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1962-02-22 第40回国会 参議院 外務委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月二十二日(木曜日)    午前十時二十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     井上 清一君    理事            青柳 秀夫君            木内 四郎君    委員            草葉 隆圓君            苫米地英俊君            永野  護君            堀木 鎌三君            安井  謙君            羽生 三七君            佐藤 尚武君   政府委員    外務政務次官  川村善八郎君    外務省欧亜局長 法眼 晋作君    外務省条約局長 中川  融君   事務局側    常任委員会専門    員       結城司郎次君   説明員    外務省条約局国    際協定課長   根本  博君    運輸省航空局監    理部長     栃内 一彦君    運輸省航空局国    際課長     林  陽一君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○航空業務に関する日本国とパキスタ  ンとの間の協定締結について承認  を求めるの件(内閣提出) ○航空業務に関する日本国イタリア  との間の協定締結について承認を  求めるの件(内閣提出) ○航空業務に関する日本国とインドネ  シア共和国との間の協定締結につ  いて承認を求めるの件(内閣提出) ○国際民間航空条約改正に関する議  定書締結について承認を求めるの  件(内閣送付予備審査)   —————————————
  2. 井上清一

    委員長井上清一君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  航空業務に関する日本国とパキスタンとの間の協定締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国イタリアとの間の協定締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国インドネシア共和国との間の協定締結について承認を求めるの件、国際民間航空条約改正に関する議定書締結について承認を求めるの件、以上航空関係条約四件を便宜一括議題とし、前回に引き続き質疑を続行いたしたいと思います。  御質疑のおありの方は、順次御発言をお願いいたします。
  3. 永野護

    永野護君 日本国航空協定のすでにできている国は何ヵ国ありますか。
  4. 栃内一彦

    説明員栃内一彦君) 現在できておりますのは十五ヵ国でございまして、おもなものといたしましては、アメリカ合衆国、英国フランス、その他がございます。
  5. 永野護

    永野護君 ソ連との関係はどうなっていますか。
  6. 栃内一彦

    説明員栃内一彦君) ソ連とはまだできておりません。
  7. 永野護

    永野護君 交渉経過はどうですか。
  8. 法眼晋作

    政府委員法眼晋作君) これは従来いろいろ経緯がございましたけれども、わがほうの主張は、両国首府交通に主眼を置くという趣旨で、東京とモスクワとの連絡ということを主張しているわけでございます。先方はハバロフスクまではよろしい、こう言っておりますので、意見が合わないままになっておるわけでございます。
  9. 永野護

    永野護君 将来のお見込みはどうですか。
  10. 法眼晋作

    政府委員法眼晋作君) これはなかなか見通しが困難でございますけれども日本としては、やはり両首府連絡に重きを置く建前から、従来の主張を続けておるわけでございますけれども先方は、シベリアの空を飛ばすことはいろいろ困難であるということで、いろいろ理屈はあるわけでございます。たとえば距離は自分のほうが遠くを飛ばすことになるということで、いろいろ理屈はございますけれども、要するにシベリアの上空を開くことは現在はどこの国に対しても禁止しているということを非常に主張しているわけでございまして、これは非常に困難であるわけでございます。
  11. 永野護

    永野護君 そうすると、今十何ヵ国と言いましたか、できておるのは。
  12. 栃内一彦

    説明員栃内一彦君) 十五ヵ国でございます。
  13. 永野護

    永野護君 そうすると英米……、全部読んで下さい。
  14. 栃内一彦

    説明員栃内一彦君) 相手国十五カ国でございますが、アメリカ、英国、オランダ、スエーデン、ノルウェー、デンマーク、タイ、カナダ、中華民国、インド、フランス、オーストラリア、スイス、フィリピン、ベルギー、こういうことになっております。
  15. 永野護

    永野護君 フィリピンはできておるのですか。
  16. 栃内一彦

    説明員栃内一彦君) フィリピンにつきましては、行政取りきめ、交換公文中華民国についても同様になっております。
  17. 永野護

    永野護君 そうすると、それは本式航空協定ではないのですか。
  18. 根本博

    説明員根本博君) お答え申し上げます。  ただいま申し上げましたように、十五ヵ国との間に正式の航空協定協定関係がございまして、これは全部発効しておるものでございますが、そのうちただいま監理部長から申し上げましたように、中華民国フィリピンは正式の航空協定でございませんで、交換公文の行政取りきめとしてやっておりますが、双方運輸大臣乗り入れその他を認める権限がございますので、正式航空協定と同じような乗り入れが可能なわけであります。現にフィリピンは、この行政取りきめに基づきまして非公式にPALを日本乗り入れさせたいという希望を申し出ておるわけでございます。
  19. 永野護

    永野護君 そのほかの国とはみんな正式の航空協定をしておるのに、なぜその正式の協定をしないで行政取りきめでやるというような変則な扱いをしておるのですか。
  20. 根本博

    説明員根本博君) フィリピンの場合はまだ通商航海条約が、実は当時この交渉の行なわれる見通しが立っておりませんものでしたので、御存じのように、航空機乗り入れには部品、燃料、関税、その他いろいろな最恵国待遇とか、通商航海条約があって初めて安定した規定を設けることができるという実情でございますので、とりあえずは、通商航海条約が成立してから本式の、正式の航空協定にするという含みで、三年前ですか、行政取りきめをいたして法令範囲内でやった。フィリピン通商航海条約ができたら正式の航空協定を結びたいという意向を表明しておりましたが、現在は行政取りきめとして乗り入れを開始したいと非公式に申し出ておる次第であります。
  21. 永野護

    永野護君 そうすると、あなたの所管外かもわからぬが、通商航海条約ができることが航空協定ができる前提だとしますと、その前提になる通商航海条約交渉経過御存じですか。
  22. 井上清一

    委員長井上清一君) 速記をとめて。   〔速記中止
  23. 井上清一

    委員長井上清一君) 速記をどうぞ。
  24. 根本博

    説明員根本博君) 私の発言の言葉が足りませんでしたので訂正いたしますが、通商航海条約ができておれば非常に結びやすいというだけでございまして、三年前この交渉をいたしましたときには、通商航海条約がいつのことかわからない、そういうときに非常に航空協定の実施上、運用上不安がありますので、とりあえず行政協定先方もそれで納得したわけであります。ですから、必ずしも前提条件というのではございませんで、本格的な航空協定締結したいという希望向こうが表明しておりましたから、一応通商航海条約と切り離してわがほうも考えたいと思っております。目下のところはその意向は表明しておりませんで、今のままでけっこうだから乗り入れを開始したいという動きがある、そういうことでございます。
  25. 永野護

