもぬじゃろうかというようなことは、向こうは言っておると思います。
  14. 大和与一

    大和与一君 そのときに、アメリカからは、お前のほうはこうしてくれ、こんなことは考えてくれないかという具体的な内容があったかないか。それから今度は、あなたのほうでも、国会じゃ、まだあまりきまっていないから言えない。——アメリカとしては、実はおれのほうは腹案としてはこういうものがある、そういうことを言ったりしているような気持が、これは憶測だけれども、あるのだけれども、そうでなければ、日韓問題はもっとすうすう、よくも悪くも、いかなければならぬと思うのだけれども、その辺はどうですかね。
  15. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) アメリカから、こういう具体的なことをしろというふうなことを言われたことは、今まで一度もございません。ただまあこの日韓問題というのは、国内的にもいろんな意見がございますので、そうなかなか簡単にはいかぬという程度のことは、私どもアメリカ要路者と話したことはあります。
  16. 大和与一

    大和与一君 それじゃあもう一つEECの問題で。  実は、これもアメリカが、日本になるべく不利益にならぬようにというふうな、そういう言い方をちょっと読売は書いているんですが、この点は、日本EECに対するいろんな勉強はしておられると思うんですが、それはやはりアメリカ関係があって、アメリカ影響が甚大であって、そのために日本経済というものに、このEECに対する対策にそんなに影響力があると、こういうふうに考えなくちゃならぬのですか。
  17. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 対EECの問題は、まあ私昨年から先方へ行ったりして、いろいろ構成国との間で話をしておりますが、非常に日本経済にとって大きな問題であろうと思います。アメリカEECとの間に関税引き下げをやるわけであります。そうしますと、日本との関係を今までどおりにしておきまして、EECとの間に非常に低関税の取引をしていくということになりますと、日本は除外されるわけであります。そういう意味で、アメリカ十分日本に対する関税引き下げの問題に対しても考えるし、それからそのEECアメリカとの関係を、やはり日本との関係にも及ぼしていくというふうに配慮されるという気持を持っておるというふうに私ども承知しておりますので、これは非常に大事なことで、やはり日本は対アメリカ、対ヨーロッパ貿易、これと非常に大きな関連があると思います。
  18. 羽生三七

    羽生三七君 私ちょっと関連して。  私ちょっとわからぬことが一つあるんですが、アメリカがこのEECに接近するという場合、加入するんではない、接近すると、そういう場合には、具体的にはどういう形をとるのでしょうか。その点一つ、私はちょっと飲み込めない点があるので。
  19. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) アメリカEEC加入ということはあり得ないと思うのであります。ただ、EECとしては、EECの今日の繁栄というものは、やはりアメリカのプレッシングによっておると、やはり戦後アメリカEEC各国に、戦後の打撃から立ち直るに際して、大きな援助をしたということを非常に多としているという気持を持っておるわけですね。そこで、EECアメリカが接近するということは、やはり関税面でいろいろな利益を与え合うと、そうしたコミュニケーションが非常に緊密になるということでございまして、別に形の上で何か別の統合ができると、そのようなことはないというふうに考えております。
  20. 羽生三七

    羽生三七君 そうすると、形の上で加入しなくとも、関税の上で、アメリカのみならず、どこの国でも、そういう一種加入国以外の国が、何らかの関税上の取りきめで、実質加入者と同じような利益に均霑するか、それに参加したと同じような形に実に実質上なれるような処置をとれることになるわけですか。
  21. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) いきなり関税というようなものをアメリカEECとの間に作るということは、私はないと思うのです。日本アメリカの場合は、御承知のように、最恵国待遇がございますから、アメリカEECとの間に関税引き下げれば、日本最恵国待遇でございますから、EECとの間にも関税引き下げができるということに、条約上の権利としては、一応の主張はできるわけでございます。しかし、それをやられたのでは困る、EECただ乗りは困るということでございます。それで、日本としても何がしかの関税上の引き下げ考える、自由貿易の方向に沿うて措置を考えていかなければならないけれども、全体をそのワクから外へ出そうということじゃなくて、そういう一つ引き下げムードの中へ日本を入れて考えていくと、こういう努力アメリカEEC国たちに説得する、こういう気持のようです。
  22. 大和与一

    大和与一君 これを広くアジア的に見て、イランのパーレビに会ったのですよ。そうしたらEECの問題でギリシァが入るかもしれない、アウトサイドで、トルコも入るかもしれない。おれのほうは入れない。日本のほうで考えてくれ、こういう話があったのですよ。日本立場からは、ヨーロッパEECに対する態度もあるけれども、アジアを含めた一種の観点が、見識がなくちゃいかぬと思うのですがね、その辺はお考えになっていますか。
  23. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) そういう点もいろいろ考慮いたしておりますのですけれども、アジアの地帯において共通する問題は、資本不足の問題ですね。それから各国いろいろ発展段階が違うということで、これはたとえば、EECであるとかEFTAであるとかいうものを作ったその国の関係と、若干違う点があると思います。もう一つあることは、非常に民族主義が強いということ、そういう点などを考慮しながら、やはりアジア日本としてそういうものを作っていくという考え方は、これはもう非常に精力的に研究しなければならぬ問題だと思う。ですから、OEECなんていう機構をエカフェの事務局長のウ・ニュンが考えて、どうかということを先般来やったことがあるわけです。しかし、この問題についても日本が入らなければ意味がないのだという気持を持っておる。ところが、日本としまして、これはあまりこっちから積極的に言いますと、また大東亜共栄圏焼き直し考えているというような誤解もまた与える点もございますので、この辺のタイミングはよろしくやらなければならぬかと思っておりますが、研究は十分して参りたいと思っております。
  24. 井上清一

    委員長井上清一君) 暫時休憩し、本会議休憩の間に再開いたしたいと存じます。    午前十時三十八分休憩    ————————    午前十一時五十四分開会
  25. 井上清一

    要員長井上清一君) 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。  事業団法案国際民間航空条約改正、両案件質疑を続行いたします。御質疑のおありの方は、順次御発言をお願いいたします。
  26. 大和与一

