○
野原(覺)
分科員 これは、検討するならば、早く
ビル用水に合わせなさい。そうしたら
法制局も混乱しない。
ビル用水は断面積は六平方センチだ。ごくわずかだ。
工業用水は、膨大な水をくむのに二十一平方センチだ。岡本君のその質問に対する
局長の
答弁速記を見ると、あんなものはでたらめだ。いわゆる断面積が大きかったら、深いところはくめないのだと言っておるが、現実にくんでおるじゃないか。くんでますよ。だから、検討するならばすみやかに検討しないと困る。今
建設省は困っておる。
法制局に出したら、
法制局はその
調整に混乱しておる。そしてあなたの方に伺いを立てると、あなたの方は実に人を食ったような
答弁をする。数日前に
大阪市の理事者が陳情に行った。あなたか
局長だろうと思うが、陳情に行ったら、何と言った。
大阪市は十六万トンの水道をつけます。水道がついたら、この水道の管内の
工場は何とかこの水道の水を使うような法的
措置をとってもらえませんかと、こう言ったら、何を言うか、行政指導でやるのだ、そんな法的
措置をとる必要があるか。行政指導でできますか、と言ったら、できる。どうやるんですかと言ったら、そういう
大阪市民のためを
考えない、公共の利益を
考えない会社は新聞に書く、そうしたら一ぺんにその
措置をとる、そういういいかげんなことを言っている。そうして理事者の人々は涙を流して帰ってきておる。何という冷たい
通産省だと言っておるのですよ。企業をほんとうに保護しようと思うならば、
地盤の
沈下を
防止しなさい。それが企業のためだ。しかも企業家の場合にはどうだ。井戸の水は温度が冷たいから、そういう冷たい水を必要とする機械
工業とか化学
工業はやはり井戸の水を使おうとする。水道は一立方メートル、一トンで四円から五円かかる。ところが井戸の水なら一円から二円で済む。安い。企業家というものはそろばんをはじく。利潤のことしか
考えない。ほんとうに国土の
保全とか、ほかの
市民のためを
考えない。ああいう株式会社は利潤追求でございますから、ついその金もうけのことにしか目がとまらぬ。
そこら辺を、それはいかぬのだと指導するのが
通産省の役目だ。指導してないじゃないか。
通産省は検討するということであったので、この検討はすみやかにやってもらいたい。私は、この
国会に、
ビル用水の
準備しておる
法律が出ないとか、あるいはこれから十日ないし二週間たっても
工業用水についての改正原案が出ないならば、
建設委員会に参りまして、佐藤通産
大臣、池田総理に来てもらいます。これははっきり申し
上げておく。これは
建設大臣も御記憶しておいていただきたいと思うのです。
そこで、私は
経済企画庁にお尋ねをいたします。
経済企画庁は、
昭和三十六年の十二月に、
地盤沈下対策審議会の飯沼さんから藤山長官あて「
地盤沈下対策の基本的方策について」という
答申を受けておるのであります。私は、この
答申を受けられた藤山長官は一体何をしておるのだと言いたい。藤山長官にきょうは出てもらいたいと思いましたが、どうしても所用があって出られぬということです。実に残念でならぬのです。この
答申によれば、こう書いてある。「
昭和三十四年八月二十四日付け」、これは前文は省略いたします。中の本文だけを読みますと、
記
工業用水の
採取の
規制について
(イ)
工業用水の
採取の
規制については、既設の井戸による
採取についても、
工業用水道が布設された場合にはこれを全面的に
転換させるような
措置を講ずべきである。
と書いてある。問題はここなんです。
工業用水道が布設された場合には、これを全面的に
転換させるような
措置を講じなければなりません、こう書いてありますが、今日の
工業用水法には、実は
措置が講じられていないのであります。だからこの点をつくというと、
通産省は、行政指導でやる、新聞に名前を書いて恥をかかせる、こういうことしか
通産省は言わぬのです。一体
経済企画庁は、こういう
答申をもらって、どう
通産省に要請をしておるのか。こういう飯沼さんの
答申は、短い文章ですけれ
ども、この
答申がほんとうに生かされたならば、
地盤沈下の
防止に役立つと思って、私は、最近にない実にりっぱな
答申だと敬意を表しておる。
建設省の方は、この
答申を読んで、そこで
答申に従ってやらねばならぬというので、実は守っておるのであります。
建設省の方は、「冷房用水及び雑用水の
採取の
規制について」「冷房用水及び雑用水の
採取に基因する
地盤沈下地域については、早急に、新設及び既設の井戸によるその
採取について強力な
規制を行なうための
立法措置を講ずべきである。」というので、これを守って、
建設省は
ビル用水の
規制を出しておる。
法制局はこういう経過を頭に入れておきなさい。こういう経過がある。だから、
建設省の方はこの
答申の線に沿って出しておる。しかも、
大阪市の
地盤沈下を
防止しなければならぬという実態を
考えて、
建設省は出しておる。ところが、
通産省が聞かない。そこで
法制局は混乱をしておる。手をこまねいて、きょうもあすもぼやっと日を過ごして、この
国会が終わっても、せっかくの
ビル用水すらできないという
状態になっておる。私は、全部は読み
上げません。これは大事な点ですから、読み
上げて記録に残したいと思いますけれ
ども、御
承知でしょうから、あえて全部は読み
上げませんけれ
ども、飯沼さんのこういう
地盤沈下対策審議会のすばらしい
答申を受けた
経済企画庁は、具体的にこの
答申をどう生かそうとしておるのか。各省に対してどういう要請をしたのか。これを承りたい。