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1962-02-19 第40回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和三十七年二月十六日(金曜日)委 員会において設置することに決した。 二月十七日  本分科員委員長指名で次の通り選任された。       愛知 揆一君    青木  正君       今松 治郎君    上林榮吉君       中村三之亟君    羽田武嗣郎君       藤本 捨助君    山本 猛夫君       木原津與志君    小松  幹君       永井勝次郎君    山口丈太郎君       井堀 繁男君 同日  羽田武嗣郎君が委員長指名主査に選任され  た。 ————————————————————— 昭和三十七年二月十九日(月曜日)     午前十時二分開議  出席分科員    主査 羽田武嗣郎君       愛知 揆一君    青木  正君       今松 治郎君    上林榮吉君       山本 猛夫君    田口 誠治君       安井 吉典君    山口丈太郎君       井堀 繁男君    兼務 楯 兼次郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         自治政務次官  大上  司君         自治事務官         (大臣官房長) 柴田  護君         自治事務官         (大臣官房会計         課長)     今枝 信雄君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君         自治事務官         (選挙局長)  松村 清之君         自治事務官         (財政局長)  奧野 誠亮君         自治事務官         (税務局長)  後藤田正晴君         消防庁長官   藤井 貞夫君         消防庁次長   川合  武君  分科員外出席者         警  視  監         (保安局参事         官)      富永 誠美君         文部事務官         (初等中等局財         務課長)    岩間英太郎君         文部事務官         (大学学術局技         術教育課長)  犬丸  直君     ————————————— 二月十九日  分科員木原津與志君及び永井勝次郎委員辞任  につき、その補欠として田口誠治君及び安井吉  典君が委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員田口誠治君及び安井吉典委員辞任につ  き、その補欠として木原津與志君及び永井勝次  郎君が委員長指名分科員に選任された。 同日  第一分科員楯次郎君が本分科兼務となつた。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十七年度一般会計予算自治省所管  昭和三十七年度特別会計予算自治省所管      ————◇—————
  2. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  私が主査職務を行なうことになりましたので、どうぞよろしくお願いいたします。  本分科会は、昭和三十七年度一般会計予算中、運輸省郵政省建設省及び自治省所管昭和三十七年度特別会計予算中、運輸省郵政省建設省及び自治省所管昭和三十七年度政府関係機関予算中、運輸省及び郵政省所管について審査を行なうことになっております。  なお、分科会は、本日より二十七日まで、二十五日の日曜日を除く八日間開会し、二十七日の午後、主査報告を行なうことになっております。  審査の都合上、その審査順序を、十九日及び二十日は自治省所管、二十一日及び二十二日は運輸省所管、二十三日及び二十四日は建設省所管、二十六日及び二十七日は郵政省所管について、それぞれ審査を進めて参りたいと存じます。  なお、各省所管事項説明は、各省審査の第一日の冒頭に聴取いたしますので、あらかじめ御了承をお願いいたします。  それでは昭和三十七年度一般会計予算及び同特別会計予算中、自治省所管を議題といたし、自治省所管について説明を求めます。安井自治大臣
  3. 安井謙

    安井国務大臣 自治省関係昭和三十七年度歳入歳出予算につきまして、その概略を御説明申し上げます。  昭和三十七年度自治省所管一般会計予算は、歳入三千四百余万円、歳出四千五百六十七億二千七百余万円であります。歳出予算では、前年度の当初予算額三千六百十八億四千八百余万円に対し、九百四十八億七千九百余万円の増額となっており、前年度の第一次補正後の予算額三千八百三十一億六千百余万円に対し、七百三十五億六千六百余万円の増額となっております。自治省所管歳出予算に計上いたしましたものは、自治本省及び消防庁所管事務執行に必要な経費でありますが、以下そのおもなるものにつきましてその大要を御説明申し上げます。  まず第一は、交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れに必要な経費であります。その総額は、四千四百八十二億二千百余万円でありまして、前年度当初予算額三千五百六十六億一千百余万円に対して、九百十六億九百余万円の増額となっており、前年度の第一次補正後の予算額三千七百七十九億一千三百余万円に対して、七百三億七百余万円の増額となっております。  この経費は、昭和三十七年度における所得税法人税及び酒税の収入見込み額のそれぞれ百分の二十八・九に相当する額の合算額に、昭和三十五年度における交付税及び臨時地方特別交付金で、まだ交付していない額を加算した額を計上いたしたものでありまして、すべて交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れられるものであります。なお、地方交付税の繰入率は地方財政需要増高に対処して地方自主財源充実強化をはかるため、昭和三十七年度以降国税三税の収入額のそれぞれ百分の二十八・九とし、百分の〇・四を引き上げたのでありまして、これに伴い、臨時地方特別交付金は、廃止することといたしたのであります。  第二は、参議院議員通常選挙執行に要する経費であります。その総額は、二十四億三千六百余万円であります。この経費は、公職選挙法第三十二条の規定に基づいて、昭和三十七年七月七日に任期満了となる参議院議員通常選挙に要するものであります。  第三は、選挙啓発関係経費であります。  まず常時啓発に要する経費でありますが、その総額は、三億五千万円でありまして、前年度の三億円に比べて五千万円の増額となっております。この経費は、公明選挙運動を強力に推進し、国民政治意識の向上をはかるために必要な経費であります。  次に、参議院議員通常選挙公明化推進費でありますが、総額一億円であります。この経費は、参議院議員通常選挙に際し、選挙公明かつ適正に行なわれるよう選挙民に周知するに必要な経費であります。  第四は、国有提供施設等所在市町村助成交付金でありますが、総額十二億円であります。この経費は、国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法律に基づいて、国有提供施設等の所在する都及び市町村に対し交付するものでありますが、三十七年度は前年度に比べて二億円の増額をはかったのであります。  第五は、奄美群島復興事業関係経費であります。  まず、奄美群島復興事業費でありますが、総額十四億四千九百余万円でありまして、前年度の十四億一千五百余万円に比べて三千三百余万円の増額となっております。この経費は、奄美群島復興計画に基づく昭和三十七年度分の事業を実施するために必要な経費及びその運営に必要な人件費等であります。  奄美群島復興計画は、昭和二十九年度から昭和三十八年度までの十カ年計画で、国費百二十一億一千八百余万円をもって、同群島復興をはかるため、公共土木施設整備産業振興等総額二百十四億一千九百余万円の事業を行なおうとするものであります。本事業は順調な進捗を見せ、逐次その成果をあげて参りましたが、昭和三十七年度末における事業進捗率は、国庫補助事業計画総額に対し約八八%に達する見込みであります。  次に、奄美群島復興開発融資基金出資金に必要な経費でありますが、その総額は六千万円であります。この経費は、奄美群島における産業振興に必要な金融円滑化をはかるため、奄美群島復興信用基金に対する追加出資に必要な経費であります。奄美群島復興信用基金は、創設以来、その目的達成のため努力をしておりますが、群島経済復興をはかるには、なお、その資金に不足しておりますので、明年度においても追加出資をしようとするものであります。これにより同基金に対する昭和三十七年度末における政府出資総額は三億二千万円となります。  第六は、公共土木施設及び農地等の小災害地方債元利補給に必要な経費でありますが、総額八億九千六百余万円で、前年度の三億七千五百余万円に比べて五億二千余万円の増額となっております。この経費は、昭和三十三年、三十四年及び三十六年の各年度における公共土木施設及び農地等の小災害にかかる地方債について、昭和三十七年度分の元利償還金相当額関係地方公共団体交付するために要するものであります。  第七は、地方財政再建促進に必要な経費でありますが、総額二億五千余万円で、前年度の四億九千三百余万円に比べて二億四千二百余万円の減額となっております。この経費は、財政再建債に対する再建の指導及び財政再建団体が起こしました財政再建債に対する利子補給を行なうために必要な経費であります。前年度に比べて大幅な減額となっておりますのは、財政再建が順調に行なわれ財政再建債償還が進みましたのに伴い、利子補給金が減少することによるものであります。  第八は、固定資産税特例債元利補給に必要な経費であります。その総額は三億九千四百余万円で、前年度の二億一千七百余万円に比べて一億七千六百余万円の増額となっております。この経費は、地方財政法規定に基づいて、固定資産税制限税率の引き下げに伴う減収補てんのための地方債について、昭和三十七年度分の元利償還金相当額関係市町村交付するために要するものであります。  以上のほか、住所表示制度整備を促進するため、一千八百余万円を計上しておりますが、これは、町名地番制度審議会の答申に基づいて、住所表示制度を合理化し、国民日常生活の便益を増進するため、新住所表示制度を実験的に実施するために要する経費であります。  さらに、新市町村建設を促進指導するための経費として三千三百余万円、新産業都市建設を促進するため、地方開発関連調査費として一千余万円、辺地地域における公共的施設総合整備を促進するための経費として八百余万円、地方公務員の新退職年金制度を実施するための経費等を計上しております。  また、固定資産税評価制度の改正、地方公務員の新退職年金制度実施等に対処するため、定員を十八名増加いたしております。  なお、予算計上所管は異なっておりますが、当省の事務関係のある予算といたしまして、公営企業金融公庫経営基盤を充実するために必要な政府出資金増額するための経費三億円が別途大蔵省所管産業投資特別会計に計上されております。これにより昭和三十二年度以来の公営企業金融公庫に対する政府出資金は二十四億円になります。  以上が自治本省関係一般会計予算概要であります。  次に消防庁予算概要を御説明申し上げます。  まず第一は、消防施設整備費補助に必要な経費でありますが、総額七億円で、前年度の六億八千万円に比べて二千万円の増加となっております。この経費は、消防施設強化促進法に基づき、市町村消防施設整備費及び都道府県の消防学校設置費に対して補助するために要するものであります。昭和三十七年度におきましても前年度同様消防ポンプに対する補助増額を主とし、消防力近代化を一そう促進する所存であります。  第二に、退職消防団員報償に必要な経費でありますが、総額六千九百余万円であります。  この経費は、消防団員が多年勤続して退職する際に、国としてそり労苦を謝するための報償を行なうものであり、前年度とほぼ同額を計上しております。  第三に、消防団員等公務災害補償責任共済基金補助に必要な経費でありますが、総額五千六百余万円で前年度の二千二百余万円に比べて三千三百余万円の増額となっております。  この経費は、消防団員等公務災害補償責任共済基金法に基づき、基金が実施する公務災害補償に要する経費及びその事務費に対し国庫補助を行ない、基金の円滑な運営をはかるために要するものであります。  第四に、消防吏員及び消防団員に授与する賞恤金に必要な経費でありますが、総額一千万円で新たに計上されたものであります。  この経費は、消防吏員及び消防団員が一身の危険を顧みないで職務を遂行して、死亡または不具廃疾となり、特別の功労があった場合に、警察職員に準じ、賞恤金を授与し、その功績を賞揚しようとするものであります。  そのほか、災害予防宣伝事業等日本消防協会に委託するために要する経費として一千四百万円を計上いたしました。  次に特別会計予算概要を御説明申し上げます。  自治省関係特別会計といたしましては、大蔵省及び自治省所管交付税及び譲与税配付金特別会計だけでありますが、本会計歳入は四千八百五億九千七百余万円、歳出は四千七百九十四億六千百余万円でありまして、歳入一般会計から地方交付税交付金及び臨時地方特別交付金財源として受け入れられる収入地方道路税法及び特別とん税法規定に基づき徴収する租税収入交付税及び譲与税配付金特別会計法規定に基づき前年度の決算上の剰余金見込み額を本年度において受け入れる収入その他であります。  歳出は、地方交付税交付金臨時地方特別交付金地方道路譲与税譲与金、特別とん譲与税譲与金として、各法律規定に基づいておのおの定められた地方公共団体に対して交付または譲与するために必要な経費その他となっております。  以上昭和三十七年度自治省関係一般会計予算及び特別会計予算につきまして御説明をいたしました。何とぞよろしく御審議のほどを御願い申し上げます。     —————————————
  4. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので順次これを許します。  念のために申し上げます。質問希望の方が多数おられますので、山口丈太郎分科員と協議の上、一応一人の持ち時間は四十分以内を予定いたしましたので、各分科員の御協力をお願いいたします。上林榮吉君。
  5. 上林山榮吉