    大和与一君 ちょっと中断しましたけれどもも民間にこういう仕事をやらせるほうが役所よりもいいんじゃないか、こういう意見一つあると思うのです。逆に言うと、役所仕事一つ天下り人事とか、あるいはコマーシャル・ベースでないからあまり欲がないとか、それから仕事も一生懸命やらぬとか、こういう欠点があると思うのです。それを一応役所のほうで集約をしたということはどういうことか。  それからもう一つは、経済的侵略猜疑心がもうなくなったと思うのです。ここら辺のことを少し、大事なところだから、そういう裏づけは一体どういうふうにお考えになっているのか。
  27. 甲斐文比古

    政府委員甲斐文比古君) 技術協力仕事は、ただいま大和委員の御指摘のとおり、本来政府のやるべきことでございます。したがいまして、これをどういう形でやるかという場合に、まあ補助金を出してやるということも一つの方法でございますが、経済協力の場合と違って、技術協力はほとんど直接的なはね返りがないために、民間創意にまかしておくということは困難な状態でございます。したがいまして、全額政府委託費でやるというのが実情でございます。これは相当多額の委託費を扱う団体といたしましては、単なる社団法人とか任意団体では困るのでございまして、どうしてもやはり特殊法人的な性格のものにして、政府の監督を十分徹底いたしたいということでございます。
  28. 大和与一

    大和与一君 その役所仕事にするというのは、これに書いてあるのを読んだら、日本経済的侵略という印象を与えることを避けるためにということが書いてあるのですね。これは大臣に聞きたいのですけれども、それだから、一般的には日本経済的侵略というのはやはり疑心暗鬼というか、そういうことがあったわけだと思うのですが、それがとうとうなくなってきて、そういう心配は大体ないと、こういうふうに考えたからというふうにも書いてあるのですが、この辺の、それじゃ一体どういう点でそういう心配がない、こういう判断をされたのか、その辺をお聞きしたいわけです。
  29. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 戦後十六、七年たちまして、その年月の推移とともに、戦後の日本も変わっておりまするし、それに対する各国の認識というものも変わっておりまするが、日本として東南アジア各国相当賠償を支払っておるわけであります。賠償を実行するに際しての日本の誠実な態度、あるいは日本のサンプルの優秀さというようなものは、非常に高く評価されておるようでございますし、それから、やはり有色アジア人としまして、西欧——今まで非常に西欧諸国が高水準の工業国であるというふうに言いならされておったのが、日本というものが彼らに少しも劣らない高度の工業水準に達しておる、あるいはアジアの国として日本と緊密に交際して、そして日本の長所を学ぼうではないかという気持、それから日本人自身が変わってきて、かつてのような侵略的な軍隊もないし、それから考え方としても非常にリベラルになっておるというような点が、いろいろなおりに触れて認識されておるということが実感としてあるわけであります。ただ、過当競争のなせるわざで、非常に売り込み競争が活発になる余りに、ある程度の危惧を与える場面もなしとしないので、われわれとしてはそういうことをできるだけ押えるように努力したい、かように考えております。
  30. 大和与一

    大和与一君 それじゃ、かつては、戦前はそういうこともあったけれども、戦後になっては問題ないと、現在もそういうことはこの法案の中には髪の毛ほどもないと、それはもう断言をしてはばからない、したがって、具体的な問題については、相手国と十分折衝して、円満な話し合いのもとでこの事業を行なっていく、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  31. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 大和さんのおっしゃるとおりでございます。
  32. 大和与一

    大和与一君 それから、これに集約されるやつ、メコン川の開発でございますね、これはカンボジアベトナムだけでございますか。
  33. 甲斐文比古

    政府委員甲斐文比古君) メコン調査会のメンバーといたしましては、流域諸国でありますベトナムカンボジア、ラオス、タイ、この四ヵ国であります。
  34. 大和与一

    大和与一君 お次は、今度は役員ですが、会長、理事長というのは、これはどういう人がなるのでしょうか、大体。いわゆる天下り的じゃなくて、実力のある人がなるのでしょう。その辺を……。
  35. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 私どもとしましては、できるだけ創意、工夫を生かす、しかし政府責任においてやるのでありますから、厳正、公平な立場で物事を判断してもらう人を出したい、こう考えております。私ども今意中にございますのは、何といってもアジア協会が主になってこの事業団を持っているわけですから、小林中君を中心にしたいというような考え方で、なるたけ天下り人事を避けたいという気持であります。
  36. 大和与一

    大和与一君 次は運営審議会ですね、これが大事なんですが、これの委員十五名、約半分が役所関係になるのですけれども、その役所関係以外の人はどういう権威者が選ばれるのですか。
  37. 甲斐文比古

    政府委員甲斐文比古君) できるだけ関係方面の、たとえば一例を申しますれば、経団連であるとか、あるいは鉱業——マイニングのほうでございます。それからインダストリー、あるいは農業あるいは厚生、各方面団体代表者といいますか、各方面を代表されるような方で学識経験豊かな方を選びたいと考えております。
  38. 大和与一

    大和与一君 もう一ぺん念を押しておきたいのは、この前の委員会大臣が、たとえば移民問題にしても、なかなか外務、農林、建設ですね、そういう省間のいわばなわ張り争い、こういうものがやはりあることは否定できないけれども、おれが大臣である限りは間違いなくやると、いつまで大臣でおるかわからないが、しかし、そういうお話があった。これはやはり一つ事業団の、この法案にいわゆるそういうことも含めておかなければならぬと思うのです。その辺はやはりこれはなかなか口だけじゃいかぬので、移民のほうは相当はっきり大臣が言明したから、少し当てにしますが、このほうはあまり知らぬというのでは困るのですが、その辺は一体責任所在は明確であるか、これはよほど念を押して、あなたがほかの大臣とも十分相談してやはり確認して、天下にちゃんと責任所在を明確にしておかぬといけないと思うのです。その辺は、やはり新しい出発なんだから、幾ら念を押してもいいと思うので、その辺もう一ぺんお尋ねします。
  39. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) これは事業団を作る際に、実はいろいろないきさつがございまして、ことに通産関係との間にはかなりいろいろな議論がかわされたわけでござごいます。とにかく政府間ベースの経済協力事業に限るということになったわけでございますが、実は私個人の考えでございますし、今お話しのように、いつまで大臣をやっておるのか実はわからぬのでございますけれども、私として責任を持たされておる限りにおいては、私はうんと大きな規模のものに持っていくのがほんとうじゃないかという気がしております。現状においては、通産との間ははっきり区分をしておりますけれども、私はこの事業団を作るに際して、そういう人事が、そういう将来のことを見通しての人事ということが必要じゃないかと思うので、これはあくまで責任外務省で持ちますけれども、各省の関係の方も、外務省でやっておるのだから排除というようなことでなくて、十分有能な方をできるだけ迎えて、やはり国のやっていく経済協力事業の出発にふさわしい体制を整えたいというふうに思っている次第であります。
  40. 大和与一

