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1962-02-12 第40回国会 衆議院 本会議 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月十二日(月曜日)     —————————————   昭和三十七年二月十二日    午後二時 本会議     ————————————— ○本日の会議に付した案件  昭和三十六年度一般会計予算補正   (第2号)  昭和三十六年度特別会計予算補正   (特第3号)  流感対策に関する緊急質問河野正   君提出)    午後三時九分開議
  2. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  昭和三十六年度一般会計予算補正(第2号)  昭和三十六年度特別会計予算補正(特第3号)
  3. 田邉國男

    田邉國男君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。  すなわち、この際、昭和三十六年度一般会計予算補正(第2号)、昭和三十六年度特別会計予算補正(特第3号)、右両件を一括議題となし、委員長報告を求めその審議を進められんことを望みます。
  4. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 田邉國男君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。  昭和三十六年度一般会計予算補正(第2号)、昭和三十六年度特別会計予算補正(特第3号)、右二件を一括して議題といたします。     —————————————
  6. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 委員長報告を求めます。予算委員長山村新治郎君。     —————————————   〔報告書会議録追録に掲載〕     —————————————   〔山村治郎登壇
  7. 山村新治郎

    山村治郎君 ただいま議題となりました昭和三十六年度一般会計予算補正(第2号)及び昭和三十六年度特別会計予算補正(特第3号)につきまして、予算委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。  両案は、去る一月二十三日本委員会に付託され、一月二十六日政府より両案の提案理由の説明があり、二月七、九日及び本日の三日間、政府側質疑応答がかわされたのでありますが、その詳細は会議録をごらん願うことといたしまして、まず予算補正の概要を申し上げます。  一般会計予算補正は、歳入歳出とも五百四十八億九千二百余万円でありまして、さきの第三十九回国会に成立した補正予算額九百九十七億一千四百万円をも加えますと、本年度予算額は二兆一千七十三億八千二百万円と相なるのであります。  なお、三十六年度歳入は、今次の補正によりましても、なお相当額増収が見込まれ、後年度剰余金として繰り越すことと相なっております。  歳出におきましては、災害復旧費三百億円余を計上し、本年度災害及び過年度災害に対し、年度内に支出を必要とする経費に充て、また国民健康保険助成費生活保護費等、前年度予算精算額及び昨年七月、十二月に行なわれた医療費改定に伴う義務的経費百十億余万円、また地方交付税交付金等百二十九億余万円、その他東京オリンピック大会準備費八億八千万円等と相なっております。  これが財源といたしまして、所得税法人税等合計五百四十八億九千二百万円が見積もられております。  特別会計予算補正においては、四つの特別会計について、それぞれの補正が行なわれております。  次に、質疑について申し上げます。  「沖縄施政権返還には憲法改正、再軍備を必要とするか」との質疑に対し、政府側より、「沖縄施政権返還は、国民の悲願であるので、機会あるごとに要求しているし、返還前においても、積極的に沖縄住民福祉増進を援助し、アメリカの協力を求めている、施政権返還のため憲法改正、再軍備は毛頭考えていないし、条件とすべきではない」との答弁がありました。  