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1962-02-21 第40回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月二十一日(水曜日)     午前十時十九分開議  出席分科員    主査 羽田武嗣郎君       愛知 揆一君    今松 治郎君       上林山榮吉君    藤本 捨助君       山本 猛夫君    久保 三郎君       島本 虎三君    楢崎弥之助君       畑   和君    肥田 次郎君       山口丈太郎君    稲富 稜人君    兼務 田口 誠治君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 齋藤  昇君  出席政府委員         運輸事務官         (大臣官房長) 広瀬 真一君         運輸事務官         (大臣官房会計         課長)     黒住 忠行君         運輸事務官         (海運局長)  辻  章男君         運輸事務官         (船舶局長)  藤野  淳君         運輸事務官         (船員局長)  若狹 得治君         運 輸 技 官         (港湾局長)  坂本 信雄君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      岡本  悟君         運輸事務官         (自動車局長) 木村 睦男君         運輸事務官         (航空局長)  今井 榮文君         海上保安庁長官 和田  勇君         気象庁長官   和達 清夫君  委員外出席者         警  視  監         (警察庁保安局         参事官)    富永 誠美君         厚生事務官         (社会局更生課         長)      平井  龍君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  高橋 末吉君         運輸事務官         (鉄道監督局民         営鉄道部長)  佐藤 光夫君         日本国有鉄道総         裁       十河 信二君         日本国有鉄道副         総裁      吾孫子 豊君         日本国有鉄道常         務理事     大石 重成君         日本国有鉄道常         務理事     中村  卓君         日本国有鉄道常         務理事     兼松  学君         日本国有鉄道常         務理事     関  四郎君         日本国有鉄道常         務理事     磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     滝山  養君         日本国有鉄道参         与         (経理局長)  豊原廉次郎君         日本国有鉄道参         与         (資材局長)  紙田千鶴雄君         日本国有鉄道参         与         (建設局長)  好井 宏海君     ————————————— 二月二十一日  分科員木原津與志君及び受田新吉委員辞任に  つき、その補欠として久保三郎君及び稲富稜人  君が委員長指名分科員選任された。 同日  分科員久保三郎委員辞任につき、その補欠と  して肥田次郎君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員肥田次郎委員辞任につき、その補欠と  して楢崎弥之助君が委員長指名分科員に選  任された。 同日  分科員楢崎弥之助委員辞任につき、その補欠  として島本虎三君が委員長指名分科員に選  任された。 同日  分科員島本虎三委員辞任につき、その補欠と  して畑和君が委員長指名分科員選任され  た。 同日  分科員畑和委員辞任につき、その補欠として  木原津與志君が委員長指名分科員選任さ  れた。 同日  第二分科員田口誠治君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十七年度一般会計予算運輸省所管  昭和三十七年度特別会計予算運輸省所管  昭和三十七年度政府関係機関予算運輸省所管      ————◇—————
  2. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 これより会議を開きます。  昭和三十七年度一般会計予算、同特別会計予算及び同政府関係機関予算中、運輸省所管を議題といたします。運輸省所管について説明を求めます。齋藤運輸大臣
  3. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 昭和三十七年度運輸省関係予算について御説明申し上げます。  初めに、予算規模について申し上げます。  まず、一般会について申し上げますと、歳入予算総額は十二億六千八十三万二千円、歳出予算総額は六百九十五億六千四百五十一万六千円であります。今昭和三十七年度歳出予算総額を前年度予算額と比較いたしますと、百三十三億七千八百七十三万五千円の増額であり、約二四%の増加率を示しております。この増加額の内訳を見ますと、行政部費系統におきまして三十九億三千四百八十万八千円の増額であり、公共事業費系統におきまして九十四億四千三百九十二万七千円の増額となっております。このうちには両系統を通じ定員二百三十一人の純増が含まれています。なおただいま申し上げました歳出予算総額のうちには、北海道港湾事業費等他省所管分六十五億四千百五十万六千円が含まれています。  次に、特別会計について申し上げます。  まず、木船保険特別会計歳入歳出予定額は、前年度より若干減少し、二億九千四百六十四万九千円となり、自動車損害賠償責任保険特別会計歳入歳出予定額は、付保自動車車両数増加に対応し、前年度より約十億円増額され、六十三億一千三百七十三万円となっております。また、前年度から新たに設置されました港湾整備特別会計におきましては、その歳入歳出予定総額は、最近における船込み等に対処するため前年度より約五十一億円増額され、三百五十五億二千四百三十一万六千円となっております。  なお、このほか、昭和三十七年度財政投融資計画中には、当省関係分として約手七百五十億円が予定されております。  政府といたしましては、昭和三十六年度以降約十年間に国民総生産を倍増することを目標として国民所得倍増計画を策定し、わが国経済の健全な発展をはかろうとしております。当省におきましても、この趣旨にのっとり、海陸空にわたる運輸交通部門全般について効率的な諸策の遂行に努力いたしておるのであります。  しかしながら、昨年来経済発展のテンポは予想を大きく上回り、内需の旺盛と輸出の停滞により国際収支の悪化を招くに至り、これが改善をはかるため強力な対策が要請されている実情でございます。また、急速に発展する第二次産業部門輸送需要の伸びは、運輸交通部門供給力を大きく上回りまして、これが経済成長に対する阻害要因となりかねない危険性が顕著に現われてきているのであります。さらには、わが国経済国際的環境は、貿易為替自由化促進が強く要請されておるなど一そうのきびしさを加えているのであります。  これらの諸点を考慮いたしまして、国民所得倍増計画の第二年度目に当たる昭和三十七年度の予算におきましては、同計画基本線を維持しつつ、最近における経済事象の変化に即応して、まず国際収支改善をはかるための貿易外収支改善輸出振興経済発展に即応する輸出力増強、さらには防災体制強化、交通安全及び海上治安確保運輸関係科学技術振興等の諸施策重点を置き、これらを積極的に推進することといたしております。  以下、部門別重点施策の要旨を御説明申し上げたいと存じます。  まず海運関係について申し上げますが、おもな事項といたしましては、第一に、海運企業基盤強化対策に必要な経費といたしまして六十二万六千円を計上しております。経済発展に即応し国際収支改善をはかり、工業用原材料安定的輸送確保するためには、大量の船腹保有を必要とするのでありますが、企業基盤がきわめて脆弱なわが国海運企業が大量の船腹建造遂行し得るようにするためには、その企業基盤充実強化する必要があるのであります。このため、新たに海運企業整備計画審議会を設けまして、個々の企業整備計画を慎重に審議し、審議会の答申を得まして、財政上の措置をしようとするものであります。  第二に、外航船舶建造融資利子補給に必要な経費として七億九千三百十五万六千円を計上しております。本制度は、外航船舶建造資金を融通する市中金融機関に対する利子補給を行なうことによりまして、海運企業合理化に対する自主的努力と相待って海運企業金利負担を軽減し、海運企業基盤強化しますとともに、これに国際競争力を付与しようとするものであります。  第三に、外航船舶建造にかかる日本開発銀行に対する利子補給に必要な経費として一億五千六百九十二万二千円を計上しております。これは、市中金融機関に対する利子補給と同じ趣旨により、日本開発銀行に対してその融通いたします外航船舶建造資金につき、利子補給を行なおうとするものであります。  なお、これら利子補給にかかる新たな契約限度額として、市中金融機関に対する分として十八億五千六百十三万九千円、日本開発銀行に対する分として十六億七千五百四万五千円を計上しております。  第四に、外航船舶建造に必要な資金として日本開発銀行からの融資二百億円を予定しております。これによりまして、昭和三十七年度においてわが国貿易規模に即応した外航船腹整備をはかるため約五十万総トンの建造を行なう予定であります。  第五に、三国間輸送助成に必要な経費として四億六千万円を計上しております。これにより、前年度に引き続き三国間輸送促進して、わが国海運発展と外貨の獲得をはかりたいと存じます。  第六に、移住船運航費補助に必要な経費として一億二千七百八十一万六千円を計上しております。これによりまして、わが国移住計画に基づく移住者輸送の円滑な遂行をはかることといたしております。  第七に、戦時標準船処理対策に必要な資金として財政融資二十八億円を予定しております。これは、前年度に引き続き、航行にたえられない状況に立ち至っている戦時標準船代替建造を行なうために必要な資金でありまして、特定船舶整備公団分として十六億円、日本開発銀行融資十二億円を予定しております。  第八に、特定船舶整備公団国内旅客船建改造に必要な資金として七億円を予定しております。これにより、昭和三十七年度におきましては、同公団は約四十隻、四千五百総トン程度国内旅客船建改造を実施する予定でありますが、最近における管理費増加にかんがみ、そのうち一億円は出資をもって充てることとし、残余は資金運用部資金からの融資予定しております。  第九に、太平洋客船建造研究に必要な経費として千五百万円を計上しておりまして、これにより太平洋客船建造についての諸問題の研究を行ないたいと存じます。  次に、船舶関係について申し上げます。  第一に、船舶経済性向上対策に必要な経費千四百五十五万円を計上しております。これによりまして、最近における船舶自動化、構造の合理化等の趨勢に対応し、わが国海運国際競争力強化に資するため、船舶経済性飛躍的向上を目途としてこれが試設計を行ないたいと存じます。  第二に、造船関連工業振興に必要な経費として九十五万六千円を計上しておりますが、貿易及び為替自由化に対処して、国際競争力の弱い造船関連工業合理化等促進する所存であります。  第三に、中小型鋼船造船業及び木船造船業合理化に必要な経費として五百八十一万五千円を計上しております。これにより、引き続き、これら造船業技術向上経営合理化をはかりたいと存じます。  次に、船員関係としましては、第一に、海上要員確保に必要な経費として二千六百六十二万四千円を計上しております。これは最近深刻化にしつつある海上労働力の不足を打開するために、船員供給源の開拓に必要な経費百六十二万四千円と、船員福祉厚生を増進するため、国内における船員厚生施設整備する公益法人に対してその整備費の一部を補助するために必要な経費二千五百万円とであります。  第二に、船員教育充実に必要な経資として一億二千六百九十九万三千円を計上しております。これは、船腹の増大に対処するとともに、船舶運航技術近代化に即応して、館山に海員学校新設するほか、教育施設充実教育課程新設などを行なうために必な経費であります。  次に、港湾関係について申し上げますと、第一に、港湾整備五カ年計画に基づく港湾整備事業促進に必要な経費として二百二十五億七百四十二万八千円を計上しております。このうちには、一般会計から特別会計への繰入金二百十六億六千三百七十五万円が含まれております。国民所得倍増計画に基づき、貿易量の伸長、工業生産の拡大及び国土開発の進展に対応して緊急かつ計画的に港湾整備をはかる必要がありますので、昭和三十六年度を初年度として港湾整備五カ年計画の実施に努めておりますが、最近の主要港湾における著しい船込み状況にかんがみ、昭和三十七年度においては、その早急な解消をはかるべく、六大港の整備重点を置いて港湾整備事業早期実施を行なう所存であります。  これら港湾整備事業は、前年度において設置されました港湾整備特別会計によって実施されているのでありますが、同会計歳入歳出予定額は三百五十五億二千四百三十一万六千円と、前年度に比べて約一七の増加率を示しております。また、これを勘定別に見ますと、港湾整備勘定においては、その歳入歳出予定額二百八十六億八千三百八十四万四千円の規模を持ちまして、港湾改修事業として横浜港ほか約三百港の整備を行なう予定であり、特定港湾施設整備勘定においては、その歳入歳出予定額六十八億四千四十七万二千円の規模を持ちまして、輸出港湾として大阪港ほか一港、石油港湾として千葉港ほか四港、鉄鋼港湾として千葉港ほか七港及び石炭港湾として苫小牧港ほか七港につきまして、港湾施設整備を行なう予定であります。  第二に、港湾及び海岸防災事業推進に必要な経費として百二十六億二千七十二万八千円を一般会計に計上しております。これによりまして、特別高潮対策事業チリ地震津波対策事業伊勢湾高潮対策事業等海岸防災施設整備港湾及び海岸災害の復旧を促進する所存であります。  以上申し上げました通り、昭和三十七年度における港湾関係予算は、一般会計及び特別会計を通じて前年度に比し八十四億一千六百十三万二千円の国費の純増予定しております。また、財政融資五億円により、港湾運送事業者事業の用に供するはしけ、引き舟等整備拡充特定船舶整備公団に行なわせ、船込み解消に資することとしております。  次に、鉄道関係としましては、第一に、国鉄五カ年計画推進に必要な財政資金として八百億円を予定しておりますとともに、日本国有鉄道新線建設費補助に必要な経費として四億二千四百七十九万五千円を計上しております。このうち、前者は、東海道新幹線の建設を初めとする国鉄輸送力増強をはかるための所要財政資金であり、後者は、昭和三十五年度及び昭和三十六年度における新線建設費相当額の一部を日本国有鉄道に対して補助するための経費であります。  第二に、地下高速鉄道建設促進に必要な資金として帝都高速度交通営団に百億円を、東京都、大阪市、名古屋市及び神戸市については総額百七十億円の財政資金融資予定されております。  第三に、地下高速鉄道建設費補助に必要な経費として一億八千百七十八万円が計上されております。都市交通円滑化をはかるためには、地下高速鉄道網の早急な整備を行なう必要があるのでありますが、その建設費は巨額に及び、これが経営の重圧となっている現状にかんがみ、東京都、大阪市、名古屋市及び帝都高速度交通営団に対し、建設費の一部を補助しようとするものであります。  第四に、踏切道改良費補助に必要な経費として二千二百一万三千円を計上しております。これによりまして、さきに成立を見ました踏切道改良促進法に基づき踏切道改良促進を図るため、保安設備整備を行なう経営の苦しい地方鉄道軌道事業者に対して、その費用の一部を補助する予定であります。  次に、自動車関係について申し上げますと、  第一に、自動車行政基本体制充実強化に必要な経費として三億一千七百二十二万八千円を計上し、また、要員も六十九人の増員を行なっております。これによりまして、激増する自動車車両数に対応し、京都ほか六カ所の車両検査場整備を行ない、もって検査登録機能強化をはかるとともに、自動車輸送統計機構及びタクシー免許業務体制整備等を行なう予定であります。  第二に、自動車事故防止対策強化自動車輸送秩序の確立に必要な経費として六百四十七万六千円を計上しておりますが、これによりまして、運転者実態調査分解整備事業者及び自動車運送事業者の監査、白タク、無免許トラック等の取り締まりを強力に実施する予定であります。  次に、航空関係のおもな事項といたしましては、第一に、日本航空株式会社に対する出資として産業投資特別会計中に三億円を計上しております。同社国際競争力強化するため前年同様政府出資を行なうものであり、なお、これとともに、同社の発行する社債について二十二億円、借入金について八億六千八百八十万円を限度として債務保証を行なうことにしております。  第二に、国際空港整備に必要な経費として二十七億七千万円を計上しております。このうち、東京国際空港につきましては二十三億三千六百八十万円を計上しておりまして、これにより滑走路新設ターミナル周辺整備ターミナルピル増築分買収等を実施する予定であります。また、大阪国際空港につきましては四億三千三百二十万円と、ほかに国庫債務負担行為二十億八百万円を計上しておりまして、現在施設改修のほか、滑走路新設のための用地買収を実施する予定であります。  第三に、国内空港整備に必要な経費として九億四千九百万円を計上しております。これによりまして、既定空港として名古屋空港ほか十二空港整備を続行しますとともに、新規空港として青森ほか七空港整備に着手し、また、鹿児島ほか三空港追加改良整備を行なう予定であります。  第四に、航空機乗員養成費補助に必要な経費として二千万円を計上しております。航空機乗員の払底に対処してその緊急な養成促進するため、民間における養成に対してその経費の一部を補助しようとするものであります。なお、このほかに、防衛庁に対しても航空機乗員委託養成予定しております。  第五に、航空の安全の強化に必要な経費として一億九千六百四十三万七千円を計上しております。これによりまして、航空路監視レーダー新設航空保安施設整備及び管制用国際無線電話設置等を実施する予定でありますが、このレーダー新設に必要な経費としましては、ほかに国庫債務負担行為二億九千百六十一万八千円が計上されております。  次に、観光関係について申し上げますと、第一に日本観光協会に対する出資といたしまして、一億円を計上しております。これは外人観光客増加に対処して同協会の設置する総合観光案内所設備資金として政府出資を行なうものであります。  第二に、同協会に対する補助に必要な経費として四億二千四百七十三万九千円を計上しております。これによりまして、日本観光協会海外観光宣伝活動整備充実をはかり、昭和三十七年度には、ダラス及びフランクフルトに海外事務所新設いたしますとともに、総合観光案内所運営費及び一般管理費についても新たにその一部を補助することといたしまして、海外観光客の積極的な誘致を推進する所存であります。  第三に、ユースホステル整備に必要な経費として国立ユースホステルセンター増設備費五千百五十万七千円、地方公共団体ユースホステル整備費補助金四千七百五十万円を計上しております。これによりまして、国立ユースホステルセンターの完成をはかるとともに、公営ユース・ホステル約九カ所の整備を行なう予定であります。  次に、海上保安関係についてそのおもなものを申し上げますと、第一に、海難救助体制海上治安体制強化に必要な経費として十億五千九百四十八万三千円を計上しております。これによりまして、老朽巡視舶艇を三隻代替建造し、八隻主機換装いたしますとともに、塩釜航空基地新設航空機増強、第十管区海上保安本部充実を初めとする海上保安組織強化通信施設整備海上警備力強化等を行なう予定であります。  なお、巡視船代替建造に必要な経費として、国庫債務負担行為一億六千九百四十四万円を別途計上いたしております。  第二に、船舶航行安全確保に関する体制整備に必要な経費として、航路標識整備費十億五千万円、水路業務整備拡充に必要な経費一億八千八百四十四万四千円を計上しております。これによりまして、港湾整備に即応する港湾標識電波標識等整備を行ない、集約管理の一環として灯台見回船を建造するとともに、瀬戸内海における航路の精測を行ない、測量船建造を実施する予定であります。  気象関係といたしましては、第一に、防災気象業務整備強化に必要な経費として七億二千二百十六万九千円を計上しております。これによりまして、札幌、仙台に気象用レーダー新設伊勢湾地域自動応答式無線ロボット装置新設地震津波及び火山観測施設整備等を実施して、台風豪雨雪対策及び地震津波火山対策強化充実をはかりますとともに、防災要員二十二人増員農業気象業務及び航空気象業務拡充強化を実施する予定であります。  第二に、基礎的気象業務整備強化に必要な経費として三億九千七百二十八万三千円を計上しております。これによりまして、観測船一隻の代替建造大船渡測候所新設を行なうほか、無線模写放送整備気象官署間通信施設整備を実施するとともに、気象に関する研究強化等を行なう予定であります。  次に、科学技術関係について申し上げます。  第一に、科学技術試験研究補助金として五千九百五十八万二千円を計上しております。これによりまして、次に申し上げます運輸技術研究所における試験研究と相待って民間が分担する試験研究促進し、運輸に関する技術発達改善をはかる所存であります。  なお、おもなテーマといたしましては、起高速優秀商船建造に関する研究航空機航行安全確保のための管制施設近代化に関する研究、新型式輸送機関開発に関する研究等予定しております。  第二に、運輸技術研究所研究施設拡充強化研究促進に必要な経費として一億六千四百五万五千円を計上しております。これによりまして、引き続き原子力船開発研究促進いたしますとともに、電子航法評価試験体制整備を行ない、また、輸送機関経済性向上近代化等に関する研究等を実施し、各種輸送機関施設合理化近代化に資する所存であります。  第三に、港湾技術調査研究機構に必要な経費として八千六百七十三万七千円を計上しております。  港湾工事に関する研究部門調査設計部門とはこれまで分離独立しておりましたが、港湾技術の強力な発展をはかるため、これらを統合して港湾技術研究所を設置いたす予定であります。  最後に、航海訓練関係でありますが、練習船進徳丸の代船建造に必要な経費として五億二千万円を計上しております。これによりまして、前年度に引き続き、老朽化しております練習船進徳丸の代船の建造を実施する予定であります。  以上をもちまして、昭和三十七年度の運輸省関係予算についての御説明を終わりますが、何とぞよろしゅう御審議のほどをお願い申し上げます。  次に、昭和三十七年度の日本国有鉄道予説明を続いて申し上げさせていただきたいと存じます。  昭和三十七年度の予算の編成にあたりまして、三十七年度は日本経済の著しい成長のあとを受けて、経済発展は幾分控え目にならざるを得ないと考えて収入支出予算を組みましたが、一方、また、国鉄輸送力増強及び近代化のための国鉄新五カ年計画実施の第二年度として、この計画実現に支障を来たさないよう十分の配慮をいたした次第であります。  以下、収入支出予算につきまして、損益、資本及び工事の各勘定別に御説明申し上げます。  まず、損益勘定について申し上げます。収入におきましては、鉄道旅客輸送人員は五十四億九千万人、輸送人キロは対前年度七・三%増の一千三百六十九億人キロとして旅客収入二千九百四十六億円を見込み、また、鉄道貨物輸送トン数は二億一千百万トン、輸送トンキロは対前年度五・九%増の五百八十億トンキロとして貨物収入二千百二億円を見込んでおります。以上の旅客、貨物収入のほか、雑収入等を含めまして収入合計は、五千二百四十六億円となっております。  次に、経営費についてみますと、人件費につきましては、三十七年度の昇給と期末、奨励手当合計三・二五カ月分を見込みまして、給与の総額は、一千七百八十一億円といたしております。また、物件費につきましては、節約に特段の努力を払うことにいたしておりますが、おもなものといたしましては、動力費四百八億円、修繕費六百五十九億円を見込んでおります。これらを合わせまして経営費の総額は三千六百二十億円となっております。  以上の経費のほかに、受託工事費四十億円、利子及び債務取扱諸費二百六十二億円、減価償却費五百七十一億円、資本勘定へ繰り入れ六百八十八億円、予備費六十五億円を合わせまして、損益勘定の支出合計は五千二百四十六億円となっております。  次に、資本勘定について申し上げます。  収入といたしましては、先ほど申し上げました減価償却引当金五百七十一億円、損益勘定から受け入れます六百八十八億円のほか、資産充当七十五億円、鉄道債券六百十五億円、資金運用部等からの借入金四百七億円、合計二千三百五十六億円を計上いたしております。  他方、支出といたしましては、このうち二千三十五億円を工事勘定に繰り入れるほか、借入金等の償還三百十四億円、帝都高速度交通営団等への出資七億円を予定いたしております。  最後に、工事勘定について申し上げます。  三十七年度は、輸送力の増強及び近代化重点を置き、東海道幹線増設工事を推進するとともに、主要幹線の複線化、電化、電化されない区間のディーゼル化、さらには通勤輸送の混雑緩和、車両の増備をはかるため、三十六年度に比して百十億円増の二千三十五億円を計上いたしました。  以下、工事勘定の内容について御説明申し上げます。  まず、新線建設につきましては前年度と同額の七十五億円を計上いたしております。  次に、東海道幹線増設につきましては、昭和三十四年度に着工してから四年目を迎え、工事も最盛期に入りますので、前年度より百七十二億円を増額いたしまして六百十億円を計上し、幹線増設工事の促進をはかり、東海道線の輸送の行き詰まりを早期に解消いたしたい考えであります。  次に、通勤輸送対策といたしましては、前年度より十四億円増額し、東京付近六十五億円、大阪付近十七億円、電車増備二百三十両、四十五億円、計百二十七億円を計上いたし、輸送需要の増大に対応するとともに混雑緩和をはかることにいたしました。  次に、幹線輸送力増強のために前年度より二十一億円増額いたしまして四百九十億円を計上し、その能力の限界近くまで利用されており、輸送需要の増大に応じ切れなくなっている東北本線、北陸本線、上信越線、中央本線、鹿児島本線等の輸送力を増強し、これら線区における輸送隘路をできるだけすみやかに解消することにいたしました。  次に、電化及び電車化につきましては、前年度より二十四億円増額し、二百四十八億円を計上いたしまして、現在工事中の東北本線、常磐線、信越本線、北陸本線及び山陽本線の電化を促進するとともに、既電化区間の電車化を積極的に行ないまして列車回数を増加し、サービスの改善経営合理化をはかることにいたしました。  以上のほか、ディーゼル化、諸施設の取りかえ及び改良、総係費等を含めまして、支出合計は、二千三十五億円となっております。これらに要します財源といたしましては、資本勘定から受け入れます二千三十五億円を充てることにいたしております。  以上御説明申し上げました日本国有鉄道予算は、これに予定されました収入をあげ、予定の工事計画を完遂するためには格段の努力が必要であろうと考えられますので、公共企業体としていま一そうの経営合理化をはかり、もってわが国経済発展に資するように指導監督して参りたい考えであります。  以上、昭和三十七年度日本国有鉄道予算につきまして御説明申し上げましたが、これまた何とぞ御審議の上、御賛成下さるようにお願いいたします。     —————————————
  4. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。  念のため申し上げます。質問希望者が非常にたくさんおられますので、山口丈太郎分科員と協議いたしました結果、一応一人の持ち時間は四十分以内と予定しましたので、各分科員の御協力をお願いいたします。愛知揆一君。
  5. 愛知揆一

    ○愛知分科員 私は、国鉄輸送力増強、ことに主要幹線の増強について、運輸大臣と国鉄の総裁に御意見をただしたいのであります。  ただいまの御説明の中にもございますが、たとえば最近の東北地方の国鉄の各駅におきまして、滞貨が非常にはなはだしい。輸送を申し込んでも、直ちに貨車の手配がつかなかった、あるいはその他いろいろな輸送上の渋滞がはなはだしくなっておりますことは、御承知の通りであります。そのために、いわゆる所得倍増計画の中の一つの柱であるところの地域的な格差の是正というような点から申しましても、後進地帯の開発が非常におくれる、それだけではなくて、今度は逆に東京都民の生活の方から見ましても、必需物資の輸送に円滑を欠く、流通がうまくいかない、ひいて生活必需物資の物価騰貴というようなことにも非常に大きな影響がある、こういったような実情に対しまして、いろいろと当局も対策を考えておられるわけでありますが、私は、一つの中心の課題は、主要幹線の増強、ことに複線化ということが、具体的に要請を強くされるところではないかと思うのであります。それにつきまして、ただいまの御説明にもありますが、三十五年の九月に、国鉄新五カ年計画というものが策定されたわけであります。今から振り返ってみましても、その中で、「改善に対する基本的な考え方」として、こういうことが指摘されてあるわけであります。「国鉄の幹線は、その大半が建設当時のままの単線で、逐年増加する輸送需要に対しては、車両を増備して対処し、線路、設備についてはその都度弥縫的手段によって当面を糊塗してきたが、現在では線路容量をほとんど利用しつくし、もはや多くの列車増発を望めない状態にある。」ということが、この五カ年計画の基本的な考え方の中に指摘されてあるわけでございます。さらに、この基本的な考え方には注までついておりまして、「単線を複線化すれば、線路の能力は三倍に増大し」云々、従って、複線化ということが非常に大切なことであるということが、これにも指摘されてあるわけでございますが、こういったような点において、この新規五カ年計画の基本的な考え方、これは、今日の状態から見れば一そう強く考えていかなければならないし、また、実施につきましても、できるだけ速度を早めてやっていただかなければならないと思うのでございますが、これらの点についての基本的なお考えについて、まず運輸大臣から御意見を伺っておきたいと思います。
  6. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 お説の通り、国鉄の輸送力は、日本の経済の伸長の速度に十分マッチをいたしておりません。従いまして、ここに新五カ年計画を樹立いたしまして、その計画実施にただいま邁進いたしておるのでございますが、この五カ年計画と申しましても、当初樹立をされました当時の状況下において、五カ年後の輸送力を算定をし、樹立されたものでございます。しかし、日本の経済は予想外に早く伸びて参りました。この五カ年内の増強というものは、当初予定されたものよりももっと増額をする必要があるように痛感をいたしております。従いまして、事務当局に命じまして、新五カ年計画策定当時の輸送需要の予想と、三十六年度までに急に伸びました経済成長、今後の残された分における伸びる率を勘案をして、場合によっては五カ年をさらに繰り上げ、また、その事業量を増す必要があるのではないかというので、ただいま計画を立てておるのでありますが、本年度予算といたしましては、五カ年計画のワク内におきまして、そして、当面の急務に応じるように、予算をただいま御審議を願っておるわけであります。  その内容は、お説の通り、まず、主要幹線の複線化に重点を注ぎまして、これを一日も早く完成をいたして参りたい、こう考えております。日本の国有鉄道は、お説の通り、建設当時からほとんど改良を加えられない部分が、ほとんど大部分といってよろしいような状況で今まであったわけであります。最近五カ年計画によりまして、今後面目を一新いたしたいと考えておりまするが、さらに、私は、地方と大都市の所得格差をなくするという面から考えましても、ローカル線についても、今後特別考えていかなければならぬと考えております。従いまして、五カ年計画自身の内容につきましても、今後検討を待ちまして、来年度予算の際には、その全貌の一端を表わせるようにいたしたい、かように考えておるわけであります。しかし、日本の予算の組み方というものが、国際収支等にも影響を及ぼしますから、来年度の予算計画がどういうことになるかわかりませんが、鉄道輸送という面から考えますると、その準備を今からいたしておかなければならぬ、かように考えておるわけでございます。
  7. 愛知揆一