    上林分科員 時間を制限されたので、二、三の問題について重点的に発言したいと思います。  私はまず第一に消防関係についてお尋ねをしておきたいのであります。本問題については当委員会において私は年来それぞれ主張してきた関係もありますので、そういう関係から三十七年度予算編成に対しては相当自治省としては新機軸を出しておる面も見られないではない。しかしながら、これをもってしてはあなた方の理想とする消防拡充強化ということはむしろ不可能に近い。あるいは十年かかってもその希望を満たすに至らないだろう、こういうふうに私は率直に考えるのであります。そういう見地からまずお尋ねをしておきたいことは、あなた方は日本消防基準の引き上げというか強化というか、その一つ計画を持っておられる。これが、今消防庁ですか、自治省関係全国的にその基準に達しておるのが、全国市町村別でけっこうだが、何%でございますか。あるいはその基準に達していないのは何カ町村であるのか、まずその数字を承っておきたいと思う。
  6. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 御承知のように、市町村最小限度のあるべき消防力基準というものにつきまして、いろいろな角度から検討した結果を消防力の新基準といたしまして昨年出したわけでございます。この基準とり方自体につきましても、いろいろ見方、考え方というものはあると思いますけれども、私たちといたしましては、日本現状から申しまして、この程度はやはりぜひ整備をしてもらわなければならぬという基準と考えておるのであります。その基準から考えてみますと、今お話にもございましたように、現在の市町村消防力というものは非常に低いわけでございまして、お尋ねのありました点につきましては、遺憾ながらこの消防力にマッチしておるというか、あるいはこれを上回っておると認められるものが実はございません。全体がまだその基準以下である、ひどいものについて申しますと、半分にも達しておらないというのが実は現状でございます。
  7. 上林山榮吉

    上林分科員 あなたあたりが消防力強化設置基準計画して奨励しておるが、その計画からすれば半分に満たないものが多い、これはまことに遺憾なことでありますが、その数は一体幾らぐらいですか。
  8. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 個々の市町村についての数は、ただいま私手元に持ち合わせておりませんですが、全体としてこれをながめてみますると、消防力の新基準というものと、それに対する充足率というものを見てみますると、内容を申し上げますと、第一は消防ポンプでございますが、この中で消防ポンプ自動車、これはやや充足率がいい部類のものでございますが、これでもってなお六三%、それから手引きの動力ポンプ、これは漸次数が少なくなってきておりますが、これが九七%、それから小型の動力ポンプ、これが四八%でございます。それからその次は、火災報知機でございますが、発信機でもって三四%、受信機の面から見まするとこれは五三%、第三が消防専用無線電話でございますが、これは一番充足率が低くて二二%、第四の防火水槽でございますが、防火水槽では、計画に対しまして今のところなお四四%である、こういう全国的な状況に相なっておる次第であります。
  9. 上林山榮吉

    上林分科員 各種類別に、設置基準に対する整備パーセントをお示しになったのでございますが、これは割合正直なパーセントだろうと思いますので、そのことについてはこれ以上お聞きいたしませんが、私は、何がゆえにこういうような設置基準に対して消防整備パーセントが低いかといえば、これはもう言うまでもなく、自治大臣承知通りで、これは市町村財政は、ときに部分的にいい面もあるけれども、これはやはり全体的には財政力が貧困である。だから、そういう関係から、消防関係整備をやろうとしましても、これが思うようにできないというのが、これはまあ全国的な——一部裕福なところを除いては、大体そういうふうに見なければならぬのですよ。そういう意味から、消防団員としては、ポンプ購入にしても、これを積極的にやってもらいたいという熱意があるんだけれども、たとえば市町村長が、財政関係から思うようにこれを組むことができない、これが実情なんですね。私は、ときどき消防団の出ぞめ式その他の関係で、整備状況なんかをこまかに見せてもらうことがございますが、そういう立場から見て、ようこういうような手押しポンプでどうして消火ができるだろう、こう思うような整備の行き届かないところが非常に多いわけなんです。だから、私は、こういう問題に対しては、もっと自治省が積極的に、補助なりその他の方法を考えなければならぬ。ポンプのごときは、これは必要品中の必要品なんだから、これはもう国の整備基準の少なくとも一〇〇%に近くなっていなければならぬのですよ。だから、補助金を見ましても、あまりふえておらぬ、補助率にいたしましても、このままでいいのか。私は、あれもこれもやらなければならないが、そのうちの一点と二点に重点をしぼって、まず整備計画というものを一つ積極的に進める。そのためには、予算総額もふやす、あるいは補助率も少し引き上げてやる、こういうふうに、十あるならば三つくらいすぐって、その三つ重点を置いてやるというような行き方をしていかなければならぬのじゃないか、こう思うのですよ。だから、三十八年度のことを言うとどうかと思いますけれども、私は、与党の立場だから、増額修正も今回はできないと思いますので、そういう関係から、三十八年度予算編成に対しては、関係者はもっと、消防庁自治大臣に、自治大臣大蔵大臣に、一つそういう点をもっと真剣にやらなければだめですよ。ことに、自治大臣がそういう発言力を強くし得る一つの理由として、今日の異常乾燥下にある火災力による人の死亡なりあるいは重傷なりあるいは財産の損失なり、これももちろん今まで以上に大事なことですけれども、これに新たに加わった一つの問題としては、これは農林省の所管にもなりあるいは建設省所管にもなるでありましょうが、災害対策基本法ができました。これによれば、その中核体消防なんですよ。そういう新たな任務が加わってきたわけです。今まで火災を消しておればよかった、あるいはその予防をすればよかった、あるいは単に、水防団が別にできているところもあるが、それと一緒になってやればよかった。今度は消防は、災害対策本部中核体になるのです。中心になるのですよ。そういうような大事な意味からいって私は、これは一つ消防ポンプ購入にしましても、場合によったら、こういう事態だから、補正予算を組んでもいいじゃないか。補正予算は必ず三十七年度も一回か二回は組むのです。また組まなければならぬわけですから、私は、これに対して、自治大臣一つのまじめな抱負を聞きたい。あるいは、今度の予算折衝ではこういう難点があったけれども、三十八年度予算編成についてはこういう方針で一つ要求したいという、これは全国消防団にお答えになるつもりで、この議場を通じて一つの真剣な、力強い御発言を私は希望します。
  10. 安井謙

    安井国務大臣 上林委員の、消防に対して政府はもっと熱意を入れてやるべきじゃないか、こういう御説に対しましては、私どもも全く返す言葉がないと申しますか、その通りであろうと存じます。少し御説明申し上げることになりますが、実は御承知のように、この消防組織自体が今日、市町村基準にした市町村消防実体になっております。このために、機構的に見ましても、全国的に非常にバランスのとれた装備をやるのにいろいろ支障があるといったような面もあるのでございます。しかし消防そのものの本質から見て、市町村自治体に置いておるということは、私はまたこれで意義があると思うのでありまして、あとはこの実体の上にどういう順序で今後施設なりその他のものを考えていくかという問題であろうと思っておるのであります。一昨年、消防庁自治省所管になりまして以来、私どももそういった問題についてあげて考えておるわけでありますが、私は、これは三つの方向から考えなければなるまい。一つは、全体の消防施設の問題であろうと思います。もう一つは、消防団員の全体の処遇の問題であろうと思います。もう一つは、この防災活動に関する消防活動の機能の総合的な発揮という問題であろうと思うのであります。昨年幸いにしまして災害対策基本法というものが通りまして、これは消防の面に関して相当大きな、いろいろ今後の活躍の基盤を与える法律にもなりますので、これをさらに推進することによりまして、そういった三つの点を逐次推し進めて参りたいと思っておるのであります。そこで三つを一度に一年の予算でなかなかやれませんので、実は昨年、ことしにかけまして、まず消防団員処遇という問題につきましていろいろやりました結果、昨年は、いわゆる永年退職消防団員褒賞制度というものがやっと新設されました。三十七年度にはさらに今度は消防にあたって死亡するとか、あるいは傷害を受けたという人に対して、これもいわば全国の警官のレベルに近い一つ賞恤金制度、これを今度は新設いたしたわけであります。  それからさらに共済制度につきましても、毎年々々赤字々々で悩まされております。これにつきましても基礎を確立いたしまして、今後そういった共済制度の不安のないようにということを、これは交付税の面と、さらに国の補助の面と両面から相当画期的な刷新をやったつもりでございます。従いまして、今御指摘の中心である施設に対する補助というものは、まだまだ不十分でございまして、この点につきましては今後基本法の制定に伴う付属法律の制定、そういったものとにらみ合わせまして、でき得る限りの善処をいたしていきたいと思っております。
  11. 上林山榮吉

    上林分科員 消防の機械等の整備、ことにポンプ等の整備に対しては、ざらに積極的に力を入れる、こういうことでありますから、私はその言葉が数字の上にもっと現われるように期待をしておきたいと思います。次にお尋ねいたしたいことは、今大臣もお答えになった通り、確かに消防団員の待遇の問題に対して従来よりも一歩前進したという気が私もいたします。しかし、これとてもまだまだ不十分であることも御承知のことだろうと思いますが、そういう意味から消防団員等の公務災害補償責任共済基金の本年度増額、これもけっこうなことです。同時に賞恤金制度を作って公務のために死亡したり、大けがをした場合に、警察官と同様の待遇をするようになったことも、私どもこれを主張してきた一人といたしまして、政府とともに喜ぶものでありますけれども、こういう程度のものでは、あなた方は地方の実情に合わぬのだということを再認識してもらわなければなりません。地方では、これは市街地にいたしましてもその通りでございますが、町村にいたしましてもその通りであるというのは、これは若い青年がいないのですよ。またおっても家業が非常に忙しくて、自分の家業のために追われて、もう消防団員を募るのに困るところがあるのです。そうでないところも実はあるわけですが、私よく知っておるので、そう言うわけですが、それが多いのです。だからこれをどうするかという問題、これはあなたは今、行政的に御答弁になればあなたの言う通りなんだ、大臣の言う通り間違いないんだ。市町村が主にやっておる問題でございますから、所管は私のところではあるけれども、思うようにできぬということなんだ、これは行政的な大臣の答弁としてはあたりまえのことだ。ところがそのあたりまえの答弁では、大臣だめなんですよ。もっと実情に合った対策というものを講じなければだめだということです。消防団員を募集しましてもいないのですよ。だんだん減っていくのだ。だんだん年上だけが団員として残っていく。年上は長くおると、それはいわゆる消防の褒賞の記章をもらったり、あるいは長くおって退職すれば、今度銀杯ですか、これもほんとうは金杯にしなさいよ。銀杯などとけちなことを言わぬで、こういうものも金杯に私はしなければならないと思うのだが、こういうものも一つやったり、そういってやめていく場合に表彰することはけっこうですよ。もっと僕はやれというわけなんだけれども、そういう人は表彰を受けるから、長くやったからまあ一つという気になる人もおるわけですけれども、若い人や中堅層の人は永年退職にはならぬでしょう。その日その日が多忙であり、その日その日が生活に非常に追われている人も多いわけなんです。これをもう少し何とかしてやらなければならぬ。  そこで私はこれをどうするかという具体的な問題を聞きたいのだけれども、その前提として大臣からまず基本的な方針を聞きたいことの一点がある。それはなぜかというと、常備消防に町村までもするのかということだ。それとも、市街地は常備消防をやるとしても、市街地以外のところはこれはもうやむを得ないから当分は常備消防ではなくて、昔からの義勇消防の体裁のままでおくのか。こういうように私は考える。常備消防全国を、みんな市町村を一律にやるならば、ここに一つの新しい方針が立つのです。そうでないならば、これはいわゆる義勇消防と常備消防を混合した今の体制をそのままとっていかなければならぬが、その場合には具体的にどうすれば団員も集まり、いわゆる公に奉仕するという気持が起こるかどうかという問題です。ここは大事な問題です。一つ基本的な問題だから大臣からお答え願います。
  12. 安井謙

    安井国務大臣 この問題は、消防にとりまして非常に基本的な問題だと思います。消防のあり方につきまして、今御指摘の上林委員の常備制にするか、あるいは団員制度にするかということは、これは非常に基本的な問題だと存じますが、長い歴史を持った消防でございまして、この団員制を全部一挙に切りかえるということは、私はまだ今日の実態から非常に困難だと思います。しかし、なし得る部分につきましては、やはり常備消防を拡充していきますと同時に、今日の団員制度の者につきましては出動手当とかその他の面につきましても、待遇等についてもでき得る限りのことを考えながら、今の団員制度もできるだけ十分に拡充をしていきたい。やはり一言に申しますれば両建でいくのが現状に一番適した方法じゃなかろうか、こういうふうに考えております。
  13. 上林山榮吉