また、経済政策につきましては、「三カ年九%の成長政策は、初年度からデフレ政策に転換を余儀なくされ、また三十七年度において五・四%に落とさねばならないようになったことに対し、政府は長い目で見るべきであるというがごときは、過去一年間の政治責任を糊塗するものではないか、また生産在庫国際収支見通しいかん」との質疑に対しましては、政府は、「三十六年度においては、総生産政府見通しを大幅に上回り・一四%に達する行き過ぎがあるので、三十七年度は五・四%程度の伸びに抑制することは当然のことである、生産雇用増加するので、デフレ政策ではなく、安定的な調整政策というべきであり、所得倍増計画基本政策は正しいと思う、また当面生産は若干落ちるか、横ばいに推移し、輸入原材料在庫についても、昨年の見通し以上に相当増加が見込まれているので、在庫調整の終わる時期は明言できないが、五、六月輸入が急上昇するという心配はなくなっている、国際収支は秋ごろに均衡できるように施策を進める」との答弁がございました。  以上のほか、憲法改正問題、景気調整のための三十六年度予算の一部繰り延べの問題、対中国貿易の問題、交通の問題、日韓問題等につきまして、質疑応答がかわされたのであります。なお、いわゆる田中発言が本委員会にて問題となりましたことも、この際つけ加えて申し上げます。  かくて、本日、質疑終了後、討論採決の結果、予算補正二案は多数をもって原案の通り可決いたされました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  8. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 討論の通告がございまするから、順次これを許します。山花秀雄君。   〔山花秀雄登壇
  9. 山花秀雄

    山花秀雄君 私は、日本社会党を代表して、昭和三十六年度予算補正第二号及び特第三号に対し、反対討論をいたすものであります。  池田内閣経済見通しの誤りと、産業設備投資重点国内消費水準無視という、いわゆる高度経済成長政策破綻は、もはやすべての国民の目にも明らかになり、この政策をのろう声がちまたに充満していることは、議員各位の知られるところであります。これは物価の異常な高騰と、国際収支危機によく現われております。しかるに池田内閣は何らその責任を反省することなく、むしろ民間企業にその責任を転嫁しておるのであります。一方、公定歩合、預金準備率輸入担保率等引き上げ一般勤労者賃金抑圧等によるデフレ政策しわ寄せを、勤労者、農民、中小企業者に押しつけることによって、すなわち、働く国民犠牲によって、池田内閣みずからの失政を糊塗し、深刻な経済不安の現状を切り抜けようとするきわめて反動性の強い予算内容であります。(拍手)  これに対して、わが党は、すでに第一次補正予算審議に際し、池田内閣の大企業本位経済政策破綻による経済の変動とその混乱から国民生活を救済するため、緊急かつ最低限度予算措置がとられるよう要求し、さらに災害対策石炭対策医療費値上がりによる国庫負担等の適切なる対策措置を織り込んだ第二次補正予算を早急に提出するよう、強く要求したのであります。  ところが、政府が今回提出した第二次補正予算等は、わが党及び国民各位要求とはおよそほど遠いものであります。すなわち、政府案は、災害対策費国民健康保険助成費等義務的経費医療費改定に伴う増加経費オリンピック準備金等々を計上はしておりますが、その内容、実体は、ただ表面を糊塗したにすぎないのであります。きわめて無誠意、不十分なものであります。また前の国会において、石炭産業危機打開決議各党一致でなされたのにもかかわらず、石炭政策の効果的な措置は何ら顧みられていないのであります。さらに、災害による個人被害救済対策、失対労務者賃金引き上げ中小企業金融の大幅な融資、港湾対策等については、その項目すら削除されており、原案国民各層の切実な要求にこたえたとは、どの面から検討してもとうてい考えられないものであります。(拍手)  わが党は、政府のこの第二次補正予算案では、池田内閣のみずからの政策が招いた国民生活の不安と経済危機を打開することは不可能であると断定し、それがまたなお一そう国民生活犠牲に追いやり、経済不安を助長することは必至であると断言しておるのであります。従って、わが党は、次の緊急措置を当面政策に織り込むことを強く要請するものであります。  その一つ災害対策であります。  三十六年度災害による農村における果樹被害、旱害は莫大な被害総額を累計し、わが党はその対策を強く要求したのにもかかわらず、何らの救済措置をも講ぜられていない。政府はすみやかにこれらの被害特別措置法適用対象に繰り入れるとともに、三十六年度災害の全般について再査定を行ない、また各種災害立法制限規定を撤廃し、早期の災害復旧をはかるため、緊急必要な予算を大幅に増額すべきであります。