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1962-02-26 第40回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月二十六日(月曜日)     午前十時二十七分開議  出席分科員    主査 西村 直己君       船田  中君    保科善四郎君       山口 好一君    井手 以誠君       楯 兼次郎君    横路 節雄君    兼務 石村 英雄君 兼務 川俣 清音君    兼務 河野  正君 兼務 滝井 義高君    兼務 井堀 繁男君 兼務 受田 新吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣 川島正次郎君  出席政府委員         内閣官房長官  大平 正芳君         法制局長官   林  修三君         人事院総裁   入江誠一郎君         人事院事務官         (給与局長)  瀧本 忠男君         総理府総務長官 小平 久雄君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房公務員制度         調査室長)   増子 正宏君         総理府事務官         (特別地域連絡         局長)     大竹 民陟君         総理府事務官         (中央青少年問         題協議会事務局         長)      深見吉之助君         総理府事務官         (行政管理庁行         政管理局長)  山口  酉君         総理府事務官         (北海道開発庁         総務監理官)  木村 三男君         総理府事務官         (北海道開発庁         主幹)     角  政也君         防衛庁参事官         (防衛局長)  海原  治君         防衛庁参事官         (経理局長)  木村 秀弘君         調達庁長官   林  一夫君         総理府事務官         (調達庁不動産         部長)     沼尻 元一君         外務事務官         (条約局長)  中川  融君         大蔵事務官         (主計局次長) 谷村  裕君         厚 生 技 官         (環境衛生局         長)      五十嵐義明君         厚 生 技 官         (医務局長)  川上 六馬君  分科員外出席者         内閣調査官         (内閣調査室         長)      古屋  亨君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房広報室長) 三枝 三郎君         人事院事務官         (管理局長)  岡田 勝二君         外務事務官         (大臣官房審議         官)      宇山  厚君         大蔵事務官         (主計局総務課         長)      大村 筆雄君         大蔵事務官         (主計官)   新保 実生君         大蔵事務官         (主計官)   赤羽  桂君         大蔵事務官         (管財局国有財         産第一課長)  細川 俊三君         大蔵事務官         (管財局国有財         産第二課長)  大沢 信一君         郵 政 技 官         (大臣官房電気         通信監理官)  岩元  巌君         会計検査院事務         総長      大沢  実君         日本電信電話公         社副総裁    横田 信夫君         日本電信電話公         社理事         (施設局長)  平山  温君     ————————————— 二月二十六日  第二分科員石村英雄君、河野正君、滝井義高君  及び井堀繁男君、第三分科員川俣清音君及び第  四分科員受田新吉君が本分科兼務となつた。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十七年度一般会計予算内閣及び総理府  (経済企画庁を除く)所管      ————◇—————
  2. 西村直己

    西村主査 ただいまより予算委員会第一分科会を開会いたします。  昭和三十七年度一般会計予算経済企画庁を除く総理府所管について審査を進めます。  質疑の通告があります。順次これを許します。滝井義高君。
  3. 滝井義高

    滝井分科員 先日沖縄の問題について御質問をいたしましたところ、政府の統一的な見解がはっきりしないのでそのままやめになったわけです。従って、前から繰り返さなければならぬことになるわけです。  平和条約三条解釈で、日本沖縄に対して潜在主権を持っておるということになっております。その潜在主権実体というものは一体どういうものなのか、御説明を願いたいと思います。
  4. 中川融

    中川政府委員 平和条約三条によりまして日本沖縄におけるアメリカ立法司法行政三権を行使することを認めておるわけであります。しかしながら、日本主権そのものは依然として残っておるということは肯定された解釈になっておるわけでございます。  それでは、このいわゆる潜在主権実体は何であるか。これは日本主権が残るのでございますが、その主権の中で一番大きな、いわば実体でありますところの立法司法行政三権というものは、アメリカが欲すればこれを全部沖縄で行ない得るということでございます。従って、アメリカがその全部を行なうという場合には、主権の実質上の効果であるいわゆる行政司法立法三権日本には実は一つも残らないわけでございます。しかしながら、最終的にそれでもどうしても日本に残っておるものは何であるかと申しますれば、いわゆる領土権というふうなのはこれは当然残るわけでございます。従って、アメリカ平和条約三条の規定を根拠にいたしまして、沖縄というものを第三国に譲渡するというようなことは、これはできないわけでございます。  なお、この潜在主権現実の現われとしましてもう一つ残っておりますことは、沖縄における従来の住民日本国籍を依然として持っておるということでございます。この日本国籍を持っておるということもアメリカ日本双方とも確認された解釈でございまして、また現実にもそういう解釈に基づいて、いろいろ、日本がたとえば旅券を発給するというようなことが認められておることは御承知の通りでございます。この沖縄におる人が日本国籍を依然として持っておるということが第二の潜在主権の現われであると思います。  なお、現実の問題といたしましては、沖縄におきまして日本政府が、たとえば財政的な援助をいたしますとか、あるいは向こうの教員を日本で教育いたしますとか、いろいろ実際上の行政権の作用とも思われる措置を行使しておるのでございます。これはアメリカとの話し合いによりまして、沖縄でこのような行為日本政府がすることをアメリカも認めておる、こういう格好になっておるのでございまして、こういうアメリカが容認した限度においては日本がいろいろの主権行為行政行為沖縄で行ない得る、かようなことになると思うのでございます。
  5. 滝井義高

    滝井分科員 先日の答弁では主権マイナス施政権、そこに潜在主権が残る。その潜在主権というものは今あなたの御説では領土権とそれから沖縄住民日本国籍を有する、要約するとこういう二つのものになる。先日は領土権とは言わなかった。期待権と言った。きょうは領土権と言った。どちらがほんとうですか。
  6. 中川融

    中川政府委員 先日私おりませんでしたが、政府委員から期待権と申したことは私も聞いております。この期待権というのは、領土権現実の現われといたしまして、もし将来アメリカ沖縄における立法司法行政三権を一方的に放棄するといいますか、これを行使しないという決定をいたしました際には、それが全部その潜在主権を持っている日本に返ってくる、こういうことが期待されるわけでございまして、その意味期待権と言ったのだと思います。結局同じことを違う角度から言っておるというふうに御承知願ってけっこうだと思います。
  7. 滝井義高

    滝井分科員 そうしますと、領土権期待権は同じだそうですから一応領土権でいきます。領土権実体をもう少し一つ具体的に。領土権というのは、具体的に沖縄に適用した場合には一体どういうことになるのか。
  8. 中川融

    中川政府委員 領土権はもとより国際法上の一国が自分領土に関して持っている権利でございまして、その領土がその国のものであるということが結局領土権でございます。実体が何であるかという御質問でございますが、普通領土権を持っておればその領土にはその国の政府が絶対的な権力を行ない得るわけでございます。立法司法行政三権をそこで行ない得るというのが領土権効果になるわけでございます。それが沖縄については平和条約三条によってアメリカに行使を認めておる、こういう事態でございますから、普通の場合の領土権効果沖縄では発揮されていないわけでございます。従って、最終的に現在でも日本がはっきり持っておりますのは、領土権第三国に譲るということはやはり権利者である日本以外にはできないということ、これが残っておるわけでございます。
  9. 滝井義高

    滝井分科員 そうしますと、その領土権というのは、だんだん詰めていくと、第三国に譲るという内容のものですか。領土権のすべてというものは、第三国沖縄を譲るというときには日本同意を必要とする、こういう領土権沖縄に残っている、こう解釈して差しつかえありませんか。
  10. 中川融

    中川政府委員 領土権ではっきり平和条約三条によってもなお日本が留保しておるものというものは、第三国にこれを日本同意なくして譲ることはできないという点であると思います。
  11. 滝井義高

    滝井分科員 そうしますと、それは最終的な領土処分権ということになるわけですね。
  12. 中川融

    中川政府委員 そういうことでございます。
  13. 滝井義高

    滝井分科員 もう少しはっきりさしておきたいのですが、三条アメリカがこれを国連の信託統治に付託をするときには、これはもうアメリカ日本同意を必要としないですね。
  14. 中川融

    中川政府委員 日本同意を必要とせず三条自体によってアメリカ信託統治に付し得る権利を持っており、そういう場合に日本はこれに同意するということになっております。
  15. 滝井義高

    滝井分科員 従って、条約の中で同意をすると書いてあるから、当然日本同意をあらためてもらわなくてもかまわぬわけでしょう。
  16. 中川融

    中川政府委員 日本は当然同意する義務があるわけでございます。
  17. 滝井義高

    滝井分科員 そうすると、沖縄アメリカ領土にするというときには、これは当然日本同意を必要としますね、明らかに処分権がありますから。沖縄を独立させるというときはどういうことになりますか。
  18. 中川融

    中川政府委員 日本潜在主権を持っておるわけでございますから、もしかりに沖縄一つ独立国とするというような場合には、日本同意なくしてはできないと考えます。
  19. 滝井義高

    滝井分科員 合衆国が滅亡したときには、それは自然に日本のものになりますね。
  20. 中川融

    中川政府委員 合衆国が滅亡した場合には、潜在主権国である日本に復帰してくることは当然だろうと思います。
  21. 滝井義高

    滝井分科員 従って、今のような場合が大体領土処分権になるわけですね。大体今お答えいただいたようなときにはアメリカ日本同意を得なければならぬわけです。従って、そのことが——アメリカが滅亡した場合は別です。それから日本に返すときには同意も何も要らぬ、当然これは日本がもらうことになるわけですから。そのほかの今言ったような場合は、明らかに沖縄というものは日本同意を必要とするのですから、これは潜在主権じゃないか。いわゆる最終的な領土処分権です。単なる領土権ではない、単なる期待権ではないと思うのです。いわゆる国際法上最終的な領土処分権というのが大体一致した意見ではないのですか。どうも外務省は、そこらあたりだんだん問い詰めていかないとはっきりしないようなのですが、そう確認して差しつかえないのですね。最終的な領土処分権、これが潜在主権一つのものである、もちろんそのほかに日本国籍を有する、こういう二つのものである、そう考えて差しつかえありませんか。
  22. 中川融

    中川政府委員 日本同意を得なければ最終処分できないという意味で、ただいま御指摘になりましたアメリカ自分領土に編入する場合、そのほかにアメリカ第三国に、もしやるというような決定をする場合、これも当然出てくると思います。なお、潜在主権効果として、領土を最終的に処分する場合、それからその住民国籍を有すること、この二つがいかなる場合でもあり得ることでございますが、それ以外にも、最初に申し上げました通りアメリカ施政を何かの関係で実際に行なわない、しかも日本がそこに施政を行なうことに同意するという場合に、当然日本施政がその限度では及び得るのだ、こういう意味でもやはり一つの現われが出てくると思うのでありまして、その点はやはり現地の問題としてはつけ加えて潜在主権効果と考える必要があろうかと思います。
  23. 滝井義高

    滝井分科員 だいぶこれで政府見解はようやくはっきりしてきた。そこで、今度第二の問題にいくわけです。  沖縄住民日本国籍を有するという具体的な証拠を示して下さいと言うと、証拠が出ないわけです。これを一つ条約局長、示して下さい。
  24. 中川融

    中川政府委員 潜在主権日本が持っておるという解釈からして、当然にそこにある住民国籍はやはり日本人である、日本国籍であるということが出てくると当初から日本は考えていたのでございますが、この点については、しかしやはりアメリカ側解釈もはっきりさしておかなければ、それが明確にならないわけでございます。この点につきましては、一九五四年、アメリカホノルル裁判所におきまして、沖縄の人が、自分アメリカ市民になったのだ、従って一般外国人義務となっておる、たとえば住民登録のようなことを、自分アメリカ市民になったのだからもう行なわなくていいのだ、こういうことでそれを行なわないために実は罰せられたのでありまして、その罰せられたことが不当であるという訴えアメリカホノルル裁判所に出したわけであります。これがホノルル裁判所において却下されたのでございます。その却下の理由といたしまして、サンフランシスコ平和条約会議におきまして、アメリカ代表がはっきり日本潜在主権があるということを言っておる。しかりとすれば、沖縄アメリカ領土ではない、アメリカ領土ではないから、そこの住民アメリカ市民ではないのだ、こういうことで訴えを却下したのであります。その裁判判決の中で、平和条約締結のすぐあとでアメリカ国務省法律顧問が書いた意見書というものを参考として、アメリカ政府からその裁判所に渡しておるのでございます。そのアメリカ国務省法律顧問意見というものもその判決の中に引用いたしておりますが、この法律顧問意見によれば、沖縄住民は依然として日本国籍を持っておると解釈すべきであるということを言っておるということも引用しておるのでございまして、アメリカ裁判所判決におきまして、沖縄住民日本国籍を持っておるということをはっきり認めたわけでございます。従って、アメリカ側意思もはっきりいたしておりますし、日本側意思もはっきりしております。従って、一貫いたしまして日本政府といたしましては、沖縄住民日本国籍を持っておるという扱いで進んできておるわけでございます。
  25. 滝井義高

    滝井分科員 今の御答弁では、それはホノルルにおけることであって、アメリカ内部の事件です。それから、日本では法務府の民事局通達で、日本国籍を有することを認めるという通達ですか、通牒ですか、が出ているわけであります。これははっきりしておる。そうすると、日本の国内でもそういうことがはっきりしておる。向こうでもはっきりしておる。それならば日本アメリカとの間で、そういうことをお互い確認し合った文書はないわけですか。文書がなければ、お互いに片一方でそういうことを言っておるだけでは困るわけなんです。これは文書があるかないか。
  26. 中川融

    中川政府委員 外交文書として、日本国籍を持っておるのだということを確認し合ったものはないのでございます。そういう文書がある方が好ましいことでございますが、アメリカ政府話し合いました際に、文書にするまでもなくこれは明らかなのだから、明らかだという解釈でいこうじゃないかという話し合いになっておるわけでございまして、それで実際上の目的を十分達すると考えて、文書交換はしていないわけでございます。
  27. 滝井義高

    滝井分科員 それはおかしいと思うのです。少なくとも沖縄潜在主権を持っておって、そして沖縄住民日本国民であるということをアメリカ裁判で言い、日本法務府の民事局長通達で出したならば、お互い外交官同士交換をして置くことが筋じゃないですか。実際ないのですか。お互い同士で話し合ったというならば、いつ、どこで、どういう人と話し合ったのですか。日本代表のだれが、アメリカ代表のだれと話し合ったのですか。
  28. 中川融

    中川政府委員 私は、一九五四年当時アジア局長をいたしておりまして、その当時在京アメリカ大使館参事官と、この問題について話したことがあるのでございます。文書に書くまでもないじゃないか、実際の扱いがそれでいっておるのであり、両国政府責任者がそういうことをはっきり言っておるのだから、それでいいじゃないかということでありましたので、そういう文書の取りかわしはしなかったのであります。
  29. 滝井義高

    滝井分科員 そうしますと、日本政府代表としてそういうものを責任を持って処理したのは、当時のアジア局局長であった中川さんと、アメリカのどなたです。
  30. 中川融

    中川政府委員 アジア局長でありました私と、アメリカ大使館政務参事官をしておりましたバーガー氏であったと記憶しております。
  31. 滝井義高

    滝井分科員 そうしますと、それは閣議できちっと了解をされておりますね。
  32. 中川融

    中川政府委員 つまり、琉球の住民の方が依然日本国籍を持っているということは、今御指摘になりましたような法務省の通達でも日本解釈ははっきりしているわけでございます。あらためて閣議決定をする必要はないのでございます。従って、そのときその文書交換をしようという申し出に対して、向こうが、それの必要もないじゃないかと言ったという事実につきましては、当時外務大臣には報告いたしましたが、別にその事実について閣議了解をとるとか、こういうことはしていないと思います。
  33. 滝井義高

    滝井分科員 それはあなたの判断で、そういう判断だけでは困るのです。これはやはり個人中川と、個人バーガーという人ですか、そういうことだけでは困るわけです。なぜならば、あといろいろとまだ問題が出てくるのです。だから、これをお互いに、向こう国務省とこちらの外務省とが、やはりきちっとやっておらなければならぬと思うのですが、これはどうですか。小平さん、今のようなことではなかなか不安定だと思いますが。今お聞きになっている通り、当時のアジア局長中川さんとアメリカバーガーとがやったということだけでは、これはなかなか問題があるわけです。これは当然両国政府の間で、沖縄住民というものは日本国民である、日本国籍を有するのであるという確認文書の取りかわしがないと、これはなかなか問題が出てくる。これは常識ですよ。実際にないのですか。それは一九五一年の十一月に、日本アメリカとの間に秘密交換公文があるということが言われておるのですよ。従って、当時そのホノルル裁判官はこれを引用しておる。こういうことがあるからお前は日本人じゃないのだ、こういうことを言っているということが学者の間で言われておる。そういうものは全然ないのですか。こういうものがあるとすれば、これはある程度両国の間の話し合いがあるということになる。ところが、そうじゃなくて、アメリカ裁判所が計った、日本民事局長が言ったということだけでは、これはたよりないものなんですよ。こういうものはないのですか。
  34. 中川融

    中川政府委員 第一の点からお答えいたしたいと思います。もしも何か新しい合意を、日本アメリカの間に行なうということになりますれば、閣議に報告するなり、決定するなりということが必要になるわけでございます。私が一九五四年当時バーガー参事官と話しましたことは、沖縄住民の方が日本国籍であるという事実は、双方政府とも異存ないのだから、別に新しい合意は必要はないじゃないかという話があったのでございまして、従来の事態が変わらないのでございますので、あらためて閣議決定なり了解なりという手続はしなかったわけでございます。  第二の、ホノルル裁判所が何か引用しておりますのは、日本政府からの申し入れという点があるのじゃないかというお話でございます。これはホノルル裁判所判決をごらんになると書いてあるのでございまして、一九五二年当時、日本外務次官からアメリカ政府に対して、沖縄住民は依然として日本国籍を持っているのだという解釈について、はっきり確認してもらいたいという申し出があった。その申し出に関連して、ただいま私が申しましたアメリカ国務省法律顧問が、沖縄住民は依然として日本国籍を持っているのだという文書を、これは日本外務省に対して返事をしたのではなくて、アメリカ人の、これはどういう人であるか知りません。あるアメリカ人に対して、そういう意見書を出したということがその文書内容でございます。日本政府には、日本外務次官から出した照会に対する返事は、そのとききていないのでございます。どういう事情でございますか、アメリカ国務省日本外務省返事はいたしませんで、おそらくそれは部内文書であろうと思いますが、国務省部内文書といたしましてそういう解釈法律顧問が出しておる。その解釈は、日本政府には到達していないのでございます。そのときはしり切れトンボになっておるわけでございます。従って、日本アメリカの間に文書交換は、現在に至るまでないというわけでございます。
  35. 滝井義高

    滝井分科員 そうすると、ますますおかしくなってきたわけです。日本外務次官がそういうものを出した。ところが、その話はアメリカ国務省内部の話だけであって、日本には何らきていない。こうなりますと、これは当時のアジア局長中川さんと向こう参事官バーガー氏との間の話だけでは、なかなか問題が出てくるわけです。こういうところをあなた方外務省はもう少しはっきりしないと、これは大へんなことです。当然これはやるべきだと思うのです。それをおやりになっていないところに問題がある。だから私は次に問題を指摘をしますが、それならば、沖縄住民というものが日本国民であるということをアメリカ確認をしておる、こういうことでございますから、それを一応政府責任あるあなたが、政府見解としてお述べになったものとして今後質問を進めていきます。  そうしますと、今厚生省は沖縄医師を派遣をしておるはずです。沖縄の衛生を円滑にするために医師を派遣しております。この医師が最近現地でなかなかうまくいかずに、問題が起こっておることは御存じだと思うのです。問題の起こる理由は一体どこにあるのですか。
  36. 川上六馬

    川上政府委員 お尋ねのように、昨年の一月に、沖縄の僻地の診療所医師を派遣してくれという要望がございまして、十五名の医師を派遣いたしたのであります。参ってみますと、現地には医介補がその診療所におりまして、その医介補との間がどうもしっくりいかない、あるいは住民との間もしっくりいかないというような問題がありまして、そういう点でトラブルが起きましたので、私の方から本年の一月二十三日に医事課長を派遣いたしまして、現地で打ち合わせをいたしたわけでございます。十五名派遣いたしました中で、一名は相当高齢者だったものですから、一名帰ったわけでございます。従って十五名のうち一名帰って十四名、その十四名の中で三名ばかり、今私が申しましたように医介補あるいは住民との間がうまくいかないというような問題がございまして、その三名が現在配置がえになっております。その他の医師は具合よくいっておりまして、この分なら大体心配ないというふうに考えておるわけであります。
  37. 滝井義高

    滝井分科員 今お聞きの通り医介補というのは医師でない。医師の免許状を持たないでしょう。はっきり答弁して下さい。
  38. 大竹民陟

    ○大竹政府委員 医師の正式な沖縄での免許状は持っておりませんが、向こうの法令によりまして、医療行為をすることは認められております。正式の免状は持っておりません。
  39. 滝井義高

    滝井分科員 医師でないことは確実ですね。この僻地の診療所の所長は、医介補が所長でしょう。
  40. 大竹民陟

    ○大竹政府委員 こちらの医師が行っておりますのは琉球政府診療所であります。日本のこちらから行きました者は、向こうの制度上、向こうの公務員になることは制限されております。最初は医介補向こう診療所長、それをこちらから行きました者が技術的に援助するという形になっておりました。しかし、その後沖縄でそれを改めまして、医介補診療所の所長ではなく、琉球政府の病院が別にございますが、病院の院長が名目上診療所長を兼ねる、こういうことに昨年の半ばごろから改めております。
  41. 滝井義高

    滝井分科員 今連絡局長の御説明にあった通り、こちらから行く医師沖縄の公務員になれないのです。問題はここです。沖縄住民日本国籍を有する日本国民ですよ。そうすると、日本から行った免許状を持っておる医師は、日本国籍を有する日本国民ですよ。アメリカ確認をしておる日本国民ならば、どうして同じ日本人沖縄で差別待遇が行なわれますか。どうしてですか、これは。
  42. 中川融

    中川政府委員 どうして差別待遇が行なわれるかという点でございますが、沖縄には、アメリカ平和条約によりまして、立法司法行政三権を行使しておるわけでございます。従って、沖縄でどういう体制の行政を行なうかということは、もっぱらアメリカ自体がきめる事項でございまして、アメリカが初めからの住民と申しますか、現に沖縄に住んでおる日本国民と、内地から行きます日本国民との間に、いろいろする仕事あるいはその他の資格等について差異を設けるということ、これはいたし方ないと思うのでございます。やはり日本から行きますとお医者さんが沖縄においてはお医者さんとしての資格を認められないということがありましても、これはアメリカ現地における行政内容としてそういう差別が起こってくるのでございまして、いたし方ないのではないかと思います。これはたとえば、日本のお医者さんがアルゼンチンへ行きましても、アルゼンチンには日本人がたくさんおります。現に移住した人がおられるわけでありますが、日本のお医者さんが行ってアルゼンチンにいる日本の移民の方をみて診療するというわけにいかないのであります。やはりアルゼンチンにおける医師としての資格を得なければ、日本のお医者さんも診察できないということでございまして、いろいろその間に差異が生ずることは、これは平和条約三条からして法律上はいたし方のないところであろうと思います。
  43. 滝井義高

    滝井分科員 その答弁は受け取れない。アルゼンチンと沖縄とは違うんですよ。アルゼンチンは外国です。沖縄は外国じゃないのですよ。日本潜在主権というものを持っており、領土処分権を持っているのですよ。そこの住民日本国民ですよ。一体、中川さんと沖縄人とどこが違いますか。同じ日本国籍じゃないですか。ここなんです、問題は。だから、あなた方に私が言いたいのは、はっきりとアメリカとの間に沖縄人が日本国民であるという確認をとってくれというのは、ここなんです。これをとってないところに、こういう問題がまず発生する一つの端緒があるわけです。ほんとうに沖縄行政をやろうとするならば、沖縄人も内地人も同じ日本人だというこの共通の認識に立たないと、議論ができないのです。公務員になれないでしょう。沖縄で骨を埋めるために沖縄に行った内地人が、沖縄の公務員になれなくて、どうして沖縄の医療行政が推進できますか。差別がそこに行なわれるじゃないですか。これは小平さんの方の責任になるわけですが、どうでしょう、小事さん、その通りでしょう。あなた、それを不思議に思わないですか。
  44. 小平久雄

    小平政府委員 その点につきましては、ただいま外務省条約局長から答弁がありました通り、現在沖縄の置かれております特殊な立場からいたしまして、沖縄に現に従来から住んでおる人と、それから日本本土に住んでおる者と、その間に差等のあることはやむを得ないことじゃないか、かように考えております。
  45. 滝井義高

    滝井分科員 では、次にもう一つお尋ねします。沖縄に行ったその医師なら医師でけっこうです、これは不動産は持てますか。
  46. 大竹民陟

    ○大竹政府委員 日本人と申しますか、本土から行きました者だけでなくて、他の国籍を有しております者、これも沖縄においてはいわば外国人の扱いを受けております。外国人に適用されております一般の法令に従って規制されておる、こういうことでございます。
  47. 滝井義高

    滝井分科員 よその国の人と日本人と一緒にしてもらっては困るのです。日本潜在主権を持っておるところだから、イギリス人が行った場合と日本人が行った場合とは違います。そうすると、日本人沖縄では不動産も持てなければ公務員にもなれない、こういうことですよ。はっきりしてきた。しかし、沖縄住民というものは日本国籍を有する。日本人だ。われわれと同じだ。その、われわれ内地人が沖縄に行ったら不動産も持てなければ、行政に関与する公務員にもなれない。こういうばかなことがありますか。これを今まで、戦後十六年間放置しておった政府は、一体何の外交をやっておったのですか。これは外務大臣に来てもらわなければだめです。もう普通の局長段階じゃないですよ。こういう、公務員にもなれなければ、不動産も持てないというばかなことはないです。しかも、アメリカ局長との間に、お互い日本人ですというて認め合っておる。ところが、それを潜在主権のあるところだがアメリカ三権があるからやむを得ませんとさがっておきながら、返還を要求する。池田総理の一月十九日の施政演説の中には「地域同胞の安寧と福祉の増進のため、米国と協力して積極的な施策を講じつつ、その施政権返還の実現を促進して参りたい所存であります。」こう書いてある。施政権を返してもらおうという土地で、沖縄人もわれわれ日本人と同じにもかかわらず、現地人は官吏になってもいい、しかしわれわれ日本人が行ったときには官吏にもなれなければ、不動産も持てないなんという、こういうばかな外交は、今まで十六年間何をやっておったかということなんです。  まだ同じことはたくさんありますが、次にお尋ねします。沖縄日本との間に海底電線がありますね。この海底電線は今使っておりますか。
  48. 大竹民陟

    ○大竹政府委員 使っておらないと承知しております。
  49. 滝井義高

    滝井分科員 それはどうしていますか。これは平和条約の四条にありますよ。使っておりませんか。
  50. 大竹民陟

    ○大竹政府委員 沖縄との通信はほかの、無線電話、無線電信等でやっておりまして、海底電線は使っておりません。
  51. 滝井義高

    滝井分科員 そうしますと、この平和条約四条の(c)項に書いている海底電線は今どうなっておりますか。
  52. 岩元巌

    ○岩元説明員 日本と琉球との間の海底電線はそのままになっております。これは、潜在主権といいますか、潜在的な所有権は日本にございますし、現在電電公社の財産の中に整理されております。
  53. 滝井義高

    滝井分科員 条約局長にお尋ねしますが、平和条約四条(c)項の海底電線というものは、電電公社の財産として保管されておるそうです。これは海の中にあるのでしょうね。そうしますと、日本側にある分はそれでいいが、分離された領域の残りの電線及び終点施設というものは、これはだれの所有なんですか。
  54. 中川融

    中川政府委員 ただいま電電公社から御答弁いたしました通り日本沖縄との間の海底電線については、全部を日本の財産として電電公社が管理しておるということでございます。平和条約第四条の規定によりまして、日本の支配から分離された地域と日本との間の海底電線は、まん中で分けておのおの近い方を自分のものとするという規定があるわけでございますが、実際の扱いにおきましては、沖縄潜在主権のあるところでございますので、これとの海底電線は全部日本の海底電線であるという考え方で、全部を日本が依然として管理しておるということでございます。
  55. 滝井義高

    滝井分科員 そうすると、問題は二点になるわけです。一つは、日本から沖縄に至る海底電線の全部は電電公社で管理をしておる。これは間違いない、その通りですね。全部をやっておりますね。
  56. 岩元巌

    ○岩元説明員 日本沖縄を結ぶ海底電線につきましては、ただいまお話しのように全部電電公社の資産に経理されて、電電公社で管理しております。
  57. 滝井義高

    滝井分科員 そうしますと、四条の後段は「分離される領域は、残りの電線及びその終点施設を保有する。」となっている。これは一体所有権はどこになるのですか。アメリカ政府の所有になるのですか、琉球政府の所有になるのですか。管理は電電公社が管理していることがはっきりしました。所有権はどこになりますか。
  58. 中川融

    中川政府委員 日本政府の所有であると考えております。
  59. 滝井義高

    滝井分科員 それは間違いありませんか。日本政府の所有であることに間違いありませんね。
  60. 中川融

    中川政府委員 第四条の今の海底電線に関する解釈でありますが、沖縄は依然として日本領土であるという考えに立って日本としては対処しておるのでありまして、従って、沖縄日本との間の海底電線を二つに分けて所有権を等分に分けるという必要はないものと考えておるわけであります。従って、依然として日本の所有の海底電線であると考えておるわけでございます。
  61. 滝井義高

    滝井分科員 そうすると、四条(c)項の海底電線というものは、電電公社がその財産を今保管をしておる、使用していない、しかもその所有権というものは全部にわたって日本にある。はっきりしてきました。これは大事なところなんですよ。そうしますと、沖縄のこういう私有の財産は、一体だれのものになりますか。
  62. 中川融

    中川政府委員 沖縄における国有財産、それから旧沖縄県有財産、こういうものがあるわけでございますが、これは沖縄の国有財産は依然として日本国の財産であると考えております。なお県有財産は、沖縄県というものは一時、法律上は姿を消した格好になっておりますが、沖縄県有財産を、現在現実にそこを施政しておるアメリカ当局が、県にいわばかわってこれを管理しておる、かように考えております。
  63. 滝井義高

    滝井分科員 これで大体はっきりわかってきました。そうしますと、沖縄に国有財産があるわけです。国有財産は、これは果実が上がってくるわけです、そこに森林その他の材木があるわけですから。従って、これは依然として日本政府のものならば、この果実は一体どうなっておるのですか。
  64. 大竹民陟

    ○大竹政府委員 実際の問題を申し上げますが、条約局長が今お話しになりましたように、アメリカ側がかわって管理をいたしておるわけでございます。一昨年でございましたか、あるいは昨年でございましたか、ちょっと記憶がはっきりいたしませんが、日本の国有財産あるいは旧沖縄県有財産のうちで、森林に属する部分、これの実際の管理はアメリカ側が譲りまして、事実は現在琉球政府が管理をいたしております。それからさらに干潟と申しますか、そういう地目に当たる部分の管理も、その後実際には琉球政府に移しております。琉球政府に移しました分から生じます収益、これは琉球政府自分の一般会計の財源に入れて、財産管理のために使用しております。それからアメリカが直接管理しております国有地の部分の収益でございますが、これはアメリカ側が管理をいたしまして、アメリカ側現地において蓄積をしておる。私ども承知いたしております範囲では、昨年その蓄積から琉球政府の一般会計に対しまして相当の額を支出しておる、一般会計の財源としてアメリカから琉球政府に支出しておる、こういうように承知いたしております。
  65. 滝井義高

    滝井分科員 これは国有財産目録があるのでしょうね。
  66. 大竹民陟

    ○大竹政府委員 大蔵省が持っております。
  67. 滝井義高

    滝井分科員 一つ、それをあとで資料で出していただきたいということです。沖縄における財産目録、あとでけっこうです。  そうしますと、その日本の国有財産から上がった果実を、沖縄の琉球政府の一般会計につぎ込むときには、当然日本政府の承諾を必要とするわけですね。その承諾を得ていますか。大蔵省主計局いないですか。——これは主計局が来てはっきりします、これはどうしてかというと、沖縄の予算に関係あることですから。これは一番大事なところですよ。  そこで、私有財産は一体どういうことになっているのですか。
  68. 大竹民陟

    ○大竹政府委員 沖縄住民としておりました者の私有財産は、当然そのまま認められております。内地——内地と申しますか、本土側におります個人の財産もそのまま認められております。
  69. 滝井義高

    滝井分科員 どうして私がこの問題を指摘するかといいますと、これは朝鮮における財産請求権の問題と同じケースが出てくるわけです。平和条約の四条の(b)項というのは、平和条約の二条及び三条に適用されてくるわけです。二条で朝鮮の問題が出てくるし、三条沖縄の問題が出てくるわけです。従って朝鮮とは違って、個々の財産というものは、私有のものも国有のものも日本のものであるということだけははっきりしたわけです。これは確認して大丈夫ですね。アメリカ処分権をもってどうするということはなかった、全部これは日本のものにきっちりしておる、こういう確認をして差しつかえないですね、今の御答弁で。
  70. 中川融

    中川政府委員 朝鮮の場合におきますような軍令三十三号に相当するものは沖縄では発布されていなかったわけでございます。従って私有財産は依然としてそのまま尊重されておるということでございます。
  71. 滝井義高

    滝井分科員 従って国有財産というものは、依然として日本のものに残っておるということがはっきりしました。これは突然であれですけれども、実は沖縄に相当の国有財産があることがはっきりしてきたわけです。そしてその国有財産から相当の果実が上がっていることもはっきりしてきたわけです。ところが大蔵省が予算を編成する場合に、沖縄からたくさんな要求が出てくるわけです。これについて、沖縄の一般会計の中にその収益をつぎ込むことを了承していろいろ予算を組んでおるのかどうか、どのくらい一般収益として沖縄の国有財産から上がってくるということを知った上で予算を組んでいるかどうかということなんです。
  72. 谷村裕

    ○谷村政府委員 ただいまの御質問の、沖縄にあります国有財産の問題、それの果実の問題、これは私ちょっと所管いたしておりませんので、管財局長がもしなんでありましたら御答弁に参らせることといたします。  なお、予算を組みます際に、沖縄援助の問題にからめて、そういう果実をどう、たとえば差引計算にするかとか、そういったようなことは今の状況では考えておりません。
  73. 滝井義高

    滝井分科員 これは考えていないそうですから、おそらくこれは日本政府の何らかの意思表示なり許可が、要ると思うのですがね、これは日本の国有財産ですから。アメリカが勝手にやるというわけにはいかぬと思うのです。これはやれば国際法違反ですよ。財産というものは、そこに来ている施政権者といえども、公人、私人を問わず、これは登記されているものですから、勝手にやることはできないはずです。  次にいきます。そこでいよいよ本論に入っていくことになる。これで大体沖縄の一応のあれがわかりましたから、具体的な問題に入りますが、予算の問題に関連するところに入っていくわけです。沖縄にいろいろ予算を組む場合には、どういうところから組まれてきたかというと、この前の説明にもございましたように、昭和二十七年から二百万円ですか、組まれてき始めたわけです。特に沖縄の予算が飛躍的に増加をしてくるというのは三十六年、それから今度は今年度の七年、こうなってきておるわけです。この予算額を増加をするときには、外では言葉としてどういうことが言われるかというと、沖縄の福祉ということがいわれてきたわけです。これは、この前も説明しましたように、岸・アイクの共同声明にも出てきたし、それから池田・ケネディ会談にも出てきたし、総理の一月十九日の施政演説にも出てきたし、アメリカにおいては、ケネディの今年度の予算教書にも出て参りました。しかし、われわれ国会議員が文書として政府からもらった中にはっきりそれが出てきたのは、日米安保条約を審議するときの、相互協力及び安全保障条約についての合意された議事録の中に、はっきりと出てきたわけです。それは、「もしこれらの諸島に対し武力攻撃が発生し、又は武力攻撃の脅威がある場合には、両国は、もちろん相互協力及び安全保障条約第四条の規定に基づいて緊密に協議を行なう。武力攻撃が発生した場合には、日本政府は、同政府が島民の福祉のために執ることのできる措置を合衆国とともに検討する意図を有する。」そして合衆国全権委員は、前がありますが、「かつ、島民の福祉を確保するため全力を尽くす意図を有する。」こうなっておるわけです。これは、福祉は、そのたびごとにニュアンスが違っております。しかし、まずわれわれが文書としてもらっておるのは、この福祉からがやはり問題だと思うのです。武力攻撃が発生した場合、武力攻撃の脅威、おそれがある場合、この二つになるわけです。これは両方とも協議をするわけなのでしょうが、この合意議事録の島民の福祉というのはどういうことをするのです。
  74. 中川融

