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1961-12-13 第40回国会 衆議院 文教委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和三十六年十二月九日)(土曜 日)(午前零時現在)における本委員は、次の通 りである。    委員長 櫻内 義雄君    理事 臼井 莊一君 理事 坂田 道太君    理事 竹下  登君 理事 八木 徹雄君    理事 米田 吉盛君 理事 小林 信一君    理事 山中 吾郎君 理事 村山 喜一君       伊藤 郷一君    上村千一郎君       小澤佐重喜君    田川 誠一君       高橋 英吉君    中村庸一郎君       花村 四郎君    濱地 文平君       濱野 清吾君    原田  憲君       松永  東君    松山千惠子君       南  好雄君    井伊 誠一君       久保田 豊君    高津 正道君       前田榮之助君    松原喜之次君       三木 喜夫君    山崎 始男君       鈴木 義男君 —————————————————————— 昭和三十六年十二月十三日(水曜日)    午前十一時十三分開議  出席委員    委員長 櫻内 義雄君    理事 竹下  登君 理事 小林 信一君    理事 山中 吾郎君       上村千一郎君    高橋 英吉君       原田  憲君    松山千惠子君       川村 継義君    野原  覺君       前田榮之助君    三木 喜夫君       湯山  勇君    横路 節雄君       鈴木 義男君  出席国務大臣         文 部 大 臣 荒木萬壽夫君  出席政府委員         文部事務官         (大臣官房長) 天城  勲君  委員外出席者         文部事務官         (調査局長)  田中  彰君         文部事務官         (文化財保護委         員会事務局長) 清水 康平君         専  門  員 石井  勗君     ————————————— 十二月九日  委員小川半次辞任につき、その補欠として小  澤佐重喜君が議長指名委員に選任された。 同月十三日  委員久保田豊君、高津正道君、松原喜之次君及  び山崎始男辞任につき、その補欠として湯山  勇君、横路節雄君、川村継義君及び野原覺君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員川村継義君、野原覺君、湯山勇君及び横路  節雄辞任につき、その補欠として松原喜之次  君、山崎始男君、久保田登君及び高津正道君が  議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  学校教育に関する件      ————◇—————
  2. 櫻内義雄

    櫻内委員長 これより会議を開きます。  この際国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  衆議院規則第九十四条の規定によりまして、本会期におきましては前国会同様学校教育社会教育、体育、学術研究及び宗教、国際文化交流並びに文化財保護に関する各事項につきまして、議長に対し国政調査承認要求をいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 櫻内義雄

    櫻内委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお調査の方法その他の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 櫻内義雄

    櫻内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう取り計らいます。  しばらくそのままでお待ち願います。
  5. 櫻内義雄

    櫻内委員長 学校教育に関する件等につきまして調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。山中吾郎君。
  6. 山中吾郎

    山中(吾)委員 主として私は十月二十一日の全国一斉の学力テストの結果、テストを拒否した県に対するその後のいろいろの警察権介入その他の教育界を混乱しておるという関係について、文部大臣に所信をお聞きいたしたいと思うのであります。  特に岩手県が学力テストを拒否したということで、非常に不当な検察当局及び警察当局介入があります。それに対して文部省においても意を通じて直接間接にそういうふうな警察権力介入するような方向に目に見えない意識的な行動があるのではないかという疑いを持っております。そういう点について二、三の点に触れて文部大臣にお聞きをいたしたいのであります。  その一つの点として、私は文部大臣に対して心底から憤慨をしておることが一つあるのです。それは岩手日報の十一月八日の記事に、岩手県は学力テスト実施しなかったから、補助金削減など、行財政面制約を加えるということを、東京平河町の自民党本部党役員会において荒木文相が明言をしたという記事がありますが、まずこの点について、そういうことを言われたかどうか、それをお聞きいたしたいと思います。
  7. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 全然私の知らないことでございます。
  8. 山中吾郎

