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1962-02-22 第40回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月二十二日(木曜日)     午前十時十二分開議  出席分科員    主査 西村 直己君       井村 重雄君    野田 卯一君       船田  中君    保科善四郎君       山口 好一君    井手 以誠君       稻村 隆一君    緒方 孝男君       滝井 義高君    楯 兼次郎君       坪野 米男君    横路 節雄君    兼務 臼井 莊一君 兼務 上林榮吉君    兼務 川俣 清音君 兼務 野原  覺君    兼務 井堀 繁男君  出席国務大臣         法 務 大 臣 植木庚子郎君  出席政府委員         総理府総務長官 小平 久雄君         総理府事務官         (特別地域連絡         局長)     大竹 民陟君         総理府事務官         (中央青少年問         題協議会事務局         長)      深見吉之助君         警  視  監         (警察庁保安局         長)      木村 行藏君         宮内庁次長   瓜生 順良君         総理府事務官         (宮内庁長官官         房皇室経済主         管)      小畑  忠君         検     事         (民事局長)  平賀 健太君         検     事         (刑事局長)  竹内 壽平君         法務事務官         (保護局長)  武内 孝之君         検     事         (人権擁護局         長)      鈴木 才藏君         文部事務官         (大学学術局         長)      小林 行雄君  分科員外出席者         衆議院事務総長 山崎  高君         衆議院参事         (庶務部長)  藤野 重信君         衆議院参事         (管理部長)  大久保 孟君         衆議院参事         (庶務部副部         長)      舟崎 正信君         衆議院参事         (庶務部副部         長)      長倉 司郎君         衆議院参事         (庶務部人事課         長)      武井 次男君         衆議院参事         (庶務部会計課         長)      溝端 鶴松君         参議院参事         (管理部長事務         代理)     小沢 俊郎君         国立国会図書館         参事         (総務部長)  原田三千夫君         国立国会図書館         参事         (総務部会計課         長)      酒井  悌君         国立国会図書館         参事         (閲覧部長)  戸引  達君         外務事務官         (大臣官房審議         官)      宇山  厚君         外務事務官         (条約局条約課         長)      兼松  武君         大蔵事務官         (主計官)   赤羽  桂君         文部事務官         (調査局国際文         化課長)    佐藤  薫君         厚生事務官         (医務局次長) 鈴村 信吾君         厚 生 技 官         (薬務局麻薬課         長)      久万 楽也君         郵政事務官         (電気通信監理         官)      松田 英一君         日本電信電話公         社総裁     大橋 八郎君         日本電信電話公         社         (施設局長)  平山  温君         会計検査院事務         総長      大沢  実君         最高裁判所事務         総長      石田 和人君         判     事         (最高裁判所事         務総局総務局         長)      桑原 正憲君         判     事         (最高裁判所事         務総局経理局         長)      栗本 一夫君     ————————————— 二月二十二日  分科員堂森芳夫委員辞任につき、その補欠と  して緒方孝男君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員緒方孝男委員辞任につき、その補欠と  して滝井義高君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員滝井義高委員辞任につき、その補欠と  して稻村隆一君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員稻村隆一君委員辞任につき、その補欠と  して坪野米男君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員坪野米男委員辞任につき、その補欠と  して堂森芳夫君が委員長指名分科員選任  された。 同日  第二分科員臼井莊一君及び、野原覺君、第三分  科員川俣清音君、第四分科員上林榮吉君及び  井堀繁男君が本分科兼務となった。  ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和三十七年度一般会計予算中、皇室費国会  、裁判所会計検査院内閣総理府経済企画  庁を除く)及び法務省所管      ————◇—————
  2. 西村直己

    西村主査 これより会議を開きます。  本日は、昭和三十七年度一般会計予算中、皇室費国会裁判所会計検査院内閣並びに防衛庁、経済企画庁を除く総理府、及び法務省所管を議題といたします。  質疑の通告があります。順次これを許します。緒方孝男君。
  3. 緒方孝男

    緒方分科員 私は、皇室経済費の中の宮廷費内容について、少し御説明をわずらわしたい。もちろん今までの会議の中なり、また今国会での説明の中にも触れられたかも存じませんが、私は不幸にしてまだその御説明を聞いてないわけなんですが、この宮廷費の中の項目の中にあげられておる庁費というものは、一体どういう性格のものか。宮内庁には、宮内庁予算の中に厳然として庁費がある。この宮廷費の中の庁費というのは、新たな事務庁を持っておられるのか、おられないのか。庁費というものの性格がどうしても私には納得がいかない。しかも実際の庁を持って運営しておる宮内庁庁費という項目の中には、二千数百万の予算しか含まれておりません。ところがこの宮廷費の中の庁費ということになりますと、ことしは光熱水費が分離しておりますから九千九百万円という金になっておりますが、昨年のようにこれを合わせますと一億二千万円からになるような膨大な金額になっておるわけですが、その庁費が一体どういうものかということについて、一つ説明をわずらわしたい。
  4. 瓜生順良

    瓜生政府委員 この営内庁費の方の関係のは、これはほんとうの行政事務関係の方の庁費だけでございますが、宮廷費の方の関係のは、これは皇室のいろいろ公的な御活動をなさる、それに伴って必要な経費のうちの事務的な物件費消耗品費、全部入りますけれども、そういうような経費というものを庁費としてあげておるのであります。やはり宮廷費も、宮内庁事務的な経理の責任の範囲内にあるものでございますから、宮内庁が扱うということで、庁費という名目にしても別に間違いではないと思うのでありまして、これは大蔵省の方の予算編成基準がずっとございまして、その基準に基づいて、他の官庁での庁賢に当たるもの、宮廷関係のそれに当たるもの、そういうのをここに書き上げたわけでございます。
  5. 緒方孝男

    緒方分科員 そうしますと、皇室関係の御活動費ということになりますと、たとえば天皇が地方においでになるとか、皇太子が外国に御旅行になるとかいうのが、この庁費という形で表現されておるものですか。
  6. 瓜生順良

    瓜生政府委員 その行幸経費の中でも、報償費とかいうような、報償的な性質のものは報償費の方へ入りますけれども、その他行幸された場合に、たとえばいろいろ交通費自動車なんかを持って参ります。それは鉄道なりに頼みまして運搬しますと運送費がかかりますとか、そういうようなもの、それから行幸の際に必要ないろいろな事務的なものが要る、こういうものが要る、たとえばおみやげが要るとか、こういうものもこの庁費の中に入ってくるわけです。
  7. 緒方孝男

    緒方分科員 どうもその点が、私は庁費という抽象的な言葉でもって何やかや含まれておるような形で、われわれが予算を見るのに非常に分析のしにくい面が出てくる。昨年の、あなたの参議院における御答弁を見ましても、昨年度の庁費の中には、新しくできた吹上の御住所に備えるところの調度品費として一千四百万円なんぼかがこの中に含まれておりますと言っておる。必要な事務人件費もこの中に含まれております。天皇陛下行幸のためのもこの金が含まれております、また皇太子おいでになるための自動車運送代だとか何やかや、これはごっちゃにして庁費という形の中へくるめておるということは、これは非常にわれわれに対しては内容のわからぬ金額と言わざるを得ないと思うのですが、そういう面はどういうふうになっていますか。
  8. 瓜生順良

    瓜生政府委員 これは庁費性質上いろいろのものが含まれるので、これは宮廷費に限りませんので、各官庁のいろいろな予算をごらんになりましても、庁費の中にいろいろなものを含んでいるのであります。ただ今年度の予算にちょっとおわかりにくいように思われますところは、ことしから予算編成大蔵省方針で、目の区分というので庁費と書いてある。細分がここに書いてない。去年のは目の細分というので、その中にたとえば自動車のいろいろな借り上げ料がどうだの、それから厩費がどうとか、あるいはその他の消耗品費がどうだとか、ずっと書いてあったのですけれども……、
  9. 緒方孝男

    緒方分科員 庁費細分が出ておりますが。
  10. 瓜生順良

    瓜生政府委員 去年のは出ておった。ことしから大蔵省編成方針で、目の区分ということで、こまかい一々のものは書かないが、そのかわりに積算内訳というので右側の方へ、その中を大体事項別に、簡単に一つずつ説明を書くというふうに予算の作り方がちょっと変わりましたので、それであるいはおわかりにくい点があるかもしれませんが、庁費というものの内容はいろいろなものを含んでいる。これは各官庁予算はみな同じでございます。
  11. 緒方孝男

    緒方分科員 私、昨年のあなたの御答弁の中から少し疑問が出てきた。たとい庁費性格がそういうふうなものであろうとも、昨年度の庁費の中には、あなたが御説明をしたように、吹上のの新御住居をお作りになる場合の諾調度品費が一千四百万円、それに専務人件費を含めて約二百七十万円、合わせて千六百万円か七百万円かというものがこの庁費の中に含まれておった。それは含まれておってもいいでしょうが、ことしもまた同じことではないだろうと思う。できてしまったならば、もうその費用は別に立てる必要はないのだから、それだけのものは多少なりとも減額になるだろうと思ったら、ことしもなおさら一そう、両方含めれば二千三百万円くらい増加したような形になっていますが、どうしてそんなにふえるのか。ただほかの一般予算もふえていくから、この宮廷費も同様な率でもってふやさなければならないのだというふうなお考えのもとに、この数字がはじき出されておるのではなかろうかというふうな印象を与えるわけですが、それはどうですか。
  12. 小畑忠

    小畑政府委員 ただいまいろいろ御質問がございましたけれども、委員の方の御質問は、この予算科目の点でございまして、今次長がそのことにつきまして事項別にいろいろ御説明申し上げましたけれども、各目明細書というのが提出いたしてございますけれども、その中に内容がこまかく記載してあるわけでございます。ただいまお話がございました庁費でございますけれども、三十七年度と三十六年度を比較いたしましては、わずかに百六十九万円の増加、こういうことになっております。仰せの通り、昨年度の吹上関係庁費等はむろん減らしてございますし、それから国賓接伴の中に入っております関係庁費というものも減っております。これらを合わせますと千七百万円ばかりの減額が入っておりますし、それからそのほかに、本年度といたしましては新たに皇居造営関係が始まりましたし、それからまた付属庭園関係庁費というものも入っております。そうした、関係を差引いたしまして、庁費のうちでは百六十万円程度増加ということになっておる次第でございます。
  13. 緒方孝男

    緒方分科員 どうも数字が合わぬところがございますが、それはいいとして、この宮廷費の中には人件費が多少でも入ってますか。
  14. 瓜生順良

    瓜生政府委員 いわゆる人件費は入っておりません。
  15. 緒方孝男

    緒方分科員 五千八百万円の内廷費の中には、多分昨年の御説明であったと思いますが、二十数人の人件費が含まれておる、こういう説明がありましたが、この宮廷費の中には、純然たる人件費は全くないのですか。
  16. 瓜生順良

    瓜生政府委員 内廷費の中には今おっしゃるようにありますが、宮廷費の中にはありません。といいますのは、公の方の皇室に関する事務は、国家公務員たる公務員がいたしておりますので、その関係のは一般行政費として別の総理府所管宮内庁費の方に上がっておるわけであります。
  17. 緒方孝男

    緒方分科員 宮廷費の中に人件費がなければけっこうですが、この内廷費の中に含まれる人件費——人件費の問題じゃないですが、雇われておるところの人たちは、これは国家公務でないということになりますと、天皇陛下の単なるお女中さんというわけにもいきますまいし、身分には一体どういう形がついておるのか、その点一つ説明願いたい。
  18. 瓜生順良

    瓜生政府委員 この内廷のは、天皇陛下の私的な使用人陛下にも私的なお立場がございまして、その私的な使用人ということで、従って画家公務というようなものではございません。
  19. 緒方孝男

    緒方分科員 天皇陛下の公と私の区別はどこでつくのか、私ははっきりわからないのです。もちろんこれは私的な御生活も含まれなければならないものでしょうが、象徴として存在するのは、お休みになっておるときも、これは欠かしてはならない仕事のように思うわけなのですが、そうすると公私の区別は一体どこでつけておるのか、その点も一つ説明していただきたい。
  20. 瓜生順良

    瓜生政府委員 これは、たとえば内廷費をお考えになったらわかるのですが、内廷費は、内廷の、私的な諸経費というものをまかなわれるための経費として五千八百万円、これは営内庁の公の経理に属しない経費、お手元にお上げする私的な経費、その範囲内において人をお使いになるというのは私的、こういうふうに申し上げられるわけであります。公の活動のほかに私的なる活動、私的ななさり方、たとえばいろいろ神を祭られる意味神事がございます。そういうのは私的と見られるわけであります。それから御趣味でなさっております生物学の御研究、これも公事ではなくて私事、そういうような関係に携わる人が私的な使用人というふうにお考えをいただきたいと思います。
  21. 緒方孝男

    緒方分科員 私的な使用人であるということになりますと、昨年内廷費の増額のときに、人件費の増大を理由に上げられたのが今度問題になってきますけれども、すでに済んだことを申し上げたいとは思いません。私的でもってなさる人事の問題については、これは一切御皇室自身でなさっておるのですか。宮内庁でなさっておるのですか。その点の御説明を願いたいと思います。
  22. 瓜生順良

    瓜生政府委員 宮内庁法がきまります際に、宮内庁皇室関係国家事務をやるということを掲げてありますが、それの解説の際に、いわゆる秘書的に私的な面のお手伝いをすることも含まれる、それによって国家的なことも円滑にいくのだから、いろいろお役所あたりの秘書的な面、ときによると私的な面もお手伝いすることによって公的な面までいくということもあるから、私的な面もお手伝いするというような解説になっておりまして、そういう意味で、いわゆる私的な使用人といわれる方のことにつきましては、宮内庁の方でお手伝いはいたしております。しかし、立場はやはり陛下が直接お使いになっているというわけなんでございます。
  23. 緒方孝男

    緒方分科員 二十数人の私的な使用人の中に、いわゆる古典とか慣例とかいうことに基づいた、何か格式を持ったような人たちも含まれておるのかおらないのか、その点一つ説明願いたい。
  24. 瓜生順良

    瓜生政府委員 そういうような格式の方は含んでおりません。これはやはり一番おもなものは神事に携わる、たとえば掌典長とか掌典とか、そういうものがございますけれども、そういうのはみなこの中に含んでおります。そのほかは生物学関係のお手伝いをしていられる助手の人、そういう人がおるわけであります。
  25. 緒方孝男

    緒方分科員 次に、各所修繕費というものが膨大な数字に上がってきておるわけなんですが、こんなのは毎年毎年きまったような形で要求して、この金でどこかを修繕しようというようなことじゃないだろうと私は思いますが、年々歳々、どこにどれだけの経費でもってしなければならぬという修繕計画というものが立てられておるのかおらないのか、この計画書があるかどうかを一つお伺いいたします。
  26. 瓜生順良

    瓜生政府委員 毎年予算編成あたりましては、来年度こういうふうなことをやろうというふうなことをいろいろ調べまして、それを作りまして大蔵省要求する、大蔵省はその中でいろいろ査定をいたします。何年計画、たとえば京都御所紫寝殿屋根のふきかえ、これは何年計画でやるとか、あるいは御陵のお堀のいたんでいるのを三年計画で直すとか、それは何年計画というのでいくのもあります。それから今すぐやらなければいかぬというのでやるのと、来年まで待てるから来年にしよう、いろいろございますが、毎年その内容については詳しくずっと計画を立てまして、それで大蔵省に出して、査定を受けてこの金額になっている、こういうことでございます。
  27. 緒方孝男

    緒方分科員 宮廷費の中では、この各所修繕費というものが一番大きな金額になっていると思うのですが、毎年毎年これだけの修繕額が必要だろうかというふうな疑問も出てくるわけです、必要があれば、これは何カ年計画の継続でどうしようというふうなプランを立てられた上での御要求であればいいが、これもわれわれから考えますと、去年よりもよけいとればいい、とった予算はどこを修繕しようか、そういう要求の仕方はしてないでしょうけれども、とり方によっては、そういうふうな印象しか受けられないような面もあるわけです。どこがどれだけの状態になっているから修理しなければならないという、一つのはっきりした御計画が立てられないものかどうか、その点、お伺いしたいと思います。
  28. 瓜生順良

    瓜生政府委員 皇室用財産に属するものは非常にたくさんございまして、皇居から離宮から、それから御陵から、その他の施設がございます。それにつきまして、全体について毎年大体これくらい要るという見当はつきますけれども、ずっと第一年度はこれ、第二年度はこれというふうに、きちっとはなかなかいきかねるのでございます。たとえて申しますと、来年度中に、皇居内の紅葉山のさく井、要するに紅葉山のところに井戸を掘るわけです。これは最近地下水が非常に低下しまして、水がよく出なくなったから、そこでそれを掘って水を出るようにする。それでもう五百三十万円かかるわけでございます。そういうことでございますとか、それから何か災害がありすすと、各所の陵墓の方でいろいろ災害を受けます。応急の経費災害復旧費でお願いして、ときによると予備費でやることもありますが、その後の御自分工事というものは御自分経費でやるわけでございます。これも何年計画とわからない面のものでございます。ですから、内容についてはそれぞれ大蔵省に出して査定を受けておりますので、そうむだな使い方はいたしておりませんが、いろいろ急を要するものもあるということをお含み願いたい。ただし、先ほど申し上げましたように、京都御所屋根をどうするとか、何年計画でやるというものもございます。
  29. 緒方孝男

    緒方分科員 ちょっと新聞で見たわけですが、二、三年前は皇太子の御住居が作られた。昨年、一昨年をかけて天皇吹上の御住居ができた。今度は浩宮様の御住居を建てる計画があるとか、予定があるとかいうことを新聞紙上にちょっと見受けたことがございます。さような計画がおありですか、どうですか。
  30. 瓜生順良

    瓜生政府委員 そういう計画は全然ございません。
  31. 緒方孝男

    緒方分科員 その出てきた根拠はどこにあるか、それは存じませんが、そういうことは今のところ全く考え状態でないのか、どうなのか。もちろん今まだお乳も飲まれるような状態のときに家を作ってみても仕方がないだろうが、小学校でもお入りになるとか、あるいは中学課程にでもなるとかいうような状態になると、また作らなければならないようになっておるのかどうか、その点一つお伺いいたします。
  32. 瓜生順良

    瓜生政府委員 今のところは、現在の東宮御所でずっと御生活になられる。御両親とともに御生活になられるという考えですから、新党を考えておりません。将来御成年になられるとかいうような場合どうなりますか、そういう場合は、これはまた別だと思いまするが、ただ、小学校へ行かれたらまた別になられるというような考えも、今のところないわけでございます。
  33. 緒方孝男

    緒方分科員 皇居の東部の方を今度公園に開放なさるためにいろいろやっておりますが、その予算が八千六百万円。今までは整備費として七百万円程度だった。八千万円新たについたような形になっておりますが、これは全部公園整備費のために使われる予定ですか。実際の整備費にはどれくらいかかるのですか。その内容一つ説明願いたい。
  34. 瓜生順良

    瓜生政府委員 この八千六百万円のうちで植樹費その他の経費、これはきれいにする方の経費ですが、これが千二百四十万ばかり、それから建物を作る経費があります。こういうのが五千八百六十万円、これはうまやですとか馬車庫だとか、そういうものを奥の方に作りますが、現在あるうまやとか馬車庫をこわしまして、あそこあたり緑地帯にするという計画がありますために、そういう経費が要ります。そのために設備工事費——電気、ガス、排水とか、そういうのが下の方にずっと線が入っておりますから、そういうのを入れかえまする経費が千三百七十万円入っております。そういうものを合わせまして八千六百万になるわけでございます。
  35. 緒方孝男

    緒方分科員 あの中には警察庁建物総理府建物大蔵省建物などがございますが、それが全部移転するということになるだろうと思いますが、その移転費はそれぞれの省で負担するのか、宮内庁のこの中で負担するのか、その点はどうですか。
  36. 瓜生順良

    瓜生政府委員 その各省関係予算は、その各省の方の予算になります。しかし来年度はまだその警察庁関係とか、そういうのは移転計画の中に入っておりませんので、何年計画かで、先の方でその計画が出てくると思います。いずれにしても国の経費でまかなうということでございます。
  37. 緒方孝男

    緒方分科員 この際、あそこが自由に出入りのできるような状態になることは非常に好ましいことだと思いますが、これは私、総理府の方にちょっとお伺いいたしたいのだが、東京は御承知のように一千万の人口を突破している。これを何とか緩和策を講じなければならないし、ここ数年来、政府においても、諸官庁を他に移そうか、こういうふうな御計画も進められておる。また当然そういう処置もとらなければならない緊急事態みたいな形の中に今日置かれておるのですが、単によそに行け行けといってみても、これは行く人がない。そこでこれを促進させる一つ意味からして皇居を他に移転するということになりますと、他を刺激し、促進する上で非常に大きな効果のある、価値のある問題ではなかろうか、こう考えますが、総理府がニュー東京——新しい東京でも他に建設しようという前提に、そういうふうなこともこの際お考えになる余地があるかどうか、その点一つお伺いしておきたい。
  38. 小平久雄

    ○小平政府委員 政府におきまして新しい官庁街と申しますか、そういうものを考えるべきではないかという議論のあることは御承知の通りでございます。ただしその場合におきまして、どういう官庁移転するかという点につきましては、大体東京になくても用の足り得るような役所が現在東京にあるではないか、そういうものを一つ外部に移したらどうであろうか。あるいは試験研究機関のようなものを東京外に移したならばどうであろうか、こういうような点を検討いたしておるわけでございまして、政府内閣を中心とした中枢機関を外部に移す、こういう点までは現在至っておらないわけであります。そういう関係からいたしまして、皇居移転の問題につきましても、御承知の通り三十四年に造営審議会の答申がございまして、皇居も、政府のある東京の現在地がやはり適当であろうという趣旨の答申が出ておるわけでございまして、今お尋ねのように、政府等を含めて、その先駆としての皇居の外部移転ということにつきましては、目下のところ別段考慮いたしておりません。
  39. 緒方孝男

    緒方分科員 東京都の人が、皇居をよそに持っていくと言えば、これは反対するでしょうし、好ましく思わないでしょうが、しかし、実際にこの東京と別に新都市を作ろうということになれば、私は何かの刺激がなければ進まないのじゃないかと思う。政府官庁の要らないものをよそに持っていこうという程度で、今日新しい都市を他に作ろうなどということは、とてもできようはずはない。これは、私は単なる逃げ口上の便法にしか過ぎないと思う。今のままでいくならば、東京は一体どれくらいの人口になるかということは、はかり知れない問題です。すみやかに他に諸官庁を移す、あるいはまた民間の移転を促進させるという意味からしても、私は皇居を他に持っていくと、非常にそういうものの刺激になるのじゃないかということが一つと、こういう状態になっておって、東京のまん中に三十万坪という膨大なところが、埋め立てもできなければ切り取りもできぬ、自然の力以上の力でまん中に厳然としておることは、将来の交通その他の問題を考えても、問題のあるところではなかろうか、こう私は考える。池であるなら埋め立ててもよかろう、山であれば切り取ってもよかろう、しかし皇居である以上はそういうわけにいかない。道路一つ通そうといっても通せない、車の乗り入れもできない。今日、東京都民は交通地獄の中に呻吟している、こう言わざるを得ない。この東京の現状を緩和する上においても三十万坪の地域を開放するという面においても、また新しい都市の建設を促進させるという意味からいたしましても、私は今皇居移転というものを、いい悪いの問題は抜きにして、真剣に考えてみる必要に直面してはいないかと思いますが、取り組んでもらえる条件があるかどうか、もう一ぺん伺いたいと思います。
  40. 小平久雄

    ○小平政府委員 先ほど申しました通り、皇居の造営の問題につきましては、造営審議会が設けられまして、ただいまお話しのような件も含めて慎重に検討をなされた。その結果として、先ほど申し上げました通りの答申が出ておるわけでございますが、政府といたしまして、今お話しのようなことを具体的に検討しようという段階には至っておりません。これは審議会の答申の線に沿って進めて参ろう、こう考えておるわけです。
  41. 緒方孝男

    緒方分科員 この点に対しては、なかなか審議会の答申を尊重なさるようである。人事院やその他の答申については案外冷淡な政府が、このことに対しては、非常に御熱心なようでありますが、私はこの答申をなされたところの人たちが、東京を中心に考え人たちなら、これはもう明治以来ずっと住みなれた東京がいいかもしれません。お正月なんかには、あそこに二十万、三十万の人が喜んで行くので、なくなったら困るという東京都民の声は、これは出てくるかも存じませんが、そういう事態があればこそなおさら、よその方に移さにゃならぬという問題が私は出てくると思う。もし習慣を重んずるのであれば、何も東京に限ったことはない。京都に移された方が、歴史的に見ても意義のあることじゃなかろうかと私は思います。しかし、問題は今までの日本だけでなくて、列国の遷都というようなときには、それはやはり皇室が率先して、ここではいかぬという観点に立って、常にそういうことが歴史上繰り返されている。今のあなたの御答弁を聞いてみますと、皇居は、これは審議会の答申で移さぬ方がよかろう、だからというて東京は大へんなことだ、要らぬものだけでもよそに移そうかというようなことで、今日の東京のこのふくれ上がろうとしている、限界にきたともいわれるこの状態が救済できるのかどうか、非常に疑問を持たざるを得ない。そういうことに対して政府自身、それじゃ皇居は移さないが、何かはっきりした計画と見通しがあるのかどうか、その点を一つお伺いしておきたい。
  42. 小平久雄

    ○小平政府委員 お尋ねの点につきましては、御承知の通り首都圏整備委員会等を中心といたしまして、今後の首都をどういうふうに持っていくべきか、いわゆる新しい開発地域を設けまして、その方に人口を逐次移そう、あるいはさらに大きくは、国土の全般にわたって、新産業都市の建設によって人口を分散しよう、こういう施策が、それぞれ担当の官庁において計画され、逐次実施に移されておるわけであります。
  43. 緒方孝男

    緒方分科員 どうもあなたのは、何もしておらぬわけじゃございませんという程度の御答弁にしかなっていない。各省各省でもって、とにかく他に分散しようとして努力している。しかし、三人出しても努力の一片になりましょうし、建物一つを移しても努力の結果ということになりましょう。何年何月までにどれだけのものを持っていくのだというふうな御計画は、今日あるのかどうかということをお伺いしている。
  44. 小平久雄

    ○小平政府委員 官庁移転につきましては、行政管理庁あるいは建設省、これらが中心になりまして、必ずしも東京に事務所を置かぬでもよろしいような役所、それは移転可能のものではなかろうかというような調査をいたしておりますし、さらに、中には進んで、むしろ東京から外部に移りたい、こういう希望を申し出ている役所もあるわけでございまして、それらを整理いたしまして、どの程度の規模のものを、いわゆる官庁都市として作るべきかという検討を現にいたしているようであります。
  45. 緒方孝男

    緒方分科員 文化は発達してきたが、人間の頭ははたして発達してきたかどうか疑わしくなってくる。昔のエジプトを作ろうとも、またはローマを作ろうとも、宮殿を一つ置けば、それに対して、どういう道路網を作る、どういう市街地を作る、どういう建物を建てていこうかということは、すでに数千年前の人間が、都市計画というものをぴしゃっと立ててやっておる。新しい東京でも作ろうか、新首都でも作ろうか、東京を半分にでも割ろうかというくらいな構想の上に立つならば、行きたいものは行かぬか、行きとうなくても何ぽか行かぬかというようなことで、新しい都市の建設ができるものじゃありません。新しい都市を建設しようというならば、まず何をおいても、皇居移転していいか悪いかは抜くとして、少なくとも皇居移転するなら移転して、その皇居の中心にどういう建物を建てていこう、これは十年かかるか五十年かかるかもしれませんよ、そういう建設も、もしわれわれが頭の中で夢み、計画の中に立てたからというて——そういう形の上に今日研究を進めなければならない時期にきておるのじゃないかということです。そういうことに取り組む意思は全くないのかどうかということをお伺いしておるのです。
  46. 小平久雄

    ○小平政府委員 先ほど来お答え申しております通り、現在といたしましては、政府は、皇居造営審議会の答申の線に沿うて皇居の造営をやっていこう、こういう立場をとっておるわけでございます。御説のように、皇居を他に移した方がよろしいのじゃないか、あるいはそれを中心にして諸官庁等の移転考えたらどうかというような御説も、われわれもときどき拝聴いたしますが、政府立場からいたしますと、目下のところ、そういう態度はとっておらない、こう申し上げておるわけでございます。ただ皇居の造営につきましては、御承知の通り、その一部は一般に開放するとか、あるいは交通関係の問題を若干でも緩和するために、道路、街路等の整備と関連する分につきましても、できるだけその趣旨に沿うようにという趣旨で答申も出ておりますので、この点はもちろん具体的に検討いたして、交通問題の解決等にはできるだけ沿うていく、こういう考え方をとっておるわけであります。
  47. 緒方孝男

    緒方分科員 全く御計画はないものと考えなければ仕方がないような答弁になってきたのですが、私は要望しておきます。今の東京、これは、交通問題その他について世間からもずいぶんなにされ、われわれも毎日々々を見ながら憂えておるわけですが、やはりどうしても東京をこのままにしておくことはできないということだけは、私は厳然たる事実じゃないだろうかと思う。そうするなら、何とかこの東京の雑踏を解決するために、われわれは真剣に考えなければならぬ。真剣に考えるということになれば、民間に出て行けというわけにいかないから、やはり政府みずからが他に移転するという方途をとらざるを得ないであろう。そのためにはまず皇室が率先して他に移転して、政府官庁一斉に他に移転するならば、民間の人たちもまたこれに右へならえが伴うて、新しい都市が急速に作られていくのじゃなかろうか。そのことがいいか悪いか、私は専門家でないからわかりませんが、少なくともそういうことくらいは、今日真剣に考えなければならない事態にきておるものでもあるし、世間も、政府移転問題を考える場合には、それくらいな期待を持って考えておるだろうと私は思うのです。もし総務長官のように、まだ政府でそこまで考える段階にきておらないというなら、早急にそういう研究機関を持たれ、もう少しこれを積極的に進めていただきたいと希望申し上げておきます。  時間がきたものですから、皇室経済また皇太子外遊問題なんかでお伺いしたいこともありますが、内閣委員会でもう一度お伺いいたしたいと思います。その節にまた御教示をお願い申し上げることにして、私の質問を終わります。
  48. 西村直己