    中川政府委員 安保条約改定の際の付属の文書の中で、沖縄島民の福祉について、攻撃があった場合あるいはそのおそれのある場合には、日本も、その福祉についてどういうことができるかを緊密にアメリカと協議するということになっておるのでございます。どんな事態、どういう内容のことを予想しているかという点につきましては、これはいろいろあろうと思うのでありますが、一番端的に申しまして、たとえば沖縄に攻撃の危険がある場合には、そこの住民日本本土の方に移すというようなこと、これは一番大きな、実は考えられることじゃないかと思います。いわば比較的安全なところの方に移す、そのために船を出すとか、いろいろする措置があろうと思います。なお現地でやり得ることもやはりあるわけでございます。あるいは救護、医療、その他の措置がいろいろあるわけでございます。そういうことは、その際に具体的に日米間で協議してきめるということになると思うのでございます。
  75. 滝井義高

    滝井分科員 その場合に、だれが一体それをやりますか。現地に行って、攻撃を受けたときに、住民を引き揚げさせる、医療をやる、食糧を配給するというのは、具体的にだれがやることになりますか。日本政府として考える場合には、一体だれにそういうことをやらせることにするのですか。だれが行ってやるのです。
  76. 中川融

    中川政府委員 現在の機構では、総理府沖縄との連絡を一本にやる形になっております。従って、主務官庁としてはやはり総理府であろうと思いますが、実施段階においては、関係各省が、いずれも、あるいは人を派するなりいろいろして、それに協力をするということは当然であろうと思います。
  77. 滝井義高

    滝井分科員 そうしますと、関係各省、政府の機関が出ていってやる、こういうことになるわけですね。政府の機関が命令をして、機関あるいは機関の代理者が行って、いろいろ、食糧を配給したり治療をやったり、老人、女、子供を沖縄から引き揚げさせる、こういうことになるわけですね。
  78. 中川融

    中川政府委員 これは政府責任においてやるのでございますから、政府機関がそれに当たるのは当然でございますが、補助といたしまして、たとえば日赤のような機関を使うということは、当然考えられることでございます。
  79. 滝井義高

    滝井分科員 日赤も一つのやれるものだと思うのです。その場合に、アメリカ施政権との関係が出てくるわけです。その分については、甘木の行政が当然そこで行使されることになるわけです。これは、この合意議事録をやるにあたって、あなた方十分確認されているところなんでしょうね。実はこの合意議事録は、非常に食い違ったというか、お互いに一方的に言い合っておるだけなんですよ。日米両国はこのことについては合意に達したとは言っていない。協議をする、アメリカは、確保するため全力を尽くす意図を有する、お互いに一方的に宣言しておるだけなんです。お互いにがっちりと四つに組んで、合意に達したとはなっていない。そこで私はこれを確認しておきたい。これは攻撃を受けた場合と、おそれのある、脅威のある場合と二つある。攻撃を受けた場合じゃない、おそれのある場合もあるわけです。来るか来ないかわからぬけれども、そのおそれが十分あるというときも行くわけですから、こういうときに赤十字というわけにはいかないのです。今あなた方の言われる政府機関ということになる。これはアメリカも、この合意議事録を安保の付属する議事録としてわれわれにくれ、合意議事録——合意と書いておるから大丈夫だと思いますけれども、しかし内容はそうではない。行き違いの形になっておる。一方的な宣言の形に両方ともなっておるのです。そこでその場合には、日本は十分アメリカから、食糧をやったり老人の救護に当たったりする行政をやるだけの取りつけを得ておる、こう理解して差しつかえないかどうかということです。
  80. 中川融

    中川政府委員 安保の付属文書できめておりますこと、これは日本アメリカ双方合意のもとでできておりますことは当然でございます。なおそういう事態が起きました際に、日本政府機関が現地に行っていろいろ救護、援護の措置を講ずるという場合に、日本政府機関が出てそういう仕事をすることにアメリカがあらかじめ同意しておるかどうか、これは当然同意しておるわけでございます。しかしこれは別に、武力攻撃がある場合あるいはそのおそれがある場合に限って、そういう指貫を認めたというわけではないのでございます。もちろん安保の付属の文書といたしましては、そういう事態を予想した規定でございますが、現在すでにやっておること、日本政府が予算を支出していろいろの施策を沖縄で行なうということは、アメリカ同意しておるのでございます。アメリカ同意する限度においては、日本政府沖縄現地で施策を行ない得るということは、すでに現在においても明らかにされているところでございます。いわばその一環として、その原則を非常事態にあてはめた場合が、安保のあの付属の文書になっておるわけでございます。この原則については、従来からアメリカ日本に対して当然認めておるところでございます。
  81. 滝井義高

    滝井分科員 そうしますと、今の局長の言葉で、今度は逆に一つ具体的に聞いてみますが、アメリカ立法司法行政三権日本が代行してやっておる例が、沖縄にあれば——現実にやっておるそうですからあれば一番典型的なものを一つお示し願いたい。
  82. 大竹民陟

    ○大竹政府委員 今の段階といたしましては、日本政府が直接出かけまして行政行為を行なっておるというふうなのはあまりございませんが、たとえば、かつて行ないました自衛官の募集と申しますか、一、二回昔やったことがございますけれども、あの募集行為が事実行為であるか、あるいは行政行為かという点に議論はあると思いますが、実際にそういう仕事をしておる。あるいはまた現在模範農場というものを作っておりますけれども、これはもちろん正式に日本の農場としてやっておるわけではございません。協力者を出しまして、農場の仕事を実際に手伝わせておるというふうなやり方はやっております。
  83. 滝井義高

    滝井分科員 従って、その三権の中に入り込むような行政はないです。模範農場はあとで質問しますが、ないのです。ないから私は言うわけです。いいですか。十億五千万円になんなんとするお金を出しているけれども、アメリカ行政立法司法、いわゆる施政権の中にいくものはない。ところがこの合意議事録によると、これはできるのです。この場合には……。だから、それを私は確認しておるかということを聞きたいのです。中川さんは今でもやっているのだ、こうおっしゃるが、やっているのはない。実際に今連絡局長の言われた通りないのです。これは一体どうしてできないのでしょう。どういう理由でできないのですか。
  84. 大竹民陟

    ○大竹政府委員 たとえば日本の恩給でございますとか、あるいは援護の関係の仕事でございますけれども、沖縄におります人々も、該当いたします範囲ではもちろん援護、恩給を受けておるわけでございます。それに対しまする仕事は琉球政府に頼んでやってもらっておるわけでございますけれども、そういう意味も含めまして条約局長がお答えになったのではないかと思います。
  85. 滝井義高

    滝井分科員 だから、頼んでやっているのです。日本がやっているわけではない。だから、さいぜんの中川さんの答弁は間違っている。今でもこのほかにやっておるとおっしゃるが、やっていない。  今度はもう少しはっきり入っていきます。そうしますと、一体外国と、潜在主権を有するところと、主権を有するところとは、国の予算の出し方というものはどういう基準で出すのか、一つこれは大蔵省に明示を願いたいと思います。国の税金を出す場合に、外国に出す場合と、潜在主権のあるところと、それから主権の存する内地、この三つが今考えられるわけです。これは一体予算を支出する基準というものは、どういう形できちっと予算を支出するのか、その支出の基準を一つお示し願いたいと思います。
  86. 谷村裕

    ○谷村政府委員 まずわれわれが主権を持っておりますいわゆる日本国、沖縄を含まない地域等におきましての予算支出のことについては、申し上げる必要はないと思いますが、それ以外の地域、すなわち外国と、それから潜在主権があるけれども、いわゆる日本施政権のない地域との間にどういう差異があるかということになるかと思います。外国につきましては一般に条約、あるいは条約がなければその他の協定、あるいはそういうものがなくても、国の閣議なら閣議による政府意思決定、そういうようなことにおいて外国で必要とする支出をきめております。そうして、ものによってはもちろん国会の御承認をいただきますし、軽微なものでありますならば、たとえば外国において博覧会を開くというようなときに、日本の何か政府も出すとか、あるいは外国に地震が起こって、気の毒だから援助物資を送ろうとかそういうときには、そのつど閣議決定等を経ております。沖縄に関しましては、そういった一般的な外国とは若干ニュアンスが違っておると思います。ということは、気持の上でやはり沖縄というものと日本とがつながっている。そうしてその場合に、たとえばさっきお話が出ました、戦後におきます処理としての遺家族援護の問題でありますとか、恩給の支払いでありますとか、そういうふうな援助と申しますよりは、むしろ日本国内における事務と同様の事務を沖縄でやってもらうという形において、現地でいろいろな支出が行なわれるという形になると思います。もし御指摘の問題が、たとえばモデル農場でありますとか、あるいは今回出ましたような、いろいろな沖縄の経済に対する援助であるというような形になって参りますと、これは単に普通の外国ということより以上に、もっと緊密な気持で援助の内容等を見てやっているということがあると思います。
  87. 滝井義高

    滝井分科員 沖縄にお金を出す場合には、あるときには法律によっているし、また、その同じようなケースが、法律によらずに出しているのですね。この区別がはっきりしないのです。
  88. 谷村裕

    ○谷村政府委員 具体的な例を私もよく記憶いたしておりませんが、法律によってといわれる場合には、たとえば遺家族援護というようなことの適用の一環として、沖縄の方にも援護の金を出すというふうな場合、あるいは恩給の支払いをするというような場合等々があるかと思います。それからもう一つ沖縄に対しまして、たとえば大東島における高層気象観測、また今回石垣島で高層気象観測をやっていただくということについては、物品を当該沖縄の方に渡すわけでございますから、それに必要な法律をこれは作っております。しかしお金の関係で一般的に援助をいたしますときには、これは二つの類型がございまして、一つは直接、たとえば文部省の旅費予算でもって教官が沖縄に行かれるとか、あるいは沖縄から人が来られるときに、こちらがこれを支出するとか、これは特に法律を必要といたしません。一般の形においてやっているわけであります。それから今度お金をまとめて沖縄政府に、こういう事業、こういう事業のために差し上げるという例がございます。これも一般的にその根拠となる法律は作っておりません。
  89. 滝井義高

    滝井分科員 そうしますと、物品を出す場合には法律を作るけれども、そうでないときには、もう予算の議決だけで全部よろしい、潜在主権のところは。そう理解して差しつかえありませんか。
  90. 谷村裕

    ○谷村政府委員 潜在主権に限らず、物品を無償で譲与いたしますような場合には、たとえば外国に対して経済援助をいたすために物品を無償譲与するための法律というようなのがございますし、物品に関しまして無償で渡す場合には法律を必要といたすわけであります。
  91. 滝井義高

    滝井分科員 沖縄潜在主権があって、甘木の国籍を有するというところで、一般的な恩給とか援護法以外に、沖縄に今適用する法律、物品以外に適用する法律がありますか。
  92. 谷村裕

    ○谷村政府委員 たとえば、過去において郵便貯金の支払い等をいたすためにやった例があると思います。これは日本の一般司法が及んだ形になっているのかと思いますが、その辺の詳しいことは、むしろ所管の特連局長にお聞きいただいた方がよろしいかと思います。
  93. 滝井義高

    滝井分科員 最近は法律はないのです。そこで少し、これは抽象的な議論ではわからぬので、具体的に一つ入っていきます。  まず第一に、その予算の組み方の実態というものがはっきりしない。沖縄も、調べれば調べるほど、五里霧中です。全然今御説明になったようなきちっとした割り切り方ではなかなかいかぬところが出てきている。そこで、この沖縄には物品を提供する法律は三本しかない。大ざっぱにいって、模範農場とそれからマイクロ回線の設定のものと、それから高層気象観測、この三つしかない、この三つが物品提供です。それで、最近になってからそれ以外に法律はないのです。沖縄関係の法律はこの三つだけです。そこでまず模範農場から、模範農場は、これは物品を譲与することになっておりますが、大蔵省、物品だけですか。
  94. 大竹民陟

    ○大竹政府委員 模範農場について申し上げますと、法律として出ておりますのは物品だけでございます。物品を譲与するということになっております。そのほか、先ほどちょっと申し上げましたように、農林省から人を出しておりまして、この人件費は日本政府が予算で負担しておるわけでありまして、これを琉球政府の会計に入れまして、琉球政府に雇われておるという形にはなっておらないわけであります。日本政府の公務員そのものとして行っておるわけでございますから、日本政府の予算に人件費が別にまた計上いたしてあります。
  95. 滝井義高

    滝井分科員 そういう形になっておるのです。いいですか。法律はどうなっておるかというと、模範農場に対する物品の譲与は、沖縄における模範農場に必要な物品及び本邦と沖縄との間の電気通信に必要な電気通信設備の譲与に関する法律というのが三十六年法律四十五号で出ています。そして、その模範農場に対する物品の譲与第一条は、「政府は、当分の間、沖縄島那覇に置かれる琉球政府の模範農場に対し、農業技術の改良及び普及を図るために必要な総理府令で定める物品を譲与することができる。」こうなっております。そうして運営の経費も計上している。それから営農上の農具、技術者五人を派遣している。物品以外のものが出ているわけです。こういう態様というものは、われわれが予算を審議する場合にわからないのです。これは法律で物品だけをやっているのだ、すなわち、営農上の農機具みたようなものだけをやっているものだと思ったら、あにはからんや、技術者が五人も行ったり、それから運営費も計上される、こういう形になってきているわけです。一体こういう出し方というのがいいのですか。会計検査院の院長来ていますか——事務総長どうです、その沖縄の会計検査をおやりになったことがありますか。
  96. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 沖縄について会計検査は施行したことはございません。
  97. 滝井義高

    滝井分科員 では、どうしてとうとい税金の運命についてやらないのです。やる責任があるわけでしょう。
  98. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 沖縄に対する会計検査というお話でございましたが、沖縄に対する援助は、御承知の通り、こちらから職員が派遣されたり、あるいは向こうの職員をこちらへ呼んで教育したり、あるいは先ほどお話がありました物を向こうに提供したりするということが一つ、もう一つは、現金を琉球政府へ送る、この二つの援助の方式があろうかと思います。われわれが検査を終了いたしました三十五年度までは、先に申しました人が行ったり、物を渡したりする援助でありまして、これに対しましては、職員が派遣されたときは外国旅費として、旅費が出ております。それはもう全部書面でわかっております。それから向こうから来た職員、学生などに対する給付、これも書面で全部わかります。それから物も、買ったことを確認して、向こうへ送ったことを確認して、検査を了しておりますので、向こうへ参る必要もないわけであります。これから将来、現金を向こうへ譲与するという問題があったときに、一体向こうの琉球について会計検査ができるかどうかということになりますと、これは将来の問題で、ここですぐ即座にお答えすることはできませんが、私の感じといたしましては、日本施政権の及んでいない地域の、たとえば琉球政府というものの会計を検査院が検査するということは困難ではなかろうか、かように考える次第であります。
  99. 滝井義高

    滝井分科員 はっきりしてきました。琉球における会計検査は、結局施政権が返らない限りはできない、結論はこういうことです。それで今までは物が行き、現金が琉球政府に渡されているのだから、その渡したという証拠があるからそれでよろしい、そんなばかなことはないでしょう。渡った現金が、一体ほんとうに日本政府の要請をしたこの予算書の通りに使われておるかどうかということを、だれか監察をしなければいかぬでしょう。これは税金ですよ。全然監察ができないところにこれは金をやっておる。これはやはり外務大臣を必要とする。一体どうしてこういうことをアメリカに言わないのですか。少なくとも日本のとうとい税金を、国税が上がっていない地域に出すのですからね。昭和二十七年以来ずっと毎年出してきているのですよ。しかも日本国民で、潜在主権があって、国有財産のあるところに金が使われていることが、まじめに、ちょうど約束の通り使われておるかどうかということを検査することは、これは当然の責任ですよ。日本国民に対する責任ですよ。これは一体外務省アメリカに交渉したことがあるのですか。
  100. 宇山厚

    ○宇山説明員 その点、アメリカと交渉したことはございます。それから、先ほど大沢事務総長がお話しになりましたように、ただいままで、そういう現地に行って検査をするという必要が生じたという事例も聞いておりません。将来そういう問題が起こります際に、援助の金の使途の適否等も検討する必要が出ました際に、アメリカ側では十分な協力をするという言明を得ております。
  101. 滝井義高

    滝井分科員 今まで必要がなかったのではなく、現金を渡すのですから、現金が琉球政府に渡ったというだけではだめなんです。渡った現金が約束をした目的に使われておるかどうかということが大事なんですよ。日本ではみんなそうするのですから。たとえば滝井義高に現金が大蔵省から出たということだけを確認したら、滝井義高はその金を何に使ってもいいというわけにはいかぬです。もらったその滝井義高が目的通り使ったかどうかを見ることが、税金の運命を確かめることなんです。それでなければ行政の実績はしがらないのです。それは間違いなく一つ確認をしたいのです。今の宇山審議官の御答弁で、アメリカ同意するということでございますが、ことしの予算あるいは去年の予算を見てみますと、今言った模範農場みたようなもの、まだあとにも出てきますが、いろいろあるのです。そうしますと、間違いたく政府責任を持って三十六年度の決算からは、必ずアメリカ政府に約束をして、沖縄の会計検査ができるという確約ができますか。どうですか中川条約局長、今同意をしていると言うのだが……。
  102. 中川融

    中川政府委員 政府部内でよく協議いたしまして、その必要がどうしてもあるということであれば、外務省アメリカに交渉するつもりでございます。
  103. 滝井義高

    滝井分科員 政府部内で協議して必要があればじゃないですよ。税金ですよ、これは。必要があるのです。小平さん、必要ないですか。十億の金を出して、これはまだこれからふえるのですよ。政府部内で検討して必要があればと言う。じゃ今まで必要がなかったのですか。会計検査院どうですか。今全然そんなものは必要ないのですか。沖縄には、会計検査をやる必要なしとあなた方は認めるのですか。
  104. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 三十五年度の決算までは、先刻申し上げました通りに職員を派遣したり、あるいは物を送ったりということでありますから、こちらの内地の検査で十分確認ができる、かように考えております。でありますから、その範囲においては必要がなかった、こう考えております。ただ将来の問題については、これは必要性の問題よりも、むしろできるかできないかということに対する——これは私見で恐縮でございますが、困難ではなかろうかと申し上げた次第であります。しかし、先ほど申し落としましたのですが、困難であるからといって、向こうへただ金が渡ったということだけを確認するだけでは、これは不十分であろうと私も考えておりますので、これは各支出庁がそれぞれ琉球政府からとる照復文書でいろいろ内容もわかりましょうから、それはもちろん確認いたしたい、かように考えておる次第であります。
  105. 滝井義高

    滝井分科員 これは政府部内で検討して必要ならばやるということではなくて、当然やらなければならぬことです。それだったら内地でもやる必要はないことになる、今のような中川さんの答弁ならば。これは現金を渡したから、それでもう渡っておることは確実だからよろしいというわけにはいかぬ。その渡った現金が一体末端までいっておるかどうかですよ。これが一番大事なところなんです。その目的通り使われておるかどうかということを、検査院は検査しなければいかぬでしょう。これはどうですか。所管小平さんとしては、今日本政府として必要ならばやってもよろしいとアメリカが言っている、こうおっしゃるのですから、あなたとしては当然来年度、すなわち三十六年度やるわけですから、三十六年度の予算からここで必要ならばやりますと言うんだから、政府としてやるという言明ができますか。
  106. 小平久雄

    小平政府委員 沖縄に対する援助につきまして会計検査を本土並みにやるべし、こういう御主張だと思いますが、私どももできればそうしたい、さような考えを持っておりますが、現在まではそこに至っておりません。ただ私は、実は機会あるごとに、正式の外交ルートを通じてではありませんが、私なりに私の立場で、将来特に援助が逐次ふえるというようなことも考えられますので、そのソースは何と申しましても国民の税金でありますから、これをただ単に援助したというだけでは、これは相済まぬ、それがその本来の目的に正確に使われたかどうか、これは日本としても当然確認を要することであるから、そういう面についても一つアメリカ側としても理解をしてもらいたいし、また協力もしてもらいたいというようなことを、実は私も希望を申し述べておるのであります。ただ、現在におきましても会計検査院自体の検査は行なわれておりませんが、しかし御承知の通り、援助いたしますにつきましては、覚書その他によりまして詳細な取りきめをいたし、またその取りきめの通り援助が現に行なわれておるかどうか、その目的を達しておるかどうかということにつきましては、それぞれの役所においてこれを文書において、あるいはまた現地に参って確認をいたしておるのであります。しかし御指摘の点は、ただいま外務省条約局長も申された通りでありますので、部内においてさらに検討をいたし、また米側の理解も得、あるいは協力も得ていきたい、かように思います。
  107. 滝井義高

    滝井分科員 これは検査をやはりぜひやるべきだと思うのです。このくらいのことは、アメリカの負担と日本の負担とがきまっておるわけですから、当然やらなければいかぬわけです。そうすると、それに関連をして、今会計検査の問題が出たから聞きますが、アメリカは一体沖縄に今幾らの援助をやっておりますか。
  108. 大竹民陟

    ○大竹政府委員 アメリカ自身が施政をやっておるわけでありまして、援助という言葉が当たるかどうか、その辺の問題があると思いますが、いろいろな形でやっておりまして、琉球政府の一般会計に対する援助あるいは特別会計に対する援助、あるいはアメリカ側の民政府と申しますか、直接金を出しておるというふうなものもございます。それらを全部集めますと、年間大体千二百万ドルないし千三百万ドル程度になっておる。ただ、琉球政府の一般会計に対しましては、本年度が四百六十万ドルの予算になっておると思います。来年度におきましては、私ども聞いておりますところでは、百万ドル程度増加するというふうに聞いております。
  109. 滝井義高

    滝井分科員 このプライス報告を見ると、アメリカ沖縄に対する援助の限界というのは六百万ドルになっておりますね。アメリカのことしの予算教書を見ますと、やはり六百万ドルです。これは来年まで六百万ドルが最高です。六百万ドルしかできない。いわゆることしの夏から始まるアメリカの会計は六百万ドルを見積もる、最高にいくわけです。そうしますと、これは約二十一億六千万円です。そうすると会計検査もできなければ、物しか供与できない、しかし住民日本人であるという、その沖縄にいろいろ物をやる場合に、今度は日本国内との関係ができて、なかなかよけいにやれない形が出てくるわけです。しかしアメリカはもう二十一億六千万円が限界だ、こうなると、これは民生を安定させるためには内地の援助をふやす以外にないわけです。そうでなければ、もしアメリカが今のように何も日本にさせないというならば、アメリカの援助を外交交渉で六百万ドルのワクを破る以外に方法がないと思うのですが、外務省は一体、このプライス報告の六百万ドルというものが多分来年で最高になるのですが、交渉したことがありますか。
  110. 宇山厚

    ○宇山説明員 アメリカ沖縄に対します援助の、現在のアメリカの予算教書に出ておりまする数字は、ただいまおっしゃった通りでございます。今後のアメリカ沖縄に対する援助がどうなるかという点につきましては、ただいまケイセン調査団の報告をアメリカ政府が検討中でございまして、その結論が出た上で再検討すると了解しております。そしてそういうふうにアメリカ側の再検討が終わりましたあとで、日本側とさらに協議をしたいということを言ってきております。
  111. 滝井義高

    滝井分科員 従って、その場合における日本政府見解というものは、どういう考え方で臨むつもりなのかということを私は聞いているのです。
  112. 宇山厚

    ○宇山説明員 日本政府といたしましては、沖縄住民日本国民でございますから、本土におきまする所得倍増計画によりまして、民生の水準がだんだん上がってきております、この水準と、沖縄住民の生活水準とに差等があることがないようにという目的で今後も努力して参りたいと、こう考えております。従いまして、アメリカ側から先ほど申し上げましたような協議をしようという準備ができたという段階になりまして、その協議の際にはそういった方針でいきたいと考えておりますが、具体的にどういう費目について、どういう事業についてどういうふうな態度をとっていくかということは、アメリカ側の案を見ました上でさらに検討したいと思っております。日本側といたしましても、関係各省と寄り寄り協議をしていることがございますけれども、ただいまの段階では、まずアメリカ側から出てきました上で、、こちらの考えをだんだん先方に申しまして、その実現をはかりたい、こういうふうに考えております。
  113. 滝井義高

    滝井分科員 その場合に、日本アメリカから施政権を返してもらわなければならぬという立場に立っておるわけですが、依然として、アメリカのいわゆる沖縄関係の予算は一般教書を見ても陸軍の費用の中に含まれているのですが、そういう形でやるように主張をするのかということが一つと、それからそうでなくて、今度は日本がむしろ別な形で、日本の方がよけいに出すという形に持っていくつもりなのか、今までと同じように、アメリカの半分程度で日本が細々と沖縄を今の状態で続けていかせるという形をとっていくのか、ここらあたりの政府の積極的な方針を私は聞きたいのです。これは一つ小平さんから、どういう形でやることになるのか伺いたい。
  114. 小平久雄

    小平政府委員 実は例の池田総理と米大統領との共同声明をきっかけにして、その活動の一端としてケイセン調査団が沖縄に派遣されたことは、ただいま話があった通りでございます。そこでその報告書がまだでき上がらぬようでありますが、わが方といたしましてはそれを受けて立とう、こういう態勢で今おるわけでございます。それにいたしましても、現在の日本政府には沖縄に関しての資料等がきわめて乏しいようであります。そこで、それを受けて立つにいたしましても、日本はさらに一そうこの沖縄のあらゆる点について、財政の面についてあるいは経済の点、民生の点、各般にわたって詳細な調査をし、また資料を持つことがまず必要であろう。そういう見地から三十七年度の予算におきましてもその調査費を計上をいたしておるのでありまして、それはもちろん米側も了解のもとに計上してあるのでございますから、この予算が両院の議決を経次第、なるべく早めに調査団を一つ派遣いたしたい、かように考えております。またその結果によりまして、日本としては今後どういう面で沖縄住民の福祉の向上のために協力すべきかという点も、おのずからこれは各省で検討したならば結論が出てくることだ、かように期待いたしております。従ってまた、援助の形式等につきましても、従来のような形式でいくか、あるいは従来とは違った形式でいくことが適当であるか、それらの点も同時に、もちろん含めて政府としては検討をいたしたい。その検討の結果によってまた米側とも協議をいたして参りたい、さように考えているわけであります。
  115. 滝井義高

    滝井分科員 その点は、ちょうど今沖縄問題というのは沖縄現地のああいう議決もあるし、それからケネディ司法長官の日本訪問における沖縄問題に対する日本国民の感情というものが非常に高揚しているという新しい認識もアメリカにあるわけです。私は今はこの施政権を返還してもらえるかどうかという一つの重大なやはり転機だと思うのです。それだけに日本政府というものは、この沖縄問題に対して積極的な意欲をやはり示さなければならぬ。今までのような外務省答弁と勉強の仕方では、これはとてもだめです。もう少し外務省しっかりやらなければだめです。  次に同じような、今模範農場から少しそれましたが、またもとに返りますが、電電公社にお尋ねします。さいぜんの模範農場も、どうもわれわれの見るところでは物品を譲与するといいながらも、人件費が出たりなにかして、われわれに実態ははっきりしない。法律と違ったような形になって、何か法律違反をやるような形でうまくやっているという、こういう形のニュアンスがあるわけです。昭和三十六年と三十七年で完成することになっているこのマイクロ回線の計画の予算的な全貌ですね、これは一つここで御説明願いたい。
  116. 大竹民陟

    ○大竹政府委員 日本政府日本の電電公社が協力をいたしまして、沖縄側に設備を譲与するということでございますが、内容といたしましては無線電話回線、マイクロウェーブによる電話回線が二十四回線でございます。それからテレビが下り一回線と申しますか、こちらから向こうにいくテレビが一回線ということでございます。予算の点を申し上げますと、昨年度と本年度にわたりまして政府予算の中から約一億八千万円程度を予定しておるというふうに記憶いたしております。それから日本電信電話公社、これが今まで国内で使っておりました撤去資材を出しまして、それにただいまも申しました政府の金を継ぎ足して作るということでございます。沖縄側におきましても固定設備と申しますか、向こうの局舎でございますとか、あるいは鉄塔でございますとか、そういうものに金を出す、こういう計画になっております。
  117. 滝井義高

    滝井分科員 その総工費は幾らなんです。
  118. 横田信夫

    ○横田説明員 お答えします。ただいまお話がありましたように、日本側日本政府の負担分の予算としまして三十六年度に九千七百万円、三十七年度に八千三百万円となっておるわけであります。
  119. 滝井義高

    滝井分科員 それは予算書に出ているからわかるんです。総工費は幾らかかりますかというのです。マイクロ回線をやるのに九千七百万と八千三百万と、それから沖縄が何ぼか負担するものではとてもこれはできません。こんなもの、しろうとだってわかっている。
  120. 横田信夫

    ○横田説明員 そのほかに、この法律にありますように公社のマイクロウエーブで取りはずしたものを向こうに援用するということにいたしておりまして、それは新品価格にいたしますと約一億三千万円ぐらいに相当するわけであります。
  121. 滝井義高

    滝井分科員 そうしますと九千七百万と八千三百万と物を一億三千万出して、それだけでできますか。
  122. 横田信夫

    ○横田説明員 その他に今の局舎、土地等につきましては、琉球側の方でこれを負担いたすわけであります。
  123. 滝井義高

    滝井分科員 その琉球側の負担は幾らです。
  124. 横田信夫

    ○横田説明員 琉球側の負担につきましては、ちょっと今詳細資料を持っていませんが、施設局長がある程度覚えておると思いますので……。
  125. 岩元巌

    ○岩元説明員 琉球側の負担分につきましては、局舎あるいは鉄塔の建設費、大体四千百万円と見込まれております。
  126. 滝井義高

    滝井分科員 そうしますとこれはマイクロ回線が一億三千万円と一億八千万円と四千百万、これだけでできますか。建設費はだれが出すのですか。
  127. 岩元巌

    ○岩元説明員 ただいま申し上げました経費の中には、これは工事費も含まれております。資材費だけではございません。もう一度申し上げますと、総工費といたしましては、沖縄の島内の分、工事が大体三億、五千九百万円で、その中で日本政府から二カ年にわたって援助しますものが一億八千百万円、それから電電公社の撤去品と申しますか、これを寄贈します分が新品価格としまして一億三千六百万円、そのほかに琉球政府の方で建設します分が四千百万円、これは全部工事費まで含まった経費でございます。
  128. 滝井義高

    滝井分科員 ところがこれはあなた、マイクロ回線というやつは、沖縄だけに作ったってだめだから、日本から向こうに全部作らなければいかぬ。総工費は一体幾らかかるかというんです。
  129. 平山温

    ○平山説明員 お答え申し上げます。今お話しのように、沖縄と一木との間のマイクロ回線と申しますのは、鹿児島から奄美大畠を通りまして沖縄の那覇島に行くのでございます。そこで鹿児島−那覇間は、これは日本電電公社の予算として計上しておりまして、今の琉球への援助と申しますのは、奄美大島と那覇間のマイクロ回線のうちの沖縄の那覇鳥に施設される分が政府の援助になるわけでございまして、奄美大島側に施設をされますものが電電公社の予算として計上されているわでございます。そこで先ほど政府の方から、また横田副総裁からお答え申し上げました一億八千百万円といいますのは、沖縄の那覇島側に作られる施設に対しての援助額でございます。それから電電公社が物品で提供するものが新品価格にして一億三千万円見当と申し上げましたのも、これも沖縄島に施設するものでございます。そのほかにこのマイクロ回線を生かすために本土側——沖縄側でなくて本土側に施設するものが全部で幾らかと申しますと、六億八千万円ばかりの経費が要るわけでございまして、これは電電公社の予算として別に成立いたしております。
  130. 滝井義高

    滝井分科員 ようやく全貌がわかってきた。そうしますと、三億五千九百万と六億八千万、約十億ちょっとかかるわけですね。こういうからくりをやらなければならぬことになってしまう。法律は一体何と書いておる。沖縄における模範農場に必要な物品及び本邦と沖縄との間の電気通信に必要な電気通信設備の譲与に関する法律の二条を読んでみて下さい。二条は、ずっと中ごろに、「政府が経費を負担し、公社がそれに必要な資材の一部を提供して沖縄島に設置するものを譲与することができる。」、こうなっておるわけです。そうすると建設費を電電公社が見ておることになる。私が実は海底電信の問題を持ち出したのは、これと関連があるからです。海底電信というものは、その沖縄の領域になる分と日本の分をきちっと二分して、そして沖縄分は向こうの領域の保有、こういう形できちっと分けているわけです。こういう経費の出し方も当然そうしなければならぬわけです。ところが法律上は、この二条を見ると、電電公社はこれの建設の経費を出していいとはどこにも書いていない、物品を譲与するとなっているのです。資材です。資材とか物品とかいいながらも、建設をしたり、旅費を出したり、人を派遣したりするという、こういうからくりをつけ加えておるわけです。そしてそれは日本の一般の別の会計の中に入れているわけです。これでは沖縄の援助というものが、表面では十億だけれども、実質的にこういうものをすればもっとふえてくることになるわけです。こういう点をやはり日本政府ははっきりしなければいかぬと思うわけです。  会計検査院の方に今度はお尋ねをすることになるわけですが、こういう形で出ていく電電公社の予算というものは、一体どういう工合にあなた方は会計検査するのですか。
  131. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 お答えいたします。法律に出ておりますのは物品、つまり物品は法律に基づかなければ譲与できないということになっておりますので、その分が法律として出されたのだと思います。そのほか施設の方は電電公社の予算に計上されております。奄美大畠までの分は、これは電電公社の一つの仕事として予算に計上して工事をするわけでありまして、この分は国内のすべての施設の経費と同じように会計検査をいたす次第であります。
  132. 滝井義高

    滝井分科員 ところが、向こうの建設をやるためには、こちらの建設ができなければ向こうの建設はできないのです。だから負担区分からいえば、向こう側の施設だけの工事費を政府が負担をしたのではいかぬわけです。目的はどこかというと、鹿児島から奄美大島まで作るから向こうに行けるのですから、向こうにやる目的で作るのですよ。その場合に、この六億何千万の建設費というものはどこから出ておるかというと、調べてみると電電公社の受託業務費から出ておるのです。内容はよくわからぬ。こまかいことはわれわれ文書がないからわからぬが、出ておるわけです。こういう、いかにも法律的には割り切ったような形だけれども、きわめてしろうとわかりのしない、われわれ国会議員がこれを調べようとすれば、やはり二日か三日くらいすべての関係の書類を持ってこなければわからぬような予算の組み方になっておるのです。あるものは、電電公社の予算を見ると十億三千九百万円ということになっておる。ところが今度一般会計の国の予算というこの大きいのを調べてみると、これは九億何ぼでできるようになっておるのです。そしてその間に相当の金額の食い違いが出てきている。たとえば、金額の食い違いを見ると、予算の説明によりますと本土沖縄間マイクロ回線設定援助八千四百四十二万七千円、こう出ております。ところが今度予算書を見ますと、沖縄マイクロ回線施設工事委託費八千三百九十七万一千円、ここが金額が違うのです。、五十万円くらい違うのです。こういうものは予算書を全部突き合わせてみると、沖縄関係の予算というものは全部違っているのですよ。集計が違っている。これはどうしてかというと、おそらく総理府に出しているのと今度は各省の出しているものは、今言った旅費や何かを持ってきたり持ってこなかったりしているのです。そういうことではないかと私は善意に解釈している。これはことし三十七年度の予算の説明と予算書が違っているばかりではない、去年も違っておる。たとえば最も大きな違いは、この総理府の予算の沖縄関係全部を見てごらんなさい。これだけ、でももう予算はストップです。厚い方の予算書の百八十一ページをごらんになりますと、沖縄援助その他の諸費は九億五千五百四十六万五千円です。ところが予算の説明の総理府関係を見ると、九億五千二百八十七万二千円、こういうように違うのです。金額が違うのです。それから今度は項の中の一つ一つを見ていくと、合っているのと合っていないのがあるのです。これは一体どういうことなんです。
  133. 大竹民陟

