運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1962-02-06 第40回国会 衆議院 予算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月六日(火曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 山村治郎君    理事 愛知 揆一君 理事 重政 誠之君    理事 保科善四郎君 理事 淡谷 悠藏君    理事 川俣 清音君 理事 小松  幹君       相川 勝六君    赤澤 正道君       井出一太郎君    今松 治郎君       臼井 莊一君    上林山榮吉君       仮谷 忠男君    北澤 直吉君       倉成  正君    周東 英雄君       田中伊三次君    床次 徳二君       中村 幸八君    中村三之丞君       西村 直己君    羽田武嗣郎君       八田 貞義君    藤本 捨助君       船田  中君    松浦周太郎君       松野 頼三君    三浦 一雄君       山口 好一君    井手 以誠君       加藤 清二君    勝間田清一君       木原津與志君    高田 富之君       辻原 弘市君    堂森 芳夫君       野原  覺君    長谷川 保君       山口丈太郎君    山花 秀雄君       横路 節雄君    井堀 繁男君       田中幾太郎君  出席国務大臣         内閣総理大臣  池田 勇人君         法 務 大 臣 植木庚子郎君         外 務 大 臣 小坂善太郎君         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         厚 生 大 臣 灘尾 弘吉君         通商産業大臣  佐藤 榮作君         労 働 大 臣 福永 健司君         自 治 大 臣 安井  謙君         国 務 大 臣 川島正次郎君         国 務 大 臣 藤枝 泉介君         国 務 大 臣 藤山愛一郎君  出席政府委員         法制局長官   林  修三君         総理府事務官         (経済企画庁調         整局長)    中野 正一君         大蔵事務官         (主計局長)  石野 信一君         大蔵事務官         (理財局長)  宮川新一郎君         通商産業事務官         (通商局長)  今井 善衞君         通商産業事務官         (石炭局長)  今井  博君  委員外出席者         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 二月六日  委員勝間田清一君、中村高一君、佐々木良作君  及び西村榮一君辞任につき、その補欠として高  田富之君、山口丈太郎君、井堀繁男君及び田中  幾三郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十七年度一般会計予算  昭和三十七年度特別会計予算  昭和三十七年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 山村新治郎

    山村委員長 それでは、これより会議を開きます。昭和三十七年度一般会計予算昭和三十七年度特別会計予算及び昭和三十七年度政府関係機関予算を一括して議題といたします。質疑を続行いたします。勝間田清一君。
  3. 勝間田清一

    勝間田委員 私は、社会党を代表しまして、エネルギー政策並びに石炭政策等について、池田総理外関係大臣に対して質問をいたしたいと思います。この前の国会で、われわれは石炭産業の危機にあたって決議をいたしました。その際に最も重要な点でありましたのは、言うまでもなく、総合エネルギー政策確立して、石炭の地位を明らかにして、そして石炭産業の安定をはかるべきである、こういう重大な決議をいたしたわけであります。政府の今日までとっておる政策を見ますと、離職者に対する政策あるいは産炭地に対する政策等については若干の進歩は見られるわけでありますけれども、この肝心かなめ総合エネルギー政策については何ら触れるところがないのであります。しかも、今国会を通じて何らかの提案をなすであろうと考えておりましたが、その期待も実は裏切られておるのが今日の状況であります。従って、この総合エネルギー政策が非常な立ちおくれを見せて、各エネルギー資源間における混乱さえ今日生じておることは、政府も認めるところだろうと思うのであります。そこで一体なぜこの総合エネルギー政策をこの国会に出してこないのか、前国会決議を一体尊重する意思があるのかないのか、この点を総理大臣一つまずお尋ねをいたしておきたいと思います。
  4. 池田勇人

    池田国務大臣 エネルギー施策は、わが国産業立場からいって非常に重要なことでございます。従いまして、従来エネルギー関係といたしましては、石炭鉱業合理化臨時措置法あるいは石油その他天然ガスの問題についての法律を設けてやっております。この前の決議がありまして、総合的に考えたらどうか、これは民間におきましても、ある団体が総合的な検討をずっと加えております。しからば、政府総合施策の案を出すかという問題の前に、私は、石炭あるいは石油、ことに電気、また今の制限している石油を自由化いたします等、やはり石油あるいは電気事業等につきまして、いろいろその事業自体施策をもっと深めていかなければならぬ問題があると思います。今、われわれとしては、総合エネルギー対策ということよりも、各事業につきましてもっと堀り下げて検討をしながら、その後においてと言いますか、同時にやはり総合的の施策をやっていくことが適当じゃないか、私はこういう考えでおるのでございます。しかし、関係官庁につきましてどの程度進んでおりますか。私の考えとしては、総合エネルギー対策ということよりも、各業種についてもっと掘り下げて検討し、しかる後に起こる問題ではないかと私は考えております。詳しくは通産大臣からお答えいたします。
  5. 勝間田清一

    勝間田委員 同じ問題について、一つ通産大臣答弁をお願いいたします。
  6. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま総理から政府方針お話しになりました。私ども、その線に沿っていろいろ施策をいたしておるわけでございます。いわゆる総合エネルギー対策、そういう観点に立って、御承知のように石炭についても五千五百万トン、あるいは千二百円下げるというような基本線が実はできておるわけであります。また石炭については、ただいままで合理化審議会があるし、あるいは天然ガスその他等の開発審議会がありますし、また最近予定しておりますものには、石油審議会を設けるとか、あるいはまた電気事業審議会を設けるとか、こういういろいろの計画がございます。ただいま申すように石炭自身について五千五百万トンをきめましたその基本は、産業関係エネルギー部会、いわゆる総合的な見地からただいまのようなものを策定いたしたわけでございます。もちろん、これであるいは十分とは言い得ないかもわかりません。エネルギーの問題でございますから、政府は慎重にも慎重を重ねていかなければならぬだろうと思います。ただいまの線を実施いたしまして、しかる上で、要すればまたいろいろ工夫して、そうして総合エネルギーとしての万全を期したい、かように考えております。
  7. 勝間田清一

    勝間田委員 各エネルギー別の体制をまず整えていくということについては、私も必ずしも否定するわけじゃないのであります。しかし、同時に各エネルギー間における関連性総合性、また位置づけ、この問題が今日確立をしていないためにむしろ起きておる混乱の方が大きいのではないか。従って、各業態別の、各産業別の、エネルギー別実体を整えていくと同時に、どうしてもやはり総合的な調整なくしては、もはやこれ以上前進することができないというのが実情だと私は思う。そこで、一体総合別エネルギー政策に進みたいと言われるのであるが、総理大臣はそれを政策上どういうように予定を立てられておるか、その点をお尋ねをしたい。
  8. 池田勇人

    池田国務大臣 産業構造調査会エネルギー部会におきましては、先ほど通産大臣が答えたように、石炭について一応現状から見たところの案を出しておるのであります。従って、将来この石油電気石炭、あるいは国内石油天然ガス、こういうものにつきましては、お話のように総合的に検討していく必要があると思いますが、それを考えるしにおきましても、現状において石油をどうしようか、天然ガスをどうしようか、電気をどうしようか、こういうことによって、また石炭にも関係するわけでございますから、私は、エネルギー総合対策が必要でないとは一これはそれを頭に置いてやらなければならぬのですが、それよりもまず各構造別に、事業別にもっと掘り下げて考えることが先ではないかと思っております。
  9. 勝間田清一

    勝間田委員 企画庁の長官一つお尋ねをいたしますが、いわゆる所得倍増計画の中で実はエネルギー見通しや立てられておると思うのでありますが、この見通しは一体どういう内容のものであろうか、また、それが一体現在のエネルギー政策を指導していく上においていかなる意味を持っておるものであるか、この点を一つお尋ねをいたしたいと思います。
  10. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 将来のエネルギー問題につきましては、日本産業発展上非常に重要な問題でございまして、御承知通り所得倍増計画の中におきましても、エネルギーの問題について、昭和四十五年におけるエネルギー状況を一応きめておるわけでございまして、先ほど国産石炭につきましては、五千五百万トンということを通産大臣から申し上げましたが、四十五年におきましては、水力で九百十九億キロワット・アワー、それから石炭については八千四百六十四万トン、そのうち日本で生産するのは五玉五百万トンと一応きめております。また、石油については九千八百三十三万一五千キロリットルというようなことでありまして、大体その構成比率を申し上げますと、四十五年では水力が一九・五%、石炭が二八・七%、石油が四九・六%というような構成比になっておりまして、現状から見ますと、この構成比というのは大幅に石油の量が大きくなっている、こういうことであります。
  11. 勝間田清一

    勝間田委員 これが政策的な意味は一体どうかという点についてはお答えがないのであります。これは一つ見通しだろうと私は思う。
  12. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 一応その見通しを立てまして、そうして、経済発展というものと対応して、むろん、その見通しにつきましては、発展段階においていろいろな調整をして参らなければならぬことがあることは申すまでもないと思います。同時に、それらのものを遂行して参ります上におきまして、今後のエネルギー資源の問題については、たとえば石炭を五千五百万トンに維持していくというような問題について、しかもその需要を喚起するためには千二百円を下げることが必要じゃないかというような個々の問題を取り上げまして、それが総合されて、そうして運営に当たって参るわけでございます。
  13. 勝間田清一

    勝間田委員 四十五年におけるいわゆる輸入エネルギー国産エネルギー比率は一体どうなりますか。
  14. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 石油のパーセンテージは四九・六%になりますが、お話は、その中における国産石油比率でございますか。石油の中における国産石油比率、こういう意味ですか。
  15. 勝間田清一

    勝間田委員 違います。たとえば石炭の場合でも、今お話通り、四十五年には八千万トン以上のものになる。それから、石油についても膨大な輸入が行なわれるわけであります。従って、石炭石油も含めて、あるいはその他の若干の燃料も含めて、輸入エネルギー国産エネルギー比率は一体どうなるのかということをお尋ねしているわけであります。
  16. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 ちょっと今手元にその数字を持っておりませんから、後ほど申し上げます。
  17. 勝間田清一

    勝間田委員 私の計算から申しますならば、輸入エネルギーが今日——ございますか。
  18. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 大体四十五年度におきましては、輸入エネルギー源が六〇%、三十六年度ではそれが四二%程度、こういうことに推算いたしております。
  19. 勝間田清一

    勝間田委員 総理大臣一つお尋ねをいたしたいのでありますけれども、このまま放置しますれば、御存じの通り輸入エネルギーは実に五九%にも及ぶわけであります。そうした態勢の中で、日本産業安全性というものは一体守られるものでしょうか。この点を一つまずお尋ねをいたしたいと思います。
  20. 池田勇人

    池田国務大臣 六〇%が輸入エネルギーになるから日本産業がそれで安全かという、安全な意味でございます。できるだけ国内資源によるものを多くすることが必要でございます。しかし、日本資源から申しまして、これを望むといってもなかなか困難でございます。水力の方は、相当もう原価が高くなってくる、こういう状況でございますから、できるだけ国内資源開発に努めることが必要でございますけれども、半分以上が外国エネルギーだからといって、日本産業が安全でないという結論にもならぬと思います。
  21. 勝間田清一

