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1962-02-22 第40回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月二十二日(木曜日)     午前十時十九分開議  出席分科員    主査 羽田武嗣郎君       愛知 揆一君    青木  正君       今松 治郎君    上林山榮吉君       藤本 捨助君    山本 猛夫君       角屋堅次郎君    小松  幹君       田中織之進君    永井勝次郎君       山口丈太郎君    内海  清君    兼務 川俣 清音君 兼務 楯 兼次郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 齋藤  昇君  出席政府委員         運輸事務官         (大臣官房長) 広瀬 真一君         運輸事務官         (大臣官房会計         課長)     黒住 忠行君         運輸事務官         (海運局長)  辻  章男君         運輸事務官         (船舶局長)  藤野  淳君         運 輸 技 官         (港湾局長)  坂本 信雄君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      岡本  悟君         運輸事務官         (自動車局長) 木村 睦男君         運輸事務官         (航空局長)  今井 榮文君         海上保安庁長官 和田  勇君         気象庁長官   和達 清夫君         建設事務官         (道路局長)  河北 正治君  分科員外出席者         警  視  監         (警察庁保安局         参事官)    富永 誠美君         総理府事務官         (経済企画庁調         整局参事官)  羽柴 忠雄君         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    松井 直行君         大蔵事務官         (主計局主計         官)      海堀 洋平君         大蔵事務官         (主計局主計         官)      宮崎  仁君         運輸事務官         (海運局次長) 亀山 信郎君         建設事務官         (都市局参事         官)      鶴海良一郎君         日本国有鉄道総         裁       十河 信二君         日本国有鉄道常         務理事     兼松  学君         日本国有鉄道常         務理事     磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     滝山  養君         日本国有鉄道経         理局長     豊原廉次郎君     ————————————— 二月二十二日  分科員木原津與志君及び稲富稜人君委員辞任に  つき、その補欠として田中織之進君及び内海清  君が委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員田中織之進君委員辞任につき、その補欠  として角屋堅次郎君が委員長指名分科員に  選任された。 同日  分科員角屋堅次郎委員辞任につき、その補欠  として木原津與志君が委員長指名分科員に  選任された。 同日  第一分科員楯次郎君及び第三分科員川俣清音  君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十七年度一般会計予算運輸省所管  昭和三十七年度特別会計予算運輸省所管  昭和三十七年度政府関係機関予算運輸省所管      ————◇—————
  2. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 これより会議を開きます。  昭和三十七年度一般会計予算、同特別会計予算及び同政府関係機関予算中、運輸省所管を議題といたします。  前日に引き続き、質疑を行ないます。川俣清音君。
  3. 川俣清音

    川俣分科員 運輸大臣が見える前に、国鉄総裁滞貨状態についてお尋ねいたしたいと思います。  貨物滞貨全国で約百七十万トンくらいあるといわれております。しかも東北支社で約四十万トンといわれておりますけれども、そのような状態ですかどうか。
  4. 磯崎叡

    磯崎説明員 お許しを得まして、数字でありますから私から申し上げます。  けさ現在の全国沿線在貨は百七十五万トン、東北支社管内におきまして四十四万トンでございます。
  5. 川俣清音

    川俣分科員 大体東北支社のすべての規模からいうと、全国の約一割くらいの国鉄規模だと思うわけですが、滞貨だけがよそに増して多いという事態は、これは運営よろしきを得ない結果じゃないか。かつて国鉄運賃値上げのときに、貨車輸送を円滑にして産業に寄与するために運賃値上げをやるということの政府からの答弁があったわけです。今速記録を読み上げますが、読み上げるまでもなく、そういう説明であった。しからばその当時よりさらに滞貨が増しておるということは、国鉄運賃値上げに対応して滞貨を一掃するということ、さらに輸送力を強化するということが当時の弁明であったと思うのですが、その弁明を裏切っておるということについての責任をどうお考えになっておりますか、この点についてお尋ねいたします。
  6. 磯崎叡

    磯崎説明員 全国的な在貨でございますが、私ども滞貨というよりは、沿線の在貨と申しておりますが、いわゆる荷主から輸送の要請のございました、正確に申し上げますと、荷物があるからといって運送状を提出されたものを在貨といっております。それを去年とことしの比率から申しますと、全国的に約二割ふえております。そのうちで、先生の御指摘通り東北につきましては二害三分ほどふえております。一般的に全国よりは多少増加が目立っております。この原因は、主といたしまして、木材動きが非常に多くなったことが一番の原因でございまして、ただいま御指摘通り、私どもといたしましては、貨車も増備いたしますし、また東北線複線化につきましても極力工事を推進いたしております。御承知通り、毎年どうしても一月末から二月下旬、雪害の時期になりますと、東北方面輸送力が若干停滞いたします。ことしにつきましても同じような現象がございましたが、幸い二月になりましてからは、過般予算委員会で御答弁を申し上げました通り、多少好転のきざしを見せております。後刻数字をもって御説明を申し上げます。
  7. 川俣清音

    川俣分科員 それでは私の質問に対する責任を明らかにしたことにならないじゃないですか。旅客運賃値上げ及び貨物運賃値上げの際は、今後こういうことを解消したい、さらに輸送力を強化したいと言ったが、強化の実績がないじゃないですか。それは国会を欺瞞するものであるばかりではなく、国民に対しましても、経済成長に伴う当然の輸送というものが強化されなければならない。それに対応するための国からのいろいろな援助を初めとして、それだけではなおまかない切れないために運賃値上げをするのだという説明であったはずです。その説明とあなたの答弁と違うじゃないですか。これからやりましょう。当時もこれからやりましょう。それには原資がこれだけ必要だ、こういう御説明であったはずであります。年度計画までつけて出されたはずであります。その通りいっていないじゃないですか。その責任をだれが負うのだ。これは計画をした国鉄総裁責任か、または運輸省責任か。この点明らかにしてほしいと思います。どっちが原因でこうなったか。
  8. 十河信二

    十河説明員 今申し上げましたように、在貨は予想以上に多くなっております。これは当初われわれの予定しておりました以上に在貨がふえて参っております。新五カ年計画では大体五カ年間に貨車を二万一千両作るという予定になっております。それを、経済界の情勢が意外に成長が早いので繰り上げまして、八千両ずつ作っておるのであります。ほぼ四千両程度の予定であったものを倍作るということでやっておりますけれども、今のように全国的に出荷が非常に旺盛になりまして、また天候等の都合で東北が特に今おくれております。しかしながら、これでは相済みませんことですから、東北の方へ回す空車の割合を非常に多くいたしまして、いつも三百五、六十両回すところを五百両あるいは五百二、三十両回すというようなことをいたしまして、東北の在貨を正常の状態に戻し、できるだけ少なくして、お客様に御迷惑をおかけしないようにいたしております。今日まで予定通りにうまくいかなかったということの全責任は私にあります。運輸省でなく私にあります。そういうふうに努力いたしまして、この責任をできるだけ果たして、皆様の御満足のいくようにいたしたいと、せっかく努力をいたしておる次第であります。
  9. 川俣清音

    川俣分科員 国鉄総裁男気を出して、一切の責任は私にあるのだと言われますけれども政府経済成長計画というのがあるわけで、当然運輸行政においてそれに見合った計画政府が立てるべきだったと思う。それを立てたがそれができなかった場合には国鉄総裁責任だと思うのですが、政府が立てました、池田内閣が立てました経済成長に見合うような施策をしてくれなかったとすれば、これは運輸省責任である。政府施策に見合うような計画を立てながら実施することができなかったとすれば、これは国鉄総裁責任だということになると思う。ただ男気で、一切私の責任でありますと言いましても、問題の解決にはならないと思うのであります。私は決して国鉄総裁を責めるのでもなく、運輸省を責めるものでもない。ただ問題をどう整理して、どう解決しなければならぬかということから責任の所在をお聞きしているわけです。何も個人的に恨みがあって質問しているわけじゃないのです。将来問題を解決する上から、どこに責任があるのかということを明らかにしたいための質問ですから、昔の男気を出して十河さんが私の責任だと言われましても、問題の解決にならないのです。もう一度御答弁願いたいと思います。
  10. 十河信二

    十河説明員 私ども計画を立てます際には、政府経済計画、全体の総合的な計画に適応したような計画を、政府とも御相談して立てたのであります。何分経済は生き物で、思うように参りません。われわれの予想しておった以上に成長が早かったために、予定計画では間に合いかねるというふうな状態が起こって参りました。そこで私どもといたしましては、これに適応するように、できるだけやらなければならぬ、こう考えまして、先ほど申し上げましたように、一年において四千両の車両を作る予定のところを八千両作りまして、方々へ貨車を増配しているというところであります。経済の実際の動きに対してできるだけのことをするのがわれわれの責任である。大体のワクは、もちろん政府総合計画に応じたワクを作りますけれども、その範囲内でできるだけ実情に沿うて皆様に御満足を与えるようにするのが私の責任だ、その責任を十分果たすことができなかったということはまことに申しわけないと、おわびを申し上げた次第であります。
  11. 川俣清音

    川俣分科員 ここで問題を二点整理したいと思うのです。  予想以上の経済成長が起こったために、それに対応できなかった、従って、こういう問題が起きた、こういう御答弁のようであります。しかし、運輸というものは経済成長を助成する、あるいは経済成長を円滑ならしめるための交通機関でなければならないはずです。総裁は生きていると言うが、生きているのに即応する態勢がとられていなければならないはずなんです。国鉄みずから経済成長が行き過ぎたからこれにブレーキをかけようという考え方であるならば、これは別問題です。池田内閣のやり方がむしょうに計画以上に成長するから、ちょっと国鉄がこの誤りを正すためにブレーキをかけてやろう、こういう考え方であるならば、これは別問題です。それほど勇敢であるわけでもなさそうですが、この点どうですか。
  12. 十河信二

    十河説明員 そういう大それた勇気は持ち合わせておりません。ただわれわれの力が及ばなくて、輸送機関というものはむしろ先行すべきものだと思いますが、それがついていけないという状態は、これは何としても私どもの力の足りなかったところであるということをおわびを申し上げておる次第であります。
  13. 川俣清音

    川俣分科員 総裁は実際よく御存じなんです。すべての経済に先行しなければならぬ。その先行する態勢を整えなければならぬということで、運賃値上げ等についての了解を国会で得たいということでおやりになったということはよくわかります。大それた考え方はない、それほどの勇気はないと言うが、それほどの勇気がなしに、あなたはブレーキをかけているじゃないか。勇気があってかけたならばまだ頼もしいのですが、勇気なしで、腰抜けでブレーキをかけるという結果になってくるのじゃないでしょうか、この点どうですか。
  14. 十河信二

    十河説明員 まことに申しわけありません。ただおわびするより手がないと思います。
  15. 川俣清音

    川俣分科員 総裁おわびおわびと申されると、これ以上追及する気持が起こりませんけれども、ただ、総裁の言葉じりをとらえるわけじゃございませんけれどもお客さんに迷惑をかけないようにというお話でございましたけれども輸送上の隘路が出て参りますと、単なるお客の問題じゃないのです。商売上の問題じゃないです。日本経済全体にわたるところの問題です。たとえば、生鮮食料などが非常に値上がりをしておりまするけれども、この値上がりの大きい部分がやはり輸送力の不十分なところから起こっていると見るべきものがたくさんあると思う。たとえば、東北支社の場合でも、昨年の野菜輸送力と今年とを見ますと、約倍の在庫トン数があるわけです。これは御承知でしょうけれども築地市場に一日どのくらいの生鮮食料入荷があるかということによって、相場に非常な大きな影響を与えております。大根の値上がりにいたしましても、あるいはミカンにいたしましてもリンゴにいたしましても、一体どれだけの入荷量があったかによって、価格が高騰したり低落したりしているわけです。従って、勇気もなしにリンゴの値を上げたり野菜の値を上げたり下げたりするという結果になっておる。これはお客さんの問題じゃないのだ。国民生活に直結する問題なのだ。それだけに国民の血税が国鉄へ向かいますことも了承しているのだと思いますけれども、こう台所を脅かされるようなことをやられておったのでは、ここから不満が出てくるのは私は当然だと思うのですが、この点十河総裁はどういうふうにお考えになっておられますか。並びに運輸大臣が見えておられますが、どうお考えになりますか、この点お尋ねしたい。
  16. 十河信二

    十河説明員 それゆえに、われわれは国民経済成長発展にマッチしたような輸送力を持つべきであるということを絶えず検討してやっておりまして、今日までそういう状態が起こったことに対しましては、ただおわびをする以外に手がない。今後は、いつかも運輸大臣からお話のありましたように、経済成長計画に応じた新五カ年計画を立てたが、それでもなお不十分であるから検討しろというお話で、そういうふうな検討を続けております。従って、今後はできるだけ国民経済成長に先行することはできないまでも、おくれないようにということを念願として努力いたしたいと存じております。
  17. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 先ほどから国鉄輸送力が今日の輸送需要十分満足せしめていないのみならず、むしろ滞貨がふえつつあるじゃないかというお話であったと思いますが、御承知のように所得倍増計画に見合いまして、国鉄の五カ年増強計画をやったわけでございますが、この計画のもとは十カ年平均七・五%ぐらい、最秘の三年ぐらいは九%ぐらいで所得倍増計画が達成できる、そういう施策のもとにわれわれ輸送計画も立てておったわけであります。ところが、昭和三十五年度は一三%も伸びた、三十六年度は一六%も伸びそうだということで、実際にうんと上回ってしまったわけです。これは御承知のように、本会議その他におきましても、政府施策が十分でなかったのじゃないかというおしかりを受けておりますが、自由主義経済のもとにおいてまことにやむを得なかった、所得倍増計画は誤っていないと思うけれども、その見通しについては誤っておったと言われればその通りだと総理も言っておられるわけでありますが、そういう状況でございますので、七%か九%の伸びならば、あの五カ年計画の第一年度でありました昨年度、それから本年度の大体輸送需要にマッチできるであろうと思っておったのが、今おっしゃるような状況を来たしておるわけであります。見通しを誤っておったと総理も言っておられるわけでありますが、われわれもさように思うわけであります。しかし、これに対して誤っておったというだけでは済みませんから、これを取り返すように、本年の輸送計画も当初計画よりも上回るようにいたしますと同時に、根本的に五カ年計画もさらに検討しまして、予算の面から今日の需要十分満足のできるような状態に置きたいというので、今いろいろと検討を加えまして、今後の計画誤りなきを期したい、かように考えておるわけであります。生鮮食料品、ことに秋田方面におけるリンゴその他特産物輸送につきましては、国鉄当局も毎年これには非常に力をいたしておるわけでありますが、伺いますと、本年もその力が十分でないということでございますので、今後さらに一そうそのことにつきましては特に力をいたしますように、国鉄にもお願いをいたすつもりでおります。
  18. 川俣清音

    川俣分科員 運輸大臣、非常にすなおなんですね。しかし、すなおだからといって、これは許されることではない。むしろ経済成長政府予定に達しなくて国鉄赤字が出たという場合には、もっと悲鳴を上げなければならなかったと思うのです。幸いにして計画以上の成長が伴いましたのですから、これは非常に喜んでいいはずだと思うのです。何も計画が違ったからといって悲観することはない。異常な発展があれば、それに即応する体制ができてこそ、初めて運輸機関としての使命が果たされるのだと思うのです。逆に政府予定通り成長がなかった場合には、国鉄赤字で悩まなければならぬ。同じ悩むならば、それに対応できなかったということの悩みの方がよほどうれしいことではないかと思うのですが、これは総裁どうですか。
  19. 十河信二

    十河説明員 その通りであります。
  20. 川俣清音

    川俣分科員 そうだと思うのです。予想以上の成長があったから困ったなんというばかな話はないと思うのです。むしろ経済が頽勢のために困ったというならば、これは何とか救わなければならぬが、多過ぎて困ったなんということでは、ほんとうの機能が十分に発揮されていないことだ。運輸大臣はそうお考えになってしかるべきじゃないかと思うのです。しかし政府も、予想以上の経済成長といわれますけれども税金だって予想以上の税金が入ってきておるのですよ。税金の方はあたりまえ、自然増収見込み通りだ、経済成長の方は見込みをはみ出した、そんなばかな話がありますか。経済成長に伴って税金自然増収が出てきておるわけでしょう。吸い上げる方は非常にけっこうなことだ、これは吸い上げてしまって、施策の方がおくれておるということになりますと、国民から委託された政治の運用がよろしきを得なかったということになるのじゃないでしょうか。私はそう思いますけれども運輸大臣、どうお考えになりますか。
  21. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 おっしゃる通りでございまして、全般的に国鉄といわず、輸送面、さらに広くいえば公共投資経済成長に見合っていなかった、これではいけないというので、本年の予算も、他の予算に比べまして公共投資伸びを増したわけであります。政府日本経済成長に伴うだけの、またさらにその先を見越した公共投資をやりまして、陸上輸送も海上の輸送も、これにマッチするようにしなければならぬという重大な責任を持っておる、かように考えております。
  22. 川俣清音

    川俣分科員 木材が昨年から今年にかけまして非常に高騰したというときに、政府責任を持って価格調整をやらなければならぬということで需給調整をやった。そのネックになっておるのは輸送ではないかという質問を私はいたしておりますが、その際池田さんは、それを除去するのは政府責任である、そして木材価格を下げるんだということを公言されたわけです。ところが今のお話によりますと、一番木材需給を円滑ならしめ価額の低落をいたさせるために、生産を上げていった、伐採を強めていった、政府の命令に従って増伐の方針がとられたわけです。増伐の方針は命じたけれども輸送はできなかったという責任は一体どこにあるのですか。内閣にあるのですか。運輸大臣にあるのですか。農林省から閣議で増伐方針を決定された。増伐ということは木を切るということじゃないのです。切った木が需要者に届くということが増伐の目的なんです。何も山にある木を切ることが目的じゃないのです。価格を引き下げ、需給を円滑ならしめるために、御承知のような約三千万石の増伐方針を立てたわけです。切ったけれども輸送できないということになりましたならば、その責任はどこにあるのですか。その増伐計画誤りであったのか、どうでしょう。
  23. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 木材の増伐計画輸送が非常にアンバランスになっておるということであるならば、これは政府の増伐計画輸送計画がマッチしなかったということで、私は政府責任だと思います。しかしながら、国内木材輸送問題よりも外材輸入の問題、輸入をした木材貯蔵場の問題の方がなお大きな問題であります。従って昨年度は、そういう外材の貯木場からの輸送という面に特に力を注いだわけであります。国内一般の、たとえば秋田材陸上輸送、ことに貨物輸送が非常なネックで、そのために木材価格低落に支障を来たしておるというふうには、私は農林当局からも印象を受けておらなかったわけでありますが、今お伺いいたしましたから、この点をさらに検討してみたいと思います。
  24. 川俣清音

    川俣分科員 農林大臣が増伐計画をしたときに私は進言をして、切ることはよいが、閣議で決定して、建設省、運輸省で協力することにならなければ無意味ではないか、結局消費地木材を供給するということが任務である、従ってこの計画が伴っておらなければこれは無益の増伐になるのではないか、こういうことでわざわざ閣議にかけられたはずでありますから、運輸大臣は当然それに参加しておられるはずだと思います。池田さんのお声がかりで全閣僚が一致しなければできないことであるということで、あの異常な手段をとられたはずであると私は理解しております。そういたしますと、当然運輸大臣は、国鉄に対してそれだけの輸送力があるのかないのか、なければどうしたらよいのかという相談があってしかるべきだったと思います。相談があればおそらく国鉄としては、どういう回答をされたかわかりませんが、現状ではそれだけの輸送に対応できないとか、あるいは万難を排して輸送いたしましょうとかいう回答があったはずだと思います。これは大臣、聞いておいてほしいのですが、大体運輸省というのは計画をしたり管理をする管理職の方が多過ぎて、頭でっかちなんです。これだけの有能な人物をそろえておきながら計画ができなかったということは、計画する人が多過ぎるのじゃないですか、管理職が多過ぎるのじゃないですか。他省と比べてごらんなさい、多過ぎるんですよ。これだけ多くの人員を持っておりながら、なおその計画に乗っておらなかったという責任はだれが負うのですか。国民が負わなければならないのですか、国会が負わなければならないのですか、これは運輸大臣責任を負わなければならないと思います。頭でっかちのものを持っておって、そうして計画はうまくいったけれども、末端がうまくいかなかったというならば別ですよ。計画が即応しなかった、計画ができていなかったという責任はどこにあるか、これだけの膨大な人員を持っていながらそれが達成できなかった責任はだれが負わなければならぬか、この点についてお伺いしたい。
  25. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 木材の増伐計画輸送計画と事務的にどういうように連絡をしておりましたか、私はまだ聞いておりません。事務当局からお答えをいたさせます。
  26. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 ちょっと申し上げますが、大臣は参議院の内閣委員会で採決がありますから、ちょっと中座いたします。
  27. 岡本悟

    ○岡本政府委員 先ほど来輸送力の増強が公約通り進んでない、こういうお話でございますが、確かに新五カ年計画を立てまして、経済成長にマッチする輸送力を持たせるように必ずこれをやりますということをお約束はしておったのでございますが、御承知のように、新五カ年計画の眼目でございます主要幹線の複線化、主要幹線の輸送力の増強ということは、工事に相当期間がかかりますので、五カ年間の余裕をほしい、五カ年たちますと、ほぼ主要幹線の複線化が実現いたします。そうなればあとは御承知のように、車両があれば輸送力は三倍以上に増強されますので、それまでしばらくがまんしていただきたい。しかし年々車両の増備は従来のテンポよりはるかに速いテンポで充実しておりますから、年間五%程度の輸送力の増強はできつつあるわけでございます。しかし、もともと戦後全般的に申し上げますと、もう御承知通り国鉄輸送力の増強整備ということは非常におくれておりますので、依然として、私しょっちゅう言っておるのでございますが、戦争中あるいは終戦直後と変わりない輸送力の困窮状態が続いたわけでございます。これは確かに政府としても十分責任を感じなければならぬ点だと思いますが、いかんせん終戦直後、二十五、六年ごろまでは戦争の打撃の回復に全力をあげざるを得ませんで、輸送力の増強の方はとんとなおざりにされておったわけでございます。そういうことが依然として年がら年じゅう貨車不足の状態が慢性的に続いておるという、まことに悲惨なことに相なっております。そこで、新五カ年計画を立てまして、従来のおくれを取り戻し、あわせて将来の経済成長伸びにも対応していこう、こういう悲願を立てたわけでございます。いましばらくの猶予をいただきたい、かように考えております。
  28. 川俣清音

    川俣分科員 私の質問の答えにはならない。私の尋ねておりますのは、やかましく今問題にしておりますのは、国鉄を初め、運輸省も相当の人材をそろえて、計画については何人にも劣らないという態勢を整えておられるはずなんです。そうじゃないのですか。むだな人がおるのですか。私はそうじゃないと思う。国鉄でも調査役とか、必ず管理職におる人が相当多い。そういう計画については万遺漏ないはずだ。計画は遺漏ないんだけれども、これが実施にあたってうまくいかなかったというなら別です。そういう予定した以外の問題が起きた、そういう説明にはならない。何のためにこんなに人を置いているのですか。今運輸省の二等級、三等級という職員は他の省よりもぐんと多いのです。末端の方が少ない。読み上げましょうか。あなた十分御存じでしょう。これらの者は大てい計画をする人たちなんです。集計をし、統計をし、どう計画をするかという人である。また末端をどう管理していくかという人柄でございましょう。そういたしますれば、計画にそごがありましたなんて言うことができるはずはない。計画にそごがあったのは、政府責任じゃありませんよ。運輸省責任ですよ。そう思いませんか。政府責任ではないと思う。こういう計画政府が実施してくれなかった、あるいは末端がそれに対応する態勢ができていなかったというならば、責任は末端にありましょう、また政府にもありましょう。実際の計画をするところはあなたのところじゃないですか。しかもそれに対応するような陣容ができておるのではないですか、できていないのですか、この点をはっきりしたい。
  29. 岡本悟

    ○岡本政府委員 計画を立てましても、その実現には五カ年の期間を必要とするということをあらかじめ申し上げておるのでございまして、たとえば東北本線の複線化にいたしましても、予算を計上すれば直ちに半年の後には完成するというものでもございませんので、計画は十分妥当な計画を立てておるのでございます。五カ年計画で主要幹線の複線化はほぼやれますということを申し上げておるのであります。
  30. 川俣清音

    川俣分科員 もう時間がありませんから他に転じますけれども、これは行管でも問題にしていただかなければならぬと思いますが、先般の予算委員会においても私が指摘いたしましたように、運輸省の上層部に位する人が相当おられるわけです。また国鉄にも相当上層部の人がおられるわけです。これらの人が計画を立てるのですから、計画誤りがあるわけはないじゃないか。いや予想は五分より伸びないつもりであったとか言うが、それでは何のためにおられるかわからない、その職にあるかわからない、こういうお尋ねをしておるのですが、時間がありませんからその程度にしておきます。  国鉄総裁にちょっとお尋ねしたいのです。除雪費用などは要らないのじゃないかと思っていますが、相当膨大な除雪費用を毎年用意しておられます。これはやはり必要があって置いておられるのではないかと思いますが、この点どうでしょうか。
  31. 兼松学

    ○兼松説明員 除雪費用は要らないのじゃないかというお話でありますが、年によって相当雪害のあることもございますので、一応若干の平均額を見積もっておりますとともに、もしそれよりこえた場合には、予備費で処置するということにいたしております。
  32. 川俣清音

    川俣分科員 その通りだと私は思います。ところが先般集約駅について陳情がありましたときに、たまたま調査に行ったところ、雨が降って雪がなかった。それだから降雪地帯の集約駅に無理に指定する心要がない。私が行ったときになかった、こういう報告があったそうです。毎年降雪があるだろうという予算の組み方は、確かにそうだと思いますが、どっちがほんとうですか。たまたま行ったときになかったから、それでは降雪の除雪の費用が要らなくて済むのだ、こういう考え方が一方にある。一方あなたのような答弁があるのはどういうわけですか、同じ国鉄の中の調査でどういうわけですか。雨が降ったために自動車も通っておったから、ことしはそんなに集約駅にしなくても十分貨車も通るようだから、あるいはトラックも通るようだからする必要はない。たまたま行った日に二、三日暖気が続いて雪が消えておった、だから必要がないのだ、これはあまりにもこじつけだとお思いになりませんか。こんな調査報告を受けておられるとなれば、これは私は実際嘆かわしいと思うのです。私どもは万一のことをおもんぱかって、除雪費用を取って用意しておきながら、よその方は、いや雪が降らないんだ、こういう見方をされることはどうしたことでしょうか。
  33. 兼松学

    ○兼松説明員 もし調査といたしまして、そのようなことがありましたと仮定いたしますならば、まことに不十分な調査ではないかと存じます。私ども、除雪費等につきましては地方別に見ておりまして、除雪費というのは、一応の目安でございまして、都市によりまして、災害が風水害で出ることもございますし、雪で出ることもあるということで、ときどきにございますので、年間の全体の災害として、平均化して全体で処理するように考えております。
  34. 川俣清音