    西村主査 横路節雄君。
  49. 横路節雄

    ○横路分科員 最初に、裁判所関係予算についてお尋ねいたしたいと思います。  去年私は、予算委員会の同じく第一分科会で、最高裁の事務総長、それから経理局長にお尋ねしているのですが、昭和三十五年度の庁舎等特別取得費として国庫債務負担行為が認められて、裁判所書記官研修所施設取得のため必要な経費四億五千万円が計上された。これは話によると、その後とんと進展していないようなんですが、裁判所の書記官研修所については、今どういうようになっているのか、その点、最初に一つお聞かせいただきたいと思います。
  50. 栗本一夫

    ○栗本最高裁判所長官代理者 ただいま御質問の通り、昭和三十六年度の予算におきまして、庁舎等特別取得費が四億五千万入っておりますが、これはすでに従前にお答えいたしましたように、裁判所書記官研修所の敷地と建物を取得する金でございますが、建物は別といたしまして、まず新しい敷地を求めることが先決問題でございますが、ただいままでのところ、新しい敷地がまだ決定いたしておりませんので、その実行を差し控えておる状態でございます。
  51. 横路節雄

    ○横路分科員 お話によりますと、最高裁は土地の契約について不履行であるというので、今東京地裁に訴えられているはずですね。相手は、去年私が国会で問題にしました、昭和三十三年の十二月八日に最高裁が契約を結んだ、覚書を交換した東都起業株式会社から訴えられておりましょう。この点はどうなんですか。
  52. 栗本一夫

    ○栗本最高裁判所長官代理者 御指摘の通り、東都起業株式会社から、国を相手とする訴訟が昨年末提起されております。
  53. 横路節雄

    ○横路分科員 最高裁が東都起業株式会社から契約不履行で訴えられておるというのも、あまり格好のいいことではないと思うのです。それは、どういう契約であったものが、どう履行されないから契約違反だ、こう言って訴えられているのか、その点一つ明らかにしてもらいたいと思います。
  54. 栗本一夫

    ○栗本最高裁判所長官代理者 東都起業の訴えの内容は、昭和三十三年の十二月八日に最高裁と東都起業との間におきまして、いわゆる交換の契約をしたわけでございますが、この奨約の履行を迫っておるというのが東都起業の訴訟の、法律用語で申しますと請求原因でございまして、もう少し詳しく御説明いたしますと、これはすでに昨年もお答えいたしましたが、三十三年の十二月八日に東都起業と最高裁との間におきまして交換契約をいたしたのでございますが、その内容は、最高裁の管理しております本郷の岩崎邸の土地と建物を最高裁側は提供して、東都起業の方は書記官研修所の敷地と建物、そのほかにあと二つ研修所がございますが、司法研修所及び調査官研修所の敷地と建物、これだけのものを東都起業の方は最高裁へ提供する。これはいわゆる建築交換と申しておりますが、つまり東都起業の方は新たに三つの研修所の建物と、それから本郷の土地にかわります土地を提供する、こういうことでございます。ただし、その契約につきましては、いわゆる交換でございますので、大蔵省の、平たく申しますと認可でございますが、認可がありませんと効力が発生いたしませんので、当然のことではありますが、その契約におきまして、関係官庁の許可が得られなかった場合には効力が発生しないということは相手方にも通告し、契約内容にもうたってございます。結局のところ、その交換契約は大蔵省の許可が得られませんでしたので、私どもといたしましては、効力の発生していない無効のものだと考えておりますが、この契約をなお有効だと称して、その契約の履行を迫っておるというのが今の訴訟の内容でございます。
  55. 横路節雄

    ○横路分科員 東都起業では今のお話のように土地を買い求めて——聞きますが、その土地はどこにどれだけの坪数を買い求めたのか、それに建物を建てて、そして今お話しの台東区茅町でございますが、旧岩崎邸の土地を、去年ここで明らかになりましたが、一万四千四百六十坪、それから建物は延べ坪数で二千三十五坪というものを東都起業株式会社に売って、いわゆる土地建物の交換なんですが、第一番目にお尋ねをしたい点は、東京都起業株式会社はすでに土地を求めているはずですね。どこにどれだけの土地を求めたのか、その点一つ明らかにしていただきたいと思います。
  56. 栗本一夫

    ○栗本最高裁判所長官代理者 先ほど申しました三十三年の十二月八日の契約をいたします際に、交換でございますので、東都起業といたしましては、これから土地を求めるということでは交換の話になりませんので、その十二月八日当時すでに世田谷の廻沢に約一万五千坪の土地を取得いたしまして、それを交換に供しようといたしておったわけでございます。
  57. 横路節雄

    ○横路分科員 これは最高裁にもだいぶ責任があるのではないかと思うのです。私は裁判のことについてはしろうとですから、これは東京地裁の民事へ提起されておるわけですから、これから行なわれていくでしょうが、大体一万四千四百六十坪、かりに坪十万円とすれば、土地だけで十四億になるわけですね。世田谷の廻沢と、今の、元岩崎邸の書記官研修所のあるところでは、土地の価格というものは、利用する人からすれば、少なくとも現在の書記官研修所の方が二倍から三倍だと思うのです。そのこととあわせて、二千三十五坪というような土地を四億五千万で、相手方を四億五千万——今のお話で一万五千坪と言うが、そこへ建物を建てて、四億五千万と評価して土地、建物を交換するという三十三年十二月八日の覚書ですか契約書ですか、これは、私はその契約自体に問題があったのではないかと思うのです。今の事務総長としても経理局長としても、当時の責任者ではないだろうと思いますが、ここに問題があったのではないかと思うのです。これは三十三年、まだわずか三、四年前のことですが、どうしてそんなに価格を低く踏んだものでしょうかね。それは何か事情があったのではないですか。
  58. 栗本一夫

    ○栗本最高裁判所長官代理者 三十三年の十二月八日の契約のときには、最高裁が提供いたすものは、先ほど申し上げましたように本郷の岩崎邸の土地、建物でございますが、最高裁が取得いたします分は三つの研修所の建物と、それから本郷の岩崎邸の土地にかわる土地でございまして、それの価格を、当時予算的に考えてみますと、約九億程度のものになるのでありまして、四億五千万において交換しようとしたわけではございません。  それからもう一点申し上げておきますが、交換そのものは、この評価は大蔵省の正当な評価によってやるわけでございますので、三つの研修所の建物と敷地を取得しましても、なおおつりがくるような場合には、それは東都起業の方が現金をもって国庫へ払うというような形になるわけでございまして、交換それ自体は、評価の金額の点においては決して不当ということはないと考えております。
  59. 横路節雄

    ○横路分科員 今経理局長からお話がございましたが、私もよくわからない点がありますから、さらにお聞きしたいと思います。一番最初のあなたの御答弁では土地、建物の交換だと言った。今は、二万五千坪の廻沢の土地に三つの建物を建てれば、評価は大体九億くらいになるだろう、しかしこちらの方の土地、建物がもっと高く売れれば、その差額の益金については国庫に納めることになるだろう、こういう契約だったのですか、その点明らかにしてもらいたい。
  60. 栗本一夫

    ○栗本最高裁判所長官代理者 三十三年の十二月八日のときの契約は、今おっしゃいましたような契約内容でございます。
  61. 横路節雄

    ○横路分科員 それでは三十五年度の国庫債務負担行為、書記官研修所施設取得のため必要な経費四億五千万というものは、何を評価したのです。
  62. 栗本一夫

    ○栗本最高裁判所長官代理者 三十三年十二月八日の今まで申し上げておりました交換は、先ほどもちょっと触れましたように、翌年の三十四年二月だったと思いますが、大蔵省の許可が得られないことがはっきりいたしましたので、その交換契約そのものとしては効力がなくなったわけであります。本郷の岩崎邸の土地、建物を処分して研修所を建てていきたいということは、依然として当時最高裁で考えておりましたので、それで三十五年度の予算におきまして国庫債務負担行為というものをやったわけでございますが、その国庫債務負担行為の内容は、本郷にございます書記官研修所だけと、それから土地も書記官研修所の土地ということだけで債務負担行為をやったわけでございまして、従いまして、その四億五千万というのは、書記官研修所の敷地と書記官研修所の建物だけの金でございます。
  63. 横路節雄

    ○横路分科員 先ほどの経理局長のお話で、契約が履行できなかったのは、大蔵省がその土地、建物について売却を認めなかった、こういうお話がございましたが、それは評価額が違ったのか、どういう点が大蔵省では認めなかった理由になっているのですか。
  64. 栗本一夫

    ○栗本最高裁判所長官代理者 先ほど申しました十二月八日の交換を大蔵省が認めなかった純然たる理由は、これは大蔵省のことでございますので、一部は推測になるわけでございますが、先ほど申し上げております十二月八日の交換と申しますのは、新たに東都起業が建物を建てて、それももちろん不動産でございますが、それを交換する。もちろん、土地はみずから求めるわけでございますが、建物を新たに建てる、そしてそれを交換に供する、これをわれわれの方では新築交換あるいは建築交換と呼んでおりますが、どうもさような交換をひんぴんと行ないますと、予算に営繕費が載らないのに建物がどんどん建っていく、そういうことになっては、国家財政上あまりおもしろくないではないかというような考え方から、新築交換は極力差し控えたいというような大蔵省方針に基づきまして、十二月八日の交換契約は許可されなかったのだろうと私たちは考えておるわけでございます。
  65. 横路節雄

    ○横路分科員 今のお話を聞いてみると、最高裁が契約不履行で訴えられるのはどうも当然のように思いますね。三十三年の十二月八日には、新築交換をするのだといって契約を結んだ。ところが、三十四年の二月になってから、大蔵省の方から、いわゆる土地、建物を新築交換でやると、予算が計上されないのに建物がどんどん増していくということになって、予算の支出上うまくないからということで許可にならなかった。なるほど、三十四年二月の大蔵省が認可しなかったという点はそれでわかりましたが、三十三年十二月八日の覚書を交換したという時点においては、どうも最高裁の方が歩が悪いのではないですか。これはどうです。
  66. 栗本一夫

    ○栗本最高裁判所長官代理者 先ほどもお答えいたしましたように、十二月八日の交換の覚書におきましては、関係官庁の許可が得られなかった場合はこの交換契約の効力は発生しないということがはっきりうたってございますので、われわれの方としては決して歩が悪いのではなくて、むしろ向こうの方が少し無理な訴訟ではないかというふうに考えております。
  67. 横路節雄

    ○横路分科員 しかし、皆さんの方が契約については専門家なわけですね、その契約の専門家の最高裁で一民間の起業会社と契約を結ばれたときに、あとで問題になるようなそういう契約の仕方というものは、一体どういうのか、この点は非常に私ども疑問があるわけです。しかも、去年はここで経理局長は、四億とも七億とも答弁されていますね。土地が一万四千四百六十三坪、建物が二千三十五坪というものについての評価は四億ないし七億——だれが考えても、当時でも十五億、今なれば二十億ぐらいするのではないかと思われる。やはりそういうところに今日問題になっている点があるのではないかと私は思うわけです。しかし、この点は国の財産ですから、これが不当に処分されたり、不当に低く評価されて処分されることは、われわれはこれに対しては絶対に反対をし、国会を通じて監視しなけれ、ばならない立場にあるわけですから、このことを申し上げておきますが、それならば、書記官研修所の四億五千万の国庫債務負担行為は、この点については別に消えたわけではないでしょう。この点はこれからどうなさるのですか。最初あなたの方では、この三つの研修所について一緒にした方がいい、私もそうだろうと思うのです。だから、これからどういう計画でおやりになるのか、国庫債務負担行為の四億五千万についてはもうこれは消えてしまったのかどうか、その点はどうなっているのですか。
  68. 栗本一夫

    ○栗本最高裁判所長官代理者 お答えいたします前に、三つの研修所を一つの土地の上に建てるという趣旨で先ほど申し上げたのではございませんので、その点は一つ御了解願いたいと思います。  それから、四億五千万の点につきましては、昭和三十五年度の予算におきまして、四億五千万の限度において書記官研修所の土地、建物を取得してよろしいという債務負担行為が載ったわけでございますが、それが三十六年度へ入りますと、そのまま現金化——と申しますと、少し通俗的な言葉でございますが、四億五千万の庁舎等特別取得費が現実に裁判所予算に入ってきております。従いまして、現在も四億五千万の庁舎等特別取得費をまだ持っておるわけでございます。これが、冒頭にお答えいたしましたように、四億五千万の限度において書記官研修所の土地、建物——ことに先に解決しなければならないのは土地の問題でございますが、それを取得すべくいろいろやってみたのでございますけれども、現在までのところ、値段その他におきまして取得し得る土地が発見できませんので、誤記官研修所の土地、建物を取得する契約が結びかねておるわけでございます。
  69. 横路節雄

    ○横路分科員 東都起業株式会社があなたの方と土地、建物を交換する予定で買った世田谷区における廻沢の土地一万五千坪、それは別に使用する予定はないのですね。その点はもう全く契約は切れているわけですね。その点はどうなっているのですか。
  70. 栗本一夫

    ○栗本最高裁判所長官代理者 廻沢の一万五千坪の土地を最高裁判所が買わなければならない義務はございません。しかし、一応交渉したことはございますが、値段等の点において折り合いがつきませんので、取得いたしかねておる状態でございます。
  71. 横路節雄

    ○横路分科員 この問題については、いずれあなたの方で土地を求めて建物を建てる場合には、現在の書記官研修所の土地、建物は売却しなければならぬわけですね。その場合には、これは当然あなたの方の手を離れて大蔵省の普通財産に移って、そうして大蔵省としては正当な評価をして売らなければならぬのですから、それはまたこの問題が表面化したときにお尋ねをすることにします。  あと、予算の点についてお尋ねをします。この間、事務総長から、昭和三十七年度裁判所所管予定経費要求説明がございましたが、二、三の点についてお尋ねをします。  去年ここで私から質問しましてから、事務総長予算でだいぶ努力をなされたと見えまして、裁判所書記官補の定員九百三十四名を裁判所書記官の定員へ、家庭裁判所調査官補の定員六十六名を家庭裁判所調査官の定員にそれぞれ組みかえたことは、けっこうなことだと思います。そこで問題は、私の数字に誤りがなければ、なお家庭裁判所の調査官補は二百四十六名残っている。裁判所書記官補の定員はなおたしか二千四百か残っているのではないかと思う。数字が間違っておれば御指摘をいただきたいが、この点については、いわゆる代行制度というものを廃止する意味からいっても、今回と同様に、裁判所書記官補の定員残二千四百名、家庭裁判所調査官補の定員残二百四十六名を全部それぞれ裁判所書記官、家庭裁判所調査官へ、そういうように組みかえをすることが至当ではないか。今日の裁判所の、あるいは家庭裁判所のそれぞれの実際に仕事をしている内容からいってそう思うのですが、この点、事務総長はどうお考えになりますか。
  72. 石田和人

    ○石田最高裁判所長官代理者 ただいまお尋ねの通りでございまして、書記官について申しますと、裁判所で裁判を運用していくのに必要な書記官の数を、大体裁判所では六千百七十ばかり考えております。もっとも、これは大蔵省との間でまだはっきり了解ができているわけではありませんが、裁判所としては、そのくらいはぜひとも必要であろうというふうに考えております。ところが、そのうち書記官の定員は三千四百四十ばかりで、その差し引き大体二千七百ほどをぜひ書記官補から書記官に組みかえて、行く行くは書記官補という制度を存続させないようにしたいというふうに考えておるわけでございます。そのうち、大体二千七百ほどは二年計画ということで、本年はそのうち千名——二年計画というのも裁判所だけの計画でありますが、そういうつもりで予算要求をいたしました結果、先ほどおっしゃったような数が幸いにして組みかえられました。そういう状況であります。
  73. 横路節雄

    ○横路分科員 今の事務総長のお答えの中で、大へん大事なことがあると思うのです。それは、行く行くは裁判所書記官補というものを廃止して、それを全部書記官にいたしたい。これは同様に、家庭裁判所調査官補についても、調査官補を廃止してできるだけ調査官に組み入れていきたい、こういうことだと思いますが、それで間違いございませんか。
  74. 石田和人

    ○石田最高裁判所長官代理者 御質問の通りでございます。
  75. 横路節雄

    ○横路分科員 それでは、予算のことですが、大体残の書記官補の定員、それから残の家庭裁判所調査官補の官員、これを逐次書記官、それから調査官に繰り入れるためには、何年計画でどういうふうにやるのか、その点、具体的な数字があったら、計画をお知らせいただきたいと思う。
  76. 桑原正憲

    ○桑原最高裁判所長官代理者 ただいまのところ、いわゆる書記官補で書記官の事務を行なう者に指名いたしております数が、千六百七十九名、それから裁判所事務官にいわゆる併任を命じて一部書記官事務を行なわせておる数が、二千三百一人となっております。それから調査官につきましては、調査官補で調査官の職務を行なう者に指名いたしております者が、二百四十三人という数になっております。
  77. 横路節雄

    ○横路分科員 これを何年計画で書紀官並びに調査官というようにされるのか、こう聞いたのです。
  78. 石田和人

    ○石田最高裁判所長官代理者 書記官補を書記官にいたしますには、書記官の方は相当高い任用資格がございますので、現在書記官補をやっている人たちが、将来成長いたしまして書記官になり得るだけの力が出てくることも必要なわけであります。もっとも、概念的には書記官と書記官補の関係考える必要はないわけでありますけれども、現実の問題としては、書記官補を書記官にするには、相当訓練をし教育する期間が必要であります。ただし、制度として書記官補の定員を削って書記官をふやすということについては、なるべく早い機会に実現を期したいと思っております。
  79. 横路節雄

    ○横路分科員 たくさんお尋ねしなければならぬ点がありますので、今の点はもっとお尋ねしたいと思うのですが、次に移りたいと思います。  次に、墨田の交通裁判所についてお尋ねをしたいのです。墨田の交通裁判所の処理件数につきましては、私の手元に今資料がございますが、昭和三十六年度においては、略式命令でやったものが二十七万三千三百十五件、それから即決でやったものが八万四千八百六士五件、こうなっているわけです。これは裁判官が七名、書記官が十八名で処理をしておる。私も行ってみたのですが、大体一つの裁判は二十秒から四十秒で終わっているのです。一件が二十秒から四十秒、これは一体裁判という中に入るものでしょうか。そうしてもう検事の求刑と同じなんです。検事の求刑と寸分違わないのです。まあ合理化というのですか、オートメーションというのですか、これくらい徹底したところはないと思う。これは事務総長おいでになったかどうか。私も、一体どんな状態なのか、一般の人の中に入って行ってみたのですが、私はただ単にあなたを責めるというだけではないのですよ。一体こういう事態は——一つの裁判が二十秒から四十秒で終わって、検事の求刑通り、あと何も変わらない。行ってみたら、何も変わらない。それなら裁判なんかやめた方がいいのじゃないかといったら、これはちょっとおかしいのです。裁判をやめた方がいいのじゃないかという理屈は成り立たない。やはり裁判は正しく行なってもらいたい。それを裁判官七名に書記官十八名でやっているのです。これは何も東京都ばかりではないわけです。大阪も同様のようでありますが、朝行って四時間も五時間も待たされて、そうして一体どんな略式命令があるのか、即決があるのかと思って行ってみたら、二十秒でぽんと終わった。これは結局、裁判官七名とか、書記官十八名とか、こういうところに問題があるのではないでしょうか。そういう裁判を受けて帰った者がどんな感じがするでしょうか。四時間も五時間も仕事をやめて行って、二十秒でぽんとやられた。事務総長おいでになったことありますか。あなたは専門家で、私どもは全くしろうとなんです。しかし、私はお尋ねするために一ぺん行っておかなければならぬと思って行たわけですが、こういう現状はいい現状ですか。現場においては、もっと裁判官の定数を増してもらいたい、書記官の定数を増してもらいたい、もっと審理をするならする、で何とかやりようがあるのではないか、こう言っているのですよ。いや、そんなことをやっていられるものか、こんな忙しい最中にそんなことをやっておったら時間がないから、二十秒でも四十秒でもやっているのはまだいい方だ、こうおっしゃるのですか。その点は、事務総長、どういうものでしょうか。
  80. 石田和人

    ○石田最高裁判所長官代理者 墨田のいわゆる交通裁判所の裁判官の員数あるいは職員の数等は、御指摘のところにほぼ近いようでありまして、最近非常に件数が増加してきつつある際、非常に手薄であるということは認めざるを得ないわけでございますが、最近調べましたところによると、一件について二十秒なんということはないようでありまして、大体四分、しかし、これはもう違反の態様が定型化しておりまして、それ以上調べてみても、何もそう調べることもない。弁解等があれば、もちろん裁判官も十分聞きますし、それから刑の量定も、大体長い間の慣例で一つの定型化したような金額になっておりますから、結果から申しますと、求刑にほぼ近い金額で、あるいは求刑通りにきまるというふうな結果になっているわけでありますが、しかし、数のうちには、もちろん、本人の弁解、事情等を聞いて求刑の額を変更して軽くしたというふうな事例も相当あるはずであります。さような関係で、今墨田の問題につきましては、われわれ当局者といたしましても非常に苦慮して、何とかしなければならぬというふうに考えておりますが、一方、政府関係部局におきまして、交通違反の処罰の体系を根本的に検討されるような気配もありまして、その成り行きいかんによっては、裁判所の負担する部分があるいは今の態勢で十分だということにもなるかもしれませんので、今さような成り行きを見つつ、裁判所裁判所として心配しているというのが実情であります。
  81. 横路節雄

    ○横路分科員 今のお話を聞いていると、警察の方で何かうまくやってくれるから、そうすればもっと現在の定員でうまくやっていけるのではないかというお話のように受け取れるのですが、事務総長はそうお考えになっているのですか。私が二十秒ないし四十秒だと言ったら、事務総長は、平均四分だと言う。四分なんてかかっていないですよ。しかし、定員についてはこのままで押し通すおつもりですか。
  82. 石田和人

    ○石田最高裁判所長官代理者 交通事犯の数は、結局、そのときの検挙方針とか、あるいは警察の力の入れ方で急激にふえることもあり得るわけでありますが、昨年秋から暮れにかけまして以後、だいぶ件数がふえてきておりますので、これは私どもはあまり予想しなかったことであります。いろいろなことが現在のようである限り、裁判所といたしましても、何とかしなければならぬ、来年度の予算要求等の際には、必ず善処しなければならぬというふうに考えております。
  83. 横路節雄

    ○横路分科員 そこで事務総長、一体こういう事件は、どこかに原因があるのではないか。私は、これはやはり裁判所にも責任があると思うのです。私はごく最近この問題についていろいろ調べてみたのですが、東京家庭裁判所本庁における交通違反事件処理の現況についていろいろ調査をしたわけです。昭和三十六年度中に受理した交通違反は十一万四千二百九十六件、東京家庭裁判所で、業務上過失致死、同傷害事件は、約二千件あったわけです。これを主任調査官ほか十五名の調査官が担当しているわけですが、この十一万四千二百九十六件のうち、検察官あるいは警察から送致された事件、これをまず第一番目に書面調査によって検察官に送るのが一八・八%、調査官によっていろいろ個別調査による面接をする——調査官については、私よりも事務総長が専門家なんですが、調査官はどういう仕事をやるか。言うなれば、これは一種の教育者です。これが個別調査によって、面接をして、本人に会い、いろいろと家庭の状況、本人の性向、それまでの状態を調べ、あるいは指導するものは指導する、こういうようにして検察官に送ったものは一四・七%、書面調査によって、審判は開始しないと決定して帰してやるものが六六・五%、今度は初めての交通違反だから、これは書面審査で、審判不開始だといって帰してやる、このものが、業務上過失致死、同傷害事件の約七割を占めているという。この業務上の過失致死、傷害事件の七割、これはいわゆる書面によって審判不開始と決定して帰してやる。一つも指導しない、個々面接もしない、事情も聞かない、家庭の状態、性向その他についても聞きもしない、こういうものが、再び犯して過失致死傷害になっている。この問題について、一体どうしてこういうことになるのであろうか、こういうように私ども調査してみますと、調査官の担当能力というものは一カ月約十件、ところが、現在一体どういうようになっているかというと、身柄を拘置していろいろ面接をしているものが月に十五人から二十人、そのほかに、在室でこちらから出かけていってやるものが二十二人から二十三人、こういう状態です。私は、交通違反事件というものは、その犯した少年が家庭裁判所において取り調べのときに、調査官がもっとふえて、個々面接その他で十分指導されていればあやまちを犯さないのに、人が足りないものだから、その書面だけで審判不開始ときめて帰してやる、このものが七割を占めている、こういうわけです。この点は、私は、やはり交通違反については最高裁も責任があると思う。この点が改善されなければ絶対によくならないと思うが、事務総長、どうですか、改善する意思はございませんか。
  84. 石田和人

    ○石田最高裁判所長官代理者 詳しい数字のことは存じませんけれども、東京家裁へ参ります交通事犯は、警察から送致されますときに、警察で検挙されたものが大部分裁判所へまず一応送られてくる。非常に軽いというようなことで警察で放すようなものは少なくて、大部分送ってくる。でありますから、よく検討しますと、もう書面だけで帰してやっていいという事件が相当あるやに聞いております。今その審判不開始のものが六十何%とおっしゃいましたが、その点につきましては、私、数字をよく記憶しておりませんが、それもその程度に応じまして調査官も活動をしておるわけでありまして、家庭裁判所におきましては、交通事犯をすべて調査官が丁重に調査をするという必要はないのではないかと考えます。
  85. 横路節雄

    ○横路分科員 どうも事務総長のそういう考えでは、交通違反事件というものはなくなりませんよ。私は調査官に実際にお会いして、どうしたらこういう交通違反、特に過失致死傷害というものがなくなるのかと聞いたら、いわゆる書面で審判不開始ということでなしに、やはり個々面接をして、本人の家庭の状況なり、本人の勤めなり、あるいは本人のいろいろな状態を聞き、その間に教育、指導が行なわれる、そういうことがあれば、交通違反事件というものは非常になくなると思う、現場の諸君がそう言っている。事務総長は、その点について、もっと現場の諸君と直接お会いになってよくお話をする必要があるのではありませんか。私は他に国会関係質問をいたしたいと思いますので、次のお尋ねに移りますが、その点は、事務総長、一ぺんよく現場の諸君にお会いになる必要がありますよ。  そこで、最後に裁判所関係一つお聞きしたいのは、東京家庭裁判所には、練馬に送るのに、護送バスがないというじゃありませんか。これはどうしてないかというと、聞いて下さい、一台二百五十万で予算は計上された。ところが、護送バスではない。そこに乗ってくる調査官は、非常に身の危険を感じている。ある場合には、右翼団体の者が、自分の仲間が引っ張られると、東京家庭裁判所の玄関にハイヤーで乗りつけて、護送バスではない、一般バスだから、その中に入って脅迫をする。ところが、なぜないのかと調べてみたら、一台二百五十万で護送バスを買うことになったが、裁判官ですか、判事さんですか、そういう人がかよったり、ちょっと会議に行くのに都合がいいので、二百五十万の護送バスであるべきものを、一台百二十五万の小型の一般バスにした。言うならば、私たちが朝晩通う国会議員用のあのバスと同じだろうと思うのです。そういう通勤用のバスを買っておいて、そうして護送バスだというのだが、万々一中で火災が発生したら、脱出する非常口がない。調査官自体は非常に身の危険を感じている。これは事実ですよ。うそだと思ったら調べてごらんなさい。こういう状態なんです。この状態についても御存じですか。
  86. 栗本一夫

    ○栗本最高裁判所長官代理者 東京家庭裁判所に護送バスがないことはないのでございまして、中型の護送バスが二台置いてございますが、今御指摘がありましたように、少し小さ過ぎる、大型のバスにしてもらいたいという要望は家庭裁判所からいたしておりまして、今検討中でございまして、新しい会計年度に入りましたら、何とか要望に沿うように努力したいというふうに考えております。   〔主査退席、山口(好)主査代理着   席〕
  87. 横路節雄

    ○横路分科員 経理局長、それは違いますよ。調べてごらんなさい。私は現場へ行って調べたんだから。一台二百五十万で買うべき護送バスを、そうではなくて、たぶん会議に出るために判事が利用するというのですか、だれが利用するというのですか、一台百二十五万円の小型バスです。だから、非常口がないのです。護送バスとしての設備も何もないのですよ。そういうことを言ってはいけない。私は事情を聞いて調べてあるのです。護送バスは大型であって、普通バスと護送バスとは違うでしょう。そういう点についてあなたの方でもう一ぺんよく御調査をしていただきたい。時間がもっとあればいろいろお尋ねをしたいのですけれども、時間の制約もありますし、国会職員についても少しお尋ねしたいと思いますから、これでやめますが、交通違反事件等についての東京家庭裁判所の審判不開始の問題等については、事務総長のお考えは少しどうかと思う。もっと現場の人とよくお話をされて、一つそういうことがないように改善に努力をしてもらいたいということを申し上げて、最高裁判所関係予算についての質問を終わります。  次に、国会職員についていろいろお尋ねしたいと思います。これは三十六年十二月二十四日の婦人民主新聞というので読んだのですが、「国会図書館はだれのもの」という中に、二百万冊に上る図書に対して、書庫係はたった七人でやっている、こういう記事が出ております。二百万冊を七人で整理するというのは大へんだと思うのです。機械が故障するのは、各新聞に出ておりまして、有名な話ですから、きょうはここで指摘しませんが、実態はそうなんですか。
  88. 原田三千夫

