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1962-03-03 第40回国会 衆議院 本会議 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月三日(土曜日)     —————————————   昭和三十七年三月三日    午後二時 本会議     ————————————— ○本日の会議に付した案件  昭和三十七年度一般会計予算  昭和三十七年度特別会計予算  昭和三十七年度政府関係機関予算    午後二時十分開議
  2. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  昭和三十七年度一般会計予算  昭和三十七年度特別会計予算  昭和三十七年度政府関係機関予算
  3. 田邉國男

    田邉國男君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。  すなわち、この際、昭和三十七年度一般会計予算昭和三十七年度特別会計予算昭和三十七年度政府関係機関予算、右三件を一括議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  4. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 田邉國男君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。  昭和三十七年度一般会計予算昭和三十七年度特別会計予算昭和三十七年度政府関係機関予算、この三件を一括して議題といたします。     —————————————  昭和三十七年度一般会計予算  昭和三十七年度特別会計予算  昭和三十七年度政府関係機関予算   〔本号(その二)に掲載〕     —————————————
  6. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 委員長報告を求めます。予算委員長山村新治郎君。     —————————————   〔報告書本号(その一)末尾に掲載〕     —————————————   〔山村治郎登壇
  7. 山村新治郎

    山村治郎君 ただいま議題となりました昭和三十七年度一般会計予算外二案につきまして、予算委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。  本予算三案は、例年よりも早く、去る一月十九日国会に提出され、同日予算委員会に付託され、二十六日より連日にわたって委員各位の熱心な審議が行なわれ、本日討論採決をいたしたものであります。との間、二日間の公聴会を開き、各界十一名の公述人意見を徴し、また、八日間の分科会を開き、審議を一そう慎重にいたしたのであります。予算案につきましては、先般、本会議において水田大蔵大臣より詳細なる説明があり、すでに十分御承知のことと思いますので、ここでは重複を避け、主として予算三案をめぐって展開されました質疑中心として御報告申し上げたいと存じます。  まず最初に、財政規模について申し上げます。  三十七年度一般会計は、歳入歳出とも二兆四千二百六十八億円でありまして、三十六年度当初予算に比較して四千七百四十億円、補正後の予算に比較して三千七百四十三億円を増加いたしております。特別会計は、その数四十一であって、一般会計特別会計とを通ずる純計は、歳入四兆六千五百二十五億円、歳出四兆三千五百九十六億円となるのであります。政府関係機関は、その数十三で、収入二兆二千四百五十二億円、支出二兆七百三十五億円であります。また、財政投融資総額は八千五百九十六億円でありまして、三十六年度当初計画に対し一千三百四億円、改定後の計画に対し七百七十三億円の増加となっております。  政府は、この予算編成方針といたしまして、国際収支均衡をすみやかに回復することを主眼とし、健全財政方針を堅持しつつ、従来からの重要施策を着実に推進することを基本といたしております。他方経済計画においては、国民総生産を前年度に比し五・四%の増と見込んでいるのであります。  そこで、景気調整との関係において予算規模減税とが問題に相なりました。  すなわち、質疑の一点は、「三十七年度一般会計予算は前年度当初予算に比べて二四・二%も増加している。同じく景気調整過程にあった二十九年度及び三十三年度予算の場合は、予算引き締め資金たな上げ等措置を講じているのに、今回は景気調整の重要な過程において、何ら緊縮の事実がない。経済成長率からいっても、三十六年度の九・八%に対し、三十七年度は五・四%と格段の差があるにもかかわらず、前年と同様の予算増加率を見込んだことは行き過ぎではないか。さらに財政投融資計画において千四百八十二億円の公募債借入金財源を見込んでおるがごときは、財政政策放漫を示すものではないか」というのでございました。これに対し、政府は、「三十七年度予算が過大であるというのは、三十六年度当初予算に比べてのことであるが、三十六年度が決算される場合と比較すれば、実質的の伸びはそれほど大きくはないと思う。国際収支改善のために、景気調整のための総合政策をとっておるときであるから、三十六年度補正予算最小限度にとどめ、相当多額自然増収を後年度に持ち越すとともに、三十七年度予算においても、いわゆる資金的な経費千億円以上を計上して、両年度を通じ三千億円以上を調整的見地から見込んでおるので、放漫のそしりは当たらない」との答弁がございました。  なお、「財政任務景気を調整し、経済変動の安定をはかるにありという見地から予算の単年度主義である財政法改正し、好景気のときに財政収入の一部をたな上げ留保して、景気過熱を阻止し、不況時にこれをくずして、景気を刺激すべきではないか」という意見に対しまして、政府は、「この問題については検討中であり、本国会においては、とりあえず財政法第二十九条の改正案を提出した」旨の答弁がございました。  次いで、予算規模に関連して減税が問題となりました。  質疑の一点は、「減税を計算に入れて国民所得に対する租税負担率は二二・二%となっている。もし、これを二〇%前後の負担率とすれば、三千億円程度予算の圧縮は可能であったはずである。しかも、負担中心をなすものは、勤労所得税である。政府見解いかん」という点であったのであります。これに対し、政府は、「国民生活が高度化していけばいくほど財政の果たすべき役割は大きくなり、国民負担増加していくことが近代国家のあり方である。今後、高度成長政策をとって国民所得をふやす反面財政が必要な任務を果たすために、社会保障費公共事業費文教経費等増加することによって、租税負担率が少しずつ上がっていくことは、むしろよいと思う。日本租税負担率は、先進諸国に比して、まだはるかに低い」との答弁があり、なお、「間接税減税物価との関係いかん」との指摘に対しては、「減税分消費者に還元するよう業界を指導する」旨を明言いたしておるのでございます。  第二は、経済政策に関する問題であります。  まず、最初に、物価問題についての質疑は、「昭和三十六年十二月の消費者物価指数は、三十五年平均に比べて、すでに一〇%以上高騰しておる。また、消費水準は、四月から毎月下降し、エンゲル係数上昇しておる。物価騰貴のため国民生活は圧迫され、所得倍増計画はすでに破綻しておるではないか。これが対策いかん」という点でございました。これに対し、政府は、「消費者物価は年末一時的に相当の値上がりをしたが、長い期間を見てこの問題は解決していきたい。年に平均してみれば、消費水準も三十五年に比して上がっている。エンゲル係数の上下も、長い動きを見るべきである。三十六年度消費者物価上昇は、年度間を通じて五・八%に、また明年度は二・八%にとどまるよう、極力上昇を押えなければならない。経済成長行き過ぎのため、各方面に不均衡を生じ、これが物価騰貴の要因ともなっておるので、政府はこれが実情を把握し、総合対策を立てるべく努力しておる」との答弁があったのであります。  さらに、公共料金、地価、運賃、環境衛生関係料金農林水産物価格等に対しては、これが具体策、特に流通機構改善策等について質疑応答がかわされたのであります。  続いて質疑は、生産国際収支の問題について行なわれました。  すなわち、生産についての質疑は、「年々膨大な設備投資は、二年後において六割程度生産力増加となって現われると思われるが、これが動向についての政府見解いかん」というのであります。国際収支についての質疑は、「三十七年度の四十七億ドル輸出は、前年度より一四・六%と大幅の伸びを見込んでおるが、西欧におけるEEC進展を考えるとき、はたして達成可能であるか。また前年度は五十億ドルをこえると思われる輸入が、三十七年度において四十八億ドルにとどまり得るのか、政府見通しいかん」という点でございました。生産についての質疑に対しまして、政府は、「現在の日本設備投資には産業合理化のためのものもあり、二年後において六割の生産増加を来たすものとは言えない。生産増加分に対しては、国内消費の健全な増加と、強力な輸出対策を講ぜねばならない」と答え、国際収支についての質疑に対しましては、「国民総生産の一割程度輸出に向かうという見方から、四十七億ドルの輸出は非常に困難なものとは思わない。三十六年度は旺盛な国内消費米国ドル防衛等のために輸出伸びなかったが、その後設備投資、内需の抑制など輸出増進措置を講じている。対米貿易の面では東部以外の地域にも市場拡大をはかり、また品種を増加することにより改善することができる見込みである。綿製品賦課金の問題については、真剣に取り組んでいる。しこうして、EEC諸国に対しては差別待遇の撤廃を強く申し入れ、また国内においては輸出入銀行等資金の確保、輸出保険制度の整備、輸出金融円滑化をはかる等、各般施策を実施することによって目標を達成したい。また輸入については、鉱工業生産伸び率から見て抑制困難ではあるが、昨年九月以降輸入抑制について政府のとった諸施策がようやく効果を生じつつある反面輸入原材料在庫量相当に多いので、今の生産水準から見れば、相当の期間食いつないでいくことができる見通しである。これによって国内生産を維持し、同時に輸入を押える効果がある。国内金融引き締めが続く限り、自由化進展にかかわらず輸入を四十八億ドルに押えることは可能であると思う」との答弁がございました。  次に、中小企業対策について申し上げます。  時あたかも第四・四半期の政府民間収支の揚げ超期にあるため、論議はおのずから中小企業に対する金融措置に集中いたしました。質疑は、「金融引き締め影響中小企業において最も深刻である。一方に親企業下請代金の支払い遅延あり、他方銀行選別融資があって、黒字倒産をする中小企業者があるが、政府対策いかん」という点でありました。これに対し、政府は、「中小企業公庫に対して、昨年末八百億円の財政資金の手当をしたが、この揚げ超期においても、さしあたり二百六十億円の資金強化を予定し、遺憾なきを期しておる。しこうして、中小企業公庫としても、毎年三千億円程度は融資可能であるが、中小企業のおもなる資金源である信用金庫、相互銀行等の預金、貸し出しの最近の伸び方は、大企業資金源である都市銀行をはるかに凌駕しておる現況である。また下請関係や大企業系列下にある中小企業に対しては、下請代金支払遅延等防止法もあり、これによって下請業者の利益を保護するとともに、大企業に対しても、下請業者の維持に留意するよう行政指導をいたしておる」という答弁でございました。  さて、次に、社会保障関係費について申し上げます。  質疑は、「社会保障関係費増加率は、予算総額増加率にも及ばず、またその内容について見ても、生活保護費は、保護基準をわずかに一三%上げたにとどまり、保護世帯最低生活すらできない現状である。国民健康保険については、国庫負担率を五%引き上げておるが、依然として地方財政に大きな圧迫を与えておる。この程度の引き上げは、物価騰貴医療費の値上げでほとんど相殺されるので、社会保障の前進ではない。また年金制度のごときも、その根幹をなす厚生年金を見ても、その給付はきわめて貧弱である。さらに、各保険制度間には大きな不均衡がある。これらに対する政府見解いかん。なお、社会保障最低基準に関するILO百二号条約批准の意思ありやいなや」という点でございました。これに対して、政府は、「生活保護基準については、昨年一八%上げ、補正でまた五%、その上に今回一三%上げることとしたので、昭和三十五年度に比べると、明年度は実質四割程度上げることになる。今後も一定の年率で上げていくことにより、四十五年度までに基準年度の約三倍程度上がることになれば妥当であると考える。厚生年金制度給付実情に合わないため引き上げていきたいので、せっかく検討中である。また、国民健康保険については、国庫負担率を五%引き上げることにより、医療費改定に対しても保険料を引き上げなくて済む。