    川俣分科員 私はあなたのその説明は了としている、そうあるべきだと思うのです。それは何も否定してない。ただ、貨物集約駅の申請があった場合に、降雪期であるからして、冬期間だけ集約駅に認めてほしいという陳情がありましたのに対する回答として、たまたま調査に行ったときに雪が降らなかったからその必要がない、こういう答弁とはだいぶ違うのじゃないですか。翌日にも降るかもしれない。そういう状態でしょう、降雪の状態は。これは統計であなた方十分御承知なんです。毎年同じじゃないか。非常に多い年もありますし、少ない年もあります。少ない年で予算を組むわけにもいきません。そこで平均を組んでおる。あるいは冬季の一番最初に多く降る場合、中に多く降る場合、あとに降る場合、型がいろいろありましょう。しかし、常に除雪の費用は用意しておかなければ、完全な輸送機関としての能力を上げることはできないということで、準備をしておられますることはその通りだと思うのです。それには敬意を表するのです。そうあるべきだと思うのです。ところが事集約駅の問題になりますると、たまたま行ったときに雪がなかったから一年じゅうないだろうというこの想定は、これは断わるための抗弁かもしれないけれども、あまりにもこれはこじつけではないか、この点を聞いておるのです。あなたの計画について誤りがあるとは思いません。わざわざ私は除雪費用が要らないと逆に聞いただけの話です。
  35. 磯崎叡

    磯崎説明員 その点は私の方から御答弁申し上げます。全く先生のおっしゃる通りでございまして、多分この間のお話の秋田地区の集約の問題の具体的な例をおさとし下すったことと思います。その点につきましては、私どもといたしましても、たまたまの条件を永久的な制度の基礎にするということは、まさに間違いでございますので、そういった積雪の調査とか、あるいは道路状況の調査につきましては、極力地元の町役場とか、村役場とか、あるいは場合によっては測候所などのデータもとりまして、道路状況等も十分検討するように申しております。多くの中でそういう点があったと思いますので、その点十分注意させることにいたします。
  36. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 川俣君、もう時間が経過しましたから……。
  37. 川俣清音

    川俣分科員 もう一点だけ一つ。これはあとで行管にも問題にしたいと思いますので、お聞きいたしたいと思います。  国家公務員法第百三条に基づきまして処理せられた件数を人事院の事務当局から出さしたわけでありますが、これにつけ加えられまして、私どもの手元へ現に書類が出て、「決裁したものをここへ提出したのであって、実際はまだもぐりがあるかもしれない」という説明が加えられたわけです。これは官房長にお尋ねしたいと思いますが、それで一月から十二月までに各省合わせて百六十件ありまして、承認が百五十件になっております。運輸省が最高でありまして、申請が六十件承認が五十八件となっております。取り下げが一件、非該当で返却したものが一件、こうなっております。各省とも大体十件かせいぜい二十件なのに、運輸省だけが六十件になっております。これは営利企業に就職したものであります。営利企業でないものはこれに入っておりません。これは運輸省というものは、高級職員の就職についてはかなり便宜をはかっておられるとも見えまするし、また情実がこれほどできておるとも見られるのですが、運輸省のお考えを承りたい。
  38. 広瀬真一

    ○広瀬政府委員 御質問の趣旨は、運輸省の職員が営利企業に就職する場合の数が多いのではないかという御質問かと存じますが、ただいま手元に資料を持ち合わせておりませんので、正確な数はわかりませんが、各省と同じように、運輸省の職員が退職後営利企業に就職いたします場合は、手続によりましてそれぞれの段階に応じまして、人事院の承認を得て行なっておりますので、人事院の方は厳正にかつ公正に審査を行ないまして、許可すべきものは許可をいただいておりますし、中には許可をされておらない例もございます。運輸省といたしましては、正当な手続によりまして、好ましくない結果の出ないように心がけております。  こまかい数字等は、後ほどまた御報告をいたします。
  39. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 川俣君、もう十分過ぎております。きょう十一人ありますから……。
  40. 川俣清音

    川俣分科員 私がお尋ねしているのは、人事院から件数をとっておりますが、問題はそういうことではなしに、国家公務員法百三条というのは、本来は営利企業への就職の禁止規定なんです。これはあまりきつ過ぎてはいかぬというので改正になっておりますけれども、本来は営利企業と隔離するということが規定の本旨なんです。ただ、人事院の許可があった場合はこの限りでないという規定だけでありまして、本来は営利企業と隔離するということが目的の条項です。そして身分を安定させて、従って営利企業などに入らぬようにというのがねらいであると思うのです。ところがあなた方の方は、営利企業といいましても、全く運輸省と関係のないところに就職されたり、会社を作ったりすることまで私はやかましく言おうとは思いません。運輸省でいろいろ知識を得て、そこで資格を得て、そして営利企業に入っていくということは、運輸省を土台にしている。就職率の高い学校に入っているようなものだと思うのです。それではほんとうの運輸行政にはならない。どうしたならば関係の営利企業にうまく入れるかということが念頭にあるのじゃないか。それでなければ、こんな大きな件数が出てくるわけはない。上級職ばかりじゃない、下級職もみんなそうなんです。運輸省ほど情実のある官庁はないという世間から非難がある。私はそれを擁護したいと思うのです。そこで運輸省の管轄内の企業に入ることはできるだけ避けて、世間のそういう誤解を阻止することが官房長の責任じゃないかと思うわけです。全部大臣の決裁です。どこへ勤めたかということまで私は知っております。今そんなことでものを洗い出すなんという考え方じゃないのです。これは木暮大臣のときにも私は指摘しておったが、依然として改まらない。これが営利企業といったって、全く運輸省と業務の関係の薄いところにお入りになるならば、これはそこまで、一定の年令に達した人が就職されることを拒むこともなければ、阻止することも必要じゃないと思います。運輸省の行政監督を受ける地位に入られるということは、運輸行政をして正しい運営をさせるゆえんではないと思うので、お尋ねしているわけです。
  41. 広瀬真一

    ○広瀬政府委員 公務員法の趣旨はまさにおっしゃる通りでございまして、私どももその精神に沿いまして、十分慎重に運営していくつもりでございます。ただある程度の年令に達しまして退職する場合には、やはり再就職ということも必要な人が多いのでございます。そういった点、関係の法規に従いまして、就職を希望する場合には、人事院の許可を取りまして行なっておるようなわけでございます。運営についての方針は、あくまで先生のおっしゃる通りに、世間から疑いの目で見られないように、また就職したがために、運輸省の行政が妨げられることのないように十分注意を行なっております。
  42. 川俣清音

    川俣分科員 そこで、各省より運輸省は比較的多い。比較的じゃない、何倍か多い。たとえば大蔵省は昨年の一月から十二月までに二十四人、通産省が多いと言われておりますけれども二十七人、運輸省は六十人ですよ。農林省は一人、郵政省は三人、労働省は一人、建設省は十五人。それと比較して六十人というのは何としても多いじゃないですか。これがいわゆる営利企業に入りましても、全然関係のないところにお入りになるならば、先ほどから言う通り、私はできるだけあっせんをしてやることが必要だと思う。同僚に対する親切だと思います。官房長の任務だと思います。勇退させなければならないという場合には当然起こってくる問題ですから、これは官房長は大いに働かなければならぬところでございます。ただ問題を指摘されるようなところにあっせんすることは、国の機関を利用して就職するということになると思う。運輸省におったからその方の知識が非常に高いだろう。運輸省に何年もお世話になって、そこで得た知識、そこで得た経験を持って就職するということは許されないと思う。公務員の身分というものは、他に就職しなくても安定させるということが公務員法の目的でなければなりません。またそういう行政でなければならない。しかしながら、今の制度は必ずしも老後の安定をするような十分なものでございませんから、就職をあっせんされるということは必ずしも私は拒まない。しかしながら、運輸省の監督下にあるような機関に入ることは、監督できないことになる。上司が監督される地位についた場合には、課長や課長以下のものが監督できますか。今まで上司であったものが民間へ入ったら、急にそれじゃおれが監督するのだということはできないでしょう。かつて佐藤榮作君が自動車局長のときに、東急に対して監督があまりに厳重であったということで、五島慶太が運輸大臣になると、すぐその日に辞表の提出を命ぜられたことがあるのです。そんなべらぼうなことはないというので、それじゃ一等を減じて大阪の鉄道局長に転任させられたことがある。あなたの方の記録を調べてみなさい。あるのです。そうなんです。監督をするものが民間に入るということ、監督される身になるということは、これはいい行政ができないということになるのじゃないかと思いますので、これは木暮大臣のときから私は注意しておるが一向に改まらない。改まらなければ、ここでもう一度問題にしなければならないじゃないですか。官房長、どうですか。
  43. 広瀬真一

    ○広瀬政府委員 運輸省の出身者が、監督される営利企業等に参りましても、そういったこととは関係なしに、監督行政というものは従来とも厳正にやっておりましたし、今後も十分先生のおっしゃる点を頭に入れまして、行政の曲がることのないように運用していくつもりでございます。
  44. 川俣清音

    川俣分科員 資料を持って参りましてやってもよろしゅうございますが、これで終わります。
  45. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 楯君。
  46. 楯兼次郎

    ○楯分科員 私は主として海運問題をお聞きしたいと思いますが、その前に今、川俣委員から陸上のことで質問がありましたので、これに関連して二、三お伺いしたいと思います。  こまかいことは申し上げませんが、第一は、昨年運賃値上げになりましたときに、五カ年計画実施中は運賃値上げはやらない、こういうことを、大臣はかわりましたけれども、再三言明をしておられます。ところが私の方で考えますと、やがてある程度の賃金値上げ仲裁裁定というようなものも出てくるであろう。五カ年計画の工事費も物価の値上がりによって、当初予定したより予算単価が上がってくるであろう。それから国鉄の借入金の返済あるいは借入金の利子等も年々膨大になっていくであろう。あるいは利用債の返還も迫ってくるであろう。こういう点を考えますると、三十七年度ぐらいは、裁定が出ましてもどうにかまかなっていけるであろうと思うのでありますが、それ以後の年次においては、賃金値上げをむちゃに抑圧するということもできませんので、公労協並びに公務員並み以上のベース・アップということは常識として考えられるわけでありますが、以上申し上げましたような点を総合いたしますると、そうした場合に、一体どこから資金をまかなってくるか。これが、大まかに見て、将来の国鉄の大きな問題だろうと思いますが、こまかい点は要りません。将来の問題でありまするから、これはわかりませんけれども、そうした場合に、その原資をどこからまかなってくるか。この点について、国鉄当局並びに運輸大臣に、簡単でけっこうでありまするから、そうなった場合にはこうだ、こういう現在の心がまえを一つお伺いをいたしたいと思います。
  47. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 国鉄運賃値上げを、賃金のベース・アップ等の原因から五カ年以内にやるというようなことにならざるを得ないのじゃないかという御質問のようでございますが、国鉄運賃値上げ国民経済に及ぼす影響が非常に大きゅうございます。従いまして、ただいまのところでは、ここ数年の間は運賃値上げによらないで参りたい、かように考えております。
  48. 楯兼次郎

    ○楯分科員 私の聞いておるのはそうではありません。もちろん、前の値上げのときに、やらないということを、内閣責任において、各委員会で再三再四言明をしておるわけであります。運輸大臣がかわっても、これは踏襲をされていくであろうというように思います。しかし、大ざっぱに考えても、では値上げによらないところの原資をどこからまかなってくるか、その必要性が必ず起きる、そうしなければ運営ができぬじゃないか、こういうふうに私ども考えておるわけです。従って、もし金の要る場合に、値上げをやらないとすれば、どのような方法によってまかなわれるおつもりであるか。これは将来のことでありまするから、わかりませんので、簡単でけっこうでありますから、心がまえを一つお聞きしたい。
  49. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 今後の賃金のベース・アップが値上げをやらなければならないように必ずなるであろうということにつきましては、私は必ずしもそうだというようには考えられないわけであります。できるだけ賃金値上げをやらないで、そうして待遇改善のやれるような行き方が望ましいと考えまするし、また仲裁裁定は企業の健全な運営という点も考慮をしてされるものと考えます。従いまして、将来の予測のできない点を前提にいたしまして、その原資はどこから得るのだということは、ちょっと差し控えたいと思います。
  50. 楯兼次郎

    ○楯分科員 この問題について議論をいたしますると、とても四十分や五十分ではできませんので、私はやめますが、物価の値上がりあるいは分配国民所得の国際的比較、これは諸外国で非常に低賃金だ、低賃金だと言われておるのを考えましてわかるように、これは常識です。だから、今あなたは非常に答弁のしにくい立場にありまするから、将来の予測はわからぬ、現在の状態でまかなっていきたい、それはけっこうでしょうけれども、そういう状態にはならない。おそらくもうこの国会が終わるか終わらないうちに、その問題が現実となって現われてくると私は思うのです。その前に、どうしてまかなうのか、そういうことを私はお聞きしておるわけです。しかし、大臣の立場でどうしても答えることができないといえば、制限された時間でありまするから、後日の委員会に譲って次へ飛びたいと思いますが、どうですか。
  51. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 私は、将来のベース・アップはできるだけ生産性の向上に見合ったベース・アップというものが望ましい、従いまして、国鉄の経営の合理化とか、その他生産性の向上ということにまず主眼を置かなければならない、かように考えております。
  52. 楯兼次郎

    ○楯分科員 生産性に見合った賃金ということになれば、あなたがお帰りになっていろいろお調べになれば、いかに国鉄労働者が生産に見合わない賃金を得ておるかということがはっきりすると思います。しかし、これは議論でありまするから、次に移りたいと思います。  次の問題は、東海道の新幹線があと数年で予定通り完成されると思いますが、その間、私が心配をいたしますのは、貨物、旅客を現在の東海道線によって輸送できるかどうか、新東海道線の営業開始までに東海道の輸送ということがスムーズに行なえるかどうか、これが心配でありますが、円滑に運営できる確信ありやいなやということを一つお伺いしたいと思います。
  53. 磯崎叡

    磯崎説明員 東海道線の客貨の輸送量の伸びは、先生の御指摘通り全国平均の輸送量の伸びを相当上回っております。従いまして、現在の、策定いたしました輸送力昭和三十九年までやれるかどうかということにつきましては、私どもも非常に苦慮いたしておりますが、現在すでに東海道線はほとんどこれ以上列車を入れられないというほどのダイヤを引いております。ことに昨年の十月に思い切って旅客、貨物の増発をいたしました。もっとも貨物列車は年じゅう動いておるわけではございませんが、ダイヤ面ではほとんど余力がない程度に列車を設定いたしまして、あとは何とかすいている時期、すいている時間、あるいは貨物列車につきましてはもう少し輸送のやり方を工夫するというような方法によりまして、ここ二、三年の輸送伸びを消化して参りたいというふうに考えております。
  54. 楯兼次郎

    ○楯分科員 新東海道線が完成するまでにあと三年、それはできるでしょう。それはもうフル運転でできるんだと思いますが、そこで迷惑をするのは、たとえば、私の力の関係は中央線でありますが、その他の線もそうだと思いまするけれども、そちらが迷惑をするわけです。  簡単に申し上げますると、たとえば貨物輸送は少し迂回輸送になってもまず中央線の方へ回してやれということで、経路でない貨車がどんどんと中央線へ入っていく。中央線の非常に勾配の多い山の中では、列車の延長も非常に短い、牽引力がないというようなことで、輸送がはけ切れない。従って、沿線住民の業者の貨物積みについては制限をする。これでは商売がやっていけないというのが現実なんです。だから、東海道線はダイヤ一ぱいに動いておるけれども、その余波が、これに連絡をしておるほかの幹線へ入ってくる。従って、その沿線の住民が非常に圧迫をされて、旅客も貨物も大打撃を受けつつある。将来を想定いたしますと、えらいことになるというのが率直な意見なんです。旅客は列車に乗れないから、旅行をするときにはバスに乗る、道が悪い、大型バスが行く、そこで事故が起こる、死傷者が出る、一口に言えば、こういう現象なんです。  だから、先ほど川俣委員の質問を聞いておりますると、五カ年たったら大体の御希望に沿えるようになるであろうということを御答弁になっておりまするけれども、五年間で当初の計画通りにやられていくということでは、これは実際の輸送の流れ、実情に合わぬのではないか、こういう気が私は最近痛切にしてくるわけでありますが、当初の計画通りに五カ年計画を実施していくのか、多少とも実情に合った方向にこれを手直しをしていく意思があるかどうか、こういう点をお伺いしたいと思います。
  55. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいま御指摘のございました東海道線の輸送力が詰まっているために、たとえば中央線を経由するというようなことは確かにやったことはございます。ただ私どもといたしましては、極力事故等の応急の場合以外は中央線経由を実施してはいかぬということにいたしておりますが、そうでなく、たとえば当然北陸線舵経由すべきものを東海道線へ回す、あるいは羽越線を経由すべきものを東北線に回すという大きな迂回は現在でも相当いたしております。これら大幹線同士の迂回はやむを得ないといたしましても、中央線と東海道線につきましては、極力中央線のお客さんに迷惑をかけないようにいたしたい、こういうふうに考えております。  五カ年計画につきましては他から申し上げます。
  56. 滝山養

    ○滝山説明員 当面の輸送につきましては磯崎常務がお話しした通りでありますが、五カ年計画の遂行につきましては、例を中央線にとりますと、東海道新幹線が予定通り完成されることがやはり何といっても根本だと思いますが、中央線につきましても五カ年に、ことに西の方については多治見までの間あるいはその先の隘路区間を部分的に複線化する計画で、春日井まで工事に着手しておりますが、それからまた多治見までも工事に出せるように準備を進めておるわけでございますが、やはり輸送は生きものでございますので、部分的に困ったところについては先に手当をしなければならない。また資金その他の問題もございますので、部分的に、全部ができなくても中間、特に困ったところに先にやるとかいろいろなことを技術的に検討いたしまして、輸送の御迷惑をおかけしないような措置を今検討しながら隘路を打開していきたい、こう考えております。
  57. 楯兼次郎

    ○楯分科員 中央線の例を引いて恐縮でございますが、貨車の足らぬということは、全国的な情勢であると思います。だから、この問題については、車両を増備してもらいたいということ以外にないと思うのですが、中央線の現状はそうではないのです。貨車があっても、いわゆる牽引定数といいますか、輸送の力の問題で輸送ができぬから積み込みを制限する。貨車を目の前にしながら、引っぱっていけないから積んじゃいかぬ、こういうやり方をやっているわけです。積み込み制限をずっとこれはもう十年も、戦争前からやっておるのじゃないかと思うのですが、いつまでたっても解決をしない、こういうことであります。東海道線が輻湊してくると、これはおそらく東京付近は旅客、貨物が中央線にそのしわ寄せが来ますので、ぜひ一つそれまでに何とか増強策を講じていただきたい、こう思います。  次に海運問題に入りますが、私の海運問題に対しまする疑問は三つあります。私は陸の方でありまするからしろうとでありますが、どうも運輸省が発表する文書あるいは説明を聞きましても、しろうとであるわれわれ並びに国民は納得できない点が非常に多いのです。そこで一つ簡潔に三点の疑問点を質問をいたしますので、しろうとにわかるように大臣には一つ御説明をしていただきたいと思います。  まず疑問点の第一は、今の運輸省の海運政策というものが一貫しておらぬ。具体例を申し上げます。それは最近輸出振興策としてとられておりました船の運賃収入の八〇%相当額を課税所得から控除をした。これは輸出振興並びに海運の振興にも関連をするわけでありますが、この租税特別措置法が一部改正になりまして、そういう特例は認めない、こういうことで今池田内閣は一これは新聞の報道によりますると、閣議決定をしておる、こういうことが報ぜられております。ところが、一面においては運輸委員会で資料が出ておりまするように、合理化審議会の云々というようなことで、利子の補給をやる、あるいは開銀金利のたな上げをやる、三国間輸送の助成策を講じる、こういって盛んに助成策を講じております。同じ政府で一面においては国費を使って日本海運の振興をやらなくちゃならぬというのでいろいろな手を使って助成をしておる。一面においてはもう今までの恩典は認めてやらぬぞということになっておる。まあいろいろこの積算は違いまするけれども、この租税特別措置法が改正になりますると、さしあたって二、三億円くらい業者は損をするであろうということが言われておるわけであります。一体、同じ政府で、片方ではこれは困るから振興しなければならぬから金をやるといい、片方では今までの振興政策といいますか、助成政策をぶち切ってしまうという。こんなことで一体日本海運に対する池田内閣の政策というものが一貫しておると思いますか。私はしろうとでありまするから、新聞あるいはその他等から聞いてこう考えるわけでありますが、どうですか。
  58. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 御指摘の点は全くその通りでございまして、実は閣議決定の際に私もそういう点が輸出所得控除の臨時措置法の中に含まれていることを実は知らなかった。で、閣議決定をして後にそういう影響があるということを知りまして、閣議でもこれを持ち出しまして、大蔵省もさように大きな影響があるということを大蔵大臣あるいは首脳部も十分知らなかったようでございますが、非常にあの条文がむずかしいので、いろいろ運用その他ぐるぐると回って参る、そういうことになってくるということがわれわれ首脳部にわかりまして、場合によったら政府で修正をしていただくか、あるいは各党の御了解をいただいて御修正を願おうかと今考えておるわけでございます。あの点は事務の連絡の不十分でまことに申しわけのない次第だと考えております。
  59. 楯兼次郎

    ○楯分科員 運輸大臣がきわめて低姿勢でそういうことを言われればこれは追及を私はいたしませんが、国民はこういう記事を見て、私が先ほど申し上げましたように、一方では終戦以来大騒ぎをして日本海運の振興等を口にしながら、一方ではこういうことをやっておる。これは朝三暮四というか、片方で与えて片方でぶんなぐるというやり方をやっておる。社会党はこの問題について賛成、反対ということを言っているわけではないのです。こんな統一性のない矛盾した政策をやっておって、何が日本海運の振興であるか、こういうことを言いたいわけです。これが第一の疑問です。  それから第二の疑問は、過日の予算の本委員会において私はシップ、アメリカンによる損害はどのくらいあるか、こういうことをお聞きいたしましたが、大臣答弁では納得できません。大したことはございません、こういうあなたは答弁をされた。速記録をごらんになればはっきり出ておるのでございますが、そう答弁をしておられるのです。どうもバイ・アメリカン、シップ・アメリカンと言って大騒動しておるのに、大した影響はない、こういう答弁ではどうしても納得いかない。そこで海運局の方にお伺いをしたいと思いますが、シップ・アメリカンによって、今米国あるいは日本船は五〇%・五〇%の比率で輸送されておる。この損害だけでも、私ども運輸省の文書によって見るところでは、約百億円あるということが言われている。ところがこれが最近今度は米船七〇%、日本船三〇%ということに、特に米輸銀等の借款についてはそういう比率でなければ金を貸さない、こういうことが報ぜられておるわけであります。そうなりますると、損害はまだ増大をしてくると思います。一体シップ・アメリカンによる北米航路並びに対米航路の日本の受ける損害は幾らであるか、お聞かせを願いたいと思います。
  60. 亀山信郎

    ○亀山説明員 ただいまの御質問でございますが、私どもで現在まで調べましたところでは、シップ・アメリカンの影響を受けますのは、米国から日本への輸出、逆にいうと日本輸入の雑貨類であろうかと思っております。そのうちで北米太平洋側、つまり日本側へ向いているサイド、サンフランシスコとかロスアンゼルスの方面でございます。この方面から日本輸入しますものの日本船の積み取り比率がシップ・アメリカン運動以後どういうふうに変化したかということを見て参りますと、一九六〇年、この年にシップ・アメリカン運動が起こりまして、このときはちょうど日本船が太平洋岸から日本輸入するものにつきましては五〇%を輸送しておりまして、米船が四〇%で第三国船が一〇%、この割合が、シップ・アメリカンの効果であろうと思われますが、一九六一年には日本船の積み取り割合は三九%、アメリカ船の積み取り割合は四九%、こういうふうに変化をして参っております。なお最も重要でありますニューヨーク方面、大西洋岸から日本へ参っております品物につきましては、一九六〇年が日本船は八三%取っておったのが、一九六一年には七五%に若干の低下を見ております。なおメキシコ湾、ガルフ航路と言っておりますが、その方面からの日本への輸入は、一九六〇年と一九六一年ではむしろ六一年の方が若干増加をしております。従いまして、この三方面の合計を見ますと、積み取り比率においてはやや低下し、米船との割合が減っておりますけれども、もちろん全体としては日本船が五七%でございまして、これは輸入の増加に基づくものだと思いまけれども日本船の運びました絶対量は六〇年より六一年の方が増加したと見ておるのでございます。  また、御指摘のございました輸銀借款に関する問題でございますが、最近電力会社等の輸銀借款におきまして、今まで大体五〇%の邦船積みを認めておったのが、最近ある一社七〇%という例ができたのは、実は米国側が、輸銀側が輸入する機械類等の代金のほかに、米船で積みます場合には、その運賃まで輸銀の借款の対象にする、米船以外が積む場合には、運賃部分は借款の対象にいたさない、こういうことを行ないました結果、電力会社については、電力会社の資金事情その他からやむを得ず運賃部分も借款を得るということになりまして、この改正につきましては、日本船の積み取りが五〇%を割るという事態になりました。当方といたしましては、大蔵省あるいは通産省等の関係の役所に相談をいたしまして、こういう借款のやり方は邦船の活動にとって支障を来たすものであるから、今後はそういう輸銀の借款は邦船の積み取り比率の五〇%を確保するように借款の交渉あるいは許可を政府の役所がする場合に、そういう点を十分考慮してやっていただきたいという申し入れをいたしておりまして、大体の方法としては、大蔵省等関係の役所にも了承を願っておりますが、今後そうたくさんこういう事態が起こることはないものだと思っております。
  61. 楯兼次郎

    ○楯分科員 米輸銀の借款は、現われてきた七対三のパーセンテージは、係数からは少ないかもしれませんけれども日本船の積み取りについては借款できないでしょう。そういう方針を米輸銀はとっておるのですから、統計は少ないでしょうけれども日本の産業に与える影響は多い。これは、時間が制約されておりまするから、こまかい点には入りませんが、特に大臣に私が不満であると申し上げるのは、箱根会談でもシップ・アメリカンは重要議題の一つでしょう、あなたは箱根会談にどうしても参加しなければならぬと言っていて、ついにどういう都合か知りませんけれどもメンバーにならなかった。当時の新聞はあなたがふんまんをぶちまけておられるように私どもは読んでおるわけであります。ところが、今度国会に来て答弁をされると、大したことはない、これは一体何をやっておるのか。新聞が事実を報道しないといえばそれまででありまするけれども、箱根会談の主要なる議題にしながら、どうしても出席をしなくちゃいかぬと言いながら、国会答弁では、大したことはない、こういう不統一なことでは、日本海運に対する政策、対策というものを一体運輸省は本気で言っているのかどうかという疑惑を持つのは、私ばかりじゃないと思うのです。これが第二の疑問であります。バイ・アメリカン、シップ・アメリカンというのは、アメリカの金保有量その他EECとの関係で将来永続をするもので、もうあまりこんなものにたよっておってはいかぬと思うのでありますが、それはそれといたしまして、一つ強腰でこういう点を米当局に交渉していただきたいと思います。特に、最近伝えるところによりますると、シップ・アメリカンばかりではない、フライ・アメリカンというようなことまでいわれておる。一つお願いをしておきたいと思います。
  62. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 私は先般の予算委員会でシップ・アメリカン問題は大したことはない、大した問題ではないとは申しておらぬのであります。言葉は足りないかしりませんが、今まで受けた損害はどうかということでございましたから、今までの損害はそう大したことはない、むしろ今後シップ・アメリカンを強化されてくるということは非常な問題であるから、さようなことのないようにということを厳重にアメリカ当局とかけ合っておる、こう申しておるわけであります。その点御了承を願います。
  63. 楯兼次郎