    永野護君 そうすると、具体的には通商航海条約と切り離して、航空協定フィリピン締結したいという意図がおありになり、またそれを何か実際行動に移しておられますか。両国がそれを希望しておることはわかっているのでしょう。そうして通商航海条約も大体できるというなら切り離してやってもいい、いいなら、できるものからやられたらどうかと思うのですがね。それでお聞きしている、実際はどう扱っておられるかということを。
  26. 根本博

    説明員根本博君) 一九五九年三月の行政協定の取りきめの際において、航空協定関係を結んだわけでございますが、その当時はいずれ将来は正式の航空協定を結びたいということを先方は申しておりましたが、ただいまはそれを別にフィリピン側は急ぐようなあれはありませんで、現在行政取りきめといいましても、ほとんど正式の航空協定と内容は同じでございまして、ただやや不安定性があるというだけのことでございますので、日本マニラ乗り入れ、また先方東京乗り入れるということは、全く正式の航空協定の場合と同様に実施可能でございまして、先方はただいまのところは、通商航海条約と切り離してとか、あるいは別途に現在の行政取りきめを正式の航空協定にかえたいという意向は表明していないと承知しております。
  27. 永野護

    永野護君 さっきの御説明とちょっと違いはしないかと思うのですが、今の説明では行政協定でほとんど正式の航空協定と同じだと、今そういうふうに聞こえたのだが、前には、通商航海条約ができないと部品とか関税の問題があって、通商航海条約ができないと工合が悪いというふうにさっきは説明だった。今は、ほとんど実質上違わないあれだから、必ずしも急がない、こういうふうに聞こえたのですが、私は通商航海条約ができるのとできないのとでは違うと思うものだから、それで聞いたわけなんです。それで、どういうような努力をしているか。今何も努力をしていないというなら、事実を言ってもらえばいいのだから、それだけを聞いておきたい。
  28. 根本博

    説明員根本博君) 航空協定を、たとえば関税関係などにおきまして最恵国待遇を受けるということを定めます場合に、通商航海条約があれば問題なく同じことを航空協定で結ぶことができるわけでありますが、それがない場合には、相互法令範囲内でというようなことになって、実際は同じことが行なわれるのでありますが、できれば通商航海条約があれば問題はないという差異でございます。私どもとしましても、こういうできる限り正式の航空協定関係を結びたいと思っておりますので、まあ現在まだ日航マニラ乗り入れはないようでございますが、将来そういうことも検討しているようでございますので、その際はできるだけ正式の協定関係によっていきたいと考えている次第でございます。
  29. 永野護

    永野護君 私は法律論をしているのではないので、一日も早く相互乗り入れ協定が好ましいと思うものですから、実は協定を結ぶ結ばないにかかわらず、相互乗り入れ努力はやってもらいたい。これは運輸省のほうに外務省と話し合ってやってもらいたいと思うのです。何といいましても、相互にひんぱんな交通ができるようになることが両国親善を進める上の一番具体的の方法だと思うものですから、日航マニラへ直行するようになるのとならぬのとでは、現実の日本の各商社なんかは非常に大きな違いがありますから、そこでお話ししているので、いわゆる実益のない法律論をしているのではないのです。だからそういう意味で、行政協定でやれるならそれでもけっこうです。それから本格航空協定が結べるなら一番いいんですけれども、何とかして、ともかく本格航空協定ができるまで、日航なんかがしり込みしているようなことがあるのならば、ぜひそれを早く除去してもらいたいという意味でそういうことをお話ししているので、法律論じゃないのです。それは私もたびたび往復してみまして非常な不便を感じている、それがないことが。これは私だけじゃなくて、みんなそう言っておりますから、日本人、それからフィリピン人のほうも日本に非常に来たい人が多いのです。ですから、両国親善関係を進めていくためには、飛行機相互乗り入れということが一番具体的な方法じゃないかと思うものですから、そういうことを言うわけです。
  30. 栃内一彦

    説明員栃内一彦君) ただいま永野先生お話拝聴いたしまして、当該二国間の国際相互関係、あるいは貿易の関係経済関係、あるいは文化の関係その他につきまして、両国飛行機相互乗り入れをして、お互いに協調してサービスを提供するということが非常に有効であるというお話、非常にありがたいお話を伺ったのであります。私どもとしては、なお一そう日航の機材の計画、あるいは乗員の計画、その他資金の計画、従来の路線計画を総合的に判断いたしまして、できるだけ早い機会に、特にアジアの諸国との間の相互乗り入れということを考えていかなければならないと、かように考えております。
  31. 永野護

    永野護君 現在の日航の将来の計画は、運輸省に届け出てやってると思いますが、今運輸省でわかっておるところでは、日航は具体的にフィリピンとの、つまり航空協定とかなんとかいうことは抜きにして、会社もどうしてもそれだけの機数もふやさなければならぬし、いろんな準備が要ると思います。それはどの程度の、今問題はフィリピンだけにしぼってお聞きするのですが、日航はどの程度準備をしていますか。
  32. 栃内一彦

    説明員栃内一彦君) ただいま私ども日航当局といろいろ話しております段階、すなわち私どもに話をしておる段階でございますから、会社内部でもってどこまで考えているかというところまでは別といたしまして、マニラ路線につきましては、たとえばジャカルタ路線、あるいは南回りヨーロッパ線、これら南回りヨーロッパ線につきましてはほぼ準備が整いつつございますが、その後ジャカルタ乗り入れというようなものに比べますと、マニラに対しては比較的具体的には考えていないというのが真相でございます。これにはいろいろな理由があると思います。しかし日航としてマニラに行かないのだというようなわけではもちろんございません。将来の問題としてマニラに行くことは十分考えておるわけでございますが、ジャカルタ線に比べましては具体化していない、かような段階でございます。
  33. 永野護

    永野護君 マニラにおる日航の人というのは、男はたしか一人、若い女の方が一人だけだと思います。そうしてそれの活動といいますか、いわゆるほんとうの航空業務を開始する準備と思われるようなことは、実は何もしていないと私は思う。しかし私は早く日本フィリピンのいろいろな経済関係を進めていく上においては、これは非常に重要だと思うものですから、もう少し熱意を持ってやってもらいたい。それはごく目先の、たとえば開始をしたその年のそろばんからいったらそれは引き合わない。日航だけの計算からいくと引き合わぬことが出るかもしれませんけれども日本の国全体として考えてみましたら、少々日航赤字が出ても、それは日本としてはやってもらいたいことだと私は思うのです。したがいまして、日航行政指導をされるときに、目先見通しとして乗客はこのくらいしかあるまいと思う、これじゃ赤字になりますというような日航主張をしましたときに、ただ無条件にそれはそうだということじゃなしに、もっと積極的な動きをするように指導をしてもらいたいと思います。それには、一例ですけれども、今マニラ出張員、出張所のごときも非常な消極的な、とにかく出張員がおりますというだけの話だと思うので、これは質問というか希望ですが、今のは条約局長、あなた、今マニラヘの日航乗り入れは早くやってもらいたいということを希望しているのですから、飛行機が、日航が往復するということは、日本向こうとの友好を改善する上においてそろばんに入らないような非常に大きな利益があるのです。だから、日航だけにまかしておくと、日航だけのそろばんで何人従業員がふえて何人しか乗らぬから引き合いませんというようなことを言いそうだから、ああいう一種の国策会社だから、これが民間の私企業ならば何ですけれども、こういう交通機関、ましていわんやああいう政府のいろいろな援助を受けているのですから、自分会社の——私は日航のためにも損なことを勧めているとは思わないのですよ。思わないのですが、かりに損であっても、一日でも早く進めてもらいたいということの問題を出しておるわけなんです。そうして今あなたの所管のことを伺っているのだけれども、なぜ通商航海条約とそれから航空協定が結びつくのか。それから切り離してやれるものなら、もし通商航海条約が非常に手間取るものならば、航空協定だけでもなぜ早くおやりにならないか。そこで一番理想的なのは通商航海条約ができて、それとリンクして航空協定ができるのが一番望ましいことでございますが、それの一番基礎になる通商航海条約交渉経過は新内閣になってどういうふうになっておりますかということを聞いておるわけです。
  34. 羽生三七