    ○愛知分科員 先ほど申しましたように、たとえば東北本線の例で申しますと、私は、具体的にかつ急速に、線路容量が特に窮屈であるというような点について着工を早くやっていただくことが、非常に能率をよくすることではないかと思うのでありますが、そういう点について、国鉄総裁から、新規五カ年計画について、特に三十七年度において、具体的にどういうような御計画で進められておりますか、お伺いしたいと思います。
  8. 十河信二

    ○十河説明員 先ほど運輸大臣から御答弁がありましたように、国鉄輸送力は、全般的に非常に行き詰まり傾向にあります。特に幹線、中でも東北線の行き詰まりは、非常にはなはだしいのであります。外国の例を見ましても、大体主要国は、どこの国でも五割以上は複線になっておるというのが現状であります。悲しいかな、日本の国鉄は、一割二、三分程度しか複線ができておりません。それで、今日までの工事経費が比較的少なかったために、こういうふうなおくれが参りました。本年度から、大臣の御説明がありましたように、大体二千億程度の工事費にして、輸送力の増強に特に力を入れて、複線は新五カ年計画では千百キロ複線にする、動力近代化の方は千八百キロ動力近代化をいたしまして、複線と動力近代化の両方で輸送力を急速に増強いたしたい、こういうふうに考えてやって参っておるのであります。東北本線を例にとりましても、好摩までの線は全面的に線増をいたします。好摩から先は、輸送力の詰まっておるところを順次部分的に線増をするというふうな計画で、新五カ年計画を極力計画通り実施いたして参っております。先ほども大臣のお話のありましたように、日本経済発展が予想以上に急速に進んでおります。今後さらにこれを増強するという必要に迫られておるかと考えて、ただいま検討をいたしておるような次第であります。
  9. 愛知揆一

    ○愛知分科員 基本的なお考えについては、さようなことでけっこうだと思うのでありますが、先ほど申しましたけれども、具体的に私ども非常に関心を深くしておる点で例を申し上げますと、たとえば東北本線の複線化の場合で、越河というところがございますね、越河を中心にしたところが、一番線路容量が窮屈である。私現地の状況もよく見ておるわけでありますけれども、越河と白石の間の複線化ということを早急にお取り上げになって、これが完成いたしますと——全体としての好摩までの御計画は今伺いましたが、特に重点的に今申しました地点について早急に着工するということをぜひ考えていただきたい。これが全体の効率を非常によくすることである、こういうふうに思うのでありますが、その辺のところをもう少し具体的なお考えを伺いたいと思います。
  10. 十河信二

    ○十河説明員 福島−仙台間は、お説の通り、非常に輸送力が行き詰まっております。それで、福島−仙台間を急速に複線化しようと進めておる次第であります。なかんずく、今御指摘になりました越河−中目間は、非常に輸送力が行き詰まっております。三十七年度からは直ちにこれの複線化工事に着手して、輸送力増強をはかりたいと計画いたしておるのであります。
  11. 愛知揆一

    ○愛知分科員 ただいまの国鉄総裁のお考えは、運輸大臣の運輸省としてのお考えもさようでございますか。
  12. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 全く同様に考えております。
  13. 愛知揆一

    ○愛知分科員 ただいま申しましたのは一例でございますが、先ほど申しましたように、できるだけ急速に隘路を打開するためには、一番輻湊しておるところに、いろいろむずかしい条件はあるかと思いますが、積極的に手をおつけいただくことが、非常に能率がいいことと思いますので、ぜひただいまのお考えのように実現をされるように切望いたしまして、私の質問を終わります。
  14. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 山本猛夫君。
  15. 山本猛夫

    ○山本(猛)分科員 さいぜんの主査のお話では、質問者が大へん多いのでということを承っておりますし、従って、ほかの同僚委員からこまごまと具体的な御質問があろうかと思いますので、私は、主として基本的な問題に関しまして、二、三運輸大臣、国鉄総裁にお尋ねを申し上げたいと思います。私は非常に言葉が下手でございますから、手ぎつくお受け取りになるかもしれませんが、どうかゆるやかなお気持でお聞き取り願いますように、前もってお願いを申し上げておきます。  そこで、率直に申し上げますが、これも言葉の下手な結果手ぎつく聞こえるかもしれませんが、三十七年度の予算を拝見いたしまして、また、ただいまの運輸大臣の御説明を承っておりますと、私の考えが足りないのかもしれませんけれども、抜本的な対策というものは、少しもお考えになっておられないような印象しかお受けできない。従って、国民の多くも、ただいまの運輸大臣の内容御説明の点では、運輸省、国鉄というものは、抜本的な対策というものをお持ちになっているのかいないのか、言いかえまするならば、今日の輸送力増強に対する御苦心のほどはわかりますけれども、何かこうやくばりのような感じを受けてはいないか、こういうような感を深くするのでございます。たとえて申し上げますと、東京大阪都市交通に関連しましてお考えになっている対策の関係、地上をのそのそと汽車が東京駅のどまん中まで入ってくる、こういうようなことは、将来ともおやりになるのか。将来はおやめになって、たとえば東海道本線のごときは、六郷川の向こうから地下へもぐらせようとお考えになっているのか、あるいは東北本線は、将来東京都内に入る前に地下へもぐらしていくのだとお考えになっているのか。中央線その通りであります。常磐線もその通りであります。航空関係整備のこと等も承りましたけれども、日本航空なんという、ああいうべらぼうにもうかっているところへ三億円も御出資をなさる。ところが、羽田から台北へ行く時間と大して違わないような所要時間にわたって、台北へ行く人を見送りをした人が、羽田から東京駅まで帰ってこなければならないという悲惨な状況にありますのに、運輸省も国鉄も、まだ抜本的な対策というものをお考えになっておらない。御承知のように、パリのパリ・ドルセの停車場も、ニューヨークの停車場も、シカゴの停車場もその例でありますけれども、巨大なマンモス都市の都市交通対策をもからめた抜本的対策というものをお考えになろうとしているのか、なろうとしていないのか、まだ何の用意もお持ちになっていないのではないかというような印象を深くいたしますが、この点運輸大臣いかがですか。
  16. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 都市交通の現状にかんがみて、東海道本線あるいは東北本線、中央本線等の都内の路線を地下に入れて、東京駅とか、新宿駅とか、上野駅とか、これを地下駅にする構想はないかというお尋ねだと存じますが、なるほど、都市交通の混雑の面は今日の最も大きな問題でございますが、何といっても、日本の都市構成が、経済の伸長に比べれば非常におくれております。従って、まず道路の拡幅が、何よりも緊要な事柄でありますると同時に、高速度大量輸送の運送、運輸機関をさらに増さなければなりません。従いまして、それらの面におきましては、一般的に申しますると、地下鉄道の新設増強と、あるいは部分的によりますると、高架線の増強ということを考えて参らなければならぬと考えております。その面におきましては、一定の計画をもって進んでおるのでありますが、ただいま御指摘の、国鉄の東海道本線、東北本線、中央線等を地下にもぐらせるという点につきましては、今日といたしましてはその計画を持っておりません。これは相当莫大な経費を要します。将来におきましては考えなければならない問題だと考えますが、その前になすべきことがあまりにもたくさんございますので、今日五カ年計画の中においてはそういうことは考えておりません。ただ、東海道の新幹線のごときは、都内はできるだけ高架をもって計画をいたしておるようなわけでございます。
  17. 山本猛夫

    ○山本(猛)分科員 十河総裁いかがですか。
  18. 十河信二

    ○十河説明員 ただいま大臣から御答弁のありました通り、東京都内の地上に線路を持つか、地下に持つかという点は、地質等の関係もありまして、御承知のように、東京都内は非常に地質が悪いのであります。東海道新幹線を建設するにあたりましても、どこへどういふうに持ってこようかということをずいぶ検討いたしましたが、地質の関係等がどうもおもしろくないので、やむを得ず今のところに併設をする、これが一番建設上有利であるという結論に達しまして、さしあたってはそういうことをやることにいたしております。将来は、あるいは技術の進歩その他によりまして、比較的可能に地下に入れるようになることもあるかと存じますが、ただいまのところは今のような状態で進んでおります。
  19. 山本猛夫

    ○山本(猛)分科員 運輸大臣、私はさいぜん申し上げましたように、あなたのお考えになっていることや、国鉄総裁がお考えになっていることに対して、国民が疑惑を持っているのですよ。こうやくばりばかりやって、抜本的な基本対策というものをお考えになっているのでしょうが、お考えになっていないのじゃないかという疑惑を持っているのです。あなたの今の御答弁では、その疑惑を深めただけなんですよ。いろいろ将来そんなようなことは考えないでもないのだけれども、前になすべきことがあって、それで手一ぱいだといったような印象を深くしたのですが、そのうちに抜本的な対策を講じようなんていったって、実質上できなくなっちゃうのですよ。今あなたもお聞き及びなんでしょうけれども、国民の一部の階層では、東京という都を遷都しよう、よそへ移そうじゃないかといったような議論すら、まじめに唱えられるようになってきたのです。これは大へんなことです。あなたはお金お金とさっき言っておられましたけれども、お金からいったって大へんなことなんですね。それならば、今お金だとか何だとかいったようなことは言っていられないのじゃないか、抜本的な対策をお考えになるという点では……。大へんなお金のかかることは言うを待ちません。しかし、抜本的な対策というものを持とうとしておられるのか、持とうとしておられないのかということに関して、国民は非常な疑惑を持っているのですよ。もう少しその国民の疑惑を解かれるように、もうちょっと言い方を変えていただけば、国民があなたを信頼して、有能なあなたのことなんですから、疑惑も解けるのだろうと思いますが、いかがですか。
  20. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 私が申し上げましたのは、現状に即してなし得る抜本的な対策を持って今臨んでおる、かように申し上げておるわけでございまして、たとえば今おっしゃいました東京遷都の問題も、議論としてあることはあるわけでありますが、しかし、国の計画として東京を遷都するという考えはさまっておりません。そういうように遷都するということになれば、それに即応した輸送計画というものもでき上がって参るわけでありますが、輸送面だけ先走って、遷都を目標にして路線計画を作るというわけにも参りません。また、都内に鉄道をもぐらせるということも、ただいまの国鉄総裁が申し上げましたように、地質の関係もありますが、同時に路面の問題がありまして、今の東京の路面の状態におきましては、今敷こうと考えている国鉄新幹線にいたしましても、あるいはその他の幹線にいたしましても、地下にもぐらせるといたしまして、家屋の下を掘って参るというわけにも参りませんので、そういった都市計画あるいは都市構造の改善というものと相待って参りませんと、この輸送の増強をする場合における路線計画というものも立ちにくいのでございます。従って、現に立てられております都市計画とマッチをしながら、最大の効率を発揮するようにというのが、われわれに与えられた使命だと考えてやっておるわけであります。
  21. 山本猛夫

    ○山本(猛)分科員 これは議論になりますから適当にやめておきますが、いずれにいたしましても、抜本的な対策を講じられることに対して一段の御努力を願いたい。今、当局は、羽田の国際空港大阪国際空港などに相当力を入れておられるのに対しまして、たとえば私鉄の踏み切りの切りかえとか、あるいは私鉄の地下工事費に対する事柄等に関しましては、予算面から見まして、まことに冷淡に近い数字が具体的に現われております。運輸大臣はどういうふうにおっしゃっても、三十七年度のかような予算の数字の面から見たことでは、あなたが御釈明になった程度では、国民の疑惑は解けないのです。きょうは、議論をしようという考えはございませんから、どうか抜本的対策に関しましても、一段の御努力をお願いしたいと思います。  次に、私は、時間の関係等もございますから、一、二の具体的な例をあげてお尋ねをいたしたいと思います。  今度荻窪まで地下鉄ができたですね。それで、大へん沿線の人たちは喜んでおられる。ところが、これも都市交通の輻輳に関連してのお尋ねになりますけれども、今までありました新宿から荻窪までの都電の地上路線ですね。これはどうなさるのですか。
  22. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 東京部知事に対しまして、この間の都電の撤去について考慮を求めております。御承知のように、都電の経営は都がやっておりますので、新宿−荻窪間といわず、今日の都市交通状況から、都電の廃止のできるところ、採算のとれない比較的閑散なところをなるべく考慮をしてもらうように話をいたしておりますが、何分にも都電はやはり都民の足になっておりますので、なかなか急速には参らない状況であります。しかしながら、今おあげになりましたような路線のごときものは、第一に着手していただくことが、都の交通緩和に寄与するものと考えまして、都知事に早急に考慮をしてもらうように話を進めておるわけでございます。
  23. 山本猛夫

    ○山本(猛)分科員 これはもちろん地方の自治体の問題でございますけれども、しかし、許可とか基本的な方針をおきめになるのは、あなたの方で大体お考えになるわけですね。それですから、もう一つ言葉をかえて申し上げますが、たとえば今後人口百万以上の都市に対しては、市街地の地上路線は許可なさらないとか、そういう御方針をお立てになるとか、そういう方針でいこうということを考えておいでになるのか、あるいは現在都内を走っておる、都の経営する電車の地上路線は、逐次地下鉄が完成されると同時に、それを撤廃して、世界の巨大な都市の市街地のような、地上路線のない、すがすがしいものにしようという御決意で具体的な考えを持っておられるのか、長い間都民の親しんできたものであるから、天然記念物としてそれを残しておこうという御計画なのか、その間のことを伺っておきたいと思います。
  24. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 基本方針といたしましては、山本さんのお説の通りに考えております。天然記念物として残すような路線があるとすれば、あるいは考慮をいたしたいと思いますが、ただいまそういったような路線も考えておりません。できるだけ路面電車はなくしていきたい、しまいには皆無にいたしたい、かように考えております。
  25. 山本猛夫

    ○山本(猛)分科員 それじゃ、一言だけ御参考までに申し上げておきますが、今一例として申し上げました、新宿から荻窪の廃止される予定と承っておりました都電の地上路線に対しまして、地元の区議会は、決議をもって撤廃反対の運動を始めておりますから、これは御参考までに——御承知のこととは思いますけれども、私もあそこを通って見ますと、あそこの電車にはあまり乗っておらないですね。ラッシュ・アワーのときには確かに乗っておるかもしれませんが、これは御参考までに申し上げておきます。  それから、さいぜん国鉄総裁が愛知委員にお答えになりました中で、東北本線の輸送関係のことに言及されました際に、複線はとりあえず好摩まで延ばす、そうして好摩から先は、必要な個所を複線のような姿にするのだ、こういうように承りましたが、これについてもう少し具体的に伺いたいと思います。
  26. 十河信二

    ○十河説明員 好摩までは非常に輸送が輻湊いたしまして、輸送力が行き詰まっておりますから、そこまで全面的に複線にいたします。好摩から先の方は、特に輸送のこんでおるところから順次複線でやっていく。端からずっと続けてやるというのではなく、必要な区間を先に始めて、順次複線にしていく、こういうふうな計画を立ててやっております。
  27. 山本猛夫

    ○山本(猛)分科員 三十七年度では、どこまでおやりになりますか。
  28. 滝山養

    ○滝山説明員 東北線につきましては、いわゆる勾配区間というのが、先ほど話の出ました仙台と福島の間にございまして、それから好摩から先にまた勾配があるのであります。それからほかの区間は、大体今千分の十という勾配が一部ございますが、だんだん直していっております。それで、やはり隘路というのは、駅間が長い区間あるいは勾配の運転時間がかかるところでございますから、そういうところから順次やって参りまして、現在着工しておりますところ、あるいは三十七年度までに相当進んでおるところが過半数になっておりますが、好摩までは、あるいはこれは盛岡といった方がいいかもしれませんが、三十七年度は、その中で特に今御指摘の隘路のところからかかっていく。五カ年間では一応好摩まで完成になっておりますけれども、その後のいろいろ輸送の逼迫がひどうございますから、やはりひどいところは繰り上げてやらざるを得ないのではないかと思って、今鋭意準備をしておるわけでございます。好摩から先につきましては、相当勾配の改良を伴いますので、その勾配改良を今計画中でございまして、五カ年以内にはひどいところはやはり解決しなければならないのではないかと考えております。
  29. 山本猛夫

    ○山本(猛)分科員 私が今お尋ねしておるのは、三十七年度で全面的に複線になすっていかれるのはどこまでか、好摩まではおやりになるということは、国鉄の総裁の御説明でわかりましたけれども、いつまでに好摩までやるのか、こういう具体的なことを伺いたいのです。
  30. 滝山養

    ○滝山説明員 今御説明申し上げたことが十分御理解になっていないかと思いますが、好摩まででも、駅間の長いところで、すぐタイヤに入りにくいところは、先に順次かかっておるわけであります。三十六年度は、三〇数%は複線ができ上がることになっております。引き続いて三十七年度にかかるもの、あるいは三十七年度に新規にかかるものがある。好摩までは、先ほどお話がございましたが、どうしても困る仙台以北、それから福島以南というものは、全面的にかかることになるわけであります。それから常磐線がございますので、若干時間のかせげる区間につきましては、先ほど総裁が指摘しましたような区間は三十七年度からかかりますが、まだ全部かかるわけにいかない点が若干残っておりますが、五カ年計画の完成までにはおおむね好摩までは完成したいと思っております。好摩以北につきましては、特に隘路のひどいところは繰り上げてやらざるを得ないのではないかと準備しておるわけでございますが、三十七年度につきましてどの区間をやるかということは、目下調査中でございます。
  31. 山本猛夫

    ○山本(猛)分科員 それがわからないのです。たとえば常磐線は、平から向こうはほとんど複線ができていないでしょう。平からですら複線ができていないのに、特急「はつかり」なんか時によっては臨時停車を数カ所やるんですよ。時間通り走っていれば二、三カ所くらいで済むらしいですが……。あなたの御説明だと、五カ年計画が完了するときでなければ好摩まで延びないというような印象もお受けするように聞こえたり、あるいは三十六年度のうちに好摩まで必要な個所を複線化をやって、実態の上では好摩までは三十六年度内に複線化が行なわれたと同じようなことになるんだというふうに伺えたり、はっきり伺ってないのですが、もうちょっと具体的に……。
  32. 滝山養

    ○滝山説明員 一駅々々の資料をきょうは不用意で持って参りませんでしたけれども、一駅々々の行き詰まったところを先に手当をしているわけであります。それの完成したものは、三十六年度末に三五、六%になるということを申し上げたわけです。それから継続して今も、大体一区間二年くらいかかりますから、三十六年から七年にかけて継続中のものもございます。七年に新規着工するものもございますので、全線つながる格好になるのが、五カ年計画の終わりということを申し上げたので、区間々々のひどいところは順次今解決しているわけでございます。御質問のございました常磐線の問題は、平までは複線でありますが、常磐線が平坦でございますのと、距離が近い関係で、従来特急あるいは東北線の貨物列車は常磐線を通しているわけであります。従いまして、若干、東北本線の南については、行き詰まりの延びるような措置を今講じておるということを申し上げたわけであります。
  33. 山本猛夫

    ○山本(猛)分科員 わかったような、わからないようなお答えですが、それでまあよろしゅうございます。  それからもう一つ、国鉄総裁に基本的な問題として伺っておきたいと思うのですが、貨物の輸送があちこちで停滞ぎみなんです。今東北のなにが例に出ましたけれども、信越線でも、上越線でも、東北本線でも、奥羽線でも同様だと思いますけれども、ことに東北方面は、御承知のように、林産資源の多い国で、これらの荷物を駅で野ざらしにして品質が低下する、あるいは野菜、あるいはリンゴ等の果実の場合には、その品質が全く低下してしまって、売り物にならないというような現状、これは国鉄総裁もお聞きになっているはずなんですが、これの対策はどうですか。
  34. 十河信二

    ○十河説明員 東北本線において特に滞貨が多くなっておることは、まことに申しわけないと思います。本年は、御承知のように雪害が相当ひどかったために、その方で若干例年以上におくれたところが出て参ったのであります。東北方面は、御承知のように季節的の貨物が非常に多いのであります。十月から一月まで秋冬繁忙期といっておりますが、そのときに、例年は五百七十万トンぐらい輸送いたしております。本年は六百十六万トン輸送しております。例年より四、五十万トンよけい輸送したのでありますが、先ほど申し上げましたように、雪害等の事故で停滞しておるものがありましたために、まだ相当おくれております。急いでこれは空車をよけいに配車いたしまして、いつもならば三百五、六十両配給するところを、五百両ないし五百二、三十両空車を回しまして、滞貨を一掃いたしたい、せっかく今努力いたしております。そうして五カ年計画では、二万一千両貨車を作ることになっております。何分輸送力増強の一番手っとり早い方法は、とりあえず車をできるだけよけい作るということにある、こう考えまして、五カ年計画のうちで、繰り上げまして、車は今年度も八千両作って、そちらの方へできるだけ多く回すように手配をいたしておるような次第でございます。遠からず正常の状態に復することと考えております。また、そういうふうに努力中であります。
  35. 山本猛夫

    ○山本(猛)分科員 それでは、国鉄総裁にあと三問だけお尋ねを申し上げて終わりたいと思います。  一つは、十河総裁は経済に明るく、度量もあり、われわれの昔から尊敬するりっぱな大総裁、名総裁でございますので、全面的に御信頼申し上げておりますが、それで具体的な問題——私は東北人ですから、東北のことばかりで、あるいは近視眼的に見るのかもわかりませんが、根が近眼でございますから……。あなたは東海道線、東海道線とおっしゃって、東海道線の方にだけ上等な人間が住んでいるとお認めになって、東北本線の方あるいは常磐線には——(「北海道もだぞ」と呼ぶ者あり)北海道の方にはクマか馬しか住んでおらないとお考えになっているとは思いませんけれども、何かお金のもうかる方の線だけを先にやって、お金がもうからない方はあと回しなのだ。われわれは、戦前戦後を通じて経済のわかる大総裁として、ほんとうにもろ手を上げてあなたの総裁御就任を喜んだのですよ。今も感激を久しゅうしているわけです。そこで、東北はお金が今まで、あるいは今も、もうからない線ばかりなのかもわかりませんけれども、しかし、地域的には、申し上げるまでもなく、未開発のところであって、人口五百万をも楽に入れられて、りっぱな、すがすがしい生活をしていけるところでありますことは、これはまごうかたない事実なのです。観光資源の開発国鉄総裁も一段と力を注いでおられることも、御信頼申し上げられるのです。国立公園化をおきめになった点でも、東北は、すばらしい、それこそ地球の表面ではまたとないようなりっぱな観光資源を、われわれの祖先は作ってくれているのです。申し上げるまでもなく、三陸沿岸あるいは十和田湖あるいはその他等々ですね。それなのに、事実の上では、これはひがんで申し上げるような格好になるのかもしれませんけれども、どうも東北路線に対しましては遅々として進展しないようなうらみを感ずるのです。この辺の御決意の点を一つ。  それに関連しまして具体的な問題としまして、満足な寝台は北斗だけなのですね。あとは煙が入って、冬は寒くて、私はそのためにかぜを引いて、この間四日ばかり国会を休んだ。休んだのを、新聞に欠席したなんて書かれてしまって、甚大な被害を受けたのです。そこで、もう少し満足な寝台車などを当面おつなぎになる御用意がないのかどうか、それが一つ。サービスの点でちょっと……。  それから生橋線は、いつまでにおやりになろうとしておるのか。盛岡から秋由へ抜けるやつですね。それから三陸沿岸線というものは、調査線にお入れになったようですが、これをまじめにお取り上げになるのかならぬのか、この三点についてお伺いしたい。
  36. 十河信二

    ○十河説明員 東海道線を偏重するじゃないかという御意見でございますが、私はそういう考えは持っておりません。私の尊敬する先輩に後藤新平という鉄道の大先輩がおります。後藤先生は、われわれに、絶えずお医者さんという立場から、交通設備のかくあるべきものだということを教えてくれた。人間のからだで申しますと、鉄道は血管のようなものであって、方々の末端の毛細管から心臓に近いところによけい集まってくる、そこの血管が大きくないと、末端の血液の循環がどうもうまくいかないのだ、それだからして心臓部をよくしろということを、私が国鉄に入って以来たびたび教えられておるのであります。東海道線は、日本の鉄道で申しますと、ちょうど心臓部に近いところに当たるのじゃないかと思うのです。東海道線が行き詰まっておるためにたとえば東北からリンゴを輸送してきても、東海道線に持ってくることができない。そうすると、東北に滞貨ができまして、せっかく勉強してリンゴを作られた方々に非常に御迷惑をおかけするというようなことに相なります。そういうことのないように、できるだけバランスのとれた輸送体系を作ることが必要である。そういう上から考えまして、東海道線はただいま最も行き詰まっておる、そのために、全国の鉄道網が非常に輸送難に陥っておる、これを緩和することが急務である、こう考えまして、東海道新幹線のような計画もいたしたような次第であります。決して東北をどうこう、あるいは東海道だけをどうこうという次第ではないのでございます。その点はどうぞ御了承を願いたいと思います。  寝台車などの点につきましても、これはまことに不行き届きで申しわけありませんが、漸次新しいりっぱな寝台を方々へ回したいと思っておりますので、しばらくの間ごしんぼうを願いたいと思います。  建設線のことは、滝山理事からお答えいたさせます。
  37. 滝山養

    ○滝山説明員 先ほど御指摘の生橋線につきましては、工事を両端から進める態勢をとりまして、隧道の口近くまで進んでおるのでございますが、一昨年に大きな災害がございまして、線路が埋没する、あるいは地形が変わってしまうような大きな災害を受けました。秋田、岩手両県にお願いしまして、今防災工事をやっていただいておりますが、これがある程度でき上がりませんと、ちょっと今工事を進めるという格好にいきませんので、その成果を見て着工の時期をきめたい、こう考えております。  それからまた、三陸線を含めまして今後の建設線の進捗というのは、一にかかって国の御援助に待つということになると思います。今着工線の数が非常にたくさんございますが、予算の裏づけというものは、必ずしもこれについていっておりませんので、そういった点につきまして特段の御配慮を願わないと、進む見通しがつかないという現状だろうと思います。
  38. 山本猛夫

    ○山本(猛)分科員 齋藤さんに一つ。国鉄総裁は大先輩なので、最後の御説明を承って、さようでございますかとすなおに私は引き下がりたいと思いますが、国鉄総裁のおっしゃっておることは、東北は通り抜けてもやむを得ないのだというふうにお聞きしてよいのかどうか。東北は次にしても、心臓部の太い路線はどうしたって東海道線になるのだ、こうおっしゃるけれども、北海道は汽車などはもうどっちでもかまわないのだ、飛行機だけで行くのだというお考えではないでしょうね。あまりにもみじめなんですね。北海道に早く行かれるよういろいろ御苦心をなさっておられるようですが、事実上ちっとも早く行けないんですよ。あなたも国鉄総裁と同じお考えですか。国鉄総裁のお話を伺っておると、東北に対して満足な汽車を走らせるのは、ずうっとほど遠い未来のような印象しかお受けできないのですが、あなたはどういうお考えですか。
  39. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 ただいま国鉄総裁から、人体にたとえて輸送の原理のお話がございましたが、私も国鉄総裁のお考えに反駁するわけではありません。大体そういうものであろうと思いますが、何といいましても、今日の国鉄は、現在の当面の輸送需要を満足させるのに追いまくられておるという形でございます。そこで、私は、輸送に相当余裕が出て参れば、またその周辺に輸送需要を呼び起こすということも考えられます。そうなりますと、東海道線偏重とか、あるいは東京周辺偏重というような形にならざるを得ませんが、私は、ある程度輸送の需要を満足させられるということになれば、できるだけやはり地方の開発ということに国鉄は主力というか、意を注いでいかなければならない、こう考えております。五カ年計画も、主要幹線を主にして早く完成するということは、これは基本方針としての決定であり、それを完遂していきたいのでありますが、その上にプラスを加えまして、新しく地方の開発あるいは文化の向上ということを大きく取り上げて、そうして国鉄改良なり、あるいは新線の開設というものに大きく取り組んでいくということが、今後の日本の将来のあり方であろう、こう考えております。北海道と東京をつなぐ鉄道輸送も、やはりスピード・アップを考えて参らなければならないと考えております。
  40. 山本猛夫

