○小松幹君 私は、
日本社会党を代表して、ただいま
議題となっております
政府提出昭和三十七
年度一般会計予算等三案に反対し、社会党より提出されております
政府原案の
撤回と
編成替えを求める
動議に賛成の
討論をいたしたいと存じます。(
拍手)
まず、
政府提出予算案について申し上げる前に、この
予算案の背景となっております
池田内閣の
経済政策の欠陥を指摘し、現在何がゆえに
日本経済が混迷と
危機に陥っているかを明らかにいたしたいと思うのでございます。(
拍手)
現在、
政府は
高度成長政策の旗をおろすこともできず、だからといって真正面から高度成長だと大上段に積極
政策を打ち出す自信もなく、ただ心ひそかに
所得倍増計画に執着を残し、三十七
年度予算も一応この路線の上にまとめようと努力いたしたのであります。しかしながら、物品の騰貴、きびしい
国際収支の逆調、それを補うIMFからの借り入れなどからして、高度成長積極
政策の遂行が不可能であるということを知ったのであります。(
拍手)すなわち、成長率において平均七・二%、当初三年連続九%の成長
計画はとうてい実行できないということを理解したのであります。そこで、
倍増計画の二年目の本年、ついに成長率を五・四%に引き下げ、
経済の
見通し、成長
計画を一切大きく変更いたしたのであります。しかも、昨年以来実施いたしております
経済抑制政策、すなわち、
投資抑制、
金融引き締めなどうしろ向きの調整活動を引き続き実施することにしたのであります。このことは、
池田内閣の金看板である高度成長、
所得倍増計画がすでに絵にかいたもちであるということを示したものであります。(
拍手)何らの実効的価値を示しておらないことをみずからこの
予算において証明いたしておるわけであります。(
拍手)
池田経済成長政策は、本年において私は名目的に逆転したといわなければならないと思うわけであります。すでに破綻した
倍増計画、
高度成長政策をあえて捨て切らないで、面子にかけてイージー・ゴーイングに持ち続けようとする
池田総理自身の態度が私は問題にすべきだと思うのであります。(
拍手)
経済を長い目で見てくれと言いながら、積極
政策の意地を通そうとする、このこと自体がかえって
経済の調整活動を鈍らせ、
資本の規制すらできなく、逆に
日本経済をだらだらな不況の袋小路に追い込んでおるわけであります。(
拍手)救いがたい
経済の混迷と
危機をもたらしておるのは、
池田内閣総理大臣自身のやり方にあるわけであります。(
拍手)波状的な
経済循環の流れをしいて直線的に置きかえ、しかも、急
上昇の連続ドライブをかけようとしたところに、
池田内閣の積極
経済政策が失敗したのであります。その意図やまさに壮、しかしながら
責任ある政治家として、あるいは賢明なるエコノミストとしては、全く暴挙をあえてしたわけであります。
池田流の独善のしからしむるところであろうと思うのであります。かつて賀茂川の流れをわが意のごとくならないということを嘆いた老法皇がありましたが、
池田総理はこれにもまして
経済の流れを自己の意思のままに、直線的に
上昇させようと試みた、いわゆる
行き過ぎであったのであります。(
拍手)かくて、
日本経済は、ここを基点とし、この
高度成長政策を基点として、大きなひびが逆に入ってきたわけであります。格差がだんだんと大きくなったのも、との
池田政策を基点としてからでございます。
思うに、私は、
日本経済は平凡ではあるけれども、安定成長ということが、最も大切なことであろうと思います。
国際収支の
均衡ないしは
経済格差の縮小するという
均衡発展こそが、私は真の
経済の発展だろうと思うわけであります。
責任ある政治家は、すなおにこの実直な平凡な
経済成長政策を実行することが、私は正しい道であろうと思うのであります。(
拍手)勇み足は失敗のもと、こういうことがございますが、
池田さんも少し図に乗り過ぎて、少し勇み足になって、むちゃくちゃな
高度成長政策を打ち出したところに、今日の破綻があるわけであります。(
拍手)
日本の
経済は、
鉱工業生産に必要な
原材料、すなわち鉄鉱、石油あるいは原綿等、一切のものを完全に
輸入に依存いたしておるわけであります。
設備投資を拡張し、
鉱工業生産を飛躍的に
拡大すれば、それは必然的に
輸入増強を来たすことは、明白な論理であります。さらに、これに対比するのに、
国内需要の刺激的な
政策をとることによって、ますます内需は