しこうして、各種保険間の不均衡是正に対しては、総合調整の要があるので、社会保障制度審議会目下検討を重ねておる。ILO第百二号条約批准は、その要件に合致しないため批准ができないが、日本社会保障をその線にだんだんと近づけていく方針である」旨の答弁がございました。  次に、賠償及び対外債務処理の問題について触れたいと思います。  タイ特別円に関する日タイ協定ガリオア・エロアの対米債務処理に関する日米協定の締結については、政府は、本国会にそれぞれ承認を求め、前者については十億円、後者については七十九億円を本予算に計上しておるのであります。  まず、タイ特別円について申し上げます。質疑の要旨は、「前の協定第二条には、投資とクレジットの形で九十六億円までの資本財及び役務を供給するとあって、有償の借款であることはきわめて明瞭である。協定を締結した鳩山内閣はもとより、その後の歴代内閣もすべてタイ側無償の要求を拒否し続けてきた。しかるに、今回急に九十六億円全額を無償とする協定に変更するに至った理由いかん。なお、タイ側が三十年協定発効にかかわらず無償を主張するには、当時密約のごときものがあったのではないか」という点でございました。これに対し、政府は、「九十六億円については、タイ側の感情として、物資を徴発されて、その代金が自国の借金になることについて耐え切れないものがあり、そのため無償を主張し続けてきたのであって、密約のごときものがあったとは思わない。日タイ間の伝統的の友好関係タイ国との経済協力関係等を考え、このままに放置すべきにあらずと思い、大所高所より無償に踏み切ったのである」との答弁があり、なお、木協定の変更は、他の諸国との協定に波及することはあり得ない旨を明言されたのであります。  また、ガリオア・エロア問題については、次のごとき質疑がありました。すなわち、「ガリオア・エロア債務として支払うべきものであると決意された根拠いかん政府提出の資料によっても、債権債務関係を明確にしたものはない。マッカーサー元帥米議会に対するメッセージ、ドッジ元予算局長及びボーリーズ元陸軍次官補等の同議会に対する証言より判断をすれば、援助戦勝者の義務であって、債権認むべきものではない。これを裏づけるものはヘーグの陸戦法規である。また、当時の貿易会計の大きな赤字の大部分が、二十四年三月まで援助物資払い下げ代金によって埋められたのであるが、米軍為替レートをきめ、行政上の操作をしたのである。また、西独の場合は、ガリオアのほか、多額のマーシャル・プランによる援助戦前債務も含まれていたので、これと同一視することはできない。しこうして、当時国会において感謝決議もし、片山、芦田両内閣とも、援助は当然無償であるとの認識に立っていたので、債務負担するものとして、国会議決を求めなかったものと思われるではないか。また、もし政府のごとき見解であるとせば、本件は、国が代金を後日に支払うことを条件として物件を受け入れる行為であって、債務負担する行為に当該すると思うがいかん」という質問でございました。これに対し、政府は、「ガリオアについては、アメリカは、その予算支出の建前から取り立てるべきものであるという考え方によっておるのである。その考え方についてマッカーサー元帥なども証言しておる。わが方は、昭和二十一年七月二十九日の占領軍最高司令官指令書により、物資を放出するけれども、その支払い条件支払い金額については、後日相談の上決定すると言い渡され、それを承知して放出を受けてきたのであり、歴代政府債務と心得えていたのである。また、対日援助は契約ではない。日本が支払うべきものとしてアメリカが供出したのである。今回国会議決によって初めて債務と確定するのである」と答弁がございました。  さらに、支出財源支払い方法等についても質疑応答が繰り返されました。  なお、防衛の問題に関し、特にロッキードF104の生産に対する米国側負担分七千五百万ドルの内容について追及が行なわれましたが、政府は、国際的事由によるとして、詳細な答弁は行なわれませんでした。  最後に、憲法改正の問題についても一言触れたいと思います。  問題になりました点は二点でございます。一、憲法改正に対する池田内閣総理大臣所信いかん。二、憲法改正の手続の二点であります。一に対しましては、池田総理は、憲法改正についての意見は今言うべき時期ではない、憲法調査会報告を待って十分検討を加え、国民の世論を聞いた上で改正すべきかいなかを考慮すると所信を表明されました。なお、二については、国会において審議される改正原案提案権国会にのみありとする野党の意見と、国会及び内閣の両方にありとする政府見解とが対立して、議論は終始並行線をたどったのであります。  以上のほか、日韓、日中及び沖繩問題文教、農業、交通、石炭対策労働問題等内政外交各般にわたり、真摯、活発な質疑応答が行なわれたのであります。これらは時間の関係上これを割愛し、会議録に譲ることを御了承賜わりたいのであります。  質疑終了後、本予算三案につきまして、日本社会党及び民主社会党より、それぞれ予算編成替えを求めるの動議が提出されました。その内容については、後刻本議場において説明されることと思いますので、省略させていただきます。  かくて、討論に入り、採決の結果、両党の予算編成替えを求めるの動議は否決され、本予算三案は政府原案の通り可決されたのであります。  以上、御報告を申し上げます。(拍手)  なお、この際、一言申し上げます。私は、一カ月有余にわたって続けられました予算案審議に終始御協力賜わりました委員並びに議員各位に対し、心から感謝を申し上げて、報告を終わる次第でございます。(拍手)     —————————————
  8. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 昭和三十七年度一般会計予算外二件に対しましては、川俣清音君外十五名から、三件につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出されております。
  9. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) この際、その趣旨弁明を許します。辻原弘市君。   〔辻原弘市君登壇
  10. 辻原弘市

    辻原弘市君 私は、日本社会党を代表いたしまして、昭和三十七年度予算案撤回編成替えを求めるの動議提案趣旨説明を申し上げたいと思うのであります。  御承知のように、わが国経済は、約四年を一・周期として国際収支危機を迎えているのであります。すなわち、昭和二十八年、三十二年、そしてこのたびの危機であります。まことに奇妙なことには、池田総理は、二十八年には吉田内閣の閣僚として、三十二年には石橋内閣大蔵大臣として、今度は池田内閣責任者として、常に経済危機招来責任の位置におるのであります。巷間、池田さんのことを貧乏神と称するのも、まことに無理からぬところでございます。(拍手)  さて、このたびの経済危機をもたらしました根本的原因は、ずばり申し上げれば、池田内閣のいわゆる所得倍増計画の名のもとに行なった大資本中心投資優先政策であります。この倍増計画の第一年度に、すでに国際収支危機物価の急上昇過剰生産傾向の成熟、所得格差拡大が表面化してしまったのであります。政府は、昨年以来景気過熱抑制するための急激な金融引き締め政策をとりつつあります。その結果、輸入は減少芽示し、輸出入信用状統計においては、若干の黒字を記録いたしております。それに加えて、アメリカ民間銀行からの借り入れを行ないましたため、外貨事情は一時的に好転を見せているのであります。こういうところから、経済全般情勢についてきわめて楽観的な気分が生まれようといたしております。政府も、また、参議院選挙を前にして意識的に楽観論をかき立てようといたしておるのであります。だが、これらの楽観論はきわめて危険であり、厳に戒めなければなりません。なぜならば、第一は、民間企業に依然として投資意欲が旺盛であり、鉱工業生産水準も一向に低落をいたしておりません。本年一月のごときは、季節変動を調整すると、戦後最高を記録しているのであります。このため、輸入原材料在庫はおそかれ早かれ食いつぶされ、本年の下半期には再び輸入増大を招くことが必至と予想せられるのであります。それに対し、わが国国際貿易環境は今後一そうきびしく、輸出政府の期待するように伸び条件は絶対ございません。アメリカドル防衛政策は、今後強化されることはありましても、緩和されることはほとんど望み薄であります。現に、経常収支は依然として大幅な赤字が続いており、本年一月の赤字は、実に九千九百万ドルにも上っているのであります。しかも、EEC影響は漸次深刻となり、これが日本の強力な競争相手となるのみならず、EECとの関係を調整しようとするアメリカの努力の中で、ドル防衛のしわは、ほとんど日本に寄せられることは、これまた必至でございましょう。これらのことは、三十七年度中には国際収支均衡はとれますよという政府楽観説をくつがえす有力なファクターであります。現在の経済危機の特徴は、この国際収支危機と並行して、過剰生産がますます進行していることであります。  過去三年間に行なわれた十兆円の民間設備投資は、今や巨大な生産能力と化しているのであります。この中で、繊維関係はもとより、鉄鋼、電機、化学等のいわゆる成長産業にも供給過剰状態が現われてきているのでありまして、池田方式では、供給過剰を吸収するには経済成長率を引き上げることを求めるでありましょうが、それは国際収支改善という課題と大きく矛盾を来たすのであります。私どもの見通しでは、今年後半には国際収支悪化の再来、アメリカへの外貨借款の返済、過剰生産顕在化が重なり、日本経済は今より一そう深刻な事態に直面するのではなかろうかと思うのであります。(拍手)  それでは、こうした危機をもたらした自民党のいわゆる所得倍増計画は、一体どういう欠陥を持っているものでありましょう。第一に、大資本中心とする設備投資優先成長政策であるために、好況期には原材料機械類輸入急増を招き、周期的に外貨危機をもたらすというととであります。ことに、貿易構造アメリカ依存の極端な片貿易であり、中ソ市場とは結びついていないために、原材料機械類は主としてアメリカからの輸入にたより、それに対し、対米輸出は、軽工業品雑貨類に限られ、しかも、種々の輸入制限を受けるため、常にその帳じりは大きなマイナスであります。それが国際収支赤字最大原因となっていることを銘記すべきであります。昨年一月の対米貿易を見ても、輸出十億ドルに対しまして、輸入は実に二十億ドルに上っているのでありまして、対米貿易の何たるかをここにも雄弁に物語っているのであります。  第二に、政府の言う高度成長政策なるものは、財政面では、民間資金を大量に政府に吸い上げ、これを大型予算を通じて公共投資設備投資に振り向ける結果、当然民間金融を圧迫することになり、金融面では、日銀貸し出しにより信用を作り出し、オーバー・ローンを通じてさらに放漫民間設備投資を促進することにならざるを得ないのであります。池田内閣は、成長金融と称して金利引き下げ金融貸し出しを刺激し、財政と金融相待って二重に過大投資を促進いたしておるのであります。これに比例して慢性的なインフレが進み、見せかけの経済成長率は大きくなったのでありますが、それ以上に物価は急速度に上昇する結果を招いているのであります。(拍手)  第三に、こうした投資優先成長政策でありますから、勢い、勤労大衆の所得はそれに伴わず、多くの勤労者は所得倍増のかけ声を聞かされただけで実際の所得向上にあずかることができず、物価上昇の被害だけを受けることになり、所得格差はますます拡大の方向をたどりつつあるのであります。  以上、私が申し述べましたることはまさに日本経済の現実の姿であり、池田内閣はこれを真剣に反省しなければなりません。ところが遺憾なことには、総理を初め内閣には、予算委員会質疑を通じてみましても、何ら反省の色がないのであります。(拍手)従って、私はこの際、政府高度成長政策の犠牲となった多くの労働者や農漁民、中小企業者になりかわり、政府の反省を強く求めるとともに、かかる反国民的な予算案は直ちにこれを撤回し、あらためて以下申し述べるような基本的方向に沿って組み替えられるよう強く要求をいたすものであります。(拍手)  まず、私は次のような全般的経済政策の転換を主張いたします。  第一は、貿易市場構造の転換であります。すなわち、先ほど指摘いたしましたような日本経済の現状からして、向米一辺倒の外交方針及び対米依存の貿易構造を改め、ソ連、中国、北鮮等、共産圏に対する経済交流を積極的に拡大すべきであります。アメリカや西欧との貿易におきましては自由化自由化と騒ぎ立てながら、共産圏との貿易を一向自由にしないということは、矛盾もはなはだしいといわざるを得ません。(拍手政府はすみやかに中国に対しては政府貿易協定を結ぶとともに、その他共産圏諸国貿易に対しては一切の制限を撤廃すべきであります。  第二は、欧米に対する貿易自由化の繰り延べであります。