    ○大竹政府委員 最初に、マイクロの援助費がこの大きなのに書いてありますのと説明書の方に書いてあるのと違うというお話でございますが、これは大きい方に書いてありますのは、この関係で使います旅費——この旅費は沖縄側に援助する、向こう側にくれてやるという性質のものではないのでございまして、こちらの必要な人間が使う旅費でございます。その旅費を含めまして大きな方には書いてございます。援助して向こうに渡すという考えから、その約五十万円程度のものを落としまして予算説明書の方には書いてございます。去年もことしも同じような関係でございます。  それから総体的に申しまして、一般会計予算書の沖縄援助費は九億五千五百四十六万五千円になっておる、もう一方の方ではもっと少なくなっておるということでございますが、これは大きな方では沖縄援助その他諸費——その他の経費が入っておるわけでございまして、これは特連局関係、総理府関係の経費をここにまとめたわけでございますが、この中には小笠原以外の北方関係、あるいは沖縄関係以外の経費が若干含まれております。それらの経費を差し引きますと、ただいま先生が御指摘になりましたような沖縄援助費という関係では、これよりも少し減った予算として出ておるということでございます。
  134. 滝井義高

    滝井分科員 そういうようにとにかく沖縄の——ほかの予算書は合っていますけれども、沖縄関係は全部違っておるのです。だからわれわれ国会議員が沖縄関係の予算を調べようとしたら、とにかく国の一般会計の予算とそれから今度はこの予算の説明をひっ比べると、全部行き違いです。さっぱりわからぬ。一体どれがほんとうかわからないのです。今言ったマイクロ回線の問題にしてもそうです。あにはからんや電電公社の——私どうしてこれを作るのだろうかと思ったら、電電公社の受託勘定の中に建設費というものはもぐり込んでいるのですからね。他のところには出てきてないのですから。そうして法律を見れば、法律は電電公社というものは資材を出すことだけになって、建設費を出すとは書いてないでしょう。ところがそれは予算でも議決されれば当然でございます、こう言われれば、国会議員はつんぼさじきですよ。  それでは、一体できた施設はどこのものになるのです。マイクロ回線のできたものはどこの所有になるのですか。
  135. 大竹民陟

    ○大竹政府委員 沖縄側にできます向こうの末端施設は、琉球電信電話公社の所有ということで、その意味におきまして譲与に関する法律というものができております、そこの第二条に、沖縄において電気通信業務を行なう機関に対して譲与するというふうに書いてあると記憶いたしております。
  136. 滝井義高

    滝井分科員 それが返還された場合は、これは日本のものになるのですか。
  137. 中川融

    中川政府委員 将来沖縄が完全な日本主権のもとに復帰させられる場合、当然これは現地におけるいわゆる政府機関は、一括いたしましてあげて日本政府機関に移管されるわけでございます。沖縄におきます電信電話公社の財産というものも、当然その際は日本の該当機関に移譲されることになると思います。
  138. 滝井義高

    滝井分科員 同じようなものがたくさんありますが、実は沖縄のこの予算関係を洗えば洗うほどわからなくなります。全部金を出す客体が違っていっているのです。今言ったように、あとでまだやりたかったのですが時間がないからやめますが、気象観測を作る施設の金を出します。こういうときは物品になっております。ところが今度は電電公社の資材になるんです。ところが今度は沖縄の港を作ったりあるいは灯台を作るときには、それは援助金だけになって、何も法律はないのです。こういうようにわれわれ国会議員はさっぱりわからないんです。それから全部この決算を洗ってみたんです。決算を洗ってみると、たとえば決算をやっていないのがあるのです。探しても決算書でもわからないのです。一番典型的なのは南方地域の経済技術援助費及び戸籍事務処理援助費、こういうものは三十四年、三十五年というのはわからないのです。どこに決算をやっておるのか、決算書がわからない。探すけれどもわからない。他のものは大がいわかりますがわからない。こういうように沖縄の経費というものは実に複雑怪奇なんです。こういうふうに複雑怪奇というのは、結局日本の外交交渉というものが軟弱で、そしてアメリカに対してはいつも気がねをして、国籍日本にあるという文書もとることができない、不動産についても同じ、国有財産についてもはっきりしない、こういう形があるからだめなんです。もうちょっと日本政府は腰を据えて、そして沖縄住民というものは日本復帰をあれだけ望んでおる、日本の国会は二回にわたって議決をしておるんですよ。それを政府がぬらりくらりいって、ただ福祉を増進すると施政演説で言ったり、共同声明で発するだけなんです。そこで私が最後にお尋ねをしたいのは、一体沖縄というのはいかなる条件がそろったら日本アメリカは返還をするのか、沖縄日本に返る前提の条件は、何と何とがそろったならば沖縄日本に返ってくるのか、これを一つ御説明願いたい。
  139. 中川融

    中川政府委員 沖縄日本に復帰せしめることにつきましては、累次国会の議決もございます。政府といたしましてしょっちゅうこれはアメリカに要請しておるのでございますが、そのたびいつもアメリカがこれを今はできないという理由は、東亜における国際の緊張が継続する間は、沖縄日本に完全復帰せしめることはできないのだということを繰り返して言っておるのでございます。従って、現状におきましてはアメリカの考え方としては、依然東亜における国際の緊張が緩和した場合にこれを日本に返すということであろうと考えております。
  140. 滝井義高

    滝井分科員 そうしますと、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約、すなわち新安保条約の十条の状態が出ない限りは沖縄日本に返らない、こう理解して差しつかえありませんか、今の答弁では。
  141. 中川融

    中川政府委員 安保条約も、このアジアにおける国際の緊張にいわば対処する意味でできておるのでございまして、アメリカの考え方からいたしますれば、沖縄につきましても、大体安保条約が要らなくなるような国際の緊張がなくなる場合ということを予想しておるのではないかと考えております。
  142. 滝井義高

    滝井分科員 そうしますと、アメリカはそうだということを今確認いただきましたが、日本政府としてもそうですが。
  143. 中川融

    中川政府委員 これは繰り返して申し上げていることでございますが、日本政府といたしましては、アメリカのそういう考え方にもかかわらず、できるだけ早く沖縄を完全に日本主権のもとに返してもらいたいという態度であるのでございまして、これまた機会あるごとに一貫してそういう態度でアメリカに強く要請しておるのでございます。
  144. 滝井義高

    滝井分科員 わかりました。大体これで沖縄の返還というものは、日米安保条約の十条、すなわち「この条約は、日本区域における国際の平和及び安全の維持のため十分な定めをする国際連合の措置が効力を生じたと日本政府及びアメリカ合衆国政府が認める時まで効力を有する。」という、この十条の精神をアメリカは貫いている、日本は言うけれどもなかなかだめだということがはっきりしてきました。  そこで残っておった国有財産の果実の収益はどういうことになっておりますか。
  145. 西村直己

    西村主査 滝井さん、この辺で終わって下さい。
  146. 滝井義高

    滝井分科員 これで終わります。
  147. 細川俊三

    ○細川説明員 お答えいたします。沖縄にあります国有財産は、国有財産法に定められまして、毎年度その増減報告書を国会に提出いたしております。沖縄にあります国有財産は、たとえば土地約一億一千四百万坪、その他立木等になっております。
  148. 滝井義高

    滝井分科員 実は、その一億一千四百万坪の土地なりそれらの森林等があるわけですが、その収益というものは相当上がっている、沖縄の一般会計の中にアメリカがやってしまっておる、こういう答弁があったわけです。ところがこれは国有財産ですから、アメリカが勝手に処分することはできないはずなんです。従って当然日本政府に何らかの相談があって、日本政府はその分をやっておるのかどうか、こういうことなんです。これは日本の援助に入るんですよ。日本の国有財産ですから琉球政府に対する援助になってくるわけです。それをやっておるかどうかということを聞いておるのです。そういう相談は何もありませんか。
  149. 細川俊三

    ○細川説明員 ただいまお話がございましたそのものから上がる収益の問題でございますが、民法上で申し上げますと正当なる金の場合、そこから出ました正当なる果実は管理者に帰属するというような問題がございますけれども、沖縄の問題に関しましては、詳細のところ今わかっておりません。
  150. 滝井義高

    滝井分科員 これはますます重大になってきた。答弁が食い違っておる。連絡局長は、沖縄の一般会計の中にアメリカ沖縄政府にやって入れさしておる、ところがこっちは詳細はわからないということになっております。これは時間ですから、留保しておきます。外交上の問題もありますから。
  151. 細川俊三

    ○細川説明員 今滝井先生からお話がございました問題でございますが、私の方にわかっておる限りでは、国有財産の関係はわかっておりませんですが、外務省の連絡事務局の方にはそれらの額が繰り入れられていることはわかっておるそうでございます。
  152. 滝井義高

    滝井分科員 けれどもこれはあなたの方の所管なんですよ、国有財産というものは連絡事務局が勝手にするものじゃないのです。ところが向こうアメリカ政府が管理をして、そしてその出た果実というものは沖縄の一般会計に入れているのだ、こうおっしゃるわけですから、そこで私は、それならばそれは当然予算編成上問題になるはずだ——これは問題になるはずなんです、収入なんですからね。国有財産からの果実は一般会計に入るか、その特別会計に入ってこなければならぬわけですから……。
  153. 中川融

    中川政府委員 条約上の問題にもなると思うので私からお答えいたしたいと思いますが、沖縄の国有財産は日本の国有財産であることには変わりないのでありますが、同時に沖縄アメリカの完全な立法司法行政三権のもとにあるわけであります。従って、その意味におきましては、現地を統治いたしますアメリカ日本政府にかわって沖縄を統治しておるわけでございまして、その意味では、国有財産もアメリカがこれをいわば管理し、運営しておるわけでございます。それから生ずる収益も、アメリカがこれを管理の態様の一部といたしまして、沖縄現実施政を行なっております琉球政府にこれを渡たしまして、その施政の必要な費用の一部に充てておるわけでございますが、これは管理権者としてアメリカがそういうことをやっておるのでございまして、これは平和条約三条から当然出てくる結果であろうと思います。
  154. 滝井義高

    滝井分科員 それは見解が間違っています。個人の財産であろうと、国の財産であろうと、潜在主権を持っていないものが勝手に処分することはできないはずです。そういう見解を持っておるからだめなんですよ。あなたの答弁は、さいぜんの答弁とは違っておりますよ。国有財産というものは日本のものでございます、こう言ったじゃないですか。それはだめですよ。留保しておきます。
  155. 中川融

    中川政府委員 一群だけ補足させていただきます。国有財産が日本のものであるということには変わりはないのでございますが、同時に、一番先に申しましたように、要するに、日本の潜在三権の態様といたしまして、最終処分権は、領土権につきましても日本に留保しておる、潜在主権のぎりぎりのところの態様としては、それだけは間違いないということを申し上げたのでございますが、同じような意味におきまして、この沖縄にある国有財産につきましても、アメリカはこれを管理してはおりますけれども、この最終処分権はもちろんないのでございまして、日本政府同意なくして勝手な処分はできない。しかし、それから出る収益については、アメリカが管理権者としてこの収益を琉球政府に渡して使用せしめておるということでございます。
  156. 滝井義高

    滝井分科員 だから私は、収益を使用させる場合に、日本政府に相談があって、日本政府了解の上でやっておりますかということなんです。それをお尋ねしておるわけです。たとえば、土の上にはえておる木材というようなものも、重要な国有財産ですよ。そんなものを向こうが切ってしまって勝手にだれにでもやっていいというようなことは、国際法だって許さぬはずです。そういうあいまいな答弁じゃだめです。だから、あなた方は、沖縄施政権をほんとうに日本に返してもらおうということについての研究と熱意がどうも足らないですよ。私のような医者で、まるきり外交問題のわからぬしろうとであっても、調べてみたら、これは疑問だらけですよ。もう少し勉強して、そういう点をきちっと締めくくりをつけて、そしてアメリカに言うべきところは言う、これは当然のことですよ。だからこそ、潜在主権を持ち、沖縄の国民が日本国民であるということははっきりしておるじゃないですか。実は、まだ教育の状態から何から、やればたくさんあるのですけれども、時間がない。もう二時間くらいになりましたからやめますけれども、そういう点はもう少しはっきりしておいて下さい。留保しておきますから。
  157. 西村直己

    西村主査 横路節雄君。
  158. 横路節雄

    ○横路分科員 最初に官房長官にお尋ねをいたしますが、「自民党は二十三日の総務会で、安全保障調査会を政務調査会内に新しく設け、わが国の安全保障問題全般について検討することになった。」と報ぜられている。私がこのことをお尋ねするのは、自民党の政務調査会の中にこれを設けたということは、ただ単にそのことにとどまらないで、この自民党の政務調査会に新たに設けることになった国家安全保障調査会は、次の段階では内閣の中に持つことになっている。だから、この問題について一つ官房長官に最初にお尋ねをしたいのは、官房長官から、いや、これは党のことで、官房長官としては関知しないことだという、そういう形式的な答弁でなしに、あなたの方では治安閣僚懇談会であるとか、国防会議であるとか、いろいろ専属の機関を持っているのだから、そういう関連においてお尋ねをしたい、こう思っているわけです。  そこで、今最初にお尋ねをしたように、二十三日の総務会で、自由民主党は安全保障調査会を政務調査会の正式機関として設けることになって、わが国の安全保障問題全般について検討することになっている、こういうふうに伝えられているが、この点について、官房長官はもちろん存じていらっしゃるだろうと思いますが、それについてまずお尋ねをしておきたいと思います。
  159. 大平正芳

    ○大平政府委員 そういう動きがあるということを、新聞紙上を通じて承知いたしておりますけれども、政府の方に対しましてまだ何らの御連絡に接しておりません。
  160. 横路節雄

    ○横路分科員 そうすると、官房長官は、この調査会は何をするのが目的であるとか、そういうことについては全然承知をしていない、どういうわけでございますか、重ねて一つ
  161. 大平正芳

    ○大平政府委員 まだ御連絡を受けておりませんので、内容をよく承知いたしておりません。
  162. 横路節雄

    ○横路分科員 これは、私どももきょう初めてお尋ねをするわけですが、新聞発表によりますと、船田中さん、保科善四郎さん、杉原荒木さん——西村さんの名前はなかったようですが、それらの昨年春から集まって討議をしました自由民主党の安全保障議員懇談会の構想によって見ると、現在の国防会議や治安閣僚懇談会では、わが国の安全は保障されないとして、米国の中央情報局であるCIAに類似した国家安全保障調査局と、その上部機構としての国家安全保障会議を設定すべきだという考え方が、新聞の伝えるところでは、あるわけです。そこで、長官にお尋ねをしますが、治安閣僚懇談会では、今日のわが国の安全保障はされないのかどうか、今の治安関係閣僚懇談会やその他ではだめなのかどうか、現在内閣が持っている調査室その他では情報がとれないのかどうか、この点、私は官房長官としてお考えを述べていただくことができると思う。現在の治安関係閣僚懇談会や官房長官直属の機関である調査室や、そういうものではてんでだめなんだ、こんなものは役に立たないと思っていらっしゃるのかどうか、だから、もっと強力な機関が必要だと常日ごろ考えていらっしゃるのかどうか、この点について一つ見解を承りたいと思います。
  163. 大平正芳

    ○大平政府委員 去年の本委員会におきまして、横路委員から、中央情報局というようなものを作る考えはないかというお話があったと思います。そのときに私も申し上げたのでございますが、私どもの任務は、今与えられた機構、予算、要員というものをできるだけ有効に、重複しないように活用いたしまして、でき得る限りの情報を収集し、分析し、判断するということが任務でございまして、今の状態が決して満足すべきものではないと思いますけれども、しかし、私どもは与えられた条件の中で最善を尽くすというつもりで当たっておるわけでありまして、今の段階におきまして、政府側から新しいこういう機構を国会にお願いするというような意図は持っておりません。
  164. 横路節雄

    ○横路分科員 今のお話ですと、前段では、内閣調査室等においては、決して満足すべき機関ではないと思うという。どういう点が満足できないのか、どういう点が足りないのか、その点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  165. 大平正芳

    ○大平政府委員 見る人の判断によると思うのでございまして、全世界の情報をくまなくキャッチいたしまして、それが鋭敏に政権によって判断、分析されるという工合には、今の調査室その他の政府の与えられております機能では十分でないことは、どなたもそう判断されると思うのでございます。問題は、こういう機構をさらに拡充強化いたしまして、今伝えられておるようなものを作る必要があるという必要性の判断につきましては、私どもは、今そういう判断に立って国会に新しい機構、権限をお願いするという意図はないということを申し上げたわけです。
  166. 横路節雄

    ○横路分科員 そうすると、官房長官にお尋ねいたしますが、今内閣において総合的に情報を収集するということは、どういうことになっておるのですか、どういうような機構で、各省にはどういうようにして、それをどこへ上げてきて、それをどこで連絡調整して、それがどういうようにして総体的な全世界における情報判断、こういうことになるのか、その点、前に椎名官房長官のときには大体の構想を承りましたが、大平官房長官からまだ承ったことはございませんから、実際にはどういうように情報を内閣で収集して、どこで判断をして、どこで分析をしているのか、その点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  167. 大平正芳

    ○大平政府委員 政府は、治安官庁、外務省その他それぞれの立場から必要に応じ情報を収集いたしておりますことは、御案内の通りでございます。私ども内閣がやっておりますことは、そういった情報関係機関の相互の連絡調整をはかりまして、重複を省いて参らなければならぬということで、常時連絡会議を持ちまして、お互いに持ち寄りまして判断をいたしておるわけでございます。その判断は、私のところに伝えられまして、政府の施策の参考に資するという仕組みになっておりますことは、御承知の通りでございます。
  168. 横路節雄

    ○横路分科員 常時連絡会議お互いに情報を持ち寄って、その総合判断、分析をしたものを官房長官に伝えられて、官房長官がそれを内閣総理大臣その他に伝えるということになっているのですが、常時連絡会議を持ってという、その常時連絡会議というのはどういう会議ですか。
  169. 大平正芳

    ○大平政府委員 私が主宰いたしまして、毎週一回程度そういう会議を必要に応じて開いておりますが、開かない週もございます。
  170. 横路節雄

    ○横路分科員 常時連絡会議に参加する、すなわち構成メンバーというのはどういうのですか。
  171. 大平正芳

    ○大平政府委員 外務省法務省、警察庁、海上保安庁、内閣調査室等でございます。
  172. 横路節雄

    ○横路分科員 外務省ではどこが担当しているのか、それから警察庁ではどこが担当しているのか、海上保安庁ではどこが担当しているのか。それから、内閣調査室はわかりましたが、どうもここで一つわからないのは、一体防衛庁はこれに参加していないのかどうか、これはおそらく参加しているだろうと思うのですが、どういうことになっているのですか。なお、その担当の役職。
  173. 大平正芳

    ○大平政府委員 今、等と申し上げましたのは、防衛庁の防衛局長が主として参加いたしております。
  174. 横路節雄

    ○横路分科員 あと、外務省、警察庁その他について御答弁がなかったですが……。
  175. 大平正芳

    ○大平政府委員 警察の場合は、警察庁長官または次長、必要に応じて警視総監あるいは警視庁の部長、法務省の方は刑事局長、公安調査庁の長官または次長、外務省の方は主として参事官が参加いたしておるようでございます。
  176. 横路節雄

    ○横路分科員 今の御答弁で、常時連絡会議を持っているその構成メンバーについてだいぶはっきりしたわけだが、先ほど官房長官は、決してこれは満足すべきものではないと言っている。どういう点が不足なんですか。満足しているというならば聞きませんでしたが、満足すべきものではないというから、どういう点が満足していないのか、一つお聞かせいただきたい。
  177. 大平正芳

    ○大平政府委員 各省庁ごとに今与えられた予算、要員の中で情報機能を発揮いたしておるわけでございますが、これは各省庁とももっとよけいに人員があり、もっと予算があれば、もっとやりようもあると思っておると思います。しかし、私が先ほど申しましたように、今与えられた条件のもとで私どもはその機能を十全に活用するように努めるのが政府の任務だと思いまして、最善を尽くしたい、こう考えておるのであります。
  178. 横路節雄

    ○横路分科員 この点については、さらにまたお尋ねをしますが、治安関係閣僚懇談会ですか、これは一体どの程度の機能を発掘しているのですか。これは一体役に立っているのですか、立ってないのですか。自民党の調査会の中に設けようとしている国家安全保障会議なるものの考え方が、どうもそこから生まれてきているのではないかと思う。そこで、一体治安関係閣僚懇談会というものはどんな性格を持って、どういうことをやっているのか、それが一体国家の安全保障について役立っているのか、役立っていないのか、この点は、官房長官どう思うのですか。
  179. 大平正芳

    ○大平政府委員 ただいままでのところ、治安閣僚懇談会に問題を持ち込みまして御審議をお願いするというような問題はございませんでしたので、ただいままで治安閣僚懇談会を招集するというようなことはいたしておりません。
  180. 横路節雄

    ○横路分科員 そうすると、大平さんが官房長官になられてからやってないのだろうと思う。しかし、前にはやったことを私たちは新聞その他で承知をしているわけです。しかし、治安関係閣僚懇談会に審議を持ち込むものは、あなたが官房長官になられてから一件もないという。そういうことになると、今自民党の政務調査会の中に設けられた国家安全保障調査会で考えている、内閣総理大臣のもとにおける専属機関としての国家安全保障会議というのは、今日の日本の段階では必要がない。治安閣僚懇談会においてすら、審議をするものはまだ一件もなかった。片一方、あなたの方の自由民主党では、治安その他国家の安全保障については全然役に立たない、だから作るのだ、こう言っているのですが、今日の段階においては、もう一度お聞きをしますが、治安閣僚懇談会に審議を持ち込むような案件はなかったということは、日本の安全は保障されている、安全は、今日のこういう機関で大丈夫だ、こういうように解釈していいと思うのですが、この点はいかがですか。
  181. 大平正芳

    ○大平政府委員 日本の治安が今非常な危機にあるというようには、私ども判断しておりません。
  182. 横路節雄

    ○横路分科員 危機にあるとは思ってない。それでは、あなたにお尋ねをしますが、そうすると、自由民主党の諸君が——これは新聞なんです。あとで必ずしも新聞ばかりではない話をしますが、国家安全保障会議の法定常置構成員は、総理大臣、副総理、外務大臣、大蔵大臣、国家公安委員長、防衛庁長官、経企庁長官及び新たに設ける国家安全保障長官とする、こうなっているわけです。この考え方は、アメリカに大統領直属の専属機関として国家安全保障会議があり、御承知のように、その下に中央情報局があり、片一方には心理戦略調整局というのがある。これは日本閣議とは違うわけですね。アメリカにおける閣議というものは、大統領の諮問機関で、日本閣議とは全く性格が違う。だから、アメリカにおいては、大統領の専属機関として、一つにはいわゆるCIA、中央情報局を持ち、一つには心理戦略調整局を持って、軍事、経済、一切についての基本的な戦略というものを立てる。だから、そういう点からいくと、アメリカにおける大統領及びその閣議、その専属機関というものと、日本における総理大臣、各国務大臣、その閣議というものとは全く違うのだから、あなたもきっとそうだろうと思うのだけれども、国家安全保障会議というものがこういう形が持たれるということは、それぞれの国の事情からいって、持てるわけがないと思う。特に今あなたが御指摘のように、日本の治安というものは今危機にはない、だから治安閣僚懇談会にかけた案件はない、こういうお話なので、将来ともにそういう方針でいかれると思うのです。現在の治安閣僚懇談会で間に合うのでしょう。その点はどうなんですか。
  183. 大平正芳

    ○大平政府委員 治安という問題は、横路さんも御案内の通り、どのようにこれを見るかという見方は、角度によっていろいろ違うだろうと思うのでございまして、自由民主党がそういう問題を一ぺん研究してみようということは自由だと思います。また、御研究されることもけっこうなことだろうと思うのでございます。私どもといたしましては、先刻も申し上げました通り、現在の日本の治安が非常な危機にあるというふうには判断しておりませんし、また、今与えられた情報機能というものは必ずしも十全ではないけれども、極力この機能を活用して重要施策の参考にいたしたいという一心でやっておるわけでございまして、先ほど申しました通り政府の方から新しいそういう機構を国会にお願いするというような意思は、ただいま持っておりません。
  184. 横路節雄

    ○横路分科員 それで国家安全保障会議についてはわかりました。これはどこがどういう提案をかりに将来なさろうと、アメリカにおける大統領の専属機関としての国家安全保障会議と類似したものを持ってこようとしても、それは全く意味をなさぬ。この点は一つはっきりしました。  もう一つお尋ねしておきたいのは、今あなたの方で、防衛局長であるとか、法務省の刑事局長であるとか、公公調査庁であるとか、外務省であるとか、あるいは警察庁長官であるとか、こういうものをもって毎週一回ずつ常時情報収集についての連絡、総合的な分析をやっている。これを将来一つにまとめて、現在の内閣調在室の機構を拡大して、そういうものを包含したものを持とう——先ほどの、満足すべきものでないという点からいって、この点はどうですか。将来そういうようにお考えになられる方向にいくのではないかとわれわれは懸念をしておるわけですが、この点はどうですか、はっきりしていただきたい。
  185. 大平正芳

    ○大平政府委員 一つに統合して強化していこうという考えは持っておりません。各省それぞれの機能を持っておるわけでございまして、ただいまの体制でそれぞれ特徴を生かして、内閣の方で連絡調整をするということをもってただいまこれで十分だと思っているわけでありまして、一緒に集めて統合強化するという考えは、今のところ持っておりません。
  186. 横路節雄

    ○横路分科員 官房長官、こういう事実を御存じでしょうか。昭和二十八年に、アメリカの安全保障会議補佐官、アメリカ大統領の心理作戦顧問、心理戦略調整局員の三役を兼ねているC・D・ジャクソンというのが、アメリカにおきましてもちょうど安全保障会議、それからその下にCIA、心理戦略調整局というものを持たれたその機会に、吉田総理に対して覚書を送った、そしてそれまでにおける内閣における情報収集、情報分析というものは非常に足らない、従って、アメリカにおいてこういう形態においてされておる今日の段階においては、当然日本においても十分考慮されなければならぬ、こういう覚書を送られて、それに端を発して今日の内閣調査室が作られ、拡充されてきた、そういう事実については御存じでございますか。それとも、御存じでございませんか。
  187. 大平正芳

    ○大平政府委員 寡聞にして、まだそういうことは聞いたことがございません。
  188. 横路節雄

    ○横路分科員 実は私のところに資料があるわけです。どうしてこういう資料があるのかというと、ちょっとあれですが、資料があるわけです。この資料はどうも本物ですね。しかし、官房長官から、国家安全保障会議については、内閣としてはそういう意向はない、それからアメリカの中央情報局に対処するような国家安全保障調査局というものは作らぬ、こういう点がはっきりしましたから、この点については機会があれば次にいたすことにして、内閣調査室そのものの予算等についてこれからお尋ねをしたいと思うのです。  ことし、内閣調査室で、情報収集のための調査委託費というのが、全部で三億六千六百一万八千円になっていますが、恐縮ですが、調査室長から、各団体に対していかほど出しているものか、その内訳について発表していただきたい。
  189. 古屋亨

    ○古屋説明員 来年度の予定でございまして、昭和三十七年度情報調査委託予定団体及びその予定金額、日本放送協会に千四百三十五万四千円、内外情勢調査会に四千三百八十万四千円、共同通信社に七百二十万円、ラジオプレスに二百五十万、ジャパン・ニュース・センターに千八百八十八万五千円、海外事情調査所に四千二十九万五千円、世界政経調査会に八千八百三十八万八千円、東南アジア調査会に一千百四万九千円、国際情勢研究会に四千二百四十五万三千円、国民出版協会に三千七百五万五千円、民主主義研究会に六千三万五千円、合計三億六千六百一万八千円でございまして、委託先、委託金額は、一応来年度の要求額についての予定でございますので、変更することがあり得る、以上でございます。
  190. 横路節雄

    ○横路分科員 去年なくてことし新たに設けられたもの、去年あったものが変わった等、いろいろございますが、世界政経調査会の広岡という人は前に何をしていたのですか。それから八千八百三十八万八千円、これは去年なかった団体なんですが、去年なかった団体である世界政経調査会に、広岡謙二、八千八百三十八万八千円、これはどういう仕事をするのですか。広岡謙二というのはどういう人ですか。
  191. 古屋亨

    ○古屋説明員 広岡謙二という方は、前に石川の知事をやりまして、国防会議の事務局長をやってやめられた方でございます。  世界政経調査会でございますが、これは七月一日に財団法人として発足をいたしまして、従来委託しておりました内外事情研究会、アジア動態研究所、国際問題研究会、国際経済調査会、この四団体の責任者の間で話し合いが行なわれまして、能率的、効果的調査を推進するために、これらの団体を解散し、統合して、新たに財団法人世界政経調査会といたしまして、昨年の七月一日に発足いたしました。
  192. 横路節雄

    ○横路分科員 民主主義研究会、浅井清六千三万五千円、この浅井清さんという人は前に何をやっていたのですか。それから民主主義者研究会というものは何をやるのですか。
  193. 古屋亨

    ○古屋説明員 浅井清さんは、慶応大学の教授で、人事院総裁をされてやめられた方でございます。この民主主義研究会の目的を要約して申し上げますと、民主主義に関する内外の理論、制度及びその運営についての調査研究を行ない、国民の民主主義に関する知識の普及浸透をはかり、もってわが国の民主制度の発展に寄与するというのが、この団体の目的でございまして、調査室といたしましては、この団体に対しまして、民主主義の発達に必要と認められる理論の研究調査、並びにこれに関する資料の作成を委託しておる次第でございます。
  194. 横路節雄

    ○横路分科員 官房長官、これはどういうものでしょうね。今私、人間違いがあったら困ると思って重ねて聞いてみたのですが、世界政経調査会の広岡謙二さんは、この間まで国防会議の事務局長であった。団体を総合して、ことしは八千八百二十八万八千円を支給しておる。この間まで人事院総裁であった浅井さんを、今度は民主主義研究会の代表者にして、ここに六千万円を国費でもって調査委託費としてやっておる。これではまるで、官僚の行き場所がないので、こういう団体を作って、そこに七千万円だ、八千万円だ。そんなにたくさん国の予算というものはあるものなんでしょうか。官房長官、こういうやり方はどうですか。私は浅井さんや広岡さんのことはよく存じていません。どんな人かわかりませんが、浅井さんは人事院その他を相当の年配でおやめになった人だ、こういう団体に六千万円の国費を投ずる、また、世界政経調査会には八千八百万円やって、代表者に国防会議の事務局長であった人を置く、一体こういう予算の使い方というものはいいものなんでしょうか。
  195. 大平正芳

    ○大平政府委員 調査委託制度それ自体については議論のあるところでございまして、内閣がみずからの要員を持ちまして、自分の方自体で調査をするということも一つの方法でございましょうが、ただいままでわれわれは民間の団体に調査を委託する方が有効である、経済的であるという建前でやって参ったわけでございます。しからばどういう団体に委託するか、それからまた、その団体の主宰者はどうあらねばならぬかということになるわけでございますが、私どもといたしましては、ただいま委託を申し上げておる団体は、私どもの期待にこたえて十分に仕事をやってくれておると思いますし、また、今御指摘になりました主宰者につきましては、いろいろ前歴のお話もございましたけれども、人格、能力等から、適任者といたしまして、私どもはお願いいたしておるわけでございます。古い官僚のはけ場を作るためにこういった団体を結成するというようなことは、毛頭考えておりません。
  196. 横路節雄

    ○横路分科員 ここにございますのは、これは内閣調査室で、わざわざ見てくれと言って私のところに持ってきたものなんです。去年も私は指摘をしましたが、国民出版協会で「きょうの朝刊から」というのが、ここにあるわけです。これはどういうものなんでしょうかね。わざわざ朝新聞を買ってそれを分析、といったって、何も特別な分析ではないわけです。ただ書いてあるわけです。それを今度は一週間に一ぺんずつ「週間論評速報」というやつをやっておるわけです。それから今度は新聞、放送、雑誌の「論調」というので、所得倍増計画の問題点というので、投書だとか、そういうのを書いているわけです。こういうことをやるのに、三千七百万も出してやらなければならないものなんでしょうか。それからここにいろいろ放送関係もございますが、これはみなそうなんです。官房長官、見てないのじゃないですかな。ここに放送関係ございますが、これはラジオプレスでやっている海外放送です。ところが、ここにある本、私、全部見たら、あらゆる団体で出してくる本は何のことの本かと思ったら、極端にいえば、中国とソビエトしか書いてないのです。そこで私はちょっと防衛局長にお尋ねしますが、アメリカ側の情報というものは、アメリカ大使館というのですか、それとも日米の安保条約ができましたから、どういうようにしてアメリカ側の軍事情報なり——あなたの方からいえば軍事情報だが、そういうものは、アメリカ側とは、どういう機関で交換をしているのか。どういうようにして情報をもらい、どういうようにして——日米の安保条約、言いかえたら軍事同盟なんだから、どういうようにして情報をもらい、それの総合判断をしているのですか。どういう機関でやっているのです。
  197. 海原治

    ○海原政府委員 私どもとアメリカ側との間の情報連絡についてのお尋ねでございますが、これは昨年の内閣委員会でも御説明したと記憶しておりますが、現在防衛庁から、ワシントンにあります日本大使館には、陸海空からそれぞれ一名ずつの駐在官が、外務省職員の形になりまして行っております。これらの駐在官から——防衛駐在官と申しておりますが、この防衛駐在官の任務は、現地におきまして、防衛問題、一般的な国防問題等についての情報調査ということがその主たる任務になっておるわけですが、これが朝海大使の名前で外務大臣あてに送られて参ります。私どもはこれを外務省からいただきまして、その資料に基づいていろいろと検討いたしておる、これが一つのルートであります。それから次には、委員も御存じのように、こちらには在日米軍司令部というのがございます。さらにはアメリカ大使館の一部として軍事顧問団、これと私どもの制服のそれぞれの担当の部門との間に定期的な連絡がございますので、その面における、いわゆるスタッフ・レベルにおける情報交換というものがございます。さらには外務省の当該部局を中心といたしまして、私どもの防衛局第二課、長以下関係係員が定期的な連絡をいたしております。さらに直接、防衛庁といたしましても、在外、特にアメリカ関係につきましては、軍事関係の雑誌、専門誌等を取り寄せて検討いたしておりますので、それらの資料による判断、こういうものがございます。以上申し上げましたような大体四つのソースで、防衛庁の任務達成に必要な資料調査ということを実施いたしておるわけであります。
  198. 横路節雄

    ○横路分科員 今の防衛局長のお話で、防衛庁の内部におけるアメリカ側との情報連絡その他についてはだいぶわかりましたが、先ほどお話の第二点の、在日米軍の司令官あるいは軍事顧問団との制服の諸君との間に定期的な連絡会をやっているというのですが、これは正式には何という名前で呼ばれているのですか。それから制服というが、これに出席しているのはだれなのか、定期的にどの程度やっているのですか。
  199. 海原治

    ○海原政府委員 正式に名前をつけて呼んでおりません。私どもの間では、いわゆる事務連絡会議と言っております。それで、どのレベルからどのレベルへということでございますが、最高のところでは、私どもの次官、統幕議長等と在日米軍顧問団長との間には、たしか月二回くらい定期的に会合を持っております。それ以外に、統合幕僚会議事務局の第二幕僚室、これはいわゆる情報調査担当の部局でございますが、これが在日米軍の方のJ2のセクション、さらに陸海空それぞれの幕僚監部にはそれぞれ情報調査を担当する部がございますが、これがそれぞれ在日米陸海空の間に、これは定期的ではございませんが、所用のありましたときには連絡をとって情報の交換をしております。以上でございます。
  200. 横路節雄

    ○横路分科員 調査室長にお尋ねしますが、今防衛局長からお話がございまして、防衛庁とアメリカ側との情報連絡についてはだいぶ明らかになったわけです。ここにありますものは——私はいただいたのをだいぶ見ましたが、これからもなおよく検討したいと思うのですが、ここにあるものは全部中国並びにソビエトに関する資料です。これは実によく調査されていると思って、その点は敬意を表しますが、その他東南アジアのも幾分ございますが、アメリカ関係の資料というのはほとんどないわけです。いわゆる自由諸国に関する資料というのは、ほとんどないといってもいい。  そこで調査室長にお尋ねしたいのは、あなたは内閣調査室長として、防衛局長とかいろいろの毎週やっている連絡会議を、あなたがおそらく連絡責任者としておやりになるのでしょう。その場合に、アメリカ側からくる情報は、どういうように向こう側と内閣調査室とは連絡しているのですか。全然ないとはいえないだろうと思うのです。今防衛庁の防衛局では、アメリカ側と定期的にやっている。内閣調査室においても、私はそういう点の情報交換があるだろうと思うので、その点を一つ明らかにしていただきたい。
  201. 古屋亨

