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1962-03-22 第40回国会 参議院 科学技術振興対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十二日(木曜日)   午後一時五十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     森 八三一君    理事            谷村 貞治君            横山 フク君            吉田 法晴君            牛田  寛君    委員            川上 為治君            笹森 順造君            村山 道雄君           小笠原二三男君            近藤 信一君   国務大臣    国 務 大 臣 三木 武夫君   政府委員    科学技術政務次    官       山本 利壽君    科学技術庁長官    官房長     島村 武久君    科学技術庁振興    局長      前田 陽吉君    科学技術庁原子    力局長     杠  文吉君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    厚生省環境衛生    局環境衛生課長 翁 久次郎君    気象庁予報部長 肥沼 寛一君    建設省河川局河    川計画課長   柴原孝太郎君   —————————————   本日の会議に付した案件日本原子力研究所法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○原子力委員会設置法の一部を改正す  る法律案内閣送付予備審査) ○科学技術振興対策樹立に関する調査  (防災科学に関する件)   —————————————
  2. 森八三一

    委員長(森八三一君) ただいまより委員会を開会いたします。  日本原予力研究所法の一部を改正する法律案(閣法第五九号)(衆議院送付)を議題といたします。  御質疑のおありの方は順次、御発言をいただきます。
  3. 吉田法晴

    吉田法晴君 この法律改正によって理事を一名増員するということですが、前回の同僚近藤委員質問に答えて、民間から採りたい、こういう方針だけは示されているわけですが、新聞には具体的にどこのだれという点も報ぜられたりしておりますが、私は、まあ委員会を通じてそういう質問のあったときに言わないで、委員会外新聞に漏らされるということは、実にけしからぬと思う。法に関連して質疑をしておる際に……。そうして、そのことが宇宙開発についても、科学者とそれから技術庁との対立を来たすような一つのやっぱり原因じゃないかという心配をするわけですが、こういう点について、どういう工合にお考えになりますか。
  4. 杠文吉

    政府委員杠文吉君) 本件につきましては、新聞にも報道されたといたしましても、それは私のほうから新聞発表したわけでございませんで、おそらくは候補者をたくさん考えておりました、その候補者の中のお一人であって、それがどこからか漏れたというような状況ではなかろうかと存ずるわけでございます。この四月一日から発足させていただきたいという希望を持って御審議を願っておる際でもございますので、すでに候補者も何人かはいろいろ検討されておるという段階であることは間違いでございませんが、どなたに確実にお願いするというところまで至ってない。これはもちろん御審議のいかんによりまして発令の手続ということに相なろうかと思いますので、それよりも先ばしってそのようなことがきめられているというふうには承知いたしておりません。
  5. 吉田法晴

    吉田法晴君 建前は、まあそうだろうと思うのですけれども、新聞には特定会社特定の人の名前がみな出ておるわけですから、増員される理事一名、これは所長も兼務されるわけですが、それではどういう御意向でおられるのですか。新聞に出ましたのは御承知かと思いますが、今のあれですと新聞は見ておらぬと、こういう話のようですけれども……。  それからもう一つは、委員会審議の際に、もしそういう発表なりあるいは漏れるあれがあれば、委員会審議の際にお話しになるべきだろう。こういう人を、ということ、民間であるか、あるいは学者であるか、まあ民間という点はこの前述べられたようですが、具体的なその選考の対象と、それから言われるような民間のある会社の重役さんであるということになれば、問題は研究所ですから科学者でしょうね。ですから、民間から採るがいいか、あるいは学者から採るがいいか、学者から採るがいいかということは、民間の人が学者でないとは言いませんけれども、いわゆる民間会社から採るがいいか、大学先生学者から採るがいいかという点は、これは今後の研究所あり方、あるいは総合の仕方と関連してやっぱり問題になるべき点だと思う。そういう点で、学者意向も無視してやるということになれば、宇宙開発審議会のような対立が出てくるのじゃないか、こういう心配をして御質問したわけですが、その二点を御説明願いたい。
  6. 杠文吉

    政府委員杠文吉君) 原子力研究所の中の機構ではございますが、やはり御指摘のとおりに所長になられるようなお方でございますから、大臣のほうからお答えになるのが適当かと思いますが、私が承知しておる範囲では、今回の研究所基礎の勉強をやるというよりも、むしろ中間規模試験をやる、民間会社ではできがたいような中間規模試験をやる。また大学において基礎研究をやっておられるが、その基礎研究から上がってくるものを取り上げる際の試験をやるというようなことが狙いでございますので、純然たる学究の方というよりも、むしろ、今まで相当な業績をもって、しかも学問的な情熱もお持ちになっているというような方が最適任ではなかろうかということで、吉田先生指摘のとおりに新聞——私拝見しておりませんけれども、もし出たとするならば、そのような適当な方として、出たのではなかろうか。新聞には漏れたと申しましょうか、出たのではなかろうかと思うわけでございます。私が承知しておる限りにおいては、その方にきまっておるというふうには承知いたしておりません。  また学界とのつながりということでございますが、今回の化学研究所設立にあたりましては、原子力委員会の中におきますところの放射線化学専門部会にも十分にお諮りしてございまして、学者方々、たとえば科学界における非常に有力な学者であられるところの雨宮先生というような方の御意見も十分に反映さしてございます。そこで学界からの異議というようなものはまだ承知しておりません。むしろ非常に協力するという形において発足しているというふうに、われわれは見ているわけでございます。
  7. 吉田法晴

    吉田法晴君 放射線部会には正式に相談をされたということですか。
  8. 杠文吉

    政府委員杠文吉君) むしろ正式に相談したというよりも、放射線化学専門部会のほうから、この中間規模試験をやるような研究所を国として考慮されてしかるべしというような答申をいただいた、その答申に基づいてわれわれは予算要求もいたし、そうして設立の運びに至ろうとしており、それで御審議を今わずらわしておるというような状況にあるということでございます。だからイニシアチブはむしろ放射線化学専門部会においてとられておるということでございます。
  9. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると、その放射線部会から中間規模研究を作るべきだという答申があって、それに基づいて作ったのですか。そうしますと、民間なりあるいは学界との位置づけというものも論議をされたと思うのですが、それはあとで伺うことにして、それならなおさら人選の問題についても多少御相談があってしかるべきじゃないかと思うのですが、どうもそれはなかったんじゃないか。そして中間規模試験、あるいはまた基礎研究を土台にして実用化といいますか、あるいは実施のための研究をするということで、民間から採りたいということですけれども、特定名前が出るについても、若干その機構それ自身が答申に基づいてあれするならば、意向は参酌されてもいいんじゃないかという気がするのですが、人間の問題についても、それでは学界との対立その他は心配する必要がないとこういうことですか。
  10. 山本利壽

    政府委員山本利壽君) 人事の問題はいかなる場合にも非常に慎重を期するべきでございまして、ことに、まだ法案を御審議いただいておる最中でございますから、これが成立して後でなければ人事決定ということは、これはあり得べからざることでございます。しかし当局といたしましては、あれこれとこれが成立いたしました暁には適当な人にお願いいたさなければなりませんから、それぞれ各方面にわたって適当な人をあれこれ考えておくということもまた必要だと思うのでございまして、その途中において、その話題の中のどなたかが、その新聞を私も拝見しておりませんけれども、どっからか漏れたというのではないかと思うのでございまして、お説のようにこういう点は非常に重大でございますから、ことに今回設けます機関そのものが、今後非常に日本学界、あるいは産業界に重大な役目を果たすものでございますから、先ほど局長が申しましたように、総括者としても、あるいは運営者としてもまた適材でなければならず、吉田委員の仰せのように、学界とも十分な理解のつくような方を選ぶということが当然なことでございますから、いよいよ確定に至りますまでには、そういう点につきましても当局において慎重を期してきめることでございます。
  11. 吉田法晴

    吉田法晴君 私も新聞記事を手元に持っているわけではありませんが、新聞では旭化成のだれそれが専務ですか、きまったという報道だと承知しています。そうすると、今の話のように何人か、候補者のある中から最善の人を選びたいということで努力をしておられても、きまらぬ先にそういうニュースが出るということは、ぶちこわしにはなっても、円満に学界あるいは民間との協力体制のもとに人事をきめるということにはならぬ。そしてそのことは、やっぱりあと学界なりあるいは他の民間団体といいまましょうか、あるいは会社、業界との間の円滑を欠く原因になりかねない。ごぼう抜きに、何々会社のだれだれと、こういうことで、法律の通らぬ前に——これは選衡範囲も公明にやられて、その中から最適の人間として出されるというなら別問題ですが、その辺はやり方としてやっぱり警告をしておかなければならぬと思うのです。それで学界民間との位置づけ、これは先ほど伺ったのですけれども、組織的にはどういうように連絡調整研究所がやられることになるんですか。たとえば学術会議あるいは先ほど放射線部会というお話がございましたが、放射線部会を取り巻く科学界の、その辺の具体的な交渉を一つ……。
  12. 杠文吉

    政府委員杠文吉君) 従来とも原子力研究所運営につきましては、やはり学界からも、たとえば茅先生のようなお偉い方を顧問としてお願いしてありますし、また産業界からも相当有力な方々顧問となっておられるわけであります。その顧問の御指導を受けることはもちろんでございますが、先ほど御説明申し上げましたように、放射線専門部会という原子力委員会の有力な専門部会がございまして、その専門部会のほうで絶えず研究推進ないしは調整ということをやるというような考え方でございます。その専門部会の構成の中には先ほど申し上げましたように、産業界実務家もあれば、あるいは学界におけるその道の相当な権威者もお入りになっておるというようなことでございますので、その御指導を得ていくならば、おそらくは御期待に浴うような成果を上げ得るものというふうに考えるわけでございます。
  13. 吉田法晴

    吉田法晴君 長官が来られましたから、今の問題も一応終わったのですけれども、増員される理事、それから放射線化学研究所所長を兼ねられる人の人事がまだ法律が通らず、選考段階というのに、きまったということが新聞に出た。そこでこの前近藤委員等から質問があったときには、そういう話がなくて、民間から採りたいという話だけれども、委員会では答弁しないことが新聞に出る。こういうやり方国会軽視なり、あるいは委員会軽視ではないかという懸念を持つ。これはあなたの人選かどうか知りませんけれども、科学界とのとにかく連絡、あるいは民間との調整、今後のできる研究所の何といいますか、円満な職務遂行の点からも支障が起こってきはせぬか、こういうことでそういう不明朗なといいますか、やり方委員会軽視にもなりますが、これは警告を要するということで今申し上げておる。  それに関連をして、長官が来られましたから伺いたいのですが、これもまあそういうふうになるのではないかという心配をしたのですけれども、宇宙開発審議会について政府学者の間に対立がある、こういう新聞記事を私ども見て心配をしておるのであります。政府学界の意思を無視する、これは宇宙開発についてもそれがうまく進むとも思われませんが、あるいは原子力科学についてもそうです。これらについて、それはまあ今申し上げたのは小さい人事の問題のようですけれども、しかし、やはり今後の研究所、あるいは科学行政あり方として問題だろうと思ったのでお伺いしたのですが、理事の任命が特定しているかどうか、その選任の仕方、同じような対立がもっと深刻に宇宙開発審議会についてはあるんじゃないか、こう考えますので、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  14. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 理事は漏れましたですか。何か新聞に出ていたんですか。
  15. 吉田法晴