現在の日本経済の体質からいっても、また国際収支の現状から申しましても、貿易自由化によってもたらされる結果は、まことに容易ならぬものがあります。政府は、今年十月までの九〇%の自由化計画は大幅に繰り延べるべきでありましょう。特に、アメリカに対しては、対米片貿易の是正と不当なドル防衛のしわ寄せに対抗するため、アメリカ日本から輸入するという限度において、日本アメリカから物を買うという対等の原則を確立することが必要であります。(拍手)しこうして、日本貿易を、欧米市場、中ソ市場、東南アジア市場の三つの基礎の上にがっちり組み立てるということが何より先決であることを、この際特に強調いたしたいと思うのであります。  第三は、基幹産業と金融の規制であります。現在の緊急課題は、どうして大資本による設備投資行き過ぎを押えるかということであります。経済界では自主規制の声も聞かれますが、こんなかけ声は、ほとんど何の役にも立たないことは周知の事実であります。今や独占資本主義の矛盾がその極点に達しているのでありまして、これに対しては社会主義的方向をとる以外、その根本的解決の道はありません。すなわち、エネルギー産業を含む基幹産業及び長期設備資金を取り扱う基幹的な金融機関の社会化を進め、一方、国民諸階層の代表を含む民主的資金計画委員会を作って、無政府的な過剰投資を規制しようというのであります。  第四に、こうした資金規制によって設備投資資金効率を高めるとともに、国民支出の中の資本形成率が、他国に比して異常に高いという現状を是正するためにこれを切り下げ、その部分を個人消費の引き上げに回し、全体として国内市場拡大をはかることが、ぜひとも必要であります。これによって初めて過大投資と過小消費のギャップを解消することが可能となるのであります。  第五に、物価の引き下げでありますが、今問題となっている私鉄、バス、新聞などを含むすべての公共料金の引き上げは一切これを取りやめ、のみならず積極的に引き下げに努力するとともに、一方、独占禁止法の運用を強化することによりまして、大資本の独占価格を打破することが必要であります。さらに、物品税などの消費税の減税分は、当然物価引き下げに確実に反映せしめ、また生鮮食料品につきましては、流通機構を改善整備することによってその価格安定をはかるべきであります。  以上の全般的な経済政策を前提といたしまして、次の要綱に基づき、予算案を組み替えんとするものであります。  まず、歳入について申し述べます。租税の自然増収は、言いかえてみれば国民からの税金の取り過ぎであります。従って私たちは、これを所得五十万までは課税しないことを中心に、国税、地方税を通じて、勤労大衆への大幅な減税に回すとともに、他方、大法人や高額所得者に対しては、その累進度を強化し、それによって、所得のアンバランスを税制の面からも是正すべきであると考えるのであります。特に、二千億円に上る租税特別措置は、大法人に対する特権的な減免税であり、これが設備投資を過度に刺激する要因であることも論を待たないところでありまするので、投資規制の意味からも、これを改廃することが絶対に必要であります。(拍手)  次に、歳出面におきましては、まず、公共事業費、官庁営繕費などの景気の刺激的要素を持つものにつきまして、そのうちの特に投資支出を約一千億円削減いたしたいと思うのであります。これは現在の景気過熱に対処するためにきわめて重要な措置であるからであります。その際、公共事業の入札制度を再検討し、官僚と大土建会社などとのなれ合いをなくし、公共事業費の使途を合理化することによりまして、予算額は減らしましても、その事業量は十分確保いたしたいと思うのであります。また公共事業費の重点は、大資本木位の生産基盤強化ではなくて、国民生活に直結した上下水道などの環境の整備、あるいは未開発地域の開発、あるいはまた災害の防除と復旧などに向けるべきであります。  次に、ガリオア・エロア返済分とタイ特別円の返済は、国民として認めがたい債務負担でありまするので、これを削除し、それぞれ産業投資特別会計及び賠償等特殊債務処理特別会計への一般会計からの繰り入れを、それだけ節約いたしたいと思うのであります。(拍手)また、平和と民主主義の憲法の精神に従い、防衛庁費、駐留米軍への施設提供費、アメリカ軍事顧問団経費を含めた約九百七十億円、公安調査庁などの反動機関の経費約二十億円を削減いたします。  以上の歳入面における税制の抜本改正歳出面におきまする削減によって生じた財源を、次のような国民生活向上のための施策に重点的に振り向けることを提案いたしたいのであります。  私は、国民の生命と生活の保障を第一義とする憲法の精神の忠実な実現を政治の目的と考えるものでありますが、憲法にいう健康にして文化的な最低限度の生活保障というものがどの程度のものか明らかでなく、これが政府をして社会保障施策をサボタージュさせる結果をもたらしている点にかんがみまして、これを実体的に明示する基準として、全国一律の最低賃金制度を実施し、これを最低基準として各種の国民生活保障の施策をとるべきことを考えているのであります。  国民生活保障の第一は、言うまでもなく広義の社会保障であります。現在の国民年金制度が、所得保障の水準からはるかに遠く、生活保護の補充的役割しか果たしていないことは、御承知の通りであります。これを所得保障の水準へ近づけるために、大幅な年金給付額の引き上げが必要であります。生活保護と失対の賃金は、いわゆる所得格差解消のための底上げ政策であり、特に物価上昇によって基準の引き上げが相殺されないよう、とれまた大幅に引き上げるべきであると考えます。特に生活保護については、社会党が主張するように、生活保障法の立法化によって福祉行政を抜本的に改善すべきであります。国民健康保険給付率の引き上げ、そのための国庫補助率引き上げは、すでに繰り返し主張してきたところでありますが、特に結核、精神病の全額公費負担をこの際強く主張いたしておきたいと思います。  義務教育におきましては、憲法にいう無償の原則に即して、まず教科書の無償給付、並びに完全給食を前提とした無償の給食制度を実施すべきでありましょう。  また、問題の高校生徒急増対策としては、高校の新設、増設により全員入学の体制を整備すべきであります。  住宅対策といたしましては、公庫住宅、公団住宅が一般勤労者の手の届かないものとなりつつある現状にかんがみまして、特に低所得者向けの第二種公営住宅の建設戸数を倍にいたしたいと思うのであります。  次は、産業間における不均衡の是正であります。農林漁業が他の産業と比較をいたしまして立ちおくれていることが、今日の日本経済の構造的欠陥となっているということは、今さら論を待たないところであります。従って、農地造成、土地改良、沿岸漁業振興などの生産基盤強化の施策を拡充することが、現在の急務であることは申すまでもありません。同時に、零細経営のワクを破って、生産を近代化するための共同化をぜひとも推進いたしたいと思うのであります。その際のきめ手は、豊富な長期低利資金でありまして、系統資金及び公庫資金を通じて、少なくとも年利三分五厘以下の制度金融を十分に確保すべきであります。  さらに、その生産物の価格が安定することによって、初めて農漁民の所得が保障されるわけでありますが、現実には、この価格が少しも政府施策によって支持せられていないため、せっかくの農漁民の経営向上の努力がほとんど報われていないというのが現状であります。農漁業にとっては、主要農畜産物と漁獲の価格支持制度は、緊急にしてかつ絶対必要条件でございます。  中小企業に対しましては、中小企業基本法を制定するとともに、特に大企業に立ちおくれないよう、中小企業の設備近代化のための資金の助成及び融通、またその経営基盤強化のための共同化、組織化に積極的援助を行なわんとするものであります。また、中小企業に雇用されている労働者の労働条件がきわめて劣悪な点に深く思いをいたしまして、その労働福祉の振興には特別の措置をとる考えであります。  さらに、貿易自由化に対する国内産業対策はどうしても必要であり、国内体制の整備を自由化に先行させるため、当面、特に石炭産業及び金属鉱山について、需要確保と総合的振興の施策を早急に行なう必要があるのであります。同時に、労働者の雇用安定と離職者対策には、血の通った施策を実行しようとするものであります。  地方財政の自主財源強化は、地方自治拡充の前提であります。そのため地方交付税率を三〇%に引き上げ、また、これに関連して、たばこ消費税率もあわせて三〇%とし、入場譲与税の廃止はこれをとりやめるというのであります。  また、勤労者の生活水準の向上に重大な意味を持つのは、公務員給与ベースと農民の生産者米価であります。この点につきましては、労働者や農民の代表との協議に基づいて、その生活の保障、並びに生産費及び所得補償の立場から、それぞれの額を定め、その決定を見たときに、所要の予算措置を追加いたしたいと思うのであります。(拍手)  次に、財政投融資の問題でありますが、言うまでもなく、財政投融資の原資の大半は、あくまで国民の零細な資金の積み立てであります。ところが現在その運用のウエートは、大資本、大企業に偏重しており、財政における階級性を最も露骨に示しているのであります。従って、この運用方針を是正し、中小企業、農林漁業、国民生活に密着した地方公営企業等への資金運用に重点を移行させ、同時に長期かつ低利資金としての運用方針を強化しなければならぬと思うのであります。今日、輸出銀行は、大資本の帝国主義的な海外への経済進出の推進力的役割を果たしているのでありますが、これはアジアにおける日本の平和的役割と相矛盾するものであって、これを改めることが必要であります。しかして、低開発諸国との平等互恵の経済協力を基本とし、農業、中小企業あるいは医療、文化等の協力までを含めた経済提携にこれを役立たせるべきであります。また、独占的大資本への財政資金供給については、その企業設備投資計画を国の指示に従わせ、また、その製品の価格について正当な引き下げを行なわせることができるよう国の規制を加えることとすべきであります。  今年度の投融資原資には、約千五百億円の公募債借入金による資金調達が織り込まれておりますが、これは民間金融を圧迫するとともに、それだけ日銀の追加信用を招き、ひいては景気刺激の一因となるおそれ十分でありますので、これを縮小する必要があります。なお、公募債の縮小によって、国鉄、公営公庫、住宅公団、道路公団、地方債等に資金計画の不足が生ずる場合は、開発銀行輸出銀行の運用部資金借り入れ分を圧縮してこれに充当する考えであります。  以上が、わが党の要求する予算組み替えの大綱であります。この大綱によりますると、一般会計特別会計財政投融資を含む全体としての財政規模は、政府原案以内にとどまることになるのであります。従いまして、すでに述べました通り、全般的経済政策に対する制度的な改革を前提とし、かつ、予算そのものとしては、防衛費や投資支出を削って、社会保障中心とする国民生活の向上に振りかえておりまするので、予算の性格が、政府原案のそれと質的に変化することは当然であります。(拍手)こうした財政政策によりまして、初めて当面の国際収支危機景気加熱、過剰生産所得格差などの諸問題が解決の方向に向かい得ることを私は確信いたすのであります。(拍手)  以上、私は日本社会党を代表いたしまして、三十七年度予算案撤回と組み替えを求める動議提案趣旨説明を申し述べた次第であります。何とぞ御賛同を賜わりたいと思うのでございます。(拍手
  11. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 以上で、委員長報告動議趣旨弁明を終わりました。     —————————————
  12. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) これより討論に入ります。討論予算三件に対する討論と、編成替えを要求する動議に対する討論とを一括して行なうこととし、順次これを許します。松浦周太郎君。   〔松浦周太郎君登壇
  13. 松浦周太郎