    ○原田国立国会図書館参事 現在書庫の保管についております者は三十九名でございまして、そのうち、常時書庫内に入っておる者が九名ないし十一名であります。出納台には七、八名の者が出ております。先生が仰せられましたように、二百十万冊の本を整理するのが七名ではないのであります。
  89. 横路節雄

    ○横路分科員 書庫係全体の定員は何名ですか。書庫係は七名だということになっているのですが、そういうことはないのですか。
  90. 原田三千夫

    ○原田国立国会図書館参事 書庫係全体が、ただいま申しましたように三十九名であります。
  91. 横路節雄

    ○横路分科員 今定員の問題については、資料に基づいてあなたに一つお尋ねしたいと思うのですが、先にちょっと待遇の問題についてお尋ねしておきたいと思うのです。  国会手当は、本俸の五〇%が通常国会が終わったときに支給される。ところが、国会図書館については、大体二二%ないし二三%しか出されていない。これはどういうことなんでしょうか。これは間違いございませんでしょう。
  92. 原田三千夫

    ○原田国立国会図書館参事 今日まで国立国会図書館におきましては、国会手当といたしましては百分の二十が支給されております。
  93. 横路節雄

    ○横路分科員 どうして国会で衆議院、参議院の職員と図書館の職員はそう違うのですか。二二%から二三%かと思ったら、二〇%だというのですが、どうしてそういう差をつけてあるのですか。
  94. 原田三千夫

    ○原田国立国会図書館参事 これは従来そういうふうになっておりますので、私の方といたしましては、できるだけ国会職員としまして同一待遇を受けたい、こう思って努力はいたしておるのでありますが、三十七年度におきましては、図書館といたしましては百分の二十ということになりました。
  95. 横路節雄

    ○横路分科員 努力していないなどと言うと失礼に当たるから、言いませんが、全然お話なさらないのじゃないですか。いわゆる予算要求のときに衆議院、参議院の職員と同じようにこの国会手当については五〇%支給なさいということを要求しているんですか。
  96. 原田三千夫

    ○原田国立国会図書館参事 三十七年度の予算要求におきましては、国立国会図書館といたしましては、衆議院、参議院と完全に同じ業務体制ではないのでございますので、立法調査局、それから国会分館、並びに総務部の一部分の職員につきましては、衆参両院の職員と同じように百分の五十を要求いたしました。それからその他の職員につきましては、百分の三十を概算要求のときに要求いたしまして、大蔵省と折衝いたしましたが、その結果、従来の通り百分の二十ということになりました。
  97. 横路節雄

    ○横路分科員 どうも予算要求される総務部長としては、ちょっと努力が足りないのではないでしょうか。私たちいろいろな仕事をするのに、あなたも御存じのように、図書館の立法考査局その他の職員にいろいろ資料の提示を求め、図書館を利用し、それらの資料に基づいてわれわれ国会議員としては国会活動している。国会活動の、言うならば源泉ですよ。何でそれを参議院や衆議院の一般職員と同じように五〇%が入れられないのですか。金で言えばわずかと言えばわずかかもしれないけれども、どうしてそういうことが入れられないのですか。  それとあわせて、超過勤務手当も違うのでしょう。超過勤務手当についても、一般職員は、開会中は一カ月五十時間、閉会中は十五時間、ところが、国会図書館は、開会中は十五時間、閉会中は五時間になっているじゃないですか。図書館というのを一体何だと思っているのですか。ただあそこに本だけ並べておけばいいとあなたは思っているのですか。どういうわけですか。
  98. 原田三千夫

    ○原田国立国会図書館参事 超過勤務手当につきましては、三十七年度の予算において、昨年度よりも二時間増しの、平均いたしまして十八時間つくことになっております。これは年間の平均でございます。
  99. 横路節雄

    ○横路分科員 それでもなお衆議院、参議院の職員は倍ぐらい支給されていましょう。約三十時間をちょっと出ているじゃありませんか。間違いだと思ったら調べてごらんなさい。あなたが、そういうことでこれはずいぶん待遇改善になったと言うのでは、違いますよ。
  100. 原田三千夫

    ○原田国立国会図書館参事 私の方の調べでございますが、衆議院の方は、平均いたしますとたしか二十八時間くらいになると思います。私の方は、平均いたしまして、三十七年度は十八時間になっております。
  101. 横路節雄

    ○横路分科員 それは違いましょう。衆議院は、開会中は五十時間、閉会中は十五時間ですよ。大体年間の開会というのは、年に七カ月あるのですから、七カ月が五十時間で、あとの五カ月が十五時間ですから、あなたの計算のような数にならないですよ。  きょうはこまかなことをお尋ねするために分科会をやっているのですから、お尋ねしますが、図書館の職員には賄雑費というのは一つもないのですね。
  102. 原田三千夫

    ○原田国立国会図書館参事 これは昨年から、賄雑費という費目はございませんけれども、賄雑費を出すことにいたしました。
  103. 横路節雄

    ○横路分科員 それは幾ら出していますか。
  104. 原田三千夫

    ○原田国立国会図書館参事 昨年度は庁費の中から二十万円ぐらいを流用しております。
  105. 横路節雄

    ○横路分科員 全部で職員は何人ですか。二十万というと、一人幾らになりますか。
  106. 原田三千夫

    ○原田国立国会図書館参事 賄雑費は全員には出しません。
  107. 横路節雄

    ○横路分科員 定員は何人いるのです。
  108. 原田三千夫

    ○原田国立国会図書館参事 定員は現在七百七十名でございます。七百七十名でありますけれども、先ほど申しましたように、その七百七十名が全員衆参両院のような勤務体制にはなっておりませんので、私たちの方は職員の勤務体制に応じまして、当然賄雑費を出すべき者に出しております。超過勤務にいたしましても、若干そういう点が衆参両院と違うのではないか、こう思っております。
  109. 横路節雄

    ○横路分科員 今のあなたのお話はだいぶ数字が違うのではないですか。二十万円を、七百何人というと、全部平均に渡しても三百円ですよ。賄雑費というのは、やはり年度末手当の形を変えたものですね。名目はそうはなっていないけれども、そうでしょう。衆参両院の職員の場合には大体そういう形をとっておるのですよ。この点はどうなんです。
  110. 原田三千夫

    ○原田国立国会図書館参事 私の方では、賄雑費といたしましては、国会手当を支給する対象人員だけに賄雑費を支給いたします。百六十八名を対象にいたしております。
  111. 横路節雄

    ○横路分科員 一人幾らになるのです。
  112. 原田三千夫

    ○原田国立国会図書館参事 ただいまはっきり計数を覚えておりませんが、たしか一人当たり千三百円ぐらい支給されておると思います。
  113. 横路節雄

    ○横路分科員 この賄雑費は、衆議院、参議院の場合には、いわゆる年度末手当の形を変えたものですが、一人約二千五百円渡っていますね。そうしますと、今あなたは、衆議院、参議院の職員とは違うというのですけれども、しかし、場合によってはそれ以上なんですよ。図書館というのは頭脳なんでしょう。頭ではないですか。どうもあなたのお考えの中に、両院の職員の方は高くていいんだ、おれの方はどうもちょっと仕事が軽いものだから、半分以下でいいんじゃないかというような考えがあるのではないですか。この点、私たちは図書館の仕事、そこで働いている職員の人に対して非常に敬意を払っているのだが、どうもあなたの方ではそうじゃないですね。半分ぐらいの値打ちですかね。どうもそこのお考えが少しおかしいじゃありませんか。
  114. 原田三千夫

    ○原田国立国会図書館参事 国会手当でありますとか、賄雑費の性質上、私どもは、この手当は、いわゆる国会に奉仕する職場にある者を大体支給の対象に考えておりますために、図書館の業務の全般から申しますと、必ずしも衆参両院の職員のごとく、国会サービスにだけ専従していない部面があるのであります。たとえば、図書の収書に当たる者でありますとか、図書の整理に当たります者は、一定の勤務時間で一定の時間には退庁しております。職場によりまして仕事の相違がございますので、そういうふうに分けて考えております。
  115. 横路節雄

    ○横路分科員 次に、図書館の職員の初任給の問題です。私は資料をいただいたのですが、大学卒の場合においては、衆議院は一万三千二百円、参議院も一万三千二百円、ところが、あなたの方では一万七百円、短大卒は、衆議院も参議院も一万七百円、ところが、あなたの方は九千九百円、高校卒は、衆議院も参議院も九千五百円、あなたの方は九千百円、こういう事実は知っていますか。
  116. 原田三千夫

    ○原田国立国会図書館参事 従来、国会図書館の職員を採用いたしますときには、人事院の基準によりまして、試験採用者以外でございますが、大学出は八の五で、それから短大が八の三でございます。それから高校卒は八の一でございます。それを今度は、国会職員と同一の待遇にしなければならぬということを強調いたしまして、今後は衆参両院と同じ格づけでとるようにいたしております。従来のものの初任給の格づけを是正する努力を今やっております。
  117. 横路節雄

    ○横路分科員 ことしの四月一日から採用になる者は、衆参の職員と同じように格づけをした。そうすると、当然そこでどの官庁でも不合理是正ということが行なわれるのです。二万七百円でスタートしたのが、今度は一万三千二百円でスタートするのですから、そうすると、その間、前に採用した人との差が出る。ずっと上に不均衡が出ますから、それは上げていかなければならぬ。そういう不均衡の是正はおやりになりますね。
  118. 原田三千夫

    ○原田国立国会図書館参事 ただいまその格づけの是正をやりつつある段階でございます。
  119. 横路節雄

    ○横路分科員 間違いなくやりますね。初任給を一万三千二百円と格づけをして、その上の不合理是正はやりますね。その点だけ明らかにしておきたいと思います。
  120. 原田三千夫

    ○原田国立国会図書館参事 それはやるつもりでおります。
  121. 横路節雄

    ○横路分科員 それから先ほどからお尋ねをいたしております国会手当、超勤、こういうものは一般職員と同じようになさるお気持はないのですか。
  122. 原田三千夫

    ○原田国立国会図書館参事 国会手当は、先ほども申し上げましたように、職場によりまして、ある者は百分の五十に、ある者は百分の三十に持っていくように努力をいたしたいと思っております。  それから超過勤務手当は、これは平均いたしますと、数字の上で衆参両院の職員と比べて非常に不利な立場に置かれておるようでありますが、あの面では衆参両院の職員と同じくらいの待遇を受ける者もあるということを御了承願いたいと思います。
  123. 横路節雄

    ○横路分科員 次に、調査旅費です。これは一人当たり年間五千円か六千円しか配当していないということですが、私はこの話を聞いて、こんなばかなことはないと思ったが、事実はそうらしいのです。一人五千円か六千円の調査旅費で何ができるのですか。に乗っていってしまったらそれでなくなりますよ。一体こういう予算を組んで、図書館におられる人が実際の調査をしようと思うときにできるものでしょうか、どうでしょう。
  124. 原田三千夫

    ○原田国立国会図書館参事 この点も今後できるだけ増額を要求したいと思っております。
  125. 横路節雄

    ○横路分科員 総務部長、実はあなたに図書館の定員についてお尋ねをしたいと思っているのですが、だんだん時間がなくなりましたので、これはあとで同僚の野原委員からあなたに詳しくお尋ねをいたしますから、大へん恐縮ですが、図書館の方の私の質問はこの程度にして、次に国会職員の問題についてお尋ねいたします。  最初に、臨時職員の定員の問題についてお尋ねをしたいのです。臨時職員につきまして、昭和三十七年度は、衆議院が四十三名、参議院が三十七名のようでございますが、この臨時職員というのは全部定員化した方がいいと思うのです。私調べたところが、日給が衆議院の方は、大学卒が四百二十円、短大卒が三百九十円、高校卒が三百六十五円、参議院の方は、大学卒四百四十円、短大卒四百十五円、高校卒三百八十円、予算単価は三百五十円のようです。これは大学を出ておられる方がほとんどのようでございますが、これは日給職員でなくて、全部定員化するのが至当だと思うのですが、この点どうですか。
  126. 藤野重信

    ○藤野参事 お答えいたします。  一般事務関係、それから教育その他の面から申しまして、横路委員のおっしゃった通り、まことにごもっともと考えております。しかしながら、全般的な事務関係を見ますと、国会というところは、開会と閉会によって非常に繁忙の度合いが違うところでございますので、その関係からいきまして、やはりどうしても一むしろ本来の筋は、定員化した方が、職員の監督という点、その他からいきましてもけっこうなんでございますが、一方、客観的な事務量という面からいきますと、やはり閉会と開会との関係は相当にございますので、これは将来なるべくこの定員の中に入れていく方向がけっこうだと思いますが、現在のところにおいては、やはり国会開会中の繁忙事務を消化するために若干の臨時職員というものは残さなければいけないのではないか、かように考えております。
  127. 横路節雄

    ○横路分科員 来年度は、衆議院で四十三名、参議院で三十七名の定員化をする見込みですね。この点を明らかにして下さい。
  128. 藤野重信

    ○藤野参事 御質問の通りでございます。しかしながら、それは四月一日に一挙にやるというのではございませんでして、四月以降来年度を通じて逐次定員化していきたい、かように考えております。
  129. 横路節雄

    ○横路分科員 次は、衛視の臨時職員といいますか、臨時衛視の定員の問題なんですが、これは年に七カ月あるわけです。長い人は三年から四年来ておるようです。この点は、衆議院で二十五名、参議院で十五名という、何か予算要求をしたようだが、三十七年度予算では全部だめだったという話を聞いております。年に七カ月も国会に来ておる、しかも相当去年から問題になっておるように、右翼のテロその他の問題がたくさんあるときに、やはり臨時衛視といえども相当の責任をもって仕事をしておると思うので、これについては、臨時衛視というのは廃止して本採用にしてやるべきだ、そうでなければ、だれが入っておるかわからぬわけですから。この点はどうですか。
  130. 藤野重信

    ○藤野参事 衛視の性格から申しまして、おっしゃる通りに私は考えております。実はこの場合にも、私が先ほど申し上げましたように、国会の秩序維持という面からいきましても、事務の繁忙の度合いが非常に違うということでございまして、平たく申せば、これは現在の定員を増加する増員の問題ということになるわけでございます。増員の問題につきましては、多少増員しなければならない要素が、おっしゃる通り、テロの問題とか、あるいは若干の事務増加量もございますので、考えられたわけで、本年度要求いたしましたが、これは結果においてうまくいかなかったと、率直に申し上げるわけでございます。と申しますのは、実は安保の相当忙しかった時期におきまして、つい一昨年ですが、あの時期に二十名増員しております。その関係もありまして、今、緊急の度合いと申しますか、国会正常化の現状において特段の主張する理由に乏しいという点もありますので——これは方向としては、私たちとしては極力努力していきたいというように考えております。
  131. 横路節雄

    ○横路分科員 たくさん問題があるのですが、あと二、三の問題でやめたいと思います。  会館、宿舎に監視がおりますね。この人々は、大学を出ておる人がほとんどなんですが、大体そこに働いておる人は五年ないし七年——私も九段の宿舎にいるわけですが、そこには受付、監視がいる。会館にもいる。五年たっても七年たっても、監視は監視。職場の交流といいますか、そういう点で非常に不満が強いわけですが、この点はどうですか。私は当然是正すべきだと思う。
  132. 藤野重信

    ○藤野参事 実は私も前に管理部長をしておりまして、会館、宿舎に監視的な業務についておる職員が相当数おりまして、やはり職員の希望としては、院内の事務に携わりたいという熱心な要望もございまして、私も前々からその交流については相当努力して参ったのでございますが、何と申しましても、欠員を埋めるというようなことでありまして、十分にいかなかった、まあ申し上げれば、微々たる数しかいかなかったことは事実でございます。ところで、昨年のちょうど今ごろでございますか、もう少し前に、方針を確立して何とか消化しなければこの問題は解決できないのだということを、私ども部内で非常に熱心に相談いたしまして、その結果、従来ですと、新しく必要があれば、たとえばある部に欠員ができたというと、その適性な者を、必ずしもそういう希望者の中からではなく、そこに臨時職員で入っていた者がそのままなるとか、あるいはよそから採るということもございましたが、そういうことではとうてい解決できないということで、基本方針を立てまして、必ず優先的にそういう監視の業務に従事している人たち事務の方に引き上げるという方針をきめまして、それによりまして、第一回に去年の二月ごろに、私はっきり記憶しておりませんが、十数名、それ以後逐次そういう方針にのっとっていきまして、この一年間に約三十人前後が事務へはいっていると思います。監視の全員が約九十人でありますから、三割ぐらいいっております。これはまだまだ満足とは申せませんが、私どもから申せば、画期的な方針が確立された、かように考え、またこの方針を強力に推進したい、かように考えております。
  133. 横路節雄

    ○横路分科員 今の会館、宿舎における監視の問題については、非常に職場の不満が多いわけです。苦労して、夜間の大学にしても、学校を出られて、そして職場が他にかわるかと思ったら、まあアルバイトというわけではないけれども、従前勤めていた監視を五年も七年もやる、こういうことでは、本人の励みにもならないと思うので、人事の交流は非常に困難なことかもしれませんが、そういう意味で、これらの人々に希望を与えるために、今のお話に沿うてぜひ一つ努力してもらいたいと思います。  その次に、手当のことについて二、三お尋ねしたいのですが、一つは、衛視の人々に六品料というものが出ている。私たち、これはなかなか聞いてみなければわからぬことですが、ワイシャツ、ネクタイ、くつ、くつ下、カラー、手袋、これが月三百二十円だというわけですね。三百二十円でワイシャツ、ネクタイ、くつ、くつ下、カラー、手袋、これをどうやってまかなうのでしょうかね。こういう点なんか、何か少し時代離れがしているのじゃないでしょうか。  次は、衛視の宿料というのが、現行月五十円だという。これは戦前に、国会に何かあったときに、やあっとかけつけるようにするためには、大体五円あれば当時六畳間を借りることができたというので、戦前初任約三十二円の当時で五円の宿料であったのを、現行は五十円にした。十倍程度でいいんじゃないかということであったらしいんですが、この点もぜひ是正されなければならないと思うんですね。  もう一つ聞いておきたいのは、宿舎に事務員補という名前で、女の方がいろいろ宿舎におけるお手伝いをしている。しかし、事務員補だが、一月の手当はどれだけかと聞いてみると、三千二百五十円しか支給されていない。長い人は八年から十年くらい勤務しているのに、おやめになる人はどうかと聞いたら、一円の退職金も出ていない。名前も事務員補、これもひどい話です。参議院の場合には、清水谷宿舎の婦人で公務員行一の人もいる、それから婦人で行二の人もいる。ところが、衆議院の宿舎に八年から十年くらい勤めている人でなお事務員補で、三千二百五十円、何年勤めておやめになっても、退職手当は一つも出ない、こういう問題です。この国会予算委員会でやるのは、予算全般についてやることのために、これらの国会の職員やそういう人々に対する質問というのがあまりなかったものですから、やはり三十七年度国会予算の中でそういう点がすみやかに私は是正されなければならぬと思うので、六品料だとか、それから今の宿料ですか、月五十円、あるいは事務員補の問題、こういう問題について一つお尋ねいたしますので、お答えいただきたいと思います。
  134. 藤野重信

    ○藤野参事 最初の六品料の問題でございますが、これは月三百二十円、年額にいたしますと約三千八百円くらいになりますが、これは低過ぎるといえば低過ぎると申されましょうが、現在の給与としてこれを現品で換算いたしますと、私は必ずしも不当に低過ぎるという額ではないと思っております。といいますのは、同じようなことが今横の関係で比較してみますと、警視庁あたりでは、数年来年額二千円程度を現品でまかなっておるという状況がございますので、これは大量生産の利益ということも考えられますが、この点は個々に検討いたしまして、非常に無理であるということであればまた改善の方策も考えられると思いますが、先般来、そういう横の関係で、どんなものがどの程度に支給されておるかということも検討しておりますので、なお研究さしていただきたいと思います。  それから次に宿料の問題でございますが、これは慣行といたしまして、私どもの方の衛視には、今申されました五十円という時代離れした宿料が出ておりますが、この問題は、現在の住宅状況から申しまして、ひとり衛視の問題だけではございません、一般の職員につきましても、各省と違いまして、特に緊急を要し、かけつけなければならない職員というものはほかにもございますので、こういうものもかねて平等に考えていかなければならない問題でありまして、今金額に換算して幾らやったらそういう間に合うような近在居住の要求を満たせるかということは、すこぶるむずかしいのでございまして、むしろこの問題は公務員全般の問題にもなると思いますが、一般的に考えて参るという面が一つでありまして、これは宿舎手当というような形のものをもう少し合理的に考えられないか、これはどうしても衛視だけに限って考えられる問題じゃなくて、もっと広い面から考えなければならない。それからもう一つ考えられるのは、ほんとうに緊急なもので、たとえば若い衛視ですぐはせつける最小限の人員、たとえば二十人なり三十人、軍隊でいえば一個小隊ということになるのでしょうが、そういうものだけは近在に住まってもらわなければいけないということであれば、予算的な措置をいたしまして、独身宿舎というか、警察官の寮みたいなものを近在に作るとか、そういうふうな物質的な面で解決する、そういう方途も考えられるので、これは、実は私も架空なことを申しているわけではなくて、ある程度計画的に、これは近いうちにぜひその程度のものは、一般的な面からも、また若い職員の待遇の面からいっても、解決しなければいけない問題だと思って、鋭意研究しております。それから第三点、例の事務補助職員の問題でございますが、これは実は非常に微妙な沿革がございまして、現状においては、仰せの通り、参議院では公務員、衆議院では非常に不合理な形に残っているということは、私も率直に認めるわけでございます。実はこの問題は、私ども昨年もかなり研究したところでございますが、従来衆議院におきまして、高輪、赤坂、九段、この宿舎に十七名、こういう種類に属する部屋付きとかいう人があったわけですが、これは主たる身分は、そこにあります食堂の従業員でございまして、これが同時に議員さん方の部屋の掃除とか、あるいは簡単な整理ということに携わっておりますので、私どもの方から若干の謝礼を出すという形でまかなっておったわけであります。従って、職務の内容も、食堂の従業員であり、関連して議員さん方のお世話をするという形になっておりますので、これはそういう形で従来からずっと引き続いてきたわけでございますが、いろいろの事情、特に最近の賃金というような面もありますし、それから女子従業員そのものの人の集まらないという点もございまして、これを公務員に移すか、あるいは何らかの手を打たなければいけないということで、昨年来問題になってきたのでございますが、参議院の場合と比較いたしまして、職務内容を分析してみますと、直ちに公務員に移すべき要件を備えているかどうかということについてはまだ研究を要するのではなかろうかという面があります。といいますのは、たとえば、参議院の方では、公務員であるということで、食堂の従業員とは全然別個に考えている。従って、そういうことには携わらない。それから、こちらで申しますれば、宿舎の用人がやっているような仕事も女子従業員がやっているというような面もありますし、とにかく、こういう複雑な勤務内容を持っているものを直ちに公務員に持っていくということによって、食堂自体の女子従業員を引き揚げてしまうという結果になれば、結局食堂の方が困難な場面も考えられますし、初任給で雇った場合に、現在給せられている給料だけ国家公務員として支給できるかどうかという問題もございます。といいますのは、今衆議院として出している金は、ほぼ先生のおっしゃった通りでありますが、そのほか、食堂からのものと、議員さん方の拠出金と申しますか、そういうものを総合しまして、六、七千円から一万円ちょっとくらいまで出されておりまして、しかも食事つきでございますので、全般的な待遇からいって十分とは考えられないと思いますが、そういう面もいろいろ考え合わせまして、やはり予算定員という問題だけではないと思います。そういう勤務内容、それから宿舎の実態、たとえば、夜勤ということを考えますために、私もどの方の職員としては男の職員が昼夜交代制になっておりますので、三倍の人を要する。参議院の方は、宿舎の門限というものは比較的早くきめられておりますので、そのための人員が非常に少なくて済む。つまり、そういうことが相殺されてほぼ同様の職員が充当されておりますので、そういう点を考えますと、これは緊急に調査いたしまして、どれが合理的な方策かということを考えなければならない問題だ、かように考えております。
  135. 横路節雄

    ○横路分科員 実は、国会図書館の職員の定員の問題、あるいは国会の職員の定員の問題、それから衛視の人々に対する問題もたくさんあるのですが、時間がありませんから、この程度でやめたいと思います。  最後に、私ども今お話を聞いておりますと、参議院職員の人々、あるいは衆議院職員の人々が、それぞれ大会を開いて、上部団体に加盟しようとしておる。これは、私は、職員の人が組合を作ってやるのですから、どこへ加盟しようと自由だと思うのです。ところが、衆議院のどなたがやっておるのか知りませんが、お前はあの上部団体に加盟をしてはならぬぞ、君、一つ組合の中を切りくずせ、そういうことをやってはだめだぞ、君、何とか一つがんばれ、こう言っている。もしもこのことが事実ならば、不当労働行為ですよ。いやしくも国会において職員の人が、どういう上部団体に加盟するかは私は知りませんが、大会でそれぞれ投票権を行使してやるわけですから、それを事前に、だれかわかりませんが、職員組合の内部を切りくずせ、あの上部団体に加盟をしてはならぬ、君、がんばれ——おそらくその背後には、君、うまくやったら何とかするぞということがないとは言えない。こういうことが現に行なわれれば、不当労働行為です。これは私は厳に戒めなければならぬと思う。どういう結論が出ようと、組合が自主的にやることについては、職員の一人々々の意思できまることですから——私はそういうことを聞いているのですけれども、そういうことはないでしょうね。念を押しておきたいと思います。
  136. 藤野重信

    ○藤野参事 今のお話でございますが、実は私の部屋のすぐ前の職員組合のビラでもって、そういうことがあったということを承知したようなわけでありまして、御本人も、同僚でございますから、君どうしたのだと言ったわけですが、いや、実情は、課長連がしょっちゅう部長室に集まって話をする、そういうときに、どうだろうか、ああだろうかという議論をしたという程度のものが誇大に伝わったんじゃないかというお話でございましたので、その点御了承願いたいと思います。
  137. 横路節雄

    ○横路分科員 そういう不当労働行為が行なわれないことを私は望むわけです。また、そういうことは厳に戒めるべきです。組合が自主的におきめになることは、組合の良識に従ってやられると思うので、今の答弁で了解いたします。  なお、実は参議院の方にもお尋ねをしたいと思ったのですが、問題は同じです。今衆議院側に、職員の問題、あるいは監視の問題、あるいは衛視、臨時職員、臨時衛視その他の問題を伺ったのですが、全部同じですから、一つの職員や衛視その他の諸君についての定員や待遇改善その他の問題には十分配慮してもらいたい。ほんとうは、なお時間があれば、現に行なわれているという勧奨退職の問題についてもお尋ねをしたいと思ったのですが、時間がだいぶ過ぎましたから、そういう問題についても、一方的な退職勧奨ということがないように、この際十分気をつけてやっていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
  138. 山口好一

    ○山口(好)主査代理 滝井義高君。
  139. 滝井義高

    滝井分科員 沖縄の問題が総括質問なり一般質問で、主として植民地宣言に関する議決を中心として行なわれたわけです。しかし沖縄に日本から援助する予算自体についての質問はほとんどなされませんでした。いろいろ調べてみますと、今後日本が沖縄にいろいろの予算を組む上のたくさんな問題点を含んでおることがわかるわけです。従ってこれから沖縄の予算を審議するにあたって、お互いに沖縄の法的な地位がどういうものであるかという共通の認識を先に求めることが必要だと思うのです。そこで、まず第一に外務省にお尋ねすることになるわけです。  御存じの通り、対日平和条約の三条で、日本は沖縄に潜在主権を持つことになっておるわけです。この潜在主権というものは一体どういうものなのか、これをまず一つ説明してもらいたいと思うのです。
  140. 宇山厚

    ○宇山説明員 お答え申し上げます。  平和条約の三条そのものからは潜在主権というものは出て参りません。これは一九五一年のサンフランシスコ平和条約の際に、この平和条約の共同提案国でありますアメリカとイギリスの代表が、日本に潜在主権を認めるという方式がいいと考えて、こういう提案にしたということを説明しております。そこで、潜在主権の内容につきましては、日本に主権があるということは認めましたが、現実に沖縄の統治につきましては、行政、立法、司法の権力の全部及び一部を行使する権利というものを米国に与えておる。もう少し詳しく申し上げますと、この平和条約三条にございますように、南西諸島その他の諸島を合衆国を唯一の施政権者とする信託統治制度のもとにおくこととする国際連合に対するアメリカの提案に日本が同意するということを約束いたしました。このような提案が行なわれ、かつ可決されるまで、合衆国が行政、立法、司法の権力の全部及び一部を行使する権利を有するということになっております。従いまして、繰り返して申し上げますと、日本に主権があるということは認めるが、現実の施政はアメリカが行なっておる、こういう制度になっております。
  141. 滝井義高

    滝井分科員 それはわかりますが、今いうサンフランシスコの会議の席上で、アメリカのダレス代表が三条の説明でやっているのです。だから私は三条に基づいてこう言ったのですが、あなたは三条でない、こうおっしゃるのです。ここで一つ意見の食い違いが出てきたわけですが、三条でなければ、一体どこから潜在主権というものが出てくるのかということです。
  142. 宇山厚

