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1962-03-29 第40回国会 衆議院 農林水産委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十九日(木曜日)    午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 野原 正勝君    理事 秋山 利恭君 理事 小山 長規君    理事 田口長治郎君 理事 丹羽 兵助君    理事 山中 貞則君 理事 足鹿  覺君    理事 石田 宥全君 理事 片島  港君       安倍晋太郎君    飯塚 定輔君       大野 市郎君    金子 岩三君       仮谷 忠男君    草野一郎平君       倉成  正君    小枝 一雄君       坂田 英一君    綱島 正興君       寺島隆太郎君    内藤  隆君       中山 榮一君    福永 一臣君       藤田 義光君    松浦 東介君       米山 恒治君    角屋堅次郎君       川俣 清音君    栗原 俊夫君       栗林 三郎君    東海林 稔君       中澤 茂一君    楢崎弥之助君       西宮  弘君    芳賀  貢君       安井 吉典君    山田 長司君       湯山  勇君    玉置 一徳君  出席政府委員         農林事務官         (農地局長)  庄野一郎君         農林事務官         (振興局長)  齋藤  誠君  委員外出席者         議     員 石田 宥全君         農林事務官         (農地局参事         官)      富谷 彰介君         農林事務官         (農地局管理部         長)      丹羽雅次郎君         農林事務官         (振興局参事         官)      橘  武夫君         農 林 技 官         (農事試験場農         機具部長)   鏑木 豪夫君         参  考  人         (東京農工大学         教授)     近藤 頼巳君         参  考  人         (日本農機具工         業会会長)   井関邦三郎君         参  考  人         (農業機械学会         理事長)    二瓶 貞一君         参  考  人         (農地開発機械         公団理事長)  松本  烈君         参  考  人         (農地開発機械         公団理事)   下川 善之君     ————————————— 三月二十九日  委員栗林三郎君及び山田長司辞任につき、そ  の補欠として栗原俊夫君及び芳賀貢君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員栗原俊夫君及び芳賀貢辞任につき、その  補欠として川俣清音君及び山田長司君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員川俣清音辞任につき、その補欠として栗  林三郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  農業機械化促進法の一部を改正する法律案(内  閣提出第四一号)  農地開発機械公団法の一部を改正する法律案(  内閣提出第五三号)  土地改良区の財政再建に関する特別措置法案  (石田宥全君外十四名提出衆法第五号)      ————◇—————
  2. 野原正勝

    野原委員長 これより会議を開きます。  この際、芳賀貢君より議事進行に関して発言を求められております。これを許します。芳賀貢君。
  3. 芳賀貢

    芳賀委員 昨日の当委員会におきまして、ただいま審議中の畜産物価格安定法の一部を改正する法律案関連しまして、今月の二十六日に農林大臣畜産物価格安定法に基づく畜産物価格審議会諮問を発したわけでありますが・その諮問趣旨がわれわれ国会の承認を受けて審議会に参加している委員といたしましても不明な点が非常に多いので、昨日は当委員会において畜産局長から諮問趣旨について答弁を求めたわけでありますが、依然として明確な態度が表明されなかったわけであります。従って昨日は委員長のお計らいによりまして、本日午前十時に農林大臣出席を求めて農林大臣から責任ある見解を聞くことになっておったわけでありますが、いまだに農林大臣並びに主管の畜産局長の御出席もありませんので、出席できない事情等があれば調査の上、委員長からその事情についてお知らせを願いたいわけであります。
  4. 野原正勝

    野原委員長 昨日、芳賀委員お話もありましたので農林大臣に御出席をいただくように連絡をいたしましたが、まだ出席がないわけでございます。畜産局長にはけさ連絡をいたしましたが、まだ出席はございません。いずれ出て参られると思いますけれども、きょうは三番町の方で審議会をやっておるので、あるいはその方の時間とかち合っておるのじゃないかというふうに想像いたしますが、いずれ調査いたしまして、なるべく早い機会出席をしてもらってはっきりとその辺の政府見解をたださせたいと思います。
  5. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは今委員長発言された趣旨に基づいて、本日の委員会議事の予定もあると思いますので、この点は保留をすることにしておきまして、本法案審議の過程において、今後重要な点でありますので、ぜひ農林大臣から直接法律に基づく審議会に対して諮問を行なうような場合の運営基本については明確にしてもらう必要があると思いますので、この点は委員長においてしかるべく取り計らっていただきたいことを希望申し上げまして、本日は発言保留をしておきたいと思います。      ————◇—————
  6. 野原正勝

    野原委員長 石田宥全君外十四名提出にかかる土地改良区の財政再建に関する特別措置法案を議題とし、審査を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小枝一雄君。
  7. 小枝一雄

    小枝委員 私は簡単に提案者代表石田委員お尋ねをいたしたいと思いますが、この土地改良区の財政再建に関しましてはわれわれも同様に憂えておる一人であります。石田委員承知のように、わが国土地改良事業はいわゆる食糧増産対策としての施策行政措置というものが一応終止符を打って、農業基盤整備という方向で進められております。しかしわが国土地改良はこれが食糧増産対策であると農業基盤整備であるとのいかんにかかわらず、農業を将来行なっていくということは、要するに土地と水ということが絶対不可欠の条件であります。そういう条件整備いたしましてこそ農業自立経営を達成せられ、農家の所得を増大し、生産性向上をはかることが初めてできるのであります。そういう意味におきましてこの土地改良区の財政再建に関する特別措置法をここに提案されたことについては私は心から敬意を表する一人であります。しかしながら、先般提案理由につきましては一応提案者から聞いたのでありますが、いま少し御所見を明らかにしていただきたい点が二、三ありますので、これについて質問いたしてみたいと思います。  まず第二条にありますところの「債務弁済が著しく困難な土地改良区」ということでありますが、実はわれわれもこの点につきましては石田委員と憂いを同じくいたしまして、農林省当局に対してもこの問題について一応どの程度のものが再建に必要なる土地改良区であるのか、それに対する財政的な処置はどうあるべきか、そういうものについて基礎的な調査をすることを要望いたして参ったのでありますが、著しく困難な土地改良区というのは具体的に申しますと大体どの程度のものであるか、それについてのお考えがあれば提案者から伺っておきたいと思います。
  8. 石田宥全

    石田(宥)議員 お答えいたします。  ただいま小枝委員から御質問がございました問題の前段の行政確保に関しましては、これは私ども水資源開発公団設置に関しましても態度を明らかにしたのでありますが、さらに水資源開発との関係の上に立って抜本的に土地改良法改正をいたしまして行政確保をはからなければならないと考えておる次第でございます。  第二条の「債務弁済が著しく困難な土地改良区」云々ということで、どの程度あるかという御質問でございますが、この点は実は農林省当局が従来みずから権威ある調査をなかなかいたしませんで、土地改良全国連合会委託調査等をいたして参りましたが、全国連合会におきましてもこれがサンプル調査の域を脱しておりません。従って正確な数字をここで申し上げることはきわめて困難でございます。しかし昨年末に行なわれた農林省調査の中で償還金延滞をいたしておる組合の数、あるいはまた債務弁済が困難なためについに金融機関から不動産の差し押え等を受けて混乱をしておる地区等が相当多くなって参っておることは御案内の通りでございまして、私どもの手元にありまする債務弁済延滞しておりまするものは、一カ年以上の延滞というものは、二千四百九地区のうち二百三地区、一カ年未満が四百八十二地区、こういうことになっておるようであります。なおこれは当局側でも目下それがため運営混乱に陥っているような地区等もあるようでございまして、それらの問題については数字的なものは一つ当局側から答弁していただきたいと思います。
  9. 小枝一雄

    小枝委員 今、石田委員からも当局から答弁させるというお話でございました。それでは管理部長お尋ねしたいと思うのですが、こういうただいま質問いたしましたような数字的な基礎について調査ができておればそれを明らかにしてもらいたい。この問題については実は昨年の農林水産委員会においても石田委員中心として、この案が提案をされ、その当時に農林省当局に聞きましたところが、農林省当局では、どうもまだ的確な数字が把握できないから、これは準備ができるまで一つ待ってもらいたいというふうな意見もあったのですが、大体調査ができておればその数字を明らかにしてもらいたいと思います。
  10. 丹羽雅次郎

    丹羽説明員 土地改良区の不振の状況調査につきましては、昭和三十五年の十月現在で農林省全国土地改良協会委託をいたしました調査一つございます。石田委員から御提案本法につきましての提案理由説明の中にございますところの不振団体の数三百二十九、負債額五十四億、延滞金八億八千万円というこの数字は、三十五年十月現在におきます全国土地改良協会に対します農林省委託調査の結果の数字でございます。農林省といたしましては、この問題の重要性にかんがみまして、三十六年の三月三十一日現在で農林漁業金融公庫あるいは農地同等を通じまして調査を重ねてやった次第でございます。その結果について申し上げますと、土地改良区は全体で一万三千余ございますが、この中で公庫に対します延滞金、一日でも二日でも延滞に入っておるもの、これは六百八十五土地改良区でございます。このうち延滞の度合いによりまして区分いたしまして、一年以上延滞になっておるものという数字は先ほど石田委員からお話ございました二百三組合でございます。それから一年から六カ月の間の延滞にあるものが五十二組合、それから六カ月未満延滞というものが四百三十組合、六カ月未満のものには一日、二日というようなものも含めての延滞でございます。延滞額につきましては総額で八億七千六百万円が公庫に対します延滞ということに相なっておりますが、このうち一年以上の延滞額は六億七千万円、こういうような状況でございます。
  11. 小枝一雄

    小枝委員 石田委員にもう少し細部にわたってお尋ねいたしたいのですが、この第二条第四項の「再建整備計画」というのがここにありますが、これに対しまして農林漁業金融公庫または農林中金から受けることを必要とする援助内容ということでございますが、これは内容についてはまだそこまでは御準備ができておらぬと思いますし、その点については聞こうとは思わないのであります。ただ農林漁業金融公庫または農林中央金庫ということになりますと、御承知のように農林漁業金融公庫農林中金からは融資の方法が違います。期限におきましてもまた金利におきましても、そういう問題において非常な差がありますから、これは農林漁業金融公庫を主とするものであろうと思うのであります。しかしながら農林中央金庫からも、その土地改良区の財政内容によりまして融資を受ける、あるいは援助を受けることが、これもまた当然あるかと思いますが、その程度その分量をどこによってこれを受けられようとするのであるか、そういう問題についての御所見を伺いたい。
  12. 石田宥全

    石田(宥)議員 小枝委員指摘通りでありまして、大部分は農林漁業金融公庫融資でございますが、ただつなぎ融資であるとか、事業のやりくりの面等では農林中央金庫を利用する場合が多いのでありまして、これは短期かつ金利の高い、その点でそれらのつなぎ融資あたり関係でやむを得ず融資を受けておるものが多いのであります。そうしてその中金の関係というものは従って本質的な問題とはならないと思うのでありますけれども農林中金性格等からいたしまして、やはり援助すべき面も当然出て参ると思いますし、今申しましたように公庫との関連において援助措置をとるべきものである、かように考えておる次第であります。
  13. 小枝一雄

    小枝委員 次に財政的処置でありますが、これは主としてやはり金利補給であるとか、そういう点についてお考えになっておりましょうか。
  14. 石田宥全

    石田(宥)議員 これは当然償還期限延長と、それからその延長期間における利子補給、ここに主眼を置いたものでありまして、御承知のように土地改良事業経済効果が上がって参らないうちに償還に入って参りますと、非常に困難を伴って、それがため事業不振に陥るような場合が多いのでありまして、それらの点を勘案いたしまして、一定期間償還を延期して、その延期中の利子補給する、この二点だけでその間運営指導よろしきを得て再建をしようというのが本法案のねらいとするところでございます。
  15. 小枝一雄

    小枝委員 この案によりますと、都道府県知事がいろいろな計画を立て、またこれに対して都道府県援助をする、そういうことになっておりますが、これは御承知のように国営事業関連する土地改良区あり、県営あるいは団体営に関する土地改良区あり、種々雑多でございますが、これはどの程度のものに適用しようとされるのであるか、それをお尋ねしたいと思います。
  16. 石田宥全

    石田(宥)議員 御指摘通りでございまして、国営県営団体営といろいろございます。しかし県営におきましても、やはり地元の府県知事指導助成等に対する、また計画立案等に対する関係が相当深いものがございますので、やはり国営といえども府県知事の責任において再建計画を立てしめ、そして府県も相当な援助をし、府県援助をした場合において最終的にさらにそれに対して国が援助をする、こういう建前をとりたいと考えておるわけであります。
  17. 小枝一雄

    小枝委員 次に簡単にお尋ねをしておきたいと思いますことは、財政的処置であります。そういう問題につきまして、これは御承知のように、どうしても県の財政一つはたよらなければならないし、また国の財政的処置というものが当然必要になってくると思います。それに対する国の資金の援助というものは大体どの程度のものになっておるかということについて、御見当をおつけになったことがあるかどうか、これについて伺いたいと思います。
  18. 石田宥全

    石田(宥)議員 御指摘の点につきましては、実はこれはすでに農林省におきましても、ケース・バイ・ケース再建計画を立て、県も応分の援助をし、金融機関もそれにそれぞれ援助をする再建事業がございます。しかし再建計画を立てたならば国全体でどのくらいの予算措置が必要であるかというところまでは実は計算はいたしておりません。これは時限立法といたしまして、一定期間のうちに財政再建を必要とすると認めたる府県知事再建計画を樹立いたしまして、それに基づいて予算措置をするということでありまして、いきなり予算措置をするということでございませんので、その準備段階準備期間が相当ございますから、その後に財政的な措置をする、こういう考え方に立っておるわけであります。
  19. 小枝一雄

    小枝委員 大体私の聞かんとするところはお尋ねしたわけでありますが、そこで私は最後に石田委員に政治的な立場から一つ所見を伺っておきたいと思います。  この法律案は、実は先回御提案になりましたときに、ちょうど坂田君が委員長時代に、いろいろ苦心をされて委員会内の調整をとられたことがあります。その当時は、この案についてはむろん異論のあるはずはないと思ったのでありますが、一応御趣旨には賛成である、しかしながら、いまだいろいろな準備が十分でなかったりするようなことがあって、実は今日に至っておると思います。御承知のように、今土地改良については、この石田委員ほか皆さんから御提案になっておるような御趣旨の点が必要であることはもとよりでありますけれども、また土地改良法というのがありますことは御承知通りで、この土地改良法は御承知のごとくもう長い間改正されておりません。しかしながら、わが国農業というものは自来長足な発展を遂げ、あるいは変化を遂げてきております。ことに御承知のごとく昨年は農業基本法成立をいたしまして、それらの関連立場から、あるいは食糧増産対策から、さらに農業基盤整備、こういう幾多の重大な問題を経まして、内容的にも非常な変化が起こっております。そういう意味におきまして、この再建整備が必要でありますと同時に、土地改良法を根本的、抜本的に現在の農業に適するがごとく改正する必要があるということは、石田委員も十分御承知であろうかと思うのであります。そこでわが自由民主党といたしましては、実はその点に思いをいたしまして、今党内にも土地改良法改正の小委員会を作りまして、目下検討いたしておる。参議院の重政庸徳君を委員長にいたしまして、もうすでに十数回にわたって委員会もやって、でき得るならばその成案を得て、この国会提案をしたい。もしもこの国会に間に合わなければ、次の国会に間に合うようにこれを整備させようということで、実は鋭意努力をいたしております。実はこれも、石田委員を初め農林委員皆さんの中にも非常にそういう熱烈な御要望があるということを考えてやっておるわけであります。そこで、これもそういう問題に関連することがあるのでございますから、実は私どもの党は、今直ちにこれをのめと言われましても困難な事情にある。しかしこの法律内容に盛られておる趣旨に対しては、われわれも決して反対するものでないばかりでなしに、これは積極的に実現させたいという熱望を実は持っておる。そういう場合でございますが、でき得るならばこの案をさらに拡大されまして、将来わが党の案もでき上がることになると思いますけれども、そういう時期を待って、近い将来これが政府提案として出ればお互いに提携してこれを検討する。あるいはまた政府提案としてこれを出すことができないというならば、共同提案にしてでも、土地改良法全体に対するものを一つやったらどうかということにわれわれとしては今考えておるわけでございます。これに対して石田委員はどうお考えになるか、これはちょっと御意見を伺っておきたい。
  20. 石田宥全

    石田(宥)議員 お答えいたします。  実は本法案は第三十八国会で当初提案をいたしたのでありますが、当時坂田農林水産委員長のもとに、でき得れば両党共同提案成立をせしめたいという意図のもとに、これは野党としては最大限譲歩をいたした立場において立案をいたしたのでございますが、農業基本法との関連等もございまして、これがスムーズに成立を見なかったのでございます。その後坂田委員長中心といたしまして、少なくとも財政再建に関する法案成立をせしむべきであるということで、当時の農地局長も参加を願いまして、数回懇談を遂げて、ある程度までこれは成立可能性も出て参ったのでありますが、会期末の混乱等ため成立を見なかった次第であります。そういう経過がございますので、もしこれが政府提案なりあるいは両党共同提案というような形がとれるといたしますならば、私どもは喜んで本法案を撤回いたしまして、共同提案に持ち込みたいと考えておるわけであります。  土地改良法全体の改正関係でありますが、これは社会党におしきましても、現在の土地改良法が時代的にもきわめて客観情勢が変わっておりますので、抜本的な改正を必要とするであろうということで、社会党の中におきましても抜本改正について今要綱を整備中でございます。農業基本法との関連におきまして、農業機械化近代化をはかる上におきまして、土地改良が現在のような状態であっては、わが国農業国際農業の中に立っていけるはずがございませんので、それらの点については思い切った本法抜本改正を必要とすると考えるのであります。この点は意見の一致するところであろうと考えておる次第であります。ただ、しかしながら、抜本改正を近くすることができるとすれば、今急いで財政再建に関する法案成立をさせる必要はないじゃな、かというような意見も伺えるのでありますが、私どもは現在の状況から見まして、従来の不振土地改良団体になった原因というものを尋ねてみますと、きわめて雑多なものがございまして、たとえば国営県営団体営との関係が、連絡が不十分であったり、あるいは計画、設計の変更が行なわれたり、あるいは理事者運営よろしきを得ないため財政的に不振に陥ったり、あるいは中にはまた、これは新潟県などの特殊事情かも存じませんけれども、愛知県などにも相当あります、それは同じ土地土地改良団体が幾つもダブって参ります。新潟県の一部にこういうところがございます。土地改良団体四つもダブっておる。一枚のたんぼ四つ土地改良団体の経費が付加されておる。それが工事費とか維持管理費だけであればよろしいわけでありますけれども事務人件費等がそれぞれかさんでくる。四つ土地改良区がある上に、さらに水害予防組合が三つある。そうすると、七つのものが、一枚のたんぼに負担がかかってくる。こういうようなものはやはりこの機会再編整備をはかるべきであって、そういう態勢がこの財政再建との関連において整備されなければならない。そういう点から考えますと、やはり土地改良法抜本改正については農林省当局も相当熱意を持って取り組んでおられるようでありますけれども、なかなか多面的であり、問題は複雑でございますから、そう簡単にこの法の抜本改正ができないのではないかという見方もされておりまするときに、とりあえずは団体の組織の再編財政再建をはかりませんと、農民は土地改良団体なり、あるいは県や政府に対する不信感が相当高まっておりまするために、前向きに積極的な土地改良事業を行ない得ない恨みがあると私は存じまするので、やはりこの財政再建に関する法案というものは早急に成立をせしめたいと考えておるのでありまして、できれば社会党法案は撤回をいたしまして、自民党と共同提案の形で本国会成立をせしめたいと実は要望いたす次第でございます。
  21. 小枝一雄

    小枝委員 私はこれでやめます。
  22. 野原正勝

    野原委員長 暫時休憩いたします。    午前十一時四分休憩      ————◇—————    午前十一時七分開議
  23. 野原正勝

    野原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。栗原俊夫君。
  24. 栗原俊夫

    栗原委員 石田宥全君外十四名提出土地改良区の財政再建に関する持別措置法案、これに関連して、もちろん提案者石田君にいろいろと御質問を申し上げるわけでありますが、これに関連して政府当局のいろいろな御所見も承りたいと考えておるわけであります。  先ほど小枝委員からの質疑によって、政府当局から三十六年三月末現在の全国土地改良区は一万三千である、そのうち延滞という形で不振の姿をとっているものが六百八十五である、こういうお話でありますが、農地局長からこの点をいま一度御確認を願いたい、このように考えます。
  25. 庄野五一郎

    庄野政府委員 先ほど管理部長から御説明を申し上げました土地改良区の総土地改良区数が一万三千百七十九で、そのうち一年以上、あるいは一年から六カ月、六カ月未満、こういった延滞状況のものを総括いたしますと六百八十五、こう説明を申し上げましたが、その通りでございます。
  26. 栗原俊夫

    栗原委員 そのような延滞を持っておる土地改良区の規模別の内訳、たとえていいますならば、その中で国営土地改良関係した団体都道府県県営関係土地改良関係した団体、それ以外、こういうものの分類ができましょうか。
  27. 庄野五一郎