    羽生三七君 その答弁の前に、永野委員質問に関連してですが、前に当委員会フィリピンとの通商航海条約の問題の審議の際に、政府委員から、前のフィリピン大統領ガルシア大統領が再選されるものと見て、しかも相当ないろいろなフィリピン国内では問題はあるが、たぶん再選されるものと見て、日本批准しても同国もガルシア大統領の当選によって直ちに批准を見ることであろうということで、日本国国会における批准となったのであります。ところがマカパガルと言うのですか、新しい大統領が当選して、その後そのままになっておるが、今のフィリピンとの航空問題も必ずしも通商航海条約前提ではないけれども、相当影響するところが大きいと思うので、この機会にその後のフィリピン国内事情日比通商航海条約フィリピン側における進行状況を聞かしてもらったらいいだろうと思うのです。
  35. 中川融

    政府委員中川融君) ただいまのお尋ねの点でございますが、日比通商航海条約国会で御承認を得ます際に、政府当局として、フィリピン政情について、ことにそのときに差し迫っておりました大統領選挙見通しについて、ガルシア大統領が再選される公算のほうがどちらかといえば大きいのじゃないかということを申し上げたことがあると私も記憶しておるのでございますが、これははなはだ申しわけない見込み違いになったわけでございます。ガルシアが負けたわけでございますが、この点弁護するわけじゃございませんが、大体そのときの一般観測は、日本ばかりではなくて、各国の観測として、もちろん選挙のことですから、はっきりしたことはわからないのだけれども、しいてどちらかといえば、やはり現職の大統領に強味があるのじゃないかという観測が実は一般的であったのでございまして、現地からの報告も大体そういうことでございましたので、政府側としてそういう見通しを申し上げたのでございます。その結果が間違っておりましたことにつきましてはまことに申しわけなく思うわけでございます。なおそれによりまして、今度政府がかわったわけでございます。かわりました政府が従来の政策をどう踏襲していくか、あるいは変えるかという点が、今の通商航海条約あるいは日比民間航空協定というようなものに影響が出てくるかどうかという点でございます。これはすでに新聞でも伝えられておりましたが、たしか一月の十五日ごろだったかと思います。新大統領委員会を組織いたしまして、その委員会にあらゆる政策、ことに経済政策ですが、経済政策全般について検討を命じたということでございます。いろいろの経済問題の中で、日本との通商航海条約という問題もその一つになっておるのでございます。しかしこれはその後確かめましたところによりますと、要するに検討を命じた段階でありまして、検討の結果はもちろんまだ出てきていないのでございます。またこれははっきりペラエス大統領が言明しておりますが、要するに政府としては検討を命じただけであって、日本に再交渉を訓令したというような事実は全然ない。再交渉するかどうかということは、もっぱら今後の検討の結果による問題であって、そういう事実はない。一部日本からの報道で、日本側で、フィリピンが再交渉を命じたというようなことから、日本側としてはこれに応じられないというような決定をしたというような報道が伝えられておるけれども、その報道の根拠は全然ない、そういうことをペラエス大統領は言っておりますが、日本としては依然として、あの通商航海条約日比双方代表団がよく慎重に検討した結果、相互互譲によって、あれ以外に妥結の産物はないということでまとめ上げたものでございますから、日本側としてもいろいろ譲っているわけであります。したがって、フィリピン側としても必ずやあの協定が、結局今の段階で考えられる最もいい形のものであるということの結論になりまして、フィリピン議会承認の手続をとる運びになるであろうということを信じているわけであります。したがって、多少時期はかかりますが、政府がかわりましたのですから、その点今までやったものを検討し直すということは、これは新政府としてしなければならないことだと思いますが、その検討の結果は、あの協定に基づいて日比関係を改善していくということになることを期待し、またそうなるものと信じているわけであります。また日比航空協定を作るにつきましては、あのときの通商航海条約を調印いたしました際のいわば付属の了解といたしまして、日比民間航空協定についても交渉を近く行なうということになっているのであります。これは必ずしも通商航海条約発効待ちをしているのじゃなしに、別に日比航空の問題は話し合いを始めてもいいわけでございまして、これもおそらく新政府になりまして、一般政策の要するに再検討と申しますか、もう一ぺん調べ直すということの一環になっているのじゃないかと思います。フィリピン側といたしましても相当日本航空機乗り入れるという希望もあるようでございますから、この問題は遠からず出てくるのじゃないか。そういう場合には日本としてもできるだけこれにミートする格好で、友好関係親善関係経済提携関係を促進していくという方針には変わりないのでありますから、これも遠からずまた話が再開されるというふうに大体考えているところでございます。
  36. 永野護

    永野護君 このフィリピンとの通商航海条約の将来の進展に重大な関係があると思うのですが、上院議長はだれになりましたか。
  37. 中川融

    政府委員中川融君) 上院議長は今までどおりであると思います。したがって、ロドリゲス氏が依然として上院議長じゃないかと思います。
  38. 永野護

    永野護君 ちょうど私向こうにおりますときに、上院議長の問題がありまして、何でも三票足りないというので、二人だけは自由党で何したが、もう一人足りないというので、その工作のために議長がきまらない。とうとう私が立つまできまらなかった。その後聞いておらないからどうなったかしらと、つまり自由党から出るのか、ナショナリスタから出るかということによってフィリピンとの交渉に相当に大きな影響があると思いますから、まだあなたの手元には正式に上院議長にだれがなったということは入っておりませんか。
  39. 中川融

