○羽田
委員 第四
分科会における
審査の
経過並びに結果について御
報告を申し上げます。
本
分科会は
昭和三十七年度
予算案中運輸省、郵政省、建設省及び自治省所管について、去る二月十九日より昨二十七日まで、日曜を除く八日間にわたり、質問者四十九名、三十七時間四十分余りをもちまして、熱心かつ慎重に
審査いたしたのでございます。
まず
審査の順序は、十九日及び二十日は自治省所管、二十一日及び二十二日は運輸省所管、二十三日及び二十四日は建設省所管、二十六日及び二十七日は郵政省所管について
審査、
質疑を行なったのでございますが、
質疑の詳細につきましては時間の
関係もございますので、
会議録に譲ることとし、ここではその大要について簡単に御
報告を申し上げます。
まず第一に自治省所管については、地方財政の問題につきまして次のような
質疑がございました。すなわち、今日住民の税外負担額は、昨年十二月自治省が発表している住民の税外負担及び市町村の府県に対する法令外負担の現況という資料によって明らかなごとく、
昭和三十五年度において三百五十三億円の巨額に達しておる。この税外負担は、表面的には住民が自発的に寄付したような形をとっているが、実際には本来県や市町村が負担すべきものを住民に転嫁し、はなはだしきは市町村が計上した
予算額よりも、住民の税外負担額の方がはるかに多いという例が少なくない。特に消防
関係、学校
関係、道路
関係及び公民館建設
関係等の強制的割当寄付が目立っている。
政府は、近来地方財政は好転したというが、このような状態を放置した地方財政のあり方は、きわめて不健全であり、
政府はすみやかにこれらの税外負担解消をなすべきである。また国の
予算における公共
事業関係の
予算単価、なかんずく公営住宅、学校建築の単価など、
一般の実情に即していない。これがため年々地方団体へのしわ寄せははなはだ大であり、従って地方団体における実行
予算と自治省の地方財政
計画との間には大きな
開きを来たしているというのが実情である。
〔愛知
委員長代理退席、
委員長着席〕
この問題は、従来から地方財政にとって大きな問題となっているが、一向に改まる傾向にない。地方財政健全化のため、
政府はこれらの
予算単価を真に実情に即したものに改むべきであるとの
質疑があったのであります。
これに対しまして自治省当局から、住民の税外負担が多額に上っている現状は、地方財政の健全化、また地方行政の運営上から見て好ましい姿とはいえないので、極力これが軽減、解消のため
努力しているが、いまだその成果を示していない点、はなはだ遺憾なことと思っている。自治省としては、去る三十五年度の交付金において九十億円、三十七年度の交付金において百億円をそれぞれ基準財政需要額に算入するほか、三十五年には地方財政法を
改正して、特定のものについての税外負担を禁止する措置を講じた。さらに三十七年度には税外負担の
実態調査を綿密に行なうための
予算を計上し、的確な
実態の把握に努め、これらの軽減、解消に万全を期したいと考えている。現在のところ、府県が市町村に転嫁していた経費は大幅な減少を示しているが、依然として残っている税外負担は、教育費が中心をなしている実情にあるので、今後はさらにこれらの負担の解消という方向で、特段の
努力を払って参りたい。
建築費の
予算単価の問題につきましては、昨年来建築費がかなり高騰した実情にかんがみまして、昨年の補正
予算において単価の
引き上げ改定を行ない、さらに三十七年度
予算においても
引き上げを行なっているのであるが、いまだ十分実情に即したものとは言いがたい。地方財政
計画を作成するにあたって、国の
予算との
関係や
予算単価を基準にして作成するため、自治省だけの
努力では解決できない問題である。今後大蔵省を初め
関係各省とも十分連絡の上、漸次適正単価に是正すべく
努力して参りたいとの
答弁がございました。
消防力の組織拡充の問題につきましては、
農村における消防団員の確保、待遇の改善、機動力の整備等の問題について、多数の分科員からきわめて熱心な論議がありました。
その他奄美群島復興開発
事業の期限延長の問題、ネックになっている県境町村合併の促進、地方公務員共済年金の
問題等、地方行財政各般の問題につきまして活発に論議が展開されたのであります。
次に運輸省所管につきましては、
委員から次の
質疑がなされました。すなわち
海運対策の問題につきましては、
政府は
昭和三十七年度
予算において
海運企業整備
計画審議会を設置し、第十五次
計画造船以前の融資残高の
利子相当額を五カ年間たな上げするという、いわゆるうしろ向き政策を実施しようとしておるが、今日
わが国の
海運界はみずから
経営の合理化等、再建への熱意を欠き、もっぱら
政府の保護、救済政策にのみたよろうとする態度である。このような実情からして、
わが国の
海運企業は、もはや私企業としては成り立たないのではないか。この際
政府は思い切って
海運企業の整理統合という前向きの政策をもって、強制的に指導すべきであるというのであります。
これに対する
政府の
答弁は、
わが国の船腹の拡充強化は、国際収支改善の上からもぜひとも必要なことであり、これがため
海運造船合理化
審議会の答申に基づいて、
昭和四十年度まで五カ年間に四百万トンの造船
計画を推進し、
海運企業の再建に
努力しておる。自由主義経済のもとで
海運企業を整理統合するということはなかなかむずかしいことであり、経済界にも微妙な
影響を及ぼす問題でもあるので、法律をもって町村合併を促進するようなわけには参らない。運輸省としては、今般
海運企業の基盤強化対策の一環として、新たに
海運企業整備