    庄野政府委員 ただいまのところでは国営付帯の団体土地改良、あるいは単独の県営の付帯、そういう区別をもって調査しておりませんので、中身はわかりかねます。
  28. 栗原俊夫

    栗原委員 そこでお聞きしたいのは、こういう延滞を起こす、言い方をかえれば不振土地改良団体が発生する原因、これについていろいろ原因がございましょうが、その原因のごくおもなものを二、三あげて一つ説明を願いたい、このように考えます。
  29. 庄野五一郎

    庄野政府委員 そういう不振といいますか延滞が起こったりいたしておりますおもな原因と考えられますものは、大体土地改良の施行中あるいは施行後におきます災害の発生という問題が一つございます。それから負担金がよく集まりにくいというものの中には、先ほど申しました災害による負担過重の問題が出てくる、あるいは土地改良区の土地改良事業事業効果が十分発生してない場合がある、あるいはそれが多少違って、受益者の一部のところには発生しているが、受益者の一部にはまだ十分発生してない、こういうことから負担金が集まりにくい、それが原因になっている。こういった事業効果の未発生の問題がございます。それからもう一つのおもな理由といたしましては、土地改良区の運営が非常にまずいということがいわれております。その運営の中には十分なる管理態勢がとられてないということもございましょうし、あるいはまたその中におきまして内紛が生じている、そういった場合もある。そういったものを含めて土地改良区の運営が非常によくない、そういったような原因が大体考えられる原因だと思っております。
  30. 栗原俊夫

    栗原委員 今いろいろと原因をあげられたわけでありますが、実は私が経験しておる中で、特に局長にお聞きしたいと思っておりますことは、土地改良事業の発生といいますか出発にあたって、なかなかほんとうに農民の納得を得られないままに土地改良を推し進めたいというようなこと、こういうことがかなり土地改良事業延滞を起こす、不振を起こす大きな原因になっておると考えられるのですが、そういう点を特にお考えになったことはございませんか。
  31. 庄野五一郎

    庄野政府委員 土地改良事業を開始いたしますにつきましては、土地改良法によりまして土地改良区を作りまして、そして事業を起こす、そういう事態におきまして土地改良区の設立におきましても、あるいは土地改良事業計画、これの着工という段階におきましても、それぞれ土地改良区の中の利益農民の有資格者の三分の二以上の同意をとって始める、こういうことになるわけでございます。この段階におきまして計画概要を縦覧に付する、あるいは計画書を報告してそれに対して異議を求めるという段階がありまして、そういうことで大体土地改良区の事業の実態というものはわれわれとしては周知徹底されているもの、こういうふうに考える次第でございます。やはり三分の二が法定数でございますが、今のところわれわれとしましてはこれは完全同意がいいのじゃないか、こういうことで実際においては三分の二を最底にいたしまして、八〇とか九〇の同意数でないとちょっと開始は慎重にやる、こういうような状態で、できるだけ地区内の納得が得られたところで着工したいという態勢をとっておりますが、一部にはそういういろいろな事情で反対の人もおる、そういう点が問題があるかと存じます。開始にあたりましては十分にこの事業の実態が農民に周知徹底するようにする、中には先生のお言葉のように上層部だけで納得しているという場合もなきにしもあらずで、そういう点で問題がある場合も多少ございます。
  32. 栗原俊夫

    栗原委員 御説明で建前はよくわかるのでございますが、土地改良区の設定が一定の地域をきめる。その土地関係ある者の三分の二以上の同意、ただいまのお話ではできれば一〇〇%、これなら問題はないでしょう。しかし最低三分の二以上の賛成があれば、かりに他の者の反対があってもこれは強制でやるという、こういう建前でございますね。そこで、そういう最低三分の二の場合には、三分の一まで反対が一応想見できるということ、それからかりに一〇〇%の人が賛成してもその事業が区画整理というようなことならばこれは地域全部にわたって行なえるかもしれませんが、灌排といいますか用水の問題のようなときには、必ずしも地域全般には水がいきかねるというような事態が、事実上は多いと思うんですよ。そういう場合に地域の中に入っておる各一筆片々が、工事については当然法的には負担義務を負わなければならぬはずだと思うのです。この点はどうなんですか。法的に土地改良地区全地域が……。
  33. 庄野五一郎

    庄野政府委員 まあ土地改良事業によりまして用水の補給あるいは排水を目的にする、あるいは用水と排水をあわせて行なう事業、いろいろございまして、やはり何らか地区内の農民に土地改良事業が利益になるということ、全然利益にならないというような場合はめったにないんじゃないか、こう考えておりますので、用水補給にいたしましても大体水がいくように計画はされておる、こういうことになるだろうと思いますが、先生の御指摘のような場合があるというようなことになれば、利益を受ける限度において負担する、こういうように土地改良法ではなっております。
  34. 栗原俊夫

    栗原委員 そういう点が概念的にはわかっておるのですが、なかなか具体的な問題になると問題が発生する余地が非常に出てくるわけなので、具体的に聞きますと、計画を立てるときにたとえば百町歩なら百町歩の地区土地の改良区に設定する、そうして工事費がきまる、またそれぞれ国営県営あるいは団体営等によって国の負担分、農民の負担分、これがきまる。そのときの負担分は一筆ごとにあるいは反当ごとに負担金というものが当然きめられて承認が得られ、工事が出発する、こう思うのですが、これはどうなんでしょう。
  35. 庄野五一郎

    庄野政府委員 計画について同意をとる場合におきましては、平均的な反当幾らの負担をするというような程度でありまして、具体的にはこの土地が幾ら、こういう計算まではまだなかなかいきかねる。大体地区内の平均反当の負担金はこの程度になる、そういうところで計画書の縦覧、報告をして同意を得る、こういうふうに相なります。
  36. 栗原俊夫

    栗原委員 そういう形で出発する。具体的にはたとえば用水、開田というようなことになるというと、一〇〇%開田できない。たとえば七〇%しか開田できない、こういうことになると開田できたものは了承した面で負担金を背負う。ところが残った三〇%は、おれのところには水がこない、また水を引こうとしない、また全部の持ち田地を水田にしても困る、こういう場面から具体的に水を引かない、こうなってくると引いたものは負担金はオーケーではあるが、引かないものはこれは払えない、こういう立場にこれは立ってくる。具体的には個人であっても一町歩持っておるうち、七反は水を引いても三反は水は引かない、こういうときに一町歩の負担金が払えない、こういうような場面がしばしば出てくるわけです。こういう点はどのような指導で処理していこうとしているのか、この辺は実際問題になるとしばしばぶち当たる問題なので、ここで明らかにしておいていただきたい、かように考えます。
  37. 庄野五一郎

    庄野政府委員 事業が完了いたしまして、大体平均は、受益地の中の面積で割った数字が大体平均の反当負担、こういうことになるわけでありますから、実際に徴収する場合には、土地改良区の中でこれは自主的にきめることに相なると思いますが、この場合においては土地改良法によりまして受益者が受ける利益を勘案する。先生がよく御承知と思いますが、この町歩によりまして大体受ける利益を勘案してきめるということになりますので、当然その受ける利益に差等がありますれば差等がつくということに相なろうかと存じます。
  38. 栗原俊夫

    栗原委員 私、群馬の出身で、地元のことをあまり詳しく聞くことはどうかと思うのですが、たまたま妙義山ろくに団体営県営国営と三つそろって問題を起こしているのがあるので、団体営から一つ一つ指導をいただきながらお答えを願いたいと思うのです。  甘楽郡に小坂の団体営という土地改良区があるのです。ここは百町歩の計画面積で、総工事量二千万円、一反歩二万円、こういうことで仕事が始められました。関係農民は、団体営でありますから、四割補助と自己負担六割、一反一万二千円でできるのだ、こういうことで仕事を始めたわけです。ところが、いざやり上げてみると、技術的にもどうしても三十二町歩ほどしか改良できない、こういう形になりました。また時の経過によって約六、七百万工事費もふえたようです。その間、団体営でありますから、借入金の利子もふえて、大体三千万円くらいになったようであります。そこで三十二町歩ばかりの人がしょわざるを得ないという形になったわけです。残りの、水が全然引けない人たちは、こちらへは水が引けないのだから、なるほど土地改良区に調印はしたけれども、銭は払えない。かかった銭はだれかが払わなければならない。結局同じ人で一部開けた水田、それに開けないところもあるが、これに幾分めんどうを見てもらうということで、三十二、三町歩で負担する。こういうことになると、初め二万二千円でできるという出発点のものが、大体七万円かかるということなんです。しかもこれをさらに年賦で払っていけば十万円以上になるだろうというようなことで、非常に問題が起こっておるわけです。当初出発した人たちは、もちろん幹部の諸君が印判を押すことによって借入金をしておったが、とてもやり切れぬということで、これはばかばかしい話だが、たまたま町長の選挙があるのにかこつけて、ある町長候補に理事長を強引に押しつけて、そうして借りかえの判こを全部これと差しかえた。そして出発当時の人たちは判こを全部抜いてしまった。ところがその町長が脳溢血で倒れて死んでしまった、こういうことでなかなか問題が起こっているのですが、こういうときに、金が払えなければ、せっかく土地改良を行なった土地を差し押えで取られるということになると、土地改良ためにやった土地改良事業が結局土地を手放す結果になる、こういうことになるというので大問題が起こっているのですが、こういうものはどのような判断をして、どのような解決指導をしたらいいのか、一つ明快な御指導、答弁をお願いしたい、こう思います。
  39. 庄野五一郎

    庄野政府委員 なかなか明快に答弁いたしかねて、私たちもその解決にただいま苦慮している段階でございます。県ともよく相談いたしまして、また補助を受けました融資団体営の金融を受けました金融公庫ともよく相談いたしまして、その点について何とか打開の道を開きたい、こういうことで県あたりともただいまよく相談いたしておる段階でありまして、もうしばらく御猶予いただきたいと思います。これは金の負担もありまして、なかなか明快には申し上げかねるのでございますが、何とか解決いたしたい、こういう考えで群馬県当局とも打ち合わせいたしております。  この団体営とそれから碓氷の県営のもの、それから国営で申しますと鏑川のもの、これは先生もよく御承知だろうと思いますから、今解決に努力中であるということを前もって御答弁申し上げて、しばらく時間を御猶予願いたい、こういうことでございます。
  40. 栗原俊夫

    栗原委員 ただいまのは団体営の問題で、この中に今言う非常に困った問題として農民間で頭を悩ましておる。  次に、やはり同じ妙義山ろくでただいま農地局長からお話のあった、これは県営でございますが、俗称碓氷用水、碓氷土地改良区であるわけでございます。これは出発当初一億九千万円で出発いたしました。この当時大体一反歩三千円足らず、肩を泣かせれば持ち出しの金がないということで実は出発したのですが、それが途中で大きな変更がありました。初めは自然流水を頭首工で取り入れる、こういうことであったのですが、それが妙義裏に仲木ダムというダムを作る、従って工事費もはね上がって六億四千万円、今では七億円になっておると聞いております。ところがこれが計画変更の承認手続が一向にとられていない、こういうことで、初めは中金等からいろいろと借り入れて、関係農民からの負担金を集めることなしに県への負担金を納入しておったのですが、時間の経過で償還期限も回ってくる、こういうようなことで関係農民に割賦を回した。ところがそれでは話が違うでないかというようなことから、これは払い込み拒否にあいました。そこで土地改良区では、法によって市へ徴税と同じ行為によって徴収してもらう委託というのですか委任ですか、これを行なって、差し押えに出てきたわけです。ところが農民の側では、われわれは一億九千万円の線については調印をしておるけれども計画変更によって膨張したものについては何ら関知しない、こういうことで差し押えに対して大きく抵抗をしたわけであります。これに関する政府当局考え方を一つお伺いいたしたい、かように考えます。
  41. 庄野五一郎

    庄野政府委員 自然流水を頭首工で受けるかダムで受けるか、こういう点について、申請はたしか頭首工でやるという話がありまして、それをいろいろ検討して、それでは水が足らないではないかというような事情もあってたしかダムになって、ダムで縦覧公告はされている、こういうふうに私承知しております。しかしいずれにしましても変更手続を要するか要しないかという問題にも多少の論点はございますが、農民が承知いたしておるところでは、たしか頭首工でやるというのがダムになった、しかし申請のときは頭首工だったけれども計画はダムで縦覧公告した、こういうような経過もございまして、具体的にこれが計画変更の手続を要するかどうかという点には、今申しましたように多少問題点はあるかと思います。しかし農民の了解と違うというところに問題があってなかなか負担金が納まらないというふうに聞いております。これについては、今御指摘のように、負担金徴収についていろいろ市から手が打たれたわけでございますが、問題が進むに従って、県において一応代払いをするというところまで話がついておるわけでございますけれども、今後の解決をどうするかということにつきまして、さっきも申しましたように、私どもといたしましても群馬県当局と今相談して、どうしようかということを話し合い中でございます。
  42. 栗原俊夫

    栗原委員 その点が実は農民と県当局との争いになっておるわけです。その手続を完了したときには頭首工でもって水を入れる、その金額は総工事費が一億九千万円余だ、こういうことで判こを押しておるわけです。ところが、いつの間にやらそれがダムになって、金額も六億数千万円に上っておる。どこかで縦覧したとこうおっしゃっておるのだけれども、そういうことについて、調印による承認というものは全然受けていない、ここに問題があるわけです。従って差し押えが来ても、差し押えの権限がないではないか、こういうことで、これはどうにもならぬ。県の方でも工事は進めなければならぬ、地元からは金が入ってこぬということで、実を言うと立てかえ金で、農民負担金を県内で操作して、会計検査の方からもとがめを受けておる、こういう事態なんです、実態は。そしてダムはできたが水路は全然できておらぬから、水はとまったけれども、効率は少しもない、こういう実態なので、これは何とか解決点を見出していただかぬとどうにもなりません。県自体も行き詰まっておるし、農民もどうにもならぬ。差し押えをやるといっても、差し押えをやってくればそれは権限がないのだという反訴をする、こういう段取りができておるわけでございまして、このことはやはり県の今までのやり方、まあまあ一たんできたのだからあとは内容がどう変わっても農民は泣き寝入りをする、こういう考え方、もう一つは水を引いてやるのは農民にはいいことなんだからいいではないかという一つのものの考え方、こういうことがまじり合ってこんな無理ができておるのではないか、こう思うのです。この点については、ここで確かに間違っていたとは当局からも言い切れますまい。しかし私たちが法律を読む限りにおいてはどうもこれは違法の工事の進行である、こうとしか考えられないのです。主要な計画の変更それから初めの工事金額の非常な変更、こういうものは法の第何条かにありますよ。特に法律まであげては言いませんが、とにかく施行令あるいは規則の中に、はっきりと法で言うところの計画変更とはこういうものを言うのだ、主要なる工事の計画の変更とかあるいは工事金の大幅な変更とか、こういうものは当然、組合員の名簿を付して同意をとったときと同じような方向の署名、調印によって三分の二以上の同意を得なければいかぬのだということを示しておるわけです。これをやってないためにあとからこういう問題が起こってくる、こう思いますので、これは十分気をつけていただきたい。そしてまたこのことは、そういう観点に立って善処してもらいたい、こういう工合に特にここで要望をいたします。  それから次に、最後の国営の鏑川用水、鏑川土地改良区の問題ですが、これまた問題です。昨年二億もありがたい予算をつけてもらったけれども一文も使えなかったというような事態です。こういう姿の中で、今度はいかに政府当局が抗弁をしても計画変更だと言わざるを得ない事態が出てきたわけです。ということは、その土地改良区の区域の中に藤岡市という首都圏の範囲ができてきて、首都圏に入ったところは都市の住宅、工場地にするのだという建前から、どうしても地域をのかなければならぬという問題が出て参りました。それから聞くところによると、神農原という頭首工をやめにして今まで丹生貯水池という元県営の導水路を国営に切りかえて拡大する、こういうような問題もはらんでおるわけであります。こういうようなことで、これが法で言うところの計画変更に当たるか当たらないかということをまず局長から明快に御答弁を願っておきたい、こう思うのです。
  43. 庄野五一郎

    庄野政府委員 鏑川の国営土地改良事業につきましては、御指摘のような問題がございます。そういう問題を含めましてわれわれ十分検討を続けておる次第でございますが、ただいまの方針といたしましては、計画変更の手続をとるべきであろうという考え方で私たちは進んでおります。県ともよく打ち合わせまして、これについてそごがないように進めて参りたい、こういうように考えております。
  44. 栗原俊夫

    栗原委員 あろうということだからその方向だとは思うのですが、実は特に碓氷用水で計画変更の手続をとらなかったためにああいう問題が起こっている、こう全農民が思っているときであります。しかも尾根だけでもって向かい合っていて農民ですから、これはやはり計画変更だ。まず藤岡地区が抜ける。それからまた、頭首工がなくなってほかの導水路が国営になるのだということになってきますと、一千町歩も受益面積が抜けて全然計画の方向も変わってくるのだ、こういうことになれば、であろうではなくて、であると、はっきり法に書いてあるのだから、ここまでこれは言明なさってもいいじゃないですか。一つそこまで言明して下さい。私がこういうことで食い下がっておるのは、水を利用することに反対だから言っているのではないのです。利用するのに間違いなき方法で立ち上がっていきたい、こういうことを考えているのですから、栗原はこういう質問をして足元をかっぱらうということでなくて、確実な方向で土地改良をやるのだ、土地改良は必要なんだ、しかし基礎がぐらついているから最後にいって金が集まらないで行き詰まる、こういうことが心配なので、ここで特に関係者の腹をきめさして、正しい軌道に乗っかって事業を進めさせるという立場であえて質問をしているのでありますから、一つ度胸よく、これは確かに法にいうところの計画変更であるから、計画変更の差し示す線に基づいて手続を進めて一日も早く完成を求めるのだ、こう答弁をしてもらいたいと思っているのですが、いかがでしょうか。
  45. 庄野五一郎

    庄野政府委員 であろう、こう申し上げました点は、先生は面積が一千町歩、こうおっしゃいましたが、われわれとしても落ちる面積がどの程度になるか、あるいはそのために水の問題としてどういうところの工事が変わってくるか、そういう点の検討を十分いたしまして、先生もよく御承知と思いますが、昨年出しました計画変更の手続の通達規定、それに照らし合わして、それにぴったり合えば計画変更をする、こういう考えでございまして、先生が申されたような数字事業がそういうことになれば当然計画変更の手続を踏むべきだと考えておりまして、その内容を今検討中でありますので、多少弾力的に申し上げた次第であります。われわれといたしましても、大体そういう見当でございますので、これはおそらく計画変更をせざるを得ないだろう、こういうような考え方でございます。
  46. 栗原俊夫

    栗原委員 そこで、不振土地改良区ができる原因と関連して、少し詳しい質問をするわけですが、実はいろいろ議論があって、この鏑川土地改良区につきましても、農民は水はほしいけれども非常に負担がかかるという心配から、いろいろと疑念を持っておるわけです。今の土地改良法は、国営県営団体営、別々になっておる。しかし個人の農民にとってみれば、国営であろうと県営であろうと団体営であろうと、水がきて初めて経済効果が発生する、それで幾らかかるのだ、こういうことで農民はそろばんを持っておるわけです。そこで鏑川用水についても、国営部分はこれだけなんだ、こういう言い方では農民は納得しません。国営部分、県営部分、そして団体営をやって自分のところへ水がきて幾らなんだ、そうしておれは賛成だ、反対だ、こういう形になるわけなんですが、こういう議論が出てきて、県においても国営県営団体営をまぜて、一反歩の農民負担が三万五百円を限度として、これは必ずできるのだ、こう言い切って、農民説得に当たっておるわけです。そこで問題は国営土地改良区へ入った土地の中で、現に鏑川用水の改良区へ入ったところで、なおかつ首都圏へ入っておる藤岡の地区もまだ残っておるわけです。こういうところで、いろいろと住宅あるいは工場、農地転用の問題が起こった場合には、国営土地改良区に入った以上は、ほとんど絶対と言っていいくらい、農地転用というものはできないものなのか、もちろん広範なものはなかなか困難という問題があるだろうけれども、農地法で言うところのごく小さな地方の農業委員会の許可事項あるいは知事の許可事項範囲内のもの等は、これはやはり事情によっては許可をしていくのか、この辺の関係はどうなるのでございましょう。
  47. 庄野五一郎