    政府委員中川融君) 私の知っております最近の報道では、やはりナショナリスタのほうが二人上院議員が多い。つまり十三人がナショナリスタ、十一人が自由党だったと思います。したがって、ナショナリスタロドリゲス氏が従来どおり上院議長であるというふうに考えておりますが、なお調べまして、もし事実に相違がありますればまたお答えいたしたいと思います。私今まで上院議長の変更はなかったというふうに考えております。大体そのとおりじゃないかと思います。
  40. 永野護

    永野護君 実は先ほど中川さんが見込み違いだったと言われたのは、実は中川さんだけじゃなくて、日本人はほとんど中川説だったろうと思います。したがいまして、それの見込み違いをしたしりぬぐいといいますか、あいさつというようなことが実はこの間行った非常に大きな目的であったのですが、マカパガルにも会いましたし、ペラエスにも長時間にわたって話しましたが、私日本心配しているような心配はなくて、やはりフィリピン経済開発日本と手を握ってやらければだめなんだということは、党派のいかんを問わず、少しも微動もしていない。そういう心配は要らぬということをしきりに言っておりました。これは外交辞令かもしれませんけれども、私は非常なもっとこっぴどく扱われるかと思っていたのが、そうでなかったので非常に楽観したのですが、ただ条約締結の上に一番重要な関係のある上院議長のポストが、私の行っているときは、三人で、一人は来て、あともう一人取れる、結局パリティまではいける見込みだということを言っておりました。その何がはっきりしてから選挙をしようというので、上院議長選挙は毎日々々、きょうあるきょうあると言って延びておったのですが、これはフィリピンとの条約締結を進める上において非常な大きな影響があるのですから、わかりましたら教えていただきたいと思います。そしてできればなるたけ早く、条約局長はむろん努力をしておられることは重々なんですが、最近にいろいろなプロジェクトの話がフィリピンから起こっております。しかし通商航海条約がないと非常な不便を感ずる。特にだからひとつそういう意味で、中川さん、フィリピンのことは私なんかより百倍もよく御存じなんだから、その説明は要らぬのだけれども、そういう意味で特にこの上ともの御尽力をお願いします。
  41. 中川融

    政府委員中川融君) 承知いたしました。調べまして、また事実関係等報告いたします。
  42. 羽生三七

    羽生三七君 インドネシアの航空協定に関連して、インドネシアの経済事情を承りたいですが、その前に、簡単なことですから、二、三航空協定自身に関した問題で、小さい問題ですが、お尋ねいたします。  一つは、イタリアの場合は、同国との協定所管ですが、国防省となっているが、国防省の中に民間航空関係所管があるわけですか。
  43. 中川融

    政府委員中川融君) そのとおりでございまして、イタリアは国防省の中に陸海空の三部局がございまして、その空の中に民間航空局というものが入っておるわけでございます。ほかの国とちょっと仕組みが違っておるのでございます。
  44. 羽生三七

    羽生三七君 その次は、パキスタンとの協定の場合、第四条の(a)で「他方の締約国の領域を横断飛行する権利」、こうなっております。ところがイタリアの場合は、同条同項で、インドネシアの場合は二条で「他方の締約国の領域を無着陸で横断飛行する特権」となっているが、これはどういうふうに違うか。つまりイタリアとインドネシアの場合は無着陸横断となっていて、パキスタンの場合はただ横断となっている、それはどういう違いがあるか。
  45. 根本博

    説明員根本博君) この三つの規定は、字句は多少違いますが、内容はみな同じでございます。国際航空業務通過協定という条約がございまして、これにはわが国も入っておりますが、その第一条におきまして「各締結国は、定期国際航空業務に関し、他の締約国に対して次の空の自由を許与する。」とありまして、その第一項に「自国の領域を無着陸で飛行する特権」ということがありますが、この三つの規定は元来これに基因しておるわけであります。したがいまして、「無着陸」という字句がないのとあるのとで何ら差異はございません。
  46. 羽生三七

    羽生三七君 大体この三国との航空協定は、ほとんど字句の違い程度で、内容的にはほとんど大差はないと思うのですが、たとえば第四条の場合、特にパキスタンとイタリアとの協定ではほとんど類似しておるが、インドネシアの場合は非常に詳細なものですね。これはどういうわけでしょうね。
  47. 根本博

    説明員根本博君) 御指摘のように日パ、日伊、日本インドネシア三協定の場合もほとんど同一でございまして、前回羽生先生から御指摘がありましたように、イタリアの場合に附表の運輸権の制限があるというようなところが非常に大きな違いで、他は大同小異であります。インドネシアだけが詳細になり、また少し変わっておりますのは、実は交渉の過程におきまして、インドネシアはわがほうの日本標準案をほとんどそのまま採用してくれましたので、最も望ましい航空協定の形式としての日本側は標準案というものを作っておりましたのですが、ほかの国とはなかなかそのとおりいかない。たとえばパキスタンは自分のほうの提案を出すというようなことがありましたが、インドネシアはわがほうの理想と考えます案をそっくりのんでくれましたので、最もよくできているのではないかと考える次第であります。
  48. 羽生三七

    羽生三七君 もう一つ、こまかいことですが、三協定のうちでイタリアの場合だけ批准の場所をローマと指定してあるのはどういうわけか。通常は、こういう種類の協定は各締約国により、その国内法とか、あるいはその国の憲法の規定に従ってとかいうのが通常であるのに、なぜイタリアの場合だけわざわざローマにおいてというふうに指定してあるのは、これはどういうわけですか、批准の場所を指定してあるのは。
  49. 中川融

    政府委員中川融君) これは批准条項でございますが、批准につきましては、たいていどこで批准するということを書くのでございます。したがって、これは東京で署名しました条約でございますから、批准の交換は先方のローマでやるということをここに書いてあるわけでございます。ところが、あとの二つ、つまりインドネシアとパキスタンの場合は、批准ということでなくて、政府承認の通告をするということになっておるわけでございまして、これを交換する。これについては、承認の交換についてはどこでやるということは特に書かないしきたりでございます。それだけの違いで、特にそれ以上の意味はないわけであります。
  50. 羽生三七

    羽生三七君 協定については、この程度にして、またこの次にいたします。  次に、この機会にインドネシアの経済事情についてちょっとお伺いしたいと思いますが、最近の最も新しい情報によると、インドネシアの経済危機は想像以上にひどいのであります。たとえば専門家筋ではインドネシアの経済の外貨準備はわずか一千万ドル程度になったと見積られております。それからこの専門家たちは、西欧諸国、あるいは共産圏、どちらの標準をもってしても、インドネシアは破産の状態に近づいていると懸念をされておる。また、インドネシアのポケット・ブック、一九六〇年版に公表されている数字によると、インドネシアの輸出高は、これは一九五六年に百六億ルピーであったものが、五九年には九十九億ルピーに下がっている。普通なら、この数年間に、ものすごい世界的経済成長でふえておるのに、逆にこの数年間に非常な減少をしておる。しかも、これは五九年は統計が発表された最後の年で、それ以後統計は発表されていないようであります。しかも、それ以後、反政府活動で運輸が非常に混乱したりして、非常に経済情勢はさらに悪くなっておる。また、インドネシアが一九六〇年にソ連から獲得した二億五千万ドルの借款のうち、最後の二百二十万ドルを使用しない。それは全部使用し切った年から返還を始めるということになっているので、債務は残してあるわけですね。そういう工作をやっても、なおかつ、非常な驚くべきインフレ的な状況になって、外貨保有わずかに一千万ドル程度になり、非常に経済的な危機が一番新しい情報として伝えられているが、最近のインドネシアの経済状態はどうか、これをお聞きしておきます。
  51. 中川融