    山中(吾)委員 知らないということにお答えになるならば、これは私もそのままさようでございますと言えない資料があります。いま一度朗読いたしますが、この新聞記事を見ますと、大体こういうふうに書いてある。「荒木文相出席を求めて、さきに行なわれた中学校いっせい労力調査実施状況などについて説明を聞いた。席上、文相は「調査全国的には好成績をおさめたが、岩手、福岡、北海道の一道二県は教職員組合の抵抗が強く、満足な実施ができなかった。これらの県について文部省としては強い対策を検討しており、当面補助金削減など行財政面制約を加えたいので、協力を願いたい」文部大臣みずから、与党役員会に対して行財政面制約を加えたいので協力を願いたい。与党から突き上げられたのではなくて、教育行政最高責任者が江戸のかたきを長崎で討つようなことで協力を願いたいと表明をした」という文章がある。そしてこれについてなお詳しく書いてあるのでありますけれども、党の広報責任者である志賀広報委員長がこの新聞を通じてこういうふうに発表しておるわけです。「文相の方針には問題点もないわけではないが、党としては不本意ながら、これを了承した。実施率の悪かった地方文教施設などの補助金で、今後影響を受けるだろう。」ということを党の広報責任者である志賀委員長がわざわざ新聞に載せてあります。これで文部大臣は何らかの表明を党の役員会にしたということを私は推察できると思うのですが、この点はいかがですか。
  9. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 そういう問題で私は党の役員会に言ったことはございません。またそうでなくても、教育行政のよしあしということだけで、地方財政法その他の法規に基づいて制度上当然行なわるべきことが、今のお言葉を拝借すれば、江戸長崎的に取り扱わるべきものではない。そんなばかなことはあり得ないということは私の常識でもございます。いまだかつてそういうことを言ったことはありません。
  10. 山中吾郎

    山中(吾)委員 そうすると、志賀委員長がうそを言ったということになると思うのですが、志賀委員長にさらに私もこれについて突き詰めていかなければならぬと思うので、今おっしゃったことは絶対に間違いないですか、もう一度聞きたい。   〔委員長退席竹下委員長代理着席
  11. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 そうでございます。
  12. 山中吾郎

    山中(吾)委員 そうしますと、この新聞の取材をした記者にとっても大きい責任問題であり、新聞社責任問題でもあるのでありますが、この点今大臣は絶対に言ったことがないということでありますので、別な角度からまたお聞きしたいのでありますけれども、うわさによると、岩手県内のある市町村長補助金をもらいたいために文部省の部局に参ったときに、岩手学力テストを拒否したから補助金はやれない、こういうふうな言い方をして責めておる。これは明らかに名前を言ってもいいのでありますが、そしてわれわれの町村は実施をしたのだと言うと、それならやるというようなことまで言っておる。その市長はうちへ帰って、市会の評議員会でこう言われたということを表明しております。もし文部大臣が直接正式に言う言われないにかかわらず、暗黙の中に、一つの組織の全体の中で、そういうことを現に市町村長補助金陳情その他に行ったときに言っておるとすれば、これは重大な問題であると思う。教育行政私物化である。学力テスト実施する、しないということについては、教育上いろいろの問題があり、法律上の問題がある。この点についてはあとでまた私も意見を述べて大臣に問いたださなければならぬと思いますが、そういう学力テストの問題にからんで、国民の血税である一般の人々税金を公平に使うという別な行政上の問題を、学力テストをやらなかったから配慮をするとかあるいは削減するということを、市町村長陳情に対して言っておる局長がある。もしそれが事実であるとすれば、大臣はどういう責任をおとりになりますか。
  13. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 そういうことをまともに言う者は一人もいないと思います。かりに言ったとすれば、そういうばかなことは、冗談であるにしても、言うべきじゃない。将来に向かってたしなめます。
  14. 山中吾郎