    庄野政府委員 土地改良事業の採択に際しましては、やはりこれは農業施策として、国、県あるいは農民の資本投下をするわけでございまして、そういう資本投下をするに値する農村生産力を維持培養、向上する土地に集中するのが妥当だ、こういう考えでございまして、できるだけそういう将来転用のおそれのあるような市街地付近というところは避けていきたい、こういうふうにわれわれは考えておる次第でございます。やはり都市近郊の農業事情等もございまして、必ずしもそういうわけに参らないような土地改良事業も例外的にはあるかと存じます。そういう場合に、都市計画あるいは都市の自然的膨張として土地改良をやりました土地に転用が起こる、こういう問題も間々起こるわけでございます。それにつきましては、われわれとしましては、そういった国の投資あるいは農民の投資が無効にならないように、また残ります田畑の土地改良事業の効果が転用のために阻害され、あるいは効果がそこなわれないように、そういったいろいろな配慮をいたしまして、転用についてほかの地点があればできるだけそちらの方を選んでもらいたいという希望的な意見は申し上げますが、どうしても立地上やむを得ないといったような場合には、やはり土地改良区あるいは土地改良事業との調整を十分とった上で許可せざるを得ないのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  48. 栗原俊夫

    栗原委員 これはまことに日常茶飯事のようなことなのだが、実は具体問題としては一番大へんなことで、大へんな大きな工場地とかいうところが特定な事情によって許されるということになれば、そこで工場用水とかいろいろな場面で、土地改良区に支払うべき金を肩がわりするということは考えられると思うのです。しかしそうではなくて、いろいろな形で、こぼこぼとやっていく、そういうことになると、これは農地を他に転用する。従って農業用水は必要でなくなってくる、こういう場面になると、判が押してあるのだから負担金を負担しろといってもなかなかとれない、それでも追及をしていくのですか、あるいはその追及ができないということになれば、そこで負担すべきものが逃げていった場合は、その負担分は残った他の者がこれを負う、こういう形になっていくのですか、その辺はどうなんですか。
  49. 庄野五一郎

    庄野政府委員 転用いたします場合に、農地から非農地になるわけでございますが、そういった場合におきまする土地改良の負担金等は大体確定いたしておりますれば、償還繰り上げで、その転用を受ける人から支払ってもらうということで、土地改良区の残った人の負担にならないようにという措置を講ずることになっております。
  50. 栗原俊夫

    栗原委員 農地転用の問題はそれでわかりました。  次に、やはり同じ負担金を払う払わぬの問題で議論の起こるのが、農地解放のあとに保有小作地というものがまだ残っております。第三条によれば、原則的には耕作農民が組合員の資格者である。地主が申し出れば地主が組合員になる、こう規定してあるように思うのですが、地主は申し出ない。耕作人は——今は耕作権はかなり物権的な強い権利になっておるけれども、おれはとにかく借地なんで、わずかな金ならばともかくも、万をこえるような金を借りた地面に耕作人として投資することはいやだ、こういう形でがんばる場面があるわけなんです。こういう点は具体的にはどのような御処理をなさる御方針でございましょうか。
  51. 庄野五一郎

    庄野政府委員 ただいまのところは、耕作者第一主義で、耕作者が当然土地改良区の組合員ということに相なっておりまして、例外的に所有者の方から申し出があった場合には、これは農業委員会等と相談して、資格があるかどうかを判定していくということになりますが、原則としては耕作している耕作者が、当然有資格者だということが言えると思います。
  52. 栗原俊夫

    栗原委員 耕作者優先ということで、耕作者に優先的に認められることは、これは問題はないのですが、この場合は土地改良で、もちろん経済的に十分ペイするからこそ土地改良事業だという建前に立てば、それは論理的には合うと思いますけれども、なかなか数万の金を、これから投資して土地改良をするという場合に、耕作権者である小作人が必ずしもおれが優先で、おれが払って、おれがというような形にはなりにくい。従ってたとえば三分の二で可決して、反対の側が、その小作人の線で抵抗が試みられる。しかし法ではやはりお前はこの地域の中で三分の二以上できまったんだから事業をするのだぞ、金を払え、こういうときの追及は、その耕作人に徹底的にやはり追及していくことになるのですか、法的にはそのように書いてあるのですが、これはどうなんでしょう。
  53. 庄野五一郎

    庄野政府委員 御指摘通りだと存じます。
  54. 栗原俊夫

    栗原委員 私も県営の用水を一つやった経験者なんですが、私のやった場合は、県営になる五百余町歩の農民を集めまして、実際に水の引けたのは二百三十町歩ですが、従って事務費等は五百余町歩の人に拠出してもらいましたけれども、建設費は実際に水を引いた二百三十町歩の人たちに出してもらって仕上げたわけです。今までの多くの場合がそういう慣行で行なわれてきておると思うのですけれども、そうではなくて、水を引いたものも引かないものも国営関係は、法律によると利益を受けてから云々と書いてあるから、でき上がっても利益を受けなければ払わなくてもいいというような法律的根拠があるいは出るのかもしれぬけれども県営段階等で工事が完了した、しかし実際に開田されたものは受益面積全部ではない、その一部あるいは大部になるかもしれませんが、受益しない場面もある。しかし受益面積の土地の所有者、言うならば第三条の資格者であるから、その面積に応じて応分の負担金を払うべし、こういう形で取り上げた、こういう例が全国にありましたら、一つ何県のどこの県営でそういう取り方をして成功しておるということをお示し願えたらお示し願いたい、こう思うのです。
  55. 庄野五一郎

    庄野政府委員 今具体的にちょっと私存じませんので、よく調べて御報告したいと思います。
  56. 栗原俊夫

    栗原委員 調べて報告していただくわけですが、ぽっと頭で考えて、そういうところがあるとお考えですか。土地改良区の全面積から、水がいこうと、いくまいと、とにかくお前はこの土地改良区の工事をやることに賛成した、あるいは反対であっても三分の二以上の賛成で、この地区はそのような土地改良区並びに土地改良区の事業として成立したのだから、お前は当然支払うべき義務がある、よってもって徴収するのだということで、その地区から全面積にわたって徴収したという事例があるかどうか、こういうことでございます。
  57. 庄野五一郎

    庄野政府委員 土地改良法によりますと、利益を勘案してと、こういうことになっておりますが、土地改良区の実態をよく調べてみないと、一がいに理屈だけでは申し上げかねるかと思います。よく調べましてから御報告申し上げます。
  58. 栗原俊夫

    栗原委員 そこでこれから石田さんに一つお尋ねいたします。  先ほど当局説明によれば、数多くの不振土地改良区がある、こういうことでございますが、特に石田さんを中心にして提出なさった不振土地改良団体、こういうものは具体的にはどういうものをお考えになっておられるのか、一つ説明を願います。
  59. 石田宥全

    石田(宥)議員 先ほど小枝委員の御質問にもお答え申し上げましたように、種々雑多でございまして、たとえば運営よろしきを得ないために、維持管理費が非常によけいかかり過ぎて、それがために農民の中から不満が出て、運営が困難になっておるとか、あるいは今栗原委員が御指摘になりましたように、当初は国営工事だけの経費の説明があって、その程度だけで済むと思ったら、次々に県営工事が起こり、団体営が行なわれて、当初考えておった反当二万円で済むという予定のものが四万円ぐらいかかるというような問題が起こってくるとか、あるいは古いものになりますと、与党である自由民主党の方でも、土地改良費は全額国庫負担であるということを打ち出して相当にこの工事を進められたが、それが実現しなかったために、思わざる負担が過重をしたというようなことからくる不振のものもございまするし、あるいはまた計画、設計がずさんであったために、当初の説明とは全然趣を異にした農民負担が起こってくるというような問題もあり、あるいはただいま御指摘になりました計画、設計の変更というような問題もあり、これを分析して参りますと、非常に多いのでありますが、それにはやはり起こるべくして起こったいろいろな原因を内包しております。従ってその解決もまたそれに適応するような解決の方法をとらなければならないと思うのでありますが、何としてもやはり国が中心になって、この償還金に対する緩和の措置あるいは償還金緩和に伴う利子の国庫負担というようなことによって、まずその土地改良団体再建整備をはからなければならないという考えのもとに、この法案提出した次第であります。
  60. 栗原俊夫

    栗原委員 わかりました。国が指導しながら県あるいは土地改良区の指導者が土地改良事業をやる以上は、もちろん土地を改良することによって経済効果を上げていく、こういう出発点の計算である限りにおいては、まずまずこれは間違いがないはずなんですが、それが不振土地改良区などというものができるのは、経済的な移動もさることながら、その最も基本的な工事費の問題に全く計算と相離れた問題が出てくる、こういうことから出てこようかと思うのです。そこで、先ほども申し上げたのですが、農民は水はほしい、土地改良はしたい、しかし国営といい、県営といい、団体営といい、出るきんちゃくは一つなので、とにかく土地改良が幾らでできる、こういうことで出発したならば、その以後の変化によって出てくる負担の過重分は、経済的な事情が大きく変われば別として、計画の変更とかいろいろな場面から出てくる金額の過重面は、農民には転嫁することなしに、やはり計画された県なりあるいは国なりでめんどうを見てやるということにしない限り、これはなかなか大へんだろうと思うのです。一反歩三万円なら三万円農民負担でやる、それなら経済的に合う、こういうことで出発して、その経済事情を一応コンスタントとして考えれば、それ以外にかかってくる、かりに計画のそご等から出てくる負担等は、やはりほかで消化してもらわぬと、これを農民にかけていけば、初めの経済的にペイするという計算が根底からくつがえってくる。こういう立場に立って、今の土地改良法の、団体営ならばかかった経費の何%、それも出発のときの計画工事金の何%、また県営なり国営なりはこういう負担率だ、こういうパーセンテージ方式ではなかなか問題が起こる。このことが不振経営の土地改良区のできる一番大きな原因のように考えられるので、当面起こっておる不振団体を救済することはむろんであるが、抜本的にはやはり土地改良法そのものに基本的に手をつけなければならぬのではないか、こんな工合に考えるわけです。実は昨年ですか、周東農林大臣が群馬に参ったときも、どうもこれでは今後土地改良はなかなか問題が進められない、むしろ水道のように大きく展望して、幾らで水を売るというようなものの考え方でやっていかなければだめなんではないかというような発言をしておったことが、新聞にも出ておりましたけれども、この問題について石田さんの方では、当面した不振土地改良区を救済すると同時に、これ以上不振土地改良区を作らないような農地法の改正というようなことをお考えになっておるかどうか。
  61. 石田宥全

    石田(宥)議員 ただいまの御質問の点でありますが、根本的には今日の土地改良法は私益追求的な立場で行なわれておるわけでありますが、私どもはやはりもう少し公共性というものを重く見、そしてそういう立場に立って農民負担というものが考慮されなければならない、もちろんこれは国の負担というものも考えられなければならないと思うのでありまして、そこで私どもは多年これは主張して参っておるのでありますが、農民負担に一定の限界線を引くべきではないか、これは地方によって違いますけれども、農民の負担にたえがたいような地域もございますので、それについてはやはり一定限度の生活を見、また経営者の収支のバランスも見合ったところの一定の農民負担に限界線を引いて、そうして残余の分については、償還期限等もありますけれどもその負担率で国がめんどうを見るという形でいくべきであると考えておりますので、土地改良法抜本改正の面についてはそういう点も明らかにいたしたいと考えております。
  62. 栗原俊夫

    栗原委員 農地局長お尋ねします。これは実は大臣にお尋ねしたいのですが、農業基本法ができまして、これからいろいろ農業基盤の改良もやっていくということでまことに方向はけっこうなんですが、特に山村へ参りますと、農業基本法でもっておれたちはちっともめんどうを見てもらえそうもない、こういう心配をしておる。特に山農という言葉でわれわれを何とかめんどうを見る方向を打ち出してもらいたいということを言っておるわけです。きょうは土地改良関連しての質問でございますけれども、平坦地は一応土地改良が終わって、順次土地改良を進めるとすればなかなか経費のかかる地区になる、それをパーセンテージ負担という形でやっていくと、生産性は低い、また非常に労働生産性も低く、運賃負担も多いというような場面で農民所得がどんどん低減していく、そういうことだから、そっちの方は経済的にペイしないから結局工事が起こらないのだといってしまえばそれで事がおしまいなんですが、何とかめんどうを見るということになれば、やはりただいま石田氏の言う通り、農民負担に限界線があって他の部分は国なり県なりでめんどうを見ながら基盤強化をやる、こういう方向でなければならぬと思います。そういうことをやるということになれば勢い土地改良法にも手をつけざるを得ないということになろうかと思います。これは単に山農の問題ばかりでなくて、平坦地に関しても今後残された土地改良の問題についてもやはりいろいろ問題があろうと思いますが、土地改良法に対して、不振土地改良地区がぼつぼつ出てきておるということにかんがみて、その発生原因等も勘案して抜本的な改正を行なうという方向がありましょうか。
  63. 庄野五一郎

    庄野政府委員 土地改良法改正の問題でございますが、ここに社会党から御提案になりました財政再建に関する特別措置法案というのは臨時的な暫定的な法案と心得ておるのであります。やはりその原因を突き詰めて参りますと、土地改良事業それ自体にいろいろの問題もあるわけでございまして、そういう点につきましてわれわれといたしましても、土地改良法改正あるいは問題点の検討ということで局内におきましても相当検討はいたしておりまして、こういう問題につきまして、やはり不振土地改良区の問題とからみまして土地改良事業の今後の問題のあり方、そういう点を考えながら、土地改良法改正というものは検討をして参りたい、こういうふうに考えております。
  64. 栗原俊夫

    栗原委員 最後に、地元の問題で申しわけありませんが、先ほど来いろいろと質疑応答を重ねた小坂の問題、碓氷用水の問題、これらについては一つ政府当局でも解決に十分御尽力を願うと同時に、国営鏑川用水については再び碓氷用水の轍を繰り返さないように、慎重な手続によってしっかりと事業を進めていただくことを特に要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  65. 湯山勇

    ○湯山委員 ただいまの栗原委員質問関連して、局長にちょっとお尋ねいたしたいと思います。  それは政府の方で三十七年度限りの対策を立てておられるようでございますけれども、それだけではとてもどうにもならないような具体的な事例がございますので、それを申し上げてその対策を伺いたいと思います。  これは愛媛県を南宇和郡一本松町の上大道という開田地帯の例でございますけれども昭和二十一年に食糧増産緊急対策事業として五十町歩の開田計画がなされました。当初はこれは国費でやる予定でございましたけれども、導水の水源の問題で若干トラブルがありまして、結局変更して大体十五町歩の開田ということになりました。これについてはコンクリートの水路八千三百一メートルを国庫負担の県営事業として実施するということになりまして、この水路はできたわけですけれども、この水路に関連して県の職員の不正がありまして、これは会計検査院からも当時指摘されております。こういういきさつがありましたが、結局は全額国庫負担で国営でやる予定のものが団体営で補助事業でやろうということに変わり、さらにそれが後に非補助事業融資を受けてやるということになりまして、団体営で約七百万円の借入金で三十一年に十三町九反の開田を完了いたしました。そこで三十二年から水田耕作を始めたのですけれども、水路が不良であったり、まあ三十二年は割合に早魃でありましたから、そういう関係で結局は三十二年はほとんど収穫皆無、なおその後三十五年までの四カ年はほとんど収穫がありませんでした。そこでやむを得ず県の方で三十六年度に県単事業として三十六カ所の井戸を掘ったわけです。それで大いに期待したのですけれども、結局三十六年度も反当三俵ないし三俵程度の収穫であってどうにもならない、開田資金の年賦償還はそうなって参りますとむしろふえてくるという状態で、差し押え等によって三十六年までは何とかやってきたのですけれども、それももう限度にきている。実際に収穫の状態等を見ますと、三十二年が反当一石二斗四升、三十三年は五斗七升、三十四年は六斗五升、三十五年は九斗七升、三十六年は今のようなポンプをつけて平均が一石一斗五升という状態です。ですから、これは当初の計画に誤りがある、当初高台になったカンショ畑だったわけですけれども、結局もう水田としての用はなさないという結論に達しておるわけです。離農する人もありますし、今栗原委員お話では全国から強制的に徴収した例があるかとおっしゃいましたけれども、ここはやったわけです。強制的に徴収して、結局差し押えまでして、もうどうにもならない、しかも将来幾らやったとしても水田として耕作できる見通しは全くありません。こういうところについてはただ単に償還期限を繰り延べるとか、利子を減免するとか、そういうことだけではどうにもならない、抜本的な計画変更をしなければ全くどうにもならない状態にある。こういうことについて、政府の方でやっておられる来年度の対策ではもう初めからどうにもならないというのがわかり切っております。これについては三十七年度限りで放置するのか、今われわれの方で提案しておるものが成立すればなお継続して救済の道はあると思いますけれども政府の方でお考えになっておる範囲内ではどうにもならないと思いますので、そういうのについてはどのようになさる御予定なのか。政府としてはあるいは新たに法律をお作りになるのか、あるいはこれで近代化資金等の融資を受けて果樹園なら果樹園に転換する、そういう場合にも、なおかつ従来の借入金の圧力というものはなくならないわけで、これは大へんな問題だと思います。これは一つの具体的な例にすぎませんけれども運営が悪いとかそういうことじゃなくて、当初の計画自体に問題があって、それを何とか趣旨に沿うようにしていこうという努力をずいぶん無理をしてやってきた、それでもどうにもならなくなったというものについては、別途配慮があってしかるべきじゃないかと思いますので、この際関連してお尋ねいたしたいと思います。
  66. 庄野五一郎

    庄野政府委員 農地局といたしまして三十七年度にいわゆる不振土地改良区の実態調査をやる、そうして経営診断をいたしまして財政再建償還計画を立てる、そしてでき得べくんば専門員等を中心にいたしまして県が中に入る、われわれも応援いたしますが、償還条件の緩和を公庫等ともよく折衝して、その他区内の農民負担に適応した償還条件に緩和していこう、こういうところまで、やれる範囲でやる。とりあえず三十七年度は不振の原因を、先ほど申しましたように災害にあるのか、あるいは事業効果が十分でないためにあるのか、あるいは土地改良区の運営のあまりよくいってないところにあるのか、あるいはその他の事情にあるのか、そういう点をよく究明いたしましてそれぞれの手を打たなければならぬわけであります。必ずしもわれわれは償還条件だけをよくすればそれでいいというふうには考えないわけであります。償還条件ももちろん一つ再建策であろうかと存じますが、それだけでは済まない、もっと根本的に事業効果の発生するように事業を促進するということも一つの手であろうと思います。そういう点をよく究明いたしまして、その結論によりまして、三十八年度以降においていかなる手を打つかということの素材をよく集めて、その素材によって立法事項があれば立法をするし、予算措置が必要であれば予算措置をする、あるいは公庫との交渉で済むものがあればそれをやる、そういった第一着手の出発点を三十七年度はまずやろう、その段階において、ただ公庫等の償還条件を緩和すればそれでうまく話が進んでいくというところがあればあわせてそれもやっていきたいというような考え方であります。三十七年度で打ち切ろう、こういう感じではございません。引き続いて三十八年度にいかなる手を打つかということで準備をいたしたい、こういうことでございます。  それから今先生が御指摘になりました愛媛県の、これは開拓地でございますか、それとも一般の既農地ですか。
  67. 湯山勇

    ○湯山委員 これは開拓地じゃありません。従来畑地であったのを開田したわけです。
  68. 庄野五一郎

    庄野政府委員 私よく事情承知いたしておりませんので、よく調査いたしまして、これについての対策は県とよく打ち合わせて立てたいと思いますが、ただ融資条件だけの問題で済むのか、あるいはもっと、この地帯におきます将来の農業の営農目標をどういうふうに持っていったらいいか、そういう点からかかっていかないと解決にはならないのではないかと思います。御指摘になりました地帯の県とも打ち合わせまして至急やりたい、こういうふうに考えておりますので、しばらく御猶予を願いたいと思います。
  69. 川俣清音

    川俣委員 関連して石田提案者と局長にお尋ねしたいと思うのですが、実は私非常に疑問に思っている点でいまだ解決されてない点があるのです。農地法では三反歩以上の耕地面積を持っておらないと農業者とみなさない。ところがあなたの同じ所管の土地改良法でいきますと、一反歩であろうと二反歩の耕作者であろうと、あるいは耕地を持っていない者も農業者とみなして区域に入れるわけですが、農地局長は、農業者というのを農地法に基づいて農業者というのか、土地改良法に基づいて農業者というのか、普通、農業者という場合どっちをとるのですか。この点一つ。これはなぜこういうことを言うかといいますと、土地改良を行なう場合、主として従来のやり方は、区画整理というものが主でありまして、区画整理に伴う用排水を考えていくというやり方でございまして、今後、われわれは反対であるけれども農業基本法を示しまして、規模の拡大、また、耕地面積は拡大できないにいたしましても、果樹をやるとかあるいはフレームを作るとか、あるいは花畑を作るとかいうことによって企業化していこう、そういたしますと、フレームですと三反歩あれば十分成り立つ農業にもなり得るわけなんです。そうすると、農業者という場合に、一体どれだけの耕地面積をいうのか、その点がはっきりしないと将来の政策が立たないと思うのです。  引き続いて石田先生にもお尋ねするのですが、不振地区というのは、時間がないから私から言いますけれども、いろんな原因があるといわれましても、一番問題は何といいましても設計がまずかった、あるいは故意に経費をかからないような設計にしておいて、あとで、当然一年か二年で設計変更を伴うことが初めから予想されておったにかかわらず、負担金をわずかに見せるために故意に設計を少額に見積もっておったというところに一番問題があるのではないか。これは結局は政府または県の指導の責任でありまして、農業者、農民の責任ではない。従って政府の責任を明らかにすることが不振地区の解消のために何といいましても絶対必要な要件だと思うわけです。その場合でも、一体農民という場合に、石田先生は、耕地面積のどの程度までのことを農民といわれておるのか、これも関連して参りますので、両方にお尋ねしたいが、先に局長から答弁願いたい。私の質問はこれだけで、答弁が悪ければまた質問しますけれども……。
  70. 庄野五一郎

