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1962-02-24 第40回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月二十四日(土曜日)     午前十時二十九分開議  出席分科員    主査 羽田武嗣郎君       上林山榮吉君    藤本 捨助君       山本 猛夫君    小松  幹君       坂本 泰良君    永井勝次郎君       肥田 次郎君    山口丈太郎君    兼務 川俣 清音君 兼務 田口 誠治君    兼務 楯 兼次郎君 兼務 野原  覺君  出席国務大臣         建 設 大 臣 中村 梅吉君  出席政府委員         法制局参事官         (法制局第一部         長)      山内 一夫君         法制局参事官         (法制局第二部         長)      野木 新一君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  曾田  忠君         建設事務官         (大臣官房長) 鬼丸 勝之君         建設事務官         (大臣官房会計         課長)     三橋 信一君         建設事務官         (計画局長)  關盛 吉雄君         建設事務官         (都市局長)  前田 光嘉君         建 設 技 官         (河川局長)  山内 一郎君         建 設 技 官         (道路局長)  河北 正治君         建設事務官         (住宅局長)  齋藤 常勝君         建 設 技 官         (営繕局長)  川合 貞夫君  分科員外出席者         法制局参事官         (総務室主幹) 関  道雄君         大蔵事務官         (主計官)   宮崎  仁君         通商産業技官         (企業局工業用         水課長)    藤岡 大信君         建設事務官         (河川局次長) 鮎川 幸雄君         自治事務官         (行政局行政課         長)      岸   昌君     ————————————— 二月二十四日  分科員木原津與志君委員辞任につき、その補欠  として肥田次郎君が委員長指名分科員に選  任された。 同日  分科員肥田次郎委員辞任につき、その補欠と  して坂本泰良君が委員長指名分科員に選任  された。 同日  分科員坂本泰良委員辞任につき、その補欠と  して木原津與志君が委員長指名分科員に選  任された。 同日  第一分科員田口誠治君及び楯兼次郎君が本分科  兼務となった。 同日  第二分科員野原覺君が本分科兼務となった。 同日  第三分科員川俣清音君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十七年度一般会計予算建設省所管  昭和三十七年度特別会計予算建設省所管      ————◇—————
  2. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 これより会議を開きます。  昭和三十七年度一般会計予算、同特別会計予算中、建設省所管を議題といたします。  前日に引き続き質疑を行ないます。野原覺君。
  3. 野原覺

    野原(覺)分科員 私は地盤沈下の問題を中心政府にお尋ねをいたしたいと思うのであります。  建設大臣もよく御承知のように、大都市周辺地盤沈下をしておることは、今日のわが国の政治の上にとっても最も大きな問題ではなかろうかと、実は私どもは思っておるのであります。東京都の周辺沈下をする、それから新潟市の付近一帯沈下をする、その中でも最も深刻な事態に直面しておりますのが大阪市を中心とした一帯、特に大阪市の西部から尼崎にかけての地盤沈下事態というものが、まことに深刻な事態に置かれておることは、大臣もよく御承知通りであります。昨年は第二室戸台風が起こりましたが、第二室戸台風被害額大阪市で八百八十七億円、この八百八十七億円の被害額のほとんど全部というものは、地盤沈下原因があるのであります。地下水くみ上げによる地盤沈下きえなければ、八百八十七億円という被害がなかったのであります。しかも、これは建設省ではよく御承知でありましょうが、大阪市の地盤沈下というのは、毎年十センチないし二十センチの地盤沈下をいたしておる。二十センチといえば十年間に二メートルであります。十年間に二メートルの地盤沈下をやる。そうして大阪市役所のある大阪市の最も心臓部といわれるあの中之島一帯が、年間十五センチの沈下をいたしておるのであります。そこで、大阪市民はこれは大へんな問題だというので、昭和二十五年からこの方、二百二十一億円という莫大な金を投じまして、二メートルの地盤かさ上げ防潮堤建設努力をして参りましたが、しかし、この防潮堤ができたにもかかわらず、第二室戸台風の際には何にも役に立っていない。港区一帯は戦争で完全に焼かれたのであります。大正区の鶴町の周辺もすっかり爆弾でやられてしまった。このことを機会に戦後二メートルのかさ上げをした。二メートルであります。二メートルのかさ上げをしたのに、第二室戸台風では高潮が襲来をしてきておる。かさ上げをしなかったらどういう事態になったかということを考えますと、実ははだにあわの生ずる思いを大阪市民はいたしておるわけであります。しかも、この地盤沈下被害というものは、台風による被害だけではないのです。各種の構築物がどんどん沈んでいく。それから地下埋蔵物が破損をする。橋のけたが下がって、そうしてその門を船が通行することができなくなる。排水はよくない。土地、建物は水びたしになる。こう考えますと、単に台風の際の被害だけにとどまらないで、市民社会生活に重大な危害を実はこの地盤沈下が与えておるわけであります。  この原因は、先ほども申し上げましたように、地下水過剰くみ上げをする、余分に地下水くみ上げるためである。このことは、たくさんの学者が検討した結果、いろいろな実験の結果、もう論議の要がないことは、建設大臣がよく御承知通りでございます。そうなって参りますと、大阪周辺地盤沈下を防ぐためには、全面的に地下水くみ上げを禁止する以外にない。結論ははっきりしておるのであります。そうしなかったならば、大阪は存立の基礎をなくすると思うのであります。大阪市民としては、政府に対して、実はこの問題では非常な憤慨をいたしておるのでありまして、大阪市民生命財産を守る責任者は一体だれなんだ。政府じゃないのか。ところがその政府は何をしておるんだ。こういうことがわかってからもう数年になるにもかかわらず、何にも対策が講じられていないのであります。これは建設大臣が御承知通りです。私は言葉が過ぎるかもしれませんが、大阪市の地盤沈下対策としては、全く無能です。全く無策です。私の言うことが言い過ぎであるならば、御反駁願いたい。全く無能無策です。わずかに今日あるものは、工業用水法という昭和三十一年にできた、地盤沈下防止するには全く小十分な法律があるだけなんです。何にもない。そうして、それではがまんができないというので、大阪市は実は地盤沈下防止のためのビル用水規制をするための条例を作りましたが、この大阪市の条例昭和三十一年の工業用水法二つがあるだけであります。一体政府はどうするつもりか。大阪なんというのは沈んでもいい、そうほんとうに思っておられるのかどうか。私はまさかそういうお考えはなかろうと思うのでございますが、この大阪周辺地盤沈下防止するために、どのような具体的対策建設大臣は今日お持ちであるのか、これをここに提示していただきたいと思います。
  4. 中村梅吉

    中村国務大臣 実は、御指摘通り、非常に重大な問題になってきておりまして、せっかく防潮堤整備いたしましたが、その防潮堤毛、昨年の第二室戸台風の災害にかんがみまして、用をなさない状態で、急速に、さらにかさ上げ整備をしなければ恒久の防災ができない、こういう状態になっておるわけであります。われわれといたしましても、この対策に苦慮いたしておるわけでございますが、昨年の十二月十一日に、御承知通り地盤沈下対策審議会におきまして、従来との問題を取り上げ調査審議をされておったのでありますが、答申が出ましたので、私どもとしましてはこの答申の線に沿って対策を講じたい。まず私ども所管をいたしておりますのはビル用水でございますから、このビル用水に対する規制措置を講じたいと思いまして、目下法案整備等努力をいたしておる次第でございます。ただこれには工業用水を担当いたしております通産省との関係もございますし、あるいは法制局との関係もございまして、難航いたしておりますが、何とかわれわれは関係方面理解と協力を得まして、ビル用水規制についての対策法制化したい、こう思っておるような次第でございます。
  5. 野原覺

    野原(覺)分科員 建設大臣のただいまの御答弁によりますと、建築物用地下水採取規制に関する法律案、私は最近入手いたしましたが、まずこういうビル用水規制をやろうという法律案準備して、今日検討中だということだそうであります。  そこで伺いますが、このビル用水採取規制に関する法律案内容です。その大事な点だけこれはお述べいただきたい。そうして、この内容だけは建設大臣としてはどうしてもやはりうたっていかなければならぬという、大臣が最も力を置かれておられるこの法律案中身について、これは簡単でよろしゅうございますから、御説明を願いたいのであります。
  6. 中村梅吉

    中村国務大臣 目下立案過程にありまして、各方面の折衝に当たっております住宅局長がおりますから、住宅局長からその内容を一通り説明申し上げたいと思います。
  7. 齋藤常勝

    齋藤(常)政府委員 ただいま大臣からお話のありました建築物用地下水採取規制に関する法律案というものを現在建設省としては用意して、関係方面調整しておる段階でございますが、その内容のおもな点を申し上げますと、この法律目的といたしますところは地盤沈下防止するということでございまして、これによって国民の生命財産の保護をはかるということにいたしておるわけでございます。そのやり方といだしましては、まず規制すべき地域指定いたしまして、その地域内におきまして、一定揚水施設によりまして地下水採取する場合においては、許可を受けなければならないということにいたしたわけでございます。それから、現在すでに採取をしておるものにつきましては、その許可制の場合の一定技術的基準というものがございまして、その技術的基準に適合していないものは許可しないという建前でございますので、その基準にのっとって現に採取しておるものはそのままでよろしいけれども、それ以外のものにつきましては、一定余裕期間を設けて、その後においては許可を受けなければならないという制度にして転換をはかっていきたい、こういうのが要旨でございます。
  8. 野原覺

    野原(覺)分科員 お聞きいたしますと、地盤沈下防止することを直接の目的としておるという点、それから内容に対する局長の御説明を今承りましたが、その中身からいっても、工業用水法とは比較にならない画期的、進歩的な法律だと私は思います。私もこの原案を見て、さすがは建設大臣だ、さすがは国土防衛責任省であると、実はひそかに敬意を表しておったのであります。  そこで、お伺いいたしますが、この種の法律というものはやはりすみやかに成立させることが必要であります。そのことを考えられて今せっかく準備中であるようでありますが、少なくともこの国会において成立させなければならぬ。きのうも沈んでおる。きょうも沈んでおるのです。一日おくれたら大へんなことになる。六月になればまた台風がくる。長雨が降る。だから一日も早くこの種の法律を制定させる必要があろうと私は思うのでございますが、いつごろ提出をして、少なくともこの国会において成立させるという決意建設大臣はお持ちであるのかどうか、承っておきたいと思います。
  9. 中村梅吉

    中村国務大臣 実は、われわれの方の考え方が大体まとまっておりますので、努めて早く提案をいたし、成立の運びお願いを申し上げたいと思っておるわけでございます。ただ、御指摘のように、工業用水とのアンバランスもございますので、その点が一つの議論になっております。また法制局あたりの全体を統一する立場から見ますと、ビル用水についてこの種のごとき規制をいたしましても、現在の工業用水法とのアンバランス問題等かございまして、法制局法制局立場の御意見があるわけでございます。しかし、昨年この地盤沈下対策審議会からございました答申にも、「工業用水道が布設された場合にはこれを全面的に転換させるような措置を講ずべきである。」こういうことがございますので、現在、この答申の趣旨から申しますと、工業用水は目下布設されつつある段階で、完全にされたところまでいっておりませんから、若干のアンバランスはございましても、私どもとしては、ビルについては現在の実情に沿うような立法措置一つ講じたい、こういうことで、関係方面理解を実は求めつつある段階でございます。まだその方の見通しがつきませんので、まことに遺憾ながら、いつごろ提案運びになるということの言明はいたしかねる段階でございますが、極力関係方面理解を得ることに引き続き努力をいたしまして、早く提案運びにいたしたい、こう思っておるわけでございます。
  10. 野原覺

    野原(覺)分科員 関係方面と申しますと、この法案を検討するところの法制局、それから工業用水担当省であるところの通産省、そして地盤沈下について総合的な企画をするところの経済企画庁、私はこの三つではなかろうかと思いますが、そうでございますか。
  11. 中村梅吉

    中村国務大臣 さようなわけでございます。
  12. 野原覺

    野原(覺)分科員 今建設大臣の御答弁によれば、工業用水とのアンバランスということが述べられたのであります。つまり建設省が今準備をしておるところのビル用水規制法案と、すでに施行されておる昭和三十一年の工業用水法内容とではアンバランスがある、こういうことであります。それは簡単にいってどういうことですか、承りたい。
  13. 齋藤常勝

    齋藤(常)政府委員 私から御答弁申し上げます。  現在行なわれております工業用水法と、私どもが現在の建設省立場だけで考えております法案との関係で、アンバランスということになりますか、あるいは調整を要すべきであろうという点と考えられますのは、一つは、地域指定する場合におきまして、工業用水対象になる地域と、われわれのビル用水対象になります地域とがダブった場合に、規制内容が今後の技術的基準中身によって違って参りますけれども、現在の工業用水法に基づいてきめられております省令の中身からいいますと、若干そこに技術的な基準に違いが出てくるのではないかということが一つございます。従いまして、地域指定する場合にどう調整すべきかという問題が出てくることが一点であります。それから、第二点は、現在の既設の井戸につきまして転換をする場合におきまして、工業用水指示権がございます。それは実質的には勧告程度のものであると私ども考えておりますが、私どもの先ほど申し上げましたような構想から参りますと、これは一定余裕期間をもって転換させることに相なります。その点に若干の程度の差が出て参ります。その二点がおもなる差であろうとわれわれは考えております。
  14. 野原覺

    野原(覺)分科員 法制局にお伺いいたします。お聞きの通りに、ただいま建設大臣から決意の表明がなされておるのです。建設大臣の御決意によりますと、すみやかにこの法律を制定しなければならないということであります。そこで、建設省で用意いたしましたこの法案法制局に回しておるのでございまして、法制局はこの工業用水法との関連で今日検討されておると思うのでありますが、承るところによると、すでに施行しておる工業用水法との関係もあるから、このビル用水規制を緩和しなければならぬのじゃないか、こういうように片々たる法律技術によって事を処しようとなされておるわけであります。私が開会にあたって委員長お願いをいたしたのは、こういうことがあるから初めから話を聞いてもらわなければならない。事の重大性はもう大へん事態にきておる。そんな片々たる法律技術の問題ではなくなってきておる。今局長から御説明があった点がアンバランスだ。私はもっとほかにあると思いますが、大事な点は局長説明した通りでございまして、アンバランスがあるならば、やはり地盤沈下防止しなければならぬという考え方からいって、むしろ工業用水法を改正すべきなんだ。工業用水法なんというものは昭和三十一年にできた。当時は地盤沈下がやかましくいわれていなかった。まだ昭和三十一年ごろは、はたして地下水であるかどうかという学者の論争の最中であった。今日ははっきり地下水くみ上げによって地盤沈下をするという事態になってきておるわけでありますから、法制局はどういう方針でじんぜん日を延ばしておるのか、まず法制局考え方を承りたい。どういう考えでこのビル用水建設省から出された法案について検討されておるのか、法制局のお考え一つ伺っておきたいのであります。
  15. 野木新一

    野木政府委員 建設省準備しておられる法案につきましては、まだ正式の閣議請求というわけではありませんが、事実上あの案の送付を受けて、私も概略承知いたしました。ただ問題点といたしましては、法制立場といたしまして、直ちに気がつきますことは、地盤沈下原因地下水くみ上げ原因をなしておるということのように、あまり専門的に詳しいことは存じませんが、大体そういうふうに伺っております。そういたしますと、その原因を与えているものに対しては、法制としては一様に規制すべきではないか。しかし、この規制内容につきましては、その水の重要さとかあるいは代替関係の有無とかいうことによって若干の取り扱いの差異を生ずるのは、これは合理的の範囲においてやむを得ないと思います。この点から考えますと、すでに現在工業用水法はできております。これはやはり地盤沈下に関連して問題になったのだろうと思いますが、この法律の文面から見ますと、地盤沈下唯一目的とし、それを第一の目的とするとも必ずしもうたっておりませんで、「この法律は、特定の地域について、工業用水の合理的な供給を確保するとともに、地下水水源保全を図り、もってその地域における工業の健全な発達に寄与し、あわせて地盤沈下防止に資することを目的とする。」そううたわれております。その意味で地盤沈下防止目的としておるということはその通りだと思いますが、その当時、この立法が行なわれたところは、おそらくビル用水くみ上げ地盤沈下というものは、神様の目から見ればどうか知りませんが、社会問題としては表面に現われてきておらなくて、その後、最近ビル用水くみ上げによる地盤沈下というものが意識され、また社会問題になってきたのだろうと存じます。そしてこれを法制立場から見ますと、建設省準備された法案とこれと比べてみますと、まず目的が、多少建設省の方は地盤沈下防止唯一目的、それを第一の目的として掲げておる。工業用水法地盤沈下防止目的に資するけれども、また工業の健全な発展に寄与し、その両方調整点をも考えておるというようにも見受けられるわけです。そうして、その目的はそれといたしまして、さらにその下の段階につきまして、まずアンバランス考えられるのは、この地域指定が、別々の機関によって、別々の手続によって行なわれますので、たとえば工業用水関係地域指定したところが必ずしもビル用水指定にはならず、ビル用水指定したところが必ずしも工業用水地域指定となるとも限らないわけであります。そうしますと、たとえば工場ビルと混在しているような場合に、ビル用水の方を規制しても、あと工業用水をどんどんくみ上げていく、そういうような点は一体どうなるか。しかも、その後そこに工場を新設するというようなことになると、ビルの方でせっかく蓄積した水が工場に吸い上げられるということで、両方とも地域指定は同時にやらなければならないという一つ問題点があるわけであります。それに、今度かりに両方共通に同じ地域指定されたといたしましても、その規制内容がはたしてこれでいいのかどうか。のみならず、地域指定につきましては、工業用水法は「地下水の水位が異常に低下し、」云々、そして「その地域において工業の用に供すべき水の量がきわめて大であり、地下水水源保全を図るためにはその合理的な利用を確保する必要があり、」その次に「かつ、その地域工業用水道がすでに布設され、又は一年以内にその布設の工事が開始される見込がある場合に」その政令で地域指定するということになっておりますから、こういうような要件が備わらなければ、向こうは指定ができないことになっております。そういう点も、指定について、基盤の点のみならず、要件についてもちょっとアンバランスがある。  それから、あとの点は、先ほど建設省局長が申されましたように、こまかい点につきましてはそれぞれ多少の差異があるわけでありますが、一方工業用水くみ上げによる地盤沈下というのは、すでにその二つ指定地域につきましてはこれにより防止されているのだ、これで十分だという認識に立つのか、あるいはそれでもまだ不十分だという認識に立つのかということは、そこらは正直申しまして私はわからぬのですが、そこら認識はどういう点に立つのか。そういう点は建設省あるいは通産省、それを調整する経済企画庁あたり政府としてそれをどういうように認識するのか。もし工業用水くみ上げによる地盤沈下指定地域につきましては——指定地域でないところは別問題でありますが、指定地域につきましてはこの措置沈下はとまっているのだと見るのか。たとえば大阪中之島あたりについていえば、あそこの地盤沈下工業用水くみ上げによる地盤沈下はちっとも受けない。もっぱらビル用水くみ上げによる地盤沈下であるという認識に立つのか。あるいは広く一般地盤沈下という現象をとらえた場合に、そこらは一体どういうような認識に立つべきかということ。そこらは私もどの問題でなく、一体どういうような認識でどういう政策を立てるかという問題になるわけでありまして、はたしてそういうようなことをどういうように考えていくだろう。そういうような点を一応前提問題として質問して、検討願っておると申しますか、経済企画庁が中に入って検討してみようというような段取りになっておるわけであります。  一応大まかな点はそんなようなことでありまして、なおあとの点は御質問に応じてお答えしたいと思います。
  16. 野原覺

    野原(覺)分科員 あなたの方は法制整備するのがお仕事ですから、これはアンバランスがあって、工業用水法と今準備している建設省ビル用水規制法案には問題点があるとすれば、その問題点調整されるということは、これは必要でしょう。これはあなたの方のお仕事ですから、あなた方の方でなさらなければならぬのです。ところが、今のあなたの御答弁に、両者をどう調整するかに苦慮しておるということがあった。事実その通りだろうと私も思うのでありますが、どう調整するかというその前に、一体地盤沈下防止するためには工業用水法で十分であるだろうかということを、法制局はお考えになったことがございますか。今日の工業用水法で、はたして地盤沈下防止できるであろうかどうか、法制局考えを承っておきたい。
  17. 野木新一