    ○古屋説明員 私の方のおもなる連絡個所は、自由圏の大使館がございまして、ここの広報部並びにそれに相当するところから、定時とは申しませんが、連絡を受けまして、その資料をこちらにいただきまして、それをこちらで、こちらの立場において検討し、参考資料にしておる、今やっておりますのは大体そういう点でございます。
  202. 横路節雄

    ○横路分科員 内閣調査室として、アメリカ大使館その他との間にそういうような連絡が、今防衛局ではあるわけですが、あなたの方ではどうなのか。
  203. 古屋亨

    ○古屋説明員 現在アメリカ大使館につきましては、広報部というところがございます。その他関係大使館、名前は大体それに類するものと思いますが、そういうところから私の方へ資料をいただきまして、それを検討いたしまして、私の方の情報と比較したり、判断の資料にしておる次第でございます。
  204. 横路節雄

    ○横路分科員 官房長官、あなたが直接の責任者なんだが、ここにたくさんございます。ここにあるものは全部その資料ですが、全部中国並びにソビエトの資料です。いろいろラジオ関係についてどうなすっているのかなと思って、ここにあるものを調べてみると、モスクワ放送並びに北京放送についてのいわゆる解読といいますか、一般的に放送されているのですから、それを収集するということになっている。  そこではっきりしないことは、中国やソビエト関係の情報はとる、防衛庁でははっきりしている、そういうように日米の安保条約によってとっている。日米の安保条約が結ばれている今日の段階において、アメリカ側との関係において、いわゆる自由諸国と呼ばれている諸国とのそういう連絡その他というものは、一体内閣としてはどういう格好でやっているのか。今調査室長の話によると、アメリカ大使館の広報部からくる資料に基づいてやっているのだ、その程度のものかどうなのか、その点ですね。
  205. 大平正芳

    ○大平政府委員 あるいは今お手元にあるのが中共、ソ連等の分量が多いかもしれませんけれども、どういうパーセンテージになっておるか私は存じません。しかし私どもの任務は、できるだけ広く自由圏、共産圏を問わず収集し得る情報は収集すべく努力いたしておるわけでございまして、あるいは足らないところがたくさんあるかもしれませんけれども、今与えられた条件のもとでは最善を尽くしておるつもりでございます。
  206. 横路節雄

    ○横路分科員 実は私はこの中にある資料の一つ一つに基づいてお尋ねをした方がほんとうはいいと思うくらい、何で内閣はこんなものを膨大な金をかけてやっているのだろうか、こう思うのですが、だいぶ時間もたっていますから一つ一つについて触れる時間がなくて残念ですが、この昭和三十六年度の情報調査委託費の各団体で、われわれ国会議員に対しまして資料として提示してきている団体は、内外情勢調査会だけです。この団体だけは、感心というか、われわれ国会議員に、出したもの全部ではないでしょうけれども、出しているわけです。その他のものについては一つも出していない。まあこうやって年度当初の予算になって、出しなさいというと初めて出してくる。もっとこれはほんとうに必要であるならば、われわれ国会議員にも配付したらいいのです。これはどうですか、官房長官、内外情勢調査会だけが、そのときそのときのいろいろ翻訳したものを出している。あとの団体についてはわれわれ国会議員には全く秘密で、こうやってわれわれが資料要求をしたとき初めてまあ一つ見て下さい——これも全部ではないでしょう、都合の悪いものは持ってこなかったとは言わないけれども、全部ではないと思う。全部配付したらどうですか。官房長官どうです。
  207. 大平正芳

    ○大平政府委員 そういう御要望がございますれば、私ども検討して、そういうことが今の予算で可能かどうかもよく検討いたしまして、御便宜をはかり得る範囲でおはかりするように努めてみたいと思います。
  208. 横路節雄

    ○横路分科員 次に官房長官、これは私一つの例を言うのですよ。今一つの例に取り上げました内外情勢調査会は長谷川才次さんという人がやっているのだが、この人は内閣の調査室から四千三百八十万四千円もらって、同じくこの問題について防衛庁から三百四十九万六千円もらっている。これはどうして、それこそ先ほどの話じゃないけれども、何でこういうように一つの団体に内閣調査室からもいく、今度は防衛庁からもいく、もっと調べてみれば、またどこかの省からもいっているかもしれない。あなたは大蔵大臣でないからそういう予算については御存じないかもしれないが、しかし内閣調査室でこうやっている以上、こういうように各省別に同じ団体にやるというのは、一体どういうのでしょう。官房長官、御存じございませんですか。知らなければ知らないでもいいのですよ。
  209. 大平正芳

    ○大平政府委員 それぞれの省が特定の目的で調査を委託するということはあり得ることだと思います。今御指摘の内外情勢調査会に対して防衛庁から委託があることも承知いたしておりますが、これは主として軍事上の目的でお願いしておるのだろうと思いまして、私どもはきわめて一般的な内外情勢についての調査をお願いしておるので、全然重複がないというわけにはいかない場合もあるかと思いますけれども、建前は、目的が違うというように御了解いただきたいと思います。
  210. 横路節雄

    ○横路分科員 官房長官、そのお話はちょっと聞けませんね。内閣調査室で内外情勢調査会に四千三百八十万出している。一般的って何が一般的なんですか。われわれに配付してきているのは、たとえばアメリカにおける国防計画はどうなっているか、核兵器についてはどうなっているか、各国はどうなっているか、そういうのが多いんですよ。こういう目に見えないところで、あなたたちは予算の操作をしている。そして一方では生活保護者であるとか、あるいは親をなくした子供たちですね。そういう者に対するおやつ代とか、そういうところはどんどん削っているが、こういう問題については相当思い切って出している。しかも、各省にまたがって出している。私は、内外情勢調査会から出されておる本は、これは十分海外の国防に関する資料だと思って読んでいますよ。こういう点は、これはきょうはおそらく大蔵省の主計局関係の者もいると思うのだが、そういう点は十分配慮してもらわなければならぬ。私はあす大蔵大臣に質問する時間もございますからお話しようと思うのだが、ちょっとこの調査委託費というものは、私はだいぶルーズになっていると思う。各省ごとのを私はここに持ってきていますが、それをきょう聞く機会もございませんし、時間もありませんから、この点は十分一つ検討してもらわなければならぬ。  そこで、この問題についてなおもう少し官房長官にお尋ねしますが、その前に総務長官に聞いておきます。総務長官と官房長官に一つ聞いてもらいたいのですがね。特定の人を代表者にしておる団体にずいぶん出ておりますね。今、私が読んでみますよ。内閣調査室から出ている調査委託費で、長谷川才次さんの内外情勢調査会、四千三百八十万。その次、同じく内外情勢調査会に防衛庁から三百四十九万円。その次、きょうはぜひ聞かなければならぬと思って資料を持ってきているのだが、この「フォト」の編集だ。この「フォト」の編集に七千七百万円、同じく長谷川才次さん。今度は社団法人中央調査社という名前で広報効果測定実施委託費、世論調査委託費三千二百八十万、同じく長谷川才次さん。模写電送送信委託費、株式会社時事通信社、長谷川才次さん、三百六十万。これで何ぼになるんでしょうね。全部で一億六千万円くらいになる。大へんなものですね。官房長官と総務長官、一緒に聞いて下さい。あなたたちはこういうように一億七千万も一つにやれば問題になるから、あっちこっちこま切れに予算を分けておいて、これも出されてきたものは、予算がついていなくて、団体と名前だけです。それを私どもが一一突き合わせしてみると、そういうことになる。これは何でも、予算の編成の技術だそうですね。一つで一億七千万も組むと問題になるから、みなこま切れにして分けてしまうと目立たないということがあるかもしれません。これはほんとから言えば、ここに大蔵大臣に来てもらって、予算編成について一体こういうことでいいのかどうか——これは何もこの総理府ばかりではないのです。各省であります。私は通産省で見ましたが、同じ団体に二つ、一方は調査委託費、一方は補助金、こういうように相当の金額、何億という金を組んでいる。こういう予算上のやり方は、私はおかしいと思うのです。そこで総務長官に二つ聞きますが、この「フォト」ですね、この間私が読んだように、ガリオアの返済協定なんというのは、これはアメリカ局長の安藤さんが書いている、これはまことに不届きだが、これはあとの総括でやりますが、これに七千七百万円出している。この七千七百万円の内訳を一つお聞かせいただきたいと思う。
  211. 三枝三郎

    ○三枝説明員 お答えいたします。ただいま御質問の七千七百万円の内訳でございますが、これは、委託費は編集について七百二十六万出ております。それから買い上げを七千万出しております。買い上げと申しますのは——毎号四万部出しております、月二回でございますから月に八万部、一部につきまして単価四十九円七十銭という計算をしておりますが、それを買い上げの形で、私ども一回について四万部買いまして、それを全国各学校、中学以上、あるいは市町村、県会議員以上、もちろん国会議員の皆さんにもお配りしておるわけです。
  212. 横路節雄

    ○横路分科員 説明は、そのことは承っておきますが、これはまるっきり政府の方で全額出しているわけですか。四万部ずつ、月二回で八万。一部についてこれは定価七十円で売っていますね。七十円だから、市販の分もあるわけでしょう。これはどうなっているのですか。
  213. 三枝三郎

    ○三枝説明員 全部で、一回について五万部印刷しております、先ほど申し上げました四十九円七十銭というのは、五万部発行として単価計算を適正にしております。それで、四万部を買い上げまして、残余の一万部は市販に、財団法人時事画報社が時事通信社におろしたものを売りに出しておるわけです。
  214. 横路節雄

    ○横路分科員 その残余の一万部については、どういう値段で売っておるわけですか。
  215. 三枝三郎

    ○三枝説明員 先ほど申しました一部の単価計算は四十九円七十銭でございますが、残余の一万部のうち七千部は、時事画報社が時事通信社に売っております。時事通信社が一般の市販に八掛で売っております。従いまして、七十円の定価でございますが、八掛ですから五十六円でおろしております。それから残りの三千部は、三百部以上まとめて前金で買い上げたところに三十五円で売っております。もう一度申しますと、返本をしない条件で三百部以上買い上げるところ、たとえば新聞の販売店、そういうふうなところに合計三千部出しております。従いまして、三十五円の三千部、それから五十六円の七千部、それの平均を出しますと、四十九円七十銭ということで、私どもとしましては適正なものだという工合に考えております。
  216. 横路節雄

    ○横路分科員 総務長官、今お聞きになったでしょう。私も説明を聞いてわかったのです。政府はこれを四十九円七十銭で四万部買い上げておる。残る一万部については、七千部はその八掛の五十六円でおろしておる。ただし、残余の三千部については、三百部ずつとりまとめてくれれば、返本をしないという条件で、現金で三十五円で渡している。これはどういうことになるのです。私も今黙って聞いていましたが、七千部の市販は、七十円だが、八掛の五十六円でおろしている。しかし三百部ずつとりまとめてくれれば、返本を条件にしないで一部三十五円でおろしている。だから、これは一部三十五円ということになるのじゃないですか。今のお話を聞いて、これは三十五円にならないですか。中学以上のもの、県会議員、国会議員にやるのだから、これは返本は条件にならないわけですね。しかし返本を条件としないで新聞販売店等で売れば三十五円でいくということは、三十五円が原価だということにならないでしょうか。そうすると一部について十四円七十銭、約十五円高い。四万部であると六十万、月百二十万、年間一千四百四十万、約千五百万程度は、この時事画報社から高く買い上げをしているということになりませんか。どうも私は今の説明を聞いてそう思うのですが、総務長官、どうですか。あなたは当事者だが、お互い説明を聞いたわれわれだ、しかも責任者である総務長官として、今の説明でどう思いますか。
  217. 小平久雄

    小平政府委員 三十五円で出しておるところだけを見ると、そういうお考えも出るかと思いますが、全般として原価計算をいたしまして、専門家にももちろん査定をさせまして、全体としてはそういうことにならぬ。安く特におろしておるという分につきましては、もちろん中間の手数料等も要りましょうし、あるいは若干の利益もあるかもしれませんが、しかし全体としてはそういうことにはならぬものと信じております。
  218. 横路節雄

    ○横路分科員 総務長官、あなたは信じていると言ったって、今の説明の数字は、たくさんの政府委員が今もおりますが、広報室長の説明を聞けばそうなりませんかというのですよ。そっちで説明したように、私がもう一ぺんオウム返しに言いますと、政府の方はこれを一部四十九円七十銭で買い上げて配布した、市販は残り一万部やっているのでありますが、残余の七千部については七十円の八掛の五十六円でおろした、しかし残余の三千部については、返本をしないということを条件に、三百部ずつまとめて現金で買ってくれれば三十五円でおろすというのでしょう。四万部ずつ買うのですよ。そうしたら、返本はないでしょう。総務長官、そうでしょう。そういうことになりませんか、私の説明で。何かあなたの方で説明を変えない限り、だれが聞いたって、この説明は成り立たないですね。
  219. 三枝三郎

    ○三枝説明員 先ほどは説明がちょっと足りなかったと思いますが、私ども原価計算をしますときは、各方面、たとえば印刷局、大蔵省、あるいは会計検査院、その他いろいろの手を経て慎重に計算をしまして、四十九円七十銭という原価が出ております。これは四万部買い上げておるわけであります。それから今御指摘の、三千部について三十五円で売っておる、これは赤字で出しておるわけです。四十九円七十銭引く三十五円、その赤字分が三千部出ておるわけです。しかし七千部については八掛ですから、これは先ほど申しましたように、五十六円引く四十九円七十銭、その差額は黒字でございます。それを合わせますと、プラス、マイナス大体ゼロのところに持ってきておる。しからば何がゆえに三十五円でそのような手段をとっているかと申しますと、私どもの方針としましては、できるだけたくさんの部数を無償で配布したいのでありますけれども、予算の制限がありますので、四万部については、先ほど申し上げましたように、各方面に無償配布しておりますが、その他の分については一つできるだけ売りに出して、多数の人の目に触れさせて政府の施策を徹底させようという工合に考えております。従いまして三十五円で、たとえば新聞の販売のルートを通じて流すというのは、そういう赤字でございますけれども、多くの人の目に触れて、それがまた一般の購買のルートに乗りますと、やがて五万部が十万部あるいは二十万部というようなことになりますれば、単価がまた部数がふえる関係で低くなっていく、そういうようなことも考えておりますが、現在におきましては、今御質問のありますような、たとえば三十五円でできているものを政府が四十九円七十銭で買い上げている、そういうことは全くございません。何度も申し上げましたように、四十九円七十銭という単価計算で買い上げておりまして、三十五円で売っております分は赤字であります。巷間いろいろ伝わっておりますが、私どもとしましてはすべてガラス箱ではっきりした計算でやっておりますので、そういうことはございません。
  220. 横路節雄

    ○横路分科員 そうすると、今のお話を聞いてみると、ことしから七千七百万予算を組んだけれども、できるだけ市販に移す、こういうわけですか。どういうことなんですか。
  221. 三枝三郎

    ○三枝説明員 海外のいろいろな例を見ますと、大体政府刊行物は無償で配布しているのが例のようでございます。私どもとしましてはできるだけ多くのものを無償で配布したいのでありますが、現在のところは大部分を買い上げ、一部を販売して伸ばしていこう、そういう方針でおります。
  222. 横路節雄

    ○横路分科員 総務長官、この説明を聞いてはっきりわからぬですよ。今の説明を聞いて、四十九円七十銭が正しいのだという説明にはなかなかならないです。今の説明は、五十六円と四十九円七十銭との差、これが七千部ある。その差は利益になっている。それから四十九円七十銭と三十五円との差の三千部、それは赤字になっている。だからちょんちょんだ。だから四十九円七十銭は原価計算で正しいのだというのは筋が通らないです。  それから、この内容は何ですか。これは政府の宣伝ですか。それとも事柄を忠実に伝えるのですか。これは政府の宣伝でしょう。たとえばこの中で、私は最後の日にやるのだが、ガリオア・エロアについて一ぺんだって日本は債務と言ったことがないなんて、とんでもない話だ。こういう間違った記事を出して、国民を惑わすものですよ。いずれ最終的な総括質問のときにガリオア・エロアについては触れますが、こういう間違った記事を平気で書かして、国民に読ましたり、学校に配布したりしている。私はこの記事の内容についても非常に問題があると思う。だいぶ時間がたっていますから、最後に一つ聞いておきます。  「青年海外派遣実施要綱抜すい第三回」というので、あなたの方から資料をいただいたのです。これは総理府中央青少年問題協議会事務局から出されたものですが、「派遣団員は、特定の都道府県を除き、各都道府県男子各一名とする。ただし、女子については、別途考慮するものとする。」「派遣団員は、各種職業階層及び各種青少年団体にわたるものとする。」この青年団は思想団体はだめなんでないですか。これは、地域の青少年団であるとか、あるいは農村であるとか、そういうものが作って この中には明らかに思想団体を入れているじゃないですか。そういうのはございませんか、総務長官。
  223. 小平久雄

    小平政府委員 思想団体は入れておらないと承知いたしております。
  224. 横路節雄

    ○横路分科員 この中に、日本健青会で下村浩一君というのが行っておるが、これは政治団体ですよ。思想団体ですよ。安保賛成、反対は、それぞれの個人の自由だから、それはいいでしょうけれども、これは明らかに特定の思想団体ではありませんか。特定の政治団体ではありませんか。この中を調べてみると、そういう点が多分にありますよ。これはどうなんです。あなたの方は、そういうのを意識してやっておるのじゃないか。お前の方はどうだ、お前の方は安保賛成か、よしわかった、それでは何か作ってきなさい、こういうのじゃないですか。あなたの方の名簿を見ると、多分にそういう点がありますよ。あなたの方から出していただいた資料で、私どものわかる範囲でやっておるのです。この中に、はたしてそれぞれの都道府県として、団体として、相当まとまって一まさか三十人や四十人や五十人の団体ではだめでしょう。少なくとも都道府県において、その青少年を大方網羅している団体でなければならぬ。どうもそういう点については遺憾な点がございますよ。もう二時十五分前になりましたから、この点については総務長官、あしたもう一ぺん、よくあなたの方で調べて、私の方によこした団体について、構成は何千人いるか、何万人いるか——まさか、二十人や三十人の団体を作ってさえくれば、それで許可するというものじゃないはずだと思う。この点はどうなんです。団体の構成については、たとえば千人以上とか、三千人以上とか、五千人以上とか、そういう規定があるものか。団体さえ作ってくれば、それを審査していいのかどうか、そこら辺のところはどうなんです。
  225. 小平久雄

    小平政府委員 選考の要綱を作ってやっておるようでありますが、詳細存じませんので、事務局長よりお答えさせます。
  226. 深見吉之助

    ○深見政府委員 海外派遣青年の選考の方針といたしましては、各種青年団体あるいは職域においてグループ活動をしておる者といったような、地方のいわゆる大衆青年の中で活動力を持っておる者を選ぶ、こういう方針でやっておりまして、御指摘の健青会は、われわれはこれを思想団体とか政治団体とかいう範疇に考えておりません。従来とも、一般青年の教養団体として取り扱って参っておるわけでございます。
  227. 横路節雄

    ○横路分科員 それは、あなたの方で派遣するには、そういうように判定しなければできないでしょう。私はあなたに重ねて資料要求しますが、一体これは五十人や百人や二百人の団体さえ作ってくればいいというわけじゃないでしょう。各都道府県においては男子一名だ、都道府県の団体というからには、その都道府県を網羅する地域のものか、職能のものでなければならぬでしょう。今の団体は、何人いるのですか。何千人いるのですか。何万人いるのですか。
  228. 深見吉之助

    ○深見政府委員 正確な数字は持ち合わせておりませんが、現在のところ、三万人程度の団員を持っておる、かように思っております。
  229. 横路節雄

    ○横路分科員 これは、都道府県に、全国的にまたがっておるのですか。
  230. 深見吉之助

    ○深見政府委員 都道府県に支部を——全部の都道府県にはわたっておりませんが、特に九州地方等には各県にわたって支部が作られておりまして、地方活動をしている団体でございます。
  231. 横路節雄

    ○横路分科員 これらについては、ここに出してある団体のそれぞれの目的その他について全部出してもらいたい、去年派遣したものについて。どうも私たちは、あなたたちのやり方を見ると、これは政府機関を握って、あなたたちの特定の思想に合わせて、その反対の思想のものについては出さない、こういう傾向が強く言われている。だからあなたの方で派遣した団体について、その規約その他についてぜひ出してもらいたい。特定の性質を持っているそういう団体から特に選んでやっているのではないか。これが一般的に持っている疑義です。  委員長、大へんおそくなりまして恐縮ですが、この程度で……。
  232. 西村直己

    西村主査 資料の要求がありますから、またよく相談します。委員長を通して御要求下さい。  それでは、午前の会議はこの程度にとどめ、午後二時三十分まで休憩いたします。    午後一時五十一分休憩      ————◇—————    午後二時三十九分開議
  233. 西村直己

    西村主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑の通告がありますので、これを許します。横路節雄君。
  234. 横路節雄

    ○横路分科員 開発庁の長官にお尋ねします。この分科会でも御質問があったようですが、前に私、内閣委員会でお尋ねをしましたので、その継続として一つお聞きをしておきたいのですが、矢臼別の演習場の問題です。この問題については、今までいろいろ経過があるわけですが、私はこの矢臼別の問題は、北海道の農業と重大な関係がある、こう思うわけです。これは酪農地帯としても非常な適地である、こういうように考えております。この矢臼別は開拓適地である。しかも、これから酪農振興というので乳牛約六十万頭にしなければならぬ、こういうようなときに、開拓適地である矢臼別を演習場にするというのは、一体どういう考えなんですか。演習場なら、何も開拓適地でなくたっていいわけでございます。この点、わざわざ何も開拓適地の矢臼別を演習場にして、しかも北海道における農業伸展のために約六十万頭の乳牛を置かなければならないというときに、なぜわざわざ演習場にしようというのですかね。長官は何か積極論者だという話もあるし、いやそうじゃないという話もありますけれども、それではまず長官のお考えを一つ承っておきたいと思う。
  235. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 北海道の畜産化、それから草地開発などは、第二期計画を今調査作成中でございまして、三十八年度から初スタートするのですが、今お話しの通り大体牛を六十万頭にしようという考えを持っております。それに見合っただけの草地の開発を施策しておると思うのですが、北海道には耕作可能地で未開拓の土地が数十万町歩あるわけでございます。八カ年第一期計画で開拓し得るのは、予算の面から申しましても、そうよけいではないのでありまして、矢臼別を演習場にかりにいたしましても、北海道の畜産をふやすことには影響はないと私は考えております。しかし、これはあくまでも地元の意向を尊重する必要があるのでございまして、防衛庁として矢臼別をぜひ演習場にしたいという考えは、その隣地にすでに演習場がありますからして、それを拡張したいという考えに出発したのではないかと思うのです。これに対しましても、地元の町村が反対いたすのではこれは私どもといたしましても賛成いたしかねますけれども、聞くところによりますと、地元の町村も演習場にすることを賛成している、こういうことでありますから、私は矢臼別を演習場にすることには反対いたしません。
  236. 横路節雄

    ○横路分科員 これはしかし、今のは開発庁の長官としては非常に重大な発言ですね。矢臼別を演習場にすることについては開発庁としては反対しないということなんですね。  木村監理官に、反対しないということだから聞いておきます。三十六年度予算の実施計画費三百万でしたか、あれは去年予算を農林省に移しかえをしないでそのままにしてあるが、これは今、開発庁長官の言によると、私は反対しない、賛成なんだ、こういうことなのだから、そうすると、その点については実施計画費はもう不用になるわけですね。この点はどうなんですか。
  237. 木村三男

    木村(三)政府委員 矢臼別の全体設計費は二百万でございます。ただいま使っておりません。この予算は農林省の方に移しかえをして農林省の方で使う予定のものでございますが、今後の開拓方式などの点で今まで使用未済でありまして、まだ不用に至っておりませんが、冬場にもなりましたので、私どもも今まで考えておりました線は、開発予算から農林予算の方に移しかえをいたしまして、一応繰り越し予定のつもりで処理したいと考えておりましたが、その後要らないとなればまた別に決定しなければなりませんので、これは農林省、大蔵省に関係がありますので、ただいまの段階では未使用のまま保留してあります。
  238. 横路節雄

    ○横路分科員 長官は、矢臼別の演習場の計画というのはどんな内容の計画であるか御存じでありますか。矢臼別の演習場は二つあるのです。一つは、北海道陸上自衛隊四個師団が一緒にやる総合演習場である。もう一つは、射程距離約二万七千メートル、約二十七キロメートルにわたる百五十ミリの加農砲の実弾射撃の場所である。長官御存じでございましょう、おいでになったかどうか、こういうようにくぼんでおるのですよ。片方は開拓適地としては不適当であるというので、これは林野庁に移しかえをしておる。片方は矢臼別の開拓なんです。撃ったら、まん中は首のように細いのですよ。こういうようになっているところ全部が、今日すでに、開拓者ではあるけれども、牛を入れて戦後十五年間やっておる諸君には、全部立ちのきをしてもらわなければならぬのですよ。そういうことをお考えの上で賛成だと、こう言ったんですが、それは御存じなんですか。
  239. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 私が昨年あの地方を視察しましたときに、矢臼別の現地住民諸君から陳情がありまして、あそこに常置的な兵舎を持ってくるようにしてもらいたい、われわれはそれを歓迎する、こういう話がありましたから、私は現地も賛成しておるのだということをそのときから思っておったのであります。最近になりまして、正式に村会の決議をもちまして演習場を賛成するという意思を表示したそうであります。現地に住んでおる人々がこれを賛成するのであるならば、私はこれを認めたらいいじゃないか、こう考えております。
  240. 横路節雄

    ○横路分科員 長官、それはなるほど、村長がそういう提案をして村議会が議決をした。私も行ったんです。あなたがおいでになる一週間ほど前に行ったんです。私も北海道開発審議会委員として正式に行きましたら、地元の諸君も来たんです。地元の諸君の話を聞いたら、師団か連隊に来てもらいたいというのです。今北海道における四個師団のそれぞれの常置の場所はきまった。それが、あそこの別海村に一個師団か一連隊を常置してもらいたいなんていうようなことはでき得るわけはないのです。しかし、私が今あなたに聞いておることは、一体矢臼別に演習場を置いた場合に、あの別寒辺台と矢臼別は中間でくびれておる。その周辺にはすでに戦後十五年にわたって開拓農民が入っておるが、この諸君にも立ちのきをしてもらわなければならぬのですよ、上を百五十ミリの加農砲が通るのだから。この点は、あなたはそう思ってお答えになっておるのですか。
  241. 木村三男

    木村(三)政府委員 長官の答弁の前に、数字的なことを申し上げます。  地元からの意向としまして、昨年の十二月に別海村長から別海村内に自衛隊の駐屯部隊を誘致することについてという議会の決議と陳情とを防衛庁長官の方に出してあります。その条件の中に、部隊の駐屯を第一条件とし、少なくとも廠舎の建設を早急に実現することというような一項が入っておりまして、内容はだいぶ初めとは後退しておるような様子でございます。  それから、立ちのきの関係で、防衛庁で、もしここを演習場にする場合に、別寒辺台と矢臼別第三の間に狭窄部が出て参りまして、防衛庁方面の調査によりますと、四十戸くらいの立ちのき農家が出てくるであろう、それは話がきまれば防衛庁の方で話をつけたいというようなことを聞いております。
  242. 横路節雄

    ○横路分科員 長官、今お聞きの通り、これはただ単に矢臼別の開拓適地の移しかえだけでは終わらないのです。その別寒辺台と矢臼別との中間、ちょうど接続するところがくびれておりまして、あの周辺に開拓農家四十戸がすでに牛を入れているわけです。だから、これは当然立ちのきをしなければならぬのです。この農家の諸君が立ちのきをしない、こう言えば意味がないのです。あなたは先ほど、北海道の六十万頭の乳牛、こういう問題等を考えた場合に、いわゆる開拓適地等から考えて、矢臼別並びに矢臼別周辺にある農家四十戸に立ちのきしてもらっても、なお北海道の酪農振興には全然影響しない、こういうことをおっしゃったが、その通り聞いておいていいのですか。もう一ぺん一つお尋ねしておきます。
  243. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 その通りでありまして、未開墾地がどのくらいあるかということ、並びに第二期開発計画でもってどの程度予定しているかということは、数学的に御説明申し上げます。
  244. 木村三男

    木村(三)政府委員 将来の、特に第二期計画の畜産の構想を今考えておりますが、ただいまお話が出ました乳牛の数を現在の三倍といたしますと、大体六十万頭、これに見合う草地というものをいかに確保したらよろしいか。現在二十万頭の牛を養っておりますところの草地として、草地と言えるものが二十七万町歩見当でございます。そのほか粗放な形態でやっている分もありますけれども、一応ベースに立っておりますのはその程度であります。四十五年度六十万頭のときには、これが五十四万町歩あればよろしいという計算になります。そこで、一昨年でありますが、農林省の畜産関係におきまして、北海道の草地可能面積を調査いたしましたが、それによりますと八十八万町歩、八十八万町歩から現在草を作っております耕草地と申しますか、二十七万町歩を引きますと、六十一万町歩の余裕がある。それを目当てにいたしまして草地開発事業を進めていく、その他の施策をやるということによりまして、バランスとしては、財源はその方から出る。バランスは大体そのようになる。それから細目的な点で、それでは四十五年までに拡張いたします草地の候補地をどういうふうにぶつけていくかということは、ただいま作業中でありまして、その辺のことにつきましては、過般道庁の方から出て参りました資料によりますと、六十万頭の線もよろしい、五十四万町歩の線も合っているわけなんでありますが、内容別には道庁の資料では、矢臼別ははずして計画しているような内容を最近拝見いたしました。
  245. 横路節雄

    ○横路分科員 長官は、いとあっさり矢臼別をはずしてもさしたる影響はないなどと言うが、たしか矢臼別は一万町歩ですか、あったはずですね。そこで、何もあえて農耕地をわざわざつぶしてやる手はないのです。しかも、木村さんからお話がありましたように、部隊の駐屯、廠舎の建設をやってくれというが、部隊の駐屯ということができないことは防衛庁でもはっきりしているわけです。しかも立ちのきは、約四十戸立ちのきしてもらわなければならぬ。こういうことなのでありまして、この点は、私は、長官がこれに賛意を表されたという点は、北海道開発という点からいって、はなはだ遺憾だと思うのです。これは私の考え方ですから申し上げておきます。  北海道知事はどうしたのですか。賛成なんですか、反対なんですか。
  246. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 北海道知事の意見は、まだ聞いておりません。
  247. 横路節雄

    ○横路分科員 この点は、すでに意思表示が何か文書で来ているのじゃありませんか。
  248. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 文書で来ておりませんそうです。
  249. 横路節雄

    ○横路分科員 この問題につきましては、私ども社会党としては、矢臼別を演習場にすることは大反対です。この一つの問題は、この前も委員会で申し上げましたが、根室の海岸線までは約二十キロしかない。従って、百五十ミリの加農砲を撃ちますと、沿岸には鳴り響きますし、いたずらにそういう意味において緊張の度合いも増しますし、しかもあの地域は危険推定区域ということになりまして、漁船の拿捕等も、どうしてもソ連領に出なければ漁ができない。こういう問題等もありまして、非常に国際的に問題の多い土地でもあるし、現に四十戸も立ちのきをしなければならぬという点も明らかでございまして、なお農耕地をわざわざつぶしてやるという必要はない。こういう意味で、われわれはこれは反対で、いずれこれは、いろいろな機会でさらにこの点についてはわれわれの立場を強く主張しながら、ぜひ政府でも一つこの考え方を断念していただくように、われわれ将来ともにいたしたいと思いますが、きょうのところは次の問題に移りたいと思います。  次にお尋ねをしたい点は、北海道の苫小牧の工業開発港についてです。土地の問題についてお尋ねをしたいのです。去年この委員会でも非常に問題になりました土地の問題は、その後、会社と地方自治体との間で話がついたようなのです。しかし、国有財産ですから、この土地については国がきめなければならぬ。それで、土地の問題は一応解決が両者の間で、話がついたようには聞いておるが、実際にはまだ払い下げになっていないのではないかと思うので、その間の経緯はどうなっていますか。これは一つ木村さんの方から話して下さい。
  250. 木村三男

    木村(三)政府委員 経過を申し上げます。昨年の四月に、市と会社の方で、苫小牧の背後地、室蘭本線の北側の方ですが、そこの土地の土地造成関係をめぐりまして、国有地がだいぶたくさんございますので、どちらから出しましても競願の形になって、線がなかなか引きにくい。そこで、開発庁は三十三年から苫小牧の工業開発計画を立てている関係もあるし、将来の開発構想から見て、どういうふうに土地の区分をして大蔵省の方に申請したらよろしいか、裁定を頼むということを四月に、言うてきたわけなのであります。私どもこれを受けまして、大蔵省の方と話をいたしまして、大蔵省の方でわれわれの裁定の線に沿ってやってくれるなら調停もできるであろうというので、管財局方面と話しまして、大蔵省の方も、それならその方がさばきやすく簡単であるということで、了解を得まして、私どもが調停案を作ったわけであります。調停案ができましたのが昨年の十月であります。それによりますと、市と会社のやる仕事をはっきりと分けまして、市の方は、港湾を掘りました掘さく上、いずれも関係がありますが、市街地部分、将来の商業地区とかあるいは工業地区というものを造成していく。そのために必要とされる土地の面積を百七十四万坪。それから会社の方は、工場誘致の関係で工員の宿舎用地を造成していくという職分を持たせることにいたしまして、所要の土地の数量が二百四十一万坪、これがグロスであります。そのうち国有分はおのおの幾らかと申しますと、市の場合は百七十四万坪のうち百十三万坪、会社は二百四十一万坪のうち国有地が二百七万坪、国有地だけの合計が三百二十万坪であります。その他は民有地でございます。これを裁定いたしまして、両者とも異存はないという念書をつけまして、私どもの方からかくのごとく裁定したからよろしく頼むということで、ただいま大蔵省の方に行っております。大蔵省の関係では、手続といたしましては、国有財産審議会に諮問するという手続などがありまして、ただいま評価の問題、手続の問題等で検討しているように聞いております。
  251. 横路節雄

    ○横路分科員 大蔵省の管財局の国有財産第二課長が来ておられるそうでありますから、お尋ねしたいのですが、苫小牧工業用地のことなんです。一体これは今お話しのように、市の方には百十三万坪、会社の方には二百七万坪、合計三百二十万坪払い下げをせなければならぬ。この土地の価格について、大体どの程度のことを考えているのでしょうか。まちまちなことを言っております。その前に、長官にちょっとお尋ねしますが、北海道の工業地帯というのを、一体どこへこれから新たに設定していこうというのか。国有財産第一課長の来るまで、基本的な問題ですから長官にお尋ねしておきたいと思います。   〔主査退席、保科主査代理着席〕
  252. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 工業地帯はむろん輸送と密接な関係があると思うのであります。従って、きわめて輸送関係の便利なところを工業地帯として今後発展させたいと思っております。とりあえず三十七年度の予算では、苫小牧築港のうち石炭埠頭を年間二百万トンを積み出し得る設備をすることにいたしたわけであります。そういう意味で、今後ともやっていきたいと思っております。
  253. 横路節雄

    ○横路分科員 長官の今のお話で、工業地帯の設定は苫小牧で三十七年度はこうなっておる、こういうことですが、一体北海道の工業地帯というものをどういうふうに新たに作っていかれるから、こう私はお尋ねしたのです。
  254. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 第二次開発計画では、工業地帯を重点的に取り上げまして、その造成に力を尽くしたい、こういう考えを持っております。
  255. 横路節雄

    ○横路分科員 そこで、一体北海道の開発とうのは、相当地域的に総合開発をしなければならぬので、新たにそういう地帯というものはどこを予想されているか、こう聞いているのです。全体計画がなければないでもいいですよ。しかし、私はあると思うからそうお聞きをしているのです。
  256. 木村三男