    大和与一君 その通産省が三十七年度の予算で海外開発計画調査委託費、コンサルティング・サーベイ、これと海外技術センター、インドの西ベンガル州ですか、工業技術ご訓練センター、これは三十七年度の予算に認められておるというのですが、このことと今お話しのあった通産省との関係で、この事業団との間に混乱はないですか。これはもう全然別の話と考えていいですか。
  41. 甲斐文比古

    政府委員甲斐文比古君) この通産のほうにつきました海外開発のための調査委託費というのと、外務省にも同じような予算がついておりますので、ただいまの御質問のような疑念が当然起こるわけでございますが、この関係仕事は実は相当たくさん事業がございまして、今合わせて予算が一億一千万円でございますが、なかなか一億一千万では足りないわけでございます。まあ通産、外務できるだけ協調しまして、この予算を有効に使うようにやっていきたいというふうに考えておる次第でございます。  それからインドの技術センターが一ヵ所残っておりますが、これは実は盲腸のようなものでございまして、一つだけ通産省に残っている。今回これを統合したらどうかという話もあったわけでございますけれども、これは数年中にはインドのほうに移譲されるものでございまして、あまり通産、外務の間で取り合いをするのもどうかということで、今回は通産省に残してあるわけでございます。
  42. 大和与一

    大和与一君 形は通産省に残っても、全体やはり関連がある仕事であるから、責任所在外務省で持つ、こういう心がまえで、そうして近き将来において、これは向こうに行くなら行く、あるいは一つになるならなる、こういう考えですね。
  43. 甲斐文比古

    政府委員甲斐文比古君) ただいま大和委員のおっしゃるとおりでございます。
  44. 大和与一

    大和与一君 それから、アジアにおける生産性向上を目ざすアジア生産機構というのですね、これをちょっと説明してくれませんか。
  45. 甲斐文比古

    政府委員甲斐文比古君) 御承知のように、ヨーロッパには欧州生産性機構というのがあるわけでございますが、アジアには従来各国に生産性本部というものがございましたけれども、アジア全体としてのそういう機構がなかったわけでございます。で、昨年ぜひそういうものを作ったほうがいいんじゃないかということで、アジアのおもなる国が集まりまして、アジア生産性本部、アジア生産性機構というものができたわけでございます。この目的といたしますところは、アジア諸国の生産性を高めるということが目的になっておりまして、このために域内アジア諸国の間をお互いに見学をするとか、また生産性関係の研修を行なうということを考えているわけでございます。
  46. 大和与一

    大和与一君 もしその生産性向上とかそういうことまでまじめに考えるとすれば、これはやはり労働問題が必ずつきます。そうすると、運営委員の中に、労働問題がよくわかる、しかも一方的にただ使用者側の側に立つ人でない人——特にアジアの低い民度で、国のいろいろなまだ労働条件も悪い、むしろ民度の低いところの問題がたくさんあって、これはやはり相当大事な問題ですが、そういう人たちがこの委員の中に入るのですか、つまり話をちょっと元に戻して、この運営審議会の中に、そういうことがわかる人でどういう人を入れようと思っているか、その点お尋ねいたします。
  47. 甲斐文比古

    政府委員甲斐文比古君) アジア生産性機構は、実はこの事業団の業務の範囲外になっておりますので、したがいまして、この事業団の運営委員の中には、そういう点は考えておりませんが、ただ事業団運営審議会委員の中には、労働省関係からも、ぜひ労働省のお役人か、あるいは関係団体の人に審議委員に入っていただくつもりにしております。
  48. 大和与一

    大和与一君 これと日本生産性本部との関係は全くないか、あればどういう点がつながりがあるのですか。
  49. 甲斐文比古

    政府委員甲斐文比古君) 生産性本部の仕事は、ただいま御指摘のように、生産性を向上させるという意味で、やはり一種技術協力的な面も出てくるわけでございます。で、十分連絡、協議をやりながら、両団体を運営していきたいと考えております。
  50. 大和与一

    大和与一君 ちょっとピントをはずれているんじゃないですか。日本生産性本部と今ここでお尋ねしている生産性機構ですね、それと関係があるかないか、全くなければ、ないでいいし、あるとすれば、やはりそれはどうなっているのですか。私の聞かんとするところは、日本生産性本部だけが唯一無二のりっぱなものではないと思うので、それを言っているわけです。これが一方的になっては困るので……、ここが質問の基礎なんです。
  51. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 私もその点たいへん、重要だと思っているのでありますが、実は、その生産性本部のほうはこれは通産省が所管していることになっております。われわれ御相談にはあずかっているのですけれども、そんな関係で、事業団との関係は直接的にはないわけです。しかし、私今考えておりますのは、たとえば中山伊知郎教授あたりは非常に熱心に生産性運動をやっておられます。ああいう人たちに関係をしていただくことによって、そういう個人的なつながりを通して関係ができるんじゃないか。やはり技術協力考えます場合に、生産本部と全く不可分のことでございますので、そんなふうに考えております。
  52. 大和与一

