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1962-02-14 第40回国会 衆議院 文教委員会 第4号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十七年二月十四日(水曜日) 午前十時四十四分
開議
出席委員
委員長
櫻内 義雄君
理事
臼井 莊一君
理事
竹下 登君
理事
八木 徹雄君
理事
米田 吉盛君
理事
小林 信一君
理事
村山
喜一
君
理事
山中 吾郎君 伊藤
郷一
君
上村千一郎
君
小澤佐重喜
君 田川
誠一
君 松永 東君 南 好雄君
杉山元治郎
君
高津
正道
君
前田榮
之助君
谷口善太郎
君
出席国務大臣
文 部 大 臣
荒木萬壽夫
君
出席政府委員
文部事務官
(
大臣官房長
) 宮地 茂君
文部事務官
(
初等中等教育
局長
) 福田 繁君
文部事務官
(
管理局長
)
杉江
清君
文部事務官
(
文化財保護委
員会事務局長
)
清水
康平君
委員外
の
出席者
文部事務官
(
初等中等教育
局財務課長
)
岩間英太郎
君
文部事務官
(
初等中等教育
局特殊教育主任
官) 辻村 泰男君
文部事務官
(
管理局振興課
長) 平間 修君 文 部 技 官 (
文化財保護委
員会事務局美術
工芸課長
) 松下
隆章
君 専 門 員 石井 勗君
—————————————
二月七日
委員池田正之輔君
、
松山千惠子
君及び
井伊誠一
君
辞任
につき、その
補欠
として
中曽根康弘
君、
山本猛夫
君及び佐々木更三君が
議長
の
指名
で委 員に選任された。 同日
委員中曽根康弘
君及び
山本猛夫
君
辞任
につき、 その
補欠
として
池田正之輔君及び松山千惠子
君 が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同月十三日
委員上村千一郎
君及び
松山千惠子
君
辞任
につき、 その
補欠
として
小川半次
君及び
石田博英
君が議 長の
指名
で
委員
に選任された。 同日
委員石田博英
君及び
小川半次
君
辞任
につき、そ の
補欠
として
松山千惠子
君及び
上村千一郎
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 二月十三日
高等学校生徒急増対策
に関する
請願
(
木村守江
君
紹介
)(第九〇四号) 同(
羽田武嗣郎
君
紹介
)(第九七三号) 同(
唐澤俊樹
君
紹介
)(第一〇三八号) 同(
中島巖
君
紹介
)(第一一一一号) 同外一件(
鈴木義男
君
紹介
)(第一一四三号) 同(
鈴木善幸
君
紹介
)(第一一八六号) 同外一件(
村山喜一
君
紹介
)(第一二一四号)
総合制高等学校増設等
に関する
請願外
一件(花
村四郎
君
紹介
)(第九〇五号) 同(
坪野米男
君
紹介
)(第一〇五九号) 同外一件(
井伊誠一
君
紹介
)(第一四一号) 同外六件(
鈴木義男
君
紹介
)(第一一四二号) 同外五件(
村山喜一
君
紹介
)(第一二一五号) 同(
坪野米男
君
紹介
)(第一二一六号)
高等学校増設等
に関する
請願
(
花村四郎
君紹 介)(第九〇六号) 小、中
学校
の
教科書無償配布
に関する
請願外
四 件(
牧野寛索
君
紹介
)(第九〇七号) 同外六件(
牧野寛索
君
紹介
)(第九五五号) 同外一件(
牧野寛索
君
紹介
)(第九九三号) 同外六件(
牧野寛索
君
紹介
)(第一〇二九号) 長野市に
国立工業高等専門学校設置
に関する請 願(
羽田武嗣郎
君
紹介
)(第九七四号) 同(
唐澤俊樹
君
紹介
)(第一〇三九号) 同(
中島巖
君
紹介
)(第一一一二号)
公立義務教育
諸
学校
の
学級編制
及び
教職員定数
の
標準
に関する
法律
の改正に関する
請願
(
羽田
武嗣郎
君
紹介
)(第九七五号) 同(
唐澤俊樹
君
紹介
)(第一〇四〇号) 同(
中島巌
君
紹介
)(第一一一三号)
へき地手当指定
の
期限延長
に関する
請願
(上 村千
一郎
君外一名
紹介
)(第九八七号)
日本学校安全会鹿児島支部職員
の
増員等
に関す る
請願
(
池田清志
君
紹介
)(第一一四〇号) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
盲学校聾学校
及び
養護学校
への
就学奨励
に関す る
法律
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
第七 号)
学校教育
に関する件
文化財保護
に関する件 ————◇—————
櫻内義雄
1
○櫻内
委員長
これより
会議
を開きます。
学校教育
に関する
件等
に関し調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。
村山喜一
君。
村山喜一
2
○
村山委員
先般
高校急増対策
の問題につきまして
大臣
から
答弁
をいただいたわけでございますが、まだどうも納得ができない点がありますので、引続いて
お答え
を願いたいと思います。 今回
地方財政計画
が出されましたが、この中で
高校急増分
として、
普通建設事業
の
国庫補助
を伴わない分といたしましては百三十三億が
予定
をされている。この百三十三億の
地方財政計画
の中に示されておりまする
数字
の中には、
私立学校
に、
都道府県側
が
私立学校協会
との間に
高校急増
に対する
協定
を結んで、
資金
の
あっせん
とかその他やっているようでありますが、そういうようなものまで含めて
考え
ておるものかどうか、この点が第一点でございます。 先般の
大臣
の
答弁
では、
地方交付税
の中において二十億円
程度
を
私立学校
の
関係
の
経費
として
考え
て、それを
地方財政計画
の中に入れ込むように今努力いたしているという話でありました。ちょうどその
質問
をいたしましたその日に
地方財政計画
がまとまって、国会の方に報告がなされたわけですが、その内容を見てみますと、従来五億円
程度
ありました
私立学校
の
助成
の
都道府県
の
経費
が、倍額の十億円ということにとどまっているようであります。そういたしますと、
私立学校
の四十万人を収容していくところの、
急増期
における
文部省
が従来
考え
ておりました
急増対策
の
計画
がくずれていくのではなかろうか、こういうようなことを
考え
るわけですが、十億にとどまってもなお支障はないかどうか、こういう点について第二の点は承りたいわけです。 それからその
地方交付税
の中で
急増分
として認められております十億円というのは、その他
経費
に入ると思うのでありますが、先般
高等学校
の
教職員
の
標準定数配置基準
の
法律
が通過いたしましたが、それに伴いまして、これはもちろん
公立
の
学校
だけが規制をされるわけでありますけれ
ども
、
教育条件
を引き上げていかなければならない、こういうようなことで、当然
私立学校
の場合も
影響
を受けるわけです。それに伴う
経費
が大体どの
程度
見込まれておるのかということでございます。その点を明らかにしていただきたい。 それと、実際三十七
年度
において、初め
計画
をされております
高校急増対策
の
文部省
の
計画
は、坪当たりの
単価
を
幾ら
に抑えてやっていくかということであります。というのは、
私立学校振興会
の方の
貸付金
の
積算
の
坪単価
は、
予算
に計上されました
文部省
が
計画
をしております五万五千円に対しまして、六万三千円だということを聞いているわけです。
現実
はそれよりももっと上回って
坪単価
は実際必要になるわけですが、
私立学校振興会
の方は
積算基礎
が六万三千円で
貸付
の対象を
考え
る、
片一方公立学校
の場合には五万五千円という
単価計算
でやられているというところに、
構造比率
の
関係
から当然最近の傾向といたしましては
鉄筋校舎
が多くなりつつあるわけですが、
文部省
が初め
考え
ておりました木造と
鉄筋
あるいは鉄骨の
構造比率
を
急造分
については大体半々というふうに見積もっておったものが、今日実勢といたしましては、とうていそういうような格好ではないのではないか、こういうふうに
考え
て参りますと、そこには当然
資金
的な量において、なお今後において
需要
が増大をしていくという結果をもたらしているのではないかということを
考え
るわけです。そうなりますと、現在、
私立学校
の昨年の
実績
でもよろしいわけですが、どういうふうにして
学校
を
建設
しているのだろうか。これは一番大もとになるのは
振興会
の
貸付金
でありましょうし、あるいは
自己資金
、
学校収入
あるいは
補助金
、さらに
都道府県
の
補助金
というようなもので、これがこの
急増対策
に対して三十六
年度
においてどういう
実績
を示しているのかということを説明を願いたいと思うわけです。 なお話を聞きますと、
当該年度
において
生徒
が
急増