    ○楯分科員 シップ・アメリカンといえば、日本が損害を受けるということでしょう。そうでしょう。シップ・アメリカンということは、日本運輸大臣として、日本に対する影響があるのは、日本が損するということじゃないですか。同じことじゃないですか。あなた速記録を見てごらんなさい。大したことはございません、大した影響はございませんとはっきり言っているじゃないですか、私はここに来る前確かめてきましたよ。おかしいじゃないですか。シップ・アメリカンと日本の受ける損害と問題が違うという具体的根拠を言ってみて下さい。
  64. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 今までにどれだけの損害を受けているかという御質問でございましたから、今までの受けた損害はそう大したことはない、しかしこれからシップ・アメリカンを強化されてくると非常な損害になりますから、将来そういうことにならないように厳重にかけ合っておる、こう申しておるわけであります。
  65. 楯兼次郎

    ○楯分科員 まあ私どもは、国全体の予算あるいは外務省の全予算から見ればどうか知りませんけれども運賃の二〇%、三〇%というのは、相当これは膨大な損害であるというふうに考えておるわけです。しかし、あなたが今までの損害は大したことはないとおっしゃれば、これは議論の余地はないわけでありまするから、次の疑問点に行きたいと思いますが、私どもが第三番目にどうしても疑惑が解けないのは、こういうことです。日本は船を充足しなければいかぬ、どうしても船舶を増強しなければいけない、需要に対する五〇%くらいしか現在日本には船がないので、早急に増強をしなければいけないというのが、常識的な、今日までわれわれの聞いてきた政府の主張なんです。ところが、幾ら船を作っても、何年たっても償却もできないし、借入金も払えないというところに、不思議さを感ずるのです。簡単に言うと、品物が足りなければもうかるはずなんです。ところが、船は足りなくて需要が多いんだが、終戦後十何年たっても少しももうからぬという点が、どうしても割り切れないのです。私は、昭和二十八年に、やはりこの委員会で、当時の海運局長である先ほど部屋に入って参りました岡田さんにくどく質問をしたことがございました。そうしたら、岡田さんは、あなたは岐阜県のような海のちっともないところにおられるから海運事情がおわかりにならぬだろう、しかし、船というものは、今何千億円の借金をしておっても、一朝景気がいいという言葉は当てはまるかどうか知りませんけれども、波に乗ったならば、一挙にそんな借入金等は挽回できるものである、こういうことを言われたわけです。私はしろうとでありまするし、政府の大権威がそういうことを言うわけでありますので、そんなものかなと思っておった。ところが、その間朝鮮事変が起きた、スエズ運河の事件が起きた、もう海運はもうからなくちゃいかぬと思って、その後の国会でこの方の関係の文書を見ると、やはりやれ償却ができない、利子のたな上げをしてくれ——これはほかの産業はどうですか。われわれ社会党は資本蓄積あるいは膨大なる設備投資というようなことには反対でありますけれども、しかし好景気の影響を受けてどんどんもうかっておるでしょう。ところが、海運だけは、山におる人はそんなことを言ったってわからぬのだ、やがて一挙にそんなものは挽回しますよ、こう言いながら、朝鮮、スエズ等の——われわれはああいうことは反対でありますけれども、とにかく日本の資本主義経済にとっては絶好の場面に遭遇しながら、また開銀利子のたな上げをやってくれ、やれどうだ。これでは一体このようなものはもう作ったら損じゃないですか。だから、結論として申し上げますと、今の状態では、日本海運というのは私企業としてはもう成立しない、私は十年間国会におって、しろうと考えでありまするけれども、今日までの推移を見まして、そう断定せざるを得ない、こう思うのでありますが、第三のこの不思議について明快なる回答を願いたい。
  66. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 十年前くらいには海運のブームが来て、今までの借金等も返せる、こう考えていたのは昔の考え方でありまして、楯さんも御承知のように、今日のような国際情勢になりますと、十年に一度そういうようなことがあってはいけないので、おそらく今後そういうようなことはないということで考えていかなければならぬ、かように思います。しかしながら、当初の日本の造船計画も、十年に一度のブームを夢みて作ったのではないと私は考えております。ただ過去に作りました船は、だんだんといわゆる船の経済性が発揮できなくなってくる。船の形が大きくなってくる。非常に優秀船ができて参りましたために、過去に作った船は採算がとれないという状態になっているわけであります。今後作って参ります船は、昨年から利子補給等の制度も設けてもらって——その船だけについて見れば将来採算がとれる、原価償却もできる、ある程度の利潤も見られるという計算のもとに、今後の船は作るようにいたしておるのであります。過去に作りました船は非常に非採算性の船が多くなっておって、減価償却も非常に不足が多くなってきた、元本も返済ができない、こういう状態にありますので、従って過去の分を一日も早く通常の状態にしたい、かように考えておりますのが海運政策の重点であります。
  67. 楯兼次郎

    ○楯分科員 時間を厳守せよということでありますのでやめますが、そういう抽象論でなくて、私も三つ具体的に申し上げておるのでありますから一あなたの言われるようなことを、運輸大臣は、私が国会におるときに、ずっと言ってきたのです。だから、朝鮮やスエズ運河のような海運にとって絶好のチャンスに遭遇しながら、なおかつ現在のような状態である。むずかしい修飾語や抽象論は要りません。一体どうやったらそれはやっていけるのか、元本償還、自立できるのか、経営ができるのか、それを一つ、大臣で工合が悪ければ、専門家から具体的に簡単にわかるように御説明していただきたい。
  68. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 大体過去の分につきましては、今日元本の償還の未済が約七百億あります。それらは御承知と思います。従いまして、今海運会社が負うております計画造船の分について、利子を半額五カ年くらい猶予すれば、今の点はなくなるであろう、健全な基盤になる、こういう計算をいたしております。従って、その施策をやりまして、そういう考え方で各海運会社も五カ年以内に元本の償還、償却不足をなくするということを前提にして計画を立てさせて、こういう計画が立ちますというところについて、政府はそういうような助成をやりたい、こう考えております。
  69. 楯兼次郎

    ○楯分科員 どうもわからぬ。それはこういうことなんです。数年前までは、せめて利子の補給くらいしてもらったら、日本海運は立ち直ります。これを強調して利子補給ができたわけです。できると、今度は、五年間たな上げしてもらったら再建ができます。私はこういうことは聞きたくないのです。だから、私が質問を申し上げておりますのは、船運賃がうんと高くなればもうかるのか、あるいはどこかに何かあればもうかるのか、あるいは今のような日本の船では立ちおくれだ、これを全部改造してでかいものにすれば、性能のいいものにすればもうかるのだ、そういう具体的なことを、簡単でけっこうでありますから、一つお聞きしたい、こういうことです。
  70. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 これは運賃がうんと上がればもうかるにきまっておる。しかし運賃が上がるということは予見できません。だからそういうことを考え施策をするわけには参りません。従いまして、もうかるというよりは、これから日本経済成長に見合う輸出入貨物を、もし作らないとすれば今後は外国船にたよらざるを得ないのでありますから、そういうことでは運賃を全部外貨で払わなければならぬ。先向きの、たとえば五カ年の間に四百万トンという船を日本船で作っていくことをどうしても考えなければならぬ。それには、今の借金の多い、よたよたしている海運会社では困る。この基盤を強化して資本構成もよくしていかなければ、日本の新造船はできなぬ今おっしゃいますように、過去のものは全部たな上げにしてしまって、国で船を作って、国で船を運航するということも一つの考え方です。そういう意見を言われる人もありますけれども、しかし今後何百万トンという船を政府が作って運航するというあり方は、日本自由主義経済の基調に合わない、その方針はとらない、私はかように言っておるのであります。
  71. 楯兼次郎

    ○楯分科員 繰り返しになりますが、大体今の船ではあかぬ。数も多くしなければいけないし、もっと性能のいいものにしなければいかぬ。そこに焦点があるようであります。  先ほどからだいぶ時間を請求されておりますので、これでやめることにいたします。
  72. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 田中織之進君。
  73. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 大臣は党との関係でお急ぎのようでありますから、最初大臣に質疑を申し上げたいと思います。  ただいま同僚の楯委員から海運政策について質疑が行なわれたのでございますが、また大臣が今与党との連絡のために参られるということも、海運政策に関する問題で運輸当局としての御意向を党の方へ伝えられるためだと伺っておるわけであります。過般運輸委員会においても、海運基盤強化の問題について大臣に御質問を申し上げたのでありますけれども、今朝の読売新聞によりますと、大蔵大臣もようやく利子のたな上げについて腹を固められたような報道がなされております。少なくとも予算の面におきましては、利子補給の問題が前年に引き続いて本年も計上せられておるにすぎないのでありますが、今朝の新聞にございますように、また過般運輸委員会において私からも質問の中において申し上げましたように、過去の融資に対する利子の補給という問題よりも、もっと積極的な、いわゆる前向きの立場における基盤強化のための施策というものが、今海運業界として一番望んでおる点ではないかと思うのであります。そういう意味で、大蔵当局も利子たな上げの問題に踏み切ったということになりますれば、一つの前進をするのではないかということが期待されるわけでございます。これはまだ閣議決定というところまでは参らないようでありますけれども、かりに大蔵当局がそういう決意をしたということになりますれば、現在国会で審議中の予算では、海運の基盤強化についての処置が、現在計上しておる利子補給の点だけでは不十分になってくるのではないか。そういう積極的な面の予算的な措置は、もちろん今後関係法案等の提出も当然予想されるわけでありますけれども、特別にお考えになる御意思でありますかどうか、まずこの点を伺いたいと思います。
  74. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 先向きの、今きめられております今後作る新造船について利子の補給をもっと厚くするとかということでありますと、これを本年度からやるということであれば、また予算に変更を来たさなければなりません。ただいまのところではその点は考えておらぬのでありますが、昨今の金融情勢その他から考えまして、もし十八次船が今まで通りの利子補給でどうしてもやれないということになれば、そのときに御処置を願わなければならぬかと思っておりますが、ただいまのところでは大体やれると考えております。  そこで、いわゆるうしろ向きの利子のたな上げの問題でございますが、これがいよいよ政府でも意見が一致をして法案が出せるというようなことにでもなりました場合におきましては、このたな上げは来年度から起こってくる、かように考えております。しかもこれは入ってくる利子が入ってこないというわけで、歳入の方に関係を来たしてくるわけであります。利子をたな上げいたしますと、そのかわりに元本として返済をいたして参りますから、元本を回収するところの収入がふえてきて、利子の方の収入が減るという、いわゆる歳入予算の方への関係になって参るわけであります。しかもそれは先ほど申しますように各会社について計画を立てて出してくるわけでありますから、実際の実施は来年度ということになりまして、歳入予算につきましても来年度に変更を見るというので、本年度予算には関係がない、こう考えておるのであります。
  75. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 そういたしますと、運輸省予算に別途出ております整備計画審議会の結論を待って、かりにうしろ向きのたな上げ方針が確定いたしましても、実施は、予算的な処置の問題は明年度からだ、このように理解してよろしいわけですか。それから、その場合にたな上げによる利子の総額というようなものについては一もちろん利子をたな上げいたしましたならば、大臣の御答弁にありましたように、元金の返済という形で歳入関係は変わって参ることは理解できますが、その場合にも一応押えたいと思うのですが、金額の点はどの程度に見込まれておりますか。お手元に数字があれば、お聞かせを願いたいと思います。
  76. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 利子全部について半額たな上げということになりますと、これは四十数億、五十億近くの額になるわけであります。しかし、該当する船会社がどれだけあって、そうして、どうだという点がもう少し詳細に参りませんと、今どの程度ということを申し上げるわけには参りません。最も多くて四十数億ということでございます。で、それにほとんど見合うものが元本として返ってくるということであります。
  77. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 海運政策のさらに具体的な問題については、私も運輸委員をいたしておりますので、その委員会でさらに伺うことにいたしますが、あと引き続き港湾のことについて、少しく政府委員にも予算に関連をしてお伺いをいたしたいと思う。  その点で、過般大臣にも御質問申し上げました、三十六年度を出発点といたしまするいわゆる港湾整備五カ年計画、私質問申し上げて数日後に閣議決定の運びになったように新聞で伺っておるわけであります。まだ委員会の方には報告を実はいただいておらないわけでございますが、その点から見て、本年度予算的な措置との関連で、本年は五カ年計画の第二年度ということになるわけであります。大体事務当局で閣議決定に至る案を基礎として予算の要求が行なわれておると思うのでありますが、整備計画閣議決定を見た段階におきましては、その予算関係については現在計上しておるもので十分なのかどうか、その点計画と本年度予算との間にずれはないかどうか、この点を大臣から伺っておきたいと思います。
  78. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 五カ年計画年度別をきめておりませんので、従ってこれは港湾の種別に大体きめております。そこで、予算委員会でも申し上げたと思いますが、二千五百億の五カ年計画は、日本経済成長の度合いから考えますと、これを早めなければなるまい。四年かあるいは早ければ三年半、まあ四年ぐらいには早めなければなるまい。しかし、それは今後の情勢を見る必要があるというので、閣議決定の際には今後の情勢によって修正することがあるべしということを私も発言をいたし、そういった含みで決定をいたしております。従って、本年度の港湾費は五カ年計画の中のものでありますが、しかしながら昨年に比べて本年度の増加割合でずっと続けていきますと、三年半か四年足らずで五カ年計画を実施してしまうという率を本年度は採用しておるわけなんであります。大蔵省では三年半あるいは四年で片づけてしまうのは了承しておりませんが、昨今の港湾の状況にかんがみて、本年度はこのくらい要るであろうと、運輸当局が認め、大蔵省も認めた予算でございます。
  79. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 せっかく五カ年を区切って計画を立てられた。これは所得倍増計画に基づくいわゆる十カ年計画の前半の計画だ。所得倍増計画によりますと、港湾関係の投資総額はたしか五千三百億、こういう押え方であるわけです。今大臣が御答弁になるような趣旨から見まするならば、大体昨年大蔵省との間で運輸省が妥協した数字の二千五百億、これは昨年度予算編成のときに、いわゆる前半の五カ年計画の投資額として二千五百億というものが設定されたのでありますが、それでもしろうと的に考えまして、前半に重点を置くという点から見るならば、十年間に五千三百億円要ると予定しておる毛のが、前半に二千五百億しか投資額を予定していない、こういうことでは、これは大臣も特に五年のものを三年半ないし四年くらいで繰り上げて実行する意気込みだ、こう思われるのですけれども、たとえば予算的な措置の点から見れば、残念ながらそういうようについていっておらないような感じを、実は受けるのであります。その点から見て、別に年度割はいたさないということになりましても、すでに五カ年計画の二年度を目前にしておるのでございまするから、やはり年度間の目標は設定されて、この計画を推進してこそ、初めて大臣の御答弁になるような形で、三年半ないし四年で前半の五カ年計画を完成するということになるのではないかと思うのであります。その点については、まあ大蔵省はそんなことでは困るということを言い出すおそれもなきにしもあらずだという点から見て、大臣も控え目に言われておるんではないかと思うのでありますが、なるほど特別会計の関係から見まするならば、前年度よりの増加率は一七%になっております。そういうような形で参りましても、少なくとも五カ年計画の前半の二年間で、投資額の点から見まするならば、われわれとしては、やはり二千五百億のうちで千三百億ないし千五百億程度のものが、本来ならばいわゆる予算的な措置も講ぜられてこそ、初めて大臣の言われる五年計画を三年半で、おそくても四年間で仕上げるんだという意気込みにマッチすることになるのではないかと思うのです。その点から見ても、本年度特別会計の歳入歳出の予定額が三百五十億になっておるわけであります。ところが、五カ年計画に基づく整備事業の促進に必要な経費としては、二百二十五億何がしかの計上しかないような状態で、その点から見れば、やはり五カ年計画というものがようやく決定を見たという段階から見るならば、これらの予算的なものについても変更を加えていかなければ、大臣が言われるような目標の達成ということは困難ではないかと思うのであります。この点に対する大臣の御所信を伺って、あとは事務当局に質疑を続けたいと思います。
  80. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 ことしの港湾関係の予算は、前年度に比べまして、国費について見ますと三六%の増になっておるわけであります。  従いまして、来年度もその程度の伸びを見て参りたい、かように考えておるわけであります。さようにいたして参りますと、四カ年くらいで仕上がっていく、こういうふうに考えているわけです。ただ、今後の日本経済がさらに伸び続けるか、あるいは伸びが縮まってくるか、ダウンしてくるかという点もありまして、五カ年全体を見通したものを、今からできないからというので二千五百億をきめておりますが、できるだけ事実に合ったように港湾関係の諸経費を予算に計上して参りたい、かように考えております。
  81. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 それでは大臣けっこうです。  今大臣は、全体としての港湾関係の予算は前年度に比べると伸び率三六%、こういういうように言われたのですが、それはどういう数字からそういうのが出るのか、この点港湾局長に伺いたいと思います。
  82. 坂本信雄

    ○坂本政府委員 今大臣が三六%と申し上げましたが、三四%でございます。この金は三十六年度の当初予算の国費に対する来年度予算案の国費の比率でございます。
  83. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 そこに、私大臣にも御質問申し上げましたように、まだいわゆる第一次の五カ年計画がようやくここ半月ほど前に閣議決定を見たような段階でありますから、第一年度の三十六年度予算そのものが、私非常に低かったと思う。そういう点から見て、伸び率では三四%、三六%、二%の違いの問題でありますけれども、過般も、港湾局長御存じのように、運輸委員会で与党の關谷勝利委員から、大体港湾関係の投資額というようなものを、机上でそろばんをはじいたという点については間違いだということで、港湾関係の技術関係のエキスパートとしての局長に手痛い質問が行なわれたような段階であります。  それでは伺いますけれども、三十六年度、三十七年度予算を通じて、これの実行の過程で、五カ年計画のうちで大体何%が達成できるというお見込みでありますか、その点を一つ港湾局長から伺いたいと思います。
  84. 坂本信雄

    ○坂本政府委員 港湾整備五カ年計画は先週の閣議で御決定いただいたのでございますが、そのとき閣議で御決定願うものは、今後昭和三十六年度から四十年度までの五カ年間に、港湾が五カ年計画として必要な目標と量をきめることになっております。その目標といたしましてはいろいろな見方がございますが、一番直接的なものといたしまして、港湾取り扱い貨物量を推定して、それに見合う事業の量というものをきめておるのでございますが、その取り扱い貨物量といたしましては、六億二千万トンという数字をきめたわけでございます。この六億二千万トンの貨物を取り扱うために必要ないろいろな事業の量を確定いたしまして、それから必要な金をきめたのでございますが、一般に二千五百億円といっておりますものの中には、政府が金を直接投資しないものも実は入っておりますので、これは地方単独事業といっておりますが、これを除きました二千三百三十億というものが、国の財政投資をするものとしてきめられたわけでございます。この金は先ほど申し上げましたような六億二千万トンという計画の取り扱い量に対して考えておりますので、この計画量が予定通り進むとすれば、もちろん十分とは申し上げかねますが、われわれは港湾がそれほどひどく困った状態にはならないと考えておるわけでございます。ところが、実際には、三十五年、六年という年に取り扱い貨物量が非常にふえて参りまして、この六億二千万トンを推定したときよりも、途中の年度においてふえてきたわけでございます。特に三十六年度は船込みというような現象も起こりましたので、特に補正予算の支出を願いましたし、また来年度予算につきましては……(「補正予算に乗っとらぬぞ」と呼ぶ者あり)失礼いたしました。予備費でございます。そして実際は三十五年、六年に非常に増加いたしましたので、三十七年度予算におきましては、いわゆる伸び率と申しますか、当初から毎年々々何%ずつ費用が増していくと、総計で総額二千三百三十億円になるがという、その比率の伸び率を上回りまして予算考えておりまして、その中でも特に船込みの著しく起こりました六大港湾に大幅に予算考えたわけでございます。今後これがどういうふうに動いていくかということは、もちろん経済全体の動きに関係があることでございますが、とりあえず三十七年度がどうなるかということは、これは非常にむずかしい問題でございまして、われわれとしましては一経済企画庁その他関係方面で御策定になっておる数字をもとにしまして推定をいたしておりますが、これが実際的にどうなるかということが、五カ年先の取扱量に非常に大きく影響して参るものと思っております。三十六年度予算と三十七年度予算の事業量をこの五カ年計画の事業量と対応いたしますと、二カ年の進捗率は三二・五%ということに相なりますが、三十七年度につきましては、今のような状態で、昨年のような港湾の状態は大幅に解消されるものとわれわれは考えておりますが、なお今後昭和三十八年度以降につきましてどういう見通しになるかということは、港湾の取り扱い貨物量の推移を厳重に注意いたしておりまして、さらに対策を考えていきたい、こういうふうに考えております。
  85. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 それでは局長に伺いますが、大体三十六年度はもう間もなく終わるわけでありますが、三十六年度末のいわゆる貨物の目標トン数は大体幾らと押えられておるのですか。その点から見て三十七年度がどの程度のものになるだろう。五年後の四十年には六億二千万トンの貨物の総量が港湾に入ってくる、あるいは出ていくということをさばくという形で、船舶の入る港湾設備を整備されようというわけであります。それでは具体的に伺いますが、三十六年度末の、日本のいわゆる六大港を初めといたします重要港湾、この整備計画の対象になっておる港湾関係で取り扱われる貨物の総量というものはどれだけあるか。三十七年度は、それから推して、もちろん経済伸び率の問題が一般予算あるいは経済成長度の問題と関連して問題がありますけれども、やはり予算を策定せられる上において、三十七年度伸び率は三十六年度の実績を踏んまえてはじき出されたに違いないと思うのでありますが、それによる目標というものはどの程度になるか。数字をあげて御説明いただきたい。
  86. 坂本信雄

    ○坂本政府委員 三十六年度、三十七年三月までの一カ年間の取り扱い貨物量の推定でございますが、多少予測が入りますが、われわれは五億一千五百万トンくらいと考えております。三十七年度につきましては、これは非常にいろいろな仮定を置きまして予測をいたしておりますが、われわれの今の状況では、五億三千万トンくらいになるのではなかろうかというふうに推定をいたしておるわけであります。
  87. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 そういたしますと、三十六年度は異常な伸び率を示したのだ、その意味で当初予算では足りないので、予備費から港湾整備の方に支出をしてもらったんだということを、先ほど局長が答弁されたのでありますが、それでは最初の三十六年度予算編成のときの目標は幾らであったのでしょうか。三月までの予想を含めて五億一千万トン、こういうことになるわけでありますから、先ほど局長が言われた三二・五%なら三二・五%の伸び率を逆算すれば出てくるのですが、その数字が三十六年度予算を立てるときの重要港湾の関係の貨物の取扱量としてあなたたちがはじき出されたものとぴったり一致するのかどうか。その点はいかがでしょうか。
  88. 坂本信雄

    ○坂本政府委員 三十六年度予算を要求いたします前に、三十五年になるわけでございますが、三十六年度貨物をどのくらい見込みましたかということは、実は私はよく存じておりません。ただそういう数字は、六億二千万トンをはじきます場合に、所得倍増計画のいろいろの指標から数字を推定いたしておりますので、三十六年度につきましてもおそらく所得倍増計画のいろいろな目標数字から考えたことと思いますが、目標数字と現実の数字とは、実際の方が相当上回っておりますので、おそらく実際よりは相当少なかったんじゃないかと想像するわけでございます。
  89. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 その点については、いずれ運輸委員会で、詳細な資料を出していただきまして、質問をいたしたいと思うのでありますが、私は、やはり先ほど大臣の御答弁になりましたように、ようやく二年越しで第一次の五カ年計画ができたけれども、実は年度別の目標はきめてないのだ。そんな五カ年計画というようなものは私は聞いたことがない。そういう点から見ても、特別措置法の関係から見て三十六年中に結論を出さなければならない。一体もう第二年度に入るというのに、五カ年計画の全体の見通しさえつかないでどうなるかということで、国会から追及されるから、にわか作りとは申しませんけれども、はじき出したものが、次官会議から閣議決定になったようにしか実は受け取れない。それは別途この計画の具体的な内容についても閣議決定しているのでありますから、国会に資料として提出することを運輸委員会でも要求しておりますので、それに基づいてさらに質問することになると思うのですけれども、これは過般自民党の關谷君からも別の委員会で質問があったような形で、特に本年度からは、いわゆる経済成長政策の盲点としての輸出の増進をやる、また予算編成の大きな柱として、ことしは一つ経済成長の妨げになっておる船込みを緩和するのだということが、予算編成の大きな一つの柱にまでなっておる関係の港湾整備計画というものとしては、いささか私はお粗末に過ぎるのではないかという感じがいたしておるのでありますが、私に与えられた時間の関係もありますので、その点はいずれあらためて担当の委員会で聞くことにいたしますが、運輸省からの予算説明の中にありまする特定港湾施設整備勘定の関係で、輸出港として大阪港外一港、石油港湾として千葉港外四港、鉄鋼港湾として千葉港外七港及び石炭港湾として苫小牧港外七港について、港湾施設の整備を行なう計画だ、こういうことになっておるのでありますが、それぞれ石炭、石油、鉄鋼、それから輸出関係の整備計画になっておる、頭に出しておる以外の七港あるいは四港は、具体的にはどこをさしておるのか、この点を一つお示しをいただきたいと思います。
  90. 坂本信雄

    ○坂本政府委員 特定港湾施設工事勘定として三十七年度にやることにしております港の名前だと思いますが、お答えいたします。輸出港湾と申しますのは、大阪と下関でございます。石油港湾は千葉、水島、大阪、四日市、姫路でございます。鉄鋼港湾は千葉、姫路、尼ケ崎、和歌山下津、名古屋、大阪、堺、小倉でございます。石炭港湾は苫小牧、横浜、衣浦、四日市、大阪、神戸、苅田、唐津でございます。
  91. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 そこで、いわゆる鉄鋼港湾として今回入っておりまする和歌山下津港の問題について、過般運輸委員会でこれの重要港湾としての指定の問題について、港湾局長に御質問申し上げたわけでありますが、本日大蔵省の担当主計官はお見えですか。
  92. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 今いませんけれども……。
  93. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 この間運輸当局には御質問を申し上げておるのですが、やはり予算に関連して特に大蔵省の意向を伺いたいと思うのですが……。
  94. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 今連絡しますから……。
  95. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 すぐ見えますか。
  96. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 ちょっと質問を振りかえてやっていただけばと思いますが……。
  97. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 ほかにもいろいろあるのですが、その問題だけでこの質問を締めくくりたいと思いますので……。
  98. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 それじゃあとに留保されてはどうですか。
  99. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 それじゃその部分は留保して、あと宮崎主計官が来ましたらその点を質問して、私の運輸省関係の質問を終わることにいたします。
  100. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 内海清君。
  101. 内海清

    内海(清)分科員 私は主として海運問題についてお尋ねしたいわけでありますが、今、大臣御不在でありまするので、その間は一つ海上保安庁それから気象庁関係について簡単な御質問をいたしたいと思います。特に海上保安庁長官はお急ぎのようでございますから、そちらを先にいたしたいのですが、まず第一にお伺いいたしたいことは、これは昨年来からの継続の費用に相なっておるはずでありますが、航路標識の整備の問題、この整備計画はどういうふうになっておるのか、これを一番にお伺いいたします。
  102. 和田勇