    勝間田委員 世界のエネルギー政策傾向を見ますと、確かにエネルギー自由選択傾向というものが一面強いのでありますけれども、他面において、やはり国内産業の安全であるとか、あるいはある国においては国防しの問題であるとかいうような問題を含めて、いわゆるエネルギー供給安全性という問題、また、別な言葉で言うならば、安全保障と申しましょうか、そうした問題が強く取り上げられているのが私は今日の状況であろうと思います。ただ、私どもは、国防上の問題をここで問題にしようとは思いません。しかし、多くのエネルギーが、たとえば日本電力需用というものが未曾有に増人をいたして参りますけれども、その多くのものが外国輸入エネルギーによらなければならぬということになって参りますならば、産業それ自体が国際的な今日の状況下において非常に不安定に陥る場合があり得る。たとえばスエズ運河のような事態が、すでに経験されたところでありますけれども、こうした事態が再び起こるとは私も考えません。また、事情も相当違っているとは考えますけれども、しかし、直ちに用船料関係をし、原油輸入価格関係し、あるいは品不足関係してくるという問題になって参りますると、エネルギー安定性というものが実は得られないと考えるのであります。そういう面から見まして、六〇%に近いほどのエネルギー外国に依存するという政策自体が、私は検討されるのが当然だろうと実は考えておるのであります。この点について通産大臣は一体どういう考え方で進んでおられるか、答弁を願いたい。
  22. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 御承知のように、エネルギー消費者自由選択、こういうことが今の産業のあり方から見まして、まず一つの。ポイントでございます。しかし、それだけではいけないので、ただいま国防云々お話が出ておりますが、やはり安定供給、これが必要なことだと思います。同時にまた、外貨の支払いの面であるとか、あるいは雇用の問題であるとか、あるいは現在の国内廃業の将来に対する育成、維持の問題であるとか、いろいろ時には政治問題、社会問題にまで発展するのでございます。これらのすべての条件を勘案いたしまして、そうして長期にわたる総合エネルギー対策を講じて参るといのが私ども考え方でございます。ただ、御指摘になりましたように、六〇先は危ないとか、五〇%の方がよろしいとか、こういうものでは実はないように思います。国内資源についても積極的に開発方針をとり、近代化資金あるいは合理化資金等政府でできる助成方策はとっております。しかし、どう見ましても、コストあるいは数量的には、現在の状況のもとにおいて発展する経済としては、外国液体燃料に多くを期待せざるを得々いのではないだろうか、かように私ども考えております。しかし、ただいま御指摘になりましたように、いろいろむずかしい問題を含んでおりますから、可能な国内資源開発にもちろん今後も力を入れていく考えでございます。勝間田委員国産エネルギーというのをもっとも重要視するという考え方かう申しますなうば、天然ガスの問題、あるいはその他石油にいたしましても、石炭にいたしましても、やはり積極的な国内産業保護という立場がもっと強調されてよろしいのではないだろうか。これは私は決して単なる保護主義をとろうとするものではありませんが、いずれの国のエネルギー政策を見ても、私はその点は明らかであろうと思うのであります。イギリス、あるいはイタリアフランス西独等の各関税政策、あるいは消費税に対する政策、あるいはその他の政策等を見ますと、明らかに国内エネルギー資源をやはり保護育成していこうという態度というものは一貫しておるように私は考えるのであります。これらの諸外国の例を一覧表に並べてみたときに、日本エネルギーのみがひとり混乱の中に置かれておる感が私はいたすのであります。たとえば石油という問題をとってみましても、原油輸入日本は世界一安い。これはイギリスよりもイタリアよりもフランスよりも西ドイツよりも安い。同時に関税消費税日本は世界一安い。従って、最終価格に至っては明らかに日本は非常に安い石油エネルギーに依存しているというのが今日の状況だろうと思う。その中でも、どこの国でも明らかに保護政策をとっている。たとえば国内原油に対する免税措置をとっておるとか、あるいはその他の便宜の補助金政策なり、あるいは育成政策というものをとっている。われわれはこういう点を考えてみますと、日本は、エネルギー政策についての考え方というものがまだいずれの分野においても未検討であるし、まだ政策確立を見ておらないというのが、私は実情ではないだろうかと思う。個々の問題も大切であろうが、全体としての日本エネルギー考え方というものをこの際とってこないと、いろいろの意味で私は多くの混乱危険性があると確信いたすのであります。従って、私は、どうしてもエネルギー政策というものをとるについては、今申されたように、各個々の、たとえば審議会を作っていくとか、あるいは個々実体を強めていくとかいう措置は必要でありましょう。しかし、総合エネルギー政策をこの際に至急に確立しなければならぬということは、私は総理大臣も否定はできないだろうと思うのであります。従って、少なくともこの国会において、総合エネルギー政策に対する審議会法律に基づいて設定する必要があるのではないか、かように私は確信をいたすのであります。総理大塩のこれに対する責任ある御答弁を願いたいのです。池田国務大臣先ほどお答え申し上げた通りに、私は、各業種での審議会調査会でもっと検討を進めていくのが先であろうと思う。法律総合エネルギーに関する審議を設けることも、これは別に大したあれはないと思いますが、やはり個々のものについてもっと掘り下げてやらないと効果がないのではないかと、自分では考えております。しかし、所管大臣意見もまだこの点について私は聞いておりませんので、せっかくのあれでございますかう、所管大臣意見をこの際あなたたちと一緒に聞くことにいたしましょう。勝間田委員所管大臣一つこれに対する答弁を……。佐藤国務大臣ただいま総理からお答えがございました、また先ほど冒頭に申しましたように、まず現状のものを掘り下げてみることが必要だ、しかる上で実施の状況等を見まして、それから次の段階で、ただいま御指摘になりますような総合エネルギー対策委員会が必要であれば、そういう方向検討を進めて参りたい、かように思いますが、この国会では、私ども石油関係審議会等もまだできておりません。それなども作ることがまず先だろう。そうしてしかる後にというような実は考え方でございます。なおまた、ただいまお話がありました国内天然ガス利用をもう少しやったらどうか、これなども、すでにエネルギー部会で取り上げておりまして、五カ年計画最終においては、国内石油と合わせて二百万トンという開発計画になっております。しかし御承知のように、石炭換算にいたしまして一億三千万トンあるいは一億五百万トンというような大きなエネルギー消費が見込まれる際には、ただいま御指摘になりました国内ガス程度では、需要にはなかなか対応できるものではございません。ここらに国内資源が非常に貧しいということを実は表明しておるものだと思います。問題は、各分野においての調整をとりつつ実施いたしまして、しかる上でどういう状況になるか、一つ考えて参りたい、かように思います。勝間田委員はなはだ遺憾でありますけれども総合エネルギー政策に対する政府の熱意をこの際に伺うことはできないということを私は感じました。しかし、この問題は国会の強い要請でもあり、石炭産業の安定のために絶対必要な前提条件であると考えますがゆえに、われわれはこの国会において必ずやこの問題の実現を要求して参りたい、かように考えておりますかう、政府一つ準備をしていただきたいと考えております。なお、この問題と関連をして、政府石油業法をこの際に出そうということが新聞紙上に伝えられておりますけれども、一体この業法がこの国会にいつ提案をされるのであろうか、また、その内容はいかなるものであるかを一つこの際に明らかににしていただきたい。通産大臣答弁をお願いいたします。佐藤国務大臣この国会において石油業法提案したいということでただいま準備をしておる最中でございます。御承知のようにあらゆる面に関係を持ちますので、各界の意見調整中でございますので、さよう御了承願います。勝間田委員石油業法中心としていろいろ世間で疑惑されているところでありますけれども石油に対する何らかの統制措置を講じなければならぬというのは、業界から見ても、関連産業から見ても、また消費者の面から見ても、私は必要だと考える。その意味におきまして、石油業法のどういう点が一体今検討されておるのか、その点を一つ明らかにしてほしい。佐藤国務大臣ただいま御指摘のように、エネルギーの将来の中心をなす石油でございますかう、ある程度政府といいますか、国の意思がこれに反映することはやむを得ないことだと思います。しかし、御承知のように、私どもは本来堅持しておりますのが自由経済立場でございます。従いまして、できるだけ統制色を薄いものにしたいというか、いわゆる統制方向へ踏み切る、こういうことでなしに、石油の持ちますその特殊性についてやむを得ざる規定を一つ設けていこうかと、そこに問題があるわけでございます。勝間田委員輸入数量輸入価格に対するコントロール政府が持とうということを考えておりますか。佐藤国務大臣この石油業法の中でやはり必要なのは、国内需給調整計画の問題でございます。これが一つポイントでございます。しかし、この法律を通じていわゆる輸入数量を規制するというところまでは、私ども考えておりません。
  23. 勝間田清一

    勝間田委員 輸入数量の規制を考えずして、あるいは輸入価格について考えずして、一体現在の石油に対するコントロールができますか。
  24. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 御承知のように設備能力といいますか、製油能力というものがございますから、この設備についてのいろいろの許認可の制度を設ければ、それによりまして将来の伸び方というものが一応想定ができると思います。また、価格などはできるだけ業界の自由にまかすべき筋のものだと思います。しかしながら、非常な暴騰であるとか、あるいはそれが非常に低落する、そうして業界を撹乱する、こういうような事態については、政府は適当な考え方行政指導ができるような、協力を得るような道を開きたいものだ、かように実は考えております。
  25. 勝間田清一

    勝間田委員 それは、伝えられるよらないわれる標準価格を指示するという考え方になりますか。
  26. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 そういう点が私ども今後いろいろ研究し、調整をする問題でございすいす。
  27. 勝間田清一

    勝間田委員 設備並びに輸入に対する許可制度を作ろうという考え方はありますか。
  28. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 詳細のことは、いずれ業法が出ました上で御審議をいただきたいと思いますが、ただいま設備についての許可ということは必要ではないかとかように実は思っております。
  29. 勝間田清一

    勝間田委員 そういう状態で、石油業法の目的とするところは一体何ですか。何をねらおうとするのですか。
  30. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 石油業法のねらうところは、安定したエネルギーの供給というところがねらいでございます。
  31. 勝間田清一

    勝間田委員 この内容については、通産大臣もまことに腰がふらふらして、少しも踏み切れないというのがどうも実情のように見受けられる。石油業法関連して、従来の重油ボイラー規制というものは、来年の秋に一応法律の期限が切れるように私は考えるのでありますけれども、ボイラー規制の今後の取り扱いは一体どうなりますか。
  32. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ボイラー規制法は、国会の御審議等の経過によりまして、期限がくれば廃止される、こういう運命にあるように考えております。
  33. 勝間田清一

    勝間田委員 総括して、政府エネルギー政策がまことに立ちおくれておるという印象を実は強くいたすのでありますが、さらに私は、石炭に関して一つお尋ねをしたいと思うのであります。  政府のスクラップ・アンド・ビルドの政策というものが今日進められて、それぞれ予算が計上されておるように私は見受けるのであります。そこで若干この際に、こまかくわたるようでありますけれども、明確にしておいていただきたいと思うことがございます。  まずその第一は、これからのスクラップ計画は一体どういう計画でありますか、トン数をもって説明を願いたい。
  34. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 御承知のように、ただいままでのスクラップ計画のうち残っております分が約七十万、六十九万トンばかりございます。今後の三カ年計画、三十七年度以降の三カ年計画で六百二十万トンを予定しております。最初の年は、百二十万トンと残存部分と合わして百九十万トンをこの三十七年度整理する考えでございます。
  35. 勝間田清一

    勝間田委員 このスクラップ計画に対してそれぞれの申し出が実はあるように聞いております。すでに二百万トンを突破しておるのではないかと聞いておるわけでありますが、このスクラップの計画が本年度において北海道、常磐、あるいは山口、九州等、地域においてどの程度のととが予定ざれるのであるか、この数字をこの際に明らかにしていただきたい。
  36. 今井博

    今井(博)政府委員 地域別のスクラップ化の数字につきましては、まだ確定した数字がございませんので、非常に大ざっぱでございますが、九州が大体七五%程度、その他の地域が二五%であります。一応そういう見通しになっております。毎年大体そういう数字でございますから、ことしもその程度で推移するかと思います。
  37. 勝間田清一

    勝間田委員 大体九州が七五%、その他の地域が二五%の見込みだ。一体これによる離職者はどの程度に予定されるのでありますか。
  38. 今井博

    今井(博)政府委員 離職者につきましては、まだはっきりした数字をつかんでおりませんが、非能率炭鉱は千トン当たりおおむね七人程度、こう考えまして、そのスクラップされる数量に対しまして七人をかける、そうするとおおむねそれによる離職者の数字が出て参ります。その点は、少し詳細に地域別に計算いたしまして、後刻お答えいたしたい、こう考えております、
  39. 勝間田清一

    勝間田委員 今の数字は一つ直ちに別に計算をして出していただきたいと思います。  こうしたスクラップの政策が一面に遂行されておるのでありますけれども、他面において、最近非常に顕著な現われ方というのは、租鉱権にこれを落としていく、あるいは第二会社にこれを下げていく、あるいは小さな坑口をどんどん開設していく、この傾向が今日逆に現われておるのではないか。スクラップの政策というものは今日それだけ効果を現わしていないのではないか。逆な現象ができておるのではないか。この逆な現象を防止するために一体政府はどういう態度、どういう施策を具体的にとるのか、この点、もう一つ明らかにしていただきたい。
  40. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいままでのところ、スクラップ必ずしも目的を達していない、かようには私は考えておりません。本来の目的を達しつつあるように考えております。しこうして、ただいまお尋ねになりましたいわゆる第二会社にするとか、あるいはその他小さい穴とか、こういう事柄がむしろ弊害を伴いはしないかというお尋ねだと思いますが、今日まで大炭鉱が、いわゆる残存数量が、埋蔵量が少なくなるとか、あるいは薄層の炭をとるとか、こういうことからいろいろ工夫いたしまして第二会社を作っておる。それらの成績は、いろいろの問題はあることだと思いますが、概してただいままでのところは成績がよろしいようでございます。これは賃金等については、賃金がやや安くなったという問題もございますけれども、同時に前の会社の退職金等をうまく運用しているとか、こういうようなことで、収入自身は楽になっておる、こういうふうに見受けております。また成績というか、能率も相当上がっておるようでございます。ただ、私どもこういう場合に非常に気をつけなければならないことは、第二会社ができるとか、あるいは小さな炭鉱になる、その結果非常に労働が過重されはしないか、あるいは保安の面で十分な手当ができなくなりはしないか、あるいは鉱害復旧等について本来の義務の履行が十分できないのではないか、大まかに見まして、こういう三つばかりが特に私どもが懸念される点でございます。これらの三点については、行政指導によりまして、まずまずの成績を上げつつある、かように私は確信をいたしております。
  41. 勝間田清一

    勝間田委員 第二会社の行き方が成功しておるというような宣伝を今通産大臣はされたのでありますけれども、今度のビルドアップの政策というものは、近代化なり、また経営の健全化というものをはかっていこうとするところに目的があるのではないか。そういう目的が一面に政府によって掲げられて、膨大な、たとえば二十八億の近代化資金であるとか、八十億円の開銀資金というものが出されて、一面に政府の手厚い資金を受けながら、他面において第二会社の傾向をとっていくといろ考え方は逆行ではないか。しかも、第二会社が成績を上げておるということをよく言われますけれども、今申されましたように、危険の増大があり、質金の引き下げがあり、また最も最近憂うべき事柄は、組夫を入れて、そうしてその分で、低賃金で過重労働で能率を上げているから、残存労働者の人数で割ってみれば三十トンになるかもしれない、四十トンになるかもしれないけれども、組夫の労働力というものは計算されていないというのが今日の実情です。そういう架空な成績で、第二会社が成績が上がったというような宣伝は、最も悪い考え方だと私は思う。でありますから、そういう政策をここで強調されることは、通産大臣は自己撞着ではないか。それなら近代化をやめた方がいい、これについてどう思いますか。
  42. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 だんだん手きびしい御批判があるようですが、本来、近代化——現在あります非常に有望な山、そういうところに近代化資金をつぎ込む、あるいは未開発炭田を開発するとか、本来そういうことが望ましいのでございましょう。しかし、御承知のように、労働の移動というものがそう簡単なものではございません。従いまして、経営者が現在経営しております山そのものについての実情に即した案、これはもちろん経営者だけの一方的意向でもなく、やはり組合側の協力のもとにただいまのような第二会社に移行するとか、あるいは閉山するというような事柄が行なわれておるのであります。本来の合理化資金そのものの使い方とはやや違う方向でございます。しかし、埋蔵量自身が減ってくるとか、あるいは採炭の面から申しましても、それが薄い層になるとか、そういたしますと、やはり採炭技術そのものもやや変わってくるのはやむを得ない仕儀  ではないか、かように思います。
  43. 勝間田清一

