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1962-04-13 第40回国会 衆議院 文教委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月六日(金曜日)委員長指名で、 次の通り小委員及び小委員長を選任した。  文化財保護に関する小委員       上村千一郎君    臼井 莊一君       田川 誠一君    中村庸一郎君       濱野 清吾君    小林 信一君       高津 正道君    山中 吾郎君  文化財保護に関する小委員長                 中村庸一郎君 ――――――――――――――――――――― 昭和三十七年四月十三日(金曜日)    午前十時二十分開議  出席委員    委員長 櫻内 義雄君    理事 上村千一郎君 理事 臼井 莊一君    理事 竹下  登君 理事 米田 吉盛君    理事 小林 信一君 理事 村山 喜一君       小澤佐重喜君    坂田 道太君       田川 誠一君    濱野 清吾君       松永  東君    松山千惠子君       南好  雄君    井伊 誠一君       高津 正道君    前田榮之助君       三木 喜夫君    鈴木 義男君       谷口善太郎君  出席政府委員         警  視  監         (警察庁刑事局         長)      新井  裕君         文部政務次官  長谷川 峻君         文部事務官         (大臣官房長) 宮地  茂君  委員外出席者         議     員 小林 信一君         総理府事務官         (公正取引委員         会経済部取引課         長)      後藤 英輔君         検     事         (刑事局刑事課         長)      羽山 忠弘君         文部事務官         (初等中等教育         局教科書課長) 諸沢 正道君         参  考  人         (教科書公正取         引協議会幹事         長)      柴田 寅三君         参  考  人         (東京書籍株式         会社社長)   山田三郎太君         専  門  員 丸山  稲君     ――――――――――――― 四月十一日  委員井伊誠一辞任につき、その補欠として勝  間田清一君が議長指名委員に選任された。 同月十三日  委員勝間田清一辞任につき、その補欠として  井伊誠一君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 四月九日  学校図書館法の一部改正に関する請願小沢辰  男君紹介)(第三六八一号)  同(大野市郎紹介)(第三六八二号)  同(猪俣浩三紹介)(第三九七五号)  同外四件(小林信一紹介)(第三九七六号)  同(小林進紹介)(第四〇一七号)  教育予算に関する請願長谷川保紹介)(第  三六八三号)  同外二百五十七件(井岡大治紹介)(第三九  七一号)  同(栗林三郎紹介)(第三九七二号)  同外五件(吉村吉雄紹介)(第四〇一八号)  同(二宮武夫紹介)(第四〇六三号)  高等学校生徒急増対策及び義務教育無償等に関  する請願長谷川保紹介)(第三七四七号)  同(高津正道紹介)(第三八四五号)  同(岡田春夫紹介)(第三九七三号)  同(下平正一紹介)(第三九七四号)  同(西村力弥紹介)(第四〇六四号)  同外十件(広瀬秀吉紹介)(第四〇六五号)  養護教諭必置に関する請願外二十三件(山中吾  郎君紹介)(第三八四六号)  特殊教育振興に関する請願外六件(山中吾郎君  紹介)(第三八四七号)  同外二件(三木喜夫紹介)(第三八四八号)  神社法制定に関する調査研究請願外七十二件  (野田卯一紹介)(第三八八〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月六日  義務教育費全額国庫負担に関する陳情書  (第六  一二号)  高等学校生徒急増対策確立に関する陳情書  (第六一三号)  同  (第六一四号)  義務教育施設整備費国庫補助増額に関する陳情  書  (第六三九号)  高等学校生徒急増に伴う市町村負担経費軽減に  関する陳情書  (第六四〇  号)  義務教育施設整備充実に関する陳情書  (第七二三号)  同(  第七二四号)  義務教育教科用図書無償配布に関する陳情書  (第七五五号)  義務教育費国庫負担法に関する政令第百六号の  廃止に関する陳情書  (第七五六号)  高等学校生徒急増に伴う財源措置に関する陳情  書(第七五七号)  同(第七五八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  学校給食法の一部を改正する法律案小林信一  君外八名提出、衆法第三五号)  学校教育に関する件(教科書に関する問題)      ――――◇―――――
  2. 櫻内義雄

    櫻内委員長 これより会議を開きます。  学校教育に関する件について調査を進めます。本日は教科書に関する問題について参考人方々より意見を聴取することといたします。御出席参考人教科書公正取引協議会幹事長柴田寅三君、東京書籍株式会社社長山田三郎太君の両君であります。  この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。本日は御多用中のところ委員会調査のためわざわざ御臨席を賜わり、まことにありがとう存じました。  これより教科書に関する問題につきまして検定、採択販売等について御意見を伺うことといたしますが、御意見は議事の都合上、委員各位質疑によりお述べ願いたいと存じます。  それでは質疑の通告がありますので、この際、これを許します。三木喜夫君。
  3. 三木喜夫

    三木(喜)委員 参考人には本日わざわざおいでいただきましてまことに御苦労に存じます。  戦後民主的教科書ができ、自由競争を主軸にいたしまして、大へんにりっぱな教科書になったわけでございます。形式内容ともに私は世界に誇るべきものだろうと思うわけであります。それには出版会社の方、その中には著者とか編集者の御努力関係官庁の指導、需要者の要求と相待って、労働者の勤勉とか技術の優秀さがこういうものを作ったと思いまして、まことに喜ばしいことに思うわけであります。  しかしながらその世界に誇るべきりっぱな教科書に、実に恥ずかしい部面がある。それは御存じの通り教科書汚職の問題です。純真な子供や生徒が持つ教科書が、大人たち汚職によりスポイルされることはまことに悲しいことです。衆参両院でも何回もこの問題が取り上げられ、教科書採択等の公正に関する決議がなされ、官民に対して自粛方を強く要望して参ったことは周知の通りでございます。それに今日また汚職を生み出しまして、ほんとうに遺憾のきわみと言わねばならないわけでございます。しかしながら、いたずらにこれを悲しんでおったり遺憾に思っておっても仕方がないので、ここらあたりで私はこの忌まわしい行為にピリオドを打つべきではないか、このように思います。本国会文教委員会でも幾人かの方からこれが取り上げられ、今やその総締めくくりをやらなければならないときにきておるのであろうと思います。そこで参考人方々あるいは関係各位のお知恵を拝借いたしまして、那辺にその原因があるか、それを是正するのにはどういうようにしたらよいか、すなわち原因是正方法の的確を期していきたい。私はここにいたずらに制度とか法律とかを強化して屋上屋を架するものではなく、また調査機関を作るとかいうようなことで責任を他になすりつけるというようなことでなく、現行のままで、しかも現在その責任にある者が打って一丸になって、何かよい方法を探求していかなければならないのではないかと思うわけであります。これが本日参考人においでいただきましてお聞き申し上げたい主たる要旨であるわけであります。  きょうは警察庁新井刑事局長、それから刑事局刑事課長羽山検事、それから業界からは東京書籍株式会社山田三郎太社長、それから教科書公正取引協議会柴田幹事長にお越しいただいておりますので、私も率直に質問申し上げまして皆さん方の明快な御答弁を一つ期待するものでございます。  まず第一に私は、不思議に思うことから申し上げたいと思います。おそらく私が不思議に思うくらいですからして、国民の諸君も不思議に思っていることと思うのであります。それはまず過去のことから申し上げるわけですが、また現在、将来も申し上げたいわけであります。まず第一に申し上げたいのは、過般文教委員会でも申し上げて、時間がなかったので後になりました教科書汚職追及実態で、会社幹部贈賄を指令しておるという記事が三十六年十二月一日付の新聞に載ったわけでありますが、その結末がどうなったのかということが、一番国民も聞きたいでしょうし、私たちにしても明らかにしていただきたい。と申しますのは、教科書のあらゆる調査会を作るとか、制度とかあるいは教科内容検討が行なわれるというようなことがありましても、現実今起こっておることの処理が確実に行なわれずして次を望むべくもないからであります。  そこで新井刑事局長にお聞きいたしたいのですが、この新聞にはこのように載っておるわけなのです。「証拠書類を持って九月十四日警察庁新井刑事局長に訴え出た。」云々、そうして「池田さんは「警察の手ぬるい捜査では事件の徹底的な解明はもとより会社幹部責任を追及して教科書業界を粛正することはとてもできない」と考えていたところ、」と、こう出ておるわけなのですが、新井刑事局長さんのお考えを聞かしてもらいたい。
  4. 新井裕

    新井政府委員 御質問趣旨がよくわからないのでありますけれども、確かに池田という人物が、私のところ資料を持って現われて参りましたが、御承知のように警察庁は直接事件を取り扱うところではございませんので、直接大阪で取り扱っておるから大阪に行くようにということで、大阪に出向いてもらったわけでございます。別にそれ以上のことは、私とのやりとりはございませんでした。
  5. 三木喜夫

    三木(喜)委員 後、公正取引委員会に訴え出ておるわけですが、公正取引委員会では、「東京と連絡をとって——徹底的にメスを入れるつもりだ」、こういうふうに言っておられるわけですが、どういう工合になさるつもりなんですか。公正取引委員会の方にお答え願いたいと思います。
  6. 後藤英輔

    後藤説明員 池田という人が大阪公取地方事務所の方に参りまして、書類を持ってそういう事実を訴えて参りました。公取としましてはそれを受け付けまして、資料検討いたしまして、現在それをもとにいたしましてなお審査中でございまして、まだ結論は得ておりません。これは審査部の方で担当しておりますので、私ども経済部のものといたしましては、審査中の事件については介入するわけに参りませんので、その内容は、私ども、残念ですが、今のところ知っておりません。なお審査部において現在調査中でございます。
  7. 三木喜夫

    三木(喜)委員 その後文部省の方から、違反があれば厳重に処断ずるというような談話形式で発表がなされておりますが、文部省当局としましては、この問題について、現在どのように処断されようとしておられるか、これを文部省の方からお聞きいたしたい。
  8. 諸沢正道

    諸沢説明員 昨年の一連の汚職事件につきましては、つい最近も、本年再びこのようなことを繰り返すことがないように、採択関係者並びに教科書発行業者に厳重な趣旨の通達を発して、一そうの自粛注意を喚起いたしております。
  9. 三木喜夫

    三木(喜)委員 厳重な処断という——御注意はされておると思うのです。それは一般的ですか、この事件について、もう相当検察当局も調べられてはっきりしておるわけです。この事実をどういうように処断されるのですか。ああいう通牒だけ出されただけでは意味がないわけなんです。どういう工合にしようと思われるのですか。
  10. 諸沢正道

    諸沢説明員 採択関係者につきましては、御承知のように、その身分地方教育委員会にあるわけでございまして、事実の明らかになりましたところは、私どもの知る限りにおいては、公務員身分に照らして、それぞれ処分をいたしております。また関係業者につきましては、私の聞いております限りでは、目下八名の者が起訴されておりますが、いずれも公判続行中でございまして、その結審を待たなければ、その事実というものがはっきりいたさないわけでございますので、今の段階においては、再びそういう疑惑を招くようなことのないようにということで、忠告をし、自粛を喚起しておるような次第であります。
  11. 三木喜夫

    三木(喜)委員 結審を待って、その上で措置をする、こういうことですね。
  12. 諸沢正道

    諸沢説明員 裁判の結果を待たなければ、どのような態度をもってそれらの関係者に臨むかということは、今のところ全くきまっておらないのであります。
  13. 三木喜夫

    三木(喜)委員 「不正あれば措置」をする、この「不正」は、要するに検察当局結論を待ってあなた方は措置される、こういうように解釈すればいいんですね。
  14. 諸沢正道

    諸沢説明員 「措置」というのはどういうふうなことを申し上げていいのかわかりませんけれども文部省としてとり、またとるべき態度というのはおのずから限度があろうと思いますので、その範囲内においてしかるべく措置をする、かようなことになろうと思います。
  15. 三木喜夫

    三木(喜)委員 公取協議会としては、こういう事件が起こって参りましたら、どういうような方法自粛されるおつもりなんですか。公取協議会の内規に照らし合わせて措置の仕方があるように伺うわけなんですが、それについてはどういう工合にお考えになっておりますか。
  16. 柴田寅三

    柴田参考人 公取協議会幹事長として本日お呼び出しいただいたと思いますが、お答えする前に、幹事長の役目といたしまして、ここでお断わりしたいのでありますが、公取協議会規約の定めるところによりまして、公取協議会幹事会なるものは代表機関ではないのでありまして、公取協議会責任ある代表機関委員会が一応なっております。従って、幹事会はその委員会を補佐するような機関になっております。その組織の中の幹事長をしております私でございますので、あまりはっきりしたことは言えぬと思いますが、ただ従来経験して参りました点から申し上げますと、その事例が出ますれば、協議会規約なりあるいは実施細則違約行為に対する一応の措置規定が定められてございますので、その内容いかんによって、どれをどこまでというめどはございませんけれども、一応委員から幹事会に付託された内容調査実態に基づいて措置するというように規定されておりますので、またそれに従って処置しなければならない、かように考えております。
  17. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それぞれの関係の方から、このことに対する対処の仕方、御意見を率直に承ったわけでございます。  以下、皆さん方から一つお聞かせ願いたいと思うのでございますが、まず私は、この汚職の性格とその発生の温床について考えなければならないと思うわけであります。ここに某新聞の社説がその分析を実によくやっているので、その分析に従って事実観照を私はやりたい、こう思います。  まず、汚職はわが国の後進性尾テイ骨を示すもので、国際的恥辱である。東洋電機事件国鉄汚職東北開発住宅公団関東財務局郵政省等、続々摘発されている。最近捜査当局が一斉に網をしぼり始めております。このことは私はまことに日本の後進性に対するところを払拭する当局態度として賛意を表するわけでございますけれども、ここに問題になりますことは、この新聞でも書いておるわけでございますが、汚職の巣になる官庁公団機関業者との腐敗した関係を断ち切らなければいけない、こういっております。文部省がそうだということを申し上げるわけではございませんけれども、一般的にそのようにいわれております。そうして過当競争を排除する。それから公務員公団民間会社への横すべり、天下り、役人と業者とのなれ合い、これをあげております。二番目、小さな汚職が公然と見過されている。汚職のはんらんは行政庁責任である。このように指摘している。三番目に、立法府できびしく追及しなければならないのに、国会で野党まで沈黙を守っているのは解せない。国会議員の手がよごれているのではないかとの疑惑を受けても仕方があるまいということが書いてあります。四番目、汚職は昭電、造船汚職のように、政財界、高級官吏に波及せず、大物は逃げている。悪いやつほどよく眠るというようなことが書いてあり、そうして課長どまりで立ち消えになっておる。五番目、法の不備、あっせん収賄罪が骨抜きになって、造船汚職指揮権発動以来、政治献金という壁にぶつかって、そうして検察当局はいや気がさしたのではないか、こういう工合に書いてありますが、最後に結んであるところは、被害者納税者である、徹底的に追及しなければならないということで結んであるわけであります。私たち文教ないしは教育界関係いたしましたこの事件を、ここにおいて関係各庁のやはりはっきりした御態度で追及していただかなかったら、またぞろこうした問題が続発して、なおかつ現在においてもそれに対する疑惑を深めていくのじゃないか、このように思うわけでございます。従いまして、以下各関係方々に少し掘り下げてお聞きいたしたい、このように思います。  公正取引協議会の方から一つお答え願いたいと思います。柴田委員長は、さきに私と私的にお会いいたしましてお話を申し上げましたときに、私たち教科書を取り扱っている者としては、非常に誇りを持っておる。何とかこうした汚職が今後行なわれないようなよい方法はないだろうか。それは考えることによって必ずある。このようにおっしゃいまして、私はその善意に信頼を置くものでございますが、まずこの公取協議会というものが、業者の中でもいわれておりますように、協議会なんか作ってみたところでやれっこないですよ。ただ世間に対するところ一つのカムフラージュですというようなことがあれば、私は公取協議会のせっかくの委員長善意と今後の御努力というものが、その言葉によって吹っ飛んでしまうと思うのです。従いまして、自主規制立場からこうしたものを取り扱われ、そうして柴田幹事長責任立場でやっておられるのですが、その効果をどのようにお考えになっておるか、これを一つお聞かせ願いたい。
  18. 柴田寅三