いたしますが、
高校対策
として、三十七
年度
に
建設
をする施設の面については、その
年度
になってから
建設
をするという
計画
が立てられているやに聞くのであります。そうなりますと三十八
年度
からの分は三十八
年度
に入ってから
建設計画
を進めていくということになりますと、
学校
の授業その他を
考え
た場合には、そういうことは実際的に不可能ではないか、こういうような点を
考え
るわけですが、はたしてそうでなければよろしいわけですけれ
ども
、
当該年度
の
増員分
はその
年度
内において消化をしていくという
文部省
の
計画
であるのかどうか、それが
実情
に即しないということになるならば、当然三十八
年度
の
急増分
は三十七
年度
に前向きの形で、
先行投資
の形で教室が
建設
をされなければならないと思うのでありますが、そういうふうになった場合に、
文部省
の方で
私立学校関係
の
急増分
として
予定
をしております
経費
が現在の
計画
よりもはるかにふえてくるということになるのではないかと思うわけです。そうなって参りますと、ここに
文部省
の案がございますが、三十六
年度
の
実績
はどういうことになるのか、また三十七
年度
は四十四億
程度
を
考え
ておいでになるようでありますけれ
ども
、その四十四億ではたして足りるかどうかということについては、非常に大きな
問題点
があるのではないかと思うわけですが、その点はどういうふうになっているかということを明らかにしていただきたいと思うわけです。 なおこの際お尋ねをいたしますが、
私立学校
の
振興
について各
都道府県
とその地区にあります
私立学校協会
との間において、
急増対策
についての
協定
を取り結んでおるところがあるようであります。これは
私立学校
が
校舎建築
をしていく場合において、当然
振興会
の
貸付金
が足りませんので、あるいはまた
学校収入金
、
入学金
やその他の
寄付金
によってまかなうことも
現実
的に非常に困難である、こういうようになりますと、
外部
からの
借入金
によって
建設
をしていかなければならない。この場合に
都道府県
なりが
資金
の
あっせん
の
方法
を講ずるかあるいは
利子補給
をやるような、そういうような
債務保証
を行ないまして、それによって
学校
を建てていく、こういうようなことが言われているわけでありますが、これが
地方財政計画
との問題、あるいは
地方財政運営
の上においてどういうような
影響
をもたらしているのかということについて、御
承知
の範囲内において
お答え
を願いたいと思うわけです。
杉江清
3
○
杉江政府委員
御
質問
が多岐にわたっておりますが、まず御
質問
に
お答え
いたす前に、ちょっと私理解しにくい点がございましたので、百三十三億というのはどこからお取りいただいた
数字
でございましょうか。
公立学校
の
需要総量
は百五十四億と私
ども
計算
しておりますので、その
数字
のことでございましょうか。
村山喜一
4
○
村山委員
これは二月の五日に自治省から出しました「
昭和
三十七
年度
地方財政計画
における主要な
増減経費
は第二表のとおりである。」というその
増減
の中に、
高校急増対策費
として
総額
百三十三億、
一般財源
が百三十三億という表が出ているわけです。それに基づいて私は
質問
しているわけです。
杉江清
5
○
杉江政府委員
わかりました。
公立学校
の
急増対策
の三十八
年度
需要総量
は百五十四億でございますが、その中から国の
補助金
を除いた
部分
を百三十三億として
計算
してございます。これはもちろん
公立
だけの
部分
でございます。 それで
私立
につきましては
総額
四十億と
計算
いたしております。そしてそのうち十六億円を
私学振興会
からの
貸与
、それから産振の
補助金
が約二億七千万、その他につきましては、これは
都道府県
がいろいろな形で
助成
することを期待し、その
裏づけ
を
地方交付税
でみております。それが十億でございます。これは昨日の
閣議決定
になりました
地方交付税法
の一部を改正する等の
法律案
にすでに出ておりますが、
私立高等学校
の
増加生徒
数一人について三千六百円という
基礎
をもって
計算
されているわけでございます。そこで一応その四十億円についてはただいまのような
措置
がなされているわけでございます。繰り返して申し上げます上、
私学振興会
からの
貸与
と
産業教育振興法
に基づく
補助金
と、そのほか
都道府県
が
利子補給
その他の形によって
助成
いたします分の
交付税
での
裏づけ
、そのほかにもちろん
自己資金
もあるわけでございます。 以上のように
措置
してございますが、
先ほどお話し
の、その他
行政費
の中の十億でございますが、これは
高校急増分
とは直接の関連のない
経費
でございまして、
先ほど
申し上げました
私学急増対策
としての十億のほかに、今まで
一般助成
として
考え
られている分大よそ五億をふやして十億にいたしたのであります。従来とも
私立学校
の
振興
につきまして
都道府県
が
各種
の形で
助成
を行なっております。そのいわゆる
一般助成
の
裏づけ
を増加したわけでございます。それが十億でございます。この
一般助成
の
部分
につきましては、これは
公立学校
における
定数法
の成立に伴う教員の充実、それに見合う
私立学校
の
運営費
の
増等
の事情をも
考え
て、
私学
に対する
一般助成
を一そう強化していかなければならぬ、こういうふうな見地から
考え
ておるわけであります。
私立学校
についてはその
一般助成
と
高校急増対策
の十億、合わせて二十億をもってその
助成
をはかる、こういう
考え
方をとっておるわけであります。 次に、三十七
年度
の
高校急増対策
における
単価
が、
公立
が五万五千になっているが、
私学
は六万五千になっている、それはどうしてそういう差があるのかという御
質問
かと思いますけれ
ども
、この六万五千は、大学を含めた
単価
として
計算
されておりますので、そのようにふえておるわけでございます。 それから
私学
の
高校急増対策
の
計画
は、前向きにやっているかという御
質問
でございますが、これは
計画
としては前向きで
考え
ております。 それから
私学
の
高校急増対策
として
総額
四十億という
計算
で足りるかということでございますが、この点は、私
ども
一応こういう
計算
をいたしておりますが、御指摘のように、
単価
の
計算等
において、私
ども
はいわゆる明
年度
予算
に計上されております
予算単価
をもって
計算
してございます。私
ども
の
計画
としては、そうすることが適当だと
考え
て、そのようにいたしておるのでありますけれ
ども
、そのような
単価
が
実情
と合わないという面は私は率直にあると
考え
ます。この点は今後の
問題点
でございますけれ
ども
、しかし一応全体の状況を把握する際に、そのような
予算
上認められます
単価
をもって
計算
し、それが
実情
において著しく大きな隔たりがあるとも
考え
られないのでありまして、一応このような
計算
で処理できるものと
考え
ております。それから府県の段階におきます
私学
の
助成
の問題でございますが、それにつきまして、県と
私学
の諸団体とのいろいろな協約とか話し合いとかが行なわれており、そうしてまた
都道府県
は
私立学校
に対する
助成
を次第に強化しております。それは
現実
の趨勢でございますが、私
ども
も今後ともそういった
都道府県
の
私立学校
に対する
助成
はこれを奨励していきたいと
考え
ております。
交付税
の
積算
の
基礎
も引き上げられましたから、それに応じた
都道府県
の
助成
が当然ふえて参るものと期待しておりますけれ
ども
、なお今後とも
各種
の機会にそのような
助成
を奨励して参りたいと
考え
ております。 もう
一つ
、ちょっと省略いたしましたが、
私学
への
財政援助
について、前
年度
との比較について具体的に示せという御注文がございましたが、この点については、おそれ入りますが
担当課長
に説明させていただきたいと
考え
ます。——ただいま
担当課長
に伺いましたところ、今その
資料
を手元に持ち合わせていないということでありますから、追ってその
資料
を調製して提出いたしたいと
考え
ます。
村山喜一
6
○
村山委員
大体わかりましたが、三十六
年度
の
実績
は
計画
が十四億になっておりますね。
文部省
の
計画
は十四億六千六百万円です。この
文部省
の
計画
に対して
実績
はどうなっておりますか。
杉江清
7
○
杉江政府委員
昨年の
計画
十四億というのが、ちょっと私
ども
もつかみにくい
数字
でございますが、これはどこからその
数字
をおとりになられましたか。
村山喜一
8
○
村山委員
この
数字
は、
私立学校
の
中高協議会
というのですか、
急増対策
の
中高協議会
、あそこの方で、
文部省
の案としてことし