    庄野政府委員 農業者ということで私からお答えいたします。農地法では自作農、小作農という区別はしてございます。特に農業者という定義はなかったかと存じます。それから土地改良法にも農業者という法律用語はございません。ただ農地法で三反歩というのは、何もそれをもって三反歩未満農業を営む者とみなすかみなさないかという問題じゃなしに、土地を新しく取得する場合における一つの基準を三反歩に置いただけの話でありまして、とにかく三反歩未満農業者じゃなくて、三反歩以上は農業者である、こういうことは農地法には規定してない、それは先生がよく御存じのことだと思います。農地法は自作農、小作農、こういう規定がございます。
  71. 石田宥全

    石田(宥)議員 不振原因について、いろいろあるけれども中心計画、設計の問題じゃないか、それは政府が最終的に責任を負わなければならない性質のものではないかという御指摘でございますが、私どもそのように考えております。そこで財政再建は国の責任においてやるべきであるということを明らかにしておる次第であります。  なお農業、農民、そういう問題については、今後抜本的な土地改良法改正にあたりまして、農業基本法との関連においてこれを明確にいたすべきではなかろうかと考えております。
  72. 川俣清音

    川俣委員 局長の答弁は勉強が足りないのじゃないでしょうか。表現として農業者とは言っておりませんけれども、たとえば増反開墾のような場合には、これは農業者とみなさない、こういうことで増反配分はやっておりませんでしょう。農民なら増反配分の適用を受けるわけです。農業者とみなさないから増反配分をしないということになるだろうと思うのです。しかも農地法の場合は台帳面積による三反歩、それから土地改良法の場合は実測面積なんです。そういうことで取り扱いが二様になっておるのでは、農業政策を進めていく上に支障があるのではないか。別にあなたをけなしているとか勉強が足りないとか非難する意味じゃないけれども、今後土地改良を進めていく上からも必要な解決しなければならぬ問題なんです。ただ田だけという考え方をしない。たとえば土地改良区の中に原野だけ持っておる人、草地だけ持っておる人がある。これは耕地を持っていないけれども農業者とみなしてこの地域内の組合員に指定をしておるわけです。土地改良法の場合は耕地は何も関係がなくなる。農地法の場合は関係がある。自作農かまたは小作農でなければならぬ。あなたは御存じでしょう。原野を持っておる人、草地を持っておる人、あるいは山林だけ持っておる人は、これは農業者でないわけです。農民でないわけです。自作農でもなければ、小作農でもない。明らかに農地法の場合と土地改良法の場合とは区別されておる。今後も一体どう整理していくかという問題を当然検討しなければならないはずだ。まだ検討されておらないならばおらないで、将来検討するだけの用意があるべきだ、こう思うのですが、時間がありませんからそれだけでよろしゅうございます。
  73. 庄野五一郎

    庄野政府委員 御指摘通りだと思います。それぞれ法目的が違いますので、その法目的に従って定義をやっております。それから土地改良法では、土地改良事業を進める上におきまして、そういう原野なりあるいは山林なりを持っておる者も農業者とみなしてやらないと、土地改良も進まないという点もあるわけでございますから、これはやはり土地改良法、農地法あわせてその点はよく検討して参りたい、こう考えております。
  74. 川俣清音

    川俣委員 土地改良法の場合は宅地まで入るのですね。地目は宅地であろうと、現実にそこへ野菜を作っておれば、これは地域内の対象農地になるわけなんです。局長は不思議な顔をしておられるが、こういうことが平然と行なわれておるのです。どういう場合にこれが起こるかというと、補助単位が二十五町歩ですから、団体営ためにはこれを入れないと二十五町歩に満たないということで、これを入れて申請するということが非常に多く行なわれておる。あるいはその宅地のところに用水池がある。これを土地改良地域の中に入れないと計画ができないというようなことで行なわれておる。現実は必要でやっておられるでしょうけれども、法文の方から見ると非常にあいまいな形の中で計画をされているということになっておる。この土地改良の中にため池が入りますよ。ため池は入るけれども、庭の中の用水池はため池かと言ったら、ため池じゃないが、水がたまっておるからため池だと言えないこともないでしょう。そういうやり方もあるわけです。従って、土地改良をこれからほんとうに真剣にやっていこうとすれば、農地法との関係をどうしようかということが当然考慮されなければならない。これは今まで局長などが平気でこういうことをやってあやまちを犯していながら、そういうあやまちを犯した局長ほど出世をしておるなんというのは非常におかしいですよ。当然やはり責任を感じなければならぬ問題だ。たとえば八郎潟の場合を言いますと、あれは無主物だ。ところが地先開墾の権利を持った人があるのですから、地先の埋立権を持った人には土地の配分をしなければならないのが土地改良法の原則だと思うのですが、そういうことも無主物だという考え方をしたり、いろいろなあやまちを犯している。すみやかに整理をする必要があると思うのですが、整理すべきだという意見だけを述べまして、時間がないのでこれが終わっておきたいと思います。わからなければもっと説明しますよ。
  75. 庄野五一郎

    庄野政府委員 よくわかりました。
  76. 野原正勝

    野原委員長 午後一時から再開することとし、この際休憩いたします。    午後零時二十七分休憩      ————◇—————    午後一時十九分開議
  77. 野原正勝

    野原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農業機械化促進法の一部を改正する法律案及び農地開発機械公団法の一部を改正する法律案の両案を一括議題といたします。  本日は両案について参考人をお招きいたしております。参考人を御紹介申し上げます。すなわち、農業機械化促進法の一部を改正する法律案につきましては、東京農工大学教授近藤頼己君、日本農機具工業会会長井関邦三郎君、農業機械学会理事長二瓶貞一君、農地開発機械公団法の一部を改正する法律案につきましては、農地開発機械公団理事長松本烈君、農地開発機械公団理事下川善之君、以上五名の方々が出席されております。参考人各位には御多用中のところ、当委員会に御出席下さいまして、まことにありがとうございました。  議事につきましては、まず参考人各位よりそれぞれ簡略に御意見の開陳を承り、しかる後委員各位より参考人並びに政府当局に対して御質疑を願うことといたしたいと存じます。  なお政府当局からは齋藤振興局長庄野農地局長、鏑木農機具部長出席されております。  それでは近藤参考人から御意見を承ることにいたします。近藤参考人。
  78. 近藤頼巳

    ○近藤参考人 この法律案の大綱につきましては、特に私の立場からいたしまして、農業機械化研究所を設立して農業機械化の促進に資するためにする農機具の改良に関する試験研究及び調査を行なうということは、現在の時点といたしまして、わが国農業近代化ために必要であり、適当であると存じます。その理由、希望につきましての一端を申し述べさしていただきたいと存じます。  わが国農業は、その近代化ために、今後いよいよ経営構造の改善、改革をできるだけすみやかに促進し、農業の生産性の向上を逐次に、そして大幅にはからなければならないわけでございます。これまでのわが国農業は零細農耕といわれ、米麦作中心であり、欧米の諸国に比べますと生産性が格段に低いわけでございます。たとえば水田農業について見ますと、これまでの経営技術構造は、零細規模の家族経営、米麦中心で家畜がなかった。耕地は分散し、狭小である。湿田や半湿田などが多く、水利慣行も旧来の不合理のままに残されておる。また人力ないし小型トラクターによる浅耕、そして化学肥料を増投する。作業は多くは手労働ないし小型農機具によっておる。過剰就業者である。こういう事柄がからみ合ったいわゆる零細農耕体制でございまして、低い生産性と固く結びついておるわけでございます。こうした経営構造では、その改善のためにどんなに努力いたしましても、生産性の大幅な向上はできにくいわけでございます。農業の生産性の向上をはかるための主軸は申すまでもなく機械化であります。特にその生産性の大幅な向上には大型機械化を必要といたします。また、そのためには大型機械を効率的に活用できる経営構造、経営技術構造に改変されなければならないわけでございます。これを水田農業について見ますと、協業化などによりまして規模を拡大する——米作のほかに畜産、一般的には酪農かと思いますが、こういう部門を取り入れ、大区画の圃場を造成いたしまして農道を整備する、また集団化を進める、湿田、半湿田は完全に改めて、水管理の施設を整備する、大型トラクターによって深耕する、畜肥と化学肥料を合理的に施用する、作業はすべて一貫した大型機械化によって進める、また田畑輪換などによる飼料生産も取り入れる、そして近代的な就業の形に改める、こういったことが有機的に結びついて、無理とむだなく進められることが望ましいわけでございます。こうした経営技術構造において、初めて高位の生産性の可能性が出てくるわけでございます。つまり今後の農業におきましては機械化の促進が不可欠であり、なかんずく大型機械によって栽培並びに飼養の作業体系を確立する、そしてこれを効率的に活用することができる経営技術構造への改善、改革を目標とすべきだと存じます。  これに対しまして、農機具の開発改良が一つの重大な制限因子になっておるのが現状だと思います。わが国農業機械化の現状を稲作に例をとってみますと、従来とてもその研究にかなり力が注がれて参りまして、成果も上がり、機械化も進みまして、近年の豊作に大きく貢献しておるわけでありますが、何分にもこれまでの機械化は零細経営体制に適合するように進められて参りましたために、各農作業間における機械化の度合いは跛行的であり、本格的な機械化にはほど遠い段階にあると存じます。最近小型のトラクターなどがたくさん導入されまして、機械化の進展には目ざましいものがあるといわれておりますが、この程度では大幅な生産性の向上は期待することができ得ないだけでなく、過剰投資にさえなっておるのが一般だと見られます。本格的な機械化ためには、大型トラクターによる耕起、整地、施肥、播種機による直播、また田植機、自走式コンバインによる刈り取り、脱穀など栽培収穫過程の問題とともに、乾燥調製の大型機械からもみのばら貯蔵、ばら輸送の問題にまでわたって一貫した体系的な改革を必要とすると考えられます。最近、農業試験場などにおきまして、こうした作業の機械化、農機具の改良開発などの試験研究に着手されたようでありますが、これまでこれらの分野が未開発でありましただけに、現行の試験研究の体制では、本格的な農機具の改良開発、また機械化栽培作業体系の確立ははなはだしく困難だと考えられます。  なお、申すまでもなくわが国農業条件といたしましては、こうした大型機械化体系だけでなく、当面といたしましてそれぞれの立地条件、経常条件に応じて中型、小型の機械化体系の確立を必要とすることは申すまでもないと存じます。ところでさらに農業機械化、特に栽培過程の機械化には地域性、つまり土性、土層構造あるいは傾斜その他がいろいろと違っておるわけでございますが、こういった地域性、それからまた季節性——農業は天候相手とよくいわれる通りでございますが、こういった地域性、季節性などがからみ合いますので、工業の機械化に比べますと、一般的にひどく複雑な問題だと考えられます。またわが国の水田農業におきましては、水の問題が機械化を一そう困難にするということもあろうかと思います。またわが国農業条件といたしましては、外国の大規模経営の機械化の場合と違いまして、労働生産性だけでなく、土地の生産性の高度化も要請されると存じます。そのほかにもいろいろと問題点があると存じますが、機械化ためにはいろいろと困難な問題がたくさんあります。このように稲作について見ましても、その機械化体系の確立のために解決しなければならない試験研究の課題は複雑多岐にわたっております。稲作におけるこうした機械化は、果樹、畜産はもとより、その他農業の全分野にわたって要請されるわけでもございます。わが国農業近代化、そして生産性の大幅の向上のために、農業機械化は困難であっても、可及的すみやかに発展させなければならないと存じます。特に最近における農村労働力の激しい流出を見ますと、農業機械化の促進、機械化体系の確立、そのための農機具の改良開発の試験研究の発展は緊急を要すると存じます。こうした要請にこたえるためには、農業機械化に対する現行の試験研究の体制、経費、規模、陣容などでは無理であることは明らかだと存じます。こうした観点からいたしまして、農業機械化研究所を設立し、従来農業試験場農機部において実施されて参りました農機具の改良開発に関する研究を、この農業機械化研究所で強力に推進するということは、わが国とその農業の動向から見まして必要であり適当だと存じます。ただ農業試験場など、ほかの試験研究機関の試験研究並びに調査研究などとの密接な有機的関連における運営が重要だと存じます。  なお、農業機械化研究所のわが国農業近代化ために果たすべき役割の重要性に対しまして、私いただきました資料を見ましただけでよくわかりませんが、政府の出資金がさしあたり二億円ということになっておるようでございますけれども、はたしてこれでよいのかという疑問を感じます。つまり問題の認識に不十分な点があるのではないだろうかと思われる次第でございます。いずれにいたしましても、ほかの農業機械化促進のためのいろいろの諸施策との有機的な関連のもとに、農業機械化研究所の業務の活発な適正な運営を期待いたしたいと思う次第でございます。  以上でございます。(拍手)
  79. 野原正勝

    野原委員長 次に井関参考人にお願いいたします。井関参考人。
  80. 井関邦三郎

    ○井関参考人 業界を代表いたしまして、業界から先生方にぜひ御要望申し上げたいことが二、三ございます。技術的な面は両先生にお願いいたしまして、この機会にお聞き取りを願いたいと思います。  御承知のように、最近わが国の労働条件が著しく変わって参りました。片の長時間勤務制という日本の特異性が全部はずされてしまいまして、世界水準に合わした労働基準法というものができました。八時間制として日曜、祭日は休み、なお年に何回かの慰労休暇も与えたり、女性のごときは生理休暇も認めるという時代になって参りました。ここで農家だけが昔のままのすき、くわ農業をやりますと、官公庁並びに他の産業との労働条件が大へんアンバランスになって参ります。従いまして、今の宵年、若い者は農村に踏みとどまらなくなるわけであります。なおまた、女性のごときは農村にはお嫁に行きたくないというような時代であります。そこでそれをカバーするため農業機械化を推進して参りまして、ようやく機械化の魅力に若い青年が引かれ、どうやら農村にとどまって農家をやっていこうということであります。従いまして、中小の農村を機械化いたしますことは、必ずしも経済的に有利とは言えないのであります。今も近藤先生がおっしゃったように、どちらかという農業機械に追われるというような傾向も一部に見えておりますが、事今日に至っては好むと好まざるとにかかわらず、農業機械化のできるものは機械化しなければ時勢の流れに沿わないのだということになって参っております。従いまして機械化いたしました米麦の価格、要するに機械化というものを原価に織り込んでもらわなければならないという時代になったと思います。ただいま一年間に農業機械器具、農業発動機も入れまして売り上げます総金額は約千三百億になんなんとしております。まだまだ年に一割ないし一割五分程度ふえて参っております。ところが一方、農村のふところ工合と申しますか、農村の経済はかなり苦しいのであります。もうすでに裕福な農村は機械化しておるのであります。これから機械化していかなければならぬ農村は中小農村であります。これらはどうしてもその年の収入をもって農業機械を買い入れることは困難であります。二年、三年あるいは五年かからなければこれらの収益でもって償却ができないというような困難な情勢でございます。そのときにあたりまして先般、昨年から先生方の御尽力で農業近代化資金のワクを作っていただきまして、昨年度三百億、本年度五百億というワクを大体もらっておるようであります。これは農村のためにまことに喜ばしいことであります。ところがこの資金は、農業会の資金を全面的に使われております関係上窓口が農業会にございます。従って農業会の扱い品目にどうしても集中するということになりまして、商売人が売りました約七五%内外、約一千億内外の機械代金をこれに当てはめることに非常に気がねをしておる状態であります。従いまして少し片手落ちになっておる、これを一つこの際この商業者が扱っております七五%の売り上げ金額を何とか近代化資金に乗せていただきたい、これにはどうしてもやはり近代化資金のワクをふやしていただいて、三百億ないし五百億程度政府資金を出していただくことが非常にけっこうなのであります。ところがそういう大きな金を政府資金でまかなっていただくということは、なかなか今日の情勢として御無理だと思います。従いましてこれの一部を地方銀行に協力させていただけば、地方銀行もこれに協力する意思が十分にございます。そういうことにいたしまして、窓口を二つにしていただきたい。そうして約七割五分の商業者関係の扱っておる農業機械代金を今の近代化資金のワクの増額と別な窓口を作っていただいて、気がねなしにこれを公正平等に使わせてもらうような機関をなるべく早くお作り願いたい。一方今そういうワクがありますので、商業関係の方はそれに対抗して無理して売ろうといたしますと、非常に販売が長期にわたります。長期の手形になりまして、金額もかなり膨大にふくれて参ります。今の金融情勢では銀行でこれを割ってもらうことが非常に困難でありまして、各メーカーとも非常に資金難に陥っております。このままでいったら、おそらくこれは近いうちにつぶれるメーカーがたくさん出てくるのではないかということを非常に憂慮しておるのであります。こういう方法を講じていただきますと、農家もどこで買っても近代化資金を利用させてもらえる恩恵に浴する。同時にそれによって回収が非常に楽になりますので、メーカーも助かるということになりますから、ぜひとも一つこの際、重ねて業界を代表してお願いをいたしたい、こう存じます。  次に、かねてから御計画になっております農業機械化研究所の問題でございます。  これについて業界の意見を率直に申し上げます。御承知通り業界すなわちメーカーは、各工場に試験室を持っております。試験設備を持っておりますし、相当な人員も擁しておりますが、しかしなかなかこれは予算に限度がありまして、採算に乗らないような、将来なるかならぬかわからぬようなところまではなかなか手が回って参りません。将来の機械、たとえば田植機械であるとか、また刈取機も、まだほんとうに実現しておりませんが、これらの未完成のものをどうしても早く機械化いたしまして、農家の労働力の均衡をはかってあげなければならないのであります。これらに相当事を欠いておることは明らかでございます。ことに新製品の検査でございます。これがなかなかむずかしい問題でありまして、いいりっぱな機械だと思って作った機械が実際には実用に適しなかってみたり、思わぬところに故障が出てみたりということで、これがほんとうに農家の喜ぶ機械であるかどうかということを見定めるには、相当完備した研究室と広大な試験農場をもちまして、十分に試験をしなければならぬのでありますが、これがなかなか思うように参りませんで、各メーカーとも苦慮いたしております。こういう観点からここに国が片棒かついで——片棒ではありません、国がほとんど全面的に御支援をいただきます総合農機具試験場、農業機械化試験場というようなものができまして、民官力を合わせて足らざるところを補っていくということは非常にけっこうなことだと思います。実はもっとやってもらいたかったということでございまして、われわれとしては全面的に御協力申し上げ、御期待申し上げておるのであります。ただここに申し上げたいことは、せっかくここまで踏み切っていただきました研究所が中途半端なものになったのではもったいないことであります。従いましてこれを本格的に活用し、その真価を高めるためは、どうしても研究所の設備を完備しなければならぬと同時に、技術員の充実をはからなければいけない。と同時に相当広範にわたる試験設備あるいは試験農場を将来持ってもらいたい。せっかくお作り願ったのだから思い切ってこれに力を注いでいただいて、なるほどこの研究所ができたおかげで農家も助かり、われわれメーカーも非常に助かったというととろへどうしても落ち着いてもらいたい、それには国家の方でもう一歩踏み込んでいただいて、大いに一つお力添えを願いたい、こう存ずるのであります。  終わりに申し上げたいことは、これは専門の先生方に申しますと釈迦に説法でありまして、まことに申しわけないのでありますが、実は近ごろ一部の人たちから、農村も非常に楽になったとか、ぜいたくになったとかいうような話もちらほら聞くのでありますが、私は三年間百姓をやっておりまして、それからこの仕事に転向いたしまして、約四年近く農村と苦楽をともにして、農村の経済状態をよく知っておりますが、まだまだ農村は窮屈であります。貧乏くじを引いております。従いまして他の産業、要するに官公庁のお役人さんや他の産業人と同じような労力、同じような生活をいたしましたら、おそらく一たまりもなく農村がつぶれるであろうことを私は信じて疑わない。まあ特に裕福な農家は別といたしまして、農家の一家をささえるものは、努力が生むものである。とにかく他を顧みずに、どうしてもこの農家の家を守らなければならない、伸ばさなければならないという強い信念からがんばり通しておるのだ、こう思うのであります。ことに今後伸びるであろういろいろな他産業、これにレベルを合わせていこうということになると、これはなかなか大へんなことであります。今近藤先生からだんだん大農式というお話もありました。将来はそれが望ましいのでありますが、なかなかこれが一朝一夕にして大農経営に持っていくことは困難でありまして、当分の間この中小農業をいかにして守るかということに各先生大いに一つ力を注いでいただいて、そうして恵まれざる農村を何とかして他の産業とレベルを合わせて、生かしてやってもらうことに相当思い切った今後の農業政策をとっていただき、農業基本法の裏づけをしていただ評ますことを特にお願いを申し上げまして、私の話を終わらせていただきたいと存じます。
  81. 野原正勝