また、特に個人被害救済対策を強化するため、被害者援護法等を制定し、必要なる予算計上すべきであります。  その二は、生活保護基準及び失対労務者賃金引き上げであります。  池田内閣経済政策による物価高騰最大被害者は、いわゆる低所得者階層であります。これらの人々生活水準は、相対的には、経済成長をうたわれる今日、逆に年々低下しておるのであります。たとえばその一例を、生活保護基準の大都市の場合に見ても、保護世帯一人当たり一日九十五円の生活費であります。一方消費者物価は、ここ一年間に八・八%の上昇率を示しているのであります。池田総理を初めとする政府・自民党の諸君は、物価高の今日、一食十八円で一体何が食べられるかお考えになったことがおありでしょうか、お尋ねいたしたいのであります。これは皮肉ではありません。よく飯のかわりにうどん一ぱいとか、そばぱいとかいって食事の代用にすることがありますが、今日の物価ではうどんそば一ぱいも食べられないことは諸君のよく知られるところであります。一食十八円で人たるものの最低生活が維持できるというような認識では、福祉国家を云々する資格はないものと政治家たるものはお互いに心すべきではなかろうかと思うのであります。(拍手)  また、失対労務者賃金も、就労の不安定な状況のもとに一日三百八十六円という単価で働いております。池田総理は、若干の失対費を計上すれば完全雇用政策は考えなくてもよいと誤解しているのではありませんか。かつて昭和二年から三年にかけて、銀行の取付騒ぎが起き、不景気のどん底をわが日本が歩んだとき、当時の政府は、失業問題解決の一助として、東京をして失業救済事業をなさしめたことのあったことは、池田総理も御存じのはずであります。私は当時その失業救済事業で働いた経験を持っておりますが、当時一円四十銭の賃金支給でありました。この賃金は文字通り当時の最低賃金であります。当時に比べれば、今日の一般物価は三百八十倍ないし四百倍という指数が出ておるのであります。かりに最低の三百八十倍くらいに押えましても、五百三十二円の賃金計数が出てくるのであります。三十七年度予算措置を見ましても、これが四百二十五円と計上されておりますが、なお百七円ほど不足しているのであります。池田内閣は、口を開けば社会保障福祉国家建設と、その政策をうたっているのでありますから、この際思い切って、生活保護世帯や失対事業に働く人々の気の毒な生活に、一片の政治的愛情のある配慮予算に示されるよう、わが党は強く要請するものであります。  その第三は、医療費値上がりによる社会保険の被保険者患者等負担増の問題であります。  国民健康保険について、池田総理は、第三十八国会において、国庫負担率の五%引き上げを内諾しております。しかるに、第一次補正はもちろんのこと、第二次補正においても、その内諾をほおかむりをしておるのであります。  元来、国保に対する国庫補助率は、昭和二十七年以来据え置かれているのでありまして、その間医療費値上がりは一五%に達しているため、三十七年度予算で五%の補助率引き上げを行なっても、実質的には各市町村国保会計赤字を救済し得ないのであります。従って、そのしわ寄せ保険者患者等負担増となり、また市町村国保組合赤字続出が、地方財政を圧迫するのであります。この際、政府は、国庫補助率大幅引き上げをはかるとともに、給付率七割の実現を期して、大局的な予算計上されんことを強く要請するものであります。  その第四は、石炭対策費の問題であります。  いわゆる石炭危機は、エネルギー消費構造の変化という側面があるにいたしましても、巨大な国際石油カルテルの圧力により、わが国中小炭鉱及び炭鉱労働者生活を不安のどん底に突き落としておるのであります。この問題は、わが党の主張によって、前国会石炭産業危機打開に関する決議がなされたのでありますが、特に炭鉱労働者生活水準の低下は目をおおうべきありさまであります。中年、高年層の再就職の困難な現状にかんがみて、第二次補正予算において緊急に大幅の必要経費計上することを申し合わせたのにもかかわらず、原案は幾ばくかの申しわけ的な涙金程度でお茶を濁しておるにすぎないのであります。政府は、決議案の精神にのっとり、当面炭鉱労働者雇用生活安定のための必要予算及び産炭地振興中小炭鉱保護育成発電石炭鉱業近代化等予算計上すべきであります。  その第五は、港湾対策費であります。  