文部省
は四十四億、こういうようなことを
計画
をして、昨年は
先行投資
の
意味
において十四億六千六百万円、この
内訳等
もわかっておりますが、そういう
計画
が立てられておるわけでしょう、
私立学校関係
はどうするということで。
杉江清
9
○
杉江政府委員
ただいまの
数字
は
急増
の問題でございましょうか。といいますのは、昨
年度
一応四億と私
ども
考え
ておりまして、総
事業量
は約六億くらいになるわけでございます。
村山喜一
10
○
村山委員
数字
が食い違うようですので、その点は
あと
で調べていただきたいと思いますが、とにかく三十六
年度
の
実績
は、
高等学校
の
急増
時を来
年度
から迎えるということで、
先行投資
の
意味
で、それぞれ
私立学校
では、金はないけれ
ども
、
外部
からの
資金
を借り入れてでもこの際作っていこうということで、大体
実績
は五十億くらいになっているはずだということを聞いているのですが、これは
私学振興会
の方からの
数字
として出てきていると思うのですが、その
財源内訳
までも大体わかっておるわけです。そういうような場合に、ことし四十億
程度
ということでお
考え
になっておりますが、この四十億の
投資
をやって、ことし
幾ら
の
生徒
を収容する
計画
になりますか、何万名ですか。
杉江清
11
○
杉江政府委員
先ほど
の五十億というのは、いわゆる
高校急増対策分
でなく、
一般整備
の
部分
の
総額
に該当するかと
考え
ておりますが、
先ほど
来の御
質問
の
数字
については、私
ども
の方でも調査いたします。 なお
高校急増
として
私学
についての
生徒数
の増をどのように見ているかという御
質問
に
お答え
いたします。
村山喜一
12
○
村山委員
杉江
さん、
あと
でけっこうですから、
公立学校
の
都道府県
の
収容計画数
、それから
私立学校
の
計画数
、これを
一覧表
にしてお示し願いたいと思うのです。それに基づいて後日論議したいと思います。 私が
主張
をいたしたいのは、四十億円という
資金計画
が一応成り立っているように聞くわけですが、とても四十億では足らないということを
主張
をしているわけです。というのは、ことし大体八十億くらい金をかけなければ
私立学校
で引き受ける分は
急増対策
の分としては十分ではないのじゃないか、そうなった場合に、
私立学校
の現在の
経営状態
からいった場合に、
急増期
を迎えたがためにますます
借入金
が多くなって、将来
学校経営
の
基礎
がこわれてくる、そうして利払いに追われてにっちもさっちもいかぬような
状態
がおとずれるのではないか、そういうような場合において、
補助金
が足らなければ低利の
資金
を何らかの
方法
で
考え
ていくような
方向
がとられなければならないのではないかということを
主張
をいたしたいわけなんです。今
私学振興会
の
貸付金
の中から十六億円を回すということでありましたが、これは可能だろうと思うのです。しかしながら、今度の
出資金
は全部で十二億円ですから、そうなりますと、
回収分
を当てなければならないということになって参ります。その
回収分
ももちろん当てるだろうし、あるいは
私立学校
の
共済組合
の方からの
借入金
も当てるような
方向
によって
資金量
を確保していくような
方法
はとられるだろうと思うのですよ。それで
私立学校
についてはこの四十億で大体間に合うのだ、こういうようなふうにお
考え
になっておりますと、
実情
はそうではなくて、非常に苦しい。それの倍くらいのいわゆる
資金計画
というものが必要になるのじゃないかということを懸念いたしておりますので、そういうものの
文部省
の
公立学校
の場合と同様に
あと
でよろしいですから、
一つ
その
急増対策
の
年次計画表
をお出し願いたい。それに基づいてまた後日論議して参りたいと思います。きょうはこれで一応保留いたします。
—————————————
櫻内義雄
13
○櫻内
委員長
高津正道
君。
高津正道
14
○
高津委員
尾形乾山
の新
作品
と称せられる新
発見
の大量の名陶の
真贋論争
が始まっておるのでありますが、
政府
の
美術行政
に関する
質問
を数点いたしたいと思います。混乱を避けるために、また私の時間を短くするために、覚書を書いてきましたが、
質問
の趣旨をよく理解してもらうために、私がどんなふうに見ておるかを初めに序論的にちょっとだけ述べて、それから幾つか
質問
をしたいと思います。 最近
栃木
県
佐野地方
の旧家(複数)から、二百数十点に上る大量の
尾形乾山
の
作品
が
発見
されまして、これをめぐり、
わが国
の古
陶器
の
世界
では学者、古
美術商
、
収集家
などの間に大きい波紋を描き、世間の注目を集めております。すなわち、
本物説
の
主張者
は、ちょっと数えてみますと、一、
京都国立博物館工芸室長藤岡了一
氏と同室の
技官全員断定
、二に、
わが国
にも広く知られる
日本陶器
の
研究家
であってちょうど
日本
に来ておる英国の
陶芸家バーナード・リーチ
氏が
本物
だという
断定
をしておるわけです。三に
乾山研究家
の
作家青柳瑞穂
氏が、またその
主張者
であります。それから四に、
東京国立博物舘林屋晴
三
技官
がそれであります。ただしけさになって読売新聞で、自分は
本物
だと言うておらぬのだということを言っているが、今までずっとそれできておるのは明らであります。第五、最近見つかった
佐野手控帖
、いわゆる
佐野乾山ほん
もの説の根拠の
一つ
になっておるものですが、それを調査した東京大学の
日本美術史
の
山根有三助教授
。第六、
佐野乾
三と称される
作品
を大量に所持するに至った
京都
の
森川勇
氏、四十七才。その父、
森川勘一郎
氏、七十六才、元
文部省文化保護委員
。この六人が中心で
ほん
もの説を
主張
しておる。
にせもの説
の
主張者
を次に見ますと、一は、
佐野
市の古
美術商川村一郎
氏。二、
乾山研究家
として知らるる、兵庫県芦屋市山芦屋一五三、元
大阪機械製作所社長
、山田多計治氏。三、
佐野
市天神町、
栃木
県
文化財保護委員長
、
篠崎源
三氏。こういうところであります。
尾形乾山
は一六六三年に生れて一七四三年に死んでおるが、御
承知
のように
わが国陶芸界
の三大
陶工
の一人として、
陶工木米
、
野々村仁清
とともに内外にその名を知られておるのでありますが、その
作品
が低い温度で焼かれて、
陶器
と土器との中間であるところから、
偽作
が非常に容易で、後世諸名工の写しが多く、
真作
を得ることは困難とされており、これは
尾形乾山
ものに対する定説となっております。 しかしそれにもかかわらず、現在学界で
乾山
の
色絵陶芸
と認められるものは大小合わせて約二百点で、一点百万円近くはするだろうといわれております。しかもこの約二百点という
数字
は、
乾出作品
はこれでもう
発見
され尽したという
意味
で使われているのであります。 ここに一点につき百万円に近い価格を持つといわれる
乾山
の古
陶器
があって、しかして
偽作
は容易なりという
実情
がある場合には、
にせもの
を作って
ほん
ものなりとして売って、不当なる
利益
を得ようとする者が現われ、またその
にせもの
であることを知りつつ
本物
なりとして売買して不当な
利益
を得ようとする者も出現する道理であります。以上のようなことを
考え
て私は御
質問
申し上げるわけです。 第一点、
尾形乾山
の
作品
は、
わが国
の
世界
に誇り得る定評ある古
陶器
であって、今日新
発見
の二百数十点の真偽が長期間にわたって判別されないままでいるという現象は、
わが国
の有する古
陶器鑑定力
がいかに未熟で、未発達の
状態
にあるかを
世界
に知らしめる結果を招くに違いありません。それは国際的不名誉であります。この点から
政府
は直ちに本
問題解決
のために乗り出して、しかるべき
措置
を講ずべきであると思いますがいかがでしょうか。御見解をお伺いします。
清水康平
15
○
清水政府委員
ただいまいわゆる
佐野乾山作
と称せられるものが突如数百点世の中に出て、そしてその真贋について各方面において議論の的になっておるというお話でございました。しかも
尾形乾山
は大体今までわかっておりまする点数が二百点くらいであったにもかかわらず、こういうものが出てきたということは、今まで一体どういうことをしておったのか、この際国は積極的に乗り出してこれが解決について努力すべきではなかろうかというような
意味
のお話があったのでございますが、実はこの問題が私
ども
の耳に入りましたのは昨年の暮れからでございます。これの真偽は別として、どうしてこういうようなものが突如として現われてきたのかと調査いたしてみますると、
日本
の国柄でもございましょうか、事実これが一部の人が言われる通り
佐野地方
の旧家の倉深くしまわれておったということになると、その真偽は別といたしましても、これは今まで調査が不十分というにはちょっと無理なのではなかろうか。現に