    吉田法晴君 はあ。
  16. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) とにかく、御審議を願っておるわけでございますので、原子力研究所法改正、そういう点でまあ御可決が願えるだろう、見通しとしては。そうなってきた場合に、人選はあらかじめしなければならぬということで進めておったことは事実であります。しかし、まだ正式に決定ということではないんです。しかし、われわれが有力な候補者として考えておるものを、これは私一人でというわけにもいきませんから、多少範囲が広がるのですね。でも私の口から、私はそういう点では、これは長い間の政党人として、国会でこういう審議をされておるときに、人間を漏らしたりは私はしないのです。それはやはりよくない。しかし、相談しますから、その中でやはり漏れるような機会もあるのです。ことに新聞はこのごろは過当競争で、非常に取材活動に熱心でありますから、非常に人事のことに関して異常な関心を持っておる。日本新聞がそういうことで非常にこの問題に限らず、議運などではときどきとっちめられておるのです。人事が先に漏れるということはよくないことで、今後これはできるだけ注意をいたすことが国会を尊重する道だと私は思います。法案も通っていないのに先に人事がきまるということはよくないことであります。しかし、事情は、こういう事情があるということも吉田委員もひとつ御洞察を願いたいと思います。  それから、宇宙開発審議会学者役所側との意見対立があるんではないかというお話でありますが、どうも今宇宙開発ということが日本としては米ソのような段階でないまでも、われわれとしては、われわれとしてやらなければならぬ問題でありますので、これを推進していくについて、いろいろとばらばらになっているのですね、学界学界民間民間役所役所ということで。たださえ日本予算というものはそういう先進国に比べてわずかな予算だ。それを使って有効に研究推進していく上において、今のようなばらばら体制はよくない。何かこれをお互いにもう少し総合的に研究推進していくような体制はできないか。だから、たとえば総理府に研究促進本部のようなものを置いて、そしてこの宇宙開発研究促進をはかったらどうかというようなことを私は国会答弁をしたことがあるのです。これがまあ宇宙開発審議会でそういうことが取り上げられて、政府のほうから研究統制をやるのではないか、いろんな疑心暗鬼を生んだんだろうと思います。しかし、推進本部を作っても研究自主性というものにわれわれは干渉するわけではないので、やはりその研究自主性を尊重しながらも、もう少しお金もたくさんつけたり、あるいは総合的にわれわれのところではこういう方面を分担しようということで、総合的に計画を立ててやるようなことが研究の効果を上げるんではないかと、こう私は今でも考えておるわけであります。研究統制など今日の時代にできるわけでもないし、また宇宙開発は、ごらんになっても、あれだけ対立の激しい米ソの間にも軍縮とか核実験停止というような、こういう協定はよし成功しないにしても、宇宙開発には米ソ間に何らかの共同研究体制がとれるような情勢にもあるわけです。米ソでも提携してやろうというのに、日本で何かちょいと政府がこれを推進しようというと、研究統制でもやるんではないかというそういう疑心暗鬼を持たれるということは残念なことで、学界ももう少し量見を広くしてもらいたいと私は願っておるのであります。非常に何かちょいとやると、研究統制に乗り出すのではないかというような、そういう戦前の何か悪夢にとらわれたような猜疑心お互いに持たないで、われわれは研究自主性というものは尊重したいということは、これはもう強く考えておるのですから、みんなが元来こういう科学技術研究などは、つまりセクト主義でない、お互いに分担しながら総合的に力を有効に使っていくというような体制ができないかと考えるわけであります。そういう誤解があればいけませんから、兼重という宇宙開発審議会の会長を呼んで、政府の意図はそんな量見ではないとみんなに伝えておいてもらいたいということを申しておきましたので、そういう誤解は解消するものと考えております。
  17. 吉田法晴

    吉田法晴君 兼重さんとお話をしようということですが、機構の問題をめぐって理論を主にするのか、あるいは実用目的を先にするのかと、こういう実際的な争いもある。それから統制云々という点では、自主性は尊重したいということですけれども、自主、平和の原則云々という点で、従来もまあロケットの研究等についても、やはり平和目的が貫かれるかどうかという危惧学界の中にもある。民間の中にも国民の中にもあるわけですね。ですから、単に統制になるかどうかという問題だけではない。だから、その辺は議論もありますから、学界とひざを交えて相談をしていく、そしてあるいは平和利用について平和原則が守られるような体制を作らるべきだろうと思うのです。  それから理論実用かという問題についても、これは理論的な問題も含み、実用的な問題も含みますけれども、学界技術庁との対立があるというようなことでは実際に進まぬと思いますので、その点が十分疑問と危惧とをなからしめるように協議の中で進めていただきたいと思うのですが、同じような心配原予力研究所理事でちょっと心配をしたわけです。法案は通っておらぬ、それから民間からということだけれども、民間からというのは、中間規模試験云々ということで、宇宙開発の場合についても実用のほうは先に立つから、そこで民間からという方針になり、その民間からの選択についても何人かが出ているのじゃなく、一人が出ている。旭化成専務ですか、宗像英二という人の名前が出ている。そうすると、あれは次官あるいは局長は知らぬと、こういう選考段階であって、何人か名前をあげて選考している段階だと、こう言われるのに、新聞に一人しか出てない。そうすると、それは長官もいわば個人的には何人かに相談しているかもしれないけれども、個人的なつながり選考をされているのじゃないか、あるいは決定をされているのじゃないか、あるいは決定までいかないかもしれませんけれども、内定しているかもしれない、そういう疑いを持つ。そうすると、これはぶちこわしにはなるけれども、まとめにはならない。そうすると学界との協力、あるいは民間との協力ということがスムーズにいかぬのじゃないか、こういうことを申し上げておるんですが、漏れましたかというようなお話もありましたが、漏れている点から言って、大臣からの説明と釈明とを一応お願いしたい。
  18. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 何人かの候補者が最初はあったのですが、正直に申せば、宗像君は最有力な候補者であるわけでございます。決定はしておりません。そういうことで、それは個人的な関係に基づくものではないと思います。今度の場合は中間規模試験研究施設というもので、民間で実際そういう点に携わってきておる人がよかろうということで、宗像君の経歴というものは、最有力な候補者に私は値いする経歴の持ち主だと思う。何人も個人的な関係でだれかが推薦してきたというわけではないわけでございます。吉田委員もお調べになれば、宗像君の経歴、人となりは、最有力の候補者の一人にすることには御納得がいくと思います。しかし、これは最後の決定までには、この法案も通りまして、正式にこれは原子力委員会等にも付議いたしますから、正式の決定ではむろんないわけでありますが、最有力の候補者の一人であるということを申し上げることが正直だと思って申し上げるわけでございます。こういう人事の何と申しますか、発表——発表したわけではないわけで、漏れたということでしょう。こういう点にはわれわれとしても一段と注意をしていく必要があると思います。
  19. 吉田法晴

    吉田法晴君 理事の問題についても多少そういう問題があるわけですが、場所の問題についてもいろいろ言われている。大洗候補地にする考え方、それからこれは中曽根前長官かもしれませんけれども、岩鼻を推薦する人もある。この間同僚議員などが視察に行った、私も見に行ったこともあるのですが、今大洗と東海村との間には射撃場の問題もある。場所一つをめぐってもいろいろな動きがある。これについてどういう御方針でありまするか。新聞に駿がれている。
  20. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) なかなか複雑なものでありまして、御指摘のように、場所大洗岩鼻、これは両方とも熱心に放射線研究所を設置してもらいたいという勧誘がある。なかなか両方とも特にこういう点で致命的な欠陥があるというようなものはないんで、その意味において大洗あるいは岩鼻というのは、いずれもいろんないい条件も備えておるわけでございます。そこで、この二カ所を一本にするわけではないんでありますから、どちらか一つ選択をしなきゃなりませんので、もう少し原子力委員会として、表面的には条件があるわけですが、もっと両場所についてしさいに検討し、これはいわゆる外部等民間協力も得なきゃなりませんから、そういう意見も徴して検討して参りたいというので、原予力委員会に今預けているところです。できるだけ早くきめたいと思っておりますが、あまりこのことによって非常な混乱が起こることは、その研究所設置目的を達成する道ではないと、できるだけ納得づくで解決をしたいというので、少し時間をかけることはやむを得ないと考えているわけでございます。  射爆場については、御承知のように原子力施政の近所に射爆場があるということは適当でないわけですから、政府としても日米合同施政委員会に正式に射爆場返還を議題として持ち出したわけであります。現在のところ、アメリカは返すという原則に同意しながら、どこか代替地をもらいたいというのが向こうの主張でございます。ところが代替地ということになってくると、なかなかこれは特に放射線研究所みたいに誘致するようなところもございませんし、なかなかこの代替地ということが問題なのであります。そこで、代替地というものをもう少し弾力的に考えられないかということで折衝をしているわけでございますが、いずれにしてもこの問題は早く解決をする必要がある、環境的に考えてもそうでありますので、私も自分で事によったら日米合同科学委員会ワシントンで五月にあるのに出席しようかという考えを持っておる。そのときにはこの問題は一つの重要な案件としてワシントンで、いろいろ話をしたけれども、原子力委員長としてこれは適当でないという立場から、この返還に対して向こう関係者と話し合いをしてみたいと思っておる次第でございます。
  21. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 関連して。今科学技術庁長官としての答弁としては、この研究所設置個所についてはなかなか扱いかねる面もあるので、原子力委員会に預けてあるという……。
  22. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 検討を…。
  23. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 検討をさせておる。検討をする長は三木原子力委員長ですね。それであなたが複数の原子力委員会にそれを預けている。それもいいでしょうが、これをおきめになるのはどこです。
  24. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは私の責任においてきめるわけです。しかし、こういうことなんです。よくいろいろな点をもっとしさいに検討をすることを原子力委員会に預けてあります。最終的には私が決定をいたします。
  25. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで私も質問したいと思っておったんですが、この研究所に増員する理事は、これは原子力委員会意見を聞いて内閣総理大臣がきめるわけですね。ですから、この理事の増員は、研究所所長として当てるんだということは、原子力委員会のほうから出てきて、今政府として国会にこの案を出してきておるものと思う。そうすると、原子力研究所放射線研究所を置くということを決定したのは、原子力委員会で、それを法律的に明らかにするか、行政的に明らかにするか、するのは政府だと、こういう形になっておるわけですね。それでこれは付属研究所ですが、この放射線研究所は。この方面に関しての関係法律改正理事の増員だけが表面に出てくるものですか。他に関係して法律改正があるわけですか。
  26. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 理事だけでほかにありません。
  27. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、この付属研究所の設置は、原研の定款の一部変更で設置せらるるものですか。
  28. 杠文吉

    政府委員杠文吉君) 法律的に細目にわたりますから、私からかわって御答弁いたします。  どこそこへ設置するというその場所でございますね。それは原子力研究所場所をきめるところの総理府令、その総理府令においてきめるという形に相なります。ですから、これは原子力研究所と対等の研究所をもしも設置するということでございましたら、当然に法律事項としてこの理事一名の原子力研究所改正だけにとどまらず、別に単独法を出すべきところでございますが、その付属機関を置く場所でございますね。付属機関といいましても原子力研究所の付属機関を置く場所は総理府令できめるということに相なります。その他組織等につきましても、すべて総理府令に譲っております。そういう法律の構成でございます。
  29. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういう法律の構成だというその法律研究所法のどこにあるのですか。
  30. 杠文吉

    政府委員杠文吉君) 原子力研究所法第六条「研究所は、定款をもって次の事項を規定しなければならない。」とございまして、一 目的、二 名称、三 事務所の所在地、以下いろいろのことがきめられております。それに基づいてその手続を総理府令においてきめておる。それはなぜかというと、そのあとに同条第2項にございますが、「定款の変更は、内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。」ということになっておりまして、内閣総理大臣の取り扱う事項ということから、そのような扱いをしております。
  31. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 定款はみずから研究所がきめる、政府がきめるものじゃない。それが生きるのが内閣総理大臣の認可を受ける。「内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。」ということは、内閣総理大臣が主体者ではないのです。受動的に、受け身で認可するかしないかをきめるのです。何のために理事長や副理事長や理事というものを内閣総理大臣が選任して、この研究所をあずけているのですか。一々内閣総理大臣が総理府令をもって規制するのですかりそれだけの根拠なら私は非常に疑義がある。定款の一部変更で付属研究所を置くことなんでしょう。法律がない限りはこの定款を運用するだけのことなんです、放射線研究所を置くということは。時間がないから申し上げますが、それまでに答弁してもらいたい。そうなれば、設置する場所その他業務の執行は定款に基づいて研究所みずからがやることなんです。原子力研究所を発足させるときは、政府は関与するだろうけれども、発足して生きている。民間政府との共同出資で行なわれるこの研究所を勝手に政府がどうだこうだということはあり得ないと思うのです。それでさっき三木さんのおっしゃる、私が場所をきめるのだということは、私は実は疑問を持つのです。法律的には原子力研究所の役員会がきめることなんです。これだけによれば、そう思われるというのです。
  32. 杠文吉