    勝間田委員 古河の大峰炭鉱でありますけれども、こういう炭鉱を第二会社に落としていこう、こういう計画があるようでありますけれども、一体政府はこれに対してどう処置するのです。
  44. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 大峰炭鉱を閉山したいという気持が経営者に多分にあるようであります。この埋蔵壁あるいは層の厚さ等についてもいろいろ議論があるようであります。近く調査団が出かけて、そして山の今後のあり方、最終的な結論を出すということでありますので、その結論の出るのを待っておるというのが私ども立場でございます。
  45. 勝間田清一

    勝間田委員 ただいま申したように、第二会社や租鉱権に落としていくという政策を根本的にやめない限り、私はスクラップ及びビルド方式というものはそこからくずれてくる、かく考えるものでありまして、この点については、社会党としては重大な関心を持って今後処置をして参りたいと考えております。  次いでビルド計画についてでありますが、これは新鉱開発、あるいは補強、増強、維持、それらの近代化資金がここに約二十八億、開銀資金八十億がつぎ込まれていくわけでありますが、このビルド計画は、先ほど来申し三げた通りの地域については、一体どういう計画比率がなっていくか、この計画一つ地域的にお示しを願いたい。
  46. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 今日までのところは、九州が大体五割近い数字だと思います。その他の北海道あるいは東部、西部というようなところで残りのパーセンテージ、かように思います。これは先ほど事務当局からお答えいたしましたように、スクラップが多いところにおきまして、労働の移動の困難等を考え、その可能な範囲において九州地区の炭田の開発、これに力をいたした結果でございます。けれども、今後の状況等を見ますと、この九州の比率は今後はやや落ちていくのではないか、かように私は考えます。むしろ積極的に北海道などの開発の方に力をいたすべきではないかというような考え方をいたすもので、おそらくパーセンテージも変わっていくだろう、かように思います。
  47. 勝間田清一

    勝間田委員 いわゆるビルドによる新しい労働需要というものは、一体どの程度に予定されておりますか。
  48. 今井博

    今井(博)政府委員 ビルド・サイドの関係の新しい雇用力の増加につきましては、雇用力の増加と、逆に増強分におきましてもやはり人間が減るという面もございますので、その他の点をあわせて考えませんと、確かな労働力の増加というものは出てきませんので、この点は地域別に相当具体的に掘り下げまして、減る人間とふえる人間というものをよく勘案しまして数字を出したいと思っておりまして、ただいませっかく作業を進めておりますので、三月くらいには具体的なその数字が出て参ると思います。そのときまた御報告いたしたいと思います。
  49. 勝間田清一

    勝間田委員 その数字を提出していただきたいということを一つここで要求をいたしておきます。  もう一つ。やはり重大なビルド計画について私矛盾を感じますのは、大手十八社の一つともいわれる大正炭鉱が今日危機に瀕している。この大正炭鉱に対する政府施策というものを私は聞かなければならぬのでありますが、まず第一に大蔵大臣は、今日福岡銀行を中心とする手形割引の停止等々の処置に対して、一体政府はどういう金融上の援助を与えようとするのであろうか、その大蔵大臣の見解を一つ聞きたい。
  50. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 福岡銀行は再三呼び出しまして、この再建に協力するようにという方向で、大蔵省も協力しておるものでございますが、問題はやはり再建計画の問題でございまして、この計画が立たない限りは、福岡銀行も金融ベースにおいて協力することはできないという事情にぶつかっておりましたので、今石炭協会及び通産省の現地機関がその中心になって、この再建の問題についていろいろ協議し、そうしてこの案ができてから福岡銀行、そのほかの金融機関にも協力を願うという態勢で、今まで非常に努力しておりましたが、大体そういうめどがついてきたという話を聞いております。従って、一時やめておりました福岡銀行の手形割引も一月の末ですか、そこからまた再開するということになったという話を聞いておりますが、大蔵省としましては、この再建案とからんで、金融措置はできるだけとるようにという方向で、いろいろ協力しておる状況でございます。
  51. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 大正鉱業につきましては、ただいま大蔵大臣からお答えをいたしましたが、有望な山だと思いますので、何とかして軌道に乗せたいということで、通産、大蔵両省でいろいろ協議いたしまして、可能な金融等のあっせんもいたして参りました。すでに御承知のように合理化資金等も、政府関係のものはこれを出すとか、あるいは金融の円滑化をはかるために手形の割引等につきましても、いろいろ政府側としての要望なども伝えたのでございます。しかし何分にも大正鉱業の過去が過去であり、現在の実情も困難な状況に立ち至っておりますので、この再建計画に非常に時日を要しております。本来なら、私どもの気持から申せば、年内にでも問題は片づきやしないか、かように考えたのでございますが、私どもの期待を裏切り、今日もなお不安な状態が続いております。そこで最近御承知のように、大正鉱業の経営者も変わって参ったようであります。その新しい社長のもとにおいて再建計画の立案中だ、かように私ども考えておりますが、なかなか再建計画が提示されるにまだ至っておらないという状況であります。その間にいわゆる給料の支払いが滞っておりまして、従業員なども非常に苦しい状況にあるのでございます。そこで私ども通産省といたしましては、再建計画を一日も早く樹立し、各界の協力を得るような基本的な方針を明示してほしい。それについては、まず第一さしあたりの問題として、給料の未払いについてはあらゆる努力をして、ぜひともこれを解決するようにということで、再三再四にわたって注意を喚起し、またそういう意味の手も、きわめて少額ではございますが、最近一度はとったようでございます。しかし、もちろんそれは不十分でございますので、引き続いてその点を強く会社の経営者に要望いたしております。また組合側に対しましても、ぜひとも協力をして、そして一日も早く再建案ができるように、これまた労使双方に対して、この基本線を早く打ち出すように勧奨いたしておりますが、事態は必ずしも楽観を許さないというのが、現状ではないかと思います。
  52. 勝間田清一

    勝間田委員 大正鉱業の問題は、現在の石炭資本家あるいは金融業者がとっている代表的な一つの例を示すものだと、私は思いますから、非常に実は重大視するのであります。これは通産大臣も御存じの通りに、従来の経営者の無能力といいますか、責任において、こうした事態に立ち至ったことは、これは鋭く私は批判されねばならぬと思う。しかし同時に、人事を強く金融業者が要求をして、自分の人事がいれられなければ金融もできない、あるいは金融を締める、こういう干渉のやり方は、私は独禁法の精神に根本的に違反すると考える。そういうことはやるべきでないと私は考える。ましてや、今答弁になられた通りに、再建計画を出してこなければ手形の割引もできないし、融資もできないのだ、これは一面道理のように見えますけれども、他面において労働者に十二月以来今日まで、ほんのわずかしかの給料を払わないで、ほとんど食うや食わずで今日の状態になっている。しかも一日の日金で米を買い、野菜を買わなければならぬような状態になり、労働金庫の支払いさえ今日停止されておるというのが、今日の石炭労働者の実情です。給料を払わないで、食うものを食わせないでおいて、再建整備計画を出せというのは、私は一つの脅迫だと思う。そういう非人道的なやり方というものは私はないと思う。われわれはこれまた労働基準法に違反すると思う。労働大臣、一体どう思いますか。直ちにこういうものは解消すべきであります。払うものを払うべきであります。いかがに思いますか。
  53. 福永健司

    ○福永国務大臣 ただいま御指摘のような点につきましては、現地から見えた方々からも、私もいろいろお話を伺って非常に憂えておる次第でございます。実情に即した、現地においては基準同等において措置をとらしむべきものだと考えております。
  54. 勝間田清一

    勝間田委員 しかも給料から組合活動費を差し引いて——これは正当な組合費もそうでありまするし、また組合が行なっているカンパ資金もそうでありますけれども、そういうものを全部引いて、それを返してよこさない。これは今日九千万円に及んでいる。このために組合活動はストップしている。まだ、今日まで給料の何割という、あるいは賞与の何劇というようなものを貯金をされて、いわゆる企業内の貯蓄をされておるという貯金もある。そういう貯金も今日払わない。そこの上に今日賃金の支払いということがこういう状態になっていて、組合活動もできないだろうし、生活もできないだろうと私は思う。こういう状態をやはり解消して——もとより再建整備計画を立てることは大切でありましょうけれども、それと引きかえに、再建計画を出さなければこれは出さないのだというような、そういう態度は一つ根本的に改むべきではないか。総理大臣どう思いますか。これは所得倍増下の実態であります。
  55. 池田勇人

    池田国務大臣 実情をよく知りませんが、やはり立場々々があると思います。銀行といたしましては、預金者の金でございますから、支払い回収のめどが立たないと出さぬというのも一理あると思います。それから今の実情のようだとすれば、まことにお気の毒でございます。政府としてもやはりいろいろ手段を講ずべきだと考えておるのでございます。いかなる措置をとるか、関係当局で十分検討し、善処いたしたいと思います。
  56. 勝間田清一

    勝間田委員 通産大臣、もう一度聞きますか、一体給料はいつ払いますか。
  57. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 給料はいつ払うか、実は私が押えているのなら、それは給料は必ず払いますが、ただいま申しげるように、会社内部の問題でございます。これは実晴をすでによく御承知お尋ねになりますが、一番大事なことは、あそこで勤めておられる労働者の諸君の生活、これはもう人道上の問題だと思います。私ども個々の会社の経世の内容にまでタッチして、どうこうするつもりはございませんし、あるいは労使間の問題等にまで干渉するつもりは、毛頭ございませんけれども、人道上の見地から、生活はほぼできるというか、維持できるように保障することがまず急務だ、かように思いますので、給料の支払い方を督促いたしております。しかし、会社自身の金でございますので、私ども政府の金というわけではございませんから、そういう意味の勧奨、勧告を強くしておるというのが現状でございます。問題は、経営者に対しましても、いわゆる労働者を追い込んで、そうして再建計画を組合側に無理やりにのますというようなそういう考え方でなしに、経営者自身の再建計画を立てろ、まだそれが提示されておらないというのが現状であります。また組合ともそういう点で交渉を持っていないというのが実情ではないか、かように思いますので、第一の問題は、そういう意味の、会社自身が再建整備計画を立てる、そうして金融方面の了解をとり、同時に社内の協力を得る、そういう方向へ進むべきものだ、かように思いますので、そういう意味の勧奨なり勧告をしておるというのが、現状でございます。
  58. 山村新治郎

    山村委員長 勝間田君にちょっと御注意申し上げますが、だいぶお約束の時間が経過いたしましたから、御善処願います。
  59. 勝間田清一

    勝間田委員 給料の問題は、もちろん人道上の問題でありますが、これは一つ大蔵大臣通産大臣ともに、また労働大臣は監督官庁であるから、この問題は一つ即刻解決をつけるような努力を願いたい。同時に、保安資材が今日購入ができないで、占いところの坑木を新しい坑口に持っていくというような状態で今日やっておるので、もう間もなく入山できないのではないか、こういう状態にまで今日立ち至っている。こうした保安資材の手当というものは、至急すべきだと私は思う。その点について、一体通産大臣はどう考えているか。
  60. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 大正鉱業の実情にかんがみまして、保安官を特に数多く派遣し、現地の調査にかかっておる。なかなか、山が相当大きな山ですから、簡単には調査の結果が出ておらない、ようやくもう完了した町分ではないか、かように私は考えております。
  61. 勝間田清一

    勝間田委員 もう二、三点で質問を終わりたいと思いますか、第一点は、総理大臣はこの前私の質問に対する答弁において、最低賃金制は石炭について必要であるという明快な答弁を実はされました。しかし、それ以後の状況を見ますと、小委員会等は、六回ほど開かれたようでありますけれども、依然として、この問題は停滞いたしております。この問題を推進し、すみやかに石炭の最低賃金、少なくとも坑内夫の最低賃金というものを早く確立しなければ、現在の労働力を維持することさえ私は不可能だと思う。総理大臣は、この問題についてどういうお考ええで当たられておるか、御答弁を願いたい。
  62. 池田勇人

    池田国務大臣 昨年秋お話がございましたので、労働大臣を通じて最低賃金審議会に諮問いたしております。審議会で目下審議しておると思います。答申が出ましたら善処する考えでおります。
  63. 勝間田清一

    勝間田委員 労働大臣、どういう見通しであるか、これは明白に今日してもらいたい。そのうち何とかなるでは困る、はっきりしてもらいたい。
  64. 福永健司

    ○福永国務大臣 御意見通り、私どももできるだけすみやかなる結論を期待いたしておるのであります。過去の経過は別に繰り返しませんが、今まで鋭意検討をいたし、これは事実やってもらっておるのであります。だらだらやっているわけでは決してございませんが、さらに今月、賃金経学等の実態に関する全国的規模での詳細な調査を実施することになっておりまして、この結果が出れば、具体的な検討が大いに進むと、私は期待をしておるわけであります。ただ何日までにやれというようなことは、この種の審議会ないし委員会に対しまして、そういうようなことも言うべきではございませんけれども国会での論議あるいは私どもからも適切な言葉によって、しょっちゅう連絡いたしておりますので、今月の今申し上げました調査が実施されますれば、間もなく結論が出るものと期待しておるわけであります。  なお、先ほど坑内夫だけでもどらだというような御意見等もございますが、これもなかなか私ども実際に即したお考えだと存じます。ただ政府みずからがそういうようなことを、具体的にそういうことでやったらどうかと言うことも、労使公益三者構成によってやっておりますこの委員会にいかがかと存じておりますが、適切な方法で向こうに、刺激しないように伝わるような措置はとりたい、こう考えております。
  65. 勝間田清一

    勝間田委員 今月一ぱいの調査が済めば間もなくと、こういうのでありますが、一体いつごろが間もなくなんですか。あなたは見通しを持ってやっておられるに違いないと私は思う。
  66. 福永健司