    ○山本(猛)分科員 どうもありがとうございました。
  41. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 久保三郎君。
  42. 久保三郎

    久保分科員 限られた時間でありますので、答弁は簡単明瞭に一つお願いしたいと思います。  まず第一に、国鉄の三十七年度の予算案についてでありますが、ただいままで与党の先輩委員がそれぞれ御指摘になったように、この三十七年度予算からでも、国鉄の現状に合ったところの予算ではないようにわれわれは見ておるわけです。しかも、昨年というか、三十六年から始まりました新五カ年計画というその計画自体に照らし合わせても、後退をしているように見えるわけであります。先ほど運輸大臣は、現在の国鉄の輸送の実態を見て、新五カ年計画を繰り上げてやらせるように検討を命じておるという話でありますが、現在提案されている予算自体は、縮小ではなかろうかと思っております。なるほど、総体としての予算額から見れば、若干はふえておるのです。しかし、中身自体は大へん問題があると思う。  問題の点を二、三お尋ねしたいのでありますが、まず第一に、損益勘定のうちの運輸収入の見積もりでございますが、三十七年度は五千四十八億となっている。先ほど大臣御説明のように、この積算基礎は、結局三十六年に比べて、旅客人キロでは七・三%、貨物のトンキロでは五・九、こういうパーセンテージの増率を見込んでおるわけであります。今日考えられる三十七年度の経済情勢、こういうことからいって、はたしてこれは妥当であるかどうか、というよりは、背伸びした見積もりではないだろうかというふうに考えるわけです。なるほど、先ほどお話があったように、設備投資の引き締めということで、政府はいろいろやっておりますけれども、今日ただいまの状況は、滞貨は相当トン数持っている、あるいは旅客の足はそう軟調を示さない、こういうことだと思うのでありますが、四月からの予算でございますから、四月から一年間の展望に立ったときに、はたしてこれはこの程度にいくだろうかというのです。これについてどういうふうにお考えであるか、第一点としてお伺いします。
  43. 兼松学

    ○兼松説明員 お答え申し上げます。  三十七年度の予算運輸収入の見積もりが過大ではないかという御指摘でございますが、実は私どもとしては、五百十五億円の増でございますので、この金額としては、達成には容易ならぬ努力を要するとは存じておりますけれども、今年の実績と比較いたしますと、実績見込みでございますけれども、幸いに今年度が予算より成績が好調でありましたのと、収入面では、秋に特急を全国的に増発する、あるいは準急、急行を全国的に出すというような施策も伴いまして、増収が予算よりございまして、ことしの見込みでは三十六年度の当初予算よりも、十二月までの見込みで二百億円弱の増収の予定でございます。もちろん、その後仲裁等がございまして、経費の支出の増大もいたしましたけれども、そのような関係で、今年度の実績見込みと比較いたしますと、旅客三・八%、貨物二・五%というような増でございまして、まあ、現在の経済情勢から申しまして、決して容易だとは考えませんけれども、何とか努力で達成できるものであるという見解に立っております。
  44. 久保三郎

    久保分科員 なるほど、今年度の予想としては二百億前後の増収があるということはわかりますが、ただ、そこで、それならば、列車計画自体に一つの問題が出てくるのではないか、こういうことであります。この予算策定の基礎になった列車キロは、旅客では前年対比〇・七%、これはほとんどふえない。しかし、電車では一〇・八%、貨物では二・一%ということで、それぞれ列車キロはふやしておるわけでありますが、昨年十一月のいわゆる十一万キロに上る列車増発のダイヤ改正、その上にこの増発ということは、大へん努力を要するというか、相当困難ではなかろうかと思う。すでに先ほどの御質問にあったように、特に単線区間における輸送密度は満度以上になっておる。これではにっちもさっちもいかないということが、われわれは先年の秋に九州地方を調査しましたが、九州地方一つとっても、これは満度に達しておる。線路は来年度は十分に満たして余りあるかというと、先ほどの御説明の通り、そうはいかない。そうすると大へんな——兼松常務理事は出した側だから、何とか追っつくであろうと言うのは当然であろうと思うのでありますが、国鉄予算というものは見込み予算でございまして、一般官庁のような税金からまかなってきちっともらえる金ではない。努力とおっしゃるけれども、努力には限界がある。乗りたくないものを引っぱってきて乗せるわけにはいかないし、出したくない荷物を持ってきて乗せるわけにはいかない。しかも、旺盛な輸送需要にこたえるための列車キロは、そういうことでふやしておりますが、私は大へん無理があると思う。列車キロの設定にあたって無理がないのかどうかというよりも、ふやせる限度がこの程度にできる見通しを持っておられるのでしょうか、いかがでしょう。
  45. 兼松学

    ○兼松説明員 お答え申し上げます。  今御指摘の点につきましては、ことしの貨車の増備量、線路増強の進捗状況、動力の改善というような諸要素を含めまして、旅客の三・八%の増収と貨物の二・五%の増収に見合う輸送力は、一応設定できるという計算上に立ってやっておるわけであります。
  46. 久保三郎

    久保分科員 これは水かけ論であります。大体占いのようなものでありまして、来るものやら来ないものやら、そうだとすればそうだ。  そこで、先に参ります。いずれにしても、私自身は、特に貸物の点で狂いが生じはしないかという心配を持っております。そのときにはどうするかという問題が当然出てくるのでありますが、これは縮少でいくよりほかないと思います。そうなった場合に、繰り上げどころか、後退々々でいって、来年度は年度途中において五カ年計画を再修正して出発しなければならぬ事態が到来するのではなかろうかという心配を持っております。そういう問題について質問申し上げます。  まず第一に、損益勘定の中でお尋ねしたい点は、支出の方で経営費の問題であります。先ほどの御説明の通り、特に職員給与の問題でありますが、昇給あるいは期末手当の増加ということで四・二%組んであるとおっしゃる。その中身は、昇給が三・八%、〇・四カ月分の期末手当の増額、こういうことだと思いますが、期末手当の増額は三十六年度にきまったことでありますから、一応問題ない。例年のごとくでありますが、昇給資金の問題は、例年というか、三十六年は四・五%を組んでおる。これで余裕があったのかどうか。三十七年度は三・八%伸びを計上したというが、その関係はどうですか。
  47. 兼松学

    ○兼松説明員 昇給資金の問題につきましては、三公社五現業みな同じで、政府の関係機関としてされているわけでございますが、ことしの三・八%の内容といたしましては、実は昨年まで、数年前からありました仲裁裁定のときの格差の解消というような五百二十円の問題を、徐々に予算上処理したというようなものも処理し尽くしましたので、その点と、従来定員の中で予算が充足されてなかった分も完全に充足されたというようなこと、それから退職者の全体の見合いというような諸般の要素を加えまして、私どもとしては、この予算でほぼ安定した、今までと同じ昇給率は維持できるという予算を立てておるわけであります。
  48. 久保三郎

    久保分科員 もっともそう答弁するよりないでしょうね、実際いって。やぼな質問だと思いますが、これで安定したというが、政府も一斉賃上げについては批判的でありますが、少なくとも生産性に見合った給与の上昇は考えねばいかぬ、こう言っております。そうなりますと、定期昇給が、あなたのおっしゃったように三・八%でまかない得られるとしても、それでは生産性が向上されなければ。この予算というか、輸送計画は成り立たない。達成したときの生産性に見合った賃金の上昇というものについては、ちっともゆとりがないと思うんだが、このゆとりはどこかにありますか。
  49. 兼松学

    ○兼松説明員 お答え申し上げます。  生産性と賃金の問題につきましては、必ずしも輸送量と賃金とが比例するかどうかということについては、いろいろ議論の余地もあるかと存じます。現在の法律によりまして、業績が向上し、または異常な節約ができた場合には、それに見合った業績手当という制度もございますので、そういうような実績が出ました場合には、実績に応じての処置は、ある程度政府の御理解のもとに可能ではないかと思います。
  50. 久保三郎

    久保分科員 生産性の問題は時間がないからよしましょう。いずれにしても、政府の御理解というのはこの予算にはない、こういうことでございますね。
  51. 兼松学

    ○兼松説明員 給与総額の流用につきましては、よしかりに業績上増収がありまして、それをどう評価するかにつきましても、主務大臣のお許しを得ないと、国鉄総裁の判断のみでは団体交渉ができ得ない点もありますので、これらも含めまして申し上げましたわけで、予算にあるないということを申したわけではございません。
  52. 久保三郎

    久保分科員 その辺はあいまいで、今後のお手並み拝見ということになりますが、まあいいでしょう。  次に、修繕費でありますが、いずれにしても、問題は修繕費が一つございます。そこで、修繕費はなるほど昨年に比べてはふえてはいるが、残念ながら、中身をしさいに検討すると、大体節約というのが大幅に出ている。この節約で二十六億をやる。業務量で三十億増、物騰で十五億、乗率アップが十一億、こういうことだそうでありますが、それを差し引きして五十六億の増となっているようであります。特にここで問題になるのは、合理化と節約で二十六億は大へん大きな数字だと思うのであります。これはいかなる方法によっておやりになるというのか、言葉をかえていえば、節約ということが限度を越えれば、今までやった仕事はやらぬ、切り捨てということにも相なりやしないかと思うのですが、いかがでしょう。
  53. 兼松学

    ○兼松説明員 予算を計上いたしますにつきましては、諸般の節約はできるだけ努力いたすようにということで、全面的に各部門別に検討いたしまして、努力をいたした数字でございます。ただ、合理化という問題の中には、現在いろいろの問題で労使問題になるような問題もあり得ることは予想はいたしておりまするが、私どもは誠意を持って団体交渉によりまして、労使円満にやりまして、この予算の実績を何とかして上げていきたいというつもりでおります。
  54. 久保三郎

    久保分科員 そこで、この職員計画でありますが、職員計画では、今年度は中間勘定から約二千五百人減らして損益勘定の方へ回すような大体算術になっておる。そうですね。そこで、三十六年度はやはり千人程度を中間勘定から損益勘定に回す。ことしは二千五百人程度を回す。さらにそのほかに、工事勘定として、新幹線関係でありますが、約千人ほどふやす、こういうことに相なっているそうでありますが、この職員計画が、二千五百人というのは大量な移動でありまして、しかも、この工事勘定の千人は、まあ定員のワクは九百九十三人、約千人でありますが、その中には大量の移動が予想されると思うのだが、これはどういう形でおやりになるつもりであるか。
  55. 中村卓

    ○中村説明員 お答え申し上げます。  大体、中間勘定からの振りかえは、主として工事勘定関係から輸送本来の損益勘定の仕事に振りかわってきているというのが中心でございまして、これにつきましては、すでに組合と話がつきまして、ある程度実行段階に今年度から入っているわけでございます。これが中心になりまして、大体二千数百人の配置転換ができるのではないかというふうに考えております。  それから工事関係につきましては、これもまた在来のエキスパートをある程度集中いたしませんと、特に東海道新幹線におきましては相当工事も急がれておりまして、仕事がスムーズに進捗いたしませんので、各鉄道管理局から、あるいは従来の鉄道工事局から相当協力を得まして、配転をいたしまして、その跡埋めを新規採用者でやっていくという方針で、現在着々と、今年度もやりましたが、来年度もそれと同じ方法でやっていきたいというふうに考えております。
  56. 久保三郎

    久保分科員 これは長期雇用安定というような前提に立って、逐次計画に基づいて、労使間の話し合いでもってやっていく方針でございますか。
  57. 中村卓

    ○中村説明員 私どもといたしましては、そういうように考えております。大体すでに三万人余りの合理化計画につきまして組合と話を始めております。
  58. 久保三郎

    久保分科員 そこで、その新幹線工事のいわゆる工事勘定への振りかえというか、移動でありますが、これはあとで改良費のところでも問題が出て参るわけでありますが、ところで、この改良費の中の諸施設の取りかえの問題があるわけです。最近通トン数も多くなってくる、こういうことで、けさラジオで聞きますと、山陽線かどこかで、鉄橋にひびが入って列車が一時ストップしたとか、これは一つの例であります。たくさんそういう事故というか、問題が出てくるのでありますが、手なれた者を新幹線工事にどんどん投入していけば、あとの保守というか、取りかえというか、そういうものは、残念ながら手薄にならざるを得ないではないか。よって、ここでお尋ねをしたいのは、特に新幹線工事にからんで、技術陣営の補充というか、古いものと新しいものの比率、こういうものは、十分計画に基づいてやっておられるかどうか、既設線においては、この技術度がさらに低下しない工夫を持っておられるのかどうか、これを一つ。
  59. 中村卓

    ○中村説明員 お話のように、時期によりましては若干問題がないわけではないと存じます。ただ、新幹線の方は、技術の内容が、先生も御承知のように、建設の関係でありまして、今問題になりましたのは主として保守のことで、若干その点は違いがあるというふうに考えられるのでございますけれども、われわれといたしましては、この問題につきまして、特に今度は高校生を早急に中堅技能者に養成しようというので、本年度から二カ年間教習所へ入れまして、大学課程をやらせるというような方策も講じまして、何とかこの技術的なギャップを埋めていきたいというふうに今着々努力中でございます。
  60. 久保三郎

    久保分科員 次に、資本勘定でお尋ねしたいのでありますが、資本勘定は二千三百五十六億で、昨年に比較して二百三十一億多くなっている。その多くなったいわゆる原資の大半は損益勘定からの受け入れ、いわゆる営業収入からの利益、そういうもの。ところが新五カ年計画自体は東海道新幹線を含めて、政府は閣議で了解して責任を持ったはずなんです。ところが基本となるべき資本勘定の収入の中で、そこの約四三%は返済を要する借入金。しかもその中で政府が自前で責任を持ったものは、昨年に比較してたった五億多いところの資金運用部からの借入金三百億。昨年に比較してたった五億。さらに政府引き受けのいわゆる鉄道債券については、昨年と同様百四十億。あとは世銀の方の借款が百七億。そうして公募債が三十億増しの三百六十億。なるほど最近の金融市場といいますか、そういうものを考えれば、三百六十億くらいのものは、公債消化は可能ではあろうかと思うのでありますが、一体国鉄予算というか、特に資本勘定の構成、これ全体の中で約四三%が将来において返済を要する。こういう構成ではたして五カ年計画が将来うまくいくかどうか、というよりは、今年度すでにこの借入金の返済は大きなコブになって出てきている。こういう資本構成のあり方でいったのでは、残念ながら結論から先に申し上げますれば、再び三十七年には運賃値上げか、それともその他の方法か、二つに一つの道を選ばなければならぬのではなかろうかと私は心配しているのですが、いかがでしょうか。
  61. 兼松学

    ○兼松説明員 お答え申し上げます。  この国鉄の資産に対しましての借入金の問題でございますが、企業全般から見ますならば、国鉄全体の企業規模、資産から見ますれば、借入金の現在額は、民間の鉄道その他に比べまして、まだ決してそう多過ぎるところへはきていない。まだ資産的には借入能力はあるのではないかというふうに考えますが、問題は借入金の使途でございまして、借りたお金が金利以上に回っていき、また償却が十分できるような姿に投資されますならば、私どもとしては投資はふえていいが、借入金を投資する方面が収益力がない場合に、御指摘のような疑問が起こってくると考えておりまして、私どもとしては現在、今のところ償却に当たる全額を資本勘定に入れますとともに、去年からお認めいただきました運賃改定によります営業上の利益金で拡充計画、主として将来長期にわたって利潤がなかなか期待できないようなものを、できるだけ自己資金でまかなって、残余のものは外部資金でまかなうことに原則的に考えておりますが、来年度の予算で参りますと、東海道新幹線は、完成の暁には明らかに利益を生み得るものでございますので、これに公募債の全額を充当することにいたしております。それから、運用部の借入金も大体それに充当いたしておりますので、外部資金で収益事業の方へ投資するという方針は、ことしの三十七年度予算では大体貫かれているのではないかと考えます。なお、三十八年度に返済を要する借入金の返済期が到達いたしますものが、若干ふえまして、三十九年度まではやはり三百億から四百億の数字でございますが、たしか四十二年度と考えますが、期限の到来するものが九百数十億に達するという時点が参ります。その時点では、また別途に財政当局とも御相談をしなければならないかと存じますが、現在のところ、今御指摘のような御心配はなく、何とかやっていけるのではないか、こう考えております。
  62. 久保三郎

    久保分科員 国鉄の金庫を預かる兼松さんがそうおっしゃるのでは、よもや再び運賃値上げなど言い出すことはないだろうと思います。しかし、言葉を返すようでありますが、先ほどの、東海道新幹線が利益を生むだろうという見方自体は問題があると思う。なるほど若干あるだろう。しかしそれは全部でないということです。既設の東海道線から転化するものが相当ある。そういうことは小さいことかもしれませんが、ちょっと誤解がございますので私から申し上げておきたい。  いずれにしても、この資本構成が大体この辺でいけばというのですが、この工事勘定一つ見ればはっきりわかるわけでありまして、しわ寄せはどこへきているかというと、なるほどおっしゃる通り東海道新幹線には重点的にいっておる。これも膨大な資金を要する工事でありますから、早期完成をねらって一刻も早く経済効果を出すというのは、国鉄経理上当然だと思います。あるいは輸送の問題からいっても当然だと思う。しかし、だからといって、その他の新五カ年計画が重圧を食ったのでは、話が違うではないか。昨年の今ごろ、世論の抵抗をよそにして運賃値上げをした。先ほどの御答弁では、いろいろあったようでありますが、少なくとも予算面から見ると、残念ながら新幹線を除いたところの、あるいは新線建設七十五億を除いたところの、いわゆる通勤輸送、幹線輸送、電化、ディーゼル化、取りかえ、その他、こういうものを見ますと、これは昨年に比較して一帯に減っているわけですね。この三十六年度と三十七年度の予算案とを合わせて二年間で、当初の五カ年計画に比較して、今申し上げたようなものは五百五十億程度投資不足になっておるわけです。なるほど三十六年度に比べては、三十七年度の予算案としては若干この改良費の中でも伸びているものもある。しかも平均からすればみな落ちている。特にここに問題があるのは取りかえその他が百十九億、総体として昨年より減っているわけです。この改良費の内訳は六十二億が減じられる格好であります。そうなるというと東海道新幹線の達成という至上命令のために、その他の通勤輸送とかあるいは線増による幹線輸送の増強、こういうものがしわ寄せを食うばかりか、既設の取りかえ、その他が大幅に減らされたということは大へんな問題だと思う。御答弁いただかなくとも説明は大体わかっております。前の五カ年計画のときに取りかえその他は十二分にやったから問題はない、減らしてもいいというふうなお考えでやっているのではなかろうかと思うのでありますが、今日の、ただいまの施設は、断じてそういうふうなりっぱなものではなさそうに思う。  さらに昨年以来のダイヤ増強を考えますれば、相当な負担になっておるわけてありますから、このやりくりについてはわれわれは大へん不可解に思うのでありますが、一言御説明いただきたい。
  63. 兼松学

    ○兼松説明員 いろいろ御指摘を賜わりました点につきましては、私どもも非常に苦慮をいたしておる点が多々ございます。総じて申しまして五カ年計画実施は、形の上では若干取りかえその他が落ちておりますけれども、線路増設、特に東北線であるとか北陸線であるとか、北の字のつく線路は全部あげております。それから通勤輸送につきましても昨年よりよけい見込んでおります。そんなことで、全体といたしまして、苦しい中にも増強面には力が尽くされておると存じます。取りかえその他につきましては、御指摘の通り第一次五カ年計画のときに相当前進いたしたのでありますが、決してこれでけっこうな状況にないことは、まさに御指摘の通りでございますけれども、最初の線増に重点を置きまして、ここで若干修理をいたしますが、線増、特に東海道新幹線が完成し、その他大線増が成り立ちますれば、またすべての予算の相当な部分がこの改善の方に回って参りますので、五カ年全体としてごらんいただければ、そう、御心配いただくこともないような姿になり得るのではないかと存じておる次第でございます。
  64. 久保三郎

    久保分科員 五カ年計画全体をながめていただけばというのですが、後半において、その他の改良費には重点的につぐ、こういう御意見だと思いますが、それは逆だと思うのです。先ほど大臣から答弁がございましたが、五カ年計画を繰り上げてやらなければならぬとおっしゃるのは、先行投資か必要だということなんです。それは全体を見るべきでしょう。もちろん五カ年計画のワク内での問題ではないです。しかしそうは言っても、ワクが今日はずせないとするならば、そのワク内で繰り上げをやらなければならぬ。そうなった場合に、東海道新幹線も私は否定しません。先ほど申し上げた経営の問題から輸送の問題、二つ合わせて早期完成をしなければならぬ。膨大な資金が入っているのですから、中途でやめることはできません。しかしながら、既設の輸送、特に稼働施設は幾らかよくなった。しかしその基盤であるところの施設が十分でないという事態になったならば、残念ながら白紙ダイヤはほんとうに白紙に戻すほかはない、こういうふうに考える。そういう点について十分反省をしていただかなければならぬと思うのでありますが、兼松常務は数字を言わないけれども、去年は取りかえその他が四百億ですよ。この案は二百八十一億ですから、高等数学でなくて算術計算で見ても百十九億減っておる。こういう減り方は、四百億に対して百十九億でありますから、実際相当な減り方です。これは東海道新幹線の至上命令、その前に資本勘定の構成の問題から重圧がきて、さらにその前にはいわゆる損益勘定の収益の問題からきて、だんだんにしわ寄せがきて、どこへきたかというと、改良費にきた。改良費のうちでどこへきたかというと、これは取りかえその他に大きくしわ寄せがきたというのであります。これは特徴的な三十七年度の予算です。これで十分まかない得られるかどうかということについては私は疑問があります。だからこれは十分一つ実行計画においても案をお練り直しいただいて、万全を期してもらわなければならぬと私は思う。  時間もありませんから、いずれあとでまたこまかいことはお尋ねしますので、国鉄の関係は以上にしておきますが、委員長経済企画庁長官は。
  65. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 経済企画府長官は商工委員会に出席しておりますので、出席ができません。
  66. 久保三郎

    久保分科員 それじゃ、経済企画庁長官にお尋ねするのが本筋でありますが、当面の責任者である運輸大臣にお尋ねします。  私鉄運賃の値上げの問題でありますが、これはただいま運審に諮問中でございますか。
  67. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 さようでございます。
  68. 久保三郎

    久保分科員 そこで、私鉄運賃のうちで大手十四社についての値上げは、今大臣から御返事があった通り運審に諮問中であるにもかかわらず、けさの新聞で見ますると、前に齋藤運輸大臣がおやりになったように、経済企画庁長官も、これは四月一日からでも上げるほかないだろう、最初自分は個別に審査してやれと言ったが、それはまずいから一斉値上げだという新聞発表をしているのですが、これははなはだしく、自分が作った機関の結論を尊重しないし、もう一つは、政府は、物価対策というか、そういうものについて最近関心が薄くなったのかどうか、いかがでしょう。
  69. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 政府の物価対策に関する関心は、ますます深まりこそすれ、決して薄れるわけではございません。
  70. 久保三郎

    久保分科員 公共料金の値上げが先行すれば、いつでも物価は上がるのが定石であります。すでに昨年、国鉄の料金、電気その他が上がったときに、ずっと上がってきております。こうなると、この私鉄十四社の問題も同様であります。今日まで政府なり運審が結論をつけ得なかったのは、物価抑制のためだとわれわれは考えていた。これは違いますか。
  71. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 物価抑制と申しまするか、公共運賃の値上げはできるだけ慎重にしなければならない。これは、国民生活に及ぼす影響——直接の影響はさしたることがないにいたしましても、一般値上がりムードというようなものをそそるようなことでは、よほど慎重にする必要があるということで考えておるわけでございますが、しかし私鉄もやはり企業採算に乗らないということでありましては、今後必要とする輸送力の増加あるいは緩和ということも十分できませんので、独立の企業として成り立っていくという最小限度の事柄は考えていかなければなるまい、こういう基本方針でございます。
  72. 久保三郎

    久保分科員 最小限度の値上げはやむを得ないという結論だそうでありますが、やむを得ないという結論を出す前に、運審からの答申を待って政府は決定すべき筋合いではなかろうかと思います。運審に諮問しておきながら、これはどうしましようという諮問でありながら、その結論が出ないうちに、諮問した当人である政府が値上げについてかれこれ言うのは少し筋が違うと同時に、あまりにも見識がなさ過ぎるのではなかろうかと思う。悪く見れば、参議院選挙がこの春から行なわれるから、その対策でもなかろうかという世間の風評であります。風評でありますから、私は気にはかけませんが、いずれにいたしましても、そういうふうにとられること自体は、政治の姿を正すという池田総理の御所信にも反するのではなかろうかと思う。たとえば、経営実態を見ていかなければならぬというなら、一斉値上げというような方針は断じて実際にはあるべきはずがないのであります。  もう一つは、物価対策についての関心はだんだん強まっていると言う。強まっているとするならば、先ほど申し上げたように、これは別途の措置によって経営困難なものについては、手当をするのが政府の責任ではなかろうかと思うのであります。いかがでしょう。
  73. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 選挙対策ではないかというお尋ねでございますが、決してそうではございません。選挙対策ならば、運賃の値上げはどんなことがあってもしないというのが選挙対策でございまして、それは逆だろうと私は思います。  なお、運審との関係でございますが、これはやはり政府の一つの大きな施策でございまするから、運輸審議会政府の基本方針というものをにらみながら審議をしていくというのが運審のあり方であろう、こう考えております。しかし政府施策が非常に誤っておる、あるいは非常に政治的であるというような場合には、運審は逆の答申を出すということもあり得るでありましょう。その点は運審にまかせてあるわけであります。  なお、個々別々にやるか、あるいは一斉にやるかという点につきましては、これは値上げの理由にもよることだと存じます。今、都市交通が非常に混雑している。そしてこれらの施設は、都市交通の緩和のために、ことしと来年でおそらく一千億前後の投資が必要だと考えております。同じ理由を持っておりまするから、そういうものについて、あるものは早く、あるものはおそくということもいかがであろうという議論も出ているわけでございます。まだ結論に達しておりませんが、その点を強く見ますると、同じ理由があるなら同じときにということが一つの考え方であろう、こう考えておるわけであります。
  74. 久保三郎

    久保分科員 大臣、運審のことでお話がございましたが、その前に誤解があるといけませんから、選挙対策であろうという風評が立っている、私は気にしない、別に私の意見ではないのであります。  それから運審でありますが、運審も政府の方針を見ながら結論を出すというのですが、運審のあり方としては、どうも変だとわれわれは思っておるわけです。運審には、こういう値上げの申請が出たがどうしようかということで諮問なさっているわけですね。これについて政府なり運輸大臣の御意見はつけ加えないで、なまのままで諮問しているわけです。そういう申請がありましたから一つ審議してほしい、こういうことだと思うのです。どうも最近の政府のやることは、そういう公正であるべきところの機関を、政府みずからの手によってじゅうりんしているとわれわれはとっておる。だから先ほどのような風評も立つのではなかろうかと私は推測するわけです。これは十分関心を持っていただかなければならぬと同時に、物価抑制については政府はあまり関心を持っていないという結論も出るわけであります。われわれは断じて、そういうやり方については賛成はしかねるということであります。時間もありませんから先に行きます。  次に、運輸大臣にお尋ねしたいのは、先ほどの御説明の中にも出て参りましたが、海運の基盤強化の問題であります。これは法案としても運輸省設置法の一部改正の法律として、国会に御提出なさっておるようでありますが、整備計画審議会というのをお作りになるわけですね。そこで整備計画審議会は個別に海運会社を審査して、それに必要なものは財政的な手当をするという御見解を表明になりましたが、いかなる財政的な手当をおつけになるつもりでありますか、いかがですか。
  75. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 どういう財政的な手当をつけるかということにつきまして、ただいま大蔵省といろいろ折衝中でございます。これができ上がりましたならば、そうしてそれが法律を要するものであるという結論に達しましたならば、この国会に提案をいたしまして御審議を願いたい、こう考えております。
  76. 久保三郎

    久保分科員 この整備計画審議会をお作りになるという御方針はきまったが、裏づけについてはまだきまっておらない、こういうことでございますか、いかがです。
  77. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 裏づけにつきましての法案整備についてただいま大蔵省と検討中でありまして、全く何といいますか、無計画というわけではございません。
  78. 久保三郎

    久保分科員 聞くところによれば、というよりは、先般これは参考資料として別な委員会で御配付いただいた運輸省の重要事項の概要というのがございます。この中に審議会のことが載っているわけでありますが、これによりますれば十五次計画造船以前のものに対しては、いわゆる開銀利子の半分を五ヶ年たな上げする。市中銀行もこれにつれてというようになっておりますが、そういう構想でございますか。
  79. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 運輸省といたしましては、ただいまそういうことを構想の中心にして大蔵省と折衝いたしております。
  80. 久保三郎