    柴田参考人 ただいまお話にありましたように、今日われわれ業者といたしましても、さような問題あるいは御心配をかけるような事態に相なりましたことは、私ども、ともども申しわけない感じでおります。ただいまお話しのように、これが是正目的のために協議会というものが今日あるわけでありますが、これの実際の機能を発揮するという点につきましては、いろいろな問題からお話のような声も聞かないわけではございませんけれども、だからといってこれを顧みずということではないのであって、手の届く限り今日まで努力をして参りましたのは、これは現実の問題でありますが、何分にも業者の寄り合いとでも申しますか、理論的には、やればできるというようなことがありましても、いろいろな関係でやりにくいというようなことで、勢い活動が消極的にならざるを得ないということでございます。そういうような関係から、このたびも責任機関であるところ委員会で十分御審議なされて、この問題をさらに現実一つ未然に防止するというような方法がないであろうかどうかということを、幹事会においてその案を一つ練ろう、こういう問題をこの幹事会に命ぜられたわけであります。幹事会といたしましてもこの委員会の意を受けまして、あらゆる点から検討を加えたわけでありますが、御承知のように一応この公正取引協議会規約並びに実施細則にもあります通り委員会責任において一応その手段はとり得る規定になっておるのでありますけれども、あまりこまかいきめ方がございませんものですから、それがなし得なかったということではなかろうか。こういうので、委員会ですでにできることを、さらに別の問題を検討するということは、何か屋上屋を作るような感じがいたしますので、かなりこの点幹事会といたしましても意見の多かった点でございますけれども、要は形式、理屈を抜きにいたしまして、ただいまお話に出ましたような趣旨に基づいて何とか世間一般のためにも、またわれわれ業者のためにも、この機会にこそこれを一つほんとうの実をあげるということで考えていかなければいかぬだろう、こういう熱意のもとに考えられましたのが、一応現在は案の過程でございますけれども宣伝管理委員会というような案を考えついたわけでございます。これは一応宣伝行為等事例も出しまして、過日委員会に答申し、これによりますと多少規約並びに細則の一部の変更をいたしまして、全会員に了解をしていただきたく徹底をはかる必要がありますので、大体現在のところでは、少し話は横道にそれますけれども、本月十八日に臨時総会を開きまして、これをいよいよ舞台に乗せるというような過程になっております。従いまして、以上のようなことで、われわれとして今日までかような歩み方をして参りましたということは、まことにふがいないことでございまするけれども、しかし今日の事態に対して何とかせねばならぬ、われわれの責任においてもしなければならぬ、こういう熱意をもちまして進めておるということは事実の問題であります。しかしこの結果どうなるか、はっきり自信が持てるかどうかということは、今後の問題でございますけれども、とにもかくにも現在の過程におきましてはそういうふうな状況で進んでおるのが現状でございます。今日ただいまほんとう先生方に対しましても御安心いただくようなことが申し上げられれば大へんけっこうなんでございますけれども、その是非は今後の努力いかんによってなし得られるのではなかろうか、かような考えを持っております。  不足な点がございましたら、御質問によって申し上げます。
  19. 三木喜夫

    三木(喜)委員 刑事局刑事課長羽山検事にお聞きしたいのですが、先がた刑事局長にお聞きすれば、大阪の方の事件としてその方にお移しになった、このようにおっしゃったわけです。まだ私はこの新聞記事の、自分が持っておる不審な点が解けないのですが、「「教科書を売り込むために担当各地有力校長教師に現金を贈ったり、酒食のもてなしや物品を贈って買収しろ」と指示、その費用として帳簿の上で新たに社員出張旅費、同経費講習会経費研究会経費資料費駐在員経費図書物品費編集協力者経費役員経費などの名目を設け、その費用を〃贈賄経費〃に使うよう指示している。たとえば「資料費」は対教師作戦の実弾。「社員出張経費」は社員出張先の旅館、料亭、バーなどで同地の有力採択委員をもてなす費用。「社員打ち合わせ費」で各県から来阪した各地有力教師を劇場、アルサロなどでもてなす。」というように、その内容をつけて、しかも資料をつけて、本人みずから自首して出て参っておるわけなんであります。そういたしますと、私はこのことについてやはり調査が進められるべきだろうと思うのです。現在そうしたことがどの程度進められておるのか。言いますなれば、先がた汚職実態の中に話がありましたように、会社幹部が指令しておるなれば幹部が取り調べられなければならないのが本体ではないか、こういう幹部を取り調べられた事実があるかどうか、一つ聞かしていただきたいと思います。
  20. 羽山忠弘

    羽山説明員 具体的にただいま手元に持っております資料によりましてどの程度まで幹部の取り調べが行なわれましたか、正確にお答えできないのが残念でございますが、ただいまお述べになりましたように、今回の事件におきまして教科書業者贈賄行為がきわめて巧妙でありかつ執拗であったことは報告されておるのでございます。教科書販売目的といたしまする出版業者の数が多く、それらの間におきまする競争もかなり激烈なものがあるように思われるのでありますが、その結果教科書の売り込みに成功するかどうかが死活問題になっているようでございまして、報告によりますると、多くの業者におきまして、地方の支店長または駐在員等に対しまして運動費と称して数十万円の資金を交付して、それによって教科書採択関係する公務員の買収戦術を積極的に実行せしめつつあるような事実も認められたということを申しております。  そこで、処分されました者がすでに支店長クラスの、ある意味では幹部職員でございますが、どの程度までこれがいわゆる本社というようなところ幹部が具体的な贈賄についての共犯関係にあるかというようなことが、なかなか証拠上捜査がむずかしかったのではないかと想像いたしますが、いずれにいたしましても、さしあたり支店長以上のところ幹部にどの程度の取り調べをいたしたか、手元に資料を持ってきておりません。
  21. 三木喜夫

    三木(喜)委員 九月の十四日に新井刑事局長に訴え出た。本人は激しい業界過当競争会社の手段を選ばない教科書売り込みに義憤を感じて、自分はその会社をやめて、そして直接訴え出たのです。それには先がたも申しましたように資料をつけて訴え出ておるのです。その結果各地教科書汚職摘発がありまして、教師があがりました。これは教育界のために悲しむべきことだと思うのです。また販売員があがりました。しかし彼の言うのは、一向に会社幹部だとかそういう方々が調べられたような様子がない。事実がとうなっておるのだろうか、彼も疑問に思い、私も疑問に思い、世間も疑問に思うわけであります。また教師の取り調べにつきましては、まことに丁重な取り扱いをしていただいておるようであります。気を使って調べていただいたようであります。これも感謝しておる者が多いわけでありますが、肝心のそうしたところに手が伸びていないのではないかという疑義があるわけです。  そこで、こういう一般的な考え方に立って一つ考えを願いたいのですが、支店の幹部が若干の金をばらまいた、しかしそれには金銭の出納の関係もありますし、これに使えという指示なしに各地方幹部が勝手に使うはずのものではないわけです。指令なくしてはできないですし、金銭出納の状況も出てくるわけでありますから、そうした指令もあったとのように新聞には出ておるわけなんですが、その資料まで添えてこれを出している以上、検察庁あるいは警察側といたしましても、これは資料がないからということでなくて、当然そういうところも調べるべきではないか、一般的にこう思うのです。それでお調べになったかどうかということをお聞きいたしたいわけであります。ここは重大だと思いますので、一つお答え願いたいと思います。
  22. 新井裕

    新井政府委員 今資料の問題について、私が直接持っているものにあったにもかかわらず、追及が不十分ではなかったかという疑問のようでございますが、先ほど申し上げましたように、警察庁直接で扱うべきものでございませんし、ちょうど教科書汚職問題は大阪府で摘発しておりましたし、持って参りました資料大阪関係資料でございますので、大阪に全部持って行ってもらいまして、これはいきさつはございましたけれども大阪に全部提出をしてもらいまして調べたわけでございます。資料と申しますのは、何月何日何重役がこういうことを話をしたという資料ではございませんで、何月何日だれそれがだれそれに金を幾ら贈ったとか、あるいは盆暮れのあいさつでこういうものを贈ったという、きわめて詳細な出納の記録だったように思います。私は直接それを見ておりません。課員に見させたのでありますが、そういうことであったようであります。従いまして、それに基づいて捜査を非常に進展させたことは申し上げるまでもございませんけれども、ただこの事件は、持ってこられた本人が言われるように、上部の指令に基づいたという確たる証拠があがらなかったのであります。これは、われわれの捜査の技術的な問題もございますけれども、残念ながら証拠はなかったのであります。しかし、すべてそういうふうに上部の責任が追及されなかったかと申しますと、この持って参られたのは、たしか東京書籍の関係書類であったと思いますけれども、ほかの、たとえば教育出版社につきましては、幹部の営業部長も逮捕して追及しておるのであります。残念ながら持って参りました東京書籍のものにつきましては、そこまで追及ができなかったわけでございます。  それからついでに申し上げておきますけれども、逮捕いたしました人間、あるいは贈収賄とも東京書籍が一番人数としては多かったのであります。従いまして、その資料が活用されなかったものではないということだけは御承知願いたいと思います。またその持ち込まれた資料が日本全国の資料ではございませんで、大阪関係資料であったのでございます。ただ、今御発言もあったようでありますけれども、何と申しましても先生方が相手であります。校長さんとか教頭さんもおりますけれども、大部分は実際に教えておられる先生方でございますので、これをその資料に基づいて徹底的に一人々々聞いて参ることは大へんな動揺、不安を与えかねませんので、われわれの方としても、これをいかに選抜し、しぼるかということに頭をしぼったのであります。従いまして、われわれの方の認識なり選択なりに全然見当違いがなかったとは私ども申しかねますけれども、そういうことで比較的重い者とか、あるいは地位からいっても重いと思われる者にしぼって調べたのでございます。そういうようにしぼりましても、関係府県は八府県に及んだわけであります。これをもしその資料通り徹底的に追及いたしますと、もっと多くの府県にわたらざるを得なかったのでございますけれども、こういうふうにしぼったことも十分事情を御了察願えると思うのであります。結果として調べられました先世方は約百二十人に及んでおりますけれども、これはこれだけの人数でないことはその資料にも十分に現われております。ただこの資料そのものとしても、これがいいとか悪いとかということについて、私どもも個人的にはいろいろ意見はございますけれども、盆暮れの、あるいは公正取引委員会で示された範囲での盆暮れの儀礼的なものも中にはあったように聞いております。従いまして、そこにあったから全部それが悪い人たちであるというふうには言えなかったのだろうと思います。いずれにせよ、今申しましたように県からいえば多府県にわたり、出版関係者からいいますと六社にわたっております。御承知と思いますけれども、教育出版社、教育芸術社、大阪書籍、学校図書、大日本図書、東京書籍、こういう六社にわたっておるわけであります。われわれとしては、そういうことでこの取り調べが、派生的、副次的に教育に及ぼす効果を考えつつ、できるだけ慎重に調べざるを得なかったということ、これも御了承を願いたいと思うのでありますけれども、ただいま申しました御指摘の持ち込まれた資料からは、直接上部への結びつきが残念ながら追及できなかったということを申し上げておきます。
  23. 三木喜夫

    三木(喜)委員 教科書汚職の容疑の一端として、私もあなたの方から言われた前回の資料によって文部省に要求いたしましたけれども出してくれない。そこでこういうように調べたのですが、これに間違いはないですか。六社ということはABCDEFという名前で書いております。これはこういうもので書く方がいいだろうと思いましてこう書いております。今、会社の名前があがりましたけれども、私もそれは存じております。その資料にはABCDEFという名前であげておりますが、容疑の一端としてあげたその資料で間違いございませんか。一つこれについてお答え願いたい。
  24. 新井裕

    新井政府委員 私の方で分類しておりますのと分類の仕方が違いますので、この席ですぐに御返事を申しかねますが、あとで御返事いたしたいと思います。
  25. 三木喜夫

    三木(喜)委員 一般的なことなのですが、新聞によりますと、本人は、会社幹部責任を追及して教科書業界を粛正することはとてもできない、このように言っております。各地でそういう事件が起こり、刑事局長のお手元にそういうデータが出て参りますと、それを取捨選択して重点的にやろうとお考えになるのが警察当局のお考えですから、それをとやかく申し上げるわけじゃないのですが、そういうところから抽出されて一般的に類推することができるのではないかと思うわけです。いわゆる幹部から指令が出なければ、そういう金は出せない。自分のポケット・マネーではとても出せないのですからして、各地の情勢を追及していく中から抽出して、そうして幹部からお聞きになることも私は可能だと思います。それから各地教師の調べられておる状況を見ますと、日数にいたしましても、何日も何日も調べられておる。そうして各方面のものを引き出して徹底的な追及をなさっておるわけなんです。世間で往々言われておることは、その起こった一つ一つを抑えるのでなくて、根本を押えなかったら何もならないということを某新聞に書いておるわけです。私はそこに問題点があると思うのでお聞きしておるわけなんですが、刑事課長さんの方ではそういう点はどういう工合にお思いになりますか、これこそ追及していかなければならない一番中心点じゃないかと私は思います。それはどの社に限らず、私はそうすべきじゃないかと思います。
  26. 羽山忠弘

    羽山説明員 涜職事犯と申しますものは、御承知のようにやる方ともらう方とありまして、やる方があるからもらうやつが出て犯罪が成立するということになるわけであります。ただいま申し上げましたように、贈賄者側がかなり悪らつで、しつこくて巧妙であるということでございまして、これについてはもちろん十分に取り締まりをしなければならぬと考えております。現地の検察庁におきましても、警察と協力いたしまして、かなりの努力をしたように考えておるのでございます。決してその面におきまして、贈賄者側の取り締まりの方を軽く考えるというわけではございませんが、同時にここで注意を申し上げなければならぬと思いますのは、本件に関しましては受け取りました先生の側が非常に軽率に金をもらっておるということを御留意を願いたいのでございます。贈賄者側が退職したもとの校長とかあるいは退職した教頭というようなものを外交員のようなものに仕立てまして近づいて参りましたために、勢い先生方の方が油断をされたという点は、まことに御同情に値するわけでございますが、しかしながらそれともう一つ、受け取りました金額が実に少額で、あるいはビールが半ダースとか酒が三升とか、現金にいたしましてはなはだしい場合には五百円とかいうような非常に少額な金でございましたために、つい不用意に受け取ったのだということに相なるのではないかと思うのでございますが、しかしながら御承知のように刑法におきましても、法定刑が収賄の方が贈賄よりも重いわけでございます。何ゆえに収賄の方が贈賄よりも重くなっておるかといいますと、やはり公務員といたしまして、収賄をするということにつきましては、それ相当の反省と慎重な考慮が要求されるわけでございまして、その意味におきまして、先生方が、いやしくもこの教科書業者教科書を売り込みにきておる者が、かりに元の同僚でございましても、知り合いでございましても、とにかくそういう人たちからいかにささいな現金でもポケットに入れられたままで帰るというような点にはなはだ慎重でなかったということでございまして、もちろん贈賄者側の取り締まり、検挙も大いに励行しなければいかぬと思うのでございますが、検察当局といたしましては、金を受け取られました側の先生に対しましても、今後慎重にお願いをいたしたいと心から申し上げざるを得ないのでございます。
  27. 三木喜夫