    上林分科員 大臣は、これは消防庁がやっと去年でしたか自治省に来たから、大臣として消防の経験がない。経験がないから、そういうような御答弁になるのです。(「おらぬのですよ。」と呼ぶ者あり)これは実際にここから建設的なヤジが起こっておるようだが、実際にいないのですよ。それを団の幹部が一軒々々回って、ぜひ一つあなた恐縮だけれども団員になってくれませんかと言って、それこそ三顧の礼をもって消防団員を募って歩くけれども、その供給源がない。かりにわずかおっても、そういうものには家庭の事情上、あるいは勤めの関係上、なかなか応じられません、こう言って断わられておるというのが実情なんですよ。それではやはりできるだけ方針は常備消防に切りかえるのだ、ただその切りかえ方は一年間ではいかぬから、五年間なら五年間でこれを切りかえていくんだ、こういうふうにやっていくようにするか。今あなたが言うように両建でいくとするならば、どの程度の待遇改善をやるのですか。ただ、あなたが今何か出動手当とか、それを少し増してやったらいいだろうという程度のことを言っておられるようですが、そういうもので今は間に合うのかというのだ。全国火災の起こり方はどうですか。これは異常乾燥の関係もありますよ。あるいは市街地は交通困難の関係もありましょう。しかし地方の市町村に多いのはどういうわけだ。みんな畑の中に行って働いているのですよ。遠い山奥に行って働いておる。それが警鐘を聞いて三十分も一時間もあるところから帰ってくる。帰ってきてからポンプを持っていく。間に合いますか、間に合わないですよ。もう少し一皮むいて——大臣にこんな程度の答弁をさすということは、事務当局が悪いんだけれども、もう少し地方の実情というものを一皮むいてやらないと、火事が多いからもっと消防団員はしっかりやれ、市町村長はもっとしっかりやれ、こう言ってみたって、これは非常に無理なんです。だから今ここではっきり答弁ができなければ、今私は自分としては建設的な質問を申し上げておるつもりですから、だからそういうような意味でもっと研究して一つお答えなさい。
  14. 安井謙

    安井国務大臣 ただいま御指摘の消防組織につきましての御意見は、私どももかねがね考えなければならぬ問題だとは思っておりますが、今のところ結論を得ておらぬというのが実情でございまして、今御示唆のありました点につきましては、十分実態も調査いたしまして、今後早急に検討いたしたい、こう思っております。
  15. 上林山榮吉

    上林分科員 今大臣が非常に御理解のある答弁をされましたから、これ以上申し上げませんが、市町村の経済の悪いところは何らかの形によって財源を与えていく、その財源によってできるだけ常備消防に切りかえていく、その速度を早める、これは二年や三年で全部はできませんよ。よく承知しております。だからできないけれども、そういう方針だけは、太く大きな方針だけはきめておかれて、そうしてできるところから、ちょっとできないくらいのところは国が加勢をしてこれを早めていく、こういうふうにしなければいかぬのです。  しかし私は、義勇消防精神というものは大事な消防精神だと思う。ただ、それをやっていくためには、たとえば出動手当に限らず、かねてから最低限度の保障でもしておけばいい。月にそれは何千円でもいい、わずかでもいい。そういうふうにしておいて、出たときにはこうするぞというくらいの義勇消防を一部残すならば、やはりそれはそれとして活動ができるような態勢というものを整えておかなければならぬのじゃないか。そうしないと消防の十全を期するということは、私は不可能であろう、こういうふうに考えるのです。これは常備消防にするか、二本立をこのままにしておくかということは、将来の日本消防をどこに持っていくかという問題につながるわけです。これは国家としては一つの方針を持っていくべきだ。そうすると、わずかの人間で近代的な大小の機械を使って、これはどこもかしこも同じポンプでなくていいのです。大きいものを使わなければならぬところ、あるいは農村においてはジープ式のポンプ、そうしたものを強化してやっていく、こういうふうにしていけば、能率が上がった上に火事の予防あるいは火事の消火というものが効果的に上がるんですよ。そうすると総体的には経済にもなる、こういうことになってくるわけですから、その段階において非常に困難な御事情もあろうと私は思いますが、そういうふうに進めていってもらいたい。消防の問題はこの程度にいたしておきたいと思います。  その次にお尋ねしておきたいことは、住所表示制度整備を促進するために一千八百余万円を計上しておるということでございます。これはもう世界の一流の国では、タクシーの運転手に、何々通りの何番地と言えば、もうその門の前、玄関口までタクシーが連れていってくれます。それに比べて日本においては、東京、大阪を初めそういうことが十分でない。あるいは郵便配達をするにしても、誤配があるし能率が上がらない。いろいろと不便があるために政府はこの方針を確立されたわけでありますが、わずか一千八百万円の自治省予算で、第一年度はどういうことをやろうとしておるのですか。あるいは第二年度になったらどういうことをさらにやろうとするのか、この考えをもう少し具体的にお示し願いたい。もちろんこれは審議会にかけるわけでありますけれども審議会にかけるにつきましても、一つの試案というものがなければならぬはずだと思うのですが、この点をお示し願いたい。
  16. 安井謙

    安井国務大臣 詳しい内容につきましては、あるいは局長からも御説明申し上げるかと存じますが、この住所表示制度につきましては早急に解決を迫られておると思いまして、この審議会の答申も一応結論が出ましたので、三十七年度から本格的にこの実際の改正を実施に移す段階になっておると思うのであります。ただ何と申しましても、住民がまだ十分なじんでおらぬ仕事でございますので、三十七年度につきましては、まずこの模範的な部落を設置いたしまして、こういうことになれば非常に便利だという模範を示す、モデルを示すという形でやりますために、金額が非常に少なうございますが、五カ年計画の間でこれは全部必要な個所について完成をいたしたい、こういうふうに考えております。
  17. 上林山榮吉

    上林分科員 五カ年計画で第一年度千八百万円でやる、第一年度の分はモデル地区を作る、こうおっしゃるわけですが、それは東京あるいは大阪というような大都市、そういうところに重点があるのか、それとも地方の町村までもそういうモデル地区を作ってやろうとするのか、その重点を一体どこに置かれるつもりですか。
  18. 安井謙

    安井国務大臣 とりあえずの重点として三十七年度にかかるのは、大都市を中心にやる予定になっております。五カ年計画では全体で必要な日本じゅうの都市を対象としておるわけであります。
  19. 上林山榮吉

    上林分科員 そうすると、第一年度は今おっしゃるように東京とか大阪に限るが、第二年度からは五カ年の間に全国の市制をしいたところだけやる、町村は除外するのだ、こういうことでございますか。  それから、ついででありますから、その五カ年間に全国の市は、市制をしいておるところは、一市残らず五カ年間にやろうとするのか。一市というのは、一市が一〇〇%であれば、その一〇〇%全部やろうとするのかという意味です。これは非常に大事な問題です。これはただ地番を変更するということだけじゃない、非常に意味の深いものを含んでおるので、私がお尋ねしておくわけです。
  20. 安井謙

    安井国務大臣 行政局長から具体的なことについて説明いたさせます。
  21. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 御質問の点にお答えいたします。  五カ年計画で市街地の住居表示に関する制度を整備いたしたいということは、ただいま大臣がお答え申し上げた通りでございます。明年度はこの新しい住居表示をモデル地区を作りまして実験をいたして、そこで予算は各府県一カ所ずつということでついておりますが、施行いたします重点は、町名地番が混乱をいたしておりまして、この新しい制度をやる必要性の高いところ、大都市に比較的重点を置きながらやってみたい。しかし大都市だけではございませんで、地方の中都市等も、若干は地区に選んで参りたいと思っております。五カ年の間に市町村まで全部やるのかというお尋ねでございますが、もともとこの制度は、町名地番が混乱をして日常生活等に不便を与えておるところを是正しようというところから起こった問題でございますので、いなかの町村まではいたす考えはございません。市でございましても、新市等で従来の町名地番がかなりよく整頓されておりまして、それを使用いたしましても別段不便もございませんようなところはしいてやるということは、考えておりません。
  22. 上林山榮吉

    上林分科員 せっかくいい構想で出発して、国民生活の上においても、あるいは行政事務を能率化する上においてもこの制度を採用されたはずと私は考えておりますので、この問題は、一応はそうしたような案も第一年度においては私はよかろうと思います。しかし、これはもう一皮むいて、第二年度からは再検討を加えて、もう少し徹底した案をこしらえておく方が、日本が近代国家と名乗るなら、どこのだれそれがどこを尋ねてみてもわからない、何町何番地を尋ねるのに三時間もかかった、こういうのでは非常に近代国家としての体裁が整わないわけだ。これは非常に簡単なようにお考えになってはいないと思いますけれども、これは一皮むけばむくほど重要な問題だ、こういうふうに考えますので、これを強調いたしまして、来年度以降の御計画一つ再検討をお願いしておきたいと思います。  時間の関係があるらしいので、最後に私は奄美群島復興開発の問題についてお尋ねをいたしますが、これは政府の特別なる理解によって非常におくれたる奄美群島復興計画のために多年にわたっていろいろ計画を進めてこられたわけで、これはそれなりに確かに大きないい結果をこの群島にもたらしたと私は思っております。その意味において私は多としておるものでありますけれども、三十八年度でこれを打ち切ろうとするわけですね。三十八年度で十カ年計画は終わるわけでしょう。あと二カ年なんだな。そうすると、計画の八八%ができ上がっておる。これには、総額国費を百二十一億円を投じて計画の八八%を実施する。これが私は一つの効果だと思いますが、あと二カ年で残されたる二房を完成するということが一つ。それだけでは、日本本土のこの状態の経済と、奄美群島の経済のおくれ——三十八年度で一応打ち切った場合、この格差というものがこんなに出てくるのですよ。この格差をどの程度に見ておられるか。あと二年後、本土も二年進みますね、こちらも二年で完成した、この復興計画の格差を、国民の総所得でもいいし何でもいいですが、基準になるものによってお示し願いたい。
  23. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 お話の点につきましては、私どももいろいろ資料を調査いたしておりまして、奄美群島復興審議会の方にも御研究を御依頼いたしておりますが、本土の方との所得の格差を現状でどのくらいに見るかという点につきましては、一応試算をいたしたものもございますが、ただいま手元に持ち合わせておりませんので、後刻御提出させていただきたいと思います。
  24. 上林山榮吉

    上林分科員 数字のはっきりしたことは後刻でけっこうですが、どうですか、相当開きがあるとお考えですか。
  25. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 相当開きがあると考えております。
  26. 上林山榮吉

    上林分科員 自治省奄美群島の実態を非常に御理解になっておられるようであります。私は、その意味で将来の問題をここでさらに申し上げておきたいのでございますが、これは相当どころじゃないのですね。鹿児島県自体が、所得にして東京都の半分なんですよ。三分の一なんですよ。そのまた鹿児島と比べてみて奄美群島がより低いということも御承知でしょう。だから、私は遠慮して相当と言ったけれども、これは非常に格差があるわけなんです。だからこの問題は、十年計画をあるいはまたあと五年延長するとか、第二次五カ年計画あるいは第二次十カ年計画というようなものを立てて、せっかく最初の効果を上げたのを犠牲にしないようにして、経済効果その他を引き上げていかなければならぬ。私はその意味で、もちろん三十九年以降も当局は何らかの五カ年計画なり十カ年計画を立てなければならぬと思うがどうかということと、さらに、奄美群島復興開発融資基金の出資金を今年も六千万円ふやしておる。総額で三億二千万円になるわけです。今の基金は二億六千万円あるでしょう、これに六千万円ふやすのだが、その程度のいわゆる基金というものでどうだろう、こういうところにも一つ——私は、場合によれば大蔵省に来てもらおうと思っておるのですが、そういうような意味一つこの問題についても再検討をお願いしておきたい。これはどちらかといえば質問というより要望でございますが、申し上げて、御答弁を願います。
  27. 安井謙

    安井国務大臣 奄美群島復興につきまして、三十八年度以降の問題につきましても、今お説のような点は十分に考慮いたしまして、計画も検討を進めていきたいと考えます。
  28. 上林山榮吉

    上林分科員 私の今の要望的質問ですが、そういうものを含んで今後もやっていこうという意味は、三十八年で打ち切りになるのです。だから、これが間隙がないように、継続して五カ年計画なり十カ年計画を立てようと思うのだという意味ですか。何らか一つお茶を濁す程度にやろうというお考えですか。
  29. 安井謙

    安井国務大臣 今御指摘の点は十分考慮いたしまして、今後どういう計画を立てるか、検討を進めたいと思っております。
  30. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 安井吉典君。
  31. 安井吉典

    安井分科員 きょう時間が制約されておりますので、私はもっぱら地方財政の問題についてお尋ねをしたいと思いますが、大臣も御出席でございますので、それに先だちまして、今問題になっております公職選挙法の改正の問題につきまして、若干お尋ねをいたしたいと思います。  公職選挙法の改正につきましては、選挙制度調査会の答申があり、政府は、これを基礎に公選法改正の作業を今進められつつあるわけでありますが、現在どのような段階まで来ているか、一つお聞かせをいただきたいと思います。ことに答申案より政府案が次第に後退を続けつつあると聞くわけでありますが、いかがでしょうか。
  32. 安井謙