    政府委員杠文吉君) 確かに御指摘のとおり私の答えは訂正さしていただきたいと思うのです。それは日本原子力研究所の定款を内閣総理大臣が認可するという先ほどの個条でございますね、その個条によりましてやはり内閣総理大臣が認可いたしておりまして、その定款の中に、事務所の所在地、たとえば第三条におきまして、本研究所は主たる事務所を東京都港区に置く。本研究所は従たる住所を茨城県那珂郡東海村に置くというふうにきめられております。御指摘のとおりでございまして訂正させていただきます。
  33. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そう訂正になると、これから私が聞きたいことになる。そういう訂正があれば、研究所という本体の主たる事務所さえも定款できめられ、総理大臣の認可を受けておる。やはり付属機関をどこに置くというようなことは、政府がかれこれと権限的に関与する筋があるのか、それは定款に基づいて主たる事務所がきまっており、あるいは分散するいろいろな研究所、事業所というものは研究所がきめることなんです。それを原子力委員会にどこに置いたらいいかということをげたを預けておるというのはこれは間違いだと思う。それを皆さん方いみじくもね、政治的な問題だから正面切って権限ありそうに政府が関与しておる、そうじゃないですか。これは三木さん、陰でどうおやりになってもいいだろうが、表向きですね、場所についておれがきめるのだとか、どこがどうだとか、そんなばかなことを国会——ばかなというのは失礼ですが、言うべきことじゃないのです。
  34. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) こういうことでございました。私のは多少これを今の法理論よりも政治的に判断をし過ぎました。だから私の考えは法理的には正しくない。あなたの言われるほうが正しい。しかし実際問題としては、これはいろいろ政策に関係がありますから、独断で所長が、たとえその法律の上ではそうなっておりましても、原子力委員会、私にも相談を持ちかけることになり、むしろ持ちかけるよりも何かもう少し考え方をまとめてほしいという考え方をまとめてほしいような、ことに所長の方から、自分からぴしゃっときめるという、法律的にはあなたの言われるとおりであって、これは一体どうでしょうかという相談を持ちかけられて、実際的には原子力委員会で相当強い判断を示さなければならぬのが実際の運営で、その現実の動きから、私は法理論から言えばそれはおっしゃるとおりで、私の答弁は法理論では少し事実と相違いたしますから、建前はあなたのおっしゃるようなのが建前でございます。
  35. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 まあそうであればそれでいいのですが、ただそうおっしゃれば非常に三木さんは民主的にいい方で、またいいように御答弁になられる。けれどもその御答弁になっている政治的な問題がいろいろ現実には起こるから、そうなんだというそれ自身が、保守党自身の悪い面を露出しているんじゃないですか。政治的にしているのは政府なり政党なりではないですか。あるいはこれによって利益を得られるような関係者ではないのですか。そういうのから抜いて原子力委員会なり研究所なりを置き、そして客観的にこの原子力の開発なり利用発展ということをゆだねるという建前から言えば、そういうその種の場所がどうでこうでというようなことにまで政治が、政党があれやこれやと関与するということで、そうしてまたそれが世論的に風評が起こるということが、理事の選任の具体的な人間が漏れるというようなこと以上に非常な悪弊ではないか、三木さん自身その渦中に入っておるじゃないかということを、私は非常におかしいことだと思うのです。それで、実態はわかります。大臣のおっしゃるとおり、研究所長一存で理事会をもって場所決定するなどというふうには至らないと思う。しかし、あくまでも研究所理事会なり、理事長を主体にして、この問題が援助する形で考えられ、きめられるという姿勢は、やはりこういう機関が一つあるならあるで、そういう建前をとるべきだろうと思う。ところが新聞等で見ても、原子力研究所理事長も理事も、所自身がどういう意向であるかもなしに、これはこれで政府にまかせる、また陳情、請願それぞれやることは、どこの場所でやっているか私はわからぬが、みんな政府に向かって行っている。みんな三木さんのところに行っている。こういう行き方をやはり排除して、そうして責任のあるところに責任を持たせて問題を処理するというやはり表街道の建前をおとりになることを私は希望したいのですが、私の言うことは間違っているのでしょうか。
  36. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 間違っているとは思いませんが、ただ、これを自民党が政党の立場で考えているということは、だれもそういう点では全然ありません。
  37. 小笠原二三男

    ○小笠原二三君 政党人と申し上げましょう。
  38. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 政党人、それは政党人の、たとえば両県の選出代議士が自分の県にこれを誘致したいというその陳情に参加するようなことは、これは社会党もこの中に入る場合もございますので、超党派的なもので、単に自民党というものではないわけです。しかし、これはもう少し具体的に申し上げたほうが適当かと思うのですが、実際は原子力研究所のほうでこの場所の選定というものをやって、そしてなかなか結論が得られないで、これを原子力委員会相談に持ってきたことは事実です。土地の選定委員会のようなものを原研に作りまして、そうしてそれで長いこと検討もしたのですけれども、結論も出ないままに、原子力委員会に持ち込まれて、そういうことで、原子力委員会としても、相談を受けたわけでありますから、そういう点で原子力委員会自体としても、意見を問われたときにはそれに答えなければならないわけでありますから、検討を加えておるわけでございます。しかし、これを政治的にこの場所の問題をどうしようとか、また民間との関係でどうしようとか、そういう配慮はこの問題については全然ないわけであります。その点は誤解のないようにお願いをいたします。
  39. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 賢明な大臣ですから、筋目を立ててひとつ行政指導をやっていただきたいと思います。  そこで、放射線研究所を作るということを発議したのはどこなんですか。私はしろうとだから、ちょっとお尋ねします。事務的でいいですよ。
  40. 杠文吉

    政府委員杠文吉君) まず、放射線化学をいかにしたら振興できるか、世界的に非常に進みつつある、革新的に進みつつあるところの放射線化学でございますが、日本においては、残念ながら非常に進んでない。これを画期的に振興するにはどうしたらいいかということを原子力委員会議題として取り上げまして、原子力委員会の中の放射線専門部会へ諮問いたしました。その結果が、先ほど吉田先生にお答えしましたように、むしろ、諮問したのですが、答申の線が、非常に積極的に専門部会意見が出て参りまして、その専門部会の中には雨宮先生という東大の権威者とか、あるいは都立大学の千谷先生とかいうような人たち、そういう人たちも入られて、そうしてぜひ放射線化学研究所というようなものを作るべきであるというような答申に相なった。それを政府も取り上げまして、諮問した結果、そういう研究所を作って振興したほうが非常にいいであろうということから、予算要求をして、ただいま御審議願っているというよう状況であります。
  41. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それが、原子力研究所法によれば、何を根拠としてそういう研究所を置くということが、研究所自体できまってきたのですか。
  42. 杠文吉

    政府委員杠文吉君) それは日本原子力研究所の業務といたしまして、やはり放射線化学というものは原子力研究の一部でございますから、そこで日本原子力研究所に置いたほうがいいであろうというような考え方で、日本原子力研究所相談いたしましたところが、研究所としましても、自分のほうでやるべきであるということからきまったわけでございます。
  43. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、原子力研究所法の第三章業務の第二十二条に第八号まであるわけですが、このうちのどの条項で研究所理事会が決定したのですか。
  44. 杠文吉

    政府委員杠文吉君) 業務範囲の第二十二条でございますが、それの第一項の第一号、第二号といううようなものがございまして、第一号におきましては、「原子力に関する基礎研究を行うこと。」、第二号におきましては、「原子力に関する応用の研究を行うこと。」というふうになっておりまして、先ほども御説明しましたように、原子力範囲の中に放射線化学は当然に含まれるものという解釈でございまして、その原子力に関する基礎の部分ももちろん取り扱いますが、主として応用に関する研究を行ないたい。中間規模試験と申しましても、中間規模で直ちに生産工場的に何物かを作り上げるというわけではございませんので、その研究を完成したいということでございます。
  45. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうしますと、第二十二条の二号ですね。「原子力に関する応用の研究を行うこと。」、これに当てはめてやることになったのですね。
  46. 杠文吉

    政府委員杠文吉君) やはり二号だけではございませんで、一号の分もやはり残ります。
  47. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 一号と二号ですね。
  48. 杠文吉

    政府委員杠文吉君) さようでございます。
  49. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうであれば、これは研究所内の定款によって認められ、そうして業務として法律上誤められている範囲のことをやるのであって、事あらためて内閣総理大臣の認可を受けるとかいうような問題は、この第八のほうは起こってこないわけですね。「前各号に掲げるもののほか、第一条の目的を達成するため必要な業務を行うこと。」、それを受けて「研究所は、前項第八号に掲げる業務を行おうとするときは、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。」、これを適用したのではないのですね。
  50. 杠文吉

    政府委員杠文吉君) やはり研究の進め方の途中におきまして、今の中間規模試験と申しますけれども、その工業化とつながり工合によりましては、あるいは第八号の適用ということも考えられ得ようかと思います、したがいまして、その点はなお今後の業務の進み方によろうかと思います。
  51. 小笠原二三男

    ○小笠原二三君 そうすると、やはり第一号、第二号の範囲においてこの放射線研究所は行なわれるものである。そうすると、研究所自体が資金的な問題で政府にこれが援助を願う、こういうような点と今言う理事の増員という点が残るだけですね。
  52. 杠文吉

    政府委員杠文吉君) そのおりでございます。
  53. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで先ほど予算要求をしておると言いましたが、この予算書をみていないのでわからぬのですが、どれだけの規模のものをどう作るかということで原子力研究所理事会が決定をし、そのうち政府においてどれだけの資金を求められておるのか、こういうことについて簡単でようございますから、ほんとうに時間がないから、お尋ねしたい。
  54. 杠文吉

    政府委員杠文吉君) これは四カ年の計画をもちまして完成したいという構想でございます。四カ年におきまして、ほぼ四十億の金を必要とするという考え方でございます。しかし、初年度におきましては一応一億八千七百万円の現金と七億七千二百万円の債務負担行為、これはいろいろ研究の建築その他にかからなければならないので、そういうようなもので発足したいということでございます。
  55. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは研究所決定ですか。
  56. 杠文吉

    政府委員杠文吉君) もちろん研究所決定しております。
  57. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 理事会の決定では、議事録に載っているでしょうな。
  58. 杠文吉

    政府委員杠文吉君) 理事会の議事録に載っておるかどうかまではまだ確かめておりませんが、理事会でももちろん諮って決定したということを聞いております、そういう報告を受けております。
  59. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 あなたのほうで監督する立場であるものが、研究所決定したということが理事会の記録にあるかないか、それなんかもわからぬというのですが、決定したのは記録にあるわけでしょう。そこでそれはいつ決定したのですか。
  60. 杠文吉

    政府委員杠文吉君) ただいまのところはっきり記憶いたしておりませんので、後日取り調べまして、何月何日に決定したということを……。
  61. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 四カ年にわたって四十億以上の金を必要とする研究所にとっては大きな仕事です。予算も要求しなければならぬ仕事なのに、いつこの設立決定をしたのか、計画決定したのかわからぬというのもおかしいと思うのですが、まあそれはようございます。それで、政府としてそのために手当する金として予算要求しておるのは幾らですか、初年度一億五千万といいましたね、総額が。
  62. 杠文吉

    政府委員杠文吉君) 一億七千万です。
  63. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そのうち……。
  64. 杠文吉

    政府委員杠文吉君) 一億七千万円を政府がすべて手当てをいたします。
  65. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは出資金ですか。
  66. 杠文吉

    政府委員杠文吉君) 出資金でございます。
  67. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 現在原子力研究所は出資金幾らで動いているのですか。
  68. 杠文吉

    政府委員杠文吉君) 約二百二十一億円でございます。
  69. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、この原子力研究所法にある政府の出資が二億五千万円というものとはどういう関係にあるのですか。
  70. 杠文吉

    政府委員杠文吉君) 政府の出資が二億五千万ということはないだろうと思いますが、どこにございますのですか。それはおそらくは……。
  71. 小笠原二三男

    ○小笠原二三君 研究所の資本金ですが、それは「二億五千万円と研究所設立に際し政府以外の者が出資する額の合計額とする。」、これは古いものかどうかわからぬが、ここにそう書いてある。そうしてその第二項には、前項の二億五千万円は政府が出資するものとするとある。
  72. 杠文吉

    政府委員杠文吉君) それは当初、設立にあたっての規定でございます。その後は絶えず資本金は増額いたしておりまして、先ほどお答えしましたように二百二十一億になっております。こういうことでございます。
  73. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この第四条を見ると、設立の当初の資本金だとか何んとか、何もそんな割り書きが書いてないのですがね。
  74. 島村武久

    政府委員(島村武久君) 第四条の第三項、四項をごろんいただきますと、「研究所は、必要があるときは、内閣総理大臣の認可を受けて、その資本金を増加することができる。」、また「政府は、前項の規定により研究所がその資本金を増加するときは、研究所に出資することができる。」、この三項、四項に基づきまして内閣総理大臣の認可だけで、その後資本金がどんどんふえておるわけでございます。
  75. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで先ほどこの業務のほうは、第一号、第二号のほうには触れる、それで第八号のそれを受けた内閣総理大臣が認可するという分には関係ない、原子力研究所内部のこれは問題だということをあなたはおっしゃっておったね。それでこの資本金のものだけについては内閣総理大臣の認可を受けて、それを増加する。だから認可を受けなければ一億七千万というものは出てこなかったはずですね。それとはどういう関係になるのですか。
  76. 杠文吉