    政府委員中川融君) 経済局長が来ておりませんので、私、かわりまして御答弁いたしますが、羽生先生の御指摘のように、インドネシアの経済状況は必ずしもよくないようでございます。もちろん一番大きな原因といたしまして、インドネシアの一番の産物であります第一次産品——ゴムとか砂糖とか、こういうものが国際的に価格が低落しておるということ、それから、やはりインドネシアの治安状況が最近までよくなかった。最近反乱は終息したようでございますが、相当長い間反乱が続いていた。こういうことが原因になりまして、インドネシアの経済状況は思わしくなかったわけでございます。外貨の保有高は幾らかというような点につきましても、統計が最近発表されておりませんのでわかりませんが、大体羽生先生の御指摘になったような状況ではないかと思われるわけでございます。しかし、インドネシアとしては、この難関を乗り切るために非常な努力をしておるのでございまして、非常な強度の貿易政策、貿易統制、物価統制、あるいは食糧の配給というようなことを実施しておるのでございます。真剣にこれを克服しようとして努力しているという実情のようでございます。
  52. 羽生三七

    羽生三七君 私どもとしても、友邦であるインドネシアが経済危機をすみやかに克服して、大いに発展してもらいたいと思うのですが、前にあったような日本の貿易が焦げつきになるというようなことが起こるようなことはないのか。そんな危険はないのかどうか、その辺はどうですか。
  53. 中川融

    政府委員中川融君) 従来、オープン・アカウントでやっておりました際は、御指摘のような事態が起きたわけでございますが、その後、日本とインドネシアとの貿易は全部現金決済になっておりますので、個々の決済の際に全部決済を済ましております。したがって、焦げつき債権が生ずるという危険はないわけでございます。
  54. 井上清一

    委員長井上清一君) ほかにどなたか御質問ありませんか。
  55. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 国際民間航空条約ということについてお聞きしたいのですけれども、この説明書によりますと、「国際民間航空機関は、一九四七年に国際民間航空条約に基づき、国際民間航空の安全且つ整然たる発展を確保する目的をもつて国連の専門機関の一つとして設立されたものであるが、その加盟国数は、現在わが国を含む八十九箇国に達し、きわめて活溌な活動を行なっている。」、こういうのがまず初めに書いてあります。「活溌な活動を行なっている。」というのは、どういうような活動をやっているのですか。
  56. 林陽一

    説明員(林陽一君) 国連局の方がお見えになっておりませんので、かわって答弁さしていただきます。  国際民間航空条約に基づきます国際民間航空機関は、本部がカナダのモントリオールにございまして、加盟国の数が、先ほどお話がありましたように八十九、その後も若干ふえております。ただいま九十二ということに承っております。ほかの国際機関と比較いたしましても、非常に活動状況が活発のようでございまして、たとえば、ここで本日議題になっております、二十一ヵ国が常任理事を置いておりますのは、国際民間航空以外にはないというように聞いております。  機関といたしましては、総会がございますが、総会は大体三年に一回ございます。それ以外に臨時総会が昨年開かれておりまして、二十一から二十七に理事国をふやすことに決定したわけでございますが、それ以外に理事会を常時開いております。それから、その下に航空運送委員会、それからもう一つ、航空の技術に関しまする委員会、それから法律委員会とございます。  航空運送委員会におきましては、これは比較的活発でないほうの委員会でございますけれども、航空の運送の事務的、経営的な面をやっております。しかしながら、御承知のとおり、各国の航空会社民間べースにおきまする国際機関でございますIATAがございまして、このICAO——国際民間航空機関とうらはらになって、運送、運賃条件その他の協定を行なっておりますので、これらの件に関しましては、IATAのほうに委任される形になっております。  それで、国際航空運送委員会におきましては、九ヵ国の委員が出まして、たとえば統計とか、それから各国の空港におきまする、われわれはCIQ手続と言っておりますが、税関手続、それからイミグレーションの手続、厚生省の防疫のほうの手続——クォランティーン、そういうものを簡素化して、国際航空旅客の流通移動を簡易ならしめるようなことをやっております。そのほか、統計などをやっております。  それから最も活発に運営されておりますのが、先ほど申し上げました航空委員会でございまして、これはわが国も代表を出しております。十二ヵ国のメンバーが出席しておりますが、航空に関しまする安全保持の関係に関しまして、たとえば航空交通管制の合理化とか、それから航空に関しまするいろいろなビーコンとか航行、援助施設の改善その他に関しまして、非常に積極的な、進歩的な勧告を各国に行ないまして、航空におきます、ことに後進的な国のこれらの航空保安施設の面におきます能力を国際水準に高めるようにやっております。  それから、先ほど申し落としましたが、これら以外に財政委員会というのがございます。これは主として総務的なことをやっております。  それから、もう一つ、共同施設維持委員会という、これは九ヵ国ございますが、これは主として北大西洋地域におきます航空を容易ならしめるための施設、たとえばビーコン、アイスランドとかグリーンランドとかございます。そのほか、共同でもって関係国が費用を持ち合って定点観測を行なって、航空気象の面において、北大西洋を中心に航空の安全をはかるというようなことをやっております。わが国も、昨年から日本航空が北極経由路線を開始いたしました結果、関係が出ているわけでございます。  以上が大体モントリオールにおきます本部の活動状況でございますが、そのほかに地域事務所が世界に五つございまして、メキシコにありますのが北アメリカ及びカリブ海地域の関係、それからリマにございますのが南アメリカ、それからバンコックにございますのが極東及び太平洋、——わが国は太平洋地域に入っております。それからパリにございますのがヨーロッパ及びアフリカを担当いたしております。それからカイロにございますのが中近東を担当しております。  以上申し上げましたような機構で、ほかの国際機関に比べましても、私ども承知しておりますところでは、非常に活発に、ことに技術面におきまして活発に活動しておるように承知しております。
  57. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 有効な活動をされておるということは非常にけっこうだと思いますが、この条約の改正に関する議定書締結について承認を求めるの件というのを、私、しろうとですから、こう見ますと、内容は、二十一の国を二十七にするというだけのことなんですけれども、ここに出ている議案というものは、非常に議定書といいますか、非常に長いのですけれども、やはりあれですか、外交文書というものはこう長々と書かなければならないのでしょうか。(笑声)もっと簡単に二つ、三つ書きまして、五十条の「二十一」を「二十七」に改める、五十六ヵ国の批准がないうちは効力を生じないというような点が主のようでありますけれども、こう長々と書くのが今までの慣例なんでしょうか、その点をちょっと。
  58. 中川融