    大和与一君 ちょっと小さい問題だけれども、去年バンコックに行って、いろいろ電気通信のセンターを見たのです。ところが、これは一年か二年でやめてしまうというですね。二年くらいしか持たぬから、あとを続けてもらわなければ困る、こういう話があったのだけれども、これは今度できることによってもっと続くという意味ですか。
  53. 甲斐文比古

    政府委員甲斐文比古君) 今年度は、さらに拡充いたすために、若干予算もいただいております。まあ協定からいきますと、大体日本側は三年運営しまして、あとは向こうへ移譲するという建前になっておりますけれども、しかし、先方で移譲を受けるだけの体制ができない場合には、協議の上、さらに日本側で運営していくということになるわけであります。
  54. 大和与一

    大和与一君 そうすると、この技術協力が大体もう役務ではなくて、科学技術というか、やはりそういうことにほとんど重点がしぼられることになりますかね。数がよけい行くんじゃなくて、みな身につけた力を持っていく、こういうことになるんですかね。
  55. 甲斐文比古

    政府委員甲斐文比古君) 御質問の趣旨をあるいは私が取り違えておるかもわかりませんが、技術協力の範囲は実は非常に広うございまして、必ずしも高級な、高等な科学技術ばかりじゃなくて、たとえば農業関係もございますし、厚生省関係もございますし、一般の職業訓練というものもございます。また、建設関係、郵政関係、さらには、いわゆる経済計画の作成とか、まあいろいろございまして、一がいには申せませんが、われわれといたしましては、できるだけ当該国の現状に即して、彼らの開発を助けていく。まあ一挙に、プレスティージだけで実情に沿わない大きなことを考えるよりは、できるだけ現実に即して役に立つような技術協力をやっていきたいというふうに考えております。
  56. 大和与一

    大和与一君 それから、中国はもちろんですが、もっとちっちゃな国で、朝鮮でも、あるいはベトナムでも、北のほうが南よりも何でもあると思うのですね。そうして南のほうは何もない、米とゴムしかないわけですから。そうすると、こだわらない気持だったら、ほんとうはそういうところは近いんだから、たとえば船賃も安いんだし、それからギブ・アンド・テークでいけば、やっぱりこれは得なんですよ、あっさり言って。そういう考え方に、将来とも全然立たないのか。その辺はやっぱり商売々々でやっていくのか。あるいは北朝鮮だって、香港経由で少しやっておりますね。あるいは北ベトナムはよく知りませんけれども、そういうところは全然門戸を閉ざしているのではなくて、去年も外務大臣聞いたと思うのですが、やっぱり若干の道はつけているんだから、ほんとうに商売だったらいいじゃないかということで、これはやっぱり広めていって日本のためになるのだと思うのです、資源の内容によっては。そういうことは全くもう考えられない……。しかし、今は金がないから考えられないんで、将来は、まあだんだんとこれが落ちついてくれば、やっぱり隣の国からだんだんやっていったらいいじゃないか、こういうふうなお考えはないんですかね。
  57. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) まあこの分裂国家の場合、非常にむずかしいので、その時点においていろいろ比較考慮をして考えていくほかはないと思いますが、原則的に北は全部だめだと——北と申しますか、共産地区は全部だめだということで考えるのはどうかと思います。やはり時点々々でいろいろな考慮が必要だと思います。
  58. 大和与一

    大和与一君 まだたくさんあるのですが、委員長はだいぶ心配していられるから、私はこの辺で質問をやめます。
  59. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 今の大和委員質問に少し関係したことで、外務大臣に伺いたいのでございますけれども、私が東南アジア、中近東に参りましたときに見聞いたしましたことは、今まで行なわれてきました個々の技術協力の場合でも、その指導に行っていらっしゃる技術者の方が、現地において、住民の方と非常に密接な関係をおつけになって、現地の人たちの、技術面だけでなくて、ほかのことにも相談に乗ってやるというような態度でもって指導して下さるというような場合には、非常にいい結果を生み出してくる。それがそうでなくて、日本が少し、同じアジアの国でも経済的に文化的に高い国であるというような態度でもってそこへ行って、少しも住民の方と密着するような努力をしない場合には、せっかく技術指導の面で行っても、あまり効果が得られない。そこに行かれた日本人のいろいろな生活態度というようなものが、やはり非常に影響してくる。そうしていい結果が得られないというような、個々のいろいろな報告を見聞しているわけでございます。そういうような点について、外務大臣はお考えになっていらっしゃるかどうかという点を、ちょっと伺いたいのでございます。
  60. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) できるだけ現地に参りました者には、現地の人たちの間に解け込んで、十分自分の持っている力を利用してもらうという心がまえで行くべきであるということで、われわれも指導して参りたいと考えている次第でございます。
  61. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 私はちょっとここに報告を持っておりますのは、たとえば南方の国なんかは、仏教を国の国教というふうにして、非常に仏教に対する関心が深い。そうして先年たいへんな仏教のお祭りがビルマであった。そこに日本から皇太子御夫妻が行かれた。そういうふうなときに、もちろん日本の皇太子御夫妻が、仏教徒であるというような態度で参拝なさることはないと思いますけれども、やはり大使館が、そこの土地の人がどれほどそこに心を傾けているお祭りであるかということに対して、もう少し理解をお持ちになるように、いろいろ助言をなさる必要があったのじゃないかと思うのでございます。ここにある報告を見ますと、何か非常に軽少なおさい銭をちょっと上げていらしただけで、かえってせっかくの、向こうが皇太子御夫妻を迎えるというので、たいへん大がかりのお金をかけて歓迎の準備をしたら、あまり簡単なおさい銭が来ただけだというようなことで、たいへんにまずい印象を与えたということは、やはり外交の上で非常にまずいことじゃないかと思いますが、外務大臣はどうお考えになりますか。
  62. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 非常に軽少だったとすれば、これは私の至らぬところだと思います。池田総理が行かれたときは、私も一緒でございましたが、先方の慣習に全部従いまして、靴を脱いで、先方の方々と同じ態度でやり、おさい銭も相当はずんだと考えております。至らぬところがあれば、また……。(笑声)
  63. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 そのおさい銭の問題もさることでございますけれども、そのときに大使館からだれも行かなかった。それから二十もある日本の商社の人にも、行きなさいというというようなお勧めがなかったのでだれも行かなかった。そういうふうなことは、やはり非常に出先の方々として手落ちじゃないかと思うのでございますが、そういう報告を受けていらっしゃいますか。
  64. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) そういうお話はよく聞いておりませんので、なおそういう話がございましたら、よく調べます。
  65. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 今度そういうふうなことは十分お気をつけになって、せっかくの技術協力が住民の方とほんとうに一体となって、土地のために、土地の人のためにやるというところに特に意を用いていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
  66. 羽生三七