    ○松浦周太郎君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました三十七年度一般会計予算外二案に対し、賛成の意を表し、日本社会党予算組み替え案に反対の討論を行なわんとするものであります。(拍手)  今日の経済の調整措置について、野党諸君は、その論拠をもっぱら池田内閣の高度経済成長政策に基づく所得倍増計画に求め、計画自体が失敗であると論難しておるのであります。事態の推移をつぶさに観察するならば、それはまことに皮相な見解と申さざるを得ません。経済の成長を高め、できるだけバランスのとれた形において実現していこうとする成長政策は、米、英、仏、伊等先進諸国においてかなり以前から採用されているところであります。池田内閣所得倍増計画も、成長過程にあるわが国経済計画的に取り上げ、積極的に成長の方向を示し、およそ十年間に国民総生産を二倍とすることを目標とし、その間、産業間、地域間に見られる所得の格差を是正しながら、完全雇用と福祉国家を実現しようとするところのきわめて意欲的な計画であって、この高度経済成長政策の方向は決して誤っておりません。(拍手)  わが国経済は、一言にして言うならば、若く、たくましく、成長力の躍動する姿であります。ことに技術革新を中核とする経済の一大改革をなし遂げんとする力があふれ、この力の余り、ややもすれば予想を越える行き過ぎを生ずることがあり得るのであります。今日の事態は、要約すれば、わが民族の活力があふるるの余り、行き過ぎが起こったのであり、行き過ぎを改善しようと政府がしばらくの間の足踏みを要請している姿と理解するのがむしろ妥当であり、高度成長政策所得倍増計画そのものが進路を誤ったと見るべき筋合いのものではなく、いわんや計画の失敗というがごときは、事実を歪曲するもはなはだしいといわなければなりません。(拍手)  すでに政府の講じて参りました一連の施策の結果、景気は次第に鎮静の兆を見せ、効果は徐々に上がりつつある事実を見のがしてはならないのであります。今後内需の抑制輸入の調整、輸出の振興とにより、遠からぬ将来に国際収支均衡を達成することに努力するとともに、他面、高度成長に伴い飛躍的に拡大された民間設備投資に対し、著しく立ちおくれた社会資本の充足、技術の革新に伴う科学技術者、技能者の養成など、将来の経済成長のための基盤育成についても十分配慮しなければならないことは申すまでもありません。また、中小企業、農林水産業等立ちおくれておる産業を多くかかえているわが国経済の特殊性にかんがみ、引き締め影響が弱い分野にしわ寄せされないよう、十分の配慮を要請されることも、けだし当然であります。  かかる観点に立って、本予算検討するとき、その編成方針に、まず引き締め基調を堅持し、経済各分野の均衡をはかりつつ、長期にわたる安定成長の基盤を充実することを明らかにいたし、また、施策については、減税公共投資社会保障及び文教等を重要施策として取り上げまして、財政の運営については、あくまでも弾力的運用を期して、景気の調整に格段の配慮をいたしておるのでありますが、この予算編成の基本的態度は、わが国経済の情勢に適応する妥当なものと信ずるものでありまして、私が本予算に第一に賛成するゆえんであります。  次に、私は本予算施策の要点について、二、三触れてみたいと思います。  第一に、減税であります。わが党の高度成長政策の眼目は、毎年度相当規模減税を行なうことといたしておるのでありますが、明年度は、国税においては間接税に重点を置き、平年度千五百億円、地方税において三百八十億円程度の大幅減税を行なうことといたしたのであります。今回の減税措置の結果、国民負担の率は二二・二%と相なり、また、減税の幅は直接税四、間接税六の割合と相なっております。税の負担率は、要するに歳出内容国民所得水準によって判断すべきであって、世界の例を見ても、国民所得水準の高い先進国においては、わが国よりもはるかに高いことがその好例であります。特に、最近における経済成長に伴い、公共投資の不足は、ますますその拡充の必要を痛感せしめ、また、所得倍増計画に従って、社会保障の充実の必要性もまた大なるものがあり、歳出の緊要性は、減税の重大性と相匹敵するものがあるのでありまして、財政支出国民生活を安定せしめ、経済成長の基盤となることを考えますとき、将来の国民所得水準の向上を通じて、実質的負担軽減への道につながるものであって、税の負担率を二〇%とか二一%に固定して考えることは当を得ないものであります。(拍手)今回の減税措置により、所得税を納めない階層の人々にも広く減税の恩恵の及ぶに至りましたことは、非常に適切な措置であり、今後さらに一段と間接税の引き下げに努力いたすべきものと信ずるものであります。所得税においても、中小所得者の負担軽減をはかるため、各種控除の引き上げ及び税率の緩和をはかるほか、所得税の一部二百十八億円を道府県民税に移譲し、さらに、たばこ消費税の税率を二%引き上げ、これに伴い入場税の地方譲与制度を廃止したことは、国、地方を通ずる税源配分の適正化をはかられるのみならず、地方団体の自主性と健全性を一そう高めるものと信ずるものでありまして、中小企業者地方財政に特別な注意を払うわが党の態度が明白に現われておるのであります。  第二に、社会保障についてであります。社会保障は三十六年度において画期的な改善、拡充を見たのでありますが、明年度においてはさらに一そうの前進をはかり、生活保護、各種社会福祉、社会保険、国民年金、失業対策、結核及び精神衛生対策等を通ずる社会保障関係費は、三十六年度当初予算に比べて実に五百十五億円、二〇・九%の増加であり、三十五年度から三十六年度への増加率は三四・七%でありますから、最近二カ年間に実に六〇%以上の上昇を見、かつ施策内容にも著しい改善と進歩が現われておりますことは、池田内閣が近代的福祉国家建設への大きな前進を目ざすものと認められ、率直に賛成するものであります。(拍手)  第三に、公共投資についてであります。最近における経済の旺盛な拡大により、道路、港湾等に著しい障害を来たしておることは、今や重大な社会的関心の的となっておるのであります。政府も、従来これら社会資本の立ちおくれを解消するために、諸施策の推進に格段の意を用いられておりますが、明年度においても引き続き公共投資の拡充に重点を置き、公共事業関係費は総額四千五百二十二億円、三十六年度当初に比して九百三十八億円、二六%増が計上せられ、特に道路事業については、対前年度比三百七十七億円の増、千八百七十六億円をもって、本年度策定せられました整備五カ年計画のもと、交通量の多い重要路線、交通麻痺に悩む一部都市街路及び資源開発のための基幹道路の建設整備に重点を置き、また港湾整備についても、本年度策定にかかる整備五カ年計画を確実に実施することとして、ことに船込みに対しましては、東京、大阪、名古屋などの特定重要港湾を重点的に整備することとしていることは、現下の社会経済上差し迫った要請にこたえるものと信ずるものであります。  第四に、文教問題であります。およそ人間の能力の向上と精神文化の高揚は、科学技術の振興とともに、豊かなる社会の建設にも、経済の成長達成にもきわめて重要な要件でありますが、本予算においては、教育環境の改善と理工系教育の拡充を中心に、対前年度比四百八十二億円、約一九%の増を計上し、小中高各学校における理科教育設備補助の大幅増額、理工系学生増員の既定計画の繰り上げ実施、新たに国立工業高等専門学校十二校の設置、さらに教育の機会均等の精神から、義務教育の教科書無償配布に踏み切った決断など、時宜を得たものと信ずるものであります。(拍手)  第五に、農業部門についてであります。所得の格差是正のため、農業基本法に基づく各種施策の推進、林業、漁業の振興に大幅な予算の増額をはかったことは、本予算の特色とも申すべきものでありまして、特に注目すべきは、農業基盤の整備促進、農業構造改善事業の推進、農業近代化資金の拡充と金利の引き下げ、農林漁業金融公庫資金の増額、畜産及び果樹園芸の振興など、農山漁村に明るい希望を与える数々の施策が強力に展開されておりますことは、衷心賛意を表明する次第であります。(拍手)  中小企業対策については、体質の改善を一そう促進するため、また経済調整策の影響を十二分に考慮し、前年度に比べて二倍以上を、石炭対策としては約二倍を、住宅及び環境衛生対策については三割以上を、それぞれ増額計上いたしておりますことは、きわめて適切な措置であります。  次に、国際収支の改善をはかるため、輸出振興は現下最も重要な事項であります。本予算においては、経済協力費とあわせて前年度比約二九%を増額計上し、それぞれの措置を講じておりますが、輸出振興は本来税制、金融を主体として総合的に施策せらるべきもので、税制面においては、従来の特別措置のほか、すでに前国会で税制改正を行ないましたが、これらの措置により明年度の税負担の軽減額は、約二百億円程度見込むことができます。また、金融面については、日本輸出銀行に対し財政資金を前年度より二百四十億円増額して、八百十億円を投入し、貸付規模を千二百五十億円に拡大しておるのであります。この時宜を得た措置が一そう輸出伸長を力づけるものであろうことを期待するとともに、従来の内需重点主義を改め、輸出の増進に一段の努力を要望いたす次第であります。(拍手)  次に、財政投融資について一言申し上げます。財政投融資のあり方は公共性の強い部門、ことに国民生活に直結する部門ないしは国民生活基盤の強化を促進すべき部門に向けられることが本来きわめて望ましい姿であると思考いたします。近年、資金の配分計画は、この望ましい姿に接近して参っておりますが、明年度計画においても、総額八千五百九十六億円のうち実に六千九百七十二億円、八一・一%が国民生活の安定、生活基盤の整備をはかる部門に配分せられ、残余の金額についても、その約二分の一は輸出振興に配分せられていることは、まことに当を得た措置と存ずる次第であります。(拍手)  以上、きわめて概括的に述べましたが、本予算案は、その内容規模、また経済的性格が適正妥当なりやいなやの点について、簡潔に論及したいと思うのであります。  一般会計は、歳入歳出とも二兆四千二百六十八億円でありますが、その歳出の一切が租税その他の普通歳入によってまかなわれ、収支均衡を得た健全なる予算であると断ずる次第であります。(拍手予算総額国民所得に対する比率は一六・九%となっており、従来の一五%台を上回っておりますが、明年度民間設備投資並びに在庫品の増加は、いずれも本年度より縮小が見込まれること、また、明年度直ちに消費されない、いわゆる資金経費が一千億円以上計上されておるほか、社会保障関係費に見られるごとき、政府の財貨サービス購入にならない経費増加多額に計上され、さらに、景気調整予算執行との関係について十分周到な配慮がされている等の諸点を考慮いたしますならば、結論として三十六年度自然増収を極力剰余金として三十八年度に繰り越した措置などともあわせまして、わが国経済の諸情勢に見合った適正な規模で編成されていると信ずるものでありまして、運用の妙によって国際収支均衡を回復し、健全な経済の成長を持続することができることを確信するとともに、本予算案に対し心から賛成する次第であります。(拍手)  しかしながら、私は、本予算案が、かようにすぐれた特色を有するがゆえに、さらにその実効を高からしめる意味において慎重な配慮が必要と認められる点、あるいはいささか懸念される面について、若干申し上げたいと存じます。  重複を避けるために詳細は省きますが、本予算案の複雑多岐な内容と、拡大された規模及び現下社会の要請にかんがみ、これが運用にあたっては特に弾力的執行に特段の意を用いられ、かりにも景気刺激に及ぶがごときことは、厳につつしまれるよう努力が必要であります。近時、行政能率の向上、簡素化については、朝野を問わず強く叫ばれ、これにこたえて池田内閣もこの方策を推進しつつあるのでありますから、この具現に全力を尽くし、国民各層の期待に沿うため、予算の効率的使用の実をあげられるよう強く要望いたします。  さて、次には、消費者物価対策に関して申し述べたいと存じます。  消費者物価は昨年の初めから一途上昇を続け、十二月には前年平均に比べ九%と、全く異常な高騰を示し、今や国民をあげての重大関心事となっておりますことは御承知の通りであります。経済の安定成長を達成するためには、物価の安定がきわめて重要なることは論を待たないのでありまして、政府においても、その抑制措置に意を用いていることはうかがわれるのでありますが、率直に言って施策としてはいまだ徹底を欠くうらみなしとは申せません。物価高騰の原因は、もちろんきわめて複雑でありますが、たとえば一面において総評の指導になる年間スケジュールのベース・アップの闘争を支援し、国会においては物価値上げの抑制を唱える社会党に対し、公党としてその矛盾に強く反省を求めるものであります。(拍手政府は、事の重大性と緊急性とを十分認識せられ、この際、総合的観点に立って、さらに一段の熱意を持って実効ある対策を樹立せられるよう要望いたします。なかんずく、次の四項目について注意を喚起しておきたいと思います。第一、今年四月からの間接税減税に見合う小売り物価の引き下げの措置を講ずること。第二、公共料金等の抑制については一そう努力をすること。第三、耐久消費財等、生産向上の著しいものについては、適正な値下げが行なわれるよう行政上の措置を講ずること。第四、値上がりの原因となっている部門、たとえば流通機構のごときものを的確に把握し、改善の策を講ずること。  以上本予算案に賛成の意を表し、あわせて運用上の要望を申し上げた次第であります。  次に、日本社会党の組み替え動議について若干意見を申し上げます。  組み替え案によれば、歳出においては一見国民の喜びそうな項目が並べられておりますが、問題は、その財源であります。