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1962-02-01 第40回国会 参議院 運輸委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十七年二月一日(木曜日) 午前十時三十七分開会
—————————————
委員
の
異動
十二月十四日
委員大和与一
君
辞任
につ き、その
補欠
として
相澤重明
君を
議長
において指名した。 一月十三日
委員井野碩哉君辞任
につ き、その
補欠
として
天坊裕彦
君を
議長
において指名した。 一月二十四日重
宗雄三
君
辞任
につき、 その
補欠
として
村松久義
君を
議長
にお いて指名した。 一月二十五日
委員野上進
君及び
三木與
吉郎
君
辞任
につき、その
補欠
として大
野木秀次郎
君及び重
宗雄三
君を
議長
に おいて指名した。
委員長
の
異動
一月二十四日
前田佳
都男君
委員長辞任
につき、その
補欠
として
村松久義
君を 議院において
委員長
に選任した。
—————————————
出席者
は左の通り。
委員長
村松
久義
君
理事
天埜
良吉君 金丸 冨夫君 大倉 精一君
委員
江藤 智君 重宗
雄三
君
小酒井義男
君 中村 正雄君 松浦 清一君 加賀山之雄君
国務大臣
運輸大臣
斎藤
昇君
政府委員
運輸大臣官房長
広瀬 真一君
運輸省海運局長
辻 章男君
気象庁長官
和達
清夫君
事務局側
常任委員
会専門員
古谷
善亮
君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
運輸事情等
に関する
調査
(
昭和
三十七年度
運輸省
及び
日本国
有
鉄道関係
の
予算
に関する件) (今
国会提出予定法律案
に関する件) ○
港域法
の一部を改正する
法律案
(内 閣提出) ○南大東島における
高層気象観測
に必 要な物品の譲与に関する
法律
の一部 を改正する
法律案
(
内閣送付
、
予備
審査
) ○
船員法
の一部を改正する
法律案
(内 閣送付、
予備審査
) ○
特定船舶整備公団法
の一部を改正す る
法律案
(
内閣送付
、
予備審査
)
—————————————
村松久義
1
○
委員長
(
村松久義
君) ただいまより
委員会
を開会いたします。 この際、一言ごあいさつ申し上げます。 このたび、はからずも私が
運輸委員長
に選任されました。何分にも不なれのものでございますが、
委員
の方々の格別の御指導、御協力によりまして、本
委員会
の
運営
を円滑にいたしたいと存じます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。(拍手)
—————————————
村松久義
2
○
委員長
(
村松久義
君)
委員
の変更について御報告いたします。
大和与一
君、
井野碩哉君
、
野上進
君、
三木與吉郎
君が
辞任
されまして、
相澤重明
君、
天坊裕彦
君、
大野木秀次郎
君及び私が選任されました。
—————————————
村松久義
3
○
委員長
(
村松久義
君) 次に、
委員長
及び
理事打合会
の結果について御報告申し上げます。 本
委員会
の
定例日
は、前国会同様毎週火曜日及び木曜日とすることとし、必要に応じて
定例日
以外でも開会することに協議決定いたしましたから、御了承を願います。 なお、本日は
昭和
三十七年度
運輸省関係予算
の
大綱
についての
説明
、
提出予定法案
の
説明
、さらに
付託法律案
の
提案理由
の
説明
を聴取いたしたいと存じます。 まず、
予算
の
大綱
について御
説明
を願います。
齋藤運輸大臣
。
斎藤昇
4
○
国務大臣
(
斎藤昇
君) 昭和三十七年度
運輸省関係
の予算について御説明申し上げます。 初めに、予算の規模について申し上げます。 まず、
一般会計
について申し上げますと、
歳入予算総額
は十二億六千八十三万二千円、
歳出予算総額
は六百九十五億六千四百五十一万六千円であります。今、昭和三十七年度
歳出予算総額
を前年度
予算額
と対比いたしますと百三十三億七千八百七十三万五千円の増額であり、約二四%の
増加率
を示しております。 この
増加額
の内訳を見ますと、
行政部費系統
におきまして三十九億三千四百八十万八千円の増額であり、
公共事業費系統
におきまして九十四億四千三百九十二万七千円の増額となっております。このうちには両系統を通じ定員二百三十一人の純増が含まれています。なお、ただいま申し上げました
歳出予算総額
のうちには
北海道港湾事業費等
の
他省所管分
六十五億四千百五十万六千円が含まれています。 次に、
特別会計
について申し上げます。 まず、木船再
保険特別会計
の
歳入歳出予定額
は、前年度より若干減少し二億九千四百六十四万九千円となり、
自動車損害賠償責任
再
保険特別会計
の
歳入歳出予定額
は、
附保自動車
の
車両数
の増加に対応し、前年度より約十億円増額され六十三億一千三百七十三万円となっております。また前年度から新たに設置されました
港湾整備特別会計
におきましては、その
歳入歳出予定総額
は、最近における
船込み等
に対処するため前年度より約五十一億円増額され三百五十五億二千四百三十一万六千円となっております。 なお、このほか、昭和三十七年度
財政投融資計画
中には、当
省関係分
として約千七百五十億円が予定されております。 政府といたしましては、昭和三十六年度以降約十年間に国民総生産を倍増することを目標として
国民所得倍増計画
を策定し、
わが国経済
の健全な発展をはかろうとしております。当省におきましてもこの趣旨にのっとり、