    三木(喜)委員 これは刑事局長の方からそういうところまで調査することができなかった、証拠がそれだけ出なかった、こういうお言葉でございますから、もはやこれ以上申し上げませんけれども、刑事課長の申された、もらったものが少額で軽率にもらっておる、これは各方面のケースでよくわかります。また公務員汚職贈賄側より収賄した方に重い、この意味もよくわかるわけでございますけれども贈賄側は各個々人をたくさん受け持ってやったということになれば、私は累犯ということによってより、重くなるのではないか、こう思います。従って個々にそうした駐在員とか販売員とかいうようなものが刑の処罰を受けておる、このことはわかるのですが、そうしたものの一番根本になるものが私はあると思う。これを追及するかまえなしに、こうした汚職が今後絶滅を期せるかどうかということを一般的に申し上げているわけです。各個々人は、私も十分聞いておりますし、去る三月末でしたか裁判にも出てつぶさにその様子も見て知っております。しかしながら各個人の言うところによると、取り扱いは非常に丁重でございましたが、非常にきびしい取り調べをされております。それと同じように、いわゆる根源に向かってそういう努力が払われたかどうかということが、私の一番お聞きしたいところであります。各個人が軽率であったことを注意しておかなければいかぬというように今課長さんが言われましたが、その点は私も十分承知しておるわけでありますけれども、今のお話では幹部諸公には、どのような追及の手がなされたかということが、まだはっきりしない。証拠がなかったからいけないのだ、こういうことなんですけれども、もし証拠ありとしたならば、今後徹底的におやりになるおつもりかどうか、この点を刑事局長と刑事課長にお聞きしておきたい。
  28. 新井裕

    新井政府委員 私どもも子供を預ってもらっておる学校の関係で、こういうあまりかんばしくない状況が出ておるというのは、捜査の状況を見ましても大へん残念に思います。極端なことを言えば、日々みなしかりといわざるを得ないような格好でびまんしておる状況というものは大へん嘆かわしいと思います。その根源がいずこにありやということにつきましては、いろいろ御意見もありましょうけれども、私は贈賄側だけが悪くて、収賄側だけがかわいそうだというふうにも言い切れないものがあるように思いますけれども、そういうことは一応抜きにいたしまして、私どもといたしましても、こういうことが再び行われないように、一罰百戒的な効果が上がるようにということを念願といたしますけれども、大へん残念でございますけれども、免れて恥なしという感じのものが強いようでございまして、追及の手の及ばなかったものは平気でおるというのが、最近の風潮で、私どもも残念にたえません。ただ私は、これは先ほど公正取引委員会からもお話がございましたけれども公正取引委員会の取り締まりの手というものは、これはまた全般的に及び得るのでございます。われわれは個人々々の責任を追及するという形でしか摘発ができませんので、そういう点ではいかに努力いたしましても部分的であることは免れないのであります。その点はわれわれの仕事の限界であろうと思っております。しかしながら今御指摘のように、もしそういう現実の証拠があればやる気があるかとおっしゃられれば、刑事訴訟法にも書いてございますように、われわれは犯罪ありと思料するならば、捜査をしなければならないのであります。法律上の義務ももちろんございますし、態勢としてもわれわれは十分その用意があるのでございます。
  29. 羽山忠弘

    羽山説明員 検察当局といたしましては、従来も重点的処理ということに努力してきておることは御承知通りでございまして、今後ともそういう事態が起こる場合には、その方面に向かって力を注いで参りたいと考えておる次第であります。
  30. 三木喜夫

    三木(喜)委員 公正取引委員会審査部に御質問して御答弁をいただくことは工合が悪いでしょうか。
  31. 後藤英輔

    後藤説明員 審査部の方で審査しております事件につきましては、ちょっと申し上げられないと思います。
  32. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それではその点はあとで聞くことにいたします。  そうしますと、この表を一つ公取審査部の方で見ていただきたいと思います。これも会社名はABCDEで表わしておりますが、ちょっと日付を落としておりますが、現在まで公取で取り扱われた教科書に関する不公正な取引状況、そうして審査部で案件を処理された状況でありますが、これを見て参りますと、歩引きとか、批判冊子を配ったとか、白表紙を配ったとか、あいさつ状とか、一部図書を無償で渡したとか、あるいは中傷したとか優待の方法考えたとか、比較したとか、こういうことばかり取り扱われて、そしてその処理は公取協議会を通じて警告、勧告、指導、こういうことになって現われておるわけです。この中で汚職の典型的なもの、常套的なもの、そして悪質なもの、いわゆる供応、金銭のやり取り、こういう問題が今まで一つもあがっていない。なぜこういう状況になったか、公取の方ではこれについての検討をされておりますか、その点一つ……。
  33. 後藤英輔

    後藤説明員 公取といたしましては、不公正取引の方法といたしまして、行き過ぎた景品等をつける行為につきましては、特殊指定といたしまして、それぞれの業界を指定いたしまして取り締まっておるわけでございますけれども、その場合に、これは一時に多発的に、人がやるから自分もやらざるを得ないというような形で起こる行為でございますので、一々役所の方が事件ができたあとに追っかけていくというようなことでは、とうてい取り締まりのできかねる性質のものでございますので、こういうような不公正な取引方法につきましては、何よりも業界一つの商慣行を育て守るという自主規制を中心にいたさなければ十分な効果を上げるわけに参りませんので、私どもといたしましては、それぞれの特殊指定業界業界自主規制機関といたしまして、それぞれの公正取引協議会を設けていただきまして、その内部規制としましてそれぞれルールを作っていただき、そしてそれを内部的に相互監視をして、そういう行為が未然に起きないようにする。そして同時に、起きた場合も内部的な業界としての自主的な処理というものでまず事案を解決する、どうしてもそういう内容につきまして業界で処理し切れないものを公取の方で警告をする、あるいはまた処理をするという形で参っておりますので、私どもとしましては、何よりもまず業界の自主態勢というものを強化して、その線によっていくということを中心にしておりますので、業界の方からこちらの方にどうしても処理し切れないと持ち込まれたものについてのみ従来としてはやっておったわけでございます。しかしながら、先ほど先生の御指摘のございましたような最も悪質と思われる供応、こういうようなものはなかなか相対の関係で行なわれておりますので、私どもの方の耳に入るというような機会も具体的なものとしてはございません。従いまして、形に残ったようなケース、つまり中傷、誹謗の文書を出したとか、そういうような形のものが比較的多く私たちの方に参りまして、従来そういうものを処理して参ったという結果になっておるわけでございます。
  34. 三木喜夫

    三木(喜)委員 供応と金銭、物品贈賄、収賄、それがないのですね、今まで一回も、これにはあなた方の方で処理された中にはないのです。しかしながら、現実には国会でも問題になったように、両三回この問題が取り上げられておるわけです。それに勧告とか、あるいは指導とか、そういうことがなされていないのはなぜかという意味です。それか一つと、それからなぜそれがあげにくいかということは、今お聞きいたしました個人相対でやっておるから調べにくいのだ。また突っ込んで申し上げますならば、人数が少ないから、こういうことも言われると思うのですが、すでに事実になって表面に浮かんで出てきた問題ですから、過去においても。それにあなた方の方からいただいたこの資料では、不公正取引の中の種類、今申しました歩引きがいいか悪いか、批判書を出しておったらいいか悪いかということの問い合わせに対して答えて指導したということで、業界自主規制におんぶするという、非常によい言葉ではございますけれども、しかしそれをいいことにしてほおっておったと言われても仕方がないじゃないかと思う。次々こんなことが続発しております。そういう過去のことを文句を言うことをやめまして、その原因がどこにあったかお聞きしたがったのですが、相対だから調べがつかなんだ、それはそうです。金を渡したりしておるのは相対です。しかしながら、業者間からお宅の方へも相当そういううわさが流れてきていると思うのです。そういううわさに従ってやっていただいたら、一つくらい実績を、この上にあげていくことのできるような事案、言うなれば親切な指導、警告、こういうものが事前になされるだろうと思うのです。これなくして公取の意味はないわけです。こんなことが次々起こっておるのに、検察当局とか警察当局にお願いするまでどうにもできなかったということになれば、この教科書に関しては公取の存在価値を私たちは疑うわけです。従って公取協議会の方でも、私らの方でも、そんなことは処理できません、このようにおっしゃっております。そういう公取協議会の方でもできないと言っているものに、公取委員会自主規制だからあなた方にやらしているのだ、それが最も民主的な方法だ、もちろん民主的ですけれども、一件もそういう問題について警告をされていないということにつきまして、私はまことに遺憾に思います。このこと自体が今度の事件を起こしてきた要素になっていると思うのです。私はそういうことを思うのですが、この点どうですか。御意見があったらそれを言って下さい。  次に、私申し上げたいのは、今度の事件です。今度の事件池田氏が公取委員会に訴えて出た事件ですが、十二月一日付の新聞で私は見たわけです。きょうまで十二、一、二、三、四と五カ月に及び、警察並びに検察関係ではもう着々と進行して裁判に移っておる。もう容疑事実は全部上がってしまった。これ以上動かしようがなくてここでストップしようという配慮までなされておるのに、いまだにのろのろ審査をやられていつまでかかられるつもりですか。そして審決はいつごろになるのですか。そして審決の結果あなた方がこれを審判にかけるかかけぬかということも起こってくると思うのです。そういうことの見通しはどうなんですか。ずいぶん時間がかかっております。こういうマンマンデーのことがやはりこういうことになるのじゃないか。その点一つ審査関係のことを聞きたい。
  35. 櫻内義雄

    櫻内委員長 ちょっと参考人の皆さんのお時間の都合がありますから、参考人への質問を先に……。
  36. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それをお聞きしておいて、それから……。
  37. 後藤英輔

    後藤説明員 公取の方で供応とかあるいは金銭の授受とか、最も悪質なものをなぜやらないかということでございますけれども、私どもといたしましては、先ほど申しましたように経済部の立場といたしましては、全般的業界のいい取引慣行というものが行なわれるという広い立場でもって指導している立場でありますので、なるべくそういう個々の問題については業界を通じてという建前でやっておりまして、ことに金銭を渡したというようなことは私どもの方の耳に具体的に入るということはほとんどございませんで、単なるうわさ程度のことは耳にたまに入ることはございますけれども、それをもって事件のきっかけにするというわけには参らぬような事例が多い。従いまして、つい形として残りますような中傷、誹謗文書、白表紙、あいさつ状というような形のものが中心になって参ったわけでございます。御指摘のようなうわさはたまには聞いておりますので、そういうものを含めまして私どもといたしましては一昨年、昨年二回にわたりまして委員長名で各発行会社その他の関係方面に全般的な警告は出してございます。そういう形で一応私どもとしての経済部の指導をやって参ったわけであります。今度具体的な個々のケースにつきましてどこの会社がどういう人に対してどういう贈りものをしたとか、金を贈ったとかいうような形で起きて参りましたので、これは私どもとしまして明らかに特殊指定の問題がある事件でございますので、今回審査部の方でこれを正式に取り上げたわけでございます。従いましていずれこれは審査の方ではっきりとした結論が出ることだと思っておりまして、私どもとしましては決して金銭その他の問題を取り上げないというわけではございません。  それから第二点の、十二月に申告を受けてまだ公取結論が出ないではないかというおしかりでございますけれども、御承知のように審査部の方ではこの問題について熱心に調査審査もして参っておるようでございますが、何分人手が足りないで、警察のように主としてそれにかかっておるというふうな建前になっておりませんので、幾つかの事件をかかえておるというようなこともありまして延びておるということもございます。また公取の手続といいますのは、事実についての第一審的な機能を果たさなくてはならない、つまり公取処分に対しては直ちに東京高裁につながる、しかも公取の事実の調べは官裁の判断の場合にそれを拘束するというような重大な責任も負わされておる関係で、審査事件は通常相当長期間を要するということでございます。ことに今度の場合はケースがたくさんございますので、そういう関係もあって延びておるのではないかというふうに私ども経済部の方として見ております。  それからこういうような公取のなまぬるいやり方が業界をして、こういうような公取委があってもあるいは公正取引協議会というものがあっても、そんなものは問題にするに足りないという空気を起こして今日のようなことになったのではないかという点でございます。この点につきましては、私どもといたしましても昨年警告をいたしてなおそういうような忌まわしい事態が起こったということにつきまして、私どもとして、至らなかった点は十分反省いたしておりまして、本年度の採択あるいは来年度の採択というようなことにこういうようなことが二度と起こらないようにということで、十分業界の方に対しての警告ないし反省を求める仕方というものはなおきびしく今年度はやって参りたいというように考えております。
  38. 三木喜夫

    三木(喜)委員 汚職実態としてまだほかに——今検察当局もおっしゃっておりましたけれども、私らの耳にも三十五年七月、三十七年二月に現に供応の実態を報告しております。しかしこれは皆さん方のように、これは調査はできますけれども、これを徹底的に追及する権限がわれわれはない。従ってその真偽がわかりかねるわけですけれども、われわれのところにでさえこうした汚職実態が出て参る、三十五年では温泉に招待する、そして旅館に立てかえ払いをさせておる。六月は買収費数十万円を作って供応しておる。三十五年七月に怪文書が出て地方紙でさえそのことを批判しておる。三十五年七月には県下の校長を年二回供応して五百円の会費で実質は五千円の供応をやっておる。それから最近では三十七年二月二十四日国語編集会議の名前で供応をやって、一人前五百円を使い交通費が五百円か千円渡されている。現在でさえこういうことがわれわれのところにわかっているぐらいなんです。私の申し上げるのは、公取は過去一回もこの問題を処理してない。そこに公取としての手落ち、あるいは業者に対するところの非常に安易な考えを持たすことになっていないかということを申し上げておるわけです。  それからあとの、現在公取に訴えが出ていることは、高裁との関係があるからして非常に慎重にやらなければならない。このことはわかるのです。わかりますけれども、だからといって警察、検察当局結論を出してしまってからでは、そうしたら警察や検察があればそれでいいということになって意味がないことになるということを申し上げるわけであります。その点一つ今後公取としましても十分こうした事実をつかまえていただいて、こうした事実から逃げるのでなくして、そのことに対処していただかなかったら、冒頭申し上げましたような忌まわしい汚職というものは皆さんの努力で解消することはできない、なくすることはできない、こう思います。この点一つお願いしたいと思います。  それから公取協議会の方ですが二、三点お伺いしたいのです。
  39. 村山喜一