    政府委員中川融君) 御指摘の点、われわれも同じような感じをちょっと持つのでございますが、これは八十幾つの国が集まりましてそこできめました際に、こういう長い格好のものを実はきめたのでございまして、普通国連の決議あたりですと、やはりこんな格好で、どういう事情でどういう人が集まってどういうことを考えて、それでこういう決議をしたというように長々と書くのが国連あたりのしきたりのようでございまして、この議定書もおそらく条約ということよりは、むしろこういうことでやったということを記録に残すような格好で初め案が書かれて、それがそのまま議定書案に形を変えてきたのではないかと思います。あまり全体としては少しごたごたしておりまして、どこに本筋があるのかちょっと見にくいような格好になっておりますが、日本相手国だけで二国間だけでやるものでありますれば、われわれとしては相当手を入れて、よいものにするのでございますが、八十何ヵ国が集まってやっておりました関係上、どうもこういう格好になったのでございます。御了承願いたいと思います。
  59. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 今の点はわかりましたが、そこでいま一つお聞きしたいのは、この国際民間航空機関というものが世界の全体の航空に関する中心の機関で、そこで加盟国が国際民間航空条約というものを作っておる。その条約にたくさんのことが書いてあると思うのでありますが、私は実は知りませんのでお伺いするのですが、そこに書いてあります重要な事項というものと、この間のオランダの軍人の輸送というか、こういうものとがそこで適法か違法かという問題がこれに触れてくるわけでございますか。その点を伺っておきたい。
  60. 中川融

    政府委員中川融君) 国際民間航空条約が国際民間航空の一番のもとになるいろいろな原則を書いてあるわけでございます。これには実はいわゆる定期民間航空と申しますか、いわゆる飛行会社が普通定期便をやっておりますあれの運営に関する規則というものがこれから実は大部分抜けておるのでございます。これは別にこの関係の条約を作るという予定だったのでございますが、それがまだ国際的な多数国間の条約ができておりません。したがって、いろいろ御審議を願っておりますような、この二つの国の間でのいろいろ民間定期航空の原則をきめる条約を特にみな結ばなければいけなくなりまして、各国がそれぞれ条約を結んでおるのでございます。今問題になっておりますオランダのKLMの飛行機日本に来る問題、これは第一次的には、日蘭間の民間航空協定というのがございます。これによっていろいろなことが規定されておるわけでございます。しかし一番の、さらにもとになる民間航空機とは何であるかというようなことになりますと、これは、国際民間航空条約——一九四七年にできましたこの多数国間の条約に一番もとになる民間航空機の定義というようなものは、こっちのほうに出ておるわけでございます。したがって、今問題は、オランダのKLM機がオランダの軍人を私服で相当数乗っけてしばしば来るわけでありますが、それが、民間機が、オランダのKLM機が日本とあらかじめ協定されました回数で毎週二回羽田を通って、あの経路で日本を通っていくということは、実は日本とオランダとの航空協定では認めておるわけでありまして、したがって、これからはいけないということは出てこない。どうしても出てこないわけであります、認められたとおりのことをやっておるわけですから。それで、何か疑念が起こるとすれば、はたしてそれが民間航空機であるかどうかという根本の点に疑点が起これば起こり得るわけであります。その根本の点は、むしろ二国間の条約ではなくて、多数国間の国際民間航空条約、たとえば第三条(a)に、民間航空機だけにこの条約は適用する、国の航空機には適用しないということが書いてあります。国の航空機はしたがって民間航空、国際民間航空条約の適用も受けません、したがってその保護も受けませんし、またこれに基づいてできております、たとえば日本とオランダとの間の二国間の協定による保護も受けないわけであります。「国の航空機」というと、これは全然別個の基準になるわけで、そこで、やはり第三条(b)に、「軍、税関及び警察の業務に用いる航空機は、国の航空機とみなす。」という規定がまた書いてあります。そうすると、軍の業務に用いる航空機は「国の航空機」である。「国の航空機」は民間航空機でないから、この条約の適用範囲外であるということになりまして、これは、その主権国がそのつどこれを許可するか許可しないという権利が出てくるわけであります。そこらのところがKLMを日本がどう見るかということに関連する規定になってくるわけであります。御承知のように、今の段階では、やはりこれは「国の航空機」とみなしてしまうという程度にはまだ至っていない。やはり民間航空機として運航しておるものであるというふうに見ざるを得ないというのが今の立場であります。
  61. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 国際民間航空条約というものは、これはまあ航空機に関する世界の憲法というか、まあ一番の基本的のものだと思いますが、今度日本でパキスタンなりイタリア・インドネシアと航空業務についての協定をここに提案されておりますが、この内容は、この国際民間航空条約というものから見て、特別の規定をこの中に入れることが認められておるのでしょうか。それとも、たとえば憲法なり法律のもとに政令が出るという式に、もう国際条約では全部きまっておる、ただ具体的にパキスタンなりイタリア、インドネシアと日本がそれに規定されておらない問題を規定されておるのかどうか、ちょっとくどいようでありますけれども、何か国際条約のほうの中で足りないところを今度の協定で結ばれたのでしょうか。
  62. 中川融

    政府委員中川融君) 国際民間航空条約民間航空のいわば国際的な憲法であるわけでございます。しかし、憲法であるだけに、その微細な点まで詳細の規定は実はしていないわけでありまして、その一番大きな抜けている部分は、定期航空というものについての規定というものがないわけであります。民間航空ということでずっといろいろな原則を書いておるわけでありますが、民間航空の中にも、不定期で運航するものもあれば、一ぺんきりのものもあれば、さらに定期的に毎週何回どういう経路で輸送する。それには乗客とか荷物を乗せる、お金を取って物を運ぶ。こういうのが定期航空業務でありますが、この定期航空業務について特に当てはめて考えなければならぬ規定が実は抜けているわけであります。これは、先ほどもちょっと申しましたが、ほんとうならば、その定期航空業務についての原則をきめたものを、同時にもう一つ別の多数国間の条約を作るというのが好ましかったわけでありますが、いろいろな事情からそれができませんので、したがって、この定期民間航空業務に関する取りきめというのは、二国間でおのおの作るということに戦後ずっとなってきておるわけであります。これに基づきまして、日本もすでに十五の国とそういう定期航空に関する協定を結んできておりまして、今御審議願っております三つもさらにそれに追加する、そういう協定になるわけであります。したがって、日航がある航路を運航しようとすると、通過する国あるいは着陸する国との間にどうしてもこの二国間の協定を作らなければ動けないわけでありまして、その関係上、こういう大体同じ格好のものを幾つかの国と作らなければならない。しかも、それがおのおのの国によって少しずつ事情が違います。したがって、多少の違いがおのおのの中へ出てくる、こういう仕組みになっておるわけでございます。
  63. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 いま一点だけ。あれですか、その国際民間航空条約に加盟しておる国が現在九十二ヵ国ある。日本も入っておる。たとえばパキスタンなりイタリア、インドネシアも入っている。とすれば、このほうは特にこの協定を結ばぬでも国際条約には拘束されるわけなんでしょう。この条約を結ぶまでは、日本とはこちらの国際条約のほうも有効でないのでしょうか。これが結ばれて初めてパキスタンなりイタリア、インドネシアと日本との航空問題というのが国際的に国家的に認められるので、それまでは、この協定がなければ全然無関係になっていたんでしょうか。
  64. 中川融