    ○福永国務大臣 今申し上げましたように、せっかく労使公益三者構成による委員の各位によって御検討いただいておるわけであります。お願いしております私が、いつということを申しますことは、もう着々成果を上げて、やがて結果を生む前に、そう言うことはやや軽率ということになりますので、強くすみやかなる解決ないし結論が出ることを期待しつつ、いつということは、これは申し上げにくいのでありますが、そんなに長くない、こういうように考えております。
  67. 勝間田清一

    勝間田委員 福永さんのお人柄はよく現われておりますけれども答弁としてはまことに落第の答弁だと私は思うのであります。この最低賃金の問題は、現在の石炭の成年労働の需要という問題を考えてみ、その問題を打開する道としては、この問題以外の方法はないと私は考えているし、それを急ぐことは私は当然のことだろうと実は思っておりますが、この問題に対する早急な措置というものは絶対に必要ではないだろうか。特にわれわれ労働者の意見を聞いてみますならば、春闘における一番大きな目標というものは、やはりここの一つにあると私は聞いている。そういう点を考えてみるときに、雇用の安定と同時に最低賃金制の確立という問題がない限り、私は今日の石炭産業の安定はあり得ないと考えている。そういう意味から、この最低賃金の問題をただまかしてあるから、そのうちできるだろうという考え方ではなくて、現時点において最も必要な政策課題であるということを、一つ銘記しておいていただきたい。そのための処置をとっていただきたいということを、ここにお願いをいたしておきます。  それからもう二点でありますが、産炭地の問題等については、また後ほど一つ機会を見てお話しすることにいたしますが、私の非常な関心の一つは、石炭の流通機構、この問題に対する的確な施策が、まだ政府からはないと私は思う。政府は一体流通機構の改善の問題について、いかなる手を打とうとするのか、今日までのところ、若干専用線を作るという程度のものにすぎないのではないか。揚地における、あるいは産炭地における、あるいはその他商業機構における流通についての政策がない。これは欠陥の最も大きなものの一つではないだろうかと私は考える。一体政府は、この流通対策についてどう考えているのか明らかにしてほしい。
  68. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 流通部面の対策、これは御指摘通り大事なことであります。従いまして、過去においては輸送問題がまず光に取り上げられたと思います。御承知のように、鉄道運賃の処理の問題、あるいは石炭専用の輸送船の問題、これは今回予算にそれを計上いたしました。その他の問題で、揚地あるいは発地における荷役設備の整備の問題、これなどはそれぞれ−がけられておると思います。残っております問題で非常に困難な問題は、いわゆる炭種、銘柄を簡素化するというか、あるいは統一の問題であります。この問題は、政府側ばかりではなかなかできることでもございませんし、十分関係業界の協力を得ることが必要だと思います。しかし、これをいつまでもほっておくわけに参らないと思います。今後そういう方面にも研究を進めて参りたい、かように考えております。
  69. 勝間田清一

    勝間田委員 関連産業、あるいは関係産業の協力を求めるということについては、私は絶対に必要な条件だと思います。ついては電力、石炭及びセメント、こうしたものの長期契約は、一体今どういうように締結されておりますか、お尋ねをいたしたい。
  70. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 需要の面で、一番大きいのが電力でございます。電力は、いわゆる五千五百万トンの出炭の場合に、二千万トンの長期供給計画というものが、すでに立っておりますが、最近の産炭地発電、あるいは揚地発電等の計画等も、それぞれ軌道に乗りつつありまして、最近電力業界と相談したところでは、さらに三百万トン需要をふやす、また供給も二千三百万トンということで立てる、こういう方向でただいま進んでおります。また鉄鋼、セメントあるいはガス等につきましては、はっきりした数字は、約束する段階にまで至っておりませんが、十分石炭業界現状に理解を持っておりますので、ただいま過大でない数量等につきましては、これらの業界も引き取ってくれるという見通しを立てております。
  71. 山村新治郎

    山村委員長 勝間田君に再度申し上げますが、だいぶ時間が超過いたしましたので、よろしくお願いいたします。
  72. 勝間田清一

    勝間田委員 もうすぐですが、一つよろしくどうかお願いいたします。  自治大臣一つお尋ねしたいと思うのですが、あなたは、わざわざ九州まで出かけていただいたわけですけれども、今度の予算を見ますると、産炭地域における財政支出の増及び収入減、これからくる財政補てんの処置というものは、今国会に何らとっておりませんね。私はあなたが現地で言われた談話も新聞で見ましたが、少し公約違反ではありませんか。どういう処置をとられておりますか。
  73. 安井謙

    ○安井国務大臣 来年度におきます地方財政計画は、本日全体計画ができたばかりでございます。従いまして、それによってさらに区分を見まして、それぞれ必要な措置はとるつもりでございますが、現在緊急と目されております緊急就労対策でありますとか、生活保護費でありますとか、鉱害対策費、そういったものについては、それぞれ必要額を検討して、出てきた額に対しまして、起債あるいは特交というもので不足額は補給するように考えております。
  74. 勝間田清一

    勝間田委員 鉱産税の減について、どういう財政補てんをいたしますか。
  75. 安井謙

    ○安井国務大臣 鉱産税につきましては、税制改正による減税によりまして、約六千万円の減収が見込まれますが、これに対しましては、普通交付税の配分において補てんし、さらに、事業不振などによりまして著しい減収があります場合には、特別交付税の交付にあたり、特別の配慮を加えていきたいと考えます。
  76. 勝間田清一

    勝間田委員 それでは最後に、私は通産大臣一つお尋ねいたしますが、以上石炭の問題について御質問をいたしたわけでありますけれども、メタルの関係、鉱業の関係、これはやはり非常に重要な政策の課題だと私は思う。政府は今日まで、いわゆる保護関税立場から金属部門に対する政策をやって参ったと思う。しかし、今日の金属部門の諸外国価格というものは、実は非常な変動をいたしております。この非常な価格の変動に対して、ただ保護関税の処置だけで、この政策は耐えていけないと私は考えている。どうしても日本のとるべき政策とすれば、何といってもまず支持価桁制度というもので底をささえていく、同時に、その支持価格制度ができた場合において、やはり近代化を進めてコスト・ダウンの政策を別途にとっていく、この政策を併用することなくしては、私は今日の状態は救えないと思う。そこで、コスト・ダウンの政策をとっていく場合に一番重要な問題は、やはり探鉱、資源探査、これに対する積極的な政策であろうと思う。この政策はわれわれの強く要望するところでありますけれども、今後の金属鉱業に対する自由化対策というものについて、一体政府はどういう処置をとっていこうとするのであろうか、この点を一つ明らかにしていただきたいと思う。
  77. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいまのお尋ねお答えする前に、先ほどの石炭の長期引き取りで、私の少し不十分だった点を訂正させていただきます。鉄鋼、ガス、これは三十八年度に一千二百万トン、四十二年度は一千三百万トン、こういう長期契約ができております。この方は原料炭でございますが、そういうことで、先ほどの電力とあわせて一つ御了承いただきたいと思います。セメントは、ただいままでのところ長期引き取り契約ということにはなっておりませんが、大体において望ましい数量としての六百万トン程度は、引き受けてくれるというように実は考えております。  次に非鉄金属についてのお尋ねでございます。非鉄金属の実情は、国内資源が非常に貧弱だという点に一つの問題があるわけでございます。その点では、御指摘になりますように新鉱床探査、これに対して政府が積極的に補助することが望ましいということで、今回の予算におきましても、倍率から申せば約三倍に近い鉱床探鉱費の補助を計上いたしました。しかし、倍率は金額そのものではございませんので、金額といたしましては三億程度でございますから、まことに少ないと思います。これをまずことし実施してみまして、そしてさらに国内資源開発に努力をしたい、かように思います。  また支持価格についてのお話がございましたが、これは国内の鉱物資源のコストの引き下げ、いわゆる合理化、これには最善の努力を払わせて参りたいと思います。そこで、外国の非常な値下がりというものに対して、ただ関税だけで処理するという今の固い関税の方法ではなかなか困難ではないか。こういうものに対処するような便法が考えられれば非常にしあわせだと考えるが、ただいまそういう道もございません。また今の支持価格を作るということ自身は、必ずしもそれで解決するものではないと思いまするので、私はむしろそういうものも関税等で障壁を設ける方が望ましいのじゃないか、かように私は考えて、お尋ねの趣旨には必ずしも賛成しておるわけではございません。
  78. 勝間田清一

    勝間田委員 以上で、エネルギー並びに石炭等に関する私の質問を終わるわけでありますが、以上の政府答弁を聞いておりますと、やはり一番大きな問題は、総合エネルギー政策の問題だろうと思う。この点についてはかなり見解も相違——さほど大きな相違があると私は考えませんけれども、しかし一番かなめの点の重要な争点だと私は考えておりますので、せめて——せめてではなく、すみやかに政府総合エネルギー政策審議会法律に基づいてこの国会で作って、そうしてエネルギー政策検討を至急に開始する。それと各種別のエネルギーの実態別の強化をはかっていくということを、やはり両方していかないと、私は今日の世界情勢におくれるのではないだろうか、かように考えますから、今国会を通じて私は政府とこの問題について、さらに議論をかわしてみたいと思う。そうしてでき得れば実現の方向にこれを進めたいと思う。この点を強く要望しまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
  79. 山村新治郎

    山村委員長 それでは、そのままでちょっと休憩いたします。    午前十一時五十二分休憩      ————◇—————    午前十一時五十七分開議
  80. 山村新治郎

    山村委員長 それでは再開いたします。  これより一般質疑に入ります。藤本捨助君。
  81. 藤本捨助

    ○藤本委員 わが国の経済は世界の脅威とまでに高度の伸長を遂げておりますが、それにもかかわらず国民生活には明暗の二相がありまして、社会保障を充実強化する必要をますます痛感いたしておるのであります。私は以下、社会保障が結局は国民生産、国民所得により、税、保険料、一部負担等によりましてまかなわれておりまするがゆえに、若干の経済財政、次に社会保障について二、三点政府にお伺いいたしたいのであります。  まず第一は、景気変動と財政政策についてであります。近代における財政運営の重要なる特色の一つは、景気を調整し、国民経済の変動を安定化するにあるのであります。一九三〇年代におきまして資本主義経済の深刻なる危機を打開するために、その対策として用いられ、ケインズによりましてその理論構成のされましたことは周知の通りでございます。すなわち最初は、公債を発行し、赤字予算を編成して、国民経済の変動を調節いたす手段といたしましたが、後にインフレを抑制し、また経済の過熱化を押える手段として用いられたのであります。財政の運営がかような景気調整を行なう使命を十分に果たすためには、これに機動性、弾力性を与える必要があるのでありますが、それには現行の財政法の一部を改正するの要があると私は信ずるのであります。以下、私見を交え、若干その理由を明らかにいたしまして政府の所見をお伺いいたしたいのであります。  申すまでもなく、財政は景気のよいときに膨張いたします。これは、財政収入が国民経済発展、また国民所得の増加が反映いたしまして増加するからでありまするが、この財政収入は、国民経済の、また国民所得の発展・増加に比例的に増加するのではなしに、むしろ一般には国民所得の増加以上に増加いたすのであります。昭和二十七年、八年、三十二年、三十五年の例によりましても明らかでございますように、大体二倍以上にふえる。これは、財政収入の骨幹でありまするわが国の租税構造が所得の弾力性を持っておる。すなわち、財政は、今国民所得に対しまして相当高い税をかけておりますけれども、累進性を持つ所得税、景気の変動に非常に敏感な法人税をもって税組織の中心になしておりまするから、景気のよいときには国民の所得の増加以上に税の収入が増加いたすのであります。従いまして、かような財政収入のたくさんあるときに、これを、その年度内に使い切らないで、たとえば昭和二十四年のドッジ超均衡予算のごとく、また昭和三十王年度予算における経済基盤強化資金のごとく、あるいは財政法の一部を改正いたしまして、その一部をたな上げ留保して、そして総需要を抑え、景気の過熱を阻止するということが必要であろうと思います。これに反して、不景気の場合におきましては、民間の投資は減りますが、財政支出は容易に減りません。それは財政支出の規模が景気変動のサイクルと無関係に政治的あるいは経済的の要因によりまして規定されておるからであります。また、一度増額いたしました財政支出が容易に変更されない。また、人口の増加、また公務員のベース・アップ等によりまして、自然増的な財政支出が非常に要請されるのみならず、景気の悪いときには、社会保障費、また、いろいろの不景気対策、あるいは社会不安に対する治安維持に要する経費等々の需要があります。従いまして、財政投融資も減りません。また、税すなわち財政収入は、不景気になりますと、国民経済、国民所得の沈滞率より以上に減るのであります。ここにおきまして、好景気の積極財政が消極的にならざるを得ない。また、財政投融資の原資でありまする郵便貯金、厚生年金、簡易保険も伸び悩む。ここにおいて、政策の転換、そして経済の変動を調整いたすためには、この財政収入の不足を、好景気時に財政収入のあり余るものをたな上げしておいたのをここにくずして、景気を刺激し、国民経済の変動を安定化さすべきであります。すなわち、景気のよいときにはこれを押え、景気の悪いときにはこれを刺激するという手を打つためには、財政の運営に機動性、弾力性を与えなければなりませんが、今の制度下においてはできません。ここにおいて私はお尋ねいたしたいのでありまするが、財政法の一部を改正する要があるということに対して、大蔵大臣の御所見をお伺いいたします。
  82. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 御意見通りだと思います。従って、現行法のような予算の単年主義というものについては相当検討を要するものだと考えております。私どもも、できるならばこの問題と取り組んで財政法の改正にも手をつけたいということで、ただいまもう着手して検討を始めておりますが何としましても、これは非常に大きい問題でございますので、財政法全般の問題となりますから、まだただいまのところこの作業は進んでおりませんが、とりあえず、しばしば問題になりました二十九条の問題についての解決はこの国会でしていただこうと考えて、この改正案はとりあえず今国会に提出いたしておりますが。今後のそういうような問題に関する改正については十分検討したいと思っております。
  83. 藤本捨助