    野原委員長 次に二瓶参考人にお願いいたします。
  82. 二瓶貞一

    ○二瓶参考人 二瓶でございます。自分のことにわたるようで恐縮でございますが、私、学校を出ましたのが大正十三年でございまして、約四十年前、ちょうど日本の農業機械化というものがようやく始まったときから、今日まで約四十年間農業機械の方の勉強をいたして参りました。それで確かに今の農業機械化というものは、発動機の数が二百万台とか、モーターが百万台とか、あるいは動力耕耘機が百万台というようなことで、非常に機械化が進んだようでありますが、これはあくまで個人的な小さな機械の機械化なんでありまして、それによってほんとうの労働の生産性なり、土地の生産性が上がっているかと申しますと、ここに非常な疑問があるのであります。どうしても将来は、ただいまの井関さんとは違いまして、やはり大きな機械化というような問題に取り組んで参らなければ、日本の農業というものが産業として成り立たなくなりますし、また国際農業との競争におきましても完全に脱落することは火を見るより明らかだと私は信じております。こういう点につきましていろいろ時間をかけて参るわけに参りませんし、近藤先生と井関会長さんから申されましたので、いろいろ申し上げませんが、今回のこの機械化促進法の一部の改正につきまして率直に私の感ずるところを申し上げます。  機械化促進法の一部改正となっておりますが、非常に大きな改良がこの中に含まれておりまして、一つ機械化研究所——機械研究所でなく機械化研究所、ここにまた非常な含みを持っておるのだろうと思います。これが促進法に加わったこと。それから農機具の検査の方法が完全に前とは違った形で現われてきたという点に注目しなければならないと思います。この検査の方法におきましてはいろいろございますが、非常にうれしく思いますことは、検査の時期が随時検査になったということ。今までの検査でありますと、不合格になりますと、早くて一年、おそければ三年ないし四年間次の検査を待たなければならない。こうなりますと、出品されるところのメーカーさん、農機具を製造される方々が非常な苦難に陥っておるのであります。こういう点をいつでも検査ができるというふうに思い切って改革されました点は非常によいと思います。それから検査の発表のときに成績が発表になる。これまた需要者であるところの農家にとってありがたいことで、これまた非常にうれしい改良を加えていただいたと大へん喜んでおります。それからもう一つは、今までは同じ機械でありながら、作っている人も、これを売る人も、出品して検査を受けなければならないというような非常にむだなことが多い。同じ機械を、三軒から出ておりますと、三回の試験を繰り返さなければならないというような、時間から見ましても、お金の点から見ましても、非常なむだをしておりますのが、これがなくなった点、こういう点におきまして、私はこの改良を非常にうれしく思います。ただ、検査の合格、不合格というものを研究所だけでこれを決定してしまうということが第八条の二にうたってございますが、これは私はどうかと思います。今までの国営検査ですらも、国の検査でありながら機械化審議会において審議いたしまして合否を決定しておったのであります。これが半官半民の研究所に委託して、そうしてその合否を決定する。もちろん機械化審議会におきまして試験の方法なり、それから試験の基準というものをきめておりますから、これに照らし合わせれば合格か不合格かということは立ちどころにわかるようになっておることも承知しております。しかしながら、やはり半官半民となったときに、対世間的に見て、これをどう信じるだろうかという点に多少の疑問を持っております。あるいは農林御当局の方では、審議会とかなにかを開くのは大へんだ。今までならば三カ月に一度、あるいは半年に一度開けばよかったのであるが、今度は随時検定になって、ちょこちょここの審議会を開くということは大へんであろうというような親心からでもございましょうが、これはやり方によりまして、この機械化審議会委員のうちの検査関係審議委員のメンバーをきめるなり、あるいは審議と申しましても、月に一回くらいの審議で済むと思いますから、こういう点が改良されたならばと私はお願いしたいのであります。  それから研究所であります。これまた非常にありがたいことでありまして、今まで国の農業試験場の一部なり一課でやっておりましたことが、今度は大きく取り上げられたことはまことに喜ばしいことでありますが、この仕事の内容であります。業務の内容には、農業機械化の促進に資するための農機具の改良に関する試験研究及び調査を行なうとありますので、これは考えようによっては、何でも入ってくる。こんなうまい法律用語というか、巧みに逃げておられますが、これはもう少し具体性がないものか、機械化研究所の大きな仕事は、農業試験場の仕事とはおのずから違っております。そういう点で新しい開発、今までの日本農業の機械と申しますのは、米麦一辺倒の機械でありましたが、果樹の機械あるいは畜産、そういう方面の機械で新しく開発しなければならない機械が、農林御当局の御調査によりましても七十種類と言われております。あるいはもっと多くあるかもしれません。こういうふうな非常に急がなければならない仕事でありますから、官と民とが一緒になった研究所というところに意味があるのでありますが、開発研究というようなところに重点を置くような業務の内容、それから民間の金も出ておるのでありますが、今井関さんが言われましたように、民間の方の研究所というものは最近非常に拡充されております。大きな工場になりますと、三千名の工場に対して三百人の研究員がおる。一千名の工場におきまして百人の研究員がおるというように、農業機械の方の工業も進んで参りましたが、やはりこれもそろばんからはじきますと、ほんとうの基礎的な研究などになりますと、非常におろそかになってくる。やはり目の前の仕事の研究に追われますので、農業機械の設計上の基礎原理という面になりますると、非常にむずかしい問題がある。これをだれがやるのか、これは国の農業試験場でもやりません。機械化研究所の方でもあるいはおやりになる目標がおありになるかと思いますが、やはりこれも強くうたっていない。農業機械設計上の基礎原理と申しましょうか、あるいは基礎資料のための研究、これはすぐには金の方には関係いたさないにいたしましても、りっぱな農業機械、特別な産業機械の中でも私は農業機械は非常にむずかしいと思う。今の動力耕耘機は自動車以上に設計やなんかにおいて困難さがあるのであります。そういう点におきまする基礎の資料が非常に不足している。こういうものをどんどん提供してやらなければいけないと思います。また規格統一というような問題がございますが、妙な規格統一をやると、機械の発達を阻害いたしますが、部品の統一というくらいのことは、これはぜひお願いいたしたい。通産省のJISはございますが、現在たとえば新たに生まれようとするところの十馬力ないし二十馬力のトラクターにつきましての規格の問題でありますが、こういうような点は世界的にも、小さなトラクターにJISみたいなものはきまっておりませんが、せめて作業機とのヒッチ、すなわち結合部分、こういうものの統一というようなこと、こういうふうな部分的なJISの——JISと申しては弊害があるかもしれませんが、こういう点につきまして、いわゆる部品の規格統一というようなことをだれもやらないでおる。ぜひこの研究所の方に私はお願いいたしたい、こういうふうに考えます。  なお、機械化審議会というものが前からございまして、今度の法令からも除かれておりませんが、これはちっとも前と変わっておりません。ただ農林御当局に非常に苦言を申し上げるようで恐縮でありますが、私自身もかつては農林省の役人でありましたものでございますが、先輩づらしまして妙なことを申し上げるようでありますけれども、この機械化審議会におきまして検査部会の審議会がございまして、これはなるほど昭和二十八年に——実を申しますと、昭和二十八年の前の昭和二十四年ごろから国営検査をやっております。それから今日まで約十五年間国営検査に関係するところの審議会というものが非常によく活動して、今日の日本の農業機械のレベル・アップに功績があったことは、どなたも御承知通りであります。しかしながら、この機械化審議会は、審議委員が二十五人、専門委員が四十五人おられまして、日本の農業機械化の将来などについて、昭和二十八年から今日まで十年間のうちに一回も開かれておらない。もちろんこの審議会は政令がございまして、審議会会議の招集は農林大臣、その会長がやるのでありますが、農林大臣が一回も集めていない。農林大臣の河野さんからおしかりを受けるかもしれませんが、お忙しい河野さんに言うのではありませんけれども、これはあるいは事務局がいけない。農林省の事務局は何をしているのか。今、農業の構造改善であるとか、あるいは基本法とかいうことで大きな機械化の動きがあるくせに、日本の将来の耕地の一枚の面積はどれくらいにしたらいいのか、あるいはどれくらいの大きさのトラクターならば何町歩の経営ができるかというような基礎的な勉強が一つもできていない。昭和二十八年にできてから今日まで十年間勉強ができておりましたならば、こんなに今あわてる必要はない。そのような意味合いにおきまして、この機械化審議会法律がございますので、要するに、この法律を直せというのではございませんで、この法令を十分に生かしまして、こういうような審議を着々おやりになるようにお願いしたいと思います。  また、ここにお集まりの衆議院の先生方に特にお願いしたいのでありますが、今、日本の農業機械化重要性皆さん方がよく御存じなのでありますが、この機械化に対する研究施設なり、あるいは研究のための金の使い方は、国といたしまして何という情けない状態になっておるのか。口を開きますと、日本の農業機械化重要性を先生方はみな論ぜられる、ところが、はたしてこういう方々が、国の施策に対して、どれほどの研究費やなんかをお出しになろうとなさるのか。これは、どうしてもここにお集まりの委員長初め、ほんとうの専門の皆さん方のお力をかりる以外にないと思います。皆さんもまた日本の人民の代表としておられるのでありまして、私は四十年の経験から見まして、ほんとうに皆さん方に頭を下げてお願いしたい。どうか、日本の農業機械化ために、もっともっと惜しげのない御協力あるいはお教えをいただきたい、こういうようにお願いいたしまして、私の大へん乱暴な話で、農林省の方々、あるいは先生方に御迷惑をかけたと思いますが、どうか私の意のあるところをおくみ取りいただきまして、御了承いただきたいと思います。(拍手)
  83. 野原正勝

    野原委員長 どうもありがとうございました。  ここで一たん休憩いたしまして、再開後参考人に質疑を行ないたいと思います。  本会議散会後再開することにいたしまして、この際休憩いたします。    午後二時三分休憩      ————◇—————    午後三時十七分開議
  84. 野原正勝

    野原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農業機械化促進法の一部を改正する法律案について、参考人及び政府当局質疑を行ないます。  質疑の通告がありますから、逐次これを許します。角屋堅次郎
  85. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 ただいま農業機械化問題につきまして、それぞれ参考人の方々から貴重な意見を拝聴いたしましたが、この機会に数点について御質問申し上げたい。  御承知通り、今度農業機械化研究所を政府出資並びに民間出資も仰いで、試験研究についての一本化体制を作ろうということになったわけですが、この中でたとえば資金関係の問題を考えて参りますと、御承知通り昭和三十七年から三十九年を目途にした大体二、三年の間に十六億五千万、そのうちで民間出資として五億円を期待し、政府出資としては十一億五千万、こういうことに予定されておるわけであります。そこで問題は、政府出資の問題はいずれ政府委員に御質問申し上げるのですからこれを別にいたしまして、きょうは機械メーカーの方からもおいでのようでありますが、皆さんからの出資五億円という問題であります。農業機械関係のメーカーの実態というものを見て参りますと、御承知通り、比較的中小企業的な性格のものが多いわけであります。最近の数字はよくわかりませんが、昭和三十三年の農業機械機具の工場は二百五十一というふうにいわれておりまして、三百人以上の従業員のものは十七社、百人から二百九十九人までが四十四社、五十人から九十九人が百十五社、二十人から二十九人が七十五社、締めて二百五十一社という実態から申しましても、中小企業のものが相当の数を占めておるのであります。ところが、民間出資は必ずしもメーカーばかりではありませんけれども、メーカーからくる出資というものが結局いわゆる有力メーカー、大メーカーからの出資が大半を占めるという実態になるおそれはないか、あるいはそういうことからして農業機械研究の実態というものが、実質的には大メーカーの要請というもので動かされていくという危険はないのかということが、将来の問題としていろいろ心配をされる一つの点だというふうに指摘をされておるわけであります。こういう点については、幸いきょうは日本農機具工業会会長ということで井関さんがおいでになっておるわけですが、今回の農業機械化研究所の設置ということの準備段階において、民間出資側からもこういう問題についてはどういう御相談になり、あるいはここ数年の間にそういうものの消化についてはどういうふうにしていこうというふうなことを話し合っておられると思うのですが、そういう点についてまずお伺いしたいと思います。
  86. 井関邦三郎

    ○井関参考人 お答え申し上げます。  農業団体の中から出資いたします五億円、これが大体三つに分かれると思っております。この出資の内訳はまだはっきり聞いておりませんが、農業団体、並びに農業関係のあるいろいろな電気器具あるいはゴム製品、いろいろな油関係、そういうようなところからと、それから農機具メーカー、そういうことになっています。農機具業界が出資いたします金額は大体二億円見当という話を聞いておる。これはおっしゃる通り、最近非常な金融逼迫のおりからでありまして楽ではないのであります。しかし、われわれ業界としてこういう総合研究所を作ってもらうというようなことは、時節柄非常に当を得たことであり、また望ましいことであり、今後大いに御期待申し上げておるのであります。その点でわれわれ業界に対する割当二億円は、当然確保しなければならないという決心をわれわれもいたしております。これはおっしゃるようにかなり零細な企業がたくさんございますので、これらにかなり大きな額を割り当てるということは困難であります。どうしてもやはり比較的大企業に類する面で少なくとも七、八割の額を見なければならない、こう思っておりますが、しかし、この運営の面において、大きなメーカーがよけい金を出したからというので、権利を主張し、中小企業の出資のこまいメーカーが恩典に浴せないというようなことは全然ないと思っております。おそらく大メーカーの方はみなおのおの研究所を持っておりまして、基礎研究もある程度までやっております。おのおの自立の態勢になっておる。小さなメーカーの方は何といっても売り上げが小さいものですから、あまり研究に金をかけることは困難でありまして、陣容においても設備においてもいささか貧弱であります。ですからそういう小さいメーカーの方が逆に大いに御利用なさるのではないか。大きなメーカーは割当を完遂する上において一時的に金をある程度まで出すけれども、決してそれを優先的に、金を出すからというので権利を主張するというようなことはおそらくございません。ことに今申し上げたように、これを一応寄付したつもりで、われわれ業界のためにこういう研究所を設ける。この趣旨に全面的に御賛成申し上げ、一そうこれを、先ほども申し上げたように、百パーセントの効果を上げてもらうように、政府においても、いよいよこれが発足しまして、運営に移ればまた予算をふやしてもらって、そうしてこの研究所というものを百パーセントに活用してもらわなければならぬ。そういう意味において全面的にこれに御協力申し上げなければならぬという気持で、大メーカーに負担は多くなりますけれども、決してこれがために権利を主張して、小さなメーカーをそっちのけにして、大きなメーカーが利用するというようなことはほとんど全然ないと断言いたしましても差しつかえない、こう思っております。そういう御心配はなかろうか、こう思っております。
  87. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 先ほども参考人の二瓶先生その他からお話がございましたが、民間の特に大メーカーを中心にした自主的な農機具に対する試験研究というものがなされておる。今度これで「農業機械化研究所は、農業機械化の促進に資するため、農機具の改良に関する試験研究及び調査」を行なうということである。実態はどうであるか必ずしもつまびらかにいたしませんが、ややもすると試験研究というものは民間の場合、他との競争の関係もあって、秘密主義というものがあるかどうかということが問題になる。これは競争ということもありましょうが、せっかく農業機械化研究所ができて基礎的な研究もやらなければならぬ、あるいは民間の会社等におけるところの研究も大いにこの面にくみ取って、農民の立場からの農機具の前進のためには、秘密主義のヴェールを取りはずしていくことが必要なんじゃないか。そうなってくると、今後こういうものが新設せられた場合に、農業機械化研究所で行なう基礎的な試験研究と、民間のメーカーが独自にやっておるところの試験研究を、どう総合化していくか。その場合にそれぞれのメーカーの競争的な立場から、ややもすれば生じやすい秘密主義のヴェールというものをどう克服するのかということが、非常に重要な問題の一つだと思うのであります。この点については二瓶先生から、先ほど基礎的研究を強調されたわけですが、これは単に機械化研究促進だけの問題でなしに、特に直接生産に携わっておるメーカーとの協力、あるいはその基礎的研究というものの協力を仰がなければ、総体的な成果は上がらぬと思うのであります。まずその点について二瓶先生、さらに近藤先生から、今後新設されていく農業機械化研究所ができる場合、今日開拓をしていかなければならぬ幾多の大きな問題についての、研究所と民間メーカーとの研究部面におけるところの相互協力というものは、どういうふうにしていったら一番いいのかという点について御意見を承り、さらに最後にメーカー側の井関さんからも御意見を承りたい、こう思います。
  88. 二瓶貞一

    ○二瓶参考人 お答えいたします。  今の御質問、全く御同惑でございます。この点は非常にむずかしい面がございますが、たとえばある機械の研究をやる、そういたしますときに、常に基礎になる材料がありませんと、むだな道を非常に通ることになりますので、一つの機械、たとえば具体的に申し上げますと、一台の小さな動力耕耘機というものを、ある会社で新しい型を作るということになりますと、大体三千万円から五千万円の研究費ということがいわれております。それにはいろいろ基礎的な研究やなんかも入っておりますので、そういう点で、こういうふうな研究所でできるだけ基礎になる資料——たとえば刈取機を研究いたすにしましても、刈り取るところの対象になるものは稲であり、麦であり、あるいはレンゲのようなもの、牧草のようなもので、水分の多い切りにくい材料、そういうものの物理的な性質なりあるいは化学的な性質なり、あるいは機械的な性質というものの研究がありませんと、その研究ができませんので、そういうことの研究ということになりますと、私がさっきから主張いたしますように、こういう大きな研究所でやっていただいて、そのデータをできるだけ早く各メーカーに公表する、当然こういうところは公表するものだと思います。またすべきだと思います。そういうものをもとにいたしまして、各メーカーが勉強するのでありますが、そのときものによりましては、やはり各メーカーとも特許権というようなものが、国で許されておりますように、やはり独自の発明やなんかの擁護ということもないがしろにすることはできませんが、やはりある程度までは、これはみな、何と申しましょうか、秘密というのは最後のところなので、井関さんが会長をやっておられます農機具工業会にはいろいろな部会がございます。刈取機には刈取機の部会、耕耘機には耕耘機の部会がございますから、少なくともこの研究所などで、これからこうあるべきだというときには、一応部会というものを対象にしたものの考え方で研究をまとめていくというようなやり方が、今後の生きた研究のやり方じゃないか、そんなふうに考えております。
  89. 近藤頼巳

    ○近藤参考人 なかなかむずかしい問題で、私にはなかなかわかりかねるのでございますけれども、ただ考えますことは、日本の農業技術の研究を見ますと、どうも一般的に皮相的であって、底が浅いうらみがあると思うのです。今後農機具関係についての研究を進めますためには、将来の方向を見定めて、底深く研究を進めることが重要視されるべきだと思うのです。底深くと申しますと、基本的な原理的なものということになろうかと思うのです。こういったことは、当然研究の進展に応じて広く公表されるという方法がとらるべきではないかと考えます。この研究所の適切な運営が重要であり、それに期待しなければならないかと考える次第でございます。
  90. 井関邦三郎

    ○井関参考人 今の御質問、二瓶先生のお答えで大体尽きると思いますが、ただ一つ、メーカーの研究所には秘密があるのじゃないか、こういう御質問でありますが、なるほどこれは全然ないとは言えないのであります。新型を出します前の研究途上にある機械は、なるべくよそに見せたくない。新型が出てしまいますれば、もうすぐに公表しますが、その直前にはなるべく見せたくない、こういう面がありますが、しかし外国の研究所に比べると、非常に開放的なのです。どこのメーカーがおのおの工場視察に来ましても、もう各部門とも見せぬというところは全然ありません。要求するところは全部見せております。ただ新しい機械の構造を一々説明するというところまでは参りませんけれども、従って業界は第一線ではかなりしのぎを削っておりますが、会の集まりなどは非常になごやかであります。ほんとうにこれはお互い職を同じくする業種の集まりで、模範的なものだと思っております。従って今二瓶先生のおっしゃるような基礎研究をここでやっていただいて、刈取機なら刈取機は大体こういう方向で進むというようなことを部会ででもよく練りまして、そして基礎的なものを研究所でやってもらう。それから最後の枝葉の問題を各工場でやる、あるいはまた各メーカーの研究所によっては、ある程度まで研究したが、どうしてもものにならない、自己の資本ではとてもこれはやり切れないのだという場合には、今まで研究してきたものを全部研究所では投げ出して委託研究をお願いするというようなことも考えられると思います。とりあえずこれはできましてから後に、運営いかんによって非常にこれは有効に活用ができるのではないかということをお答え申し上げたいと思います。
  91. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 農業機械工業界のいわゆる生産問題、三十六年度の実績は一部推定がまじりまして、六百三十五億三千万程度というふうに、私ども資料で調べたのではいわれておるわけです。三十七年度は生産見込み総額として六百七十億程度を予定する、こういうふうに生産計画をそれぞれ立てるわけですけれども、その中では耕耘機関係で四十三万台ということを予定いたしております。これが今日の状況から見てなかなか激しい販売合戦になるのではないかといわれておりますし、脱穀機、もみすり機あるいは除草機、ことにこれからの増産目標として積極的に考えられておるのは畜産関係の飼料の截断機あるいは乾燥機、農業用フォークあるいは刈取機、こういうこれから盛況になる畜産関係については、積極的な増産目標を立てておる、こういうように言われておるわけですが、いわゆる売らんかなの姿勢でどんどんやっていく。それが農業経営の機械分業的な圧迫の要素になってくるような問題で、生産計画というもの、これからの農業の全体的な指導とマッチしていくという調整を、従来どのようになされてきたか。単にメーカー側の自主的な判断、従来の実績、こういうようなものからやっていくのかどうかということが、これは農林省の農政指導としても一つの問題点だと思います。生産計画というようなことを立てるにあたっての基礎的な判断条件というものをどういうふうに置いておられるのか、関係業界としての一つ意見を承りたいと思います。
  92. 井関邦三郎