    ○和田(勇)政府委員 航路標識の整備等につきましては、三十六年度は金額で九億でございます。三十七年度は十億五千万円でございます。その内容を大体申しますると、いろいろ各方面からの御要望がございまするが、まず私どもの方で重点を置いておりますのは港湾の標識、せっかく港湾が整備されましても、標識がございませんで、かえってこれが障害になるというようなことではまずいというので、港湾標識に重点を置いてございます。また漁船その他の船舶から無線で、電波で船の位置を知らせる施設でございますが、こういったいわゆる電波標識の関係の施設もやっております。なおそのほかに従来ありました施設が非常に老朽になっておりまして、これをあるいは改良し、また改修する、こういったこともやっております。航路標識は僻地、離島にございまして、非常に職員が衣料あるいは教育その他生活環境で不便をこうむっておりますので、できるだけ都会地に近いところに集約いたしまして能率を上げる、同時に今申しましたような生活環境の改善に資する。われわれの方ではこれを集約管理と申しておりますが、こういった点に重点を置いて整備をいたしております。
  103. 内海清

    内海(清)分科員 昨年来、これは予算の関係もございましょうが、それぞれ整備が行なわれておるようであります。しかし今日航路標識におきましても、なお相当の努力を払わなければならぬ面がきわめて多い。そのために航海上その他にいろいろな障害が起きておることは御承知通りであります。この点につきましては一そうの御努力を願って、これを整備してもらいたい。時間がございませんから、いずれまた詳しいことは委員会等でお伺いいたしたいと思います。  さらにいま一つ警備艇の問題でありますが、これも整備計画があるようであります。特に最近は海上でいろいろ問題もあるようであります。これらの整備はきわめて緊要なものだと思うのであります。この整備計画について一つお伺いしておきたい。
  104. 和田勇

    ○和田(勇)政府委員 私どもの方の巡視船と巡視艇、大型のものを巡視船と申し、小型のものを巡視艇と申しておりまするが、この巡視船の八十八隻のうちの三十隻は非常に老朽船でございます。また巡視艇の二百八隻のうちの六十二隻はこれまた非常に老朽で、あるいは主機換装また代替建造をいたさなければならぬというようなことになっております。三十六年度におきましては、御案内だと存じまするが、定点観測と申しまして、毎年台風期に紀州の南の方で二十日間交代で出て参ります約千トン型の旧海軍の海防艦を改造いたしました巡視船がございますが、これが非常に老朽でございますので、これを三十六年度と三十七年度で代替建造していただくことになりました。この四月末にできる予定になっております。これは二隻でもって交代でありますので、もう一隻は三十七年度及び三十八年度で同じ型のものを作っていただくということに予算をお認めいただきました。  なおそのほかに、現在船の型といたしましては、李ライン方面等に出ておりますのは三百六十トン型、これが中心の勢力でございますけれども、その他二十三メートル型あるいは港の中で警備あるいは救難にあたりますものは十五メートル型と申します。ちょうど占領時代に二百七十トン型という船を作っておりますが、ところが港によりましては、この二百七十トン型はどうも船足が深過ぎる、しかも、その港の近辺で非常に海難が多いというので、三十六年度から百三十トン型という新しい型を考えまして、これはこの近くの銚子と北海道の浦河という二カ所に、これも近く竣工いたすわけでございます。三十七年度につきましては、これと同じような考え方で二隻の建造を認めていただいております。なおそのほかに、船体はさほど悪うございませんが、非常にエンジンが悪うございまして、六ノットないし八ノットしか出ない、これを主機換装、エンジンを入れかえまして、速力十五、六ノットにいたしたい。そういたしますると、非常に仕事の能率が上がるというので、八隻認めていただいております。  このほかなお私の方で、御案内だと思いますが、水路測量船がございます。これは現在「明洋」という船が、これは某会社から買いましたものでございますが、非常に能率が悪うございまして、どうしても代替建造をやらなければいけないというので、その点につきまして御説明を申し上げ、大蔵省の方の御了解も得まして、大体一億八千万近くで水路測量船を新しく作るということにもいたしております。  なお、そのほかに船といたしまして、灯台の見回り船でありますが、基地を鹿児島に置きまして、北垣、臥蛇あるいは種子島等——これは五千万の船でありますが、こういった船につきましても整備をいたしたいと考えております。
  105. 内海清

    内海(清)分科員 巡視船あるいは巡視艇の中には、相当老朽なものが多いようであります。これが老朽で、性能が悪ければ、救難の際その他においても用をなさないから、人命、財産にきわめて危険な影響を及ぼすものでありますから、これらの点につきましては、運輸当局としても今後これが整備に万全を期してもらいたい、こう考えるのであります。  なお定点観測船の問題は、私これをお伺いしょうと思っておりましたが、本年度、来年度でこの四月に一隻できるということでありますので、これはことしの台風時期に間に合いましてまことにけっこうであると思いますが、七年度、八年度の他の一隻につきましても、来年の台風時期に間に合うように促進していただきたい、かように思います。  最後に、海上保安庁長官に一つお伺いいたしたいのは、保安官は救難作業その他にまことに御苦労が多いわけであります。ところがこういう人々に対する陸上施設と申しますか、いわゆる厚生施設これは大きいところにおいてはある程度整備されておりますけれども、地方に参りますと、これがほとんどないということ、これはもってのほかだと思うのです。こういう点を整備することが真に職務に精励せしむるゆえんでもあると思うのです。これは一面から言えば、言葉が妥当かどうか知りませんが、人道上の問題にも相なるような状態です。これにつきまして現状はどうであるか、あるいは今後どういう考えを持っておられるか。簡単でよろしゅうございます。
  106. 和田勇

    ○和田(勇)政府委員 私の方では現在保安部五十一、保安署が三十七ございます。原則といたしまして、船員が三十名以上おりまする部署につきまして、船員詰所というものを作りたいというので、やっております。ところが御案内のように、私の方の役所はできましてから非常に新しゅうございますので、まだ全部は完成いたしておりません。大体最近まで毎年二カ所ずつ船員詰所をお認めいただいておりましたが、三十七年度は三詰所ということで、まだ三十人以上の船員がおりまする部署について全部完成したわけではございませんが、先生がおっしゃるように、海上で働く者につきましては、特にわれわれといたしましても留意いたしまして、できるだけ早くこれを充実いたしたい、かように思っております。
  107. 内海清

    内海(清)分科員 こういう点に関しては御遠慮は要らないと思うのです。これは三十名以上のものについて今計画されておるようでありますが、三十名以下についても当然なさるべき問題である、かように思う。時間がありませんからあまり申しませんが、どうかこの点については今後早急に整備するように強く要望申し上げておきます。  次に気象庁長官にお尋ねいたします。例年台風季になりますると、いろいろな災害が出て参ります。気象庁においても非常な努力はされておると思いまするが、年々思わざるところの災害が起こっているということでございます。これにつきましては気象観測に対しまするレーダー設備、こういうものが非常に緊要であるということで、今まで多く論議されてきておるところであります。この整備状況がどういうふうになっておるか、さらに本年はどういうふうになるかということにつきまして、一つ簡単にお伺いいたします。
  108. 和達清夫

    和達政府委員 レーダーが一般の気象の予報にとって、特に台風の予報にとって非常に有効であるということが、時とともにますます判明いたして参りました。私ども昭和二十八年度に一基大阪につけましたのを初めといたしまして、昭和三十六年度までに九カ所整備いたしました。昭和三十七年度には札幌及び仙台にレーダーを整備いたすように予算が計上されております。今後はなお重要地点、特に台風の捕捉のために、たとえば富士山あるいは隠岐の西郷とか北海道の釧路とか南西諸島とかいうところにレーダーを整備いたす方針であります。このようなレーダーの整備によりまして、日本全体をカバーするレーダーの観測網は一応完成いたしますが、実際にレーダーを活用する、豪雨あるいは豪雪の観測その他のために地域のためのレーダーを、これが完成する前におきましてもある程度並行して整備していきたい、このことについて検討中でございます。
  109. 内海清

    内海(清)分科員 いろいろ整備計画はあるようであります。どうかこの台風季までにはそれがすべて整備されて、そうして台風予報について万全を期せられるように格段の措置をお願いいたしたい、こういうふうに思うのであります。以上であります。  大臣がまだおいでになりませんので、これはまあ中途半端になるかもしれませんが、船舶局長がおいでになっておられますので、船舶関係を少しお尋ねいたしたいと思います。これはまあ船舶関係につきましては、海運問題がまず一つの前提となるわけでございます。いろいろ大臣に海運対策の基本的な問題についてお尋ねいたしたいと思っておるのでありますが、まだお帰りになりませんので、順序が少しあれでありますが、船舶局長にお尋ねいたしたいと思います。  今日わが国の造船所におきましては、造船能力が大体百八十万トン程度だということがいわれておるわけであります。従って、これの工事量の充足ということについては、業界におきましても懸命な努力を実はいたしておるわけであります。これに関しましては、何としてもその面から考えると、少なくとも国内船年間八十万トンないし百万トン近くの建造が行なわれなければならない。あとの百万トンないし八十万トンはいわゆる輸出船を受注しなければ、造船所としての造船能力にふさわしい操業を継続することが非常に困難であるという状況であります。ところが、この海運関係についてはあとからお尋ねいたしたいと思うのでありますけれども、十八次は予算面におきましては一応五十万トンということに相なっておるのであります。この点から考えますと、まずこの五十万トンがどのように建造されるか、造船所の立場からいえば、いわゆる早期建造ということ、これが早期に決定いたしませんとあとの自己資金船あるいは輸出船、こういうふうな方面に対する受注の活動が制約されるわけです。そこで、とりあえずこの十八次計画造船五十万トンは決定されるでありましょうが、これが決定された場合に船主決定というこの線は、できるだけ早い時期を希望するわけでありますけれども、大体いつごろ行なわれるような見通しであるか、それをまずお伺いいたしたい。
  110. 藤野淳

    ○藤野政府委員 ただいまの造船問題につきましての御質問の要旨は、造船能力百八十万トンとした場合に、国内船が八十万ないし百万とすれば、輸出船を百万あるいは八十万トンを受注しない限りは造船所が非常に困る、従って三十七年度計画造船の、十八次船五十万トンは早期決定ということが必要じゃないかという御趣旨でございますが、私どもといたしましては十八次船の予算が半分は着工して、半分は契約ベースになっております関係上、工事は年度の終末近くに開始せられるということは覚悟しておりますけれども、船主の決定はできるだけ早くやっていただきたいということを要望いたしておる次第でございます。と申しますのは、今後建造されます外航船舶は、船型がいずれも大型になって参ります関係上、大型船台の使用計画を早期に決定いたしますことは、やはりこれも大型になっております輸出船の受注を円滑に行なわしめる非常に大きな要件になっておりますので、船主の早期決定ということを非常に強く要望はいたしておりますけれども、現在まだ省内におきましてはいろいろな問題がございまして、十八次船をどういう要領で建造するかという大綱がまだ決定いたしておりませんために、非常に苦慮いたしておる次第でございます。
  111. 内海清

    内海(清)分科員 なるほどお話のように五十万総トンは、年度内着工が二十五万総トン、それから年度内契約の方が二十五万総トンということに相・なっておることは私も承知いたしております。ところが、これの早期契約ということによりまして造船所はいろいろな材料の早期手配をやるということ、このことは造船コスト上昇の要因をできるだけ排除しようということに相なるわけであります。かような意味合いからいたしまして、造船所側としては船主決定を年度がわりになるべく早い時期、少なくとも六月ころにはやってもらいたい、一括決定してもらいたいという強い要望があるようで、もちろん今回の基盤強化の問題、造船の助成の問題に関連して、これは大臣にお尋ねしようと思っておりまするが、あるいは船主側によっては十八次にあの助成策が実施されなければ十八次参加は見合わせたい、辞退したいというような意向もあるので、多くの今難問題があることは承知いたしております。しかし、これはわが国の国策の上から申しましても、どうしてもこれは少なくとも実現せなければならぬ問題である。そういう点から考えまして、十八次が決定した暁には、できるだけ早期船主決定ということを強くお願い申し上げたいと要望申しておきます。それに関連して、一応十八次はああいう状態でありまして、計画造船は五十万トンという線に落ちつくのではないかというふうに考えるのであります。そうすると、ここに国内船として問題が出てくることは、これは外航船腹の増強の線からいいましても、内航船、いわゆる自己資金船がどのくらい建造されるであろうかということが問題になるわけであります。今日までの状況を見ますと、来年大体三十万トン程度の、この上下の自己資金船というものが建造されて参るのでありますけれども、今日の船主の経営基盤の状態あるいは金融関係などから見まして、これはなかなか今後は困難な問題があるだろうということが考えられるのであります。しかし三十七年度の五十万総トンに対して、これを補うためにはやはり三十万トンないし五十万トンという自己資金船が造船所側からいえば好ましいわけでありますが、これに対する一つ船舶局長見通しなり、考え方を一つお聞かせ願いたい。
  112. 藤野淳

    ○藤野政府委員 自己資金船の問題につきましては、海運局長からお答えしたいと思います。
  113. 亀山信郎

    ○亀山説明員 明年度の自己資金船がどういうことになるかということでございますが、現在のところは実は見通しが非常に困難でございます。と申しますのは、市中金融機関の金詰まりの状況から、計画造船に対する協調融資すら、十七次の増加分についても非常に銀行に手持ちが苦しいために渋っているような状況でございまして、なおただいまお話のございました十八次船につきましても相当量——五十万トンに対応する市中の協調融資につきましても、今のところまだ市中金融機関としても何ら態度を表明することに至っておりません。そこで自己資金船につきましては、そういう全体の状況から見ますと、三十六年度よりは相当減るのではないかと思っておりますが、現在すでにいわゆるインダストリアル・キャリアと申しますか、油会社とか、そういう産業資本の方で自家用船を作るという計画、これは船会社の場合と違いまして、基盤強化策その他の適用の範囲外になる産業資本において大きな船のタンカー等の計画がございまして、それらを現在ほぼ確実と見込み得るものはおおむね十七万総トン、今後ほかにさらに出てくるかどうかということにつきましては、今申し上げましたような一般の金融情勢等から見まして、昨年あるいはことしほどの自己資金船は期待できないのではないかというやや悲観的な見方でございまするけれども、現在のところはそう考えております。
  114. 内海清

    内海(清)分科員 海運局側の御説明をいただきまして、大体三十七年度としては自己資金船の建造は十七万総トンではないかということであります。これは私どもその数字に対しては、今の海運界の諸情勢から考えてうなずけぬ問題ではないのでございます。ところが先ほど来申しますような造船所の工事量確保という問題から参りますると、ここには大きな問題が出てくる、かように思うのでありまして、これらに一つきましては海運局はもちろんでありまするが、船舶局におきましても造船所の工事量確保という意味において、この自己資金船に対しては今後十二分なる関心を持たれ、そうして金融面その他の情勢を打開されて、これができるだけ自己資金船の建造ができるように、そのことがひいて造船所の仕事量確保のみならず、わが国の要請されておりまする外航船腹の増強というこの線にも沿うことでありますので、このことは一つ強く要望しておきたいと思うのでございます。  大臣帰られましたので、もうちょっとこれに関連しまして……。さらにそういう問題から申しまするというと、計画造船は一応五十万トンと予算面からいたしまして、自己資金船が十七万総トン程度であるということになりますると、わが国の造船能力の問題からいって、結局輸出船というものの受注に非常な努力をし、これを獲得しなければ、わが国の造船業の操業の上に非常な支障が来るということになるわけであります。輸出船につきましては、御承知のようにこの建造量からいいまして三十一年から三十六年までこの六カ年間というものは今日世界の第一位を保ってきたのでありまして、またこの単一品目の輸出額の面から見ましても、三十一年から三十五年まで五カ年間には約十六億の外貨を獲得しておる。これだけ輸出いたしております。そういう単一品目においてもわが国のトップという実績をあげてきておるのであります。しかしながら、最近の国際海運の市況の状況から言いまして、この受注は非常に国際的にきわめて困難である、熾烈なる競争をしておるということは、御承知通りであります。まあ業者側といたしましては必死の努力をいたしておりますけれども、悪化の状況にあって、なかなか楽観を許しません。この輸出船の問題は、これはまた外貨獲得、国際収支の問題にも関連しまして、一そう重要性を持っておる問題であります。そこで、この輸出船は、三十六年度におきましては大体目標が八十万総トンであったのが、十二月には八十七万総トンをこしておるのであります。輸出の金額的な面で申しましても、一億九千二百万ドルの目標が大体これを達成しておる状況であります。年度末までにはあるいは百万トン近くの受注になるかもしれません。金額的に申しましてもかなり上回るものになると思う。こういう点から考えまして、これはきわめて重要なことであるけれども、今言った受注にはきわめて困難な問題が多いのであります。そこで、これに対しましては特段の措置が必要だ、かように考えるのであります。  その第一番は、いわゆる延べ払い条件の緩和の問題だと思うのでありますが、わが国におきましては現在七〇%の七年というふうな状況に相なっておるが、世界の趨勢を見ますると、輸出市場の状況を見ますると八〇%の八年ないし十年ということが、一般化しておるように思うのです。ところが、他面わが国におきましても、プラント類につきましては現在八〇%の八年ないし十年ということに相なっておると思うんです。船舶の輸出の延べ払い条件を緩和して、少なくともわが国におきまするプラント類と同様な扱いが好ましい、かように考えておるのであります。これは大蔵省関係になるかもしれませんが、一つこれに対しまする大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  115. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 輸出船につきましての条件の緩和といいますか、輸出に有利な状態になるようにという点は、絶えず通産と一緒になりまして大蔵当局に話をいたしておるわけでございます。今お話のように延べ払い条件をさらに緩和をするということが、今後の輸出促進に必要な事柄だと考えております。今までもやっておりましたが、さらに今後の趨勢を見まして一そう努力をいたしたいと存じます。
  116. 内海清

    内海(清)分科員 さらにそれにつけ加えまして重要な問題は、いわゆる本船担保の問題だと思う。わが国におきましては、本船担保の算定率は若干先般来改善されたようでありますけれども、まだ六〇%という程度であります。ところが西欧の造船国におきましては、今日船価の八〇%以上の延べ払い船を本船担保のみで受注しておるというこの状況であります。わが国におきましては、船舶のみならず輸出を振興することが、今日の最も要請されておる問題であります。かような点から考えましても、これらも一段と輸出担保の引き上げが必要であると思う。これは直接大臣のあれでございませんけれども、いずれまたこれらの点につきましては、委員会等でそれぞれの関係の方にお伺いいたしたいと思いまするが、一応大臣の御所見を伺いたい。
  117. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 担保率の引き上げの問題も先般若干いたしましたが、おっしゃいますようにまことに大事な問題だと考えます。機会あるたびに先ほど申しました延べ払い条件と同様に善処をいたしたい、かように考えております。
  118. 内海清

    内海(清)分科員 さらにいま一つは、今日までいろいろ輸出船を受注いたしまして問題になりますことは、輸銀の輸出船舶に対するワクが不足する。そこでこれを十分確保してもらわなければならない。せっかく運輸省において認めましたものが、全面的に政府で輸出を認めたものが、全面的に融資を受けられない、なかなか困難な場合が出るのであります。この点は結局輸銀におきまする船舶の輸出に対するワクの問題である。もちろんこれは、かつてはそのワク年度の中途におきまして措置をして広げたということもあるわけでありますけれども、これらの点につきましても、一つ十分なる御配慮をお願いしたい、こういうふうに考えるのであります。  その他造船に対していろいろございますが、一応、時間がございませんのでこの程度にいたしまして、次の問題に移りたいと思うのであります。  最後に一つ、大蔵省の主税関係の方からもおいでいただいておりますので、先ほど楯委員から一応の御質問がございました租税特別措置法の改正の問題でありますが、今度の改正で運賃に関しまする輸出所得の控除制度の適用範囲が縮小されておる、こういうふうに相なっておるのであります。私ども税法上の特別産業に対しまする助成措置というふうなものは、できるだけ廃止すべきであるという原則的な考え方をいたしております。従って、今回の政府案が理解できぬことはございませんけれども、この海上運賃に対しまする輸出所得控除の適用を、現在のように海運業が非常に苦境に立っておる、この基盤を強化してこれを助成し育成強化せねばならぬという時期において、こういう政府方針が出されている。これは、今日までの海運に対しまする総理大臣の言明から見ましても、あるいはまた政策として海運企業強化の臨時措置法が出されよう、考えられようという時期から見ましても、政府の基本方針に反するのじゃないか、こう思うのであります。これに対しまする大臣の見解をちょっと伺っておきたい。
  119. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 先ほどの海運の輸出の資金ワクにつきましては、大蔵大臣との間には、資金ワクが足らないときには幾らでも増すという言明を得ておりますので、御了承いただきたいと思います。  ただいまの所得控除の点は、実は私といたしましては、事務の連絡が不十分でありましたために、そういう結果になることを知らずに閣議決定をいたしたわけでございます。後にそういうことを発見いたしまして、これは海運政策上相当重要な問題であるということを発見いたしました。ただいま、何らか善処する道はないかというので、関係方面にいろいろ協議をいたしておるわけでございます。その点で御了承いただきたいと思います。
  120. 内海清

    内海(清)分科員 ただいま関係方面と御協議ということで、これは、今日までこの問題に対する当局の考え方が、そこに間違いがあったということで、これを改められることはまことにけっこうであります。今回のこの政府案によりまして、海上運賃の支払いの手段が非居住者支払いに限定する、こういうことになりますと、わが国の側の海運企業の行ないます輸入貨物の運送というものが、外貨の節約から、国内商社の取りきめたFOBが多くなりまして、本来輸出所得控除で持っておりましたところの外貨の獲得、奨励、この意義が薄れてくるのではないか、こういうふうに思うのでありますが、これは政府考えておる国際収支の改善ということにも逆行すると思うのであります。  そこで大蔵当局もおいでいただきましたので、この際一つお伺いいたしたいと思いますが、この税法の改正を適用いたしますと、言うまでもなく計上利益を出し得る業績のよい企業に限られるわけでございますけれども、このような改正が行なわれますと、海運企業の復配にいこうという前進が阻害されるのではないか、こういうふうに考えるのであります。これは大蔵省においても今御協議中であるかもしれませんが、そもそも今回の改正案が考えられたのはどういうねらいがあったのか、あるいはまた運輸省と事前に協議がなされたかどうか、こういう点についてちょっとお伺いいたしたい。
  121. 松井直行

    ○松井説明員 お答え申し上げます。  今回日本輸入業者が外貨で決済いたします海上運賃につきまして、輸出控除制度を適用しないということに税法を整備いたしました趣旨をまず最初に申し上げたいと思います。  この輸出所得控除制度を設けた本来の趣旨は、もう十分御存じでもあることでございまして、ちょうちょう申す必要もないと思うのでありますが、外貨獲得に積極的に貢献する取引についてこういう税法上の恩典を与えよう、こういう意味でありまして、御存じのように輸出取引については全部、輸入取引につきましては対外支払い手段を対価とする運送のみに限る、こういうことになっておったわけでございます。ところが最近一部の海上運賃につきまして、日本輸入業者が日本の海運業者に対しまして外国通貨で決済する、結局国内の間で右から左に外貨が動く、こういう事態があるということが判明いたしましたので、輸出所得控除制度の本来の趣旨にのっとりまして、この際税法を整備する心要がある、こう考えまして、改正の政府案を提出した次第でございます。繰り返すようでありますが、積極的に外貨獲得に寄与するというところをねらったものでございます。従って、特需だとかあるいは賠償の履行とかいう本来既定の事実になっているというものについては、適用がないということをもっても御了承いただけることじゃないかと思います。  次に内国船による運送を奨励しようという意味におきまして、ユーザンスの利用、これはあわせてまた金利負担ということにも関係して参りまして、海運政策上あるいは為替政策上の意味は十分あるとは存じますが、税法的立場から申し上げますと先ほど申し上げた通りでございまして、これが外貨で払われようと内国貨幣で払われようと、FOBの場合はすべて優遇するかという問題にも発展するのではないか、こう思います。  最後に、一体どういう業者が利用するかということでございますが、今数多くございます海運業者は大部分赤字であります。現に黒字をあげているのは、たしか五社程度だと存じております。全体から見ると非常に少ないということ、しかもそれは主として油の輸入取引の運航をしている会社に限られるごく一部の業者ではないか。先ほどお話しになりましたように、こういう特別措置的なものは、できるだけ整理するという方向はわれわれ堅持しているのでありますが、今回は今申し上げましたように、政策的に必要がなくなったということでなしに、本来税法が意図しております目的に沿って運用したいという整理の趣旨で改正案を国会に提案したという経緯でございますので、この点御了承願いたいと思います。  それから海運局との関係につきましては、一部連絡不十分のところがあったかと存じますけれども、われわれといたしましては、法案を出す前に当局者とよく協議は遂げたつもりでおります。
  122. 内海清

    内海(清)分科員 大体大蔵省側のねらいは今承ったのでありますが、先ほど来申しますような今日の海運業の状態、特に今わが国の大きな問題になっております海運業の基盤強化というふうな点から考えまして、今こういう措置が行われることは今日の政府方針に逆行するのではないか、こういうふうにわれわれは考えておるのであります。ことにこれが計画造船におきましても、大量の外航船舶の建造を意図いたしておりますが、今日作られておる大部分は、いわゆる輸入原材料の輸送にあたりますタンカーとかあるいはその他の専用船であります。これが大半であると思うのであります。そうすると今回の改正案によって増加いたしますタンカーや専用船の輸入運賃について輸出所得控除の適用から除外することは、改正案とはいいながら実は法の本来の目的を否認するものではないかというふうにも考えられるのであります。今各方面でこれが御協議中だそうでありますが、少なくとも現行法に返るであろうということを私は期待いたすのでありますが、海運企業の整備計画も今行なわれようとしておるときであります。海運企業の基盤強化という意味におきましても、少なくとも現在においてはこの改正は延期すべきである、私はかように考えるのでございます。その点につきまして運輸省関係はもちろんでありますが、大蔵省関係におきましても十分お考えいただきたい、こういうふうに思うのであります。このことを一つ強く要望いたしておきたいと思います。この問題については大体以上であります。  時間がありませんが、海運問題について少しお伺いいたしたいと思うのであります。前々回の三十八国会以来、わが国の経済の高度成長によりまして、輸出入物資の増加、貿易量の増加ということから外航船舶の増強をはからなければならぬ。さらに、これによって積み取り比率をよくして外貨を獲得して国際収支の改善に寄与しなければならぬ、こういうことで四十五年、所得倍増計画の最終年度までに外航船舶は千三百三十五万トン要るのだ。さらにまたこれによりて積み取り比率を少なくとも六〇%ないし六五%にしょう。これに付随して、まず前半の五カ年で、昭和四十年までに四百万トンの外航船腹を建造しようという基本的な海運政策がきめられたわけであります。今回の予算を見ますとはなはだ悲観材料が多いのでありますが、この基本的な政策については、今日なお変わっておらぬのだと思いますけれども、これに対する大臣の御見解を伺いたい。
  123. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 基本的な方針は堅持をいたしております。
  124. 内海清