海陸空
にわたる
運輸交通部門全般
について効率的な諸策の遂行に努力いたしておるのであります。しかしながら、昨年来
経済発展
のテンポは予想を大きく上回り、内需の旺盛と輸出の停滞により
国際収支
の悪化を招くに至り、これが改善をはかるため強力な対策が要請されている実情でございます。また、急速に発展する第二次
産業部門
の
輸送需要
の伸びは、
運輸交通部門
の
供給力
を大きく上回りまして、これが
経済成長
に対する
阻害要因
となりかねない
危険性
が顕著に現われてきているのであります。さらには、
わが国経済
の
国際的環境
は、
貿易為替
の
自由化
の促進が強く要請されておるなど、一そうそのきびしさを加えているのであります。 これらの諸点を考慮いたしまして、
国民所得倍増計画
の第二年度目にあたる昭和三十七年度の予算におきましては、同計画の
基本線
を維持しつつ、最近における
経済事象
の変化に即応して、まず
国際収支
の改善をはかるための
貿易外収支
の改善と輸出の振興、
経済発展
に即応する
輸送力
の増強さらには
防災体制
の強化、交通安全及び
海上治安
の確保、
運輸関係科学技術
の
振興等
の諸施策に重点を置き、これらを積極的に推進することといたしております。 以下、
部門別
に
重点施策
の要旨を御説明申し上げたいと存じます。 まず
海運関係
について申し上げますが、おもな事項といたしましては、 第一に、
海運企業
の
基盤強化対策
に必要な経費といたしまして六十二万六千円を計上しております。経済の発展に即応し、
国際収支
の改善をはかり、
工業用原材料
の
安定的輸送
を確保するためには、大量の
船腹保有
を必要とするのでありますが、
企業基盤
がきわめて脆弱な
わが国海運企業
が大量の
船腹建造
を遂行し得るようにするためには、その
企業基盤
を
充実強化
する必要があるのであります。このため新たに
海運企業整備計画審議会
を設けまして、個々の企業の
整備計画
を慎重に審議し、
審議会
の答申を得まして財政上の措置をしようとするものであります。 第二に、
外航船舶建造融資利子補給
に必要な経費として七億九千三百十五万六千円を計上しております。本制度は、
外航船舶建造資金
を融通する
市中金融機関
に対する
利子補給
を行なうことによりまして、
海運企業
の
合理化
に対する
自主的努力
と相待って
海運企業
の
金利負担
を軽減し、
海運企業
の基盤を強化しますとともに、これに
国際競争力
を賦与しようとするものであります。 第三に、
外航船舶建造
にかかる
日本開発銀行
に対する
利子補給
に必要な経費として一億五千六百九十二万二千円を計上しております。これは
市中金融機関
に対する
利子補給
と同じ趣旨により
日本開発銀行
に対してその融通いたします
外航船舶建造資金
につき、
利子補給
を行なおうとするものであります。なお、これら
利子補給
にかかる新たな
契約限度額
として
市中金融機関
に対する分として十八億五千六百十三万九千円、
日本開発銀行
に対する分として十六億七千五百四万五千円を計上しております。 第四に、
外航船舶
の建造に必要な資金として
日本開発銀行
からの融資二百億円を予定しております。これによりまして、昭和三十七年度において
わが国
の
貿易規模
に即応した
外航船腹
の
整備
をはかるため約五十万総トンの建造を行なう予定であります。 第五に、三
国間輸送助成
に必要な経費として四億六千万円を計上しております。これにより前年度に引き続き、三
国間輸送
を促進して
わが国海運
の発展と外貨の獲得をはかりたいと存じます。 第六に、
移住船
の
運航費補助
に必要な経費として一億二千七百八十一万六千円を計上しております。これによりまして
わが国
の
移住計画
に基づく
移住者輸送
の円滑な遂行をはかることといたしております。 第七に、
戦時標準船処理対策
に必要な資金として
財政融資
二十八億円を予定しております。これは、前年度に引き続き、航行に耐えられない状況に立ち至っている
戦時標準船
の
代替建造
を行なうために必要な資金でありまして、
特定船舶整備公団分
として十六億円、
日本開発銀行
の融資十二億円を予定しております。 第八に、
特定船舶整備公団
の
国内旅客船
の
建改造
に必要な資金として七億円を予定しております。これにより昭和三十七年度におきましては、同公団は約四十隻四千五百総
トン程度
の
国内旅客船
の
建改造
を実施する予定でありますが、最近における
管理費
の増加にかんがみ、そのうち一億円は出資をもって充てることとし、残余は
資金運用部資金
からの融資を予定しております。 第九に、
太平洋客船建造研究
に必要な経費として千五百万円を計上しておりまして、これにより
太平洋客船
の建造についての諸問題の研究を行ないたいと存じます。 次に
船舶関係
について申し上げます。 第一に、船舶の
経済性向上対策
に必要な経費として千四百五十五万円を計上しております。これによりまして最近における船舶の
自動化
、構造の
合理化等
の趨勢に対応し、
わが国海運
の
国際競争力
の強化に資するため、船舶の
経済性
の
飛躍的向上
を目途としてこれが試設計を行ないたいと存じます。 第二に、
造船関連工業振興
に必要な経費として九十五万六千円を計上しておりますが、貿易及び為替の
自由化
に対処して、
国際競争力
の弱い
造船関連工業
の
合理化等
を促進する所存であります。 第三に、中
小型鋼船造船業
及び
木船造船業
の
合理化
に必要な経費として五百八十一万五千円を計上しております。これにより、引き続きこれら
造船業
の技術の向上、経営の
合理化
をはかりたいと存じます。 次に
船員関係
としましては、第一に、