    木村(三)政府委員 北海道開発庁として公にきめた地区はございません。ただ、われわれが今後計画を作ります場合に、各省で手を染めましたやつなどが問題になるだろうというので当たりをつけておりますが、通産省の工業立地調査等に関する法律によりまして調査完了をしましたのが十二地区であります。第一は天北、第二は留萌、三番が北見、四番が旭川、五番が砂川・滝川、六番が岩見沢・美唄、七番が札幌・小樽、八番釧路・白糠、九番が帯広、十番が苫小牧、十一番が室蘭、十二番が函館・上磯、この十二地区については、通産省の工業立地の調査が済んで、一応工場適地としての判定をもらっているわけなんであります。そのほかに本年度あたりから名寄、夕張が入りますので、十四くらいになります。私どもが今度料理いたします場合には、大体この辺の計画というものは一地区当たり十三万円くらいの調査費しかありません。通産省の方の調査は経費の制限がありまして、われわれが具体的な施策を作ります場合には、今後相当手を加えていかなければならないと考えるのであります。従いまして、今北海道は、われわれの手といいますか、開発庁の手でどうやら自慢できるようなところは、苫小牧、室蘭、帯広、札樽間、釧路、函館地区で、大体この辺はわれわれとしても相当精密検査に近いような攻め方でやっております。
  257. 横路節雄

    ○横路分科員 そうすると木村さん、来年から始まる次の新しい開発計画では、苫小牧、室蘭、函館、帯広、札樽、こういうような地区を重点的にやる、こう解釈してもいいのですか。その点もはっきりしておいてもらいたい。
  258. 木村三男

    木村(三)政府委員 今後工業地帯を造成していきます場合には、関係の法令措置などを十分に組み合わせて考えていかなければならないと思います。ただいま申し上げましたのは、工場立地として適当な土地を通産省の従来の計画を調べまして、それと並行してわれわれが今まで済んでおるところはどうだろうかというようなことを申し上げたのでありまして、新産業都市建設促進法案、あの法律ができまして新産業都市に指定できるようなものはどの地区であるか。それからもう一つ、すでに法律ができておりますが、低開発地工業開発促進法、これは現に出ております。この方はただいま申し上げました奥地の方とか中心から離れていたところにも指定される模様でございますので、政策の柱といたしましては、大きいところを中核工業地帯として育成して参る。また、少し工業的には重点は落ちるけれども、地域格差縮小とか地域開発のモデルになるような地区をコンビネートさせまして政策の柱を立てていくということになりますと、両方から施策をやっていくということになりますので、苫小牧方面だけしかやらないというわけではございません。
  259. 横路節雄

    ○横路分科員 苫小牧の払い下げ価格は一体どの程度いっているのか。これは非常に大きい問題ですからぜひお尋ねしたいと思っているのですが、第一課長が今本省を出たということになっているので、もう一つの問題ですね。これは防衛庁からも呼んでおりますから開発庁の考え方を聞いておきたいのです。  北海道はどんどん空港を整備して、あの広範な地区で、汽車よりは一般の旅客輸送は飛行機の方が今だんだん多く用いられるようになってきました。丘珠の飛行場については、現在は防衛庁の所管になっており、陸上自衛隊の飛行機が飛んでおるわけです。これは防衛庁にも来てもらいますが、いわゆる防衛庁所管の財産から一般の国有財産に移しかえをして、それからあそこは住宅地なんですから、当然地元市の都市計画に合わせて住宅地としていかなければならぬ、こう私は思うのです。その点は開発庁の長官は、現地を視察されてどういうようにお考えになっているのか、その点を一つお聞きしておきたいと思います。
  260. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 丘珠飛行場は併用いたしておるのであります。それを純民間飛行場にしたいという希望も現地にはございます。しかし、防衛庁等のいろいろ都合がありまして、それは決定しておりません。
  261. 横路節雄

    ○横路分科員 以上二つのことについて私はお尋ねをしたい、こう思っているのですが、大蔵省はまだだれか来ておりませんか。——それじゃどうしますかね。
  262. 保科善四郎

    ○保科主査代理 一時中止して……。
  263. 横路節雄

    ○横路分科員 それでは次にやりましょう。川俣さんに行管をやってもらいましょう。長官は行管の長官でもあるから。——それでは、ちょっと私は保留しておきます。
  264. 保科善四郎

    ○保科主査代理 川俣清音君。
  265. 川俣清音

    川俣分科員 私、この際川島長官に、今度の行政調査会の出発にあたりまして、二、三点お尋ねいたしておきたいと思います。  行政管理庁が川島長官を迎えまして急に活気づきまして、従来監察いたしておりました監察報告などの出て参りましたものを順次取り上げて実施しようとする熱意に対しては、非常に感服をするものです。政府は常に、いろいろな調査機関を作りましたりいたしまして、あるいは審議会を作り、調査会を作って、その答申を待って施策をしようというのでありますけれども、せっかく作りました調査会なり審議会の意見というものを、とかく年数が経ますと尊重しないような傾向があると思うのです。今度できまする調査会も、苦心して作られたからには、必ずこれを取り上げて実行するのだということでなければ、屋上屋を重ねるような結果になって、むしろやらないにも劣るような結果になるのではないかと思うのですが、どういう決意でおられますか。ときどき決意のほどは伺っておりますけれども、この際あらためて一つお尋ねいたしておきたいと思います。
  266. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 調査会の結果につきましては、政府はこれを尊重しまして、ぜひ実現したいという熱意は、池田総理を初めといたしまして、閣僚全体が、持っております。この問題は、数回閣議でも懇談をいたしまして、調査会設置に踏み切ったわけでございまして、川俣さんの御心配のように、調査会の答申ができたけれどもうやむやになったというようなことのないように、私が長官である限りはむろんやりますけれども、たとい私がよしましても、現在の組織としてこれを実行するようにしていくつもりでおります。
  267. 川俣清音

    川俣分科員 政府はたびたび、過去におきましても行政機構の簡素化、あるいは能率化ということで手をつけてはきているのですが、いつでもこれは内閣の死命を制するいうような結果になりがちなものですから、初めは非常に勢いがいいのですけれども、実際実行に当たるというときになりますと、内閣の命を大切にいたしまして、せっかく作り上げた調査会なりあるいは審議会の意向というものを全く無視してしまうということが従来たびたび見られた例でございます。機構改革ほど内閣の運命に関するものはないといわれて、これは大ていおそれをなして、従来やられなかったものをやられるというのですから、その熱意に対しては大いに敬意を表しているのです。これは決して非難する意味はございません。  そこで、かなり大胆な出発をしたのでありますが、今度の選挙制度審議会みたいに、せっかく知能を集めて答申を出しましても、やはりこれが政党や内閣の運命に関するということになりますると、政党政治だからということで曲げるような結果になるのではないかという憂いが、最近の選挙制度審議会の結果から見ましても起こってくるのですが、この点についてもう一度御答弁願いたい。
  268. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 ぜひこれを推進したいという意味で、自由民主党におきましても調査会を作っておるようでありまして、これは推進する力になる、こういうことを自由民主党の首脳部は言っているわけです。従来行政機構改革がしばしば失敗に終わっていることはお話の通りであります。しかし、今日の日本行政機構というものは、このままではいけないのだということは世論がひとしく認めておるのでありまして、今日ほど行政改革の必要が叫ばれている時代はないと思いますから、私どもは、こうした世論も背景といたしまして、いい行政機構を作りとげたい、かように考えております。
  269. 川俣清音

    川俣分科員 これ以上しつこく聞く必要はないのですけれども、選挙法の改正につきましても、今日ほど世論が公明選挙をやるべきだということで非常に盛り上がってきておるときはないと思うのです。世論の背景は別にしまして、自由民主党では、これはいろいろなよしあしは別にいたしまして、なかなかこの意見を尊重しないという傾向が出てきておる。こういうことが今後とも、この行政機構改革についても同じく出るのではないかという心配を持つのです。単に首切りということに終わってしまうのではないか、機構改革にはなかなか触れ得ないのではないか、こう思うのです。  具体的な例として長官に一つぜひお尋ねいたしておきたいのは、従来から問題になっておりましたのが運輸省の所管に属する陸運事務所です。これは御承知の通り、身分は国家公務員の身分でありながら、実際の指揮監督は地方長官の指揮監督を受ける。許可、認可はすべて地方長官の名前で認可、許可をする。しかし、これは全く代決でありまして、どこの知事に聞きましても、自分は一々判を押した覚えはないと言う。ある県のごときは、県庁で使う知事の判と、それから陸運事務所へまかしておる判とは全然別ですからごらん下さってもわかりますよ、こう言うほど、代決と申しますか、全く無責任な地方長官の認可になっている。これは実体と合わないことは明らかである。実体と合わない。名前は地方長官の認可、許可、運営は運輸省の運営。この間たまたま私は陸運事務所へ行きましたところが、上司の指揮に従ってやるのだ、こう言っている。上司とは何かと言ったら、許可、認可を与える者が上司だと思ったところが、そうではないのだ、陸運局長が上司であって、知事は上司ではないのだ、こう言っている。それではだれの名前で許可するのかと言うと、知事の名前で許可する。許可、認可の権限を与えるのが上司ではなくて、別なところ——別なところではないでしょうけれども、陸運局が上司だと言う。身分からいうと国家公務員だから向こうが上司かもしれませんが、認可、許可の権限は法制上知事にある。これなど、明らかに現に行なわれていることなんです。こうした矛盾をはらんでいる。どっちがいいか悪いか別にいたしまして、権限は知事が持っているのだから、代行が陸運事務所だ、上司は陸運局だ。これなどは前から問題になって、整理しなければならぬ問題だと思うのです。それは陸運局にやるのがいいか、知事のもとに置いた方がいいか、これは別問題です。何とかこの二元の形を一元化しなければならぬだろうということは問題の余地はないだろうと思うのです。こういうことが放任されている。長官、どうお考えになりますか。
  270. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 数年前に、地方分権の意味をもちまして、運輸省が持っておった権限を知事に委譲するという意味で陸運事務所等を作ったのでありますけれども、遺憾ながら、その後の実際のやり方というものは中途半端でありまして、今日陸運事務所というものは全く知事の権限以外にあることは、お話の通りであります。交通問題が相当問題が相当大きく取り上げられたときにこれらのことも当然解決しなければならぬ一つの問題と考えて、私は先般来この問題についてもいろいろ考えておるわけであります。
  271. 川俣清音

    川俣分科員 長官の答えられる通りなんです。しかし、解決していないということも、これは事実なんです。ところが、今度、各省の設置法案が約十六ほど出てきております。急がぬでもいいようなものがかなり出てきておりますが、この交通問題対策の上からも、むしろ陸運事務所をどちらかに所属させなければならぬ、中途半端になっておる、その通りなんです。一体、知事の権限を強化してこのもとに置いた方がいいのか、陸運局にもっとほんとうに責任ある体制をとらした方がいいか、これは私はここで今論じない。ただ、二元化しておいて、あるときには知事の責任だ、いや、それは名義だけの責任だ、実際は陸運局だ、それは知事に認可の権限があるんだ、こういうことで、責任をのがれるためにただ利用されておるだけだということになるのじゃないか。そこで、設置法が出されるにあたっては、こうした緊急な問題をまず先に取り上げるべきでなかったのか、こう思うのですが、この点もう一度御答弁願いたい。
  272. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 私が行政機構の改革を特に主張しているのは、今みたいなことがあるからであります。ただ、行政機構改革にあたりまして、交通行政全体を今見ておりまして、ただ府県にある陸運事務所だけを取り上げて解決するというわけではありませんで、全体をどうするかということを検討していますから、少しお待ち願いたいと思います。
  273. 川俣清音

    川俣分科員 川島長官の、全体を見た上でどうしようかというお考え方が出てくるのは、私は最も正しい見方であると思います。それまでこれを待つことはちっともいといません。そういう考え方に立ちますと、今日の各省の設置法の中で、全体の行政改革をどうしたらばよろしいかという上に立って整理すべき問題がたくさんあるにかかわらず、この際便乗して出てきたものがあると思われませんか。この点どうですか。
  274. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 ちょっと川俣さんの質問は具体的にわからないのですけれども、おっしゃっていただきますれば、意見を申し上げます。
  275. 川俣清音

    川俣分科員 ちょうど、中央の行政事務を簡素化する上から地方に委譲したらばよろしい、あるいは、さらに中央に集中的に責任体制を整えた方がいいのかという問題は、今度の調査会の大きな対象になると思います。そうでしょうね。
  276. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 農林省の機構問題じゃないかと察するのですが、農林大臣の意見によりますると、地方に一つ権限を委譲しよう、あまりに東京に集中しているので、地方の農民諸君、地方の公共団体は非常に不利不便を感じておるから、大幅に地方局に権限を委譲しようという意味で今度の機構改革をしようとしておる。私もその考え方に賛成しておるわけであります。
  277. 川俣清音

    川俣分科員 川島長官はもう質問の先回りをして答弁をされたのですが、今度の行政調査会の主要な問題として、地方に権限を委譲したのがよろしいか、あるいは、むしろ簡素化して中央に権限を取り上げていった方がいいのか、こういう問題がおそらく対象になってくると思うのです。これは対象にならないのですかということをお尋ねしておったのです。
  278. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 行政内容、事柄によりけりでございますけれども、根本の考え方といたしましては、なるべく権限は地方に委譲すべきものだ、こう考えております。
  279. 川俣清音

    川俣分科員 そういたしますと、地方に委譲するということは、出先機関を作ることではなしに、地方の自治団体に、たとえば県に、あるいは市に大幅な権限を委譲するということが、中央の権限の委譲と、通常そういわれておるわけです。地方に出先機関を作ることを、地方に権限を委譲するとは、今までもあまりいわれていないのです。権限の委譲ということは、地方長官に中央の権限を委譲するというのが、地方委譲の本旨であります。そうなりますと、今川鳥長官が答えられたように、農林省の出先にいたしましても、従来の農地局は中二階みたいなもので、むしろ繁雑な存在だといわれておる。   〔保科主査代理退席、西村主査着席〕 すべてが中央に実際の権限がありまして、地方はただ書類を通してくるだけであって、特に必要なのは予算上のことでございましょうが、地方局に一応予算を聞いて中央へ取りつぐ、中央ではまた全国的な角度でこれを審査するということで、何のために地方の農地局を通してきたか意味がなかったというところに非常に問題があったと思うのです。今度の農林省の機構につきましても大体同様でありまして、知事会議等の意向を見ますと、中二階みたいなもので非常に繁雑だ、書類が一種類ふえるだけだ、おそらく、小さな許可、認可は地方局でやるだろうけれども、大きいものになってくると結局は農林省の本省までいかなければならぬじゃないか、逆戻りしてまた東京へ出てこなければならないというようなことは非常に煩瑣だ。小さな許可、認可の権限を地方局へまかせましても、むしろ知事が出てこなければならないような問題はみな大きな問題だ、そうすると地方では解決はつかないのだ。ことに予算上のことになりますと、大蔵省は、地方局から回ってきたものなどはめんどう見ない。大蔵省も通産省も、各省とも出先機関を持ちまして、出先機関で話し合ったものが中央に集結されるというなら、これも必要かもしれません。しかし、大蔵省は財務局あるいは国税局という地方組織を持っておりますけれども、地方間で協議をするような具体的なものはありません。ことに予算については政府あるいは大蔵省に予算の編成権があるんだというようなことで、これは地方に委譲するという考え方は毛頭ないことは明らかであります。政府自体もそうだと思います。従って、予算については何らの権限を持たない地方局を作りましても、実際は仕事をする場合は——問題は予算であります。財政であります。財政の裏づけのないものなどは、機関ができましても、非常に便利なものとはならないと思うのです。こういう意味で、二年かかるかもしれませんけれども、こういう地方機関を作ることは、農林省ばかりでなくして、各行とも、こういう機関を作るべきか、作らざるべきかという全体の検討の上に私はなさるべきじゃないかと思う。確かに、先般河野農林大臣が地方へ参りましていろいろな食管制度について説明したところが、そういう話を聞いていなかったということで、こういう説明の足りないのは、地方局があればもっと説明されて理解したであろう、こういう考え方のようです。しかし、これは地方局ができたから末端に浸透するのではなくして、従来の農政というものは、御存じの通り、県の事業に補助するという立場で農林行政はやってきたわけです。末端の実施機関としては県が主体になってきている。この県の主体を変えるということは、今日私はとるべきじゃないと思う。しかし、調査会で、知事の権限及び地方の権限をかなり広く、強く地方に集中するという方針がとられれば別ですけれども、現状においてはそう取り上ぐべきじゃないだろう。今日、農林大臣も、地方の実態に即した農政をやらなければならないと言うが、地方の実態に即した農政ということになると、地方局ではなくして、むしろ県の意思を尊重してやらなければならないということになると思う。住民代表としての知事、住民代表としての県ということになると思うのです。それを尊重するということになりますと、地方局を作ったからといって何も意味はないじゃないか。北海道はどうするんだ、いや、あれは長官にまかせるのだ、こういうことである。北陸はどうするんだといったら、これもおのおの知事にまかすのだということになって、置く場所と一蹴かない場所との説明が一貫していないですね。これなどは機構改革すべきであるならばあるような答申を待って、現実が既成事実として答申に制約を加えるというようなやり方は、この際むしろやめるべきではないか。この国会ほど設置法が出て参りましたのは例が少ないでしょう。こんなに設置法がたくさん出てきたというのは例がないのです。各省とも、行政調査会の結果を待たないで、先に既得権を確保していこうという現われが出てきたと思うのです。これはなかなか強い抵抗だと見なければならぬ。長官、いかがお考えになりますか。
  280. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 予算の編成はむろん中央でやりまして、それぞれ所管大臣の責任でありますが、予算の使い方につきましては、中央の方針に基づいてある程度地方にまかせるということは当然あり得るのであります。今度の農林省が作る地方局に大幅に権限を委譲しよう、一々東京へ来て陳情しなくても、地方限りでできるようにしようということが根本の趣意でありまして、地方局を作りながら、今までみたいに二重機構になるならば、これは意味はありませんで、かえって改悪でございますけれもど、事務を簡素化しようという考えで今度はやったのでありまするから、私は、相当いい改正じゃないか、こう考えております。  それから、今度特によけい設置法の改正が出たというふうに私は考えておりません。実は従来のことはあまり知らないのですけれども、今度の予算編成にあたりましては、相当各省の要求を圧縮いたしまして、最小限度に認めたわけであります。特に今年が多い、調査会を見越して各省が出したという印象は全然受けておりません。
  281. 川俣清音

    川俣分科員 それは長官の認識が誤りです。私、内閣専門員室に、過去の通常国会ごとにどのくらいの設置法が出たかということを調べさせたのです。こんなに多く出たのは異例です。何で異例かという解釈についてはいろいろあるでしょうけれども、とにかく異例であることは、過去の例から見まして明らかです。  次に、一つ問題を移しますが、私の手元に、これも十分ではございませんけれども、各省の行政職の俸給を基準にして見ましたいわゆる国家公務員の等級別人事配置表を手に入れました。これはどうも各省によりまして、外郭組織を除いたり入れたりしている混乱が幾らかあるようでございます。たとえば郵政省のごときは、郵政事業を除く、また特別会計は大てい除いておるようです。これはいいのですけれども、たとえば大使館などとか在外公館は除く、大蔵省は、造幣局、印刷局を除く、国税局は入っておるというようなことで、整理が十分でありません、そういう統一されない条件のもとでございますけれども、いわゆる一等級から二等、三等、四等、五等、六等、七等、八等級までを見ますと、二等、三等のところに非常に比重の多い省と、あるいは七等、八等のところに非常に大きい比重を持っておる省とがございます。そういたしますると、この省が非常に定員が多いのだと言いましても、その定員の多いという意味が、総体の数が多いという意味か、あるいは一等級、二等級、三等級のところに多いという意味か、国民全体からいえば多いといわれまするけれども、国民に直接関係のないといいますか、関係の薄い二等級、三等級に多くて、むしろ、末端事務を遂行して早く能率を上げなければならぬ部面の定員が不足しているという表が出てきております。先般もちょっと申し上げたのでございますが、たとえば運輸省のごときは、三等級、四等級が非常な大きな比率を占めておる。七等級、八等級になると総体に少なくなっております。たとえば運輸省は一万五千三百五人の総数に対しまして、二等級が七十七名、三等級が三百九十一名、四等級が二千二百四十九名となっている。これを建設省等に比較いたしてみますると、似たような業務ではありませんけれども、比較的近い運輸省、建設省を見ますると、運輸省の一万五千に対して建設省は約二方二百七十、三等級は、運輸省の三百九十一名に対して、約半分の百七十五名です。総体の人員が多くて、三等級は運輸省の半分、二等級はどうかというと、建設省が二十六名で、運輸省が七十七名です。すなわち、建設省と運輸省を比較いたしますると、運輸省は二等級、三等級という首脳部に非常に大きなウェートを占めておって、建設省は逆に七等級、八等級に大きなウエートを占めておる。農林省を見ましても、この調べによりますと、農林省は五万二千九百五十二名ですが、二等級が、運輸省は一万五千に対して七十七名であるのに対して、農林省は五万二千に対して四十一名となっており、三等級になると、農林省は三百四十名で、運輸省は先ほど申しましたように三百九十一名、その比率を見ますると、運輸省は二分五厘三毛で、農林省は〇・六四%、一%に満たない、こういう比率になっております。まだあるのですが、時間がないですから省略しますけれども、こういう配置になっておる。これをもって、ただ人員が多いということで——佐藤さんなどでも、ただ人員が多いんじゃないかということではならないと、こう思うのです。一体どこの部分に重点を置いて、ウェートを置いて人員を配置するかということが、これは行政機構改革のやはり重要なポイントにならなければならぬと思いますが、この点いかがですか。
  282. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 管理職と一般職員との比例の問題は、現業官庁と現業官庁でないところとによって違いましょうし、同じ一般職だけでも、外務省なんというところと他とはいろいろ違うのではないかと思いますが、根本的に今度の行政機構改革のねらいは、そうしたアンバランスを是正するところにあるのでありまして、川俣さんの御意見はごもっともです。私もかねてそれを考えております。そういうことをやってもらうための臨時行政調査会とお考え願って差しつかえないと思います。
  283. 西村直己

    西村主査 川俣さん、まだ六、七人あなたの党の質問者が残っていますから、大体三十分ぐらいでやっていかないと夜おそくなりますので、一つ適当にあとを考えて下さい。
  284. 川俣清音

    川俣分科員 主査の御注意がありましたので、もう一問で終わりたいと思います。  川島長官は今私の説に対して満幅の賛意を表せられたのでございます。問題は、世間では、御承知のように、国家公務員が非常に多いのではないかという点については非常に関心が深いけれども、こうした級別配員などについては非常に無関心でおられる。ただ能率が上がらない上がらないというのは、むしろ管理職が多過ぎてなかなか決裁がおくれておるというところに問題があるのかもしれません。事務を遂行しなければならぬ末端の事務が過重になっておって、過重な事務にかかわらず、管理職が多過ぎた結果、能率が上がらないということもあるように見受けられまするので、一段の御尽力をしていただがなければ、国民の要望に沿い得ないのではないかと思うのでございます。  次に、もう一点だけ申し上げたいのですが、現業官庁と管理官庁と違うことはもちろんでございます。国鉄なども依然対象になると思うのです。これは運輸省だけです。国鉄なども——もっと詳しい資料なども持っております。これも営業体であるという形をとりながら、上層部が多過ぎるという点——実際多過ぎると思う。これは会社の例をとるならば、ほんとうの現業官庁ですから、上層部は少数でよろしいのだと思うのです。ところが、逆に上の方が多過ぎるという結果になっておる。  さらにもう一つ問題でございますが、このために一体運輸省、国鉄などはどうしておるかというと、この上層部の者を退職させるに非常に骨が折れておりまして、そうしてこれを運輸会社等に退職後の世話をするということで、運輸省の勢力を張っておるわけです。毎年、運輸省からバス会社あるいは私鉄、最近はバス会社が非常に多いようですが、あるいはハイヤーであるとかタクシー会社——タクシー会社は大てい運輸省の役人が入っておる。お調べになってごらんなさい。運輸省出の者が入らなければタクシー会社が許可にならないというのです。運輸省の中というのは、もちろん陸運事務所も入りますよ。これでは、行政法規というものは、役人の入る場所を探してやるための許可、認可だということになるおそれがあるじゃないでしょうか。川島長官も経験がおありになると思うのです。運輸省の役人をもっと入れておかなければタクシー会社ができないというのですが、タクシー会社の必要があってやるのか、運輸省の役人を入れなければできないのか、一体どっちなんですか、私は不思議に思うのです。なぜ一体、国鉄におって汽車や電車を動かした人がタクシー会社に入らなければ、タクシー会社がやっていけないのかということが疑問なんです。また今度は、ほんとうにタクシーの認可、許可の権限を持っておった人がやめてそこに入るということになったら、大問題でございます。いずれにしても問題を含んでおると思うのですが、長官はいかがですか。
  285. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 全く同感です。そういうことに対して世間の批判もあるわけです。そういうことをぜひ是正したい、かように考えて、せっかく私は努力いたしておるわけであります。
  286. 川俣清音

    川俣分科員 これで終わりますが、しかし、国家公務員法百三条というものは、民間企業との格別な規定がある法律です。それをただ長官の認可があれば、主務大臣の認可があればできるということになっておりまするけれども、法律は民間企業と隔離するという建前をとっておるので、やはりこの趣旨は徹底させていかなければならないと思うのです。  もう一点は、せっかくあなたの方で監察報告をしておるのです。私はここで、持ってきていますけれども、一々申し上げませんが、あの監察の中にはなかなか優秀なものもあります。ぜひ実行に移さなければならぬ問題もたくさん含んでおると思うのです。せっかくあれだけの監察報告があるのですから、あれを主体にしてもう少し監察業務を徹底させる必要があるのじゃないかと思いますので、この点を伺いまして私の質問を終わりたいと思います。御答弁願います。
  287. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 監察の結果、それぞれの省庁に回付をいたしまして、約六カ月後にはそれに対する措置方法の回答を求めております。不十分と思えばさらに勧告するのが従来のやり方でございます。これをさらに私は強くやりたいと思っております。それから三十六年度の第四・四半期、一月から三月までは、従来監察した結果どう推進されるかということを特に取り上げて監察させておりまして、監察の結果を実行するように今後も努力いたします。
  288. 西村直己

    西村主査 横路節雄君。
  289. 横路節雄

    ○横路分科員 防衛局長にお尋ねしますが、札幌の市内ですが、丘珠の飛行場がありまして、これは今日防衛庁の所管のといいますか、陸上自衛隊の飛行場になっております。これはその周辺が全部住宅地でもございますので、なおこれは民間飛行場としても使っておるわけですが、千歳にF86F、F86D、それから本年度からはF104Jというので、特別、二千四百メートルの滑走路を、千歳には二千八百メートルの滑走路も作る、こういう段階におきまして、まずとりあえず丘珠の防衛庁所管の飛行場といいますか、陸上自衛隊が使用しておる飛行場は、すみやかに運輸省の所管ということにして、まず民間飛行場ということにして、将来は、この地帯一帯は住宅地として最適であると思うので、都市計画上これは住宅地とすべきだと思うけれども、今日千歳にあれだけの飛行場、F86F、F86D、F104Jというものをだんだん整備しておる段階においては、丘珠の飛行場をとりわけ防衛庁が自分所管の飛行場として持つ理由はないのではないか、今直ちにというか、早急にというか、早い機会にというか、これは当然防衛庁所管の飛行場をまずとりあえず運輸省の所管ということに移しかえをすべきではないかと思うのです。それであなたをお呼びしたわけです。   〔主査退席、保科主査代理着席〕
  290. 海原治

    ○海原政府委員 ただいま、丘珠の飛行場の意味と申しますか、につきまして、千歳飛行場との関係において御意見を承ったわけでございますが、私どもといたしましては、ちょっと今横路委員のお考えになっておりますようなこととは違いまして、なるほど、千歳に航空自衛隊のための飛行場が整備されておりますけれども、これは御存じのような航空自衛隊所属のジェット機のための基地でございます。丘珠の飛行場といいますのは、これは北海道におります陸上自衛隊に持っておりますところのいわゆるL機、すなわち、偵察、連絡、いわゆる陸上自衛隊部隊の任務を支援いたしますための、昔で申しますプロペラ機であります。従いまして、その両方の飛行機の性能、任務、平常の訓練は全く違っておりますので、北海道におりますこういうL機のための根拠地といたしましては、丘珠が唯一の最適の場所である、このように実は考えております。ただ、こう申しましても、だからといって民間機の利用を排除するというのではございません。現に北日本航空があそこを利用いたしておりまして、私どもといたしましては、自衛隊の飛行機と一般の民間の飛行機とがお互いに譲り合って、それぞれの目的達成のために協力していきたい、こういうことでやっておりますので、その目的が達成されますならば、あえて所管がえ云々ということは、次等の問題として考えていいのではないかというふうに私は考えております。実は先ほど申しましたように、丘珠の飛行場は、まず自衛隊にとりましては、L機のための唯一好適な飛行場でございます。現在防衛庁の行政財産になっております。従いまして、直ちに所管がえということにつきましては、私一存でここで申し上げる資格はございませんことを一つ御了承願います。
  291. 横路節雄

    ○横路分科員 しかし、都市のだんだんまん中になりますね。今、札幌は六十二万ぐらいの都市ですが、やがて百万の都市になるだろう。その場合には住宅地の中心になるわけです。その場合に、何も今の丘珠の飛行場を固執しなくても、もっと周辺に移しても差しつかえないのではないか。もしもあなたの方で、そういうように、丘珠の飛行場は、陸上自衛隊の偵察機のため、あるいは連絡のためにプロペラ飛行機としては絶対に必要だというのであるならば、将来丘珠の飛行場を他に移して、私は地元の都市計画というものと歩調を一にしてもいいのではないかと思うのです。何も丘珠の飛行場でなければならぬということは絶対ないのではないかと思うが、この点どうなんです。その点が第一点。  それから、これは都市の中心——今は町からちょっとはずれていますが、同じ市内です。これに軍の飛行場を持たなければならぬということはないと思う。これはどちらかといえば運輸省が主管の飛行場であって、防衛庁がそれを併用して使うということであってもいいと思う。この点についてはどう思いますか。
  292. 海原治

    ○海原政府委員 最初の、将来の問題としての御質問につきましては、先生のおっしゃいますように、あの付近に、現在、陸上自衛隊の先ほど申しましたような航空隊の基地としていろいろな任務を持っておりますから、そういう任務の果たせる飛行場がもし取得できて、そこに移れということであるならば、これは別に私どもの陸上自衛隊の航空隊の任務に支障のない限り差しつかえないということは、抽象的には申し上げられますが、具体的になりますと、相当な設備もございますし、また通信連絡等の既設設備もございますし、そういうことでございますので、なかなか実行はむずかしいのではないかと思われますが、これは政府といたしましてそのような方針が決定いたしましたならば、防衛庁としましても当然その方針に従って善処するということに相なろうかと思います。  第二の、運輸省と防衛庁のどちらが主として——財産権の問題でございますが、財産権のみならず、管制権と関連しました飛行場運営のための責任をどちらが持つかということでございますが、これは従来私どもと運輸省との間に連絡協議会を設けまして、いろいろと懸案になっておる問題を逐次解決してきております。現在の段階では、やはりあの飛行場の使用頻度と申しますか、また使用の方法とか申しますと、これは私どもの立場が防衛庁に所属いたします関係もございますが、あくまで私どもの方の所管として民間の航空機の方にこれを利用していただく、こういう方法がいいのではないかと考えておりますが、この問題につきましては、昨年の暮れ以来いろいろと協議中のものであるということを御報告申し上げておきます。
  293. 横路節雄

    ○横路分科員 開発庁長官、どうですか。丘珠の飛行場について、だんだん都市のまん中辺になるところですから、住宅地のまん中になりますが、そういうところに少なくとも軍の飛行場を持つということは適当でないと私は思う。この点一つ開発庁長官の御意見を伺いたい。
  294. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 これは従来の沿革がありまして、現在防衛庁が所管をいたしまして民間がこれを併用しているという形なのであります。あの地方でこれを民間専用にしてもらいたいという希望のあることも事実でありますけれども、現在防衛庁としてはあれがなくては困るのだという立場にあることは、今政府委員からお聞きの通りでありまして、私はこれを今直ちに防衛庁の所管から運輸省の所管に移すということについては、賛成ということを申し上げかねるのであります。
  295. 横路節雄

    ○横路分科員 この問題については開発庁長官のお考えに将来非常に左右されてくるわけで、この点については、地元の方からも、軍の飛行場でなしに民間飛行場としてやってもらいたいという意見があるのですから、これはぜひ一つ将来にわたって再考しなければならぬと思うのですが、ことしは、木村さん、丘珠の飛行場には予算がついていましたかね。
  296. 木村三男

    木村(三)政府委員 三十六年度予算で六千二百万円でございます。いろいろな関係でだいぶ工事がおくれまして、今お聞きのような状況でこれは明年度に繰り越して使用するということになっておりますので、三十七年度予算としては予定しておりません。
  297. 横路節雄

    ○横路分科員 防衛庁は、丘珠の飛行場にことしはどれだけの整備費をかけておるのですか。三十六年度は幾らかけて、三十七年度は幾らかけるつもりなのか、その点。
  298. 海原治

    ○海原政府委員 防衛庁といたしましては、陸上自衛隊の所管の飛行場が十カ所くらいございますが、一般的な施設整備費の中で丘珠の飛行場の整備もやるので、具体的な計数はただいま持ち合わしておりません。
  299. 横路節雄

    ○横路分科員 だれかわかりませんかね。私はこう言いたいわけです。所管自分の方だ、しかし、金の方は運輸省でやりなさい、そこら辺のことがはっきりしないと、だんだんそういうことを言われますよ。
  300. 海原治

    ○海原政府委員 同じお答えを繰り返して恐縮でございますが、先ほど申しましたように、各所修繕費という費目の中の一部分に組み入れられておりますので、予算参照書の細部を検討いたしませんと、具体的に丘珠にどの程度予定しておるということは、ただいま用意がございません。実は御連絡があれば用意して参ったのでありますが、私、直接にはそこまでの事務を担当しておりませんので、御了承願いたいと思います。
  301. 横路節雄

    ○横路分科員 防衛庁のお話によると——数字のことは、あしたでけっこうですから、出してもらいたいのですが、どうも陸上自衛隊としてはお金を出して直してないのじゃないですか。それは私の財産ですよ、しかし、運輸省、お前に使わしてあげますよ、そのかわり、飛行場の修理費は出しなさいね、こういうことになっておるのではないですかね。大村さん、どうですか。どうもそういう工合じゃないですか。
  302. 木村三男

    木村(三)政府委員 私の見たところで申し上げますと、六千二百万円をかけるということの起こりは、所管の問題はいろいろございますけれども、現在あそこから北日本の飛行機が発着しております。滑走路がでこぼこだ、一応航空局の予算ででもあそこのでこぼこを是正いたしまして、千二百メートルの滑走路を整備したいというようなことで、あの予算がついたわけであります。それから、防衛庁関係を私から申し上げるわけじゃないのですが、実は運輸省としても、借りがあるといいますか、千歳の方の例の大滑走路でございますが、あれは防衛庁の方でやりまして、あの滑走路を使わせてもらって民間の方をやっておるというような関係もございますので、その辺少しデリケートでございます。
  303. 横路節雄