    政府委員杠文吉君) 先ほどお答えしましたときに、第八号に御指摘のとおりのこともございまして、やはり全然関係がないということはないであろうと、今後の業務の進め方によりましては——そういうことを申し上げたわけでございます。ただいまのところは一号、二号というような関係を主としております。ことに二号を中心にいたしておりますという御説明を申し上げたと思うわけでございますが、それから次に一億七千万円の政府出資金の問題でございますが、これは予算が通りまして、また本日の法案の御審議等を得まして、研究所が発足をしましたならば、政府は当然に出資いたすということに相なろうかと思います。その出資する際には、先ほどの第四条の第四項、あるいは第三項等に該当する事項だろうと思うわけでございます。
  77. 島村武久

    政府委員(島村武久君) ただいま原子力局長から申し上げましたとおりでございますけれども、この業務につきまして、第二十二条は一般的に研究所の性格からいたしました業務の範囲を規定いたしておりますわけでございますが、ここの営みます業務につきましては、その少し先の方に第四章第二十六条というのがございまして、研究所は、毎事業年度、予算、事業計画及び資金計画を作成して、そして内閣総理大臣の認可を受けなければならないことに相なっておるわけでございます。したがいまして、国の予算等がきまりました際には、それに基づきまして、研究所民間出資等あるいは剰余金その他雑収入等も合わせまして事業計画というものを作って内閣総理大臣に申請して参ります。また予算もそのようにいたします。先ほど来お尋ねのありました点は、その中に盛られて、やはり内閣総理大臣の認可が必要だということになってくるわけでございます。  なお原子力委員会との関係につきましては、同じ条文のちょっと前のほうの第二十四条というところにございまして、業務運営の基準といたしましては、研究所の業務は、原子力委員会の議決を経て内閣総理大臣が定める原子力の開発、利用に関する基本計画に基づいて行なわれなければならないということになっておりまして、原子力委員会自体が毎事業年度やはり年間の、原研だけでありませんで、日本全体の原子力開発の計画というものを作りまして、そのうちで原子力研究所が演じます役割の分につきましては、原子力研究所はその計画に即してさらに詳細な業務計画というものを立てて、二十六条によって認可を申請してくるという関係に立っておるわけでございます。
  78. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 よくわかりました。時間がないからこれだけにします。  それでは官房長、私お聞きしたかったのですが、その二十四条の内閣総理大臣の定める基本計画というものができているのですか。
  79. 島村武久

    政府委員(島村武久君) これは今日ただいま三十七年度の事業計画ができておるわけではございませんで、今作成立案中のものであると承知いたしております。したがいまして、予算が何と申しますか、国会を通らないとか何とかいうことになりますと、計画自体もなんでございますので、おそらく新年度に予算が通りましたら、いわば間髪を入れず実行できるような形において、原子力委員会において計画というものを立案され、内閣総理大臣がこれをきめるということになるものと考えております。
  80. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その後段の話になると、また疑義が起こるのですね。いいですか。あなたは前の答弁では、研究所そのものは原子力委員会が関与してここできめて、議決したものが内閣総理大臣の手元に行って、内閣総理大臣が定めた基本計画に基づいて、こういう業務というものをやるのだと言ったけれども、ところが今のお話だと、研究所の業務について、原子力委員会がきめることが、いまだきまっていない。予算も通り、研究所設立理事の増員もきまり、それからのことだと、どうも法律がそういう建前になるよりほかないかもしらぬが、どうも話がさか立ちしているように思うのです。どこか適当にこしらえて、あとあとでこう体裁はつけて、はり合わせるというふうな、主体的にどこがどう動いているのかさっぱりわからない、さっきからの話を聞くと。
  81. 島村武久

    政府委員(島村武久君) 私がお答え申し上げましたのは、先生法律に基づきまして……
  82. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 法律に基づかないで、何に基づいてやっておるのですか。
  83. 島村武久

    政府委員(島村武久君) したがいまして、法理論をやっておられると思いますので、法律的にお答え申し上げましたが、実際は、先生もちょっと今おっしゃいましたように、法律を施行いたします際には、実際問題としてはタイミング的に必ずしもぴたりと一致しない面がございます、非常にやりにくい点でございますけれども。しかしながら実際には、原子力委員会は、御承知のとおり予算の見積り方針調整というようなことを通じまして、実は三十七年度の予算につきましては、昨年の夏以前から、慎重に原子力研究所予算、業務計画の内容等につきましても、原子力研究所と打ち合わせを重ねて、今日に来ておりますので、実態的には何ら困難を感じているわけではございません。ただ、先生もちょっとおっしゃいましたように、年度別に事業計画を立て、資金計画を立てて内閣総理大臣が認可すると申しますものが、予算が通らないうちに認可するというようなことも事実できませんものでございますから、法律的には今申し上げましたように、予算が通りますのを待ちまして、事業計画あるいは予算というようなものを認可する。また申請いたします際にもそのようなことでできるだけタイミングがあかないようにはやっておりますが、実際問題として、新年度が始まります以前においてそのような措置をとっておくということができない実情にあるということでございます。実際には先ほど申しましたように、昨年以来から三十七年度の事業計画そのものについても原子力委員会原子力研究所との間にも十分連絡をとり、話し合いをしながら進んでおるので、実際上の弊害というものはなくて進んでおる、こういうふうに御了解いただきたいと思います。
  84. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは、実際上の弊害は政府関係においてはないでしょう、それは認める。しかしこの二十四条の内閣総理大臣の定める基本計画というものは内閣総理大臣が判を押せばそれで済むものですか、閣議決定になるものですか。
  85. 杠文吉

    政府委員杠文吉君) これは内閣総理大臣のほうが、「定める」と書いてございますのは、閣議決定という手続はとっておりませんで、やはり内閣総理大臣のほうの判こをもらえばそれできまるというような性質のものでございます。
  86. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういう性質のものだといわれれば、そういう性質のものとしてあなたたちがそう解釈してきめることなんですから、もうこれ以上は申しませんが、しかし法律論とか何とかいうのでなくて、政府の都合なり関係者の都合なりでなくて、国民の相当額の税金で出てくる金を使い、日本原子力なり原子力開発事業についての重要なこれは一つの発展的施策でしょう。それが、基本計画というものを定めて、閣議なら閣議で、この方針で今後行くのだという態度が示されて、国民にもあまねくそれが知られておって、それから順次手順を踏んでいく、そういう根拠を持たないで、ただあれこれと寄せ集めて根拠を作っていくという、そしてあと裏づけとして基本計画というものをあとで作ります、判こはあとで総理大臣からいただきます、これは私おかしいと思うのです。何だかどうも原子力委員会なり原子力関係なりが発足日なお浅いせいかどうかしらぬが、みんな賛成で、いいものだということになっておるからいいことにして、仕事をあちこちとやっておられるように思われる。基本的な問題なんだから法律を作ったら法律どおりきちっと大綱は失わないようにやってもらいたいということを希望しておきます。  それから最後にもう一点、これは大臣にお尋ねしますが、仕事がふえる、充てる理事をふやす、こういう傾向は、この種のまあ民間でいうたら会社法人と同じようなものですが、そういうあり方についてはどうお考えになりますか。事業がふえます、理事者もふやしますじゃあ、原子力研究所を発足させたときの六人なら六人というのは何が目当てで六人にしたかという問題が起こります。この原子力委員会の現在の六人の構成の中から人をさくことができないのか、適当なる人がなかったら更迭して適材を六人の中の一人に入れてこれを担当させるという考えもあるわけです、考え方としては。それをこういうふうに一人ふやす、次には、今度は何とか研究所をまた置くのだ、何機関を置くのだということになれば、理事をまた一つずつふやしていく、こういうことにもなるわけです。今後の問題にも関係することなんですが、この点をお尋ねしたい。  それから研究所自体の全体の運営として、初めから新しく任用せられる者が、どこそこへ行くんだという形で任用するというやり方はうまくないのではないかと思う。増員なら増員で無差別に、これは七なら七にふやす。そして、たまたま今回は適材である者がそこに行ったということであっていいのではないか。こういうきめ方は——提案理由のようなきめ方は、私はこういう方針の運用にあやまちを来たすではないか。これは、理事会の一員として全体の研究所そのものに対しての発言権も持っている、議決権も持っている、そういう者がただ目をふさがれた馬車馬のように、それだけの専門であるからというので、そこへ新任されていくということだけでは足りないのではないかという感じがしますね。ごちゃごちゃと申し上げましたが、一括してお答えを願いしたい。
  87. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) あまりこの理事でも数が無制限にふえることは好ましくないわけで、ある程度の少数でやっていくという原則は必要だと思います。ただしかし、放射線化学のほうは原研が出発したときにこういう形で放射線化学中央研究所というものを別に作るというようなことを予定していなかったわけです。原研の出発のときはそういうことで、現状から考えてみて、放射線化学の研究所というものは、将来日本の産業発展の上から言っても、かなり重要な研究所になるから、まああまりロードを現在の理事にかけるようなことは、この研究所の発展からいっても好ましくないから、一人ふやして、これに専念できるような理事が要るのではないかという判断に達したのでございます。これからはあまり理事というものはふやしたくないという考えであります。こういうものを——いろいろ理由づけて、次第に理事がふえるということは私はいいと思わない。今度の場合は今申し上げたように、相当な国費もかけて、相当力を入れていく研究所でありますから、専念できる者を置きたいということで、特例として御審議をお願いしているわけでございます。  それから今度の場合は、まあ今度任命をしますれば、理事の一人になって——理事会を開いてそして任命されるわけですから、形の上では今言われるようなことになるわけで、新任される。今の現在の中に必ずしもこの人が適当なという人がおるわけではございませんので、新しい、任命された者を所長にすることになると思いますが、建前としては、全体の理事の中に一名加えて、理事会で一番いい者を選考してやるという建前ですが、実際問題としては、今度の場合は任命された者が所長になるということになるのですけれども、建前はお話のようなことでございます。
  88. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これはまあ小さなことですが、この研究所考えますと、新たに任命された理事放射線化学研究所長になる。この担当が初めてきまる理事——他の理事は部内で担当をきめるとすればきめ、これは初めから国会にこういう承認の形式をとってきておるわけです。提案理由で明らかになっております。そうすると、これは特定の任務を持った理事ということになって、この理事は、放射線化学研究に関する研究所予算なり運営なり人事なりに関して、他の理事所長理事長やあるいは理事会等の決定に違うようなことでも主張し得る立場にある。こういう任命の仕方は研究所全体の円滑な運営ということからいえば必ずしも望ましくないと思います。どだい、この原予力研究所法は、理事長も内閣総理大臣の任命、理事理事長の意見も聞くが、やはり内閣総理大臣の任命なんです。理事長と、任命権者から任命せられた理事との関係は対等なんです。こういう中では、間々所内の運営や活動を阻害する動きが出てくる。そして背景にそれぞれのひもがついておれば、運営上困難な問題が起こってくる場合が間々あると思う。まあ一例をあげては済まんですが、東北開発会社、あなたの所管しておった東北開発会社もこの法律と同じに全部内閣総理大臣の任命なるがゆえに、大蔵省出身の理事は大蔵省から出てきたんだという考え方理事長何者ぞという考え方。上下の関係がない。どこにも理事長が発言力を高めて決定する権限がない。そういうところからいろいろ派閥的なものが起こり、乱脈な経営なり経理が行なわれてきた。それも一つ原因なんです。こういう組織の仕方は民間にはない。会社法人において重役は選任される。しかし重役から選任された代表取締役というものは権限を持ちますよ、はっきりと。こういう東北開発会社なり研究所なんというものは、これは理事長に権限がない。ただ人格関係でそれは民主的に統制されるといいますか、運営の責任を持つことから自然と権限的なものが生まれるといいますか——そういう中に加えて、もう初めから一つ部署を与えるということは、国の認めたという形で入ったこの人の存在というものは非常に有力なものになると思う。他の一般理事なりあるいは理事長との関係において、財政面、人事面あるいは研究等についても、いろいろなわれわれのわからないむずかしい諸問題等についても意見対立したら、それは防ぎようがない状態になると思う。これらの点はどういう考慮のもとに排除していくというお考えで、こういうきめ方を大臣としてなさるのか。最後に一言承りたい。
  89. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは、原研の中に設けるわけですから、原研の一つ機構の秩序に従わなければならないことは当然であります。理事は、特別な権限を持つわけではなく、理事会の決定に従わなければならない。そういう点で特に今度の増員される理事が、他の理事に比べて非常に特権を持ち、そうして理事会の意向に反して業務を運営できるという特権は一切ございません。そういう点で、根本的な問題として、今御指摘になりましたように、理事理事長も同じく総理大臣の任命という方式については、御指摘の東北開発などは、私も監督の立場におって非常に弊害があるということを考えておる一人でございます。原研はそういう東北開発に見るような、何分にもあれが東北開発のような事業をするところではないわけで、研究を主体にしておるわけですから、東北開発にあるような弊害というものは出ておりません。したがって、こういう形で理事を増員しましても、非常にそれが特権を持って理事会の団結を害するというふうには私は見てないのです。
  90. 吉田法晴