海上要員
の確保に必要な経費として二千六百六十二万四千円を計上しております。これは最近深刻化しつつある
海上労働力
の不足を打開するために、
船員供給源
の開拓に必要な経費百六十二万四千円と、船員の
福祉厚生
を増進するため、国内における
船員厚生施設
を
整備
する
公益法人
に対してその
整備費
の一部を補助するために必要な経費二千五百万円とであります。 第二に、
船員教育
の充実に必要な経費として一億二千六百九十九万三千円を計上しております。これは、船腹の増大に対処するとともに、
船舶運航技術
の
近代化
に即応して、館山に
海員学校
を新設するほか、
教育施設
の充実、
教育課程
の新設などを行なうために必要な経費であります。 次に、
港湾関係
について申し上げますと、第一に、
港湾整備
五カ年計画に基づく
港湾整備事業
の促進に必要な経費として二百二十五億七百四十二万八千円を計上しております。このうちには
一般会計
から
特別会計
への繰入金二百十六億六千三百七十五万円が含まれております。
国民所得倍増計画
に基づき
貿易量
の伸長、
工業生産
の拡大及び
国土開発
の進展に対応して緊急かつ計画的に港湾の
整備
をはかる必要がありますので、昭和三十六年度を初年度として
港湾整備
五カ年計画の実施に努めておりますが、最近の
主要港湾
における著しい
船込み
の状況にかんがみ、昭和三十七年度においては、その早急な解消をはかるべく、六大港の
整備
に重点を置いて
港湾整備事業
の
早期実施
を行なう所存であります。 これら
港湾整備事業
は、前年度において設置されました
港湾整備特別会計
によって実施されているのでありますが、同会計の
歳入歳出予定額
は三百五十五億二千四百三十一万六千円と、前年度に比べて約一七%の
増加率
を示しております。 また、これを
勘定別
に見ますと、
港湾整備勘定
においては、その
歳入歳出予定額
二百八十六億八千三百八十四万四千円の規模をもちまして
港湾改修事業
として、
横浜港外
約三百港の
整備
を行なう予定であり、
特定港湾施設整備勘定
においては、その
歳入歳出予定額
六十八億四千四十七万二千円の規模をもちまして、
輸出港湾
として
大阪港外
一港、
石油港湾
として
千葉港外
四港、
鉄鋼港湾
として
千葉港外
七港及び
石炭港湾
として
苫小牧港外
七港につきまして
港湾施設
の
整備
を行なう予定であります。 第二に、港湾及び
海岸防災事業
の推進に必要な経費として百二十六億二千七十二万八千円を
一般会計
に計上しております。これによりまして
特別高潮対策事業
、
チリ地震津波対策事業
、
伊勢湾高潮対策事業等
、
海岸防災施設
の
整備
と港湾及び
海岸災害
の復旧を促進する所存であります。 以上申し上げましたとおり、昭和三十七年度における
港湾関係予算
は、
一般会計
及び
特別会計
を通じて前年度に比し八十四億一千六百十三万二千円の国費の純増を予定しております。 また、
財政融資
五億円により、
港湾運送事業者
の事業の用に供するはしけ、
引き船等
の
整備拡充
を
特定船舶整備公団
に行なわせ、
船込み解消
に資することとしております。 次に
鉄道関係
としましては、第一に、国鉄五カ年計画の推進に必要な
財政資金
として八百億円を予定しておりますとともに、
日本国有鉄道新線建設費補助
に必要な経費として四億二千四百七十九万五千円を計上しております。このうち前者は、東海道新幹線の建設を初めとする
国鉄輸送力
の増強をはかるための
所要財政資金
であり、後者は、昭和三十五年度及び昭和三十六年度における新
線建設費相当額
の一部を
日本国有鉄道
に対して補助するための経費であります。 第二に、
地下高速鉄道建設促進
に必要な資金として
帝都高速度交通営団
に百億円を、東京都、大阪市、
名古屋
市及び神戸市については総額百七十億円の
財政資金
の融資が予定されております。 第三に、
地下高速鉄道建設費補助
に必要な経費として一億八千百七十八万円が計上されております。
都市交通
の
円滑化
をはかるためには、
地下高速鉄道網
の早急な
整備
を行なう必要があるのでありますが、その
建設費
は巨額に及び、これが経営の重圧となっている現状にかんがみ、東京都、大阪市、
名古屋
市及び
帝都高速度交通営団
に対し、
建設費
の一部を補助しようとするものであります。 第四に、
踏切道改良費補助
に必要な経費として二千二百一万三千円を計上しております。これによりまして、さきに成立をみました
踏切道改良促進法
に基づき
踏切道
の改良の促進をはかるため、
保安設備
の
整備
を行なう経営の苦しい
地方鉄道
、
軌道事業者
に対してその費用の一部を補助する予定であります。 次に
自動車関係
につきまして申し上げますと、 第一に、
自動車行政
の
基本体制
の
充実強化
に必要な経費として三億一千七百二十二万八千円を計上し、また要員も六十九人の増員を行なっております。これによりまして激増する
自動車車両数
に対応し、
京都外
六カ所の
車両検査場
の
整備
を行ない、もって
検査登録機能
の強化をはかるとともに、
自動車輸送統計機構
及び
タクシー免許業務体制
の
整備等
を行なう予定であります。 第二に、
自動車事故防止対策
の強化と
自動車輸送秩序
の確立に必要な経費として六百四十七万六千円を計上しておりますが、これによりまして
運転者実態調査
、
分解整備事業者
及び
自動車運送事業者
の監査、
白タク
、無
免許トラック等
の取り締まりなどを強力に実施する予定であります。 次に
航空関係
のおもな事項といたしましては、 第一に、
日本航空株式会社
に対する出資として
産業投資特別会計
中に三億円を計上しております。同社の