    ○横路分科員 防衛局長、今のお話ですと、千歳の滑走路は新たに二千八百メートルの滑走路を作って、そっちの方で防衛庁は飛ぶことになって、従来のものは運輸省で使うことになったから、そのお返しに、丘珠の飛行場の方は運輸省でやるんだというようなことになると、どうも先ほど私が指摘をしましたように、この所管は私の方ですよ、しかし、君の方に使わしてやるから、その飛行場全体の滑走路の修理は君の方でやりなさい、こういうことではおかしいと思う。この点は、今数字がなければ、明日、御承知のように防衛庁関係について再度質問しますから、三十六年ばかりでなしに、ここ二、三年の、そういう各所別の修繕費の中にあるというのですが、どの程度あるのか、一つ出してもらいたいと思います。  なお、長官、これはやはり都市のまん中に軍の飛行場を持つということは適当ではないと思うので、この点は開発庁の長官として、将来これを適当な土地に移しかえなければならぬ。ぜひそういう点について考慮されなければならないと思うのです。  もう一つ、苫小牧の工業港の土地の問題です。初め坪十五円とも二十円ともいうのです。これは大へん安いものだなと思って、まあ世にもこういう安い土地がまだ残っているとすれば、大へんけっこうなことだと思っておった。これは苫小牧市並びに工業開発株式会社が国から払い下げを受けるというのですが、実際また現地へ行ってみると、とんとん土地の埋め立て——あそこは湿地帯ですから土地の埋め立てをして、相当の価格になっておると思います。先ほどのお話ではなんぼでしたか、二百三十万坪ですか、二百三十万坪でしたら、かりに十円で買えば二千三百万ですね。百円で買えば二億三千円、これをかりに坪千円なんということになると二十三億となってしまいますね。これは土地の評価で、地方自治体なり工業開発株式会社はそれぞれこれからの苫小牧工業港の将来の運営が非常に問題になりますので、あなたの方の担当ですから、今どうなっているのか、なお将来計算した結果どの程度の価格になるのか、ちょっと一つここで明らかにしてもらいたい。
  304. 大沢信一

    大沢説明員 お答えいたします。  ただいま御質問がございました苫小牧の築港関係の開発関係に関しまして、国有地の払い下げ価格が幾らになるかという御質問でございましたが、本件につきましては、ただいま北海道の財務局におきまして評価作業をやっております段階で、計数的な結論はまだ得ておりません。おそらく来月一ぱいその作業がかかるかと思いますが、その数字を見るまではちょっと幾らになるかということはここで申し上げられないわけでございます。
  305. 横路節雄

    ○横路分科員 計算方法は。
  306. 大沢信一

    大沢説明員 計算方法につきましては、これはやはり一般的な評価の基準がございまして、それに従いまして本件の場合にも評価いたすわけでございます。その内容は、問題は今土地でございますけれども、その国有地の現況に応じまして諸般のデータを集め、それを参考にして評価いたします。要するに、現況評価ということが原則でございます。  それから、ちょっとつけ加えておきますと、問題になっております土地につきましては、市の方である程度の有益費を投ずる予定でおるように聞いておりますが、かりにそれが実現いたしました場合には、この有益費相当額を今の評価額の方から控除するという格好で計算が出て参る、こういうことになると思っております。
  307. 横路節雄

    ○横路分科員 どうもよくわからないのですが、あれですか、去年私たちが聞いたところによると、別に工業港ができないで従前のままの湿地帯であれば、管財局としての一応の査定というか、私どこから聞いたわけでもありませんが、全然これは使用ができないというので、坪十五円か二十円くらい、それがだんだん土が盛られて、そうして一般の土地価格と同じかどうかは知らないけれども、そういう評価をして、それから土を埋めるとか、そういうものについて市等が相当負担したものについて、それを差し引いて、そうして土地の評価額を出すというのか、もうちょっとここではっきりしてもらわないと、ただいま地元の財務局でやっておりますからわかりませんでは、ちょっと御答弁にならないと思いますので、もう少し明らかにもらいたいと思います。   〔保科主査代理退席、主査着席〕
  308. 大沢信一

    大沢説明員 それではもう少し詳しく御説明いたしますと、先ほど十円とか十七円とかいうお話も出たように思いますが、その価格は実は管財局におきます評価上の基準となります数字ではございませんで、これは御承知と思いますが、あの地区におきます開発計画を立てます場合の、会社なり市なりの計画そのものの計数でございます。計画によりますと国有地が、これは地区によって多少違いますけれども、十円とか十五円とか、あるいは十七円とか二十円とかいろいろございますが、その程度のオーダーの数字を基礎にいたしまして、計画が設定せられておったと聞いております。おそらくその数字を今おっしゃっていることと思いますが、これはちょっと先ほど申しましたように、評価上はこの数字に拘泥するわけじゃございませんで、先ほども申し上げました現況評価主義と申しますか、そういうことで今の数字と別途に土地の現況に着目いたしまして評価するわけでございます。  それで幾らになるかということでございまするけれども、これも先ほど申し上げましたように財務局においてその点をせっかく作業中でございまして、データーは得られませんが、これは仮定の話でございますけれども、かりに現況評価いたしまして千円なら千円という数字が出て参ったといたしますと、それから有益費を引くわけでございます。有益費がかりに六百円なら六百円といたしますと、差額の四百円が払い下げ価格になる、こういうことになると思います。
  309. 横路節雄

    ○横路分科員 今のはどうも専門的なお言葉で——有益費というのはどういう算定のもとに出る費用ですか。
  310. 大沢信一

    大沢説明員 これはその土地の利用の効率あるいは土地の価値と申しますか、そういったものを高めるために、今の市なら市が投じました一つの費用であります。本件の場合について申し上げますと、先ほどお話がございましたように、現場は湿原でございます。その上に築港計画によりまして土を掘り上げたものがございますが、その土を運んで参りまして捨てるわけでございます。それが片方から見ますと、宅地を造成いたしたと同じような結果に相なるわけでございます。そういう角度から申しますと、今の土をそこに置きましたそれに伴います費用というものが有益費に該当する、こういうふうに考えていただきたいと思います。
  311. 横路節雄

    ○横路分科員 ただ、その算定についてはいろいろ出ますね。土を掘ってそれを上げたそういうトラックの運搬賃であるとか、あるいは上げる作業であるとか、費用ということもありましょうが、一般的にそれ以外に土地の評価額が、その周辺に市がいろいろな設備をすることによって自然に土地の評価額が上がってくる、そういうものもその中に算定されるわけですね。ただトラックで運搬したとか、あるいは運搬費用がどうとか、あるいは掘り上げた費用がどうとかいうばかりでなしに、周辺に市がいわゆるいろいろな施設をすることによって、一般的に土地の評価が上がってくるというものもその中に入るのですか、その点はどうなんですか。
  312. 大沢信一

    大沢説明員 お答えいたします。土地のしに土砂を置きましたために地価が上昇して参ります。それは現況評価主義で申しますと、土地の価値が上昇して参った後の姿で評価いたしますのが現況評価主義でございます。それから引きます有益費といいますものは、現に投じた費用でございます。それのみを引くということになるわけでございます。  それからもう一点、宅地がだんだんふえて参りますためにまわりの土地が自然に騰貴いたします、この分はどうかという御質問もございましたが、それにつきましてはやはり現況評価の中にこれは当然織り込まれるものかと思います。
  313. 横路節雄

    ○横路分科員 今長官お聞きのように、大蔵省の管財局の評価というのは将来非常に大きな問題になるのです。それは、今までの説明を聞きますと、いわゆる掘さくした費用、それからトラックに積んで運搬した費用、そうしてそれを湿地帯に埋めていった。市がやっていれば、これが今まで市が投じた費用ですね。ところが、土地はどんどん評価が上がっていったわけです。それから周囲の環境によって自然に上がっていった、それも現況主義でそれを評価する。そうして今度は市なら市がかけた金だけ引くということになると、これを非常に高いものになりますよ。私はこういう土地の造成について大蔵省がどういう土地の評価をやるのかということを初めて聞いたわけですが、私は非常に問題があると思う。特にこれは苫小牧市という地方自治体が工業開発という点からやっていることなので、この点については、将来開発庁としては、ただ単に地元の財務局で評価した、大蔵省の管財局がそれを許価した、だからそれでいいだろうというものではないと私は思うのです。なぜ私がこのことを申し上げているかといえば、先ほどの私の質問で、三十八年度から始まる次期の開発計画の中には、新たに工業地帯を設定する——その工業地帯を設定するときに一番問題になるのは、私は土地の問題だと思う。土地の問題と水の問題になるのだろうと思うのですが、土地の問題が一番問題だ。この場合に今からよほど国有財産である国有地について確保しておくのでなければ、開発庁が三十八年度から始まる次期の開発計画で工業地帯を設定しても、これは全く絵にかいたものにしかならないと私は思う。土地の造成の問題、土地の払い下げの問題、国有地の確保の問題はそういう意味で次期の北海道開発計画の工業地帯設定の一番大きな問題だ、私はこう思っておりますので、この点を今聞いたわけですが、工業地帯設定と土地確保の問題、こういう問題について最後に開発庁長官のお考えを一つ承っておきたいと思います。
  314. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 北海道の鉱工業を興すにつきましては、北海道が誘致しなくても、事業家に自然に行きたいという魅力のある土地にしたいということがかねて私の考えであります。それは今仰せの通り広大であり、しかも適切であり、価格においてきわめて低廉だということが必要であります。同時に工業用水でありまして、今のお話はまことにごもっともでありまするから、今後とも土地の確保ということについては、開発庁長官としまして十分注意いたします。
  315. 横路節雄

    ○横路分科員 今のお答えで十分ではございませんが、私の質問もこれで終わりたいと思いますが、大蔵省の管財局では、将来評価は非常に大きな問題になると思う。二百三十万坪という土地ですから、これが一坪百円違ってくれば一億三千万の違いが生ずるわけです。これは将来の北海道の工業地帯の設定という大きな問題の私はモデルにもなると思いますので、そういう点は十分考慮してやってもらいたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。
  316. 西村直己

  317. 井堀繁男

    井堀分科員 内閣並びに総理府所管の予算に関係いたしまして、行政管理庁、人事院関係について一、二お尋ねいたします。  行政管理庁長官にまずお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、それは公務員の最近の問題について、とかく各方面からの訴えが多いわけであります。一つには、公務員の国民に対する奉仕に対する不満や不平もかなりあるようであります。また、その原因をなしておりますものは、公務員の生活あるいは労働条件などからくる不満がうっせきして、そういう問題の処理を誤っておるところに、結果として公務員の国民に対する民主的な奉仕が十分でないというふうにわれわれは理解しておるのでありますが、行政管理庁長官は常時こういう問題について監察もしくは指導なされる立場でありますから、きっと多くの問題を御承知のことと思うのですが、そういう問題を解決するための措置を、もちろん人事院の責任になると思いますが、あなたの方から適切な勧告なり指導が行なわるべきではないかと思うのでありますが、この点に対する御見解をお尋ねしておきたい。
  318. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 公務員の執務ぶりにつきましては、世間でもいろいろ批判がございます。それは公務員の種類により、また職場によって違うのでありますけれども、公務員の仕事がきわめてうまくないということは、待遇の問題もありましょう。しかし、それのみではないと思うのであります。私どもとしましては、人事管理の点につきましてふだん注意をいたしておりまして、各省の人事管理が違わないように、同じような人事管理ができるようにということを絶えず注意をいたしております。公務員の能率増進につきましては、私どもとしては今後とも一そう能率を上げることに指導もし、努力もいたしたいと考えております。
  319. 井堀繁男

    井堀分科員 この問題は抽象的であってはならぬ思うのであります。抽象的にはもうすでに国家公務員法にもきわめて明確に規定しておるわけであります。公務員が国民に対して民主的な、かつ能率的な奉仕をすることを規定しておるのでありますから、もうそういうことは言うまでもないことであります。そういう問題をやはり現実に一日も早く一掃するということが、あなたの職務だと思うのです。ことに私は、日本の公務員として多くの不満が単に訴えられているというだけではなしに、最近、公務員の団体であります職員組合の要求になり、あるいは運動になって現われていることでありますから、これは抽象的に善処するなどというなまやさしい問題ではないと思う。即刻解決を迫られている。すなわち政府にとっては、すみやかに解決をしなければならぬ事態にあるとわれわれは思うのであります。そういう意味でお尋ねをしておるわけであります。  具体的にお尋ねすればよくわかると思うのでありますが、たとえば最近の物価の上昇は、統計その他を明いる必要はないと思う。かなり俸給生活者には重荷になってきている。生活を圧迫する事態というものが、かなり顕著になっておるわけであります。こういう点からそういう公務員の生活を給与引き上げによって解決をしていくのであるか、あるいは他のしかるべき生活保護をするかということは、これもあなたは御存じだと思いますが、国家公務員法の中にはきわめて明確に政府責任を規定してあるわけであります。一方には国家公務員に国民に対して民主的かつ能率的な奉仕を要求するとともに、政府はまた職員の福祉及び利益を保護するために適切な措置をとれということを、同時にうたっておるわけです。こういう点から私は、公務員の方から要求が起こってきてから受けて立つというのは、この精神に反すると思う。民間の労使関係と違う。ここに特徴があると思う。政府は率先して、国家公務員の生活問題あるいはその福祉について積極的な措置をとっていかなければならない。それが今日の場合、逆に公務員の団体から要求されて、しかもそれも一般にいろいろいわれるような紛糾を伴うような形が現われるということは、これはもう行政上の重大な過失といわなければならぬと思うのであります。あなたの所見は、そういう意味において事前に措置をとる必要があるのではないかと思いましてお尋ねしておるわけですが、一つ具体的に御答弁願いたいと思います。
  320. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 公務員の給与の問題は私の所管している範囲ではないのでありますけれども、生活給として適切な俸給であることはむろん必要と思います。今日の公務員の給与が適切でないかあるかという判断は、私が判断しないで、官房に国家公務員を扱う部局がございまして、その方でやっておるのでありますからして、その方から責任あるお答えを申し上げてもよろしいと思います。これは総務長官の責任であると思います。
  321. 井堀繁男

    井堀分科員 私がお尋ねしておりますのは、行政管理庁設置法の第三条第十一項には、あなたは行政機関の業務の実情を調査されて必要な勧告をせいという規定があるわけであります。行政管理庁というものは、こういう勧告を他の行政庁に先がけてしなければならぬのではないか。その他の条章を見てもそうでありますが、行政管理庁というものは、この法律に規定してありますように——特に今日、公務員の処遇の問題は緊急欠くことのできない問題であります。もちろん人事院についてはお尋ねをあとでいたしますが、私は人事院以前において行政管理庁がこの問題に対して発動すべきものではないかと理解しておるのでありますが、一つ長官の見解を伺っておきます。
  322. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 給与につきましては、これは人事院の責任でもって政府に勧告するのでありますが、私の方では給与までタッチして勧告する措置はとっておりません。一般に行政能率を上げるということにつきましては絶えず注意いたしておりますけれども、待遇、俸給等につきましては私の方では勧告いたしておりません。
  323. 井堀繁男

    井堀分科員 それでは一点具体的にお尋ねしますが、能率が上がらない、ことに国民に対しては民主的な奉仕として十分ではない。その原因はやはり公務員に生活上の不満やあるいは業務上の不平が存在しておるという場合には、まずもって行政管理庁としては、こういうものに対する監査の結果を報告なり警告なり勧告なりすべきものであるというふうに私は理解しておるのでありますが、この点はいかがでしょう。
  324. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 行政能率の上がらぬ点は、むろん生活状態によりましょう。けれども、それ以外にいろいろな原因がございます。また監察をしてみますと、各省間でもいろいろ勤務状況その他が違っておりまして、そういうにつきましては、私どもはふだん監察をして勧告をいたしますけれども、給与については私の方で勧告する範囲ではないのでございます。
  325. 井堀繁男

    井堀分科員 給与については具体的にあとで人事院にお尋ねするわけでございますが、今あなたも御指摘になりましたように、給与の問題は必ずしも金額を何ぼにきめるかということではないのであります。これはもうあなたも御承知だと思います。それから、あなたがいみじくもちょっとお触れになりましたように、各行政官庁間における格差があり、また、この前も佐藤発言で問題になって、ここであなたも発表されておりましたが、たとえば配置転換というような問題が起こってきた場合に、労働条件があるいは均等あるいはそれに近いものでなければ、実際上異動はできません。そういうような問題もあるわけでありますから、あくまでそういう問題との関連において考慮をすべきものだ、これはもう当然の話であります。なぜ私はあなたにこういうことをお尋ねするかと申しますと、次に人事院にお尋ねすることによって明らかになるわけでありますが、時間がありませんから飛ばしますが、今日人事院の存在というものは、公務員法の中に規定されておるだけではなくて、行政管理の中において非常に重要な地位を占めつつあると思う。ただ給与を幾らにするかということだけではないと思うのです。たとえばある官庁においては、手不足で増員を要求されておる。今度の予算の中でも非常な違いが出ておる。ある官庁においては比較的閑散である。そういうような関係というものは、現に起こっておるわけです。これはあなたの所管だと思うのです。ある官庁には人員を増加するように、ある官庁については適切に他に配置するようにということが、これは当然この前の議論の中から出ておる。その際、労働条件を別にして考えられる問題ではありません。そういう点では、私はむしろこの設置法の精神からいきますならば、人事院から勧告が出る以前に政府としては、しかるべき措置があっていいのではないかというので実はお尋ねしたわけであります。その必要を痛感されていないような御答弁ですけれども、そういう点では佐藤発言などについて、一般の人が非常な不安を持ったり、あるいはそれが単なる首切りに終わるのではないかといったような誤解を生む大きな理由になると思いましたから、よい機会だと思ってあなたに発言を求めたわけであります。しかし私の目的はそこにあるわけではありません。この点についてなお御意見があれば伺いますが、続いて人事院についてお尋ねをしてみたいと思うのであります。  それは今も申し上げたように、確かにある一方において余剰人員とまではいきませんけれども、ある程度人員を整理してもいいのではないか、しかし他の部分では、御存じの郵政のように、定員不足で郵便物が遅配するというような実に極端な事例が起こっておる。こういう問題が解決できないということであっては、私はもう行政管理庁などは看板をはずすべきだと思う。こういう事態一つには起こっておるが、要するに思うように異動できない中には、私は大きな原因として、日本の公務員の給与なり待遇というものに対する近代的な措置がとられていないところにあると指摘したいのであります。これを具体的にあげるならば、人事院すぐ答弁してもらえると思うのであります。たとえば人事院規則に従いますならば、国家公務員の給与並びにその身分などについての詳しい規定がここにあります、これを一々お尋ねすることは時間がありませんからできませんけれども、概括的にお尋ねをいたしますと、人事院の勧告というものは、むしろ政府の経済政策、ことに今のように拡大経済あるいは所得倍増といったような政策を打ち出す場合には、その以前に、政府の多くの行政や現業庁にあります労働者の生活のあり方というものを、ある程度明確にしてかかるのが順序だと思います。今度の総理の施政方針の中にも、生産性向上連動を強く取り上げている点にわれわれは大きな注目をしておるのであります。すなわち公務員の能率を高めるということは、一方においては、要するに奉仕を高度化することや民主化することは当然のことであります。一方においては、生産に従事している人々の生産性を高めていくということがなければ、あの政策は私は国民生活によい結果を与えないことは当然だと思うのであります。でありますから、こういう拡大経済もしくは所得倍増というような政策を掲げる以上においては、公務員の給与というものはやはり国民全体の生活の一つの基準になるわけであります。政府はみずから、要するに生活の基準というものはどこにあるべきかということを、人事院規則の中にもちゃんと規定してあるわけであります。とかく人事院の勧告は後手々々に回っておる。私は消費物価やあるいは卸売物価指数などを引き合いに出す必要はないと思うのであります。ここに規定してあるように、要するに人事院は常日ごろに国民の消費生活水準というものを、すなわち賃金、俸給の基準になるべきものを調査しておかなければならぬ。これは具体的に討議をすれば出てくると思う。だから、ここでいっております給与なり条件というものは、言うまでもなく、これは実質所得をいうのだと思います。これは一方から聞けばわかりますが、たとえば住宅の問題を見ましても、公舎、官舎といいますか、そういうものの提供を受けておりまする者は、比較的安定した生活をしておる。他方、公団住宅やあるいはその他の民家の貸家に住んでおる者は、べらぼうに高い家賃を払わされておる。こういったようなアンバランスも、ほんとうは解決していかなければならぬ。そういうものも実はばらばらになっておる。いろいろあると思うのでありますが、とにかく人事院としては、とりあえずこういう経済政策の基本的な一つの条件として、公務員の給与はこうあるべきだ、それから民間の日の当たる産業と当たらない産業があるわけでございますから、当たる産業については、これはお互いに生産性の成果配分などによって、労働組合と雇い主との間にしかるべく引き上げをやっていくだろう。ところが、そういう能力を持たない未組織労働者でありますとか、あるいは零細企業に働く者に対する具体的な政策を並行してとってこられなければ、保守党としても、近代的な政党の政策ではないということは、これは議論の余地がないところです。そういう問題が一番先に浮かび上がってこなければならない。私は、人事院が公務員の給与に対してしかるべき水準を明らかにする、その関係の中において、もし行政整理で人員の異動の必要があるならば、その必要も、私は出てくるのじゃないかと思う。前提になるべきものは、人事院の勧告が先にあるべきだと思いまして、この前一般質問のときに、時間がありませんでしたが、人事院の総裁に出席を求めて、佐藤発言に一番関心を持っておるのは人事院であろうと思いましてお尋ねしたところが、そういう政治の問題はと、とんでもない答弁をされておったのでありますが、きょうはちょっと時間がありますから、この点からまずお尋ねをしておきたいと思います。
  326. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 官庁の定員は行政管理庁の主管でありますが、給与、身分につきましては人事院で所管いたしております。しかし、政府としても当然関心を持っておるのでありまして、それがために、前年国会との話し合いで給与担当大臣を置きまして、絶えず公務供の給与につきましては、研究もし関心も払っておる、こういうわけでございます。あとは人事院からお答えします。
  327. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 公務員の給与につきましては、御存じのように、公務員の使用者でございますところの国会がおきめになるわけでございます。しかしながら、国会がおきめになります前提として、もちろん政府でおきめになることももとよりでございますが、現在の建前といたしましては、人事院の勧告を待って、それを批判し、御承認願うという建前になっております。そこで人事院の勧告は、これも御存じのように、公務員法二十八条に勧告権がございますが、民間賃金とか生計費その他の条件を人事院が調べまして勧告する建前になっております。ただいまの御意見は、そういうふうにしておるのでは、後手々々と申しまするか、民間賃金よりもあと回りになるから、人事院はまず政府のいろいろな政策とか、物価その他の趨勢を見て、あらかじめ公務員のかくあるべき賃金をきめるべきじゃないかという御意見で、これはもちろんごもっともでございますが、現在の法制の建前は、やはり民間の賃金に合わせて人事院が勧告する。また実際問題といたしましても、公務員の賃金というものは、御存じのように、納税者である国民の御納得も得なければなりませんし、やはりこれは具体的な資料を整え、その資料によって勧告する必要がございますので、不確定な推移の経済指標というものを基礎にしては、なかなか御納得を得にくいのではないかと思います。そういうわけで、人事院といたしましても、公務員法によりまして、詳細調査をして勧告をさせていただく、そういう状況でございます。
  328. 井堀繁男

    井堀分科員 それでは、率直にお尋ねいたします。もちろん民間給与に均衡させるという一項がありますが、その以前に人事院の立場を、私は公務員法に基づいてもっとはっきり伺っておきたい。御存じのように憲法二十八条においても、あるいは労働組合法の三条においても、あるいは労働基準法の中にも定義づけられておりますように、公務員も労働者であることは間違いないのであります。特に人事院の給与に対する問題を、なぜこんなに一個の法律に固めたかということは、それは公務員たる者の立場が、罷業やあるいは一般の労働組合のやるような団体行動というものが好ましくないというところに、要するに担保として人事院の存在が規定されておることは言うまでもないのであります。それが、今のあなたの御答弁のようなことになりまして、民間の給与が高くなって、生活が非常に苦しくなって、訴えが起こってからやるのでは、それは今言う公務員法の精神に私は反すると思う。ことに今のように、一方では政府が、所得倍増をやるということをはっきり言っておるでしょう。所得倍増という言葉は問題があるにしても、とにかく所得を引き上げようということは間違いがない。十年間に倍にするのか、あるいは五年間にどうなるのか、要するにそういう長期計画も一方に持っているわけであります。人事院はあの政策に歩調を合わせて、公務員にかわって、公務員の場合はそれに合わせたらどうなるかということを示すべきではないか。人事院総裁は、これに対してどういうようなお考えですか。
  329. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 確かにお話の通り、人事院は、公務員の労働基本権を制限されております代償として、公務員の福祉を保護するために設置されております。その一つの作用といたしまして、適正な給与を人事院は勧告する義務があります。そこで、勧告する方法の問題でありますが、現在の人事院といたしましても、極力適正な給与を勧告させていただくために、われわれといたしましては最善の方法による調査その他によってやっております。実際問題として、こういう調査に基づきませんで、たとえば政府のそのときのいろいろな政策でございますとか、あるいは先ほど申すように、今後のいろいろな経済情勢の推移でございますとか、現在における物価でありますとか——その物価もまた、たとえば調査期間によりまして非常に違っております。そういうわけで、確定した資料でございませんと、今後の推移による、また公務員の賃金の推移を見て勧告するということは、事実問題として、これは技術的にも困難でございますし、また、これではなかなか各方面の御納得を得ることは非常にむずかしいのじゃないかと思います。われわれとしては、やはり公務員法による、現在の方法による勧告が最善の方法であると思っているわけであります。
  330. 井堀繁男

    井堀分科員 それで、行政管理庁長官にちょっとお伺いしたいと思います。今お答えのように、私は人事院の考え方は二つあると思う。一つは、今言うように、民間給与に均衡させるというのは、民間の給与を詳細な資料に基づいて調査した結果でなければ出てこないわけであります。今までのもろもろの調査を見るとわかりますけれども、とにかく二年ないし三年前のデータで、それに修正を加えてやってくる。そのデータも、これはここで議論すると長くなりますから結論だけ言いますと、かなり、長期にわたらなければ調査はできません。それが出てきたときには、もう今日の物価というものは非常に上がってきている。ところが公務員法の精神は、さっきも申し上げたように、要するに公務員にかわって、特に給与などについては、その利益を代弁していくわけです。ところが民間は、言うまでもありませんが、日にち毎日賃上げの労使関係の団体交渉が行なわれております。あるいは団体交渉だけではなくて、罷業に訴えている場合も随所にあるわけであります。でありますから、そういうものが上がり切ってしばらくしてからというようなテンポののろいことでは、池田内閣の経済政策なんというようなものは推進されるはずはありませんよ。そうだとするならば、先進国でやっておりますように、団体交渉が当然前提になってこなければならぬ。あるいは山ネコになるかもしれませんけれども、ストライキもまた余儀ないということになる。私は公務員法の精神は、国家国民に対して奉仕する立場の者が、理由があったにしてもストライキのような形によらないで、平和的な方法でやらなければならぬと思うので、そこに人事院の立場があるわけです。その人事院が、民間の方の給与の調査が一通りできて、それからなんというようなことになりますと、今日のように積極的に経済政策を推し進めるような政府の政策に合わないことになるわけです。デフレのときはいいでしょう。そんな人事院のあり方というものは大きに間違っているのではないかと思う。行政管理庁長官としては、この人事院のあり方につてあなたはお考えがあるはずだと思う。民間の給与が一通りずっと調査ができて、一年なり二年なり後に勧告するというようなことで、一体その機能は十分だとあなたはお考えでしょうか。そうだとするならば、私は、一方に憲法の二十八条の基本人権に基づいて、労働者たる団体行動を起こしてくるということについては余儀ないと思う。それを罰するだけで問題が解決するなら簡単であります。罰しても罰しても、次から次に出て参ります。それはどこに矛盾があるかというと、行政の全体の中に大きな矛盾があるということ、これは諸外国の例で明らかです。イギリスのように、あらかじめ団体交渉が前提になって、しかも、長き経験で、よき労使慣行ができて、国民からも非難されないで、労働組合と政府責任者との間に協定ができておる、またできるような制度があるところならば、それでいいと思う。もう春闘がかまえられております。だから、今の問題を割り切りませんと、それは起きた問題を処分すればいいといっても、処分で解決のつくことなら、われわれはとやかく言わないのだ。処分したって次から次へと出てくる。この問題は基本的な問題だと思う。私は、行政のあり方、すなわち公務員の生活の安定——利益を保護するとまで積極的に言わなくても、経済の変動期における俸給生活者の最低の生活を守るということは当然の義務だと思う。その当然の義務を、法律が労働者の罷業権の担保として人事院を設けたのに、その人事院が今のような調子でいっていたら——そんな労働組合がもしあったとするなら、その組合はつぶれてしまいます。ある意味において、人事院の立場というものは、こういう経済政策——普通場合はいいですよ。時間があれば説明するといいのですけれども、ほかの予算はみんな増額してきているじゃありませんか。この関係を私は、あとか先かということが非常に大切なので、今人事院総裁は、あとでなければやれないというふうなことを言っているが、あなたはそれを肯定なさいますかどうか、お伺いしておきたいと思います。
  331. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 長官がお答えになられます前に、失礼でございますが、私の言葉が不備でございましたために、若干誤解がおありじゃないかと思います。  実は民間給与との比較は、決して民間よりおくれておりませんのでございます。これは、たとえば昨年の勧告で申しましても、四月現在で調査いたしますときに、民間の四月における賃金の支払い状況を調べまして、それで公務員の給与も四月から民間の賃金と同じになるように勧告をいたしておるのであります。今お話しのように、将来における物価あるいは生計費の趨勢、これは見ておりませんけれども、民間賃金との比較におきましては、ぴたりとその月がこっちにも実現するようにいたしております。その点は、団体交渉ができましたときに、それからかりに実施するとすれば、それと同じような結果になっているわけでございます。その点一つ補足させていただきます。
  332. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 人事院の勧告のあり方についての考え方でございますが、ただいま人事院総裁からお話しの通り、ああしたやり方以外には方法がないのじゃないか、こういうふうに私ども考えております。
  333. 井堀繁男

    井堀分科員 そうしますと、公務員法の矛盾が露骨に出てくると思うのです。公務員の給与については、公務員自身が団体を作って、その団体交渉でやるということが一番望ましい姿です。しかし、それよりは人事院がこれにかわってやった方がなおいいのではないかというのが人事院のあり方なんです。これはこの法律全体からくればわかる。その人事院がむしろ——事実上公務員の団体交渉は行なわれているのですよ。労働組合法でいう団体交渉というかどうかということは異議があるにしても、団体を作っている以上は意思表示をいたします。その意思表示と人事院というもののあり方というものが問題になるのであって、ある意味で人事院が——さっきの民間給与の問題で、これは議論がありますよ。民間給与というのは、民間の給与の実態を全部見ろというのじゃないのです。法の精神は、要するに労働者の一番似たような職種、職階の給与に、あまりアンバランスにならぬようにという点なんです。しかし意味はあくまでも生計費なんです。理論生計費もありましょう。実態生計費のつかみ方もあるわけです。国家公務員が、労働者にもいろいろな低い点もありますが、その低いところに合わせろというようなばかげた意味ではないことは言うまでもないのであって、およそ公務員というのは、国民の中の労働者としても模範となるべきで、それは行ないだけではありません。生活の水準においても同様なことを意味するわけであります。そういう精神なんです。もしデータだけで議論するなら、私は問題があると思う。今の人事院の機能をもって——私はこの予算をお尋ねしたかったのでありますが、この調査費の予算で一体どの程度の民間の給与の調査ができると思いますか。それからあれだけのスタッフと人員をもってして、あなたが今動いているものをすぐつかめるようなことができるものではありませんよ。あくまでそれは目安なんです。あるいは、政府や国会に対して審議の資料を提供するという程度であって、人事院のここに出ている民間給与の規定というのは、日本の労働階級の中で国家公務員というものがどうあるべきかということを、一つの規範として規定してあることは立法の精神の示す通りであります。でありますから、私は普通なら言わないのですけれども、他の予算を見ましても、自然増の形で多くの予算が増加していますよ。たとえば公共の投資関係なども、事実上物価の値上がりによる補助金、助成金、交付金の増額です。それは言うまでもなく賃金をもとにして考えなければならぬ。なるほど公務員の給与が上がってきますると、逆に民間の給与を刺激するということももちろんあると思う。しかしそれが基準であれば、べらぼうな高い賃金要求が起こってこないということにもなるし、そういう意味で私は、人事院の勧告というものは時の政府の政策や、あるいは経済、財政の動きに対して歩調が合ってこなければならぬと思う。そういう意味で、国家公務員法というものの重要性を今日ほど認識すべきときはないのではないか。そういう意味で実は私は人事院の答弁を意外に思うわけで、非常に不満を感ずるわけであります。人事官の身分は、他の行政官と違って、特にその身分を保障し、あるいは最高裁判所の事務総長の前で宣誓を求めるなどは、だてや酔狂に規定しているのじゃないはずだ。政府行政権から威嚇を受けないで済むような、独立と自由の立場を保障しているはずであります。この前私は一般質問のときに、佐藤発言についてちょっと聞いたのですが、不用意に言うたというが、とんでもない話です。行政整理に対する佐藤さんの考え、国民の中にああいう考えがあっていいと思う。役人を減らしたいという意見があるかもしれない。しかし、そのときに減らされる方の側は、言うまでもなく生活権の問題でありますから、それを守るために日本には憲法の基本権が規定してあるわけでありまして、それにかわる大半院ですから、人事院がまず一番先に公務員の立場を代表して、解雇によらないで、生活の脅威を露骨に受けないで済む方法において行政整理は行なわるべきだという答弁をすべきである。われわれ国会とは違いまして、そういう点は人事院の立場は明らかに規定されておるのであります。この前の答弁は、まるであれを聞いたら、公務員は人事院を信頼しなくなる。人事院の大切なことは、公務員から信頼されてこそ人事院の位置が保てるわけであります。そのかわりには、政府に対して、国会に対しも、気に食わぬことを勧告し、あるいはデータを出すことは当然のことであります。それは今日の社会においては労働法にも規定してあり、公務員法にも規定してありますように、給与の問題については利害が対立するから、その対立の前提に人事院の存在が規定してあるのでありますから、もし行政管理庁長官が公平な、そして行政管理庁設置法に基づくほんとうの精神を実行するなら、人事院に対して警告するくらいの態度があって初めて国民は納得すると思うのであります。こういう意味で、人事院のあり方が非常に問題になってくる。人事院が国会でこういう答弁をするようでは、きっと公務員は信頼しないのみならず、その結果は、生活を守るための直接の手段に訴えざるを得ないのでありますから、ストライキをおやりになったってしょうがないのです。もしそういう場合は、行政管理庁長官は、そのストライキをやった行為だけを責めて、公務員の生活を守ることを忘れておった人事院に対してはどうなさいますか。今のことだけを考えても、すぐおわかりだと思う。非常に大切な問題だと思う。それが悪ければ、公務員法を改正して、先進国がやっておるように、団体交渉の道を開いて、直接政府と公務員との間にそういう問題を処理するという憲法の精神に戻ってくるべきだと思う。ここら辺に人事院の立場というものが非常に重要だ、というのは、私は人事院の存在を高く評価するからであります。そして、公務員の一般労働者と異なった、平和的で合理的で、国民全体に奉仕をしながら、公正な労働条件が成長してくることを願うからであります。もしこういう願いが、私どもと行政長官が同じなら、人事院のあり方に対して警告を発すべきだ、また人事院のあり方、今の答弁だけで満足なさいますとするならば、必ず公務員の間から突き上げが起こってくる。それから起こってくるところの責任は、政府がやはり、半の責任をとらなければならぬ。要するに国民はそういう見解をとると思うのでありますが、この点の見解だけを伺っておきまして、時間が参りましたから……。
  334. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 人事院の勧告のあり方、仕方についての御意見であります。人事院ができましてから十数年間、いろいろ苦心した結果、現在のような勧告の方法になったのだと私は考えております。政府としましては、あくまで勧告を尊重するという建前であるし、かつ先ほど申し上げた通り、公務員の給与につきましては非常な関心を払いまして、それがため、特に行政管理庁の長官以外に給与担当大臣を置いて、平生からこの問題を研究いたさしておるわけであります。政府としては、公務員の給与につきましては冷淡でない、非常に熱意を持ってそういう態度をとっておることだけはここで申し上げておきたいと思います。
  335. 井堀繁男

    井堀分科員 これで終わりにいたしますが、最後にあなたの御決意を伺っておきたい。  人事院というものの立場は、今の私の質疑応答の中で十分御理解いただいておると思うのです。だから、人事院のあり方というものが、公務員と政府との間の平和を維持していく、労働条件の維持のかなめになっておるということは間違いないと思う。この制度を尊重なさっていくということは、勧告を尊重するという御意思でわかった。こういう制度の運営について、公務員法の精神について、やはりもっと積極的な政府の考え方が必要だと思うのであります。この点だけ意見を伺って、私の質問を終わります。
  336. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 人事院は、政府としてあくまで尊重していきたいと存じております。繰り返して申し上げますけれども、人事院の勧告のあり方、その他につきましては、人事院が長年苦心をしまして現在のようなやり方になったのだ、かように考えておるのでありますが、それだからといって、公務員が団結権を主張したり、ストライキをしていいというものではございません。やはり現在の規定を守って、その範囲内において、なるべく公務員の給与を擁護したい、こういう考えであります。
  337. 西村直己