    安井国務大臣 公職選挙法の改正につきましては、御承知通り、昨年末に答申が出まして、政府はこれを尊重しなければならぬという建前になっております。従いまして、政府といたしましても、これを十分に尊重いたし、さらにその成案を現在急いでおるわけでございます。
  33. 安井吉典

    安井分科員 大臣もお急ぎでございますので、きょう時間が十分ありませんが、しかし、私どもの聞くところによりますと、答申の中で最も重要なポイントをことごとくはずして案を作りつつあるというふうな報道が行なわれております。ことに自治省は、その後退した自治省原案を持って自民党内の各派閥の会合を回り、それぞれの意見を聞いて回っているというふうに伝えられておりますが、それは事実ですか。
  34. 安井謙

    安井国務大臣 自治省といたしましては、一応の素案を持ちまして党内のそれぞれ政策研究グループの意見を伺っておることは、事実でございますが、これはやはり答申の案を尊重して政府案を作るという精神には、全然変わりはないわけでございます。しかし、同時に、各方面のそういった意見を聞いておくことも必要と思いまして、そういうこともいたしておったわけでありますが、今御指摘のように、重要なポイントをはずしてやるといったようなことは、これはやらぬつもりでおります。
  35. 安井吉典

    安井分科員 今のお答えの中でも、党内の各研究グループを回ってというふうにお話がございましたが、それを俗に新聞の言う派閥の会合だというふうに私ども理解せざるを得ないわけでありますが、しかし、そうなりますと、三権分立の立場にある政府が、みずからの憲法上の立場を捨てて与党に頭を下げ、ことに党内の派閥の中にまで行政機関が入り込んで説明をするというようなことは、これはおそらく前代未聞だと思うのでありますが、その点は、安井自治大臣、どうお考えになりますか。
  36. 安井謙

    安井国務大臣 御承知のように、政党政治の内閣でございます。従いまして、与党の各方面の意見がどういうところにあるかということを、法案を成立させます上に、一応事前にいろいろ伺っておくとか、検討しておくということは、これは当然必要なことだろうと思います。その上で、政府は独自な判断のもとに法律案を作成したい、こう考えております。
  37. 安井吉典

    安井分科員 与党の方といろいろ相談されることはわかりますけれども、派閥の会合にまで入り込むということになりますと、どうも私ども理解しかねるわけであります。  そこで、自治省案が与党の了解を得て国会を通過するのが困難であるというふうな見通しから、参議院の自民党で、今度の参議院選挙を目標に公選法の改正の作業が進みつつあるということも聞くわけでありますが、その点はいかがですか。
  38. 安井謙

    安井国務大臣 参議院の方の改正の問題につきましては、かねて臨時国会でも提案がされたようでございます。ただ、今度は根本的な選挙法の改正というものが出るのでありますから、現在参議院で出そうとしております要綱は、おおむねこれは入っていると思います。ただ、時間的な関係で、参議院の選挙は目睫に迫っているといったようなことで、参議院自体が何らか顧慮されているのかもしれませんが、私どもは、もっぱらこの公職選挙法中心に問題の解決をはかっていきたい、こういうふうに考えております。
  39. 安井吉典

    安井分科員 その参議院の自民党案なるものがもし出てくるといたしますと、調査会の答申による自治省案というものが、全く今の段階では頭を押えられてしまう、そうして今国会の成立が危うくなるということも考えられます。だから、参議院から出てくるような案を優先的に取り扱おうという考え方は、選挙制度調査会の答申を完全に抹殺しようとする陰謀ではないかとも考えられるわけですが、その点はいかがでしょうか。
  40. 安井謙

    安井国務大臣 私は、決してそう考えておりません。参議院側からの申し入れにいたしましても、第一義的にこの公職選挙法を解決してもらうという原則については、異論はないと心得ております。ただ、時間的に、たとえば国会の終了間近にまで問題が延びるというようなことになります場合に、その当面の参議院の選挙の措置をどうするかということについて、若干の用意といいますか、顧慮を参議院側でされているものと思いますが、まだ私どもへは正式にそういった参議院の提案になる選挙法というものの提出の申し出は受けておりませんし、またそういう話し合いもいたしておりません。
  41. 安井吉典

    安井分科員 時間が限られておりますので、この問題についての質問は終わりますが、今度の選挙制度調査会の答申の中には、私ども社会党としては、なお問題点があると考えております。しかし、今日の公職選挙法の欠点を補おうとする意図があり、しかも、選挙を正しく清潔なものにしようとする国民の気持も、相当程度表われているとわれわれは認めまして、これをそのまま政府案として提案するならば、私ども支持しようとする態度もきめておりますだけに、現在、自治省、与党が進めつつある作業には、多くの疑問を感ずるわけであります。不明朗な現在の動きを一切やめて、心をむなしゅうして、さきの答申案をもとにした案を出すことを、一つこの機会に自治大臣に強く要望しておきます。  次に、地方財政に関する問題につきまして、たくさんお尋ねしたいことがあるわけでありますが、その中でも、補助の単価の問題や、あるいはまた国と地方との財政区分の問題等につきまして、集中的にお尋ねをいたしたいと思います。  まず、文部省の方にお伺いいたしたいわけでありますが、今度昭和三十七年度から五年制の高等専門学校の発足があるわけでありますが、この敷地等の経費が、地元の都道府県やあるいは市町村の負担にするような形で話を進めているというような話を聞くわけでありますが、その点いかがですか。
  42. 犬丸直

    ○犬丸説明員 国立高等専門学校につきましては、各地におきまして、こういう制度を国で作るということについて御期待が高く上がって参りまして、予算を要求いたします段階におきましても、非常に力強く、ぜひ私の方に作ってくれというようなお話がございました、従来、こういう国立の施設を作ります場合に、いろいろ地元でも応分の努力をするからぜひ作ってほしいというようなお話は、常にあるわけでございますが、今度の場合におきましても、土地のみならず、その他につきましても、できるだけのことはしたいから、ぜひ国立の高等専門学校を作ってくれないかというお話がございました。ただ、私どもといたしましては、これは国の施策としてやるものでございますから、できるだけの面は国で措置したいということで、施設設備につきましては、これは一切やりますというお話を申し上げております。ただ、敷地の問題につきましては、その場所その場所によっていろいろ事情も異なりますし、地価その他につきましても、予算的にもむずかしい問題がございますので、非常に強い御要望でございますので、敷地についてはあるいは地元の御援助を願うかもしれぬ、こういうような線で話を進めて参りました。その後予算の段階におきましても、部内でもいろいろ検討いたしたわけでございますが、従来のこういう種類の学校を作りました経緯等に照らしましても、一応土地は地元の御提供に待とうということで、実は最後の段階におきましていろいろ検討したのでございますが、予算には要求いたしませんで参ったわけでございます。
  43. 安井吉典

    安井分科員 文部省の方では、地方財政法規定や、あるいはまた地方財政再建措置法の国と地方との財政負担の区分の問題につきまして、御承知でしょう。
  44. 犬丸直

    ○犬丸説明員 ただいまお話しの地方財政再建措置法においても、規定がございまして、自治体からそういう寄付を受けるというようなことはいけないという点については、承知しております。
  45. 安井吉典

    安井分科員 いけないというのにおやりになっているわけですね。先ほどいろいろ理由をおっしゃったけれども、どうもそれだけで、この法律の趣旨をくつがえして、どうしても負担をさせなくてはいけないというふうな理由には、私どもどうしてもとれないわけです。自治省財政局長、その点いかがですか。
  46. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 国の施設の設置にあたりまして、地元の地方団体がいろいろな面において積極的に協力をしていく、これは当然のことだと思っておるのでございます。土地の買収にあたりましても、積極的に地元の人たちを納得させましてお世話をしていくということは、当然のことだと考えておるわけでございますけれども、実質的な負担の問題になって参りますと、今御指摘になりましたように、地方財政法とか地方財政再建促進特別措置法にはっきりした明文の規定を置いているわけでございますので、その精神にのっとって、どの省におきましてもそれぞれの仕事を進めていただくように、私たちとしてはお願いをいたし続けて参ってきておるわけでございます。今御指摘の問題につきましても、同様の考え方を持っておるわけでございます。形さえ法律に違反していなければいいのだということでなしに、私たちは、法律の精神にのっとって、それぞれの省が御措置いただくことを期待しておるわけでございます。
  47. 安井吉典

    安井分科員 ところが、現実にされていないわけですね。自治省の方で幾ら期待されていても、肝心の文部省の方では、そういうような意図を実際の行政にちっとも現わそうとなさらない。  地方公共団体が、国の土地を借りたり、あるいは国の土地の上に自分の建物を建てたりした場合は、どうなんですか。
  48. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 国の土地を借ります場合には、原則としては有償になっておるわけでございます。もとより例外的に、相互に無償で使用し合うという場合もございますけれども、原則として有償でございますし、買う場合にも時価で買い受けるというような姿になっておるわけでございます。  今回の工業高等専門学校の問題につきましても、大蔵省の側から一部については国有地を用意しておるというふうに文部省が言っておられるという話も伺っておるわけでございまして、そうなりますと、自余の問題につきましては、国有地と地方団体の持っておる土地の交換というような姿があり得るのではないかという話をしたことがございます。
  49. 安井吉典

    安井分科員 今財政局長が御答弁されましたようなケースも、お考えになっているわけですか。
  50. 犬丸直

    ○犬丸説明員 十二校の中で、国有地を利用できるのは、二校ばかりございます。しかし、それがすべてではありませんので、なおいろいろ検討しまして、地方財政再建促進特別措置法の趣旨に反しないようにという方途を今検討中でございます。
  51. 安井吉典

    安井分科員 文部省は、大体従来から国立の大学その他の学校を作る場合に、敷地はほとんど地元提供という形でやってこられている。そういう慣行もあるという話を聞くわけでありますが、その通りですか。
  52. 犬丸直

    ○犬丸説明員 今まで国立大学等を増設する場合におきましては、実際土地元にいろいろお願いした例が多うございます。もちろん、地元といいましても、いろいろの関係があるわけでありますが、地方のそれぞれ熱心な御要望が自然に盛り上がって参りますので、やはりこれはそういったものも受け入れる方が、学校そのものを充実させるのによりよいということで、もちろん予算上はできるだけの努力はするわけでありますが、これにも限度がありますので、それとあわせまして作っていくというのが、従来の例でございます。
  53. 安井吉典

    安井分科員 市町村側には、例の誘致運動というものがあります。とにかく隣の村でもその隣の村でもなく、自分の町に必ず作ってもらいたいという、そういうような例の誘致運動というシステムがあります。それだけに市町村の側は、非常な弱みがあると思います。あるいは都道府県である場合もあるでしょう。その弱みに国がつけ込んでやるというようなことは、許せないことだと思うのであります。こういうようなものは、地方財政への大きな負担になっていると思います。単にそれだけ取り上げれば問題はないかもしれませんが、しかし、そこに大きな負担があれば、地方公共団体が本来やるべき福祉行政と申しますか、そういうようなものの金がそっちへ行ってしまうわけでありますから、本来の仕事がおろそかになってしまうわけです。こういう法律規定がありながら、国自体が頭から破ってしまうというようなことであっては、地方財政法だとか、再建措置法とか、そういうものがまるでほごだと思うわけです。国がやることはいたし方ないというようなことで逃げていて、地方公共団体がそれに違反する行為があったら、それを頭からどなりつけてやめさせようとする、あるいはこれにはこういう罰則があるのだと適用しようとする、そういうような態度では、これはもういつまでたったって国と地方との間の財政区分の明確化というものは、絵にかいたもちみたいなもので、そういうような地方財政法ならやめてしまった方がいいとさえ、私ども言いたくなるぐらいであります。今度の高専の問題は新しいケースでありますが、敷地の問題だけじゃなしに、寄宿舎を建てろだとか、それから教員住宅だとか、そういうような負担が、非常に大きく市町村の上にかぶさっているというふうな事実を私ども聞くわけでありますが、その点どうでしょうか。とにかく一、二の市町村の話を聞きましても、新年度予算の中に、一億以上の金を乏しい財政の中からこの高専のために計上しなくてはいけない、そういうようなケースもあると聞くわけです。いかがですか。
  54. 犬丸直