    羽生三七君 先ほどの大和委員質問関連してですが、この事業団の場合、事業団これ自身が行なう行為というものは、いわゆる普通の営利団体と違いますから、利益を上げるわけじゃないですね。したがって、毎年結局赤字ということになって、それから提案理由にもあるように、結局政府がこの補てんを年々していくということになると思う。したがって、この事業団の経費は、今回は二億円、それからそれ以外に実際の事業をやる費用としては、海外技術協力実施委託費十億六千百五十八万円ですか、それから海外技術協力事業団交付金八千四百十七万円、こういうことになると思うのです。そこで、事業団自身は収支償うわけはないのですから、全くの収入皆無というわけでもないでしょうが、いずれにしても赤字になる。だから、その場合の処置というものは、毎年政府の補てんに待つだけなのか。あるいは事業団自体として何らかの収入を見込む場合若干……、この前御説明があったようですが、それだけのものなのか。  一緒にいろいろお尋ねしますが、そういう場合に、先ほどこれは大和委員質問されたことですけれども、新たに事業団を作ってこれだけの経費をかけてやらせることがはたして効果的なのかどうか。外務省のどこかの局で、人員等を若干配慮して、何かそれは官製的な印象を受けるけれども、官僚的な印象を受けるかもしれないが、それでもやれる程度のことを何か事業団でやるというような印象も見受けられないことはないと思うのです。したがって、問題は、事業の実際の費用は、今先に述べた別途の費用がある。それから事業団自身としては二億円で、結局は人件費というようなものが中心になると思うのですが、どうもその辺が、なぜこれだけの金をかけて、それだけのことにこの種の事業団を作らなければならないのか。それからその場合に、今申し上げたように、黒字が出るわけはないのですから、赤字は単に政府が別途補てんをしていく。ですから、そういう形ではたして所期の効果があるのかどうか。外務自身としてもっと何か工夫する方法はなかったのか。その辺の事情を、この事業団自体の収支の関係等も御説明をいただきながら、その根本的な問題についてひとつ見解を承りたいと思います。
  67. 甲斐文比古

    政府委員甲斐文比古君) ただいま、事業団は毎年赤字だということでございましたが、実はこの団体は、予算の範囲内で予算に縛られて仕事をしていくわけでございまして、その予算を超過するということがないように、あらかじめ事業計画を立てまして、また収支予算を作りまして、外務大臣の認可を受けるということになっております。しかしながら、やむを得ない場合には赤字が出るということもございましょうが、建前といたしましては、赤字を出さないという建前になっております。  なお、こういう事業外務省が直接やればいいじゃないかというお話でございますが、外務省が直接やれないので、実はこういう団体を作ったわけでございます。外務省の経済協力局というのは、技術協力ばかりでございませんで、いろいろな経済協力あるいは国際機関との協力、非常に多岐にわたる仕事をやっておりますが、しかし、総勢わずか五十九名でやっておるわけでございまして、この技術協力だけでも、実施のためこの事業団の予算として見込まれておりますのは、百二十七名でございます。これもささやかな出発で、将来はだんだん大きくしていかなければならないと考えておるわけでございまして、とうてい外務省が全部しょい込んでやるということはできないわけでございます。また一面、こういう事業政府のやるべきことではありますが、やはりできるだけ民間の方の御協力によってやっていくということが筋でございます。そういう意味からも、特殊法人事業団という形が一番適当な形であろうとお願いいたしたわけでございます。
  68. 羽生三七

    羽生三七君 事業費が五十億とか百億とかいう多額の場合は、今お話しのことは了解できるのです。ところが、せいぜい十億何がしの技術協力実施委託費ですから、私はそれほど何か膨大な機構というものを必要とするかどうかを、実は疑わしく思うのです。ですから、具体的にお伺いすると、この十億何がしの金を使って、現実にはもっと実際には大きな金が動くことになるのか、この十億何がしの金がつまり動く金の総体なのか、これがもとになって非常に大きな金も動き、あるいは人も動きして、結果的には今の外務省の機構等ではまかない切れないということであるなら了解できるのです。ところが、実際上金額的にはこれだけのもので、十億何がしのもので、その範囲の技術、それからあるいは人事の交流というようなことであれば、それほど膨大な事業とも思えない。それに、その事業団の運営の基金二億円ということでは、どうも私ちょっとふに落ちないような気がするのですが、それといま一つは、赤字は出さない建前になっているというが、どうしてこの数字のつじつまを合わせていくか、この辺を承りたいと思います。
  69. 甲斐文比古