最近の港湾における出入船状況から見て、各種港湾における倉庫、荷さばき場荷役機械等設備の増強は、わが国経済の発展からしても緊急を要することであります。名目的な予算措置では、その効果の期待は望めないばかりでなく、著しく立ちおくれるのであります。この際、根本的に重点予算として、船込み状況を緩和するため、適切なる予算措置を講ずべきであります。同時に、前近代的な状態に放置されている港湾運送事業及び港湾労働者に対して、基本的対策を早急に実施すべきであります。  最後に、住宅対策について一言申し述べておきます。  政府は、住宅難の解消を重点施策一つとして取り上げておりますが、戦後建設されている住宅は六百九十万戸を数えておるけれども、政府が何らかの補助ないし便宜を与えて建設されたものは二百二十五万戸であり、全体の三分の一にすぎません。戦後十七年を経た今日現在、なお約三百万戸の住宅不足国民大衆は悩んでおるのであります。  住宅不足の原因の一つ土地問題が大きく表面化していることは、政府もよく知るところであろうと存ずるものであります。試みに昭和三十年当時より三十六年に至る約六年間に、地価は四・七倍に値上がりをして、一般国民大衆土地入手難に拍車をかけておるありさまであります。今にして適切なる土地値上がりブームを抑制すべき方策をとらないとするならば、その結果は国民大衆生活をますます圧迫するでありましょう。  土地値上がりに続いて、建築資材値上がりは、特に低所得者層対象とした公営住宅建設を阻害しておることは明白であります。このことは、地方自治体が実際に建設する建築単価と国の補助基準となる標準建築費に大きな格差があるためで、その結果、地方負担増地方財政の圧迫となり、地方自治体建築意欲を失なわせておるのであります。さらに年々建築される公営住宅の家賃は、地方負担分増加につれて高騰し、低所得居住者しわ寄せをされて、これらが原因して、すでに公営住宅は圧倒的な住宅難階層をしてますます不足という深刻なる社会問題となっておるのであります。わが党は、第一次補正の際にも、標準建築費は実際建築費基準とするよう予算改定を強く要求しておいたのでありますが、政府は、今次第二次補正で若干の補正を行なったのみで、何ら問題の解決誠意を示していないことは、はなはだ遺憾のきわみであります。政府は、この際、第二次補正を契機として、公営住宅はもちろんのこと、あらゆる政府関係住宅標準建築費を実際建築費基準とするよう。実情に沿った予算措置を講ずるよう強く要請するものであります。  以上申し述べましたごとく、昭和三十六年度予算補正第二号及び特第三号の案件に対し、政府原案は何ら国民福祉のための積極的な内容の片りんすら見出すことができないのであります。池田高度経済成長政策破綻のしりぬぐいを何らの反省もなく、逆に善良なる国民大衆犠牲の上に立ってみずからの安泰を求めているきわめて反動的な内容の充満した予算案として、わが社会党反対するものであります。  以上、討論を終わるものであります。(拍手
  10. 清瀬一郎

  11. 稲富稜人

    稲富稜人君 私は、民主社会党を代表いたしまして、政府提案昭和三十六年度予算補正第二号及び特第三号に対して、反対の態度を明らかにいたしたいと存ずる次第でございます。(拍手)  政府案歳出内容は、災害対策費追加生活保護費等不足額補てんのほか、医療費改定に伴う経費増額農災補償改定時期のズレに伴う必要経費追加が主体でございまして、新規政策的な色彩を持つ歳出補正としては、オリンピック東京大会準備費約八億九千万円と、炭鉱離職者援護対策費約八千三百万円にすぎないのでございます。年度末近くになって提出した補正予算案としての本案については、政策的経費計上をことさらに避けたといえば、いかにも筋が通っているように聞こえるのでございますが、私はこのように財政法を機械的、形式的に適用せんとする補正措置は、今回においては許すべきではないと確信いたす次第であります。  なるほど、政府は、去る一月十九日の本院における大蔵大臣施政方針演説において、昭和三十七年度下期中に国際収支均衡を達成する、これを経済運営の第一の目標として、金融引き締め基調を堅持する、この方針に基づいて、昭和三十六年度予算の多額に上る租税の自然増収は極力後年度に繰り越す、明年度予算も厳に健全財政方針を堅持する、と述べておられるのであります。この方針によれば、今回の補正予算は、最小限の事務的補正にとどめるということになるのでありましょうが、財政政策特に予算編成は、いかなるときにあっても、決して事務であってよいはずはないのであります。