    久保分科員 それを中心にしていわゆる基盤強化をはかろうというのでありますが、なるほど海運企業を全体として、一体としてみれば、そういう方法であるいはこの基盤強化というか、基盤強化とはすなわち償却未済を全部済ます。それから今日までの延滞の元本を返す、こういうことだと思うのでありますが、この二つの目的は海運界を一体の企業体として見ればあるいはわずかながらも、かつかつながらもいくかもわからぬ。しかし個別の問題でいった場合には、これは大へんな問題が出ると思うのでありますが、その辺はどう考えておりますか。
  81. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 個別の会社に当たりまして、それで今おっしゃいました償却の未済をなくす、あるいは元本延滞をなくすということの困難な会社もあろうと思います。そういう会社につきましては、あるいは減資をやるとか、あるいはまた合併をやるとか、いろいろな考えが出てくるだろうと思います。これは当該会社及びその債権者でありまする市銀あるいは開銀等から考えまして、この会社の基盤強化するのにこういう行き方がよろしいということになるであろうと思うのであります。そうしてその結果当該会社から、わが社においてはこういう計画でこういうようにいたしたいという申請を出させて参る。その申請がはたして妥当であるかどうかということを審議をするのが、先ほどおっしゃいました海運会社の整備計画審議会、この審議会にかけまして、妥当であるということでありました場合に、先ほど申しました政府予定しております財政的援助を与えたい、こう考えております。
  82. 久保三郎

    久保分科員 それは話が私どもは逆だと思うのであります。今日まで海運界はもう数年来基盤強化を叫んで参っております。運輸省当局もそうであります。合理化審議会というものもできております。そこで二年ほど前まではつい昨年もそうだと思うのでありますが、合理化審議会のいわゆる勧告というか、そういうものによって、海運界は立ち直りつつあるという報告を何べんか受けている。そこで私が申し上げたいのは、少なくとも立ち上がりつつあるというにもかかわらず、ここでうしろ向きの大幅な対策をやらなくちゃならないところに問題が一つあると思う。まずもって海運業界そのものが、この整備計画審議会というか、そういうものができて爼上に乗せられる前に、自分自身がその合理化について出血も辞せないという基本的な態度がなければ、これは、残念ながら単に金利補給ということに終わってしまうのではないかと思うわけですが、いかがでしょう。
  83. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 海運界もそれぞれ各会社において、合理化のできる限りのことを現在いたしております。それにつきましては運輸省も相当の関心を持って指導もいたしております。ことに今申しまするような海運界の現況でありまするから、一番大口の債権者でありまする市中銀行は、非常な関心を持って海運会社に対して合理化の措置をやらせておるわけでございまするが、それにもかかわらず政府の援助なくしては、このまま今後の要請である日本の大量の造船をやっていくことができないというような結論に達しまして、海運造船合理化審議会におきまして、昨年の秋、新しい答申を政府に出されたわけであります。政府といたしましてはその答申を尊重をいたしまして、先ほど申しましたのもその答申の内容でございまするが、この答申を実現をいたしたい、こう考えておるわけでございます。
  84. 久保三郎

    久保分科員 合理化審議会の答申があったからと言うが、なるほど答申もあったでしょう、波乱万丈の結果……。しかしながら私が申し上げたいのは、海運界が少なくともこの審議会に上る前に合併なり、減資なり、そういう抜本的な対策をそれ自身が立ててくるべきではなかろうかという考えなんです。これが一つです。  それからもう一つは、このうしろ向き対策ができた場合に、大臣おっしゃるように大量の造船がはたして可能かどうか。一つの会社が、この整備計画審議会に上って、それであなたがおっしゃる通りの財政措置をしてやった、その場合に、五年後において、この会社はあなたが今考えられているような会社になるという保証は実際どこにもないわけです。ございますか。
  85. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 それはやはり海運会社のさらに一そうの努力と、それから今後の情勢に応じました先向きの点における政府施策というものが、大きく影響して参ると思います。私といたしましては、海運企業自身の努力、必要に応じた先向きに対する政府施策というものを考えていかなければならない、こう考えております。
  86. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 久保君に申し上げますが、時間がすでに十二分超過しておりますから、結論を急いで下さい。
  87. 久保三郎

    久保分科員 それでは、委員長に急がされますから、簡単にいたしまして、一つだけお尋ねします。  海運界と運輸省が何をしているのだろうかという問題、特に日本のニューヨーク航路の問題ですが、この問題一つとっても、今日盟外船が出て参るために、同盟の中では運賃をオープンにしようという話が出ておる。これは二、三年前だと思うのですが、このニューヨーク定期船の航路には、少なくとも各海運業者が協調して三つのグループを作ってこれをやろうということで、今日やっているわけです。なるほど行くときについては三つのグループでやっている。ところがこの三つのグループの間の競争というか、これは野放しになっているわけです。まんまと盟外船の謀略に乗っかって、ニューヨーク航路は、今日問題が出てきている。もう御存じでございましょう。しかも往舶については、三つのグループで一応形はやっておる。ところが帰りの方の問題は、これは各船会社ともそれぞれ出張所なり支店を設けてお互いに競争している。こういうこと一つでも海運界自体でできないし、運輸省もまたどういう指導をしているのかわからぬが、今日片がつかない。でありますから、盟外船は満船のままでほくそえんで毎日歩いておる。こういう状態で積み取り比率をさらに上げていく、そのためには船腹増強が必要だという理論には、私は通じないのではなかろうかと思っておる。と同時に、先ほど言った基盤というか、海運企業整備計画審議会というか、そういうものにかけても、残念ながらそういう考えでは立ち直ることは不可能だと思う。いかがでしょう。
  88. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 積み取り比率の改善という点は、今後日本の経済が伸び行くにつれまして、輸出入貨物が非常にふえて参りますから、それに即応いたしまして、日本の船で輸出入貨物をできるだけ運んでいきたいというようになっているわけでございます。  今のニューヨーク航路の問題につきましては、政府委員から……。
  89. 辻章男

    ○辻政府委員 お答え申し上げます。ただいま御指摘のございましたように、ニューヨーク航路につきまして有力なアウトサイダーが現われまして、ニューヨーク関係の同盟の内部におきましていろいろ論議されていることは事実でございまして、またそのアウトサイダーが相当な影響を及ぼすことも事実でございます。しかしこの問題は、実は同盟対アウトサイダーの問題でございまして、御承知の通り、アメリカの法制下におきましては、日本で申しまする独占禁止法的な法制が非常にシビアでございまして、従いまして、海運同盟におきましても、われわれがいわゆるクローズド・コンファレンスと申しておりまするイギリスを中心とした同盟に比しまして、同盟の結束力が弱いのであります。そのために、過去におきましてもしばしばアウトサイダーによって脅威を受けておるというのが今までの経緯でございます。また現実が、そういう新しい現実に直面しておるということでございます。私どもかねがね、日本の船腹については各社が配船しておりますけれども、先ほど御指摘がございました三グループについては、特にグループ活動をしろ、また邦船全体としてもいわゆる過当競争を避けて、協調して健全な発展をはかるようにということを指導して参っている次第であります。
  90. 久保三郎

    久保分科員 指導しているとおっしゃるが指導しても聞かないということだと思うのです。三つのグループがグループとしてまとまったのはけっこうだが、これが今日アウトサイダーのために混乱している。航路の中でさらに競争を進めていくがごときは、断じて日本の海運界のためにはならない。さらに帰りはみな野放しです。九社はみな思い思いにどんどんやっている。こういう事態に気がつかないということについて、私は海運界に猛省を促す必要があると思う。  さらにもう一つは、先ほど大臣は、この計画審議会で、いわゆる五カ年たな上げ方式によってやっていく——前向きの姿勢はどうなんだ、輸出船との、あるいは国内船との金利の差あるいは積み取り比率はどうなんだ、私に言わせれば、積み取り比率を六十なり六十五にするということは、少なくともこの程度必要だろうという話ですが、はたして国際収支改善という面からいって妥当かどうかという問題がある。船腹増強してくれば当然港湾経費がうんとふえてくる。ですから、私の結論からいえば、大体五十五くらいが限度だろうと思う。これは時間がありませんから言いませんが、これをむやみやたらに計画造船で追いまくって、さらに前向きの姿勢はそのままで、うしろ向きに大幅にやっていく、こんなことをやっては、いつまでたってもかたはつきません。もっと勇断を振ってやるべき時期だと思います。いずれにしても、これは法案がかかっているところでまたお尋ねしますが、十分考えていただかぬと、これはかえって恨まれますよ。そういうことは十分に配慮されたと思いますが、私は一言だけこのことを申し上げて終わります。
  91. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 肥田次郎君。
  92. 肥田次郎

    肥田分科員 まず項目別に質問したいと思いますが、実は運輸省の昭和三十七年度予算重要施策事項というこの項を見てみますと、これは海上保安庁関係でありますが、この中でまず当面非常に急がねばならぬ問題は、海難救助体制と海上の治安体制強化するのだ、こういうふうに言っております。そこでその予算を見てみますと、海上の問題は、何といっても足は船ですから、これに重点を置かれるということで、これに対して当初は二十億くらいの予算が考えられておった。ところが実際にことしの予算の大綱の説明を聞いてみると、この中でたった一億六千九百万円、こういうように非常に小額なものに減っております。こういうことで、当初に考えているようないわゆる海上保安庁の足であるところの船の整備ができるのか。巡視船とかその他の救難用の船の整備ができるか。この点について、なぜこんなに減ったのか、そしてこれで実際の目的を達せられるのかどうか、この点について質問したいと思います。
  93. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 海上保安庁の船の整備につきましては、これは海上保安庁の機能を果たすためには絶対に必要な要件でございます。従いまして、本年度の予算におきましても力を注いだ点でございますが、今年度、予算全体の構成から考えまして、この程度予算をつければ、まずまず海上保安庁の計画としては、達成をせられていく、こう考えておるのでございます。御質問によりまして、船の整備計画を関係の説明員から説明をいたさせます。
  94. 肥田次郎

    肥田分科員 私は、大臣、去年の秋口に海上保安庁関係で、大阪と神戸を見て回りました。その際に、新しい船を買ったおかげで、救難にも非常に役に立つ、だからこういう船がもっと早くほしいんだ、こういう本部長の話がありました。これはほんの一例ですけれども、さっきも言ったように、海上保安庁の仕事というのは足でしょう。足は船でしょう。陸の警察が、どんどん高速の自動車ができておるような時代に、戦時の遺物のようなああいう木炭車で仕事ができるはずはないと同じように、海上保安庁の船は古い古い老朽船で、そしてこの老朽船は一日も早く新しいものにかえなきゃいかぬし、エンジンもかえなきゃいかぬ、こういうことかお題目としてうたってあるにもかかわらず、二十億の予算が一億六千万円、これはその他にいろいろ内容は散っておりますが、こういうもので実際に目的が達せられるとは考えられないのです。どうなんでしょう。
  95. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 われわれの方の欲を申しますと切りがないわけでありますが、国家予算の現状にかんがみまして、先ほども申しますように、本年度この程度の整備ができますことをもって一応満足しなければなるまい、かように考えております。
  96. 肥田次郎

    肥田分科員 これは満足しなきゃなるまいというのじゃなしに、仕方がないから、これでがまんしなきゃならないだろう、こういうことなんでしょう。そうしますと、これで満足するしか仕方がないということになれば、来年度の予算の中には、何らの期待は持てないということになる。こういう予算じゃ不満だけれども、これだけしか金がないから、これでがまんしておるんだということになれば、この当初の考え方というものは、直ちに翌年に生かして予算化していく、こういうところに実際に期待が持てるわけですが、その点どうなんですか。
  97. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 おっしゃいますように、満足しなきゃなるまいというのは、結局がまんをしなきゃなるまいということでございます。
  98. 肥田次郎

    肥田分科員 言葉のニュアンスが相当違いますことをはっきり申し上げておきたいと思います。  それから、今度輸送全体の増強ということで六項目をあげております。その六項目の中に——予算化の問題はさておきまして、これも非常に予算が少額になっておる。輸送増強ということを目的にしながら——まくら言葉は読みませんが、ずいぶんまくら言葉が書いてある。にもかかわらず、これも予算が非常に削減をされてしまっておる。こういうことで輸送増強の目的が達せられるのかどうかお聞きいたしたいと思います。
  99. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 この点も、先ほど海上保安庁において申し上げたことと同じようなことでございますが、しかしながら他の一般経費に比べますると、港湾施設増強にいたしましても、その他の経費にいたしましても、輸送力増強につきましては、他の経費よりも本年度よけい増強のできるようなパーセンテージになっております。これも欲をいえば切りがありませんが、この程度でがまんをいたしまして、さらに来年度は一そう多額の予算を要求いたしたい、かように考えております。
  100. 肥田次郎

    肥田分科員 そこで、これは少し話が横へそれますが、これに非常に関係があるので、考え方として聞いておきたいと思いますが、この輸送増強という問題は、これはもちろん運輸省だけじゃなしに、自治省の関係も建設省の関係もいろいろ関連があると思います。そういう中で、輸送増強という具体的な計画が立てられることはもちろんであります。で、たまたまそういうことに関連をして、交通関係の閣僚懇談会というのがたびたび持たれて、いろいろとそこで具体的な話が進められておるように聞いておりましたが、この輸送増強という運輸省の計画と、今度東京都で警視庁が考えておるところのいわゆる交通規制の関係、こういうものとの関連について、実際にこれについて障害が起きるのか起きないのかという点。昨日も都市交通の小委員会ということで、それぞれの参考人の方方から意見を聞きました。その参考人の意見を聞きますと、これらはすべて、今警視庁が考えておるような規制をやられては困る、こういう強い意見があったと私は考えております。こういう問題について、本質的にもちろん大臣は相談も受けられただろうと思うのですが、どういうふうに理解をされておるのか、輸送増強という非常に重要な問題に関連するので、ちょっとお聞きをしておきたいと思います。
  101. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 ただいま臨時交通閣僚懇談会で問題にいたしておりますのは、主として主要都市における交通の混雑緩和という点でございます。これにつきましては、積極的に輸送力を増強する施策——先ほど申し上げました地方鉄道の輸送力の増強にいたしましても、あるいは地下鉄その他の輸送力の増強という面もあるわけでありますが、ただいまおあげになりましたのは、都市交通におけるいわゆる自動車交通を、今後どうしていくかという問題でございます。都市において自動車があふれているというのが今日の状況でございまするので、従って建設当局における路面の拡幅とかあるいは新設とかという点が基本的な問題でありますから、この点を一日もすみやかに達成をされるように、いろいろと相談をし、努力をいたしておるのでありますが、それはそれとして、現状のままにふえてくる自動車をどうするかという問題が別にあるわけでございます。これらすべて輸送に関係をしておるわけでございますから、これを規制をいたしますにつきましては、国民の生活、ことに経済の面にあまり大きな打撃を与えないようにしてやって参りたい。お互いにその自動車輸送というものを、これは人であろうと貨物であろうと同様でございますが、輸送の時間その他を変えることによって、大した支障なしに交通の緩和ができるならば望ましいというので、案を検討いたしておるのでありますが、ただいま伝えられております警視庁の案と称するものにつきましては、相当の影響を来たすものではないだろうか、もしこの影響がひどいのであれば、この案には相当の変更をしてもらう必要がある。あの案は決定した案でも何でもございません。やるとすればどういう案が考えられるかという問いに対して、こういう案ではいかがなものであろうかというので出てきておるわけでありますから、その案をしさいに検討いたしまして、忍び得る限りは忍んで輸送の緩和に努力をいたさなければなりませんが、そこにはおのずから限度があります。ただいま具体的に検討中でございます。
  102. 肥田次郎

    肥田分科員 もう一つこのことで関連してお伺いしておきたいのですが、当初のこの計画の中には、ここでも輸送増強という問題と自動車の関係で、自動車ターミナルの建設促進したいということで予算を考えられておったようです。これも将来の計画あるいは本年度の具体的な対策というものは、これは立ちませんか。
  103. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 トラック・ターミナルの点は、東京都の都市計画、道路計画とも関係がございますので、今具体的に検討を進めておるわけでございます。従いまして、どこにどういうようにと、具体的計画を今検討いたしております。ここで御報告申し上げる段階まで進んでおらないことを残念に思います。なるべくすみやかに御報告できるようにいたしたいと思います。
  104. 肥田次郎

    肥田分科員 こういう着想は、非常に実効のある着想だと思うので、輸送力増強という関係とこれは切り離すことができない。従ってこれらの計画というものは、すみやかに閣僚懇談会あたりで、予算化の懇談というものがなされるべきだろうと思います。大臣がお集まりになって、懇談会の懇がいわゆる困った困ったの困談会というようなことでは、これはいつまでたっても進まないだろうと考えております。  それから、これは重要な問題で、この席で聞かなくとも当然機会をあらためてまたお聞きしたいと思っておりますが、警視庁がとろうとしておる考え方に対して、すでに参議院その他の関係でもいろいろ議論が出ております。それはどういうものかというと、免許路線というものに対する制限の問題、しかも当局が考えておるように非常に長期にわたる制限をしよう、これは実に奇怪なやり方ではないかというような議論が出ております。従ってその法的根拠、こういう問題も出ております。われわれが考えるところでは、警視庁では問題になりませんというような答弁をしておるけれども、しかしそれなら、免許との関係は一体どうなのか、免許があっても、それぞれの地域において、条例で自由自在にこれが寸断できるというようなことになれば、免許もへったくれもないじゃないか、こういう問題が起きて参ります。従って当の免許を受けておる業者からすれば、当然これが合法か不法かという問題も起きてくるでしょう。それから実際それで泣き寝入りしてやらなければならぬということになってくると、今度はそれらに対するいろいろな条件の変化というものが起きてくる。従って今度はその措置を損害賠償ということで、運輸省か自動車局あたりにしりを持ってくる、あるいはまたそれでいけなければ、料金をこれだけ上げなければ、とてもこの制限に応じて運送ができないという問題も出てくると思いますが、もう一週間近くもたっておりますので、これらに対して大臣は何か結論を持っておられますか。
  105. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 ただいま検討中と申し上げたのは、それらもあわせて検討いたしております。たとえば二十三区内どこも走れないということが、はたして道交法でできるのかどうか、これは若干疑問があると考えております。警視庁では道路を指定するといっておりますが、それならその指定以外の道路は走れるのかどうかということも検討しなければなりませんので、もう少し詳細に、具体的に検討をしておるわけであります。
  106. 肥田次郎

    肥田分科員 責任の追及は直接運輸省へくるのですから、すみやかに結論を出していただくべき性質のものだと思います。  それから今度は、国鉄の関係で少しお聞きいたしますが、国鉄法の一部改正という中で、一昨日も京葉地域の視察をして参りました。この鉄道の要、不要という問題はさておいて、実はこういうふうに、国有鉄道が民間と協力をして鉄道を敷設するということの論議も、また別にあらためて論議をする機会がありますからそこでやります。ただここでお聞きしておきたいのは、こういうふうな一部改正という法律案が出されるということは、将来への波及性という問題を当然伴ってくるだろうというふうに考えます。たとえば、今当面しておるのは京葉地域であるけれども、具体的にはともかくこの次に予想されるのは堺あたりだろう、あるいはもっと西部にいって必要な地域もできてくる、こういうふうにその年その年に逐次増加をして、そして国鉄がこれらに投資をする、こういう状態が起きてくるのが必然だと思うのですが、この関係はどういう見通しに立って運輸省では一部改正という法律案を提出せられたのか、お聞きしたいと思います。
  107. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 運輸省といたしましては、ただいまおあげになりました京葉臨海鉄道というようなもの、言葉をかえて申しますならば、特定の会社が特に利用をする、そして同時に国鉄と密接不可分の関係で使用されなければならないというようなものに限定をして参りたい、かように考えております。民間の資本を吸収をしてやっていくというのに、際限なく伸びていくべきだというような考えは持っておりません。
  108. 肥田次郎

    肥田分科員 京葉地区の臨海鉄道の問題は、実は直接視察をしたので、いろいろなことを聞きましたが、これはおいておきます。  そこで今度は、国鉄の方にお伺いをいたしますが、国鉄はこういうふうに国鉄の中から投資をするという計画を持っておられます。ところが半面には、工場の合理化といういわゆる廃止したりあるいは転移したり、こういうことが具体的に計画の中で話を進めてある。先ほどの答弁の中でも、これは話し合いで進める、こういうお考え方でした。われわれとしてここで申し上げておきたいのは、合理化という問題は、当然行なわれる場合もあるでしょうけれども、しかし一方に出資をしながら、そして国鉄の経理の中で、これは存廃をどうだこうだ、こういうふうなことはなかなか実現がむずかしいということを私たちは考えるのです。国鉄にかかわらずどこでも、最近における合理化という問題は、これは実はだれが考えてみたって、いわゆる労働強化、それからそのあとには首切り、こういう形をとっておることは間違いない。ですから合理化というのは言葉がいいのであって、実際には自動的に、いつか時がくれば必ず首を切られるような方向に持っていっておる、これが最近とっておる合理化なんです。ほんとうに苦しくて合理化をやるというのなら納得できるけれども、そうじゃなしに、いろいろな方面に手を伸ばしたいために合理化をやっていこう、こういう点が多分に見られる。政策的にまた随時変更するための合理化という問題も起こってくる。そういうことを考えると、こういう問題は並行して容易に解決できないだろうということをここで警告しておきます。お答えはまたこの法案を審議するときにいただきます。  それからもう一つ、今度は自動車関係の問題であります。実は自動車関係の考え方を見ておりますと、当初はいろいろと人員をふやしたり、当面しておるところの陸運行政の能率を上げ、態勢を強化するために、これは人件費だろうと思いますが、大体九億五千万円くらいの予算が組まれております。ところが今度実際に出ておるところの予算を見ましたところ、前年度が二億三千九百万何がし、ところが今年度は三億一千万円、こういうことでこの書かれておるような内容の問題が実際に実施できるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  109. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 自動車行政は、自動車の増加とともに、ますます分量もふえて参っております。従いまして、人件費の増もやむを得ませんが、同時に、事務の簡素化あるいは合理化というものもはかって参らなければなりませんので、両々相待ってやって参りたい、かように考えております。
  110. 肥田次郎

    肥田分科員 次にお聞きしたいのは、陸運局関係の、最近の年次別に、簡単でいいのですが、人員の変化は一体どうなっておるかということが一つ。それから陸運事務所あるいは地方陸運局におけるところの業務の処理というものの状況、それから、職員の健康状態、休暇などは一体どういうふうに実際に支給されておるか、この点についてお伺いしたいと思います。と申しまするのは、実は当該の職員の人々からいろいろな書類がきております。この書類を見てみると、陸運行政というものが非常に最近多くなって、それがために自分の手だけではまかなえない。だから協会の力を借りてそしてやっと仕事をさばいておるのだ。それが現況だという話であります。休暇ももちろんとれない。労働強化でもうほんとうに一日じゅう働き通し、休暇なんか一年を通じて三〇%もとれたらいい方なんだ、こういうふうな話も聞いております。こうなりますと、これは重大な問題ですから、少々無理であろうともこの辺の予算確保して、人員増というものがはかられなければならない。そうしなければ、幾らここで書いてあっても、陸運行政というものは全然進まないのじゃないか。こういうことを感じるので質問いたします。
  111. 木村睦男

    ○木村(睦)政府委員 陸運行政につきまして、人員その他職員の勤務状況についてのお話でございますが、御承知のように自動車のふえます傾向が毎年二割、それ以上の率でふえております。それに従いまして、物理的にどうしても車の数と並行して業務量がふえてきますのが、車両検査と登録でございます。なおそのほかに事業の免許関係あるいは認可関係の申請の件数というものも、相当な数に上っております。これらの膨大な仕事をかかえまして、陸運関係の職員の増加というものは非常に少ないのでございまして、毎年必要な人員の要求はいたしておるのでございますが、政府全体の方針で、単に業務量の増加ということでは定員の増加はやらないという基本方針がありますので、いろいろその折衝の段階では苦労いたしておりまして、結果的には、毎年ごく若干の人員の増加を認めてもらっているはすぎない状態であります。従いまして、一方において非常にふえてきます仕事を、人のあまりふえない状態のままで処理していかざるを得ないという状況下で、職員は非常に苦労いたしております。われわれといたしましても人員の増加ということが、こちらの思う通りに望めないという状況下であるなれば、仕事のやり方につきましてさらに検討いたしまして、簡素化あるいは合理化ということによりまして、少しでも仕事を減らす、負担を軽くするという方面にも相当な努力をしてきております。しかしながら、絶対量の仕事というものがすでに増加しておりますので、一人当たりの負担は相当大きいものがあります。ただ現在、今手元にこまかい数字は持っておりませんが、そのために非常に病人が出るとか、そういうふうなことはあまりございません。非常に健康管理にも注意をしてもらってやっております。なお休暇等につきましても、休暇のとりたいのを押えておるというふうな傾向もそうございません。できる限り手助けをし合って、必要な休暇をとるというふうにやらしております。  なお、陸運局あるいは陸運事務所の職員だけでは仕事ができないので、協会の職員等に手伝ってもらっておるというふうなお話でございますが、実はかつてはそういうふうなやむを得ぬやり方をしておったときもございましたが、その後、こういうことは綱紀の粛正の上からも、また本来そういった仕事のやり方はよろしくないということで、職員には相当無理でございますが、思い切ってそういうふうな方法はやめております。現状は大体そういうふうな状態でございます。
  112. 肥田次郎

    肥田分科員 今局長の答弁を聞きますと、私らが聞いておることと相当違うように思いますが、しかしここでこの問題をあまり議論する時間はありませんからやめておきます。ただ実際に業務がふえておるということ、それからどんどんふえつつあるといということ、将来もふえるということを局長は否定されておるわけでないのですが、ことし六十九名程度の全体にわたるところの人員増で、これがまかなえるとはとうてい考えられない。ですからこれはあらためてわれわれの意見も言いたいと思いますが、こういう関係に関する限りの予算というもの、本来陸運行政を完全に果たすために所要の人員というのは、これはどんなことを犠牲にしても確保せらるべきである。そうしないで白タクや白トラを取り締まろうといったってできません。それから車体検査にしたって、あなたの方では御存じないかも知れぬが、実際やむを得ず協会から人を借りてきてそれにやらす、あるいはそれぞれの免許証を持っておるところの工場に、そのまま野放しで業務をやらすということになるのは人情です。だから人員の確保は何をおいてもやらなければならぬということを強く申し上げておきます。  それからもう一つ、今度は地方鉄道軌道の整備法の関係でこの予算を見てみますと前年度と同じ予算しか計上されておりません。そこでこれは一体どういうことであるのかということをまずお伺いしたいと思います。こういう前年度と同じというような形は、実際の企業の形態の中にはないのです。当然、額はふえなければならぬということをわれわれは考えておる。実際この整備法というのがあっても死文にひとしいのじゃないかということが民間から言われておりますが、これについて一つお聞きしたいと思います。
  113. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 ただいまのお尋ねの点は、私鉄がどうしても通常の状態ではペイしていかない、相当赤字が出る、しかもこれを地方の利益のために維持していかなければならない、こういう場合に対する補助の点でございますが、こういうところが非常にふえてくるというわけでもございませんので、従いまして本年度といたしましては、前年度と大した違いのない予算ということになっておるわけでございます。
  114. 肥田次郎

    肥田分科員 大臣、あなたは簡単にそういう答弁をされますけれども、実情は違いますよ。ふえる理由がないということじゃなくて、ふえるのだけれども、これだけしか金を出せないからということで、これだけに押えてしまった。これがいわゆるこの金額の決定の方法だろうと思う。  それから、この条件というものを、質問でお答えをいただくのではなしに聞きたいと思いますが、この条件の中に、人件費というようなものを除外して、そうしてそれの赤字を考える、こういうことでありますが、しかし今日の企業形態の中で、人件費を除外してコストを計算する、赤黒を計算するというような、こういう器用なやり方が運輸省の処置の中ではできるのですか。この点だけは聞いておきたいと思います。
  115. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 人件費を除外しておるとおっしゃいますが、どういうことでございましょうか。
  116. 肥田次郎

    肥田分科員 大臣はわからぬようだから、これはまたあらためて聞きます。保留しておきます。
  117. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 人件費は入れておるそうでございます。
  118. 肥田次郎