    ○犬丸説明員 高専のいわゆる誘致のなされております過程におきまして、土地のみならず、いろいろな面につきましても、応分の援助をするからぜひという話がございました。これは私どもの接しました感じでは、必ずしも無理をしてと申しますか、われわれにしいられてやったということではございませんで、私どもの言い出す前に、むしろ積極的にお申し出がございまして、大蔵省予算も限度があるかもしれないから、幾らでもやるから一つというような話がございました。もちろん、これはお話しのような、ぜひほしいというお気持の上から、あるいは実際の負担能力以上におっしゃったという面もあったかとも思いますが、そういう点を勘案いたしましても、必ずしも無理に泣き泣き提供をするというような様子ではなかったと承知しております。それにいたしましても、先ほど申し上げましたが、これは国の施設でございますから、できるだけそういう負担は少なくしたいというつもりで、施設設備につきましては、これだけのものをそろえてほしいというようなことは申し上げておりません。建物につきましても、必要な全部につきまして予算措置をしておりますし、寄宿舎につきましても、同様に措置するつもりでおります。ただ、地元といたしましては、むしろ国でやる最低限度以上のものに、よりよくしたいというお気持から、その他の付帯的なものを出そうというお気持があるようでございます。そういうような状況でございます。
  55. 安井吉典

    安井分科員 余裕があるから負担してもいいとか、余裕がないから負担できないとか、そういう筋合いのものじゃないはずです。地方財政法の中では、はっきりそれは書いてあるわけですよ。力があってもなくても、とにかく国と地方との間の財政負担区分をはっきりしなければいけない、こういう趣旨で書かれているわけです。たとい余裕があるから出しましょうと言ったって、それは違法なわけなんです。そういうお気持でこれからもやられるとするならば、一つ地方財政法をもう一度読み返していただかなければならないと思う。今進みつつある問題ですから、まだ地方の事情はよくおわかりにならないかと思うわけでありますが、ぜひこの際再検討していただかなければならないと私は思うのです。こういうような姿でやれば、いつまでたったって地方公共団体と国とが妙な形で財政的に混乱し合って、問題は少しも解決できない、そういうふうに思うわけです。これはもうこの場だけで済んだということではなしに、一つ私もまた、さらにその後の進捗状況に従いまして十分にお聞きもしたいし、それから自治省は、そういうような問題を、地方財政法を守るという立場から十分に監視をし、措置すべき役割にあると思うわけでありますが、その点、この高専の問題のみならず、今後の問題に対してどういう態度で処置されるおつもりか。その点一つお伺いいたします。
  56. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 民主的な財政運営という見地から、地方財政法その他の規定ができ上がっていると考えているわけでございまして、そういう方向に向かって各省がそれぞれ措置をしていただくということを、深く期待いたしておるわけでございます。工業高等専門学校の問題につきましては、この問題の当初から大へん心配をいたしておった問題でございまして、予算編成以前から、文部省のみならず、大蔵省にも申し入れをいたしておりまして、私は大蔵省の方に原因があるのではないかという心配をいたしておったものでございますから、単に文書で申し入れをするばかりじゃなしに、主計局の担当者個別にこの話をいたしておりまして、その際に、大蔵省側としては、別にそれについては土地を国が出さないというような気持は、毛頭持っていないようでございます。従いまして、私は、必ずや文部省から予算要求をしていただけるものだ、こういう期待をいたしておったものでございますが、予算ができ上がって後に、さらにこのことについて大蔵省側に問いただしましたところが、先ほど申しましたように、予算の要求はなかった。しかし、文部省としては、国有地を、私は四校だと聞いたのでございますけれども、四校についてはあるのだという話である、こういうことでございましたので、自余の校地については、それでは交換でも考えていただかなければ法律違反になるぞというような話をしておったわけでございまして、文部省側からは、文部大臣が参議院の文教委員会におきまして、法律的に疑義のある問題だから、予算までには十分検討したいということをお答えになったのを、私も同席の上で拝聴したことがございました。しかし、その後、何ら文部省側からはこの問題についての御返事をいただいていなかったわけでございまして、従いまして、今後も文部省側におきまして、違法の措置にならないように、十分御苦心いただくものだということを、私たちとしては深く期待をいたしておるわけでございます。そういう方向に、私たちとしては今後も努力をしていきたいという気持でおるわけであります。
  57. 安井吉典

    安井分科員 次に、高校の関係でありますが、高校の建設事業につきましても、いわゆる高校急増対策として政府部内で対策が講ぜられているように聞くわけでありますが、都道府県の本来の仕事であるこの仕事が、やはり市町村に負担がかぶさってくるというおそれが十分にあるわけであります。そういうようなものに対しまして、どういうふうな御措置をされるか、それを一つお伺いいたします。
  58. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 府県立の施設につきまして、地元の市町村に負担をさせるということは、できるだけ避けていかなければならない、かような考え方を持っておるわけでございます。高校生徒急増対策とあわせまして、高校の新増設の問題が起こっておるわけでございます。その際に、従来の経緯でありますと、土地は地元に出させるというような問題になりがちでございますので、三十六年度におきましては、土地について、地方債計画の外で二十三億円程度の地方債を認めたい、地元の市町村に負担をさせないで府県が自分で購入する場合には、その購入分について地方債を認めますよ、こういうことを言って参りました。その結果、今申し上げますような地方債を予定いたしておるわけでございます。三十七年度におきましても、文部省の話では、高校の増設のための土地について五十九億円ぐらい必要であろう、こういうお話でございますので、それについては、四十億円程度の地方債を別途許可するようにしたい、こういうようなことを地方団体側に申しておるわけでございます。できる限り地元の市町村に負担をさせないように、私たちとしては助言をしていきたい、かように考えているわけであります。
  59. 安井吉典

    安井分科員 それに関連いたしまして、地方財政法の改正をなさるお考えとお聞きいたしました。いつごろそれは……。
  60. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 今申し上げましたような精神で、特に税外負担の整理というようなことを、地方財政計画の上におきましても、一つの項目を立てておるわけでございます。また、高校の措置については、今申し上げましたような措置をいたしたわけでございます。これらの精神が、十分地方団体に徹底するように助言をして参りたいと考えているわけでございます。この上に、さらに法律的に何らかの規定を設けるかどうかというようなことにつきましては、現在なお検討している最中でございます。よい知恵があればぜひ立法化したいというふうに思っているわけでございますが、なおいろいろの問題もございまして、検討している最中でございます。
  61. 安井吉典

    安井分科員 私は、どうもその点、自治省の当初の意気込みがだいぶ鈍り始めているんじゃないかという気がするわけです。地方財政法の改正はぜひやりたいということを、もう幾度も私ども伺っていたし、そういうことで、今回行なわれるに違いないと思われる高校急増のしわが市町村に寄ってくる、それをあくまで防ぐことができるんだ、防波堤にそれがなるんだということの期待を私どもしていたわけでありますが、今のお話を伺いますと、ぐっと後退をしてしまっている。こういうことでは、起きるべき事態に対する対策というようなものが一そう鈍ってしまって、あまりよくない事態が起きるのではないかというふうな予想をされるわけです。法案を出すか出さないか、その御決定は、いつごろなさるつもりですか。
  62. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 法案を出すにつきましては、国会の審議関係もございますので、そういう点からしぼられて参るだろう、こう思っているわけでございます。現在もなお、どういうような立法の方法があるだろうかということについて、苦慮いたしている最中でございます。よい考えがございますれば、むしろお教えをいただきたい、こういう気持でおるわけでございます。私たちとしては、今考えておりますような方向を徹底させたいという気持は、十二分に持っているわけでありまして、ただ、それをどのような形で現わすことが一番適当であるかということについては、いろいろ問題がございますので、そういうことをあわせて検討している最中でございます。
  63. 安井吉典

    安井分科員 今までも地方財政法の改正で、いろいろと住民への税外負担を禁じたり、あるいはまた地方団体間のそういう同じような問題を阻止したり、こういうふうな御意図が幾度もあり、実行に移されておるわけです。その点、今渋られているこの問題の一番の基礎は、財政措置の問題じゃないですか。その地方公共団体間のそういうような問題を禁ずるためには、相当多額の地方交付税措置をしなければ、都道府県もやれないわけです。そういうようなところに問題があるのではないかと思うわけでありますが、大体地方交付税に、税外負担の禁止だとか、その負担を軽減するとか、こういったようなための対策措置は、たしか百億円ぐらいと聞いているわけでありますが、少し額が少な過ぎるんじゃないですか。
  64. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 お話しのように、地方財政計画上計上いたしました額が、百億円でございます。一昨年は、たしか九十億円計上したように記憶いたしております。税外負担として調査いたしましたところでは、三十五年度の実績で三百数十億円に上っているようでございます。これを解消するため、全額を計上すれば直ちにこれらの問題が解決してしまうかというと、そういう筋合いのものではございませんので、やはり根気よく民主的な財政運営のあり方というものについて、指導して参らなければいけないというふうな気持を持っているわけでございます。そういう意味で、この際としては百億円をそのために計上するというような措置をとったわけでございます。  なお、高校生急増対策につきましては、計画を定めたわけでございますので、われわれとしてはこれでやっていけるという考えでおるわけでございますけれども、もとよりその計画の進行にあたりまして、なおいろいろ是正をすべき点が出て参りますれば、それを是正するにやぶさかではないつもりでおるわけでございます。この方の財源措置が十分できないから税外負担の禁止の立法化を渋っているというようなことは、全然ございません。十分な財源措置を講ずるように、今後とも私たちとしては努力をいたして参るつもりでございます。
  65. 安井吉典

    安井分科員 その点、ことしの場合はもっと深刻な事態が起きる見通しがあります。ことしだけでなしに、来年、再来年とかけて……。十分一つ御検討を願っておきます。  問題がたくさんあって、時間がなくなってしまいましたので、最後に財務会計制度の改正の問題につきまして、ちょっと伺って終わりたいと思います。  三十四年、自治省に設置されました地方財務会計制度調査会の小委員会案ですか、そういうようなものが発表されているわけでありますが、この正式答申はいつごろ行なわれ、これに基づいて、政府はどういうふうな措置をいつごろおとりになるおつもりか。その点を伺います。
  66. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 この調査会の設置期限は本年度末までになっておりますので、本年度末までには答申をいただけるものと期待をいたしております。答申をいただきましたならば、自治省中心といたしまして関係省とも答申の内容を研究をさせていただきまして、次回の通常国会に所要の改正法案を提出して御審議をいただく、こういうような一応の予定を考えております。
  67. 安井吉典

    安井分科員 現在の地方の財務会計制度は、国の会計制度あるいは財務制度に関連いたしまして、いろいろ問題があると思うわけです。一方、地方のものだけはそのようにされながら、国の会計制度の問題につきましては、その問題をどうしようというような真剣な取り組みの気配が見られないように思うわけですが、その点どうも片手落ちで、むしろ国の方から先に直して、それから地方へというのが筋道のような気がするわけです。その点はどうお考えですか。
  68. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 御指摘のように、地方だけでは解決でき得ない問題も、少なからずあるように存じております。たとえば会計年度などの問題につきましてはそうかと思いますが、また、地方だけでも検討をしてしかるべき問題も相当あるわけでございまして、現在は、一応国との関係のことにそうこだわらずに御検討を願っておりますが、最後の答申の段階には、あるいは国との関連で、関連する事項につきましては、関連する事項として書き分けて御答申をいただけるかと思いますが、いずれも現在の委員会で御検討を願っておるところであります。
  69. 安井吉典

    安井分科員 たとえば複式簿記の問題などを取り入れようという動きもあるわけですが、国の方は昔からの大福帳式で、地方公共団体だけが複式簿記を採用するというようなことも、どうも何か常識的じゃない。何かちぐはぐさがそこにあるような気がするわけです。だから、私は、地方団体の問題を処理されるのならば、同時に、あるいはそれに先行して、国の会計法の改正なり、そのようなものが運ばれるのが建前じゃないかと思うのです。そういうようなことをいろいろ検討されているのは、私は確かによいことだと思うわけでありますが、一つ国の方へも働きかけていただかなければいけない問題だと思います。その点申し上げておくわけでありますが、特に暦年制を国の方にさせるという問題ですね。これも自治省に付属しているというふうな機関の方だけでおきめになったのでは、これは実効がないので、やはり国の方の立場として積極的にこの問題と取っ組むという気がまえがなければならないと思うわけです。私も、その暦年制に国の制度をしろという前からの主張をしていた者の一人でありますが、ぜひそういうふうな立場をお作りにならないと、問題の解決にはならないと思うわけです。その点一つ要望をしておきます。  それからなお、地方団体の議会の方から、この問題についていろいろ私どもの方に意見書が送られてきております。たとえば公聴会の制度を廃止しようというものには反対だとか、あるいはまた、重要財産の取得や、重要契約の締結について、議会の議決を不要とするというようなことに対しても反対だ、あるいは監査委員の選任についても、議員からの選任をやめようという動きには、これも反対だ、こういうような意見書が私どもの方にも送られてきているわけでありますが、この点について、どういうふうにお考えになりますか。
  70. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 仰せのように、地方団体側からの御意見も調査会の方にもお聞き取りを願っておりますし、これまで発表されましたのは小委員会の試案でございますので、現在さらに各方面の御意見を拝聴しながら、最終的な調査会の案を御検討になっておられますので、御要望のような点の中で、またかなり最終案には取り込まれるものもあろうかと思います。
  71. 安井吉典