    内海(清)分科員 そういたしますと、この基本政策が策定されるにあたりましては、少なくともわが国の海運企業の実態というものは十分検討されたことだと思うのであります。わが国の海運企業の基盤が脆弱であり、このままでは船腹の増強もなかなかむずかしいということが、この基本政策の定められますときにすでにわかっておった、しかも三十七年度予算要求にあたっては、海運造船合理化審議会が一年間にわたってあらゆる知恵をしぼって作成しましたこの答申が基礎になって、運輸省予算要求いたしたと思うのであります。しかるに、これは最終的に見ますと、三十七年度の造船所要資金が二百億円になっておって三十六年度より五十億円ふえたということ、さらにいま一つは海運企業の基盤強化対策という名目でいわゆる整備計画審議会ができた、六十二万六千円というものができたということでありまして、他にはほとんど何も触れられていない。私は十二月二十日の運輸委員会において運輸省の出しております要求というものについて、実は大臣御不在でありましたので次官にお尋ねをして念を押したのでありますが、われわれ運輸省としてはこれは最も大きな柱であるから最善の努力をしてこれを実現せしむるようにするというお言葉があったわけであります。ところが今日の状態から見ますと、わが国の国際競争力の強化に対する措置としての開銀の融資比率の引き上げあるいは利子補給の強化、さらに利子補給の国庫納付条件の緩和というようなものには全然触れられていないのであります。また整備計画審議会ができて今後やるということでありますが、この基盤強化についてもわずかに、いわゆるうしろ向きというか十五次以前、三十四年度以前の計画造船における開銀融資に対する利子の二分の一をたな上げしょうというふうなことがきめられた、しかも、これは三十七年度以降五カ年間を限度にしてやろうということで、これは詳しいことを言えばいろいろありますが、大ざっぱに申しましてそういうことにきまったわけであります。ところが予算面ではこれが今何ら出ておりません。政府としても発表いたしておりません。最終的な閣議決定でこれが了解できたというのでありますが、今日この状況運輸省と大蔵省の間でどうなっておるか。先ほど田中委員からお話がございましたように、今朝来の新聞を見ますと大蔵大臣がこれを了解した、それで事務折衝が行なわれておるということであります。われわれは、予算の最終段階当時においてすでにそのことが閣議で決定されたと聞いておったのが、それが今までもたもたしておるということはいかなることでございましょうか。
  125. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 海運合理化審議会の昨年の秋の答申は、全面的に尊重をいたしまして実現をいたしたい、かように考えております。ただ先向きの点、いわゆる融資比率の変更また利子補給率の強化また返還条件の緩和等につきましては、これから作る船の問題でございますので、今後の金融界の情勢その他を見まして、十八次船の造船の状況等を見て、さらに大蔵省と話し合いたいと思っているわけであります。  いわゆるうしろ向きと言われております点につきましては、おおむね大蔵大臣の了承を得つつあるわけでありますが、いろいろ細部の点につきましてさらに検討を遂げなければならぬ問題がございますので、大蔵省と今事務的にそういう点の検討を遂げておるわけであります。検討ができましたならば、そしてそれが法律を要するということになれば、この国会中に提案をして御審議を願いたい、かように考えております。法律が要らないで政府の措置だけで済むということであれば、政府の措置でやって参りたいと思います。
  126. 内海清

    内海(清)分科員 時間がありませんからもう終わりまして運輸委員会等に譲りたいと思いますが、ただいま大臣お話がございましたような、話し合いがついて法的措置が要らないならば、今国会において十分はっきりできるだろうということでありますが、閣議の決定がせられました当時は、このうしろ向きの問題に対しては所要の立法措置を講ずる、こういうふうなことが伝えられておりまして、これは海運業界その他からも、少なくとも一つの法案としてやるべきであるという強い要請があったと思うのです。それが今日大蔵省との間におきましてきわめてむずかしい問題になっておるかとも存じますが、きわめてあいまいになっておる、この点はいかがでございますか。
  127. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 そういう点も含めまして大蔵省といろいろ検討をいたしております。近く解決を見ると思っております。それまでお待ちをいただきたいと思います。
  128. 内海清

    内海(清)分科員 近く解決を見るということでございまして、それではそれまで待たなければやむを得ないと思いますが、このうしろ向きの伝えられましたときには、少なくとも、昭和三十七年度以降五カ年間のたな上げをやるということが報道せられたのであります。ところが、これが三十七年度から行なわれるのか行なわれないのか、私ども今うかがい知るところでは、非常に困難じゃないかと思うのでありますが、その点どうですか。
  129. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 基本方針はその予定でございますが、今おっしゃいましたような基本方針を、あるいは法律を要するということになれば法案を提出をいたしまして御審議を願って、そうしてその方針に従って各会社が再建計画を立てまして、これを整備計画審議会に諮問をしてよろしいとなったときに初めて実行いたすわけでありまして、おそらく実際に実行いたしますのは三十八年度の歳入予算にこれを及ぼすであろう、こう考えております。その場合に三十七年度にさかのぼってやるか、三十七年度半分やるか、三十八年度からやるかという点等も含めて、今大蔵省と折衝をいたしております。わが方といたしましては三十七年度にさかのぼってやりたい、かように考えております。
  130. 内海清

    内海(清)分科員 大臣としては三十七年度からこれを実施するように努力するということであると思いまするが、この問題は最近大蔵省との間にいろいろ持ち上がりまして、なかなか話が進まない。その段階において船主協会の方では理事会とか、常任理事会を開いて、もしこの助成策が行なわれなければ、われわれは十八次に参加できにくい、こういうことを、これは天下に声明もいたしますし、われわれのところへも文書が来ておるような状態でございます。もしそういうことになりますと、今日のわが国の国策の上から申しましても、あるいは国際収支、わが国の経済の上から申しましても、非常に重大な問題であると思うのでありまして、これに対しまする大臣の御所見を伺いたい。
  131. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 先ほども申し上げますように、見通しといたしましては、必ず基本方針を決定いたしたい、そうして十八次船もスムーズにやれるようにいたしたい、かように考えております。
  132. 内海清

    内海(清)分科員 そういう問題が起きますると、ただ単に海運界の問題のみならず——私大臣のお留守の間に船舶局長、海運局の次長にもお伺いいたしましたが、これは造船界にも大きな影響のある問題でありますので、これは必ずこの十八次から、いわゆる三十七年度から、この措置は、少なくともうしろ向きだけでも実施されるという、こういうことに万全の御処置と御努力を願いたい。そのほか利子補給に関しての利子の問題、あるいは四十年度までの四百万トンに対する——今日で申しますと五十万トンだから三十万トンの差がある、これをどうして補うか、いろいろ問題がございますが、時間がございませんので、これらはいずれ運輸委員会に譲るといたしまして、以上をもちまして私の質問を終わりたいと思いますが、十八次の、今申しましたような問題は、これはわが国の海運にとりましては、まことに死命を制するような重大な問題であります。また運輸省といたしましても、最も基本的な政策に関する問題でございます。大臣は先ほどいろいろ決意を述べられましたが、どうかそれに沿いまして万全を期せられように切に要望いたしておきます。
  133. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 田中君に申し上げますが、御留保になっておった分は、大蔵省関係官の都合でもってまだ来ませんので、午後の劈頭にあと五分お許しをいたしますから、一つ御留意を願います。  午前の会議はこの程度にとどめ、午後二時四十分まで休憩いたします。    午後一時四十三分休憩      ————◇—————    午後二時五十三分開議
  134. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 それでは休憩前に引き続き、会議を開きます。  質疑を続行いたします。田中織之進君。
  135. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 午前中も申し上げましたように、当分科会では運輸省関係で質問したい点がたくさんあるわけですが、私、運輸委員会の委員でありますから、多くはそれに譲りまして、ただ先ほど港湾局長に御質問を申し上げた港湾整備計画に関連して、一、二点をお伺いしたいと思います。  先ほど港湾局長より、本年度の港湾整備計画に基づきまして、輸出港湾、石油港湾、鉄鋼港湾、並びに石炭港湾につきまして、二十数港を特に指定をいたしまして整備する計画を御発表いただいたわけでございますが、これらのいわゆる重要産業関係の港湾中、できれば重要港湾として指定をして、これらのものについて六大港と同じような形で整備についての重点的な施策を要望する声が、現在の十港の指定港以外においても持ち上がっておると思うのでありまして、その点について、当局としては特定重要港湾の指定港をこの際増加する考えがないかどうか、この点についてお伺いをいたしたいと思うのであります。  端的に申しますと、特定重要港湾は、現在十港あるわけでありますが、それに続きまして、ある意味から見れば、現在十港に指定されておるうちで、四日市あるいは小倉というような港よりも、取り扱い量その他の点から見てはるかに数量の多くなっておる幾つかの港湾があるわけですが、そういうものをこの際思い切って現在の十港と同じように特定重要港湾として指定する考えはないか、この点でございます。
  136. 坂本信雄

    ○坂本政府委員 「重要港湾のうち外国貿易の増進上特に重要な港湾で、政令で定めるもの」については、特定重要港湾云々という条項が港湾法の中にございます。これによって特定重要港湾が現在指定されておるわけでございますが、なおそのほかに、さらにこれを今後ふやしていく意思があるかどうかという御質問でございます。この特に外国貿易に重要であるという趣旨を、さらにもう少し詳しくいろいろな取り扱い数量とか、あるいは港の開港であるとか、あるいは今後の重要性というようなものから、基準を運輸省として作っておりまして、それによって、重要港湾の指定をやって参ったわけでありますが、その基準が今少し古くなったような傾きがございまして、さらにその基準を今再検討するということを考えております。その基準の再検討と相待ちまして、必要によっては今後増加していかなければならないかと考えておりますが、現在まだ具体的には考えておりません。
  137. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 いわゆる港湾法の四十二条の第二項に規定する意味の特定重要港湾としての指定のことを伺っているわけですが、それについては八つの指定基準があることを承知しておりますが、この基準に基づくと、過日も運輸委員会で大臣並びに港湾局長とにお伺いしたのでありますが、たとえば私の郷里の和歌山下津港、室蘭、函館、小樽、あと大分県の津久見、新潟、香川県の坂出ということになりますと、うんと条件が下がって参りますけれども、今読み上げました中で、和歌山下津港、室蘭、函館、この三港を例にとりますと、現在特定重要港湾として指定されております関門とほぼ同じ条件にあると思うのです。ある意味から見れば、現在特定重要港湾として指定されている四日市、清水、小倉等よりも、たとえば総取り扱いトン数あるいは外貨取り扱いトン数というものを例にとっても、それの倍あるいは三倍もの実績を持っているものが、現在特定重要港湾として指定をはずれているわけです。そういう意味で、これらの港湾関係では、現行の基準に合致する意味合いにおいて、特定重要港湾としての指定を受けたいということをかねがね要請しておるわけでございます。今局長が御答弁になりましたように、この基準は、確かに、たとえば昭和二十五年の外国貿易の実績であるとか、取り扱いトン数とかいうようなものをとっております。それ以後における日本経済の異常な成長の観点から見ますならば、そういうようなものの基準をこの際改定するということになりますと、ようやく従来の基準に合致するようなところまで発展をした港も、これは取り残される。ところが、現実に現在の基準に当てはめまするならば、特定重要港湾として指定されておる四日市、清水、小倉港などというものは、はるかに条件に満たないにもかかわらず、この三港は特定重要港湾として指定されておる。特に和歌山下津、室蘭、函館というようなところは、それの倍あるいは三倍の実績を持ちながら、指定を受けられないというような不公平な状態にあると私は思うのです。この意味において、基準の改定ということも必要でございましょう。私もその必要を認めるのでありますけれども、この際、港湾整備計画の前半の五カ年計画が策定せられた機会に、これらの港湾のうちで条件の満ちたものを特定重要港湾として追加指定をいたしまして、これらのものについて、いわゆる整備計画に基づく投融資の重点的な配分をしてもらうということが、同時に輸出の伸長あるいは地方経済の開発、こういうような観点で大きな意義を持ってくるのではないかという観点から、御質問を申し上げておるのでございます。これらの点について、今運輸省の方では、港湾法によるところの指定基準の再検討中だ、こういうようにおっしゃるのでありますが、その点は、当然、特定重要港湾に指定されると、勢い予算的な処置を伴うわけでありますから、大蔵省の関係もおありかと思うのでありますが、大蔵当局は大体どういう意向でございますか、この機会に承っておきたいと思うのであります。
  138. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 お答え申し上げます。  特定重要港湾の指定の問題につきましては、ただいま港湾局長がおっしゃったことと私ども全く同様の見解を持っておる次第でございます。この問題につきましては、実は昨年に問題になったことでございますので、私どもの方といたしましても、いろいろと勉強いたしております。ただいま田中先生の御指摘通り、港湾の取り扱い貨物量等において、第一次指定と申しますか、当初指定した当時から非常に情勢が変わっておる。和歌山下津の港が具体的に問題になっておりますが、これなどは、内外の取り扱い貨物量ということになりますと、非常に大きな数字を示しておるようであります。結局、私どもとして今考えております一つのポイントは、今後の港湾の整備という問題が一つの大きな問題でございます。同時に、これを完備していくにあたって、どういう方向でいくかということが、第二の問題であろうかと思います。第一の整備の問題について考えて参りますと、ただいま私どもが直接タッチしております予算に関係ありますのは、公共の埠頭あるいは公共の港湾施設でございます。そういったものの対象になる貨物というのは、御承知のように、大体雑貨関係とか、あるいは一般の非常に用途の広い貨物というようなものになっておるようであります。そうしたものが非常に多い港でありますと、これは公共事業として相当大きな投資を必要とするということになりますので、そういう面での検討を進めておるわけでございます。ただいま問題になりました和歌山下津港は、港としての計画も今後非常に大きくなろうかというようなことであろうと思いますので、一つ今後ともこういう問題についてはよく検討いたしまして、港湾局の方からもそのうちに具体的な提案があることと思いますので、その際に十分に慎重に検討したい、こういうふうに考えております。
  139. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 その点につきましては、先ほど港湾局長の御答弁の中にありましたように、本年度予算におきましても、和歌山下津港は、鉄鋼関係の重要港として特別の整備を受けるのに指定されておるわけであります。しかし、そのほかに、御承知のように、この和歌山下津港の港域には、おそらく日本輸入油の——現在は少し率は下がっておりますけれども、終戦直後等におきましては、日本輸入して参ります油、これは占領軍の直接扱いますものあるいは民間ベースで輸入するものを合わせて、多いときには七〇%もこの下津港に揚げたという実績があるわけであります。今日もなお東亜燃料あるいは丸善石油の二大工場、それにこの同じ港域にありまする富士興産の関係の海南における油——これは原油の輸入の関係でございますけれども、そういう関係、さらに北洋材、特にソ連関係の木材でございますけれども、それの輸入の大体三〇%は、やはり和歌山下津港に揚げられる、こういうような関係に相なっておるわけでございます。ただいま宮崎主計官のおっしゃるのには、いわゆる公共関係の埠頭の整備等の整備計画の関係から見ますならば、雑貨等の事例があげられましたけれども、今日、御承知のように、鉄鋼関係等につきましては、なるほど二千数百万トンの日本の鉄鋼の生産であります。これは私どもしろうとなりに伺っておりましても、二千数百万トンの鉱石と石炭の輸入ということになるわけでありますけれども、わずかにそのうちの五分の一程度の五百万トンの鋼材の輸出が達成できまするならば、二千数百万トンの石炭、鉱石の輸入をペイいたしましても、なお日本の貿易に、国際収支の改善というものに、鉄鋼の輸出というものが貢献するというような実情にあるわけなんです。そういう意味で、鉄鋼港としても実は指定を受けておるわけなんで、その点で、従来の神戸であるとか横浜とかいうような関係のようには、新興工業地帯でもございます関係から、雑貨等の関係、いわゆるその意味においての古い観念の商港的な性格はないかもしれませんけれども、近代的な産業の関係の鉄鋼、石油、あるいは木材、綿花、こういうような関係におきますれば、それの原料の荷揚げ、それから製品の積み出しという点から見て、これらの港湾が演じておる役割というものは、私は、従来の商港的な観念から脱却した観点に立って、やはり特定重要港としての指定を急いでいただかなければならぬ。同時に、指定を受けることによって、港湾整備計画によるところの重点的な施策を講ずるものとして、御承知のように、神戸大阪の関係にいたしましても、この海域を通過して船舶が出入をいたすのでありまして、そういう観点からいたしましても、この点を一つ新しい角度において御検討をいただいて、ぜひ指定港に加えていただきたいと思うのでございます。その意味で、まあこの点は過日も運輸大臣にも申し上げておるのでありますが、われわれしろうとなりに見ますと、どうも運輸省もあまり積極的じゃない。ことに大蔵省の関係から見まするならば、こういうような港がふえることによって予算のつけ方に大きく影響してくるという関係で、運輸省が消極的になられたのでは、これは大蔵省がどっちかといえばやはり辛い点をつけるということしで、いつまでたっても、関係地域民の要望、あるいは高い立場に立っての産業あるいは貿易の改善というような点に寄与できない結果になるのではないかと思うのです。本日は、これ以上重ねて御質問は申し上げませんが、率直に申し上げて、従来の基準に当てはまる。その基準が亘らに引き上げられるということになると、いつ指定を受けられるかということが、先に追いやられるような結果になるというところに、関係の方面の焦慮というものも見受けられますので、どうかその点につきましては、今宮崎主計官の御答弁の中にもありましたように、雑貨等の従来の商港というような考え方から脱却した形に立って、近代的な日本の生産拡充の基底をなしておる、こういう観点に立って御検討いただきたいということを重ねてお願いを申し上げまして、私の質問をこれで終わります。
  140. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 上林山榮吉君。
  141. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 大臣が来るという約束だが……。
  142. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 今来ますから……。
  143. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 基本的な問題は大臣が来てからにいたしますが、それ以外の問題について、二、三質問をいたしたいと思います。  第一点は、航空関係でございますが、航空関係で現在外国人パイロットを何人使っておりますか。
  144. 今井榮文

    ○今井(榮)政府委員 現在、外人パイロットにつきましては、主として日航でございますが、昨年の十月の統計では六十一名となっておりまして、現在でも大体六十名内外を使用いたしております。
  145. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 外人パイロットの待遇と日本人パイロットの待遇の差は、どれくらいになっておりますか。
  146. 今井榮文

    ○今井(榮)政府委員 アメリカ人のパイロットの月収は、大体最高七十万円、それから最低四十万円でございます。日本人パイロットの最高は二十九万五千円、最低が七万五千円、こういうふうになっております。
  147. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 月に、外人パイロットが最高七十万、最低四十万、日本人パイロットは最高二十九万五千円、最低七万五千円、こういうように非常な開きがあって、日航はそれほど経営がいいのか、悪いのか。どれだけ国が投資をしておるか。こういうことはもう序論でございますから申し上げませんが、これを何年計画で解消しようと準備されておるのか。まあ一部は自衛隊に訓練を頼むとか、あるいはまた航空大学で一部は養成をするとかいうような基本的な態度は、運輸省としてとつておられるようでありますけれども、私は、少なくとも民間航空に関しては、もう技術的指導を受けなければならないような数名の人々はともかくとして、三年計画やそこらの間にほとんど全部解消していかなければならぬのではないか、こういうように考えるのでありますが、これはあと二、三年の間に外人のパイロットはもう必要でなくなるという積極的な準備、訓練というものをしておられるかどうか。この点を伺っておきたいと思います。
  148. 今井榮文

    ○今井(榮)政府委員 御指摘の点、全く同感でございます。私どもも、昭和三十七年度予算につきましては、特に乗員自給対策というものを最大のテーマに掲げまして、極力努力をいたしたのでございます。現在の大体の見通しについて申し上げますと、航空大学校の卒業生が年間三十名、防衛庁への委託養成が三十名、さらに防衛庁からの年々の転出者、これはすでに既成の技術を持って出てくる人たちでございますが、この年々の転出者を五十名ないし六十名、それから民間会社の自社養成というものを大体二十名程度見ておりまして、こういう態勢で推移いたしますと、今後の路線の延びあるいは飛行機の増加というものをも計算に入れまして、昭和四十年ごろには、大体日本人だけのパイロットで何とかまかなえるような状態になる、こういう見通しをつけております。
  149. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 あと四年間かかるというお話でありますが、どの面から見ても、早ければ早いほどプラスの面が大きいのでありますから、四年計画が三年計画に、できれば二年計画でも、これをやってのけるだけの準備態勢というものをやはり思い切って立てなければならぬ。そういう意味において、あなた方の努力はある程度わからぬじゃない。しかしながら、まだほんとうにそうした熱意が見えていないような気がしてならない。そういう点から、私は強くこれを要望するのであります。パイロットの点もそうでありますが、大事なのは整備士なんだ。この整備士の問題などは、航空大学等で養成しておるのかどうか。たとえば運輸省が文部省と相談をされまして、航空機の整備、製作、こういう方面の航空技術の向上のための学科といったものを、文部省などと協力いたしまして、これをもっと充実していく必要がある。今どきになって外国人パイロットや整備士——製作もある程度始めたわけですけれども、その製作工程のスピードがおそい。海の問題も、陸の問題も、日本は非常におくれておるけれども、空の問題は日進月歩であって、陸や海よりも進歩の度が早い。だから、そのスピードにピントを合わせたすべての整備計画というものをやっていかなければ、幾ら力み、幾ら国で出資しても、国際的一流国の水準になるにははるかに遠い話であって、あと五年たったところで、国際水準に達することは不可能ではないだろうか、こういうような心配を持つ一人でありますから、外人パイロットの問題に関連いたしまして、こういう意見を申し上げるわけですが、その整備士の問題、あるいは文部省等々との関連においての航空機の製作、整備士の養成というようなことも呼びかけたことがあるのかどうか。この点を伺いたい。
  150. 今井榮文

    ○今井(榮)政府委員 整備士につきましては、操縦士と違いまして、従来は、工業関係の学校を卒業した方々を会社で自社養成するというのが、建前になっております。しかしながら、先生の今のお話、私どもも十分肝に銘じまして、今後対策を研究していきたいと思います。  なお、文部省との連絡があったかどうかというお話でありますが、その整備士の問題等について、私どもとして直接文部省と今までお話し合いをいたしたことはございません。今後につきましては、十分検討いたしまして、必要があれば、相談の上で御趣旨のような線を実現していくように努力いたしたいと思います。
  151. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 大臣、ただいまの私と事務当局との質疑応答からも、運輸省運輸省なりにやらなければならぬ点が相当ある。しかし、運輸省以外の力を借りてやらなければならぬ問題もある。この方針に対するあなたの所信を一言承って、次に移りたいと思います。
  152. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 ただいま御所見を承りまして、全く重要な点をついておられると考えます。今後一そう文部当局、通産当局等とも連絡を密にいたしまして、一日も早く日本の航空要員、また航空機自身、時代におくれないように日本の手でやっていけるように努力いたしたいと存じます。
  153. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 次にお伺いいたしたいことは、企画庁長官に来てもらいたいという要請をしてあったのですけれども、きょうは都合が悪いということであるので、かわりの人が来ておられますが、私は、適当な機会にさらに企画庁長官にも伺っておきたいと思う点がございます。  それは私鉄運賃値上げに関する問題でありますが、これは、企画庁長官も、運輸大臣も、池田総理も、当予算委員会において、運賃値上げは、物価にはね返りがくるから、原則としては値上げはいたしません、ただ、万が一、赤字経営でどうしてもやっていけないものがあるならば、最小限度の線でこれを押えたい方針であるが、ただいまはこれを真剣にあらゆる角度から検討中である、こういう統一ある見解を示されておったわけですけれども、これは企画庁長官がおられないからはっきりいたしませんが、朝日新聞の二十日の夕刊によりますと、「昨年から懸案になっている私鉄大手十四社の運賃値上げ問題にふれ「私鉄運賃値上げについて、今年になってから運輸省から正式に申入れはないが、都市交通の混雑緩和や物価高騰を抑制するための輸送力の充実などの見地から、どうしてもやむをえないものならば、経企庁も運賃値上げ問題を検討する余地はある。もし上げるなら各社バラバラでなくて、一斉に行なうことになろう」」こういうような談話を発表しております。真偽のほどはあとで企画庁長官のかわりの人からも伺いますが、運輸省は、この企画庁長官の談話に対して、ただいまどういうお考えを持っておるのか、これをまず伺っておきたい。
  154. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 その新聞の談話と称しますものは、企画庁長官の真意を伝えておるかおらぬか私は存じませんが、私といたしましては、私の考え方も大体そういう考え方で、今運輸省と企画庁とで、今日の都市交通の緩和をはかるために、ここ一年、二年、さらに私鉄十四社に対してどれだけの設備投資をしなければならないか、その設備投資をするについて、現在のままでやっていけるかどうかということを検討いたしております。近く結論が出て参りましたならば、その数字によって結論をきめたい、かように存じております。
  155. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 世の中には君子豹変するという言葉がありますから、三十七年度予算審議の予算総会において言明されたことが、分科会になるころにはあるいは変わるということもあり得るかもわからぬが、私は与党ではありますけれども、そういうようなことは事前にわかっているはずだと思う。それを同じ三十七年度予算の分科会においてそんなに急変するということは、私はどうも政治家の端くれとして、実際良心に恥じるような気がしてならない。今あなたの話を聞くと、企画庁長官のその談話と大体同じだということは、これはもう大手十四社は検討した上で一斉に上げるのだ、こういうふうに見ていいのかどうか、その点はいかがですか。
  156. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 先般の予算総会で企画庁長官も私もお答えをいたしましたのは、一般の物価に及ぼす影響から、値上げ一般についてはそういうことであるけれども、私鉄については今申しますような事情がありますから検討中でございます。結論が出ましたならば善処をいたします。さような方向で答えておるつもりでございます。従いまして、この予算分科会になって方針が変わったということは、企画庁長官にも私にもないと考えております。  なお十四社一斉に上げなければならないかどうかという点につきましては、先ほど申します数字検討が出て参りませんとわかりませんが、しかし大体のあれとしては、同じような要因がどこにもあると私は考えております。しかし、具体的な検討数字というものを見ませんと、その結論を今直ちにこうだと申し上げるわけには参らぬと思います。
  157. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 私は、あなたの答弁が、速記録を調べないでも、矛盾した答弁をしておられるように思うのですが、しかし、ただいまの企画庁長官の談話を私が読み上げて、大体それと同じ方針だ、しかしまだ検討しておるのだ、こうおっしゃるけれども、大体においてそういうお話ができるというのは、もう結論に近く達するのだ、だから三月ないしは四月、おそくとも四月ごろにはこれを上げるのだ、こういう山が見えてきたからそういうような答弁ができるのじゃないか。ニューアンスが違った答弁というより、私はまあこの辺が野党であれば、もっとお尋ねしなければならぬ点だと思うのですけれども、(「遠慮なしにやれ」と呼ぶ者あり)どうもあなたの答弁やら、総理答弁やら、そして今の談話の発表やらを見ますと、こういうことを言っておりますよ。企画庁長官は、私は今までは一斉に上げるとか、そういうような考えはなかったけれども値上げを認める場合、これまで一斉値上げは避けるべきだと思っていたが、今の判断では、どうしてもやむを得ないものならば、一週間前後のあれはあるにしても、原則としては一斉に値上げが認められていいと思う。こう企画庁長官はあっさりと、今までの考え方はそうじやなかったけれども、上げるならば一斉に十四社一ぺんに上げなくてはならぬというように自分の考えが変わってきたと言っておる。私はやじがあるから、それに追随するわけではないのですけれども、一方にはあなた方は物価の値上がりを下げるためだと言っておる。これを上げることによって物価の値下げをするのだと言うけれども、常識的には上げることによって、そのはね返りは物価に影響してくるのですよ。貨物運賃はなおさらのこと、人の運賃だってやはり物価にはね返ってくる。これはもう経済学の一ページを知っておる人ならだれでもわかる常識なんですよ。だからそれをどうしてそういう詭弁を弄さなければならないのか。私はこの辺はもっとスマートに、こういうふうに変わりました、そのときはわずか二週間か三週間の前の話だけれども、そこまではこういうわけで思わなかったというように、わずか二週間か三週間の間の急転ぶりをやはり説明しなくてはいかぬ。その説明を聞いた上で賛否をわれわれは考えればいいので、絶対反対だというわけではないのだけれども、そういう点はやはりスマートに堂々と弁明し、説明すべきなんです。その納得の上に立って協力を求めていく。こういう行き方でなければならないのではないかと思うのですが、その基本方針はどうですか。
  158. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 企画庁長官が物価の値下げに寄与するためにすると言ったとおっしゃいますが、私はそこまでは言い切れません。物価の高騰には若干の影響があるかもしれない。もちろん今の交通混雑を緩和をするということは、これは何といいますか、至上命令のような状態になっておりまするから、この状態を打開をしていかなければなりません。交通事情が、ことに人の輸送の交通事情が緩和すれば物価の値下がりに寄与するということは考えられるかもしれませんが、私は、直接的にはそこまでは言い切れないのではないか、従って、その点は企画庁長官はどういう考えであるかまだ伺っておりません。  それから、私は昨年の臨時国会当時から、どうしても必要があると思う、しかしながら、どの程度に、またいつやるかということは、いろいろの問題がありますから、検討をいたしております。こう申しておるわけでありまして、ちっとも私は考えを変えておりません。ただ必要があればいつでもやる、いつでもやっていいという問題でもありませんし、またどの程度にやるかということもいろいろな条件を検討しなければなりませんから、ただいま検討をいたしておるわけでございます。その点を御了承いただきたいと思います。
  159. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 速記録を調べなければならないことになってしまうのですが、これは企画庁長官の今の談話にしても、私は比較的予算委員会には精勤しておるつもりですが、そういう問題について関心を持っておるのですから、企画庁長官の答弁も聞いておるし、あなたの答弁も、原則としては一斉値上げとか直ちに値上げするとかいうことは考えないが、検討した上で、必要のある分については上げていってもいいという趣旨の答弁であったと思うのです。しかし、その押し問答はこれ以上いたしませんが、企画庁長官の代理で、大臣と打ち合わせておいでになった、私の答弁大臣答弁と同じである、責任を持ちます。こう言って、官僚としては珍しくはっきりしたことを言われる羽柴調整局参事官に伺いたいのですが、あなたは大臣と打ち合わせられて、大臣の今の談話それ自体はお知りにならなくても、それと似たような内容、こうしたものについてお知りになっているのかどうか。同時に、物価の調整を実際に担当してやらなければならぬのはあなたの局なんですが、そういう意味から考えられまして、結局物価やあるいは交通緩和などを考えて、上げるならば一斉に上げなければならぬ、今までは、原則としてはというような前提もあったけれども、上げるなら全部上げた方がいい、ただ一週間くらいずつずらせば世間体もいい、悪く言えば、そういう考えを持って今調整に当たっておられますか。
  160. 羽柴忠雄