    吉田法晴君 時間がありませんから、資料でもらえるものは資料でもらいたい。それは先般原子力研究所で放射能が漏れたということがありました。新聞には報ぜられましたが、その詳細を承知いたしておりませんので、資料で出していただきたい。  それから提案理由の中に「業務及び施設、人員の増大」ということが書いてございますが、これは質問をすべきところですけれども、時間がありませんから、あとで資料をいただきたい。  場所の選定、それからそれに関連して原子力村と、それから地方開発計画との関連が問題になっているようですが、これは場所の選定だとかあるいは地方開発計画との関連等は、先ほど小笠原君から指摘されましたが政党人とかあるいは運動とかいうことでなしに、合理性と科学性と、それから周囲に与える影響、原予力災害等も含んで国民の幸福の中で確保しなきゃならぬと思うんですが、それらは要望として表明いたしておきたいと思います。
  91. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私もさように考えております。この問題を政治的に解決する意思は全然ありません。できるだけ合理的に解決するようにいたしたい。今小笠原委員から御注意のあった意見等を、今後原研の所長等をいろいろ検討する場合に、もっと合理的な根拠について研究をし、いやしくもこれを政治的に曲げたというようなことのないようにいたしたいと思います。
  92. 森八三一

    委員長(森八三一君) 他に御発言もなければ、これをもって質疑を終了し、討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  93. 吉田法晴

    吉田法晴君 附帯決議はつけませんが、質疑の中に現われました理事の任命について、あるいは放射線化学研究所場所の選定あるいは原子力研究所運営等については、質疑を通じて表明のされました注意といいますか、その点については十分尊重して、この法律を運用されることを要望をいたしまして、賛成をいたします。
  94. 森八三一

    委員長(森八三一君) 他に御発言もなければ、これより採決を行ないます。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  95. 森八三一

    委員長(森八三一君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、報告書の作成等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 森八三一

    委員長(森八三一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。   —————————————
  97. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に、原子力委員会設置法の一部を改正する法律案  (閣法第一三四号)を議題といたします。  本案は、本月十七日予備審査のため本委員会に付託されました。  まず、提案理由の説明を聴取いたします。三木国務大臣
  98. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) ただいま議題となりました原子力委員会設置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明いたします。  昨年秋のソ連による核爆発実験以来放射性降下物、いわゆる放射能に対する対策は、一日もゆるがせになし得ないものとなり、内閣におきましても放射能対策本部を設けてこれに対処して参りましたことは、すでに御承知のとおりであります。  原子力委員会におきましては、かねて放射能水準の総合的な調査分析を進めてきており、今回の核爆発実験に対処いたしましては、調査分析の充実強化と障害防止に関する研究推進をはかって参ったのでありますが、さらに一そうその機能を活用し、放射能対策の中心的役割を果たすようにとの要請が強く、昨年十一月衆議院科学技術振興対策特別委員会におきましても同趣旨の決議が行なわれておるのであります。  したがいまして、この際、決議の御趣旨にも沿い、従来から原子力委員会が所掌して参りました放射能水準の調査分析及び障害防止の研究にとどまらず、「放射能降下物による障害の防止に関する対策の基本に関すること」をも所掌することを明らかにし、関係行政機関が講じます具体的対策の基本を決定することによって、放射能による障害の防止に遺憾なきを期することとし、もって国民の期待にこたえて参りたいと考える次第であります。  以上が、原子力委員会設置法の一部を改正する法律案の提案の理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛成あらんことをお願いいたします。
  99. 森八三一

    委員長(森八三一君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。   —————————————
  100. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に、科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  101. 吉田法晴

    吉田法晴君 私は、委員長初め委員の諸土の御意向によって、この委員会防災科学の振興について調査研究をし結論を得たいと考えて、きょうは防災科学全般について総論的に伺いたいのです。きょうは総論全体について伺って、現状問題で方向だけを伺いたいと思っておるんです。
  102. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 全体のことを申し上げてお答えにしたいと思うのですが、この防災関係は御承知のように、これは非常にこれに関係する行政官庁が分かれております。建設、運輸、農林、通産及び北海道開発各省庁に分かれております。そうしてこの各省庁が行政目的に応じて研究が行なわれてきたのですが、どうもこれは十分とは言えない、大事だけれども、十分とは言えない。まあ、科学技術に関する予算の見積もり方針調整科学技術庁がやっておるわけですが、その中にも防災科学技術研究というものは重点的に取り扱おうとしておるのですけれども、先ほど申したように、これは十分でないと思います。また、科学技術庁としては、御承知のように、研究促進調整費というものを持っておりますが、これで昭和三十五年度、三十六年度も、東京湾の高潮の予警報とか、集中豪雨、地すべり、こういうふうな緊急を要する防災科学技術研究には、今の調整費を支出をいたしまして研究推進をはかって参ったのであります。これはこういう重要な課題であるにかかわらず、各省いろいろ分かれておるわけでありますが、何かこの各省のやっておることを一元化するということはできない性質のものであるのですが、この各省がばらばらにならないように各省のやっている行政というものを、もう少し総合的に連絡をとってやるような仕組みを考えたいと思っております。今、調整費を出したような場合には科学技術庁が主催しで関係各省庁に寄ってもらって、私が座長になってやったわけですが、もう少し一段と各省との連絡というものを進めていきたいと考えております。
  103. 吉田法晴

    吉田法晴君 この前、秋山委員から質問され、あるいは委員長予算委員会等でお取り上げになったのは、主として自然災害でしたが、私は自然災害のほかに人災といいますか、あるいは公害といいますか、そういうものも取り上げるべきじゃないかと思うのですが、自然災害について農業災害あるいは火災等もございますが、多く言われておりますのは、風水害、それから津波、地震、それから放射能、その他社会の発展に伴います新しい分野がございます。送電線の塩風害等も中に入るかと思いますが、これは総合官庁がございませんから、各省に分担をされておりますから、各省の御出席を願っている担当者からお伺いをするほかございませんが、その総括は最初今、長官として考えておられる問題点、それから結論は出ておりませんけれども、総合連絡をしなければならぬのじゃないかということでしたが、この防災のいろいろな問題点、科学技術庁からでも、方向といいますか、いろいろな問題点を最初にお伺いをして、それからあと気象庁と、それから厚生省、それから建設省に来ていただいておりますが、こまかい点はあとでお伺いをしたいと思います。きょうは問題点、それから現況、それから方向というものを伺えば、きょうの質問目的は達するわけなんですが、最初の総括といいますか、全体について科学技術庁からお伺いをしたい。
  104. 前田陽吉

    政府委員(前田陽吉君) お答えいたします。  全般的な問題といたしましては、ただいま吉田先生からもお話がございましたように、大へん多岐にわたっておるものでございますから、それをいかにして相互の間でよく連絡をさせるかということでございます。これは天災の場合にも、人災の場合——たとえば火災等は人災による場合が多いのでございますが、そういう、どちらの場合におきましても同様でございますが、科学技術庁におきましては、関係各省庁に随時集まっていただきまして、そうして研究推進する場合につきましても、考え方等をお互いの省庁の間でよく連絡をとってもらう、こういう方向で進んでおります。それからやはり何と申しましても、こういう問題につきましては次年度の予算が非常に大事でございまして、その予算研究活動の範囲になるわけでございますが、その場合にも、各省が要求する問題につきまして事前に話し合いを十分に進めさせるように連絡会を催しております。科学技術庁は、そういう連絡会の意見をもとにいたしまして予算の見積もり、調整という事務をいたしておりますが、その予算の見積もり方針のときに、この災害の問題におきましては特に強力に推進するようにいたしまして、大蔵省等にも意見を申し述べる、こういう方法をとっております。大体、自然災害につきましては、台風、地震、津波、地すべり、集中豪雨、いろいろございます。それから人災のほうにつきましては、火災の問題等いろいろございますが、大体そういう点に主眼を置きまして、各省との連絡を緊密にして総合的に推進できるような態勢に持っていっておるわけでございます。特に災害の問題につきましては、申すまでもなく、非常に緊急な問題が多いわけでございますが、緊急に研究推進させるためには、大臣からもお話ございましたように、特別研究促進調整費の中から随時支出をするというふうな方向をとっておるわけでございます。
  105. 吉田法晴

    吉田法晴君 この総合的に考え機構がないから、全体でこれだけあげたら落ちておるものはないかという質問をすることはないのですが、今お尋ねをした中で火災は人災に入る、こういうことですが、自然災害として考えられるのは、農業災害として考えられておる霜害、あるいは早魃、それから風水害、この風水害の中には河川のはんらんによる水害、あるいははんらんに伴うと言ったほうが少しよくなるかと思います。それから風害、それから海岸付近において高潮等を伴う風水害を考えれば、大体尽しておるのじゃないかという気がしておる。それからあとは津波、地震、それから放射能は、これは人災に入るかもしれませんが、送電線の塩風害等、新しい分野の——これは送電線の塩風害ということになりますと、これは自然災害になるかもしれません。それからあと、公害といいますか、人災の中には、放射能を含んだ大気汚染、それから騒音の問題、それから汚濁水、これは工場、鉱山によりますものを含みますが、大体そういうことだと思いますが、いかがでしょうか。
  106. 前田陽吉

    政府委員(前田陽吉君) 大体お話のとおりでございます。私、先ほど申しましたのは、いわゆる災害というものを申しました。先生の後ほど御指摘下さいました水質汚濁、大気汚染あるいは騒音、こういうふうな問題は、私ども環境科学技術というような名前をつけましてあげておりまして、大臣の所信表明の中に、環境科学技術というような表現で言われておりますが、一応区分しておりますけれども、考え方につきましては全く同様でございまして、非常にそれぞれの行政からいろいろ分かれておりますので、各省庁それで特に総合化をはかって、お互いの間で共通な問題等につきましては、科学技術庁が特に委託研究を実施する、あるいはそのほかの方法によりまして推進する、こういう方法をとっておるわけでございます。大体この公害あるいは防災の種類は、今先生のおあげになったとおりだと思っております。
  107. 吉田法晴

    吉田法晴君 それで私も、陥落だとか、それから地下水の問題等を落としましたが、これはどっちから伺う点でありますか——自然災害と、それから人災と言いますか、あるいは公害等の順序で伺いたいと思うのですが、きょうは問題、それから現状、それから欠点、その他対策の方向、それから科学の現状、体制、その中には予報、警報という問題も含んで参ると思うのですが、自然災害から入りますと建設省に伺い、それから予報、警報の問題で気象庁にお伺いをし、最後に厚生省にお伺をしてみたいと思うのです。農業災害については、これはお伺いをするわけにはいきませんでしょうが、風水害、津波、地震等に分けて、所管部分を中心にしてかまいませんが、それぞれの災害について治山治水、あるいは堤防、ダムの建設、それからその災害を防止する抑制措置としてどういうことが行なわれておるか。それから問題点、今後の対策の現状についてお伺いをいたします。——それじゃ私、今建設省に先に伺おうかと思いましたが、恒久対策はそれじゃあとにして、気象庁が考えられるその応急対策といいますか、予報警報についてお伺いしたい。
  108. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) 災害の問題につきまして、これは非常に種類が多いのでございますが、気象庁で現在やっておりますことは、気象、それから海に関係する、あるいは地殻に関係する自然現象そのものをよく調べまして、どういう場合にどういう起こり方をして、その強さがどうだということの研究をいたします。その結果を使いまして予報警報を出すわけでございます。  現在出されております予報警報は、御承知のように天気の変化というのはある程度予測ができますために、気象に関係するものは非常に大きな災害を伴いますようなものは警報を出しますし、そうでないものに対しては、予報というようなものをラジオその他を通じて発表をして、警戒をしていただいております。  それからもう一つ、警報につながりますものは、津波がこれは海の中の地震と同時に起こるものでございますが、地震の到達いたします時間が非常に早いために、そして津波がそれよりおくれますために、地震を目安として津波警報というものを出しております。現在予報警報が行なわれておりますのは、気象に関する限り津波だけでございます。
  109. 吉田法晴