すなわち、財源捻出の手段として、租税特別措置の廃止、公共投資の一千億円、防衛費の九百七十億円ガリオア・エロア債務返済、タイ特別円の返済金等の削減あるいは削除を取り上げられております。  まず、租税特別措置でありますが、これは申すまでもなく、経済的、社会的要請のもとに、特定の目的のためにとられる税制上の優遇措置でありますから、一言で言うならば、経済の成長を税制の面で助けようとするもので、ひとりわが国のみならず、米、英、仏、独等の先進国においては、あるいは資本蓄積のために、あるいは輸出振興のために、今日広く採用せられておるところであります。もとより情勢の変化に応じて、理由の乏しくなったものについては、公平なる税の負担の原則から見て廃止することは当然であって、政府においても、毎年これが改廃をいたしておることは御承知の通りであります。(拍手)社会党は、この措置を廃止せよと主張せられますが、かわるべき適切なる措置の用意なくして、廃止のみを申されるのは、資本の蓄積、科学技術の振興、輸出の増進を忘れた暴論もはなはだしいといわなければなりません。(拍手)  防衛費の削減については、わが党の防衛政策と全く相いれないものでありまして、もちろん容認することはできません。独立国である以上、自衛権を持つことは、国家存立の基本的権利であります。(拍手)世界各国、国の大小を問わず、防衛費を計上しない国はありません。中立国のスイスは、歳出予算の四〇%、国民所得の三・三%を充てているのに比すれば、わが国のそれは、わずかに九%と一・三%でありまして、世界の現実の姿に照らしても、国際上の常識から見ても、これを削減する方針は取り得ないのが当然であります。(拍手)  また、ガリオア・エロア債務返済及びタイ特別円債務に関しましては、予算委員長報告による政府答弁の通りでございまして、責任ある政府は、わが国の国際的地位と信用にかんがみても、もちろん削減、削除などの措置はとるべきではなく、これを組み替え案の骨子とすることには絶対反対であります。(拍手)  なお、社会党は、政府財政経済政策は大企業本位であって、危機の克服は困難であると申しておられますが、かような主張は、あまりにも階級意識のみにとらわれた独断、偏見に陥ったものといわなければなりません。(拍手わが国は過去二回にわたって国際収支の困難な場面に逢着しながら、わが党内閣施策のよろしきを得、これを克服し、国民の協力によって、経済のたくましき成長を遂げ、この二年間に国民所得は実に三五%の増加を見、繁栄と幸福、国民全体の利益と福祉がとみに上がりつつあることは、冷静、公平に判断するならば、だれの目にもはなはだ明瞭なる事実であります。(拍手)今回の国際収支の不均衡は、自由経済の発展過程における一つの波動であって、政府施策のよろしきを得、指導の的確をもって行なうならば、必ずや克服の目近きことを確信いたすものであります。  かような理由から、私は、日本社会党の組みかえ動議には反対であります。ここに、私は、自由民主党を代表し、政府案に賛成し、組みかえ案に反対の意見を表明し、討論を終わるものであります。(拍手
  14. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 小松幹君、   〔小松幹君登壇
  15. 小松幹

    ○小松幹君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっております政府提出昭和三十七年度一般会計予算等三案に反対し、社会党より提出されております政府原案撤回編成替えを求める動議に賛成の討論をいたしたいと存じます。(拍手)  まず、政府提出予算案について申し上げる前に、この予算案の背景となっております池田内閣経済政策の欠陥を指摘し、現在何がゆえに日本経済が混迷と危機に陥っているかを明らかにいたしたいと思うのでございます。(拍手)  現在、政府高度成長政策の旗をおろすこともできず、だからといって真正面から高度成長だと大上段に積極政策を打ち出す自信もなく、ただ心ひそかに所得倍増計画に執着を残し、三十七年度予算も一応この路線の上にまとめようと努力いたしたのであります。しかしながら、物品の騰貴、きびしい国際収支の逆調、それを補うIMFからの借り入れなどからして、高度成長積極政策の遂行が不可能であるということを知ったのであります。(拍手)すなわち、成長率において平均七・二%、当初三年連続九%の成長計画はとうてい実行できないということを理解したのであります。そこで、倍増計画の二年目の本年、ついに成長率を五・四%に引き下げ、経済見通し、成長計画を一切大きく変更いたしたのであります。しかも、昨年以来実施いたしております経済抑制政策、すなわち、投資抑制金融引き締めなどうしろ向きの調整活動を引き続き実施することにしたのであります。このことは、池田内閣の金看板である高度成長、所得倍増計画がすでに絵にかいたもちであるということを示したものであります。(拍手)何らの実効的価値を示しておらないことをみずからこの予算において証明いたしておるわけであります。(拍手池田経済成長政策は、本年において私は名目的に逆転したといわなければならないと思うわけであります。すでに破綻した倍増計画高度成長政策をあえて捨て切らないで、面子にかけてイージー・ゴーイングに持ち続けようとする池田総理自身の態度が私は問題にすべきだと思うのであります。(拍手経済を長い目で見てくれと言いながら、積極政策の意地を通そうとする、このこと自体がかえって経済の調整活動を鈍らせ、資本の規制すらできなく、逆に日本経済をだらだらな不況の袋小路に追い込んでおるわけであります。(拍手)救いがたい経済の混迷と危機をもたらしておるのは、池田内閣総理大臣自身のやり方にあるわけであります。(拍手)波状的な経済循環の流れをしいて直線的に置きかえ、しかも、急上昇の連続ドライブをかけようとしたところに、池田内閣の積極経済政策が失敗したのであります。その意図やまさに壮、しかしながら責任ある政治家として、あるいは賢明なるエコノミストとしては、全く暴挙をあえてしたわけであります。池田流の独善のしからしむるところであろうと思うのであります。かつて賀茂川の流れをわが意のごとくならないということを嘆いた老法皇がありましたが、池田総理はこれにもまして経済の流れを自己の意思のままに、直線的に上昇させようと試みた、いわゆる行き過ぎであったのであります。(拍手)かくて、日本経済は、ここを基点とし、この高度成長政策を基点として、大きなひびが逆に入ってきたわけであります。格差がだんだんと大きくなったのも、との池田政策を基点としてからでございます。  思うに、私は、日本経済は平凡ではあるけれども、安定成長ということが、最も大切なことであろうと思います。国際収支均衡ないしは経済格差の縮小するという均衡発展こそが、私は真の経済の発展だろうと思うわけであります。責任ある政治家は、すなおにこの実直な平凡な経済成長政策を実行することが、私は正しい道であろうと思うのであります。(拍手)勇み足は失敗のもと、こういうことがございますが、池田さんも少し図に乗り過ぎて、少し勇み足になって、むちゃくちゃな高度成長政策を打ち出したところに、今日の破綻があるわけであります。(拍手)  日本経済は、鉱工業生産に必要な原材料、すなわち鉄鉱、石油あるいは原綿等、一切のものを完全に輸入に依存いたしておるわけであります。設備投資を拡張し、鉱工業生産を飛躍的に拡大すれば、それは必然的に輸入増強を来たすことは、明白な論理であります。さらに、これに対比するのに、国内需要の刺激的な政策をとることによって、ますます内需は拡大するのでございます。そうして輸出マインドの低下を来たし、輸出不振を招来することは当然であります。このことによって、輸出輸入の不均衡は、さらに大きく拡大していくわけであります。輸入超過、輸出不振、すなわち国際収支の不均衡というこの大きな壁は、日本経済の最大な泣きどころとなっておるのであります。経済成長の前に一度も二度も越さねばならない関所が、この国際収支の壁であると思うのであります。(拍手)  過去の日本経済が、一方的な帝国主義的発展を遂げたときにあっても、他方ではソーシャル・ダンピングの輸出を進め、これによって貿易の収支のつじつまを合わせてきたのであります。戦後、米国の特需輸入、ICA物資の域外買付という特殊条件によって、辛うじて国際収支均衡を保ってきた日本の実績から考えても、日本経済は、国際収支均衡こそが、成長のボトル・ネックであり、河よりも優先する大前提であると思うのであります。  しかるに、池田内閣は、生産拡大国民総供給の拡大は、国内需要の拡張で補うことができる、高度成長は、この国内需要の拡大によって可能であるという、安価な国内均衡論に終始したのであります。経済拡大の道を進めてきたために、すなわち国際収支を過小評価したところに、国内繁栄、成長ムードをかり立てて、ついにこの国際収支の逆調を招いて失敗いたしたのであります。  また政府経済方針は、日本銀行信用膨張を主軸として貸し出し増加をはかり、独占資本と結んだ金融機関を通してオーバー・ローンを積み上げて参りました。このオーバー・ローンの積み上げによって、大都市大企業設備投資を促進してきたのであります。この結果は、一方、企業過剰生産能力が拡大されました。しかしながら、この反面中小企業の脱落分解をまた招来いたしたのであります。かくて、日本経済の二重構造は深められ、経済の格差は一そう大きく開いたのであります。  いわゆる所得倍増政策は、裏を返して見れば、格差を拡大する政策に通じていたのでございます。(拍手)しかも、この高度成長政策は、国民総生産拡大、なかんずく大企業設備投資生産拡大中心にして進められてきました。優先的に資本の擁護をはかり、その蓄積を容易ならしめたのであります。すなわち、独占禁止法があるのにもかかわらずカルテルの形成を許し、あるいは、鉄鋼公販制度等に見るがごとき、いわゆる公販制度の認定を認め、独占価格を維持することに協力をしてきたのであります。これがあるために、生産性向上に見合う卸売物価の値下がりもできず、むしろ逆に、物価上昇を下からささえていたようなものであります。物価値上がりの最大の要因は、この独占価格の擁護政策にあったというべきでありましょう。(拍手)さらに、所得倍増、繁栄の積極ムードは、物価上昇のムードを極端にまで作り上げて参りました。消費者物価上昇公共料金の引き上げの直接の原因となったのは、この倍増ムードでございました。いわゆる所得倍増より物価倍増の方が先にやってきて、国民生活を非常に苦境に陥れたのもまた深刻なる事実であります。(拍手成長政策の中から物価引き下げの実効は上げ得ないとしても、すでに引き締め政策をとっております。今日、政府は何としても物価引き下げの実をあげるべき政策をとることが至当であるわけであります。  さらに、また、池田内閣は西欧民主主義への郷愁にかられ、米国追従、日米協力を主軸として経済政策の発展を進めて参りました。しかし、現在の国際情勢は、日本の大国主義や思惑とは別に、それぞれ独立、独自の立場で経済強化をはかっているのであります。アメリカドル防衛政策を初め、貿易自由化の強制、EEC経済結束などに見るように、日本の甘い期待とはかけ離れて、もっと利己的に、もっと計算ずくで経済体制の強化がなされているということをわれわれは知らねばなりません。(拍手)  われわれ日本民族の生きる道は、池田内閣がやっているように、一方的に対米追従あるいはお義理立ての片貿易をしごく反省すべきときであると思うのであります。バイ・アメリカン主義に注文をつけてみたり、あるいは賦課金免除に走り回ることよりも、日本独自の自主経済体制を作り上げる以外に道はないと思うのであります。(拍手)すなわち、アメリカ追従ないしはアメリカ貿易から脱却して、積極的にアジア大陸の各地と経済交流を進め、対共産圏貿易拡大をはかるべき段階がきていると思うのであります。池田内閣は、一向にこのことにとんちゃくなく、対米一辺倒に終始していることは、まことに嘆かわしい現実であります。英国が長い名誉の孤立の伝統を打ち破って、欧州大陸、しかも当初は反対したEEC市場に帰属するという方向をとったということは、これは日本も参考にしていいのではないかと思うわけであります。向米一辺倒ではなく、島国日本が大陸を離れて何があるか、アジア大陸に向かって経済の発展を考慮して間違いないと思うのであります。(拍手)それこそ当然の帰着点であると考えるのであります。日本経済の混迷の要因である対米片貿易から解放されて、共産圏貿易に移るということも、一つの清風であると私は思うのであります。  次に、三十七年度予算でございますが、政府案は、一般会計予算総額は二兆四千二百六十八億円、財政投融資額は八千五百九十六億円と、非常に昨年度よりも予算が膨張いたしております。超大型予算といわれた昨昭和三十六年度の当初予算よりも、二四・三%、一七・八%と飛躍的に大膨張いたしておるわけでございます。