    ○羽柴説明員 私は、経済企画庁長官の新聞記事は、一言一句は存じませんけれども、大体そのような趣旨でないかと考えます。そして、その御答弁におきましては、ただいま運輸大臣からお話がありましたと同様の趣旨でございます。  それからもう一つ、一斉に値上げがいいかどうか、すべきかどうかという問題につきましては、実は去年の暮れ以来いろいろ検討をして参りました。ほんとうは数社に限りまして、そしてまず値上げをいたしまして、それからあとのことはさらに検討するという順序かと思うのでございますが、いろいろ事務的に検討いたしましても、なかなかその限界が困難でございまして、どれもよくありませんので、それで一つの考え方といたしまして、一斉に値上げをするという考え方もあるということでございまして、まだ経済企画庁の内部におきましては、どちらをとるかということの決定までは至っておりません。  それからもう一つ、長官は検討の余地があるという表現はされたと思いまするが、これを三月にやるとか、あるいは四月にやるとか、そういうようなことにつきましてはまだ打ち合わせば済んでおりません。かような経緯でございます。
  161. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 どうですか、あっさりと、四月ごろを予想して、その準備段階はもう結末に近づきつつあるのだ、こういうことは言えませんか。
  162. 羽柴忠雄

    ○羽柴説明員 私はむしろ本年度中は私鉄値上げはやらないということは申し上げることができると思いますが、来年度になりまして、それが四月にやるのか、五月にやるのか、六月にやるのか、かようなことにつきましては、まだ実は結論の段階に達していないということを申し上げます。
  163. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 言葉は婉曲ですけれども、結論は同じだということで、大体もう上げるのだ、しかも一斉に上げるのだ、しかも来年度の初めに上げるのだ、こういうことは、お互い回りくどい質疑応答は要らないのですよ。それはあなた方はそれ相当の研究をされ、調査をされて、その結論の上に立っての方針なんだから、これはやっぱりはっきりと言われた方がいい。  そこで、上げる場合には、ABCの段階があるということに推定ができるその場合、どうなんですか、会社の名前は別々ですが、たとえば東急なら東急という会社がある。ところがその東急というのは、これは例にすぎませんけれども、デパートを経営しておる、あるいはホテルを経営しておって、これは非常にもうかっておるのですよ。これはチェーンをなしておる。形式は、これは東急の直接のじゃないようになっておるけれども、メンバーにしても、資本の分布状態から考えてみても、これは同じだ。ホテル、デパートを経営してもうかっている。これは形式主義的な法律論からいけば別だと言えるけれども、その実体は、これは同じ経営ですよ。だから、そういう値上げをする場合は、運輸大臣あるいは企画庁は、そうした背景も考えて行政指導をやって、あるいは何か会社の合同をやらせる等、行政指導をある程度はやれるわけですから、そういうようなことも条件という意味にとってもけっこうですけれども、それ以外の行政指導の意味でもいいが、そういうような意味でやはり値上げというものを考えていかなければならぬ、私はこんなふうに考える。形式主義的な答弁は要りません。実際においてそういうふうに行政指導していく方針なのかどうか。物価の値上がりなり運賃値上がりというものは、国民生活にはね返ってくる。これを理由にして労働攻勢が起こる。そうでなくたって、人件費を食ってしまっておって、改良あるいは延長その他の充実というものができないのです。だから私はこういうところにメスを入れなければほんとうの——上げてくれと言ったから、検討をしたらこれだけの赤字が出る、だからこれだけ上げてやればいいだろう、そういうような行き方は、私はもうこの際改めるべきだと思う。これはまた三年たったら値上げと言ってきますよ。必ず来ますよ。だから、その悪循環というものを、理想的にはいかないまでも、ある程度、半分くらいはたたき切っていくような——やはりこれは実際はなかなかむずかしい点もあるけれども、ほんとうに勇気をふるってメスを入れなければならぬ点だと私は考える。これに対して大臣並びに企画庁としてはどう考えるか、伺いたい。
  164. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 お説のような御意見も聞いてはおりますが、私どもといたしましては、やはり軌道部門においてどういうコスト計算になっているかということで考えていくのが、やはり軌道事業の健全な運営をしていくゆえんであろう、こう考えております。兼業と、あるいは投資をして別会社にしているもの、あるいは兼業をやっていないもの、そういう区別をすることはきわめて困難でもありまするし、軌道本来、まあまあ原価を維持してやっていけるという程度にすることが、私は軌道事業の健全な経営の行き方であり、また公共的に社会の要請にこたえて軌道事業をやっていけるゆえんでもあろう、かように考えております。
  165. 羽柴忠雄

    ○羽柴説明員 ただいまの兼業部門につきましての考え方は、運輸大臣と同じでございます。  ちょっと、誤解があるといけませんから、もう一ぺん私申し上げておきますが、最初の第一点のお話におきまして、もうそろそろその時期が近づいてきたのではないかということでございます。それにつきましては、私の方では本年度中はいたさないということを申し上げておるだけで、来年度早々やるということはまだ申し上げておりません。これにつきましては、経済企画庁の内部といたしましてほんとうにまだ結論が出ておりません。それはもうはっきり申し上げておきます。  それからもう一つ。全部一斉に値上げをするか、あるいはまた数社にしぼるかということにつきましても、実はまだ結論が出ておりません。実は一昨日でしたか一昨々日でしたか、大臣のところでいろいろ会議をいたしました。その会議の結果に基づきまして私お話し申し上げておるのでございますが、それが非常に何か切迫感があるとか、あるいはまた全部一斉に値上げをすることになろうとか、そういうような段階にはまだ達しておりません。これだけを一つ申し上げておきます。
  166. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 答弁がだんだん回りくどくなってきたり、違ってきたりするようでございますけれども、苦しい立場だろうとお察しします。しかし、これは私も何もあなた方のあげ足をとろうとしているのじゃなくて、これは連鎖反応をあらゆる方面に及ぼす大事な問題であるために、形式主義的な法律論で片づけたり、あるいは単に経済の収支だけを見て片づけたり、あるいは赤字対策として片づけたりし得られるものではないのだ。だから、そこに公共料金という、普通のものよりも違った名前をつけるのですよ。だから、こういう問題は、あらゆる立場から検討して、法に不備があれば、その法を改正してでも、やはり考えを進めていかなければならぬ問題だ、こう思うのです。これは連鎖反応ではないかと私は思うのだが、それはそれ自体にも理由もあることでありますけれども運輸大臣、このハイヤーとタクシーがこれまた、タクシーは二五%、ハイヤーは三三%の値上げを申請をしたということを聞いておりますが、これは事実かどうか。
  167. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 私も値上げ申請をしたということは聞いておりますが、まだハイヤー、タクシーについては本庁の方には進達がないと思っております。ハイヤー、タクシーにつきましては、私はまだ検討を進めておりませんが、一般論と言いますか、私のただいまの感覚では、今直ちに値上げをすべき段階ではない、こういうように考えております。  なお、私鉄の問題につきましては、今おっしゃいますようないろいろな要因がありますからこそ、昨年の夏から今日までまだ結論が出し得ないという状況で、今検討するということになっておるわけでございます。この点も御了承をいただきたいと思います。
  168. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 運賃値上げの問題、ことに私鉄運賃値上げの問題については、私は時間をもっとかけてこういう問題は検討をしていきたいと思うのですけれども残念ながらそれができないが、ハイヤー、タクシーの申請は、大臣の耳にはまだ入っておらぬ、もしそういうことがあったならば、これは上げる方針ではないと一般論として言える、こういうことですが、事務当局の方にはそういうことは耳に入っておりませんか。
  169. 木村睦男

    ○木村(睦)政府委員 お話は、東京都におけるハイヤー、タクシーの運賃の申請だろうと思います。二十日の日に、これは陸運事務所でございますが、陸運事務所の方へ申請が出ております。これは事業者の方の意思によって申請するわけです。そして権限は、陸運局長の権限でございますので、新聞に出ておりますような内容の申請があったということは、私も承知しております。
  170. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 これは委任事項で、陸運局長にその値上げの許可権を与えてあるにしましても、使うのはみんな同じ国民なんですね。しかも日常生活に非常に影響があるわけなんです。ことに、われわれ自動車を残念ながら持っていない者は、ときどき国会の自動車を金を払って使っておりますが、こういう連中は、やはりタクシーをときどき使わねばならぬのです。一般大衆はなおさらのことなんですね。だから、そういう問題は、運輸大臣としては、当分それを上げるつもりはないと言われるんだから、この意を受けて、やはり行政指導をすべきであり、あるいは陸運局長が困らぬようにはっきりと、私は、委任事項ではあるにいたしましても、これは行政的連絡をすべき問題だ、こういうふうに思いますが、これは大臣からでも事務当局からでも、一つはっきりとお答えを願いたい。
  171. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 お説の通りでございます。
  172. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 そこで、私は、今問題になっておりますところの都市交通の麻痺緩和に対する運輸省の総合対策についてお尋ねをいたしたいのであります。  私は、この問題については、自分のことを申し上げてまことに相済まぬですけれども、十年前からこの問題を本委員会で取り上げて参りました。鳩山内閣のときには、総理府に交通対策の本部を作ってもらいまして、そうしてその対策をやってきたのでありますけれども、残念ながら実効というものは上がっておらない。そこで、ようやく最近になって、昭和三十二、三年ごろから、たとえば微温的な駐車場法などを作りましてお茶を濁してきたわけであった。これは卑近な話だけれども、当委員会でも話があったようでありますが、これは三十六年度一年間に死亡者が一万二千八百何十人、けがをした者が三十万人、これはもう日清戦争のときの死傷者じゃないか、こういう議論がありますが、それどころじゃないと私は思うのです。これはもう日露戦争にも匹敵し、十年、二十年これをほうっておけば、大東亜戦争の犠牲と同じですよ。だから、おもむろに運輸省も立ち上がったのだろうと思います。私は、ここにあげられた運輸省の案は、これは新聞報道を基礎にして申し上げます。まだ、書類をもらっておりませんし、総務会などでもらっておりませんから、新聞報道で申し上げますが、この中にたとえば地下鉄の整備、路面電車の撤去、立体交差化の促進、車種別、時間別通行規制に伴う処置、右折禁止、一方通行に伴うバス路線の変更、青空車庫の禁止、自動車ターミナルの整備、こういうものがあげられております。一々その項目は大賛成であります。要は、この内容に盛られるものが実際どうなのかという点です。本気でこれを掲げているのか。掲げているとすれば、その内容はどういうものか。一例を申し上げますと、きょう駐車場法の一部を改正する法律案というのが建設省から出ました。出ましたが、この問題に関連して、運輸省であげている青空車庫の禁止、これと、駐車場法の改正等による路上駐車場の設置、一級国道、二級国道などにもこれを設置できるようにしようとしておるわけなんです。私は、これは運輸省とよく相談をしたかと聞いたら、運輸省相談をしたのである、だから間違いのない法案だ、こう言われる。まず、事務的な打ち合わせがあったのかどうか、この点を伺いたい。
  173. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 ただいまの法案は、事務的に打ち合わせをいたした法案でございます。先ほどお読みになられましたのは、臨時都市交通閣僚懇談会で議題になり、検討を進めた、また進めつつある事項でございまして、それは全部運輸省の発言でできたものでもありませんし、また、運輸省の所管ばかりのものでもございません。関係各省は、この点について一つ一元的な考え方でやっていこうということで検討しておるのが、先ほどおあげになられました問題でございます。  なお、このたびの駐車場法は、今まで屋外駐車場を作る地域を非常に限定をいたしておりましたので、その地域を広めるという問題であります。従いまして、その新しい駐車場法によりまして、駐車場を強制的に設置をさせる区域、あるいはまた路上に駐車場を設けるという場合等につきましても、それは全国的な法律でございますから、都市の交通混雑を来たさないための法律でございますので、それをやることによって交通混雑を来たすような場所あるいは路線について、あるいは特定地域については、よほど考慮をしていかなければならない、かように私ども考え、建設大臣もその旨を了としておられます。要はその法律の施行の問題でありますが、全般的に申しますと、屋外駐車場を作ることを強制的に、あるいは予算その他の措置で助長する区域が現行法では狭過ぎるということには、運輸省も同意をいたしておるわけでございます。
  174. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 私も、この案が交通対策の閣僚懇談会で出た話だということは知っていますが、その大部分は、七分通り運輸省所管のものが多いわけです。それで申し上げたわけですが、その中の一つは、建設省の所管で運輸省の所管でないものがあるから、私は横の連絡がうまくいってやっておるのかということを申し上げておるわけです。  大体日本の道路は、外国の進んだ道路に比べて、市街地にしても、あるいは市街地近郊にいたしましても、これは駐車場その他の幅員なり特別の施設なりが少ないのですね。そこへもってきて、たとえば京浜国道ですが、あそこに、もし市街地の入口に、そういうようなものを置いた場合一体どうなるか、市街地のまん中でもそれを置いた場合どうなるか、道の狭いところに持ってきて駐車をたくさんさせると道が狭くなる。だから交通量が多くなって、こういう悲しむべき被害が起こってくるのです。だからそういう抜本的なことをするのに対して、あなたがおっしゃるように、運輸省だけの責任じゃなく、政府全体の責任ですけれども、できるだけ事故の一切ないように、建設省も運輸省も警察庁も考えていかなければならぬ問題だと私は思うのです。  そういう意味から、道路が狭くて、青空駐車が多くて事故が起こっているのに、また部分的にただ制限するとはいうものの、道幅は広げないで——駐車料金を取って広げたところに置くならいいのですけれども、そうしたこそくな手段をとらないで、もっと抜本的な手段をとる必要があるのじゃないか。これは閣僚懇談会の一メンバーとしてあなたに強く要請するわけです。道路局長今お聞きになった通りですが、これはあなたの方から駐車場法の一部を改正する法律案が出されたわけですが、国有地も相当あるし、あるいは公有地もある。道路は狭いのだから、その道路の幅員を広げて駐車場を作る、こういうふうにしていかなければならぬ。だからこの法案は次善の策というよりも、これはかえって将来の抜本的な改正をしなければならぬ段階に来ておるのに、こういうこそくな法律を出して一体交通整理ができるか、交通事故の防止があなたはほんとうにできると思っていますか。
  175. 鶴海良一郎

    ○鶴海説明員 ただいま駐車場法の関係につきまして問題になっておりますのは、駐車場整備地区の指定をこの際広げたいということに関係しておると思います。駐車場整備地区の制度は、とりあえず路上の駐車を整理して路上に駐車させようということでありますが、究極のねらいは、その駐車場整備地区につきましては、計画的に路外駐車場を作って逐次路上の駐車を路外に移していくということであります。それでたとえば一級国道に路上の駐車場を作って交通の障害にならないかというお話がございましたが、まことにその通りであります。ただし、そうでない場所もあるわけであります。この際一級国道につきまして路上の駐車場を暫定的に置き得るようにいたしましたのは、たとえば名古屋の一級国道の路線に沿いました区画整理で、非常に広い幅をとっております。従いまして、現実に駐車禁止の措置をとる必要を認めていない。この駐車の禁止につきましては公安委員会にかかるものでありますが、その方でそういう措置をとっておらないという場所もあるわけであります。ただし、その地区をひっかけまして整備地区を指定いたしました場合にどういうことになるかと申しますと、一級国道だけは無料で駐車ができ、それに接しておる府県道なり市道につきましては整備地区でありますから有料の駐車ができるというように非常にアンバランスになっておる。のみならず路上の有料駐車は非常に込んで参りまして、これが交通の阻害になるおそれがある。従いまして、駐車場整備地区内につきましては、広い一級国道があります場合は、余地があればそれも有料の駐車場を設け得るようにしようという趣旨でやっております。
  176. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 そうじやないんですよ。これは私がさっきから申し上げるように、この駐車場法の改正では、現在の都市の交通麻痺というものの対策にはならないのだ。なぜかといえば、今道路が狭いところに青空駐車をしておるでしょう。それでさらにそれを法制化して、ここは駐車場にしてよいというふうにするということは、これはこそくな手段であって、交通対策にはならないのだ。そんなことよりも、今の道路があるならば、その道路のわきにスペースをとって、そうして有料にしてこれを経営すれば、財源も上がることですからいいのじゃないか。そういう抜本的なことをやらないでは、何にもならないのじゃないか。交通対策の閣僚懇談会でいろいろな項目をあげてやられますが、一つピック・アップしてこれを解剖してみると今のようなことであるから、よほど思い切った措置をとらなければだめじゃないか、こういう意味です。あなたはアメリカの都市計画をごらんになりましたかどうか知りませんが、鉄筋の建物でさえも、これは金があるせいか知りませんが、交通のじゃまになるようなものはぶちこわしておりますよ。あるいはまた一階はみんな取りこわして、そこに駐車場を作らせておりますよ。あるいは市街地では屋上に作らせておりますよ。あるいはまた副都心並びに副都心の次のいわゆる郊外に広い思い切った駐車場をこしらえさせてやっておるんですよ。日本もやがてはそうしなければならぬが、とりあえずの問題としては、せめて公有地なり、あるいは道路整備をした残りの土地の遊んでおるところが多いんですが、そういうところの発見に努めて、整備をしていかなければ何にもならないのじゃないか。これではかえって混雑しますよ。これはほんの微温的なものでしかないのだ。なぜそれくらいのことをもっと熱心におやりにならないか、こういうことなんです。
  177. 鶴海良一郎

    ○鶴海説明員 ただいまのお話、まことにごもっともであります。われわれといたしましても、整備地区をきめるという究極のねらいは、道路以外に駐車場を作っていくということを考えておるわけでございまして、道路に駐車が続く限りにおいては、これは問題の根本的解決にならないことはお説の通りでございます。
  178. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 建設省の所管のところで再びこの問題を取り上げることにいたします。参事官ではこれはお気の毒だと思いますので、これ以上政策問題はやめたいと思います。  次に運輸大臣の所管でありますが、路面電車をあげられておる。大賛成だが、反対運動もまた起こっているようだけれども、東京都と御相談になって、何年計画でどれくらいの路線をはずせるものか。そうしたようなものを、ただ思いつきじゃなくて、一皮むいて調査してみたり、あるいは交渉してみたりしたことがあられるのかどうか。ただ思いつきか、この点をお聞かせ願いたい。
  179. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 東京都の路面電車全部を計画的に何年計画でどうというところまでは進んでおりません。それをやりますのには、やはり地下鉄その他の大量輸送の他の設備を増強いたさなければなりませんので、従いまして、それらの設備のできてきたところから逐次やっていってもらいたいということを当局に話しておるわけでございます。
  180. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 これは抜本的な対策を講じなければ——報道機関なとは、近ごろは交通戦争という名前を使っていろいろ交通惨禍を報道しておるようでございます。これは立場をかえれば、ほんとうに交通戦争ですよ。だから、この機会に国民の期待に沿うように、この悲しむべき交通被害を最少限度に食いとめるように、閣僚懇談会で運輸大臣の特段の御努力を願いたいと思うのであります。  そこで、警察庁が来ておられるならば、もう一問だけお尋ねいたしますが、交通惨禍をなくするためには、運転手に対する考え方を私は抜本的に変える必要があると思う。警察庁ではどういうふうにお考えになっておりますか。今は技術の訓練をして、学科の試験に通ればこれに免許一証を与えておる。今まではそれでよかったかもしらぬが、今日になれば、それではもうだめだと思います。だから私はここに提案したいことは、もちろん技術もりっぱでなければならぬ、あるいは学理もある程度知っていなければならぬ、整備もできなければならぬ、だが、それよりも大事なことは、運転手がはたして運転をするのに適格者であるかどうかという点なんだ。この点が今までおろそかになっているんじゃないか。たとえば大酒飲みであるとか——酒を飲んでの交通事故というものは非常に多い。またけんか早くて、あるいは非常にくせが悪い、こういうような者に対しては身元調査をよくされて、最後の段階でもう一段階設けるべきだと思うのです。技術と同時に学科と、それから非常に適格者としては悪いという者、あるいは年令の引き上げも必要でありましょう。だが年令の引き上げあるいは今言ったような身元調査、これは決して一升ますではかったようにはいかないのはわかりますが、だれでも認めておるような人に免許を与える必要は私はないと思う。この提案に対して警察庁はどういうお考えを持っておるか、お尋ねしたいと思います。
  181. 富永誠美

    ○富永説明員 運転免許につきましては、いろいろ問題があるのでございます。ただいま御指摘になりました免許の際に一種の性格テストを入れたらどうかというふうな御質問でございますが、その問題もあると思います。それで、その点については、私どもとしましては、現在科学警察研究所においても真剣に検討を加えているのでございますし、かつまた心理学者等にもいろいろ依頼を申し上げているわけでございます。ただいまのところは、たとえば事故を起こしあるいは違反をしばしば起こす運転手は、優良運転手よりも、たとえばそそっかしいとか、いろいろそういう傾向があることは出るのでございます。ですから、これはすべて免許証が交付された後にいろいろな事故なりの違反を調べまして、そういう状況が出ているのでございますが、しからばこれをいきなり試験のときにこういう傾向があるから、その傾向の者は試験が全部だめだというように持っていけるのには、ちょっとまだ問題の余地が残されているわけでございます。ただいまお話しになりましたように、その人が大酒飲みかどうかという試験も、これはちょっと酒を飲まさなければわからぬような状態でありまして、ただいま身元調査の点のお話があったわけでございますが、すべて根本的におきまして、運転免許そのものをどうするかということは十分慎重に検討しておりますし、また今後とも検討を続けたいと存じております。
  182. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 どなたが聞いても非常に無難な御答弁のようでございますが、しかし、そういう方向で努力している、しかも心理学者や科学者にこれが研究を依頼している、この態度は私は前向の姿勢として非常にいい点だと思います。今お述べになりましたように、事故を起こした者を見ると、若い者が非常に多いということ、それから、どちらかというと、気の短い、けんか早い者が多いということ、それから泥酔して運転しておったということ、これはもう統計上出ている事実です。だからこれに対しては、身元調査くらいは——運転手の学科と技術の試験は通ったのだ、今度は最後の免状をもらうために身元調査が来たよ、酒をたくさん飲むだろうかと聞いておったよ、こう言われただけでも、これは一つの行き方だと思う。一升ますではかったように、あなた方が科学的な数字をお出しになることもけっこうですが、そういうことは、一年や二年かかったところで、出ないだろうと思う。だから、そういう点から身元調査なりあるいは適正検査なり、そうしたようなものを試験の中に入れるあるいは年令を一つ——今、日本の法律では成年というのは二十才だが、成年にならなければ、大型のトラックなり大型の自動車の運転はできない。練習はいい、助手はいいとしても、ほんとうの運転はできないのだというような何か一つの規制、事故を起こしてしまってから罰するのだというよりも、できるだけ起こさないような事前措置をとるということがやはり行政を担当する方々は必要じゃないんですか。起こってしまってからの処置も、これは信賞必罰で、しっかりやらなければいかぬ。だけれども、事前処置というものが私はより大事じゃないか、こういうふうに考えますが、この点いかがですか。
  183. 富永誠美

    ○富永説明員 二点ほど問題があると思います。第一の免許のときに適性検査をやったらどうかという点につきましては、先ほど申し上げましたように、非常に受験者の数が多いわけでございますので、短時間でそういう性格がわかるような方法が何かないかというふうに研究さしておるのでございます。  それから身元調査につきましても、この点は御指摘いただきまして、私どもも率直に申し上げまして、そこまでまだ実は考えが及んでおりませんので、十分考慮さしていただきたいというふうに思います。
  184. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 小松幹君。
  185. 小松幹

    ○小松分科員 運輸大臣にお尋ねします。海運助成策を運輸省としてお考えのようですが、もし計画通りの五年間の利子のたな上げ、そういうことを一応やったとした場合に、現在利子補給をやっている船会社の五年後の償却不足というものは解消するのかどうか、あるいは元本の延滞というものが解消するのかどうか、この辺をもう少し詳しく御説明願います。
  186. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 大体関係各社を五十数社と見まして、現在元本遅延が幾らあるか、それからまた償却不足がどれだけあるかという総体の数字から申しますると、利子半額を五カ年間たな上げをするということによって、元本の遅滞と償却不足がなくなるという一応の計算が出るわけでありますが、これを個々の会社に当てはめますると、必ずしもそうはいかないところがあるであろうと思います。そういうところにつきましては、それ以外にあるいは減資をやるとか、あるいはまた合併をやるとか、いろいろな方法をさらにそれにつけ加えまして、大体おおむね五カ年以内に、ただいま申し上げまする元本の遅延と償却不足をなくする、そういう計画を会社で立てさせたい、かように考えております。
  187. 小松幹