    ○宇山説明員 今滝井先生がおっしゃいましたように、三条の立法趣旨の説明に出ておるわけであります。従いまして、三条の条文そのものからは出ておりませんけれども、三条の解釈になっておるわけでありまして、立法趣旨にかんがみて、日本が潜在主権を持っておるということが言えるわけでございます。
  143. 滝井義高

    滝井分科員 結局三条から出ておることは変わらないと思うのです。そうすると、その潜在主権、いわゆるダレスの言った残存主権ですね。リジィデュアル・ソブランティですか、この残存主権というものの実体は一体何ですか。日本が潜在主権あるいは残存主権を持っているという、その残存主権というものの実体は一体どういうものか。向こうが施政権というものをとってしまったら、残っておりますか。
  144. 宇山厚

    ○宇山説明員 アメリカが施政権を放棄いたしますときには、日本に沖縄が当然返ってくる、こういうことが期待されるわけであります。
  145. 滝井義高

    滝井分科員 主権の中で、施政権はアメリカがとってしまいましたから——とってというのは、アメリカが確保しているわけです。そうすると、あと日本が持っている残存主権、潜在主権というものの実体は何ですか、こう言っている。ここがはっきりしないと、これからいろいろ予算を組む上に、はっきりしないのですよ。
  146. 宇山厚

    ○宇山説明員 先ほど申し上げました説明はちょっと足りなかったかと思いますが、アメリカが施政権を放棄いたします際に、当然沖縄が日本の施政権下に返ってくるという期待権を日本は持っておる。それから沖縄におります沖縄住民は、沖縄県民と、もと言っておったわけでありますが、この人たちは日本国民であります。日本人であるということが認められるわけでございます。
  147. 滝井義高

    滝井分科員 そうしますと、結局残存主権というものは、沖縄をアメリカが放棄したときには日本に返ってくるという期待権と、沖縄人が日本人だという、これが潜在主権の実体ですか。これは総務長官どうですか。ここから問題が出発するのですよ。
  148. 小平久雄

    ○小平政府委員 ただいま外務省から御説明がありましたが、沖縄の国際法的な地位は外務省が所管でありますから、外務省の解釈に従うほかしようがありません。
  149. 滝井義高

    滝井分科員 どうも、外務省に従うではちょっと困るのですがね、あなたがいろいろ沖縄の予算を組む主体なんですから。期待権というのは一体どういうものなのですか。これは一番大事なところですから、ぜひ条約局長に出てもらわぬと困るのですがね。責任ある人が来て答弁をしてもらわぬと、これから先、一番大事な予算編成権にも関連してきますからね。これがはっきりしないと、予算編成する基礎がはっきりしてこないですから……。  では、それはあと回しにして、次にいきましよう。  今、期待権というのと、それから沖縄の住民が日本国民である、こうおっしゃったわけですね。沖縄人が日本国民であるという証拠がありますか。日本国籍を有するものであるという証拠があれば、ここで一つ出してもらいたい。
  150. 大竹民陟

    ○大竹政府委員 日本の国籍法は属人法でございまして、アメリカが第三条によりまして、司法、立法、行政の権利を現在取得しておりますが、日本の国籍法を排除するという取りきめはないと思います。従って曲から引き続いて、日本の国籍法がそのまま沖縄には属人法として施行されておる、こういうことだと思います。
  151. 滝井義高

    滝井分科員 あなたの方が一方的に、沖縄の戸籍は今受け継いでやっておるからだ、こうおっしゃるけれども、立法、司法、行政の三権がなくて、そこに行政が及ばないのに、沖縄の人たちが日本国民であるという証拠をまず示さないと、予算が組めないのです。これはあなたが一人ぎめしたってだめなのですよ。アメリカがそれを認めてくれなければならぬ。ところが、平和条約にそんなものはどこにもないのです。平和条約を読んでみても、どこにもない。沖縄人が日本国民であり、日本国籍を有するものであるという証拠は出ていないのです。これは何か証拠がなければいかぬのです。アメリカがそれをはっきり認める証拠が私は必要だと思う。その証拠をまずお出しいただかなければ、話は進まないですよ。
  152. 大竹民陟

    ○大竹政府委員 私、外交関係ではなく、国内法だけの見地から申し上げたわけでありますけれども、アメリカが沖縄を占領いたしました最初に、一切の日本の関係を排除するというふうには言っておらないわけでございまして、たとえば刑法にいたしましても、その他、当時沖縄に施行されていた法律はそのまま沖縄の法律として認める、特に排除しない限り、昔の日本の関係の法律を、そのまま向こうの法規として採用するということにいたしておるわけでありまして、外交関係のことは私、申し上げる権限ございませんが、国内法的な立場だけから見ますと、当時沖縄に当然日本の国籍法が施行されておったわけであります。それを排除するという措置をその後やっておらないというふうに承知いたしております。
  153. 滝井義高

    滝井分科員 日本の刑法がそのまま沖縄に引き継がれて実施されておるということは、日本の国内法が適用されておるということにはならないのです。これは当然施政権が向こうに移って、たまたまその法律が民情に合うからこそ向こうが採用しているのであって、その理屈は通らないのです。日本人であるという証拠がなかったら、話にならぬじゃないですか。
  154. 大竹民陟

    ○大竹政府委員 その後、実体上の取り扱いといたしましても、たとえば沖縄の人が日本国籍を離脱する、こういう場合は、アメリカ側の手によっておるわけではないのでございまして、実際上の扱いとしても、日本の法務省が所管いたしております。
  155. 滝井義高

    滝井分科員 それはわかっております。わかっておりますが、それは国内の手続であって、アメリカ側は、沖縄人は日本の国籍を持っている日本国民であるということを認めておる証拠がありますかということなんです。平和条約をお結びになってから、その相手国から、その証拠をもらわぬことには話にならないわけです。こういう一番大事なところがわからずに予算を組んでいくなんということは大へんなことです。
  156. 大竹民陟

    ○大竹政府委員 沖縄住民というものを特別に規定しておりますけれども、沖縄に本籍を有する者、これが沖縄住民である、アメリカ人であるということは、アメリカ側のどこにもございません。
  157. 滝井義高

    滝井分科員 日本のあれはわかっておる。それは一九五二年の四月十九日に法務省の民事局長の通牒が出ている。それはわかるのです。しかしこれは日本のことでしょう。今の沖縄の状態は、たとえば今一番問題になっておる、沖縄の立法院が、日本に復帰したいということを、あの国連における植民地宣言を引用して議決しているわけです。ところが国会においては、今与党の皆さん方は国会でこの議決をやり切らないのです。なぜやり切らないか、対米関係があるからです。それは、アメリカのキャラウエイ高等弁務官は全面的な拒否権を持っているのですよ。大田主席は一部の拒否権を持っている。立法院が議決しても、その決議が国連なり日本政府なりアメリカ政府に届くためには、大田さんの手を通じて、キャラウエイ高等弁務官の手を通じて、初めてアメリカに、あるいは国連に、日本にくるわけなんですから、それを拒否されたらどうにもならないことになっておるわけです。こういう形があるわけでしょう。これははっきりしておるわけです。そうしますと、アメリカがノーと言えば、どうにもならないんだから、これは日本国民でございますよという証拠を、とにかくアメリカに対して出してもらわなければならぬわけです。当然その努力はあなた方しておられなければならぬと思う。おそらくあなた方がお知りにならないときに外務省はしておるかもしれない。だから、沖縄人は日本国民である、日本国籍を有する者であるというアメリカ側の証拠をもらわなければいかぬ。アメリカのギャランティをもらわなければいかぬ。それをはっきりして下さいというのです。内政問題は、今言ったように、およそわかる。だから、小平さんの方は一応責任はないと私は思うのです。しかし、それにのっとって小平さんの方は予算をいろいろ折衝し、お組みになっておるんだから、日本国民であるという証拠をまず出してもらうことが、この議論をする先決ですよ。
  158. 山口好一

    ○山口(好)主査代理 滝井さん、今外務省を呼んでいますが、参議院委員会の関係などもあって、ちょっとひまがとれそうですから小平長官に対する質疑を一つ……。
  159. 滝井義高

    滝井分科員 それでは今のところを残して、次に入ります。  そうすると、今のあなたの御説明で、アメリカは行政、立法、司法上の権力の全部及び一部を行使する権利を有する、こうおっしゃったわけですね。この平和条約というものは、日本文は正文ですか、正文になりませんか。英語だけが正文で、日本文は正文になるのですか、ならぬですか。
  160. 宇山厚

    ○宇山説明員 平和条約の末文に、英語とフランス語とスペイン語が正文である、こういうふうになっております。
  161. 滝井義高

    滝井分科員 日本語は正文でないですか。
  162. 宇山厚

    ○宇山説明員 日本語は正文でございません。
  163. 滝井義高

    滝井分科員 日本語は正文でないのですね。そうしますと、今あなたの御説明では、沖縄に対してアメリカは行政、立法及び司法上の権力の全部及び一部を行使する権利を有する、こうなっております。これは日本文ですよ。そうするとアメリカが沖縄で、全部ならわかるが、その一部しか行政を行使しない、具体的に何かありますか。
  164. 宇山厚

    ○宇山説明員 平和条約三条の「オール・アンド・エニィ・パワーズ・オブ・アドミニストレーション」これこれとなっておるのをお尋ねになっていると思いますが、この「オール・アンド・エニィ」というのは、全部という意味なんでございます。
  165. 滝井義高

    滝井分科員 そうしますとこの日本文は間違いですね。「オール・アンド・エニィ」というのは、一切がっさいということでしょう。一切がっさいということですよ。そうすると、今まで国会に出された平和条約の条文というものは「全部及び一部を行使する」、こういうことで審議してきている。従って、ここでわれわれ国会議員として、行政、立法、司法の全部アメリカにあるということならわかります。しかし行政、及び立法司法上の権利の一部を行使するということになれば、一部は残っておるわけです。そうすると、これは間違いですね。誤訳ですね。一部というもののあれはないですね。「オ−ル・アンド・エニィ」ですから、英語でいえば一切がっさいです。だからこれは一部はない、すべて、こういうことになると思うのですが、一部というのは誤りですか。
  166. 宇山厚

    ○宇山説明員 この点につきましては、たしか私の記憶いたしますところでは、平和条約が国会の審議にかかりました際に質問が出されまして、それに対して政府委員の方から、全部今先生は一切がっさいという意味だとおっしゃいましたが、そういうふうな意味で了承したという答弁があった、そういうふうに御了解願いたい、こういう答弁がなされております。私どもといたしましてはそれ以来、その初めのときから、一切がっさい、先生がおっしゃいましたような意味で解釈しております。
  167. 滝井義高

    滝井分科員 そうしますと、国会に出たこれは間違いですね。そうすると全部だけで、一部を削除しても政府の見解としてはよろしい。——今兼松条約課長がお見えになったそうですが、兼松さん、それでいいですか。
  168. 兼松武

    ○兼松説明員 お答え申し上げます。  英語の表現といたしまして、全部という意味は、個々のものももちろん入っております。そうして、もちろんその全体も含むのだ、そういう意味で、全部、オールといって、それからエニィと申しているのは、オールの中には一つもみな入るのだ。念のために、落ちないように全部、オール、エニィというふうに入れたものでございまして、何らそこに矛盾はございません。
  169. 滝井義高

    滝井分科員 英文は矛盾がないと言っている。
  170. 兼松武

    ○兼松説明員 いや、日本語も英文に即してやっているのでございます。同じ意味を表わしているわけであります。
  171. 滝井義高

    滝井分科員 ところがわれわれは条約を審議するときに、日本語だけ実は見ていくわけです。そうすると、全部及び一部、こうなりますと、これは文章の解釈からいくと、全部の場合もあるし一部の場合もある、こういうことになるのですね。
  172. 兼松武

    ○兼松説明員 一部を含む意味で、全部といっているのは、英語の考え方といたしましてもちろん一部を含む、個個のものも全部入るのだということではっきりするという意味で、全部と一部といっているわけでありますから、その点は矛盾とかあるいは削除とか訂正ということと関係なく、意味をはっきりさせるという趣旨でわれわれは了解いたしております。
  173. 滝井義高

    滝井分科員 どうも、解釈論としては私もそうだと思うのです。しかしこの表現としては、そういうあれにならないですよ。ただ、今そういう解釈をしますというだけなんです。一応これは意見の一致を見ました。行政、立法及び司法上の権力の一切がっさいをとにかくアメリカが持っているのだ、こういうことですね。
  174. 兼松武

    ○兼松説明員 一部ももちろん含んでおります。
  175. 滝井義高

    滝井分科員 一切がっさいだからね。  そこで、そうなりますと、もとに返りますが、潜在主権、残存主権というものを日本は持っているのだが、その実体というものは一体何ですかという質問を令しているのです。その実体を一つ説明して下さい。
  176. 兼松武

    ○兼松説明員 お答え申し上げます。  残存主権という観念は、国際法上必ずしも明確に定義されておりませんけれども、日本が完全にそういう分離とか主権を放棄するとかいう意味で、完全に失っているのではない、将来日本が、適当な時期がくれば、関係連合国と交渉いたしまして、完全に領土権そのものを放棄しているのではない、残っている主権を回復するために交渉する、そういう意味で将来に対する留保をした、こういう意味で主権が残存している、しかし実現にはアメリカがその全部及び一部を行使する、こういう意味でございます。
  177. 滝井義高

    滝井分科員 そうすると、いわば領土の処分権を日本は持っていると考えていていいですか。
  178. 兼松武

    ○兼松説明員 平和条約に書いてある通りでございまして、処分権とかいうことでなくて、施政権をアメリカが持っている、その意味で、日本の施政権はアメリカが行使する範囲に及ばないわけであります。しかし領土権その他の残存主権を持っているという表現でもって、将来領土権に伴う日本の施政権の問題について話をする。しかし、今御承知のように、条約文には、信託統治に付するとかいろいろの条項がございますから、その条約の規定に従って律するということになっておりますから、その意味で、条約の規定以外のことをそこから読み取るということは困難ではないかと思います。
  179. 滝井義高

    滝井分科員 そうしますと、さっき宇山さんから、残存主権、すなわち潜在主権というものは、期待権と、それから沖縄の住民が日本国民であるという、こういう二つのものが出てきた。期待権というものは一体何ですか。主権というものは、施政権と領土の処分権と、こう分ける学説があるのですね。そこで、沖縄はアメリカが施政権を持っているから、あと日本は領土の処分権が残っている、これは今の段階では、一体どこに対する処分権かというと、われわれの常識で考えると、どうもアメリカに対する処分権しかないように考えるのですが、これをあるいは期待権とも言えるのかどうか。学説は、これは領土の処分権と誓いてあるのがある。潜在主権というものの実体は、施政権はアメリカが持つ、日本は領土の処分権がある、もう一つは、そこの国民が今日本の国籍を持っておる、こういう二つが出たのですが、その前の方で期待権というものが出てきた。あなたからは期待権というものは出てこないけれども、これはどうですか。
  180. 兼松武

    ○兼松説明員 お答え申し上げます。  平和条約には、その当時予想せられて、その当時の処理方針が書いてあるわけでございます。従いまして、先ほど期待権という言葉が出ましたとすれば、それは、その当時はまだどういう形でということがはっきりきまらなかった、それは将来期待することができる、そういう意味で期待権という言葉をお使いになったのだろうと想像いたします。
  181. 滝井義高

    滝井分科員 想像するのでは困るので、外務省の統一見解を尋ねておる。
  182. 兼松武

    ○兼松説明員 私、その席におりませんでしたので、想像以外にお答えするほかありません。
  183. 滝井義高

    滝井分科員 とにかく、そこは保留しておきましょう。
  184. 兼松武

    ○兼松説明員 私、おくれて参りまして、はなはだ言葉が足りなくて申しわけございませんが、政府側からそういう見解があったとすれば、そういう意味答弁があったのだと私は推察いたします。
  185. 滝井義高

    滝井分科員 あとでまた詳細出てきますから、ぜひ外務大臣を呼んで下さい。非常に具体的に予算に入るので、時間がかかってもしようがない。
  186. 山口好一

    ○山口(好)主査代理 その点なかなかむずかしいようですから、統一見解をあとで適当なときにお答えするように……。
  187. 滝井義高

    滝井分科員 課長さん見えましたから、沖縄の住民が日本国籍を有するという証拠を——日本側は、これはいろいろ手続をやっておるから、日本側は沖縄の住民が日本国籍を有するものとしておる。しかしアメリカが認めてくれぬとなかなか問題がある。だから、日本国籍を沖縄住民が有するという証拠を出してもらいたい、外務省は交渉しているはずだと思うから、それを出して下さいという質問ですが、答弁ができない。だから局長を呼んだが、局長のかわりにあなたいらっしゃったのだが、証拠が出せますか。出せなければ、あとに留保してもいいです。
  188. 宇山厚

    ○宇山説明員 ただいま布告を持ってきておりませんので、後ほど滝井先生の方にお届けしたいと思いますが、アメリカの布告に基づきまして日本の民法や戸籍法が効力を有しておりまして、これによって沖縄住民を法的に拘束しておるという形になっております。これでもって日本の国籍を沖縄の人たちが持っておるということは明らかでありますが、その布告等につきましては、後ほど提出したいと思います。
  189. 滝井義高

    滝井分科員 では沖縄の住民が日本国籍を有するというアメリカ側の証拠を、これはきょうでなければ二十六日か七日の最後でけっこうですから、それまでに準備をして、きちっと一貫して理論的な合理的な答弁のできるようにして下さい。  次は、沖縄に関するいろいろの予算措置がとられ始めておりますが、これは一体いつごろから予算措置がとられ始めておりますか。
  190. 大竹民陟

    ○大竹政府委員 最初に始まりましたのは昭和二十七年でございまして、当時約二百万円文部省関係の援助がございます。それが漸増いたしまして、三十五年に八千三百万円、本年度は約五億四千万円、こういうことになっております。
  191. 滝井義高

    滝井分科員 そこで、こういう予算が出るについては、やはり沖縄の福祉というのが非常に問題になってきておるわけです。沖縄の福祉を増進しなければならぬというのは、岸・アイク声明にも出てきておりますし、ことしの池田総理の施政演説の中にも出てきております。しかし沖縄の福祉の問題が具体的に国会で非常に論議を呼んだというのは、三十五年の日米安保条約に関連して、特にこの「相互協力及び安全保障条約についての合意された議事録」を中心に起こってきたのです。そこで、この合意された議事録の「日本国政府は、同政府が島民の福祉のために執ることのできる措置を合衆国とともに検討する意図を有する。」ということが日本国全権委員の方からのにはあるわけですが、この福祉というのはどういうことなんですか。これは沖縄に武力の攻撃がある、あるいは武力攻撃の脅威があるという二つの場合に、福祉のためにとるのですよ。これが国会に文章として具体的に出てきた初めですよ。岸さんも福祉を言っておるし、池田さんも福祉を言っておる。岸さんや池田さんの発言があるごとに予算増加してきておるわけです。だから、従って予算増加の原動力は何かというと福祉なんです。この沖縄に対する福祉という二字の言葉から、予算増加の原動力が出てきておる。そこでまず第一に、合意された議事録における福祉というものは具体的に何かということです。
  192. 宇山厚

    ○宇山説明員 共同声明に出ておりまする福祉あるいは民生福祉という言葉につきましては、一般に言われておりますような民生福祉という意味で御了解願いたいと思います。  それから、この共同声明によって援助がふえているというお言葉がございましたけれども、共同声明は、いわば政策の宣明、それから双方の政府立場の宣明でございまして、それによって法律的な義務があるとかということで援助をふやさなくちゃいかぬというふうになっておるのではございません。
  193. 滝井義高

    滝井分科員 私は時期的にずっと予算増加の傾向を——あとで予算のときに具体的に質問をしていきますが、これは明らかに三十六年度から予算が飛躍的に増加をしたのです。三十七年度は三十六年度の倍になってきているわけですが、これは今、そんなことは関係ないとおっしゃるけれども、昨年六月のケネディ・池田会談を契機として、それが三十七年の予算増加の原動力になっておる。三十六年の予算増加の原動力というものは、この日米新安保条約に基づく合意された議事録が契機になっておることは明らかなんです。背景は……。従って、まず三十六年度予算の大きな原動力になったこの相互協力及び安全保障条約についての合意された議事録の「島民の福祉」というのは、具体的に一体何ですか。これを明らかにする必要があるのです。これもちょっと答弁できかねるようにあるですね。——これは外務大臣が来てから……。それでは、そうさしていただきます。私は二十七日にやらしていただいてけっこうです。
  194. 山口好一

    ○山口(好)主査代理 それでは、午前の会議はこの程度にいたしまして、午後は二時三十分より再開いたします。    午後一時十三分休憩      ————◇—————    午後二時三十八分開議
  195. 西村直己

    西村主査 休憩前に引き続き質疑を続行いたします。稻村隆一君。
  196. 稻村隆一

    ○稻村分科員 私はある機会から麻薬患者の世話をしておったことがあります。そして今さらながらそのおそろしさを痛感したわけでありますが、御存じのように、麻薬は実に文明を破壊し、民族を滅ぼすものだと思うのであります。ですから、各国とも鋭意その絶滅に努力いたしまして、年々漸減の傾向をたどっているのであります。ところが、わが国のみは、かえって年々増加の傾向がありまして、麻薬天国の名さえあるということは、まことに深憂にたえない次第であります。  現在、わが国の麻薬中毒患者は四万人といわれ、常用者が二十万人といわれているのであります。こういうふうなことは実にゆゆしき問題であり、そしてまたこのような傾向は、私は政府の取り締まり対策に重大な欠陥があり、かつそれは政府の重大な政治的責任であると思うのでありますが、その点、法務大臣の所見を承りたいと存ずる次第であります。
  197. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 麻薬問題について深憂を抱いておっていただきますことは、まことに私もありがたく存ずる次第であります。私も現在の地位につきましてからこうした問題についての実情をおりに触れて聞いてみました。全く深憂いたしております。従いまして、昨年も国会でも御論議いただきました点もございますが、われわれ部内におきましてもその点にかんがみまして、何とかしてその取り締まりを厳重にして、日本の青少年はもちろんのこと、こうした人心をむしばむ大きな原因を少しでも少なくいたしたい、かように考えまして、昨年は特に全国の麻薬関係の取り締まりの検事の会合を催しました。従来これをやったことがなかったのでありますが、それを特に催しまして、そしてその取り締まりの問題についていろいろ協議をいたしまして、今後遺憾なきを期して参りたい、かように思っておる次第であります。  仰せの通り、戦後どうもアヘン、麻薬等の利用者の数がだんだんふえておる状況で、この現状を何とか一つ打開してみたい、ことに戦中、戦前におきましては、日本の麻薬問題は比較的その患者等も少なく、犯罪も少なかったように私記憶しておりますが、それが戦後非常にふえておる状況を見て全く嘆かわしく、当局としてもいろいろな面からの取り締まりを考えております。まず第一に考えております点は、やはり取り締まりを厳重にするということよりほかないと思います。従いまして、厚生省、警察当局等との連絡を密にいたしまして、そうしてわれわれの方では十分その間の連絡の結果を待ちまして、迅速にしかも厳重に取り締まり処分をしていくということを考えております。  なお将来の問題といたしましては、アヘンの吸飲者等につきましては、何らかの保護処分といいますか、こういうことをどうしても考えていかなければいけないのじゃないかというようなことで、新しい刑法草案等についても、この問題に対する措置を考えておるような次第でございます。
  198. 稻村隆一

    ○稻村分科員 中毒患者には青少年が非常に多いように聞いております。それから暴力団と密接な関係があるように聞いておりますが、その具体的な事例を事務当局からでもよろしいですから、簡単に御説明を願いたいと思います。
  199. 木村行藏

    ○木村(行)政府委員 お答えいたします。  稻村委員から御指摘のように、最近確かに青少年の麻薬関係の違反者が多うございまして、その状況を申し上げますと、昨三十六年の状況といたしまして、二十才未満というのが約五%、それから二十才以上から二十四才までが二三%、それから二十五才から二十九才までが二九%でありまして、大体ティーン・エージャーあるいは二十才台というのが五六%を占めております。非常に大きな率を占めておりますので、この点非常に深憂いたしております。  それから暴力団関係といたしましては、これも昨年一年間の検挙の状況から出た結論でありますが、いわゆる麻薬暴力団の組織によって密輸組織を作りまして、麻薬の密輸を通じて暴力団の資金源にいたしておる実情が出ております。昨年中の麻薬犯罪の検挙者の約三〇%が麻薬暴力団の関係でありまして、それらの者が所属しておりました暴力団は全部で百十四団体と相なっておりまして、非常に大きな数になっております。
  200. 稻村隆一

    ○稻村分科員 取り締まり法規について、お尋ねしたいと思います。大体日本の麻薬取り締まりの法律が軽過ぎるのではないか。外国の事例をちょっと調べたのですが、最も悪質な者に対しては死刑までやっておる。死刑から三十年あるいは十年以上というふうな重罪を課しておるわけです。法務大臣もさっき、取り締まりを厳重にする以外にないと言われておりますが、日本の法律を見ますと非常に軽い。懲役一年以上十年以下、五十万円以下の科料というふうになっている。これでは彼らを徹底的に絶滅することはできないと思う。むろんわれわれは常用者にそう過酷なことをやれというのではないのだけれども、これを密輸して国民に売るというふうなこういう悪い者は重罪に処さなければならぬと思う。むろん外国のいろいろな法律などを研究されておると思うのでありますが、これは徹底的に絶滅するような重い刑を課さなければならないと思うのですが、これをもっと重くするような法案の準備が法務省においてはおありなんですか、それをお伺いしたい。
  201. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 麻薬取締法の違反事件に対しまする法定刑の問題につきましては、確かに現行法の規定では軽いのではないかという意見も承っております。われわれもややその感を持たないではないのであります。従って、今事務当局におきましては各国の法制を収集して、改正する必要があるのではないかどうかを研究中であります。その研究の状況は刑事局長から御説明申し上げますが、われわれといたしましては、先ほども申しますように、現行法の範囲内において厳重な取り締まりをしようというので、三十六年度の一例をあげて御参考に申し上げましても、当時われわれが警察当局から新規受理で受理いたしました件数が二千九百五十五件の麻薬取締法違反の容疑がございます。これに対して公判を請求したのが二千百六十七件、略式命令で請求しましたのが百件。起訴率からいいますと八三・三%という非常に高率な起訴でありまして、厳重に処理しておる姿がこれによってもおわかりいただけるかと思うのであります。また一例を申しますと、最近懲役八年、罰金五十万円という裁判の判決になった事案もございます。御参考までに申し上げます。
  202. 竹内壽平

    ○竹内政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げましたように、起訴につきましては非常に厳重な態度で臨んでおります。これに対しまして、裁判所の裁判の傾向でございますが、第一審の裁判結果を見ますと、昭和三十年以降年々科刑は重くなって参っておるのでございまして、先ほど大臣も申されましたように、大量の密輸をいたしました組織的な麻薬犯に対しまして懲役八年、罰金五十万円といったような、麻薬犯としましては極刑に近いものを課しておる状況でございます。御指摘のように、麻薬撲滅につきましては、アメリカ合衆国が最も熱心にあらゆる面からその施策を講じておる国の一つであろうかと私ども考えておりますが、アメリカの連邦裁判所の麻薬犯罪に対する科刑を調べてみますと、一九五八年七月から一九五九年六月までの一年間におきまして、拘禁刑に処せられた者が千百五十一人でございますが、そのうちで五年以上の拘禁刑が八百八十七人という多数を占めております。また平均の刑期を見ますと約六年になっておるのでございまして、日本の裁判実例よりかなり強いものがそこに看取されるのであります。先般、東南アジア諸国の麻薬の状況を視察する国連の視察団が組織されました機会に、横浜の麻薬担当の検事をこれに参加せしめまして視察をさせたのでございますが、ある国では麻薬犯罪で死刑の判決をしておる国もあることがうかがわれるのでございます。いずれにいたしましても、問題は法制そのものの刑を引き上げるということも大事でございますが、この事件を取り扱います検察官、裁判官がこの事件に対する認識をどういうふうに持つかということによって、かなり言い渡される裁判の刑というものがきまってくるように私ども思うのでございまする。つまり運用の問題にウエートが非常にかかっておるということがわかるのでございます。先ほど申し上げましたように、裁判所の一審裁判の傾向は三十年来ずっと重くなってきておりますので、この認識と相待ちまして、法制に若干の手を加えますならば、麻薬撲滅のための法制並びにその法規の運用という両面から見ましても、決して諸外国に劣るものではないというような考え方もだんだん私たちの間で出てきておるのでございますが、せっかく各国の麻薬法制等もただいま調査いたしておりますので、なるべく早い機会に結論を得まして、適正な法制に、直すべきものがあるならば直して参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  203. 稻村隆一