    山中(吾)委員 将来においてたしなめるという問題ではなしに、一体国民税金自分税金のような顔をして、こういう行政上の一つの問題において補助金を云々するというようなことを、公の執行機関である市町村長に言っておるという事実があれば、大臣責任をとるか、局長をやめさすか、それくらいのはっきりした立場をとらないと、将来にたしなめるということでは、教育行政を軽く見ておると私は思うので、そういうお答えでは私は満足できない。事実そういうことがありとすれば、その行為に対してあなたは具体的な行政的責任をとるべきであると思うのですが、いかがですか。
  15. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 学力調査であれ、勤務評定であれ、どんな法律上非難さるべきことがありましょうとも、それはそれ、これはこれであって、かれこれ混淆して江戸長崎的にものを考えるべきではななそういうことはもうはっきりした常識の範囲でございまして、お尋ねにあずかることすらもいかがかと思うくらいに思っております。従って、そういうことを言うような役人はいないと思うのですけれども、よく私も調べます。
  16. 山中吾郎

    山中(吾)委員 それに関連して、岩手県の教育委員会委員長教育長とともに文部省に来て、こういう新聞記事が載ったけれども、どうか補助金その他は影響しないようにしていただきたいとお願いしてきたという答弁県会にしておるわけです。そういう不見識なお願いあるいはおわびに来るということ自体、私は憤慨にたえないのでありますけれども、大臣に直接来たかどうかわからないけれども、それはどこかに来ている。そういうような雰囲気をお作りになること自体、一体文部行政というものはいつの間にこういう私物化したのか。だれが言ったか、大臣が公の席上で言ったかどうか知らないけれども、県下の市町村長が非常に心配をして私のところまで何人か来ている。県会の問題にもなってきた。そういうことによって他の部面から教育界を混乱せしめるようなこと、そしていろいろの派生的な問題を起こしておるのであって、教育行政の県の責任者である伊藤委員長が、県会において、文部省に行っておわびをしてきて、そういうことのないようにいたしました、こういうことを言っておる。こういうことをだれに言ったか、聞けばわかる。また今ここである程度話をしてもいいのですが、これは具体的には申し上げませんけれども、そういう影響を与えたことは間違いない。もしそういうことが事実であれば、文部大臣はもう文部大臣資格はないのだ、事実そういうことが現われたら、文部大臣の不信任を申請すべきだとさえ私は考えておるのであって・そういう雰囲気を作っておることだけは事実である。補助金削減などということを三段がまえに書いてある。そして県民及び市町村長PTAに非常に心配をかけておるということ自体重大な問題だ。文部大臣が時に放言をしてよけいなことをあちこちにしゃべられる傾向があるので、おそらくどこかで言ったのではないかと私は思う。文部大臣が言わなければ次官が言ったか、それは知りませんけれども、その点について私はもう少し実態を——今ある程度のものは言えることは言えるのですが、差し控えますけれども、これの影響についての責任は今後とってもらわなければならぬということを私はつけ加えたいと思うのであります。  次に、来年度の小学校五年、六年についても一斉学力テスト実施するということを大臣はしばしば新聞を通じて言われております。ところが前の国会において、学力テスト実施する以前にわれわれが大臣質疑をして、こういう学力テストが問題があるので、もしその実施した結果について改善すべき点があれば改善するのか、あるいは実施しない方がいいと考えたときには実施しないかどうかということを質問したときに、文部大臣は、改善すべきものはしなければならぬと思うと私に答弁をされておるわけです。結果の集計もまだしていない、こういう結果も出るかまだわからないうちに、中学校の三年生のテストをやっただけで問題がいろいろと起こっておるにもかかわらず、その集計も出ていない、結果もどうなるかわからないのに、今ごろ今度は小学校五年、六年を来年実施するというようなことを発表されておることは、われわれに対する答弁に対して何らの約束をしないで無視をして、そして改善すべきものはすると答えていながら、結果も見ないでそういう放言をされるのはどういうわけですか。それについてお聞きしたいと思います。
  17. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 前国会衆参両院のたしか文教委員会だと記憶いたしますが、同じようなお尋ねがございまして、今おっしゃるような趣旨のことを御答弁申し上げたことは、記憶は持っております。実施の結果につきまして、むろん改善すべきは改善して来年に備える、来年の結果を待ってさらに改善すべきところあれば改善して再来年に備えるという考え方に変わりはございません。小学校についてもやるかというお尋ねに対して、やりますと申し上げました。それは放言じゃございませんで、その必要性考えまして、概算要求にも一応の経費を出しておるわけであります。予算折衝の結果どうなるかということまで予言はできないにしても、でき得るならばやりたいという考えでございましたから、小学校についてもやりますというお答えをいたしたと記憶いたします。それ以外のことは申した覚えはございません。
  18. 山中吾郎