    野木政府委員 その点はまさに私ども先ほど後段において触れたところでありますが、一応通産省の係官にお伺いしたところでは、少なくとも大阪地盤沈下指定地域につきましては、あの措置工業用水くみ上げによる地盤沈下防止は大体できておるのだということを、数字をあげられて概略説明を受けたりしましたので、あるいはそうかと思い、あるいは今度ほかの方の、自治省を通じて地元の意見を、直接でありませんが間接に聞きますと、いやそういうことじゃないと言ったりいたしますので、はたしてそこはどういうものでありますか、私ども今ちょっと判断がつきかねておりますが、そこをどういうように認識するかということが第一の出発点になりまして、しかしそれにしてもまずビル用水規制も緊急必要だ。多少時期的にアンバランスが生じてもやむを得ない。その調整は将来に待つというような考え方もあるいは最後に出てくるかもしれませんが、しかし、もしビル用水の方が二つ指定した地区についてはあれで足りるんだという認識に、通産省側の係官は、私の聞いたところではあるいはそういうような認識に立つやに思われましたが、しかしはたしてそれかどうかという点などがわかりません。しかも全各省が一致すればいいですが、必ずしもそれに同調しない場合もあるようでありまして、ことに私直接聞いたわけではありませんが、地元も必ずしもそういう認識でもなさそうでありますので、そこらは一体どう考えるだろうか。これはしかしちょっと私どもだけで考えるわけにはいきませんので、そこらはそのどっちに認識するかによって、その仕組みも違ってくるだろうと思うわけであります。
  18. 野原覺

    野原(覺)分科員 法制局は単に法制だけ整備したらいいんじゃないですよ。この法律目的に従って、この法案準備する場合には、やはり実態の上に立って考えていかなければならぬ。単にあなた方が、第一条はどうだ、第二条はどうだと、ただ文章の上で表現、文言だけにとらわれて整備するのじゃなしに、この法の目的は何だ、この法律は何を規制するんだ、これが一体どういう実益を及ぼすのかということを考えて、法制局は検討しなければならぬと思う。しかし私は今率直な御答弁を聞いて敬意を表します。率直におっしゃっていただいたんです。問題は通産省です。私は今のお話を聞いて実に憤慨にたえない。一体通産省は、工業用水法をこのままにしておって、大阪地盤沈下防止できるという確信があるのかどうか。この工業用水法でいいんだ、建設省はよけいなものを出すな、こういうような考え方であるのかどうか、私はお聞きしたいのです。一体大阪市の実態というものをどう認識しておるんだ。まずこの点について通産省局長から御答弁願いたい。
  19. 藤岡大信

    ○藤岡説明員 局長はちょっとほかの会議に出ておりますので、私からお答えいたします。  今仰せられました法制的な問題というのは、われわれ法制局へ参りまして御説明申し上げましたのは、実態的な問題をどういうことかということで御説明申し上げたわけです。実は現在工業用水道といたしましては、毎日九万六千トンの工業用水道がございまして、さらに毎日十六万トンの工業用水準備をいたしております。これで大体おもな地盤沈下地帯——此花区とか西淀川区とか、そういった地盤沈下を起こしておる地帯の、工業用水くみ上げを代替するに足る工業用水道は、このあとの十六万トンの施設が完成しますと、大体まかなえる、こういう実態を申し上げたのでございます。今言われましたのは、法律的な問題と実態的な問題とが多少こんがらがっておるんじゃないかというふうに私考えますが、実態的な問題といたしましては、これは実は二年間工期を繰り上げまして、昭和三十七年度末までにこのあとの十六万トンの工業用水道を完成するということにいたしまして、この地盤沈下対策としての工業用水道の完成を早期にはかろうということでやって参ったわけであります。それで大体予算的にも三十七年度末、三十八年三月でございますが、完成するような予算措置ができましたので、そういう代替ということについての工業用水道の完成は大体まかなえるんじゃないかということを、御説明申し上げたわけでございます。
  20. 野原覺

    野原(覺)分科員 あなたは、私の質問をよく聞いて答えなさいよ。この工業用水法という法律大阪地盤沈下が防げるかということを聞いている。防げるなら防げると言って下さい。防げないなら防げないと言って下さい。建設省ビル用水規制法案を出した。非常に強力なものです。こういう強力なものを出さないと、地盤沈下防止はできないと建設省は言う、ところが大阪市の今の水の使用の実態を調査してみますと、年間百十六万トンくみ上げている。その二四%がビル用水の冷房、暖房、雑用で、あとの七六%が工業用水なんです。そうして地盤沈下しているところを調べてみますと、工業用水によって沈下していることは明らかなんです。冷房や暖房の水というものはそう深いところからはくまぬのです。あなたは課長だからよく知っているだろう。そんなに深いところからくみはしない。最近ある専門家の調査によると、深層沈下をやっている。工業用水法によると大阪は二百十メートルより深いところの水ならば取ってもいいという基準を設けているでしょう。ところがそれがいかぬのだということになっておるんだ。いいですか。それがいかぬのだ。つまり浅いところじゃない。いわゆる沈下流水、浸透水ではない。地上から水が浸透してあるところの普通の民家の井戸水じゃない。ずっと下の方の層とその下のかたいところの間を流れている川だ。地下流水をくみ上げているのが工業用水になっているんです。しかも七六%もくみ上げているんですよ。あなたの方は二百十メートル以深ならいいんだ、こういう法律を作っているんですよ。この法律に手を加えないから、大阪の企業家は、大企業家も小中企業家も、井戸を変えない。工業用水法でやっているんだ、合法的だ、こう言っているんですよ。しかもこの工業用水法では強制的な措置が何にもとられないでしょう。かりに大阪市が工業用水道を作ってでもその井戸を切りかえる場合に、あなたの方は行政指導でやるというのでしょうねこの法律には何も書いてない。あなた方は一体何行政指導ができますか。大阪の財界人に対して力がありますか。水道ができたんだから、水道に切りかえろと、一片の通達や口頭で指示をしても、あの連中が聞きますか。聞く確信があなたにありますか。通産省にありますか。私は、委員長、これは場合によっては佐藤通産大臣にきてもらわなければ困ると思う。この問題は、いいかげんな課長くらいの答弁で下がるわけにはいかぬですよ。大阪市は今どんな事態に直面しているのか。大阪市民は夜も眠らぬのだ。市民は、どうなんだ、一体政府は何をしているんだと怒っている。だから建設大臣がそのことを視察されて、そのことを知っているが、思い切った規制ビル用水にしか手がつかない。工業用水については改正しなければならぬと、建設大臣はこの前建設委員会で社会党の岡本君の質問に対して答弁している。私は夕べこれを速記録で読んだが、さすが中村さんだと思って敬意を表します。そう言っておる。しかし、自分の所管でもないからどうにもならぬと言って、くやしがっておる。これは工業用水法を改正する以外にないですよ。あなたは通産省課長だから、そんな答弁をしたら、局長からしかられる、大臣からしかられるという考えなのかどうかわからぬけれども、僕の言うことが言い過ぎなのか。大阪地盤沈下防止することは工業用水法に手をつける以外にありませんよ。これの御所見を承っておきたい。
  21. 藤岡大信

    ○藤岡説明員 ただいまの答弁で私は内容を申し上げただけで、実は法律内容については先生のおっしゃることもある程度ございますので、その辺の調整ということで、経済企画庁が現在調整の労をとっておられます。それで、われわれは、その線に沿って、法律改正なりあるいはそういった法的な措置も、この実態に即してやっていきたい、こういうふうに思っております。実はそういうふうに法律の方を変えましても、実質の方の工業用水道整備をして、そして代替をさせるということにつきましては、タイミングの方では、大体現在の既定計画になろうかと思います。ただ、今先生のおっしゃいましたように、その転換を強制するというふうなところに問題があろうかとも思いまするので、その辺は企画庁の調整及び法制局の御審議を待ちまして、われわれもそういう法律改正についても考慮をしようということで、今省内で寄り寄り協議中でございます。御了承願いたいと思います。
  22. 野原覺

    野原(覺)分科員 いみじくも各省のなわ張りがこの地盤沈下防止を妨げておるということがここではっきりしたのです。ビル用水建設省規制するが、工業用水通産省だ。通産省て何をするところだといえば、企業を監督し、企業を指導する。企業の立場に立っておる。ところが、あなたの方で考えてもらわねばならぬことは、企業だって沈んだら何にもならぬ。台風があって高潮が入ってきたら、その企業は大損害を受ける。土地が沈んで一体何になりますか。だから、この際思い切って、この工業用水の改正については検討しなければなりませんよ。昭和三十一年にこの法律ができたときには、地下水のための地盤沈下ということはあまり考えられていなかった。そういうときにこの法律ができたんだ。今ならば、われわれはこんな法律国会では作らない。私も当時は国会におった。今ならば作りはしない。どんな政府だって作りはしない。だから率直に、工業用水の改正については検討する、これは明言してもらいたい。
  23. 藤岡大信

    ○藤岡説明員 現在省内で検討中でございますので、明言とおっしゃいますと、多少まだ問題はあろうかとも思いますが、内容は、大体調整ができるような方向で改正を検討いたしております。検討が済み次第関係のところと御相談いたしたい、こういうふうに思っております。
  24. 野原覺

    野原(覺)分科員 工業用水のどこを検討していますか。お聞きしたい。
  25. 藤岡大信

    ○藤岡説明員 先ほど先生の御発言にありました通り、代替をするということの強制、それから、従来のくみ上げをしておるものについての——現在工業用水法では、経過規定で、従来のものにつきましては全然規制対象になっておりませんが、それを規制対象にする。これは建設省でお考えになっておる線でございますが、それと大体同じ程度にやりたいというふうに考えております。
  26. 野原覺

    野原(覺)分科員 これは、検討するならば、早くビル用水に合わせなさい。そうしたら法制局も混乱しない。ビル用水は断面積は六平方センチだ。ごくわずかだ。工業用水は、膨大な水をくむのに二十一平方センチだ。岡本君のその質問に対する局長答弁速記を見ると、あんなものはでたらめだ。いわゆる断面積が大きかったら、深いところはくめないのだと言っておるが、現実にくんでおるじゃないか。くんでますよ。だから、検討するならばすみやかに検討しないと困る。今建設省は困っておる。法制局に出したら、法制局はその調整に混乱しておる。そしてあなたの方に伺いを立てると、あなたの方は実に人を食ったような答弁をする。数日前に大阪市の理事者が陳情に行った。あなたか局長だろうと思うが、陳情に行ったら、何と言った。大阪市は十六万トンの水道をつけます。水道がついたら、この水道の管内の工場は何とかこの水道の水を使うような法的措置をとってもらえませんかと、こう言ったら、何を言うか、行政指導でやるのだ、そんな法的措置をとる必要があるか。行政指導でできますか、と言ったら、できる。どうやるんですかと言ったら、そういう大阪市民のためを考えない、公共の利益を考えない会社は新聞に書く、そうしたら一ぺんにその措置をとる、そういういいかげんなことを言っている。そうして理事者の人々は涙を流して帰ってきておる。何という冷たい通産省だと言っておるのですよ。企業をほんとうに保護しようと思うならば、地盤沈下防止しなさい。それが企業のためだ。しかも企業家の場合にはどうだ。井戸の水は温度が冷たいから、そういう冷たい水を必要とする機械工業とか化学工業はやはり井戸の水を使おうとする。水道は一立方メートル、一トンで四円から五円かかる。ところが井戸の水なら一円から二円で済む。安い。企業家というものはそろばんをはじく。利潤のことしか考えない。ほんとうに国土の保全とか、ほかの市民のためを考えない。ああいう株式会社は利潤追求でございますから、ついその金もうけのことにしか目がとまらぬ。そこら辺を、それはいかぬのだと指導するのが通産省の役目だ。指導してないじゃないか。通産省は検討するということであったので、この検討はすみやかにやってもらいたい。私は、この国会に、ビル用水準備しておる法律が出ないとか、あるいはこれから十日ないし二週間たっても工業用水についての改正原案が出ないならば、建設委員会に参りまして、佐藤通産大臣、池田総理に来てもらいます。これははっきり申し上げておく。これは建設大臣も御記憶しておいていただきたいと思うのです。  そこで、私は経済企画庁にお尋ねをいたします。  経済企画庁は、昭和三十六年の十二月に、地盤沈下対策審議会の飯沼さんから藤山長官あて「地盤沈下対策の基本的方策について」という答申を受けておるのであります。私は、この答申を受けられた藤山長官は一体何をしておるのだと言いたい。藤山長官にきょうは出てもらいたいと思いましたが、どうしても所用があって出られぬということです。実に残念でならぬのです。この答申によれば、こう書いてある。「昭和三十四年八月二十四日付け」、これは前文は省略いたします。中の本文だけを読みますと、      記   工業用水採取規制について  (イ) 工業用水採取規制については、既設の井戸による採取についても、工業用水道が布設された場合にはこれを全面的に転換させるような措置を講ずべきである。  と書いてある。問題はここなんです。工業用水道が布設された場合には、これを全面的に転換させるような措置を講じなければなりません、こう書いてありますが、今日の工業用水法には、実は措置が講じられていないのであります。だからこの点をつくというと、通産省は、行政指導でやる、新聞に名前を書いて恥をかかせる、こういうことしか通産省は言わぬのです。一体経済企画庁は、こういう答申をもらって、どう通産省に要請をしておるのか。こういう飯沼さんの答申は、短い文章ですけれども、この答申がほんとうに生かされたならば、地盤沈下防止に役立つと思って、私は、最近にない実にりっぱな答申だと敬意を表しておる。建設省の方は、この答申を読んで、そこで答申に従ってやらねばならぬというので、実は守っておるのであります。建設省の方は、「冷房用水及び雑用水の採取規制について」「冷房用水及び雑用水の採取に基因する地盤沈下地域については、早急に、新設及び既設の井戸によるその採取について強力な規制を行なうための立法措置を講ずべきである。」というので、これを守って、建設省ビル用水規制を出しておる。法制局はこういう経過を頭に入れておきなさい。こういう経過がある。だから、建設省の方はこの答申の線に沿って出しておる。しかも、大阪市の地盤沈下防止しなければならぬという実態を考えて、建設省は出しておる。ところが、通産省が聞かない。そこで法制局は混乱をしておる。手をこまねいて、きょうもあすもぼやっと日を過ごして、この国会が終わっても、せっかくのビル用水すらできないという状態になっておる。私は、全部は読み上げません。これは大事な点ですから、読み上げて記録に残したいと思いますけれども、御承知でしょうから、あえて全部は読み上げませんけれども、飯沼さんのこういう地盤沈下対策審議会のすばらしい答申を受けた経済企画庁は、具体的にこの答申をどう生かそうとしておるのか。各省に対してどういう要請をしたのか。これを承りたい。
  27. 曾田忠

    ○曾田政府委員 お答えいたします。  昨年の十二月の地盤沈下対策審議会会長からの答申につきましては、内容は先生のお話の通りでございます。その審議会におきましては、学識経験者の方で委員になっておりますし、また、関係各省の担当官も幹事として出席して、いろいろ御審議に加わっておるのでございますが、この審議会のこういう答申をいただきまして、企画庁といたしましては、その内容を各関係大臣に送付いたしまして、この答申の趣旨に従いまして措置されるようお願いしておるわけでございます。問題になっております工業用水採取規制についてという内容でございますが、これも実はいろいろ審議会で議論があったわけでございます。御承知のように、工業用水規制につきましては、一応工業用水法がある。しかしながら、冷房用水関係につきましては法的な規制がなかったというわけで、実は三十五年の十一月におきましても、冷房用水につきましてすみやかに法的措置をしていただきたいという答申が出ておるわけであります。重ねて昨年の十二月にも、冷房用水につきましては全く法的規制でありませんので、特に強く答申が出たものと考えます。工業用水につきましては、すでにできておる、この当時既設の井戸につきましては、ここの答申にありますように、どうしても全面的に転換させるという大原則は守らなければいけない。しかし、その方法につきましては、工業用水法を改正するか、あるいは現在のようないわゆる行政指導を強力に進めるかという意見が、実は出たのであります。御承知のように、たとえば尼崎市等におきましては、相当行政指導によりまして井戸の転換ができておるというような事情もございますし、通産省といたしましては、当時、できるならば現在の行政指導を強く進めていきたいというような御発言がありました。しかしながら、事情によりましてはあるいは法律の改正が要るんではないかということも、議論されておりました。そういう点をあわせまして、この答申案につきましては、要するに既設の井戸による採取につきましては、工業用水道が布設されました場合には、全面的に転換させる措置を講ずるというふうな答申になっております。経過は以上でございます。先ほどからお尋ねのように、冷房用水関係規制法につきましては、工業用水法との関連につきましても、実は企画庁といたしましても非常な関心を持っておるわけでございまして、けさほども部内において、どう調整するかという議論をして参ったところであります。早急に両者の関係につきまして、特に法制局と十分協議をいたしまして、調整いたしたいと考えております。
  28. 野原覺

    野原(覺)分科員 あなたの方は、答申をまじめに読んで下さい。その採取の強力なる規制をするための立法措置を講ずべきであると、はっきり出ておるんですよ。そうしてビル用水法案ができた。この精神からいえば、三十一年の工業用水法なんというものは、こういう地盤沈下防止目的としていないんですよ。あわせて目的とすると書いてある。地下水水源を確保する。そうして工業の健全なる発達に資するというのが主目的だ。これは建設省局長が御答弁された通りですよ。これは目的から地盤沈下防止になっていないのだ、第一条の目的がなっていないのだから。もうその地域指定から何から、全く地盤沈下防止には役立たない。こんなことも調べないでそういう答弁をしては、私らは困るのです。今通産省の話を聞くと、仲立ちは経済企画庁だと言う。建設大臣答弁をさせると、実は通産と建設のなわ張り争いになってきている。他省の所管に関することだから建設大臣としてはくちばしを入れられないというのが、過去の建設委員会における同僚議員の質問に対する答弁であったのです。それはそうでしょう。うっかりくちばしをいれられますまい。しかし、そのために経済企画庁があるのじゃありませんか。もっとしっかりしてもらわなくては困りますよ。この精神をほんとうに具体的にして——これは予算措置についてもうたってますが、また予算措置については、昨年の第二室戸台風被害等もあったりするので、今年は相当思い切った予算措置をとっておることには、私は敬意を表します。しかしながら、なおも水をくみ上げることをやめて冷房、暖房の切りかえをする、そういう措置の予算が十分でないことを指摘したいと思いますが、時間がありませんから、この点はあとに譲りたいと思うのです。この答申をほんとうに生かさなければならぬという経済企画庁の熱意、この熱意がないことが、今日の混乱の一切の原因です。混乱の原因は、こういう答申をもらった経済企画庁にあるのです。そうしてもっといけないのが通産省、これは残念ながら、大阪市の地盤はどうなってもかまわぬという考え方しかしていない。だから、問題は佐藤通産大臣と藤山経済企画庁長官に原因がありますよ。池田内閣によって地盤沈下防止がうまく進まぬというのは、この二人に責任がある。局長は、帰ったらそう言ってもらいたいのです。私はいずれあらためてこの二人には出てきてもらいますが、最後の一点だけ、これは経済企画庁に申し上げておきます。この答申を生かすためには、一元的な地盤沈下防止法という法律を作らねばならぬと私は思います。工業用水法はそのままでもいいでしょう。これは大阪だけ規制するのが工業用水法ではないのだから、工業用水法は用水法として生かしてもよいから、地盤沈下防止法というものを作って、ビルの用水、それから工業用水を含めて、特に非常な事態に直面しておる大都市に対しては、その防止法を適用するという検討をここで進めることが、今日最も必要ではないかと私は思うのです。この点については、早急に経済企画庁は検討してもらいたい。いかがですか。
  29. 曾田忠

    ○曾田政府委員 統一的な地盤沈下防止法というようなものについての検討の問題がございますが、いろいろ御議論がありますように、ビルにつきましては、目下建設省法案準備しております。また、工業用水法につきましても、いろいろ今後早急に検討すべき問題があるかと思っております。これらの関係法案等につきまして、なお別に統一的な地盤沈下防止法が要るかどうかという点につきましては、十分各省と検討して参りたいと思っております。
  30. 野原覺