    政府委員甲斐文比古君) 道路公団とか、いろいろ住宅公団のような事業をやられる場合には、何百億という金が要るわけでございますが、研修生の受け入れとか、あるいは専門家の派遣ということは、まあそういう事業に比べますればまことにみみっちい事業で、十億という金は、実はこういう技術協力の経費といたしましては、これはすでに日本政府といたしまして相当ふんばった、昨年に比べまして大体五割以上ふえており、決して少額の金ではございません。なお、この仕事が、たとえば研修生の受け入れにいたしましても、年間千人以上の人が来るわけでございます。また、専門家の派遣も百数十名の者を派遣する。またセンターを海外に十ヵ所すでに運営し始めておりますが、そのほか今度三十七年度におきまして、新たに三ヵ所作らなければならない。そのほかメコン川の調査であるとか、あるいは開発のための基礎調査を世界各地に向かって行なう。この準備は、実は相当の人手を要することで、この業務には実は百二十七名では足りないぐらいでございますが、とりあえず急激に機構を膨張することもできませんので、まあ百二十七名で出発しておるわけでございます。とうてい外務省がしょい込んでやれるような仕事ではないわけでございます。事業は、営利事業はこの団体は全然できないことになっておりますが、ただ、民間から賛助会費といいますか、まあ寄付金のようなものでございますが、これを若干集めるということになっております。しかし、これは政府の出します金に比べれば、はるかに少ないものでございます。趣旨といたしまして、これは政府がやるべき事業であるということで、事業は大体委託事業が全部になっております。民間から集めます金は、人件費の一部ということで、政府の出します金のまあ何パーセントというごくわずかな寄付金を集めるという建前になっております。  なお、先ほど御指摘がありました二億円の問題でございますが、この二億円というのは、研修施設の事務所と研修施設に対する政府の現物出資でございます。で、この人件費、事務費につきましては、当初はただいまのジェトロのように、政府が十億ないし二十億という金を出資して、その果実でまかなわせるということを考えたのでございますが、その構想をやめまして、政府の出資金は、先ほど申し上げました現物出資の二億円だけにしまして、そういう事務費、管理費については、交付金を八千万円出してこれでまかなうということにしたわけでございます。
  70. 羽生三七

    羽生三七君 収支まかなう場合で赤字を出さないというお話しの場合は、民間団体からの寄付金と、それから政府補助金というか、助成金ですか、その辺はどういうことになるのですか。
  71. 甲斐文比古

    政府委員甲斐文比古君) 予算が年度初めにきまりすし、一応その予算に合わせて事業計画を立てて、また収支予算も作りまして、予算を超過しないように政府は監督するわけでございます。しかし、やむを得ずもし赤字が出ました場合には、これはまあ今の民間からの寄付金で補うとか、あるいは翌年に赤字を繰り越して補てんするという方法を講ずるわけでございまして、そう大きな予算との食い違いは起こさないように、十分政府において監督をしなきゃならないと存じます。
  72. 羽生三七

    羽生三七君 私は予算なんか若干オーバーしても、赤字が出たって仕事が効率的に行なえる場合には政府がそれを補てんしていけばいいと思う。それは問題ないと思うのですが、しかし、これは端的に言うと、普通のいろいろな各省にある審議会に若干の事業費をつけたと同じようなことになるんじゃないんですか。何か事業団自体の費用は、今大和委員質問があったように、別なところにあって、それで事業団という主体——しかも今のお話のように二億円はむしろ施設ですか、そういうことにかかってくる。この運営費というのは言うに足らないわずかだというようなことになってくると、通常のいろいろな各種事業の場合の審議会といいますか、そういうものに若干の運営費を加えたもの程度になって、それなら私は特に新たに事業団を設けるほどのことはないじゃないか、外務省……、いや私は外務省でやれという意味じゃないんですよ。外務省でだってやれるようなことを、事業団という特殊な団体を作ってやることがそれほど効率的かどうかということに疑いを持つわけですが、それはまあそれでいいです。  そこで、人件費なんかどのくらいかかるのですか。
  73. 甲斐文比古

    政府委員甲斐文比古君) 人件費は、政府の交付金といたしまして八千万円ばかり初年度は出すことになっております。
  74. 羽生三七

    羽生三七君 たとえば役員の報酬というか、手当というか、どうですか、特に特別の人たちは。
  75. 甲斐文比古

    政府委員甲斐文比古君) 役員の手当は、一応既存の団体であります日本貿易振興会の理事、大体日本貿易振興会を基準にしてやることにしております。
  76. 羽生三七

    羽生三七君 具体的にどのくらいですか。
  77. 甲斐文比古

    政府委員甲斐文比古君) 会長は一応無給ということを考えております。理事長がどのくらいになりますか、大蔵省とまだ詰めておりませんが、大体二十万ちょっとになるんじゃないかと思います。それから理事は十六万五千円、監事は十三万という程度です。
  78. 羽生三七

    羽生三七君 そういう人が全体としてそういう程度の、普通の勤め人と違ったような、そういう特別の手当を受ける人が幾人でしたかね。
  79. 甲斐文比古

    政府委員甲斐文比古君) 四人でございます。
  80. 羽生三七

    羽生三七君 いずれにしても、私の言わんとする主眼点は、こういう事業団を作ってやるほどの事業団自体としての仕事がほんとうにあるのかどうかということに若干の疑点を持ったわけです。しかし、十分にそれを償って余りある海外技術協力ができれば、少しばかりの金のことをとやかく言うのではないので、その点は誤解のないように願いますが、効率的にやるに値いするかどうかということを問題にしているのですが、それは確信があれば、それでよろしゅうございます。
  81. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) これは出発点と考えていただいたほうが私としては望ましいと思っております。これを作ったから、すぐに非常な大きな協力事業ができるかどうかというと、実は今御指摘がありましたように、非常に予算面その他で、まだこれから成長期にかかるという程度のものでございます。一つ私ども努力いたしまして、この実をあげたいというふうに考えておる次第であります。
  82. 大和与一

    大和与一君 次の航空協定に関してちょっと質問したいのですがね。航空局長にお尋ねしますが、最近日航でストライキをやったんだけど解決はしたか。それからストライキをやる前とあとと、収入と乗車人員、それはふえるはずがないのだけれども、どのくらい違ったのか、簡潔に。
  83. 今井榮文

