運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1962-02-24 第40回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月二十四日(土曜日)     午前十時十四分開議  出席分科員    主査代理 保科善四郎君       井村 重雄君    船田  中君       山口 好一君    井手 以誠君       田口 誠治君    楯 兼次郎君       楢崎弥之助君    横路 節雄君    兼務 淡谷 悠藏君  出席国務大臣         国 務 大 臣 藤枝 泉介君  出席政府委員         防衛庁参事官  麻生  茂君         防衛庁参事官         (長官官房長) 加藤 陽三君         防衛庁参事官         (防衛局長)  海原  治君         防衛庁参事官         (教育局長)  小幡 久男君         防衛庁参事官         (人事局長)  小野  裕君         防衛庁参事官         (経理局長)  木村 秀弘君         防衛庁参事官         (装備局長)  久保 忠雄君         調達庁長官   林  一夫君         総理府事務官         (調達庁総務部         長)      大石 孝章君         総理府事務官         (調達庁総務部         会計課長)   大濱 用正君         総理府事務官         (調達庁不動産         部長)     沼尻 元一君         総理府事務官         (調達庁労務部         長)      小里  玲君         検     事         (民事局長)  平賀 健太君         通商産業事務官         (大臣官房長) 塚本 敏夫君         運輸事務官         (航空局長)  今井 榮文君  分科員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   新保 実生君         通商産業技官         (重工業局航空         機武器課長)  今井  裕君         郵政事務官         (電波監理局次         長)      石川 忠夫君     ――――――――――――― 二月二十四日  分科員井手以誠君委員辞任につき、その補欠と  して楢崎弥之助君が委員長指名分科員に選  任された。 同日  分科員楢崎弥之助委員辞任につき、その補欠  として田口誠治君が委員長指名分科員に選  任された。 同日  分科員田口誠治委員辞任につき、その補欠と  して井手以誠君委員長指名分科員に選任  された。 同日  第三分科員淡谷悠藏君が本分科兼務となつた。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和三十七年度一般会計予算総理府経済企  画庁を除く)所管      ――――◇―――――
  2. 保科善四郎

    保科主査代理 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  前会に引き続き、昭和三十七年度一般会計予算総理府所管中、防衛庁関係を議題といたします。  質疑の通告があります。順次にこれを許します。楢崎弥之助君。
  3. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 私は大体きょうの質問では、最初航空自衛隊F104Jの問題、それから次に主として板付国際空港化の問題、それから三に航空自衛隊あるいは米軍事故補償並びに事故防止の問題、そういう点について質問したいと思うのです。  まず第一番に、航空自衛隊F104Jについてお尋ねをしたい。F104Jの必要とする滑走路の長さは大体どのくらいでしょうか。
  4. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 二千四百メートルで間に合うのでございます。ただし、人命あるいは機体の安全を考えまして、他の条件が許されるならばざらに三百メートル、すなわち二千七百メートルにすることが望ましいと存じております。
  5. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 昨年の二月二十八日の横路委員質問に対しまして、三十七年度に二飛行隊、三十八年度に二飛行隊、三十九年度に二飛行隊、四十年度に一飛行隊を作る。大体一飛行隊は二十機というふうに御答弁があっていますが、今もその予定に変わりはありません。
  6. 海原治

    海原政府委員 ただいま先生のおっしゃいました計画は二次計画予定でございますが、三十七年度につきましては、予算案では、当時考えておった二飛行隊のかわりに一飛行隊を建設する。従いまして、三十七年度は一飛行隊。あと八、九、四十、それぞれ二飛行隊を建設するということが現在の予定でございます。
  7. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 そうしますと、三十七年度にできる一飛行隊はどこに配属される予定になっておりましょうか。
  8. 海原治

    海原政府委員 北海道の千歳予定いたしております。
  9. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 現在の日本における米軍基地並びに航空自衛隊基地で、今防衛大臣がお答えになりました条件を備えておる基地を、滑走路の長い順に別々にあげて下さい。
  10. 海原治

    海原政府委員 米軍の用に供しております飛行場で二千七百メートル以上ございますものを順次申し上げます。北から申し上げます。三沢、これは一万フィート、約三千五十メートル、横田が一万一千フィート、三千三百五十五メートル、板付が一万フィートで三千五十メートル、以上が二千七百メートル以上でございます。それから二千五百メートルのものは、厚木が八千フィート、約二千四百四十メートル、岩国が八千フィート、二千四百四十メートル。岩国海上自衛隊の方と共用いたしております。  自衛隊使用しております航空基地につきましては、千歳が二千七百四十、松島が二千七百、小牧が二千七百四十、以上が二千七百メートル台でございます。二千四百メートルのは、浜松が二千四百、小松が二千四百、九州の新田原が二千四百、以上が二千四百メートル以上の飛行場でございます。
  11. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 そうしますと、今後第二次防衛計画予定をされるF104Jの配置予定される飛行場で、現在の状態から推察をいたしますと、航空自衛隊当地では千歳松島小牧ということになるわけですね。それから米軍基地では三沢横田板付というふうになるわけです。昨年の海原防衛局長の御答弁では、米軍基地共同使用検討中であるという御答弁があったのでありますが、その検討の結果、米軍基地についてはどういうふうになっておりましょうか。
  12. 海原治

    海原政府委員 米軍基地の共用につきましては、現在の米軍基地におきます飛行機の収容状況並びに行動状況等調査いたしましたところ、これに自衛隊飛行隊を収容する余地はないという判断でございますので、私ども自衛隊の用に供しておる飛行場配置する予定でございます。今先生松島小牧とおっしゃいましたが、そのような具体的な飛行場は、昨日もお答え申し上げましたが、86F、86Dを収容いたします飛行場との関係もございまして、どのような配置が適当であるかというようなことは幕僚監部で現在検討中の段階でございます。先ほど大臣からお答えいたしましたように、二千四百メートルあれば間に合うわけでございますから、必ずしも二千七百メートルのところに配置するというわけではございません。
  13. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 そうしますと、特に板付にしぼって考えます場合、将来これの航空自衛隊との共同ということは、第二次防衛計画では全然予想しないでいいと断定してよろしゅうございましょうか。
  14. 海原治

    海原政府委員 第二次計画の期間中におきましては、板付を104の基地として使用する考えはございません。
  15. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 次に、主として板付国際空港化の問題でしたので、二十一日の日に第四分科会質問いたしたわけですが、時間が足りませんので、調達庁あるいは防衛庁とも関係があるかもしれませんから、残りの分をもう一度ここで質問さしていただきます。民間航空米軍基地使用しておるその根拠についてお伺いしたい。
  16. 林一夫

    ○林(一)政府委員 板付飛行場について申し上げますと、板付飛行場民間航空機が使い始めたのは、これは連合軍最高司令官民間航空育成というような意味におきましてこの使用を許しておったのでありますが、これが講和発効後も引き続いてその使用が許されておるのであります。その根拠といたしましては、地位協定三条の管理権によって許されておると考えます。
  17. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 私どもが調べたところによりますと、これは運輸省がかつて米軍とこの問題については直接交渉したけれども、そのとき結論が出なくて、それでやむなく民間航空が直接それぞれの米軍基地司令官交渉してその使用許可を得て使っておるというふうに、私ども調査ではなっておりますが、その点はどうでしょう。
  18. 林一夫

    ○林(一)政府委員 ただいま御質問の点についての詳細は承知いたしておりませんが、先ほど申しましたように、民間航空育成というような意味におきまして、連合軍最高司令官が特に民間航空使用を許した。講和発効後引き続きその使用を得ておるということであります。
  19. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 ただいまの御答弁は、何か協定なりあるいは申し合わせの確たる根拠がございますか。
  20. 林一夫

    ○林(一)政府委員 その協定はございません。ただ、講和発効後におきましては、これはやはりその意味がはっきりしておるわけであります。第三条管理権によって引き続き使用されておるということでございます。
  21. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 ただいまの総司令部関係は、国内民間航空運送事業を運営するについて、昭和二十五年六月に総司令部から日本政府に対して、国内航空運送事業運営に関する覚書というものをやって、それによってわが国の民間航空の再開が認められたのです。そうして政府は、同年の十一月に日本国内航空運送事業令を公布して、二十六年の八月に日本航空株式会社が設立されておるわけです。そうして同じく二十六年の十月同社によって羽田-大阪-福岡間の定期航空の営業が開始をされたけれども、その際に、これは羽田、あるいは伊丹もそうですが、米軍関係があったので、運輸省はその前に米空軍交渉しておるけれども、そのときには結論が出なくて、民間航空が個々の羽田なりあるいは伊丹なり板付米軍司令官と直接交渉をやって、その使用許可をもらっておる、というふうに私ともの調査によってなっておるわけです。
  22. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 板付空港使用関係につきましては、先生のおっしゃるようないきさつがあったと思います。それで、使用開始を始めた経緯につきましては、先ほど調達庁長官が御説明申し上げた通りでございますが、まず最初は一九五一年でございますから、昭和二十六年でございますか、六月の十六日付で当時の日本航空の社長並びに当時まだ航空が再開されておりませんので、国内航空を担当しておりました現在のノースウエストでございますが、これと連名でこれに当時の航空庁長官の副申をつけまして、現在の福岡空港ターミナルエリアの一部についての借用方の要求を文書で出しております。これに対して、同年の六月二十五日に基地司令官から許可書簡がおりたのであります。それ以後におきまして、さらに福岡-沖縄線業務を開設するという必要が生じました関係上、日本側といたしましては、当時日米合同委員会に対して、さらにこの借用ターミナル地域拡大についての要請をいたしまして、合同委の決定によって日航沖縄線につきましては、使用エリア拡大についての承認書簡が、これは一九五六年の三月でございますが、米側から参っております。従いまして、ターミナル地域使用につきましては、そういうような文書の往復によって使用関係が設定されたというふうに考えております。それからなお、滑走路並びにエプロンというような主要な施設につきましては、おそらく会社が包括的にその使用承認を得て使っておるというのが現状ではないかと思います。
  23. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 そうしますと、米軍当局としては、日本政府から基地提供を受けて管理権を持っておるわけですが、民間航空使用さしていただくときには結局米軍司令官から借る形になるから、つまり簡単に言うと、そういうまた貸しをするような権利というのは米軍の方にあるわけでしょうか。
  24. 林一夫

    ○林(一)政府委員 先ほども申しましたように、米軍への提供施設でございますので、米軍管理権によってそういう管理上の行為ができると私ども考えております。
  25. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 そうしますと、その際の民間航空使用料なんかはどういうふうになっているんでしょうか。
  26. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 使用料につきましては、法律によりまして、大蔵省航空会社の方から納めることになっております。
  27. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 そうしますと、米軍との分担金その他の問題はどういうふうになるのでしょうか。
  28. 林一夫

    ○林(一)政府委員 分担金と申しますと、ただいま航空局長からお話がありましたように、民間航空使用料大蔵省がこれを分担しておる、徴収しておる、ということを聞いておる。その他の分担金と申しますと、こまかい点は承知いたしません。
  29. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 二十一日の質問で、民航整備調査費が出ておるわけです。板付については五十万予算に一応計上を予定しておる。そこで、整備ということは、内容について一応民航なり――おもに日航でもよろしゅうございますが、あるいは航空保安事務所でもいいですが、その辺から意見が出ておるのでしょうか。もしこういうふうにした方がいいという整備についての計画が出ておれば、それを発表していただきたいと思います。
  30. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 福岡空港につきましては、先ほど申し上げましたような経緯ターミナル地域借用をいたしまして、現在運営いたしておりますが、非常に狭隘でございまして、現在の民航機の係留あるいは離発着というふうな面、あるいは乗客の乗りおりというふうな面で非常に狭隘を告げておる状況でございますので、地元、特に福岡市を中心といたしまして、この空港の将来の国際航空への発展を非常に強く希望いたしますと同時に、あわせて民航ターミナル地域拡大整備という強い要望が出ております。この概要につきましてはすでに先生御存じだと思いますが、現在の滑走路反対側、これも私はよく存じませんが新しい博多駅の構想にある程度関連を持たせまして、現在の滑走路反対側に約五万坪の土地を買い入れまして、これにりっぱなターミナル・ビルディングを建設すると同時に、不足しておるエプロン地帯を造成しよう、こういう計画地元から強い要望として出ております。なおこれにつきまして、私ども出先である航空保安事務所からも、この計画を推進してほしいという強い要望が出ております。
  31. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 そういたしますと、大体説明を受けたところでは、総坪数五万五千坪というような一応の構想になっておる。新博多駅の建設と関連をして、現在ある民航ターミナルの場所のちょうど滑走路を隔てて向こう側に作るという構想のようでございます。その際に、そういう整備の必要があるというときに、これは現在の米軍基地内でそういう施設使用ができないものであるか、あるいは現在の基地以外に用地買収を必要とするのかどうか、その辺は計画あるいは構想ではどういうふうになっておりましょうか。
  32. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 現在の米軍基地内では運航エリアを五万坪得るということは不可能であると思いまして、地元におきましても新たに用地を買収して拡張計画を遂行しよう、こういうふうな考え方でおります。
  33. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 現在の米軍基地内でそういう民航ターミナルを作るのが不可能であるという結論は、どのような経過で出されたんでしょうか。
  34. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 これは私どもが直接米軍と東京において折衝したことが現在までのところございませんので、断定的には申し上げられないのでございますが、現地保安事務所長あたり見解では、なかなかむずかしいというふうなお話でございました。
  35. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 運輸省出先機関がいろいろ検討して、米軍基地内でそういう敷地を使用さしてもらうというようなことをそう軽々と不可能であるというふうな結論がどうして出るんでしょうか。たとえば米軍当局なりあるいは調達庁といろいろ関連を持ってそういう検討が私はなされるべきであろうと思うのに、米軍基地だから――現在も民航使用しておるのですね、そうして今のターミナルを廃止して片一方にいくのですから、その辺は米軍なりあるいは関係当局と十分御検討をしていただかぬと、最初から米軍基地であるからこれは不可能だというような出先保安事務所長見解が基礎になるということは、これは非常に不可解でございますが、どうですか。
  36. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 おっしゃる通りでありまして、ただ福岡空港拡張計画というものは、先生も御承知通り、来年度の予算編成の時期において起こった問題でございます。従いまして、今のような御趣旨につきまして、今後この計画を具体化していく面においては、十分関係政府機関と折衝して交渉協議いたした上でやっていきたいと思います。
  37. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 調達庁長官にお伺いをいたします。ただいまのように民間航空として非常に設備が狭隘である、完備していないというような意見現地保安事務所長から出されておるわけです。こういう際に、現在の基地内でそういう民航整備を行なうということについて、そういう結論が出た場合に、長官として米軍当局に対し十分な交渉を持たれるような用意があるかどうか、ちょっとお伺いをいたします。
  38. 林一夫

    ○林(一)政府委員 具体的な計画ができ上がりまして、関係各省協議して、これでいくというような結論が出ましたならば、その結論に沿って米軍と折衝いたすつもりであります。
  39. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 確認をしておきたいと思います。そうしますと、たとえば民航整備関連して、将来福岡が地理的にあるいは産業経済上から見て、国際空港にした方がいいというような結論がもし出た場合には、これはまず日本側から日米合同委員会にその意見が出されて、そこで論議がされる。そして、それでいいということになると、今度は運輸大臣空港整備法に基づいて第一種空港としての指定をやる。そういう手続になると思いますが、そうでしょうか。
  40. 林一夫

    ○林(一)政府委員 関係各省で具体的に協議検討しまして、その結果これでいくというようなことがきまりますれば、合同委員会等を通じて米軍協議するということになると思います。
  41. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 そこで、この国際空港化可能性についてお伺いをしたいと思います。御承知通り昭和二十六年に日本航空羽田-伊丹-板付ラインが設定されたわけです。すでに御承知通り羽田もかつては米軍使用をしておった基地でございます。伊丹もそうでございます。そして羽田については、まず滑走路返還があって、そして一部建物の返還があって、国際空港となって、その後完全に返された。伊丹につきましても、三十三年の八月に返還がなされて、それから国際空港と呼ぶようになり、三十四年の七月に至って指定が行なわれた。そのラインで残っておるのは板付だけです。たしかに現在板付米軍基地というものは日本の三大基地一つといわれて、防衛上も非常に重大な拠点であるといわれておりますが、もし国際空港化すべしという日本国民としてのそういう平和的な要望が出た際には、これも本来ならば返還をしていただいて、そして米軍基地は今までいわれておりますように代替地を作っていただいて、国際空港化するというのが一番理想的でございますけれども、まずそれに至る中間的な措置として、共同使用ということについて可能性があるかどうか。防衛庁あるいは調達庁長官の御見解を承りたい。
  42. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 御承知のように、板付飛行場米空軍当地として非常に重要な地点にありますので、これが返還ということはなかなか困難であろうかと思います。しかし、先ほど調達庁長官がお答え申し上げましたように、これの国際空港化という問題が関関各方面で討議をされ、その結論になりますならば、その結論に従いまして十分米側とは折衝をいたしてみたいと思います。共同使用という形になりますか、現在のような地位協定三条の管理権に基づくものになりますか、その辺のところはただいま結論を申し上げるわけにはいきませんけれども、できるだけその方向で米軍とは折衝いたしたいと考えております。
  43. 林一夫

    ○林(一)政府委員 ただいま大臣が御説明された通りであります。
  44. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 そこで、国際空港化の問題で、民航関係整備のために拡張を必要とするときに、その仕事は運輸省になるのでしょうか、調達庁になるのでしょうか。米軍基地関連しておる場合に、どうなるでしょう。
  45. 林一夫

    ○林(一)政府委員 その計画運輸省所管になると思います。
  46. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 所管問題につきましては今後調達庁と御相談いたしたいと思いますが、しかし計画といたしましては、自主的に運輸省で推進いたしていきたいと思います。
  47. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 国際空港化の問題については、特に防衛庁長官調達庁長官御存じ通り板付の場合は一日も早く代替地を探していただいて、市内から基地をのけてもらおうという要望の強いことは御承知通りでございます。この国際空港化の問題についても、これは平和利用という点で非常に地元の熱望も深いようですから、一つこの点は十分運輸省も本腰を入れていただいて考えてもらいたい。そうしないと、可能性についてはあまり誠意を持たずに、ただ民航整備とかあるいは国際空港化という旗じるしのもとに今後拡張が行なわれるとすると、これは大へんな問題だと思うのです。見込みはないのに、あるような格好でそれと関連して実質的な米軍基地拡張が行なわれていくということになりますと、これは大へんでございますから、その辺は地元としても十分警戒を要するところですけれども誠意を持ってやっていただきたい、このように要望いたします。  次に、せんだって起こりました香椎における米軍機墜落事故関連いたしまして、昨年のこの問題に対する質問の際、事故原因がわかったかどうかお尋ねをしましたが、その後事故原因について明確な報告があったかどうか、お伺いをします。
  48. 林一夫

    ○林(一)政府委員 その後詳細なる事故原因報告はございませんが、その当時基地司令官報告によりますと、エンジンのストップによる墜落であるということであります。
  49. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 そうしますと、そういう事故原因をお互いに話し合って、そしてそういう事故が起こらないように事故防止協議をなさるのが本筋であろうと思うのです。そういう今後の事故防止について米軍と正式に協議を持たれたことがあるのでしょうか。また、そういう事故防止についての日米間の正式の協議機関というものがあるのでしょうか。この点をお伺いします。
  50. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 御承知のように、航空事故原因をとことんまで突きとめるということについては、相当の年月も要るのではないかということを考えますが、いずれにいたしましても、そうした事故が起こった場合に、再びそういう事故が起こらないようなことに万全の処置をとってもらわなければならぬわけでございます。従いまして、実は今合同委員会にこちらから提案をいたしまして、何かそうした合同委員会一つ分科といたしまして、事故対策委員会のようなものを持ちたいということで、目下交渉をいたしておる次第でございます。
  51. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 今の点は、今後も事故は増すとも減りはしないと思われるのです。それで、今大臣の御答弁の点は、一つ早急に正式の連絡機関を持っていただいて、事故防止に努力をしてもらいたいと思うわけです。  米軍航空自衛隊飛行訓練規制というものは、どのような形でやられているのでしょうか。たとえば国内航空法では民航規制はやられておりますね。しかし、米軍あるいは航空自衛隊飛行訓練規制というものはどういう形でやられているのでしょうか。
  52. 小幡久男

    小幡政府委員 御質問趣旨があれでございますが、規制と申しますと、どういうふうな意味規制でございましょうか。
  53. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 たとえば陸上を使って射撃訓練なんかするとき、あるいは海上などの場合は、当然その地元民と区域をきちっとやって、そうしてしかるべく保障をしてそういう訓練はなさっておるわけですね。ところが、空にはそういう区域がないわけですね。自由にやろうと思えばやれるわけです。地上や海上の場合はそういうきちっとした危険な区域を設定して、そうしてしかるべく保障をやってやられているのに、空の方は、一体米軍あるいは航空自衛隊はどうなっておるかということを聞いておるのです。
  54. 小幡久男

    小幡政府委員 航空自衛隊につきましてお答え申し上げます。一般の運輸省が管制しております管制圏内での訓練とか航行は全国的な管制に服しますが、自衛隊専用の飛行場付近の上空におきましては、自衛隊の専用の管制圏内でやっております。
  55. 林一夫