国際競争力
を強化するため前年
同様政府出資
を行なうものであり、なお、これとともに、同社の発行する社債について二十二億円、借入金について八億六千八百八十万円を限度として
債務保証
を行なうことにしております。 第二に、
国際空港
の
整備
に必要な経費として二十七億七千万円を計上しております。このうち
東京国際空港
につきましては二十三億三千六百八十万円を計上しておりまして、これにより
滑走路
の新設、
ターミナル周辺
の
整備
、
ターミナルビル増築分
の
買収等
を実施する予定であります。また、大阪
国際空港
につきましては四億三千三百二十万円と、ほかに
国庫債務負担行為
二十億八百万円を計上しておりまして、現在施設の改修のほか、
滑走路
の新設のための
用地買収
を実施する予定であります。 第三に、
国内空港
の
整備
に必要な経費として九億四千九百万円を計上しております。これによりまして
既定空港
として
名古屋空港外
十二空港の
整備
を続行しますとともに、
新規空港
として
青森外
七空港の
整備
に着手し、また
鹿児島外
三空港の
追加改良整備
を行なう予定であります。 第四に、
航空機乗員養成費補助
に必要な経費として二千万円を計上しております。
航空機乗員
の払底に対処してその緊急な養成を促進するため、民間における養成に対してその経費の一部を補助しようとするものであります。なお、このほかに防衛庁に対しても
航空機乗員
の
委託養成
を予定しております。 第五に、航空の安全の強化に必要な経費として一億九千六百四十三万七千円を計上しております。これによりまして
航空路監視レーダー
の新設、
航空保安施設
の
整備
及び
管制用国際無線電話
の
設置等
を実施する予定でありますが、この
レーダー
の新設に必要な経費としましては、ほかに
国庫債務負担行為
二億九千百六十一万八千円が計上されております。 次に
観光関係
について申し上げますと、 第一に、
日本観光協会
に対する出資といたしまして一億円を計上しております。これは
外人観光客
の増加に対処して同協会の設置する
総合観光案内所
の
設備資金
として
政府出資
を行なうものであります。 第二に、同協会に対する補助に必要な経費として四億二千四百七十三万九千円を計上しております。これによりまして
日本観光協会
の
海外観光宣伝活動
の
整備充実
をはかり、昭和三十七年度にはダラス及びフランクフルトに
海外事務所
を新設いたしますとともに、
総合観光案内所
の
運営費
及び
一般管理費
についても新たにその一部を補助することといたしまして、
海外観光客
の積極的な誘致を推進する所存であります。 第三に、
ユースホステル
の
整備
に必要な経費として、
国立ユースホステルセンター
の
増設備費五
千百五十万七千円、
地方公共団体
の
ユースホステル整備費補助金
四千七百五十万円を計上しております。これによりまして
国立ユースホステル
・
センター
の完成をはかるとともに、
公営ユースホステル
約九カ所の
整備
を行なう予定であります。 次に、
海上保安関係
についてそのおもなものを申し上げますと、 第一に、
海難救助体制
と
海上治安体制
の強化に必要な経費として十億五千九百四十八万三千円を計上しております。これによりまして
老朽巡視船艇
を三隻
代替建造
し、八隻主機換装いたしますとともに、
塩釜航空基地
の新設、
航空機
の増強、第十
管区海上保安本部
の充実を初めとする
海上保安組織
の強化、
通信施設
の
整備
、
海上警備力
の
強化等
を行なう予定であります。なお、
巡視船
の
代替建造
に必要な経費として
国庫債務負担行為
一億六千九百四十四万円を別途計上いたしております。 第二に、
船舶航行
の
安全確保
に関する体制の
整備
に必要な経費として
航路標識整備費
十億五千万円、
水路業務
の
整備拡充
に必要な経費一億八千八百四十四万四千円を計上しております。これによりまして
港湾整備
に即応する
港湾標識
、
電波標識等
の
整備
を行ない、
集約管理
の一環として
灯台見回り船
を建造するとともに、瀬戸内海における航路の精測を行ない、
測量船
の建造を実施する予定であります。
気象関係
といたしましては、第一に
防災気象業務
の
整備強化
に必要な経費として七億二千二百十六万九千円を計上しております。これによりまして札幌、仙台に
気象用レーダー
の新設、
伊勢湾地域
に
自動応答式無線ロボット装置
の新設、
地震津波
及び
火山観測施設
の
整備等
を実施して、
台風豪雨雪対策
及び
地震津波火山対策
の
強化充実
をはかりますとともに、
防災要員
二十二人増員、
農業気象業務
及び
航空気象業務
の
拡充強化
を実施する予定であります。 第二に、
基礎的気象業務
の
整備強化
に必要な経費として三億九千七百二十八万三千円を計上しております。これによりまして
観測船
一隻の
代替建造
、
大船渡測候所
の新設を行なうほか、
無線模写放送
の
整備
、
気象官署間通信施設
の
整備
を実施するとともに、気象に関する研究の
強化等
を行なう予定であります。 次に
科学技術関係
について申し上げます。 第一に、
科学技術試験研究補助金
として五千九百五十八万二千円を計上しております。これによりまして次に申し上げます
運輸技術研究所
における
試験研究
と相待って、民間が分担する
試験研究
を促進し、運輸に関する技術の
発達改善
をはかる所存であります。なおおもなテーマといたしましては、超
高速優秀商船
の建造に関する研究、
航空機
の
航行安全確保
のための
管制施設
の
近代化
に関する研究、新
型式輸送機関
の開発に関する
研究等
を予定しております。 第二に、
運輸技術研究所
の