    野原(覺)分科員 これはぜひ検討してもらいたい。あなたは検討できるということをここで答弁できないでしょう、局長ですから。これは藤山長官に伝えて、ぜひ検討してもらいたい。これはお願いしておきます。  そこで、もしその検討がおくれ、この国会が終わりましても、ビル用水すらもできない、工業用水も改正できない、こういう事態ができたら、六月から先の台風に対する責任は、一切政府が負いなさい。私は速記に残しておきます。一切政府が負いなさい。大阪市民は大挙して東京に参ります。そういう怠慢な池田内閣に対しては、がまんができないのです。大阪府民五百万は、全くもう大へん事態にきておるのです。あなた方がなわ張り争いをして、そうしてじんぜん日を送って過ごすならば、そうしてもらいたい。しかし、がまんができないでも通らないので、今大阪市の理事者は、もう条例規制しようというところまできております。条例でやります。条例でやったときに、これは憲法違反だとか、法律違反だとか言わないようにしてもらわなければならない。きのうも沈み、きょうも沈んでおるのです。もうどうにもならないのです。二つの町が海の底じゃありませんか。二十年前には丘の上にあった二つの町が、今は海底にあるのです。そうしてあの海岸地帯のものはどんどん逃げておるのです。工場自体がもうどうにもならなくなっておる。大阪市のまじめな企業家は、私どもはどんなにでも金を出すから、この地盤沈下だけは通してもらいたいというのです。この受け入れ態勢は、良心的な企業家には十分あるじゃありませんか。それを通産省の方は、企業家の立場というのか何というのか知らぬが、なまぬるい態度をとっております。私は、以上申し上げておきたいと思います。それで最後に、建設大臣から、私が今まで申し上げたことに対する総括した御決意のほどを承っておきたいと思います。そうして終わります。
  31. 中村梅吉

    中村国務大臣 私どもとしましては、先刻も申しましたように、ぜひ建築物用水だけでも、この際立法化しまして、規制を強化して参りたい、かように考えております。ただ、関連をいたしまする工業用水につきましては、先刻通産当局からもお答えのありましたように、十六万トンほどの工業用水の造成に目下努力をしておりまする次第で、答申の趣旨にもございまするように、工業用水を代替用水がないのにとめてしまうというわけにも行きかねるということで、代替用水ができたときに措置を講ずべきである、こうされておりますので、工業用水法につきましても、法律の改正でいくかどういう措置でいくかは別といたしまして、この代替用水の整備がめどがつきましたら、早急に強化してもろうべきである、われわれもこう考えておりますので、政府部内といたしまして、そういう方向にわれわれは努力をして参りたいと思っております。
  32. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 もう時間が二十三分過ぎておりますから——野原君。
  33. 野原覺

    野原(覺)分科員 私は、これで終わります。  国土保全の責任は建設大臣です。たとい所管が違いましょうとも、地盤沈下して国土が喪失するという事態、そういうことは、あなたの責任で、通産省ではないのです。だから、あなたとしては、やはり決意を持って、閣議の中で発言をし、指導的な立場を持ってやってもらわねばならぬと思うのであります。以上申し上げて終わります。
  34. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 楯兼次郎君。
  35. 楯兼次郎

    ○楯分科員 私は、高速自動車道に問題を限って質問をいたしたいと思います。  高速自動車道は、将来の日本の交通網の中核になる。今でこそ部分的な建設でありますが、将来は交通を支配する。従って、日本の経済に非常に重大な影響がある重要な問題だと思います。ところが、毎国会申し上げておりまするように、私どもが外部から考えますると、建設省の中では、どうも意見が統一されておらないように感ずるわけでございます。この問題は、行政上の不備か、あるいは国会を通過いたしました議員立法による国土開発縦貫自動車道は、国会でやかましいことを言うからやるのだけれども、内心は反対である、そういう抵抗の現われかは知りませんけれども、どうも一本になって統一、進行をしておうないように受け取れますので、この点を一つ具体的な例をもって御質問をいたしたいと思います。  それで、ちょうど中央公論の三月号に、この高速自動車道の建設を担当する日本道路公団の理事でありまする藤森謙一氏が、いろいろ書いております。これを参考にして、以下質問を進めていきたいと思いますが、まず最初に、この藤森さんは、前には建設省のどんな仕事をしておられたのか、これをお伺いをしたいと思います。
  36. 河北正治

    ○河北政府委員 道路公団に出られる前は、建設省の道路局、及び官房の建設機械課長をしておられたと思います。
  37. 楯兼次郎

    ○楯分科員 非常に長いこの論文が発表になっておりまするから、私、これを私の聞きたい点だけ集約いたしましたので、以下、順を追って一つ聞いて参りたいと思います。  この論文の中で藤森さんは、「これからさき十年間に、わが国ではこれくらいの近代的自動車道路が完成され、また着工される必要があるのではないかということで、私なりの夢を多少とも具体的にかいてみる」、こういう前書きをしておりまして、将来の高速道路として六つの個所をあげておいでになります。第一番目は、第二名神高速道路として、名古屋、伊賀上野、奈良、広畑、それから岡山県水島間の路線。第二番目といたしまして、東京−宇都宮−福島−仙台間、または東京、土浦、水戸を通って日立、仙台に至る路線。それから第三番目として、新潟−高崎−東京間の路線。第四番目として、富山−名古屋間の路線。第五番目として、広島−松江間の道路。それから第六番目に、門司−福岡−久留米−大牟田−熊本間の路線、これを十年間にやるべきである、こういう必要性を説いておられるわけです。私は、邪推かは知りませんけれども、前に建設省におられてこの仕事を担当され、今日高速自動車道建設を担当する公団の理事者である藤森さんが、お書きになった以上は、単に個人の意見として読んで済ませるということは、高速自動車道に関心を持つわれわれとしては考えられないわけです。そこで、この路線は、これは建設省の中の道路当局において検討中のものであるかどうか、これを一つ、人の論文の意見を借りてはちょっとどうかと思うのですが、お聞きをいたしたいと思います。
  38. 河北正治

    ○河北政府委員 ただいまの楯先生のお読みになった論文は、私、申しわけないのでございますが、まだ読んでおらないのであります。従いまして、その御質問に対する直接のお答えにはならないかと思いますが、私どもといたしましても、全国的な高速自動車道路網を設定するために必要な基礎資料を作るため、自動車道路網設定のために必要な調査という経費をもちまして調査中でございます。三十七年度におきまして、引き続きその費目で調査をいたしまして、第一次作業を終了する予定でございます。従いまして、その結果によりまして、必ずしもその線と合った線が出るかどうかということは、ただいまここで明確にお答えする段階に至っておりません。
  39. 楯兼次郎

    ○楯分科員 私の質問をしようと思っておりますのは、時間の節約上簡単に申しますが、私どもは、将来、日本の高速自動車道は、当然国土開発縦貫自動車道を骨子として、中核として建設をされていかなくてはならない、こう思っておるわけなんです。しかも、この建設費用は膨大なものです。だから、とてもほかの方を建設するという余裕はないと思うのですが、先ほど読み上げました六路線は、国土開発縦貫自動車道の予定路線も一部にはあります。一部には入っておりますが、大部分としては、全然この法律以外の路線が多いわけです。ここに私ども建設省内の意見が統一されておらぬのではないか、こういう疑義を持っておりますので、以上申し上げました六つの路線について道路局では検討をしておるのかどうか、おらないならおらないのだ、おるならおるのだ、これだけ、こういうふうに簡単に答えていただけばけっこうです。
  40. 河北正治

    ○河北政府委員 ただいま私どもの方といたしまして主として検討しておりますのは、御指摘の国土開発縦貫自動車道の約三千八百キロでございます。その他今まで調査いたした結論からおおよその見当を申し上げますと、そのほかに東海道幹線国道として約四百キロ、その他の高速道路として四千二百キロ、合計いたしまして約八千から九千キロくらいのものが高速道路網として考えていかなければならないのじゃないか、そういう工合に考えております。
  41. 楯兼次郎

    ○楯分科員 詳細はわかりませんが、先ほど読み上げました六路線は当然あなたの検討中の路線に大体入っておる、こういうふうに了解をして私は話を進めたいと思います。あなたは具体的におっしゃいませんけれども、大体入っておるようでありますから……。  そこで建設大臣に私はお伺いをするのでありますが、繰り返すようでありますが、国土開発縦貫自動車道は国会の意思として決定になった、しかも非常に距離が長い、建設費に膨大な額が要る、こういうことでなかなかこれだけを完成するにも、これは並み大ていのことではないと思うわけです。ところが、これと並行して他の高速自動車道というのが建設省独自で検討中であるということは、その量の差こそあれ、今道路局長さんが御答弁になった通りだと思うのです。だから、建設大臣としてはここ当分費用の膨大であるので完成できないであろうけれども、将来の姿として縦貫自動車道法に基づく高速道を優先建設をして高速道の中核として考えていくのかどうか、あるいはこれの法律に基づく路線と他の別の高速自動車道の路線とを並行してやっていくのかどうか、いずれが優先的な建設の地位にあらねばならないか、こういう見解を一つ承っておきたいと思います。
  42. 中村梅吉

    中村国務大臣 私どもといたしましては、国土開発縦貫自動車道法ができておりまするそれぞれの路線につきまして所要の経費を計上して調査を進めておりまする段階で、先ほど道路局長がその他と申しましたのは、必ずしも藤森理事の言っておられるところを調査しておるという意味ではないと思うのです。各地方からいろいろ高速道路に関する御要望がございますので、御要望に従いまして一応の観測をしておるという程度のことだと思うのであります。藤森理事のその論文に書かれましたことは、私も寡聞にしてまだ見ていないのでありますが、おそらく藤森理事は現在日本道路公団の理事でありますから、縦貫自動車道法のような角度でなしに、道路公団的な採算ベースの点を基礎にして考えられた構想がそれに載っておるものじゃないかと思います。先ほどのことにさかのぼりますが、藤森理事のそうした論文を書かれたことと建設省考え方とは、何らの意思の疎通のもとに書かれたものではない、私はこう思っております。
  43. 楯兼次郎

    ○楯分科員 私もそう思いたいのであります。  そこで、これは論文そのものには関係ないのでありますが、なぜ私は取り上げるかといいますると、藤森氏は、この論文中、技術的に建設困難な個所として、こういうことを言っておるのです。本州を横断するとなると、軽く二千メートルもの標高を処理しなくてはならないことになって、技術的にもきわめてむずかしいし、経済効果の面からもはたして妥当なものであるかどうか。ということは、はっきりとたとえば中央自動車道の建設はだめだ、技術的に経済効果の面からいってだめだとは断定しておらないのでありますが、この文面を読む者はひとしくその印象を受けるわけです。これはもう毎国会どもここで議論いたしまするように、日本の今の土木技術で隧道が長いからどうとかこうとか、橋梁が長いからどうとかこうとか、こんな議論はもう当然議論済みのことであると思っておるわけです。ところが二千メートルと、建設省で出されましたあの調査資料によっても、そんな標高の高いところはないと思うのでありますが、とにかく二千メートルの標高をうたい、技術的に困難である、経済効果が少ない、こういうことを強調されておるわけです。建設省としてはこの論文に賛成をされるのか、そんなばかなことはないと、こう御否定になるのか、御見解を承っておきたいと思います。
  44. 中村梅吉

    中村国務大臣 私どもといたしましては、すでに法律によってきめられておりまする路線についてまず実施に向かって調査を進める、こういうのが現在の考え方でございます。従いまして、中央道等につきましても、あるいはどのくらいの標高のところを通過しなければならないかわかりませんが、すでにきまりました東京−富士吉田間の以西につきましては、今年度も経費を計上いたしまして調査を続行していく考え方でおるわけでございます。ただ実施につきましてまあ、うわさされておるところを聞きますと、こういった地帯を通過する道路を今の名神高速道路のように高速道路という精神でいくのがいいか、あるいは自動車専用道路という精神でいくのがいいか、こういう点については今後実測をし、実地についていろいろ具体的な調査、研究をいたしました上でさらに固めていくべき問題ではないかと思いますが、とにかくわれわれとしましては、きめられておる路線について優先的に調査を進めて参りたい、こう思っております。
  45. 楯兼次郎

    ○楯分科員 主査、技術的な点について事務当局からでいいから聞いて下さい。
  46. 河北正治

    ○河北政府委員 本州を横断するのに必ずしも標高二千メートルのところを通らなければならないということは私も考えておりません。極端な例を申し上げますと、近畿地方で横断いたしますとすれば、一番標高の低いところでたしか八十メートルくらいの標高で横断ができるかと考えております。それからもう一つ隧道の延長の問題でございますが、ただいまこれは実例を申し上げますが、東北地方の十三号国道で粟子峠のルートを決定するためにいろいろ調査いたしております。それで一応考えられる数線の中には、約五千メートルのトンネルも調査の対象にはいたしております。
  47. 楯兼次郎

    ○楯分科員 二千メートルの中央道の本州横断が技術的に可能であるかどうか、不可能であるかどうか、大体今の私の質問にはぴっしゃりとはお答えになりませんけれども、技術的に不可能ではない、こういうふうに私は受け取ったわけでありますが、そこでなぜ私がこんな質問をするかという具体的な一つ予算面から入っていきたいと思います。  三十七年度の予算案において縦貫自動車道関係調査費は九千万円ですね。この所管は道路局の高速道路課ですね。それからもう一つは、全国高速道路網の調査費として九十万円が計上されておりますね。これの所管は同じ道路局の中の企画課なんですね。ここに私は大きな疑義を持つわけです。同じ対象の高速自動車道を調査するのに、なぜ同じ道路局の中の高速道路課と企画課の両方に予算を分けて調査をしなければならないのか、これはどういうことですか。
  48. 河北正治

    ○河北政府委員 今の御質問にお答えする前に、一応お断わりしておきたいと思いますことは、藤森理事の線を、高速道路網の先ほどその他と申し上げた中で考えているという工合におとりになっておられるかと思いますが、その点は大臣の御答弁にもありましたように、全然関係しておりませんから、その点御了承願いたいと思います。  それから、ただいまの御質問でございますが、高速道路網調査費九十二万八千円でございますか、これはおっしゃる通りに企画課で調査することになっております。これはどんなところにどんな高速道路網が必要であるかということの基本的な調査をする段階でございますので、一級国道、二級国道その他の道路網との関係もございますので、企画課で調査いたした方が適当ではないかと思います。その中から縦貫自動車道法に定められたものとか、それから東海道等、具体的に計画が進んで参りましたものについて、実際の建設計画を立てていくというようなことを高速道路課の方に移しております。
  49. 楯兼次郎

    ○楯分科員 あなたの答弁は、私が初めてなら、あるいはそうですがと言うかもわかりません。しかし、対象は同じ高速自動車道ですよ。一級国道と二級国道との連絡その他云々ということは、これは高速自動車道なら全部考えて調査をするのが当然です。こんなものは子供だましの議論なんですよ。同じことをやるのに、なぜ同じ道路局を二つに分けてやらなければならぬか。そんなことは理由になりませんよ。あなたが考えておられる国土開発縦貫自動車道建設法によらない高速自動車道は、名前は同じでも前者の高速自動車道と性格が全然違う、そういうことならば、あるいはあなたの答弁で私も納得するかもしれません。しかし、同じ企画で同じ使命を持って同じことをやるのです。そうでしょう、違わぬでしょう。それは車両の繁閑によって、輻湊するかあるいはその必要がないかということで、幅は二十四メートルあるいは十八メートルの場合もあるでしょう。しかし、企画としては、性能としては同じものなんですよ。だからどっちの高速自動車道を調査するにしたところで、一級国道と二級国道の関連を考えぬような高速自動車道というものはないと思うのです。おかしいじゃないですか。なるほどこれでは同じ道路局の中で二つに予算を分けて調査をしなければならない、こういうように私が納得のいく御答弁をもう一回して下さいよ。
  50. 河北正治

    ○河北政府委員 私といたしましては、網というような立場から調査するという範囲内において、企画課で調査していってよろしいのじゃないか。それから具体化したものにつきましては、逐次高速道路課の方に移していくということでありまして、高速自動車道路の性格からいって、あるものは企画課で調査し、あるものは高速道路課で調査するという工合には考えておりません。網としての立場からいろいろ検討していく段階では企画課で調査研究し、それから具体化されつつあるものから高速道路課へ移すという今の分け方で、私は別に支障ないという工合に考えております。
  51. 楯兼次郎

    ○楯分科員 支障があるとかないとか言うんじゃないですよ。おそらくあなたの言わんとするところは、企画課は一級、二級の混淆交通の道路を主体にして調査を進めていく、従って一級国道、二級国道を主体として、高速自動車道の方は——これは一級国道、二級国道と関係がないとは言えませんのに、高速自動車道を中心として考えていくから、その主体が違うからよいではないか、こういうような議論じゃないかと私は思うのです。ところが、道路局の中に高速道路課というものがあるのですから、当然高速道路の調査はこの高速道路課がやるべきである。それはもちろん具体的なものをやってもいいでしょうが、総括的なものをこの高速道路課でやらなければ一貫せぬじゃないですか。もし従来の国道に対する高速道路の関連調査が必要であるならば、何も特に企画課の中で高速道路に対する調査費と区別していかなくても、全体の道路網の調査費の中で一括してやればいいじゃないですか。なぜこれを分けるのですか。おかしいじゃないですか。企画課の中にまた高速道路係というものがあるのですか、これは常識では理解ができませんよ。どうですか。
  52. 河北正治

    ○河北政府委員 私の言葉が足りないのではないかと思いますが、しかし、網として考えていくということと、それからその計画を具体化していくという段階とにおいては、おのずから区別があってもよろしいのではないかと思います。先ほど申し上げましたように、高速自動車道路網の性格によって、あるいは企画課、あるいは高速道路課でやっておるとすれば、確かに御指摘のようにおかしいと思いますが、しかし、日本の道路網という立場から、高速道路網はこうあるべきである、一級国道はこうあるべきである、地方道はこうあるべきであるという総合的な見解のもとに調査していくということにおきまして、企画課で担当する意義があるのではないか、こういうふうに考えております。
  53. 楯兼次郎

    ○楯分科員 しかし、実際はそうじやないでしょう。私はこの藤森さんの論文を全面的にあなた方建設省の意見であるというふうに無理には押しつけませんが、こういうふうに同じ高速道路網の調査について、二つに分けたということは、これは私ども国会で議論しないと、やがて来年はこの九十万が倍になり、それから縦貫自動車道の関係調査費が少なくなって、こっちがだんだんふくれていき、ついには高速自動車道の方が中心となって、国会の意思が無視される。これはあなたは知りませんよ。あなたは知りませんが、十年間この問題に関係をしてきたわれわれとしては、そういう意図があるのではないかと思うのです。また意図がなくとも、自然にそういうふうになっていくおそれが十分にある、こういうように私は思うからここで質問しておるわけです。冒頭申し上げましたように、明らかに日本道路公団の理事になる前に道路局の幹部が——あとで読んでごらんなさい、そこで言っているじゃないですか。全然縦貫自動車道なるものを無視しておるじゃないですか。これは金額は小さいかもしれませんが、明らかに建設省の中の高速道路行政に対する不統一である、こうはっきり申し上げることができると私は思います。  私は話がそういうことになってきたので、大臣にも申し上げますが、この前の審議会で言ったでしょう。われわれは国会におるからいいでしょう。ところが外部の非常に忙しい学識経験者を集めて、中央道は審議会にかけて、やれ基本計画がどうだ、設備計画がどうだといって、一日も二日も忙しいときに御審議を願うと言っておきながら、同じ企画の東海道の高速道路については審議会には全然かけないで、建設省が勝手に自動車道審議会にかけぬでもやっていける。だから、あなたの後の方にいる方が笑っておられましたが、そういう意図がないとおっしゃっても、こういう取り扱いで明らかにそういう意図ありと思うのが常識じゃないですか。そうでしょう。三十人も四十人も、あるいは関係官庁が全部集まって、しかつめらしい顔をして、やれ中央道がどうのこうの、基本計画がどうのと言っておって、東海道の方はそんな委員会に何にもかけなくてもどんどんやっていけます。これではそういうふうに憶測するのが当然だと私は思います。ただし、その東海道の高速道路については、これは議員立法で制定されたのであるから、建設省の方は、おれは知らぬ、こう言えばそう言えるでしょう。しかし、一たん法律となって行政をやっていくためには、当然そういう矛盾はすでに前の国会で修正をし、統一されておらなければうそなんですよ。そうでしょう。それを野放しにしておいて、調査費を二つに分けて、そんなことはございません。それはあなたの疑心暗鬼ですと言って笑っておられるということはどうかと思うんですが、こういう矛盾はどうですか。
  54. 中村梅吉