    政府委員中川融君) 御指摘のように、国際民間航空条約自体には日本も入っておりますし、今のパキスタン、イタリア、インドネシア、いずれも入っておるわけでございます。したがって、国際民間航空条約に関する限り、日本もこれらの三国も当然にその条約には拘束されているわけであります。しかし、その条約だけでは、日航を運航をするという際に、それだけではできませんから、民間航空定期運送事業については別の取りきめが必要になりますので、それで今回三つの国とそういう協定を特に結ぶということになるわけでございまして、その三つの国と結びましたこの協定が発効いたしました際も、もちろんその憲法である国際民間航空条約のほうは依然として効力が続いておるわけでございまして、したがって、その憲法のほかにまたいわば普通の法律といいますか、二国間のこの協定がおのおのまたあわして効力を生じてくるということになるわけであります。
  65. 木内四郎

    ○木内四郎君 さっき政府委員の方の青柳委員に対する御説明ですと、国際民間航空条約に加盟しておるものは九十二とかいう話ですが、それらの諸国と日本との航空条約の締結の状態はどんなふうになっておるか。小さい国などはいいけれども、大きな国との状態はどうなっておるでしょうか。すでにあるいは御質疑があったかもしれません。私はちょっとおくれて参りましたものですから、すでに御質疑があって御答弁があれば、私は取り消しますが。
  66. 中川融

    政府委員中川融君) 九十二の国が今この国際民間航空条約に入っておるわけでありますが、日航が運航するというような必要、あるいは相手国の定期飛行会社日本乗り入れるということの必要等から、日本との間におのおの民間航空協定というのをそれぞれ作る必要が出てくるわけでありますが、これはそう九十二の国全部と作っておるわけではないのでありまして、従来日本が二国間の航空協定を作っておりましたのは十五ヵ国でございます。そのほか今度新しくこの三つの国と協定を作るわけでございます。なお、現在すでに協定を結びましたけれども、こちらのほうではこれを承認する手続が済んでおりながら、先方の事情でまだ承認が済んでいないために発効していないというのがたしか二つほどあったかと思います。なお、今交渉しつつありますものにアラブ連合との航空協定交渉しております。これらができますと、総計二十一くらいになるのじゃないかと思っております。
  67. 木内四郎

    ○木内四郎君 数のほうはいいのですけれども、世界の大国ですね。大国とは大体結んでおりますかどうですか。
  68. 中川融

    政府委員中川融君) 世界の大国、つまり大国が国際民間航空業務を行ないますと、大体これは日本にも来るわけでございまして、また日本日航が行かなければならぬ路線の分、これはどうしてもやはりこういう二国間の協定を結ばなければ行けません。したがって、いわゆる世界の大国というもの、ことに民間航空において非常に活躍している国々、これとの間ではこういう協定ができておるわけでございます。
  69. 木内四郎

    ○木内四郎君 たとえばソ連あたりはどんなことになりますか。大国ではあるが、ソ連は。
  70. 中川融

    政府委員中川融君) ソ連との間には、いろいろ話はございますけれども、まだこの二国間の協定はできておりません。なお、国際民間航空条約の九十二ヵ国にもソ連は入っていないのであります。
  71. 木内四郎

    ○木内四郎君 どういうわけでソ連は入らないのか。あるいはまた入らないとしても、日本ソ連との間に結ぶ必要はないのか。
  72. 法眼晋作

    政府委員法眼晋作君) 先ほど簡単にお答えいたしておきましたのですけれども、現在、日本ソ連とは、航空協定を結ぶ場合に相互主張が違っておりまして、どうしても合わないという現状でございますので、将来はどうかわかりませんけれども、現在は主張が対立したままになっておる実情でございます。  国際民間航空条約ソ連が入らないという理由につきましては、これは推測するほかないのでございますけれども、現在、ソ連主張によりまするというと、一定の地域については国際航空が開けておらぬ。シベリアの空でございます。こういう主張でございますので、おそらくソ連としてはこれに入ることに不便を感じているのではないかと推測されます。
  73. 羽生三七

    羽生三七君 ちょっとそれに関連してですがね。そうすると、国際民間航空条約に参加していなくても二国間協定だけでもいけるわけですね。
  74. 中川融

    政府委員中川融君) 非常に例外的な例でございますが、日ソ間にもし相互飛行機乗り入れるという話ができます際には、そういう事態が起きると思います。
  75. 木内四郎

    ○木内四郎君 協定は結ばれないにしても、たとえばソ連日航機が特に行くような場合には、特別な取りきめによって行くわけですか。
  76. 中川融

    政府委員中川融君) 定期航空で乗り入れる場合には、やはり日ソ間に何らかの協定を必要とすると思います。しかし、何か一回限り飛行機乗り入れる。向こうから来る。日本から行くという場合には、そのたびごとにお互いに了解を取りつけて実施するということになると思います。
  77. 木内四郎

    ○木内四郎君 この問題、すでに他の委員からも御質疑があったようですから、私はこれで打ち切ります。
  78. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 今これも質問あったのかもしれぬが、ソ連がモスクワの乗り入れを許している各国の定期便がありますか。
  79. 法眼晋作

    政府委員法眼晋作君) これは主としてヨーロッパ方面からでありまして、サベナ、BOAC、エア・フランス、それからSAS、インドが入っております。
  80. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 私の聞いているところでは、結局日ソ間の問題はモスクワ乗り入れをする、モスクワと東京相互乗り入れするかどうかということが一番焦点というか、問題の解決を困難ならしめているというふうに聞いているのですが、外国ですでにモスクワに乗り入れているそれだけの民間航空会社がありとすれば、日本の航空会社乗り入れることについて、特に着陸地を限定するということは何か特別な理由がありますか。
  81. 法眼晋作