    ○林(一)政府委員 米軍航空機の航空管制につきましても、これは運輸省の管制によってやっておる。米軍基地上空におけるところの訓練等は、米軍の独自の規制によってやっております。
  56. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 そこで、せんだって香椎に事故があった際にも要望したわけですが、何らかの国内法におけるそういう飛行訓練規制が法的にあれば別として、そういうものがなくて米軍あるいは航空自衛隊がそれぞれ自主規制をやっておる。だから事故が起こったときには、その原因がはっきりするまではその地域における飛行訓練をやめなさい、やめるように言いなさいという根拠は、そこにあるのです。自分勝手に一つ規制でやっておるのですから、事故が起こったら、当然その原因が明確になるまでその飛行訓練について中止をしてもらわぬと、また再発する。たとえば日本国内法で何かあればいいのですよ。自主規制でやっておる。勝手にやっておる。だからああいう要望をしたのです。そこで、これはやはり何らかの形でこの飛行訓練についての協定といいますか、そういうものが日本政府との間に必要じゃないでしょうか。そう勝手に米軍独自の規制でやっていく、あるいは航空自衛隊独自の規制でやっていく、そういう点について何か協定の必要があるような感じがしますが、どうでしょう。
  57. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 御承知のように、米軍航空機については航空法の適用がないわけでございまして、ただいま御指摘のような自主規制と申しますか、でやっておるわけでございます。従いまして、政府側といたしましては、それができるだけ地元の住民の方々に損害を与えたり、危害を与えたり、あるいは迷惑をかけるようなことのないために、あるいは飛行方法あるいは進入方法、あるいは飛行の時間等について、できるだけこちらの要望を受け入れるような話し合いをいたしておる次第でございます。
  58. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 この点についても、事故防止関連をして、私は米軍の自主規制にまかせずに、日本国との何らかの協定が必要である、こういうふうに思うわけです。この点は十分今後検討してもらいたい、私はこのように要望しておきます。  時間がありませんから、次に米空軍及び航空自衛隊事故による補償の問題に質問を進めて参りたいと思います。せんだって落ちました香椎の被害者の補償を見ましても、これは私どもの予想に反して、意外に少ない。特になくなられた方に対する補償は意外に少ない。そこで、この被害者の事故補償支給金、この補償金というのは大体どういう性格を持っておるとお考えでしょうか。
  59. 林一夫

    ○林(一)政府委員 事故補償金の根拠は、御承知のように地位協定十八条五項におきまして、この請求について、日本自衛隊の行動から生ずる請求権に関する日本の法令に従って請求し、解決し、裁判するということになっております。この日本の法令と申しますのは、これは御承知のように国家賠償法、また民法ということになっております。この法的根拠によりまして、昭和三十一年に閣議の決定によりましてこの補償金の支給基準がきまっておる。その補償基準によりまして補償額を算定して支給しておるということになっております。
  60. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 そういう根拠は後に聞きますけれども、先に答えていただきましたからいいのですが、私は性格を聞いておるのです。補償とは一体どういうことなのか。
  61. 林一夫

    ○林(一)政府委員 これは事故等によるところの損害に対する賠償であります。
  62. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 補償とは損害に対する賠償だというお答えを得たわけです。そこで、ただいま長官から御説明のありました米軍事故補償は閣議決定の支給金補償基準によってやっておるというお話でございますけれども、その補償基準の基準になっておるのは一体何ですか。
  63. 林一夫

    ○林(一)政府委員 先ほど申しましたように、法律的な根拠としましては国家賠償法あるいは民法、また民事特別法というものがございますが、これによりまして、閣議によってこの補償支給基準をきめておるわけでございます。この補償支給基準の内容は、御承知のように、労働者災害補償保険法というのがございますが、この補償基準を参考として内容をきめておるわけでございます。
  64. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 金額の基準は労災保険を基準にされておる。参考ではなしに、明らかに基準にされておる。どうですか。
  65. 林一夫

    ○林(一)政府委員 労災保険法の補償基準を参考にしてこの支給基準がきまっております。
  66. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 まあ参考でもいいです。しかし重要な基準の基礎になっていることは事実であると思う。そうしますと、先ほど長官から性格についてお答えがあった通り、労災保険に基準を置いておるから、これは根本的に、あるいは基本的に、実際の内容は損害賠償の性格を持っていないと私は思いますが、どうでしょう。
  67. 林一夫

    ○林(一)政府委員 私どもはやはりこれは損害補償、損害賠償の性格を持っておるものと解釈いたしております。
  68. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 見解が分かれるわけですが、労災保険、これは保険ですからね。たとえば、自動車事故の損害賠償保障法の性格ともさらに違う。だから、この米軍による事故の際の補償金というものは、明らかに損害賠償の性格を持っていない。自賠法だったらもう少し話はわかりますけれども、持っていない。持っていないから、たとえば民事の場合ですか、その精神的な慰謝料も請求できるでしょう。労災法ではどうなっていますか。
  69. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 御指摘のように、補償基準は労災保険法を参考にいたして作っております。そしてその労災保険そのものは、ただいまお話のように、保険の性格を持っているわけでございますから、労災保険そのものは、損害賠償という観念とは違っておるわけです。ただ、これを参考にいたしてやっておりまする補償基準というものは、一応私どもの観念といたしましては、損害賠償という観念でやっております。しかしながら、必ずしも現在の基準が、損害賠償の性格を備えておるかどうかということについては、これはさらに博検討をする必要はあろうかと存じております。
  70. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 参考にしておる、なるたけ損害賠償に近いようにしたいというお答えですが、しかし、やはり基準が労災法を基礎にしておりますから、現実にあなた方が支払われておる金額の平均を見てごらんなさい。航空自衛隊あるいは調達庁からいただいた資料によっても、これはお宅の資料ですが、昭和三十一年から三十六年までの米軍の飛行機による事故の際、特に死亡者について、その補償の平均を出していただいたところが、職業を持っておられる方がなくなられた際の平均の支給金は八十六万円になっております。そして職業を持っていない、奥さんやお母さんたちがなくなられた場合は三十三万円になっておる。具体的な金額が物語っておるのです。幾ら言葉で参考にしてと言われても、現実にこれを基準にされておるから、これ以上出ようがないじゃないですか。労災で考えられている考え方以上に金額の出ようがない。現実にこの金額が示しておると私は思いますが、どうでしょう。
  71. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 現在まで支払われたのは、ただいま御指摘の通りだと思いますが、先ほど申しましたように、労災保険法の基準を参考にいたしております現在の補償基準というものは、十分損害賠償的な性格に合致しておるかどうかということについては、再検討の要もございますので、目下研究をいたしておる次第でございます。
  72. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 米軍機によって事故が起こった際に、調達庁が、この閣議決定の支給基準で支給される金額について、もし不満が被害者、遺族にあった場合には、その不満の処理をどういうふうな形でなさるのですか。
  73. 林一夫

    ○林(一)政府委員 調達庁といたしましては、十分話し合って御納得をいただいて、この金額をきめておるのであります。その金額のきめ方は、大体この支給基準によってきめるのであります。なお、これに対して御不満の場合においては、もちろん裁判による解決という方法もあるかと思います。
  74. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 そうしますと、不服がある場合には裁判に訴えられる。裁判に訴えた際に、裁判所として今までそういう問題、たとえば自動車事故なんか一番、はっきりしておりますが、その判例をごらんになりますとわかる通り、最近はホフマン方式というものが非常に考えられている。判例として一番高い例は、六百万円ほどの補償が出ているわけです。裁判に訴えると、そういうホフマン方式でやって非常に高くなりますよ。判例があるから……。ということは、今の基準による、現実にあなた方が支払われているのは、職業を持っておられる方は八十六万円、職業を持っていない方は二十三万円。こういうことはいかに低いかということが、裁判にいけばはっきりしてくる。しかし、裁判に訴えようと思えば、時間もかかるし経費もかかります。だから大てい泣き寝入りして、しようことなしに調達庁から示された金額に判を押しているのだと思います。現実に裁判に訴えたら、そういう方式でやっておるのですから、損害賠償という性格に見合う判例を出している。だから、今の支給基準は不当であり、むしろ不法であるとさえ思うわけですが、どうでしょう。
  75. 林一夫

    ○林(一)政府委員 先生もおっしゃる通り、現在の補償基準は実情に沿わない点がたくさんあるのであります。ですから、現在関係各省協議して、その検討を進めておるわけであります。なるほど裁判によるところの決定によりますと、相当高額の補償をもらったというような事例もあるようであります。ホフマン方式等もあわせて考慮しまして、現在検討を進めておる状態であります。
  76. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 特に、最近米軍による事故が非常に激発をしております。そこで今もお話があった通り大臣も御答弁がありました通り、現行の基準は現実に合わないし、非常に低いし、特に基準となっている考え方も、損害賠償の意味を現実的に持っておらない。そこで私は、これを根本的に変える必要があると思う。その際に、先ほど調達庁長官がお答えになりましたが、米軍の場合の事故補償について、根本は国家賠償法になっておる。それから協定では、地位協定の十八条の五項によって、「日本国の自衛隊の行動から生ずる請求権に関する日本国の法令に従って、提起し、審査し、かつ、解決し、又は裁判する。」こうなっている。そこで、この地位協定十八条五項の解釈からいきますと、在日米軍事故は、航空自衛隊の補償基準に従うということに現実的になりますが、そうですが。
  77. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 さようでございます。
  78. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 そうしますと、航空自衛隊事故補償というものは何によってなされておるのでしょうか。法律でしょうか。あるいは何か別に閣議決定の基準なのか。
  79. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 防衛庁長官の指示によりまして各自衛隊が補償基準を定めておりますが、それは現在調達庁の方で米軍事故補償に用いておりますのと大体同様でございます。ただし、その基準によりがたいときには、長官承認を受けて刑に定めることができるようになっているのが、自衛隊の取り扱いでございます。
  80. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 そうしますと、航空自衛隊の場合は、内部規則の航空自衛隊損害補償規則ですか、それによってやられておる。それは各基地で責任者がそれぞれ作っておる。そしてそれをよくわからなかったのですが、その作る手続、あるいはどういう効力を持つのか。ちょっと御説明いただきたい。
  81. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げましたように、法的な根拠は、民法並びに国家賠償法の不法行為損害賠償の規定によっておるわけでございますが、現在の補償基準は、防衛庁長官の指示によりまして、たとえば航空事故の場合であれば、航空幕僚監部でもってきめた規則によって支給をしておるわけでございます。
  82. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 米軍の場合は閣議決定をしておるわけですね。航空自衛隊だけが、国の予算を使うのにこんな内部規則で勝手に基準をきめてやられておるというのは、非常に私は不当な感じがいたしますが、どうでしょう。法的な根拠もない。閣議決定もない。賠償法と言われますが、国家賠償法にそういう統一的な基準がございますか。
  83. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 国家賠償法並びに民法と申し上げましたのは、法的な根拠でございまして、支給の基準は、先ほど調達庁の方からもお話がございましたように、労災法等を参考といたしまして、関係省と打ち合わせをしてきめておるわけでございます。
  84. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 大体今までのお話を総合いたしますと、その基準というのは、大体、米軍の場合も航空自衛隊の場合も、労災保険が現実的な基準になる。そうすると、やはり実際の金額は低いということは、御答弁通りであろうと思うのです。そこで、これを改定したいという御答弁もあります。そうすると、改定する際に、まず地位協定十八条五項からいくと、自衛隊がまつ先にお変えにならぬとだめじゃないでしょうか。その点どうでしょうか。
  85. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 先ほどお答え申し上げたのは米軍事故によるものでございますが、それはただいまお話通り自衛隊による事故の補償が基準になるわけでございます。従いまして、検討をしたいと申し上げのは、自衛隊を含めての意味でございます。
  86. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 そこで、先ほどお話が出ておりました国家賠償法と関連して、国家にも地方公共団体にも一定の基本的な統一補償基準がないということは、お認めになりますでしょうか。国家賠償法にも統一基準は示されておらないわけですね。損害を賠償しなければいかぬということにはなっておるけれども、その基準については示されていない。
  87. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 お示しの通り、賠償法等では統一的な基準があるわけではないと存じております。
  88. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 そこで、この損害賠償の引き上げについて米軍当局と御協議をなさったことがあるでしょうか。
  89. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 再検討の段階でございまして、ある種の結論を得ました上は、米軍当局交渉をいたしたいと考えておる次第でございます。
  90. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 今までの結論から言うと、まず、改定をしたいということは御答弁通りですが、そうしますと、これは単に航空自衛隊あるいは米軍の問題でなしに、ほかの国の損害賠償についても言えることです。国家賠償法に統一的な補償基準がないということが、私は各省がばらばらに補償を行なっている原因だと思うのです。国家補償法に統一補償基準を作る必要があろうと思いますが、その点はどうでしょうか。
  91. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 私からその点をお答えするのはいかがかと思いますので、法務省の方からお願いいたしたいと思います。
  92. 平賀健太

    ○平賀政府委員 国家賠償法に、国あるいは公共団体の賠償義務に関する規定があることは仰せの通りでございますが、側々の事件につきまして、やはりこれはケース・バイ・ケースで賠償額も違ってくるわけでありまして、一律の基準を設けるということは困難であり、また不適当であろうとも思うのでございます。ただ、国が裁判外におきまして解決する場合に、一応の基準を設けるということは考えられると思うのでございます。そういう趣旨でもって、先ほど防衛庁あるいは調達庁から御説明がありましたように、内部規則で基準が設けられておると思うのでございますが、それはそれとして意味があると思うのでございますけれども、国家賠償法全般の問題としましてそういう基準を設けることがはたして適当かどうか、これはなお慎重に検討する必要があるんじゃないかと私は考えます。それからなお、国家賠償法で設けますと、要するに不法行為による損害賠償でございますので、これは民法の方も関係があるわけで、一般私人間の不法行為の場合でありますと、民法の規定にいくわけでありますが、民法の関係でそういう基準を設けるということは、明らかに不適当なわけであります。争ういう関係もございますので、この問題はなお慎重に検討する必要があろうかと法務省では考えております。
  93. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 米軍事故による補償金というのは、当然予算に組まれると思うのですが、どういう費目に組まれておるのでしょうか。
  94. 大石孝章

    ○大石政府委員 米軍関係予算につきましては、施設提供等諸費の中の事故補償費という費目の中に組まれております。
  95. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 米軍の場合は、その事故補償の場合に、日本側が二五%、米軍側が七五%となっておるわけです。そうすると、予算に現われておるのは、一応全額日本側が負担をして、そしてあとで七五%米軍からいただくのでしょうか。その辺は予算上どうなっておりますか。
  96. 大石孝章

    ○大石政府委員 今御指摘の通り予算には全額計上いたしまして、七五%返還分は歳入の部に入るわけであります。
  97. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 米軍と、二五%、七五%で分担する際の補償金の中に、米軍はこういう点で――私が以下述べることを補償金の基礎にすることを認めておるかどうか、ちょっとお伺いしたいのです。たとえば、これは日本においては通常国民として常識でございますが、ああいう事故が起こった際には、慰労金なり、あるいは一時見舞金あるいは花輪、そしてまた、落ちて家がこわれたりすると、遺族が住めないから、臨時に仮家屋を作ってやったりしなければなりません。そういう日本国民として通常常識として考えられるただいま申しましたようなものは、分担金で分け合う場合の基礎に算定をされておりましょうか。
  98. 大石孝章

    ○大石政府委員 閣議決定に基づきますところの六種類の補償の大要が作られておりますが、その範囲が米軍が負担する範囲でございます。従いまして、ただいま先生から御指摘のございましたような事故が発生した場合に、応急の措置としていろいろな手当をする、また弔慰をするといったような関係は、事実問題として、たとえば直ちに仮家屋あるいはテント等の設備をするとか、食糧あるいは寝具、毛布等の救恤をするといったような方法、そういったような問題は米軍側の実際上の問題でございまして、向こうの方から補償するという金額の中には入っておりません。
  99. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 そうしますと、結局その金額は入っていないが、日本側としては、その日本側の二五%のほかに、米軍からは七五%はこないけれども、ほかにやはりそういうただいま申し上げたようなお金が要ると思うのですね。昨年の香椎の事故関連してお尋ねしたときには、そういうものは予算がない、それでなかなか思うように応急の措置ができない、そこで地方公共団体にお願いをしたり、日赤にお願いをしたり、あるいは米軍に相談をして借りてきたりして現実には処理をしているということだったのですが、今度三十七年度の予算ではそういう点はどうなっておりますか。
  100. 大石孝章

    ○大石政府委員 実際問題でございますので、私ども日本側でも、いろいろな関係機関等の御協力を得てその跡整理に当たっておるというのが実態でございますが、国としましても、その点は庁費の一部を何しまして応急の措置をいたしておるというのが実情でございます。
  101. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 たとえば弔慰金や見舞金や花輪などの臨機応急分の予算は、事業費として組まれておりますか。組まれておったら、どのくらい組まれておるか、伺いたい。
  102. 林一夫

    ○林(一)政府委員 死亡者の遺族の方々に対しては、当然、直ちに香料とか花輪等を贈るということをいたしておりまするが、こういうものを出す予算は特にはないわけであります。ただ、こういうものを出すにあたりましては、いろいろ苦労しまして、庁費の方から、具体的に申しますと、若干の交際費のうちからこれを出すということにいたしております。
  103. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 大蔵省の方から来ておられませんでしょうか。――日本国民の通念として、あるいは常識としては、そういう事故の被害者について、遺族に対して、見舞金とか弔慰金とか、花輪とかやらなければいかぬし、あるいは家屋が損壊した場合には、臨時の家を建てたり、あるいは炊事の道具をそろえてやったり、ふとんをそろえてやったり当然しなければいけません。現実に昨年香椎の事故も起こっているのですが、それの予算大蔵省が認めぬというのは一体どうしてですか。長官は、交際費から出すという、そういうようなことがあるので、これは当然事業費として認めるべきだ。事故が起こらぬならよい。昨年の答弁でも、飛行機が飛んでいる以上、事故が起こることはあるとはっきりおっしゃっているのですから、日本国民の感情として当然国が認めなければならぬし、これは今の新安保体制による国民のしいられた犠牲ですから、国として考えるのが当然であると思う。それを大蔵省が認めぬというのはどういうわけですか。
  104. 新保実生

    ○新保説明員 事故があった場合などの花輪その他見舞的な措置についての予算措置が不十分ではないかというお尋ねでございますが、今までは、調達庁におきましても、庁費とか、そういった既定予算のやりくりによって措置をしていただいているわけでございますが、今後は、その点につきまして予算的にも考えて参りたいと思っております。
  105. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 調達庁は、大蔵省に、これは別個に組んでくれという要求をなさっておるのですか。なさったけれども大蔵省がつけぬというわけですか。
  106. 林一夫

    ○林(一)政府委員 今までは、ただいま申しましたように庁費のやりくりによりまして香料その他を出しておったのであります。今回特に大蔵省にそういう支出の金額を予算に載せてもらうようお願いして、ただいま大蔵省の方からお話がありましたように、今後考えていただくということを期待しております。
  107. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 私、調達庁にかわって大蔵省にやかましく言っているような形になりますが、今新保さんの方から今後考えるというのは、これは今度の三十七年度予算で具体的に考える、そういう意味でしょうか。
  108. 新保実生

    ○新保説明員 三十七年度予算におきまして、そういう方面にも使い得るような予算を配慮したつもりであります。
  109. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 それでは、もう最後にいたしますが、要望も含めまして、米軍なり、あるいは航空自衛隊による事故、これの補償金額が非常に少なくて、全然損害賠償の意味も含まれておらぬ、これは国の政策上の事故だから、当然国として十分な責任をお持ちにならぬといかぬわけですが、その基準を引き上げるという御意向のようです。すでに三十一年の閣議決定で改定されているけれども、年月からいっても、現実にもうすでに五年以上経っているわけです。その基準を改定する時期は、十八条五項によって航空自衛隊の基準がものを言いますから、防衛庁長官から最後に、その改定の時期、見通しについてお伺いしたい。
  110. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 米軍事故による補償、並びに自衛隊事故による補償の基準につきましては、目下鋭意検討をいたしておりますので、できるだけ早い機会にそれが改定できますように、関係各方面と連絡をいたして結論を急ぎたいと存じております。
  111. 楢崎弥之助

    楢崎分科員 できるだけ早くというようなことは、ちょっと答弁にならないのです。もう少し具体的に示していただけませんか。大体どれくらいまでにしたいか。これは昨年の香椎の事故を見てもはっきり出ておるのだから、即刻してもらいたいと思うのです。
  112. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 自衛隊に関しましてはほとんど準備が完了いたしております。もちろん、関係各省とも連絡をいたさなければなりませんけれども結論は早急に出るものと私は考えております。なお、米軍の問題につきましては、その結論をもちましてなお米軍との折衝の時間がございますので、この辺は多少の時間を要するかと思いますけれども、これまた、こういう問題でございまして、いつ起こるかわからない問題でございますので、結論を急ぎたいと考えておる次第でございます。
  113. 保科善四郎