日本
は
世界
でも御
承知
のごとく社寺にいまだに門外不出の未調査のものが相当あるのでございまして、この点はすみやかに調査いたさねばならぬというわけから、本年も実は総合調査を、たとえば延暦寺とかいうものについていたしたいと思っておるのでございますが、今まで旧家に奥深くしまわれておった、それが事実としたならば、そのものがはたして
乾山
であるかないかは別といたしましても、やむを得ないのじゃないかと思います。しかしそれについて巷間いろいろの論議がありまするが、国が、しかも
文化財保護委
員会が乗り出しまして、ここで真偽を鑑定するということがはたしていいのかどうか。これは価値問題であり、学説、学者の問題もありますので、私
ども
といたしましては、これを広く公開をいたしまして、いわゆる
乾山
の
作品
がたくさんございますが、それとも一緒に公開をして、そうしてこの焼きものの歴史でありますとか、あるいは焼きものの技術あるいは文様でありますとか、そういうようなものを比較考量して、一般天下の人々に見ていただいて、そしておのずからそこに帰するべきものが、結論が出てくるのではないかと思っておるのでございまして、今直ちに
文化財保護委
員会が乗り出してその鑑定をしていいとか悪いとかいうふうに
考え
て、そういうことをいたしたいとは思っておりません。
高津正道
16
○
高津委員
第二にお尋ねいたしますが、現在の
本物説
と
にせもの説
の勝敗を自由なる論争の推移にまかせて、結局誤った結論に達し、売り手買い手のいずれの側にせよ、莫大な
利益
または損害を与えた場合、また後に至ってさらに今出た結論がくつがえった場合、売買当事者の
利益
と損害は今度は逆になるわけです。今回の真偽論争を見るに、
一つ
の重大なる特徴が看取されます。すなわち
本物説
の
主張者
の中には実に多くの文部
技官
が含まれておることであります。これに反して
にせもの説
の
主張者
はほとんどが在野の人であります。そこでお尋ねいたしますが、国の給与を受けて古美術を研究し、鑑定し、保護策を講ずる文部
技官
は、その
主張
が誤っていた場合に、この
佐野乾
山事件の責任をとる必要はごうもないものだとお
考え
でしょうか、また責任をとるべきだとすれば、その
程度
なり形式なりはいかようなものであるのですか。これが第二問です。
清水康平
17
○
清水政府委員
博物館あるいは文化財研究それ自体は一種の研究機関でございまして、それぞれの
技官
がいろいろの自分の調査研究に基づいて個人的な意見を発表したのがただいまのお話となったと思うのでございますが、これはあくまでも博物館、研究所、あるいは
文化財保護委
員会としての発言ではなく、美術に関する一研究の立場からの発言と
考え
ている次第でございます。 それから私
ども
が内々調査いたしましたところによりますと、いわゆる
佐野乾
山と言われております数百点のものが、はたして、
佐野乾山作
であるかないかは別といたしましても、これは非常におもしろいものだ、これはおもしろくないものだということがあり得たろうと思うのでございまして、これは非常におもしろいものだというものにぶつかると、その研究
技官
は、これは非常にけっこうでおもしろいと言われたに違いないと思うのでございましてこれが公式の意見として、もし
文化財保護委
員会あるいは博物館あるいは研究所としての意見として発表した場合、後いろんな意見がもし出てきた場合にはこれは別でございますが、今日までは各個人の研究の結果を個人的な立場から発言したものである、と私
ども
は
考え
ている次第でございます。
高津正道
18
○
高津委員
今の第二問についてもうちょっとお伺いいたしますが、博物館は研究機関であるから、博物館やまた研究所の人が研究の結果の個人的見解を述べたにすぎないので、
文化財保護委
員会の発言ではない、こういう御意見を承ったのでありますが、前に永仁のつぼの問題があり、それからいろいろな事実が、たとえば毎日新聞でいえば三回も詳報をしている。第一回を見ても非常に発言を慎まねばならない事態だと思いますが、それなのに次から次へずっとその見解を支持してこられたのであって、これはやはり個人的見解を述べるといっても
影響
するところが非常に大きいのですから、その発言は非常に穏やかでないと思います。
文化財保護委
員会の意見として発表したとか研究所の意見なりとして発表したというのではないが、個人的見解にしても、たとえば林屋晴三氏のごときは博物館の古
陶器
の第一人者であるかもしれません、そのように見られている人であるから、そういう国家の機関におる人が個人的見解をぼんぼんと出されれば、
本物説
がずっと勝つわけですよ。三、四日前までは
本物説
が勝っておったのですから。きのうに至ってその
にせもの説
というのが、証拠がだいぶ出て、きのう活字の上ではひっくり返ったのですから、責任はないということが言えますかね。そんな官吏が、国の最高の担当
関係
者と見られている人間が、個人的見解だから、
影響
はどうあろうとも見解を述べるのはかまわないのだ——東京国立博物館は
文化財保護委
員会の下部機構でしょう。それで事務
局長
や
文化財保護委員長
は統率の責任ということはどうなるのですかね。
清水康平
19
○
清水政府委員
ただいまの
高津
先生の御指摘は、それは全くおっしゃる通りでございます。私といたしましては研究に従事している
技官
といえ
ども
、その発言が慎重でなければならぬということは全く同感でございまして、その点は注意を促している次第でございます。ただ、大へん言いわけがましくなって恐縮でございますが、この研究者として長い間研究をし、自分の信念に基づいて発表する場合、どの
程度
これを押えていくと申しますか、これは要するに私
ども
といたしましてはできるだけ慎重にするように、他に迷惑を及ぼさないようにと言っておりまするが、結局は本人の良識に待つ以外にはないと思うのでございますが、たとい個人的な意見だったとしましても、ただいま御指摘のように及ぼす
影響
が大きいということは、私として特に
考え
てもらわなければならぬと思いますので、今後その点は特に十分注意するようにいたしたいと思っている次第でございます。
高津正道
20
○
高津委員
では第三問に移りますが、
昭和
時代の
作品
たるいわゆる永仁のつぼを、国が鎌倉期の永仁時代の
作品
であるとして重要文化財に指定したことは誤りであったのでありますが、その指定取り消しに、あたっては初めて位相差顕微鏡やエキス線螢光分析などの科学調査を採用したのであります。今回こそまず第一に、さきにあざやかに威力を発揮したこの科学調査を、問題の新
発見
の
佐野乾
山ものに適用すべきであると思います。これは常識だと思うのです。なぜ直ちにその手段を採用なさらないのか、なぜそれがおくれているのかという理由をも、この
質問
とともに答えてもらいたい。
清水康平
21
○
清水政府委員
エキス線螢光分析、位相差顕微鏡というようなものによりまして、その材質なり経過年数を調べるということは、今日科学的な管理
方法
として非常に大切であることは申し上げるまでもないことでございますが、これも
文化財保護委
員会といたしまして、現在数百点ありますが、だれのところにどういうものがいっておるかというようなことは具体的にはわかっておらないのでございまして、もし所有者があるいはその他の人が、ぜひこれで検査してもらいたいということになりますれば、もちろんその求めに応ずるつもりではおります。ただしこれはたとえば年代が今から二十年前のものであるとかあるいは三十年前のものであるとか、あるいは三百年前のものであるとかいうような結果が出るのでございまして、位相差顕微鏡それ自体から当然
乾山
であるとかないとかいうことは出てこないと思っております。たとえば年代が三百年ごろのものであるとかあるいは二十年前に焼いたものであるとかいうことは、もし求めがございますればもちろんこれによって検査いたしても差しつかえない、こう思っておる次第でございます。
高津正道
22
○
高津委員
だれのところにどの品があるかわからないし、向こうから申し出れば調べる、こういう
お答え
でありますが、ルートもちゃんとわかっておるのだし、それからバーナード・リーチに、
京都
の
森川勇
氏が、ある新聞は六十点といい、ある新聞は百二十点というが、それを見せて、これは絶品だと言い、
本物
だと言ったということも、有力な信用ある新聞は書いておるのですから、所在がわからないと、いうことは言えないだろう。たった一品じゃないでしょう。
佐野
市の旧家の倉庫の奥に何があるかわからぬ、それが出たということもあり得るので、そういう非常に
本物説
に同情するような言葉を
局長
は吐き続けておられるのでありますが、求めがないから調べないんだ、科学調査の
方法
を使わないんだ、これはちょっとわからぬと思うんですよ。年代はわかるが
佐野乾
山であるかどうかはまだわからないという言葉もあるけれ
ども
、年代が最近のものであれば
乾山
でないということは、ちゃんともう年代がわかれば証明になると思うのです。そうであれば、あなたは首を縦に振っておられるが、速記には載りませんけれ