    吉田法晴君 気象と津波ということになりますと、風水害と津波と大体あるわけですが、地震についてはその所管ではないでしょうが、津波に関する限りにおいてはお宅の所管になっておる、こういう今の御説明。この気象は風水害といいますか、台風その他気象に関係をしてなされているわけですが、具体的にどの程度のところから把握をして、そしてどういう工合になされているか、もう少し具体的にお伺いをいたします。
  110. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) 気象の予報警報につきましては、近年だんだん観測が進んで参りまして、現象を理解する度合いがだんだん進んで参りましたために、以前に比べてかなり向上はしていると思います。しかし実験室の中で、実験を繰り返して研究する問題と違いまして、まだわれわれ知らない不確定の要素がありますために、なかなか完全なものには参っておりません。実例で申しますと、一番大きな災害を起こすのが風水害でございます。三十四年の伊勢湾台風の例を申しますと、この台風は三十四年九月二十六日の晩の九時ごろ名古屋に一番近く参りました。それに対しまして、二十六日の朝早くから注意報というものを出して注意を喚起しておりましたが、午前十一時に名古屋地方に、台風がその付近を通る危険があるからということで、暴風雨警報というものを出し、あわせて高潮警報というものを出して警戒を促しました。その実際との比較を申しますと、暴風雨警報につきましては、大体実際と一致したと思います。高潮警報につきましては、その前の二十八年に十三号台風というのが来まして、名古屋の東側の渥美半島で高潮を起こしました、それと同程度という警報でございました。たしか二メートルくらいの高潮が起こるということを言ったのでありますが、実際に起こりました高潮は平均海面から一メートル八十くらいだったと思います。したがいまして、その程度の誤差はあったわけでございます。大体今の警報というものはその程度のものを風水害に関して出しておりますが、どちらかといえば伊勢湾台風の場合はうまくいったほうである。ほかの場合にはそれに近いもの、あるいはそれ以下の場合が多いことを申し上げておきます。  それから先ほど地震のことは所管でないと申しましたが、これは気象庁の所管でございまして、予報警報は実施するに至っていないという意味でございます。  津波につきましては、これは地震の起こる距離によって違いますが、地震が遠くで起こりますと、おそい津波との間の時間の差ができますから、早く警報が出せます。大体津波の多いのが岩手県の東の三陸沖と申しますか、あの辺、それから四国の沖の地震、紀伊半島の南の地震、こういうものでございまして、一番時間の余裕のある場合で三十分ぐらい前に警報が出せる。しかし、大体は二十分から十五分ぐらいしか余裕がないのが現状でございます。したがいまして、津波警報に関しては非常に緊急を要しますために、私どももNHKと協定を結びまして、これは放送を中断して警報を出すということをやっています。一般の気象警報につきましては放送の区切り目に警報を出しております。
  111. 吉田法晴

    吉田法晴君 地震の話を聞きましたらば、気象庁が所管しておるが、予報部は津波観測だけだ、こういうことでしたが、所管外の地震のことについてはどこにお伺いをしたらいいのですか、あるいはどなたに。所管の官庁を除いて学者にお伺いするとしたら、どなたにお伺いしたらいいか、教えていただきたい。
  112. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) 地震は気象庁の所管でございます。ですから、気象庁でお答えできるのでありますが、それは観測をし、研究をやっているという段階で、警報は出せないということを申し上げたのであります。で、私どものほうでやっておりますのは予報警報で、地震そのものを観測しているのは観測部というところでやっております。
  113. 吉田法晴

    吉田法晴君 その観測をしておるだけで、予報警報はあなたの所管ではないが、所管外にしても、その予報、警報をまだ発するところまで至っていないと、こういうことですか。
  114. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) 地震に関しましては非常にこの予報、警報は要望されておるのでありますが、今のところ学者の間で警報、予報を出す可能性は将来出そうだということが検討されているだけで、まだどこでもやっておりません。
  115. 吉田法晴

    吉田法晴君 学者——まあ学者に聞けばいいのでしょうが、科学の程度は——それからあるいは外国の事例でも、予報しておる、警報を出しておるところはないというお話ですが、それも含んで、気象庁ではどこにお伺いすればいいのですか。
  116. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) 気象庁の場合は地震課というのがございまして、その課長が一番詳しいと思います。それから長官も、もとは地震の出身で詳しい方でございます。それからよそで申しますと、東京大学に地震研究所というのがございまして、ここで学問の研究をかなり深くやっております。
  117. 吉田法晴

    吉田法晴君 わかりました。先ほど、どの辺で把握をして、そしてどういう工合に予報を出しておるかということを聞いたんですけれども、それにはお答えがなかったんですが、具体的にお答えをいただきたいと思うんです。それはたとえばレーダーの場所、それからあるいは連絡の方法について現状と——それから予定もございましょう。改善の方途が出てくるゆえんですから、実際にどこどこで観測をし、どういう連絡方法をとっておる、したがって、どの程度の接近の場所でとらえ、それが警報になるようになっているという、具体的な観測の実情と、通信の実情、それから何といいますか、この改善の方向を含めて御答弁願いたい。
  118. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) 台風観測について例を申しますと、私ども、一日に四回ずつ、日本を含めまして周囲の海の船、あるいは西のほうの大陸から気象の資料を集めまして、天気図というものを作っております。で、この天気図がおよその判断の資料になります。台風が発生し、どちらへ動いているというような、およその推定はこれでいたします。しかし、これは過去においていろいろ、御承知のように予報、警報が天気図だけに頼っていた場合には、あまり精度がよくなかったのが実情でございます。昭和二十八年の九州の水害のあと、レーダーというものが使えるようになりまして、これが非常に有効でありますために、その後いろいろお願いをしまして、逐年これを増強いたして参りました。これは、現在ある所を申しますと、南から奄美大島、種子島、福岡、室戸岬、大阪、名古屋、東京。これだけは現についておりまして、新潟と函館が今年度中につく予定でございます。いろいろ工事の都合でおくれましたが、今年度中につく予定でございます。それから三十七年度につけてもよろしいという、大蔵省の御了解を得て予算が取れれば実現いたします予定が仙台と札幌でございます。これを全部合計いたしますと十一カ所になります。で、またレーダーは、室戸岬のレーダーだけが一つ大型で、約四百五十キロぐらいの距離の所へ台風が参りますと、これを観測することができますが、そのほかのレーダーは大体二百三十キロから二百五十キロぐらいの距離まで来ないと映らないのでございます。で、こういうので台風をとらえますと、かりに四百五十キロとしますと、台風は一時間に五十キロぐらい——まあ中ぐらいの速さでございますが、五十キロぐらいとしますと、九時間前におよそある所がわかって、予想が割合正確にできる。そのあと刻々とそれを見ておりまして、前の予想の違いを修正しながら警報を出します。で、現在、レーダーというものが台風予報には一番有効なものになっております。最初はレーダーをつけることに重点を置きまして——先ほど申しました十一カ所で、まだ数カ所は不足いたしますが、大体大まかな観測網を全国に展開できる。で、これは個々の観測だけを今進めておりますが、そのあとでは、それらのレーダーをつないで、遠くにいてその像を直接見るようにしたいという希望は持っております。しかし、これはまだない所へ先につけるということに主眼を置いて、まだ腹の中の計画程度でございます。  で、現在の、そういうふうにしてやる予報の精度でございますが、実はこの予報というものは社会の要望で発達して参りましたもので、おそらく現在やっております程度の予報が戦前に行なわれていたならば、一般の方には満足していただけるくらいだったと思うのでありますが、しかし、ある程度進んで参りますと、世間のほうにもう少し詳しくという要望が必ず出て参りまして、今でも世間の要望にはなかなかこたえかねる。われわれの技術を上回った要求がいつでも出ているのが現状で、それに刺激され、尻をたたかれて、私ども、あと研究や業務を続けているというのが予報、警報の業務の実情でございます。
  119. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうしますと、今あげられた中で、奄美、種予島というのが番の南ですが、そこから二百キロそこらといいますと、大体見当がつく。まあ赤道近くまでとらえるわけにもいかんわけですが、その他との連絡方法、あるいは沖縄なりあるいは中国との気象情報の交換も事実上あるようですが、南のほうにしても二百キロでなしに、あるいは四百キロでも五百キロでも、性能の高いものをつけたいというあれもありましょう。  それから、あるいはまあ船になりますか飛行機になるかわかりませんけれども、もっと南のほうで早く台風その他をつかまえたいという御希望もあるんだと思うんですが、そういう十一カ所の改善増強もですが、さらに南のほうに及ぶ早い機会での捕捉の方法についてはどういう構想をお持ちになっておりますか。
  120. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) 先ほど申しましたレーダーでとらえることができるような所まで台風が来たのは、もう警報を出さなくちゃならない段階に来てからの問題でございます。それ以前に台風の状況をつかみますには、現在は米軍で観測しております飛行機にたよっております。これは二十八年の行政協定によって、米国軍が観測した気象資料は気象庁に渡すということでこちらへいただいておるわけでございますが、この米軍の飛行機観測は今二種類ございまして、一つの種類は、定時観測と申しまして日本の近くの高いところの観測をやっております。これは、高いところの観測はラジオ・ゾンデというものでやっておりますが、それの補足的の意味でございます。海の上ではラジオ・ゾンデの観測ができませんため、米軍が飛行機によって観測をして、航空業務の支障のないようにということで、これは毎日やっております。もう一つの観測は、臨時の観測で、これは台風の発生したときに観測をいたします。先ほど申しました天気図によって大体台風が出たんではないかという予想を立てますと、気象偵察というのに飛行機が飛び立ちまして台風を探します。そして見つかれば、その中に入っていって観測をいたします。その観測は、日本で申しますと横田の米軍の基地へ参りまして、そこで集められたものが府中の気象隊に参ります。府中の気象隊と気象庁の間には専用通信線がございまして、それで私どもの手に入るわけけです。観測いたしましてから約一時間、おそいので二時間、そのくらいの時間を要しております。で、この観測は向こうさんがやっておりますために、こちらの勝手にはならないのでありますが、大体台風の大きさを三種類に分けまして、一番激しいもののときには一日に四回、その次の段階のときには二回、それから台風になりかかったという一番下の段階のときには一日一回の観測をやって、先ほど申しましたような経路で、私どものほうへ報告していただいております。この観測によって、レーダーの届かない遠い所の台風を判断しているわけでございます。
  121. 吉田法晴

    吉田法晴君 これはまあ台風の観測ですが、気象の観測に、ほかに高層気象観測あるいは雨がどのくらいどこに降ったかという、これはまああとの出水に関連がございますが、山の上で観測等もしておられるようですが、ロボット観測というんですか、そういう点についての現状をお話しいただきたい。
  122. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) 高層気象観測は、戦後各国で航空機が発達して高い所の観測をやらなければならないということで、もう業務的に展開されております。高層観測というのは、先ほども申しましたラジオ・ゾンデの観測がこれでございます。これはもう一般的の、先ほど申しました天気図による判断に使う観測資料でございます。それからもう一つのロボット観測は、御承知のように日本では狭い平野に人が住んで、山の上には人が住んでおりませんでしたために、人による観測だけの時代には山の上の観測はほとんどございませんでした。ところが、二十八年の九州の水害のときにロボット観測というのを初めて採用したのでございます。これはどういう趣旨かと申しますと、山の上に非常に雨が降りますと、降った雨の状況をとらえれば——川を流れてくるのに数時間の余裕がある、その余裕を利用して警報を出すという趣旨で、山の上に無人の観測所を作って、その資料を電波によって気象台が受けるという、そういう方式を採用したわけでございます。今のところ、全国に約二百カ所ぐらいのロボット観測がございます。これは、先ほど申しましたように九州の水害の例から実施したのでございますが、非常に有効なものなので、できればもう少し将来は強化していきたいという考え方を持っております。  なお、洪水に関しましては、気象庁では建設省と今共同でやっておりまして、そういう雨を主体にして観測、予報警報は気象庁が担当する。それから川の水になってしまったものそのものは今のところ建設省がやるという建前で、全国の重要河川につきまして共同でやっております。しかし、日本には何千という小さな川がございまして、そういうものにつきましては、雨がどの辺に降るということで雨だけからの洪水の警報しかやれない段階でございます。
  123. 吉田法晴