研究施設
の
拡充強化
と、
研究促進
に必要な経費として一億六千四百五万五千円を計上しております。これによりまして引き続き
原子力船
の
開発研究
を促進いたしますとともに、
電子航法評価試験体制
の
整備
を行ない。また
輸送機関
の
経済性向上
、
近代化等
に関する
研究等
を実施し、
各種輸送機関
と施設の
合理化
、
近代化
に資する所存であります。 第三に、
港湾技術調査研究機構
に必要な経費として八千六百七十三万七千円を計上しております。
港湾工事
に関する
研究部門
と、
調査設計部門
とは、これまで分離独立しておりましたが、
港湾技術
の強力な発展をはかるためこれらを統合して
港湾技術研究所
を設置いたす予定であります。 最後に、
航海訓練関係
でありますが、
練習船進徳丸
の代
船建造
に必要な経費として五億二千万円を計上しております。これによりまして前年度に引き続き、老朽化しております
練習船進徳丸
の代船の建造を実施する予定であります。 以上をもちまして昭和三十七年度の
運輸省関係
の予算についての御説明を終わりますが、何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成あらんことを御願い申し上げます。
—————————————
次に、昭和三十七年度
日本国有鉄道予算
の概要につきまして御説明申し上げます。 昭和三十七年度の予算の編成にあたりまして、三十七年度は
日本経済
の著しい成長のあとを受けて、経済の発展は幾分控え目にならざるを得ないと考えて
収入支出予算
を組みましたが、一方また、
国鉄輸送力
の増強及び
近代化
のための国鉄新五カ年
計画実施
の第二年度として、この
計画実現
に支障を来たさないよう十分の配慮をいたした次第であります。 以下、
収入支出予算
につきまして、損益、資本及び工事の各
勘定別
に御説明申し上げます。 まず、
損益勘定
について申し上げます。収入におきましては、
鉄道旅客輸送人員
は五十四億九千万人、
輸送人キロ
は対前年度七・三%増の一千三百六十九億人キロとして
旅客収入
二千九百四十六億円を見込み、また、
鉄道貨物輸送トン数
は二億一千百万トン、
輸送トンキロ
は対前年度五・九%増の五百八十億トンキロとして
貨物収入
二千百二億円を見込んでおります。以上の旅客、
貨物収入
のほか、
雑収入等
を含めまして
収入合計
は五千二百四十六億円となっております。 次に、
経営費
についてみますと、
人件費
につきましては三十七年度の昇給と期末、
奨励手当合計
三・二五カ月分を見込みまして、給与の総額は一千七百八十一億円といたしております。また、物件費につきましては、節約に特段の努力を払うことにいたしておりますが、おもなものといたしましては、動力費四百八億円、修繕費六百五十九億円を見込んでおります。これらを合わせまして、
経営費
の総額は三千六百二十億円となっております。 以上の
経営費
のほかに、受託工事費四十億円、利子及び債務取り扱い諸費二百六十二億円、減価償却費五百七十一億円、資本勘定へ繰り入れ六百八十八億円、予備費六十五億円を合わせまして、
損益勘定
の支出合計は五千二百四十六億円となっております。 次に、資本勘定について申し上げます。収入といたしましては、先ほど申し上げました減価償却引当金五百七十一億円、
損益勘定
から受け入れます六百八十八億円のほか、資産充当七十五億円、鉄道債券六百十五億円、資金運用部等からの借入金四百七億円、合計二千三百五十六億円を計上いたしております。 他方、支出といたしましては、このうち二千三十五億円を工事勘定に繰り入れるほか、借入金等の償還三百十四億円、
帝都高速度交通営団
等への出資七億円を予定いたしております。 最後に、工事勘定について申し上げます。三十七年度は
輸送力
の増強及び
近代化
に重点を置き、東海道幹線増設工事を推進するとともに、主要幹線の複線化、電化、電化されない区間のディーゼル化、さらには通勤輸送の混雑緩和、車両の増備をはかるため、三十六年度に比して百十億円増の二千三十五億円を計上いたしました。 以下、工事勘定の内容について御説明申し上げます。 まず、新線建設につきましては前年度と同額の七十五億円を計上いたしております。次に、東海道幹線増設につきましては、昭和三十四年度に着工してから四年目を迎え、工事も最盛期に入りますので、前年度より百七十二億円を増額いたしまして六百十億円を計上し、幹線増設工事の促進をはかり、東海道線の輸送の行き詰まりを早期に解消いたしたい考えであります。 次に、通勤輸送対策といたしましては、前年度より十四億円増額し、東京付近六十五億円、大阪付近十七億円、電車増備二百三十両、四十五億円、計百二十七億円を計上いたし、
輸送需要
の増大に対応するとともに、混雑緩和をはかることにいたしました。 次に、幹線
輸送力
増強のために前年度より二十一億円増額いたしまして四百九十億円を計上し、その能力の限界近くまで利用されており、
輸送需要
の増大に応じ切れなくなっている東北本線、北陸本線、上信越線、中央本線、鹿児島本線等の
輸送力
を増強し、これら線区における輸送隘路をできるだけすみやかに解消することにいたしました。 次に、電化及び電車化につきましては、前年度より二十四億円増額し、二百四十八億円を計上いたしまして、現在工事中の東北本線、常磐線、信越本線、北陸本線及び山陽本線の電化を促進するとともに、既電化区間の電車化を積極的に行ないまして列車回数を増加し、サービスの改善と経営
合理化
をはかることにいたしました。 以上のほか、ディーゼル化、諸施設の取りかえ及び改良、総係費等を含めまして、支出合計は二千三十五億円となっております。これらに要します財源といたしましては、資本勘定から受け入れます二千三十五億円を充てることにいたしております。 以上御説明申し上げました