    肥田分科員 そうすると、大臣、あなたの言われることと、私が聞いたこととは違うのです。人件費は除外をして、そうしてその赤字に対して補償する、こういう言い方なんです。そうすると、赤字を補償するということは、人件費を除外したものの赤字を今度計算をしではじき出す。そうしてその額を補償するということですからね。だから、いわゆる企業の中の赤字と称するもののあれも引く、これも引くということで、そして何ぼかせんじ詰めたものを補償してやる、こういうやり方をされておるということです。
  119. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 人件費を除外しては、黒字か赤字かということは、私は出てこないと思うのでありますが、しかし、そういうことでございますから、よく調査をいたしまして、そういう不合理があれど是正をいたしたいと思います。
  120. 肥田次郎

    肥田分科員 そういうことでありますから、またこれはあらためて質問の継続を別な機会にいたします。  そこで、これは重要な問題として一つお聞きしておきたいのですが、大臣の方では、赤字というような問題はあまりふえてくることはないだろうと考えておられるけれども、私らの方ではそうは考えない。今日のような、いわゆる交通企業の戦国時代というような形態を持っているときには、一方で黒字の会社があるけれども、片一方では赤字の会社というものが四苦八苦して、営々としてやっておる。これは私らの聞いておる範囲内でも相当あります。こういうものを将来一体どうやっていくのか。たとえば鉄道が赤字だ。国鉄の場合には、これは補給する道がある。民間の場合には、今言ったように、もうごく一部分しか補助の対象にならない。こういうことになってくると、このままじゃ持たぬじゃないかという会社ができてくる。それに対して補助ができない。いわゆる補助法があるけれども、どうにもならないというような、空文にひとしい内容しか持っていない。だんだんこれに対するワクは大蔵省の方で締められてくる、こういう話を私は聞いておる。大蔵省が金を出さない。現在ある補助法というものは、だから死文になってくる。こういう際に一体どうするのだと聞いたところが、どうもこれは何とかして企業転換をやらせなければ仕方がないでしょうという指導方針のようであります。そうすると、企業転換をやらすというその一つの基本的な考え方の中で、どういう考え方を持っておるのかということが、これが質問の要点であります。私たちがここで申し上げておきたいのは、今日の企業の状態を見ていると、大臣も御承知のように、これはいわゆる弱肉強食で、切り取り強盗というようなやり方がどこでもやられておる。一社がたとえば古い路線の復活をやろう、これなんかまだ条件があまり非難すべき条件じゃない。そういうものに対して、それを今度は乗っ取り的に、また競願をしてくるようなものもある。それからまた、一社が申請すれば、今度はいやがらせにどんどん数社が申請を出してくるというような状況もある。あるいはまた、四十年も五十年も前の路線を引っぱり出してきて、まるで墓の底から引っぱり出してきて、骨に肉をつけようというようなやり方をして、そして新しく路線をというようなことを考えておるようなところもある。こういうようなことを放置しておいたのでは、一方に赤字会社ができ、一方には金にまかせ、力にまかせて企業拡大をやるところができる。こういう問題を運輸行政上見のがしておくわけにはいかないであろう。何とかしてこれに対していわゆる積極的な指導方法というものを出さない限りは、片方で補助できないのですから、この問題を解決する方法は、行政指導で強い指導をする以外にないのではないか、こういうように思うのですが、この点についての大臣の考え方を聞いておきたいと思います。
  121. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 いろいろ周囲の経済情勢の変化等によりまして、私鉄が経営の困難な状態になっておるところもございます。しかし、国策としてどうしても維持しなければならないという点は、補助の面におきましても、あるいはその他の面におきましても、助成を、あるいは力を与えていかなければならないと考えております。ただいまの指導方針といたしましては、弱肉強食ということはできるだけ起こさせないで、そうして現在経営をしておりまする会社が十分やっていけるようにというのが、この新線免許あるいはその他の場合においての方針でございますから、御指摘の点につきましては、今後さらに一そう留意をして参りたい、かように考えます。
  122. 肥田次郎

    肥田分科員 これは重要な問題ですので、また別の機会ではっきりした指導方針を具体的にお伺いしたいと思っております。  それから最後にもう一つお伺いしたいのは、今度の予算の中で、踏切道改良補助費に二千二百一万三千円、こういう最終の額が出ております。これはあまりにも少な過ぎるのではないか。いわゆる交通事故を防止する、踏切道改良促進する、これが法律を作ったあとの予算化としてはあまりにも少ないのではないか、これは一体どういうことなのかということが質問の要点であります。警報機一機つけても、最低百五十万円ではできないのです。そういうものを私鉄だけで千三百くらいやらなければならない。国鉄も三千数百くらいやらなければならない。立体交差の関係もたくさん残っておる。こういうのをたった二千万円くらいのもので実際にやらせるのでしょうか。
  123. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 私鉄に対する踏切道改良補助は、お説のように非常に僅少でございますが、ただいまの考え方といたしましては、これは私鉄と道路管理者との話し合いによって分担をするという考え方をいたしておるわけであります。私鉄の中で、先ほどもお述べになりましたように、相当赤字を出しておる私鉄もございます。こういうことに耐えられない私鉄がございまするので、そういう赤字会社に対する補助といった程度を考えておるわけであります。しかしながら、踏切道改良につきましては、当該道路管理者は非常に関心を持っておるわけでございますから、従って、道路管理者の所属をいたしておりまする国あるいは府県、市町村等の助成もいただくことを考えて、この程度の予算にいたしておりまするが、実行をいたしてみまして、非常な支障が来るというようなことであれば、さらに増額を要請しなければなるまい、かように考えております。
  124. 肥田次郎

    肥田分科員 あまり時間を費しても迷惑をかけると思いますので、質問はこのくらいで終わります。  ただ、今、この予算の中でほんの数点を質問いたしましたけれども、この予算に対する考え方を申し上げますと、みんな片一方を削られたから、仕方なしにこれだけにしたのだという形の上では了承できても、本質的には努力が足りないのではないか。結局、大蔵省に押しつけられるというか、あるいはまたこちらの積極的な動きがないというのか、そういうことが原因して、このように非常に僅少な予算のままで終止符を打たなければならない、こういう結果になったのではないかと思います。目的がはっきりしておるのに、その目的の十分の一も達せられないというようなこういう予算の形では、これはとうてい重大な任務を預かっておるところの運輸省の予算としては、われわれとしてはきわめて不満を感ずるのであります。ですから、今さらどうにもならないというふうにお考えかもしれませんが、こういう形の予算はすみやかに解消されて、そうして次年度に対して十分な予算を獲得する工作が今から始められるべきである、こういうふうに考えております。  質問を終わります。
  125. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 午前の会議はこの程度にとどめ、午後二時三十分まで休憩いたします。    午後一時二十八分休憩      ————◇—————    午後二時四十分開議
  126. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。楢崎弥之助君。
  127. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私は、運輸省関係の事故の問題について、以下質問をしたいわけです。  まず、最近の自動車を中心とした交通事故の補償の問題、あるいは損害賠償の問題についてお伺いをいたします。交通事故の防止の問題については、昨日も衆議院の本会議で決議がなされまして、大臣のそれに対する努力の約束がなされたわけですが、防止の方策については最近やっとおくればせながら警察庁なりあるいは運輸省、建設省と関係官庁でいろいろ立案をされておりますけれども、事故が起こってから後の事後処理について、たとえば事故の補償の問題損害賠償の問題、あるいは身体障害者への援護更生などの対策が、やや等閑視されている感じを受けますので、そういう点について質問をしぼっていたしたいと思うわけです。  最近、非常に交通事故が激発をしておるのは、御承知の通りです。たとえば本年一月一日から二月二十日まで五十日だけでも、全国で千四百人をこす死亡者が出ておる。特にその中には、子供の死亡者が二百人以上出ておる。そしてまた本年一月だけの全国の交通事故の発生を見てみましても、三万三千二百九十三件出ておるわけですが、そのうち死亡者が千人近く、負傷者については二万人ほど出ております。これは、このように交通が非常に複雑化してきて混乱しておるという状態に、この事故激発の原因があると思うわけです。そこで、こういうふうに現在の交通状態がなったことについて、私はこういう交通行政の失敗なり誤り、あるいは見通しについての誤り等が原因になると思うのですが、そういう点について関係者の一人としての運輸大臣は、どのように責任をお感じになっておるか、まずそれをお伺いしたい。
  128. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 最近、交通事故が非常に増してきておりますことは、まことに遺憾のきわみに存じております。運輸省といたしましては、交通行政の一端を担当いたしておるわけでございますが、今までの運輸省の考え方は、主として輸送という面から担当をいたしておったわけでありまして、交通行政全般という考え方には立っていなかったわけであります。また警察の方は、事故の防止あるいは交通の規制というような面で担当をいたしておりますし、また建設省は道路を建設するという面で担当いたしておるわけでありますが、そういう意味から申しますと、交通全般について、一省で責任を持ってやるという省が現在ないわけであります。そこで交通省の設置という問題も出ているわけでありますが、さしあたっては関係各省が連絡を密にし、お互いに足らないところを助け合って、一元的な運営をやっていこうというので、ただいまやっているわけであります。  今日の交通事故の多発の問題は、いろいろ原因がございますが、これはどの省の責任というわけにも参りますまい。とにかく関係各省、政府全体の政治あるいは政策ということであるわけであります。運輸省といたしましては、いわゆる運輸の免許行政をやっておりますので、従ってそういった免許を与えております運輸業者に対しましては、運転手の事故防止ということにも責任を持たしております。もちろん刑事責任もありますと同時に、行政責任をも追及をいたしまして、そうしてまず労務管理を初めとして、さようなことのないように指導監督に努めておるようなわけでございます。
  129. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 今のお答えを聞きましてもわかりますように、非常に交通行政がばらばらです。今大臣のお答えの通り、免許関係は運輸省、取り締まり関係は警察、あるいは道路関係は建設省、そこで責任の所在が非常にあいまいになっておる。そうすると結局それらを含めた政府全般の責任になるわけでありますが、今大臣のお答えを聞いておりますと、取り締まりあるいは監督を強化して事故がそう起こらないようにする、そういうことを私は聞いておるのではなくて、政府としての政策の貧困、交通行政に対する貧困が事故激発の一つの大きな原因になっておる。それについて大臣は関係閣僚の一人として責任をお感じになりますかということを聞いておるのです。
  130. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 責任を痛感いたしておりますので、関係閣僚ただいま頭をそろえまして、考え方を一つにして一元的行政をやって参りたい、かように存じておるわけであります。
  131. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それは道義的責任をお感じになっておるのですか。それとも法的に責任をお感じになっておるのでしょうか。
  132. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 政治的責任でございます。
  133. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 政治的な責任も当然あると思います。道義的責任もあると思う。しかし私は、これは法的にも十分政府は責任があると思うのです。それはどうしてかというと、国家賠償法の一条、二条の責任からいうと、当然国がなすべき行政について怠っておった、あるいは見通しを誤っておった、そういう政策の貧困からこういうことになっておるとするならば、国家賠償法の一条、二条の精神から、当然法的の責任があると思うわけですが、どうですか。
  134. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 国家賠償法の関係から事故多発の責任が政府にあるという法律論は、私ちょっと了解いたしかねます。
  135. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これは政府の政策の貧困からこういうことが起きておるのであって、公務員として当然なすべきことをなさなかったというところからきておる。そういう場合には、憲法十七条は不法行為となっておりますが、この不法行為については、最近無過失責任論が学説の中心をなしておるので、適法行為でも当然そういう責任について賠償義務ができておる、そこで今までは、たとえば事故が起こったときに加害者と被害者との裁判なんかが起こっておったが考え方によりますと、これほど交通が混乱しておる、それによる事故ということになると、国を相手取っての裁判なんかも考えられるのじゃないですか。
  136. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 交通事故が起こったことについて国を相手として損害賠償を要求するという点につきましては、今日の法制の建前といたしましては、国は加害の責任があるという場合でありませんと、その責任は負わないことになっていることは御承知の通りであります。
  137. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私はその精神を言っておるのです。  そこで先に進みたいと思いますけれども、交通事故による被害者の家庭というものは、その日から非常に悲惨になってくる、これは御承知の通りです。ところで私は、この交通犠牲者の保護の支柱をなしておる自動車損害賠償法、これによる責任保険の金額が死亡五十万円、重傷十万円、軽傷三万円となっておりますが、その金額がたとい物価水準あるいは生活水準の格差はありましても、非常に諸外国の側に比べて低いと思いますが、その点どうお考えでしょうか。
  138. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 自動車損害保険につきまして、死亡者に対して五十万円という補償は低いか低くないかというお尋ねだと存じますが、私はこれで必ずしも十分とは考えておりません。政府におきましても、所得倍増計画のもとにあらゆる施策を進めているわけでありまするから、国民所得が向上して参りますれば、損害賠償額もまた変わってこなければならないと考えております。一昨年三十万円から五十万という額に引き上げた後でございますが、今後はこれで当分よろしいというようには考えておりません。今後の情勢を見まして、また引き上げることも考えなければならない時期が早急に来るであろう、かように考えております。
  139. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 お説の通り、所得倍増計画を立てておるのですが、その中における現在の生活水準その他からいって、たとえばドイツの場合は九百万円、イギリスは四百五十万円、スイスは四百二十万円、アメリカに至っては千万円を越すというような保険金額なんでございまして、私は一昨年三十万から五十万に引き上げられておるのは知っておりますけれども、それでもなお現在の状態から見ると確かにこれはあまりに低い。たとえば労災保険に直しますと、五十万というのは、千日分になりますと、一日五百円の収入の見当になっているわけですね。非常に私はこれは低い金額であると思います。そこで、将来これは考えなければなるまいと大臣はおっしゃっていますが、現時点でもう一度これを考える必要があろうと私は思うわけですけれども……。
  140. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 来年度予算までには十分検討をいたしまして、善処いたしたいと思います。
  141. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 先ほども政治責任があると大臣はおっしゃっておるわけですが、そういう点で政府がその責任の一端を具体的に現わす方法として、保険金額を上げるということになると、当然保険料が上がるわけです。これは保険者の負担を増すことになるわけですけれども、この保険料の一部を国庫で負担するというような国の責任の現わし方をお考えになりませんでしょうか。
  142. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 この種の保険に国庫が負担をするということは、性質上相当大きな問題だと考えます。私は今直ちに国庫が一部を負担すべきであるということを申し上げる段階ではないと思います。
  143. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 この点は、保険金額を上げるという点と関連をして、政府としても十分検討される余地のある問題だと思うわけです。今後これは研究の一つの課題にしておいていただきたい、かように考えるわけです。  時間がないので急いで先に進みますけれども、最近この自動車事故によって負傷者がふえておる、そのための身体障害者が非常にふえておる、ウエートを増しておる、これは統計に現われておるところでありますけれども、すでに新聞にも書いておりましたが、戦時中の旧軍人軍属の戦傷病者よりも数がふえておるというふうに統計も出ておるようです。これらの身体障害者を見てみますと、その三割以上が家計の中心をなしておるという統計も出ておるわけです。そこで、この身体障害者の事後の更生援護措置について厚生省の方から来ておられましたら、お考えがあったらお聞きをしたい。
  144. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 まだ来ていないそうでありますから……。
  145. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それでは来られてからに譲りたいと思います。  全日本交通安全協会が、この十六日は全国安全運動を起こすという取りきめをしたようでございますけれども、その中に交通事故犠牲者対策委員会も設けられる。そして、そこで犠牲者救済の運動として黄色い羽根の運動とか、あるいは遺族の基金などを検討されておるようですが、こういう犠牲者救済運動について政府はどのような協力の態度をとられるつもりか、お聞きをしておきます。
  146. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 そういった交通事故の犠牲者に対する救済運動が、国民運動として上がって参りますことは望ましいことだと考えておりますが、これに対しまして、運輸省といたしましては直接御相談を受けておりませんし、場合によりましたら厚生省その他と話をいたしてみたいと考えておりますが、今直ちに政府がこれらの運動に対して財政的な援助の面から考えるというようなことは考えておらないわけであります。
  147. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 この点も国民運動として起こった際には、政府も十分協力していただきたいと思うわけです。  次に自賠法と関連をして、自賠法は人的な損害を対象としておるわけでありますが、物的な損害について強制責任保険制度といったような制度を考えられないものかどうか、この点をお伺いいたします。
  148. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 物的な損害とおっしゃいますのは、おそらく自動車の損害でなしに他人の物件、たとえば家をこわしたとかいうようなことであろうと存じますが、この点につきましてはただいま考えておりません。
  149. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これも十分検討課題の一つになり得ると思うわけですが、一つ検討していただきたいと思います。  次に航空機による地上損害の問題について二、三お伺いをしておきたいと思いますが、御承知の通り、航空法にはそういう地上の損害賠償についての特別立法はないわけですね、どうでしょう。
  150. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 おっしゃいますように、ございません。
  151. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これは外国ではほとんど特別立法をしておるのですが、日本にそういう特別立法がないというのは、何か理由があるんでしょうか。
  152. 今井榮文

    ○今井(榮)政府委員 外国の立法の例につきましてはよく存じませんが、日本におきましては、御承知のように航空そのものが民間航空としてはまだ発展の途上にございまして、先生がおっしゃったような点についても今後研究していきたいと思いますが、現在では具体的な立法はございません。
  153. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 外国では、アメリカもあるし、イギリスもフランスもドイツも特別立法を作っておりますですね。国際条約としては一九五二年のローマの改正条約があるわけです。私は、今後に備えて当然特別立法を考える時期にきておると思うのですが、どうでしょう。
  154. 今井榮文

    ○今井(榮)政府委員 先生のおっしゃるような趣旨に沿いまして、今後十分研究していきたいと思います。
  155. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そこで、航空機の事故には民間航空、米空軍、自衛隊の三つが実際問題として考えられますが、米空軍あるいは自衛隊については第一分科会で質問することになっておりますし、担当でございませんから民間航空についてのお伺いになってくるわけですけれども、こういう事故補償一般の基本的な統一補償基準が日本の国内法であるかどうかお伺いいたします。
  156. 今井榮文

    ○今井(榮)政府委員 先生も御存じのように、先ほど申し上げましたように、日本の民間航空自体はアメリカあるいはヨーロッパのように非常に盛んな状況には立ち至っていないまだ発達の段階にございまして、幸いなことに今までのところでは事故につきましても、先ほど自動車についてお話がございましたような物件その他に対する損害というものも、比較的例としては少のうございます。私どもの記憶によりましても終戦直後に起こりました三原山への——当時は米国のノース・ウエスト会社が経営いたしておったのでございますが、その会社の衝突事故、それからその後大阪で日本航空の雲仙号という、ダグラスのDC4だと思いますが、離陸直後に墜落して炎上いたしましたケース、これは全然死者はございませんでしたがそのケースと、それから昭和三十三年の八月だったと思いますが、全日本空輸のダグラスDC3が下田沖において墜落して、これは搭乗者約三十名が全部なくなったわけでございますが、そのケースと、民間航空機としてのいわゆる航空機自体による事故によっての損害は以上の三件と私は記憶をいたしております。なお、御記憶かとも思いますが昭和三十五年に小牧の空港におきまして自衛隊機が全日本空輸の着陸した飛行機に衝突して、三名の死者を出したケースがございます。  その場合の補償につきましては、従来人的損害に対する補償については、当該会社からそれぞれ見舞金あるいは補償料というふうな形で一定の金額を出しております。それからなお小牧の衝突事故につきましては、死者三名に対して全日本空輸から百数十万円だったと記憶しますが、葬祭料、見舞金等を合わせてこれだけを出しております。なおこの場合に、自衛隊機の衝突によって惹起されたその原因が、管制官の管制の指示に誤りがあったというようなことで、現在刑事問題となって係争中でございます。この場合に国に責任があるとするならば、判決確定によりまして国としては当然人的損害に対する補償を現在準備いたしております。  こういうふうなことで、個々のケース、ケースにつきまして従来補償等がきまっておったような状況でございますので、従って飛行機についての統一的な補償基準というものは現在ございません。
  157. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 今お話のありました小牧の問題ですが、国が賠償責任を負う場合には、それの法的な根拠は何によりますか。
  158. 今井榮文

    ○今井(榮)政府委員 国家賠償法によると思います。
  159. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 国家賠償法に補償の基準がございますか。
  160. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 ございません。
  161. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これは日本における事故一般について補償の基準が、実にあいまいであるわけですね。それの根本原因は、結局国家賠償法にそういう根本的な統一補償基準がないところに私はあると思う。各関係で非常に考え方がばらばらです。これは国家賠償法で早急に根本的な統一補償基準を作る必要があると思いますけれども、運輸大臣としてはどうお考えですか。
  162. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 国家賠償責任の担当大臣ではございませんが、今日の国家賠償責任は、賠償の要求を受けて、そして国家としてはどの程度賠償するかという一つの訴訟できまっていくわけでございます。従って、国で一方的に賠償の基準を設けてそれで済むものかどうかという問題もあろうと思います。慎重に考究しなければならぬ問題だと思います。
  163. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これは、先ほどの小牧の問題から当然さっそく現実化するわけですけれども、小牧の場合国家が賠償するとすると、どういう基準でやられますか。
  164. 今井榮文

    ○今井(榮)政府委員 私どもの方で作業しておる内容を申し上げますと、なくなられた方々の収入だとかその他従来国が損害をかけて補償したケースについての例というようなものを十分調査した上で、今検討しておる状況でございます。
  165. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 その従来の例なるものが基準にならないのですよ。米空軍機による事故あるいは自衛隊機による事故あるいは国鉄による事故、非常にばらばらですね。自動車による事故だってそうです。それで、これは先ほど大臣も答弁されましたように、国家賠償法の統一補償基準をやはり作って、それからそれを基礎にして各省がそういう具体的な補償基準を作っていく、こういう形でなくては私はならないと思うのですが、いかがでしょう。
  166. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 ただいま申し上げました通りでございまして、今日の国家賠償責任は、この程度をやれば国家賠償責任を免れるという、そういう基準が設けられるかどうかと申しますると、これはきわめて困難であろうと考えます。最低限度国としてはどの程度補償すべきだという、国に対して義務を負わせるかどうかという点も、また考えてみなければならぬ問題でありまして、今日は当事者の訴訟としてやるわけでございまするので、その限りにおきましては、一方的にこれをもってよろしいということには相ならぬわけでございます。そういう制度を変えて、今おっしゃるような制度にするかどうかということにつきましては、これはいろいろと慎重に考究すべき問題だ、かように考えて、今後検討いたしたいと思います。
  167. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 この航空機による事故問題については、再来年はオリンピックがあるし、、外国の飛行機もどしどし飛んでくると思います。それで、先ほど申しました一九五二年のローマ改正条約についての批准はどのようにお考えでしょうか。
  168. 今井榮文

    ○今井(榮)政府委員 十分研究しておりませんので、調査した上でまたいずれお答えいたしたいと思います。
  169. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 研究はされておらぬそうですが、これは早急に検討する時期にきておる。先ほどの国内における事故補償の特別立法と同じように検討する時期にきておる、このように思うわけですから、その点はお願いいたします。  それから、さっき厚生省関係で一点残しておったんですが、見えておりますか。——最近自動車を中心とした交通事故が非常にふえておりまして、そのために負傷者、身体障害者のウエートが増しておるわけですね。それで、これらの身体障害者の今後の更生、援護について、特に何か対策なり、お考えがあるかどうか、お伺いしたい。
  170. 平井龍

    ○平井説明員 お尋ねの点でございますが、身体障害者福祉法によります身体障害者は、全国で約九十四万人と推定されておりまして、これらの障害者に対しましては、身体障害者手帳の交付、診査、更生相談、補装具の支給あるいは更生援護施設への収容等を行なっております。年々身体障害者に対します福祉援護の予算面におきましても伸びて参っております。明年度は、たとえば補装具等につきしまては、一〇%給付を拡大する方向に進んでおりまして、身体障害者の関係につきましては、まだわが国におきます歴史が非常に浅いということがありまして、今後検討すべき分野は非常に多いんじゃないかと思います。特にお尋ねの交通事故による身体障害者の更生の問題につきましては、まず障害の程度に応じまして、機能回復訓練あるいは適正な職業への適応訓練等を行ないまして、一方労働省と協力いたしまして、身体障害者雇用促進法による雇用のあっせん等をいたして参っております。今後この関係の援護の活動を強化するという方向で、十分検討しなければならないと考えております。
  171. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 自賠法の重傷十万、軽傷三万というこの金額は、私ども非常に少ないと思いますが、厚生省としてはどのようにお考えですか。
  172. 平井龍

    ○平井説明員 お尋ねの点は補装具の問題でありますか。
  173. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 自動車損害補償法です。
  174. 平井龍

    ○平井説明員 これは私どもの方の所管でありませんので、ちょっとお答えが困難かと思います。
  175. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 厚生省としてはこの金額はどう思われますかと聞いているのです。
  176. 平井龍

    ○平井説明員 今まで不勉強でございまして、検討いたしたことがございませんので、お答えは遠慮させていただきたいと思います。
  177. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 重傷十万、軽傷三万というのは、常識で考えてこれは当然少ないと思いますが、あなたはそれを検討しなくちゃ少ないか多いかわからぬのでしょうか。
  178. 平井龍

    ○平井説明員 個人的な発言になりますので、差し控えて発言いたしたいと思いますが、必ずしも多い額とは思われないと考えます。
  179. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そういうお役所的な考えで、この事故の事後処理に当たられるということは非常に困ると思うのです。大胆率直に現在の常識に合った考え方で一つ処理をしてもらいたい、このように思うわけです。時間がありませんので、その点はそれくらいにして先に進みたいと思います。  最後に、板付の国際空港化の点についてお尋ねをしたいと思う。三十七年度の予算空港調査費が組まれておりますね。それに福岡というのが入っておりますが、これは板付のことでしょうね。
  180. 今井榮文

    ○今井(榮)政府委員 お尋ねの三十七年度の空港調査費につきましては、御承知のように板付の空港は現在民間機も使用いたしておりまして、民間機のターミナルビルディングあるいは係留すべきエプロン地帯が非常に狭うございますので、民航地域を拡大するために、地域を買いまして、そこに新しいターミナルとエプロンを作りたい、こういう計画を持っておるわけでございます。そのために新しい用地を取得し、それを調査するための費用というふうに考えております。
  181. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 その金額はどのくらいになっておりましょうか。
  182. 今井榮文

    ○今井(榮)政府委員 来年度の空港調査費の全額は五百万円でございまして、その中でまだ各調査費の空港別割り振りはきまっておりませんが、私どもとしては大体五十万円程度を福岡に見込んでおります。
  183. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 御承知の通り板付は米空軍基地ですね。それに民間航空が入っておるわけですが、今の御答弁によりますと単にターミナルなりエプロンが狭いから用地買収のための調査だ、つまり民間航空の関係の敷地をふやす、拡張するということなんでしょうか。
  184. 今井榮文

    ○今井(榮)政府委員 その通りでございます。
  185. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 現在米空軍基地と民間航空が共同使用しておるところ、航空自衛隊の基地と民間航空が共用しておるところを、別々にあげていただきたい。
  186. 今井榮文

    ○今井(榮)政府委員 ちょっと御質問の趣旨について伺いたいのですが、全国の空港についてでございますか。
  187. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうです。
  188. 今井榮文

    ○今井(榮)政府委員 あとで資料として提出いたしたいと思います。
  189. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そこで、福岡の市当局としては、この調査費は、将来の国際空港化に備えて、こういうターミナルなりエプロンの拡張、それについての調査費だ、つまり将来国際空港化へ至る展望としての今度の調査費だというふうに理解をしておるようですが、その点についてどうでしょう。
  190. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 国際空港に将来するという意味の調査費ではございません。福岡に国際空港が要るかどうかということは将来の問題でございますけれども、本年度の調査費は国際空港を前提にしたものではございません。
  191. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 国際空港化の運動を福岡市当局が非常に熱心にやっているということは御存じでしょう。
  192. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 それは存じております。
  193. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そこで一般的な国際空港の定義をちょっと簡単にお知らせ願います。
  194. 今井榮文

    ○今井(榮)政府委員 国際空港ということの定義は、航空法自体が明確にしておるわけではございませんが、空港整備法という法律がございまして、その中で第一種、第二種、第三種と三つの空港の種別を作っております。その第一種空港と申しますのがいわゆる国際空港でございまして、国が全額国庫で負担して造成し経営する、こういう空港になっております。従って、空港整備の観点からしますれば、現在国際空港といい得るものは、東京国際空港及び大阪国際空港の二港でございます。一般的な概念から申しますれば、やはり国際民間航空機構に登録をいたしまして、国際空港ということを明記いたしまして、日本の国際線運営会社の飛行機が発着し、外国の国際線の飛行機が発着するというようなことになっておるものをいっております。
  195. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 民間航空が米軍基地を使用するときに、おのおのの民間航空がそれぞれの米軍基地司令官と直接交渉をしておるわけですね。政府が統一的に米空軍と交渉せずに、民間航空が関係の米空軍司令官と直接交渉しているのはどういう理由でしょう。
  196. 今井榮文