拡大するのでございます。そうして
輸出マインドの低下を来たし、
輸出不振を招来することは当然であります。このことによって、
輸出、
輸入の不
均衡は、さらに大きく
拡大していくわけであります。
輸入超過、
輸出不振、すなわち
国際収支の不
均衡というこの大きな壁は、
日本経済の最大な泣きどころとなっておるのであります。
経済成長の前に一度も二度も越さねばならない関所が、この
国際収支の壁であると思うのであります。(
拍手)
過去の
日本経済が、一方的な帝国主義的発展を遂げたときにあっても、
他方ではソーシャル・ダンピングの
輸出を進め、これによって
貿易の収支のつじつまを合わせてきたのであります。戦後、
米国の特需
輸入、ICA
物資の域外買付という特殊
条件によって、辛うじて
国際収支の
均衡を保ってきた
日本の実績から考えても、
日本経済は、
国際収支の
均衡こそが、成長のボトル・ネックであり、河よりも優先する大前提であると思うのであります。
しかるに、
池田内閣は、
生産拡大、
国民総供給の
拡大は、
国内需要の拡張で補うことができる、高度成長は、この
国内需要の
拡大によって可能であるという、安価な
国内均衡論に終始したのであります。
経済拡大の道を進めてきたために、すなわち
国際収支を過小評価したところに、
国内繁栄、成長ムードをかり立てて、ついにこの
国際収支の逆調を招いて失敗いたしたのであります。
また
政府の
経済方針は、
日本銀行の
信用膨張を主軸として
貸し出し増加をはかり、独占
資本と結んだ金融機関を通してオーバー・ローンを積み上げて参りました。このオーバー・ローンの積み上げによって、大都市大
企業の
設備投資を促進してきたのであります。この結果は、一方、
企業の
過剰生産能力が
拡大されました。しかしながら、この
反面、
中小企業の脱落分解をまた招来いたしたのであります。かくて、
日本経済の二重構造は深められ、
経済の格差は一そう大きく開いたのであります。
いわゆる所得倍増
政策は、裏を返して見れば、格差を
拡大する
政策に通じていたのでございます。(
拍手)しかも、この
高度成長政策は、
国民総生産の
拡大、なかんずく大
企業の
設備投資、
生産拡大を
中心にして進められてきました。優先的に
資本の擁護をはかり、その蓄積を容易ならしめたのであります。すなわち、独占禁止法があるのにもかかわらずカルテルの形成を許し、あるいは、鉄鋼公販制度等に見るがごとき、いわゆる公販制度の認定を認め、独占価格を維持することに協力をしてきたのであります。これがあるために、
生産性向上に見合う卸売
物価の値下がりもできず、むしろ逆に、
物価上昇を下からささえていたようなものであります。
物価値上がりの最大の要因は、この独占価格の擁護
政策にあったというべきでありましょう。(
拍手)さらに、所得倍増、繁栄の積極ムードは、
物価上昇のムードを極端にまで作り上げて参りました。
消費者物価の
上昇、
公共料金の引き上げの直接の原因となったのは、この倍増ムードでございました。いわゆる所得倍増より
物価倍増の方が先にやってきて、
国民生活を非常に苦境に陥れたのもまた深刻なる事実であります。(
拍手)
成長政策の中から
物価引き下げの実効は上げ得ないとしても、すでに
引き締め政策をとっております。今日、
政府は何としても
物価引き下げの実をあげるべき
政策をとることが至当であるわけであります。
さらに、また、
池田内閣は西欧民主主義への郷愁にかられ、
米国追従、日米協力を主軸として
経済政策の発展を進めて参りました。しかし、現在の国際情勢は、
日本の大国主義や思惑とは別に、それぞれ独立、独自の立場で
経済強化をはかっているのであります。
アメリカの
ドル防衛政策を初め、
貿易自由化の強制、
EECの
経済結束などに見るように、
日本の甘い期待とはかけ離れて、もっと利己的に、もっと計算ずくで
経済体制の強化がなされているということをわれわれは知らねばなりません。(
拍手)
われわれ
日本民族の生きる道は、
池田内閣がやっているように、一方的に対米追従あるいはお義理立ての片
貿易をしごく反省すべきときであると思うのであります。バイ・
アメリカン主義に注文をつけてみたり、あるいは
賦課金免除に走り回ることよりも、
日本独自の自主
経済体制を作り上げる以外に道はないと思うのであります。(
拍手)すなわち、
アメリカ追従ないしは
アメリカ片
貿易から脱却して、積極的にアジア大陸の各地と