    ○村山委員 関連。  参考人の中で東京書籍の社長さんは早くお帰りになるようでございますから、その点だけについて山田さんにだけお尋ねをし、御決意を承っておきたいと思う点がございますので、お尋ねをいたしたいと思います。  今回六社が警察の手によって、いろいろ調査をされて、犯罪事実が出てきている。こういうようなことになっておりますが、中でも東京書籍関係が一番数が多いわけです。そして前に新聞にも出ましたように、年一億円以上の買収費を使っておる、こういうような記事が昨年の十二月一日の新聞にも出ているわけです。そういうような内容、さらにまた教科書採択部数を調べてみますと、東京書籍、それに教育図書それから教育出版、学校図書、こういうような八十六社の中で一番大きい会社のその三社の採択部数というものが五一%をこえている。こういうようなところから、三社とも今度の事件関係がある。事件を起こしたのを見ますと、教育芸術社を除きまして大手筋がほとんどこれに関係がある。こういうような状況でございます。そこで業界の方でも管理委員会等を作りまして、公取協議会の中に中央管理委員会を作って自主規制に踏み切ったというようなことも聞いております。しかしながらこういうような違反を犯していくということを繰り返して参りますと、歴史が証明いたしておりますように、国定化の方向に流れていくことは、これはだれも否定ができないことになる。こういうようなことを考えて参ります場合においては、教科書会社が自分の会社のことだけを考えまして、そういうような過当競争を営利行為として行なっている事実が、やがては日本の教育制度というものを大きくゆがめてしまう、こういうふうなことに結果的にはなってくるのではないかということを僕は心配をいたしておる。その責任は、やはり教科書会社の人たちが、そういうような原動力になって参るわけでありますが、これをわれわれ国民の側から許しておくわけには参らない、従って教科書の発行については、非常に重大な問題が出て参りまするので、会社側としては、そういうような事件を起こした会社ほど自粛をし、今後の対策を講じていかなければならぬものだと思う。三社の中でも、特に全国一の発行部数を持っておいでになります東京書籍としましては、業界の横綱クラスであるわけですが、その会社が、みずから教科書業界の中において汚職の旗振りをするというようなことに対しまして、自粛の意思がないということになるならば、教科書会社に対しましては、国民の不信の念が出てくるであろうと言わなければならないと思う。そういうような点から、私はここに出て参りました関西支社関係のもの以外に、東北関係のものも資料として持っておる。しかしそれを一々ここで、山田参考人がおいでになる間に申し上げる時間の余裕がございませんので、後ほど取り上げて参りますが、今日までそういうような状態になっておることに対しまして、どのような反省をされ、今後はどういうふうに行なっていこうとお考えになっているのか、そういうような決意があるならば、決意のほどを山田参考人からお伺いいたしたいと思うのであります。
  40. 山田三郎太

    ○山田参考人 私からお答え申し上げたいと存じます。  ただいま御指摘ございましたように、私の方の社も、今回の不祥事件に関連したものの一員といたしまして、まことに恐縮かつ申しわけなく存じております。先ほど来、三木さんからも御指摘ございましたように、今後再びあのようなことを起こさぬようにするためにはどうすればよろしいかというような御懸念の御質問がございました。私らもこの点につきましては、われわれの微力でいかにこれをやっていこうかということにつきましては、絶えず苦心をいたしておるわけでございまして、今回の事件発生後は、営業関係社員に、特に厳重に私から訓戒いたしました。私は、教科書は一般の商品と違って、これは非常に神聖な品物である、従ってこれの売り込みのために、あるいはまたその他のすべての状態において、常にフェア・プレーで進むべきであるということは、平素あらゆる機会に全員に話をして参ったのでございますが、今回はそれが一部で守られずに、私の意思に反しましてこういう不祥事を起こしました。まことに残念に思っております。つきまして、厳重に警告いたしましたばかりでなく、営業担当の役員も更迭いたしまして、監督がより一そう徹底できまするように、社内の体制を先般改めまして、そしてほとんど陣容を変えて、今年度以降、最もフェア・プレーの戦いをやっていこうという考えに徹しておる次第でございます。もちろん文部省当局からも、あるいはまた公正取引委員会の方からも、たびたび厳重な戒告を受けております。また業者内でも、協会、あるいはまた委員会を通じて、いろいろとお互いの話し合いの上に立って、こういうことのないように徹底するような話し合いを進めておるのでございますが、私の考えといたしましては、そういうもののあるなしにかかわらず、少なくともわが社におきましては、今後かようなことを繰り返さないように、厳重に、私も真剣にこれを一つ取り締まって参りたい、かように考えております。  先ほどの御質問の中に、一億円の買収費とかなんとかいうことがございますけれども、さような事実はございません、この点はっきりと申し上げておきたいと存じます。  それから採択部数の多いのは、こういう大手五社か六社であるということから、これは営業上そういうようないろいろのスキャンダルをやるから採択部数が多くなっているのじゃないかというふうに私に聞こえたのでございますけれども、この採択部数の多いのは、結局編集陣容を完全なものにいたしまして、りっぱな編集陣容で、ものの質でこれを世に問うということが高く評価されて採択部数が多くなっておる面もたくさんあることを、私からこの際申し上げておきたいと存じます。  以上、私のお答えといたします。
  41. 村山喜一

    ○村山委員 私は今社長が言われたように、こういうような汚職を起こした会社ほど大きくなっているということを言っているのではないのであります。汚職のいかんにかかわらず採択が伸びていくということは、その教科書内容のしからしめる点もあるでありましょう。それは教科書内容を私も検討いたしておりますが、あながちそればかりだとは言えないと思います。問題は、そういうようないわゆる今回警察の御厄介になったところが、大手の方からずっと順位をつけていきますならば、一位、二位、三位、四位、そうして五位、六位、こういうふうに、大手ほどそういうようなお世話になっておるというその事実は、これは一体どういうことかということ。教科書会社の八十六社のうち、中小の場合においてはそれだけの競争力というものがない。そうなれば、やはり大手筋の教科書会社が力もあるし、金もあるし、そういうことで過当競争というのですか、汚職を引き起こしてまで競争をやる。フェア・プレーの競争ではない。こういうのが現実に出ている以上は、この点から考えて、ただ公取協議会の中にそういうような管理委員会を作ってやるという手もありましょう。しかし、実効を上げるためには、やはりきょうお見えになりました山田参考人あたりが、そういうような関係の大手筋の社長さんたちを集めて、一つ自分たち過当競争をやらないようにしっかりやろうじゃないかということをまずおきめになることが、一番初めのやるべき仕事ではないかと思うのですが、そういうようなことについて、社長クラスのほんとうの意味の実力者会議というようなものをお持ちになって、それによってわれわれはこういうことをいたしませんというような確約書でも文部省の方にお出しになったのですか、その点をお尋ねしておきたい。
  42. 山田三郎太

    ○山田参考人 私も約二年間教科書協会の会長をやっておりまして、こういうような問題につきましては文部省の御当局あるいはまた公取の御当局の方からも、絶えず厳重にこれをやるようにというお話がたびたびございましたので、そのつど、今御指摘のように協会の理事を占めておりますのは、比較的大業者が多いのでございますから、その協会の理事会の席上におきましてたびたびその精神を説いて、これを守っていただいたつもりでございます。幸いに私の在任期間中は、こういうような問題はほとんどなかったと私は記憶いたしております。現在のそういうような動きと申しますのは、やはり協会にちゃんと会長というものがございまして、その会長が率先してそういうような機運を興し、またわれわれの蒙を開くというふうに、どんどん積極的にやっていただくべきことが組織の上からも妥当と存じますので、近い機会に会長にそのことを伝達いたしまして、そういうような申し合わせをさらに一そう強固にするような話し合いを進めるように、私からも申し上げたいと存じております。
  43. 村山喜一

    ○村山委員 私は当社に対して恩も恨みもありません。社長とお会いするのもきょうが初めてですから、そういうような立場で、白紙の立場で私はものを言っているつもりなんですが、やはり今度の事件にかんがみまして、そういうような教科書公取協議会の会長さんあたりに社長さんあたりが話をされることも必要でありましょう。しかし何といいましても、こういうような事件を引き起こした当事者同士が集まって、もうこういうようなことをやらないようにしようじゃないかということを、ほんとの実力者の人たちがお集まりになった上で話し合いをされなければ、これらの問題は公取協議会の方にまかしてある、そしてその中の管理委員会というものが今度発足をしたのだから、それが適当にやってくれるだろう、こういうような形でこれからも終始されるならば——山田さんが会長として、二年くらい前に二年ほどおやりになったことをお聞きいたしますが、その当時においては新しい教育課程の改正はなかった、小学校の場合は昭和三十六年度から、中学校はことしから、高等学校は来年から実施されるのでありますから、その教育課程の改正に伴う新しい教科書が生まれてくる時期ではなかったわけですから、そういうようなときには汚職は起こる心配はあまりない。教科書を改めて、もう一回全部新しい教科書を使うときにこういうような問題は出てくるわけなんです。そういうような点から、私はもう一ぺん山田参考人に対しまして、そういうような問題を引き起こしたような大手筋の社長会といったようなものでも開いて、そうして一つわれわれは自粛をしようじゃないかということをお互いにはっきりとお取りきめになる必要がないかということをお尋ねしておきたい。
  44. 山田三郎太

    ○山田参考人 ただいまお答え申し上げましたように、私は非常にいい示唆だと存じますので、十分これを含みまして——私の一存だけでこれをやろうといたしましてもなかなかできないことでございます。極力そういう業界幹部連にこの御趣旨を伝えるように努力いたしたいと存じます。
  45. 村山喜一

    ○村山委員 私関連でありますので、これでおきまして、あとまたほかの参考人にはのちほど……。
  46. 小林信一

    小林(信)委員 関連して。先ほど来お話を聞いておりますと、いろいろ問題が出てきておりますが、これをお尋ねしておりますと、せっかくおいでを願った山田社長さんにお尋ねする機会もございませんので、山田さんにお尋ねして参りますが、先ほど来検察当局の言葉をかりていえば、業者は非常に悪らつだ、しかも執拗だ、この言葉はまことにあなたにとっては聞きずらい言葉だと思うのです。それから公取の方のお話を聞いておりましても、事件事件だから非常に長引くのはやむを得ない、こういうふうに説明しておりますけれども、私たちの知るところでは、もう手をやいて教科書業者の問題はどうすることもできないんだ、私はそれがほんとうの心境ではないかと思う。こういう方たちの言葉を聞けば、もう教科書をめぐっての汚職という問題は収拾することができない、結局これは何らか他の方法を講ずる以外にないというところへきておる、こうも考えられるわけです。しかし今あなたのお話を聞くと、また別個の考えに立たれておるわけですが、まことにそういう言葉を聞くことは不本意なんです。私たちはもっとこの点については慎重にやっている。国民立場からすれば、実際子供を持ち、また教育に関係しておる者からすれば、どこにその真意があるか、はたして今後どうなるか、まことに困惑するような状態なんです。あなたもはっきり、教科書は単なる商品ではない、神聖なものだ、こうおっしゃっておられる。しかも商売はあくまでもフェア・プレーでやって、こういう問題が出るということは私自身予測しなかった、こういうようにおっしゃっておいでになりますけれども、実際問題は今の通りでありますが、これをあなたのお言葉でもって、今後業界に問題が起きないというふうに私は信じられないわけです。もちろん私は当社だけをとやかく申し上げるのではなく、これは業者全体に対し申し上げておるわけなんですが、その中で最も重要な地位を今までお占めになり、しかも一番大きな会社責任者としておられますあなたに、もう少し具体的な自粛態度というものをお聞きしたいと思っておるわけです。今のような言葉はおそらくどこの会社責任者もおっしゃることであって、今の状態ではそれをそのまま受け取れないのです。もう少し具体的な自粛方法をこの際お示ししていただくことが必要ではないか。先ほども三木さんの質問の中にありましたように、国会議員もこれを無視しておるのはおかしいというような批判まで受けることを考えていただくならば、もっと具体的なものをお示しになっていいと思うのです。私どもは、ただいま村山さんの方からお話がありましたように、この問題が国会の問題になるということを聞かれて全国からたくさんの資料を提出されております。あなたの会社の問題につきましても、あなたの言とおよそ逆のことが私たちの手元にはきております。私たちはこれを簡単に信用するつもりはありませんが、しかしあなたの会社の今後の方針というふうなものと、責任者であるあなたの言葉とが非常に逆の状態になっておる。この点からもう一ぺんあなたから具体的な方策を述べていただいて、自粛するということを、われわれにではなく、子供たちのためにも述べていただき、実行していただきたい。もし私たちの持っております資料が、これは私は全面的には信用しておりませんけれども、必要であれば申し上げて、あなたの御意見を承りたいと思います。
  47. 山田三郎太

    ○山田参考人 ただいま御質問のように、業界自粛と申しますか、粛正というのは、単に私の方の会社一社だけの反省によってこれをやっていくということには参りませんで、やはり教科書に関連を持つ出版会社幹部がそれぞれ今回の事件にかんがみましてよく反省して、お互いに今後徹底的に自粛の実を上げようという気魄を持つことによって初めて達成することができるのではないか、かように存じます。しかも、私もはなはだ微力ではありますが、少なくとも当社におきましては、御指摘のございますまでもなく、今後十分反省いたしまして、繰り返さないようにやっていきたいと思っております。それから私の常に持っておりますこの考え方が、いろいろな点で逆になっておるような結果を招いているということにつきましても、いろいろ私自身としても反省し、また遺憾に存じてはおりますが、今後はそういうふうにならないように十分注意して参りたいと思っております。  今自粛の具体的の姿はどうかというようなお尋ねがございましたが、こういうような問題につきましては、精神面あるいはまた物質面からいろいろ制約を加えていくことの必要性のあることはもちろんでございまして、営業の費用の合理化、適正化と申しますか、そういうことをまず第一に取り上げるということから始めるのが至当じゃないかと思いまして、それぞれ担当の役員にも十分この点を検討させまして、そういうような面からでも粛正の実を上げられるように具体的に進めて参りたい、かように存じておる次第でございます。
  48. 小林信一

    小林(信)委員 具体的な問題一つをお伺いしたわけですが、営業費の問題ですね。これはあなたの社だけと私は申しません。どこの社でも同じようですが、先ほどの村山さんの質問に対して運動費一億なんということは、私たちはやっておらない、そんな多額な金を使うなんということは考えておらぬ、こういうふうにおっしゃられて、そういう点では非常に自信を持ってお述べになっておられますが、これはあなたの社だけでなく、あらゆる社でそういう買収費だとか宣伝費だとか供応費だとかいうふうなものは、もちろん歴然とは計上されておらないわけなんですが、大かた予算の編成の複雑な形でこういうふうなものは巧みに入っておるので、私たち調査しましたところでは、大体一〇%くらいはこういう費用に使っておるのが最近の業者の常識だ、これくらいに言われております。ことに昨年、一昨年教科書の改定に伴っての過当競争というものは、この点をさらに一そう増大さして一〇%以上、一三、四%まで及ぶというふうなことを言われておるんです。これを帳簿に表わす場合には、もちろん明白にされておらないから、今のように一億なんという金を計上してはおらない、あくまでも商品の売れ行きがいいのは教科書が他にすぐれておるからだ、こういうふうにおっしゃっておられますが、これを私たちがそのまま受け取れない状態でありますので、あなたに御足労を願ったようなわけでございまして、今のところではせっかくでございますが、あなたの言葉は信頼できない。従って今後この営業費の適正化をはかるというふうなお言葉でございますが、これは最も留意していただかなければならぬところだと思います。  そこで私の方からお尋ねして参りますが、この公取協議会でいろいろ自粛規制をいたしますが、これを各社で守るのが当然であるけれども、どこの会社の意向を聞きましても、運動をする人たちに対しましてはこういうものは文部省に対するゼスチュアだ。従ってこんなことにとらわれるな、こういうことを指示するのが大体常識になっておるというふうにお聞きいたします。もちろん社長さんはこの精神を確保しておられるかもしれませんけれども、だんだん下へ参りまして、営業を伸展させようとする人たちは、その方針をだんだん変えてきて、こんなものはゼスチュアだ、こんなことに従っておったら商売できないというようになってきて、過当競争が行なわれておる、こういうふうに私たちは見ておるのですが、この点あなたの会社ではこれが下の方までほんとうに浸透し、徹底するかどうか、これはあなたの会社一つの例としてお聞きしたいと思うのです。
  49. 山田三郎太