    ○今井(榮)政府委員 先生のおっしゃいましたように、個々の会社が米軍の許可を受けて使用しておる空港と、それから日本政府そのものが共同使用を日米合同委員会に提案いたしまして、合同委員会の決定によって共同使用しておるものと、二つ種類がございます。福岡は前者の例でございます。
  197. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 楢崎君に申し上げますが、時間が経過しておりますから、結論を急いで下さい。
  198. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 答弁が要領を得ませんので、答弁を要領よくやっていただかないと……。  そこで、板付の国際空港化への福岡市の熱望は非常に強いわけですね。その際に、国際空港化の要件としては、もし板付を米空軍が使用してなかったら、国際空港化の要件は大部分を備えておると私どもは理解をするわけです。地理的にいって、東南アジア、朝鮮、中国等を控えているので、そう思うわけですが、その点はどうでしょう。
  199. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 国際空港は、今後日本の経済発展に伴って数を増していかなければなるまいかと考えておりますが、国際空港は、御承知のように外国の飛行機がそこに入って、そこで税関をパスしていくというわけでありますので、従って、今直ちに福岡に国際空港を設けるということは、たといあそこが米軍の使用地でなくても、どうであろうかと思えるわけです。しかし、今後の状況に応じまして、そういうような事態であれば、あるいは別個の空港を設けなければならない事態がこようかとも考えます。それらは将来の問題として検討いたして参りたいと思います。
  200. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 まだ国際空港化の調査もされておらぬのに、そういう断定をされるのはちょっとおかしいじゃないですか。地理的に考えても、東南アジアを控え、有利な地点であるし、滑走路も非常に長いし、九州、西日本における産業、経済の面で、地理的な点からいっても非常に有望です。それで、国際空港のための関係のいろいろな出先官庁を置かなければならぬことはわかっております。そしてまた、そういうところの意向を聞くのもわかりますけれども、国際空港化への将来の展望がないという断定は早過ぎるんじゃないか。どうでしょう。
  201. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 お尋ねは、米軍が使用していなければ、板付は国際空港にすぐ指定ができると思うかということでございましたから、さようにお答えを申し上げたわけでございます。
  202. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 御承知の通り、昭和二十六年の十二月に日本航空の羽田−伊丹−板付線が開設されたわけですね。そしてそのうち、羽田、伊丹とも米軍に接収されておった。それが、羽田も米軍が返還をし、伊丹も米軍が返還をして国際空港となったわけですね。もとは米軍基地であったわけです。そこで、その三つの空港の中で残っておるのは板付だけですね。板付も確かに現在米軍が使用しておりますけれども、民間航空も使っておるし、もし板付が国際空港としての条件が十分今後備わるという見通しが立てば、これは米軍基地であろうと、当然日米合同委員会に提案をして、基地を撤廃してくれと言わぬまでも、共同使用の可能性について、日米合同委員会に出されてしかるべきであろうと私は思いますけれども、この点について……。
  203. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 そういう時期が参りましたら、考慮をしたいと思います。
  204. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これで最後です。  そこで、国際空港化への調査をしていただきませんと、そういう時期はいつまでもきません。国際空港化への熱望を福岡市に持っておるのですから、まず調査に乗り出してもらう。  そこで、冒頭に戻りますけれども、今度ついている五十万円という調査費は、福岡市民としては、将来の国際空港化への道筋として、ターミナルの拡大なりあるいはエプロンの拡大なり、そういうための調査費というふうに理解して、窓口が開かれたというふうに、非常に明るい希望を持っておるのですが、そういうあれでなくて、単にターミナル、エプロンを作るだけだ、国際空港化への展望は全然ないのだというふうな形で出されると、問題が非常に深刻になると思うのですが、どうでしょう。
  205. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 国際空港化への調査だと、こう申しますると、地元の方も非常に喜ばれると思いますが、先ほど申しましたように、あとで、歴史的に見れば、あのときは第一歩であったということになるかもわかりませんが、今日、国際空港によるということを前提にして調査をしておるものではございません。しかし、そういう時期がこないということを断言するわけでもありませんし、将来日本が福岡にも国際空港を持ち得るような事態が早くくることを望んでおるわけであります。その際にはとくと考慮をいたしたいと思います。
  206. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これで終わりますが、国際空港化への希望は非常に強いので、今度の五十万円の中に一つこの国際空港化への調査の意味も十分含めて調査をしていただきたい、こういう希望を付して質問を終わります。
  207. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 島本虎三君。
  208. 島本虎三

    島本分科員 まず私は、三十七年度の国有鉄道の予算説明書によって、これを実施する場合の国鉄としての大まかな考え方を総裁に承りたいと思うわけですけれども、その前提として、支出としての報告の中の二千三十五億円を工事勘定に繰り入れるほか、借入金等の償還三百十四億円、帝都高速度交通営団等への出資七億円を予定しております。こういうようになっておりますが、これは年々帝都高速度交通営団の方へは出資が五億円だったと記憶しておりますが、出資七億円として二億増になっておりますが、この二億増の件については、これはいかなる方面の予算であるのか、これをまず一点お聞きした上で総裁の御意見を承りたいと思います。これは何の費用でございますか。
  209. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 二億は帝都高速度交通営団のほかに、午前中にも御質問がありましたように、あの京葉の臨海鉄道会社がもしできるならば、そういうところに出資をいたしたい、これを二億と限定したわけではございませんが、そういう趣旨で組んでおるわけでございます。
  210. 島本虎三

    島本分科員 そういたしますと、これは現在二億円で京葉地帯の臨海、臨港線ですか、これをいろいろ計画されておられるようですが、将来国有鉄道としては各種の事業に手を出すようなことになる計画じゃないかと思われるわけですが、これは十河総裁に、国有鉄道に関係することならば、今後何でも考えておられるようにも考えられるわけですが、総裁の国有鉄道の経営に対する考え方をちょっと承りたいと思います。
  211. 十河信二

    ○十河説明員 ただいま運輸大臣からお話がありましたように、この二億円は京葉工業地区のあれだけを考えております。今のところそのほかのことは考えておりません。
  212. 島本虎三

    島本分科員 今のところはそれ以上考えていないとすると、将来はそれ以上のことは考えるということで、今はそれだけだ、こういうような意味でございますか。
  213. 十河信二

    ○十河説明員 ただいままで問題になりましたのは、そのほかに、たとえば駅頭の倉庫を作るというふうなことは問題になりましたけれども、これは民間の業者の間でいろいろと反対の意見もあるようでございます。それらの調節ができなければやらないということになっております。
  214. 島本虎三

    島本分科員 調節を待ってやりたいという意向で、調節ができない以上これはやらないというように解釈いたします。これでそのほかいろいろと法案も準備されてあるかのようでございますけれども、鉄道に関係するものならば一応はいろいろと考えてやっていきたいのだ、こういうようなお考えのようでございます。これは運輸大臣並びに総裁の御意見として承りたいのですけれども、資産充当分が、この予算書の資金概計の中によりますと七十五億、これは七十五億もいろいろ売り払ったりして——七十五億というと相当膨大でもございまするけれども、新たな事業をまた考えていきたい、一方には自分の事業を手放してやっていきたい。たとえば、今まだそうでありませんが、志免炭鉱を払い下げたいと考えたり、北海道では室蘭の桟橋やダグ・ボートをすでに他の方に移してやった、こういうようなことを一方にしながら、また別な事業を考えていきたい、そのために二億を組んである。しかも、七十五億をまた売り払っていく、こういうふうにいたしますと、資産を手放す、また新しい事業をやる、一体国鉄としてはどのようなところが本体なのか、たとえば、もちはもち屋という言葉もあるわけですが、一体それからあとデパートでもなんでも経営のためにそういうことまで考えて、もうからないのは全部売り払っちまうのか。こういう考えであるのかどうか。こうなりますと、公益性の問題から相当大きい問題になるのじゃないかと思いますが、今の七十五億の問題と二億の問題と、それと総裁のお考えからしてこれはどういうようなことなんですか、御説明願いたいと思います。
  215. 十河信二

    ○十河説明員 申すまでもなく、国鉄はただいま輸送力の増強とか、輸送の近代化ということに全力をあげてやっております。デパートを経営するとか——とんでもない、そういうことは全然考えておりません。しかしながら、長い間——すでに本年で八十九才になります。長い間やっておりますと、その間にいろいろと時勢の変化に伴って、ことに技術等の進歩によりまして、施設をいろいろ改善していかなければならぬことに相なります。従って、新しい施設をこしらえると古い施設が不要になるというふうなことが、ずいぶんいろいろ出てくるのであります。そういうものをいつまでも持っておりますことは、非常に不経済でありますから、できるだけ不要なものは払い下げて、国民の皆さんに活用していただいて、そうして必要な施設に金を向けることが大切ではないか、そういうふうに考えてやっております。
  216. 島本虎三

    島本分科員 必要な施設に金を向けることが当然であるというお考えのようでございます。それもいろいろあろうと思います。私どもの方では、今考えられることでも、それも法の精神にのっとって公益事業としての範囲を逸脱してはならないのじゃないかというふうにも考えられるわけです。従いまして、私どもの方としては、大いにもうける、もうけると言っては失礼ですが、大いに独立採算の意義を発揮するためには、経営の方法だとか、いろいろ考えるのはよろしいが、しょせんはもちはもち屋、こういうような考えで強力に内部の問題をやっていってもいいのじゃないかと思うのです。しかし、いろいろ考えられて、今総裁の言われたところによりますと、倉庫の方も、これは考えてやりたいし、民間の倉庫業者と話し合いがつけばやるのだ、こういうようなことのようでございます。承りますと、大阪の梅田駅付近だとか、またこの付近にも倉庫を具体的に準備中である。東京の隅田川の付近にも営業倉庫を国鉄が準備しておる。このために倉庫業者が大恐慌を来たしている、こういうようなことも承りますが、やはりこういうふうなのも計画の中に含んでおられますかどうか、この点をちょっと承りたいと思います。
  217. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 総裁にかわりまして私から御答弁いたします。  ただいま先生のお話になりました倉庫の問題につきましては、先ほど総裁が申し上げました通り、業界の十分な了解のもとにやりたい、こういうふうに思っておりますが、一方御案内のように、都市交通の最近の非常な混乱、ことにトラックの運行等の困難性にかんがみまして、どうしてもやはり私ども輸送関係者としては、駅頭に倉庫があることが貨物の流通上最も都合がいいということは考えております。従いまして、私どもといたしましては、昨年来この倉庫をたとえば民間の方々と合弁でやりたい、国鉄が直営でやることは非常にむずかしいので、合弁でやりたいというようなことも考えて、今先生のお話のような梅田の場合だとか、あるいは隅田川の場合とか、いろいろ計画を持っております。しかしながら、ただいまお話の通り、民間業者としては非常に民営を圧迫するというようなおそれを持っておりますので、運輸省があっせんの労をとられまして、両者十分理解の上で、しかも都市交通の緩和あるいは鉄道の大輸送の円滑化に資して参りたい。しかしながら、今資金の裏づけがある具体計画としては持っておらないのでございます。
  218. 島本虎三

    島本分科員 やはりその辺の考えが私としては聞きたかったわけでございます。国鉄のこの計画趣旨、こういうようなことからいたしましても、これはもう構内の滞貨の一掃だとか、またいろいろ——何というのですか、稼動率を引き上げると申しますか、こういうようなところを重点的に考えておられるかのように承ります。そういたしますと、この輸送力を増強すればいいのであって、今の滞貨は本来の倉庫貨物というものであるかどうか、これはすみやかに配達を要する貨物であって、滞貨の一掃のためには、駅の上屋と申しますか、荷さばき施設と申しますか、何という言葉で表現したらいいかわかりませんが、御存じの通りだと思うのですが、この方面の重点的な考え方が、倉庫を営むことよりもむしろ滞貨の一掃のためには一番いいのじゃないか。民間とこういうような摩擦を起こす必要も、これによってなくなるのじゃなかろうかと思うわけですが、こういうような考え方はいかがなものですか。
  219. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 その点につきましては、多少数字でもってお答え申し上げたいと思います。  大体、現在東京大阪等の大都市に到着いたします貨物の中で、いわゆる倉庫に入らない荒荷関係——石炭とか砂利とか、そういったものが約四〇%、それから残りの六〇%が大体倉庫に入る貨物でございますが、そのうち約二七%が現実に倉庫を必要とする貨物でございます。ただいま先生のおっしゃいました荷さばき施設その他につきましては、ただいまの六〇%から二七%を引きました今の東京大阪に到着いたします貨物の約三十数%のものは、荷さばき施設その他を確かに拡充を要するものでございますので、私どもといたしましては、ごく最近も汐留の荷さばき施設を拡充し、さらに梅田につきましても、昨年相当大きな荷さばき施設を拡充いたしたのでございます。それらは直営と申しますか、全額私どもの資力でやっておりますが、そうでない鉄道到着貨物のうちの約二七、八%で、しかも荷主としては、すなわち利用者としては倉庫がぜひほしいという貨物につきましては、現在陸上倉庫が割にふえておりません。数字をごらんになってもおわかりの通り、最近の臨海工業地帯の倉庫は、この五年間に一割以上面積がふえておりますが、奥地倉庫というものはほとんど面積がふえておりません。一方東京大阪等に発着いたします貨物の中で、倉庫に入りたいという荷主側の要望が非常に強いものがございますので、それらの収容施設というような意味で、私の方と倉庫業者と一緒になった設備を、たまたまあいております私の方の貨物駅を立体的に使って、これを利用したらどうかというのが事の起こりであります。先生のお話の通り、確かに荷さばき施設その他は必要でございまして、これらは私ども自己資金でもって、五カ年計画の中に計上して、現に汐留、梅田につきましては、相当大きなものを具体的に着工し、また一部竣工しておるわけでございます。また、倉庫につきましては、実は昭和六年以降、まだ日本国有鉄道と申します前、すなわち鉄道省時代に実はすでに倉庫を直営いたしておったのでございます。これは東京の秋葉原、大阪の梅田、名古屋の笹島というところでは、当時貨物の発着が非常に多くなりましたために、鉄道のガードの下を倉庫に作りました。そして正式に昭和六年以降、鉄道省として倉庫を運営いたしておったわけであります。その点、つけ加えて申し上げます。
  220. 島本虎三

    島本分科員 運輸大臣にお伺いしたいと思いますが、今いろいろ説明がありましたような状態でございますけれども、国有鉄道のような巨大な資本と申しますか、これの自由にできるような公共団体と申しますか、こういうものが、私企業的なものと競合するようなことを進んでやるということは、これはやはり民間企業の圧迫ということに往々にしてなりがちであります。こういうようなことについては、業者には致命的な打撃を与えないように考えていくというお考えのようでございますけれども、鉄道を能率的に運営するところの公益法人としてこれを十分に果たしていけばいいのであって、あながちそっちの方まで出ていってまでも利益を上げなければならないという考え方は、これは少し行き過ぎではないかというふうに考えられるわけでございます。これは行き過ぎだけではなくて、本来の使命を少し逸脱するのではないか、こういうふうにも考えられます。昭和二十五年に港湾法が制定されてございますね。この条項の中の、多分これは十三条かと思いましたが、私企業の公正な活動を妨げることが禁止される規定もあったようでございます。この主体が、港湾の関係と国有鉄道の関係とではそれぞれ違うだろうが、要は同じ精神ではないか、こういうように思うわけでございます。こういう状態でありますので、こういうような行き方で、いたずらに民間業者を圧迫するような行き方までして経営の立て直しをいたすということは、この際慎重に考えなければならぬ問題だと思います。この問題について大臣はいかにお考えですか。
  221. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 国鉄経営を立て直すためとか、あるいは利益を上げるために、国鉄本来の業務以外に兼業をやるということは、国鉄法の精神ではございません。従って、そういうことは、今日の国鉄法ではやれないことになっております。この法の精神をあくまでも続けていくべきだ、かように考えております。国鉄本来の事業をやるためにどうしてもやらなければならないものがあるかどうか、ただいま倉庫についてお話がございましたが、この点につきましては、十分検討をいたさなければならぬ問題だと考えております。
  222. 島本虎三

    島本分科員 この問題はこれで終わりまして、次に青函トンネル建設について伺いたいと思います。  これは、いろいろ午前中も論議がございましたが、国土の総合開発の進展に伴うところの北海道、本州、この間のいろいろな輸送量の増大ということのために、青函航路の輸送能力はもうすでに限界にまできておるようであります。この限界まできているような状態、何か打開策を講じなければならないような状態に現在放置されている、こういう中において、いわゆる青函トンネルの建設が以前から考えられ、その後若干の調査費を予算の中に組んで、地質調査までされておったようでございます。しかしながら、予算があまり増額にもなっていないようでございます。いつ果てるともわからないような調査に終始しておられるようでございますが、堀さくするためのめどというものは立っているのかいないのか。もしそうだったならば、もっと予算を大幅につけても、これはちゃんとした完了を待って着工するのが必要なことじゃないか、こう思うわけです。最近何カ年計画というように計画ばやりでございますので、方々に活発な計画をいろいろ立てておりますが、この方面だけはまだ計画がないようでございますので、調査費はどれほど組まれて、どういう具体的な計画になっているか、この目途はどこに置いているのであるか、この点をお伺いしたいと思います。
  223. 岡本悟

    ○岡本政府委員 青函トンネルにつきましては、今お話のように、ここ数年来技術的な調査を毎年続けております。ある程度の成果は上がっていることは、これも御承知の通りでございます。ごく最近におきましては、仮想地点を想定しまして、その地点のボーリングもやってみたい、こういうところまで進んでおります。ただこれを現実に着工いたします場合に、どういう方法をとっていくかということにつきましては、政府としてはまだ成案がないのでございまして、おそらく総額八百億ないし一千億はかかるような大工事でございます。そこでただいまのような新線建設方式をもってしては、おそらく国有鉄道としてはその能力がないのではないかというふうにも考えますので、私まだ個人の考えでございますが、いずれ鉄道新線建設につきましては、もっと違った雄大なスケールを持って別の方式を考え出さないことには、こういう大きな仕事と取り組むことはできないというふうに考えております。つまり国有鉄道の収益から上がりました余力をもってやるというようなことでは、いつこの大問題が解決するかということは想像がつかないのでございまして、別途政府として根本的な対策を樹立してみる必要がある、かように考えておりますが、今具体的な案につきまして御説明申し上げる段階にはなっておりません。
  224. 島本虎三

    島本分科員 これはまことに重大なことでございまして、こういうような問題を考えない以上——私どもとしては、国鉄そのものも、内閣の政策の一環として事業がだんだん進められるようでなければならないというふうに思っておるわけです。国の方ではやはり高度経済成長政策によるところの所得倍増計画というものを進めておる。しかしながら、現在のように物価が高くなったり、地域的な格差や、企業の格差や、そのほかにまたいろいろな格差がある、この格差を是正しなければならないのも、現在の一つの命題になっておるし、ことしは池田総理を初め格差の是正を積極的に取り上げますということになっている。しかしながら、依然として、その格差の重大なものは、北海道と本州の間のこのいろいろな航路なんです。運輸なんです。これを現在のままにしてどうにもならなくしてやっておく、こういうようなことでは、格差の是正というこの行き方と相反するような結果に相なるわけです。これはまことに重大だと思う。午前中のいろいろな質疑の中で、総裁がかつて自分が師事された医者の例をとって言っておられましたが、心臓の近くにやはりいろいろの血が集まってくるから、この幹線は丈夫にしておかないとだめなんだ、その意味で東海道線をいろいろ充実させるし幹線を充実させるのだ、それが、人間のからだから見ても、医学上から見ても、当然の原理である、こういうふうにおっしゃって、私はいいことを言うと思って聞いておった。しかしながら、今度はもう一回考えてみなければならないのは、総裁、それはそれでいいでしょうけれども、函館と青森のように首根っこのようなところ、ここが血が十分通わなければ脳溢血になってしまうのです。幾ら心臓の方ばかり血が通ったって、今度は脳溢血になって死んでしまったらどうなる。これはもう一回医学的に考えないと、今のような雄大な将来の計画を考えても、それまでの間に脳溢血になって死んでしまうのです。高度経済成長政策はこれによって破産になった、その責任は国鉄総裁にあるということになったら大へんでございましょう。そういうようなことからして、医学的に考えても、日本の政治的ないろいろな立場から考えても、青函間のトンネルの解決というような問題は、これは重大な問題なんです。今のように事務的にだけ考えていいのですか、運輸大臣どうなんですか。
  225. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 青函トンネルの問題は、おっしゃいますように、北海道と本州をつなぐ主要幹線として重要な問題だと考えております。今おっしゃいますような趣旨に従いまして、できるだけ検討を進めまして、早く解決の道に上りたい、かように考えております。
  226. 島本虎三

    島本分科員 その決意は十分わかりました。しかし、決意がわかって、私もその点では大いに激励し鞭撻することにやぶさかではございませんが、池田内閣続く限り、齋藤運輸大臣がいる間に、これはやはり着工するようにして、ここに有終の美をなさせるようでなければ——これは人様にまかしておいて、あとは知りませんでは、仏作って——今の答弁が仏だとすると、これは何かが一つ欠けたような結果になって大へんでございます。今のような決意が大臣から表明されましたから、十河総裁以下国鉄の皆さんも、十分これを進めるための予算並びに調査費、年度計画も組んで、これを早く進めるべきだと私は思います。総裁いかがですか。
  227. 十河信二

    ○十河説明員 私も同様に考えておりますが、何と申しましても、さっき運輸省から答弁がありましたように、非常な大工事でございまして、世界でもあまり例のない大工事であります。従って、途中で事故を起こしたということではこれはまことに申しわけない、それこそ私の大責任になりますので、できるだけ慎重に、できるだけ早く、できるだけ経済的にやっていきたい、こう考えております。
  228. 島本虎三

    島本分科員 早くやってもらうようにこれは要望し、次に移りますが、そういうような状態だといたしますと、この輸送力の増強ということを考えますならば、やはり現在のような連絡船のみじゃなく、室蘭−八戸間の室八航路なんというのも、補助的な航路として考えられぬ問題でもなかろうかと思います。こういうような点については、国有鉄道の方では全然考えておられませんかどうか。
  229. 十河信二

    ○十河説明員 そういう点もいろいろ検討をいたしておりますが、しかし、今のところは、まだ室八航路新設するよりか現在の青函間の連絡船の設備をよくし、能力を増すことが必要じゃないか、こういうふうに考えまして、ただいま連絡船の増強の方を主としてやっております。
  230. 島本虎三

    島本分科員 そういうような点も十分考えておいてもらいたいと思いますが、この問題に関する第三点目として、これは経済に明るい総裁であるということは午前中からたびたび私は耳にしたわけで、この点は私も同慶にたえないと思っております。しかしながら、今私が申しましたように、国の一つの基本的な行き方としては、高度経済成長政策によるところの所得倍増計画実施、こういうようなことになっておりまして、この隘路の打開ということも当然考えなければならないし、物価の問題や格差の是正の問題がそれだ。もしそうだといたしますと、北海道と本州の間のいろいろな格差の是正も、国有鉄道の方でも積極的に考えなければならない問題の一つだと思う。現在のような輸送力が困難な状態の中において、依然として函館——青森間に実際の距離よりもっと長くはかって、そして擬制キロ数はまだ解いておらないようでございます、実施しておるようでございます。しかし、これらの状態を見ましても、   〔主査退席、山口(丈)主査代理着席〕 もうすでにあらゆる観点から、経営上から考えても、青函間の擬制キロは是正すべき段階ではないかというふうに考えられるのです。こういうふうなことによって格差の是正を一歩進めて国鉄でも考えてやることが、今の内閣の政策に順応する一つのいき方だと思うのです。この擬制キロを是正する御意向はございませんか。
  231. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 私からお答え申し上げます。  ただいまの青函航路の運賃でございますが、私の方で経営いたしております航路の運賃の立て方は二つございまして、キロ程によらずに船の運賃として抽出いたしまして幾らというふうにきめるものと、それから鉄道のキロ程に換算いたしまして幾らというふうにきめるやり方と二つございます。旅客運賃につきましては、すでに先生御承知の通り、たとえば青函につきましては、両端の運賃と関係なしに、船運賃だけ二百九十円という別個の運賃を、これは運賃法という法律でもってはっきりきめられております。そういう方式と、実は二十年ほど前までは、貨物運賃についてもそういう運賃の立て方をとっておりましたが、それでございますと、先生のお話の通り、いわゆる国鉄の貨物運賃の遠距離逓減制、すなわち遠距離になるに従ってキロ当たり運賃が下がる、たとえば千キロになりますと百キロ当たりの運賃の約半分になる、この遠距離逓減制が、北海道なり九州の遠隔の地に非常に有益に使われておるわけでございますが、この遠距離逓減制の見地からいたしましても、航路運賃だけ別にいたしますと、その分だけ遠距離逓減制の利益を受ける面が減りますので、非常に強い御要望によりまして、鉄道と航路を通算した一つの運賃を作ったわけでございます。従って、船運賃を鉄道運賃に逆算いたしますと、ちょうどそれが三百キロ分になるということに相なっております。従って、もしこれを純粋航路運賃としてとるということになりますと、現在の運賃、たとえば札幌−東京間の運賃よりも若干高くなってしまうということになりますので、私どもといたしましては、現在の鉄道と航路を通算する遠距離逓減制の恩典が、なるべく遠くまで広くまで均霑するような運賃計算の方式は続けて参りたいというふうに考えております。ただ、御承知の通り、昭和三十二年でございまして、実施いたしましたのは昭和三十三年四月一日からでございますが、そのとき四百五十キロの計算をいたしました。それを一躍百五十キロ、約三割三分落としまして、現在三百キロの計算にいたしております。その三百キロの計算にいたしまして、鉄道運賃で換算いたしますと、船の収支として大体バランスがとれる。こういうちょっと複雑な計算の仕方でございますが、運賃の計算の仕方をとっております。もし非常に強い御要望で、船の運賃と分けてくれというお話ならば、実はそういうこともやってみたのでございますが、遠距離逓減制で非常に北海道の方々が利益を受けておられたものが、百キロ分でも二百キロ分でも減るということは、かえって運賃が高くなるということではまずいと思いまして、一応今の船と鉄道と通算する制度をとっております。
  232. 島本虎三

    島本分科員 時間がだんだん迫ってくるし、四十分という時間内では十分討論ができないので、端折って、あとは要望にならざるを得ないのはまことに残念なんです。これは、現在北海道では総合開発をやっておりまして、いろいろとこれによって農産物そのほか鉱工業関係や何かも御存じのように進展をしておるわけです。そういうような中で、依然として隘路になって、北海道が後進性を持続しているのは、この距離の問題と輸送費増高の問題です。こういうような問題をあらゆる観点から考えてやるのでなければ、今国がとっている高度経済成長政策がいかに成功しても、北海道だけは他国のようにほっちゃられてしまうような格好になるのはまことに残念なんです。これは船運賃にしろ、国鉄のキロによって考えるにしろ、いずれの点からも考えるようにしておかないと、とんでもないことになる。あっちの方になればこうだというような事務的な配慮だけじゃなしに、政治的な配慮も十分必要だということを私どもはここにはっきり言わなければならない問題です。こういうような問題を考えて将来に対処しなければならないと思いますが、大臣、これはいかがなものでしょう。
  233. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 午前中質問にお答えをいたしましたように、そういう点も、今後の国鉄のあり方としてはきわめて大きな問題だと考えております。さような方向に今後進めて参りたいと思っております。
  234. 島本虎三

    島本分科員 次に、国鉄のいろいろな貨物運賃、この運賃の中に公共政策割引制度があるわけですが、これによって御存じのように、農産物の指定割引だとか、または身体障害者、そのほか石炭等においても、それぞれ考えられておるようでございますが、前の大臣は、これはもう制度化して、こういうようなものをやらなくてもいいようにしておきなさいということに対して、毎年でも、更新していって期待に沿うようにしたいから、制度はこのままにして続けるんだというのが、木暮運輸大臣の去年の予算第四分科会での答弁だったわけです。しかし、やっぱり年を経て、十二月三十一日の更新期になると、必ず国鉄の方でまたこれを改善するという案をほのめかす。そのたびごとに、またこの地域はてんやわんやになる。こういうことをさしては非常に困るのじゃないかと思うのです。この公共政策割引制度については、どういうふうなお考えでおられるのか、これを承りたいと思います。
  235. 岡本悟