    ○藤本委員 今の作業を進めていらっしゃるということをさらに進めていただくために、他の角度からまたお伺いいたしたいと思います。  財政の均衡は必ずしも単年度に保持するという必要がないのではないかということでございます。すなわち、景気変動のサイクルは、あるいは好景気、不況期というような循環をいたすからであります。従いまして、景気の悪いときの財政支出の不足は景気のよいときの財政収入の豊かなので調整いたすべきである。これは大臣承知のように、スエーデンにおきましては、長期予算の編成をして、経常勘定と資本勘定に分けております。そうして、経常勘定が単年度であり、資本勘定の方は長期予算である。また。イギリスにおきましても、経常勘定と資本勘定に分けまして、経常勘定の赤は資本勘定の公債または借入金で補っておる。あるいはまた、資本勘定の赤は経常勘定の黒で補っております。こういうように、わが国におきましても、景気の調整、国民経済の変動声調整いたすためには、わが国の財政法上金科玉条としておりまする予算の単年度原則、会計年度独立の原則、あるいは総計予算主義等を瀞検討いたしまして、さように弾力性のある、機動性のある運営をして、財政収支の均衡をはかるべきである、私はかように思いますので、大胆のお手元でなさっている作業を、さらに一段と強く、またすみやかに進めていただきたいと思うのであります。いかがでありますか。
  84. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 その方針で今検討を進めておる最中でございます。
  85. 藤本捨助

    ○藤本委員 私は、ただいま、財政均衡の問題を単年度原則によらないでということを申し上げたのでありますが、さらに、これはまた私は非常に痛感いたしておりますが、財政支出のロスを除去するということからも特に御考慮を願いたいのであります。予算がきまって、実施計画を立て、これを実施するのは八、九月でありましょう。例を東北、北海道にとりますと、すぐに冬将軍がやって参ります。工事の施行は非常に困難になる。しかも、きまった予算は単年度内に使い切らねばならない。そこで、無理して工事をする。財政支出に御承知のような非常なロスが出ます。かような例は実に枚挙にいとまありません。それだけになけなしの国民の税金が浪費されておるということにも相なりまするので、この点特に御配慮をいただきたいと思います。これは先ほどお述べになった御趣旨と同じでありますから、御答弁はよろしゅうございます。  次に、角度を変えてお尋ねいたしたいと思います。財政運営の景気を調整する使命は、短期の景気の変動に対して非常に臨機応変的に対処いたさなければなりませんから、きわめて機動的な弾力的な運営が必要でございます。申すまでもなく、予算は国会審議、議決を要する。補正もまたしかりであります。新税の創設、税率の変更、また法律によらねばなりません。債務を負担する、これまた国会の承認が要るのであります。かように、予算の単年度主義会計年度独立の原則、総計予算主義等々のいわゆる財政の民主主義を貫くということになりますと、財政の通常におきまして景気を調整するタイミングを逸することに相なるのであります。そこで、この景気を調整する財政運営の使命と財政民主主義との調和をはかるために、必要がある場合には、国会の議決を経ず、ある一定の条件と範囲において行政府だけでとり得るような措置を、国会から授権されるということが必要であろうと思います。臨機応変の処置をとるために国会から授権されるということが必要であろうと思います。イギリスにおきましては、昨年、御承知のように、関税国内消費税等の間接税に対しましては、政府が景気調整の必要ありと認めた場合には、税法改正の措置によらないで、法定税率の上下一〇%を境に、特別付加税率、特別減税率を課し得るところの授権を国会から受けております。それを昨年の七月にポンド不安の際に総合政策の一環として利用したということは御承知通りであります。こういう点につきまして、国会の授権のために立法措置が要りますが、大臣に何かお考えがあればお示し願いたいのです。
  86. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 そういう財政運営ができるということは、私は好ましいことだと思います。今回の予算編成のときにおいても、そういう考えを私ども持ちましたが、しかし、これは予算編成のときに考えることではなくて、そういう制度ができたあとで予算編成をやるならよろしゅうございますが、たとえば、それを予想して、その法律国会を通るか通らぬかわからないものを予想して予算編成をやった場合に、これが通らなかったというようなときには政府考え方が全く実現できないという事態になりますので、これは先ほどの財政法の改正の問題ともからんで慎重に検討すべき問題だということで、今回はそういう考えを私どもは持ちませんでした。新聞紙上に、一時、予算の予約繰り延べとかいうようなものが出ましたが、これも私どもとして煮詰まった考えではございませんで、今の財政法から見ましたら、使わないというふうにきめてかかった予算を盛るということには非常に疑義があろうと思います。そういうような点をいろいろ考えまして、結局、三十六年度のたな上げをやることによって、三十七年度はそういう措置をとらなくても済むというようなことから、この予算編成をやった次第でございますが、この編成の過程においても、おっしゃられたような御議論を私どもは十分いろいろ勘案、検討したつもりでございます。
  87. 藤本捨助

    ○藤本委員 政府がいわゆる予約繰り延べ方式というものをお考えになりましたことも存じておりますが、時間もありませんから、またの機会にお尋ねいたします。  次いで、景気の調整に対しまして、財政政策のほかに重要な金融政策がございます。これは、申すまでもなく、金利政策、公開市場操作、ざらに支払い準備制度の三つの大きな機能がございますが、政府は、今回、設備投資等による景気の過熱に対しまして、これを抑制するために、金利政策をとって、公定歩合を二度引き上げられました。やむを得ない措置であり、また、必要な措置であったと思いますが、しかし、相当犠牲を受けたものがあり、また、受けつつあるということは大臣承知通りであります。そこで、私に端的に言わしますならば、そういう方法も今までやってきた一つの手であるが、しかし、ここに、景気の過熱をするような設備投資をする企業に対しましては減価償却を認めない、あるいは、減価償却を認めないのみならず、そのような設備投資をする企業に対しては相当の課税をするというようなこともやれば、景気の調整、あるいは過熱の抑制に対して、害が少なくて、効果があったであろうと私は思うのであります。こういうことに対しての御所見、今後まだまだ問題がございますので、大臣の御所見をお伺いいたします。
  88. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 自由化を前にして必要な設備の合理化はどうしても推進しなければなりません。こういう状態にあるときでございますから、設備を押えるといっても、押え方に問題があるわけでございまして、必要なものを押えるわけにはいかない。問題は、やはり、その実情を見た選別投資を政府が適当に指導できれば、これに増した押え方はないのじゃないかと思います。そういう意味から、設備投資につきましては、合理化審議会を通ずる吟味を十分にすること、それから、日銀や大蔵省は、金融機関を通じての自主的な設備抑制を民間にさせるという方向行政指導を行なってきましたが、そういう抑制の必要のあるときでございますから、今おっしゃられましたような税制の面から見ましても、期限が切れた特別措置法の延期をやめたり、従来のやり方と比べて、この機械がその対象になるのなら、合理化が必要なんで、当然この機械も追加してほしいという要望がこの期間にはずいぶんだくさん出ておりますが、こういうものは一切追加することを見合わせるというような措置もとって、今対処しておるわけでございすいす。
  89. 藤本捨助

    ○藤本委員 次に、世界経済の動向と問題点につきましてお尋ねいたしたいと思います。  昨年における世界経済の動向について見ますると、米国におきましては、昨年の初めごろから景気が立ち直りかけまして、年末に近づくに従いその上昇のカーブがますます活発になりました。ヨーロッパにおきましては、拡大経済が鈍化いたし、ここにヨーロッパとアメリカとの間に景気変動のサイクルが対照的に交錯した。また、低開発地域においては、第一次産業に属する原材料の輸出が非常に振るわないで、外貨に困った。それで、先進国の援助体制の強化にもかかわらず、非常に工業国との間の格差がひどくなりました。それで、一昨年は世界貿易が大体一二%強の成長を見たのでありますが、昨年は伸び悩みまして、おそらくせいぜい四%程度くらいでないかという見方もあるのであります。ここにおいて、私は、藤山長官に対して、本年における世界景気の見通しにつき御所見を承りたいのであります。
  90. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 世界経済の景気の動向ということは非常にむずかしい問題でございますが、まず、アメリカは、ただいまお話しのように、昨年の中期から次第に景気が回復して参りまして、本年も引き続き回復あるいは上昇を続けるだろう。先般の経済教書等に見ましても、政府としてはある程度景気上昇の方向に持っていくようでございます。ただ、御承知通り、アメリカにおきましては、ドル流出等の問題もございまして、従って、そういう観点から、非常に強く景気をあおるというようなことは考えられないと思いますけれども、しかし、不景気から立ち直って景気上昇の線にあるということは、疑いない事実でございます。  また、ヨーロッパにおきましても、各国それぞれに事情がございますけれども、今日、EEC等となりまして、経済問題についてはそれぞれの国が各般の調整をしながら進めております。従って、ヨーロッパが必ずしもこれ以上不景気になっていくというふうには見るおけに参らぬのでありまして、一時のドイツのような状況というものがEEC諸国全部にわたるというふうには考えられませんけれども、しかし、まず一応安定的な成長発達を遂げて参るのではないかと思います。ただ、問題は、イギリスが、昨年以来、御承知通り、ポンドの不安に脅かされ、輸出貿易その他につきましても非常に不振でございまして、問題もございますし、また、そのためにあるいはEECに加盟する等のことを考えておりますので、そういう点で若干の不安があることはもちろんでございますが、ヨーロッパ全体として見ますれば、まず大した不況に陥るというような状況にはないのではないかと思います。  低開発地域におきます景気の動向というものは、アメリカその他ヨーロッパの景気の動向に相当左右されるのでありまして、アメリカの景気が上昇過程に向かい、あるいはヨーロッパの景気が引き続き安定的に横ばいで推移して参るとすれば、第一次産品等の輸出力が出て参ると思うのでありまして、そういう意味において、今日の低開発国の経済事情というものは、いろいろな建設もやっておりますし、政治的な不安定な状況にもございますので、無条件に楽観するわけには参りませんけれども、今申しましたような事情から見ますると、本年は、そう非常な不景気に陥る、あるいは困難な状況に陥るというようなことはなくて推移するのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  91. 藤本捨助

    ○藤本委員 昨年における世界経済の推移のうちでいろいろな問題が新しい展開をいたしましたが、世界経済の動向の観点からどうしても見のがしてはならないものが二つあります。その一つは、貿易の自由化、資本取引の自由化に刺激されて、各国が、その経済を、経済の狭いワクから、広い視野において、規模において展開しようというようになったことであります。他の一つは、EECが一九五九年発足以来非常な進出を見まして、今やヨーロッパにおいてあるいは世界経済に対して大きな勢力を持ってきたことであります。ここで私がお尋ねいたしたいことは、このEECが世界経済及び日本経済に対してどういうような影響を与えるか。わが国の対策はどうか。さらにまた、イギリスが加盟することに踏み切り、昨年七月三十一日でありますか、マクミラン首相はローマ条約二百三十七条により申し込みました。その結果ますます強化されるであろうところのEECが、世界経済日本経済にどういう影響を与えるか。また、イギリスの加盟に対しては英連邦が非常に反対をいたしておりまするから、そういう連邦とわが国との関係はどうなるか。第三に、米国は、このEECの対外競争力の強化、あるいは対外差別的な傾向が見えておりますので、これに対処いたすために通商拡大法案を用意いたしておるのでありますが、いずれ米国がこれに接近するか、あるいは入るかいたしますならば、米国の総貿易の三分の一、米国貿易収支の二分の一の黒はヨーロッパにあるのでありますが、そういう関係からして、日本との関係はどうなるのかということについてお尋ねいたしたいのであります。
  92. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 EEC諸国が非常にその後の経済的な発展施策に成功してきておる。そこで、一月十四日に第二段階に入ったということを言われておるわけであります。これは、御承知のように、関税引き下げの問題から、さらに一歩進んで、農業問題で共通した政策をとっていこうということに合意したわけであります。アメリカにおいても、この傾向に対処いたしまして、ケネディ経済教書でも、また通商拡大法の提案におきましても、EECとの間の相互の為替の引き下げということによっての強化ということを強く言っておるわけであります。  そこで、わが国とEECとの関係でございまするが、EECの中でガット三十五条を援用しておらない国は、西独とイタリアでございます。しかしながら、イタリアは、そういうことではありまするけれども、わが国に対して実質上の差別待遇を大きく行なっておる。そこで、私どもとしましては、EEC諸国のそれぞれに対しまして、差別待遇の撤回を強く申し入れておるわけでございます。昨年の暮れにも藤山企画庁長官がガットの総会においでになりまして、非常に効果をあげて、もう三十五条援用というのは時代おくれであるというような雰囲気を作られたことは御承知通りでございます。そんな関係で、差別待遇の問題も好転しつつはございまするけれども、なお多くの努力が要ると思います。一方、EECの当局に対しましても、先般レイという経済関係大臣をしておりまする委員日本に来ていただきましていろいろ懇談いたしましたが、日本実情に対して非常に認識を深めて行かれました。われわれといたしましては、EECそのものに対しても、あるいはEECを構成する各国に対しても、それぞれ日本との貿易拡大について大きく呼びかけておるわけでございます。今一人当たりの日本商品のEECにおける消費量というものは二・三ドルぐらいでございます。アメリカは六・四ドルぐらい日本から買っておるわけでございます。もう少しこれを拡大するという余地は大いにあると思います。また、そういう外交的な工作を別といたしましても、日本の輸出政策において、あまり一ぺんに大量に商品が一カ所に集中しないように、いろいろと通商産業上の施策において御配慮を願っておる次第でございます。今アメリカは関税引き下げをEECとの間に考えておりまするけれども、これは日本との間には最恵国約款がございますので、これはやはり日本に均衡すべきものではないかというふうにわれわれは考えております。また、アメリカにおいてもさような好意は持ってくれているようでございますが、しかし、その間にはいろいろ交渉上幾多の難関があると考えておりまして、大いに努力を要するところであると考えております。  一方、イギリスがEECに加盟したいということを言っておりまして、これに続いて、他のEFTAの諸国も、これに対して踏み切って加盟するか、ないしは共同しよう、こういう気持を表明しております。しかし、イギリスと英連邦との関係では、大体英連邦諸国のイギリスに対する輸出は五割方出ている。イギリスの輸出もたしか四八%ぐらい英連邦諸国に対して出ておるわけでございます。従って、そういう関係で、EEC諸国に対するイギリスの接近と、イギリスと英連邦諸国との関係というものも、今後いろいろな問題をはらんでいるわけでございます。わが国といたしましては、たとえばオーストラリア、あるいはニュージーランド、あるいはカナダ、そういうような国との間にも緊密に連携いたしまして、それぞれの国との貿易の拡大をはかっていきたい、かように考えておるわけでございます。
  93. 藤本捨助