    ○山田参考人 今御質問ございましたが、私は業界の他の方々にもしょっちゅうお目にかかる機会がございますけれども、この公取協議会というようなものは、単なるゼスチュア的存在であるというようなことはいまだかつて私は聞いたこともございませんし、また当社の末端に至るまでそういうような声が私の耳に達したことは今までないように記憶いたしておるのでございます。
  50. 小林信一

    小林(信)委員 そうであればけっこうですが、やはりそういうふうに実際というものをあなたが確認しておらないところにあなたの会社汚職問題が起き、業界にはこうした禍根というものがいつまでも残っておるのではないかと思うのです。あなたのようなお考えでもってあなたの会社が運営されておるならば、あなたの会社にはこんな汚職は生まれてこない、こう言っていいと思うのです。やはりもう少しほんとう会社の末端にまで、責任者であるあなたが神聖なものであるという考えで、精神面で十分御注意なさらなければあなたがきょうここでもって国民の前で声明されたことがほごになるようなおそれを私は感ずるわけです。  そこであなたの会社にはそういうふうなものがあるかどうかをお聞きするのですが、どこの会社にも買収するいろいろな方策というものが作られておるのです。私もあなたの会社のらしいものを見せてもらったのですが、実に巧妙きわまるものができておるのです。校長会をねらえとかあるいは教頭会をねらえ、その校長会も単なる校長会でなく、あるいは校長会の研究会あるいは教頭会の旅行会をというような、実にこまかい戦術というものが練られて、これを末端の運動をする人たちに徹底させ、これが明示されて、その方針に基づいて動いておるわけです。こういうものはおそらく検察庁あるいは警察庁、警察あるいは公取というようなところでは御存じないかもしれませんが、業者というものは、こういうものを持って動いておるわけです。そうしてしかもそれの網にかかる者は、末端の先生だというようなことは、先生に対しても全くかわいそうなことである。教科書そのものを神聖化して見ておるというふうなその言葉からも、非常にこれは忌まわしいことなんですが、こういうものが用意されて、そうして過当競争というものが行なわれている現状なんですが、あなたの会社にはそういうふうなものは用意されておられませんか。
  51. 山田三郎太

    ○山田参考人 私は営業の細部のことにつきましては、あげて営業担当の役員にこれをゆだねておりまして、営業の細部的な個々の方策については、あまりよく存じないのをはなはだ残念に思っておりますが、今御指摘もございましたので、今後そういう点につきまして十分一つ検討を加えまして、繰り返さないようにいたしたいと思っております。
  52. 小林信一

    小林(信)委員 少し具体的な問題に入り過ぎましたが、やはり今あなたのおっしゃることがほんとうの話だと思うのです。あなたは非常に上部におられますから、あなたのお考えになっていることを私は信頼いたします。しかしやはり営業の方針とか営業の形態とかいうふうなものは末端の方がやっておって、十分に知らない——今おっしゃった通りで、必ずしもあなたのモットーあるいは教科書に対する考え方というものが業務の末端にまでいっておらないというところに、こういう問題が出ておるのであって、必ずしもあなたがわが社の教科書はあらゆる会社のよりもすぐれておるから非常に売れ行きがいいのだというふうなことだけでもって、御慢心になっておられると、あなたの会社にも、あなたの意図と反するような、こうした思わしくない問題がいつになっても出てくるのじゃないか。  私はなおいろいろお尋ねして、今後の教科書をめぐる汚職問題というものをなくしていきたいわけですが、関連質問でございますので、以上のような点でとどめますが、あなたの今おっしゃった、私はそういう考えであるけれども、営業の末端については私の知らないところがある、そこがこういう問題が起きておるのです。あなたは決して自分の会社あるいは自分のお考えがそのまま実現しておられないという点を確認していただけば私は幸いだと思うのです。あなたがもっと下部の方に注意をなされるならば、あなたのような代表的な業者自粛され、そうすればおのずから他の業者もこれに影響されてきて、よい影響がもたらされるわけです。  ただもう一言申し上げたいのは、あなたの会社は今三千六百万の売れ行きを持っておりますが、来年度の方針が決意されておると私聞いたのですが、ことしの売り上げは何万部というような部数等も計画されておられますか。もし御存じなければけっこうですが、営業の方ではこれがさらに膨大な数を計上されておるのです。そういう点から見ても、ことしどういう方面でもって伸ばしていくかというような商売上の問題をやはり考えて参りますと、勢い先ほど申しましたような、具体的な方策を立て、方針を持って、業界により過当競争をしいられるような状態になると思うわけでございまして、もしそういうふうなことが言いにくくなれば申し上げませんが、そういう点まで私たちが調べましたときに、あなたの最初申された言葉は、あまりにあなたの会社の経営の現実と離れておる。そしてあなたの周囲が今言われましたように、悪らつな業者が執拗に過当競争をやっておって、取り締まりに困っておる、公正取引委員会も手を焼いておるというのが実情であって、そこに業者としての大反省をしなければならぬということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
  53. 三木喜夫

    三木(喜)委員 今小林委質の力から話がありましたことは、社長であるが私は知らない、これでは済まされぬので、こういうことに責任を持っていただかなければいけないと思うのです。今小林委員の方からは、御存じないのはいたし方ないという話だったですが、こういうことは、よし下の者がやっておりましても、会社の大方針でありますから、社長が知らないはずはないと思う。従いましてこのことについて一口申し添えておきたいのですが、これは責任があると思うのです。なお公取文部省教科書課長、検察、警察当局は、今小林委員の方から申しましたそれらしいデータがあるということは後ほど御検討していただいて、心にとめておいていただきたいと思います。聞き流すだけでは今後の取り締まりはできないと思います。その点一言申し上げておきたいと思います。  それから山田社長さんが十二時半にここをお立ちになるそうで、私たちはまだお開きしたいので残念なことですが、そういう関係で勢い山田社長さんに先に承りまして、自後の問題はあとにしていきたいと思います。  まず今一審問題になっておることは、現実おたくが一億円の金をばらまいて、その結果たくさんの容疑者ができて困っておる、この足元の問題をどうなさるかということです。今後の覚悟もさることながら、この足元の問題にどういうように対処されるつもりか。これは新聞に出っぱなし、検察、警察当局もそれは証拠不十分だということでは、最もその責任の地位にあるところのあなたの立場が明確でない。それから公取もこの点についてはどうされるか。今審査中でございますというだけでは国民は納得できませんから、きっとこの結果については発表してもらわぬと困る。それから文部省教科書課長さんも、当面責任を持ってこの事態を見ておられるだろうと思います。私はいろいろ資料もあなたに要求いたしましたけれども、あなたの方は的確な資料を出してくれない。何かこの事件から逃げておればよいというような形が見える。先ほど小林委員の方からも、公取も非常に厄介がっておるというようなお話がありました。実に手を焼いておるのではないかという話があったわけなんですが、こういうことでは国民は納得しないのです。何のために文部省教科書課長がおいでになり、何のために公取委員会があるかということに非常に疑惑を持つと思う。ここに汚職の発展性と根源というものを国民は推察して参るわけなんであります。その点で今小林委員の言いましたことにつきましては御銘記願いたい。後にその問題についてお伺いいたしたいと思います。  端的に申し上げたいと思いますが、山田社長は、こういう事態が起こって池田氏が訴えて出ておる、一億円も使ってないなら使っていないということを明確にして、法の立場に立って対処される必要があると思います。それは中傷であるなら中傷であるとなぜそれを争われないのか、私はここに疑問を持つ。  第二点は、私はあなたとも面識はあります。お会いもいたしました。それからあなたの社の山本常務にもお話をいたしました。今度関西であの事件が起こりましたので、これは私たちかつての同僚がそういう事件に巻き込まれておりましたので、私は直接身をもって、身にこたえてそれらの人々に会ったわけなんですが、それらの人に対しても、山田社長あるいは山本常務も非常に心配なさって、ほんとうにお気の毒なことをした、申しわけのないことをしたというように、非常に同情もされ、また反省もお聞きいたすわけであります。この点、社長並びに山本常務の善意に対しまして、私は敬意を表するわけでございますけれども、事そうした末端に起こってしまってからでは、これはいかような同情をしようと、いかようなよい言葉を使おうと、そのことはみな通り一ぺんのお上手になってしまうわけなんであります。そこで小林委員が申しましたように、やはり根源に対して徹底的な御反省と是正をしていただかなかったら、このことはとうてい直りっこないと私は思うのです。まずそれには今度のこの新聞に出ておる事件にどういうように対処されるか。この事件もこういう大きな活字になって出た。こんなのが出て、そうしておいて、売れ行きがいいのは私たち教科書がよいからです——もちろんそれもあるかもしれませんけれども、このこと自体に対して世間疑惑を持っておるのに、のうのうと教科書がいいという宣伝をここでなさるというだけに終わったら、私たちは何のためにあなたに来ていただいてここでいろいろお聞きしたり、お互いに将来を戒めていくかということがぼやけて参るわけであります。まずこのことについてお聞きしたい。私が山本常務から聞いたのでは、警察にもいろいろ資料池田氏から入った、それは会社の公的なものである、従ってそれが持ち出されたということについて警察に言ったのだが、警察はそのことに対するきめ手がないといって取り上げてくれない、そしてそれは横領だといっても、金目にしてみたところで一貫目何十円もするものではない、そうするとそういう物資にはならない、従って警察は取り上げてくれないのです、私たちは弁護士に相談しておるのだが、弁護士に相談してやった結果はまた先生方の名前が出て先出方に御迷惑をかけるからジレンマに陥っているのだ。なるほどその御良心は私たちは了といたします。しかしながら、こういうことが出た以上当社といたしましても受けて立つだけの、こうでないということを弁明していただきたい。そのことが私はきょうあなたに来ていただいて御意見を承りたい主たる目的なんです。山本常務からはそのように承っておるわけですけれども、この点社長から一つ的確なお答えを願いたいと思います。
  54. 山田三郎太

    ○山田参考人 ただいまの御質問は大体三つにしぼることができると思いますが、今、今回のこの事件に対してどういうふうに考えておるかというのが第一の点でございますが、この事件発生以来私はまことに心を痛めてその責任を痛感いたしております。この事件の経過を静かに見守っておるわけでござ、いますが、私は極力今回の事件を反省の材料といたしますし、またこれによって御迷惑をおかけしました諸先生方に対しましても何らかの形で私の責任の一端をお示しする機会を持ちたい、かように存じておるわけでございます。  それから池田事件が発生したのにそのままにしておくのはどうかというような御質問でございますが、私らもこの事件に対しましては非常に意外に存じ、かつまた苦々しく思っております。しかし現在これを発端として事件が進展しておりまして、まだその結論に達しておりませんので、これが一応段階がつき次第、池田問題をどう処理するかということについて慎重にこれを取り上げてみたい、かように存じております。  それから先ほどわれわれの方の教科書が売り上げが多い、採択部数が多かったのは内容がいいからだけでない、ということをおっしゃられたのでございますが、私が先ほど申しましたのは、採択がふえたのは、そういうような営業的な手段がとられたからふえたのだという面ばかりでなく、内容の面にもその理由があるということを申し上げたので、この点一つお含み願いたいと思います。
  55. 三木喜夫

    三木(喜)委員 私が今申し上げましたのは、こういう事件について教師の名前が再度出ましても、大手の会社が反省してくれて、その反省の中から再びこういうことが起こらなければ、全国の教師は了としてくれると思うのです。大きな言い方ですけれども、自分たちは一応やり玉に上がって汚名はさらしたけれども、そのことからついに昭和三十七年度からふっつりと教科書に関する汚職は断ち切れた、自粛を呼んで汚職が断ち切れたということになれば、もって了としてくれるということを私は申し上げておるわけなのでありまして、あなたは、この事件は一応進展中だから静かに見守っておるのだとおっしゃいますけれども、このことがなければ、私はいち早くけしからぬということであなたが控訴をすべきだと思う。控訴できないというところに私は疑問を持つ。そこでこのことをお聞きしておるわけです。山本常務の話を聞きますと、先生のお名前が出ることを非常に遺憾に思っておる、その良識、その御配慮は私は多としますけれども、今も申し上げましたように全国の教師、いや全国じゃない、一部分の教師たりとも、そういうことが再び行なわれないということになればきっと了とするということを私は申し上げておるわけなのです。そこが納得がいかない。文部省にしましても公取にしましてもこの点につきましては後ほどお聞きいたしたいと思います。まず社長の方から一つ
  56. 山田三郎太

    ○山田参考人 今の御指摘の点でございますが、私も今回のこういう事件を契機として、今後こういうことが再び業界に起こらないようにいたしたい、これはもう念願といたしております。今回の事件あるなしにかかわらず、またきょうこの機会を与えていただきまして、これを契機といたしましても、大いに今後こういう点自粛あるいはまた今後の改善のために努力をいたしたいと思っております。
  57. 高津正道

    高津委員 関連。自粛の具体的な方法は何かという質問に対して、村山委員に対しては営業担当の役員を更迭いたしました。小林委員質問に対しては営業費用の合理化に努めます、こういうお答えを聞いたのでありますが、あとはみな抽象的です。今回のような売り込み、ああいう営業方法の悪かった点はどの点であるのか、その御認識を山田社長から承りたいと思うのです。
  58. 山田三郎太

    ○山田参考人 これはやはり私の不徳のいたすところで、私の常に考えておりますことが最下部の第一線まで十分徹底しなかったというところにあるのじゃないかというふうに私は考えております。
  59. 高津正道

    高津委員 私は売り込みの人間の配置とか、それから買収が悪いとか、そういうことで聞いているのですから、何が一番悪かったと思いますか、御認識を聞いておるのです。
  60. 山田三郎太

    ○山田参考人 全体を通じまして今の御質問が私ちょっとはっきりつかめなかったのですが、何が悪かったかということは、何が原因だったかということですか。
  61. 高津正道

    高津委員 違います。売り込みをなさるのにあのような営業方法でやられたためにこういう大問題が起きたのだが、どこが悪いのだ——原因じゃないですよ。どこが悪かった。買収ということも一つでしょう、供応ということもあるでしょう。そういう角度からとらえて何が一番悪かったと考えておられるのですか。自分の指揮が末端まで徹底していなかったというようなことも言われるが、そういうとらえ方でどういうように認識しておられるのか、どこにウェートを置いて考えておられるのか、それを知りたいわけであります。
  62. 山田三郎太

    ○山田参考人 同じような答弁を繰り返すようになりますけれども、要は私の指令が末端まで完全に徹底しなかったというところに尽きるのではないか、さように考えております。
  63. 高津正道

    高津委員 買収は、他の社を代表することはできないが、私の社では今後は絶対にいたしません、こういうことは言い切れないものですか。
  64. 山田三郎太

    ○山田参考人 お答えいたします。  私自身そういうようなことにつきましては十分認識もいたしておりますし、またこういうことを繰り返さないようにいたすという考えでおりますので、要はそれを私自身だけが心の中に持っておっても仕方がないと思います。十分全社員に末端まで徹底するように努力いたしたい。かようなことを繰り返さないように完全なる注意をいたして参りたい、かように思っております。
  65. 高津正道

