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荒木国務大臣 きょう午前中も、昨日もおしかりをこうむりまして、衷心申しわけないことに存じております。ことに長谷川さんのお言葉にもございましたように、純真な児童生徒が、数万人真剣な面持で
試験場の場におる姿を念頭に置きながら、ミスがありましたことをほんとうに恐縮に思います。お許しをいただくよりほかにないわけでありますが、ただそれだけで済もうとはむろん思いません。今なすべきことは、最小限度、ミスのあったその答案と取っ組んで、
試験問題と取っ組んで、答案を出しました数万人の
受験生が、一応納得してくれるような採点を合理的にいたしまして、今回の問題を処理する。それが何だということを検討し、
実施することが急務であろうと思いまして、一昨日来、その検討を専門家も交えてするように指示をいたしておるわけでございます。
新聞でミスのあったことを承知いたすことが初っぱなでございますが、大体ミスプリントが三カ所ばかりあるようであります。ミスプリントだから間違い
そのものが、そうでないよりも軽微だとはむろん思いませんし、
考えるべきではむろんありません。そういうことになりましたのは、実は工業高等専門
学校の法律を過ぐる国会で通していただいて、準備をいたしておりましたわけですが、
試験問題を作成するのには、専門の人に頼んで相当の時間をさいて、慎重に検討してもらったものでなければなりません。それを着手するにつきましては、政府内部の問題でございますけれども、明年度の十二校の
予算内容が、政府案として一応きまるということがスタート・ラインでなければなるまいと、こう
考えて準備に着手したわけでございますが、暮れ押し詰まって、この線が確定し、あけてから着手せざるを得なかった。そうしますと、
試験の期日まで余日幾ばくもございませんので、やむを得ない
措置として、同じ
中学から
入学いたします国立の電波
学校、商船
学校、ひとしく技術系統の
学校でございますから、むろん高等専門
学校と趣旨は違うにいたしましても、
中学の卒業程度の学力を
中心に
入学試験をいたすとしますれば、さじよりその準備された問題に依存せざるを得ないということに結論がなりまして、その
試験問題の中に、ミスプリントができたわけですが、これは商船
学校と電波
学校とが、いわば回り持ちで印刷その他の準備の担当をすることになっておりまして、今年は広島の商船
学校が担当いたしまして、
試験問題の印刷、現実にはあそこの刑務所で秘密を保つ必要から印刷をした由でございますが、そのゲラ刷りの校正にあたりまして手抜かりがあった。最終的な校正が厳密でなかったと目されるわけでございます。それに気づかないままに
試験問題としてそれぞれの
学校に配付し、
試験当日を迎えるようになったということが、ミスプリントのままで御指摘のようなことが
新聞にも出、おしかりを受ける原因にもなったわけでございまして、そういう取り扱い方
そのものにも慎重さを欠いた。さらには印刷の校正にあたりましても、責任のある者がはたして当たったかどうかということも
調査しなければわからないにいたしましても、そういう面にも慎重な考慮が必要であろう。
試験問題
そのものにつきましては、むろん今後にわたりましては、高等専門
学校十二校もさしよりあるわけでございます。これに対する問題の作成にあたっても、従来の例によらないで、もっと慎重に二段がまえ、三段がまえのやり方で、万遺漏なきを期するという
措置がなければなるまいと、今一応
考えるわけであります。そのこともあわせまして、専門家を交えて今検討をさしております。当面の処置としましては、なるべく早く、できるだけ合理的な納得のいく一応の線を出しまして、それぞれの
学校、準備を担当しておりますところに通知いたしまして、予定の成績発表期日までに間に合わせるような努力をすることが当面なすべきことと、かように
考えておるような次第でございます。重々申しわけないことができたと思って遺憾千万に存じております。