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参考人(
田畑政治君) この前も大体
組織委員会の
事業と図をお配りしてありますけれ
ども、簡単に繰り返しますと、
組織委員会そのものには、国のほうとしては
総理府長官と
文部大臣に入っていただいております。それから
東京都側は
知事、副
知事が入る、
あとは
各界部門というふうになっておりますが、今まで
組織委員会のやった一番おもなことは
競技場の
施設、これをこの
部門は国でやっていただきたい、この
部門は都でやっていただきたいということの仕分けを完了いたしまして、これを都のほうと国のほうに
お願いしてあるわけであります。この点につきまして、
津島さんから
お話のように、ほとんど
ボートの一部——これはこぐだけの
コースははっきり確保されております。しかし地上の家の移転の
問題等がまだ残っておりますけれ
ども、
施設、
競技場とすればこれも確定しております。ただ
自転車の
競技場ですが、
自転車は
道路競走と
トラックと
競技場が
二つあるわけですけれ
ども、
トラックのほうは
後楽園の
プロの
競輪場を借用してやろうということで、
後楽園もこれについては同意していたのでありますけれ
ども、
プロと
アマチュアというものの
競輪に関しては全く
事情が違いまして、普通ですと、相撲でも野球でも絶対に
プロのほうが
アマチュアよりも技術が上なんですけれ
ども、
日本の
競輪はちょっと方式が違って、
スピードそのものということでなくて
着順だけを争うものでありますので、
日本の
アマチュアは別にしまして、
オリンピックになりますと、国際的に
一流の
アマチュアの
選手が来ますと、
スピードが格段に違うのであります。
日本ですと、通産省か何かの規定で時速四十八キロということに押えて、それ以上だと危険だということだそうであります。ところが
アマチュアですと六十キロ以上であります。したがって六十キロ出すということになりますと、
傾斜が非常に急
傾斜になるわけであります。これでは今の
競輪の
選手が使うと非常に危険でけがをするおそれがあるというので、その点で
後楽園の
競技場がどうしても使えないという問題が起きておりますので、これをどこかにきめるという問題を
一つ残しまして、
競技場の問題はすべてきまっておるということ、これと今の村がきまったということが一番大きな問題と思います。
そうしまして、会期も、これも、この前の
アジア大会のような五月説というものもありますし、あるいは少し延ばして六月にしろ、あるいは八月、あるいは九月といういろいろの説がありましたが、結局これは去年のアテネの
総会で、
原則的には十月の十一日の日曜から二十五日の日曜まで十五日間ということが一応きまったのであります。しかし、きまった
あとで、
競技種目が
二つふえたということ、これは
日本では盛んでないから落したいという
カヌーと
近代五種、この
二つを今までやりているからやれというので二
種目ふえてしまったわけであります。
日本は
カヌーと
近代五種のかわりに一番盛んな
柔道とバレーを入れるという
提案は、
日本の希望する
二つはもちろん入れるけれ
ども、
近代五種と
カヌーをやれということで
二つふえました。それと
開会式の翌日一日休むということがきまりました。ということは、たとえばヨットなどは
日本でやる場合においては江ノ島ですけれ
ども、いかなる場合でも
オリンピックは大体において非常に遠いところでやりますので、その
選手が
開会式に出るためには翌日休むということが必要だということ、また
開会式のためには三時間も四時間も炎天で立っていることが必要ですから、
選手が非常につかれて翌日は
競技は無理だというので一日休むということがきまりましたので、これを一日か二日延ばすということが
原則的にきまりまして、前に延ばすか
あとに延ばすか。一日延ばして十六日にするか、二日延ばして十七日にするかということは、こちらで
研究して
モスコーに持って来いということになっておりますので、この問題が
一つあるわけであります。これは現在
研究中でありますけれ
ども、初めはどうしても十七日でなければ
工合が悪かろうというつもりでおりましたけれ
ども、今
研究の過程では、どうも十七日になりますと、すべての
競技が先にやりたいということになりますので、
あとのほうがかなり前とアンバランスになりますので、むしろ十六日がいいんではあるまいかという意見のほうが多いようであります。いずれにしましても
競技を始めるのは十一日の日曜からで、
開会式をその前の前の日、金曜日にやりまして、土曜を休んで日曜から始めて十六日ならば土曜日まで、十七日ならば二十五日の日曜までということになるわけで、いずれにしましても初めの
開会式の日は、この年に限って、今
津島さんから
お話があったように公休的の