  338. 河野正

    河野(正)分科員 私は、基地、特にアメリカ軍さらには自衛隊、そういう基地の産業経済あるいはまた文化、教育、さらには個々の人体、生体、こういう各面に及ぼします影響がきわめて重大でもございますので、この問題につきましては、今日までいろんな角度から、あらゆる問題を取り上げて論及された問題ではございますけれども、しかしながら基地はますます拡大される、あるいはまた施設というものが、たとえばジェット機におきましてもさようでございますけれども、だんだんと性能が向上する、そういうことのために、今申し上げましたような基地があることに基づく、産業経済さらには文化、教育、さらには人体、生体、そういうものに及ぼします影響力がだんだんと重大をきわめつつあることは御案内の通りでございます。従って、政府当局でも、そういう事態に対処するために、実は総務長官を中心とする協議会等も設置されて、いろいろ善処はされつつあるようでありますけれども、今申し上げますように、実際に及ぼす影響はだんだんと重大化しつつあるという点もございますので、私はあえて本日は、そういう基地に基づいて起こって参ります各面に対する悪影響あるいはまた被害等に対して、どういうふうに認識しておられるのか、さらにはそういう被害その他に対します——個々については後ほどいろいろと論及して参りますけれども、そういう問題に対して、どういう基本的な態度で臨もうとされておるのか、そういう基本的な態度等について、まず率直に御所見をお述べいただきたい、かように考えます。
  339. 小平久雄

    小平政府委員 基地あるいは基地周辺の問題につきましては、御承知の通り、基地問題等閣僚懇談会及び基地等周辺問題対策協議会の二つの連絡調整機関が政府内にあるわけでございますが、前者は閣僚レベルでもちろん政治的にこの問題をどう取り組んで参ろうということでありますし、後者は事務の段階において各行の連絡調整をはかって参ろう、こういうことでありますが、お話しの通り、基地の問題あるいはその周辺の問題ということは、産業経済は言うに及ばず、国民の生活に非常に影響の大きいところでございますから、これらの問題は、それぞれの基地あるいはその周辺の実情に応じつつ、以上申しましたような機構を通じて、各般の問題の調整をはかりながら解決いたして参りたい、さように考えておるわけであります。
  340. 河野正

    河野(正)分科員 一応の御答弁をいただいたわけでございますが、実際には非常に中身の乏しい答弁であって、もちろん個々につきましては後ほど論及するということでございますから、一応そういう答弁で終わったと思いますけれども、実際私どもが現実に今日までこの問題に対処してきて、どういう形で今長官がお述べになったような事柄で改善されてきたかということをながめて参りますと、まことに残念でございますけれども、言葉では善処、実際には退歩という現実を、私どもは端的にいって率直に申し上げなければならぬと考えるわけです。と申し上げますのは、第一に、この基地に基づきますいろいろな悪影響あるいはまた被害等につきますいろんな対策はたくさんございますが、そういう対策の中で今日まで強く取り上げられて参りましたのは、ジェット機等に対します騒音に対してどういう対策を立てていくか、これが主たる対策であって、その他についてはほとんど見るべきものがない。ところがその中におきましても、なるほど騒音に対しましては、たとえば学校においては防音施設を行なうというようなことでございますけれども、この騒音と同時に起こって参ります振動に対しては何ら処置がとられない。あるいはまた騒音や振動に基づきますいろいろな被害がございます。そういう心理的な被害に対します補償、そういう点についてはほとんど取り上げられない。あるいは現在の特損法によりますと、なるほど特損法の中で、今申し上げましたように教育施設に対します防音施設、あるいは厚生施設に対します防音施設というようなことがございますけれども、福祉施設に対しましては、今の法のもとでは何ら対策を講じていくわけに参らぬというようなことで、この対策と申しましても非常に欠陥だらけだというのが私は現状だと思うんです。のみならず、実際にやられております諸計画を見て参りましても、もちろん今までよりも退歩しておるというふうな実情も多々ございます。  そこで私は、一つ一つお尋ねをして率直な御意見を承りたいと思いますが、まず基本的にこれはぜひ一つ長官の御回答を願いたいと思います。それは、この基地周辺に所在いたします住民の人権というものが、実はこういう基地のために、あるいはまた基地の騒音のために侵されておるんじゃないか、たとえば公立学校の入学率を見て参りましても、実は基地周辺と影響のない地域と比較いたしますと、これは地方公共団体の教育委員会の統計でございますから、何も私の方の統計ではございませんが、そういう公的な教育委員会等の統計により、しかも公立学校ということにしぼって調査いたしましても、合格率というものは非常に低下しておる。板付周辺において最近調査を行なっておりますが、たとえば母乳の分泌状況、あるいはまた乳幼児の発育状況、こういう調査等も行なわれておりますが、それによっても母親の人権というものが侵され、あるいはまた子供たちの人権というものが侵されておるというふうに私どもは理解をいたします。名古屋の法務局が小牧の例を取り上げまして、基地の騒音というものは人権侵害の傾向があるというような見解を発表したいきさつもございます。そこで一番大事なことは、もちろんそれは基地を認めるか認めぬかという問題もございますが、現実に基地がある。その中で被害をこうむるということになりますと、それでは一体どういう被害をこうむっておるのか。この認識の仕方というものが、今後の対策のために私は非常に大きな影響を持ってくると思うんです。そういう意味で、今申し上げましたような基地が人権を侵す、そういうきらいがあるのではないかという名古屋法務局の見解等もございますが、そういう見解に対して、総務長官はどういう認識をしておられますか、まず一つその間の御所見を承っておきたいと思います。
  341. 小平久雄

    小平政府委員 基地の存在が地域の住民に、御指摘のようないろいろな影響を及ぼすことは事実だと私どもも考えます。そこで、それに対してどういう処置を政府がいたすべきかということにつきましては、影響が複雑なだけに、いわば学術的にと申しますか、科学的にと申しますか、十分調査をいたしまして、その処置を決定する必要があるだろう、こういうことで、ただいま御指摘通り、現に板付を中心にしてそういう調査を行なっておるようであります。なお、それらの詳細につきましては、調達庁長官も見えておりますので、後ほど御答弁を申し上げることにいたしたいと思いますが、いずれにいたしましても、政府といたしましては、今申します通り、正確な因果関係その他を十分学術的にも把握いたしまして、善処をいたして参りたいと考えておるわけであります。
  342. 河野正

    河野(正)分科員 詳細については、私、資料がございますから、その点についての論及はさておくといたしまして、基本的に騒音の人体に、あるいは住民に及ぼす影響、そういう点に対しまする御所見を実は承りたかったわけです。それについては、一例でございますけれども、名古屋の法務局では人権を侵しておるという一つの傾向があるという所見を発表いたしておりますので、そのことにしぼって御所見を承り得れば幸いだと思います。
  343. 小平久雄

    小平政府委員 その点もお話しの通り、人権を侵害するおそれがある、こういう表現を用いられておるようでありまして、これは断定することはなかなか困難な問題だと思います。そこで今申し上げます通り政府としては、その間の事情を学術的にも精密に調査いたしまして、その上で善処をいたしたい、こう考えておる次第でございます。
  344. 河野正

    河野(正)分科員 なるほど三十六年度から、実は私ども不満でございますけれども、若干の調査費がついて、それも一番基地の被害をこうむっておるといわれておりまする板付基地でも百八十八万というような非常に微々たる調査費でございますが、そういう調査費が計上されて、そうして一般住民の健康状態に対する調査、あるいはまたさっき私が触れました母乳分泌、乳幼児の発育に対しまする調査、あるいはまた難聴に対しまする調査、そういう調査が実際に政府の資金を通じて行なわれるということでございますけれども、今日までそれぞれの公的な機関において発表された資料はたくさんございます。たとえば今私が申し上げました第三点の難聴の問題にしても、すでに労働省の労働医学研究所の名において、少なくとも百フォン以上の騒音を受ければ聴器障害を起こす可能性があるということ、これは政府機関の一部が発表した論文が指摘するところです。それからさっき申し上げましたように、たとえば福岡市の教育委員会の資料によりますると、公立高校の合格率が、三十三年におきましては、基地の周辺で影響を受ける地域の合格率は四〇%、それから基地から離れた影響を受けない地域の合格率が五〇%、それが三十四年になりますると、影響を受けた地域が同じく四〇%、影響を受けない地域は合格率が六〇%に伸びてきております。三十五年になりますると、影響を受けた地域も若干伸びまして、四五%と伸びておりますけれども、影響を受けない地域は六五%というふうに大幅に伸びております。比較いたしますと、大体三十三年から三カ年の間に、影響を受けない地域では六五%でございますから、約一五%の合格率の伸びがございますし、影響を受けた地域は四〇%から四五%でございますから、五%しか伸びてない、こういうように公立学校——私立はいろいろ問題がございますから除くといたしましても、公立学校だけでも、今申し上げるように、影響を受けた地域と影響を受けない地域との高校の合格率というものは非常に違う。そういたしますと、このこともやはり一つの資料として、学力低下という意味で当然取り上げるべき問題ではなかろうか。そういう資料がたくさんございます。そういう資料に基づいて、どういうふうに御判断なさいますか。全然資料がないわけではない。今から検討されることも、それはけっこうですが、すでにそういう資料がたくさんあるわけです。それも私どもがいろいろここで申し上げるのではなくて、それぞれ公的な機関が発表した資料があるわけですが、そういう資料をお聞き願って、どういうふうに御判断なさいますか。一つ御所見を承りたい。
  345. 小平久雄

    小平政府委員 今高校の入学率のお話がございましたが、そのお話だけから考えましても、やはり防音装置というものが逐次効果を現わしてきておるのじゃなかろうか。ただし進学率の伸びが、それにしても影響のないところよりも小さいというお話でございますがいずれにしても、一方において防音装置等は逐次完備を期さなければならないと考えておりますし、先ほども申し上げました通り、これを学術的、科学的に因果関係をとらえるとしても、おそらくそれだけでは問題が割り切れないという点があるのじゃないかと思います。そういう点につきましては、閣僚懇談会等において、これを政治的に解決していくということをあらかじめ予定して、そういう懇談会を設けておるわけでございますから、これが運用によって善処をして参りたい。しかし、いずれにしても国の予算でやるわけですから、ある程度の科学的な根拠がなければ取り扱いにくいという建前から、今調査をいたしておるということを御了承願いたいと思います。
  346. 河野正

    河野(正)委員 実は国の予算を出して調査をする、あるいはまた調査しなければ、今後どのような形で補償するかというような点についてもいろいろ問題がある、それは私どもわかるわけです。けれども、問題は、現状をどう認識するかということによって、私はその解決のテンポというものが非常に違ってくると思う。現状というものを非常にシビアにお考え願えば、今後の対策というものも促進されるであろうし、また現状というものを非常に過小評価するということになりますと、この問題の解決は遷延されるということになりましょう。そういう意味で、実は名古屋の法務局でも人権侵害のおそれが多分にあるというふうな所見も出ておることだし、今申し上げますように、政府の調査というものは若干おくれるにしても、すでに政府の一部の報告なり、あるいはまた公的地方団体の調査資料なり、そういうものが若干の結果を出しておるわけですから、そういう実情を見て、現状をどう評価されるか、これを私はぜひ聞きたい。というのは、この現状認識というものが今後の解決に非常に大きな要素を持ってくると思うのです。そういう意味で、ぜひ今の名古屋法務局が出してきた点について、長官の率直な御意見を聞きたいということでございますから、一つその点にしぼって、どうだというふうに御回答願えれば幸いと思います。
  347. 小平久雄

    小平政府委員 同じことを申し上げるようで恐縮ですが、政府関係の機関等において、今お話しのような報告等も逐次されて参っておる。しかしいずれにしても、いわば断片的という言葉は適当でないかもしれませんが、総合的な、全般的な調査ということでもございませんので、この際どういたしましても総合的にこれを調査をして善処をいたそうというので、せっかくそれに着手しておるという段階でございますから、それを待ちまして、さっき申し上げました通り、それだけでは、特に地元の方々の実感に迫るような解決策は困難かと思いますが、政治的にも十分考慮いたしまして、問題を解決すべきであるというふうに考えておるわけであります。
  348. 河野正

    河野(正)分科員 この点はしつこいようですが、人権問題についてはどういうお考えを持っておられるか、一つこの際お聞かせ願いたいと思うのです。
  349. 小平久雄

    小平政府委員 先ほど申し上げました通り、人権も侵害しておると、こう確定的にまだ申しておるわけではないのでございまして、それがおそれがある、こういうことであります。しかしおそれがあるというだけであるから、それをほうっておくという意味ではなくして、るる申し上げました通りの方途を政府としては講じておるわけでございます。従って今後この問題につきましては、政府ももちろん真剣に取り組んで参りたい、かように考えております。
  350. 河野正

    河野(正)分科員 実はこれは特異な例でございますけれども、東京都下の昭島市会でございますか、ここでは具体的に入学試験——これは福岡市の教育委員会の資料も発表いたしましたが、そういう入学試験で、そのために学力が低下する、そのために失敗をするというふうな事例が多い。あるいは一般的な学力低下、さらには睡眠不足、そのためにノイローゼが起こってくる。あるいは家畜に非常に大きな影響力を持つ。たとえば牛の場合には乳が出ないようになったり、鶏の場合には卵を生まぬ。結局動物の場合には受胎率が非常に低下する。これは福岡市の統計ですけれども、一般の種牛の場合には受胎率が大体八〇%だけれども、基地周辺では六〇%というふうに、受胎率が非常に落ちておるわけです。こういう具体的な事例があるわけですけれども、いずれにしても、昭島市会では、そういうもろもろの被害を受けておるので、その被害の補償として六億八千万円支払えというふうな議決をして、政府に要求をしておるというようなことも承っております。これは数字が出たということは、この基地補償に対する一つの具体的な進歩だと思いますけれども、そういう事例も出て参っております。そこで、実は今日いろいろ御研究になったり御調査になったりということは、時期的にも非常におそきに失しておるのであって、決して時期的に適切だということではなかろうと思いますし、また長官の方もさようお考えになっておると思いますが、そういうように被害を受けております住民は、もう全く真剣そのものになっておるわけです。ところが、非常に長い間の被害でございますので、そういうふうに具体化しておるけれども、政府の方では、ぼつぼつ三十六年からほんのわずかな調査費を出してやっと調査しよう、こういうことでは、せっかく長官がいろいろと具体的に熱心にやるとおっしゃっても、正直にいって私どもは了承するわけにはいかぬ。そこで、実は人権侵害の問題も非常にくどく質問いたしましたけれども、そういう現状認識というものが非常に甘いのではないか、それが今のような非常に緩慢な対策に陥っておるのではないかという印象をわれわれは受けるわけです。そういうことでは困る。時間がありませんから、そういうことにしておきたいと思います。実は退歩しておるという一例として、いろいろ取り上げたいことがたくさんございますけれども、時間がございません。  それで一例として取り上げてみたいと思います点は、たとえば長官も非常に熱心にやっておると言われますけれども、学校の防音教室一つ取り上げてみましても、さっき申し上げましたように、たとえば中学は三年制、そこでこれを単年間、二年間でそういう施設を施行しなければ、今政府が示しておりますように三年以上かかるということになると、たとえば中学に入ります。卒業するまで、とうとう騒音に悩まされて卒業する。そこで高等学校に入ることができない。そこで私どもは、こういう政府が具体的に積極的におやりになるということなら、そういう事業は短期間で完成するという方向でやってもらわなければならぬが、現状を見ておりますと、必ずしもそうではない。この年次計画を繰り上げるという計画が出て参っております。それは長官が今おっしゃった方針と相反すると思うわけですが、そういう点についてはいかがでしょう。
  351. 林一夫

    ○林(一)政府委員 航空機の基地の騒音が周辺の方々に与えておる影響が非常に大きい、非常に大きな被害を与えておるということは、よく認識しております。この騒音の防止対策には、私どもは最大の努力を払っておるわけであります。そのために、例の日米合同委員会の下部機関として騒音防止対策委員会というものを設けまして、いろいろの騒音対策を現在検討をいたしておるのであります。その中で最も重要な項目としましては、例の学校、教育施設に対する防音工事、この防音工事につきましては今まで最大の努力を払って、なるべく早くなるべく多くの学校にこの工事を施行したいということで計画し実施して参ったのであります。ただいま先生がおっしゃるように、教育施設については、早く防音工事を完成することが、また教育上の目的を達するゆえんであるというようなことも大事なことでございますので、そういう点に留意して、教育施設の防音工事はなるべく早く完成したいということで考えてきておるわけであります。ただ、この教育施設の防音工事の年限を短縮するということにつきましては、いろいろの考え方がございます。何分にも防音工事を希望するところの声が非常に強い。各地元からたくさんの教育施設について、早く防音工事を完成してもらいたいというような要望が強いので、私どもといたしましては、防音工事を何年間に完成するか、どういうような方法でどのくらいな期限でいくのが適当であるかということについては、検討いたしておるわけであります。教育施設については、なるべく早く防音工事を完成したいという気持は強いものがございます。
  352. 河野正

    河野(正)分科員 言葉だけでは困るのであって、なるべく早く完成したいということであるならば、少なくとも地元で単年あるいは二カ年計画でやりたいということならば、その通り一つ実施すべきである。このことが実現されぬ限りは、幾ら努力いたしますでは地元の人は承服できない。それでいろいろ御努力されておる説明はけっこうですけれども、具体的に今私が申し上げますように、たとえば中学校の場合はさっき申し上げたように、三年間でやってもらわなければ入学して卒業してしまうのですよ。それがために通るべき入学試験も通らないということになるわけですから、原則的には始めたら一年でやるのだ、こういう基本方針をぜひ一つお認め願わなければ、何ぼ努力いたしますだけではから念仏で私は承知するわけにはいかない。そこで私が申し上げたような方針で今後予算折衝に臨みますという御決意がありますかどうか、その点だけを一つお答え願いたい。
  353. 林一夫

    ○林(一)政府委員 ただいま申し上げましたように、教育施設というものは、たとえば中学につきましては三カ年というような年限、ですからなるべく早く防音工事を完成しなければならぬという必要性は十分認識しておるのであります。何分にも防音工事を早くたくさんしてもらいたいというような各地元の要望が非常に強く、しかも多いので、私どもといたしましても、なるべく教育施設は広く多数について行ないたいという考えを持っておる。そろいうような点もあわせ考慮いたしまして防音工事の完成年度も考えたい、こういうふうに考えております。いずれ実施計画を作るときにそういう点も考慮いたしまして計画を立てたい、こういうふうに考えております。
  354. 河野正

    河野(正)分科員 それからもう一つ私どもの納得いかぬ点がございます。それは非常に熱心にやっておるとおっしゃるけれども、納得いかぬ点でございます。せっかく文教施設に触れましたのでこの際もう一点触れておきたいと思いますが、今の特損法によりますと、現在施設のみに特損法の適用が行なおれる。たとえば都市ではどんどん学校が膨張していく、生徒数がふえていく、これは必然の理ですよ。その場合に学級増が当然行なわれる。ところが新しく建てる教室については行なわれない。そこでまず地方自治体が一応教室を作っておいて、その後に結局防音施設を作ってもらう、こういう二段がまえでないと現在の騒音対策が行なわれないというのが現状です。これは私は、政府が非常に熱心にやっておられるという反面において、きわめて地方の実情を無視しておるというふうに思いますが、そういう点に対して一つ私の意見通りに改善していただく御決意があるかどうか。
  355. 林一夫

    ○林(一)政府委員 防音工事の実施につきましては、各地方の実情をよく検討しまして、その教育施設の耐用年数とか、これが将来鉄筋化をした方が防音効果が上がるかどうかという点をいろいろ考慮しまして実施計画を作っておるわけであります。
  356. 河野正

    河野(正)分科員 そういうことを質問したのではなくて、現在の特損法では現在ある施設についてのみ補償が行なわれるわけですね。ところが都市ではどんどん学生の教が増加していくわけです。教室が足りぬようになってくる。ところがその場合には今の特損法では補償がされない。そこで前もって地方自治体が教室を作っておいて、その後に結局二段がまえで何とかやるということになりますので、学校当局でも非常に迷惑をこうむっているわけです。そこで、そういう点については少なくとも政府が熱意を持って改善に努力されるならば、私の意見通り一つ改善してほしいということです。
  357. 林一夫

    ○林(一)政府委員 特損法によりますと、現在ある学校について防音工事をするという建前になっております。現在の学校を基準としまして工事の計画を立てるわけであります。その点御了解を願いたいと思います。
  358. 河野正

    河野(正)分科員 それなら結局今の特損法を改善するとかあるいは新しく立法化するとかなんとかしなければできぬということでしょう。さっきの長官の話ではないけれども、善処いたしますとおっしゃるけれども、今の法律ではどうにもならぬということでございますなら、何ぼ善処していただいてもそれはから念仏であって、私どもは承知するわけにはいわぬ。ほんとうにやる気ならば法を改正するか、さもなければ新しく立法化するほかないわけなのですね。そういうことをやらなければ現実にできぬわけでしょう、今のあなたの答弁では。それなら特損法を改善するとか、さもなければ新しく立法化いたしますということをここでお約束願わなければ、さっき長官のりっぱな答弁をいただきましたけれども、そういうことは具体的には実現できぬということでしょう。いかがですか。
  359. 林一夫

    ○林(一)政府委員 ただいま先生がおっしゃったような点もありますので、そういう点もあわせて今後いろいろの点から、地方の具体的な実情て沿うように一つ検討して参りたいと思います。
  360. 河野正

    河野(正)分科員 それでは実情に沿うように、足りないところは法の改正をするか、それでも足りないところは新しく立法化する御決意があるということを表明されたのかどうか。その点をイエスかノーか一つお答え願いたい。
  361. 林一夫

    ○林(一)政府委員 そういういろいろの点がございますので、そういう点も含めて一つ今後検討して参りたいと思います。
  362. 河野正

    河野(正)分科員 そこを今の特損法の改正でいくのか、さもなければ新しく立法化をやられるのか、その点だけに一つしぼってお答え願いたい。
  363. 林一夫

    ○林(一)政府委員 特損法を改正していくのか、あるいは新しく立法するかという点につきましては、いろいろ検討すべき点があると思います。そういう点も含めまして全般的に一つ検討して参りたいと思います。
  364. 河野正

    河野(正)分科員 その点は一つ現状に沿うようにということですから、おそらく現状に沿うためには特損法を改善するか、さもなければ立法化するしかないわけですから、そのように私どもは理解をいたします。  実は今までは主として教育施設に対する騒音対策を行なってきたのですが、厚生施設に対しましては非常におくれておるわけです。今やっとどうやら厚生施設に対してもやらなければならぬということで、厚生施設に対しまする騒音対策というものが具体的にあげられてきた。そこで問題になります点だけを、時間がございませんから一点だけ指摘して、御所見を承りたいと思います。  それは厚生施設についてはなるほどやっていただくことでございますけれども、その場合に、公立の医療施設の並行工事のみは予算の裏づけを認めるけれども、本体工事は含まぬというふうな態度で臨んでこられた。それで私は今さっきいろいろと申し上げましたように、せっかく総務長官はりっぱな御答弁をなさったけれども、具体的にはそういう御答弁に沿うような現状ではない。私は少なくともこの医療施設についても並行工事同様本体工事についてもめんどうを見てもらわなければならぬというふうに考えますが、その点はいかがでございましょう。
  365. 林一夫

    ○林(一)政府委員 先ほど申しましたように、何分にも教育施設に対する防音工事については地元の要望が非常に強いのでございます。まず教育施設に重点を置きましてこれを早く完成したという政府の考え方であります。そのためには医療施設の方は少しおくれるということはやむを得ないと考えております。またその補助対象としましても、あるいは防音工事だけしか補助ができないというようなことも考えなくてはならぬというような状況にあるのであります。どうしても早く教育施設の防音工事を完成したいということで現在は進んでおるということでございます。
  366. 河野正

    河野(正)分科員 時間がございませんので、あまり追及できぬわけですが、しかし、これは結局住民の被害というものは何も自分みずから招いた被害じゃない、基地があるために起こってくる被害なんです。それをなぜ教育関係と厚生関係とを差別をつけなければならぬか、特に私は厚生関係の場合は非常に人命にも関する重大な施設でございますから、そういう意味で私は厚生施設については特に重点を置いて施行してもらわねばならぬというふうにも考える。それは三十九度も四十度も熱があるのに、百何十ホーンというような莫大な騒音がする、そういう実情に置かれた場合に、一体長官はどういうふうにお考えになるか、それでも長官の胸のうちには血が通っているのかということを私は指摘したい。それは結局教育のみに追われて厚生施設に全然手がつかぬなんという、今さらそういうことで私は聞くわけにいかぬ、しかも今申すように並行工事は認めるけれども、本体工事は認めぬ、そういう理由が一体どこにあるのか、時間がございませんから一つ簡単にお答えを願いたい。
  367. 林一夫

    ○林(一)政府委員 先ほど私が教育施設に重点を置いておると申しますのは、医療施設の方の防音工事を軽視しておるという意味ではございません。何分にも学校教育というものを重視しまして、なるべく早く学校施設についての防音工事をやりたいという考え方から、優先度を学校施設の防音工事に置いておるわけであります。医療施設の方も従来もやはり防音工事をやってきておるのでございます。特に騒音度の高い地域の医療施設については、十分防音工事を考えて参りたい、こういうふうに考えております。
  368. 河野正

    河野(正)分科員 考えていただくのはけっこうですけれども、今私が具体的に申し述べたように、並行工事については認めるけれども、本体工事については認めぬ、それは一体どういうことですかということを聞いているわけです。
  369. 林一夫

    ○林(一)政府委員 先ほども申しましたように、教育施設というものの防音工事が非常に多い。しかも各方面から強い要望があるというような現状でございまして、なるべく多くの学校の防音工事をしたいということを先に考えておるのであります。医療施設についても今後考えなくてはならない、こういうふうに考えておるのでありますが、その補助の対象は、御承知のように、防音工事についてのみ補助金を出す、本体工事については考えていないのであります。これはやはり予算のワクというものが限度がございまして、なるべく教育施設の方を多くやりたいというような点から、その方に多額の費用を要するので、従いまして、医療施設の方は防音工事のみについて補助をするというような仕組みになっておるのであります。
  370. 河野正

    河野(正)分科員 私はそういう長官の姿勢が悪いと言うんですよ。というのは、それは予算が通る通らぬはあなたのところの力関係だと思うのです。大蔵省関係がありますから。これは主計官もおられるかどうかわかりませんが、力関係がありますからね。少なくとも当事者である政府機関のあなたが、今申し上げたように、なるほど教育機関についても大切でしょう、しかし医療機関についても大切だというそういう姿勢で臨んでいただかないと、この問題はいつまでたっても解決をしない。ところが今言ったように教育施設については非常に重点的にやった、そのために医療施設についてはある程度犠牲になることはやむを得ぬ、こういう姿勢で臨んで、今私が申し上げたような本体工事、並行工事の問題が解決するかどうか。少なくともあなたの姿勢としては、今申し上げるように医療施設であろうが文教施設であろうが同等の立場でこの問題に対して努力していく、そういう姿勢がない限りは、何ぼあなたが善処しますと言ったって、私納得するわけにはいかぬのです。  そこで私、ここで明らかにしておきたいと思います点は、今までのようなあなたの姿勢では私どもは満足するわけにいかぬ。今後は少なくとも今私がいろいろ申し上げましたそういう点を十分頭に入れて、姿勢を正して今後対策を講じていただきたい。また総務長官も一つ私が申し上げたようなことを十分お聞き願っておると思いますので、そういう姿勢で調達庁長官も予算化その他をするように臨んでいただきたいということを一つ御配慮願いたいというふうに考えます。  約束の時間もございませんので、最後に一つ締めくくりとして一点申し上げたいと思いますが、それは今申し上げますように、なかなか現状の解決は困難だ。ところが一方においてはジェット機もF100、F102、F104というふうに機種というものが非常に高度になってくる。機種が高度になると騒音も非常にホーンが高まってくる。そこで万全ではなくなるということで、今のような対策ではいたちごっこで、とても対策というものが現状に追っつけないというような、状態になると思うのです。福岡板付基地でも市民の世論調査をいたしましたところが、九七・一%はもう基地をどこかへやってもらいたい、今のような政府の対策では困るんだ、これでは住民は困るので、どこかへ基地を移してもらいたいというようなことで、実は世論調査をいたしましても九七・一%が基地を移転してくれということになっていると思う。今のような政府の腰つきでは、私は市民全体が基地反対ということになってしまうと思うんですよ。今のような政府の対策なら、基地はもうどこかへ持っていってくれということになってしまう。そこで抜本的にはもう基地をやめてもらう以外にないんだという結論になってしまうと思うんです。これは最後の結論ですけれども、そういう私の最後の締めくくりに対して、総務長官から締めくくりの御答弁を、もうこれは再質問せぬでいいように一つお願いします。
  371. 小平久雄

    小平政府委員 せっかくのお尋ねでありますが、基地の移転そのものは私の所管でもございません。従って、むしろ調達庁長官から御答弁申し上げた方が適当だと思いますが、いずれにいたしましても、せっかくのお言葉でございますから、防衛庁長官等にも先生のお言葉は伝えておきたいと思います。
  372. 林一夫

    ○林(一)政府委員 板付基地の移転の問題につきましては、将来の問題として検討いたしたいと考えております。
  373. 西村直己

  374. 石村英雄

    石村分科員 私はごく事務的なことをお尋ねしたい。内容自体は皆さんから見ればきわめてわかり切ったことかもしれませんが、しろうとのわれわれにはわからないことをお尋ねするわけです。  私が申し上げることは、残念ながら国会の審議の過程では、皆さんの方からお出しになっておる予算書あるいは予算の説明その他では、予算というものがさっぱりわからぬということです。われわれは、予算が政府できまりますと、新聞社の方が勉強せられて、いろいろ予算の解説をなさる、それを見る、あるいは国会が始まって、各関係省の担当官を呼んでいろいろお教えを請う。そういう知識によって、初めてこの予算はどうなっているかということがばく然とながらわかるわけですが、私は予算というものはやはり国民が見てもわかるようでなければならぬ。従って予算書の書き方あるいは予算の説明の仕方、そういうものについてもっとやり方はないだろうか。たとえば今度は道路の予算が大へんたくさんついておる、数字を見ればずいぶんな金額なんですが、何千億だとか何百億という数字は、聞いたところで国民の頭の中には入らない。そのとき国民の考える疑問は、これだけの道路予算で一体どれだけの道ができて、この予算は一平方メートル当たりどの程度の単価を見積もって作られておるのかということが知りたいわけです。こまかなことは別としても、大体一平方メートルどのくらいの予算単価だとか、官庁を作るといってもこれは一坪当たりどの程度の単価を見積もっておるのだとか、あるいは生活保護の問題にしても、このように生活基準を上げたら、一体具体的には食費はどの程度ふえるのだろうか。今度の国会でも、本会議滝井君が、今度の生活保護基準の引き上げで、食費五十四円が一割三分上がって約六十円になるということを言っておりますが、このお出しになった予算書を見たのでは、今までのが五十四円かどうか、そんなこともわかりません。もちろん予算が通過したあとで皆さんの方ではこうした「財政金融統計月報」だとかあるいは「国の予算」だとかいうものをお出しになって、それを読めばある程度はわかるわけなんですが、少なくとも予算をきめる審議の過程でそれが国民の前にも簡単にわかるようにしてもらわなければならぬ。これが私のこの質問なりここで今から申し上げることの実は結論なんです。  いろいろ私も考えてみまして、たとえばこれは予算委員だけに配られるもので一般議員には配付されませんが、私は各自明細書というものを見ればそういうものはわかるだろうか、こう考えた。これは私の考えでは、予決令の十二条によって作られたものだろうと思う。予決令十二条には、積算の内容を書いて、各自明細を作るようにということがあるわけなんです。この各自明細書というものは、あの十二条に基づいた明細書であろうか、そうしたらそれにもっと積算の内容を書いてもらわなければいかぬ、こう考えておったのです。聞けばこれはそんなものに基づいたものではないという説明を、二、三日前に大蔵省の方に聞いたので基づかないかは別として、この各自細書については、すでにこの前の臨時国会でも、政府が三十六年度予算について、財政法二十八条によってお出しになっておる三十六年度予算の一般会計、特別会計を含めた純計額はこれこれだ、こう国会に出しておられる数字に間違いがある、これは私の判断ですが、間違っておるということから、いろいろ聞いたときに、各自明細書をもっと利用したらどうか、よくお書きになったらどうかということを申し上げた。今度見ますと、幾らか書き方が変わっておりますが、事業費なんかは、依然として積算の内訳は何らありません。上の欄には積算の内容という字はありますが、下は空白なんです。積算の内容と書いて、中が白紙では意味をなさないわけなんです。  それからもう一つ申し上げておきたいことは、まず大蔵省のいろいろ予算をお作りになり、あるいは参考資料なり内容を分析したものをお作りになるその考え方は、われわれさっぱり理解できない点が二、三あったということなんです。  まずそれでこの各目明細書というものはどういうものか。積算の内容というものは白紙になっておるが——あそこに膨大な内容は書けないと思うのですが、ごく常識的に内容がわかる程度のものでも書き入れられないものかどうか、これをお答えを願いたいと思う。
  375. 大村筆雄

    ○大村説明員 臨時国会のときも石村先生からいろいろ御指摘をいただいたわけですが、予算書をわかりやすくするという点、これは非常に大事な点かと思います。同時にまたこれが予算執行の根拠になるわけでございますので、この予算執行を効率的にやりやすくするということも考えなければいかぬ、そういう点もございますし、またそのときにも申し上げましたけれども、きわめて短期間の、限られた時間の間にこれだけの膨大な事務量をこなす必要上、ある程度最小限度のものにがまんせざるを得ないという関係も実はございますので、多少一般の国民にいろいろなこまかい点を知っていただくためには、不十分な点がいろいろあるかと思います。私どもといたしましては限られた時間に、限られた労力をもってこれだけのものをやるという点もございますので、現在の予算書を中心として仕事を進めてきておるわけでございますけれども、なおただいまお話にございましたように、積算の内訳といたしましては、各省から各目明細書というものを作っていただきまして、それに積算の内訳を書いて、分科会等における審議の御参考に供していただくというふうにいたしております。ただ、公共事業等におきましては、その事業のこまかな内訳は、実施計画の策定を待ってきまるという面がございますので、各目明細には事業のこまかい内容は省略されておるという点がございます。そのほかに私ども主計局だけで「予算の説明」という資料を作っております。これで予算全体の、どこに政策の重点が置かれておるか、どういう考えで予算が組まれておるか、そういう点をなるべくわかりやすく、また簡便におわかりいただくように、御審議の参考にしていただくために、「予算の説明」という資料も作成して差し上げておるわけでございます。それから予算の細部の点につきましては、相当期間がおくれますけれども、「国の予算」というようなものも作りまして、これを見ていただけば相当こまかいことまでわかっていただけるようなものになっておりますが、そういうものも作りまして御参考に供しておる次第でございます。
  376. 石村英雄

    石村分科員 あとで「国の予算」が出るからそれを見ればわかるということで、まああとならある程度はわかると思う。しかしこの予算がいいか悪いかきめてくれといって出しているときに、積算の内容が白紙では困ると思うのです。それはなるほどこういう公共事業なんかあとで実施計画をお立てになるというものだろうとは思いますが、しかし、予算をお作りになるときには、一定のめどがあってこの予算は見積もられたのだと思うのです。あとから変わるかもしれぬから積算の内容を書かぬでは、私は話にならないと思う。そんなことを言えば、国会で議決することは項まででしょう。そんな形式的な言い方をするなら、項の中のことなんかどうでもいいから、そんなものは見ずに項だけできめろといったっていいわけなんです。やはりこれこれの金額だといって総額をお出しになれば、具体的には変わっていくかもしれませんが、全般的に平均してどのくらいの単価を考えておるというようなことは、ここに盛られてこなければいかぬ、そういう説明をしてもらわなければ、この予算がいい悪いということは国会できめられぬはずだと私は思うのです。項までが議決事項だからそれから先のことは言うなと言われればそれきりなんですが、そんなものではないと思う。とにかく何千万円、何億よこせ、内容はどうだって、そんなものはお前の方がくれたらあとで具体的に計画をきめるから、それまで待っておれ、とにかく十億よこせなんというような大まかな話では困る。十億を要求するのなら、大体どの程度の単価でどの程度のことをしようと考えておるというぐらいのことが、この各目明細の積算の内容というところに書かれていいと私は思う。  まず先に聞きますが、これは何ですか、十二条に基づいたものじゃないのですか、どうなんですか。この間大蔵省の方は、何の法律にも基づいたものではない、こういう個人的な話だったのですが、そんなものなんですか。
  377. 大村筆雄