    ○藤本委員 今、外務大臣は、アメリカとわが国との関係におきまして最恵国条款のお話がありましたが、これは、この間ソープ氏も申しておりますように、最恵国条款が自動的に発動するということになりましても、わが国の製品中、国際競争力を持たない、従って輸出できぬようなものに対して最恵国条款の適用があっても、それは意味をなしませんので、ここに、今お述べになりましたように非常に重大な問題があると思いますから、この点につきましては、今後の交渉でありましょうが、何分御善処をお願いいたす次第でございます。  次に、貿易自由化についてお尋ねいたしたいのでありますが、これは、申すまでもなく、比較生産費の原則に基づきまして、国際分業の利益に均霑しようというのが趣旨であろうかと思います。しかし、現在、世界の経済の動向、あるいはまた各国の態度を見ますと、次第に経済は地域化せんといたしております。これは、貿易自由化原則と今後どういうように調和するのか、さすのかというところに非常にむつかしい問題があろうと思いますが、私は、これがこれからの世界経済の最も重要な課題であろうとも考えられます。そしてまた、これは、わが国のごとく、ヨーロッパの広域経済圏、あるいはアメリカあたりの事実上の広域経済圏の谷間におるわが国としては、決して人ごとではございません。ですから、この世界の経済動向が非常に地域化しているということと貿易自由化の原則と、どういうように調和さすかということについて、何か構想がございますればお聞かせを願いたいのであります。
  94. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 世界的な規模で、いわゆるグローバルな貿易というものは、これは理想だと思います。しかし、一方においてナショナルな貿易というものが国の産業保護という意味から考えられるわけでありますので、最近はその新しいこととして地域的な貿易ということがいろいろ言われてきておるわけであります。EECその他はまさにその適例でございます。そういう大勢の中にありましてわれわれはどうすべきかということでございますが、EECとの接近、あるいはアメリカとの接近、そういう貿易上の接近につきまして、それぞれに、こういうEECのようなブロック、あるいはEFTAのようなブロックが、内向きでなくて、外向きな、開放的な政策をとりながら、その国の地域の発展と同時に世界全体の理想とするグローバルな貿易というものを指向しつつ、その間に相互の利益を発展させるという方向に臨むべきものである、こう考えまして、具体的にそれぞれの問題について強力に交渉を行なって参っておる次第でございます。
  95. 藤本捨助

    ○藤本委員 次に、四十七億ドルの輸出を確保するということは至上命令でありまして、わが国の経済、国民経済の運命にもかかわるような重大な問題であります。しかし、これを達成するには必要な条件がございます。総理は国民の協力を要請されておりますが、まことにごもっともしごくでございます。国民も誓ってこれに協力するということであらねばならないと思うのです。しかしまた、国民の方からも政府に対しましていろいろな声があります。私、寡聞にしてその多くは知りませんけれども、以下二、三拾って、国民の声として政府に申し上げたいと思うのであります。  いわく、賃金の値上げはよろしい、しかし、もっと能率を上げてもらいたい、ストライキもほどほどにやって生産性を向上してもらいたい、でなければ悪循環して物価高になる、そして輸出をはばむ、これが一つであります。(「冗談言ってはいかぬよ」と呼ぶ者あり)さらに、日本は、道路、鉄道、港湾、荷役設備、それらに一貫した能率の上がるような施策がまだできておらない、そこで、非常に運賃がかさむ、これがコストにはね返ってくる、国際競争には負ける、これが第二であります。この上に、あるいは私鉄運賃を上げたり、あるいは公共料金を上げられたりしたら、それこそ泣きっつらにハチだ、さらに、日本の銀行の利子も非常に高いじゃないか、イギリスや西ドイツやなんかと比べると非常に高い、これではコストが高からざるを得ないではないか、われわれは、昨年七月二十五日にロイド大蔵大臣がとりましたような、極度に輸入を抑えるとか、国民に耐乏生活を説くとか、金融の調整といたしまして一挙に五分五厘上げたとか、あるいは賃金にストップ令をかけたとか、そういうラディカルな要請はしない、日本政府に向かって言ってもだめだ、できない、だが、もっと政府はしっかりしてくれという声がちまたに相当ございます。さらにまた、販路の確保に対しまして、先ほども述べましたように、今日本は東西広域経済ブロックの谷間におる、下手をやれば世界の孤児になるかもしらぬ、そのようにならぬようにしてくれ、それから、エロア・ガリオアの賦払い金は、耳をそろえてアメリカ政府に払う、だが、アメリカ政府は、米議会の承認を経て、東南アジアの開発に、日本が払ったその金をそっくり日本の手を窓口にして使い得るようにしてくれ、その計画はこちらで万全の措置をとる、こういうことであります。それから、さらに、肥料やセメントの入札にはぜひ落とさぬようにしてもらえ等々の声がございます。  こういう声に対しまして、その二一三を拾ったのでありますが、関係大臣の皆さんから詳細に御答弁を願いたいのであります。
  96. 福永健司

    ○福永国務大臣 貿易の自由化と関連をして賃金についての御意見がございました。私は、賃金ストップというようなことは考えておりませんが、貿易を拡大するという建前から、適当な合理的な姿であらしめたいとは考えております。  そこで、お話にも出ましたるごとく、生産性の向上と見合いつつ適度に賃金が上がっていくことはけっこうであろうと思うのであります。貿易の拡大を阻害するようなことにならないように、これは日本の国民経済全体の建前から考えていかなければならぬと存ずる次第でございます。
  97. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 貿易を振興するために、輸送の関係が非常に至要だ、港湾の設備あるいはその他について、国民が、そういうことのために円滑にいかないから、コストが高くなるじゃないかというような話があるということを今お述べになりました。今日の事情から申すと、その点が非常に大きく私は響影をしてくる問題と思います。従いまして、公共投資その他につきましては十分配慮をして参りまして、輸送の円滑化をはかる、あるいは輸送の迅速化をはかる、そうして、それに伴いますコストの上昇というものを下げていかなければならぬということについては、われわれ政府としてもやらなければなりませんし、また、従って、本年度の予算等につきましても、公共投資全体につきましては、十分な配慮をもって処置しておるわけでございます。その他、鉄道運賃等の問題につきましても、単なる赤字という問題だけでは相なりませんけれども、しかしながら、将来の輸送を今のような観点から見まして、将来影響を起こすというような問題につきましては、やはり相当な将来の改善策を講じて参らなければならぬわけでございますから、そういう点を配慮して考えて参りたい、こう存じております。
  98. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 ガリオア・エロアの問題は、本日本会議でも提案きしていただきまするが、藤木さんのお話のように、あの交換公文には、アジア地域に対して大いにあの金を使うということを言い、また、それに対してわが国との間で十分相談しようという二項目がついておりますので、私どもはさようになろうかと考えておる次第でございます。
  99. 藤本捨助

    ○藤本委員 大蔵大臣に、輸入ユーザンスがどれほどあるか、お尋ねしたいのです。
  100. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 十二月末で十二億ドルでございます。
  101. 藤本捨助

    ○藤本委員 非常にこれは問題がありますが、時間がないから別な機会にします。  次に、関税政策について、通産大臣にお伺いいたします。また、大蔵大臣にもお伺いいたします。
  102. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 関税についての改正案をきょう国会政府としては提出いたしましたが、自由化の問題と関連して関税を引き上げるものと、それから引き上げを要するものと、百数十種にわたった改定をここで加えまして、国会に提出した次第でございますが、自由化とからんで国内産業に大きい影響を与えないようにという配慮と、同時にまた、たとえばEECというようなところに密接な関係を持って日本が入っていけるようなために、関税を下げる必要の起こっているものもございますので、これを整理して本日提出いたしました。
  103. 藤本捨助

    ○藤本委員 今秋十月までに日本の貿易自由化は九〇%になりますが、あと一〇%残るが、その内容をお示し願いたいのです。
  104. 今井善衞

    今井(善)政府委員 お答えいたします。  ことしの十月に九0%の自由化をいたす予定になっておりますが、残りの一〇%につきましては、まだ具体的には何ら決定しておりません。ただ、予想されますことは、日本の国際競争力の弱いもの、つまり、自由化いたしますと、海外から輸入が入りまして、それによりまして影響を非常に強く受けるというものでございまして、たとえば農産物の一部とか、あるいは機械関係で、将来はりっぱに太刀打ちできると思いますが、過渡的に競争力が不足であるというふうに思われる、たとえば自動車だとか、あるいは重電機だとか、電子計算機だとか、あるいはそのほかのものにしましても、たとえば肥料だとか、そういったものが予想されるわけでございまして、品目の数にいたしますと百五十ないし二百程度になろうかと思いますが、まだ具体的には決定しておりません。
  105. 藤本捨助

    ○藤本委員 貿易自由化に伴いまして、この結果として、わが国の産業に、あるいはまたその産業に従事しておるところの労務者に、いろいろなしわが寄っていくだろうと思いますが、そういう場合を予想して、何かこれに対する方法、対策があってしかるべきでありますが、その点についてお伺いいたします。
  106. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 お尋ねが非常に簡単でございますが、各方面にいろいろな影響があるわけでございます、それぞれの業種についてそれぞれの対策を立てていくということになるわけでありますが、特に中小企業等の面で、本来弱い産業だといわれておる、これに対しての国際競争力の強化、これは特に必要だろうと思います。大企業といわず、中小企業といわず、国内においての事業内容の整備、いわゆる体質改善も必要でございますが、そのうちでも、ただいま申し上げるように、中小企業に対して特に私どもは留意しなければならない、かように実は考えます。今日まで大企業等で、外国からいろいろ特許その他を買って、事業そのものとすればおくれないようにいたしておりますけれども、そういう意味で、また、輸入等についても、昨年などは札当広範に活発に行なわれたようでございます。しかし、最近の国際収支の改善という観点に立てば、国内設備投資の抑制においても、必要なものはこれを進めていくという態度を堅持して参りますが、同時にまた、輸入抑制に際しましても、機械類等の輸入はこの数カ月特に抑制して参りました。しかし、これなども、中小企業の面においては、私ども、特別に認識のある処置をとるべきじゃないか、また、金融あるいは税制等におきましても、同様の考え方で取り組んで参るつもりであります。要は、国際競争力をいかにして備えさすかということに尽きるのでございまして、そういう意味の指導を強化しておる次第でございます。
  107. 藤本捨助

    ○藤本委員 大蔵大臣に、国際金融制度の改善につきましてお尋ねしたいのでありますが、EECの形式及びその進出によりまして、アメリカ経済及びドルの国際経済における地位といいますか、それが相対的に低下しておるような感がいたしております。一九五八年以来六〇年までに、大体金が五十億ドルほど出ております。それから、イギリスは昨年ポンド不安がありまして、て、昨年の八月五日と記憶いたしますが、十五億ドルの外貨を引き出しておる。それから、スタンドバイ・クレジットを五億約束しております。こういうわけで、世界の金融制度における二大枢軸国の通貨の権威といいますか、地位というものがぐらついております。そこへ持っていって、過去数年間におきまして、世界貿易の増加は二百八十九億ドル、伸び率三〇%でありますが、世界における金及び外貨の準備は五七・五億ドルであります。一〇%増であります。ここらにバランスの問題もある。さらにまた、一九五八年以来、ヨーロッパのおもなる国家は通貨の交換性を回復いたしております。こういうような事情におきまして、世界経済の発達に非常に大事な国際金融制度を改善したらどうかというような声が、ずいぶん聞かれるのでありますが、大蔵大臣はこれに対してどういう考えを持っておられますかをお尋ねいたしたいと思います。
  108. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 西欧諸国の通貨の交換性回復ということを一つの契機にしまして、国際経済の分町におきましては、貿場・為替の自由化が急速に進んできましたが、他面、短期資本の移動も非常に激しくなってきまして、これが主要国の国際収支の安定を不当に害するというような問題が出てきておることは御指摘通りでございますが、結局、金の産出というものと国際通貨の需要というものは現在伴っておりません。そこにやはり根本的な問題があろうと思います。ポンドとかドルというような国際決済通貨が、各国の通貨から独立したものではなくて、イギリス、アメリカという国の自国通貨が国際通貨になっておるという現状におきましては、当然、国際流動性の問題を解決しようとすれば、自国通貨を国際通貨にさせられておる英米が赤字に始終ならなければならぬというようなことにもなりますので、この国際通貨制度を将来どういうふうに改善していくべきかということについては、IMFの改組問題を中心にしていろいろ議論があることは御承知通りだと思います。先日日本に参りましたトリファン教授は、この問題に特に熱心な研究者でございまして、IMFを信用創造のできる銀行というものに改組してこれを解決すべきだという意見を持っておりますし、また、そこへいくのは早い、現実問題としては国際通貨の倉庫にしておけばいいというふうに、IMFの性格を倉庫にするか銀行にするかということを中心に、各国ともこの問題には今関心を持って研究しておるところでございますが、実際問題としては、とりあえずこの流動性の問題に対処するために、今専務理事をしておるヤコブソンの案によって、各国があらかじめスタンド・バイ取りきめをしておいて、六十億ドルの金を必要によっていつでもIMFに供出する、そうしてこの引き出しを必要とする国が出たら、そこへこの通貨を供出する、そういう必要が出た場合に、各国へあらかじめ約束をとっておいて、そうして割り当てるということによって対処することがいいではないかという、実際問題としてはそこらで解決するのが妥当だろうということになりまして、私どもも、昨年ウイーンに行ったとき、この案を承知して、日本もこれに参加するということにしているわけでございます。一時的にはこういうことで対処できるとし醸しても、私は、国際通貨制度の改革の問題というものはやはり将来当然起こってくべきものだと思いますので、私どもとしても、この問題は関心を持ってただいま研究しておるところでございます。
  109. 藤本捨助