  114. 田口誠治

    田口(誠)分科員 午後からは、淡谷先生横路先生が全般にわたって予算の面の御質問がございますので、打ち合わせの結果、私はきわめて署務的なものにしぼってお伺いをいたしたいと思います。  まず第一にお伺いをいたしたいと思いますことは、昨年の七月十八日に国防会議で決定をされました第二次防衛力の整備計画防衛力の整備方針の中に、国土、国民に密着した防衛力とするための災害救援、公共事業への協力等協力面の施策、及び騒音防止対策を重視するものとするという考え方の上に立って、愛される自衛隊という面と民生安定方面へ大きく踏み出すということが、国防会議の決定事項として盛られているわけです。その考え方が今年の予算面においてどの程度出されておるかということをずっと見て参ったわけでございますが、騒音防止対策の関係の十六億二千六百八十万円、これは昨年度に比べまして五億九千八百万円という増になっておるのでございまして、この点については大蔵省との交渉に対しても相当努力をされたと思いますけれども、近年たび重なる災害のときに、自衛隊が出られて救援対策に協力されておる。この面に対しては、国民は自衛隊に対して非常に好意を寄せておるわけなんです。従って私は、去年の国防会議の決定事項からいきましても、本年度予算面において、救援等のこうした作業のために必要な機械器具というようなものが予算的に相当組まれておるというように考えておったのでございますけれども、そういうものは見当たらないわけなんです。それで、この国防会議の決定の線と本年度の予算の面とでは、やはり考え方の上に――事実数字が相違を来たしておるのですが、その点についてまず解明を願いたいと思うわけでございます。
  115. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 詳細な数字は政府委員からお答えいたしますけれども、その考え方といたしましては、騒音対策あるいは民生協力等の資材その他につきましては、そういう観点に立ちまして三十七年度の予算を御審議をお願いしておるつもりでございます。
  116. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 三十七年度の予算で要求をいたしております民生協力関係の経費について申し上げますと、まず陸上自衛隊につきましては、施設部隊の装備の充実のために六億九千四百八万八千円の歳出と、国庫債務負担行為といたしまして二億七百十六万七千円を要求いたしております。なお、陸上自衛隊の災害派遣器材の整備のために一億七千六万円の要求をいたしております。それから海上自衛隊につきましては、災害派遣器材の整備費用といたしまして二千五十七万四千円、航空自衛隊につきましては、民間航空協力の強化のために千三百九十万四千円、これらを合計いたしまして、歳出といたしまして八億九千八百六十二万六千円、国庫債務負担行為として二億七百十六万七千円の要求をいたしております。
  117. 田口誠治

    田口(誠)分科員 なおその内容についてわかりましたら、御説明願いたいと思います。
  118. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 ただいま施設部隊の整備拡充と申し上げましたのは、地区施設隊、建設大隊、施設大隊の装備器材でございます。ブルドーザーであるとか、そういういろいろな建設用の器材でございます。それから災害派遣器材と申しますのは、たとえばIビーム橋であるとか、舷外機というようなものでございます。それから民間航空協力器材と申しますのは、ラプコン等を含んでおります。
  119. 田口誠治

    田口(誠)分科員 この予算をお組みになったときに、災害関係の必要な機械器具というのは、およそ各隊からそれぞれ必要な要請がきておると思うのですが、こういうものを集約されてどの程度今年その希望を消化するようにこの数字というものは出ておりますか。だいぶん現地の方からはきておるのではありませんか。きておらないなら、おらないと言うていただけばよろしいのですが、きておることにはなっておるのです。
  120. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 現地部隊からの要望につきまして、この民生協力の面での経費については大きな査定はいたしておりません。昭和三十六、三十七、三十八の三カ年にわたってこれらの器材類を整備いたしたいということでございまして、ただいま申し上げました一億七百万の国庫債務負担行為を三十八年度において歳出化いたしますと、大体において整うというつもりでおります。
  121. 田口誠治

    田口(誠)分科員 防衛予算は国庫債務負担行為による予算計上というものが非常に多いわけなんですが、ただいまのような機械器具を予算化する場合に、そういう方式をとらなければいかぬものなのですか。何年計画ということになりますか。
  122. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 これは三十六年度の予算のときにも御説明申し上げておりますが、建設大隊二、施設大隊一、ダンプ車両中隊一、地区施設隊一、そのほかに、地区施設隊四、これを三十六年、三十七年度でもって整備いたすことに相なっております。従いまして、器材は、この部隊の編成と並行いたしまして整備をしていきたいということで、ただいま申し上げましたように、三カ年の継続的な組み方で予算を要求をいたしておるわけでございます。
  123. 田口誠治

    田口(誠)分科員 時間的な面もありますので、それは一応あと回しにいたしまして、防音装置の関係について具体的にお伺いいたしたいと思います。  十六億二千六百八十万円という予算をとっておられるのですが、これが通るものとしていろいろと作業を進められておると思うのです。どの程度運んでおりますか。
  124. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 この予算が通るものとしてというお話でございますが、実は三一七年度の実行計画につきましてはまだ立てておりません。と申しますのは、たとえば校舎の鉄筋改築のような問題でありますと、地元側にも多少の負担がかかりますので、実行計画を立てるにあたりましては、地元の地方公共団体の責任者の方と協議をいたしまして、地元でも無理のいかないところ、また御希望のあるところを十分くみ取りまして、その上で実行計画を立てたい、従いまして、実行計画は年度明け早々ぐらいに立てたいと思っております。
  125. 田口誠治

    田口(誠)分科員 今年度の防音装置をされる場合には、鉄筋の場合に限るという考え方なんですか。
  126. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 原則といたしまして鉄筋改築を取り上げたい、と申しますのは、木造に防音装置を施しました過去の例を見ましても、効果がそれほど上がっていないのじゃないかというような疑いもございます。従って、三十七年度におきましては、原則として鉄筋改築を考えたい、しかしながら、現在ある木造校舎で、まだ新しいものにつきましても改築をするというのもいかがかと思われますので、例外的にはそれらの木造校舎に対する防音装置も考慮いたしております。
  127. 田口誠治

    田口(誠)分科員 もちろん、原則的には鉄筋コンクリートでやっておかなければ、またやり直す時期がありますので、私もそういう考え方については賛成であります。しかし、その考え方でいきますと、十六億程度のものではどれだけの希望も満たすことができないわけです。これは今後いろいろ審議を進められた最終段階においての結論になろうと思いますけれども、内容の組みかえを行なって、そうしてただいままで説明のありました、いわゆる水害対策等の機械器具の購入等を含めて、こういう方面でもう少し金額を増額するというお考えは立たないものですか。
  128. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 一面から御批判に相なりますると、金額が足りないではないかという御批判もあろうかと思います。過去の例その他から考えまして、来年度におきましては、現在御審議をお願いしておる程度で何とかやっていけるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  129. 田口誠治

    田口(誠)分科員 これは思想の問題ですけれども、ただいま長官の方から御答弁になったそのお考えの中には、一昨年は一億六千万円でしたが、昨年は五億九千万円、今年になったら十六億二千六百八十万円にしたのだから、相当やはりその方面に力を入れておるんだという、こういうお考えでただいまの答弁があったと思うのです。今まで飛行場付近の住民に対しては迷惑のかけっぱなしをしておって、その方面への予算がとってなかったので、一昨年、昨年に比較して相当に予算が増額されたということにはなっておりますけれども、実際的にそうした住民の要望を取り上げるならば、これは十六億や二十億のような予算ではなかなか足りない。今までがそうでなければならなかったわけなんです。ようやく最近気がついて、特に昨年の七月の国防会議でもそうした方面の方針を打ち出されて、約十六億二千六百八十万円ということに相なっておるので、これで十分のような御答弁がありましたけれども、これ以上の答弁伺いましても、並行的になろうと思いますが、一つの思想の相違の点で、まあまあこれでがまんしてもらうべき数字だというように御答弁なさったと思いますけれども、この方面の予算だけは倍にも三倍にもふやしてもらって、そうして住民に迷惑をかけておる今の実態を早く解消しなくてはならないと思うのです。特に、この防音装置の対策費は学校、病院に向けられると思いますが、学校については、これはいつも申し上げることでございますが、七十フォン以上の騒音のある学校では、先生が子供に質問をしたあと飛行機が通っていく、すぐ解答を求めても、意識が二分、三分戻らないといわれておるのですから、このような支障を来たしておる今の実態を早く解消してやらなければ――これはやはり絶対反対、絶対反対ということになるわけなんですが、私どもは反対をしておりまするので、相対的な面で、予算を多くというようなことは理屈に合いませんが、民生安定の予算だけは、今の現実の姿として大きく組んでいただかなくてはならないと思いますので、やはりそういう点を十分意に置いていただいて、今後こういう方面へこそ力を入れていただくようにお願いしておきたいと思います。これは強く要望しておきたいと思います。  それから、なお、先ほど経理局長の方からも御答弁がありましたが、原則的には鉄筋コンクリートというお話でございますけれども、本年の予算で原則に全部沿おうとしたなれば、どれだけの学校なり病院の防音装置をやることもできませんので、やはり本年の場合には、原則は原則とあっても、木造の場合も相当個所によっては当面手をつけてやらなくてはならないのじゃないか、かように考えております。私の方にもそういうような要求はたくさん出ております。今後また直接地元からも陳情に上がるだろうし、私の方からもこの点については交渉に上がりたいと思いますので、その点をお含みおき願いたいと思います。  それから次にお尋ねをいたしたいと思いますことは、昭和三十七年度に増加する飛行機の中でP2V-7が六機出ております。これは三十三年から継続されておるものが十五機ということに出ておりますが、この十五機というのはもう全部生産が済んだものか。この六機のほかにまだ三十二年度分がどれだけ残っておるのか、伺いたいと思います。
  130. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 P2V-7の生産でございますが、三十七年度に十五機生産をする計画になっております。これは第一次、第二次分の生産四十二機分の最終のものでございます。三十七年度で要求いたしております六機は、その四十二機以外の継続生産というふうに相なっております。
  131. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そうしますると、十五機というのはまだ継続生産中のものなんですね。
  132. 久保忠雄

    ○久保政府委員 十五機は全体の四十二機の継続の分でございます。その中のものでございます。
  133. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それは今年のですか。
  134. 久保忠雄

    ○久保政府委員 三十七年度で十五機でございます。
  135. 田口誠治

    田口(誠)分科員 次に、六機の新規継続生産というのは、これはやはり生産されるのは国内だろうと思いますが、この契約はやはり今までと同様に川崎、三菱というようなところで契約なされるのか。してあればしてあるとして――まだ予算が通っておらないからしでいないと思いますが、予定を承りたいと思います。
  136. 久保忠雄

    ○久保政府委員 まだ契約はいたしておりませんが、今まで通り川崎航空を主契約者といたしまして、新明和工業が下請ということになります。そういう形で契約する予定であります。
  137. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それから対潜ヘリコプター十一機というのは、これは大型、中型、小型とあるのですが、これはどの分類に入るのですか。ハンター・キラー・グループの中に入るのか、その他変わったものなんですか。
  138. 久保忠雄

    ○久保政府委員 大型対潜ヘリコプターということでございます。
  139. 田口誠治

    田口(誠)分科員 飛行機の、先ほど伺いいたしましたP2V-7は新規の分と前の分とは単価が若干違ってきておると思いまするが、どのくらい違っておりますか。
  140. 久保忠雄

    ○久保政府委員 今度六機要求いたしておりますものの単価は六億七千九百十五万三千円でございます。これは総額でございまして、これに米側負担分が入ってございます。ちょっと資料を調べます。
  141. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 P2V-7の単価についてお答え申し上げます。  百万単位で申し上げますと、前の四十二機の単価は一機当たり六億九千三百万でございます。今度要求いたしております六機の単価は八億二千四百万でございます。その変わりました理由は、アメリカ側といたしましてP2Vの生産を打ち切りましたので、従って単価が上がったという点と、もう一つは、前に申し上げました六億九千三百万の中には、国内負担とマップの供与分とがございまして、国内負担分が三億二千三百万、マップが三億七千万、それからあとの八億二千四百万の内訳は、国内負担が六億七千九百万、マップが一億四千五百万、こういう負担割合の変更によりまして、従って三十七年度要求いたしております予算としては、六機分、単価は六億七千九百万、前の四十二機分につきましては、国内負担分だけを見ますと三億二千三百万、こういう関係に相なっております。
  142. 田口誠治

    田口(誠)分科員 次にお伺いをいたしたいのは、ヘリコプターと練習機は国産でなしに、購入するのですね。ヘリコプターの十一機と練習機の十八機というのは購入だから、それの値段をお聞かせ願いたいのと、これはおそらく契約済みのようになっておると思うのですが、いつごろそういう契約がなされておるか。その点も加えて御説明を願いたいと思います。
  143. 久保忠雄

    ○久保政府委員 HSS2の方は国産でやる予定にしております。単価は三億三千六百万円。それから、練習機の方は購入でございます。
  144. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それは幾らですか。あわせて、国産の場合にはどこで作るのですか。
  145. 久保忠雄

    ○久保政府委員 HSS2の国産は新三菱でございます。  それから、練習機の方は、今ちょっと単価が出ておりませんので、お待ち願います。
  146. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それではあとから御回答願いたいと思います。  その次に、これは昨日加藤委員の方から質問をされたわけなんですが、それに対する御回答がまだあいまいであったと思うので、なお確かめておきたいと思うのです。それは、一昨年あたりからこういう問題が問題として各地方に起こりつつあるわけなんです。飛行機の騒音によるところのテレビ、ラジオの聴視料の不払い同盟の結成とか、また地方自治体がそれに準じた決議をされるというようなことがだんだん拡大されつつあるわけなんです。この点に、ついて、加藤委員からいろいろと質問されたようでございまするが、結論的な回答として私がお伺いいたしたいと思いますことは、受信料の免除規定の中にこういうものが入れられるものかどうかということです。
  147. 石川忠夫

    ○石川説明員 お答えいたします。現在の受信規約は受信者の経済状態によりまして減免するのが適当である、こういう人たちを対象にいたしまして、減免規定が作られておりまして、飛行機による騒音その他による受信障害は、放送する側から見ますとその受信者のところまで電波は行っておるのでありますから、放送事業者といたしましてはなすべきサービスをしているわけでございますし、またその地域がサービス・エリアに入っている場合には、当然これは現在の受信規約によりましては減免は困難である。ただ、考えられますことは、騒音によりまして全然受信できない。朝から晩までゴーゴーいっていて、全然受信できないというようなことになりますと、これは受信できない受信設備、こういうことになりますので、受信契約の対象にはならないかと考えますが、どの程度をもってそういうふうに判定するかということにつきましては、いろいろ判定の困難な問題がございます。
  148. 田口誠治

    田口(誠)分科員 これは今後の大きい宿題の問題として、防衛庁の方で考えていただかなくてはならないことになろうと思います。今の御答弁のありましたように、放送局の方としては何ら支障を来たさせず電波を送っておるし、電波を送っておるのに受信料を払ってもらえないということになると困るというのです。そうかといって、住民の方では飛行機の飛び立つたびごとにテレビがちらちらして全然見えない、ラジオが聞こえないということになりますと、勢いこんなラジオやテレビには受信料を払わぬといういうな運動が起きてくるということも、やはり無理のないところだと思うのです。そうなりますと、そうした地帯を持っておるところの地方自治体は、やはり民生安定という一つの行政の上からもこれは何とかしてもらわなくてはいかぬという決議をして、国の方へそれぞれ陳情されることになるのも、これは無理のないことだと思います。こういうことが今後全国各所に同じ形で運動が巻き起こされると思うのです。今後の宿題でございますので、答弁の内容もはっきりした答弁はむずかしいと思いますけれども、こういう事態が進んでいっておるのですから、防衛庁の方としては何かこれに対処していただかなくてはならないのです。こういう事態に対して長官はどういうようなお考えを持っておられるか、承りたいと思います。
  149. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 ただいまおあげになりましたことは、まさに事実なんでございます。ただ、昨日来郵政省からもお答えいたしましたように、これをいかなる基準によってどういう措置をするかということは、なかなか困難な問題もあろうかと思います。しかし、お示しのような事態でございますので、十分関係機関とも連絡をとりまして、どうしたらよろしいのか、そうしたことを検討を進めたいと存じます。
  150. 田口誠治

    田口(誠)分科員 おそらくこの問題は解決する解決点が、範囲という上においてむずかしいと思います。大体こうした問題は大ざっぱな取り扱いでいいと思いまするが、地方自治体と防衛庁との関係で、やはり解決のつく方法もあろうと思うのです。というのは、今の防音装置の予算のような、こういう民生安定方面の予算を組んで、そういう方面へ差し向けてやる。そうすると地方自治体の方では、完全な金額まではいかなくとも、そのうちのどれだけかをやはり放送局に納めて、調和をとっていくというようなことも考えられると思うのです。あまりきちんとこういうものをやろうと思いますると、一年も二年も考えておらなくてはならないと思いますが、さしあたりこうした面について火がついておるのですから、防衛庁の方としても一つ真剣に取り組んで解決点を見出していただきたいと思います。その点よろしいでしょうね。
  151. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 方法もいろいろあろうかと思います。別段こういう問題ではございませんけれども、例の基地交付金というような制度もございます。これがそれに当てはまるものでは現在のところございませんけれども、まあ一つの考え方だろうと思います。いろいろ問題はあろうかと思いますが、積極的に検討を進めたいと存じます。
  152. 田口誠治

    田口(誠)分科員 最後にお聞きいたしたいことは、これはたびたび申し上げてもおりまするし、直接教育局長さんの方へ、その実態を申し上げて、善処方をお願いしてあるわけなんですが、御承知の日野の射撃場で試射をやるという問題です。この問題につきましては、県が仲へ入りまして、一つのあっせん案というようなものを出しておりまして、しかしそのあっせん案の内容が、一番問題になっておるところの患者自治会に対しては、何ら意思表示がなされておらないし、これを無視して行なおうとする内容のものであるから、やはりああしたあっせん案が出たことにおいて患者自治会の方では非常に硬化をしまして、今そういう事態があればいつまでも戦うという態勢を作っておるわけなんです。こういうことでありまするから、私の方から直接にも、また委員会においてもお話してありまするように、自治会の意向を十分に聞いていただいて、そうして自治会の了解を待て、こういう問題は行動に移っていただかなくては不祥事件が起きると思いますので、その後の経過――おそらく現地の方へ御指導いただいておると思いまするが、その後の経過について一つお答えをいただきたいと思います。
  153. 小幡久男

    小幡政府委員 日野射場の問題につきましては、先刻お話のように、岐阜県知事から二月一日あっせん案が出まして、これに対して自衛隊からは二月五日にあっせん案を受諾する旨回答をいたしております。その後病院の方からは条件をうけられまして、条件付の受諾を回答せられるということを聞いております。県庁はこれを見まして、一応県のあっせん案の内容では、二月末ころまでの一日となっておりますが、多少音響測定の日はゆとりを持って考えておるという話でございますが、今せっかく県庁の方で病院側とも折衝しておられますので、地元の事情に精通された県庁側の配慮あるあっせん案の進行をこちらも注視しておるという段階でございます。
  154. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そういう今のお答えのような経過があるわけなんです。それで私の方から伺いたいことは、現地の部隊へ対して意思表示をどのようになさって、現地の部隊としてはどう考えており、また県の方へ何ら意思表示をしておられるとか、県へこれこれの意思表示をしてこうしてあるとか、そういう点を伺いたいと思うのです。今御答弁のあったのは経過でございますから、その点はわかりまするが、教育局長としてこの問題について現地へ指導していただいておるその内容を伺いたいと思うのです。
  155. 小幡久男

    小幡政府委員 あっせん案の実施要領では、病院、県、自衛隊の三者が音響調査の実施要領とかあるいは測定場所等について相談し合うことになっております。従いまして、だんだんこれから細部に入っていくわけでありますが、われわれとしましては、どこまでも問題の経緯にかんがみまして、相手が病人でありますし、一般人から出た御注文よりは慎重に配慮して県庁に協力していくように原則的な指示をしております。何分県があっせんの主体となっておられますので、立ち入ったことはまだ県のあっせん案のさらに進んだ提示を得た段階におきましていろいろ処していきたいと考えております。
  156. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そうしますると、現地の部隊の方へは教育局長の方からそうした指導がなされておる。それで結局、これからはどういうことになるのですか。県庁が両方から回答が来たから、それで、日にちをきめていつやったらどうでしょうというような工合にきたらやるのか。それとも、やはりそういうような行動が行なわれても、あくまでも忠君自治会の了解を得てやるというお考えであるのか。この点どうなんですか。
  157. 小幡久男

    小幡政府委員 先ほども申し上げましたように、イニシアチブをとっておられますのが県庁でございますので、立ち入ったところまでこちらの方から詳しくどうこういうことは申し上げにくいのでございますが、県庁自身も、田口先生のおっしゃったような地元の事情はよく精通しておりますので、いろいろ配慮ある実施案も出るかと思っておりますので、その段階におきまして、できるだけ自衛隊としても協力しまして、実施が少しでも円滑にいくように進めたいと思っておる次第であります。
  158. 田口誠治

    田口(誠)分科員 この点につきましては、たびたび申し上げておるように、あくまでも患者自治会の了解を得て、そうして了解の上に立って行動に移していただき、不祥事態が起こることのないように、今後もそうした下部指導を行なっていただきたい、このことを強く要望申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  159. 保科善四郎

    保科主査代理 午前の会議はこの程度にとどめ、午後一時十五分より再開することとし、休憩いたします。    午後零時十五分休憩      ――――◇―――――    午後一時十九分開議
  160. 保科善四郎