    吉田法晴君 ロボット観測を二百カ所今やっておられるわけですが、どのくらいにふやしたらいいとお考えになっておりますか。
  124. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) これは、どのくらいというのは、たとえば関東平野のように広い所では、それほど数は要らないのでありますが、複雑な地形の所になりますと非常によけいなくちゃならないということで、今私どのくらいということを申し上げかねるのでございますが、ただ、今までの経過が、二十八年の水害以来三カ年計画で実施しましたのが、実際には五カ年ぐらいかかりまして、重要性がわかってきたがために、あとになるほど密になってきたという事実もございますので、いろいろまだ今後修正しなくちゃならん面はかなりあろうかと思いますし、その際増強はしたいと思っております。
  125. 吉田法晴

    吉田法晴君 出せましたら——希望でけっこうですから、お出しをいただきたいと思うんですが、それからもう一つ、人工衛星によって気象観測その他をやろうという計画がございます。その成果の利用についてはどういうようにお考えになっておりますか。気象協定といいますか、これは外交交渉も含むでしょうけれども、気象庁として  はどうありたいと考えておられますか。
  126. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) 人工衛星は、昨年の四月だったと思いますが、四月と、七月にまた新しいのが上がったと思いますが、そのときに米国のほうから、こういうものを上げたので、日本でも利用してほしいということの手紙が参りましたがそのあとで、さらにこれが利用を強化するために国連の下部機構にありますWMO−私ども世界気象機関と申しておりますが、そこへ米国からも提出いたしまして各国で利用してもらいたいという申し入れがございました。現在の資料を流す方法は、米国で人工衛星からの電波を受け——写真でございますが、これを受けて、これを十分解析をいたしました結果を数字コードに直しましたものを気象庁のほうへ送ってきております。この送る方式は今、世界じゅうの気象機関がお互いに通信をしなくちゃいけないというので、北半球に五つの通信の中枢がございます。これは東京、それから西へ参りましてニューデリー、それからモスコー、それからドイツのフランクフルト、アメリカのニューヨーク、この五カ所でございまして、ニューヨークと東京はホノルルを通じてつながっております。これを北半球気象回線と申しますが、アメリカからこの回線を通じて日本へ送ってきておりまして、それをさらにインドへ送ってやってほしいという希望がございまして、それも果たしております。で、現状を申しますと、やはりこの観測は、観測を衛星から受けてからいろいろの作業が複雑なために、観測した時刻から約十時間——これは平均でございます。ときにはもう少し早いときもございますが、また、二十時間もかかるような場合もございます。それだけの時間がかかって参りますために、現状ではまだそれほど利用価値はございません。しかし、いずれは改善されると思いますし、将来のかなり有力な台風の判断資料になると思います。今のところは何とも申し上げられません。
  127. 吉田法晴

    吉田法晴君 飛行機による観測は起こっている台風をとらえるんですから相当正確なものです。今のところ全く米軍に依存しておるという現状のようですが、日本で観測用の飛行機を持つという希望はないんですか。
  128. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) これは私ども技術的に見ますと、何とかして飛行機を日本でも持って観測をするようにしたいという希望は持っております。しかし、何と申しましてもこれは、現在日本にないような特殊性能の飛行機を使わなければなりませんし、また、莫大な経費もかかりますし、それから、この飛行機を整備するにもたいへんな施設が必要でございます。で、今アメリカでやっております横田の例を申しますと、あそこにはWB50という飛行機が十一機ございまして、そしてこれに士官が八十五人、下士官が三百数十人、それから整備員が二百数十人、合計七百何人かの要員がいるようでございます。そして、一回の観測につきましては十人の人が組になった班が十五あるそうでございます。最近の状況は知りませんが、ただいま申しましたのは昭和三十三年ごろの実情でございます。で、飛行機がほしいとは申しましても、今のようなことを考えますと、そう簡単に持てるのかどうかということにいろいろ問題がございまして、気象庁でもみずからなかなか決定しかねまして、気象審議会の委員方々にこれを諮問して検討をしていただくというような方向に今なってきております。
  129. 吉田法晴

    吉田法晴君 このつかまえた気象情報を集約化すること、それから予報警報を流すについて、今のところではレーダーと、あとは専用線のようですが、レーダー・ネットといいますか、あるいはそれをマイクロウエーブを利用して云々という改善の方法を考えられるでしょうが、それについて現状と、それから希望といいますか、予報警報の機構強化についてどういう工合に考えておられましょうか。
  130. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) 私どもの全国的観測網を持っております。それを即刻集めますために、気象専用線という通信線を電々公社から専用いたしまして使っております。それは幹線はテレタイプを使っておりまして、末端のほうでは少し旧式なんですが、音響単信というものと、これは切れやすいので無線通信系と併用いたしております。その通信系によりまして、今普通の気象観測なり、あるいはレーダーの観測をコードに直したものを集めまして、それで予報警報をやっているわけでございます。なお三十七年度の予算が通過いたしますれば、東京——大阪、東京——福岡、そうしてさらに将来は東京——仙台、東京——札幌という専用電話も施設いたしたいと考えております。それらを使いましていろいろの全国の状況をつかむわけでございますが、レーダーのようなものになりますと、どうしても数字のコードに直したような場合に不十分なので、映った像そのものを見たい、これは将来はそれをマイクロ回線にのせて東京へ集めたいという希望でございますが、しかしそれは希望の段階に終わっておりますのは、レーダーそのもののネットを早く完成したいということに主眼をおいているからでございます。
  131. 吉田法晴

    吉田法晴君 このレーダー・ネットの完成もですが、まあ最大の原因に紫雲丸のように、警報を出したときに相撲を見ておったというような事例もある。それから船が災害に遭遇する場合に、何といいますか、無線装置を持っていなかった、こういう点もございますが、その受けるほうの改善の問題点についてまずお気づきのところをお知らせ願いたい。
  132. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) 函館の洞爺丸事件のときも、紫雲丸事件のときも、たまたま警報の出たときに相撲を見ていたという話は私どもも聞いております。で、そういうことから、気象庁自体が部外に発表する通信系を持てという議論も出たことはございました。しかしこれは考えてみますと、きまった時間に出る警報ならこれは気象庁の放送でよろしいのでございますが、いつどういうものが出るかわからないという種類のものでありますために、気象庁自体がそういうものを持って放送して、一体だれが聞いてくれるのか、よほど気象に熱心な人以外はあまり聞かないのじゃないかというような議論が一つございます。それでラジオの娯楽番組ようなものは非常に多くの人が聞いております。その中へまぜてやるのが一番効果的じゃないかという話も出ております。最近はテレビが発達いたしましたので、いろいろの番組はそのままにして、その上へ文字で表わすという方法が行なわれるようになりましたので、非常に多くの人に聞いてもらい、見てもらうためには、むしろそういうもののほうが効果的ではないか。気象庁自体がそういう特殊の放送系を持っても、一体だれがそれをふだん聞いてくれるかという疑問が一つございますので、この点は今後十分検討してみなければならないかと思います。
  133. 吉田法晴

    吉田法晴君 多少落ちたかもしれませんが、大体気象関係についてお話を承ったと思うんですが、以上の点に関連をして、もう少し資料で、たとえばどういうところでオート観測が行なわれておるか、あるいはレーダーは福岡、あるいは室戸その他についてどういう性能を持っておるという、以上のことを資料でいただきたい。  それから基礎科学その他については気象学、あるいは海洋学、地質学、地形学等、どなたにお聞きをしたらいいか、それから室戸台風あるいは伊勢湾台風その他災害の実例について先ほどどこに欠陥があったか、これはすでに明らかになっておることですし、これはあと建設省にもお願いをしたいところですが、具体的な災害の実例の、何といいますか、要約をしたもの、なまのものはございましょうが、たとえば伊勢湾台風なら伊勢湾台風について何千ページもの資料をいただくということはたいへん困難なことだと思いますので、できるだけ事例についてひとつ資料でお願いをしたいと思うのですが、いかがでしようか。
  134. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) 承知いたしました。それから今の研究の問題につきまして、気象の基礎的な研究につきましては、気象研究所の予報研究部長の荒川秀俊さんが一番詳しいのじゃないか、外国にも数回行ってきておりますし、よその事情にも詳しいと思います。  それから今の資料の点はあとでまとめて差し上げたいと思います。
  135. 吉田法晴

    吉田法晴君 その次は、建設省の河川計画課に来ていただいておりますが、雨がどれだけ降ったかという点はまあ気象庁の所管、それからどのくらいの水が出たかということは、重要河川について河川局と協力をして警報を出すようにしているということですが、建設省の所管の災害の原因になるものの一番初めから、一番初めからといっても、一番初めは雨の降るところは気象庁の関係ですが、それに近いところから対策の現状と、それから問題点、それからそれに関連をいたします機構、観測じゃありませんが警報、それから防災の施設機構、それから問題点、方向を伺いたいと思うのですが。
  136. 柴原孝太郎

    説明員柴原孝太郎君) 災害対策につきましては、基本的には恒久的な部分と、応急的な対策と二つあるわけでございます。恒久的な治水事業の対策につきましては、すでに明治の初期から行なわれておるわけでございますが、当時明治初期におきましては、主として河川につきましては、舟航灌漑の便をはかるという点に重点を置きましたが、明治二十八年以来大災害が起こりまして、明治二十九年河川法の制定、それから三十年に砂防法の制定を見るに至りまして、続いて明治四十三年の大災害を通じまして、非常に各河川におきまして長期的な洪水対策事業がなされてきたわけであります。これがおおむね明治の末期から大正、昭和にかけて順調に行なわれてきたのでありますが、戦時中に一時工事が途絶いたしまして、戦後気象状況の悪化に相ついで大災害が起こってきたということであります。で、実はそれに伴いまして、昭和十二年ごろから全国的に河水統制の調査を行ないまして、これは堤防だけでなくて、水源地にダムを設けたり、そしてこれを洪水の害を防ぐためにそこに一時水を貯溜し、その貯溜した水を利用しまして、水道用水とか発電とかというように多目的に利用しようという機運が非常に起こりまして、昭和十二年からずっと全国的に建設省で河水統制という調査が実際にできたのであります。たまたま戦後相ついで大災害が起こりまして、二十二年のキャサリーン台風によりまして利根川がはんらんし、二十三年、二十四年、二十五年と相ついで大きな災害が起こってきたわけでありまして、こういう災害を契機といたしまして、従来の堤防とともに多目的ダムをあわせて考える。それで水源は治山と協力して砂防ダムを作り、土砂の疎通を可能な許容の限界にとどめようというようなことでありまして、種々各重要河川について検討が加えられてきたわけであります。そうしまして、すでに二十八年に西日本の大災害を契機といたしまして、建設省といたしましては、治山は農林省でございますが、治山治水基本計画というものが制定をみるに至りまして、これは立法化はされませんでしたが、その計画基礎といたしまして、昭和三十五年法律第二十一号の治山治水緊急措置法が制定されることによりまして、同年十二月二十七日、治水事業十カ年計画というものが閣議決定を見ております。現在われわれ治水事業は、この治水事業十カ年計画によりまして、三十五年以降四十四年までの十カ年間の事業として、目下三十五年、三十六年と実施して参ったわけでありまして、これによりまして、特に重要な百河川につきましてはおおむね三十五年度以降十五カ年間で完成することを目途として、国が直轄で施行するものとしまして、その他の河川改修につきましては、都道府県知事がその規模におきまして中小河川改修並びに小規模河川改修事業、それから局部改良事業としまして、事業効果の大きなものから実施するということになっておりまして、また高潮対策事業並びに汚濁対策事業につきましても、東京、大阪等の地区について重点的に実施することになっております。また砂防につきましては、特に荒廃の著しい渓流及び土砂害の危険が予知される点につきましては、特にその規模及び効果から見て重要な約三十水系、六十河川の砂防につきまして、三十五年以降十五カ年間で国が直轄完了をすることを目途としておりまして、その他の河川の砂防事業については都道府県知事が事業効果の大なるものから重点的に実施する、こういうことになっておりまして、それから多目的ダムにつきましては、最近の国民経済の発展によりまして、特に水資源の強化をはかる必要がありますものですから、その水の供給源としてのダム並びに洪水対策としての目的をもちまして、多目的ダムをできるだけ推進する、こういうような状態で前期、後期合わせておおむね八千五百億円の事業量によりまして実施しよう、こういう状況であります。  以上、大体治水事業の基本的な長期的な対策でございますが、次に、これとあわせまして、科学的に雨が水源でどのくらい降ったらどのくらい下流に水が出てくるか。つまりどのぐらい流量となってくるかということは、これは一番河川計画上重要な問題でありますので、これはかねてから全国的に水利調査を実施しております。水利調査は行政部費で恒久的に行ないますものと、それから公共事業費によりまして、各河川事業の中におきまして、工事上必要なために設けられるものと大別して二種あるわけでございますが、現在、来年三十七年度におきましては、行政部費では雨量観測所は三百五十三カ所、水位観測所三百四十五カ所において観測を実施する。これにつきましては毎年この資料をまとめまして、雨量年表並びに水位年表及び流量年表として建設省で発刊しております。  次に、そういうような調査を土台にいたしまして、一方技術的な、つまり先ほど言いました雨が降ってどのくらいの流量になるかということが防災上非常に重要な技術的問題でありますので、これにつきましては、各河川の事業所におきまして、また建設省の土木研究所におきまして研究しておりまして、種々成果が出ているわけでありまして、こういうような一方においては計算方法の確立、理論の確立、それに対する応用等によりまして逐次予報にこれを生かしていくというふうな結果になっております。特に多目的ダムにおきましては、水源におきまして予報の迅速を、雨及び水位その他流量を迅速に知らなければなりませんものですから、主として無線ロボット雨量計もしくは無線ロボット水位計等の設置をなしておりまして、これによりまして事務所におきましては、ボタンを押すだけで直ちに所要の時期に所要の量を知ることができまして、これによってダムの円滑な操作を行なおうとしておる次第であります  以上、大体現況と応急対策を申し上げました。
  137. 吉田法晴