    ○藤本委員 わが国の経済界にはいろいろ重要な問題がありまするが、その中で非常に大きい動きとして台頭いたしておりますのは、企業の再編成あるいは統合等でございます。深まり行く景気調整の観点から、大体今までに企業は貿易自由化に備えてその設備等を非常に拡大いたしておりますが、これには、申すまでもなく、過当競争とか二重投資、あるいはまた経常の優劣等もありまして、それらの弊害がもう出てきつつあるのじゃないか。その意味からの再編成、あるいはまた、貿易・為替の自由化の観点から国際競争力を作るという必要から、また、一企業には改善すると申しましても大体限度がありますから、一つ大きく再編成または統合とかいう動きがございます。  そこで、私は、藤山長官お尋ねいたしたいのでありますが、これは非常に大事な問題であり、むずかしい問題であります。世界の動きからいたしまして、また、私は、今世界が第三次廃業革命の関頭に立っておると思います。そういう観点から、どうしても日本産業構造というものを根本的に考え直さなければならない。しかし、自由経済であります。これは経済の進歩発展の鉄則であります。けれども、国家といたしましては、かような大きな観点と、その重要性とからして、胎動する企業の再編成に対しまして、一つの指針といいますか、そういうものを立てて指示すべきでなかろうか、かように考えるのであります。そういう点について、何か構想がございますればお述べを願いたいと思います。
  110. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 お話のように、今日わが国の経済産業構造を変えていかなければならぬということは、日本の今日の現状から見まして、たとえば低開発国における工業の育成ということを考えてみますれば、日本における工業というものが高度化していくように、構造を改革して参らなければならぬと思います。また、自由化に対処していくとなりますれば、それに対する日本産業構造というものをある程度考えて参らなければ、これに対処できないわけでございまして、そういう意味において、今日設備投資が非常に多いということが現実でございますけれども、民間各方面の産業に従事しておられる方々はその点を十分了解して、そうして、みずからの仕事を新しいそうした情勢に適応するように改善をしていこうということに努めておられると思います。さらに大きな観点に立ちますと、先ほど来御意見がございましたような、ブロック化をしていく、あるいはエネルギー源が新しい原子力が加わってくるというような状況から見まして、世界全体が狭くなると申しますか、あるいはそういう大きな変動があるわけでございまして、そういうことになってきますと、その面からの日本の分担すべき、あるいは日本の立地条件に適応した産業条件に持っていくということも考えられるわけでございます。従って、そういう意味においては、工業にも農業にも問題があるわけでございまして、この際、こういうことをはっきり認識して、今後の日本経済政策というものを立てて参ることが必要だと存じておりますが、ただ何か指標になるような一つの言葉があるかと申しますと、そういう言葉はむずかしいので、現在はまだ考えておりません。
  111. 藤本捨助

    ○藤本委員 これは非常にむずかしいお尋ねでありましたが、しかし、私は、ぜひやらねばならぬことだと思いますので、権威のある一つの調査機関を作る、ただ各省に付属したようなものでなしに、もっと大きな国家全体を視野に置いて検討し結論を出すというような大きい調査機関、たとえばアメリカのスタンフォード・インスティチュートみたような権威のあるものを一つ作って、そこで日本産業構造をどうするかということについての青写真を作るということが必要であろうかと思いますが、この点につきましていかがでありますか。
  112. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 今申し上げましたような状況にありますので、われわれとしても、その点については十分留意して参らなければなりませんが、お話のような何か非常な大きな一つの調費会と申しますか、審議会と申しますか、あるいはインスティチュートを置いて、そしてそれによって日本産業構造のあり方というものをさらに再検討してみるというところまではまだ考えておりません。
  113. 藤本捨助

    ○藤本委員 独禁法につきましてお尋ねしたいのですが、経済力の集中は、それ自体必ずしも悪いとは言えませんが、画面する貿易自由化に対応して国際競争力を強化するという意味からして、場合によれば現在の独禁法を再検討するというような面がないとも限らない、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  114. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 あるいは公取委員長お答えした方がいいのかと思いますが、私かわってお答えいたします。  独禁法は、先ほどお話のありましたように、自由経済のもとにおいての一つ経済のあり方の支柱をなすものであります。従いまして、独禁法は簡単にこれを変更するとか改正するとか、こういうような筋のものではないと思います。ただ、先ほど来お話がありましたように、貿易の自由化が進んでき、また産業構造自身も変化を来たすという重大な転機に際会いたしております。そういうことを考えますと、実情いかんによっては、それに対応するような法制を考える、それはもう当然のことでございます。いましばらく実情を見ることが必要であろう、かように考えております。
  115. 藤本捨助

    ○藤本委員 次に、産業の編成におきましても、その他政治経済すべてにおきまして、結局は人であろうと思います。従いまして、人間の形成ということがきわめて大切であります。そこで、私は、公務員があらゆる方面の指導性を持つということからしまして、行政官庁の公務員の人事の高能率化をはかるためにどうすればいいかということが非常な問題であろうかと思います。そこで、綱紀の粛正、信賞必罰、あるいは順法精神など、重要問題もありましょうが、国家国民に奉仕する義務を持つところの公務員の心がまえ、これがまず根本問題であろうかと思います。第二に、行政制度、行政機構の改善あるいは官庁人単制度の刷新等々の問題がありますが、川鳩長官におかれましていろいろ御研究なさっておられるようでありますので、できるだけ詳細に御説明を願いたいと思います。
  116. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 御質問の趣意を取り違えているかもしれませんが、一応申し上げます。  現在の行政機構というものは、きわめて複雑かつ多岐でありまして、しかも公務員の活動がはなはだ非能率的であります。それがために国民に非常な不便を感じさせておるのであります。行政の実績もあがりません。これを改革することが目下の急務でございまして、臨時国会におきまして臨時行政調査会の御協賛を得まして最近発足しようといたしておるのも、全くこれを根本的に直そうという趣意にほかならないのであります。同時に、人事管理の面等におきましても、各官庁それぞれ違っておりますからして、これらも統一しまして、官紀の振粛に資したい、かように考えております。
  117. 藤本捨助

    ○藤本委員 次に、企業の自己資本の充実につきましてお尋ねいたしたいと思いますが、わが国経済の高度成長をになうのはやはり企業であります。その企業の自己資本が非常に近ごろ貧弱でありまして、その充実強化、そして体質を改善するという必要を叫ばれておりますけれども、一向充実改善いたされておりません。いな、悪化の一路をたどっておるということであります。戦前におきましては、自己資本と他人資本の比率は大体六対四ということであり、英米、西ドイツあたりも過去において現在において大体そうなっておりますが、わが国は三十五年度の下期におきまして自己資本は二八・一四であります。他人資本は七一・八六であります。非常に逆転して、七対三というように相なっておる次第でございます。これはどこから来るか。それには非常に借入金がふえておる。つまり、戦前におきましては借入金というのは非常に少なかったのであります。たとえば、使用しておる資本に対しまして四・五ぐらいでありましたが、三十五年の下期には三二・何がしになっております。七倍以上になっております。このように借入金は非常に多くなった。自己資本は、戦前の払い込み資本四六・三四に対して、三十五年下期には一四・二九というように非常に少なくなったというところに問題がある。体質改善の必要の叫ばれるのも無理はございません。そこで、これはどういうわけでこうなったかということが問題でありますが、一つには私は租税法上の欠陥がしからしめたのではないかと思います。借り入れの利子は、損金に落とされますから税金がつきません。分離して税金がつきません。配当には税金がつく、こういうわけで、この税法上の不均衡を直さなければ、割の配当をするには、かりに借り入れの利子が一割であったら、その倍、要る。国税地方税を合わせますとその倍要るのであります。ですから、イージー・ゴーイングと申しますか、借り入れに走るということになりますから、どうしてもこの課税上の不均衡を是正するという必要を見るのでございますが、いかがでありますか。
  118. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 おっしゃられる通り、税制の問題が関係しておることはその通りだと思います。そこで、この問題を解決したいということで、税制調査会で三年にわたっていろいろ審議しましたが、非常にむずかしい問題で、とうとう結論が今日まで出ません。しかし、そのままには置けませんので、昨年、御承知のように、とりあえず従来のやり方に比べて企業の配当負担を少なくするということ、それから、当面の秩序に大きい変動を与えない範囲で配当経過措置をとろうということで、三十六年に税制改正をその趣旨に沿って行なったのでございます。引き続いてこの問題は研究することでございましたが、今年度になりましてもとうとうまだ結論が出ません。暫定的に、去年やった程度にことしはとどめておくということに今年度はしたわけでございますが、さらにこの研究は続けて、この次に結論を出したいということになっております。
  119. 藤本捨助

    ○藤本委員 いろいろお尋ねしたいのですが、時間がありませんから、次に、固定資産の再評価が非常に不完全でありまして、これがための減価償却の不足が、非常に資金を集めることに不便を来たしております。また、非常に低い評価をして、その評価益を資本に繰り入れることもわずかでありますから、そのために、わずかな資本であるにもかかわらず、非常に大きい利益があるように錯覚を起こさす。従って配当も多くつけなければいけない。従業員の賃金も増さなければいけない。従って社内留保もできない。これをやろうとすれば高率配当のために非常にじゃまになるというようなことでありますので、どうしても、企業の体質を改善するためには、固定資産の再評価を検討是正する必要があるのじゃないか、かように考えますが、いかがですか。
  120. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 これは御承知通り、そういう目的から資産再評価法を作りまして、今日まで三回にわたって再評価を行ない、実施済みでございます。もとの資産は、そういう形で三次にわたって再評価を行ないましたので、ある程度合理的になっておると思いますが、最近、御承知のような設備投資の状態から見まして、新たに取得した財産の割合というものが、現在では非常に多くなっている。こういう事情から考えまして、大体この程度の再評価でも済みはせぬかというふうな考え方を私どもは今しております。各企業の資産構成を見ますと、古い資産と新しい資産では、新しい取得資産の方がはるかに割合が多くなっているのですから、そう大きい弊害はないのじゃないかと思っております。
  121. 藤本捨助

    ○藤本委員 三度の改正は存じております。それで十分でないからお尋ねしたのでありまするが、いろいろお尋ねしたいこともありますけれども、このくらいにしておきます。ただ二百申し上げておきたいのは、再評価して繰り入れると、資本がふえる。そうすれば、配当の問題で少し会社も当面は苦しいでありましょうけれども、減価償却が助かります。それは損金に算入されますから法人税がかからないというような利益がありますので、どうか根本的にお考え願いたいのであります。  次に、社会保障について少し、ばかりお尋ねいたしたいと思います。  社会保障は医療保障と所得保障をもって二大支柱といたしております。公的扶助である生活保護を配して補完しておるのでありますが、体系から申しまして世界並みに相なっております。しかし、その内容について考えますと、たとえば医療の給付、これは人命にかかわる社会保障でありますから給付の間に格差があってはならぬのでありまするが、非常に格差がある。また、所得保障についてもそういうことは申されるのでありますが、そのよって来たるところはどこかということについて厚生大臣に伺います。
  122. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 お答えいたします。  御指摘通りに、現在の日本の社会保障関係制度は、医療保障にいたしましても、また所得保障にいたしましても、あらかたその形態が整ったところであると思うのであります。しかしながら、今お話にもございましたように、医療保障にいたしましても、いろいろな保障制度があって、その間かなり不均衡があるということ、これは事実でございます。また、所得保障にいたしましても、年金制度一つとらえてみましても、その間に相当な差異があるということも事実でございます。この点はもちろん将来調整し是正すべき問題であると思うのでございますが、そのよって来たるところはどこかというお尋ねでございますけれども一つには、この方面の制度が比較的日本がおくれておった。従って、できるところからだんだん手をつけていってやって参ったというふうなことが一つの理由になろうかと思うのでありますけれども、もっと大きく言えば、私は、やはり、日本経済の力あるいは国民所得の程度というふうなものが先進諸国に比べましてよほどまだ隔たりがございますので、やろうと思いましてもなかなかそこまではいきかねるという、国民所得の少ないということが一番大きな原因になるのじゃなかろうかと思っております。
  123. 藤本捨助