    山中(吾)委員 今度の学力テストは、義務教育到達度を見るということを目的の中に一つ加えて実施をされた。そのことについて、でもそういう目的が果たすことができないような結果が出れば改善するというわれわれに対する答弁であったのに、小学校に及ぼすというようなことまで言われれば、あまりにもわれわれを無視しているのではないですか。義務教育到達度というところから離れて、別なまた全国一斉の学力テストになる。だから私は放言だと申し上げているのです。そんな無責任な、こういういろいろな教育上の問題が疑義もあるのに、そういう思いつきの、そして国会におけるわれわれに対する答弁に対して無責任な、新制中学の問題を、小学校を飛び越えて義務教育到達度を見るということを主眼に説明しておりながら、中間の小学校に及ぼすというようなことをあなたが言われたので、それは国会に対する答弁責任をお持ちにならない放言じゃないですか。答弁していただきたい。
  19. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 中学学力調査が、日程に上った現実問題でありますから、そのことについてのお尋ねに対して主としてお答えを申し上げ、小学校についてもやるつもりかというお尋ねがあったから、小学校についても来年はやろうと思っておりますという趣旨のことをお答えしたのであって、改善すべきは改善するということは、学力調査をなしますことそれ自体に基本的な欠点があってやるやらないということではなしに、やり方について改善すべきことがあればむろん改善するにやぶさかでないし、当然の私どもの職責でなければならぬ、こういう認識に立ってお答えをいたしております。  そこで小学校についてやりますことは、義務教育であることは同じであります。ただ小学校における到達度中学校における到達度という違いがあるのであって・義務教育到達度責任上知って、将来に向かっての改善根拠にする、合理的な科学的な根拠を得たいという趣旨は同様でございます。放言でも何でもございませんことは、先刻も申し上げましたように、三十七年度の概算要求は、小学校についてもやりたいという希望のもとに概算要求もいたしております。これは予算折衝最終結論を待たないとはっきりしたことはむろん申し上げられない課題ではございますけれども、そういうことを念頭に置きながらお答えしたわけでございまして、無責任放言をしたつもりは毛頭ございません。
  20. 山中吾郎

    山中(吾)委員 テスト目的ではなくて手段でありますから、そのテストの結果が出ないと改善なんというのは、するかしないか出やしないじゃないですか。大臣テストをやることが目的だと考えている。九〇%やったから成功した。それで目的を果たしたとお考えなのですか。テスト一つ目的を果たすための手段でしょう。だから結果が出なければ改善するかしないかということはわからないじゃないですか。その結果を見て、将来改善すべきものをしてからとわれわれに答弁をされているはずなんです。実施したことによって何が、われわれに対する答弁責任のある、改善をすべきものはするという精神で、来年は小学校まで及ぼすのだということが脅えますか。それはおかしいじゃないですか。
  21. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 学力調査は、御承知の通り、何度もお答え申し上げた通り、五年前から、抽出テストではありますけれども、やり来たっております。その結果は非常に役立っております。さらに一歩を進めて悉皆調査にするならば、さらにより多き信憑性を持ったものが得られるであろうという考え方に立って全国一斉調査をいたしたのであります。調査をやることそれ自身は、むろん教育改善のための手段であることは御指摘の通りであると私も心得ております。しかしその手段でありますけれども、その手段は今後も続けるに値する手段であることには間違いないと心得ております。それは抽出調査の五年の経験に顧みてそう認識しておるわけであります。中学についてそういう考え方のもとにやりました。やった結果はむろん最終的な調査完了を待っていろいろな分析をいたしまして、その分析の意味するものをとらえて改善に資するという段階にならなければ完全な評価はむろんできませんけれども、しかしそのやり方について改善すべき点があるならば、実施を担当いたしました段階人々の建設的な御意見も承って改善するにやぶさかでない、それは当然のことである。そういう改善をいたして参りたいと以前からも考えておりますし、今でもそう思っております。そうやります。改善いたします。その改善の示唆を小学校にも取り入れまして、小学校テストもできればやりたい。こういうことを含めて従来お答え申し上げておるつもりであります。
  22. 山中吾郎