    保科主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。淡谷悠藏君。
  161. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 けさのラジオ放送を聞きましたら、上野の駅の構内で隊員募集中の自衛隊の一人が、何か警官に取り調べを受けたというような報道がございましたが、この真相はどうなっておりますか。
  162. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 ちょっと取り調べましてお答え申し上げるようにいたしたいと思います。
  163. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 ラジオによりますと、ジャンパーを着た防衛庁のだれか一人が上野の構内で勧誘のビラか何かをまいて、それが警官に連れていかれて調べられた結果、隊員募集のためにやって、少し色けがありそうないなかの青年が見つかると、そのまま自衛隊のジープで本隊へ運んだという、ずっと前の中国の軍隊募集と同じような、人をさらうような格好がちょっと見えております。何か防衛庁の係の方々は、これはどうも駅長の許可を得ないでやっておったことは悪いけれども、隊員募集のためにはいたし方がないのでございます、といったような暗にこれを肯定するようなラジオの発表があった、これはNHK報道でございますが、これはあとでお調べの上……。  それから、長官おからだがだいぶいいそうでございますが、三十センチから落ちたロッキードの御容体はどうでございましょう、その後まだ報告を受けておりませんか。
  164. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 先般お答え申し上げましたように、表面に多少のきずを受けておりまして、これはもう当然修理可能なものでございます。そのほか中身につきましては今精査をいたしておりますが、現在の見込みにおいては、中身には異常がないという見込みでございますが、さらに、精密を要するものでございますので、十分な検査をいたしておるのが現在でございます。
  165. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 目下臥床中という状態ですね。  それからこの間八戸の沖で自衛隊が大へん不幸なできことがございまして、これはまことに哀悼のきわみでございますが、あの死体収容あるいは墜落原因等について、その後判明いたしました点の御報告を願いたと思います。
  166. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 先般八戸の沖におきまして訓練中のP2Vが一機海中に墜落をいたしたわけでございまして、殉職した隊員並びに遺族の方々には心から哀悼の意を表すると同時に、またこういうことを起こしましたことについて、国民の皆様方におわびを申し上げる次第でございます。鋭意その後機体の捜査並びに乗組員の捜査等を行なっておるのでございますが、淡谷さん御承知通りの海の状態でございますので、まだ思うにまかせません。こわれました部品等は相当揚げておりますが、肝心の隊員の遺骸等は、最初に収容いたしました三遺体以外のあとの七人につきましては、いまだに収容できないようなことでございまして、目下鋭意これの捜査をやっておる次第でございます。墜落原因につきましては、何分そうした機体の本体その他がまだ収容できておりませんので、何とも原因を突き詰めて調査をすることができないようなことでございます。
  167. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 墜落しました飛行機は、どこで作った何年度生産の飛行機でございますか。
  168. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 詳細はまた政府委員からお答えするかと存じますが、国産機の第五号機であったと記憶をいたしております。
  169. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 生産年度、それから製作の会社等の名前を承りたい。
  170. 久保忠雄

    ○久保政府委員 三十五年度の生産でございまして、製作会社は川崎航空機でございます。
  171. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これは今度また川崎が従契約者としてロッキードの出席にもかかるわけでございますから、こういうふうな人命に非常に悲しむべき危険を生ずるような、こんな事態が起こらないように十分な御注意を願いたいと思います。  それから、ちょっと久保装備局長に確かめておきたいのですが、実は今アメリカで訓練中の日本でいいます104航空機について、この間しばしばお答えに変化がございまして、その前にさまざま申されたことを、間違っておったからあらためてはっきり申し上げますと、という前置きで言われたのを、私整理してみましたところが、大体日本へ来るのは、はっきり聞いておいていただきたいのですが、DJの五四〇一号、それからJのアメリカでいう三〇〇二号、それから五四〇四号、これが空輸で三菱に入っているものというふうに聞いておりまするし、それからアメリカにありますものはJの三〇〇一号、これはナサールの何か目下評価試験中だと聞いております。それから三〇〇三号、DJの五四〇二号と五四〇三号、こういうふうにあなたからお答え願いましたが、これは今も変わりはないでしょうな。
  172. 久保忠雄

    ○久保政府委員 ただいま仰せの通りでございます。
  173. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 ここにあなたの方からお出し願った「F104について」という資料がございます。これを読んでみますと二ページのところに「F104Jの初めの三機はロッキード社で完成し、アメリカにおいて飛行試験および航空自衛隊のパイロットの訓練使用され、」とはっきり書いてありますね。「分解梱包のうえ輸送され新三菱重工で再組立てされる。」こうなっております。それからそのあとの方に、三ページになりますが、「F104DJは二十機全部を完成機の姿で購入する計画で輸送のために分解されたものを新三菱重工で再組立てする。」こうありますね。そうすると訓練に使うのはJですね。DJ二機を書き残したのはどういうわけですか。これは間違いですか。
  174. 久保忠雄

    ○久保政府委員 ただいまの御質問の点につきましては、DJの四〇〇二号と四〇〇三号というのを向こうで完成しました上でパイロット訓練に使いまして、あとこちらに持ってくるということでございます。その点、この間お出ししました資料はちょっと不完全でございました。
  175. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これは不完全じゃない、うそじゃないですか。これは言葉が足らないとか言い方が誤りとかいうものじゃないですよ。はっきりJ三機を向こうで訓練に使うんだと書いて報告しておいて、今度は合わなくなってくると、間違いでございました、それじゃこの資料は全然信用できないものと見ていいですか。それなら返します。あらためて下さい、どうです、これはどっちが、ほんとうなんですか。
  176. 久保忠雄

    ○久保政府委員 私が先ほど申し上げましたのが事実でございます。その資料が不完全でありましたことは申しわけないと思います。
  177. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 それではこの一番骨頭のF104Jの初めの三機はアメリカで訓練使用されているということはうそなんですね。間違っておる。それはわかりました。あなたが言ったんだが、この点は信用しません。  それからその次にお伺いしたいことがあるのですが、このF104Jの向こうで訓練に使います三機は、ノックダウンの中に入れてありますか、入れてありませんか。
  178. 久保忠雄

    ○久保政府委員 お答え申し上げます。これはノックダウンの定義の仕方だと思いますが、向こうで完成いたしましたもので、組み立てるのもノックダウンというふうに呼べば呼べないことはないと思います。今は契約書等では初めのJの三機は完成機としてDJと合わせて完成機をこちらで組み立てるという解釈になっておるわけでございます。
  179. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 どうもこの間からいろいろノックダウンの数が合わないので、私も幾ら勘定しても合わないのです。これは予算請求の面ではノックダウンの部に入れているんですね。入れていませんか、どっちです。
  180. 久保忠雄

    ○久保政府委員 従来の契約前の段階におきましては、J二十機をノックダウンという名前で呼んでおりました。契約の段階におきまして、Jの三機を完成機にいたしまして、DJ二十機とちょうどこちらで組み立てるという過程におきましては同じでございますので、一応契約の段階におきましては、DJ二十機とJ三機を合わせまして完成機をこちらで組み立てるということにしたわけでございます。契約前に申し上げたのとその辺が若干違っておりますけれども、契約後はそういう形にしております。
  181. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 どうもあなたの答弁を聞いておりますと、ノックダウンという言葉の説明がしょっちゅう動くのですね。もう一ぺん読みましょうか。この間のあなたの御答弁を思い起こすために聞いていただきたいのです。これは二月十六日ですから、ついこの間の予算委員会に一般質問で私がお伺いしたのですが、百六十機分の単価の出し方について大へん影響がございますから、それで聞いたのです。私の質問は、「この平均の出し方がおかしいのじゃないですか。ノックダウンは二十機と前にきまっておったでしょう。今度二十三機になっておりますね。どうですか、これは。」と言うのに対して、あなたは、「お答えいたします。今の二十三機とおっしゃいましたのは、Jのノックダウンの中に完成機が三機入っているわけです。その三機とDJの二十機と合わせたものが契約書に二十三機として出ておるわけです。」私は、「三機の方はノックダウンじゃないというんですね。」と言ったら、あなたは、「厳密に言いますると、ノックダウンの、非常に完成機に近いところ、完成機というところになっておるわけでございます。」厳密に言うとノックダウンで、厳密に言わなければ製造機、これでは予算の組みようがない、私はあなたの答弁があまりにあいまいなものですから、この間一つ英和辞書を引きまして、ノックダウンという言葉は一体どういう意味があるか調べてみたのです。第一は打倒す、なぐり倒すという意味があるようであります。二番目の意味は、家などを取りこわすという文字があるようであります。機械などを解体する、議論などをくつがえす、打ち破る、これは第二の意味のようであります。三番目は俗語で、売手などを値切り倒す、四番目には競売でせり落とす、落札をする、五番目は司会者が指名する、六番目はアメリカの俗語で、紹介する、この意味の中からいろいろ探り出してみたのですが、まさかどうも打倒する、なぐり倒すという意味ではないだろうし、売手などを値切り倒すというわけでもないだろうし、競売でせり落としたのでもないだろうし、結局はこの二番目の取りこわし、解体するということだろうと思うのです。従って完成機であろうが不完成機であろうが、一たんできたものを向こうの方で解体して、これを再組み立てをするというものを、あなたの言う厳密な意味でノックダウンと呼ぶものじゃないでしょうか。これはどうです。これは私の説明ではなくて、研究社のニュー・イングリッシュ・ジャパニーズ・ディクショナリー、市河三喜さんの辞書でございますから、翻訳は大丈夫だと思うのですが、どう解釈されますか。あなたは厳密な意味で、ノックダウンという言葉は。
  182. 久保忠雄

    ○久保政府委員 先ほど申し上げましたように、ノックダウンの定義によっていろいろ違うというふうに申し上げましたが、今のように一たん作ったものをこわして持ってくるということで入れますと、完成機もノックダウンと呼んでもいいということになります。DJの二十機の方も広い意味で言えばノックダウンというふうな呼び方ができると思います。ただ、ノックダウンの段階におきまして向こうまで完全に完成機として分解して持ってくるものと、ある程度の材料、その程度が違うかと思います。
  183. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 了解いたします。そこで、大体そういうふうに解釈をきめておいて、最初の三機はこれはノックダウン、その次は第四号から第十号機まで、これは七機ですね。十号機までは生産途中の部分組み立ての姿で日本に送られる、新三菱重工と川崎航空機が分担して組み立てるいわゆるノックダウン方式をとる、前の方は厳密な広義の意味でのノックダウン、あとはいわゆるノックダウン方式、これはむろんノックダウンでしょうね、どうですか。
  184. 久保忠雄

    ○久保政府委員 これはノックダウンでございます。
  185. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 さてもう少し進みまして、これで十機できましたよ、ノックダウンが十機。次の十機分は個々の部品の状態でロッキード社から購入して組み立て、第二十一号機以降は約四〇%の国産材料、部品、装備品などを使用して生産される、これはノックダウンですか。
  186. 久保忠雄

    ○久保政府委員 ただいまの十機の分はノックダウンに入れております。ノックダウンでございます。あとの百六十機は国産の材料を相当使いますので、これはいわゆる国産機というふうに呼んでいるわけでございます。
  187. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 その次は、「F104DJは二十機全部を完成機の姿で購入する計画で輸送のために分解されたものを新三菱重工で再組立てする。」これはどうです。
  188. 久保忠雄

    ○久保政府委員 これは先ほど申し上げましたように、ノックダウンの定義を非常に広く解釈いたしますれば、先ほどのJ三機と同じになりますので、広い意味ではノックダウンと言えるかと思います。
  189. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 厳密な意味でのノックダウン、いわゆるノックダウン方式、広い意味でもノックダウン、いろいろ形容詞はついておりますが、予算措置上これはどっちへ行っておりますか。組立機ですか、製造機ですか。
  190. 久保忠雄

    ○久保政府委員 予算措置上、契約上は組立機に入れております。
  191. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 そうすると総計何機になりました。あなたの方で勘定して下さい。
  192. 久保忠雄

    ○久保政府委員 ただいまの御質問は、ノックダウン機が何機かという御質問でございますか。
  193. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 そうです。
  194. 久保忠雄

    ○久保政府委員 これはそう言いますと、Jの二十機とDJの二十機は広い意味でノックダウンと言えるかと思います。
  195. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 予算措置もノックダウンでとってあります。
  196. 久保忠雄

    ○久保政府委員 そうでございます。
  197. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 あなたは二十三機がノックダウンと言ったでしょう。今度は四十機になったのですか。予算指貫は二十三機だと言ったでしょう、今度は四十機になった。
  198. 久保忠雄

    ○久保政府委員 契約の面で二一三機は組立機というふうに呼んでおりますけれども予算措置の面ではJの方が二十機ノックダウン、それからDJの方も二十機を、これは契約の面では組立機と呼んでおりますが、ノックダウンということにしております。広い意味ではノックダウンでございます。
  199. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 おかしいですな。契約の面と予算措置上違うのですか。契約に基づいての予算要求でしょう。契約をしなかったら予算要求はできないのですよ。契約と予算要求とは違いますか。
  200. 久保忠雄

    ○久保政府委員 予算要求のときはまだ契約はできておりません。予算要求をいたしましてその予算が成立いたしましてから契約をいたします。
  201. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 現在の契約は二十三機になっているのではないのですか。そして前は予算を要求するための概算で、今度はややきまった契約によって請求しているのでしょう。そのときにはやはり請求も二十三機ですよ。四十機とは書いていない。あなた方が単価を云々されますから、単価積算の基礎として私はこのノックダウンを突きとめておきたい。こんなに違いますからね。ノックダウンする航空機とそうじゃない航空機とは大へん違う。そうすると、航空機のノックダウンの数によって平均単価が非常に狂ってくるので確かめておきたい。あなたは一体この積算を二十三機でやりましたか四十機でやりましたかというのです。
  202. 久保忠雄

    ○久保政府委員 予算要求の際は、Jは二十機をノックダウンという形で要求しております。契約の面におきましては、こちらの三菱なり川崎におきます作業の内容に着目いたしまして、組立機というふうに二十三機をまとめたわけです。これはノックダウンとかノックダウンでないとかいうことは、契約の面では全然出ていないわけです。
  203. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 ほんとうに出ておりませんか。それじゃ契約書を一つ見ましょう。契約書の中にノックダウンの額が二十三機出ているじゃないですか。
  204. 久保忠雄

    ○久保政府委員 契約書の面ではノックダウンという言葉は使っておりません。組立機という言葉でございます。
  205. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 ノックダウンを日本語に直して組立機と言っているのじゃないですか。契約書の規定はそうなっていますね。組み立てのものを組立機と呼ぶと書いてありますよ。それが二十三機でしょう。そうじゃないですか。
  206. 久保忠雄

    ○久保政府委員 契約書の中では組立機という言葉を使っているだけでございます。先ほど申し上げましたノックダウンですと、製造機の中にも一部ノックダウン機が入っておるわけでございます。
  207. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 私この単価を出すために聞いているのですから、その意味でお答え願いたいのですが、そうしますと、あなたのおっしゃるのは、この単価積算の基礎にはノックダウンは二十三機、予算要求の場合に二十機、こう理解してかまわないですね。
  208. 久保忠雄

    ○久保政府委員 予算要求のときにはノックダウンJにつきまして二十機ということで要求しておりまして、予算もそういうことになっておると思いますが、契約書の二十三機と申しますのは、ノックダウンとかノックダウンでないということにかかわらず、こちらの三菱の作業を中心にいたしまして、組み立ての作業に着目いたしまして、組立機という形に表現したわけでございます。
  209. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 二十一号機以降は約四〇%の国産材料、部品、装備品などを使用して生産される。これは製造機でしょうね。どうです。
  210. 久保忠雄

    ○久保政府委員 契約書におきまして製造機と呼んでおります百七十七機ございますが、この中の百六十機は国産機で十七機がノックダウン機になるわけです。ただ形といたしまして、組み立てに対しまして製造ということで、契約の面では製造機、組立機という分け方をしたわけでございます。契約書の面でそういう作業に着目いたしまして分けたわけでございます。ですから製造機の百七十七機の中の十七機は、これは先ほどから一おっしゃっているノックダウンでございます。
  211. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 二十一号機以降は百六十機ですよ。そうするとあとは四十機でしょう、残ったものは。四十機をどう分けたのです。これでいくと三機がどうも余るのです、あっちこっちへ行って。これは藤枝さんもこの間やはりそう答えた、ノックダウンは二十機でございます。ノックダウンは二十機で、作業の上ではノックダウンが二十三機、この契約と予算に対する説明とが三機――三機くらいというかもしれませんが、大体概算して五億円ですよ。三機違うと十五億円です。容易な額じゃございませんから、その三機はやはり大事にお扱い願いたいのですが、これはどうなりますか。
  212. 久保忠雄

    ○久保政府委員 まとめて申し上げますと、DJ二十機が一応ございます。二十機は契約の面では組立機と二十三機の中に入れているわけでございます。それからJが百八十機ございまして、このうちの、予算要求のときは二十機をノックダウンと呼んだわけでございます。残りの百六十機を国産機というふうに呼んだわけでございます。その二十機のノックダウン機の中で完成機が三機、それからノックダウンのもう少し形が国産機に近い方になりましたもので七機がございます。それから十機、こういうふうにノックダウンの程度がずっと変わってきているわけでございます。従って今のJの二十機の内訳が、完成機三機とそれからノックダウン、ノックダウンという言葉はあれですが、七機と十機、その程度においては分かれているわけであります。そうして先ほどの契約の面におきましては、このDJの二十機とJのノックダウン二十機のうちの三機の完成機、これを一本にいたしまして二十三機、それからノックダウンの二十機から三機を引きました十七機と国産機の百六十機を合わせたものの百七十七機を製造機というふうに呼んだわけでございます。ですから三機はどこにも余っておりません。
  213. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これはやはり予算要求の場合と契約の場合、額が大きいのですから、初めから二十二機はわかっておったら二十三機と答えてもらいたい。この点でも赤城さんと藤枝さん、並びに実際のこの契約は一完全に数が違っている。それからあなたの方で出してきた資料を見ますと、単価積算のためにはF104DJ単価、二百機平均単価、これだけですね。もし単価を出されるならばやはり違った種類によって完成機は幾ら、それから組立機は幾ら、そういう積算の基礎を明らかにして出されませんと審議は進まないですよ。その点私は、非常に防衛庁予算というもの今後考慮すべき点があると思う。  大蔵省から来ておられると思いますから伺いますが、この予算書を見ますと、六百九十八億といったような莫大な予算が、たった一筆、航空機購入費としてある。くずす場合はくずしていきましょうけれども、いずれにしてもこのワク内で予算説明はただ一筆航空機購入――そのうちに器材費がとうなっているものやら、補給部品がどうなっているものやら一切おかまいなしに、一筆で航空機購入、これは経理が紊乱するもとだと思うのです。これは大蔵省いいですか。
  214. 新保実生

    ○新保説明員 F104は仰せのようにDJとJと二つに分かれるわけでございますけれども、同じ系列に属する航空機でございますし、またアメリカの援助も両方対象としておるわけでございます。そこで予算の積算としてはこれを一つにまとめて、これは三十五年度の予算になりますが、航空機購入費、こういうふうに処理したわけでございます。  なお、初度部品と航空機本体を一緒にしておるという点について御指摘がございましたが、これも同じメーカーに対しまして同時に契約をいたしますので、防衛庁が従来やっておりましたような取り扱いに従いまして予算的に同一に処理したわけでございます。
  215. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 大へん苦しい御答弁のようですが、これは国庫債務負担行為をいろいろ議論の末に通しましたのは三十五年ですね。これは契約をする前にとるのだから国庫債務負担行為でいい。その実際の契約はいつ結ばれましたか。防衛庁と新三菱との間の契約は何年何用何日ですか。
  216. 久保忠雄

    ○久保政府委員 昭和三十六年の三月三十一日でございます。
  217. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 もう一日おくれるとどうなりますか。大蔵省にお願いします。四月一日に契約ができたらどうなります。
  218. 新保実生

    ○新保説明員 これは財政法の規定によりますと、契約できなくなるということになります。
  219. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 きわどいところですね。契約ができなくなるのを防ぐために、年度の一番最後の三月三十一日にやっと契約ができたのだ。このことは大蔵省、頭へ入れておいてもらいたい。大へん苦しい御答弁のようですが、この入札もなし、見積もりも出ていないままに、莫大な経費を大蔵省はそのままうのみにしたのじゃないでしような。明細書があるでしょう、積算の基礎が。私はあなたの言うことにまだ文句があるんですよ。同じ系列だから、DJもあるいはノックダウンも製造機も同じに見るという見方は、ほかの省にはないのです。これはやはり莫大な買いものですから、一つ積算の基礎を当たってみて、不当な予算要求じゃないということがわかってからのむのが大蔵省の本質でしょう。あなたの方じゃ、ずいぶんこまかいですからな。小さな予算だと、もうすみからすみまでほじくり出してやる。これはほんとうはもっと明細書が出ているんじゃないですか、大蔵省に。
  220. 新保実生

    ○新保説明員 六百九十八億の予算要求につきましては、ほかの経費と同様に、あるいはまたほかの各省の経費と同様に扱って、やはり大蔵省としていろいろ説明を伺いまして査定をいたしております。決して中身を検討せずにというようなことではございませんので、十分に検討して予算措置をとったつもりでございます。
  221. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 国庫債務の負担行為はことしからくずれていっておりますからね、実際に使われるのですから。一体、大蔵省に出ておりました積算の基礎をなしているものは、DJの一機の価格、単価ですね、幾らに出ていましたか。
  222. 新保実生