日本国有鉄道
の予算は、これに予定されました収入をあげ、予定の工事計画を完遂するためには格段の努力が必要であろうと考えられますので、公共企業体としていま一そうの経営
合理化
をはかり、もって
わが国経済
の発展に資するように指導監督して参りたい考えであります。 以上、昭和三十七年度
日本国有鉄道
の予算につきまして御説明申し上げましたが、何とぞ御審議の上、御賛成下さるようにお願いいたしたいと存じます。
—————————————
村松久義
5
○
委員長
(
村松久義
君) 次に、提出を
予定
しておる
法律案
の
説明
を願います。広瀬官房長。
広瀬真一
6
○
政府委員
(広瀬真一君)
運輸省
といたしましてこの第四十国会に提出を
予定
しております
法律案
は、総計で十五件ございます。各
法律案
につきまして、内容をきわめて簡単に御
説明
をいたします。 第一に
運輸省
設置法の一部を改正する
法律案
でございます。この内容は、
港湾関係
の
技術
研究
を
促進
するためで、
運輸技術研究所
の
港湾
部門を母体とする
港湾技術研究所
を本省の付属機関として設ける。海員の需要の増大に対処しまして、海員の
養成
を行なうために館山市に
海員学校
を設ける。自動車
審議会
の廃止に伴って所要の整理を行なう。
航空
交通管制本部の移転に伴いまして、その所在地を
東京
都北多摩郡久留米町に改める。
気象
庁研修所の名称を実態に即応いたしまして
気象
大学校に改める。国家行政組織法第十九条第一項の定員を改める。こういった内容を含んでおるものでございます。 その次が
特定船舶整備公団法
の一部を改正する
法律案
でございますが、これは本日後ほど
提案理由
の
説明
がございますので、内容は省略いたします。 次が
日本観光協会
法の一部を改正する
法律案
。これは
日本観光協会
に対する
政府
の
出資
がこのたび一億円認められておりますので、これに対する所定の規定の
整備
を行なうというものでございます。 次が南大東島における
高層気象観測
に必要な物品の譲与に関する
法律
の一部を改正する
法律案
でございますが、これも本日後ほど
提案理由
の
説明
がございますので、内容を省略いたします。 次が
海運企業
の
基盤
強化
のための臨時措置法案。これは仮称でございますが、この内容は
海運企業
の
基盤
強化
のため、
海運企業
の提出します
整備計画
を
審議
する
海運企業整備計画審議会
を設けまして、
審議会
の承認した
整備計画
を提出しました
海運企業
に対しまして五カ年間
日本開発銀行
は一定の債権にかかる利子の徴集を猶予しようという内容でございます。 次は
港域法
の一部を改正する
法律案
。これも本日後ほど
提案理由
の
説明
がありますから、省略いたします。 次はモーターボート競走法の一部を改正する
法律案
。これは公営競技
調査
会の答申の
趣旨
にのっとりまして、勝舟投票券の購入を禁止される者の範囲を拡大する等、競走に対する規制を
強化
し、あわせて競走の
実施
に関する業務と交付金による
振興
業務とを組織上分割することによりまして制度
運営
の
合理化
をはかろうとする内容でございます。 次は
船員法
の一部を改正する
法律案
。これも本日
提案理由
の
説明
がございますので、内容は省略いたします。 次は公共
企業
体職員等共済組合法の一部を改正する
法律案
。これは健康保険法等の一部改正に伴い、出産費及び配偶者出産費について最低保障額を設けるとともに、育児手当金を定額化する。次は恩給法等の一部改正に伴いまして、更新組合員等に関し旧日本医療団及び外国
政府
の職員期間の通算等、所要の措置を講ずる。組合員が退職した後、再びもとの組合の組合員となった場合において、前後の組合通算期間を合算して年金受給資格年限に達するときは、組合員期間を合算する。更新組合員等の旧令共済組合員期間等について実期間として通算する。その他所要の改正を行なうという内容でございます。 次は
日本国有鉄道
法の一部を改正する
法律案
。これは
日本国有鉄道
の
経営
の
改善
に資するため投資することができる
事業
の範囲を改めようという内容でございます。 次は鉄道営業法の一部を改正する
法律案
。これはILO第八十七号条約を批准することとするに際しまして、鉄道
事業
の適正な
運営
を
確保
するため、鉄道係員に関する規定の
整備
を行なうという内容でございます。 次は道路運送車両法等の一部を改正する
法律案
。これは内容は二つございまして、第一は道路運送車両法の一部改正でございます。これは自動車の検査制度を
合理化
するため、指定自動車
整備
事業
者制度の
新設
、自動車検査証の有効期間及び原動機番号に関する規定の
整備
、自動車検査証の有効期間の終期を表示する標章の表示義務等、所要の規定の
整備
を行なうという内容でございます。次は自動車損害賠償保障法の一部改正でございまして、これは最近における
自動車損害賠償責任
保険の加入率の低下に対処し、自動車損害賠償保障制度を
充実強化
するため、自動車の検査等と
自動車損害賠償責任
保険との関連性の
強化
、軽自動車に対する標章の表示義務、解約の制限等、所要の規定の
整備
を行なおうとするものでございます。 次は
港湾
法の一部を改正する
法律案
でございまして、これは海面における
港湾工事
のための漁業権の取り消し等及び損失補償についての規定を設け、
港湾工事
の
促進
をはかろうとするものでございます。 次は道路運送法等の特例に関する
法律案
でございまして、これは仮称でございますが、道路運送法違反者に対する行政処分の実効性を
確保