ども
、そうなればあなたの
答弁
はわからなくなってくるし、年代がわかれば
乾山
でないということはわかると思うが、その論理はどうですか、私の論理を認めますかどうですか。
清水康平
23
○
清水政府委員
前もって申し上げておきますが、私はこういう学問的価値判断につきまして、いわゆる
佐野乾
山なるものが
本物
であるということに同情もいたしておりませんし、そうかといって非同情でもございません。あくまでも中立的な立場をとってりっぱな学者たちの検討の結果を待とうと思っておる次第でございます。 それから今位相差顕微鏡その他エキス線のお話がございましたが、反射的な結果として、たとえば二十年前ということであれば、たといその作りはおもしろくてもいわゆる
佐野乾
山でないということはわかるのでございまして、そのことを申しただけでございまして、その点は
一つ
御了承願いたいと思います。
高津正道
24
○
高津委員
それでは第四の
質問
に入りますが、
美術行政
は文部行政の一
部分
であってその善悪、その行政の結果、あるいは誤ったとか正しいとかということに対して、最終的には文部
大臣
に責任があるものですか。ないものならばその
法律
的根拠をお示し願いたいし、この点に対する
清水
局長
の御理解をお尋ねするのです。
清水康平
25
○
清水政府委員
申し上げるまでもなく、
文化財保護委
員会は
文部省
の外局として置かれておりまする合議制の行政機関でございます。これは議員立法に基づく
文化財保護
法の規定を見ましてもおわかりの通り、文部
大臣
から独立いたしましてこの文化財行政を処理していくことに相なっておるわけでございます。主としてその内容は専門的あるいは価値判断的のものが多うございますので、そういう日常の判断の最後の国家意思は、
文化財保護委
員会が文部
大臣
から独立して行なうということに相なっているのでございますが、このような価値判断の最後の国家意思の問題につきましては、やはり
文化財保護委
員会が当然責任を負うものと
考え
ておる次第でございます。ただし文部
大臣
は主務
大臣
といたしまして、教育文化、学術の最高の責任として一般的な統括権は持っておることは申し上げるまでもないと思うのでございます。
高津正道
26
○
高津委員
第五問に移りますが、
美術行政
の領域には、表面化していなくとも、われわれが積極的に調査をすれば、重大性において
乾山
ものの大量新
発見
と同
程度
のものがあると言われております。そして今後もこの種の重大問題は表面化すると見てよいのであります。その場合の
措置
は全部国の
文化財保護委
員会ないし同
委員長
が行なうべきものであって、なぜならばあなたの説明によれば、事は技術的な問題であり、価値判断の国家意思の決定は
文化財保護委
員会の合議によって決定するのである、こうも言われるから、
文化財保護委
員会なり、その
委員長
が行なうべきものであって、文部
大臣
は
文化財保護委
員会ないし同
委員長
に対し、職権を持ってその
措置
を命ずることはできないし、すでに何らかの
措置
に出ておる場合にはそれに関与する権限も少しもない、こう事務
局長
はお認めになっておるのですか。
清水康平
27
○
清水政府委員
個々の、主として価値的判断、専門的な事項について
文化財保護委
員会は文部
大臣
と独立して行なうのでございますが、教育、学術、文化については主務
大臣
としての責任を負われますので、個々の行政事務は別といたしましても、一般的な統括権はあると私は解しておるのでございます。従いまして一般的な勧告権というものは文部
大臣
にあるのではないかと思っておる次第でございます。 なお御
承知
のごとく国有財産法、財政法、会計法の立場からいたしますと個々の価値的判断とは違いますので、やはり文部
大臣
がそういう点において責任を持っておるのでございまして、たとえば国有財産法の各省、各庁の長といった場合にはもちろん文部
大臣
が入るのでございまして、
文化財保護委
員会の
委員長
は入らないというところから見ましても、一般的な統括権、従いまして概括的な勧告権はあると私
ども
解釈しておる次第でございます。
高津正道
28
○
高津委員
それについてもうちょっとそこをお尋ねしますが、法務
大臣
は検事総長の個々の起訴、不起訴いろいろな問題に対しては言えない、しかし指揮権発動で他の理由があればそれに待ったという権限があることは事実においてわれわれは見ておるのであります。行政権のそのような発動を知っておるのであります。それと同じように理解して、個々の鑑定とか、個々の文化財指定とか、個々の行政
措置
に対しては文部
大臣
に権限がないが、しかし事が天下の大問題となって、常識からいっても一体
政府
というものは
美術行政
をやっておるのがないのかどうしたのだ、こういうような事態になって、これは創価学会と他の宗教とのけんかのような、大きい暴力ざたにはなりますまいけれ
ども
、非常に国の名誉を損壊するという事態が起きた場合に、文部
大臣
は個々の問題には及ばぬのだというのですか、指揮権発動のようにじゃんじゃん
措置
命令を出して、国の名誉を維持することができるのかどうか、その点をもう少し
お答え
いただきたい。
清水康平
29
○
清水政府委員
文部
大臣
は一般的な統括権に基づきまして概括的な勧告を行なうこともできるし、説明を聞くこともできると思いまするので、その判断に基づきまして文部
大臣
は適宜せられるものと私
ども
は信じておる次第でございます。
高津正道
30
○
高津委員
そうすると、文部
大臣
は、文化財に関する個々のあなた方のやられる行政
措置
に対して説明を求めることもできるし、勧告もできるのである、そういうお言葉をはっきり私は聞いたのでありますが、そういう御
答弁
なのですね。聞き間違いがあってはいかぬから……。
清水康平
31
○
清水政府委員
文部
大臣
のお立場から、どういうことを勧告したらよろしいかという説明を聞いて、どうしたらよいか、具体的な問題は文部
大臣
において判断せられて、われわれに対して勧告なり説明を求められるものと思います。
高津正道
32
○
高津委員
では次の第六問に移りますが、たまたま今年は
尾形乾山
生誕三百年にあたっているので、
世界
平和
委員会
ではさきに顕彰したる雪舟、光琳に次いで、近くこの
乾山
を
世界
的に顕彰せんとする
計画
がございます。そのように承っております。 さらに
京都
の森川氏父子には、前述の英国の著名な
陶芸家バーナード・リーチ
氏らとともに、近く
乾山
図録を作製して出版する
計画
があると聞いております。
政府
はこれらの進行に対し、
森川勇
氏及びその父勘
一郎
氏について、この出版
計画
について調査をされたことがございますかどうか。
清水康平
33
○
清水政府委員
乾山
、雪舟それから光琳の
日本
代表の三大芸術家についての顕彰云々のことにつきましては、新聞記事以外に私は聞いておりません。ただしいわゆる今度突如として現われた
佐野乾
山の作といわれている——はだして真偽のほどはわかりませんが、このものについて森川氏であるかどうか知りませんが、それを
一つ
の図録にしようというような案あるやに、これはわきから聞いたのでございます。それに対しましては、
文化財保護委
員会と直接
関係
しておりませんが、説明、解説というような問題につきまして、
文化財保護委
員会
関係
の人にもし編さんをしてもらいたいというような場合には、よほどその人は慎重な態度をもって、良識によって行動するようにというふうに、私から申し伝えたことだけは記憶しております。
高津正道
34
○
高津委員
それでは次の第七問ですが、図録を出版し頒布することは、国内へはもちろん、
世界
への発表であるから、もし反対する民間人側の意見が正しくて、文部
技官
たちの多い賛成説が誤っていた場合には、その誤れる鑑定の国家的恥辱というものは一そう大きいものとなることは、一民間人ではないのですから明白でありますから、科学的調査を大急ぎで実行して、その結果が判明する日まで——それはあまり日時は要しないわけでありますから、その出版の刊行を待つべきであろうと、図録出版の
計画
者に勧告しておくべきではあるまいか。とりあえず病気の進行しないように注射を打っておくというような
意味
であります。森川氏父子についての御調査の有無とともに、あわせてこの点をもお伺いします。
清水康平
35
○
清水政府委員
もしかりに、具体的な話は聞いておりませんが、図録の話の内容ももう少し調査してみませんと、今ここで何とも言えません。いわゆる尾形、
佐野乾
山といわれているものという
意味
で出すのか、指定されている
尾形乾山
作が四点ございますが、そういうものと一緒にして、もう初めから
尾形乾山
として出すのか、その図録の内容その他を調査しませんと、何とも言い得ないのでございますが、私
ども
といたしましては、民間でやる場合について、行政的にチェックはできないと思いますけれ
ども
、
文化財保護委