    山中(吾)委員 従来もやっておるというのは抽出テストなんですから、一斉全員テストと質が違うのです。今のような論理の飛躍をされて独断でそういうことを答えられることは、これは勝手といえば勝手かもしれないけれども、今までのわれわれの質疑の経過の中からそんなことは大臣は言えないはずなんです。これは三十七年度の問題になるわけでありますけれども、この集計をした結果によって四つの目的——われわれは反対ですが、わけのわからぬ多岐にわたる目的を出しておられるが、それ自体には批判をしておるのであるけれども、学習の到達度を見るとか、あるいは育英会の何か参考にするとか、教育条件整備参考にするというふうなことを目的にされて、そうしてその結果の出たところによって、なるほどやはり農山漁村においては学力テストの結果は非常に低い。これはやはり設備が不十分であるとか、あるいは無資格教員が多いとかいうふうなことが出て、それに基づいてどう改善するかということをまず大臣の方で予算の中に現わして、そういう目的を果たすについてはこの学力テストの結果では十分出てこない、あるいは抽出テストで十分なんだ、全部をやったためにかえってこういう教育条件整備参考にならない不適当なテストであるというような結果が出て、初めて私はわかると思う。これは絶対間違いないと思うというような、そんな独断大臣が、自分権力の座にすわってそういうことを放言されることは心外にたえない。われわれの今までの論議というものは何の役にも立たない。しかもこの新制中学テストを続けると言うかと思ったら、そうではなくて、今度は拡大をして幼い小学校の、心理的影響が非常に強い、しかも一時間か二時間のことでどこかで子供劣等感を与えたりいろいろなことを与える心配が倍加するような小学校に及ぼすというようなことを放言されるのは心外にたえない。どこにも教育的な配慮がないじゃないですか。こうして混乱をしておる最中に、なおそういうことを言うのは悪趣味ですよ。小学校義務教育到達度じゃないですよ。もっとそういう点については大臣責任を持って、放言をするにしても責任を持ってもらいたい。高等学校の急増問題にしても、教科書問題にしても、何の問題にしても、放言ばかりされて、結果は新聞を見たって少しも実現されそうもないじゃないですか。義務教育のための教科書を無償にするというだけの高邁なる識見を持っておれば、こんな父兄に負担をかける二割増しに賛成をされる放言をされるような矛盾した言動はどこにありますか。そういう意味において、文教政策全体について、やははり大臣思いつきでなしにもつと真剣にやってもらわないと、われわれは文部大臣をもう信頼することはできないぎりぎりのところまでわれわれも考えざるを得ない。その点は十分に戒心をしてもらう必要があると思う。きょうはそういうことにわたって論議をするつもりはないので、次の機会にまた論議をしたいと思います。  次に、学力テストのことについてお聞きしたい。岩手の場合について警察当局及び検察当局が百人以上家宅捜査をしたり、それから前には十二人の学校長を逮捕したり、この間はまた組合執行部全員を逮捕したというふうな、確実に弾圧と言っていいような行き過ぎをやっておるのでありますが、その理由地公法の三十七条に規定する争議行為理由にしておる。他の県においては公務執行妨害とか、そういうことでやっておるのに、岩手の場合については少しもそういう公務執行妨害などのようなことはやっていない。ぎりぎりの線まで組合教育委員会が話をして、二十五日の暁にちょっとした意見の相違によってまとまらないで学力テストを拒否する行為に出たが、授業はしておる。PTAその他も子供の前で紛争を起こさないようにして、何らそこに問題は出ていないのであって、学力テストについて教育的にどうも疑義があるというので平常授業をやったにすぎない。ところが警察においては、岩手に限って地公法三十七条に規定しておるところのいわゆるその他の争議行為に該当するということで、どこからの指令か知らないが、ああいう強行捜査をやっておるわけです。私はその点について県の警察本部長にも言ったのでありますけれども、何が争議行為なのか、テストを拒否する行為争議行為か、そうではありません、職務命令に違反した行為だからというのです。そうすると、テストをやるということがいわゆる教育活動か、あるいは調査事務かということで、これはまだわれわれ文教委員会にも出ておらないのです。従って教育行政の問題として結論が出たときにおいてのみ私は警察捜査を開始すべきものだと思うのに、警察自身が勝手に先生の平常授業をしたことを争議行為だと解釈して捜査を始めておるということは、教育行政警察権によって干渉しておることだと私は思うのです。教育行政自主性からいえば、その警察捜査はけしからぬ、教育行政の問題の中において処理すべきものを警察権力介入することはよくない、そういう警察権力介入しないようにせよと、地方教育委員会または学校長に助言をするのが、教育行政を守るための文部大臣の本来の任務だと私は思います。ところが教育委員会がいろいろ悩んで論議をしておるうちに、しかもその捜査目的争議行為であるということに勝手に解釈して、しかもその争議行為の内容は、職務命令違反行為ということで説明をしております。これはまだ委員会において結論を出していないのです。私は当然文部大臣は、教育界自主性を保つため、教育の中立性を保つために、警察捜査は待てということを助言するのがほんとうだと思いますが、いかがですか。
  23. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 警察権がどういう法的根拠に基づいて発動されておるかは、文部省の関知するところではないと思います。文教行政文部省が法規に基づいてなすべきことは当然やるということで一応ケリがつくのでありまして、それに関連した刑事問題あるいは警察権の執行、発動があったこと、そのことについて直接かれこれ申す立場に私はないと思います。
  24. 山中吾郎