    ○新保説明員 これは去る二月の十六日でございましたか、防衛庁長官もお答えになっていらっしゃいましたけれども予算要求の形として、DJが幾ら、あるいはJが一機当たり幾ら、こういう積算ではないわけでございまして、二百機を生産するために必要ないろいろな経費がございます。固定経費とか直接的なものあるいは間接的な経費、そういったものを個々に積み上げまして、全体で幾らになるか、それからアメリカの援助額七千五百万ドルを差っ引いて六百九十八億というものを出したわけでございます。DJが単価一機当たり幾らというようなことは、これはその全体の所要経費からいわば逆算的に出した経費でございます。
  223. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 どうも今のあなたの話はほんとうだろうと思うんです。全体の経費を打ち出して、それを二百機で割って出した単価じゃないですか。これは防衛庁どうです。大蔵省はそういうふうに理解している。どうもその方がほんとうじゃないですか。正直におっしゃいよ、分科会ですから。どうも、単価をいじっていきますと大へんなことになりますからな。全体の生産費というものを見て、それから七千五百万ドルを差っ引いて、そして二百機で割ったんだというふうにとるべきじゃないですか。これは正直に言って下さい、大蔵省防衛庁が食い違っているのですから。
  224. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 ただいま大蔵君から御答弁のありましたように、生産費を出しまして、直接、間接の経費、その他付属、利潤等を出しまして、それを二百機で割ったわけでございます。
  225. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これで今までの御答弁が全然うそだったということがわかったでしょう。これはことさらにDJが幾らだの、Jがどうだの、ノックダウンがどうだのといいますけれども、これはただこっちの方をごまかすための資料であって、要は全体の生産費を二百機で割ったものだということを、大蔵省防衛庁もはっきり言っているじゃないですか。それじゃ、今までの答弁を全部取り消しますか。今までの答弁とは全然違うんですよ。
  226. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 ただいま御答弁申し上げましたのは、要するに予算の見積もりをどうしたかということでございまして、実際の契約面ではその予算の範囲でおさまるように、もちろん先ほどからいろいろ御議論のございましたように、組立機とそれからこちらで実際に製作するものとは単価は違っております。従って、そういうようなものは総体的にいえば、直接、間接の生産費及び利潤等すべてを含めまして、総体的には合うはずでございますけれども、しかし個々の契約面上におきましてはやはり原価が違って参りますので、契約の実際面は必ずしも一機当たり幾らという契約にはなっておりません。
  227. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これは私は、今までの防衛庁答弁というのは全然でたらめだったということを言いたい。もう全部の積算を二百機で割ったものだということは、両方はっきりしているのです。そこで、もう一ぺん防衛庁伺いますが、利益を見積もったと申しますが、利益を幾らに見積もりましたか。
  228. 久保忠雄

    ○久保政府委員 総利益一二%でございます。これは一般管理費、金利等全部含めまして、総利益が一二%でございます。
  229. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 純利益というのがありますね、利益換算には。これは幾らに見ているのですか。
  230. 久保忠雄

    ○久保政府委員 五%でございます。
  231. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 さらに詳しく伺いますが、一般管理費の中で経費は幾らですか、金利は幾らに見ましたか。
  232. 久保忠雄

    ○久保政府委員 一般管理費、販売費が一・四三%でございます。それから金利が五・三六%、利益が五・二一%、先ほど五%と申し上げましたが正式に言いますと、五・二一%でございます。
  233. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これは、アメリカの援助分を入れてそっくりかけたパーセントですか、それとも日本側予算にだけかけたんですか。
  234. 久保忠雄

    ○久保政府委員 これは日本側の六百九十八億の中でございます。
  235. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 そこで藤枝さん、大へんなことがあるんですがね。あなたを別におどかすわけじゃないですから、そんなに大したことないんですけれども、この間私、あなたといろいろ質疑応答をやっている際に、赤城さんが私に答えた単価と現在契約した単価と、私は安くなっていると言った、あなたは高くなっていると、こう言ったのです。赤城さんは一体幾らに答えているかと申しますと――私も、ひょっとあなたに言われたので、私の方の思い違いかと思いましてだいぶ熱心に調べてみたんです。やはり私の方が、赤城さんの言ったことが正しいんですね。これは一つ証拠を出しましょう。ございましたら、一つこれ参考のために、長官もごらん下されば大へんありがたいのですが、同じやはり三十五年の二月二十六日の第一分科会横路委員に対する赤城さんの答弁です。これによりますと、横路さんの、この数字に間違いございませんかというのに対して、「間違いはございません。ただ、出しました資料の中で、」云々という言葉がありまして、「単座機百八十機の平均単価が百十二万八千五百九十玉ドルになっていますが、」という言葉がある。これはどうですか、今の価格よりも商いでしょう、結局今の方が安いでしょう。
  236. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 おそらくただいまおあげになりました百十二万八千五百九十五ドルと思います、これは参議院の矢嶋議員の公開質問状に対しましての答弁で、それが踏襲されていると思います。このJの方は当時百十二万八千五百九十五ドルと申し上げておるはずでございます。そうでございますね。
  237. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 百八十機平均単価です。
  238. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 そうでございます。それに対しまして、先般淡谷さんにお答え申し上げましたのは、Jの現在の単価は百十三万五千二百十九ドルと申し上げたつもりでございます。
  239. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 それじゃちょっと待って下さい、大事な点ですから。この資料を見ますと――私はこれで質問したのですが、これは防衛庁の資料ですよ、平均単価百十二万六百八十一ドルですよ。
  240. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 百十二万六百八十一ドルというのは二百機の平均でございます。Jの百八十機の単価は、先ほど申し上げましたように百十三万五千二百十九ドル、これを、三十五年当時は百十二万八千五百九十五ドルとお答えしておるはずでございます。
  241. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 多分、あなたはそう答弁されるだろうと、ゆうべ考えたのです。この中に入ってないのは二十機のDJでしょう。これは今の方が当時よりも安いのですよ。安い要因を入れて平均単価が上がるわけはない。これが入ったら、もっと今の方が安くなりますよ。そうじゃないですか、加わる要因が安いのですから。
  242. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 はっきり申し上げますが、三十五年当時、Jの単価、百八十機、これが百十二万八千五百九十五ドルとお答えしておるはずでございます。それが先般もお答えしましたように、Jの百八十機の単価が、現在百十三万五千二百十九ドルと申し上げておるはずでございます。そうしてDJの方は三十五年当時、百四万七千二十七ドルと申し上げたのが、現在の単価は九十八万九千八百三十九ドルとなっておりますと申し上げたはずでございます。
  243. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これは非常に大事なことですから、公の席上で詰めていきましょう。ノックダウンで盛られております単価はどれとどれですか。いろいろありました、そのうちのどれですか。一つずつ言って下さい。
  244. 久保忠雄

    ○久保政府委員 ただいまの御質問の、ノックダウンで見積もられたと申しますと……。
  245. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 あなたの方で単価の資料を出されておりますから、これが全然だめで、単価なとはこれは基礎がないのだ、要するに、生産費全部を総額で計算して簡単に二百機で割ったというのなら、この区分は要らないのですよ、この「F104について」という資料が全部間違いだらけだから取り消しますというのなら、それでもいいのですよ、ついていきませんよ。しさいらしく、DJの単価は幾ら、しかも赤城さんとの重大な食い違いに対して、長官一つ一つ各機種に分けた単価を立証されますから、それならば私はついていきたいと思うのです。どうですか。もしこれが、時間がむだになっては困りますから、あっさり取り消して新しく資料を出すというのなら、出すとおっしゃい。私は別に追及しませんから。まだまだあるのですよ。これと契約書をやってみますと、合わない点がたくさん出てきますよ。ですから、むだな時間を費やすのではだめですから、これはどうも不完全でしたから書き直すというのなら書き直しなさい。それだけの余裕を与えます。どうですか。
  246. 久保忠雄

    ○久保政府委員 このお出しした資料では間違いないと思います。
  247. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 ちょっとありましたね。
  248. 久保忠雄

    ○久保政府委員 先ほどのは、書き方が、前の計画をお書きしたということでございます。
  249. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 間違いなければこれでいきますが、伺いましょう。この単価を算定した中で、F104DJの単価は九十九万九千八百三十九ドルとあります。これは何機分ですか。
  250. 久保忠雄

    ○久保政府委員 これはDJの二十機分でございます。
  251. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 DJは全部組立機としてやっているわけですね。
  252. 久保忠雄

    ○久保政府委員 契約面で組立機でございます。
  253. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 総計幾らになりますか。
  254. 久保忠雄

    ○久保政府委員 総計で、ドルで申しますと、千九百七十九万六千七百八十一ドルでございます。
  255. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 契約書の方をお聞きしますが、この契約書の組立費の中に、一機の組立費を見た額がございまして、千二百四十七万三千円としてあります。これはちょっと大事ですから、ドルに換算して下さい。幾らになりますか。
  256. 久保忠雄

    ○久保政府委員 ドルに換算をいたしまして三万四千六百四十八ドルでございます。
  257. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 この104DJはアメリカ側で負担するのでしょうね。価格は幾らですか。
  258. 久保忠雄

    ○久保政府委員 日本の契約書に入っておりますのは輸送と組立費だけでございます。
  259. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 アメリカ側の負担すべき分は、この部分に関しては幾らですか。
  260. 久保忠雄

    ○久保政府委員 アメリカ側の負担します分が千九百二十四万六千四百五十ドルでございます。
  261. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 ちょっとくどいようですが、これを一機の単価に直しますと……。
  262. 久保忠雄

    ○久保政府委員 九十六万二千三百二十二ドルでございます。
  263. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 二十機ですよ。
  264. 久保忠雄

    ○久保政府委員 ええ、二十機の分でございます。
  265. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 二十機だったらそうならぬでしょう。おしまいに五がつきますよ。落ちついてやって下さい。
  266. 久保忠雄

    ○久保政府委員 九十六万二千三百二十二・五ドルでございます。
  267. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これを一機当たりの単価に直して幾らになりますか。今の二つを合算して。日本の負担分とアメリカの負担分は出ましたよ。
  268. 久保忠雄

    ○久保政府委員 日本側の負担分は、先ほど申し上げましたように、組立機として二十三機になっておりますので、その点は合わないと思います。
  269. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 ですから、それを二十三機でかまいませんが、二十三機で割って幾らになりますか。計算して下さい。僕の計算と合わないのだから。
  270. 久保忠雄

    ○久保政府委員 それじゃ全部二十三機として申し上げてみたいと思います。二十三機の……。
  271. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 二十三機はやめて下さい。機種が違いますから。DJとJでは大へんに単価が違うのですから、これを両方に分けていただきたい。二十三機はDJもJも同じであっても、これはやはり分けて説明してもらいたい。
  272. 久保忠雄

    ○久保政府委員 契約書の面は二十三機として単価が出ておりますが、二十機で見ますと、日本側の負担分が、ドルで申しまして総額五十五万三百三十一ドル、これを一機当たりの単価に直しますと二万七千五百十七ドル。それから米側の分は、先ほど申し上げた通りでございます。
  273. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 合算して幾らですか。
  274. 久保忠雄

    ○久保政府委員 合算をいたしまして千九百七十九万六千七百八十一ドルでございます。これを二十機で割りますと、九十八万九千八百三十九ドルということになります。
  275. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 そこでF104Jの組立費は、これと同じなんですね。
  276. 久保忠雄

    ○久保政府委員 先ほど申し上げたように、Jの三機の組立費は、DJと同じになるわけでございます。
  277. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 ナサールは入っていますか。
  278. 久保忠雄

    ○久保政府委員 ただいまのJ三機には入っております。
  279. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 アメリカの負担分のJ三機の単価、並びにナサールの値段を聞いておきたい。
  280. 久保忠雄

    ○久保政府委員 ただいまの御質問に対しましては、先般の七千五百万ドルの詳細な内容になりますので、公表を差し控えるということになっておりますから、ナサールの単価は申し上げられません。
  281. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 話が違うじゃないですか。あなたははっきりこの間出すと言ったでしょう。陰でごとごと言ってもだめですよ。委員会で審議したことは委員会できめなさい。出すと言ったものがどうして出せないのですか。
  282. 久保忠雄

    ○久保政府委員 先般お出しすると申しまして、その翌日に委員会の席で、私言葉が足らなくて申しわけございません、米側と折衝しました上で、向こうの同意が得られたら出すと、これは長官からもそういうふうに申し上げたと思います。
  283. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 その場合にどういうふうな結末だか、あなた知っていますか。審議の結末はどうなったか。しかも、あなたの方から出なくなったからということを自発的に言われたならばまだいいのですが、山田長司君から聞かれまして、あわてて答えたのがあの答弁でしょう。私は、これはあなたの答弁と思っていない。藤枝長官答弁と思っているのです。それには、本日はお見えになっておりませんが、山村委員長の私に対する、御忠告ともつかないことが非常に問題になると思います。これは非常に重大なものですから。藤枝長官は高くなっておる。私は安くなっておる。どう見ても、赤城元長官の発言に従いますと、今の単価は安くなっているはずなんです。事が重大ですから、この単価をはっきりしていく必要がありましてあの資料を要求した。その前にこの委員会で、私山村委員長から注意を受けているのです。それは十六日のこの委員会で、「初めの三機というのはどういう意味なんです。」と言ってアメリカの訓練機を質問した場合に、山村委員長が、「事務当局からお答えになったらどうですか、こまかいことですから。」こう言う。私は、「長官から聞きます。」と言った。山村委員長は、「また間違ってもいけませんから、事務当局からはっきりお答え願います。」と言って、あなた答えているのでしょう。長官が間違ってはいけないから、委員長の注意によって間違わない答弁をあなたがお出しになれば、私はむしろ長官以上の確実さがあると思って信用した。それが一日たって出すように努力します。たったら出せません。これで一体審議が進みますか。
  284. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 アメリカ側の負担の七千五百万ドルにつきまして、詳細の内訳を示せという御要求でございまして、私装備局長の意の足りなかったところを補足いたしまして、米側と十分な打ち合わせをいたしまして、できるだけ御審議にお役に立つように努力をいたしたいとお答えを申し上げ、早速米側と折衝をさせたわけでございますが、御要求のような内訳については、発表を差し控えるようにということでございます。この理由といたしますところは、御承知のように104関係につきましては、西ドイツ、カナダ、イタリアその他の数カ国が生産をいたしておるわけでございまして、これらの諸国との関係もあるので、公表は差し控えてもらいたいということでございますので、こうした国際的な関係もあるということでは、せっかくの委員会の御要求ではございますが、やむを得ないかというふうに考えておる次第でございます。
  285. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 私は、この問題できょうはももうというのじゃなかったんです。できるならば誠意のある答弁を聞きまして、赤城元長官藤枝長官との食い違いをただしたかった。そのためには、どうしても私はこのノックダウンの数、特にアメリカにおいて生産される航空機の価格の変動について、非常な疑いを持たざるを得ない。従って、防衛庁がチェックされておると言うのですから、この価格の点だけでも聞きたいと思ってやったんですが、審議の一番最初からこの通り停滞します。しかも、新三菱とロッキードは契約をしているのですよ。国際問題というものは、一ロッキード社の利益を守るために、国民の疑惑を解く自由さえ持たないのですか。単なる外交じゃないのです。ロッキード社と新三菱との純利益五%幾らを見るところの営利行為です。その会社の段階では秘密じゃないものが、どうして国会においては秘密なんです。われわれの権威というものは、新三菱会社に劣るものなんですか。その点はどうですか。
  286. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 しばしば申し上げておりまするように、との七千五百万ドルの米側負担の予算の執行でございます。ロッキード社がどうであるとか、新三菱の秘密とか、そういうものではございませんで、アメリカといたしましては、日本以外の他の諸国についても、この104の製造について、あるいは援助をしその他やっておるわけでございます。従いまして、そうしたアメリカの、日本についていえば七千五百万ドルのその執行の内容を詳細に発表いたしますることは、他の諸国との関係もあり、やはりこれは差し控えたいという意味でございまして、決してロッキード社がどうというような意味ではございませんことを申し上げたいと思います。
  287. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 それくらいのことはわかっているんじゃないですか。しかもロッキード社は他の国々との関係もあるから、今ごろになってアメリカが困るなんというのは、どうも私は受け取れない。しかも藤枝長官答弁が怪しくなりますよ。これはアメリカ政府がロッキード社に与えたものだ、ロッキード社にやったものだと、こう言うのです。すでに日本との契約のときに七千五百万ドルはきまっている。いわばロッキード社のものではないですか。このロッキード社がアメリカ政府から受け取った七千五百万ドルをどういうふうに日本が受け取って、七千五百万ドルに相当するものが来るか来ないか。これを予算委員会で調べるのはこれは当然じゃないですか。それが新三菱とロッキード社との間にいろいろな契約が取りかわされる。あなたがこの前に言った通り防衛庁はちゃんとチェックしている。大浦さんは向こうへちゃんと行っているでしょう。そうじゃないですか。
  288. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 先般お答え申し上げましたように、防衛庁の職員等が、これらを、チェックする者は行っております。従いましてその内容は私どもはわかるのでございますが、これをただその七千五百万ドルにつきまして、アメリカ政府予算の執行について詳細な発表をしてもらうことは差し控えたいというのが米側の意向でございます。
  289. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 簡単に七千五百万ドルと申しますけれども予算の上において非常に大きな比重を占めておりますロッキードの購入資金に関して、二百七十億という莫大な額が不明朗なままで扱われることにはとても了承できません。発表ができないというならば秘密会を開いて下さい。秘密会で承りましょう。私はそれができるまでは審議は進められません。委員長でお扱い願いたい。
  290. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 先ほども申し上げましたように、先ほど装備局長がお答え申しましたように、たとえばDJ二十機分についてはどれだけの負担をするかというようなことはお答えを申し上げられるのでありますが、その一つ一つのアイテムについて、それが何台分で、単価がどれだけだというような御要求のような資料につきましては、各国との関係もあるから発表を差し控えたいということでございます。
  291. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これは単価の積算の基礎が狂いますから、今言ったように、秘密会でこの資料を要求して出していただくまでは、とても予算の審議はできません。――それでは、資料も出ないようですし、このような資料がなければとうていこの予算の審議は進みませんから、山村委員長の前の発言もありますし、私は一たん保留いたします。二十八日にあらためてこれを続けたいと思います。
  292. 保科善四郎

    保科主査代理 横路節雄君。
  293. 横路節雄

    横路分科員 きのうの質問の続きをやるわけですが、防衛局長お尋ねしますが、ナイキ・アジャックスを装備しているというか、それとナイキ・ハーキュリーズをアメリカから供与を受けておるそれぞれの国、あるいは海外に持っておるアメリカのそれぞれの構成といいますか、そういう点について、きのうの質問をするのに、いきなり長官にどうだと聞いてもあれだから、まず一つ間を置いて、その点について一つお尋ねしておききたい。
  294. 海原治

    海原政府委員 現在ナイキ・ハーキュリーズを装備しております国は、先般の内閣委員会でもお答えしたと思いますが、ヨーロッパ諸国、すなわちドイツ、イタリア、トルコ、ノルウエー等十数カ国ございます。極東におきましては、台湾がナイキ・ハーキュリーズです。韓国にも近くハーキュリーズが装備されようとしておる、こういうことを申し上げております。詳細の国の細部につきましては、あとで手元の資料を調査いたします。現在アメリカにおきましても、昨日申し上げましたように、これはロケット・アンド・ミサイルというその方面の権威ある雑誌の記事でございますが、現在アメリカには約百七十個中隊ナイキ・アジャックスの部隊がございます。この百七十個中隊のうち六十八個中隊は、やがてナイキ・ハーキュリーズに置きかえられるだろう、こういうことが一番新しい記事として載っております。
  295. 横路節雄

    横路分科員 今防衛局長から答弁されたのをみてわかるように、私がきのうナイキ・ハーキュリーズを導入することは、あるいはナイキ・ハーキュリーズを装備することは憲法違反かどうかと聞いているわけです。何も仮定ではないのですよ。去年私がこの委員会で、あるいは予算の全体会議で聞いたのは、自衛隊が核武装することは憲法違反かどうかと聞いた。その場合には、前の西村長官から、きのう藤枝長官が御答弁なったように、憲法第九条は、いわゆる自衛権は認められておるんだ、従って自衛権を行使するための最小限度の自衛力は認められているんだ、だから、もしも将来純然たる防御用の核兵器というものができるならば、それは憲法違反ではない、こう言っておる。私どもも、去年私のお尋ねしたのは、自衛隊が核武装することは憲法違反かどうかと聞いた。ところが、ナイキ・ハーキュリーズを装備することは憲法違反かどうかということは、決して仮想ではない。今防衛局長答弁したように、何と言っている。西ヨーロッパの国は、ドイツ、イタリア、トルコ、ノルウェー等十数カ国だ、全部ナイキ・ハーキュリーズだ。沖縄はナイキ・ハーキュリーズなんだ、台湾はすでに装備している、近く韓国にも装備すると言っている。これはもう仮定の問題ではないのです。だから、私はあなたがどっちへ答えられようと、それはあなたの御自由です。しかし、きょうここできのうと同じような答弁を繰り返されることは初めからお断わりしておきます。しかし、もしもそういうお答えが続くならば、第一分科会防衛庁予算の審議はいつまでたっても終わらないです。きょうはまだ二時四十分ですから、何時間同じことを繰り返して聞いてもいい。これが、世界の各国はナイキ・アジャックスなんだ、だからナイキ・ハーキュリーズについては御心配要りません、こう言うのならいいけれども、西ヨーロッパの諸国には、十数カ国全部ナイキ・ハーキュリーズなんだ。台湾しかり、近く韓国しかり、沖縄にはすでに、ナイキ・ハーキュリーズはそれぞれ装備されている。こういう点からいって、長官がどうお答えになられようと、それは長官の御自由ですが、あさっての答弁をされた分には、何べんでも同じことをお尋ねいたします。おそらくきのうは首脳部お集まりになられて御相談されたことであろうと思うので、ぜひ一つきょうは、しっかりした御答弁を願いたい。
  296. 海原治