    安井分科員 それからもう一つ地方公共団体の公金取り扱いのいわゆる金庫制度、これについて、本金庫は普通銀行に限るというふうな規定があることも、各方面の反響を呼んでいるように聞いております。都道府県の段階はいざ知らず、僻遠の町村などにいきますと、銀行などがそこにあるわけはないので、農業協同組合だとかあるいはまた信用金庫だとか、そういうふうな金融機関に金庫を委託しているというふうな例が非常に多いわけです。だから今度の銀行だけに限ろうという考え方は、何かわざわざ金融独占資本を農村の中にまで導き入れようという考え方なのか、あるいはまた地方の農村の実情をよくお知りにならないための意見なのか、そういうようなことを、私どももざっと読んだだけでありますけれども、そのような気がするわけです。その点いかがですか。
  72. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 御指摘の点も、調査会の方にも十分関係者から御意見を伺っていただく機会を先般設けたわけでございますし、さらに調査会で十分お含みの上で御検討いただけるものと期待をいたしております。
  73. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 田口誠治君。
  74. 田口誠治

    田口(誠)分科員 私は時間もございませんので、公務員の待遇の関係を主としてお伺いをいたしたいと思います。  端的に申しますると、人事院の勧告があって、公務員の給与が決定をいたしますると、地方公務員はそれに準じて改定がなされるということに相なっておりますが、国家公務員と地方公務員の、私がお聞きしようとすることは主として賃金の関係ですが、この賃金のアンバランスが非常に多いということから、こういう点について自治省はどういうようなお考えを持っておられるか、まずこれをお聞きしたいと思います。
  75. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 国家公務員と地方公務員の賃金の関係につきましては、地方公務員法の中で、地方公務員の給与につきましても、国家公務員との権衡を考慮して定められるべきであるという原則的な規定もございまするので、私どもといたしましては、国家公務員に準じて地方公務員の給与が定められるべきものと期待をいたしておるわけでございます。
  76. 田口誠治

    田口(誠)分科員 せっかく待遇改善の関係を質問しかけましたけれども、局長さんの健康のかげんで、ちょっと選挙関係したことについてお伺いをいたしたいと思うのです。  それで、地方選挙が近づきますると、それぞれ選挙対策というのは公務員もやるわけなんです。それで、公務員が選挙運動のできないということは、もう私が申し上げるまでもなく禁止されておるわけなんです。ただし、これは家庭に帰って、そして家庭人としては、どういうような発言も自由でありますけれども、少なくとも公務に従事しておる以上、その公務の時間中の選挙運動というものは禁止されておりまするが、これが完全に守られておらないということなんです。それで、まずもってこの点に対する基本的な考え方を明確にしてもらいたいと思います。
  77. 松村清之

    ○松村政府委員 公務員は、国家公務員であると地方公務員であるを問わず、選挙活動をいたしますことは政治活動をやることになりますので、原則的に禁止されております。ただ、地方公務員につきましては、その公務員が勤務しておる地区以外においては許されておりますので、その点につきましては例外的な場合がございます。
  78. 田口誠治

    田口(誠)分科員 明確にしておきたいことは、公務に従事しておる時間と、それから公務員であっても、もう家庭に帰って家庭人となった場合と、おのずから相違があろうと思うわけなんですが、家庭人となった場合の行動についてのお考えをまずお伺いしたいと思います。
  79. 松村清之

    ○松村政府委員 この点は、けじめをつけるのが非常にむずかしいと思います。従いまして、やはり公務員としての地位にある者は、家庭に帰ろうが職場にあるを問わず、政治活動というものにつきましては、これを行なうべきでないことが至当だと思います。
  80. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そういたしますると、お役所に勤めておられる人は、どこであろうと一切選挙に関しては口ばしが出せないということになるわけなんですが、こういうように受け取ってよろしいのですか。
  81. 松村清之

    ○松村政府委員 これは、さきに申しましたように、地方公務員につきましては、その地区による問題がございます。勤務しておる地域以外においてはできます。  それからまた今お話しの、選挙活動、政治行為と申しましても、それぞれの態様によって判断いたさなければ、それがはたして法律に反するものかどうかはっきりいたしませんので、それはそのときの具体的な行動に照らして、これが法律で許されるかどうかという判断をつけなければならないと思います。
  82. 田口誠治

    田口(誠)分科員 公務員が労働組合を結成し、その団体の団体活動としてやる場合はどういうことになりますか。
  83. 松村清之

    ○松村政府委員 公務員が団体を結成するという意味が不明確なんでございますが……
  84. 田口誠治

    田口(誠)分科員 労働組合です。
  85. 松村清之

    ○松村政府委員 その労働組合ということでなくて、これを政治団体として所定の手続を経ておれば、その政治団体として活動する場合は一応法律の上から許されておると思います。
  86. 田口誠治

    田口(誠)分科員 政治団体の届け出をしておった場合の運動の規制というのは、どの程度なんですか。
  87. 松村清之

    ○松村政府委員 これは政治団体となっております上におきましては、政治資金規正法なり公職選挙法について一定の制限がございますが、大体普通の政治団体と同様の活動ができるはずです。
  88. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そこで、これは市町村長とか知事という場合にはちょっと変わってきますが、知事なり市町村長なりが盛んにこれを、岐阜県なんかではやっておるわけなんですが、たとえば一つの問題がありますると、まず陳情者をかき集めて、そこへ自動車で乗り込んでいく、それから陳情者から丁重にその陳情の要旨を聞いて、よし努力しましょうと言う。このすぐあとに後援会の結成という工合に移行しておるわけなんです。こういう点は自治省の方のお考えはどういうようなお考えを持っておられるか。
  89. 松村清之

    ○松村政府委員 後援会の結成につきましては、それをいつ結成するかという時期、たとえば選挙に非常に近づいておるような時期については、それが事前運動と思われる場合もありますけれども、普通の場合におきまして後援会を結成いたしますことは、何ら違法なものではございません。
  90. 田口誠治

    田口(誠)分科員 普通の場合は、これは私が聞くまでもないことで、私のお聞きしたのは、今実例をあげたわけなんです。橋をかけてくれ、それでは一つ県の方へ陳情をして、それから何月何日に知事さんが現地視察に来られる、村の人はみんな集まれ、こういうことですね。そうして村の人がここに橋をかけてもらいたいという陳情を強く訴えるわけなんです。そうして訴えたその場で、すぐ後援会の結成という音頭とりの人があって、後援会の結成に切りかえる。そして後援会を結成してもらって、知事なり市長なりがあいさつをするという、こういう行為が堂々となされておるわけなんです。私はこれはやはり知事にいたしましても、市町村長にいたしましても、あるまじき行為であろうと思いまするし、当然、公務員の長としての行為としてはやはり違反をする行為であろう、こういうように考えるわけなんですが、その点どういうようにお考えなんですか。今の実例について……。
  91. 松村清之

    ○松村政府委員 ただいまの実例も、いろいろ具体的に検討いたさなければ、正確なる判断は下しがたいと思いまするが、先ほど申しましたように、それが選挙に接近していないような時期であると仮定いたしますならば、妥当でないとは言えるかもしれませんが、別に違法な問題であるというふうには考えられません。
  92. 田口誠治

    田口(誠)分科員 局長さんが選挙に接近と言うこの期間ですね、これはどのくらいをさして言われておるのですか。私らが通常考えられておることは、大体選挙の一年前から選挙運動らしきものをやっておるということなんです。これは議員にしても、知事にしても、市町村長にしてもです。だから、そういう期間は選挙運動というように考えるわけなんですが、法律的な一つの線はございまするけれども、今申しましたような行為をすることは、大体どのくらいな時期からそれは当を得ないものである、またよろしいとか、こういう判断はどのくらいな月をさして言われるのですか。
  93. 松村清之

    ○松村政府委員 これは具体的には非常にむずかしい問題だと思います。これは結局それぞれ裁判所等において判断すべき問題だと思いますが、一年ぐらい前というようなことでは、私は選挙に近接しておるというふうには言えないのではないかと思います。
  94. 田口誠治

    田口(誠)分科員 半年ではどうですか。
  95. 松村清之

    ○松村政府委員 半年くらいになりますと、非常にむずかしい問題になりまして、まあ問題になるとすれば、この半年以内ぐらいからそろそろ問題になるんじゃないかというふうに考えますけれども、しかし、これは一がいに何カ月以内だからいけないとか、何カ月外だからいいとかいうわけのものではなくて、個々具体的な場合について、いろいろな点を勘案して判断を下すべき問題だろうと思います。
  96. 田口誠治

    田口(誠)分科員 答弁が非常に上手で、私が聞き取ろうとするところが聞けないわけなんですが、私はこういうような県は一つの県だけでなしに、他にも聞いておるわけなんですけれども、やはり一つの陳情行為を即後援会に結びつけて、そうして反対している人も、賛成しておる人も、陳情に来ておるのだから、陳情した人の後援をと言われた場合には、僕は反対だということはまずまず言えないから黙っておればいい、賛成の人が拍手すればそれで終わり、こういうことになるのです。だから、こういうような行為が非常にひんぱんに今後なされると思いますし、やはりこういう点については一つの指導方針を確立されてやらなければ、これは非常にきたないものが各地方に出てくるのじゃないか。そうして一般県民なり市民なりが、選挙に対するところの神聖さというものを欠く場合が多くなるわけなんです。私は答弁上手の局長に具体的に答弁を求めても、実情によって調べてみなければなかなかむずかしい問題でというふうに逃げられるので、何回言うても、それ以上のことは言われぬと思いますので、私はそれ以上のことをお聞きしょうとしませんけれども、実態はこういう見苦しい実態が現在なされておるということなんです。そして特に選挙がだんだん近くなるにつれて、こういう点が辛らつになってきょうと思いますし、これを野放しにしておくなれば、ますますえげつない行為がなされていく。そうしますと、その配下に使われておるところの地方公務員は、やはりそのお手伝いをせなければならぬということなんです。お手伝いを渋れば、それは当選したときにはついに左遷なり首を切られるということは、今までやはりあったわけなんです。そういう実例はどこにも幾らでもあるわけなんです。こういう知事なり市町村長選挙対策に対して、地方公務員がいかに神経質になっており、いかに気の毒な立場に立たせられておるかということを十分に自治省でも知っていただいて、こういう点に対するところの一つの線を出していただき、指導していただく必要があると思います。これはいろいろな面で予算が必要なら、予算化してでもやはりこの点の民主化はなさらなければならないと思いますので、その点を強く要望申し上げておきます。おからだの工合が悪いようですから、これでやめます。  次に、給与の問題ですが、先ほどお答えをいただきましたわけなんですが、国家公務員と地方公務員と同じレベルの待遇をやっていきたいという思想の上に立ってお答えになっておるわけなんですが、現実の姿はそうでないわけなんです。特に地方公務員の場合には、平均年令が三十六才で扶養家族が四人くらいで一万円ベースくらいのところがあるわけなんです。これは御承知通り、国家公務員の現在の二万五千何ぼと比較しますと、倍半も違うわけなんで、そういうところもあるわけなんです。ただいまお答えになった思想の上からこれを是正していこうとするには、ベース・アップのたびごとに何かやはり自治省としても手を打っていただかなくてはならないと思うわけです。単なる一律の交付金だけではむずかしい面もあろうと思いますし、それから私が特にこれをお聞きしょうといたしますることは、国家公務員が七・一%の上昇率なのだから、地方公務員もそれ以上上げてはまかりならぬというようなきびしい指導が地方自治体に来ておるように聞いておるわけなんですが、こういうことも事実おやりになったのかどうか、これも含めて一つお答えを願いたいと思います。
  97. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 地方公務員の給与を原則として国家公務員と権衡を失しないようになさなければならないということは先ほど申し上げた通りでございますが、御指摘のように、市町村の中には、国家公務員ベースよりも低いものもあることは事実でございます。そういうところにつきましては、自治省といたしましては、国家公務員のベースまで改善をしていただくように通達も出しておりまするし、指導上もそういう態度をとっておるわけでございます。なお、昨年の国家公務員の給与改定に際して、低いところも同じように国家公務員並みの率しか改定をしてはいかぬという通達を出したのかというお尋ねでございますが、昨年十二月の初めに出しました通達は、国家公務員の給与改定と著しく権衡を失したような改定がなされるような動きのあるところも仄聞いたしましたので、そういうようなことは厳に慎んでもらいたいという注意を喚起する意味で通達を出したわけでございまして、御指摘のような、従来低かったものを低いままで押えろというような趣旨は全然考えておらなかったわけでございます。
  98. 田口誠治