    ○井関参考人 なかなかうがった御質問を受けまして、大へん共鳴するところがございますが、なるほど耕耘機にいたしましても作業機にいたしましても、現在のところ生産過剰の観ありがます。かなりストックもできておりますし、販売競争もやっておるわけですが、しかし、これはどういうところから本年度なり来年度なりの生産計画を立てるのかという問題ですが、これは各会社がまず販売部の意見を尊重して、販売部がどれだけ来年は売るのだ、一年間でどれだけ売るのだという計画を立てまして、昨年の実績とにらみ合わせて計画を立てましたものをその会社で生産会議を開いて、これでいいか悪いかという決定をして、おのおの会社では生産計画を立てるわけです。ところが、これを持ち寄りまして、今申し上げた耕耘機なら耕耘機の部会に集まりまして、そうして全体的な需要がどのくらいあり、今計画しておるものを合わせると一応生産計画がどれだけになる、これは少し余るじゃないか、この辺で少し生産調整をしようじゃないかというような話し合いをやっております。なおまた、あまり過当競争をやらないように、お互い共倒れになってもうしようがないじゃないかというような話もするのでありますが、じゃなぜ耕耘機において多少過剰生産になったかと申しますと、非常に足りなかった時代がある。今ちょうど普及の途上にありますので、非常に足りなかった時代にみなが増産計画をやった。それが今やっと成就して、ずっとのぼったところなんです。従って多少アンバランスになった。ただし、こういうことになりますと、お互いが売れぬものを作ってもしようがないし、余るほど作るということは愚の骨頂でありますから、お互いに自粛して、要するに販売可能の生産にだんだん切りかえていく、お互いが自粛して参りますので、これは一時の過渡期における現象でありまして、余ったものは逆に調整して、また足りなくなる、足りないものは、また多少次の年に余ってくるというようなのは、これはどこの業界でもあることでございますが、今後は一そうそういう生産調整、要するに需要を上回る生産をしないということに、お互いが一つ力を注ごうということを申し上げております。
  93. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 後ほど関係委員質問もありますから、なるべく簡潔にやってあとに譲りたいと思います。  農家の購入の生産資材の中で占める農機具の比重というものは、非常に大きなウエートを占めておる。たとえば統計調査部の資料で三十五年度の分を見ましても、農機具関係が約千百十九億、肥料が千三百七十億、飼料が八百九十五億、農薬が二百六十五億ということで、肥料に次いで農機具が非常に大きな比重を占めておる。今後の資本装備でこれが相当な比重を占める。固定資産の関係の比重から申しましても、昭和三十五年度で約三四・八%、こういうふうな比重を占めておるわけですが、先ほど参考人の意見の中で、農業機械の大型化かあるいは中型化かという論議、これは直ちに今日の時点で結論をつけるわけにいきませんが、こういう問題を含めて十分やっていかないというと、相当な資本装備の要素をなしておる農機具関係で、今後の発展の過程の中で大きなロスを生ずる。メーカーとしては売ればそれでいいということで済むかもしれませんけれども、現実に農業経営をやっておる農家の立場からいうと、国の今後の指導の発展の中で大きなロスを生ずるということは避けなければならない。従って、これらの問題について、一体単なる大型化かあるいは中型化かという論争だけでこの問題を提出することを許されないと思うのですが、この点についてさらに、これは主として二瓶先生、近藤先生から、二度目の御意見があれば承りたいと思う。これは非常に重要な問題で、単なる論争で済ますわけにいかぬ問題だと思うのですが、さらに御意見を承っておきたいと思います。
  94. 二瓶貞一

    ○二瓶参考人 ただいまの問題、全く同感でございまして、先ほど申し上げましたように、今日の小さな耕耘機というものが、おそらく昨年末で百万台を突破していると思います。統計面にはまだ出ませんが、おそらく百十万台くらい。今後これがどうなるか。年に四十万台くらい出ますので、あるいはことしの三十七年の暮れには、おそらく百五十万台くらい。そうしますと、六百万農家のうち、四軒に一台というような数字になってしまいます。この点が、こういうものを持っておりましても、自分だけの耕地をやるということになりますと、非常に稼働面積が少なく、稼働時間も少のうございまして、私などの調査の一例を申しますと、大体二十五、六万の機械でありますならば、一年間に七、八町歩耕耘いたしませんと採算がとれません。あるいは十四、五万の小さな機械でありますれば四、五町歩、農林省の方でもこういう計算になっているかと思います。こういう点から見まして、ここに生産者を代表せられる井関さんがおられまして、非常に私などと意見が違うのでございますが、メーカーさんは売れればいいわけですからなんですが、やはり一部から指摘をされているように、過剰投資ではないかということも明らかに認めざるを得ないと思います。しかしながら、農家のいろいろな心理状態なり仕事の共同化とかなんとかいろいろなうるさい面がありますから、考え方によっては、過剰投資をしたっていいではないかということも成り立つかと思いますが、農業というものをまじめに最後の採算までとるということを考えましたら、やはりこのままではいけないのじゃないか。将来——将来と申しますのは近い将来で、かりに一年後あたりを想定の目標にいたしまして、その後の三十年、五十年はしばらくおきまして、十年後あたりのことを考えますと、今の耕耘機やなんかのような歩く農業から、私は、乗る農業に飛躍するだろうということは当然なんであります。それで、御承知かと思いまするが、今日小さいのでありますが、二十馬力以下の乗るトラクター、これこそほんとうの小さなトラクターなんでありまして、今、日本では、十馬力以下のトラクターのことを小型トラクターと申しておりますが、世界的に見ましたら、大体十から二十馬力くらいが小型、二十から三十馬力くらいが中型、三十以上が大型、こう表現したらよかろうかと思いますが、一応の段階といたしましては、やはり十から二十馬力というのがいわゆる世界的にいう小型なんですが、こういう時代がこれからだんだん発展する。そうして今日御承知のように、三十馬力ぐらいのものが一部のところで使われておりますが、これは深耕対策、深く起こす方面で使われていますが、将来、営農の面から考えまするならば、私だけの考えかもしれませんが、大体二十馬力以下の十町歩単位とかあるいは十五町歩というのが、一応の農業経営の形として進み、さらにその後、大型化というものは、十五年後、二十年後にいくだろうと思いますが、一応の段階としては、十五から二十あたりといいますか、あるいは二十馬力以下が中心になる。そうすると、小型の個人用の機械というものは、一時だんだん横ばいしまして、そうしてそれにかわって四つ車の方がだんだん出てくるんじゃないか。現にこれも、十馬力以上の乗るトラクターが、八社、十一種類がもう今日市場に出ておる。こういう時代に今年あたりからだんだん移っていって、今後十年後あたりを想定いたしましたならば、そういうものの時代がきて、小さな農家経営というものはだんだんすたれていくんじゃないか。これは必ずしも夢でなしに、私は、実現可能の一つの方向じゃないか。個人的な意見で申しわけございませんが、そんなふうに考えております。
  95. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これは後ほど農地開発機械公団のところでむしろ出てくる問題でありますが、御承知通り、今日、県段階では、全国的に九県にわたって、いわゆる財団法人が五、社団法人三、株式会社一ということになっておりますが、県の機械化関係の公社、公団その他ができてきております。私どもはそういう芽ばえが出てきておるということは、やはり農業経営面におけるところの機械化貧乏的なものを何とか克服するということが、やはり強くこういう問題の芽として出てきておる原因だと思うのです。同時に、この農業機械を使用する場合のたとえば部品あるいは修理、いろいろな問題、これはそれぞれ各社のサービスということになるかもしれませんけれども、しかしもっと農民に直結したサービス機関というふうな形でより便利にするには、やはりどういう全国的な態勢をとったらいいのか、こういうこともやはり非常に考えなければならぬと思うのです。それで、われわれの方では、機械化のサービス・ステーションというような構想も持っておりまして、大型あるいは中型等の問題については、そういう軽度の賃貸料でもって機械化貧乏からこれを救っていくというふうな問題等についても、国が国の責任において積極的に推進するということも考えなければならぬ、あるいは部品の補充あるいは修理、いろいろな問題についてもっとやはり系統的な農民に対するサービスという立場からの態勢整備ということが必要なんではないかというふうなことを感ずるわけでありますけれども、それらの問題について一つ近藤先生、二瓶先生どちらでもけっこうですが、同晴に、サービス面のことは業界のことですが、そういう点について御意見があれば承りたいと思います。
  96. 二瓶貞一

    ○二瓶参考人 今の問題確かにそうでありまして、今日の小さな機械でありますというと、最近の機械は非常にこわれなくなりましたので、部品さえありますれば割合に互換性のきくようになっておりますから問題ありませんが、これからさっき申し上げましたような二十馬力とか三十馬力とかいう大きなものが入って参りますと、そういうふうなステーションがないと農家がお困りになることは当然であります。それで各大きな製造会社などにおきましても、今までと違った面のサービス・ステーションというものをそれぞれ考えておるようであります。それから農業協同組合なんかの団体におきましても、県で五カ所とか十カ所とかいうようなステーションも作りまして、そういう仕事——農業のことはもちろんいつでも時期がはずれては意味がないのでございますから、その時期に間に合うような体制にすることが必要でありまして、今寄り寄りと申しましょうか、必要に迫られてそういうことも当然考えられてきております。  先ほどの大型トラクターの問題も、県の公社なり県自体でおやりになる方でも、やはり中心になるところにそういうものを置きまして、仕事の間に合わないことのないように十分やるように考えておると思いますが、これもだんだん今後そういうふうな場合にぶつかりまして、改良されていくのでありまして、時期に間に合わない機械ばかりではありませんから、そういう点については十分にメーカーさんも考えておられましょうし、団体なり公社などにおきましても、そういったステーションを設けることは当然であり、十分考えられつつあるとはっきり申し上げてよろしいかと思います。
  97. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 時間がございませんから最後に、水田の田植え、あるいは直播あるいは刈り取り、こういう問題の機械化ということが、今日の日本農業の実態から見れば非常に重要な面でありますが、これがほとんど未開発であって、これから開発を急がなければならぬということになっておるわけですけれども、二瓶先生は、農業機械関係は、先ほどもお話のように四十年来やっておられて、この方面の大権威でありますが、大体今言った水田の整地あるいは田植え、収穫という問題の総合的な機械は、大体いつの時点でできる見通しだというふうに専門的な立場から見ておられますか。またメーカーとしてもまだ未開発の問題でありますけれども、今日意欲的にこの問題に取り組んでいくという前提の中で、大体いつごろまでには一貫作業の機械化体制がとれるというふうにお考えでございましょうか。この点を一つ承りたいと思います。
  98. 二瓶貞一

    ○二瓶参考人 御承知通り、日本の農機具を代表する言葉に、くわとかまという言葉がございます。くわとかま、北海道ではそうではなくてプラウ、ハローと言っておりますが、日本ではまだ農業関係以外の方は農機具というと、くわとかまとを連想しているのでありまして、確かに刈り取りというものが大昔から今日まで依然としてかまで刈っておりますが、幸いにも刈取機が終戦後、関東東山農業試験場で研究されまして、今日ようやく実用の域に入ったと断言してもよろしいかと思います。まだ農家の方には十分入っておりませんで、各メーカーさんがお作りになりましたものだけで、ここ二、三年間に売れた台数はと聞かれたら、ちょっと私わかりかねますが、おそらく二千台とか三千台くらい、これはレンゲの刈り取りなども入っておりますが、このレンゲの刈り取りなどは非常に成功をいたしております。それから稲、麦の刈り取りの方もかなりのところにいっておるのでありますが、後の脱穀作業のことを考えますと、一度に二条も三条も刈り取りまして、穂先が乱れると今度は脱穀作業でまごつきます。ところが最近投げ込み式のスレッシャーの発達によりまして、かえって稲の刈り取りは乱暴に刈ってもらった方がいいとかいうような妙な現象が起こりましたので、今いつごろこの刈り取りの方は普及するのかと申しましたならば、即答するのはどうかと思いますが、おそらく五年後におきましては、汽車の窓からかなり見られるような刈取機の時代がくるかと思います。スケールはまだ小そうございまして、刈り取ったり脱穀するコンバインというようなものは、まだまだ先でありますが、一応刈取機というものが汽車の窓から見られるようになるのは、おそらく五年を待たないかもしれません。そういうふうにりっぱにできております。   〔委員長退席、山中(貞)委員長代理着席〕  それから直播の方でありますが、これが最近また問題になって参りまして、特に都市近郊などにおける労務の関係で田植えどきに人を雇い得ないというようなことになりましたので、今直播というものがまた芽ばえて参りまして、東北地方や関東地方はさほどではありませんが、西の方からまず起こって参りまして、今年あたりは総面積が何万町歩になるか、これはむしろ農林省のお答えの方がよいかと思いますが、そういうことでまた昔に返りまして、北海道などは直播のものが、ここ十年か十五年のうちにほとんど移植時代に入りましたが、それが最近また北海道でも直まきが問題になっております。内地でもやはり直まきが問題になりました。ところが直まきをやりましても、最近では除草剤の発達によりまして、あとに雑草のはえる心配がなくなったということが非常な強みであります。しかも田への直まきのやり方も、今までのような水を張った直播ではなしに、乾田直播というようなことによりまして収量的にもそう劣っていない、あるいはむしろ増しておるのじゃないか、労力の点が半分なり三分の一になるということがわかって参りましたので、これなども、あるいは幾何級数的と言っては乱暴かもしれませんが、しかし直播時代が来年、再来年またくるのじゃないか。全部直播になるとは考えられませんが、相当の面積が直播の方に入りますと、この機械化の方の労力というものは、かなり節減できることははっきり断言できるかと思います。
  99. 井関邦三郎

    ○井関参考人 今の刈取機の方は二瓶先生のおっしゃった通りであります。案外早い機会にこれが実現すると思います。一方田植機でありますが、これはどうしてもものにしなければならないというメーカーの切なる希望がありまして、田植機に対しては各メーカーとも相当多額の金をつぎ込んで研究を続けており、もう一歩というところまでいっております。私の方の研究所でも、昨年も一昨年も考案して、今後何とか実用化しようということで、田植機でもうすでに試験田で植えております。ところがこれをいよいよ実用として売り出そうと思ってみますと、まだ一、二の心配をしなければならない個所があります。全く一部の問題にまで解決しかけておりますが、最後の問題がまだ自信のあるところまでいっておりません。従ってこれはいつ実現するかということは、ちょっとここで申し上げられませんが、中共が今非常に田植機に力を入れております。これは人力難、畜力難で、中共の広いたんぼを田植えするのには大へんな人手を要しますので、何とかこれを解決しなければならないということで、ずいぶん助成金をたくさん出しまして各方面で研究を続けております。ところが、これもようやくどうにかものになりかけたけれども、一部にはできておりますが、まだほんとうの実用にならない。従ってこの問題は、われわれ業界の責任において、何とかやらなければならないということで一生懸命なんですが、でき上がった苗のやわらかい根を分ける装置が、ちょっとしたことですが、実際問題としてむずかしい。従ってこれがいつ実現するかということはまだちょっと申し上げられない。ただもう一歩というところにいっております。
  100. 山中貞則

    ○山中(貞)委員長代理 楢崎弥之助君。   〔山中(貞)委員長代理退席、委員長着席〕
  101. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 聞きたい点はたくさんあるのですが、あとに公団関係が控えておりますので、ただいまの角屋委員からの質問も詳細にありましたから、簡単に質問をしたいと思います。  先ほど本案に対する御意見を聞いたわけですが、特にこの促進法の三条二項で、この機械化の促進について農業構造改善に資さなければならないという配意の義務があるのですね。これは非常に大切な点であろうと思うのです。そこで今後の農政の方向、つまり農業基本法も出ておりますし、基本法を大きな柱として構造改善ということが言われておるのです。この三条に書かれておる構造改善に対する配意の義務なんですが、現実にはこの構造改善について、同じような名前の構造改善事業というものが出てきておるわけですね。そういう点について、先ほどもいろいろお話があったのでございますが、機械化に対する配慮がいろいろある。そしてまたその配慮ゆえに機械はどんどん導入しておるけれども、過剰投資になる、あるいは機械化貧乏に現実に農村がなっておる。そういう点で近藤先生にお伺いしたいのですが、現実の機械化促進と国の構造改善に対する現実の施策、もう少し基本法の関係では土地の必要な整備などに国が大いに力を入れるであろうと思われておったのです。それが同じ名前の構造改善事業という適地適産の方針に変わった。そういう点で機械化促進について国の現実の政策がマッチしていないように私は考えるわけですが、この第三条の構造改善に対する配意義務との関連で近藤先生のお考えがございましたら、ちょっとお伺いしたい。
  102. 近藤頼巳

    ○近藤参考人 いろいろと問題がからみ合っておりますので、適切なお答えを申し上げにくいと思いますが、何と申しましても、本格的な機械化を進めますためには、土地条件整備が不可決であることはこれは申すまでもないことだと思います。そういった観点から、この機械化を促進するにつきましても、機械化という立場から機械化を促進する、機械化を可能にする、これはただ農業機械だけの問題ではございませんで、いろいろな条件がからみ合っておるわけです。そういう条件を明らかにし、それとの相対的な関連で、適切な農業機械の研究を進めていくということが必要だと思います。その中で特に重要なことは土地条件整備でございますし、それから私先ほど申し上げました経営構造のいろいろな場面においてあわせて進めていく必要があると思うのです。たとえば先ほど問題になりました直播栽培の問題などでございますが、最近の農村からの労力流出に伴いまして、農家の間に直播栽培の要望が高まっておる。それから試験研究機関におきましても直播栽培の試験研究に力を入れております。ことに最近におきましては非常に力を入れておるわけであります。先ほど二瓶さんからお話がありましたように、直播栽培もおいおい移植栽培に匹敵する収量を得られるようになるだろうということでございますが、直播栽培の問題につきましてはいろいろな問題がある。何しろ日本の稲作というものは移植栽培と固く結びついて参りました。土地条件ども移植栽培との関連において改良が進められてきたと言っていいかと思うのであります。そこで収量をあまり問題にしない直播栽培ですと、これは可能性考えられると思うのですけれども、日本の条件といたしましては、今後は直播栽培においても現在の移植栽培よりは高い収量レベルのものを目ざさなければいけないと思うのです。たとえばこういった収量レベルの高い直播栽培ということになりますと、まず第一に乾田化が必要であります。水利施設を整備するということが必要であります。また深耕して畜肥などの有機質肥料を増強して地力を培養するといったような条件が必要になってくると思うのであります。たとえばその場合に深耕を可能にする、地力の培養を可能にするというようなことは、今までの水田農業そのままの形で進めたのではなかなか無理なのです。ここに大きな改善、革新を必要とする。たとえば畜肥を増投して地力を培養するというようなことになりますと、畜産を導入するというようなことをあわせてやられなければいかぬ。しかもその畜産は生産性の高い形で進められなければならない。こういうようなことになって参りますと、どうしても小規模単位の経営ではだめなんです。一つの経営の規模を大幅に拡大いたしまして直播栽培、移植栽培、これも労力分散の関係で移植栽培も幾つかの段階に分ける、飼料生産のための田畑輪換を取り入れるというふうなこともやらなければなりません。それほど合理的に肥培管理をいたしますためには、かなりの大面積に集団的に実施をして適切な肥培管理をするということが必要になってくる。このようにいろいろな問題がからみ合っておるわけであります。御指摘のように土地条件整備ということが機械化を促進するリミッティング・ファクターになると思います。私も農林省の施策がどう行なわれていくかということをおぼろげには存じておりますけれども、私たちといたしましてはこういったことをもっともっと強力に進めることが必要だというふうに考えております。
  103. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 農林省の施策については、時間がありますからまた別の機会にゆっくりお聞きいたします。  二瓶先生にちょっとお伺いしたいのですが、大型トラクターが今後日本に普及するとして、今の導入可能の面積からいって大体どのくらいその余地があるか、もしそういうめどが言えましたら一つ……。
  104. 二瓶貞一