    高津委員 営業費用の合理化と言われるが、それを何%以下にとどめるというような、そういう具体的な答えはできませんか。
  66. 山田三郎太

    ○山田参考人 ただいまそういうような用意は全然持っておりません。
  67. 高津正道

    高津委員 自分の部下に自分の意思が徹底しないので——それじゃ自分には責任がなかったというように聞えますが、選挙違反の場合、候補者が選挙事務長その他に対して、買収はやってくれるなよとこう一ぺん言っておけば、買収をやっても最初に僕がちゃんと言っておいたじゃないか、その意に反してやったのだから僕は知らぬ、僕は全然傷がつかぬ、その者だけがけがをする、こういうような実情なんですよ。あなたの答弁を聞いていると私はそれを連想します。全然自分は社長をやめるとも言われないし、部下がやったことであると言われるが、そのようなことに営業費がずいぶん使われておるのを、社長が全然知らない間に営業部員がそういう予算をじゃんじゃん使う。そういうことはあり得ないですよ。そんなでくの坊じゃないですよ、あなたは。凸版を動かし、東京書籍の大社長で、印刷の方と両方の一番の御大将じゃないですか。人間がしっかりしておればこそ、生存競争の激しい業界山田三郎太として厳然としてにらみをきかしておれるので、そんな金がどこに散っておるか全然知らない、営業費がそんなにかかっておるのか知らなんだ、それはここでそう答弁をなさるだけで、われわれの常識ではそれを了承することはできませんよ。だから何%以上は多過ぎる、何%以下にとどめるというならばやや具体的であるけれども、合理化するというのではどの部分を切るのだか全然意味がわからぬですよ。もう少し具体的に御答弁を願いたい。
  68. 山田三郎太

    ○山田参考人 ただいまもお答え申し上げましたように、そういうような具体的の数字の用意を今日持って参りません。私はここで単に通り一片に合理化いたしたいとかなんとか申しておるのではございませんで、私の心のいくまで今後合理化の線をたどって参りまして、切り詰めるだけ切り詰めるような方針を持って参りたいと思いますから、そういうふうに御解釈をいただきたいと思います。
  69. 櫻内義雄

    櫻内委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  70. 櫻内義雄

    櫻内委員長 速記を始めて。三木委員
  71. 三木喜夫

    三木(喜)委員 山田社長がおいでになれば私はいろいろその実態を申し上げておきたかったのですが、公取の方から見えておりますので、公取委員会協議会、そして検察並びに警察の方は実態をよく聞いておっていただきたいので、その線に従って今後なおメスを入れる面が司法の立場からありますならばお聞かせ願いたいと思います。  関西の支社関係で西日本二十一県にいろいろな確証があるわけであります。それがわずかな県の摘発に終わった。このことは検察当局、警察当局としては大体重点的にここまでやればいいのだという判断の上に立ってやった、こういう工合に言っておられますけれども協議会ないしは公取としましてはその点をどう考えておられるか、なぜとまったか、検察当局はああいうように言われております。それから現なまを資料費の名前で渡してあるし、あるいは物品購入費の名前で贈り物をしております。これが買収費の使い方なんです。それから教科講習会、研究会を有力者を集めてやっております。それから研究会のメンバーを呼んでその中に自己の腹心を入れて強引に採択さすような方法をとっております。教科書取次店を使っておる事例、学校訪問、自宅訪問もやっております。白表紙を使って、いわゆる白表紙作戦をとって汚職をやっております。こういうことがいろいろとあがっておるわけなんです。公取としてはこういう事態が全然わからなかったかどうか、どうも私は解せぬわけであります。だから小林委員お話のように非常にもう手をやいているのじゃないか、こういうことが言われるわけであります。こういうことは私たちでさえわかっておりますし、先がた検察当局の言われたように執拗で悪らつな方法という中に入るのじゃないか、こういう方法論をめぐって、それから二十一県にわたって確証があるのに、わずかな県でとまったということについて、公取ないしは公取協議会の方ではどう考えておられるのか、これを一つお聞かせを願いたいと思います。
  72. 後藤英輔

    後藤説明員 ただいま御質問のございましたような点で、方法といたしまして今おっしゃいましたような方法が執拗に繰り返されて行なわれておるということを、お前たちは知らないのかということでございますが、そろいうような方法が行なわれておったということは具体的な事例、ケースとしまして私の方としては聞いたわけではございません。ただそういうような方法が使われておったということは聞いております。従いましてそういうような具体的なケースとして取り上げるというに至りませんような場合には、これは私どもの方といたしまして審査部の方に回して事件といたしますには参りかねますので、そういう場合には協議会を通じまして、そういう方法についての警告をいたして参ったわけでございます。それから非常に広範囲に行なわれておるのにかかわらず、ごく一部分に今度の審査部の取り調べを限ったのはどういう点かということでございますが、私ども経済部の方におりますので……。
  73. 三木喜夫

    三木(喜)委員 その点についてどう思っておるか。
  74. 後藤英輔

    後藤説明員 その点につきましては直接担当しておりませんので存じませんが、ただ聞いておりますところによりますと、はっきりと確証のつかめるものについて審査を開始しておるというように聞いておる次第でございます。
  75. 三木喜夫

    三木(喜)委員 協議会の方はどうですか。
  76. 柴田寅三

    柴田参考人 協議会立場といたしましては、先ほども申しましたように、私機構の中の幹事長という立場にありますので、いろいろな意味で言いにくいのでございますが、何分にも業者の集まりでありますので、問題の筋に——何かよりところ現実に出て参りませんと、ただ風聞とか人の話というような程度でこの協議会が活動するということはいろいろな問題でやりにくいというような環境にございます。ただいまお話に出ましたようなことは私自身も存じませんし、また委員会の方から正式にそういう話も受けておりませんので、その点につきましては、この席でちょっとお答えいたしかねる次第でございます。
  77. 三木喜夫

    三木(喜)委員 文部省としては、今度のこの一億円の買収費で会社幹部贈賄指令をしたというこの事件教科書課長としてどのように取り扱われるつもりか、一つお聞かせ願いたいと思います。と申しますのは、今度文部省はいち早く、例年になく早く教科書採決に対する注意の通牒を流しております。このことは原文を見せてもらえないのですけれども、私は新聞によって知りました。こういう問題を国会で取り上げて非常に問題になるということになれば、少なくともきょうは配られるくらいの用意があってしかるべきだ。あなた方は何かそういう資料を出すことを非常におそれておられる、ちゅうちょしておられるということについて私は疑問に思うのです。それにしても、新聞によってそういうことがなされたということを聞くのですが、そういうことがなされたかなされなかったか、簡単にそれだけお聞かせ願  いたい。
  78. 諸沢正道

    諸沢説明員 時期は一週間ほど前でございますが、本年度の採択について、昨年の事例にもかんがみ、特に厳正な態度採択に当たるようにということを採択関係者並びに発行業者に通達をいたしました。
  79. 三木喜夫

    三木(喜)委員 「不正があれば措置」、こういう見出しで福田初中局長の写真が載って新聞に出ておるわけです。「文部省教科書採択で警告」この通牒は一つこちらへ資料としていただきたい。これくらいわれわれが関心を持っており、国会でそのことが取り上げられるということがわかっておれば、あなたの方で事前に出していただいてもいいと私は思う。しかしながらこちらから要請しておりませんから、そういうことがなされなかったのはいたし方がない。これには「教科書採択で警告」「不正あれば措置」こう書いてある。不正あればじゃない。今あるんだ。それでどう措置されるかということを申し上げている。あなた方、こういう作文行政だけをやって事足れりというようなことを考えてもらっておったら百年河清を待つことになる。これは作文行政だということを前委員会からずっと申し上げておるのです。それをどうするか、どうなのか、それからお聞きいたしましょう。
  80. 諸沢正道

    諸沢説明員 現在取り調べの対象になっております事件につきましては、先ほど申し上げましたように、発行者の事件が係審中でございますので、それを待って考えたい、かように考えております。
  81. 三木喜夫

    三木(喜)委員 現在進行中だからということですね。  そこで、申し上げておきたいことは、われわれが強く要望することは、現行の方法で現在のスタッフでこういう不正をどういう、工合にして防ぐかということが大事でありまして、あなた方の考えの中に、このように強く追及すればこういう機関を作ったらよい、その機関でのがれようという考え方があれば、これはまことに残念なことであります。そういう屋上屋を架すのでなく、現行の方法をより以上生かす、あなたが教科書課長であれば、管下の教科書業者に対して身をもって事に当たればそれで足りるのに、そういう機関を作ってやるということになれば、これはもってのほかだと思います。教科書調査会なるものの中に不正あれば措置するという考え方で、文部大臣の権限を強くし、教科書会社にはそういうことをやれば発行停止をさせるというような条項まで考えておられるではないか。われわれが強く言えば言うほどそのことを幸いにして権力を培養しよう、権力の方策を立てよう、こういうような考え方があるように思うのですが、どうでしょうか。
  82. 諸沢正道

    諸沢説明員 このたびの教科書無償の調査会検討の事項は、教科書を無償にするために発行、供給のあり方をどのように考えるかという考え方で御検討いただくことに相なろうと思っておりますが、私といたしましては、現在のところ、おっしゃったようなことにまで具体的にあれこれとまだ考えておりません。
  83. 三木喜夫

    三木(喜)委員 教科書課長が当面の責任者ですから、そういうにとを考えていないということになれば安心するわけですけれども、私の方に入っている書類によりますと、その懸念が多分にある。これは参考人もおられることですから、参考人質問を先にいたしまして、後ほどあなたの御答弁をいただくことにしたいと思います。  そこで、公取協議会の方ですが、端的に申し上げて、こういう大きな事件が起こってきて、業者の集まりで、しかも協議会の方は専務さんのクラスだとか、そういうところでどのように規制ができるか、私はそれを疑問に思うのです。もうお手上げだというのが本音じゃないですか。あなたは先般何とかよい方法はないか、このようにおっしゃっておったのですけれども、こういう事件が起っても協議会規定によって処理できますか。その点を一つ
  84. 柴田寅三

    柴田参考人 こうした問題は、検定制度以来からの私自身の経験か言ってもほんとう努力しなければならぬということで、御承知のように、かつては教科書懇話会なんというようなものを作りまして常に研究して参ったのでありますが、率直に申し上げてなかなかむずかしい問題だと私は感じます。だからといって、これは投げ捨てるべき問題であるとも考えておりません。万難を排してでもこの問題は解決していかなければならない。私もこういうことは今日初めて経験いたしまして、このお話を伺いましただけでも、自分たちがこの業務に携わって大へんな御迷惑をおかけしたということで、まるで自分の身の切られるような思いがいたしますと同時に、私どももこの仕事をしております関係上、そういうような不安感を持たないで、他の業者の状態がどうあろうと、安心してやっていける境地になりたい。はなはだ自分勝手な考えでありますけれども、そういう境地になりたい、こういう気持でおります。そういうふうな関係から、先ほど申し上げましたが、公正取引協議会の付託によって幹事会が、さらに管理あるいは監視というか、いろいろ考えねばならぬだろうという熱意を持ち、かつ実際にこうしなければならぬというので、関係の皆さんもその熱意を持ってやっております。ただ現在の段階におきましては、今日まで経験したこのむずかしさをどう具体的に解決していくかということは、今後の熱意と申しますか、関係各位ほんとうの心からの自覚に待つということでなければ、この解決は困難ではなかろうか、こんなふうに感じます。またこの管理委員会規定とか、実際に発足するということは、先ほども申しましたように今月の十八日に幹事総会を開きまして、公式にその了承を得て発足することになっております。これから具体的に発足いたしましても、関係官庁の御指導をさらに仰ぎながら実施していくというふうに考えられますが、それにいたしましても、さてそれでは具体的にどうするかということは、今からいろいろ心配をいたしておるものであります。ただこれが万全とも思われないのでありますが、これはいささか個人的な夢みたいな、お笑いを受けるようなことかもしれませんが、特にお許しをいただきまして率直に申し上げさしていただきますならば、結局この問題は採択ということにからんで起きる問題であるのでありまして、完全を期するというわけにいかなければ、さらに次善の策というようなことでもけっこうだと思うのですが、こんなふうなことが行なわれたらかなりみんなが救われるんじゃないかなということを、個人的に常に夢のように考えておるのであります。  それは現行制度でも私は、採択に関しましては各学校の校長先生、先生なりが採択をし、教育委員会で最後の採択をする、こういうふうに承知いたしておりますが、校長先生はまた民主的に全先生の意見を十分に取り入れてやることが望ましいというように指導されていると思うのです。私は、これは全く理想的と申しますか、原則的と申しますか、決して悪いとは思っておりませんで、ただ単にこれを理想的原則というふうに片づけないで、また話が横道にそれますが、そういうような建前で、現在法的施設、たとえていえば例年の教科書展示会、あるいは今日では教科書センターとして教科書も常置展示されているというようなことになっておりますが、現実に実施する、じゃどういう方法でやるか。実際に学校の校長先生が一般の先生方のお気持を十分くみ取るという、ただ単に理想だけでなくて、個々の先生から、簡単にいうならばいずれの発行会社教科書を取り上げるかというようなことを現実に投票でもしていただ声、その多数票に基づいて、先ほど申し上げたような手順で最後のなにがきまる。いうなれば特別の機関で最終的に決定さ、れるというような形をできるだけ排除するということになりますれば、やはりある特定の機関、何とはなしに、その辺へ寄ってくるものだから、そこに集中すれば、かなり率直な話ですが、目的が達成されるというようなことになるわけでありますが、何かそういうような行為をやっておってもそれは益のないことだ、あくまでも多くの先生方にこれだと思われるようなものが現実に取り上げられて、それから先は多数票によってきめられたものが尊重されるというふうなことが現実に行なわれましたならば、次善の策として今日のような現状からかなり救われるんじゃなかろうか、こんなふうな感じが、これは個人的に夢のように考えております。そういうような上に立って、さらにまた業者は自分たちのために一般に御迷惑をかけては相ならぬというような観点から、こうしたことに熟思を持って努力しなければいかぬ、こんなふうにも考えております。  ことに、私も生まれて初めてこういうところに参って経験したのでありまして、私も先般先生にお会いして申し上げたと思いますが、国定教科書以来からこの教料書の仕事に携わらしていただいておるのでありますが、率直に言うと私ばかりでなく、何か教科書会社に勤めているということが、自他ともに確かなところに勤めているのだと自負して、人にも言えるような境地にあったのでございますが、今日ではいささか正反対のような感じがいたします。親戚一党の者までが、何かお父さんの仕事を疑うような目で見る、まことにいやな経験を現実にいたしたわけであります。私は世田谷の北沢に住んでおりますけれども、長年住んでおります関係から、自分の子供たちが長ずるに従って、地元の学校の校友会にも入りましたし、役員になりましていろいろ学校のお世話もした関係もありますので、学校の先生方にもかなりのなじみを作ったという経験も持っておりますが……。
  85. 櫻内義雄