すなわち、予算編成こそは政府重点施策を最も強力に推進すべき最大手段であらねばならないのであります。  この意味におきまして、池田総理大臣みずから施政方針演説の中で、三十六年度経済を顧みるとき、国際収支の不均衡消費者物価上昇の事実を率直に認め、各種の不均衡を是正し、成長途上にある農林漁業中小企業受難期にある海運業石炭産業に対して周到な配慮をめぐらしたいという政策構想を述べておられるのでありまして、この点こそが予算編成基本大綱であって、大蔵大臣の言われる健全財政云々とは、その基本大綱を実現するための財政技術であるのであります。  私が今回の補正予算案についてまず申し上げたい点は、政府は、自分自身財政政策の展開において、政策の推進という本質と予算編成健全化という技術論とを、本末転倒されているということであります。私は、この際率直に政府に申し上げたいのであります。それは、この補正予算案が実施に移される本年度の最終時期は、池田内閣みずからが招いた経済不況が次第に地にしみ込み、金融引き締めによる中小企業の苦境、離職者対策の網の目にかからない多数の石炭関係離職者生活苦が、さらに深刻になりつつある時期であるということであります。政府は、明年度予算案におきまして、生活保護費基準単価引き上げております。また中小企業財政投融資総額をふやしておられます。このような努力を、何ゆえに三カ月間さかのぼって、本年一月分よりこれを実施することができなかったのでありましょうか。今回の政府案を拝見いたしますると、炭鉱離職者援護対策費として八千二百万円ほどを計上し、それによって新たに雇用奨励金制度訓練別居手当技術習得手当の二つの支給制度を創設し、これを本年一月一日より実施することとし、政府明年度予算案はこれを受けて引き続き実施するよう予算措置を講じていられるのであります。私ども民社党といたしましては、これらの政府案における予算単価については、必ずしも同意しかねるのでありますが、第二次補正予算を起点として、明年度予算においても一つ新規政策を一貫して実施するという離職者援護対策費のあり方を、何ゆえに今回の補正案全体を通じて一貫できなかったのであるか、この点、特に私の理解できないところであります。  私たち民社党は、以上の見解に基づきまして、遺憾ながら政府案編成方針に同意いたしかねる次第でありまして、ここに明確に反対の意思を明らかにしたいと存ずる次第であります。  しこうしてそれと同時に、また以上の見解に基づき、政府に対し、以下申し述べる五点を取り入れて、いま一度政府案を練り直し、再提出されんことを強く要望いたす次第であります。  すなわち、政府案歳出補正是正に対する要望の第一点は、今回の政府案は、昨年七月一日以来の診療報酬改定に応じて必要経費計上しておられるのでありますが、しかし、これは国民の側の治療費負担が同時に値上げしたという事実を伴っておるのであります。政府はこの事実を認めて、明年度予算案では、国民健康保険に対する国庫負担率を二割から二割五分に引き上げておるのであります。しかしながら、この程度国庫負担引き上げでは、国民健康保険関係患者負担増額は、断じて防止できるものではありません。よって民社党は、本年一月一日より国庫負担率を四割に引き上げるよう、政府要望いたす次第であります。  要望の第二点は、生活保護基準は、ぜひとも本年一月一日より二五%引き上げるべきであるということであります。すなわち、政府明年度予算案において二二%引き上げることにしておるのでありますが、これは東京が一人一日当たり十円程度の値上げにすぎないのでありまして、これではとうてい、政府すら想定されておる本年度における消費者物価値上がりに追いつけないのであります。  さらに要望の第三点は、炭鉱離職者援護対策費については、本年一月一日より適用対象人員を八万三百人に増員し、かつ離職と再就職のための住宅移住資金支給制度を創設し、これに見合う諸経費を確保するよう、要望する次第であります。  第四点としては、池田首相の再三にわたる公約にもかかわらず、明年度予算案における石炭対策費は、これからますます深刻化する石炭危機に備える経費としては明らかに不十分であり、かつまた重大な政策を欠いておるのであります。よって、この際、この意味において、中小炭鉱近代化資金貸付金追加計上産炭地域振興事業団事業として、新たに火力発電所新設に着手する経費計上するよう、要望いたす次第であります。  