これは現在景気抑制政策を実施している池田内閣としては、経済政策とおよそ右と左に矛盾した、はなはだしい大型予算であると思うのであります。このような内需刺激の予算を組んだことは、景気調整の完了をいたずらにおくらせ、だらだら不況を長引かせ、国際収支を慢性赤字化に導くものであり、引き締め基調と相反する最も悪い予算になっておるのであります。昨年、総合対策実施当時、来年こそは予算規模を極力抑制し、景気調整の総仕上げをすると言ったのにもかかわらず、今度の予算編成では、この景気調整的に言った言葉はすべて帳消しで、総くずれになっておるわけであります。ここに池田内閣政策と現に組まれた予算とは、根本的にずれているわけであります。このことを私は見のがすわけにはいかないのであります。しかしながら、たとえそれが大型予算であったとしても、現在の日本経済危機を認識し、国際収支の回復、あるいは輸出の振興、所得格差の是正、あるいは物価の引き下げという、経済再建目標に一本の筋が通っておるならば、この予算が大型でも私はあえて反対もできないのでございますれども、現在のような予算では、全く無性格な総花予算になっているだけでありまして、これは悪く解釈すれば、参議院選挙目当ての膨張予算と批判されても仕方がないのであります。(拍手)一体政府は、このような予算を編成して、財政に及ぼす危機を感じていないのでございましょうか。輸出意欲の減退、輸入圧力ともなりかねないこの膨張予算を作って、そのしりぬぐいは金融引き締め政策を運用することによってどうにかつじつまを合わせていこうという。こういう考え方は、それこそ財政政策の失敗を金融引き締めで補い、その犠牲を、事もあろうに中小企業、零細業者に及ぼし、所得格差拡大をますます深めていくばかりの政策ではないでありましょうか。(拍手)  水田大蔵大臣は、この三十七年度予算は、大型ではあるが、歳入は税金などのような健全財政をもってまかなわれているから、この三十七年度予算は一応健全であると言っております。しかしながら、その増加財源の大部分は自然増収でまかなっているのでありまして、との点が問題であります。この自然増収の大きな膨張は、日本銀行信用の過大造出という不生産的な要素が含まれているわけであります。現在日本銀行貸し出しは非常に膨張し、一兆三千億に達する膨大な信用インフレを作っているのであります。この信用インフレの所産である設備投資から生じた税の自然増収は、決して国民所得の健全な、堅実な増加から生まれた自然増収と同一視するわけにはいかないのであります。日銀信用の不健全な膨張によって生じたこの膨大な自然増収をほとんど大部分の増加財源としている本三十七年度予算は、必ずしも健全であると言い切るわけにはいかないのであります。税の自然増収は三十七年度は四千八百億円を見込まれておりますが、このことがすでに変態であるということはわれわれもわかる。しかしながら、減税額は非常に少ないのであります。この変態を解消するのには、減税以外にはないのであります。わずかに減税額は、その五分の一しか実施しておりません。減税額は九百八十七億円でありまして、昨年十二月税制調査会が答申しました三十七年度分一千四百億円の減税案よりも、四百億円も下回っていることは、一体いかなる意図に基づくものか、私は了解できないのであります。税金の取り過ぎを国民に返すというきわめて簡単な財政民主主義の立場を忘れ、いたずらに自然増収の上にあぐらをかいて、拡大予算、八方美人予算を作っていくことは、これこそ私は健全なる財政運用でないというのであります。税制調査会はまた、国民の税負担率を二〇%以内にとどめることを答申いたしておりますが、三十七年度負担率は二二・三%となっているのであります。戦前の昭和十年ごろの税負担率は、一二・九%であったことを考えてみたときに、今日の国民の税負担は過重に過ぎる、このことは国によって大衆収奪が行なわれているとしか考えられないのであります。しかし、一方では大資本、大企業のためには租税特別措置法の維持をはかり、減免税の措置が強く、かたく実施されているのであります。三十七年度では、この租税特別措置法による減免税額は一千五百億円以上と考えられているのであります。池田内閣は、資本拡大のために大企業にはあくまでも減免税の保護政策を確保しながら、大衆課税のみはまことに重税を維持して、情け容赦もなく徴税を強行しているのであります。  次に、防衛費の問題でございますが、日本経済を回復し、安定成長に持っていくためには、まず平和主義に立って軍需費を削り、少なくとも軍需インフレを起こさないことが大切でございます。不生産的な軍需費の膨張は、国民生活を圧迫するのみならず、国税の無価値な消耗になるだけでございます。三十七年度防衛費は二百八十億円の増額でありますが、防衛関係費はついに二千億をこえてしまったのであります。装備の国産化という名のもとに軍備拡張が行なわれていることは、まことに遺憾のきわみであります。(拍手)中でも三十五トン新中型戦車九十両というのがありますが、これは一体何に使われるのでありましょうか。三十五トン戦車が快速で通過できる日本の道路は、一体どこに存在するのでありましょうか。日本の国土の防衛上、この三十五トン戦車がどんな役に立つかはなはだ疑わしいのであります。満州やシベリア用の戦車が日本に必要だと考えている政府は、国土防衛をどんなふうに判断しているのかと問いたいくらいであります。  また、ロッキード戦闘機の装備費も組まれておりますが、一つの機械、一基四千五百万円もするナサールがはたして利用価値があるか、怪しいのであります。ナサールは精密な電子装置機でありまして、ロッキードの座席にあるドームに敵機を映し、ボタン一つで一瞬にして自動射撃ができ、百発百中という機械だそうでございます。マッハ土以上の空中戦を想像しましたときに、はたしてこの百発百中というナサールが何の役に立つか、私は疑わざるを得ないのであります。私に言わせれば、このナサールの役割はゼロにひとしいと思うのであります。全く不必要な装備を一基四千五百万円も出して買わされておるということは、一体どういうことでありましょうか。ロッキード機がすでに平素の訓練に消耗していく率は非常に多いそうでございます。先般の予算委員会防衛庁がはっきりしたことは、昭和四十一年まで——まだ二機か三機しかできていないのですけれども、昭和四十一年までには、二百機のうちすでに五十機は事故消耗するという予定であります。三年もたたぬうちに四分の一に減ってしまうわけであります。膨大な金をかけて作ったロッキード機が、実際は空中戦の戦闘用には何にも役に立たない。これこそ、まさに空中サーカス用のものとしか考えられないのでございます。(拍手)こんなものに国庫債務負担行為で膨大な国税を支払っていることは、まことに大きな損失であると思うのであります。  政府予算は、その基本において大資本擁護あるいは軍備拡大をはかっているのでありますが、しかも、この予算は、輸入を刺激する公共投資、インフレ予算であるともいわれるのであります。だからこそ、このインフレ予算の欠陥を補わねばなりませんが、この欠陥を補い、民生安定をはかり、大衆の犠牲の救済をする方途は、この三十七年度予算において社会保障関係費を充実させることにあったのであります。しかしながら、政府がこの予算案に盛ったのには、民生安定費は第二義的に置かれているのであります。社会保障関係費は、総予算の一二%前後でありまして、昨年の予算一二・六%よりも下がっておるわけでございます。しかも、このうち、百三十九億円の増加は社会保険費の増加でありまして、真に民生安定、さらに重要な生活保障費、失業対策費等の増加額が非常に少ないのでございます。まことに不満なことでございます。生活保護費などは、生活扶助基準を一三%引き上げてはおりますが、これはさきの厚生省が要求したところの二二%よりもはるかに少なく、最近の物価高を埋め合わせることもできないようなのが実態であります。実質的には基準引き上げになっていないのであります。  次に、中小企業対策についてであります。前年度に比べて四十六億円の増加は見ておりますが、総額において九十一億円でありまして、まことに中小企業対策としては少額過ぎる。こういう百億にも満たない金額で中小企業対策とは、およそナンセンスであります。(拍手)  次に、文教関係費でございますが、前年度に比べて一八%増といわれてはおりますけれども、しかしながら、今一番全国で問題になっておるところの高校急増対策は、全くスズメの涙で、顧みられておらないのであります。昭和三十八年度から四十年度にかけて、高校入校志望者は激増し、現状のままでは年々四十万人が就学不能になってしまう状態であります。高校新増設費が十五億円文部省に組まれ、要求の八分の一、また、地方起債によって五十億円は設定されてはいますが、これを加えてもなおかつ、新増設できるものは必要分の三分の一にも及ばないのであります。このままの状態で放任されますと、二十万人以上の中学生浪人が年々ちまたにあふれることは必至であります。文部大臣は、高校設置は政府責任ではない、これは地方自治団体の責任であると、逃げを打っております。国会答弁ではこれで済まされるかもしれませんけれども、この中学浪人の問題は、根本的に解決できないまま、私は大きな社会問題を引き起こすものと思っております。(拍手)  次に、政府は、産業投資特別会計において、本年度よりいよいよガリオア・エロア援助資金を対米債務として返済するため、七十九億円を用意いたしております。これらは全く占領地救済資金であり、援助資金でもあったわけであり、贈与の形式で放出されたものと考えるべきが至当でありましょう。日本の場合は、西ドイツの場合と違って、受領に選択的意思もなく、数量も、また品質も不明であり、受け取る場合もまことにその価格は不明であったのであります。西ドイツは、不必要な消費財は断わり、復興に役立つ生産財のみを主として、しかも正確に数量、品質ともに調べて受け取っておるわけであります。西ドイツが返したから日本も返すのだということは、全く筋の通らない話であります。日本国民は、米軍占領下において、その代償として総額五十億ドルという大金を米軍支出しているのであります。この五十億ドルという大金、いわゆる援助資金の倍以上になっているわけであります。この五十億ドルという金額は、被占領国の負担する終戦処理費の範囲をはるかにこえて、膨大な額を意味しているわけであります。また、平和条約発効以後も、日本米軍駐留軍費を支出している点などから考えますと、日本はもはや米国にこれ以上金銭支払いをする義務はないと考えるのであります。(拍手)しかも、その当時為替レートは両建制でありまして、円安、円高の両為替レートがあり、米国業者は不当な利益を得た反面日本の方は損をいたして、日本貿易特別会計は巨額の赤字を累積したのであります。この赤字穴埋めのために、このガリオア・エロア援助物資払い下げ代金から全額支出されているのであります。このことは、援助資金はすでに日米貿易を通じて支払い済みという勘定になってしまっておるのであります。それ以上日本米国に返済する必要はないと考えるのであります。政府はこれらの事情を十分知っていながら、しいて返済しようとするその意図は、われわれ了解に苦しむところであります。  以上、幾つかの点を指摘しまして、政府予算は、独占資本の擁護、インフレ、軍備予算であり、今日の経済引き締め政策と逆行する無責任なる膨張予算であると思うのであります。われわれはとうてい賛成することができません。  政府は、すみやかに社会党の動議のごとく本予算案撤回し、新たなる観点から予算を編成し替え、再提出することが妥当であると考えます。  以上、政府原案に反対し、社会党組み替えの動議に賛成いたしまして、私の討論を終結いたします。(拍手
  16. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 井堀繁男君。   〔井堀繁男君登壇
  17. 井堀繁男