    ○稻村分科員 日本の麻薬問題の現状は、もう病青青に入っていると思うのです。今のうちに徹底的な取り締まりをやらないと大へんなことになると思うのです。なるほど当局においていろいろ苦心されて取り締まりに当たっておられることは、われわれ感謝にたえないものがありますけれども、八年以下では軽過ぎる。ほんとうの密輸業者の一番大もとになるようなもので八年ぐらいでは仕方ない。これはやはりもっと重刑に処して絶滅をはかる必要があると思うのです。むろん各国の例も研究されるのはけっこうなんですが、それはすぐわかるのでございますから、その点は一つ十分考えていただいて、やはり至急法律の改正をしていただかなければ、私は抜本的な取り締まりは不可能であると思うのですが、近いうちにそういうふうな法規の改正をする御意思があるかどうか、その点をお尋ねしたいと思うのです。その次に、私は時間がありませんから続けて申し上げますが、取り締まり体制を見ましても、率直に言ったら私はなっていないと思うのです。たとえば簡単にその例をあげて申し上げますけれども、第一金がほとんどない。たとえば麻薬の捜査費用でありますが、一カ月一人の捜査費用は厚生省関係で千三十九円という貧弱な状態である。公安調査庁が一人当たり一カ月二万六千円、警察庁の普通の犯罪の方が一万五百二十六円、しかるに麻薬関係は厚生省関係で千三十九円、こういうような実情ではこれはほとんど——それはむろん一生懸命にやっておられることは間違いありませんけれども、幾ら一生懸命やったって、金も何もなくてできるものじゃない。これは非常に政府の怠慢の結果だろうと思う。特に麻薬の取引というものは非常に組織的であって、飛行機あるいは外国船などというふうな機動力を利用しているわけでありますから、それに対して捜査陣もやはり機動体制が必要であることは明瞭なわけであります。そういう点からいって、法務大臣でも厚生大臣でも、予算をとるときに全く何をやっていたかと私どもは言いたくなるわけであります。  そこで第一は、法規を至急改正する御意思があるかどうか、それからもっと予算を折衝してうんととって、徹底的に取り締まる御意向があるかどうか、その点は現状で満足しておるのかどうか、その二点につきましてお尋ねしたいと思うのであります。
  204. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 第一点の法規の改正問題につきましては、先ほども事務当局並びに私からも申し上げた通りでございまして、目下検討中でございますから、なるべく早い機会に成案を得まして、そうして適正な善処をはかりたい、かように考えております。  第二の予算の問題等につきましては、御指摘の通り、なお不十分な点が少なくないと思います。それで私は実はこの問題について関係閣僚とも相談しておりまして、単に予算の点のみならず、一体機構が麻薬取り締まり関係において今のままでいいのだろうかという根本問題もそろそろ相談を始めており、現在、厚生省、警察、検察当局、そういうふうなことでやっておりますが、もしこの制度でいいとすれば、これによってもっと緊密な連絡をはからなければならぬというので、その方もでき得る限りは努力をいたしておりますが、これでいいのかどうかについても研究をいたし、その結果によりましては予算の方面もさらに善処いたしたい、かように考えます。今回の予算においては必ずしも十分なる措置ができておらぬうらみがあることを遺憾に存ずる次第であります。
  205. 稻村隆一

    ○稻村分科員 これはやはり非常に危険が伴う問題でありますから、実際取り締まりに当たる人の正義感が非常に重要になってくるわけであります。場合によっては命がけでやるわけでありますから、そういう点に対してやはり政府においても十分お考えになって、そうして取り締まりに当たる人を十分擁護していただかなければならぬと思うわけであります。その点は御答弁をいただかなくてもよろしいと思いますが、ぜひとも法の改正と十分な予算によって絶滅をはかっていただくようにお願いする次第であります。  次に中毒患者の問題でありますが、これは実に気の毒なので、私は中毒患者を厳罰にしようとは決して思っておりません。これはできるだけあたたかい手を伸ばして救ってやらなければならぬので、これはなるべく厳罰にしない方が私はいいと思うのです。それでこれは厚生施設でありますが、現に麻薬患者専門の病院が日本にはありません。これも私はぜひとも専門の病院を作っていただきたい。現状においては患者に対しては三週間程度で退院さしているのが現状であります。これでは徹底的な治療は行なわれない。徹底的な治療をするには少なくとも三カ月から六カ月の入院が必要であるということであります。ですから専門の病院を作って、そういう人はもう全部病院に入れまして、徹底的な治療を加え、同時に精神的ないろいろな指導を与えて、再びそういうふうなことにならないように注意していただくことが必要であろうと私は思うのであります。この点に対しまして、きょうは厚生大臣がおいでになっておりませんが、当局におきまして何らかの成案があったらお聞かせをいただきたいと思うのであります。
  206. 久万楽也

    ○久万説明員 今御指摘になりました中海者の問題の前に、厚生省として考えております法律改正の問題でありますが、麻薬取締法それからあへん法、そういうものの改正は私たちの方でも考えております。それに今のところは実は九つの国際条約がございまして、それから現行の法律ができておるのでございます。ところが昨年の一月から三月までその条約を一つにまとめようということになりまして、三月の末にニューヨークで一つにまとまりまして、その条約を日本の国としては七月の末に調印いたしました。そしてその認証謄本が日本に着きましたら、それによって国会で批准していただくと思うのであります。その法律の改正の中に、第三十八条でございますが、「薬品中毒者の治療」というのがございます。それは簡単に申し上げますと、「条約国は、薬品中権者の治療、保護及び更生のための施設の提供に特別の注意を払わなければならない。」そういうことがございまして、それからその次に、「いずれかの条約国に薬品中毒の重大な問題があり、かつその財源が許すときは、その条約国は薬品中毒者の効果的な治療のため、適切な施設を設置することが望ましい。」そういうような条文がございますので、私たちの方としては、麻薬関係の法律を改正するときに、先ほどお話がありましたような、いわゆる違反者の罰則の強化ということとともに、この中毒者の問題も何とか入れたい、そういうふうに考えております。  それで現在では先生からお話がありましたように、精神衛生法で麻薬の中海者は措置入院さしております。そうしますと、禁断症状がとれてしまうと、精神衛生法では一応治癒したということになってしまうので、どうしても早ければ十日あるいは二十日くらいで外へ出されてしまう、そういうのが現状でございます。ところが麻薬の中毒者というのは、精神病の愚者というよりも、精神薄弱の者が多い現状でございますので、どうしてもそういう人たちを麻薬にまた手を出さないようにしなければならない。それから中毒になるほど麻薬を使っていますと、非常に財産的にいろいろと金が要る。薬代に金を使ってしまうので、ほとんどが無職になってしまうというのが現状でございます。それでございますから、そういう者に職業補導もしてやらなければならない。そうしますと、どうしても三カ月ないし半年は入所さしておかなければならない。そうなりますと、それは精神衛生法の問題でもない、あるいは麻薬取締法の問題でもなくなるかもわからない。そうしますと、一つの単独の法律を作らなければいけない。それで麻薬取締法でやれるか、あるいは単独法でやれるか、そういうことも検討いたしております。  それから中毒者の収容の問題では、本年度の予算で百ベッド分の麻薬患者の病床が精神衛生の問題とは別に入っております。それから来年もまた百ベッドの予算が入っております。私たちとしても、結局麻薬の中毒者というのは、ある意味では麻薬のお客さんですから、お客さんをなくすればいわゆる日本に入ってくる麻薬も素通りするのじゃないか、そういうように考えておりますので、中毒者の問題は取り締まりの方と一緒に真剣に考えていきたいと思います。
  207. 稻村隆一

    ○稻村分科員 最後に私、麻薬の密輸ルートのことをお聞きしたいのですが、どういう経路で入ってくるか、それを当局の方から一つ……。
  208. 久万楽也

    ○久万説明員 麻薬は、実際に違反に使われるものはほとんどヘロインでございます。日本で事件になるのはヘロインでございます。そのヘロインというのは、大体香港が今までほとんどのルートでございましたけれども、最近はバンコックから入るのもございます。それからそれ以外に香港ルートがなくなりますと朝鮮から入っております。
  209. 稻村隆一

    ○稻村分科員 韓国ですか、朝鮮ですか。
  210. 久万楽也

    ○久万説明員 それがはっきりいたしません。韓国か朝鮮かということははっきりいたしませんけれども、朝鮮半島から入ってきたということは言えると思います。その三つのルートがおもなルートでございます。
  211. 西村直己

  212. 臼井莊一

    臼井分科員 私は青少年問題について伺いたいのですが、オリンピック大会が昭和三十九年に東京で行なわれます。聞くところによりますと、その機会に海外から青少年団を迎えて何か大会をやりたいというような話をちょっと聞いたのですが、それを具体的にどういうようなふうにお進めになるお考えを持っておられるのか、その点をちょっとお伺いしたい。
  213. 小平久雄

    ○小平政府委員 お話の通り、オリンピック東京大会を期して世界青少年のキャンプを行ないたい、こういう話が出ておるのであります。御承知の通り、ローマ大会のときにもキャンプが持たれたのでございますが、昨年あたりフランスあるいは西独等から相当の人員の青少年をオリンピックの機会に東京によこして交歓のためのキャンプをやりたい、こういう話がございました。これに呼応して、国内の各種の青年団体等もぜひそれを実現したい、こういう話が出て参りました。そこでちょうど予算編成期でもございましたので、とりあえず総理府にございますところの中央青少年問題協議会にそのキャンプのいわば準備費と申すべきものをわずか七十万ばかりでございましたが、計上いたしておるわけでございます。これを今後どういう工合に実行に持っていくかということにつきましては、オリンピックの責任機関である組織委員会に当然これを諮らなければなりませんし、また関係の各種の青年団体とも十分打ち合わせをいたしまして、実行のための計画、調査あるいは各国との連絡、こういうことをやって参りたい、かように考えておるわけであります。
  214. 臼井莊一

    臼井分科員 今お伺いしましたような計画というものは非常にけっこうなことだと思うのでございます。ただオリンピックとなりますと、海外からの一般の来訪者も非常に多いところへ、さらに青少年団を迎えるということになりますと、これはまたなかなか大へんだと思うのですが、今お伺いしますと、まだ具体的にはどこの所管でやるかとか——中央青少年問題協議会は各省、各団体ともちろん連絡はおありでございましょうから、総理府の方で御心配になるのかとは思うのですが、人数がどれくらい来るかとか、そういう具体的な問題についてはまだわからないのでございましょうか。もちろん日本の青少年団がそれに参加いたしますので相当の数になるのじゃないか、そうなると衛生の問題とかいろいろ問題があると思うのですが、まだ具体的にはお考えないのですか。
  215. 小平久雄

    ○小平政府委員 今まで外国から日本へ派遣したいという国で私ども聞いておるのでは、フランスから五百名程度、西独で二百五十名程度、具体的にはそういった話もございますが、どの辺まで確定したものかどうかはまだはっきりいたしません。いずれにいたしましても、青年団体等の寄り寄りの話では、およそ総員で三千人くらいがどうであろうか、そのうち国内から千人程度、あと二千人程度外国から、そういったことを話し合っておりますが、先ほど申します通り、もちろんまだ実行計画等も固まっておりませんし、正確なことは申し上げる段階に至っておりません。  なお、どこが主管してやるかという今後の問題もございますが、形式的にはやはり組織委員会の責任ということになろうかと思います。もちろん組織委員会が自分のところで直接やるというわけにも参りませんでしょうから、何らかの青年団の団体等を作りまして、大体それにやらせるということになるのじゃないかと思います。ただこれに協力する役所の側としては、やはり事の性質上、文部省あたりが中心になって実際の仕事はやっていただくということになるのが適当じゃないかというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、全般的な構想なりあるいは計画なりというものは、まだ固まっておりませんので、そのような話が出ておるという程度一つ御理解をいただきたいと思います。
  216. 臼井莊一

    臼井分科員 せっかくそういうふうにある程度の構想をお持ちのようでございますから、これは国際親善ということばかりでなく、日本の青少年にも広く大きな世界的な考え方を持たせるとか、もちろん海外から来れば日本の実情を若い人に見て恥、青少年の善導というとあれですが、こういう一つの方法であるし、それから日本でも青少年団が相当いろいろございますが、割合まだそう大きな発展というか——社会的な、団体的な訓練を受けるには、私はこの青少年団をもっと大きく拡大していくことが必要だろうと思うのです。そうすればそういう催しをやれば相当そういう方面のPRといいますか、一般の父兄にしてもまた青少年にしても、そういう方面に対する意欲を燃やす機会になると思います。そこでそれはぜひお進めいただくことがわれわれとしても願わしい、こう考えます。  そこでもう一つこの機会にそれに関連してお伺いしたいのは、ことしの八月にアジア・オリンピック大会がインドネシアのジャカルタで行なわれますが、これにこちらから、あまり小さい人はあれでしょうが、少なくとも青年あたりをやはりこういうような意味でお送りになるお考えがあるのかどうか。ということは、一つ予算関係でもございましょうけれども、ここ両三年青年の海外派遣を実施されておりますね。そこで世界各国へ団体をお送りになる。そのうちでは東南アジアが一番派遣が多いように思うので、やる方法としてはその機会にそこへ寄らせる、こういう方法もあると思うのですが、何かそういう方面のお考えがありますかどうですか。この機会にちょっとお伺いしておきたい。
  217. 小平久雄

    ○小平政府委員 お話しのジャカルタにおけるアジア大会に青少年交歓キャンプと申しますか、それ自体を目的として日本の青少年を派遣するという計画は、目下のところございません。御承知の通り、選手派遣の関係予算要求しておるわけでございます。ただお話の中にありました中背協でやっております青年の海外派遣、これも御指摘の通り、東南アジアの班が一番数が多いわけでございます。でき得ればアジア大会に日を合わせて派遣をいたしたい、こう考えておるのですが、キャンプということになりますと、向こうにそういう計画があるかどうかまだ聞いておりませんので、そこらもなおこちらとしても一つ研究してみたいと思います。
  218. 臼井莊一

    臼井分科員 東南アジア視察かたがたアジア・オリンピック大会にも出すということになることは、私も願わしいのでありますが、ただ、向こうでキャンプをやるとなると、非常に衛生状態が悪いところですから、今大きなホテルを日本の賠償で作っておりますけれども、これはごく限られた人のあれで、キャンプをやるとなるとそういうところにむずかしい問題があります。ただ、今までの例を見ると、大体往路は船舶で行くようであります。だから船舶で行ってキャンプでなくてもそこに宿泊して、船から昼間大会を視察するなり、あるいは向こうの青少年団と交歓をするとか、そういうような方法も一つの方法じゃないかと思いますので、せっかく行く機会ですから、そういうことも一つ考えをいただきたい。  あと御質問の方が非常に多いようでありますから、きょうはこれだけにしておきます。
  219. 西村直己

    西村主査 では坪野君。
  220. 坪野米男

    坪野分科員 私は、昭和女子大学の学生並びに教師が不当な人権侵害を受けて退学をさせられまた解雇を受けるという事件につきまして、先般、二月九日の法務委員会で志賀義雄君から人権擁護局並びに文部当局に対して質疑が行なわれたわけでありまするが、その際の答弁が目下調査中ということで、きわめて不十分であったということ、並びにその法務委員会における質問の後に、二月の十二日でありますが、その二人の学生に対して、そのときの答弁では、目下補導中である、学校を休ませているけれども退学処分にしたのではない、こういう調査結果の御報告がございましたが、その三日後の十二日には退学処分に付せられておるという新しい事態が発生いたしましたので、人権擁護に関する点について、法務大臣に主としてお尋ねをしたい、さらに文部当局の見解も続いてお尋ねをしたいと思うわけでございます。時期が制約されておりますし、すでに法務委員会で取り上げた点もありますので、なるべく重複を避け、要点について大臣の明快な御答弁をぜひお願いいたしたいと思うわけであります。  最初に大臣にお尋ねいたしますが、昭和女子大の中野講師から法務省の東京法務局の人権擁護部の方に人権侵害の提訴がありまして、その後人権擁護局あるいは擁護部の方で調査をされたと承っておりますが、その調査の結論を最初にお尋ねしたいと思います。
  221. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 ただいまの昭和女子大学の事件につきましては、事務当局におきまして調査は進めておることは聞きましたが、その調査の内容並びに結果につきましては、遺憾ながらまだ私の手元まで届いておらないような状況であります。いずれ事務当局が参りまして御説明をさせたいと思います。
  222. 坪野米男

    坪野分科員 ただいま人権擁護局長がお見えのようですから、今の女子大事件についての調査の結果、あるいはその中間報告でもけっこうですが、問題点についての報告を願いたいと思います。
  223. 鈴木才藏

    ○鈴木政府委員 昭和女子大の内部に起きました事件につきまして、人権問題として東京法務局の人権擁護部に申告のございました事件と申しますのは、昭和女子大学のいわゆる専任講師といわれておりますが、講師である中野という方が、学生の補導その他につきまして、教師としての適切な処置を講じなかった、その他の理由によりまして解雇された、その解雇は、手続また理由において非常に不当であり、自分生活権の侵害にもなるので、擁護部においてよく調査をして善処してもらいたい、こういう事件、それからまた、この中野講師の解任問題の背景には、いわゆる政防法反対に関する請願についての署名運動が学内でひそやかに行なわれた、それに関連をいたしまして、学校当局が二、三の学生にとりました処置、これはすぐ退学を命じたわけではございませんが、いわゆる補導とか補導中、そしてまた授業を受けさせなかった、そういうふうな処分に関連をいたしまして、学校当局が不当な取り調べと申しますか、退学届を書くのを強要したというふうな問題、あるいはこの事件に関連をいたしまして、同じ学生がその問題になりました学生の行動を尾行した、これは明らかに学生として人格を無視されたような行動である、これも一つの人権問題である、そういうふうな事件についての調査の依頼がございました。大体そういうふうな問題でございますが、中野講師の解職問題につきまして、またその他の問題につきましても、両者側の言い分を聞き、いろいろ調査をいたしておりますが、まだ人権問題としての最後の結論を出すに至ってはおりません。
  224. 坪野米男

    坪野分科員 本件は、昨年の十二月の十一日ころに人権擁護局の方に提訴されておるわけでありますが、自来二カ月に余るわけであります。その間にまだ調査が完了しておらない、また人権侵害であるかどうかという結論に到達をしておらないということでありますが、一体何名くらいの調査員の手で本件についての調査を進めてこられたのか、その点お尋ねいたします。
  225. 鈴木才藏

    ○鈴木政府委員 東京法務局の人権擁護部の構成は一課と二課とございまして、部長を入れまして約十五、六名くらいでございますが、主として事件の調査に当たります者は第二課の七、八名でございます。ただ、この問題につきましては、私の方にもいろいろと訴え、人権擁護局自体直接いろいろ人が来られまして、私の方も法律問題、これはいろいろむずかしい問題も含まれておりますので、事実の調査並びに憲法上、法律上あるいは学校教育法上の問題につきましては私の方の調査課長以下が関与しながら調べておる次第でございます。
  226. 坪野米男

    坪野分科員 おそらく当局におかれては、学生側、また処分を受けた教師、さらには大学側において、おそらくこの事件については第三者的証人というのは比較的少ないのじゃないか、学校側、これと対立する学生側、あるいは学校側に同調する学生があるかもしれませんが、大体そういった両者について事実調査がおそらく進められたと思うわけであります。私は、現在までのところで大体両者の言い分はもう出尽くしておるのではないか、あとはこれが人権侵害かどうかという判断の段階にきておると思うわけであります。文部省の大学学術局の方の調査によっても、大学側の言い分はすでに文書にしてわれわれの手元に届いております。従って、事実はきわめて簡単な、比較的単純な事実関係でございます。問題は判断にかかってくると思うわけでありますが、私は、大学当局が学生諸君を退学せしめた理由として、無届けで学外団体に加入をした、そうして学内において政治的署名運動を行なった、そうして学内の平静を破ったということが、処分の大きな理由になっておるわけありまして、しかも、その後、補導処分に付しておったけれども、改俊の情がないのみならず、公開の会場その他において、本学に対する不穏な言動をなした、これにより秩序を乱し、学生の本分にそむいたから、学則第三十六条第四項によって退学に処する、このように文書で処分の理由が学内に掲示されておるようでございまして、大学の言い分ははっきりしておると思うわけであります。問題は、このような理由が処分に値するかどうかというところにかかってくると思うわけでありますが、私は、この昭和女子大学の学則第三十六条第四項を読んでみましたが、これはきわめて抽象的な、当たりさわりのない規則でありまして、この学則だけをとらえて云云ということにはならないと思うわけであります。問題は、本学の学則にそむき、学生の本分にもとる行為、あるいは学内の秩序を乱して学生の本分に反する行為、こういった行為の具体的な事例として、この大学では学生手帳に印刷されておるようでありますが、生活要録という項目の中で、こういう細則が定められておるわけであります。この細則が私は問題だと思うわけでありまして、この細則自体が、民主憲法下における大学の定める規則としては、きわめて、不穏当な、憲法違反の疑いさえ生ずる規則だと思うわけであります。その生活要録の第六項を読み上げてみます。「学内外を問わず、署名運動、投票、新聞、雑誌その他印刷物の発行及び配布、物品の販売、資金カンパなどしようとするときは、事前に学生課に届け出、その指示を受けなくてはならない、」こういう規則があるわけでありまして、この規則にそむいて学内で署名運動をした、これが処罰の理由になっておるようでございます。しかしながら、この規則には、学の内外を問わず——学校外においても投票してはいけない。投票するには学生課に届け出をする。届け出だけでなしに、その指示を受けなくてはならない。これは単なる届出制でなしに、届け出をして指示を受けるということは、許可を求めるかのごとく解することができるわけでありまして、一体、学外の投票行為を学校の規則で規制するということは、どういうことでありましょうか。これが公職選挙法にいう公職選挙の投票ということであれば、こういったことを学内の規則で規制することが許されるかどうか。この一点だけ法務大臣あるいは人権擁護局長の御見解を伺いたいと思います。
  227. 鈴木才藏

    ○鈴木政府委員 今回の、ごく最近に学生が退学処分に処せらました理由は、今御指摘になりました各種願書、届け出、いやこれは手帳でありますが、手帳の六項、それからさらにもう一つは、学生は補導部の許可なくして学外——学校の外でありますが、学外の団体に加入することはできない、こういう二つの事項をあげておるようであります。今御指摘の投票の件でありますが、私もこの「投票」を文字通り読みまして、非常に広範な、非常に疑義のある規定だと思いまして、私直接学校当局に聞きましたところが、確かに「投票」とあるけれども、この場合に、投票について学生課に届け出てその指示を受けなくてはならないというのは、たとえば公職選挙法の場合には、郷里で投票したりするような場合に、一応投票のために学校を休む、そういうふうな場合に、学生課に届け出をするのだというふうに解釈をしておられるようであります。しかし、この文字のみを読みますと、今おっしゃいましたような非常に広範な、投票権それ自体を監視するような、また、だれに投票する、また投票の仕方、そういうものにまで一々指示を受けなければいかぬような解釈もできます。この点は私は非常にばく然とした一つの規定であるような感じがいたします。
  228. 坪野米男

    坪野分科員 私はこの規則は憲法違反だと思う。投票……届け出し指示を受けなければならないというようなことは、学外における投票活動を大学当局が規制するということは、絶対許されないことだと思うわけであります。さらにまた、署名運動でも、学外の署名運動という場合に、今学生諸君の具体的にやった行為は、政防法反対の請願書に署名をする行為であります。法務大臣にお尋ねしたいのでありますが、憲法十六条に請願権というものが保障されておりますし、さらに請願法においても、その憲法の規定を受けまして、国民の請願の権利が、具体的にその手続等が法律によって定められておるわけでありますが、この憲法十六条なり請願法で、平穏に請願する国民の基本的権利、これはその請願を行なったことによって差別待遇を受けないのだ、また差別待遇をしてはならないという、差別待遇禁止の規定も請願法の六条にあるわけでありますが、この学外における憲法で保障された請願、その署名運動、署名行為を一片の学校の規則でもって規制する、そして無届けあるいは指示なしに憲法上の請願署名を行なったという行為が規則違反として、大学当局から処分を受ける理由になり得るかどうかという点、そういう意味で私はこの規則の、学外における署名運動を一般的に禁止するということは、教育上のどういう理由があろうとも、そういう規制は私はきわめてけしからぬことであり、憲法違反の規則であって、無効だと考えるわけでありますが、学外におけるこのような署名運動を学校の規則で規制するということが、はたして現在の憲法下で、またいかに私立大学であろうとも、そういった大学の自治という名において、またそのような規則によって学生を規制することが許されるかどうかという御見解を伺いたいと思います。
  229. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 ただいまの昭和女子大学の学内の規則で、学外における署名運動、投票、新聞雑誌その他印刷物の発行、配布、物品の販売、資金のカンパなどをしようとするときは、事前に学生課に届け出その指示を受けなくてはならないという、この問題についての御質問でございますが、どちらかといいますと、これはあるいは私からお答えするのは適当ではないかもしれぬと思います。事教育に関し、文部省の所管の問題でもありますし、正確なお答えができるかどうかも疑問であります。私は、この問題の学則の——学則というのですか、ここに書いてある、今のその趣旨がどういう趣旨であるか、あるいは今私の方の政府委員がお答えしましたように、届け出てその指示を受けなくてはならないというこの条項の解釈なり運用なりが、どんなふうにしておられるか、これをもう少し確かめないと、この言葉だけでいきますと、私もうっかり解釈すると行き過ぎじゃないかなという感じがせぬではないのであります。しかし、これは非常に大事な問題でありまして、これをきめておられる規制の趣旨とその運用を、もう少しお尋ねしないと、直ちにこれはまずい、あるいは憲法違反だということを私から私の意見としてでも申し上げることは、どうも穏やかではないように思いますので、この点御了承を願いたいと思います。
  230. 坪野米男

    坪野分科員 法務大臣、非常に慎重な御答弁のようでありますが、法務大臣はもちろん法律家であられるし、私も法律家の一員でありますが、法律家といわず、普通の常識人がこの大学の規制をすなおに読んだ場合に、学の内外を問わず署名運動、投票行為、あるいは新聞、雑誌その他の印刷物の発行、配布、たとえば学外におけるいろいろな文化サークルに入る、同人雑誌を発行するというような行為についても一々学生課に届出をし、またその指示を受けさせるという、ここまでの規制が必要かどうか、また規制をすることが正しいかどうかという点非常に疑義がある。のみならず、今言うたように請願署名なりあるいは選挙権の行使なりという行為について大学当局が干渉しておる、規制を加えておるという疑いがきわめて濃厚になっておるわけでありまして、この生活要録の第六項のような規則は、文部当局から指導権を発動してでも大学当局に改正させる必要があるのじゃないか。こういうことで学生を縛っておくということは、民主的な大学、教育の当局者の立場として許さるべきではないと考えるわけであります。  この規則の解釈はこの程度にいたしまして、現実に学生の行なった行為というのは、政防法反対の請願署名を学校の中において、しかも授業時間中、講義中でなしに、休み時間中に教室等でメガホンで、あるいはマイクをかけて大きな声で演説するというわけではございません。平穏に署名運動を行なったという二名の学生諸君が、かりに無届けでこのような行為をしたという理由だけでもって、それが退学処分に値するかどうかということは、これは私は重大な問題だと思うわけであります。先ほど言いましたように、学の内外とありますが、学内において憲法で保障された請願権の行使としての署名連動を、授業に差しつかえない、また平穏にこれを行なうという行為が、無届けであったからといって規則違反の責めを問われる、そういうきびしい規制を学の中においてもすることができるかどうかということはきわめて問題だろうと思うのですが、その点について、学内ならば憲法がどうあろうと、また法律がどうあろうと、学校の規則がすべて優先するのだ、大学当局はこう放言しておるそうであります。しかし、そのような憲法に優先する学校の規則、法律に優先する学校の規則というものが許されるものかどうか。まず一般論としてその点の御見解を法務大臣から伺いたい。
  231. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 一般論として申しますならば、われわれ国民は当然憲法に従わなければならない、あるいは法律に従わなければならぬのでございますから、その法律にきめられたる権利を束縛する、あるいは制限するようなことをきめることはいかがなものかというふうに、一般論としては私も感じます。しかしながら学校という教育の場においてそれをどういうふうに指導、育成していくかという教育の方法として、時には事前にある行動、憲法上許されたある行動でも相談をかけなさいとか、あるいはそういう場合には一応申し出て、そうして教育者として中立の立場から指導をしてあげよう。何かそういう親心からの一つの定めであり、運用であるとしますと、私は時には許されてもいいのじゃないかしらというふうにも思うのであります。ちょうどわれわれの家庭におけると同様でありまして、自分の子弟が成年に達したからといって、それで親が何でも干渉することはもちろんいけませんが、しかし、子供が間違いを起こさないようにするという意味において相談をかけろよ、あるいはそれはこういうふうに考えたらどうかというふうに、互いに話し合っていこう、指導していこう、育成していこうというような気持での運用が行なわれるものとすると、定め方にもよります、その条文の作り方にもよりましょう。やはり直ちにそういうことに対しての可否の意見をここで申し上げることは控えさせていただきたいと思います。
  232. 坪野米男

    坪野分科員 もちろん私も、教育的な考慮から、学内における政治活動なり、学内におけるいろいろな集団的な行動について、学校当局がある種の規則を定める、そうしてその規則のもとである種の規則を加えるということは、一般論としてあり得るということは認めるわけであります。しかしながら、憲法や法律で保障されたことを、教育上の観点から規制の必要がない場合に、そういった規定で規制をするということは許されないことではないか。そういう場合に、そういう規則があっても、それに反した行為があったからといって、それが直ちに処分の理由になるかどうか、これは具体的の場合にもちろん一々判断しなければならないわけですが、学内の規則であるからといって、それが憲法なりあるいはもっと大きな法秩序のもとにおいてその規則が不当なものである、不当な制限規定であるという場合には、教育上の見地からといえども、そのような学内の規則違反に問うことは許されないというように私は考えるわけであります。  そこで本件の場合、学内において政防法反対の請願署名運動を行なったという行為、これが今の規則で届出をしなければならないという規則になっておるからといって、これが無届けだからといって、これが一体退学処分に値するかどうかということ、これは私は全くむちゃな処分だと思うのでありますが、この点どうでしょう。その程度のことでも規則違反だから放学処分もあり得るというお考えですか。
  233. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 その場合、その退学処分がどうかと言われますと、これはますますもって私の立場としてはお答えいたしかねます。個人的意見はないじゃありませんけれども、やはり公人の立場ですから、文部省当局の意見をお聞き願いたいと思います。
  234. 坪野米男