    政府委員法眼晋作君) 現在ソ連シベリアの空は国際航空に開いておらぬ。そこで国際航空に開いておるところを通っておいでなさい、こう主張するわけでございます。したがいまして、かりに日本がヨーロッパの空を通ってソ連に入るということを言えば、これはソ連はよろしいと、こう申しておるわけでございます。
  82. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 問題の焦点は、シベリアの上空を通るか通らないかということにかかっているわけですか。
  83. 法眼晋作

    政府委員法眼晋作君) ソ連主張によりますと、大体そういうことになるわけでございます。
  84. 羽生三七

    羽生三七君 関連して。それは日本が承諾するかしないかは別として、ソ連東京まで来る。日本はハバロフスクまで行って、そこからソ連機に乗りかえて入るというようなことを向こう側が提案していることはないのですか。承諾するかしないかは別です、日本が。
  85. 法眼晋作

    政府委員法眼晋作君) 現在のところはそういう話はわれわれとしては承知いたしておらないのであります。
  86. 羽生三七

    羽生三七君 めんどうならいいんですが、できたら、日本と二国間で航空協定を結んでおる国の機数とか機種、そういうものの現状がわかったら、きょうでなくてもいいんですが、この次、火曜日までにお知らせいただければいいと思うのです。日本の現状は詳細にこの間承りましたから、相手国全部がわかればいいし、航空協定結んでいる相手国全部がわからない場合は、今結んでおる国であっても、わかるだけでもいい。
  87. 栃内一彦

    説明員栃内一彦君) ただいまの資料につきましては、私どものほうでわかる範囲で後刻調べて御報告いたします。
  88. 木内四郎

    ○木内四郎君 羽生委員が資料の要求されるならば、そのついでにおもなる向こうの航空会社の状態、資本金とか、あるいは政府が半額出資でやっているとか、あるいは民間だけでやっているのだとか、そういう状態の説明までひとつ加えたものを出していただきたいと思います。
  89. 井上清一

    委員長井上清一君) これは委員長から政府当局に要望いたしておきます。
  90. 永野護

    永野護君 この前ちょっと私の思いつきとして申し上げたのですが、国際航空がだんだんジェット化して、そうしてプロペラ機は貨物用にでも回さなければしようがないというお話がありましたので、貨物と普通旅客との中間的のあれですけれども、たとえば学生なんかを非常に安い運賃で、つまり貨物と普通の旅客運賃のまん中くらいななにで、そういうことをいろいろな条約上規定にできるかどうか。運賃の規定がありましょうが、もしもできるならば、日本とアメリカとの間に非常に安い、ちょうど学生の学生遊覧列車とか、修学旅行列車というようなのがあるように、非常に安い値段で、相互の学生が、それはサービスなんかはほとんど要らないのですから、そういうことを考えられませんかということをこの前もこの委員会で申し上げたのですが、あるいはそんなこと……。
  91. 栃内一彦

    説明員栃内一彦君) 前回の委員会におきまして、学生を団体でもって比較的安い運賃で運ぶという考え方をとれないかという御質問、あるいは御意見かとも思いますが、あったということを、前回出席しておりました局長から私聞いたわけでございます。確かに一つの考え方ではあると思います。またこれをかりにやるとしますれば、IATAのほうの運送委員会の決議によりまして、そういうものを採用するということになりますと、関係政府機関におのおの届け出、あるいは許可申請をする、こういう手続になると思います。したがいまして、この問題は政府間の航空協定の問題と申しますよりも、各航空会社、あるいはIATAの問題ということでございまして、その場合に、学生を貨物と普通のお客との中間というようなことでやりますと、いろいろな技術的な問題、特に中のシートをどうするかというような問題、それが恒常的に継続し得るのか、貨物機から学生機に変える、あるいは学生機から普通の旅客機に変えるというようなことが短時間で、しかも経済的にできるかどうかというような問題、あるいは学生の運賃負担というものをどの程度に見ていくかというような問題、相当技術的に検討の必要があり、その結果採算的にも可能である、また採算的に非常にもうかるのではないが、ともかく損をしない、いわば飛行機をただ遊ばしておくよりもいいというような結論が出れば、おそらく各会社は踏み切るというように考えております。したがいまして、この点は航空当局がみずから研究をするということも必要でございますが、やはり専門のそういう技術的な知識の豊富な航空会社にこの検討をしてもらうというような方法で事を取り運んだらどうかと、かように考える次第でございます。
  92. 永野護

    永野護君 実は少し前ですけれども、パン・アメリカンの社長が日本へ来ましたときに、私こういう提案をしたのです。日本とアメリカとの間を非常に緊密につき合っていくためには、若い学生を相互に、アメリカの学生も休暇のときは日本に遊びに来る、日本の学生も春休み、冬休みにアメリカへ遊びに行けるようにしたらどうだ。それには普通の今の旅客機のようなぜいたくなものじゃ、とても料金その他もいくまいから、貨物と、そのときは自分は「足のついてる貨物」という言葉を使ったのですが、そういう安い値段で、サービスなり設備なんかほとんど要らないくらいにしてやったらどうかと言いましたら、パン・アメリカンの社長は非常に賛成して、それは日米間の国交改善の上においても非常にいいことだと思うから、ぜひそれをやろう、ひとつ考えてみたい、そう言っておったのです。そうしてそのときに、それならちょうど日本の旅行会社がたくさんやるように、月に三ドルとか二ドルとかいう月賦で払い込んで、そうして一定の期間がたつと、アメリカの学生は日本に遊びにこれる、日本の学生はアメリカに遊びに行ける。そのときに、私は運輸省の国民宿舎なんかのいろんな設計や何かをやっているようでしたから、アメリカ側がそういうことでやったら一日三ドルで引き受けよう、日本に入ってきたら、という話まで実はしたのです。そうしたら、非常に楽に日本の学生もアメリカに行けるし、アメリカの学生も日本に来られるようになるというふうに、そういう話をしたことがあるのです。実はパン・アメリカンの社長から、国に帰ったらさっそくやってみよう、月にたしか三ドルと言いましたか、くらい払い込まさして、たまったら来れるようにしよう、その後何とも言ってきませんけれども、そういうことは話をしたことがあるのです。考えられるということを言いましたから、外国の飛行機会社が考え得ることならば、そしてたまたま日本も今のジェット機にかわって、プロペラ機は貨物輸送に使う以外にどうもしようがないようだという説明がありましたから、それならば中間のあれとしてそういうことを考えられたらどうか、考える余地がありませんかという質問をしたわけなんです。だから、専門家も考えられると少なくとも言いましたから、外国の飛行機会社が考え得るならば、日本飛行機会社も考え得るのじゃないかと、こう思ったわけです。
  93. 井上清一

    委員長井上清一君) ほかに御質疑のおありの方はございませんか。  それでは、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十一分散会