    中村国務大臣 御指摘のように確かに中央道は中央道審議会、東海道の方はそういう機構が制度上ございません、しかし、私ともの運び方といたしましては、東海道につきましても道路審議会には付議いたしまして、道路審議会という道路全般に関する審議機構がございますので、そこの議を経て基本計画等をきめて参りたい、こういう考え方でおります。  それから先ほど来道路局長がいろいろお答えを申し上げましたが、どうも意思の疎通といいますか、楯さんによく御理解を願えないようでありますが、この点も実は、役所の作業としましては、すでに起点と終点あるいは経過地等が法律等によってきまっておりまするものの、どういうふうな道路を作るか、航空写真を初めいろいろな調査をして参りますのには、高速道路課の方でこれはこうきまっておるものでありますから、やっていく。その他に高速自動車あるいは自動車道路等につきましては各地方の要望等も出て参りますから、これらを国道その他の既設道路あるいはバイパス線等の関係でどういうふうな意見を建設省として立てるべきか、こういうことは企画課の方で他の道路一般の企画と並行して研究をして、それがまた具体化されて、起点、終点がきまって参りますれば、高速道路課の方に移してやる、こういう仕組みで省内では扱っておりまするので、かねがねきまっておりまする縦貫自動車道などのいろいろの線の調査費をその方に今後——今は九十万円でよろしいが、だんだん食い込まれるのじゃないかという御懸念のようにも私どもは拝聴いたしたのでありますが、さようなことのないように厳重にやって参りたいと思いますから、御了承いただきたいと思います。
  55. 楯兼次郎

    ○楯分科員 同じ道路の中で分業を強調されておるようでありますが、それは理由はつくでしょう。しかし、どう考えたって、同じ自動車道を作るのに両方の違った審議会にかけてみたり、調査を同じ道路局の中で別々にやってみたり、これは常識として私は通らぬと思うんです。これは、建設大臣が、将来そういうことはない、こういうことをおっしゃいますから了承をいたしまして、次に進みたいと思います。  三十七年度の中央自動車道事業費として二十億円が計上されております。これの使途を簡単でけっこうでありますから、大まかに一つ説明願いたい。
  56. 河北正治

    ○河北政府委員 中央道関係の三十七年度の予定といたしましては、道路公団で行なうものが、調査費が一億でございます。そのほかに工事費として約十八億予定いたしております。その工事費の大部分は用地及び補償費で、今のところ工事にかかれるところまでは至らないかという工合に考えております。
  57. 楯兼次郎

    ○楯分科員 用地買収が非常にむずかしいと思います。ほっておけば、日にちがたてばたつほど土地は暴騰いたしますので、東京−富士吉田間ですか、予定された区域内においては、用地買収できるところから買収をして建設にかかる、こういうことが一番実情に合っておるのではないかと思いまするので、この点一つ御忠告といいますか申し上げて、次に移りたいと思います。  それから、中央自動車道の小牧−富士吉田間の調査費が一千万円、三十七年度計上されておりますが、これの使途を御明示願いたいと思います。
  58. 河北正治

    ○河北政府委員 一千万円の内訳は、計画線調査として二百万円、その他地質調査、気象調査、経済調査、それから調査事務所の経費というものが一千万円の内訳でございます。
  59. 楯兼次郎

    ○楯分科員 ここでまたお気に入らぬかしりませんが、一つ文句を言いたいのです。一体中央道を何年から幾ら使って何回調査しましたか。−答弁できなければいいですよ。主査の方から時間を急がれておるのですが、私は、今日持ってこなかったのですけれども、昨年の国会では、あなたの方でお作りになった地価が幾らで建設費が幾らというのを、昭和三十五年の十二月、膨大な調査を出しておられるわけです。もうあれを目次に合わせてページを繰れば、小牧−富士吉田間は幾らでできるかということがぱっとできておるわけなんです。それをなお一千万円かけて調査をする。これは一体何回調査して幾ら調査費を使えば納得がいくかわからぬ。これはあまりひどいじゃないですか。しないよりいいとおっしゃればそれだけですが、あなたの方でおやりになった調査報告によれば、もう土地も地方々々違った価額で幾らかかるということがぱっと出ておるわけですよ。交通量、経済効果、経済調査、全部出ておるわけですよ。何回調査されるのですか。調査費というのはこれは名目でしょう。小牧−富士吉田間の建設に着手するのがどうも賛成いたしかねる、そうかといってほっておけば法律の効果も薄れてしまうので、一応つなぎとして一千万円くらいかけて調査をしよう、こういうのがほんとうのあなた方の腹じゃないですか。違いますか。御答弁願います。
  60. 河北正治

    ○河北政府委員 富士吉田−小牧間につきましては、なお償還計画で多少難点がございますので、償還計画が立てられるようなルートがないかということでさらに調査を進めていきたいという工合に考えております。なお、今までの中央自動車道にかけました調査費は約二億六千万円でございます。
  61. 楯兼次郎

    ○楯分科員 私は、建設費のことは、財源の関係でそうわれわれの要望通りにいかぬと思うのです。しかし、もう五、六年、非公式なものを入れて相当その前から調査をしておると思うのです。だから、もういいかげんに建設計画を出して、建設費の関係でたくさんできなければ——何も名古屋−神戸間は、これは途中に作るのじゃありませんから、名古屋−神戸間のはもう完成するのですから、その端を延長していくことは、何ら支障はないと思うのです。だから、これは建設計画を立てて、建設費がなければ、小牧から東京寄りに、東京−富士吉田の方へ行くのと反対方向に合うように建設費に見合わしてやっていけばいいのですよ。そういうことを調査々々と言ってやらないから、われわれは疑惑を持ち、かつ行政内における調査費の割り振りが二つに分かれておる。こんなものを書かれるので、余分な時間を使ってここで質問をしなければならぬ、こういうことになるのです。工事の進捗は、資金と見合ってやらなくちゃ、これはできませんので、建設計画を出す御意思はないですか。本年度調査が済んだら出しますか。
  62. 河北正治

    ○河北政府委員 先ほどお答えいたしました通り、償還計画の見通しを得るために、もう少し調査をさせていただきたいという工合に考えております。
  63. 楯兼次郎

    ○楯分科員 私は、小牧−富士吉田間の建設を一時にやるということなら、あなたのおっしゃることもわかるのですよ。しかし、すでに小牧から神戸間はやがて完成しようというのでしょう。毎年一億なり二億なり五億なり、できるだけの予算を使って小牧からこっちへ延ばすのに、なぜそんな償還計画とかなんとかしちめんどうくさいことを言いますか。われわれはしろうとで、中津川までは別にできると考えているのですが、それがあなたの方の意見で困難だとしても、なぜ小牧から二キロ、四キロ東京の方へ延長するのに、そんなしちめんどうくさい、有料道路として云々なんという議論が要りますか。ちょっと詭弁じゃないですか。
  64. 中村梅吉

    中村国務大臣 五カ年計画を立てますときに、私どももそういう点を重々考慮いたしまして、できるだけ中央道につきましても予算の確保をはかりたいという観点で、御承知通り、中津川あるいは多治見というようなところは、そう工事もむずかしい場所ではないと考えられますので、十分検討いたしたのでございますが、御承知通り、結果的にはこの五カ年計画では中央道に四百億ということにきまりましたので、この全額をもっていたしましては東京−富士吉田間を完成する経費しかないのではないかというふうに目下考えられておるわけでございます。しかし、われわれとしましては、できるだけ次の五カ年計画なり、あるいはこの五カ年計画も、道路の今日の需要状態から考えれば、適当な時期に改定をする必要が起こってくるかもしれません。そういう時期に間に合いますように、基礎的な調査を遂げておきまして、その時期が来ましたら、直ちに着手のできるような準備だけは進めていきたい、心がまえとしましては、そういう考え方で実は進んでおります次第であります。御承知通り、五カ年計画の経費の配分にあたりまして、そういう結果に陥っておりますので、われわれとしては、とにかく法律できまっておるものでもありますし、国の全体の国土の高度利用という考えからいいましても、経費の算段がつく限りにおいては、できるだけ早期に着手し、また完成をすべきものであるという心がまえは変わりございませんが、数字的な配分の結果がそういうことになっておりますので、この点は一つ御了承をいただきたいと思います。
  65. 楯兼次郎

    ○楯分科員 もう一点お聞きして終わりたいと思いますが、五カ年の東海道あるいは中央道の高速道路の建設費は、今私ちょっと詳細な数字は忘れましたが、四百億と八百何十億ですね。この千何百億の中で二十億円が調整費ということで、当時だいぶ騒がれた。ところが、先日中央道の沿線の人たちの話を聞いてみますと、この調整費の二十億円というのは、小牧−富士吉田間の用地買収費だ、こういうことが盛んに言われているわけです。調整費の二十億円の具体的な詳細な費途については御答弁ができないと思いますが、一体この調整費は何に使うのか、調整費として二十億円が強調されているなら、大体の対象目標というものがないわけではないだろうと思うのですが、何を目標に調整費として二十億円のワクをはめたのか、この点を一つお聞きしたいと思います。
  66. 中村梅吉

    中村国務大臣 実は、五カ年計画の経費の配分を中央道、東海道等につけて配分をいたします際に、私ども考え方としましては、中央道について先ほどのような御指摘もございましたし、いろいろな角度から考えまして、四百億以上を確保したいという考え方で臨んだわけでございます。ところが、やはり建設省だけの考えでは参りませんで、関係方面調整しました結果、四百億も非常にむずかしいという段階でございましたので、結局折り合いまして、四百億ということにきめて、そしてあとの金はどこへ使うとはきめないで、調整費ということで二十億円盛り込んだ、こういうことで結末がついておりますので、今後この二十億円をどう使うかということは、もう少し今後の推移を見て、できるだけ効率的に使用いたしたいと考えているわけでございます。
  67. 楯兼次郎

    ○楯分科員 そうしますと、この調整費の二十億は、その何がしかは、これはどれだけ使えるかはわかりませんけれども、それは東京−富士吉田間の建設に使う費用である、それだけは言えますね。つまり小牧−富士吉田間の用地買収あるいはその他の費用では全然ない、こういうことは言えますね。これはどうですか。
  68. 河北正治

    ○河北政府委員 東海道、または中央道の東京−富士吉田間のいずれかに使えるという工合に私理解しております。
  69. 楯兼次郎

    ○楯分科員 その使う方が、人ごとのようなことを言っては困るんですよ。疑惑が起きるんですよ。あなた方が使うんですよ。これは中央道の東京−富士吉田間の建設に、東海道に見合って調整する費用だ、こういうことなんでしょう。そうすると小牧−富士吉田間には、簡単にいうと何も関係のない費用である、こういうことが言えるのじゃないですか。言えるのじゃないかというよりも、当然じゃないですか。それをわからぬと言うのは、おかしいと思うのですがね。はっきりして下さいよ。二十億円ですからね。そんなあいまいな態度は困りますよ。
  70. 河北正治

    ○河北政府委員 調整費は今御指摘通りという工合に考えております。富士吉田−小牧間には予定しておりません。
  71. 楯兼次郎

    ○楯分科員 時間が来たのでやめます。
  72. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 肥田次郎君。
  73. 肥田次郎

    肥田分科員 質問が抽象的になりますが、一つ御了承の上、答弁をいただきたいと思います。  一番最初にお伺いしたいのは、最近交通問題が中心に取り上げられて、これらの責任が全く道路にある、こういうふうな表現も聞くのでありますが、建設省当局として実際そういう関係についてどういうふうに考えておられるのか。いわゆる交通問題が道路を中心にしてすべて考えられるということなら、建設省は道路に対して思い切った対策を立てなければならないし、そうじゃなしに、他に何か道があるとするならば、そういう点が明らかにされない限り、この交通問題というものは解消されない、こういうことを考えますので、その点についてまず基本的な考え方一つ承りたいと思います。
  74. 河北正治

    ○河北政府委員 御質問の趣旨は、現在の都市交通緩和について、道路の問題かその他の問題かという御質問だと思いますが、確かに根本的には道路を改良していかなければ対処できないかと思います。しかし、これはいろいろ時日も要することでございますので、当面の問題といたしましては、昨年十二月に総理府に臨時交通閣僚懇談会が設けられまして、いろいろ対策が講ぜられております。道路に関する部分におきましては、先ほど申し上げたように、根本的には道路を整備するということでございますが、当面の問題としては、道路の方でできることといたしまして、交通安全施設の整備とか、それから地下埋設物工事をうまく調整いたしまして、それに基づく交通障害を少しでも少なくするとか、これもなかなか大へんな問題でございますが、歩道を切り詰められるところがあれば切り詰めて、幾らかでも車道を広くして、交通緩和の役に立ちたい、そういう工合にいろいろ検討いたしております。
  75. 肥田次郎

    肥田分科員 実は、きのう閣僚懇談会で、大体道路の整備関係で、いわゆる立体交差について、相当数の内容が書いてありましたが、あれはあの通りに信用していいのですか。
  76. 中村梅吉

    中村国務大臣 昨年踏切道改良促進法が制定されまして、自来建設省と運輸省との間におきまして、踏切除却をいたすべき個所についていろいろ意見の交換をして検討をして参ったのであります。その結果、最近までに意見の一致いたしましたものが百四十五カ所ということになりまして、昨日の交通関係閣僚懇談会にもこれを報告いたし、御了承をいただきまして、両省においてこの個所指定の告示をいたした、かように考えておる次第でございます。
  77. 肥田次郎

    肥田分科員 先ほど局長から御答弁がありましたが、実際道路の問題に関する限りは、計画と実現との間になかなか時間がかかる。そうすると、日本のような歴史的な進歩の形式による相違といいますか、道路の整備というものはなかなか思うようにいかないという根本的な原因があると思うのです。幾ら道路をよくしようと思っても、なかなかうまく計画が実現できないという面がある。それから経費の点では決定的な面があるように私らも考えます。  そこで、道路と道路を利用する主として動力車が逐次ふえていくという関係についてどういうふうにお考えになっておるでしょうか。もっとはっきり言いますと、これだけどんどんふえていく動力車に、道路を広くし、道路対策を立てることによって追っついていくというようにお考えになっておるか。
  78. 中村梅吉

    中村国務大臣 現在道路交通が非常に麻痺したり、混雑をいたしております状態を見ますと、要所々々のネックに非常に問題を起こしておるように見受けられますので、われわれといたしましては、道路全般についての整備もいたさなければなりませんが、まず急速にネックになっておりますような個所の改良なり、あるいは立体交差なり所要の措置を講じ、あるいは右折禁止等をいたします結果、かえって右折してなめらかに行けるものが、左回りをいたしましてUバックをするというような結果、混雑を起こす場所もございますので、そういうところにつきましては、関連道路をどういうように整備したらその流れがよくできるか、こういう個所別の検討を目下現地について検討させておるような次第で、こういう問題の解決ということを急いでやっていきたいと思うのでありますが、一面自動車について現在は車庫の制限と申しますか、制度が確立されておりません。トラックにつきましても、置き場というものが一応書面上届けられれば、はたしてその置き場があるのかないのか確かめないで車両の許可がされておりますし、乗用車に至りましては、車庫というものに全然関係なしに車両の許可がされて、そのために自動車の台数のふえ方も非常に激しい状態でございますから、われわれといたしましては、車庫を持つことが自動車の使用の許可要件になるようにしてもらいたい。そういたしませんと、肝心な道路が俗に申します青空車庫にされまして、道路の高度利用ができない。これだけ狭い道路でありますから、努めて高度利用に各関係方面に御協力を願う必要がある、こういうことを力説いたしまして、目下その具体化について関係各省集まりまして、相談を進めておるような次第で、あらゆる角度からいろいろな知恵をしぼりませんと、この困難を排除し、解決をしていくということは、むずかしいのではないかと思っておるようなわけでございます。
  79. 肥田次郎

    肥田分科員 おっしゃることに同感です。私もそう単純に問題が解決できるとは思っていないのです。  そこで、私は一つ方向を変えて、これは本来なら通産省に聞くべきが至当なんですけれども通産省というところは、そのひざ元が直接そういう問題を管掌しているだけに、なかなかむずかしい、これはむしる外部からこういう問題を持ちかけた方がいいんじゃないかということで、こういう問題については、一つぜひお互いにこの悩みをここへ集中をして、そして解決をはかることがいいんじゃないかということで一つ私は問題を考えておるのであります。それは、御承知のように、車両の増加というものは、これはもうおそらく月に七、八万台から十万台ぐらい増加する傾向にあるように思います。それが現在七十万台といわれておりますから、これが百万台になるのはもう間もないことだというふうに考えます。そうすると、問題の焦点は、今言われたように立体交差の処置を講ずる、あるいはまたネックの関係を整理をして、そうして車の流通をはかられる、こういうふうに幾ら道路に対して建設省が最大の努力を払ったとしても、無限大にふえてくるところの車の関係が解決されない限りは、この問題は解決できないんじゃないか。いわゆるさいの川原で、道路ができるまでに車がどんどんふえてくるから、立体交差を何カ所か作り、そしてネックの関係を円滑に運行できるように処理をしたときには、もう次の問題を考えなければならぬような、こういう状態が起きてくる。ですから、一番問題になるのは、むしろ車両の生産の関係にあるんじゃないか、こういうことも考えるのであります。ところが、こういう問題については実際にどうなんでしょう。閣僚懇談会あたりで当面のできておるものをどうするかという話は中心になったとしても、根本的な問題として、この混雑を起こす原因についての追及というような問題は、閣僚懇談会では話しになりませんか。
  80. 中村梅吉

    中村国務大臣 確かにこの自動車の生産ということも問題ではございますが、生産を抑制するという角度からの見方というものはあまり出ておりませんし、またわれわれ常識的に考えましても、日本の自動車産業というものから見れば、生産の抑制という角度からやることはどうなんだろうかという疑義を持っておるわけでございます。むしろ、先ほどもちょっと触れましたが、現在では車庫の条件なしに車両の許可がされますから、小さい商店で三百六十五日自動車が必要でないところ、一週間に一回か二回か必要なようなところでも、自動車を持っておる。その結果道路が自動車の置き場にされたり、あるいはあればむだなことにも走り回るということの結果、一そう輻湊を強化いたしますので、そういうことのないようにするためには、車庫の保有ということが自動身の車両許可の条件になるようにしてもらいたい。これについては所管が運輸省でございますので、運輸省の立場でいろいろ今具体化を研究されておるわけで、まだそうするということにはさまっておりませんが、われわれの立場といたしましては、そういう方向に行ってもらいたい、こう思っておるわけで、生産関係の抑制ということについてはまだ話し合いの話題にも出ておりませんし、またわれわれの感覚からも、それはどんなものだろうかという疑義を持っておるようなわけでございます。
  81. 肥田次郎

    肥田分科員 この生産制限あるいは生産調節というような問題について、まだ話にも出ていないとおっしゃること、これは私も無理はないと思うのです。しかし、よく考えてみますと、やっぱり問題は一番ここにあるんじゃないか。円滑さが乱れるというのは、これはとりもなおさずバランスが破れるからそういうことが起きる。バランスが保たれておれば、分相応な動きというものが必ずできなければならぬ。今一つの政策の方向として、産業が所得倍増で非常に奨励をされておる。今これを議論する必要はないと思いますが、しかし、だからといって、無統制に物が生産をされるということになってくると、これはどういうものだろうかという疑念は、これは国民にあると私は思うのです。御承知のように、今町を走っておるところのいわゆる動力車と称するものの数というものは、実に数えきれないほどの数がある。そして、これらはそれぞれの企業者がそれぞれの立場で競争的にやっておる。   〔主査退席、山口(丈)主査代理着席〕 ここには何の制限もない、調節もない。企業者の良心というようなものもおそらくここにはないのじゃないか。ただ目新しいものを作って、そして便利なものを作って——その考え方が悪いというのじゃないですが、そしてより競争相手に負けないようにする、この生産競争というものがはたして日本にとって必要なのかどうか。こういう生産のあり方というものが、言うところの所得倍増というほんとうに日本の国力を増大をしていくところのしんになる正しい問題なのかどうか、こういう点を考えると、私はどうも大きなむだがあるような気がしてならない。ですから、こういう問題が交通閣僚懇談会で少し毛話題に出ないで、ただ、どうすればうまくいくだろうかということだけに話が集中するということになると、だれかが冗談話に言っておったように、閣僚懇談会というのは実はあれは困った、困ったの懇談会であって、言うところのほんとうに問題を突き詰めようという懇談会じゃないじゃないか、こういう非難さえ出てくるように思うのです。今ざっとここに出ておる資料を見ても、運輸省の調査ですが、もう今ごろでは四百三十万台ぐらいの車があるはずなんです。この四百三十万台からある車が、月々七、八万台から十万台ずつふえていく。そうして建設省の方では一生懸命道路に力を入れてやっておられる。にもかかわらず、車がどんどんふえてくる。この関係考えたときに、私はこれは容易に解決する問題じゃないと思っておる。建設省が幾ら努力をされても、なかなか解決する問題じゃないと思っております。人間の侵すことのできぬところの一つの法則であるところのいわれる妊娠、それから出産というこの関係ですね、これさえも調節することがあるでしょう。すでにわれわれが経験をしておりますが、いわゆる産児調節、産児制限という運動が起きて、そうしてお隣の中国あたりでももう産児調節ということを、七億にもあるいはもっと国民がふえてきたらどうするのかということで、実際にやっておる。人倫の法則として侵すことのできぬようなこういう問題についても、人間は調節しなければならぬことがあるのです。ましてや人為的に、自由競争で不当ないわゆる過当競争をやりながら、要はどうすれば自分の企業が相手の企業にまさっていくかというこのことだけに生まれ出してくるところの無数の車種と車両が、今日の国民の生命を奪い、そして国の正しい貨物の運行を阻害をするということになると、本質的問題はやっぱりそこにあるのじゃないか。自動車の製造制限という問題にやっぱり触れざるを得ない状態にあるのじゃないか。車種の制限あるいは構造に対するいろいろな指示、こういう問題が中心に取り上げられてこなければ、私はどうにもならぬ問題じゃないかということを考えるのですが、どうでしょう。全然それは問題にする必要もない、現在の所得倍増の中では、そういう問題が話に出るのは誤りだというふうに大臣はお考えなんですか。
  82. 中村梅吉