    ○藤本委員 今御答弁ございましたように、私もさように存じます。もっとせんじ詰めて申しますならば、わが国経済の二重構造の結果であろうということを私考えます。この二面構造の解消ということは、これは、百年河清を待つと言うと少しひどいのでありますが、容易でございませんことは確かでございます。のみならず、現在こういうような考え方があるのでございますが、現在のような社会保障の制度、機構においては、国の負担を何ぼ増しても、適正な所得の再配分にならない、いな、不均衡を助長するのではないかということであります。第二に、また、現在のような医療の給付は、所得附属の差異を無視した一律的な給付をしておるから、再配分の効力も弱くなる、従いまして、現在のような財源調達の方法や給付の方式でやるならば、社会保障費の増大に対しては支持ができない、不均衡を是正することにならないから支持ができないというような考えがあるのであります。これに対して大臣はどういうふうにお受け取りなさるか、お伺いしたいのであります。
  124. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 お尋ねの御趣旨をあるいは取り違えておるかと思うのでございますが、現在医療保障を一つ例にとって考えてみましても、いわゆる健康保険あり、日雇い労働者の健康保険あり、あるいは船員保険あり、あるいは国民健康保険あり、こういうような状況に相なっております。その各種保険のメンバーでありますところの被保険者というものにまたいろいろ違いがあるわけでございます。同じ保険でとってみましても、政府の管掌する健康保険の被保険者、これは多くは中小企業に従事しておる諸君であります。健康保険組合の管掌する健康保険の被保険者ということになりますれば、相当の企業に従事しておる被保険者ということにも相なるわけでございますので、これに同じような給付をやっていくということになりますれば、その間に、どうしても大企業と中小企業との間に負担の点から申しますと実質的に不均衡がありはしないかというような問題もございましょう。あるいはまた、豊かな健康保険組合でありますればいろいろな面において十分なことができるけれども政府の管掌する健康保険では任意にいろいろなことをやるということもできない、こういうような点における不均衡ということも出てくるかと思うのであります。そういう意味で、同じような程度の負担をかりに国がいたすといたしますれば、その間に実質的には相当の差異を生じてくる、かような問題があろうかと思う。この問題は、ひとり健康保険だけでなくて、さらに健康保険と国民健康保険とを比べた場合においては、非常に内容的にも相違がある。しかも、国民健康保険の被保険者は、多くは所得の少ない階層の人をもって構成する、こういうような事実もございますので、やはり、この問題は、おくれておるものを引き上げていくという努力をいたしますと同時に、各種の保険間における均衡をはかっていくということをやっていかなければならない。その点におきましては、保険料の負担の問題につきましても、あるいは国の負担の問題についても、もっともっと検討する必要があろうかと私は考えます。
  125. 藤本捨助

    ○藤本委員 今大臣がお述べになった通りでありますが、しかし、結局は、今お述べになりましたような個々制度の欠陥を是正するだけじゃ十分でない。根本的には、この社会保障全体につきまして、総合的に体系的に、また抜本的に一つ総合調整するということであらねばならぬと私は考えます。この点につきまして大臣はどういう御用意を持っておられますか。
  126. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私どもの行政の目標から申しますれば、お話通りに、一例を医療の問題に取り上げて申しますれば、国民がひとしく今日のすぐれた医療というものを受けられるように、その間にアン・バランスがないようにということを考えることは、これは当然のことでございます。そういう方向に向かって進んで参りたいと存じますが、なかなか一挙にそこまでいくということは、かなり困難ではなかろうかと思います。その間に、各種制度もいろいろ沿革もあることでございますし、そういう各種制度間の調整をはかっていくということが一つ段階ではないか。さらに、その各種制度間の調整をはかる前に、やはり、できるだけそれぞれの制度において、先ほど申しましたように、給付の劣っておりますような面につきましてはこれを引き上げていく、そうして調整を容易ならしめるというふうな努力もしなければならぬのじゃないか。究極の目標とするところは、やはり、国民全体が同じような医療を受ける、同じような給付を受けるというところまで持って参りたい。その段階になって参りますれば、あるいは全体の医療保障を統合するというふうなこともあり得ることかと思うのでございますが、そこまで参ります努力がなかなか大へんだ。現在は、少なくとも、たとえば現在医療保険において一番給付内容等においても劣っておりますところの国民健康保険を一体どうするか、こういうふうな問題についてまずもって努力をやっていかなくてはならぬのじゃなかろうかと考えております。
  127. 藤本捨助

    ○藤本委員 御趣旨はよくわかりますが、場合によれば格差あたりはなかなか解消いたしません。結局は、なかなかむずかしいことでありますけれども、社会保障全体の総合調整というようなととが必要であろうと思います。それで、政府は、同僚議員のお尋ねに対しまして、社会保障制度審議会に諮問してあるからというようなことで、その答申をお待ちのようであるが、それまたごもっともであります。しかし、私は、この社会保障制度審議会に諮問する前に、政府におかれまして、日本の社会保障はかくあるべきであるというようなことにつきまして、青写真程度のものがあってしかるべきだと思います。そして、これを国民に示して、政府審議会とだけでやるのでなしに、国民とともに、すなわち国民の全知全能をあげてこの至難な制度の根本的な改正に当たるべきであろう、こういうように思うのであります。私は、そういった青写真を知りたいのであります。政府所得倍増計画十カ年計画に見合いましていろいろなお考えがあるやにも聞いておりますが、そういう点をお示しいただきたい。でなければ、この問題はいつまでたっても前進しないというような感もいたしますので、重ねてお尋ねいたします。
  128. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 藤本さんもすでに御承知のように、政府はと申しますか、厚生省は、昨年、厚生行政の長期計画基本構想試案というものを書きまして、これを一応発表いたしたわけであります。関係の向きにもこれをごらんを願っておるようなわけでございますが、この長期計画基本構想というものを一応の目安といたしまして、現在われわれも社会保障制度の進展のために努力をいたしておる次第でございますが、しかし、この計画はまだ具体的にもっともっと検討を要するものもあろうかと思います。また、資料等につきましても、もっと整備する必要もあろうかと思います。ただいま、省内におきましては、この基本構想につきまして具体的にいろいろ検討を進めておるわけであります。お話通りに、もっと具体的な計画を持って世に問うことができれば私ども幸いと考えておりますので、せっかくその努力をいたしておるところであります。  なおまた、これに関連いたしまして社会保障制度審議会お話も出ましたが、社会保障制度審議会の方には、御承知のように、総合調整等に関する御意見を伺っておるわけでございます。できるだけ早く成案をいただきまして、これも一つ参考にいたしまして、御期待に沿うようなものを何とかこしらえてみたい、かように考えております。
  129. 藤本捨助

    ○藤本委員 私の卑見でありますが、社会の変革は非常に大きな国際的規模を持つと思います。しかるに、今国際間におきましては政治的に経済的にいろいろな不安がございます。重大な問題として胎動いたしております。各国は、この不安を除去いたして、世界の平和、人類の福祉の向上に非常に広範な活動を展開いたしておりますが、それは、何国といえども他国の不安とかあるいは貧困が害こそあれ益することがないからであろうと思います。  そこで、私は、他の多くの問題はしばらくおきまして、医療保険について一つお伺いしてみたいと思います。  現在各国におきまして医学、医療技術の非常な進歩によりまして、またその給付が増加したことにより医療費、保険財政というものが非常にふくらみましたので、各国一様にこれにつきまして非常な真剣な検討を加えております。ここで、私は、社会保障の水準と申しますか、それについて大蔵大臣、厚生大臣お尋ねいたしたいのでもります。  大体、社会保障の水準と申しますと、またむずかしい問題でありますが、しかし、社会保障の水準と申しますと、それは社会保障の給付が国民の所得の中でどれくらいな割合を占めておるかということであります。それについて、ILOの一九六一年の調査によりますると、ドイツが一番でありまして、一九五七年に二一%に相なっております。わが国は五・三%であります。それから、消費者支出の中でどれくらいな割合を占めるか、これに対しましても、やはり、ドイツが二一%でありまして、わが国は六・四%であります。でありますから、この問題についの同僚議員のお尋ねに対しまして、いつも十分でない、こういうような御答弁があるが、ごもっともであります。  そこで、私はお尋ねするのでありますが、さきに申しましたように、社会保障は結局国民の生産、国民の所得によってささえられるといたしまするならば、日本の社会保障の経費は、国民所得から言って、あるいはまた国民の消費者支出から言って、どれくらいまでに持っていったら十分であるとお考えなさっておるのであるか、お尋ねいたしたいと思います。
  130. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 どこまで持っていったら十分であるかということにつきましては、私、ただいま資料を持ち合わせておらないのでございますが、ただいま御指摘にもございましたように、一九六一年版のILOの発表した資料によりますれば、欧米先進国におきましては、国民総所得の一割を下るところは一つもない。お話のように、国に上りましては相当——ことにドイツのごときは相当の割合を社会保障費が占めておるわけであります。それに対しまして、日本の社会保障費の率は非常に低いわけであります。先ほど言及いたしました厚生省の長期計画基本構想というものも、この点から考えますと、まことに残念でありますけれども、十年先で少なくとも現在のいわゆる先進国並みのところくらいまでは持っていきたい、こういうような考え方になっておるわけでございますので、そのころになりまして、またよその国との間の開きが一体どのくらいあるかということになりますと、また追っかけて進んでいかなくてはならぬというような段階ではなかろうかと思います。ただ、日本の社会保障費が欧米の諸国に比べまして少ないということの中には、基本は、先ほど申しましたように、国民所得が低いということが大きな原因になっておると思いますが、同時に、そういった国にはいずれも年金制度が相当発達いたしておるのであります。御承知のように、まだ日本といたしましては本格的に年金制度が働いていくというところまで至っておりませんので、そういう意味から申しましても、社会保障費の支出の額が少ないということにもなろうかと思います。いずれにいたしましても、経済の成長を通じ所得の増加をはかりまして、負けないように、追いつくように努力する以外に今のところ道がないというように考えております。
  131. 藤本捨助

    ○藤本委員 時間が参りましたから、あとは分科に譲りまして、たった一つお許し願いたいと思います。  それは生活保護についてでありますが、この公的扶助としての生活保護は、低所得者層、たとえば老齢者、母子、身体障害者、精神薄弱者、こういうようなグループ、長期疾病で低所得層に転落したような人々、あるいはまた零細な企業の従事者等々に対しましての施策のうちで非常にウエートが高いのであります。それで、生活保護の対象になっておりますのは、大体六十万世帯、百六十万に近いのでありましょうが、その中で医療扶助を受けている者が毎月平均四十六万人くらいでございまして、その医療扶助費の額は大体生活保護費全体の半分以上を占めております。それから、入院する者、それがまず医療扶助費の八割くらい占めておる。こういうことがわれわれはまことに気の毒なことだと思う。また、施策がそうせしめておるのでないかとさえ思うと、非常にじくじたるものがございます。  そこで、私はお尋ねいたしたいのでありますが、生活保護の開始は、多くは、いろいろな事情がありましょうけれども、長い間病気にかかって、そのために生活保護の開始になっておるというものもございましょう。それもそれであるが、私は、生活保護の対象になってから、端的に言うならば栄養失調——昨年以来保護率をお上げいただいておりますけれども、以前ならば普通労働者の百分の五十六くらいな生活水準でありました。それが四十に落ちております。従いまして、その栄養失調などのために病気になって、その医療扶助費が生活保護費の半分以上を占めておる。ことに入院患者が多い。それで医療扶助費の八割も占めておるということに相なっておるのではないかと思いまして、私は、率直に申し、病気にかからぬようにする、病気になればそれはぜひなおさなければいけないけれども、かからぬようにする、そうして、かからぬようにすれば、かかったら要るであろうところの費用が浮いてきますから、それをもって生活水準を高めていくというようにすることがむしろ政治としていいのじゃないか、かように考えるのであります。こういう意味においてまず昨年の通常国会で一八%、臨時で一五%、ことしも少々の御配慮はありますけれども、とにかく足らない。エンゲル係数から申しましても、この程度では文化的生活なんかということは夢でしかありません、こういうわけで、どうしてもこの生活保護基準をもっと上げるということが非常に必要である。それから、さらに、今申しましたように病気にかからぬようにする。あるいは早期発見して早期治療をするということ。そのためには、どうしても、公衆衛生あるいは環境衛生を十分にいたしまして、病気を予防する、病気の原因を減少さすという施設をしなければなりませんが、政府の非常な御努力にもかかわらず、非常にふるわない。毎年少々の増加を見ておりますけれども、まだまだ十分でございませんので、今後一段と御努力を願いたいのでございます。何か御抱負についてお答えいただきたい。
  132. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 生活保護を受けております世帯において医療を受ける人が非常に多いということは御指摘通りでございます、また、その事情についても、大体藤木さんのお話のような事情であろうかと思いますが、ただ、生活扶助の基準が非常に低いために、そのために栄養失調が多い、これは一つさようにお考え願わないようにお願いしたいと思うのであります。私は、最低生活はこれで保障し得るものと思っておりますが、しかし、決して十分ではありません。もちろん、前にも申し上げましたように、生活保護の基準は、やはりさらにさらに引き上げていく努力を継続して参るつもりでございます。大体、病気のために生活保護を受けるに至ったというふうな事情もございますし、また、生活保護を受ける世帯は、老人とか子供が多いのであります。そういうことで病気にかかりやすいという事情もございまするし、一面においては、各種の医療保障が普及いたしましたので、つまり、さような関係において国民の受診率というものも暖まったかと思います。同時にまた、医療の内容もだんだん向上して参りまして、その意味におきましても病人がふえた。いろいろな事情があろうかと思いますが、しかし、結論といたしましては、私は、ただいま藤本さんのおっしゃったと同じような考え方を持っておるわけであります。医療保障は医療保障で、病気になりました場合の保障についてもまだ不十分でありますから、もちろんその充実もはかって参らなければなりませんけれども、しかし、やはり病気にかからないようにするということがもっと大事なことじゃ、なかろうか、かような考えのもとに、厚生行政の一つの大きな方向といたしまして、従来からも努力しておることではございますけれども、予防という方面にもっともっと私は積極的に今後の努力を傾けてみたい、かような考え方をいたしておる次第であります。
  133. 藤本捨助

    ○藤本委員 お言葉を返すようでありますが、病気の原因の六割は貧困によるようであります。それから、保護の廃止になる原因を見ましても、なおって出るのが三割、勤労収入がふえて出るのが二割というようになっておりますので、せっかく勤労控除や加算を御検討願いまして、自立生活の助長をはかり、勤労意欲の高揚をはかるというようなことに対して今後御配慮願いたいと存じます。御答弁はよろしゅうございます。  これでやめます。
  134. 山村新治郎

    山村委員長 それでは、次会は明七日午前十時より開会し、補正予算の審査に入ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十九分散会