経済交流を進め、対共産圏
貿易の
拡大をはかるべき段階がきていると思うのであります。
池田内閣は、一向にこのことにとんちゃくなく、対米一辺倒に終始していることは、まことに嘆かわしい現実であります。英国が長い名誉の孤立の伝統を打ち破って、欧州大陸、しかも当初は反対した
EEC市場に帰属するという方向をとったということは、これは
日本も参考にしていいのではないかと思うわけであります。向米一辺倒ではなく、島国
日本が大陸を離れて何があるか、アジア大陸に向かって
経済の発展を考慮して間違いないと思うのであります。(
拍手)それこそ当然の帰着点であると考えるのであります。
日本経済の混迷の要因である対米片
貿易から解放されて、共産圏
貿易に移るということも、一つの清風であると私は思うのであります。
次に、三十七
年度予算でございますが、
政府案は、
一般会計予算総額は二兆四千二百六十八億円、
財政投融資額は八千五百九十六億円と、非常に昨
年度よりも
予算が膨張いたしております。超
大型予算といわれた昨
昭和三十六
年度の当初
予算よりも、二四・三%、一七・八%と飛躍的に大膨張いたしておるわけでございます。これは現在
景気抑制政策を実施している
池田内閣としては、
経済政策とおよそ右と左に矛盾した、はなはだしい
大型予算であると思うのであります。このような内需刺激の
予算を組んだことは、
景気調整の完了をいたずらにおくらせ、だらだら不況を長引かせ、
国際収支を慢性
赤字化に導くものであり、
引き締め基調と相反する最も悪い
予算になっておるのであります。昨年、
総合対策実施当時、来年こそは
予算規模を極力
抑制し、
景気調整の総仕上げをすると言ったのにもかかわらず、今度の
予算編成では、この
景気調整的に言った言葉はすべて帳消しで、総くずれになっておるわけであります。ここに
池田内閣の
政策と現に組まれた
予算とは、根本的にずれているわけであります。このことを私は見のがすわけにはいかないのであります。しかしながら、たとえそれが
大型予算であったとしても、現在の
日本の
経済の
危機を認識し、
国際収支の回復、あるいは
輸出の振興、
所得格差の是正、あるいは
物価の引き下げという、
経済再建目標に一本の筋が通っておるならば、この
予算が大型でも私はあえて反対もできないのでございますれども、現在のような
予算では、全く無性格な総花
予算になっているだけでありまして、これは悪く解釈すれば、
参議院選挙目当ての膨張
予算と批判されても仕方がないのであります。(
拍手)一体
政府は、このような
予算を編成して、
財政に及ぼす
危機を感じていないのでございましょうか。
輸出意欲の減退、
輸入圧力ともなりかねないこの膨張
予算を作って、そのしりぬぐいは
金融引き締め政策を運用することによってどうにかつじつまを合わせていこうという。こういう
考え方は、それこそ
財政政策の失敗を
金融引き締めで補い、その犠牲を、事もあろうに
中小企業、零細業者に及ぼし、
所得格差の
拡大をますます深めていくばかりの
政策ではないでありましょうか。(
拍手)
水田大蔵大臣は、この三十七
年度予算は、大型ではあるが、
歳入は税金などのような
健全財政をもってまかなわれているから、この三十七
年度予算は一応健全であると言っております。しかしながら、その
増加財源の大部分は
自然増収でまかなっているのでありまして、との点が問題であります。この
自然増収の大きな膨張は、
日本銀行の
信用の過大造出という不
生産的な要素が含まれているわけであります。現在
日本銀行の
貸し出しは非常に膨張し、一兆三千億に達する膨大な
信用インフレを作っているのであります。この
信用インフレの所産である
設備投資から生じた税の
自然増収は、決して
国民所得の健全な、堅実な
増加から生まれた
自然増収と同一視するわけにはいかないのであります。日銀
信用の不健全な膨張によって生じたこの膨大な
自然増収をほとんど大部分の
増加財源としている本三十七
年度予算は、必ずしも健全であると言い切るわけにはいかないのであります。税の
自然増収は三十七
年度は四千八百億円を見込まれておりますが、このことがすでに変態であるということはわれわれもわかる。しかしながら、
減税額は非常に少ないのであります。この変態を解消するのには、
減税以外にはないのであります。わずかに
減税額は、その五分の一しか実施しておりません。