    中村国務大臣 実は現在の交通関係閣僚懇談会におきましても、どうも今のメンバーだけで議論をしても議論が尽くし切れない部分がある、そこで、少しワクを広げてもらおうではないか、まずいろいろな金の問題が伴いますから大蔵大臣、それに通産大臣にもぜひ入ってもらおうという話題が実は出ておりまして、まだそこまで関係大臣に要請いたしまして実行の段に参りませんが、かような話し合いが出ておるのも今あなたのおっしゃるような感覚から出ているかとも思いますが、われわれとしましては、一つそういうふうに関係閣僚のワクを広げまして、ぜひ検討をしてみたいと思っております。
  83. 肥田次郎

    肥田分科員 やはり問題は重大な問題ですから、——問題の本質が重大なというのじゃなしに、それぞれに与えるところの利害関係という問題が相当大きな影響を持っておるようでありますから、私はそう簡単にこの話が実現するとは思いませんけれども、しかし、一般ではもうすでにこの声が起きています。ですから、私が大臣お願いするのは、いつでも被害者のような立場にある建設省としては、勇敢にこういう問題を持ち出していただく時期がもう来ておるのじゃないか、そうして建設省努力と相待って、片っ方にむだがないような政策が行なわれ、スムーズに日本の交通と一般物資の輸送が行なわれる、これでなければ、いつの場合でも背中に大きな荷物を背負わされて、よたよた道を歩いているような状態は解決されないだろうと私は思うのでありまして、特にこの点は大臣のお骨折りによって、こういう問題が閣僚懇談会で議題に上るようにお願いをしておきたいと思います。  次に、お伺いいたしますが、これは実は総括をいたしますとやはり道路の関係であります。その前に、私は当然こういう問題はもうすでに起こっておるし、これから実際に当面の問題になってくるだろうと思いますのでお聞きいたしますが、実は昨年の第二室戸台風の際、私は特別委員会で少し考え方を申し上げておきましたが、今度の高潮の被害の分布を見ると、手近な例を申し上げますと、私が居住をしておるところの堺市から大阪湾に沿って和歌山に至る沿岸、この関係は第一次室戸台風のときに被害を受けなかったところが被害を受けております。この原因にはもちろんいろいろあるでしょうけれども、今地元の人々が中心になって議論をしておることをここで大体取り次いでおきたいと思います。それは、御承知のように、堺の臨海工業地帯ができまして、旧堺の海岸から三キロ以上沖へずっと延びていっています。このために今度堺は被害らしい被害は全然受けないでおった。ところが第一室戸台風のときには、大体高石町から堺へかけての湾曲部に対して高潮被害が多かったのですが、今度はそうでなしに、堺がそういうことになったもんですから、それからずっと沿岸一帯に、とうとう岬町の端まで大きな被害を受けるような状態になって参ります。この状態を調査に行ったときに私どもが驚いたのは、十年くらい前までは道があったというところが、もう道が侵蝕されてしまいまして、そこにもう海水がどんどん浸透してきておる。こんなばかなところにいつ家を建てたんだと言ったら、あんた、冗談言ってもらちゃ困りますよ、私の家の前にはまだこれだけの海岸の余裕があって、そして道があったんです。その道が削られ、海岸が削られて、私の家の前までもう海岸が来たのですから、やかましく言って防波堤を作ってもらいました、こういうことなんです。これはその間にいろいろな状況がありますけれども、一時漁村のいろいろな関係で突堤というものを作りました。突堤によって海流が変わってくる、さらに今度決定的な問題は、いわゆる大阪湾のあれはずっと神戸へかけての埋立地の影響を受けて海流が変化をしてくる、そういうことのために今まで何千年来の美しい松林と海岸線を誇っておったところが、今はもう見る影もなくなってしまっておる。こういう状態を、今後われわれが考えるときには、これは堺があれだけ埋め立ててもらったのなら、もうこの地域全体を埋め立てることを考えてもらわなければ、われわれの住んでいる土地がなくなるんではないか、こういう声が起こっております。こういうことに対して、建設省としては、埋め立てをする、しないではなしに、こういう原因についてどういうふうにお考えになっておるのでしょうか。
  84. 山内一郎

    山内(一郎)政府委員 ただいま大阪府の泉北地帯でございますかの海岸侵蝕のお話でございますが、堺の埋め立てができる前からいろいろ侵蝕の現象が起こりまして、建設省といたしましても侵蝕対策事業——海岸事業でござしいますが、これをやって参ったわけでございます。その際いろいろ侵蝕の原因を調べたのでございますが、やはり大阪湾の湾形による海流の影響によりまして、ちょうど海流の当たる個所といいますか、そういうような個所になっていて、こういう現象が起きておる、こういうふうに調査の結果が出ておりますが、それに対していろいろ施策をやっておるわけでございます。なお、そういうような地帯が、埋め立ての海の遠くに護岸ができた関係上、さらにそれが幾分増勢されて、先般の第二室戸台風の大きさも非常に大きかったのでございますが、そういう現象が起きているのではなかろうか、こういうふうに考えております。それに対しましては、先般海岸助成事業と災害関連事業によりまして、急速に手当をしておるという段階でございます。
  85. 肥田次郎

    肥田分科員 これはあとに私の聞きたいこともありますから、こういう問題について特にそういうふうな考えを持っておられるということについてそれくらいにしておきます。  そこで、実はこういうことをお聞きしたいのです。今私が言いましたように、堺の埋め立て、この次には大体泉大津の沖の方にまで第八区、九区というような関係で埋め立ての計画もすでにもう話が進んでおるようであります。もちろんこの所管は違って参りますけれども、そうなってくると、今でも土地の人が頭痛の種にしておるところの土砂運搬のトラックの問題がいよいよ長期にわたって問題になってくるというふうに考えるのです。今私が堺市内へ入ってくるところのトラックの状況を大ざっぱに調べてみましたところ、泉大津から堺の北公園に対して、これは大体二十四号線を通って入ってきますが、五千台一日に通ります。それから女鹿坂から七道、これは七道から海岸通りへ入りますが、これは三千台通ります。それから基地を光明池、それから豊田の奥の方の山あるいは東山、畑山、田園、こういう地域に持っておって、そこから堺の海岸通りへ向けて入ってくるトラックが大体八千台、それから浅香山を通って海岸通りへ入ってくるものも五千両くらい、総じてこの路線別にずっと区分してみますと、若干重複する面があると思いますけれども、十三路線でその延べキロは八十三キロ、その数を見ると五万二千五百台ということになります。私が大ざっぱに、重複しているものをはねて、堺へずっと、今の八幡あたりへ向けて埋め立てで通っておるダンプの台数を調べると、大体二万一千台くらい、こういう数字が出ております。そこでこういう数字が出ておるという現状は、堺では実はもう五年くらい続いておるのです。これは今日ではもう普通の状態になってしまいました。これは私はやむを得ないと思います。しかし、こういうような状態が、今言いましたように、これから将来まだ大津方面にかけて埋め立てが行なわれるとすると、地元の大阪府だけを責め立てておったのではどうにもならぬのじゃないか。いわゆる国の力でもって、ダンプカー専用の道路を作ることを考える必要があるんじゃないか。あるいはまた、ダンプカー専用の道路が不可能だとするならば、砂利運搬のいわゆる専用軌道、こういうものも考える必要があるんじゃないか。そうして、俗に言うところの和泉山脈を中心にして、あのふもとから掘り出してくる土をどこか一本ないし二本に集めて、そうして海岸に運び出すということを考えないと、三年も四年も、もう五年もかかっておりますが、堺のような状態をこれからさらにずっと沿岸一帯に続けるというようなことになれば、大へんなことだと私は考えておるのです。神戸のようなああいう器用なことは、これは土質によってできないと思います。そこで、どうしても必要になってくるのは、ダンプカーを運ぶ専用の道路を作る、あるいはそれにかわるところの専用軌道を作る、こういう必要が痛感されるのですけれども、こういう問題について、建設省としてどういうように考えておられるでしょうか。これは必要なことだということで、一つこの実現のために乗り出していただけますか。
  86. 中村梅吉

    中村国務大臣 私どもも、大へん土砂輸送の車両で混雑しておるということは聞いておりましたが、今非常に詳しく御調査いただきました台数等も御明示をいただきまして、そういう状態で埋め立て地はけっこうであるけれども、そのためにそれに関連する各路線の道路交通状態、あるいは町の人たちの迷惑、こういうようなことを承りますと、何とか一つお知恵を拝借いたしまして、われわれも真剣に研究をしてみたい、こう思っておりまするようなわけで、まだ事務当局の方でもそれに対する対策はできていないと思いますが、一つ研究をいたしたいと思います。
  87. 肥田次郎

    肥田分科員 私も、この問題は大きな問題ですから、今急に御返事をいただこうということも考えておりませんので、こういう問題については、ぜひ実現するような御努力をいただきたいと思います。  そこで最後に一つ、そういう問題に関連をしてお願いがあります。これは道路局長の方に実はお願いしておいた方がいいと思うのですが、大臣の方から何らかの処置をとっていただければなおけっこうでございますが、この政府の管理しておるところの道路以外のいわゆる地方公共団体の府市が管理しておるところの道路に対する監督権といいますか、これはどの範囲でしょうか。これは問題を先に言った方が時間もかからないでいいと思いますが、実は堺それから和泉、泉佐野、各市の中で、これは大体手近な例で、私の影響範囲と申しますか、その地域になりますが、ここでバスの運行路線が道路の修理によって全然休止しておるところがあります。この全然休止しておる路線は四路線あります。それから、この四路線というのは、全然休止して徒歩で歩いているのが延べキロにして四キロあります。それから迂回をしておるのが六・四キロ、この迂回をしておる方はともかくとしまして、全然休止しておるのがこういう実情になっております。和泉市の内田から松尾寺、これは距離は一・五キロ、二月一日から四月三十日までの三カ月間、これはバス路線を休止しています。ですからこれは全然バスが来ませんから乗れない。みんな何とかかんとかそこまで一キロ半歩いて乗っておる、こういう実情です。それから、泉佐野市の久ノ木というところから東上というところ、これは〇・八キロ、これも二月一日から三月三十一日まで約二カ月間。それから堺の檜尾から城というところまで、これは一・三キロ、一月二十日から三月三十一日まで約七十日間。それから同じく堺市で金岡から金田まで、これは〇・四キロですが、これが一月六日から三月二十五日まで約八十日間、こういうふうに四路線のバスの運行がとまっておる、こういう実情であります。これはこの前にも道路局次長から御助言をいただいたことがありますが、道路の修理状況もきわめて粗末であって、三カ月もかけてとめた道路が補修をして通れるようになったが、二、三日したらまたダンプカーで荒らされて通れなくなった、こういうぶざまな例もあります。結局この被害地域はみなダンプカーが走っておるところなんです。この管轄はむろん建設省ではございませんけれども、こういう四カ所で延べ四キロというような区間を、バス路線がありながら使うことができない、バスに乗れない、仕方なしにその間を徒歩で歩く。いかにも期間が長過ぎると思います。片側通行の処置を講じたような修理をするなり、何らかの処置をされれば、このように長期間を全然交通が途絶してしまうということはなかろうと思うのですが、こういうことに対して、建設省として何らかこれの促進について注意をしていただく方法がありますか。
  88. 河北正治

    ○河北政府委員 御指摘のようなことがあるとすれば、はなはだ遺憾なことでございます。私どもといたしましては、機会あるごとに、道路工事のために交通に支障を来たすというようなことは極力避けるようにという指導をいたしております。具体的に今御指摘の区間について、御質問の趣きでありますと、片側交通にしてもできるような工事のようにも伺えますが、しかし、あるいは工事の実態で全面に掘らなければできないような仕事か、その辺がはっきりいたしませんが、御指摘の点につきまして至急に調査いたしまして、善処いたしたい、そういう工合に考えております。
  89. 肥田次郎

    肥田分科員 この沿線の人は実は大へん文句を言ってきます。バスがありながら、一キロも一キロ半も歩かなければバスに乗れない。この道をこわしたのはダンプカーがこわしたんじゃないか、そしてそれを修理するためにまた二カ月も三カ月も今度はこちらが迷惑をこうむる、こういうことをお前ら何ともできぬのか、こういう非常な不満を聞くわけです。どうか一つその点については、建設省として監督権の及ぶ範囲の解決策を考えていただきたいと思います。  質問を終わります。
  90. 山口丈太郎

    ○山口(丈)主査代理 午前の会議はこの程度にとどめ、午後一時五十分まで休憩いたします。    午後零時五十九分休憩      ————◇—————    午後一時五十八分開議
  91. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。川俣清音君。
  92. 川俣清音

    川俣分科員 開会がおくれたりいたしまして、私の責任でない部分がございますから、その意味で時間が延びることがあることを御了承置き願いたいと存じます。  第一に、これは建設省にお尋ねいたしたいと思うのですが、一体建設省では、土壌というものの観念をどういうふうにお考えになっておりますか。また水という観念をどうお考えになっておりますか。それからお尋ねしたい、こう思います。
  93. 山内一郎

    山内(一郎)政府委員 水につきましては、そのある場所といいますか、その状態によっていろいろ呼び名が違うと思いますが、川の中を流れております河川の水、それから地下を流れております地下水、大分けにいたしますと、そういうことになるのではなかろうか、こういうように考えております。土壌につきましては、あまり関係がございませんので、考え方を持っておりませんです。
  94. 川俣清音

    川俣分科員 そこが問題なんです。別に私は定義を聞こうとしているのじゃない。土壌に対しては大した関心を持たない、たしかそういうふうにおっしゃるのじゃないかと思ったから、お伺いした。水については、最近だいぶん関心を持ってこられましたけれども、辞典による水とは、海洋、湖沼、河川等であって、液体の一部だ、こういう説明であります。それで地球の表面を四分の三おおっておる。生体物は六〇%以上水を含んでおる。こういう普通の水の定義らしいんですけれども、これでは建設省の水にはならないと思います。要するに、水は公有物か私有物かということが建設省の水に対する問題点だと思うのです。野原君の質問の中にもありましたように、一体、地下水は公有物なのか私有物なのかという問題が一番問題だと思うのです。普通表流水は、地上の所有権と不可分であると見られておりますが、これでも公有物か私有物かについては、論争のあるところでございますし、また判例の分かれるところでございます。  そこで、手っとり早く議論を進めて参りたいと思うのですが、公有物だといいましても、私有権を設定して公有物を私有物にしておる点がございます。たとえば、温泉法の温泉水などは、地下水は公有物だけれども、私有権を設定して私有物といたしておる。そこで、それでは工業用水としてくみ出す地下水は、一体公有物か私有物か、この点がわからないと、工業用水に対する対策が立ってこないんじゃないかと思う点が一つ。  しかし、これは、今ここで議論をすると時間がないから、飛んで参りますが、たびたび私が問題にいたしておりますように、何といいましても上流の水です。これをどう把握するかということによりまして、今後の水資源対策が講じられていかなければならないだろうと思うわけです。そこで、徳川時代からの資料が不足でございまするけれども、明治になりましてからの雨量の調査を見ますると、集中的豪雨という部分的に雨の降る場合もありまするけれども、全体としてだんだん雨量が少なくなってきておるんじゃないかという統計が出ておるようです。そういたしますと、日本は水に恵まれ、山に恵まれておるといわれておりまするけれども、今にして対策を立てておかないと、さらに、一方需要が増して参りますると、上水道あるいは工業用水等の需要に応じられない結果になるのではないかというところから、建設省も、泥棒見て縄なうような結果に急遽着手された。そのことは非常にけっこうだと思いまするけれども、もう一段と上流について検討をしておかないと、せっかく作りましたダムの効率が下がってくるという結果になるのではないか。  そこで建設省の計画を見ますると、ダム・サイトのところの土質調査はかなり行なわれておりますし、従来の雨量というものを割合に把握いたしておられるけれども、各山腹に降る降水量または保水能力についての調査が十分でないと私は思いますけれども、あなた方は十分やっておるとお考えになりますかどうか、この点をお尋ねしたいと思います。
  95. 山内一郎

    山内(一郎)政府委員 ダムを建設いたします場合に、ダム地点の流量といいますか、それはもちろん正確に把握するようにしておりますが、なおその原因でございます上流に、どのくらいの雨が降るか、それがないと、やはり調査いたしました流量と引き合わせることになりませんので、雨量の点についても十分調査をやっております。ただ保水力という点については、あまりやってないのが実情でございます。
  96. 川俣清音

    川俣分科員 本来ならば、あなたたちが、降雨量ばかりではなく、山腹の保水能力を調査しておりませんと、完全なダム効率を上げるわけにはいかないのではないかと思うわけです。このことはお認めになるでしょうね。従来やらなかったけれども、これでいいというふうにお考えになっておりますかどうか。
  97. 山内一郎

    山内(一郎)政府委員 ダム地点の流量の調査をやります場合に、これは水の豊富なときと、もちろん少ない渇水状態でも、両方調査をやっておりますが、その中には、上流の保水された水も、渇水時にはもちろん出てくると思います。従って、その地点の年間を通じた流量を押えれば、保水の量も出てくるわけでありますが、さらに植林をやった場合にどうなるであろうか、こういう点は、確かに現在やってない、こういう状態でございます。
  98. 川俣清音

    川俣分科員 それは答弁にならないですよ。水が一度にどっと出てくるか、少しずつ来るかによって違うでしょう。違うはずです。そうじゃないですか。だからどのくらい雨が降るかということを調査されておっても、それが何日でダム地点に来るのか来ないのか、この調査ができていなければ——降った雨が来るであろう、これだけの調査でなく、どのくらい保水されて、何日たって流れてくるという調査がなければ、ダム地点の安全性からいいましても、保水能力からいいまして毛、役に立たぬわけです。一時に流れてくるのと徐々に流れてくるのと同じだという考え方は誤ってやしませんか。雨が降るであろうと調査されても、一時に来るのか何日かかってくるのかという調査がなければ、完全なものじゃないです。どうですか大臣、これは大臣に返事できるんですよ。専門家でなくとも返事できるんですから、大臣どうですか。
  99. 中村梅吉

    中村国務大臣 河川局長がお答え申し上げましたように、当然その水流の流量調査というものをいたしますので、この流量調査は、一年を通じての流量ではなく——もちろん一年を通じての流量も調べますが、季節的な流量、時期的な流量、こういうものを調べて、そしてそのダム建設の基礎的な資料を整えるわけでございますから、その上流地帯の山岳地帯では、どのくらい降雨に対する保水力を持っているかということはわかるわけでありますが、先ほど河川局長がお答え申し上げましたように、山を切られたらどうなるか、また現に切ってある山に植林をして、治山保全が十分できたらどういうことになるか、そこまではどうも研究が行き届いていないという話でございましたから、その点はわれわれ林野庁とよく協議いたしまして、今後はそういう点についても万全を期するように心がけるようにいたしたい、こう思っております。
  100. 川俣清音