    吉田法晴君 植林は、これは農林省ですね。それから砂防はあなたのところ、それからこれは農林省と共管になるところかもしれませんが。それから地すべりはあなたのところ、ボ夕山はどこです、これは通産省ですか。
  138. 柴原孝太郎

    説明員柴原孝太郎君) 農林と建設と両者になっております。
  139. 吉田法晴

    吉田法晴君 通産省でしょう。
  140. 柴原孝太郎

    説明員柴原孝太郎君) ただし、原因者のはっきりしている場合は、ボタ山保管に対しましては通産省所管。
  141. 吉田法晴

    吉田法晴君 それから関係法律、それから調査といいますか、その河川研究調査は計画課でやっている。それから土木研究所もやっておる。あるいは落ちましたけれども、大学にも委員調査をされておるという点は伺ったのですが、水利のダムはあれですが、多目的ダム、それから特に電源開発ダムについては、従来通産省の関係のほうが多いのじゃないかと思うのですが、水利全体から言いますと、水利調査ダムだけでなしに、多目的ダムあるいは電源開発ダムも総合的に観察されなければならぬと考えられるものが問題の一つだと思うのですが、水が全部じゃございませんが、水が出た——支流で出た場合には、まだあなたのほうの情報の中には入ってこない、重要河川に入ってさて云々ということですね。水が出だした、それからどこに……、建設局ですか、通知をされ、それから、その辺は気象庁との協力ということになるかもしらんと思うのですが、建設局にくる。それから建設省その他ということになるわけだと思うのですが、その水の流れに従ってどういうように警報が具体的に収集されるのか。それから警報が出る場合に、一番末端は水防団ということになりますね。その末端まで至ります系統を御説明をいただいて、そこにあります欠点と考えられておるところを、従来の例からいって、ございましたら御指摘をいただきたいと思います。
  142. 柴原孝太郎

    説明員柴原孝太郎君) 現在、水防法の規定によりまして、気象等の状況によって洪水または高潮の災害のおそれがあると認めましたときは、気象庁の長官が洪水予報を行なうことになっておりますが、たとえば利根川とか木曾川のように非常に流域が大きく、またその洪水によって大きな国民経済の損失を招くおそれのあるような重要な河川につきましては、建設大臣と気象庁長官、共同して洪水予報をなすことになっておりまして、こういうような河川は現在利根川ほか十五河川が指定を受けております。そのほか直轄河川改修工事を実施しております約七十五河川につきましては、やはり水防法の規定によりまして水防警報を実施しておるわけであります。これらの予防につきましては、ある程度の警戒水位というものが各基準の流水量によってきまっておりまして、それ以上になりますと警報が発せられるというようなことになっております。それから、警報が発せられますと、この場合に予防上迅速を要する場合に、かなり広範囲な予報上の無線局の配置を行なっております。  で、現在利根川等三十河川に百十八局無線局がございまして、これによりまして迅速に水防組織関係の団体に連絡ができるようになっております。まず先ほどの直轄河川につきましては、まず雨量の予報がなされまして、それとともに水位がどのくらい上がるだろうということが予想されますと、これは直轄河川におきましては、各地方建設局におきまして統合的に連絡態勢を整えるわけでありまして、そのほか各直轄河川以外の河川につきましては、主として各県に水防本部が設けられまして、所属の水防管理団体に対して警報が出されるわけであります。
  143. 吉田法晴

    吉田法晴君 ありがとうございました。防災基本法とそれから地方防災会議、それから防災組織、それから資材あるいは連絡の方法等は、たいへん恐縮ですけども、あとで資料でいただきたい。  それから高潮問題がございますが、地盤沈下との関係もございましょうが、防潮堤、それから河川堤防との関係、それをそれぞれについて大阪、東京、名古屋の伊勢湾等、それからこれは通産省あるいは厚生省あるいは住宅局との関係もございましょう。名古屋の海岸にはバラック同様の家なり、あるいは木造の低い家しかなくて、高潮なり水害の心配のない高台には鉄筋コンクリートの大きな建物が建っているというような問題もあるようでありますが、そういう海岸堤防なり、あるいはこれに関連する高潮対策にして他の省と関係するところ、それから地下水の汲み上げ規制、それから代替用水の供給等について、現状と問題点等は、これは時間がなくなりましたから、あとで資料でいただきたいと思う。それから今まで述べられましたところを、おそれ入りますが、上から——砂防工事から、できたら一覧表にお願いをして、図表でいいですから、ひとつそこで砂防あるいは砂防法、ダムならダムの問題、それから利水の問題、それから今出ませんけれども、分流や遊水池の問題、それから水の流れに従って警報、それから下のほうにいっての防災組織、それらのものをおそれ入りますが、図表でお願いいたしたい。委員会もだいぶ長くなりまして、それぞれ御都合があるようですから——あと残っております。厚生省に来ていただいておりますから、それだけ聞いて終わりたいと思います。  人災といいますか公害といいますか、私は先ほど申し上げましたように、大気汚染、それから汚濁水、それから騒音、それから交通災害——地盤沈下もあるいは人災に入るかもしれませんが、これらについて、一応問題点、それから対策、それから欠陥、それからその防止の現在の措置、それに関連してこういう問題が残っておるという、何といいますか、改善強化の方策についてお伺いしたいと思います。  公害問題については、これは外国に比べまして、いわば日本の欠陥と思いますけれども、人権といいますか、民主的な権利なり権利意識、それを守る制度が確立されておりませんので、いわば幾らでも判例によってやられたり——それから水俣病にしても、その他のあれにしても、根本的に因果関係というものは究明されない、科学的な因果関係も究明されないで、しかも、それを救済する制度というものも確立しておらぬので、この公害全般について私は今これからの問題だと思う。自然災害についても被害が大きいものだから、その対策の究明が言われておりますけれども——同じようなことが、公害といいますか、人災全体についても言い得るのだと思いますけれども、詳細はまた別の機会に譲りますが、せっかく来ていただきましたし、公害、人災全般について項目を分けて大綱をひとつきょうはお話しを願いたいのですが……。
  144. 翁久次郎

    説明員(翁久次郎君) ただいま公害一般の中で、厚生省が所掌と申しますか、関与しておりますことにつきまして申し上げてみたいと思います。公害の中で御指摘のように、騒音なり、あるいは大気汚染、いろいろございますが、従来公害の中の大気汚染につきましては、科学技術庁の放射能関係ですでに法的に、また制度的にも、その危害の防止について制度化されておる面がそれぞれあるわけであります。大気の汚染の中で、主として煤煙によって一般の住民の福祉に関係のあることにつきましては、数年前からいろいろ世論の関心も高まっております。特に最近におきましては、企業においてこれに積極的な関心を持ち、たとえば煙突の排出口に防除装置をつけるとか、あるいは燃料のたき方を研究するとか、というようなことが積極的に行なわれるようになってきております。そこで昨年来厚生省におきましては、工場関係所管という意味合いにおきまして通産省とたびたびお話し合いを行ないまして、大気汚染の中の主として煤煙、すすとか粉塵とか、あるいは亜硫酸ガスとかいうものが大量に放出される地域を指定いたしまして、その地域の中にある工場、事業場の煤煙の排出基準を設けて、そうして、それによって少しでも大気の煤煙による汚染を少なくするという方向で話し合いを進めて参りました。今日の段階におきましては、おおむね工場関係所管の通産省と、保健衛生、生活環境を所管しております厚生省の間で大綱の意見の一致をみております。ただ関係する各省が多うございますので、ただいま関係する各省と御協議を申し上げておりまして、もし早くその協議がまとまりましたならば、早い機会に国会に提案して御審議を得たい。このことは大気汚染の中の主して煤煙に基づく公害の処理に関する事項でございます。  その他の水につきましては、すでに水質汚濁防止等、厚生省では水道課がこれに関与しておるのでございます。その他一般の方々に影響する騒音あるいは震動等につきましては、いずれも公害問題として少なくない影響がございますので、研究はいたしておりますけれども、今のところ、これという結論といいますか、方法をみるに至っていない状況であります。主として私の課に関係のございます煤煙の防止を中心といたしまして、ただいままでの経過並びに今後の行き方につきまして申し上げた次第であります。
  145. 吉田法晴

    吉田法晴君 水については水道課ですか。
  146. 翁久次郎

    説明員(翁久次郎君) 環境衛生局の中では水道課が関与しております。
  147. 吉田法晴

    吉田法晴君 それから工場の汚濁水等については。
  148. 翁久次郎

    説明員(翁久次郎君) これは通産省の企業局が関与しております。
  149. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると、たとえばそれが出てきて、病害を起こしました水俣病等は、これはあなたのほうの所管ですね。これは食品関係だから。
  150. 翁久次郎

    説明員(翁久次郎君) 水質の基準といたしましては、経済企画庁が中心となりまして基準をお作りになるわけでございますが、具体的な問題として先年来現われました水俣病でございますか、このことの治療の面につきましては厚生省が関与している次第でございます。
  151. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると、工業用水などの水質云々というものは、これは法律もできておりますが、これは経済企画庁ですか。
  152. 翁久次郎

    説明員(翁久次郎君) 主たる所管庁が経済企画庁でございます。
  153. 吉田法晴

    吉田法晴君 それから海の水は。
  154. 翁久次郎

    説明員(翁久次郎君) 河川から排出されて、すでに海に放流されているものの何といいますか、処理等につきましては、ただいままで法的規定はございませんが、何と申しますか、厚生省が所管しておりますのは、汚物の処理等につきましては、海にたとえ流された問題でも関与いたしますが、海域を指定いたしますと、経済企画庁の水質基準ということになるわけでございます。
  155. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると、汚物あるいはその他の清掃関係については、これは厚生省、そういうことになりますね。
  156. 翁久次郎

    説明員(翁久次郎君) そのとおりでございます。
  157. 吉田法晴

    吉田法晴君 これは汚物と塵芥を含みますね。
  158. 翁久次郎

    説明員(翁久次郎君) そのとおりでございます。
  159. 吉田法晴

    吉田法晴君 これは、それぞれ所管のものについて聞く以外にございませんから——建設省はお帰りになりましたか——。おそれ入りますが、厚生省の所管事項を含んで、たとえば同じ水にしても、汚物あるいは塵芥関係は厚生省、それからそれが工業用水が流れ込むと経済企画庁、あるいは海に流れ込むと云々といったような、あなたのほうから、所管分野、それから接続するところ、これを分けて、先ほどのような表をこしらえていただいて、それからそれぞれのところに伺って参ります。  それから所管のあれについては、大気の中の煤煙、それから水の中の汚物、塵芥に関連します清掃関係等について、おそれ入りますけれども、時間がなくなりましたから、資料でお願いをしたいと思います。それから具体的に災害の実例、まあ水俣病のごときはその一つですけれども、所管をされました、昨年来の大きな案件についても、これも大体でいいですから、資料として御提出をいただいたら幸いです。あとは個々に、その担当の官庁にお聞きをすることにして、きょうはこの程度でやめます。たいへんおそくなりまして、おそれ入ります。
  160. 森八三一

    委員長(森八三一君) 本件につきましては、本日はこの程度にいたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後四時五十四分散会    ————————