休暇にしていただきたいという問題がその
意味で残っているわけであります。それはこちらに
お願いしなくちゃならぬ問題だと思います。
それからもう
一つの問題は、
日本の場合は
水泳を先にしまして
陸上を
あとにやる。今
オリンピックは
陸上を先にやって
水泳を
あとにやるということが今までずっと
原則であります。
ローマだけが今
日本でやろうというように
水泳を先にやったのであります。
日本の場合は十月になりましたので、
水泳の場合あるいはインドアでやらなければならぬという問題がありますので、どうしても
水泳を先にやるということになって
陸上を
あとにやる、この
原則ば
承認されておりますけれ
ども、どういうふうに
あとの
競技に当てはめて行くかということを今
国際スポーツ・
フエデレーションとこちらと折衝して、大体こちらの案を
モスクワー総会に持って行かなくちゃならぬと思っております。これは確定はおそらく今度の
モスコー大会まではできなくて、案はできますけれ
ども、これを
モスコー総会に出しまして、
原則的の
承認を得た上で、さらに
国際スポーツ連盟との折衝は残されると思います。
オリンピックの場合は、今申し上げましたように
組織委員会で
準備はいたします。すべての
競技施設その他の
準備はいたしますけれ
ども、
競技会そのものの
運営は、
国際スポーツ・
フエデレーションにまかせるわけであります。それが今度大体やっている国、
水泳ならば
日本の
水泳連盟というものに
運営をまかせるということになりますので、その点ははっきり今度の
モスコー総会で
プロが全面的にきまってしまうということにはいかないで、
あとはこちらの
組織委員会と
スポーツ・
フエデレーションのほうできめればいいんだということの条件で
プロがきまってくるというふうに考えられます。
大体今度の
モスコーに行っているおもなものはそうですけれ
ども、一番今関心を持たれておりますのは
芸術展示をどうしようかということ、これは今までは
芸術展示はあまりはっきりしなかったのであります。どうも
スポーツを
対象とする
芸術、絵画か写真かというふうな
考え方なのか、そうでなくていいものかどうかという
考え方がはっきりしなかったので、今まではどうしても
対象が
スポーツに限られておりましたので、出て来るのは
スポーツのほうは世界第一級のものが出て来るのですけれ
ども、
芸術に関する限りは
対象がきまっている上に
しろうとでなければいかぬということがあるので、次のものが出てくるということがあったのですが、今度はそれがはっきり変わりまして、
競技に対抗する同じウエートで
芸術展示を行なう、これはその国だけのものでいいけれ
ども、その国の
一流のものを展示する、これは現在、過去を問わず、最もすぐれたものを展示する、しかもその
対象は
スポーツに限らない、何でもいいということと、
芸術に関しては、もちろん
専門家でいいのだ、
しろうとでなければならぬということばないんだということがはっきりしましたので、国際的に一体
日本がどういうものをやるのだろうと、その
計画を、少なくも
芸術展示だけは具体的なものを
モスクワに持っていこうということを最近ブランデージという
会長のほうからこちらのほうに
申し出があります。これははっきりさせておかなければならぬ思っておりますが、このほうの特別
委員長は細川護立さんに
お願いしまして、浅野さんも委員に入っておりますので、古代から
近代に至るまでの国宝級の傑作を並べることは全く容易である、これは必ず引き受けるということを細川さんも浅川さんも申しているのですけれ
ども、現代の美術をまとめて展示するという問題が非常にむずかしい問題で、非賞にたくさん分かれておりますし、なかなか感情的にも一本にならないということで、現代の
芸術展示というものが非常に難関で、今まだ残されております。この点は有光さんが非常に一生懸命でやってくれていますので、何とか都の美術館を借りて、これも非常にむずかしいのだそうですけれ
ども、何とか借りて、何かの形式でとにかく
日本の現代の
一流のものを集めるということを今
準備しております。したがいまして、
モスクワの
会合までには
近代のことが具体的にならぬにしても、
日本の国宝級のものは全部出すのだということさえ持っていけば、各国とも非常に満足するだろうと思っております。それを今申し上げましたように、
競技の
運営は
スポーツ・フェデレーションがやるのでありますので、今私たちが一番
事業計画でやらなければならぬことは、去年からもやっておりますけれ
ども、どういうふうなやり方をするのかということの
国際スポーツ・フェデレーションのほうの注文を聞くために、向こうの
総会の理事会には人を送っていますし、また
競技の注文を聞くためには向こうの
国際スポーツ・
フエデレーションの人間をこちらへ呼んでおります。来
年度も