    川俣分科員 ようやくそこまで答弁されたから、ある程度了承したいと私は思うんですけれども、保水能力については、これは林野庁とともに研究をするというのではなく、今後さらに多目的ダムにいたしましても、発電ダムにいたしましても、治水ダムにいたしましても、これから非常に多く作られるだろうと思われます。その上流についての関心をもう少し建設省が深める必要があるのじゃないかというのが、私の主要な質問点なんです。それは林野庁がやるべきだということではなしに、水の利用度の一番高い建設省が、もっと熱心にこの計画に参加さるべきじゃないか、こういうことなんです。  そこで、林野庁でもまだ実は十分じゃないようです。私ずいぶんこの保水能力等を調べさせましたけれども、中には、雨が降りましてから流出するまでに四十七日を要するというような調査もあります。また、これは保安林の非常に完備しているところですが、完備していないところでは、いろいろ違うようです。また。外国の例もずいぶんとりましたが、これでもまだ十分じゃないようです。これはただ試験のための試験をやっただけでありまして、現に利水をする場合にはどうであろうかという研究は積んでおりません。ただ針葉樹の場合、あるいは閥葉樹と針葉樹がまじった場合はどの程度だ、あるいは伐採をして四十七年間はあまり保水能力がないとか、保安林になると保水能力が高いとか、こういう説明だけでございまして、今後単に造林をすれば保水能力が増すのだという考え方が林野庁にございますけれども、必ずしも成績はそのように出てきておりません。従って、保安林に対する考え方も、林野庁として変えていかなければならぬと同時に、受けて立つところの建設省は、さらに関心を深めまして、所管外ではなしに、結局所管の中へ流れてくるものだという考え方で、これは林野庁を鞭撻する必要があるのではないかと思います。ただの水だと言うが、ただの水を受けてあなたの方は売るのですよ。そうでしょう。売ると言うと語弊があるかもしれませんが、無償のものを有償にするのですから。もちろんそこにダムの効用性が出てくる。効用価値があって初めて有料になるでしょう。けれども、それだけに、やはりもっと上流についての責任を感じなければならないだろう、こういう意味でお尋ねしているのです。大臣、もうだいぶ水の勉強もされたから、答弁できると思います。
  101. 中村梅吉

    中村国務大臣 確かに、御指摘のように、同じ森林がありましても、その森林の樹木の種類等によっても保水能力というものは違ってくると思うのでありますが、われわれの方としましては、現実に流れてくる水を当てにいたさなければ——将来の変化ということも考えられますが、まず基準としては、そういう現実の流量というものを基本に算出をするということが現実的であるということに立って今日に至っておると思いますが、今お話しのように、もっと根本的な問題についても、われわれも大いに関心を持っていくべきであるという、非常に重要な御注意をいただきましたので、われわれとしましても、そういう方向に努めて参りたいと思っております。
  102. 川俣清音

    川俣分科員 次に土壌について申し上げます。これはあなたの方は、土壌については、非常に関心を持っていなければならぬはずだと思うのです。一例を申し上げますると、秋田県の例でございますけれども、秋田市に官庁街を作る。ところが、高層建築をしようというと、ここは許可にならない。そういうところを官庁街に指定してあったというようなことで、これは土質調査が十分でなかった結果だと思います。さらに、ダムの基地につきましても、これは基地については建設省も相当緻密に調査されていることは認めますが、少し上流になると、この点、非常に調査が不完備であるということも指摘しなければならぬと思います。  そこで、土壌とはどういうものかといいますると、普通、岩石が風化されて、砂礫になり、砂になり、さらに微細な粘土となるのだ。しかし、降り積もったばかりの火山灰は、普通土壌とはいわないのですね。単に物理的にこまかくなったからこれは土壌だ、こうはいわないようでございます。土壌というのは、風化されて物理的に細分化されたものが母材となって、地表の植物、水分、温度、バクテリア、風などの、環境のいろいろな因子の作用を受けて生成されて参りましたところの一種の有機物であるという説明が、土壌の説明になっております。すなわち有機物だ。ところが、建設省は今まで有機物だという考え方をしなかったのではないか、こう思うのですが、この点どうでしょう。これは事務当局でけっこうです。
  103. 山内一郎

    山内(一郎)政府委員 河川関係の工事をやります場合に、いろいろ基礎の調査はいたします。従って、土質とか地質の調査はいろいろやるわけでございますが、その地表面の、ただいま先生の言われた土壌の点につきましては、砂防工事をやる場合に、この土壌であればどういう木は育つであろうかというような点は、検討して植種を選ぶわけでございますが、さらに突っ込んで——有機物という考え方がどうかよくわかりませんが、先生の言われましたように、さらに突っ込んで考えたということは今までないという状況でございます。
  104. 川俣清音

    川俣分科員 土壌は森林の育成に絶対必要であるばかりでなくして、森林の重要な機能の一つであるところの水源涵養、洪水防止の根源をなすものであるというふうに私どもは見ておるのでございまして、従って、ダム基地の上流の土壌等の調査も十分行なわれないと、山の崩壊等が起こりましてダムの効率を下げて参りましたことは、従来のダムの効率調査において明らかになったところだと思います。ここまで進まれなければならないのではないか、こういう点でございますが、一つ、二、三の例をあげて参りたいと思うのです。  岩手県の湯田ダムについてでありますが、これはダム・サイトはもちろんのことでございますが、付近の土質調査も行なったということであります。しかも、埋没するところの鉱山の補償も行なったということです。あるいは東北大の学者を呼んできて土質調査もやったんだ、こういう説明でございますが、このそばにありまする上ノ台というところ、もと鉱山長屋のあったところでございますが、そこに予想せざる崩壊が起こってきている。調べによると、その下には坑道がなかったことになっております。崩壊して初めて坑道があったということを発見しております。これは、鉱業権者がどのような坑道を掘ったかということの記録もなしに鉱業権を買収されましたり、あるいは安全だと証明しておられまするけれども、これは安全でなかったという一つの証左なんです。今後どういう崩壊が起こるかは別問題にいたしまして、十分調査がしてなかったということは明らかじゃないですか。坑道がないところが崩壊した。崩壊したところを見ると、下に坑道があった。まだあるかもしれぬ。調査が十分だというならば、こういうことは起こってこなかったはずじゃないですか。これはちょっと無理な点もあるのです。実は鉱業権を買収されたのは、買収のときの鉱業権者で、三代か四代かわってきているわけです。しかし三代、四代前の鉱業権の施業案というものが通産省にあるわけなんです。それをお調べになれば、どういう鉱区の状態であったか、坑道の状態であったかということがわかるはずなんです。同じ官庁ですから、それらの連絡はとれているはずだと思う。ただ東北大の先生を呼んできても、安全だというだけなんです。それは土質の状態が安全だということなんです。土質の状態が安全だったら、崩壊が起こるはずがないじゃないですか。この点どうです。
  105. 山内一郎

    山内(一郎)政府委員 御指摘のございました坑道の関係につきましては、さしあたりの調査といたしましては、水没地に坑道が出ておるような場合、こういう場合は表面すぐわかりますので、十分調査をいたしておりますが、浸透水が坑道に入りまして、そのために坑道が陥没した、こういう例に該当するかと思われます。そういう点は坑道が陥没したというのを知りまして、その後はたしてその浸透水によるものであるか、あるいはほかの天然現象によるものであるか、現在調査をしている段階でございます。従って、その調査結果として、ダムの湛水した場合に、浸透水によるものというようなことが発生するというような場合には、やはりこれは補償の措置を講じなければいけない、こういうふうに考えております。
  106. 川俣清音

    川俣分科員 これは貯水した場合に、貯水の量が固定しておりまするならば安全だとは思います。水圧が両方から加わりますから。しかしながら、貯水量が変化いたします。変化すると、坑道の中で水が行き来するわけですね。水圧は同じでないはずです。これは、佐久間ダムのトンネルの場合にも崩壊したのを見てもおわかりになる。これだけのトンネルだから大丈夫だというのが建設省の御意見だった。ところが、両方から同様の水圧が加わっている場合は安全なんです。崩壊するわけがないが、ダムの水がふえたり減ったりする、中で動くわけです。これによって、中の坑道の弱いところがくずれてくるわけです。従って網の目のように坑道が切ってある場合に、どこから水が抜けてどこへ行くかわからない。そこの上に人家があるわけです。もとの鉱山に一番近いところに鉱山長屋があるのです。縦坑も掘ったし、そこの上にあるわけです。それが、貯水すると崩壊するんでないかという心配なんです。別に補償を要求しているわけではない、こういうふうになって危険だから、立ちのきたいというのに対して援助すべきではないか、これだけのことなんですがね。補償じゃないのです。こういうのは補償という概念には入らないのではないか。これは、調査することになっておりまするけれども、なるべくは応じたくないという調査をしておるのじゃないかと思うのですが。しかも、こんな不安なところに小学校の分教場みたいなものがあるんですね。そういう教育施設もあるところを不安な状態のままに置くことは、よろしくないじゃないか、人命にも影響のあるようなことを、大丈夫だというようなことで置くことは、非常に危険ではないかと思うのですが、この点いかがですか。
  107. 山内一郎

    山内(一郎)政府委員 先ほど補償と言いましたのは、もちろんそういうダムを作ることに原因をいたしましてそういう事態が発生するおそれがある場合には、移転をしてもらうという対策を講じたい、こういう意味でございます。
  108. 川俣清音

    川俣分科員 補償といいますか、移転のために——不安定でありますならば、不安を生ずるおそれがあるならば、十分処置をすべきだと思いますが、この点いかがですか。
  109. 山内一郎

    山内(一郎)政府委員 やはりその原因が問題になると思います。ダムの貯水をした場合にそういうことになる、こういうことがはっきりすれば移転をする費用を出す、こういうことになると思います。  なお、先ほど避けるための調査じゃないかというふうに言われましたが、われわれとしては、積極的に原因を追究いたしまして、十分な措置をとりたいと考えております。
  110. 川俣清音

    川俣分科員 もう時間がないから長く言いたくないですけれども、完全な調査をしておる、そのときにそこに坑道がなかったが、陥落したところは坑道があったのだ、それだからこうなったので、必ずしもおれの方の責任じゃない、こういうことです。調査が完備していたのならば坑道があることがわかっていた。坑道があるけれども安全だということじゃない、調査では坑道がなかったということです。なかったのが起きた。何年前か、何十年前かに掘ったやつが崩壊したわけでしょう。調査資料ではそれはなかったのです。ここに坑道がなかった。なかったところが陥没した。ところが、実際陥没したところを調べてみるとあったという。そこで調査が十分だというようなことで処置されることは不十分ではないか、こういうことをお尋ねしているのです。善処を望みます。  次に、同じくこれは秋田の皆瀬ダムでございますが、あそこの皿小屋というところに行ってみたのでございます。あそこの土質は、上流の砂壌が必ずしもいいところではございませんで、道路自体も、降雨がありますと崩壊をしておるというようなところでございます。そこの上に二軒か三軒の人家があるわけですが、これは当然危険に瀕するわけでございまして、これも調査をされておるはずでございますが、まだ調査をすると称して延び延びになっております。また満水のときに、波浪と申しますか、さざ波かもしれませんが、どのくらい波浪が起きるかということによって、水のたたき工合によって、崩壊が起こる、そうすると、道路にも影響する、人家にも影響してくるということになりまして、あの付近の人は、もう一メートルぐらい最高水位を下げてほしいということでございます。見ますと、必ずしも水位を下げなくてもよさそうですが、波浪が起きた場合はどうするか、それを考えますと、確かに満水をもう少し下げなければならないのじゃないかともいえますし、あるいは波浪を防ぐような処置を講ずる、あるいは水位を下げるということも検討の必要はないかと思います。これは災害が起きてからではおそいのです。今十分検討する必要があると思いますから、御検討を望みたい。
  111. 山内一郎

    山内(一郎)政府委員 ダムを作りまして湛水を開始いたしますと、今まで考えられなかったような地すべりが起きるとか、そういう例もございます。従って、慎重にダムのできましたあとのことを検討いたしておりますが、なお皆瀬ダム地区につきましても、今御指摘がございましたような道路の問題とか、その家が危険であるかどうかという点、これをさらに検討いたしまして、十分な措置をして参りたい、こういうふうに考えます。
  112. 川俣清音

    川俣分科員 次に宅地について。建設省では宅地造成等について非常に頭を悩ましておられることを了承するわけでございますが、一体宅地の価格形成はどういうふうにお考えになっておりましょうか。土地価格というものはどういう構成内容を持つものでしょうか。
  113. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 建設省といたしましては、宅地の価格という点につきましては、全体の行政の中では、企画庁方面でいろいろ検討せられる筋だと思いますが、現在住宅公団なりあるいは関係の機関におきまして供給いたしております住宅用地あるいは工場団地につきましては、その造成に必要といたしました事業費を捻出するための経費でもって売却処分をしておるというのが実情でございます。
  114. 川俣清音

    川俣分科員 いや、土地の価格というものはどうあるべきだというふうにお考えになりますか。これは宅地の場合も出て参りましょうし、ダムを建設する場合でも、土地を買収する場合でも、土地価格というものをどういうふうに見ようとしているのか、その価格の形成というものは、何によって起こるかという検討はしておられますか、この点をお尋ねしておきます。
  115. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 この点は、私の方では、現在公共用地の取得に関する制度を持っております。御承知通りに、土地収用法、あるいは先般の国会で成立いたしました公共用地の特別措置法の実施の問題で、現在の法律におきましては、土地につきましては、近傍類地の価格によって土地の取得をするということが、収用委員会が用地を取得する場合の基本になっております。しかしながら、現実の実態につきましては、いろいろな場合が想定されますので、目下さらに適正な基準を作成していただくための審議会を開いておりまして、今年三月末日までに適正な御答申をいただくという段取りであります。
  116. 川俣清音

    川俣分科員 これは非常に問題が多いのでございますが、いわゆる収益価格をとるか、同じ収益価格におきましても、限界収益価格をとるのか、平均収益価格をとるのかということによって、地価の算定が異なると思います。従来、日本不動産研究所も、単に宅地として調査としておりましたものを、最近は住宅地、商業地、工業地というふうに区別をして調査をしておりますが、この動向を見ますると——この動向は御存じでしょうね。この動向を見てどういうふうに御判断になっていますか。宅地、商業地、工業地の値上がりの動向を、どういうふうに観察しておられますか。
  117. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 これはもう最近いろいろな方面で、学者もいろいろな意見を出しておられますが、宅地なり土地に対する需要の問題が一定地域に集中しておる、あるいはそれが投機的な対象にもなっておるというような、金融全体の関係とも関連しておるような見方、社会的な見方もあります。さらに、今お尋ねのありましたような、土地の価格というものがあるべき姿というものは、何によって評価するかという観点から、これを把握する場合には、現在の土地の流動過程なり、あるいはまた土地の利用状況というものを、よく現状認識をいたしまして、そして実態に即した価格の配慮をいたさなければならない、こういうわけでございますが、今日の土地の価格の問題は、やはり投機的な要素もかなり加わっておるというようにも観察せられる宅地の面の価格の傾向がございます。従って、ここではただそういうふうな感想を持っておるという程度にしかお答えできませんが、建設省といたしましては、いわゆる公共用地の取得という点から、適正な基準を算定すべきだということで、目下検討いたしております。
  118. 川俣清音

    川俣分科員 卸売物価指数と地価とを比較いたしてみますると、必ずしも卸売物価が上がったから土地価格が上がるというわけでもなし、あるいは卸売物価が上がらないから土地価格が上がらないかといえば、そうでもない。この点はお認めでしょう。それから、先ほど私がお尋ねしたように、商業地、住宅地、工業用地等に分類して調査をしておりまするけれども、この変動の仕方が同一ではないのですね。昭和三十年三月、商業地を一〇〇にいたしますると、三十六年の九月は四四六、住宅地は四三〇、工業地は五三六というパーセントを示しております。それでは順次こういうふうに年々にある率で上がってくるかといえば、そうでもない。工業用地のような場合は、三十二年の三月までは住宅地、商業地とあまり変わりはなかった。三十二年からいわゆる経済の成長に伴いまして、急激な工業用地の値上がりをしておる。その割合に住宅地は足踏みをしておる。最近になってから急激に商業用地が値上がりをしてきた、こういうことになるのじゃないかと思う。だから、土地の値段も必ずしもあなたのお説のようにはなっていないのですね。商業用地と住宅地と工業用地というふうに分けてみますると、その値上がり率もその年によって違ってくる。従って、土地の価格のあり方をどう定めていくかということが、これは土地問題を解決する上に大きな問題だと思うのですよ。あるいは道路のために用地買収をする場合におきましても、やはり一定基準をお持ちにならなければ、ただ陳情やその他に押え込まれて、一定計画ができないということでは、ただ土地収用法を振り回すだけでは問題は解決しないのです。やはりこれは非常にむずかしい問題だと思いまするけれども一定の算定基礎を持って、そうしてこれならばだれにも理解されるものというものを持たなければ、その付近の価格なんていうようなことになりますると、付近の人が特別な価格で安く売ったこともある、高く売ったこともあるかもしれません。付近価格なんていうものはとれないものなんです。そうじゃないですか。それを付近価格でごまかそうとするから問題が解決つかないと思う。これから道路の建設のために土地も非常に必要になって参りましょう。宅地もまだもっと必要になって参りましょう。どう商業地域を整理するか、あるいはどう工業地域を整理するかという問題ともからみまして、商業地域に対する地価はどうあるべきか、工業地域の地価はどうあるべきかという検討がせられるべきじゃないでしょうか。もししていないというなら、建設省は怠慢じゃないでしょうか。
  119. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 ただいまのお説の通りに、公共用地の取得に関する標準というものは、法律上近傍類地になっております。その場合の解釈なり運用なりにつきましては、具体的には収用委員会の裁決実例というものがあるわけでございます。しかし、実地に、ただいま商業地なりあるいは住宅地等の宅地の変動の傾向というものは、そのときどきによって変わって参りますが、今のような実例を示しております。ことに、事業上の損失とかあるいは事業利益というものを土地にどう結びつけて考えるのか、あるいはまた、土地価格の評価につきまして、収益還元をするというふうな考え方をどういうふうに持っていくのか、いろいろな検討を現在やっておるわけでございます。従って、この宅地の評価基準というもの、いわゆる用地の評価基準というもの、と同時に、その流通過程における基準に対応いたしまして、よく問題点として提出されておりますものは鑑定評価制度、これは諸外国におきましては、そういう制度がよくとられて普及化いたしておりますが、そういったようなことについての可能性なり裏づけなりといったようなことも、引き続いて検討しなければならない。これは今回の建設省の設置法にも、宅地制度に関する審議会をお願いをいたしておりますが、その審議会におきまして、急速にその成案も得たいということで、準備を進めておる次第でございます。非常にむずかしい問題がたくさんございますが、勉強いたしまして、できるだけいい結果を作りたい、そういうふうに考えております。
  120. 川俣清音

    川俣分科員 これは大臣に対してですが、土地が投機の対象になるというふうなことは、好ましくないことはあたりまえだと思うのです。これはむしろ建設省が振り回されておることだと思うのです。一方宅地が必要だということで頭を悩ましておるときに、それが投機の対象になるということは、建設省が振り回されておることだと思うのです。これは一定の、やはり価格をどの程度にすべきかというような考え方がないために起こっておるのです。今法律がこうありますという説明だけで、それはだれが作ったかというと、建設省がこういうふうにしてほしいということで国会に出されて承認を求めただけでしょう。新たな角度で土地の価格の形成はどうあるべきかという検討に入らなければならぬ。そうでなければ、建設行政全体がやれないじゃないですか。やれる法制に変えたらどうですか。近郊の価格だなんて、そういうことで実際に運用できない事態になっておるのに、依然としてそれを固執しなければならない理由がないじゃないですか。土地が投機の対象になるということは、建設省にしっかりした案がないからです。あれば、一定の目安がありまするならば投機の対象になるわけはない。もっと上がるだろうとか、下がるだろうということはない。従って土地を買収する場合におきましても、振り回されて計画が進行しない。現にそうでしょう。土地買収はうまくいっていますか。いっていない。そのために道路工事もみんなおくれておる。すべての価格は停頓しておるじゃないですか。ここで大臣一つやはり宅地の価格のある姿というようなものをもう一歩進んで考えて、そして法制化して、これはもちろん基準でしょう。基準通り必ずしも物価が動くものではないでしょうけれども一つの目安をやはり置く必要があるんじゃないか。この目安以上は変わらないという空気が民間に起こること、経済的に起こることが必要だと思うのです。これでは安過ぎる、これでは高過ぎるという目安を与えることが必要じゃないか。尺度法だって貫目にしたって基準があるのです。一貫目とか一キロとかいう基準を与えておるのと同じなんです。やはり土地の価格にしても基準を示すことによって今後の建設省の運営を円滑にならしめる必要があるんじゃないか、こう思うのです。ほんとうに親切にそう思うのです。いかがですか。
  121. 中村梅吉