計画審議会を設置して検討を進める考えであり、これによって間接的に整理統合の機運が出てくることはけっこうであるが、
政府みずからが積極的に整理統合を指導する考えはない。いずれにせよ、
審議会の結論によって適切な措置を講じて参りたいということでございました。
私鉄運賃値上げの問題につきまして、去る二十日経済企画庁長官は、大手十四社について一斉に値上げするような印象の発言をされているが、これは公共料金の値上げ抑制、さらに物価抑制という
政府の基本方針に全く反するのではないかとの
質疑がございました。これに対しまして運輸大臣は、従来しばしば言明しているごとく、
経営内容のよくない私鉄、輸送力増強に役立つための設備投資を必要とするものについては、
最小限度の値上げはやむを得ないものと考え、目下それらについて検討中である、値上げを各社一斉に行なうか、個々別々に行なうかについては、いまだ結論に達していないと
答弁されました。
その他、国鉄輸送力強化の問題について、地域格差是正のため、特に開発のおくれた地域の地方幹線の復線化を急ぐ必要があり、もって滞貨の一掃に
努力せよといった問題、港湾、空港の整備、
都市交通対策等について、いずれも熱心かつ建設的な
質疑がございました。
次に、建設省所管につきましては、
都市交通の緩和対策、なかんずく東京都の交通緩和対策につきまして、多数の
委員から
質疑がございました。
その要旨は、東京都内を走行している自動車の数は、今や八十万台に及び交通事故もおびただしい数に上っているのが今日の実情であり、近く行なわれるオリンピックを控えて、これが緩和対策は喫緊の急務である、
政府にこのような実情にいかに対処しようとするのか、抜本的な対策を示せということでございました。これに対しまして建設大臣から、
都市交通の緩和対策には応急的な対策と恒急的な対策を講じて参らねばならないので、まず応急的対策としては、道路利用の拡大、駐車場の設置の増加ということで実施を進めている。恒久的対策としては道路整備専業の推進はもとより、できるだけ平面道路を避けて、高速道路、地下鉄の建設を促進する一方、既成市街地再開発の構想をもって、専門家の知恵も借りて、その万全を期したいと考えている。高速道路は
昭和四十年までに完成する予定で、目下施行中であるが、特に三十九年度に行なわれるオリンピックまでには、一号線、四号線を完成して交通の緩和に役立たせたい。さらに都内二十三路線について月下スケジュールを立てて整備促進をはかっており、このために、三十六年度の補正
予算においても、特に
予算措置を講ずる一方、三十八億円の国庫債務負担行為をもって、スケジュール通りの道路整備を完成しようと
努力しておるので、応急的対策と相待って、やがて緩和の方向に向かうものと考えておる。なお、交通閣僚懇談会のメンバーに大蔵大臣、通産大臣、経済企画庁長官等を加えて、なお一そうの強力な交通対策に万全を期して参りたい、との
答弁がございました。
また三十五年に立案した治水十カ年
計画は、その後の資材の値上がり、物価の高騰などから見て、この際根本的に新たに改定した長期
計画を樹立すべきではないか、少なくとも、三十八年度
予算編成にあたっては新
計画で臨むべきであるとの
質疑がございました。これに対しまして建設大臣から、三十七年度は
事業の繰り上げ実施によって、治水
関係事業費は八百十七億円になっておるが、前期五カ年
計画の残り二カ年を均分すると、七百七十億円程度となり、三十七年度の
事業費をはるかに下回ることになるので、国の財政が許すならば、三十八年度から治水
事業計画は改定の必要があるとは考えるが、財政面から見てなかなかむずかしいのではないかと思う。なお検討してみたいとの
答弁がございました。
さらに、首都圏整備の問題につきまして、去る三十一年に整備法制定当時と今日とでは相当に
事情が変化しているから、新たな見地に立って、たとえばロンドンのニュー・タウンなどを参考にした構想で出直すべきではないかという、きわめて建設的な傾聴すべき
質疑や意見があり、その他有料道路の整備促進、大阪の地盤沈下対策、踏切道の立体交差化の促進等の問題につきまして、きわめて熱心な
質疑がございました。
最後に、郵政省所管につきましては、数名の
委員から、電電公社の第三次五カ年
計画の立案にあたっては、支障のない万全なものを作るように、特に従来から各地においてとかくのトラブルを起こしている特定局郵政職員の配置転換、要員確保の
問題等については、円滑な対策で臨まれたいとの要望がありました。これに対しまして電電公社総裁から、従来の経験にかんがみて、要員問題は最も重要なファクターであるので、
計画立案に際しては十分検討の上、支障のないよう万全を期して参りたい旨の
答弁がありました。
さらに、分科員から、町村合併に伴って各地で発生している同一行政区域内の電話料金は、すみやかに市内料金並みに扱うべきであるといった問題、その他国際電電
会社の料金
引き下げ、FM放送の免許方針、ラジオ、テレビによる教育放送の充実強化、郵便遅配の解消、郵便局舎の整備促進、簡保
資金の被保険者への還元
給付の増大をはかれ等々の問題につきまして、分科員各位よりきわめて貴重な意見の開陳及び
質疑が熱心に行なわれたのでございますが、その詳細につきましては、時間の
関係もございますので、ここでは割愛させていただきたいと存じます。
かくて、本
分科会は連日きわめて熱心かつ円滑に
審議を進め、
所管予算全般の
審査を終了いたしました。
討論採決は、これを本
委員会に譲ることといたした次第でございます。
以上、はなはだ簡単でございますが、第四
分科会の
報告をいたした次第でございます。(拍手)