    ○二瓶参考人 突然の御指名で大へん恐縮なんでございますが、今十馬力以上の大きなトラクターが大体四千五百台といわれております。今日あるいは五千台ぐらい入っておると思いますが、その五千台の半数が北海道でございます。あとの半数が内地でございます。十馬力以上でございます。それで今、日本内地で一番多く大型が入っているのが兵庫県でございますが、こういうところも大型を入れまして三、四年たちますが、さんざんな目にあっているわけでございます。と申しますのは、まず道路がない、それから耕耘区画が狭い、あるいは耕地が分散しているのでせっかく大きな機械を入れましても一日の稼働面積が非常に制約を受けておりまして、さんざんな目にあっておりますが、使い出してから三、四年の今日、道も直しましょう、あるいは区画もだんだん整理しましょうということが大型が入ってから直っておるのであります。兵庫県の例は人手がないための大型化なんでありまして、それに伴って深耕もできたというので、深耕のおかげで病害虫防除もかなりできるようになった、それから収量も増したというような予想外のことが出ておりますが、それでは日本の現状はどうなるかと申しますと、日本の水田の機械化考えましても、おそらく水田の半数というものが湿田地帯でございます。そういうような湿田の地帯でもこういうような大きな機械が入らぬこともございませんが、どうでございましょうか。いろいろ条件整備ということまでやっておりますとなかなか大へんなんで、あるいは入ってから道が直ったり区画整理ができたりというおかしなことになっておりますが、将来どういうことになりましょうか。日本の全面積のうちの、極端なことを申しますと、かりに六百万町歩のうち二百万町歩可能だというふうにするか、あるいは百万町歩できるんだという数字はおそらく農林省の方で御調査になったものがあると思いますが、今ちょっと記憶ございません。かりに百万町歩なら百万町歩に大きなトラクターが——外国の例では一町歩に一馬力ぐらいの計算になっております。それですから百町歩に百馬力という計算で、五十町歩の農業経営者であれば五十馬力を持っているんだという大ざっぱなこともいわれておりますが、日本でありますとあるいは一町歩について二馬力ぐらいの勘定でいかないとうまくいかないんじゃないか。これも単なる私だけの考えでございまして、これはもっと勉強させていただきましてお答えいたしたいと思いますが、外国の例では何か一ヘクタールに一馬力、五十ヘクタールなら五十馬力ということで、そのほかにもちろん十馬力とか小さなトラクターも持っているようでございますけれども、日本の場合には、その外国の例から見たならば、二倍ないし三倍ぐらいの馬力を見ませんと、道路が悪い、飛び地になっている、区画が狭いということで——今区画整理の一番大きな問題として農林省もお考えになっていると思いますが、今の一反歩制度という聖徳太子のころのきめが、これが人力時代の模範的標準の区画なんでございますが、今日の大きなトラクターになりましたならば、一反歩がいいのか一町歩がいいのかは問題点でございますけれども、少なくとも三反歩ぐらいというところを最低目標ぐらいにして進まなければ大きな機械化というものは困難じゃないか。はなはだ当てずっぽうみたいなことを申し上げまして申しわけございませんが、もしなんでしたらよく調べしましてお答えできるかと思いますが、きょうはこれでごかんべん願いたいと思います。
  105. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 まだたくさんあるのですが、特に今この委員会では、機械化と一緒にわが党から農業近代化促進法というものを出しておるんで、そういう点ともからめて御意見を聞きたいのですけれども、時間がございませんからこれは省略いたします。  井関先生に。今度の研究所について大へん多く期待しておられるようでございますが、これは民間からも出資をすることになっておりますけれども、業界としてはことしどのくらい出資してくれという要請を政府から受けられておるのでしょうか。
  106. 井関邦三郎

    ○井関参考人 約二億円の三分の一ですね。三回に分けて二億円を出資する、こういう計画でございます。
  107. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 現在の計画としては試験研究の方の十億円の半分の五億円を大体民間から仰ぐ政府計画で、そのうち三十七年度については二億円を三回に分けてというのですか。
  108. 井関邦三郎

    ○井関参考人 いや、これは農機具業界に割り当てられるものが二億円、それから農業団体あるいは関連団体、こういうものを合わせて五億円、こういう計画でございます。
  109. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうすると二億円を三回に分けてという話ですが、大体本年度の割当分のめどはつきましたのですか。
  110. 井関邦三郎

    ○井関参考人 大体いいと思っております。それは確信を持っております。
  111. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 大体と言われては大へん困るのではなかろうかと思うのですが、これもまた政府に直接に聞くことにいたしますけれども、まあ大体くらいの見通しはついておるという回答として承っておきます。  それから民間が研究所に出資をすれば出資者としての権利があると思うのですが、大体どういう権利を期待しておられますか。
  112. 井関邦三郎

    ○井関参考人 別に出資したからといってこれだけ権利を主張するというような考えは持っておりません。ただ農業全体から見て、当然やるべきことだから御協力を申し上げる、また特にわれわれも一面においては大いにこれを利用さしていただくということになりますが、さっきもちょっと申し上げましたけれども、出資が多いから株式会社みたいに配当をよけいもらうとか、よけいにこれを利用さしてもらうというような考え方は、今のところだれも持っていないようであります。従ってこれについての問題はありません。そして、今大体と申し上げましたが、えらい足りないじゃないかということに聞こえますが、もっと具体的に、ほかもできたんだから何日までにどれだけそろえろという、はっきりした御指示がありましたならば、これに基づいてこちらも歩調を合わせて参りますから、決して大体とお聞きになりませんでも……。
  113. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 この法案が通るかどうかまだわかりませんから、その通りだと思うのです。通ったら、何日までという命令がくればちゃんと耳をそろえて出すというあれができておるらしいのですが、それはまた政府に別に聞きたいと思います。  それから今の出資をして利益を受ける点について大へんきれいなお考え政府も助かると思うのですね。しかし、何か利益がなければ民間会社は金は出さぬだろうと思うのです。その点についてももう少し聞きたい点がありますが、これも政府に聞きます。  それから、これはこまかい点になろうと思うのですが、大体機械を実際に使っていらっしゃる農民の方の御意見も実は聞きたかったのですけれども、その関係の人がおられませんので、井関先生は三年間農業をやられたという話を聞きましたから、よく事情がわかっておられると思いますので、立て続けに聞きますから一緒にお答えをいただきたいのですが、小型耕耘機は自動車損害賠償法の適用を受けておるわけですか。
  114. 井関邦三郎

    ○井関参考人 ええ、受けております。
  115. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうすると、その辺に走っているものと保険料やなんかは一緒ですか。
  116. 井関邦三郎

    ○井関参考人 保険料の率は多少変わっております。今保険の率が非常に不利であるというので、何とかもう少し——ほかの自動車のように保険金は変わらなくて、それに対する事故が非常に少ないものですから、それに見合うように保険料を下げていただきたいということを申しております。
  117. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私、農民の方からいろいろと希望を聞いているのですが、ガソリン税の問題はどうでしょうか。
  118. 井関邦三郎

    ○井関参考人 ガソリン税の問題は、やはり自動車は道路補修のためにかなりガソリン税を別に納めておる。農民もそれと同じようにガソリン税を納めておる。ところが、自動車と同じようなガソリン税を農民にかけることは無理じゃないか。一応それをかけなければならぬということでかけるとするならば、それを何とか農家に還元してもらうような方法はなかろうかということで、これはまた何か別の方法でそうやってもらうようにお願いしたいと思っておるところでございます。
  119. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それから研究所に委託をされていいものができて、そこで特許権などが生まれるとするとどういう関係になるでしょうか。どういう希望を持たれますか。
  120. 井関邦三郎

    ○井関参考人 特許権が生まれた場合は、せっかくとられた特許ですから、一応特許権をお持ちになることはけっこうでありますが、これを民間に使わせてもらいたいという希望のあったものについては、全面的にこれを無償で使わせてもらう、だれにでも使わせてもらうということがわれわれの最も望むところであります。あるいは研究所の経済の問題もあるので、何ぼか金をくれたらいいじゃないかという問題が起こるとも思うのですが、それはまたそのときのことでいいじゃないかと思っております。
  121. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それから中、大型トラクター、特に中間のものが輸入をされているわけです。しかし、それに続いて国産態勢も進んでおる。この輸入の関税のことについて御意見がございますか。
  122. 井関邦三郎

    ○井関参考人 われわれメーカー側からいいますと、関税を幾らかかけてもらった方がいいということになるわけです。どうしてかというと、内地で大型トラクターを作る場合、生産台数が外国に比べて非常に少ない。従って原価高になる。関税がうんと下がってきますと、太刀打ちできない。だからある程度の関税は必要だ。そうかといって、むしょうに大型トラクターだけに関税を多くするわけにはいきませんから、おそらく将来は大型トラクターについては、日本では太刀打ちできなくなるのではないか、大型トラクターは外国に依存しなければならなくなるのではないか、こう考えております。  先ほどからいろいろ先生方のお話がありまして、大型トラクターというものが将来必ず内地に入るのだ、水田農業にも大型トラクターの需要が出てくるのだという御意見でありますが、将来としてはそういう望みを持つことは大いに必要だと思います。ところが実際問題として、われわれ業界では大型トラクターは水田にはあまり向かない。これは何ぼ入れようと思っても、そうむしょうに入るものではない。数がある程度に限定される。日本の農地の実態から申して、水田農業には大型トラクターはそうあまり大きな期待は持てない。  それから、先ほどから過剰投資になるというようなお話もありますが、多少過剰投資になっても、どうしても小型トラクターが入らざるを得ないのじゃないか。時勢の流れでこれをとめることはできないから、無理してでも小型トラクターでいかなければならぬ。小型トラクターは約三百万くらいは普及するだろう、こういう見方を業界ではしております。
  123. 足鹿覺

    足鹿委員 今の問題に関連してお三人の御意見を伺いたいのです。  日本の農地の実情は中、大型トラクターの入る余地はある程度実情が不可能ならしめておる、従って小型耕耘機が今後もまた伸びるであろう、これは業界の御意向としてはあるいはそういうことにお考えになっておるかもしれませんが、私どもが今この法案に重大関心を持っておりますのは、この研究所を通じて播種から収穫に至るまでの一貫した体系的な機械化をどう具体的に研究し、可能ならしめるかというところに重大関心を持って当たっておるのであります。また、そういう意味で井関さん等も先ほどから御出資のことについては非常に熱意を持って受け入れ態勢を整備しておるというお話ですが、今のお話とはいささか食い違いがあると思うのです。問題はそこにあると思うのです。売れるから作る、こういうことのみでは日本の農業近代化への大きな柱である機械化問題を考えてはならないのではないか、そういう点についてもいろいろと御考慮されておると思いますが、さて、製作メーカー、企業家としては先ほど述べた播種から収穫までの一貫的な機械化体制ということについてはどのような態度でもって研究をしておられますか。研究所がどのような研究をしましても、何らの体系もなしに、ただ楽がしたいという農民の切実な声のみに重点を置いて製作を進めていくのでは、これは機械化貧乏の様相を特に濃化していく危険性があると思うのです。そこで、メーカーとしてはどのような態勢をとっておいでになるか。また先ほど角屋君の質問の際にも、中小企業メーカーが多い、こういうお話でありました。とするならば、この研究所と連絡をとりながら一貫的なそういう新しい体系的なものをどう企業化し、またそれが可能であるメーカーは業界にどれくらいありますか。それと、業界のそれに対する態勢はいかんということを一つお答えを願いたいと思います。  それから二瓶参考人並びに近藤参考人の両先生に伺っておきたいと思いますのは、機械化農業生産力の関係であります。現在のような小型トラクターによって、水田であれ、畑地であれ、長く使って参りますと、むしろ牛耕、馬耕よりも深度の関係その他の関係において土壌が悪化してきやしないか、悪化と言うと語弊がありますが、生産力に影響をしてきやしないかという心配も実は私持っておるのです。その限界がたかだか四寸が精一ぱいだろうと思うのです、現在の小型のものであれば。これを中型化し、大型化していきます場合は、近藤先生のお話のように八寸も可能であろうし、大型の場合は、そういう適地であれば一尺でももっとでもいくでありましょう。そういう土地には、小型トラクターの場合は、その機械の持つ能力の限界がありますから、それ以上の可能性はない。これを三百万台もどんどん一方において進めていくというそういう販売上の、企業家としての自由を私どもは尊重するのであります。別にそれにとやかく言うわけではありませんが、少なくとも日本農業が今求めておるものに協力し、それをまた築き上げていくというかまえのない限り、業界にそういう気持のない限り、この研究所はただ研究に終わっていく、こういうことであってはならぬと思うのであります。そこでこの深耕の問題が、先ほど近藤先生からもお話がありましたが、私どもが地方でいろいろぶつかりますことは、三十馬力前後のものを、イギリス方面から入れたものが、私どもの地方にも相当入っております。ところがそれをやろうにも下が瓦礫でどうにもならぬというようなことが相当あるのです。一体その農機学会や学者の間あるいは業界の間では、この中型以上のトラクターを入れて深耕をすれば、農業生産力を高めていくという確信を持てる限度の面積をどの程度と見ておいでになりますか。これは重要な問題だろうと思うのですね。業界としてもその必要以上のものを、いかに要請といえどもぼんぼん作っていくわけにはいかない。従って先ほど生産計画は販売部の意見を尊重してやるのだというお話でありますが、この中型以上のものを、しかも一貫的なもの、体系的なものとして考えられた場合に、一体どの程度当面目標にしておられるか。またこの中型以上のものを入れて、可能な面積というものはどの程度に踏んでおられますか。これは今後の農器具、特にトラクターの中型、大型化あるいは収穫期のコンバイン等の実用化が出てくる場合に、当面問題になってくると思うのであります。そういった点をお三人さんからそれぞれの立場において一つお話を伺っておきたいと思うのです。私はいろいろありますが、この一点だけ……。
  124. 井関邦三郎

    ○井関参考人 ただいまお話の中に、売れるからとにかく小型の耕耘機を作るんだということじゃ困る、つまり今後の農業政策に協力をしていかなければいかぬじゃないかというお話、これはごもっともであります。われわれは自分の商売さえ成り立てばいいというわけではない。とにかく商売というものは、お客様本位でなければならない。必ずお客さんの喜んでくれる製品を作らなければ成功しないのです。一時は売れるかもしれませんが、長い目で見たときに、お客さんの好まざる機械を売るという販売政策は、これは最も旧態依然とした行き方で成功しない。ところがわれわれ業界から観ずるところ、今の耕耘機にもいろいろ種類がありまして、小さいものはなるほど今のディーラーと称する中耕用のもの、あるいはその中間のもの、あるいは少し大型のもの、三つぐらいに分かれておりますが、今深耕で耕耘機のために不自由をしているということはほとんど見受けません。それはなんぼでも掘ったらいいじゃないかというものですが、しかしその土壌によって、掘っていい土壌と掘っちゃかえって逆に、粘土土などあまり深く掘りますと、あとで始末に負えぬものになってくるのです。従って必要だけは掘っているのです。今の畜力利用よりは深耕の方がはるかに上にいっております。従って農家で掘りたいと思うほどは現在の耕耘機で十分掘っている、十分深耕は農家の欲するだけいたしておる、こう考えているわけであります。  それからまた、どうして大型にふん切らぬかということ、もう大型時代がきているのに、形状はできているのに大型に力を入れたらいいじゃないか、こういうお話でありますが、われわれ業界の本職の目から日本の農地の状況、それからまた水田作業の状況、いろいろな面から見て、どうしてもそれは将来大型化して、大農式にいける分野はどしどし推し進めていってもらうことはやぶさかでありません。しかし実際問題として、なかなかこれが大型化し大農化するということは実際問題として困難だ。これは何といってもこの十年や十五年は、たとえば今耕耘機を、要らぬものを入れたってしようがないじゃないかということなんですが、今の耕耘機の寿命一ぱいぐらい何か、今耕耘機を買って不合理でない、今の時代は要するに耕耘機時代なんだ。耕耘機を買うことが農村としては最も適切である、こういうふうに使命を持っているのです。それで将来大型化させるあるいは大農化させるという分野はどんどん開拓することは非常にけっこうなことであります。やぶさかではありませんが、こういう分野が案外思ったほど進みにくいのではないか、いろいろたくさんな小中農が土地を持っておりましても、これを一括して十町、二十町のものにしようとしましてもそれを集約しなければならない。なかなか先祖代々から伝えられた土地を簡単に手放さない。どうしてもやはり中農の農家というものをある程度育てていかなければならぬ時代じゃないか、こういうふうにわれわれはかたい信念を持っております。
  125. 野原正勝

    野原委員長 質問及び答弁とも簡潔に願います。
  126. 足鹿覺

    足鹿委員 私のお尋ねしたものにそのものずばり答えて下さい。播種から収穫に至るまでの一貫した体系的な機械化をわれわれは待望しておる。それに即応するあなた方の現在の態勢いかんということと、それから直ちにその態勢によって具体的に製作可能なメーカーはどの程度あるのですか。農機具工業会の会長としてそういう点をそのものずばりに一つ……。
  127. 井関邦三郎

    ○井関参考人 大型化したもの、かりに二十馬力以上を大型と見ておりますが、これは今比較的農業機械メーカーの中で大手筋といわれているのが四、五社です。これがやれば可能であると言えば言える。ところがこれらの四、五社が全部大型のかりに二十馬力以上のトラクターを作ったといたしますとこれはとてもじゃないが生産が引き合わない。日本全国で作るものを一カ所で作るべきだ。もしこれを大型化して日本で生産化するならば、メーカーが特殊な会社でも作ってこれは一カ所に集中すべきだ。これを各メーカーがめいめいに五百台作り、千台作ったんではとても外国製品とは太刀打ちはできません。大型時代がいよいよ来たれりということになれば、われわれ業界ではこれに対する対策を根本から立てなければならぬということですが、まだそこまでいっていないのです。われわれメーカーではまだその段階ではないというふうに見ておるわけです。
  128. 二瓶貞一

    ○二瓶参考人 先ほど御質問がございました日本の畑なり水田なりで大型トラクターの入る可能性ということでございますが、農林省のお調べによりますと、大体半分ぐらいはあるいは可能かもしれません、あるいはそれ以下になるかもしれませんが、そんなふうに聞いております。それでやはり、私と井関さんとではだいぶ見解が違うのでございますが、三十馬力以上のトラクターというものを外国の例で見ますと、一メーカーが年に五万台作らなければ、世界市場のトラクターとして競争できないということを聞いております。ところが、日本のメーカーが三十馬力以上のものを一年間にこれからやって入り方を見ましても、せいぜい二千台とか三千台を十社とか二十社で作るのじゃとても引き合いませんから、むしろこういうものは合同で作るか、あるいは外国依存がいいんじゃないかと思います。私の面から見ました、営農面から見まして、二十馬力を標準にしましたところの機械化というものを、さしあたりここ十年、十五年のうちは、そういうふうな段階で考えていかなければとてもだめじゃないか。七反歩、五反歩の経営者も、それでももう五十軒、百軒集まらなければならない状態でありますから、やはり三十馬力や四十馬力の、特殊の状態で特殊の用途に使うものならばそれ以上のものが必要になりますが、一般営農ということを考えますと、十馬力から二十馬力ぐらいの段階においてこれをやる。しかも深耕の目標というものはさしあたり六寸耕あたりじゃないか、六寸耕ぐらいのものでないといけませんね。また四寸耕にしましても、幾ら施肥の改善をやったり品質の改善をやっても、何ほどの増殖もできない。何で増殖をするんだとなりましたならば、やはり一般畜産なり果樹のことがございますから、なるべく水田の面積は減らしましょう、そうして一割でも二割でも動力の面で残しておきましょう。そうして果樹なり畜産の牧草を作る。そういう問題は私はしろうとでございますが、大体そんなふうに考えております。そうすると、さっき御質問の、二十馬力の機械が一貫してできるメーカーが何軒ありやということになりますと、これからできる研究所あたりを中心といたしまして一生懸命やりましたならば、そんなに困難じゃない、おそらく五年後ぐらいにおいて一そろいのものはできるのじゃないか、私はこういうふうに考えております。お答えになっているかどうか知りませんが、よろしく御了承願いたいと思います。
  129. 足鹿覺

    足鹿委員 近藤先生、生産量との関係について……。
  130. 近藤頼巳

    ○近藤参考人 深耕と地力の培養が生産力の増強の基礎であるということは、これは昔からの経験から、また理論的に明らかだと言っていいと思いますので、それに関連しまして、私、大体先ほど申し上げたわけでございますが、今の耕起は一般的には三寸、四寸、せいぜい五寸といった程度の耕起の深さだと思います。これは現在までの経営構造全般の問題と関連してくるわけだと思いますが。そういった耕起の深さ、そういった経営構造では、これは生産性を大幅に高めることは無理だと思います。日本の農業におきましては、今後飛躍的と申しますか、大幅に生産性を向上する必要がある。そうしますと、私は先ほど大型機械を能率的に活用できる経営構造に改めなければならないと言ったわけですが、このことは同時にこの深耕ということと結びついておる。それで深耕の程度もそれぞれの耕地の条件に応じまして、それぞれ適度がある。六寸なり八寸なり、水田の土性、土層構造、水の問題ですね、特に水田の場合におきましては、地下排水がよくないと、これは深耕の効果がない。そういったようないろいろな問題がからみ合っておりますが、今後生産力を大幅に高めていくためには、私、先ほど申し上げましたような大型トラクターを能率的に使うことができる経営構造に改めなければならない、その進め方によって生産力を増強していく。ただそのためには関連条件がたくさんある、特に土地条件整備というようなことなどは、基本的に重要な一つの問題であると考えるわけであります。ですから、なかなか簡単な問題ではない、しかしぜひそういった方向に進めていかなければならない、こう考えておるのであります。
  131. 野原正勝