しようとするものでございます。 次は海上衝突予防法の一部を改正する
法律案
でございます。これは一九六〇年の国際海上衝突予防規則の改正に伴いまして、所要の
国内
的な
整備
を行なおうという内容でございます。 以上十五件が本国会に
運輸省
といたしまして、提出を考えております
法律案
の内容でございます。
—————————————
村松久義
7
○
委員長
(
村松久義
君) 次に、本
委員会
付託の
港域法
の一部を改正する
法律案
の
説明
を願います。
斎藤
運輸大臣
。
斎藤昇
8
○
国務大臣
(
斎藤昇
君) ただいま議題となりました
港域法
の一部を改正する
法律案
の
提案理由
につきまして御
説明
申し上げます。 この
法律案
は、
港湾
事情の変化に伴い、港の区域が実情に沿わなくなったものを改める等の必要が生じておりますので
港域法
の別表を改正しようとするものであります。 改正を必要とするおもな事情を申し述べますと、第一に、背後地の産業活動の
発展
による
港湾
の
建設
、
船舶
出入の
増加
に伴い、田子の浦港、安芸津港について港則法を施行する等のため新たに港域を定める必要が生じたことであります。 第二に、
港湾
の埋め立て、埠頭
工事
の進展に伴い、
港湾施設
が拡張される等
船舶
の交通事情が変化したため、京浜港ほか九港について、その実情に合致するよう港域を変更する必要が生じたことであります。 第三に、
大阪
港及び堺港のように隣接した二港が臨海工業地帯の造成等によって
経済
的にも、また
船舶
の
航行
及び停泊の事情からも一体の
港湾
として機能を発揮しているものについて、
港域法
上の一体の港域として合併する必要が生じたことであります。 以上がこの
法律案
を提案する理由であります。
村松久義
9
○
委員長
(
村松久義
君) 本案に対する質疑等は後日に譲ることにいたします。
—————————————
村松久義
10
○
委員長
(
村松久義
君) 次に
予備審査
のために送付されております、南大東島における
高層気象観測
に必要な物品の譲与に関する
法律
の一部を改正する
法律案
ほか二件について御
説明
を願います。
齋藤運輸大臣
。
斎藤昇
11
○
国務大臣
(
斎藤昇
君) ただいま議題となりました南大東島における
高層気象観測
に必要な物品の譲与に関する
法律
の一部を改正する
法律案
の
提案理由
につきまして御
説明
申し上げます。 御承知のように、
わが国
は、台風その他の自然現象による災害によって、年々多くの人命、財産の損失をこうむっております。これらの災害の予防、軽減に資するためには、
気象
観測の
整備
をはかり、かつ、予報業務を
強化
して的確な
気象
予報を行なうことが必要でありまして、
政府
といたしましてもこれら
気象
業務の円滑な
運営
に鋭意努力を重ねて参っている次第であります。 中でも
高層気象観測
は、一般の
気象
予報はもちろん、台風予報にも
航空機
の運航にも重要な資料を提供するものであります。この点にかんがみまして、かねてから
高層気象観測
網の
整備
をはかって参りましたが、
昭和
三十五年度には
気象
庁と琉球
気象
台の協力業務として南大東島について
整備
いたしました。さらに今回は、琉球
気象
台が石垣島において
高層気象観測
を
実施
するにあたり必要な援助を
計画
したわけであります。 石垣島は、御承知のとおり沖繩本島より西南方の海上四百
キロ
の地点にありますが、石垣島で
高層気象観測
を
実施
いたしますれば、日本の天気変化のおもな原因となります東シナ海南部に発生する低気圧の発生、消滅、進行の予想や台風の予想にも大きな役割りを果すことになるのであります。また、このようなことから、石垣島の
高層気象観測
は世界
気象
機関においてもその開始を勧告されているものであります。よって、
政府
は、この重要性にかんがみ、琉球
気象
台の
高層気象観測
業務を開始するため必要な
経費
を援助するとともに、その観測に必要な物品を譲与するため必要な
経費
を
昭和
三十七年度
予算
として計上いたしている次第であります。 また、観測に必要な物品を譲与することにつきましては、琉球
気象
台の
高層気象観測
資料を本邦の観測資料と統一して利用するため、本邦における
高層気象観測
と同一様式の観測機器を使用し、かつ、同一の観測方式で
実施
されることが必要であるからであります。したがいまして、琉球
気象
台の南大東島の
高層気象観測
と同様に物品を譲与できるように
財政
法第九条の規定の特別立法の措置を講じた次第であります。 以上がこの
法律案
を提出する理由であります。 次に、
船員法
の一部を改正する
法律案
の
提案理由
につきまして御
説明
申し上げます。 現行
船員法
は、
昭和
二十二年に新憲法の施行に伴い、海上労働に関する労働基準法として全面的に改正されたものでありますが、
経済
情勢、労働情勢ともに著しく不安定な時期に制定されたため、必ずしも現状に即さない点もあり、また、その後の
経済
の
成長
とともに労働情勢も推移しており、その変化に対応させる必要性も生じて参りました。よって、
政府
は、
昭和
二十八年
船員
中央労働
委員会
に対し、
船員法
の改正について諮問いたしました。
船員法
は、申すまでもなく、労働基準法と並んで海上労働者の労働基準に関する基本法としての性格を有するものでありますから、その改正は慎重に行なわなければなりません。同
委員会
は、このような配慮を前提に、慎重な態度をもって八年間にわたり
船員法
の全条文について検討を行なったのでありますが、特に、
船員法
が現実の
国内