    政府委員(今井榮文君) ストライキのその後の状況につきましては、先般中央労働委員会よりあっせんの裁定が出まして、会社側はこれを受諾いたしましたが、組合側はその受諾につきまして、全国的な支部の意向を取りまとめた上で回答したいということで、現在それを調整中でございます。なお、団体交渉そのものは継続しておるように考えております。  それから、なお、先般のストは二回にわたって行なわれたのでございますが、四月十一日は午前中の半日ストライキ、それから四月十七日は一日のストでございます。四月十一日のストにつきましては、国際線は時間をリレーして出発、到着しておりますので、国際線についての影響はございませんでした。しかしながら、国内線につきましては、六十二便の中で午前中の二十二便が欠航いたしました。したがって、日本航空の半日ストによって約千五百名の旅客が足を失うという結果になりました。この損害は、収入といたしまして約一千万円の収入減である。なお郵便物並びに貨物につきまして約三百万円の収入減でございますので、十一日の半日ストによります影響は、金額にいたしまして約一千三百万円というふうに考えております。  それから十七日の一日ストライキにつきましては、国際、国内ともに欠航をいたしました。これによりまして、国際線につきましては約三百六十人の旅客が結局足を奪われた形になりました。これによりまして損害が約三千六百万円。この足を奪われた旅客はパン・アメリカン、あるいはノースウエストというような、太平洋その他に就航している他の国のキャリアにお願いして、できるだけ積んでいただいたという結果になっております。なお、国内線については六十四便全便が欠航いたすことになりました。これによりまして、一日四千五百人の旅客が結局飛行機に乗れなかった、こういうことになりまして、これの損害が約三千万円でございます。郵便、貨物というものを全部合算いたしまして、十七日のストの影響は八千三百万円の収入減、こういうことでございます。
  84. 大和与一

    大和与一君 お客さんから文句が来たり、国際的信用はまだ今日のところは落ちていないと判断されるか、どうですか。
  85. 今井榮文

    政府委員(今井榮文君) 特に私どもは御指摘のように、国際線につきましての影響を非常に心配いたしたのでございます。たとえば、クーポン等によりまして、非常に正確な日程で旅行しておられる観光客等につきましては、そういうふうなストをやるということによって日程が非常に狂うというふうなことで、日航に対するそういった面の信頼感が減少するということは、非常に今後に影響があることではないかというふうに心配いたしたのでございます。しかしながら、現在の状況下におきましては、そのために特に国際線の旅客が現在減っておるというふうな事実は、現在のところ、ないように思います。
  86. 大和与一

    大和与一君 まだ完全に妥結をしていない格好だから、たとえば農林大臣が行くときに飛行機が行けなかったでしょう。ああいうのは若干影響があったのではないですかね。完全な整備時間があるんだけれども、もちろん組合にもいろいろと問題があって、そんなことが響いているのじゃないですか。
  87. 今井榮文

    政府委員(今井榮文君) 北極線につきましては、しばしばエンジンあるいはその他の故障によりまして、欠航しておるような例が従来もしばしばございます。で、先般の農林大臣の飛行機の事例につきましても、私どもとしては、たまたま偶然にそういうふうな故障のときにお乗り合わせになったというふうに感じておりまして、特にストの影響、あるいはそういったものの関係から、あの飛行機の故障が非常に直すのがおくれたというふうには、実は報告は受けておりません。
  88. 大和与一

    大和与一君 中労委は裁定を出したらもう出しっぱなしですから、向こうで一生懸命やらぬけれども、しかし、なるべく早くおさめなければいかぬわけですから、それに対してあなたのほうの、いい意味の内面指導というか、まとめるような努力は今後もなされるのですか。
  89. 今井榮文

    政府委員(今井榮文君) おっしゃるように、私どもとしては、労使間の交渉でございますので、政府がその内容等に立ち至ってかれこれ言う筋合いではございませんが、労使ともに良識ある立場から一日も早く解決されるように、私どもとしてはできるだけそういった面のアドヴァイスはいたしていきたいと思っております。
  90. 大和与一

    大和与一君 最後に、だいぶ赤字で困っておるので、これからどうするかということを、その具体案を国会に出さなくちゃならぬと思うのですが、それは次の国会あたりには具体的な案が出てきますか。
  91. 今井榮文

    政府委員(今井榮文君) 先生の御指摘は、日本航空の今後の赤字の問題だろうと思いますが、日本航空は特にことし南回り欧州線を開始することになっておりますが、南北両ヨーロッパ線開設によりまして、相当三十七年度の予算は窮屈になると思います。したがいまして、御指摘のように、相当な赤字が出るのじゃないかと思っておりますが、私どもといたしましては、そういった実情を十分調査いたしまして、三十八年度の予算におきまして、でき得れば、日本航空に対する国際線の拡充伸展のための助成措置というものを強化していきたい、かように考えております。
  92. 井上清一

    委員長井上清一君) 別に御質疑もございませんようですから、両案件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 井上清一

    委員長井上清一君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより両案件の討論に入ります。  両案件につきまして、御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願いたいと存じます。——別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 井上清一

    委員長井上清一君) 御異議ないと認めます。  それでは両案件の採決をいたします。まず、海外技術協力事業団法案を問題に供します。本案を衆議院送付どおり可決することに賛成の方の御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  95. 井上清一

    委員長井上清一君) 全会一致でございます。  よって、本案は全会一致をもって衆議院送付どおり可決すべきものと決定  いたしました。  次に、国際民間航空条約改正に関する議定書締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件を衆議院送付どおり承認することに賛成の方の御挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  96. 井上清一

    委員長井上清一君) 全会一致でございます。  よって、本件は全会一致をもって衆議院送付どおり承認すべきものと決定いたしました。  なお、ただいま可決及び承認すべきものと決定いたしました両案件の議長に提出する審査報告書の作成につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 井上清一

    委員長井上清一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。   —————————————
  98. 井上清一

    委員長井上清一君) 次に、継続調査要求についてお諮りいたします。  本委員会におきましては、今期国会中、国際情勢等に関する調査を行なって参りましたが、会期中に調査を完了することが困難であると考えられますので、閉会中も引き続き調査を行なうため、継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 井上清一

    委員長井上清一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の内容及びその手続等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 井上清一

    委員長井上清一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。   —————————————
  101. 井上清一

    委員長井上清一君) 次に、閉会中の委員派遣でございますが、本件の取扱いにつきましては、便宜、委員長に御一任を願い、必要ある場合は、委員長において派遣目的、派遣地、参加人員の人選等を定めて、これを行ないたいと存じますが、さようお取り計らいいたしますことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 井上清一

    委員長井上清一君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。速記をとめて。   〔速記中止〕
  103. 井上清一