各種目ごとにやってくれることになっておりますが、この問題が
オリンピックそのものにすれば相当本質的の問題だろうと思われます。
それから今非常に問題になっておりますのは映画でありますけれ
ども、これは記録映画というものは作らなければならぬと思っておりますが。これはやりようによりますが。たとえばテレビの映画、十六ミリをそのままつなぎ合わせれば、これはほんとんどただでできることなんですけれ
ども。御存じのようらベルリン
大会のときの「民族の祭典」というような、ああいうりっぱな映画を作っていることがありますし、今度も
ローマの映画としても相当のすばらしいもんだということになりますと、この
程度の映画はどうしても作らなければならねということになりまして、
ローマでも三十万メートルも、フィルムを使っているそうであります。両方とも世界一のものをやっているということになりまして、今
日本でも黒沢君にこれをやってもらうことになっておりますけれ
ども、どうしても
ローマの例でもフィルム代が二億数千万かかっているそうであります。五十台の映写機を使っているということになりますと、どうしてもこれが
ローマでも
日本金にしまして五億以上の金を使っております。
日本でやるにしても、
ローマないしベルリンの
大会に負けない、あの
程度のものを作ることになりますと、どうしても五億ないし五億五千万くらい要る、半面これから得る
収入というものが案外少なくて、おそらく、確実にいえば二億五千万か、せいぜい三億だろうということがありますので、この点も非常に問題ですが、どうもこれも三億
程度の——せっかく金をかけてやるのですから、
オリンピックそのものを、これを済んだ
あとでカラーの映画を世界中に回すということは、前例からいってもやらなければなりませんので、こういう点ちょっと外から見ましてむだではないかということも、実際問題とすればどうしてもやらざるを得ないという問題も起きております。
それから、今の問題として大きな問題は、聖火リレーというもの、これはベルリン
大会のときは、アテネの奥のほうのオリンピアから火を会場に運ぶのであります。ベルリン
大会は陸路全部運んでおりますし、紀元二千六百年のとき
日本でやろうというときにはアンダストン・カール・ディームという人の構想で、人間の足と馬とラクダでやればいいだろうというような構想が出てきましたし、それから最近なくなった伊藤道郎氏なんかは、そのカール・ディームの案をとりまして、平和の道のシルク・ロードを通れということで、一応
調査もしましたけれ
ども、これが陸路を通るということはなかなか困難な問題であります。また一説には、
日本で
オリンピックをやるということの一番大きな問題は、平和の
オリンピックというために、むしろオリンピアからまっすぐに広島に持ってくる、もう一ぺん原子爆弾をやめようということで、世界にアッピールすると一番いいのではないかという案もありますけれ
ども、この
東京大会も、
日本の
大会ではなくて、初めてのアジア全部を代表して
東京でやるというような意義からいっても、どうしてもアジアの諸国を回るということが必要ではないかということになりますと、リレーをやりましても、飛行機で運んで、飛行場からその首都まではリレーで持ってくる。そこで一晩祭典をやってもらって
日本に持ってくるということになりますと、これもなかなか金が要るという問題もあると思います。また
日本に入ってからもまっすぐ
東京に持ってくるという案でいたんですけれ
ども、現在はアジアの国を回るならば、まず開催国の
日本を全部回せというような非常に強い意見も出てきておりますので、このリレーの問題というのもなかなかの問題でありますが、いずれにしても、とにかくアジアの
オリンピックというためには、どうしても最小限度アジア
競技連盟に加盟している首都くらいには火をおろすということば必要ではないかと考えられます。また一方
外国観光客のほうは当局でやっていただきますけれ
ども、
外国の
選手、役員あるいはIOCの人に対しての言葉の問題についても、これは今のうちから若い人たちを集めて語学の訓練もしなければならぬということで、現にこれも始めております。
大体おもなものはそんなものだろうと思います。いずれにしても大体順調にいっているということで、一番今残された問題は、
津島さんから申し上げにように、
戸田の
ボート・
コースの
拡幅の問題、これが埼玉県とこちらのほうとの話し合いがまとまりません。ということは、国の
補助が一文もないということで、非常にむずかしいので、この点を
委員会で何とか
お願いできればと思っております。もちろんこれは主管庁は文部省でありますから、
組織委員会のほうから文部省にもう一ぺん大蔵次官のほうとも折衝してもらうように
お話しは願うことになっておりますけれ
ども、この点につきましては、特に皆さん方の強い御支援を
お願いし
たい、こう思います。