    ○井堀繁男君 私は、民主社会党を代表いたしまして、ただいま議題になりました政府提案の昭和三十七年度一般会計予算案外二案及び社会党の組み替え動議について、反対の趣旨を明らかにいたしたいと思うのであります。  政府予算案内容並びに経済政策その他重要法案などをつぶさに検討して参ったのでありますが、その結果、多くの疑惑と欺瞞を感ずる次第でありまして、国民とともに多くの不安を感ずる次第であります。  かつて池田総理は、施政方針演説の中において次のように述べられておるのであります。「あらかじめ起こるべき事態の的確な予見と、これを回避すべき事前の対応策に十分でなかったことは、これを認めるにやぶさかでない」と言っておるのであります。しかるに、政府がこの見込みを誤りました反省をいたしますには、この予算編成こそ、最もよき機会であったと思うのであります。しかるに、集中的に、最も効果的に政策を実現なし得るはずの予算編成にあたりまして、いささかもその反省の色が現われていないのみならず、これに対する緊急な転換策をもはかられていない点をまことに遺憾とするものであります。ことに、池田総理について、先ほども言及されておりましたが、かつて昭和二十八年と三十四年の二回にわたる経済閣僚としての経済政策に対する失敗は、きわめて明らかな事実であります。ことに、今回総理大臣として、失敗をさらに重ねようとしておるのであります。その事実を簡単に指摘してみますると、民間投資行き過ぎ輸入増加を招き、国際収支危機を招来いたしましたこのケースは、過去二回において繰り返されたところでありします。このことは、日本経済にとりまして全く救いがたい骨がらみの悪質な病的な現象を呈するまでに至っていることを指摘しなければならないのであります。政府所得倍増計画の名のもとにおいて行なわれております経済政策というものは、一口に申しますと、勤労大衆を犠牲に供することによって大企業に奉仕する、一方に偏した諸政策を強化してきたものと断定せざるを得ないのであります。私は、抽象的に言うのではありません。具体的にその一例をあげてみましょう。  昭和三十六年の鉄鋼業設備投資伸びについてでありますが、この数字は、政府計画目標にあげております昭和四十五年度設備投資水準に達しておるのであります。こういう事実に示されておりますように、政府の大企業偏重政策というものは、多くの勤労国民大衆に絶大な被害を与えておるのであります。それのみではありません。冒頭にも申し上げましたように、国際収支の悪化はますます悪質なものになると同時に、政府は、とりあえずアメリカ市中銀行や、あるいは国際通貨基金からの借り入れをもって外貨の赤字補てんを行なうような措置を行なったのでありますけれども、ここにわれわれは重大な関心を払うのであります。このことは、周知の通り、その代償として、政府はこの秋より貿易自由化を大幅に実施することを迫られておるのであります。これには多くの問題があるのでありまするが、時間の関係で言及することができぬことを遺憾に思います。また、一方、金融の引き締めによる大企業中小企業の格差というものが、きわめて大きくなりつつありますことも明らかな事実であります。このように、中小企業と大企業の格差の拡大というものは、日本産業経済にとりましては、きわめて重大な危機を招来するものであるのであります。かてて加えて、勤労国民大衆の生活の脅威というものは、目に見えざるところに深刻な様相を積み重ねておることを指摘しなければなりません。  こういったような悪条件の前に、わが国国民経済は、国際貿易の激しい競争に立つのでありますが、こういう悪条件を解決するために、明年度予算というものは十分なる内容を盛り込んで編成されなければならぬことは、国民のひとしく要求するところであったと思うのであります。ところが、政府予算内容は、冒頭にも申し上げましたように、だんだん検討して参りますると、なるほど、その経費を各項目において増大をしておりまするいわゆる大型予算ではありますけれども、以上申し上げる事実だけについても、全く無性格な予算に終わってしまっておるのであります。  私は、この機会に政府は強く反省を求めたいと思いまするのは、世界の先進国のいずれの国を見ましても、イデオロギーの相違はあるにいたしましても、その政治の目標は、国民福祉の実現と完全雇用達成のために、異常な精力的な努力を払っておるということを忘れてはならぬのであります。このように、経済政策を樹立いたしますにしても、また、景気の変動を予防するような措置にいたしましても、以上の政治目標のために、きわめて大胆で、しかも力強く、細心な計画と努力を続けておりますることを、私は、特に強調いたしておきたいと思うのであります。しかるに、わが国経済なり政府経済政策なり予算内容というものは、これとは全く逆コースをとっておるという事実を、遺憾ながら、国民とともにここに指摘せざるを得ないのであります。それは、一方には、世界に誇る、すなわち、世界第一といわれる高い経済成長を誇っておりまするが、その陰には、数え切れない不完全就労者という暗い影が存在しております。また、低所得階層の数の多いことは、世界の先進国いずれにも例を見ることのできない奇現象であります。また、国民生活全体にとりましては、住宅難あるいは入学難、あるいは交通地獄といわれまするように、国民生活は全く今日がんじがらめに苦しい圧力の中に呻吟しておるのであります。特に生活必需物資の騰貴は、生鮮食料品を初めといたしまして急激な高騰をいたしまして、これはとうてい皆さんの想像のできない勤労国民の生活の内面を脅威いたしておるのでありまして、このことは、昨今非常に憂うべき風潮となって現われておるのであります。たとえば、強い者勝ち、ごね得といったような傾向は、まさにその一つの現われでありまして、こういう現われは、やがて、収拾し得ざる非常な大きな国民の反撃の形になって現われてくる前兆であるということは、過去の歴史の教えるところであります。私は、今日、所得倍増計画は、表面拡大計画の名において景気を謳歌しておるように見えますけれども、その反面には、今申し上げたように、隠された危険というものがおそるべき姿となって成長しておることを、重ねて政府に警告をいたしたいと思うのであります。  私は、政府予算案が、こういう意味で時流に反し、国民の生活の実態に合わない、きわめて不親切きわまるものでありまするとともに、型だけがいかに大型予算でありましても、その政策がうらはらについていなければ、すなわち、政策が行方不明のコンニャク予算と申さざるを得ないのであります。(拍手)このような予算を、われわれはとうてい承認することはできません。  そこで、わが党は、次の二、三の実例をあげまして組み替えの要求をいたしたのでありますが、多くを述べる時間がありませんので、二、三のものをあげてみたいと思います。  第一は税制でありまするが、租税は、申すまでもなく、応能、応益課税の原則を貫くべきものでありまして、特に、以上申し上げたような客観的な諸情勢の中における税制改革というものは、ただ課税の公平の原則という抽象的な言葉をもって言い表わすわけにはいかないのであります。今日の予算の中に現われました、あるいは法案を通じて現われておりまする政府政策というものは、一貫して大企業法人に対する課税が望ましいのであります。もっと大企業法人に対する厳格なる課税のための所得把握をいたすべきである。こういう点については、全く目こぼしというよりは、故意にこれを見送っている感が強いのでありまして、その反面、大衆にいわれなき重税が転嫁されるという結果になっているのでありまして、このことを一日も早く改むるべきことを強調いたします見地から、所得税は標準五人世帯の給与所得で年収五十万円を免税点とすること、中小法人もこれにならって減税を、また、政府案の中にあります酒税、物品税の減税につきましては、大衆消費品目に関する限りにおいて減税の幅を拡大していくべきであると思います。  また、わが党は、三十七年度におけるこれらの計算を一千九百億円程度と見込んでおりますが、大衆減税を行ないますとともに、その財源といたしましては、法人税の的確なる捕捉と、これは租税特別措置法に問題があるといたしましても、その是正を加えながら、改廃へ持っていくべきである。土地増価税のごときものは、この機会にこそ設定を急ぐべきものではないか。こういうように不当に高い収益をあげております階層に対する徴税を強化することは、応能課税、応益課税の原則からいたしましても、きわめて妥当な措置といわなければなりません。こういう点から、わが党は、政府案より一千億円程度の増税を見積もることが可能であると思うのであります。  次に、歳出の点について一、二触れてみたいと思うのであります。今、国民皆保険を政府は強調いたしておりますが、医療保険制度内容は、今日ほどその改善を急がれるときはないと思うのであります。このためには、各保険会計予算に対する国庫の負担金を引き上げる措置をとるべきであると思います。ことに、国民福祉年金、老人、母子並びに身体障害者年金のごとく、こういう年金制度給付額についての引き上げの財源は、私は、どこからでも引き出せると思うのでありまするが、これらとともに、生活保護基準の月額一万五千円程度は当然であるといわなければなりません。こういう引き上げのための経費あるいは義務教育における国庫負担金の引き上げ等のために約一千億円を要するのでありますが、これらの予算を捻出いたしまする計算は、いずれも易々としてなし得る内容のものであることを強調いたしておきたいと思うのであります。  私どもは、歳出予算につきましては、一方においては、産業助成費として、農林業あるいは沿岸漁業、中小企業、石炭鉱業あるいは海運業などに対する合計約三百五十億程度を増額することがきわめて妥当であると思います。また、地方財政につきましては、地方交付税の交付率、たばこ消費税率の三%引き上げ、ことに、この機会に強調いたしておきたいと思いまするのは、沖繩に対する措置であります。沖繩については、一般の府県同様に、交付金、義務教育関係の国庫負担金のようなものについて、それと実質的に見合うような援助を、この際予算に計上すべきではなかったか。わが党は、これに二百億円を計上いたしました。このように、国民生活の保障、産業の直接助成、地方財源の強化などに対して、政府案より約一千六百四十六億円を増加することとなるのでありますけれども、一方では、国民の強い反対にあっておりまするガリオア・エロアや、あるいは日タイ特別円協定の支払いといったようなものをこの際取りやめ、あるいはアメリカのひもつきといわれておりまする自衛隊増強のやり方などについて制約を加えることにより、さらには、一般行政費節約、ことに、国債償還の一部を繰り延べるというような方法によりまして、政府案より一千六百四億円の減額を見積もることができるのであります。  このようにいたしまして、わが党の組み替えの構想は、一般会計予算規模では、政府案より四十二億円だけ増額することになるのでありますが、歳入歳出は、以上の通り均衡することになるのであります。わが党は、経済成長率の見積もりでありまするが、年間七%程度はかたいと見込んでおります。そういたしますと、六千億をこえる財源増加は必ず期待できるものと、各般の資料より確信をいたしておるのでありますが、言うまでもなく、国の経済政策は、まずこの財政余力をいかに活用するかが問題であると思うのであります。言うまでもなく、その財政余力は国民福祉予算に編成することが当然であると申さなければなりません。しかるに、政府は、以上申し上げましたように、全く国民生活の根本的な対策ともなるべき予算に目をおおい、一方的な大企業へ偏重するような政策に終始いたしております。  私がこの機会に強調をいたしたいと思いますることは、さきにも述べましたように、お互いに、与党も野党も、この財政的余力を国民福祉のためにフルに活用するという共通の広場をわれわれは持つべきではなかったか、こういう点については、政府案も社会党の組み替え案も、大きく欠ける点を遺憾に思うのであります。  私は、年次予算内容をよりよくするために、与野党の深い理解と協力に訴えて、わが党の福祉予算構想に御賛成あらんことを強く要望いたしますとともに、政府案に反対し、組み替え案にも反対の意思を表明いたしまして、私の討論を終わる次第であります。(拍手
  18. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 以上をもちまして討論は終局いたしました。  よって、これより採決に入ります。  まず、川俣清音君外十五名提出の昭和三十七年度一般会計予算外二件につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。  川俣清音君外十五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  19. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 起立少数。よって、川俣清音君外十五名提出の動議は否決せられました。  次に、昭和三十七年度一般会計予算外二件を一括して採決いたします。  この採決は記名投票をもって行ないます。三件の委員長報告はいずれも可決であります。三件を委員長報告の通り決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されんことを望みます。——閉鎖。   〔議場閉鎖〕
  20. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 氏名点呼を命じます。   〔参事氏名を点呼〕   〔各員投票〕
  21. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 投票漏れはありませんか。——投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。——開鎖。   〔議場開鎖〕