    野原委員長 湯山勇君。
  132. 湯山勇

    ○湯山委員 いろいろお尋ねいたしたいこともございますけれども、時間の関係もございますから、御発言関連した部分だけで二点お尋ねいたしますから、一つ御答弁願いたいと思います。両方の問題とも井関参考人と、一方の問題は二瓶参考人の御発言関連しておりますから、お二人でお答えいただきたいと思います。  第一点は、二瓶参考人の御意見の中に、検査を随時するということになったことは大へん喜ばしいことであるという御意見がございました。これは確かにそういう機械の進歩という点だけからいえば、あるいはそうだと思います。けれども、そういう検査に合格した、その各段階が同じ種類の機械についてそれぞれ製品化されるというようなことになると、相当それがコストに影響してくるんじゃないか、そういう競争が場合によっては確かによくはなってきたけれども、今のカメラだとかあるいは自動車までではないにしても、そういう本質的なものを離れてはいないけれども、若干ずつの前進がそれぞれの段階で製品化されるということによるコストの上昇、そういうことになってくると、これは大へん問題はむずかしい問題になってくると思うわけです。そういうようになると、これはさっき井関参考人の御意見にありましたように、農業機械というものの性格からいって、そう簡単に取りかえられる性格のものでもない。せっかく若い者が機械の魅力によって農業に従事しておった、しかもお前の使っておったものは去年のもので古いじゃないかというようなことになることも、そういう影響も考えられますので、今検査を随時検査にしたということについては、もう少しおつけ加えいただく必要があるんじゃないかということを感じますから、その点についての御意見、それから井関参考人からはそういうおそれがあるかないか、そういうことについての御意見を伺いたいと思います。  それから第二にお伺いいたしたい点は、大型トラクターについてはむしろ輸入に依存した方がいいんじゃないかという御意見でございました。現在わが国からも相当量の農業機械が輸出されておると思います。その輸出されておるものについては、いろいろ保護措置が講じられておると思いますが、いずれにしても肥料と並んで手数百億の費用が農民から支出されている。この農業機械についてもし輸出が非常に保護されているという状態であって、しかも大型トラクターのようにあるいはこちらの方の生産コストが高いというようなことがあれば、現在肥料で問題になっておるように、政府の政策としては輸出を優先していく、輸出を優先的に扱っていく、その輸出の赤字が実は国内の農家にはね返ってくる、今肥料は実際がそういう状態でございますから、そういう懸念があるいはあるんじゃないかというような、先ほど来の御発言の中から若干心配する点も出て参りましたので、そういうことがあるのかないのか。ことに日本と似ておる東南アジアの諸国あるいはお隣の中国、こういうものを考えて参りますと、将来農業機械の輸出ということがかなり重要な問題であると思います。そういう際に、輸出ということが実は国内の価格にしわ寄せされるというようなことになる懸念はないかどうか。さらに今台湾等へは、井関さんのは進出しておられるようですけれども、中国への農業機械の進出ということについてはどうお考えなのかあわせて、伺いたいと思います。以上でございます。
  133. 二瓶貞一

    ○二瓶参考人 随時検査について、随時そうやればメーカー側は助かりますが、かえって値段が高くなるようなことはないかというようなふうにお受け取りしてよろしゅうございましょうか。——随時になりますと、やはりメーカーは確かに助かります、三年も四年も待たなくてもよろしゅうございますから。そしてあとから出てくるから値段が高くなるというような点はそう心配要らないのじゃないか。あとから出てきましてもやはりだんだん改良されたものが出てきますから、一面農民側にとりましても必ずしも不利じゃないのじゃないかというような気がいたします。あとから出たからといって極端に値が高いようなものでは売れませんから、やはりその辺は世間並みの相場で出さなければいけませんから、特別にあとで出たからといってその値段が高くなるということはないのじゃないかと思います。
  134. 湯山勇

    ○湯山委員 私が申し上げているのは、農業機械というのは耐用年数が相当長期なものになっております。そこで、たとえば同じ種類の機械についてメーカーの方としてはことしの春こういう機械を出した、続いて秋同じようなもので改良して出す、常にそういうことをしょっちゅうやっているとそれに対するコストですね、研究費とか、今おっしゃったように研究するのにこれくらい要るというお話がありましたから、そういうことを常にやっていけば、そのことがコストにはね返ってくるから、実際は製品が高くなってくるおそれがあるのじゃないか、むしろ二年なり三年なり固定するくらいの心がまえの方が農民にとってはいいんじゃないか、極端に言えばそういう意味のことです。
  135. 二瓶貞一

    ○二瓶参考人 おっしゃる通りでございまして、やはり外国では割合に長いのであります。一つのものを出しましてから五年ないし十年なり、ところが日本ではメーカーさんが非常に痛いところなんですが、代理店の方がお前のところはこれじゃ困るじゃないか、ああしろこうしろと言ってくるのです。日本でも大きなメーカーさんでは大体四年くらい動かさないようにしなければ商売にならないということを言っておられました。よい機械でありますと、現に四、五年そのままでおります機械もかなり多くなっておりますので、おっしゃる通りその点はやはりあまり毎年々々変えるなんということはどうしたって生産高になりまして、農家に不利でございますから、その点は全くお説の通りでございます。
  136. 井関邦三郎

    ○井関参考人 今お話の随時検査にするから、たびたび改良するから高くなるのじゃないかという御懸念でありますが、どうせ検査にかかわらず変えなければならぬと思ったらメーカーは変えるのです。そういう点は検査を受けずに出すか受けて出すかということになる。おそらくその方は実質面においてはあまり大きな違いはないのじゃないかと考えます。それからまた今まで作っておらなかった機種を出しますと、国営検査が四年に一回、五年に一回しかありませんし、それが非常に優秀な機械であっても国営検査を待たなければ合格品として大手を振って売り出すことはできませんので、実際は売れば農家は必ず喜ぶのだけれども、検査には通っていないという不合理もありますので、その方は実質面においてそう大した問題はないのじゃないか、こういうふうに思います。  なおまた、先ほどちょっとお尋ねの農機具を輸出することによって、逆にそれがはね返ってきてコスト高になりはせぬかという御意見でありますが、これは農機具の場合そういうことは全然ないと言っていいと思います。また、ただいまのところほんとうの大量の注文が入ってきて、これを無理してでも売って国内製品で埋め合わせるというようなことは、大量生産という大きな商売が一ぺんにするもの、あるいは鉄とか肥料というものにはそういうことがあるかもしれませんが、農機具のようなものには決して国外に出すからといってコストを割って出すというようなことはほとんどないと言ってもいいと思います。  なお、中共に見込みがあるかどうかというお尋ねもありましたが、中共にはかなり期待が持てると思います。日本との貿易が正常化すれば中共にかなり期待が持てるのじゃないか。と申しますのは、中共は非常な農業国でありますし、中共には見返り物資があるのです。中共から当然買うべきたとえば鉄鉱石とか塩とか、あるいは穀類にいたしましても、また大豆とか飼料とかいうような、日本にほしいものが中共にはかなりありますから、中共にかなりな製品を出しましても、必ず貿易面でプラスになる。ただ東南アジアに大いに発展したいのですが、これは遺憾ながら持ってくる品物がありません。金もないが見返りするものがないということになりますので、なかなかこれが思うように、伸ばしたいのだが伸ばせないという痛しかゆしの面が出てくる。中国なら今申し上げたようなことであります。非常におもしろいと思います。
  137. 川俣清音

    川俣委員 一点だけお尋ねいたしますから、答弁をできるだけ簡単に一つお願いいたしたいのです。  今の問題に関連いたしまして、農機具が最近非常な進歩、発展を遂げております。そういう意味からいろいろの機械の更新が早まってきたように思うのですが、メーカーとしては何年くらいで一体農家が更新することが適当であると考えておられますか、これはメーカーからです。また近藤さんは、生産者の立場も加えまして、何年くらいで更新することが適当だ、何年と年数だけでけっこうです。理屈は要りません。時間がないですから。二瓶さんもそういう意味で、もちろん機械にもよりましょうが、大型、中型、小型と三種類くらいに分けまして、大型については何年くらいで更新することが適当だというふうな答弁をお願いいたしたいと思います。年数でけっこうです。
  138. 井関邦三郎

    ○井関参考人 今のお話の耐用年限はどのくらいなのかという御質問だと思ってよろしゅうございますか。——大体作業機は十年、耕耘機は七年という目標を立てております。
  139. 二瓶貞一

    ○二瓶参考人 機械の進歩が早いといたしますならば五年から七年というくらいじゃないかと私ども思っております。
  140. 近藤頼巳

    ○近藤参考人 私はどうもその辺のことはわかりかねます。
  141. 川俣清音

    川俣委員 そこで、いろいろ機械の展示会等を開かれた場合、メーカーの方々は三年、四年で更新することが一番能率が上がるのだ、こういう説明をされておるようでございます。農民は大体三年か四年で更新をしているようです。ところが税法上の耐用年数は、最近改正されましたけれども、五年、七年、十年、最近はこれは税法上七年と十年になっていると思われます。生産費計算の方からいいますと、これは償却年数、こういうことになるわけですが、そういう意味からいきまして、もしも今おっしゃるような耐用年数であるとしますれば、農村には過剰な農機具があるということになると思う。更新が早くなければすでに生産されただけで過剰な農機具が存在するということになると思う。過剰でないということになると、もっと耐用年数が短い、あるいは更新年数が短いとみなければならないと思うのです。資料から見ましても、耐用年数はもっと短いのだという説明になるのですが、この違いをどう御説明になりますか、この点だけ。
  142. 井関邦三郎

    ○井関参考人 作業機のような安定しましたものは、たとえば脱穀機でいいますと二百六、七十万台稼働しておりまして、毎年二十七万台売れております。従って十年に一回更新することになります。耕耘機の場合は四十万台です。わずか百万台しかふえておらぬのに四十万台も売れておかしいじゃないかということになりますが、これは今どんどん普及しておる時期なんです。また前のやつは持っておらぬで、新しく買っていく時期ですからそういう不合理な現象がある。今どんどん新たに入ってきよるのですから、更新しようにも前の機械がないということです。これが三百万台ばかりずっと横ばいしだしますと、三十万台ないし四十万台になるわけです。
  143. 川俣清音

    川俣委員 時間がありませんから簡単に一つお願いします。今の問題について二瓶さんいかがですか。
  144. 二瓶貞一

    ○二瓶参考人 大体同じように考えております。なお、大きなトラクターなどになりますと、一万時間、一千時間使って十年というのが外国の例でございますが、日本のものでも、大きなものは五年ないし七年と申しましたが、やはり十年のものもございましょう。それから農家が個人々々で使っておる場合には五年ないし七年ではだめになりませんが、機械の方には陳腐化というのがございまして、あとから出るものに能率的なよいものが出たりすると自然に移る面がございまして、早いもので五年、七年あるいは十年くらいで、大蔵省の耐用年数に大体マッチしてくるんじゃないか。けれども、できるならば少ない台数を早く使って常に新しいものを買うというやり方も考えなければならぬ。それには共同化で使いまして、五年使うものも三年で使いこなすというふうなやり方もあるのじゃないか、こういうふうに考えます。
  145. 野原正勝

    野原委員長 丹羽兵助君。
  146. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 私の質問は時間にして二、三分、問題は一つでございますから、お答えをいただきたいと思います。  今日参考人からいろいろお聞かせをいただいております農業機械化促進法の一部改正に直接関係しておることではございませんが、しかし、先ほど二瓶参考人からも言われましたように、歩く農業から乗る農業に変わりつつある。これはすなわち、私は農業近代化機械化そのものずばりの標語だ、こう思っておるのでございます。けさほどから参考人各位のお話を聞いておりますと、近藤参考人から、機械化することによって一部においては過剰な投資を見て農民の負担が大へんえらくなっている、こういうお話がございました。なるほど一面におきましては過剰投資の面もありましょうが、しかし私は、全面的にそうだとは考えていないので、やはり今日の農民感情からして、新しい機械ができて参りますれば、くわ、かま、耕耘機からそうしたものに変わっていく、これは当然なことでございます。そういう考えから一点だけお尋ねしたい。  今日の大型化というもの、また中型化というのも将来においてはあり得るでありましょう。そういくでしょうが、現在の農業の実態から考えまして、耕耘機は欠くべからざるもののように私は思うのです。そこで、大きなものは別としまして、小型の耕耘機を中心にしてお尋ねしたいのです。昔は牛や馬を使ったり、あるいは人間がリヤカーを引っぱって肥料を山の上に持って行った。ところが近ごろは、耕耘機にリヤカーをつけたり、小さな車をつけて山の上に肥料を運んでいる。いわゆる運搬の役目をやっている。こういう面から考えますと、なるほど過剰投資というようなことはあるかもしれませんが、これには全然当てはまらない。今日のお百姓にリヤカーを引っぱって歩けとか、牛や馬で肥料を運べと言うことはできない。やはり耕耘機、これが運搬の役目をやって農民の気持を非常に明るくしておるのです。私、ときどき地方へ参って農民からいろいろ聞いてみると、先ほど楢崎さんのお尋ねのように、ガソリンの問題、保険の問題等々が出る。特に耕耘機なんというものは、もう近ごろ運搬用に使って、農民の足であり、げたであり、わらじだというのです。これが免許証がなければ運転ができないということをときどき訴えられる。私は楢崎さんの御質問にあればそのことをお尋ねしようとは思わなかったのでありますが、近代化をはばむものにはいろいろありましょう。御意見にもありましたが、土地改良をやらなければならぬとか、道路をつけなければならぬ。こういうようなことについても——また、買うについては融資の問題等いろいろありましょうが、実際農民が使いたい、また使わなければならぬその耕耘機を、これはこの委員会でやることではないけれども、おじいさんや若い衆が使っても、危険率はほとんどない。スピードはないし、人間が歩くのと同じである。だから掛金も安い。ところが、免許証をとらないと運転できないということで今困っておる。われわれ関係方面へも訴えたのですが、作って売りさえすればよいのではなくして、やはり農民が要求しているものは使っていけるようにする。耕耘機は免許証なんか私は必要がないと思うのですが、あなたの方は、メーカーとして農民と連なる立場において免許証について関係方面に働きかけをなさったことがあるかどうか。免許証の撤廃の働きかけ、これをやっていただかなければ普及すべきものが普及できないので、こういう点についてメーカーが関係者として働きかけをなさったことがあるかどうか、この一点だけ伺っておきたいと思います。
  147. 井関邦三郎

    ○井関参考人 メーカーから耕耘機の無免許についての関係方面への陳情は常にやっておりますが、警察側から、耕耘機ばかりでなく、自動車が多くなって事故がだんだんふえておりますので、走る以上一定の取り締まりをしなければならぬということなんです。それで、農機具であるがゆえにできるだけ軽便な方法をとってもらっておる状態であります。われわれは無免許にしてもらいたいと常に叫んでおりますが、なかなかそう参りません。現在許されている軽免許がもうぎりぎり一ぱいの線だというので、願わくは、先生方のお力で無免許にしていただければこの上もないことであります。その運動は盛んにやっております。
  148. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 それはただメーカーが、そう言っては悪いですけれども、あなたは日本農機具工業会の会長として、農民の要求にこたえてこういうものを作る。すぐと大型化、機械化することができなくても、耕耘機程度のものなら過剰投資にもならない。昔と違って耕耘機を使って荷物を運搬する、これは農民の要求だ。それにこたえるようにしていくという考え方で、農民と渾然一体となって——おじいさんや何かに免許証をとれとかああいう試験を受けろと言うことは無理なんです。そこで私が言うのは、あなたの方も作って売るということにウエートを置かずに農民がもっと使用する便利を与えるという、農民に協力するという意味で、あなた方がどんどんこの問題について関係方面に働きかけて下さる情熱、熱意があるかどうかということを重ねて承っておきたい。
  149. 井関邦三郎

    ○井関参考人 熱意、大いにあります。それはでき得るなら何はさておいてもこれをやりたい。これをやりますと農村が非常に軽便になりますから、買いやすくなるし、また売れ行きにも非常に影響してくるのです。従ってやりたいのですが、それどころじゃないのです。十五キロしか認められておらない。せめて二十キロか二十五キロにしてもらうと非常に便利なんです。それを十五キロ以上一歩もいかぬということで、ここらで常に折衝しておるのですが、やはり当局はそれぞれの責任がありまして、なんぼ声を大にして嘆願これ努めても、なかなかむずかしいのですね。とにかく道路を走ることは間違いないのですから、やはり道路法とか法規に基づいてやる。そのかわり、できるだけ軽免許で、あまり練習するとか、実地の——できるだけ続いてやりますから、これからまた今度運動を起こしますときには、先生方にも御協力願いたいと思います。
  150. 野原正勝

    野原委員長 近藤、井関、二瓶各参考人には長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。お引き取りをいただいてけっこうでございます。      ————◇—————
  151. 野原正勝

    野原委員長 引き続き、農地開発機械公団法の一部を改正する法律案について、松本参考人から御意見を承ることにいたします。松本参考人。
  152. 松本烈

    ○松本参考人 この改正に対します公団の考え方でございますが、今まで御承知通り農地開発機械公団は借入金によりまして一切の仕事をして参ったのでございます。機械の購入はすべて世銀及び余剰農産物の資金並びに資金運用部の資金をもちまして全部機械を買い入れ、それによりまして仕事をして参ったのでありまして、公団の経営の基礎というものが実は非常に不安定でございましたので、政府はこれに対しまして、一応公団の資金の健全化ということと、それから経営の合理化といいますか、健全化、こういう趣旨をもちまして、今回公団に対しまして出資の措置をおとりになられたということが第一点でございます。  それから、公団の業務に農地の造成または改良の事業の用に供する機械及び器具の修理を行なう事業を新たに加えられたのでございますが、これは政府のお考えといたしましては、一応、現在農林省が持っております機械の一部も公団に現物出資をされることに実はなっておるわけでございまして、この農林省から現物出資をされる機械と、それから私どもが現在所有しておりますところの機械、これを一元的に運営をいたしますことと、その修理を公団みずからの手で行なう、こういうことに実はなっておりますので、この修理を行なうという事項が実は新たに加えられておるわけでございまして、これは先ほど前の法案審議の際にもお話がございましたように、各府県に公社、公団等が将来多くできて参ると存じますが、こういう公社、公団の、あるいは県有の機械を修理するという依頼がもし公団にございました場合には、私どもその機械の修理も実は引き受けて参りたい、こういうことで、今年は熊本の農地事務局に所属しておりますところの機械管理所並びに京都の農地事務局に所属しておりますところの機械管理所の二カ所を一応公団が引き受ける、実はこういう形になっておる次第でございます。  それから、公団が将来余裕金がありました場合には、これは今までは銀行にだけ預金をしておったわけでございますけれども、信託業務を営む銀行へも信託預金をすることができる。これは大蔵省の非常に大きな配慮だと思うのでございますけれども、一応定期預金をする場合と信託預金をする場合には、大体二分五厘ほどの差が実はございますので、そういう点もあわせて考慮されたことと存ずるのでございます。
  153. 野原正勝

    野原委員長 時間の都合により本日はこの程度にとどめたいと思います。      ————◇—————
  154. 野原正勝

    野原委員長 この際お諮りいたします。  農地開発機械公団法の一部を改正する法律案につきまして、明日午前十時よりさらに農地開発機械公団理事長松本烈君、同じく理事下川善之君、及び前農地開発機械公団理事長成田努君の主君に、参考人として御出席を願い、御意見を承ることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  155. 野原正勝

    野原委員長 御異議なしと認め、さように決しました。
  156. 足鹿覺

    足鹿委員 この際審議に資するために、資料の提出を求めたいと思います。  一つは古いことで恐縮ですが、世銀との当初の保証協定全文を御提出願いたい。第二に公団が保有し、またがつて保有しておった輸入機械の使用状況。三が公団役職員の退職金の支出明細と公団業務規程。四が公団役員の任免一覧表、これに伴う給与、退職金等の詳細。五が同じく公団顧問、嘱託等の一覧表、人名は全部であります。これに伴う給与、退職金等の支給内容。最後に、行管がよほど以前に、三十六年の五、六月ごろでありますか、公団業務の運営状況に関する報告を出しております。その全文と並びに勧告。以上であります。
  157. 野原正勝

    野原委員長 次会は明三十日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十三分散会