    ○岡本政府委員 ただいま御指摘の公共割引の問題のうちで、特に御関心の深いのは、いわゆる暫定割引と称しておる問題であろうかと存じます。これは昭和三十に年に運賃改正をいたしました際に、急激な運賃の引き上げになるということで、それを緩和する目的で、特に農林水産物資につきましては、一年を限りまして、暫定的に多少の割引をいたしたのでございます。それがその都度割引の期間が延期になりまして今日に至っております。従いまして、先生のおっしゃいますように、すでにこれは恒久的な制度として変えてみたらどうか、そういう御意見をお持ちの方も相当ございますが、しかし、運輸省といたしましては、国有鉄道の運賃割引につきましては、旅客にいたしましても、貨物にいたしましても、相当検討すべき必要があるということをかねがね痛感しておりまして、こういった政府の政策による割引制度というものは、できるだけ軽減といいますか、圧縮さしてやりたい、かように考えて参っております。むしろ国会でもしばしば御意見がございますように、そういった公共施策による割引の負担を軽減してやるべきだという見地から、こういった問題も運輸省としては扱っておるのでございまして、でき得ればこれを廃止したい、こういうことでございます。  もともと、農林水産物資につきましては、あるいは運賃表の制定そのものにおきまして、十分割引的な要素も加味しまして、ただ単に原価主義によらないで運賃制度というものを作っておりまして、特に農林水産物資につきましては、特別の等級制度を作っておることはご承知の通りでございます。なおかつ、その上に暫定的な割引をいたしておるのでございますから、相当の割引になっておるのでございまして、国有鉄道の公共的な使命からするところの割引運賃制度というものは、運賃表の制定の際考えました程度にとどめるのが妥当ではないか、かように考えております。
  236. 島本虎三

    島本分科員 これは今の答弁からしてちょっと気になることが一つある。それは、岡本局長は、去年の予算第四分科会のこの席上で、ちょうどそのすみにおられたのですよ。あなたはそのすみにおられて、木暮大臣の答弁をよく聞いておられたのです。こういうような制度の必要は十分認める、認めるけれども、これを恒久的なものにすることは、今すぐそれに手をつけられないから、年度が来たならば、自然的にでもこれをやっていくから同じことなんだから、これ以上追及するのはやめてくれと言ったのを、あなた知っているでしょう。知らないとは言わせないです。あなた、そこでにこにこ笑っていた。そういうふうにしていながら、今ここでは、これを廃止するように考えたいと言うのは、これはまことに重大な発言だと思うのです。これは大臣、とんでもないことで、もしなんだったら、すぐあしたでも、私その議事録を持ってきてお見せしてもいいのですよ。完全に前の大臣はそう言ったけれども、今後の大臣はそうじゃないじゃ、これは一貫性がない。それでは困る。これは考え方を是正する必要があると思うのです。また暫定割引制度も、こういうようなものをやっても、まだ北海道の品物が高過ぎて競争になれなくて、自由化の波の中に北海道はどうしていっていいのかということが、今農民や漁民の一つの悩みの種なんです。これを廃止されることがあったならば、これはとんでもないことになる。ましてあなたは、今食言ということで、これはわれわれも重大決意をしなければなりませんが、そういうようなことのないようにするのが大臣の温情だと思うのです。これはやはり継続すべきだと思うのですが、あなたいかがです。
  237. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 昨年の暮れに、半年の継続を決定いたした私は責任者であります。今局長がお答えをいたしましたように、これはあくまでも暫定ということでありまするので、そのどの部分を恒久化するか、どの程度にするかということを、いま少しく検討さしていただきたいと思います。
  238. 島本虎三

    島本分科員 大臣も検討するということなんですが、やはりこういうような一つの料金政策、割引制度、これは継続させなければならない。こういうような必然的な一つの国鉄には命題が課せられておる。しかしながら、国鉄自身も、今の公益性と採算性、この二つの上に立った運営をしなければならないという矛盾もあることであって、これはあながち、ここでどうするああすると言い切れない苦しさもあるのではないか、こういうふうに考えられる。しかしながら、どのようなことがあってもこの公益性は断じて無視すべきじゃないと思うのです。この点だけは私ははっきり申し上げておきたい。それと同時に、今度は割引によるところのこういう負担は、国鉄企業性だけにしわ寄せをさせるのではなくて、当然別な面からこれは補助し、この分を特別に見てやるような方法が講ぜられなければ、いつかは廃止するようなことに持っていってしまうのが、現在の国鉄幹部の考え方の中にあるのではないかと思うのです。この点は大臣も十分考えて、そういうようなことの制度化もあわせて考えることが高度経済成長政策、所得倍増計画に即応する国鉄の行き方になるのではないか、こういうふうに思うのです。こういうような公益性と採算性とが矛盾する面に対しては国の方が別に考えて、その資金だけはちゃんと考えてあげましょう、こういうような制度の恒久化というようなものを当然考えるべきだと思います。これは大臣、いかがですか。
  239. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 そういうこともございますから、あわせて考えていかなければならぬ、かように考えております。大体運賃は、私は利用者負担原則ということでいくべきだ、かように考えます。しかしながら、産業政策その他の政策で国鉄にやらせなければならぬという点があり、それが採算に合わないならば国でめんどうを見るというのが原則だ、かように考えます。そういう原則のもとに立ちまして、ただいまの暫定割引の点も考えてみたいと思います。
  240. 島本虎三

    島本分科員 これはやはりそういうようなお答えでございますので、この問題につきましては、これ以上の追及はやめることにいたしたいと思います。  この新線計画などの赤字についても、五年間の期限を限っても、これは利子の六分五厘ですが、これの二分の一は負担をしてやる。総計四億くらいはちゃんと見ているほどなんですから、まして公共負担についての立法化、こういうようなことについては当然考えてしかるべきだと思いますので、今の大臣の言葉に付言して、私の要望を強く訴えておきたいと思います。  最後に、今はもう故人になりましたが、かつて副議長をやっておりました正木清さんが運輸委員として活動してくれました。その正木清さんが最後まで気にしておったのは、石狩−十勝の間の石勝線の完遂だったわけです。しかしながら、予算の面等を見ましても、まだ徐々にやっている。産業的にも早くあれを完遂いたしますと、これがりっぱな成果を得、決して赤字にはならないはずの線でございますが、この計画の方はさっぱり進まない。草葉の陰から正木副議長もだいぶ心配されておるのではないかと思いますが、石勝線の年次繰り上げによるところの計画は当然して、故人の霊に報いるべきだと私は思うのです。大臣、一つこの点はっきり所信を申し述べてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
  241. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 正木さんの霊にお報いをいたしたいと考えるわけでございますが、そういう方向でよく検討をいたしたい。私はまだ検討を遂げておりませんので、その点御了承願いたいと思います。
  242. 島本虎三

    島本分科員 在任中にこれを実施するように要望いたしまして、私は終わります。
  243. 山口丈太郎

    ○山口(丈)主査代理 畑和君。
  244. 畑和

    ○畑分科員 私は運輸関係のことにつきまして二、三点質問をいたしたい。運輸大臣、関係政府委員、国鉄の方にお伺いいたしたい。  まず第一にお伺いいたしたいのは、地方的な問題でございます。私は埼玉県でございますが、武蔵野線のことです。この武蔵野線というのは、昭和三十二年だったと思いますが、鉄道建設審議会におきまして新しい建設線として決定をした。「経過地は我孫子付近から東北本線を経て所沢及び中央線に連絡する路線として、我孫子付近から東北本線に至る区間は直ちに着工するものとする。」こういうような決定がなされたはずでございます。埼玉県といたしましては、地方の事情もございまして、埼玉県を縦断する路線は東北線、それから高崎線等がございますけれども、横断する線がないのでこれを非常に要望いたしておった。ところが、たまたま国鉄の方でも輸送力の増強、特に北の方の荷物を東京のまん中を通らずに、まわりを通ってほかへさばく、そういったような必要からこの路線が決定されたというふうに、われわれは承知をいたしておる。ところでその後何か武蔵野線の建設が少しもはかどらないように見受けられるわけです。その点についてお伺いいたしたいのですが、これは運輸省としてはどの程度まで進行いたしておるのですか。まず運輸省の方にお伺いいたしたい。
  245. 岡本悟

    ○岡本政府委員 仰せのように、武蔵野線はすでに三十二年に着工線として鉄道建設審議会の方で建議に相なっております。もともとこれは御指摘のように、都市交通審議会におきましても、都市交通の観点からこの線は必要であるということも答申されておる重要線でございます。運輸省といたしましても国鉄を督励いたしまして、早急に着工できますようにいろいろ配慮いたしておりますが、問題は、東京を中心といたします国鉄の貨物の輸送体系を将来どう持っていくか、あるいはもちろんこれに関連しまして通勤輸送を中心とする旅客輸送体系をどうするかということについての根本的な方針が確立いたしませんと、武蔵野線に着工できないのでございます。そこで、国鉄をして目下いろいろ検討させておりますが、そういう将来の総合的な見通しは確かにこの着工については必要であるということももっともでございますので、目下のところそういう検討の結論を待っておるような次第でございます。すでに御案内のように、最近京葉工業地帯におきましては大規模な臨海工業地帯が造成されつつあるのでありますが、こういった方面の貨物輸送とも関連いたしまして、武蔵野線につきましては再検討の時期にきておるかと存じますので、そういったことも早急に検討させまして、結論を得次第着工させたい、かように考えております。
  246. 畑和

    ○畑分科員 そうすると、大きな考え方は都市交通審議会からの答申で、東京の交通の緩和、そういった点から出発したもので、しかも今言った北の方の常磐線あるいは東北線、それから中央線とを結ぶ、そういった貨物用の連絡線というふうに最初考えた、またその必要を痛感しておった。ところがその後さらに京葉地帯の臨海地帯の工業が非常に発達をした。それで、そこからの貨物もこれから大いに伸びるということが、その後の事情としてさらに出てきたので、それらの点も加味して検討するために、今それを検討中だ、こういうことですか。
  247. 岡本悟

    ○岡本政府委員 さようでございます。
  248. 畑和

    ○畑分科員 ところで、これが建議されたのは、建設審議会で決定を見たというのが三十二年の四月、まあそういった時間がかかっているうちに、五年かかっているから、さらにまた別の新しい事情が発生するということで、またさらに再検討ということになると、いつのことやらわからぬじゃないかという懸念がいたしますので、最近の交通事情の変化というのは、もう日に日に顕著でございまして、いろいろとそういった事情がどんどんと出てくるから、従って、いつのことやらわからぬようになるということを私はおそれるのであります。そこで一体この路線のための調査としては、どんな程度の調査を現在までいたしておるか、概略承りたい。
  249. 好井宏海

    ○好井説明員 調査というよりか、先にわれわれとしてはこの線をどう使うかという考え方を早くまとめなければならぬということで、部内におきまして鋭意数字的な積み上げを行ないまして分析いたしましたところ、この線はどうしても早期に建設しなければならぬというふうにほぼ思想統一ができつつあります。実際の具体的調査といたしましては、航空写真その他によりまして、すでに調査を完了をいたしておりますが、一番問題点は東北本線に接続するところに非常に技術的にむずかしい点もございまして、その点につきましてまだ成案を得ないという点が問題になっております。  それから、われわれとしては、先ほど鉄監局長からお話しされましたように、国鉄の最重要幹線であるという認識のもとに建設をしたいというふうに考えておりますが、地元ではこれはやはりローカル的に御利用なさるという考え方があるわけでございまして、この二つの考え方がどこまで調和できるかということにつきまして、埼玉県知事と十分お話の上建設に入るようにいたしたいと考えております。
  250. 畑和

    ○畑分科員 そういたしますと、大体いつごろそういった大体の案ができるか、その見通しはどうか。
  251. 好井宏海

    ○好井説明員 いつごろというのは、もう来年度中にはどうしてもこの案としては固めてしまいたいと思います。
  252. 畑和

    ○畑分科員 来年度中には固めたい……。
  253. 好井宏海

    ○好井説明員 そういうことです。
  254. 畑和

    ○畑分科員 要望でございますが、ともかく用地は高くなりますし、早く計画を決定して、そして用地の買収その他を早くやらないと、かえってえらい金がかかるということ、大体東京近郊の最近の地価の暴騰は異常なものでありますから、一つぜひともこの点馬力をかけて調査あるいはその計画の構想、それを早く進めていただきたい、かように思います。それに関連して、運輸省の方として国鉄とどういう協議等をいたしておるか、その点を聞きたい。
  255. 岡本悟

    ○岡本政府委員 先ほど申し上げましたように、京葉工業地帯の大規模な臨海地帯の造成、そういう新事態が出て参りまして、総合的に輸送体系を再検討しなければならぬ段階に参りましたので、そういった検討をする必要を認めまして、結論を待っておるような次第でございます。
  256. 畑和

    ○畑分科員 武蔵野線の問題は以上といたしまして、その次にお聞きいたしたい。これは国鉄関係の方にお願いをいたしたいのですが、最近の輸送の逼迫、特に通勤輸送、この問題が非常に大問題になっておるわけです。埼玉県の県南地区もその例に漏れず、非常に毎日のラッシュであえいでおるわけであります。そこで国鉄当局ではこうした通勤輸送の緩和策について、いろんな施策を考えておられると思うのです。たとえば東北線で申しますると、赤羽から大宮あたりまでの複々線、これはもう五カ年計画に入っておるというような話も聞いておりますが、その辺についてはどうか、その計画の進捗状態、それからさらに池袋から赤羽へ、赤羽からまっすぐ大宮あるいはその以遠に行くような別の直通の路線が考えられるわけですが、これは相当困難な問題だというふうにも聞いておりますが、その点についてはどうか、まずそれを承りたいと思います。
  257. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 埼玉県の県南地区、ことに東北線を御利用なさる方の通勤問題といたしましては、私どもといたしましても非常に苦心をいたしておるところでございますが、いろいろの応急策として手を打っております。ことしはおかげさまで去年ほどの混乱なしに大体過ぎたことは、大へんしあわせだと存じております。今二つに分けて申しますと、さしあたりの応急策といたしましては、たとえばここ二、三年の間につきましては、とりあえず現在まだ東北京浜——私どもはあれを京浜東北線と呼んでおりますが、京浜東北線、すなわち大宮から桜木町の間、この京浜東北線は現在二分四十秒の間隔で朝電車が走っております。これをことし一部二分三十秒の間隔に縮めまして約四十両の電車を投入いたしまして、間隔を短くいたしまして、さらにこれは車両を増すことによりまして二分三十秒ないし二分十秒まで縮める研究を現在いたしております。従いまして、大体東北線を利用される通勤客の増加が年々六%前後というふうに見ておりますので、今のようなやり方をいたしまして、毎年東北線に三、四十両の電車を入れますれば、五%前後の輸送力の増強ができる。現に昨年とことしを比較いたしましても、ちょうど五・四%程度の輸送力がふえておりますので、これを三年くらいやりますと、ほとんど線路に電車が入らなくなるという状況になる。それを予見いたしまして、ただいま先生が御指摘になりました赤羽−大宮間の複々線でございます。これは一応五カ年計画計画には入れておりますが、何と申しましても、東京付近は非常に用地買収その他困難な事態がございまして、現在中央線の中野−三鷹間の複々線に全精力を集中いたしております。これが昭和四十二年には完成いたしますが、大体これとダブリまして、先ほど申しました現在の応急策が、ほとんど策のなくなる前後に何とか間に合わせるように、一部でもいいから線増に手をつけたいというふうに考えております。それはいつから赤羽−大宮間の線増に着手するかということは、まだはっきりとはきめておりませんが、おかげさまで南浦和の電車区もできまして、昨年の十月から使用を開始いたしました。また南浦和駅も、昨年八月ですか、できまして、開業などいたしました。いずれにいたしましても、そう遠くない将来に大宮−赤羽間の線路増設は考えなければならない。それまで、もしどうしても間に合わなければ、御承知の通り現在貨物線がございまして、朝貨物線に電車を相当走らしております。これの利用ももう少し考えたい。これは大宮以遠のお客さんでありますが、大宮以遠のお客様はなるべく浦和その他の各駅停車に乗らないで、大宮からまっすぐ貨物線を通って上野に入っていただくというようなことも、考えなければいけないというふうに考えております。  それから、最後におっしゃいました東北線と山手線の直結の問題は、技術的には現在の赤羽線の増強のほかにいろいろルートも考えられると思いますが、新線建設の問題ともからみますので、これは今すぐどうこうという具体的な案を持っておりません。とりあえず、今まで申し上げましたように、応急的な措置と将来の対策と二段に分けて今考えておる次第であります。
  258. 畑和

    ○畑分科員 次に、ちょっと質問いたしたいのですが、御承知のように埼玉県は鉄道管理局が実は二つになっております。大宮までが東京鉄道管理局管内で、それから蒲田と、高崎線の方では宮原ですか、それから北が高崎管理局の方の管轄に入っておるわけであります。ところで、この大宮から以北のところも、最近通勤者が相当にふえて、乗降客が非常に多くなっておる。特に上尾あるいは桶川、北本、そういったところは最近非常に多くなっておるようでありまして、高崎管理局内でもむしろ屈指の降乗客があるように聞いておる。ところで、それほど交通事情が逼迫しておるのに、案外この地域の乗客の要望に沿ってないというような状況がたくさん見えるわけでありまして、従って、できることなら一つ東京鉄道管理局を、大宮まででなくて、もっとずっと北の方まで、埼玉県内全部を含めて拡張してくれぬか、その方が地元としては非常にはっきりしてやりいい、どうしてもこれが盲点になって、その辺の乗客が非常に不便を感じ、閑却をされたまま放置されておる状況であるというような意見すらあるわけです。これを専門家の方に聞くと、なかなかそう鉄道管理局の管轄をあちらこちらと変えるわけには参らない、なかなかむずかしいというような話も聞きましたので、その点は私の意見でございまして、別にこれをどうしろ、あるいはそういうことはできるかというような質問ではない。けれども、ちょうどそういった両方の管理局の接着点にある、しかもこちらの方が接するのは高崎管理局の管轄であって、しかも大宮に近いところ、これが非常に乗客が多い。その施設が、それに対して非常に冷遇されておる。こういった状況を緩和するために、当局としてはその辺の地域にどういったあれを考えておるか。駅舎なども非常に老朽いたしております。昔の中仙道筋の駅そのままで非常に古い。こういった駅舎の改築等、そういった点はどういうふうな計画が立てられておるか承りたい。
  259. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 高崎線につきましては、従来大宮までを東京都内のような気持で運営し、また大宮から先は、どちらかと申しますと、今まで割合輸送要請の少ないところでございましたが、ごく最近、御指摘の通りに、非常に急激に工場もふえまして、東京の労働人口の給源としても、また付近の産業の発達から見ましても、非常に急激に膨張しております。現にそれが私の方に、全国的に割合混雑度の激しい区間として現われてきておるわけでございます。御指摘の通り、東京鉄道管理局の所管区域をもう少し拡げるというようなことも経営管理上の一つの問題ではございますが、おっしゃいました通り、この問題は全国的に波及するところが非常に多くて、今せっかく研究中でございます。大体どの地方も東京につけろというような御要望が非常に強うございまして、そういたしますと、東京が非常に大きな局になりまして、なかなか管理ができないというようなこともございますので、現在高崎の局に対しましては、ことに高崎線の大宮までの通勤問題について骨を折って非常に積極的に考えろという指示をいたしております。まだ組織的にこれをどうこうという段階までには至っておりませんが、東北線に比較いたしまして、設備その他につきましても高崎線の方がおくれておった。電化の開通と同時にだいぶ手も入れましたが、ただいまお話しの駅舎につきましては、私の方の予算で駅舎の改築までちょっと手が回りかねるということがございまして、大へん御不自由もかけておりますが、もうしばらく駅舎の方はごしんぼう願いまして、線路の増加あるいは車両の増備という方に重点を置いて参りたいというふうに考えております。
  260. 畑和

    ○畑分科員 管理局の接点になっていて、盲点になっておるという点でだいぶ虐待されておる。その点については、急に管理局の管轄を変えるわけにはいかぬいろいろな技術的な問題もあろうと思います。先ほど答弁のありましたようなことで、高崎管理局の方へ、特に重点的にこの地区の乗降客に対するサービスをあらゆる面でやってもらうように、一つぜひしていただきたい。毎日通勤の連中が弱って、われわれのところへ訴えてきております。従って、車両の増加あるいは特別のそういう地区のための列車、電車の増発、こういった点を、貨物線等も利用されてけっこうですから、ぜひ一つ至急に講じてもらいたいということを要望いたしておきます。  それから、次に聞きたいのは、今大宮どまりになっております国電京浜線ですね、これを、東北線は小山まで、高崎線は熊谷もしくは籠原あたりまで延長できないものかどうか、この点を一つお聞きしたい。
  261. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 現在大宮までいっております、私の方で俗称げた電と申しておりますが、あの電車を一時実は延ばしたことがございましたが、あれを延ばしますと、非常に時間が長くかかりまして、たとえば、熊谷あたりから上野まであの電車で参られますと、二時間くらいかかるというようなことで——現在中央線でもって一番困っておりますのは、急行電車と緩行電車のバランスがとれない。皆様いやがってなかなか緩行の電車に乗られない。みんな急行に乗られるということが一番大きな問題でございますので、私どもの考え方といたしましては、先ほどちょっと先生の御指摘になりました大宮以遠は、なるべく大宮から途中とめないで、せいぜい浦和くらいにして上野までもってきてしまい、そしていわゆるげた電は、東京の市内交通というような意味でできるだけ大宮どまりにしておきたいというふうに考えております。と申しますことは、あの電車で二時間乗りますと、立ったままではちょっと疲れますので、どうしても座席数もよけいほしいというようなことになりまして、いろいろ検討いたしました結果、なるべくげた電は大宮までにいたしまして、大宮以遠はごく特殊な場合を除きましては、今の湘南型の電車でもって、先生のおっしゃったような形で増発するという形へ持って参りたい。ことしも一本十両編成の電車をふやしましたが、そういう方向でもって大宮から急行で東京へ入るという形に持って参りたい、こういうふうに考えております。
  262. 畑和

    ○畑分科員 また一つこまかい問題ですが、大宮駅の拡張について何か考えがございますか。
  263. 好井宏海

    ○好井説明員 大宮は現在貨物関係について工事中でございますが、今まだ残っております問題は、現在東北本線と高崎線との分かれ道が平面交差になっておりますが、これを立体交差にするという問題がございます。先ほど磯崎理事から御説明のあった、げた電のターミナルをただいま現在の駅本屋側に作らなければならないという問題と、二点残っておりまして、その際に駅本屋の改築という問題が出てくるのじゃないかというふうに考えておりますけれども、またその二点については、われわれの方の理事会の決定ができておりません。いずれ近いうちに立案をいたしまして解決をはかりたいというふうに考えております。
  264. 畑和

    ○畑分科員 あとで聞こうと思ったのですが、高崎線と東北線の立体交差ですね、そうするとこれと関連して大宮駅の拡張を考えなければならない、こういうわけですね。それのために今鋭意研究いたしておる。これは見通しは、いつごろどうなるのですか。
  265. 好井宏海

    ○好井説明員 見通しは、できるだけ早くやらなければいかぬというふうに考えておりますが、現在のネックは工事要員が一番ネックでございまして、決して資金その他の問題ではありません。国鉄としてはどうしてもやらなければならぬことだというふうに考えております。
  266. 畑和

    ○畑分科員 国鉄に対しては大体以上で……。  もう一つ、運輸省の方にお聞きいたしたい。それは地下鉄のことです。地下鉄が最近大へんおそいながらもどんどん工事が進められて、だんだん路線が多くなってきた。非常にけっこうでございまして、ぜひともこれを急速に、輸送力増強のためにやってもらいたいと思うのでありますが、現在までに地下鉄路線で決定しておるもの、それからすでに済んでおるもの、それからまた、これからのもの、決定はしてあるがこれから工事をやるというようなもの、あるいはこれから将来どの線が予想されるかというような点について、概略をまず聞きたい。
  267. 岡本悟

    ○岡本政府委員 東京都内の地下鉄につきましては、御承知のように鋭意建設を進めておりますが、昭和三十一年八月に運輸大臣の諮問機関でございます都市交通審議会から答申のありました計画路線につきましては、これは延長キロにいたしまして約百三十キロばかりであります。   〔山口(丈)主査代理退席、主査着席〕 三号線と申しまして、浅草から都心を経まして渋谷に参ります。これはとっくにできております。それから四号線、これは池袋から都心を経まして新宿、荻窪、これが四号線でございますが、これも御案内のように過般荻窪まで開通いたしたわけでございます。  一号線と申しますのは、押上から都心を通りまして品川方面あるいは馬込方面へ抜ける路線でございますが、これは都営一号線と申しまして、すでに浅草橋まで開通いたしておりまして、目下人形町方面で延伸工事をいたしております。これもオリンピックまでには完成いたすわけでございます。それから二号線と申しますのは、北千住から都心を経まして中目黒におきまして東京急行電鉄の路線と連絡をいたしますが、これも現在南千住−仲御徒町が開業いたしておりまして、三月には北千住から人形町まで開通いたす予定になっております。オリンピックまでに完成の予定でございます。問題は五号線でございますが、五号線は中野から高田馬場、大手町を経まして東陽町に至る路線でございます。それから大手町から分岐しまして北東へ参りまして下板橋に至る線でございますが、この路線は全然着工しておりません。たまたま昨年運輸省といたしましては都市交通量の伸び、特に通勤輸送量の伸びが、第一次答申をいただきました昭和二十九年度当時の実績を基礎に推定いたしたのでございますが、その推定より実績がはるかに上回った輸送量になって参りましたので、この計画の五路線だけではとても膨大な輸送量をこなすことができないということに思い至りまして、九月でございましたか、都市交通審議会に対しまして第二次の諮問をいたしております。今はこの着工いたしておりません五号線を含めまして、将来の都市交通の混雑緩和に対処いたしまして、新しく追加する路線が必要かどうか、必要とすればどういう路線が必要であるかということを諮問いたしております。目下慎重に御審議願っておる最中でございます。ただいまのところはやはりもう五つか六つの路線が必要であろうというふうな方向に向いておりまして、つまり現在百三十キロ程度の計画路線でございますが、これに対して倍の計画と申しますか、もう百キロ前後は建設する必要がある、こういう御答申をいただけるのではないかというふうに予想いたしておりますが、結論は出ておりません。早急に結論を出していただきまして、来年度からはまず五号線に本格的に取り組みたい、かように考えております。
  268. 畑和

    ○畑分科員 そうしますと五号線がまだこれからだ、そこで現状からしてどういう点をふやしたらいいか、新しい路線でやったらいいかということについて都市交通審議会に諮問をいたしておる、その諮問が近いうちに出るだろう、こういうことですか。——そこでお聞きしますが、五号線の分岐線というのがございます。今言われた大手町から下板橋の分岐線、それをさらに下板橋から志村の方あたりまで延長してはというようなお考えがあるやに聞いております。そういう点について三十二年六月の建設省告示で今の五号線並びに分岐線が告示されたと聞いておりますが、その会議のときに一応分岐線は大手町−下板橋までだけれども、さらに下板橋から志村まで延長することがいいのではないかといったような附帯意見が当時ついておったというふうに聞いておりますが、この辺はいかがですか。
  269. 岡本悟

    ○岡本政府委員 都市交通審議会で答申が出まして、運輸省としてもそういう計画路線が必要だということで取り上げますと同時に、これと並行いたしまして、建設省におきましても、こういったルートを、都市計画路線として決定いたしたのでございます。その計画路線が告示に相なったわけでございます。附帯決議におきまして、つまり、都市計画地方審議会において御審議、御決定に相なる際の附帯決議として、そういうことがあったということも承知いたしております。現在そういった意向も、十分この審議会の方では審議のうちに入っておると存じております。東京都の豊島区の議会におきましても、強い要望を表明されておりますし、あるいは埼玉県側におきましても、志村を経てせめて戸田橋までこれを延ばしてもらいたいという熱心な御希望のあることも十分承知いたしておりまして、審議会の御審議の方にも、そういった御希望のあることは十分各委員に伝えてございます。
  270. 畑和

    ○畑分科員 大体わかりました。それで、埼玉県側としては、この路線がさらに志村、戸田橋までむしろ延長されるということでありますことを非常に望んでいるわけであります。それというのは、御承知のように、国電が非常に混雑をいたしておりますので、もう一つこうした地下鉄が埼玉県の方に延長になる、また、それはどういう機関がやるかは別といたしまして、さらに戸田橋から大宮までの一つの路線を考えて、それと連絡したいという希望が非常に熱烈なものがあるわけです。そういうことについて、運輸省当局としては、そういったことは運輸行政上望ましいというふうにお考えになられるかどうか聞きたいと思います。
  271. 岡本悟