    坪野分科員 それじゃもう一つお尋ねをいたしますが、大学当局の許可なしに学外の団体に加盟した、これがやはり大学当局の規則に反したのだということになっておりますが、一体女子の私立の大学であるからといって、いやしくも大学生ですよ。しかも成人に達した大学生が、学外の団体、たとえば政党に所属するあるいはここに書かれておる民主青年同盟に所属する、文化的団体その他いろいろな非政治的な団体もありましょう。そういう団体に入る場合に大学の許可を要するというこの許可であります。教育的な観点からであるにいたしましても、許可がなければ加盟ができない、そういう教育は私はあり得ないじゃないかと思うのでありますが、大学の規則で学外の団体、たとえばはっきり言いましょう。政党に加盟をしたいという——政治活動をするのではありませんよ、公務員法その他よく研究して下さいね。政治活動をやるというわけじゃないのですよ。政党の所属員になるということですよ。ただそれだけの行為を許さないあるいは許可を要するという規則は、これは憲法違反ではないか、いかに教育上の観点からしても、そこまで学生の自由あるいは国民の基本的人権を奪うことは許されないと私は考えるわけでありますが、そういう規則ははたして有効に存続するというお考えであるかどうか、法務大臣の御見解を伺いたい。
  235. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 この点もまた同様に私の意見は差し控えさしていただきたいと思うのでありますが、やはりこの規定の第八の十三号にあるようですが、学生は補導部の許可なくして学外の団体に加入することができないという書き方について、ほんとうの運用がどこにあるか、またどういうことを趣旨としているか、その点私疑問に思うのであります。それだけにこの規則の趣旨とするところも聞きたいし、表現だけから見ますと、実は私も若干どうかなという感じがするのであります。しかし実際の意図するところ及び運用の実情がどうあるということによって私は考えるべき筋のものではあるまいかというふうに思いますので、私の確定的な意見は控えさしていただきたいと思います。
  236. 坪野米男

    坪野分科員 大臣非常に慎重に、何かに遠慮して自分の意見を差し控えておられるようでありますが、私は非常に遺憾に思います。いやしくも法務大臣、しかも国民の基本的人権の番人としての裁判所と並んで、基本的人権に関する人権擁護局を所管しておられる大臣として、私は非常に残念だと思うのであります。規則をその通り読んで、どういう運営がなされておるかは別といたしまして、大学の規則で学外の団体、それが文化団体その他もう少し教育的な観点からの規則であればともかくでありますけれども、いかようにでも解釈できる。現にこの学生諸君は、民主青年同盟という、政党ではございませんけれども、政治的な団体、政治に関連のある団体に加盟したということが処分の理由になっておるようであります。もしこれが無届けで、あるいは無許可で民青に加盟をしたことが処分の理由になるとすれば、国民の思想の自由、あるいは憲法に保障する結社加盟の自由に対する重大な侵害行為だということで、この処分理由は私は成り立たぬと思うわけであります。また学内において何ら授業その他の教育活動そのものを阻害しないような方法で現に行なわれた請願署名運動、これも処分の理由になっておる。そしてそれが学内の平静を破った。学内の平静とは何ですか。大学当局が放言するように保守反動の大学だ、こう言うのでありますから、その保守反動の大学で、このような、政防法反対というようなけしからぬ思想を持った学生がこういう行動をした、それが学内の平静を破ったということであるとすれば、それまた何をかいわんやであります。そういうことが今の民主憲法下で許される正当な処分理由になり得るはずはないわけであります。保守反動の大学だということであれば、なぜ一体昭和女子大学の学則の第一条にそれをうたわないのでありますか。第一条には「本学は女子最高の教育機関として又学術文化の研究機関としての使命に鑑み善を尚び美を愛し真を究めて文化の創造と人類の福祉に貢献する婦人を育成する事を目的とする。」おそらく憲法や教育基本法にいう民主教育をモットーとされた、少なくとも教育基本法下の私立大学としては、民主教育を施すのが大学の一つの当然の任務であろうと思うわけでありまして、保守反動の大学教育、こういうものが許されるはずがないわけであります。まさに、この処分理由を見れば民主青年同盟に加盟した、社会党員になった、共産党員になった、しかも無許可で、そういうこと自体が処分理由になる、こういうことは今日の憲法下において考えられないことであります。また、政治的の請願署名連動を行なったということも同様であります。そのような不当な理由で補導処分に処せられる、登校停止にさせられる。その学生諸君が、自分たちの信頼する中野講師に相談に行く、これまた当然のことであります。その中野講師が学生の補導を誤った、補導に適切を欠くところがあった、きわめて抽象的な文言でこれまた解職の理由としておるようであります。しかも、その後に、学生諸君がこのような大学当局の非民主的な処分、非民主的なやり方に対して憤慨をして、学外の世論に訴えるためにわれわれ法務委員会にも陳情に見える、そういった活動をとらえて、改俊の情がないんだ、あるいは公開の会場その他において本学に対する不穏な言動をしたのだ、こういう言いがかりをつけて、補導処分からさらに追い打ちをかけて退学処分にしておるということでありますが、私はこの多くを調べる必要はない——この学則、この処分理由を率直に見るだけで処分の理由はないと思う。おそらく、これは今司法裁判所で、提訴されて身分保全の仮処分その他の裁判が行なわれておるのであろうと想像いたしますが、私の経験からしても、このような不当な、違法な放学処分は必ず取り消される、そうして原状に回復されると私は自分の経験上確信いたしておりますが、裁判所のことはともかくといたしまして、国民の常識においてもこのような処分が許されるはずがないと思うのであります。それを大臣はあるいは人権擁護局では、法律的にいろいろ疑義があってむずかしいとか、いろいろの口実をかまえて——この事実、これが刑法の第何条に当たる人権じゅうりんの行為だということを言う必要はないわけであります。教育の場であり、しかも文部省の監督、指導を受ける私立大学の教育方針あるいは学校運営の面において、このように非民主的な、学生諸君のあるいは教師の人権を無視し、侵害するような、こういった教育の運営が許されるかどうかという観点から、私は結論が当然出てくるであろうと思うわけでありますが、その点において法務大臣は非常に慎重というか、何かに遠慮した答弁から一歩も出られないということに対して、私は非常に遺憾に思うわけであります。  さらに、中野講師に対する処分理由でありますが、これも何か採用時における約束に違反した、保守的にやってくれというような注意をしておったのに、その約束に違反して、学生の補導に適切を欠いたということでありますが、具体的に、中野講師のどういう行為が一体学生の補導に適切を欠いたのか、どうすればよかったのだということが何ら述べられておらないわけでありまして、この中野講師に対する不当処分も私は当然人権侵害の疑いがきわめて濃厚だと思うわけでありますが、時間がございませんので、この点については深く触れることはできません。また追って法務委員会で詳しく、当局者、大学当局をも呼んで追及をいたしたいと考えておるわけであります。  さらに、もう一つ、私は問題を指摘しておきたいと思うわけでありますが、大学の規則では、学の内外で署名運動をするには届出が要る、こうありますが、署名運動をしたのは、大体、現われた事実では二人ないし三人の学生諸君のようでありまして、この署名に賛成をして署名した人が十数人あるいは二十人あるといわれておるわけであります。この二十名の署名をした学生諸君はこの学則のどこに触れるのか。おそらく規則で署名運動をしてはならない、署名運動は届出云々とある以上は、署名をする行為は署名運動に入るのかどうか、これはおそらく運動をしたということにはならないのではないかと思う、そう解釈すべきだと思うのでありますが、この政防法反対の請願書に署名をした学生諸君が、また大学当局から非常に不当な取り調べを受けておるわけであります。十数名の、もちろん全部女子学生でありますが、大学当局から非常にきびしい、またそれこそ人権じゅうりんといわれる、女子学生の人格を全く傷つけるようなやり方で尋問が行なわれておるという例が数多くあるわけでありますが、その一つだけ指摘して、いかにこの大学がひどいものかということを私は明らかにしたいと思うわけであります。
  237. 西村直己

    西村主査 坪野さん、あとまだたくさん待っておられますから、むしろ御質問に重点を置いてやっていただきたいと思います。
  238. 坪野米男

    坪野分科員 一点だけ申し上げて下がりたいと思います。  大学当局がいろいろな形で学生諸君なりに圧迫を加えておるようでありますから、名前はすべて伏せておきますが処分を受けた以外の学生の手記の中にこういうことがあるのであります。取り調べをしたのは女子大の戸谷教授、女の先生でありますが、この教授の取り調べを受けた中にこういうことがある。「殺人をする動機にも二つあると思うのよ。一つは故意にする殺人、他の一つは自己防衛の時、」これは正当防衛の意味でしょう。「それでも殺人したことに変りないわね、それと同じように署名した人の中でも深く追求していた人とただ軽い気持で署名した人がいるはずでしょ、でも紙にのってしまった名前の重さは同じでしょ、更にいう、貴女のやり方はまるで乞食と同じよ、何から何まで計算づく、全く打算的よ、人見先生のおっしゃるまで黙っているなんて何ていやしい考えなんでしょうね、貴女方の考えというものは物を盗んで、それを正直に返すというのではなく「返してやるからその代りに報酬をくれ」というているのと同じですよ、友達二人を犠牲にして自分たちは隠れていようとするその考え方は「組織の手口」と全く同じじゃありませんか。……中略……友を裏切っておいてそれが友情といえるものなのでしょうか。さんざんに言われてしまった。確かに二、三の友を挙げたことはまづいと思う。その事については何も弁解できない。しかし、“殺人”とか“盗人”に例えられるようなそんなひどいことをした覚えはない。人の心を傷つけ私の胸の中にある大切な何者かをそれにぐさりとメスを入れ砕いてしまったのは戸谷先生自身ではないか。私はどうしても戸谷先生という人間に我慢がならない。」こういう手記を書いておるわけであります。これはほんの一例であります。この女の子は署名をしたというだけです。署名運動をしたのではない、署名をしたというだけの女の学生の諸君に対してこのような調べをやっておるというのが、この女子大の現在の教育の実態であります。  私は最後に法務大臣にお尋ねしたいのでありまするが、こういうひどい——もちろん、これは文部省の管轄ではございますけれども、こういうひどい教育が現実に行なわれておる。教育基本法で、学校は政治活動をしてはならない、政治教育をしてはならないという規定がございますが、学生諸君が政治活動をしてはならぬという規定はないのです。ところが、学校当局がこういう政治的な偏向でもって学生諸君の学内外における政治活動、それも、もちろん教育に直接支障を来たすような学内における政治活動に対する若干の規制はやむを得ないといたしましても、一般的に学内外における学生諸君の憲法で保障された政治活動に対して、このようなひどい規制、制限を加え、そしてそのような行動に対して、退学という最高の懲罰を課するようなことが、今日の民主教育のもとで許されていいかどうか、これは文部大臣でなくとも、法律家として、また一国の法務大臣として、当然御見解があろうと思うのであります。そういう意味で、今明らかになったこれだけの理由で学生諸君が処罰を受けることが、はたして許されていいかどうかということに対する大臣の御見解を率直に承りたいと思うわけであります。
  239. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 重ねて申しますが、どうも問題があまりデリケートな問題でございますから、私からこの意見をこの際申し上げることは適切ではないと思います。なるほど、仮定の上で、これだけの理由で退学処分にしたとすればどうかということでございますが、しかし、それだけの理由であったのかどうか、問題が具体的の事件であるだけに、私はなおさら、もっと詳細な実情がわからないと、どうもお答えすることが適切じゃないと考えますので、御遠慮いたしたいと思います。
  240. 坪野米男

    坪野分科員 大臣の今の御答弁に対してきわめて不満でありますが、がありません。また法務委員会等であらためて御質問したいと思います。  私の質問を終わります。
  241. 西村直己

  242. 川俣清音

    川俣分科員 私は、この際法務大臣に二、三点お尋ねをいたしたいと思うのです。  まず第一に、予算上の組織であります。法務局の予算がたしか四十六億五千五百六十万円だと思います。項にして、法務局の予算が四十一億七千二百十六万円かと存じますが、これだけの予算を持つ組織としての法務局の責任者はだれでございましょうか、大臣から御答弁願いたいと思います。
  243. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 お答えいたします。法務大臣でございます。
  244. 川俣清音

    川俣分科員 一つの法務省としての責任者であると思いますが、別に下部に所管組織として法務局を持つのでありますから、その責任者がなければならない、こう思うのです。それをお聞きしたい。
  245. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 第一次的な責任官庁といたしましては、各県に置いてあります地方法務局長でございます。そのほかに、管区に法務局長——地方という名前がつかない法務局長がございます。これが中間監督官庁になっておる、こういう状況でございます。
  246. 川俣清音

    川俣分科員 これは本来でありまして、実態はそうであることは私どもも認めます。しかし、予算上、法務局という組織があれば、その組織の責任者がなければならないだろうと思うのです。会計法上そう思うのです。財政法上そうでなければならないと思うのですが、これは一つの慣習として、地方の法務局といたしますれば、この中に項として、何々地方局あるいは管区法務局、こういう名で出てこなければならぬと思う。これは法務局全体総括になっておるんですね。そうすると、この総括の責任者が必ずなければならぬはずだと思うのです。以来このままでやってきておられますけれども、これは行政組織の上からも適当な改正を要するのではないか。予算と実態とが違っておるという点から——どっちが悪いというのじゃないのですよ。やはり問題が出たからには、何とか整理をされなければならぬ。法務省全体の組織として検討さるべき問題ではないかと思いますが、どのようにお考えになっておりますか。
  247. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 その点は、先ほど冒頭にお答えいたしましたように、法務局全体として、これはあくまでも法務大臣の責任の問題でございまして、法務大臣が指揮監督をしております。地方法務局長、並びに管区ごとにあります法務局長、これらが第一線あるいは中間の指揮監督機関になっておりますけれども、それらの上を包括する全体としての責任者は、法務大臣ということであります。本省にあります当該局長は、これは私への補佐機関にすぎない、こう私は解釈しております。
  248. 川俣清音

    川俣分科員 これで時間をとるわけにいきませんが、実態に合わせた予算編成をするか、または機構に合わせた予算編成をするか、どっちかでなければならぬというふうに思いまするから、これは検討していただきたいと存じます。今ここで無理に追及して、左だ右だときめるべき問題でもないと思いますが、どうも予算編成上問題があるのじゃないか、こう思うからでございます。法務省というのは、大体規則でやかましいところなんです。人のことについては非常にやかましいけれども、自分のところだと非常にルーズにされておるのではないか、こういうふうに考えますので、一つ御検討願いたい、こう思うわけでございます。  そこで、次の問題に移りたいと思いますが、従来、日本がまだこれほど脚光を浴びてこなかった時代は、徳川時代からかなり畜産が行なわれておった。畜産の基盤として放牧地あるいは採草地というものがございます。この権利が入会権と称せられまして、いろいろ紛争を招いておるわけでございます。特に町村合併になりまして地域が拡大され、住民が拡大して参りますと、ある部分の部落の従来からの慣行による入会権というものが、全体の町村から見れば、ごく一部の利害関係になってくるというところから、整理の対象になってくるという問題が出て参ります。今後さらに農業の高度成長を期待いたしまして、畜産あるいは果樹、園芸というものが重要に取り上げられてきております。そうすると、従来に増して、一時衰微いたしましたこの採草地あるいは放牧地、あるいは入会権的造林地というものがもう一度問題になってくるわけでございましょう。ところが、従来、この放牧採草権というものは、民法の入会権に属するものだと民間では理解し、また、民法学者等もそう理解し、あるいは農政学者等もそう見ておるのでございますけれども、裁判所であるとか、公法学者などは、入会権は公権だ、こういうふうに見ておるのでございます。裁判所はむしろ私権的に見ておるでしょうが、行政庁及び政府は、むしろ公権的な存在と見ておるようです。従って、自治法の二百九条、旧慣による使用権だと称しまして、地方自治体の決議によってこれを解約いたしましたり解消したりいたしておるようであります。それに反抗いたしまして、部落の関係者がまた訴訟が対抗していくという紛争が確かに起こっておるはずだと思います。同じ町村の中で、ある部落と町村全体とが訴訟を起こして争うということは、村の経済からいきまして、町の経済からいって、決して好ましい方向ではなく、また解決を見たところで、これは部落の中の感情と町村の感情とが衝突いたしますから、町村運営が非常に困難になってくるという問題も出てくるだろうと思います。  そこで、これは法務省にお尋ねしたいのですが、裁判所と違いまして、公権論を支持されるか、私権論を支持されるかと言われましても、これは答弁できないことだと存じます。先般自治省にお尋ねをいたしましたところ、やはり依然として地方自治法二百九条はこれを堅持していきたい、こういうことであります。堅持をすることもよろしいけれども、堅持をすることによって紛争が起きた場合にどうするかという質問をいたしておりますが、その場合は部落の平和の上に適当な指導をしたい、どういう答弁でございました。一方、御承知のように、民法の二百六十三条または二百九十四条にいう入会権と解釈しておるものも非常に多いわけです。そこで、いわゆる入会権は公権なのか、私権なのかという問題がいまだ解決されていないわけです。最近は、現実に即して折衷論などができておりますけれども、判例は依然として私権論を支持しておるようでございます。昭和十一年の大審院の判例は、私権論に味方をした判例を作っておるようでございます。こういう中におきまして私がお尋ねしたいのは、こういう紛争を裁判所が解決することは、これはまた一つの解決の方法でございましょうけれども、あなたの方の出先機関でありまする法務局の登記所の職員が、これは私権論が正しい、公権論が正しいといって登記を受ける権利があるのかどうか、これは越権行為ではないかと思いますが、この点についての御解釈を願いたいと思います。
  249. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 登記官吏は、不動産登記法に従いまして処理をするよりほかに方法がないのでありまして、自己の判断に基づいて云々ということは、もしそういうことが行なわれておるとすれば、それは間違いだということになります。しかし、その判断が適切であるかどうか、それが誤ってそういうことがあり得ることがないとは保しがたいと思いますから、今お尋ねの問題につきましては、政府委員がおりますから、政府委員からお答え申し上げたいと思います。
  250. 平賀健太

    ○平賀政府委員 入会権は、御承知の通り、民法に簡単な規定が二カ条あるだけでございますが、いずれにいたしましても、これは登記はできない建前になっておりまして、登記官吏が自分の判断で入会権の登記をするということは、普通考えられないことでございます。
  251. 川俣清音

    川俣分科員 私は当然そうだと思うんです。ところが、古い村の台帳を見ますると、組合の総代という資格で登記をされておるわけです。なぜ登記をしたかという当時の事情はわかりませんけれども、部落財産統一などを行なわれては困るということで、おそらく総代という名前で登記をしたのではないか。村の登記は、総代ということで登記になる。それから登記所においてもまた総代ということで登記になる。ところが、当時十二人おったのだからして、十二人の名前に登記がえをしようということで、総代から十二人になるのに、譲渡でもなければあるいは相続でもなし、そういうふうに、何の関係もなしにいつの間にか十二名になっておるわけです。しかも、十二名ならまだしも、十二名になった翌日、さらに相続だということで各家族に分配しておるわけです。部落の規約に反してなぜ登記所がやったかというと、これは私権なのだからして、十二名の権利者の申し立てによれば登記ができるのだということだそうです。明らかにこれは入会権として村でも認め、部落でも認めておるものを、一部の私有化しようという者に乗せられた登記が行なわれたといたしまするならば——まあなかろうと思いますけれども、そういうことで乗せられて登記したならば、それは越権行為に基づく登記でありまして、当然変更ができると私は思うのでございますが、この点はいかがですか。
  252. 平賀健太

    ○平賀政府委員 お尋ねの件の具体的な問題は、おそらく秋田県の事件じゃないかと思うのでございますが、秋田県雄勝郡羽後町上仙道字上沢百五十八番地に原野十町歩、同所百五十九番地に原野二十三町三反余りの三筆の土地がございまして、この件についてのお尋ねではないかと思うのでございます。これは秋田地方法務局管内の西馬音内出張所の管内の土地でございますが、さっそく電話で照会いたしてみました。そうしますと、詳しいことはなお調査いたしたいと思っておりますが、その電話の報告によりますと、この二筆の土地が、土地台帳には、当初、所有者を仙道村上仙道仙道沢組ということで所有者の登録がしてあったそうでございます。ところが、昭和三十年の十月に、所有者の表示が間違っておるというので、訂正の申告があったそうであります。その所有者の訂正申告には、もちろん所有権の証明のために若干の資料が添付されまして、申告があったそうでございます。登記所におきましては、当時の登記官吏はその申告に基づきまして、さらに所有権の証明に基づきまして、土田何がしほか十一名の共有名儀にその台帳の登録を訂正した、そういう経過であったそうでございます。なお、その後昭和三十四年の七月に保存登記の申請がございました。右の土田何がしほか十一名の共有名義に所有権の登記がされておる。そういう経過がただいまのところ判明いたしております。登記官吏といたしましては、今私どもが得ました電話の報告によりますと、当時の登記官吏が、その申告を適法なものと認めてそれを受理いたしまして、訂正したものと考えられるわけでございます。決して登記官吏が職権をもって、自分の判断で、これは間違いだからというので勝手に訂正したものではないのでございます。
  253. 川俣清音

    川俣分科員 今積極的に材料を出されたのですが、最初は組だった。組ということは、これは入会権なんです。何人ときまっていない。特定の人じゃない。その沢全体のものが組となる。組規約もあるわけです。それがなぜ一体個人の名前にせなければならないのか。組合から譲渡を受けたわけでもないのです。突然降ってわいたような登記になっておる。本人の申請があったからと言うなら、証拠があるのかといえば、証拠があったのじゃない。こういうものをこしらえてこい、ああいうものをこしらえてこいと、だいぶ長くかかったそうでございますけれども、登記所の職員に教えられたままにこしらえていったという。そこに登記する、いわゆる所有権を取得したいという者が、登記所の職員をあるいは誤謬に陥れ、錯誤に陥れるようなものがあったかもしれません。こういう入会権というような・裁判にしてもなお紛争を巻き起こすようなものに対して、このぐらいな程度で登記を変更するようなことがあってはならないのではないかと私思うのですが、どうでしょう。現にあなたの裁判の中で、入会権の紛争は非常に多いはずです。裁判の結果もなかなか容易じゃないようです。そういう事件を、一登記所の職員が、申請があったからといって変更できるとすれば、裁判所以上の権限を持つことじゃないですか。初めから十二名のものであれば問題ないですよ。組という表現は個人をさしていないことは明らかです。これは共有なんです。共有から、なぜ特定の十数人のものに変わらなければならぬのか。譲渡を受けたら別ですよ。その登記所へ行って見てごらんなさい。譲渡でもなんでもない。誤謬訂正だ、組であったことがあやまちだ、入会権があったことがあやまちだ、初めから所有権があったのだ、こういう判断までできるわけはないでしょう。誤謬訂正というのは、何のたろべえと書いてあって、たろべえのべえが間違ったとかなんとか、これが誤謬です。部落財産であったものを個人財産として誤謬訂正を受け付けるということ自体がおかしいじゃないですか。常識的に言ってどうです。
  254. 平賀健太

    ○平賀政府委員 当初の土地台帳に、仙道沢組と所有者の名義がなっておるわけでありますが、これは入会権者ということではなしに、所有者ということで登録されておるわけでございます。台帳の記載から、入会権があるのかないのかということはわからぬわけでございます。そこでこの仙道沢組というのが何かということ、これが問題でございますが、あるいは部落の所有であるのかもしれませんし、あるいはその部落に現にいる人たちの共有であるのかもしれませんし、この実体はこの台帳だけでは必ずしもはっきりしない。いずれにしましても、入会権があるかどうかということは、この台帳の記載ではわからぬわけであります。そういう関係で、土地台帳の所有者の登録表示としましても、これはおかしな表示だと思うのでありますが、所有者と称する人たちから、所有権の証明をいたしまして、登録の訂正の申請があったわけでございます。それに基づいて登記官吏は、所有者なりと認めて台帳を訂正したものだと思うのでございます。もっともこれは先ほど大臣も仰せられましたように、そういう資料がついておりましても、その資料によってこの十二名の人を所有者に認定したことに適切でないものが必ずしもないとは申し上げられませんが、私どもは、ただいままでに得たところの報告によりますと、登記官吏はそういう申告に基づいて、証明が十分だと認めて訂正したものであろうと考えておる次第であります。
  255. 川俣清音

    川俣分科員 これを問題としてこれ以上追及しませんけれども、入会権の問題については、裁判においてすらなかなか解決しないで、結局は妥協を勧めて問題を解決しておるという事態であります。訴訟になって、そして裁判になって解決されるのなら、これも一つの方法だと思います、どっちに証拠があるかどうかは別にして。一登記所の職員が、これは正しいんだと理解することに誤りがあるのじゃないか。それならば一つ訴訟にして問題の白黒をつけろ、こう勧めるのが私は適切じゃないかと思うのです。そうじゃないのですか。初めから証拠があったんではないのです。いろいろ証拠を出さして一これは経過をごらんになったらよくわかります。いろいろなものを作らして、しかる後にやった。それならばもう当然、これはやっかいであろうけれども、訴訟させてこの問題を解決すべきでなかったか、こう指導するのが私は適切じゃないかと思うのです。  その問題は別にいたしまして、なぜ一体こういう情実に支配されるような登記所の職員ができるかといいますと、何と言いましても身分が安定するような待遇が与えられておらないというところからだと思う。いろいろな事件を拾うと言っては語弊があるかもしれませんけれども、なるべくいろいろな問題に関与いたしまして、物的な利益を得るかどうかは別にいたしましても、何らかの便宜を与えることによって何らかの便法を得たいというところに、こういう問題の発生する原因があるのではないか。たまたまこの人は奥さんが病気でありまして、非常に気の毒な状態であったそうでございます。そういう状態が出て参りますと、便宜をはからせられる結果になるのではないか。これは法務省当局といたしまして、当然な身分の保障なり生活の保障をしておらないところから、こういう結果が出てくるのではないか。これは大いに反省する必要があろうと思うのです。それと同時に、一体官庁で一番粗末な家屋の中に入れられて粗末な事務をとっておるのが、登記所と測候所と農林省の統計事務所なんです。これは事務所らしくもない。どこをたずねていいわからぬようなところにある。看板だけは大きい。家を見たら、どこの長屋かわからないようなところに登記所が存在するというのは、現にあなたが回ってみてごらんになったでしょう。採光設備もなければ、暖房もなければ、事務がとれるような場所ではないところで、しかも登記事務という個人の財産に関する重要な事務をつかさどっている。そうお思いになりませんか。測候所とあなたの方の登記所、それから農林省の統計事務所、これが一番貧弱な——貧弱と言っても別にりっぱなものを作れ、こういう意味ではありません。やはり登記書類の保管なりは信頼のおけるところに置かなければならないであろうと思うのであります。そういう意味からいって、いかに観察されておりますか、御意見を承りたい。
  256. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 先ほどの入会地ですか、入会権の問題につきましては、なお先ほども政府委員からお答えいたしました通り、電話での連絡であったそうでございますから、実態をさらによく調査したいと思います。しかしこの間におきまして、もし職員に取り扱い上正当ならざる点があるといたしますと、まことに申しわけのないことでございますが、十分調べた上で、また機会を見ましてお答え申し上げたいと思うのであります。登記所の職員の待遇の問題とか、あるいは庁舎の問題については全く私も同感の点がございます。最近地方によりまして、いろいろ政府の力、並びに場合によりましては当該地方の団体の御協力によりまして、やや改善の実をあげて庁舎もよくなっておりますが、それでもあまりにもひどい、私もこの点財政当局にも十分交渉いたしまして、手配をしておるのでありますが、まだまだ不完全である。前年よりは本年と、よくはなっております、大蔵省もだんだんよく理解をしてくれておりますが、なお不十分な点があることは御指摘の通りであります。今後とも注意をして参りたいと思います。  ただ私、こうした機会に申し上げるのはいかがかと思いますが、登記所のあの第一線機関には、御承知の通り一人一庁が非常にまだたくさん残っております。これが職員待遇の面から見ましても、庁舎の改造、新築の面から見ましても非常に困ります。しかしこれがまた地方の一般利用者の利便ということと相互いにこんがらかりまして、その点の解決が非常にむずかしいので困っております。何分またいろいろな場合におきまして御協力をお願いしたいと思います。
  257. 西村直己

    西村主査 次は井堀繁男君。
  258. 井堀繁男

    井堀分科員 最近青少年の非行の姿がだんだん深刻になると同時に、かなり広範にわたっていろいろの社会的な大きな問題になりつつありますことを残念に思います。青少年の、ことに犯罪の傾向がきわめて暗い姿に、しかも蔓延しつつあるのですが、これに対する法務省の対策を一応伺っておきたいと思います。
  259. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 お答え申し上げます。青少年犯罪の最近の増加、あるいはその質的変化等につきましては、まことに憂慮すべきものがあるように私どもも考えております。三十六年の十一月末におきまして、こうした青少年のうち、保護観察に付せられておる数は七万三千二百九十三人でございます。保護観察中の一般犯罪総人員九万七千二百四十一人の七五・四%というのが青少年でございます。非行青少年の保護観察は、青少年の諸君がいわゆる環境によって支配されることが非常に多いので、従いまして成人の保護観察に比べまして非常に困難が伴っております。そのために保護観察に従事しますところの職員の労苦も非常なものがあり、また最近の増加のために非常な手不足な状態になっておりますので、われわれといたしましては、予算的にも、施設そのもの、その物的施設の改善もさることながら、人員の充実等についてもできるだけ配慮を加え、また青少年でございますし、その指導によっては改過遷善、育成することも青年の場合にはやりやすいということに着眼いたしまして、鋭意研究と努力を続けておるのがただいまの姿でございます。
  260. 井堀繁男