    田口(誠)分科員 今のお答えの著しいという実例なんですが、大体どの程度のところがあってそういうような通達をお出しになったのか、そこでおわかりになったらちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  99. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 こちらが事実を調査確認した上で出したわけでございませんで、新聞その他の報道によりまして、一律相当な額の引き上げを要求しておるということを仄聞いたしましたので、そういう結果になってあとで紛争が起こっては困るということで、あらかじめ注意的に通達をいたしたわけでございます。
  100. 田口誠治

    田口(誠)分科員 その市町村は、指定して出されたのか。全般的にお出しになったのか。
  101. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 全般的に注意を喚起する意味で出したわけでございます。
  102. 田口誠治

    田口(誠)分科員 受け取る方としてそういう通達が来ますれば、著しいという定義がどこにあるかないかそれはわかりませんけれども、国家公務員が七・一%なら、七・一%より上げてはいけないのだという考え方を地方自治体はやはり持つわけでございまするし、自治省のごきげんをそこなえば、あらゆる面において非常に不利な立場に立たされるということから、そういう点は非常に忠実に守るわけなんです。従って、先ほど御回答のあったような、はなはだしく賃金の低いところはなるべく上昇するように努力せよという文書と、そしてただいまの著しい上昇をする場合には押えなくてはいけないという文書を出された、その時期のズレによってこれは地方の受け取り方が相当違ってくると思うのです。私の聞いておる範囲内におきましては、七・一%なら七・一%上昇したんだから七・一%の上昇は認めるんだ、従って、それに合うところの交付金も交付するんだ、こういうことであって、賃金の非常に安い市町村においては、なるべく国家公務員のレベルに合うように引き上げよというような文書をお出しになったということは、どこの市町村でも聞いたことがないのですが、それは事実お出しになっておるのですか。
  103. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 日取りはあるいはちょっと記憶が間違っておるかもしれませんが、低い市町村の給与を改善するようにという通達は、三十四年に自治庁から全国に出しております。昨年のは著しく均衡を失して高いところに注意するために出したわけでございます。その三十四年に出しました通達はその後変更いたしておりませんし、私どもも問われました場合には、低いところは前の通達で改善に努力をしてほしいということを申し、また指導をいたしておるわけでございます。
  104. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そこで、各地方自治体の誤解がわかりました。三十四年にそうした通達をお出しになっておいて、三十五年に相当きびしい圧力がかかってきておるわけです。国家公務員の上昇率以上に上げようとしたところ、また上げたところ、こういう市町村に対してはきびしい通牒がやはりきておるように聞いておるわけです。従って、そのあとから出された、上げてはいけないというきびしい通牒がほんものになっておって、そして三十四年に出されたのは、これはその当時出されたんだけれども、あとから出されたことによって前の文書は消えておるというような考え方を各市町村では持っておられるのです。従って、ここに確認をしておきたいと思いますが、三十四年度にお出しになったその文書というのは、いまだに生きており、やはり自治省としての指導方針としては変わっておらないというように受け取っておいてよろしいのですか。
  105. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 その通りでございます。
  106. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そこでこれは地域給もありますから、いろいろな地方の環境その他によってベース賃金を変えなければならないということは、理論的には地域給で消化されるので言えないと思いますけれども、やはりその地方々々の実態によって、一般民間企業の賃金水準が非常に高いということとそれから地方財政にゆとりがあるということから、国家公務員の引き上げられる率より多く引き上げよう、また引き上げたいという考え方を持っておられる市町村もあるわけです。それで、こういうところについては、絶対に公務員以外はまかりならぬということなのか、今申しましたような実情のもとに通常なされるのなら、臨機応変に自治省としては見ていただけるものか、その点も明確にしておきたい。
  107. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 国家公務員に準ずると先ほど申しましたのは、国家公務員通りに一分一厘も違ってはならぬという趣旨ではございませんので、ただいま仰せのようなその地方の事情も考慮に入れまして、地方公共団体が若干の幅の中で自主的におきめになることは、私どもいかぬとは申しておりません。
  108. 田口誠治

    田口(誠)分科員 国会の質問に対する答弁というのは、受け取り方によっては、有利にでも受け取れれば、不利にでも受け取れるんですね。自治省が若干公務員より上回った賃金を地方自治体がきめてもいいと言っておったとしても、これを百円に受け取る場合もあれば、千円に受け取る場合もあるのです。その若干というような表現は、大体気持としてどういうところに置いておられるか。これもやはり伺っておかないと、そのつど地方自治体では混乱を来たすわけなんです。それとも、それだけの答弁で大体常識的に私らの方で判断してよろしいというものなら、そのように判断をしてもいいのですが、その点は、あまり四角四面に回答を要求はいたしませんけれども、もし御答弁が必要であれば、答弁をしていただきたい。
  109. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 先ほども申しましたように、一分一厘国家公務員の給与表に従わなければならぬということを決して申しておるわけじゃありません。その地方団体の職員構成の違いもございましょうし、先生の御指摘のようなその地域の若干の特殊事情もございましょうから、そういうものをある程度考慮に入れるということは差しつかえないことだと考えております。
  110. 田口誠治

    田口(誠)分科員 上下の格差の関係ですが、これもやはり賃金の引き上げの率の取り扱いと同じようなお考えなんですか。もうちょっと詳しく申します。国家公務員の場合は、行一、行二はありますけれども、上下の格差がそれぞれきまっておりますね。これに絶対ならったものでなければいけないのか。地方は地方のそれぞれの実態に即応して、最も妥当で、市当局も労働組合も納得のいくような一致点があれば、これは国家公務員と相違のある給与表を作ってもいいのか悪いのか。この点もお聞きしたいと思うのです。
  111. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 給与表の等級の分け方なり金額の区分の仕方なりにつきましては、国家公務員の給与表に原則としてはよっていただきますけれども、お話のようなその団体々々の特殊な事情もございますから、そういう事情を加味いたしまして、ある程度それに修正を加えるということは差しつかえないというふうに考えております。
  112. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そういう給与表に、各市町村ごとに自治省の方で集約されておられるのですか。
  113. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 市町村ごとに私どもの方で承知はいたしておりません。
  114. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それはどこから聞かれるのですか。
  115. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 私の方では、国家公務員について給与改定が行なわれましたときには、国家公務員の給与改定の内容を参考の資料といたしまして、これに準じて地方公共団体についても給与改定をするようにという通達を一般的に出しまして、個々の市町村の指導につきましては、都道府県の地方課が実情に合うように指導されておることを期待いたしておるわけであります。
  116. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それで、今の、先ほどから質問申し上げておる通達は、県の地方課を通じておやりになるんですか。
  117. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 その通りでございます。
  118. 田口誠治

    田口(誠)分科員 わかりました。県の地方課の各市町村に対するところの給与改定の時期の態度、指導というものは、自治省のお考えとちょっと相違があるわけなんです。独断的に、上げてはいけないんだ、市が上げれば、県が上げなくちゃいかぬということで、上げてはいけないという工合に、地方課から相当きびしく通牒が行っておるようです。そこでこれは、直接通牒をお出しになると、いろいろな差しつかえもあるので、地方課を通じておやりになるのか。そういうようなお考えでなしに、ただ県の地方課を通じてやるということか。行政組織として当然のことであるから、地方課を通じて通牒を出すんだということなのか。その点どうなんですか。
  119. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 これは一般的に中央官庁から市町村を対象として通牒を出します場合には、行政組織の上から都道府県にまず出して、都道府県から市町村にいく。これがまた一般の経路でございますので、その経路に従っておるわけでございます。
  120. 田口誠治

    田口(誠)分科員 この問題はこの程度で、次に移ります。  今、地方公務員退職年金、共済年金の改定が進められておるわけなんですが、もちろんこういう問題は、その法案のときに個々に十分に審議するのが妥当であろうと思いますけれども、大まかな考え方といたしまして、現在作られておるところの退職年金は、地方公務員としては掛金が非常に高くなって、その高くなった率よりも受けるところの給付がそんなに高くなっておらない、従ってベース・ダウンということに相なるわけなんですが、こういうようなことについての心使いというようなものは、今後何かの形でなされるのか、何か用意があったら、一つ説明願いたいと思います。
  121. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 地方公務員退職年金制度をただいま立案中でございますが、この基本的な考え方は、国家公務員の退職年金制度に準じて地方公務員についても退職年金制度整備して参ろうという考え方でございます。従いまして、御指摘のような掛金の点、給付の内容、いずれも国家公務員がすでに実施をいたしましたものにならって考えておるわけでございます。
  122. 田口誠治

    田口(誠)分科員 この掛金給付の関係は、完全に国家公務員と同じものを考えておられるのですか。
  123. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 掛金と給付の内容は、国家公務員と同じものを考えております。ただ経過規定といたしましては、現状が、地方公共団体の中では国家公務員の場合と若干違うところもございますので、その点の経過規定は準備をいたしておるわけでございます。
  124. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それで、地方自治体の負担額というのは、国家公務員の場合に国が負担をする額とやはり同一なんですか。
  125. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 地方公共団体が負担をいたしますのは百分の五十五でございます。これは国家公務員の場合に国が負担をいたしますものと同じでございます。
  126. 田口誠治

    田口(誠)分科員 その点については、国からの助成というのはどのくらいに当たりますか。給付率に対する国の補助というか、助成というか……。
  127. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 給付に対する国の補助というものはございません。地方公共団体が負担する全所要額を、地方財政計画の中で、全体として財源措置をいたしておるわけであります。
  128. 田口誠治

    田口(誠)分科員 百分の五十五の中には、国からどれだけか助成するということなんですか。
  129. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 百分の五十五の中には、国が直接そのために補助するというものはございません。全体を地方財政全体の財源措置として措置をしておるわけでございます。
  130. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それはその通りに受け取ってよろしいのですか。ちょっと、僕の勉強不足かもわかりませんけれども、その点の把握が違いますが、やはり間違いありませんか。
  131. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 過去において、ものがまだ固まりません段階において、自治省大蔵省予算を要求しておりました時期におきましては、百分の十は国庫負担として、国が負担金として出してほしいという折衝をいたしたときはございましたが、予算折衝できまりましたところは、百分の五十五全部地方が一般財源で措置をするということに相なったわけでございます。
  132. 田口誠治

    田口(誠)分科員 この問題は、問題の出たときには、相当大きな問題たろうと思います。地方自治体としてもやはり相当の負担をしなければならないし、また公務員自体が、相当の掛金の増額になるわけなんで、やはりベース・ダウンということに相なるわけです。何かこれには、掛金をよけいやるということになれば給付の額が上がるとか、何かここに得るものがなければ、やはりこの問題には相当大きな反対闘争が展開されると思いますが、私はあくまでも、少なくとも大蔵省の方へ予算要求をされたところの、給付額の一割程度というものは、これはやはり国庫負担とするというような格好をとっていただかなければ、なかなかこの問題は大きな問題になろうと思いまするが、今までの交渉の過程においては、勝利を得ることはできなかったでしょうけれども自治省自体といたしましては、ただいまの一割程度の国庫負担という面についての必要性もやはり感じておられるだろうし、またこういう面については努力を継続される用意があろうと思いまするが、その点についても、一つお気持、態度を明確にしておいていただきたいと思います。
  133. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 一割国庫負担ということは、先ほど申し上げましたように、最終的にはなりませんでしたけれども、それにかわる財源措置といたしまして、臨時地方特別交付金が恒久的な交付税の中に切りかえられるということも、退職年金制度の実施ということを十分御考慮の上になされたわけでありますし、さらに〇二%だけ、退職年金制度の実施ということをもっぱら考慮いたして交付税率の引き上げが行なわれたわけでございますから、地方団体に対する財源措置としては、これで十分なされたというふうに考えておるわけでございます。  なお、先ほど掛金が上がるということについての御指摘がございましたが、掛金が若干上がりますことも考慮いたしまして、別途退職手当の増額を考慮いたしておるわけでございます。
  134. 田口誠治

    田口(誠)分科員 その特別に御考慮を願っておる交付金というのは、あの〇・三というのですか。
  135. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 そうでございます。〇・三と、それを恒久化すると同町に、その上に〇・一を加えたわけであります。
  136. 田口誠治