    海原政府委員 ただいまの私の御説明で、ナイキ・ハーキュリーズを持っておる国は、と申し上げて、数カ国の名前をあげたのでございまして、その中に、たとえばドイツ等はハーキュリーズとアジャックスとを併用いたしております。もう一度申し上げてみますと、ナイキ・ハーキュリーズを持っておる国は、一応私の手元の資料によりますとイタリア、デンマーク、ノルウェー、フランス、ベルギー、オランダ、西独、トルコ、台湾、ギリシャ、こういう国々でございまして、このうち、私の記憶が正しければ、数カ国はアジャックスとハーキュリーズとの両方を持っております。従ってハーキュリーズだけというようにおとりになったかと思いまして、あえて補足いたしたわけであります。
  297. 横路節雄

    横路分科員 防衛局長、だから私はなお心配して聞くのですよ。もともと発射機ランチャーは、ナイキ・アジャックスとナイキ・ハーキュリーズとの両方を発射できるものなんだ。両方併用できるものなんだ。しかもこれは国産ではない。アメリカに全部供与を期待しているんだ。だから今あなたが言っているのは、なお悪いんだ。ナイキ・アジャックスとナイキ・ハーキュリーズと両方使用するんだ。なお悪い。両方装備しているんだと言う。この十一月から東京周辺に置かれる一個大隊について、ナイキ・アジャックスだが、これはナイキ・アジャックスと、核弾頭つきのナイキ・ハーキュリーズと併用のものなんだ。だから私は、今日自衛隊がナイキ・アジャックスを持つことは憲法違反かどうかと聞いておる。だから、あとはいいですよ。今度は長官だ。この段階にきたら、一局長の答弁じゃないです。長官ですよ、憲法違反かどうかということなんだから。
  298. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 最初から、きのうと同じような答弁ならお断わりだということでございますが、私はまた繰り返して申し上げるほかは、実はないのでございます。すなわち、私どもは核弾頭をつけた核装備はしないという前提に立っていろいろな計画を立てておるわけでございます。従いまして、法理論のいろいろな問題はございましょうけれども、核武装はしないという、この厳然たる方針を踏襲していく。また、これは横路さん先刻御承知通りでございまして、原子力基本法等も、原子力は平和的な目的にのみ使われるということに相なっておる、こういうこともございます。従いまして、個々の、一つ一つがこれは憲法違反か違反でないかという、具体的な一つ一つをあげまして、憲法の条章に照らしてどうかということではなくて、核装備はしないという、この観点に立ってやっておるわけであります。従いまして、今後の誘導弾等についても、あえてナイキ・アジャックスを入れることにいたしましたのも、そのような配慮を入れてやっておるわけでございます。現在の計画におきまして、どこまでもアジャックスで参りたいというふうに考えておる次第であります。
  299. 横路節雄

    横路分科員 それでは長官、今あなたの答弁で、私たちは核弾頭を持たない、核装備をしないということはわれわれの方針だ。そうすると、その方針だということは、どういうことなんですか。核弾頭を持っても憲法違反でないが、方針としては持たないというのか、それとも核装備をすれば憲法違反だから、方針として持たないというのですか、どっちなんですか。
  300. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 先ほど御指摘もありましたように、純然たる防御のみの核兵器があり得た場合に、それが法理論的に、憲法に触れるということにはならないという法理論はございます。しかしそれはそれといたしまして、核装備を日本はいたさないという政策をとるわけでございます。
  301. 横路節雄

    横路分科員 藤枝長官答弁は、きのうより大幅に前進した。私は今のあなたの答弁をそのまま書いているんですよ。これはここで一間一答でやるのですから間違いないと思うが、あなたは今こう言った。純然たる防御のみの核兵器があり得るとすれば、それは法理論的にも憲法には触れない。あなたはそう言いましたよ。私はそのまま書いてあるのだから、速記と間違いがない。純然たる防御のみの核兵器があり得た場合には憲法違反ではない、しかし政策としては持たない。それでは一つお尋ねしますが、ナイキ・ハーキュリーズ攻撃用の核兵器ですか、防御用の核兵器ですか、その点はどちらなんですか。
  302. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 ハーキュリーズについて、われわれはこれを導入する計画を持っておりませんので、詳細な性質等をつまびらかにいたしておりません。ただ観念的に言えば、おそらく防御的なものであると存じます。しかし個々のハーキュリーズそのものが、はたして私どもの申し上げる純然たる防御用と言えるかどうかということについては、われわれは性能を明らかにいたしておりませんので、そうした具体的な問題について一つ一つ、これはどう、あれはどうということを申し上げることは差し控えたい、こういうことであります。
  303. 横路節雄

    横路分科員 ますますあなたの答弁は悪くなりましたね。ナイキ・ハーキュリーズについては、おそらく防御的なものだろうと思うが、しかしよくその性質はわからない。今あなたは、ナイキ・ハーキュリーズについてはその性質はよくわからないが、観念的には防御的なものである、こう、言ったね。そうすると、最初に言った純然たる防御のみの核兵器があり得た場合には、それは憲法には触れない。二つ合わせてごらんなさい。もう一ぺん言いますよ。さきの答弁は、純然たる防御のみの核兵器があり得た場合には、それは憲法には触れない。その次、ナイキ・ハーキュリーズに触れて今の答弁は、ナイキ・ハーキュリーズの性質は、導入しようと思わないからよくわからないが、しかし観念的には防御的なものである、こう答弁した。この二つを合わせてごらんなさい。ナイキ・ハーキュリーズを持つことは憲法違反ではない、しかし政策的には持たない、こういうことになったわけですね。あなたがおっしゃったのを私は書き違いはないですよ。だから、そこを御訂正なさるのですか。
  304. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 訂正は申し上げません。観念的には防御的なものと思われるということだけでございまして、その性格を明らかにいたしておりません。前のは、純然たる防御的なものがもしありとすればと申し上げたので、、今の横路さんのお得意の三段論法に、多少瑕疵があるのではないかと存ずる次第であります。
  305. 横路節雄

    横路分科員 それでは一つ自衛隊について、自衛隊の本質について意見をいろいろ述べてみたいと思います。  それじゃ、わが国の自衛隊、陸上自衛隊航空自衛隊海上自衛隊は攻撃的なものですか、それとも純然たる防御的なものですか、それとも攻撃と防御を兼ねたものですか。わが国の陸上自衛隊航空自衛隊海上自衛隊の性質はどうなんですか。
  306. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 わが国の自衛隊の性格は、あくまでも防勢的なものでございます。
  307. 横路節雄

    横路分科員 それじゃ一つ、あなたにお尋ねしますが、自衛隊はあくまでも防御的なものでしょう。そこで、それならば、兵器で、攻撃的な兵器というのは何をさすのです。何を攻撃的な兵器とさし、何を防御的な兵器とさすのです。防衛庁長官のお考えを一つ承りたいです。何を攻撃的な兵器といい、何を防御的な兵器というのですか。
  308. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 一つ一つの兵器が、どれが攻撃、どれが防御というようなことではございませんで、自衛隊の性格は、あくまでも防御的な、防勢的な性格であると申し上げるわけです。
  309. 横路節雄

    横路分科員 私が聞いているのは、兵器について聞いているのですよ。前に木村篤太郎という防衛庁長官は、ここで明らかに言っているです。攻撃的な兵器とは何か、防御的な兵器とは何かと、こう言っているのです。これは言ってもらわなければならないです。いやしくも陸、海、空の三軍の司令官たる防衛庁長官が、何が攻撃的な兵器で、何が防御的な兵器だかわからぬというようなことはだめですよ。何だったら、あしたまで待ってもいいですよ。長官、それはだめですよ、木村篤太郎さんでさえ、ここで言っている。あのお年寄りですら……。それはだめですよ。
  310. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 一つ一つの兵器でなくて、結局他国に脅威を与えるようなもの、これは攻撃的といえると思います。
  311. 横路節雄

    横路分科員 具体的に、言って下さい。私も幾分か兵器の種類は知っているのだから、具体的に言って下さい。他国に脅威を与えるような兵器とは何か。――では装備局長一つ答弁してもらおうかな。――やはり長官ですね。
  312. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 おそらくICBMのごときは攻撃的兵器と申せると思います。
  313. 横路節雄

    横路分科員 それじゃ、一つ一つ聞いていきましょう。IRBMはどうですか。
  314. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 IRBMにおいても同様だと思いますが、その他の、おそらくこれから御質問なさるだろうと予想できまする種類につきましては、あくまでも、先ほど申し上げましたように、他国に脅威を与えるような兵器という概念で考えるべきだと考えます。
  315. 横路節雄

    横路分科員 それでは具体的に聞きます。航空自衛隊は爆撃機を持つのですか、持たないのですか、将来は。
  316. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 爆撃機を持つ計画はございません。
  317. 横路節雄

    横路分科員 これは、爆撃機は攻撃機だから、攻撃の兵器だから持たないのでしょう。これはどうなんです。
  318. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 爆撃機を持つということが他国に脅威を与えるようなおそれもあります。そういう面もありまして、爆撃機を現在備える計画を持っておりません。
  319. 横路節雄

    横路分科員 そうすると、結局攻撃用の兵器とは、他国に脅威を与える、直接他国の上空、他国の領空、他国の領土、他国の領海、こういうもののそれぞれの地点に対して、それぞれの地物、そういうものに脅威を与える、そういうものは攻撃用の兵器なんでしょう。もう一ぺん申し上げますよ。他国の領空、領土、領海、そういうところに対して、それぞれの地物、土地なり建物なり、それぞれの兵器なり、人間なり、こういうものに直接に被害を与えるようなものは攻撃用の兵器なんでしょう。その点どうなんです。
  320. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 さような地点に対しまして脅威を与えるようなものは攻撃的と考えられます。
  321. 横路節雄

    横路分科員 それではあなたにお尋ねしますが、ナイキ・アジャックスにしても、ナイキ・ハーキュリーズにしても、これは他国の領空、領土、領海に対してそれぞれ脅威を与え、それぞれそれらの地物その他に対して被害を与えるようなものなんですか。ナイキ・ハーキュリーズになれば、東京周辺に置いてあるナイキ・ハーキュリーズは、日本海を越えてどこまで飛んでいくのですか。これはどういう性能を持っているのですか。まずそれでは長官お尋ねします。これはこれからの一番大事な点なんだから……。ナイキ・ハーキュリーズについては、高度どれだけ、距離はどれだけ、どういう性能を持っているのですか。
  322. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 ある種のデータはございますが、先ほど来申し上げましたように、ハーキュリーズは導入する計画がございません。従いまして、その性能をつまびらかにいたしておりません。ただいまお話のような点につきましては、なお置かれる場所その他もあろうかと存じますが、従いまして、私は、ハーキュリーズを持つことが憲法違反である、あるいはない、こういう断定を下す段階でないということをしばしば申し上げておるような次第でございます。
  323. 横路節雄

    横路分科員 藤枝さん、お互いに国会の場で私はこういうことは言いたくないのですがね。何で一体そんなにアメリカに気がねをしているのですか。なぜアメリカに気がねをするのですか。日本の国会の論議で、ナイキ・ハーキュリーズを持つことは憲法違反ならば違反だと、なぜそうはっきり言わないのですか。重ねて言いますよ。私は何も三段論法で言っているのではないのです。あなたの御答弁は、純然たる防御のみの核兵器ありたる場合には憲法違反ではない、ナイキ・ハーキュリーズについては、導入する計画はないが、その性質はよくわからないが、観念的には防御的なものである。ここから推したら、明らかに、ナイキ・ハーキュリーズは観念的には防御的なものだ、従って憲法違反ではない、こういうことになるじゃありませんか。このことは、私が今ここで言っておることは、何もあなたを攻撃したり、防衛庁の幹部諸君を攻撃するために言っているのではないのです。防衛庁が、ほんとうに将来にわたって自衛隊の核武装をしないというならば、なぜここではっきりと、ナイキ・ハーキュリーズは核弾頭がついているということがはっきりしているのだから、ナイキ・ハーキュリーズについては、核弾頭がついているから、従って自衛隊の核武装は絶対しない、それは憲法違反だからしないのだ――これではまるでアメリカ側にいい口実を与えて、いつでもいらっしゃい、もう三年か四年か五年したらいらっしゃい、私の方は憲法違反ではない、こういう断だけしておくから、いつでも入れても文句はございませんよ、こういうことになるではありませんか。それとも、核武装するのだという腹がまえなのか。私がこういうことを申し上げるのは、こういう機会では失礼ですが、なぜこのことについてはっきりと言い切れないのです。私は従来、自衛隊の核武装は憲法違反かどうかと聞いたが、今は具体的にきのうから聞いているのです。具体的に聞いているのです。ナイキ・ハーキュリーズを持つことは憲法違反かどうか。政策的には持たないというならば、その政策的には持たないという根拠のよりどころとして、憲法違反だから持たないならば持たないと、こういう点をはっきりしなければ、憲法違反ではないのだ、当分政策的には持たないのだということになると、それは国民に対しては疑惑を残すままになるわけです。藤枝さん、そんな回りくどいことを言わないで、たまには憤然と言い切ったらどうですか。第二次防衛計画でナイキ二個大隊を持ってくる、ホーク二個大隊を持ってくる、いよいよナイキ、ホークの時代だ。こういうときに一体どうなるのかという国民の心配を解くためには、ここで決然と長官から、憲法違反だから持たない、こういうようにおっしゃっていただくことが、国民の疑惑を解く道です。重ねて一つ答弁して下さい。
  324. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 先ほどから申し上げますように、核兵器のすべてが憲法違反とまで言い切るのは行き過ぎではないか、そして純然たる防御のための核兵器というものがあり得るならば、それは法理論的には憲法に触れるものではないということを申し上げておるわけでございます。従いまして、別にアメリカに何も気がねをいたしまして違反であるかないかということを申し上げておるのではないのでありまして、核弾頭を装備いたしましたハーキュリーズというものの性質等も十分に把握をしておらないのでございます。従いまして、これが直ちに違反になるかならぬかということを申し上げるのは早計ではないか、しかし、それとは別に、あくまで自衛隊は核武装をしないという、この確固たる方針というものは長く維持されるものでございます。また、これも申し上げるまでもございませんけれども、原子力基本法等によりましても、核は平和目的にのみ使用されるということが明記されておるわけでございます。それらをあわせ考えまして、核弾頭をつけたハーキュリーズというものにつきましては、この核武装をしないという観点からいたしまして、導入は絶対にいたさないというふうに申し上げるわけでございます。
  325. 横路節雄

    横路分科員 今の藤枝長官答弁は、たくさん重大な問題を残しています。今あなたは、核兵器のすべてが憲法違反だと言い切ることは間違いだ、純然たる防御的なものは憲法違反ではない、こうおっしゃったわけです。あなた方は憲法解釈について、防御的な核兵器を持つことは憲法違反ではない、しかも先ほどあなたは、ナイキ・ハーキュリーズについては研究していないというが、もしもこれが事実ならば、これは大へん防衛庁ですよ。長官御存じないかもしれないが、防衛庁のそれぞれの機関においてはナイキ・アジャックスなりナイキ・ハーキュリーズなり、その他については十分検討しているわけです。また検討していなければおかしいのです。ナイキ・ハーキュリーズについては、よく性質はわからぬが、観念的には防御的なものだということになれば、あなたの解釈からすれば、ナイキ・ハーキュリーズを持っても憲法違反ではないということが言えるわけです。だから、あなたの、核兵器のすべてが憲法違反だと言うことは間違いだ、純然たる防御的なものは憲法違反ではない、ハーキュリーズの性質についてはいろいろ検討中だが、観念的には防御的なものだ、こうなってくれば、ナイキ・ハーキュリーズを持つことは憲法違反でないということと同じになるのですよ。違いますか、違わないでしょう。何時間でもやりますからね。違ったら違ったでいいのです。私はあなたのおっしゃることを一々書いておる。あなたもしゃべることを気をつけて言って下さい。決してあげ足をとるわけではありません。
  326. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 私の申し上げておるのは、核弾頭をつけましたハーキュリーズのその性質、威力等について、十分な詳細な調査がまだできておりませんということを、一方において申し上げておるということを申し上げております。それからただいまおあげになりましたように、核弾頭をつけましたナイキ・ハーキュリーズが、私どもが法理論上許されると申し上げております、純然たる防御的なものであるかどうか、この点についてはもっと詳細をきわめませんと、これをにわかに断定をいたすことは早計ではないか、こういうことを申し上げた次第でございます。
  327. 横路節雄

    横路分科員 だいぶ変わりましたね。だいぶ答弁が変わりましたよ。今あなたはこう言ったのですね。核兵器ハーキュリーズの威力、性質については、詳細な調査はできていない、核弾頭つきのナイキ・ハーキュリーズが純然たる防御的なものであるかどうかは、まだ断定することは早計だ、こう言っておられる。これは先ほどのあなたの答弁と違うじゃありませんか。一つずつ違ってくる。違うのですよ。あなたは、観念的には防御的なものである、こう言っておる。ナイキ・ハーキュリーズについてそう言っておる。あなたがそんなにがんばるなら、会議をストップして、この速記ができるまで待ってもいいのですよ。それに長官、私どもの立場からすれば、攻撃的なものであり、核弾頭つきの兵器を持つことは憲法違反だ、どういう建前に立っておるのですよ。池田自民党内閣としては、防御的なものであるならば核兵器を持っても憲法違反ではないんだ、こういうように言うならば、それは池田自民党内閣の方針として私どもは承って、次に移りたいと思う。その点なんですよ。私どもが、防御的なものである核兵器を持つことは憲法違反だということで、私がなんぼあなたを説得しようとしても、あなたは、そうでございましたか、今までの考えは違いましたなんて言うわけがない。だから私どもは、あなたが、そうではないんだ、防御的な核兵器を持つことは憲法違反ではないんだ、これが池田自民党内閣の方針だ、あなたの方でそう主張なさるのであれば、それはそのまま承って次に移りたいと思う。まずこの点を明らかにしておきたいと思うのです。
  328. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 たびたび申し上げますように、純然たる防御的な核兵器というものがあり得るとすれば、それは法理論的には憲法上許されるものと考える。これはしばしば申し上げておる通りでございます。ただそれとは別に、核武装をしないという確固たる方針というものは、これまた不動のものであって、従って今後といえども、核武装はしないということを申し上げておる次第でございます。
  329. 横路節雄

    横路分科員 それでは、この問題はこのままの答弁では、われわれ納得できない。しかし、納得できないからといって残余の質問を進めないこともどうかと思いますから、質問を進めますが、先ほどあなたの答弁で、ナイキ・ハーキュリーズのいろいろな性能については、ただいま調査はしていないというのか、調査中だというのか。そこで恐縮ですが、火曜日二十七日は、こういうこともあるであろう、こう考えまして、第一分科会では、二十七日は残余の保留した質問にとってあるわけです。だから、二十七日は、この所管である大蔵大臣、あるいは防衛庁長官、官房長官あるいは総務長官、こういう人々にまたおいでをいただいて、ここで重ねて保留した質問についてわれわれはお尋ねもし、答弁を承ることになっているので、ナイキ・ハーキュリーズについての性能、それが攻撃的なものか防御的なものかは、ここでお答えができないというならば、二十七日、火曜日の十時から始まるこの委員会で、ナイキ・ハーキュリーズは攻撃的なものであるか防御的なものであるか、その点については防衛庁検討して、足りないところがあるならば、アメリカの軍司顧問団がいるんだから、軍事顧問団と相談をして、午前十時にここではっきりと、ナイキ・ハーキュリーズが攻撃的なものか、純然たる防御的なものか、その点については御答弁をいただきたいと思う。きょうは土曜日ですから、土、日、月と三日あるから――この間私の方で、ここで、ガリオア・エロアについて、政府の方ではどうしても出せないと言うから、出さなければ、三月一日、二日に予定している総括質問をやらない、こう言ったら、アメリカ局長は、アメリカ大使館からワシントンに問い合わせをして、土曜日までに出すということになっているということで、先ほど連絡したら、アメリカでも出すということになって、今晩の十二時までに全部、数量、金額、品目について出すということになった。わざわざアメリカ大使館はワシントンにまで問い合わせをして、そうして出すことにきまっているんだ。まして、軍事専門家がたくさんいらっしゃる防衛庁で、長官御存じないかもしれないが、さっそく省議を開いて、足りないところは軍事顧問団を呼んで、ナイキ・ハーキュリーズが攻撃的なものか防御的なものかは、二十七日十時からの委員会で一つ答弁をしてもらいたい。長官どうですか。
  330. 海原治