    ○岡本政府委員 もちろん望ましいことでございます。ただ、御承知のように、地下鉄の建設につきましては、膨大な資金を必要といたします。キロ当たり二十億円とか、あるいはところによりましては三十億円もかかるような膨大な建設資金を必要といたしますので、この資金手当につきまして特に苦慮いたしております。従いまして、やはり緊急度の高いところから建設していくということにならざるを得ないのでございまして、まあ望むらくは、将来、現在の終点を、さらに建設完了したものにつきましても延ばしていきたいというのが、われわれの希望でございますけれども、とりあえずは緊急度の高いところから取り上げていく、こういうことでございます。
  272. 畑和

    ○畑分科員 今度近いうちに、東京都の都市計画地方審議会、これと、それから運輸省の方の都市交通審議会、この両方が並行して大体やっておられるように聞いておりますが、これは近くやられる予定になっておりますかどうですか。
  273. 岡本悟

    ○岡本政府委員 さようでございます。私の方は、三月一日に都市交通審議会を開くように予定しておりますし、また建設省におきましても、東京都と連絡されまして、東京都の都市計画地方審議会における高速鉄道小委員会を開くように聞いております。
  274. 畑和

    ○畑分科員 この路線は都営になるのですか。
  275. 岡本悟

    ○岡本政府委員 現在五号線の分岐点、大手町から板橋に至ります線は、帝都高速度交通営団の免許線であります。
  276. 畑和

    ○畑分科員 ところで、それが東京都の方でやられるような話も聞いておるのですが、これはどういう関係なんですか。
  277. 岡本悟

    ○岡本政府委員 三十八年八月に都市交通審議会から第一次答申をいただきました際に、東京都内の地下鉄の建設は非常に急ぐ、そこで、帝都高速度交通営団だけでなしに、能力のある者がおれば、その協力を求めてしかるべきではないかという御答申があったわけでございます。それを運輸省としては取り上げまして、東京都がその適格性を持っておる、各私鉄も希望しておりましたけれども、東京都がやはりふさわしいだろうということで、東京都に、先ほど申し上げました一号線の免許権を帝都高速度交通営団から譲渡させまして、建設をさしておるわけでございます。そこで、まだ着工しておりません五号線以下近く追加の答申をいただけるものと予想されます路線についての建設を進めていく場合に、相変わらず東京都の協力を得て、つまり複数主義でいく方がいいのかどうか、こういうことが問題になるわけでございますが、われわれといたしましては、地下鉄建設促進という見地から、急速整備という見地からいたしまして、依然として複数主義をとっていくのがしかるべきではないか、かように考えております。その際に、東京都としてはかねてから、この五号線の分岐線の建設を担当したいということを非公式に表明せられておりまして、そのことがたまたま、新聞紙上等に出たものと思いますが、しかし正式に建設を進めていきます場合には、帝都高速度交通営団が免許権を持っておりますので、行政指導によりまして、営団から東京都に譲渡させる、あるいは大手町から西に向かいまして品川方面へ延ばすということになりますと、これも新しい免許になりますので、そういう手続が必要となってくるわけでございますが、まだそこまで運輸省といたしましては正式にきめたわけではございません。
  278. 畑和

    ○畑分科員 質問を終わります。
  279. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 田口誠治君。
  280. 田口誠治

    田口(誠)分科員 私の御質問を申し上げたいと思いますることは、踏切道改良促進法に基づいての立体化の今後の進め方、予算化についてと、それから大都市の交通緩和の問題、それに新幹線の問題、この三つについて御質問をしたいと思う次第でございます。  まず、遠いところから先にやっていきまして、新幹線の問題でございまするが、新幹線の問題につきましては、特に岐阜県、愛知県という地域については、この線路の位置について昨年来、大きな反対運動がありまして、また誘致運動がありまして、国鉄の方でも相当頭を悩ましていただいたわけでございまするが、特に岐阜県といたしましては、何といってもこの鉄道というものは、鉄道輸送そのものが経済の動脈とも相なるものでありますから、四十万人に近いところの人口を持っておる岐阜市を遠く離れて駅を作るというようなことについては、これはとても考えられないことだというので、岐阜市の現在の駅へ持ってきてもらうべく運動が始まったわけなんですが、しかしこの新幹線の目的とするものは、スピード・アップということが大きな目的でございましたので、そうそう思うようにもいかず、それでは譲歩できる限りの譲歩をするというので、これは岐阜県民案といって与野党が一致した考え方の上に立って、そうして与野党ともに国鉄当局の方と、また運輸省に対して運動を展開いたしたわけでございます。しかしながら、当局の方としては、相当強く自分の図面に固執をされて、なかなか譲っていただけなかったわけなんですが、たまたま第一次に国鉄が線を引かれた路線については、地質の関係上絶対に線路が引けないという関係から、少しく北寄りの、岐阜寄りの方になったわけでございます。しかし、これは岐阜県民の要望に沿ってなされたのではなくして、地質の関係上やむを得ず北回りになったということであって、岐阜県の要望というものは少しも聞いてもらえなかったわけです。そうこうしておりまするうちに、いろいろ巷間で風評が——利権がからまっておるとか、いろいろと風評が飛び、また脱落の代議士も出てくるというようなことで、とうとう国鉄が第二次線を引かれたところの、いわゆる裁量案というのに落ちついたわけであります。これについて岐阜県民案を推し進めておった県民としましては非常に残念なことであったけれども、しかし、この鉄道の目的とするところのスピード・アップということも、やはり考えてやらなくてはならないというので、そういうことから無理々々今の案に落ちついたわけでございます。しかし、そのときに強く岐阜県の方から要望を申し上げたことは、とにかく岐阜県の地形的な面からいきましても、また今後の経済発展という面から考えましても、この線路を引いていただくには、岐阜県としては相当強い条件がある。それで、こういうような条件をのんでいただくなれば認めてもいい、という考え方に実際は相なったわけであります。しかし、こういうものを認める場合に、条件を云々というようなことは、あまり公式的には通らないけれども、これはやはり道義的な面として、岐阜県民としては国鉄の方からその要望を聞いていただけるものだ、このように信じておるわけです。  そこで、私の方から個条的に質問を申し上げたいと思いますることは、御承知の通り、国鉄の第一次案が地質の関係上線路が引けなかったという実情も考えていただけばわかりますように、岐阜県のあの地帯は非常に地質が水分の多いところでございまして、また木曽川、長良川、揖斐川の三川を持ち、それに中小河川も控えておりまして、この水害ということにつきましては、これはずっと昔から悩まされてきたわけでございます。これは有名な平田靱負が千本松原のあの堤防の工事を行なったという、いまだに薩摩藩士の名を残しておる逸話もございまするが、そのくらい昔からこの岐阜県は水害に非常に見舞われておったわけでございます。そういう点から、今度の要望そのものというものは真剣であるわけです。従って、その真剣な内容から出てきておるものは、とにかくこの新幹線が通ることにおいて水害をかもし出すということになってはいけないので、まずこれを排除していきたい。それにはまず水害という面と経済発展というような面と一石二鳥の考え方でいきまして、高架線にしてもらいたいという要望がまず第一に出されておるわけなんでございます。従って、この高架線につきましても、おそらく国鉄といたしましても、岐阜県の地域区間全部を高架にするということにはなっておらないと思いまするが、今日までの交渉の経過から、どの程度までこの高架というものが望める段階に相なっておるかということを、一つ御説明を願いたいと思います。
  281. 大石重成

    ○大石説明員 ただいま御質問のございました、岐阜県下におきまして高架がどの程度かというお話でございますが、いろいろ問題がございまして、ただいまやっとと言ってはまことに恐縮でございますけれども、測量に入ったところでございます。そうして、その測量に入りまして、私たちといたしましては詳細な設計図を作り、同時にお話のございましたような地元の水害というものにつきましては、新幹線ができましたために水害を助長するといったことのないようにということを、根本の設計のもとにしております。各関係の市町村また地元の方々に個々に御説明を承り、またこちらの考え方を御説明申し上げまして、話をまとめておるところでございまして、まだ何%が高架線になってどうだというところまでにはいっておりませんが、ただいま一番水害の激しい大垣から木曽川までの間につきまして測量しております。これは御承知の通りだと存じますが、地元につきましていろいろ御協議を申し上げておる段階でございます。
  282. 田口誠治

    田口(誠)分科員 測量中であるということでございますが、今まで測量された範囲内においては、岐阜県民のあの要望内容というものの受け入れというのは可能性がどの程度あるかというようなことについては、まだ御回答はちょっと無理ですか。
  283. 大石重成

    ○大石説明員 今お話のございました岐阜県からの御要望は、全面高架、全部高架にせよという御要望でございますが、全部高架にするということはおそらくむずかしかろうと存じます。しかしながら、橋梁また水はけその他のことにつきましては、地元の方に十分御納得のいくように御協議を申し上げまして、高架化を考えていきたいということで、ただいま地元の方とお話し中でございます。
  284. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それではきょうの段階で承っておく範囲は、大体岐阜県の要望というものは、考え方の上に立ってはその気持に沿うのだけれども、まだ測量の段階でもあり、ただ全部要望に沿うということはむずかしいけれども、そういう沿うという考え方の上に立って最大の要望を満たすようにしてもらえるというように、そのお答えを承っておいてよろしいですか。
  285. 大石重成

    ○大石説明員 もちろんああいう地帯でございますので、鉄道を作りまして水の流れを阻害いたしまして水害を助長するというようなことはやるべきものではございません。私たちも考えておりません。ただお言葉ではございますけれども、全部が全部を高架にしろというそのお言葉に、まっ正直に全部が全部高架というわけにはいかないのでございますけれども、十分御納得のいくように、高架の区間、また残りの区間というものにつきまして御説明申し上げ、また設計協議という形でただいま県並びに市町村とやっておりますので、その結果御満足のいくものができるものだと私は信じております。
  286. 田口誠治

    田口(誠)分科員 御回答を私がおよそ判断いたしますると、私の要望しておるような線に向かってまあ努力していただいておるようでございますので、その点についてはこの程度で次に移りたいと思いますが、ただ全面高架ということについては、水害というのもこれは大きな一つの理由でございまするけれども、やはり羽島駅を中心に百万都市に発展しようとする経済発展という面からいきましても、全面高架ということが出されてきたのでございますから、ただ水害ということだけにこだわらぬで、百万都市建設という一つの経済発展という面が大きくクローズアップされておるのでございますから、その点も十分に意に置いていただいて、県民の気持、要望を取り入れていただくようにお願いをしておきたいと思います。  それから、次には、羽島という駅ができますと、岐阜市とは相当離れておるわけなんですが、駅ができますと、すぐ必要なのは、またその前に必要なのは、羽島の駅と現在の岐阜市とを結ぶ道路の新設です。これは絶対必要なんですが、これも強い要望のうちの強い要望に相なっておるわけですが、この点につきましては何か作業が進んでおるかどうか。作業ということは実際の工事ではないけれども、計画に入れられておるかどうかということ、その点を伺いたいと思います。
  287. 大石重成

    ○大石説明員 ただいまお話のございましたように、新しく羽島市に作ります駅と岐阜市との間に連絡道路を作ってほしい、というような御要望もございますが、これは率直に申し上げますと、国鉄で連絡道路を作るということは、国鉄におきましてはできないことになっております。しかしながら、私たちもそういうことをしていただくことが、新しくできます駅の将来、また岐阜県の岐阜市並びに新しい駅との連絡という意味におきまして、非常に必要であろうということは存じておりますので、関係の方面に私たちといたしましても事務的に、国鉄ではこういう駅を作りますので、しかるべく御援助と申しますか、駅の機能が十分発揮できますように、協力をしていただきたいということを申し上げておる次第でございます。
  288. 田口誠治

    田口(誠)分科員 その道路は、もちろん国鉄即道路を建設するということではないので、これは建設省の関係にもなりますし、特に岐阜県の方で一つの案を立てて助成を要求するわけなんですが、これが全面国庫の助成になるか、八〇%になるかという面については、今後の相談の結果だろうと思いますが、今までの建設省のいろいろな工事の進め方を見ましても、やはり予算的に渋られる面が相当ありますので、これは一つ国鉄の方が借りがあるんだという考え方の上に立って、関係当局へ十分に交渉もしていただき、岐阜県へ協力をいただきたいと思います。それから、名神高速自動車道路との関連もありますが、適当なところにインタチェンジというようなものも新設しなければならないと思うのですが、これはあなたの方の専門的な面から見られて、どういうようにお考えになりますか。
  289. 大石重成

    ○大石説明員 今の御質問にちょっと適切なお答えができないかと存じますけれども、今私の方の考えております駅と名神高速道路との連絡は考えております。この道路と駅とは連絡ができるように協議をしておりますが、インタチェンジをそこに作るべきかどうかということにつきましては、私といたしましても、名神高速道路全体の計画を十分存じておりませんので、はっきりここでお答できないのは、まことに申しわけないと思います。
  290. 田口誠治

    田口(誠)分科員 次に、これも直接の国鉄としての担当の仕事ではないと思いますが、やはり線路を敷いてもらうときには、土地改良も同時に行なわなければならないと思いますし、それから区画整理というようなこともやらなければならないし、また埋め立てというような事業も同時に行なわなければならないと思います。こういうような仕事については、具体的にこれは県から持ってくると思いますが、並行的に仕事をやってもらわなければならないものもその中には入りますが、こういうものの進め方については、あなたの方の担当でない場合には、どういうようなテクニックを使って推進していただけるものか、伺っておきたいと思います。
  291. 大石重成

    ○大石説明員 土地改良その他につきましてもいろいろ御陳情がございます。これは岐阜県だけでなくて、東京大阪五百キロの間全線にわたりましてそういう問題が出て参りますので、私たちといたしましては、やはりこれを国鉄が主になってやるにはいろいろの面で制約がございます。調査は、国鉄のこういう事業のために、農林省の方でしなければならないというようなことからいたしまして、いわゆる調査費というものを国鉄から農林省の方に差し上げてあります。これは農林省の方と折衝いたしまして、しかるべき金額を差し上げまして、全線にわたってどういうような改良が必要であるかというような調査をする費用を国鉄で負担いたしまして、農林省の方に差し上げたということは一つの実例としてございます。また、岐阜県下におきまして土地改良その他の問題で具体的にお話を承ったこともありまして、これもやはり私の方といたしましては、国鉄の費用でやるというわけにはいきませんので、農林省の関係、また大蔵省の方の関係に、私たちとしての事務を通じて、国鉄がこういう仕事をいたしますので、こういうような問題が起きてくるのであるから、それについて十分の御理解をいただきたいということを申し上げたこともあり、これも御承知のようにある程度実現したというふうに聞いておりますが、個々につきまして御陳情なりごもっともなことにつきましては、関係方面に私たちとしても十分連絡をしておる次第であります。
  292. 田口誠治

    田口(誠)分科員 今の土地改良のほかに、やはり道路とか河川、排水路とか、いろいろあるわけですが、そういうような面についても、調査費を国鉄で取って、農林省なり建設省なりでやってもらうということだけでなしに、並行してやってもらわなければならない個所がありますから、これは積極的に国鉄の方からも働きかけをしていただいて同時作業のできるように支障のないよう今後の手配をお願いしたいと思います。まだ幾つか要望は出ておりますが、大きい方面につきましては、やはり今の水害対策経済発展の面から高架線にしてもらいたいということと、それから岐阜市に通ずる道路、特に大垣の方の実態を御存じでしょうが、輪中というような、ああいう全国にない地域もございますので、敷かれる場合には十分水害の面を考慮していただいて、おそらくこの点は相当キロ数全面高架というような形にしていただかなければならないと思いますので、その点もよろしくお願いしておきたいと思います。まだ来年も続くことでございますので、寿命がございますればまた来年の予算のときにお伺いしまして、いろいろと御協力をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。  時間がございませんので、次に移りたいと思います。  次は、今問題になっておりまする都内の交通規制の問題でございます。これは今までの先生方からも、交通事故の防止の方法とかまた都内交通の緩和の方法というようなことについては、御質問をなさったかもわかりませんが、特に交通緩和という面についての問題は、幾つかの省にいろいろまたがっておりまするために、口では以前から唱えられておりましたけれども、実際的には効果の上がるところの仕事ができておらない。というのは、全然手をつけてないのではないけれども、やはり何年か先の大きな計画のもとにこういう交通緩和の問題を取り上げてなかったという点を、今反省しなくてはならないと思うんです。それで、率直に申し上げるなれば、この問題は、今ちょっと新聞なんかで聞きますると、公安委員会や警察庁の方がイニシアチブをとってやっておるように新聞なんかには載っておりまするけれども、大体こういう運輸交通というような関係は、これは運輸省がイニシアチブをとってやらなければならない問題であり、今日のような状態に相なっておるということは、やはり言葉を悪く申しますれば、運輸省のこれらに対する行政の怠慢であったということも言い得られると思うんです。私は、こういう問題につきましては、もう少し積極的に大胆に運輸省が施策を打ち出していただいて、そうして関係の省に協力を求めて、この難局を切り抜けていただかなくてはならないと思うんです。今までは、交通緩和だとか事故防止だとかいって、遠いところから叫んでおるように聞いておられたと思いまするけれども、実際今日になりますと、全く足もとに火がついて、今では国民運動化されておるわけなんです。従って、こういうような時期にこの問題を処理するのは、これはお互いに困難もしんぼうしなくてはならないし、また十分に理解納得ということも得させなければならないと思うので、そういうような観点から私は御質問をいたしたいと思うんです。この新聞に出ておりまする範囲内では、公安委員会、それから警察庁がいろいろこの交通緩和の問題について御心配をしていただいて、そうしてまず第一次に手をつけようとするものは、観光バスは夕方は制限をするんだ、そして路線トラックは夜間だけ運行させるんだということを第一次に取り上げておられるわけですが、私は、ここで納得のいかないと思いますることは、運輸省が免許を与え認可を与えて、そうして公共的な仕事をやらしておる、その観光バスにせよ路線トラックにせよ、こういうものを警察の方、公安委員会の方が運輸省に相談なしに一方的にきめてやろうとするところに、これはあやまちがあると思うんです。こういうことをやろうとすれば、直接免許を与えた責任者、認可を与えた責任者の運輸省へ当然相談をしてなさるべきであり、そうしてまた運輸省自体としても、これは自分の方から一つの案を作って関係方面で御相談なさるのが妥当であろうと思うんですが、せんだって新聞に出ておる範囲内におきましては、それが逆であるわけなんです。従って、これを見ますると、完全に実施するということに相なっておりまするが、事実これは新聞に載っておる通りにこの期日から実施をさるれものかどうか、まず伺いたいと思うのであります。
  293. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 警視庁の今提案をいたしておりまする自動車の制限につきましては、交通閣僚の間におきまして、これをもとにして関係各省でどういう影響が生ずるかを検討しようということになっておるわけであります。従いまして、いかなる理由があってもこれを強行するのだという考えではないはずでございます。運輸省といたしましては、その案に基づきまして、もしその案を実施するとすればどういう影響があるかということを検討し、影響のできるだけ少ないようにやって参りたい、かように考えております。運輸省といたしましても、免許事業につきまして、この交通の緩和に役立たせるように協力をすべきだ、かように考えております。しかしながら、営業自体が困難になる、そのために国民生活ことに経済活動に大きな影響を与えるということであれば、これはその案はそのままにはのめない、かように考えております。自動車の交通規制は、今日といたしましては警察がやる建前になっておりまするけれども、しかし、今日のような状況下におきまして、ただ特殊の車について全面的に都内で一定時間運行ができないというようなやり方が、はたして道交法の趣旨であるかどうかということを考えます際に、若干疑問があります。私は、そういう意味から申しまして、さらに検討を進める要があると考えて、警察担当の安井国務大臣にもその旨を申し入れ、安井国務大臣もよくその趣旨を体して検討するということになっておるわけでございます。
  294. 田口誠治

    田口(誠)分科員 公安委員会また警視庁の方の責任者の方にお尋ねをするのですが、ここに路線トラックが大体昼一千三百台入るというように書いてあります。これは御調査なさった数字だから、調査した人がこの数字を出してきたのだから、これはこれとしての一つの数字として受け取っておきまするけれども、大体今路線トラックの六〇%は夜都内から出入りをしております。それで四〇%が昼出入りをしておるので、まあ五百何十台くらいだと思うわけです。従って、この火のついたような交通緩和の叫ばれておるこの事態を収拾する第一の案の着手として、六十五万台も七十万台も都内において出入りをして、都内を運行しておるといわれておる車の数の中で、わずか五百や六百のトラックを規制してみたとて、これは交通緩和にはならぬわけですが、こういう程度のことで交通緩和になると思って、こういう案を閣議へお出しになったのか、こういう経緯について一つ承りたいと思います。
  295. 富永誠美

    ○富永説明員 お答え申し上げます。  都市交通を円滑にする、交通をいかにして緩和するかということで、いろいろ努力して参ったのでございまが、東京の場合は、昨年一カ年を通じまして、特定の路線を選び、また特定の地域を選びまして、その路線と地域の上の交通は何とか交通規制で確保してみようというわけで作業を開始いたしまして、大体作業も完了いたしたのでございます。ごらんになりますように、たとえば駐車禁止あるいはまた右折禁止あるいは一方通行、いろいろな規制をやりまして、私どもは総合規制と申しておりますが、そういうふうにして参ったのでございますが、今後都市交通というものがますます激化するであろうということは、これは明白なのでございます。一つは、車がふえるということと、もう一つは、今からオリンピックを目標のいろいろな工事が始まるということで、現状よりもっと深刻になるだろうということが予想されるわけでございます。従って、これを解決するためには、もちろんいろいろな施策もございますが、とうてい当座の急には間に合わないのでございます。従って、交通規制でがんばらざるを得ないというような羽目にあるわけでございますが、しからばどういうふうにするかということになりますと、大体におきまして総合規制でほとんどの手を打っております。もちろん今まで実施しました総合規制の部分的な修正というものもございますが、それだけではとうていどうにもなりません。残るのは結局車種別あるいは時間別の規制ということになるだろうと思うのでございます。車種別規制と申しますと、これは現在一つの道路おおよそ十七種くらいの車が走っておるわけでございます。それで、今まではそういった全部の車についての一方交通とかあるいは右折禁止とかいうふうな建前をとっておりましたが、それだけでは解決し得ない。結局はその車種の中からそれを選び出すということになってくるわけでございます。また、時間別規制と申しますと、時間をずらして交通量をならしていくということになるわけでございます。それでいろいろ検討されたわけでございますが、もちろん車種別規制になりますと、いろいろな面に影響するわけでございますので、実施する場合におきましても、そういった影響は関係各省で十分御検討をお願いいたしたい、こういうふうになってもまだやらなければならないという点の念押しと申しますか、これを何回か申し上げておるわけでございます。そういうわけで作業にかかりまして、先日の十三日に関係行政庁、それから該当いたしまする業界関係方面に案を申し上げたわけでございます。従って、私どもとしましては、これに基づきましてのいろいろな御意見というものを十分承りたいというふうに考えておるわけでございます。  ただ、今お話しの、路線トラックが非常に数が少ないので、これだけやっても効果が期し得られないのじゃないかという点でございますが、私どもは、今の交通をとにかくスムーズに問題なしに全部を楽にするということは、とうてい考えられないわけでございます。今の交通を少しでも楽にしようということで臨んでおるわけでございますが、第一次の——これは案でございますが、案はあくまでも交通の円滑に支障を及ぼすような大型の車ということにしぼられておるのでございます。と申しますのは、大型の車が走ることによりまして、たとえば道幅が、道路のちょうどセンター・ラインから何メートルある場合に、普通の車なら三台走れるのが、大型のために二台しか走れないという場合がかなりあるわけでございますので、大型ということにしぼりがいったわけでございます。それから、それならば大型でもある一定以上の車をどうするかということになりますと、これはいろいろ内容が複雑でございますので、運行の形態というものは、夜間に回れるものから回ってもらうというようなことで考えられているのでございます。と申しますのは、交通の激しいのは一日のうちでも昼間の十二時間で、あと残りの夜の十二時間というものは比較的楽である。従って、時間をずらしていただく、それには、路線トラックというものは長距離を走っておりまして、一応ダイヤを組んで走っておりますので、そのダイヤを東京の地域に限って夜に移していただくということをお願いしているわけでございます。そういうわけで、それくらいのわずかの数量だけやってもとうてい交通の円滑化は期せられないという点は、これはいきなり一挙にこれで解決するというわけではございませんで、ほかの車につきましても、それぞれいろいろお話し合いをしまして、とにかく時差稼動といいますか、夜に移してもらえるものは移してもらうという趣旨なのでございます。
  296. 田口誠治

    田口(誠)分科員 ただいまの御答弁を聞いておりますと、交通緩和をするのには少なくても大きい車を規制すればいいという考え方ですが、大きい車というと、おそらく大型のトラックが該当になろうと思う。大型のトラックというのは、自家用車であろうと営業車であろうと、これは荷物を積んで走っている車であって、これが昼間はだめた、夜だということになり、都内の中小企業が持っているいろいろ商品を運ぶ車も、また国鉄の駅に着いた荷物以外の区間便のトラックも、夜でなければいけないということになると、それの受け入れ体制もやはりでかさなければならないということになる。かりに考えてみて、今の東京都の実態を見ますと、ここ二、三年前と違って、銀座へ行っても、どこの店でも、もう九時になると戸を締める。従って、どんなに小さな中小企業事業所でも、やはり労働基準法にのっとって、もう残業をやらない、夜間作業はやらない、こういう考え方で中小企業はやっておりますし、それから商店においてもやはり早く店を締めてしまうというようなことで、夜出入りさせて、夜荷物を運ぶというようなことは、そういう受け入れ体制からいっても、なかなか困難な問題だろうと思います。  それで、もうこういう問題は答弁も時間がかかりますし、私の方から申し上げるのも時間がかかりますし、時間が来ましたので、あまり申し上げられませんが、大体車種別の台数をずっと見ましても、それから車種別の一年の増加台数を見ましても、非常に自家用の乗用車が多いわけなんです。人間の乗るのが多いわけなんです。従って私は、公共性を帯びておるような、市民の台所と直結をする仕事をするものを規制するということは、よほど慎重を期さなければいけないと思います。そして、これはちょっと考えれば簡単なことであり、考え方によっては相当むずかしいと考えられますけれども、米国やイギリスで規制しておりますように、都内への乗用車の乗り入れの制限を行なって、郊外に駐車場を作って、都内においてはなるべくスピードの大なる鉄道なりバスなり、こういうような交通機関を利用する交通政策に重点を置かなければ、この交通緩和ということは困難であろうと思うわけなんです。そういうような意味合いからいきましても、公安委員会で立案されたこの案は、実施に移すには相当困難性があると思いますが、運輸省におかれてもこういう問題の取り扱いは十分に慎重を期してもらって、事業をやっておる事業者の意見も聞き、また荷物を発着させている荷主の意見も十分に聞いて、このトラックの規制をやっていただかなければ、やりかけて見てこれは大きな失敗が出ると思いますので、こういう点については十分に運輸省においても慎重を期していただきたいと思うわけなんです。そういう点について運輸大臣は同感であるか、反対な意見を持っておられるのか承っておきたいと思います。
  297. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 全く御所見に同感でございます。できるだけ慎重に検討をいたしまして、当該事業に甚大な影響のない方法でやって参りたい、かように考えております。  自家用の乗用車の規制はその手段がなかなかむずかしゅうございますが、これも頭をしぼって警察当局と話し合いをいたしたい、かように考えております。
  298. 田口誠治

    田口(誠)分科員 自家用車の規制というようなことは、今まであまり頭に浮かべたことがないから、むずかしいといえばむずかしいですけれども、やればやれぬことはないわけです。実際に今鎌倉あたりで乗用車を持っておる人たちが、とにかく東京へ乗り込んできてはとても時間がかかるというので、りっぱな乗用車を持っていても、自主的に鉄道に乗ったり電車に乗ったりして通っておられるという事実もありますし、これはやはり実例のないことではない。外国ではどんどんやっておるのでございますから、一つそういうような面で、この点についても十分に研究をしていただきたいと思うわけです。  私もいろいろと資料は持ってきておりますけれども、時間がございませんので、そういう点を披露申し上げて、認識をいただくことがむずかしいわけでございますが、私ども社会党といたしましても、この交通緩和の問題につきましては、一つの国民運動になっておるということから特別委員会を作りまして、実際調査にも乗り出すことに相なっておりますし、党としての意見を申し上げる時期もあろうと思いますが、こういう点を十分に勘案していただきまして、運輸省としても、また直接取り締まりをされる警視庁といたしましても、十分に慎重を期して効果を上げるべく努力をお願いしたいと思います。  私に与えられました時間が来ましたので、終わりにいたします。
  299. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 次会は明二十二日午前十時より開会することとし、本日はこの程度で散会いたします。    午後五時四十五分散会