最後に第五点として、中小企業金融がますます苦しくなってきておる事実にかんがみまして、この際、商工中金中小企業金融公庫国民金融公庫の三機関に財政資金追加出資するよう、要望いたす次第であります。  しこうして、以上の経費として、国民健康保険国庫負担を四割に引き上げた七十億円、生活保護基準の二五%引き上げた十五億円、離職者援護対策費に二十億円、石炭対策費に二十五億円、商工中金に対する出資二百億円、中小企業金融公庫に対する出資百億円、国民金融公庫に対する出資五十億円、以上を合計して約四百八十億円を政府案にさらに追加するよう、要望いたしたいと存ずる次第であります。  これらに要する財源は、政府案五百四十九億円を支出しても、なおかつ本年度は二千億円内外の余剰財源があるのでありますから、この中から特に所得税法人税、酒税の、いわゆる三税の増収分を振り向け、これによって地方財政にも交付税交付金追加増額されるよう、措置されたいのであります。  以上のわが党の要望によりましても、第二次補正規模は一千二百億円以内にとどまるのであります。最近における本院の予算審議を見ますると、ガリオア・エロア資金といい、また日タイ特別円といい、政府予算案内容には、ややもしますると国民の常識では納得いたしがたいものが多くあるのであります。このときにあたり、予算審議の暗さをぬぐい去り、予算国民のもの、財政民主政治の最強の手段であるものという明るい希望を国民に投げかけるためにも、政府は、率直に、補正予算案の修正をみずから行なうよう要望してやまない次第であります。  本来なら、このわが党の要望は、予算組みかえ要求動議として提出すべきでありますが、本案は、明年度予算案と一体化して審議すべきであるという見地に立ちまして、政府案に対するわが党の組みかえ要求の態度は、明年度予算案採決に際して提出することといたしまして、今回は特に組みかえ案は提出いたさないことにいたしたわけであります。  以上、私ども民社党は、わが党の主張する勤労者のための福祉国家建設していくための予算として政府案の修正を要望いたしまして、私の予算討論を終わる次第であります。(拍手
  12. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 以上をもって両件に関する討論は終局いたしました。  よって、両件を一括して採決いたします。  両件の委員長報告はいずれも可決でございます。両件を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  13. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 起立多数。よって、両件とも委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————  流感対策に関する緊急質問(河野   正君提出)
  14. 田邉國男

    田邉國男君 緊急質問許可に関する動議を提出いたします。  すなわち、この際、河野正君提出、流感対策に関する緊急質問を許可されんことを望みます。
  15. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 田邉國男君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。  流感対策に関する緊急質問を許可いたします。河野正君。   〔河野正登壇
  17. 河野正

    河野正君 私は、日本社会党を代表いたしまして、現在東京都を中心として国内各地で猛威をふるっているインフルエンザA2型を初めとする疫病、ことにその対策につきまして、池田総理その他関係各大臣に対しまして若干の質疑を行なわんとするものであります。  御承知のごとく、当初東京に発生をした流感は、異常乾燥も手伝い、去る昭和三十三年以来の猛威をふるっているのであります。特に東京都内の学校における被害累計はすでに八百五十数校に及び、実に全校の四六%に達したといわれておるのであります。この議場を見渡しましてもかなりの欠席が目立ちますが、その被害は学校のみにとどまらず、各職場、各家庭にも大きな悩みとして現われつつあることは、諸君御案内の通りであります。たとえ死亡率が低いとはいえ、たかが流感だといって軽視するわけには参らぬのであります。  さきに池田内閣は、経済成長、所得倍増十カ年計画をうたい文句に、社会保障拡充を公約いたして参りました。また、厚生省は社会保障十カ年計画を発表し、十年たてばまことにけっこうな社会保障が約束されているかのように宣伝を行なっているのであります。