    海原政府委員 先ほど長官から、ナイキ・ハーキュリーズの威力という意味の性能については防衛庁調査ということを言われたわけですが、ナイキ・ハーキュリーズにしろ、ナイキ・アジャックスにしろ、弾体の持っております破壊力と申しますか、通常はいわゆる威力という言葉で表現されると思いますが、こういうものは高度な近代的兵器の効果でございますので、常識で申しますと、これは電車機密に属することでございます。私どもがかりにナイキ・アジャックスを導入いたしますと、これは先生御存じのように、米国からの援助を受けて日本に持って参ります装備品に関する秘密を保護する法律がございます、これによって当然保護されるものでございますので、先ほど長官が申されました、防御的兵器であるか攻撃的兵器であるかという点の判断としての性能ということになりますと、これは、私が今申しました威力、破壊力でございます。それにつきましては発表ということはおそらくあり得ない、こういうふうに私は感じております。ただ、一般的な性能といたしましては、昨年の内閣委員会におきましても申し上げてございますが、アジャックスは、これも一応私どもの持っておる資料でございますが、これによりますと、ナイキ・アジャックスの射程は二十五マイル、四十六キロであります。射高が六万フィートまで、約十八キロであります。速度は二・五マッハ、全備重量が一千四十三キロ、全長は九・五メートル、三十一フィート、直径が〇・三メートル、十二インチ、ハーキュリーズにつきましては、同じような順序で申し上げますと、射程は七十五マイル、これはノーティカル・マイルでございますので、キロに直しますと約百三十九キロ、射高、これは十五万フィートまで飛ぶ、四十五キロでございます。速度はマッハ三以上ということになっております。全備重量が四千五百三十六キロ、全長十一・九メートル、直径が〇・八メートル、以上が私ども承知いたしております一般的な性能としての所見でございます。
  331. 横路節雄

    横路分科員 防衛局長、今あなたのあとの方のことはあとの方の発表として、われわれお聞きしておきますが、最初の話、もう一ぺん言ってもらいたい。何ですか。軍機秘密保持の立場から、破壊力についてはここで発表はできない、それは国内法のどこできまっていますか。
  332. 海原治

    海原政府委員 私が先ほど申し上げましたのは、具体的に申しますと、弾体が打ち上げられまして、目標のどの付近まで行ったならば爆発するかという意味の破壊力、殺傷力等は、一般的に申しまして、それは近代的な兵器の一番大事な性能でございますから、常識的に申しまして、そういうのは軍事機密になっておると考えます。従いまして、そういうものは一般に公表できないのではないかと私は感じます、こういうふうに申し上げた次第であります。
  333. 横路節雄

    横路分科員 局長、あなた、法律できまっていると言われるから――さっきあなたはそういうふうに言いましたよ。法律できまっていると言うから、私はそういうことについては了解していないから、一体、ナイキ・ハーキュリーズその他について、国内法の何でそういうことが言えないのか。国会を通じてそういうことが言えないようなものを何でアメリカから供与を受けるのか。私はここでさっと書いたんだが、あなたは先ほどたしか法律上と言っている。今あなたは常識上と言った。常識上言えないのであるならば――幸いうちの方の委員の諸君が四人いるから、一つここで採決をやってもらいたい。一体、常識上言えないなんということは言えない。主査、採決をやって下さい。――まだ私発言中だ。四人おるから、ここで採決をやって下さい。
  334. 海原治

    海原政府委員 私の説明が不十分で申しわけございませんが、二つのことを申し上げたわけです。最初は、一般的にそういうものは軍事機密に属する事項であろうということが一つ。それからナイキ・アジャックスが日本に持ってこられました場合には、先ほど申しました昭和二十九年六月九日に制定されました日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法、この第一条に、防衛秘密に関する定義がございます。「この法律において「防衛秘密」とは、左に掲げる事項及びこれらの事項に係る文書、図画又は物件で、公になっていないものをいう。」ということで、アメリカから供与されました装備品等につきましての構造または性能その他の事柄が列挙されております。このナイキ・アジャックスに関します性能は、当然この法律に従いましての防衛秘密になるだろうということを申し上げた次第でございます。
  335. 横路節雄

    横路分科員 私は今ここで、ナイキ・ハーキュリーズについては攻撃的なものか防御的なものか、その点についてあなたたちの検討した結果の所見を承りたい、こう言っている。ところが、今あなたは、MSA協定による昭和二十九年六月九日のその法律をたてにとって、これは発表できないと言う。ますます怪しい。一体攻撃的なものか防御的なものかということについて、そういう総括的なことについてここで言うことまでが、MSA協定についての秘密保護に触れるのですか。そんなことは触れないでしょう。それを検討して、火曜日の午前十時からの保留した質問に、攻撃的なものか防御的なものか、軍事顧問団の諸君その他とよく相談して、ここで答弁するのは当然じゃありませんか。局長そうでしょう。それでも絶対できないというならば、それ見たことか、防衛庁はこれまた秘密主義で、これは攻撃的なものだ、こうなるのですよ。長官、そうでありませんか。その点については総合的な判断の上に立っておやりになればよい。
  336. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 防衛局長がお答え申し上げましたのは、先ほど私も申し上げたように、核弾頭をつけたハーキュリーズの威力と申しますか、破壊力と申しますか、そういうものについて詳細をきわめておりませんと申したので、先ほどお尋ねのありますように、攻撃的か防御的かという問題につきましては、その破壊力と申しますか、威力と申しますか、そういったものも、これを判断する相当大きな要素に相なる場合が多いと思うのです。その威力、破壊力等について、おそらくそれは軍機に属するものがあるのではないかということを常識的に考えるということを局長が申し上げたわけです。従いまして、私ども、御要求でございますから、できるだけ調査はいたしますけれども、そういう問題があるということをあらかじめ申し上げたような次第でございます。
  337. 横路節雄

    横路分科員 ただはっきりしておいてもらいたいのは、二十七日午前十時からおいでをいただいて、ナイキ・ハーキュリーズが純然たる防御的なものか、それとも攻撃的なものか、そういう総合的なものについてはここで御答弁できるでしょう。その点はどうなんです。それは拒否なさるのですか。
  338. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 ただいま申しましたように、できるだけ調査はいたしますけれども、それを判断する大きな要素の一部に調査不可能な分がありますと、これを決定的に申し上げることができなくなるおそれもあるということを申し上げておるわけでございます。
  339. 横路節雄

    横路分科員 答弁するのですか、しないのですか。初めから拒否をなさるのか、そのときまで検討してできるだけ答弁するのか、その点はどうなんですか。
  340. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 もちろん御答弁は申し上げますけれども、その際に、そういう決定をする重要な要素においてアンノーン・ファクターがある場合もあり得るということをあらかじめ御了承をいただきたい、こういうことでございます。
  341. 横路節雄

    横路分科員 そういう了解は与えないです。これは純然たる防御的なものか、そうでないかということが、ナイキ・ハーキュリーズを持ったときに――あなたたちは純然たる防御的なものは憲法違反ではない、こう言うのだから、憲法違反ではない核兵器なのか。私はそんなばかなことはないと思うんですよ。憲法違反でない核兵器、憲法違反の核兵器というものがありようはずはないと思うけれども、しかし、あなたの方で、純然たる防御的なものだと言うならば、それは一つ、そうなのか、あるいは多分に攻撃的なものを加味しているのか、その点については御答弁いただいて、それについてまた私の方からただしたいと思うわけです。今まであなたが答弁されていた速記を、あなた御自身一つお読みになって下さい。私ももう一ぺん検討しますが、あなたの速記をどんなにつづっても、ナイキ・ハーキュリーズを持つことは憲法違反でない、こういう結論が出ますよ。  次に、防衛局長、きのう、あなたは、昭和三十九年度にはホーク、昭和四十一年度にはホーク、その二個大隊については、まず基本的な考え方としては、北海道に二個大隊を置きたい、この考え方の基本は、東京周辺にナイキ・アジャックスを二個大隊という考え方なんだが、もしもナイキ アジャックス一個大隊を大阪周辺とか北九州周辺とか、こういうところに置いた場合においては、北海道に二個大隊設置するホークについては、これは東京周辺に二個大隊を置きたい、きのうは、総括的にいえばそういう答弁でした。それは間違いないでしょう。
  342. 海原治

    海原政府委員 今先生は総括的に言えばとおっしゃいましたが、総括のなされ方でございますが、そういう考え方についてまだ若干細部の分かれた案がございます。しかし、そういうふうな方向で数案が検討されておるということが、私の申し上げた趣旨でございます。
  343. 横路節雄

    横路分科員 そこで、ホークの性能といいますか、その点について一つ御発表いただきたいと思います。
  344. 海原治

    海原政府委員 ホークの性能について申し上げますと、これも私の集めました資料によります。射程は三十五キロ、速力は二・八マッハ、全備重量が五百七十キロ、全長四・九八メートル、直径が三十五センチ六ミリでございます。こういうのが手元の資料でございますが、さらに別の資料によりますと、速力につきましては二・八マッハということのほかに、マッハ二以上という資料もございます。これは大体木の高さから上約四万フィートまでの間に効力を持っておる、こういうことになっております。
  345. 横路節雄

    横路分科員 ホークについても核弾頭付のものがございますね。
  346. 海原治

    海原政府委員 私ども調査の結果では、ございません。ただ、資料によりますと、スーパー・ホークというものが現在研究開発の過程にあるというふうに、先ほども申し上げましたロケット・アンド・ミサイルの年表には載っております。
  347. 横路節雄

    横路分科員 これは核弾頭付ですか。
  348. 海原治

    海原政府委員 核弾頭付でございます。
  349. 横路節雄

    横路分科員 北海道に一応あなたの方の、案として配置予定している二個大隊のホークについては、これは移動可能なんですね。ナイキについては陣地を固定している。ホークについては移動可能、従って、これは野戦部隊として配置されるのか、それとも、北海道でいえば、ちょうど中心になる札幌とか、あるいは千歳航空隊の周辺に配置されるのか、あるいはこれは低空用なんだから、稚内の周辺に配置されるというのか、こういう点についてはどうなんですか。
  350. 海原治

    海原政府委員 ホークは、今おっしゃいましたように、通常、野戦防空と申しますか、機動用のものであります。かつ、ナイキにつきましても、これは半可動と申しますか、セミ・モビールと申しまして、二十四時間程度の時間をかけますと移動が可能でございます。従いまして、完全に固定ということではございません。しかし、通常は、ナイキは一応固定した陣地、ホークは野戦防空というふうに分類はされております。  それから配置する場所は、北海道におきましては、今申しましたような性能でございますので、おそらくは方面隊直轄の部隊になろうか、これは私の試案でありますが、このように考えております。
  351. 横路節雄

    横路分科員 それでは、ナイキ、ホークにつきましては、とりわけナイキ・ハーキュリーズにつきましては、二十七日の十時から、検討された長官の御答弁に基づいてまたお尋ねをいたしたい、こう思っております。  次に、F104Jのことについては皆さんからだいぶ話があったわけですが、とりあえず北海道にまず一飛行隊が設置される。ことしは北海道をあげてF104Jの騒音対策で大騒ぎになるだろうと思うのです。そこで、今まで私たちが聞いておるところによると、きのう他の委員からお話があったかもしれませんが、騒音対策として補助金が十四億三千一地百万計上されている、そのうちで、教育施設が二十二、医療施設が四、こうなっておるわけですが、ことし一個飛行隊が設置される、このF104Jの中心になる北海道の千歳周辺の土地については、相当大きな問題になると思うので、これはどの程度学校の施設や医療施設について考えておるのか、その点一つ
  352. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 千歳につきましては、学校を八つと病院を一つ予定しておりますが、これは若干の地元負担を伴いますので、地元の地方公共団体の責任者の方と御相談申し上げないと、はっきりした実施計画はまだ立っておりません。一応の予算の積算の基礎になった予定でございます。
  353. 横路節雄

    横路分科員 経理局長、これは三年ほど前にこの千歳の隣にある恵庭の町に射撃場があって、第二航空団の射撃演習、その前にアメリカの航空隊の射撃でひどい被害が出て、御承知のように、調達庁の方でこれの被害賠償をしたわけです。ところが今ここでF86Dについても相当大きな被害を与えている。F104Jについては、射撃訓練をやるのかやらないのか僕はわかりませんが、しかしF104Jが飛ぶときには何もあえて千歳ばかりでなしに、その周辺も大きな問題になると思うが、そういう点についての配慮はどうなっているのです。
  354. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 これは千歳だけではございませんで、現在米軍が使っております飛行場あるいは自衛隊で使っておりますその他の飛行場についても共通の問題かと思いますが、ただいま申し上げました学校、病院等に対する防音関係の補助のほかに、直接被害と申しますか、騒音あるいは事故等によって直接被害が生じました場合におきましては、民法あるいは国家賠償法の規定によります損害賠償を行なわねばならぬと思っております。
  355. 横路節雄

    横路分科員 それでは、この問題はこの程度にします。というのは、今民法や国家賠償法の規定に従って費用の負担を弁償しなければならぬ、とこういうのですから。  そこで104Jについてはたくさん聞きたいのですけれども、今まで同僚委員・から聞かれていますから、次にバッジについて一つお尋ねをしたいと思うのです。  防衛庁ではことしアメリカへバッジ調査団を派遣をする、そうしてアメリカの軍司顧問団からはこのバッジの機種については大体四社ほどすでに選定では、またロッキードだとか何とかというような大騒ぎにならなければいいが、なぜならば、これは三百六十億かかるわけですから。この点について、まずバッジについてどういうようにことしの予算に組まれているのか、総額でどれだけかかるのか、アメリカの軍事顧問団から四機種ほど、四社といいますか、それぞれ選定されたようでございますが、その四社というのはどこなのか、そういう点について一つどなたでございますか、御答弁いただきたいと思います。
  356. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 三十七年度の予算として要求いたしておりますバッジ関係の経費を私から御説明申し上げます。  バッジに関する設計事務委託費として五千五百万円、それからこれは四名でございますが、外国出張旅費として二百六十万円、合計五千七百六十万円を要求いたしております。
  357. 横路節雄

    横路分科員 それから、軍事顧問団から四社ほど選定されたという点、それからバッジについては総額どれだけで、これはアメリカの有償供与であろうと思うが、その点の負担区分はどうなっているのか、この点について一つお答えをいただきたいと思う。
  358. 海原治

    海原政府委員 バッジ組織につきましては、一応二次計画構想を考えまして、今度の予算にその一部の費用が組み入れられておりますが、今先生のおっしゃいましたアメリカから四社の指定があったということは、事実と若干食い違いがございまして、実は私どもの方としましては、いゆわるバッジ組織としていわれております半自動警戒管制組織というものにつきましては、その内容につきまして十分な知識を持ち合わせておりません。従いまして顧問団の手を通じまして、日本においてこういう組織を設定するにはどのような、いゆわるウエポンズ・システムと申しておりますが、どのような防空体系の組織がいいかということについて各社にそれぞれ提案がございます、その提案をとった上で、それぞれの長所短所というものをいゆわる評価したものをくれないかということで先方に依頼をしたわけです。これにつきましてアメリカの方が私どもの方の依頼を引き受けまして、現在ゼネラル・エレクトリック、ヒューズ、マーチン、リットン等の会社がその案を検討しておるというふうに私は聞き及んでおります。なお、この会社につきましては、当初この四社でございましたが、さらに二社追加したものがあるとか、あるいは一社は辞退をしたとかいうような非確認の情報が入っております。現在、率直に申しますと、アメリカにおきまして、日本の防空体系組織としてどういうふうなシステムがいいかを、各社のそれぞれに特長がございますが、その特長を織り込んだものを提案させて、それを評価しておるということでございます。この結果が顧問団から私の方に参りました場合に、私どもの手であらためてそのそれぞれの案につきまして検討を加え、日本に必要な適当なものが大体見当がついたあとで、先ほど経理局長が御説明いたしましたような費用をもって、その程度の人数でもってアメリカに調査団を出す。その結果、現地でいろいろとまた各組織についての比較検討を行ないまして、その上で日本政府としてバッジ方式を採用するかどうかをきめようというのが、現在までに私どもが考えております段取りでございます。
  359. 横路節雄

    横路分科員 金額は。
  360. 海原治

    海原政府委員 金額につきましては一応計画上総額で約二百八十一億円程度、これに対しまして日本側は百六十五億円、アメリカ側が百十六億円程度というふうに考えておりますが、これの費用分担の細部につきましては、先ほど申しましたような具体的な計画がきまったあとでの折衝の問題と考えております。
  361. 横路節雄

    横路分科員 これは最終的にはいつきまるのですか。
  362. 海原治

    海原政府委員 先ほど御説明いたしましたような事情でございますので、的確にいつということは申し上げられませんが、私の判断では、おそらく米側の案が日本に参りますのが四月ごろではないか、それにつきまして一、二カ月をかけて十分検討せねばならないいとうふうに考えて参りますと、調査団の派遣は八月の前後になるのではないか。これはあくまで私の個人的な推測でございます。
  363. 横路節雄

    横路分科員 これは経理局長、設計事務費五千五百万というのはどういうのでしょうね。よその国から買ってくるものを、何も設計事務費というのは要らぬじゃないでしょうか。五千五百万円、しかも、これは国産でないんですよ。何のことかてんで見当がつかない。設計事務費五千五百万というのはどういうのでしょう。
  364. 海原治

    海原政府委員 今お尋ねの点に関連して若干補足いたします。米国各社の提案につきましては、それをどの程度国産できるかどうかという点も、またあらためて検討せられるわけです。その結果、設計事務としてその程度の金が要るであろう。これは見積もりとして、先ほど経理局長から申されたような経費を組み込んでございます。
  365. 横路節雄

    横路分科員 これはしかし、二百八十一億円のうち日本が百六十五億負担して、アメリカが百十六億、これは向こうの機械じゃないですか。これは国産をするのですか。そのうちの設計事務費五千五百万といえば、少なくとも五十億とか百億とかというようなものについて――普通は、設計事務費というのは八分をとるのでしょう。八分をとるということになると、何ぼですか。五千五百万の八分ということになると、七十億くらいのものは国産するのですか。これはどうなのです。
  366. 海原治

    海原政府委員 先ほど申し上げました米国の各社につきましては、それぞれ日本側においてこれに対応する会社がございます。従いまして具体的には、ある程度それぞれの会社におきまして、もし当該会社の案というものが採用されれば、一体どの程度のものが国産になるかどうかということにつきましては、ある程度の検討が進められておるように私は承知いたしております。ただ総額の二百八十一億円と申しますのは、このバッジ組織を全般構成いたしますための一切の経費を含んでございますので、いわゆる通常の通信、それぞれの個所への連絡のための組織であるとかいう金も入っております。従いましてとの内訳につきましては、私手元に現在持ち合わせがございませんので、はたして五千五百万円で足りるかどうかという点につきましては、私としましてはこれで一応当初の設計概案的なものができるのじゃないかというふうに考えております。
  367. 横路節雄

    横路分科員 今の防衛局長答弁はちょっとおかしいですね、五千五百万円の数字を説明するのに、今私の手元には数字がございませんのでということは。何もあなたは思いつきで答弁しているのじゃないのだから。そうでしょう。やはりきちっとした数字についてここで言ってもらわなければならぬと思うのです。  次に陸上自衛隊の定員の問題。去年ずいぶんここで長い時間かけてやりましたが、まず、十三個師団の編成に伴う定員は一体どれだけなのか、それから現在一体どれだけいるのか、現在どれだけ充足されているのか、その点についてお尋ねをいたしたいと思います。
  368. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 陸上自衛隊の自衛官につきまして、三十六年の十二月末でございますが、十四万三千七百六十八人でございます。なおその他の詳細につきましては、政府委員からお答えいたします。
  369. 横路節雄

    横路分科員 定員は。
  370. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 定員は十七万一千五百人です。これは三十七年度も増加いたしません。
  371. 横路節雄

    横路分科員 去年ずいぶんここで問いただしたのですが、陸上自衛隊の定員は十七万一千五百だ、三十六年十二月三十日の定員は十四万三千七百六十八だ、そうすると結局二万八千充足されていないわけですね。これは何%見込んでいるのですか。定員に比べて何%に当たりますか。
  372. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 現在の定員十七万一千五百人に対して、現員が十四万三千七百六十八人でございまして、これは定員に対して八三・八%でございます。
  373. 横路節雄

    横路分科員 長官、これはどうなんですか。去年も私は問いただしたのですが、十七万一千五百の定員を踏んで、実際には十四万三千七百六十八しかいない、二万八千人も不足をしている。今の定員は八三・八%だ。普通官庁ではこういう定員を組まないのでしょう。木村さん、これは普通の官庁では何%組むのです。予算定員について実際に充足するのは、普通官庁では何ぼですか。
  374. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 通常の場合は、法律上の定員と予算の定員は同じであると私は記憶しております。
  375. 横路節雄

    横路分科員 藤枝さん、今お聞きのように、普通の公務員については法律上の定員も予算定員もみな同じに組んである。あなたの方だけ無理して十七万一千五百、去年もこれは千五百ふやしたわけですね。ところが実際には二万八千人も足りない。それでいてなお十七万一千五百、これは必要ないじゃないですか。これは十四万五千くらいに踏んでおいた方がいいのじゃないですか。十三個師団の編成そのものが無理ではありませんか。そうすると、何ぼですか。二万八千人といえば、九千人の部隊にすればちょうど三個師団だから、十王個師団というのはやはり無理なんですよ。六管区四混成団というのを直した十個師団が、今日の日本において陸上自衛隊が充足できるぎりぎり一ぱいですよ。そうじゃないですか。それをわざわざ十七万一千五百置いて、実際には六管区四混成団、それを直して十個師団にしかならないものを、無理やり十三個師団にしたところに、こういう予算定員が充足されないところがあるのです。だから長官、三個師団減らしたらどうですか。三個師団減らして、十個師団にしたらいいじゃないですか。
  376. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 十三個師団にいたしましたのは、日本の地形その他から考えまして、この程度が適当と考えましてやったわけでございます。現在遺憾ながら十七万一千五百人の定員が充足されておりませんけれども、最近の状況におきましては徐々に、この募集率の増加あるいは退職者の減少等も見えて参りました。努めてこれを充足をいたして参りたいと考えております。従いまして、この十七万一千五百人という定員は、ぜひ私どもは将来にわたってあらゆる工夫をいたしまして充足をいたして参りたいと考えておるわけでございます。  なお、余分なことに相なるかと存じますが、予算の編成上は、十七万一千五百人についてある程度の充足率を加えまして予算を計上いたしておるような次第でございます。
  377. 横路節雄