    中村国務大臣 土地が投機の対象になっておることは好ましくない、この点は全く同感でございまして、私ども今度国会提案をいたしておりまする宅地制度審議会ができましたならば、当局としましても十分勉強をいたし、審議会の議を経まして何とかこの投機対象、投資対象になることをできるだけ排除いたしますように、これは税制上の問題とかいろいろな関連が起こってくると思いますが、それらを含めて研究をいたしまして適当な成案を得たいと思っております。  もう一つ公共用地の取得に関する尺度の問題でございまするが、これは長年にわたりましていろいろ議論もされてきたところでありますし、また直接その事業の執行に当たっておりまする建設省としては最もいろいろな心配をし、経験を積みしてきておるわけでございますが、今度公共用地の審議会ができましたので、この審議会に評価基準というものをいろいろな知脳を持ち寄っていただいてきめていただきたい。先ほど局長から申し上げましたように、できれば三月一ぱいぐらいで結論を出していただきたい、こう思いまして、せっかく目下それぞれの準備を進め、御審議を願っておる段階でございます。これとても人間のやることで、いろいろ社会情勢には変化が多うございますから、たとえて申しますと、最近こういうように金融引き締めの影響を受けまして、用地買収が非常に順調に進んで、むしろ東京都の事業などは金を足りなくしておる、予定の金額よりもよけいに契約高ができておるというような状態になっております。買収される人にとってみれば、この価格で買収されればよそへ移転して代替地が求められるか求められないか、損をするようならいつまでもがんばる。まあどうにかいけるならそこらで折り合いをつけようということにもなりますから、一般市価との関係も非常にございますし、経済情勢の変化というものも関係がございますが、しかし確かに一定の基本的な基準は、これは常に持っていなければならないことでございますから、これについては極力努力をいたしましてできるだけ理想的な基準を策定いたしたい、こう思っておるわけでございます。
  122. 川俣清音

    川俣分科員 ほんとうはまだあるのですけれども、もう一点だけで終わりたいと思います。  しかし、今の大臣答弁では宅地造成の審議会がある。片方では土地収用の審議会を作っておやりになる。これはやはり一貫性を持っておりませんというと、宅地の方の価格のきめ方と買収の方のきめ方と値段が同じであっても内容が違うというと、これは片方に反映してくることになります。従って、私がいろいろお伺いしていると、せっかく審議会を開いておりますものの、これはなかなかむずかしい問題だということでだんだんおくれていくのではないかという心配もあるのです。確かになかなかむずかしい問題だ。むしろ先には農地価格についての検討もございまするから、これも相当検討されている資料もありますから、そういうものとにらみ合わせて土地の価格というものがいかにあるべきかということをお出しになることが必要である。これは今後の公用地の収用にいたしましても、あるいは都市計画にいたしましても、やはりすべてに影響を与える問題でありまするから、やはり一定の尺度を示すことが民間経済の伸展の上にも、また建設省の事業遂行の上からも必要であると思うのです。これは国民経済全体から必要な問題である。必ずしも安くある方がいいとか、高い方がいいというべき問題でないのでして、ある姿というものを描くことが必要じゃないか。やはり価格の安定といいますか、上がるなら一定の価格で上がる、下がるなら一定の価格で下がる。上がったり、下がったり急激な変化のないことがやはり望ましいのじゃないかと思いますから、一つ基準を早く出されるように鞭撻願いたいものだと思います。  これをもって終わります。
  123. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 田口誠治君。
  124. 田口誠治

    田口(誠)分科員 私はきわめて事務的な面について二、三お伺いをして終わりたいと思います。  その前にちょっと大臣にお伺いをいたしたいと思いますることは、踏切道の改良促進法に基づいて踏切道の立体化を今後積極的に推進していくといううたい文句は予算書の中にも入っておりまするが、二十二日に、今問題になっておりまする東京都内の交通量の実態調査に警視庁に案内をしてもらって行ってきたのですが、これはわが党の兒玉委員からおそらく質問申し上げておると思うので私は具体的な面については申し上げませんが、まあ大臣も東京のことは地元であるだけに十分僕らよりも内容的に知ってみえますし、この促進法に基づいて立体交差を今後進めていく上においては、従来とってきたような消極的な予算ではなかなかやれないと思いますので、この際思い切ったここで予算化をして、そうして思い切ってやはり東京の交通緩和の政策を打ち立てていただかなくては大へんなことになるのじゃないか。ここ二、三年ほっておきますると、全く手のつかぬようなことになるのじゃないかというような心配を抱いてきたわけであります。おそらく兒玉委員も、蒲田の大踏切の実態なんかも話したと思いますが、私はこまかい個所は申しませんけれども、そういうような大きな重要な個所だけは、早急に着手をしていただくという考え方に立っていただいて、交通緩和の対策をやっていただきたいと思いますが、この点について大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
  125. 中村梅吉

    中村国務大臣 実は、前国会で踏切道改良促進法が制定されまして以来、まず第一に、踏切道の改良をいたしますのには、鉄道と道路との費用負担の関係がございまして、これにも相当の日子を要しましたが、この方も話し合いがつきまして、負担割合というものがきまりました。次いで、まずこの促進法に基づく個所指定をすみやかにいたしたいと思いまして、両省間で熱心に検討を進めて参りました。ごく最近、両省間に意見の一致を見ましたところが百四十五カ所ほどできましたので、この分だけは近々のうちに告示をして指定の手続をいたしたいと思います。東京都の重要個所は、この百四十五カ所の中にほとんど含まれておりますから、この指定の手続を終わりましたならば、できるだけすみやかに踏切改良の作業が進行いたしますように、われわれといたしましては最善を尽くして参りたいと思っております。
  126. 田口誠治

    田口(誠)分科員 今の件については、国民運動化してきておりますので、一つ積極的に今の方針を仕事の上に乗せていただくようにお願いをしておきたいと思います。  それから、次にお伺いいたしたいことは、岐阜−高岡線の二級国道の進捗状況でございますが、今までに至っておる進捗状況と、また三十七年度における計画を一つ具体的にお示しをいただきたいと思います。
  127. 河北正治

    ○河北政府委員 岐阜−高岡線の整備状況でございますが、岐阜−高岡線の岐阜県管内の延長は約百六十キロでございます。昭和三十五年度末の改良済み延長は約四十キロで二四・八%に当たっております。それから舗装済み延長は十四・五キロで約九%に当たっております。昭和三十六年度末の改良済み延長は約四十五キロで二七・六%、舗装済み延長は約二十キロで一二・八%に上る予定でございます。なお三十七年度につきましては、目下検討中でありますので、ここで詳細にお答えできるまでに至っておりません。
  128. 田口誠治

    田口(誠)分科員 大方針としては、いつごろまでに高岡まで完成するという計画なんですか。
  129. 河北正治

    ○河北政府委員 岐阜−高岡間がいつまでということになりますと、ちょっとあれでございますが、二級国道は十カ年で改良舗装を終わらせる予定でございます。岐阜−高岡線につきまして、岐阜県管内につきましては、五カ年計画の最終年度の四十年度末までには改良済み延長が七十四キロで約四七%であります。舗装済み延長は六十一キロで約三九%となる予定であります。そのような数字を目標に整備を進めていきたいという工合に考えております。
  130. 田口誠治

    田口(誠)分科員 多分計画されておるのは、四十年度に郡上八幡までだったと思います。それともその向こうの神路というところまででしたか、白鳥まででしたか、どうですか。
  131. 河北正治

    ○河北政府委員 改良計画は白鳥町までを予定しております。しかし、これもただいまのところでは、完全に改良済みというようなわけにはいかないと思います。四十年度末までには郡上八幡までは舗装できるという工合に考えております。
  132. 田口誠治

    田口(誠)分科員 現地を実際に見ていただいておるかどうかわかりませんが、美濃市から郡上八幡に至る道路ですが、その中で約半分くらいのキロ程が片方が山、片方が川ということになっておりますから、これを改良する場合には、おそらく迂回線を川向こうにとってやらなければ完全なことはできないと思います。それでただ、今できることは、トラックが来たときに待避する場を作らなければ一台のトラックが通れないというのが実態であるわけで、それで今度の改良計画は、そういう待ち場を作る程度のもの、避難をする場を作る程度のものか、それとも全体的に道幅を広められるのか、そういう点はどうですか。
  133. 河北正治

    ○河北政府委員 美濃市と郡上八幡の間の道路の現況は、私も一、二回見せていただいておりまして、仰せの通り片側は山、片側は谷でございます。それで工事中の迂回路の必要があるのではないかという御質問でございますが、あの地形のところにある程度の効用を発揮する迂回路を作るといたしますと、やはりそのものにも相当の経費がかかります。それで、私どもといたしましては、現在のところ特別に迂回路を作るというような計画は持っておりません。現在の道路に沿いまして極力整備を進めていきたいと考えております。この幅員は待避所的なものでなくて、構造令の第二種山地部の規格によって車道幅員七・五メートルで整備していきたいと考えております。
  134. 田口誠治

    田口(誠)分科員 迂回道を作るということになりますと、これは大きい仕事にもなるので、そういうお答えがあったと思いますが、今の七・五メートルにする場合に、現況のままであれが技術的にできますか。
  135. 河北正治

    ○河北政府委員 迂回路を作っていけば理想的かもしれませんが、今申します通り、迂回路そのものを作るにいたしましても、やはり対岸に渡る橋梁等が新たに必要になってくるかと思います。それで多少無理かと思いますが、交通に及ぼす支障を極力軽減するように考えながら工事を進めていきたいと思います。
  136. 田口誠治

    田口(誠)分科員 私どもは生まれが向こうの方ですから始終通っておりますが、現地の内容から申しまして、ただいま申しますような質問がいくわけです。実際的に片方は山、片方川ということになりますと、山を掘るか、川を狭めるか、どちらかしなければいけません。そういうような工事が、たとい一台でもトラックが通過するだけの、それだけの余裕を作っておいてできるかどうか、これは相当むずかしい個所があると思います。こういうことから迂回道ということが自然的に言葉に現われてくるのですが、まあむずかしいからいいかげんにしておけということになると困るので、そういう点をお伺いしているのですが、どうですか。
  137. 河北正治

    ○河北政府委員 私も一、二回しか通っておりませんので詳細には記憶しておりませんが、見通しの悪い踏み切りとかいろいろあったと思いますが、しかし一車線を確保しながら山側の切り取りとかあるいは川側の護岸築造とかいうものができるのではないかという工合に考えております。
  138. 田口誠治

    田口(誠)分科員 できれば幸いですが、そういう点をよく見てきていただきたいと思います。それから白鳥町までぐらいは相当年限を縮めて促進するようにお願いしたいと思うんですが、その点は一つこちらの方から希望を申し上げておきます。  それから次に、これも二級国道の関係でございますが、昨年来岐阜県、滋賀県、福井県の方から陳情も来ておると思いまするが、岐阜−木之本−小浜間の国道の編入でございます。これは、その後どういうような経過になっておるかお尋ねしたいと思います。
  139. 河北正治

    ○河北政府委員 ただいまの御質問は、岐阜−木之本間の一級国道の昇格の問題ではないかと思いますが、岐阜−木之本間の二級国道の昇格についても大へん強い御要望があることは、私ども承知いたしております。しかし一級国道、二級国道の昇格という問題は、全国的な幹線道路網の整備の見地からその必要性、性格等を慎重に検討してやっていかなければならないという工合に考えております。目下慎重に検討中でございます。
  140. 田口誠治

    田口(誠)分科員 二級国道を一級国道にということじゃなく、二級国道に編入するんですよ。
  141. 河北正治

    ○河北政府委員 ただいまの岐阜−木之本線につきましては、二級国道の昇格の問題でございますが、そのほかに二級国道を一級国道にしてくれという御要望もございます。それらと一緒に検討させていただきたいということでございます。
  142. 田口誠治

    田口(誠)分科員 具体的な検討としてはいろいろあると思いますが、これは審議会なんかにかかっておりますか。
  143. 河北正治

    ○河北政府委員 私どもの事務的な案を作りましてから、道路審議会にかけて決定していただくという段階になっております。
  144. 田口誠治

    田口(誠)分科員 大体計画としてはいつごろ審議会にかかるような作業が進んでおるのですか。
  145. 河北正治

    ○河北政府委員 目下のところ四月ごろには道路審議会を開いていただけるのではないかと考えております。
  146. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それはかけられるまでの作業としては、大体経費の関係を主に考えられると思うんですが、それとも他の国道編入やら昇格との振り合いを検討なさっておるのか。予算上の問題になりますかね、実際的には第一回の審議会にかける場合には……。
  147. 河北正治

    ○河北政府委員 今のお尋ねの問題は、二級国道に昇格した場合に整備費にどのくらいかかるかということを考えてきめるのかというような御質問の内容だと思います。そういたしますと、私の方といたしましては、昇格の問題は、昇格された場合にはその建設費がどうなるかということは、もちろん大事ではございますが、それ以前に幹線道路網としてどんな姿がよいのかというような見地の方を先に基礎にいたしまして、検討いたしております。
  148. 田口誠治

    田口(誠)分科員 もちろん、道路網の拡充強化をはかるには地域の開発ということが重点になるわけなんですが、今いろいろ言われておるところの表日本から裏日本への道路網の拡充ということが盛んに叫ばれており、またこれが隘路になっておるわけなんですが、そうなりますと、岐阜から高岡へ行く線も、今申し上げておる岐阜−木之本間、それから福井の小浜というところへ行く線も、これは北と南を結ぶ線になりますので、これは経済開発には非常に必要な道路でございまして、そういう点から強い要望があるのですから、一つなるべく早い機会に審議会にかけていただいて、この地元の要望に沿えるようにお願いをいたしたいと思います。
  149. 河北正治

    ○河北政府委員 御要望の趣、十分あれでございますが、一級国道も二級国道も、道路網というような見地から十分検討させていただきたい、こういう工合に考えます。
  150. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それから、これもこまかい地域の話で失礼ですが、この前直接に局長さんにもお話を申し上げ、また水害対策のときにも若干申し上げておきましたが、藪川の政田井水の下の砂利の深掘りをしたことによって破壊されておる井水の砂利どめですか、あれは早急に国の方でやっていただけますか。
  151. 山内一郎

    山内(一郎)政府委員 藪川の用水サイホンの下にそれを防護する意味と川全体の立場から床固めを築造してございましたが、先般の災害でこわれましたので、これを国の方でできるだけ早く回復措置をしたい、かように考えます。
  152. 田口誠治

    田口(誠)分科員 これは三十七年度の予算に入っておりますか。
  153. 山内一郎

    山内(一郎)政府委員 その点ちょっと調査しないといけませんが、いずれにしても、直轄の災害でございますので、おそくとも来年には終わりたい、従って、用水を利用されるまでには終わりたい、かように考えております。
  154. 田口誠治

    田口(誠)分科員 感じとしてやるということであって、調査が終わってやるということにはなっておるのじゃないんですね。
  155. 山内一郎

    山内(一郎)政府委員 どういう設計でやるということは、すでにきまっております。予算の点だけでございます。
  156. 田口誠治

    田口(誠)分科員 その点につきましても、これはこの前のときに申し上げたので詳しいことは申し上げませんが、現在の場合には入った水の何分の一しか向こうに出ないというような用水になっておりますから、早急にその点の手当をしていただくようお願いしておきたいと思います。  これで終わります。
  157. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 坂本泰良君。
  158. 坂本泰良

    坂本分科員 私は、多目的ダム計画について、なかんずく松原、下筌のダム計画についてお伺いしたいと思うのです。  その具体的内容に入ります前に、大臣もお見えですから一般的なことを一、二お伺いいたしたいのですが、現在行なわれております公共事業のやり方を検討いたしますと、すべての公共事業が人民の生活向上のために役立つ側面を持っておるということはもちろんでありますけれども、それ以上に独占資本に奉仕しておる側面が大きいじゃないか、こういうきらいがあるわけです。それは一般質問等でやったかとも思いますが、道路局長もおられますけれども、道路を優先して、河川、治山治水を予算面から軽視しているじゃないか。さらに治山治水におきましても多目的ダムを優先して、砂防ダムを軽視しているじゃないか、こういうふうに考えられるのです。具体的に予算の額なんかはあげる時間がありませんが、こういうふうに考えられますが、大臣はどういうお考えですか。
  159. 中村梅吉

    中村国務大臣 私ども考え方としましては、努めて均衡を保ちつつ進めていきたいというつもりで、予算措置等についても特に配慮いたしております次第でございます。また特に、道路に偏重して治山治水の方が軽視されているのじゃないか、こういう御指摘もございましたが、御承知のような災害の常襲いたして参ります日本の国柄にかんがみまして、私どもといたしましては、道路交通の確保ということも重要でございますが、災害防止の基本でございまする治山治水につきましては特段の努力をしておるつもりでございますが、なかなか御満足のいくように進みかねておるというのが現在の状況でございます。  なお砂防等につきましても、逐年力を注ぎ、増強をいたしておりまする次第で、土砂の流出を防ぐための砂防を大事にし、努力をいたしますとともに、また下流における洪水調節という面から見ますと、多目的ダム等の建設もこれを怠ることはできませんので、これら彼此勘案をいたしまして、調節をはかりつつ進んでおるというつもりでおるわけでございます。
  160. 坂本泰良

    坂本分科員 一例を申し上げますと、政府昭和二十八年の西日本の大水害の発生によって、治山治水基本対策要領というものを初めて作りました。総額が一兆八千六百五十億、うち一兆一千六百九十一億円が治水関係でございます。ところが実施の段階になると、昭和二十九年から三十四年の六カ年間にわずか一八%しか実施していない。昭和三十四年の第七号、これは山梨県韮崎地方の水害、それから第十五号台風、これは伊勢湾台風、こういうのが御存じのように大災害を引き起こしておる。そこで昭和三十四年の十二月に新治山治水十カ年計画というのができて、総額一兆五千億のうち治水事業が八千五百億、こういう計画を立てて、あたかも政府が治水事業に力点を置いているようなPRをしましたが、その計画の完遂は昭和四十四年になるのです。しかし現在のような計画でいけば、これは間違っているかもわかりませんが、五六%しか昭和四十四年までに進行しない。そこで昭和三十六年の集中豪雨、第二の室戸台風災害、こういうような関係になって、今、十幾つですか、多目的ダム計画は入っておりますが、結局砂防工事が軽視されておるから、工事が二〇%かそこらのところでさらに洪水が出る。こういうような傾向になっておることを見ると、やはり砂防工事を軽視して多目的ダムに力点を置く。多目的ダムに力点を置くというのは何かといえば、結局電力と工業用水。電力と工業用水を使うのは結局資本家階級であって、被害をこうむるのは農村と川沿いにおる零細人民である。こういうことで、多目的ダムに力点を置き、ことしも四つか五つ繰り入れられるようですが、それよりももっと砂防工事をやらなければならぬじゃないか、こういうふうに考えますが、その点いかがでございますか。
  161. 中村梅吉

    中村国務大臣 砂防にいたしましても、その他の治水事業にいたしましても、昭和三十四年末から五年にかけまして作りました長期計画では、とうてい満足すべきものではありませんが、しかしながら、この長期計画を策定しました当時は、その当時の日本の国の経済情勢なりあるいは財政状態なりというものを基本にして立てて参ったわけで、これもやむを得ないことと思うのであります。その後若干日本の財政状態も経済状態も上昇しつつありまするし、かたがたこれらの治水事業を促進する必要もございますので、三十六年度にいたしましても三十七年度にいたしましても、当初の長期計画の年度割から見ますると、いわゆる繰り上げ施工の形ではよほど先食いをいたしまして、作業を進めつつあるような状態でございます。  なお、砂防について非常に冷淡なように御指摘がございましたが、三十六年度と三十七年度の予算の比較から申しますと、多目的ダム事業の方は一%の上昇でございます。これに対しまして、砂防事業の増は、伸び率にいたしまして一八%でございます。かように一八%と一%の伸び率の比較からいいましても、従来十分でなかったことはわれわれも認めますが、砂防の重要性にかんがみまして努力いたしておるということだけは、お認めをいただきたいと思うのであります。
  162. 坂本泰良