しかし、実際には、産業合理化による大量失業や生活条件の低下、独占強化による物価高騰生活内容の切り下げなど、貧困層が固定化し、国民生活と健康は常に不安の状態に置かれているのであります。このように、池田内閣社会保障計画は、国民生活水準を向上させ、健康で明るい国民生活を保障せしめるものでなく、単に独占資本と政府の支配を強めるためのごまかしの公約であったのであります。このような政策施策の失敗によって生ずる国民のとうとい、しかも悲しむべき犠牲に対しましては、施政者の責任というものもきわめて重大であります。総理としてその罪を天下に謝することが、この際とらるべき最良の方法と考えるわけでありますが、残念ながら総理御退席でございますので、いずれ機会を得て御所信を明らかにしていただきたいと思うのでございます。  さきに申し述べたように、今回のインフルエンザによる休校や学級の閉鎖は、全国的に脅威的数字となって現われて参りました。さきに、日教組に強く予算に弱かった文部大臣、今度は、日教組に強く流感に弱い荒木文部大臣であったのであります。今日の国民は、ひとしく、弾圧政策でなく、愛の政策、荒らき文相でなく、やさしき文相を期待しているのであります。一体、流感を予防する注意や方策が満点であったか、この点、荒木文相のお答えを伺いたいのであります。同時に、今回の流行が広範にわたるとともに、受験あるいは進学の重大な時期に際会した点につきましては、学生や学童の不幸というものを一そう大にしたのであります。従って、今後の根本的予防対策とあわせて、その後遺対策、さらには今後の見通し、さらには予防接種の公費負担等につきましても、明快な御答弁をお願い申し上げたいのであります。  台風の予測、天気予報の確実性の産業に及ぼす影響力が甚大であると同時に、流行予測というものがきわめて緊要な問題であります。今回の爆発的流行にあたって、もしその予測の機能と機構に欠くるものがあれば、厚生大臣の責任はまたきわめて重大といわなければなりません。しからば、今回そのような防疫に遺憾な点がなかったかどうか、この点につきましては厚生大臣の明快な御答弁をお願い申し上げたいと思います。  さらに、流感、ポリオ、あるいはパラコレラを初めとする伝染病の予防法として最も有効な方法が、ワクチンの広範な接種による感受性者対策であったことは、諸外国の事例によっても明らかでございます。しかるに、今日までワクチン量の不足から、集団免疫処置が行ない得ず、いたずらに多くの犠牲者を輩出したことは、政府の発行いたしました厚生白書がみずから告白するところであります。まことに言語道断といわなければなりません。このワクチン不足という政治的、行政的責任を厚生大臣は一体どのようにお感じになっておられますか、この際お答えを願いたいのであります。  同時に、ワクチン行政そのもののあり方につきましても、非常に大きな問題がございます。一方では、法で規定をし、国民の義務だときめつけながら、あまりにもその行政は不親切であります。税金通知は、督促、滞納整理をとことんまで追及の手をゆるめないのでありますが、接種通知は、通知のしっぱなしというのが、今日の実情であります。このような現在の不親切な腰だめワクチン行政を改めない限り、接種率の向上をはかることは絶対に期待できないのであります、この点も厚生大臣からあわせてお答えをお願い申し上げたいと思います。  このように、伝染病対策というものは、すでに申し述べましたごとく、一歩誤れば、かつて全世界を恐怖のどん底に突き落とした一九一八年のスペインかぜ猛威の再現も容易でございます。われわれは、今日の数多くの犠牲を決して無にしてはならないのでございます。この現実を忘れることなく、私は徹底的な自覚と対策を望んでやまず、以上若干の質問を試みた次第でございます。(拍手
  18. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 内閣総理大臣の答弁は適当な機会に願うことといたします。   〔国務大臣灘尾弘吉君登壇