    横路分科員 予算定員が十七万一千五百人だが、充足率は幾らです。
  378. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 陸上自衛隊につきましては、八五%でございます。
  379. 横路節雄

    横路分科員 そうしたら一五%多いんじゃないですか、初めから。予算定員は十七万一千五百だけれども、充足率は八五%だ。一五%でしょう。そうすると一五%というと、初めから二万二千五百ぐらいは充足できないものとしてある。二万二千五百といえば、やはり約三個師団ですよ。だからこれは初めから十三個師団が無理なんです。あなたは笑っていらっしゃるけれども、無理なんです。この数字は否定できないですよ。  それから今あなたは、だんだん充足されていると言うけれども、違うのですよ。藤枝さん、違うのです。私はこの前関係者にお集まりいただいて数字を聞いた。三十六年十二月二十日現在で、十四万三千九百九十七名、あなたは三十六年十二月三十日で十四万三千七百六十八、わずか十日間のうちに二百二十九名やめている。十二月二十日現在の数字を前にお示しがあった。今あなたの数字を書き込んでみたら、わずか十日間に二百二十九名減っているのです。私はここで去年もずいぶん議論をしたわけですが、やはり陸上自衛隊十三個師団の編成というのは無理がある。今日の日本の経済の状態からいえば、陸上自衛隊の応募率というのはなかなか充足できない。今日二万八千足りない。八五%の充足率にしても、約二万三千は充足できない。約三個師団は充足できない。そういう点について、そういう実態を無視して、形の上だけ、師団さえふやせばいい、十三個師団にすればいいんだ、こういうところに、私は防衛庁の首脳部の誤りがあると思う。誤りですよ。何か御意見ございますか。何か世の中が急に不景気にでもなって、自衛隊にどんどん行きますかね。
  380. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 特に欠員の多いというのは曹士のクラスでありまして、御承知のように、これは任期制度もございますから、ある時点におきましていろいろ変化があることは事実でございます。ただ最近の情勢といたしまして、応募者の数あるいは退職者の数等が、三十五年から三十六年の上半期等とは違った傾向を示している。またこれが充足につきましては、あるいは除隊後の就職等について円滑な方途を講じ、安心して自衛隊に職を奉ずることができるようないろいろな方法を講じまして、充足をいたして参りたいと考えるわけでございます。ただ、現段階において三十七年度を考えますると、やはりこれは平均でございますから、その期その期において異動はございますが、八五%程度を考えなければいけないのではないかと思っておる次第でございます。  また、十三個師団につきましては誤りであるという御指摘でございますが、わが国の地形その他の情勢からいたしまして、十三個師団を全国に展開いたすのが最も適当な方法だと私どもは考えておる次第でございます。
  381. 横路節雄

    横路分科員 それでは、大へん恐縮ですが、私はこの問題については充足が困難だと思うのです。おそらく陸上自衛隊の応募が一番多いのは、第一は鹿児島、第二は熊本で、第三は宮崎県ではないかと思う。これは日本における一番低開発地帯なんです。いや、これは率直なところなんです。これは、私も鹿児島へ行ってきましたが、鹿児島の人々の貧しさというのは、全く想像以上です。しかし、まあその貧しさになれているわけですね。今日池田内閣の所得倍増計画で地域格差をなくしていくのですから、どんどんその地帯に工場が誘致されて、その人々の所得が上がっていけば、私はますます募集が困難になるではないかと思う。そこで、大へん恐縮ですが、二十七日、ナイキ・ハーキュリーズについて重ねて御答弁をいただくまでに、二十七日の朝でけっこうですから、今日の陸上自衛隊十四万幾らについて、その出身県別に、一つ具体的に数字を出してもらいたいと思うのです。私は陸上自衛隊十三個師団は無理だと思うのですよ。充足できない。これは去年もずいぶんここで議論したのですから。しかしその点についてはもう一ぺん資料を出していただいた上で、私はもう一ぺん論議をしたいと思います。
  382. 保科善四郎

    保科主査代理 それはいつまでですか。
  383. 横路節雄

    横路分科員 二十七日の朝でけっこうです。それまでだいぶ間がありますから……。  もう一つお聞きをしておきたいと思うのですが、先ほどの防音装置です。これは相当費用を組んであるようで、学校であるとか、病院であるとか、こういう公共の建物については予算措置をするようですが、何か地元負担が一割あるというお話なんです。そうすると、被害を与えているのは防衛庁ですよ。特にこれからF104Jで、その爆音によって被害を与える。なるほど鉄筋コンクリートその他で防音装置をやるのはいいが、地元に一割の負担をせよということは、相当大きな金額になると思う。たとえば学校一つ建てても、二億から二億五千万くらいかかるだろうと思う。そうすると、一割負担でも二千万から二千五百万かかるわけです。この点は、せっかく国が防音装置をやろうとしても、地元負担を増すようなやり方は、地元としては絶対に私は承服できかねると思うのだが、その点はどうですか。こういうのはやめた方がいいですよ。全額を国が負担した方がいいです。
  384. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 これは、ただいま御指摘になりましたように、考え方といたしまして、原因者ということで全額負担という考え方もございますけれども、しかしたとえば、木造の校舎が鉄筋コンクリートの校舎になるということによって、この地元の学校が受ける利益というものも若干ございます。それからまた、旧来の校舎をつぶしまして新しい校舎にする、そのための発生材等も生ずるわけでございます。そういうものを計算いたしまして、従来の実績を見てみますと、大体ただいま仰せになりましたように一割程度の御負担を願っておる、こういう結果になっております。
  385. 横路節雄

    横路分科員 結果になっておるけれども、それは不当ではないかと言うのですよ。それはやめた方がいいと言うのです。一割の地元負担でも不当だと言うのです。国が被害を与えておいて、鉄筋コンクリートにしてやったからいいじゃないか、お前ら一割負担しなさいというのは、地元負担過重だと言うのです。こういうのはすべからく国が全額負担しなさいと言うのです。改める意思はございませんか。
  386. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 これは米軍関係飛行場周辺でやっておりますこの種の補助、それから自衛隊で過去数年にわたってやってきました補助、そういうものとの権衡もございますし、今後改めるかどうかということにつきましては、財政当局の方ともよく相談いたしまして、もう少し研究をいたしたいと思います。
  387. 横路節雄

    横路分科員 アメリカが周辺の住宅に迷惑をかけたときと大体同じにするという考えはどうですか。木村さん、今そう言ったよ。アメリカの空軍が周辺に迷惑をかけたときと大体同じ割合でやっているのだからいいじゃないか――何だ、自衛隊というのは、アメリカと何の変わりもないじゃないですか。長官、どうですか、あなたは、もう少し愛される自衛隊になったらどうだ。
  388. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 従来の経過は、経理局長から申し上げたようなことでございます。おそらく一割の負担というのは、結果的にそうなっておるということでございます。しかし今後こうした騒音対策等さらに前進をさせなければならぬことでございます。もう少し研究をいたしてみたいと思います。
  389. 横路節雄

    横路分科員 今の長官の言葉で、これも二十七日の十時までに研究していて下さい。ほんとうにこれは大へんな問題です。あなた方、そう軽々しく一割だ、一割だと言われる、がこれを関係町村から言えば大へんですよ。先ほど私がちょっと指摘した恵庭の射撃訓練場のところはコースの真上になりますから、今度は隣村の広島で中学二つと病院が一つ、新たに追加されるでしょう。これは年間七千万円くらいの財政の村ですよ。それを鉄筋コンクリートでやってごらんなさい。かりに一億かかったって一千万円ですよ。そう軽々しく、今までやった例があるからいいじゃないかというわけにはいかないのです。だから、これも二十七日までに研究して下さい。  次に長官、私はあなたにこれを言って終わりたいのですが、昭和三十七年度の防衛庁調査委託費、海外国防資料として三百四十九万六千円を社団法人内外情勢調査会、所在地は千代田区日比谷公園、代表者は長谷川才次、これは私、月曜日に内閣官房の調査委託費についてやるのですが、この内外情勢調査会にはおそらく四、五千万円、今数字を持っていませんが、出している。そこへわざわざまた防衛庁で三百四十九万六千円出している。同じく軍事ニュース、社団法人のラジオプレス、これにも九十八万円出しているが、これも同様に内閣官房の調査委託費で出している。まず、この主管の大蔵省の人おりますか――大蔵省はこういうことについてどうなんです。あなたの方では調べてやったのですか。内閣官房では同じくこれらの団体に何千万と出している。今度は防衛庁から要求されれば、同じものに何百万と出している。あなた方はこれを十分承知してやったのかどうか答弁して下さい。
  390. 新保実生

    ○新保説明員 内閣官房にそういう委託費が相当額計上されておるということは、承知しております。その中から内外情勢調査会にも出ておるということ、これは三十七年度そのものがどうであったかということを確認いたしておりませんけれども、情勢調査というような意味で出ていることはあり得ると考えておりました。一方防衛庁の問題でございますが、これは調査の目的が全く軍事的な情勢についての調査委託ということでございまして、内閣官房の方とは内容的にダブるものではないというふうに考えましたので、これを予算化した次第でございます。
  391. 横路節雄

    横路分科員 あなたの今の答弁、ちょっと主計官としては当を得ておりませんよ。内閣官房の調査委託費は一括して出しているのではないのです。内外情勢調査会に四千五百万円か何ぼか出ている。ラジオプレスにも出ている。これは全部外交、防衛、軍事、こういうものですよ。何も特別なものじゃないのです。内外情勢調査会も同じです。ラジオプレスだってそうですよ。私はこの問題は、月曜日の内閣並びに総理府の広報費並びに調査委託費でやるのですが、全部これはとっておるものは――ソ連、中共のラジオしかとっていないものもある。きょうはその資料を持ってきておりませんが、内閣官房で調査委託費で一括してやっておる。これは何ぼ出しておるか確認してないということじゃだめですよ。どうせ月曜日にまとめてやるのですから、防衛局長、官房長に来てもらいたいと思うのです。その次、社団法人金融財政事情研究会、軍事力と防衛産業、百五十五万二千円、これは福田赳夫。福田赳夫というのは、自民党の代議士じゃありませんか。国会議員が代表しているこういうものに、国が予算を支出していいのですか。福田赳夫といえば、自民党のそうそうたる方だ。これが社団法人金融財政事情研究会の代表者だ。軍事力と防衛産業というので、百五十五万二千円を出しておる。国会議員ですよ。御存じがあって出しているのか、知らないで出したのか。これは問題ですよ。国会議員が会長なり代表者である。それに国が予算を支出するとは一体何ごとですか。これは経理局長一つ……。
  392. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 これは福田さん個人にお出ししているわけではございませんで、まあ金融財政事情研究会の代表者にはなっておられますけれども、こういう組織体に対して出しておるわけでございます。また出てきておる結果の報告も、相当しっかりしたものでございまして、防衛庁といたしましては、この種の調査報告の中では相当まとまった、いいものという判断をいたしております。
  393. 海原治

    海原政府委員 先ほど質問のありました内外情勢調査会及びラジオプレス関係のことにつきまして、一応御説明いたします。内外情勢調査会に委託をいたしまして、編集いたしております海外国防資料は、内閣官房の方で取り扱っているものとは別個のものでございます。軍事、防衛に関するものは、全部私どもの方でその調査費の内容で編さんをいたしまして、関係の方に配っております。ラジオプレスは、一般に公刊されます雑誌以外の各地の放送でございます。たとえば台北放送であるとか、あるいはラオス放送であるとか、そういう海外の放送を通じまして、その中で特に軍事関係のものだけをピック・アップして、私の方でもらっておる。従いまして内閣官房の方とは、内容は重複していない、このように私は考えております。
  394. 横路節雄

    横路分科員 今のあなたのお話を聞くと、ますます不思議です。ラジオプレスは一括して台北放送、ラオス放送を聞いて、これは内閣官房には一千万で売りつけてやる、防衛庁には九十八万だけれどもやる、こういうことが各省にまたがってたくさんあるわけです。内閣官房、総理府その他の関係調査委託費、広報その他の予算は、二十六日の午前中にする予定になっておりますから、大へん恐縮ですが、防衛局長ですか、経理局長ですか出ていただいて、あわせてお尋ねしたいと思うわけです。少なくとも、こういう予算が、形を変えて同じ団体にわたっておる。内閣官房でやっておるものも軍事ですよ。今日は資料を持ってきませんから、月曜日には山と積んで、一つずつ抜き出して見せてあげます。こういう予算の支出の仕方はいかぬです。ことに主計官には、こういう問題でなしに、もっと地方住民と結びついた問題、たとえば今の騒音対策についても、地元一割負担なんというのは過重ですよ。こういうことをやめるべきなんです。内閣官房というのは、もともとそういういわゆる情報収集の大もとになるのですから、そこに一括してやるならば、よしあしは別として、一括してやるならばよろしい。そういう意味で、私はこの問題についてはあらためて月曜日に一括してやりますから、そのときにはぜひ出てきていただいて、お尋ねをいたしたいと思うわけです。  それでは二十七日は、一番問題になりましたナイキ・ハキーュリーズについて、ここで御答弁してもらいたい。MSAの条文をたてにとって、攻撃的なものか、防衛的なものか答弁できない、そういう答弁は私はここではなされないように今から望んでおきます。何でもかんでも機密にしておきさえすればよいのだというようなことは、これはあまりよくないと思いますので、この点はあらためて二十七日にお尋ねをしたいと思います。きょうのところは、これで質問を終わります。
  395. 小野裕

    ○小野政府委員 先ほど淡谷先生から、けさのニュース放送の関係で、自衛隊の募集係官が上野で云々ということについてお尋ねがあったようでございます。その点について概略申し上げます。  昨日のお昼前でございますが、東京地方連絡部の募集担当の係官が、上野駅で募集業務に従事しておったのでございますが、そのときに上野署の方へちょっと来てくれないかということで、任意で参ったわけであります。それは上野駅の構内あるいはその周辺で、いろいろ人を募集する人たちがたくさんおるようであります。そういう中に違法のものもありまして、警察側としては取り締まりもしておるようであります。そのときに何かのいきさつで、自衛隊の方の募集の関係者からも事情を聞きたいということで、ちょっと来てもらえないかということになったようであります。そういうような事情でございまして、特に違反があったとか、非違があったとか、行き過ぎがあったというようなことが表にありまして、そういうようないきさつになったのではないのでございます。事情を聞きたい、あるいはほかの方から多少、一般の取り締まりはきついのに、自衛隊はほうっておくのかというような申し入れもあったということで、事情を聞きたい、あるいは今後のことについて連絡をしたいということで一緒に参った、こういう事情でございます。一応それだけ申し上げまして、なおお尋ねがございましたら、御説明をいたします。
  396. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 私もニュース放送だけ聞いたのですから、どの程度だか調べておりませんけれども、全然違法行為がなく、警察が取り調べる必要もないのならば、これは調べる必要はないと思うのです。もっと率直に、あったならあったように言って――私は責めるわけではない。むしろ最近は自衛官の募集に大へん骨を折って、熱意を持っておられるあまり、あなた方の意を体して、熱意のあまりやったのだろうと思いますが、その辺の事情を明らかにしておきたいと思います。何かジャンパーを着ておったそうですね。
  397. 小野裕

    ○小野政府委員 ジャンパーを着ておりましたことは事実であります。これはやはりああいうところで募集運動といいますか、募集広報といいますか、いたしますのに、身軽に、しかもあまりかた苦しくないようにということで、私服を着ておるわけであります。厚い外套よりも、軽快なジャンパーということであったようであります。  なお、特に何か疑いがあったのではないかというお尋ねでありますが、その点につきましては、さっそく上野の警察署の方にも事情を確かめましたところ、特別な容疑はない、ただ、ほかの方の、今取り締まりを受けております一般の人入れ業者といいますか、こうしたものがございまして、これがあれこれ言うので、一体どういうふうにやっておるのか、その事情を聞きたいということで来てもらったのだ、こういうことです。これは上野署の責任者からの回答でございます。
  398. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 その際宣伝ビラか何かをまいたことも報ぜられておりますが、そういう事情はございますか。  それからもう一点、一般の工場で働く人たちの募集、その他の募集とまぎらわしいような格好をしておるということは、ますます誤解を招くと思うのですが、全国にやはり自衛官の募集は私服をもってやるように指令しておられるかどうか、この二点をお聞きしたい。
  399. 小野裕

    ○小野政府委員 服装でございますが、ジャンパーといいましてもいろいろあると思うのでございますが、あまり品位を落とすような格好をして、あるいは普通の労務者の募集というようなものとまぎらわしいようなことがあっては困るのでありまして、そういう点では、私も、けさのニュースにつきましてNHKから電話がございましたので、やはり品位を落とすようなことがあっては困るということは申したのでございます。その点につきましては、遺憾のないように今後も指導いたしたいと思います。  それから全国でというお話でございますが、ざっくばらんに申し上げますと、全国に指令をしておるわけではございませんけれども、今日いろいろ募集の仕事を進めますにあたりまして、やはり人の出ておるというところでは当然そうした募集の活動を展開するということになってくるのでございまして、東京だけではないと思います。といって、全国すみずみまでそうしているわけではございません。  ビラは、自衛官の紹介と申しますか、自衛隊というのはどういうところか、自衛官というのはどういうものか、あるいは待遇はどうか、そういうようないろいろPRでございまして、そういうようなビラを配った事実はございます。なお、そのときに志願書もつけて渡すこともございますが、ただ渡しただけでございまして、それは本人の意思でございまして、あと本人が志願をする気があるならば、それに書き込んで出す。なお、その節、すぐに受けに行きたいという者があれば、連絡のときに連れ帰るということはあるようでございます。  以上でございます。
  400. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 どうして公に自衛官を募集するのに私服を着なければならないのですか。これは堂々とおやりになったらいいじゃないか。われわれは別の観点を持っておりますけれども、それをちょうど民間の働く人たちの募集とせり合うような格好をすること自体がおかしいと思う。  もう一つは、そのビラの内容ですが、当日まかれたビラを一つお出し願いたいと思う。  それからジープへ乗っけて自衛隊へ連れていったというのはほんとうですか。何人くらいございますか。
  401. 小野裕

    ○小野政府委員 制服を着て堂々となぜできないかというお尋ねにつきましては、これは全国各地では大体そういうふうにいたしております。ただ、場所によりまして、あまりそういうふうなぎょうぎょうしく目立つという服装よりは、私服の方が気が楽で、人さんに話をするときにしやすいというような感じで私服を着ているところもあると思うのであります。この点につきましては、一般の労務者募集とまぎらわしいようなことじゃないかとおっしゃいますけれども、やはり私どもとして、あまりどぎつい形にならないようにというような考慮もあって、そういうことになったのであります。それが著しく適当でないかどうか、この点につきましては、なお研究いたしてみます。  それからビラにつきましては、これはまた追って出します。  ジープの問題でございますが、これは時おりそういうことがございます。これはたとえば担当の係員が交代あるいは連絡というときに本部と出入りするわけでありますが、その際に、そこで二、三の人がこれから受けに行きたいというのがあれば同伴してやる。これはたとえば上野のような例をとりますれば、多くは土地不案内の者もあります。赤坂の檜町まで自分で行けと言いましても、見当がつかないというような者もありますので、それじゃ一緒に連れていこう、便乗させる、こういうことは時おりあるようでございます。
  402. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 今まで何人くらいございましたか。しかもジープに乗っけて即座に連れていくというのは、何か人さらいのような感じがするのです。昔の中国の兵隊さんの募集と同じように、求職に来た者をすぐジープにまで乗っけて連れていかなくてもいいような気がしますが、これは少し行き過ぎではないか。他日希望者を募って乗せるのはかまいませんけれども――きのう足鹿委員から、航空機を利用して盛んに基地拡張に使っている例もございましたが、ジープに乗っけて、かなり強く募集されたのでは、あとの働く人を募集する人たちがおさまらぬのは当然だと思うのです。やはり公の機関ですから、しかも堂々たる自衛隊と思っていらっしゃるでしょうから、やはりもう少し公明な態度でそういうふうな募集をされた方が正しいと思いますが、何かニュースの放送を聞きますと、あなた自身かもしれませんけれども、どうもこれは仕方がないのだというふうな、暗に黙認、むしろ公認するような言葉を言われておるのは、少し私は穏やかではないと思う。その点はどうですか。
  403. 小野裕

    ○小野政府委員 何人くらいかというお尋ねでございますが、実は正確な数字を存じておりませんが、東京の地方連絡部、つまり東京地区で募集いたしております志願者は、一日大体六、七十名くらいではないかと思うのでありますが、そのうち、今お話のようにジープで便宜をはかったというのはごく一部でございます。車もそれほどあるわけではございませんし、もちろん本人が出頭するのが大部分でございますが、たまたまそういうような地理不案内とか、あるいは小づかい銭がないとかいうような人で、一緒に連れていってくれというのが若干ある程度ではないかと考えるのであります。  それから、ジーブに乗っけてと申しますけれども、ジープは乗用車でございまして、担当の募集係員が行動します際はジープで動いていますので、そこへ便乗させた、こういうことであります。
  404. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 この問題については私質問を終わりますが、たださっきの懸案の件についてはあらためてまた質問いたします。
  405. 保科善四郎

    保科主査代理 明後二十六日は午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時十九分散会