    ○大村説明員 お答え申し上げます。予法令十二条に基づく資料であります。
  378. 石村英雄

    石村分科員 予決令十二条には「必要に応じ」という文句はあります。私が読み上げぬでもいいと思うのですが、「更に、各目の金額を細分し、且つ、これらの計算の基くところを示す明細書を作製し、」とあります。これでは基づくところを示した明細書とは言えないのです。それは部分的にはありますけれども、この予決令に正直に基づいたものとはどうも言えない。それはあなた方の方では、その経費をはじくにはいろいろ非常にこまかな原価計算をしておって、複雑多岐だから、こんなものは書き切らないのだ、それこそこの予算委員会一ぱいになるくらいの資料だというようなことをおっしゃるかもしれませんが、そうしたはじき出した中でも、平均価格、平均単価というものは出てくると思う。家を作る予算といっても、玄関の見積もりと台所の見積もりと客間の見積もりといろいろ違うでしょうが、家一軒について、この家について千万円なら千万円、それについては平均一坪単価どのくらいだということは、これは国民の常識なんだ。その国民の常識程度のものをお入れになったらどうだろうか。そうしたらわれわれは大へんしあわせだということなんですよ。いかがですか。
  379. 大村筆雄

    ○大村説明員 各目明細書につきましては、原則として、予決令にも、今御指摘になりましたように、必要に応じ、さらに細目に区分しとございますように、できるだけ積算の基礎が明らかになるようにはいたしておりますけれども、先ほど申しましたように、公共事業費等におきましては、実施計画が終わって細目がきまるという関係で各目明細書には書いてございません。またそのほかに、実は特に公共事業費につきましては、競争入札で事業を実施するという関係もありまして、そういう単価があまり印刷物として流布されるのは避けた方がいいのではないかという点もあるわけでございます。そのほかにも資料としては相当膨大なものになるという点もありますが、いろいろな点から、従来ともそういう積算基礎は扱いをいたしておりませんが、できるだけ御趣旨に沿うように、各目明細書を見ていただけば予算の積算がわかるというように努力はしたいというふうに考えております。
  380. 石村英雄

    石村分科員 「必要に応じ」ということは、私は皆さんのお役所の必要に応じてではなく国民の必要に応じてもらわなくては困ると思うのです。それは予算単価がわかったら入札のときどうだということはありましょうが、これは全国的なものですから、山あり、川あり、谷あり、いろいろなところのひっくるめたものですから、それが入札にすぐ響いて不公正な入札が行なわれるものだとは思いません。また生活保護の問題にしても、それがわかったから物価が上がるわけでもないと思う。どうかそうした点をもっと工夫していただきたい。そしてそれは十二条の関係で特に法律にはそれを命じておると私は考える。従ってこれはやってもらわなければ困る。  それから時間がありませんから次に飛びますが、もう一つ具体的なこととして聞きます。皆さんが予算をお作りになることでわれわれしろうとにさっぱりわからぬ現象がある。たとえば今度の特別会計の食管特別会計の国内米管理勘定という例を一つあげてみましても、調整勘定から受け入れが三千七百二十九億幾らある。前年度に対して二十九億の減、こう書いてありますが、一方調整勘定の方の予算書を見ますと、この三十七年度の予算額が調整勘定から歳出にはなっておりますが、それが前年度の予算の比較からいいますと、これは増減が違うのですね。これなんか一体どういうわけか。調整勘定から幾ら受け入れるといえば、同時に調整勘定からはそれだけのものが国内米勘定へ行くという歳出の同じ金額があるはずです。従って、三十七年度予算についてはそれは一致している。それが前年度と比較すると狂うというのです。これはどうもわれわれしろうとには、どういう考えでこの国の予算というものが作られるのか、ごく技術的なことですが、さっぱりわからぬ。しろうとから考えれば、国内米勘定の調整勘定からの受け入れの前年度との比較は、調整勘定の歳出面について前年度との比較で一致しなければうそだと思う。それが一致しない。これはことしに限ったことじゃありません。例年ずっとそうなっている。こういうやり方も、おそらく皆さんには相当な理屈があって、あるいは法規に基づいてそうやっておられると思うのですが、しろうとから考えると、どうもそれは納得できない。理解できないのです。一つこの点を御説明願いたい。
  381. 大村筆雄

    ○大村説明員 ただいま御指摘の、食糧管理特別会計におきますところの調整勘定から国内米管理勘定への繰り入れの金額と、それから国内米管理勘定におきますところの調整勘定よりの受け入れの金額、三十七年度予算につきましてはもちろん数字が合っているわけでございますけれども、前年度の予算のところの数字が一致しないじゃないか、これはどういう考えでそうなるのかという御質問の御趣旨かと思います。前年度予算額は前年度の補正後の予算額でございます。その際、補正の技術的なやり方の問題に触れるわけでございますが、補正いたしました場合は、必要最小限度の補正をいつもやるわけでございます。予算は歳入歳出と分かれるわけでございますけれども、特に歳出につきましては、歳出予算を実行いたします場合、歳出予算としての拘束性、覊絆性があるわけでございます。歳入につきましては一応の見積もりでございます。歳出について補正いたします場合、それに必要な範囲で歳入も補正いたす建前でございますけれども、そういう関連のない場合、特に歳入だけの補正をする必要がないような場合は、適宜歳入の補正はいたしておりません。またその必要もないのではないかということで、補正いたしておりません。そういう関係で、たとえば調整勘定における国内米管理勘定への繰り入れにおきまして三千六百五十五億と前年度予算はなっておりますが、国内米管理勘定におきまして調整勘定受け入れば前年度は三千七百五十八億と、必ずしも数字が一致しておりませんが、そういう関係で誤差が生じているのかと存じます。
  382. 石村英雄

    石村分科員 僕は、あなたはくろうとだと思っておったが、今の説明を聞くと、くろうととは言われない。私はなぜこんなに前年度の比較が違うかと思って調べてみた。何もこの三十七年度だけじゃない。今までもずっと調べてみて、わかっておる。原因はどこにあるかと思ったら、三十六年度の比較の違いの出てくるのは、三十六年度の第二次補正で、実はあなたのおっしゃったことと反対で、調整勘定からの受け入れだけを国内米勘定には書いて、この補正のとき、われわれの常識からいえば国内米勘定へ調整勘定から受け入れがふえるのだから、同時に調整勘定の予算の中で歳出をふやすべきはずだ、こう思っておるのですが、それをふやさないで、その調整勘定の歳出の増加については全然触れていない。これが原因だと思う。そして、それを持ってくるから、去年との比較で片方の歳入の面からはこうなる、歳出の面では合わないという現象が起こっておるのだと思う。予算補正のときに国内米勘定へ調整勘定から金を新たに追加して入れるのなら、調整勘定の予算書も歳出をあげておかなければならぬのではないか。これをあげさえすれば、こんな間違いは起こらない。間違いではないかもしれないけれども、変なことは起こらない。なぜそういうことをなさるか。これは常識からいえば、当然調整勘定の歳出が増額だけふやされるはずだと思う。それをおやりにならぬ理由ですね・そしてそれをそのまま持ってきて、食い違ったままでの対照表をお作りになる。予算というものを一括してながめたときに——よその国の予算ならそれはどっちでもいいのです。この日本政府の大蔵省の管轄のもとで行なわれるこの予算書が、しかもまた一つの特別会計の中の狂いが出てくるような作り方というものは合点がいかない。これでは、われわれに予算をわかるように勉強しなさいと言われたって、わかりようがない。こういう作り方をなさっては、さじを投げるより手がない。
  383. 大村筆雄

    ○大村説明員 先ほど御答弁いたしました点は、なおさらに詳細にもう一回調べまして、間違っておりましたらまた訂正いたしますが、前年度は三千六百五十五億九千七百万円でございます。これは調整勘定における国内米管理勘定への繰り入れでございます。それから国内米管理勘定における調整勘定の受け入れが三千七百五十八億でございますから、この間に約百億程度の差額があるわけでございます。従いまして、御指摘のように、国内米管理勘定におきまして補正が行なわれまして、調整勘定の受け入れに伴って歳出の方もあわせて補正をしたのかと存じます。ただ、その場合になぜ調整勘定においてそれをふやさなかったのかという御質問がございますが、これももし間違っておりましたらあとで訂正させていただきたいと思いますが、歳出の中身においてたとえば国内米管理勘定にそれだけ必要だといたしましても、予算書をごらんになっていただけばわかりますように、この項は食糧買い入れ費等財源を他勘定へ繰り入れるという項でございまして、この中に国内米管理勘定外五勘定ほどの繰り入れの勘定があるわけでございます。たとえばこの中で輸入食糧管理勘定への繰り入れというものが実行上余ってくるというような場合には、歳出権としてはそれだけなお余裕があるわけでございますから、必ずしもその項においては補正する必要はない。ただ、国内米管理勘定におきまして、米ができ過ぎたから、従って国内米買い入れ費というものをふやさなければいかぬ。その場合にふやす財源として調整勘定から受け入れる必要があるという点で、国内米管理勘定を補正いたす、それに応じて調整勘定をなぜ補正しないかという点につきましては、歳出自体の中で片一方で予定したほど要らなくなるものがあるので、従って中でやりくりができるという関係で補正をいたさない、そういう関係での誤差でございます。
  384. 石村英雄

    石村分科員 では、受け入れの方ではどこからもらうと書いたが、出す方では無理にその出すということを明示しなくても、実際の差し繰りでどうなるかわからぬから書かぬでもよかろう、こういう考え方だということですが、一体そんなことが常識的に認められますか。一つの食糧管理特別会計、この中の国内米勘定では調整勘定から今度幾ら受け入れを増加いたしますと書いてある。そうしたら、われわれの予算というものの常識からいうと、同時に調整勘定からそれだけは出しますということがなければおかしいと思う。まるでよその国を相手に予算を立てて、あれは向こうの方からくれるだろう、こっちはもらうつもりだ、こういうような話にあなたの話ではなるのではないか。やはり、予算書は、片方で、しかも同じ特別会計の中で勘定間の移動をするなら、片方へ入れば片方へ歳出をあげなければ、これはおかしなものにならざるを得ないのじゃないか、こう私は考えるのです。あなたは今のところはその方が正しい、こういう考え方なんですかね。どうも見たところ、前年度を対照して片方の場合と片方の場合と金額が違うのじゃ合点がいかない。これはそれほどめんどうなことじゃない。ごく事務的なことだと私は思う。同じように歳出を書いて見たっていいんじゃないか。もし調整勘定の方の内容がそのように変化し得るものなら、調整勘定の中を補正して変えてもらわなければ困ると思う。もう予算が通ったあとだからどっちでもいいということじゃ困る。
  385. 大村筆雄

    ○大村説明員 お答えいたします。補正いたします場合のやり方といたしまして、必要やむを得ない、避けることのできない経費に限定する、また必要最小限度の補正にとどめるという方針でやっておりますので、たとえば今御指摘のような点につきましては、あるいは石村先生がおっしゃるように、そういう関連のあるものはちゃんと全部直しておけ、そうしなければ一般の人に全然わからぬじゃないかというおしかりも受けるかと思いますけれども、補正の必要性からいたしますと、国内米管理勘定における必要な歳出とそれに伴う歳入を補正いたしておりますれば、調整勘定における全体の歳出としてはそれは中でやりくりがつくわけでありますから、それで十分必要にして最小限度の補正はできるという考えで実はやっておるわけでございます。もちろんこれは一番正しいのかとおっしゃいますと、必ずしもそれで一番正しいのだというわけでもございませんけれども、今までの補正の方針なり趣旨からいたしますと、必要最小限度の目的はそれで達成し得る、そういう考えでやっておるわけであります。
  386. 石村英雄

    石村分科員 それは予算書の体裁の問題ですから、これで済まぬわけじゃなし、今まで済んできたものだと思うのです。だが、中でやりくりがつくから片方はふやしてもこっちはそのままだというのでは、どうもわれわれの予算というものの考え方からいうと合点がいかぬ。しろうとにはわからぬ議論なんですね。説明を聞くと、なるほどそうか、こう一応はわかるのですが、それならそれで初めから区別をつけずに、何の勘定に入れる、何の勘定はどうだなんて明細を書かずに、総体的にこの中でやりくりいたします、こういえばいい。予算で、なるほどこれはあるいはこうではないかもしれませんが、やはり両方が合うようにやってもらいたいのですね。その方がわかりいいのですよ。あなたの方ではそれほどやっかいな仕事じゃないわけだ。ちょっと印刷すればいいことです。そうでなければ、こんなことをせられるとわれわれにはさっぱりわからぬ。時間がありませんから、まあこうしたことはすべて希望として申し上げておきます。  それから、例の予算の説明の中の、これはこの前やったことですからあまり深くは申し上げませんが、使途別の明細が出ておって、これは大へんありがたい金額だとわれわれは考えますけれども、欲を言えば、もっと「その他」の中を詳しくやっていただきたいと思うのです。ただ、この前も言いましたように、他会計への繰り入れ額というものが実態とは合っていないわけなんですね。これは聞けば、あなた方の方は、科目主義で、他会計繰り入れと明示してないものは入れないのだ。具体的に言うならば、たとえば資金運用部が預託金の利子を各特別会計なんかに出す。これなんかは実態は他会計繰り入れだが、この中には、予算書には預託金の利子とある。従ってこれは他会計繰り入れの中に入れないでその他の中へ入れておる。これは千何百億という膨大な数字なんですね。それがこの他会計繰り入れの中に整理されていない。私たちは一つ一番大事なことだと思うのは、この膨大な一般会計並びに特別会計、こうしたものをひっくるめて、三十七年度の予算純計額は幾らだろうかということが実は相当な問題だと思うのです。合わせれば六兆何千億というのが、まあ実際は四兆何千億になる。そうしたことを見る上に、なるほど二十八条で皆さんの方で純計額は幾らだと書いてお出しになるが、われわれが考えると、この使途別の区分の他会計繰り入れを合計すれば大体純計額に近いものが出てくるようにしておいていただいたら非常にわかりやすい。ところが、この他会計繰り入れだけを合計したのでは、純計額の重複額とは莫大な金額の相違があるわけなんですね。他会計への繰り入れという性質を考えると、しろうとが受け取ると、これを合計しさえすれば重複額が出てくる、こう思う。私もそう思うて去年やってみた。そうしたら千何百億という違いが出て、びっくりして、いろいろ突き詰めて調べて、最後、私の考えでは、あなたの方でお出しになっている純計額自体が相当違っておる、こういう結論を出した。これは私の結論が正しいか正しくないか、それはわかりません、私の判断で整理したのですから。しかし、そんな金額の間違いとかなんとかは別として、他会計繰り入れを一般会計と特別会計と合計すれば、これは純計額の重複額になるということにしていただくならば、この使途別明細というものも非常に生きてくると思う。一般会計と特別会計の使途別をそのまま合わしたのでは、千何百億という非常な狂いが出てくるわけなんですね。こういうことは科目主義だと、こうおっしゃるが、法律でそこがきめられておるわけではないと思う。目は使途を示すという御説明があなたの方のこれにはあるわけなんです。だから、実際他会計へ繰り入れられるものは他会計繰り入れで整理できるように、予算書の中も、あるいは目、目でできなければ各目明細ででも明示して、そうして個々の予算の説明の中の他会計繰り入れば、実態が他会計繰り入れなら繰り入れと——預託金利子と書いてあるから、実態は他会計繰り入れだが他会計繰り入れの中には整理しないという、そういう形式主義に走ったやり方は改めていただきたい、こう思う。
  387. 大村筆雄

    ○大村説明員 これも昨年臨時国会のときに御指摘いただいた点でございますが、他会計繰り入れと、それから今御指摘いただきました資金運用部の預託金の利子、預託金の利子の中には、御承知の通り特別会計及び政府関係機関の預託の利子が入っているわけでございます。これを、預託金利子を分けて、他会計繰り入れとその他に分けたらどうかという御質問かと思いますけれども、私どもの、これも内部の技術的な約束で、また一般の方にはおわかりにくい点で恐縮なんでございますけれども、他会計繰り入れという目にはこういう性質のものを入れるのだというふうな一応の約束がございまして、一般にごらん願いますと、たとえば預金部の預託利子の中にも他会計の繰り入れにしていいものがあるじゃないか、そういう御疑問も当然のことだと思いますが、目なら目につきましての、こういう目についてはどういう内容のものを入れるかというのは、一応基準として定めてございますので、それに従ってやっております。先生のように御自分で純計をおやりになるような場合は、そういう点全然おわかりにならなくて、非常に御不便をおかけしておるかと思いますけれども、各目明細におきましては、たとえば一番大きいのは、いま先生御指摘の点で問題になりますのは、預託金利子が一番大きいわけでございます。これは各目明細でごらん願いますと、特別会計の分幾ら、政府関係の分幾らというふうに分けてございますので、その点を調整いたしますと大体純計に合うわけでございまして、大きな点はそこだけでございます。ただ目の点につきましては、これは予算執行の基準になるわけでございまして、予算執行の便宜というものを考えて実は目を設定しておりますので、預託金利子を目で他会計繰り入れその他に分けるというわけには、今のところ参らないというふうに考えておるわけでございます。ただ、純計を御検討願うような場合は、預託金利子につきましては、特別会計への繰り入れのものと政府関係の両方あるという点さえおわかりいただけましたらば、まず大きな点では、そう大きな狂いは出てこないじゃないか、かように考えております。
  388. 石村英雄

    石村分科員 もう時間がないからやめますが、せっかく他会計繰り入れという、整理して内容を示しておられるのだから、やっぱり重複しないように、他会計繰り入れば繰り入れで、みんな整理して出してもらいたいという令として生きているものとして見る、こういう見方は、あなた方としてははなはだ曲学阿世の徒に類する答弁になる問題であると私は思います。国葬令は死んでおるとは今の場合私は考えられない。一応何かの形で生きておる。現にしからば——その議論は抜きにしましょう。天皇がかりになくなられた場合には、国葬の取り扱いをするのですか、どうですか。これはわれわれとして申し上げるのも大へんおそれ多いきわみでございますけれども、一応天皇がなくなられた場合に、御喪儀はどういう形のものになるのか、御答弁願います。
  389. 林修三

    ○林(修)政府委員 これは御承知と思いますが、もちろんそういう場合に備えて、いわゆる国葬と申しますか、今上天皇百年後における御喪儀のことについて国会が法律を御制定になれば、もちろんそれによるわけでございます。現状のことで申しますれば、結局、国葬令というものは形式的には失効している。先ほどちょっとお答え申しました通りに、実は貞明皇后の御喪儀については、国葬令の考え方を踏襲して、同時にいわゆる行政府限りにおいて行ない得る範囲のこと、つまり予算措置等の裏づけがあればその範囲において、国葬令の内容と大体同じ考え方で貞明皇后の御喪儀については取り扱ったわけでございます。現状においては、結局そういうことになると考えます。いわゆる国葬令で天皇の御喪儀についての規定があったわけでございますから、それに準ずる内容と同じような考え方で、行政府限りで行ない得る範囲においてやるということであろうと思います。この点は、しかし私、宮内庁当局でもございませんし、また実際にその問題にまだぶつかったわけではございませんから、そのときの政府の考え方でどうするかということはきまるわけでございますが、貞明皇后の場合の前例で申せばそういうことになるのではないか、かように考えるわけでございます。
  390. 受田新吉

    ○受田分科員 天皇がなくなられて、直ちに閣議を開いて、どうするか相談するというようなことでは、これは問題があると思うのです。天皇がなくなられると、この御喪儀の取り扱いはどうするか、こういうことはちゃんときまっておらなければならぬ。そのとき閣議を開いて、どうするか、国葬令に準ずるような取り扱いをするかどうかそのときにきめる、こういう基準のないやり方に問題があると思う。総務長官、問題です、これは。  よく御記憶せらるると思うのですが、憲法第四条に天皇の国事事項についての委任法律を作ることが書いてある。「法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。」という天皇の国事行為の委任事項が憲法第四条にわざわざ一項設けてある。この設けてあるこれに関係した法律がありますか。どうですか、総務長官。
  391. 林修三

    ○林(修)政府委員 それは、御指摘になるまでもなく、現在その法律はございません。ございませんが、結局その問題については、先般受田委員の御指摘もありまして、いわゆる総理府内に公式制度連絡会議をやりまして、そういう問題についてもあわせて討議するということで、やっておったわけでございます。そういうところの結論を得ますれば、この国事行為の委任に関する法律も、将来これは立法する必要のある一つの問題である、かように考えます。  それから、先ほどの国葬のことでございますが、これは私わざわざ申さなかったわけでございますが、皇室典範に「天皇が崩じたときは、大喪の礼を行う。」ということがあるわけであります。ただその大喪の内容を今、受田委員は、国葬令によって行なうかどうかということの御質問だったと、そういう趣旨で実はお答えしたわけでございます。
  392. 受田新吉

    ○受田分科員 主権在民の原則下において日本国民、天皇を含めた日本国のすべての人々にとって、ただ一人外国旅行のできない不幸な人が天皇お一人である、そういう現状ですね。陛下はこの第四条に基づいて外国の御旅行ができない。外国の君主は自由に外国を旅行できておるときに、日本の天皇だけは外国の旅行ができない。委任ができないのですから、皇太子しか名代で派遣できないという、日本国民の中で最も不幸なる立場にあるのが天皇である。この不幸を取り除くために憲法第四条があるわけです。なぜ天皇一人を不幸な立場に追い込んで、外国旅行のできないただ一人の不幸なるお方として取り残しておるか。これは昔だったら忠良なる臣民の分に反することになるのですが、今であるから陛下も黙っておられると思うのですが、政府当局としては、憲法に法律事項をもって委任事項を定めるとあるのですから、なぜ早くこれをおやりにならぬか。総務長官、あなたが今度は政治的な配慮からやらなければならぬです、これは。
  393. 小平久雄

    小平政府委員 御指摘のようなこともございますので、先ほども法制局長官からお話のありました通り、昨年七月以来、政府に公式制度の連絡調査会を設けて、今の問題も含めまして、その他いろいろ法制化等の必要な問題について研究を行なっておる、こういう段階であります。
  394. 受田新吉

    ○受田分科員 研究がおそいのです。これは、天皇がいつおなくなりになられても、ちゃんとした喪儀の手続がどうなるか、また天皇が海外旅行をされようとするときには、国事事項の委任事項によって自由に海外旅行ができ得られる、こういう立場に天皇の御地位を置いてあげなければならぬ。これが政府責任じゃないですか。皇太子だけを海外旅行に御名代として派遣して、天皇は全然外国旅行ができないという、この手きびしい現実を打開するということは——基本的人権というのは天皇御自身にも私はあると思う。そこを考えてあげなければならぬにもかかわらず、まだ典礼審議会とかなんとかいうものを作りたいとか言っておられたが、一向総理府には具体的なものはできておらぬ。  もう一つ、元号です。旧典範には一世一元制があったが、現在の法律事項である皇室典範には元号の規定がないので、天皇がおなくなりになられても、昭和にかわるに何をもってするかということさえも、閣議を開いてどういうふうにしたらいいかということで解決しない、こういう現状をこのまま続けておくのが責任ある内閣の制度かどうかということです。御答弁を願います。
  395. 林修三

    ○林(修)政府委員 実は元号の問題は、受田委員には過去においても何回かお答えしたことがあるわけであります。そういう問題で、いわゆる元号法というものを現在の段階においては作るべきであろう、かようにわれわれも考えておるわけであります。過去においても、御存じのように、新憲法施行直後において考えられたこともあったわけでありますが、当時のいろいろな事情でそれが実現できなかった。そのままずっと現在に及んでおるわけであります。この問題も含めまして、今の公式制度の連絡調査会ですか、連絡会議で検討しようということで、これは、おそいじゃないかとおしかりを受けるかもしれませんが、そういう建前、行き方になっておるわけであります。  それから皇室典範になぜ入れなかったかということは、これもよく御承知と思いますが、現在において皇室典範に入れるべき事項かどうかについては、相当問題がございます。法律を作るとすれば、別個の法律であろうとわれわれは考えております。
  396. 受田新吉

    ○受田分科員 私は、政府が怠慢にしてこういう基本的問題の解決をはかっていないで、天皇御自身がなくなられたら、そのときに葬儀の方式はどうするかを、閣議を開いてあらためて相談するという。基準が全然ない。また元号も、そのときにどうするか、西暦紀元を用いるか、新しい名称を用いるかも今用意されていない。こういう野放図のやり方というものは、責任ある内閣の行き方じゃありません。法制局長官も、法律的にあなたは政府を弁護される立場でありますけれども、この問題は弁護できないのです。これは、早くやるようにという要求をしておいたでしょう。国葬の問題はきょう初めて持ち出したのです。この国葬だって、天皇がなくなられたときの御葬儀の方式はどうであるか、またその費用は一体どこから出すのか、予備費からか。そのなくなられたときの国葬と準じた取り扱いをされるときの費用はどこから出るのですか。
  397. 林修三

    ○林(修)政府委員 費用は当然、宮廷費に余裕がなければ予備費から出るものと考えます。
  398. 受田新吉

    ○受田分科員 宮廷費に余裕があれば、宮廷費から出るのですか。
  399. 林修三

    ○林(修)政府委員 実はそのときの御葬儀のやり方によっても変わってくると思いますが、普通宮廷費にそういう余裕があることは考えられませんから、結局予備金支出、あるいはそれでも間に合わなければ、国会でも開かれておるときは予算補正ということになります。そのときの臨機の措置によるものと思います。いずれにしても、これは行政府限りでも実行可能な問題でございます。
  400. 受田新吉

    ○受田分科員 宮廷費で出すには、どの項目から出すのですか。
  401. 林修三

    ○林(修)政府委員 ただいま申し上げましたのは、もちろんそういう費用が表にどこにも組んでないのは、そういう事態を予想しておりませんから、ないわけでありますが、かりに余裕があれば、たとえば流用等の方法があれば流用の方法もあろうかとちょっと思っただけでございます。普通そういう余裕のある費用が宮廷費に組んであるということは考えられませんから、結局は予備費ということになるだろうと思うわけでございます。
  402. 受田新吉

    ○受田分科員 これは大事な問題なんですが、恐縮な話ですが、宮廷費から出すということは、宮廷費の中の予備費でございますか。こういう場合は、ちゃんとした予算の項目によって、はっきりしてもらいたい。
  403. 林修三

    ○林(修)政府委員 これは一般の予備費でございます。一般の予備費から出すべきだろうと思います。
  404. 受田新吉

    ○受田分科員 これは宮廷費から出すということで、宮廷費の中の予備費でございますね。宮廷費の中から出すことをさっき言われたから、宮廷費から出す場合には、宮廷費に項目がなくても、流用ということになるのですか。流用ということになると、どうなるのか、これは、今予算審議をやっているわけですから、はっきりしないと……。
  405. 林修三

    ○林(修)政府委員 これはまあ項目としては宮廷費的なものであろうと、かように考えるわけであります。しかし今もちろん宮廷費についてそういうことを予想して予算を組んでございませんから、そういう項目はないわけでございます。官廷費には予備費はもちろんございません。予備費は大蔵大臣の管理する全般的な予備費しかない。予備費と申しますのは、全般的な予備費というわけでございます。予備費に余裕がなければ予算補正ということになります。これは一般的な、追加的と申しますか、あるいは新規の財政需要が生じた場合の一般的行き方と同様なわけであります。ただ宮廷費云々と申しましたのは、かりにそういうものがあればということをちょっと思っただけで、別にそう重きを置いて申したわけではございませんから、その点はお聞き流し願いたいと思います。
  406. 受田新吉

    ○受田分科員 こうした問題は幾つもあるわけです。外国から日本に来られるお客さん——元首が来られる場合にはこれを国賓としておる。これは総務長官の所管ですが、この間英国の王女が来られたときは賓客だそうです。国賓と賓客の相違はどこにあるのですか。これは閣議に列席した総務長官、わかるはずです。
  407. 小平久雄

    小平政府委員 外国の高位の方が見えられたときには、あるいは国賓として、あるいは国賓待遇というようなこともあるようであります。あるいは政府の賓客、こういうように分けて、それぞれの地位に応じて待遇をいたしておるようですが、これは諸外国の例等もしんしゃくいたし、また従来の取り扱い等を参考にいたしまして、大体の前例と申しますか慣例と申しますか、それによってどの待遇をするかということを閣議に諮った上で、閣議決定をいたしておる、こういう実情であります。
  408. 受田新吉

    ○受田分科員 閣議でお客さんを招く基準はどういう基準ができておるわけですか。これはどちらの長官からでもいいです。
  409. 林修三

    ○林(修)政府委員 別に法律的基準が今あるわけではございません。結局その場合の内閣決定によって行なっておるものと私考えます。これに関しては、主としてそういう問題についてのイニシアチブをとるのは外務省になるわけでございますが、外務省が対外の外交関係等を考慮して、つまり元首等の場合はもちろん、あるいは総理大臣の場合には国賓にするとか、あるいは普通の大臣であれば政府の賓客にするとか、大体そういうところを横の権衡を考えつつそのつど決定しておる、かように考えます。
  410. 受田新吉

    ○受田分科員 この基準というものが内閣閣議によって自由にきめられていくということ、その基準の根っこの基準は、閣議で何を基準にしてやられたか。大体今ばく然としたものがあるのですが、そういうものが慣例として用いられておるという形では、また問題が起こる。やはり国のお客さんに対する処遇に関する何らかの規則でも作っておくとか、あるいは法律事項にするとかいうことが私はやはり要ると思う。だから国葬に関する法律事項、賓客を迎えるための法律事項、元号を作るための法律事項、憲法第四条の天皇の国事事項の委任に関する法律事項、こういうようなものがもうちゃんと要るじゃありませんか。いいかげんで取り扱う段階ではないと思う。なま身の天皇の御身でございますから、いつ百年の御事があるかもしれないというときの措置をさっとしておかなければ、陛下だって御安心できないじゃないですか。
  411. 林修三

    ○林(修)政府委員 天皇の国事行為の委任に関する法律、これは憲法の四条で当然法律を予想しておるわけでございますから、当然これは立法せられてしかるべき問題だと思います。それから元号に関しましても、これはその内容いかんによりますが、結局国民の権利義務にある程度、直接関係して参る問題でございますから、新しく作るとすれば、当然法律をもってきめるべき問題であろうと思います。ただ、あと二つおあげになりました国賓の問題あるいは国葬の問題、それはもちろん、これを法律によってきめてどうという問題はございません。しかし、厳密に申しますと、実は法律事項でない面がむしろ多いわけでございまして、あるいは全然法律事項である部面はないような面もございます。行政府限りできめ得る点が大部分でございます。あるいは全部と申してもいいかもわかりません。現在はそういう範囲でやっておるわけでございますから、新しく法律ができて、いわゆる法律事項に取り上げるようなものが出てくればまた別でございますが、現在はもちろん法律がないわけで、行政府限りでやり得る範囲のことをやっております。しかし、これは大体行政府限りでやり得る範囲のことばかりじゃないかと思っております。法律を作って悪いことはもちろんないわけでございますが、ただいまのところは、財政的裏づけがあれば実行可能なことではなかろうか。ただ、基準があいまいでないかというおしかりはあるかもわかりません。これは、国賓に関しましては、先ほど申しましたように、閣議ではそのつどきめておりますけれども、外務省一つ内部的な基準をもってやっておるようでございまして、そういうものを今後参考としつつ閣議できめる、こういう方式をとっているわけであります。
  412. 受田新吉

    ○受田分科員 法制局長官閣議に出席して発言を求めることはできるのですね。——できますか、できませんか。
  413. 林修三

    ○林(修)政府委員 私はもちろん閣議のメンバーではございません。しかし、閣議に列席して補助的な仕事はやっております。
  414. 受田新吉

    ○受田分科員 総務長官及び法制局長官閣議において発言されて、こうした重要な基本的な問題について内閣として何らかの措置をとるべきであるという発言をされたことがあるか、ないか、御答弁を願います。
  415. 小平久雄

    小平政府委員 先ほど申しました通り、ただいま総理府に設けてあります公式制度連絡調査会、これは昨年の七月の閣議決定によってできたのでございます。これが総務長官の発言によってできたかどうか、私も実はつまびらかにいたしておりませんが、いずれにしても、閣議でこの問題が取り上げられた結果、この調査会ができたということには間違いないと思います。
  416. 受田新吉

    ○受田分科員 この問題は、連絡機関みたいなものでなかなか解決しそうにもないと私は思う。あなたの前の長官は、典礼委員会のような、審議会みたようなものでも作って、これを総理府の付属機関として考えてみてもということでしたが、これは新しい問題として、今の国葬などという問題も、当然民間人の中で国葬に該当するような人物が出るような場合もある。あなた方が見られて、今生きている日本国民で国葬にしたらよさそうな人物がおるかどうか、おそらくおりそうもないかもしれぬが、実際の運営の問題を、基準をきめておかないと、陛下の問題がすぐ起こる問題だ。それからもう一つは、天皇の海外旅行の場合などでも、摂政順位に従ってその委任をさせられるように法律をちゃんと作っておかれるというようなことは、私は、常識的にちゃんと筋が通ると思うのです。法制局長官、国事の委任の場合に、摂政順位によってこれをやるというようなことが普通常識的に考えられる線ですか。私が今考えているこの法律を作った場合ですね。
  417. 林修三

    ○林(修)政府委員 常識と申しますか、結局これはその法律が立法される場合のことでございまして、また、その委任の限度においても、全部委任あるいは一部委任ということもございますし、ものによりまして実は多少そこらに考え方があるのではなかろうかと思っております。必ずしも摂政順位でいくべきかどうかについては、若干議論の余地はあると私は思っております。
  418. 受田新吉

    ○受田分科員 大体基本的にはそれだ、若干の議論が別にあるということで、私の説に大体共鳴されているようですが、こういう問題はすみやかに政府として態度をきめて、これをきめられるについては、やはり党派を越えてきめるべき問題ですから、そう困難な問題はないと思うのです。大事な基本的な問題、国事に関する基本的な問題等を含んだこのことをおろそかにされてじんぜん月日を費されるということは、許されないと私は思う。この問題の結論はいつごろ出される見通しですか、連絡会議の見通しは。総務長官でも答弁できるでしょう。
  419. 小平久雄

    小平政府委員 先ほど来申しておりますように、目下のところ、政府関係者において、政府の関係のある各省庁等の意見を調整しよう、こういうことで、今調査会を持っているわけですが、この問題は、政府関係だけで、民間の意見等も徴さずに決定をすることもいかがか、こういうふうにただいまのところ考えておりますので、大体政府関係の意見の調整が目鼻がつきましたならば、そのおりには、法的根拠によりまする審議会あるいは調査会等を設置しまして、民間の意見等も十分取り入れて最後の決定をいたしたい、かように考えているので、ただいまのところ、いつまでと明快な御答弁もなかなかいたしかねる次第であります。
  420. 受田新吉

    ○受田分科員 その連絡会議は、これを目的とされ、何回開かれましたか。これは担当長官として御答弁ができると思います。
  421. 小平久雄

    小平政府委員 現在、今までに八回開いております。
  422. 受田新吉

    ○受田分科員 そこで、どの程度の会議で、どの程度のものを議題にされ、どの程度になっているかの中間報告を次の委員会までに御提出を願うことを要求しておきます。きょうはだいぶ少なくなりましたのでこれでおきますが、これは事おろそかにできない重要な基本的問題であって、できればもっと時間をかけて討議すべき問題ですけれも政府委員の方も主査も御苦労されておられるし、記者席の皆さんもお待ちを願うのも気の毒なことですから、これで質問を終わりますが、私が今申し上げたいろいろな点については、胸に手を当てて非常に考えてもらわなければいかぬ問題であることを十分お考えを願って、きょうはこれで終わらしていただきたいと思います。
  423. 西村直己

    西村主査 明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時五十八分散会