    櫻内委員長 柴田参考人に申し上げますが、一つ要領よく簡潔にお願いいたします。
  86. 柴田寅三

    柴田参考人 検定と同時に、私は従前と立場が違いますので、その立場を維持したという経験を持っておりますが、何とか私ども安心して、不安のないような仕事ができるような状態になれば大へんけっこうだと思います。愚言を申し上げて申しわけなく思います。
  87. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そういうような良識を持ってやっていただくなれば、公取協議会の方もかなり今後実績が上がるのではないか、こういうように思って期待するわけです。先がた文部省に対する一つ考え方として広領域採択、そうして特定のものが採択する、こういうところから問題が起こってきておるのだということを参考人が申されておりますから、この点はよく聞いていただいて後ほど議論したいと思います。  それから今参考人が言われましたように、教科書業に従事している者にとっては非常に誇りを持っておった。しかしぐるりがこれだけよごれては全くやり切れないということをおっしゃったので、実に良心のある言い方だと私は思います。従ってこれがないように、この幹事長の仕事をやめるというようなこと、ちょっと聞きますとそういうふうに聞くのですが、そういうことをおっしゃらぬで、投げ出さないで、絶えず一つ努力していただきたいと思います。  ここで、文部省が御指導なさったのか公取が御指導なさったのか知りませんが、先般来公取協に不正が行なわれていないか監視役をする中央管理委員会を作るようになっております。これもまだ発足してない。だいぶ日がたっておりますのに発足していない。それからそうこうしておるうちに、また協議会では業界自粛へ一歩強化として、教科書宣伝管理委員会を作る、これは同じことだと思います。講習会にもきびしい内規を今作りつつある、まだ何も発足してない、こういうやり方は、目を外へそらして、ピントはずれもはなはだしいじゃないかと思う。講習会の規定なんかも、こういうものを作らなくても公取協議会規定の中にあるのです。それから公取委員会では何ぼ以上使ったらいけない、それから汚職になるというきめもあるのです。監視するのはお互いが監視しなければならぬと思う。屋上屋を架していって、こういう指導をなさるということは、いかにも国民の目を外にそらそうとするやり方で、これは柴田さんなんか苦々しく思われることじゃないかと思うのです。こういうやり方だけでは。そこで今申されましたように、何か方法があるとおっしゃいますが、このことは金銭の提供に対する規制、物品の提供に対する規制、供応の提供に関する規制が公取協議会規約の中にうたってあるのです。それをどのように実現さすか、どういう工合に規制していくかという方法論が一番大事じゃないかと思う。何ぼそんなものを作ってもやらなければそれまでです。世間の目をごまかすだけであります。  そこで、今私が申し上げております現実に起こっておる汚職問題、これを協議会としてどう対処するか、実施細則の第九章の中の第十六条には「会員たると非会員たるとを問わず業界に指定違反の事実があると認定したとき。」は処置をとる、こうなっておるのです。今どのような処置をとられようと考えておるか、その処置をとるためにみんな寄せてみんなの意欲を盛り上げるというようなことが大事なことです。  それからもう一つは、そういうことをやった者に対しましては、除名するということがある。除名は今の場合しているのですか。社長は、私は知りません、それは下々の者がやっておる、下々の者は協議会の会員じゃない。除名できない。できないような規定があるのです。除名するということならばいいのですけれども、上の者は逃げてしまったら除名できない。社長とか、専務とかいう人がタッチしてなかったら除名できない。そこで根源をついてくれということを警察、検察当局に申し上げるわけなんです。こういうような自主規制をやっておりながら、不備なところを作ってある。除名できない、するといっても先々のものです。そこで、先がた申しました金銭の提供の規制、物品提供の規制、供応提供の規制があるのだが、そして会員、非会員たるを問わず、指定違反の事実があると認定したときは処置をする、こうなっておるのです。どういう処置をしようと思われるのか、どういう方法で——これは柴田さんあなたの決意、それはむずかしいでしょう。あなたは社長の位置でなくて重役の位置で、社長が命令を下して会社を動かしておるのですから、それを規制していかなければならぬので、ふろしきに入らぬような非常に大きな荷物を見ながら小さいふろしきで事をせい、こういうような言い方になって非常に苦しいだろうと思うのですけれども、しかしこれは具体的な問題で大事だと思いますから、最後にお聞きしておきたいと思います。あなたも大体一時まで、こうおっしゃっておりますし、あと関連質問がつかえておりますので、それだけ一つお聞きしておきたいと思います。
  88. 柴田寅三

    柴田参考人 お答えになりませんでまことに申しわけないと思っておりますが、その問題に対しましては、このたびはこの管理委員会の一切の活動は、協議会委員会の一切の責任においてなす、こういうことでありますので、必ずしも御指摘のように社長クラスであるところ委員熱意が故意にないとばかりは言えない、またいろいろ御多忙をきわめておるという関係から起こる場合もありますので、社長クラスであるところ委員諸兄におかれましても、捨てては置けないというようなところまでこの管理委員会において実態をさしながら助けていけば、ある程度いけるのじゃなかろうか、かように考えておりますが、先ほどから申し上げましたように、協議会におきますれば委員教科書協会におきますれば理事、これらのクラスの方々ほんとうの心からの自覚を待たなければなかなか自粛困難ではなかろうか、かように思っております。
  89. 村山喜一

    ○村山委員 柴田さんにお尋ねして確かめておきたいのですが、公取協議会の中に中央管理委員会を置く案は、四月十八日に必ず発足をいたしますかどうですか。
  90. 柴田寅三

    柴田参考人 ただいま一応立案をいたしまして、十八日に臨時総会を開いて総会の承認を得るという段取りで進んでおります。
  91. 村山喜一

    ○村山委員 そういたしますと、調査委員を償いて自主規制の監視をする、こういうことになりますかどうですか。
  92. 柴田寅三

    柴田参考人 一応管理委員会規約のしでは必要によっては調査委員を置く、それから常任委員というものを推薦いたしまして、事態に対処していくという覚悟を示した規約にはなっております。
  93. 村山喜一

    ○村山委員 うわさであっても立ち入り調査をして、そして警告を発しますか。
  94. 柴田寅三

    柴田参考人 気持と申しますか、覚悟の上ではその程度の覚悟で立案したつもりでおります。
  95. 村山喜一

    ○村山委員 警告を再三にわたって無視した場合には、これは採択者側である教育委員会に対して、不適当な教科書会社であるということを通知いたしますか。
  96. 柴田寅三

    柴田参考人 自分としてもそういう現実の問題はまだよく経験しておりませんので、その事態についていずれ選ばれましたところの各委員の協議によって、その必要性を認めればそういう場合もあろうかと思われますけれども、今ここで具体的にどこまでどうするかということはちょっと申し上げかねると思います。
  97. 村山喜一

    ○村山委員 その管理委員会実施細則の案はそのようなものは規制してないわけですか。
  98. 柴田寅三

    柴田参考人 管理委員会といたしましては、特に管理委員会規約を作りまして、そのうち取り上げて特に講習会とか研究会というような行事に対する会員に一つの義務を負わしたわけでありますが、特に触れないものは一切実施細則に基づいて処理して参る、こういう考え方でございます。
  99. 村山喜一

    ○村山委員 柴田さん、あなたのように、失礼ですが、中クラスの、中小企業のうちの教科書会社になろうと思います。そういうようなところはあまり違反がない。大きなところが違反をやっておる。これが現実です。この前の違反事件で出てきておるそういうようなところほど社長が無責任である、こういうことになりますと、あなた方がこの公取協議会の中で中央管理委員会を作り、そして細則をきめていかれましても、実際運営する場合はそれが骨抜きになるのではないかという点が私たちには危慎されるわけでありますが、その点については幹事長として骨抜きにならない、そういうような保障ができますかどうですか。
  100. 柴田寅三

    柴田参考人 ただいま特に私ども立場もお言葉にありましたが、先ほども申しましたように、このたびのようなことは、今回表面に出ました六社のみに関せず、われわれといえども、ささいな点まで見ました場合に、はたして大手を振って言えるかどうかということは私どもも自信はございません。そういうふうな関係にありますので、何とかこの問題は処理していかなければならぬ、こういう覚悟は一応持っておりますが、ここで大丈夫かどうかと言われても、大丈夫だということはちょっと申し上げかねると思います。
  101. 村山喜一

    ○村山委員 私は中村委員長もこの席においでを願いたいということまで要請をしたのですが、何かの都合でおいでにならなかった。とにかく現在、先ほども三木さんの方から出ておりますように、公取協議会規約なりあるいは取引実施細則というようなものが現実にあるのだけれども、そういうものが完全に履行されないのが業界の状態である。そしてそれがそういうような結果の問題が出てくる。それに対しては、また新しくこういうような構想でということを事務当局考えるけれども、それが一向に実行に移されない。そういうようなことが進んで参りますと、今せっかく芽ばえて参りました教科書の検定制度というものが崩壊していくのだということはわかりながら、ヒロポンの中毒患者みたいに教科書業界がなってしまったら、これは一教科書会社の問題ではなくて、日本の文教政策の根を掘り起こしていくようなことになってくると思うのです。そういう点から柴田さんは一生懸命にやろうというお気持をお持ちのようでありますので、私はあえて申し上げることもないかもしれませんが、この際こういうようなほんとうにせっぱ詰まった最後の、今度の措置であることを業界幹部の人たちに十分にお話し願って、措置をされるように要望申し上げて、あなたに対する質問を終わりたいと思います。
  102. 米田吉盛

    ○米田委員 関連。教科書課長に伺いますが、今度事件を起こした会社は、数年前に文教委員会でいろいろ調査をしましたときに、事件を起こした教科書会社と同一の会社が相当ありましょうか。ことにこの東京書籍などいかがですか。
  103. 諸沢正道

    諸沢説明員 大へん恐縮でございますが、私数年前は教科書課におりませんでしたので、詳しいことは存じませんけれども、その当時特別委員会を設けられて御調査をなさったときに、ここに参考人として呼ばれいろいろ質問を受けた会社の方が、やはりこのたび汚職会社に入っておる事実はございます。ただそれが何社ございますか、それははっきり覚えておりません。
  104. 米田吉盛

    ○米田委員 これは私の記憶では数年前だったと思うのです。そうしますと、数前年にあれだけ大騒動をして、司直の手をわずらわして、文教委員会であれだけ反省を促しておきながら、またこういうことが起こっているわけです。そういう事例にかんがみまして、先刻三木委員質問に対して、そんなような不都合な会社に発行停止を命ずるような考えは持っておらないというような御答弁がありましたが、私は逆にそういうような措置をすることこそ必要じゃないかと思うのです。文部省としては、しばしばそういうようなことを繰り返すような会社はもう教科書発行に適しないのだ、こういうきぜんたる態度をやはり示されるべきだと思う。ただし文部省の方で一、二の局、課長あるいは次官などでおきめになるということには、今日の政治では問題がありましょうから、委員会を作るなり何なりして、民主化された方法をおとりになることは当然と思いますが、何回違反を起こし、司直の手をわずらわしても、同じ会社がどんどん教科書を発行しているこの姿は、私はことに教科書でありますから、特に児童、生徒に及ぼす影響は非常に大きいと思う。私は厳たる態度を要望しておきますが、お考えはいかがでしょう。
  105. 諸沢正道

    諸沢説明員 先ほど私がお答え申し上げました点についてちょっと言葉が足りなかったかと思いますので申し上げます。  現在の段階では、かりに発行停止というようなことを考えましても、そのような法制の制度はございませんので、これはできないわけでございます。ただ現在の臨時措置法の建前からいたしますと、会社の信用状態が教科書を発行するに適当でないと認めた場合には、文部大臣は発行の指示を他の業者に移しかえることができるという規定がございますので、そういうような面については、これは場合によっては考えられることではないか、現実にやるやらぬは別として、私はそういうふうに考えております。  それから三木先生の御質問に対しまして、教科書制度調査会にこのようなことを諮問する考えはないかというお話でございましたが、先ほども申しましたように、この調査会は無償に関連する供給、発行のあり方一般の問題でございますので、もしそのようなことを考えるといたしますれば、それはもう一つ別にありますところの教科用図書検定調査審議会の方で御検討願うというふうになろうかと思いますので、そういう意味において先ほどはお答え申し上げたわけでございます。ちょっと申し上げておきます。
  106. 米田吉盛

    ○米田委員 くどくどは言いませんが、今の言葉から立法措置が必要のようになると思います。これは一つあなただけの問題でないと思いますから、文部省にお帰りになって、十分私の趣旨をお伝え願って、結果においてそういうことの実現しますように要望します。
  107. 三木喜夫

    三木(喜)委員 公取協議会幹事長柴田さんには大へん御苦労になったわけですが、お互いがお互いを縛るというこの一つのきめですね、そういう集合体というものはなかなかやりにくいと思います。そこで今もお話がありましたように、具体的にどうするかということを十分皆さんに認識していただいて、次から次へといろいろな制度を設けずに、現実のそのワクの中で最大限の効果を発揮するようにしていただきたい。これをお願いしておきたいと思います。  それで参考人の方、大へんお世話になりましたが、また個別にお話しすることにして、きょうは時間がありませんので、私は柴田参考人に対する質問は終わりたいと思います。
  108. 櫻内義雄

    櫻内委員長 参考人からの意見聴取はこれにて終了いたしました。  柴田参考人に申し上げますが、本日は長時間にわたり、しかも貴重な御意見を承り、まことにありがとうございました。委員会を代表して委員長より厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。  三木喜夫君。
  109. 三木喜夫

    三木(喜)委員 文部省にお尋ねをしたいのですが、先ほど申しましたように、この発行を停止するとか、他の業者に渡すとかいう問題です。なるほど今米田委員の方から申されたように、非常に重要な問題であります。これは後日十分検討じたいと思うのですが、私の考え方では、すでにこういう書類が流されておる。このことは重大ですので、軽々にここできめるべきではないと思う。教科書発行の認可ですね。「認可は事業を継続するに足る財政能力及び出版経験があるか否か、事業の開始が業界過当競争を招くおそれがあるか否か、等を考慮して決定する。」「文部大臣は必要に応じ発行業者より報告を徴し、または立入検査をする事ができる。」「認可を受けた発行業者が法令の規定に違反した場合又は、業務運営に著しく適正を欠いた場合、文部大臣は認可を取り消すことができる。」こういうような計画が教科書無償供給等に関する法律案の要綱の中に考えられておる、こういうことが流れておる。これについてははしなくも米田委員の方からも賛成論が出ておりましたけれども、まことにこれは危険な路線です。先がたから汚職の問題を言っておりますと、その上にまた取り締まりを強化し、権限を強化する、こういうことになって参りますと、これはまことに問題でありますので、この点は十分考えていかなければならない。ただし大臣は再三にわたって教科書発行会社に対しましては厳重な措置で臨むとおっしゃっておる。そこで今現実に起こっておるこの問題にどう対処するかということから考えて、あなた方の方では業者を呼んで勧告なり警告といいますか、注意を与えられたことがありますか。その点を一つお聞きしたい。
  110. 諸沢正道

    諸沢説明員 先ほど御指摘がありました通達を実は教育委員会並びに発行者に出しました際に、発行者の方は、今自主的な管理委員会がございますが、やはり教科書協会として大多数の会社がこれに参加しておりますし、その理事諸士はいずれも大手筋の会社の社長ないしは重役でありますので、特に、臨時に理事会を招集してもらいまして、私は、局長と同道いたしまして、その席でとくと、この通達の趣旨並びに先般の汚職事件に関連して今後再びこのような事態が繰り返されないようにということを再三警告し、依頼を申し上げますとともに、先ほど来もお話がありましたように、今後どういうふうにしてこのような事態が起こることを防ぐかということについて、発行業者の方においても十分具体的な問題として考えてほしいということを依頼したのでございます。
  111. 三木喜夫

    三木(喜)委員 依頼なんかでは非常に弱いのですよ。汚職が起こらないように起こらないように、この次は気をつけます気をつけますでは困る。今ここにおられたお二人もその問題は司直の手で裁いておられるということをはっきり言っておられる。そういう現実を目の前にして将来を戒める、後の注意をするというような、こういうことでは困るのです。そうすると先がた言うように停止したらいいじゃないかということとすぐに結びつくのですが、そういうことでなくて、まだ方法があるだろうと思う。よけておったら困ると思う。国民は、文部省業者との間に何かなれ合いが今まであるのではないか、こういう疑惑を持つのです。あなた方はこういう作文行政ばかりしておられるから。それから公取の方ではこの業者に対して——今こういう重大な事件になっておるのです。一億円の問題が新聞に出て、事件が非常に大きくなっておる。それについてどういう措置をとられたか。今審査しておられるだけですか。そういうことに対して注意もされていないのですか。その点一つお聞かせ願いたい。
  112. 後藤英輔