員会職員がタッチするかしないか、した場合どうするかということについては、よほど慎重な態度で臨みたいと思っている次第であります。
高津正道
36
○
高津委員
われわれ
文化財保護委
関係
者はむろん、博物館や文化財研究所などを含めてわれわれ
関係
者は、監修などを頼まれても受けないようにしようという
意味
をすでに伝えておられるのですか。
清水康平
37
○
清水政府委員
恐縮すが、ちょっと聞き漏らしたのですが……。
高津正道
38
○
高津委員
われわれ
文化財保護委
の
関係
者及び東京、
京都
の博物館や文化財研究所に働く文部
技官
、その
関係
者は監修などの申し入れがあっも、それには手を出さないようにということをすでに申し伝えてありますというように私はお聞きしたのでありますが、そうでしょうか。
清水康平
39
○
清水政府委員
この監修という態度でやるのか、あるいは説明者として記入するのか、その辺は具体的には聞いておりませんし、また
現実
に博物館の人たちや、どういう
程度
か聞いておりませんが、身分上の直接の監督者は、博物館長の副署を受けてありますので、私
ども
としては、慎重な態度でもって、良識に従って処置するようにというふうに館長を通じて申し伝えておる次第でございます。
高津正道
40
○
高津委員
それでは第八問ですが、きのう、すなわち二月十三日にも有力新聞の
一つ
が「本社の調べでは次のようである。」という前置きで読者にこういう報告を書いておるのであります。「三十四年十一月ごろから斎藤素輝氏が米田政勝氏に「
佐野
市の旧家から
発見
した」と
佐野乾
山銘入りの
陶器
数点を持ち込んだ。その後も数点ずつ、約二百点を「米政」に売りつけた」。——米政というのは米田政勝、骨董屋さんです。もう
一つ
「キメ手を握る斎藤氏はどうしたことか所在がはっきりしない」またこの新聞は「この一、二年来「
佐野乾
山」をめぐって妙な動きがありすぎる」として、「
佐野
市で「
乾山
」を
発見
したはずの斎藤素輝氏(五六)=東
京都
中野区上高田三の二二=が
佐野
市内で「
乾山
」をつぎつぎに売り歩いていることである。」という事実をも報道しています。かりにこのような三つだけの事実があるとしても、この三つの重大な事実を無視して、ただ斎藤素輝氏、米田政勝氏、森川父子の経路で大量に流れてきている新
発見
の大量の「
佐野乾
山」そのものだけに科学調査を行なうにとどまらず、この種の重要なる状況判断的調査対象に対しても調査すべきだと存じます。何某という固有名詞が次々と現われている以上、招くなり訪問するなり、手分けしてやれば、科学的調査と同時に行ない得る事柄でありますから、それをなぜ実行なされないのか、それをお伺いしたのであります。
清水康平
41
○
清水政府委員
この問題につきまして、
文化財保護委
員会が
法律
上はもちろん、行政上調査するという権限と申しますか、そういうものはないのでございまするけれ
ども
申し上げるまでもなく、私
ども
にとりましては実に大きな重大関心事でございまするので、調査権とかなんとかいうことでなく、いろいろな情報は常日ごろ集めておるのでございます。それがはたして十分であるか不十分であるか、今後まだそれを続けていきたいと思っております。 それから、科学的な器械で至急やったらどうかという御意見でございますが、全くそれは
一つ
のりっぱな御意見と思いまするけれ
ども
、それがよきにつけ悪きにつけ、そういうことを抜きにいたしましても、それもやはり行政権を発動して、これを取り上げて検査するというわけに参りませんので、そういう人たちが進んで
一つ
検査してみてくれぬかというようなお話があれば、もちろん進んでそれに応じたいと思っておるわけでございます。
高津正道
42
○
高津委員
次の問題に移りますが、真贋の論争に終止符を打つところの有力なるきめ手として「
佐野乾
山の
作品
と覚書の全部を公開し、陶磁史、陶磁技術、絵画文様、美術史などの各専門家が鑑定する」という
方法
をあげているのがあります。初めに事務
局長
は大体そういうことを今やりつつあるような、そういうような
意味
の
お答え
がございましたが、
政府
にはそういう権限はないようにもまたいわれておりますが、しかし今、忍び寄る静かなるインフレというものが全
世界
をおおっておるのでありまして、無限に富を有するやからが、そのインフレをおそれて、国宝級のものを
世界
的に集めておる傾向がございまして、それに乗じて、たとえば重要文化財あるいは国宝、それを
文化財保護委
の手ではずしもらえば、海外へそれを売って高くもうけられるという事実が論理上あるわけであります。そこで古
美術商
あるいはそれの今の
収集家
というものは、
文化財保護委
員会の一顰一笑というか、その権威の前にはおそれ入っておるのであって、ちょっと目くばせをされれば、
あと
がこわいし、いろいろお世話にならねばならぬ
関係
筋でございますから、生殺与奪の権を握っておられるのでありますから、そこから言われれば、すぐそれらのことは権限はなくても事実上実現できると思いますが、その場合それをおやりになるかどうか。私は
美術行政
の今の常識といたしましてそういう
実情
だと思います。それをおやりになるのかどうか。だいぶやかましくたくさんの学者に立ち会わせて、公開でやるという案です。それをおやりになる気かどうか、やればやれる
実情
ではないか、こう申し上げるわけです。
清水康平
43
○
清水政府委員
佐野乾
山について今まで指定されたもの、あるいは間違いのない二百点はもちろんのこと、今度突如として現われたいわゆる
佐野乾山作
といわれるものを一緒にして、公開して、そうしてそこで、各方面の学者や
研究家
が検討するということは、私は非常に大切なことだと思っておりますが、それの主催者といいますか、スポンサーといいますか、それを
文化財保護委
員会でやった方がいいかどうかという問題、この種のような問題は
文化財保護委
員会では今まではやったことがないのでございまして、
文化財保護委
員会が公開でやる場合には主として博物館——博物館というよりは、むしろ適当な展覧会場を利用しておるのではないかと思っております。そういう点については重大な関心を持っておりますが、今のところ
文化財保護委
員会がイニシアチブをとってやるという気持は持っておりません。
高津正道
44
○
高津委員
本日はこれだけでございます。 ————◇—————
櫻内義雄
45
○櫻内
委員長
盲
学校
、聾
学校
及び
養護学校
への
就学奨励
に関する
法律
の一部を改正する
法律案
を議題とし、審査に入ります。 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
櫻内義雄
46
○櫻内
委員長
速記を始めて。 質疑の通告がありますので、これを許します。山中吾郎君。
山中吾郎
47
○山中(吾)
委員
盲
学校
、聾
学校
及び
養護学校
への
就学奨励
に関する
法律
の一部改正の
法律案
について御
質問
いたしたいと思いますが、この盲聾、
養護学校
の高等部の修学旅行の実態は、どういう
程度
に修学旅行が行なわれているかお聞きしたい。
福田繁
48
○福田(繁)
政府
委員
現在いろいろ盲聾
学校
等の高等部におきまして、修学旅行をやっておる
学校
が多うございますが、一般の
学校
と同じように、大体二泊三日というような、あるいは三泊の場合もあるかも存じませんが、関西方面に相当旅行する、そういうことが行なわれておるようでございます。
山中吾郎
49
○山中(吾)
委員
目の見えない
生徒
、こういうのが修学旅行を二泊三日とかやる場合のいわゆる事故、あるいはその他のことについて特別の
方法
を
考え
ないと、無条件にこれを奨励すること自体に疑問があるわけですから、その辺修学旅行を実施する
学校
としての特殊の考慮が払われておるかどうか。また今までの事故その他にいて、お聞きしたい。
福田繁
50
○福田(繁)
政府
委員
その点につきましては、もちろん普通の子供と違うわけでございますから、一般の
学校
におきましても、修学旅行の場合には
学校
側としては万全の
計画
を立てまして、指導教官がついていくのが通例になっておるようでありますが、特にこういう盲聾
養護学校
につきましては、教育
委員会
におきましてその点をさらに厳重にして、特につき添い人その他の要員も十分つけてやろうというような慣例になっております。特に盲聾
学校
の修学旅行だから事故が起こったというようなことはないようでございます。
山中吾郎
51
○山中(吾)
委員
この場合
都道府県
は今まで修学旅行について補助を出しておりますか。野放しでやっておりますか。
福田繁
52
○福田(繁)
政府
委員
高等部に対しましては、これは従来
補助金
もありませんので——ごくわずかな県で出しておる例もございますけれ
ども
、一般には出してないようでございます。
山中吾郎
53
○山中(吾)
委員
そうしますと、この
法律
は、
都道府県
が支弁する
経費
の二分の一ですね。従って
都道府県
が五分の一とか非常にわずかのものを出しておる場合は、その半分だということになるのでしょう。ほとんど