    委員長井上清一君) 速記を始めて。   —————————————
  104. 結城司郎次

    ○専門員(結城司郎次君) 今国会において、外務委員会付託の請願は八十件ありますが、大体同じような目的、、趣旨によって整理、分類いたしますと、十四種類に分けることができます。便宜上、この区分によって簡単にその趣旨を御説明申し上げます。詳細はお手元に配付の資料によって御承知を賜わりたいと存じます。  まず第一のグループは、ドミニカからの引揚者救援の請願二十件でございます。請願の趣旨は大同小異でございまして、要するに、引き揚げ後政府から支給された金額ではとうてい更生はおぼつかないというので、すみやかに適切な救援の方策を講じられたいというのでございます。ただ、住宅費とか更生資金、物的、精神的損害補償、あるいは児童の教育費などの項目に分け、それぞれ具体的に、しかも、相当巨額の金額をあげて支給または融資を仰ぎたいと言っている点を付言申し上げます。  次に、核実験関係三件について申し上げます。  第一件は、参議院において、政府に対し、外交面において日本国民の核実験反対の悲願を十分に反映せられたいという普通の核実験反対請願でございます。  次の案件は、クリスマス島及びジョンストン島付近での核実験再開に関連して、出漁する日本漁船の公海上の権益と乗組員の生命の保護のために、政府責任において早急に危険水域周辺に調査船を派遣されたいということが一つ。そのほか核実験停止国際協定のすみやかな締結のために、米ソ両国を初め、関係国にこの上とも呼びかけるようにということでございます。  なお、御参考までに付言申し上げますと、昭和二十九年ビキニの水爆実験の際には、俊鶻丸を派遣して海水中のプランクトンの汚染度調査をやっております。また、昭和三十一年エニウェトク島の場合も、五月三十一日から六月三十日まで派遣しております。なお、今回、放射能対策本部において、目下この問題について研究中であるということを付言さしていただきます。  それからその次、もう一件ございますが、これは核実験停止協定実現の具体策を作って、そして関係各国に働きかけること、なおそれをもっと効果的にするために、日本国民の総意を真に代表するような強力な代表団を関係国に派遣するようにという請願でございます。  なお、付言さしていただきますが、参議院の外務委員会において、戸叶先生の質問に対して、池田総理から、民間の代表団を派遣するというような場合においては、政府はあらゆる便宜をはかるという趣旨の御答弁があったことを付言しておきます。  その次は、軍備の全廃、あるいは米国の軍事基地の日本からの撤廃、あるいは日米安保条約の破棄の一つ、二つ、あるいは三つ、全部についての実現方の請願十二件でございます。大体趣旨は大同小異でございます。  その次は、吉江議員紹介の世界平和を達成するために非常に雄大な、高遠な構想のものでございますが、国連警察軍編成、兵器撤廃、これははっきりしておりますが、それから文化交流、産児調節、こういったような問題について国会で決議をいたしまして、日本外務省が中心になって国家総力をあげてこれが実現を期するよう取り計らわれたいというものでございます。  その次は、沖繩関係が三件ございます。最初の近藤議員紹介のものは、沖繩が早急に日本本土に復帰できるようにという趣旨のものでございます。その次も同様でございます。それから曾祢議員紹介の請願の趣旨は、やはり沖繩、小笠原の復帰促進にありますが、その案文の中におきまして、昨年十二月の国連総会での植民地主義終結宣言には日本も同意しておるということを述べ、この国連宣言では、現在米国の支配下にある沖繩、小笠原も解放区域として含まっておることは疑問の余地がないということを述べ、そしてこれが実現の手段として、政府は国連のワク内で他の国々と同調してやるように国会で決議をしてもらいたいということでございます。  なお、付言させてもらいたいと思いますが、三月十四日に沖繩、小笠原復帰に関して本院で決議しておられます。  その次に、北方領土、これも北方領土だけだと思いましたら、敗戦後他国の施政下に置かれて現在に至っておる日本の固有の諸領土もすみやかに日本復帰、これも沖繩、小笠原も含まっておるわけでございます。  その次は、日朝友好国民三百名使節団朝鮮民主義人民共和国訪問のための旅券交付に関する請願でございます。  その次は、日韓会談打ち切り十二件ございます。大体において、日韓会談は朴政権へのてこ入れ、あるいは南北の統一を妨げ、NEATOの完成を目ざす危険なものというのが趣旨でございます。  その次は、さらに韓国人一千万の低賃金労働力が日本の労働者の利益を圧迫するということを特に加えてあります。  その次に、日中国交回復等請願内容は日中国交の正常化、国連代表権の実現、二つの中国の陰謀に加担しないこと、安保条約の破棄等でございます。その次はガリオア・タイ二協定の全面的破棄。  その次は、ILO八十七号が二件ございます。最初のものは、政府においては普通の意味での関係国内法の改正整備を急ぎ、ILO八十七号の批准をすみやかに実現されたいというものであります。  その次の野坂先生の紹介のものは、法制の改悪をしないようにという趣旨のものでございます。  その次は、米国向け輸出綿製品に対する賦課金制度実施反対請願、兵庫県から出ておりますが、兵庫県ではたいへんに大きな打撃を受けております。  それから、これは箱根町の畑引山に国際大会議場を建設するという問題でございます。  次は、アジアアフリカ地域の在外公館の整備拡充及び同地域向けの外交官の採用方法の改正、職員養成施設の拡充というものを請願しております。  以上で終わりました。
  105. 井上清一

    委員長井上清一君) では、ただいま専門員から説明を聴取いたしました請願のうち、二〇五六号、三四四三号、三五六二号、二六〇五号、三五一七号、二六〇六号、八八七号、一三七九号、一五三八号、以上九件は、いずれも採択をして内閣に送付することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 井上清一

    委員長井上清一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、残余の請願七十一件は、いずれもこれは保留といたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 井上清一

    委員長井上清一君) 御異議ないものと認めます。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 井上清一

    委員長井上清一君) 御異議ないと認めます。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時十分散会    ————————