    井堀分科員 最近の青少年の非行の状態が数の上だけではなく、質的にも非常に憂慮すべき状態でありますが、本年度の法務省の予算の中で、私どもが重大関心を寄せておりますものは、少年院の関係予算さらに少年鑑別所の予算であります。この予算内容を拝見いたしますると、金額では少年院では十二億七千三百万あるいは少年鑑別所の予算でも五億七千七百万ですから、見方によれば小さな金額と言えないかもしれませんが、先ほどお話のありました青少年犯罪の傾向なりあるいは内容なりからいきますと、青少年の犯罪の場合には、少年法にも明記されておりまするように、その行為を罰するということよりは、むしろそういうゆがんだ行為を矯正し、教育していくというところに目的のあることはきわめて明瞭であると思うのであります。そのために少年法ないしは少年院法が設けられたことは言うまでもないと思うのであります。この法律の精神から参りますると、私はこの傾向とこの予算内容とは非常なちぐはぐなものを感ずるのであります。  具体的に一、二をお尋ねいたしたいと思いますが、たとえば少年院法の中で教育、矯正を行なう内容を法律に明文化されておるのであります。ところが実際少年院に収容されました人々が、はたしてこの法律の言うように正常な社会人となって再び更生しておるのであろうかどうかということであります。おおむね私はそうでないという結果をあげざるを得ないと思うのであります。この法律の規定しておりまする精神と実際の姿がはなはだしく相違しておると思うのであります。もちろんそれはいかにりっぱな施設で、多くの優秀な指導員、教師を置きまして、この法律の精神を十分発揮することがあり得ても、また社会に出れば社会の荒波で逆行するということも私はないとは思いません。もちろん青少年の問題は、青少年だけのことを考えるわけにいきません。社会環境全体の問題と有機的な関係を持つことはもちろん当然でありますが、しかしながら全部の青少年がそうであるというのではありません。特殊の事情や特殊の環境によってそうなったのでありますから、これを改めようとする少年院法ないしは少年法の精神というものは、私はこの際にこそ十分効果を発揮すべきときではないか。そのためには、予算はやはりそういう法律の精神に匹敵するような内容を組むべきではなかったかと思います。たとえば今も御指摘になりましたように、保護を受けておりまする人が七万三千もおるのに対して、今日の少年院の実情を見ますると、実に少数の人しか収容ができないのみならず、その内容は、この法律に書いておりますように、幾つかの段階を設け、ことに私が非常に強い関心を寄せておりますのは、専門教育もしくは大学教育に匹敵するような教育をといっていることは、何も大学の学科内容、高い水準の学術などというも叫ばなくしてやはり高等な教養を身につけさせるという意味をうたっておるものと思います。でありまするから、こういうときにこそ、少年院というものにはすぐれた指導君、それも、ここにも法律に書いてありますがやはり特殊な教育指導能力を持っている人を求めようとしておるのでありますから、やはりそういったような人を招くような相当の予算を組み込むべきではなかったか。ところが、この内容は旧態依然として、経費を必要とする自然増加額が大部分のようでございまして、そういう斬新的なものはこの中から見ることはできません。もしそういう点がこの中におありでしたならば、御指摘をいただきたいと思います。もしそうでないとするならば、そういう問題について、もう少し少年院の立法精神に基づいて、もっと斬新的な青少年の矯正教育の方針が出されていいのではないかと思いますが、この点に対する御見解を一つ伺っておきたい。
  261. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 仰せの通り、少年院あるいは少女院といったような関係経費につきましては、本年は、特に一番実情として困っておりますのは、ただいまも御指摘にありましたような先生方の不足の点でございましたので、この点に特にことしは努力をいたしました。政府職員全体として非常に定員増加を抑えていこうという予算編成方針の年がらではありましたが、このために、教官三十名、技官十名、合わせて四十名の定員増加をいたしております。そしてこの増加によって努力をしようというので、まずそれを少年院関係と少年鑑別所関係に分けてみますと、少年院関係では、本年度は予算額五億五千八百五十三万八千円でございまして、前年度に比べまして千四百十五万三千円の増額であります。鑑別所関係におきましては、本年度計上額一億六千八百万円で、これまた、前年度に比較いたしまして千三百二十二万四千円という増額であります。いずれもわれわれのほんとうに熱望しておった数字からいえばはるかに少ないのでありますけれども、法務省といたしましては、財政当局といろいろ折衝の結果、本年度としてはこの程度でがまんをしていこうということに相なりました。今後とも予算の増額については一そう努力いたしたいと思います。ことに私も各地の少年院等を見て回りまして痛切に感じますことは、第一点はその定員の問題でありますが、第二には施設の問題でありまして、その施設が、仰せの通り非常に不完全、不十分であります。これも一般営繕の方におきまして、前年よりも若干ではございますけれども増額して、漸進的に進んで参るよりほかないような実情であります。
  262. 井堀繁男

    井堀分科員 私は、特にこの際こういう問題に言及いたしまするのは、わが国の新しい一つの政治の姿勢を政府が口にいたしまして、特に福祉国家を指向するとか、あるいは総理大臣の言葉をこの際取り上げるわけではありませんけれども、国民の新しい一つの方向をまじめに主張しておるとするならば、私はこういう制度に対して何も莫大な経費を要するのではないと思うのであります。あなたは今予算の増額について数字をあげられたのでありますが、私どもが見る目では、少々の金を入れたところで、それは五十歩百歩ということになると思うのです。少なくとも私は、少年院という限定した制度だけのことを考えても言い得ることだと思います。こういうところに少々金をつぎ込んでも、むだ金になることがある。これは法律にも書いてありますように、国の責任において管理していかなければならない重要な制度でありまして、しかも、その制度が、この第四条に書いてあるような理想とは及びもつかないようなみじめな施設であり、また内容であります。形式ばかりは一応青少年の矯正教育をやるといっておりますけれども、私は、あの中からもし更生して真人間になるような青年が出たとするならば、奇跡だと思うのです。私も各所の少年院を見て回ったのでありますが、いずれを見ましても大差はありません。この第四条の精神とはまるっきり変わったものであります。でありまするから、あそこに収容される青少年の心理状態も、聞くまでもありません。ああいうところへ入れられて、再度社会に再出発をする場合に、そういう心境になり切れるような姿でないことは、法務大臣もよく御承知だと思う。こういうものを抜本的に変えなければ、死に金になってしまうと思う。こういう制度は私は諸外国のものを見習うべきだと思うのであります。今日、文化国家だといわれるような国々の過去の歴史を見るとわかるのでありますが、やはりいろいろな社会悪と戦っておりまする歴史の中で、青少年の犯罪に対しましては、実にきびしい態度で、しかも思い切った政策がとられておるのであります。でありまするから、私は、今日の少年法なり、あるいは少年院法の精神というものは、そのことを命じておると思うのであります。形式だけを整えるのではなく、内容を整える時期がきていると思います。そういう小乗的な予算の増額ではなしに、この法律の精神にのっとって、しかも、今日本が危機に当面しておりまする青少年の憂慮すべき問題を解決する責任が、私は法務大臣にあったと思う。今までの御答弁でその誠意を疑うものではありません。勇気が必要である。決断が必要である。青少年問題はそういう時期に私は当面していると思いますので、このことを取り上げて実はお尋ねしたわけであります。  次に、ついででありますから伺いますが、たとえば、青少年のための鑑別所の施設を見てもわかるのでありますが、この法律には、鑑別所の職員には、かなり高度の教養や、あるいは専門的な知識を要求しておるのでありまして、たとえば、十六条の規定の中にもありますが、医学や心理学の専門的知識ももちろんそうでありまするけれども、教育学や社会学、そういったような商い専門的知識を持った、しかも人格のすぐれた、指導力のある人を置けと書いてある。鑑別所に参りましても、よくあの予算であれだけりっぱな人を集めたものだと思うくらいであります。他の教育施設などに比較いたしてみますと、お話にならない低い待遇であります。何も、待遇だけをよくすれば、いい人が集まると私は言うのではありませんけれども、ものには限度があると思う。こういうような予算、こういう方針で十六条の精神を満たすような人が得られると法務大臣はお考えでありましょうか、この点を伺っておきたいと思います。
  263. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 ただいまの状況においてはなお不十分な点があることを認めざるを得ない実情でございます。この点につきまして私も実はほんとうに苦労してみたのでございますけれもど、何しろ思うようにいかなかった。全体といたしまして急を要する他の経費もございますし、全国的に見てやはり漸を追うて進めるよりほかやむを得ないという最後の決断で、今回御審議をお願いしておる予算にとどまらざるを得なかったような次第でございます。
  264. 井堀繁男

    井堀分科員 一つ一つあげる時間はありませんけれども、ひとり鑑別所の問題だけではないと思います。家庭裁判所の問題はあなたの方の所管じゃないかもしれませんけれども、家庭裁判所にしても、また調査官などにしても、特に調査官などの人たちは若い人が非常に多い——多いというよりも、全部と言っていい。いろいろな事情があることもわかりました。何も私は、若いからいかぬと言うのではありません。しかし、青少年の最近の非行の実情というものを十分理解してそういう問題を処理していくことは、この法律にも書いてあります。他の犯罪人とは違って特別の配慮をすべきことを法律は命じているわけです。懇切丁寧でなければならぬ、思いやりが必要だということを、わざわざ法律では書いている。そういうのにふさわしい人ができ上がってくるということは、一定の経験と年令がやはりものを言うと思うのであります。しかし、この青少年の問題を取り扱う一番直接の窓口の調査官にいたしましても、お若い方で、これから経験を積んでその道に入られようという方が、第一歩にこの仕事と取り組まれているというのが実情じゃないかと思います。こういう点に対して何か方法をお考えになっておりますかどうか。ちょっと伺いたいと思います。
  265. 竹内壽平

    ○竹内政府委員 ただいまのお話でございますが、経験にものを言わして更生保護をはかる、あるいは少年を扱うということは、もちろん必要でございますが、少年の処遇につきましては、一つの新しい傾向といたしまして、少年をただ保護するというのじゃなくて、一つの病人を治療するという方向へと少年処遇の問題は変わってきておるのでございまして、そういう観点に立って見ますと、裁判所における調査官がお若い方でありましても、その方面のヴェテランでありますれば治療効果を上げることはできるわけでありまして、そういう面から考えますと、若いということそのこと自体は必ずしも不当なことではなくて、それと、治療効果を上げるということと、社会経験を積んだヴェテランの方との相互の相合致した協力によってこの実を上げるのが相当かと考える次第であります。
  266. 井堀繁男

    井堀分科員 私も、若い人がいけないとは言っておりません。しかし、少年審判規則の第一条には、「保護事件の取扱に際しては」ということで、こういうことが書いてある。「常に懇切にして誠意ある態度をもって」、これは若いとか古いとかいうことは問題でないでしょう。しかし、「少年の情操の保護に心がけ」という言葉が出ている。「少年の情操の保護」という言葉は、ここでは簡単に言い切っておりますけれども、なかなか含蓄のある言葉であり、大事な点だと思う。さらに大切なことは、続いて、少年はもちろん、その保護者の信頼を受けるように努めなければならぬという言葉が、わざわざ法律に明文化されております。立法当時の記録を見てみますと、このことは大きな意義を持っておるようであります。もちろん、青少年が信頼をするということは、その若さと情熱に信頼を寄せる場合もあると思います。しかし、青少年が非行を犯して犯罪の対象になるような事態というものは、若さや情熱だけで、あるいは学問の力だけで理解ができることであろうかどうか、私はことに問題があると思う。やはり俗にいう、人生の甘いも辛いも心得ておるというようなことが大切ではないか。私は一つ一つ知りませんけれども、幾つかの非行青年のことで頼まれまして、調査官にお目にかかって、とっくりお話したことが何回かある。やはりりっぱな人たちです。尊敬すべき多くのものを持っておりますが、今申し上げるような、やはり世の中の甘い、すいは、経験の中からでないと生まれてこないのではないか。これは私の二、三の経験からものを言うのは軽率かもしれません。しかし、他の場合にも多くこういうことが言えるのではないか。私は少年審判規則の第一条をそういう工合に読んでおるのでありますが、一体、当局はこの第一条の精神をどのように理解しておるか、この機会に伺っておきたい。
  267. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 その点は全くお説の通りだと思います。
  268. 井堀繁男

    井堀分科員 私は何もとやかく言うわけではありませんが、これも私の狭い視野ですけれども、お会いしていろいろ話を聞いてみますと、若い人をあそこに採用なされるというのは、他の事情に基づくように伺っておる。ここで私はそれをどうこう言うのではありません。ただ、第一条の精神を、今私と同じ考え方だと法務大臣はおっしゃられましたから、それ以上のことは申し上げません。こういう点も私は改善を要すべきであると思う。もちろん、今日の俸給の制度がやはり年功序列にありますから、予算その他の関係もおありでございましょうが、私は、こういうところにこそ思い切った予算をつぎ込むということが、国民の血税がさらに生かされてくるということになるのではないかと思うのであります。今日は、制度をいじるよりは、むしろそういう行政的な面で工夫をする時期じゃないか、その工夫が大きく効果を上げ縛ることの一つではないか。特に青少年の犯罪について、これを罰することによって戒めるというのではなしに、矯正教育の力に依存しておるのであります。そういう点では、今の人事の配置はむしろ逆の姿が現われておるのではないかという点を感じましたので、ここでお尋ねしたわけであります。幸いにしてそれは私と同じ考え方だということでありますから、こういう点はさっそくに改めるべきではないか。それから、お役所仕事としましては、鑑別所なんかでも、一通り数をそろえる、形を整えるということにきゅうきゅうとして、本質を見失っておるのではないかという感じがいたすのであります。こういう点については、相当思い切った予算要求なさって、死に金にしないで、要するに、生かしてこういう制度を活用されるということが最も肝要な時期ではないかと感じましたので、実はお尋ねしたのですが、私の想像通りのお答えを得られたので——この際、青少年の犯罪の状態をここら辺で食いとめないと、抜き差しならない状態に落ち込むのではないかと思う。時間がありませんから多く申し上げませんが、こういうものは諸外国の例を見るとよくわかる。日本の法律、制度の上から言うと、今三つ申し上げた法律だけでも、一応国際的な水準に近いものを備えておる。多分あなた方の関係ではないと思いますが、児童憲章などもあることでありまして、こういう点はから回りさせてはならない。こういうところに予算がつぎ込まれる、行政の総力が集中されてくるようにならなければ、幾ら総理大臣が国会でりっぱなことを言われましても、意味をなさぬのであります。こういうことはすぐ実践に入れる最もやさしい行政だと思うのであります。せっかくの機会でありますから、このことを強く法務大臣に要請をいたしまして、限られた金を有効に使うということにももう少し工夫が必要である。また、予算をふやす場合にも、今までの金にわずかつぎ込むことによってさらに大きな力を発揮できるという内容を持っている部分だと私は思うのであります。とかく、こういう行政については一般の関心が非常に薄いのでありますから、大いにそういう点を御留意願って、青少年の更生の機会を、せっかくのこういう施設でありますから、これを活用され、拡大され、拡充されるように一段の御努力を願いまして、はなはだ残念ですけどれも、時間がありませんので、私の質問を終わりたいと思います。
  269. 西村直己

  270. 野原覺

    野原(覺)分科員 国会関係することで若干お尋ねをいたしたいと思うのであります。けさほど横路君からいろいろ質問したと思うのでありますが、なるべく重複を避けてお尋ねをいたしたいと思いますので、時間もありませんから、簡潔明快に御答弁をお願いしたいのであります。  まず最初にお伺いしたいのは、国会図書館の問題です。御承知のようなりっぱな国会図書館ができ上がって、実にデラックスな新館ができ上がったのでありますけれども、実はその評判がなかなかよくないのであります。中の運営において私はそのことを聞くのであります。一般の都民の皆さんから、何だ、建物だけ新しくて、中はさっぱりだめじゃないか、こういうことを聞くのであります。たとえて申しますと、本の出し入れが非常におそいのです。あれだけのりっぱなデラックスな図書館ができておるのに、中身は伴わないということになりますと、これは国会の名においても私どもは問題にしていかなければならぬと思う。どういうわけで本の出し入れがおそいのか、一体中の運営はどうなっておるのか、こういう点について、図書館側としてはどのような反省をしておるか、その点からまず承りたいのであります。
  271. 戸引達

    戸引国立国会図書館参事 お答え申し上げます。  ただいまの御指摘につきましては、これは館内の投書、それから新聞等においても投書されておりますし、われわれといたしましては、閲覧者のご要望にこたえるべく、いろいろ改善の方法を考えておるのでございます。つきましては、開館早々でございましたので、いろいろな機械装置なども入っておりますし、それから書庫の配置その他いろいろ予想しないものがございましたので、われわれといたしましても、さっそくいろいろ研究いたしまして、なるべく閲覧者の御迷惑のかからぬようにというふうに努力をいたしまして、今日、最初の経験からしまして、大体機械の方もだんだん正常化して参りましたし、それから職員の方も機械の操作もだんだんなれて参りまして、最初は二十分あるいは三十分もかかったというような御非難もございましたけれども、最近は、この二月当初からは、閲覧要求から本を出すまで平均いたしまして大体十五分ぐらいの程度にこぎつけたわけでございます。なお、その他の理由と申し上げますと、閲覧者の方にも多少請求票の書き間違いとかなんとかというようなこともございますし、また、本のカード目録も若干整備しない点もございまして、このカード目録についても実はいろいろ工夫をいたしまして、最近、幽霊本なんということをいわれておりますので、これらについても調査をいたしまして、数千点とまでは参りませんけれども、若干の補充をいたしましたり整備をいたしまして、今日正常とは申し上げかねますが、正常に近い程度にこぎつけておる次第であります。
  272. 野原覺

    野原(覺)分科員 開館早々であるからと言われますと、なるほど開館早々でありますから、この問題はさほど追及もできないかと思うのでありますが、しかし、今の御答弁を承りますと、機械の故障、あるいはその機械を利用することが十分でなかったというようなことも言われておるわけであります。ただそれだけですか。それだけではないのではないか、単に機械だけの問題じゃないのじゃないか。私も向こうの方に出向きまして職員の諸君と二、三お話をしたのでございますが、人員が足らぬのじゃないか、書庫から書物を持ち出してくる人手が不足しておるのじゃないかということを、率直に言って、感ずるのです。この点はいかがですか。
  273. 戸引達

    戸引国立国会図書館参事 お答え申し上げます。  実は人手の問題も若干ございますけれども、これはやはり熟練というようなことがございますので、だんだん訓練をいたしましたり、その他のいろいろな材料を整えまして——図書の出納だけの問題に限って御説明申し上げますならば、多少きついこともあると思いますけれども、これはさらに訓練いたしまして、大体この程度の人手でよろしいのじゃないかというふうに考えております。
  274. 野原覺

    野原(覺)分科員 その点は、私は専門家でございませんから、何名の人があればよいかということは、私も申し上げることは不可能かと思うのでありますが、今一体何人おりますか。図書の出納は、七名が平常で、忙しいときには十一名、そうなっておりますか。
  275. 戸引達

    戸引国立国会図書館参事 ただいまの点でございますが、大体御質問の通りでございます。ただ、この七名とか十一名と申しますのは、中央書庫式になっておりまして、これはそこだけの問題でございまして、その他にも出納する人がおるのでございますけれども、御質問の問題でございますと、大体常時その書庫の中に入っておる人が、七名よりちょっと多うございますけれども、八名、九名ないし十一名、場合によっては、ピークのときにはもう少し増員をするような態勢をとっておるのでございまして、そのほかにもたくさんおるわけでございますけれども、常時その書庫を担当しておる人は、そういう数字になっておる次第でございます。
  276. 野原覺

    野原(覺)分科員 思い切ってもう少し出納人員をふやしたらどうか。あなたは、なれたらいいんだ、なれていないのだということでございますけれども、なれていないなら、なおさらのことふやすべきだ。現実に都民が迷惑しておる。図書館を利用する人は、現実に非常に手間取って困っておるのです。私は、これをもう少しふやさなければいかぬのじゃないか、こう感ずるわけです。七名や十一名で——お尋ねいたしますが、年次有給休暇というものをやはり出さなくてはいけませんね。二十日間、これは規定にあるはずです。この人たちは年次有給休暇の請求ができますか。現場のこういう人に聞きますと、年次有給休暇を取ることは不可能だと言っておりますよ。目の回るほど動いても一般の利用者からしかられ、どうにもならぬといって悲鳴を上げておるのです。このことに対してほんとうに都民から投書をもらい、図書館の運営について十分ではないのかというその反省の仕方に図書館の幹部諸君には若干足らぬ面がある。七名から十一名というのも、職員の諸君に聞きますと、これが少なくとも十数名程度に増員されるならば、もっとスピーディに書物の提供ができるのだということを言っておるわけでありますから、この点については、もう少しそういう面も考えて考慮すべきではないかと私は思う。七名から十一名でよいのだ、なれたらよいのだと言いますけれども、現実に困っておる。図書館が始まってもう何カ月になりますか。これはもうかなり月日はたっておるけれども、現実にうまくいかない。この点については考えてみられるかどうか、承っておきたい。
  277. 戸引達

    戸引国立国会図書館参事 御指摘の通りでございまして、私どもといたしましては、程度の差もございますけれども、もっと完全に——閲覧者の多いときと少ないときが時間的にもございますので、それなどをならして申し上げたのでございますけれども、実際問題といたしましては、やはり御指摘の通り、多ければ多いほどよろしいのでございます。これもやはり限度がございますので、再来年度の予算などでは、一つもう少し合理的な計算において人を要求いたしたいというふうに考えております。
  278. 野原覺

    野原(覺)分科員 再来年度の予算というわけですが、来年度の三十七年度の予算では、新館ができた関係もございまするから、私は相当の人員増を要求されたことだろうと思うのです。何名を第一次査定の際大蔵省要求されておりますか、承りたい。
  279. 原田三千夫

    ○原田国立国会図書館参事 第一次におきましては、二百六十五名を要求しておりますが、それは必ずしも閲覧関係だけではございませんで、あるいは整理部でございますとか、収警部でございますとか、調査立法局、総務部その他、全般につきまして二百六十五名を要求いたしました。
  280. 野原覺

    野原(覺)分科員 第二次ではどうなりましたか。そしてその結論はどうなりましたか。
  281. 原田三千夫

    ○原田国立国会図書館参事 第二次では百三十五名だと記憶しております。結論におきましては、科学技術関係の要員二十名がつくことになりました。
  282. 野原覺

    野原(覺)分科員 これは大へんなことなんです。大蔵省が見えておるはずですが、何かしら、図書館というところはひまなところだという考え方を大蔵省は持っておるのではないかと私は思う。あれだけの建物はだてで建てたのではないのです。ここには蔵書が多いというので、日本全国の学者も来ておる。そして今総務部長のお話を聞きますと、二百六十五名の、要求を出して、これじゃだめだというので、百三十五名にした、ところが、二十人しか認めなかった。しかも、との二十人というのは、三十五年度からの懸案の要求で、新館になってこれから国会図書館として発足しようというのに、こういうような人員で抑えられておりまするから、書庫の出納だって七名から十一名です。現場に行ってみなさい。私は現場に行って驚いた。若い職員諸君がほんとうに息つく間がないといって悲鳴を上げておるのです。そうしてどんなに走り回ってもやはり十五分ないし二士五分かかる。これを幹部はほうっておるのです。自分が出納しないものですから、ほうっておる。こんなばかげた冷淡なやり方というものはないと思う。投書をもらっても涼しい顔をしておる。投書をもらって、ほんとうに改めようと思うならば、もっと真剣に考えてやるべきなんです。総務部長、現場に入って自分が一緒に半日くらい書庫の出納をしてやるべきだ。閲覧部長は特にそうだと思う。自分が第一線に立ってやって、はたしてどれだけの労働量があるのか、どういうことなのかということを考えてやらなければ、これは問題の解決にはいささかも役立ちませんよ。行って見ますと、単に機械がうまくすわったとか、その利用になれたというだけではないのです。こういう点については配慮が足らない。しかも、大蔵省は、二百六十五人をたった二十人だ。そして二十人に抑えられて涼しい顔をしておる図書館も図書館です。こんなものはこれからどんどん投書が来ますよ。こういうようなことでは、何のためにこういうデラックスな国会図書館をわれわれが建てたのだ、国が建てたのだ。これは今に国民から全く総すかんを食らいますよ。私は実はこのことをここで指摘しておきたいと思うのであります。  次にお尋ねをしたいのは、そこの図書館は夜間の開館をいつから始めるようにいたしておりますか、承りたいと思います。
  283. 原田三千夫

    ○原田国立国会図書館参事 ただいまのところ、第二期工事の一部と申しましてよろしいかと思いますが、東側の増築工事の完了を待ちまして夜間開館をいたしたいと思っております。この工事が大体完了いたしまして、近いうちに三宅坂分館にあります調査立法局もこの方へ移転することになりますので、前後の準備がございまして、ただいまのところでは、大体三月の二十二日ごろから夜間開館ができるのではないか、こう思っております。
  284. 野原覺

    野原(覺)分科員 夜間開館は、現実に夜間に勉強しなければならぬ都民が多いわけでございますから、これは私はぜひともやっていただかなければならぬと思うのでありますけれども、今日の昼間の図書館の実情が以上右のごとし、これでは、夜間開館ということになったらどうなるかということです。私どもはやはり国会の席末を汚しておる関係もあって、国会図書館のふしだら、国会図書館のそういう評判の悪さというものについては、これは遺憾ながらわれわれもやはりその責任を感ずる立場にある。何も運営にはあずかっておりませんけれども、何だということになりますと、やはり国会議員みんなが責任を感ずる立場にあるから、私はお聞きいたすわけでありますが、夜間開館をいたしますと、人員がどれだけふえることになるのか、その人員に対する態勢はできておるのかどうか、まずそれをお聞きしたい。どういう態勢か。
  285. 原田三千夫

    ○原田国立国会図書館参事 夜間開館に対しましては、大体現職員の超過勤務をある程度させなければならぬということになりまして、その上に、まだ決定はしませんが、十七、八名のパートタイマーを使うということになると思います。それで、ただいま開館いたしております五時の時刻を八時ごろまで延長いたしまして、超過勤務と、パートタイマーを入れることによって大体操作できる、こういうふうに思っております。
  286. 野原覺

    野原(覺)分科員 パートタイマーの予算は別に計上しておるわけですね。
  287. 原田三千夫

    ○原田国立国会図書館参事 計上しております。
  288. 野原覺

    野原(覺)分科員 幾らですか。
  289. 原田三千夫

    ○原田国立国会図書館参事 これは百十一万ほど計上しております。
  290. 野原覺

    野原(覺)分科員 その点は、大蔵省に、夜間図書館を開館するから、パートタイマーを十七、八名採用しなければならぬのだからといって要求した予算ですか。それとも、図書館にある既定の賃金予算をそっちにさこうというのですか、どうなっておりますか。
  291. 原田三千夫

    ○原田国立国会図書館参事 大蔵省要求してある予算でございます。
  292. 野原覺

    野原(覺)分科員 大蔵省要求をして、パートタイマーの十七、八名の予算として獲得いたしておりますね。これはあとで間違うといけませんよ。あなたの方は要求したけれども、これはけられておるのじゃないですか。そういういいかげんなことを言っちゃ困りますよ、予算ですから。
  293. 原田三千夫

    ○原田国立国会図書館参事 予算といたしましては、十八名をパートタイマーとして要求しております。
  294. 野原覺

    野原(覺)分科員 要求して計上した分ですね。
  295. 原田三千夫

    ○原田国立国会図書館参事 はい。
  296. 野原覺

    野原(覺)分科員 この問題はどういういきさつになっておるか、資料をなお調べた上で、また適当な機会にお尋ねをしたいと思うのでありますが、問題は、夜間図書館を開館するのに、臨時雇いのパートタイマー十七、八名、それからあとは本務の職員数名を超勤で使う、こういうことで国会図書館の運営が一体なされていいのかという気が私はする。総務部長閲覧部長というのは、図書館の幹部としてどう考えますか。国会図書館の大事な書庫の書物、これを臨時雇いにみんなやらせる。臨時ですよ。責任はない。しかも三百五十円か六十円の安い賃金です。そうでしょう。四百円やっていない。そうして雇ってきた間に合わせの、図書館の運営についても責任を感じないような人々を十七、八名連れてきて、それの監督に二、三名の人に順番に超勤を命令して、万事図書館の運営がうまくいくと思いますか。私どもは、図書館がまた文句を言われぬ先に指摘をしておきたい。これはどう考えているのですか。どうしてもこれは夜間開館をするならば、夜間開館をするだけの人間を整備すべきだ。若干の臨時の者はやむを得ないとしても、十七、八名の臨時の者だけで大事な書庫の書物の出し入れをさせる、そういうことでは私はうまくいかぬと思うのです。これはいかがですか。
  297. 原田三千夫

    ○原田国立国会図書館参事 御説の通り、もしできますれば、パートタイマーを正規職員といたしましてそれだけの増員を考え、かつ時差出勤でやっていければ、われわれもうまくいくのじゃないか、こう考えております。
  298. 野原覺

    野原(覺)分科員 これは大蔵省に申し上げておきますが、図書館の幹部としては一体どういう考え方でやっておるのか、今お聞きの通りなので、はなはだ熱意に欠けるものがあると、私は、遺憾ながら思わざるを得ない。しかし、大蔵省大蔵省です。夜間の図書館運営は臨時雇いだ、そうして二百六十五名も要求したものをほとんどゼロにしてしまって、ゼロにされたものですから、しょうがなしに図書館がやっている、そうしてうまくいかない、こんなことでは国会図書館の用をなさないですよ。これは大蔵省としてはどういう考えでこういうしぼり方をやっていくのか、これは参考までに……
  299. 西村直己