意味
のない
法律
にならないですか。
福田繁
54
○福田(繁)
政府
委員
その点は従来と変わりまして、国が二分の一の
経費
を持つということになりますと、従来出すのが若干困難であったというような県も出してくるわけでございます。従って、従来は少ないけれ
ども
、こういう
措置
ができますとい一般の
学校
と同じような修学旅行の
計画
というものが立ちやすくなります。また
実績
も今後ふえていくことと
考え
ておりますので、
意味
は非常にあると
考え
ます。
山中吾郎
55
○山中(吾)
委員
それではこの
法律
がもし成立しますと、行政指導をいい
意味
において相当強くしてやる必要があると思う。そうでないとこれは
意味
がないと思うのですよ。 おそらく盲聾
学校
の修学旅行に県はほとんど出していないのじゃないかと思うのです。
資料
があったら教えていただきたいと思うのですが、二分の一というから私たちいいように思うのですが、実際は行政指導がまずければ十分の一もない、下らぬ
法律
のような感じで、真剣に審議して心から賛成といって通すような気力が出ないわけです。ことに盲聾
学校
は貧乏な
学校
が多いのですから、この
法律
を施行することによって、実質上修学旅行費の全額の二分の一くらい、国と県合わせてやる、そういう
実績
が出るならば非常に張り合いがあるのですが、その辺の見通しをもう少しお聞きしたいと思います。
福田繁
56
○福田(繁)
政府
委員
小学部、中学部の場合におきましても、当初はおっしゃるような傾向があったのでございます。しかし三十五年に小学部、中学部の修学旅行に対します奨励補助が出ましてから、各県とも相当普及しておりまして、小学部、中学部におきまする修学旅行も相当ふえてきております。従って高等部におきましても、来
年度
こういう
予算
措置
ができますと、もちろん私
ども
も適切な指導をやって参りたいと
考え
ておりますが、相当ふえてくるものと
考え
ております。その場合に、
単価
の問題が一応問題になるかと存じますが、この場合におきましては、大体一人当たり二千六百円というものを見込んでおりますので、現在行なわれております実際の修学旅行の場合の
単価
と比較いたしますと、あまり差はないと
考え
ております。従って、その点から申しますとさしあたり高等部におきます修学旅行の場合の
経費
について十分いけるのではないかというふうに
考え
ておる次第でございます。
山中吾郎
57
○山中(吾)
委員
目の見えない
生徒
の場合に、文化財とか名所旧跡というところにいって、一体修学旅行が意義あるようにするのにはどういうふうにしたらよいのでしょう。
福田繁
58
○福田(繁)
政府
委員
それはいろいろあると思いますが、やはり指導教官がいろいろ解説したり、十分な指導をしてやるということが一番大事な点だと思います。
養護学校
の高等部もございますので、盲だけではありません。従って従来行なわれております旅行の
実績
から
考え
ますと、やはり相当効果があるということを各府県とも申しております。
山中吾郎
59
○山中(吾)
委員
大体わかりましたけれ
ども
、おそらく盲の場合とかろうの場合は、修学旅行に違った性格を持たせて、盲の場合は温泉に連れていくとかいうことになっていると思うのですが、それは別として、いま
一つ
関連してお聞きしたいのですが、前の
委員会
のときにも
大臣
に
答弁
をもらったのですけれ
ども
、ろうあの場合二歳から五、六歳までのいわゆるろうあ幼稚園というのですか、その教育を徹底すると普通の小
学校
に入れることができる。もちろん知能指数が普通の場合でないといかぬですけれ
ども
、とにかくそれを徹底するとろうあ
学校
を作らなくとも小
学校
に入れて普通教育ができるということを、
あと
で実際の先生あたりに聞いてみると確信を持っているというのです。そうすると満二歳から五歳まで教育しておけば、もうこういう特殊の聾
学校
などは要らないというふうな結論になりつつあるので、私はすばらしいことだと思うのですが、これを
一つ
、今年はもう
予算
はないので来
年度
までに全国に一カ所くらい、東京のどこかに幼児のろうあ
学校
を作ってみて、幼児のろうあ教育を徹底することによって、小
学校
以上はなくしていくということを
一つ
具体的に研究していただくといいのじゃないか、念を押して
大臣
からこの問題について
お答え
願っておきたいと思います。
荒木萬壽夫
60
○荒木国務
大臣
この前の
委員会
でたしか山中さんから同一趣旨のお尋ねがございまして、即席ではございますが
お答え
したように記憶いたします。検討しますと申し上げることは、具体的にいえば御指摘の通り、できることならば三十八
年度
に国立のろうあ
学校
というがごときものをモデルケースとして作り上げまして、それで検討を加えて、必要数を全国に普及する足がかりにするという構想があってしかるべきだと私
ども
は想像いたしておりましたが、体系的にお話し申す段階ではございませんので、構想を示唆していただいた
意味
において、ありがたくお受けをして研究したいと思います。
山中吾郎
61
○山中(吾)
委員
ぜひそういうふうにお願いしたいと思います。こういうことの中に
ほん
とうの文教政策の刷新があるので、質を向上するようにお願いしたい。そういういい
方法
が世論になってきておるわけですから……。
質問
を終わります。
櫻内義雄
62
○櫻内
委員長
小林君。
小林信一
63
○小林(信)
委員
大体いいと思うのですが、この二分の一を支給すると同時に——
高等学校
の
生徒
の中にも相当貧困な家庭があるのです。そういうものには、また貧困な家庭として救済する修学旅行の費用というものが出るのですか。そういう特別なものについては、もうこれ以上出ないのですか。
福田繁
64
○福田(繁)
政府
委員
ただいまのお尋ねは一般の生活保護の問題かと存じますが、生活保護法の対象になります場合におきましては、そういう旅行費も含めて支給されることになっております。
小林信一
65
○小林(信)
委員
それは
高等学校
の
生徒
にも適用されるわけですか。
福田繁
66
○福田(繁)
政府
委員
ちょっと間違えましたが、これは小中
学校
の場合でございまして、高等部の場合には、生活保護の中の教育扶助、それからその他のものは、今申しましたよう修学旅行の
経費
は入っておりません。
小林信一
67
○小林(信)
委員
盲ろうの高等部というのは、大体小中
学校
でこれを学習したのでは一人前の生活を維持するような
状態
にならないわけなんです。だから貧困の家庭といえ
ども
、普通の中小
学校
の子供が
高等学校
に行くのと違って、どうしても高等部まで履修しなければ、生活の道が得られないわけなんです。従って、盲ろうの
学校
へ行ったものは、普通の子供と違って、無理をしてでも高等部に進学しようとするものが多いと思うのです。そうすれば、一般のものと同じに取り扱って、高等部であるから、要保護の家庭のものがあっても、これは認めることができないというようなことになれば、実態には即しないと思うのですよ。やはりそこまで配慮しなければ、二分の一出したから非常にいいのだというだけでは、私は済まないと思うのです。やはり盲ろうの高等部の特殊事情というものを
考え
たら、二分の一だけでなく、
ほん
とうに貧困の家庭というものは、中小
学校
の要保護、そういうものに適用されるものがこれに準用されなければ、私は
ほん
とうの修学学旅行の補助にならないと思う。ということは、これは中小
学校
に今まであったのですが、修学旅行が、二分の一の補助でもって行けるようになった、そうすると、どこの
学校
でも実施するでしょうし、そういう場合には無理をしても行くと思うのですが、しかし貧困なるがゆえに行けないという子供は、かえってこういう
補助金
が出たために友だちは行くけれ
ども
おれは行けないという、そういうさびしさを与えるような結果になりはしないかと思うのです。そこまで配慮することが、盲ろうという特殊な
学校
の高等部に対する
措置
だと私は思うのですが、こういう点に対しましては御検討があったのかなかったのか、お尋ねしたいと思います。
福田繁
68
○福田(繁)
政府
委員
おっしゃる
意味
は非常によくわかります。そういう御趣旨に従って私
ども
は
考え
たいと思っておりますが、高等部の
就学奨励
につきましては、ただ修学旅行費というだけでなく、家庭の状況に応じまして段階をつけまして、そして要保護基準の
標準
とそれからそれぞれの家庭の収入額というものをにらみ合わして、御
承知
のように一類、二類というような類型を立てまして、そういう家庭の状況に応じまして、全額あるいは半額というような差があるわけでございます。従って、図書購入費あるいは給食費あるいはまた交通費といったような
就学奨励
費全般につきまして、そうい
実情
うに応じたような支給
方法
を
考え
ているわけでございます。修学旅行費だけから
考え
ますと、おっしゃるようにうちが貧困で修学旅行にも行けないというような場合がありますので、今回は修学旅行費に特に新しく国が二分の一を負担してやるというような