    ○小松分科員 元本の延滞あるいは償却不足が解消するのは、一応総トータルの数字であって、企業それぞれにおいては、私の調査でも、これは船会社と運航会社と分けてみても、今の利子補給五十七社の対象を見ても、私は五年先に企業別に考えた場合には、これは運航会社は償却不足は大かた解消しても、元本の延滞はわずかしか、六社ぐらいしか解消しない。船会社に至ってはこれはもう償却不足は十社ぐらいしか解決できないということになれば、これは今度は企業そのものに抜本的なメスを入れなければ、ただ抽象的に利子補給を五年間やっておればそれで総トータルの数字はうまいこといくんだというようなことを言うてその場はのがれても、五年たった後に企業そのものはばらばらになって、何のことかわからなかったということになりはしないか。結局今度の案というものは、企業のほんとうの再建助成ではなくて、救済策にしかならぬ。今企業別々に考えて、五十七社を別々に考えてみると、五年先でもそれは大した効果にならない。きわめてずさんで、五年間たな上げしても大した効果は出てこないわけです。そうなるとすれば、所期の目的を達成するために、あなたは企業そのものに対してどういう考えを持っておるのか。
  188. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 政府からその程度の援助を与えるということによって、五カ年間に今申しまする償却不足や元本遅延をなくする計画を立てて、そうしてそれを立ててくるならば、その会社に財政的援助を与えたい、こう思うわけであります。従いまして、これは企業別にそれぞれ事情が違うわけでありますから、今日まで元本の返済遅延あるいは償却不足の非常に多いところは、この債権者でありまする金融機関も非常な関心を持っておるわけであります。従って、債権者と当該会社と検討をいたしまして、そうしてそれぞれ立て直しの案を立ててくるわけでございまして、自分のところはいかに努力をしてもしようがないというところは、これは国が援助をいたしましても見込みがありませんから、落後をしていってもしようがない、こう考えております。
  189. 小松幹

    ○小松分科員 今出している運輸省の整備計画というのは、ほとんどが——大体海運というのは、困れば泣きついて利子補給、そしてまた困れば利子のたな上げ、こういう救済策ばかりに終始してきている。そうして今度また過去の利子というものを五カ年もたな上げした場合にやはり結果論として、五年後には大したことではないというならば、そういう案をしてまで救済事業をせねばならぬかという問題が起こってくる。私は今度の海運合理化整備計画というものは、そういう救済策であってはならぬと思うのです。今の造船協会あるいは海運協会とか運輸省からいろいろ出てきておる案というものは、ほとんど救済策にひとしいような、ただ金くれ、金くれ、あるいは利子をたな上げしてくれ、たな上げしてくれ、こういう一つの泣きついたような考え方に立って、運輸省自体もそれに同調しておられる。同調しておるから、先の見通しがなければ、そこで金融機関と話し合って整備をしてこいという。そういうなまぬるいことで、今日の海運の危機は救えないと思うのです。第一利子補給対象の会社が五十七社とは一体何というざまですか。これは終戦後タイプライター一つと社長一人でもって太らかしたような会社が多い。五十七社も六十社も八十社もあって、それにぱらぱら利子補給をしたり、あるいは利子のたな上げをして、日本の海運が立ち直ろうなんという考え方を持っておることがおかしい。運輸省としては、企業の整理統合ということをどう考えておるか。昨年の八月運輸省の原案として出したのには、一応参考資料として企業の整理統合という項目があったはずです。それに対して今一体どういう考えを持っているのか。どうして整理統合ということを真正面から取り上げようとしないのか。
  190. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 会社の整理統合は、これは強制的にやりましてもなかなかあとがうまくいくものではないと考えます。従いまして、同じ系列の中にある会社はできるだけその系列のもとに置いて、できるならば企業統合をやっていくのがしかるべきことと、かように考えます。そこで、政府がある一定の助成の道を講じまして、それを呼び水にして、この助成があるならば一つ整理統合に踏み切ろうかというように会社を指導していきたい、こう考えておるのであります。
  191. 小松幹

    ○小松分科員 個々の企業だから強制的にはできないという。政治は強制的も何もない。町村合併を見なさい。まさにあれは、地方財政再建のために、強制的に、泣く子を引き裂くような形で分離統合しているじゃありませんか。そうして地方自治体の再建整備をはかってきた。今日までそういうところはちゃんとやってのけてきた。ところが海運界だけはその整理統合は一つもやらない。やらないどころか、雨後のタケノコのようにどんどんふやしていくばかり、しかもそれに利子補給をし、計画造船をあてがい、そうしてまた利子のたな上げをやる。そうしてあなたの言うことは何であるか。強制的にはできない。地方自治体を合併したりあるいは切ったりしたことが強制的にできたならば、海運界に対して強制的にできない理由はないじゃありませんか。しかも国家助成をやらなければ別ですよ、自由主義経済だから。自由主義経済なら、利子補給をする必要もなければ、あるいは計画造船もする必要はない。計画造船をし、あるいは利子補給をし、あるいは低利の金融を政府があっせんをし、利子のたな上げまでしょうというときには、もはやそれは単なる自由主義経済ワク内でものを判断することはできない。はっきりした一つの国家目的というものができておるわけです。そうなれば、その目的をはっきり運輸大臣はつかまえて、その目的の上に立って海運会社というものを整理統合しなければ、今のように利子補給だけ五十七社ある一あるものの意見では、日本の海運会社は三つくらいでもいい、いやまあそうとは言わぬから、五つか七つくらいでもけっこうだと言われておる。あるいは私はその意見も正しいと思う。この日本の海運がばらばら戦後できて、五十七社、八社、あるいはまた利子補給会社、対象会社外のものを加えると、莫大な海運会社がある。そうして、ほとんど人の金で、今度十七次の追加計画造船は一割の自己資金さえも出さないぞという。全部人の金でやろうという考えです。そんなことなら、だれでも、私だって、全部ただで金を貸してくれて、海運会社が持てて、利子補給をやってくれれば、海運会社を開きますよ、実際が。まさに今度は整理統合ということが重大な問題になっておる。ところが、去年の八月かに運輸省が出した整理統合計画について、岡田会長は何と言ったか。この海運助成政策と企業の整理統合とは別個のものだ、それは今言うべき段階でないということをぬけぬけと言っておる。しかもそういう意見に運輸省が同調しておる。一体運輸大臣はそういう海運会社に振り回されているのじゃないですか。どうなんです。所得倍増計画池田内閣の路線に沿って、しかも国家財政をぶち込んでいこうというときに、今のままの五十七社のああいう大小もろもろの船会社、あるいは運航会社、こういうものをそのまま認めて、今のままでいくという考えに立っているのか、あるいは整理統合するという考え方に立っているのか、どうなんです。この辺をはっきり……。
  192. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 ただいま私の考えておりますのは、海運造船合理化審議会の答申がございましたので、その答申の線に沿ってやっていきたい、かように考えておるわけであります。海運合理化審議会の委員の方々は、これは海運関係の方々もおられまするけれども、それ以外のこういった方面に学識経験のあるお方にたくさん集まっていただいて、そうして長い間審議をこらしてもらった問題でございまするから、相当慎重にあらゆる条件を考えて作られた問題でございます。その中に、先ほど申しまする政府の助成措置と相待って、そうして自発的に債権者である金融機関と会社が相談の上、どうして五カ年間に立ち直りをさせるかという計画を立てさせるわけでありますから、そういう計画の中には、今申しまする合同やあるいは減資等をやらなければ、五カ年間に立ち直れないという会社が出てくるはずであります。従いまして、間接的には今おっしゃいますような企業合同ということも自然に促進される、かように考えております。
  193. 小松幹

    ○小松分科員 あなたは、そういう審議会というものにたより過ぎておるというか、あるいは責任のがれですよ。大体今の政府というのは、答申案とかあるいはそういう委員会まかせである。運輸省自体の一つの国家目的というものを踏まえての考え方が出てこなければならぬと思う。それを責任を向こうに転嫁して、その言う通りにやります。こういう考えでいけば——第一その審議会へ入っている連中あるいは船主協会あるいは海運業界というものは、もっぱら救済的な助成策一本にきておるじゃないですか。毎日の新聞を見てみても、海運会社とぽんと出てきておるのは、全部利子補給あるいは利子のたな上げだけだ。みずから自主調整をしようとか、あるいは企業の整理統合をやろうかという話は一つも出ていないですよ。毎日の新聞を見てごらんなさい。全部金利のたな上げばかりが出ておるじゃありませんか。辛うじて大蔵省が、ささやかな抵抗をもって、この五カ年間の半分の金利のたな上げはいささかちゅうちよして、できないと言っている。大蔵省だけなんです。運輸省までが一緒になって、船主協会あるいは海運界の言うことに輪をかけたようなことばかりを言っている。それでは日本の海運の真の再建はできない。おそらく運航会社三十四、船会社二十幾つある中で、五年たって償却不足が解消するのはごくわずか、元本延滞など解消できっこない、そういう結果になるわけなんです。よほど国家が金を入れあるいは利子をたな上げするという段になれば、ただ単なる国家の助成ではつまらぬ、助成したときに、ちゃんとそれをそれあらしめるべく、もう少し企業の統合をやりなさい。あるいは減資の問題についても、一応運輸省は去年の八月に減資の問題をちょっと出したけれども、てんで問題にならないじゃありませんか。船会社はもうほんとんどが繰り越し欠損やあるいは償却不足の積み上げがどんどん出て、会計繰作上めちゃくちゃになる。ただ株主の大きな抵抗があるから、減資の問題など問題外だなんてはねのけて、この整理計画が下積みになってきている。結局、企業の整理統合あるいは減資というような問題については触れていない。ただもう、国が助成しろ助成しろと、国の財布から金を取るだけのことしか考えていないところの案が出されておる。しかも運輸省もそういう考え方に立っておる。一体この運輸省が今度出した整理計画のブランというものは、運輸省自体としてどういうものがあるか、言ってもらいたい。
  194. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 その計画は、ただいま大蔵省といろいろ検討をいたしておりますが、まだ成案を得ておりません。しかしながら、先ほどから申しておりますように、政府がそういう助成の呼び水をやることによって、減資あるいは企業統合というものも、その段階において考えて参りたい、かように申し上げておきます。
  195. 小松幹

    ○小松分科員 案を今から大蔵省と考えて、こういうようなことで——助成策の方が先に出ておるじゃありませんか。だから、海運界あたりの意見というものが先行して、さも海運政策は助成政策以外にない、金利たな上げをすればすべて解消するというような意見が先に出て、肝心かなめの海運界自体を解剖してメスを入れるという問題が何一つ出ていないということは、結局運輸省がそういう意見に巻き込まれて、このメスを入れていくんだという意見が先に出ないから、まだいまだに計画がない。今から大蔵省と話し合いをする一しかも、あなたは、法案をもう用意しておるんでしょう。法案を用意しておるものが、そのほんとうのメスを入れていくという面については何ら考えておらぬということは、これは怠慢以外の何ものでもありません。怠慢かあるいは言われないのか、あるのかないのか、もう一回承りたい。
  196. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 ただいまどの会社とどの会社を統合させるとか、そういうところまで計画はございませんが、われわれの考えておる中にはそれが入っておるわけであります。で、今おっしゃいます利子のたな上げはもう出ているとおっしゃいますが、これはまだ政府の案として出しておりません。今おっしゃるようないろいろなことを織り込んで、そうして最終の決定をいたしたい、こう考えておるわけであります。
  197. 小松幹

    ○小松分科員 ちょっと事務当局にお伺いしますが、海運会社というのは、補給対象になっておるのは五十七社ですが、他にどれだけあるんですか。あるいはすべてで幾つあるんですか。
  198. 辻章男

    ○辻政府委員 今お話がございましたように、海運界の一番大きな団体は船主協会でございますが、これのメンバーが約二百社でございます。それ以外にも、小さなものでございますが、ありまして、全体では大体三百前後と心得ております。
  199. 小松幹

    ○小松分科員 それは外国航路と国内航路、外国の輸出とか輸入とか、そういう関係に分けて説明して下さい。
  200. 辻章男

    ○辻政府委員 ちょっと今おっしゃるようなそういう分け方は、実は統計の数字を持ってないのでございますが、御承知のように、海運界ではいわゆる運航業者と船主、いわゆるオーナーと言っておりますが、そういうふうに分かれておりまして、大きな運航業者は、大体利子補給会社でございますが、利子補給会社で申しますと、タンカーも含めまして二十一社が運航業者で、これがおもに外航をやっております。これ以外にも自営をいたしまして、フィリピンその他東南アジア等をやっておりまする運航業者が数社あると思いますが、大体外航関係の運航業者は三十社程度というふうに御了解願っていいかと考えております。
  201. 小松幹

    ○小松分科員 私の調査では、運航会社は二十三社で、オーナー、貸し船会社は三十四社、これは利子補給の対象になっていると思いますが、まあそれはそれでいいとして、船会社といってもいわゆるオーナーの船会社あるいは運航会社、実に莫大なものがある。数にしたら相当多く、しかもそれがやはり民間資本を吸収しておる。利子補給の対象の五十七社にしても、なおかつみんなそれぞれ最近は運賃は相当上がってきているけれども、経営は悪い。このままではいかぬ。しかも今度の政府の十八次造船計画では、船積み率を上げるという意味でも、相当造船計画をオーバーして、どんどん船を作るという計画が出てきた。政府の政策としては船を作るという計画が出ておる。金融は引き締めておる。会社自身はもたもたして経営が不完全である。そういうときに、運輸省としては政府の命令する船をよけい作るんだ、金はないんだ、船会社の経理は悪いんだ、累積欠損まである、償却不足も出ておるんだ、こういうような一つの要素、ファクターを積み上げたときに、当然出てくるのは、利子補給対象の五十七社でも、企業の整理統合ということがまず一番の眼目として出てこなければ、私は助成目的は意味ないと思う。あなたはそれをやるとおっしゃる。さらに五十七社のうちにどのくらい整理統合したらよかろうか。あるいは運輸省の腹づもりというものは一体どのくらい持っておるのですか。その辺をもう少し詳しく、あなたたちは企業の内容まで知っておるんだろうから、ばく然とでなく、おっしゃって下さい。
  202. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 まだそういうことを申し上げる段階には参っておりません。
  203. 小松幹

    ○小松分科員 段階ならいつが段階です。そういうことを言う段階というのは。運輸省は最後まで出す気がないのか、出す気なのか、どうなんです。
  204. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 私はこれは各会社それぞれの自発的な考え方によってやっていくように促進をして参りたい、かように考えますので、計画的に何社と何社どうということは考えておりません。
  205. 小松幹

    ○小松分科員 それじゃあなたの方としては、そういうことに対しては関心はあるけれども、全然計画はないということになりますか。そういう整理統合の意図はあるけれども、皆目わからぬというのか、こっちの案がないのか、出たとこ勝負という意味ですか、どうなんです。
  206. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 出たとこ勝負というわけではありませんが、しかしここに数字をあげてどうというところまで参っておらぬと申し上げておるわけであります。
  207. 小松幹

    ○小松分科員 それはどういう理由ですか。職務怠慢なんですか。いい知恵が出ないのですか。
  208. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 これは経済界に非常に微妙な影響を与える問題でありますし、それぞれ株主もあり、また債権者もある問題でございます。先ほど町村合併をやるように強制的にやれとおっしゃいますが、町村合併のようなやり方で会社の統合を強制的にやらせるということは、これはよほど考えものだと考えております。
  209. 小松幹

    ○小松分科員 なぜ考えものですか。それは利子補給をしたり、利子のたな上げをしたりするということは、少なくとも国家の税源というものを使ってやるんだから、くれてやることだけはただでくれてやるが、要請ということは一つもやらないのか。それはあなたまかせかどうか。これはどういうのですか。それが民主主義というのですか。
  210. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 これはただでくれてやるというだけでなしに、ただではなしに、その呼び水があって初めてできる。今の企業の合併とかあるいは減資とかいうものを呼び出すわけでございます。
  211. 小松幹

    ○小松分科員 それでは、あなたはいわゆる海運界の企業の整理統合はおやりになるという決意なんですか。出たとこ勝負でなくて……。
  212. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 私がやるんでなしに、必要がやらせるであろう、こう申し上げております。
  213. 小松幹

    ○小松分科員 私が運輸大臣責任を聞いている。あなたが平の代議士だったら、そういうことは問わない。運輸大臣としての責任においてそういうことをやる意思があるのかないのか、減資についてやる意思があるのかないのか、その二点をはっきり聞いておきます。
  214. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 私はただいまのところ強制的にやる意思はございません。
  215. 小松幹

    ○小松分科員 じゃ何性的にやればいいのですか。強制的にやらなければ、どういう方法でやるのですか。
  216. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 助長政策と相待ちまして、そういった方向に指導をいたしたいと考えます。
  217. 小松幹

    ○小松分科員 あなたは指導能力がそれだけあるとお思いですか。先ほど、海運界は経済界と大へん問題がある、株主の問題があるということですが、それをあなたは指導し切れますか。
  218. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 そこでおのずから限界がありますから、強制的に法律でどこどこというわけには参らぬ、こう申し上げております。
  219. 小松幹

    ○小松分科員 それじゃどういうふうなやり方をするのか。整理統合を野放しにして金だけは何とか——利子のたな上げをする腹づもりだから、それから先は出たとこ勝負か。あなたは強制的にやらないというなら、どういう格好でやるのか。先ほどあなたはやりたいと言うが、どういう方法でやるのか。強制的にやらぬということだけ言った。一体どういう方法でやるのか。
  220. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 先ほど申しますように、五カ年内に償却不足とそれから元本の遅滞をなくしていくという計画を最初に立てさせるわけであります。これは会社によっていろいろ違います。同じ系統の会社においては、それをやるには減資をやらなければならぬということが起こって参りましょうし、あるいはまた統合もしなければならぬというところが起こって参ると思います。それを誘発するといいますか、指導するとかいうために、政府の助成策を与えまして、この助成をやるから一つここまでふんばってこい、その呼び水に応じ切れない会社はこれは脱落していってもしようがない、かように考えております。
  221. 小松幹

    ○小松分科員 今の運航会社二十三社のうちで五年のうちに元本の延滞が解消できるのは六社しかないのです。船会社の数は三十四ですか、三十四のうちに償却不足が解消できるのは十社しかない。結局は船会社で三分の一しかできないのです。片一方の運航会社では四分の一しかできない。今の利子補給会社の補給対象の五十七社をとってみても、五年後に野放しにやっておけば、元本の延滞が解消できるのは六社、オーナーで償却不足が解消するのは十社しかない。三分の一、四分の一しかできない。このままの状態で単なる助成措置をしたのでは、そういう結果が出てくる。それならば、当然それをどうしても五カ年間に整理統合するという考え方に立たない限りは、これはもう何のことかわからぬじゃありませんか。数字は五年先の数字がちゃんと出ておるじゃありませんか。私すらがそういう観点に立っておるのに、専門家で、しかも運輸省責任者が、それに対するはっきりした考え方なり、あるいはどういう方法というのが出ないということは、おかしいじゃないですか。怠慢のそしりを免れない。あるいは責任のがれだ。もう少しはっきりした態度をここで表明してもらいたい。
  222. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、ただ単なる政府が助成といいますか、たな上げだけやって、そしてほったらかしておるというわけじゃないので、それには条件があって、五カ年間にそういうことができるという計画を立ててこなければ、この助成はやらぬぞ、こう言っておるわけですから、従ってその会社の存廃に関心を一番多く持っております債権者、市中銀行あるいは開銀等が、その会社に向かって整備計画を立てさせていく、また当該会社が寄って立てていく、こう私は考えています。
  223. 小松幹

    ○小松分科員 あなたの計画は、金融会社とよく相談してやらせる。すべてがそういう無責任な、責任のがれをやっておる。政府自身が大英断を振って、国民の協力を得てやる。それがなければ、私は海運界の再建は言うべくしてできない。そのときどきにうまいことを言って利子補給とか、そうしてやっていることは、造船利子の汚職事件が数年前に起こった。金まで借りて、利子まで補給してもらって、汚職事件とは何事だと言いたい。そしてその舌の根のかわかないうちに、また利子補給が再現されて、しかも今度再び利子のたな上げまでしようかと言う。国民の協力を得るためには、政府自身がほんとうに金融機関と相談をしてなんという、なまぬるい考えじゃだめだ。まことに責任のがれだ。金融機関と相談をして、そして整備計画を立てるのだ。政府は何にもしやしない。そういう態度では日本の海運界を再び汚職の中に持ち込むのと同じことだ。海運界のものは、たらふく食うて、足らぬことになったら国にたよればいいのだという考え方にも、もう骨身まで徹しておる。そういう考え方で、そしてすぐ言うときには、われわれ戦争中に大へん損害を受けた。もう終戦後十七年もたって、まだ戦争のときのことを言う。すぐ前提は戦争中に船を協力してなくした、それを言うて、国に泣きついて、自分らの整理統合は一つもやらない。こういう姿であるにもかかわらず、運輸大臣みずからがまことに煮え切らぬ態度を持っておる。しかも金融機関と相談して——何たるこれはだらしのない指導方針なのか。それだったら、今度のこの法案なりあるいはもう利子のたな上げだけがあなたの方の法案なんだ。それだけがもう目的になってしまう。そういうことでは私はだめだと思う。しかも経理の内容、運航会社あるいは船の経理の内容、まあ航海費用などを見ても、世界でも相当——相当ではない、一番高い。これはいわゆる船そのものの合理化ができていない。あるいは船の運営の合理化ができていない。どういう点について合理化をしていくか、その辺のところをお答え願いたい。今のままでいいのかどうか。どういうところを合理化すれば、少しでも会社自身の経理がよくなるのか。いわゆる航海の状態あるいはこちらの企業そのものの内容から見て、どういうところにポイントを合わせて合理化をすれば、海運会社というものはもう少しよくなるのか。藤山長官も言っておるでしょう。藤山長官も、いつだったか、十二月ごろにこういうことを言った。今のままの船会社をそのままにして、しかもああいう経営をさせておって、利子をたな上げさせるのは悪い、利子をたな上げして国家助成をするならば、海運界自身ももう少し運営面でがっちり合理化を進めなければいかぬ、こう藤山さんも言っておる。あなたはそれを言い切らない。藤山さんは言い切ったが、あなたは運輸大臣としてそういうことを考えてもおらない。考えておるとすれば、どういうところを考えておるか、お答え願いたい。
  224. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 海運会社に利子補給を政府考えましたときから、政府も特に海運会社の合理化に注意をいたしております。海運会社自身といたしましても、私は相当な合理化をやりつつあると思うのでありますが、何分にもほとんど借金から出発した会社でございますから、従って今日のような状況になっておるわけでございます。会社の経営につきましては、私は必ずしも外国の海運会社に劣っておるとは思いません。
  225. 小松幹

    ○小松分科員 海運会社は利子補給を再開してからだいぶ合理化を進めておる、こういうことをおっしゃっただけで、それではこれから先は進めないでいいのか、今進めつつあるそのままでいいのかどうか、あなたそのままでいいと思っておるのか、さらにお答え願いたい。
  226. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 ことに人件費の合理的な使用ということが一番の問題であろうと思うのでありますが、これらの点につきましても、絶えず指導いたしまするとともに、海運会社も人件費の節約等については非常な細心の注意を払ってやっております。私は非常に乱脈な経理、乱脈な経営をやっておるというようには考えておりません。
  227. 小松幹

    ○小松分科員 私は乱脈な経理とは言わなかった。乱脈な経理だったら、もってのほかです。そういうことを言っておるのではない。かつては乱脈な経理もあっただろうが、今言っておるのは、乱脈の経理というよりも、さらに突っ込んだ合理化の体制がどう進められておるかということを言っておるのです。あなたの答弁ではそのポイントがはっきり出てこなかった。今何と言ったか、人件費とか言ったですね。もう一回そこをはっきり言って下さい。
  228. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 人件費です。
  229. 小松幹

    ○小松分科員 人件費はどういうところが問題点なんですか、それをちょっと……。
  230. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 できるだけ陸上勤務の人件費を節約しまして、そうして海上勤務の人たちが十分働かれるように、やはり労務管理をやっていく必要があると思います。同時に、海上勤務につきましても、他の諸外国よりも特に多く人を乗せなければならないというような法令が現在ございまするから、これらもその一環として外国並みの制限にいたしたい。今関係法案の提案をいたしておる次第であります。
  231. 小松幹

    ○小松分科員 まず社内の運営について、私は今あなたが言われたところにもポイントはあると思うのです。それならそれを運輸省としてはもう少し強調して出させなければ、いつまでたっても同じです。今あなたが後段で言われた、船に乗っている船員の比率が高いということは、確かに英国あたりは、インド人も少し入れてあるから、非常に船員比率は下がっておりますけれども、他の国と比べて、日本の船員比率は多い。多いというのは、そこに原因があるわけです。単に多いわけじゃない。もう少し原因があるわけです。ただあなたは、法規がそういうようになっているからと、法規だけを言っているんですが、法規だけで済まされる問題かどうか。この点はあると思う。あなたはどういうように考えるのですか。
  232. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 法規だけとは申し上げません。法規も、多数の船員を要するような法規になっている点も改めて参りたいし、また、船自身の運航の仕方等におきましても、なお考慮する余地があるであろうと思います。ことに、予備員制度等につきましても、なお合理化の余地があると思って、こういう点についての合理化を進めておるわけであります。
  233. 小松幹

    ○小松分科員 船員比率が日本は高いということは、数字的にははっきりしています。それには船そのものの、いわゆる船内の機械の合理化も進めていかなければならぬ。特に機関部あたりのオートメ化というものを考えて、あるいは食事等の合理化、機構の合理化というものをもう少し考えていくように、そこまでこまかな配慮をしながら、航海、就航の費用を節減する。あるいは日本の海運会社は、特に陸上の関係が非常にずさんといえばずさん、あるいはオーバーといえばオーバー。海運が非常に困っているんだというので、国会へ来てあなたたちに陳情をするときには、海運界はもうこれでつぶれるんだ、もうこれが最後だという、まことに死にもの狂いみたいなことを言うけれども、そのこと自体の企業の中の陸上の操作というようなものは、まだきわめて前時代的な感覚しか持っていない。私にはそう思える。そうしてそういうもののはっきりしたけじめがつけ切らぬで、欠損の繰り越しをやってみたり、あるいは経理はもう償却不足が出て困っておる。まず足元から洗ってこなければいけない。企業そのものも足元から洗う必要があるが、同時にあれだけでは事足りない。株主に相当抵抗があったとしても、会計操作上の原資の一つの操作というものも、はっきりした建前でやるべきだ。しかも企業が五十七社、これがもうそれぞれやっておるというようなことも解消すべきだ。そうして初めてしかる後の国家助成ならば、われわれも海運振興策として協力を惜しまない。しかし、やたらに海運振興策に名をかりて、むちゃくちゃに国家助成を依頼し、国家助成を種にして自分のところは締っていないというような——今日の海運界を私は目のかたきにするわけじゃないけれども、はなはだ遺憾である。歴代の運輸大臣が、口でうまいことを言っても、海運界に対してこれっぽっちも強く発言し切らない。齋藤さん自身も、何だか強制はし切らぬとか、民主的にやるとか、結局やらぬじまいで終わるんじゃないかと思う。あなたは、運輸大臣の職をもらった以上は、そういう海運界に、他人様が言ってもわかるようなことを自分たちがやり切らなかったら、運輸省自身がぴしっとやるだけの大英断をふるう時期が来たと思う。そういう気持があるのかないのか。
  234. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 先ほど御意見の中にございました船の機械のオートメ化も、大いに促進をいたしております。最近は、非常に進んだものもできるようになって参りました。なお、先ほどからもたびたび申し上げておりますように、まだ、御発言の中にもございましたように、今考えておりますような援助だけでは、五カ年内に立ち直りができない、こうおっしゃっておられるわけです。私も、それを承知いたしております。ということは、そのほかに、今おっしゃいましたようないろいろな合理化をするものを中に織り込んでいきませんと、五カ年間に立て直しの計画が立たない。従って、五カ年間に計画の立つような、今おっしゃったようなものをみな織り込ませて計画を立てさせる、こう申し上げておる。私は、強い決意を持って臨みたいと思っております。
  235. 小松幹