減税額は九百八十七億円でありまして、昨年十二月税制調査会が答申しました三十七
年度分一千四百億円の
減税案よりも、四百億円も下回っていることは、一体いかなる意図に基づくものか、私は了解できないのであります。税金の取り過ぎを
国民に返すというきわめて簡単な
財政民主主義の立場を忘れ、いたずらに
自然増収の上にあぐらをかいて、
拡大予算、八方美人
予算を作っていくことは、これこそ私は健全なる
財政運用でないというのであります。税制調査会はまた、
国民の税
負担率を二〇%以内にとどめることを答申いたしておりますが、三十七
年度税
負担率は二二・三%となっているのであります。戦前の
昭和十年ごろの税
負担率は、一二・九%であったことを考えてみたときに、今日の
国民の税
負担は過重に過ぎる、このことは国によって大衆収奪が行なわれているとしか考えられないのであります。しかし、一方では大
資本、大
企業のためには租税特別
措置法の維持をはかり、減免税の
措置が強く、かたく実施されているのであります。三十七
年度では、この租税特別
措置法による減免税額は一千五百億円以上と考えられているのであります。
池田内閣は、
資本拡大のために大
企業にはあくまでも減免税の保護
政策を確保しながら、大衆課税のみはまことに重税を維持して、情け容赦もなく徴税を強行しているのであります。
次に、
防衛費の問題でございますが、
日本の
経済を回復し、安定成長に持っていくためには、まず平和主義に立って軍需費を削り、少なくとも軍需インフレを起こさないことが大切でございます。不
生産的な軍需費の膨張は、
国民生活を圧迫するのみならず、国税の無価値な消耗になるだけでございます。三十七
年度の
防衛費は二百八十億円の増額でありますが、
防衛関係費はついに二千億をこえてしまったのであります。装備の国産化という名のもとに軍備拡張が行なわれていることは、まことに遺憾のきわみであります。(
拍手)中でも三十五トン新中型戦車九十両というのがありますが、これは一体何に使われるのでありましょうか。三十五トン戦車が快速で通過できる
日本の道路は、一体どこに存在するのでありましょうか。
日本の国土の
防衛上、この三十五トン戦車がどんな役に立つかはなはだ疑わしいのであります。満州やシベリア用の戦車が
日本に必要だと考えている
政府は、国土
防衛をどんなふうに判断しているのかと問いたいくらいであります。
また、ロッキード戦闘機の装備費も組まれておりますが、一つの機械、一基四千五百万円もするナサールがはたして利用価値があるか、怪しいのであります。ナサールは精密な電子装置機でありまして、ロッキードの座席にあるドームに敵機を映し、ボタン一つで一瞬にして自動射撃ができ、百発百中という機械だそうでございます。マッハ土以上の空中戦を想像しましたときに、はたしてこの百発百中というナサールが何の役に立つか、私は疑わざるを得ないのであります。私に言わせれば、このナサールの役割はゼロにひとしいと思うのであります。全く不必要な装備を一基四千五百万円も出して買わされておるということは、一体どういうことでありましょうか。ロッキード機がすでに平素の訓練に消耗していく率は非常に多いそうでございます。先般の
予算委員会で
防衛庁がはっきりしたことは、
昭和四十一年まで——まだ二機か三機しかできていないのですけれども、
昭和四十一年までには、二百機のうちすでに五十機は事故消耗するという予定であります。三年もたたぬうちに四分の一に減ってしまうわけであります。膨大な金をかけて作ったロッキード機が、実際は空中戦の戦闘用には何にも役に立たない。これこそ、まさに空中サーカス用のものとしか考えられないのでございます。(
拍手)こんなものに国庫
債務負担行為で膨大な国税を支払っていることは、まことに大きな損失であると思うのであります。
政府予算は、その基本において大
資本擁護あるいは軍備
拡大をはかっているのでありますが、しかも、この
予算は、
輸入を刺激する
公共投資、インフレ
予算であるともいわれるのであります。だからこそ、このインフレ
予算の欠陥を補わねばなりませんが、この欠陥を補い、民生安定をはかり、大衆の犠牲の救済をする方途は、この三十七
年度予算において
社会保障関係費を充実させることにあったのであります。しかしながら、
政府がこの
予算案に盛ったのには、民生安定費は第二義的に置かれているのであります。
社会保障関係費は、総
予算の一二%前後でありまして、昨年の
