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楢崎委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま
議題となっております
農地開発機械公団法の一部を
改正する
法律案に対して、反対討論を行ないたいと思います。
農地開発機械公団法の一部を
改正する
法律案の
改正趣旨は、昭和三十七
年度からかなり抜本的な改革を加えまして、同
公団の整備強化をはかろうとするものであります。この
公団は昭和三十年十月、世銀や見返り
資金等からの借入金で
発足したわけでありますが、自来今日まで無出資であった同
公団に対して、今回一億五千万円の政府出資を行なうこと、またブルドーザー等を主とする国有
機械を
計画的に現物出資として
公団に移管すること、そして新しく
修理業務を加えること、さらに一億五百万円に上る
公団の欠損金を一挙に一掃するために欠損補てん
補助金を交付する等々、私はそのいずれをとってみましてもきわめて重大な
改正であり、これらの措置は同
公団の再建というよりもむしろ再出発、新
発足とも言える大改革であろうと思います。
以下、この
改正案に対し、われわれが反対する
理由を具体的に申し上げたいと思います。
まず第一に、この
法案の本
委員会における
審議運営についてであります。ただいまも申し上げましたように、いろいろ問題の多いこの
公団の再出発に対し、この機会を通じまして十分時間をかけて
検討審議し、そのあり方を正し、同
公団が本来の目的に沿って十分な活動ができるように
審議すべき任務を持つこの
委員会が、昨日わが党
足鹿委員の
質問の最中に、突如として与党
委員によってこの
法案と全然
関係のない別の
法案を、しかもそれぞれ異質の四つの
法案を一括
審議すべしという緊急動議を出され、
委員長はわが党との話し合いもすることなく、これを一方的に採決して、その四
法案に対する
審議に入るというようなことは、かつて
国会運営上慣例のない暴挙でありまして、これは
国会正常化について税在与野党が努力しているさなかに、まことに遺憾千万といわねばなりません。
次に
法案の
内容でありますが、本
委員会の
審議を通じ、あるいは
行管の勧告、
会計検査院の検査を通じて、現在までの
公団運営がいかに放漫であり、ずさんであり、でたらめであったかが明瞭になったのであります。そうしてそれらの集約が今日までの
公団の膨大な
赤字になって現われておるのであります。しかもその
赤字発生の原因は、
公団自体の
運営能力の欠除にあったことはもちろんでありますが、
公団の業務
計画あるいはその実施に対する国の行政
指導、すなわち
農林大臣の
指導がほとんど行なわれていないという事実によるところが大きいのであります心たとえば
事業量不足による
機械の稼働不足、また
予算や業務方法書の
認可の
遅延等々、政府はおのれの行政
指導を完全にサボタージュし、
公団を放置しておったのであります。政府の責任はまことに重大といわなければなりません。
しからば今回の
改正においてこれらの問題点はどう対処せられようとしておるか。今後における国の行政方針と
公団事業との結びつきは法的にも制度的にもまた実際の
運営の上からも全く断ち切られたものでありまして、の確保等についても、何らの保証はないわけであります。あまつさえ老朽化した国有
機械を
公団に押しつけ、収支償う見込みの薄い
修理業務を追加して、さらに
赤字発生の要因を将来に残しておるのであります。しかも今後の
資金計画、業務
計画は、この
公団再出発の現在においてすら、まだ具体的な
検討も終わっていないという全くお話にならないでたらめな驚き入った醜態といわなければなりません。国民の血税から一億五百万円という多額の
赤字穴埋めをし、他方一億五千万円の出資をして再出発をさせようという
公団に対しまして、このような政府の無為無策、放漫政策に対しては、われわれは断じて承服できません。また再出発を迎えた
公団自体のかまえもその
事務的あるいは技術的
運営能力の点においてはなはだ貧弱なものがあります。
最後にわれわれが特に反対をする
理由のものは、この
公団の人事についてであります。まず
公団発足以来昨年九月三十日まで
理事長をしておられました成田
理事長は、膨大な
赤字を累増させた最高の責任者であります。ところがことに
赤字のひどかった三十五
年度の山梨県災害復旧工率は
会計検査院からも不当事項として
指摘をされ、そのために成田
理事長は直接の部下である
理事二名、ほかに職員二名に対し引責のかどで
辞任さしていながら、本人自身はみずからの責任を明確にすることなく、膨大な
赤字をかかえている
公団から一千二百万円という多額の退職金をつかんでのうのうと愛知用水
公団理事長として転任されたのであります。
理事長の任命は
農林大臣であります。部下に責任をとらしてやめさした
理事長は本来ならば、御自身の判断で責任をとり、出所進退を明確にすべきでありますが、もし本人自身にその反省がないとするならば、任命権者である
農林大臣が当然この
理事長に対し、長がその部下を
処分したと同じようにその責任を追及するのが、法の精神から言いましても、公僕の立場から言いましても、また社会通念から言いましても当然のことではないでしょうか。この点それは大した問題ではないと言われる
農林大臣の態度は全く了解に苦しむものでありまして、
大臣が
大臣なら
理事長も
理事長だとあぜんたらざるを得ません。
次に現
理事長の松本氏であります。同氏は、昨年十月、東北開発株式会社の
理事から当
公団理事長に栄転されてこられたのであります。同氏は常日ごろから、おれは河野の直系だということを豪語されていた方でありますが、東北開発株式会社
理事をおやめになった
理由は、すでに衆議院
決算委員会で明らかにされておりますように、東北開発株式会社の汚職に一部
理事がひっかかっておりますために、役員全員が職務違反、怠慢の責めを負ってやめられたのであります。従ってまだ御本人には東北開発株式会社の退職金も今もって保留になっておるのであります。もちろん御本人の人格、識見とは直接
関係のない汚職事件であるとは言いましても、やめられた
理由は明らかに職務怠慢による引責辞職でありまして、このような人をわざわざ問題の多い当
公団の役員に、しかも
理事長に栄転させるということは、これは単に松本氏個人の問題に属することではございません。事柄は高級役人の人事
一般に関する重要問題であります。さらに
公団のかかえている、顧問嘱託も、
行管が勧告しておりますように全く飼い殺し的存在でありまして、国費の乱費、冗費これに過ぐるものはございません。以上新旧両
理事長の人事は不法ではないとしても、明らかに正当性と適格性を欠いた不当人事といわざるを得ず、任命権者である河野
農林大臣の情実人事に対する責任はまさに重かつ大でありまして、すみやかに反省の上、その善処方を要請する次第であります。
以上、私はこの
公団法の一部
改正について反対の
理由を申し述べましたが、以上の点はおそらく与党の皆さんといえども賛同される点の大きいものがあろうと思いますがゆえに、私の反対討論に御賛同を得ますように
お願いいたしまして、討論を終わる次第であります。(拍手)