及び国際の労働慣行に適したものであるか、あるいは労働基準法と均衡を失した点はないか、あるいは国際海上労働条約との関係はどうか、あるいは最近の労働情勢の推移に適応しているかどうか等の見地から細部について
審議
を行なったのであります。その結果、公労使三者の完全な意見の一致をみたものについて昨年末までに答申がなされましたので、
政府
は、この答申の
趣旨
に従い、ここにこの
法律案
を提出した次第であります。 このたびの改正のおもな点は三つに大別されますが、その第一は
船員
の労働条件の適正化に関するものであります。御承知のように、
船員
は長期間遠く海上を
航行
する
船舶
をその労働の場としておりますので、その居住、労働の環境を適正なものとすることが特に要求されております。このたびの改正案におきましては、まず衛生管理者制度を設け、船内の衛生状態の
改善
、
船員
の健康管理、傷病の発生の予防等に従事させることとし、これと関連し、従来の船医制度の
合理化
をはかりました。また、労働基準法において労働安全衛生規則が定められておりますように、船内作業による危害を防止し、船内衛生を保持するため必要な
船舶
所有者及び
船員
の順守すべき
事項
を命令で定める等の措置により、
船員
労働の安全及び衛生の
確保
に資するようにいたしております。このほか、労働時間制について外航・内航、船内の各部を問わず適用することとし、その基準化に努める等の改正を行ない、また、労働基準法と同様に、傷病
船員
、産前産後の女子
船員
の解雇を制限し、
予備
船員
の解雇について予告制度を採用することとして、
船員
の地位の安定をはかることとした等、
船員
の労働条件の適正化をはかっております。 第二に、
船員法
の適用範囲の拡張についてでありますが、近時、漁船の性能の
向上
と漁法の発達とにより、
船員法
の適用を受けない小型漁船も沿岸より沖合いへと出漁する傾向がみられるに至っております。その乗組員につきましては、陸上労働を対象とした労働基準法によるよりも、海上労働法としての
船員法
によることが適当であると考えられますので、これらの漁船を
船員法
の適用対象とすることといたしました。 第三に、
船舶
の航海の
安全確保
に関する規定の
整備
について申し上げます。従来より
船員法
におきましては、
船舶
の航海の
安全確保
に関する船長の職務について規定しておりますが、
わが国
海事法体系の
整備
をはかるという見地から、
船舶
安全法に基づく命令により定められておりましたこれと同様の性質の
事項
を
船員法
に統一的に規定することとし、今後一そう航海の
安全確保
に努めることといたしました。 以上が、この
法律案
を提案する理由であります。 次に、
特定船舶整備公団法
の一部を改正する
法律案
につきまして、御
説明
申し上げます。 この
法律案
の改正点は、第一に、
特定船舶整備公団
の業務範囲を拡大し、
港湾運送事業者
等と費用を分担して、はしけその他の
港湾
運送用
船舶
の
建造
、貸し渡し等ができるようにすること、第二に、
公団
の資本金四億円を五億円に
増額
しようとするものであります。 第一の改正点につきましては、昨年の半ばごろより、各主要港において、船ごみの現象が著しくなり、
国際収支
、
国内
生産その他
わが国
の国民
経済
の上に、種々の影響を与えていることは御承知のとおりでありますが、このような現象を引き起こした原因の一つに、はしけ不足がありまして、今後なお
増加
する貨物量に対応し、船ごみの
解消
をはかるためには、はしけその他の
港湾
運送用
船舶
を
増強
することが必要であります。 はしけは、従来、
港湾運送事業者
の手によって、その
整備
がはかられて参りましたが、
港湾運送事業者
の大半は中小
企業
者でありまして、資本金五百万円未満のものが七割を占めている現状であります。したがいまして、これ等
事業
者が
融資
を受ける場合の信用力、担保力は著しく不足しているため、通常の金融ベースでは、
資金
調達を行なうことが著しく困難であり、これが、はしけの新造を阻害する要因となり、今回のようなはしけ不足の現象を招いたものであります。 以上のような事情にかんがみ、
港湾
における船ごみを
解消
し、今後増大する貨物量に対応する荷役能力の
増強
をはかるための
施策
の一環として、
特定船舶整備公団
の業務範囲を拡大し、
資金
調達困難な
港湾運送事業者
等を対象として、
公団
との共有方式により、はしけその他の
港湾
運送用
船舶
の新造を行なうことができるよう措置を講じた次第であります。 なお、このため、三十七年度におきましては、
公団
に対する
資金運用部資金
五億円の
融資
が
予定
されております。 第二の改正点につきましては、
公団
の
旅客
船
建改造
業務執行のための事務
経費
は、
政府
の
出資
する資本金の運用益をもってまかなうことになっておりますが、
昭和
三十七年度におきましては、業務を円滑に
運営
するには、事務
経費
を
増加
する必要がありますので、これにあてるべき運用益の増収をはかるため、
旅客
船
事業
予算
七億円のうち、一億円は、出
資金
をもって充て、現在の資本金四億円を五億円に
増額
することとしたのであります。 以上が、この
法律案
の
提案理由
及び概要であります。 以上、申し述べました四案につきましては、何とぞ慎重御
審議
の上、すみやかに御賛成いただきますよう御願いを申し上げます。
村松久義
12
○
委員長
(
村松久義
君) 以上、
予算
案及び
法律案
についての
政府
の
説明
を終了いたしました。 この際、何か御発言ございますか。——なければ、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時三十五分散会 —————・—————