    西村主査 野原さん、主計官は今ちょっと……
  300. 野原覺

    野原(覺)分科員 それでは、主計官が来てから伺いたいと思いますが、私ども非常に不満にたえぬのであります。この点は、図書館の総務部長としても今後一つ十分考えてもらわなければなりません。夜間図書館というものは臨時雇いだけでやってはいけませんよ。これは、議院運営委員会の図書館小委員会において、夜間開館をこうしてやるという承認をとりましたか。
  301. 原田三千夫

    ○原田国立国会図書館参事 図書館運営小委員会におきましては一応御説明申し上げております。
  302. 西村直己

    西村主査 主計官が参りました。
  303. 野原覺

    野原(覺)分科員 それでは主計官、実は二百六十五名の人員の要求が図書館からあった、これをあなたの方は、三十五年度からの懸案である二十名しか認めていない。どういうわけでこういう国会図書館の人口増の要求に対しては冷淡な態度でやっていくのかということを承りたい。
  304. 赤羽桂

    ○赤羽説明員 国会図書館の人員増に対しまして、なぜそうたくさん切ったかというお尋ねでございますが、図書館について特に冷淡というようなことは決してございません。ただ本を出しておればいいというような考えでもございません。国立国会図書館の機能については十分承知いたしておるつもりでございます。予算定員の積算につきましては、いろいろ個々別々に検討いたしておりまして、三十七年度はとりあえずいいだろう、三十八年度くらいでいいじゃないかというようなことで相手方と折衝をやるわけでございます。そういった結果煮詰まりましたのが、閲覧関係の二十名ということで図書館の方の御了解を得たわけでございます。決して冷淡に扱ったということはございません。
  305. 野原覺

    野原(覺)分科員 おおよそそういう答弁が出されるだろうと思っておったのです。問題はやはり図書館です。二百六十五名も要求して二十名に押された、はい、よろしゅうございます、こういうようなばかな要求の仕方はございませんよ。あなた方がほんとうに図書館の運営をうまくやろうとお考えなら、要求したらがんばるべきです。現実にうまくいっていない。夜間開館しても、臨時の十七、八名でやるんだ、こんなばかなことはありませんよ。国会図書館というものを何と考えておるのか、私はこの点非常に不満に思うのです。だから、今後は一つ十分こういう問題については気をつけてやっていただかなければならぬということを申し上げておきたいのであります。  なお、けさほど横路君から、実は質問があったと思うのでございますが、国会図書館の職員の給与が衆参両院に比載して非常に低い。これは横路君にお聞きいたしますと、国会図書館側もこれを認めたようであります。非常に低い。全部低い。大学卒、短大卒、それから高等学校卒とどうしてもこれは低いとこれを認めておられて、そうしてこれがすみやかに是正するということであったそうでございますが、問題は是正の仕方ですね。是正をするといっても予算がないのじゃないかと私は思うのです。是正をするという意向ならば予算大蔵省からもらってこなければ、ほんとうの是正ができないのじゃないかと思うのです。今あるところの定期昇給の予算とか、そういった予算の上前をはねて、これを三年計画、五年計画でぼつぼつ地ならしをしたらよいという問題じゃないのです。この人たちは、大学を出て希望を持って国会図書館に入っておるのです。この人たちが、衆議院や参議院やそういうところに勤めておる者よりも三千円から低いのです。衆議院は大学卒が一万三千二百円、国会図書館は一万七百円、こういうような差別待遇で出発されるということ自体、私は、図書館の運営に対して、参議院、衆議院より低くていいのだ、図書館なんてどうでもいいのだ、こういう考え総務部長あるいは図書館長というものがあられるということは、けげんにたえない。いやしくも国会図番館を預かっている図書館長や総務部長は、自分のところに雇われてくる者は優秀なものが来てもらいたい。そうして待遇においても国会職員——衆議院の職員、参議院の職員、図書館職員、これは国会職員ですよ。国会職員だから差別してもらいたくない。こういう腹がまえであなた方が給与の面についても考えてやらないと、上の者がそういうようないいかげんな考えであれば、下の方の若い諸君はふるい立たないです。何だということになる。投げやりになりますよ。そういう面も私は図書館の今日の運営に若干あるのではないかと思うのですね。だから私はここで申し上げたいことは、是正の仕方です。あなたは横路君にこれは是正いたします、とこう答えたそうでありますが、どうしてとこの予算を持ってきて是正をするのかということです。すみやかにやるということでありますが、これはほんとうにやってもらわなければならぬ。私は即座にやるべきだと思う。これは国会図書館としてはその金がありますか、事実どうしてやるのかということをお聞かせ願いたいのです。
  306. 原田三千夫

    ○原田国立国会図書館参事 この問題は、格づけの是正という問題でございまして、財源は人件費の中にございますのですが、格づけを是正する、要するに昇給基準を変えるというところに大体ワクがございますものですから、その範囲の是正しかできない。今年は七十七名の人員しか格づけの是正ができないということになっております。
  307. 野原覺

    野原(覺)分科員 この問題は、総務部長、すみやかに一つ是正してもらうようにしてもらいたい。これは大蔵省に対して別ワクの予算を取りなさい。あなた方が要求したらやると言っておる。図書館がうんと言ったからこうなったのですと主計官は言っておるのです。こういうことはやりなさい。そうしなければ国会図書館というものは実にこれはいいかげんなことになりますよ。大学卒業は来手がありませんよ。一万七百円ではだれが来ますか。こう言っては悪いけれども、たとえばどこにも就職の口がない、遊んでぶらぶらしていてもいいような人間しか集まらないですよ。そうじゃないと思うのです。今後の国会図書館の使命という点から考えますれば、そういう点でもう少し腹がまえをこしらえて、やってもらわなければならぬと思うのであります。  この機会に私は衆議院側に一つお尋ねをしたい。自動車の運転手、国会の衆議院の自動車の運転手さんの給与が、お聞きいたしますと実に低いのです。非常に低い。参議院とずいぶん差があるのです。これをどう御認識になっているのか、参議院からもお見えでございますから、これは参議院側からもお聞きいたしたいのですが、私の調査によりますと、十五年在職四十八才の自動車の運転手が衆議院は三万五百円、参議院では十五年在職の四十六才の運転手が四万七百円、一万二百円違う。どだい衆議院と参議院とが同じ国会でありながらこういう開きがあるというのはどこに一体原因があるのか。非常にこのことを衆議院側の自動車の運転手は問題にしておる。どういうわけでございますかと私どもに聞きますけれども、それは君らが上のえらい人に聞きなさい、こういって帰すわけですが、衆議院と参議院、同じ国会でありますから、たとえば臨時職員を雇うにいたしましても、あるいは職員の給与にいたしましても、衆参両院の事務当局はよく話し合って、こういう点はよくバランスをとりながらやらなければならぬものだと私は思うのですが、そこら辺はどういうように運営されておるのか、衆議院は勝手に予算範囲内でやる、参議院は金があるから大いにやる、こういうしかけになっているのかどうか、事務当局同士の連絡というものは、職員の給与、たとえば超過勤務にしても、宿日直にしても、話し合いというものはほとんどなされていないのですか、参考までに承っておきたい。
  308. 藤野重信

    ○藤野参事 お答え申し上げます。  第一の運転手の給与の問題でございますが、実は私どももできる限り給与は均衡をとっていきたいという考えがございまして調べておるのでございますが、これは実は自動車運転手につきましては前歴をどういうふうに見るか、それから現に何年在職しておるか、年齢はどうかというような点が非常に種々雑多でございまして、完全な調査の域にはまだ行っておりませんが、私どもも私どもなりに何とか是正していきたいという面がございます。たとえばある段階で非常にギャップがあるとか、それから取り扱いが変わった時期における格差というものが内部においてすでに見られる点がございまして、そういう点につきましては、一昨年も三十何人かいわゆる是正というものをやりました。それからまたそのほかに、運転手につきましては勤務が一人々々非常にばらばらでございますので、普通の職員のように特別昇給の機会が与えられない、こういう点で参議院との差が出ておるということも考えられますので、こういう点については勤務成績良好な者、つまり無事故者、無事故の期間が相当年数に達した者については、いわば機械的に特別昇給をさせようというような方針をきめまして、昨年までに約四十名くらいの者がその恩典に浴しておる。私どもの方としては私どもの方なりに、何とか機会を見て給与の是正ということをやっておるわけでございます。しかしながらただいま先生の仰せられたことは、私にとりましては初耳といってははなはだ無責任な話ですが、絶えずいろいろな折衝は、自動車運転手の代表あるいは組合等を通じて私どもやっておりますが、そのような話はあまり受けたことがございませんので、この点につきましてはさっそく研究いたしまして善処いたしたいと思います。
  309. 野原覺

    野原(覺)分科員 参議院から見えておりますね。一つお尋ねしたいのですが、あなたの方で臨時職員を採用する場合に、大学卒と短大卒、それから高等学校卒、中学校卒、こう分けてどれだけの金紙で採用しておるかお聞かせ願いたい。
  310. 小沢俊郎

    ○小沢参議院参事 お答えいたします。  大学卒は四百四十円でとっております。短大卒は四百五円、それから高校卒は三百八十円、中学は三百二十円でございます。
  311. 野原覺

    野原(覺)分科員 これは横路君がけさほど指摘したそうでありますが、衆議院は大学卒が四百二十円、参議院は四百四十円で雇う。それから短大は衆議院が三百九十円、参議院はそれに十五円プラスした四百五円だ。それから高等学校卒業は三百六十五円が衆議院で参議院は三百八十円。これも十五円の差がある。中学校卒業は三百三十円、参議院は三百四十円と十円の差がある。参議院はどういうわけでこう高いのか、これをお聞きしておきたいと思います。衆議院はひまで因っておるから、大して仕事もないからというので下げたのか、参議院が高いというのは私どもには常識で納得ができないのですが、これはどういうことでありますか、御説明願いたい。
  312. 藤野重信

    ○藤野参事 ただいま御質問の通り、たとえば大学卒におきましては私どもの方では四百二十円、参議院の方は四百四十円というふうになっておりますのは事実でございます。その理由といたしましては、実は参議院の賃金の立て方につきまして、一応原則的に日給の中に超過勤務といいますか、超過労働に相当する部分の金額六時間分を割って入れてしまいまして、それが二十円の差となって現われてくるわけであります。といいますのは、われわれの方でも大体そうなのでございますが、国会開会中でありますと、時間通りにはなかなか帰せない場合もございまして、原則的に多少ずつは出入りがございますので、それを見越して二十円つけてある。ところで私の方といたしましては、原則的に支払う賃金の額は四百二十円でございますが、これは衆議院の方が比較的に超過労働になる率が多うございますので、これは実働によって算定して支給する。その結果、最近の実績等を調べてみますと、大体において平均超過時間が十五時間ぐらいございまして、これを日給にならしますと四百六十円に達しております。そういう実情でございまして、私どもの方と参議院の方が一応表面の金額において差がございますが、実収においては労働に均衡のとれた賃金を払う点において同じではないかと思っております。
  313. 野原覺

    野原(覺)分科員 これは参議院にお聞きしますが、今衆議院側の御答弁はお聞きの通りですが、参議院の方は、超過賃金は四百四十円には一銭も加えていないかどうか。四百四十円ぽっきりですか。
  314. 小沢俊郎

    ○小沢参議院参事 お答えいたします。  ただいま藤野部長から言われた通りでございまして、参議院の方は、その超過時間の六時間を初めから入れてしまいまして四百四十円ということにしております。従ってこれ以上はあった場合がありましても、超過勤務として別個には出しておりません。
  315. 野原覺

    野原(覺)分科員 この点は、衆議院と参議院の勤務の状態ということもございますから、私どもは差別をするということは賃金の建前で問題があると思いまするけれども、今後やはり十分話し合っていただくようにお願いをしたいのであります。  もう一点お聞きしたいことは、これは自動車運転手の問題ですが、宿日直を自動車運転手がいたしますと宿日直手当というものをもらっておる。ところが自動車運転手の宿日直は、人事院の宿日直と違うのです。人事院の昭和二十八年か九年に出しました宿日直に対する見解はお留守番という言葉に尽きる。そこで三百六十円、これは二万二千円ベースであったと思いますが、三百六十円の宿日直手当というのが一律に出されることになった。ところが、この自動車運転手の場合には若干のものをプラスしなければならぬというので、三百六十円に二百四十円プラスして六百円ということに見てはおりますけれども、自動車運転手は、私もよく深夜に御無理を願うことがあるのでございますが、全く宿日直ではなしに、聞きますと、午前二時三時ごろに格納庫の見回りから一切やって、電話がかかればすぐ自動車で出て行かなければならぬという勤務の延長になっておるわけです。だからして、これは勤務の延長という職務の性格からいって、宿日直手当でいってはいけないという見解を私は持つ、小さいことのようでありますけれども。これは超勤手当に直してやらなければいかぬのではないか。自動車の運転手はおとなしくして黙っておるから、いつまでも宿日直にほうっておくというようなやり方は、これは親切なやり方ではない、こう私は思うのであります。この点に対する事務当局の御見解を承っておきたい。
  316. 藤野重信

    ○藤野参事 お答え申し上げます。  運転手の宿日直の問題については、野原委員のおっしゃる通りであります。実はこの問題は、宿日直ということになりますると、人事院規則等の関係もございまして、その面で一般職の例によるということになっておりますので、ある程度そういう扱いにならざるを得ないわけでございます。そこで、実態を平均的に見て、どの程度に勤務の延長という度合いをそこに見込むかという問題になるのでございますが、その評価を一応二百四十円と私どもは考えてそのように算定しているわけであります。しかしながら、これは自動車の宿一面に充てられる勤務者の数とか、いろいろな面で繁忙の度合いということにつきましては、非常に酷になる場合もありますし、また比較的そうでない場合もございますので、一律に二百四十円というものがよいかどうかという問題につきましては、なお慎重に考えまして、悪いところがあれば私どもは是正しなければならぬと考えております。
  317. 野原覺

    野原(覺)分科員 これで終わりたいと思いますが、これはぜひ事務当局で御検討願いたいと思うのです。  それから会館や宿舎の宿直にしてもこれはもう少し考えてやらなければならぬ。気の毒です。学校職員が学校の宿直をする、普通の役所の職員が役所の宿直をしておるのとは、見ておると、仕事の性質が違う。何せ四百何十名の国会議員の会館ですから、宿舎にしても、九段のごときは二百名、もっとおる。少ないところでも五十名からおる。そういうところの宿直をしておる職員は、行って見ておりますと、事実上の勤務をやっておりますね。だからしてこれは三百六十円にごくわずかのものをプラスしたような宿日直手当ではなしに、私はこれは思い切って超勤と、こういうことにしてやるべきではないか、この点は一つ御検討をお願いしたいのであります。  最後に申し上げておきたいことは、人事異動の円滑化、明朗化という問題ですが、これは横路君が触れたようですからくどくは申しません。ただ一つ明朗にやってもらわなければならぬ。国会職員はたくさんの議員が推薦した職員が大半です。臨時職員にしても、本務の職員にしても、それぞれの議員が事務当局にお願いをしてお世話になっておるのが大半であります。ところがそうでない者もあるわけです。そこで、そうでないところの職員はやはり一つのひがみを持っておる。自分はどうもうまくやってもらえない、日本大学を出てきてもう十年になりますれども、第一議員会館にくすぶっておりますと、こういうことになりますと、やはりこれは問題があるのでありますから、私は、池田さんが推薦しようが、衆議院議長が推薦しようが、いやしくも国会職員として入った限りは、これを最も平等に扱ってやらなければならない、明朗なる人事をするということがきわめて大事であろうと私は思うのです。こう言っても、人事課長、庶務部長のところでは、明朗にやっていないとは申しません。これは今日は十分配慮されて、武井さんのところではやられておるとは思うのでありますけれども、しかしそういうような雰囲気が職員の中にわいてこないような、ほんとうに公平な態度で人事の問題に臨んでやらなければいけないということを、私はいろいろな点で実は感づいておるわけです。これも一つぜひ要望として申し上げておきたいのであります。  以上いろいろ申し上げましたが、なお国会運営その他につきましては、議院運営委員会等の機会もありますから、こまかい点はそちらに譲りたいと思うのであります。終わります。
  318. 西村直己

  319. 上林山榮吉

    上林分科員 国会の問題はあまり当委員会で論ぜられないのでございますが、きょうはこういう問題が取り上げられて、私は非常にけっこうであった、こう思うのであります。  事務総長は当委員会に出てくることを避けておられるようでありますが、それはどういうわけでございますか、お答えを願いたいと思います。
  320. 山崎高

    ○山崎事務総長 別に避けておりませんので、お話がありましたので、ただいま参ったような次第でございます。
  321. 上林山榮吉

    上林分科員 われわれは何もあなたをいじめようという魂胆は何もないのです。お互い国会の運営のために、あるいはもろもろの問題のために、それぞれ楽屋裏ではやっておるわけだけれども、やはり当議場を通じてお聞きしなければならぬようなこともたくさんあるわけです。しかし時間の関係でそういう問題は適当な時期にまた申し上げることにいたしますが、まず私が事務総長に伺いたいことは、数年前イタリア人がここの議事堂を見まして、周辺もあわせて見て、非常にりっぱだと言ってほめて帰ったのでありますが、ことし参りまして、何と日本の国会議事堂の周辺は美観を損するような建物をあちらこちらに無秩序に建てたものか。一外人の話でありますけれども、そういう話を聞きました。あなたもごらんになったと思いますが、アメリカの議事堂、英国の議事堂、古いものでありますが非常にりっぱであります。日本のこの議事堂はその内容といい外観といい相当りっぱなものなんですよ。お互い議員はもちろんのこと、職員にしても国民としてもこれを大事に使っていかなければならぬところなんです。そういう意味合いから、この国会議事堂及びその周辺の美観というか、そうしたものに対して、あなたは事務的な最高の責任者としてどの程度の配慮を払っておるだろうか。これは議運以外の茶飲み話の場所ではいろいろ進言もお聞きになったかと思います。けれどもこんなにしてほっておけばおくほど、この議事堂及びその周辺が美観を損するばかりでなく、むしろ無価位なものになってしまいはしないか。これはいい意味における日本国民の一つのシンボルですよ。そういう見方も成り立つわけです。そういう意味から、もう少し大局的見地に立って、事務当局者としてはそれぞれの機関に、配慮すべき点があれば上に向かっても横に向かっても熱心なる御連絡をすべきものだと考えますが、まず私のこの考え方に対して何かお考えを持っておられますかどうか。
  322. 山崎高

    ○山崎事務総長 この議事堂がまことにりっぱなものであり、すべてこれを大事にすることが必要であるという御意見に対しては仰せの通りだと思います。  御承知のように、日本の議事堂は、世界的に見ましても、英国、米国また日本の三つが一番りっぱなものではないかとさえ考えるのでありまして、私どもはただいまの先生のお話につきましては、衷心より賛意を表するのでございます。終戦直後におきましては、この議事党だけが焼け残ったのでございましたけれども、当時敷地といたしましても議事党の敷地は一万何千坪しかございません。国会になりましてから立法府センターと申しますか、そういう構想を進めまして、各省から保管転換を受けまして、当時両院議運におきまして一応の計画を立てたのであります。それによりまして、当時の資材等の状況もありまして、やむを得ず暫定的に議員会館等は木造建築をするのやむを得ない状態になったのでありますけれども、このたび、たまたまオリンピック等に関連いたしまして、議事堂周辺に高速道路を設けなければいかぬという関係がございましたので、さらに新規の構想を練りまして、新議員会館の建築あるいは諸施設の新しい配置等を考えまして、これも昨年の、年月日は忘れましたけれども、両院議運におきまして、新しい構想の国会周辺の予定計画配置図を作りまして御承認を得まして、それぞれ関係の方面に協力されるよう要望いたした次第でございます。仰せのごとく、ただいまのところ、議事堂周辺におきます建築物等につきましては、本館に比べまして非常に見劣りのするところもございますけれども、やはり漸を追うて、ふさわしい国会周辺の地域を作るように努力していかなければならぬと考えております。  以上のような次第でございますので、何とぞ今後とも適切なる御指示をいただくようにお願いする次第でございます。
  323. 上林山榮吉

    上林分科員 一応私の意見に対して、事務総長国会周辺の配置図、あるいは新しい建造物、そうしたようなものに着手しておると言われましたが、これは私どもも承知いたしておりますが、第一こそくな手段で、しかも世間体をはばかり過ぎて、萎縮した考え方で計画を立てることは、あとでこれを取りこわしたり、増築をしたりして、かえって経費はよけいにかかるのだ、こういうような観点から、私は思い切った計画をお立てにならなければならないものである、こういうように考えますが、設計とかその他請負の仕事とか、ことに設計などは当院の営繕で設計するものか、それとももっと日本的に権威のある人々によって設計するものか。あなたは御承知と思いますが、ワシントンでは、あるいはその他重要な都市でもだんだんそういう意向を持って最近はやっておる。建築の格好あるいは色彩、あるいは配置、こういうようなものに対しては、画家あるいはその他の学識経験者というような一般的な意味ではなしに、もっと専門的な芸術家のような人まで入れて都市計画なり、おもなるところの建築物はやっておる。アメリカ等では単なる建築技術者のみの建築でない、そういうような行き方をしているのです。これは、そういう委員会ができまして、そういうことを都市計画ですらもやっておるのです。そういう意味から言いまして、今両院の議長公舎ができておりますが、国会議員以外の、それ相当の有識者や建築家やいろんな人たちの批評を聞きますと、実に評判がよくないのです。ほめる人も一部あるそうですけれども、率直に聞いてごらんなさい、あの建物がいいという人は一人もいない。また今度できる会館にいたしましても、今日は自動車などの交通というものをよく考えなければならぬのですが、これに対する考え方も徹底したものであるのかどうか、地下に駐車場を作るというが、今駐車場法の一部改正、さらには抜本的な改正もやがて第二段として行なわれようとしておるこの際でありますから、そうしたような配慮をしていただかなければならない。予算のみに縛られて、事務的にただ適法に行なわれればいいという考え方は、少し配慮が足らないのではないか、こういうような気がしますので、今作られつつある設計等も、五十年後を考えた設計というものをお立てにならなければならない。あまりあなたにここに来てもらって話をする機会がありませんし、あなた方の部屋に行ってこういう進言をしても、ある程度聞いてもらうが、あまり真剣味がなさそうにも見えますので、言いにくいことでありますけれども、国会周辺の美観というものは長い将来まで考えたものを立てなければならぬ。局側にいろいろなものをばらばらに建てて、無秩序で、しかも外から見てこのりっぱな建物がわからない、こういうような行き方は、相当に考えていかなければならぬ点だと思います。これに対して御意見があれば伺います。  なお、時間の関係主査が急いでおられるようでありますから、自動車の管理の問題についてお尋ねをいたします。今、国会で使っておる自動車は何台ありますか。
  324. 山崎高

    ○山崎事務総長 ただいま建物の美観並びに五十年先を考えて設計すべきだというお言葉、ごもっともでございます。議長公邸についてお話がございましたが、議長公邸につきましては、御承知と思いますが、設計される方も建築設計では最高の権威と考えられる方にお願いいたしまして私たちの設計ができましたので、参議院も同じ方にお願いいたしまして、さらに両院の議運で検討いたしまして、でき上がったわけでございます。当時の状況といたしましては、最善を尽くした次第でございますので、御了承願いたいと存じます。  なお議員会館等につきましても、五十年先のことというお話、ごもっともでございまして、鉄筋の建物は一度作りますと、狭くなったからといってすぐ簡単に直すというわけに参らぬものでございますので、その点も十分留意いたしまして、今後何年か何十年か先に、もう少し広くしなければいかぬという場合には、それに対応できるようなことを考えまして、建物の全体的な配置、増設等の場合等を考慮いたしまして設計いたすつもりでございます。なお御指示の点ございますので、今後また十分に考えさせていただきたい、かように考えております。  それから自動車は百六十台でございます。
  325. 上林山榮吉

    上林分科員 話がちぐはぐになりますが会館等ができ上がった場合、その他の、配置図に考えておるほかの建物ができ上がった場合は、現在の敷地にある建物、最近いろいろ作ったああいう建物は取り除く方針かどうか。
  326. 山崎高

    ○山崎事務総長 木造建築といたしまして、目下取りこわし中の常任委員会庁舎があります。あのあとに議員会館一号館ができますと、現在の第一議員会館はこわされるのでございます。さらに現在第二、第三会館がございますが、そこら辺大体緑地といいますか前庭になる予定でございます。もちろんそのときには、ただいまの総理府庁舎というものは、やはり国会の前庭となりまして、木造建築はなくなるわけであります。そのほかに参議院の議員会館も当然本建築ができますと、あそこは取りこわしになる予定であります。
  327. 上林山榮吉

    上林分科員 これは両院にも関係のあることでございまして、横の連絡を密にされまして、参議院がああいう格好のものを作ったから衆議院も作る、こういうことをしないで、統一あるやり方をしてもらわなければならぬということ、同時に今の敷地内にある建物は、できるだけほかの増築と並行して除いていく、こういうような考え方をぜひ一つ考慮の中に入れてもらいたいと思います。  なお、自動車の百六十台の問題ですが、これは国会議員も使っているし、事務当局も使っていると思いますが、国会議員の使っておるものは、一万円、人によっては二万円金を払って使っておるのです。これは世間ではただで使っておるように思う人がおるかもしれませんが、その手続はどうであるにしろ、金を出して使っておる。だが、現在走っておる車ですね、あれを見て、たとえば事務総長がどんなものに乗っておられるか私は知らないが、しかも金を出して乗っておるのだが、今のままの姿でいいのか。しかも経済的に考えれば、維持管理費というものが非常にかかるだろうと思う。だからあれを一つ国産車にでも買いかえて、そして増強していった方が、私は、管理の経費というものがかえって安くなる、こういうように考えるのでありますが、予算上今のままの方が非常に得で、これを国産車等に年次計画でできるだけ早い機会に買いかえるという方式の方が、非常に費用がかさんで、しかも維持費も高くかかる、どういうのであればこれは別問題ですが、いかがなんですか。国会議員の人たちはただ乗っているのじゃないですよ。金を払っているのです。だからそういう意味からいって、これをやめるなら全廃する、置くならば置くように、一つもう少し力を入れて、維持管理ができるような方法をとっていく。運転手の諸君に、われわれも貧乏な一人ですから、ときどきお世話になるのですが、こういう車はもう私どもは運転したくないのです。運転するのがいやです。だけれども上の人が何ら買いかえもしてくれない。修繕費も非常にかかるから、運転するのはいやです。ことにいろいろな集合の場所なんかに行くときは、われわれは運転しながらいやな気で行っておるのです。こういうようなことを言うようです。何も外車のりっぱなものを持ってこいとか、デラックス版を持ってこなければ国会議員の権威に関するぞ、こういう陳腐な話をしているのじゃなくて、もう少し実際に即応した維持管理というものができないかどうか。できないならこれを全廃したらどうだ。全廃してほかの方法を何か考えたらどうだ、こういうふうに思いますが、いかがです。
  328. 山崎高

    ○山崎事務総長 ただいま自動車の話でございますが、古い車を使っておることはきわめて不経済的でございまして、油の消費から申しましても修繕費から申しましても、おそらく古い車を不経済に使っておるのは官庁ぐらいではないかとさえ考えられるのでありまして、衆議院におきましても、遺憾ながら現状におきましては、古い車をなるべく修繕費等がかからないように、いたわりいたわり大事にいたしまして、できるだけ経費がかからないようにして使っておるという現状でございます。できますならば、おっしゃる通り国産車に、すべて新しいものに切りかえたいのでございますが、国家財政の都合もございましょうし、その点大蔵省と毎年々々真剣な折衝をいたしておるのでございます。本年度予算におきましては、交換として二十台分を、他にいろいろと要求がございますので、とりあえずことしは二十台分ということに話をまとめましたような次第でございます。できますならば、現状のままの形でいくならば、なるべく早い機会に新しい経済的な車に切りかえるのが、経費の節減という点からいっても、私はしごくよろしいことではないか、かように考えておりますが、本年度におきましては、遺憾ながら十分かえることができないような状況でございます。  なお、これにかわる方法ということでございますが、やはり近時の自動車の状況からいたしましても、議員さんは車一台ぐらいは持っていいのではないかというふうな点は、当然話に出ることでございますので、そういう意味も含めまして、いろいろと大蔵当局と交渉し、また議院運営の庶務小委員会等でも御検討下さいました結果でございますが、その点も今後の研究課題として残されたような次第でございます。
  329. 上林山榮吉

    上林分科員 とかく国会自体の問題は、世間ではお手盛りである、こういう批判もあるので、みな遠慮して、よほどの人でないと言わない。しかし陰ではみなぶつぶつ言っているわけです。私はこの制度が悪いならばやめた方がいいと思うのです。あっさりやめたらいい。ことにこれから駐車場を持っていなければ自動車を走らすことはできないということになるわけですが、こういう新しい時代を考えて、これを置く方が適当であると思うなら、十年前、はなはだしきは十五年前の車が走っておるようですが、ああいうものはほかの役所にはないですね。会社の話はしません。大蔵省にもありません。だから、置くならば置くように、もう少し真剣に考えてほしいと申し上げて、私は善処を要望する以外に、この問題はこれ以上は申し上げるわけにはいかぬと思います。  時間の関係で制約があるようで、まだ二、三問題がありますけれども、適当な機会にまた申し上げますが、どうぞ一つ国会自体のことも自粛しなければならぬけれども、自粛する一面、正しい、あたりまえのことは思い切って要求していくということ、私はまじめな政治をやる意味においては、それがほんとうのやり方だ、こう考えますので、事務総長はそういう意味関係方面に熱心に当たられるように要望しておきます。  時間の関係でこれで終わります。
  330. 西村直己

    西村主査 本日はこの程度にとどめ、明日午前十時より防衛庁関係予算について審議することとし、散会いたします。    午後六時十八分散会