  22. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 投票を計算いたさせます。   〔参事投票を計算〕
  23. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。   〔事務総長報告〕  投票総数 三百九十二   可とする者(白票) 二百五十三   〔拍手〕   否とする者(青票)  百三十九   〔拍手
  24. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 右の結果、昭和三十七年度一般会計予算外二件は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)     —————————————  昭和三十七年度一般会計予算外二件を委員長報告の通り決するを可とする議員の氏名       安藤  覺君    相川 勝六君       逢澤  寛君    愛知 揆一君       青木  正君    赤城 宗徳君       赤澤 正道君    秋田 大助君       秋山 利恭君    天野 公義君       綾部健太郎君    荒木萬壽夫君       荒舩清十郎君    有田 喜一君       有馬 英治君    井出一太郎君       井原 岸高君    井村 重雄君       伊藤 五郎君    伊藤 郷一君       伊藤  幟君    伊能繁次郎君       飯塚 定輔君    池田 清志君       池田 勇人君    池田正之輔君       石井光次郎君    石田 博英君       一萬田尚登君    稻葉  修君       今松 治郎君    宇田 國榮君       宇都宮徳馬君    宇野 宗佑君       上村千一郎君    植木庚子郎君       臼井 莊一君    内田 常雄君       内海 安吉君    浦野 幸男君       江崎 真澄君    小笠 公韶君       小川 平二君    小沢 辰男君       小澤佐重喜君    小澤 太郎君       尾関 義一君    大石 武一君       大上  司君    大久保武雄君       大倉 三郎君    大高  康君       大竹 作摩君    大野 市郎君       大野 伴睦君    大平 正芳君       大村 清一君    大森 玉木君       岡崎 英城君    岡田 修一君       加藤 高藏君    加藤常太郎君       加藤鐐五郎君    金子 一平君       金子 岩三君    上林山榮吉君       神田  博君    亀岡 高夫君       唐澤 俊樹君    仮谷 忠男君       川島正次郎君    川野 芳滿君       川村善八郎君    菅  太郎君       木村 公平君    木村 俊夫君       岸本 義廣君    北澤 直吉君       久野 忠治君    久保田円次君       草野一郎平君    倉石 忠雄君       倉成  正君    藏内 修治君       黒金 泰美君    小泉 純也君       小枝 一雄君    小金 義照君       小坂善太郎君    小島 徹三君       小平 久雄君    小山 長規君       河野 一郎君    河本 敏夫君       纐纈 彌三君    佐々木秀世君       佐々木義武君    佐藤 榮作君       佐藤虎次郎君    佐藤洋之助君       佐伯 宗義君    齋藤 邦吉君       齋藤 憲三君    坂田 英一君       櫻内 義雄君    笹本 一雄君       志賀健次郎君    始関 伊平君       椎熊 三郎君    椎名悦三郎君       重政 誠之君    篠田 弘作君       澁谷 直藏君    正示啓次郎君       正力松太郎君    白浜 仁吉君       壽原 正一君    鈴木 正吾君       鈴木 仙八君    鈴木 善幸君       瀬戸山三男君    關谷 勝利君       園田  直君    田川 誠一君       田口長治郎君    田澤 吉郎君       田中伊三次君    田中 角榮君       田中 龍夫君    田中 正巳君       田邉 國男君    田村  元君       高田 富與君    高橋清一郎君       高橋  等君    高見 三郎君       竹内 俊吉君    竹下  登君       竹山祐太郎君    舘林三喜男君       谷垣 專一君    千葉 三郎君       中馬 辰猪君    津雲 國利君       津島 文治君    塚原 俊郎君       辻  寛一君    綱島 正興君       渡海元三郎君    徳安 實藏君       床次 徳二君    内藤  隆君       中垣 國男君    中曽根康弘君       中野 四郎君    中村 梅吉君       中村 幸八君    中村三之丞君       中村庸一郎君    中山 マサ君       永山 忠則君    灘尾 弘吉君       楢橋  渡君    南條 徳男君       二階堂 進君    丹羽喬四郎君       丹羽 兵助君    西村 英一君       西村 直己君    野田 卯一君       野田 武夫君    野原 正勝君       羽田武嗣郎君    馬場 元治君       橋本登美三郎君    長谷川四郎君       長谷川 峻君    服部 安司君       花村 四郎君    濱田 幸雄君       濱田 正信君    濱地 文平君       濱野 清吾君    早川  崇君       林   博君    原 健三郎君       原田  憲君    廣瀬 正雄君       福家 俊一君    福田 赳夫君       福田 篤泰君    福田  一君       福永 健司君    藤井 勝志君       藤枝 泉介君    藤田 義光君       藤原 節夫君    藤本 捨助君       藤山愛一郎君    船田  中君       古井 喜實君    古川 丈吉君       保科善四郎君    保利  茂君       坊  秀男君    星島 二郎君       細田 義安君    細田 吉藏君       堀内 一雄君    本名  武君       前尾繁三郎君    前田 正男君       前田 義雄君    牧野 寛索君       益谷 秀次君    増田甲子七君       松浦周太郎君    松浦 東介君       松澤 雄藏君    松田 鐵藏君       松永  東君    松野 頼三君       松村 謙三君    松本 一郎君       松本 俊一君    松山千惠子君       三池  信君    三浦 一雄君       三木 武夫君    水田三喜男君       南好  雄君    宮澤 胤勇君       村上  勇君    毛利 松平君       森   清君    森下 國雄君       森田重次郎君    森山 欽司君       八木 徹雄君    保岡 武久君       柳谷清三郎君    山口喜久一郎君       山口 好一君    山崎  巖君       山田 彌一君    山手 滿男君       山中 貞則君    山村治郎君       山本 猛夫君    米田 吉盛君       米山 恒治君    早稻田柳右エ門君       渡邊 良夫君  否とする議員の氏名       安宅 常彦君    阿部 五郎君       淺沼 享子君    足鹿  覺君       飛鳥田一雄君    有馬 輝武君       淡谷 悠藏君    井伊 誠一君       井岡 大治君    井手 以誠君       猪俣 浩三君    石川 次夫君       石田 宥全君    石橋 政嗣君       石村 英雄君    石山 權作君       板川 正吾君    稻村 隆一君       小川 豊明君    緒方 孝男君       大柴 滋夫君    大原  亨君       岡  良一君    岡田 利春君       岡田 春夫君    加藤 勘十君       加藤 清二君    勝澤 芳雄君       勝間田清一君    角屋堅次郎君       川俣 清音君    川村 継義君       河上丈太郎君    河野  正君       木原津與志君    北山 愛郎君       久保 三郎君    久保田鶴松君       栗原 俊夫君    栗林 三郎君       黒田 寿男君    小林 信一君       小林  進君    小林 ちづ君       小松  幹君    兒玉 末男君       五島 虎雄君    佐々木更三君       佐藤觀次郎君    佐野 憲治君       坂本 泰良君    阪上安太郎君       實川 清之君    島上善五郎君       島本 虎三君    下平 正一君       東海林 稔君    杉山元治郎君       田中 武夫君    田邊  誠君       田原 春次君    多賀谷真稔君       高田 富之君    高津 正道君       滝井 義高君    楯 兼次郎君       辻原 弘市君    坪野 米男君       戸叶 里子君    堂森 芳夫君       中島  巖君    中嶋 英夫君       中村 重光君    中村 高一君       中村 英男君    永井勝次郎君       成田 知巳君    西村 関一君       西村 力弥君    野口 忠夫君       野原  覺君    芳賀  貢君       畑   和君    原   茂君       原   彪君    日野 吉夫君       肥田 次郎君    平岡忠次郎君       広瀬 秀吉君    藤原豊次郎君       帆足  計君    穗積 七郎君       細迫 兼光君    堀  昌雄君       前田榮之助君    松井 政吉君       松井  誠君    松平 忠久君       松原喜之次君    松本 七郎君       武藤 山治君    村山 喜一君       森島 守人君    森本  靖君       八百板 正君    矢尾喜三郎君       安井 吉典君    安平 鹿一君       山内  広君    山口シヅエ君       山口丈太郎君    山口 鶴男君       山崎 始男君    山中 吾郎君       山中日露史君    山花 秀雄君       山本 幸一君    湯山  勇君       横路 節雄君    横山 利秋君       吉村 吉雄君    和田 博雄君       渡辺 惣蔵君    井堀 繁男君       伊藤卯四郎君    受田 新吉君       内海  清君    春日 一幸君       片山  哲君    佐々木良作君       鈴木 義男君    田中幾三郎君       玉置 一徳君    西尾 末廣君       西村 榮一君    門司  亮君       本島百合子君    志賀 義雄君       谷口善太郎君     —————————————
  25. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 本日は、これをもって散会いたします。    午後四時五十一分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  池田 勇人君         法 務 大 臣 植木庚子郎君         外 務 大 臣 小坂善太郎君         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         文 部 大 臣 荒木萬壽夫君         厚 生 大 臣 灘尾 弘吉君         農 林 大 臣 河野 一郎君         通商産業大臣  佐藤 榮作君         運 輸 大 臣 斎藤  昇君         郵 政 大 臣 迫水 久常君         労 働 大 臣 福永 健司君         建 設 大 臣 中村 梅吉君         自 治 大 臣 安井  謙君         国 務 大 臣 川島正次郎君         国 務 大 臣 藤枝 泉介君         国 務 大 臣 藤山愛一郎君         国 務 大 臣 三木 武夫君  出席政府委員         内閣官房長官  大平 正芳君         総理府総務長官 小平 久雄君