予算一二・六%よりも下がっておるわけでございます。しかも、このうち、百三十九億円の
増加は社会保険費の
増加でありまして、真に民生安定、さらに重要な生活保障費、失業対策費等の
増加額が非常に少ないのでございます。まことに不満なことでございます。
生活保護費などは、生活扶助基準を一三%引き上げてはおりますが、これはさきの厚生省が要求したところの二二%よりもはるかに少なく、最近の
物価高を埋め合わせることもできないようなのが実態であります。実質的には基準引き上げになっていないのであります。
次に、
中小企業対策についてであります。前
年度に比べて四十六億円の
増加は見ておりますが、
総額において九十一億円でありまして、まことに
中小企業対策としては少額過ぎる。こういう百億にも満たない金額で
中小企業対策とは、およそナンセンスであります。(
拍手)
次に、
文教関係費でございますが、前
年度に比べて一八%増といわれてはおりますけれども、しかしながら、今一番全国で問題になっておるところの高校急増対策は、全くスズメの涙で、顧みられておらないのであります。
昭和三十八
年度から四十
年度にかけて、高校入校志望者は激増し、現状のままでは年々四十万人が就学不能になってしまう状態であります。高校新増設費が十五億円文部省に組まれ、要求の八分の一、また、地方起債によって五十億円は設定されてはいますが、これを加えてもなおかつ、新増設できるものは必要分の三分の一にも及ばないのであります。このままの状態で放任されますと、二十万人以上の中学生浪人が年々ちまたにあふれることは必至であります。文部大臣は、高校設置は
政府の
責任ではない、これは地方自治団体の
責任であると、逃げを打っております。
国会答弁ではこれで済まされるかもしれませんけれども、この中学浪人の問題は、根本的に解決できないまま、私は大きな社会問題を引き起こすものと思っております。(
拍手)
次に、
政府は、
産業投資特別会計において、本
年度よりいよいよ
ガリオア・エロアの
援助資金を対米
債務として返済するため、七十九億円を用意いたしております。これらは全く占領地救済
資金であり、
援助資金でもあったわけであり、贈与の形式で放出されたものと考えるべきが至当でありましょう。
日本の場合は、西ドイツの場合と違って、受領に選択的意思もなく、数量も、また品質も不明であり、受け取る場合もまことにその価格は不明であったのであります。西ドイツは、不必要な消費財は断わり、復興に役立つ
生産財のみを主として、しかも正確に数量、品質ともに調べて受け取っておるわけであります。西ドイツが返したから
日本も返すのだということは、全く筋の通らない話であります。
日本国民は、
米軍占領下において、その代償として
総額五十億ドルという大金を
米軍に
支出しているのであります。この五十億ドルという大金、いわゆる
援助資金の倍以上になっているわけであります。この五十億ドルという金額は、被占領国の
負担する終戦処理費の範囲をはるかにこえて、膨大な額を意味しているわけであります。また、平和条約発効以後も、
日本は
米軍駐留軍費を
支出している点などから考えますと、
日本はもはや
米国にこれ以上金銭支払いをする義務はないと考えるのであります。(
拍手)しかも、その当時
為替レートは両建制でありまして、円安、円高の両
為替レートがあり、
米国業者は不当な利益を得た
反面、
日本の方は損をいたして、
日本の
貿易特別会計は巨額の
赤字を累積したのであります。この
赤字穴埋めのために、この
ガリオア・エロアの
援助物資払い下げ代金から全額
支出されているのであります。このことは、
援助資金はすでに日
米貿易を通じて支払い済みという勘定になってしまっておるのであります。それ以上
日本が
米国に返済する必要はないと考えるのであります。
政府はこれらの事情を十分知っていながら、しいて返済しようとするその意図は、われわれ了解に苦しむところであります。
以上、幾つかの点を指摘しまして、
政府予算は、独占
資本の擁護、インフレ、軍備
予算であり、今日の
経済引き締め政策と逆行する無
責任なる膨張
予算であると思うのであります。われわれはとうてい賛成することができません。
政府は、すみやかに社会党の
動議のごとく本
予算案を
撤回し、新たなる観点から
予算を編成し替え、再提出することが妥当であると考えます。
以上、
政府原案に反対し、社会党組み替えの
動議に賛成いたしまして、私の
討論を終結いたします。(
拍手)