  19. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) お答えを申し上げます。  最近、東京都から始まりまして、千葉、神奈川、群馬、さらにはまた、兵庫、大阪等にA2型のインフルエンザが流行いたしておるわけでございます。この流行を何とか食いとめるために最善の努力をいたしたいと考えておる次第であります。この流行の予測ということが確実にできますれば、一番よろしいわけであります。なかなかこの問題は困難な要素があるわけでございますので、厚生省といたしましても、かねがねこの問題に留意をいたしておりまして、明年度予算におきましては、ポリオでありますとか、あるいはジフテリア等の流行予測体制を一つしいてみよう、こういうようなことで、御審議をお願いしているわけであります。せいぜいこの問題につきましては検討いたしまして、将来確実に流行が予測せられるような事態に持って参りたい、鋭意努力して参りたいと存じます。  なお、ワクチンの問題でございますが、本年、昭和三十六年は、三十五年に比べますと、よほど多量のワクチンの用意をいたしておるのでありまして、少なくとも平年度の五倍以上のワクチンの用意をいたしておるような状況でございます。なお、今後もワクチンの確保に努めておりますので、あまり御心配をかけなくて済むのではないかと考えております。  また、ワクチン行政の問題でございます。ことに接種率の向上の問題でございますが、お説の通りに、この問題につきましては十分注意をして参らなければならぬと思います。従来の実績に徴しまして、私どもも、この接種率の向上ということにつきましては、さらに努力を重ねてみたい。特に、保健所中心に今までやっておりますが、これはもちろんそれでやっていくつもりでありますけれども、他の医療関係団体等の御協力を確保すべく努力して参る所存でございますので、さよう御了承願いたいと思います。(拍手)   〔国務大臣荒木萬壽夫君登壇
  20. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。今回の流感が、今厚生大臣からお話がございましたように、関東を中心に非常に蔓延の兆にありますことは、児童、生徒を預かる立場におきましても、まことに心配にたえないところであります。  きのう現在で、東京都で、全校休校したのが七十八校、学級閉鎖いたしましたのが七百六十一校、神奈川県で、学級閉鎖校百十八校、全校休校が五校、千葉県、学級閉鎖校十二校、埼玉県、同じく九校、群馬県、同じく八校、栃木県、同じく二校という状況でございますが、この程度で食いとめられることを念願いたしますが、さてこの対策はどうだという仰せでございます。実は昭和三十二年に同じように流感が非常にしょうけつをきわめまして、そのときに文部省といたしましては、厚生省と十分連絡をとりつつ、各都道府県の教育委員会に対しまして、予防措置並びに事後措置について相当詳しい指導をいたしております。通達を出しております。今回もその通達に基づいて各都道府県とも万全の措置を講じてもらっておるわけでございます。今後さらに緊急の措置を要するような事態がございますれば、もちろん連絡をとりまして善処いたしたいと存じております。  さらに、予防接種について公費の負担にしたらどうだというお説でございますが、これは検討をさせていただきたいと思います。(拍手)      ————◇—————
  21. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 本日は、これをもって散会いたします。    午後三時五十八分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  池田 勇人君         法 務 大 臣 植木庚子郎君         外 務 大 臣 小阪善太郎君         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         文 部 大 臣 荒木萬壽夫君         厚 生 大 臣 灘尾 弘吉君         通商産業大臣  佐藤 榮作君         運 輸 大 臣 斎藤  昇君         郵 政 大 臣 迫水 久常君         労 働 大 臣 福永 健司君         建 設 大 臣 中村 梅吉君         自 治 大 臣 安井  謙君         国 務 大 臣 川島正次郎君         国 務 大 臣 藤枝 泉介君         国 務 大 臣 藤山愛一郎君  出席政府委員          内閣官房長官 大平 正芳君         総理府総務長官 小平 久雄君           厚生省公衆           衛生局長  尾村 偉久君          農林政務次官 中馬 辰猪君      ————◇—————