    ○小松分科員 もう一回はっきり申し上げますと、このまま企業の整理統合をやらないと、幾ら助成措置を五年間やっても、その五年たった後に、海運会社では、元本の延滞が解消できるのは三分の一、オーナーでは、償却不足というものが解消できるのは十社しかない。だから、この際どうしても踏み切らなければ、この助成政策というものは絶対に意味がない。そういうことをはっきり申し上げておきますから、大臣の方もその決意で当たっていただきたい。  それから十七次計画造船の追加は、自己資金一割とありますけれども、それさえ出せないから、計画造船は返上するという空気もありますが、これはどう解決する見込みですか。
  236. 辻章男

    ○辻政府委員 これは市中銀行の方から、いわゆる追加分につきまして、一割程度の自己資金をめどにして努力してもらいたいという通告がございまして、各社おのおのできるだけの努力をいたしておりますが、中には、六分程度のことで御了承を得て、すでに着工の運びに至るというものも出ておりまして、ただいま私どもの聞いております範囲では、その銀行の通告に対して、自分の方から辞退をするというふうな会社は、ないように伺っております。
  237. 小松幹

    ○小松分科員 辞退をするのはないということでいい気になっておったんじゃしょうがない。一割程度の自己資金がだんだん五分になって、結局しまいには、計画造船だから、ほとんど人の金で全部計画造船をやって利子はたな上げにしてくれるか、払ってくれるだろうから、作らぬ方が損だということになる。何とかかんとかごてておれば、計画造船だからというので、金は貸してくれる、こういう観念が、最近海運界に横行している。そういうものに対して、一体運輸省はどう考えておるか。計画造船は、今や一段階考えるときになっておると思うのです。計画造船をやめろというのではない。やるについては、もう少しはっきりした考え方というものを出さなければいかぬ。結局五十七社という対象でいいのかどうかという問題になるわけです。計画造船に対する考え方についての説明を求めます。
  238. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 計画造船は、御承知のように、今までは融資を、五割は開銀、五割は市中銀行ということでやっていたわけです。十七次船の前半もそれでやったわけでありますが、このたび金融機関においては、金融の引き締め等で相当金融が苦しくなって、五割融資をするはずであるけれども、そのうち一割くらい自己資金が出せないかということを言っているわけです。従って、市中銀行と、作ろうという船会社との間に、一割出せるか出せないかという相談をやっているわけでありまして、今まで自己資金を開銀融資のほかにたくさん出しておったものを今度は出さなくなったというのではなくて、逆に、苦しい船会社にさらに自己資金を出せということを言うているという段階であります。
  239. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 小松君に申し上げますが、時間がだいぶ経過しておりますから……。
  240. 小松幹

    ○小松分科員 それではあと結びに……。私は、海運助成政策というものは、単なる至上命令的な救済政策ではだめだということを繰り返し言っておるわけです。それのためには、今私が言ったことをはっきり運輸省としてはやってもらいたい。  次に、今度の予算の中に一つだけ、太平洋の旅客船の調査費か研究費というのが出てきている。日本は、終戦後、貨物船、あるいは鉱石船、あるいはタンカー、こういうものにウェートをかけて今日まできた。ところが、ことし初めて、この太平洋の旅客船というものが、一応構想が出た。研究費は一千五百万円くらいだから、そのことをとやかく言うよりも、一体どういう構想があるのか。太平洋を横断するのに、どういう規模のものを考えてこういう案が出ているのか。その辺どうですか。
  241. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 日本は、かつて太平洋横断の旅客船を持っていたわけでございますが、今日太平洋横断をしておりまする旅客船は、外国船ばかりでありまして、日本としても、もし経済的にペイをするならば、旅客船を作るべきじゃないかという議論が相当ございます。そこで、旅客船を作った場合に、はたしてペイするかどうか、またペイをするについては、どのくらいの大きさの船で、どのくらいの速力を出さして、どういう構造にすればペイをするか、あるいはしないかというような点をよく調査をいたしたい、かように考えておりまして、今の構想の中に、たとえば四万トンにするとか、三万トンにするとかいうような固定した計画は、持っておりません。しかし、やるとすれば、やはり大型船でなければなるまい。大型船で経済速力を出して、そして外客を誘致する魅力のある船で、経済的に維持できるというものは、どういうものかという、一つは船の点から、もう一つは、今後その船を利用するであろう旅客といいますか、これの調査というようなことも、一緒にいたしまして研究を進めたい、かように考えております。
  242. 小松幹

    ○小松分科員 最近、英国は、旅客船というものを採算が合わないからといって、製造をちょっと禁止している。フランスでは、邦貨にして三百億くらいの大型船を大西洋に浮かばせることに成功しておりますが、これなどは、飛行機の運賃と見合わなければならぬ、しかもデラックスでなければならぬ非常に高度に合理化されたものでなければならぬ、そういう頭打ちが一これは飛行機がなければ、デラックスであろうが、合理化であろうが、どんなに金をかけても、採算は合うでしょう。ところが、飛行機というものが壁になっている。飛行機の運賃が壁です。しかも、フランスでは三百億円も使っておる。これであったら、七万トンくらいのタンカーが七はいから十ぱいくらいできる。そういうようなものを作れば、この旅客運賃はなかなかとれない。とれて、しかもそれが必ずしも採算に合うか、コマーシャル・ベースに乗るか乗らぬかというのは問題だと思う。英国はそれを一時中止しておるが、そういう時期で、特に日本は、外貨の問題もあるし、あるいは輸出、輸入貨物輸送というものが相当逼迫しておるのに、どうして客船の構想がぽっと出たのかということを、これはいい悪いじゃないけれども、そういう情勢の中に、少し見込みが甘いんじゃないか。どういう意味でそういうのが出たのか、もう少し深い意味があったのか、あるいはよその国も持つから、日本も、人がかさをさすならばという考え方で出したのか、見込みがあるという一つの下相談なりあるいは胸算用があって出したのか、その辺のところを伺いたい。
  243. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 かつて、政府におきましても、党におきましても、旅客船を一つ作ってみたらという計画があった。昨年は予算を要求いたしましたが、予算を獲得するには至りませんでした。これはやはりまだ調査が不十分である、かように考えまして、十分調査を進めまして、今おっしゃいましたような、あるいはイギリスの様子、フランスの状況等も存じておりますが、太平洋においてはどういうような形であればほんとうにペイするという自信をつけた上で要求をいたしたい、そのための調査でございます。
  244. 小松幹

    ○小松分科員 それでは終わります。
  245. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 角屋堅次郎君。
  246. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 時間もだいぶたっておるようでありますから、簡潔に御質問申し上げたいと思います。  最初、気象関係の問題でありますが、実は私国会に出て参りましてから、伊勢湾台風、あるいは昨年あたりでも、第二室戸台風というふうに、歴年災害が発生をいたしておりまして、そのつど、最近では、国会では災害対策の特別委員会がもたれて、災害問題に対する措置についてお互いに真剣に対処するというようなことをやって参りました。過般の国会の場合にも、私は、池田総理の出席を求めて災害問題を論じたときに、気象関係の問題の充実というものをやはりお互いに真剣に考えていかなければならぬじゃないか、日本のような災害国の場合には、近代化された気象のいろいろな機械、技術、そういうものを当然取り入れた気象態勢の整備、あるいは必要な人員の配置というものを真剣に考えなければならぬじゃないかということを池田総理にお尋ねしましたところ、私はだれよりもその点については認識しているつもりだし、十分熱意を持ってやるつもりである、こういうふうにお答えになっておりましたが、新しい年度予算なんかを見ますると、気象の方面は、きわめてじみでありまするけれども、そういう点について、特に災害国の日本の気象予報というものを整備をするという立場からやられたかどうかということになると、いささか問題があると思うわけであります。  私は、元来、気象庁というのは今運輸省に所属しておるわけですけれども、気象庁というのは運輸省に所属しておるのが適当であるのかどうかという点、若干疑問を持っておるわけであります。もちろん、これは陸上、海上、空、そういう関係は、運輸省に関係が深い。こういうことでいえば関係はまんざらないわけではありませんが、しかし災害と関連をして考えますと、これは建設にも関係がある。運輸にも関係がある。農林にも関係がある。厚生にも関係がある。もっと大きな立場の機構にあった方が適切でないのか。災害基本法等の制定されました段階の中で、気象関係のそういう方面における位置づけから考えましても、一運輸省にあることが適切であるのかどうかという問題も、一つの検討問題ではないかという感じがするわけです。今日運輸省にあるから思うように予算が進むとか進まぬということで論じようというわけでは別にございませんが、大臣とすればせっかく運輸省に所属しておるのに、他にかえることについて検討したいなんということは言えないと思いますから、その点についての答弁はけっこうでございますけれども、気象体制の整備という問題について、大臣としてどういうお考えかをまず伺いたい。
  247. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 気象関係業務及び施設の整備は、日本といたしましては現段階において非常に大事な問題だと考えております。角屋さんが気象関係に非常に御熱心であることに対しましては、敬意と感謝を心から表しておるわけでございます。このたびの予算の編成に当たりましても、運輸省の重点施策の一つといたしまして、大蔵省に対しまして相当強く要求をいたしました。結果は必ずしも満足とは申せませんが、私は本年は今までに比べてある程度の整備はできると考えておるわけであります。
  248. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 気象庁ではこの昭和三十六年九月改定で、気象業務整備五カ年計画というものを作っておられまして、その内容を見てみますと非常に具体性を持っておりますし、それぞれ必要なことばかりが盛りだくさんに出ておるわけですけれども、せっかくこういう計画を作られ熱意をもってやられようと思っても、大蔵省に対する説明には非常にけっこうでありまするけれども予算査定でなかなか実際には期待通りいかない、こういうことが出ておるのじゃないかと思うのです。去年災害の問題を論じたときには、富士山にも一つレーダーの基地を設けよう、高いところにレーダー基地を設ければ非常に観測の性能もいいしということで、他に二カ所ありますが、それと同時に富士山にレーダー基地を設けたいということで、非常に期待しておりましたら、肝心の富士山はことしの計画からは落とされておるというふうなこと等もあります。また過般の池田総理との質問のときにも申し上げたのでありますが、今日、御承知の気象観測機については日本自身でやっておるのではなくて、米軍にこれを依頼して、米軍の協力によっていわゆる台風を追う気象観測の航空機関係はやっておる。これは経費として一機十数億円からかかるという問題でありますけれども、そして現実にはアメリカの気象観測機は十数機がグアムと横田にありまして、それが台風の場合には活躍をして日本の気象台等にも連絡がくるという事態でありますけれども日本のような災害国の場合には、やはり予算の一つの重要な項目として、こういうものも日本自身として持っていくという態勢にいくべきではないのか。自衛隊の航空機なんかの問題をこの際対比して論じようとは思いませんけれども、やはり日本みずからの手で航空機による観測等も整備する、こういうことで考えていくべきではないのかということを池田総理に言いましたら、今後十分考えていきたいということでありましたが、残念ながら新年度にはもちろん現われておりませんし、また気象庁の気象業務整備五カ年計画を見ましても、備考の第二項で気象観測機の問題は論じておるのでありまして、これをだんだんと気象整備計画でやっていくという意欲は、必ずしも端的に現われていないような感じがするわけです。内容的にいろいろ申し上げる気持はないのですけれども、この際一つ航空機による気象観測の問題については、やはり逐次日本自身でやっていくということでやるべきじゃないかと思いますが、運輸大臣いかがですか。
  249. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 私も日本自身で気象観測機を早く持てるようになりたい、かように考えております。今米軍の気象観測機に依存をしておりますことは、いかにもよそにたよっておるようなわけでございまして、このために非常に支障を来たしておるというわけではございませんけれども、しかし今日の日本としましてはなるべく近い機会に持ちたい、かように考えるわけであります。しかしながら今もおっしゃいましたように、気象観測機を持つということは莫大な経費を必要といたすわけでございます。一度台風の中に突っ込みますと、全部ボーリングをやり直さなければならない。従って、一回台風が来れば次の台風が来るまでにボーリングを完成しなければ間に合わないということで、相当の機数を用意いたさなければなりません。この点につきましては防衛庁長官とも相談をいたしましたが、防衛庁といたしましても満足な気象観測をするだけの数と要員をそろえるということは今の防衛庁としてもなかなか容易でないということでございますし、さしあたってはとにかく地上あるいは船の上の観測というものを完備しなければなりませんので、その方にここしばらくは主力を注いでいきたい、こう考えております。
  250. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 米軍の気象観測機の問題は、かつてグアムの米軍の気象観測機が若干引き揚げるというような問題が伝えられて、台風の時期を前にして日本としては大へんあわてたことがあるわけであります。やはり他国に依存をするということであると、日本のために気象観測をやるというよりも、アメリカ自身のいろいろな目的があってやられておるというのが主体になるわけですから、そういうことで依存をしていた国の都合で気象観測機が移動でもするというようなことになると、その部面が大きく穴があくというような問題もあろうと思います。経費その他の問題は、全体の中でこの問題の比重をどう考えるかということの問題であって、これは大臣説明としてはわかりますけれども、やはりかってそういう心配もしたことがありますし、今後日本自身がそういうものを整備するということで、努力を願いたいと思います。  時間の関係もありますから気象の各項の問題に入ることは省略をいたしまして、最近大気圏の原水爆の実験等による汚染の問題が、御承知のように昨年はソ連の原爆実験の再開等で非常な問題になりました。これは単に気象庁だけの問題ではなくて、科学技術庁あるいは内閣全体の問題でありますけれども、この機会に気象庁として大気汚染というふうな問題について、現実にどういうふうに措置されておるのか。新年度ではさらに前進をした態勢の中で措置されようとしておるのか、これを一つ明らかにしてもらいたい。
  251. 和達清夫

    和達政府委員 気象庁では、雨や雪または大気の中に含まれておる放射能の観測を行なっております。観測場所は、基準観測として五カ所、簡易観測として十カ所いたしております。気象庁の放射能観測は、日本に落下する放射能を概括的に把握するためでありますので、野菜、食料品等の衛生上の観点のために行なう観測は、厚生関係あるいは農林関係その他の関係において行なっております。これらの放射能の技術的、行政的問題を解決するために、総理府に放射能対策本部ができましたことは御承知通りでありますが、気象庁はそれに委員を出して、それを通じてこの仕事をいたしておる次第でございます。なお、国際連合の総会において決議が行なわれ、放射能対策の重要性が認識されまして、国際的に観測の統一をされますために、放射能の世界的の共同観測を実施するという案が、ただいま世界気象機関で検討されております。本年の放射能関係の予算としましては、二千六百万円ほど、またこれを維持運営していく費用として百余万円が計上されています。
  252. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 このソ連の原爆実験の再開以降、最近の気象庁として観測しておられる観測のその後の経緯というものは、どういうものですか。
  253. 和達清夫

    和達政府委員 ソ連が数多くの核実験をいたしまして、放射能物質が、その当時からただいまに及んでたくさん降っておることは、申し上げるまでもないと思います。放射能物質と一口に言いましても、その内容が非常に問題でございますので、単に強さをはかるだけでなくて、その種類を化学分析によって確かめることが非常に大切でございます。気象庁もこの方面に新しい努力をいたしておる次第であります。
  254. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 閣僚懇談会等でも話が出ると思うのでありますが、内閣全体として、先ほどもお話のように、総理府にこの方面の対策本部ができまして、全体的にやるという形になっておるわけですが、その方面で一つ大臣の方で、放射能対策ということでお話がありますれば承りたい。
  255. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 ソ連が核爆発の再開をやりまして以来、政府といたしましても非常に関心を持ちまして、三木科学技術庁長官が中心になられまして、そうして放射能降下の状況及びこれに対処する方策を総合的に立てるということで、今三木長官の手元でやっていただいておるわけであります。その後の最近の報告はまだ聞いておりません。
  256. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 気象庁関係の問題は以上で終わりますけれども、長官は、学者としては非常にりっぱでありますが、予算というものは、なかなか学者の力ばかりではいきませんでして、重要な仕事でありながら一むしろこれは大蔵関係の大臣に来てもらってやった方が実際であって、せっかく努力をして削られた側を責めてもどうかという感じがするわけですけれども、気象関係については、気象業務整備五カ年計画等も具体的に作られてあるわけですが、大臣としては、この方面の重要性は十分御認識のことでありますし、やはりできるだけこういう方面は満配でいくように、閣内においても今後努力をされるということにお願いをしておきたいと思います。  次に、鉄道関係の問題に入りまして、鉄道建設の基本方針、御承知の五カ年計画昭和二十七年以来進行し、新しく新五カ年計画ですべり出しておるという段階にあるわけでありますが、いわゆる鉄道建設については、なかなか道順がほど遠いのでありまして、予定線に入る努力から調査線に入る努力から、さらに建設線に入る努力からというようにして、われわれ、それぞれ関係を持っておる立場からいたしますと、数十年来の念願というものがなかなか、明るい日ざしが見えたようでは消え見えたようでは消え、こういう嘆きを率直に言っているわけであります。道路関係については、道路整備五カ年計画とかなんとかいうことで、はなばなしく出てくるのでありますけれども国鉄整備の問題については、国鉄の独算制の問題もあるし、また、実際に新線の問題につきましては、これからの経営としてどう判断をされるか、もちろん地域開発の重要性ということがありましても、同時に、国鉄自身の独算制の立場からの経営としてどうかというふうないろいろな問題が出て、なかなかむずかしい問題でありますけれども、私ども現地におる立場からいたしますと、何か実際、経済成長発展も必要であろうと思いますが、東海道線の中心がどんどん整備強化をされていって、だんだんとそれからはずれてくる方、ことに陸上の孤島と考えられるところに手を伸ばしてもらいたいと数十年念願をしておるようなところには、なかなか実現がほど遠い。近づいたと思うと必ずしもまたそうでもない、こういうことに思うわけでありますが、この際、昭和二十七年以来の国鉄の建設あるいは予定、調査、こういう線の現状、新しい新五カ年計画でやろうとしておる建設のこれからのテンポというようなものについて、一つお話を願いたいと・思います。
  257. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 もし御必要でございましたら数字もお示しできると存じますが、大まかに申しまして、新線建設は遅々として進んでおりません。それは今おっしゃいますように、国鉄の独立採算制ということもあると思います。同時にまた、今立てておりまする国鉄の五カ年計画も、今日増強して参りまする輸送需要をどうして満たしていくかということに追われているわけでございます。国鉄といたしましては、国鉄の使命は私は、まず輸送需要を完全に充足するということが大使命でございますが、同時にまた、新しい産業の開発、国民の文化に寄与する、たといペイしなくてもやるという使命を持っていると、かように考えます。しかし後者の使命を果たし得ますのには、相当の資金を必要といたします。そうしてこれは多くはペイをしないところであります。従いまして、今日の状況におきましては、ペイしないところに資金をつぎ込むことは、なかなか困難な状況でございますが、しかし、このまま捨てておくわけには参らないと思います。昨今の国内の金融の引き締めの政策その他から考えまして、今年直ちにやるということは、日本の国際貿易等に及ぼす影響等もありますからできませんが、しかしながらこれが均衡を保ち、相当の資金需要もまかなえるという状況になりましたときには、なるべくすみやかにそういった新線の建設を進めまして、そうして中央と地方といいますか、都市といなかとの所得の格差あるいは文化の格差をなくするように努める一つの使命を持っていると考えます。鉄道建設審議会等のお知恵も借りまして、こういった方面についてどういうような基本政策を立てていくか、今申し上げまするような方向におきましてなるべくすみやかに一つの計画を持ちたいと、かように考えております。
  258. 岡本悟

    ○岡本政府委員 数字で申し上げますと、戦後新線建設が再開されましたのは昭和二十七年でございまして、以降五十二線の新線建設に着手しておりますが、このうち竣工いたしましたのが十九線でございまして、九線が部分的に開業いたしております。三十三線が継続工事中でございます。このほかに別に着工するように建議されておりますものが五線ございますので、合計今後建設していくものは三十八線に相なるわけであります。延長は約一千五百五十キロあまりでございまして、所要工事費は約千五百億でございます。そういたしますと、今のペースで参りますと、大体年間の経費は七十五億程度でございますので、この着工中の三十八線を全部やるのに二十年間かかる、こういう計算に相なるわけでございまして、とてもこれでは現在の地方の熾烈な要望にはこたえ得ないというのが実情でございます。
  259. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 調査予定のもの……。
  260. 岡本悟

    ○岡本政府委員 調査線として目下あがっておりますのは十一線でございます。
  261. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 鉄道の新線問題、いろいろこの点について私ども資料に目を通しております。たとえば日本国有鉄道の諮問委員会の関係で一昨年国鉄の経営改善方法に関する意見書、さらにまた鉄道建設審議会におけるところの諮問や答申、建議、決議、いろんな資料がありますが、そういう国鉄の新線建設についての今日のテンポというものを見ておりますると、地域格差の是正ということがよく言われるのですけれども、なかなかその地域格差の是正ということで日なお遠いという感じを深くするわけです。問題は、国鉄の独算制の問題あるいは新線の建設の費用というものをどういうふうな形で生み出すか、利子補給等の問題も三十六年から新しく発足したようであります。これもまあ微々たるものであります。それをもって従来の国鉄新線の計画というものを飛躍的に増大をさせることができるかどうかということになると、なかなかそういうわけに参らない。ここらあたりでやはり経済の動脈たるべき道路であるとか、鉄道であるとか、あるいは港湾であるとか、そういうふうないろんな問題については総合的な立場からアンバランスのないように考えていくということが重要じゃないか、そうでないというと、鉄道に関係をした申請地域においてはそれだけやはり経済のテンポがおくれる、悪条件を克服することがいつまでもできない。大臣は同じ三重県の関係でありますから十分御承知のように、たとえば三重県の場合におきましても、四日市——津の短絡線問題、これは最近のあの地域の経済条件からしますれば当然考えなければならぬ問題です。最近これが予定線に編入をされることになった。しかし同じく南の方に参りまして、伊勢から紀勢本線につないでいこうという南島線の問題というのは、数十年来の懸案として現地側で強く要望されておるわけですが、近くこれが予定線に入ろうと言われておることは大へんけっこうだと思いますけれども、これらの問題については直接詳しい関係の齋藤さんが今大臣をやっておられるわけですから、そういう方面の点について一つお話しを願いたい。
  262. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 四日市——津の間のいわゆる海岸線、以前は短絡線と言われておりましたが、沿海の工業地帯の必要とする線ということで、今われわれは海岸線と呼んでおるのでありますが、これは当地方の最近の目ざましい経済発展に即応いたしまして、やはり一日も早く建設する必要があると考えます。そうしてこの線は十分ペイしていくだろう、かように考えておりまするので、一日も早く調査を進めまして建設に持って参りたい、かように考えております。南島線はお話のように数十年来の問題でございます。最近紀勢線が開通をいたしましたが、あの紀勢線には相当の勾配を持った線がございます。従って、今後の紀勢線に対する運輸需要は、今の線ではまかない切れないであろうと考えられるのであります。従って海岸線を通りまする南島線をこの際に考えますることは、大阪、紀州を通じた産業の開発という面からも、私は非常に必要である、かように考えております。鉄道建設審議会において予定線に編入される答申のあることを期待をいたしておるわけでございます。
  263. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 従来鉄道建設の問題については、それぞれの機関でいろいろ論議がされ、またそれに基づいて意見書なり、答申等も出ておるわけですけれども、やはりこの際、私は飛躍的に鉄道建設の問題を前進させるという立場で具体的に財政関係をどうするかというような問題については、国鉄自身でやはり思い切ったそういうプランというものを出される必要があるのじゃないか。これは、それが直ちに実施の方向に行くかどうかということは、全体的な財政の問題の関連はありまするけれども、しかし私は率直に言って道路関係が非常に重視され、また重要でありますが、道路建設の関係は五カ年計画というふうなことで相当大きな予算を組んで、積極的にどんどん進んでいる。同じくやはり動脈としての重要性を持っておる鉄道につきましては、重要性としては評価されながらも、なかなか経済性その他いろいろな問題からしてこれが必ずしも飛躍的には前進をしない、こういう点についてはもっとやはり鉄道をあずかる国鉄の立場としては、地域の開発の重要性の問題ともからめて、そうしてまた同時にそういう問題の国鉄のローカル線におけるところの経営の問題についても、やはり具体的にそういう問題をどうするか。もちろんそれらの問題について私が手持の資料の中でもいろいろなそれに対するところの意見というものは出ておりますけれども、それらの問題についてもやはり思い切った立場に立って意見を出される。そうして私どもの希望としては飛躍的な形で新線の建設のテンポというものが進んでいく。これが先ほど事務当局のお話では、現在考えているものだけでも今のテンポでは二十年近くかかる、こういうようなことでは、もうそれは所得倍増計画のテンポには脚光を浴びない地域というものがたくさんできてくるであろうかと思います。大臣もこの方面については非常に熱意を持っておられるわけでありますが、まあ道路と直ちに頭をそろえるという形にはならないでありましょうけれども国鉄の新線計画という問題についての従来からとかく言われておる問題については、十分それらの問題の解明と、それに対する説明というものを十分にやはり整備をされ、そうして飛躍的な新線の前進体制のための思い切ったプランというものを持たれて、やはり内外に問われる必要があるだろうというふうに思うわけでありますので、この二点についてせっかく一つ大臣の御努力をお願いいたします。
  264. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 ただいまちょうど角屋さんの考えておられますと同じようなことを、私ただいま考えておるわけであります。近く国鉄運輸省と一緒になりまして将来計画を立てまして、これに対する財政資金あるいは運営という点について計画を立てて、そうして関係方面の御協力を得て進めて参りたい、かように強く考えております。今までそういうところに鉄道を敷くよりは自動車のほうが最近いいじゃないかという議論が相当多かったのでありますが、しかし最近の自動車輸送状況を見ますると、主要都市は御承知通り非常に自動車は混雑をいたしております。これは主要都市だけをとって考えるわけには参りませんので、やはり地方の貨物輸送等も、これが道路によるということになりますと、それらはすべて主要都市へ自動車が乗り入れてくるということになって参って、鉄道よりも自動車輸送がいいという考え方は、都市の自動車の混雑を来たすということに大きな原因を持つように将来なってくる、かように考えますから、私はローカル路線といっても、これはゆるがせにできないので、やはり都市の自動車の緩和という点も考えまして一そういうところは鉄道輸送によった方が、日本の国情に合うように私は考えております。これらの意見も近く世間に問いまして、今おっしゃいますような線で一つ抜本的な計画を立ててみたい、かように考えております。
  265. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 大臣の熱意ある御見解を承りまして、私も意を強ういたします。  時間の関係もありますので、これで私の質問を終わりたいと思います。
  266. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 ほかに御質疑はありませんか。——御質疑がないようでありますから、運輸省所管に対する質疑はこれをもって終了いたしました。  明二十三日は、午前十時より開会し、建設省所管の審査を行ないたいと思います。本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十一分散会