    坂本分科員 十カ年計画において現在の進行状態を見ると、多目的ダムは計画の七九%ができておるわけですね。ところが砂防工事は四七%の計画しか組んでいない。こういうことになると、計画は立ててあるけれども、計画そのものにそういう差異があると同時に、進行状態についても差異がある。こういうようなデータが出ておるわけなんです。  先に入ればきりがありませんから、これはその程度にしまして、ここで一つお聞きしておきたいのは、多目的ダムによって、電力の利用は一キロワット三円前後なんですね。ところが一般国民の買う電力は十一円なんですね。その七円だけは電力会社がもうけておるわけでね。それから用水利用では、工業用水を使ういわゆる資本家は一立方メートル当たり四円前後です。ところが一般負担金その他から十五円前後も徴収しておる。こういうふうに考えられるのですが、こんなものかどうか。これは局長でもけっこうですが、お聞きしたいのです。
  163. 山内一郎

    山内(一郎)政府委員 まず多目的ダムの考え方の問題が関係あると思いますが、建設省といたしましては、多目的ダムを作ることによりまして、まず治水第一に考えているわけでございます。ただ、治水だけということになりますと、主として冬季間の水をむだにする、こういうような観点からそれををできるだけ多目的に使いたい、こういうことで多目的ダムが発足していると思われます。  それで、ただいまの値段の点でございますが、これはダムの地点で先ほど言われました最初の数字が出まして、それ以後末端に行くにはいろいろ経費がかかるわけでございます。その経費を加算すれば、先ほど言われたような値段になるのではないか、これは詳細に調べてみないとわかりませんが、大体の考え方としてはそうなるのではなかろうか、こういうふうに思います。
  164. 坂本泰良

    坂本分科員 ですから、確実なものはわからぬにしても、とにかくダムの建設によって農民の土地が収奪され、それから非常なりっぱな植林が水没をする、そして非常な犠牲を与えながら、そのダムによって得る利益は資本家階級に行ってしまうのではないか、こういうことがやはりどうしても考えられるわけなんですね。そこで名前は治水が先で、そういう電力とか工業用水は次だとおっしゃるけれども、下筌ダム、松原ダムについて考えますと、筑後川の上流の二千五百トンをカットして下流の水害をなくすというわけでございますね。そうすれば建設省は、九地建は最初十カ所余りの地点を調査している。だからそこに砂防ダムを作って——二千五百トンのカットをするためには、砂防ダムよりもっと強化されたものになるかもわからぬですが、それでカットして、しかも玖珠川の方にはちっともダムを作らずに、大山川の水系だけに、下筌、松原二カ所にしぼって高堰堤のダムを作る。それ自身についても、しろうとが考えても、筑後川の上流は二つの大きい支流になっておりますから、片一方だけ雨が降るわけじゃないのです。両方に降った場合は、その二千五百トンのカットができない。それをわざわざ電力に工合がいいように、下筌、松原にしぼって高堰堤のダムを作って、発電に有利なものに持ってくる。そこに非常に疑問が出てくるわけなのです。ですから、われわれは治山治水の関係においてダムができるというのは、逆に砂防ダムを重要視して、そしていわゆる多目的ダムは農民その他零細な一般人民の土地を収奪せずに、いい植林を収奪せずにやる方に、まず考えなければならぬと思うのです。ところが、この下策・松原ダムでは遺憾ながらそうなっていないものですから、地元の大きい反対がある、こういう結果になっておるわけです。ですから、公式論としては治水を主としておるから、それはそのほかの多目的ダムとしての電力とか工業用水はそれに付随してやる、こういうことを言われるのは、抽象的にはいいけれども、いよいよ具体的に、ほかのダムもいろいろ問題が起きておりますが、下筌・松原ダムにしぼりましても、そういうようなきらいがあるわけです。ですから、ここに反対が起こるわけです。そこで聞きたいのは、下筌・松原ダムに入りますが、最初は下の久世畑ダムで二千五百トンのカットをする、そういう計画をしていたのを、そこへ二千五百トン・カットのダムを作れば、現在九州電力がやっておるダムが利用できないようになるのですね。その利用をするためにはやはり松原・下筌まで上って、そうしてそこにダムを作って、これはあとでもお聞きしたいのですが、隧道で水を引いて、そうして現在の九電がやっておるところの電力の被害をごく僅少にして、そうして新たな電力を作ろう、こういうふうに結論だけ申しましたが、下筌・松原ダムの二カ所に十数カ所からしぼられて、しかも多目的ダムとして高堰堤のダムを作るということについて、この反対派の強い要望があるわけですが、その点についてはいかがでございますか。
  165. 山内一郎

    山内(一郎)政府委員 筑後川全体の治水計画を作ります際に、ただいまもお話がございましたが、下筌・松原以外の地点も調査いたしております。その観点はやはり治水効果がどのくらいあるか、これが主眼でございますので、基本方針をそういうことでやって参ったわけでございます。松原・下筌以外のダムにつきましては、非常に洪水の調節の能力が少ないこと、あるいは非常な障害があるかという点があったわけでございます。ただいま久世畑ダムについてもお話がございましたが、その点も十分調査をいたしました結果、断層の点とか不良岩の処理の点、こういう点で技術的にも非常に困難性がある、こういうことで最終的に松原・下筌にきめたという次第でございます。なお砂防の関係もお話が出ましたが、砂防ダムだけやりましても、やはり洪水というものは下流まで流れると思いますので、砂防はやはり砂防の目的でございます土砂をとめる目的をやる、洪水処理につきましては、やはり洪水調節の池を作らなければならない、こういうような二つの観点を総合していろいろ調査した結果こうなった、こういう次第でございます。
  166. 坂本泰良

    坂本分科員 今の問題は東京地方裁判所に事業認定無効確認の訴えが出ておりまして、検察側からも六、七人、室原知幸氏ら、いわゆる反対側からも六、七人の鑑定人が指名されて、ぼつぼつ鑑定書も出ておるのですから、そこで判明すると思いますので、その内容にまで入ってどうこう言うつもりはありません。いずれ裁判の結論が出るでしょうから、そう考えておるわけです。  そこでお聞きしたいのは、この下筌・松原は多目的ダムといわれるならば、特定多目的ダム法施行規則第七条によって、九州電力株式会社社長名で建設大臣あてに昭和三十五年二月四日付で提出受理されておる下筌ダム使用権設定申請書、これが出ておることは確かでございますか。
  167. 山内一郎

    山内(一郎)政府委員 九州電力からダム使用権設定の申請書は出ております。
  168. 坂本泰良

    坂本分科員 そこでこの申請書を出すのには、法に基づいて、イが「流水の占用の計画を示す書類」、ロが「工程表」、ハが「工事費概算書」、ニが「身替り建設費及び妥当投資額の計算書」、ホが「流水を当該特定用途に供するごとについて、及び流水を当該特定用途に供することによって営もうとする事業について必要な行政庁の許可、認可その他の処分を受けていること又は受ける見込が十分であることを示す書類」、ヘが「計画一覧図」、トが「水路平面図」、チが「水路縦断面図」、リが「水路定規図」、ヌが「主要構造図」、ルが「その他参考となるべき書類及び図面」等一切を添付しなければならぬと思っているのですが、ただいまの下筌ダム使用権設定申請書にこのような添付書類がついているかどうか。
  169. 山内一郎

    山内(一郎)政府委員 設定申請書は出ておりますが、ただいまお話の添付書類については、まだ正式にこちらは受理はいたしておりません。
  170. 坂本泰良

    坂本分科員 そういたしますと、ただ申請書だけ出て、付属書類が出ていないままに多目的ダムとしてこれを施行することができるかどうか、この点をお聞きしたい。
  171. 山内一郎

    山内(一郎)政府委員 従って、現在松原・下筌でやっております工事は、正式に多目的ダム法によるものであるか、あるいは河川法によります直轄工事であるかどうか、法律的に見ますと、まだ非常にデリケートな段階があると思います。従って、その点は今後急速に整備はしたいと思っておりますが、ただいまのところはそういうような状況になっております。
  172. 坂本泰良

    坂本分科員 しかしながら、建設省は下筌・松原は特定多目的ダムとして施行することにして、すでに予算をとって、付帯事業として予算も使っているわけですね。そうすると今使っておられるのはどういうダムでこの費用を使っておられるのか、その点をお伺いしたい。
  173. 山内一郎

    山内(一郎)政府委員 松原・下筌ダムにつきましては、昭和三十三年度から予算はついております。将来多目的ダム法による法的に整備をされたダムに移行するという段階でございまして、現在は法的にといいますと、河川法による直轄工事である、こういうようなことになるのではなかろうか、こういうふうに考えております。
  174. 坂本泰良

    坂本分科員 そういたしますと、河川法による費用だと、こういうわけですか。
  175. 山内一郎

    山内(一郎)政府委員 予算面では松原・下筌のダムの費用ということで計上はされております。ただし、法律的に、それでは多目的ダム法の適用によるダムであるかどうかという点になりますと、いろいろな法律に基づく手続もまだ中途の段階でございますので、はっきりそういうふうにはなっていないということであります。
  176. 坂本泰良

    坂本分科員 そういたしますと、九地建は室原氏外三名の下筌ダム予定地の土地、山林を多目的ダムによるところの用地として、熊本県収用委員会に、その用地買収の申請をやっておられるのですが、それは間違いなんですか。
  177. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 ただいま土地収用法の事業認定が行なわれ、かつ収用委員会に裁決の申請書が受理せられている慣例についてのお話でありますので、私からお答え申し上げます。  土地収用法におきましては、土地収用法の規定によりまして、公共事業なり公益事業についての土地収用が認め得られる事業の種類を掲げてございます。第三条の第二号におきまして、この事業は土地収用法の事業認定申請書を提出してきておられるのでございまして、その事業認定申請書に基づきまして、土地収用委員会、建設大臣が事業認定をいたしたのでございまして、多目的ダム法によるダムというような事柄は、直接土地収用法の事業認定の事業の種類には掲げられてはおらないのでございます。
  178. 坂本泰良

    坂本分科員 どうもおかしいですよ。建設省としては多目的ダムとしてやっているわけですね。従って、多目的ダム法によって使用権者の使用権設定申請書として出ているのですから、建設大臣が事業認定をするならば、それで事業認定をしなければならぬでしょう、それをこの三条二号によってやったというのは、どういう事業認定になっているのですか。
  179. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 第三条の二号と申しますのは、適用河川における河川、いわゆる「治水若しくは利水の目的をもって設置する堤防、護岸、ダム、水路、貯水池その他の施設」この条項でございます。このいわゆる機能といたしましては、治水その他の目的を持っている多目的ダムでございます。ただいまお尋ねにありました点は、多目的ダム法との関連におきましてお尋ねがありましたので、土地収用法につきましては、いわゆる機能としての多目的ダム、実質上の機能を持っている第三条第二号に該当する事業としての事業認定の申請が行なわれている、こういう意味であります。
  180. 坂本泰良

    坂本分科員 それじゃその第三条の二号による事業認定をやって、そして土地は収用してしまうし、作り上げたそのダムは多目的ダムとして使うでしょう、だから建設省がやっておられるのは、やはり多目的ダム法によるダムでしょう、下筌・松原ダムはそうでしょう、それをそうじゃないといってごまかしていて、あとでくっつける、そういうのじゃいけないと思うのです。現在の予算面では、先ほど河川局長の御答弁がありましたように、やはり予算面上は松原・下筌ダムとしてやっておるわけだから、それを河川治水利用というところで建設大臣が事業認定をしたのは、間違いだと思う。この点いかがですか。
  181. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 私がお答えいたしておりますのは、土地収用法の関係における手続と、事業認定の申請書に相当する内容を申し上げております。多目的ダム法の関係につきましては、先ほど河川局長からお答えがありました通りでございます。従って、この多目的ダムの建設、並びに工事、並びに管理、あるいはダム使用権の設定者等々の関係を規定するものは、まさに多目的ダム法であります。事業認定申請の段階におきましては、いわゆる事業計画が、事業申請書の内容に相当するものが具体的に確定いたしておりますれば、それでもって事業認定を大臣がいたし得るということになっておりますので、事業認定が行なわれて、収用委員会に手続きが進んでおる、こういう意味のことを申し上げたのでございます。
  182. 坂本泰良

    坂本分科員 これは結局事業認定が多目的ダムでやっておれば、あなたの今おっしゃったような適用河川の治水利用という事業認定ではいかぬと思うのです。しかし、これは裁判所の判断にもあることでしょうから。ただ、従来は多目的ダム法によるダムだということを盛んに言って、そして反対派に警察官まで動員してやりながら、実際はそうじゃない。これはここに大きな疑問がありますから——また判決にもよると思うのです。それは時間がありませんからこの程度にしまして、建設委員会でまたやることにいたします。  そこで、ここで一、二点お聞きしておきたいのは、この松原ダムの実施によって、いわゆる熊本県側の杖立温泉が災害をこうむる、こういうことで嘆願書が出ましたから、熊本県会では、自治法百条ですか、それに基づいて証人を呼んで、反対派の側の弁護人である庄司進一郎氏と熊大の藤芳教授の証言を求めて、そして藤芳氏の証言によりますると、少なくとも十二メートルの、松原ダムはダムの高さを低めなければ、杖立は災害をこうむる、こういう証言があるわけです。そこで、今度は建設省側の証人として、九州地建の方々を証人として呼びたい、こういうような希望に対して、九州地建の方では、証人としては困る、ただ説明なら出るけれども、証人としては出られない、こういうようなことを言っておるそうですが、証人として宣誓すれば、あれは民事訴訟法に基づく宣誓ですから、偽証罪の制裁があります。だから、説明には出るけれども、証人には出られない。しかし、そういうことであっては私はいかぬと思いますが、そういう証人には出ないというような考え方ですか、どうですか。
  183. 鮎川幸雄

    ○鮎川説明員 ただいまお尋ねの点でありますが、はっきりした条文は忘れましたけれども、地方自治法によりますと、地方自治に関し、あるいは地方の区域内の問題に関することについて、国の事務について調査等の必要がある場合においては、その地方議会等において証人等を呼ぶことができるように記憶しておりますが、純地方的な事務について証人としてそれに出頭する必要があるかどうか、それは地方自治法上の解釈の問題であるかと思います。
  184. 坂本泰良

    坂本分科員 そういう三百代言的な法律の解釈をせずに、九地建がやっておる調査に基づく工事は間違いがないという確信があったら、堂々と出ていって、そして証人として宣誓してやるべきだと思う。それをやらないで、説明なら出ますなんというところに、やはり計画において、その他において、もし間違ったらとんでもないことになる。やはり確信がないからそういうことになるのじゃないかと思いますが、どうです。そういうところに進んで出て、そして説明して、藤芳教授の証言がほんとうか、あるいは九地建が計画しておるところの言い分がほんとうかということを県民の前に明らかにして、そして了解を得なければならないと思うのです。建設省がきめたから何でも間違いないのだというのでは、いかないと思うのです。本件が反対の起こった原因も、まさにそこにあると思う。そういうところを考えますと、建設省の方から指示して、進んでそういうととろまで出ていって、そして建設省の事業を九州電力がやるとすれば、そこに資本家が入って、四円の電力を十一円に売る電力会社が入るから、だから、もう少し正しく県民に、しかも人民に納得さしてやるべきだと思いますが、進んでやるような考え方はございましょうか。
  185. 山内一郎

    山内(一郎)政府委員 藤芳教授がどういう観点からそういういろいろなことを出されたか、その内容はまだよく存じませんが、建設省としても、もちろん、いろいろな従来の調査によりまして、一応あれは持っております。ただ、藤芳博士の証言内容もよく調べまして、ただいまさらに検討を重ねておりますが、その検討の結果を待ちまして、今お話のようなことも考えてみたいと思います。
  186. 坂本泰良

    坂本分科員 それから次に、三十六年度の予算では、筑後川の松原・下筌ダムの予算は七億五千万で、補正後が七億五千百九十一万になっておるわけですね。三十七年度は六十六億、こういうことになっておるわけです。これは大体大まかなところでけっこうですが、どういうような事業をやっておられるか。その項目だけでもけっこうですから……。
  187. 山内一郎

    山内(一郎)政府委員 三十六年度は当初七億五千万の予算でございましたが、その後消化状況を検討いたしまして、現在のところ三億六千万、こういうふうになっております。  その事業内容でございますが、地質等の調査工事をさらに進めると同時に、工事用道路工事、これも一部着工いたしております。なお、中津江村等の補償が解決すれば、補償費にも一部充てる、こういうような計画を持っておるわけでございます。
  188. 坂本泰良

    坂本分科員 それからこの二月十九日に土砂くずれで、大分県日田郡大山村の建設省トンネル工場現場で八名生き埋めになっておる。これは幸いにも二十何時間後に全部無事で救出されたわけですが、これはどういう工事ですか。
  189. 山内一郎

    山内(一郎)政府委員 先ほど申し上げました工事用道路工事の改良の工事でございます。
  190. 坂本泰良

    坂本分科員 これは水を流す隧道じゃないですか。
  191. 山内一郎

    山内(一郎)政府委員 先ほどお答え申しましたように、工事用道路工事を改良しておる工事であります。
  192. 坂本泰良

    坂本分科員 時間がありませんから、一点だけ、これは大臣にお聞きしたいのですが、現在の用地買収で一番困難な問題は、すべて金銭賠償になっているのですね。今は貨幣価値がありませんから、十万、二十万ともらっても、すぐにその金はなくなってしまうのです。ですから、ここに非常に農村地帯の用地買収の欠陥があると思うのです。都会地においては、区画整理なんかやる場合には、かえ地をやって、現地かえ地は二割とか三割の限度で減歩されても、そこがいい場所になるからそれで満足する、こういうようなことがあるのですが、松原・下筌ダムのように、学校が二つ、三百戸以上水没するというような場合は、国有林その他を利用して国家開墾をやって、新農村を建設する、こういうような方法で、いわゆる代替物の補償、こういう点が最も必要だろうと思うが、こういう点について考えておられるかどうか。あくまでも金銭賠償一本でいかれるかどうか、お伺いしたいと思います。
  193. 中村梅吉

    中村国務大臣 ことにダムの建設、水没地帯などの補償につきましては、金銭賠償のみでいくということは、生業との関係もございますから、適当ではないと思っております。できるだけ開墾すべき地域があるとか、あるいは集団移植をするような地域があれば、それを開墾したり開田をしたり、集団移転に適するような環境の整備をいたしまして、できるだけ生業に支障のないように努めるのが当然であると思います。そうは心がけましても、全部が全部うまくいかない場合もございましょうが、努めてそういう方向で進めるように、われわれとしては考えております。
  194. 坂本泰良

    坂本分科員 そこで新農村建設ということになれば、学校関係は文部省関係、それから衛生その他の施設は厚生省関係、それから農地その他の関係については農林省関係と、建設省関係だけでもいかない。こういうので、やはり官庁間の対立があれば、なかなかスムーズにいかない。だから、こういうのをスムーズにやるために、何か統一した機関を設ける。たとえば総理府なら総理府にそういう機関を持って、一々各省に交渉してやらぬでも、スムーズにそういうものができるというようなことを考えてはどうかと思うわけなんです。工業用水とか、いろいろ公団が設けられますけれども、やはりダム・ブームによってダムがたくさんできるということになりますと、すべて大なり小なり——あるいは二、三十戸一の部落もありましょうし、この松原・下筌は三百戸以上、こういうようなことがありますから、それをスムーズにやるために、何かそういうような法規上も、また実際の行政措置としても、スムーズにそれをやれるというようなことを考えたらどうかと思うのですが、その点いかがですか。
  195. 中村梅吉

    中村国務大臣 国の力で国自身が直轄で行なうべき必要性のものも絶無とはいえないと思いますが、できるだけ所在の市町村に、それぞれ国の機関を通しまして助成の道を講じますとか、あるいは技術上の手助けもいたしますとかいたしまして、所在の市町村を中心にそれらの作業を進める方が、地元の方々の御納得もいきましょうし、また満足のいくような成果もあげられると思いますから、私どもとしては、所在の市町村を母体としてできるだけ進める方が、かえってなめらかにいくのではないだろうかと思います。それに所要の建設省建設省としての資金投入、あるいは農地改良の必要なる場合には、農地改良の資金として農林省を通して出す、あるいは下水道の整備をする必要のあるときには、厚生省の下水道の経費から出すというようにいたしまして、できるだけ所在の市町村が中心になって進めていただく方が、結果的によろしいのではないか、こう考えております。  なお、今御指摘のように、もっと統一的な機関を作ったらどうか、こういう御注意をいただきましたので、そういう点につきましては、私ども今後研究してみたいと思っております。
  196. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 ほかに御質疑はありませんか。——御質疑がないようでありますから、建設省所管に対する質疑は、全部終了いたしました。  次会は、明後二十六日午前十時より開会し、郵政省所管の審査を行ないます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十六分散会