    後藤説明員 先ほどの事件につきましては審査の方で調べておりますので、私の方といたしましてはその調べの結果を待つという形でございますが、本年度の採択はもうすでに着々と進んでいくような形になりますので、先般来から各社を個別に現在私の方に呼びまして、具体的に今年度のことにつきまして各社の決意のほどをいろいろ聞いておりまして、なお具体的ないろいろな方法等についても現在各社から聞いている最中でございます。それと同時に十八日の日に公正取引協議会臨時総会を開いてもらいまして、その席上で、新しい管理委員会の発足に伴いましていろいろとこちらからの要望という形で、管理委員会ほんとうに効果を上げていくようにわれわれとしても十分監視をしていきたい、今後は必要とあればどんどん事前に業者をこちらの方に呼びまして、具体的に問題を指導するという形でやっていくというようにしております。
  113. 三木喜夫

    三木(喜)委員 最後の将来の問題ですが、三十八年度の採択をめぐってはや業者の中には過当競争のサンプルをまたやりつつある。将来を戒めたと今文部省の方でおっしゃっておりますけれどもそういう疑いがある。公取の方も聞いておっていただきたいと思います。検察当局も聞いておっていただきたいと思う。このままほうっておけば、きょうここでわれわれが口をすくして申し上げたことが全部画餅に帰するのです。こういう疑いを現実一つ調べ上げてもらいたい。これなくてあなた方の努力というものはないわけなのです。また来年度そういうことが起こる。いや起こるのじゃない、もっと巧妙にわからないようにやって、そうして悪質になります。公取の方としても十分監督願いたい。こういう疑いがありますが、その点については何ら公取の方では感知されておりませんか。また文部省としても御存じないですか。
  114. 諸沢正道

    諸沢説明員 具体的には聞いておりません。
  115. 後藤英輔

    後藤説明員 私の方としてもまだ本年度のことについては具体的に聞いておりません。
  116. 小林信一

    小林(信)委員 関連。私は実は参考人にその点でまだお聞きしようと思っておったのですが、去年、おととしのような過当競争が来年度の採択の問題で、特に高等学校の問題ですから、これに同じような形がとられたら問題が大きくなるのじゃないかと思うのです。というのは高等学校の教科書を扱う会社というのは割合に小さい会社です。そこへもっていって今まで中小を主としておった、先ほど来問題になった大メーカーが集中するようになってしまったら、もう小さい会社は手が出ない。どうなるかといえば、結局高等学校の教科書というものが悪くなる以外にないと思うのです。ああやって参考人の話を聞けば、教科書がいいからというようなことで言っておりますが、教科書の質というのは、ページ数もあるいは紙の質もあるいは編集の仕方もだんだん悪くなるのみか、売らんかなの商魂でやるために、文部省の検定のごきげんをうかがいながらやるということにもなるわけなのです。文部省の方ではそれを利用してまた検定を強化するというような方向をたどる。まことに教科書問題というのはそれからそれと関連して連鎖反応を起こして悪くなるばかりなのです。ここで私たちが気をつけなければならぬことは、来年度の高等学校の教科書問題、それも従来のような中小学校の場合ならとにかくですが、小さい会社が多分に高等学校の教科書を扱っておるという現状から、大会社が今までのような方法でもって入ってきたらどうなるか。これに対する対策を実は参考人にも聞き、そうして文部省あるいは公取にもお聞きしようと思っておったのですが、今三木さんの質問に対して、何ら手を打っていない、聞いていないというのですが、それは今までの過去の問題から類推して、そしてそれに対する対策というものを考えておらなければ、公取もあるいは文部省もその責任を果たしているとはいえないわけなのです。聞いていないというようなことでなく、もう想像できるわけなのです。その想像できる問題に対して対処するという態度がなければ、今参考人がりっぱなことを言っておりますが、そんなことでもって商売が成り立つかというのが、これは私は真情だろうと思うのですよ。私たちの調べたところでは、もう教科書は神聖なものだというふうな考えはさらにないのだ。そういう考えでもって行なっております業者に対して、そんな態度では、また問題を起こすだけで、これを阻止することは私はできないと思うのです。  今御答弁があったから、それで仕方がないのですが、そこで、私は検察庁の方に、先ほど三木さんとのお話の中でお聞きしておって非常に残念に思う点があるのです。それはあなたの口から出るものが、業者と先生というふうに問題が扱われておるのですよ。この業者も、結局どれかといえば、地方に派遣されておる駐在員とか第一線に働く販売者ですね。こういうふうなもの、そして、一番末端の先生ということなんですが、そういうふうに問題を見ておられると、これはいつになってもこの問題は解決しないと思うのです。この中に、中間に介在する者、それからその駐在員に指令を下す者、これが大きな問題だと思うのですよ。私はかつてこういう問題に関係したことがあります。ある既製服を作る悪徳業者があって、これが駐在員と同じように一つ販売者を使って品物を売るのですが、その販売者はさらに未亡人のような生活に因っておる女の人を十人から十五人くらい掌握して、そうして全国を売り歩くのです。その売り歩く場合に、既成服のごく粗悪なものを持って歩いて、それを買って下さいと言うのじゃない。私の主人が自動車事故でもって今病院に入っておる、非常に経費に困っておるのだけれども、これは主人の洋服だが、ぜひ一つこれをかたに置くから金を貸してくれ。最初は幾つか品物を持っていって、十万ぐらいのことを言う。ところが、そんな金はない、私も困っておるのだ、何とかできないものか、それでは一万でもいいからというふうに値をぐっと下げるのですね。そうすると——演出もなかなか巧妙にやるわけなんですよ。同情をして、そうして値段も十万のものを一万と言うのだから、一万ぐらいならというところで貸してやる。ところが実際品物は二千円か三千円のものなんだ。こういうものがつかまった場合に、その女の人は罰せられる。それをあやつる、その演出を教えたり、あるいはその女の人たちを連れ歩く、その工作をする人間というのは罰せられない。もちろん、まだその上の、そういうことを目的に洋服を作る、既成服を作る業者は罰せられない。そうして食うに困ってやむなくその人に使われておった女の人だけが罰せられる。私は、非常に矛盾しているのじゃないかと言うけれども、警察とかあるいは検察庁では、それはやむを得ない、そういう人たちの罪状というものは出てこないのだからという。さながら、今教科書問題は、そういう悪徳の世の中から指弾を受けた販売者と同じような形態をたどっておると私は思うのですよ。従って、駐在員や、あるいは先生というものだけに対象を置かずに、もっと根本的な問題を探っていかなければならぬと思うのです。これは各会社がいろいろ計画しておる販売方法、方針というふうなものを必ずつかんでおられると思うのですが、そういう点をしっかり握っていただけばわかると思う。今、統一採択ということを文部省が奨励しておる。従って、ある地区の教科書採択の場合には、教育委員会あたりが大体中心となって、教科書を選定する意味から先生方指名する、採択委員というのを指名する。これは形式です。もうそのときには業者と必ず指導主事とか教育長とか教育委員とかいうものがちゃんと取引しておるのだ。こういうものは多額な収賄が行なわれておる、買収が行なわれておってもここにはなかなか手が入らぬ、たまたま軽い気持で受け取った、先生方が五百円の会費でもって五千円の酒食を供応されたというものが摘発されているわけですよ。だからあなたは業者と先生というふうに言うけれども、その間に介在するものが、これが非常に問題を起こしておるわけなんです。  さらに、先ほど参考人も言っておりましたが、採択の問題、これはあなたたちには関係ないのですが、採択の仕方というものを何とか考えてもらえればというきわめて簡単なことを言っておりますが、この統一採択に実は問題が出ておるわけなんです。こういう根本問題を検討しなければならない。これは文部省等に大きな責任があるわけですが、そういうふうに中間に介在する大きな禍根というものをついていかなければ私は絶対にこの問題を粛正することはできないと思う。たまたまあなたは業者と先生というふうに言うけれども、先生なんというのはほんとう形式的に教科書選定委員というような形でもって選ばれるもので、こんなものを対象にしておったら問題を解決することはできない、こう思うのですが、その点で当局のお考えというものを、先ほどの御説明からすれば業者と先生というふうにしかおっしゃらなかったのですが、そういうところまで真剣に考えておられるのかどうか、私は関連してお聞きしたいと思います。
  117. 三木喜夫

    三木(喜)委員 ちょっとつけ加えたいのですが、私はここで委員部の方に言いたいのですが、きょうは文部大臣も局長も来てもらいたいということを話しておった。きょうは局長もそれから文部大臣もおいでにならない。それからなお公取の事務局長、この方は参議院の方に行っておられるのでいたし方がないところがあった。それで私はまだ今の問題、小林委員の方から言いました問題を具体的な事実で浮き彫りにしたいと思うのです。そうして検察当局並びに警察当局にこれを知ってもらいたいと思うのです。今申しましたようなことが、それは個々のケースとしてどういう工合に指令を与えておってこういうことになるのだろうかというようなことが、おわかりいただけるように申し上げたいと思うのですが、この次はやはり大臣、局長のお二人に出ていただいて、村山委員も次にやると言っておりますので、私もそのときまで保留しまして、きょうはもう時間もありませんから私はおいておきたいと思うのです。今の小林委員の御質問に対しましても伝えていただき、今後私の方は出席していただきたい。それから文部省公取の方は一つ責任者に出ていただきたいと思うのです。それでなかったら、私は資料をまだたくさん持っておりますが、責任者が来ておりませんから一つもそれに触れてない、初めからそんなことを言うと気分をこわすし、また時間もたつからと思ってそれは取り上げておりませんけれども、あとへ一つ保留しておきたいと思います。
  118. 新井裕

    新井政府委員 業者と先生という把握の仕方がおかしいとおっしゃるのですが、どこが悪かったのか、私の表現が悪かったのかもしれませんが、われわれは社会的ないろいろな実態のうちからいろいろな法律的な関係で犯罪になる部分を捜査いたしますので、贈収賄というのはわれわれの言葉で言えば必要的な共犯でございますから、業者と先生というふうにあるいは私申し上げたのかもしれませんが、全般的な社会的な関係というものについてはわれわれも十分にメスを入れますけれども、しかしそれが法律的に構成できるかどうかということが結局われわれの最後の結論でございますので、私どももさっき申し上げましたけれども、われわれの追及が足りませんために皆さんがお考えになっているところまで捜査の手が伸びなかった点が一部にはありましたけれども、しかし全部が全部そういうわけではございませんで、幹部ところまで手が及んでいるのもございます。そういうことで、われわれが社会的な実態に全然目をつぶって、そこだけ取り上げたというふうにもしわれわれの表現がとられたとすれば、これはわれわれの表現がまずかったのでありまして、われわれとしても社会的実態を見つつ、そのうちから法律的に再構成して捜査しているということを申し上げておきます。
  119. 羽山忠弘

    羽山説明員 御質問の御趣旨は、要するにつまらぬ下の方のやつばかりつかまえて、大物を逃がしておるではないかということになるのではないかと思うのでございますが、短時間に百人以上の関係者を調べ、いろいろ手続的な制約もあり、またこの種の犯罪は御承知のように非常に巧妙でございまして、その中間に立った者が大物の方へくっつかないようなことをあらかじめ作為して犯罪を犯しますような事例もあるわけでございまして、どの程度に現地の地検が大物の方に関心を持って捜査をいたしましたか、いずれまたよく調べてもらいたいと思うのでございますが、決して最初からそういう計画でやったのではないということだけは御了承いただきたいと思います。
  120. 小林信一

    小林(信)委員 もちろん私も、計画的にあなた方がやっている、そんなことを毛頭考えておりません。それから先生と言われることを別に私はどうこう考えているわけじゃないのですよ。しかし、実際問題からいって、私のいろいろ調べたところでは、割合に大物、中心となるようなところはなかなか巧妙にからくられて、そしてそういう末端のきわめて簡単に問題を考えておるところに集中されるような形だ、そういうふうな気持を持っておりましたから、あなたの口からは、よく業者と先生、業者と先生というふうに言われてきたから、問題は、やはりつかみ方がどうもほんとうの的をつかんでいないのじゃないかというふうな印象から申し上げたので、決して計画とか、あるいは先生を誹謗するとかいうことではない。私の見るところでは、もっと中心がある。そしてその駐在員だけの問題でなくて、そういうものに指令を下す、計画をする会社のもっと枢要な地位の者が私は問題になるのじゃないか、こう申し上げたのですが、いずれこのことも今お話がありましたように継続で審議をしていただくようでございますので、私たちも詳しくそういう点を事例をあげて皆さんの御意見を承りたいと思っております。      ————◇—————
  121. 櫻内義雄

    櫻内委員長 この際小林信一君外八名提出、学校給食法の一部を改正する法律案を議題とし、提出者より提案理由の説明を聴取いたします。小林信一君。
  122. 小林信一

    小林(信)議員 ただいま議題となりました学校給食法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概略を御説明申し上げます  すでに御承知通り、学校給食が、終戦直後の昭和二十二年、当時食糧事情が極度に窮迫していた都市を中心として開始されたのでありますが、年が経過するに従い、漸次その意義と効果が認識せられ、次いで、昭和二十九年、関係各方面の有識者の要望と国民の支持のもとに、現行の学校給食法が制定され、以来今日まで、堅実に普及充実して、教育上は申すまでもなく、児童、生徒の心身の発達と国民の食生活、栄養改善に多大の貢献を示したのでございます。  しかしながら、現行法では、学校給食に要する経費について、その負担区分が学校の設置者と保護者に分断されており、かつ、これに対する国の補助は、給食の開設に必要な施設、設備費及び準、要保護者のみに対し、予算の範囲内で一部を補助することができると規定しているのでありまして、つまりこれは、学校給食の重要性を十分に認めながらも、その普及発達に対して、国はきわめて消極的であるということを立証しているのでございます。従って学校給食の実状を全国的に見ますと、昨年の五月現在で、未実施校は小学校で四八%約二万三千校、中学校では八三%約一万一千校となっており、小学校全児童数の三〇%約四百万人、中学校全生徒数の八七%約六百万人が、学校給食の恩恵に浴さず、さらに学校給食費の未納者が、要保護、準要保護者のほかに十九万人の多数に上っているのが現状でございます。これは、学校給食費の支出に苦しむ地方財政の貧しさもさることながら、現行法の不備とともに、年々増加の傾向にある学校給食費等教育費の支出が、過重負担となりつつある保護者の生活に基因するものと考えられるのでございます。  以上の実情にかんがみ、この際、父兄負担にかかる給食費を無償とするとともに、学校給食の普及充実に資するため、給食経費の負担者は、義務教育諸学校の設置者とし、これに対する国の補助率を二分の一とすること等について、明確に規定することは、教育の機会均等、義務教育無償の理想に向かって一歩前進することであり、国の将来を背負う少国民の育成に不可欠の教育的配慮であると考え、本改正案を提出した次第でございます。  次に本改正案の要点を申し上げますと、まず、第一は、学校給食に要する経費は、現在、都道府県の負担となっている教職員の給料その他の給与を除くほか、すべて義務教育諸学校の設置者の負担とすること。  第二は、国は、公、私立義務教育諸学校の設置者に対し、給食の施設、設備費及び食材料、光熱水費等に要する経費の二分の一を補助すること。  第三は、国が、学校法人に補助をする場合、私立学校法の助成及び監督に関する規定を適用すること。  第四は、関係法律を整備するとともに、この法律昭和三十八年四月一日から施行すること。  以上が、この法律案の提案の理由及び内容の概略でございます。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛同下さいますようお願い申し上げます。
  123. 櫻内義雄

    櫻内委員長 質疑は後日に譲ることといたします。  次会は、来る十八日水曜日に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十八分散会