    田口(誠)分科員 従って今まで大蔵省の方へ交渉されておるところの一割の目標というのに足りませんわけなので、私はあくまでもやはり最小限度一割というものは継続的に要求をしていただいて、そういう措置をとってもらうように努力をしていただかなければならないと思うのです。こういうような問題が解決されるということにならなければ、この問題の取り扱いは今後紛糾するであろうと思いまするので、そういう点の用意が全然ないのか、お気持がないのか、今後の問題として考えていかれるのか、もう一度御答弁をいただきたいと思います。
  137. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 給付の一割国庫負担の額といたしまして大蔵省に私どもが要求をいたしておりましたのが約五十七億でございましたが、そのうち公立学校の先生に対する分は、義務教育の二分の一国庫負担の関係で、約二十六億ほど国庫負担がついておるわけでございます。そういたしますと、差引三十億になりますが、新しい年金制度を十月一日から実施の予定でございまするので、先ほど申しました交付税による措置によりまして、金額的には十分措置がなされたものと考えておるわけでございます。
  138. 田口誠治

    田口(誠)分科員 いただきました時間が超過いたしましたので、なおお聞きしたい点がありますけれども終わらせていただきまするが、今の問題につきましては、これは、解決点としては、やはりもう少し国庫負担を増額してもらうべく努力をお願いをして私の質問を終わらしていただきます。
  139. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 楯兼次郎君。
  140. 楯兼次郎

    ○楯分科員 私が質問をいたしたいのを概略を申し上げますと、昭和三十四年であったかと思いますが、町村合併促進法がなくなりまして、その前に越県合併という問題があります。私が聞こうといたしますのは、長野県と岐阜県との越県合併によりまして、長野県の神坂村が分断された、この問題を聞こうとしておるわけでありますが、全国的に越県合併によって処置をされました地域は今日どのような状態になっておるか、お聞かせ願いたいと思います。
  141. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 越県合併で今日残っておりますのは、兵庫県と岡山県との県境の福浦地区の問題、栃木県と茨城県との間の桑絹地区の問題、この二件を除きまして、他は解決を見ておる状況でございます。
  142. 楯兼次郎

    ○楯分科員 私はよその地域はあまり詳しく知りませんので、旧神坂村の問題について若干質問をいたしたいと思います。  これは、数年前から、自治省のこういう取り扱いはいけない、こんなことをしておけば流血の惨事が起きる、またせっかく作った学校も不要になるのじゃないか、こういうことをわれわれ関係者は再三自治省に陳情をし、国会の中で強調をしてきたわけです。ところが、口が悪いようでありますが、全く自治省の無気力と不見識によってあのような分断がなされ、今日まだ非常な混乱状態である。これはただ日にちがたてば自然に解決されていくという問題では私はないと思います。当地方の実情は、報告を受けまして御存じかどうか知りませんが、一体この問題を将来どういうふうに解決をしていくか。私どもが第三者的に見ておりますと、一向にこれを積極的に解決しようという意思はない。該地方へ参りますと、中央に対する不信の念が非常に強いわけです。地方選挙はやるけれども、もう中央の選挙はやらない、こういう状態にまで追い込んでおるわけです。一体これをこのまま、なるようにしかならないというのでほうっておかれるのか、積極的に解決をしようとするのか、その御意向を承りたいと思います。
  143. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 お尋ねの地区につきましては、自治省といたしましては、法律規定する手続を踏みまして一応解決を見たと考えておったわけでございますが、なお御指摘のような紛争関係がその後も残っておるということは、私どもも伺っております。ただ県境にまたがる合併を特別な規定の手続によりまして解決を促進するという従来の新市町村建設促進法の規定が失効をいたしておりますので、今後の解決は関係団体が自主的にお話し合いによってはかるということに相なるわけでございます。もちろんその関係団体が解決をはかられるにつきまして、自治省としても側面から助言をする、あるいはそのような機運を作るように努力するという必要はあろうかと思いますので、今後そのような方向へ向かって努力はいたしたいと思います。
  144. 楯兼次郎

    ○楯分科員 私は過去のことは言いたくないのです。大体自治省で諮問された審議会の委員が全員一致で、当然これは岐阜県の中津川市に合併するものである、交通、環境、文化その他すべてからいって中津川市に合併すべきものであるという結論を出しておるし、だれが見ても当然そうなのです。ところが長野県側の意向もあり、いろいろな問題があってあのような決定がなされた。しかし、過去の問題を私がかれこれ言ったところでどうにもならないので言いません。しかしその後いろいろな問題が起きてくるであろうということを私は国会のつど、あなたはかわられたのですが、自治大臣にしょっちゅう機会あるごとに言っておるわけです。その通りになってきているのです。ところが先ほどの田口君の質問ではございませんが、答弁だけは努力するだとか考えておるということを言われますが、われわれ見て、積極的にこれを解決しようという、あるいは解決を指導するという意欲が全然ない。だからこのままほうっておくのか。過去のことは私はもう言いません。しかし該地方に行ってみますれば、このままほうっておけば、第二、第三の流血事件が起きるし、非常に中央の政治に対する不信というものが拡大をされておる。これではいけないから何とか解決の方向に積極的な指導をしなければいかぬのじゃないか、こういうことを申し上げておるわけです。あまりあなたは報告を受けてないですか、御存じないですか。こういう問題はどうですか。
  145. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 現地の状況につきましては、私もある程度伺って承知をいたしておりますし、御指摘のような紛争状態が解決を見ないということにつきましては、私も十分な関心を持っておるわけでございますので、今後現地の状況をさらによく承知をいたしました上で努力はいたしたいと思っております。
  146. 楯兼次郎

    ○楯分科員 三十六年度予算分科会で、私の記憶では、ほうっておいたら流血の惨事が起きますよ、こういうことを私は当時の藤井行政局長に申し上げておったわけであります。ところが、はたせるかな数カ月たったら山口村の助役が自殺未遂を起こしている。村長は辞職をいたしております。それから過去のことは言いたくありませんが、六千万円かけて小中学校を作りましたね。——文部省の方来ていますか。
  147. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 来ております。
  148. 楯兼次郎

    ○楯分科員 小中学校を作った。今校舎急増対策としていろいろなことをいっておるのだが、現地の人たちは全部中津川市の小中学校入学を希望しておるので、こんなものを作ったって入学者はないじゃないか、こういうことをその当時私はこの委員会で申し上げておきました。それから該地方の陳情者がたびたび自治省へ参りまして、そのよしをあなた方に伝えてあるはずなのです。はたせるかな、ことしの四月一日に長野県に残っておる馬籠、峠、荒町の三部落の小学校への入学者十六名、中学校へ二十二人が入学するが、全員六千万円もかけて作った学校へは入学しないのですよ。全員旧中津川市の旧校へ入学希望を出しておる。これはおそらくその通りになるでしょう。こんなことは今その問題にぶつかったから私は自治省のあなた方に質問をしておるのじゃないですよ。二年、三年前から昭和三十七年の四月一日の入学者が何名である、そのうちでこの学校に行く人はおそらく二人か三人であろうと言って、こういうことをすでに一年、二年前から今日を想定して、あなた方の方へ陳情してあるのです。ところが、今度は、この新聞紙等によりますると、全員六千万円の新学校には行かない、こういう状態です。これをどうお考えになりますか。
  149. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 御指摘のような事態は、そのまま放置していい状態だとは考えません。なるべく何とかして円満な解決をはからなければいかぬというふうに感じております。
  150. 楯兼次郎

    ○楯分科員 それで、文部省の方に私はお伺いしたいのですが、新校舎を作るときに、地元の要請があるから、事情を無視して作るわけじゃないと思うのです。こういう事情が、すでに昭和三十三年の、合併以前からわかっておるにもかかわらず、なぜこういうものを許可をし、こんなばかげた国費の乱費をするのか。文部省の方は見えていたら聞かして下さい。
  151. 岩間英太郎

    ○岩間説明員 私どもの方は、こういうふうに部落の問題でいろいろ教育上の問題が起こっておりますけれども、おおむね親のけんかで子供が犠牲になるというふうな事態が多うございまして、私ども、その点を大へん心配しておるのでございます。このたびの問題も、総理大臣の御裁定によりまして、一応境界の変更は決定いたしまして、それに基づきまして、校舎の設備も、残ったそういう部落的な感情をなくすために、むしろそういうものをなくするような措置をとったわけでございます。ただいまの状態は、私どもの方から考えますと違法の状態でございまして、これは先生御指摘のように、もとがございまして、そのもとのためにこういうふうな大へんな遺憾な状態になっておることは残念でございますが、私どもも、あくまでも総理大臣の裁定の上に立ちまして、今後問題を処理したい、そういうふうに考えております。
  152. 楯兼次郎

    ○楯分科員 総理大臣の裁定であることは、私は間違いがないと思う。しかし、私がこれを強調しておるのは、その裁定が出る前に、今二、三の例を申し上げたことがすでに予想されておるのです。だから、私は、口が悪いようでありますが、全く非常識で、無気力だと言うのです。あなた方がやられた裁定は、どういうふうに進言されたか知りませんが、そういうことは、無気力で非常識だと言うのです。これは裁定が出る前に、それが想定をされたから、そういうことではいかぬじゃないか。これを無視してああいうばかげたことをやったのです。ところが、裁定が一たん出たから、いやでも何でもそういうふうにやらなければいかぬというふうに指導をされるのかどうか。われわれの方では、地域的な関係その他の状態からいって、当然あそこは将来一本にまとまるべきところである、こう思うのであります。今あなたの話を聞いておりますと、裁定が出たから、いやでも、悪くても、何でもかんでもそいつを押しつける、こういうのは私は国の行政指導であるとは思えないのです。なぜ改める方向にいかないのですか。
  153. 岩間英太郎

    ○岩間説明員 言葉が足りませんで大へん失礼を申し上げましたが、私どもの方では、総理大臣の裁定が出ました場合には、やはりその裁定の線に沿いましてまとまるように、できるだけ文部省といたしましても努力をする、そういう意味でこういう措置をとったわけでございまして、その点を御了承いただきたいと思います。
  154. 楯兼次郎

    ○楯分科員 まあ議論をしても仕方がないですが、裁定の出る前に、すでに今日の状態はわかっておったのです。私も、当時自治省へ行って、一ぺん住民投票してみよう、そうすればはっきりするじゃないかと言った。ところが、それすらやらない。前からわかっておりながら、あえてこういう間違った裁定を出させて、裁定が出たから法律を守るようにと、いやがるものを間違った方向に押しつけようとするところに不満があるのです。そんなばかな行政というものがありますか。わかっておったのです。わかっておったことを、裏にはどういうあれがあったか知りませんが、あのようなばかげたことをやられた。しかし、過去のことを今ここでかれこれ言いましても、問題解決にならない。従って、住民が好む方向にうまく解決を指導するのが、これが私は自治省の仕事であり、文部省の一つの政策ではないか、こう思うわけです。どうやってこの問題を将来具体的に解決をしていくか。ちょっとどうも私が聞いておりますると、あなた方の決意、積極性がないようにとれるわけです。どうですか。明確にお伺いしたいと思います。
  155. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 関係の地方団体とよく御相談をいたしまして、なるべく円満解決できますように努力をいたして参りたいと思います。
  156. 楯兼次郎

    ○楯分科員 もう私がいろいろな具体例をあげなくても十分御承知と思いますので、もうこれ以上やりません。やりませんが、たとえば農協も中津川市だ。税金も保留といいますか、私はそういうことをやっておるだろうと思う。それから、文化団体といいますか、青年団、婦人会、これもみんなこっちだ。すべて中津川市の方に依存しておる。いよいよ四月一日からは、六千万円もかけた小中学校に入学する者は、これも今の情勢では一人もなし、こういう情勢ですよ。他では、やれすし詰めだ、急増対策だ、予算がないと大騒動をしておるのに、こんな間違った国の行政が行なわれておる。これは問題は小さいようでありますが、影響するところは非常に私は大きいと思う。中央政治に対する信、不信という点については、影響するところが非常に大きいと思いますので、ただ二千名、三千名の住民の問題ではない。こういう観点に立って、相当困難があるかとも私も思いまするけれども一つ積極的にこの問題を解決していただきたいと思います。最後に、大臣の代理として、政務次官にその決意のほどをお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  157. 大上司

    ○大上政府委員 ただいまの御意見、ごもっともと思います。もちろん、これについては潜在的にいろいろな諸問題があったように思いますが、あらためまして本委員会において伺いました。前年度、すなわち三十六年度予算分科会においても、この問題を御提案なさったようでありますが、着任間もございませんので、あらためて意を体し、十分将来取りまとめて、行政指導に万全を期したいと思いますので、暫時の日時をおかりしたいと思います。
  158. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 次会は、明二十日の午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十八分散会