考え
方になったわけでございます。これは
就学奨励
費全般の問題としてやはり
考え
なければならない点ではないかと
考え
ておるわけでございます。
小林信一
69
○小林(信)
委員
それだけ考慮してあれば、なお一歩前進したものを完全なものにするという配慮が必要だと私は思うのです。これは実際盲ろうの
学校
の
実情
を見れば、私は、そういう点もさらに考慮してもらいたいというような希望が出てくると思うのですよ。
先ほど
申しましたように、普通の中小
学校
の子供が
高等学校
に行くのと違って、盲ろうの子供は、高等部に行かなければ、自分が生存する道を開くことができないというのが、高等部の特殊な価値だと思うのですが、それを生かしてやるには、そういうところまで配慮して、二分の一やったからいいというだけでなくして、もっと前進しなければならないと私は思うわけなのです。 そこでお聞きしますが、現在の盲ろうの中小
学校
の場合は、実際においては普通の中小
学校
の子供たちの修学旅行のようでなくて、相当取り残されるものが多い。というのは、親が、行ったってて見えないじゃないか、行ったって口が聞けないじゃないか、事故でもあったらどうするかというようなことを理由にして修学旅行に参加させないものを私はたくさん聞くわけなのです。
文部省
ではどういうふうに統計をとっているか知りませんが、実際においては少ないということを考慮すれば、なお私はこの問題では盲ろうの
学校
のことに対しては特別な考慮をしなければならぬと思うのです。さらにおそらく盲ろうの
学校
の先生も普通の中小
学校
、
高等学校
と違って相当先生のつき添いというものが多くなると思うのですが、こういう人の旅費等につきましては教員の旅費の中に考慮されておるかどうか。
福田繁
70
○福田(繁)
政府
委員
そういう点も
考え
まして教員の旅費等につきましては、
交付税
の財源
措置
等におきまして、これは一般的なものとあわせまして
考え
ておるわけでございます。
小林信一
71
○小林(信)
委員
その
交付税
のものが十分に割り当てられておるかどうか、
文部省
はどういうふうに確認されておりますか。
福田繁
72
○福田(繁)
政府
委員
従来の
実情
から見ますと、大体こういう特殊な
学校
につきましては、教育
委員会
も旅費その他につきましては、一般の
学校
よりも特に考慮するという方針でいっているようでありますので、その点は一応支障なく行なわれているものと
考え
ております。
小林信一
73
○小林(信)
委員
これは中小
学校
の場合もそうですが、一体
交付税
というのは、地方の自治体ではなかなかあなた方がおっしゃるように満足に出しておらないわけなのです。だから特殊な子供たちを扱うのだから相当考慮するだろうというふうにお
考え
になっておられると、とんでもないことであって、かえって見るに忍びず、先生が自費を出して
生徒
の旅費まで支弁する、自分はもちろん犠牲的に旅費をみずから出すというふうなことが多いわけなんです。今のような自信を持っておらずに、
実情
というものをしっかり見ていただいて、こういう制度が出た以上はこれが完全に実施されるように、先生にも子供にもその家庭にも十分恩恵を受けられるように私は考慮すべきだということを申し上げて
質問
を終わらせていただきます。
村山喜一
74
○
村山委員
関連して、一言お尋ねいたしますが、この
法律
の改正案が通りました
あと
で政令をお
考え
になっていらっしゃると思うのです。その中で現在御
承知
のように収入額が生活保護法の定めるところの
需要
額の二・五倍以上の場合には、これは支給しないように
法律
の施行令で定めてあります。そうなりますと、当然高等部の
生徒
にかかわる修学旅行の場合でも補助をしないということになると思うのですが、その点はどうですか。
福田繁
75
○福田(繁)
政府
委員
ただいまのお尋ねでございますが、生活保護基準を
標準
にしまして二・五倍未満の場合はすべてこれが支給されることになるわけでございます。従ってそういうおっしゃるようなことにはならないと
考え
ております。
村山喜一
76
○
村山委員
二・五倍以内の場合には支給せられるようになるわけですよ。だけれ
ども
、それ以上の場合にはならないわけなんです。そういうことになる。私がお尋ねしたいのは、施行令の第二条の第一号の中で生活保護の基準に対して一・五倍未満の場合は、六号までは全額負担をする。その
考え
方の中には、そういうような生活の
程度
の低い場合でも修学旅行については収入の多い、少ないにかかわらず半分しか負担しないんだ、こういう
考え
方があると思う。そういたしますと、ここで高等部の
生徒
にかかわる修学旅行費が新たに二分の一負担の対象になるようにするということはきわめていいことだと思うのですが、それと同時にそういうふうに生活の
程度
に応じて修学旅行の場合等は、やはり他の
経費
については全額負担をしている場合もあるのですから、生活の
程度
の低い者については、そのようなふうに政令の中で規定づけられることが正しいのではなかろうか、こういうふうに
考え
ますので、その政令をお作りになるときのお
考え
を承っておきたいと思う。
福田繁
77
○福田(繁)
政府
委員
ただいま御説明申し上げたのは少し誤解があったかと存じますが、全額支給の場合は、生活保護法の基準に対しまして保護者の収入額が一・五倍未満の場合でございます。これは全部支給するわけでございまして、保護者の収入額が二・五倍未満の場合には、これは半額支給するという建前で、その他のものにつきましては教科用図書の購入費だけは全員に支給されるわけでございます。従ってそういう一般の基準と同じように修学旅行の
経費
も建前として支給されることになるわけであります。
村山喜一
78
○
村山委員
私の持っているのは、これは古いのかもしれませんが、施行令の第二条の第一号の方に掲げてあるのは、「第一号から第四号まで及び第六号」というふうに書いてあるのですが、そうすると、修学旅行の場合は、
需要
額の一・五倍未満の場合もこれは当然全額の対象にならない、第二号の一・五倍以上二・五倍未満の場合に同じように適用されるわけで、
先ほど
福田初中
局長
が
お答え
になったのが正しいのであって、今
お答え
にはなったのは間違いじゃないか。そういうように前の政令六八号は解釈されるのじゃないですか。
福田繁
79
○福田(繁)
政府
委員
政令六八号でなくて、政令一五七号でございます。
村山喜一
80
○
村山委員
政令一五七号の第二条の第一項ですよ。そこでは「第一号から第四号まで及び第六号に掲げる
経費
の全額」ということで、前条の第七号の修学旅行費というものについては、全額負担の対象になっていないわけなんです。
辻村泰男
81
○辻村説明員 ただいまの点でございますが、政令で二条の一項の一と申しますところが、これが生活保護法の一・五倍未満でございます。これは現在は全部やるという建前でございまして、そして高等部の場合には「第一号から第四号まで及び第六号」と現行で書いてございますのは、高等部の場合には、つき添い人の交通費は出さないということで五号を抜かしておるわけでございます。この点は変わりがないわけでございます。そこで今回
法律
が改正されますと、政令の方も「第一号から第四号まで及び第六号」そこに七号が入るわけでございます。そういう改正を
予定
いたしておるわけでございます。要するに修学旅行費も一番貧困なら全額出します。それからその次の段階であれば半額出します。こういう建前に政令をも変えるつもりでおります。
村山喜一
82
○
村山委員
そういうふうに改めていただくのであればけっこうです。今もこの一五七号では、どんなに見ても、これがミスプリントでない限りは、二分の一負担ということになりますので、それでは高等部にそれだけ適用範囲を広げていこうというせっかくの大へんいい意見が貧しい人たちには反映をしないのじゃないかという結果になりますので、そこら辺をお尋ねしたわけです。
櫻内義雄
83
○櫻内
委員長
他に質疑はございませんか。——他に質疑がないようですからこれにて本案に対す質疑は終了いたしました。
—————————————
櫻内義雄
84
○櫻内
委員長
これより討論に入るのでありますが、別に討論の通告もありませんので、直ちに採決いたします。 本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
櫻内義雄
85
○櫻内
委員長
起立総員。よって、本案は原案の通り可決いたしました。 ただいまの議決に伴う
委員会
報告書の作成等につきましては
委員長
に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
櫻内義雄
86
○櫻内
委員長
御異議なしと認め、さよう決しました。 本日はこの
程度
とし、次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。 午後零時四十一分散会