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小林(信)
委員 関連。私は実は
参考人にその点でまだお聞きしようと思っておったのですが、去年、おととしのような
過当競争が来年度の
採択の問題で、特に高等学校の問題ですから、これに同じような形がとられたら問題が大きくなるのじゃないかと思うのです。というのは高等学校の
教科書を扱う
会社というのは割合に小さい
会社です。そこへもっていって今まで中小を主としておった、先ほど来問題になった大メーカーが集中するようになってしまったら、もう小さい
会社は手が出ない。どうなるかといえば、結局高等学校の
教科書というものが悪くなる以外にないと思うのです。ああやって
参考人の話を聞けば、
教科書がいいからというようなことで言っておりますが、
教科書の質というのは、ページ数もあるいは紙の質もあるいは編集の仕方もだんだん悪くなるのみか、売らんかなの商魂でやるために、
文部省の検定のごきげんをうかがいながらやるということにもなるわけなのです。
文部省の方ではそれを利用してまた検定を強化するというような方向をたどる。まことに
教科書問題というのはそれからそれと関連して連鎖反応を起こして悪くなるばかりなのです。ここで私
たちが気をつけなければならぬことは、来年度の高等学校の
教科書問題、それも従来のような中小学校の場合ならとにかくですが、小さい
会社が多分に高等学校の
教科書を扱っておるという現状から、大
会社が今までのような
方法でもって入ってきたらどうなるか。これに対する対策を実は
参考人にも聞き、そうして
文部省あるいは
公取にもお聞きしようと思っておったのですが、今
三木さんの
質問に対して、何ら手を打っていない、聞いていないというのですが、それは今までの過去の問題から類推して、そしてそれに対する対策というものを
考えておらなければ、
公取もあるいは
文部省もその
責任を果たしているとはいえないわけなのです。聞いていないというようなことでなく、もう想像できるわけなのです。その想像できる問題に対して対処するという
態度がなければ、今
参考人がりっぱなことを言っておりますが、そんなことでもって商売が成り立つかというのが、これは私は真情だろうと思うのですよ。私
たちの調べた
ところでは、もう
教科書は神聖なものだというふうな
考えはさらにないのだ。そういう
考えでもって行なっております
業者に対して、そんな
態度では、また問題を起こすだけで、これを阻止することは私はできないと思うのです。
今御答弁があったから、それで仕方がないのですが、そこで、私は検察庁の方に、先ほど
三木さんとの
お話の中でお聞きしておって非常に残念に思う点があるのです。それはあなたの口から出るものが、
業者と先生というふうに問題が扱われておるのですよ。この
業者も、結局どれかといえば、
地方に派遣されておる駐在員とか第一線に働く
販売者ですね。こういうふうなもの、そして、一番末端の先生ということなんですが、そういうふうに問題を見ておられると、これはいつになってもこの問題は解決しないと思うのです。この中に、中間に介在する者、それからその駐在員に指令を下す者、これが大きな問題だと思うのですよ。私はかつてこういう問題に
関係したことがあります。ある既製服を作る悪徳
業者があって、これが駐在員と同じように
一つの
販売者を使って品物を売るのですが、その
販売者はさらに未亡人のような生活に因っておる女の人を十人から十五人くらい掌握して、そうして全国を売り歩くのです。その売り歩く場合に、既成服のごく粗悪なものを持って歩いて、それを買って下さいと言うのじゃない。私の主人が自動車事故でもって今病院に入っておる、非常に
経費に困っておるのだけれ
ども、これは主人の洋服だが、ぜひ
一つこれをかたに置くから金を貸してくれ。最初は幾つか品物を持っていって、十万ぐらいのことを言う。
ところが、そんな金はない、私も困っておるのだ、何とかできないものか、それでは一万でもいいからというふうに値をぐっと下げるのですね。そうすると——演出もなかなか巧妙にやるわけなんですよ。同情をして、そうして値段も十万のものを一万と言うのだから、一万ぐらいならという
ところで貸してやる。
ところが実際品物は二千円か三千円のものなんだ。こういうものがつかまった場合に、その女の人は罰せられる。それをあやつる、その演出を教えたり、あるいはその女の人
たちを連れ歩く、その工作をする人間というのは罰せられない。もちろん、まだその上の、そういうことを
目的に洋服を作る、既成服を作る
業者は罰せられない。そうして食うに困ってやむなくその人に使われておった女の人だけが罰せられる。私は、非常に矛盾しているのじゃないかと言うけれ
ども、警察とかあるいは検察庁では、それはやむを得ない、そういう人
たちの罪状というものは出てこないのだからという。さながら、今
教科書問題は、そういう悪徳の世の中から指弾を受けた
販売者と同じような形態をたどっておると私は思うのですよ。従って、駐在員や、あるいは先生というものだけに対象を置かずに、もっと根本的な問題を探っていかなければならぬと思うのです。これは各
会社がいろいろ計画しておる
販売方法、方針というふうなものを必ずつかんでおられると思うのですが、そういう点をしっかり握っていただけばわかると思う。今、統一
採択ということを
文部省が奨励しておる。従って、ある地区の
教科書採択の場合には、
教育委員会あたりが大体中心となって、
教科書を選定する意味から
先生方を
指名する、
採択委員というのを
指名する。これは
形式です。もうそのときには
業者と必ず指導主事とか教育長とか教育
委員とかいうものがちゃんと取引しておるのだ。こういうものは多額な収賄が行なわれておる、買収が行なわれておってもここにはなかなか手が入らぬ、たまたま軽い気持で受け取った、
先生方が五百円の会費でもって五千円の酒食を供応されたというものが摘発されているわけですよ。だからあなたは
業者と先生というふうに言うけれ
ども、その間に介在するものが、これが非常に問題を起こしておるわけなんです。
さらに、先ほど
参考人も言っておりましたが、
採択の問題、これはあなた
たちには
関係ないのですが、
採択の仕方というものを何とか
考えてもらえればというきわめて簡単なことを言っておりますが、この統一
採択に実は問題が出ておるわけなんです。こういう根本問題を
検討しなければならない。これは
文部省等に大きな
責任があるわけですが、そういうふうに中間に介在する大きな禍根というものをついていかなければ私は絶対にこの問題を粛正することはできないと思う。たまたまあなたは
業者と先生というふうに言うけれ
ども、先生なんというのは
ほんとうに
形式的に
教科書選定
委員というような形でもって選ばれるもので、こんなものを対象にしておったら問題を解決することはできない、こう思うのですが、その点で
当局のお
考えというものを、先ほどの御説明からすれば
業者と先生というふうにしかおっしゃらなかったのですが、そういう
ところまで真剣に
考えておられるのかどうか、私は関連してお聞きしたいと思います。