    山中(吾)委員 そんなばかなことをおっしゃるから、おのずから教育行政というものが他の権力によって支配されてくるのである。他県の方においては、公務執行妨害とか、建築物不法侵入であるとか、暴行傷害であるとか、公文書毀棄とか、そういう理由警察は動いておるわけです。そうではなくて岩手の場合は勝手に、教育行政において判断すべき、いわゆる今度の学力テストが適当でないといったその行為自体捜査目的であると言っておる。ところが教育委員会においてはまだ結論を出していない。それを勝手に向こうの方で授業中の校長さんを引っぱっていったりするときに、警察は勝手にやっておる、われわれの関知するところでないということは、文部大臣自身教育を守る責任を捨てておるのじゃありませんか。理由が違うじゃないですか。そうではないですか。
  25. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 文部大臣という立場は、教育について責任を持つ立場だと思います。警察権は、法規に基づいて警察権が発動すべしと信じて行動する立場にある。警察当局がどういう法的根拠に基づいて行動したかは、警察権みずからの責任において適切でないかあるかについて負うべき問題であって、そのこと自体文部大臣がかれこれ言う立場にはない、こう理解しております。
  26. 山中吾郎

    山中(吾)委員 今、どこか出かけるところがあるそうですから、一応質問を中止して、大臣がまた帰ってきたらやりたいと思います。今のようなことで、あなたのいう文部大臣責任教育を守るという義務を一つ考えられていないということはたくさんありますから、一応これは中止して、お帰りになったらまた質問をいたします。
  27. 竹下登

    竹下委員長代理 暫時休憩をいたします。    午前十一時五十一分休憩      ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